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1949-11-29 第6回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十九日(火曜日)     午前十一時三十六分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君    理事 川本 末治君 理事 菅家 喜六君    理事 野村專太郎君 理事 久保田鶴松君    理事 大石ヨシエ君 理事 田中  豊君       淵上房太郎君    吉田吉太郎君       龍野喜一郎君    大矢 省三君       坂本 泰良君    門司  亮君       床次 徳二君    谷口善太郎君       鈴木 幹雄君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長         (地方自治庁連         絡行政部長)  遠山信一郎君         総理府事務官         (地方自治庁財         政部長)    鈴木 俊一君         総理府事務官  荻田  保君  委員外出席者         議     員 上林榮吉君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 十一月二十九日  委員竹山祐太郎君及び大矢省三辞任につき、  その補欠として井出一太郎君及び坂本泰良君が  議長指名委員に選出された。同日  委員坂本泰良辞任につき、その補欠として大  矢省三君が議長指名で選任された。     —————————————  十一月二十八日  地方財政法等の一部を改正する法律案上林山  榮吉君外十名提出衆法第四号)  の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  通商産業省及び運輸省の地方行政機関の整理に  伴う臨時措置に関する法律案内閣提出第四一  号)  地方財政法等の一部を改正する法律案上林山  榮吉君外十名提出衆法第四号)     —————————————
  2. 菅家喜六

    菅家委員長代理 これより会議を開きます。  本日は都合により委員長がお見えになりませんので、委員長指名により私が委員長の職務を代行いたします。  日程を変更しまして、まず昨日付託になりました地方財政法等の一部を改正する法律案上林榮吉君外十名提出衆法第四号を議題といたしまして、提案者上林榮吉君より提案理由説明を聽取いたすことにいたします。
  3. 上林山榮吉

    上林榮吉君 ただいま議題となりました地方財政法等の一部を改正する法律案提案理由簡單に御説明申し上げたいと思います。  まず第一條に「地方財政法昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。」という点を御説明いたしたいと思います。第三十二條は御承知通り「都道府県並びに京都市、大阪市、横浜市、神戸市及び名古屋市は、当分の間、公共事業財源に充てるため必要があるときは、当せん金附証票法の定めるところにより、当せん金附証票を発売することができる。」とあるのでありますが、その三十二條中「及び名古屋市」とあるのを「、名古屋市及び戰災による財政上の特別の必要を勘案して内閣総理大臣が指定する市」というふうに改めたいのであります。  次に第二條でありますが、第二條もこれに関連する單なる改正でありまして、当せん金附証票法昭和二十三年法律第百四十四号)の一部を次のように改正したいというわけであります。簡單に申し上げますと、五大都市戰災都市とを引つくるめまして、これを特定市というふうに呼びたいというのが、その趣意でございます。  第3條はこれに関連する問題でありまして、地方自治庁設置法昭和二十四年法律第百三十一号)の一部を次のように改正したいという意味でありまして、これも單なる関連の改正であります。  なおこれの理由簡單に御説明いたしますと、戰災都市は御承知通り財源が非常に逼迫しておりまして、財源を緩和して復興を一日も急ぎたいために、この財源調達を容易にしたいという意味で、各党連繋をとつて今日まで、たとえば競輪ないしは競馬法等改正をして、いろいろ努カして来たわけでありますが、それでもなお御承知のように、戰災復興財政上の理由で非常に遅れておりますので、この法律を一部改正して、これが地方財源調達を容易ならしめようというのが、その理由であります。簡單でありますが、御説明をいたしたわけでありますが、どうぞ御審議願いたいと思います。
  4. 菅家喜六

    菅家委員長代理 それではこれより質疑に移りたいと思います。谷口君。
  5. 谷口善太郎

    谷口委員 戰災都市というのは全国幾つくらいあるのでしようか。
  6. 上林山榮吉

    上林榮吉君 現在戰災都市として指定されているのは八十五ぐらいではなかつたかと思います。はつきりした数字はわかりませんが、大体八十幾つということだけははつきりしております。
  7. 谷口善太郎

    谷口委員 その人口はわかりませんか。
  8. 上林山榮吉

    上林榮吉君 通俗的には人口約二千万、こういうふうに言われております。但し正確な数字は、ここに資料を持合せておりません。
  9. 谷口善太郎

    谷口委員 そうしますと、すでにきまつております五大都市、これと合せまして日本人口の大体三分の一、あるいは半分に近いものがこの範疇に入るわけですね。
  10. 上林山榮吉

    上林榮吉君 五大都市を除くというわけではなく、含めて人口二千万だというふうに承知しております。
  11. 谷口善太郎

    谷口委員 この法案を出されたのは、地方財政が非常に逼迫しておる、特にその中でも戰災都市が困つておるからという御趣旨からだろうと思いますが、この当籤金附証票というのは一種のばくちでありまして、終戰後競馬だとか、競輪だとか、あるいは宝くじ富くじのようなものがどんどん出されまして、ただでさえ人心が安定していない状態にある中において、僥倖を頼む方向国民大衆ひつぱつて行つておるのですが、さらにこういう当籤金附証票を出して、それを全国戰災都市に広げていくといやり方は、なるほど地方庁が賭博の胴元をやるのですからもうかるでしようが、そのことのために国民の風教上問題、あるいは生活の問題に非常に悪影響を及ぼすことは御承知通りであります。そこでこれを広げて一般化して行くということから来るこのおそるべき結果をどうするかということについて、提案者はどうお考えになつておりますか。
  12. 上林山榮吉

    上林榮吉君 こういうような法律を永久にやつて行くかということは、一応研究の余地があるだろうと思いますが、御承知通り地方財政法第三十二條の当分の間というような意味を含んで、この法案が制止されておりますし、当せん金附証票法の中にも第一條に「この法律は、経済現状に即応して、当分の間、」というような趣旨を含んでおるのでありまして、戰災都市がここに五年あるいは十年の間に、復興する間というような目途によつて、私どもはこの案を出したわけでありまして、谷口さんも御承知通り戰災都市は国の補助、あるいは地方団体財政だけでは遅々として復興がはからどらない現状でありますので、嚴密考えれば、多少弊害もありましようが、大きな立場から申しまして、私どもに何ら御懸念になるような方向には進まない。どうしてもこの際地方財源調達して復興を促進したい、そういう意味重点を置いて提案いたしたわけでございますから、御了解を願いたいと思います。
  13. 谷口善太郎

    谷口委員 懸念はないというようなお話でありましたが、そうではなく、新聞などにおいて時々見ます通り当籤金附宝くじ買つて当らなかつたために、自暴自棄になつたような事例があるのでありまして、もしあれを統計的に数字を上げてみれば、おそらく相当広い範囲に僥倖を頼むという悪い風潮が滲透しておるのじやないかと私ども思つております。なおこの上にこういうものを広げて行くことは、非常に大きな悪い結果を與えると思います。三年とか、五年とか、十年とかの期間で、これをやめるということを言いますが、三年とか五年とか十年の間に、日本国民がばかになるようなことになつたらたいへんであります。事実戰争後の道義の頽廃といいますか、あるいは国民生活の中によろしくないものが含まれて来たのには、いろいろの原因があるでしようが、その原因にさらに拍車をかけるような、こういう賭博、これは純然たるばくちでありますが、こういうものを政府もしくは地方団体が好んでやるということについては、悪い影響はないというように軽々しく見るべきではないと思うのです。そういう点について、そんなに心配するほどでないという御結論を持つていらつしやるようですが、それについての資料と申しますか、そういう御決意をなさつた根拠を示していただきたい。
  14. 上林山榮吉

    上林榮吉君 あなたの言われるような嚴密資料というもりは持ち合しておりませんが、しかし御承知通りにこの法案目的は、先ほど地方財政法の三十二條及び当せん金附証票法の場合にも御説明申し上げましただとく、きわめて短期間にこれをばやりたい。さらにまた当せん金証票法の第一條にあります通り、「この法律は、経済現状に即応して、当分の間、当せん金附証票の発売により、浮動購買力を吸收し、もつて財政資金調達に資することを目的とする。」とうたつてありますように、われわれといたしましては一面御懸念になるような点もあるが、一面また浮動購買力を吸收することによつて、かえつてこれが健全な経済活動への基礎になるのだ、さらに目的戰災復興という目的でありまして、公共性が非常に大きい、こういうところに重点を置いて考えますときに、比重の点からいいまして、当分の間はわれわれの言つたような傾向に行くべきものではないか、こういうふうに考えて提案いたしておるわけであります。
  15. 谷口善太郎

    谷口委員 浮動購買力の問題でありますか、こういう問題は、お互いに胸襟を開いて論議すべきだと思うのです。終戰後の一年、二年の間のあの経済状態と、現在とはまつたく国民大衆購買力がかわつて来ておるのであります。終戰後のあの状態の中で、やみ行為が非常にはやりまして、やみインフレの中で相当の所得を得て、その捕捉ができないというような状態が非常に多かつた。たとえば例はよくありませんが海外から帰つて来られた、あるいは復員せられた方々、あるいは終戰によつて職に異動があつた方々、もしくは正しい職を持つていても、その收入ではとうてい生活が補えないというような状態もあつて、あのインフレの中で国民の非常に大きな部分がいわゆるやみ行為をやつた、相当浮動購買力が当時はあつたと私どもは思います。これを対象としてやつたことと、私ども理解するのでありますが、あの当時から見ますと、現在では国民購買力というものは、いわゆる金詰りでありまして、落ちておるのではないかと思うのであります。特に今年になりましてから、失業者が非常に多くなつております。工場が閉鎖されたりなんかしまして失業者が多くなり、そのために配給物資すら買えないという人が、非常に出ておるのであります。昭和二十三年度にできました当せん金附証票法という法律ができたのちの一年間の日本の国の変動は、非常にはげしいものでありまして、特に吉田内閣のいわゆる集中生産方式によります今年の状態は、政府自体国民生活の中にいわゆる耐乏、より以上の耐乏をなさなければならないことを認めておるわけであります。そういうときに依然として国民生活浮動購買力があるというような考え方から、おやりになること自身が、これはやはり私はそういう見地から承服できないのであります。特に最近の地方財政の逼迫あるいは租税、地方税徴收成績が非常に悪い、こういう点から見まして、聞くところによりますと国の競馬地方競馬という競馬を主催する権利争い、こういうものが富くじの中でも起つて来ておる。国と地方団体の間が購買力が一定しまして、非常に悪くなつているので、どこでやりましても自由に売れないという点で、国の権利地方によこせ、あるいは地方に移すかわりに競馬は国に集中するというような、いわゆるあなたのおつしやる国民浮動購買力吸收のための、ばくちを道具として国と地方団体が必死になつてつている、こういう状況があるのでありまして、こういうことはとりもなおさず何とかして国民からばくちでも何でもいいから、かつさらつて行こうということを、国と地方団体とが争つているということを意味するのであります。そういう中で私どもこの案は、ひとつ争いの形としか思えないのであります。こういう点は経済的に申しましても、今申したような状態でありますし、その結果として国民に與える悪影響はますますひどくなつ来て、国民全体が非常なヒステリックな状態に陷つて行く原因になると思います。これはそう簡單に心配はいらないというふうには私は考えられませんし、購買力を吸收するのだというふうなおつしやり方は、現在ではそれはりくつにならない。ただ問題は何でもいいから国民から金をかつさらつて行こうという、非常に一方的なおそろしい考えにすぎないと私ども思うのであります。それよりも昨日もここで地方配付税の特例に関する法律の一部を改正する法律案通つたのでありますが、国から当然出さなければならない配付税なんかを、国が出さないということに対して、民主自由党の諸君は賛成していらつしやる。地方が当然とれる、法律上認められている正規税金をいらないと言ておる。そうして一方にこんなばくちをやつて国民から金を集めようというやり方については、どうしてそういうことをなさるか私どもにはよくわからない。そこをもう少し納得行くように言つてただかないと困る。
  16. 上林山榮吉

    上林榮吉君 なかなか緻密な深刻な御質問でございますが、確かにあなたの言われるように、終戰直後浮動購買力状態と現在の状態とは、その質において違つておる。こういうように私どもも認めるのでありますけれども、御承知通り府県まで、この前まではこの仕事ができたわけでありましたが、この前の国会五大都市がこれに加わつた。その後の状況を見てみますと、大体において成績を上げておるところもある。あるいはようやく收支が償つておるというようなところもありますが、そういうような点から申し上げまして、決してわれわれは国との争い合いをするのではないが、むしろあなたのおつしやる趣旨からいつても、国家がこういうようなことは漸次やらない方向に持つて行つて、しかも財政の貧困な地方においては、あるいはこれを一定の條件を付して許すというようなことが、われわれは全体の購買力ないしは財政の調節という点からいいのではなかろうかというようなことを、将来は考えておるわけであります。そこでこの問題についていろいろと御議論がありましたが、われわれとしてはおつしやるように懸念される部分もあるが、総体的に見た場合は、当分の間これを実行しても実績を上げることができる、こういうように考えております。もちろん御議論通り国が出すべき補助あるいは交付金等の問題については、これは積極的に努力をしなければなりませんが、御承知のような国の財政状況をもつてしては、すべて調達して行くということはできないのでありますし、ことに地方自治体においては、自治体みずからがある程度活躍しなければならぬ性格に移りつつある今日においては、私ども必ずしもこれが矛盾をするものではない、多少の懸念される部分はあるが、おつしやるようにそう根本的に矛盾はしない、こういうように考えて、この案を提案しておるわけであります。
  17. 谷口善太郎

    谷口委員 事実今やつております富くじは大体大衆の消化ができておるように、私は知つておるのでありますが、売れなくて困つたというようなこともぼつぼつ出て来ておる状態でありますが、しかし大体において消化されておることは事実だろうと思う。しかしこのことが一層あの正規大衆経済生活を破壊する形においてなされておる。つまりあすの配給の米のために金がいる、その金でも使つて買おうという、そういう人間が出て来ておることを私ども意味しておると思う。たとえば地方税金徴收状態を見ますと、政府の報告によりますと、大体四割か五割くらいで、昨年度よりずつと低い徴收率しか現在は示していない。つまり正規税金すら納められないような状態の中で、しかも富くじが売れるという現実こそ、最も恐ろしいものがあると思う。なんでこういうことをやるか、こういう状態を私どもはやはり直視しなければならぬ。つまり配給をとらなくても、税金を納めなくても買いたいという射倖心をあおるようなことを一方でやつておるわけです。これはひどいことだと思う。税金も納め、配給のものもとれる。そうして購買力があつてつておるならば悠々としてやれると思う。ばくちでありましても、最初遊んでおる間はようございますが、負けてかんかんになつて来ると、山も田も売るというあの心理に大衆がなりつつある。そういう観点に立つて今の富くじが売られておる。この事実を見なければならぬ。これは日本民族にとりまして大きな問題だ。それをなおかつもつと広げてやろうというようなやり方は、多数をとつていらつしやる——上林山さんは自由党の方だと思いますが、政府與党の人としまして、こんな恐ろしい政治をなさることは、もつてのほかだと思う。むしろ私どもは、中央政府がやられるというほどの抱負を持つならば、こういうばくちに類するものは全部やめさせるという方向へ行かなければ、健全な国民生活は発展しない。それをなおかつやろうと言われるのには、何かよほどの理由がおありだろうと思う。戰災都市経済的に非常に困つてつて、再建が遅々として進まないという問題は、国全体、われわれ国民全体として特に正規な形で努力すべきだと思う。国民を泥濘に陷れるような恐ろしい施策を、この際さらに多く広げて行くようなやり方につきましては、私どもはやはりもつとあなた方の確信あるお答えを聞かないと、ちよつと納得できないわけでありますが、いかがでしよう。
  18. 上林山榮吉

    上林榮吉君 議論を繰返してもしようがありませんが、私は先ほどから御説明申し上げている通り、あなたと見解を異にしているのであります。購買力の問題にしても、なるほど国民の層がかわつているということは認めます。部分的にはおつしやるような事情も出て参りますけれども購買力の層がかわつた以上は、相当余裕のある者がこの方向に、くじを買い求めて行くというふうに、私どもは見ているのでありまして、購買力の層のかわつたこ者は認めるが、これを当分の間、しかも目的財政の逼迫した戰災復興という大きな目標であります。なるほど正規方法によつて、国の補助なり、あるいは地方財源の拡充なりを地方財政当局考えなければなりませんが、それも考えているし、またわれわれも協力いたしているわけでありますけれども、それではなおかつ遅々として進まないので、こういうような間に合せの方法によつて資金調達して復興を早からしめるというのが、その趣旨でございますから、決して射倖心をそそつて、不健全な経済活動のみに持つて行こうとするものとは、全然考えておりません。その部分的弊害は認めるけれども、総体的には、まだ公共的なこういう事業をやるという方向が重大だと、われわれは考えますので、この案を出したわけであります。
  19. 谷口善太郎

    谷口委員 購買力の層がかわつたとおつしやいますけれども提案者は一ぺん宝くじ買つている連中状況ごらんなつたらわかると思う。赤ん坊を負つたおかみさんや、あるいははだしでぐしやぐしややつている戰災孤兒連中が、これを買うために集まつている。自動車へ乗つて飛び歩くような非常に裕福な連中は、こういうものを見返りもしない。ただ二十円出したら百万円当るじやないかという射倖心にとらわれた人々によつて、この宝くじの金が集められている。ばくちをやりましても、そのことの結果何ら影響を及ぼさずに笑つて済ませるような人々は、これを顧みないのであります。ほんとうのその日暮しの連中が集まつて来て買つている。主人がしかるから、細君がこつそり年末に百万円当るかもしれぬといつて買つているその連中の金であります。これが国民の中心である。あなたはお笑いになつているが、あるいは学生だとか、そういう連中が主として買つているのであります。これはみな百万円当らぬかというただ一つの望みだけであつて、こういう連中を相手に集めている金——そういうやり方を不健全でないとは言えないのであります。不健全以上の不健全だと思う。これを広げるということにつきましては、よほどそれに対する対策とか、あるいはそういうことをやつても何ともないのだというお答えがあれば別でありますが、私どもはそうは思えないのであります。今の御説明では納得できないのであります。それからこういう戰災都市に対する国家全体としての復興援助と言いましようか、あるいは施策と申しましようか、そういうことは特に別にやはり考えるべきでありまして、それにつきまして、提案者民主自由党の方では、どういうお考えを持つていらつしやいますか、あるいに何を出されたかを聞きます。宝くじによらないで、健全な国家財政援助によつて、これをどうするかということについて、何かおやりになつているかということも聞いておきたいと思います。
  20. 上林山榮吉

    上林榮吉君 私は購買力の層がかわつたということを申し上げましたが、それはあなたの言うような弊害を、全然認めておらぬという前提のもとに申し上げておりません。しかしまたおつしやるような方面の人たちが、かりにこの宝くじ買つても、それは一人で何百円、何千円と買う人は少いのであつて、わずかにポケットマネーをこれに向けようという程度弊害であると思います。もし弊害だとおつしやれば、その程度のものであるというような意味において、多少の弊害はあるが、大きな目的のためにはそれはやむを得ないのだ、こういうふうに私は考えます。  次に正規方法によつて提案者あるいは民主自由党は、と特にお名指しをされたのでありますから、申し上げますが、これは民主自由党に限らずわれわれ戰災議員連盟においては、特に戰災復興五箇年計画を政府に要請いたしまして、政府もこれを認めて、本年度の補正並びに明年度の予算には、はつきりした数字はまだ確定はしないが、三十数億のものが出されるし、五箇年の間には三百三十億円程度復興費も出されるはずでありますし、あるいはその他たとえば戰災都市に対する交付金についても、ある程度の考慮を加える、場合によつて相当額をこれに向けようというような意味で、政府にも要請し、われわれも努力して来ているのであります。その他具体的に申しますれば、まだ数件ございますけれども、省略いたしまして、私どもはそういうような方向で、政府を鞭撻し、われわれもこれを主張して、戰災都市復興のために努力して来ているつもりでございます。この程度で御了解願いたいと思います。
  21. 谷口善太郎

    谷口委員 提案者は、実際国民多数の生活現状を御承知ないと思います。二十円とか、三十円とか、五十円とか、百円とかいうその金で、どうしようかと言つている国民が絶対多数いるのであります。この連中が二十円とか、三十円とか富くじ買つて、百万円の夢を見る、そういう恐ろしい政治にひつかけられている、かきまわされているのであります。こういう人間が多数なんであります。三十円や五十円や百円の金は何でもない、タバコ一個だという気持で考えておられるのは、国民のうちの——まあ私ども国会議員の一人でありますから、その一人だと思いますが、要するにそんなに生活に困らない連中です。ところが、ほんとうは二十円とか三十円とかいう、これはあなた方からお考えなつたら、そんなばかなことはなかろうと思われるだろうと思いますが、事実はそうなんであります。ほんとうにきようのいもの配給ももらえないという連中が、この富くじ買つております。この連中が百万円につられてかきまわされているのであります。不健全な政治の中へたたき込まれているのであります。どろの中へ押し込まれているのであります。これが実情であります。これをあなた方がごらんにならないのは、実にもつてのほかだと思う。富くじというものは、現在はそういうのを基盤にして成立つているのであります。この連中が三十円、五十円のために富くじ買つて、百万円当らない、そのあと受ける失望と、それから精神の何と申しましようか、空虚と申しましようか、こういう気持が国民にとつて、どんなに悪い影響を與えているかを、皆さんお考えにならない。この点を私ども考えてもらいたい。民主自由党は絶対多数党で何でもできるから、むしろこういう不健全なことをやることを全廃するという方向をとつてただきたいと思う。繰返すようでありますけれども戰災都市をよくするために、今民主自由党は御施策になつているのでありますが、私どもは国の財政のやりくりによつて、もつともつとできると思う。今国の予算を支出している面で、日本ほんとうの再建のためにむだな、むしろ非常に有害になつている大きな支出がたくさんあると思う。そういうものを全廃して、戰災都市復興するような方向へ持つて行こうという、健全なる方向こそ、各党みな一致してやるべきことだと思う。それは、地方団体はこうやつてやれば喜ぶでしよう。地方団体理事者というものは、何でもいいから金さえ集めたらいいと思つているから、これをやつてやれば喜ぶかと思います。しかしそういう結果国民生活国民の思想というものの中に、日本の民族の将来を決定するような非常に恐ろしい大きな問題が含まれているということを、私はこの際特に認めていただきたいと思う。私はそういう意味でやはり反対せざるを得ないのでありますが、こういう質問をいくら続けておりましても、意見の相違だとおつしやればしかたがないので、質問はやめますが、この点は十分考慮していただきたいと思います。
  22. 菅家喜六

    菅家委員長代理 それでは午前中の会議はこの程度にしまして、午後一時より再開することにして暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時五十分開議
  23. 中島守利

    ○中島委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  地方財政法等の一部を改正する法律案上林榮吉君外十名提出衆法第四号)を議題として質疑を続行いたします。
  24. 谷口善太郎

    谷口委員 もう一、二点聞いておきたいと思います。この当せん金附証票法によりますと、こういう証券を発行する場合に、必ず何に使うかその公共事業の内容を明細に申告することになつておるが、現在まで各地方団体で発行した経験、どういう事業に主として使われておりますか、それをお聞きしたいのが一点であります。  もう一つはこの改正案の通りました後に各団体がやる場合に、その目標とする事業について学校の建設とか、災害事業だとかいうふうに、その範囲を嚴重に明確に定られる御意思があるかないか。その点についてお伺いしておきたいと思います。
  25. 上林山榮吉

    上林榮吉君 これを申請をする場合には、調達した資金公共事業の計画なら計画に使うということを記載した申請書を出さなければならぬことになつておりますので、大きな意味においては御趣旨に沿い得るようなことになるのではないかと考えるのであります。同時に本改正案は戰災による財政上の特別の必要を勘案してやるわけでありますから、主として戰災復興のために、これを使うというような申請書が付随せらるべきものと考えております。
  26. 谷口善太郎

    谷口委員 鈴木さんが見えていらつしやるので、ひとつお尋ねしておきますが、今日まで都道府県がこういう宝くじを売出しましてから、相当資金を集めているわけでありますが、この売出しの事業の遂行途上に相当の不正事件があるやに私ども聞いております。一例を申しますと茨城で昨年の暮れにやりましたときに、管理者が賞品の石けんを調達するにつきまして、石けん会社と結託して不当な利益を占めたというような事件も新聞に出ておつたのでありますが、そういうような事実についての報告がありましたら二、三聞かしていただきたいと思います。
  27. 中島守利

    ○中島委員長 谷口君の御質問は財政部長の方の質であつて鈴木さんにはちよつと答えづらいかもしれませんが、あなたにわかる程度お答えください。
  28. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 当籤金附証票により得ました財源を、当初の目的通りに使用しておるかどうかということにつきましては、やはり監査委員が監査をいたしますような際に、監査の対象になると存じます。そういうような際に当初の目的通り使用せられておらず、あるいはさらに進んで不正に使用せられておるというようなことがあつたかどうかにつきましては、政府側は特にこの点につきましてのはつきりした報告、情報等には接しておらない次第でございます。
  29. 谷口善太郎

    谷口委員 私はこれでやめます。
  30. 野村專太郎

    ○野村委員 本案に対しましては、相当委員各位から提案の内容に対して質疑が行われました。特に今日の地方財政の窮乏しておる折柄、戰災都市復興には最も適切な案だろうと思います。そういうような観点から、谷口委員の御意見もごもつともだと思いますが、相当質疑も行われたようですから、この程度で質疑を打切られたいと思います。
  31. 中島守利

    ○中島委員長 野村君の発議もありますし、他に質疑の通告もありませんから、これをもつて本案に対する質疑を終了いたします。  これより討議に入ります。門司君。
  32. 門司亮

    ○門司委員 簡單に申し上げたいと思います。本案が戰災都市財政の一助になるということにつきましては、異存はないのであります。ただ先ほどからの質問の内容にもありましたように、往々にしてこれが目的が示されないで、しかもそれが他によくわからないで、ただ何か地方の公共団体がいたずらに富くじをやるというような感じを與えるということは、やはり社会的の影響もわれわれは考えなければならないと思いますので、でき得るだけ今回の抽選券はこういう目的に使うのだというようなことが、あらかじめ地方の住民に了解が得られ、地方の住民の協力を得る形において行われるようにしていただきますならば非常に幸いだと思います。一例を上げて申しますならば、せんだつてありました横浜市の抽選券の発行につきましては、教育施設改善ということを大体の目標にいたしまして、それを市民に納得していただいて、これの消化に努めたということもありますので、そういうことをよく了承された上で、弊害のないように処置をしていただきたいということを、賛成の意見につけ加えて申し上げておきます。
  33. 中島守利

    ○中島委員長 川西君。
  34. 川西清

    ○川西委員 私は民主自由党を代表いたしまして、本案に賛成いたすものであります。本案の地方財政法等の一部を改正する法律案によりまして、従来都道府県のみに富くじ発売が許可されておりましたのが、前国会におきましてそれが五大都市に拡張せられ、このたび百有余の戰災都市全般において発売することができるようになりましたことは、これら百有余の戰災都市財政窮迫の対処策といたしまして、まことにけつこうなものであり、財源調達を容易にするものでありまして、本改正はまことにこの際適切なる改正と存ずるものでありまして、本案に賛成いたすものであります。
  35. 中島守利

    ○中島委員長 床次君。
  36. 床次徳二

    ○床次委員 私は本案に賛成するものであります。この機会に一言希望を申し上げたいと思います。戰災都市がいまだ十分復興計画が行われておらぬ状態にかかわらず、国家財政の都合上漸次そういう復興事業が縮少せられる傾きがあるのは、はなはだ遺憾でありまして、この方法によりまして一部財源が與えられましたことはけつこうでありますが、なおでき得る限り今後国家におきましては、戰災都市復興を早からしめるよう格段の手段を講じていただきたいということを、特に要望いたしまして賛成いたします。
  37. 中島守利

    ○中島委員長 谷口君。
  38. 谷口善太郎

    谷口委員 共産党は本案に反対であります。戰災都市復興をやらなければならないことは明らかでありますが、これは国が当然政府の責任においてなすべきものでありまして、その国の責任をこういう形で、住民をばくちに誘つて、そのてら銭かせぎをやつて、その金でもつて国のやるべき仕事を肩がわりをするようなやり方、これはやはり非常に間違つたやり方だと思います。これが第一点であります。  第二点は、この富くじの発行は、国民の、特に勤労階級の部分に最も不健全な思想と生活形態を與えておる悪法、悪制度でありまして、これをさらに広げて行くというやり方は、日本の民族にとりまして大きなゆゆしい問題であると思うのであります。むしろ私どもは今日の苦難な日本の国際的な中における立場から考えまして、われわれ日本民族は非常に健全な生活を堅持すべきだ。そういう意味では、こういう競馬とか、あるいは競輪とか、あるいは富くじというようなものは、なるべくなら早く一掃してしまうという方向に行くべきだという考えを持つているのであります。にもかかからず今ここに戰災都市復興という名目のもとにこれをさらに拡げて、先ほど聞きますと約二千万人ほどの住民の住む範囲にまで拡げてあります。そういう点で、国民の健全な思想と健全な生活を堅持するという建前からは、絶対に賛成しがたいのであります。  第三番目に、その当せん金附証票法の出たころには、まだインフレの中での不健全な購買力国民の中にありまして、これを捕捉することができないという一面の理由があつたのでありますが、現在では今の政府施策によりまして、非常に広い範囲の産業が荒廃いたしており、失業者国民の間の相当部分を占めておりまして、顕在、潛在の両方を合しますと、一千万を超えるというように言われており、なおそれが促進されるような状態であります。従つて国民はその生活を維持するために、非常に苦労しておるのであります。そういう中でこういう射倖心をそそるようなことを広げて行きますことは、この苦しい生活をしておる人人に対して、より以上の正常でない生活に導く結果になると思うのであります。こういうことはよろしくないばかりか、そういう意味では購買力が実際に国民の中にはなくなつておる。従つて最初この法律が立案され、制定された当時の事情と、まつたく国情がかわつておるという点からも、実情にそぐわないものであると存じます。簡單でありますが、以上の点から今日こそ、こういう射倖心をそそるような施策もしくは法律は、全廃すべき時期であるということを主張いたしまして、本案に反対いたします。
  39. 中島守利

    ○中島委員長 これをもつて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  40. 中島守利

    ○中島委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決されました。  衆議院規則第八十六條による報告書作成の件は、委員長に御一任くださることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 中島守利

    ○中島委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  42. 中島守利

    ○中島委員長 日程を変更いたしまして、通商産業省及び運輸省の地方行政機関の監理に伴う臨時措置に関する法律案内閣提出第四一号)を議題といたします。これより質疑に入ります。龍野喜一郎君。
  43. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 本案について二、三御所見をただしたいと存ずるのでありますが、わが党の大方針に基きまして、先般の臨時国会におきまして、出先機関の廃止をやつたことは皆さん御承知通りであります。その際にも問題になつたのでありますが、廃止してそれをどういうふうに持つて行つて、国の仕事を支障なからしめるようにするかということは、その当時も問題になつたのでありますが、そういう意味におきまして、党内においても、当時の商工局あるいは陸運監理局の出張所を廃止することについては、必ずしも賛成しない、反対であるというような意見もあつたのであります。しかしながらわが党の大方針のために、われわれといたしましては、この廃止に賛成いたしたということになつたのであります。その当時も議論があつたのでありますが、もしもこの出先機関を廃止して、その仕事を府県知事にゆだねるという場合に、府県議会の勢力に左右せられて、その結果貴重なる資材が有効適切に流れないではないかという心配もあつたようであります。そういう心配のあまりこのたび特別に主務大臣に取消権、あるいは停止権を認める法案提出せられたのであろうと思いまするが、よく考えてみますると、一旦まかした以上に知事を信頼するというのが、ほんとうの建前ではなかろうか。相手方を疑つてまかせるということは、個人の場合にもあり得べきことではない。ましていわんや堂々と国民の信望をになつて選出せられた知事がやられることでありますから、その知事を信頼するというような態度をとつてこそ、初めて政治の円満を期し得るのではないかというふうに存ずるのであります。ゆだねる側から見ますれば、非常に心配の点もあるかもしれませんが、そういう見地の上から政治をやつて行くべきではないかというふうに存ずるのであります。そういう意味からながめますと、本法案が特別に主務大臣に対して取消権あるいは停止権を認めるということが、政治全般の立場から見まして、いかなるものであろうかというような疑問を持たせるのであります。また実際問題といたしまして、物資は知事が割当をいたしましてから、ただちにそれを現物化する。現物化した後に取消してみましても、あるいは停止をいたしてみましても、たとえばガソリンのごとく、消費されてしまつたものを取消してみましても、あるいは停止をいたしてみましても、はたして実際の効果があるかどうかということも、はなはだ問題になるのではなかろうかと存ずるのであります。私が自己の見地から申しますならば、割当は大体四半期ごとにやつておるのであります。従つてある県知事が本省の方針に従わないで、その物資を割当てるというような場合には、次の割当において補正し得る道は幾らでもあろう。すなわち行政措置によつて事実上、知事を監督する道はあるであろうというふうに想像されるのであります。従いまして多くの場合知事は、よほどの事情のない限りは、本省の意思に反して物資をほしいままに流すということは、なかろうと存ずるのであります。従いまして、本法に特別に取消権あるいは停止権を認めてまでそういう特例の、一方から見ればちよつとおかしいような法律までもつくつて、大臣に権限を保留するがごときことは、御心配いらないのではないかというようなことも考えられます。それからもう一つは、もしもしいて心配があるならば、地方自治法にある一般監督規定をもつて監督し得るのではないかというような点も疑問に思われるのであります。そういう点について当局の御見解をお尋ねするわけであります。
  44. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいまこの法律案に関しまして龍野さんから御質問があつたのでございますが、御意見はまことにごもつともだと存じます。出先機関の整理の点につきましては、私からくどくど申し上げるまでもない経過をたどつてつておるのでありますが、その後の情勢はきわめて円滑に進んでおりますことを申し上げておきたいと存じます。この場合において、特に知事に対して主務大臣の指揮監督権を制定するような法律は改め、都道府県知事の管理もしくは執行につきまして、いかにも疑いを持つかのごとき感を與えるではないかというお説でございますが、私どもも一応ごもつともと思うのでございます。しかしながらこの臨時の措置を講じまするゆえんは、先般この法律案を提案いたしました際に、私から御説明いたしましたような特殊な物資に関して、公正な需給関係を維持して参りたい。これが今日のの現下の経済の情勢から考えまして、やむを得ざる措置であろうというふうな点が加味されておるような次第でありまして、さような意味合いにおいて、この臨時措置法を設けたようなわけでございます。なおこの間の事情等につきましては、直接立案に携わりました鈴木連格行政部長から、さらにお答えを申し上げたいと存じます。
  45. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この出先機関の統合、ことに臨時物資需給調整法並びに道路運送法関係の業務を所管いたしておりまする運輸省の道路運送監理事務所並びに通産省の出張所、その後分室とかわりましたが、こういうものを十一月一日から、政府といたしましては一定の方針に基きまして都道府県に移管いたしまして、府県知事の所管のもとにこれを置くことにいたしましたわけでございます。これらの両出先機関の処理いたしておりまする仕事は、いずれも臨時物資需給調整法に直接基くもの、あるいはそれに基く仕事の前提として処理をされますような事務でございまして、たとえばガソリン、チューブの配給の問題でございますとか、その他いずれも輸入の物資その他緊要なる現下の物資の配分に関する仕事を処理いたしておりまするので、これが公正に行われますことを確保する必要があるわけであります。もちろん府県知事がやりますことが公正に行われないというような一般的な論はできないわけでございますが、万一の場合を顧慮いたしまして、また関係方面等におきますいろいろの輸入物資でもありますので、その方面の心配等をも顧慮いたしまして、こういう提案をいたしまして、監督権の裏打ちになりますような規定を置きまして、万遺憾なきを期そうというのが、この法律案の規定の趣旨でございます。なおこのような規定は一体不必要ではないか。四半期ごとに物資の配分をいたしておるのであるから、かりに不適正なる物資の配分というようなことがありまするならば、次期の配分の際にはこれを減ずればいいではないかというような趣旨の点を御指摘がありましたが、この点ももちろん多くの場合におきましては、そういう行政措置で済むであろうと思うのであります。ただ万一の場合を顧慮いたしまして、たとえば食糧管理法にいたしましても、物調法等にいたしましても、ある場合におきましては関係の物交を没收するというような非常に強い規定を設けておる面もございますし、またひとりこの種の業務のみならず、主務大臣が、一旦配給をいたしたようなものにつきましても、それを取消し変更するというような法令ではないわけでございまして、そのような例に従いましてこういう規定を設けたわけであります。しかしながら、いずれにいたしましても地方自治の建前から、このような規定を将来永久的なものとして置くことは適当でございませんので、これはあくまでも臨時措置のものである。そうして附則の第二項にございますように、明年の三月三十一日を限つて失効する。こういう建前の規定にいたしておりまして、臨時物資需給調整法の廃止の際に運命をともにするというような考え方で、規定を立案いたしたような次第でございますので、そういう臨時的な便法という意味から、特に御了承をいただきたいと思うのであります。  また地方自治法によりまする一般的な監督権との関係はどうかということも、あわせてお尋ねがございましたがこの点は地方自治法によりましては、その監督権のほかはいわゆる裁判所をもちまして、裁判所の確認の判決を前提といたさなければ、主務大臣がいろいろ具体的な事務の措置を命ずることができないというようなことに相なつておりまして、そういう恒久的な自治法の本来の体系によりましては、この臨時物資需給調整法関係の事務につきましては、敏活に事の是正を期することができないというところから、暫定的にこのような別個の体系のものを認めたいというのが、本規定の趣旨でございます。
  46. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ただいまの御説明によりまして、ほぼ了承いたしたのでありますが、ただいま各府県知事の所管します事項のうちには、御承知通り純然たる自治体の仕事もあるけれども、同時に国の仕事もたくさんやつているのですが、その国の仕事は委任によつてつているのであるか、あるいは法令の命ずるところによつてつているのか、ちよつと私もわかりませんが、それらの国家事務と府県知事の管掌している国家事務と、このたびの出先機関の廃止に伴うところの国の仕事を府県知事に委任するその事務とが、しかく截然と区別できるものであるか。執行はできましようが、この間に性質の差異があるかどうかという問題をもう一つ伺いたい。差異がなければ一般的の監督規定でもさしつかえないように思いまするし、また実際上の問題といたしましては、先に申しましたように次の配給において適当に監督できるということも考えられるのでありますが、その間に性質上の差があるかどうかということをお尋ねしたい。  次は字句の問題でありまするが、都道府県知事の管理または執行が法令の規定に反する場合は、常識から考えましても、これを主務大臣が取消すことはあたりまえだろうと思いまするが、「これに基く主務大臣の命令」ということについてお尋ねしたいと思います。主務大臣の命令というのは、結局これを受けて立つものは、いわゆる現地における出先の局ではなかろうかと思うのであります。たたとえば通産省に例をとりまするならば、通商産業局といつたものが大臣の命令によつて、府県知事を監督すると申しますか、そういうような立場になるだろうと思います。そうするとこの主務大臣の命令というのは、文書による命令かあるいは口頭をもつてなす命令というふうに解釈いたしますれば、その範囲において出先の通産省あたりがやるのでありましようか、この命令が漠然と申しますか、あるいは気に食わぬ命令というふうに解釈すれば、おそらく府県知事の自由意思というもの、あるいは判断というものが常に出先の現業局に制圧されてしまうのではないか、その結果がその府県の実情に応じたような物資の割当ができないのじやないかというような点も心配されるのでありますが、この主務大臣の命令というものはどういうふうなものか、またこれがどういうふうなかつこうで、府県知事に伝わつて行くか、それをいつも監視しておるのはだれかということを、ちよつとお尋ねしたいと思います。
  47. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 二点についてのお尋ねでございますが、第一点は現在都道府県知事が許可委任の仕事として、国から委任をせられて執行しております事務と、今回出先機関の統合という形で、知事の所管のもとに属せしめられたところの仕事に、性質上の差違があるかどうかというお尋ねでありますが、これはやはり現在まで特にこのような種類の出先機関を設けまして、処理をせしめて来たという点から考慮いたしますと、従来から都道府県知事に委任をせられまして処理をして参りましたこの種の物資の配分に関する仕事とは、やはり多少実際の扱いの上におきまして、軽重の差があるのではないか、そういうところから現在に至りますまで、別個の事務処理の方法が行われて来たと思うのであります。実際問題といたしましてもやはり消費物資あるいは日用品物資というようなものが、都道府県知事に多く移讓せられて参りまして、生産資材の割当に関するものは、ほとんどこれらの機関が所管いたしておつたわけでありますが、その分を今回移讓をせられることに相なつたわけでありまして、やはり従来所管をいたしておりました事務との間におきましては、多少異なる点がある。そういうところからこの種の規定が、少くとも臨時物資需給調整法の存続いたしております間は必要である、こういう考え方でございます。  それからなお第二のお尋ねの点は、主務大臣の命令とは何であるか、これが口頭その他の非常に漠然たる命令を基礎にして、必要に応じて取消すというようなことでは行政の安定が害されて、不適当ではないかという趣旨のお尋ねのようでございます。そのようなことがあればまことに仰せの通りでございます。ここで考えておりますのは、やはり法令に基きますところの主務大臣の命令でありまして、命令には法基礎的な命令と職務的な命令と両方あるかと思いますが、いずれも主務大臣の命令として、明確にきめられたものが、主務大臣の命令であるというふうに解釈いたしております。もしそれらの文書による命令が、かりに地方自治の本旨に反するようなものであるといたしますならば、これはまた国家行政組織法の十六條でしたかの一般原則によりまして、都道府県知事といたしましては、内閣総理大臣に対しましてそれの是正の措置を求めることができるようになつておりますし、それらの方法によりまして、そのような不適正なる運用にならないように、保障せられるであろうと考えておる次第であります。
  48. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 もう一つ御答弁が漏れておるようでありますが、この主務大臣の命令を受けて実際執行するのは、本省の出先機関であるところの地方の現業局ではないかと思うのでありますが、実際問題としては地方現業局の局長の考え、あるいはその命令と申しますか、そういうものが非常に知事を拘束するというような結果になると思いますが、このへんの関係はどうであるかという点について、御質問いたします。
  49. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点はお話のごとく、原則としてはそれぞれの主務大臣が都道府県知事に対しまして、必要なる命令を出すことに相なると存じます。それぞれの主務大臣の補助機関であります広域に駐在をいたしております各通産局長あるいは陸運局長というようなものが、主務大臣の命を受けまして、具体的な命令を出すということもあると思うのであります。これはいずれも文書に基きます。またさらに根本には法令に基きますところの権限の範囲内においていたす命令でございますから、もしもその権限の範囲を逸脱するような命令がございますならば、先ほども申し上げたような国家行政組織法の十六條等の利用等によりまして、これの反省を求めることは可能であろうと考えておる次第であります。
  50. 大泉寛三

    ○大泉委員 地方の出先機関の廃止に対しては、第五国会において相当問題にもなり、また一部存続しておつたのでありますが、私ども地方行政の調査に行つた際には、各地方機関において出先機関の廃止を第一に要望しておつたのであります。当時出先機関の廃止は、相当やかましく論じられておつたにかかからず、各政党と言いますか、特に民自党方面にはどうも存続の運動が行われておつた、しかしこれを調査してみたところが、かえつて出先機関そのものが地方の住民に呼びかけて逆な存続運動をした。いわゆる頼まれたる運動をしておつたというようなことが暴露されたのであります。それで私どもはこの運動がまつたくインチキであつたということをあとで知つたのであります。そこで私が地方の行政の調査に行つた際に、これは当然この次において廃止を促進しなければならぬ、こういうふうに考えておつた際に、本委員会でこの案が上程されたということは、私どもの期待に合致したことでありまして、非常に歓迎しておるのでありますが、ここで地方、いわゆる都道府県に対してこれを委讓するとしたならば、この人員のふりわけ等は何らかの処置ができておるかどうか、これをひとつお伺いいたしたい。  それから今度の地方自治法の一部改正に対する権限委讓は、当然されるのだと思うが、この権限はどういう都道府県の部属に属するのであるか、一切を地方の條例のきめるところにまかせておくのか、あるいはこの自治法改正とともに、これを繰入れるべき一定のところを指示するのかどうかということを、お伺いしたいと思います。
  51. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 移管せられます職員の総数並びにふりわけの問題でございますが、これは通産省関係が千九百人であります。運輸省関係が千八十二人でありまして、両者合せまして約三千人でございます。これは地方自治法の附則によりまして、国家公務員ではございますが、地方事務官という形になりまして、都道府県知事の指揮、監督を受ける国家公務員に相当する身分の者として、去る十一月十一日より都道府県に移管されております。それから移管後の事務組織はどういうことになるかという問題でございますが、これは明年の三月三十一日までで臨時物資需給調整法の効力が一応なくなる建前に相なつておりまして、このあと幾ばくもないような期間におきまして、臨時物資需給調整法の運用に当ります機関に、大きな変革を與えることは行政の方針から申しましても、安定を期する上から申しましても適当でございませんので、なるべく混乱、動揺を少からしめて、臨時物資需給調整法の終りを全うするようにしたいという考え方からほとんど現状のまま通産省並びに運輸省の機構を都道府県知事の所管のもとに移す、こういう建前をとるのであります。従いまして知事の直接指揮下にこれらの機関を置くことにいたしております。もちろん副知事の補佐というものは考えられるわけでございますが、知事の直接指揮下にこれらの人員を收容するようにいたしておる次第でございます。
  52. 床次徳二

    ○床次委員 先ほど龍野委員から御質問がありましたが、さらに関連してお尋ねいたしたいと思います。ここに主務大臣の取消権及び停止権が規定せられておりますが、はたして今後わずかの間にかかる監督権の発動を見ることを予想せられるかどうかということについてお尋ねいたしたいと思います。今日までの経過から言いまして、そういうおそれが相当あつたのかどうかという事実についてお尋ねしたい。もしもそういう事実が多ければ、この規定はもつともだと思うのでありますが、事実においてどんなものかについて、御説明ただきたいと思います。あとわずかな期間でありまして、單に法規の体裁をつくるというだけでありますような御説明のようにも伺えるのでありますが、はたして実益があるかどうかということについてお尋ねしたい。またこれを削つた場合に、どういう影響があるかということについて御説明ただきたいと思います。
  53. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この規定の実益、はたしてそういう必要があるかどうか。またこれを落した場合にどういう影響を及ぼすかというようなお尋ねでございますが、先ほど来申し上げますように、この規定は、日本の現下の特殊事情のもとにおきまして輸入されて、入つて参りましたところがガソリンでありますとか、チューブでありますとかいうような物資の配分に関する問題でございまして、やはりこれらの緊要物資の今後の輸入を対外的関係におきまして、円滑ならしめるというような趣旨から申しまして、單に国内的問題の見地からのみ、これを考えることができないような状態にあるのであります。そういう考え方から、実際問題といたしましては、おそらく床次委員の仰せになりますように、この規定を使わなければ、どうしても解決できないというような事態は、そう多くはないと存じますけれども、万が一の場合を顧慮いたしまして、このような規定を設けまして、輸入物資の配分は適正に行われ得るという客観的な素地をつくつておくことが、今申し上げましたような関係において必要であろうと思いまして、このような規定を立案いたしたような次第でございます。これを削つたならば、具体的にどういう支障があるかということでございますが、これも以上の背景におきまして考えましたものでございまして、臨時物資需給調整法の存する限り、やはりそれの裏打ちといたしまして、この種の規定が必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  54. 床次徳二

    ○床次委員 御答弁がちよつとはつきりいたさなかつたと思いますが、過去の出先機関の処理いたしました時代におきまして、やはりこういうような監督権を実際に発動しなければならなかつたような事態があつたかどうかということをお尋ねしたい。  それからもう一つは、御説明によりますと、何だかこれだけの監督権をつけておかないと、どうも外部に対して信用が得られない。正直に申しますと、府県知事がかつてなことをやるのではないかというような信用を疑うような口吻が見えるのでありますが、あまりそういうような状態考えますことは、私ははなはだ遺憾だと思う。府県知事が今後さような不信任がありましては、これはほかの法規の場合についても同様な欠陷を生ずるのではないかというような信用状態に陷るのではないかという懸念を持つのでありますが、この点ざつくばらんにお話いただければけつこうだと思います。
  55. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 過去におきまして、この種の物資の配分に関しましてこのような規定に相当するような行為を、主務大臣がとる必要があつたかどうかという点でございますが、道路運送監理事務所あるいは通産局の出張所というような建前におきましては、主務大臣がそれぞれ職務上並びに身分上の全面的な監督権を持つており、かつこれにつきまして一切の予算的な措置も持つておるわけでありまして、これらの人事、予算及び職務上の各種の権限を十分に利用いたしまして、そのような法令違反の事実がありましても、これを是正するに困難でなかつたと思うのでございます。そのような事例は私ども現実の仕事の運営に関係いたしておりませんので、直接お答えは申し上げられませんが、今まで会議等において聞きましたところにおきましては、ごくまれにそのような例はあつたということを聞いておるのであります。  それから府県知事の能力並びに行き方に対しまして信頼度を持たないならば、この運営全体がうまくいかぬではないか、この仕事のみならず、その他の仕事についても同様な問題があるのであろうというような点についてのお尋ねでございますが、この点はまつたく同感でございます。いやしくも地方自治ということで、公選の府県知事でありますからには、これを信頼してかかるのが当然の前提でございますが、これも先ほど来申し上げましたような事情に基きまして、臨時物資需給調整法の存続期間に限り、きわめて暫定的な臨時措置として考えておる次第でありまして、そういうことでありますならば、今の本質的な知事に対する扱い方に特に支障を生ずるようなことはないのではないというふうに考えておる次第であります。
  56. 床次徳二

    ○床次委員 調整法の実情を知らないからお尋ねするわけでありますが、主務大臣が割当ててそのあと割当量を変更するようなことがあるがどうか。一旦割当てて出先機関にまかしたあと、また変更しなければならぬということで、監督権の発動によつて動かすということがひんひんとしてあれば、こういうような規定もあるいは必要かと思う。それが比較的なければ必要はないと思いますが、実際はどんなものでしようか。実際を知らぬからお尋ねするわけです。
  57. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私どももこの仕事自体を所管いたしておりませんので、言うことが常に会議等において聞きましたことの、むし返しのようなことになりまして、非常に恐縮でございますが、お話のように四半期ごとにわけまして、すでに割当をいたしましたものを、さらに途中において変更するということはあまりないと存じます。しかしながら一応従来の計画通りつておりまして、まだ具体的に配分をいたしまする段階に至つておりませんようなものにつきまして、主務大臣の命令、あるいは法令の規定に違返をいたしまして、すでに配分をいたしておるというようなものにつきまして、この規定の適用があるわけでございます。
  58. 谷口善太郎

    谷口委員 大体今までの委員の方の御質問で、私もわかつたのでありますが、やはり今の床次さんがお尋ねになつた現在までの経験上、主務大臣が監督をしなければならないような事態があるかどうかという点ですが、これについて事実をお示し願いたいと思います。これは私の方から若干申しあげますが、先ほど大泉さんからもおつしやつたように、いろんな公団廃止反対運動の陳情を、この前の国会において私たくさんもらつております。業者からも来ておる。ところがそれをよく調べてみますと、業者の自分の利害から言つておるような問題もあつたようでありますが、逆にまたかつての経験——こういう国家機関として重要物資の配給をやるというような、そういう制度ができない前の地方団体における状況は、特にある特定の業者に厚くするというような、えこひいきのあるやり方であるといつて、それをいまだに忘れずにまたあの状態に返るのではないかというおそれを非常に感じておる点もあつたのであります。そういう点が陳情の中にもあつたのでありますから、実際に監督を要するような事態があつたとすれば、それをここで自由に知らしていただいていいのじやないかと思いますので、ひとつはつきりした実情を知らしていただきたいと思います。
  59. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 過去におきまして、地方自治関係の資材配分に関しまして、いろいろ不適正なる事実があつたかどうかというお尋ねでございますが、これはもちろん数多いことでありますから、中にはいろいろの問題を起したものもあると思いまするし、刑事事犯その他もあつたと存じます。ただこのような形で府県知事の所管のもとに入つて参りました出先機関が、今後はたしてどういう形で動いて参りますかということにつきましては、実はこの形自身がまつたく新しい行き方でありますので、どういうふうになりますかにつきましては、私どもといたしましても今後の運営の実態を十分見きわめてみたいと考えておる次第でありまして、資材配分が従来の主務大臣の直接扱いで行われておりましたときと、はたしてどちらが能率的に行くかどうか、また公正に行くかどうかということは、今後の研究問題だと思うのであります。しかしながら一面都道府県知事が、各種の行政事務を総合的に自己の権限下に收めまして、全体のバランスをとりつつ行政をやつて行くということは、やはり地方自治の面から申しまして適当だと存じまするので、このような統合をあえて行つたことになると思うのであります。やや御質問の趣旨にそれましたかもしれませんが、そういうふうに感じております。
  60. 谷口善太郎

    谷口委員 そうしますと、そういう不適正な配給があつたし、またある可能性があるというおそれから、主務大臣が監督をするというような見地から、この法案ができたのでなくて、ただひとえに、外国から来ておる物資を配給するのであるから、そういう国際間の関係を顧慮しての主務大臣の監督権の設定、こう了解していいわけでありますか。
  61. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その点はあるいは国際間の関係をあまり強調しすぎたかもしれませんが、資材の配分自体を適正にかつ公正に行わしめるということが、この制度としての第一眼目であるわけであります。
  62. 谷口善太郎

    谷口委員 先ほど申しましたように、地方団体の長が特に監督してやる場合には、非常に不適正な配分なんかがあつた事実を私ども非常にたくさん知つております。従つてそういう点のおそれを未然に防ぐという意味の主務大臣の監督ということは、そういう面から見れば必要のように見えますが、しかし根本的には国が地方に委讓した事務の権限の執行でありますから、これを主務大臣がなおかつ監督権を持つという行政監督以上のものを持つということは、地方団体のいわゆる地方自治の精神に反する。これは非常に根本の問題でありますが、そういう点についてどうお考えになるか、この点を伺いたい。
  63. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 中央の政府地方団体との関係のあり方の問題に触れて参るわけでありますが、一般的な府県知事の行政の運営に対しまして、中央に監督権を與えるということは、これは絶対いかぬわけでありまして、従来その種の監督権というものは、すべて拂拭をせられたわけでありますが、特殊な行政事務につきまして、特別の技術上の指導を必要とするもの、あるいは特別に均一的な処理を必要といたしますような特殊の行政事務につきまして、中央の主務大臣の個別的なる監督を認めるということは、これは絶対に禁止するという必要はないのではないか。やはり国家であります以上は、全体が計画的に有機的に動くという面を忘れるわけに参りませんので、そういう意味から必要であるという最小限度の特殊の事務に対する主務大臣の監督権というものは、やはりある程度これを存じましても、やむを得ないのではないかと思うのであります。しかしこれらの点に関しましても、先般可決いただきました地方行政調査委員会議等におきまして、もつと大きな立場から全般的なことが検討される機会があるのであります。これは何と申しまししも、明年三月三十一日までの暫定立法でございますので、それらの点も考えまして、かような案を考えた次第であります。
  64. 谷口善太郎

    谷口委員 対外的な関係として、これも重要な一部になつておるようでありますが、先ほどあげられましたゴムやガソリン、タイヤその他の品目、そういう内容につきまして、何か特別な配給に関する指示もしくは向うの要望というようなものを條件としてつけられて日本は輸入しておるかどうか、その点をお答え願いたいと思います。
  65. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は私ども直接の当事者でございませんので、また聞きでありますが、それを輸入自体の直接の條件としておるということはないと存じます。しかしそういう輸入物資の公正な配分ということにつきましては、関係方面においても非常に重大な関心を持つておるように聞いております。
  66. 谷口善太郎

    谷口委員 公正な配分ということは抽象的でありまして、一般的に不正であればこれは刑法その他により犯罪として扱う制度があるのであります。それを特に主務大臣がこの問題に関する限り監督権を持とうという、その点がまだよくわからないのでありますが、その点はいかがでしよう。
  67. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 もちろん一定の原則が立てられておりまして、その原則に従わざる配分をやりますならば、これは違法の措置でございまするし、それにつきましては刑法上の措置ももちろんありまするし、またそれの行政上の措置といたしまして、やはりそのような場合には取消し、停止というような是正の措置が必要であるというふうに考えておる次第でありまして、両両相まちまして全体の配分を公正にする保障ができるのではないかというふうに考える次第であります。
  68. 谷口善太郎

    谷口委員 せつかく地方団体へ委讓したのでありますから、国はあつさり地方自治体の長に一切を一任するという態度をとつたら非常に困ることがありますから、先ほどから伺つておると、そのことがはつきりしないのでありますが、そう悪いこともなかつた。今後もそういうこともないのでありますし、監督の関係からいいましても單なる違法上の問題、非常に不公平な問題ということになりますと、どうしてこれを監督しなければならないのか私わからないのでありますが、問題はどこまでも地方団体のいわゆる地方の自治に対して何か特殊だ。異例だ、これは別だというような形で、政府の直接監督支配権というものを温存しようというふうにしか、私ども思えないのですが、そういう点もつとはつきり願えないでしようか。
  69. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 関連して……。ただいまの谷口君の御質問は、これを自治庁の政府委員にお尋ねしてもなかなかわからない点が多かろうと思うのです。そこでむしろ仕事の内容は主務省がよくわかつておることで、たとえば本省で直轄する以前に県知事にやらしておつたときに、どういう弊害があつたか、あるいはまたは今度やらせるについては、ぜひともこれだけの監督権を持たなければうまく行かぬという理由は、むしろ本省の方がよく知つていると思うので、すみやかなる機会に通産省並びに運輸省の政府委員を、できるならば大臣がいいですが、できなければ政府委員に来てもらいまして、それらの者よりひとつこの事情をよく説明してもらうようにしたらいいと思いますが、いかがでしよう。
  70. 中島守利

    ○中島委員長 委員長はしごく龍野君の御説には賛成であります。そういうふうにはからいまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 大矢省三

    大矢委員 今発言がありましたが、私も大いに賛成で、実はこの間本会議で道路運送法の一部改正のときに、米窪氏から反対があつて、私初めて知つたんですが、九月十五日には運輸委員会で満場一致で、そういう屋上屋を架すようなことは反対だつた。しかも現にこの扱いは、ガソリンであるとか、タイヤであるとか重要物資であるから、そういうものを地方に委讓するということは、これは従来からの慣例からいつても、事務上にも支障を来すから、そこで民自党の方々も満場一致でそういうことに決定して、特に業者の強い要望があつて日本全国について十七箇所の運輸分室をつくつて、そこでもつて扱わせるということに申し合せになつたんですが、それが何かこの間の本会議によりますと、心境の変化によつてこうかわつた。その心境の変化が私どもよくわからぬ。今申しましたようなそういう話合いが委員会でつき、そうすることが一番いい方法としておつたにかかわらず、その問題についてこういうふうな改正が出て来たんですから、その前後のいきさつを詳しく私ども聞きたい。今ぜひともそういうことの詳しい人をおいで願つて、その経過並びに分室を設けるということを、さらにこうして地方に委讓させる、委讓した結果の知事の権限並びに運輸大臣の監督権の問題も、今非常に問題になつておりますから、そういうことも聞きたいことがありますから、ぜひともそれをお願いしたい。
  72. 中島守利

    ○中島委員長 お諮りしますが、本案の質疑はこの程度にいたしておきまして、明日午後一時から本委員会を開きたいと思います。通商産業大臣並びに運輸大臣の出席を要求します。もしどうしてもさしつかえがありましたならば、政府委員がこれにかわつて答弁のできるようにいたしたいと考えます。なお明日は午前十一時より理事会を開きまして、本案の扱い方について御協議申し上げます。  委員会は午後一時より開会いたします。  本日はこれで散会いたします。     午後二時五十五分散会