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1949-11-14 第6回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    十一月二日                 大石ヨシエ君  が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十四年十一月十四日(月曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君    理事 川本 末治君 理事 菅家 喜六君    理事 野村專太郎君 理事 久保田鶴松君    理事 藤田 義光君 理事 立花 敏男君    理事 大石ヨシエ君       生田 和平君    河原伊三郎君       清水 逸平君    龍野喜一郎君       大矢 省三君    門司  亮君       床次 徳二君    鈴木 幹雄君       田中  豊君  出席国務大臣         国 務 大 臣 樋貝 詮三君  出席政府委員         地方自治庁連絡         行政部長         総理府事務官  鈴木 俊一君         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 遠山信一郎君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 十一月十三日  委員圖司安正君辞任につき、その補欠として田  中豊君が議長の指名で委員に選任された。 同月十四日  理事圖司安正君の補欠として田中豊君が理事に  当選した。     ————————————— 十一月十一日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第二七号) 同月十日  自治体警察吏員に対する退職手当支給に関する  請願川本末治紹介)(第八号)  法令制定地方事情を配慮の請願山本猛夫君  紹介)(第一一号)  地方配付税配付率復活請願山本猛夫君紹  介)(第一二号)  同(倉石忠雄紹介)(第一三二号)  町村吏員恩給組合に対する国庫補助請願外四  十二件(川本末治紹介)(第二七号)  同(倉石忠雄紹介)(第二八号)  同(砂間一良紹介)(第一二八号)  同(江崎真澄紹介)(第一二九号)  琴浦町警察署に対する特別捜査費国庫負担の請  願(星島二郎紹介)(第六四号)  京都府衞生部存置に関する請願大石ヨシエ君  紹介)(第一一二号)  警察法の一部を改正する請願外一件(前田種男  君紹介)(第一一三号)  府県衞生部存置請願宮原幸三郎紹介)(  第一二〇号) 同月十二日  町村吏員恩給組合に対する国庫補助請願外一  件(佐竹晴記紹介)(第一七二号)  地方税法の一部改正に関する請願石原圓吉君  紹介)(第二四〇号)  地方自治法の一部改正に関する請願石原圓吉  君紹介)(第二四一号)  同(石原圓吉紹介)(第二四二号)  住民税賦課期日及び課税方法改正請願(石  原圓吉紹介)(第二四八号)  養ほう(蜂)業者に対する地方独立税免除の請  願(神田博紹介)(第二五四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第二七号)  警察及び消防に関する件     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  本日の日程は、地方自治法の一部を改正する法律案及び警察及び消防に関する件でありますが、ここに日程を追加いたしまして、理事補欠選挙を行いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め、理事補欠選挙を行います。すなわち理事でありました圖司安正君が、去る十二日委員を辞任されましたので、その補欠選挙を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め、田中豊君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 中島守利

    中島委員長 次に警察及び消防に関する件を議題といたします。質疑の通告があります。これを許します。河原伊三郎君。
  6. 河原伊三郎

    河原委員 警察制度につきましては、大きく改正せんとする意見、または大体において小修正を加える意見など、いろいろあります。いずれにいたしましても、自治体單位警察署定員の問題でありますが、これを全国画一的に定められてあるにつきましては、ある自治体においては足りないから増員を希望するもの、またある自治体においては実際仕事がそれほどにないという関係で、減員を希望するものなど、いろいろあるのであります。單にこれを人口の数といつた單純な機械的な基礎によつて定めることは、適正を欠く場合が往々できるのであります。この定員都道府県を單位とした大まかなものだけを国で定めまして、その都道府県内の国家地方警察並びに各自治体警察定員は、その都道府県議会の議決を経て、知事が定めるというところへ持つて参りますれば、適切な人数を得られる結果を来すのではないかと思われるのであります。その点に対する当局の御意見を伺いたいと思います。
  7. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 まことに御説の通りに、自治体の方の警察吏員につきましては、非常に困つている。ある場合にはかえつて多過ぎるし、ある場合においては少い。たとえば尼崎や川崎などは、非常に人口に対して警察吏員が少いというような状態で尼ケ崎のごときも五百人以上約七百人に近い人間に対して一人しか警察官がない。その隣である大阪が百五十人に対して一人というような割合で、非常に不公平があるのでありまして、そういうことが現われて来たのは、二十年の十月一日の国勢調査の人口を元に警察官及び警察吏員配置したようなわけであります。従つてそういう不公平がありましたが、戰後における各都市、ことに戰災をこうむつた都市におきましては非常に膨脹しております。従つて警察官配置が今日の事情に合わないような状態になつておりますが、この点を是正したい。制度いかんということを論ずる前に、自治体吏員配置が適正に行われなければならぬということで、今着々と研究しておりまするし、ほかとも切離してもこの点は解決して行きたいと考えております。その結果今の御説の人口のみならずというお話がありましたので、その点をも加味して改正したいと思つております。
  8. 中島守利

  9. 立花敏男

    立花委員 警察消防財政のことに関して二、三お尋ねいたしたいと思いますが、御承知のように地方財政は非常に困つているんですが、ほとんど全部の府県警察消防予算の中から、警察協力会補助金という名目で、二百万円ないし三百万円、東京都などは五百万円ばかり出しておるようでございます。これが各府県の支出でしかも大部分が国警費用の方に行つているという事実があるのですが、こういうことを大臣御存じかどうか、そうしてこういうことは明らかに警察法に違反していると思うのですが、こういうことに対して将来どういう御措置をおとりになるお考えか、まず第一点としてお尋ねいたしたいと思います。  それから地方財政の困窮、特に警察費増嵩は各自治体で一五%ないし多いところは三〇%に達しておるところがあるのですが、この間も朝日新聞あるいはラジオでも報道しておりましたが、長野県で約三千名の国警動員されまして、一部十県でございますか、しかも東京、群馬、長野の各市警動員されまして、二日間にわたつて叛乱想定のもとに、約数千名の暴徒が上田市の官庁を占拠したという想定のもとに、叛乱軍までこしらえまして演習なさつたのですが、こういう場合の費用はどういうところからお出しになるのか、あるいはこういう場合に各自治警市警に対しまして、やはり動員をさせておるのでありますか、こういう場合の費用自治体負担するものか、あるいは国家の方で負担されたものか、この点もお聞きしたいと思います。  それからもう一つは、この間私ども委員会に、全国消防局長連中が陳情に来られたのですが、警察費用に比して消防費用が非常に少い、ある消防局長のごときははつきり申しておりましたが、警察の方にはピストルを幾らでも買つてやるが、消防にはポンプも買つてくれない、こういうことを消防官自身も申しております。こういう点に関しまして警察消防費として全国的に予算をおきめになつているその総計の中で、警察消防費用割合がどうなつているのか。また彼ら消防官の言うことが事実であるとすればそれに対して、どういうふうに大臣としてお考えになつておるか、以上の三点につきましてお尋ねいたしたいと思います。
  10. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 警察寄付金につきましては、私の方でもあとう限りにおいて、なるべく寄付金で行かないようにということを申しておりますけれども、各地方ともに足りない現在の状態で、それを何とかして補いたいというような考えから、本来は自発的に行くべきであると思うけれども、ややもすると強く希望を述べて寄付金をもらつておるというような状態でありますので、その程度を越えますものについては、知つている限りにおいて絶えず注意を與えておるような状態であります。政府としてももとより寄付金は望みません。なるべく当事者に負担にならないようにということを考えておりますので、機会あるごとにそういうことをこれからも申すつもりであります。何ぶんにも自発的に行くところの寄付金政府が干渉するということは、今日許されませんし、しかたがない状態にございますので、従つてそれらの人の意思に基くところの発動を願つておるようなわけであります。  それから自治体警察については私政府の方からまともにかれこれと申して行くことはできないような、今日の状態でありますけれども、ただいまおあげになつた三千人の人を動員したとか云々と言いますけれども、これは法律によらない動員だろうと思います。御承知のごとくに自治体警察が九万五千、国警が三万という警察官についての制限がありますので、それを受けて政令でどの自治体には何、どの自治体には何と政令が出ておりますが、国警は一本であります。従つて融通性はありますけれども自治体については各自治体ともに何人ということがきまつておりますから、それを融通するということはできない状態になる。従つて府県といえどもお互いに融通するということはできないような状態になつておりますから、三千人とか動員したというのは、きつとしろうとでありましよう。警察官でない、また警察官を含んでおるかもしれませんが、警察官でない者も多分に含んでのそういうような数字でもあつたのでありますが、それらに対しましては自動的に各自治体が運動するならば、それは寄付金によるかあるいは自治体から支出するかは、各自治体ごとに異なることで、国家としてしようがない点であります。また別に政府に相談しなくともできることであるから、従つてどの範囲でやつてつたか私は存じません。  それからなお消防の方が非常にうすい、警察の方にはピストルをやつたそうであるが、消防の方にはポンプも買い與えないというお話でありますが、しかしピストルはどういうふうに買い與えたか存じませんが、そういうようなことはないのであります。消防の方は国家消防というのは僅かしかありません。現実の火消しではなくて、言いかえればポンプなどを必要とするような消防は、国家消防には全然ありませんので、研究とか指導とかいうことをやつておるだけであつて現実の行動は国家消防の方にはありません。あとは皆自治体消防になつておるから、自治体消防ポンプを買うか、あるいはポンプ以外の人件費等を使うか、それは自治体を一々調べなければわからないという状態であります。警察国警の方は一本でありますけれども、主として地方を担当しており、それから都会の方は自治体の方の警察になつておりますので、ピストルというようなお話もありましたけれども、私はそのことはただいまは存じません。国の方の分は直接の関係がありますので、従つてどのくらいそういうようなものを修理するかというようなことは、予算に現われているから、御審議願えばそれでわかると思います。
  11. 中島守利

  12. 菅家喜六

    菅家委員 私は自治体警察関係職員退職金支給促進に関する問題についてお尋ねをしたいのであります。警察法施行前に都道府県警察職員であつて、引続き市町村警察職員となつた者に対する退職手当金支給については、いまだその支給がないというように聞いておるのであります。私ども考えでは俸給または給料を給與していた経済において、その勤務年数に応じて退職金分担を行うことが、相当であると思われるのであります。またその責任があるように考えられるのであります。ゆえに退職警察職員に対しては、退職と同時に退職金支給をなすべきであろう、しかるに事実は警察法施行後まさに二年になるのでありますが、いまだに国または都道府県よりの分担金交付については、何らの具体的の処置がとられておらないようでございます。国家地方警察警察官退職した場合には、退職金全額支給がなされてあるにもかかわらず、同じ警察の職にあつた者が新警察法施行によつて、たまたま警察の職をしりぞいて自治体警察に入つた警察吏員に対しては、今日に至るもまだ退職金支給されていないというのが現状でありまして、まことに遺憾だと思うのであります。この辺の事情政府当局にお伺いいたしたいのであります。これは同時に消防関係職員においても同じであります。消防関係職員並びに警察関係職員退職金支給促進方法について、政府はどんなふうにお考えになつておるか、ただちにこの処置を講じていただきたいと考えておるのであります。それらに関して大臣より事情をお聞かせ願いたいと思います。
  13. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 お答えいたします。退職金は二色あります、広い意味において退職金でしようが、恩給の方のものは、旧来の警察自治体警察吏員になつたのと、通じて恩給をやることになります。その点は警察法の附則、たしか七條ぐらいのところだと思いましたが、ごらんくだされば、それが一時金になるか、あるいは年金になるか、恩給を與えるということが書いてある。その他は権利としては主張のできない退職給與金——退職手当と申しましようか、賞與金と申しましようか、それを與えることであります。お説の通り自治体の方へ行かない国家地方警察署の方にそのまま署員となつて行つた警察官には、一時金の退職手当恩給でない退職手当を與えております。それから自治体の方へ行つたのは、本来から言うならば、自治体職員であるから、自治体職員としてまかないをつけてもらわなければ困るのですけれども、お説の通り、それまでは国家警察職員であつたのだから、国家から出すのがほんとうでありましようこの春も非常にその点が問題になりまして、しばしば、打合せも行いましたようなわけであります。最近におきましては、大蔵大臣等も同意して、出そうということになりました。私も閣議で出すというその点を確かめるから、それまでとめておいたのです。ところが出そうというのが来年度だというような話で、それでは困るから、本年度の補正予算に入れてくれというと、補正予算で行くならばただいま二億円ばかり連帶支弁金があるからそれと振りかえて今年度は支拂つてくれないか、来年度の支拂いはそれに当てるように予算を計上しているから、こういう話でありましたので、来年度さらに連帶支弁金を見てくれるという言質をくれるならば、今年度やるし、そうでなければ、ほかの方の金を繰り上げて支拂うことを認めてくれないかということを、今交渉している最中であります。全体において、今のような退職金を出そうとは考えております、それはほぼ出せることには相成つてありますが、時期の点において、今みたいな交渉が続けられている、こういう状態にあります。  それから消防の方は、今までは消防手以外、判任官以上だけが恩給退職金等考えられましたので、それについては同じように取扱つて行きたいと思います。その他の点については、今までもなかつたものがたくさんありますので、今までと同じようにしたいという考えでおります。
  14. 中島守利

    中島委員長 次は藤田義光君。
  15. 藤田義光

    藤田委員 私は二、三点簡單にお伺いいたしたいと思います。まず第一は警察法改正の問題でありますが、この点に関しましては、先般の本会議におきまして、樋貝国務大臣から一応の御答弁があつたのでありまして、われわれ一応了承いたしておりますが、近い将来におきまして——この近い将来というのを私は講和会議前と一応仮定いたしまして、警察法改正の御計画は全然ないのかどうかということをまず、お伺いしたいと思います。  次には講和会議前に警察法改正がないと仮定いたしますると、当然現在の十二万五千の警察官をもつて国内治安の重責を全面的にになうわけでございますが、講和会議後いわゆる完全なる独立国家になりました場合におきまして、現在の警察制度をもつて完璧であるかどうか、この際樋貝国務大臣に所信をお伺いいたしたいと思います。  なお講和会議問題に関連いたしまして、一言お伺いいたしたいのは、先般参議院の本会議と了解いたしておりまするが、殖田法務総裁は過般来国際的に、非常な反響を呼び起しておりました国民政府軍日本人の一部が投じておるということを確認されております。憲法第九條によりまして、完全に武器を放棄いたしておりますお互いの同胞の中に、いまだに好戰的分子がおるということを、国際的に感ぜしめたことは、ゆゆしい大問題であろうと思います。この点に関しましては、法務総裁は厳罰に処するという言明をせられておりますが、この台湾その他に渡航したと想像される日本人の密航に関しまして、国家警察を担当されております樋貝国務大臣は、事前に何らの情報も入手されなかつたかどうか、現在の警察力をもつては、かかる国際的な情報を收集ることは、不可能であるかどうかにも関連いたしまして、重大なことでございますが、大臣の御意見を承りたいと思います。御答弁によりましてまた簡單に再質問をいたしたいと思います。
  16. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 警察法改正するかしないかということは、私はこの前もこの委員会で申し上げた通り言明を避けたいと思います。それはいろいろな国際事情もありまするし、国内事情においても非常にデリケートな関係に立つておりますので、従つてただいま警察法改正するとかしないとか、あるいは改正するならばいつしたいとか、そんなようなことは全部黙らしていただきたいということを申し上げたのですが、今日も同じようなことを申し上げたいと思つております。たださつき申し上げました自治体定員配置のごとき、やむにやまれぬ事柄は、それとは切離して別に考えたい。事務的に進行するならばさつそくにもやりたい。あるいはこれから臨時議会に引続くかもしれない通常国会の劈頭においても、この改正をやりたいというように考えておりますけれども、しかし全体についての改正をすべきか、改正をすべきでないかというような、警察法全体に関しては、ただいまは申し上げることができないような事情にあることを、御了承願いたいと思うのであります。  それから講和会議の点も新聞でしばしば見ました通りでありますけれども、それからそのほかの情報も聞かぬこともないのでありますけれども、しかし敗戰国日本として講和会議を云々する時期でないと思いますので、今日においては先日総理参議院で申したがごとくに、いかんとも申し上げることはできない。日本希望も、言うことをはばかつているというような状態でありますので、これもまた御了承願いたいと思います。  それから例の台湾国民軍がありましたが、あれに日本人義勇軍として投ずるという話は、この夏呉鉄城氏が日本に参りましたときに、そのうわさが大分ありました。それで確かめましたが、総理大臣呉欽城氏に会わなかつたし、それから日本の有力な人たち呉鉄城氏にはあまり会わなかつたようでありまするし、また呉鉄城氏も日本から義勇軍を求めることは遂に言わなかつたのであります。うりわさには、あるいは警察方面呉鉄城氏と連合して、義勇軍を募つているようなうわさが飛びましたが、そのうわさは事実ではなかつた。少くも日本へ来て警察へ話をするというならば、私なりあるいは少くとも警視庁にはその話はあつたろうと思います。警視総監にもその話は聞きましたが、その話は全然ないというようなことでありました。先日法務総裁のお答えした事柄は、それは一部にはあつたでありましようが、公式のことは一つも話はなかつたような事情でありました。もしそういう人間があるならばということで、法務総裁は言つたろうと思います。そんなような事情で、情報は今警察以外にも、たくさんいろいろな方面からありますけれども、しかしその点については全然私どもは耳にいたしませんでしたようなわけであります。
  17. 藤田義光

    藤田委員 警察法改正に関しましては、大臣の御答弁で、一応その苦衷をお察しいたします。ただ御答弁のうちに、自治体定員配置の変更のごとき、事務的にやれることはどんどんやりたいという、名言を得ました機会にお願いと御答弁を求めたいと思います。  それは先般の本委員会におきましても特に発言しておきましたが、二十五年度から実施されます平衡交付金制度によりまして、一応今までの自治体に対する配布税の観念を一擲されます機会に、ぜひとも非常に財源で困つております全国二千有余の自治体警察を擁する市町村に対しまして、相当強力な財政的裏づけをしていただきたい。そのためには至急自治庁と御連絡の上、平衡交付金の相当のわくをとることを御配慮願いたいということを発言しておきましたが、この点に関しまする自治庁との折衝経緯等に関しまして、大臣のお答えを得れば非常に幸いだと思つております。  それから最後にて一点お伺いしたいのでありますが、法務委員会を中心に、法務府では犯罪科学調査研究所というのを、二十五年度予算に計上している。これは現在国家警察にあります研究所とほとんど実質は同じであります。仄聞するに予算は約三千万円ということになつておりますが、財政難の折柄ぜひともかかる重複した行政機関の設置を中止されまして、現在の国家警察にあります科学捜査研究所の内容の充実に、この貴重な経費を充てていただきたいというふうに感じておりますが、この点に関しまして法務総裁その他に、樋貝国務大臣から折衝がありましたかどうか。あつたとすればその結果はどうなつているか。これも先般来の私の発言に関連いたしておりますので、簡單にお答え願いたいと思います。
  18. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 平衡交付金のことで、すが、まだ自治庁の方とお打合せをしなかつたのは、もしもこの臨時国会で別の方面考えることがあるならば、平衡交付金のことについてお打合せをしなくても済むじやないかと思つた事実がありましたので、それでお打合せをしなかつたのであります。しかし向うの方面にいろいろ交渉した結果によりましては、自治体会社のごときものであるという例があげられまして、各自治体国家が干渉するのは他会社に干渉することと同じことであるから、従つて保護の点についてはけつこうであるけれども、しかし独立会社と同じようなことであるから、というような意見が強くて、補助するとか、されるとかというようなことは、今は問題にしないでおいた方がよろしいという考えが、大分ありましたために、この点も深入りすることができなかつた事情でありました。それで今言つたような平衡交付金をどのくらいにするとか、何のために使うかとかいうような、あまり奥へ入つた話をすることができなかつた状態であります。従つて今もお話のごとき自治体関係でお打合せをしたということはないのを遺憾といたします。またお打合せする時期でないと考えているわけであります。  それから法務府の方のは三千万円ということになれば、三千万円ぐらいではとても育成にはなりません。御承知犯罪科学研究所にいたしましても、九段に持つておりますけれども、あれだけでは足らぬ状態であります。予算の配付が願えればまた増築したいと思いますけれども東京地方及びおもな土地については、あれだけでも十分でありますけれども、急を要する場合で、地方に起つたような事情であれば、やはり地方でもある程度持つていなけれが足りないような状態でありまして、今法務府の方のをどこへ何をどう考えておるかということについて、過日衆議院の委員長の方とは打合せましたが、いずれ協議をして十分にきめたいと思うというようなことを申しました。それから法務府の方はさしあたりの予算としては、別の方にはたくさんとりましたけれども、この犯罪科学研究所の方にはそうとつているはずはないつもりでありますが、なお予算の方を取調べた上に御返事いたします。
  19. 中島守利

    中島委員長 川西清君。
  20. 川西清

    ○川西委員 私は街頭露店廃止の問題について、簡單にお伺いしたいと思うのであります。これは現存東京都だけの問題でりまして、全国的の問題にはなつておらないのでありますが、東京のやることは大体漸を追うて、いつでも全国に感染して行く傾向がありますので、この際ちよつとお伺いいたしたいと思う次第であります。これにつきましては、社会党の前田種男君が本会議簡單に触れられたように速記録で見ましたが、その際あまり御答弁がなかつたように思うのであります。この露店商は御承知通り、戰災者、引揚者、失業者があまり資本を要せずに職にありつけるほとんど唯一の職業であろうと思うのでありますが、これの廃止につきましては、都市の美観とか、衛生上あるいは道路交通取締りの関係の理由などが、あげられておるのでありますが、こういうことを道路交通取締りの見地から、あるいはその他の見地から、全国に勧奬されるようなことが将来あるのでありますか、その点のお考え簡單に伺いたいと存ずる次第であります。
  21. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 露店商の問題はたいてい都会で起りますので、国の警察の方で担当している分には起りません。たいてい自治体警察の方で起りますので、自治体の方の警察のやることに対しては、国家の方では今の制度では監督できないような制度になつておる。従つてどいう指令を與えて、どつちの方に導いて行くかというようなことができない状態になつております。けれども実際においてなるべくいい方に指導したいという考えでおります。東京における露店商の問題は、前の政府時代から起つた問題だと聞いております。お説のごとくに、東京都の美観を害するという点もあります。たとえば銀座のまん中で日中からあの露店が出ておつては非常に困る、しかも継ぎだらけの布などを張つて、晝間から展望もきかないようなあの裝いをしたところの露店がたくさん並んでは困るという点もありましよう。  それから交通の点、たとえば渋谷とか、新宿とか、川崎という方面では、交通は非常に困つております。あれがために人道を歩けないというような有様であつて、そういう点も困りましようし、他方においては今お説のごとくに、わずかの資本があれば、それで十分にまかないができるところの露店商を禁止しては困るというような、失業の問題もありましようから、今のところでは、自治体あるいは東京都知事、それから警視総監等が関係いたしまして、美観の方面からと、土地の所有者、管理者という方面東京都の方の関係といいますか、これらが一緒になつて、来年の四月一日から撤廃したいということを言つておるようであります。それで関係方面ともその点について折衝しておるようでありますけれども、その結果といたしまして、道路でないところならば、露店をやつてさしつかえないということにはなつており、道路についてはなかなかむずかしいようであります。従つて自治体の問題としても考えなければならぬと同時に、失業の方面としても考えなければならぬ。従つて一般失業の問題としては、これも考慮に入れておるけれども、しかし今のところでは、露店商としての特別な考慮をしておる状態ではないのでありまして、国の警察の方からは、実は縁故の非常に薄い関係には立ちますけれども、なお事実上それらについて心配しておるような実情であります。
  22. 川西清

    ○川西委員 国警としては、全国的に特別の処置がとられないわけでありますか。
  23. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 国警としては、実は国警の担当しておるところが、いなかと、それから国の全体と言うけれども、国の全体は非常に少いので、立案その他については国警でやつておりますけれども、しかしながら立案するためには、各自治体から言つて来なければならない。あるいは自治体の方へ言つて自治体から返事を待つて初めて立法しますので、従つて相当の期間がかかりますから、そこで問題は、今非常に目前に迫つておるのに、そんなことをしておつたのではたしまえになりませんから、そこで各方面に事実上の連絡をとつて、話をしておるというような状態であります。おそらくこのことを東京で始めたら、全国で同じようなひそみにならうであろうということは考えられますけれども一つ一つ自治体に某方面の勧告があるかもしれません。それに基いて自治体が決議することになつております。
  24. 中島守利

    中島委員長 鈴木幹雄君。
  25. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 私は簡單にお伺いいたしたいのでありますが、その趣旨は、警察消防に対します、自治体関係退職手当の問題でありまして、ただいま菅家委員からその点の御質疑があり、樋貝国務大臣から御答弁がありまして、大体本年度の補正予算におきまして、これを連帶支弁金の中からまかなつて、明年度において連帶支弁金の方を相談する。こういうことで解決をはかつておるという御答弁をいただきましたので、一応了承いたしたのでありますが、ただこの際に注意を喚起いたしたいと思いますのは、昨年の三月、自治体警察制度が確立されまして、制度ができてから今まで退職いたしましたものは、相当な数に上つておるはずであります。ただいまの国務大臣の話によりますと、大体退職手当の概算が二億円ないしは二億五千万円程度であろうと存じますが、これが今日まで放置されておるという事実はきわめて重大である。かりに自治体警察官の間において、あるいは消防官の間において、労働組合なり、職員組合の結成があるといたしまするならば、かような事態に持ち込まないで、もつと早く解決された問題ではなかつたかと私は思う。その点は特に御推察を願いまして、こういう処置がすみやかにとられることを、今後とも期待をいたしたいと思います。これに関連をいたしまして、国家警察官でありまするところの国家地方警察職員、これに関しましては、国家公務員として開議の決定か、昭和二十二年にあり、本年の七月に至りましてはポツダム政令によつてこの退職手当の問題が解決されておる。自治体警察におきましては、各市町村におきまして、それぞれ條例をもつてその根拠を與えられておる。ところが昨年三月自治体警察に切りかわりました際における警察官あるいは消防官につきましては、この退職手当支給の基準をいかなる根拠をもつてするかということは、今日まで解決されておらぬ。ただいまの樋貝国務大臣の御答弁は、これを予算的措置をもつて解決をはかられるということで、まことにけつこうであります。と同時に私は九万五千の自治体警察官が残つておる、消防官が残つておる。これにつきましては年々歳々同じような率をもつて、あるいはかわつた率をもつて退職、する者が出て来る。これに対しまして、退職手当支給は必ず毎年々々起るものである。こういう問題に対しまして、基準となるべきところの根拠を何によつて得ようとなさつていらつしやるか、均衡財政の建前から言いましても、私は毎年予算に計上すべきものであると思います。この処置をおとしになる御意思がありまするかどうか。  この二点を私はお伺いいたしたいと思います。
  26. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 今のお尋ねの通り、毎年同様の問題が起るだろうと思いますけれども、しかし先へ行けば非常に少くなると思つております。最近割合に多いだろうと思いますが、来年度ばかりでなしに、毎年こういう事情に応じて行きたいと考えております。  それから基準は大体は国警に準じて行きたいという考えです。御承知通り国家警察官吏として今までおつた年数と、自治体の年数と両方通算しますけれども国家警察としておつた年数に応じたところの給與を與えたいというお考えでおります。
  27. 中島守利

    中島委員長 床次徳二君。
  28. 床次徳二

    ○床次委員 簡單に一、二点御尋ね申し上げたいと思います。  先ほど国務大臣警察法改正につきましては、なお今後考慮しておられるようでありますが、現在の経費並びに現在の定まつたわくの中におきまして、これをできる限り能率的に経済化するということにつきましては、これは異存がない問題であります。先ほど自治体警察定員の問題につきしましては、その改正について考慮しておられるように伺つたと思いますが、この程度の手直しというものはどうしても必要なんじやないかと思うのです。できる限りこれを政府において考慮する、あるいは場合によつて委員会におきまして具体的にこの改正を考慮していただくことが必要だと思いますが、この機会に私は一言特に考えていただきたい問題といたしまして、警察官定員に関する問題でありまするが、現在訓練中の警察官、これを正式の定員の中に考えられておるようでありまするが、はなはだこれは不都合なんじやないか。まだ一人前の警察官として活動できないものは、当然定員から除外して置くべきものではないかと思うのであります。またその教育の経費の問題でありまするが、たとえば自治体警察におきまして、訓練中の警察官に対して経費を負担しておるということは、はなはだ負担の公平を欠くおそれを生じるのだと思うのであります。私は警察官の訓育費というものは当然国家において負担するのが適当ではないか、自治体警察がその一部なりとも負担することは、非常な不合理を生ずるということを考えたのであります。第一にこの点につきまして政府の御意見を伺いたいと思います。  なお一つ、これは将来の警察法改正の場合に、やはり考慮していただきたいと思いますが、自治体警察国家警察が同じ所に庁舍を持つておるという場合、非常に能率が悪いのであります。でき得るならばむしろそういうところにおいては、同じ所に二つのものが所在するという煩を避けるように、自治体警察国家警察の間に事務的の連絡協調をはかるというような方途を講ずることがいいのではないか。これは私どももつと研究したいと思うのでありますが、これに関しまして政府の御意見を伺つてみたいと存じます。  第二点といたしまして、ただいまの警察の問題には、先ほども藤田委員から御質問がありましたが、将来の平衡交付金の配付方法について、非常に大きな問題があるのであります。今後地方税の問題を審議する場合にあたしましても、ぜひともこれは早く大体の方針を承らないと論議しにくい問題でおりまして、これは政府の腹がきまりましたならば、なるべく早く御明示をいただきたい。これによつてどもは将来の地方制度を研究したい。かように考えておるのであります。  第三点としまして、先ほど露店の問題が出て参つたのでありますが、この問題は、実は警察の方から論じますと、まことに一部分の問題です。むしろ問題は失業問題、あるいは中小企業その他の大きな社会問題だと私ども言えておるのであります。どうもこの問題は当委員会において、あるいは直接に政府の御答弁を伺つておりますと、実に私どもは隔靴掻痒の感があるのであります。もつとこの問題を根本的に将来の国家の対策という立場において、はつきりとした一つの方針が確立されていいはずだと思つておるのであります。先ほども御質問があり、なお野村委員その他数回にわたつて政府に対して御質問があつたのでありますが、それに対して政府の態度がはつきりしていない。こういうことは私どもははなはだ遺憾に思うのでありまして、場合によりましたら、やはり本委員会としてこの問題をはつきりと研究していただくことをお願いしたらどうか。これは特に委員長にお願いする次第であります。この点に関しまして政府にも御意見があつたら伺つておきます。
  29. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 もつと警察費を経済化するという話はごもつともだと思う。今日の経費をもつてしても、十分に、もつとより以上に能率が上げ得られると私は考えております。従つてその方向に進みたいと考えておりますが、先ほどお答えしたごとくに、非常にデリケートな関係に立つておるのですから、今日は黙つておるような状態であります。考えておることはお察しの通りでおります。それから訓練中の費用及び訓練に関しての定員等について、政府はどういう考えを持つておるかということですが、訓練はおそらくは地方や、管区本部を中心とした訓練のことをいうのだろうと思うのですが、その点は定員外に置きますと、それらの人が二、三箇月済めばまた帰つて警察官にならなければならぬから、人はとれないというようなありさまでありますので、どうも定員外ということも無意味だろうと思います。それからまた定員外にして訓練だけをしておくということは、数限りない形になりますから、結局九万五千のうちにその人を入れた方がいいだろうという考えを持つてあります。  それから訓練中の費用については、いろいろありますけども、たとえば国の管区本部などで教育しておりますのは、来年度から一人当り月三千円ずつ国で補助することになつております。本年は二千円、来年からは三千円ずつ補助する。三千円でも足りないと思いますけれども地方から出て来るような場合には、それに対して—これはお叱りを受けるかしれませんが、寄附金やその他で補つて、三千円より以上の四千円なり、四千五百円なりをもらつて出て来る様子でありまして、大体補充はつくだろうというような考えでおります。来年度の警察費では約三千円になります。その程度より以上はとれなかつた情勢であります。  それから平衡資金の点につきましては、先ほどお答え申し上げた通りこれと今の警察がどうなるかということは多分の関係がありまして、これだけで独立して考えることはできないのが今の状態です。今しばらくの間これについてはごしんぼう願いたいと思います。  それから露店商の問題は、お説のごとくに失業の問題が最も大きいのじやないか。警察方面から申しましたならば、自治体でやつておりますけれども、これは警察としては小さい問題であるかもしれませんが、社会問題としてまた失業の問題として十分に考えなければならぬ問題の一つだと考えます。警察方面では、交通を害する地点やあるいは美観をあまり害するような—美観と言うと、何だか余裕のあるように考えますけれども都市としてやむにやまれない、ずいぶん醜悪の感情を與える所もありますから、そういうのは制限して行かなければならないので、相当強い決意を持つて、そういうことを一掃して行きたいと考えております。それにさしつかえない地域、たとえば道路でないような部分で、こういう方法をとりますことについては、これは自由にして行きたいという考えを持つておりますが、決してこの点について警察方面から、無秩序に行くという考えは持つておらないわけであります。失業問題に対する手当は十分でない点があるということにつきましては、また御批判を仰ぐことになると思います。
  30. 中島守利

    中島委員長 ただいま床次さんの委員長に対する御希望に対してお答えいたします。露店問題は、所管については相当議論がありましようが、とにかく国内問題として重要な問題であります。何とかこの問題は失業者が少くて済むようにしたいと思います。近く理事会において露店問題を討議いたしたいと考えております。以上お答え申し上げます。——大泉寛三君。
  31. 大泉寛三

    ○大泉委員 たいへん時期遅れのようでありますけれども大臣にお伺いしておきたいと思います。第五国会の終りぎわの国家公安委員の問題でありまするが、これは私どもはきわめてりつぱな人たちであり、また尊敬もしております。けれどもまた法制上任期もあることでありますから、かれこれ言うわけではありませんけれども、たまたま総理大臣と公安委員との意見の相違があつたように承つております。いやしくも議会の承認を得て任ぜられた者が、議会情勢が変化した場合は、政治的な立場においても、あるいはこれは相当考慮しなくちやならぬのじやないか、こう思つてつたのであります。問題はそれなりに消えてしまつたけれども、主管大臣として大臣はどんなお考えでいらつしやるか。また何らか政治的な交渉をなされたかどうか。また現在の公安委員は適任者であるかどうかというようなことをお伺いしたいと思います。私どもは少くとも今日の情勢が平和時代の十年が一年に匹敵するような変化のはげしい時にあたつて、任期のみにこだわることも、私はあまり適当なものじやないと思います。こういう場合において議会情勢が相当変化をしておるのだから、まずこの点を公安委員としても考えてもらわにや困る。また主管大臣としての大臣はどの程度まで人事権に対してそれを行使できるのか。どうも議会に対する責任だけを大臣は負われておつて、実際の行政上に対する権限は、公安委員の大きな節によつてどうも滲透しないような感もある。この点どんなお考えを持つていられるか、この際に伺いたいと思ます。
  32. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 どうもあの国警長官の問題は、個人的の関係がありますから、私の言いにくいことで、個人のことは全部省略することをお許し願いたいのですが、全体として治安の責任は政府が負わなければならないということになつており、しかもなお政府はそれに—人がおもな問題でありましようが、その問題については政府は全然権限を持たないということでは、治安の責任を負いようがない。政策等についてもまた警察力というものを考えずに、政策は樹立できませんのみならず、警察の方向においても、政治のことは少しも知らぬで警察をやつて行く、そんなこともできない。両々密接な関係のあることは疑いないところであります。従つて責任を政府が負うというならば、少くも人事に対しても相当なことが言えるようにならなければ、その間に首尾一貫しないと思うわけでありまして、あの問題の起つたのも、その間におけるいろいろなむりな点などがありまして、ああいう問題が起つたのだろうと私は想像しておるわけであります。従つて具体的にだれが適当か、だれが不適当であろうかというようなことは私も存じませんけれども、しかしながらその間に何となく食い違つた、何となく割切れない問題があつたろうと思うのであります。過日もちようど各種の委員等につきまして、その点ある方面にも申したことがありますが、アメリカその他の国においては委員等も適当のときに辞職をする慣例であるということを聞いたが、それは事実であるかということを確めたのであります。そのときに大体アメリカ等においては政府の任期と委員の任期と一致するから、そのことはわからぬということを申しました。しかしながらエチケツトとして政府がかわれば委員までやめるという話を聞いておるが、それは事実かということに対して、最後にはそういうような話も聞いておるということを申したような次第であります。日本の公安委員は、大部分はりつぱな人であります。私に対して忠実だと言つておりました。まことにそうであろうと思いますけれども、そうでない党派的な考えを持つておる人もあるかも存じません。私は明るい民主的な警察日本人警察ということは望みますけれども、しかしながら一党一派に偏した警察というものは、私は全然望んでおらない。従つて警察の指導に当りましても、日本のための警察ということは考えておりますけれども、私どもは自分の属しておる党派の警察というような、そんな昔の警察のようなことは決して考えておりません。しかし十分それを了解しておるかどうかわからない、ややもすると昔の警察を復活するのでないか、こういうような疑いさえも持たれておりますが、制度の上においてはそういうことはない。しかしながら政府の意思が十分に行われるような方法をとろうということは、いろいろ考えておりますが、具体的には申し上げられませんけれども、そういうようなことでその間の処置をどうしようかということで、非常に苦慮いたしておるような次第であります。あの当時におきましても、あんな泥仕合みたいなことを外に現わしたくないと思つて苦心いたしましたのが、遂に新聞に書かれるというような状態になつてしまつたのを非常に遺憾に存じますが、今後においてもああいうことがないことを、そして今のようなことを伝えることを、私は注意しておる次第であります。
  33. 野村專太郎

    ○野村委員 街商関係委員長が床次委員の質問に答えておりますから、大体それでいいと思いますが、また樋貝大臣の先ほどのお話の問題は、一地方の問題ではないと思います。しかも今日の国情、国の財政、いろいろな各般の情勢から、完全なる失業対策のとり得ない段階におきましては、この面から相当慎重に、しかも最善の施策を施さなければならない。実際問題としては自治体警察関係の区域が多いと思うのです。現在東京都では建設局長を中心としてもつぱらこの対策にあたつておるようでありますが、従来は警視庁がこれにあたりておつたようであります。この点に対しては先般の委員会において、この重要性と深刻性を私は十分に指摘をいたしておいたのですが、そこで三月一ぱいと言いましても、この年末を控え、非常に不安におののいておる人たちのことを考えると、具体的な、はつきりした対策を明示して、それらの人たちの不安を解消しなければならぬと思うのでありまして、最近の機会において、政府当局の方から本委員会を通じて、明確なる対策を明示せられんことを望みたいと思います。それから幸い委員長からお話のごとく、このことは非常に対外関係等もありますからこの機会においていろいろの街店を解消することは非常にけつこうでありますが、今日の国情はそれ以上の深刻性を持つておる、こういう点からできれば非難のない区域を與えて、江戸時代から親しまれたいわゆる夜店であるとか、こういうこともできれば認めて上げて、失業対策の一助にすることにしたいと考えております。どうか委員長さんのお話通り理事会を開かれて、超党派的にこの問題に対して強く具体的に関係筋の了解を求められて、この問題の解決にあたりたいと思います。  以上二つ、一つ委員長一つ政府当局に対して、具体的の方策をお話し願うように要望いたした次第であります。
  34. 中島守利

    中島委員長 警察及び消防に関する件は、この程度にいたしておきたいと思います。     —————————————
  35. 中島守利

    中島委員長 次に地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第二七号を議題として、政府よりその提案理由の説明を聽取いたします。  この際お諮りをいたします。木村国務大臣が病気引きこもり中でありまして、今日出席して提案理由の説明ができないそうであります。特に小野政務次官から、大臣にかわつて説明を聽取することにいたしたいと考えますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 中島守利

    中島委員長 さようにいたします。
  37. 小野哲

    ○小野政府委員 本委員会に付託になりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要なる事項の概略を御説明申し上げます。  今回の改正の骨子は、地方自治運営の現状にかんがみ、地方公共団体における直接請求の手続、地方議会の運営、各種争訴の手続等の整備並びに地方公共団体の事務処理機構の刷新及び監査機能の強化をはかる等の措置を講じようとするものでありますが、その改正の根本方針は、地方公共団体の自主性及び自律性をさらに徹底するとともに、さらに地方自治の運営における公正と効率を確保し、もつて地方自治の本旨を実現しようとするものにほかならないのであります。  まず改正の第一点は、地方公共団体の直接請求の手続に関する規定の整備についてであります。現行の直接請求の制度における署名手続に関しては、ほとんど住民の自制にまち、何ら特別の規定を設けていないため、選挙人の署名の代筆、偽筆等がともすれば行われ勝ちであり、また選挙人を欺罔して署名を求める等の事例も少からず存在し、常に紛議の的となつている実情にあり、一方選挙管理委員会が署名を審査する場合においても、これがため非常な困難を感じているのであります。特に議会の解散請求並びに議員及び市町村長等の解職請求については、攻守ともにはげしい抗争を繰返し、あるいは適法のわく内を逸脱して権利の濫用に至つていると認められるものがあり、あるいは紛争のための紛争に終始して、かえつて住民の福祉をそこなうに至つているもの等が相当に見受けられるのであります。従いまして今回の改正案におきましては、正しい直接請求は、住民の基本的権利の最も重要なものとして、あくまでこれを尊重するとともに、他面その濫用を防止するために、必要な規定を設けることといたしたのであります。すなわち直接請求の署名の効力について、法令違反の署名及び、詐欺、強迫等に基く署名を無効とする旨の審査基準を明記し、市町村の選挙管理委員会が署名を審査するにあたつては、必要に応じて関係人の出動及び証言を求めることができることとした上、署名簿を関係人の縦覽に供して、署名の効力が正しく確定せられるようにいたしたのであります。また直接請求の署名に関して暴力もしくは不正の方法を用い、または特殊の利害関係を利用して、署名及び署名運動の自由を妨害した者、並びに署名の偽造、増減等の悪質行為をした者に対し、衆議院議員の選挙運動におけると同程度の罰則を設けて、これらの悪質行為の根絶を期することとしたのであります。なお知事、市町村長の所管に属する事務のみならず、新たに教育委員会公安委員会等の独立の執行機関の所管に属する事務についても、住民に対し監査の直接請求権を認め、処務の公正を期し、これらの機関が住民に対して、直接責任を有する旨を明らかにいたしたいのであります。  改正の第二点は、議会の運営に関する事項であります。まず、議会に対して知事、市町村長の所管に属する事務のほか、新たに教育委員会、公安委員会等の独立の執行機関の所管に属する事務について事務の管理、出納の検査の権限を認めるとともに、これらの機関に委任された国その他公共団体の事務に関し説明を求め、またはこれに対して意思を述べることができるものとして、議会の権限を整備するとともに事務の公正な執行を期したのであります。第二には、都道府県議会の定例会は、現在毎年六回以上でありますものを、実際の運営の状況に徴して毎年四回以上に改めました。第三には、地方議会において行う選挙についての紛争の早期解決を期するために、これに関する出訴期間を二十一日以内と明記したのであります。さらに、その他地方議会の運営の整備に関連する事項として、県庁、市役所または町村役場の位置を定め、または変更することは地方政治においても、最も重大な問題の一つでありますので、その議決手続を特に愼重にいたしたこと、また、條例及び予算の議決並びに知事、市町村長等に対する不信任の議決等の重要なる議決についての議会と執行機関側との処理手続を明確に規定いたしまして、その円滑なる運営をはかつたことの二点につき改正を加えたのであります。  改正の第三点は、各種争訟手続の整備に関する事項であります。直接請求の署名の効力に関する争訴手続を新たに認めるとともに、直接請求に基く副知事もしくは助役、出納長もしくは收入役、選挙管理委員もしくは監査委員または公安委員会委員の解職の議決に対して、新たに出訴を認める等、争訟手続に関する規定を整備いたし、地方自治運営の公正を確保するための保障の措置としたのであります。なお、地方公共団体の議会の議員または長の選挙または当選、面接請求に基く議会の解散等に関する効力は、この法律の定める争訟提起の期間及び官轄裁判所に関する規定によらなければならないものとし、紛争の早期解決をはかることといたしました。  次に改正の第四点は、執行期間に関する事項として地方公共団体の事務処理機構の整備及び監査機能の強化等に関する事項についてであります。市町村にあつては出張所、政令で指定する市にあつては区の事務所の出張所を設けることができるものとし、事務処理の便宜に資することにいたしました。次に、行政機構の見地から、都道府県の局部の機構については、行政的事務を処理する部局のみを法定することとし、公共事業の経営に関する事務組織については、企業能率の発揮を期する上から、條例で適宜の組織を設けるようにいたし、これに伴い、都の交通局、水道局、道府県の公共事業部の法定を廃止することとしたのであります。知事及び市町村長に対する不信任の議決に関する処理手続を整備いたしましたに伴いまして、不信任議決による知事または市町村長の失職の規定を整備いたしました。また、地方公共団体から平素財政的援助を受けている補助団体等に対する監査委員の監査権を認めて、会計の適正を期することとしたのであります。  第五点としては、財務に関する事項についてであります。まず、分担金、使用料等に関しても延滯金を徴收することができるものといたしました。また、出納長また收入役その他の職員の公金亡失、または物品毀損に対する賠償責任の規定を整備したことであります。いずれも公正な事務の執行と効率の確保を期するための措置であります。  以上が今回の地方自治法の一部改正案の大要でありますが、その他なお、若干の改正をいたすことにしました。議会の運営に関連して申し上げましたごとく、條例の制定に関する規定を整備し、その公布及び施行手続を明確にいたしたのであります。国の出先機関の整理に伴い、都道府県においては、従前の通商産業局出張所及び通路運送管理事務所の所掌事務を処理させるため、当分の間、條例で知事直属の事務所を置くものとしたのであります。  以上今回の地方自治法の一部を改正する法律案の理由及びその内容の概略の説明をいたしましたが、なにとぞ慎重御審議の上すみやかに議決あらんことを切望いたします。
  38. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま政務次官から提案理由の説明を申し上げましたが、なお補足的に御説明を申し上げたいと存じます。大体逐條的に簡潔にお話を申し上げたいと思いますが、法案の第四條の改正でございますが、これは府県庁あるいは市役所あるいは町村役場等の事務所の所在地でありますが、この処在地が建物が火事で焼けましたような場合に、その事務所の位置を新しくどこに定めるかということで、いろいろ紛争が起つております。そういう際に非常に一人の議員の向背によりましていろいろな問題が起るということで、地方政治の安定ということから考えまして、三分の二以上の者の同意ということで、特別の多数決にしたらどうであろうかというのが、第四條の改正のねらいでございます。  それから十六條でありますが、これは現在この條例規則すなわち地方団体の立法の公告式に関することを規定いたしております。どういうふうにして公布するかということについて規定しておりますが、これは一定の広告式により告示しなければならないということを申しておるだけでございまして、訴訟の点におきましても公告が一定の方式によつておりませんために問題を起しておるような例があるのであります。そこでそういう公告の点等をはつきり規定いたしますとともに、その根本になりますこの條例が議決をされました場合に、議会の方から三日以内に、市町村長の方に送付をしてもらう。そうして送付を受けましたならば、特にその條例の議決が違法でありますとか、その他法令の規定によりまして、特別の措置をする必要がないというときには、送付を受けました日から二十日以内に公布をするという公布の規定を明確にいたしたのであります。そうして公布後は十日たてば当然に原則として施行せられるというふうにいたしております。なお島でありまするとかいうようなところでは、公布後十日たつて施行するという点につきましてはむりな点もございますので、そういう施行期日の特例を要する点は、あらかじめ條例ではつきりと書いておいてもらう。また長の署名を必ずしてもらわなければならぬということを第四項に書いてあるわけであります。そういうような條例につきましての送付、公布の手続署名ということは、そのほかの団体の規則、あるいは教育委員会とか、選挙管理委員会の定める規則等につきましても、すべてこれを準用して、そういう方式でやる、こういうようにいたしておる次第であります。それから七十四條の二、七十四條の三、七十四條の四、七十四條の五、そこまでが條例の制定改廃に関するリコール、直設請求制度改正であります。この條例の制定改廃に関する直接請求制度の原則は、監査の直接請求あるいは解職の直接請求、議会の解散の直接請求、いずれにもこれはそのまま同じ原則が適用されるようにいたしてございます。この内容の概略を申し上げますと、條例の制定改廃の請求をいたそうとする場合には、代表者がその條例の請求の要旨を具しまして、選挙管理委員会に参りまして、請求代表者の証明書をもらいまして請求をするということを選挙管理委員会で告示をしてもらうわけでありますが、その告示がありましてから署名を集めるわけであります。署名後に必要数の署名、すなわち有権者総数の五十分の一以上の署名が集まりましたならば、それを市町村の選挙管理委員会に提出をいたしまして、正当の選挙人であるかどうかということの証明を求めるわけであります。証明を求められましたならば、委員会では二十日以内に審査をする。そうして審査が終りましたならば、審査の終つたときから七日間、一般の縦覽に供するわけであります。そうして縦覽期間内にそれを見まして、異議のありまする者は、選挙管理委員会異議を申し立てるわけであります。異議の申立てがありましたならば、十四日以内に委員会がこれを決定する。そうしてそれに従つて修正を要するものは修正をする。その修正を経まして正式にきまりましたもの、あるいは全然異議の申立てがなくして、申立ての期間を経過したというような場合におきまして、初めてその名薄を代表者に返してやるわけであります。名簿の返却を受けましたら、正式に証明のありました有権者総数が、五十分の一を越えております場合に、初めて正式な請求を地方団体の長にするわけであります。なおその結果、長はさらにこれを議会に付議する、こういうことになるわけでありまするが、もしも署名の総数が五十分の一に達しない、なお異議のある者がありまして、選挙委員会の決定に服しないという場合におきましては、第七十四條の二の七項以下に、さらに府県の條例につきましては、府県委員会に訴願する。八項では市町村の條例に関しましてはただちに地方裁判所に十四日以内に出訴するというふうな規定を設けてあります。都道府県の場合には都道府県委員会の訴願がきまりましたならば、それになお不服のあります場合には、十四日以内に高等裁判所に出訴をするということにいたしております。そうして都道府県の署名につきましての高等裁判所の判決に不服がある、あるいは市町村の條例の署名につきまして、地方裁判所の判決に不服があるという場合には、これはいつでも最高裁判所に行つて争うということになるわけであります。なおこの署名に関しましては、すべて非常に期間を明確に規定をいたしまして、委員会の審査期間、異議の申立ての期間、決定の期間、あるいは訴願の提起の期間、あるいは出訴の期間というふうに、いずれも明確に規定してございます。なお訴願の裁決につきましても、一般原則よりさらに厳重にいたしまして、二十日以内にこれを裁決する。また裁判所も事件を受理してから、百日以内に裁決するように努力するということを十一項に特に規定しておるのでございます。こういうふうにいたしまして、署名に関するものはともかく早く事を運んで、早く地方政治に明確なる解決をつけたい、こういうふうに考えております。七十四條の三は特に選挙委員会が署名の審査をいたします場合の基準を規定いたしたのであります。法令の定める成規の手続によらない署名は無効である。また何人であるかを確認しがたい署名、これも無効。この二つの無効基準を形式的に定めますとともに、実質的の無効の問題として詐偽または強迫に基く意思表示である場合におきましては、そういう点を選挙委員会が実質的に審査をいたしまして、その通りであるという場合には、その署名も無効とするというふうにいたしたのであります。こういうふうに従来選挙委員会は、形式的に署名簿の上に現われております点についてのみ審査できるようにしておつたのでありますが、詐偽強迫というような意思表示につきましては、さらに実質的にこれを審査できるようにいたしたのであります。なおその関係で選挙委員会関係人の出頭証言を求めるということも規定いたしております。それから選挙委員会関係人の出頭を求めました場合に、ゆえなく出頭しなかつた場合、ちようど議会に出頭を要求せられました者について、ゆえなく出頭をしなかつた場合の処置と同じような処置を規定いたしております。その関係を七十四條の三の第四項で、明確にいたしておるのであります。  それから七十四條の四でありますが、これは直接請求を適法に行わない者に対しまして、すなわち権利の濫用、あるいは正当な権利の行使を逸脱しておるというようなものについても、制裁の規定を加えたのであります。これは三点ございますが、大体衆議院議員選挙法と同じ性質の犯罪構成要件に該当するものだけを持つて来たのでありまして、そのうちで特に重要な点だけを制裁をするということにいたしたのであります。  すなわち第一点は署名権者、署名運動者に対して暴行威力を加え、またはこれを拐引した者、それから交通もしくは集会の便を妨げ、または演説を妨害し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて署名の自由を妨害した者、いわゆる選挙の自由妨害に相当するものであります。それから署名権者あるいは署名運動者に対しまして、あるいはその関係ある社寺、学校、会社等に対しまして、特殊の利害関係を利用して、威逼した者、こういう者に対しましては四年以下の懲役もしくは禁錮または七万五千円以下の罰金に処するというふうにいたしております。それから選挙の同種の犯罪に対して行われておるのと同程度の罰でございます。それからなお署名を直接偽造する、あるいは増減をするというようなこと、あるいは署名簿その他の関係書類を自分の所持に移す、ひつたつて来る、あるいはそれを破いてしまりというような行為につきましては、これも投票につきましての同様な行為と同じように、三年以下の懲役あるいは五万円以下の罰金に処するということにいたしておるのであります。それから第三の制裁といたしましては、法令の定める成規の手続きによらない署名簿を用いて署名を求める、あるいは政令で定める署名を求めることができる期間の経過後に、署名を求めるというふうな、特に條例の制定改廃の請求に関します重要な手続の規定に違反をした者に対しまして、一万円以下の罰金に処するということにいたしておるのであります。これは直接請求の趣旨を果しますために、このような制限が必要であろうと考えたのであります。  以上が條例の制定改廃の直接請求に関する部分の改正で、これが今回の改正の一番重要な点でございます。  それから七十五條は、事務監査の直接請求でございますが、現在は地方公共団体の長に対しまして委任せられました事務についての監査請求のみを認めておりまして、その他の地方団体の機関に対する事務監査の請求を認めていないのでございますが、長のほかに今日では選挙管理委員会とか教育委員会、公安委員等会各種の委員会ができておりますので、そういうふうな機関に委任されました仕事に対しましても、直接請求ができるということをこの七十五條の第一項で規定をいたしたのであります。第三項も同様の趣旨の改正でありますが、その結果をこれらの機関の方に報告をするということであります。それから第五項におきまして、先ほど申し上げました條例の直接請求に関する七十四條の二ないし四の規定を、すべて監査請求の署名に準用して、同じような規定を置くことになつております。  それから七十六條は、議会の解散の請求でありますが、この直接請求の方法につきましても、條例の場合と同様の直接請求の方法を準用しております。  それから七十七條の改正は、解散の投票の結果が判明しましたときに、ただちに報告し、あるいは通知をする規定でありますが、投票の結果が確定しましたときにも、それぞれ報告をするということを書き加えて、規定の整備をはかつたのであります。  それから七十八條は、これは議会の解散の投票におきまして、過半数の同意があつた場合におきましては、ただちに議会は解散するという行政行為の一般原則に従うことにいたしまして、「前條の公表の日において」という点を削除いたしたのであります。今回の改正におきましては、後ほど申し上げますが、行政行為につきまして、一定の決定が行われましたならば、それはただちに効力を発生する。もしその決定について不服な点がありますならば、それは訴訟によつて争い、訴訟において仮処分の申請をし、これの執行を停止するというような方式にいたしております。従つて「前條の公表の日において」というような字句をここに入れておきますと、それらの解釈の関係が疑問を生じますので、この点を削除いたしたいというのが、七十八條の改正であります。  それから第八十條でありますが、これは議会の議員の解職でございまして、これもその直接請求の場合には、條例の場合の直接請求の署名の規定を準用するということであります。  八十一條の改正は、長の解職の請求でございますが、これにつきましても、同様に署名の規定を準用いたしております。  それから八十二條でありますが、これは解職の投票の結果が判明をいたしましたときに、それぞれ報告通知に関する規定でございます。この場合におきましても、投票の結果が確定したときにも同様に報告通知をしてもらうという趣旨の点を書き加えたのであります。これは議員の解職の投票及び長の解職の投票、両方について規定をいたしているのであります。  それから第八十六條でありますが、これは直接選挙によらないで主要公職についております者、すなわち副知事とか、助役、出納長、收入役、選挙管理委員等の解職請求の規定でありますが、これにつきましても、その署名の場合には一般の解職の原則を適用しようというわけであります。  第八十七條は、今申し上げました主要公職の解職の効力がいつ発生するかということを規定いたしておりますが、特別多数で、解職の議決について議会で同意があつたときにはその職を失う、この失職につきまして、特に救済の規定を設けまして、その議決に不服があります場合には、裁判所に出訴できるという第百十八條第五項の規定を準用いたしているのであります。これは重要な地位の喪失でありますから、救済方法を規定いたした次第であります。  それから第九十八條は、議会が事務の管理、議決の執行、出納の検査等をする規定でございますが、この中に従来地方団体の長に対してのみそういうことを要求するように規定いたしておりましたが、この点も、その他の各種の執行機関に対すると同様な要求ができるように規定をいたしまして、整備をしようというわけであります。  第九十九條は同様に議会がこの機関委任の事務につきまして、地方団体の長の説明を求める規定でございますが、これも長のみならず選挙管理委員会、その他の機関に対しても説明を求めることができるというふうに規定をいたしました。  第百二條は都道府県市町村議会の開会招集に関する権限を規定しておりますが、これもただいま政務次官の御説明にもありましたように、都道府県にあつては年四回以上ということにいたしたのであります。これは都道府県は毎回の開会につきまして相当の経費もいりますし、その準備のためにも執行機関としては相当の準備がいりますので、むしろ頻繁に開きますよりも、一回の議会の会期を長くいたしまして、四回にした方が適当ではないか、また特別に緊急の問題があれば、臨時会はいつでも開けるのであるから、そういうふうにした方がよかろうという趣旨での改正でございます。  それから第百十條でございますが、これは特別委員会につきまして、公聽会を開くという規定が現在ありませんので、常任委員会と同様に、特別委員会におきましても、審査のために必要があれば公聽会を開かれるということにいたしたのであります。  それから第百十八條は、議会におきます選挙、たとえば選挙管理委員議会が選挙するというようなその選挙に関する規定でございまして、その選挙における投票の効力に異議があります場合には、議会が決定をし、それに不服があれば、さらに裁判所に出訴できるようになつておりますが、いつまでもその訴訟が確定いたしませんと、選挙された議長なり、あるいは選挙管理委員というような地位が不安定であります。そこで出訴期間を一般原則によりますと六箇月ということになるわけでありますが、そういうことでなく、決定のあつた日から二十一日以内に出訴するということにいたしました。  それから百二十一條は議会に出席をいたします者の規定でございますが、この点につきましても、さらに各種の執行機関の代表者が出席するように規定をいたしたのであります。  百二十五條は議会請願の処理に関する規定でございますが、これにつきましても従来長に関してのみ規定をいたしておりましたのを広げまして、各種の執行機関につきましても、議会請願の処理の結果を送付する。そうしてその処理の結果の報告を求めることができるようにいたしたのであります。  第百二十八條は議員の地位、資格に関する規定でございまして、前條の百二十七條におきまして議員の資格決定の規律がございますが、それに関しまして異議があります場合には、裁判所に出訴できるようになつております。この場合も議会におきまして資格決定をいたしましたならば、それによつて地位を失うことになりますと、ただちに効力を生ずることにいたしまして、その結果につきましては訴訟の上でこれを争う。一応出訴の効果が生ずるようにいたしたのであります。その結果百二十八條の準用いたしております「又は前條の規定による決定若しくは裁決又は判決」という点で「又は前條」という点を削除いたしまして、行政府為の効力は一応すべて効力を生ずるという原則を、ここにも貫いた次第であります。  それから百四十四條でございますが、これは長の資格決定の関係の規定でございまして、やはり今議員について申し上げましたのと同様に、長の資格について異議があります場合には、選挙管理委員会がこれを決定するわけであります。その決定によつてただちに効力を生ずる。従つて判決の確定するまで、その職を失わないという点をやはり改める必要がありますが、「前條第二項」という点を第百四十四條では落しておるわけであります。  それから百五十五條の改正市町村の出張所を置くことができるという規定であります。支所の出張所を置くことができる。区の事務所の出張所を置くことができる。こういう規定でありまして、これは市町村と、その住民との間の連絡のために必要があります場合には、現在支所という形のものしか、法令では置けないようなかつこうになつておりますが、この点を出張所というような形のものも置けるということをはつきり書いたのであります。これは政令第十五号との関係もございまして、その点を明確に規定いたした次第であります。  それから百五十六條でありますが、これは條例の定めるところによつて行政機関を設けることができるものとするという第一項だけの改正でありますが、これは今回のシヤウプ勧告に基きまして都道府県市町村の徴税機構がある程度それぞれ独立しなければならぬような形になつて来るとも考えられます。そこでたとえば県といたしましては、地方事務所のあります区域には、地方事務所に徴税をさせることができるわけでありますが、大都市の区域あるいは町の区域等々におきまして必要があります場合には、條例によつて、税務のための出張所を設けるという必要も生ずるであろうということを考えまして、現在法律の定めるところによつてのみ行政機関を設けられるという規定を、條例によつても設けられるというふうにかえたのであります。  それから百五十八條は先ほど政務次官の御説明にありました通り都道府県の局部制度に関する規定でありますが、都の中から交通局、水道局を削りました。また道府県の方から公共事業部を削りまして、こういう公共事業の経営に関する局部は、條例で適当な組織を設けることができるということにいたしまして、もつとも企業の自主的経営、能率的経営に資し得るような組織を自由につくれるというようにいたしたのであります。  それから第百七十六條はいわゆる長の一般的拒否権の規定でございますが、これは條例と予算に関する議決について異議がありました場合には、その議決の日から十日以内に再議には付することができるのが現状の規定でございますが、これをはつきり送付を受けた日から十日以内ということにいたしまして、責任の分界を明確にいたしたのであります。  それから百七十八條は不信任議決に関する規定でございます。この点も従来の実例に徴しますと、なかなか議会と長との間にいざこざがございまして、責任の分界が明確でありませんので、明確に規定をいたしました。すなわち従来は、不信任の議決があつたときには、十日以内に長が議会を解散できる。こうあつたのですが、まず不信任の議決がありましたならば、ただちに議長からその旨を長に通知をする。通知を受けたならば、その日から十日以内に解散ができるというようにいたしました。もしもこの通知がないならば不信任議決の効力は生じないということにいたしまして、両者の関係を明確に規定をいたしたのであります。  それから第二項におきましては解散をいたした後の新しく設けられた議会におきまして、さらに二度目の不信任議決をした場合、それから第一回の不信任議決の通知を受けた日から十日以内に議会を解散しないという場合、この二つの場合においては長が当然にその職を失うというふうに規定をいたしまして、この関係もいつから一体失職するのかというようなことで、いつも疑問がありました点を、明確に規定をいたしたのであります。  それから第百八十三條は選挙管理委員の規定でございますが、これも先ほど申し上げましたように、選挙管理委員の選挙に関する投票についての効力の判決が確定するまでは失職しないという点を、一応投票の効力の確定によりまして失職するが、不服のある場合は出訴してその判決の結果によつて失職する。こういうような形にいたしたわけであります。  それから第百九十九條の改正地方公共団体が「補助金、交付金、貸付金その他財政的援助を與えているものの出納その他の事務の執行を監査することができる。」ということにいたしまして、従来は補助金を與えた場合に條件を付しておる場合においてのみ監査委員が監査できるという扱いになつていたわけでございますが、それを法律上当然に監査できるということにいたしたのであります。それからなお監査委員が監査の結果を報告いたします相手方といたしまして、従来は議会と長だけでございましたが、この点をさらに拡充いたしまして関係のあるそれぞれの所管の機関にも報告をする。そして執行の能率化を図るということにいたしたのであります。  二百七條は署名の効力の決定のために、新たに関係人の出頭を求めることができる。また特別委員会において公聽会を開くことができるというふうになりました関係で、これらのものに対する給與として実費弁証をしなければならないという点を書き加えたのであります。  二百十七條は分担金を徴收する條例につきまして、これを改正する場合におきましては、公聽会を開かなければならないという規定でありますが、議会が直接公聽会を開くというその現行法の建前は、議会の運営の本質から言つて適当でない。やはり公聽会というものは法案なり議案の審査の過程におきまして、常任委員会なり、あるいは特別委員会においてこれを開くべきものであるから、議会自体が公聽会を開くという点を改めまして、必ず常任委員会または特別委員会で開くということにいたしたのであります。従つて市町村議会等では全員の特別委員会という名において、これを開くという形になると思うのであります。  それから二百二十五條でございますが、これは夫役現品等につきまして延滯をいたした場合におきまする延滯金を徴收することができるという規定を加えたのであります。  二百三十八條でございますが、これは予算に関する議決につきまして、やはり條例の議決と同じように、議決があつたならば三日以内に長にこれを送付するというふうにいたしまして、両者の関係を明確にいたしました。  それから二百四十四條の二でありますが、これは出納長、收入役の賠償責任に関する規定であります。現在この規定がありませんために、一般の民法の原則が適用されておつたのでありますが、国の出納管理につきましては、会計法なり、あるいは会計検査院法に規定がございまして、明確に賠償責任について規定いたしております。ここではやはり同様の原則に従いまして、善良なる管理者の注意を怠つた場合において、金銭、物品の亡失、毀損したときには、原則として監査委員の監査の結果に基いて、損害を賠償させるということにいたしたのであります。しかしながら不可抗力に基く事故によつておるという場合、すなわち避けることのできない事故によつているという場合、あるいは他の者に物品を使用させておる場合において、法規上の監督を怠らなかつたという場合、こういう二つの條件を満しております場合は、また監査委員の審査に付しまして、さらに議会の議に付しまして、賠償責任を免除できる。こういうふうにいたしたのであります。それから二百五十五條の二は、これは争訟手続としては非常に重要な規定でありますが、選挙とか投票とか、あるいは議会のいろいろな資格の決定というような、その結果がすみやかに確定しなければ地位に不安定を来す、そのために地方政治全体に不安定な状態をもたらすというようなおそれのある地方自治法において規定いたしておりまするすべての争い——争訟は、この法律に定める争訟の提起期間、及び管轄裁判所に関する規定によることによつてのみ、これは争うことができるということにいたしたのであります。もしこの規定がございませんと、一般の行政事件訴訟特例法という法律によりまして、処分がありましてから六箇月間が訴訟の提起期間になり、また場合によりましては、処分があつた日から一年間は訴訟が提起できるという形になつておりまするために、非常に確定が遅れます。またその他の裁判の期間等につきにましては、自治法上選挙とか投票につきましては、特に裁判をなすべき期間を制限をしております。その他争訟の前提になります異議の決定、訴願の裁決等につきましても、それぞれすみやかに期間をきめるようにしておるわけでありまするが、そういうような点についてすべて一般の行政事件訴訟特例法を排除いたしまして、地方自治法によつて早くきめるのだという点をひとつきめておるわけであります。また管轄裁判所でありますが、これは一般原則によりますと、すべて地方裁判所から高等裁判所、最高裁判所と三段階に行くわけでございますが、地方自治法の選挙とか投票に関する争訟は、あるいは地方裁判所からいきなり最高裁判所に行く。あるいは地方裁判所を飛ばして高等裁判所に行き、それからただちに最高裁判所に行くというように、裁判所の審級を簡單にいたしております。以上申し上げましたような争訟に関するものは、すべてこの地方自治法の規定で一般の訴訟の原則を適用しないというふうにいたしたのであります。しかしこの規定は出訴権を制限するという意味ではありませんので、そういうふうに期間とか裁判所の管轄を限定しただけであります。  二百五十七條はやはり同種の規定でありまして、訴願の裁決をなすべき期間を九十日以内にしなければならぬということにいたしました。選挙とか投票は六十日あるいは署名は二十日というふうに特別に書いてございますが、一般の訴願も九十日というふうに限定をいたしました。そして第二項におきましては、訴願をなすべき期間内に訴願をなさなければ訴願がなくても、これは訴願の要求をしりぞける旨の裁決があつたというふうにして、次の争訟に進めるようにいたしたのであります。  それから附則につきましては、附則の第二條でありますが、これは東京都の交通局、水道局というようなものは、この規定によりますと一応存置させることができなくなつたわけでありますが、九十日以内はそのままでもいいということであります。それから第三項は出先機関の委譲に関する規定でありまして、五月三十一日現在まで通商産業局の出張所や、道路運送監理事務所というものがあつたわけでありますが、そのとき現在で押えまして、この二つの出先機関は、これを都道府県に移管をすることにいたしたわけであります。政府はその方針に従いまして、去る十一月一日からこの両機関を委譲いたしておりますが、その根拠をこの三項に書きまして、知事直属の事務所を置きまして、移管に伴います混乱を避けますとともに、適正に事務が施行できるようにいたしているのであります。それから第五項でございますが、これは例の戰時中合併せられましたところの市町村の分離に関する規定の問題であります。これは政府といたしましては、実質的にこの点の規定に変更を加えてはおりませんが、ここに書いてございます点は、その分離の前提となります請求の署名を求めます場合に、やはり先ほど来申し上げました一般の直接請求の署名の原則をそのまま持つて来るようにいたしました。またそういう関係の争いにつきましても、今御説明申し上げました二百五十五條の二と同一の原則を持つて来るようにいたしまして、すみやかにこれを解決するようにいたしているのであります。それから第六項の改正点でございますが、これは今申し上げた点であります。  大体以上が地方自治法改正法案の内容の概略でございます。
  39. 中島守利

    中島委員長 これより質疑に入りますが、どちらがいいですか。     〔「明朝」と呼ぶ者あり〕
  40. 中島守利

    中島委員長 それでは本日はこの程度にいたして、明朝十時から開会いたしまして、質疑に移ることにいたします。異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 中島守利

    中島委員長 異議なければさようにいたします。  これで本日は散会いたします。     午後零時三十七分散会