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1949-11-10 第6回国会 衆議院 通商産業委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十日(木曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長代理理事 神田  博君    理事 有田 二郎君 理事 小金 義照君    理事 澁谷雄太郎君 理事 村上  勇君    理事 今澄  勇君 理事 有田 喜一君    理事 川上 貫一君 理事 永井 要造君    理事 山手 滿男君       阿左美 廣君    岩川 與助君       門脇勝太郎君    小西 英雄君       關内 正一君    高木吉之助君       田中 彰治君    中村 幸八君       福田  一君    前田 正男君       加藤 鐐造君    山口シヅエ君       高橋清治郎君    柳原 三郎君       田代 文久君    河野 金昇君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         通商産業事務官         (通商企業局         長)      石原 武夫君         通商産業事務官         (資源庁鉱山局         長)      徳永 久次君  委員外出席者         通商産業事務官 中村辰五郎君         通商産業事務官 讃岐 喜八君         通商産業事務官 吉田 良雄君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 十一月十日  委員上林榮吉君辞任につき、その補欠として  田中彰治君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  産業設備営団法及び交易営団法廃止する等の  法律案内閣提出第七号)(予)  帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八号)(予)  帝国燃料興業株式会社法廃止する法律案(内  閣提出第九号)(予)  帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇号)(予)  日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一三号)(予)     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。  前会に引続き私が委員長の職務を行います。この際委員の異動についてお知らせいたします。本日上林榮吉君が辞任せられ、新たに田中彰治君が委員となられました。以上お知らせいたしておきます。
  3. 神田博

    神田委員長代理 ただいまより前回提案理由説明が終りました内閣提出産業設備営団法及び交易営団法廃止する等の法律案帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案帝国燃料興業株式会社法廃止する法律案帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案、以上予備審査のため付託せられておりまする五法律案一括議題として質疑に移ります。小金義照君。
  4. 小金義照

    小金委員 ただいま議題になりました五法案は、いずれもわが国の産業、特に基礎産業として非常に大事な問題をいろいろ含んでおります。そこでこれらについてまず政府の大きな方針を伺いたいのであります。産業設備営団法及び交易営団法廃止する等の法律案提案理由を伺つてみますると、大体すでにその役目を果して、それぞれ閉鎖機関として指定してある、これらの営団の今までになして来た務めと申しまするか、どういう経過を辿つて来たか、ごく概畧な大ざつぱなところでよろしゆうございますから、その御説明を願いたい。その営団がどういう役を果して来て、これを廃止して今どういう状態にあるかということに及んで、さらにわれわれは産業政策の上からメスを加えなければならぬと思うのであります。そういう意味でごく大筋を御説明願いたい。
  5. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいまの御質問お答え申し上げます。産業設備営団は御存じの通り戰時中軍需生産、あるいは生産拡充産業というものにつきまして、民間でその建設なり、業務の運営が困難であるというものにつきまして、戰時目的からそうしたものの建設をいたして参るということをその目的にして設立されておつたのでございますが、あわせて船の建造ということもいたすことになりまして、それらの主として建設事業を、産業設備営団によつて戰時中行つて参つたわけでございます。これらの設備かどの程度ございましたかということにつきましては、金額で申し上げますと、緊要設備と申しますか、主として軍需関係生産に要します建設設備でございますが、それを当時の価格で申しますと、約十六億円ほどございました。それから船舶建造に充てた資金といたしまして、約十八億円、合計三十六億円ばかりの資金を投じてこれらの建設事業を主としてやつて参つたのでございます。これにつきましてはもとより戰争が終結いたしますとともに、これらの事業は一切中止いたしまして、その後御承知のように産業復興営団設立されます場合に、これらの従来の法律廃止することにいたしまして、戰後これらの戰前の施設は、一切必要がないということから、主として清算事務に移るということになつておりましたところ、その後閉鎖機関に指定されまして、現在閉鎖機関特殊清算といたしまして清算中でございます。現在その清算進行状況につきましては、実は大蔵省で主管をしておられますので、後ほどもし御必要がございますれば、その清算状況につきましては大蔵当局の方から御答弁を願うことにいたしたいと存じます。  次に交易営団につきましては、御承知のごとく戰時中におきます貿易の統制と申しますか、そうした趣旨から交易営団設立して参つたのでございますが、その戰時中における業務量につきまして、今ちよつとはつきりした数字を持つておりませんので、ただちにお答えをいたしかねますが、閉鎖機関になりました当時、どの程度業務量というか、あるいは資産といいますかを持つてつたかといいますと、その当時の価格にいたしまして約十億円ばかりの資産を保有しておりまして、それを同じく閉鎖機関として特殊清算として現在清算中でございます。これは戰時中における特殊な交易をいたしますために、つくりました特殊法人でございまして、終戰後はもとよりかような機関を必要といたしませんので、終戰後においてはこれが動いておりましたのは、連合軍の要求によります種々の物資調達いたします機関といたしまして、これが一時そうした役目をつとめて、進駐軍に対する一切の物資の売買あるいは調達に当るという事務をやつておりまして、閉鎖機関に指定されました後におきましても、暫時その仕事を継続しておつたのでございますが、それが御承知のように特別調達庁という機関が設置されまして、その事務が全部そちらに移りまして以降は、まつた閉鎖機関として清算事務だけをやつているわけでございます。現在までの清算状況はいろいろその資産内容によりまして異つておりますが、これの処分状況もすでに半分以上は清算事務が進行している状況でございます。なお、これの詳細につきましても、もし御必要がございますれば大蔵事務当局から御説明を申し上げることにいたしたいと存じます。これにつきましては交易営団解散ポツ勅を出しましてそれに従つて清算に移る予定なつておつたのでございますが、その後閉鎖機関になりまして、交易営団解散令というものは公布になつておりますが、それによりませず、閉鎖機関として現在清算中でございます。以上であります。
  6. 小金義照

    小金委員 おそらくこの産業設備営団というものはドイツドット建設団とか、アメリカ資源保有会社というようなものをモデルにして、十二、三年前に考えられたものと思うのでありますが、これらが保有しておつた相当設備なり、物資なりがあつたのでありますが、これらについて戰後平和なつてどう活用されたかということは、国民のひとしく知らんとするところであります。これらの問題について戰後日本経済復興のために、いろいろな問題が起つたように私は仄聞いたしております。今、清算中であるから、しかもその清算大蔵当局所管であるというので、今ここでただちにお答えをしてもらうわけに参りますまいが、この法律の第一條を見ると、これは産業設備営団については二十七年十二月三十一日、交易営団は二十六年六月三十日ということは一応切つてありまして、いずれも特殊清算結了の登記をした日のどつちか早い方によつて、その効力を失うということになつていますが、これは清算結了が早い見込みか、あるいはこの期限が早く来るか、これらの見通しについては、これまた大蔵省に聞かなければわからぬというのですか、その点をお答え願います。
  7. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいまのお尋ねでございまするが、現在までの清算結了までの予定は、ここに書いてありますところで十分できるという見通しで、大蔵省とも打合せの上、その期日を決定いたしたわけでございますが、なおこれよりも早くできるかどうかというお尋ねにつきましては、今お話のございました通りちよつと私の方としてははつきりした見通しはございませんが、今法律に書きました趣旨は、一応現在までの状況から見ると、十分結了に至るという見通しということでございます。
  8. 小金義照

    小金委員 これも清算所管しておられない通商産業省ではわかりかねるかと思いますけれども、一体この営団の始末の結果赤字が出るものと思われますか、その点の見通しはいかがでしようか。
  9. 石原武夫

    石原(武)政府委員 これは戰時中資産処分をいたします関係で、相当赤字を現在でも予定されております。そのはつきりした金額は、いずれ大蔵当局からあるいは御説明があるかと思いまするが、実は産業設備営団につきましては、国家損失補償をするという問題がございましたのでそれを補償をいたしますかいたしませんかという問題がございますようで、その関係損失の額もかわつて参るということに相なると思いまするが、大蔵当局としては一応最近生じました損失につきましても、補償を考えておられるようでございます。それでもし損失を一部補償いたすといたしますれば、一般の債務につきましては、全額償還が可能である。それから営団は御承知のように債券を出しておつたのですが、その債券につきましては、約一割程度償還になるだろうという見通しを立てておられるようでございます。  それから交易営団につきましては、現在までのところ評価をいたしまして、差引き債務超過なつております金額は、二億八千万円程度ということになつております。なお今後清算事務を続行して参りまして、その費用等を考えますると、債券の約三〇%前後を切捨てざるを得ないという見通しなつております。
  10. 小金義照

    小金委員 産業設備営団の後身である産業復興公団実情等についても承りたいし、またこの両営団清算の途上におけるいろいろの問題についても伺いたいのでありますが、これは大蔵省所管であるし、また産業復興公団については別の機会にこれを伺うことといたしまして、さらに私は他の法案について簡單に要点をお伺いいたします。  まずこの法案のうち鉄にしても石油にしても、いずれも非常に大きな問題でありまして、今日本の置かれているところの特殊の地位から、海外の情勢は、あるいは通産省当局には十分にわかりかねるかもしれませんけれども、現在世界石油産出状況、またその産出されている地域的な分布、すなわちアジアではどのくらいの石油が、どの方面で今採油されているか、ヨーロツパではどうか、アメリカではどうか、もしこの数字がありましたならば承りたいのであります。
  11. 吉田良雄

    吉田説明員 世界資料につきましては、ただいま数字を持ち合せておりませんので、後刻お知らせすることにいたします。
  12. 小金義照

    小金委員 日本が一番困つているものの一つ液体燃料だと思うのであります。帝国燃料興業株式会社を今度廃止するという法律案提出になりましたが、帝国燃料興業株式会社の短い一生の間に何をしたか。また国の負担においてどれだけの仕事をすることができたか。またこれが廃止に至る経過を一応私は了承いたしておりますが、政府の御説明をここで願いいたします。
  13. 吉田良雄

    吉田説明員 帝国燃料興業株式会社は、御承知のように人造石油製造事業に対しまして必要な融通をやり、この事業振興する目的をもつて設立されたのでございます。それでこの会社戰時中を通しまして、日本人造石油株式会社ほか数社に対しまして、設立を初めその他資本金を半分持つとか、いろいろな方面におきまして主として資金的な援助によりまして、人造石油製造事業振興を果して参つたのでありますが、御承知のようにこの技術関係が非常な高度の技術を要する関係と、いろいろな特許その他の関係からしまして、設備建設というものに対しまして非常な資金がかかりますので、二百万トンの計画を立てましたが、それが実現に至りませんで、約七十万トン程度と思いますが、その程度人造石油製造終つたのであります。終戰と同時に司令部の方より人造石油製造を禁止せられまして、この事業が実現できなくなりましたので、企業再建整備法その他に基きまして、この会社を整理いたしまして、本年の七月七日解散いたしまして、ただいま清算の過程に入つているような次第でございます。
  14. 小金義照

    小金委員 日本では石炭を液化するとか、あるいは石炭から石油をつくるというようなことは禁止された、こういう状況でありますが、今の日本状況においては液体燃料が非常に不足している。そこで海外から輸入するほかは、日本石油地帶開発以外に方法はない、こういう立場に置かれておるという御説明と了承するのでありまよ。そこで日石初め完全な民間会社努力を非常に必要とし、また期待するのでありますが、ここに議題なつております帝国石油株式会社使命もまた相当大きい。今日本石油遅帶から採油されております石油原価の高でよろしゆうございますが、最近の実情がわかつておりますれば、国内産油について説明をお願いいたします。
  15. 吉田良雄

    吉田説明員 最近における国産原油生産状況を御説明いたします。最近に至りまして、八橋の発盛油田その他有望油田が続々と発見されまして、生産量は逐次ふえております。具体的に申し上げますと、本年度計画は二十二万五千キロでございますが、一月が月産一万二千キロでございましたが、その後逐次一千キロ程度ずつふえて参りまして、六月ごろになりまして、一万七千二百キロ、七月が一万七千キロ、八月が一万七千七百キロ、九月が一万七千九百キロ、かようになつております。十月の結果はまだはつきりいたしませんが、大体一万八千キロをオーバーしているというような状況なつております。
  16. 小金義照

    小金委員 日本で産出する原油は、大体日本で消費する各種石油の総需要量の何パーセントくらいに当つておりますか。
  17. 吉田良雄

    吉田説明員 大体一割見当となつております。
  18. 小金義照

    小金委員 帝国石油株式会社の生まれからおい立ちの性質上、政府相当援助もし、また指導もするというような運命にあつたのでありますが、この法律案によりまして、政府持株を売り拂うことができるとか、あるいは出資金政府が持たないというようなことになりまして、一体今後帝国石油株式会社の姿と申しますか、位置はどういう位置に立つのですか。この会社の性格をひとつ説明願います。
  19. 宮幡靖

    宮幡政府委員 帝国石油の将来についてのお話でありますが、政府持株は前例にならいまして、証券処理調整協議会へかけまして、あるいは持株整理委員会等の意見も聞きまして、おそらく証券界におきます一つ引受団等を組成いたしまして、市場を圧迫しないような程度に、これを放出処分いたしたい、かように考えております。帝石会社自体は、日本石油工業全般に対します特殊性にかんがみまして、本法に依存いたさない保護助成の諸施策を勘案いたしまして、本法は近き時期において全面的に廃止いたしたい、かような考えを持つております。
  20. 小金義照

    小金委員 今日本原油産額説明かありましたが、二十二万五千トンくらいの年産額、これでもちろん満足すべきではありませんが、石油開発につきましては、試掘するにも今日では厖大なる費用がいると考えるのでありよす。そこで、かつて試掘奨励金相当出しておつたと記憶しておりますが、今日は油田地帶に対して、地質調査あるいは試掘に関する経費について補助金と言いますか、政府の支出がありますか、あればどの程度の働きをしておりますか。
  21. 吉田良雄

    吉田説明員 現存石油資源開発法に基きまして、試掘助成金を交付いたしております。本年度計画といたしまして、予算面では一億九千万円を試掘関係経費助成いたそう、かようになつております。
  22. 小金義照

    小金委員 試掘については今一体どのくらいの深さの平均をとつておりますか。また一メートルについてどの程度補助金を交付することになつておりますか、そこの辺をひとつ御説明願いたいと思います。
  23. 吉田良雄

    吉田説明員 現在平均九百メートルないし千メートルということになつておりまして、その一メートル当りの経費としまして、約九千円程度というふうに見ておりますが、その半額を助成いたす、かような根拠になつております。
  24. 小金義照

    小金委員 日本戰争のためにいろいろな工業技術の進歩が遅れているはずであります。アメリカその他では非常にスピーデー、かつ正確な鑿井機が発明されているように聞いております。またト—シヨンバランスその他の探鉱技術も進んでいるように聞いておりますが、それらの点について、機械を輸入するとか、あるいは向うの技術を借りるとかいうようなことをやつておられますか、また計画がありますか。
  25. 宮幡靖

    宮幡政府委員 戰時中の影響を受けまして、日本のあらゆる工業技術が後退と申しますか、沈滯化しているのでありまして、これらについては国策的見地から、主として工業技術庁が中心となりまして、その技術研究に没頭いたすことになつております。本年度補正予算におきまして、また明年度予算におきましても、この面に力を注ぐために所要の予算額を要求いたしまして、せつかく折衝しているような次第であります。現状のこまかいことにつきましては、油政課長から申し上げます。
  26. 吉田良雄

    吉田説明員 本年度におきまして、アメリカから鑿井機械と、それから物理探鉱機械を各一台ずつ入れまして、それに対して政府としまして、やはり約四千万円程度助成をしておりまして、現在その機械を北海道その他の深い油田開発に使用いたしております。そういう現状であります。
  27. 小金義照

    小金委員 日本油田は貧弱であると言われながら、次ぎ次ぎに新しい油田が発見されている。これをもつて見れば、まだ相当油田日本にあるじやないかと私は考えているのであります。これについては、政府も御同感のように今までの答弁承知しておりますから、その点は了といたしますが、採油の率が非常に悪い、これはもう数十年来イギリス、フランス等では採油の率を上げるべく研究しております。あるいはガスを吹き込むとか、その他いろいろなことをやつているようであります。二十年あまり前にフランスのペッシエルブロンにおいて坑道掘の実験をしたわけでありますが、このペッシエルプロンの例にならつて日本でも抗道掘の研究を始めかけたように聞いておりますが、この坑道掘については今何らの計画もありませんか、その点をお聞きしたいと思います。
  28. 吉田良雄

    吉田説明員 坑道掘につきましては、かつて実施したことがございますが、現在はアメリカ生産方式にならいまして、一本の井戸から横に三本、四本の枝を出しまして採油をする。そして坑道掘と実質的には同じような採油方法ができるというような技術が出て参りましたので、そちらの方に力を入れて実質的には坑道掘でとつたと同じような効果をあげるように現在努力中でございます。
  29. 小金義照

    小金委員 液体燃料の製作につきましては、まだきわめて重大な問題があると思いますけれども、それを私は次の機会に譲ることにいたします。今まで日本では石油の問題というと、大体軍隊の方の関係からのみ考えられましたが、今日では産業上一番大事な原動力であり、また交通上の大きなエネルギーでありますので、そういう点についてさらにまたただしたいところがあります。しかしただいまはそれを一応打ち切りまして、次に帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案が出ておりますので、この点について一、二の質問をいたします。  帝国鉱業開発株式会社は、実は私が設立の任にあたつたので、その内容はお聞きするまでもないのであります。その後の経過について少しくお尋ねいたしますが、一体今の営業状況はどうなつておりますか。御説明願いたいと思います。
  30. 讃岐喜八

    讃岐説明員 現在鉱発営業部といたしましては、戰時中にありました金山、すず、硫黄鉱山整備に関する仕事、それから生産関係で現在持つている山で、有望な山の稼行と申しますか、山から鉱石を掘り出す仕事、大体この二つにわけて仕事をやつております。
  31. 小金義照

    小金委員 帝国鉱業開発株式会社なるものは、実はこの一年前に設立された日本産金振興株式会社を合併しているはずであります。ところがこれらの会社政府が原則として半額の出資をして特殊の会社をつくつて、これにいろいろな便宜を与え、政府が監督をして日本地下資源開発をはからせる、こういう使命を持つておるのであります。従つてこれは戰争が済んでも、また軍備を一切放棄した平和国家なつても非常に大事な問題である。これはやがて株式の放出その他政府出資を規定しないというような、つまり自由な会社にすれば、この特別会社法もいずれ廃止運命にあると思う。ところがこの日本産金振興株式会社にしても、帝国鉱業開発株式会社にしても、今までいろいろな民間会社鉱山に手をつけておつた。しかしながら地質調査の結果、または探鉱の結果、まだ日本には幾多の鉱物資源が埋蔵されているはずであるということがわかつたが、これは当時の経済状態においては、民間会社では十分開発することができない。そこで多少の損失その他不便を忍んで、この特別会社がその開発の任に当る、こういう計画でできたものであります。従つていい鉱山だけを掘つて来たわけではない、引合わない鉱山であろうとも、末の見込までつけてやろうというのが、この会社使命であつたと私は解するのであります。そうすれば相当な山も発見されたであろうと私は一応想像するのであります。またその実例も伺つておりますが、これに政府出資しない、そうして持株も自由に値が出れば売りさばいて、国の收入とするということになると、これは自由な会社になります。そうなると本来の設立趣旨が沒却されるようになる。従つてこれは一営利会社としての株式会社になるわけであります。そこで今後の経営は相当むずかしい問題が出て来るだろうと私は思う。しかるに今までの状態、今までの気分でこの会社を運営しておつたのではとうてい成立たない。これらの人的構成あるいは技術者プ—ルというような点から考えて、先の見通しはどういうふうになりますか、政府当局の御所見を伺います。
  32. 宮幡靖

    宮幡政府委員 この会社の生みの親であります小金委員からの適切なる御質問ですが、この会社使命達成政府の強力なる参加と援助によつてなされるということが、目標であるということは御説の通りでありまして、現在この会社でやつておりますものは、後に資料としてお配りしてもよいと思つておりますが、大体岩手県の柳沢鉱山、これは銅のようであります。それから栃木県の釜の沢鉱山、これは金・銀・銅の鉱山であります。鹿児島県の大国鉱山、これも金・銀のようであります。それから大分県に鉱山一つあります。また岩手県、京都あるいは岐阜、茨城等においてそれぞれささやか仕事をいたしております。この会社設立当初は他の会社を吸收合併する等の独占的な立場にありましたが、現在やつております仕事の全鉱山に対する比率は、きわめて低いものであります。たとえば京都の第一多賀鉱山で黒鉛をやつておりますが、これがわずかに全産額の二〇%で、その他はいずれも一〇%に満たない微々たるものでありまして、今後これを政府保護助成をいたします特定の力が持つた会社として育成をすることには、幾多の疑問があると思います。あえて集中排除法の精神を強力に適用しようとは考えておりませんが、自由企業のいわゆる自由競争によつて山が磨かれ、生産が上り、そうして鉱産物を豊富に提供できる、こういう姿にすべきであろうと思つております。また鉱山の分野、あるいはその本来の性格等を考えまして、順次これを民営企業に移すような方向に進んで参りたいと思つております。すでにかような方向をとつたものもないわけではございませんが、その場合にもおきましては、やがてこの会社政府保護助成、あるいは監督というような覊絆から脱しました。自由企業として形成されるものだと期待いたしております。同時にその方向をとつて進んで参りたいのが、ただいま政府の考えている方針であります。
  33. 小金義照

    小金委員 この資料の中の事業の近況というところにもありますように、秋田県の荒川鉱山とか大分県の鯛生鉱山というようなものは、有名な鉱山であります。これらをやつて行く以上は、この会社民間のすつ裸になつ会社になれば、相当な成績を上げることができると思うのであります。金、銀、銅、鉛、亜鉛というようないろいろなものについて、帝国鉱業開発株式会社相当の関心も経験も持つておるはずであります。そこで私は、日本と言うよりも世界の経済界に、全般的なさや寄せを試みておる日本現状からいつて、私は産金の問題は相当重大だと思うのでありますが、政府は金の生産について、どういうお答えをお持ちになつておりますか、一応政府当局の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  34. 宮幡靖

    宮幡政府委員長 産金の重要性は政府も痛感しておるところでありまして、最近における知り得る範囲の国際情勢においても、アメリカ等では金の買上げ価格を引上たい、かようなニュースも伝わつております。これがあながちかつてのように、金本位に帰る前提だとはここで断定いたしませんけれども、やはり世界交易が平常経済のもとにおいて行われるといたしますならば、為替関係も現在の操作とは相当つて来るであろう。その場合の金の重要性というものを考慮いたしますならば、ぜひとも産金の奨励はいたさなければならぬ。本日鉱山局長が見えておりませんが、もう数箇月以前よりこの点に着手いたしまして、産金奨励と申しますか、政府が積極的にやるか、あるいは民間にゆだねてこれを助成するか、今後とるべき産金政策につきまして、一つの作業を完成いたしております。そしてこれはただいま省議で検討中であります。これが完成いたしましたならば、やがて閣議にもかけまして、国の方針を定めてお説のような方向に進めたい、かように考えております。
  35. 小金義照

    小金委員 私ばかり時間をとるのは恐縮でありますから、この程度で一応やめておきますが、金は日華事変の終りのころまで、まだ相当増産についていろいろな設備もし、また施策もしておつたのであれますが、戰争なつて—私は全然知りませんが、打切られてしまつたように考えております。そこで急激に金を堀り出そうといつても、これはなかなかできねものではありませんから、その点は十分政府は緻密な計画を立てて、金山の開発と同時に、銅とかその他いろいろな鉱物もおのずから発見されるので、この鉱山行政については万全の策を立てていただきたい、こういう注文を申し上げておきます。  終りは鉄の問題についてお尋ねいたしますが、日鉄は二つに大体分割される。そうすると日本の銑鉄を生産する大きな会社は、この二つになつ会社と、日本鋼管くらいだと思うのであります。現在その一つであるところの日鉄、それから日本鋼管の生産状況は、一応ここに資料をいただいておりますが、尼鉄の溶鉱炉、中山の溶鉱炉というようなものの状況がもしわかれば伺いたい。
  36. 中村辰五郎

    中村説明員 お答えいたします。銑鉄の生産につきましては根本的にいろいろな問題がございまして、目下のところ、日本製鉄並びに日本鋼管の現に動いております溶鉱炉については、その能率を上げるという点に重点を置いております。なお二十五年度の問題といたしまして、現在の熔鉱炉以外に動かす熔鉱炉は、どの程度まで考慮できるかどうかという点につきましては、目下愼重に検討いたしておりまするが、広畑の熔鉱炉を動かす問題以外は、考慮でき得ないのではないか、こういうぐあいに考えております。
  37. 小金義照

    小金委員 鉄は最も基礎的な物資でありまして、今鉄鋼局長の説明によれば、新しく火を入れるのはあまり望みがない。これはしかたのない話であります。一番大事なのは鉄鉱石と粘結炭の問題であつて、これもアジアの大陸から十分供給を受けることができないとすると、どうしても能率本位で行かなければならない。鉄鋼の補給金も近い将来において打切られる、こうなるといろいろな方面にその影響が及ぼされるのであります。そこで百八十万トンの本年度計画について伺いたいのでありますが、これが一体可能であるかどうか、また別状はどういうことになつておるか、説明を願います。
  38. 中村辰五郎

    中村説明員 現在の銑鉄の生産状況でございますが、先般来司令部から輸入炭、鉄鉱石の削減並びにスクラップの配合率を高めるというような、きわめて基本的な問題に対しまする強い指示がございまして、これが銑鉄の生産に直接関係いたしまして、その面から現在の銑鉄生産計画相当大幅にかえざるを得ないような情勢になつて参りました。目下の見通しでは、今の計画は大体銑鉄百四十五万程度になるのではないかと考えております。なお鋼材の点につきましては、これはスクラップの配合率を高めるという問題に関連いたしておりますが、大体百八十万トンの最初の計画相当上まわるのではないかと考えております。これは見通しでございまして、確実な結果がどうなりますかわかりませんが、大体目下のところでは、二百万トンをちよつと下まわる程度に落ちつくのではないかと考えます。このように鋼材の方の生産が上昇いたしております一つの経済的な原因と申しますか、ただいま委員の御質問の中にもございましたように、補給金の削減その他いろいろな面から申します鉄鋼業のコストの切下げと申しますか、一応操業度の上昇によつてこれをカバーしようというのが、鋼材生産における一つの強い上昇の形勢ではないかと考えます。
  39. 小金義照

    小金委員 製鉄用の燃料の粘結炭及び鉄鋼石の輸入状況について伺いたいのでありますが、今どういう方面から鉄鉱石が来ておるか、また粘結炭はどういう方面から供給を受けておるか、大ざつぱところをひとつ承りたい。
  40. 中村辰五郎

    中村説明員 御質問石炭の面について申し上げます。石炭につきましては、わが国の鉄鋼業が東亜の資源に依存することによつて国際水準を確保し得るということは、常識的に認められた点だと思いますが、終戰後の今までの状況から申しますと、中国の開らん炭が輸入困難でありました事情からいたしまして、非常に国際的に不利でございますアメリカ方面から輸入しておつたことは御承知通りであります。今後の鉄問題といたしましては、極力東亜の原料に重点を置いて参るという本来の姿に返したい、そういう見地から、これらの東亜の燃料資源の輸入について、特段の努力司令部方面等にいたしておる次第でありますが、目下のところ確実な見通しが立つておりません。  次に鉄鉱石の問題でございます。終戰直後から海南島の鉄鉱石に主力を依存しておつたのでありますが、諸般の情勢の変化もあり、またズングンあるいはフィリピンの鉄鉱石の生産状況の向上等もございまして、今後の鉄鉱石の主力はズングンとフィリピンの鉄鉱石に依存して参るのではないかと考えます。今の輸入につきましての海外のオフアーの状況から申しますと、ズングン並びにフィリピン、それ以外にインドのゴアあるいはアフリカ方面からも輸入をいたして参りたい。通産省といたしましては、今後の貿易のあり方が協定貿易あるいはバーター制と申しますか、そういつた方向で輸入を促進すると同時に、輸出を増進するという見地から、鉄鉱石の輸入については、一箇所に集中して輸入をするというような対策より、できるだけ広く分布して輸入さしたい、こういう見地で案を作成いたしております。大体におきまして主力はズングン並びにフィリピンであろうかと思います。海南島の問題につきましては、いろいろの情勢がございまして、目下のところはつきりした見通しを申し上げられません。
  41. 小金義照

    小金委員 数十年の歴史を持つてつた揚子江沿岸の大冶の鉄山については、今どういう状況なつておりますか。
  42. 中村辰五郎

    中村説明員 その点につきましては非常にいろいろの情勢から判断を下さねばなりません問題でありますので、ただいまこういう情勢であるというような見通し、あるいは現状につきまして申し上げにくい点がございます。
  43. 小金義照

    小金委員 結局日本で鉄鋼政策を立てるといえば、どうしても今局長の説明されたように、アジアの資源を利用する以外にない。しかもこれが共存共栄になる。ことに支那大陸の粘結炭とか鉄鉱石というようなものとか、南洋、インド方面あるいはフィリピンというようなところとの大きな通商関係のバランスをとる上に立つ鉄鋼対策、こういうふうに私はかわつて行かなければならぬだろうと思つておるのでありますが、それには価格政策とかいろいろな問題もあります。ここで特に通産省の問題でないと言われるかもしれませんが、先ほど来問題になりましたこれらの石油にしても、金、銀、銅その他の鉱山についてもこれを開発することは日本の資源を開発するのと同時に、日本の失業救済といいますか、そういう方面からもこれは非常に大きな問題であります。ことに金山のごときは多数の人を使うし、また金はオールマイテイで何にでもかわるものであります。こういうような関係において、鉄とか金とか石油とかいうものは非常に大きな問題である。これはひとりこの産物をふやす上において重要であるのみならず、鉄のごときは質の問題が非常に大事でありまして、おそらく日本のステイ—ルは特殊鋼を含めてまだ相当技術が劣つておるのじやないか。しかしこれらの点については閉会中に鉄の価格並びに技術方面については、すでにこの委員会の前身である商工委員会で相当ただしてありますので、私はその点は省略いたします。ただこの次の機会にこれらの問題についてさらに新しい方面から政府の所見をたたくつもりでありますが、この地下資源開発は国内の大きな問題であると同時に、資源の関係から行きまして、非常に大きな国際的な問題になつております。従つ十分政府が一体となられてて、万全の策を立てて、これを実行されんことを希望いたしまして、一応私の質問を打切ります。
  44. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいま小金委員から御質問がありましたので、大体私のお伺いしたいことはわかつたのでありますが、一言御説明を願いたいことは、石油の問題であります。日本で出ます原油というものが非常に少いものであることは周知の事実でありまして、日本液体燃料の問題を解決する場合には、諸外国から原油を輸入するか、あるいはまた精製油を輸入するか、こういうことが焦点になると思うのでありますが、一体どれくらいの量の精製油あるいは原油が、今まで日本に入つているか、あるいはその入つているものの価格並びに船舶に要する運賃、こういうものがおわかりになつておればお知らせを願いたい。
  45. 吉田良雄

    吉田説明員 石油類の輸入の問題につきましてお答えいたします。終戰以後現在まではアメリカの救援物資として入つておりまして普通の通商関係ということでは入つておりませんので、価格という問題につきましてはちよつとお答えできませんが、戰前におきましては年間、多い年で四百万バーレル前後輸入されておりました。大体原油がその半分でありまして、その残りの半分が製品として輸入されておりました。最近におきましては石油価格はだんだん下つて来ておりますし、それから逆に船の運賃というものが非常に大きな割合になつて来ておりまして戰前においては大体運賃は、こちらに到着します石油全体の価格の中の三〇%程度であつたのでありますが、現在は原油価格と船賃とが同じくらいの値段になつております。最近、大体通商関係といたしまして二百万バーレル程度輸入されることになつておりますが、これが大体一バーレル当り十八ドル四十三セントくらいの計算になつておりまして、その中の約半分は運賃関係なつております。かような数字であります。
  46. 福田一

    ○福田(一)委員 これは、あえて石油の問題だけではないのでありますが、近き将来において輸出入関係民間に移る。石油の方は今後どういうふうに関係方面と連絡がとれるか私は承知しておりませんが、いずれにしても、こういうものも順次民間の輸出入の手に移されるものと存じます。その場合において日本としては、できるならばやはり原油を入れて、これを精製した方が日本のためになろうかと考えているのでありますが、政府のお考えはいかがでございましようか。
  47. 宮幡靖

    宮幡政府委員 福田委員のお説の通りであります。原油で輸入いたしますことを基本といたしまして、御承知通り太平洋岸の既設の製油所の再開の許可を得まして、ただいませつかく工事をやつております。年内に四箇所程度は回復いたしまして操業を開始できるであろうと思います。明年四、五月ごろ、おそくも六月ごろには残余の製油所が再開できることになろうかと思います。それから輸入の面につきましては、束亜地区という先ほどの御意見もありましたように、アメリカだけに依存していましても、必ずしも條件がよくないであろう、こういうことも予感せられますのでお説の貿易自由の原則に則りまして、ぜひ近東地区から原油の輸入をいたしたいと、せつかく交渉中であります。ある部分はすでに輸入可能の状況なつております。これと相まちましてただいま提案の法案に全面的に関連があるのでありますが、日本の硫化鉄を増産いたしまして、これによつて世界に誇るべき硫酸を多量に生産いたしまして、日本のタンカー船によりまして、これをたとえば近東地区等に送りまして、これに原油を績みかえて持つて来る、かような方法によりまして、順次この面を回復いたしたいと思いまして、ただいま硫酸の製造輸出ということに重点を置いて、タンカー輸送によります返路に原油を輸入する。こういう方針のもとにそれぞれの交渉を進めております。すでに近東地区からの輸入は、先刻も申し上げましたように、若干はありまして、数量は今公表はできないのでありますが、契約ができまして入つて来る。しかしながら船は向うの船で入つて来る。かような状況でまだびつこでありますが、これを是正いたしまして輸出と輸入の調和をはかりたい、かように考えております。
  48. 福田一

    ○福田(一)委員 ただいまの御説明で非常に明瞭になつたのでありまするが、どうしても原油を入れてこれを精製する。日本は何といつても国土が狭小であり、人口問題その他から考えてみましても、将来工業を振興する以外に、われわれの生きて行く道はないと考えるのであります。この意味合いから言いまして政府が強力にこの点を推し進められることを希望いたしますと同時に、あらゆる面につきましてわれわれがいろいろ研究をしてみますと、何といつても船腹の問題が非常に大きな問題であります。われわれは戰争を放棄いたしまして、武器を持つということはできませんが、平和産業としての船腹の問題は、非常に大事な問題で、どうしても自国船をもつてやるという方向に進めなければならないのでありますから、産業開発、工業振興の点から見ましても、ぜひとも通産省においても、船腹関係について運輸省あたりとも連絡を御緊密に願いまして、なるべく安く、原料が入るよう—その原料の値段と、また船賃の問題は非常に大きな関連性を持つておると思いますから、ぜひともこの点を強力に御研究を願つて、そうしてこの問題を一日もすみやかに解決するような方向に、御努力願いたいということを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  49. 神田博

    神田委員長代理 次は川上貫一君。
  50. 川上貫一

    ○川上委員 簡單に要点を質問いたしますから、要点をお答えを願いたいと思うのであります。  まず第一に日鉄に関係する方の一部改正法案でありますが、この法案ちよつと見ますと、わずか一行の法案であつて非常に簡單であり、單純であるように見えるのでありますが、実はこの中には相当重要な問題を含んでおると思うのであります。その第一は、従来日本の鉄鋼業—これは鉄鋼業だけでなしに、化学工業でも相当の保護と助成のもとに、今日のようになつて来たわけであります。それが今のような状態なつておつて産業状態は非常に困難になつておる。そういう時分に政府の方では今後この基礎産業に対する国家的な十分な助成がなくても、野放しで鉄鋼業あるいは化学工業等が、健全な自立的な発達をなし得るものか、これをどう考えておられるかという点を、まずお聞きしたい。
  51. 宮幡靖

    宮幡政府委員 現在の日鉄を中心といたします鉄鋼業のあり方、御説の野放しということは、われわれにはちよつと意味がわからぬのでありますけれども、自由に企業形態をとらした方と、どちらが自立でき、能率的であるかということは、これは見方の問題だと思いますが、現在の政府当局といたしましては日鉄はすでに集排法の指定も受けておりますので、これを解体いたしまして、それぞれの企業意欲によりまして能率の向上、合理化が推進されますような方向に行つた方がよろしいのではないか、かような考え方を持つて進めております。
  52. 川上貫一

    ○川上委員 集排法によつて二つになるという問題と、従来国家的にこれを保護助成して来たという問題とは、まつたく別個の問題だ。私が野放しと言いましたのは、言葉はともかくとして将来民間の自由なという言葉は、まことにけつこうな言葉でありますが、しかるべくやれということになりまして国家的な保護並びに助成は、結局放棄されることになる。従来日本の鉄鋼業並びに化学鉱業も一緒に加えて、これは相当助成をして来たから今日をなしておる。しかるに今こういうような状態日本なつておるときに、育成、助成の問題を放棄してしまう、こうすればかえつて発達すると言われることはどうも合点が行かない。どういう関係で自由にするか、また従来はなぜ自由な形ではいけなかつたのであるか、この点についてのお考えを承りたい。
  53. 宮幡靖

    宮幡政府委員 私の言葉が足りなかつたように思いますが、従来どうして日本製鉄というような存在があつたかというようなことについては、これは私が申し上げるまでもなく、川上委員十分御承知であります。今度の一部改正は政府出資を解除いたしまして、持株処分する自由を得たということでありますが、その処分の條件として、いわゆる監督的、保護的な規定は全部残つておるわけであります。今日ただいま日鉄法を廃止しようとは思つておりません。従つて自由な企業の形態をとらせましても、やつて行ける見通しのつくまでは、日鉄法の残余の規定によりまして、十分保護育成して参りたい。見通しのつかないところでこれを野放しにしてしまう、かような意味合いではございません。これは前回の私の御説明が足りなかつたのでありまするが、ただ廃止いたしますのは政府出資のことだけで、その他の監督規定はことごとく残つておるわけであります。私が申し上げるまでもなく、まだ残つておる監督規定の中には、いろいろありましようが、重要な事項はことごとく政府の干渉と申しますか、指揮命令ができ得ることになつておるわけであります。これらによつて完全に自立できる見通しの上において、日鉄法を廃止いたしたい、かように考えております。
  54. 川上貫一

    ○川上委員 言葉の上ではそういうことになりますが実質においては私は国家的な育成の放棄だと思う。このことはたとえば国家の持つておる株を処分する。そうするとこれはことごとく民間のものになる。そこで私はあらためて聞きたいのでありますが、この株を処分する場合に、日本のような状態の中でこの株がはたして消化ができますかどうか。  第二には外資等の関係については、これをどうお考えになつておるのか、これをあわせてお聞きいたしたい。
  55. 宮幡靖

    宮幡政府委員 株式の処分につきましては、先刻小金委員の御質問のときお答えいたしておきましたが、それを繰返し、かつ若干補足いたしますと、政府持株、これが大体九百九万四千二十四株という厖大なる株であります。一千六百万殊のうち半数以上を占めておるわけでありましてこれを一時に市場に放出しますと、容易に消化ができないと思います。そこで証券処理調整協議会にはかりまして、証券業者の引受団というものを組成いたしまして、順次これを消化して参る、かような方向をとりたいと思つております。昨日もしばしば御質問のありましたように、日発の増資株の引受けがなかなか困難なのではなかろうかという御質問があつたような状況で、これを一時に処分するのは困難かと思いますが、順次これを処分して参りたい、かような方針には間違いはない。かように考えておるわけであります。  なお外資導入の問題は、ここで明確にお答えするのもどうかと思いますけれども、さしつかえない程度のことを申し上げますならば、政府としては外資導入ということは考えておらないわけで、いずれも民間外資の導入でありますので、日鉄が解体後におきまして、自由な立場で外国資本との協定がつきまして、外資が入つて参りますならば、これを政府は拒む意思は持つておらない。ただこれに対しまして政府が積極的に外資導入の指導をいたすかいたさないかは、その外資の性質、時期、方法等について十分検討をした上において、いたしたいと思つております。
  56. 有田喜一

    有田(喜)委員 ちよつと関連して質問をいたしたいと思いますが、先ほど川上君の御質問に対して、政務次官の御答弁によりますと、今回は目鉄法は一部の改正にすぎない、川上君の日鉄が二つに分割されても日鉄法、いわゆる特殊監督的な法律がいるのではないかという御質問に対して、政務次官はそれが分割されてもなお存続するとお答えなつたように、私承つたのでありますが、ややその点が明確を欠いておられるようでありますから、はつきりと御答弁願いたいと思います。
  57. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまの御審議を願つております改正は部分改正で、この改正をいたしましても、日鉄に対します監督規定というものは、これは解除にならないから、従来の方針が踏襲されるものと思います。しかしながら集排法の指定がありますので、いずれも解体しなければならないことは必至であります。その場合にはもはや保護育成というような立場からの監督規定というものは、不必要の状況に幸いなりますれば、それは廃止しなければならない。もし川上委員の御心配のような状況がありとするならば、なおこれに対して相当の監督規定その他を設けて、すなわち将来を守るということが必要になるであろう、かような考え方でありまして、これは持株整理委員会の意見もありましようし、また会社自体の解体されました結果において、いろいろな御意見もあろうと思いますから、各方面の御意見を聞きまして、適当なる措置を講じたい、本日ただいまの状況において改正いたしますことによつて、日鉄法に対しまする監督規定というものがなくなるものではない。従来とあまり方針には変化がないものであると申し上げたのが、ぴつたりと説明できなかつたので、いわゆる言葉のあやの行き違いである。どうぞこの点御了承願います。
  58. 有田喜一

    有田(喜)委員 現在は日鉄法が廃止になることは、たれが考えても当然でありますが、二つに分離されたらどうなるかということが問題であります。昨日大臣の説明によりますと、分離された場合には日鉄法自体を廃止すべきである、こういうぐあいに強調されておつて、日鉄法はやめると言われたのであります。ところが政務次官はこの点は非常にあいまいなのであつて、あるいはそういう保護助長、監督的の法律を存続するがごとく、あるいはせざるがごとく今申されたのでありますが、先ほどの川上君の答弁においては、そういうものを残すと言われました。そこが今あいまいなので、もう少しはつきりと御答弁を願いたいと思います。     〔神田委員長代理退席、澁谷委員長代理着席〕
  59. 宮幡靖

    宮幡政府委員 有田委員から大臣がすでに日鉄法は廃止すべきだと言明しておる裏づけを、補助役の私から申し上げるまでもないことと思いますが、こいねがわくば解体の時期において日鉄法を廃止するような事態を期待しておるわけであります。しかしながらその事態が川上君の御説のような方向においてなお必要であるとすれば、これは重要産業であり、基礎産業であつたという立場から、一応の考慮を拂うべきではないか、かように考えるものでありまして、大臣が日鉄法を廃止するというふうに言明いたした点は、政府の基本的な考え方を申し上げたのであります。その解体の場合における状況において、この基本的條件にも若干の補正を行うべきだ、かように考えております。
  60. 川上貫一

    ○川上委員 政務次官は結局どうお考えになるのか。これは私が野放しと言うたと言われましたが、まつたくその考えがある。そうなりますというと、ますます今の外資の問題と関連いたしまして重大だと考える。私なんかの心配するところは、日本のこの鉄鋼業、一番基礎産業である鉄鋼業は、従来といえども国家の保護育成のもとに初めて今日を来した。ところがこの困難な状態なつておるときに、これを私の言葉で言えば野放しにするということになれば、政務次官は外資の問題も考える。しかし政府は入れるつもりはないが、民間において自由に入るということについては、政府の関する限りでない、こういうことなんである。と同時に今の日鉄法は当然きのうも通産大臣が言われる通り廃止されることは明かだ。自由経済の方向に行つておるのですから、これは明らかだ。そうすると日本の基礎的な工業である鉄鋼業。こういうものが日本における自立性を失う危險が非常に多い。このことは言葉のいかんにかかわらず現実的にはそこにならざるを得ないと思う。たとえばこれはあとで質問いたしたいと思うが、日本石油産業のごときはほとんど外資に押えられて独立性を失つてしまつておる。石油のごときは非常に重要な日本の自立産業の基礎なのである。ところがこの鉄鍋業がまたその轍をふむ危險があるということを、はつきりこれは見なければならぬ。また政府はそれを予想しておられるだろうと思う。聞くところによると日鉄広畑のごときは外資との関係で、吉田首相側近の方々が相当活躍しておられるということを巷間伝えておる。真偽のほどはわれわれ知りませんけれども、吉田さんならやりそうなことだと、みんなこう思つておるからこういう説が出て来るのであつて、これが実際の腹のうちだろうと思う。これは非常に危險だと思う。しかしそのことは今政務官が答弁せられたことで、非常に明らかになつたのでありますから、あえてそれ以上私は追求いたしませんが、非常に危險なやり方であるということだけは重ねて私は申し上げておきたい。それについて今の資金調達の問題でありますが、漸次にこれを民間に拂い下げて来る。こういうことになりますと、なぜこの法案をこういう一部改正をするかというと、それは財政問題が中心になつておるからである。この改正法案は、日本の鉄鋼業を自立復興するために必要だからという理由ではない、財政上必要だからこれをやるという。漸次にこれを売つてつたのでは、とても財政上には役に立たぬ。どんどん売らなければだめだ。漸次に五年、十年十五年もかかつてちびりちびり売るつもりですか、あるいは財政上短かい期間に処分するというのですか、これはどうなるのですか。
  61. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これもまた言葉が足らなかつた結果であろうと思いますが順次に処分すると申しますのは、市場へ出て参ります姿を申したのでありまして、持株整理委員会において引受、放出ということをいたしますならば、これに引受団ができまして、その株式を一応保有しでおるわけであります。政府といたしまして引受団ができます以上、これに対しまして日本銀行の政策委員会等の協力も得まして、融資の道も考えられるだろうと思つております。そこで引受団におきまして、政府対の関係の引受けは完了いたしまして、市場には、証券処理調整協議会等の議に諮りまして、順次これを上場して公売する。かような形になつて参りますので、予算にも掲げておりますところの雑收入を確保いたします上におきましても、これはさように五年も六年もかかる方法はとれないわけでありますので、政府と引受団との関係は、一応売買が完了して、実地に市場に株が出て参りますので市場の状況によつて、引受団が操作する方法なつておるのが、現在予想しておる方法であるし、同時に従来の開放株におきましても、すでにこの方法をとつて来たのであります。さように御了承願いたいと思います。
  62. 川上貫一

    ○川上委員 そういたしますと、私は今の状態で国内に資金がない。たとえば証券会社資金を供給してやらなければならない。そうすると、銀行融資がどうしても必要になつて来る。ところが銀行融資をしますと、どうしても政府はマーケットオペレーシヨンの形をおとりにならなければ出て来ないと思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
  63. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは政策委員会からお答えを願つた方がよいと思いますが、一応当省の考えております方向からお答えを申し上げます。御承知のように融資の準則、将来できます信用統制法の前身と申します現在までやつて参りました融資準則で、従来証券融資というものは丙でありました。これを乙に引上げまして、証券融資が容易になるような手配をまずいたしております。それから金融機関の融資等については預金者保護の目的を害しない程度において、証券融資のために政策委員会におきまして、一つのパーセンテージをもつてオペレートすることを計画いたしております。そこで大体その方法は三分半の公債の手持ちのあります銀行から、公債を買い取りまして資金を流す。かような方法がとられておるということは、すでに行い、今後も継続されることだろうと考えております。
  64. 川上貫一

    ○川上委員 そういう形をとりますと、これは必ず信用インフレが起ると思う。これは帝石の問題もありますし、日鉄の株もあるのでありますから、そうしますとせつかくこれを財政的な理由によつて売り出してやると言われるのでありますが、今の行き方と反する。この信用インフレをどうして防止なさいますか。
  65. 宮幡靖

    宮幡政府委員 この点は残念ながら川上委員とその見方を異にしております。マーケツト。オペレーシヨンをやりまして、それが信用インフレになるということは、私どうも理解できないのでありまして、この問題につきましては、また、他日の機会にひとつ川上さんの御研究を聞かしていただくことにしまして、これはどうも見方の相違でありますので、ここで明確な答弁はできませんが、私どもはマーケツト・オペレーシヨンによりまして信用インフレになるという、財政金融の原則を不幸にして知らないわけであります。どうぞそういう意味であしからず御了承いただきたいと思います。
  66. 川上貫一

    ○川上委員 株の処理の操作の上では、マーケット・オペレーションの方法をとると言われましたので、それは信少ンフレになるとわれわれは考えておりますが、これは見解の相違だと考えます。実際のやり方についてはわかりましたから、私のその点に関する質問はこれでけつこうであります。  次にこういう形のやり方は、現在発展しつつあるところの国々において、巨大企業というものは公営並びに国営の方向をとつておる。ところがこの改正法の行き方は、まつたくこれに逆行しておる。もつともこの逆行の行き方は吉田内閣の全政策に対する逆行の一つであるから、吉田内閣としてはもつともなことだと思いますが、一体政府としては全世界状態を見て、大企業、大産業が国営の方向に向つておるということに対して、この行き方は反しておると考えますが、さようにお考えになりますかどうですか。
  67. 宮幡靖

    宮幡政府委員 全世界潮流に逆行しておる、あるいは逆流するというお言葉の点については、私は意見を留保さしていただきます。御説のように吉田内閣の性格上、民有民営主義でありますので、その方向をはつきりととつて参ることには間違いないと存じます。
  68. 川上貫一

    ○川上委員 政府の鉄鋼業に対する基本的な考え方になるのでありますが、どうもこれが合点がいかない。今の大企業国営の方向に逆行するのではないかという問題については、意見を異にする。また国家的の保護あるいは助成育成というようなことは、やめる方向をとつておる。第三にはこれを民営にして外資を導入する考えを持つておることが明らかである。こういう形で日本の鉄鋼業をやつて行こうというお考え、そこで出て来た問題は、今度は具体的には今までやつて来た銑鋼一貫作業を、最近かえておられる。そうすると銑鉄の生産は非常に少くなる。ところが日本にはたくさんの屑鉄はないわけである。一年か一年半ぐらいしますと、屑鉄だけではとうていやつて行けないときが来るに違いない。そうすると日本の鉄鋼業の基本的な方針はまたもう一ぺんお考えをおかえになるのですか。あるいは屑鉄輸入の方式にまたもどるのですか。あるいは一貫作業方法にもう一ぺん返して来るつもりなんですか、こういう操作はどうなるのですか。一つも基本的な態度がないと思う。ぐるぐるあれやこれやで終始しておつて、一体日本の鉄鋼業というものを政府はどうするつもりでおられるのか。外国へ売り飛ばしてしまうつもりですか。あるいは日本の工業立国、重工業を中心とするところのほんとうの産業復興を考えておるのかどうか。聞くところによると、日本鉄鋼業無用論さえも出ておるということを聞いておる。政府は鉄鋼業をどうするつもりでおるのか、これをひとつお聞きしたい。
  69. 宮幡靖

    宮幡政府委員 まず申し上げますが、政府日本鉄鋼業不要論などといことを申していないことは、きわめて明瞭であります。また銑鉄の生産についても減退するであろうというお話でありますが、先刻鉄鋼局長からもちよつと数字を申し上げましたように、百四十五万トンも銑鉄ができそうであります。全体の計画の百八十万トンも、二百万トン近所まで参りそうな段階にあります。  くず鉄の問題に対しまする御意見は、しごくごもつともだと存じます。そこでいろいろな施策を講じまして、特に司令部の鉱業課長の方からも非常に関心をもつて御勧告もありまするので、ただいまやはり鉄鋼局長から、少しその一端を申し上げましたが、このスクラップを用います割合をかえまして、これは消極的ではありますが、スクラップが減つて行きます状況を少し調節して行きたい、こういう考え方を持つてつておることは、すでに申し上げた通りであります。それ以上のこと、それでは将来くず鉄を輸入してやつて行くのか、そういうことはただいまでは確定しておりません。さような事態をどうしても続けなければならないという状況になりますれば、くず鉄の輸入もいたすべきだと思いますが、ただいまでは輸入いたさなければならないということまで考えなければならないほど鉄鋼政策が行き詰まつておるとは存じておりません。  それからなおこの鉄鋼の問題につきまして、いろいろな施策かございまするが、この点につきましては、もう少し完成いたしまして、せめて閣議において御了承でもいただいた時期に申し上げたいと思いますので、はなはだ不満足な回答でありますが、この問題はこの程度にさせていただきたいと思います。
  70. 川上貫一

    ○川上委員 これは非常に不満足なんで、この内容は鉄鋼業に対しては政府は基本的政策を持つておらぬ証拠だと思います。実際また持つておらぬと思います。ねこの目のかわるほどどんどんかえておる。これでは日本のほんとうの復興ということが、吉田総理大臣は日本の経済が安定したなどということを施政方針で言われましたが、これはとんでもないことで、安定どころか、ごたごたをやつておるように考える。それでちよつと一つ聞きたいのですが、日本の鉄鋼業は全体の生産計画を縮小するという方向をとつておらぬ。来年は二百万トン、銑鉄百四十五万トン、こういうような説明があつたのですが、これは今日滯貨が一体どうなつておるか、明年度の有効需要の見込みはどうなつておるか、明年度の輸出はどうするつもりなのか、今日でさえ行き詰まつてしまつて民間滯貨が残つておる時分に、こういう無鉄砲な計画ばかりしても、これは実際においてはすぐに行き詰まつてしまうと思うのですが、この点をひとつ御答弁をお願いしたい。二十五年度における生産と、それからこれの国内需要の関係、輸出の関係、この点であります。
  71. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御意見でありまするから、承つておくことにやぶさかではございませんが、現在鉄鋼の滯貨があるという問題は存じておりません。さように滯貨があるというように私の方の調べでは現われておりません。明年もやはり銑鉄百四十五万トン、鉄鋼二百万トン、これはその計画で進みたいと思います。特に厚板の需要が相当予想されます関係、しかもこれを輸出の面において処理したい、かような考えでただいま鉄鋼の輸出ということを盛んに交渉いたしておりまして、すでに若干具体的な成案も得ておりますが、全般的にきまりましてから、また御報告することにいたしたいと思います。
  72. 川上貫一

    ○川上委員 たびたび私は問うことなんですが、日本の鉄鋼業については、新しくできた中国との貿易ということとを無視しては、日本の鉄鋼業全体の生産計画も実は立たないと思う。今後中日貿易というものは好むと好まざるとにかかわらず、必ずその道が開けて来なければならぬと思う。われわれは必ず開けて来ると思う。このことに対して中日貿易が必ず開ける。また開かなければ日本産業は立つて行かないというこの基礎に立つて日本の鉄鋼業政策を立てておられるか、あるいはそういうことは何ら考慮に入れないで、この日本の鉄鋼業政策というものを立ててあるのですか。この点をひとつ聞きたい。
  73. 宮幡靖

    宮幡政府委員 支那大陸との貿易、この問題は非常に各方面から御関心を持たれておる問題でありますが、現在の段階におきましては、この貿易をやるべきであるかどうかということについては、おおむね外務省の所管だと存じます。きわめて微妙な問題でありますので、適当な時期において外務省の担当官によりまして、御説明申し上げることといたしまして、ただいまでは支那を相手とする貿易をどういう方法でいつやるか、特にただいまの日鉄の問題に関連いたします銑鉄、鉄鋼の生産、これが支那大陸依存でやるべきかどうかということは、ただいまの言明の限りでございません。どうぞ御了承願います。
  74. 川上貫一

    ○川上委員 そうすれば今の計画、またこの法案に関連する政府の考えとしては、中日貿易というものは考慮に入れないで計画を立てている、こう解釈してよろしゆうございますか。
  75. 宮幡靖

    宮幡政府委員 それは御見解の御自由の範囲だと思つております。
  76. 川上貫一

    ○川上委員 御見解の御自由でない。政府は、どう考えておるかということを聞いておる。これを計画に入れて施設をしてやるのか、これはもう計画に入らないのかということを聞いておる。
  77. 宮幡靖

    宮幡政府委員 その問題につきましては、先刻も申しました通り、現在の段階においては、おおむね外務省の担当でありますから、外務当局にお尋ねいただきたい。かように思つております。
  78. 川上貫一

    ○川上委員 外務省の担当じやない。通産省がそれを考慮に入れて計画しておるのか、方針を立てておるのか、それは一体行先まつ暗でそんなことはちつともわからずにやつておるのか、あるいは中日貿易などというものは将来できつこないという考えのもとで、通産省は計画しておるのか、これを聞いておるので、何も外務省のことを聞いておるのでない。
  79. 宮幡靖

    宮幡政府委員 よくわかりました。おつしやることは真底までよくわかつておるのであります。従つて現在の計画の中には支那大陸を対象として考えてないことは明らかであります。将来お説の、国家の名前をお呼びになつておりますが、そういう言葉は言つてよいのかどうか、まだ私ども差控えておるような始末でありますので、将来のことにつきましては言明申し上げかねます。
  80. 川上貫一

    ○川上委員 腹の中までわかりましたが、これは実に危險なやり方だと思います。中日貿易は必ず道が開けなければならないし、また開けなかつた日本の復興はあり得ないということは確信しておる。これを考慮に入れないで度外視して、日本の鉄鋼業政策を通産省が立てておるとするならば、実に無鉄砲なお先まつ暗な危險な政策だということを、私は特に申しておきたいと思う。それ以上は見解の相違だと逃げるに違いないから申しません。  次に株の売出しの問題でありますが、かつて井華鉱業の特株を、大蔵省が六十万株、持株整理委員会が八十万株売つたことがある。そのときの時価がおよそ二百五十円くらいする株を、たしか八十円で売つておる。こういうことをまたやるに違いないと思う。そういう妙なことを防止する何らかの考えが政府にありますか。事業によつてはそういうことは自然成行きにまかすのだから、しかたがないというお考えでありますか、その点をちよつと聞いておきたい。
  81. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御質問趣旨は、政府所有の株の公売値段が不当に安くなるという御趣旨だと思いますが、さような方向には考えておりません。株はすでにただいまの五法案に関連いたします株式のみならず、御承知通りまだ財産税の物納株式も残つておりますその他企業再建整備法によりまして、民間会社の放出株もあるわけでありまして、この数字はただいま正確なものを覚えておりませんが、株式数にいたしまして、大体三百六十万株くらいあつたはずであります。そのうちの処理のつきましたものが、現在五割七、八分の状況にあるということを承つております。これらと並行的に参りますもので、これは証券処理調整協議会等において株の評価を定めます。政府がかつてに安い値段で売るということは、現在の機構としてはできないわけでありまして、たとえば民間会社の開放株のごときも、あるいは資産を全部洗つて見たならば、一株百五十円になるといたしましても、従業員等に割当てます関係もありまして、これを七十円とか、八十円とかいう価格をもつて、指示してよこすわけであります。従いまして政府の株式でありましても、一たび持株整理委員会の手にかかつて処理されることになりますれば、やはり他の民間会社と同様な措置によつて評価されるべきものでありまして、政府が不当にこれを安く売る、さような措置ができ得べき状況にないことを御了解いただきたいと思うのであります。
  82. 川上貫一

    ○川上委員 日鉄に関する質問はもう一つだけで終りますが、こういう形をやりますと、繰返して私は申しますが、日本の製鉄業は外資によつて必ず押えられる危險がある。第二の問題は、株の処分においては、証券会社を通ずるところの金融資本に利益を与えるだけだ。第三には、こういう放任の形で日本の鉄鋼業は自主独立をすることができない。第四番目には、中国との貿易を考慮に入れないところの計画というものは危險である。この点について政府の考え方をお聞きしたい。
  83. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまお示しの諸点につきましては、御意見として承つておきたいと存じます。
  84. 川上貫一

    ○川上委員 御意見ではない。政府の考え方を聞いておるのですが、おそらくこれは言えないだろうと思います。それだから私はあえて追究いたしません。言つてみたところで、これは言えない—私の質問は一応これで打切つて、明日またあとの質問をさしてもらいたいと思います。
  85. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員長代理 本日はこの程度にいたしまして、明十一日午前十時より質疑を継続いたします。  これにて散会いたします。     午後零時三十五分散会