○前野
説明員 御
説明申し上げます。御
承知のことと思いますが、このたびローガン構想に基きまして、わが国の
輸出入ともに広汎に民間
貿易に移行されることになりまして、それに関連いたしまして金融機関も、従来行
つておりませんでした
輸出為替の買取りという事務を、やはり実施することに
なつたわけでありますが、現在わが国の
状態といたしまして、海外には何らの出先機関も持
つておりませんし、
輸出業者といたしましても海外に何らの支店、出張所等も持
つておらない
関係上、いわゆるわが国といたしましては、
貿易につきましてはまつたく盲
貿易の
状態であるわけであります。
従つて民間
貿易に移行いたしました場合に、為替銀行が
輸出手形を買い取ります場合に、買取りの信用を与えますにつきまして唯一の
担保となりますものは、その買い取りました手形が確実に支拂われるかどうかという点と、それから
輸出業者の国内における資産能力いかんという、この二点以外に為替銀行といたしまして、いわゆる
担保価値を見得るものがないわけであります。ところが現在終戰後の
輸出業者は小
輸出業者が濫立いたしまして、その国内の資力におきましても、
輸出金額の増大に比しまして、その国内の
担保資力というものもはなはたおぼつかないような
状態でありまして、金融機関といたしまして唯一の
担保力と見得るものは、買い取りました荷為替手形が確実に落ちるやいなやという点が、唯一の
担保にな
つておるようなわけであります。ところが先ほども申しましたように、わが国といたしましては海外の市況にもうとくかつ外国における
輸入業者の信用等の調査等につきましても、十分な調査もいたしかねるというような
状態でありまして、この欠陥を何らかの
方法によ
つて補正せざる限り、わが国の
輸出貿易というものは伸び得ないのではないか、こういうふうに
考えられるわけであります。
従つてこの
法案の目的といたします点は、ただいま御
説明申し上げました欠陥をカバーすることをも
つて、その目的といたしておるわけでありまして、この
法案の大体のよりどころとしてとられましたものは、現在英国で行われております
輸出補償法が大体その基礎にな
つております。大体の立て方を御
説明申し上げますと、英国の補償法におきましては、
政府が直接
輸出業者と保險契約を結びまして、その保險契約によ
つて輸出契約について生じました損害を、
政府がその保險によ
つて保險するというような建前にな
つておりますが、わが国におきましては、まだ
政府当局におきましても、十分な機構の整備もできておりませんし、かつ保險業務につきましては、保險会社がより業務に習熟しております
関係上、
政府と
輸出業者との中岡に保險会社を入れまして、まず保險会社が
輸出業者との間に保險契約を締結いたしまして、その保險契約を締結いたしますと、それが自動的に
政府と保險会社との間で締結してあります包括保險契約に基きまして、保險会社から
政府の保險契約に移行するという建前にな
つております。
従つて簡單に申し上げますと、再保險のごとき様相を呈しておりますが、再保險でございますと、再保險に付するか付さないかという点は、保險会社の意向にかかるわけでありますが、この建前では保險会社の意向にかかわらず、すべて保險会社と
輸出業者との間の保險が締結されれば、自動的に
政府と保險会社との包括保險契約の中に移行して来る建前にな
つております。それで包括保險契約は大体毎
会計年度ごとに、
政府と保險会社との間で締結されることにな
つておりまして、その保險金の総額は、
国会の議決を経た
金額の範囲内において、包括保險契約を締結するという建前にな
つております。
それでは保險
金額はどういうふうになるかと申し上げますと、大体
輸出業者と保險会社との関では、
輸出業者がこうむりました損失の八〇%を限度といたしまして、
政令で定めます填補率を乗じました
金額を保險会社は
輸出業者に支拂うそうしての、保險会社が
輸出業者に支
拂いましたその損失額を、
政府は保險会社に包括保險契約に基きまして支
拂いを行う、こういうかつこうに相な
つております。保險の対象となりますものは、
輸出のために振り出しました荷為替手形及び為替手形でありまして、ただ非常に長期にわたります荷為替手形につきましては、この保險の対象となる手形からは除外してあります。その点は第五條に書いてあります満期日が、振出日から百五十一日以上または一覧後百二十一日以上のもの、あるいは手形
金額が実際の
輸出貨物の契約
金額を越えるような手形は、この対象にはならないことにな
つております。
それから先ほど申しました
輸出業者がこうむりました損失は、どういう
原因に基いてこうむつた損失でも、すべてカバーするというわけではございませんので、大体その損失の発生しました
原因は、仕向け国におきます
輸入制限とか、あるいは為替
取引の制限とか、あるいは仕向け国におきます戰争とか革命とかあるいは内乱とか、そういう
輸出契約の当事者の責めに帰することのできないような
原因に基きまして発生しました損失を、カバーするという建前にな
つております。
考え方といたしまして国内の
事情に基いて発生しました損失は、この保險
原因には相ならないことにな
つておりますが、ただこのたび並行して御審議願
つております外国為替及び外国
貿易管理法の
規定に基きまして、
輸出の許可を得なければならないようなことにな
つております。契約が特別の
事情によりまして、その
輸出の許可が取消されるとかいうような事態のために、損失が発生したというような場合には、やはりこの保險の保險する
原因に相な
つております。ただ、以上のような
原因に基いて損失が発生いたした場合でありましても、その保險会社あるいは当該
輸出業者の間に何らかの不正行為が介在するもの、あるいは御審議を願いますこの保險法の契約の條項に違反した場合とか、あるいは損失が
はつきり発生する懸念がある場合にもかかわらず、その損失を免るるための万全の行為をしないような場合には、この保險法に基きまして保險はいたさないことにな
つております。
それからこの保險法を運用して行くにつきまして、審議会を設けることにいたしております。名称は
輸出信用保險審議会で、通産省に設けることにいたしております。通産
大臣が会長になりまして、その下に九人以内の委員をも
つて組織することに相な
つております。委員は大体
関係官庁の職員と、
貿易または金融に対しまして学識経験のあります方から、通産
大臣が任命いたすことにな
つております。大体任期は二年といたしてあります。この保險審議会の行います
内容は大体諮問機関でございまして、
政府と保險会社との間あるいは保險会社と
輸出業者との間の、
保險料の問題あるいは損失の填補率の問題、それからその他通産
大臣が
取引上非常に危險が多くな
つて、この現在の
保險料率ではカバーできないというような事態が発生いたしました場合に、その
輸出契約ごとに保險金の限度をきめたり、あるいは包括保險契約を
解除したりいたします場合には、の審議会に諮りましてそういう緊急の措置をすることにな
つております。
以上がこの保險法の大体の仕組みにな
つておるわけでございます。以上で御
説明を終ります。