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1949-11-29 第6回国会 衆議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十九日(火曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 小山 長規君 理事 島村 一郎君    理事 前尾繁三郎君 理事 川島 金次君    理事 荒木萬壽夫君 理事 林  百郎君    理事 内藤 友明君       江田斗米吉君    岡野 清豪君       佐久間 徹君    高間 松吉君       田中 啓一君    塚田十一郎君       苫米地英俊君    中野 武雄君       西村 直己君    三宅 則義君       中崎  敏君    松尾トシ子君       橋本 金一君    宮腰 喜助君       河田 賢治君    深澤 義守君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君        国 務 大 臣 山口喜久一郎君  出席政府委員         特別調達庁長官 阿部美樹志君         大蔵政務次官  水田三喜男君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君  委員外出席者         通商産業事務官 前野 直定君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員会設置に関する件  国の所有に属する物品売拂代金納付に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第二  八号)(参議院送付)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四九号)  輸出信用保險特別会計法案内閣提出第五八  号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 開会いたします。  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案議題として、質疑を続行いたします。深澤義守君。
  3. 深澤義守

    深澤委員 農林大臣お尋ねいたしますが、長い間第五国会以来継続審議いたしておりました食確法が、いよいよ国会を通過する段階に到達しておるのでありますが、それにつきましてお聞きいたしておきたいことは、食確法の一部改正が通過することによつて追加割当が法制的にできることになりますと、事前割当にその追加割当が行われるということになりますれば、従来超過供出をしておつた分一般供出として扱われるようになるのかどうか。つまり追加供出された分は一般供出として扱われます関係上、二倍価格が適用されない結果になると思うのであります。その点はどういう観点になりますかお伺いしておきたい。
  4. 森幸太郎

    森国務大臣 お答えいたします。ただいまの考え方といたしましては、御承知通り生産計画を立てて事前割当をするのであります。たとえば本年ならば三千二百余万石が事前割当になつておりますので、その事前割当以上のものを超過供出考えるのであります。
  5. 深澤義守

    深澤委員 もつと十分了解しておきたいためにもう一度御質問いたしますが、そういたしますと事前割当以上の供出超過供出として扱うことが原則でありますが、その年の事情によつて今度の食確法の一部改正に基きまして追加割当をしたという場合は、くどいようでありますが、その追加割当をした場合においては、その追加割当による供出分は、超過供出として二倍価格で買い上げられると承知してよろしゆうございますか。
  6. 森幸太郎

    森国務大臣 具体的に申し上げますと三千二百余万石の事前割当をいたしております。それは二百四十五万石の補正をいたしまして、当初の三千二百余万石が三千万石ちよつと切れることになるわけでありますが、そのほかに本年度といたしましては、約二百万石の超過供出を依頼しようと、かように考えておるわけであります。これは超過供出として二倍価格奨励金をつける、こういうことになるわけであります。
  7. 深澤義守

    深澤委員 その超過供出の分はわかるのでありますが、食確法改正によつて今までの超過供出は懇請の形においてなされた超過供出が、今度食確法の一部改正法案として発布されますと、政府追加割当が法制的にできるわけでありますが、その追加割当が法制的にやつた分超過供出として扱うのか、普通供出として扱うのか、この点であります。
  8. 森幸太郎

    森国務大臣 それは超過供出として取扱うわけであります。
  9. 深澤義守

    深澤委員 それから昨日の本委員会におきましてもお尋ねいたしまして、明確になつていなかつたのでありますが、たまたま本日の世界経済新聞に「昭和二十五年度日本経済見通し」という安本の案が発表されまして、その中で初めて了承できたのでありますが、米の生産者価格は四千二百五十円と決定通りであります。そうして消費者価格予算案におきましても十キロ四百六十円見当であるという程度の漠然たる決定でございまして、消費者価格を一石幾らにするかということについては明確になつておりませんでしたが、われわれの計算からいたしますと、十キロ四百六十円と申しますと六千四百円ぐらいになるという計算なのであります。本日の安本発表によりますと、消費者価格は六千二百円にするということに発表されております。これは農林省もこういうぐあいにお考えになつておりますか。その点をお伺いしておきます。
  10. 森幸太郎

    森国務大臣 安本物価庁におきましていろいろ検討を加えておると思いますが、まだ農林省の事務的な打合せあるいは閣議の協定というところまで運んでおりません。ただ單に安本事務当局考え方であろうと考えております。
  11. 深澤義守

    深澤委員 もう一点でありますが、これはやはり安本発表でありまして、消費者に対する二十五年度食糧の大体一日の量でありますが、今まで千八百九十四カロリーのものを、今度は千九百八十一カロリーにして、一日二合八勺の配給の予定である。いもを拔きとすれば二合六勺ということでやつて行きたいということでありますが、農林省の御計画はどういう御計画を持つておりますか。その点をお尋ねいたします。
  12. 森幸太郎

    森国務大臣 これもまた安本の一方的な研究資料考えておりますが、政府といたしましては食糧基準量増額ということはまだ決定いたしておりません。農林省におきましてもできるだけカロリーの増額については考えておるのであります。まだ二合八勺にするか、あるいはいも類を抜きにして二合六勺にするか、そういうはつきりした結論が出ておりません。
  13. 深澤義守

    深澤委員 それから輸入食糧の点でもう一点御答弁願いたいのでありますが、輸入食糧輸入の額についてはすでに大臣から承つて承知しでおるのであります。しかしその内容についてはまだあまり明確でなかつたのでありますが、やはりこれも安本発表によりますと米が六十万トンである。小麦が二百六十九万トン、大豆が二十万トン、合計三百四十九万トンという発表がなされておりますが、これをわれわれは信じてよろしいのでありましようか。
  14. 森幸太郎

    森国務大臣 それははつきりした数字でありません。確定いたしておりませんし、ことにそれが援助資金で来るか、あるいはバーター制で来るかというようなことも、渉外関係等もありまして、これは先方においてきめられる関係でありますので、こちらからこうなつておると、はつきりきめるわけには行かないことを御承知願います。
  15. 深澤義守

    深澤委員 今まで大分聞きましたので、大体それ以上はないのでありますが、どうもわれわれは安本計画にいたしましても、大体閣議に諮つて発表さるべきものじやないかと思うわけでありますが、どうも政府当局から発表されるものにいたしましても、非常にまちまちでありまして、ただいま農林大臣のお言葉によりますと、安本計画というものは一方的である、こういうふうにいろいろ結論づけられておりますので、はなはだ迷うわけであります。さらに昨日から問題になつております点でございますが、新米価による生産者価格消費者価格中間経費の問題であります。もちろん生産者に還元される部分もありましようが、一応生産者価格消費者価格開きについては、今まで相当開きがあつたわけであります。いずれにしても生産者はその差額だけは負担するという結果になるのでありまして、今後における生計費の上には重大なる影響を持つわけでありますが、農林大臣としては生産者価格消費者価格の間の中間経費はどのくらいに見積られておりますか。その点を確定していなければ大体の予定だけでもよろしゆうございますから、お伺いしたいと思います。
  16. 森幸太郎

    森国務大臣 本年度米穀年度につきましては、いわゆる二十三年産米に対する今日の中間経費と申しますのは、大体石当り八百五十三円二銭ということに考えておるのであります。二十五年米穀年度につきましては、運賃等関係もありますので、まだ消費者価格はつきりいたしませんから、はつきり申し上げることはできませんが、二十三年度産米はそのくらいな水準の経費考えております。
  17. 北澤直吉

    北澤委員 この食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、大体質疑終つたようでありますので、この辺で質疑の打切りをせられたいと思います。
  18. 川野芳滿

    川野委員長 北澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますので、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案については、質疑を終了いたします。なお討論はあとまわしにいたします。     —————————————
  20. 川野芳滿

    川野委員長 この際ちよつとお諮りいたしますが、ただいま本委員会におきまして審査中の国の所有に属する物品売拂代金納付に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、去る二十四日本付託となりましたので、これより本案議題として審査に入りたいと思いますが、政府提案趣旨説明を省畧して、ただちに質疑を続行いたすことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますので、さよう決定質疑を続行いたします。御質問はございませんか。
  22. 深澤義守

    深澤委員 ただいま議題となりました本案に対して、今度の改正の第一点であるところのこの売拂い代金延納特約という問題でありますが、国がこういう物品売拂い等をやる場合において、その代金の支拂い以前に物品引渡しを行うということは、現在の普通の商取引上においてもほとんどないような事例であります。前金で拂うとか現金で拂うとかいうことが普通の状態であるにもかかわらず、国はこれを非常に緩和して物品を先に引渡し相当程度代金延納を認める。こういう非常にゆるやかな取引規定を今度設けるようでありますが、これはどういう根拠に基くものであるか。その根本的な理由をお伺いしたいと思います。
  23. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 御説明いたします。ただいま御質問のございましたように、国の会計においても必ず即金拂い原則としております。ただいま提案になつております法律の第一條において、その原則をうたつておるわけでありますが、国の処理に属する動産の売拂い代金は、この法律または他の法律規定する場合のほかは、当該物件引渡しのときまでに納付させなければならないと第一條原則を置いてございます。これは昔からわが会計制度の根本でございますが、この原則通りにいかなる場合でもやらなければならないということになりますと、物品のようなものはしよつちゆう売拂いの必要が起つて参りますので、非常に支障を来す場合がございます。そこで従来終戰以前においても、旧憲法時代にも、大正十年に勅令をもつて特に延納を必要とする場合には認め得られるようになつてつたのでございます。先回の国会においてそれは勅令規定するにはあまりに重要な事柄であるというので、それを法律に引き直しまして、延滯に関する法律を制定いたしたわけであります。ところがその法律を制定いたしたのですが、延納について多少きゆうくつ過ぎるという事態が起つてつたのであります。具体的に申し上げますと、ただいま御承知のように、国は直接に政府貿易を営んでおりますが、そういう政府貿易をやりますような場合には、あたかも一般貿易業者貿易の業務を営むのに似たような立場にいるわけでございます。従つて一般商慣習の観念から認められる程度延納は、やはり認めてやらなければむりな場合が起る。特に最近のような金融情勢等もございまして、その要望が非常に強かつたのでございます。そういうような国が企業体立場において行うような場合においては、原則はもちろん即金でありますが、特別の場合には延納を認めてやろう、こういう趣旨をここに規定してございます。なお第二項にございますように、他の各省各庁の間で行います場合、あるいは地方公共団体取引をいたします場合、あるいは災害の救助の場合でございますとか、そういう特定の場合にはやはり延納を認めてやることが適当であろう、こういうことでこの規定ができております。
  24. 深澤義守

    深澤委員 公共団体等の場合における延納の場合については、そういうことも必要だろうと存じますが、現在の一般情勢といたしますれば、非常な金詰まりの中にはとんど商取引が沈滯をいたしておるのであります。従つて相当の資本がなければ商取引ができないという状態のために、政府が最近においては尨大輸出並びに輸入の滯貨を持つておる。ところが最近においては民間に国内向けに売抑うというような計画があるようであります。その場合においては、本日朝日新聞にもございましたが、六箇月の延納を認めてこれを売拂うというようなことが発表せられておるのであります。そういたしますと、政府と特殊の関係があるものは、一文の資金がなくても六箇月の延納條件のもとに、非常に大きな商売ができるということになる。従つてそごにわれわれは官庁と一般業者との間に、非常なここに疑惑の的になるような状態が起つて来るんではないかということを心配するわけであります。現在すでにそうした事例がないと何人も否定し得ないような状態相当あるわけであります。従つてわれわれはこうした国と一般業者との間における取引の上において、こうした延納を認めまして特定の人に利益を与えるようなこの方法を講ずることは、当を得ないことではないかというふうに考えるのでありますが、その点について御意見を伺いします。
  25. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ただいまの御懸念は、行政の運営上の問題であろうかと思うのであります。延納の必要な場合が起るということは御了解を願えると思うのでございまして、問題はこの法律をいわゆる濫用する危險がないかということになろうかと思うのであります。そこでこの法律におきましても、ごらん願うとわかりますように、主務大臣まかせではありませんで、延納特約について特別な條件考えるというようなときには、ただ行政の円滑によることだけを考えておる立場と別個に、国の歳入を確保する立場国庫大臣たる大蔵大臣が、その協議にあずかります仕組みにいたしております。なおただいまのような点につきましては、もちろん延納の例外を認めてはでございますが、極力原則としては延納を認めない。これは国家の立場としては当然でございまして、むしろきゆうくつ過ぎるような考えをもつて臨んでおるのでございます。
  26. 深澤義守

    深澤委員 その延納を認める場合において、国債その他確実な担保を提供させるというここに條文がございますが、この担保はその売拂い代金に対する何割くらいの担保を提供させるのか、全額に相当するような担保を提供させるのか、そういう点についての御説明を願いたい。
  27. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 これはただいまのところ一律には考えておりません。大蔵大臣といたしましては、各省大臣から協議が参りました場合に、その延納を認める必要に応じましてそれをきめて行きたい、こういうふうに考えておりますが、現在行われておる例等を見ますと、七割とか八割、場合によつては半額の場合もございます。その事情に応じて考えて行きたい、こういうふうに考えております。
  28. 深澤義守

    深澤委員 第二の点でありますが、延納特約をした場合において、ある場合には利息を付さない場合もあるということが予定されておるのでありますが、どういう場合に利息を付さないのか、その点を御説明願いたい。
  29. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 たとえばアルコール專売特別会計等においては、従来から酒精会社アルコール拂い下げます場合に、これは御承知かと思いますが、拂下げ価格を低くするかわりに政府としては利息をとつておらぬというように、ずうつと前からそういうことを実際に行つておる例がございます。そういう場合を救うためにこの規定があるわけであります。
  30. 深澤義守

    深澤委員 この法案は、公団日本專売公社及び日本国有鉄道等にその範囲が拡大されておるのでありますが、現在政府としては日本国有鉄道所有に属する不動産売拂いというようなものについて、何か御計画があられるのかどうか。その点をお伺いしたい。
  31. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 これは国有鉄道の方に具体的な点を聞きませんと、はつきり申し上げかねるのでございますが、もちろんこれはいわゆる物品でございまして、不動産でありますとか、あるいは、いわゆる営業路線でありますとかの重要なものではございません。従つて多くの場合には偶発的な原因によつて売拂うということでございまして、鉄道としては現在特殊な売拂い計画を進めておるということは聞いておりません。
  32. 河田賢治

    河田委員 解除物件処理の問題でありますが、今度の補正予算説明には最初は三十万八千トンを上まわつた。その後にまた解除済みなつたものがあつて合計六十万トンくらいに上つた。同時にまた売却が予定より遅れて、補正予算に新たに二億五千三百万円ばかりが要求されておるのでありますが、この前の国会におきまして、解除物件保險料や何かが非常にわずかで、しかも売れる見込みがないので、この問題をどう処理するかという質問に、政府はもう大体売れる見込みだということをおつしやつてつたのでありますが、一体この点について政府は、新しく解除なつたものは別としまして、最初予定されたものが大体において売れ切つておるかどうか、この点を御質問したい。
  33. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 先般本会議でも御説明申し上げておきましたが、実は現在のところ解除物件で売拂つてもさしつかえないという指令を受けたものが、約金額にして七十三億円、トン数にして五十五万五千トンに達しております。
  34. 河田賢治

    河田委員 それではこれによつて大分また国費が費されるのでありますが、政府は本年度内においてこれだけのものが処理できるかどうか。特に大蔵大臣は現在日本経済は安定して非常に御同慶の至りだ、ということを言われておるのでありますが、そういう條件見込みの中にすべてこれらが売り盡せるかどうか。そうしてこれ以上われわれ国民の税金の負担を多くするようなことがないかどうか。この点をはつきり明示してもらいたい。
  35. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 お尋ねの点につきましては、非常に特別調達庁関係として腐心をしておる点でありまして、御承知でもございましようが、この解除物件の中には日本向きでないような品物相当ございます。また物より金の時代で、移つて行く世相が反映いたしまして、ただいま御報告申し上げました買入れ当時の値段よりも、單価を安くしなければ売れないというような品物相当ございます。そのために、特別調達庁関係物品売拂いの便宜を得るために、十一月十六日に政令第三六五号でありまするが、予算、決算及び会計法臨時特例の一部を改正する政令を発しまして、入札制度簡素化をはかることにいたしました。たとえば、見積り価格二十万円以下のものに対しましては、その保証金を免除するとかあるいはまた複数入札制をとりまして、見積り価格に達しない入札者のうちから、入札品目が百あるとしましたならば、そのうち二十ほしい人はその値段を入れる。一〇%ほしい人はその値段を入れる。そうして高い入札者から順次これをとつて行くというような方法考えておるような次第であります。また一応ごらんになればわかるのですが、私が各地を視察いたしましても、飛行機の格納庫を代用した倉庫等に、家具、什器等も山と積まれておるのであります。その中には破損したものもありまするが、小破損のものもあります。そういうものに修理を加えて、たとえば大きなデパートに展示会を開いて、これを一般の人に個々に売つて行くというような方法も講じて、なるたけすみやかに売却して行きたい、こう考えておる次第でありますが、実のところ現在までに売却された数量は、トン数にして九万二千トン、金額にして二億四千九百万円でありまして、なかなか売れ行きがはかばかしく行かないのであります。いま一つの原因としては、これを一般に周知せしめるところの広告宣伝の費用というようなことも、非常に経費がなくて困つておりまするので、ただいま申された予算の中にも、これが含まれておることを御承知願いたいのであります。
  36. 河田賢治

    河田委員 特別調達庁主管大臣お尋ねしますが、これは産業復興公団あたりも、取引上非常に安い値段で、業者に対して収賄を行いながら売つたという新聞の報道がありました。また大阪においても特別調達庁の役人が収賄事件を起しておる。京都等においてもそういう事件があつたそうであります。一体こういうことに対して、政府はどういう処置をとつておるか。どのような監督行政を行つておるか。その点をはつきりしていただきたい。
  37. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 いろいろそういううわさも聞くのでありまするが、私は政府所管大臣として、かくのごときことの将來起らないように、特別調達庁長官を通じて嚴重政府の意のあるところを申し入れて、今後とも監督嚴重にする決意であります。
  38. 川島金次

    川島委員 ちよつとお伺いします。この売拂い予定額資料を見ますると、運輸省、遞信省、大蔵省等特殊物件売拂い予定は、相当巨額に予定されておりますが、これらの省における特殊物件はどのようなものでありまして、その売拂いは省内にするか、それとも省外の商人に売拂いをする予定になつているのかという点につい  て、お尋ねをしておきたい。
  39. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 これは第一にもちろん外部の者に対して売拂うのでありますが、具体的に各省においてどういう状況になつているかというこの内容につきましては、現在手元数字がございませんので、もし御要求がございましたならばいずれお知らせいたしたいと思います。
  40. 川島金次

    川島委員 物件品目はどんなものですか。
  41. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 これは例の特殊物件でございますので、無数にございますから、おもなものだけでも数字をお手元に差上げようと思います。
  42. 北澤直吉

    北澤委員 資料として頂戴しました昭和二十四年度における物品売拂い予定額によりますと、解除物件については、昭和二十四年度において物品売拂い予定額として三十一億七千八百万円というものが計上してありますが、これは本年度内に大体売拂いができるというお見込みですか。
  43. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 一応の予定は立てておるのでありまするが、それについて政府において十分果し得るかどうかということは、先ほど申し上げました通り非常に不安に考えておるような次第でございます。
  44. 北澤直吉

    北澤委員 これは山口国務大臣所管ではないと思いまするが、産業復興公団につきましては、二十九億六千九百万円という売拂い予定になつておりますが、これにつきましても大体の予定であつて、確かな見通しではない、こういうわけでございますか。
  45. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 お説のように私の所管ではございませんが、先ほど申し上げましたような諸般の事情によつて相当見積り金額を下まわるのではないかと考えられる節が多々ございます。
  46. 北澤直吉

    北澤委員 こういう品物はなかなか売りにくいというのは、結局値段が高過ぎるという点にあると私は思うのでありますが、政府の方で思い切つて値段を下げて、なるべくすみやかに売拂つて国庫歳入を確保するというお考えはあるかどうか。
  47. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 お説の通り売拂い物件等に対しては、お役所の商売と申しますか、非常に下手でございまして、しやくし定規最初の買入れ値段を固守しておる間に、漸次物件が若及し、あるいはコストが下つて來る、こういうことがございますので、私どもの考え方といたしましては、たとえば一千万円なら一千万円という物件につきましても、現在の金詰まりの状況で、とうてい個々の業者等でそれだけ多額の金を用意しておる人も少いだろうと思いますから、できることならば会計法の一部を改正して、たとえば政府の信頼する金融業者の保証があるならば、物品売拂い代金を九十日とか、あるいは六箇月延納を認める、こういう時宜に適した措置を講じて、この金融梗塞の時代における新たな売拂い方法を考慮すべきである。私はかように考えておるような次第であります。
  48. 北澤直吉

    北澤委員 この解除物件につきましては、今度の補正予算におきまして、この解除物件の倉庫保管料としまして、二億五千万円見当計上されてありますが、倉庫業者などの陳情を聞きますと、これでは大体今年の十二月半ばごろまでの保管料は拂えるが、それ以後の保管料は拂えないのだというわけで、非常に心配しておるようであります。今年の十二月以降来年の三月までの保管料の不足分につきましては、政府は来年度予算に計上するおつもりでありますか。その点をお伺いいたします。
  49. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 特別調達庁関係だけで、今年の四月から八月末までで二億五千六百万円の倉庫料を費しております。毎月約六千万円の倉庫料を拂わなければならない、こういう次第でありますから、今後の保管料については、当然新たに国会に要求しなければならぬと考えております。
  50. 北澤直吉

    北澤委員 やはり倉庫の保管料の問題ですが、解除物件にならないで、LD物件として進駐軍の使用に充てられている物件が、相当倉庫に入つておるのでありますが、このLD物件に対する倉庫の保管料に対する今年の八月一ぱいまでの予算はとつてあるが、八月以降の分については何ら予算計算されていないというわけで、倉庫業者の方ではLD物件の倉庫料の支拂いに対しまして、相当心配しておるようでありますが、これに対し政府はどういうお考えを持つておりますか。
  51. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ただいま申された物件の保管料についても、当然政府が支拂うべきものでありまして、その支拂いの責任を負うべきものでありますがゆえに、今後予算的措置を講ずるのが当然であろうと考えております。
  52. 北澤直吉

    北澤委員 それでは今の解除物件に関する保管料、それからLD物件に関する保管料は、来年度予算に計上されると、了解してよろしゆうございますか。
  53. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 当然その措置を講ずべきものだと考えております。
  54. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに山口国務大臣に対する質疑はございませんか。
  55. 川島金次

    川島委員 所有財産の売拂いが、政府の思うように国民経済の事椿から行つておらないというお話であります。そこで最近物品売拂いをいたします場合、入札等について非常にきゆうくつな点があるところにも、そういう障害があるのではないかと思うのです。何か伝えるところによりますと、このような入札の場合には、できるだけオープンで入札希望者を募つてつてはどうかというような話が出ておるということでありますが、それをこういう場合においても政府は実施しておるのでありますか。またオープンに実施した場合におけるところの成績は、従来とどういう比較になつておりますか。その点を御承知でありましたならば、この際お尋ねしておきたいと思います。
  56. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 政府物件売拂いでありますから、もちろん全部がオープンでありまして、いわゆる公入札であります。ですから公入札と他の方法ということは、特別調達庁に関する限りあり得ないのでありまして、公入札がどうしても予定価格に達しない場合において、たとえば入札者のうちの一番高額な入札者から、これをとつて行くというような考え方もございます。また中には、さような方法をとつておるかと思いますが、私の申し上げるのは、このオープンの範囲を拡げまして、たとえば新聞で公告するとか、その他展示会を開くとかいうような方法を講じて、一般の方々に十分周知していただきまして、その上で入札を進めて行くという方法を講じなければならぬ。それには広告、宣伝費というようなものが足りませんから、その点も予算には織り込まれておるような次第であります。  なおまた各位にお願いしたいことは、私が各地をまわつてみましても、私自身が驚くような物件がたくさん山積みされておる。このようなものを委員会等において実地を御視察いただきまして、さらにこれをいかに公平に、より高くすみやかに売却するかというようなことに、一段の御助力を願えれば非常に幸いだと考えておるような次第であります。
  57. 川島金次

    川島委員 今の大臣のお話によりますと、條件のない公入札である。いわゆる建物その他の入札をさせる場合に、一定の指定をして、その指定の入札者に入札を受けさせるというのではなくして、全国に公告して、どのような者でもその入札に参加のできるような方法になつておるのですか。
  58. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 そうであります。
  59. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ただいま山口国務大臣のお話もありましたが、およそ官吏の商売というものは、民間人から見ますと非常に手遅れであり、また実質からかけ放れておるような点が多いと思うのであります。たとえて申しますと、品物を売買するような場合におきましても、その御用商人といいますか、あるいは御用下請人といいますか、わずかに出入りいたしております数人もしくは十数人に限つて、公売をする場合が多いと思います。これははなはだ旧来の官吏の弊であると思うのでありますから、これを除去いたしますには、やはり先ほど大臣の言われたように、新聞広告もしくは宣伝と申しますか、各人に行き渡るようにすることが、最もかんじんであると思いますから、ぜひ旧弊を改める意味におきまして、ある特定の下請人のみならず、多くの者に展示するということが最も必要でありますから、一段と大臣の御激励とともに、官吏の方々ももう少し碎けて、一般商取引にも便利になるようにおとりはからい願いたいと思いますが、それに対する御答弁を承りたいと思います。
  60. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ただいま川島君の御質問にもお答えいたしました通り、三宅委員は下請人と申されましたが、入札に対する下請人とか、あるいは指定商人とかはないのであります。ただ率直に申し上げますと、歳判所の公告のように、特別調達庁の入口に、小さい紙に、何と何との物件を何日に公売入札に付するというようなことを書く程度なのを、最近では私の方からもいろいろ督励いたしまして、ポスターを各地に張つて周知せしめるようにしております。しかしそれでも不十分でありまして、中にはちよつと手直したならば非常に高価に売れるというようなものもたくさんあります。たとえば製氷会社の設備であるとか、あるいは消防ポンプであるとか、あるいは中には馬数十頭というのがあります。また犬何匹というようなことまであります。ウエーストになるようなボロぎれであるとか、あるいは床板の山をなしておるようなもの、あるいはトランスであるとか、ガスの湯沸かしであるとか、なべ、かま、ふとんあるいは繊維製品、女中さんの使い古しのタオルから着物、じゆうたん、ガラス、木材はもちろん、建築資材一切、そういうものが全国の倉庫に山積されておるような状態であります。これをいかにして売るかということは非常に苦心を要するところでありまして、そのためにこそ、月々六千万円というような倉庫費を拂つているということが、はたして現在のこの財政の状況に照らして、これを見のがしておくということは非常に迂遠な次第であるという考え方から、私もみずから各地を視察いたしまして、特別調達庁にこれを至急に売り拂うように督促しておるような次第であります。何分御協力をお願いいたします。
  61. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 まことに明細な御答弁でありましたが、私はこの反対の場合、たとえば建築するような場合においては、わずかの人が、かりに五人か十人の者が談合し合つて、なるべくもうかるようにしようということがありましたが、今大臣のお話になりましたような小さいものでありますれば、ほとんど御用的に数人の者もしくは十数人の者に限られると思つております。そういうものはどちらかというと割合に安く、市価よりも安く三分の一くらいで買りようなことが過去に往々あつたのです。ですからそういうことは、今大臣のお答えにありましたが、ぜひほんとうの市価に近いような値段で売れるように、御督励せられんことを特に希望しておきたいと思います。
  62. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 せつかくのいい機会でありますからこの機会に申し上げますが、たとえば農村の器具です。噴霧器というようなものでも山と積まれております。だからそれを十箇すつなら十箇ずつ買いたい人があるでありましよう。あるいは全部安く買つて、もうけようという考え方もあるでありましよう。かくのごとき物件は、なるたけ広く人々に周知せしめて、たとえば先ほど申し上げましたような複数入札制度をとりまして、千箇であれば幾ら、しかし十箇であるならば多少値を上げでも買いたいというように、入札する人が自分自身で單位をきめて十箇ならば幾ら、百筒ならば幾らというような複数入札制をとつて、必要なものは個々にこまかく分配して上げる、そういうことも当然でなかろうかと思う。じゆうたんのごときものは、ほんとうに金額にしたならば驚くべき額に上るであろう。こういうものが風水害等によつてぬれますと、価格が一ぺんに下つてしまう。はなはだしきに至つてはセメントを長く置いておくとか、あるいは木材などは山積されて下の方は全部腐つてしまつて、パルプの原料にもならないというような状況であります。石九百円からで購入したものを、百円か二百円に処分しなければならない、こういう次第であります。この事情には、解除指令が遅れた事情も多少含んでおりますが、今後こういうものに対して、お説の通り十分世間に周知せしめるような方法をとりまして、なるべくただいまの談合とか、あるいはそういうふうなスキャンダルの起きないように、十分の注意をいたしたいと考えておるような次第であります。
  63. 北澤直吉

    北澤委員 一点だけお伺いしますが、先ほど大臣の御答弁によりますと、解除物件及びLD物件に関する保管料の不足分を、朗年度予算に計上されているということがありますが、そうしますと解除物件につきましては、今年の十二月から来年の三月までの保管料は、来年の四月でなければ支拂われないことになる。それからLD物件の方については、今年の九月から来年の三月までの分は九月にならなければ支拂われない。あらゆる業者は非常に困つております。政府からの支拂いが来年の四月まで延ばされるということになると、非常に金融上困つておりますので、何とかして支拂いを促進してもらいたいというふうな熱望が業者の間にあるようであります。特にLDの件については、終戰処理費の中から支拂われるわけであります。二十四年度分の終戰処理費は二、三百万円も余るというふうな話も聞いておりますが、そういうことでありますならば、LD物件に対する保管料は終戰処理費の中から拂つてもらえば非常によいと思うのであります。その点に関して、政府はどういうふうな御交渉をしておりますか。
  64. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 終戰処理費から支拂われ、いつどうというようなことは、私は詳細にお答えのできるだけの資料をただいま持つておりません。しかし北澤委員の言われること自体が、私には受取れない説があるのであります。と申すことは、政府は自己の財産を売り拂う場合には、保証金を積ませて現金で徴収する。政府の方が支拂い勘定になる場合には、いつまでも延期するというようなことがすでにおもしろくない事柄でありまして、支拂うべきものはすみやかに支拂うのが当然であろうと思う。いろいろな方面におきまして、特に特別調達庁のあるいは修繕費であるとか、あるいは建築費であるとか、こういうようなものが三箇月も、四箇月も、五箇月も支拂いが延期されておるというようなことも非常におもしろくないことでありまして、政府も民間も同一の立場に立つて取引することが民主的である、かように考えておりまして、政府拂いならば二箇月や三箇月は当然遅れるというようなあきらめが、むしろわれわれにはけげんにたえないと考えておるような次第であります。
  65. 北澤直吉

    北澤委員 ただいまの大臣の御答弁で業者も非常に満足するものと思いますが、どうぞこの上とも支拂いの促進につきましては、御考慮を願いたいということを要望しまして質問を打切ります。
  66. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 今の大臣のお話でよく了解できますが、私は自分の承知しておるところで、現在の品物が売れないということの根本には、一体特別調達庁があれを買い入れるときのいろいろないきさつを大臣は御存じであろうと思います。とにかく買い入れるときに、その当時の相場としても非常に高い物が買われておる。またいろいろの事情から、満足すべからざる品物も入つてつたのであります。それが蓄積されて来て、先ほどのお話のようにいろいろな問題か起つて来ておりますが、私の考えはあるいは非常にとつぴであるかもしれませんけれども、先ほどの噴霧器であるとか、その他日常使われるような商品については、これは信用のあるデパートとか、もしくはその他のところへさし値で委託販売する、また修理を要する場合には、委託販売者に対してその当然のものは見てやるというようにした方が、今の入札制度で行くよりは早くてよく売れるのじやないかと思うのですが、こういうことは政府の仕事としては困難でございましようか。
  67. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 お説の通り、買入れは終戰のどさくさ当時からのものでありまして、たとえばどこどこに何方の進駐軍が上陸する、これに対する一切の設備をせよと言つて来られたのに、その半数に実数は満たなかつた。そのために寝台が莫大の数そのまま置かれておるとかいうようなこともありましようし、また連合軍の命令によつてすみやかに買い入れるために、いろいろの事情が伏在しておつたかと私も承知しております。そこでこの売拂いの問題でありまするが、お説のごとくデパート等に展示会を設けられて、直接正札をつけて売るというようなことも、何も政府のものであるからといつて、皆さん方の叡知によつて考案された最もよき方法が採用されないということは私はないと思います。何か採用することのできないそこに隘路があればこれを打開する。官庁だけでいけなければ国会によつてこれを打開していただいて、よりよき方法によつて、より高く、より早くこれを売却してしまうというようなことは、一に最終的決定国会の権能に属する、かように私は考えておりまするがゆえに、各位におかれましても何とか時間を差繰つていただきまして、実情を御視察いただいて、これをいかようにして行くべきかということについて、われわれどもに御助力を賜わりますれば、非常に仕合せだと考えておるような次第であります。
  68. 川島金次

    川島委員 大臣の先ほどのお話によりますと、全国の倉庫に衣料も相当山積の状態であるというようなお話であります。その中でじゆうたんというようなお話がありましたが、ここでちよつとお尋ねしますが、着られるものはあるのでありますか。
  69. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 金巾と申しますか、そういうものも相当数量保管されております。ご承知通りその中には統制品があるのでありまして、安本のクーポンを持つて行かなければならぬというような隘路もあるようです。ですからこの品物相当保管されておるということを周知せしめたならば、クーポンを持つた業者がそこに参つて引きかえにこれをもらうというような方法も講ぜられるのでありまして、こういうことも一応周知せしめなければならぬと考えております。
  70. 川島金次

    川島委員 それからもう一言、大臣のお話によりましてわかつたのですが、木材がこれまた厖大な数に上つておる。昨今各府県とも勤労者の住宅問題あるいは六・三制実施に伴うところの校舎の増築あるいは新築、改築、こういつた問題についてずいぶん財政的にも困難を感じ、なかなか思うように行つておりません。そこで木材などがどの地点にどのように分布されておるのかわかりませんけれども、そういうことに即応して、何らか政府は親切な手を打つような方法考えれば、また府県の住宅問題につきましても、あるいはまた小学校、中学校の改築、増築等に非常に役立つて行くことでありまして、やがて政府所有する品物のはけ口がきわめて促進されて行くのではないか。両方のためになるということにもなるのではないかと思うのでありますが、そういうことの方向に進まれるような御意見を持つておられましようか。
  71. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ごもつともな御質問でありまして、もちろんそういうことを考えておりまして、たとえば特別調達庁から公共団体へということでありますならば、そこに何らのスキヤンダルも起きないわけでありますから、そういうふうなところには相当單価を安く便宜をはかつてもさしつかえないではなかろうか。ただその団体も多数ある場合においては甲乙がつきますから、そこでまた希望者に公平に入札をしていただくということも考えられるでありましよう。また建築資材でありますが、資材が非常にへんぱでありまして、たとえば床板がたくさんあつてみたり、あるいはぬきがあつてみた、り、あるいは背板であつても幅の狹いものがたくさんあつてみたり、ただちにそれが建物に活用されるということがないので、一般商売人は非常に頭を働かして、いいものから先にとつてつてしまうというようなこともありますから、なるたけ世間に周知せしめて、ほしい人に、ほしいところにその品物を売り拂うというようなことがなければならぬと考えております。ただいまの消防ポンプのようなものでも、公共団体等で非常にほしがつておられるところがあるであろうと思う。そういうところにも知らせて上げる。必要であれば特別調達庁に命じて、大体の資料等を皆さん方のお手元に届けてもよろしゆうございます。私はこうして大蔵委員会を通じて、幾分ともこれが世間に周知されることができるならば、非常に辛いだと考えておるような次第であります。
  72. 河田賢治

    河田委員 先ほどの話と関連いたしまして、官庁用で使えるものはこれはお使いになつておるのですか。解除物件の中に官庁用として使えるような器具とかあるいはいろいろな品物がありましようが、そういうものを購入する場合に、外部の商人から買わずにこの解除物件を使用する、そういう方針でおやりになつておるのですか。その点を伺います。
  73. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 これも官庁同士の横の連絡等が不十分でありますので、御説のような方向に向つておらぬようであります。
  74. 河田賢治

    河田委員 保管料やあるいは経費が売りさばきのために非常にかかつておるのでありますが、たとえば引揚者あるいは戰災者等にいろいろ弊害のないような方法で無料で配付するとか、あるいはきわめて低廉な価格でこれを売りさばく。そうしてできるだけ他の一般商人から市価でもつて購買しないようにして、生活の補助をこの面からも助成する、こういうことをお考えになつておりますか。
  75. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 その点は特別調達庁から直接引揚者に持つて行くというようなルートは、やはりかえつて弊害を起すかもわかりませんから、厚生省なりその他の省を通じて、あるいは農家の必要なものは農林省を通じて出すとかいうようなことにいたせばどうかと思います。それも何と河とあるかということを先に世間にお知らせすることが、一番先決問題ではないかと思つておるような次第であります。
  76. 河田賢治

    河田委員 第一こういうふうに物がたくさんあつても、一般勤労者には物がなく、また購買力がなくて困つておる。これは言うまでもなく吉田内閣の経済政策の失敗を物語つておる。当初の予算でも物が売れるものとして予算が組まれる。それがれ売なくてまた追加予算で保管料やあるいは経費を計上しておる。われわれ国民の税負担をいやが上にも高まらしておる。しかも官庁の消費についてもこれまで適切なる連絡ができていない。あるいは厚生省に対して、いろいろ戰災者やあるいは引揚者等に対する物資の給与の面でもできていない。まるつきり官庁のいわゆるセクシヨナリズムで、何らの連絡ができていない。こういうところに今日の吉田内閣の失政の一つがやはり現われていると私は思います。だからこの点につきましても、政府嚴重にそういう点を考慮して、單に大蔵委員会品物があることを皆さんに了解してもらつて、売りさばいてもらいたいと、われわれをまるで特別調達庁の下請人のようにお考えになることは、むしろ山口国務大臣が責任をわれわれの方に転嫁されることになる。これはけしからぬと思う。従つて私たちはこういう現在山口国務大臣考えておられるようなことでなく、ほんとうに国民の生活を安定させるという方向に、このすべての解除物件等が売られて行く、そうしてそのためにはできるだけ国民生活を満足させる、そういう方針のもとに今後この行政措置をやらなければならぬと私は思うのであります。そうでないならば、いつまでたつてもこの保管料や経費あるいは品物の減耗というものが起りますから、この点を私たちは強く要望すると同時に、このように大資本家がどんどんただで買つて延納ができたり利子も拂わぬとか、あるいはまたその間にスキヤンダルでも起りそうなこういう問題に対して、私たちはもうこの法案には反対しておりますが、とにかくこれが運用に対しては政府はここで反貧して、そうして国民生活の安定に真実に寄与する方向に向うことを私たちは嚴重に警告をして、一応私たちの態度をはつきりして、おきます。
  77. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 私は先ほどまでは事務的にいろいろ皆さん方の御協力を仰ぎ、かつお答えを申したのでありますが、この吉田内閣云々という政治問題になりますと、私の方にも一言費しておかなければならぬ。と申すことは終戰以来この物件が山積されておつたのでありまして、吉田内閣が成立し、私が特別調達庁所管大臣になつてから、これは非常に不経済なことであるというので、再三再四進駐軍当局と御交渉を重ねた結果、やつと八月一日からこれを売りさばいてよろしいという許可を得たのでありまして、その以前のことについての責任を吉田内閣に転嫁されることには、私は非常に不満を持つものであります。いろいろ木炭等の問題等も議会で論じられておるようでありますが、やつとこれが解除物件を売り拂つてもさしつかえないという指令を受けたのは、われわれの努力によつて本年八月一日からこれを許可されたということも、あわせてご承知を願いたい 従つて今新たなる問題として、皆さん方にご相談をし、御答弁を申しておるような次第でありまして、吉田内閣云々ということに対しては、私も政党人でありますから猛然として立たなければならない。
  78. 北澤直吉

    北澤委員 この国の所有に属する物品等の売拂代金納付に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、十分質疑も行われたようでありますので、この程度質疑を打切りまして、討論を省畧しまして採決に入られることを望みます。
  79. 川野芳滿

    川野委員長 北澤君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますので、国の所有に属する物品売拂代金納付に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  81. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書の作成その他の件につきましては、委員長に御一任願います。     —————————————
  82. 川野芳滿

    川野委員長 次は輸出信用保險特別会計法案議題として質疑に入ります。質問はありませんか——それでは午後にまわします。  それでは午前はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開いたします。     午前零時十五分休憩      —————・—————     午後一時四十四分開議
  83. 川野芳滿

    川野委員長 午前に引続き会議開きます。  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案議題として討論採決に入ります。討論は通告順序によつてこれを許します。田中啓一君。
  84. 田中啓一

    ○田中(啓)委員 ただいま議題になつております食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案は、食糧管理特別会計の借入れ限度を千五百億円から千七百億円にするという点、並びに本会計歳入不足を補填するため、昭和二十四年度において一般会計から百七十億九千三百万円を限りこの会計に繰入金をすること、こういう二点であります。この会計はわが国主要食糧のうち国内産で配給にまわるもの全部を買い入れ、また輸入食糧をこれに補いまして、その額は莫大の額に上るのでありまして、これに見合いますところのものは食糧証券を発行いたしまして、これをもつて買い入れるのでございますが、本年一月ごろの買入れ最盛期におきましては、食糧証券は千五百億円ではまかない切れぬのでありまして、これを二百億増額することによりまして初めてこのピークを越すことができるのであります。従いまして借入れ限度のの千五百億円を千七百億円にすることは、適切なる改正であると思うのであります。次に昭和二十四年度末における本会計の持つ主要食糧数字は、これまた莫大なものでありまして、昨年においては国内産並びに輸入食糧を合せまして、約三百万トンを持ち越したのでありますが、これに見合つております食糧証券の額は千百八十億円でありました。しかるに本年は持越量が非常に多くなる見込みでありまして、約八十万トンを増加いたします。従つてそのときの見合いになつております食糧証券も、当然約百七、八十億円の増加を見るべきであります。しかしその際における食糧証券の額は、昨年二十三年度末における発行額以上になつてはならないと思います。年度末において政府の借金によりまして、日銀券が多く昨年度以上に出ておるということは、今日いわゆる経済安定の九原則から見まして不適当である。かような考えに基きまして、その分は一般会計より本会計に繰入れまして、この八十万トン分の食糧年度を持越そうとしておるのであります。この点は食糧証券の増加によるべきか、あるいは一般会計よりの繰入金によるべきかということは、むろん財政経済を通じまして大きな問題であると思うのでありますが、わが国がなお経済安定の原則を引締め引締め行きます際におきましてはこれまた適当と存じますので、私どもはこれまた賛意を表するものであります。  これを要するに民主自由党は、本改正案を適当なりといたしまして、賛意を表するものであります。
  85. 川野芳滿

    川野委員長 川島金次君。
  86. 川島金次

    川島委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本案に反対の意を表明するものであります。  本案の最も根本的なかつ重要な焦点は、特別会計の赤字補填を一般会計からの繰入れにするか、それとも食糧証券の発行によつて特別会計の運用を切抜けるかというところに、重要なポイントがあろうと考えております。政府は、先般來の総理大臣の施政演説及び池田大蔵大臣の財政演説、さらにまた本大蔵委員会におきまして、日本経済はすでに安定の域に達しつつある。従つて、ことに私が先般池田大蔵大臣にその点について関連して質問しましたときに、すなわち日銀券の増発は今日の段階においては限度はあるけれども、多少のことは憂えるに足らない、こういうことを大蔵大臣はこの委員会の私の質問に対しても言明をされておるのであります。ことにこの特別会計において一般国民負担に帰する形になるところのこの資金の繰入れを行うということは、さなきだに日本の、ことに国民勤労大衆の経済生活がきわめて窮乏を告げており、あまつさえ一方においては政府の総合的なデイス・インフレ政策が逆に深刻な金融難を来して国民経済はきわめて困難を倍加しておるという実情であると同時に、かてて加えて国民ことに勤労大衆の税金はこれまた一向に改正されず、明年かりに一月から所得税の改正があるといたしましても、一方においては勤労大象の生計に、補給金の削減による物価の高騰あるいはまた運賃の値上げその他の事情からいたしまして、国民全体としての負担はいよいよ過重を加えようといたしておるときでございます。そのときにあたりまして、ことさらにこの特別会計において、今回限りこのような一般会計の繰入れによつて行うというその操作の仕方につきましては、われわれは伺意いたしかねるのであります。もし政府の言明通り、多少通貨の増発は国民経済及び財政の上においてあまり影響がないと確信をいたしておるならば、ことさらに国民の負担に帰する形になるような、困難な国民経済の中からこれをことさらに吸收して、特別会計に繰入れるという措置をとることは、きわめて政府の言明と矛盾をいたしておるというようにわれわれは感ずるのでございます。ことに見送り資金勘定の使途につきましては、目下国民全体からこれまた注視の焦点であります。私どもからいたしまするならば、この際特別会計と見返り資金勘定とは、これ不離一体な形にもありますので、もし通貨の増発をさほどまでにおそれるという形においてこのことがなされるならば、見返り資金勘定からもこのような方面への繰入れをして、その操作をなすことも可能ではないかと私は考えておるのであります。こういう意味合いにおきまして、私は單に国民の負担の上にこれを吸收しようという政府考え方には、重ねて申し上げますが、同意いたしかねるのであります。ごとに今回政府輸入食糧の問題は、政府が国民全体の本年度食糧事情を勘案して、当初におきましては二百二十九万トンの食糧を外国から輸入すれば、事足れりという確信と見通しを持つておつたにかかわらず、実に二百九十万トンの輸入食糧が入つて来ることになつたのであります。この二百九十万トンの兵糧が入つて来るということは、必然的にさなきだに窮乏と狼狽を続けております日本の農村経済にも、きわめて重大な影響があるのでありまして、この輸入食糧の問題につきましては、政府は根本的に計画的にこれを実施するという方向に持つて行き、しかして日本の国内食糧事情の操作と、並びに農村経済をも十分に勘案をいたしました諸計画を立てなければならないにかかわらず、農村経済は手をこまねいて放置した形に置きながら、一方において輸入食糧がいたずらに無計画の中に増大を来すということは、一層農村の窮乏を重ねる形に相なつて、農村経済の破滅の度合いはいよいよ濃厚になるであろうということを、われわれは危惧にたえない次第であります。  簡單ではございますが、以上申し上げました二点にわれわれは重点を置きまして、この法案には賛意を表しかねるのであります。  最後に、ことに申し上げますのは、先般来われわれ委員会におきまして政府当局に種々質問をいたしたのでありますが、その結果がきわめてあいまいもこであり、われわれ国民がこの特別勘定について納得のできるような答弁が、一つもなされておらないという事柄であります。ことに国民大衆が注視をいたしておりますところの、明年度一月一日から埴上げを実施さるべきであろうと予想される、すなわち消費者価格生産者価格との間における公団の手数料については、いまだ何ら具体的な答弁が得られないというところに、われわれは大きな疑問をさしはさむ一人であるのであります。政府はすべからくこれらの問題についても国民の前にすみやかに公表し、国民に真に心から納得せしめるような態度に出るということが、きわめて緊急かつ必要なことであろうということを強く警告を発しまして、本案に反対の意思を表するものであります。
  87. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  88. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党野党派を代表しまして、本案に対して反対をするものであります。その二、三点の理由を申し上げます。  本件の場合は運転資金の不足補填である限り、借入金でまかなうのが当然であります。現に法律でも借入金制度によつているにもかかわらす、税金收入をもつてまかなうことは適当でないという考えであります。  第二点はインフレ防止対策として考えることも、借入金で一向支障ないはずである。輸入食糧——輸入されれば必ず代金は回收されるわけであります。その間の單なる一時的つなぎ資金たる性質のものであるから、何らインフレの原因となる理申は存在しないのであります。  第三点の理由として、いわんや食糧証券の年度末の残高を、前年度末と同額の千八百八十億円すえ置くことが必要だと言われるがごとき政府説明は、顧みて他を言うものであります。従つて税金支弁によらんとする政府案より、借入金によることにより少くとも百七十二億円だけを、農業所得税等の軽減に充つべきであり、しからずとも土地改良その他積極的財源として活用することが、現下の国民的要望にこたえるゆえんであります。以上三点の理由を上げまして本案に反対するものであります。
  89. 川野芳滿

  90. 深澤義守

    深澤委員 ただいま提案されております食糧管理特別会計への繰入れを内容とする法律案に対しまして、日本共産党を代表いたしまして反対の意思を述べるものであります。  まず池田大蔵大臣はその施政演説におきましても、この特別会計への繰入れはただ資金の運転の操作のためであるというぐあいに言われておるのでありますが、これはそうでなくて、まつたく赤字補填のためであるということが、われわれの反対の第一点であります。現在食糧管理特別会計が持つておるところの赤字は、農林大臣も明確にされましたように百三十億あるのであります。しかもその中の半ばは、公団のいまだ納入せざるところの納付金があるのであります。しかるに二十三年度末における公団の決算によりますれば、公団は預金を五十四億円も持つているのであります。公団自体は預金を持つていながら政府に対しては未支拂いをやつておる。この公同経理こそ、最近全国民の疑惑の的になつております問題でありまして、食糧の操作をめぐりまして幾多の疑惑が全国的にあるのでありますが、こうした公団自体の経理に対して嚴重監督と監査を行うことによつて、われわれは国民の納得をするような努力をしなければならない責任が政府にあるにもかかわらず、公団の預貯金はそのままに許しておいて、政府ヘの納入金の延滯を認めておるということはまことに不可解千万であります。さらにその他の赤字の問題につきましても、幾多の疑惑があるのでありますが、こうした赤字を埋めるために、政府は一応本年度におきましては早場米を初めといたしまして、普通供出に対しましても非常に嚴格な検査を行いまして、この赤字を埋めようといたしております。さらに超過供出価格の三倍を二倍に切り下げたということも、この食管の赤字を埋めるひとつの努力ではないかとわれわれは考えることができます。さらに去る四月にこの消費者価格を埴上げしたのでありますが、これは時期違いの値上げであつたのであります。そのときには一箇年間はもはや消費者価格を上げないということを、農林大臣は公約しておるにもかかわらず、このたびの政府言明によりますれば、来年一月から値上げするということになりまして、この消費者価格の扱いにつきましても、政府は公約を裏切つているのであります。こうすることによつて食管特別会計が持つておるところの赤字を、何とかして解消しようとして政府は努力しているのでありますが、それが遂にでき得ずして、一般会計から国民の税負担によつて赤字を埋めようとすることが、この繰入れに第一にわれわれの反対する点であります。  第二の点といたしましては、食糧輸入が増加いたしまして、そのために補給金の支拂いが非常に多くなりましたが、そういうことのためにこの食管特別会計の金が、資金繰りが増加の状態になるということが第二の理由でありますが、われわれはこの輸入の食料がますます増加することに対して、政府はまつたく対策が講じてないのであります。この問題につきましては、われわれといたしましては何故こうした輸入食糧によつて日本食糧問題解決を依存しなければならないかということに対しましては、常に意見を発表しておりますように反対であります。日本の今日の食糧事情から申しまして、米麦だけでも八千五百万石の収穫があるのであります。かんしよ、ばれいしよを含めますれば九千九百七十万石の収穫があるのであります。現状においてすらこれだけの収穫がある。政府がもう一段と国内における食糧の自立政策を樹立いたしまして、農地改革にいたしましても土地改良にいたしましても、開墾あるいは干拓等の諸措置に対しまして政府が熱意をもつてやるならば、日本における食糧自給は決して不可能でないことを、私は常に主張しておるのであります。しかるに政府はこの国内の食糧自給のためには何ら誠意を持たず、ひたすらに外国食糧輸入に依存しておるという傾向が強くなつているのであります。その結果といたしましては、最近における世界的な食糧過剰のために、この過剰なる食糧がとうとうとして石本に侵入して参るという傾向になつているのであります。最初計画いたしました食糧輸入が非常に増額したということに対しましては、森農林大臣自体が、農林委員会におきまして援助の増加と申しましようか、非常に食糧輸入がふえて来たという言葉によつて表現されているように、まさに必要欠くべからざる食糧輸入でなくて、いわゆる国際的な食糧過剰の影響が日本に現われて参りまして、そのために内地農業が非常な圧迫をされるという結果になるのであります。そういうことのために輸入食糧の増加が結果いたしまして、食管特別会計の操作が一般会計から繰入れなければ操作ができないという状態、これは政府食糧の解決が輸入食糧依存主義であるという結果に原因しておるというこの問題に対しまして、われわれはどうしても賛成することができない。よろしく国内食糧の自立方針を確立して、輸入食糧に対する依存政策を一擲せよという観点からも、われわれはこれに対して反対せざるを得ないのであります。  さらにその次には鉄道運賃が八割来年一月から値上げされることによつて食糧操作の面において五百四十五億円の費用が増加する、こういうことも一つの理由になつておるのでありますが、これはまさにわれわれが主張しておるがごとくに、吉田内閣の政策は運賃値上げ等によつて多くの物価に影響いたしまして、国民の生計費をつり上げる結果になり、実質賃金等の問題におきましても低下するということを、常にわれわれは主張しておつたのでありますが、はしなくもここに鉄道運賃の賃上げが、一般食糧の問題に対しまして非常な影響を与えることが、はつきり暴露されて来ておるのであります。まさに吉田内閣のこの食糧政策や運賃政策、それから食糧管理特別会計等の経理の拙劣さが、こうした一般会計予算の繰入れをしなければならないという結果になつてつたのであります。この赤字、食糧輸入のための操作の資金増額、運賃値上げのための資金増額、こういう一連の吉田内閣の政策が、国民の税によつて負担されるという結果になるのであります。こういう意味における食糧管理特別会計ヘの一般会計からの繰入れに対しましては、日本共産党は断じて反対しなければならないという意見を申し述べるものであります。
  91. 川野芳滿

    川野委員長 内藤友明君。
  92. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 私は新政治協議会を代表いたしまして、この法律案には反対いたすものであります。  その反対の第一の理由は、この特別会計内容をよく調べてみますると、本年の四月消費者価格を引上げましたために、当時政府の持つておりました米の値上りは百億万円になつております。この百億万円というものは政府は黒字だと計算しているのでありますが、この百億万円は当然農民に返すべき金であります。従来農業者は、食糧供出制度のなかつた時代におきましては、平均売りをしておりました。出来秋から翌年の端境期まで平均に売りまして、自己の家計をまかなつてつたのであります。しかるに食糧事情がかようになりましたために供出制度が行われまして、出来秋に一時に政府に売り渡すことになつたのでありますが、その後政府生産者から買いました米を四月に値上げいたしました。その値上げによる値上り価格が百億万円、これは当然農民が受取るべき金であります。それが食糧管理特別会計におきましては、政府は自己の收入にいたしているのであります。これは私どもはどうしても承知することはできません。ことに昨日も本会議で通過いたしましたが、シヤウプ博士は十月一日にさかのぼつて農民の減税をやりなさいという勧告をいたしているにもかかわりませす、政府はこれを拒否しております。こういうことでありまして、農民はどこを向きましても入方ふさがりであります。でありますから私は、せめて政府の手持米の値上り価格だけは、これはぜひとも農民に返すべく、それがまた次の増産になるのだと信ずるのであります。この点におきまして私はこの法律案に賛成することはできません。  もう一つは、先ほど反対の皆さんの意見の中にもありましたが、繰入れます百七十億という金は、百九十万トンを輸入いたしますに要しまする賞金は百八十九億であります。その百八十九億から今までの赤字黒字差引黒字十九億になるのでありますが、それを差引いた残りが百七十億であります。従いまして今日のこの食糧管理特別会計は外米の操作、その操作のためにいる金、それが百七十億であります。従つて私どもから申しますならば、この百七十億というものを内地農業に適当に使うことができましたならば、私は百九十万トンの増産はあえて不可能とは申しません。従いましてこういうところから考えますると、政府はまことに安易な食糧政策をとつておられます。この安易な食糧政策がやがて日本食糧政策を混乱に陷らしめます。輸入することのできる時代ならばそれでいいかもしれませんが、やがて日本が、講和会議が開かれまして自主性ができました後において、この安易な食糧政策がどういうことになるかということを考えますと、私どもはどうしてもこの安易な食糧政策に対しては賛成することはできません。この狹い国にこの大勢の民族を養うには、何といたしましても私どもはしつかりした食糧政策を立てなければならぬと思うのであります。しかるに今日の農村に対する政府の施策を見ますると、何一つありません。昨日も申したのでありますが、今度の補正予算のどこを探しても、土地改良費は一文もないのであります。農業災害復旧費はわずか二十一億、すずめの涙より少いのであります。農村金融対策はまつたくゼロであります。こういうことでどうしてこの大きな食糧問題を解決することができるか。私は心配でならぬのであります。こういうふうなことを考えますると、私どもは今日政府がとられております安易な食糧政策には、この国の将来を考えまするとどうしても賛成することはできません。こういう意味におきまして私はこの法には何と申しましても反対するものであります。これは反対するがために述べる理由ではありません。本当にこの国を心配するあまり申し上げる反対なのであります。
  93. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。  これより食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案議題として採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  94. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決されました。  なお報告書の作成その他につきましては委員長に御一任を願います。     —————————————
  95. 川野芳滿

    川野委員長 次はこの際請願の調査の件についてお諮りいたしまするが、請願件数は本日の日程に載せてある百二十三件で、これを一々本委員会にかけて審査するひまがございませんので、請願審査のための小委員会を設置し、小委員会において愼重に審査いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 川野芳滿

    川野委員長 御異議ないようですから、請願については小委員会を設置して椿費することに決定いたします。  なお小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 川野芳滿

    川野委員長 御異議ないようでございますので、それでは小委員長及び小委員を指名いたします。   小委員長 前尾繁三郎君   小委員    小山 長規君  北澤 直吉君    西村 直己君  三宅 則義君    川島 金次君  宮腰 喜助君    内藤 友明君  河田 賢治君 以上であります     —————————————
  98. 川野芳滿

  99. 川島金次

    川島委員 この法案説明を簡單に先般承つたのでありますが、この法案の表でありまするものは輸出信用保險制度であります。この保險制度に関してわれわれはまだよくのみ込んでおらない点がありますので、まず内容に入つて質疑を申し上げる前に、ただいまの保險制度の内容について、できるだけ具体的に説明願いたいと思う。     〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
  100. 前野直定

    ○前野説明員 御説明申し上げます。御承知のことと思いますが、このたびローガン構想に基きまして、わが国の輸出入ともに広汎に民間貿易に移行されることになりまして、それに関連いたしまして金融機関も、従来行つておりませんでした輸出為替の買取りという事務を、やはり実施することになつたわけでありますが、現在わが国の状態といたしまして、海外には何らの出先機関も持つておりませんし、輸出業者といたしましても海外に何らの支店、出張所等も持つておらない関係上、いわゆるわが国といたしましては、貿易につきましてはまつたく盲貿易状態であるわけであります。従つて民間貿易に移行いたしました場合に、為替銀行が輸出手形を買い取ります場合に、買取りの信用を与えますにつきまして唯一の担保となりますものは、その買い取りました手形が確実に支拂われるかどうかという点と、それから輸出業者の国内における資産能力いかんという、この二点以外に為替銀行といたしまして、いわゆる担保価値を見得るものがないわけであります。ところが現在終戰後の輸出業者は小輸出業者が濫立いたしまして、その国内の資力におきましても、輸出金額の増大に比しまして、その国内の担保資力というものもはなはたおぼつかないような状態でありまして、金融機関といたしまして唯一の担保力と見得るものは、買い取りました荷為替手形が確実に落ちるやいなやという点が、唯一の担保になつておるようなわけであります。ところが先ほども申しましたように、わが国といたしましては海外の市況にもうとくかつ外国における輸入業者の信用等の調査等につきましても、十分な調査もいたしかねるというような状態でありまして、この欠陥を何らかの方法によつて補正せざる限り、わが国の輸出貿易というものは伸び得ないのではないか、こういうふうに考えられるわけであります。従つてこの法案の目的といたします点は、ただいま御説明申し上げました欠陥をカバーすることをもつて、その目的といたしておるわけでありまして、この法案の大体のよりどころとしてとられましたものは、現在英国で行われております輸出補償法が大体その基礎になつております。大体の立て方を御説明申し上げますと、英国の補償法におきましては、政府が直接輸出業者と保險契約を結びまして、その保險契約によつて輸出契約について生じました損害を、政府がその保險によつて保險するというような建前になつておりますが、わが国におきましては、まだ政府当局におきましても、十分な機構の整備もできておりませんし、かつ保險業務につきましては、保險会社がより業務に習熟しております関係上、政府輸出業者との中岡に保險会社を入れまして、まず保險会社が輸出業者との間に保險契約を締結いたしまして、その保險契約を締結いたしますと、それが自動的に政府と保險会社との間で締結してあります包括保險契約に基きまして、保險会社から政府の保險契約に移行するという建前になつております。従つて簡單に申し上げますと、再保險のごとき様相を呈しておりますが、再保險でございますと、再保險に付するか付さないかという点は、保險会社の意向にかかるわけでありますが、この建前では保險会社の意向にかかわらず、すべて保險会社と輸出業者との間の保險が締結されれば、自動的に政府と保險会社との包括保險契約の中に移行して来る建前になつております。それで包括保險契約は大体毎会計年度ごとに、政府と保險会社との間で締結されることになつておりまして、その保險金の総額は、国会の議決を経た金額の範囲内において、包括保險契約を締結するという建前になつております。  それでは保險金額はどういうふうになるかと申し上げますと、大体輸出業者と保險会社との関では、輸出業者がこうむりました損失の八〇%を限度といたしまして、政令で定めます填補率を乗じました金額を保險会社は輸出業者に支拂うそうしての、保險会社が輸出業者に支拂いましたその損失額を、政府は保險会社に包括保險契約に基きまして支拂いを行う、こういうかつこうに相なつております。保險の対象となりますものは、輸出のために振り出しました荷為替手形及び為替手形でありまして、ただ非常に長期にわたります荷為替手形につきましては、この保險の対象となる手形からは除外してあります。その点は第五條に書いてあります満期日が、振出日から百五十一日以上または一覧後百二十一日以上のもの、あるいは手形金額が実際の輸出貨物の契約金額を越えるような手形は、この対象にはならないことになつております。  それから先ほど申しました輸出業者がこうむりました損失は、どういう原因に基いてこうむつた損失でも、すべてカバーするというわけではございませんので、大体その損失の発生しました原因は、仕向け国におきます輸入制限とか、あるいは為替取引の制限とか、あるいは仕向け国におきます戰争とか革命とかあるいは内乱とか、そういう輸出契約の当事者の責めに帰することのできないような原因に基きまして発生しました損失を、カバーするという建前になつております。考え方といたしまして国内の事情に基いて発生しました損失は、この保險原因には相ならないことになつておりますが、ただこのたび並行して御審議願つております外国為替及び外国貿易管理法の規定に基きまして、輸出の許可を得なければならないようなことになつております。契約が特別の事情によりまして、その輸出の許可が取消されるとかいうような事態のために、損失が発生したというような場合には、やはりこの保險の保險する原因に相なつております。ただ、以上のような原因に基いて損失が発生いたした場合でありましても、その保險会社あるいは当該輸出業者の間に何らかの不正行為が介在するもの、あるいは御審議を願いますこの保險法の契約の條項に違反した場合とか、あるいは損失がはつきり発生する懸念がある場合にもかかわらず、その損失を免るるための万全の行為をしないような場合には、この保險法に基きまして保險はいたさないことになつております。  それからこの保險法を運用して行くにつきまして、審議会を設けることにいたしております。名称は輸出信用保險審議会で、通産省に設けることにいたしております。通産大臣が会長になりまして、その下に九人以内の委員をもつて組織することに相なつております。委員は大体関係官庁の職員と、貿易または金融に対しまして学識経験のあります方から、通産大臣が任命いたすことになつております。大体任期は二年といたしてあります。この保險審議会の行います内容は大体諮問機関でございまして、政府と保險会社との間あるいは保險会社と輸出業者との間の、保險料の問題あるいは損失の填補率の問題、それからその他通産大臣取引上非常に危險が多くなつて、この現在の保險料率ではカバーできないというような事態が発生いたしました場合に、その輸出契約ごとに保險金の限度をきめたり、あるいは包括保險契約を解除したりいたします場合には、の審議会に諮りましてそういう緊急の措置をすることになつております。  以上がこの保險法の大体の仕組みになつておるわけでございます。以上で御説明を終ります。
  101. 島村一郎

    ○島村委員長代理 本日は選挙法改正委員会が二時からこの部屋を使用することになつておりますので、ただいま同委員会からも申入れが特にございましたので、一時休憩いたします。     午後二時三十二分休憩      —————・—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕