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1949-11-28 第6回国会 衆議院 大蔵委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十八日(月曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 小峯 柳多君 理事 小山 長規君    理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 林  百郎君    理事 内藤 友明君       江田斗米吉君    岡野 清豪君       佐久間 徹君    高間 松吉君       田中 啓一君    塚田十一郎君       苫米地英俊君    中野 武雄君       西村 直己君    三宅 則義君       宮幡  靖君    田中織之進君       中崎  敏君    宮腰 喜助君       河田 賢治君    深澤 義守君       中村 寅太君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         農 林 大 臣 森 幸太郎君         出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         (主計局法規課         長)         大蔵事務官   佐藤 一郎君         (主税局長)         大蔵事務官   平田敬一郎君  委員外出席者         大蔵事務官   杉山知五郎君         農林事務官   清井  正君         農林事務官   金城 順隆君         会計検査院事務         官       池田  直君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君 十一月二十八日  委員小西英雄君、山口六郎次君、田中織之進君  及び鹿野彦吉君辞任につき、その補欠として鹿  野彦吉君田中元君、佐々木更三君及び福田喜  東君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  旧軍関係債権の処理に関する法律案内閣提出  第一七号)  所得税法臨時特例等に関する法律案内閣提  出第三三号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三四号)  織物消費税法等を廃止する法律案内閣提出第  三五号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四九号)  復興金融金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第五一号)  復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 開会いたします。  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。中村寅太君。
  3. 中村寅太

    中村(寅)委員 食糧管理局関係大豆輸入数量を聞かせていただきたい。
  4. 清井正

    清井説明員 お答えいたします。大豆につきましては、直接食糧管理特別会計で購入いたしておりませんので、ただいまちよつと数字を覚えておりませんが、来会計年度におきまする輸入予定量としては、一応四十五万トンばかりあるんじやないかと考えております。
  5. 中村寅太

    中村(寅)委員 現在食糧をわが国に輸入されておる際に、向うから送つて来る数量現物受取つた実数量とに、差を生ずるような場合もあり得ると思いますが、そういう点はどういうことになりますか。向うから送つて来る送り状に記載されておる数量を、そのまま日本政府として受取つておるのかどうか。あるいは現物受取つたときの数量によつて輸入量がきめられて行くのか。その間の事情をお聞きしたい。
  6. 清井正

    清井説明員 ただいまの御質問でございますが、その点は私の方で受取りました実数斤量いたしまして、金を支拂つておるのではなくて、先方からの送り状に基きまして金を支拂うということになつております。
  7. 中村寅太

    中村(寅)委員 そうすると、もしも受取つた実数が向うから送つて来たという数量よりも少い場合は、その負担はどこが背負つておるかお答え願いたい。
  8. 清井正

    清井説明員 従来の取引慣行上当然斤欠される分につきましては、たとえば実際斤量に差がございましても、ただいまの範囲におきましては、特別会計において負担しておるのでありますが、通常予想される以上の金額の場合におきましては、それぞれの事情に応じまして貿易庁の方と相談して解決しております。
  9. 中村寅太

    中村(寅)委員 そういう点で食管負担になつておる金額はわかつておりますか。
  10. 清井正

    清井説明員 ただいまその点の数字はつきり存じておりません。
  11. 中村寅太

    中村(寅)委員 これは一つの例でありますが、大豆を向うから輸入して来たのを受取つておる現場にちようど行き合せたのでありますが、大豆なんかはやはりばら積みして来ます。それを受取るとき斤量をはかるのは吃水によつてはかつておりますから、非常にその間にいろいろの手が考えられる。なるべく少く見てもらうということによつて受取る方の工場なんかは非常に有利になる。工場が少く受取ることによつて有利になつた場合には、それがもしも送り状によつて政府負担になつておるとすれば、政府の方に赤字が生れて来るというようなことが相当あるのではないか。そういう点を調査されたことがあるか。もし調査されたことがあれば、その数量金額をお知らせ願いたい。
  12. 清井正

    清井説明員 ただいまのお話でございますが、食糧を受渡す際におきましては、私どもの方の職員も立会つておりますので、工場側がそれによつて特に利益をはかるということは、万々ないというふうに考えておる次第でございます。なおその数量金額等につきましてはただいまはつきり存じておりません。
  13. 中村寅太

    中村(寅)委員 数量金額はわからないということでありますが、そういうことがないという見解でありますか。それともあるとは思うけれども数量金額は現在わからないというのか。どつちかはつきりしていただきたいと思います。
  14. 清井正

    清井説明員 ただいまの御質問の点の大豆の点は、私たちの方で取扱つておりませんから、数量はつきりいたしておりません。
  15. 中村寅太

    中村(寅)委員 その他の主食についてもないという見解ですか。
  16. 清井正

    清井説明員 その他の一般食糧、すなわち特別会計で取扱つておる食糧につきましては、大体二%くらいの差が送り状荷受取りとの間にあると承知しております。
  17. 中村寅太

    中村(寅)委員 二%といいますと、二百万トンとすれば四万トンでありますが、その四万トンの相当額食管会計の中の赤字となつて出ておると承知してもよろしいのでありますか。
  18. 清井正

    清井説明員 ただいまの数字がそのまますぐに赤字になるというふうには計算いたされないのでありまして、私ども価格をきめます場合につきましては、一定の斤欠等も見ておりますので、その分にも入つておるというふうに考えております。
  19. 北澤直吉

    北澤委員 最近の状況を見ておりますと、ここ数年のうちに世界的に食糧が過剰になるような時代が来るんじやないかというふうな気がするのでありますが、それに対しまする政府の御見解を伺いたい。
  20. 清井正

    清井説明員 ただいまの御質問ははなはだむずかしい御質問でございまして、何ともお答えのいたしようがないのであります。ただ特別会計等に計上いたします輸入数量につきましては、当初私の方で計算いたしました数字は、二百二十九万トンということは先ほど申し上げたのでありますが、その後補正予算で二百九十万トンに上つておるのであります。来年度予算におきましても、まだ確定はいたしておりませんが、相当輸入数量を計上することになると思います。
  21. 北澤直吉

    北澤委員 その来年の輸入目標の具体的の数字がわかりますれば、お知らせ願いたい。
  22. 清井正

    清井説明員 ただいま確定的ではございませんので、はつきりしたことを申し上げられませんが、主要食糧が三百四十万トンばかりになるんじやないかと考えます。
  23. 北澤直吉

    北澤委員 われわれが選挙区などを歩いておりますと、どうも世界的に食糧がだんだん余つて来て、外国の安い食糧日本に入つて来て、日本農村に非常に影響がるあのではないかいう話をいろいろ聞かされるのでありますが、今の一ドル三百六十円のレートである限りは、世界的にいかに食糧が余つても、日本国内食糧値段よりも安い食糧外国より入つて来るような心配はないかどうか伺いたい。
  24. 清井正

    清井説明員 ただいまのところでは相当国内価格値開きがございまして、その国内価格との値開き輸入価格差調整金によりまして、貿易特別会計にその差額が入つて来ておるような状況でありまして、現状では相当程度輸入食糧価格が高いという状況になつておるのでございます。今後の状況につきましては、ちよつと何とも申し上げられない状態であります。
  25. 北澤直吉

    北澤委員 昨日かの新聞片柳農林次官がアメリカのFAOの会議にオブザーバーとして出席して、来年あたりから主食だけで二合七勺の配給ができるというようなことをしやべつておりますが、政府ではそういうお考えを持つておるかどうか聞きたい。
  26. 清井正

    清井説明員 その点ははなはだ実はむずかしい問題でございまして、輸入数量につきましても一応の来年度計画は、ただいま申し上げましたようにあろうかと思つておりますが、今後どの程度に実際上輸入いたされますか。この問題はきわめて困難な問題でございます。あるいは国内産主要食糧生産状況につきましても、相当予想が入つておりまして、あるいは天候不良等によりまして、国内産米麦生産が少いということでございますれば、相当供給量も減る。従つて主要食糧配給につきましても、その維持につきましては相当問題があるというふうにも考えられますので、今ただちに御質問の点につきまして、はつきりしたお答えを申し上げることはちよつと困難かと存ずる次第であります。
  27. 北澤直吉

    北澤委員 もし来年三百四十万トンの輸入ができて、しかも日本国内食糧生産が、今予想している程度にできるというふうになりますと、今の主食で二合七勺配給ということが可能でありまするか。その点を伺いたい。
  28. 清井正

    清井説明員 その点ははなはだ実は困難な点でございまして、かりに予定通りつて参りましても、いわゆる米麦で二合七勺ということにつきましては、はなはだ実は問題がむずかしいのでございまして、国内産主食生産状況等によりますので、これが予定通り非常に生産の増を見、従つて相当供出も多くなるというふうになりますれば、あるいは米麦だけで二合七勺配給も可能になるというふうに考えております。いずれも今後の生産状況によりますので、はつきりしたことはお答えできないと私は思つております。
  29. 北澤直吉

    北澤委員 農村を歩いておりますと、先ほど申しましたように、だんだん世界的に食糧生産が多くなつて、安い食糧日本へ入つて来はせぬか。そうなると非常に日本農村心配なのでありまして、従つて日本食糧管理と申しますか、食糧統制と申しますか、こういう将来についてもいろいろ心配しておるのであります。主食統制と申しますか、主食管理と申しますか、こういうものが継続する。ほかの統制をやめても主食統制はいつまでも維持するというお考えを持つておりますか。その点を伺いたいと思います。
  30. 清井正

    清井説明員 ただいまの御質問はきわめてむずかしい問題でありまして、ひとえにこの問題は内地食糧生産状況と、それから輸入食糧状況あるいは内地におきまする人口の増加の点、あるいは労務加配米増加の点、いろいろ両方の部面を勘案いたしましてきめなければならないという状態でございまして、ただいまの状況におきましては、内地におきましても主要食糧配給量が現在では二合七勺でありますし、そういう状況から考えますれば、早々に主要食糧配給をやめるという状態は来ないのではないかというふうに考えます。
  31. 北澤直吉

    北澤委員 この輸入物資に対するいろいろの補給金があるのでありますが、そういうものをだんだんとやめて行く。従つて将来補給金輸入食糧だけで、それ以外については補給金はやめるということになつておるようでありますが、そういたしますと食糧以外の物資値段が、大体国際的な価格さや寄せして行くわけでありますが、食糧だけが国際的のさや寄せが足りないということになりますと、日本国内におきまする食糧値段食糧以外の値段との間に、非常なアンバランスができて来ると思うのでありますが、その点はどういうお考えを持つておりますか伺いたい。
  32. 清井正

    清井説明員 ただいま御承知通り米価の決定につきましてはパリティー制度をとつております。パリティー制度におきましては、農家の必要な購入品あるいは生活必需品等を見ておりますので、それの値上りは結局米価に響いて来るということに相なるのでありますが、農産物生産上の必要物資等値上りに対しまして、それが直接に米価に反映するかどうかということにつきましては、非常にむずかしい問題があるわけでございまして、私どもといたしましては農産物価格は、その他農業において消費される諸物価と、均衡がとれたものでなければならぬと考えておる次第でございます。
  33. 北澤直吉

    北澤委員 このパリティー計算は非常にむずかしいと思うのであります。どうもわれわれが見ておりますと、農産物価格といろいろの工業生産品物価との間にあまり関連がない。農産物価格の方が安いというような印象を受けるのでありますが、その点につきまして、政府は現在において農産物価格工業製品価格との間の比較ということについて、どういう考えを持つておりますか、伺います。
  34. 清井正

    清井説明員 ただいま申しました通り米価パリティーによりまして、パリティーの中に織り込む指数によりまして、農産物以外の物価との均衡考えておりますので、私どもといたしましては、できるだけ農産物価格と他物価との均衡の上に、今後努力を続けて参りたいと考えております。
  35. 北澤直吉

    北澤委員 今度決定されました米価の一石四千二百円、あの値段で他の物価とのパリテイーが維持せられておる、こういうお考えでありますかどうか。
  36. 清井正

    清井説明員 米価をきめます場合におきまして、米価審議会等におきまして、相当論議があつたのでありまして、その際生産者方面団体等の方からは、相当高い生産費の御要求等があつたのでありますが、いろいろの点よりかんがみまして、先般御承知通りの四千二百五十円という米価にきまつたわけであります。いろいろこの問題につきましても論議があろうかと思いますが、物価均衡上この程度でやむを得ないと考えておる次第であります。
  37. 林百郎

    ○林(百)委員 きようの新聞に出ておるのですが、片柳次官が将来日本主食を三合にしたいというようなことをワシントンで言つてるようですが、これはどういう事情でこういう問題が起きたのか。輸入状況やいろいろ何か将来に見込みがあつて言つておられるのか。まずその点をお聞きしたいと思います。
  38. 清井正

    清井説明員 実は私もけさちよつと新聞でそのことを承知いたしたので、どういう趣旨で片柳次官が申されたか、その点ははつきりいたしておりませんが、輸入食糧につきましては先ほど言いました通り、来年度においては今年よりも相当数量輸入増加が期待できるという点もございますけれども、いろいろの点を勘案されまして、現在の配給では少な過ぎるというようなお考えで、そう話されたのではないかと想像しておりますが、こまかい点は何とも申し上げかねます。
  39. 林百郎

    ○林(百)委員 ドル商品購入のためポンドの貸越しを使えないから、輸入増加を妨げておるというのですが、このポンドドル商品購入の方に切りかえることができるというような方法が、何か講ぜられておるのですか。
  40. 清井正

    清井説明員 実はせつかくの御質問でございますが、その点ちよつと私はつきり存じないのでございます。はなはだ恐縮でございますが……。
  41. 林百郎

    ○林(百)委員 それを切りかえることによつて、今でもまだ輸入増加が妨げられておるというのですが、将来輸入増加して三合配給にするまで、さらに輸入増加するという意思を持つておられるかどうか。
  42. 清井正

    清井説明員 その点御質問に対して何ともお答え申し上げることができないのでありますが、ただちに今三合配給をするというような考え方は、ただいま全然持つていない次第でございます。
  43. 林百郎

    ○林(百)委員 輸入増加を妨げているから、輸入増加するつもりだということを言つているのですが、これはどうです。
  44. 清井正

    清井説明員 御質問でございますが、その点も何ともお答え申し上げられない次第でございます。
  45. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると大体ここ一、二、三年の輸入食糧の数最の見込みはどうなつておるのですか。農林省として……。
  46. 清井正

    清井説明員 ただいまのところといたしまして、本年度と申しますか、この会計年度で推定いたしましたのは二百九十万トンでございまして、来年度におきましては、まだはつきりと確定いたした数字ではございませんが、大体三百四十万トンばかり輸入するという、一応の数字を計上するのではないかというふうにも考えておりますが、この点まだはつきりきまつておりません。そういつたふうな状況だけがただいま判明しております。その後におきます輸入数量につきましては、まだ検討いたしていない次第であります。
  47. 林百郎

    ○林(百)委員 今言つた三百四十万トン輸入するということになりますと、配給量はどうなるのですか。
  48. 清井正

    清井説明員 ただいまのところでは、三百四十万トンをかりに輸入いたした場合におきましても、現在の配給基準量を維持するという建前でおります。
  49. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると来年度まで配給量は別にかわらないということを、農林省では考えておるのですか。
  50. 清井正

    清井説明員 ただいまそういうふうに考えております。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 現状のままというのですか。
  52. 清井正

    清井説明員 はい。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 それから大蔵大臣は、昭和二十四年度において一般会計から百七十億九千三百万円を補填するのは、赤字というのではなくて操作資金だということを言つておるのですが、これは実際赤字かどうか。説明書には歳入不足という言葉が使つてありますが、どうですか。
  54. 清井正

    清井説明員 ただいまの御質問でございますが、昨日の深澤委員の御質問に対してちよつとお答え申し上げたのに触れております。この百七十億の繰入れは、輸入食糧が当初の二百二十万トンより二百九十万トンに上つたことによります、輸入食糧増加に見合うところの金額であるのであります。もう少し詳しく申し上げますと、前年度より持ち越した数量本年度から来年度へ持ち越す数量と合せてみますと、国内産食糧につきましては、前年度から本年度に持ち越しました数量は二百七十六万六千トンでございます。本年度から来年度へ持ち越す数字が二百七十六万六千トンで、数量的には同じでございます。ところが輸入食糧の方が前年度から本年度に持ち越しましたのは、二十八万一千トンであつたのに比べて、本年度から来年への持越しは百五万三千トンで、この百五万三千トンと二十八万一千トンとの間に、七十七万二千トンの輸入食糧の持越し手持数量増加があります。その七十七万二千トンの持越し手持数量増加金額が、ちようど百七十億に相当する次第でございます。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると百七十億九千三百万円というものは輸入食糧増加関係だけで、全然公団から回收が不可能だというような意味での赤字というのはないのですか。
  56. 清井正

    清井説明員 その通りでございます。
  57. 河田賢治

    河田委員 昨日、二十三年度赤字が百二十四億、これはそのうち公団から回收するものもありますが、そういうことだつた。そうするといもの超過供出あるいは米の超過供出等の損害を受けた四十四億、並びに二十億、そういうものは消費者負担になつているわけですか。中間経費の中に見込まれているのですか。
  58. 清井正

    清井説明員 ただいまの御質問の点でありますが、その数字の百二十四億がただちに消費者負担になるということではないのであります。関連して全部の特別会計收入、支出が総合結果されまして、今度の米価が決定されるということになりますので、一部はなるほど入つているとも考えられますが、それだけが入つているということで提案されているのではないのであります。試みに数字を申し上げますと、昨年度末におきまして百二十四億の一応の赤字が出まして、本会計年度に持ち越したのでありますが、その後本年度運用操作相当な増減の金額が予想されております。ただいまのところ一応増として予想されておりますものは、先ほども説明申し上げました公団からの編入の金が約六十億ございます。そのほか二十二年度におきまして黒字が六十億ばかり決算で出ております。それから消費者価格引上げ、あるいは在庫高増加等によりまして黒字計算されます。一方、赤になるものといたしましては、ただいまの百二十四億、あるいは超過供出をよけい買い入れた分、それから生産者価格引上げによる赤字、こういうものが相殺されました結果、百七十億の数字が結論的には出る、こういうことになるのであります。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどのところにもどりますが、三百四十万トン来年度食糧輸入するということになると、石数においては二千何万石だと思いますが、それでもなお配給基準がかわらないということはどうなのですか。国内生産が減ると見込んでいるわけですか。今年度より来年度、少くともあなたの説明では五十万トンくらいふえるはずだから……。
  60. 清井正

    清井説明員 御質問でございますが、輸入数量がそれだけふえますが、ただいまの計算で申しますと、かりに配給基準量引上げるといたしますと、一勺引上げるのに要しますのが約百八十五万石程度要するわけでございます。そうしてただいま御説明申し上げました通り、かりに輸入食糧がそういうふうにふえましても、それのもとになりますところの国内食糧生産状況によつていろいろかわつて参りますし、その他需要の方の増加等もございますので、こういう需要増あるいは供給等の要素を勘案いたしませんと、ただちに二合七勺数量を、この輸入食糧増加だけで引上げができるというように判定することは、困難であろうかと考えます。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 今年度より来年度は五十万トンふえるというのですが、五十万トンというと石数にしてどのくらいになりますか。
  62. 清井正

    清井説明員 御承知通り五十万トンと申しましても、中の種類が小麦があつたり米であつたり、いろいろいたしますので、玄米に換算しなければならぬのでありますが、かりに玄米で五十万トン入るといたしますと、トン六石六斗に計算しておりますから、三百三十万石ということになろうかと思います。
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 本年度より来年度は一応三百三十万石ふえると見ていいのですね。
  64. 清井正

    清井説明員 そうです。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると今あなたの言われた一勺にしても百八十五万石とすると、少くとも二勺くらいはふえるわけですね。
  66. 清井正

    清井説明員 数字上ではそういう計算になります。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると三百三十万石ふやしても、なお基準量をかえないというのは、国内生産が来年度は上らないと見ているのですか。それがはつきりしないので、輸入量がだんだんふえて行くのに配給基準量がかわらないということは、いま正確に二合七勺配給していないということか、あるいは国内生産を縮小するものと見ておるか、どちらかでなければ意味をなさないのです。しかもわれわれは輸入食糧を入れるために、相当われわれの出した税金を使うわけですから、税金は出しておきながら配給基準量がちつともかわらないというのでは、国民は何も浮かばれる瀬がないということになるのですが、その点を伺いたい。
  68. 清井正

    清井説明員 ただいまの点でありますが、なるほどただいまの数字を引合してみますと、三百五十万石ばかりの輸入食糧の増に対して、一勺増配するためには約百八十五万石程度いりますから、ある程度増配が可能であるというふうな数字は一応出るのでございますが、輸入食糧だけの数字としてはそういうことが出ますけれども主要食糧需給全般につきましては、御承知通り本年の国内産の米なり麦なり等の状況と、それから需要増等、いろいろ考え合せてみなければなりません。この数量だけで計算してできるから、ただちに二合七勺を増配ができるというのは、すぐに結論は引出せないと思います。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 そこが大事なところでありまして、もし輸入食糧がふえても基準がかわらないということは、国内生産需給関係をにらみ合せておるというのですが、そうするとその国内生産需給関係はどう考えておりますか。かりに輸入がふえても、基準としてかえるわけには行かないのだ、こういうことが予想されるからということを言つてくれないと、ちよつとわれわれにはわからないのです。
  70. 清井正

    清井説明員 数字的にぴしつと計算いたしたものを今持つておりませんが、大体本年度における生産状況と同じ程度生産状況があるものというふうな統計に立つて考えて行かなければならぬというふうに思います。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 そこがおかしいので、明年度において同じ生産状況輸入食糧がふえるならば、それだけ食糧事情は改善されなければならないと思います。だから需給関係の必要量がふえるならふえるでそういう場合もあるでしよう。あるいは来年はことしよりは生産がむしろ減るのじやないかということなら、それでもけつこうです。どうしてもつじつまが合わぬのですが、ただ持つておるだけですか。それとも今実際は二合七勺と言つておるが、二合七勺を配給していないじやないですか。
  72. 清井正

    清井説明員 現在の問題は別といたしましても、数字上は輸入食糧だけをとつてみますと、一応確かにそういうふうになるのでありますが、国内産食糧関係、それから人口上供給と需要との両面を考えまして、増配分は考えなければならぬというふうに思つておりますので、現在のところは二合七勺を堅持する、こういう考え方であります。
  73. 林百郎

    ○林(百)委員 どうも同じことをぐるぐるまわししていてもしようがないのですから、その問題はそのくらいにして、もう一つの問題は、いま主食の掛売りということが非常に問題になつておるわけです。賃金の遅配欠配がいろいろありまして、何とかして掛売りを認めてもらいたいとか、あるいは配給の日数をいま少し短かくしてもらいたいとか、配給の技術的な操作の面から要求があるわけです。これをもう少し細民階級が配給を受けることのできるような、技術的な改善、あるいは生活保護法による保証、あるいは一定の会社がいついつかなら賃金を拂うというような保証、そういうような保証があるならば、一時配給ものを受取るための掛売りを認めるとか、あるいは配給が一度にどつと来るものですから、それを全部買うだけの金が実はないわけです。そういう場合にはこれを小さくわけて配給してやつて、残りは配給公団で預かつていて、金でもできたらまた配給してやるというようなこととか、それから労務加配米ども工場で出している。あの労務加配米ですら実は金がなくて受取れないという状態にあります。こういう場合には、何とかして掛売りという方法を認めてやつて、国民にとつてどうしても必要な食糧だけは、確保してやるというような手続を考えておらないのですか。
  74. 清井正

    清井説明員 ただいまの御質問の点でございますが、消費者の方面において相当の金詰まり等の関係から、掛売りをしてもらいたいというような御要望があり、あるいは加配米につきましても、掛売りをしてもらいたいというような御要望のあつたことは、われわれとしても存じております。われわれの方といたしましても、その問題につきましていろいろ考えてみたのでございますが、掛売りを制度上ただちに認めるということになると、結局公団の資金繰り等にも関係がございますので、資金繰りに関係いたしますれば、結局公団の運営自体にも相当影響がございますし、ひいては食糧管理特別会計の面にも影響があるというような関係もございます。その他いろいろ関係がございますので、ただちに全般的に掛売り制度を認めることはちよつと困難かと思います。いろいろその後研究をいたしたのでございますが、ただいまのところでは掛知り制度ということは認めておらずに、先般われわれの方から公団に対して通牒を出しまして、一定の期日の余裕を持つとか、あるいは特に民生委員が証明した場合におきましては、それに対して若干の余裕を見てやるというような、臨機応急的な措置を講ずるということにいたしておるのであります。但しこの問題につきましては、われわれといたしましても相当考えなければならぬというふうに思いますので、小わけ売りと申しますか、一定の数量をわけて配給するというようなことにつきましても、公団の経理なり公団の労務状況なりとにらみ合せまして、できるだけその方法をとつてみたらどうかというふうに考えておりますが、まだその決定案を見るに至つていない、こういう状況でございます。
  75. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると民生委員の保証があれば、実情に応じて一部は掛売りをしてもいいというような通牒は出たように今お聞きしました。それからいま一つは会社あるいは俸給生活者が、俸給を受取つておるもとの保証なり証明なりあれば、一時営団で配給をとつてつて、そのかわり営団の方から俸給をくれる会社なりあるいは官庁なりからの、何か一定の確実な保証のもとに——どうせ給料をもらえばとれるわけですから、給料をもらうまで、一時営団の方で何か十分な保証があれば、その保証のもとに掛売りを認めてやるというようなことは考えておらないのですか。
  76. 清井正

    清井説明員 ただいまのお話でございますが、その点につきましては、なるほどそういつたような問題を考究いたしますれば、あるいは公団の経理状況等から見まして、さしつかえないというようなことがあるのかもわかりませんけれども、まだその点について私の方において研究いたしておりませんので、結論を得るまでに至つていない状況であります。しかしながらこの問題は非常にむずかしい問題ではありますが、何とかひとつしなければならぬ問題だと思つておりますので、早急にこの問題につきましては、あるいは小わけ売り問題等いろいろ勘案いたしまして、研究を進めたいというふうに考えておる次第であります。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 小わけ売りの問題ですが、それは具体的にどう考えておりますか。研究の過程でもいいですがちよつと……。
  78. 清井正

    清井説明員 具体的にまだお話申し上げる段階にまで至つておりませんが、そういう方向で何か考えてみたいというので研究しております。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 小わけ売りというのは、配給の量を一度にたくさんやらないで、日数を三日分とか四日分とかというようにわけて、少しの金で配給ものをとれるようにという意味ですか。
  80. 清井正

    清井説明員 そういう意味でございます。
  81. 川野芳滿

    川野委員長 深澤義守君。
  82. 深澤義守

    深澤委員 きのうの続きでありますが、大体この食糧管理特別会計の一番大きなところは、買入れの方の部門についての問題でありますが、生産者に対する代金の支拂い方法、これが末端においては非常に遅れているわけです。供出いたしましてもその供出代金が農民の手元に入るのは、早くて一箇月あるいは二箇月というぐあいに遅れております。この原因は一体どこにあるかということについて、われわれも常に非常に疑問を持つておるのでありますが、この代金の支拂いが非常に遅延しておる原因はどこにあるのか。その点をひとつ伺いたいと思います。
  83. 清井正

    清井説明員 ただいまの御質問でございますが、御承知通りどもの買入れ代金の支拂いは、支拂証票によつて出しておるのでございます。一定の買入れ場所に米その他の主要食糧を集荷いたしまして、その場において食糧庁の職員である検査員が検査をいたしまして、これに合格したものにつきまして、ただちに検査員が支拂い証票を発行いたします。これは一種の小切手に類するものでありまして、これを農民に発行いたしまして、農民は支拂い証票をもつて最寄りの組合なり銀行なりに提示いたしまして、あるいは預金をするなりあるいは現金を交付するというようにただちにできるのであります。私どもといたしましては支拂い証票の制度によりまして、即日とまでは行かなくとも、少くとも二、三日のうちには農民の手に必ず現金が入るというように考えておる次第でありまして、ただいまのお話のように一月もかかるということにつきましては、私ちよつと了解いたしかねるのでありますが、その点もう少し実情をお聞かせ願いたいと思います。
  84. 深澤義守

    深澤委員 この代金の支拂いに苦んでおる末端の事情を農林当局は御承知ないようであります。私はこの八月、九月に東北をまわつたのでありますが、地方の食糧事務所が公然と、供出代金は供出してから一箇月後でなければ支拂うことができないと明言いたしております。そうしてそれが一箇月たつても来ないということのために、相当問題が起つておるわけです。さらに農林当局の方では事務上の手続としては、供出して検査ができればすぐその場で支拂い証票ができるように考えておられるが、その支拂い証票がなかなか発行できない。それは最近において定員法によつて首切りをやつて非常に減員を行つておるのです。そのために末端の食糧事務所の事務員は非常に手不足である。定員法によつて首切りをやつて少いために、しようがないから臨時の職員を雇つておる。ところが御承知のように、そういう人々では支拂い証票の発行ができないということのために、非常な遅延をいたしておるわけです。そういうことのために結局この供出代金というものが、非常に遅れているのが今日の現状であります。特に金詰まりに遭遇してあえいでいる日本の全農民は、この供出代金を非常に早くもらうことを希望している。そういう事務上の手続遅延、人員の足りないというような状況において現実に支拂いが遅れておる。そのために末端において非常に不満があるということは、これはもう全国至るところに存在する事実であります。こういう点について、農林省はどういうぐあいに報告をとられておるのか。これに対してどういう処置をとられるのか。その点をひとつお伺いしたい。
  85. 清井正

    清井説明員 ただいまの御質問中、前段の問題でございますが、一月以上もかかるという一例についてお話をいただいたのでございます。私どものただいま了解しているところでは、先ほども申し上げました通り即日とまでは行かないにしても、二、三日の間には農民の手に入るというふうに考えるのでございますが、ただここに支拂い証票を発行いたしましても、食糧事務所におきましてはその地区ごとの組合の総計を計算いたしまして、組合との間に総数量において決済をいたしまする関係もありますので、その間において時期が多少遅れるというようなこともあるのじやないかというふうにも考えるのでございますけれども、農民に対しましては支拂い証票を早く発行していきたいということにいたしておるのであります。  なお後半の方の問題でありますが、なるほど今回の行政整理によりまして検査員が非常に減りまして、特に末端におきましては、従来少くとも平均して一市町村に二人の検査員がおつたことになつておるのでありますが、今回の行政整理によりまして検査員が非常に減りまして、あるいは市町村によりましては專任の検査員がいないということも往々にして生じておるのであります。われわれといたしましては、食糧検査に遺憾があつてはならないという見地からいたしまして、その検査員の不足を補うために臨時的な職員を雇つて一応やつておるのでございます。ただいまのお話の通り臨時の職員につきましては、支拂い証票の発行をいたさせることができないというような関係もありまして、事務的では非常に不便を感じておるのでございまして、何とかこれを定員法の上においても増員をすることによりまして、検査員諸君にも迷惑をかけないようにということを考えておるのでございますが、現状におきましては事務の能率化によりまして、できるだけ御迷惑をかけないように心がけたいと思います。
  86. 深澤義守

    深澤委員 もう一つの問題といたしましては、農林省の方針として、最近において検査が非常に嚴重になつております。これはおそらく食糧管理特別会計赤字を、この検査を厳重にすることによつてカバーしようとする意図があるということをわれわれは考えておる。特に本年度の気候の不順な状態において、乾燥が非常に不十分である。これに対して嚴格な検査をやられますると、この自然的な條件の犠牲を全部農民が負担しなくちやならぬ。御承知のように農林省は五等米の制度を確立した。これは明らかに検査を嚴重にいたしまして、この自然的な不可避な犠牲を農民に強いようとするところのお考えである。さらに農林省自体の中に今まで一等米、二等米が非常に多過ぎた、これをもつと格下げして三等米を一番多くする計画をされておる。そうすることによつて、この食糧管理特別会計赤字を圧縮しようとする御計画がおありになるようでありますが、これ自体が農民に、一方において天くだり的な強制供出を強いると同時に、なお今度は検査の面において非常な嚴重な検査をやつて、今や農民に犠牲を強いようとしておる。こういうことが歴然として現われておるのです。さらについ先日でありましたか、早場米の供出の問題についてもそういう事実が現われておる。今度の普通の供出においてもそういうことが全国至るところに現われておりまして、農民の間に非常に不満があるということをわれわれ聞いておるのであります。その点はどういうふうに考えておられますか。
  87. 清井正

    清井説明員 ただいまいろいろ御批判を受けたのでありますが、私どもといたしましては、本年度の米の規格を昨年に比しまして特に嚴重にする意図は持つていなかつたのであります。ただ従来検査の際におきましておるいろ不明確の点もございましたし、あるいは検査の規格が実情にそぐわないということもございましたので、今年の産米の等級のきめ方につきましては事前に慎重に考えまして、実際に出た米の品質の実績等を十分見合いまして、関係者の意向等も聞きまして、慎重に今度の規格をきめたのでありまして、今回の規格を特に引上げたというようには私ども考えていないのであります。しかし実際問題といたしまして、その後米が意外に作柄が悪いとかあるいは搗精の際非常に雨が降りまして、そのためいろいろな不満を與えることはあろうかと思いますが、規格を引上げてそれによつてどうこうということは考えたことはございません。なお最近の供出状況等につきまして、いろいろ実地に当つてみますと、特に三等、四等あるいは一等、二等につきましても、昨年と比べまして特に等級に著しい相違があるわけでなく、大体昨年度と同程度の牛をもつて供出されているというふうに、私ども考えている次第でございます。
  88. 深澤義守

    深澤委員 農林省の中央が考えていることと末端がやつていることとは非常に違う。この食い違いが結局解消されない限りは、日本の農民諸君が農林省の中央の方針を信頼することができない結果になるのではないかと、私は心配しているのであります。こういう点は意見にわたりますから差控えますが、さらにその次に問題になるのは売拂いのことであります。昨日も私はお伺いしたのですが、新米価によるところの生産者価格消費者に対する価格の問題を取上げて、その間における中間経費を明らかにしてもらいたいということに対して、清井さんの方ではまだできていないということでありますが、これははなはだけしからぬ問題です。すでにこの予算説明書にもあります通り消費者に対する現行価格の四百五円を四百六十円に上げるということが予定されている。この基礎の上に立つて生産者価格を四千二百五十円で買い上げて消費者に売つて、その中間における政府の経費が幾らというふうに明確になつていない限りは、この食管特別会計の運用はできないと思うのですが、これは一体どうなつているか、もう一ぺんお伺いします。私昨日聞いたところ、まだできていないということで、むりもないと思つたのですが、実はタベうちに帰つて考えたところ、そんなばかなことはない。こういう基礎ができていなければ食管特別会計の運営はできない。これができておらぬということは不勉強だと思う。一体新生産者価格と消費価格における中間経費は幾らになつているか。これは米価審議会においても一石千円以上を越えてはならないという強い希望條件を出しています。ところがどうもわれわれの計算によりますと、また二千円以上の中間経費がかかつていて、はなはだ不都合であると思うのですが、この点はどういうふうに計算されているかお伺いしたい。
  89. 清井正

    清井説明員 ただいまの御質問でありますが、なるほど今度の予算の編成にあたつては、消費者価格が一月以降一一・三六%上るという計算をいたしておるのでありますが、個々のマージンの推定をして一一・三六%上るという計算をいたしているのではありませんで、全体を見合いまして、結論的に一一・三六%消費者価格が上ることによつて食管特別会計のバランスがとれると考えております。これは申すまでもなく予算上の査定の基礎でございまして、米価引上げの問題については、目下政府部内においても検討いたしている次第でありまして、その検討が終りますれば、ここにはつきりと中間マージンが幾らという計算が出ようと思いますが、ただいまのところでは特別会計の算定上の一応の基礎でありますので、はつきりした数字の内訳の基礎を申し上げる段階に至つておりません。
  90. 深澤義守

    深澤委員 この食管特別会計は、百七十億という厖大な国民の税金一般会計から繰入れられるのであります。従つて了解の行く説明を求めて、そうしてそれならばやむを得ないという結論に到達しなければ、われわれはこの厖大な一般会計からの繰入れを承知するわけに行かないのであります。いかに次官が約束いたしましても、政府の方で要求した資料が出ていない、説明ができないということであるならば、われわれはあくまで糾明しなければならないのであります。百七十億円を一般会計から特別会計に繰入れる問題について一番重大な問題は、世間で問題になつておりますように、生産者価格消費者価格の間にあまり経費がかかり過ぎることであります。従つてわれわれはこの内容を明らかにして、国民が納得の行く状態においてこれを審議しなければならないのであります。ところが今申しましたように、新価格によるところの中間価格計算が全然出ていない。こういう全然暗黒な状態においてわれわれはこれを審議することはできないのであります。ですからこの新価格によるところの生産者価格と、それから消費者価格との中間経費をぜひこの委員会に明示されたい。そうしなければこの審議はできないのであります。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 新聞には公団の職員の手当として六十億出しているということも出ているわけであります。米価消費者価格の中間のものがどう使われておるかということがわからなければ、一般会計から食管特別会計へ幾ら金を入れてよいかという問題がきまつて来ない。もしむだなものがあれば縮小しなければならないし、足りなければもう少し赤字になるかもしれない。それがきまらなければきめようがないじやありませんか。これが一番大事な点でしよう。それをあなたは答弁できないならば、水田次官もいるし偉い人もいるのだから、ぜひそれを明らかにしていただきたい。それが明らかになればわれわれも考えますよ。
  92. 清井正

    清井説明員 ただいまの林委員の御質問の中で、百七十億の問題が中間経費との問題と関連があるというようなお話でありましたが、先ほど御質問お答え申し上げた通り、百七十億九千万円という一般会計からの繰入れは、いわゆる年度末におきます輸入食糧の手持の増加というものに対する持越しが七十七万円でございます。その持越しに相応するものが百七十億九千万円ということになるのでございまして、中間マージンの問題と百七十億との関連はないということに計算上なるのであります。その点御了承願いたいと思います。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 それは会計全体の問題です。これは必ずしも輸入食糧だけの問題でもないし、予算説明書にも出ております会計全体の問題で、会計全体に彈力性がないところに、本年度は五十万トン最初の予定より輸入がふえたということから、百七十億を一般会計から繰入れろということですが、会計全体のからくりがわからなかつたら、ここで百七十億なぜ追加しなければならないかという問題が出て来ない。もし彈力性があればそつちから入れればいい。新しい米価がきまり新しい消費者価格がきまつて、その中間の二千十九円ですか、これがどう使われるかということがきまらなければ、会計全体の彈力性がわからないのです。そこでわれわれは聞いているのです。この帳簿のつけ方からお聞きしますが、これは單式になつているのですか、複式になつているのですか。
  94. 清井正

    清井説明員 帳簿は單式になつております。
  95. 深澤義守

    深澤委員 今清井説明員は、この百七十億の一般会計からの特別会計への繰入れは、單に輸入食糧の問題だけであると言われている。ところがこの説明書を見ると、本特別会計においては、二十四年度産米等の生産者価格が、当初見込まれた価格より約九%高く定められるに伴つて必要なことが一つ、第二に輸入食糧並びに国内食糧の不足数量増加する見込みなつたということが第二、第三は明年一月以降鉄道運賃の八割引上げによる運搬費の増加、こういう理由によつてこの百七十億の繰入れが本国会に提出されている。政府委員であるあなたが、ただ輸入食糧の問題だけで提出したのだという見解は全然違う。提案理由とあなたの説明が全然違うことを言つておるのは一体どういうわけですか。
  96. 金城順隆

    ○金城説明員 今の百七十億や何かが新しい生産者価格がきまつたために、消費者価格がどうなるかということにつきまして、この予算を編成いたしました場合、大体建前といたしまして食糧管理特別会計昭和二十四年度から二十五年度に持ち越す食糧証券の額、つまり年度末におきます食糧手持数量に対する資金であります。御承知のように食糧管理特別会計は特別の資金というものを持つておりませんので、食糧を買い入れます場合においては、全部食糧証券を発行いたしまして食糧を買い入れておりますので、手持の食糧がありますならば、それに見合うべき食糧証券というのが必ずあるわけであります。昨年度昭和二十三年度から昭和二十四年度に持ち越します食糧に対する見合いの食糧証券というものの実績が、千百八十億となつておるのであります。それで二十四年度から二十五年度に持ち越す場合におきましても、財政上の建前から去年の千百八十億を動かさない、こういう建前をとりましたので、そこに食糧なり何なりが増加いたしますれば、当然これに見合うべき食糧証券の発行の増というものが出て来るわけでありまして、今申し上げましたように、これを千百八十億と押えました関係上、食糧がふえてそれに対応して支拂つた金を出すための食糧証券というものをふやさなければ、このバランスがとれないわけでありますけれども、それを千百八十億で押えましたので、その増加分に対して一般会計から繰入れるということをとりましたので、ここに百七十億という繰入れが出たのであります。もちろんこれは單に輸入食糧だけを計算いたしてやつたわけではありませんので、予算全体の歳入と歳出、つまり食糧の買入れ代金の支拂いが幾ら、その買入れます食糧を売抑つた収入が幾ら、こういう歳入歳出の全体を合せて、それに対しまして百七十億というものが不足になつておる。もちろんこれは千百八十億で押えました関係上、そこに歳入不足というのが出て参りますので、それれ一般会計から繰入れとしてあげてあるのであります。従つてここに内容を一応片寄せて考えてみますと、輸入食糧の分がふえたものがそれに相当するというような意味合いにおいて、御説明申し上げているわけであります。  それから今度は補正予算につきまして、新しい米価消費者価格を一応は考え計算にはいたしておるのであります。これは生産者価格が六千百四十三円のパリティー計算されておるのが、百五十六何がしのパリティーによりますれば、この分だけは当然消費者価格が上らなければならぬという問題があります。そして新しい生産者価格というものは九月から新米が供出されておりますので、これに対して全部さかのぼつてつておるわけであります。しかし消費者価格がいつ改訂されますか、これがはつきりきまつておりませんけれども、とにかく現在においては前の四百五円というもので、消費者価格政府から売渡されておるわけでありますから、この点は当然その期間だけは赤字にならなくてはならぬということであります。それでこの生産価格の上ります分は、当然消費者価格に織り込んでもいいのじやないかと私は考えておるわけであります。しかしこれを途中で上げますと、また来年四月に上げなくてはならぬというような政治的な問題がありますので、一月から来年一ぱい、つまり十五箇月間を一応考えまして、この期間を動かさないという考え方で来年度予算も考慮いたしまして、つまり来年度において米がどれくらい買えるか、そうすると今度どのくらいの数量が売られるかというある仮定を設けまして、それに当てはめて歳入と歳出とを両方計算いたし、それを全体の消費最で割りまして、大体一月以降とれくらいの値上げの収入があるだろうということで、予算を一応バランスをとるという形で組んであるわけであります。従いまして新しい消費価格が今どれだけになるかということは決定されていないのであります。  それから農家の経費におきましても、従来の経費をそのまま計上いたしておりますので、現在四百五円に織り込まれております政府の諸経費というものは大体現行と同じものになつておるのでございます。ただ先ほどお話がありましたように、食糧配給公団の経費の問題があるわけでありまして、これは新年度予算が計上されればはつきりいたします。今のところはまだはつきりここで申し上げるわけには行かぬと思いますが、来年度をどうするか、あるいはいもの問題をどうするかというような問題もからんで一応の予想の数字はあげてあるわけであります。しかし何分にも消費価格というものが今申し上げますように、予算上は大体上るものとしてその收入を見込んでおるということにはなつておりますが、まだはつきり決定いたしておりませんので、消費者価格が幾らになるかということは申し上げかねるのでありますが、予算上は一一・三六の値上げをされるというような考え收入を見込んである、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  97. 深澤義守

    深澤委員 今説明されたことは、百七十億が結局食糧証券を千百八十億に押えたというところから、それだけ一般会計から繰入れなくてはならぬのだ。こう簡單に片づけられた。ところがこの百七十億の金がいかなる性格を持つたものであるかということについてはお気づきにならない。これは今日国民のまつたく血の出るような税金によつて結局まかなわれるものである。従つて軽々にただ会計上の事務上の処理という立場から、これは一般会計からとつてよいのだといような簡單な考え方で片づけることに非常に大きな問題がある。そういうような意味においてこの一般会計からの繰入れという問題を、もつと重大にそれ自体が国民生活にいかに大きく響くかという見地からも考えなければならぬと思う。  その第二の問題としては、大体四百五円から四百六十円に一一・三%を一月から引上げるのだという予想のもとに、こういうものをつくつて行くのだということを言われておる。ところがそういう予算をつくる場合において、幾らで買つて幾らで売るかという大体の予算を立てなければ、こういう予算書というものは出て来るものではないのだ。しかも買つて売る場合にどのくらいの経費がかかるかという計算ができなければ、結局消費者に売るところの価格は出て来ないのである。従つて何らかの形においてそういう計算がおそらくなされていると思う。ところが今までの官庁というものは、そういうものをまつたく隠蔽して、そうして国民は何のためにこれだけの生産者価格消費者価格の間に、大きな開きがあるかということに対して了解に苦しんでいる。そこに問題がある。少くとも民主主義の基礎の上に立つた政治は、そういう問題を明らかにして国民に納得させて、苦しい状態の中においても支出することに了解をさせるということでなければ、われわれとしては責任が果されないと思う。従つて百七十億の一般会計から特別会計への繰入れをやる場合において、一番重大な問題は生産者から買うことと、消費者に売る問題であります。その中間の経費が明らかにならなければ、われわれはこの百七十億の金を特別会計へ繰入れるということに対しては了解ができない。その計算ができなければこうした補正予算に対する計算が出て来ないのです。これは必ずあるに違いない。その計算をやつたに違いないのだ。確定したものでないにしましんも、大体の数字承知しなければわれわれは審議できないというのが私の主張であります。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 問題はこういうことだと思うのです。とにかく農民から買つたものを売る、売つた代金と買つた代金と差引いたものが何に使われておるか。これがわかればいいわけですから、それが全体でもいいし、あるいは石当りのマージンがどう使われておるかということでもいいし、現行通りなら現行通りどう使われておるということでもいいし、何らか説明できるはずです。それがもしいいかげんにされておるのだつたら、薪炭の場合と同じように、帳簿の様式が單式の帳簿だということになれば、薪炭とまつたく同じ問題がここに考えられるわけだ。昭和十三年から八年間のできもののうみを今ごろになつて出すようなことをしないで、ここでもそういう問題があるのなら、はつきり出して早く善処しなければならぬ。そうでなければ国民の代表として出て来ておる国会議員としての責任を、われわれは果されないと思う。そういうたくさんの疑惑があるので、ここでひとつ説明してもらいたい。百七十億、百七十億と言いますが、とにかく中間マージンで節約できるものがあればそれでもできるわけです。何も一般会計から輸入食糧が百万トンふえるからすぐに百七十億入れるということにはならないと思う。これはあなた方の説明書を見てもわかると思う。極力收支の調節をはかり、節約すべきものは節約するんだということを書いてあるわけですから、必ずしも輸入食糧がふえるからすぐに百七十億ということでなくて、中間マージンがどう使われておるか、それがもつと必要なものか、あるいはもつと節減できるものがあればどう使うかということがわからなければ、これに対するわれわれの態度がきまらないわけだ。それに対してひとつ説明してもらいたい。
  99. 金城順隆

    ○金城説明員 今の御質問はつきり百七十億が食管特別会計の一部の赤字補填になるのではないかというような御懸念でおつしやつておると思うのですが……。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうことを考えてはだめだ。生産者と消費者との間のマージンがどう使われておるか。百七十億の問題だけではない。それがはつきりして初めて百七十億の問題に移るのだ。
  101. 金城順隆

    ○金城説明員 消費者生産者の間のマージンは、きのうも御説明がありましたように、現在の四百五円の分は今印刷しておりますので、いずれこれはお配りいたしますが、先ほどから申し上げますように、新しい価格をどうきめるかということは全然未決定であります。従つて一月から上げるか二月から上げるかということも実際まだきまつていないわけであります。ただ予算上は先ほど申し上げますように、一月から来年のおしまいまでの閥一応米価をすえる。その間の米価をどういうふうに持つて行くか。たとえば来年の価格がどれくらいになるか、それから麦の価格が幾らになるかということを予想をいたしまして、それによつて政府の支出総金額が幾らになるか。それからそれに対する運送費とか加工賃とかいうものは今年度と大体同額のものだ。その全体を消費量で割つて出したものを一応の価格と見ておる。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 それを出したらどうか。一一・三%自体がおかしいじやないか。
  103. 金城順隆

    ○金城説明員 それはあとからお話申し上げます。今の百七十億ですが、これは案にもありますように、従来でも食管特別会計赤字の補填のためなら、当分は繰入れするという條文が附則にあるのでありまして、これが赤字でないために新しい附則を設けて入れることになつて従つてこの分は食糧の手持を売り拂いますればそれだけ黒字になる。現在の法律ではできませんけれども、新しく條文を加えればこれはまた一般会計にもどすということも考えられるわけでありまして、これが全然赤字でないということだけははつきり申し上げておきたいと思います。今新しい消費者価格と申しますか、要するに食管特例会計で收入増を予想してきめました来年度の支出を、数字で申し上げたいと思います。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 結局中間マージンがどう使われるか。新しい消費者価格がきまつたんだから、新しい消費者価格と新米価との間のマージンがどう使われるか。そのために一一・三%は一つの材料になつて出ておるが、その点の説明を願いたい。
  105. 金城順隆

    ○金城説明員 来年度、要するに先ほど申し上げましたように、十五箇月間というものを一応動かさないという建前で計算いたしておるのですが、それに対して商品費が三千百十四億、つまり輸入食糧も合せてでありますが、米麦輸入食糧の買入れ代金を三千百十四億と押えておる。それを買いますときに政府食糧証券を発行いたしまして、利子を補いますので、その利子を六十二億と押えておる。それから政府の人件費と事務費を四十三億と押えております。それから食糧証券の償還、これも一応歳出に上りますので、これが先ほど申しましたように、三月末を一応押えて千百八十億は動かされないという建前で考えております。それから農業共済再保険特別会計に(食糧管理特別会計から繰入れる分を二十七億円と大体押えております。それに対して食糧の売拂代を三千五百八十八億と押えております。それから雑收入を七億六千万円と抑えて、それから食糧証券を発行いたして借り入れる金、これは先ほどの歳出の食糧証券と見合うものでありますが、同額の千百八十億と押えておる。それから一般会計から繰入れる分二十六億九千万円、これはさきの歳出の農業共済保険の二十六億九千万円と見合う金でありまして、これは同額を押えている。この両方の歳入歳出のバランスを合せて、これで消費数量を大体五千五百万と押えまして、それを割つて計算して一一・三六という数字を出しております。従つて個々の内容についてたとえば超過供出に幾らいる、早場奨励金が幾ら、金利が一石当り幾らというような計算で出しておりませんので、この計算はいずれ消費価格を幾らにきめるかということがはつきり決定したときにきめるので、歳入歳出のバランスから計算して出しておるだけであります。そういうように御承知願いたいと思います。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとこれには本年度は全然赤字が出ないことになつておりますね。
  107. 金城順隆

    ○金城説明員 そうです。これでバランスが合うことになつておりますから……。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 本年度輸入食糧以外の赤字が出たのですか、出ないのですか。
  109. 金城順隆

    ○金城説明員 本年度赤字は三月まででありますので、まだ決算が済みませんから、はつきりと数字はわかりませんけれども、大体のことを申し上げますと、二十三年産米で二十四年度で供出された分というものは、これは大体超過供出と見ていいんじやないかと思います。そうすると二十三年産米というものは大体三倍で買い上げておりますから、それの二倍分というものは赤字になると考えてよろしいと思います。しかしその部分がそのまま消費価格に加算されるというふうには私たちは考えておりません。そのかわり早場米奨励金というものは価格織込みのときよりも、実際の支出の面が少くなつております。そういうようなものでカバーされておりますので、そういう超過供出が二十三年産米で二十四年度になつて出て来たというものについては、そういうようなほかの金利で大体カバーされておりますが、新しい消費価格の分にはそういうものは入つていない。こういうふうに考えております。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると赤字というのは今あなたの言つた二十三年の産米の二倍分、これだけと見ていいのですが。あとはないのですか。
  111. 金城順隆

    ○金城説明員 そうです。二十三年は今米だけ申し上げましたが、切干しかんしよもあります。大体数量的に申し上げますと、二十三年産のもので二十四年度で供出されて私の方で受入れておりますものが、米で五十三万石ありますし、切干しかんしよで千六百万貫ほど出ております。この点が先ほど申し上げましたように、これは大体超過供出でありますので、その分が大体赤字です。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 あとないのですね。
  113. 金城順隆

    ○金城説明員 あとはありません。
  114. 深澤義守

    深澤委員 今の数字言つておきたいのです。今の食糧売拂い代金は幾らですか。
  115. 金城順隆

    ○金城説明員 これは食糧の売拂代を一応価格算出で見込んだ分でありますが、これは三千五百八十八億というふうに……。
  116. 深澤義守

    深澤委員 そういたしますと、本国会にこの予算説明書として提出されておるものと大分違うようであります。本国会に提出されたものは三千三百七十一億であります。ただいま説明されたのは三千五百八十八億になると、ちよつとこれは違うのですが、いかがですか。
  117. 金城順隆

    ○金城説明員 本国会に出ておりますのは、二十四年度補正予算であります。今申し上げました分は、先ほどから申し上げますように十五箇月というものを一応考えてやつたものでありますから、再来年度の三月三十一日を考慮においた計算でありますので、大体そういう相違がある。
  118. 深澤義守

    深澤委員 今の政府説明員の話によると、消費者価格をまだいつから上げるかわからない、一月に上げるか三月に上げるかわからないという説明をされましたが、明らかにこの説明書では明年一月から一一・三%上げるということをはつきり言つておるのであります。一体これはどつちがほんとうなのですか。農林省の当局としては一月に上げるか三月に上げるかまだわからない。そうしますと一月に上げるのと三月に上げるのとでは大分予算に響いて来る。この予算説明書では一月に上げるということをはつきりうたつておる。一体どつちがほんとうなんですか。
  119. 金城順隆

    ○金城説明員 お答え申し上げます。ただいまの深澤委員の御質問でございますが、確かに予算上は引上げることでもつてつくつてございますが、まだ最後的に政府部内において、いつから価格引上げるかということは、きまつておらないようでございます。予算上は一月から上げるという計算でございます。
  120. 深澤義守

    深澤委員 これは実に重大問題です。予算上は一月に引上げるときめて国会の承認を得て、実際三月から引上げるということになれば、国会の権限を無視しておるじやありませんか。そういうことでもつてわれわれが承知できますか。まことにこれは不可解千万であると思うのであります。これは單に私の意見ばかりではないと思う。これは委員会としても相当考えてもらわなくちやならぬものと思うのです。これは委員長にもその善処方を要望したい。われわれは何もことさらにこの問題を長く論議しようというのじやない。重大要点が明らかになつていない。こういうことで一体審議できますか。この点はひとつ委員長の責任において善処願いたいと思います。
  121. 清井正

    清井説明員 予算上はそういうことになつておるのですから、大体予算に沿うように決定になるのじやないかと私は思つておりますけれども、まだ最後的決定に至つていない、そういうことであります。
  122. 林百郎

    ○林(百)委員 この問題については、実はわれわれ食管特別会計についても、いろいろの問題が残されておるわけなのです。たとえば先ほどの昭和二十三年度の決算の報告についても、まつたくわずか五つの項目だけしか出ておらないので、これではわれわれ十分納得もできないわけです。さらにこれを検討してみたいと思つております。問題は薪炭の例もありますし、帳簿の形式もありますし、再び薪炭と同じ過誤をここに犯さしてはならないというわれわれの信念から本日の質問も出ておるわけです。しかし時間の関係もありいろいろありますので、この問題はあらためてわれわれの持つておる資料と、農林当局の見解を十分ただしたいと思いますから、われわれは本日なお幾多の疑惑と問題を残したままで、次会に譲りたいと思います。
  123. 川島金次

    ○川島委員 先ほど来から問題になつておる点も、私も非常に奇怪に感じておるものであります。そこで逆に私はただしてみたいのですが、新米価は決定を見た、消費者価格は来年の一月からだと政府はすでに言明をしておるにかかわらず、この委員会ではまだその消費者価格の決定も一月になるか三月になるか未定です。こういう矛盾した言明が行われておるということは、一体政府部内の方針というものがどこにあるのかということさえも、われわれ疑わざるを得ない。ことにこの重要な問題について、政府の責任者は一月だと言明しておる。予算説明書にも一月だと公表しておる。しかるに委員会においてはそれを決定をしておらないで、二月になるか三月になるかわからないのだ。こういうことであつては、真に議会がこの重要なる問題について審議することができないということになるのであります。非常に私も奇怪な感じを持つものであります。そこでお伺いしますが、新米価はきまつた。しからば一一・三%の新しい消費価格を織り込んで考えておるとすれば、消費者価格は現在の価格を上まわつて来ることは当然でありますが、六千円程度できまるのか、言いかえれば六千円以内で消費者価格がきまつて行くのか。あるいは消費者価格が六千円を突破することになるのか。その程度のことならば言えるのじやないかと思うのですが、どういうことになつておるのですか。
  124. 清井正

    清井説明員 先ほどの問題と関連しておるのですが、予算上たしかに一月より米価引上げるということになつておりまして、その線に沿うて最後的決定もいたされるのではないかと私自身は思つておるのであります。まだ最終的な決定がないと承知いたしておるのであります。
  125. 川島金次

    ○川島委員 この問題はどうも説明員ではよく責任のある答えができないらしいですから、委員長におかれましてはもう少し具体的な説明のできる当局をこの席に招いてもらつて、さらに責任のある言明をいただきたいと思う。そのおとりはからいを願いたいと思います。  昨日来巷間伝えられるところによりますと、例の問題になつておる補正の問題で、これは二百四十五万石になつたと政府は言明されておるのでありますが、この二百四十五万石の補正は絶対に動かないと確信を持つておられますかどうか。またどうやらこの補正が動くのではないかといろ話を私どもは耳にいたしておるのでありますが、その点は大丈夫でありますか。
  126. 清井正

    清井説明員 ただいまの御質問でございますが、私詳細に存じておりませんのでお答えができないのを残念に存じます。
  127. 川島金次

    ○川島委員 それではそれはいずれ後に適当な方に御質問を申し上げることにいたします。  そこで第三にお伺いしたいのは、本年度産出されておりまするかんしよの供出数量及び供出をいたしましたあとの、超過供出のかんしよの割当をする時期、それから超過供出が終つた後においてかんしよの統制をはずすと言われておりまするが、かんしよの統制をはずす時期の見通しは一体いつであるかということについて、お示しを願いたいと思う。
  128. 清井正

    清井説明員 かんしよの問題についてお話があつたのでございますが、ただいまのところでは本年度のかんしよとしましては、個々の農家において供出を完了いたした場合においては、これは政府以外にも自由に売れる。但し事前供出割当量の一割の範囲内においては、政府超過供出は買い入れる。こういう建前で法令の整備等を進めておる次第でありまして、法令の整備がつき次第実行に移ると考えております。
  129. 川島金次

    ○川島委員 抽象的なお話のようですが、この問題も農村の一部、都市の一部に相当に注目の焦点になつておる事柄であります。いつどういうふうにできるというもつと確定した具体的な見通しを伺うわけには行かないのですか。
  130. 清井正

    清井説明員 ただいま御説明申し上げました方法で法令を整備しておりまして、その法令の整備のつき次第ということになるのでありまして、ただいま整備中でございます。数日のうちにはその法令の施行を見ることになると思うのであります。     —————————————
  131. 川野芳滿

    川野委員長 それでは食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に対する質疑はあとまわしにいたしまして、復興金融金庫の一部を改正する法律案復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を続行いたします。
  132. 林百郎

    ○林(百)委員 復興金融金庫の融資にあたつていろいろの問題があるのでありますが、私の方で具体的な例を拾つて来ておりますから、これに対する会計検査院の調査の結果をひとつ報告願いたいと思います。  まず第一に石狩鉱業株式会社に対して昭和二十二年三月から六月までの間、亜炭の開発のために設備資金として四百五十一万の融資をしておりますが、この融資の調査、これについて会計検査員の調査がどういう結果になつておるかということをお聞きしたい。それからあとありますが一つずつ聞いて行きます。
  133. 池田直

    池田説明員 ただいまの御質問の点につきまして御説明申し上げます。復興金融金庫が石狩鉱業に対しまして、亜炭の開発資金を融資いたしましたことはお話の通りでございますが、会計検査院といたしましては融資が妥当であつたかどうかの点につきましては、実は監査中でございまして最終の目的に達しておりません。従いまして私の方から結論的にその融資のことにつきまして調査の結果を御報告申し上げましても、後日誤解を招くようなことになりましてはかえつていかがかと存じますので、会計検査院の性質上御了承願いたいと思います。
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 おかしいことを聞くのですが、昭和二十二年の報告が出ておるはずです。その決算に基いてわれわれは聞いておるのです。それがまだ調査できないというのはどういうことですか。
  135. 池田直

    池田説明員 お答えいたします。ただいまのお話の通りでございますが、融資の時期は少し前になつております。一応決算は私どもいただいております次第でございますが、私どもの実地の検査が時期的に遅れました関係上、実はこの問題につきましてはただいま審議いたしておりまして、その点は私どもの検査その他の関係で調査が遅れたことは、はなはだ遺憾でありますけれども、事実はそんな状況になつて、おりますので御了承願います。
  136. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると金庫からあなたの方へどういう報告が来ておりますか。どういう資料を持つておられますか。
  137. 池田直

    池田説明員 実は私ども検査いたしました結果、石狩鉱業に対する亜炭の開発資金の融資が今日目的を達しておりません。従いましてその原因につきまして融資当初の会社の計画、あるいはいろいろ現場の関係の調査報告等、これが復金におきまして調査した結果、多少企業の不定性その他について疑問であつたようでございます。そういつたものについて復金として調査を十二分にしないで、ただいま申し上げたような目的を達しないで、資金がだめになつたということは、はなはだ融資として妥当ではないというような考え方から、目下私どもその点をよく検討をいたしている次第でございます。
  138. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつとこの際申し上げますが、銀行局総務課長の杉山知五郎君がお見えになりました。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 銀行局長にお尋ね申し上げたいのでありますが、こういうように金庫の調査自体も融資が不当であつたとか、その他まだたくさん問題がありますが、こういうものに対して銀行局関係では善後処置でどういうふうに講ずるつもりでありますか。
  140. 川野芳滿

    川野委員長 銀行局長は司令部にお出になつておりますので、銀行局総務課長の杉山知五郎君から答弁させます。
  141. 杉山知五郎

    ○杉山説明員 ただいま局長は司令部の方に参つておりましてまだ帰つて参りませんので、私が代理してお答えいたします。会計検査院からいろいろ御指摘の問題については、復興金融金庫の方からその融資の成立いたしましたときの事情なり、あるいはその後の回收状況等につきまして、種々こまかい説明をいたさせております。それで私の方にもその写しをもらつて、その措置が当を得ていたかどうかというような点を目下検討いたしております。それについて検討いたした上で考えてみたいというように考えております。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとこれは回收する見込みがあるという部類に入つておりますか。あるいは回收見込みが全然ないという部類に入りますか。これはいずれの部類に入るのですか。
  143. 杉山知五郎

    ○杉山説明員 復金の融資については四種に分類いたしまして、そのうち全損になつてしまうかもしれないという部類のものも第四種の中に入つておりますが、これらの資料は一応来月中にはできる予定でもつて目下整理をしております。また金庫からはこれらの問題について報告を受けておりませんので、今のところはどの部類に入るか、はつきりはお答え申し上げかねます。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 ちよつと違う問題で会計検査院の方にもう少し聞きますが、三建工業というのがあります。またこれも昨日あなたに通告しておきましたが、大和、三幸、鉄道建設というような六つばかりの土建会社に約二億円の融資をしておりますが、これについての調査の結果はどうですか。
  145. 池田直

    池田説明員 お答えいたします。ただいまお尋ねの三建工業その他土木関係の会社に対する融資でございますが、この件については復金が融資した際に、これらの会社は主として官庁あるいは府県等の工事を請負つているわけでありますが、復金が資金を貸し出す際に、回收の点について官庁なり府県からの工事代金を、復金が代理受領をするような手続をすることが適当でございますのに、その手続をいたさないで貸したために、今日回收が非常に困難になつている状況でございまして、その融資手続等について私ども検査院としては適当でなかつたではないかということで、調査を進めておりますが、先ほどの石狩鉱業の件もただいまの土建関係の融資の件も、ともに目下私ども調査中でございまして、もしこれが適当でない、融資が妥当でないという最終決定になりましたら、この次の二十三年度の検査報告に掲載されることになるわけでありますが、先ほど申し上げたように、まだ最終決定に至つていないような状況でございます。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方にはたくさん例はありますが、それを一々言つているのもたいへんですが、この三つは特に顕著な例だと思います。今の二億六千万円の融資のうち、一体今もつて回收されていない分は幾らですか。しかも相手は全部官庁関係の土建工事ばかりです。
  147. 池田直

    池田説明員 ただいま来回收になつておりますのは、一億八千余万円になつております。
  148. 林百郎

    ○林(百)委員 この二億六千万円の融資のうち、わずか八千万円だけが回收できて、約一億八千万円の回收が不能になつているのですが、これはどういう理由で回收が不能になつていいるのか。しかもその責任はどこにあるわけですか。
  149. 池田直

    池田説明員 回收が至難になつている原因ですが、やはり一般の経済界の金詰まりその他の関係から困難になつていることと思いますが、少しずつは返つているような状況でございます。
  150. 林百郎

    ○林(百)委員 銀行局の方では、金庫の方からどういう報告を受けておりますか。
  151. 杉山知五郎

    ○杉山説明員 三建工業の例についてまず申し上げますと、金庫としては資金の受注関係等についていろいろ要望を出しまして、相当の進捗を見ております。たとえば人員関係についても当初七百人以上いたものを半数に整理するように要望して、これによつて人件費等の支拂いを非常に節約しているような次第でございます。また受注関係においても相当強力なる受注先を獲得して、これによつて今後の收支を改善するように処置いたしております。また資金関係についても関係の市中銀行二行に懇請をいたしまして、運転資金の獲得に努めております。そういたしまして利拂いにつきましても最近進捗いたしまして、相当收入を得るようにいたしております。また元金につきましては、何とか予定通り回收をいたしたいというふうに目下やつておるわけでありまして、私どもの調べといたしましてもこれが全損になることはもちろんございませんし、また部分的な損失にもならないように、何とか全額の回收をはかるようにやつておる次第であります。その他これは関係の会社が八つばかりございますので、一つ一つにつきましては大体今申し上げましたような資金関係、人員関係、発注関係等に手を盡して回收をはかつておる次第でございます。
  152. 林百郎

    ○林(百)委員 まあこの問題はたくさんあるのですが、ちようど大蔵大臣がお見えになつたから、大蔵大臣の責任のある回答をお聞きしたいと思うのですが、復興金融金庫の融資に対しては非常に不正な、あるいは故意がなければ非常に不注意な融資がたくさんなされております。これに対して大体全般的に言つて、どういう回收の方法を講じていられるか、それからこの不正な融資あるいは不注意きわまる融資に対しては、どういう措置をとられる考えか。それから大体の貸付の状況、それの現在の状態、こういうような問題について大臣の責任のある答弁をお聞きしたいと思います。
  153. 池田勇人

    池田国務大臣 復興金融金庫の貸付金の回收につきましては、個々の貸付條件に従いまして回收をはかつております。復興金融金庫からの貸出金につきましての手続は御承知通りでございます。もしそこに非違があるとすれば、これは糾彈しなければならぬことは当然であります。なお復金の回收問題につきまして、少し手をゆるめろとかいうような議論がありますが、これは金融界の状況並びに貸付條件その他を勘案して適当にやつて行く考えであります。
  154. 林百郎

    ○林(百)委員 従来の融資の中で回收見込みがないと思われるようなものは、大体どのくらいの額になつておりますか。
  155. 池田勇人

    池田国務大臣 この回收不能見込額につきましては、これは経済界の状況によつてよほど違うのであります。従いましてわれわれは回收不能のないように、また起りましてもできるだけそれを少くするように努力いたしております。
  156. 川島金次

    ○川島委員 今林君からも尋ねられたのですが、復金の債権の回收の中で、非常に前途困難を予想されるものが少くないとわれわれは聞いておる。またただいまの大臣の説明によりますと、できるだけという抽象的なお話でありまするが、もうすでに復金がいわゆる整理的な事務に入つてから相当の日時を経ておる。従つて従来の関係と整理的な関係に入つたことを通算しまして、おそらくこの復金の債権の回收の最も困難と認められるようなものが、もうすでに漸次判明して来ておるのではないかと思うのであります。そこでもう少し具体的に、率直に、正直に、この復金の回收についての見通しを国民の前に明らかにしておくことは、きわめて必要であろうと思うのです。その意味において、重ねて私からもその点についての大臣の具体的な見通しを聞いておきたいと思います。
  157. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまお答え申し上げました通りでございまして、千億円近い貸付金の中で、何割が回收不能ということは私は早急に言うべきものではないと思う。やはり経済界の状況その他によりましてよほど違つて来ると思うのであります。従いまして個々の会社に当つてみて、この会社の営業状態がどうであるから、いつ回收できるというふうなことは、一応の見通しはつくと思いますが、今ここで正確な数字あるいは正確でなくてもどの程度というだけの調査をいたしておりません。
  158. 川島金次

    ○川島委員 それでは大臣にこの機会にお尋ねしておきたいのですが、池田大蔵大臣にひとつ国務大臣として私お尋ねいたしたいと思うのです。先ほど来食糧管理の問題で、新米価消費者価格との問題、その中間の公団のマージンの問題が、説明によりまするときわめてあいまいで抽象的であるがために、非常な論議の焦点になつております。そこで池田さんにお尋ねしておきたいのですが、消費者価格は、政府はすでに一月一日から新しい価格を決定すると言明し、これを公表しておる。ところがこの委員会におきましては、政府当局の説明によりますと、一月から必ずしも消費者価格を上げるとはまだ決定しておらぬ。あるいは二月になるかもしれぬ、こういう二重の言明がなされておりますることは、国民にとつてまことに困惑を感ずる次第であります。そこで国務大臣として、この問題に対してどういう方針で進んでおるのか。それをひとつこの際明らかにしていただきたい。
  159. 池田勇人

    池田国務大臣 一月一日より消費者価格を上げる予定で予算も組み、御審議を願つておるのであります。具体的な手続を今とつておりませんから、一月一日から上げることと御了承願います。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 今のその予算の点では、あなたの所管の範囲ではたしか一月に上げるということに予算が組んであるわけです。ところが先ほどから農林省関係の諸君の答弁では、大体そういう方向でするつもりだがということで、まだはつきりきまらないと言つておるわけなんです。決定しないというわけです。そうするとあなたの方は、もうそれで予算は組まれておる。ところがもし農林省の方でそれが変更があり、あるいは一月に決定すべきものが二月、三月に行つたらどうなるかという問題で実は大きな問題になりまして、農林省の責任ある立場の者を呼んで来て、はつきりきめようということになつておるわけです。そこで政府全体として、先ほどの川島君の質問にもありました通り、国務大臣として、吉田内閣としては、一体米の消費者価格は一月から一一・三%上げて、十キロ当り四百六十円と必ず決定するのかどうか。もし決定するという方針が吉田内閣として確立されておるならば、農林当局がどうしてまだどうかわからないという答弁をされておるのか。その辺がわからないから、これは吉田内閣の国務大臣としての立場で、予算の責任者である大蔵大臣ではなく、吉田内閣の国務大臣として実はあなたに聞いておるわけです。その辺を勘案して、もう一度しからばなぜ農林当局の方はどうかわからないというような答弁をされておるか。はつきりさしていただきたい。
  161. 池田勇人

    池田国務大臣 私は大蔵大臣たる前に国務大臣であるのであります。従いまして国務大臣として御答弁をし、しかも予算に一月一日から上げることにして閣議決定をいたしておるのであります。吉田内閣としては一月一日より上げる方針で行つておるのであります。
  162. 林百郎

    ○林(百)委員 よくわかる。筋は通つておる。そこで今問題になつておる農林当局がなぜまだわからないのだ。一月になるかどうかわからない。それからこれもわからない。大体そういう方針で努力はするということを言つておるのですが、その点なぜ、すでに政府はそういう方針が確定しておるにもかかわらず、農林当局の方の答弁はそういうふうに不確定な答弁をされておるかという点が一つ。  もう一つは、大分そちらの方で討論打切りをあせつておるようだから、復金の問題についてもう一つあなたにお伺いしたいのだが、復金の問題でこれも一千百億というのは厖大な貸付金である。これが回收できるかできないかということは、日本の国家財政から言つても重要な問題なんです。そしてあなたも主管大臣として大体回收見込みがどのくらいだとか、あるいはこれはどう言つてもむずかしいとか、そうい方もののせめて内訳、パーセントくらいはあなたの口から開かれるのではないか。これは国民としても非常に重要な関心を持つておる問題でありますから、経済事情の変化はあつても、緩急の別はあつても、大体全部回收できそうだ、あるいはこの部分はどうしても不可能だと思うというように、そういう点がありましたらもう少し打明けて聞いてみたい。ちようど今法案も出ているときですから、もう少し責任のある親切な答弁をあなたから伺いたい。それだけであります。
  163. 池田勇人

    池田国務大臣 米価の問題については、国務大臣としての言明を信用していただきたいのであります。復金の貸付金の回收につきましては、お話の点もありますが、ただいまどのくらい欠損見込みがあるということを申し上げるよりも、私はほとんど回收し得るものと見込んでおります。
  164. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ただいまいろいろ質疑になつております復興金融金庫法の一部を改正する法律案、それから復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案、この二案につきましては、すでに昨日来十分審議も行われた次第でありますから、質疑を一応打切りにいたしまして、次に食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について質議を続行せられんことを望みます。
  165. 川野芳滿

    川野委員長 前尾君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでありますので、復興金融金庫法の一部を改正する法律案復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案については、質疑終了といたします。     —————————————
  167. 川野芳滿

    川野委員長 それでは食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。林君。
  168. 林百郎

    ○林(百)委員 この資料に基いて中間経費がどういうふうに構成されているか。新しく資料ができたのだから、もう一度説明してもらいたいと思う。
  169. 清井正

    清井説明員 ただいま配付申し上げました資料について御説明申し上げます。  この資料は米価の構成内容の問題と現行消費価格に織り込まれておる諸経費、石当りの問題、それから食糧管理特別会計の二十四年三月三十一日現在の状況を差上げてございます。  最初の米価の構成でございますが、これは一等、二等、三等、四等と、先般きまりました米価の各等級別の価格をここに出して、ほかに包装代としてそれぞれの等級について百九円が加算されることに相なるのであります。それから次に二十四年度補正予算に計上したところの米の買入れ計画数量は、雑穀を含め、また超過供出数量を含めまして三千三百十八万六千石というものが、補正予算において米の買入れ計画数量として計上されているのであります。それから補正予算において輸入食糧の買入れ計画でありますが、これは二百九十万五千トン、これは千トン單位でございますが、これは総計でございまして、その内訳は米において三十八万三千トン、小麦において百七十八万五千トン、大麦においで四十二万九千トンとごらんの通り数字になつております。  それから現行消費価格に織り込まれておりますところの諸経費でございますが、これは左の方の等級間格差が三十九円二十五銭、包装代が八十五円、早期供出奨励金分が二百六十六円八十五銭、超過供出の買入れの分が三百九十二円九十二銭、一年たちましてパリティーの何割分を消費者に追加拂いをいたします分が六十九円、従いまして生産者方面に返ります分の八百五十三円二銭というものが、中間の経費の中に一応含まれておるのであります。そのほかに、右の方の数字でございますが、政府のいわゆる事業運営上の経費でございますが、この経費が全体で四百十九円八十二銭でありまして、この内訳はここに書いてございます通り特別指定倉庫三十円、集荷手数料六十円、倉庫保管料七十三円三十七銭、運送賃百八円六十銭、金利五十七円八十七銭五厘、人件費事務費が八十九円九十七銭五厘、小計四百十九円八十二銭こういうことになつております。食糧公団の経費が三百九十四円二十銭、目欠の分が八十三円三十五銭、都合中間経費は石当り千七百五十円三十九銭でありますが、そのうち純粋の中間経費が八百九十七円三十七銭、こういうことになつております。  それから食糧管理特別会計赤字の現況の方でございますが、これは貸方、借方を一応区別いたしまして、三月三十一日現在の現金が九十三億五千九百万円、概算前渡金、これは日銀に対する前渡金でありますが、八億一千八百万円、收入未済分が百三十九億六千七百万円、食糧の持高が九百億六百万円、土地、建物、備品等が五億二千二百万円、損失が百二十四億八千九百万円ということで、借方合計が千二百七十一億六千百万円、貸方の方は証券発行高が千百八十億、支出未済が二十七億八百万円、前年度繰越利益が六十四億五千三百万円、計千二百七十一億六千百万円ということに相なつておるのでございます。  それから先ほど米価の問題について申し上げたのでありますが、米価の問題につきましては私どもは事務官といたしまして、米価決定引上げについての事務手続が決定してない、こういう意味を申し上げたのであります。
  170. 川野芳滿

    川野委員長 それでは食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に対する質疑は午後に讓りまして、午後一時半から再開いたしまして、税法関係法律案、旧軍関係債権の処理に関する法律案復興金融金庫等に関する法律案の討論をやりたいと存じます。なお残余の法案についての質疑を続行することにいたしますので、御出席くださるようにお願い申し上げます。午後一時半まで休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     午後一時五十八分開議
  171. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  これより所得税法臨時特例等に関する法律案物品税法の一部を改正する法律案、及び織物消費税法等を廃止する法律案を一括議題として、討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。塚田十一郎君。
  172. 塚田十一郎

    ○塚田委員 私は民主自由党を代表いたしまして、ただいま議題になつております所得税法臨時特例等に関する法律案外二法律案について、賛成の意を表明いたしたいと考える次第であります。  冒頭にまず申し上げておきたいことは、私どもがこれら三法律案に賛成を申し上げる心持は、必ずしも今回の三法律案に盛られた諸改正が、昭和二十四年度内において行わるべき税制改正として、十分に満足なものであるという意味においてではないという点であります。ただ近く行われるべき全面的税制改革の一環として、その一部分が実現されたものであるという意味において、一応政府の努力を多といたしまして、なお今後一段の努力を期待する心持から、賛成を申し上げる次第であります。歳出を縮減し国民負担を軽減しなければならないというのは、わが党の年来の主張でありまして、また税法並びに徴税を合理化し、国民負担を公平ならしめる必要は、今日より緊急なるはないのであります。たとい国民総所得に対する国民負担の比率が、他の諸国と比較いたしまして必ずしも重くないとか、いろいろの意見はあるのでありますけれども、現行税法のもとにおいて国民がその総所得を正確に申告し、これに国税、地方税、それに寄付金までの負担をするときに、どのような結果になるかということはあまりにも明瞭、かつすでにこれは論じ盡されておる事実であります。そのために一方納税者の側においても自営の必要上、やむを得ず申告に若干のかけ引きをする傾向を生じ、他方また徴税当局においても多少のしんしやくを行う慣行を生じておるのが、わが国の税制運営の偽らざる現状であります。ここからまた負担の不公平が生れ、そうでなくてさえ耐えがたい税をさらに一層納得できがたいものとしているのであります。今日一般に勤労所得者よりも事業所得者に課税漏れ所得が多く、また同じ事業所得者のうちにおいては、大所得者ほど所得の捕捉率が小さいと言われているのであります。  右のような状態でありまするから、われわれは前会期において、すなわち昭和二十四年度の初頭から全面的税制改革を行うべきことを、強く主張して参つたのでありまするが、諸般の情勢上その実現を見ず、きわめて遺憾に考えておつたのであります。しかるに九月シヤウプ使節団の勧告が発表せられ、幾多適切な改革に関する示唆がなされて、国民とともに深く感謝をいたしておる次第でありまするが、勧告中に述べられてある昭和二十四年中に行うべき事業所得者の負担軽減について、今回の税法改正が何ら措置するところのなかつたのはまことに遺憾であります。  現行法のもとにおいては、国民のうち中小または零細な営業者並びに農業者が、税負担に困難していることは疑いのない事実であります。この現実は事業所得者の所得の捕捉率が、勤労所得者のそれに比して著しく小さいという統計上の現われとはまつたく別個の問題なのであります。このゆえにわれわれは今度行わるべき所得税法の改正においては、事業所得に対する格別の考慮を主張し、使節団もまたその現実を正確に把握せられた結果、本年内における事業所得者に対する三・七五%の特別控除を勧告せられたものと考えるのであります。もちろんこの程度の控除で、まじめな農業者、中小商工業者の負担は幾ばくも軽減されるとは考えられませんが、それにしてもそれはなきにまさるものであり、さらに一層重要なことは、そのことが事業所得者に與える心理的効果にあると考えておつたのであります。政府が近時逐次調査査察を徹底して徴税を強化せられておることは、われわれもその方向に対して賛意を表するものであります。しかしながら正確なる徴税は、どこまでも国民負担のたえ得る限界内にある税法、税負担の基盤の上において行われるのでなければ、それは国民生活と産業とを破壊する以外の何ものでもないのであります。それはまた国民のとうてい承服し得ないものとなるでありましよう。この意味におきまして、私どもは本年内における事業所得に対する特別控除に重大なる関心を寄せていたのであります。このたびの改正においてそれが何故に実現しなかつたかについては、委員会における質疑においても遂に政府側から十分納得し得る回答を得られなかつたのはまことに残念であります。もしその理由が巷間にとりざたされているように、本年度の事業所得税の收入状態が意外に悪いために、それに対する懲罰的な意味を持つたものであるとするならば、それはまつたくのお門違いであることを指摘いたしておきたいと存ずるわけであります。  以上のような考え方からいたしまして、所得税法の改正案に対しては十分に満足はいたさないのでありますけれども、冒頭にも申し上げました通り、ただいま政府が鋭意成案を急がれておられるところの全面的な所得税法改正案に、この考え方が十分にとり入れられるであろうことを熱心に希望しかつ期待いたして、この法案に対して賛成をいたす次第であります。  次に物品税につきましては、勧告は昭和二十五年度におきましても引続いて二百七十億程度の税收を確保するよう示唆せられたにもかかわらず、その内容が必ずしも適当でない点を率直に認められて、大巾にこれを減免し、その施行時期も明年一月一日からとせられた点に対しては、その努力を多とする次第であります。ただ改正案による場合その税收入本年度内二百十三億程度、来年度においては清涼飲料税收入十七億を含めて、大体百八十七億程度を予定せられているもののようでありますが、その推算の基礎となつておりまする生産状況並びに税率の引下げ、並びに徴税の強化等から来る申告並びに捕捉率の向上の程度の認定は必ずしも妥当とは言いがたく、今後一層調査並びに徴税を徹底するのと並行して一段の減免をはかり、このたびの改正においてなお十分是正せられなかつた不合理、不均衡を次の機会に是正せられんことを強く要望いたす次第であります。  取引高税は昭和二十三年七月の創設の時以来、われわれの強く反対しかつその廃止を主張して参つたものであります。勧告は明年の四月一日以降廃止を示唆せられたにもかかわらず、一月一日からその廃止を見ることとなつたのは、これまた政府の努力を多とする次第であります。織物消費税の一月一日以降廃止につきましても、非常に賛成の意を表する次第でありますが、その過渡的措置について若干遺憾の点があるように、私ども考えておるのであります。元来この税は本年度予算においては百七十三億程度收入が見積られておつたのであり、それに物品税を課せられておるメリヤス類二十三億程度を加えると、その総收入は約二百億に達する大きな財源であつたのであります。しかるに九月に勧告が発表せられますや、これが全廃すべきものであると勧告せられ、ここに業界に一大混乱が起つて参りました。われわれはこの経過期の混乱をなるべく小さくし、それによつて生ずる業者の損失を最小限度に食いとめるために、この部分だけは臨時国会の冒頭にぜひ法案を提出せられて、それを他の部分よりは早期に、もつと具体的に申し上げますならば、少くとも十一月の初めごろから、この部分が一応の減税を見るようにいたしたいと考えておつたのでありますが、そのことが実現いたさなかつたのはまことに残念に考えておる次第であります。  以上大体私どもが本三法案に御賛成申し上げます気持を率直に申し上げまして、政府の今後の御努力を期待かつお願いして、これらの法案に賛成をいたす次第であります。(拍手)
  173. 川野芳滿

    川野委員長 川島金次君。
  174. 川島金次

    ○川島委員 私は日本社会党を代表しまして本案に、所得税に関しては反対、物品税に対しましても反対、織物消費税並びに取引高税については警告をつけて賛成をいたしたい、こう思うのであります。  まず問題の所得税の一部改正案でありますが、この改正案につきまして、委員会のわれわれの質問に対して、政府当局は二十五年度におきましては、大体勤労所得に関する限りにおいてはこの程度で一貫するというふうに看取されまして、これ以上の軽減はほとんど期待ができないという感じを強くいたしたのであります。今日勤労大衆の生計の実態というものは、きわめて困難を続けていることは言うまでもございません。政府は、実質賃金が最近においては上昇して来たと言われておりまするけれども、いわゆるわれわれのいう勤労大衆の生活の実態、あるいは実質賃金におきましては、もとより依然としてその窮乏の度を緩和されておらないと、われわれは確信をいたしております。たとえばエンゲル係数から見ましても、勤労者の生計費中に占める食糧費というものは、依然として六〇%を上まわつているというようなさんたんたる事情であることは、安本の調査によりましてもきわめて明瞭になつているわけでございます。なお、さらに今度の所得税の中の源泉徴收に関するこれらの政府の処置について、安本が当初発表いたしました生計費への影響についての計算をいたしましたものによりますると、大体において運賃の値上り、新米価の決定、あるいは補給金の削減等によりまする独占商品の値上り等を勘案いたしまする場合には、おそらく生計費へのはね返りは少くとも六・二五%に及ぶであろうということを公表し、逆に減税によりますところの勤労大衆の負担減というものは、わずかに三%にすぎないということを当初発表されているわけであります。その結果から見ますると、この減税を見ましても三・二五%の勤労大衆に與える生計費への増というものが、明瞭になつているわけであります。しかもこれをCPSの方面から計算いたして参りますると、昨年の七月から本年の七月までのCPSの係数はどうなつているかと見ますると、実に三一%の上昇になつているわけであります。こういう事情考えてみますると、單なる数字の上だけから見ましても、勤労所得ことに零細所得者の生計がいかに困難をきわめているかということは、申すまでもなく明瞭になつているわけであります。従つて私の見聞する範囲におきましては、全国の都市におきまする公益質庫の利用階級のおよそ八〇%内外というものは、ほとんど俸給生活者であるという事実にかんがみましても、いかに俸給生活者がその生計に困難を重ねているかということを、これは如実に物語るものであるのであります。しかして今度政府が提案いたしましたこの所得税の一部改正法案というものは、先般シヤウプ使節団が政府に勧告いたしましたその一部をうのみにして、提案をしたということにすぎないのであります。いわば勧告という配給品を国民に取次いだという、俗な言葉で申し上げますればまことに能も芸もないというようなかつこうで、この配給品が示されて来たというような形になつて、しかも政府独自の政策あるいは政府を支持する民自党独自の税制政策というものが、すでに打立てられているにかかわらず、それが片鱗だもここに現われておらないということでは、その政府の面目はいずれにありやと私どもは申し上げたいのであります。しかも今度の税制の内容によりますれば、勤労者に対する基礎控除は従来の一万五千円が二万四十円、扶養家族は所得税から差引くところの一万二千円、あるいはまた勤労控除のごときに至りましては、従来の二五%を一挙にして一〇%に引下げてしまつた。ことに政府におきましてはこの二五%を一〇%に引下げることについては、池田大蔵大臣といえどもこれに対してはきわめて不満であつたかに、われわれは想像をいたしているのであります。しかもそれが配給品そのままのごとくに一〇%ということで提案されている。その上にさらにわれわれが指摘しなければならない点は、これに対するところの税率の問題であります。従来八五%の最高の税率は三十万円を基準として五五%にとどめた。この税率の形こそはきわめて不均衡をもたらす有力なことになるのでありまして、高額所得者がその負担が軽くなる。そうして国民の所得階層の大部分を占めるであろうという三十万円以下のものに対して、多くの負担がかかつて来ることは、これは言うまでもない明瞭な結果になるのでございます。ことに池田大蔵大臣は、この五五%にとどめたという事情に対しても、われわれの前においてきわめてはつきりと不満であるとの言明をされている。そういうような事柄を初めから考えておられたならば、何ゆえにこの五五%の問題をもう少し考え直して、この議会に提案をしなかつたかと私は申し上げたいのであります。いずれにいたしましても勤労者の生計の実態から見まして、この程度の税制の改正であつては、政府の言うところの国民生活の安定に寄與するとは、断じてわれわれは考え得られないところであるわけであります。今や国民大衆の希望するところは、名目的な單なる減税にあらずして、実質的な最低の生活の確保であるのであります。その最低生活の確保を念願する勤労大衆に報ゆるにこの程度の税制改正では、これは国民に報いたものということは断じてできないと私は考えているわけであります。ことに私はこの機会に一言つけ加えておきたいのは、政府は明年度においてあらためて全面的な税制の改正を実施し、その場合においては合算課税の廃止、あるいは災難あるいは不具等に対するところの特別の控除、あるいは扶養家族の範囲の拡大等をも実施するのだと言われているのでありますが、勤労大衆は明年一月からこの税法が実施されるといたしまして、そうすると勤労者以外の申告納税者は、政府の言うところによれば、一月からの所得に対してそれらの事柄をもし適用することになりますれば、勤労者は一月から三月までの間の、すなわち二十五年の三箇月間というものは、明年実施されるであろうところの扶養家族の範囲の拡大、あるいは不具、廃疾、災害等に対する特別の控除、あるいは同居親族の合算課税の廃止ということが適用されないという、このような片手落ちの結果になるのではないかというおそれをわれわれは持つものでありまして、この点につきましても勤労者と申告納税者との間における、不均衡きわまる税制の改正になるのではないかという感じを、私は強く持つておるのであります。こういう事柄について、何ゆえに政府はこの税制の改正の機会に考慮しておらなかつたかということに、われわれは根本的に疑いを持つものでございます。  大体以上のような理由によりまして、要するにこの税制の改正では、勤労大衆の熱望するところの実質的生計の確立ということがほとんど困難であつて、有名無実に帰するであろうということをわれわれは強く主張いたしまして、この所得税の一部改正案に対しましては断固反対をいたすものでございます。  さらに第二の物品税の改正の問題でありますが、物品税の改正におきましても、政府は生活の必需品に対してはできるだけこれを廃税し、あるいはこれをできるだけ軽減するということを多く主張して参つたのでありますが、生活の必需品以外のものに対しては、当然相当な税をかけるべきにかかわらず、この物品税の改正を見ますると、従来甲乙というようないわゆる生活必需品以外の奢侈品に対してまでも、二〇%もしくは三〇%という減税を考えそれを実施いたそうとしておる。しかもその反面に生活必需品の物品税に対しましては、一部は廃止されたりあるいは軽減をされておりますけれども、その事柄自体において、われわれはきわめて調整を要する問題が残されておるのではないかと感じておるのであります。たとえば今申し上げましたような生活必需品以外の高級なものに対してまでも減税をしておるその減税をするかわりに、何ゆえに政府一般生活必需品に対する減税に充てなかつたか、あるいは廃税に充てなかつたかということをわれわれは言いたいのでございます。すべからく政府はこの物品税に関する限りにおきましても、明年度の全面的な税制の改正にあたつてもう一度出直して来る必要があるのではないかと考えるのであります。この程度の物品税の改正でありましては、国民大衆は断じて納得できないであろうとわれわれは確信しておるのでありまして、この物品税の改正案は出直してもらいたいということを強く主張して、反対をいたすものでございます。  さらにまた織物消費税及び取引高税の問題につきましては、われわれも年来主張して参つたところでありますので、この点多くを言わずして賛成をいたしておく次第であります。詳細はまたいずれ本会議の席上において討論の際に申し上げたいと思いますので、以上簡單な点だけを申し上げまして、わが党の態度を明白にいたす次第であります。
  175. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  176. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 民主党野党派を代表いたしまして、本案の所得税臨時改正の問題については反対の意思を表示するものでありますが、その内容については川島さんと同様な意見でありますから省略します。これはいずれ本会議で討論する際に述べたいと思いますが、あとの法案については民主党としては賛成であります。
  177. 川野芳滿

    川野委員長 林百郎君。
  178. 林百郎

    ○林(百)委員 日本共産党を代表しまして、所得税法の臨時特例に関する法律案には反対、それから物品税法の一部を改正する法律案にはやはり反対、織物消費税並びに取引高税を廃止する法律案には賛成の意を表したいと思うのであります。  そこで反対の理由を簡明に申し上げますと、このたび吉田内閣のかねやたいこの宣伝であつたところの減税なるものは、ようやく二百億の減税という結果をわれわれの前に示したのでありますが、この減税の柱となるものが三つあると思うのであります。この三つの柱のもとにこのたびの吉田内閣の減税なるものが出たと思うのであります。一つは給與所得の百四十九億の自然増、いわゆる増徴、それから第二には法人税の大体本年度見込額の倍であるところの二百二十七億の増徴、第三には申告税がこれも当初見込みよりは少くなりまして、千七百億しか大体收入見込みがないというのでありますが、これは十月末までにはようやく三百九十九億、約四百億しかとれていない。すなわち二割一分しかまだとれていない。十一月から三月までの五箇月間にはさらにこの申告税は、実に従来の上半期の三倍半の千三百億に近いものをとらなければならない。この申告税は文字通り深刻なる影響を国民に及ぼすものと思うのであります。そこでこの吉田内閣の二百億減税なるものを見ますと、実はこの二百億の減税の陰には、かかる苛酷な三つの條件が付されておるのでありまして、これは一片のパンを国民に與えながら、実は猛烈な下剤がこの陰に含まれておるという結果になると思うのであります。ここで私たちはこのたびの減税に対する三つの柱、いわゆる勤労所得税の百四十九億の自然増、法人税の二百二十七億の自然増、それから申告税の上年期分の約三倍半に近いものを下年期でどこかで取上げるという、この三つの條件はまつたくわずか二百億の減税という條件にはかえがたいところの苛酷な條件で、これを人民大衆に與えるということのもとに私たちは反対するのであります。  まず第一に勤労所得の百四十九億の増徴の問題でありますが、政府日本の勤労階級は実質的にも名目的にも賃金の内容は向上し、生活は安定の一途をたどり、まことに御同慶の至りであるということを、各大臣が本会議場で述べておるのでありますが、実際われわれの調査で、たとえば国会の統計要提によつても、日本の勤労階級の実質的な賃金はこの一月には四六であつたものが、六月には四〇に減つておるのであります。そのことは同時に補給金の廃止に基く物価高、あるいは電気代の三割値上げ、ガス代の五割値上げ、主要食糧の一割値上げ、貨物運賃の値上げ等によつて、われわれは実質賃金の低下の傾向は、今年の下半期においてもやまないというように見ておるのであります。ところが問題はその実質賃金の低下のみではなくして、名目賃金ですらすでに切り下げられようとしておるのであります。これは日経連が各経営者へ出した通達を見ますと、次の方針が決定されておる。第一には固定給をだんだん半固定給にして来るということ、第二は欠勤の場合の賃金は三割方引下げる、退職金も半固定給の場合には従来の三分の一に切り下げるというような名目的な賃金の切下げにまで、日本の資本家団体は漸次その方針を遂行しておるのであります。しかも賃金の遅欠配の状態から言いますと、一月には一一八六であつたものが、この五月には三一七四という猛烈な賃金の遅配状況であります。このことは勤労階級全体から言うならば、明らかに名目賃金すらすでに低下の傾向にあると言わざるを得ないのであります。しかも勤労所得の本年度の自然増の中には、上半期分の行政整理による退職金という要素が含まれておるのであります。こういう退職金という課税の要素を含めての自然増の数字をそのまま認めるということになれば、明らかに本年下半期においてもさらに行政整理、首切りを予定しておるとわれわれは考えざるを得ないのであります。そうした状態でありますから、今や実質的にも名目的にも、日本の勤労階級全体としての賃金の構成は下向の状態をたどつておる。従つてこれをカバーしようとすれば、わずかな名目賃金を得るためにも大きな労働強化がしいられるということが、結果として現われて来るのであります。  そこで日本の勤労階級の生活内容を簡單に調べてみますと——今の勤労所得税の納税対象になつている勤労階級の状態を見ますと、大体一人から四、五人家族では、月収のうちの四割から三割は赤字になつている。これは事実であります。池田大蔵並びに各大臣は、勤労階級の生活状態は非常に向上していると言いますけれども、実際に各家庭では四割から三割が赤字である。これはわれわれ国会議員ですら、すでに滞在手当二百円を五百円、六百円に上げなければとうていやれないという事実から見ても否定できないと思う。しかもこの赤字を借金で埋めている者が三割、食費を切下げている者が一割六分、売食いをしている者が一割五分という状態であります。食費の切下げの中には、今まで食べたものよりは安いものを買つて何とかこれを切抜けようとしている者が六割三分、また今まで食べたものの量を減じて、何とか生計費を節減しようとしているものが二割三分という状態でありまして、ますます食費の方へ食い込んで行き、安いものを食い、量を減じ、からだを粉にして家計の赤字を埋めているという状態であります。しかも配給物の受取れない状態から申しますと、二日、三日配給物を受取ることができずに遅れるという家庭がほとんど五割であります。配給物が来ても、金の都合ができないというので受取りが二日から三日遅れるのが、日本の勤労所得者のうちの大体五割を占めているのであります。しかもこうして受取つた配給が——大体一月分の配給で十日分足りないというのが全家庭の五割を占めております。従つて配給物の受配が遅れ、しかも配給量が十日分も不足しますから、やみ買いをしなければならないという家庭が六割九分、七割近くも占めておつて、このために家庭の生活はますます苦しくなり、今や配給物を受取るにはぜひ掛売りをしてくれという要求は、全勤労階級の実に八割三分を占める状態になつているのであります。さらに住宅問題から申しますと、狭くてどうしても今の状態では休むことができないという家庭が全勤労階級の五割七分、衣料の点から申しますと、洋服だとか子供の衣料というところまで行けば上等であつて、一番われわれの衣料で基礎的なものであるはだ着がほしいというのが、二割三分という状態である。しかもこのはだ着を手に入れることができない。はだ着が満足できたら洋服なりふとんなり子供の着物がほしいというのが一割四分から二、三分という状態にになつているのであります。  こうしてますます家庭の生活が苦しくなりますから、何とか残業でもしてわずかな名目賃金をあげようということで、従来よりも二時間残業して残業手当をほしいというのが、従来の四倍から五倍であります。この結果、日本の勤労所得者の肉体的消耗は非常に過度になつておりまして、何とかして月のうち二日、三日休みたいという希望者で、大体二日希望者が三割、三日希望者が二割八分という状態であります。最近の国鉄労働組合浜松工機部からの陳情書によりますと、いよいよ食えなくなつてしまつた。昨年六千三百円ベースという低水準をきめられて以来、全従業員は戰後四年の窮乏生活にやりくりの道も今はまつたくとだえて、毎日の生活維持のため塗炭の苦しみの中に辛うじて職務を守つて来ましたが、遂に困窮その極に達し、ここにわれわれは現在最低生活費九千七百円の要求を団体交渉をもつて行いましたが、今もつて政府は誠意を示さないというのであります。こういう日本の労働階級の生活状態の中から、この百四十九億の自然増を見込むということ、わずか五十六億を減税しておりますけれども、実は九十二億の自然増を認めるということは——この九十二億というものは、日本の全勤労階級にとつては血と肉をはまれるようなものであると思うのであります。しかもこのたびの減税によりまして、具体的な例を申し上げますと、家族五人で月収九千円の者は、このたびの改正税法によりまして、月額三百五十五円の黒になるのでありますけれども、一月から主食の公定価格が一割上ることによつて、月に三百七十五円従来より主食増加支出がありますので、結局二十五円赤字になります。一方東京都に住んでいる夫婦と子供一人、三人家族の者で、従来の都民税が地方税改正により二・六倍に上るということになると、今度の税制改正により得る利益はけし飛んで、百五十五円増税になるという状態であります。こういう状態で、われわれは物価値上りあるいは地方税の増徴によりまして、このたびの減税の程度では、日本の勤労階級にとつてはプラスになるどころか、大きなマイナスになると言わざるを得ないのであります。  さらに私の方の党としましては、勤労所得税そのものは、日本の勤労階級のごとき低水準の生活をしているものに対しては、かけるべきでないという見解を持つているのであります。一応外国の例を調べてみますと、米国の労働者の平均賃金は週五十五ドル、月に二百四十ドル、八万六千余円であります。それに対する税金負担はわずか一・一%、英国では二〇・八%、日本では実に五三%の過重負担になるのであります。さらに英国の平均月收百二十一シリングを基準にすれば、英国が〇・五%、米国はこの程度では税金がかかりません。しかるに日本では三五%の税金がかかる。さらに日本の平均月収八千八百二十八円を例にとりますと、日本ではこれに一割の税がかかるのに、英国や米国では全然かからないという状態であります。結局米国を基準にしてとれば、日本の勤労者の租税負担は米国の四十八倍、英国を基準にとれば七十一倍という苛酷なものであります。しかも実質賃金は、昭和十年から十二年を一〇〇としますと、昭和二十二年十二月では三一%、三分の一の実質賃金の切下げになつておるのであります。昭和十一年の勤労所得の免税点の千百円を現在の価格、貨幣価値の変動で計算してみますと、大体四十三万円となるので、この程度までは税金をかけるべきでないという数字も一例としては出て参ります。いずれにしましても、勤労者に対する勤労所得税の対象というものは、收入から必要経費を引いたいわゆる利潤的な意味の所得ではなくして、肉体的な再生産を保障するものが給與であります。勤労階級に対する給與自体は何ら利潤的な意味を持たないので、これに税金をかけるということは勤労者の血と肉をはぎとるものであり、血税であるという意味で、われわれはこの勤労所得税全体に反対するものであります。従つてわずか五十六億ぐらいの減税により、千七百億の勤労所得をとるということ自体に対して、われわれは反対するものであります。  次に申告税の問題につきましても、いわゆる本年度上半期の約三倍半に近いものを下半期でとらなければならないという問題でありますが、これも政府説明によりますと中小企業の收入は三割四分、農民の收入は二割一分増という計算のもとに、本年度下半期には上半期のの三倍半の増收は可能であるということを言つておるのであります。実際農林省の統計によりますと、農家の赤字は二十一年の十月から二十二年の九月までを平均してみますと、七千円から一万円近くの赤字が出ている。しかも耕作を放棄した農家の数が大体一割三分、耕地面積からいいますと、全放棄耕地のうちの一割五分というものが、税金が高いために、あるいは税金と供出と両者がからみ合つているために、耕作を放棄しておるのであります。  また中小企業の面からいいますと、中小企業の金詰まりの大きな原因は、税金負担が過重でありあるいは徴税が強行されるところにあるのであります。税金負担が過重になつているがために、金詰まりというものが二割三分六厘、徴税が強行されるための金詰まりというものが一割一分四厘、合せて三割五分というものが、金詰まりの大きな原因は税金負担と徴税の強行によるということを、はつきり言つておるのであります。大体東京都の商工指導所で調査したのでありますが、はきもの商あるいは魚商のごときは、すでに廃業の希望者が五割から八割という状態になつているのであります。こういう状態から参りますと、中小企業に対し本年度下半期に上期の三倍半の申告税をとるということも、実に容易ならぬことだと思うのであります。これがこのたびの減税の三つの柱のうちの二つの柱の状況であります。  最後に法人税の問題でありますが、法人税につきましては、当然大きな法人であり脱税しておるもの、あるいは高等所得の法人に対しては、われわれは税金をとることを別に反対いたしませんけれども、現在の法人税の徴收の状態がまつたく小額な所得の法人にかけられておる。しかも外形標準による收入の目安がないために、認定決定がされて来るということで、これは個人から法人に切りかえたけれどもとてもやりきれないということで、また法人から個人に切りかえるというような逆戻りの状態すら見えておるのであります。この法人税の二百二十七億増徴という問題自体が、少くとも中小企業に対しては大きな負担になると思うのであります。
  179. 川野芳滿

    川野委員長 林君、簡單に願います。
  180. 林百郎

    ○林(百)委員 以上申しました通り、このたびの二百億の減税の三つの柱であるところの勤労所得税の自然増、それから法人税の倍額自然増、それから申告税に対する今年度暮れから春にかける三倍半の税金攻勢、こういうような大きな大衆の犠牲のもとになされるところの減税案であるところの所得税法並びに物品税法については、共産党としては大衆の立場において断固反対せざるを得ないのであります。しかも物品税につきましても、われわれは物品税は一部のぜいたく品を除いては大衆課税である、これはすみやかに撤廃されるべきものであるという見地のもとにおきまして、このたびなお税金がかけられておるところのいろいろ万年筆だとか、ちようちんだとか、安全かみそりとか、マツチとか、あめとかいうような、税金をかくべきものでないものに対して税金をかけ、あるいは税金をすえ置き、一方当然税金を十分かけてもいいようなゴルフとか、あるいは高級自動車というようなものはむしろ税率を下げるというように、特権階級の利益は擁護され、大衆に対して金をかけるような物品税の改正につきましても、われわれは断固反対するものであります。  以上の理由によりまして、われわれは所得税法の臨時特例に関する法律案、並びに物品税の一部改正法律案には断固反対する次第であります。
  181. 川野芳滿

    川野委員長 内藤友明君。
  182. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 私はただいま議題になつておりまする三法案に対しまして、最初の所得税法臨時特例等に関する法律案には反対いたしまして、他の三つは、賛成いたします。  先ほど川島さんが、この税改正はシヤウプ勧告の配給品をそのまま受け継いだと申されたのであります。ところがそのまま受け継いでおられないのであります。配給品でありますが、その中から漏れておるものがあるのであります。先ほど川島さんはそれを指摘されましたが、農業者及び申告納税をする個人業者、自由職業者に対しての減税の処置でありまして、御承知通り今回の改正はシヤウプ使節団の勧告に基いて立案されたものでありますが、この使節団から一九四九年十月一日から農業者その他の所得税について減らすようにという勧告があつたのであります。これを政府が一方的に削除しまして実現させなかつたのは、何と申しましても残念なことであります。これは納税者間の税負担を公平にする目的で特に勧告せられたと思うのでありますが、この勧告に基いて農業者の負担が軽減されるだろうということを念願しておつた農業者は、非常に失望いたしておるのであります。御承知通り農業者の税金が他に比較して重過ぎるということは、いまさら申し上げるまでもございません。さきの天然資源局の農業課長をしておられましたデーヴイス氏は帰国の際、過露な税金は土地改革の計画を水泡に帰せしめるであろう、租税政策または過重負担により、農民は戰前の事情に復帰するを余儀なくされるであろうということを申しておられるのであります。農業者の負担がいかに重いかということについては、私どもはここにたくさんの資料を持つておるのでありますが、いまさらこれを申し上げません。政府は今年は自然増收二百十三億円と申されておるのでありますから、これだけの自然増收がありますならば、何をさておいても農業者の減税をしかるべく考えられるべきであつたと思うのであります。もちろん税率におきましては、先般大蔵大臣も私の質問に対して答えられましたように、農業者に特に過重な税率で負担させておるのではない。なるほどそうであります。しかし税率は同じでありますが、所得把握の厳密性いかんが問題になつて来るのでありまして、農業者の所得はその事業の性質上少しも隠すことができないのであります。一枚の水田、そこにつくつてある作物にしても、家屋敷のまわりにあるくだものにしても、家畜にしても、そのできばえとかその頭数はいずれもごまかすことができません。ことに近ごろ供出制度の実施によりまして、この傾向は著しくなつて来まして、農業所得は厘毛も残らず嚴格に計算の中に入つて来るのであります。ことにこのごろは生産割当、供出割当は市町村の認定する資料をそのまま使用せられておるのでありまして、所得把握の嚴密性はほとんど完璧に近いものがあるのであります。もちろん現実に所得があるからには、それに課税されることは、それ自体決して反対すべき理由はないのでありますが、税の問題は常に他との均衡の問題であり、他との比較が問題になつて来るのであります。他面政府農村政策を見ますと、四千二百円という低米価超過供出が三倍から二倍に引下げられ、補正予算のどこを探しても土地改良費が見当りません。農業災害復旧費はわずか二十億、すずめの涙ほどであります。農村金融対策は全然ありません。しかも食糧確保臨時措置法の改正案がきようの委員会で通りそうであります。これを考えてみますとまつたく農村は八方ふさがりであります。食糧生産の重大なる責任を負つております農家の前途は、まことに暗い気持がいたすのであります。これに対しまして政府当局は、今日わが国の置かれている客観的事情から、それはどうにもならぬことだと説明されるかもしれませんが、私どもから言わしめますれば努力が足らぬと思うのであります。一歩護つて農村政策が十分でき得なかつたという理由は一応認めるといたしましても、過重な農民の負担を十月一日にさかのぼつて減ずるようにという、シヤウプ博士の勧告に基いて案を立てられますならば、客観的情勢もこれをいれられただろうと思うのでありますが、それができなかつたということは、やはり現政府農村軽視の片鱗が現われたと思うのであります。こういう意味におきまして私はこの所得税の改正案につきましては、反対せざるを得ないのであります。あとの二案は賛成いたします。
  183. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。採決は各法案ごとにこれを行います。  所得税法臨時特例等に関する法律案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  184. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  次は物品税法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  185. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案も原案の通り可決いたしました。  次は織物消費税法等を廃止する法律案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  186. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお以上三案につきましての報告書の作成その他につきましては委員長に御一任願います。     —————————————
  187. 川野芳滿

    川野委員長 次に旧軍関係債権の処理に関する法律案を議題として採決に入ります。本案に関しましてはすでに質疑打切りであります。  本案に対しましては、前尾繁三郎提出にかかわる民主自由党、民主党、新政治協議会各派共同提案の修正案が提出されておりますので、まず修正案の趣旨の説明を聽取いたします。前尾繁三郎君。
  188. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 旧軍関係債権の処理に関する法律案につきましては、ただいまお話の通り民主自由党、新政治協議会、民主党合同で修正案を提案いたしたいと思います。  まず修正案を申し上げます。    旧軍関係債処権の処理に関する法律案に対する修正案   旧軍関係債権の処理に関する法律案の一部を次のように修正する。   第一條第一項中「軍需省に係る」を「軍需省に係る左に掲げる」に改め、同項に次の四号を加える。   一 法令により前金拂または概算拂をなしたもので過佛となつ金額の返還請求権   二 拂い下げ財産の代金請求権   三 誤拂による返還請求権   四 その他前三号に掲げる債権に準ずる債権   同條第二項中「大蔵大臣の定める」を「大蔵大臣が市場金利を考慮して定める基準による」に改める。   第七條第四項の次に次の一項を加える。  5 旧軍関係債権中第五條第三項及び第五項の規定により確定したものについては、その債務者の住所または居所が不明である間、第一項の規定は、適用しないことができる。但し、この法律の規定による徴收処分を免れる目的をもつてその住所または居所を不明にしたものについては、この限りでない。  ただいま朗読いたしました修正案の提案の理由につきましては、まず第一に政府より提案されております法律案は、旧陸軍省、海軍省、軍需省にかかる債権というので、その範囲は非常に漠然といたしております。従いまして先ほど列挙いたしましたように、債権の限界を明確にいたしたのであります。第二には金利でありますが、これは大蔵大臣の定める金利ということになつております。しかしそれではあまりに大蔵大臣が懇意的にこれをきめるというおそれがありますので、ただいま提案したような市場金利を考慮して定める基準によるということで、限定いたした次第であります。それから第三に修正をいたします点につきましては、債務者の住居所が不明である場合に、債権の確定あるいは徴收がただちにできるようなことになつておるのでありますが、それではあまりにも債務者の保護に欠ける場合が起りはしないかというおそれがあるので、従いまして但書にあるように住居所を故意に不明にしたような場合以外におきまして、非常に気の毒な場合が起つたときには、債権の確定なり徴收はただちに独断的にやらずに、十分気の毒な場合を考慮するようにという趣旨で、ただいまの修正案を提出いたした次第であります。どうぞよろしく御審議願います。
  189. 川野芳滿

    川野委員長 修正案の趣旨説明は終りました。  これより本案及び民主自由党、民主党、新政治協議会各派共同提案の修正案を一括議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。田中織之進君。
  190. 田中織之進

    田中(織)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になつておりまする旧軍関係債権の処理に関する法律案、並びに前尾君より説明せられました修正案に対しまして、反対の討論を行わんとするものであります。  本法案は旧軍債権の処理に関する法律案となつておりまするが、これはおそらく戰時中及び終戰直後におきまして、厖大にわたると予想せられましたところの軍債権、国の債権を確保するための法律という形を整えておりまするけれども、その内容を検討して参りまするならば、まず第一に政府の見込んでおりまする軍債権はわずかに十六億である。これを戰争中きわめて無軌道に支出せられました臨時軍事費、また終戰の混乱時における国民の膏血をしぼつたものを支出いたしました過程において、軍債権として確保されなければならないものは、これの何十倍いな何百倍にも達し、それが現在取立て未済になつてつておるということは、これは常識をもつてしても判断できるのであります。従いましてこれらの軍債権を徹底的に確保するということでなければならないのでありますが、本案の内容を検討してみますと、本案において予定いたしてるものはわずかに十六億何がしかであり、そのうちのしかも重要なる部分が、あるいは特経会社であるとかあるいは閉鎖機関であるとかいうような関係に隠れまして、実質的に本法が制定せられましても、これら十六億数千万円のうちにおいても現実に債権として回收できる部分は、きわめてわずかであるということが予想されるのであります。さらに政府は一方においては、最近におきましては軍事公債を含めますところの国の債務の償還にあたりまして、いわゆる国民の血税の中からあるいは見返り資金の中から、きわめて多額なるものを債務償還に非常に急なる態度を持しおるのに比べまするならば、実質的には軍債権の処理に名をかりまして、これら現在残つておりますところの国の債権を、この一つの法律をもつていわば打切つてしまおうとするところのきわめて惡質なる意図を含んでおるものと、われわれは断定せざるを得ないのであります。  さらに政府側から提出いたしました資料を検討いたしますならば、きわめて微細な額もこの十六億数千万円の軍債権の中に記載せられておるのでありますが、問題はこれらの少額なるものではなくて、むしろこの中におきましても、一億あるいは何千万という巨額に上るところの債権をいかにして確保するかということが、現下の財政事情の点から申しましてもきわめて重要なことでなければならないと思うのでありますが、本法はこうした零細なものあるいは巨額に上るものをも一律に論ずることによりまして、こうした巨額の、当然国に対して債権を支拂わなければならないものに対する、実は取立てるための法律ではなくて、むしろこれをうやむやのうちに、あるいはこれをもつて打切つてしまおうとする意図が明らかに見られるのであります。  さらに住所不定等の関係におきまして、こうしたものがかりに裁判所において債権額の調停にあたりまして持ち出される過程におきましても、裁判所当局がきわめて幅の広い讓歩をなし得ることが規定されておる等の関係からいたしまして、われわれは、本法は軍債権を確保するという名称にはなつておりますが、実質的には本法をもつて、いまだに、おそらく政府が予定いたしておりますより数百倍にも上りますところの軍債権を打切らんとする、きわめて反動的な意図を含んでおるものと断定いたしまして、遺憾ながら本法に対しては絶対反対を表明するものであります。
  191. 川野芳滿

    川野委員長 林百郎君。
  192. 林百郎

    ○林(百)委員 私はこの法案には次の四つの理由から反対したいと思います。  第一は臨時軍事費は国民の血税であつた。これは日本の国の運命にかかわるという宣伝のもとに、国民の血をしぼるような税金でかなわれたものであり、これは昭和十二年から昭和二十年に至るまで実に総額二千九十三億七千五百万円、その利子だけでも五十億円に達しております。しかるにもかかわらず、このたび軍債権として大体見込まれておるものはわずか十六億にすぎないというのは、この臨時軍事費の利子の半分にも達しないという状態であります。かかる国民の血税からまかなわれたところの臨時軍事費に対しては、徹底的な徴收をいたすべきであるにもかかわらず、これをしないという点が第一であります。  第二としては、この法案並びに修正案いずれを通じてもそうでありますけれども、軍債権の債務者をむしろ擁護するという形に立至つておるのであります。第一にわれわれがあげますことは、たとえば各官庁関係でわずか七十円くらいの債権すら、まだ確定しないということで取立てておらないのであります。たとえば野田俊作氏の二万幾らというごときもの、こういうものも出ていましたが、こういうのは当然とり得るものであります。しかるにもかかわらず、異議を言つたというだけでこれを確定することができず免除されるという方向に行くことは、明らかにこれは軍債権を取立てるというのではなくて、軍債権の債務者を保護するという方向にこの法律は行つておるのであります。この点においてわれわれは反対せざるを得ないのであります。  次に第三といたしましては、この法案自体が以上の意図を持つてなされておる法案でありますから、むしろ軍事的な潜勢力を温存するという方向へ行くべきものだと思うのであります。たとえばこの例を申しましても、かつて軍需省航空兵器総局から自動車を注文したにもかかわらず、この自動車を全然納めないで千四百万円もとつているところの興東特殊工業株式会社、あるいは軍需省の航空兵器総局と契約を結んだだけで七百万の金をとつている小西某、これはいずれも会計検査院の報告の中にあるのであります。また中島飛行機のごときは昭和二十年四月から八月、第一軍需工場に指定されただけで二十九億という金を使つております。しかし終戰と同時に、中島飛行機の工場従業員は勤続七、八年の者でも、おおむね本俸の五十箇月分の退職金をとつているという状態であります。また川西航空機では軍需省航空兵器総局と商工省整理部から、会計検査院の調査によりますと、実際は九千万円程度のものに対して三億円の金をとつているのであります。さらには高級将校から軍属の退職金に至つては、終戰直後のどさくさにまぎれて莫大な軍需物資がとられ、これが将官、佐官級を初めとする上級の軍官僚と大資本家によつて隠匿され、單に軍需物資が隠匿されただけでなく、何百億という臨時軍事費が高級将官や佐官によつて横領されたことは明らかであります。こういう意味でこれをこのまま温存し、これらの不当などろぼうにもひとしいようなことをしたところの、この旧軍関係者の債務を免除してやる、保護してやるという方向に行くことは、明らかに旧来の軍事的な潜勢力を温存しようという意図があると言つても、私は過言でないと思うのであります。  反対の理由の第四といたしましては、日本の国があくまで戰争を放棄し、恒久平和のもとに国際関係をどこまでも向上発展の方向にたどろうとする際には、日本の国は国際的な関係からいつても、また国際的な義務からいつても、徹底的に軍事的な潜勢力を摘発して、再びこれが芽がはえないようにしなければならないとい国際的な義務を負つているにかかわらず、このポツダム宣言並びに国際的な関係から逆行しようとして、軍事的な潜勢力を温存しようとするこの法案は、日本の置かれている国際的な関係からいつても許しがたい法案であると思います。  以上四つの点によりまして、私はこの法案並びに修正案についても断固反対するものであります。
  193. 川野芳滿

  194. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 私は民主自由党を代表いたしまして、この法案に賛成をいたすものであります。その理由は、ただいま社会党並びに共産党からいろいろ反対の理由を申されましたが、これはこの法案を非常に誤解し、また法案をよくお読みになつていないからであります。なるほどこの法案は債務の免除をなし得るようになつております。しかしそれは債務者が住所または居所が不明の場合とか、きわめて事務的な問題でありまして、御承知通り政府が債権を時効にかからせるということは、非常に政府の立場としてできがたいことであります。従いまして非常に事務の処理が遅れる——ただいまお話にもありました五十六億、八千件の件数が残つているという大きな理由は、一つは特経会社並びに閉鎖機関というようなものが原因になつているのであります。それ以外の普通の民間の債権でありましたら、とつくに整理がつくべきはずのものが、ついていないというのは、他の特別な国の債権が非常に嚴重な規定によつて縛られるという、その規定をそのままこういうような債権に対して適用して来ている関係にあるわけであります。従いまして一方においてはどんどん徴收を促進し得るように、これは共産党の皆さんも御反対ではなく、賛成しておられるところであります。それは結局において政府として特別な徴收の方法を講ずる必要があるわけであります。そういうような意味合いから、国税滞納処分の規定を適用するという必要があります反面において、誤拂いによります軍関係の俸給等につきまして、住所、居所の不明な場合、簡單に処理をするという必要は確かにあるので、率直にこの法案をお読みになれば、私は十分その点は政府の意図が氷解できる、かように感ずるものでありますし、またその規定を一々読みまして、当然事務の処理上必要がある、何ら政治的意図のあるものでないということを確信いたしますがゆえに、私は本法案に対して賛成の意を表するものであります。
  195. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。よつてこれより採決に入ります。まず前尾君提出にかかる民主自由党、民主党、新政治協議会の各派共同提案の修正案の採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  196. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本修正案は可決いたしました。  次に本修正案の修正部分を除いた原案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  197. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は修正可決せられました。  なお報告の作成等につきましては委員長に御一任願います。     —————————————
  198. 川野芳滿

    川野委員長 次は復興金融金庫法の一部を改正する法律案復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、討論、採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。三宅則義君。
  199. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ただいま議題となりました復興金融金庫法の一部を改正する法律案、並びに復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案、この二つを一括いたしまして、私は民主自由党を代表し、原案に賛成するものであります。その理由を簡單に申します。  復興金融金庫は、今回の改正案によりまして、その資本を縮小するということに相なつたのでありまして、千四百五十億円を二百五十億円減じまして、資本を千二百億円に減小することになつたのであります。なお復興金融金庫は、将来回收いたしましたらそれを国庫に納入いたしまして、さらに相当額の資本を減少することができる、こういうことになつたのでありまして、これに関しましては過日政府委員との質問応答があり、さらに本日も池田大蔵大臣の出席を求めまして、その内容等をよく承知いたしました。さらに復興金融金庫に対しましては、貸出金が一千億円もあるわけでありますが、これに対しましても政府は極力その回收に当りまして、損の生じないようにいたしたいという答弁がありました。私どもはこれらのことを勘案いたしまして、ぜひとも政府に対しては嚴重にその取立てを催促するとともに、この法案に対しましては、今日の場合妥当なものであるというふうに考えまして、私は民主自由党を代表し本案に賛成するものであります。
  200. 川野芳滿

    川野委員長 川島金次君。
  201. 川島金次

    ○川島委員 私は社会党を代表しまして、本案に反対の意を表明するものであります。詳細はいずれ本会議の際に述べることにいたしますので、簡單に二、三点だけを指摘いたしまして、反対の意思を明らかにいたします。  わが党は、この復金の融資貸出しの停止に対しましては、原則的にまず反対をいたしておるものであります。その理由は現在の日本経済の安定、復興をはかるために、政府は直接財政資金を投じて積極的に、活発に、機動的に、しかも直接投資を実施し、しかしてその目的を達成することでなければならぬとわれわれは考えております。復金がややもすれば放漫な貸出しを行い、あるいはまたその間においてややもすれば国民疑惑の注視となつた事件が続発いたしましたことは、復金のそれ自体が本質的に惡いのではなくして、復金の貸出しに関する機構がきわめて欠如しておつたというところに、大きな原因があろうとわれわれは考えております。復金の中に最も民主的な機構を確立し、そして日本経済の安定に必要なる積極、機動的な、しかも公正な民主的な融資を続けて参つておりましたならば、国民の疑惑となるような事件も起らなかつたであろうし、またよりよき日本経済の安定と復興に、大きな貢献をしたであろうと私ども考えるのであります。しかるに政府は、そのわれわれの年来主張しておりましたところの復金の機構の民主化ということに目をおおい、手をこまねいておつた結果、今日の事態になつたとわれわれは考えるのであります。その意味におきまして、まずわれわれは本案に反対する根拠を求めたのであります。  第二には、昨今国内の中小企業あるいは一般農業などの、政府の無能なるがために、きわめて深刻になつているところのデフレに伴う金詰まりに対して、政府は何ら他に積極的な施策の見るべきものがないという今日の状態であります。そこでわが党といたしましては、この復金の回收された資金をもつて、すべからく今日金詰まりにあえいでおります国内の中小企業あるいはまた一般農業方面への投資を、積極的に行うべきであるという主張をわれわれは持ち続けておるものであります。  以上のような観点に立ちまして、私どもはまず復金の民主化をはかり、第二にはその復金の回收された資金をもつてこの金詰まりの打開に、政府が直接、積極的に乗出すべきであるという見地からいたしまして、本案のごときなまぬるい施策に対しましては、われわれは絶対に反対をいたすものであります。     〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
  202. 島村一郎

    ○島村委員長代理 次は河田賢治君。
  203. 河田賢治

    河田委員 討論に入る前に、復興金融金庫については、この前の第五国会におきましても、実は小委員会ができましたが、非常にはつきりしなかつたのであります。今度の国会におきましても、やはりこの問題は相当国民注視の的になつた金庫でございますので、これの国政調査をやるということをまず前提といたしまして、私は討論に入りたいと思います。  本来共産党は復興金融金庫を設置するときにも、この銀行の貸出しあるいはその経理について非常な疑惑を持つておりましたので、根本的な反対ではありますが、今度この復輿金融金庫が事業を停止し、そうして貸出金の回收というものが大体この法案の内容となつておりまするので、これに賛成するものであります。しかしながらただ一点私たちはここに條件を付しておきたい。これはいうまでもなく今日まで放漫に貸し出され、そうして非常に政治的な目的のためにも使われたり、いろいろ巷間にもこれが流布されまた現実にこういう問題が起つて来たわけでありまして、従つて委員会におきましてもこの復興金融金庫が、貸出しあるいは回收條件については、十分国民の付託にこたえるだけの責任を果さなければならぬと思います。従つて来る議会におきましては、現在政府はたとえば四つの分類にわけて復興金融金庫回收についての分類をしておるという話でありますが、この次の国会に單に薄つペらな紙きれにして、やれこれが取立てが不可能であるとか、あるいは困難であるとかいうような單なる報告を出してもらつただけでは、われわれ大蔵委員会としてはとうてい承認できないと思います。従つて今後徴收する場面におきましても十分、今日まで腐敗の根源になり、また各地方における地方政治家のボスやあるいは官僚、あるいはインチキな資本家たちの結託したような問題を、とりあえず政府はこれの回收に対する適切なる措置をとり、そうしてそういう措置をとつた上で、次の国会において政府は責任をもつてこれを報告されること、並びに本委員会としましてもこれに対する十分なる調査を行うということを條件として、本案に賛成するものであります。
  204. 島村一郎

    ○島村委員長代理 次は内藤委員
  205. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 私はこの二つの法案に対しまして希望を申し上げて賛成いたします。その希望と申しますのは、復金の貸し付けから上つて来ます利息、並びに返つて来ます元金、こういうものを積極的に政府は農業者あるいはその他の中小商工業者に何らかの形をもつて融資されたい、こういう希望をもちまして賛成いたします。
  206. 島村一郎

    ○島村委員長代理 これにて討論は終局いたしました。これより採決に入ります。  復興金融金庫法の一部を改正する法律案、並びに復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案、この各案に賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  207. 島村一郎

    ○島村委員長代理 起立多数。よつて右両案はいずれも原案通り可決いたしました。  なお両案につきまして報告書の作成その他につきましては、委員長に御一任を願います。  暫時休憩いたします。     午後三時二十四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕