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1949-11-02 第6回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十九日  大泉寛三君、川西清君、川本末治君、菅谷喜六  君、野村專太郎君、久保田鶴松君、藤田義光君、  立花敏男君及び圖司安正君が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十四年十一月二日(水曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 大泉 寛三君 理事 川本 米治君    理事 菅家 喜六君 理事 野村專太郎君    理事 久保田鶴松君 理事 立花 敏男君       淵上房太郎君    吉田吉太郎君       龍野喜一郎君    大矢 省三君       門司  亮君    床次 徳二君       鈴木 幹雄君    大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 樋貝 詮三君  出席政府委員         法制局長         人事院事務官  岡部 史郎君         地方自治         政務次官    小野  哲君  委員外出席者         国家地方警察         本部部長    武藤 文雄君         総理府事務官  鈴木 俊一君         農 林 技 官 志道 吉次君         運 輸 技 官 稻垣 次郎君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  地方自治に関する件  地方財政に関する件  警察に関する件     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議長を開きます。  こり際御報告を申しあげます。去る十月二十九日議長に提出いたしました国政調査承認要求書に対し、三十一日承認されましたので、これを御報告申し上げます。  まず地方自治に関する件、次に地方財政に関する件、これを一括しまして議題といたします。  町村分離問題について、川本委員より発言を求めておりますから、この際これを許します。川本委員
  3. 川本末治

    川本委員 私はこの際、戰時中合併されました町村分離に関しまして当局にお伺いしたいと思います。  戰時中いろいろな事情から合併を行いました町村や、あるいは町村合併して市になりましたものの中には、非常に全国的にはこれが数多くありまするが、これらの中には無理がありまして、強制的に行われたものもあり、戰争の必要がなくなつた今日では非常に不便が多いのでありまして、これを旧に復旧しようとして努力しておる町村も多いのでありまするが、御承知のように地方自治法の第七條規定もつていたしましては、なかなかこれが困難であります。従いましてすでに国会では、昭和二十三年の七月に法律第百七十九号をもちまして地方自治法附則改正しております。その第二條の第一項において、「昭和十二年七月七日から同二十年九月二日に至るまでの間において、市町村区域変更があつたときは、その変更に係る区域住民は、第七條規定にかかわらず、本條の定めるところにより、従前市町村区域でその市町村を置き、又は従前市町村区域通り市町村境界変更をすることができる。」と規定しております。また同條の第五項におきましては、住民投票の結果、有効投票過半数の同意があつたときに、選挙管理委員会報告に基づきまして、都道府県知事当該都道府県議決を経て市町村廃置分合または境界変更を定める云々規定いたしております。しかるに最近大分県、愛媛県その他若干の地方におきましてこの規定適用して戰時中の無理に行われた市町村合併を旧態に復しようとして住民投票を行いまして、それを可決したにもかかわらず、県議会ではこれを否決しております。従つて多数住民意思はここに蹂躙せられまして、せつかく計画が停頓しておる事例を散見するのでありまするが、われわれは平和国家を呼号し、再建日本の復興に努力を傾注しておりまする今月、戰争のいろいろな名によつて行われました一切の旧弊をすみやかに打破して、一応戰前状態に復帰せしめることが必要であると考えるのであります。この改正規定によりますれば、合併市町村分離は、関係市町村住民の直接の意思によつて決定することとして、住民一般投票制度を設けたのであります。同項には、なお一般住民投票行つた後に、さらに県議会議決を経べきものといたしておるのでありますが、これは單に住民投票の結果を確認するにすぎない、かように私どもは解釈いたしております。従つて県議会議決を行うにあたつては、あくまでも住民投票の結果を尊重して、その線に沿つて行わなければならないと考えるのであります。しかるに住民投票の結果と異なつた議決をしているということは、事実において法の精神を無視した行き方であると考えるのでありますが、この点に関しまして政府当局にどういう御見解をお持ちになつておりますか。現在県議会議決によりて非常に迷惑をしております市町村救済方法をいかにお考えなつておるか。またおさしつかえがなければ、関係方面意向もあわせて承つておきたいと思います。
  4. 小野哲

    小野政府委員 ただいまの川本委員の御質問に対しましてお答えをいたします。戰時中における市町村合併または境界変更等が、関係住民及び地方公共団体の自由な意思のみによらないで、官憲の圧迫干渉によつて実施されたものも少なからずありましたことは事実でございます。また軍需工業中心都市の造成、あるいは国防上の見地等から勧められまして、これを行つたものも多々あつたようであります。終戰と同時にこれらの合併等の当初の目的が失われたものが多くなりましたばかりでなく、管理政策上からただいま申し上げましたような事情によつて行われました合併編入等をそのまま放置いたしますことは、適当とは認められませんので、関係区域住民自由意思に基づく判断によりまして、旧市町村に復元することを認めることとなつて、昨年八月一日から特に二箇年を限つて戰時中に吸収せられ、または編入せられました区域内の住民のみによる一般投票に基きまして、市町村区域変更措置を溜めることと相なつたことは、ただいま御指摘通りでございます。しかるところ同法が施行されました後において、現在に至るまでの間に分離請求の現われましたものが三十五件ございまして、区域住民一般投票の行われたものが三十三件、そのうち過中数賛成があつたものが二十八件、反対がありましたものが五件ございますが、同條の規定によりますと、過半数賛成を得たものにつきましては都道府県知事が、都道府県議会議決を経て、区域変更処分を行うこととせられております結果、都道府議会が可決いたしましたものが八件、否決いたしましたもりが十二件、口不審議中のものが八件という状況と相なつているのでございます。現在最も問題とされておりますものは、都道府県議会議決について、はたして否決がなし得るかどうかの点でございます。都道府県議会議決は、立法精神からいたしますと、区域住民投票の結果に基づいてなさるべきものであると考えるのでありまして、政府といたしましてはその線による指導に努めて参つたのでございますが、法律論をいたしましては議決は可決、否決いずれも可能であるという論議も成り立つてもよいと考えるのでございまして都道府県議会において否決した事例につきましても、適当でないものがあることは認められるのでございますが、現行の法律上の問題として否決を違法であるとして争うことにつきましては、なお疑問が存するのではなかろうかと存するのでございます。今回一部改正法律案を近く提案いたす準備をいたしたのでございますが、この改正法律案におきましては、附則二條についての実体的の改正は行つておらないのでございますが、これは地方自治会議の御審議の次第もございまするし、また御案内のごとく、シヤウプ勧告書に基きまして地方自治確立のために、事務配分調整を行わなければならないというふうな段階にも達しておりますので、現在の市町村規模等につきましては、これを現状よりあるいは拡大する方向において、検討を加えなければならないのではないかというふうな根本的に再検討を加えなければならない事情もございますので、むしろその事務配分調整の際に、合理的な地方自治確立計画の一環として取上げることが適当ではなかろうか、かように考えまして、この際は特別に改正を加える考えは持つておらない次第でございます。なおただいま川本委員からお話がございました関係方面意見等につきましてはさしつかえない限り鈴木行政部長から経過を御説明申し上げたいと存じます。
  5. 中島守利

    中島委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  6. 中島守利

    中島委員長 速記を始めてください。
  7. 川本末治

    川本委員 ただいまの御答弁によりまして、大体の線はわかつて参りましたが、そうしますと、この際私が強く政府当局に希望しておきたいことは、附則法律第百七十九号は二箇年と限られておりますから、従つて昭和二十五年の七月までの有効期限でありまして、この法制定当時の精神を尊重せられます意味から行きましても、どうしてもこの際地方議会議決を要するというこの一項目を削除せられたらどうか、そういたしますることがほんとうの日本民主主義を発達せしめるものであり、同時に戰争の惨害をきれいに拂拭する結果に相なるものと思いまするので、いろいろ各件数を今政務次官から承つたのでありまするか、事実におきまして三十五件の中、一般投票賛成を得たものが三十三件、しかもそれも今日まで日時の関係もございましようが、可決されたものは八件で、否決されたものが十二件というに至りましては、これはまことに驚くべき結果であります。かようなことは一日もすみやかに立法精神に沿うようにして行かれることが、現在の政府のおとりになる方針ではないかと考えますが、すみやかに地方議会議決を要するという項目を削除するということにつきまして、政府の御見解を承りたいと思います。
  8. 小野哲

    小野政府委員 ただいま川本委員から分村の問題につきまして重ねて御質問が、ございましたのでお答えいたしたいと思います。分村の問題につきまして概要は、先ほど私からお答弁を申しあげたのでございますが、御承知のごとくこの分村の問題の現状を見ますると、いろいろの事情によつて起つておる向きもあるように考えられるのでございます。従いましてただいま御指摘がございましたように、法律から議会議決を。削除してはどうかという御意見に対しまして、当該所官庁としての地方自治におきましては、諸般の具体的な実情をもあわせ考えまして愼重に研究をいたさなければならない問題ではなかろうか、かように存するのでございます。従いましてかれこれ勘案いたしまして、現状におきましてはすでに有効期限の終りも近く参るような状態に相なつておりまするし、また先ほど申したいろいろな見地から、あるいはまた関係方面意向ども考え合せまして、この際分離を促進するような措置は、差控えた方がよいのではないか、かような考えを持つておるような次第でございます。この点に関しましては愼重な取扱いをいたしておるということを、この際つけ加えて御答弁を申し上げておきたいと存じます。
  9. 川本末治

    川本委員 最後に私簡單お尋ねをしておきたいと思いますことは、今の御答弁によりますと、現政府はこの法律第百七十九号というものは何のために存在しておるかということを、無視しておられるようなお答えに聞えたのであります。ごく最近私は大分県の陳情の諸君にお目にかかつたのでございまするが、大分県の場合のごときは、まつたく市民に対して気の毒な状況でありまして、相当大分県会においてむりな行いをしておるように聞き及んでおりまするが、こういうことを等閑に付して、そうして今のお答えによりますると、法律有効期間ももはや数箇月しかないから、この際そういうものをいじることはどうかというようなお考えなのですが、明日かりにこの法律が無効になるといたしましても、今日はそり法律に従わなければならないのでありまして、別に今関係方面の御意見を承つてみますると、これに対してさして大きな問題はなかろう。こう思うのでありますが、そうすればこの際まつた住民意思を無視して、強制的に合併された町村であり、大分県の一部の町村のごときは、分離いたしましても、相当大きな町村に相なるようでありますが、かような町村を依然として県議会の何らかの策謀のもとに、住民意思を無視しておくというような結果は、はなはだ日本民主政治の発達を阻害するものであると私は考えますので、ぜひともこの際政府当局に希望いたしまするところは、今一応御一考を煩わしまして、ぜひともすみやかにこの際法の精神を生かしていただきますようにもし手紙上議決をとるということがむずかしいというようなお考えがありまするなれば、通説をもつていたしましても、法の精神を尊重するように、都道府県議会に対して反省を促されるような方法でも、この際すみやかにおとり願いたいということを再度希望いたしまして、私の質疑を打切りたいと思います。
  10. 中島守利

    中島委員長 ただいまの川本委員の御質問に対して委員長として所信を申し述べてみたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 中島守利

    中島委員長 附則の第二條の問題は、申までもなく戰時中合併された市川村を、戰時前の状態に返すという特例でありまして、戰争中の姿を戰前にもどすという根本方針のもとに、あり法律をつくつたのであります。ところがその実行は、簡單住民投票によるということが理想であります。ただ手続上府県議会議決を要するという條項をそれに挿入したのであります。立法精神から言えば、まつた住民意思によつて決定しようと考え法文であります。ところが府県会住民意思を蹂躙して、自由の議決をするというようなことでは、この立法方針に反するものであると私は考えます。政府はいろいろな関係においてこの法文に対して、修正意見を出すことはできないような状態にいるものと私は見るのであります。当委員会では進んでこれらの問題を立法精神通り、また一面には住民自主性立場を尊重するようにいたしまして、委員会独自の立場において法の修正をいたしたいと考えます。しかしこれはこの法條進行の上に、委員諸君意思を拘束するものではありませんが、とにかく大体においてその向きにこれを修正するという形で、事務的に進行したいと考えるのであります。司令部あたり承認を得る手続その他のことについて、事務的に進行いたしてみたいと思うのであります。幸い諸君において御異存がございませんければ、大体この委員会意思なりとして、これを進行して行きたいと思います。いかがでございましようか、お諮り申し上げます。
  12. 床次徳二

    床次委員 ただいまの委員長お話はごもつともだと思うのですが、都道府県会否決したのが十二件あるようであります。何ゆえに否決しているかという事実——私は新しくこの委員会に出て参りましたので、過去の事実を存じておりませんが、否決しました理由その他について、多少調査を要するのではないか。もしその調査がなければ委員会調査してこれを参考といたしまして、ただいまの委員長のお諮りのような議事進行をしていただいたらどうかと思います。
  13. 中島守利

    中島委員長 床次君のお話はごもつともでありますから、それらは順次調査をいたしまして、片方の事務的の進行とともに御発表を申し上げるようにいたしたいと思います。それでは分村問題については、ただいま申し上げましたような取運びにいたしまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 中島守利

    中島委員長 御異議なければさように決定いたします。  この機会にもう一つ委員長としてお諮りしたいと思います。府県知事市町村長に対する不信任案は、大体において出席議員の三分の二以上の出席を要し、その四分の三をもつ不信任案議決されるのであります。第一回の不信任案はそういうことになつているのでありますが、そのために市長がその議会の解散をした場合に、次の議会不信任の動議を出すときにも、それだけの出席数決議数がいるわけであります。私どもから申せば、第一回の不信任案決議は現在の規定通りでよろしいが、第二回のいわゆる議会を解散しまして、さらに新しい議会不信任案を提出された場合においては、三分の二の出席で、その過半数でよろしいと思うのであります。四分の三の多数を要するということは、現在の民主政治の上に形をなさないものだと私は思うのであります。そういう意味におきまして、この点も同時に修正いたしたいと考えるのであります。しかしこれもただいま申し上げました諸君の表決を制限するわけではありませんあとでこれの可否の問題には触れないわけでありますが、この際皆さんに御異議がありませんければ、それも委員会意思であるという意味において、そういうことで事務進行をはかりたいのであります。二回目のときには三分の二の多数はいらぬ、過半数でよろしいということにしたい、この点いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 中島守利

    中島委員長 御異議がなければさように進行いたすことにいたします。
  16. 中島守利

    中島委員長 次に地方公務員の問題について立花委員より質疑の通告があります。これを許します。
  17. 立花敏男

    立花委員 地方公務員行政整理が、現在全国各都道府県並びに市町村で行われておるのでありますが、この人事問題と申しますものは、地方公務員勤務状態、ひいては地方行政の遂行に関しまして非常に大きな影響を持つておりますので、あえてこの問題をお尋ねいたしたいと思います。  人事院並び自治省の方に主としてお尋ねいたしたいと思うのでございますが、さいぜんも申しましたように、現在この地方公務員行政整理の問題によりまして、紛争ないし提訴されております所が、都道府県で二十六、重要なる市町村で十五ございます。私はこの事実の上に立ちまして、お尋ねいたしたいと思うのでございます。御承知のようにポツダム政令二百一号が発せられまして、国家公務員と同時に地方公務員も労働三法の適用を受けまして、同時にそれらの国家公務員並びに地方公務員保証規定も、ポツダム政令の中に含まれておつたのでありますが、その後国家公務員法ができ、同時に人事院ができまして、国家公務員に関する限りは一応ポツダム政令適用外に置かれまして、現在では地方公務員ポツダム政令適用を受けておるわけでございます。従つて現在地方公務員には労働組合法その他の制限規定適用されております。ところが同じポツダム政令に含まれておりますところの地方公務員不利益処分に対する保証機関が、現在のところ明瞭に存在していない実情でございます。従つて現在起つておりますところの全国的な地方公務員不当首切りの問題に対しまして、地方公務員に何ら明確なる、それを訴える場所を持たないという結果に陥つておりまして、非常に地方公務員が身分上不安なる状態に置かれておるのであります。これに対しまして人事院といたしましてどういう御所見を持つておるか、あるいはこういう状態に対しまして、自治庁とされましてどういう御所見を持つておられるか、まず第一にお尋ねいたしたいと思うのであります。しかもこの問題が惹起されましたのは、今年五月でございますが、増田官房長官地方財政委員長の連名によりまして、中央から地方に対して中央に準じての地方における行政整理勧奬されたように承つておりますが、こういう勧奬の結果現在の事態が全国的に起つておるわけでございますが、これに対してそういう勧奬をなさいました中央として、どういう御責任をお持ちになつておられますか。勧奨の意図と反した結果が、多分に地方で起つておるのでございますが、これに対していかなる見解をお持ちになり、いかなる処置をおとりになろうとされておるのか、承りたいと思うのであります。御答弁のいかんによりましてさらに次の質問をやりたいと思いますから、まず以上二点につきましてお答え願いたいと思います。
  18. 鈴木俊一

    鈴木説明員 地方公務員行政整理関係いたしまして、地方公務員行政整理について不利益処分公務員に与えられました場合に、これを救済する手段が不明確であるがどう思つておるかという点と、それから政府行政整理について勧奬いたしました結果と違つた点が実際出て来ておるが、それについての政府見解はどうかというお尋ねのようでありますが、第一点の、地方公務員行政整理等によりまして不利益処分を受けた場合の措置といたしましては、お話のように現在はつきりとした救済の道というものが非常に不明確な状態なつておることに事実であります。地方公務員法をすみやかに制定しなければならないという事情は、そういうところから出発して参つておるわけでありまして、この点のみならず、その他各般の点におきまして、現在の地方公務員制度が非常に乱雑な状態と申しますか、あるいはむしろ従来の官吏制度のままを受継いでおるというような、非常にちぐはぐな状態なつておりまして、立法的にこの点はすみやかに解決する必要があろうと思つておる次第であります。  それから行政整理方針につきましては、ただいま立花委員お話のように、政府といたしましては、大体政府自身がやります行政整理方針と同じような基準をもちまして、地方におきましても行政整理をひとつやつていただきたいこれに経済九原則からいたしまして、あるいはドツジ・ラインからいたしまして、ぜひひとつそういうことを要望するということを申したわけであります。しかしながら地方公共団体はあくまでも政府と独立いたしました団体でありますし、これに対して行政整理をする勧告と申しますか、要望はいたしましても、それを強行する、あるいは政府の要望した線に沿わないからそれを強制するというような措置をとる法的根拠もございませんし、また政府といたしましては、勧告し要望するという程度以上に、これをとやかくするということに、自治本旨から申しまして適当でないと考えておる次第であります。
  19. 立花敏男

    立花委員 最初の点に出しましては率直に現在の地方公務員に対する保護規定不備であることをお認めになりましたので、私非常にうれしく思いますが、実はそれだけではやはり不備でございまして、それではいかなる方法もつて、その不備を補おうとされておるのかということを、はつきり承りたいと思います。こういう不備があるからこそ、地方公務員法を一日も早くおつくりになるのであるというふうなお答えだと思いますが、それもけつこうだとは思いますが、地方公務員法が今のところまだいつできるかわからない。国会でおきめになりましても、実施の日に相当遅れるだろうと思うのでありますが、現在起つておる問題に対しましては、でき上りました地方公務員法といえども、さかのぼつてやるということはできないだろうと思います。現在起つておる問題に対しまして、どういう措置をお考えなつておるかということを、はつきり承りたいと存じます。  それから行政整理方針でございますが、私がお尋ねいたしましたのは、個々の問題につきまして、あるいは中央勧奬した本旨と違いまして、地方が自主的にやりたいことに対する中央からの勧奬云々ということをお尋ねいたしたのではございませんで、現在地方で起つております行政整理のうち、不当と認められますものが、地方自主性から生れたという問題ではなしに、非常に極端な行き過ぎた例が多々ございまして、その結果としてほとんど全国的に、たとえば都道府県におきましては二十六というような所で紛争が起り、あるいは提訴が起つておるのであります。こういうことを見ましても、決して非常に特殊な場合、非常に一地方に局限された問題ではございませんで、全般的にこういう問題が起つておるのでございまして、こういう問題に対しましては、やはりその事態中央からの通牒に基づいて地方で発生したということが明らかであります以上は、一般的な処置をお考えになる必要があると思いまして、お尋ねしたのでございます。その点重ねて御答弁願いたいと思います。
  20. 鈴木俊一

    鈴木説明員 現在の行政整理に関連をいたしまして起つております不利益処分につきましての、救済の問題にどうかというお尋ねでございますが、この点は今ただちに立法的な解決をすることが困難でございまして、結局現在ある制度を利用いたすよりほかに道がないわけでございます。現在ある制度といたしましては、基本的な問題といたしましては、不利益な違法処分によつて権利を侵害されたというような場合におきましては、一般の裁判の原則によりまして出訴の道が開かれておりまするし、また労働組合法によりまして、もしもそういう処分が不当の行為であるというふうに、その処分をせられたものが認めます場合におきましては、地方労働委員会に提訴をするという道も、現在としては認められておるように思うのであります。この点につきましては政令二百一号との関係におきまして、はたして提訴ができるかどうか多少疑問があるとは思いますが、できないという論もあるようでございますけれども、とにかく労働組合法に基きまして提訴の道が考えられるわけであります。大体そういうような法律によりまして救済方法があるわけでございますが、その他の問題といたしましては、結局実際の政治的な解決にまつより今のところ手がないというふうに考えます。
  21. 立花敏男

    立花委員 現在各地方では、地方裁判所、あるいは地方労働委員会に対しまして、提訴の形ですでに問題が提起されております。もうすでに三箇月ないし四箇月経過しておりますが、まだ一箇所としてはつきりした責任ある裁定を下したことがないのでございます。この結果から見まして、すでにこういう道は法律上は、あるいは手続上に許されておるが、決して実質的な役割を果してないということが当然言えるのでございます。私が政府の方にお願いいたしたいと思いますのは、実に部長さんも現在ある制度を利用せよということを今申されましたが、私は人事院がこの問題を取上げる責任があるのであろうということをはつきり申し上げたいと思います。すでにこのことは人事院が徳島県の首切りの際にはやられたことでございまして、いまさら始まつたことではないのでございます。それは第四回国会に浅井人事院総裁みずからが、徳島の問題を人事院としてある程度やりたということをはつきり名言されております。従つて人事院として地方のことをやらないということに言えないと思いますので、今回の場合にもぜひやつていただきたい。何となればポツダム政令が出ました場合に、臨時人事委員会ができておりますが、臨時人事委員会にやはり国家公務員法を扱いますと同時に、地方公務員の問題も扱う規定なつております。国家公務員法ができまして、国家公務員に対するポツダム政令適用はなくなつておりますが、地方公務員に対しましてはポツダム政令の効力は存在しておるということを、当時の浅井人事委員長が第四回国会はつきり申されておるのでございます。従つて現在でも地方公務員ポツダム政令によりまして労働関係三法の制限規定を受けておるのでございますが、制限をするのであれば、同時に保護規定も生きておるはずだと思います。従つて臨時人事委員会の任務を引継いでおりますところの人事院が、当然地方公務員に対する保護の部分だけが生きておつては決してむりではない要求だと思います。制限の部分だけが生きておつて、保護の規定は生きていないということに非常な片手落ちなやり方だと思いますので、この点は法規にとらわれずに第四回国会で浅井人事院総裁がはつきりと徳島の地方の例を取上げてやつたということを明言されておる以上は、前例がないのではないのですから、どうか現在全国的に起つておりますこの不利益なる地方公務員に対する取扱いに関しましても、人事院が率先してやつていただきたい、こういうことをお願いいたしたいと思います。そうでなければ現在不利益なる扱いを受けまして困つておりますところの地方公務員の問題が解決されない。この問題にどこが一体責任を持つのかわからない地方裁判所へ持つて行きましても、地方労働委員会に持つて行きましても、何ら一つとして責任のある裁決が得られてない、こういうことを放擲しておきましては地方公務員勤務状態、ひいては地方行政の上に非常なる惡影響を及ぼすと思いますので、どうか人事院みずからがこの問題を率先してお取上げになる必要があるということを、確認していただきたいと思います。もしそれが人事院の方でできないというのであれば、これは自治庁としてはつきりした責任ある処置をおとりになる必要があると思います。その点に関しまして自治庁の方の御方針をもう一度承りたいと思います。
  22. 鈴木俊一

    鈴木説明員 政令二百一号の関係が、現在地方公務員に対して適用せられておりますのはお話通りであります。その政令の関係規定が、国家公務員に関する限りは、先般の国家公務員法改正によつて効力を失つておるわけでございまして、今の人事院が利益保護機関になると、政令関係で書いてございますその言葉を、どのように解釈いたすべきかに、これはただいま人事院法制局長もお見えになつておるようでありますから、法制局長からお聞きとり願いたいと思います。  それから地方自治庁といたしましては、この問題に関しましては法律的に申し上げまして有効な——有効と申しますか、法律的なる手段というものは、何ら与えられていないのであります。先ほど申し上げましたように、行政整理の基準、方針につきましては、地方自治庁といたしましては、政府立場からこれはこういうふうにやつてもらいたいという要望は拠出いたしました。またその要望が実現することを大いに望むわけでありますけれども、その結果と要望の線とかりに違つたような行政整理があつたといたしましても、それを矯正するという道は、法的には地方自治庁には与えられていない。これは先ほども申し上げた通りであります。
  23. 岡部史郎

    ○岡部(史)政府委員 お答え申し上げます。本日人事院の浅井総裁はやむを得ざる用事で出席いたしかねますので、私からかわつてお答え申し上げます。ただいまのお尋ねの趣旨につきましては、私から総裁によくお伝えをいたすことにいたします。ただ法律的な見地から申し上げますと、政令二百一号は、国家公務員に関してその効力を失うということになつております。従いまして地方公務員に関していまだその効力があることはこれは明らかであります。  それから第二点といたしまして、不利益処分に対する審査の請求は、これを実定法上といたしまして、政府職員のうちの、一般職に属する職員に対してのみこれが許されておることは明らかでありますから、国家公務員法という実定法上の制度に関する限りは、この審査の請求等は地方公務員不利益処分に対しては、認めがたいと申し上げるよりほかなかろうと存じます
  24. 立花敏男

    立花委員 他に御質問なり御意見の発表があると思いますので、政府側との質疑応答はこれ以上やることをとどめたいと思いますが、委員会といたしまして、やはり結論を出す必要があると思います。それでさいぜんからの御答弁をお聞きいたしておりましても、やはり地方公務員に対する法的な保護の不備があるということは明らかだろうと思います。と同時に法的に申しまして、今法制局長お答えになりましたように、法的には何もないのだ、法的には地方公務員に対する責任はないのだが、やはり実質的に地方公務員に対する責任がおろそかにされておるということも、これは事実だろうと思いす。従つてどもは決して三百代言的に同時を提起するのではないのでありまして、実際上困つている地方公務員——地方公務員不利益な取扱いを現在受けておりまして、それは持つて行き場のない状態であり、これをいかにして救うかということが私ども委員会の取上げなければならない問題だと思います。従つてこの問題は、やはり委員会として継続的に審議していただくということを提案いたしまして、同時にそのために現在地方に起つておる不利益処分に対する委員会としての調査を具体的にお進め下さいますように委員長にお願い申し上げます。
  25. 中島守利

    中島委員長 立花君のご意見に対してはなおご相談いたします。
  26. 中島守利

    中島委員長 次に前回において委員長に取扱い方を御委嘱になりました事件について御報告申し上げておきます。  義務教育に従事する教員の定員及び給与の定額についての地方自治庁第二部長の通牒に関する問題の善後処置について、その後の経過を御報告申し上げたいと思います。第五国会地方行政委員会で問題となりました本件につきましては、委員各位のご希望と申合せに基き、委員長において関係当局と連絡の上、適宜処置し、その結果を御報告いたすことになつておりましたが、その趣旨を体して、有松專門委員が自治庁小野政務次官と交渉いたしまして、荻田財政部長を專門室に招致し懇談するとともに、本委員長におきましてはさらに同部長に対し、今年度の補正予算の実施及び年度の通常予算を考慮に入れて考えれば、本問題は実質的には多大の支障はないと思われるから、財政部長において補正予算の取扱い方等について、あらためて通牒を地方に発し、その際さきに問題となつた通牒について適宜補正的な解釈を敷衍して、地方が適切な取扱いをするように指示する等、適宜取扱うことを示唆要望いたしましたが、財政部長はその趣旨により、適当に処置するよう申されました。そこでその結果を本委員長小野政務次官に通じておきました。大体さようなことに取扱うことに決定いたしました。この点で委員会の御承認を得たいと思います。  次にもう一つ委員長からお諮りいたしますが、第五国会におきまして、本委員会は入場料の軽減に対して決議をいたしました。しかしこれはいろいろな関係において実現をする運びに至らなかつたのであります。今日シヤウプ博士の勧告もあり、また自治庁においてもこれが軽減をはかるために最近努力中であります政府の原案としましては、シヤウプ勧告案の通り、一五割を十割に軽減するということ、その実行を来年の一月一日より実行しようという考えであります。目下それに対してその筋と交渉中のように私に漏れ聞いております。しかし本委員会としましては、前回に決議をいたしました、関係もあり、ことに私から申せば、また諸君においてもそういう御意思が深いように考えるのでありますが、一月一日より軽減するということは、時期を得ないものと私は考えております。一月一日に御承知通り日本の習慣によりましていずれの映画館のごときも、劇場のごときも満員になるのであります。ここに料金の変更をいたしましてもその効果は少いと思います。かたがたかように入場税の軽減を公夫しました以上は、一日も早く軽減することが国民の期待に沿うのではないかと私は思うのであります。当委員会としては皆さんに御異議がなければ十二月一日よりこれを実行したい。もう一つは映画は十割といたしまして、御承知のごとき演劇、いわゆる各種の演劇のうちには文楽のようなものも入つております。また古典的な演劇も入つております。そういうものに対しても十割でありますが、実際ただいまの実情から言いますると、演劇そのものはすべてが赤字でありまして、経営が非常に困難である。私にこれに対してはもつと考慮を拂いまして、できれば演劇だけでも七割に低下するようにはかりたいと思います。もし諸君において御異議がございませんければ、大体その方向に進むべく事務的に進行したいと考えております。これは法案が出ましてからでは非常におそくなると考えますので、あらかじめお諮りをいたしまして、幸い御同感でありまするならば、委員長としてはこれを事務的に進行したいと考えております。いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 中島守利

    中島委員長 御意見がございませんければ、さようにとりはからいたいと思います。
  28. 中島守利

    中島委員長 もう一つ前会において理事の指名を委員長に御一任になりまして、その当時九名だけ御指名申し上げて、一名留保いたしておいたのでございますが、今回これを指名いたしたいと考えます。御異議、ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 中島守利

    中島委員長 それでは大石ヨシエ君を指名いたします。     ━━━━━━━━━━━━━
  30. 中島守利

    中島委員長 次に警察に関する件を議題としいたします。その質疑を許します。おさしつかえございませんければ、便宜委員長より一、二質疑をいたしたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 中島守利

    中島委員長 委員諸君の大体の空気を私が代表しまして、当局に御質問を一、二点いたします。  第一点は、現在の自治警察におきまして、警察官の定員が非常に少い所と非常に多い所と両方あります。まず少いと称するのでは阪神の尼崎市、それから広島市あるいは川崎市のごときが非常に困つております。これに人口の増加のためと、それからもう一つは大都市の周辺にありまする土地の関係で困つておるのであります。また多いと称する所は財政的には困難であり、しかし治安は維持しやすい地方であります。警察官の現在の定員はいたないのではないかというふうな考えを持つて私どもに申し出て来るものも相当にあります。  これらの定員に対しては大体政令によつてこれを示唆しておるように見えるのでありますが、こういうふうな実情でありますので、なるべくならば自治体の希望するような定員を私どもは置いてさしつかえないのじやないか、まず治安の責任は自治体が持つことが当然でありますから、自治体の裁量にまかした方がいいのではないかと思うのであります。それには日本全体として自治警察には九万五千人という人民が限定されておるので、増員したくも増員の方法はない、減員するという方法もいろんな関係でできないらしいのであります。それに対する政府の御所見を伺つてみたいのであります。
  32. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 この問題は今委員長からお話のありましたように、全体を通じて九万五千人と限定されております。それは現在の警察法で九万五千人とあるのみならず、一昨年におきますマッカーサー元帥の書簡によりましても、全体を通じて十二万五千ということに限定されました。さらに法律によりまして国警が三万人であれば、差引九万五千であります。また現在の警察法におきましても四十六條で九万五千ということになつておりますから、従つてある自治体において増加があれば他方において減少しなければならないいうようか、関係に立つております。ただいまお説のごとくに、たとえば尼崎市が五百人分の住民に対して、一人の警察官が配置されておる。近所である大阪市におきましては、人口百五十人に対して一人の警察官が配置されておるというようなことで、その間に非常に相違がある。しかも大阪市と尼崎市とに続いておるというような状態である晝間においては住民のうちに数えられておらない職工等が非常に集まつておる。朝鮮人も多くおるというような実情もあるし、従つてそれらも考慮して警察官を増やして、もらいたというような要望もありましたし、現に関東の地方におきましては川崎市も同様に増員を要望しておるというような有様であります。また他方には委員長お話のごとくに、警察官が平時においては多過ぎる、何か事があつたと仮定するならば少な過ぎるというような状態にありました。これが大体昭和二十年の十月一日の人口統計を基礎にいたしまして、警察官を配置いたしました結果、戰災をこうむつておる都市等におきましては、非常に人口が少かつた。そこで今お説のごとく九万五千を全国に配置しまして、非常に人口の少い所で、その後において急激なる増加をいたしました都市に対して警察官が非常に少かつた。そのままの状態で今日維持しておりますために、今日の状態から見れば非常に不公平があるというような結果になりました。この点については政府におきましても、これを改正したいということを考えておりましたけれども、しかしいろんな点に関係いたしまするために、今日この部分だけ引抜いて、改正をするということはできなかつたような事情にありますので他の関連する点ともにらみ合せてこれを改正したい。もしできないならばこの分だけでも改正したいという考えもつて進んでおります。この臨時国会においては事務的にあるいは間に合うかもしれないけれども、なるべく早い機会において、この方面については考慮したいと考えております。
  33. 中島守利

    中島委員長 なお一つお尋ねいたします。警察官の定員は、大体本旨国会で取扱うようにになつておると、警察法では見ております。これは時期の問題でありますので、なるべく早い機会に国会において、できれば次の通常国会のときには、これを提案された方がよいのではないかと思うのでありますが、あの法律を見ますと、まだ時期が早いようにも見えるのであります。これは見ようによるのでありまして、私は自治警察官の定員を、毎年の国会に出すというくらいに取扱うことが、非常に便宜であると考えますが、その点に対して政府当面の御意見を拜聽したい。
  34. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 ただいまの委員長からの御注意もありましたが、まつた政府も同感であります。ただいまは政令で各自治体に配置するその員数がきまつておりますが、御承知自治体が分村等いたしますと、それだけ国警が警察を担当しなければならないのでありますが、日本全体で国警は三万人とありますために、やはりその三万人のうちからそれを引かなければならないし、それだけ国警をふやさなければならない。それからまた自治体はそれだけの過剰人員を生じますので、しかも今日におきましては自治体と国家の警察とのあいだに、人の転換もまだなかなか容易でありませんので、従つて微々たる自治体においては減らさなければならぬ、そして国家警察はそれだけふやさなければ、どこからか見つけ出して来なければならないというようになりますので、この関係するところが非常に広い範囲にわたるわけであります。それでこれだけ簡単に抜くわけには参りませんので、今政令ではできておりますが、今日では法律でやることになつております。法律を作成して御審議を願うまでには、よほどの事務的の日がかかりますので、考えてはおりましたけれども、ほかの方が未定の状態に今ありますために、従つてこの点もまた未定でございます。今の御説の御趣旨にはごく賛成しております。
  35. 中島守利

    中島委員長 鳥取県地方における爆薬使用の漁業に対して、質問の通告が門司君よりありますのでこの際お許しいたします。
  36. 門司亮

    ○門司委員 ごく簡單でありますが、事態はきわめて複雑なものがあると思いますので、一応お聞きしておきたいと思います。  それは鳥取県の沿岸といわず、おそらく日本の各地の沿岸で行われておることと思うのでありますが、最近爆薬いわゆるダイナマイトでありますが、これらを使用して漁獲をするものが瀕瀕とふえておりますので、こういう状態でありますと、沿岸の魚族はまつたく死滅しなければならない状態に立入ると思います。従つて沿岸の漁業を営んでおりますものの一大驚異となつて今日現われておりますが、これらに対する当局の取締りあるいは方針があれば、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  37. 武藤文雄

    ○武藤説明員 お答えいたします。お話の爆薬を使つての密漁が非常に多くて、鳥取もその一例でありますが、九州、中国方面、その他の地においても相当多くのこういつた不正事犯が起つておるのであります。そのやり方といたしましても非常に集団的であり、また計画的であります。ことに福岡県、九州方面等においては相当多数の密漁漁船船が出ておりまして、これらの密漁船が主としてブローカーを通じて不正にダイナマイトを入手いたしまして、これを使つて密漁いたしておるわけであります。こういつた種類の一番多いのはさばをとつておる十月から翌年の四月まで、こういつた時期にことに多いようでありますが、これによつて漁獲しました魚を沖で取引をいたします。また沖でダイナマイトを物交するというようなことも行われておるようであります。かくしてブローカーを通じて魚がやみに流れて行くというような状況であります。ことにこの密漁の時期は波が非常に荒れる時期が多い、それだけに海上保安庁においては非常に取締上困難をきわめており、また証拠をつかむというような意味から言つても、捜査上非常な困難を感じておるわけであります。私どもといたしましてはこの取締りの対策といたしましては、海上保安庁とも連絡をいたしまして、検挙について、そういつた犯罪の情報の入手、それから沿岸地域に監視を置く、あるいはやみ取引についてのルートをついて行く、あるいは火薬の盗難等のことを聞きまして、それから追求して行く、また火薬使用によつて負傷した者は、医者の方からいろいろ話が入ります。そういうものを調査してこれから追求して行く。こういう各種の方法で捜査に当つておるわけであります。またこれに並行いたしまして、防犯措置を講じております。要はその根源となるところの火器類の不正の流れをとめなければいけないわけであります。ことに火薬類の製造所とか貯蔵所とか、その他火薬を使う作業所とか、こういつたものの管理を嚴重にしていただきまして、不正に流れて行くというようなことを根絶することを特に防犯措置として考えておるわけであります。現在この一月から十一月までにかようなダイナマイトのようなものを使つての不正漁獲のもので検挙いたしたものが、警察関係で二十八件、人員にして九十人に上つております。申しましたようにこれらについては捜査が非常に困難でございます。また沖の関係で海上保安庁の協力も得なければならない点も多々ございます。今後一層この方面には従来にも増して取締りに重点を置きたい。かように考えております。
  38. 稻垣次郎

    ○稻垣説明員 長官がおりませんので私からちよつとお答えいたします。海上保安庁におきましては、沿岸の各地における不法の取締りというようなことも受持つておりますので、ただいまのダイナマイト使用の船に対しても、協力いたして相当取調べをやつておりますが、何せ船が全国に百三十四隻というような状態でございまして、八千海里の海を受け持つていろいろな取調べをやることは、非常に手薄であるというような状態でございますが、一同極力努力しておりまして、国警あるいは地方の水産課方面の情報を得まして、極力御援助しておる次第でございます。最近におきましては山口県の大畠瀬戸の近所で、こうしたダイナマイトをもつて密漁に当つておつた船が、たまたま爆発いたしまして、事故が起つた後でそれを取調べまして、相当の爆薬を使用したというようなことがわかつた次第であります。実は私の方といたしましては、昨年の十月青島附近で、相当連続的にダイナマイトを使つて、密漁をやつておつたものがございます。それをやはり国警の方と一緒になりまして取押さえたことがございます。それ以来私の方にはあまりダイナマイトを使つてする密漁の情報を得ておりませんが、今年の大畠瀬戸の事件が、去年の十月以来初めての協力によつて取押さえたという事件になつております。将来とも各方面と十分連絡をとり、努力いたしまして、この方面の犯罪が起こらないようにして行きたいと思つております。
  39. 志道吉次

    志道説明員 長官にかわりまして、ただいまの爆弾使用によりますところの漁業違反の件につきまして、御答弁申し上げたいと思うのであります。先ほど来本件についていろいろ御回答がありましたが、水産庁所管の関係といたしまして御答弁申し上げたいと思います。  本件は漁業法の中にも明らかにこうした爆発物を使用しての水産動植物の採捕は禁ぜられております。法律で禁ぜられておるのであります。従つてこれに対しまするところの違反の摘発ということにつきましては、今日の立場から申しますれば、海上で行われます場合が非常におおいのであります。むろんこれは内地におきましても、陸岸において、河川あるいは湖沼におきましても、ややもいたしますると、こうしたところの爆弾漁業が行われておるのであります。ことに先ほどお話がございましたように、戰後におきまするこうしたところの爆弾漁業、特に私たちはげんこつ漁業と称しておりまして、業界の通称になつておりますが、この漁業というものは、戰後対馬方面、長崎方面において多く行われておるのであります。昨年の二月、総司令部の天然資源局長の方からも、実はこれにつきまして御注意を受けたのであります。私どももこうした方面の事実の有無を極力調査いたしまするとともに、関係府県につきましては、こうしたところの問題が波及いたしませんように、十分関係方面に注意を促しておるのであります。特にこうした方面に起つておりまする問題は、戰前から長崎方面、特に五島方面から対馬にかけてでありますがあの海域は非常に多く行われておるのであります。ことにまた復員によつて帰つて来られた人々が、戰時中、工兵隊とか、こうした軍隊で常に使用されて、おりましたところの爆発によつての採捕ということが、ややもいたしますると各方面において行われた。その惰性というものが、今日なお引続いて行われておるのではないかというふうに感ぜられるのでありますが、どちらにいたしましても、この漁業の及ぼしまするところの影響というものに、きわめて大きな問題があるのであります。従つてこの漁業は、ややもいたしますると、安んじてそうしたところの方法によつて生産をあげ得るように考えられるのでありまするけれども、しかしながら、ほんとうにそれによつて漁獲をいたされるものは、ほんの一部分であります。大部分のものは弊死して海の中に沈んでしまつて、ほとんど手に入れられない。こういうふうな点から考えて行きますると、資源的に見てまことに大きな損失になる。また、面から申しますると、海底の状態がすつかりこわされるというふうなこともありまするし、ことに長崎方面のあの漁場と申しますれば、これは日本海の門戸を扼しておるという点もありまするしさばのごときものは、きわめて廻遊性に富んでおるという点から見まして、この意味から門戸を扼すということは非常に重大な問題である。私どもといたしましては、この防止ということにつきましては、むろん府県はもとよりでありますが、いわゆる漁業資源を枯渇させるということは、漁民みずから首をくくるようなことになる。こうしたところの根本的問題を含めまして、漁民に反省させる機会をつくるように十分努めておるのであります。とともに海上保安庁その他の取締り官庁の方とも、十分連絡を密にいたしまして、今後ともこの問題をできるだけ早く取除きたい、こういうふうに思つておりまするので、一応水産庁当局といたしましては、これだけの気持ちを持つておるということだけをひとつ御了承願いまして、御承認願いたいと思います。
  40. 門司亮

    ○門司委員 大体関係各方面の御意見を承つたのでありますが、さらに私の聞きたいと思いますることは、こうした犯罪の主たる所管が一体だれであるかということであります。ことに最近の日本におきましては、爆薬の入手ということに戰前よりも比較的困難だと思うが、その困難であるべき爆薬が案外手軽く手に入つて、そうしてこういうことが行われているということの責任の所在と言いますか、それを私はもう少し明確にしておいていただきたい。そうしてもしお答えが願えますならば、これらの取締りは主としてだれがやるかということであります。本日ここにおいでをいました水産庁にいたしましても、あるいは海上保安庁にいたしましても、漁業自身のことを考えれば、これは水産庁だけの問題で済むようにも考えられますし、海の取締りだけなら、海上保安庁だけでも済むと思います。しかしやはり陸とつながつておりまして、これがいずれの所管か。ただいまお伺いしておりますると連絡をとつてというお話でありまするが、ただ連絡をとつてということでなくして、どこがこれに主として当るべき所管かということと、同時にもしできますならば、ごく近いうちに、今までこうしたことの行われました事犯について、各三者の間でどういうふうの連絡がとれておつたかということの具体的の御説明が、なお願えれば幸いだと考えております。
  41. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 今のお話まことにごもつともとは思いまするが、今日において御承知通り海上においての取締りは運輸省でつかさどつております。それから漁業という方面から考えますとあるいは農林省の方面、水産庁の方面で考えてみたり、あるいは通産省の方面で考えてみたりしなければならないことになります。また爆発物の取締りという方から言うと、自治体でも考え、それから国警でも考えなければならないが、政府の方からは積極的に自治体は入るなということになつておりますために、御承知通り近時ばらばらになつて、取締りが一本にまとまつておらぬようなわけであります。しかもなを政府におきまして、全体として治安の責任は負わなければならぬことになつておりますが、自由に十分に入らぬという状態でありますから、その点についても十分の了解を得ることには努めておりますけれども、その間におきましては、隣人と申しましようか、そういう意味においてお互いに連絡をとりまして、全体として考えを進めるつもりではおります。しかし今お伺いしておるがごとく、こういう細部になりますと、十分な連絡はとれないかもしれませんけれども、私はさらに進んで、政府におきましても、今のような御趣旨に基いて連絡をはかつて行きたいと考えております。しかしこの事件につきましては、実は私は初耳のような次第でありまして、こまかいことは存じませんが、今聞いてみますと、さらに重大に考えなければならぬことをその間に含んでおるということも考えておりますために、他の官署とも十分に連絡をとつて、今日以上に進めたいと思つております。
  42. 武藤文雄

    ○武藤説明員 補足的に私から申し上げます。海上については海上保安庁が権限を持つている。陸地と陸地に直結したような海面、そういつたものに警察が担当しております。なお爆薬につきましては警察事務の整理によりまして、警察署の監督等は通産省系統に委譲されております。爆薬の譲渡についても、大量のものは通産省の系統でやるのでありますが、ごく微量のものに警察が譲渡許可をしているという状態であります。ただ警察といたしまして、非常にこの問題に関心を持つておりますのは、爆薬類の窃盗、盗難が非常多いという事実でありますが、これがいろいろ転々し、結局はこういつた密漁方面にも流れて行くという意味でこれについては重大な関心を持つております。特に警察としては、そういつた窃盗防止という点から、積極的にこういつたことに重大な関心を持つてやつております。権限的にはさようになつております。ただ実際犯罪は陸から海にまたがつて行われるのであつて、各官庁へそれぞれ権限を与えておりますが、お互いに協力をしておる。その一例としては、たとえば長崎県において起きましたこの関係の取締りにつきましても、海上保安庁それから県の水産局、警察で三者協力いたしまして、取締りを実施したようなわけであります。
  43. 門司亮

    ○門司委員 まだ私はよく納得が行かないのですが、先ほどから聞いておりますと、だんだん責任の所在がどこだかわからなくなるのです。従つて責任の所在がわかぬというようなことになりますと、單に爆薬で魚をとるだけでありません。先ほど水産庁からお話がありましたが、海底の様相をこわしてしまうと、魚の棚といいますか、泳いでおります場所が自然とかわつて参りまして、その土地に明るい漁師でも、そういうことが一ペンありますると、今度は魚がどこにいるかわからぬというような状態なつて参りまして、土地の漁師すら魚の所在を見つけるのに相当困難を来す。こういうことで表面に出ております問題よりも、むしろ影響する問題は非常に大きいのであります。従つて日本現状におきましては、これらのことは沿岸漁業をいたしております者は非常に憂慮しておりますので、政府は一体どこが責任の所在かわからぬというようなことでなしに、もう少し明確にして、漁民の心配がなくなるように——きようすぐ御答弁を要求してもむりだと思いますから、海上保安庁なり、あるいは水産庁なりが責任を持つてこれを始末するというように、至急ひとつお話合い願いたいと思います。これは私の希望として申し上げておきます。
  44. 立花敏男

    立花委員 ちよつとそれに関連してお尋ねいたしますが、爆薬の問題よりもつ一般的に漁民の問題になつておる問題がありまして、実は水産庁の長官にもこの間お話しましたが、地元の海上保安庁にもお願いしておつたのでありますが、実にトロール船の取締りの問題なのです。私瀬戸内海なのですが、瀬戸内海沿岸数十万の漁民の非常に重大な死活問題になつておりまして、もう社会問題にまで発展しようとしております。それはトロール船が瀬戸内海の中まで入つて参りまして、漁場を荒しまわつておる。しかもそれが最近ではなしに、終戰以来四箇年それをやつております。この問題につきまして沿岸漁民の水産課、あるいは地元警察、あるいは海上保安庁へ参りましても、今まで一向にらちがあきませんで、漁民はこらえにこらえて参つたのでありますが、現在では漁獲は十分の一ぐらいに減つてしまう。それから値段も元のようにやみ値があがつてないということで、生活に困窮を来しまして、主食の配給すらとれない。そうして漁業協同組合で一括して主食の代金を立てかえてもらうという状態なつて参りまして、瀬戸内海の、家族を含めまして数百人の漁民の死活問題になつておるわけなんです。そうしてせつかく法律があつてトロールを禁止しておきながら、それを禁止する責任の所在がはつきりしなくて、今までほつたらかしてあるのであれば、漁民はこれ以上に死活問題だから、実力の行使をしなければいけないだろうということを言つております。自分の家の目の前に、自分たちの生活を破壊するトロールが何十ばいとなく並べられておる。しかもそれに一指だに染められないという実情が起つておりまして、漁民にトロールに石油をかけて焼くというところまで参つておりますので、この問題は徹底的に取締つていただきたいと思います。もちろんこの問題はもつと大きな立場から、トロール業者に対しよしてても、その経営あるいは生活の道が立つて行きますように、政府でお考えくださるようにお願いしたいと思うのでございますが、当面こういう急迫した事態を緩和する一つの手段として、やはり禁止区域のあるところではやらさないというふうなことを海上保安庁あたりで徹底的にやつていただきたいと思うのでございます。今の爆薬の問題と関連いたしましてトロールの問題は、非常に沿岸零細漁民の生活をおびやかす状態なつておりますので、この点もあわせてお願いしておきます。
  45. 稻垣次郎

    ○稻垣説明員 瀬戸内海の不正漁業取締り対策につきましては、今年の五月に私どもの方の主催で国警方面、あるいは水産庁方面等各関係官のお集りを願いまして、一つの協議会をつくりまして、取締り方針をつくり極力やつておるよう状態でございまして、九月のごときは二十八件もトロールの不正をあげておるような状態であります。できるだけのことはやつておる実情でございます。
  46. 床次徳二

    床次委員 私もただいまの問題に関連してお願いしたいのですが、海上保安庁の内容の充実ということはまだ行われていない。従つてただいまのようなトロール船の問題、また私どもの付近におきましても、機船底引綱の漁船に対して何ら取締りができないという問題があります。さらに密輸入、あるいは密航船等の問題があるのでありまして、海上保安庁の充実については非常に関心が多いのでありますが、私ども承るところによりますると、海上保安庁の内容の充実につきましては、関係方面から了解を得ておる限度までまだ達しておらぬこれは予算が少いためにそこまで行き得ないというようなことを承つておるのでありまするが、はたしてそういう事実があるかどうか。なお予算を十分とつてその能力を果すところまで努力する考えがあるかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  47. 稻垣次郎

    ○稻垣説明員 定員につきましては、法律では一万人まではよろしいことになつております。それから予算定員では現在八千百三十七名まではふやしてよろしい。ところが大体それよりも五百名見当少い実員で今やつております。着々この方の強化をはかつておるわけでございます。また船の方におきましては、皆さんの御援助によりまして今年度七百トンが二隻、四百五十トンが三隻、百八十トンが一隻、十五メートルの港内艇十隻というようなものが、すでにつくられておりますが、来年度におきましても、おそらくそれの二倍以上の船舶が建造されるように、御努力願つておるような次第でございます。これらのものがそろいましたならば、おそらくより以上各方面において効果が上るものと期待しております。
  48. 床次徳二

    床次委員 ただいま定員の問題と船のお話がありましたが、やはり裝備という問題が非常に大きいのでありまして、裝備につきましては認められた最大限まで、充実していただくということが必要だと思うのであります。この問題は予算もあるかと思いますが、ぜひやつていただきたい。  なお過般海上災害のはなはだ悲惨な例が愛媛県等において発生したのであります。これは海上保安庁の船が近くにおり、ただちに間に合えば相当防ぎ得たのではないかという点もありますが、各方面におきまして海上保安庁の内容の充実ということを要望しておりますから、ぜひこれは御努力をお願いしたい、重ねてお願いしておきます。
  49. 大矢省三

    ○大矢委員 私にこの機会にお尋ねしておきたいことは、近く税制改革があると思いますが、それに関連が非常に大きいのでありますが、警察並びに消防の半強制的な寄付行為であります。これはまつた地方の人はめいわくしておりますので、特にこの弱点であるこういう警察並びに消防の問題についての寄付行為というものは、原則的に寄付行為というものが禁止されているにかかわらず、この種の問題については依然として非常な住民の負担となる寄附の強制があるのであります。シヤウプ博士の調査あるいは勧告によりますと、大体四百億円くらいの寄附行為がある。今度の税制改革で三百億くらいはその中に入れたい。こういうような意見もあるようであります。私は第一にこの種の寄附の強制、半強制というものは、問題になつておる地方のボスの排除、これがむしろ逆行して、ボスの温存といいますか、むしろ強化するような結果に地方では相当なつておると思う。そこで政府はこの機会にこの種の警察並びに消防への寄付行為は、全面的にさせないという方針を、税制改革と同時にきめる意思があるかどうか。それは今申しましたそういう警察並びに消防に対する寄附行為関係の問題についてそうであると同時に、ボスの温存といいますか、その排除に逆行するような寄付行為というものを禁止をしてもらいたい。こういうのが私の希望であります。特に最近地方の負担が非常に多いために、みずからを救済するための国民健康保險のごときすらも非常な赤字で、先立つての本会議でも問題になつておるような状態であるから、負担の多いときに特にこういうような強制的な寄付行為を禁止することは、税制改革に伴うて、一番やりよい機会であるから、政府としてはこれを税制改革と平行して、一切禁止するという意思があるないかという点をお尋ねしたい。
  50. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 今度のシヤウプ博士の勧告にも、来年度寄附があるとするならばというようなことでありまして、條件つきに寄附のことを言つておりまして、そうして別の税制としてはこうであるということを述べておつたようなわけでありあすが、政府においてもこの件に関しては、再々強制的に流れるような寄附はよくないということを申しておりましたようなわけでありますけれども、しかもなおお話のごとくに、ある地方において強制的と考えられるような寄付行為をする者も、惰性でなお非常に多かつた例がありましたので、そういう者に対しては機会あるごとに、強制的に流れないようにということを申しておりましたようなわけであります。全体の公の機関というものはなるべくそういうことで動くことのないようにしたいということを考えて進んでおりますが、今なお遺憾の点がないでもないことをよく認めております。なおこれに関しましては取締りしたいと思いますが、しかしほんとうによい意味の寄附であれば、法律もつてそれを禁止するというのも、少し行き過ぎていると思いますので、また政府としてはそれを禁止する法律もありませんが、今申したようなぐあいに半強制的になるならば、そういうものはやめさせたいという考えを持つております。どうぞ御了承願いたいと思います。
  51. 野村專太郎

    ○野村委員 前国会におきまして成立いたしました古物営業法中の古書籍に関してでございます。この書籍に対しては、古物のうちにおきましても他の種類のものと違つた特性を持つております。こういう点から五月十六日の本委員会において政府委員は特に古書籍に対してはこれが確認、帳簿等については施行細則について、その特性を了解しながら命令工夫する、こういうようなことを本委員会で確約、声明されておるのです。しかし現在の状態においては、法そのものもいわゆる取締法を排除して、営業法ということにふさわしくないまことに実行不可能のような状態にあると思います。この古書籍に対しては、特殊の年少者よりの買入れ等の点において考慮いたしますならば、業者関係がが犯罪防止に相当協力を惜しまず行くならば、私はできればこの営業法から古書籍だけははずしてもよいのではないかとさえ考えるのでありまして、特に古書籍の市場の円滑なる融通ということに、文化国家育成の上から見まして非常に要請されておる。この点に関して現在の施行細則が前向のお話大分状況が違つておるようでございます。もつともいつぞやの委員会で、共産党の谷口委員から指示云々というようなことがありました。東京の例をとつてみますならば、さすがにこういう点はやつておらぬようですが、前回の委員会においてお話をいただいた線に沿つてやつておらぬ現状のようでございますが、この点に対して政府側のお考えをお伺いいたします。
  52. 武藤文雄

    ○武藤説明員 古物営業に関して、書籍に関しては特別に運用考慮するようにという国会側の御意向にもございまして、これを十分尊重して取扱うことにいたしたのであります。命令の中では一般的に出きましたために、特に詳細の点に触れることができなかつたと想いますが、しかし意図といたしまして、その取扱いにおいては十分留意するように指導いたしております。と申しますのは、たとえば相当価値のある書籍は別といたしますが、その以外のものにつきましてが、何々ほか何部と一括記載してよろしい。あるいは市場で仕入れたものについては、その市場名、相手方の屋号などを書いて、そうして何々ほか何部というふうに書けばよろしいというふうに、取扱うよう指導しておるわけであります。なお徹底しない向きがあるといたしますれば、まことに遺憾でございまして、この際また十分この趣旨を徹底することに努力いたしたいと考えております。
  53. 野村專太郎

    ○野村委員 ただいまの御答弁によりまして、そのお考えのほどはわかつたのでありますが、実際にはこの古物各種別一律に細則ができておる関係上、徹底を欠いておるようなきらいがあるのであります。たとえば確認は住所姓名によつてこれを当てるとか、あるいは帳簿等によつては購入の年月日とか、種別品目、代価あるいは主要な、今お話のようなものをあげれば事足りるのである。ほかに罰則もあるのですから、こういう点において今非常に困難な、しかも実際に実行不可能のような状態でございまして、この点については前委員会において確約され、さらにただいまの御答弁によつて、大体において御了解のようですから、この古書籍に対しては施行細則において明確にこれをきめらるべきだ、かように考えておるのであります。この点に対して政府側ではこの細則を、特にこの線に沿つて、お話のように古書籍の特殊性をお考えなつて、変更する用意があるかどうかということを重ねてお尋ねしたいと思います。  さらに将来この古書籍全体に対して、これを古物営業法からはずす意思がおありになるか、これもあわせてお伺いいたします。
  54. 武藤文雄

    ○武藤説明員 施行細則の中に特に古書籍のことを明記すると、他のいろいろの品物との関係もあつて非常に複雑になりますので、一般的な規定にしまして、ああいう形になつたわけであります。但しその古書籍の取扱いについては十分考慮するという方針で、御意図に十分沿うことにいたしたいと思つております。  なお将来古物営業法において古書籍を除くかどうかという問題であります。これに古書籍だけを除くということが、はたして古物営業そのもの全体から考えて妥当であるか、相当研究を要する問題だと思います。ただちに除くということを申し上げることは、もつと研究してからでなければ申し上げかねることだと存じます。
  55. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 樋貝国務大臣に質問します。警察中の公安委員会を公選にするお考えにないか、これが第一点。  第二点は五千人以下の小さな町は自治警察で非常に苦しいんでおちます。これを将来国家警察にあなたはなすべきであるとお考えであるか。この二点について樋貝国務大臣の現在考えていらつしやることを御返答をお願いしたい。
  56. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 公安委員について、今のところでは公選の考えは持つておりません。  それから市街地的町村と言いますか五千人以下の町村につきましては、その財政等に関しましては非常に考えております。すでに研究をしておりますが、今の警察法の改正に触れる点でありますから、従つて改正するともしないとも申し上げることはちよつと困る事情にありまして、申し上げられませんが、しかし財政が困難——シヤウプ博士の勧告によつて、市町村その他市町村民にも関係しますので、それがどのくらい自治体の方に影響を及ぼすかということを見ての上に、なお考慮しなければならぬと思つております。従つてその点を今すぐにということはあるいは申し上げられませんけれども、その点においてもなお妥当な道を開くことができると考えております。
  57. 中島守利

    中島委員長 最後に私から樋貝国務大臣にお伺いしたいと思います。ただいま鳥取県方面、山口県方面の爆発物による漁獲問題について質問があつたのでありますが、その点は爆発物取締りが十分できないからいうことからかような現象が起るのだと思います。日本の現在の情勢から言えば爆発物どころではない。秘匿の刀劍でありましても、これに相当な制裁を加えて、携帶を拒否しておるのであります。ところが漁獲用の爆発物というようなものまで多量に密輸入、あるいは横流れがあるということに、日本の国の治安の上に私は多大な不安を与えるものだと思う。これに対しては樋貝国務大臣はもちろん、内閣においても相当に十分な努力をし、かような密輸入、横流れするような爆発物がまつたくなくなるようにする方法を講ずることが、日本現状においては必要ではないかと思います。これに対する樋貝国務大臣の御意見を伺いたいことが一つ。  もう一つはただいま大矢君から質問されました警察及び消防に関する寄附金の問題であります。私は警察及び消防関係においての寄付金は、形の上では強制になりませんでも、実質においてはまつたく強制的になると思うのであります。またこれを利用して、警察消防に関係を持つ者か、ボス的行為をすることが多いのでありまして、地方に非常に惡い弊害が多いのであります。こういうことは取締りを嚴にするか、あるいはまたどうしてもその必要ありとしたならば、警察署長もしくは消防関係の人が扱うことを絶対に禁止して、その自治体の長に扱わせる。こういうことのために警察は金がいるのだがというので、その長もしくは適当の他の人に扱わせるという方法をとつて、私は警察署長もしくはその地方のボスにより扱うようなことは絶対に禁止したらいいと思う。これに対するお考えを伺つておきたいのであります。
  58. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 今の爆薬の心については、ピストルなどは御承知のように非常に取締つております。ところが爆薬そのものだけは商工省のほうに移つておりますから、今委員長から申された通り警察が直接でないのですから——しかしそれが横流しされ、また治安を乱すというようなことに使われるおそれがありますので、その方面からして、盗難その他について十分なる注意をいたしておるような次第であります。現在法律上は自治体の方に対しては私ども政府は権限を持つておりませんけれども、しかし実際上においてそのことの注意を促しておるような次第であります。また国警のできる範囲におきましては、その盗難等について十分の注意をいたしておるわけであります。だがひんぴんとこの盗難がありますので、それに対してはどのくらい実際に使つたかということは、非常に明確でないのでありますから、なるべくその実数を知りたい。そうしてどこへ行つたかということを調べておるような次第であります。隔靴掻痒の感がないでもないのですけれども、言いかえれば一本にまとまつておれば、その点も非常にいいだろうということを考えまするが、今日においては、どうもしかたがないから、与えられた條件の中において、最前を盡しておる次第であります。それから寄付金の点につきましては、ことに御説の通り、先ほども申し上げましたように強制に流れるようなことを防止したいという考えで、しばしばその意見を述べまして、係りの者がいろいろ申しておるので、たいてい下まで通つた考えておるけれども、どうも惰性で通つておらぬところもあるとは考えております。今御指摘になりました市町村長が寄付金を募集したらどうかという点ですが、こうやりますとほとんど熱が入りませんから、ごく寄附が少いのではないか、実際あるいは六・三制あるいは警察の方で寄附金を求めておるのもあるようですが、市長ではその目的が達せられないし、目的が達せられない地方に困るし、実際進んで寄付してくれるのであればいいのですけれども、そうでないものは半強制的に出てはいけない、なるべくそうしたくないというつもりで進んでおります。  それからボスの点ですが、従来は、私ども考えれば、それほど害のない人間から寄付を求められたのですが、それらの人々にみな今日までに貧困な人というふうにかわりまして、現在寄付ができるくらいの能力を持つておる人間というと、ボスみたいなものの戰後派と申しましようか、戰後における成金という形についなりますが、非常に面白くないと思います。ことに自治体方面の警察なんかでは行政系統をめぐりまして、面白くないことも起きているのでありまして、絶えず注意は施しているわけでありますが、先ほども質問がありまして、今日における責任の帰属があいまいであるというようなことを申されましたが、自治体については政府は監督すらできない状態なつておりますので、この点についても何か隔靴掻痒の感が今ありますので、実はもう少しきちつとした行き方で行きたいという考えを持つております。今の御趣旨を考えまして、いろいろの点から考究してみようとは思いますけれども、そういう状況を一応申し上げておきます。
  59. 中島守利

    中島委員長 本日はこの程度にて散会いたします。  次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時五十一分散会