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1949-11-11 第6回国会 衆議院 通商産業委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十一日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長代理理事 神田  博君    理事 有田 二郎君 理事 小金 義照君    理事 澁谷雄太郎君 理事 今澄  勇君    理事 有田 喜一君 理事 川上 貫一君       阿左美廣治君    今村長太郎君       岩川 與助君    門脇勝太郎君       關内 正一君    高木吉之助君       田中 彰治君    中村 幸八君       福田 篤泰君    福田  一君       前田 正男君    加藤 鐐造君       山口シヅエ君    高橋清治郎君       田代 文久君    河野 金昇君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         通商産業事務官         (通商振興局         長)      岡部 邦生君         通商産業事務官         (通商企業局         長)      石原 武夫君         通商産業事務官         (資源庁鉱山局         長)      徳永 久次君  委員外出席者         通商産業事務官 近藤 止文君         通商産業事務官 中村辰五郎君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 十一月十日  十津川電化事業費国庫補助請願前田正男  君外一名紹介)(第五四号)  鳥取県に通商産業局分室設置請願門脇勝太  郎君紹介)(第一三一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の  法律案内閣提出第七号)(予)  帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八号)(予)  帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案(内  閣提出第九号)(予)  帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇号)(予)  日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一三号)(予)  繊維に関する件     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。  前回に引続き私が委員長の職務を行います。  この際、諸般の御報告をいたします。去る十一月八日の本委員会の決議によりまして、委員長より議長に提出いたしましたところの、通商産業行政に関する事項についての国政調査承認要求書に対しまして、昨十日議長より承認をいただきました。なお昨十日、十津川電化事業費国庫補助請願外一件、計二件の請願が付託せられました。以上お知らせいたしておきます。  ただいまより前会に引続き産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案帝国石油株式会社法り一部を改正する法律案帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案、以上予備審査の五法律案一括議題として質疑を継続いたします。川上貫一君。
  3. 川上貫一

    川上委員 定石の一部改正案について質問を一、二いたしまして、政府石油鉱業に対する根本的の考え方をお聞きいたしたいと思います。  石油については五箇年計画ができていると思うのですが、これが政府の方の助成というようなこともなくやれるかどうかということであります。今日の日本石油産業は、一般的に言つて、だんだんと外資によつて押えられて来つつあると思う。従つてこういう形になつておりますと、政府においても石油産業に対する今後の根本方策があるだろうと思うのですが、これについての一般的な考え方をまず聞いておきたいのであります。
  4. 宮幡靖

    宮幡政府委員 石油鉱業に関しまする今後の方針についてのお尋ねのように思いますが、川上委員の御指摘のように、石油鉱業特殊性から考えまして、帝国石油株式会社法の効力のあるといなとにかかわらず、従来とほとんどひとしい方針をもちまして、石油資源開発のために助成いたしたいと思つております。ただいまでは、試掘奨励金を交付する方法によつて、これを実行に移しております。本年度予算では、御承知と思いますが、大体一億九千万円程度助成明年度予算編成の都合で少々減つておりますが、一億三千万円程度予算計上をお願いいたしてあるような状況でございます。何とぞ御了承いただきたいと思います。
  5. 川上貫一

    川上委員 助成奨励金試掘奨励金によつてこれをやるという御答弁でありますが、それに関連して、こういう点をちよつとお聞きしたいのです。それは帝国石油の今後の経営状態見通しなのであります。外資圧迫相当大きくなるということを、われわれ考えておりますが、値段その他の点から、今日の帝国石油国産石油を一手にやつておる会社でありますから、帝国石油の問題は国産石油の問題と同一だと考えてもいいと思うのであります。それの経営に対する将来の見通しこれについて政府のお考えを聞いておきたいと思います。現在の経営状態はわかつておりますが……
  6. 徳永久次

    徳永政府委員 私からお答え申し上げます。ただいま帝国石油の採算の基準になつております原油価格は、九千円をちよつと起しております。今度イラン方面から輸入いたしておりまする原油は、概算で申しますと約六千五百円ぐらいでございます。従いまして、その間に相当開きがあるわけでございますが、まだ現実にわからない要素がございます。と申しますのは、現物がまだ入つておりませんので、品質上のどの程度相違があるものか、そこらのところになりますと、十分の比較ができない状況でございます。それからもう一つは、輸入いたしまする原油は主として太平洋岸輸入され、そうして関東、関西、九州方面需要に充てられるということになるわけであります。国産原油秋田方面が主力でございますので、その辺において精製処理され、その地区及び北海道方面需要にあてられるということになるわけでありますが、国内の輸送の関係等を見まして、かりに輸入原油太平洋岸で処理いたしまして、秋田方面へ持つて参るということを考えまするならば、運賃関係におきまして、約千円の開きが出るものというぐあいに見ておるわけであります。つまり約九千円と六千五百円で三千円近い差がございまする上に、運賃関係でまず千円は消えるというふうに見ていいんじやないかと思うのであります。それからもう一つ要素は、今後国内原油生産保護と申しますか、そういうような意味合いにおきまして、関税をどう見て行くかという問題が残されております。現在の輸入関税は昔のままになつておりまして、昔の石油製品価格関税との割合からいたしますれば、従量税でできておりまするけれども、従価一割ぐらいの保護関税でできておつたものでございますが、今後輸入関税をどの程度に改正いたしまするか、今政府部内で研究は続けられておるわけでありまするが、まだ結論に到達しておりませんので、どういうことになりますか、はつきりいたさないのでありますが、この要素があるわけであります。以上かいつまんで申し上げますると、地理的な條件のハンディキャップと、輸入関税がどうきまるか、それから輸入されましたものの品質上の比較がどうなるであろうか、それらの要素から見まして、單純に今のマル公と今回買いつけられました価格との差、それだけの開きではなしに、相当縮まるものと考えております。ただ全然影響を受けないかどうかと申しますると、大局的に見まして若干の影響を受けるということはあるのではなかろうかというふうに見ておるわけでございますが、会社当局におきましても、その間いろいろ今後のコストの切下げ、合理化等の余地も検討いたしておるわけでありますが、もう少しただいま申しました未知の要素の確定、判明をまちまして影響程度考え、その影響程度に応じて適当の処置を考えるということにいたしたいと考えております。
  7. 川上貫一

    川上委員 今の御答弁外油関係圧迫相当経営困難な問題が予想されるわけなのでございますが、そういうような状態のところに政府の持つている持株を売出して、どんどん売れるというお見込みなんですか。今度の帝石改正法は、日本国産石油事業の発展を目的として改正するというのではなくして、経済上の理由で改正するのだという説明になつておりますが、どういう形でこういう行先き不安な状態の株が民間にどんどん売れるのか、この点どういう見込みを持つておられるか、ちよつとお聞きしたい。
  8. 宮幡靖

    宮幡政府委員 この点につきましては、先日も申し上げました通り、適当の評価をもちまして、証券処理調整協議会の決定をまちまして、引受団等によりまして一応この株をさばいて、一般市場圧迫しない状況を見まして、順次これを市場に流す、かような方向で参りまして、政府の株の処分せられるのは、期待いたします通り早期に参ることと思いますが、順次これが完全に民間に所有せられるのは相当期間がかかることは、おおむね川上委員も御了承願える点だろうと思つております。さような点で順次消化は可能と考えております。
  9. 川上貫一

    川上委員 これはなかなか消化が可能でないという結論になるという御答弁ではないのでありますか。行先きが決して安全ではないのです。今の徳永鉱山局長答弁によりましても、輸入原油国産のそれとは価格において相当開きがある。そうして関税の問題もありますが、この関税が現在一割程度のものを今度うんと引上げられて、外国から持つて来るものと国産原油と競争するということは、おそらく政府考えにはないだろうと思います。というのは、これにつけ加えて私はもう一つ聞きたいのですが、現在国内でやつておる元売業販売量の約七〇%は米英系の三社がにぎつておるのではないかと思うのであります。これに外資と提携しておる日本会社の分を含めますと、九〇%ぐらいまでは元売りさばきが実際の権利をにぎつてしまつておると思います。これが第一点であります。  第二に、日石カルテックスとの契約の内容を見ますと、カルテックスが委託する全製品販売処分に関しては、日石は絶対的に努力しなければならぬ。つまりカルテックスが持つて参りますものは、どうしても売らなければならぬという形の契約が結ばれておると思うのであります。そうすると、現在世界の石油が過剰という状態ではありませんけれども、将来これを持つて来るということになれば、いくらでもそれは持つて来る。こういう形になりますときに、これに対して関税引上げてやるという形は、今のような政府の行き方じや、これはできつこない。  第三番目には、日石カルテックス契約を見ますと、値段カルテックスの意のままにきまることになつている。これはカルテックスの方が値段をきめて来る形になつている。そういう契約なつておると思います。このような形になつておると、今鉱山局長は、関税の問題、その他の問題を言われましたけれども、こういうものでとても対抗することはできないと私は思う。そうすると国産石油というものは、外資並びに外油圧迫で破壊されてしまう形をとつている。こういうところに持つて行つて、この国産石油の問題を国際的な野ざらしに放置しようというのが、政府考えである。政府は手を離してしまつてあとは野となれ山となれ。ところが一方においては、日本石油問題はかような状態に陥つているのでありますから、今後帝石というものがこれに対抗して存立することが、なかなか困難である。株なんか行先不安でなかなか売れない。と同時に、日本国産石油業というものは、壊滅の危劍に陥るのだということを考えますが、これに対して政府側の御意見を承つておきたい。
  10. 宮幡靖

    宮幡政府委員 川上委員の御質問の中には、ほとんど決定的な御見解をお持ちになつておりますので、これに対していろいろ申し上げますと、これは見方の相違ということになつて来るわけでありまして、この点はむしろお答えしない方がいいのじやないか、かように考えますけれども、そういう考え方でなく、一応の現在の方針を申し述べたいと思います。もちろん川上委員の御満足に値する答弁であるかどうかわからぬことは、これはあらかじめお断りしておきます。  保護関税政策がとれるかということは、おおむね経済というものが、これは生きて動いておるものだと私ども考えております。石油について申しましても、時と場合によりまして、需給関係その他の経済事情の変遷に適応いたしますところの関税政策わとるのであつて、ただいま国内価格国外価格とを調整するための保護関税を設けるかどうかというようなことを、決定的な言葉で御答弁申し上げることは、ぜひ差控えたいと思います。  また日石カルテックスの問題につきましても、現在管理貿易下にあります場合において、カルテックス日石との契約日本人の産業指導権を握り、あるいは日本石油工業壊滅に瀕するような契約であるかもしれません。これは御解釈を否定もしませんければ、肯定もいたしませんが、自由貿易がすでに眼前にさし追つておりまして、貿易状況その他日本の各般の状況を勘案いたしてみまするならば、この契約は固定いたしまして、永久性あるいは恒久的に続くものだとは、私ども考えておりません。もし御指摘のような弊害があるとするならば、自由貿易を与えられた業者、あるいはこれに対しましては政府が適当な措置を講ずる必要があるなら、相まつて日本石油工業保護育成ということに考えをいたさなければならぬ、かように思つております。ことにたとえこの帝石法が廃止せらるべき状況にありましても、石油資源開発法というものは残つておりまして、試掘その他の奨励助成というものは、これは継続いたしておるわけであります、しかしながらとかく独占企業あるいは国家経営というものは非能率でありまして、生産コストを低下させる、いわゆる合理化というものは、むしろ民間にまかす方がよろしいではないか。すでに帝石が持つておりました未開発の数鉱区を民間に拂い下げた等り例もありまして、自由企業創意努力を加えて能率化しまして、及ぶ及ばないというような仮定的の判断を持たないで、必死にこの石油工業の存立を確実ならしめるような施策を行うべきが、当然であろうと考えております。  以上のような見解でただいま政府といたしましても日本石油工業壊滅するであろうというようなことをみすみす見逃したり、あるいはこれに寛容であつたりすることのないことをこの際申し上げておく次第であります。
  11. 川上貫一

    川上委員 三百代言のような答弁で私はおかしいと思う。日石カルテックスとの契約がこのままであるならば日本石油産業壊滅するような方向に行くかもわからぬ。ところがそれではならぬから、今後自由にやれるようになれば、これがやめられるのだ、こういうようなことを言われるが、これはとんでもない話だ。今日石油の問題については、東燃は五一%の株を外資に渡している。日石は実に不利益な契約カルテックスと結んでいることは明らかである。さらに今回太平洋沿岸石油再開をされたのでありますが、それを見ると、多分これは外資関係会社によつて開始されようとしていると私は考える。また日石製油所を取得する権利外資に与えております。さらにスタンダード日本乗合自動車との契約で、全国至るところのガソリン・スタンドを自分で設ける契約を進めているというように聞いている。これは日本石油産業というものを外資に全面的に渡す方向なんです。これは管理貿易下だからこうなるのだ、あとになればこれをやめるのだ、かつてなことを言つておられますが、そうかつてには問屋がおろしません。この点については政府はしつかりした答弁を私は聞きたい。このことは日本石油産業国産石油壊滅だけではない。政府單独講和を希望しておられるような口吻を、きのうの施政演説に対する質問に対しても、答えておられる。また軍事協定参加の意をほのめかしておられる。こういう点は日本が次第に軍事基地化する方向をとりつつあるような危險を私は感ずる。これは石油なんかについてはことにはつきり出ている。こういう方向をとりつつあるが、これに対して一体主務官庁はどう考えているかということと同時に、今のような御答弁はどうもわれわれには合点が行かない。今貿易管理下だから、こうなるのだ、東燃の五一%の株も外資だ、日石カルテックス契約もこうなつたのだ、あるいはスタンダードの申出もそれなんだ、太平洋沿岸製油所外資関係会社によつて開始されようとしている、これもやがては元のようになるので、日本産業圧迫するのじやない、こういう答弁は、私は答弁にならないと思う。石油産業の問題については、国産石油を一体どうするのか、日本産業自主独立の形で建設しようと政府は努力しているのか、それともこういうものを国際的に野ざらしにしてしまつて自主を放棄してもいいと考えいるのか、ひよつとしたらその方を考えているのじやないか。きのう内閣総理大臣自主独立という経済は、封建時代のことだと答弁せられた。これはとんでもない失言だと思う。こういう考えが一体政府にあるのですか、どうですか、これをひとつはつきり聞きたい。
  12. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまの御質問でありますが、これはむしろ石油資源の絶対量において、絶対的不足の現状にあります日本石油産業、あるいは石油の消費ということを考えて、川上委員に御名案がお持合せがあつたら、御教示いただきたいというのが、答弁に一番当つていると思います。無いものから有はできない。しかも管理下であるからこうだということを答弁したと言いますが、もつと進んで申し上げれば、占領下にあるから、結局無条件降伏條件から、各種のものが生れて来るだろうと私は考えております。しかも政府の根本的な講和とか、あるいは軍事基地化するとか、それらの問題は昨日総理答弁した通りでありまして、いささかもそれに相違をいたしおりません。従いましてかつて気ままに自分の思うままにできる状況での御判断及び見解相違につきましては、本委員会においてもはなはだ失礼でありますが、答弁の限りでないと存じております。
  13. 川上貫一

    川上委員 そうすると政府の方の御答弁は、占領下であるし、管理下であるから、これはもうしかたがないのだ、答弁の限りでない、われわれとしては前途については考えておらぬ、こういう御答弁でありますか。
  14. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御答弁は申し上げてありますが、ただ川上委員の御満足に値しないというだけでありまして、そのような答弁の限りでないと申し上げるわけであります。
  15. 川上貫一

    川上委員 私の満足するしないは別問題だ。政府がどう考えておるかということを私は聞いておる。ところが何もかもしようがないという答弁だ、そう解釈していいのですか。
  16. 宮幡靖

    宮幡政府委員 日本石油産業壊滅に至らないような、時と場合に応じた施策を講じて行くのだということを前段はつきり申し上げております。それでありますからその方針にかわりございません。
  17. 川上貫一

    川上委員 どういう方法をとるのですか、はつきり言つてください。時と場合に応じてということではわからぬ。
  18. 宮幡靖

    宮幡政府委員 それですから先刻も申し上げましたように、川上委員にもし御案があれば御教示をいただきたいと、私は申し上げたのであります。現在日本国民として、日本政府といたしまして、いやしくも日本産業が破壊したり、崩壊したり、お説のような国際的に野放しにすることを好む者は一人もないわけであります。従いまして現在予想することができない、しかも無條件降伏の結果は、国際的に発言権がないわけであります。現在われわれが仮定のもとに立つていろいろ議論することは、それこそ空想空論だと思います。ただ根本方針といたしまして、あくまで国の産業保護育成することには、何人も異論がないことを御了承願いたいと思います。
  19. 川上貫一

    川上委員 私の質問しましたことは、日本石油産業というものは、将来こういう形においてははなはだ危險状態になると思うが、そう思わぬかということを聞いたのでありますが、それに対する答弁はしないのですか。これ以上私は追究いたしません。  最後に私は言いますが、政府石油といい、今度の鉄鋼業に対するやり方といい、民営とか自由経済という美名のもとに、日本石油ないし鉄鋼業を国際的に野放しにする方法をとつておると思います。これはその裏を返してみますると、次々とこれを外資にゆだねる方法を助長しておると思う。これでは日本産業自主性を必ず失う。中立の方向に立てぬ危險がある。国の独立危險があると私は思いますが、しかしこのことについては政府当局は必ず見解相違であるとおつしやるに違いないので、これはどう考えておるか聞きたいのだが、適当な答えが出ぬことは明らかだから、ただ私はこのことを強調しておきたい。こういう形ですべての日本の重要な基礎的産業を、民営あるいは自由経済という美名のもとに国際的に野放しにすることは、日本産業の自立と、日本の国の独立とに危險を来すところの政策をおとりになりつつあるものだということを申し上げまして、私の質問を打切りたい。
  20. 神田博

    神田委員長代理 次は今澄勇君。
  21. 今澄勇

    今澄委員 同僚委員質問で大体わかりましたが、まず第一点として私は日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案について簡單におただしします。日石の株はともかく、日鉄あたりの株になりますと、持株処理委員会引受団べ話して、入札による引受けというような今の御答弁でありましたが、日鉄株あたりはとてもそういうようなことでは賣れそうもない。証券業者は御承知のように手持の株式を運転する運転資金もなくて、今まことに手詰りである。これが融資を望んでおるが、いまだ希望は実現しないというような今日のまことに低調な株式市場において、通産省としてはどのような方策によつて、これの完全処分をやられる御意見でありますか。
  22. 宮幡靖

    宮幡政府委員 今澄委員の御配慮は、しごくごもつともだと存じます。先ほども申し上げましたが、開放株とか、あるいは公開株というものにつきましては、ただにただいま提案になつておりまする諸法案に関連する処分株のみならず、財産税物納その他民間会社特経処理によりまして放出される株等もまだ相当つております。数で申しますと、処分されたのが五割五分くらい、それから残つているものが四割五分くらいになつておる。その上にお説のように日鉄の株にいたしましても、九百九十万株以上も放出される。この消化は容易でないという御意見はしごくごもつともだと思います。しかもまたこの処分方法は、ただいままで申し上げました方法で参るよりほかないのでありまして、残された問題は、例の融資準則証券融資を丙から乙に引上げまして金融のできる道を開く、しかもその方法といたしまして、一応ポリシー・ボードにおいてマーケット・オペレ—ション計画を入れまして、それぞれの金融機関資金を流してその消化をはかる、従つてこれはすぐにやれ、急ぐのだと申しましても、その段階においてはやはり順序がついて来ることはやむを得ないと思います。でき得べくんば財政收入確保という立場からぜひともすみやかに行きたい。しかしながら事志と違いまして多少の遅延のあることはやむを得ないと思いますが、操作といたしまして、その構想としては一応手配はつきまして、これで行けるものだということでまたぜひ行くつもりで、各方面の御協力をただいまお願いしている次第であります。
  23. 今澄勇

    今澄委員 政府はこれらの株式処分についてはよほど連絡を密にしてやらないと、私は現在の市場圧迫して産業資金の調達に大きな支障を来すことを警告いたしておきます。  第二点としては、宮幡次官も常に言つておられるように、補給金鉄鋼関係においては廃止されますが、そうなると補給金廃止後の一例として、たとえば銑鋼なら銑鉄を取上げてみると、昨日もいろいろ話がありましたが、銑鉄国内価格国際価格の点についてひとつ関係局長さんから御見解を承りたいと思います。
  24. 神田博

    神田委員長代理 今の御質問、物価庁関係官が見えておられないそうですから、次の機会にお願いいたします。
  25. 今澄勇

    今澄委員 われわれの方がいろいろ調べたところでは、日本鉄鋼業というものはコストが非常に高いことは御承知通りであります。これは関係の局長、課長さんがお見えにならなくても、日本鉄鋼業国際価格から比べて、非常に飛び離れて原価が高いということはもう自明の理になつております。私きようの新聞を見ますと、マーカツト経済科学局長から、安本と通産両省に対して非公式の覚書が発せられて、外国からの受注の引合いに日鉄がこれを拒否するというような状態で、日本業者に熱意がない、こういうような状態ではいけないではないかという通達があつて、通産省、安本から日鉄に対して、輸出受注に熱意を示すようにという通達が出してあるようであります。われわれは、このような非公式の覚書を司令部から受けた根本の原因は、何といつて日本鉄鋼業の自立の上に政府政策が徹底しておらぬということが、大きな原因であつたと思う。しかし私は一片の通牒だけで日本製鉄が輸出の引合いを十分こなし得るというわけには行かないと思うのであります。その一例とてし今の日本の石炭の価格やら、国外における石炭の価格やら—これは関係の方がおられませんからあとに延ばしますが、少くとも石炭が大体アメリカの相場で六、七ドル程度に押えて、日本鉄鋼業が運営されないことには、いくら労力が安くても、海外の鉄鋼の相場から見てこれは太刀打ちができない。そこでこれらの鉄鋼産業には相当な国家の保護助成と、鉄鋼業政策というものに思い切つて力を入れなければ、いくらマーカット科学局長から覚書が出ても、鉄鋼の輸出は振興しない、このように思うのでありますが、宮幡さんの御見解を承りたいと思います。
  26. 宮幡靖

    宮幡政府委員 鉄鋼の問題につきまして、各般の御情勢を勘案せられての御注意は、まことに感謝にたえないわけであります。経済科学局長からの御注意を受けましたことも、これは事実でございます。しかしながらその見方におきましては相當異論がありまして、本席その内容を申し上げる自由を与えられておりませんが、これに対しましては、当省の大臣も十分御説明申し上げ、御了解を得ておるわけでありまして、その結果輸出の方面に対しても、さらに一段のくふうを凝す必要があるというので、日鉄にその通牒を発したことは事実であります。それからその通牒をかような処置によつてこうしたということの御報告も、今週のマーカツと会談において報告いたしましたことも事実であります。日本の製鉄がすべての点においてコストが高いのだということも、現在否定できない事実であります。保護助成すべきであるというお考えにつきましても、おおむね同感でありますが、その保護助成すべきことが、補給金のような制度で助成いたして参りましたならば、これは永久に救われないとさえ考えられる実情であろうと思われます。そこで違つた面から経営合理化をはからなければならぬ。それにはまず鉄鉱石の輸入の問題、自国船で運送をする問題、それに日鉄の持つております独占的な性格を、経済力集中排除法によりまして解体いたしまして、やはり自由競争的な部面をつくり、しかも的確に輸出のできまする厚板等の生産もすべきであろうというような状況におきまして、あえて労賃の低下のみによつて合理化をやるであろうというような、一部の方々の御心配でない面に向いまして、一生懸命にただいま施策を凝らしておるわけであります。これが成功いたしますならば、順次鉄鋼に対しまする明るい面も出て来るであろうということを期待いたしておるわけであります。御承知のように今までの補給金の廃止前の、あるいは削減前の状況におきまして、日本銑鉄がおおむね十ドルぐらいに当り、それを用いました機械—しろうとでありますからわかりやすく申し上げますが、それでつくつた機械が、アメリカの、二十六ドルの銑鉄を使つてつくつた機械と同じに、国際的に消化されない。むしろ外国市場におきましては、二十六ドルの銑鉄を使つたアメリカの機械の方が売れ行きがよくて、十ドルの銑鉄を使つた日本ものの方が敗退している。かような現実はまた他にいろいろ原因があります。これらはここで申し上げかねる点もありますが、これらも勘案いたしまして、製品としての輸出等も、大いにただいま考究中でありまして、これが引合いにつきましては、相当の希望がつなげるようなただいまの実情でございますので、貿易の自由に返ります原則とあわせまして、この面からもひとつ製鉄の事業の振興をはかつて参りたいと、ただいませつかく施策を凝らしておるところでございます。どうぞ御了承を願います。
  27. 今澄勇

    今澄委員 詳細なお話でよくわかりましたが、ただいま御答弁の、たとえば銑鉄について見るならば、アメリカにおいては石炭の普通の値段が溶鉱炉渡しで六ドルから七ドル、わが国の外国からの輸入炭の相場を見ると、約二十三ドル、そこで国内炭を五千五百円としても、大体十五ドル、それで銑鉄一トンをつくるのに石炭を二トン使うのが常識でありますと、まず石炭の点からも非常に大きな差がある。そこで次官は助成金は補給金のごときものであれば、悔いを残すということでいろいろお話がありましたが、一例を上げれば、たとえばごのような石炭なら石炭の値段が、外国と比べて非常に差があるという点は、石炭の自由販売という形だけで解決され得るものである。かようにお考えになるかどうか、御答弁を願います。
  28. 宮幡靖

    宮幡政府委員 自由販売だけでは解決せられない問題でありまして、もつとコークスの生産等においての合理化をはかるため、たとえば北海道の—私專門家でないからよく知りませんが、輪西の高炉において、超粘結炭に代用できるものをつくることに成功して、これは司令部の專門家からもたいへんよい成績であるとおほめをいただいているのです。かような立場から、この石炭による、あるいはその他の副資材によつてこうむりますところのコスト高を、順次下げて参るくふうを凝らしているような実情でございます。
  29. 今澄勇

    今澄委員 それでは次に移りまして、本年度の鋼材は大体百八十万トン計画であると言われておりますが、来年においては二百万トン計画というような話もされております。五箇年計画を放棄されたということであるから、このような数字については責任を持たれないかも知れませんが、そのような目標について、銑と屑鉄との混合比率は、今のところ平炉においては三割対七割、それから銑鋼一貫においては四割対六割という大体の比率でやつております。材料画から見て、こういつた比率でいつまで生産が続けられるかということを非常に国民は危惧しておりますが、この点についての御答弁を願いたいと思います。
  30. 宮幡靖

    宮幡政府委員 大体計画生産をやめたということは、今澄委員の仰せの通りであります。しかし生産目標としましては、鉄鋼を明年度は二百万トンつくりたいのですが、現在国内にあります屑鉄の資源は、前途一年半か二年ぐらいでなくなつてしまうであろう、こういうような観測がされております。そこでこの屑鉄の配分の比率をもつと低下するように司令部からも言われまして、お説の三対七あるいは四対六よりも、もう少し比率を下げたものでやつております。しかしこれらはきわめて消極的な対策でありまして、将来の策としては、あるいは戰前のように、屑鉄をアメリカ方面から輸入いたして、配合すべきであるかどうかは、ここしばらくの状況において判断して参りたい、かような状況であります。
  31. 今澄勇

    今澄委員 今の宮幡さんのお答弁でございましたが、私の調べたところでは、大体来年一ぱいは持つまい、かような考えであります。そうすると昭和二十六年度からは、屑鉄資源は枯渇して、今お説のように率を改めてやれば、さなきだに高い日本の鉄がますます高くなるという結論になる。そこで屑鉄の値段は、今わが国においては大体三千円内外であるのに対して、米国では大体一万円見当の相場であります。そのようなものを外国から輸入して来るなどとは思えぬのではないか。そこで臨時屑鉄資源回收法で回收された屑鉄はこれを全部国内の製鋼用にまわすべきであるということを、われわれはこの前の第五国会で意見を述べたが、この中で、一部非常に安い値段で、日本で使えるものを外国に輸出したという話を聞いているが事実であるかどうか。それから、今申したような三千円という安い屑鉄を、しかももうすぐ切れてしまつて輸入価格の面から見込みのないような日本の鉄の状態で、このまま補給金をはずすわ、そしてすつと有効需要の喚起ということで、自由放任をしておいて、日本における鉄鋼業というものが自立できるかどうかという点が二点。それから第三点は、こういうふうな状態にある日本鉄鋼業は—きのうの質問で、日本鉄鋼業はつぶして外国依存にするのだというような質問があつて、そういうことは政府は全然考えておらぬというような御答弁ですが、具体的に一つ一つこういう数字を上げて考えて見ると、日本鉄鋼業というものの前途には、非常に大きな暗い面があるが、これについて宮幡さんはどういうふうに打開されるお考えであるか、ひとつその点をはつきり聞きたいと思います。
  32. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは、今澄委員が昨日のお話をすつかり聞いておつて、もうお話がわかつているので、繰返して申すような必要はないわけでありますから、この点はひとつ昨日の答弁でお許しをいただきます。それで今鉄鋼局長が参りましたのて鉄鋼局長から、ただいまの非常に基礎の確実なるお話に対しましての御答弁をさせることにいたします。
  33. 中村辰五郎

    中村説明員 日本鉄鋼業の将来の問題に関します御質問でございますが、もちろん日本鉄鋼業が、今日ことに非常な困難な時期に際会しておることは、ただいまの質問者の気持と同様でございます。しかし私はここに日本鉄鋼業の将来の問題に関連しまして、率直に一、二の重要なポイントについてお答えいたしたいと思います。一つ日本鉄鋼業価格の問題でございますが、鉄鋼業につきましては、特に二十四年度におきまして約七百億円程度の国家補給金を出して、低物価政策の線に沿うて処置しておることは御承知通りであります。しかし今日鉄鋼業のこの補給金問題に関連しまして、過去並びに現在、さらに二十五年度見通しから、達観的な結論を申し上げますと、九月七日に補給金の削減をいたしております。最近司令部から出ましたメモランダムによりまして、十二月三十日に第二回の補給金削減をいたす予定でございます。二十五年度につきましては、目下のところ政府の最終案は決定いたしておりませんが、十二月三十日の第二次改訂の後に来るべき第三次改訂は、司令部のメモランダムに十二月三十日以後六箇月間補給金の削減を考慮しないという意味の事項がございますが、この一項は六箇月たちまして、その六箇月後に第三次の補給金の削減が考慮せられるものと考えますと、二十五年度においては七月ごろ第三次の補給金削減をいたさねばならないのではないかと考えるのであります。七百数億円の補給金が第三次の改訂をいたしますと、大体の達観でございますが、おおむねこの補給金の七百億円が二百五十億円を下まわる数字に相なると思います。この補給金額の九月七日におきます第一次削減後十箇月、あるいは一年足らずのところで、この程度の削減ができる。またできた結果の価格体系がどうなるか、これは国内並びに国外の諸般の情勢から判断いたさねばならぬのでありますが、九月七日にやりました第一次削減の際には、鉄鋼業合理化という点をきわめて尊重いたしまして、銑鉄部門で一七・五%の合理化の線を出しております。鋼材部門におきまして一〇%余の合理化の線を出しております。このことは十二月三十日の際には、九月のそのような合理化のラインは出す予定を持つておりません。さらに第三次として一応想定せられます二十五年度の中途の削減については、その構想がはつきりしておりませんが、その場合にはこういつた線について考慮を加えねばならぬかと考えております。しかしこの三つの削減の過程から受けます鉄鋼業の非常な情勢変化と申しますか、これに対応します鉄鋼業としての態度は、これは一つ意見相違もあるかと思いますが、私の見た目におきましては、必ずや日本鉄鋼業は、この三次の削減に耐え得るものと考えておるのであります。また輸出関係等から見ましても、十二月三十日の価格改訂の具体的な結果は、今後の動きによつて決定せられるのでありますが、私の今日の考えからいたしますと、この改訂から受けます価格上の影響についても、乗り切れるものと考えております。また乗り切らねばならぬというのが、客観情勢ではないかと思うのであります。  第二の基本の問題といたしましては、日本鉄鋼業は終戰後いわゆる原材料入手の面からいたしまして、一つの過渡的な要素によりまして、価格上はきわめて不利な客観的條件のもとにあることは、御承知通りであります。しかし最近の情勢からいたしますと、昨日も申し上げました通り、鉄鉱石に例をとつて申し上げますが、終戰直後から鉄鉱石の確保ということは、不足する原料をいかにして獲得するかという点に重点がございまして、非常に割高と申しますか、そういつた点から非常に鉄鋼業が不利であつた。しかし今日の鉄鉱石の入手の状況からいたしますと、そういつた不足を何とかして充足するという段階から、さらに一歩を進めまして、いわゆる数量確保の点から見ればまず問題はない。今後この鉄鉱石をどこからどういうものをとるかということは、いわゆる良質低廉のポリシ—で動けるような態勢になつて来ておる。そういつた客観情勢の変化は、補給金も従来のごとく受けなくとも、あるいは事の推移によつて補給金なしでもいけるような原材料の有利な情勢展開があるのではないかと考えるのであります。  第三点としまして、日本鉄鋼業は、技術水準から申しまして、アメリカの鉄鋼業に比べますれば非常に劣つておる。あるいは近代化の程度が遅れておるという点が多々あるかと思いますが、世界的なレベルから見まして、決して日本鉄鋼業は技術水準において、すべての国の鉄鋼業に劣つておるとは思わない。今日以後鉄鋼業の近代化、あるいは組織の改善に努力いたしますならば、この面から国際的に立ち行く面があるのではないかと、私は推測いたすのであります。  第四点といたしましてスクラップの問題でありますが、これは先ほど委員の御質問にもありましたように、スクラップの状況相当重大視せねはならぬような情勢でございます。しかしわれわれといたしましては、先ほど申し上げましたように原材料入手の点から申しまして、相当情勢がかわつて来ております。このような情勢を今後の鉄鋼の生産関係に反映せしめるならば、銑鉄の過剰増産という方向に指導するならば、この情勢をも切抜けられるのではないかと考えております。以上御質にお答えいたします。
  34. 今澄勇

    今澄委員 非常に詳細な説明でよくわかりました。歴代鉄鋼局長が非常に苦労しても、なかなか今の日本の鉄鋼政策というものについては困難な折柄、主観的な御報告が非常に多かつたけれども、その御決意に大いに敬意を表する次第であります。ただ私の聞きたいことは、今のスクラップの問題について一点だけ、この前の臨時屑鉄資源回收確保の法律で集めたあの安いスクラップを、外国へ輸出されたというお話でありますが、そういうことが事実あるとすれば、このスクラップの少いときに、何を好んでそういうものを外国へ出さなければならぬかということになるわけですが、その事情をお知りでございましたら、お教え願いたいと思います。
  35. 中村辰五郎

    中村説明員 今のスクラップの輸出問題が一応論点になつておるようであります。スクラップの輸出というのは、一時ごく微量あつたことはございますが、今日及び今後においてスクラップの輸出ということは考えておりませんし、また将来もそういうことはあり得ないと考えております。
  36. 今澄勇

    今澄委員 時間がないので簡單にこれで終りにしますが、私は今の宮幡さんの答弁、それから中村局長の答弁を総合して、いつも通産大臣が言うような企業の自主性にまかせて、ほかの産業は立ち直るかもしれないけれども、今の御答弁を総合するときに、鉄鋼業というものは強力な国家の支持助成がなくては、どうしても自立できぬという点において、見解相違でございまするが、答弁満足することができぬことは残念であります。われわれは、鉄鋼業についてはそういつた特殊な事情を考えて、支持助成する必要があるということで、この日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案に対する質疑を打切ります。  次に時間がありませんので、ごく簡單にして、同僚議員に譲りたいと思いますが、石油について少し質問をしておきたいと思います。例の帝石法の改正法律案でありますが、これは私が見るのに、きようの同僚議員のいろいろな質問でわかりましたが、この法律の改正の趣旨は、どの法律もそうでありますけれども、財政的な意図から、とにかく政府が出資の処分をいたすことになつておりますが、急ぐのあまりこれらの石油鉱業全般にわたつた基礎的な対策とか、あるいは帝石法の法的体系の整備というような根本的な問題についての満足せる答弁は、どうも聞かれないようでございます。そこで私はこれらの帝石法の法的な体系の整備、つまり将来撤回するのか、あるいはそれともさらにどういう方向でこれを展門させようとするのか。それから国内的な石油鉱業については、先ほどからいろいろお話がありましたが、一番重大なポインは、政府はこれにどの程度助成金を出すのか、昨年は一億九千万円出したのが本年は一億三千万円になるというお話でごさいましたが、こういうようなことでは、私は今の国内石油助成はとてもできないと思いますので、ひとつ具体的な対策をお聞かせ願いたいと思います。
  37. 宮幡靖

    宮幡政府委員 お尋ねの点は、提案理由にも、財政的な收入を得るためと、かように申してありまして、御指摘通りでありますが、この財政的收入を得るという半面には、政府が特殊会社民間企業に投資するということを順次廃止して行かなければならないということから生まれたものであることも、あわせて御承知を願いたいと思います。すでに他の委員からの御質問でお答え申し上げた通り帝石は現状におきまして日本原油生産の九割五分を占むる地位にあるのでありますけれども国内需要全体から申せば一〇%にしか当たらないということでありまして、これだけをもつてしてはどうしても国内需要を満たすわけには参らぬわけであります。そこで帝石法のみに依存して石油鉱業の対策を講じているのでは、はなはだ当を得ないことになろうと考えますので、お説のようにこの帝石法はなるべく早い時期において廃止いたしまして、法制的に申しますと、ただいまの石油資源開発法によりまする助成をして参りたい。なおこれに伴いまして、必要な措置がありますならば、この石油鉱業特殊性にかんがみまして、順次その手配を進めたい、かように考えております。
  38. 今澄勇

    今澄委員 先ほど局長さんから、中東方面からの原油は大体六千五百円見当であるというお話がございましたが、これらの原油は精製されていろいろの手数量、倉敷料を加えると大体七千五百円くらいであろう。ところがそれを九千五百いくらの販売価格にすると、非常に利潤が出るが、それらの利潤はどういう方面にお使いになつておられるか、この点御説明が願いたいと思います。
  39. 徳永久次

    徳永政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、中東方面からの原油は、実はまだ入つておりません。今から入る問題でございます。その値段の問題に関連いたしまして、今後の国内マル公をどうかえるかというような問題が、今われわれに当面の研究課題として残された問題でございます。現在のマル公はこの春に当時の国際価格においてできたわけでございます。その後アメリカから入りまするものも、若干値段が下つております関係上、貿易公団に若干の黒字が累積しつつあるのであります。そういうものとあわせまして、今後のマル公との関連についてどういうぐあいにするかということを研究中でございます。
  40. 今澄勇

    今澄委員 詳細な話で恐れ入りますが、日英貿易会談その他のところで、この中東の油についてしばしば話が出ておることは御承知通りで、われわれは、当初計画は六十三万トン、そのうち三十二万トンは近く入荷するか、すでに入つたのではないかという資料を用意したのでありますが、そういう事実はあるかどうか。三十二万トンは一体いつごろ入るのか、もし入ればその価格開きは、国内価格の問題でいまだ研究中であるというようなことでは、まことにどうもどろなわ的な印象を受けて、石油工業に対する基本的な態度がきめられてあるとは断じて言えないと思うのであります。新しいそれらの輸入と比べられる国内石油価格のいかんによつては、この帝石などは株式の公開どころではない、立ちどころに崩壊してしまうようなおそれがあるが、それらの点についてもどのような配慮を拂われておるか、次官にお尋ねしたいと思います。
  41. 宮幡靖

    宮幡政府委員 たいへん深甚な御配慮をいただきまして、ありがとうございました。実は日英貿易協定の問題も、長い間解決しない点がありまして、しかも、解決いたしましても、これの協定に参加していただくのは総司令部であります関係で、ようやく最近に至りましてその手続もおおむねすんだような形であります。近東地区との石油の商談も、せつかく進めておるのでありますが、結局ポンド切下げの影響を受けました輸入価格というものが、現在国内で想定しています状況にでき上るものかどうか、これが未定であります。従いまして、こういう相場でこうだろうということは言えますけれども、現実に油が入つて来るという状況にならないと、船運賃の関係も実はわからない。昨日ちよつと申し上げましたが、この方面との取引をきわめて合理的にやりますのには、日本から硫酸を輸出しまして、そのタンカーを利用して原油を運ぶ、こういうような方策をとるべきであるということは、昨日申し上げておいた通りであります。ただいま入荷しようというのは、数字は三十二万トンに合わぬかもしれませんが、私が記憶しておりますのは、約八方バーレルとか聞いておりました。その数字はただいま資料を持つておりませんから、はつきり申し上げられませんが、これが第一次に入荷しましたときに、御心配の点を全部解決しなければならぬと思います。鉱山局長からの研究中という言葉は、きわめてあいまいで申訳ありませんでしたが、さような実情にありますので、適当な機会にこれが申し上げられるときには、政府は進んで発言を求めてお答えにかえたいと思つております。
  42. 今澄勇

    今澄委員 なるべく早い機会に、これらの問題についてぜひわれわれ通算委員を納得せしめる御答弁をいただくべく、保留する次第であります。これについてもう一つ、今の石油資源開発法によつて大いに助成されるというお話でございまして、本年度一億九千万円、来年度一億三千万円というお話でありますが、これらの金額については増額する余地はないものかどうか。またそれは今年、来年、さらにその次の年ということになると、どういう方向に持つて行かれるものか。その間についてもつと打明けて話をしていただければ、非常にけつこうだと思います。
  43. 宮幡靖

    宮幡政府委員 助成金の増額を待望いたしておりますのは、当面のわが省であることは、おわかり願えると思います。もし財政事情が許しますならば、もつと総額をふやすことはもちろん、その助成の面も拡大いたしまして、ただに石油資源開発法という法律のみに依存せず、他に適切な立法もいたしまして、ぜひ対処して参りたい。先ほどもちよつと申し上げましたが、本年の一億九千万円が明年度一億三千万円に後退するなどということは、説明としてはほめた話ではないのであります。しかしながら、財政事情から押されまして、一億三千万円を予算の中にお願したわけであります。事情が許しますならば、もつもつと増額をお願いするような心組みであります。
  44. 今澄勇

    今澄委員 石油は一応打切つて、最後にもう一つ帝国燃料興業ですが、これは非常に重大な問題で、私はこの法律案の些細な点について、いろいろとお尋ねする考えはありませんが、大体戰時中の人造石油事業は、今日御承知のように山口県の山陽化学、あるいは滝川化学工業その他各所に残つておりますが、これらのものについて政府は、たとえば塩化アンモニウム等の新しいソーダ会社の一翼に、これらのものを転用するというような意見もあれば、あるいは硫安の施設として新しく硫安をつくらせて、これを維持して行こうとか、いろいろと今とりざたされ、それらの大きな施設と、人員と、機構とが非常に問題になつておりますが、これに対する政府の御方針と、今後の見通しをお聞かせ願いたいと思います。
  45. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまお尋ねの点でありますが、ちようど時期も時期と申しますか、ただいまソーダ工業に対します施策を立案中であります。この施策の中にただいまの御質問の点を織り込んでやつております。大体下書はできておりますが、ソーダ工業その他に対します影響もはなはだ重大だと思いますので、ここ一週間くらい愼重に練りまして、これを文書をもつてぜひ皆様にお目にかけるようにいたしたいと、かように考えております。それまでお待ちを願いたいと思います。
  46. 今澄勇

    今澄委員 大体以上で私の質問を終ります。     —————————————
  47. 福田篤泰

    福田(篤)委員 この際日程を追加し、繊維に関する件を議題として、調査を進められんことを望みます。
  48. 神田博

    神田委員長代理 ただいまの福田篤泰君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 神田博

    神田委員長代理 御異議なしと認めます。それではただいまより繊維に関する件を議題として調査をいたします。質疑を許します。福田一君。
  50. 福田一

    福田(一)委員 本員は織物消費税並びに物品税及び人絹の価格撤廃の問題について質問をいたしたいと思います。御存じのごとくシヤウプ勧告案が出まして、その後マッカーサー元帥よりの声明があり、政府もまたそれにこたえて、すみやかに実現するということを述べておられるのでありますが、最近一部の情報によりますと、織物消費税は来年の四月以降でなければ、撤廃できないというような説もあるのであります。本日は織物関係業者が全部東京に集まりまして、これは議題が違いますけれども、税制の問題について、いろいろと対策を審議しておるのであります。ところが昨日国会に参りまして、各万両と連絡をとられた模様を聞いておりますと、織物消費税については、その実施が非常に遅れるかもしれぬということを聞いて参りました。一同非糟に憂慮しておる次第であります。この点につきまして一体織物消費税並びに物品税は、本国会に提出されるかどうか、さらにまた提案されるといたしますならば、その実施はいつより行われることになつておるか、あるいはまた本法案は遡及できるかどうか、これらの諸点について政府当局答弁をますお聞きいたします。
  51. 宮幡靖

    宮幡政府委員 織物消費税及び物品税の問題につきましては、いろいろな報道が新聞その他によつて伝わつておりまして、当面の生産関係省といたしましての当省も、その判断に苦しんでおります。きようは大蔵省の税関係の担当官がお見えになりませんので、決定的なことは申し上げかねるのでありますが、少くともわが省として知り得ました範囲におきましては、シヤウプ勧告案に掲げられておりますものよりもちろん時期的にはすでにずれておるのでありますが、それよりも悪い状況にはならないということだけは、非公式には申し上げてさしつかえない、かように考えております。なおこの点につきましては至急に大蔵当局の方と公式に連絡をとりまして、次の委員会においてある程度の公表のできますよう準備をさしていただきたい、かように考えております。
  52. 福田一

    福田(一)委員 補正予算はいつ本国会に提出されますか。
  53. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいま政府の間の連絡の事務的な方面から知り得ました範囲では、十二日の夕刻までには補正予算は出る。大蔵大臣の健康が許しますならば、十四日に財政演説を行いたいということで、これがただいま官房長長官の方の連絡によつて、知り得た範囲であります。
  54. 福田一

    福田(一)委員 補正予算が提出されるのは明白であるとして、どうして繊維に重大な影響のあるところの法律案の提出の時期が明確に示されないのですか。
  55. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これはまだ交渉の過程にあります結果、公表できないわけです。どうぞ御了解を願います。
  56. 福田一

    福田(一)委員 事情は一応了といたすのでありますけれども、何かその間に非常に重要な阻害される事情がなければ、本件のごときものは本委員会ですぐ答弁していただけるものだと私は考えるのであります。その間の事情をお説明願うわけに参りませんか。
  57. 宮幡靖

    宮幡政府委員 委員長ちよつと速記を……
  58. 神田博

    神田委員長代理 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  59. 神田博

    神田委員長代理 それでは速記を始めてください。
  60. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの御説明で一応了解いたしたのでありますが、もう一つ織物業界として非常に苦心をいたしておりますのは、この消費税の問題と関連して、金融の問題あるいはマル公の問題等があるのであります。人絹の統制撤廃はほとんどそのおもな部分が実現いたしまして、ただ單にマル公の撤廃が行われておらないという事情でありますが、このマル公の撤廃が行われておりませんために、国内の滯貨はその処分に非常に支障を来しておるような事情になつております。ものによつてマル公を上まわつておるものもありますけれども、ものによつてマル公をずつと割つておるものもたくさんあるのであります。そういうような関係上、非常に取引が阻害されておるのであります。これにつきましては過般繊維関係の議員と通産省の関係者との間で、懇談会を開いたこともあるのでありますが、その後、この人絹の価格撤廃の問題はいかようになつておりますか、政府当局の説明を求めます。
  61. 近藤止文

    ○近藤説明員 人絹のいろいろな統制が撤廃されまして、現在公定価格だけが残つておるのでありますが、この公定価格をいかに処置するかという当面の責任の官庁は、物価庁でございますが、大体物価庁と通産省とで連絡をいたしまして、現在進行いたしております状況を、簡單に私から御説明申し上げます。  人絹の統制を撤廃いたします際に、公定価格につきましても、同時にこれを撤廃する方針のもとに、実は関係各省とも相談いたしまして、関係方面と協議をいたしたのでございますが、最初に人絹の配給統制を撤廃いたしましたときにおきましては、やはり人絹の公定価格を撤廃いたしました後におきまして、人絹製品価格がどうなるかという点の見通しにつきまして、はつきりいたしました点が出て参りませんでしたので、結局その当時、同時に価格を撤廃することは実現を見なかつたのであります。但しその後に輸出の状状況がだんだん回復して参りまして、最近におきましての輸出価格というものが、現在の国内マル公と比べまして、相当の隔たりのあるような現象が出て参つており事すので、されらの実際の取引の実情を持つて参りまして、現在まだ最後的には確答を得ておらないのでございますが、近い将来にはぜひこれを撤廃するということで、最後的な折衝を現在行いつつある状況でございます。いつごろということをはつきり申し上げることができないのでありますが、近い機会には撤廃されるものと考えておる次第でございます。
  62. 福田一

    福田(一)委員 新聞紙上の伝えるところによりますと、日英階段によりまして、相当量の濠毛が明年度つて来るということであります。これによりますと、洋服一着分、でき上りで六七千円の純毛のものが消費者の手に入るという話でありますが、これはわれわれ消費者階級から見れば非常にけつこうなことであります。と同時にこのことは、おそらく毛織物関係業者の持つておりますところの手持ちのストツクに対して、非常な損失を与えるような結果になると私は考えるのであります。さらにまたもし日本国内に、戰争に負けた日本人がとにかく着られるだけのある程度の衣類がある。それを低廉に買えるものとするならば、それを使つて、さしあたりは過すのが、国のためにいいのであると思うが、もしそのたくさんの濠毛を入れるために、われわれが輸入資金を多く使うということであれば、これは何らかの形においてわれわれの生活をまた圧迫して来るものと考えるのであります。これに対して当局はいかような考えを持つておいでになりますか。
  63. 近藤止文

    ○近藤説明員 先日の新聞紙上に出ておりました記事によりますと、非常に楽観的な記事が載つておるのでございますが、実際は現在計画いたされております濠州からの羊毛の輸入量、総計来年度におきまして、大体十二万俵でございまして、そのうち約五万俵ないし六万俵のものは輸出に向けましてその残りが国内に消費されるということになるのでございます。それでこの羊毛の数量は、本年度の羊毛の国内向けの供給量に比べまして、大体二倍半の数字に当るのでございます。この羊毛の供給量が増加いたしますことに対応いたしまして、現在羊毛製品につきまして、粗毛の糸につきましては、新毛を二割、ステープルフアイバーを八割まぜるという非常に羊毛の混入率の少い糸を現在ひいておるのでありますが、それを新毛を四割にいたしまして、ステープル・フアイバーを六割という混紡率にかえまして、品質を向上させて、同時に数量的にもこれが相当ふえて来る、こういつた方向に持つて行く予定になつております。また濠毛の糸の方で申しますと、現在は新毛がわずかに一割でございます。残りはステープル・フアイバーと、くずから反毛いたしました毛によりまして、紡績をいたしておりますが、それを今後は新毛を二割入れまして、その他の残りをステープル・フアイバーと反毛の毛によりまして、糸を紡績いたして参る、こういう予定になつておるのでございます。従いまして、新聞紙にございますように、純毛の製品が来年度相当多量に出まわりまして、一入当り何着分かになるというようなことは、実際の事実と違つておるのでございまして、そるということは予想されないのであります。同時に仕立て上り六千何百円という数字がございましたが、現在表生地を除きました裏及びしん等の附属を入れまして、加工賃は、最近東京におきましてきめましたものでも、それだけで六千五百円くらいになつております。それに表生地が入りますれば、やはり現在の価格から見まして、それが急速に下るということは、あまり考えられないのであります。ただ問題は先般のポンドのデヴァリュエーションによりまして、大体三割の切下げをいたしました結果、羊毛の輸入価格が一割五分ないし二割の値下りをしておるということが申せますので、羊毛価格につきましては、その程度の値下りがあるということでございますが、その他のスフなり、あるいは紡績工賃なり、あるいは附属その他のものにつきましては、急速に価格が下るということも考えられませんので、そう安い洋服が潤沢に来年度供給されるということは、私どもとしては考えておらないのであります。それで逐次そういつた原料の増加に伴いまして、品質をだんだん段階的にいいものにいたして参りまして、現在ございます品物も適当にさばきながら、逐次いい品物を供給して行くというような方向で、現在進めておるのであります。現に毛製品につきまして、衣料切符をはずしましたので、生産者あるいは問屋にございますストックのようなものも、最近におきましては、かなりさばかれつつあるような状況にあるわけでございます。また織物消費税等が撤廃になりますと、その点においても相当有効需要が起つて参るというように考えられるのであります。実際にいい品物、品質のよくなつた物が出まわりますのは、来年の四月以降六月ごろになる予定でございます。それまでに従来の、どつちかと申すと品質の粗悪なものにつきましては、できるだけこれをさばいて行きたい、かようなことを考えておるのであります。なお羊毛の輸入量が急速にふえましたのは、結局日英協定等によりまして、こちらから品物を出しますかわりには、向うのものを買わなければならぬ、特に濠州につきましては、向うから買つて参りますものは、あまりたくさん品物はございません。結局羊毛をある程度買ざるを得ない、しかしながらその買います数量が新聞にございますような楽観的な、非常にふえた数字では決してないのでございまして、この程度の数字の増加では、まあかろうじて国民の需要をまかない得るかどうかという程度になると思うのであります。羊毛が相当入りましても、なおステープル・ファイバーなり、その他の繊維によりまして、補われる部分が非常に多いというように私ども考えております。
  64. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 ただいま政務次官の話を聞きますと、織物消費税が意外に早く来年一月一日から全面的に—あまりこまかい数字は言わぬということでありますが、とにかく下るということであります。そこで下ることはたいへんけつこうでありますが、現在卸売団体、小売団体が相当量の手持ちをしている。小売団体の話によりますと、全国で四十億以上の手持ちをしている。そういつたような厖大な手持ちをしているものが、かりにここで四割という高率課税がなくなるということになりまずと、当然四割の価格が低落するということが、これは理論なんです。業者がそういう厖大な欠損をいつときに来す。これは小売段階だけの話でありますが、卸段階の手持ちも相当の量だと私は考えます。こういつたような政府政策によつて業者がいつときに莫大な欠損を来すということに対して、政府は一体どういつたような方針と対策を考えておるかということについてお伺いしたい。
  65. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ごもつともなお尋ねだと思いまするが、この点につきましては現在の情勢といたしまして、政府としては減税によります消費者の利益ということを喜んでおる。かような状況で、それがひいてあるいは生産者、卸売段階において、もし御損害があるといたしましても、積極的なこれに対しまする何らかの補償とか、あるいはその他の損害を補填いたしますような手段をとることを許されないだろうと考えております。そこで最大限度にできますことは、これらによつてこうむります金詰まりというような問題がございましたならば、これらにつきまして大蔵省とも打合せまして、あつせんの程度のことをさせていただく。これ以外には公式に申し上げる方法はないと考えております。
  66. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 かつてこの価格改訂によつて当然商品が植上りを来した。こういう場合に、現に今それが問題になつておるのでありますが、そういつたような価格改定による値上り差益金に対しては、政府は克明な計算をして、これに対しては差益金を徴收しておる。そういつたような政府方針によつて価格改訂があつて、差益を生じた場合には一方克明にこれを徴收する。反対にやはりそういつたような政府一つ施策によつて暴落して欠損をした場合には、これは見ないということになると、政府というものはとるときはとるのだ、同じような方式において損をしたときはくれないのだ。こういうことになりますると、非常にこれは道義にもとるのです。道義にもとつたことを基本にしては、そこに法律もなければ方策もない。露骨に極端に言いますると、一介の追はぎみたいなことになる。そういうそしりを受けることもこれは免れぬと思ます。これに対する政府の所見を伺います。
  67. 宮幡靖

    宮幡政府委員 感じとしては一応ごもつともだと思います。しかし価格差益金はこれを徴收すべき法令に基いて徴收いたして参つて、おるのでありまして、もし下落によります価格差損を国家が補償するという法令が存在いたしますならば、これをすみやかに行うべきだと考えております。もし御意見のようでございましたならば、ぜひ、御発案等は御自由でありまするから、価格差補償法とでもいうようなものでも、おつくりくださるようにお骨折りを願つて、お考えのようなそしりを政府や国会が受けないように、ぜひいたしたいと思つております。
  68. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 もちろん国会側も立法の権限があるのでありますから、そういつたことも考えておりますが、しかしまず政府が基本的観念において、そういうことを考えたらどうかということをお伺いするわけであります。
  69. 宮幡靖

    宮幡政府委員 そういうお話でございますと、まことにもつともでありまして、価格差益金も門脇委員のお説ですと、みんな完全に納めたような、お話でありますけれども、事実のところは完全に納まつておらないのであります。これらの処置につきましてせつかく善意の考慮をただいま拂つております。これが近く何らかの措置として現われるだろうと思います。その程度でごかんべんにあずかりたいと思います。
  70. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 ただいま御説明になりましたが、価格差益金は事実においてはまだ徴收の中途である、こういうお答えでございまして、まことにその通りでありまするが、これはただいまも御説明の中にあつたように、その後の形勢の変化によつて、もしこの差益というものが完全に把握されていない場合においては、これに対して政府が適当な処置をとる、こういつたような意味にも十分受取れますが、かたがたこういつたような消費税の撤廃問題をめぐつて業者が不測の非常な損害をこうむるというようなことに直面しております。これが対策につきまして十分にこの実相を政府が把握されて、公平な政治を行うような方途を講ぜられんことを切に希望するとともに、これに対しまして一言政府の所信をお伺いしておきたいと思います。
  71. 宮幡靖

    宮幡政府委員 なるべく御趣旨に沿うよう善処いたしたいと考えております。
  72. 神田博

  73. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 ただいまのお話によりますと、政府は織物消費税を全廃するということでありますが、かたがたいろいろな場合におきまして、政務次官と会合をいたしまして、大体十二月の国会を通して、あるいはでき得べくんば十一月に遡及するというお言葉を再三いただいておるのでありまして、業界もこれに対して相当期待を持つております。これは相当なストックを擁しておるのでございます。もちろん繊維業界は春夏秋冬の時期的の商品をつくつておるのでございまして、その減税が相当向うに延びるということになりますと—そのストックの問題につきましては相当ございますので、大体これは臨時国会を通過した即日から施行せられるということを業界は期待しております。今日までその時期を待つておつたのでございますが、それが相当向うに延ばされるということになりますると、この商品のさばけ口がないということになつて参るわけでございます。これに対しましては、何か通産省といたしましては、業界のために特殊な金融を講ずるというようなお考えがございまするか、伺いたいと思います。
  74. 宮幡靖

    宮幡政府委員 業者の方がいろいろ御苦心なさいますことにつきましては、同感であります。この点につきましては金融の点で御指摘がありましたが、金融問題は、個々の問題で処理して参りたい。それでありまするから具体的な問題について、事務当局の方とお打合せを願つて、しかるべく処理して参りたい、かように考えております。  それからまた物品税、織物消費税の撤廃についてさかのぼつてどうかというお尋ねもございましたが、法律の性質から申しまして、もしさかのぼつて支障がないという場合は、運用の問題で片づくではないか、かように考えております。この席におきまして、はつきりさかのぼるべきであり、あるいはさかのぼるであろうというような答弁は差控えたい、かように考えております。
  75. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 従来まで織物消費税が増徴せられました場合におきましては、その当時の滯貨に対しまして、申告によつて増徴いたして参つたのでございまするが、今回法令の定めるところによりまして、これが撤廃になる場合におきましては、戻税というところの方法をお考えなつておりますか、お伺いいたします。
  76. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいま大蔵省と連絡のついております範囲では、その点には考慮が拂われていないような模様でございます。
  77. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 そういたしますと、大体戻税というものはできないということに解釈いたしていいと存じますが……
  78. 宮幡靖

    宮幡政府委員 その点は、ただいま大蔵省の事務当局が参つておりませんから、適切に御答弁ができないのでございます。征いまして戻税はできないのだという断定を、ここで私から申し上げたくないのであります。またできると申し上げることはもちろん差控えなければならない。その気持をぜひ御了解願いたいと思います。
  79. 福田一

    福田(一)委員 高木委員の質問に関連して質問いたしますが、四割の値下りがあつた場合に、卸売業者あるいは小売業者が物を売つて利益がなかつた、あるいは損失を生じたという場合に税金をかける際には、それは損失として認めてもらい、また利益がなかつたとしても当然認めてもらえるのか、この点をひとつ承りたい。
  80. 宮幡靖

    宮幡政府委員 それは税制の定むるところによつて、損金計算でよろしいと考えます。
  81. 福田一

    福田(一)委員 こういう問題は、はつきり大蔵省あたりから通牒を出すように、通産省の方からも連絡をしておいていただかぬと、税務署はよくそういうことを知らないで、やはりずつと続いて営業しておるので、これだけの利益があるじやないかということで、税金をかける場合が非常に多いのでありますから、この点については特にこういうような措置を講ぜられることを望んで、私の質問を終わります。
  82. 神田博

    神田委員長代理 本日はこれにて散会いたします。明日は午後一時から開会いたします。詳細は広報をもつてお知らせいたします。     午後零時三十二分散会