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1949-11-19 第6回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十九日(土曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 大泉 寛三君 理事 川本 末治君    理事 菅家 喜六君 理事 野村專太郎君    理事 久保田鶴松君 理事 藤田 義光君    理事 立花 敏男君       生田 和平君    河原伊三郎君       吉田吉太郎君    龍野喜一郎君       大矢 省三君    門司  亮君       床次 徳二君    鈴木 幹雄君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 遠山信一郎君         (地方自治庁連         絡行政部長)         総理府事務官  鈴木 俊一君         (地方自治庁財         政部長)         総理府事務官  荻田  保君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 十一月十八日  通商産業省及び運輸省地方行政機関整理に  伴う臨時措置に関する法律案内閣提出第四一  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方配付税法の特例に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第三六号)  地方行政調査委員会議設置法案内閣提出第三  七号)  通商産業省及び運輸省地方行政機関整理に  伴う臨時措置に関する法律案内閣提出第四一  号)     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  日程の順序を変更いたしまして、まず昨十八日に本委員会に付託されました通商産業省及び運輸省地方行政機関整理に伴う臨時措置に関する法律案内閣提出第四一号を議題として、政府より提案理由説明を聽取いたしたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島守利

    中島委員長 しからばさよう決しまして、政府より提案理由説明を願います。遠山政府委員
  4. 遠山信一郎

    遠山政府委員 本委員会に付託になりました通商産業省及び運輸省地方行政機関整理に伴う臨時措置に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。そもそも国の地方行政機関整理統合の問題は、新憲法に基く地方自治確立の一環といたしまして、種々検討を加えられましてから、すでに久しいものがございますが、政府は本年八月一日の閣議をもちまして、十一月一日から通商産業局分室及び陸運局分室所掌事務を全面的に都道府県知事に委讓することとし、これに伴い、関係諸法令に所要の改正を加え、人事及び事務上の指揮監督等について、中央と地方との関係を明確にする旨を決定いたしたのであります。しかして政府は、この決定に基きまして、法律改正によらないで、單に関係政令及び省令の改正によつて委讓することができる事務、すなわち、臨時物資需給調整法に基く指定生産資材割当、及び生活必需物資配給事務並びに道路運送法に基く貨物軽車両事業及び自動車の検査、整備、登録等に関する事務は、これを所期のごとく委讓したのであります。しこうして、法律改正によらなければ委讓できない道路運送法に基く一部の事務については、別途同法の一部改正法律案を本国会提案する予定であります。しかるところ臨時物資需給調整法に基く指定生産資材割当及び生活必需物資配給事務並びに指定生産資材たるガソリン、タイヤ、チューブ等割当配給に関する事務密接不可分関係にある道路運送法関係事務は、国の定める基本方針従つて処理せられることが、右の特殊物資に関する公正な需給関係確立、ひいてはわが国現下の経済の健全な再建のために、最も緊要であると存ぜられるのであります。  本法律案は、以上の趣旨に基きまして、臨時物資需給調整法の施行及びこれに伴う事務に関する都道府県知事の管理または執行につきまして、地方自治法に基く主務大臣一般的指揮監督権のほかに、臨時的措置として特に主務大臣取消権及び停止権を規定することといたしたのであります。なおこの臨時的措置は、その要請から考えましても、はたまた地方自治の本旨から申しましても、これを長期にわたり認むべきものではないのでありますから、本法律の効力は、臨時物資需給調整法との関係をも考慮いたしまして、昭和二十五年三月三十一日限りにおいて当然に消滅するものといたしたのであります。  以上本法律案提案理由及び内容を簡単に御説明いたしたのであります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに議決あらんことを御願いいたします。
  5. 中島守利

    中島委員長 本案に対する質疑次会に讓りたいと思つております。  まず地方配付税法の一部を改正する法律案に対して質疑をいたしたいと思いますが、大体各委員の御希望を一括しまして質疑をいたしたいと思います。今回の地方配付税増額は九十億円と承知しておりますが、この九十億円をいかに処理するか。聞くところによりますれば、各種の問題がこれに包含せられておるようであります。その内容等はむろんわかつておることと思いますが、詳しく説明していただきたい。荻田政府委員
  6. 荻田保

    荻田政府委員 今回地方配付税が九十億円増加しました。この増加いたしまする理由は、先般の提案理由説明にあります通りであります。御承知のように配付税補助金と違いまして、別にその九十億円につきまして、使途ごとに内訳があるわけではございません。ただ一般的に地方財源が、本年度当初予算できまりました五百七十七億円の配付税をもつていたしますと不足いたしますので、そういうことを考慮いたしまして、今回少いながらも九十億円の増加がはかられておるのであります。そういうことでありますから、特定費目に充てるというようなことは考えておりません。ただ具体的に、しからば当初予算以後どのような経費がふえておるかということになりますると、さしあたり次のようなことがあげられるのであります。  第一に国の公務員に準じまして、地方公務員に対しましても石炭手当寒冷地手当を支給する必要が起ります。これに対して十三億円程度、次に恩給法改正によりまして、地方公務員に対しまする恩給の支出が増加いたします。この金が七億円弱、第三に都道府県共済組合につきましても、やはり長期給付制度をとりまするので、このために六億円の増加、次に今回の補正予算におきまして地方負担を伴いまする経費があるのでございまするが、そのうち公共事業費関係によりまして、五十九億円の地方負担が伴います。それ以外の一般経費につきまして、大体十億円程度地方負担が伴います。  以上五つの項目を合計いたしまして、約百億円弱というものが、具体的に現われておりまする地方経費増加であります。もちらんこれ以外に一般的に地方財源が不足しているわけでございますが、さしあたり具体的に掲げられるものは今申します通り百億円弱であります。それに対して公共事業費関係につきましては、これは全額地方債増加によつてまかないたいと思いまして、ただいま何ほど地方債を拡張するかにつきまして、検討中であります。従いましてそれを除きまして、約三、四十億円のものを一般財源として負担しなければならないということになるわけであります。  大体以上が九十億円の配付税増加に伴います計数的な関係でございます。
  7. 中島守利

    中島委員長 何か御質疑がありますれば……。
  8. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、地方債のわくがきまりまして、自治庁予定されておるように、全額地方債でまかなうことができましたならば、五十億円ばかり余る予定でございますか。
  9. 荻田保

    荻田政府委員 つまり九十億円の配付税の中で、特定費途を予想しておりませんものが、五十億円くらい残るわけであります。もちろん配付税でございますから、特定費途と申しましても、別にその費途に対しまして、補助金的に交付するのでないことは申すまでもありません。
  10. 立花敏男

    立花委員 部長の御説明になりました以外に、私どもが聞いておりましたのは、震災その他の貸付金の十八億円ばかりを九十億円の中から控除するということが、予算委員会の方ですか、何かの方で書類になつて出ておりますが、あるいは一昨年の年末に地方公務員に支給されました二・八の越年資金と申しますか、生活補給金と申しますか、それの貸付金政府がこの際差引くのだということを聞いておりますが、その点に関して御説明願いたいと思います。
  11. 荻田保

    荻田政府委員 地方公務員給與改善に対しまして、五十一億円程度政府貸付金を一昨年行いましたことは、御承知通りであります。それは昨年と今年と来年と三箇年間に、大体十七、八億円ずつ政府に返すことになつております。それで昨年度分につきましては所定通り返したわけでございまするが、昨年やはり政府追加予算のありました時に、地方である程度財源が余るから、本年、来年に返す分を繰上げ支給してもらいたいということがございまして、全額の五十一億円が昨年度予算に計上されたのであります。しかし地方団体におきましては、そのような余裕がございませんでしたので、やはり年度割通り、昨年度分の十八億円だけを返して済んだわけであります。従いまして国庫予算には、当初一応全然地方団体からの貸付金返済金は載つていなかつたのであります。ところが、今申しましたように、昨年度そのように繰上げ支拂いをすることができませんでしたので、やはり本年度年度割の十八億円は、国庫に返す義務があるわけであります。それを今回の補正予算の際国庫の歳入に載せたわけであります。しからばそれを地方団体が返すかどうかという問題でありますが、これはやはり契約がありまして、年度割ができておるのでありますから、当然返さなければならぬ問題と思います。何分にも地方団体財政も困難でありますから、これを返還させるにつきましては、いろいろ方法考えてやらねばならぬ点があると思いまして、その点目下考究中であります。
  12. 立花敏男

    立花委員 念のためにお聞きしておきますが、そのほかにそういう形で差引かれるものはございますか。
  13. 荻田保

    荻田政府委員 別にそのほかに特定費目はございません。
  14. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、さいぜん私が地方起債全額実現できたとして、差引五十億円ばかり残るのかとお尋ねいたしましたところ、やはり残るのだという御返事があつたのでありますが、五十億円の中から十八億円引きますと、三十二億円くらいしか残らない勘定になるのでございますが、そうでございますか。
  15. 荻田保

    荻田政府委員 今の国庫貸付金の十八億円は、国の予算では今度初めて上せたのであります。地方におきましては初めからわかつておりますので、おそらく大体の地方団体予算に計上することは計上しておりましたので、別に今回の配付税から差引くというような問題は起らないと思います。
  16. 立花敏男

    立花委員 しかし九十億から十八億引いたものしか、地方は実際にことしは使えないということは事実でございましよう。
  17. 荻田保

    荻田政府委員 今申しましたように、十八億は地方団体にとりましては、今度起りました問題ではございません。これは一般的な財源の不足の問題ですから、別に今回の地方財政措置とは関係ございません。
  18. 藤田義光

    藤田委員 議事進行に関して……ただいま荻田財政部長から御説明のありました配付税九十億の件に関しまして、私は大蔵省当局意見を聞きたいと思います。委員長においてぜひ大蔵省政府委員、できれば大蔵大臣をひとつ次会出席されるよう御手配願いたい。
  19. 中島守利

    中島委員長 次会大蔵大臣出席を要求します。
  20. 床次徳二

    床次委員 もう一つ資料をお願いしたい。本年度配付税が非常に減額支給されました関係上、地方財政は非常に影響を受けておると思います。従つて公共団体はよほどのむりをしておつたという状態があるんじやないか。今度九十億の増額によつて、ある程度まで潤うことはまことにけつこうだと思いますが、予定よりも本年度当初において少かつたことが、かなりの打撃を與えておると思うが、このむりをしておる状態、どういうふうにして地方つじつまを合せたかということがおわかりにならなければ、大体のところでよろしゆうございますが、お知せ願いたい。
  21. 中島守利

    中島委員長 床次君の質問に対しましては、次会答弁するそうです。本法案に対する質疑は都合で次会に讓りまする  それでは地方行政調査委員会議設置法案について質疑に入ります。通告順によつてこれを許します。床次君。
  22. 床次徳二

    床次委員 ただいま御提案になつております委員会議設置法案審議するにあたりまして、私はまず根本についてこ点ばかりお尋ねしたい。その後さらに個々の問題について伺つてみたいと思います。  この委員会議なるものは、地方自治を拡充いたしまして、国政民主化を推進せしむることを主眼として設置されるのであります。特にその重要性にかんがみまして、学術会議と並び、相当独自性を持つて非常に重視しておられる点が強調してあるのであります。まことにそうあるべきものと思つております。しかしながら私は政府が今回この提案をせられたにつきまして、十分に国政民主化、民主的な政治あり方を理解して、お出しになつておるかどうかということについて、疑いなきを得ないのであります。この点を特に伺いたいのであります。なぜかようなことを申し上げるかというと、この委員会議が持つておりますところの任務なるものは、わが国民主化のため、地方自治強化拡充のために、非常に重要なものでありまして、市町村、都道府県及び国相互間の事務の配分の調整等に関する計画の調査立案でありまして、同町にその調整に照応するところの国庫補助金等に関する制度改正ということを含んでおるのであります。これは單に地方自治団体の経理のやりくりという問題でないのでありまして、国民にとつてまことに関係の多いところの警察、教育、厚生、保健というような費用の負担全般関係を有するものでありまして、この問題は私は單なる事務的のものでなしに、当然これは立法事項に近いものであると思う。簡單に申しますと、政府機関でありますが、総理府機関として、内閣及び内閣を経由して国会勧告せしむるようなものではないのでありまして、かかる重要な事柄は、当然国会中心といたしまして、国会責任において考うべきものである。われわれ国会といたしましては、当然この問題は国会責任上、みずから中心になつて考うべきものであるというふうに考えておる。国家の政治民主化というものは、そこから出て来なければいけないじやないか。政府考えて、そうして国会提案するということでなしに、この事柄たるや、本来国会が当然考うべきことである。但し国会自体では困難であるから、こういう委員会一つの補助的な立場でこしらえまして、そうしてこの事務を調査研究し、実現に移すということになつておると思うのであります。すなわち政府は今日政府中心にものを考えておられるようであります。政府にまず勧告出し、さらに政府を経由して国会勧告するということを、この規定の中にうたつてあるのでありますが、これは国会権限並びに国会責任を軽視しておられるのじやないか。この点について政府はどういうお考えを持つておられるか、まず承りたいと存ずるのであります。
  23. 遠山信一郎

    遠山政府委員 お答えいたします。地方行政調査委員会議重要性につきましての御意見につきましては、地方自治の尊重の建前からいたしまして、非常にこの改革に対する重要性を特段に考えてくださることにつきましては、私どもといたしまして、まことに敬意を表する次第であります。今回この調査委員会議内閣機関といたしまして、これを提案し、しかしてその一つの職分といたしまして、内閣勧告し、さらにまた内閣を通じて議会に勧告する。こういうことになつておるのでありますが、現在の状況におきましては、こういう程度会議とすることが、最も穏当であろうというふうに考えまして、内閣機関といたした次第でございます。
  24. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁、私は満足いたさないのでありますが、もう一つお尋ねして、それによつてはつきりいたしたいと思います。この会議なるものは、御説明によりますと、シヤウプ使節団勧告に基いてできておると御説明になつておりますが、私は、政府が今日御提案になりましたものは、使節団勧告いたしたものと違つておると考えるのであります。すなわち使節団勧告しておりますのは、次のようなものである。使節団勧告いたしますところのコミツシヨンなるものは、この目的のために特別に創設せられ、かつ国会に対して勧告する権限を持つところの、特別な国家的の委員会設置考えておる。そういう委員会を置くべきものである。これに対しまして、政府のとりましたものは、政府に属し、しかも内閣及び内閣を経由して国会勧告する委員会議というふうに、政府は解しておるのでありまして、この間に非常に差があるのであります。政府がこの勧告案と違つたことをここに特に考えられたということにつきまして、お尋ねをいたしたいのであります。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの床次委員の御質疑の点は、根本考え方においては十分拜聽いたすべき点であろうと思います。シヤウプ勧告訳文本文とは、これは少し言葉が違つておるような点がございますが、アメリカ流国会の運営におきましては、これは政府法律案国会提案するということは、全然ないわけでございますから、そこでこのリコメンデーシヨンは、これを飜訳された人もどういう意味でそういうふうにされたかわかりませんが、内閣に対してこの委員会の結果を勧告する。こういうふうに書いてあるのであります。原文ではダイエツト——国会勧告する。こう書いてございます。いろいろ事情を推察いたしてみますと、おそらくシヤウプ氏はアメリカ流考えて、ダイエツトということにしたので、これを飜訳した人は、そういうようなことを考えて、あるいは内閣に対して勧告するというふうにしたのではないかと思うのでありますが、その辺は私どももつまびらかにいたしておらぬのであります。それで政府といたしましては、このシヤウプ勧告は、シヤウプ博士からマッカーサーに対する勧告である。その精神政府としても十分くんで、今後の地方行政改革についても考えて行こうということで、実はこういうような関係法案を用意いたした次第でありまして、ここに法案の第三條の、内閣及び内閣を経由して国会勧告するという点は、総理府に置かれます機関でございますから、そこでその機関が直接国会に対して勧告するということは、政府というものと国会との関係から考えまして、適当でないということで、内閣を経由して国会勧告する。こういうふうにいたしたのでありまして、これはむしろ現在のそういう制度と調子を合せるということでありまして、精神はむしろ直接国会提案するという精神を、現状に合わして盛り込んだ次第なのであります。
  26. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御説明、一応了とはいたすのでありますが、しかし先ほど第一に申し上げましたような点から申しますと、国会が十分こういうことを中心考えるべきだという建前、私はそういうことを申し上げたのでありますが、この点から申しまして、やはり国会に所属するという方法を主として考えるべきではないか。特に勧告案自体が、やはりダイエツトに対して勧告するということになつておりますのは、私はそういう趣旨だと思う。最初に御質問申し上げましたのは、その疑念を持ちましたものですから、私も実はほんとう民主化を行うというためには、やはり国会自体から扱つて行くことがほんとうではないかということを感じましたので、実は疑問を持つたわけであります。本文の方を読みましても、やはり本文の方も、ダイエツトに対して勧告するという形になつておるのであります。つじつまは合うのだと私は思つておるのであります。ただ日本には、直接内閣に所属するような形のものが、過去においてあまり例がなかつたということはあり得ると思う。そのために特殊の方途を講ぜられることは適当である。そういうことが必要なこともあろうとは思いまするが、頭からその趣旨が否認されておるということは、私は地方自治民主化という建前から参りまして、はなはだ遺憾なことだと思う。特に私は訳文の誤訳を一々取上げて、かれこれ申し上げるわけではありませんが、しかしこれは非常な大きな問題であると思います。この飜訳をずつと見て参りますと、内閣勧告するということと、国会勧告するということは、非常に大きな問題であります。しかもここに、国の委員会によつて行わねばならぬとありまするが、国の委員会——ナシヨナル・コミツシヨンという程度なんです。日本語で見ますると、非常にこれは強くその点が響くのでありまするが、原文そのものは、それほどのものじやない。要するにこの字句を、国会に対して勧告することの権限を持つところの、特別な国家的な委員会によつて行わねばならぬというふうに、お読みになりますと、今回御提案になりましたような法案には、そう簡單にはなり得ない。多少距離があるのじやないかと思う。私たちは今後地方自治の健全な発達、また日本民主政治の発展という立場から見ますると、でき得る限り勧告案精神を受けたような形でもつて、これを取扱つて行つたらどうか。私自身、どういう形になるべきかということにつきましては、まだ十分に研究しておりませんが、ここに相当の疑問を持つておるのでありまして、この点御当局におかれましても、よくお考えをいただきたい。かように私は考えておるのであります。  その他の問題につきましては、なおいろいろの問題があるのでありますが、これはこの次に、讓らしていただきたいと思います。
  27. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまさらに御意見の表明がございましたので、重ねまして一応卑見を申し述べておきたいと存じまするが、今の勧告の点では、先ほど申し上げましたような趣旨に、国会に対する勧告という点では、そういうようなことになつておりまするが、この委員会構成考えますと、原文と対照して読んで見ますと、これは知事会市長会町村長会が任命するそれぞれの三人の委員と、それから総理大臣が任命する二人の委員、こういうふうになつておるのであります。これは、もし国会において設置されまする委員でありまするならば、こういうような形にはならないであろうと思うのであります。やはりこういう委員会構成から、勧告趣旨を判断いたしますると、原案というものは一応政府がつくつて——政府と言いますか、ナシヨナル・コミツシヨンという一つ委員会がつくつて、それを国会勧告して、国会はまた国会のお立場として、独自の立場からこれを縱横に検討する。こういうような構成考えておるのが、原案趣旨ではないだろうか、こう考えたのであります。その趣旨でこういうような法案考えた次第でございます。
  28. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁趣旨は、よくわかつたのでありまするが、ただいまのお話のような経過をとつて参りますると、今日の日本状態、今日重大なる改正を行わんという矢先におきまして、かかる手続でもつてつて参りましたならば、国会におきまする審議というものは、時間的に非常にずれができるのであります。すみやかに実施するということに対しましては、かなり遅れて来るのではないかと思うのであります。実は私ども今日地方自治法改正案その他地方税改正案、また配付税その他地方に関して非常に重大な問題を目の前に控えておるのでありますが、この根本方針というか、将来の基本となるべきところの委員会あり方というものが早くきまらなければ、またこれがどんどん必要な資料を提供し、どんどん動いて来ませんと、国会としてのほんとうの働きができにくいように思うのであります。その点なるべく途中を経過するというか、途中の手間が少くなつて国会の方に早くそういう意見を致達するということが望ましい。これをすぐ政府の方でお出しになれば、できるだけ国会において審議するということもできるのでありますが、往々にしてこれが単なる法律案という名前で、国会に出て来るようになりますと、実は国会審議というものは十分に行えないのではないか。その点は多少ほかのものとは意味を違えまして、国会が十分に審議をして、そうして将来の根本原則をつくるようなふうに、かような少し愼重な建前がとれるような取扱いがほしい、これは私の希望であります。そういうふうな考え方を持つておりますから、御参考までに今申し上げておきたいと思います。  なお私は單なる誤植の問題を申し上げるわけではございますが、この内閣国会というものが違つたままになつて世間に出ておる。またそういう勧告書のもとに皆様方がこの会議の問題を論じられますると、私はある程度まで誤つた結論が出やすいということを恐れるのであります。適当なる時期にこれを御訂正になることをお願いする次第であります。
  29. 中島守利

  30. 立花敏男

    立花委員 床次さんの意見に賛成なんですが、さらにそれをもつと具体的にこの法案の條章に従つてお尋ねいたしたいと思うのであります。その前に、前の国会審議いたしました自治委員会ですか、あれの場合に、私どもはやはりこういう委員構成に関しまして意見出しまして、地方公務員の代表を入れろということを要望いたしました。現在聞くところによりますと、自治委員会の方にまだ欠員があるにかかわらずわれわれの希望なり、原則的には委員長も認めておられました点が、実現されていないように思うのでございますが、その点に関しましてまずお尋ねいたしたいと思います。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 現在の地方自治委員会構成でございますが、これは十二名の委員からなることに法律上なつておりますが、その中で全国の町村議会の代表者の選任が実は遅れておりまして、今月の九月に全国町村議会の議長会がようやぐ発足されましたような次第でございます。近く関係委員が推薦せられて参るであろうと存じておりますが、まだその推薦がないのでございます。一方、学識経験関係委員が四人あるわけでございますが、そういう地方団体の代表者の委員が一名欠けている際でありますので、学識経験者の委員を四人全部任命いたしますことは、地方団体とそうでない方面との委員構成の比率等につきましても、いろいろ問題があると思いますので、ことさらにその方は任命しない。両方各一名ずつ欠員、こういう形になつている次第でございます。
  32. 立花敏男

    立花委員 どうもこの地方行政調査委員会議構成を見ましても、今ありますような自治委員会のようなものになつてしまうのじやないか。しかも今あります自治委員会が、前の地方財政委員会のような非常に官僚化されたというか、非常に能率が上らないような組織になつてしまうのじやないかという気持が多分にいたします。特に代表を、連合体組織である都道府県知事の連合体、あるいは市長の連合体、町村長の連合体などから出しますと、非常にこれが形式化されまして、直接に市民あるいは住民と接触しているものから出て来ないで、連合体の代表の推薦というような形になりまして、生の民主的な意見が反映して来ないと思います。特に少数意見などが反映して参る機会がこれでは決してございません。それで、どうしても最も官僚的な悪い面ばかり集めたような組織になつてしまうのじやないかという気分が多分にいたします。特にこれだけでなしに、この行政連絡会議というものをおつくりになつておられますが、これなども地方の職員を三十名ばかり集めておつくりになるようですが、これもあまり大した役割を果せないのじやないか、次に專門調査員でございますが、これなどもむしろ蛇足じやないか、こういう政府自体がみずから行政整理をおやりになつて、機構の簡素化あるいは人員の減員をおやりになつている場合、こういうむしろ能率の上らないものをおつくりになる必要はないのじやないか、おつくりになるのであれば、もつと今ある実際の地方自治団体あるいは自治団体の会議を利用されまして、そこからそのまま現在生きて動いている地方意見なり、地方の行政のよしあしがすぐ反映できるような、しかもそれが全国的にまとまつて、直接国会に反映できるような形をおとりになる方がいいのではないかと考えます。そういう点から、もう少しこの法案自体を根本的にお考え直しになる必要があるのじやないかと考えますが、そういう本質的な問題でもう一度お考えを承りたいと思います。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方行政調査委員会議委員の選出方法あるいはその運営等が、政府原案のままでは必ずしも民主的な、生きた、実情に即する運営が困難ではないかという趣旨のお尋ねのようでありますが、シヤウプ勧告の文章を読んで見ますと、これは相当根本的なものの考え方をしているようでありまして、政府といたしまして、も、終戰後の地方自治制度改革の重点は、中央からの各種の監督とか、許可、認可といつたようなものを排除いたしまして、地方団体の運営の自主性を確立するということに重点を置いて、今日まで参つたわけでございます。地方団体が処理する仕事の内容を豊富にし、ゆたかにするという点においては欠けておつたわけであります。そういう点をシヤウプ勧告がまさに突いておるわけでありまして、私どもも常にそういうふうに考えて参つて来たのでありまして、そういう一つの大きな、国から地方への地方分権を断行するということは、実は非常に大きな問題であります。各省との関係におきまして、各省の今所管をしておりまする行政事務を、まず市町村に、次いで都道府県に移讓するという問題であります。これは出先機関の廃止という一つの問題を考えてみましても、とうてい簡單にはやりおおせない大事業であると思うのでございます。そういう仕事を担当するには、今お話のように、生きた地方団体の声というものが、常に反映をする必要がありまするが、しかし国全体の行政事務を国と地方団体との間に配分するということは、やはり相当根本的な原理を考えまして、その原理に従つて全体の事務を見直して行く。そこで配分を考えて行くということにならなければならぬと思うのであります。この点ではむしろ日々地方団体の行政に関係しておられまする知事とか、市町村長自身がそういう仕事を担当せられますよりは、やはり全力をあげてその能力をこの仕事自身に持ち得るというような人を、委員に選ばれることが望ましいと思うのであります。監督も決して知事、市町村長自身がなるというような行き方ではなくて、会長が任命した者、こういうことになつておりまして、会長が任命いたしまする際に、勧告では事前に団体の中の選挙とかいうようなことを規定いたしておりません。ただ單純に会長が最も適当だと思う者を選ぶように書いてございます。法案といたしましては推薦した者ということでありまするが、おそらくそれぞれの団体の代表者とせられましても、選ばれる場合には何らかの形で組織の意見を徴するというようなことで、委員が推薦せられて来るであろうと思うのであります。従いまして、そういう一面において生きた各地方団体の連合体の意見を代表しつつ、また十分な識見を持つた專門家が選ばれるということが、政府としても望ましいことでありまして、そういうふうに構成が行われることを望んでおるのであります。  それから行政連絡会議の点につきまして御意見がありましたが、これは実は行政連絡会議というようなことで、関係各省あるいは地方団体関係者が一つ会議体をもつて、そうして何かそこに一つ意見が現われて来るということになりますと、委員会自体の自由なる検討に基く意見というものが、そういういろいろな関係各省の意見等によりまして、相当左右される結果になりはしないか、そういうようなことは望ましくないので、やはりあくまでも委員会自体が自由に原理的に研究をしで案をつくる。こういう方向に持つて行こうということで、行政連絡会議という思想も、国会に最後に提案をいたしました政府案といたしましては、これを落した次第であります。ただ実際の事務を処理いたしておりまする関係各省、地方一体との間の連絡ということは、これは事実必要でありますので、いわば連絡者の指名を求めまして、必要な資料はそういうようなものを通じて提供させるというような、便宜のための連絡員というものだけを置くというふうにいたしてあるのであります。  それからなお專門調査員というものは必要でないのじやないかという趣旨のお話でありますが、この点は非常に御見解と違う見解を持つておりまして、專門調査員がむしろ一番この仕事の、委員会の旨を受けて処理をいたしまする中核機関になると思うのであります。ここには相当各界のいわゆる調査家としての專門家を、思い切つて優秀な人を選んで任命をする。地方団体関係の者もあるでありましようし、あるいは本来的な專門的な調査家というようなものもあると思いますが、できるだけの適任者を選ぶ。それも総理大臣がかつてに專門調査員を任命するというようなことでなく、あくまでも委員会の自主性を尊びまして、会議の推薦に基いて総理大臣が任命する。九條第二項にもありますように、あくまでも委員会独自性、自主性というものを強く考え構成をいたしておるような次第であります。
  34. 立花敏男

    立花委員 私の申しておりますのは、具体的ではなくて、一般的な原則論になるかもしれませんが、言いたいことは、こういう地方行政調査機関をお置きになりますのも、シヤウプ勧告案が出たからすぐやるというような機械的なものではないと思うのです。問題はやはり現在の日本の情勢におきまして、もう一度下から行政機構を練り直すというところが、ほんとうのねらいでなければならぬと思うのであります。そういう意味で部長のおつしやるように、下から切り離された四、五人の上だけの組織をつくつて、それが原理をきめて、下へ流すというようなやり方ではいけないのじやないか。そういうことでは今までの独善的な官僚組織とまつたく同じでありまして、決してそれではこれから新しい民主的な日本をつくつて行く上には間に合わない。そういうことはすでに過去の官僚組織で証明されたと思うのです。だからこの際こういうせつかくの地方行政組織の調査の会議をお持ちになるのならば、実際住民がどういうことを直接の生の行政として要求しているか、その上に立つて初めて国と地方との行政の区分もできて来るだろうと思うのです。それは第二段階で初めてできて来るのでありまして、直接われわれが生でつかまなければいけないのは、今地方の住民がどういう行政を要求しているか、その本質まで立入つて、その生の意見を上まで反映して行くような組織をおつくりになること。それを国会に直結なさること。これをお願いしないと、シヤウプ勧告が出たから、その通りつくつて行けばいいのだというのでは、これはいたずらに官僚機構に屋上屋を架するよろなものをつくり上げることになるのではないか。そういう本質的な立場からもう一度この機構の点を考えていただきたい。專門員のことにいたしましても、專門員がいらないとは申しませんが、專門員を置くことをお考えになると同時に、そういう下からの声を聞く組織を、あわせてお考えくださいますように、しかもその点に重点を置いて、いかに技術的な專門的な調査員を置きましても、その生の声が反映しないような、型にはまつた專門員であり調査員であれば、それはやはり今までと同じことだと思うのです。そういう意味でその專門員が生きて動けるような組織をおつくりになる必要があるのではないか。そういうふうな立場から申しておりますので、非常に具体的でない意見になつて、とりとめがないようですが、もう一度その点を考え直していただく必要があるのではないかと考えております。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方行政調査委員会議の運営が官僚的になりはしないかということを非常に恐れておられるようでございますが、これは地方団体の代表者というような形のものが、三人の委員のうち三人加えてあるという点は、組織自体シヤウプ勧告におきましてもそういうような結果にならないことを、初めから予想いたしまして、わざわざ政府任命の二人に対して、地方団体関係の任命するものが三人ということで、地方分権というものが組織自体からも、そういうふうに結論づけられるであろうということを保障しておるといわれるのであります。もちろんシヤウプ勧告があつたからすぐそのままかぶりついてやるという考え方ではございません。私どもといたしましてはこの地方分権という点が今まで一番至らなかつた点でありまして、警察などにつきましてああいう形の地方分権が行われました以外においては、終戰後地方分権というものは実質的には見るべきものがなかつたのでございますから、そういうような現実をも考えまして、組織のうち三人は地方団体の連合組織の代表者が推薦するものということにいたしまして、組織自体から地方分権ということが、いわば約束されておるというふうにも言えると思うのであります。住民の意思ということをしばしば仰せになりましたが、これは委員会の運営におきましては、どなたが委員におなりになるかわかりませんが、とにかく各種の参考的な意見を徴する方法を講じてございます。参考人の出頭とかあるいは各種の行政機関地方団体あるいはその他の団体等からも、いろいろ記録の提出を求めるというようなことも予定しておりまして、これは單に広く特定の層、あるいは、特定の部門の人の意見を聞くというだけではなく、もつと高い国家的な立場から、国の行政事務全体を行う立場から、再配分するという見地からこれは当つていただくべきであろうと存じまして、法の中にはそういうことが可能でありますような規定を設けておる次第であります。
  36. 河原伊三郎

    ○河原委員  一、二お伺いいたしたいと思います。先の地方自治法一部改正法律案の際の御答弁によりますと、地方議会の事務局はすでに設備されており、これの法制化の必要は政府もよく認めておるが、財政の膨脹を避け国民負担の軽減を主眼としておる際、すでにできておるものの法制化すらその見地からきらう、こういうふうな方針を明示せられました政府におきまして、こうした新規な機構を設けられるということは、大きな矛盾でないかと思うのでありますが、この点に関する政府の御見解を伺いたいのが第一点。  いま一つはそれとは全然関連しない観点におきまして、この委員会の機構を見まするのに、專門調査委員が二十名ありまして、事務局長があり事務局が置かれておる。ところがこの法案によりまして伺いますと、総理府の職員が六名ばかり増員になることになつておりまして、事務局の職員は六名をもつてあてるのではないかと想像されるのでありますが、もしさようといたしますならば、大きな期待をかけるこの調査委員会、そして專門委員が二十名もあるこの調査委員会におきまして、わずかに六名の職員でもつてよく所期の目的を達し得るかどうか。頭と手足とのつり合いが非常におかしいのではないか、かように考えるのでありますが、この点に対する御見解を伺いたいと思います。
  37. 遠山信一郎

    遠山政府委員 行政整理を行なるておる際に、各方面に当然認むべきものをも認めない際に、行政調査委員会議のごときものを設けるのは、少し矛盾じやないかという御意見でございますが、大体論としてはそういうことに存じますが、この行政調査委員会議のごときは、先ほどからもいろいろ政府委員から御説明を申し上げた次第でありますが、地方自治の画期的な改革をいたしますことは、日本民主化の発達のために焦眉の急に属する国家的の実に大きな問題でございます。そこでこれが促進のために、どうしても一つ機関をつくらなければならぬわけでございますが、それがために行政調差委員会議をこの際設けることが、まず第一の急を要する問題だと存じます。ことにシヤウプ勧告案におきましても、ただちに問題を取上げて実行せよ、こういうことの勧告になつておる次第でございます。政府におきましてもそれはもつともである。この際地方自治の一大改革は当面の急と存じまして、この地方委員会提案をいたした次第でございます。  なおこれに付随いたしますところの事務局でございますが、事務局六名ということになつております。これはまことに御説の通りでございまして、六名ではまつたく困る。ところが本年におきましては行政整理を思い切つていたしましたために、この際増員をすることは、諸般の事情からどうしても認めがたい、こういうのでやむを得ず今回は六名ということにいたしまして、二十五年度からは二十名ということで、大蔵当局とはすでに話合いがつきましたのでございます。そういうわけでございましてさしあたりは六名でございますが、来年度は二十名ということになつておる次第でございます。幸いに專門調査員が二十名ございますのと、いろいろ連絡関係に携わる者もございますので、これは開始早々不十分でありますが、とにかく事務局六名をもちまして、專門調査員その他と一致協力して、その趣旨に沿うべく努力したいと存じます。
  38. 野村專太郎

    ○野村(專)委員 この地方行政調査委員会議設置法案中この委員会構成する総理大臣が任命する五人の委員のうち三人を知事、市長、あるいは町村長、この連合組織体から推薦されて総理が任命して行くということで、このねらいとしては私ども納得ができるのですが、東京のごとき特別区の場合、これは自治法によつて明らかに市制に準ずることが明定してあるわけです。しかし徴税法ですとか関連法規においては、これをはばむ反対のような法規が現存しておつて、今二十三区を中心としてこの委員会にも請願が出たり、いろいろ問題が起こておることは御承知通りであります。特にこのシヤウプ勧告によつて地方公共自治団体の第一線である市町村を強化して行く。従来東京都においては特別区の行政、こういう問題を解決するために、いろいろ困難な交渉があつて、今日まで解決が得られなかつたのでありますが、今度はこの勧告案の線に沿つて、二十三区が猛然として、この勧告の線に沿うべく盛んに請願、または運動が行われておりますが、そういう場合に関連組織体から出す場合には、むろん自治法できまつておりますいわゆる市長ブロック、この組織体に入つて推薦を受くべきものであろうと考えておりますが、この点はいかがでございますか。  それから今日の機会に結論はむずかしいのですが、この勧告を機会にして、相互に矛盾する法律を現在のままで置いておくということは、これは健全なる特別区の自治体の性格を、非常に不明瞭にするものである。この機会においてこそ、はつきり法文が示しておる方向に行かなければならぬ。こう思うので、この点に対して政府当局ではどういうふうに考えておられるか、この点を伺いたいと思うのであります。
  39. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 特別区の関係意見が、地方行政調査委員会議委員を、全国の市長会が推薦をいたす際にも、あわせてそれを取入れて推薦ができるようなことになるではないか、そうはできないか、こういう御趣旨のようでありますが、ただいま野村委員の仰せになりましたように、自治法の建前といたしましては、特別区を原則として市同様に扱うというかつこうになつておるわけでありますが、このシヤウプ勧告趣旨といたしましては、もしも全国市長会の中に特別区が加入をしておりまするならば、これは当然にその意見が反映して、一人の委員が推薦せられて来ると思うのでございますが、現在は加入をしたい。また考えてみようというような程度に、この特別区協議会と全国市長会との間で折衝中のように聞いておりますけれども、もしもそれが実現しますならば、当然包含せられることになると思いますが、特別区がもしとれに加入できない状態におきまして、委員を推薦するという事態になりますと、そのことは実際問題としてちよつとむずかしいのではないかというふうに考える次第であります。但し委員会議としては、特別区の行うべき事務をどういう事務にするかということについては、やはり東京都の事務をどういうふうな事務にすべきかということを相関連をしまして、当然にこれは爼上に上りて来る問題だと思います。  第二のお尋ねの特別区の取扱い、性格を今後どうするかということは、従いまして当然これはこの委員会におきましても、いろいろ論議をせられることになるであろうと考えます。
  40. 野村專太郎

    ○野村(專)委員 この法案が成立をして、この委員会議ができますと、都道府県の事業分量と町村の事業分量というものが、はつきりきまるわけであります。こういう点に対して、特別区の代表者が市長ブロックの中に入つて、自治法もそうはつきりきまつておるの、すから、その中からその代表者を出すべきであろうと思う。そこで初めてこの勧告にも沿うことができます。そういう点に対して、今の御説明はまことに私は当を得ていない、よろしく政府当局はその間あつせんをされて、当然自治法に市制に準ずるということになつておりますから、この立場において、特別区も——その市長会の中に入れて、代表者を送るべきである。かように考えておるわけです。  それから先ほど河原さんからも御質問があつたのですが、これだけの理想と希望に燃えておる会議の職員の配置が六人というようなことは噴飯ものでして、こういう法案自体が非常におかしい。こういうことはどうかと思う。こういうのは実際に沿うように法案を出すべきである。他の行政整理とそれとはおのずから違つた性格、理想を持つて来ているのですから、そういうようにいたずらにこれは理由づける必要はない、かように思われます。そういう点から実際に動けるような法案を出すべきであろうと考えます。  同時に第二点に申し上げた、この際自治法あるいは関係法規及び二十三区側の要望に沿うて、政府としてはこれを取上げて、改正の意思、用意ありやいなや、この際つけ加えて伺つておきたい。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の特別区を全国の市長の組織の中に入れるかどうかという点であります。ただいまの御意見は拜聽いたしましたが、やはりあくまでも全国市長会と特別区協議会との間の、両団体の自主的な交渉を重んずるべきであろうと存じますので、ただいまの御意見は十分拜聽いたしましたから、機会がありましたならば連絡を申し上げますが、やはり両者の自主的な協定の結果にまつのが、適当であろうと考えるのであけます。  それから特別区の性格をもつと明確にして、割り切れたようにするということにつきましては、この調査委員会議におきましては、事務配分に関連してもちろん論議されると思いますが、政府といたしましても十分研究をいたしまして、もしも事前において処置できるようなことがありましたならば、それはそういうことができますように努力して参りたいと思います。  それから人員の点につきましては御意見は十分拜聽いたしました。
  42. 中島守利

    中島委員長 龍野君。
  43. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 私は地方行政調査委員会議設置法案についてお尋ねいたしますが、そのお尋ねをする前に、本法案と、先般の臨時国会において修正議決せられました地方自治設置法との関係について二、三お伺いいたしたいと思います。この法案法律としてできますれば、これに抵触する面のあるものは、これがために廃止になるかどうか。すなわちたとえば地方自治設置法の中に、地方自治委員会というようなものがありますが、それと、今度の地方行政調査委員会議との関係を御説明願いたい。地方自治委員会の中にも幾多の使命がありますが、その中にもやはり国と地方自治との事務の配分の関係、あるいは自治団体相互間の事務の配分の関係も、やはりその使命の一つに含まれておると考えるのでありますが、今般の地方行政調査委員会議は、もつばら調整事務が主であるようにも考えられますが、その辺の関係をまずお伺いいたしたい。  次に、先般の地方自治設置法のときにも、いろいろ問題になつたのでありますが、あの委員の数を今度の法案によりますれば五人にしてある。なるほどシヤウプ勧告案では、五人と限定いたしたようでありますが、しかしながらこれは日本の国情から考えまして、必ずしも五人に限定しなければならぬという必然的な理由は、なかろうと私は存ずるのであります。何ゆえに五人にいたしたか、そこをまずお尋ねいたしたい。  次に專門調査員の性質の問題でありますが、これが身分、待遇はどうなつておるか、これは公務員であるかどうか。法案によりますれば非常勤とするというふうに書いてあります。この性質についてまずお伺いいたしまして、次にさらにお尋ねいたしたいと思います。
  44. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方自治設置法によります地方自治委員会議と、本地方行政調査委員会議との関係についてのお尋ねでございますが、これは今お言葉の中にもありましたように、まずその性格から申しますと、地方行政調査委員会議の方は、いわゆる調査、審議のための機関でございまして、国家行政組織法の第八條に基く一つの調査機関ということになるわけであります。但し通常の調査機関は非常勤の委員が時折会合せられまして、意見を述べたものを審議の結果として、勧告するというのが建前でありますが、これは常勤の委員が慎重審議をしましたものを勧告する。従いまして常時調査の仕事をやるという意味におきまして、通常の調査機関とは違うわけでありまして、そういう常時活動の機関であるという点におきましては、地方自治委員会議とやや異なる点があるのであります。一方地方自治委員会議の方は地方自治庁と相並ぶ機関でありまして、地方自治庁が所管をしておりまする重要なる事務につきまして、これを地方自治庁が総理に対して意見を具申する、あるいは執行するという場合におきましては、一定の事項は必ず地方自治委員会議にかけて、その議決を経なければならない。こういうことになつておるわけであります。従いまして、これは国家行政組織法の第三條のいわゆる行政機関としての常時執行いたします行政機関に、並置されました一つの合議制の機関でありまして、その意味ではいわゆる調査機関でなくて、行政を執行するための一つ機関であります。そこでそのような調査機関が行政機関に並置せられておるという点が、根本的に違う点だと思うのであります。しかしながらただいま御指摘にもありましたように、仕事の内容自体につきましては、地方自治庁におきまして地方行政関係事務の配分というようなものも、事務的にはいろいろ研究を、過去においてもいたしましたし、今日においてもいたしつつあります。そういうような仕事と地方行政調査委員会議の仕事とは、非常に密接な関係が実体的にはあると思うのであります。ただ自治庁におきまして処理いたしておりますることは、かりにこの地方行政調査委員会議勧告というものが、政府に対してなされました場合において、政府のその関係法案国会に提出するというような場合におきましては、それをいわば最後の仕上げをするということを、いわゆる行政機関として、これは権限上当然に所管をするというような形になると思います。要するに一方は調査機関であり、これはそれを実現化する際の行政機関、またそれを執行するための行政機関である。こういう点が両者の違いの点ではないかと思うのであります。  それから何ゆえに五人にしたかという点でございますが、委員会委員の数をどの程度にするかということは、やはりそれぞれの委員会の性質と、また與えられました働きとに応じて、これを考えるべきであろうと思うのでありまして、この地方行政調査委員会議につきましては、お話のようにシヤウプ勧告が五人になつておるということは、やはり最も重視をいたした点でございます。それからまたほんとうに連絡、議決の機関でありまするというと、人員をそう限定するという必要はないと思いまするが、先ほども申し上げましたように、常時勤務をいたしまして、案をつくる機関といたしましては、あまりに多くの委員をもつて構成するということは、かえつて能率的にもどうであろうかと考えるのであります。かようなことを勘案いたしまして、大体五人ということにいたした次第であります。それから專門調査員は常勤か非常勤かという点が、明確でないというようなお尋ねでございましたが、これは非常勤とすることができると申します意味は、もちろん常勤ということを考えておりまして、非常勤とすることもできる、こういう趣旨でございます。従いまして專門調査員の中には、常時委員会の旨を受けて、仕事をする者もあり得るわけであります。但し旨を受けて仕事をするということになりますると、必ずしも適任者を得られないというようなことも考えられますので、特定の民間の団体とか調査機関におりますような者が、その身分を兼ねつつこの仕事をやるという道も開かんがために、非常勤とすることができるというふうにいたした次第であります。
  45. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ただいま地方行政調香委員会議地方自治委員会との性格の相違を伺つたのでありますが、あの法案審議の際におきましても、地方自治委員会が諮問機関であるか、決議機関であるかということについては、大いに論争を闘わされた点でございます。当局の御説明によりますと、結局諮問機関であるがごとき印象を、われわれは受けたのでありまするが、その当時における意見の大部分は、地方自治確立をはかるためには、かくのごとき諮問機関ではいかぬ。私は内閣地方自治との両委員会の連合審査会の席上におきましては、時の官房長官に対しまして、内閣直属の委員会にしたらどうかという意見を申し上げたわけでありますが、私は仕事の内容そのものには、大した違いはないと存ずるのであります。従いまして本調査委員会議が設立いたしますれば、もはや地方自治委員会のごとき諮問機関のようなものは、不必要じやないかと存ずるのであります。ただ説明といたしましては、一つは執行機関の諮問機関であり、これはそれ自体が一つの非常な権威をもつた決議機関であるというような、観念上の相違はあるかもしれませんけれども、実際上の問題としては、そういうことは国民が納得できない。むしろどちらかを強化したならば、片方はいらぬというように考えるべきものじやなかろうかと存ずるのであります。しかも地方自治委員会のメンバーと申すものは、御承知通り各組織の、全国都道府県知事の連合体から推薦した者、あるいは市町村の連合体より選挙せられた者というぐあいに、構成分子は全然同じであります。そういう関係から申しまして、一方ができるならば一方は、不要だと思うのでありますが、当局におきましてはやはり観念上の論議をもてあそんで、両方とも必要であるというふうにお考えになるかどうか、その辺の確信についてお尋ねいたしたい。
  46. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方自治委員会議は先ほど申し上げましたように、自治庁の所管いたします重要事務につきまして、自治庁はその議決を経てこれを行うことになつておるわけでありますが、自治庁事務は、やはり大部分の事務が行政を執行する面の仕事でございますから、たとえば配付税の配分の問題にいたしましても、起債のわくの問題にいたしましても、そのように日々起つて参ります重要事務につきまして、委員会議の方針に従つて、これを処理して行くということになるわけでございまして、一方地方行政調査委員会議は、要するに将来の制度をどういうふうにするかということを研究調査する機関でございますので、やはり現在の段階におきましては、自治委員会議地方団体との連絡の関係等もありまして、必要な機関であると考えておる次第でございます。また構成分子といたしましても、地方行政調査委員会議の方の、地方団体関係の三人の委員と申しますのは、実は連合組織の代表者が推薦したものでございまして、代表者自身が構成員になるわけではないのでございます。しかるに地方自治委員会議の方は代表者自身が構成員になつておりますので、構成員といたしましても違うわけでございまして、やはり現在の段階におきましてはこの両機関のありますることが、必要であろうと考えておる次第であります。
  47. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ただいまの御説明は、非常に頭の惡い私どもにはよくわかりませんが、代表者が直接地方あるいは県、市町村の団体から一人代表者が出るというのと、推薦した代表表が出るのとは非常に違いがあるというお話でありますが、いすれにいたしましても有能な地方自治庁の役人がそろつてつて、日々の仕事をやられるのにそういうような大げさな委員会を設けて、指揮を受けなければならぬということもおかしなことでありまして、むしろ地方行政調査委員会議という、こういう権威ある委員会ができますならば、地方自治確立を推進するために、單に将来の企画、立案にとどまらず、大きな問題にもう少し巾を持たして、これを進めて行くことの方が、国としても非常に明確なるを得るのではないかと思いますので、これは私見にわたりますから答弁を求めませんが、ただ五人の点でありますが、先ほどシヤウプ勧告に五人とあるから、五人といたしたというようなお話でありまするが、われわれの考えからいたしまするならば、その五人をさらに検討いたしまして、たとえば自治体の自治機関である代表者推薦というのみならず、意思決定の最高機関であるところの府県会あるいは市町村会の代表者等も入れるということも、さらに重要なことじやなかろうかと存ずるのであります。ことにこういうような重大なる決議をする機関である以上は、やはり相当あらゆる層を網羅するということが、究極の理想ではなかろうかと存ずるのであります。むろんあまり数が多くてはどうにもなりませんが、そういう方面についてさらに考慮する必要はないか。何も私はシヤウプ勧告案に五へとあるから、これを五人に金科玉條のごとくに守らなければならぬ問題じやなかろうと思うのであります。  それから專門調査員の問題でありますが、この專門調査員をそういうふうに非常勤とすることもできるといつたぐあいの御説明があつたのでありまするが、今日までの專門員で非常勤の專門員というものが、はたしてどういう役割を果しているか、名刺の肩書には專門員と書いて御本人は得意であるかもしれませんが、実際の場合においてほとんどその働きをなしていないというのが、間々あつたのであります。しかも事務局の人員は非常に数が少くて、法案によりますと十人足らずのようでありまするが、むしろ專門調査員を名前はどうでもけつこうですから、事務局をもう少し強化拡充する。そしてあらゆる資料をまとめて委員会に提出するというような方法でなければ、結局形だけつくつて実が伴わないというような結果になりはせぬか。しかもそれが往々今までそういう実例が非常に多いのであります。この点につきまして私はひとつ当局のお考えを承りたいと存ずるのであります。
  48. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方行政調査委員会議に少し巾を持たして、地方自治関係の仕事もやらしたらどうかというような点も、最初御意見があつたようでございますが、実はシヤウプ勧告におきましては、地方自治庁を廃止して、これにかえて地方財政委員会設置するようなことが、勧告せられておるのであります。この地方自治庁の機構をどういうふうに改組して行くかということにつきましては、なお検討を要する点があると思うのでございますが、地方行政調査委員会議、あるいは地方財政委員会というような、かりに地方自治庁を廃止いたしました場合の機関の構想につきましては、政府といたしましてもなお十分検討を加えまして、いたずらに同様な機能を持つ機関がたくさんできるというようなことがないように、また地方自治の本旨は、それによつて十分保障されるような機構にするように研究をいたしたい。こう考えておる次第であります。  それから五人のほかに議会代表を加えたらどうかというお話でありますが、そういうようなことも、もちろん考えられると思いまするが、先ほども申し上げましたように、五人という数字は、やはり常時勤務をいたしまして、一つのまとまつた厖大なる案をつくり上げるということにつきましては、能率的に考えまして、この程度の数が適当ではないであろうか。また委員の数を多くいたしましても、はたしてほんとうに適格の委員が得られるかどうか、またかりに適格の委員が得られましても、委員全体としての意見が、うまく一致するかどうかというようなことを考えますと、あまりに多くなるということにつきましては、やはり疑問を持たざるを得ないのでありまして、かたがた勧告が五人ということでございますので、五人という原案にいたしておる次第であります。  それから專門調査員を二十人として、事務局の方が十人足らずでは、はなはだ頭でつかちでうまく仕事ができるかどうかという点につきましての、警告的なお尋ねでありますが、この点は確かに今年度におきましては政府原案におきましては、なかなか思うような活動は困難であると思いますが、仕事が油の乗つて参りました来年度といたしましては、一応政府としては事務局二十人、專門調査員二十人ということで、ともかく委託せられました使命を、かつがつでもやつて行けるという考え方で、この提案をいたしたような次第でございます。
  49. 門司亮

    ○門司委員 大体各委員から私の聞こうとするところも、お聞きになつておりますので、あまりお聞きするところも少いだろうと思います。この法律を所管されるのは、一体どの大臣であるかということであります。私がなぜそういうことを聞くかと申しますと、今鈴木さんがいろいろ御答弁になつているので、あるいは木村大臣の所管かと思うのでありますが、内閣の総理庁の中には三人の大臣がおられまして、地方自治体のことについて、いろいろ分掌されておるようになつている。ことに内閣審議会の中に行政制度審議会があつて地方自治体に関係することを審議いたしおるようにわれわれは見ておるのであります。その例といたしましては、港湾法の前提となるべき港湾の開放についての審議は、ここでされたように聞いております。これは関係方面の意思が地方の自治体に港湾管理を移讓するという意思がありましたので、運輸省の所管であるべき港湾事業が、内閣審議会で協議されておるというような事実を持つている。そういうふうに考えて参りますと、総理庁の中にこういうものを置くということになつて参りますと、所管が一体たれかわからぬようになつている。そうして先ほどからいろいろ問題になつておりますような、この前審議いたしました例の自治委員会議というようなもの、さつき申しました内閣の調査審議会のようなものがあつて、さらにこれが加わつている。そういたしますと一体地方の行政のことを、どこが主管しておやりになるのか、その点を明確にしてもらいたい。この内容を見ますと、ほとんど自治委員会内容と同じようなことでありまして、いずれも関連しておりますし、この委員会の性格もやはりここに書いてあります通り、一切の税金のことにも関係を持つておりまするし、財政のことにも関係を持つておりまするし、その他行政的の事務の分配であるとか、あるいは説明書の内容を見ますと、都道府県の境界の変更に至るまでの、きわめて大きな権限といいますか、規模のもとにこれが組織されておるようにも見受けられる。こうなつて参りますと、われわれはこの法案審議する上に、一体主体が何であるかということをまず先に考えさせられる。この法案の全体を見ますと、先ほどから議論になつております通り、わずかに委員を六人ばかりふやして、あと專門調査員は二十人以内が非常勤でやれる。こういうことになつておりますが、内容が小さなものになつて、規模だけはきわめて大きいので、この行政審議会と自治委員会議の上にまたがるような、大きな規模を持つような感じを受ける。この点の性格をもう少しはつきりお示しを願いたいと思います。まず最初にそれだけお答えを願いたいと思います。
  50. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 内閣にあります行政制度審議会とこの地方行政調査委員会議関係が不明確であるというお話でありますが、この行政制度審議会は総理大臣に対する諮問答申機関としまして、閣議決定をもつてたしか設置せられた機関でございまして、いわば総理に対して意見を述べる一つの事実上の会合体でありまして、法律上の根拠は今ないわけであります。政府といたしましてもこのような各種の審議会が相当多数ございますし、今これを整理する方針のもとに検討いたしておりますから、早晩この点ははつきりして参ると思うのであります。  それから自治委員会議との関係は、先ほど来申し上げた通りでございまして、この法案地方自治関係があります問題といたしまして、地方自治庁の長官であります木村国務大臣が、この国会に対する関係においては、第一責任の大臣として所管をしておられるわけでありまして、もちろん行政事務の配分の結果といたしまして、国の行政機構に関しましても、あるいは影響を持つて来るかもしれませんが、そういう意味におきましては行政管理庁とも関係があるわけであります。また総理府に置かれる機関であるという点から申しますと、結局におきましては総理大臣にも関係があるということになるわけでございますが、直接的には地方自治に最も関係があるところの法案といたしまして、地方自治庁長官が提案理由を御説明申し上げたような次第であります。
  51. 門司亮

    ○門司委員 所管だけは一応わかりましたが、今の御答弁では中にありまする例の総理大臣の諮問機関である行政制度審議会に対しましては、そういうものは整理をする考え方だというようなお考えでありますが、本多国務大臣はそういう御意思であるかどうかということを、われわれはさらに聞かなければならないと考えるのであります。自治庁の方だけで整理をするお考えがありましても、主管大臣であります本多さんの方で、どういうふうにお考えになつておるか、われわれにはわからぬのであります。  さらにその次に聞いておきたいと思いますことは、そういう性格を持つ事務との関係でありますが、これは鈴木さんに聞いても少しむりかと思いますけれども、先ほどもちよつと申し上げましたように、たとえば事件があり、あるいは問題が起つて来る場合が、私は将来いろいろな角度からあると思いますが、そのたびにこれはどこの主管に移して審議させるかというようなことが、必然的に問題になつて来ると思う。これは先ほど申しましたような行政審議法案の問題がかけられたというようなことも、一つの例だと思いますが、そういう場合にはつきりした区分というものが明確になつていませんと、往々にして両方の権力争いのようなものが、必ずできやしないかということであります。  それからもう一つお聞きしておきたいと思いますことは、これは臨時的なものであるということが、はつきり明記されておるのでありますが、これはどのくらいの見通しで臨時的という言葉が使われておるかということであります。先ほども申し上げました説明書の内容の中に、行政区画の変更までもさすということが書いてありますが、こうなつて参りますと、これがなかなか一年や二年で、そうたやすくきまりのつく仕事ではないと考えておる。そうなつて参りますと、この委員の任命等でありますが、これが任命はなるほどできるのでありまするが、やめるのは、本人の意思でいつでもやめることができると思いますが、内閣総理大臣が両院の同意を得て、任命をする五人の委員ということになつておりますので、中の三人はおそらくその職を去りますならば、必然的に退職の道が開かれておる。しかしあとの二人はどういう形になるか。内閣がかわるたびにかえられるかということ、この二つの点をもう一度お聞かせ願いたいと思います。
  52. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは臨時に設置するというふうに書いてございますが、最も能率的に仕事が運びましたならば、来年、さ来年の予算の上に予算的には具現をする。また法律的にもさ来年度、すなわち昭和二十六年度の四月から、その新しい制度に切りかえられるように努力すべきであろうと考えるのであります。しかしながら何分にも国全体の行政機構を拾つて行く、地方団体の行政事務を拾つて行くということになつて参りますと、それだけでも非常に厖大なものでありまして、各種の法令にすべて当らなければなりませんし、また予算上生じております各種の事務にも当らねばならないので、なかなか委員の勉強のされ方によりましては、さ来年度予算なり法律から具現をして行くということは、なかなか困難ではないか。あるいはその翌々年にまで延びるというようなことになるかもしれないと思つておるのであります。それから委員関係でありますが、そのようにいたしまして、大体一年なり二年というものが、任命後の活動期間になるわけでございまして、その間にさらに特定の任期を設けて、一年にするということは適当でございませんので、やはりこれは委員が最初から終りまでこの仕事に没頭していただくというつもりで、專任すべきであろうと存じます。それから地方公共団体関係のものも、その職におるものがなるということを、むしろ予想いたしておりません。常勤の仕事でございますので、これは現職にない專門家で、最も識見を有せられる適当な者を推薦されることを予想いたしておるわけであります。従いましてこの者もやはり仕事が完了するまで、その地位にとどまつてもらう。こういう考え方でございます。
  53. 門司亮

    ○門司委員 私の心配しておりますのは、ただいま鈴木部長答弁と大臣の説明書との食い違いの点であります。大臣の説明書の中にこう書いてある。「たとえば府県市町村の規模の適正化ということについても、研究を進めることになるであろうと予想せられるのであります。」こう書いてあります。その前にどう書いてあるかというと、「この事務の配分の調整に関する計画の立案に伴つて、」こう書いてある。こうなつて参りますと明らかに自治法七條に基く都道府県の境界の変更ということが、政府には考えられていないじやないか。この問題は非常に重要な問題でありまして、この委員会においてもし大臣の説明書にありますように、こういうことがはつきり想定されておるとするならば、この委員会の性格というものは、もう少し大規模であり、ほんとうに真劍にやり得る態勢を整える必要が、この際あるのではないか。私は昨日、大臣の出席を求めていたのはこの点であつたのであります。都道府県の境界というものは、シヤウプ勧告案の中にも、必ずしも都道府県と書いてありませんが、自治体の形をかえなければならぬと書いてあることは事実であります。従つてこれに基く大臣の説明書のようにも見受けるのであります。そういうことを考えて参りますと、この規模ではおそらくやれないのではないかというふうに考えておるのであります。六人くらいの事務員で、一体何ができるかということであります。今日の自治体の、たとえば都道府県の廃合をいたそうとするならば、非常に大きな調査がまずできなければ、現在の段階において、都道府県の住民の納得の行く政策はなかなか出て来ない。ことに治山治水の関係から申しましても、災害防止の関係から申しましても、河川の関係等はおわかりの通りでありまして、たとえば利根川だけを見ましても、利根川の氾濫によつて最も被害を受ける千葉県ではこれは国庫河川であり、その上の栃木県、茨城県においては準河川であり、最後は市町村河川になつておる。こういうふうな場合に上流を多く受持つておる都道府県に、十分の財政的の余裕があつて、治山治水、あるいは河川砂防等に対して十分の施設ができれば、洪水を防止することは容易にでき得るとも思いますが、もし上流の府県で市町村河川を十分にやつて行けないというような事態がありますならば、たとい下流の方を受持つておる都道府県がこれの災害予防を、一生懸命やつても効果のないことである。そういう点を総合いたしましても、やはりある程度府県の総合的の一つの自主性を持つ形において、この際思い切つた運行を行う要があるということは、ただ災害一つ考えてもわかる。しかしその間の調査があり、その他食糧の需給の関係とか、交通の関係とか人情であるとか、風俗というものを、ずつと勘案して参りますと、必ず大規模のものを持たなければ、この大臣の説明書のようなことは、なかなか困難であろうと思うのであります。それと同時に二年や三年で、そういう調査がそう簡單に片づいて、この委員会の使命が達成されるとは、毛頭考えられないので、はたしてこういうことをほんとうにおやりになる御意思であるかどうかということを、もう一回お伺いしておきたいと思うのであります。
  54. 遠山信一郎

    遠山政府委員 ただいまの御質問でございますが、政府はこの小規模の組織で、御質問のありましたような大きな問題を処理できるのか、またそれをやる決心か、こういう御質問でありましたが、先ほども申し上げたように、なるほど当初においては事務局はわずかに六人でございますので、まことにその感はあるわけでございますが、明年度は二十人になるので、この二十人と常勤の五人のそれぞれ経験なり、知識なり、識見なりを持つた優秀な委員、そのほかに專門調査員二十人、また連絡に当る者、こういうようなものを加えて、またそれぞれ関係方面の協力も仰いで、ぜひこの重要なる大目的はどこまでも貫徹して行きたいというかたい決意を持つておる次第でございます。  なお御指摘のような都道府県の廃合というような、大きな、しかも利害関係の深い問題につきましては、やはり事務の配分、財政の面、いろいろの点からだんだん調査研究が進んで参りますと、その廃合の点まで行かなければならぬようになるのではないかと予想しておるのでありますが、そういう点につきましても、この人員をもつて十分にやつて行きたい。ただ二箇年間内外という点につきましては、大体その程度でやつて行きたいと考えておつた次第でありますが、場合によりますと、多少その間に動きがあるのではないかと考える次第であります。
  55. 門司亮

    ○門司委員 話を進めて参りましたので、さらに聞いておきたいと思いますが、結論として、この委員会の持つ性格の最も重要な問題である事務関係から、あるいはその他の関係から、市町村並びに都道府県の区域の変更を行うというところまで、必然的に行くであろうということが、予想できるだろうと思いますが、大臣の説明書にも書いてあると思われるので、そういう御意思があるのかないのかということを、一応この機会にはつきり承つておきたいと思うのであります。これはむしろ次官から御答弁が願えればけつこうでありますが、私は大臣から直接お聞きすることがいいと思いましたので、大臣に御答弁をお願いしてもさしつかえないと思うのであります。  日本は御承知のように、明治十八年に市町村制ができて、その後ほとんどかわつていないのであります。それ以前におきましては、多少都道府県の廃合が行われた事実はあるのであります。たとえば神奈川県のごときは御承知のように、足柄郡と神奈川県とにわかれておりました。そうして足柄郡の一部の現在の靜岡県の駿東郡の一部が靜岡県に入り、三多摩は東京府につけるということがあつたのであります。従来わが国には明治十八年以来都道府県の境界の変更がなかつたとは言えないのでありまして、現に歴史の上から見ましても、かつて田中内閣の当時、内閣審議会で一応八つにわけようという意見を立てて、その理由一つとしてあげられておりますのを見ますと、中には鉄道の管区が八つであるとか、あるいは逓信の管区がどうなつておるとか、あるいは営林署の関係がこういうふうにわかれておるとか、いろいろな行政上の事務的の関係がすでにわかれておるというような議論から、日本を八つにわけたらどうかということが、かつて田中内閣の行政審議会であつたということを、われわれは記録で見ることができるのであります。今内閣でそういうことをお考えになつておるかどうかということを、この際明確にできますならば、ひとつ意見を承つておきたいと考えるのであります。
  56. 遠山信一郎

    遠山政府委員 都道府衆ないしは市町村の廃合の点でございますが、ただいま御意見のありましたように、いろいろこの問題につきましては、明治以来の経過と歴史があるわけであります。今回シヤウプ勧告案によりまして自治の確立中心といたしまして、根本的に市町村及び都道府県、あるいは国の事務の配分、あるいは財政の建て直しというような点が考究されるわけでありますが、国といたしましてはそういうような目的のために、まず第一にこれを取上げて検討する次第でありますが、研究の結果によりましては、都道府県ないし市町村の配置変更ということも、当然起つて来る問題であります。こういうふうに考えられます。それで第一に地方行政調査委員会議なるものを設置いたして、そこで愼重審議研究する次第であります。
  57. 中島守利

    中島委員長 委員長からお諮りいたしたいと思います。本案は日本民主政治の上では非常に重要なものであります。この法案の性格その他私どもの研究の余地が大いにあります。この次にこの法案審議する場合に、主管大臣木村国務大臣並びに行政管理庁の関係がありますので、本多国務大臣、それから内閣機関として設立せられる関係がありますので増田官房長官、これらの人の御出席を求め、質疑を継続したいと思います。そういうことにして本日はこの法案に対する質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 中島守利

    中島委員長 御異議ないものと認めます。  次に昨日お諮りいたしました観光事業の特別委員会では、月曜日の午後一時から、連合審査会を開きたいと申し入れておりますので、二十一日は観光事業の特別委員会との連合審査会を開きますから、さよう御承知を願います。そういうわけで本委員会は二十一日は休みます。二十二日の午前十時から開会いたしまして、自治法の一部を改正する法律案に対しまして、質疑の残り分だけ継続して、なるべく当日をもつて討論に入りたいと考えますので、さようお手配を願いたいと思います。  本日はこれで散会いたします。     午後零時四十三分散会