○
鈴木(俊)
政府委員 ただいま政務次官から提案理由の説明を申し上げましたが、なお補足的に御説明を申し上げたいと存じます。大体逐條的に簡潔に
お話を申し上げたいと思いますが、法案の第四條の
改正でございますが、これは
府県庁あるいは市役所あるいは町村役場等の事務所の所在地でありますが、この処在地が建物が火事で焼けましたような場合に、その事務所の位置を新しくどこに定めるかということで、いろいろ紛争が起
つております。そういう際に非常に一人の議員の向背によりましていろいろな問題が起るということで、
地方政治の安定ということから
考えまして、三分の二以上の者の同意ということで、特別の多数決にしたらどうであろうかというのが、第四條の
改正のねらいでございます。
それから十六條でありますが、これは現在この條例規則すなわち
地方団体の立法の公告式に関することを規定いたしております。どういうふうにして公布するかということについて規定しておりますが、これは一定の広告式により告示しなければならないということを申しておるだけでございまして、訴訟の点におきましても公告が一定の方式によ
つておりませんために問題を起しておるような例があるのであります。そこでそういう公告の点等をはつきり規定いたしますとともに、その根本になりますこの條例が議決をされました場合に、
議会の方から三日以内に、
市町村長の方に送付をしてもらう。そうして送付を受けましたならば、特にその條例の議決が違法でありますとか、その他法令の規定によりまして、特別の措置をする必要がないというときには、送付を受けました日から二十日以内に公布をするという公布の規定を明確にいたしたのであります。そうして公布後は十日たてば当然に原則として
施行せられるというふうにいたしております。なお島でありまするとかいうようなところでは、公布後十日た
つて施行するという点につきましてはむりな点もございますので、そういう
施行期日の特例を要する点は、あらかじめ條例ではつきりと書いておいてもらう。また長の署名を必ずしてもらわなければならぬということを第四項に書いてあるわけであります。そういうような條例につきましての送付、公布の手続署名ということは、そのほかの団体の規則、あるいは教育
委員会とか、選挙管理
委員会の定める規則等につきましても、すべてこれを準用して、そういう方式でやる、こういうようにいたしておる次第であります。それから七十四條の二、七十四條の三、七十四條の四、七十四條の五、そこまでが條例の制定改廃に関するリコール、直設請求
制度の
改正であります。この條例の制定改廃に関する直接請求
制度の原則は、監査の直接請求あるいは解職の直接請求、
議会の解散の直接請求、いずれにもこれはそのまま同じ原則が適用されるようにいたしてございます。この内容の概略を申し上げますと、條例の制定改廃の請求をいたそうとする場合には、代表者がその條例の請求の要旨を具しまして、選挙管理
委員会に参りまして、請求代表者の証明書をもらいまして請求をするということを選挙管理
委員会で告示をしてもらうわけでありますが、その告示がありましてから署名を集めるわけであります。署名後に必要数の署名、すなわち有権者総数の五十分の一以上の署名が集まりましたならば、それを
市町村の選挙管理
委員会に提出をいたしまして、正当の選挙人であるかどうかということの証明を求めるわけであります。証明を求められましたならば、
委員会では二十日以内に審査をする。そうして審査が終りましたならば、審査の終
つたときから七日間、一般の縦覽に供するわけであります。そうして縦覽期間内にそれを見まして、
異議のありまする者は、選挙管理
委員会に
異議を申し立てるわけであります。
異議の申立てがありましたならば、十四日以内に
委員会がこれを決定する。そうしてそれに
従つて修正を要するものは修正をする。その修正を経まして正式にきまりましたもの、あるいは全然
異議の申立てがなくして、申立ての期間を経過したというような場合におきまして、初めてその名薄を代表者に返してやるわけであります。名簿の返却を受けましたら、正式に証明のありました有権者総数が、五十分の一を越えております場合に、初めて正式な請求を
地方団体の長にするわけであります。なおその結果、長はさらにこれを
議会に付議する、こういうことになるわけでありまするが、もしも署名の総数が五十分の一に達しない、なお
異議のある者がありまして、選挙
委員会の決定に服しないという場合におきましては、第七十四條の二の七項以下に、さらに
府県の條例につきましては、
府県の
委員会に訴願する。八項では
市町村の條例に関しましてはただちに
地方裁判所に十四日以内に出訴するというふうな規定を設けてあります。
都道府県の場合には
都道府県の
委員会の訴願がきまりましたならば、それになお不服のあります場合には、十四日以内に高等裁判所に出訴をするということにいたしております。そうして
都道府県の署名につきましての高等裁判所の判決に不服がある、あるいは
市町村の條例の署名につきまして、
地方裁判所の判決に不服があるという場合には、これはいつでも最高裁判所に行
つて争うということになるわけであります。なおこの署名に関しましては、すべて非常に期間を明確に規定をいたしまして、
委員会の審査期間、
異議の申立ての期間、決定の期間、あるいは訴願の提起の期間、あるいは出訴の期間というふうに、いずれも明確に規定してございます。なお訴願の裁決につきましても、一般原則よりさらに厳重にいたしまして、二十日以内にこれを裁決する。また裁判所も事件を受理してから、百日以内に裁決するように努力するということを十一項に特に規定しておるのでございます。こういうふうにいたしまして、署名に関するものはともかく早く事を運んで、早く
地方政治に明確なる解決をつけたい、こういうふうに
考えております。七十四條の三は特に選挙
委員会が署名の審査をいたします場合の基準を規定いたしたのであります。法令の定める成規の手続によらない署名は無効である。また何人であるかを確認しがたい署名、これも無効。この二つの無効基準を形式的に定めますとともに、実質的の無効の問題として詐偽または強迫に基く意思表示である場合におきましては、そういう点を選挙
委員会が実質的に審査をいたしまして、その
通りであるという場合には、その署名も無効とするというふうにいたしたのであります。こういうふうに従来選挙
委員会は、形式的に署名簿の上に現われております点についてのみ審査できるようにしてお
つたのでありますが、詐偽強迫というような意思表示につきましては、さらに実質的にこれを審査できるようにいたしたのであります。なおその
関係で選挙
委員会が
関係人の出頭証言を求めるということも規定いたしております。それから選挙
委員会が
関係人の出頭を求めました場合に、ゆえなく出頭しなか
つた場合、ちようど
議会に出頭を要求せられました者について、ゆえなく出頭をしなか
つた場合の
処置と同じような
処置を規定いたしております。その
関係を七十四條の三の第四項で、明確にいたしておるのであります。
それから七十四條の四でありますが、これは直接請求を適法に行わない者に対しまして、すなわち権利の濫用、あるいは正当な権利の行使を逸脱しておるというようなものについても、制裁の規定を加えたのであります。これは三点ございますが、大体衆議院議員選挙法と同じ性質の犯罪構成要件に該当するものだけを持
つて来たのでありまして、そのうちで特に重要な点だけを制裁をするということにいたしたのであります。
すなわち第一点は署名権者、署名運動者に対して暴行威力を加え、またはこれを拐引した者、それから交通もしくは集会の便を妨げ、または演説を妨害し、その他偽計詐術等不正の方法をも
つて署名の自由を妨害した者、いわゆる選挙の自由妨害に相当するものであります。それから署名権者あるいは署名運動者に対しまして、あるいはその
関係ある社寺、学校、
会社等に対しまして、特殊の利害
関係を利用して、威逼した者、こういう者に対しましては四年以下の懲役もしくは禁錮または七万五千円以下の罰金に処するというふうにいたしております。それから選挙の同種の犯罪に対して行われておるのと同程度の罰でございます。それからなお署名を直接偽造する、あるいは増減をするというようなこと、あるいは署名簿その他の
関係書類を自分の所持に移す、ひ
つたく
つて来る、あるいはそれを破いてしまりというような行為につきましては、これも投票につきましての同様な行為と同じように、三年以下の懲役あるいは五万円以下の罰金に処するということにいたしておるのであります。それから第三の制裁といたしましては、法令の定める成規の手続きによらない署名簿を用いて署名を求める、あるいは
政令で定める署名を求めることができる期間の経過後に、署名を求めるというふうな、特に條例の制定改廃の請求に関します重要な手続の規定に違反をした者に対しまして、一万円以下の罰金に処するということにいたしておるのであります。これは直接請求の趣旨を果しますために、このような制限が必要であろうと
考えたのであります。
以上が條例の制定改廃の直接請求に関する部分の
改正で、これが今回の
改正の一番重要な点でございます。
それから七十五條は、事務監査の直接請求でございますが、現在は
地方公共団体の長に対しまして委任せられました事務についての監査請求のみを認めておりまして、その他の
地方団体の機関に対する事務監査の請求を認めていないのでございますが、長のほかに今日では選挙管理
委員会とか教育
委員会、公安
委員等会各種の
委員会ができておりますので、そういうふうな機関に委任されました仕事に対しましても、直接請求ができるということをこの七十五條の第一項で規定をいたしたのであります。第三項も同様の趣旨の
改正でありますが、その結果をこれらの機関の方に報告をするということであります。それから第五項におきまして、先ほど申し上げました條例の直接請求に関する七十四條の二ないし四の規定を、すべて監査請求の署名に準用して、同じような規定を置くことにな
つております。
それから七十六條は、
議会の解散の請求でありますが、この直接請求の方法につきましても、條例の場合と同様の直接請求の方法を準用しております。
それから七十七條の
改正は、解散の投票の結果が判明しましたときに、ただちに報告し、あるいは通知をする規定でありますが、投票の結果が確定しましたときにも、それぞれ報告をするということを書き加えて、規定の整備をはか
つたのであります。
それから七十八條は、これは
議会の解散の投票におきまして、過半数の同意があ
つた場合におきましては、ただちに
議会は解散するという行政行為の一般原則に従うことにいたしまして、「前條の公表の日において」という点を削除いたしたのであります。今回の
改正におきましては、後ほど申し上げますが、行政行為につきまして、一定の決定が行われましたならば、それはただちに効力を発生する。もしその決定について不服な点がありますならば、それは訴訟によ
つて争い、訴訟において仮処分の申請をし、これの執行を停止するというような方式にいたしております。
従つて「前條の公表の日において」というような字句をここに入れておきますと、それらの解釈の
関係が疑問を生じますので、この点を削除いたしたいというのが、七十八條の
改正であります。
それから第八十條でありますが、これは
議会の議員の解職でございまして、これもその直接請求の場合には、條例の場合の直接請求の署名の規定を準用するということであります。
八十一條の
改正は、長の解職の請求でございますが、これにつきましても、同様に署名の規定を準用いたしております。
それから八十二條でありますが、これは解職の投票の結果が判明をいたしましたときに、それぞれ報告通知に関する規定でございます。この場合におきましても、投票の結果が確定したときにも同様に報告通知をしてもらうという趣旨の点を書き加えたのであります。これは議員の解職の投票及び長の解職の投票、両方について規定をいたしているのであります。
それから第八十六條でありますが、これは直接選挙によらないで主要公職についております者、すなわち副知事とか、助役、出納長、收入役、選挙管理
委員等の解職請求の規定でありますが、これにつきましても、その署名の場合には一般の解職の原則を適用しようというわけであります。
第八十七條は、今申し上げました主要公職の解職の効力がいつ発生するかということを規定いたしておりますが、特別多数で、解職の議決について
議会で同意があ
つたときにはその職を失う、この失職につきまして、特に救済の規定を設けまして、その議決に不服があります場合には、裁判所に出訴できるという第百十八條第五項の規定を準用いたしているのであります。これは重要な地位の喪失でありますから、救済方法を規定いたした次第であります。
それから第九十八條は、
議会が事務の管理、議決の執行、出納の検査等をする規定でございますが、この中に従来
地方団体の長に対してのみそういうことを要求するように規定いたしておりましたが、この点も、その他の各種の執行機関に対すると同様な要求ができるように規定をいたしまして、整備をしようというわけであります。
第九十九條は同様に
議会がこの機関委任の事務につきまして、
地方団体の長の説明を求める規定でございますが、これも長のみならず選挙管理
委員会、その他の機関に対しても説明を求めることができるというふうに規定をいたしました。
第百二條は
都道府県、
市町村の
議会の開会招集に関する権限を規定しておりますが、これもただいま政務次官の御説明にもありましたように、
都道府県にあ
つては年四回以上ということにいたしたのであります。これは
都道府県は毎回の開会につきまして相当の経費もいりますし、その準備のためにも執行機関としては相当の準備がいりますので、むしろ頻繁に開きますよりも、一回の
議会の会期を長くいたしまして、四回にした方が適当ではないか、また特別に緊急の問題があれば、臨時会はいつでも開けるのであるから、そういうふうにした方がよかろうという趣旨での
改正でございます。
それから第百十條でございますが、これは特別
委員会につきまして、公聽会を開くという規定が現在ありませんので、常任
委員会と同様に、特別
委員会におきましても、審査のために必要があれば公聽会を開かれるということにいたしたのであります。
それから第百十八條は、
議会におきます選挙、たとえば選挙管理
委員を
議会が選挙するというようなその選挙に関する規定でございまして、その選挙における投票の効力に
異議があります場合には、
議会が決定をし、それに不服があれば、さらに裁判所に出訴できるようにな
つておりますが、いつまでもその訴訟が確定いたしませんと、選挙された議長なり、あるいは選挙管理
委員というような地位が不安定であります。そこで出訴期間を一般原則によりますと六箇月ということになるわけでありますが、そういうことでなく、決定のあ
つた日から二十一日以内に出訴するということにいたしました。
それから百二十一條は
議会に出席をいたします者の規定でございますが、この点につきましても、さらに各種の執行機関の代表者が出席するように規定をいたしたのであります。
百二十五條は
議会の
請願の処理に関する規定でございますが、これにつきましても従来長に関してのみ規定をいたしておりましたのを広げまして、各種の執行機関につきましても、
議会が
請願の処理の結果を送付する。そうしてその処理の結果の報告を求めることができるようにいたしたのであります。
第百二十八條は議員の地位、資格に関する規定でございまして、前條の百二十七條におきまして議員の資格決定の規律がございますが、それに関しまして
異議があります場合には、裁判所に出訴できるようにな
つております。この場合も
議会におきまして資格決定をいたしましたならば、それによ
つて地位を失うことになりますと、ただちに効力を生ずることにいたしまして、その結果につきましては訴訟の上でこれを争う。一応出訴の効果が生ずるようにいたしたのであります。その結果百二十八條の準用いたしております「又は前條の規定による決定若しくは裁決又は判決」という点で「又は前條」という点を削除いたしまして、行
政府為の効力は一応すべて効力を生ずるという原則を、ここにも貫いた次第であります。
それから百四十四條でございますが、これは長の資格決定の
関係の規定でございまして、やはり今議員について申し上げましたのと同様に、長の資格について
異議があります場合には、選挙管理
委員会がこれを決定するわけであります。その決定によ
つてただちに効力を生ずる。
従つて判決の確定するまで、その職を失わないという点をやはり改める必要がありますが、「前條第二項」という点を第百四十四條では落しておるわけであります。
それから百五十五條の
改正は
市町村の出張所を置くことができるという規定であります。支所の出張所を置くことができる。区の事務所の出張所を置くことができる。こういう規定でありまして、これは
市町村と、その住民との間の
連絡のために必要があります場合には、現在支所という形のものしか、法令では置けないようなかつこうにな
つておりますが、この点を出張所というような形のものも置けるということをはつきり書いたのであります。これは
政令第十五号との
関係もございまして、その点を明確に規定いたした次第であります。
それから百五十六條でありますが、これは條例の定めるところによ
つても
行政機関を設けることができるものとするという第一項だけの
改正でありますが、これは今回のシヤウプ勧告に基きまして
都道府県、
市町村の徴税機構がある程度それぞれ
独立しなければならぬような形にな
つて来るとも
考えられます。そこでたとえば県といたしましては、
地方事務所のあります区域には、
地方事務所に徴税をさせることができるわけでありますが、大
都市の区域あるいは町の区域等々におきまして必要があります場合には、條例によ
つて、税務のための出張所を設けるという必要も生ずるであろうということを
考えまして、現在
法律の定めるところによ
つてのみ
行政機関を設けられるという規定を、條例によ
つても設けられるというふうにかえたのであります。
それから百五十八條は先ほど政務次官の御説明にありました
通り、
都道府県の局部
制度に関する規定でありますが、都の中から交通局、水道局を削りました。また道
府県の方から公共事業部を削りまして、こういう公共事業の経営に関する局部は、條例で適当な組織を設けることができるということにいたしまして、もつとも企業の自主的経営、能率的経営に資し得るような組織を自由につくれるというようにいたしたのであります。
それから第百七十六條はいわゆる長の一般的拒否権の規定でございますが、これは條例と
予算に関する議決について
異議がありました場合には、その議決の日から十日以内に再議には付することができるのが現状の規定でございますが、これをはつきり送付を受けた日から十日以内ということにいたしまして、責任の分界を明確にいたしたのであります。
それから百七十八條は不信任議決に関する規定でございます。この点も従来の実例に徴しますと、なかなか
議会と長との間にいざこざがございまして、責任の分界が明確でありませんので、明確に規定をいたしました。すなわち従来は、不信任の議決があ
つたときには、十日以内に長が
議会を解散できる。こうあ
つたのですが、まず不信任の議決がありましたならば、ただちに議長からその旨を長に通知をする。通知を受けたならば、その日から十日以内に解散ができるというようにいたしました。もしもこの通知がないならば不信任議決の効力は生じないということにいたしまして、両者の
関係を明確に規定をいたしたのであります。
それから第二項におきましては解散をいたした後の新しく設けられた
議会におきまして、さらに二度目の不信任議決をした場合、それから第一回の不信任議決の通知を受けた日から十日以内に
議会を解散しないという場合、この二つの場合においては長が当然にその職を失うというふうに規定をいたしまして、この
関係もいつから一体失職するのかというようなことで、いつも疑問がありました点を、明確に規定をいたしたのであります。
それから第百八十三條は選挙管理
委員の規定でございますが、これも先ほど申し上げましたように、選挙管理
委員の選挙に関する投票についての効力の判決が確定するまでは失職しないという点を、一応投票の効力の確定によりまして失職するが、不服のある場合は出訴してその判決の結果によ
つて失職する。こういうような形にいたしたわけであります。
それから第百九十九條の
改正は
地方公共団体が「補助金、
交付金、貸付金その他
財政的援助を與えているものの出納その他の事務の執行を監査することができる。」ということにいたしまして、従来は補助金を與えた場合に條件を付しておる場合においてのみ監査
委員が監査できるという扱いにな
つていたわけでございますが、それを
法律上当然に監査できるということにいたしたのであります。それからなお監査
委員が監査の結果を報告いたします相手方といたしまして、従来は
議会と長だけでございましたが、この点をさらに拡充いたしまして
関係のあるそれぞれの所管の機関にも報告をする。そして執行の能率化を図るということにいたしたのであります。
二百七條は署名の効力の決定のために、新たに
関係人の出頭を求めることができる。また特別
委員会において公聽会を開くことができるというふうになりました
関係で、これらのものに対する給與として実費弁証をしなければならないという点を書き加えたのであります。
二百十七條は
分担金を徴收する條例につきまして、これを
改正する場合におきましては、公聽会を開かなければならないという規定でありますが、
議会が直接公聽会を開くというその現行法の建前は、
議会の運営の本質から言
つて適当でない。やはり公聽会というものは法案なり議案の審査の過程におきまして、常任
委員会なり、あるいは特別
委員会においてこれを開くべきものであるから、
議会自体が公聽会を開くという点を改めまして、必ず常任
委員会または特別
委員会で開くということにいたしたのであります。
従つて市町村議会等では全員の特別
委員会という名において、これを開くという形になると思うのであります。
それから二百二十五條でございますが、これは夫役現品等につきまして延滯をいたした場合におきまする延滯金を徴收することができるという規定を加えたのであります。
二百三十八條でございますが、これは
予算に関する議決につきまして、やはり條例の議決と同じように、議決があ
つたならば三日以内に長にこれを送付するというふうにいたしまして、両者の
関係を明確にいたしました。
それから二百四十四條の二でありますが、これは出納長、收入役の賠償責任に関する規定であります。現在この規定がありませんために、一般の民法の原則が適用されてお
つたのでありますが、国の出納管理につきましては、会計法なり、あるいは会計検査院法に規定がございまして、明確に賠償責任について規定いたしております。ここではやはり同様の原則に従いまして、善良なる管理者の注意を怠
つた場合において、金銭、物品の亡失、毀損したときには、原則として監査
委員の監査の結果に基いて、損害を賠償させるということにいたしたのであります。しかしながら不可抗力に基く事故によ
つておるという場合、すなわち避けることのできない事故によ
つているという場合、あるいは他の者に物品を使用させておる場合において、法規上の監督を怠らなか
つたという場合、こういう二つの條件を満しております場合は、また監査
委員の審査に付しまして、さらに
議会の議に付しまして、賠償責任を免除できる。こういうふうにいたしたのであります。それから二百五十五條の二は、これは争訟手続としては非常に重要な規定でありますが、選挙とか投票とか、あるいは
議会のいろいろな資格の決定というような、その結果がすみやかに確定しなければ地位に不安定を来す、そのために
地方政治全体に不安定な
状態をもたらすというようなおそれのある
地方自治法において規定いたしておりまするすべての争い
——争訟は、この
法律に定める争訟の提起期間、及び管轄裁判所に関する規定によることによ
つてのみ、これは争うことができるということにいたしたのであります。もしこの規定がございませんと、一般の行政事件訴訟特例法という
法律によりまして、処分がありましてから六箇月間が訴訟の提起期間になり、また場合によりましては、処分があ
つた日から一年間は訴訟が提起できるという形にな
つておりまするために、非常に確定が遅れます。またその他の裁判の期間等につきにましては、自治法上選挙とか投票につきましては、特に裁判をなすべき期間を制限をしております。その他争訟の前提になります
異議の決定、訴願の裁決等につきましても、それぞれすみやかに期間をきめるようにしておるわけでありまするが、そういうような点についてすべて一般の行政事件訴訟特例法を排除いたしまして、
地方自治法によ
つて早くきめるのだという点をひとつきめておるわけであります。また管轄裁判所でありますが、これは一般原則によりますと、すべて
地方裁判所から高等裁判所、最高裁判所と三段階に行くわけでございますが、
地方自治法の選挙とか投票に関する争訟は、あるいは
地方裁判所からいきなり最高裁判所に行く。あるいは
地方裁判所を飛ばして高等裁判所に行き、それからただちに最高裁判所に行くというように、裁判所の審級を
簡單にいたしております。以上申し上げましたような争訟に関するものは、すべてこの
地方自治法の規定で一般の訴訟の原則を適用しないというふうにいたしたのであります。しかしこの規定は出訴権を制限するという意味ではありませんので、そういうふうに期間とか裁判所の管轄を限定しただけであります。
二百五十七條はやはり同種の規定でありまして、訴願の裁決をなすべき期間を九十日以内にしなければならぬということにいたしました。選挙とか投票は六十日あるいは署名は二十日というふうに特別に書いてございますが、一般の訴願も九十日というふうに限定をいたしました。そして第二項におきましては、訴願をなすべき期間内に訴願をなさなければ訴願がなくても、これは訴願の要求をしりぞける旨の裁決があ
つたというふうにして、次の争訟に進めるようにいたしたのであります。
それから附則につきましては、附則の第二條でありますが、これは
東京都の交通局、水道局というようなものは、この規定によりますと一応存置させることができなく
なつたわけでありますが、九十日以内はそのままでもいいということであります。それから第三項は出先機関の委譲に関する規定でありまして、五月三十一日現在まで通商産業局の出張所や、道路運送監
理事務所というものがあ
つたわけでありますが、そのとき現在で押えまして、この二つの出先機関は、これを
都道府県に移管をすることにいたしたわけであります。
政府はその方針に従いまして、去る十一月一日からこの両機関を委譲いたしておりますが、その根拠をこの三項に書きまして、知事直属の事務所を置きまして、移管に伴います混乱を避けますとともに、適正に事務が
施行できるようにいたしているのであります。それから第五項でございますが、これは例の戰時中合併せられましたところの
市町村の分離に関する規定の問題であります。これは
政府といたしましては、実質的にこの点の規定に変更を加えてはおりませんが、ここに書いてございます点は、その分離の前提となります請求の署名を求めます場合に、やはり先ほど来申し上げました一般の直接請求の署名の原則をそのまま持
つて来るようにいたしました。またそういう
関係の争いにつきましても、今御説明申し上げました二百五十五條の二と同一の原則を持
つて来るようにいたしまして、すみやかにこれを解決するようにいたしているのであります。それから第六項の
改正点でございますが、これは今申し上げた点であります。
大体以上が
地方自治法改正法案の内容の概略でございます。