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鈴木(俊)
政府委員 地方行政調査委員会議の
委員の選出
方法あるいはその運営等が、
政府原案のままでは必ずしも民主的な、生きた、実情に即する運営が困難ではないかという
趣旨のお尋ねのようでありますが、
シヤウプ勧告の文章を読んで見ますと、これは相当
根本的なものの
考え方をしているようでありまして、
政府といたしまして、も、終戰後の
地方自治制度の
改革の重点は、中央からの各種の監督とか、許可、認可といつたようなものを排除いたしまして、
地方団体の運営の自主性を
確立するということに重点を置いて、今日まで参つたわけでございます。
地方団体が処理する仕事の
内容を豊富にし、ゆたかにするという点においては欠けておつたわけであります。そういう点を
シヤウプ勧告がまさに突いておるわけでありまして、私
どもも常にそういうふうに
考えて参
つて来たのでありまして、そういう
一つの大きな、国から
地方への
地方分権を断行するということは、実は非常に大きな問題であります。各省との
関係におきまして、各省の今所管をしておりまする行政
事務を、まず市町村に、次いで
都道府県に移讓するという問題であります。これは出先
機関の廃止という
一つの問題を
考えてみましても、とうてい
簡單にはやりおおせない大事業であると思うのでございます。そういう仕事を担当するには、今お話のように、生きた
地方団体の声というものが、常に反映をする必要がありまするが、しかし国全体の行政
事務を国と
地方団体との間に配分するということは、やはり相当
根本的な原理を
考えまして、その原理に
従つて全体の
事務を見直して行く。そこで配分を
考えて行くということにならなければならぬと思うのであります。この点ではむしろ日々
地方団体の行政に
関係しておられまする知事とか、市町村長自身がそういう仕事を担当せられますよりは、やはり全力をあげてその能力をこの仕事自身に持ち得るというような人を、
委員に選ばれることが望ましいと思うのであります。監督も決して知事、市町村長自身がなるというような行き方ではなくて、会長が任命した者、こういうことにな
つておりまして、会長が任命いたしまする際に、
勧告では事前に団体の中の選挙とかいうようなことを規定いたしておりません。ただ單純に会長が最も適当だと思う者を選ぶように書いてございます。
法案といたしましては推薦した者ということでありまするが、おそらくそれぞれの団体の代表者とせられましても、選ばれる場合には何らかの形で組織の
意見を徴するというようなことで、
委員が推薦せられて来るであろうと思うのであります。従いまして、そういう一面において生きた各
地方団体の連合体の
意見を代表しつつ、また十分な識見を持つた專門家が選ばれるということが、
政府としても望ましいことでありまして、そういうふうに
構成が行われることを望んでおるのであります。
それから行政連絡
会議の点につきまして御
意見がありましたが、これは実は行政連絡
会議というようなことで、
関係各省あるいは
地方団体の
関係者が
一つの
会議体をも
つて、そうして何かそこに
一つの
意見が現われて来るということになりますと、
委員会自体の自由なる
検討に基く
意見というものが、そういういろいろな
関係各省の
意見等によりまして、相当左右される結果になりはしないか、そういうようなことは望ましくないので、やはりあくまでも
委員会自体が自由に原理的に研究をしで案をつくる。こういう方向に持
つて行こうということで、行政連絡
会議という思想も、
国会に最後に
提案をいたしました
政府案といたしましては、これを落した次第であります。ただ実際の
事務を処理いたしておりまする
関係各省、
地方一体との間の連絡ということは、これは事実必要でありますので、いわば連絡者の指名を求めまして、必要な
資料はそういうようなものを通じて提供させるというような、便宜のための連絡員というものだけを置くというふうにいたしてあるのであります。
それからなお專門調査員というものは必要でないのじやないかという
趣旨のお話でありますが、この点は非常に御見解と違う見解を持
つておりまして、專門調査員がむしろ一番この仕事の、
委員会の旨を受けて処理をいたしまする中核
機関になると思うのであります。ここには相当各界のいわゆる調査家としての專門家を、思い切
つて優秀な人を選んで任命をする。
地方団体関係の者もあるでありましようし、あるいは本来的な專門的な調査家というようなものもあると思いますが、できるだけの適任者を選ぶ。それも
総理大臣がか
つてに專門調査員を任命するというようなことでなく、あくまでも
委員会の自主性を尊びまして、
会議の推薦に基いて
総理大臣が任命する。九條第二項にもありますように、あくまでも
委員会の
独自性、自主性というものを強く
考えて
構成をいたしておるような次第であります。