○永井(要)
委員 私はこの
機会に
日発の問題につきまして、その
経営面その他
電気事業再
編成等に関しまして二、三御質問を申し上げたいと存じます。
日本発送電会社は終戰後四箇年をけみしておるにもかかわらず、他の
産業に比しましてその改善向上は遅々として進捗いたしておりません。
独占事業としていたずらに需用者たる国民並びに
政府に一方的に依存要求を迫
つており、公益
事業としての本体を沒却いたしまして、恬として恥じざる状態でありますので、ここにその
電力行政並びに
電気事業再
編成に関しまして、私は御質問を申し上げたいと存じます。
まず
日発再
編成を必要とするに至つた理由は、過度の経済力集中排除のためであるのか、あるいはまた
電力統合による不都合を是正せんとするのであるかという点であります。これは
電気事業再
編成のあり方をきめる上において、絶対必要でありますから、特に承
つておきたいと存じます。先に昭和十三年第七十三議会において、
電力国家管理法が通過した当時の公約は豊富低廉にして、しかも品質優良なる
電力の供給がその目的であつたと言われましたが、はたしてそうでありましようか。あるいは大戰争を敢行するために、
電力の統合を断行せんとする口実にほかならなかつたのでありましようか。いずれにしても当時の公約は毫末も実行されていないのであります。これらについて具体的に見解を披瀝し、
政府の所見を伺いたいのであります。
まず豊富な
電力の供給についてであります。
日発当局は常に公約量を出しているということをも
つて、その責任を免れようとしておるのでありますが、しかしながらこれについてはその公約量の内容を吟味しなければならないのであります。そもそも文化の進歩、特に
わが国のように経済再建のためには、
電力の需用は年とともに増加すべき性質のものであると
考えます。しかるにこれに対応する
努力目標を立てて、これを達成せんとするのではなく、無為無能、最も容易な発生
電力量を
基礎として供給
計画を定め、一方的に
消費を抑制するに汲々としておるのが現状であるのであります。支店並びに営業所などの建造物の新築、修理等は積極的にや
つておりますが、
電源の
開発、補修等には、さらに
熱意がないと、つとに世間の定評があるのであります。上椎葉の発電所が
資金がないために、手が出ぬという半面において、長沢のダムは初めはセメントがないためできないと言い、セメントができたら運搬する鉄索が破損しているからやれないと言うのであります。補修について見ても、悠々たる
計画であり、実施に際してはさらに遅れるのであります。仁淀川原発電所の、一箇月くらいで修理し得るはずの発電機の故障修理に、四百日あまりを費している現状であります。かくて同一
地域におけるところの民間
会社の建設修理と対比いたしますと、量的比率において、また速度においても、その差はあまりにもはなはだしいものがあります。擅用
電力に対するところの取締り、送配電線の修理等の不徹底、あるいは従業員の遺憾な行為等のために、配電
電力の損失は三割を越えておる現状であります。しかも
採算関係から火力用
石炭節約のために、火力をフルにたかないで、二十四年の上半期においては、割当量の八割だけをたいておつたということであります。
水力発電所においても、たとえば雨季を控えて、渇水期には
相当思い切つた放水を断行すべきでありますが、万一の場合における火力用
石炭の場合を考慮いたしまして、この挙に出ないであります。これがために雨季に入ると、いたずらに大量の放流を余儀なくされるのでありまして、発電所の最大出力と、可能出力と、実稼働出力との数字について、民間発電所のそれと対比いたしまして、これらの実情は一目瞭然であります。一地区の実例を見ましても、
日発の実稼働率は八二%、
配電会社は八〇%、しかも同地区における民間
会社は一〇〇%を示しておる現状であります。要するに
設備の増強と補修を怠り、しかも現有
設備の運転管理よろしきを得ないために、事ごとに
消費の抑制によ
つて糊塗しなければならないのが現在の実状態であります。北海道、北九州を初めといたしまして、各地の需用者が
消費規正のためにいかに困
つておるかということにつきましては、新しく私が申し述べるまでもないのであります。最近の一例をあげますと、九州の炭鉱は十一月の出炭量は百六十万トンであるが、
電力不足のために二十日間しか操業ができないのであります。かりに、むりに
電力を超過使用して予定
通りの生産を上げるとすれば、超過加算
料金として、実に一億七千四百万円を徴收されるという現状であります。しからば他
産業はどうであるかというに、化学工業関係もまた生産
計画は
設備能力の六割
程度にすぎません。生産
計画は
電力不足のために達成し得ないとのことであります。これがため関係業者が大挙して北九州からわざわざ上京し、陳情しておる次第であります。しかもこれら割当不足のために、困窮した生
産業者等が多大の
犠牲を拂
つて、自家用発電所を動員すると、それだけ受電量を削減せられるのであります。
消費の
合理化によ
つて原單位を下げた場合は、そのために次期割当を削られるのであります。これでは当然だれも
電力の需給の
調整に協力するものは当然ないのであります。
ついでにこの
電力需給について、
政府当局にお聞きいたしたいことは、総合行政官庁が健在なる以上、生産指示と
電力割当とを合理的に関連させることは必要なりと思いますが、この点
政府の所見を伺いたいのであります。
最後に良質廉価の問題であります。
日発当局は
電力料金の不当に低廉なることを常に繰返して強調しておりまして、
電力供給不円滑の原因をこの
方面に転嫁せんとしておるのでありますが、しかしながらまずお尋ねしたいことは、真に不当に低廉であり、これが大なる禍根であるとすれば、
日発当局は何ゆえにこの適正化のために最善の
努力を拂わぬのか、この
努力をしてもなお実現せぬとならば、
日発みずから反省する必要があると思うが、
政府の所見をただしたいと思います。
日発の
経営は赤字であり、その累計損失は巨額に上
つております。この結果をいかにするかが問題であり、これを切り離しまして、現行
料金を低廉なりと論ずることはまことに不穏当であります。需用家に対するサービスが悪い、これは全般的の声であります。災害時の措置敏活を欠くために、操業上重大なる支障をこうむり、それがために莫大なる損害を生ずるのであります。
次に
電力の質が悪い、常時、期間常時、特殊等それぞれ
料金に差をつけておりますが、期間常時と称しながら、その実期間常時に値せぬ不良なものでありまして、この面からも
料金が低廉なりとは言いがたいのであります。さて
料金でありますが、はたして言うがごとき低廉でありましようか。
日発は他の安定帶物資等に比較対照いたしまして、現行
料金が不当に安いと言う、はたしてどういうものでありましようか。一般
電力料金はその基準年度に比して三十六倍
程度であります。大口需用者は六十二倍
程度でありまして、すなわち大口需用者の
犠牲において、一般
料金を低廉にとどめておるのでありますが、経済復興の見地からもこの点は問題であります。いわんやアルミニウム工業におけるがごとく、自家発電を保留し得たとすれば、現行発電
料金の四分の一で事足りる状態においておやと言わなければならないのであります。前述の安定帶物資との比較についても、
日発はインフレ下の新規
開発、補修等をあまりや
つておらないのでありまして、
従つて償却費が少くてよいはずであります。この一点だけから
考えても、終戰後大規模な拡張修理を断行した他
産業の物資とは、同一に論じられないのであります。しからば
日発のコストはそもそも何によるのでありましようか。それは主として放漫
経営によると断ずるほかはないのであります。その第一点は、従業員の過剰であり、また職場転換を勇敢かつ有効に断行していない証拠であります。
終戰後における出力の増強は、ほとんど見るべきものがないにもかかわらず、従業員数はどんどん増加しているのであります。今日においては、終戰の年に比して約二割を増加しております。特に直接の現業員に比して間接従業員があまりにも多いのであります。たとえば各地方の支店には、現場との中間に支社なるものがありまして、大量の人員を擁しているのであります。戰争中の非常事態に備えるためならばともかく、終戰後の今日においては、直配事務以外大した仕事もないとも思われるのであります。それにもかかわらず大量人員を必要とする理由は、はたしてどこにあるか、これをお伺いいたしたいと思います。
出力の増強よりも人員増加の成果見るべきものがある結果、一人当りの販売
電力量は年とともに低下して、民間発電などにはとうてい比較にならないのであります。しかもこの過剰人員を擁しながら、残業その他によ
つて基準外賃金を、基本給の実に三〇%以上も支給している
地域もあるといわれております。特に驚くべきことは、有給退職者の問題であります。本年六月までに支給した有給退職者への給與は、実に九億九千万円を越えているではありませんか。この点は主として無為無能なる幹部
当局が電産の労働攻勢に押された結果であると思うが、
政府の見解はどうか、これをお伺いしたいと思います。
要するに
電力統合による
日発の独占的
形態が、今日のごとき不都合を生ぜしめたその結果、国民生活に重大なる脅威を與えまして、さらに再建途上にある国家全
産業に対し、甚大なる影響を及ぼしておるものであり、これをすみやかに打開、振興する道は、一にかか
つて日発幹部の誠意のある
努力であり、熱誠を持
つて経営の
合理化をはかり、この重大難関を突破せねばならぬと思います。すなわち人員の整理、配置転換、送電ロスの徹底的引上げ並びに盗電の排除等に努めなければ、この
発送電の
経営の改革は
合理化されぬのであります。
以上簡單ではありますが、数項にわたりまして、
政府の明解なる御答弁を承りたいと存ずるのであります。