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1949-11-09 第6回国会 衆議院 通商産業委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月九日(水曜日)     午前十一時四十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 神田  博君    理事 有田 二郎君 理事 小金 義照君    理事 澁谷雄太郎君 理事 村上  勇君    理事 有田 喜一君 理事 川上 貫一君    理事 永井 要造君 理事 山手 滿男君       阿左美廣治者    岩川 與助君       門脇勝太郎君    小西 英雄君       首藤 新八君    關内 正一君       高木吉之助君    中村 幸八君       福田 篤泰君    福田  一君       前田 正男君    加藤 鐐造君       坂本 泰良君    山口シヅエ君       高橋清治郎君    柳原 三郎君       田代 文久君    河野 金昇君  出席国務大臣         通商産業大臣  稻垣平太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         通商振興局長通         商産業事務官  岡部 邦生君         通商企業局長通         商産業事務官  石原 武夫君         資源庁長官  進藤武左エ門君         資源庁鉱山局長         通商産業事務官 徳永 久次君  委員外出席者         通商産業事務官 武内 征平君         経済安定事務官 川上 為治君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君 十一月九日  委員井上信貴男君及び田中彰治君辞任につき、  その補欠として多武良哲三君及び上林山榮吉君  が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の  法律案内閣提出第七号)(予)  帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八号)(予)  帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案(内  閣提出第九号)(予)  帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇号)(予)  日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一三号)(予)  電力行政に関する説明聽取     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。前会に引続き私が委員長の職務を行います。  まず電力情勢に関し当局より説明聽取の件を議題とし、前会に引続き、質疑によつて当局より説明を求むることにいたします。有田喜一君。
  3. 有田喜一

    有田(喜)委員 私は昨日余儀ない用事がありまして、途中で退場いたしましたので、あるいは同僚諸君の御質問と重複するところがあるかもしれませんが、もしさようなことがあれば、どうぞ御注意を願いたいと思うのであります。  まずお伺いいたしたいと思いますのは、わが国包蔵水力が現在いかようになつておるか、できるなればその中で開発あるいは未開発、それから未開発のうちでもやや具体性を持つているのが何キロ、それからそのほかの未開発水力がどのくらいか、概要を御説明願いたい。
  4. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 お答えいたします。包蔵水力につきましては、大体二千万キロといわれておるのでありますが、これは開発の技術の進捗、あるいは見方によりまして相当研究しなくてはならぬ問題と思いますが、大体今われわれ考えておりますのは、一応二千万キロ程度考えております。そのうちすでに開発されましたものが六百万キロをちよつと上まわつておるわけでございます。それからなお今後五箇年間に開発しようという一応の計画を立てましたものが、大体百五、六十万キロということにいたしております。しかしこれは今後いろいろ計画が具体化することにつれまして、これがかわりますが、この点につきましてはもう少し詳しい資料をあとでお届けいたします。
  5. 有田喜一

    有田(喜)委員 大体の包蔵水力概要はわかりましたが、私の考えているところによりますと、この包蔵水力は昔の調査からあまり進展していないように感じられる。おそらく政府の方にわが国包蔵水力については十分の御調査がなすつてあると思いますが、この場合に治水あるいは多種利水、それから水力電源開発、これをよく総合調整をした計画がきわめて肝要であります。かような見地に立つた水力調査ということは、その後も継続されて積極的にやられておるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  6. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 御承知のように戰争前に一応日本包蔵水力につきまして、政府水力調査会をつくりまして調査した記録はございますが、その後正確な調査等につきましてはまだ組織的のものはないのであります。ただ戰争後経済安定本部の中に河川総合調査委員会を設けられまして、現地調査はいたしませんが、いろいろの総合的の調査をし、また一部具体的な設計その他にまで及んでおるようであります。たとえば今問題になつておりまする只見川の開発等につきましては、河川総合調査委員会等において一応調査された結果でございます。この河川総合調査委員会でいろいろ決定しまして、それを他に調査を委託したというのが今の状況でありますから、先ほどお話のありましたように、水力の地点の開発考え方いかんによりましては出力が相当かわつて参るようであります。今後はますます総合的にこの問題を取上げて、あるいは河川別に、あるいは地域別総合的計画が必要ではないかと考えております。もしできれば相当長期にわたる一定の調査組織をつくりまして、積極的に調査したいという考えを持つております。
  7. 有田喜一

    有田(喜)委員 言うまでもなくわが国唯一資源水力であります。しかも昨日も総理大臣からはつきりと、わが国の総合的の国土開発計画をやるということを強調されました。私はわが国総合国土開発唯一のねらいは、やはり電源中心とした多種利水あるいは治水との調和をはかつた総合開発根本だと思う。この意味におきまして、その前提となるべき水力調査がまだ推進されておらないということは非常に遺憾に思いますが、政府は多少金がいつても、そういうことはおかまいなく、わが国資源開発意味からも、これに一段と積極的な調査を進められんことを私は強く要望いたします。  それから次にお伺いしたいのでありますが、先ほども言いましたように、わが国唯一資源水力だと思う。しかも水力は御承知のように石炭違つて一度開発してしまうと、それは永遠無限資源である。その意味におきまして、私はあくまで電源開発ということを積極的に進めなければならぬと思う。單に動力資源としての意義があるばかりでなく、今日のこのデフレ経済を救うためにいわゆる有効需要喚起をやるということがきわめて緊切なことである。その意味から申しましても電源開発は緊急の要務である。しかも一方失業者があふれております。この失業救済意味から申しましても、わが国で今日まず最初に着手するのは、この電源中心とした総合開発だと思う。どうも口では盛んにこのことが強調されますが、まだ具体的にこの点があまり進められていない。私が言うことを政府は真剣に考えていただきたい。今日電力問題につきましてあるいは停電問題、あるいは最近は多少下火になりましたが、電産争議ということがやかましく言われておる。これらのこともきわめて大事でありますが、しかしなぜ日本でこの電源開発がうまく進まないかというその根本をきわめなければならぬ。世間はあるいは日本発送電を非難し、あるいは配電会社を非難しておる。政府もあるいは会社当事者もこれの弁解に努めておつて、いかにすれば今日の停電をなくし、日本電源開発がうまく進むかという根本問題について、非常に等閑に付せられておるように思う。私はこの意味におきまして、政府根本的に日本電力産業をいかにして建て直すかということについて、どういうように考えておられるか、その所見を承りたいと思う。
  8. 宮幡靖

    宮幡政府委員 有田委員の高邁なる御意見に対しましては、政府当局といたしましてもまつたく同感と申し上げる以外に言葉はございません。国の最大の資源であります水力資源開発、これに伴います国土総合計画の実行ということは、まつたく喫緊の要事でありまして、ただいま御意見の中にこの点について熱意を欠くような見方もあるような御説でございましたが、現政府といたしまして考えておりますことは、有田委員の御説とまつたく同一の線を歩いておる、こう申し上げてさしつかえないと思います。惜しむらくは客観情勢、現下の日本財政事情におきまして思いながらも及ばざるような遺憾があるわけであります。せつかくの御意見でありますから十分承りまして、御趣旨に沿うよう努力させていただきたい、かように考えております。なおこまかいことにつきましては、事務当局からお答えさせます。
  9. 有田喜一

    有田(喜)委員 大体の趣旨は賛成されておりますけれども、私が今申し上げるのは、單なる議論や抽象的にこういうことをやれやれでは済まない。ことに財政云々の問題がありましたが、いわゆる均衡財政によつてわが国が今デフレ経済に陥らんとしておる。今日はデフレ経済といつても過言でないと私は思う。これを救うのはやはり有効需要喚起、これが最も大事なことは、先ほども申しますように、総合的な国土開発、その中でも電源開発ということが根本だと思います。ことに今日表面には失業者の数は少うございますけれども、その失業者は今までは滯貨融資によつてつないでおるだけであります。しかしこれはいつまでも続くものではありません。必ず近き将来たいへんな失業群わが国に出て、そこに社会不安が起る、その意味において、社会不安が起つて初めて気がつくようじやいかぬ。それに先だつてこの大事な電源開発に具体的に着手していただきたい、これを言うのです。そこで私は政府にお尋ねしたいのですが、電力産業建直しがきわめて肝要でありますが、その根本として電力産業をしていわゆる公共事業として犠牲的の産業採算が合わなくてもパブリック、ユーテイリテイーの役割を果せばいいのだ、こういうような意味で進まれるか。あるいはこの独占事業をやり、しかも基礎産業である電力は、営利の追求ばかりは許すことはできませんが、ある程度利潤を認め、いわゆる合理的な採算基礎に立つ経営によらしめるか。その根本方針を承りたい。
  10. 宮幡靖

    宮幡政府委員 重ね重ね有田委員から適切なお尋ねをいただいておるわけでありますが、昨日も他の委員の方から同様な御意見がごいまして、現在の情勢におきまして申し上げられる範囲のところを申し上げておきましたが、その詳細につきましては、また機会もございましたならば、速記録等でごらんを願いますが、概要を申し上げますと、電力資源開発ということが、有効需要喚起する一つの対象的な方向であり、また現在のデイス・インフレと申します経済事情が、もうすでにデフレ化しておるので、失業群は日を追うて多くなるであろう。このことにつきましては、まず電源開発等によつて、これらの労働力を吸收する、この点につきましても、まつたく御同感であります。従いまして現在話題に上つておる電気事業の再編成計画が進んでおりますかたがた開発といたしましては、すでに司令部の承認を得ました三十八箇地点の開発に、それぞれ建設命令その他の指令を出して、順次あとう限りの速度をもちまして、ただいま進めております。しかし遺憾なことには、日発にいたしましても、地方自治体の府県のごときも、電力開発意欲を持ちます方面にも、自己資金調達が困難であります。増資、社債等によりまして、自己資金調達が困難のために、勢い見返り資金からの援助を仰がなければならぬ、かような状況で、件数にいたしまして約三百件、これを見返り資金から融資していただくことを申請いたしましたところが、なかなかこれが思うように進捗いたしません。その場合におきましては、昨日も御意見がありましたように、冬期は仕事ができないところがあるのじやないか、こういうような面もありますので、そのうち特に急を要する面について取上げまして、さしあたりは日発及び配電会社府県等によつて大体三十二億くらいの程度—総額は百四十五億でありますが、そのうちでも特にこの際急がなければならぬ、こういうような三十二億程度の分を特に許可していただきたいということを、ただいま懇請中でありまして、大体目鼻もつきつつあるようであります。この点まことに皆さんと同様に、政府といたしましては遺憾に存じておるところであります。  電力事業の再編成の問題は、すでに閣議においても決定発表いたしております通り日発が、どちらかと申しますと、監督をいたしまする通産省あるいは資源庁よりも組織的には大きいのであります。組織的に小さなものが大きなものを監督するという矛盾は、私は個人としても感じておるわけでありまして、これらが過度経済力集中排除法の指定を受けまして解体しなければならないことは、これは必至の状況であると同時に、かつての独占的な経営というものは、これは戰時型の一つの夢であろう、かように考えております。こいねがわくは適当の数、適当の地域に分断いたしまして、電力開発及び供給との間にきわめて自由競争的な、しかも消費者利益を主眼とする公共性を強度に発揮するかたがた、またその経営体利潤をも否定しない、かような方向に参りたいと思いまして、ただいま電気事業編成審議会というものを組織すべく、司令部交渉中でありまして、これが委員を上げまして、そしてこの分断の方法及び時期等について一応検討いたしたいと思つております。この審議会は、ただいまのところでは通商産業大臣諮問機関として設置するのでありますが、次の国会等におきまして法制化しまして、やがてはパブリック・ユーテイリテイー・コンミツシヨンと申しますか、公共事業委員会というような法的性格を持つたものにいたしたい、かように考えております。これによつて練り上げられました案によつて集中排除法の精神に基く電力の再編成を達成いたしまして、そしてその運営については、別に調整機関を設け、一切の事業公共性收益性及び社会性等を加味いたしました調整機関としての発足をいたしたい、かように現在進んでおります。この問題につきましては、また次の機会に、もう少し司令部との交渉が進みましたときに、特に政府として委員会の御了解を得たい、かように考えております。
  11. 有田喜一

    有田(喜)委員 再編成の問題は、私もいささか承知しておりますが、私のお尋ねしていることは、電気事業というものは、御承知通り自然的独占事業性格を持つております。いわゆる集中排除法にいう独占事業とは違います。従つてこの電気事業を真に合理化して行くのには、必ずしもこれを分散するとか何とかせずにも行ける方法がある。私はこの電気事業を建直す一つ方法として、あるいはアメリカでやつているようなT・V・A方式、つまり国営方式、これもたしかに一つ行き方であります。しかし必ずしもそればかりが唯一方法ではない、あるいは今の形態でも十分行ける。しかしなぜ今の形態がうまく行かないかというと、これは何と言つても、日本発送電にしましても、配電会社にしましても、やはり株式会社であります。やはり営利を—極端な営利ではありませんけれども、いわゆる採算ということを目標とした会社であります。それでやつても私は行けると思いますが、しかしその欠陥が方々に出ているのは、何も会社が大きいからというのではなくて、会社企業努力企業熱意を発揚できるような組織になつていない、その根本政府に責任があると私は思う。なぜ電気事業がうまく行かないか、これを平たく言えば料金問題にあります。今石炭がある、しかしなかなか石炭が十分にたけない、これは火力発電を起しても今の料金では損が行く、会社形態である以上は、やはりそこに独立採算制で、採算が合うという建前をとる。すなわち電力料金合理性を失つているからうまく行かない。いかに発送電形態が大きくても採算が合わない、どんどん火力発電をやつて採算が合うなら、何も政府からやかましく命令されなくても動く。その根本に目をつけずして、ただしりから発送電をたたいてばかりおつても、それはうまく行かないことは明らかであります。料金を上げるということも、一方に相当の弊害があるので、それを押える方式で行くならば、すみやかにこれは国営方式をとつて、そして政府犠牲の上でどんどんやることも一つ行き方であります。しかしそれができなくて、いわゆる民営をやろうというのであるならば、すみやかに電力料金改訂をやらなければならぬ。昨日も電力料金改訂の問題で三割二分とか何とかおつしやつておるが、これはどういう基礎になつておるか知りませんけれども、私の大体の想像では、今までの既設の安い設備、最近起つた高い設備を総合した單なる原価計算によつておられる、それを基礎にされておられるので、それだけでは開発意欲は起らぬ。これはどの事業を見ましても、電力開発をやるとすれば、それに相応した一つ別側形態をとつて、それによつてつている。私はおそらく今の発送電会社にしても配電会社にしても、いわゆる再評価をやつて行くならば、たいへんな電力料金になる。その通りつて行くならば、それはもちろん物価に悪影響が来ますが、その辺をよく勘案したいわゆる合理的な電力料金を早くつくつて行かないと、なんぼやつても立ち直つて行かない。あるいは七つのブロックにわけるとか何とかやつて見ましても、それは皆さんが一応表面的に今行き詰まつておるから、そうでもやれば何とかなるだろうとお考えになるだけであつて、このままに放つておいては私は電力は再建できないと思う。その根本はもし民営形態でやるというならば、電力料金合理化を強く推進されるべきである。今日の三割二分、これはやらぬよりましでありますが、それだけでは私は十分に行かぬと思う。ことに来るべき資産の再評価課税の問題とにらみ合せて、必すまた電力料金改訂をやらなければならぬ。次から次へとあとから追うような電力料金建直しをするということは、私は他の産業に非常に影響があると思う。それで今日資産の再評価税があるならば、それとにらみ合して、過渡的に今の三割二分をやるのもいいかもしれぬが、もつと真劍に考え電力料金根本的な建直しをやつて、そこからスタートしなければならぬと私は確信しておる。政府はどういうふうに考えられるかを伺いたい。
  12. 宮幡靖

    宮幡政府委員 有田委員の御説に対して、必ずしも政府違つた考えを持つておるものではありませんが、御意見の中の株式会社経営で、企業努力が思わしくないということ、これも電力の絶対量が不足の現状におきましては、そういう面が現われることを全面的に否定するわけには参りませんが、民有経営がよろしいか、あるいは国営がよろしいかということは大きな問題でありまして、御意見の点は承つておくといたしまして、ただいまこの席で結論を出さしていただくことだけは、差控えさしていただきたいと思うのであります。  次に電力料金の不合理性につきましては、まつたく御意見通りだと思います。三割二分の改訂がきわめて微温的のものである、この点につきましても、非常に当局といたしまして悩んでおるわけでありますが、現在の国情におきましては、長い間交渉を続けて参りましたが、これ以上の値上げ可能性はないということを残念ながら申し上げねばならない状況であります。しかしながら三割二分をもつて電力料金値上げが解決したとは考えておりませんので、引続いてこれに関しまする努力を続けたい、かように思つております。昨日も申し上げましたように、元来現在の料金が賃金べースといい、所要の補修費といい、さような面の原価を盛り込んでおらぬわけでありますから、何といつてもこれは不合理であることは御説の通りであります。要は根本の理由は電力の絶対量を増加する、従つてお説の開発を促進する、このことが重要な問題になつて参るわけであります。  最後の資産の再評価に対します税の問題でありますが、これが電力料金に織り込まれたり、あるいは消費者に極端な方法で転嫁されるようなことになりますれば、資産評価の税というものは非常に悪税となるであろうと考えております。これは政府全般とは申し上げかねますが、徴税官庁であります大蔵省と通産省といたしましては、相当意見の隔たりがありまして、目下これらの問題については調整をいたしております。資産評価減価償却を百パーセントに認めるという意味で、安い簿価による償却によつては、資産の再取得と申しますか、少くとも再生原価を獲得することができない。かような立場から資本の内部蓄積ができますように、あらゆる面において減価償却合理化されるために、この資産の再評価をやるわけであります。それがもしかえつて悪い結果をもたらすようならば、十分考慮いたさなければならないと思つております。これはまだ大蔵当局とも交渉中であり、また大蔵当局税制全般について司令部とも交渉中でありますので、本日ここで結論を出すわけに参りませんが、御意見の点は十分勘案いたしまして、この資産評価につきましても、電力事業に重大なる圧迫を加え、ひいては電力料金その他消費者利益を破壊するようになるという点につきましては、これを排除するためにせつかく努力させていただきたい、かように考えます。
  13. 有田喜一

    有田(喜)委員 少し問題が多方面にわたりますが、もう一回電力料金の問題について伺います。私は電力料金値上げを必ずしも欲するものではないのです。けれどももしも今の発送電配電会社、これを七つとかいくつかに割つて行くとかいろいろな案がありますが、そういうようないわゆる民営前提としてやつて行こうという方針ならば、何といつて電力料金根本的にかえなければならぬ。これを強調するのです。もし電力料金を上げずにやつて行こうと思うならば、これは形態根本的にかえなくちやならぬ。そこを私はいわゆる犠牲産業として進むのかどうするのかという政府方針をただしたのですが、政務次官は明確な答弁を差控えられたようでありますが、おそらく普通の民営ではないでありましようが、しかし方式はやはり民営方式をとられるようにうかがう。そうなるならば、ひとつここに電力料金というものを根本的に考え直していただきたい。関係方面云々という話がありますが、今日たとえば国鉄の料金を見ましても、この春上げて、また八割も上げようとしている。電力料金の上げ方を見てごらんなさい。私の記憶ではまだ戰時中のおそらく三十三、四倍より上つていない。ほかのものは二百倍もみな上つている。これでやつて行けるはずがない。それでもつて電源開発をやれ、あれをやれと言つて相当のむりがある。そういうように電力を低料金において行こうという考えならば、根本的に企業形態をかえなくちやならぬ。そこを私は強調するのです。もし今の方式で行うとおつしやるならば、電力料金根本的にかえなくちやならぬ。今日電力料金が安いために、ずいぶんむだな消費がある。これはもう政務次官もよく御承知でありましようが、工場へ行つても、またわれわれの家庭へ行きましても、ともかく電気というものをむだに使つている。今日の生産状況から見ますならば、こんなに日本電気がいるはずはない。また家庭電燈電熱を見ましても、戰前から言えばぐつと上つている。これは一面から言いますれば、ほかの薪炭がないとかいろいろな事情もありますが、一つ料金が安いからです。ほかのまきをたくよりも、電熱の方が安いという気持がみなある。そのために電力というものがずいぶんむだに使われている。私はその根本をよく考えていただきまして、もつと勇敢に関係方面とも折衝していただきたい。たれが考えつて、今の料金にむりがあることははつきりしている。それから料金合理化する前提としまして会社自体合理化をやる、これはもちろん必要なことです。これも積極的に大いに合理化をやつていただきたい。しかしいかに合理化をやりましても、会社自体から出て来るところの原資というものは限られております。国鉄にしましても、従業員を整理いたしましたけれどもいくらも出ない。ちよつとそろばんをはじいたらすぐわかる。しかしいくら整理いたしましても、会社自体合理化をやるということはきわめて肝要です。これをどんどん推進せられて、そしてそれと並行して、合理的基礎に立つた電力料金改訂を迅速に、しかも勇敢に進められんことを私は特に強調し、切望してやまない次第であります。  それから次に資金の問題ですが、これは電源開発をやつて行く上におきましてきわめて肝要です。これまた料金とも関連いたしますが、今のようなこういう基礎に立つて行くと、どうしても自己資金調達はできない。政務次官がさつきおつしやつたように、今日日発は増資をやつておりますが、あの悩みはどうでしようか。これは結局採算が合つていないからです。この料金の決定は政府にあるのであります。これは私が申しましたように、合理的基礎に立つて料金改訂されるならば、資金調達もおのずから円滑に進むと私は思います。この意味から申しましても、料金改訂のすみやかなることを希望いたします。  それからもう一つ同時に考えていただきたいことは、自己資金もきわめて大切である。けれども同時にやはり外部債、すなわち長期金融ということが、ことに電力事業の特質上きわめて大切であります。その長期金融に今日は見返り資金というものが頼られておりますが、どうも見返り資金は率直に申して当てにならない。出るようで出ない。そのために今日電源開発の着手も遅れておる。政府としましては、もちろん見返り資金も活用していただきたいのですが、根本的に長期金融機関についての、何か具体的の対策が考えられでおられるはずだと私は思います。ことに今後電源開発を大いにやろうという基礎に立つ以上は、少くとも長期金融についてのお考え相当まとまつたものがあるだろうと思いますが、もしそれがなければすみやかに長期金融についての対策を樹立していただき、それに対して政府の今考えておられるところの方針なり、もし案が立つておるならばそれをお示し願いたい。
  14. 宮幡靖

    宮幡政府委員 いろいろ有益なる御議論をお聞かせ願いまして、この点当局として感謝いたします。その前の御意見にわたります点は、最初申し上げましたように、あまりこの席でこれの結論を出したくないのでありますが、企業形態の問題は、現内閣の性格といたしまして、有田委員も御承知通りに、民営形態をとつて進む。民営形態の方が企業努力が期待できる。そしてまたそれから起ります自由競争がすべての点を解決して行くのではなかろうか、こう考えておるのであります。これはあまり強く申し上げるのではありませんが、有田委員すでに御承知通りでありますから、一応現政府性格として申し上げておくわけであります。料金値上げはもう必至であるという御意見、まつたく同感であることを重ねて申し上げておきます。  会社合理化につきましては、きわめてその程度が微弱でありましても、これを怠るべきでないという御意見通りただいま進めております。国鉄の側をお引きになつて、行政整理があまり効果がなかつたのではないか、こういう御議論もありますが、また見方によりますと、たいへん人が減つたようでありますけれども、汽車の発着時間が正確になつたり、車内の清掃状況その他のサービスが向上したということを考えますと、やはりこれは捨てがたい味わいがあるではなかろうか、こう考えております。同様な観念をもつて、この日発その他に対します合理化も、現在でき得る指示、命令、監督等の権限の範囲内において順次進めて参りたい、かように考えております。  それから見返り資金の問題でありますが、これは実際出ないのでありまして—昨旦福田委員からもこの点について御質問がありまして、ある程度詳細にお答えしておきましたが、これは出ないであろうという見方もありますし、遅れているから出ないであろうという見解も、これは一つ見方であります。しかし私どもといたしましては、必ずこれを有効に長期資金として運営さしていただくことができるであろう、しかも今年度の予算に計上されております見返り資金性格と、見返り資金に積立てられまする資金との間において、近き時期において若干の相違が来るではなかろうか、こういう期待も持つているわけであります。従いまして現在ドツジ・ラインの線によつて指導されておりまする日本の財政的支出の面におきまして、長期資金を供給し、保護助成いたしますようなことは、ただいまのところ不可能の状況であろうと思つております。従いましてはなはだ申訳ないのでありますが、国家といたしましてこれら事業に長期資金を供給するという計画は、ただいまのところ持つておりません。しかしながら民間企業であり、民間資金を吸收いたしまして、それぞれの仕事を推進しなければならないという面から、日本経済の安定と相まちまして民間外資の導入によりまして、民間資金の不足を補つて参りたい。この計画につきましては、電気で申せば、御承知通りただいまウエスティング・ハウス方面から只見川の電源開発問題につきまして調査団がおいでになりましてこれらを見ております。従いましてその結論としましては、できるかできないかはしばらく別問題でありますが、民間外資の導入という線に沿います一つ調査であり、計画である。かような面によつて、巨大な資本を要し、長期建設にわたりますところの重要産業につきましては、もし日本の民間資本によつて調達のできない場合には、ぜひ民間外資を導入する等の方法によりましてこれを達成して参りたい。ただいまのところはそれ以外に具体的に御報告申し上げますような案を政府は持つておりません。
  15. 有田喜一

    有田(喜)委員 私は見返り資金が必ずしも当てにならないとは申さないのであります。現実の問題としては、見返り資金なりそういうことを考えているのでありますが、電力の将来を考える場合に、いつまでも見返り資金ばかり当てにはできない。そこで長期の金融についての特別の対策をすみやかに確立される必要のあることを強調します。  なお資産評価の問題、先ほどもちよつと触れましたが、私は資産評価の問題について、シヤウプさんが考えているのはやはり事業の健全なる建直し、健全なる経営、そこに基礎を置いていると思う。そこで日発資産評価をやつてみると、これはたいへんなことになつて、どうしても納税ができないことはそろばんをはじくまでもなく明かである。とうてい税金を納めることはできない。しかも物納はできない。そうすると資産評価に対して非常に彈力性を持たして、再評価を低くするというよりほかに道がない。そうなつてくるとまた電気事業建直しができないので、料金にからんでくる。好むと好まざるとにかかわらず料金收入からあげて税金を納めるようにでもしないとだめである。これは明かである。そこで、これは大蔵当局との問題になりますが、商工当局としましては、資産評価につきましてよほど愼重に、かつ電力事業の本質をお考えになつて強く当らなければならぬ。これは彈力製を持たすこともけつこうですが、あまりに小さくしてしまうだけでは、先で設備が頽廃して電力が足りない結果が出て来るということになるので、その辺の兼ね合いをよくお考えになつて、適切なる方策を講じていただきたいと思います。  それから少し小さな問題になりますが、今日電気事業につきまして補修工事が相当進んでいるように聞いております。けれども私の見受けるところ、たとえば送電ロス、配電ロスは前から比べて相当多い。これは技術の関係もありますが、やはり資金の問題が相当強く影響しているので、この補修工事の改善ということにつきまして、政府は大いに努力を拂つていただきたい。これを希望しておきます。  それから最後に申し上げたいと思うのですが、電力は御承知通り一方で不足は来しておりますが、あるいは深夜になれば電力の過剰が来る。あるいは豊水期になれば水をむだに流している。これは調整池や火力発電所によつて、あるいは貯水池によつて補う方法がありますが、よほどそれをうまくやりましても、相当の余剰電力が出る場合があります。これはやはり日本において化学工業というものをうまく活用して、その余剰電力を完全に消化しなければならぬ。そこで今後の日本の経済はやはり輸出にまたなくちやならぬ。私はここに電力輸出ということを叫びますが、何も送電線をつくつて、その電力を売るのではなくて、その余剰電力なり、また今後開発された電力を完全に活用して、その製品を外国に輸出する。これは政府としてよくお考えくださいまして、日本唯一資源であるところの水力電気をどんどんと開発されて、わが国産業振興に資していただきたい。これを特に熱望してやみません。  なおもう一つお願いしておきたいことは技術の向上、日本電気技術というものは相当進歩しておつたのでありますが、戰争以来次第に技術の進歩ということが欠けて来た。だんだん世界の進運から見て立遅れておるのではないかと考えておりますが、電気技術の振興方策について、政府相当考えになつておると思う。もし案があればこういうことを考えておる、あるいはこういう方途を講じておるということをお教え願いたい。もし十分な電気事業の振興方策ができなければ、すみやかに振興方策を樹立されて、日本基礎産業である電力産業根本的に建て直す。資金、技術その他各面にわたつた根本方策を建てて、すみやかにこの崩壊せんとする電力産業根本的建て直しを特に私は熱望してやみません。意見と熱望と両方でありますが、その間に対する御答弁がありますれば仕合せに存じます。
  16. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 お答えいたします。今お話の第一点の電力損失の軽減の問題でありますが、これは実は経営合理化のうちでも非常に大きな問題でございまして、御承知のように今電力損失は技術的に見まして非常に多過ぎる。発電から配電に到着するまで三十二、三パーセントに達しておるのであります。今までのところ戰後の応急復旧という程度を脱しないということになつております。ことに戰争中の施設は工場目当に送電をいたしておつたのでありますが、戰争後工場の荷よりも今度は都市の荷の方に電気だけは切りかえたが、工作物は大体そのままという点に相当むりがあるわけであります。そこで応急処置といたしましては送電をいたすことに全力を盡しておつたのでありますが、今後は相当長期間にわたりまして計画的に改修いたしまして、大体電力損失を二七%程度まで減らそうというようなことで進んでおるのであります。これに対しましては、御指摘のように相当設備資金あるいは経営費が必要でございますから、先ほど来お話がありました料金を適正化する、あるいは長期資金調達に対しまして何らかの手を打ちまして、電力損失の軽減には全力を盡したい。現に本年度の計画におきましても相当この点を取上げて施策を講じつつある次第であります。  それから第二点の余剰電力の消化でございますが、実は余剰を常時化することが電力経済から申しますと、やらなくちやならぬ点であります。戰争前におきましては余剰が起らないように、火力発電所あるいは貯水池の建設によりまして、余剰電力を常時化するという方面に進んだのでありますが、戰争中あるいは戰後火力発電所の能力が低下いたしましたこと、それからもう一つ電力の負荷の方、つまり電力の供給の内容が工場動力から電燈方向相当転換いたしまして、夏と冬の差あるいは一日中でも相当差が起るというようなところから、余剰電力が起きておるのでありますから、これは将来貯水池をどんどんつくりまして余剰電力を常時化するという方向で進みたいと思います。しかしこれは相当先のことでありますので、さしあたりといたしまして余剰電力はできるだけ原料工業、つまり工業の原料にいたしまして先ほどお話のありました肥料とか、製鉄等にまわしまして、これが輸出の役に立てばまことにけつこうだと考えております。現にそういう政策をとりつつあるのでありますが、なお一層注意いたしたいと思います。  それから第三点の技術の向上につきましては、御指摘の通り戰争中あるいは戰後を通じまして相当技術的に停頓しておつた点があると考えております。さしあたりの計画といたしましては、来月の中旬ごろになると思いますが、こちらから電気技術者を十数名アメリカに見学派遣いたすことに大体決定いたしております。今その手配を進めておりますが、これはほんの一部でありまして実際は総括的に相当考えなくてはならぬ点がある。できるならわれわれの希望としましては、発電所の建設もひとつモデル・プラン等につきましては、向うの設計その他を採用いたしまして、モデルでもできればという気持をもちまして、そういう考えでいろいろ研究もいたしております。なお研究機関に対しまして、たとえば政府の工業技術庁の電気試験所でありますとか、あるいは日本発送電電気研究所でありますとかは、どうも最近科学技術の振興は叫ばれておりながら、実際の施設あるいは予算等につきまして、相当戰後きゆうくつになつております。これは国の科学技術振興政策とまちまして充実いたしたいと考えております。本年度の工業技術庁の電気試験所に対する一つの例といたしまして、実は今まで日本電気の送電網に対するいろいろのこまかい計算をする器械がなかつたのでありますが、本年と来年二月継続でこの器械をつくりまして、今までただそろばん計算だけによりましたものを、電気器械によりまして送電線のいろいろのこまかい正確な計算をいたしたいというので、交流計算盤というものを購入いたしまして、来るべき電源開発に備えたいと考えておるわけであります。いずれにいたしましても技術の向上、つまり電気技術の向上、将来能率のいい建設をいたすことになりまして、これが先ほど来お話の電気事業経営基礎、つまり健全なる一つの大きな方法でございますから、電気技術の向上につきましては、できるだけ力を入れまして御期待に沿いたいと考えております。  それからなお一言先ほど電気の使い方につきましてお話がありましたが、発電所をつくることは日本の経済復興なり、産業振興に貢献することはもちろんでありますが、起した電気を何に使うかという問題が、真劍に取上げられなくてはならぬと思います。ただいまの計画におきましては、需給上のつじつまを合せるという計画だけが第一中心になりまして、起した電気を何に使うかという点につきましては、また電気産業との連絡につきましてさらに検討を進めなくてはならぬ。たとえばただいま世間によく知られております只見川の開発にいたしましても、あの電気を何に使うか、あるいは一般供給に振り向けるか、あるいはあの土地におきまして塩化ビニール工業なり、セメント工業なり、肥料工業を興すのかという点につきまして十分検討いたしまして、起した電気日本の経済復興なり、産業の振興に役に立つように使うという、産業電力との連繋につきまして十分検討いたすべきだと考えます。そういう点につきましても検討いたしておるわけであります。以上お答えをします。
  17. 田代文久

    ○田代委員 私は大体電力事情のアウトラインにつきましては御説明でわかりましたので、特に九州における炭鉱用の電力問題、それから御承知のように九州におきましては水力電気の量が非常に少いので、それの開発の問題、それから再編成に関係します料金の問題この三点につきまして御質問をしたいと思います。  御承知のように現在九州の炭鉱用の電力は非常に制限されております。御説明によりますと、電力は現在日本では絶対足りないというふうな説明でありますが、水力の面におきましてもこれはぜひとも開発しなければならないし、またそういう意図を持つておられまするが、特に現在問題になつておりまするのは火力電気の問題であります。先ごろ来九州の炭鉱用の電力の問題が業者並びに従業員の方々の大問題になりまして、本日も炭鉱の業者諸君がたくさん、失業の問題あるいは賃金の問題に関係いたしますので、はるばる陳情に参つておられるような次第でありまして、こういう問題に関しまして電産の組合員諸君あるいは炭鉱の関係者の方々と、日発当局の方とが懇談いたしました席上におきまして、日発当局の有力な責任者の方が、安本の方で電力を増して割当てることを指示されるというようなことになれば、その点について自分たちはゆとりがあるのだというような意見を述べられたということも聞いております。そういう点から考えますと、なおそこに努力の範囲が相当あるということが言えるのであります。もしさようなことでありますと、私たちははなはだ遺憾に考えざるを得ないわけでありまして、とりあえず現在炭鉱用といたしましては、大体一千万キロワツト・アワー以上が不足しておるということが言われておりますが、その不足に対しまして、政府としてはどれくらい追加される意図があるか、またされつつあるかということをまず第一に御説明願います。
  18. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 九州の電力問題につきましては、御承知のように需給が非常にきゆうくつでございますので、戰争後一番力を入れて復旧をいたしました地域でございます。なお現在の電源開発計画におきましても、九州に対しましてはできるだけ開発を促進しようといたしまして、今の計画地点も九州におきましては全国的に見て相当たくさんとつてございます。九州は大体四十二万キロくらい火力発電所があると記憶しております。これが戰後は十数万キロに減つたのでありますが、本年度は最大限電力四十万キロ程度までは復旧できると思います。しかしこの火力を復旧いたしましても、需給は非常にきゆうくつでございますので、現在できるだけ早く開発のできる発電所をつくろうということで、水力発電所の一万キロ以下のものを数箇地点、それから自家用の水力も、日発の水利権を自家用の資金調達のできたところにおまわしいたしまして、開発に着手するというような措置をとりまして、自家用の方もひつくるめて、あの地点の電力開発努力しておるのでありますが、遺憾ながら御指摘のように九州はなかなかきゆうくつでございます。しかし今まで石炭の生産が国の最高要請として実施されておりましたために、石炭に対しましては特別の扱いをいたしまして、石炭企業には必要なだけ電気を差上げるという処置をとつたわけでありますが、御承知のように九月十五日から石炭の政策が転換いたしましたので、肥料あるいは鉄等の重点産業とほぼ同じ取扱いをいたしまして、十月、十一月、十二月の電力割当は幾分減つております。しかしこれは減つたということでなくて、ほかの一番重要な産業と同じ扱いになつておるわけでありまして、さきに申し上げましたように今までが必要なだけ差上げるということでありましたために、相当影響があつたわけであります。そこで九月におきましては、あとで割当予定以上に発電されました電気は炭鉱に増加いたしております。十月、十一月、十二月は大体炭鉱側の要求せられておる通り毎月一千万キロワット・アワー程度不足いたしておりますが、十月に対しましては、幸いに水が出たのと、火力発電所の修理が予定よりやや進みましたために、ほぼ一千万キロワツト・アワーだけを特に差上げた。それから十一月、十二月でありますが、これは割当の予定をつくりますときも、火力発電所の復旧も精一ぱいでありまして、そして水も過去五箇年平均の実績をとりまして、それを予定として割当てるわけでありますが、必ずしも予定通り行かぬわけでありますから、水のふえただけ、あるいは火力発電所の修理がさらに努力して予定よりよけい上つたものだけは石炭企業の方へおまわししよう、しかもこちらから割当の変更ということでなくて、現地で発電力の現状を見て、石炭局長、通産局長あるいは配電会社、炭鉱業者と連絡をして処置をいたしたいと考えまして、すでにこちらから現地の通産局長には通知を出しているわけであります。おそらく本月の水の状況あるいは火力も、予定よりも相当進捗しているようでありますから、ある程度これは修正して差上げられると考えております。しかし今申し上げましたように、基本的には石炭企業の政策の転換に伴いまして、必要なだけ差上げるということに行きません。ほかの産業も今まで非常にきゆうくつでありましたし、また今生産を上げなければならないという点がございますから、その見合いをつけてはおりますが、しかし一番重点産業として、安本で割当てているわけでありますが、今申しましたように急に変化のあることは企業としては非常に困る点がありますから、これは現地の発電状況によりまして、手配するという処置をとつておりますから、御承知願いたいと思います。
  19. 田代文久

    ○田代委員 そういたしますと炭鉱用として一千万キロワット・アワーを十月、十一月、十二月に対してはやるような意図を持つている、そういうふうに努力している、こういう御説明でございますか、あるいは全産業にわたつてなのですか。
  20. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 お答えいたします。十月は一千万キロワット・アワーを炭鉱に渡します。十一月、十二月は一千万キロワット・アワー不足でありますが、しかし割当はその当時全力を盡した想定でございますから、今度は実際に雨が降り、火力の改修をできるだけ早くして、そのふえたのは、炭鉱へお渡しするという処置をとりたいと考えて、今現地へ手配しているのであります。でありますからその数字が一千万になるか、七百万になるかはここで申し上げかねるわけであります。
  21. 田代文久

    ○田代委員 そういたしますと十一月、十二月になりますと、やはり炭鉱用としてはどうしても一千万キロ足らないということになりますと、生産に支障を来します。とにかく雨のかげんやその他でふえただけはまわすということでは、安心して仕事ができませんので、私たちの希望としましてはその不足分は、ぜひともひとつつていただく計画のもとにやつていただきたいということであります。  それから大体私たちが承つたところによりますと、安本の全九州に対する割当に対しまして、炭鉱に幾らやる、あるいは製鉄に幾らやるという配分関係というのは、九州の通産局に一任してあるというようなことでありますが、そういう次第でございますか。
  22. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 お答えいたします。今申し上げましたのは、第三・四半期の基本数字に対しましては安定本部で割当てておるのでございますが、しかしその後の発電力状況の変化に対しまして、炭鉱への増加割当は、現地でやるという手配をいたしております。
  23. 田代文久

    ○田代委員 御承知と思うのでありますが、政府は過去におきまして四千二百万トンの出炭を目標にして、ぜひともこれをやつて行きたいということで、業者にも、それから炭鉱の労務者諸君に対しても非常に勉強させ、またそのために災害も非常にふえるというような強行手段をとつたのでありますが、そういう電力の不足ということから、実は業者の方でも電力が足らないというと、逃げ場としてそれをどこに持つて行くかといいますと、炭鉱の従業員、労務者諸君の方へ持つて行くのであります。そういう不足を十分政府がめんどうを見てやらないということになると、現在の稼働日数も大体十九日か二十日しか働けないということにもなりますし、あるいはまた賃金を二二〇%も二五%も切り下げられるということにもなりますし、それから大体六万人を越える首切りというようなことが、電力不足のために労務者側に転嫁される危險があるのでありまして、それを非常に心配しております。あれほど重要産業中の重要産業として政府が奨励しておきながら、今ばさりとこういう形でやられる、しかもきのうも総理大臣の演説にありましたように、どうしても失業問題からいつても何からいつても、こういう産業を起さなければならないと、明言されておる現在において、もしこういう面から失業者を多数に出す、また炭鉱の兄弟諸君が生活の不安に落ち込むということになれば、これはゆゆしき問題でありまして、私たちが最も憂えます点は、炭鉱業者の方々、経営者の方々がこういう国策の不備のために、労務者側に一切の責任を持つて行つて、首切りとか、あるいは実質賃金を切り下げるとか、稼動日数を減らすということになることは、最も重要な問題でありますので、この点もぜひとも含んでいただいて、單に電力の割当をふやすとか減らすとかいう問題は、そういう深刻な内容を持つておるという立場から、これは少々国家の負担になりましても、ぜひとも確保するということをやつていただきたいのでありまして、これに対する政府当局のお考えを御説明願います。
  24. 宮幡靖

    宮幡政府委員 田代委員の御心配になられる点は、まつたくその通りだと思いますが、ただいま資源庁長官からお答えいたしましたように、火力等も全運転いたしまして、発電されましたものの範囲内におきまして、できるだけ炭鉱へやりたいという気持になつておることは確かであります。その量をただ天惠の雨等に依存しておる関係もありますので、ここで算術的なお答えができないという状況でありますが、心持は田代委員とまつたく同感であります。ただこの際お願いしておきたいのは、十月の実績におきまして約一千万キロワット・アワーの増加割当をいたしておりましたけれども、潰憾なことにはそれと出炭量と見合いますと、出炭量の原單位に対します電力消費割合が多くなつておる。電気を余分に差上げても出炭量は、かえつて以前よりも原單位が上つておるという点があります。これは先般御陳情においでくださいました労組の方々も、率直にお認めになつて、これも努力しようというお話でありまして、まつたく緊密な話合いになつたわけでありますが、乏しきをわけて、最大の出炭をお願いするという配慮をいたします以上、反面にはせつかくなけなしのものをおわかちいたしましたものに対して、比例的に生産が上つて来ない、かような状態のないように、特に田代委員の御配慮をいただきたい。かように考えております。  なおこれはこの席で申し上げてはどうかと思いますが、幸いに火力、水力等の状況によつて、炭鉱向けの電気を、安本の計画以上に供給することができました場合におきます料金、いわゆる罰金と申しますか、この点に対しましても深甚な考慮を拂つてせつかく手配中であることをつけ加えて申し上げておきます。
  25. 田代文久

    ○田代委員 これは再編成の問題と関連するのでございますが、九州の電力情事は以上の通りでありまして、これがもし九州ブロックというようなことで切断されますと、非常にきゆうくつになりますし、料金の点でも非常に不利になるのでありまして、特に筑豊地方あるいは北九州地方の重工業地帶を控えまして、そういう場合に当面の策として、たとえば本州、中国方面から電力を供給したらどうかというようなことも考えられるのでございますが、こういう点に対して何か配慮がなされておりますか。
  26. 宮幡靖

    宮幡政府委員 その点についてお答えいたします。ただいま田代委員のお話でありますが、九州ブロックとしてこれを区画いたしますか、あるいは他のブロックとくつつけてやりますか、ただいまのところではきまつておりません。要するに先ほど有田委員のお尋ねの中でちよつとお答えしておきましたが、その方法、時期というような問題につきまして、電気事業編成審議会通産省の中もしくは内閣の中に設けまして、検討していただくことになつております。それからこの委員会はやがて次の国会等において法制化されまして、公共事業委員会の性質を帶びて来ます。それまでは、ただいまのところでは九州が一ブロックになるかどうか、地域的にはそういうことが想像されるかもしれませんが、確定的な固定した案として、九州を考えていないわけであります。従いまして九州の電力に対する特殊事情等は、その審議会なりあるいは委員会において十分勘案いたしまして、御心配の点がなるべくないようにいたしたいと考えております。
  27. 田代文久

    ○田代委員 先ほど説明がありましたように、九月十五日が転機になりまして、炭鉱産業が製鉄産業並みに切り下げられたのでありますが、やはりこの断層があまりはつきりし過ぎておりまして、そのことが結局炭鉱方面には強く感じておるわけであります。もう少しなぜゆるやかなカーブをつくつて、そうして同じ電力の割当を減らすにいたしましても、急に製鉄並みにばさつと下げるということをせずして、徐々にでも下げるというような手が、政策的に打たれなかつたかということが非常に疑問になる点で、その点が非常に炭鉱事業合理化の問題におきましても、やはり問題になつで参ります。これは将来どうなるかもしれませんが、その点を十分含んでいただきまして、そうしてこの不足分に対しては、ぜひとも確保してやるという手を打つていただきたいということを、切に要望しておきます。  次に質問いたしたいことは、政府がこの四月から九月十五日までの間、たとえば貝島の大之浦とか、あるいは三菱の鯰田だとか、あるいは明治工業その他の自家発電所を持つておる。これに対しましてはコストが水力の方より相当高いので、大体一キロ当り三円あまりのその差額に対しては政府が補償するということを明言しておるにもかかわらず、その代金が現在六億ばかりたまつて、これがまだ支拂われていないというので、実際にそういう発電能力を持つておる自家発電能力というものが、フルに動かないというような点も起つております。この点ははなはだ遺憾でありますが、これはどういう処置をとられるおつもりであるか、御説明をお願いします。
  28. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 自家発電につきましては、お話の通り本年度の初めにおきまして、去年と同じように自家発の動員と申しますか、政府というよりも電気業者が、ある程度補償いたしまして、たいていただくということでお願いしておつたわけでありますが、この資源電気料に実は織込まれておるわけであります。それを含んで今電気料金改訂を進めておりますから、ごく近いうちにこの問題は解決されるだろうと考えております。なお九月十五日以後になりますと、この問題はおそらくだめじやないか、九月十五日までのものに対しましては、今電気料金とあわせて解決されるように努力いたしておるわけであけます。  それから先ほど断層のお話がございましたが、十月にとりました電気の追加割当をいたしましたのは、やはりそういう断層を避けたいと考えてやつたわけでございます。十一月に対しましても現地ではそのつもりでやつております。  それからさつきも中国方面からの電気の問題についてお尋ねがございましたが、九州の地方だけで水力開発をいたしましても、地点が非常に少いわけでありますから、すでに戰争の末期ごろから、中国から九州へ電力を持つて来る手配をいたしまして、国鉄の線の中に地中線が入つております。それから関門横断の連絡線がございまして、最大六万キロ程度つて来る処置をとつております。おそらくきようあたりも三、四万キロの電気は持つて来ておると思いますが、こちらから持つて行く電気は六十サイクルのものでございますが、北九州は五十サイクル、東九州も五十サイクルぐらいで、将来は九州も六十サイクルぐらいに統一したいと思つております。その第二着手といたしまして、北九州のサイクルを中国と同じサイクルにいたすために、今手配を進め、現地で需用家ともお話をいたしまして、できるだけ九州、中国間の電力の連繋をしつかりつけたいと考えておりますから、御参考までに申し上げておきます。
  29. 田代文久

    ○田代委員 大体九州の炭鉱用の電力関係につきましては、一応御説明がありましたが、なお先ほど希望いたしましたように、これがすぐ実際の従業員に関係するということを考慮していただいて、この断層の問題についても考慮されておるそうでありますけれども、これはまだ不十分であるということが言えるのであります。ぜひとも責任を持つて解決していただきたいということをお願いいたします。  それから開発の問題でありますが、実はこの十月四日付の西日本新聞の記事によりますと、九州電力開発のための百年の計であるところの上椎葉の電源開発工事が、通産省、大蔵省それから日銀三者協議の上、金融上から見た面で、全国電源開発順位七十二番のうち七十一番目にきめられて、大体五十二番目以下というものは切り捨てられるおそれがあるということを報道いたしておるのでありますが、これは事実でございますか。
  30. 宮幡靖

    宮幡政府委員 それは政治的な問題にもなると思いますので、お答えいたしますが、さような構想は持つておりません。すでに上椎葉に対しましては開発命令を出す状況にあるのでありますが、確かに三十七、八軒だと思いましたが、その開発地点の家屋の立退きが未解決でありまして、それで宮崎県、鹿児島県の御選出の各代議士諸公にお願いをいたしまして、知事を督励しまして、この立退きの問題を解決してほしい。それさえ済めばさつそく開発命令を出そうじやないか、かような状況になつております。その段階になりますれば、資金の緊急度を考えまして、あえて七十番からあるうち、五十二番以下を切り捨てるということは、どこから出ましたか、私ども関知しておりません。ぜひ九州の水力電気を一日も早く開発する意味で、ぜひとも上椎葉の家屋立退きの問題に御協力をいただきたいことを、逆にこの際お願いいたしておきます。
  31. 田代文久

    ○田代委員 重ねて御質問いたしますが、上椎葉の問題は、開発件数の三十七件の中に入つてつて、すでにそれは十分開発するという計画でございますか。
  32. 宮幡靖

    宮幡政府委員 開発の見返り資金を要求してありまする件数は、大体三百件であります。もしその三百件のうちの七十番だというようなお考えでありましたならば、それは事務整理の番号等がありまして、そういうものから出た一つの杞憂であろうと思つております。できまするところから先にやつて行くということで、総額は百四十五億であります。件数は細分されまして、三百件くらいであります。どこから出ましたか、その新聞の記をむしろ非常に妙に考えております。なおこの点は適当の時期に事務当局とも具体的にお話合いを願つた方がよろしいと思います。
  33. 田代文久

    ○田代委員 それでは九州の水力電気開発につきましては、特に重点的にやつていただくことを希望いたします。  それから次に先ほど次官が只見川の電源開発の問題につきまして、民間よりの外資導入を希望しておるということをおつしやいましたが、私たちといたしましては、外資の導入されることに対しまして、ただこれに反対するというわけではありませんが、導入の仕方なり、それからその他いろいろのものによりますと、日本産業に対しまして外国資本が非常に強く入つて来るという危險を感じますので、何かそれに対する考慮がされておるか、とにかく外資がどんどん入て来れば、それで満足だというようなお考えであるか、その点をひとつお伺いいたしたい。
  34. 宮幡靖

    宮幡政府委員 田代委員の御説はごもつともだと存じますが、ただいま只見川へ参つております調査団は、御承知通り、アメリカ民間会社ウエステイング・ハウスの会社の方々でありまして、それに関連して民間外資導入の一つの現われであるということを申し上げたわけであります。しかし外資導入の方法につきましては、かねがね吉田総理もいろいろと含みを持つて考えておりますので、御杞憂の点のないように、十分交渉の上いたすことと思います。またわれわれ当局といたしましても、御心配の向きのないように、いわば日本産業がある意味におきまして失われる結果になるような事態のないように、十分考慮いたしたいと考えております。
  35. 田代文久

    ○田代委員 料金値上げの問題でありますが、かりに三割二分値上りしますと、この間の説明によりますと、大体その値上りの中に含まれておるものは、公債あるいは株などに対する配当が、六分あるいは七分とか見込まれておる。しかし賃金の分に対しては全然見込まれていないという説明がありましたが、私たちといたしましては、電燈料金値上げになると、会社側その他は、労働賃金が上つたので電燈料金を上げざるを得なくなつたのだというふうに常に説明されまして、労働者側が不利になつておる。しかも料金値上げされる場合におきまして、今申しましたように、そういう資本家側の利益値上げの中にはつきり確保されておりながら、賃金の面では全然考慮されていないというのが、はなはだ疑問に思う点でございますが、これに対する御所見を承りたいと思います。
  36. 川上為治

    川上説明員 今度の料金の改正案におきましては、企業の三原則の関係から、五千三百五十八円のべースを一応とつておるのでありますけれども、その他いろいろな点につきまして十分ゆとりがあるようにとつてありまして、大体七千百円のべースが確保できるようにしてあります。
  37. 田代文久

    ○田代委員 時間もありませんので、一応打切りたいと思いますが、特に進藤長官にもう一度聞かしていただきたいと思うのは、炭鉱用の一千万キロワツト・アワーの不足に対しては、実際にこれを確保する見通しがつくかどうか。これは非常に心配でありますから、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  38. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 率直に申し上げます。十月は相当豊水でございまして、大体過去の平水面より一八%ぐらい増加しております。それと火力発電所の修理が予定より進んでおりましたために、一千万キロをちよつと超した程度で配当されたと思います。今月はまだ見通しははつきりしませんが、水は平水面くらいは必す行くと思います。それから火力発電所については、特に日本発電に話をいたしまして、修理を早くして出力をふやすという処置をとりまして、できるだけ出したいと思いますが、おそらく一千万キロワット・アワーまではむずかしいのではないかと考えております。
  39. 田代文久

    ○田代委員 大体どのくらいの見当でありますか。
  40. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 その点は非常にむずかしい問題でありますが、実はこれはその辺が非常にむずかしいものでありますから、現地の日発支店、配電会社、通産局長、石炭局長と話をして、できるだけ石炭にまわしてもらいたいということで、こちらへ通知をいたしておるわけでありますが、ここで数字がどうということは申し上げかねます。
  41. 田代文久

    ○田代委員 最低どのくらい出るということになりますか。このくらいはとにかく間違いないという点は……。
  42. 進藤武左エ門

    進藤政府委員 できるだけ今の不足を補うように努力するということ以外には申し上げかねます。
  43. 田代文久

    ○田代委員 質問を終ります。
  44. 神田博

    神田委員長代理 暫時休憩いたします。     午後零時十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  45. 神田博

    神田委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。永井要造君。
  46. 永井要造

    ○永井(要)委員 私はこの機会日発の問題につきまして、その経営面その他電気事業編成等に関しまして二、三御質問を申し上げたいと存じます。  日本発送電会社は終戰後四箇年をけみしておるにもかかわらず、他の産業に比しましてその改善向上は遅々として進捗いたしておりません。独占事業としていたずらに需用者たる国民並びに政府に一方的に依存要求を迫つており、公益事業としての本体を沒却いたしまして、恬として恥じざる状態でありますので、ここにその電力行政並びに電気事業編成に関しまして、私は御質問を申し上げたいと存じます。  まず日発編成を必要とするに至つた理由は、過度の経済力集中排除のためであるのか、あるいはまた電力統合による不都合を是正せんとするのであるかという点であります。これは電気事業編成のあり方をきめる上において、絶対必要でありますから、特に承つておきたいと存じます。先に昭和十三年第七十三議会において、電力国家管理法が通過した当時の公約は豊富低廉にして、しかも品質優良なる電力の供給がその目的であつたと言われましたが、はたしてそうでありましようか。あるいは大戰争を敢行するために、電力の統合を断行せんとする口実にほかならなかつたのでありましようか。いずれにしても当時の公約は毫末も実行されていないのであります。これらについて具体的に見解を披瀝し、政府の所見を伺いたいのであります。  まず豊富な電力の供給についてであります。日発当局は常に公約量を出しているということをもつて、その責任を免れようとしておるのでありますが、しかしながらこれについてはその公約量の内容を吟味しなければならないのであります。そもそも文化の進歩、特にわが国のように経済再建のためには、電力の需用は年とともに増加すべき性質のものであると考えます。しかるにこれに対応する努力目標を立てて、これを達成せんとするのではなく、無為無能、最も容易な発生電力量を基礎として供給計画を定め、一方的に消費を抑制するに汲々としておるのが現状であるのであります。支店並びに営業所などの建造物の新築、修理等は積極的にやつておりますが、電源開発、補修等には、さらに熱意がないと、つとに世間の定評があるのであります。上椎葉の発電所が資金がないために、手が出ぬという半面において、長沢のダムは初めはセメントがないためできないと言い、セメントができたら運搬する鉄索が破損しているからやれないと言うのであります。補修について見ても、悠々たる計画であり、実施に際してはさらに遅れるのであります。仁淀川原発電所の、一箇月くらいで修理し得るはずの発電機の故障修理に、四百日あまりを費している現状であります。かくて同一地域におけるところの民間会社の建設修理と対比いたしますと、量的比率において、また速度においても、その差はあまりにもはなはだしいものがあります。擅用電力に対するところの取締り、送配電線の修理等の不徹底、あるいは従業員の遺憾な行為等のために、配電電力の損失は三割を越えておる現状であります。しかも採算関係から火力用石炭節約のために、火力をフルにたかないで、二十四年の上半期においては、割当量の八割だけをたいておつたということであります。水力発電所においても、たとえば雨季を控えて、渇水期には相当思い切つた放水を断行すべきでありますが、万一の場合における火力用石炭の場合を考慮いたしまして、この挙に出ないであります。これがために雨季に入ると、いたずらに大量の放流を余儀なくされるのでありまして、発電所の最大出力と、可能出力と、実稼働出力との数字について、民間発電所のそれと対比いたしまして、これらの実情は一目瞭然であります。一地区の実例を見ましても、日発の実稼働率は八二%、配電会社は八〇%、しかも同地区における民間会社は一〇〇%を示しておる現状であります。要するに設備の増強と補修を怠り、しかも現有設備の運転管理よろしきを得ないために、事ごとに消費の抑制によつて糊塗しなければならないのが現在の実状態であります。北海道、北九州を初めといたしまして、各地の需用者が消費規正のためにいかに困つておるかということにつきましては、新しく私が申し述べるまでもないのであります。最近の一例をあげますと、九州の炭鉱は十一月の出炭量は百六十万トンであるが、電力不足のために二十日間しか操業ができないのであります。かりに、むりに電力を超過使用して予定通りの生産を上げるとすれば、超過加算料金として、実に一億七千四百万円を徴收されるという現状であります。しからば他産業はどうであるかというに、化学工業関係もまた生産計画設備能力の六割程度にすぎません。生産計画電力不足のために達成し得ないとのことであります。これがため関係業者が大挙して北九州からわざわざ上京し、陳情しておる次第であります。しかもこれら割当不足のために、困窮した生産業者等が多大の犠牲を拂つて、自家用発電所を動員すると、それだけ受電量を削減せられるのであります。消費合理化によつて原單位を下げた場合は、そのために次期割当を削られるのであります。これでは当然だれも電力の需給の調整に協力するものは当然ないのであります。  ついでにこの電力需給について、政府当局にお聞きいたしたいことは、総合行政官庁が健在なる以上、生産指示と電力割当とを合理的に関連させることは必要なりと思いますが、この点政府の所見を伺いたいのであります。  最後に良質廉価の問題であります。日発当局電力料金の不当に低廉なることを常に繰返して強調しておりまして、電力供給不円滑の原因をこの方面に転嫁せんとしておるのでありますが、しかしながらまずお尋ねしたいことは、真に不当に低廉であり、これが大なる禍根であるとすれば、日発当局は何ゆえにこの適正化のために最善の努力を拂わぬのか、この努力をしてもなお実現せぬとならば、日発みずから反省する必要があると思うが、政府の所見をただしたいと思います。  日発経営は赤字であり、その累計損失は巨額に上つております。この結果をいかにするかが問題であり、これを切り離しまして、現行料金を低廉なりと論ずることはまことに不穏当であります。需用家に対するサービスが悪い、これは全般的の声であります。災害時の措置敏活を欠くために、操業上重大なる支障をこうむり、それがために莫大なる損害を生ずるのであります。  次に電力の質が悪い、常時、期間常時、特殊等それぞれ料金に差をつけておりますが、期間常時と称しながら、その実期間常時に値せぬ不良なものでありまして、この面からも料金が低廉なりとは言いがたいのであります。さて料金でありますが、はたして言うがごとき低廉でありましようか。日発は他の安定帶物資等に比較対照いたしまして、現行料金が不当に安いと言う、はたしてどういうものでありましようか。一般電力料金はその基準年度に比して三十六倍程度であります。大口需用者は六十二倍程度でありまして、すなわち大口需用者の犠牲において、一般料金を低廉にとどめておるのでありますが、経済復興の見地からもこの点は問題であります。いわんやアルミニウム工業におけるがごとく、自家発電を保留し得たとすれば、現行発電料金の四分の一で事足りる状態においておやと言わなければならないのであります。前述の安定帶物資との比較についても、日発はインフレ下の新規開発、補修等をあまりやつておらないのでありまして、従つて償却費が少くてよいはずであります。この一点だけから考えても、終戰後大規模な拡張修理を断行した他産業の物資とは、同一に論じられないのであります。しからば日発のコストはそもそも何によるのでありましようか。それは主として放漫経営によると断ずるほかはないのであります。その第一点は、従業員の過剰であり、また職場転換を勇敢かつ有効に断行していない証拠であります。  終戰後における出力の増強は、ほとんど見るべきものがないにもかかわらず、従業員数はどんどん増加しているのであります。今日においては、終戰の年に比して約二割を増加しております。特に直接の現業員に比して間接従業員があまりにも多いのであります。たとえば各地方の支店には、現場との中間に支社なるものがありまして、大量の人員を擁しているのであります。戰争中の非常事態に備えるためならばともかく、終戰後の今日においては、直配事務以外大した仕事もないとも思われるのであります。それにもかかわらず大量人員を必要とする理由は、はたしてどこにあるか、これをお伺いいたしたいと思います。  出力の増強よりも人員増加の成果見るべきものがある結果、一人当りの販売電力量は年とともに低下して、民間発電などにはとうてい比較にならないのであります。しかもこの過剰人員を擁しながら、残業その他によつて基準外賃金を、基本給の実に三〇%以上も支給している地域もあるといわれております。特に驚くべきことは、有給退職者の問題であります。本年六月までに支給した有給退職者への給與は、実に九億九千万円を越えているではありませんか。この点は主として無為無能なる幹部当局が電産の労働攻勢に押された結果であると思うが、政府の見解はどうか、これをお伺いしたいと思います。  要するに電力統合による日発の独占的形態が、今日のごとき不都合を生ぜしめたその結果、国民生活に重大なる脅威を與えまして、さらに再建途上にある国家全産業に対し、甚大なる影響を及ぼしておるものであり、これをすみやかに打開、振興する道は、一にかかつて日発幹部の誠意のある努力であり、熱誠を持つて経営合理化をはかり、この重大難関を突破せねばならぬと思います。すなわち人員の整理、配置転換、送電ロスの徹底的引上げ並びに盗電の排除等に努めなければ、この発送電経営の改革は合理化されぬのであります。  以上簡單ではありますが、数項にわたりまして、政府の明解なる御答弁を承りたいと存ずるのであります。
  47. 宮幡靖

    宮幡政府委員 永井委員のお尋ねに最も明解にお答えいたしたいのでありますが、お話の要点は、日発の非能率、放漫と申しますか、その点につきまして、具体的事例をおあげになりましての御忠告のように存ずるのでありますが、この点につきましては、その事実の真偽にかかわらず、日発に対しまする監督の衝に当る者といたしまして、まことに恐縮にたえない次第であります。一々の問題につきましては、この席でお答えできますことは電力局長からお答えさせることにいたしまして、第一点としてお申出のありました日発独占事業集中排除法等の関係についての御議論がありましたが、これは日発独占事業でありますために、過度経済力集中排除法が適用されたのでありまして、この関係はきわめて明確だろうと思います。これが独占事業でないなどと抗弁する余地は、現行法制の上においてはないものだと考えております。さらに戰時中の第七十三議会と仰せられたようでありますが、この戰時中の国会におきまして、電力統制の問題で公約があつた、それが実行せられておらないではないか、かような御議論でありまして、あるいはこれはただいまの状況においてお答えすることは不適当かもしれませんが、当局として考えますると、七十三議会の公約が一同実現に移されるような結果を得なかつたし、現状でなかつたということを、ぜひ御了承をいただきたいのであります。これは第七十三議会の責任を現在の政府にとれと申されましても、とり得る範囲内にないものが、相当多かろうと思つておるのであります。御趣旨の点は、もし現段階において取入れることのできる諸問題がございますならば、十分検討して御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。直接第七十三議会の答案というものはこの席で申し上げかねるということを、ぜひ御了承いただきたいのであります。  なお経営合理化に対しまする電産の動き、かようなものについての適切なる数字を上げての御批判がありましたが、この点でもつとも千万であると考えております。またあらゆる機関が介在いたしまして合理化を妨げているという御意見もその通りであります。それでありますから、これらについては監督の立場にある当省といたしましては、大臣の命のもとそれぞれのセクシヨンを動かしまして、一日も早く御希望に沿うような態勢を整えたい、かように考えている次第であります。  こまかいことは電力局長からお答えさせます。
  48. 武内征平

    ○武内説明員 ただいま政務次官から御答弁があつたのでありますが、こまかい点について私から補足いたします。  日発の設立以来発電設備の能力の増強については、水力は今日までに最大出力で約百十六万キロワット、現有の日発の総設備能力は、水力につきまして約五百七十万キロワットといわれておるのでありますが、それに対してパーセンテージで申しますれば、二二%の増加ということになつているのであります。火力について申し上げますと、日発の設立似来五十七万キロワットの増加になつておりまして、現有の日発、配電を合せました出力は二百九十万キロワットでございますが、それに対して約二〇%の増加ということになつております。ところが水力につきましては、御承知のように戰争による被害はございませんでしたが、火力につきましては非常なる被害がございまして、終戰直後は約九十万キロワットに減つたのでございます。主として爆撃による損傷でございます。ところが終戰以来主として出力の増加ということに力をいたしましたのは、火力の修理に最も力を入れたのであります。現在におきましては、有効出力のキヤパシテイー約百七十万キロというふうに、終戰以来八十万キロの修理をいたして来ておるのであります。われわれといたしましては、さらにこの修理を促進いたしまして、できるだけ早く大いなる火力の復旧ということにつきまして、努力をいたしたいというふうに考えておるわけであります。  次に質の問題でございますが、先ほど永井委員からお示しになりました常時、期間常時、特殊というふうなものにつきまして質が悪いというお話がございました。御指摘のような点も多々あろうと思うのですが、われわれといたしましては、期間常時は期間的に限られたというだけでありまして、常時と期間常時とは大体同じように考えておりますが、やはり需給の関係におきまして、ときに良質でないものがあるということはお示しのようであります。そういう点につきましても、われわれといたしましては、できるだけ良質のものを送るように指導をいたしておる次第であります。  次に放漫経営という問題につきまして、おしかりをいただいておるわけでありますが、われわれといたしましては、お示しにありましたように、はたして日発が完全に経営合理化をやつておるかと申されますと、必ずしも百パーセント経営合理化をやつているというふうにも考えられません。現在大体日発の職員は約三万人おりますが、先ほどお示しになりました有給退職というのが約八千人おりまして、退職後も一応俸給を拂つておつたのでありますが、本年の六月末をもちまして退職金の決定と同時に、この有給退職者は全部退職いたしまして、それ以後給料は拂つておりません。そして過去において拂いました有給退職者に対する給料は、退職金を当然支給いたしますから、退職賜金として支拂うべきもののうちから、一定のパーセンテージでこれを引いて支給する、こういうふうなことになつております。基準外賃金等につきましても、現在料金に織り込んでおられるものよりはたくさん出ているということは事実でありますので、こういう点の節約ということにつきましても、恒にわれわれといたしましては、これがないように指導をいたしておるわけでありますが、必ずしも百パーセント効果が上つていないということも事実であります。今後の点といたしましても、合理化の面から一層この促進をはかりたいというふうに考えておる次第であります。
  49. 神田博

    神田委員長代理 次は加藤鐐造君。
  50. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 他の御質問と重複しない点だけを、なるべく簡單に質問したいと思います。先ほど来田代委員その他から北九州炭鉱地帶に対する電力の供給不足の問題が質問されましたが、私はこの問題は非常に重大な問題でありますから、違つた角度から御質問をいたしてみたいと思うものであります。  まず第一に、現在火力発電設備が十分に稼働されておるかどうかという問題であります。ただいま戰後増設された数字については御説明がありましたが、現在十分に稼働されておるかどうかという問題であります。聞くところによりますと、最近田川地区における築上火力の工事の再開許可が来たということも聞いておりますし、また宇部地区における小野田火力の増設の許可もあつたということを聞いております。しかしこれについて工事が進められておるということをまだ聞きませんが、この問の事情はどういうふうになつておるか、この二つの設備は、低品位炭を使用するような設計になつておるということでありますが、もしそういう設備であるといたしますならば、これを早く完成しますれば、現在あるところの貯炭も消化されるし、また特に宇部地方のような低品位炭の地区が大いに助かるわけでありますが、これを至急完成する意思があるかどうか、こういうような問題について一応お伺いいたします。特に火力発電所はコストが相当高くつくから、ある程度十分に動かされておらないというような話も聞いておりますが、それらの間の事情についてお伺いいたします。
  51. 武内征平

    ○武内説明員 ただいま、九州地区における火力発電所が、フルに働いていないということにつきましての御質問でございますが、さらにこの築上、小野田の建設につきまして、どういうふうに考えておるかというお尋ねのように伺つたのでありますが、九州は申し上げるまでもなく、渇水期におきましては水力と火力とほぼ同等の出力を出しておるというふうな状況でありまして、九州地区は水力の補給を火力でなすといつたような状況でなしに、むしろ両方相まつて平常の状態においても出力を出しておるというふうな状況でございますので、九州の火力につきましては、特にわれわれといたしましては力を注いでおるわけであります。ただ御承知のように、火力はやはり比較的水のいいときに設備を修理いたさなければ、渇水期になつて働けないというような状況でございますので、だんだん渇水期になるに従つて修理を完成するように、豊水期におきましては修理の程度を高くいたしまして、二月を最高として修理が完成するというような状況でございますので、動いておらないというのはやはり豊水期に動かない、漏水期に動かすために豊水期に修理をしておるというような状況でございまして、数字的に申し上げますならば、九州地区における十月末の火力の現に稼働できるキヤパシテイーは、十八万五千キロワットと言つておりますけれども、二月になりますと三十一万キロワットというふうに、だんだん修理が渇水期のさ中に最高になるというふうな状況で修理をいたしております。これは毎年々々そういうことを繰返しておるのであります。従いまして一定の時期をとりますと、あるいは稼働しないという時期もございますけれども、これはそういう計画のもとにいたすわけであります。特にこれから渇水期になりまして、現に働ける火力が働いてない、出力を出してないというようなことに対しましては、嚴にわれわれの方から日発に指令を出して、日発といたしましても現在稼働いたしておるような状況であります。ただときどき火力は石炭の炭質の関係その他でボイラーが故障いたしますけれども、そういうような状況で稼働をいたしておるわけでございます。  それから築上、小野田の問題でありますが、築上、小野田も、御承知のように火力設備の増強で、司会部からアプルーヴアルをいただいたものでございますが、現在築上におきまして着手いたしておりますのは、もつぱら資金関係でございまして、これにつきましてはすみやかにカウンター。パートのレリーフをいただきまして着手いたしたいと考えております。
  52. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それでは火力発電所はコストが高いからなるべく動かさないというわけですね。
  53. 武内征平

    ○武内説明員 さようでございます。
  54. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それから先般来田代君からも述べられましたが、私の聞くところによりますと九州地区全体に対して千百八十万キロワット・アワーの電力を追加送電するという約束を言明せられたということを聞いております。それが九州全体の産業に対してそれだけ送電せられるとしますならば、炭鉱に対してはどれだけ供給されるか、御承知通り一千万キロワット時というものは炭鉱自体が、炭鉱だけで要求しておる数字でありますが、どれだけのものを炭鉱地帶に供給される計画になつておるかお伺いしたいと思います。
  55. 武内征平

    ○武内説明員 本件といたしましては午前中進藤長官からお答えがあつたのであります。安定本部から一応九州の石炭に対する割当はきまつておるのでありますが、われわれといたしましてはできるだけたくさんの電力を差上げたいということで、やりくり算段をいたしまして、実は水が普通の五箇年平均よりさらに七%以下である。あるいは水力の修理、たとえば水路に漏水があるというようなことも今修理しなければならぬのですが、九州の特に逼迫した電力事情から、あとにおいて修理代に非常に損をすることが予想されても修理は今やめて、この際特に九州のために電力をよけい見ようということで、やりくり算段をいたしまして生み出したのが、十一月につきまして一万一千百万キロワット・アワ一であります。これは九州全体のためにせつかくやりくり算段をして生み出した電力なのであります。従いまして従来は地方におきましてこの割当をやつておつたのでありますけれども、これは現地の通産局長の方が現実に産業関係をよく存じておられますし、また水の出方等につきましては、現地におきまして応急に処置する方が妥当であるという意味におきまして、九州産業全体のために一千百万キロワット・アワーの電力を差上げたのであります。もちろんその際私は九州の局長ともお話いたしまして、最も大きい影響を受けておる産業に対して優先的にやつていただきたいということを申して、局長も了承しておられますので、しかも通常といたしましてもすでに出しております。この一千百万キロワット・アワーの電力配分につきましては、九州の局長とそれから石淡局長、通商局長と両者のお話合いでおきめ願いたいということでおまかせをいたしております。どうか九州の局長とお話の上で御決定をいただきたい。もちろんその際通産局長も石炭事情については十分了承しておられると思います。九州には優先的に石炭はお考えくださるものと私は考えております。
  56. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 大体九州の通産局長にまかせてあるというお話ですが、もちろん中央でもこの問題については関與しておられると思います。さらに聞くところによりますと、炭鉱に対しては五百万キロワットを供給するということを約束されたように漏れ聞きますが、そういう事実があるかどうかひとつお伺いします。
  57. 武内征平

    ○武内説明員 そのお約束はいたしておりません。
  58. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 今の電力局長のお話だと、十一月以降の配分計画というものは、一応九州全体の供給計画は確保されておるが、重要な炭鉱地帶に対しては全然計画が立つておらないようであります。これは炭鉱地帶全体に対して大きな不安を投げかけるものだと思うのであります。そこで先ほども大分田代君からしつこくお話がありましたが、十月は一体どういう事情で一千万キロワット・アワーの電力を約束せられたか、十月と十一月とは著しく供給事情が違うかどうかという問題であります。著しく違わなければ十一月に対しても、やはりこの程度の約束をせられて、産業界に対しましても不安を與えない、特に電力の供給が保障されなければ、労働者の生活が非常に不安になるわけでありますから、そういうような点を考慮して、十一月もはつきり、特に炭鉱地帶に約束せられる必要があるのではないかと思うのであります。その点について十月と十一月と著しく供給事情が違うというようなことがあるのかお伺いします。
  59. 武内征平

    ○武内説明員 十月は非常に水の状況がようございまして、実は十月におきまして九州の石炭のために一千万キロワット・アワーの増配をいたしたのであります。これは水が非常によかつたから差上げることができたのであります。さらに十月で差上げた一千万キロワット・アワーに相当するものを、十一月にほしいというのであろうと思いますが、御承知のように水の状況からいたしまして、やはり安本といたしましても、割当計画をつくるのでありまして、さらにこの電力局におきまして先ほど申しましたようなやりくり算段をいたして、一千百万キロワット・アワーを出したのであります。もちろん水の事情がようございまして、さらに供給できるということでありますならば、これはもちろん差上げたいというふうに考えております。われわれの想定いたしましたプラスの数字に対しまして、さらに水の状況がよくて出力がありますれば、これももちろん九州の局長におまかせいたしまして配当するというようになりますが、やはりわれわれの一般の常識からいたしますと、十月と十一月はよくない。さらに十月よりは十一月の方が水の状況が下る。もちろん火力が多少ふえますけれども、火力の状況に比しまして水の原單位の方が多いという状況でありまして、ただいまわれわれの考えておる想定は、以上のようであります。
  60. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それで一応先ほどの質問にもどりますが、火力発電設備が十分に動いているかどうかという点については、局長はいろいろ長い説明をされましたが、現在これをフルに動かしておるという説明は、どうも聞きとれなかつたのか、なかつたようであります。それで火力発電所を現在もしフルに動かしたならば、十月と十一月の水力の低下というものを補うことはできないかどうか。そうして先ほど申し上げたような理由によつて、この際むりをしてでも十月くらいの電力を供給する約束をせられるわけに行かないかどうか。この点をもう一応お伺いします。
  61. 武内征平

    ○武内説明員 実はこまかい数字になりまして恐縮でございますが、大体九州におきまして十一月におきましては、水力は一億六千七百二十万、火力は一億四千六百万、こういうふうに見ております。従いまして水力と火力の差が大体ないほどにまで、火力を上げて来ております。そのうちで石炭に八千六百万を差上げるというふうなことになつております。十二月に至りましては、大体水力が一億六千四百万、火力が一億七千四百二十万になりまして、十二月は水力よりも火力の方がよけいに出る。こういう状況でありまして、火力に非常に力を入れているということは、この割当計画におきましても現われております。もちろんわれわれといたしましては、できるものでありますならば、さらに火力を出しまして、供給力をふやすということに努めるのでございますが、安本の見通し、われわれの見通しといたしましては、この辺のところがリーゾナブルなものであろうというふうに一応考えております。ただ十二月の割当は石炭に対するものは十一月よりも数字がふえております。その点は一応……。
  62. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 火力発電の数字が非常に上つておることは、御説明でわかりますが、それでは九州における火力発電の全能力はどれだけか。今数字をお示しなかつたのであります。私のお聞きしたいのは全能力を発揮しておるかどうかという問題であります。全能力を発揮して、それで足りなければ、それもやむを得ないけれども、私が最初にお伺いしたのも、聞くところによりますと、石炭を使うとコストが非常に高くなるから、火力発電はある程度セーブしておるというふうな話でありますが、そこで十一月は全能力を発揮するつもりであるかどうか、この点をもう一度はつきりお伺いします。
  63. 武内征平

    ○武内説明員 全能力を発揮して火力発電をしたいというふうに考えております。
  64. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 全能力の数字を先ほどからお聞きしておるのであります。
  65. 武内征平

    ○武内説明員 十一月は二十三万キロワット、十二月が二十七万、一月が二十八万五千、二月が三十一万、三月が三十一万、こういうぐあいであります。
  66. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それは九州における火力発電設備の全能力ですか、今の数字は二月三月が一番多いようでしたが、三十一万キロワット、設備能力をお伺いしておるのであります。
  67. 武内征平

    ○武内説明員 二月、三月と数字がだんだんふえて参りますのは、修理がだんだん完成いたしますからふえるのでありまして、十一月、十二月が一月より数字が少いというのは、そういう意味であります。
  68. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それは設備能力の全力でありますか。
  69. 武内征平

    ○武内説明員 そうであります。
  70. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 そうしますと大分政府としても力を注いでおられるということは一応局長の説明でわかるのでありますが、これも先ほど御質問いたしましたが、九月十五日の切りかえ前に、炭鉱自家用発電に約束せられた補償金の未拂分六億円ですが、これをなぜ拂われないか。先ほどの御答弁はどうもあいまいで、私にもよくわからなかつたのですが、それほど力を注いでおられるならば、なぜ約束されたこの補償金をお拂いにならないのですか。
  71. 武内征平

    ○武内説明員 その今お示しになりました金額につきましては、目下進行中の料金改訂の中に織込んで値上げを申請しておる。従つてこれが決定になりますれば十分に支拂うということになると思います。
  72. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 ちよつとわからぬのですが、これはもちろん現在の料金を基準にして決定されたものだと思うのです。それで九月十五日までに当然拂われるべき補償金ですから、別に電力料金改訂とは関係がないように思いますが、その点どういうことですか、もう一度よくわかるように御説明願いたいと思います。
  73. 武内征平

    ○武内説明員 現在の料金におきましては大体今年の三月末までの自家発電に対する補償金というものを見ておると言いますけれども、四月以降におきましては一応火力発電石炭のベイシスも違つておりますし、当然料金改訂ということが予想せられておつたのでありますが、それが延び延びになりまして今日までになつておるのであります。従つて簡單に申しますれば値上げにならない現在の料金の中には、四月以降の自家発電に対する石炭の補償金の金額は含んでないという実情であります。
  74. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 そういう御答弁は私どもにはよくのみ込めないし、非常に不親切だと思うのです。補償金として大体六億円というものは約束されておるのじやないですか、四月以降の電力料金が変更になるというには、その補償金の額が決定されなければならないし、そうでなければこの六億円という約束された数字は出てないと思います。六億円の補償金の未拂いというものは、天下公知の事実ですが、今の局長の御答弁では私よく納得できませんから、もう一応お答え願いたい。
  75. 川上為治

    川上説明員 その当時のいきさつでは料金改訂があつたならば、六億を拂うというふうに聞いております。改訂が非常に延びましたのでまだ拂わないでおるわけですが、近々におそらく改訂になると考えておりますので、その際拂うことになると考えております。
  76. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 それでよくわかりましたが、電力料金の問題もここでお聞きしたいと思いますが、こういう場合に何か適当の処置というものはないものかと私は思うのですが、実際にこの金額に多少の増減はあると思います。しかしこういう場合に時期が過ぎてからもらつても何にもならぬ。今大体十月まではどうにかやつて来られた。十一月には非常に電力供給が少くなるという場合に、これが支給されたならばそれはある程度補える。こういうような問題になつて来た場合に、何か法規のみにとらわれないで、適当な処置というものがないものか。これに関連して少しうがち過ぎた観察かもしれませんけれども、こういうことをよく言う人がおります。政府は四百万トン以上の公団の持つておる貯炭に困つておる。一方出炭計画がどんどん実現して行けば、四百万トンというものは山で腐らしてしまわなければならぬというので、何とか出炭を押えて公団の貯炭を消化する道を考えたい。こういうようなことをひそかに考えておるのではないかというようなことが、世上往往言われるのですが、その点どうですか、それをひとつはつきり伺いたい。
  77. 稻垣平太郎

    ○稻垣国務大臣 今の加藤さんの御質問は、意外なことを承るように私は存ずるのでありますが、そういうことが巷間に伝わつておるというお話で、これは加藤さんの御断定ではないようですから私、別に加藤さんに文句を言うわけではありませんが、しかしながらそんなことを考えておるようなことは絶対にございません。  それから先ほどのいろいろ数字的な点につきましては、電力局長からお答えいたしたようでありますが、根本的に加藤さんのお聞きになりたいという点は、料金値上げはできない。そこで日発は損が行くから火力をフルにたいていないのだろう、あるいはフルに動かしていないのだろう、こういう点についての御質問が中心だろうと私は考えるのであります。そこで全体の火力発電設備がいかなる場合でも、全体的に一つ残らずキヤパシテイー通り動いておるというときはありません。修理しなければならぬ場合がある。それは一時的の修理と根本的な修理と、この二通りにわけられると思いますが、とにかく修理しなければならぬ時期があるのであります。従つてフルに働いていない。ただできるだけ豊水期に修理をする方策をとつておるのでありますが、九州のごときに至つては、火力が補助的の関係にあらずして、むしろ彼此相伴つて電力の需給を満たしておるという関係にありますので、従つてこれが修理、補修がなかなか調子が合つて行かない、こういう点があると存じますけれども、とにかくできるだけこういつた時期でありますから修理を急がしておる、また一日も早い時期にできるだけ能力の大半が動くようにしたい、かように考えておるわけであります。そこでさつき補償金などのお話もありましたけれども、とにかく修理するために要するところの費用の点につきましても、特に日発のためにわれわれは援助をいたしまして、上期において五億円のよけいの融資をあつせんしたという手続をとつております。下期におきましてもまた同様の手続をとるつもりでありまして、そういう面からの手遅れというものはないと私は存ずるのであります。ただ関東地方あたりの火力が動かなかつたというのには、例のキティ台風その他で火力発電所が被害をこうむつて、予定がこれによつて非常な変更を来したという点があるのでありまして、そういう点は別といたしまして、先ほどの御質問のような点はないことをはつきり申し上げておきます。
  78. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 そこで今までの御答弁を考えますると、結局電力料金値上げの問題に、いろいろな点で関係して来ると思うのですが、すでに相当以前に電力料金を一、三二二倍に増額するということを、政府はしばしば言明しておられるわけですが、私は電力料金値上げに賛成するわけではないのですが、しかし政府はこの電力料金によつて何を計画しておられるか、もし電力料金値上げによつていろいろな問題が—経営合理化の問題、従業員の生活の安定の問題、あるいは消費者にいろいろな有利な條件が與えられ、改善が行われて消費者もそれで納得する。こういうような点から電力料金値上げをされるのならば、私どもあえて反対するものではないのであります。電力料金値上げをしばしば言明せられて、それがまだ実現されないのは、要するにそうした点で具体的な計画が立つていないからできないのではないか。これはひとつ大臣から明確に御答弁を願いたいと思います。
  79. 稻垣平太郎

    ○稻垣国務大臣 電力料金値上げの問題でありますが、結局日発なり電力会社なりが、その経営を円滑にやつて行くために必要なるところの値上げ、こうお考えを願いたいと思うのであります。言いかえれば、たとえばさつきも話が出て来たようですが、電力の盗用を防止する、あるいはロスを防止するといつた補修の金、修理の金、あるいは火力をできるだけたくに要する費用、そういつたものをカバーする意味におきまして、あるいはまた一面において企業内の合理化をはかるという面におきまして、どうしても電力料金値上げされることが、経営の全体の上において必要である。こういう意味においてわれわれはこれを至当と考え、そのことについて折衝を試みているようなわけなんであります。それからこれがいろいろ前からとなえられて、遅れておつた事情には種々の点があります。その一つにはかねてから要求されております合理化の問題、この合理化の問題は、たとえば退職手当がきまらないでいつまでも中途半端である。この問題の結末がつくことが先決問題である。あるいは企業内の合理化を先決にしてもらいたいといつた点で、時間をとつた点もあります。あるいはまた地域的の電力差といつた問題についての折衝に時間をとつた点もあります。しかしながら近くこの点も大体了承を得られ得ると考えておりますので、遠からずわれわれはわれわれの考えている線に沿つて、了承を得ることだと考えている次第であります。
  80. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 最後にもう一つ念のためにお聞きしたいことがあります。先ほど築上火力、小野田火力はいずれも工事の許可命令があつたにかかわらず、工事の施行にとりかかれない問題として、資金計画がどうも立たないというお話でありましたが、これは見返り資金をこちらに振り当てようとしておられるのか、あるいは会社の借入金でやる計画か、電力料金値上げとこの問題と関連があるのかどうか、これをひとつ明確にしていただきたいと思います。
  81. 稻垣平太郎

    ○稻垣国務大臣 九州、宇部地区の火力につきましては、これは先ほども局長が申しておりましたが、はつきり御理解ができなかつたのかと思いますが、つまりカウンター・パートの問題がきまらないのだということを、先ほど電力局長もお答えいたしたと存じております。これは今エイド資金から融資を受けることについて交渉をいたしているような次第であります。エイド資金の融資につきましては、他の電源開発の部分も、あわせて今交渉いたしているのであります。今日も関係筋との間にできるだけ早い機会においてこれが実現されませんと困る、従つて手続上の問題はもう少し簡略にしてもこれが進行をはかつてもらいたいというようなことについても、きよう実は申し入れをいたしたようなわけでありまして、エイド資金が一日も早く出て来、少しでも早くこれが工事に着手できることを、加藤さんと一緒に私は希望する次第であります。
  82. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 もう一点お伺いしたいことは、これは相当重大な問題だと思いますが、先ほど来、相当いろいろな角度から北九州の炭鉱地帶に対する電力供給の問題をお聞きしたわけですが、これは一面もしこの電力供給が著しく減じられまするならば、失業問題を起すということであります。政府はそういう場合に一方において失業対策を考えておられるかどうか。炭鉱における稼働率が下つた場合に、当然起るところの失業対策を考えておられるかどうか。従来吉田内閣のやり方をずつと見て参りますると、失業対策というものがほとんどあらゆる場合に立てられないで、行政整理もやられたし、企業合理化もやつて来ておられるのでありまするが、炭鉱地帶におけるところの失業対策といろものは、この電力供給の問題に関連して、非常に重大な問題として起つて来るわけでありますが、それをはつきり立てて考えておられるかどうかということをお伺いします。
  83. 稻垣平太郎

    ○稻垣国務大臣 通産大臣の領域でないように思いますけれども、お答え申し上げます。失業対策と一言に申しましても、だれの何兵衛をどこにどうというような、こまかい失業対策というものは立つものでないし、またさような御期待ではないと存ずるのでありますが、われわれの関連におきまして、たとえば炭鉱地帶の失業者が出たという場合におきまして、われわれの調査いたしておる限りにおきましては、今お話がありました電源開発、ことに電源開発なんかには炭鉱の労務者の方は最も適当しておる。坑内の採掘その他の関係で電源開発の場合の墜道その他について振り向けるのに、最も適当だとわれわれは考えております。そういう意味におきましても、エイド資金をできるだけ早くやつてもらつて、われわれが九州あるいは宇部地区、その他の電源開発地区にこれらの人々を振り向けるようにしたいと考えておるわけであります。また特に高品位炭の山元におきましては、むしろよけいに人を要求される面もあると思うのであります。またある地区におきましては、帰農される方もあると思います。そういつた意味におきまして、われわれは公共事業なり、あるいは電源開発事業に、これらの人を振り向けたい、かように考えておるわけであります。
  84. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 通産大臣の御答弁は、その場の思いつきで御答弁されたような感がありますが、もちろん失業問題は通産大臣の所管でありませんので、具体的な計画をこまかくお伺いすることはむりだと思いまするが、私は最後に希望として、もしそういう事態がどうしてもやむを得ず起つた場合には、まず政府の責任として失業対策を十分用意しておやりになることを強く希望いたします。それから先ほど来申し上げまするように、石炭は需要期に向つておるわけでありまするから、やはり相当無理をしてでも電力を供給して、ひとつ出炭率を落さないように、そういう面からも十分に電力についての御配慮を願いたい。この二つを強く希望して私の質問を打切ります。
  85. 田代文久

    ○田代委員 関連して……。今の御説明の中ではつきりしなかつた点がございますので質問があります。この六億円の問題は電燈料金改訂とともに必ず補償するということが明言されましたので、その点は安心いたしましたが、もし電燈料金改訂ということが非常に長引くということになりますと、自家発電をやつておられる業者にとりましては、非常に苦痛を感ずるわけでありますし、伺とか手を打つて行かなければならぬということになるのでありますが、たとえば手形を発行するというようなことをされる意図があるかどうか。それから電燈料金改訂はいつごろなされるという見通しがつくかどうかという点。それから先ほどの御説明によりますと、九月十五日以後においては自家発電に対する補償は大体やる意思はないということを説明されましたが、もしそのようになりますと、実際にそういう自家発電設備を持つておられる炭山におきましては、非常に損になるということから、そういう設備を持ちながらそれが発電できない。全体といたしましては、電力量がその面からも不足するということになるのでありますが、その点に対するお考えはどうであるか、この点について御質問いたします。
  86. 宮幡靖

    宮幡政府委員 田代委員の御質問でありますが、先刻も申し上げました。ただそのうち新しい面として手形でも出して救済できないかというお話でありますが、現在の状況においては手形の発行も困難だと思います。できる限り早く料金の値上を実現いたしまして、それを元として続行して行く態勢をとりたいと思つておりますので、どうぞ悪しからず御了承願います。
  87. 神田博

    神田委員長代理 この際委員の異動についてお知らせいたします。本日井上信貴男君、田中彰治君御両人が委員を辞任せられ、新たに多武良哲三君、上林山榮吉君が委員となられました。以上お知らせいたしておきます。  次は上林山榮吉君。
  88. 上林山榮吉

    ○上林山委員 電力問題について各委員からきわめて熱心なる論議が展開され、政府もまた熱意ある準備をされていることを聞きまして、意を強うするのでありますが、きわめて問題は重大でありますので、私この際特に問題を局限いたしまして質問を試みてみたいのであります。御承知通り全国的に電力問題は非常に重大な問題でありますが、なかんずく北海道、九州方面において特に政府が積極的関心を持つて積極的な努力をしなければならぬのは、たびたび公開の席上において政府の言明せられた通りでありまして、私どももその点を信用いたしまして、今日来ておるわけでありますが、そこで火力の問題については各委員からの適切な質問もありましたので、私は水力、特に新設の工事に対する問題に局限して、政府の所信を伺つておきたいのであります。そこで私は大臣の答弁を求める前に、その他の政府委員の答弁でけつこうだと思う点についてまずお尋ねをいたします。  私が問題を局限してと申し上げたのは、九州の電力問題を、現在から将来に向つて根本的に解決するその一つの大きな問題としては、何と言つても上椎葉の工事を完成することにある、こういうふうに考えておるのであります。そうでこの問題について、政府当局あるいは日発等においても、相当努力をせられておることは私どもも了としておりますけれども、いまだこの問題が根本的に、しかも急速に解決をされていない。そこでこの問題についての事務的方面についてまずお伺いいたしたいのは、この上椎葉の建設の問題は、エイド・フアンドの許可された四十幾つかのうちに入つておるかどうか。約三百件くらいの電力問題をいろいろと政府は苦心をされておられるようであるが、このエイド・フアンドの四十一、二の中に入つておるかどうか、この点をまずお伺いいたしたい。
  89. 宮幡靖

    宮幡政府委員 上椎葉は確か三百件の中に入つております。
  90. 上林山榮吉

    ○上林山委員 入つておるとすれば、これが遅れておるおもなる原因は何であるか。結局は見返り資金の問題が一番重要な点ではないか、こういうように考えております。それに対する政府のお考えはいかがでありましようか。
  91. 宮幡靖

    宮幡政府委員 上林山委員のお考えのようなことが、大きなネックになつておることも事実でありますが、当面の状況は、地元におきますところの障害がございまして、これは午前の委員会でも申し上げましたが、おもな問題はわずか三十七戸ぐらいの家だそうでありますが、これの立ちのきに対しまする処理がつきませんで、こちらは間発命令を出したく準備しておりますが、その手続ができないような始末で、宮崎県に対しましても地元の選出国会議員の御協力も得まして、知事の方に促進方をせつかく進めておるような状況であります。ぜひその点をお進めくださいまして、こちらに答申が来ますれば、ただちに開発命令を出したく考えておるような状況であります。それに続いて資金も他の委員の御質問でお答えしましたように、なかなか見返り資金の解決がつきません。これは極力折衝いたしましてやつて行きたいという状況であります。
  92. 上林山榮吉

    ○上林山委員 私の質問はこの工事の遅れておるおもなる原因が見返り資金にあるのだ、こういう質問に対して、それもそうであるが、それよりも地元の協力が足らないんだ。今政務次官のお答えの通り地元の三十数軒ですか、これだけの立ちのきができないために遅れておるんだ。きわめて事務的な問題でこれが行き詰まつておる。こういう印象を強くするのでありますけれども、私どもの調査したところによると必ずしもそうではない。この前九州電力開発議員連盟の席上において、私どもはこの問題を徹底的に究明したわけでありますが、この問題については地元の議員諸君におかれても、大した問題じやないんだ。こういうような言明もあり、しかも大きな問題は当時の政府筋の諸君の答弁を聞いてみても、主として見返り資金にその重点があつたかのごとく私は記憶いたしておりますが、お互いの間であり、重要な問題であるから、こういう問題について何らかけひきをする必要はない。もう少しく具体的に率直に、お互いに話合いの上で協力すべきものである。こういうように私は考えるのでありまして、私どももそれぞれの道を通して、その地元の問題は責任を持つて、われわれで解決できると信じておるのであるが、これに対しまして政府はこれが解決されたならば、ただちにこれに着手するという言明ができますかどうか。  なおもう少し私突き進んでお尋ねいたしたいのは、それが解決されたならば一体上椎葉はどれくらいの予算をもつてやられる見通しがついておるか。この点をまず伺つておきたいと思います。
  93. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これはたいへん念の入つた御質問で、実は恐縮しております。もともと当委員会におきまして隔意あるお話をしようとは思つておりません。まつすぐに申しております。どうぞその点御了承願いたいと思います。見返り資金が出て来ないことは、かりに工事が可能になりましても、出て来なければできないわけであります。これが大きな難点であることは確かであります。しかしながらただいま九州の議員連盟の方々がお集まりのときの情勢も、お話がございましたが、実は宮崎県の選出の方々にも御相談しまして、こんな小さな問題でひつかかつておるのだから、ぜひ解決してもらいたい、こう申し上げましたところが、そんな問題は簡單だ、すぐ電報を打つて、すぐ知事から答申が来るようにする、こういうお話でありますが、事実はなかなか知事さんはよこしてくれないわけです。これが真相であります。それでありますから、建設省も関係しておりますが、その答申が参りますれば、一応資金の裏づけさえあれば、工事に着手できますような指令ができる段階の準備をしておるわけであります。どうぞその点を—これは何もかけひきではありませんから、御了解をいただきたいのであります。  それから工事は幾らでやれるかと言いますと、大体四十億の予算をもつて工事をやることに計画されております。
  94. 上林山榮吉

    ○上林山委員 地元の問題が解決されれば、また知事の答申があれば、建設命令はいつでも出せる。こういう御答弁であつて、私はかけひきがないと言われるから、それを信用したいと思うが、しかしすでに—政府といつても範囲は広いのであるから、むりな点もあると思いますけれども、建設省には知事の答申がすでに二週間前に来ておる。これは政府の連帶性という意味で私は追究する意思はないけれども、すでに政府の一角に知事の答申は来ておるのであるが、この事実を全然通産省においては連絡がないのかどうか、公式に連絡がないと言うならば、すでに九州の議員連盟の席上において、通産省及び建設省の幹部諸君が来て、この点は明瞭になつたのであるが、これに対して何らか積極的な手が打たれたかどうか、今の御答弁によると何らこれを御存じがないように思うが、この点はどういうふうであるか、重ねて伺つておきたい。
  95. 宮幡靖

    宮幡政府委員 たいへん手痛い御質問でありますが、けつこうだと思います。これは建設省の内部問題になりますが、私の方へ建設省から工事の着手の指令をしてもよろしいという、これは公式非公式にかかわらず、さような連絡をすることのできない状況にまだあるのでありまして、これはどうぞひとつ建設省の方をお調べ願いまして、宮崎県と建設省の関係でありますが、建設省がさしつかえないからやれということが、もし非公式であつても公式であつてもあれば、そのことは常に連絡をとつております。上椎葉のみならずその他にも建設省と交渉中のものは宮浜、丸山、新庄、こういう地点があるのでありまして、これらは首を長くして手続を待つております。何かそこに行き違いがあるのではないかと考えておりますが、上林山委員は内容を深く御承知のようでありますから、上林山委員から建設省の方をお調べを願いたい。建設省からよろしいということが公式であろうが非公式であろうが入れば、すぐ出せる状況になつておることは、包み隠しなくここに申し上げます。
  96. 上林山榮吉

    ○上林山委員 地元の問題はそういうふうに解決するという御意思であり、しかも建設命令を出し得る状態にあるし、結局建設省に知事の答申が来ておるのだが、そちらの方の問題が解決できるならば、今言つたようなことを実行し得る。こういうきわめて常識的な御答弁でありまして、これはむりからぬ点もあると私は推察するけれども、どうも私は政府全体の共同責任という立場において、しかもその主管省はこれは言うまでもなく通産省である。その主管省である通産省政府内におけるその調節を順調に運ぶということを、もう少しおやりにならなければ、こういう問題は解決できないと考えるのであります。そこで私がお尋ねいたしたいのは、この問題の障害になつておる見返り資金の問題、これについてはせつかく努力中であると、あらゆる機会に言われるので、それを信用しておるわけなのですけれども、この前の席上においても政府筋の答弁は、最後においてあいまいになつたので、私は本日特に委員を交代していただいて、公開の席上における政府意見を承つておきたいと思いまして、発言するわけであります。日発関係の見返り資金のわくが百十億円で押えられた場合、上椎葉は四十億円の予算で実現し得るかという点が一つ。さらにこの見返り資金のわくがかりに七、八十億という点で押えられた場合に、それならば上椎葉はそれに入るかという問題。また上椎葉はおそらくAクラスに入つておるはずであるが、Aクラスのうちの何番目に入つておるか、この点を私は伺つて、最後に政府熱意を伺つてこの問題の解決に処してみたい、こういうふうに考えるのでありますから、これもいわゆる委員政府の單なる質疑応答じやなくて、もう問題は急迫しておる状態であるのだから、先ほどから念を押しておるように、ひとつ明快なる御答弁を求めたいと存じます。
  97. 宮幡靖

    宮幡政府委員 先ほど私の答弁いたしましたことが、何か同じ内閣の行政庁の中の連絡に遺憾の点がある。こういうような意味にお察しになられたようでありますが、この建設省との問題は、これは上林山委員が建設省にお尋ねくださればわかりますが、私の方で連絡を怠つたり、表向きにこうしなければならぬのだというりくつを申しておるのではありません。地元の問題の解決の仕方いかんによつて、建設省はただちにやる準備があることは聞いておるのであります。それでありますからその点は行政各省間の連絡を怠りまして、国民に迷惑をかけるというような考えは、毛頭持つておらないことをぜひ御了解いただきたいのであります。なおこの点につきましては、この席以外におきましてさらに事務当局と御懇談の機会を與えていただくことが、この問題をもつと明白にすることと思いますので、かような事務的な問題は、その席に譲らしていただきたいと思います。  見返り資金に対します御念の入つた御質問でありますが、四十億といいましてもこれは上椎葉が電気を発電できるまでの予算であります。それですから百四十五億は本年度電源開発に振り向けられておりますところの、一応の見返り資金のわくであります。もし百十億に押えられたら、あるいは七、八十億に押えられたらという御質問でありますが、この場合においてあるいは司令部の方の承認の仕方がどういう方法で来るか、ただいまのところ予測できませんが、およそ件数といたして三百件ございます。従つてこれとこれは次年度、これとこれは本年度とかいうような選択もありましようし、総額で御説のような百十億に切るというようなこともあるかもしれません。いずれにいたしましてもその場合現段階において上椎葉が必ずA級であつて、七十億になつてもこれにお仲間入りができる。百十億の場合にはもちろん入つておるというような言明は、今許されないところであります。およそ三百件で百四十五億、こういう状況の個々の件々につきましての承認があるか、全体のわくが縮められるか、これはまだはつきりしておりませんので、せつかくのお尋ねでありまして、隠し勘定なく申せということでありますが、ただいま上椎葉が百十億になつたら絶対入らない、あるいは入る、こういう言明はともにできないわけでございます。この点御了承いただきたいと思います。
  98. 上林山榮吉

    ○上林山委員 政務次官なかなか婉曲な御答弁でありますが、それでは満足しないのであります。というのはたとえばAクラスならAクラスの中でも、おのずからその重要性に順序がついているはずである。あなた方はかりに提出の順番に従つてナンバーをつけただけであるというふうに御答弁になるけれども、実際には百四十五億の場合はどれどれが入る、百十億に押えられたならばどれどれが落ちるというくらいのことは、政府の自主性において判断のつくべぎはずだと思う。ただ一方的に解決できないという事情もあるから、御念の入つた質問だということはわかるけれども、しかし政府側においてはそれぞれ自主的な判断はあると思うのでありまして、少しくらい見返り資金のわくが縮んだくらいでは上椎葉は入る。こういうふうに考えていいかどうか、この点を伺いたいのであります。一番びりであるか、それとも少しくらい切られても入る。この程度の見通しは、政府としてはいろいろな案を提出される以上、自主的な解釈はあると思う。この点を聞きたいのであります。
  99. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これも御念の入つた話で、婉曲に答えているというお言葉でありますけれども、なかなか婉曲に答えているわけではなく、率直に答えているのでありまして、これは御質問に対してお答えにはならないかもしれませんが、もしこの委員会におきまして、件々ごとでなく、総額で百十億のわくに切られた、あるいは七十億、八十億のわくに縮められたということがあると仮定いたしまして、百四十五億全部であつたならばこういう順位であり、百十億であるならばこういうふうな段階になる、七十億になればこういうふうになるのだという全部の計画を、発表してよろしいものならば、上林山委員には百パーセント御満足のいく回答ができるのでありますが、それができないのでありまして、ひとり上椎葉だけが、この席上において百十億になつてもAクラスであるから大丈夫である。七十億になつてもこういう九州の特殊事情によつて、明らかにこれはとらなければならないということは目下申されない。もし言えるとするならば百十億あるいは七十億の線におきましては、これとこれが入るということは、全部を公開すべきであろうと考えております。いわゆる行政の自主性ということは、もちろん考えておりますが、單に上椎葉が入るか入らないかということは、委員会の席上で、かりに私の方に成案があつたといたしましても、これは発表すべきではなかろうかと考えております。しかもその成案というものは、ただいまのところどう追究せられましても、百四十五億全部の融資を許されたいのでありまして、百十億に縮小されたり七十億に縮小されることを希望しては考えておりません。どうしても百四十五億をとらなければならない。電力問題にいろいろな社会問題等も関連しておりますので、百四十五億の当初計画はぜひとも推進したい。従いまして次善の百十億の場合どうだということを考える余地はございません。百四十五億をどうしても達成するために、大臣初め熱意を傾けてやつておるのであります。この点上林山委員もよくおわかりでございまして、あるいは御質問に対して回答が御満足行くものではないかもしれませんが、現在の政府の立場も御洞察くださいまして、上椎葉だけの発表、こういう局限されての最初からの御質問でありますが、局限した答えはぜひこの際お許しをいただきたいと思うのであります。
  100. 上林山榮吉

    ○上林山委員 御答弁の通り局限したお答えは困難な事情もあろうかと思います。それでやめたいのでありますが、ただ私の言うのは、百四十五億の見通しがつき、それが確実性があるというあなた方の責任ある答弁であるならば、何をか言わんやであります。その通り引つ込みたいのであります。けれども百四十五億かあるいはそれより少くなるかもしれない。少しくらい少くなつたときでも、入るべき重要性を認めておるかどうかという点であつて、その点をお尋ねしておるのであります。またあなたの方で上椎葉に局限して言われることは困るという御答弁であるから、委員諸君の席上、私はAクラスのものを全部順序を御発表になつても、あえてこれは私どもの拒否するところではなく、喜んで承りたいのであるが、発表できるならばこれも発表せられて、むしろ委員の中において自主的な検討が行われて、そしてこの問題の解決に全面的に当るということの資料としていただきたいと思う。そういう意味において御答弁ができるなら答弁を願いたい。全部の順序、それから先ほどから聞いておるのだが、Aクラスの中の何番目に入つておるか、これくらい言つてもさしつかえないだろうと思う。これは決して追究する意味言つておりません。私も結論はわかつておるのでありますが、その点を公開の席上で私は明らかにしておきたいのであります。
  101. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御念の入つた御質問でありますが、先ほども申しましたように、百四十五億全部これを確得—と言う言葉は言い過ぎになるかもしれませんが、その承認を得たい。こういう努力を傾けておるのでありまして、次善案として百十億あるいは七十億に詰められた場合のプランは今ない。こういうように先ほど申し上げました。従いましてこの席上、せめてAクラスはどれくらい、Bクラスはどれくらいだということも、ただいま発表する余裕がないわけであります。もし巷間伝うるごとく百十億に、もし切られるということがあるとするならば、急いでその案も立てなければならないと思いますが、ただいまとしてはどうしても百四十五億を、しかも最近の交渉状況におきますと、今までじきだじきだと申しておつたことも、もつと時間的に詰められた時期に、この問題が解決されそうでありますが、百四十五億一本の線で行つております当省の姿を、どうぞひとつ善意に御解釈くださいまして、いろいろ御注文のことはせつかくでありますが、ただいまその計画もございませんし、発表することも不可能の状況にありますので、どうぞこの程度でひとつ御了承いただきたいと思います。
  102. 上林山榮吉

    ○上林山委員 円満なる政務次官の御希望でありますから、努めて沿いたいと思いますけれども、問題が重要でありますので簡單に引き下るわけにも行きません。そこでお答えできる程度の問題についてお尋ねをいたしますが、上椎葉は最初Aクラスの十二位にあつた、それが十七位に下つた。さらにまたそれが二十六位に下つた。こういうことを公開の席上で政府筋が発表しておる。そういうふうに発表したことをこの席上で発表できないということは、私は政治の明朗性を欠くと思うが、この点宮幡政務次官には気の毒だけれども、ほかの場所で発表してこの場所で発表できぬということは—決してこれは追究する意味ではありませんが、もつとすなおな答弁はできないか、こういう意味で申し上げておるわけなのであります。
  103. 武内征平

    ○武内説明員 先ほど政務次官からお答えがありましたように、こつちからだけの折衝できまつた何かがあるわけではありません。われわれ事務局といたしまして、折衝をいたしますときにいろいろ前置きとしてつけたわけでもないのですが、向うは上椎葉なら上椎葉ということを一々言わないで、番号で言えば書類が出て来るようなシステムをとれ、こういうようなこともありまして、そういう意味においてきめたものはあります。それで最初に確かに上椎葉は十八ということになつておつたので、十八と言えば上椎葉というふうなことであつたのでありまして、それを非常に敏感に、外部の方はおとりになつておる点もありますが、われわれといたしましてはトータルが今、日発としては一応百四十五億のうち百十億ということになつておりますから、これは先ほど政務次官の言われましたように、全体にこれが七十億、八十億と切られたことがあるとしましても—一時切られるという説があつたのですが、ガス、電気の方ではそういうことは申しておりません。しかしもしそういうことがあつたときの用意として、もし減りましたとしても、できるだけ今予定しておるところは、その予算を少くしても各方面を着手したい、こういうふうに考えておりますので、ある所には全部資金をつけ、ある所には全然落す、こういう考え方はわれわれとしてはいたしておりません。ただ関係方面より特殊の指令が出たときは別ですが、われわれといたしましては今予定しておるところは、金額が少くなつてもスタートする、こういう考え方であります。
  104. 上林山榮吉

    ○上林山委員 提出の順序は單に便宜上ナンバーをつけたにすぎません、こういうような答弁をいつも聞くわけですが、そこで一応不安な状態もあつたが、今日においては百四十五億は、あるいは日発の場合において百十億は確保できる、こういうようなきわめて力強い答弁のようにも聞えるし、また一時ここをこういうふうに答弁しておいたならよかろうというようにも聞えるのですが、その点は大臣からひとつ答弁を願いたいと思います。その前に私は事務当局に伺いたいのは、通産省としてはそういうお考えを持つているかもしれないけれども、建設省の問題が起つたのと同様に、大蔵省の方との関係の話合いは、どういうふうになつておるか。先ほど私は第十二位にあつたものが十八位あるいは二十六位になつたということを申し上げたが、これは見返り資金の関係の方面意見として、しかも公開の席上で、通産省の立会いの上で発表せられた。だから私はこの問題を單なるナンバーじやないと確信を持つているわけであります。そこであなた方の方が、ほんとうの確信があれば、これは確信と確信の衝突だから、私としてもある程度了としますが、大蔵省との話合いについてはどうなつておるか。何も話合いも連絡もございませんか。この点をお伺いしておきます。
  105. 武内征平

    ○武内説明員 ランキングの問題につきましては、大蔵省は通産省の方にまかしております。金額のトータルにつきまして、あるいは個々の審査につきましては、全部大蔵省の審査を経まして、フアイナンスの方に行き、フアイナンスの方からガス、電気の方に行きまして、またフアイナンスに帰つて来る。こういうかつこうでありますが、ただ日発の方につきましては、全部司令部に出ております。従いまして、どれから許可が下りるかというのは、実は大蔵省はそこまでタッチいたしておりません。それであとはわれわれの説明を聽取せられましたガス、電気の方のリコメンデーシヨンによりましてフアイナンスがきまる。こういうふうになつております。
  106. 稻垣平太郎

    ○稻垣国務大臣 いろいろ先ほどから上林山さんの御質問があつたようでありますが、私の考えといたしましては、まずこの電源開発の問題につきましては、われわれの方で、今並べておりますものについて、できるだけすべてに顔を出させたい。これは私はどうしても必要だと思うのであります。かりに上椎葉が四億の予算であつても、今年度五千万円でも何でもいいから、すべて顔を出しておきたいということを、私はまず第一に考えております。  その次に考えておることは先ほども、一番初めにちよつと上林山氏が言われたかと思うのですが、電力の少い地方、あるいは九州であるとか、北海道であるとか、四国であるとか、こういつた問題については特別にやはり考えなければいけないのじやないかという点を考えております。そこでできるだけ頭を出しておくということと、それから今言つたような電力の不足の地域に対しては、特に考えをいたさなければならないのじやないか。こういう二点で勘案して行きたいと思うのであります。そこでただ見返り資金の問題でありますが、たしか上椎葉は宮崎県下の方でとつた問題がありまして—実は公共企業体がいけないというので、この点については私もずいぶん苦心いたしております。公共企業体の問題がありまして、これもいろいろな関係がありましたが、この点は解消いたしまして問題がなくなつたのであります。そこで見返り資金からできるだけたくさん電源開発の方へ持つて来たいというので、交渉いたしておるのであります。先ほど政務次官がはつきり言明するのを避けましたのは、見返り資金を向うが出す場合におきまして、どれを許可し、どれを許可しないかという最後の点がひつかかりますから、ここで言明申し上げて、あるいは間違つてはいけないというので、当局は言明いたしていないと私は思うのであります。しかし私自身の考えといたしましては、先ほど申し上げますように、できるだけすべてわれわれが希望いたしておるものに顔を出したいということと、それからさつきのような電力不足の地域については重点を置いて考えたい。こういう考え方で見返り資金獲得の交渉をいたしたいと思つておるわけです。大蔵省がこの問題についてどうこうという立場にはないと私は考えております。その点を申し添えておきます。
  107. 上林山榮吉

    ○上林山委員 大臣がきわめて責任のある理解のある答弁をせられたのでありますが、私一応力強く考える次第であります。ただいまの御答弁によりますと、九州は電力事情が非常にひどいということを知つておる。これは火力、水力ともにひどい。そこで電力開発の問題についても、上椎葉とは言わないが、そういうような方面は優先的に重点的にこの問題を解決すべく努力中である。ひいて現在においては百四十五億の一貫した線によつて強力な出資を続けておるのだが、これはこういう席上で言うてはどうかと思うが、場合によつては多少減らすようなことがあつても、先ほどの言葉の裏を返して見ますと、言うまでもなく上椎葉の問題は優先的に重点的に取上げ得るものだ、こういうふうに解釈してよいか。この点私は決してじようだんを言つておるのじやない。ほんとうにまじめな意味言つておるのでありますから、この点は念を入れるまでのことはないと思うが、一応念を入れて伺つておきたいと考えます。
  108. 稻垣平太郎

    ○稻垣国務大臣 先ほど申し上げましたように、見返り資金で今御指摘の上椎葉が許可されるかされないかということはむろん未定の問題であります。しかしながらこれは上椎葉に限らない、どの電源開発につきましても、それが許可を得られるかどうかということは、すべて未定の問題であります。ただ私が先ほど申し上げますように、電力不足の地域については、特に重点を置いて考えなければならない。その一つに九州では上椎葉がある。こういうことはわれわれ十分承知いたしております。そういつた考え方から電力の不足な地点においてはできるだけ重点的に考え、また各電源開発についても、できるだけこの際頭だけでも出しておく。こういうことの考え方で進んで行きたい。かように考えております。
  109. 上林山榮吉

    ○上林山委員 電力の不足した方面といえば、九州地方は全国一位であるわけで、しかも上椎葉の問題が九州の電力開発の根源をなす一つの大きな問題である。こういう点から考えて、かりに一部でも頭を出したいという大臣の熱意と、しかも積極的な努力に対して私どもは信頼申し上げますが、さらにこの点については格段の努力をせられたいと思うのであります。そこで問題は先ほど永井委員でありましたか、日発の問題について、いろいろ熱心な御質疑があつたのでありますが、私はこの際大臣は企業家としても経営者としても相当の体験を持ち、また電力事業が自分の監督指導のもとにあるという点から考えて、これまた確信のある御答弁を得たいのでありますが、第一私はこの電源開発の問題について、あるいは特に上椎葉の問題について、日発はどの程度の積極性があるか、これは具体的にたとえば企業合理化電力料金の問題、あるいは長期資金の問題、いろいろあるわけでありますが、この問題はさておいて、今度の電力開発について通産省当局日発と緊密なる連絡—單に事務的な連絡ではなしに、私は企業全体を考えて、日発の欠陥は欠陥として指摘し、足らざるところは政府当局が積極的に応援してこれが解決をはかる。こういうような意味においていわゆる見返り資金の問題も取上げたと思うが、それ以外に対して積極的な、何か指導監督というか、協力指導によつてこれが回復をはかるというか、そういうようなことについて積極的な話合いをしておるかどうか、私はこの点についてまずお尋ねいたしたい。  さらに第二点は、その一端から先ほど五億円の融資の問題も出たし、今私どもが熱心に論議しておる見返り資金の問題も出たし、電力料金の問題も適当に、考えなければならぬという議論も出たが、最後に日発電力開発に熱心であるためには、増資という問題について日発がもつと積極的でなければならぬ。ところがこれは経済的変動やその他の事情によつていろいろな関係もありまするが、最初の予定した通りの増資ができていないらしく聞くが、この増資ができるできないということを、一例を上椎葉に局限して相済まぬわけでありますが、増資ができないということが一つの大きな難点になるのではないか、私どもは見返り資金が極端に減らされるようなことがあつても、日発の増資あるいは政府のその他の方法による積極的な援助によつてこの問題を解決してもらわなければならぬ。見返り資金は一方的に解決される問題ではないと思う。積極的な努力は要望するけれども、最悪の場合そうした面についてもわれわれは考えて行かなければならぬ。見返り資金がだめだつたから、残念ながら、やる熱意はあつたけれどもやれなくなつたのだ。これでは私どもは九州、大きく日本電力開発も、問題は解決できぬと思う。だから單に監督官庁という形式的な権利義務の上に立つた関係ではなしに、もつと突つ込んだいわゆる指導、監督、協力こうしたものをどの程度にやつてもらえるか、その片鱗を大臣から承つたが、その程度ではこういう大きな問題の解決にはならぬと思うのだが、もち少し具体的にやつたことがあるか、また今後やろうとすることがあるか、この点をさらに伺いたいと思います。
  110. 稻垣平太郎

    ○稻垣国務大臣 ただいまの御質問の点でありますが、まず第一の点についていろいろ日発企業内容といいますか、あるいは経営そのものについての十分な指導—指導という言葉がいいか悪いかは別問題といたしまして、相談を受けておるかどうかというお尋ねだと私は存ずるのであります。これにつきましては、私はしばしば大西総裁においでを願い、あるいは副総裁その他理事の方にもおいでを願つて、種々相談にもあずかり、またわれわれ通産省といたしまして希望すべき事項についても、たびたびお話合いをいたしておるのであります。何しろ日発というものはあの大きな世帶を控えておりまするために、経営全体としていろいろ困難な点もあると私は察しておるのであります。そういう点についてはわれわれが耳にいたしました点につきましていろいろ御注意も申し上げ、またそれに対して向うがその注意に従つた行動に対しての御報告をも受けておるようなわけでありまして、なお今後も相努めなければならぬと思うのであります。問題はむしろ根本的に例の集中排除法によるところの日発そのものの再編成いかんという問題にもかかつて来ると、私は思うのでありますが、この問題はしばらくおあずけにいたしておきたいと思うのであります。  第二の増資の問題でありますが、これは御承知のように今日発は十五億でありますが、今度三十億に増資するということになりまして、すでに各株主に一対一の割合で通知を発せられておるのであります。ところが御承知の今の証券界の情勢でありまするから、この拂込みが完了されるかどうかということについて、相当懸念を持つておられるようでありますが、思つたよりは案外成績がよろしくありまして、目下拂込みは順調に行つておるようであります。しかしながら拂込みが順調に行かぬ面につきまして拂込者に対する融資という辺まで、実は御相談に乗つておるのでありまして、できるだけ拂込み完了をさせたいと考えておるのであります。これについてはその面における、拂込み完了という点に関する融資について、日銀当局とも実は話合いを進めておるようなわけでありまして、幸いにこの点は私は拂込みの完了が無事に済むのではないかという観察を抱いておるようなわけであります。なおこの点については今後とも時々御相談にあずかる予定にいたしてあります。
  111. 上林山榮吉

    ○上林山委員 日発企業編成による消極的な態度、あるいは増資が十分でないというような事情、あるいは日発の中にいわゆる官僚の古手が相当つておるというような事情、さらに申し上げますと、上椎葉は長期にわたつての建設である、そういう意味から採算がある程度合わない、こういうような事情から上椎葉の問題について相当影響を及ぼすのではなかろうかという危惧を持つております。今の大臣の答弁によると、確かにわれわれの杞憂であつたという気持がするわけであります。でありますから私どもは決してこの際これ以上追究はいたしませんが、どうか大臣は自分の所管事項というばかりでなく、電力事業の重大性はもちろんのこと、九州地方が全国でよ電力事情の悪いという点を勘案されて、もう少しく積極的にこの問題の解決にまつしぐらに突進していただきたいと思います。いろいろと情報もあり、資料も持つておりますが、これ以上は追究いたしません。どうか最後に申し上げますけれども、積極的に責任のある態度によつて、百四十五億の見返り資金はもちろんのこと、全日本電力事業、ことに九州及び上椎葉の問題等について、一段の御努力を要望しまして、本日の質問を一応打切つておきたいと思います。
  112. 神田博

    神田委員長代理 それではこの席から私から皆さん方のお尋ねのなかつた点につきまして、若干御意見を承りたいと思います。  まず第一に上林山君が上椎葉のお尋ねがあつたからというわけでもありませんが、天龍川下流の佐久間発電所の開発についてお尋ねいたしたいと思います。今回正式承認を得た三十八箇所の電源開発地点は、比較的短期間に開発ができる、あるいは工費も割安な地点を主眼として選定されたというふうに承つておりますが、この三十八地点の開発と並行いたしまして、わが国復興計画根本的なものとして、重要河川の総合開発計画を樹立して、その急速な実現をはかることが必要であろうと存じおります。これはたびたび本委員会でも論ぜられ、また本会議等においても建議案が出て、政府も同意されておつたのでありますが、なかなかその運びになつておらないことを遺憾に思つております。ことに重要河川の総合開発は需用の中心地に近く、交通もまた便利な地点からまず第一に着工さるべきものと考えます。この点から見て天龍川の佐久間発電所三十五万キロの開発が、まず第一にとりあげるべきものであると考えております。すなわち佐久間発電所は東京、大阪のほとんど中間に位し、名古屋に近接し、また交通運輸ともに便利であるとともに、十五万ボルト送電線から、きわめて近距離にあるのでありまして、付近には良質の石灰石が無盡蔵といわれるほど埋蔵されており、十分な灌漑用水の補給を得ることができますならば、三方ヶ原の大平原がただちに良田と化するという、総合開発には必要にしてかつ十分な條件を備えておるのであります。政府はこの点を考慮されまして、きわめて近い将来に佐久間発電所三十五万キロの総合開発計画を立案すべきものであると思いまするが、通産大臣及び通産省の幹部の方々におきましては、いかようにお考えになつておられまするか、率直に御所見を承りたいと思います。
  113. 稻垣平太郎

    ○稻垣国務大臣 今の佐久間発電所の開発の問題でありますが、実は私はなはだ率直に申し上げますと、その点についてまだ研究をいたしておりません。従つて今ここで私のそれに対する意見をただちに申述べることはできないのであります。しかしながらお話のごとくでありまするならば、最もわれわれが関心を拂つて研究をいたさなければならぬ問題だと、かように存じまするので、なお今後十分検討いたしてみたいと存ずる次第であります。
  114. 武内征平

    ○武内説明員 佐久間発電所の佐久間地区につきましては、五箇年計画の中には入つております。しかしカウンタ一・パートの中に入つておらないことは御承知通りであります。この地点は、下流の横山というところを運輸省が開発しようと計画しておられますが、これと合せますと、相当大きな計画になりますので、今後の問題として研究しなければならぬと思いますが、ただいまのところその計画に入つていないのを遺憾と思います。今後の問題として十分研究しようと、かように考えております。
  115. 神田博

    神田委員長代理 お答えをいただきましたが、入つておらないことも承知しております。この三十数箇所の発電計画を完成なさるについても、先ほど来論議されておる通り相当の決意と努力と年月を要するのでありまして、そこにさらに天龍川の三十五万キロを開発するということは、なかなか容易ならぬこととは考えておりますが、とにかく表日本中心に残された唯一ともいうべき大発電所になるべきものでありまして、でき得べくんばすみやかにひとつ調査方法をおとりになられて、開発計画を樹立していただくように切望したいと思います。  次にもう一つお尋ねいたしたいのでありますが、電力の最近の需給状況にかんがみまして、先ほどからいろいろ同僚諸君の御質問があつたようでありますが、この国会統計提要というものに出ておる表を拜見いたしますと、電気事業用の石炭消費実績が載つております。関西の消費の数字によりますと、火力発電所の回復が関西が特に悪い。特に悪いというよりも、きわめて悪いというようなふうになつておりまして、たとえば昭和十四年度におきまして全国の電気事業石炭消費が六百万トンあつた。このうち関西が二百四十三万トン消費しておつた。二十三年度の表を見ますと、二百六十七万トン全国でたいておる。このうち関西はわずかに五十一万トンというような回復で、全国が大体三十数パーセントに回復しておるにかかわらず、関西の方の回復率がきわめて遅々たる、五分の一程度の回復であるというふうに見えております。かようなことが非常に最近の電力事情を悪化させておる原因じやないかと、かように考えておりますが、この点どういうことになつておりますか。詳細ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  116. 武内征平

    ○武内説明員 実はこの関西においては、尼一、尼二という大きい発電所がありますが、これは世界的な大きい火力発電所でありまして、大体三十万キロぐらいあるのでありますが、これが爆撃でやられまして、尼二の方だつたと思いますが、一時ほとんど能力を喪失したのでありまして、終戰後急速にこの改修に力をいたしまして、大体今年におきましては、一つが二十四万キロぐらいまで出せる。従いまして両方で三十万ずつ六十万ある。現在におきましては二月に関西地区で七十四万というものは出せるのでありますが、その大部分が尼一、尼二でございます。それが完成するかいなかということが、キャパシティーに非常に影響いたします。一部まだ未完成でありますが、そういう目標で関西関係の方は、この二月ごろにおいては完成いたしますので、ずつと回復することができる、こういうように考えております。
  117. 神田博

    神田委員長代理 よくわかりましたが、この二月に完成すると、大体前のような程度にもどる、こういうことになるわけですな。関東の方も先般のキティー台風でやられておるが、大分もどる。全部もどつて来ると、相当先ほど来答弁されておるような数字に近い、こういうことになるわけですな。
  118. 武内征平

    ○武内説明員 最も大きい火力のキヤパシテイを有しておつたときは、約二百九十万キロワットくらいあつたのでありますが、それが先ほども申しましたように、終戰直後におきましては九十万キロワットに減つたのであります。それを全体として現在百八十万キロワツトに回復したということでありますが、今まで改修いたしたのは、比較的やりやすいところと、どうしてもやらなければならぬところでありまして、今後に残るところは、今後再び火力として生かす必要があるかどうかというような検討を要する点もありますので、終戰前の目標までただちに持つて行くことができるかどうかということにつきましては、そういう観点から研究いたさなければならぬと思います。しかしながら火力の補充ということは何よりも大切でありますから、力を入れて行きたいと思いますが、そういう事情がありますことを御了承願いたいと思います。
  119. 神田博

    神田委員長代理 よくわかりました。  これにて電力情勢に関し当局より説明聽取の件を終りたいと思います。     —————————————
  120. 神田博

    神田委員長代理 次に十月二十六日に予備審査のため付託されておりまする内閣提出産業設備営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案、以上五法律案を一括議題として審査に入ります。まず提案理由の説明を求めます。
  121. 稻垣平太郎

    ○稻垣国務大臣 ただいま議題になりました件につきまして、提案の理由を御説明申し上げたいと存じます。  まず産業設置営団法及び交易営団法を廃止する等の法律案について提案理由を御説明いたしたいと存じます。  産業設備営団及び交易営団は、戰時中それぞれ産業設備営団法及び交易営団法に基いて軍需産業、生産拡充計画産業、その他国家緊要産業設備の建設、または戰時に際して交易の統制、重要物資の貯蔵等を目的として設立せられた特殊法人でありますが、昭和二十一年十二月十八日及び昭和二十二年二月二十日、閉鎖機関に指定せられ、閉鎖機関令の規定に従つて解散し、現在大蔵大臣監督のもとに、閉鎖機関整理委員会が、特殊清算人としてその清算に当つているのであります。しかるに両営団法はいまだ廃止せられませんで、形式的にはなお存続しておりますので、本法案はこの際、第一に両営団の特殊清算の事務の進行状況ともにらみ合せ、両営団法の失効の時期をあらかじめ明確にしておくこと。第二両営団法は特殊清算を行うに必要な範囲以外のいかなる業務も行い得ないこと。第三に、両法に基き新たに産業設備営団または交易営団は設立してはならないことの三点について規定を設けまして、両営団の廃止に至るまでの法律関係を明確にせんとするものであります。  以上が本案を提出いたしました理由でありまして、何とぞすみやかに御審議の上、御協賛あらんことを希望いたします。  次に帝国石油株式会社法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明いたします。帝国石油株式会社法は、石油資源開発を促進し、その振興をはかるため、帝国石油株式会社政府の特別な監督と助成を與え、必要な事業を営ましめる目的をもちまして、昭和十六年三月十五日法律第七十三号をもつて公布されましたいわゆる特殊会社法であります。帝国石油株式会社は同法に基き、昭和十六年九月一日資本金一億円をもつて設立されましたが、政府はその資本金額の半額にあたる五千万円を出資いたしました。その後、同社の事業情勢に応じて拡大され、資本金も四億六千万円に増加され、終戰に至りましたが、戰時補償の打切り、在外資産の喪失等によりまして、約三億の特別損失を生じましたので、特別経理会社の指定を受け、昭和二十四年五月十四日に持株会社整理委員会の決定指令に基くところの保有株式の処分及び未利用鉱区の処分案を織り込みました整備計画を提出、これが同年八月三十一日付をもつて無條件に認可になりましたので、同社はそのまま存続することになりました。  さて同社は石油増産五箇年計画を強力に推進するために、資本金を十億に増資することとなりましたが、政府は、従来の半額出資の原則に応じがたい情勢にありますのと、かつ財政收入の確保をはかるために、同社に対する政府の出資義務を解除し、政府所有の株式を処分することができるようにする必要がありますので、とりあえずその一部を改正して政府の出資義務等、同社の資本金に関する規定を削除するため、この法律案を提案する次第であります。  なお政府の出資義務の解除された後におきましては、同社に対する政府の今後における施策を、石油鉱業一般の基礎の上に立ちまして考慮し、すみやかにその準備措置も講じた上、帝国石油株式会社法を廃止いたす予定であります。何とぞ愼重御審議の上、可決されんことを希望いたします。  次に帝国燃料興業株式会社法を廃止する法律案について、その提案理由を御説明いたします。御承知のごとく帝国燃料興業株式会社は、帝国燃料興業株式会社法に基きまして、主として人造石油製造事業に対する投資をなす目的をもちまして、昭和十三年一月十九日資本金一億円で設立されました。政府は、人造石油製造事業の振興をはかるため、同社の資本金に対し、その半額の五千万円を出資いたしまして、直接帝国燃料興業株式会社法による強力な監督と助成を行いましたが、その後同社の事業も漸次拡大されまして、資本金も二億五千万円に増加され、投融資事業と並行いたしまして、直接人造石油製造業を営みましたが、終戰後は樺太その他にありました海外資産の喪失、国内諸施設の戰災及び政府補償の打切り等、甚大な影響を受け、特別損失額は八億円に達しましたので、特別経理会社となりました。同社は、その残存施設を利用して、硫安製造用原料ガスの製造等を行う三会社をつくりまして、これらを第二会社とし、同社は解散する整備計画を提出いたしましたところ、本年四月二十六日認可されましたので、それぞれ第二会社に現物出資を終り、同年七月七日に解散いたしました。以上申し上げましたように、同社が解散いたしました後におきましては、帝国燃料興業株式会社法は、しかるべく早く廃止する必要があるものと存じます。  ここにおきましてこの法律案を提案いたす次第であります。何とぞ愼重御審議の上、可決されんことを希望いたします。  次に帝国鉱業開発株式会社法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。御承知のごとく帝国鉱業開発株式会社は、帝国鉱業開発株式会社法に基きまして、昭和十四年設立されました。同社の目的は重要鉱物の増産と鉱業及び製錬業の整備とをはかることにありまして、創立当初の資本金三千万円中一千五百万円は政府出資であります。同社は政府による強力な監督と助成のもとに、漸次事業を拡大しまして、資本金も一億一千五百万円に増加いたしましたが、終戰により同社の使命も一応終了いたし、一方戰時補償特別措置法の施行に伴いまして特別損失額が約七億円に達し、特別経理会社となりましたので、目下第二会社を設立いたしまして、解散することを内容とする再建整備計画を提出中であります。従いまして帝国鉱業開発株式会社法につきましても、再建整備計画が認可され、同社が解散いたしました後におきまして廃止法案を提出する予定でありますが、当面の財政收入の確保をはかるため、政府所有株式を至急処分する必要がありますので、とりあえず政府の出資義務の規定等、資本金に関する同法第三條を削除して、政府所有株式を換価処分し得る道を開くため、この法律案を提案いたす次第であります。  何とぞ愼重御審議の上、可決されんことを希望いたします。  次に日本製鉄株式会社法の一部を改正する法律案について御説明いたします。本改正案は日本製鉄株式会社に対する政府の出資義務を規定した第五條を削除することによつて、現在政府の保有する株式を民間に放出して、財政收入の増加をはからんとするものであります。  日鉄法は前大戰後より昭和初年にかけての不況時代に、官営八幡製鉄所を中核とする企業集中を行うことによつて、これを打開すべく成立したものでありまして、爾来日本鉄鋼業の中に圧倒的な比重を占める日鉄を国策会社として運営して参つたのであります。しかしながら日鉄は過度経済力集中排除法の適用を受けまして、近く二社に分離することとなつており、その際は日鉄法自体を廃止すべきでありますが、現在銑鉄の八割、鋼材の四割近くを生産する日鉄をただちに放任すれば、種種独占的な弊害を生ずるおそれもあり、分離するまでは日鉄法存続の必要があるのであります。  一方において財政收入の増加は急を要するため、今回第五條のみを削除することとしたのであります。第五條は本来監督のために設けられたのではなく、官営八幡製鉄所の資産を確保せんとしたものであつて、これを削除しても独占的な弊害の防止のためには、何ら支障は来さないものであります。また株式も市場の圧迫を来さないよう、適当に放出して行く方針であります。  何とぞその意味におきまして御審議あらんことをお願いいたす次第であります。  以上五法案につきまして、提出の理由を御説明申し上げました。
  122. 神田博

    神田委員長代理 これにて政府説明は終りました。  本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。詳細は公報をもつてお知らせいたします。     午後四時散会