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1949-11-18 第6回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十八日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 大泉 寛三君 理事 川本 末治君    理事 野村專太郎君 理事 久保田鶴松君    理事 立花 敏男君 理事 大石ヨシエ君       生田 和平君    河原伊三郎君       清水 逸平君    淵上房太郎君       龍野喜一郎君    門司  亮君       床次 徳二君    鈴木 幹雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 樋貝 詮三君  出席政府委員         (法制局長)         人事院事務官  岡部 史郎君         国家地方警察本         部長官     齋藤  昇君         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 遠山信一郎君         (地方自治庁財         政部長)         総理府事務官  萩田  保君         (法制意見第一         局長)         検     事 岡咲 恕一君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 十一月十七日  町村吏員恩給組合に対する国庫補助請願外一  件(吉川久衛紹介)(第四二一号)  同(岡村利右衞門紹介)(第四二二号)  同外一件(河野金昇紹介)(第四二三号)  同外九件(早稻田柳右エ門紹介)(第四二四  号)  同外十八件(早稻田柳右エ門紹介)(第四九  三号)  同外五件(川本末治紹介)(第四九三号)  同外二十二件(早稻田柳右エ門紹介)(第六  九四号)  同(米原昶君外二名紹介)(第七七一号)  同(岡田春夫紹介)(第七七二号)  同(坂本泰良紹介)(第八〇〇号)  同(井出一太郎紹介)(第八〇一号)  同(田島ひで君外二名紹介)(第八八一号)  地方配付税配付率復活請願吉川久衛君紹  介)(第四二七号)  同(井出一太郎紹介)(第八〇二号)  廣島市警察吏員定員増加に関する請願(川西  清君紹介)(第四三九号)  府県衛生部存置請願川本末治紹介)(第  四四〇号)  接收土地家屋に対する地租家屋税減免請願(  守島伍郎君外一名紹介)(第四八四号)  地方自治法の一部改正に関する請願江崎真澄  君紹介)(第五〇〇号)  同(川本末治紹介)(第八三九号)  自治体警察吏員退職手当金支給に関する請願  (志田義信紹介)(第六〇二号)  東京都特別区の自主的財政制度確立に関する請  願(野村專太郎紹介)(第六二五号)  地方税制改革に関する請願江崎真澄紹介)  (第五〇五号)  同(岩川與助紹介)(第六三三号)  沿場業者に対する事業税免除請願佐藤榮作  君外二名紹介)(第六七六号)  地方配付税制度改善に関する請願米原昶君外  二名紹介)(第七七三号)  入場税軽減に関する請願野村專太郎紹介)  (第七六〇号)  医業等に対する特別所得税撤廃請願渕通義  君外二名紹介)(第八一四号)  山間地方の許可、認可手続簡易化に関する請願  (八百板正紹介)(第八五九号)  警察法の一部改正に関する請願外一件(大矢省  三君紹介)(第八八三号)  地方税法の一部改正に関する請願江崎真澄君  紹介)(第五〇六号)  戰災都市復興事業費起債復活に関する請願(  江崎真澄紹介)(第五一三号)  自治体消防機構の強化に関する請願江崎真澄  君紹介)(第五一九号)  砂川、新十津川間町村道地方費道に昇格の請  願(篠田弘作紹介)(第九〇六号) の審査を本委員会に付託された。 同日  府県農地部存置陳情書外一件  (第一七  九号)  地方配付税法の特例に関する法律廃止陳情書  (第一九一号)  自治体警察撤廃陳情書  (第二一一号)  地方財政根本的改革に関する陳情書  (第二一  九号)  川崎市における警察吏員定員増加陳情書  (第二二〇号)  地方議会事務局法制化に関する陳情書  (第二二六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第二七号)  警察に関する件     ―――――――――――――
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  日程の順序を変更しまして、国家地方警察本部長官齋藤君が御出席になつておりますから、警察に関する件をまず議題といたしまして、質疑を許したいと思います。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島守利

    中島委員長 御異議なければさようにはからいます。立花敏男君。
  4. 立花敏男

    立花委員 齋藤長官に御質問いたします。従来でも警察演習訓練あるいは警察一緒になりまして消防団などが演習をやつております。しかも消防団演習警察署長が出て参りまて、いろんな指導なり訓授なりを與えておりまして、その言葉の中には、私ども民主警察あるいは警察と全然切り離された民主的な消防を目ざす者にとりましては、非常に重大な問題が含まれておつたのは事実であります。たとえば愛知県では、知事自身消防団に出て参りまして、そうして軍隊がなくなつた日本では、警察消防軍隊、かわつて国家秩序維持するのだというよう訓示を與えておりますし、また警察署長が、その訓練に出て参りました消防団に同様な訓授をしておりまして、警察自体にとつても非常に問題であろうと思いますが、特に警察と新しく切り離されました消防自体にとりましては、重大な問題だろうと思いますが、たまたまこの十一月の八日から九日にかけまして、長野県で行われました国警暴徒鎮圧演習というあの演習に際しまして、今まで全国的に行われておりましたこういう傾向が、華中的に現われておると思いますので、この点についてお尋ねいたしたいと思いますが、その前に私が今まで申しあげました、全国的にこういう問題が起つておるということを、長官は御存じでございましたかどうか承りたいと思います。
  5. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 警察訓練は、全国各地で従前からやつておるのであります。ただいまのお尋ねの消防警察の共同の訓練の問題につきましては、私は警察消防一緒になつて計画を立てたり、訓練をやつておるということはまだ聞いておりません。しかしながら消防訓練の際に警察も出るという場合はあるだろうと思つております。警察消防関係は、この前にこの委員会にもしばしば御質問なつたところであります。先般警察消防の共助の点を明らかにいたしまして、これをもとにして、その基準によつて警察消防が互いに共助するようにという建前をとつておりますから、その範囲においていたしておるものと、かように信じておるのであります。
  6. 立花敏男

    立花委員 十一月の八日、九日にわたつて行われました国警の一都十県にわたる数千名を動員しての演習目的並びにその方法、あるいはその費用の出所、それから自治体警察がこれに参加したと報告されておりますが、参加したならば、いかなる手続によつてこの自治体警察参加せしめたのか、また参加させた自治体警察費用の支弁の方法などについて承りたいと思います。この演習想定は、非常に私どもは重大だと思いますが、暴徒鎮圧とか、あるいはそれに類した言葉を使つておられるようでありますが、何がゆえに現在そういう数千名の国警を一都十県にわたつて動員いたしまして、暴徒鎮圧あるいは反乱鎮圧とかいう言葉でやらなければいけない理由があるのか、それを承りたいと思います。  もう一つは、長野県では実際、多分市警を動員いたしまして、市警労働者の服を着せ、さらにそれに赤旗を持たせて、スクラムを組ませて、警官と対峙させております。長野県の新聞によりましても、これは長野県の商業新聞でございますが、明らかに鉄橋争奪戰を演じておるところが写真にとられておりますし、また別の写真では、いわゆる軍隊が夜間に渡河作戰をやりましたと同じような情景が写真に出ております。こういうふうな、国内に大がかりな反乱あるいは暴動の危険があると、国警の方では認定されておるのかどうか、しかもそれが労働者によつて起されると想定されておるのかどうか、この点をまずはつきりお尋ねいたしたいと思うのであります。
  7. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 先般長野県の上田市中心といたしましてやりました警備訓練演習は、ただいまおつしやつたような、一都本県数千名というのは、少し大げさ過ぎると思うのでありますが、このときに集まりましたのは千二百名、それから長野県の警察中心になりまして、群馬県が若干名と、幹部学校の生徒が若干名参加した規模のものであります。そしてこの警備訓練目的は、非常災害がありました場合、あるいは騒擾その他の集団的な暴行というものが起りました場合に、警察責任を十分に果せるように、ふだんからいろいろ訓練しておく必要がありますので、かよう意図のもとにおいて行つたものであります。自治体警察は任意に参加をいたしたのであります。強制参加はいたしていないのであります。労働者の服を着せて云々というお話がありましたが、必ずしも労働者というわけではありませんので、暴動参加している者という想定のもとにおきましては、警察官服装は、演習といたしましては、警察官以外の服装の方がはつきりいたしますので、その点において普通の服を着たというにすぎないのであります。
  8. 立花敏男

    立花委員 私最初に申し上げましたように、長野県の今度の演習は、今まで全国的に行われておりましたこういう類似の演習の最も典型的なものであるという建前から、私ども総合的に判断いたしまして、この長野県の演習は、しかも現実において警察官労働者の服を着せ、しかも赤旗を振らせてやらせているということから、労働者対象としておやりになつたということが、当然に言えると思うのであります。たとえば、そのはつきりした例としまして、神奈川県におきましては、これは非常におかしいような話なのですが、徳田球一の名前をもじりまして、徳山球三の指導する暴力団体は、本十月何日何時何分区内某地点でデモ行進を開始したという、そういう想定によつて演習をやつておるのであります。こういうことが全国的に行われておりまして、その最も典型的な例が長野県で起つている。しかも長野警官労働者の服を着せ、そして赤旗を振らせて、鉄橋あるいは橋梁の争奪戰をやらせておるということ自体が、意味するところは明らかだと思うのであります。なぜこういうことをおやりになるか、こういうことをおやりになつて、はたして地元の民心、あるいはこういう演習を聞きました一般的な国内人心が、どういうふうに感ずるかということを、どうお考えになつておるか、こういうことをお尋ねいたしたいと思います。
  9. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 必ずしも労働者対象にしたというようなことでは全然ありません。これは先ほど言いますように、暴動を起す者が労働者であろうと何であろうと、それは、どういう階級というようなことを対象には全然いたしておりません。長野県にも私は行つたのでありますが、赤旗は振つていなかつたと思つております。白旗を持つておりました。  それから、この警備訓練演習民衆に及ぼす影響とおつしやいますが、私は、いやしくも治安を乱るというような場合には、警察は最善の努力を盡して、そうして最小犠牲において鎮圧ができるという訓練演習をすることは、善良なる民衆としては、かえつて心強いと思われることと思うのであります。
  10. 立花敏男

    立花委員 不必要なる大規模演習は、決して人心を安定せしめないと考えます。現在日本国民は、齋藤長官はそう大きくはなかつたと言われますが、とにかく数府県にわたつて、数千名の国警自治体警察参加せしめるような、大規模反乱が起るとは国民は想像していないだろうと思います。その際に必要以上の大規模演習をなさる。しかも警察費用はと申しますと、それは自治体にとりましても、国家にとりましても、重大なる負担になつておる。ところが一方国民生活はこれに耐えられないような形で窮迫して参つておる。しかも自治体にいたしましても、警察費負担は、多いところでは自治体の三割を占めておる。しかもそれで足りなくて、いわゆる国家警察あるいは自治体警察に対する警察寄付というものが、大きな形で国民生活を圧迫しておる。あるいは自治体にいたしましても、国家警察に対しまして毎年二百万円、あるいは五百万円、平均数百万円の金を国家警察に正当ではないと思われるような形で出しておる。こういう事態に直面しておりながら、日本国民の大部分が必要と思わないような大規模演習をやつておいでになる。これ自体が決して国民人心を安定せしめるものではないと考えます。この点に関しまして齋藤長官ように、警察が一旦必要があれば、すぐ鎮圧ができるよう演習をやることが人心を安定さすものだとおつしやいますことは、まさしくかつて、の東條のごとく、軍隊が必要以上の演習をし、あるいは動員をしたと同じようなことを、現在国警が先頭となつてつておられるというようにしか解せられないと思います。私がこういつたことを申しますのも、決して憶測ではございませんので、齋藤長官自身長野県の演習あと訓示をなさいまして、警察軍隊なきあと軍隊であるとおつしやつておられますが、こういうことをお言いになつたかどうか。お言いになつたとするならば、どういう意味でお言いになつたか、はつきりさせていただきたいと思います。
  11. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 先ほどから私は千二百名の訓練であると申し上げておりますが、たびたび数千名である発つしやいますことは少し残念に存じます。私は、過去の状態から考えまして、千名前後の警察官を集めてやる演習というものは、とつぴな規模演習だとは考えておりません。千名前後の警察官を集めなければならなかつたという事例は、過去に数多くあるのであります。従つて今後もかようなことの絶無は期しがたい。万一の場合の万全を期するために、最小限度犠牲で、最大の効率を上げるというやり方を研究することが、最も必要なことだと考えておるのであります。  予算につきましても、国会においてすでに議決を願つた予算範囲内でやつておるのであります。予算審議の際に十分議会で御審議を煩わした、それを実行しておるに過ぎないのであります。  なお私が、軍隊のない今日においては警察軍隊であるといつたと言われますが、さようなことを言つた覚えはありません。日本軍隊はないのであるから、警察責任は重いということは私は絶えず言つております。またさように感じておるのでありますが、しかしながら警察軍隊であるということを考えたり、また言つたことは全然ありません。
  12. 立花敏男

    立花委員 私が再々言うように、千二百名が国警だけを指して言つておられるのか、あるいはそれに自発的に参加した自治体警察をも含めて言つておられるのか、その点は言明されておりませんのではつきりいたしませんが、とにかく齋藤さんが言つておられる千二百名というのを、この地元でその演習を見て実際発行されたであろう「夕刊信州」という地元新聞には、明らかに「暴徒鎮圧警官三千名、一都十県警備訓練、今暁上小盆地で」と書いてあるのでありますが、こういう新聞記事によりまして、重大だと思いましてお尋ねいたしております。その記事によりますと、明らかに「警官三千、一都十県警備訓練」というふうに書いてあるのでございます。しかもこの講評にあたりまして、齋藤長官の否定されましたお言葉、すなわち軍隊ないあと軍隊という言葉、これも決して長野県で初めて使われた言葉ではございませんので、最初に申し上げましたように、静岡の知事自身消防演習に出て参りまして、軍隊ないあとでは警察消防軍隊にかわつて秩序維持をするのだということを申しております。あるいはそれと同じことを警察署長消防に対して言つておる。こういうところから見まして決して私の申すことは憶測ではございません。今までの全国的な警官に対する動き方、あるいは警察指導部のお考えがそういうふうな方向に向いて来ておつたというところから、たまたま齋藤長官長野で、そういうことをお言いになつたと聞きましたので、はつきりとお尋ねしたのでありまして、そうでないとおつしやるなれば非常に幸いだと思います。  それから費用の問題でございますが、もちろんそういう訓練費とか何とかは予算にはあるのでございましようが、個人的にもあるいは地方自治体といたしましても、非常に財政困窮の折柄組まれた予算でありまして、決して今言われましたように必要のない厖大なる訓練とか、あるいは演習とか、そういうものにまでお使いになつてもいいというような気持で、国民自治体も出していないだろうと思うのです。予算はそれだけでございますが、前にも言いましたように、警察寄付というものは非常に大きな形で個人の経済をも、自治体経済をも苦しめているということから考えまして、予算に組まれているのだからどんな演習をやつて、どんな使い方をやつてもいいとは言えないのあります。こういうところはやはり自粛していただかないと、せつかく国家警察なり、自治体警察国民の怨府の的になることは当然考えられると思います。具体的に数字なり費目を承りたいと思います。今回の演習に関しまして、幾らの費用をどの費目からお出しになつたか、それから自治体警察費用に関しまして、これは国警と何の連絡もなしに自発的に参加したのだということをおつしやいましたが、これまたどういう費目から幾ら出しておるか、御答弁願いたいと思います。
  13. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 先ほど申し上げました千二百名の中には自治体警察警察吏官も全部含んでおります。従つて一切の参加人員が千二百人であります。私はこの程度警備訓練演習はきわめて必要であつて、決して無用なものとは考えておらないのであります。なお私は警察軍隊にかわるものであるということを言つたことは、全然ないということをはつきり先ほど申しましたが、誤解のないように申し上げておきます。先ほども申したように、軍隊のない日本においては警察治安維持責任は、軍隊のあるときよりも一層重大であるということは考えておりますし、はつきり言つておりますから、その点は誤解のないように願いたいと思います。  それから予算でありますが、予算費目警察費警備訓練に必要な経費という項目から出しておるのであります。今回の上田中心にした演習にどれだけかかりましたか、まだ報告を受けておりません。しかしながらこれは旅費あるいは車の借上代というようなものが主要なものでありまして、大した金額ではなかろうと考えております。自治体におきましては、自治体について必要な費用は、自治体吏員の日当と旅費程度のものであろうと考えております。これは自治体負担をいたします。
  14. 立花敏男

    立花委員 全国管区本部調練費は八十三万円しかないのですが、百五十台のトラックを連ねて、上田市から長野市まで大デモンストレーシヨンをやり、しかも二日にわたる食費なり、滞在費なりいろいろなものを合わせまして、全管区本部訓練旅費は八十三万円しかないのですが、これでは足りないと思うのです。今度の具体的な数字はおわかりにならないとおつしやつておられますので、これは足りたか足りないか、おわかりにならないと思いますが、私どもの常識で考えましても、この訓練費用では、今度のただ一回の東京管区だけの演習費でも足らないと思います。しかも齋藤さんのお言葉では、こういう訓練はまだ小さいくらいで、いくらでもまだ必要だとおつしやつておられますので、全国的に見ますと、おそろしい金額に達するのではないかと思いますが、将来訓練費全国的に見積りまして、どれだけ御予定になつているのか、ちよつと承りたいと思う。
  15. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 先般の演習訓練に要する費用は、管区訓練費用及び都道府県訓練費用から出しておるのであります。管区だけではありません。全国におきましては管区本部、各都道府県全部集めまして、しかもこれは小さな平常の基礎訓練から県單位訓練あるいは管区單位訓練といつたようなものを一切合財含めまして、全国で、約三千万円であります。
  16. 立花敏男

    立花委員 重要な問題があとに控えておりますので、もう一つ質問を終ることにいたします。これは重要な、きようの結論になるかとも思う質問でございますので、はつきりと御答弁を願いたいと思うのです。さいぜん、長官のお答えの中に、こういう大規模暴徒鎮圧反乱鎮圧演習が十分に必要の根拠があるということをおつしやつたのでありますが、その具体的に必要な根拠をお示し願いたいと思います。
  17. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 お説のように今年に入つてから最近に至るまでの間に、私どもはかような実際の事態を見たこともあるのであります。従つてよう事態は今後絶対に起らないという保障はできがたいと思うのであります。われ、われは過去の事例にかんがみまして、また万一将来かようなことがあつた場合に備えてやはり必要だ。かよう考えておる次第であります。
  18. 中島守利

  19. 門司亮

    門司委員 幸いに国務大臣おいでになつておりますので、ちよつとごく簡單にお聞きしたい。それは国会が開会されておりますと同時に、政府はしばしば警察法の欠陥その他の研究をされて、警察法を何らかの形で改正するというよう意見のあるような、ないようなことがしばしば新聞紙に伝えられておりますが、一体政府意図はほんとうに現在の警察法について改正される御意思があるかどうかということだけを、率直にひとつお答え願いたい。
  20. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 たびたび申し上げた通りに、政府においては研究はいたしておりますけれども、ただいまのところ事務的にもそういうようなことはこの議会では間に合わぬと思います。ただいまではこちらとしても決定しておりません。さよう御了承を願います。     ―――――――――――――
  21. 中島守利

    中島委員長 地方自治法の一部を改正する法律案議題としまして、質疑を続行します。床次君。
  22. 床次徳二

    床次委員 簡單に二項ばかり御質問申し上げたいと思いますが、今度直接請求の問題に関しまして、請求者署名簿を縦覧せしめる規定が加わつておりまするが、この署名簿にとりましたものを一般に縦覧せしめるというのは、どういう理由でその必要を認めておられるか。必ずしもここでは直接の必要要件ではないように思いますが、これに関して特にこの手続を加えられた点が第一点。それから第二点として、過般地方出先機関の整理の問題について御質問申し上げて、その御報告もいただいたのでありますが、なおごの前におきましても相当問題になつておりました農林省関係出先機関において、相当統合する余地があるのではないか、資材調整事務所のごときものは、すみやかに知事の管轄のもとに入れてしかるべきものでないかと思います。また直接知事との関係はありませんが、作物報告事務所のごときは、食糧事務所と統合してしかるべきものであり、また木炭事務所のごときものは、今日いろいろの問題を起しておりますが、これはむしろ知事の監督のもとに入れて、整理するということができるのではないかと思うのでありますが、これに対して御意見を伺いたいと存じます。
  23. 小野哲

    小野政府委員 床次さんの御質問に対しましてお答え申し上げます。まず第一に直接請求の場合における署名簿縦覧期間の問題でございますが、この点につきましては鈴木部長から他の機会に御答弁申し上げたかとも存ずるのでございますが、今回の署名を適正に行うということが、直接請求権の行使について基本的な点についての制約を加えないで、むしろ正しい直接請求権を行使するよう方向に持つて行く、こういう意味におきまして所要の改正を加えたい。こういうことはかねて御承知の通りでございます。これに関連いたしまして、縦覧期間を設けて、署名簿を縦覧に供するということは、やや行過ぎではないか、こういう御質問ように伺うのでありますが、一応ごもつとものようにも聞き取れるのでございますが、やはり署名簿の問題につきましては、署名自体の取扱いが選挙の考え方を加味いたしまして、この改正法律案におきましても取扱つておる点にかんがみまして、私どもといたしましてはこれは縦覧期間等に関する規定を設けましたことは妥当であろう、かよう考える次第でございます。  なおまた次の問題といたしましては、先般床次委員からも御質問がございましたが、農地部の設置等との関連に伴いまして、中央の地方出先機関の整理について、もつと徹底的にやる必要があるのではないか、こういうふうな御質問ように伺うのでございますが、この問題につきましては、過去におきましても相当論議をいたされまして、御承知のごとく本年八月一日の閣議におきまして、通産省及び連輸省関係出先機関を、地方に移譲するという決定に相なりまして、十一月一日から実施に移されておるのでありますが、なおその他にあるいは農地資材調整事務所の問題もありますし、いろいろなお地方出先機関の整理の問題で今後とも研究を要すべきものが残されておることは御説の通りであります。私どもといたしましてはあたう限り地方自治行政の強化、あるいはその自主性の尊重というような点から考えまして、努めて地方にこれら出先機関を移譲する方向に持つて参りたいという考えのもとに、努力して参つておるのでございますが、いまだ十分な、かつまた御期待に沿うような成果が上つておりませんことは遺憾に存ずるのでございます。この点につきましてはかねて御承知のように、今般シヤウプ勧告書に基きまして、国と地方公共団体相互間の、事務の再配分の調整をいたすことに相なつておりますので、地方出先機関の措置の問題につきましては、これをもつて終了を告げたものとは考えておりませんので、従来御審議の結果、地方行政調査委員会議が設置されましたあかつきにおきましては、この委員会議において十分に論議を盡されまして、事務の配分の調整という見地からも、この問題をさらに取上げていただけることになるであろうという期待を持つておる次第でございます。  なお御質問の詳細な点につきましては、鈴木部長から御答弁をいたしたいと思います。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 第一点のお尋ねの署名簿を縦覧に供するようにした理由は、どういう点であるかというお尋ねでございますが、現在の署名の実情を見て参りますと、はなはだしいのに至りましては五割、六割の代筆偽筆というものがございまして、神聖なる住民の基本的な権利として、自治法が保障いたしております直接請求権の行使がきわめて乱雑な、濫用された形に置いて行われておる実情にあるのは、御承知の通りであろうと存ずるのでありますが、そういうような非常に多くの代筆偽筆ということを、選挙管理委員会が形式的に書面によりまして審査をいたしましても、なかなかこれはそれだけによりまして真実を期するということは、非常に困難でございます。そこでこれを縦覧に供しまして、自分が全然署名をしたこともないのに、名前が書いてあるということを発見したものにつきましては、それをやはりその人の正しい権利を尊重ずるという意味から、異議の申出を認めるということが、署名全体を正しい公正に行わしめるゆえんであるというふうに考えまして、署名の結果というものが、事後に非常に大きな各種の手続を展開する前提になつておるものでございますから、ちようど選挙人名簿の縦覧というものと同じような、一つ手続をここにとるようにいたしたらどうであろうということを考えた次第でございまする
  25. 床次徳二

    床次委員 この問題につきましては、過般立花委員からもたびたび御質問があつたのでありまして、繰返すような感じがいたすのでありますが、選挙管理委員会において大体調査いたしますれば、一応それでもつて署名の効力というものが、大体特定できるのじやないか、それで利害関係者があと縦覧をするということは、一応利害関係者の範囲内においていいことはいいのでありますが、一般の縦覧に長い間、七日間ですか、せしめるほどのことは必要ないのじやないかという感じが、私いたしたのでございます。それは選挙人名簿でありますと、自分の名前が出ておるか出ておらぬかということは、非常に大きな問題でありまして、だれでもそれを判定せしめることがいいのじやないかと思いますが、この場合は特別の意思をもつて請求する人でありますから、その人の名前が出ておるか出てないか。あるいはそれが真と確定されたか偽と確定されたかということが大きな問題だと思います。他の人から申しますと、何人出ておつたかという数だけの問題でいいと思いますが、だれが出したかということははつきりしなくてもよろしい。むしろ自分の名前が濫用されておつた人が、これは関心を持つてもよろしいのであります。この人たちだけに縦覧に供する手続を要するのがいいじやないかというのが、私の考え方でありますが、その点はいか、がでありましよう
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 署名簿に記載を全然しなかつた者が、その人の全然知らぬうちにその者が署名をしておるということで、署名の数の計算の中に入つて、そのまま投票にまで持つて行かれてしまうということでは、これは非常に不正当な結果になるわけでありまして、全然署名をいたさなかつたようなものが、自己は全然署名をしていないのだということを、正式に申し出る機会を設けるということは、やはりそのものの権利を保護する上においても、また直接請求という制度を公正に行わしめる上から言つても必要ではないかと考えるのであります。法の規定におきましても関係人の縦覧ということでありまして、そこにおける署名につきまして重大なる関心を持つておる者の縦覧に供する。こういう趣旨であります。ただ一週間という期間が、あるいは長過ぎはしないかというお話でありますが、これは一週間といたしましたのは、中に休日を一日含めまして、普通の日ではそういう機会がかりに與えられましても、行けないという人たちのためにも、その休日の日を残しておくということが必要であろう。こう考えたのであります。これをさらに短縮するということになりますと、都市工場等におきまして、開覧縦覧の機会が與えられたにかかわらず、これを実際には利用できないというような結果になると思いますので、かような点を加味いたした次第であります。
  27. 中島守利

    中島委員長 まだ通告者がありますが、この際昨日立花委員より質問中、署名審査に関することで、詐偽強迫という事項に対して質問がありました。それに限りまして政府委員法制意見第一局長岡咲君が御出席になつておりますから、この際特にお許しをいたしまして、その質疑に入りたいと思います。立花君。
  28. 立花敏男

    立花委員 私別に法律專門にやつたものではありませんので、常識的にお尋ねいたしますので、その点ひとつ專門家の方でかみくだいて御答弁願いたいと思います。大体今度の自治法の改正の中で最も目立ちますのは、今まで施行規則の方で扱われておりました選挙管理委員会の事務的なものを本文に持つて参りまして、しかも選挙管理委員会が非常に権限が強化されて来ておる。その最も著しい例が、この詐偽、強迫というような問題を選挙管理委員会で認定いたしまして、そしてそれによる署名を無効とするというような規定がつけ加えられておるのでありますが、これは一般的に申しまして、事務的なものである選挙管理委員会を、非常に大きくクローズ・アップいたしまして本文に入れて参りまして、いたずらに直接請求を複雑にしておる。同時に選挙管理委員会に対しまして、その根本的な性格をかえるような新しい権限を付與しておる。しかもそれが司法権の裁決をまたなければわからないような詐偽あるいは強迫というような問題までも、選挙管理委員会自体が認定できるような仕組みになつて来ておる。この問題は、基本的人権でありますところの一般公務員に対する任免、あるいは罷免の国民的な権利に対する大きな問題でありますので、これは軽々に選挙管理委員会等でやるべき問題ではなく、あくまでも司法権によつて決定すべきものであろうと思います。そういう点で司法権と選挙管理委員会の権限との建前はつきりしていたたきたいということであります。  それからもう一つは選挙管理委員会が、詐偽あるいは強迫に基くから無効であると決定いたしましたあとで、司法裁判所におきまして詐偽、強迫ではないというふうに裁決がありました場合に、はたしていずれの判定を正当とお認めになるのか、これまた大きな問題であると思いますので、そういう点について法務府の方の御見解を承らしていただければ、けつこうだと存じます。
  29. 岡咲恕一

    岡咲政府委員 ただいま立花委員のお尋ねになりました点につきまして、法務府の見解をお答え申し上げたいと存じます。詐偽、強追に基く署名に関する判断は、仰せのように一応司法的な判断作用ということが申されるのでありまして、これを当初から裁判所の判断事項といたすことも法律的にはもとよりさしつかえございませんし、あるいはそういうことも可能かと考えます。がしかし職名がはたして真性な署名であるかどうかということの判定は、一面から申しますと、行政機関が行政的な判断をいたすことも、もちろん違法ではございませんし、詐偽、強迫に基くか否かということの判断が、多少司法的な性質を持つておりましても、これを行政機関の準司法的判断作用として、選挙管理委員会の判定にまかせることは、現在の法制の建前から申しまして、ごうもさしつかえないと考えております。現に地方自治法の六十六條によりますと、選挙の効力に関する判断というものを、よく選挙管理委員会が取扱つておりまして、これに対しまして終局的には、裁判所の判断によるということにいたしております建前にかんがみましても、選挙管理委員会がこの権限を持つことは、一向さしつかえないと考えます。また選挙管理委員会がこういうことをつかさどることは、本来選挙管理委員会の持つているところの権限を逸脱するものではないかという、お尋ねでございまするが、これは選挙管理委員会が、地方自治法の百八十六條によりますと、選挙に関する事務及びこれに関係のある事務というふうに、広く規定されておる点からかんがみまして、選挙に関係のある事務というふうに了解いたすことができようかと考えますので、決してはなはだしい性格の変更を、選挙管理委員会に與えておるとも考えない次第でございます。  次にこの選挙管理委員会の判断に対しまして、裁判所に訴えを提起した場合に、裁判所の判決と選挙管理委員会の判断との間に齟齬があつた場合には、どうなるかというお尋ねでありまするが、これは申すまでもなく、選挙管理委員会の判断につきまして、さらに裁判所が審査いたすわけでありますから、裁判所の判断の方が終局的な決定と相なることは、きわめて明白であろうかと考えております。
  30. 立花敏男

    立花委員 今御引用になられました地方自治法の百八十六條では、―これはきのうも鈴木君が御引用になつたのですが、あくまでも選挙に関する事務及びこれに関係のある事務を管理するのでありまして、選挙管理委員会の仕事は、あくまでも事務的な選挙の管理だと思うのです。その際に、さいぜんあなたがおつしやいましたような準司法的な、しかも実際的に審査を必要とするような評偽、強迫―これは言葉の上では簡單ではありますが、実際問題になりますと非常に複雑であり、あるいはその裁決に至るまでに調査、手続等におきましても非常に複雑なものが加わつて来るだろうと思うのです。そういう際に機構的に見ましても、選挙管理委員会は手足を持つておりませんし、非常に事務的な機構でしかないわけでございます。その選挙管理委員会の本質なり組織なりをかえずして、こういう重大な準司法的なことを裁定さすような仕事を與えることが、はたして妥当であるかどうか。今まで事務的なものであるというふうになつておるところの選挙管理委員会に、こういう重大な問題をさしてあやまちがないかどうか。お言葉によりますと、選挙管理委員会が一たん詐偽強迫によるとして無効としたものを、裁判所の決定によつてそれがくつがえされると申されましたが、これは重大な問題で、すでに無効とされておるものがあとでくつがえされましても、その者が服従するからいいというような問題では決してありません。全住民にとりましては重大な問題だと思うのですが、こういうことを能力のない選挙管理委員会にさしていいものかどうか。この点が大きな問題であろうと思いますので、この点に関しまして、自治庁の御見解はどうでございましようか。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま法務府の岡咲政府委員から御答弁がありましたように、選挙管理委員会の選挙に関する事務、あるいはこれに関係のある事務を処理するという基本的な性格からいたしましても、現在選挙の効力に関する争訟、あるいは当選の効力に関する争い、あるいは選挙人名簿の効力に関する争いというものが、いずれもこれは第一的には選挙管理委員会が準司法的なる機能として、その異議の決定あるいは訴願の裁決をいたすようになつております。そういう行政権による準司法的な行為が、最終的な決定的な効力を持つということは、これは憲法の建前からまず絶対許されないわけでございますが、そういう行政権の第一義的な行為をさらに司法裁判所が再審をせられて、その正当なる決定であるかどうかということを審査せられる。こういう建前になつておりまするならば、これはいささかもさしつかえないことであろうと思うのであります。それで、今の詐偽または強迫による意思表示につきましての効力の決定も、これは一応行政機関としての選挙管理委員会が決定をいたすわけでありますが、それれをさらに裁判所が再審せらるるわけでありまして、こういうよう事例は、ほかの各種の立法にも散見できると思うのでありまして、現在の選挙管理委員会の性格に今までなかつたような新しい機能を加えた、そういうことにはならないのではないかというふうに考えておる次第であります。
  32. 立花敏男

    立花委員 選挙の効力に関する決定を選挙管理委員会がやるとおつしやいまして、たから準司法的なものを扱つておるのだから、今度の詐偽または強迫という準司法的な問題を扱つてもいいというお考えようでありますが、選挙の効力に関する決定と申しますのも、これは選挙管理委員会が扱う範囲は、あくまでも事務的なものに限定されておるんだろうと思うのであります。だから選挙に関する効力の決定というようなものも、事務的に署名を調べるとか、あるいは投票を調べるとかいたしまして、それの範囲における効力の決定だろうと思います。たから今度のように新しくその範囲の中へ詐偽とか、強迫とかいう要素を持つて参りまして、それ自体がすでに準司法的な問題であるそのものも含んでの選挙の効力の決定ということとは、いささか違うと思うんです。この点に問題があるんだろうと思います。この点をお考えくださる必要があると思いますが、もう一度お答えがいただければ幸いだと思います。  それからきのうでありましたか、鈴木部長の方からこれによつて直接請求手続が簡素化されたというふうにおつしやいましたが、それはお言葉によりますと、私どもあまりそうは考えないんですが、この日数が短かくなつたとか、そういうお言葉つたと思いますが、しかし私どもから見ますと、今まですぐ直接請求者から知事へ直結されておりましたので、非常に簡素であつたのでありますが、今度はその間へ選挙管理委員会が出張つて参りまして、しかもそれがこういうような詐偽とか強迫とかいうようなものまでも裁決するというふうに、実質的には機構の上では非常に複雑化されておることは、いなめないと思うのであります。そういう点で自治庁のお考えになつている簡素化されたということと、実質上は複雑化されているということに関してその間の矛盾をどういうふうにお考えになつているか、御答弁願いたいと思います。  それからもう一つ署名に関する―私ども考えでは署名と申しますのは、一応これは形に現われた範囲内において選挙管理委員会で判断すればいい。それが簡素化された、原始的ではあるが、最も率直な住民の意思表示ではないか。それをいたずらに選挙管理委員会が詐偽だとか、強迫だとかいう問題を、能力のないのにやりますことは、かえつて問題を紛糾させるのではないか。それはそれで裁判所があるのですから、それの方の判断は裁判所にまかせまして、選挙管理委員会としては、あくまでも事務的に署名の上に現われたものだけで、一応事務的な効力を認めまして、そうして準司法的な、あるいはその他の複雑な、選挙管理委員会の権限以外のものは、そちらの方に譲るべきではないかというふうに考えますが、この点につきましても、御答弁を承れれば幸いだと思います。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 第一の選挙管理委員会は事務だけをやる。  それが詐偽、強迫に関するような意思表示についての決定をするということについては、根本的な性格の変更ではないかというような点でございますが、立花委員が仰せになります事務というのは、執行事務と申しますか、あるいは行政事務と申しますか、そういう意味だろうと解釈いたすのでございますが、選挙管理委員会の仕事を分析して考えてみますと、そういう各種の選挙の執行につきましての純粋の意味の、行政的な、執行的な事務と、それから先ほど来いろいろお話が出ました準司法的な決定をするところの事務、投票の効力の決定おるいはその他の各種の異議の決定、訴願の裁決という二通りの権能が現在あると思うのであります。それで詐偽、強迫に関する意思表示というものは、これは民法上も無効あるいは取消しというような原因になる意想表示となつておりますから、公法上の署名というような意思表示につきましても同様な原則を持つて来て、神聖なる選挙人の意思を強迫するようなものであるかどうか判定する必要があるのでありまして、その認定は、どの機関にさせることが立法政策として適当だろうかということになつて来るだろうと思うのでありますが、これは先ほど岡咲政府委員からお話がございましたように、裁判所が初めからそういう仕事をおやりになるということも、もちろん考えられますけれども、このような相当分量のありまする仕事を裁判所がおやりになるということも、なかなかたいへんであろうと思いますし、また事柄がまず一応投票の執行の前提になる行為でございますから、行政機関において一応の決定をして、それが違法であるというような場合におきましては、裁判所の再審を待つ、こういう形にするのが適当であろうと考えまして、選挙委員会がそういう詐偽とか、強迫の意思表示かどうかということを決定する。こういうふうにしたわけであります。この点は單なる單独の独任制の機関がそういうふうな決定をするということは、古いわが国の戰前の制度におきましてはたくさんございましたけれども、それは必ずしも適正を期するという点から行きますと、適当でないと思うのであります。選挙委員会は、御承知のようにそれぞれの地方議会が選挙をいたしまして、選ばれる機関であります。そういう会議制の機関が準司法的な行為をするということは、ほかの法令にもしばしばあることでございまして、一向特別な珍らしい制度を設けたということにはならぬ。むしろ今の全体の行政制度から申しますと、調子の合つた制度であるというふうに考えておる次第であります。  それから第二点のお話の簡素化されたというが、一向簡素化されないではないかというお尋ねでございますが、簡素化という言葉は昨日申し上げたかとも存じますが、あるいは表現が不適当であつたかもしれませんが、なお補足をして御説明申し上げたいと思います。御指摘のように期間が短縮せられたということが、一番大きな今度の改正の重点であろうと思うのであります。お配りいたしました資料の一番しまいの紙の中に、期日、期間がどのくらい短縮せられたかということの数字を掲げてありますが、現在は何ら期間の制限がございませんために、昨日も申し上げましたように、長い例では百十日もかかつておる。六十日、八十日四十余日というようなことでありまして、大体五、六十日かかるというのが、最も通常のケースのようでございます。その点を法律上はつきりと四十一日というふうに進行の限度をきめました点が、やはり何と申しましても一番大きな簡素化の線に沿つた改革であろうと思います。その他縦覧という手続は従来なかつた手続でありまして、これを新しく認めたという点はございます。さらに署名の適正を期するために、署名につきましても異議の決定、あるいは訴訟を認めております。この点も従来なかつた点でございまして、縦覧、異議の決定、訴訟というようなことは、むしろ簡素化ではないと言えると思います。しかし署名の公正を期するという見地から申しまして、どうしてもこのような制度によつて公正にとり行うことが必要であろうと考えたのでございます。しかしそういう争いのために投票が遅れるようなことがありませんように、一般の行政事件訴訟特例法の原則に従いまして、異議の決定が済みましたならば、ただちにこれは執行に入るわけであります。こういう建前になつておりまするので、そういう争いの制度を認めましたために、進行が遅れることはないようになつておるわけであります。  それから第三点のお尋ねの著名の詐偽、強迫によりまする場合に、これを無効にするというようなことは選挙委員会がやらないで、むしろ裁判所にやらしたらどうかという御趣旨のお尋ねのようでございまするが、第一点について申し上げましたような趣旨で、やはり選挙管理委員会が、選挙に関係ある仕事としてやりますのが一番よろしい。と申しますのは技術的に申し上げますと、選挙人名簿は選挙管理委員会が管理しておるわけであります。もしも裁判所がそういうようなことを最初からやるということにいたしますと、選挙人名簿をまたわざわざ裁判所に送付しなければならないというような複雑なめんどうなことになりまして、いよいよ署名の早期適正なる執行をやるという点から申しますと、非常に適正にはなるかもしれませんが、遅延して来るのではないかと思います。この点はやはり選挙人名簿を所管し、選挙人に関する各種の事務を管理しております選挙委員会が、同じ種類の仕事として処理するのが能率的にも一番いいというふうに考えておる次第であります。
  34. 川本末治

    川本委員 私は先に機関委任の事務に対する監査の権能に関してお尊ねいたしたのでありますが、その際の御答弁に対しまして、いま一度お尋ねをいたして、これを明らかにいたしておきたいと思うのであります。監査委員は所管の行政庁または住民の要求がありますれば、機関委任の事務を監査しなければならぬのでありまするが、こういう場合に十分な監査報告をするためには、常時この監査をすることができるように、監査委員の権限を認めるようにしたらどうか。こういう意見や陳情がございましたので、先般お尋ねをした次第でありまするが、ただ考えてみますると、監査委員は地方自治体の職員でありまするし、機関委任の事務は国家の事務でありまするので、もし先に申し述べましたように監査委員の権限をここまで拡張いたしますると、このへんの理論はどうなるかという点を明らかにしておきたいと思います。なお理論はかりに今申し上げましたようでありましても、国の事務であるとは申しながら、これまた地方住民の直接の請求がありますときには、これを自治体の職員である監査委員が監査しなければならぬという点から考えますると、これに監査をさせることも必要ではないかというよう考えが浮んで参りますが、その点につきましてもう一度政府当局の御意見はつきり承つて置きたいと思います。
  35. 小野哲

    小野政府委員 お答えをいたします。先般川本委員から監査委員が機関委任事務についても監査をするようにしてはどうか、こういう御質問がございました。本日重ねてこの点についての御質問がございますのでお答えいたしたいと存じます。  御承知のごとく、ただいま御指摘になりましたように住民の直接の請求がありましたような場合において、監査委員が機関委任事務に対しましても、所要の監査をすることができる。あるいはまた地方議会審査ができるということは、ただいまのお説の通りでございます。ただ問題は、地方自治法百九十九條の監査委員の権限との関係になつて来ると思うのでありまして、御承知のごとく機関委任事務につきましては、当該事項について主務大臣の指揮監督も行い得ることになつておりますし、同時にまた財政経理に関しましては、会計検査院がこれを検査いたす方途も開かれておりますので、自治監査を使命といたしておりまする監査委員の権限に、さらに機関委任事務の監査権を付與して行くということが、はたしていかがなものであろうか、実際の事務の運営の点から申しましても、ただいま申しましたような主務大臣の指揮監督並びに会計検査院の検査等が行われ得る上に、さらに監査委員の監査を行い得るような道を開きますことは、いかがなものであろうかと考えるのでございます。なおまた地方公共団体の現在の事務配分の状態を見ますると、いわゆる固有事務あるいは委任事務、または行政事務というふうに、いろいろの事務にわかたれ得るのでございますが、御承知のごとく地方公共団体の事務につきましては、根本的にこれが再配分を行う必要があるという点につきまして、シヤウプ勧告の中にもその勧告が行われておるような状況でございまして、将来はたして固有事務、委任事務というような事務の種別を存続すべきであるかどうか。むしろ一方において地方団体に対して独立財源を付與いたしますと同時に、その団体自身の事務として行い得る範囲を拡充して行くということが、今後における地方自治の強化、あるいは地方分権の確立の線に沿い得る方向ではなかろうかとも考えられまするので、この際は私ども考え方といたしましては、さらに監査委員に対して機関委任事務に関してまでも、監査を行い得るような権限を拡張することは差控えたい。かよう考えておる次第でございます。
  36. 河原伊三郎

    ○河原委員 私は地方自活法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案者にお伺いいたしたいと思います。  「第百七十八條第二項の改正規定に関するもののうち」とありますが、改正案におきましては、第二項の改正ということはうたつておりません。うたつておらないものが出ておりまして、しかもその内容を見ますと、第三項の改正案を指しておるようであります。そこでこの文面から行きますと、妙なぐあいになりますので、その趣旨から行けば、「第百七十八條の改正に関するもののうち、同條第二項の改正規程の次に、次のように加える。同條第三項を削除する。」こういうふうにしなければ意味をなさないのではないかと思います点が一つ。  いま一つは、この改正に対する修正案の趣旨から行きまして、改正案と修正案は同一の趣旨で、單にその配列において、第三項を削除して第二項の次に同じことを加えるか加えないかの問題であります。その可否は、私の考えますところでは、やはりこれは政府改正案の通り、第三項を生かしておく方がむしろはつきりしていいのではないかというふうに考えるのでありますが、この点に関する提案者の御説明を願いたいと思います。
  37. 中島守利

    中島委員長 修正案は、提案者と言いましても、はつきりした提案者がないのであります。共同提案のような形になつておるので、私からお諮りいたしまして、皆さんの御同意を得たはずであります。河原委員の御指摘になりましたところは、修正案として出すまでにはまだ日がありますから、よく調査をいたしまして、御納得の行くようにいたしたいと思います。―次は大泉君
  38. 大泉寛三

    ○大泉委員 この條例改正に対する請願署名五十分の一というのは、はたして適当であるかどうかということをお聞きしたいと思います。たとえば五千人の有権者がおるところでは、百人の署名者によつて議会への提案者となるということになりますが、五千人の住民のおられるところでは、議員はたいてい二十四、五人あるいは二十人ぐらいであるから、二人か三人の議員が賛成すればとにかく提案できるのであります。何もリコール式によつて署名の運動までしなければならぬという煩わしいことは必要でない。いわゆる自治の行政上においてこうしたことがあると、どうも自治の運営に支障を来す点が多いのではないか。こういうことは、住民の意思をほんとうに反映せしめるならば、五十分の一と言わず、少くとも二十分の一ぐらいまでに、これを引上げるのが適当ではないかと私は思う。この点において、五十分の一ということがはたして適当かどうか。また何を根拠としてこれを五十分の一とされるのかということをお伺いしたい。
  39. 小野哲

    小野政府委員 ただいま大泉さんからの御質問は、いわゆる法定署名数をもつて引上げてはどうか、こういうような点であつたろうと拝聽いたしたのでございます。御指摘のように、諸般の実情に即しまして、あるいは法定署名数が五十分の一では、少し低過ぎるというふうな感じをされる向きもあろうと存するのでございますが、現在直接請求権の行使について、私どもが欠陷と考えております点は、署名の問題でございます。従いまして今回の改正案におきましても、署名の問題について、これが公正妥当に行使される。こういうところに重点を置いて、所要の改正をいたしておるようなわけでございまするが、直接請求権の行使を、署名に対して適正な規制を行うことによつて保証いたすということ以上に、今回改正いたすことはいかがなものであろうか。特に直接請求に必要な法定署名数を引上げるような、いわゆる直接請求権の行使それ自体を抑制せしめる。ないし困難ならしめるような感を與えます改正は、この際は行うべきではない。こういう考えを持つておりますがために、法定署名数の問題には触れなかつた。こういう点御了承を願いたいと存じます。  なお、何がゆえに五十分の一にいたしたかということ等につきましては、鈴木部長から御答弁を申し上げます。
  40. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 條例の制定改廃に関する直接請求の法定署名数を、五十分の一にいたしました現行法の趣旨は、諸外国等におきましても、法律案あるいは條例等を住民の側から立案いたしまして、議会で議決をするというような、あるいはさらに議会の議にかけないで、住民の一般投票できめるというよう方法をとつている例もあるわけでありますが、そういうような場合にも、やはり署名数といたしましては、最二〇%、少いのは五%くらいなところが一番多いのでありまして、中にはもつと多くの署名を要求しておるものもございますけれども、大体そういうようなのが多いようでございます。そういうような趣旨が汲まれて五十分の一というようなことになつているのでございますが、この点は制定の際には、国会におきましても、政府原案に対する修正がありまして、五十分の一というような数になつていると記憶いたしておるのであります。
  41. 中島守利

    中島委員長 立花委員より地方公務員について御質疑がありまして、その間人事院総裁の出席を求めることにいたしたのでありますが、総裁はさしつかえがありまして、岡部政府委員が代つて出席されておりますから、この際立花君の質疑を許したいと思います。
  42. 立花敏男

    立花委員 この間自治庁の方からの御答弁によりまして、問題は人事院にあるのだから、人事院の方の考え方を開かれてはどうかということでありましたので、御足労願つたのであります。問題は地方公務員に対する主として不利益処分の件でございますが、私人事院にも直接参りまして、訴願課長にもお会いいたしましたし、この前の委員会におきましても、人事院からの御答弁を得たのですが、両方とも淺井総裁にこれを伝えておくとか、御相談しておくという御答弁でございまして、その後御返答はございませんので、人事院の責任者としての総裁がどういうお考えをこの問題についてお持ちになつているか承る機会がございませんでしたので、きようおいで願うはずだつたのでございますが、もし岡部さんが総裁の御意向をお知りでございましたならば、今までの私の方から通じました問題に関しましての、総裁の御意見を承らしていただきたいと思います。
  43. 岡部史郎

    ○岡部(史)政府委員 私からお答えさせていただきます。この前の立花委員の御質問の御趣旨は、ただちに淺井総裁に伝えたのでありまするが、本日出席の御要求にまた応じ得ませんことは、総裁としても遺憾に存じているわけであります。ただいまも私こちらに参ります際に、総裁とも重ねて打合せて参つたわけでございまして、総裁の意向として申し上げたいので、お許しをいただきたいと思います。  お尋ねの地方公務員の不利益処分をいかに保護するかという規定の問題でありますが、地方公務員と国家公務員との間におきましては、ひとりこの不利益処分の問題ばかりでなく、いろいろの点におきまして彼此均衡を失する。すでに国家公務員におきまして行われており、地方公務員につきましても行わるべくして行われてないというような問題が、多々あるわけであります。御指摘のこの不利益処分の救済制度の問題も、たしかにその一つでございます。それから政令二百一号制定の精神から見ましても、人事院が国家公務員の不利益処分に対しまして、これを救済し、是正する方策が講ぜられる一方、この政令二百一号は国家公務員に対しましてその効力を失わせます以上は、同時に地方公務員につきましても、そのような制度がすみやかに設けらるべきことを全体の法律上の建前として期待していると言つても、さしつかえないだろうと思います。そういう意味におきまして、たとえば地方公務員法の制定というようなことが、同時にすみやかに行わるべきものだつたのじやないかと、私ども推測申し上げても失礼じやないと思つておるのであります。従いましてそういう意味におきまして地方公務員の制度と、国家公務員の制度と若干ここにギヤツプがある。そのギヤツプの端的な著しい現われとして、この問題も起つておるわけであります。しかしながらこの点につきましては、他にこれを埋める法律上の制度ができるまでは、一つのギヤツプとして、現在実定法上の解釈としては、そのギヤツプのあることを認めなければならぬじやないか、こういうよう考えられる次第であります。
  44. 立花敏男

    立花委員 問題は單に均衡を失しておるとかいう問題ではなくして、端的に申しますと、政令二百一号が地方公務員に対して現在当てはめられておる。地方公務員に対しては政令二百一号が生きておるとするならば、その第一條で規定してありますところの地方公務員に対する利益の保護に任ずるということが、どの機関によつて遂行され得るのかという具体的な問題になるだろうと思う。單に地方公務員と国家公務員との間にギャップがあるというような一般的な問題ではなしに、二百一号が現在生きておるのでありますから、それの責任政府はどの機関によつて全うするのかという具体的な問題になると思いますので、具体的な問題として御答弁願いたいと思います。
  45. 岡部史郎

    ○岡部(史)政府委員 御指摘の通り政令二百一号が昭和二十三年の七月三十日に制定されまして、その後に国家公務員法が改正されまして、国家公務員法が政令二百一号の趣旨を国家公務員に関する限り受継ぎまして、そうして国家公務員の不利益処分に対する保護の任に当ることになりました。しからば地方公務員についてはどうなるかと申しますと、これは政令二百一号がそのままかぶつて行くわけでありますが、その政令二百一号を適用するについて、保護する機関についての規定がどうなるかということになりますと、いわば政令二百一号のあとにできましたところの国家公務員法が、明らかに地方公務員についてはこれを引受けてないということは法律の制度の上としては明らかであります。でありますから、先ほど申し上げましたように、政令二百一号が完全に引継がれないという空間があるということは否定できないと思います。この空間をすみやかに埋めるという措置が講ぜらるべきであろう。こう考えるのであります。
  46. 立花敏男

    立花委員 お答えのように、国家公務員法が政令二百一号のあとでできたことは私も承知しておりますが、その際に国家公務員法によりまして人事院が生れて参りました。ところが人事院の規定を見ましても、端的に申しますと、臨時人事委員会というものは以後人事院と読みかえるというふうに、そつくりそのまま臨時人事委員会の仕事を人事院が引継がれておるというふうに、私ども解釈しておりますし、たとえば人的な面から申しましても、淺井臨時人事委員会総裁が人事院総裁になつておられ、職員の面にいたしましても、何らの辞令もなしにそのまま人事院に引継がれておるようでございます。そういたしますと、二百一号に規定いたしますところの臨時人事委員会の仕事なり役割と申しますものが、そつくりそのまま人事院に引継がれておらなければならないはずである。ところができ上つて見ますと、人事院は臨時人事委員会の大きな仕事でありましたところの、地方公務員に対する利益の保護というところを除外いたしまして、ただ国家公務員に対する利益の保護だけに任じておる。しかもこの政令二百一号はなくなつてしまつたのでなしに、制限の面につきましては今なお地方公務員に当てはめられておる。こうなりますと、これは地方公務員にとりましては大きな片手落ちな処置であり、もつと極言いたしますと、政府が法的な責任をサボつておると言つても過言でないと思います。しかも現在では―私この問題を取上げましたのは決して法制上の立場から取上げたわけでございませんので、たびたび申し上げますように、現在いろんな不利益処分が地方公務員に対して起つておる。あるいは給與の面におきましても、現在地方の町村役場に参りますと、二千七百円ベース、現在国鉄が九千七百円を要求し、あるいはその仲裁案でも八千円ベースが出ておりますのに、現在地方の村役場、あるいは町役場におきましては、三千七百円べースというようなところがあるのでございまして、そういうものを何ら解決する方法がない。あるいは現在多数の都道府県あるいは市町村に起つております不利益処分につきましても、中央では中央労働委員会も受付けませんし、人事院に持つて参りましても、そんなことは知らないと言つてはねつけられておりまして、どういたしましてもこのこ百一号の利益を保護する機関が、当面必要だという生活上からの要求に押されまして、御質問をしておりますので、問題をひとつ具体的に御答弁願つて、御解決の方向をお示し願いたいと思います。
  47. 岡部史郎

    ○岡部(史)政府委員 お答え申し上げます。立花委員の御指摘の気持はよく了承いたしまするが、この不利益処分に対する審査請求というよう手続に関します限りは、これはいわば人事院の準司法的な機能を行うものだと言われておりますることに該当するわけでありまして、これを受理する資格、あるいは審査請求をなし得る資格審理の手続等につきましても、比較的法律及び規則の適用に従つて、厳格にその要件に合つたものだけで厳格に処理して行く。こういう手続であるわけであります。具体的には国家公務員法の八十九條から九十二條までに規定する手続によるわけであります。その場合におきまして、その規定によつて国家公務員たる一般職に属する職員が、不利益処分を受けた場合において、これについて人事院に対して審査請求ができる。こういう実際の法律の建前になつております。  以上、この法律を実際に運用するものといたしまして、国家公務員でない地方公務員の訴願を受理できるかと申しますると、これはやはりむずかしいことだろうと思うのでございます。でありますからきわめて法律的な御答弁を申し上げまして恐縮でありまするが、制度そのものとしてはそうなつておりまして、従いましてここにどうしてもそれについてギヤツプがある。それがこれに該当するわけでありまして、これは一番最初に申し上げました通りこの制度が空間があるといたしまするならば、その空間をすみやかに埋めるような立法措置がやはり必要ではなかろうかと存ずるわけであります。現在の建前におきましては、どうしてもそこに食い違いがあるように、私どもとしては感じておるような次第であります。
  48. 立花敏男

    立花委員 私、法的に申しまして現在の規定の上から、地方公務員の訴願ができるかどうかというようなお尋ねしておるのではございませんので、もつと広い意味における人事院の活動の中に、現在あなた自身のお認めになつているギヤップを埋める活動をなさる意思があるかどうか、またそういう責任があるかどうかをお尋ねしておるのであります。と申しますのは、人事院に二百一号との関係におきまして一般的な責任があるということは、総裁といえども御否定なさらないと思うのです。なんとなれば徳島県庁に問題が起りました場合に、人事院みずからがその解決に努力されておる。これは前の第四国会でございましたか、人事院総裁みずからが御答弁なさつておるので、明らかだろうと思いますが、そのほかに人事院規則のたしか附則だつたと思いましたが、地方公務員法ができることについてのいろいろな助言なり、あるいはなんなりができるという規定がございまして、人事院はそのやつて参りましたこと、あるいはその規則の全体から見ましても、地方公務員とは全然縁の切れたもでのはないと考えております。従つて問題は人事院がそういう訴願の受理とかいう狭い意味ではなしに、実際起つておる問題、あるいは地方公務員のそういう利益の保護という立場から、何らかの活動をされておるかどうか。たとえば給與の調査なり、あるいは行政整理の調査なり、そういう調査もされておるかどうか。私はこの間人事院に参りましたときにお聞きいたしましたところ、やりたいのだが人手がなくてやれないというようなことを聞きましたが、こういうことはおやりになつても、決して私は人事院が規定以外のことをやつておるといつて、非難を受けるとは考えられない。むしろこれは進んでおやりになる方が、二百一号との関係におきましてもいいのではないかというふうに考えておりますので、そういう広い立場からの人事院のお考えを御説明願いたいと思います。
  49. 岡部史郎

    ○岡部(史)政府委員 人事院の実際の活動、ことに法律の規定の建前と離れた活動をすることにつきましては、これまた別問題であります。また法律の建前におきましても地方公務員制度、国家公務員制度との関係におきましては、人事院といたしましては地方自治の本旨に反しない限りにおきましては、援助を求められればこれに助言をするという建前にもなつております。地方自治の本旨に反しない限りにおいては、今後といえども御援助の申入れに対しましては、助言を惜しまないつもりでおるわけであります。また地方公務員と国家公務員とは、特に密接な関係があるわけでありまして、給與の調査あるいは地域給の調査その他につきましても、地方自治体から絶大の御援助をいただいておるわけでありまして、いろいろな面につきまして緊密な関係に立つておるわけであります。また人事院が国家公務員法の施行に関しまして、いろいろな任用、免職というようなことにつきましての基準を立てますならば、それがおのずから地方公務員の場合におきましてもその基準となつて地方公務員について適正な処分が行われる場合におきましては、地方公務員についてもそれが基準になるだろうということを、私どもは期待しておるわけであります。そういう意味におきまして国家公務員に関する人事行政、地方公務員における人事行政とは関係がないということは、全然考えておりません。むしろ両者密接に関係があり、今後とも十分連絡提携して、その間の調和をはかつて行かなければならぬものと考えております。かつて御指摘のような事柄につきましても、これはそういうような気持からとつた措置と考えております。今後におきましてもそういう精神のもとに、実際の問題として行われることは、あり得ることだろうと思つております。
  50. 立花敏男

    立花委員 そうすれば現在行つております地方の不利益の取扱いの問題に対する人事院のそういう立場からの御処置は、どういうふうにされようとしておるのか、あるいは最初に指摘しましたように、現在地方では三千七百円ベース、あるいは四千円ベースというようなところがありますが、そういう給與の問題につきしまして、人事院はただいま言われましたような広い立場から、どういう処置をおとりになろうとしておるのか、承りたいと思います。
  51. 岡部史郎

    ○岡部(史)政府委員 たとえば地方公務員につきまして三千七百円ベースが維持されて、六千三百円ベースが実現されてないというようなことにつきまして、第一次にこれを調査される機関があるわけでありまして、私ども直接にそういうことまで現在ただちに手を出すのは少し行き過ぎだろうと思うのであります。いろいろなそれぞれの担当機関があるのであります。私どももできるだけ地方公務員制度につきまして、助言援助するにいたしましても、それぞれ関係機関を通じまして、関係機関との話合いその他によつて、やつて行きたいと思つております。
  52. 立花敏男

    立花委員 最後に一つお尋ねしておきますが、人事院のお出しになる人事院規則は、一般国家公務員を対象として、お出しになつておるのだろうと思うのでありますが、この人事院規則と地方公務員との関係地方公務員に対してあれをそのままあてはめるお気持があるのかどうか、その関係を参考のために承つておきたいと思います。
  53. 岡部史郎

    ○岡部(史)政府委員 人事院規則は―もちろんお尋ねの御趣旨もそうじやないと思いますけれども、その人事院規則がそのままの形で地方公務員に適用されるはずはございません。しかしながら令後の人事行政の正しいあり方、あるいは現在の状態のもとにおきまして、できるだけ進んだ新しい人事行政のやり方が、この人事院規則に現われているといたしますならば、その人事院規則は、地方公務員の人事行政につきましても模範となつて、しかるべきじやないかという点につきましては、私どもひそかに考えておりますが、それがただちに類推して適用される、そういうようなつもりは全然ございません。
  54. 門司亮

    門司委員 ちよつと政府委員にお聞きしておきたいと思いますが、明日の委員会に大臣はおいでになる予定でございますか。
  55. 小野哲

    小野政府委員 大臣は風邪のために伏せつておりまして、できるだけ早く出席をいたしたいとあせつておるようでありますけれども、容態の関係で本日は欠席しておるような実情で、ただいま明日必ず出るということは申し上げかねるのであります。
  56. 門司亮

    門司委員 新聞をたてにとるわけではございませんが、新聞には何かほかの方で御活躍のようなことが見えておるのであります。私は皮肉ではありませんが、ただ重要な問題といたしまして、次の税制改革に対して非常に密接な関係を持つておりますいわゆるシヤウプの勧告案に基きます地方の行政区画の変更について、お聞きをしたいのでありまして、その点は責任ある大臣の御答弁を願うことが非常によろしい、こういうふうに考えておりますので、再三大臣の出席を実は要求いたしておるのであります。従いまして明日まで留保してもさしつかえない問題でありますので、その点は明日大臣がもしおいでになりますならば、大臣にお聞きしておきたいと思うのであります。  この機合にお聞きしておきたいと思いますことは、先ほど人事院のお話にもありました通り、人事院の規則が地方の公共団体に及ぼします影響にいたしましても、それが非常にいいものであるならば、それは準用されることがけつこうであろうというようなお話があつたと思いますが、実は現在逆にそれが行われておりまして、知事訓令というような名前で―かつてこの席上でも私は申し上げたのでありますが、静岡県知事のごときは、人事院の規則が出ますると同時に、静岡県の職員に対して政治活動の禁止の訓令を出しておるのであります。これは明かに人事院規則の悪用であつて、決して人事院の方のお考え通りには行つていないかと、われわれは解釈せざるを得ないのでございますが、こう場合にお聞きしておきたいと思いますることは、知事訓令に対する効力であります。一体知事訓令というものは、いずれの法律に基いて出されているものであるか、地方自治法の非常に大きな條項の中にも、そういうものは見当りませんし、同時にまたほかの法律にも知事訓令というような字句は、一向見当らぬのでございます。知事訓令に対する自治庁の御解釈を一応承つておきたいのであります。この問題は地方にとつては、きわめて重要な問題でありまして、知事が訓令という名前で、むやみやたらに自分の意思を一つの命令で発表するというようなことは、明かに前の官僚制度のときの一つの現われであるというように、われわれは考えるのでありますが、その点の御解釈をお答え願えればけつこうだと思います。
  57. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 知事訓令の法律的な性質、効力いかんというお尋ねでございますが、現存知事が自己の指揮監督下にありまする各種の機関に対しまして、職務上の指揮監督を実現する方法として、一定の事項を指示し、示達するというような場合におきまして、訓令というような形の言葉を用いてその意思を現わしていると思うのでありまするが、言葉は別に法律上どういう言葉を使わなければならぬという制限はございませんから、どのよう言葉を用いてもさしつかえないと思います。ただ響きの問題はいろいろあろうと思いますけれども、法律的にはその点はさしつかえないと思うのであります。そういう趣旨の訓令というものがありましたならば、それはもちろん支障はないと思います。またそういう職務上の指揮監督ということと別に、知事が任命権者としての身分権を持つておりまする所属の吏員に対しまして、そういう見地からのさしずをするというようなことは、その内容によりましてはいろいろ問題はあろう思いまするが、そういうようなこともあり得ると思うのでありまして、そういう事項を訓令という言葉で表現しているというような例もあるよう考えております。そういうよう知事吏員任命権というもの、あるいは所属の各機関に対する職務上の指揮監督権を具体化する限度において、訓令という形式におきまして、ある事項を規定した法規的なものを出すということは、これは法律上できると思うのであります。こう考えます。
  58. 門司亮

    門司委員 私には一向わからぬのであります。答弁の要旨もはつきりわかりかねるのでありますが、問題は知事の訓令がさしつかえのない、きわめて自分の自由意思に基くものでありましても、それが被害の少いものであるとか、あるいは常識的に考えられるものでありまするならば、私は大した問題にはならぬかと思うのであります。しかし問題の事柄によりましては、たとえば静岡県の問題のごときは、明らかに県庁職員の身分に関する問題でありまして、もしあれに違反した場合は一体どういうことになるかということであります。しかもそれが法律にも基かなければ、また地方の條例にも基かないで、ただ知事が單独に自分の部下であるというよう考え方から、自分の自由意思に基く一つの訓令を出して、それにそむいた者は罰則によつてこれを罰するというようなことがもしあるといたしまするならば、地方公務員に対しましてはきわめて大きな脅威になると私は考える。同時に、そういうことが行われるといたしまするならば、地方の公務員ばかりでなく、行政上にきわめて大きな弊害を残す危険性を持つていると思うのであります。従つて私は、この知事訓令に関しては何らかの形において、これを抑制するところの必要があるのではないか、知事の権限というものが、先ほどのお話のように委託された権限でありまする場合においては、それはあるいは一向さしつかえないかもしれない。しかしその範囲を超えている場合においては、やはり何らかの処置を講じなければならない。こういうよう考えているのであります。これは御承知のように、たとえば本庁関係におきまして、先ほどもこの委員会で非常に問題になつて参りました定員定額の問題でありますが、ああいう問題がやはり自治庁から出て参りますと、これは自治庁も別段法律に基いて、はつきりした命令権もなければ、はつきりしたものをお出しになつたわけではないと私は思う。しかしその意思が伝えられる場合において、知事はそういうものを根拠として、やはり訓令というようなものによつて、これにさらに輪をかけたいろいろな弊害を及ぼすよう事態を起すことが、しばしばわれわれには見受けられるということを考えておる。これについては何らかの、先ほど申し上げましたように、制裁とまでは申しませんでも、制限を加える。あるいは規約を與える必要がこの際あるのじやないかと考えておるのでありますが、この点の御解釈をさらにお答え願いたいと思います。
  59. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御質問の御趣旨をなおよく拝承いたしまして、必要の資料を用意いたしました上で、お答えをいたします。
  60. 門司亮

    門司委員 その問題はまたあとから私からお伝えすることにいたしまして、きようは非常に遅くなつておりますので、出された法案について一点だけお伺いしておきたいと思います。改正條項をずつと見ますと、大体の趣旨はわかるのであります。そうして行政の簡素化というようなことが、その主たる目的ように今までの御答弁によつて拜承いたしておりますが、実際はそうでないように書かれておるのであります。それはごく小さな問題でありますが、たとえば都道府県の七部と、それからそのあとのところにあります農林部の次にある商工部であるとか、あるいは水産部、労働部とかいうようなものは、七部のうちでなくてもいいことになつておりますが、その次の公共事業部はこの中においては、一応削られておる。ところが次の四項にこれが加えられておつて、「都道府県は、公共事業の経営に関する事務を処理させるため、條例で、必要な組織を設けることができる。」こういうことが書いてある。しかもその前項によりますと、東京都においては水道局あるいは交通局というものが七部から削られておる。そこでこれは必要があれば設けられてもいいということになつておる。これはいたずらに法律の煩瑣を来すだけであつて、事務の簡素化になつていないと思う。それを一方においては削つておいて、片方においてはやつてもいいというようなことは、法律の体裁上とういうものかと思いますが、その点どういうようにお考えになつておりますか。
  61. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 公共事業の経営に関します部局を一定の形において法定いたしますことは、企業の自主性、ことに官庁というか、地方団体の経営いたします公共事業につきましては、どうしても国なり地方団体の性格からいたしまして、一般民間企業に比しまして、能率その他の点において相当まだ検討を加え、企業組織の中におきましても、改善を加える余地が相当あるように思うのであります。それで法律のわくを設けまして、水道局とか、交通局、公共事業部というようなものを置くということは、必ずしも適当でないのじやないか。ことに公共事業部というような、公共事業全体を所管するところの部局というものは、やはり実際は水道とか、交通とか、それぞれの部局に置かれるような形において経営される方が、より適切であろうと考えられる点もございますし、都道府県については、公共事業部というような抽象的な部を設けることもどうであろうかというふうに考えまして、公共事業の経営に関しましては、地方団体のまつたく自主的な考え方から、最も能率的な組織が設けられる。こういうふうにいたしたわけであります。もちろんこれに関連をいたしまして、地方団体の公共事業の経営に関する各種の研究が必要だと思いますし、またたとえば公共事業法というような、企業の合理的な能率的な運用を期されるようないま一つの制度を考えたらよかろうという意見も、種々あるわけでありますが、そういう意見はともかくといたしまして、最も敏速能率的な企業経営組織がとれるようにいたそう、こういうのが、改正の趣旨でございます。
  62. 門司亮

    門司委員 大体わかるが、私の聞いておりますのは、そういうこともあるかと思いますが、法律の建前の上において、一方で削つて同じ條項の中に入れるという技術上の問題と、もう一つ後段の問題は一応われわれは承認することができますが、前段にお答えになりましたのは、一つの欺弁である。一つの臆測であるというように一応考えられる。それは地方公共団体から公共事業というようなものをとつて、除けてしまうというようなことになりますと、地方公共団体というようなものは、まつたく存在の意義がどうかと考えられる。従つて公共事業というようなものは、地方の公共団体にとりましては、やはり行うのに必ずしもむつかしい問題ではないと思う。従来にしてもやはりそういうものの必要性を考えられて、しかもそれが具体的に東京都においては條項を入れられて、そうして水道局あるいは電気局というようなものが設置されておつたと思う。この法律によりますと、その点が今の部長の意見で非常に親切で、一応もつとものようにも聞えますが、前段のお答えをそのまま解釈いたして参りますと、地方公共団体はそうした公共事業の面を必要としないかのように聞えて参るのでありまして、これでは地方自治の本質に反して来やしないかというよう考えられるのであります。この点は私の意見でありますから、御答弁の必要はございません。私どもはそういうように解釈せざるを得ないということを、御了承を願つておきたいと思います。
  63. 中島守利

    中島委員長 お諮りいたします。理事会に諮りましてから、本委員会にお諮りすることが順序でありますが、突発した急な問題でありますので、私から直接に委員諸君にお諮りいたします。それは本院にあります観光事業振興方策樹立特別委員会におきまして、国際観光ホテル整備法案というものを、目下審議中であります。この法案中に観光ホテルのごとき建物に対しては、地方税を免除するという條項があるのであります。これを免除することが適当かいなかということは、よほど重要な問題でありますし、この特別委員会に連合審査を申し込んで、そうしてこれらの問題を研究して、地方行政委員会としての意思を適当に表示したいと思うのであります。これに対してお諮りしますが、さようとりはからいまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 中島守利

    中島委員長 それでは連合審査を申し込むことにいたします。  地方自治法の一部を改正する法律案質疑は、全部終了したとは申しませんが、大体において終了したと考えます。この法案の討論に入りますのは、私の考えでは来る二十二日火曜日にいたしたいと考えます。その討論に入る前に質疑がございますれば、これを許すつもりでおりますから、そのときまでにお申出でをを願いたい。但し門司君の質問は、明日特にこれを許したいと思います。明日も午前十時より質疑を継続したいと思います。しかしその質疑は、大体において地方配付税法の特例に関する法律の一部を改正する法律案と、地方行政調査委員会議設置法案の二法案を中心として、質疑を行いたいと考えます。本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十分散会