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1949-11-27 第6回国会 衆議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十七日(日曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 小峯 柳多君 理事 小山 長規君    理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 林  百郎君    理事 内藤 友明君       江田斗米吉君    岡野 清豪君       佐久間 徹君    田中 啓一君       苫米地英俊君    中野 武雄君       西村 直己君    三宅 則義君       宮幡  靖君    田中織之進君       松尾トシ子君    宮腰 喜助君       河田 賢治君    深澤 義守君       中村 寅太君  出席政府委員         外国為替管理委         員会委員    杉原 雄吉君         大蔵政務次官         (主計局法規課         長)      水田三喜男君         大蔵事務官         (銀行局長)  佐藤 一郎君         大蔵事務官         (理財局長)  愛知 揆一君         大蔵事務官   伊原  隆君  委員外出席者         農林事務官   清井  正君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 十月二十六日  輸出信用保險特別会計法案内閣提出第五八  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  外国為替特別会計法案内閣提出第三九号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四九号)  復興金融金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第五一号)  復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)  輸出信用保險特別会計法案内閣提出第五八  号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  まず外国為替特別会計法案を議題として質疑を続行いたします。田中織之進君。
  3. 田中織之進

    田中(織)委員 外国為替特別会計法の基本になります外国為替及び外国貿易管理法案及び外国為替管理委員会設置法案に関連いたしまして、二、三の点について政府側説明をお願いしたいと思うのであります。  まずこの法律全体といたしまして、ことに根拠法につきましては、重要な事項がすべて政令その他によりまして、非常に広汎な委任立法になつている点は、われわれとしてきわめて重要視しなければならない点だと考えるのでありますが、その点から申しまして本法適用になります銀行範囲につきまして、これは当然国内法であるという関係から、国内内国銀行がすべて大蔵大臣認可によりまして、外国為替を取扱うことになることは当然のことと思うのでありますが、外国銀行につきましては、本法との関係においてどういうことになりますか。この際御説明を願いたいと思うのであります。
  4. 杉原雄吉

    杉原政府委員 為替管理法のことは実は委員会の方でやつておりますが、私の知つている範囲でお答えいたします。  外国為替銀行はただいまは総司令部許可によりまして、こちらで仕事をしております。しかしそれは臨時的のことでございまして、行く行くはこの為替管理法におきまして、日本銀行と同じようにやはり大蔵省に許可を求めまして、その認可を受けて日本銀行と同じ立場営業するようになります。
  5. 田中織之進

    田中(織)委員 ただいまの御答弁は、外国銀行も十六條によりまして、大蔵大臣認可に基いてやるというように伺つたのでありますが、この五條、六條の関係から申しますと、日本人たると外国人たるとを問わないで適用することになつていると思います。先般の連合審査会においては、外国銀行はこれの適用外に置かれると御説明なつたように聞いておるのですが、その点間違いございませんか。
  6. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまお答えの中にありました通りでありまして、ただその経過におきまして、御承知のように現在は外国銀行はまだ日本法律に基く免許を受けておらず、従つて日本国内における業務外国銀行は営んでおりません。この問題は別途進行中で、追つて外国銀行の中のしかるべきものは、まず日本銀行法によつて店舗開設免許を受け、日本国内営業の本拠を持ちます。そういう外国銀行に対しましては、この法律によつて外国為替銀行指定が行われることになるこういうことでございます。従つて時期的な関係から申しまして、今日ただちに本法案によるところの為替銀行指定があるかどうかということは、ただいまのところその時期に至つていない。おそらく他の政府委員からそういう趣旨の答弁をいたしたのではなかろうかと想像されるのであります。
  7. 田中織之進

    田中(織)委員 現在の段階においてはおそらくそうだろうと思います。本法と関連いたしまして、外国為替貿易管理法とともに十二月一日から施行の予定になつているし、特別会計に必要な予算も計上されていることと思いますが、そういたしまするならば、本法実施後におきましては、当然外国銀行の問題が出て来ると思います。その場合に、今銀行局長の御説明になりましたように、外国銀行は、いわゆる銀行法に基く店舗をもつことについて認可を得まして、外国為替を取扱うことになるのでありますが、今の関係において、ドル資金を持つている外国銀行と、また金利の安い外国銀行日本国内銀行との間に、フィフティ・フィフティの立場において、これを取扱つて行けるかどうかについての見通しはいかがですか。
  8. 愛知揆一

    愛知政府委員 その点は実は問題でございます。外国銀行扱い方といたしましては、日本国際経済の一環として一日も早く働かしてもらいたいということから申しますれば、大局的にいつて外国銀行日本における業務を開始することが望ましいと考えているのであります。そういたしますとお話通り、たとえばアメリカと日本金利現況等から申しまして、日本側銀行としては相当苦痛な面も多い。また一面におきましては、日本貿易業者関係から申しましても、相当困難な競争をしなければならないという問題も、関連して起つて来ると思うのであります。これは今申しました大局的な観点からいたしまして、同時に日本側銀行にも早くコルレス契約を締結してもらいたい、またすみやかに外国店舗を持ちたい、そういう時期を早くしたいということと関連して考えますならば、予想される困難な問題につきましては、ある程度調整考えられると思いますので、これらの点についてできるだけ対策を講じつつも、その大局的な立場は確保して参りたい、こういうふうに考えているわけであります。
  9. 田中織之進

    田中(織)委員 この三法案実施後におきまして、平たい言葉でいえば、自由貿易という段階に向つて進んで行くわけで、今の日本輸出貿易現状から申しまして、民間輸入等も認めるという形になるのでありますが、実質的には、この外国為替関係におきまして、はたして自由貿易によるうまみが確保できるかどうかということについて、私ども疑問をもつものでございます。そういう見地からこの点については、今後の実施にあたつて十分御考慮を願わなければならないと思います。  次に輸入の場合の保証金の問題でありますが、それはこの三法の関係におきまして大体どの程度になり、またその保証金額等はどういう形において決定されて行くものでありますか。
  10. 杉原雄吉

    杉原政府委員 この点もまだ具体的にはつきりきまつているとは聞いておりませんですが、保証金は今のところは五%とか一〇%ということを考えているようであります。しかもそれは必ずしも金でとらないで、銀行保証とかあるいはその他のものを、これに充てるというようなことを考えているようでありますが、まだ最後的に決定したということは聞いておりません。
  11. 田中織之進

    田中(織)委員 その問題は政令でなくて、通産大臣が決定できるようになつておるようですが、実際の関係において、外国為替並びに貿易がGHQを通しての関係であるから、われわれの聞いておるところでは輸入についての保証金の問題についても、五〇%というような非常に高率のものを予定されておるやに聞いておるのでありますが、はたしてそういう多額の保証金を積まなければならないような関係になります場合には、ことに日本国内産業また国民生活にきわめて深い関係にありますところの綿花にいたしましても、あるいはまた食糧輸入というようなことにいたしましても、このいずれを今回のこうした法律的な措置によりまして民営に移すといたしましても、事実上はこの輸入に関する保証金関係から見ましても、実質的にはこれは日本商社が取扱うことができない。すべて外国商社にゆだねなければならぬというような形になつて来ると思うのですが、その点の御見解はいかがですか。
  12. 杉原雄吉

    杉原政府委員 日本輸入商社としては、自由の立場に立ちますれば、現状におきましては非常に不利な点がたくさんあると思われるのでありますが、これは外国商社に独占されるというようなことは決してないと思います。それからいろいろ政令あるいは省令管理法が譲つておりますのは、こういう管理法の性質といたしまして、国際情勢その他で非常に変化の多いものに応ずるために、これを法律に規定いたしましては、その変化に応じた機動性を持たすことができないということで、やむを得ず政令その他省令に譲つておるのだと思います。
  13. 北澤直吉

    北澤委員 外国為替及び外国貿易管理法の審議の際のお話では、輸入する場合は輸入信用状に対して半額の円資金銀行に預けるという話だつたのですが、それは法律第五十五條担保と同じものですか。あるいはこれと違うのですか。
  14. 杉原雄吉

    杉原政府委員 同じでございます。この五十五條に「貨物を輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、当該輸入の実行を保証するために、保証金、証券その他の担保を提供する義務を課せられることがある。」それと同じでございます。
  15. 北澤直吉

    北澤委員 そういたしますと、その五〇%はまだきまつておらぬで、今後の割合はそのときにきめるというふうに了解してよろしゆうございますか。
  16. 杉原雄吉

    杉原政府委員 その通りでございます。
  17. 小峯柳多

    小峯委員 外国銀行の対邦人業務の開始の問題に関連するのでありますが、先ほど銀行局長からコルレスお話が出ましたが、このコルレス取引のきまる時期と、外国銀行の対邦人業務を許す時期の関係はどうなのでありますか。具体的に言うとコルレスでも開けるようになつてから、外国銀行一般業務が開けるようになるのか、それともそれは逆になるかということをお伺いいたします。
  18. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまの私どもの希望としては、それが少くとも同時期であることを望んでおるわけでございます。またそういう希望的な見方に対しまして、私は相当実現の可能性が顯著にあると思つております。
  19. 小峯柳多

    小峯委員 私の期待した答弁をいただいたわけでありますが、具体的に昨日杉原政府委員から、コルレスの時期は近いということを伺つたのでありますが、現実の見通しとしてどんなお見通しを持つておるのでありましようか。少くとも年内に片づくようにお考えになつておるのでありましようか。
  20. 愛知揆一

    愛知政府委員 現在の政府側見込みとしては、年内であろうと期待しております。
  21. 小峯柳多

    小峯委員 先ほど田中委員からも質問があつたようでありますが、外国銀行が自由に邦人に対する営業を始めます場合の扱いなのでありますが、私も大局から見まして今銀行局長のおつしやつたように、この段階になつてことに為替貿易の問題が正常化の道を進んでおるだけに、むしろ早い方がよかろうというふうに解釈しております。今朝の新聞の東京銀行の取締役かの話でもそれに類するような、業者側としても、むしろもう時期としてはいいじやないかというお話のあるのを承知しておりますが、それにつけましても銀行当局としましては、そういう場合における外銀に対する扱いはよほど愼重にしませんと、先ほどの田中君の御心配のような質問が出て来ると思います。少くとも私は今おつしやつたコルレス條件を早く改正することが條件となると思いますが、そのほかに外銀に対する取締り、こういう問題をやはり邦人と同じようにイコール・フッテイングの立場実施することが、ぜひ必要であると思うのであります。言いかえれば銀行法を真正面から適用して、取締りでも監督でも検査でもその他のことも、やはり邦人と同じ立場でこれを行う必要があると思います。そういうおつもりがあるか。またそれができるとお考えになつておりますか。それを伺つておきたい。
  22. 愛知揆一

    愛知政府委員 外国銀行日本銀行法によつて免許を受けました場合、あるいは外国為替銀行指定を受けました場合には、銀行法及び為替管理法適用を受けることはもちろんでございます。  それから特に問題になりますのは税法だと思うのでございます。先ほどの国内法規は全部そのままイコール・フッティング適用されるということを、前提として考えて行くべきだと思うのでございますが、今日までの関係方面との折衝によりましても、その点は百パーセントに確保できるものと確信しております。
  23. 北澤直吉

    北澤委員 今の銀行局長お話では、外国銀行に対しましても日本側銀行と同じように一律にこれを適用する、こういうお話であつたのでありますが、講和條約をつくるまでは、日本におきまする連合国人というものは治外法権的の立場を持つておる。従いましてそういう日本法律外国銀行が違反した場合には、これに裁判権はないわけであります。そういう場合については、結局処罰というものは司令部にまかせるわけでありますか。あるいは日本側においてそういう裁判権などを確保するようなラインで交渉するのでありますか。その点をお伺いいたします。
  24. 愛知揆一

    愛知政府委員 その点は非常にこの問題について困難を感じます一つの問題でございますが、ただいまのところでは違反がありました場合には、これを司令部に移牒しまして、総司令部側の手によつて処置をしてもらうよりほかに道がないではなかろうか。一応の見解としてはそういうふうに考えております。
  25. 小峯柳多

    小峯委員 先ほどイコール・フッティングでもつて外銀邦銀と同じ扱いをするということは、私もまつたく同感であります。実際上の問題において、今北澤君のお話のようなことがあるとしても、ぜひそういう方向に進んでもらいたいと思います。ただ先ほどのイコール・フッティングでもつてやるといたしましても、これも先ほど田中君からお話がありましたように、それを邦銀と同じ扱いをするということになりますと、為替資金上におけるハンディキャップが相当あると思うのであります。そこで外国為替銀行指定された邦銀に対しても、安い金利というか特殊な金利でもつて、日銀なんかで円資金の問題で特別のめんどうを見るような、そういう見通しがあるかどうか。この辺の御見解を伺つておきたいと思います。
  26. 愛知揆一

    愛知政府委員 これは先ほど何らかの調整措置考え得れば、とりたいと思つておるということを申し上げました。一つの試案でございますが、さようなこともいたしたいと考えておるわけであります。と申しますのはたとえば国内業務の場合でありましても、従前でも貿手の割引には特別の安いレートを出すということもございますので、関係筋その他との了解が得られますれば、さようにいたしたいと思います。
  27. 小峯柳多

    小峯委員 この国会の非常に大きな收穫は、外国為替関係法案が出て、為替取引に対する正常化歩み出しをしたことであると思うのであります。これは局長並びに杉原政府委員のどちらからでもけつこうであります。あるいは一緒に御説明願いたいと思いますが、為替取引正常化のこれからの見通しの問題であります。言いかえればやつと為替取引というものが、いくらか身について来たのでありますが、まだまだ為替取引というものがこれからのローガン構想や何かによる貿易と裏表になつて、また改めらるべき点が相当あると思うのであります。私どもの思いつきから申しましても、どうしても為替資金の問題が出て参りましようし、大きくいえばブレトン・ウッズ協定への加盟の問題もありましよう。あるいはそれに関連してスタンダードの問題、金本位と申しますが、そういうような問題、あるいは外貨資金、いろいろの問題が出て来ると思うのでありますが、そういうふうな一連の順序といいますか、あるいはまだ政府筋で御決定にならなくても、私見でけつこうでありますから、為替取引がこれから国際関係の中でどういうふうに正常化されるのか、そのためにはどういう段階を経なければならぬし、どういう段階があるかということを忌憚なくお話願いたいと思います。
  28. 杉原雄吉

    杉原政府委員 今のお話は非常に大きな問題でありまして、順序立ててお話するような準備もしておりませんが、とりあえず今の状態——と申しますのは、やはり輸出は原則として民間の自由になる、輸入民間に移されて正常化するということになりましても、まだ日本外国為替銀行が外資にしてもなかなか採算上出し得ない。出してもわずかであり、主としてコルレスでやらなければならぬというような状態では、なかなか昔のような自由な為替上の操作もできないと思います。まだ講和條約も済んでおりませんし、さしずめの見通しとしては、現状のような非常に制限された貿易の仕方をして行くということになろうと思いますので、行く先々のことはちよつと今申し上げられませんが、日本国力が発展して、産業も回復するとともに輸出は増大する。従つて輸入も多くできるというようなことから、国力が増大するとともにだんだんと正常化して行くことと思います。いずれはブレトン・ウッズ国際基金にも加盟いたすことでありましようが、それには相当の時期を要しますので、それは相当の時期かかると思います。
  29. 田中織之進

    田中(織)委員 次にこの特別会計法附則のたしか四條であつたと思いますが、総司令部関係からこの方へ移されるものの範囲並びに時期の問題について御説明願いたい。
  30. 杉原雄吉

    杉原政府委員 この問題につきましてはただいま何とも申し上げかねるのでありまして司令部の方からの清算が済み次第こちらの方に移つて来ると思いますが、まだ今のところやつておりますのは商業勘定の経理と、それから記録だけをやつておりまして、まだいつ移るか、どれだけのものをすぐ移すかということは少しも聞いておりません。
  31. 田中織之進

    田中(織)委員 実質的にはこの連合軍最高司令部勘定に属する外国為替等に関する権利義務が移されてこそ、初めて特別会計というものの意味、並びにこれに関連した法律施行というものの裏づけができるので、これは総司令部関係のものでありますが、その点について政府当局として少くとも最終的な見通しはまだつかないにいたしましても、どういうようにこれを移していただくように話合いが進められているかということについて、もう少し具体的に折衝経過でもお話を開かせていただくわけに参りませんか……
  32. 杉原雄吉

    杉原政府委員 もちろんこの会計をやります必要上は、田中議員のおつしやる通り非常に重要なことでありますが、司令部の方としてもこういう管理法をつくつたり、それからまた特別資金会計をつくつたりするような情勢になりましたのは、やはりこの勘定を早く移せるという見通しがついてやつておることだと思います。遠からずこれはこちら側に移つて来ると思います。
  33. 田中織之進

    田中(織)委員 どうも雲をつかむような形で、私はむしろこの方の話が出発点になつておるのだと思うのです。少くとも総司令部勘定に属する外国為替に関するものが、どの程度移されるかという見通しがつかない以上、先ほど小峯委員からも一つ為替取引正常化出発点になるというような見解が述べられたのでありますが、どうもその点が明確でなければ、一向これで外国為替取引正常化するところに第一歩を踏み出したということにはならない。第一歩を踏み出すウオーミング・アップならばきわめてそういう点では不満足であります。  それではその点についてお答えができないということであげますればこれ以上追究いたしませんが、この法律施行のとき当然外国為替資金債権債務というものは、このままこの会計附則の二條で引継がれると思うのでありますが、大体外国為替資金関係、これは貿易特別会計の中のものだと思うのでありますが、その現状はどうなつておりますか。大体どの程度のものが債権債務でこの特別会計に引継がれることになるのか。その点を伺います。
  34. 杉原雄吉

    杉原政府委員 その点については先ほどちよつと御報告申し上げましたのですが、それではもう一応御説明申し上げます。ただいま外国為替資金の残を申し上げますと——これはただいまと申しましても十九日の残でございます。これは輸入におきましては円を取得しておりますのが二十億円、それから外国為替資金をスタートいたしますときに五億円、これは旅行者のトラヴェラーズ・チエックあるいは旅行者が持つて参ります外国紙幣、こういうものを買うために五億円この会計に入りました。それから六十億を国庫から振りかえております。それから輸出によりまして支拂いましたのが六十一億であります。そして残額が二十四億というものを持つております。
  35. 田中織之進

    田中(織)委員 十一月十九日以後本法実施に至るまでの間には、この二十四億の残というものは大体実施の時期も十二月の一日と心得えていますが、大した変化はない見込みですか。
  36. 杉原雄吉

    杉原政府委員 輸出がたくさんあればこれから支拂わなければなりませんが、輸入もございますから、そう大して動かないと思いますが、多少減少しはしないかと思われます。
  37. 田中織之進

    田中(織)委員 それからやはりこれは前の外国為替特別会計の方ではなしに、管理法関係になりますけれども、提案の説明によりますと、輸出についての統制を大幅に排除いたしまして云々というような文句が並べられておるのであります。私実際に、こうした非常に複雑な形における為替管理が行われて参る関係から見まして、それがひいては輸出に対して、必ずしも非常に自由な形が行われるものとは思わないのでございますが、これは輸出について大体契約ができましてから、信用状が発行されるまでには、現在では大体どの程度期間がかかつており、また本法実施の後にはどの程度その期間が短縮されるかというようなことについて、お見込みを伺いたいと思います。
  38. 杉原雄吉

    杉原政府委員 別にこの法律施行されても、そういう点については変化がないと思います。
  39. 田中織之進

    田中(織)委員 私らは必ずしもそういうようには考えないのであります。当然これは従来の例から見てもそうだと思いますが、おそらく信用状は船積みと同時だろうと思います。けれども大体輸出契約ができましてから、そういうような段階になりますならば、物によりますと一年くらいの時期がかかつておるのではないかと私は思います。従つてその間のこういう輸出関係における資金繰りの問題が、非常に重要な問題になつて来るのでありまして、そういう点からも政府の方では、本日この委員会輸出信用保險特別会計法案提出しておりますし、また予算の面でたしか五十億だつたと思いますが、補償の問題も出て来ておるのであります。そういうような関係から申しますならば、実際に輸出関係につきましても、資金繰りの問題が非常に苦しくなつて来ると思うのであります。そういう面については、これは為替関係とは別な立場において考えなければならぬ問題でありますが、どういうようなお考えを持つておられるか。
  40. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまのお尋ねは、この法律がこういうふうになりましても、輸出金融一般の問題としては、従来と構想がかわるということはないと思うのでありまして、輸出金融につきましては従来も実は非常に問題がありまして決して十分と思うような成果をあげておりませんけれども、なお一層の努力をいたして参らなければならぬと考えております。
  41. 田中織之進

    田中(織)委員 従来の関係におきまして、輸出資金の確保という面につきましては、われわれまつたくなつていないと思う。ことに現在の輸出滯貨が堆積している関係から見まして、この問題が解決しない限りにおきまして、今後外国為替取引というものがきわめて正常的に、またそういう意味において外貨資金を獲得して行くということについての、ほんとうの意味における基礎的な條件が培養されない。かように考えるので、この点については直接本法とは関係ないことでありますけれども、特に大蔵当局において御考慮を願わなければならない問題である。かように考えているわけでございます。  最後にこれは銀行当局にお伺いしておきたいのでありますが、現在出ております従来の政令の二百六十六号で、地方銀行の中で有力な——たしか北陸、埼玉、靜岡、北海道拓植銀行政令の二百六十六号で、外国為替業務を行い得ることになつておつたと思うのでありますが、今後この法律実施後やはり引続いてこうした地方銀行の中でも有力な銀行は、為替業務を営み得ることになるのでしようか。その点はどういうふうにお考えになつておられるか。
  42. 愛知揆一

    愛知政府委員 外国為替銀行指定を現在受けますものは十一行になつておりますので、ただいまおあげになりました地方銀行はただいまのところ漏れているわけです。私ども銀行行政の立場からだけ申し上げますならば、これは希望があり、かつその実力を備えておれば、地方銀行であつてもこれを取上げたいと考えておりますので、でき得ればそれらの銀行についても、為替銀行あるいは為替取扱の銀行というような形で、公認された法律上の資格を與えたいと考えております。ただしかしこれは銀行行政当局としての考え方でございまして、国際為替の面から申しますと、なかなか今一挙にこれをふやすということには、相当の困難があるのではなかろうかと思つております。実は十一行が指定されるときにおきましても、率直に申しましていろいろと努力をいたしたのでありますが、一応こういう結果になつておるのであります。その点は銀行当局としては引続き努力をいたしたいと考えております。
  43. 田中織之進

    田中(織)委員 これらのほかにもあるだろうと思うのでありますが、特に今私が述べました関係におきましては、相当輸出産業との関係におきまして、過去においてもまた一つの実績を持つて来ておる地域でありますので、それらの地方の輸出産業の見地から見まして、ぜひともこれらの銀行においても為替業務が扱われるように、特別のさしさわりがない限りはこれは限定すべきではないように考えますので、この点は特に今後御考慮願いたいと考えるわけであります。この点はひとり銀行局のみならず、外国為替管理の関係に当る部面におきましても、その点を特に留意していただきたいという希望を述べまして、私の質疑を終ります。
  44. 河田賢治

    ○河田委員 この法案について二、三質疑を行いたいと思います。第一條の「外国為替等外国為替外国通貨及びこれに準ずるもの、)」この準ずるものというのはどういうものですか。
  45. 杉原雄吉

    杉原政府委員 これは軍票なんかを含んでおります。
  46. 河田賢治

    ○河田委員 そのほかにありませんか。
  47. 杉原雄吉

    杉原政府委員 そのほかに貿易支拂状というものがあります。これも軍票に準ずるものであります。
  48. 河田賢治

    ○河田委員 それから第三條の外国為替銀行の問題でありますが、この外国為替銀行に対する監督権というものはどういうふうになつておりますか。
  49. 愛知揆一

    愛知政府委員 これはちよつとお答えが間違うかもしれませんが、事務的に申しますと、外国為替銀行指定は大蔵省でいたしますが、しかしこれは銀行法に基くものではございませんから、外国為替銀行としての業務に関する限りは大蔵省で、たとえて申しますれば銀行局の監督ではないのでありまして、これは戰前におきましても、外国為替管理法に基く外国為替銀行業務につきましては、為替行政の立場からこれを監督いたします。国内銀行業務としての監督は銀行法でいたしておるわけであります。
  50. 河田賢治

    ○河田委員 それから第九條の、「毎会計年度の損益計算上生じた利益又は損失は、翌年度に繰り越して整理する」こういうふうになつておりますが、大体の実情としては非常に損失の出ておることが多いのですが、これはずつと損のしつぱなしで続いて行くものでございますか。
  51. 杉原雄吉

    杉原政府委員 これはしまいまで繰越して行くつもりでおります。
  52. 河田賢治

    ○河田委員 そうしますと赤字が出たとか損失の出た場合には、一般会計からは繰入れないという御方針ですか。
  53. 杉原雄吉

    杉原政府委員 この損失は繰越されまして、一般会計から繰入れられるかどうかということはきまつておりません。
  54. 田中織之進

    田中(織)委員 関連して……今の河田君の御質問に対してきまつておらないというお答えでありますが、われわれ納得できないのです。決算上剩余金を生じたときも、これは明年度の特別会計の歳入に繰入れるという点は明らかになつておりますけれども従つて赤字が出た場合の一般会計からの繰入れは、われわれはこのままの規定ではできないのだと思いますが、いかがですか。
  55. 杉原雄吉

    杉原政府委員 損失が出ましたらば繰越しますが、情勢によりましてまた一般会計から繰入れるときには、別の法律で御承認を願うわけであります。
  56. 河田賢治

    ○河田委員 そういう場合にも、ここに受入れの規定がやはり必要だと考えますが、そういうことはないのですか。
  57. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいまお話がございましたように、現在まだはつきりと予想できない次第でありますからして、その都度單行法律をもつて繰入れの権限をやる、こういうことになつておりまして、ここにあらかじめ当然一般会計から繰入れるという規定は、現在としては入れるつもりはございません。
  58. 深澤義守

    ○深澤委員 関連して……。今の問題でありますが、一般会計から繰入れる場合においは別の法律をつくつてやる、こういうことをおつしやるのですが、一体現在の見通しとして、この会計の上において赤字が出る見込みなのか、あるいは黒字になる見込みなのか、その見通しを伺いたい。
  59. 杉原雄吉

    杉原政府委員 この会計で損失が出るというふうに予想されますことは、この会計は大体外貨の持ちになると思います。と言いますことは、今度の管理法で述べてございますように、輸出を予想しましてそれで外貨予算をつくります。その範囲輸入をいたしますから、大体においてこの会計は外貨を手持することになつております。従つて向うの方で何か外貨の価格引上げとか引下げとかいうようなことがございますと、この会計に響いて参ります。そういう危険にさらされております。それからもう一つは非常に輸入が盛んになりまして、この会計からの拂いばかりになる。そういうときには借入金をいたしますので、それの利息を拂わなければならぬ。こういうような場合に、この会計に損が立つようになると思いますので、大体においてそれくらいの損、あるいはもし日本の円の方が下つて来れば、そのかわり非常な利益が出る。外貨が上つて来れば損になる。そういう危険にさらされております。そういうところから損益が出て来ると思います。
  60. 深澤義守

    ○深澤委員 従つて今後の輸出が増大するかしないかということが、非常に問題になつて来るのでありますが、その輸出の前途について、どういう見通しを持つておられるのか。その点を伺いたい。
  61. 杉原雄吉

    杉原政府委員 これについて輸出の方の見積りは、この十二月から四月までの予想としては約一億四千万ドルくらいの見積りをしております。
  62. 深澤義守

    ○深澤委員 今この会計は外貨を相当手持する。従つて外貨の変動によつて会計に相当影響があるということを申されたのでありますが、そういたしますと今後の貿易取引先等において、その外貨の種類も違つて来ると思いますが、この会計において手持になる外貨というものは、大体どういう種類のものになるか。その点を伺いたい。
  63. 杉原雄吉

    杉原政府委員 現在は指定される通貨はドルとポンドだけでございますから、二種類でございます。
  64. 深澤義守

    ○深澤委員 そうするとドルとポンドの動きというものが、この特別会計の今後の赤字、黒字を決定するわけでありますが、現在の見通しとしてドル、ポンドに対してどういう変動があるか。その見通しについてお伺いしたい。
  65. 杉原雄吉

    杉原政府委員 ドルについてはこれは変化がないと思います。ポンドについても大体変化はないと予想しております。
  66. 河田賢治

    ○河田委員 先ほど田中委員から御質問がございましたが、私たちは非常に不十分な返答だと思います。もう一点、附則の第四項の「連合国最高司令官総司令部勘定に属する外国為替等に係る権利義務でその経理を政府に移管されたものについては、」とありますが、この政府に移管されたものは大体商業勘定だと思いますが、それ以外のものについては一体どういうようにお考えになつておりますか。またどのような種類がありますか。
  67. 杉原雄吉

    杉原政府委員 ただいまありますのは商業勘定、オープン勘定。それから綿製品勘定でございます。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 この外国為替特別会計ですが、これについては危險を国家自体が負うということでなくて、将来公団というような形でやる考えがあるかないか、ちよつとお聞きしたい。
  69. 伊原隆

    ○伊原政府委員 お答えいたします。この外貨資金をどういう勘定にするかということについてはいろいろ研究いたしました。たとえば日本銀行勘定にいたしまして、それを政府との間に為替の損失補償契約を結ぶということもあるのでありますが、世界の例等にもかんがみまして、また日本の特殊の地位から考えまして、これは国の資産として特別会計にすることが適当である。こう考えまして外貨資金を国の資金として特別会計にいたしたわけであります。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 それから第一條の「外国為替等外国為替外国通貨及びこれに準ずるもの、金銀地金並びに外国通貨をもつて表示する証券(財産権を証する証書及び帳簿を含む。)及び債権をいう。以下同じ。)」とありますが、この証券というのは何ですか。
  71. 杉原雄吉

    杉原政府委員 預金証書みたいなものであります。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 これは先ほど河田君も聞いたと思いますが、もう一度確かめておきたいと思います。為替を管理する場合に外国銀行に対するコントロールの方法はどうするわけですか。これに対しては手が及ぶのか及ばないのか。
  73. 愛知揆一

    愛知政府委員 先ほども申し上げたのでありますが、この法律に基いて行いますところの業務については、当然日本法律が及ぶと考えております。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 具体的には外国銀行日本政府外国為替管理委員会の統制の方法とはどう結びついて来るのですか。外国銀行に対しては具体的にはどういう管理の方法をとられるのですか。
  75. 伊原隆

    ○伊原政府委員 お答えいたします。段階をわけて申し上げないといけないと思いますが、先ほど銀行局長から御説明がありましたように、ただいまの段階では外国銀行というものは十行来ておりますが、司令部のライセンスを受けて司令部の仕事をいたしておりますので、この会計とは直接の結びつきはございません。外銀が取立てました外貨はスキャップの勘定に入るということであります。ただそのスキャップの勘定が十一月一日からは記帳だけが外国為替管理委員会に許されておる。それから近いうちに外貨資金の運営が日本側にまかされることになつて参りますと、それらと対応いたしまして外国銀行に対して、別途御審議を願つております外国為替及び外国貿易管理法案に基きまして、集中をするというふうな規定の適用も受けることになります。そして外銀の持つている外貨資金が、外国為替管理委員会の外貨資金勘定に入るということになつているものと思つております。ただいまのところは外銀は、繰返して申し上げますように、スキャップのために仕事をいたしておりまして、この法律適用を受けないわけであります。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 今日本指定しておる外国銀行が十銀行ということでありましたけれども、どんな名前か、ちよつと言つてみてください。
  77. 伊原隆

    ○伊原政府委員 外国銀行は、御存じのようにただいま日本司令部のライセンスを得て来ておりますのは十行ございますが、ナショナル・シティ・バンク・オブ・ニューヨーク、チェーズ・ナショナル・バンク、バンク・オブ・アメリカ、香港上海銀行、チャータード銀行、オランダ銀行、蘭印商業銀行、インド支那銀行、中国銀行、マーカンタイル・バンク・オブ・インディア、この十行であります。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、現段階ではこれはスキャツプの管理下のもとに動いておるのですが、適当のときにこれは日本外国為替管理委員会の管理下に移るのですか。
  79. 伊原隆

    ○伊原政府委員 これは外貨資金の管理というものが日本側に移管せられる状態等と即応いたしまして、外国銀行日本における外国為替銀行として日本人相手の取引をするようになります際には、この法律適用を受けなければならぬということに相なると思います。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 この外国為替特別会計法の完璧を期するためには、これがやはり日本外国為替管理委員会の管理下に属さないと、十分特別会計としての意味をなさないと思いますが、大体の見通しとしては、いつごろこれが日本人相手の貿易がなされ、日本外国為替管理委員会の管理下に移されるような情勢になるわけですか。
  81. 伊原隆

    ○伊原政府委員 お答えいたします。この外貨資金をどういう勘定にするかということについてはいろいろ研究いたしました。たとえば日本銀行勘定にいたしまして、それを政府との間に為替の損失補償契約を結ぶということもあるのでありますが、世界の例等にもかんがみまして、また日本の特殊の地位から考えまして、これは国の資産として特別会計にすることが適当である。こう考えまして外貨資金を国の資金として特別会計にいたしたわけであります。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとやはりこの特別会計法をつくるということは、だんだん外国為替管理委員会へ移管する前提としての手段として、こういう特別会計をつくるわけですか。そう解釈してよろしゆうございますか。
  83. 伊原隆

    ○伊原政府委員 お説の通りであります。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもう一つ第四條の資本ですが、これは現在はないと思いますが、現在あるかどうか。また将来は大体どのくらいの資本を持つ見込みになつておるのか。その辺の数字を聞きたいと思います。
  85. 杉原雄吉

    杉原政府委員 ただいまは外国為替資金の方の十一月末の純資産というものがここに入りますが、これは先ほど申し上げました通りです。  それから二の貿易特別会計、これから繰入れられるのは五十億です。司令部の方は先ほども申し上げましたように、まだこれはわかりません。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 今言つた五十億というのは、現在の資本ですか。それとも将来五十億くらいの見込みだという意味ですか。
  87. 杉原雄吉

    杉原政府委員 これはただいまではございませんで、十二月一日以後補正予算貿易特別会計から五十億繰入れるのです。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 この五十億円程度で十分この操作ができるかどうか。そういう前提のもとに五十億という数字は出ているのですか。
  89. 杉原雄吉

    杉原政府委員 これはとりあえず五十億でございまして、その不足分は一時借入金ができるようになつております。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 その次に第九條で、利益または損失は翌年度に繰越して整理するというのです。これは会計法からいつても非常に異例な場合だと思いますが、具体的にはこれはどうするわけですか。
  91. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 先ほどちよつと御説明申し上げましたが、これは将来利益が出るか損失が出るかということは、いろいろな事情に基くのでございまして、今ただちに予測しがたい問題であります。それで一応繰越し整理をいたしまして、一般会計から繰入れの必要が生じましたときは、その際にいずれ予算措置をしなければなりません。その予算措置に伴いまして、單行法によつて繰入れの措置をとる、こういうことに考えております。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどの外国銀行お話ですが、との十銀行ですか、これは将来これ以上追加されるのか。あるいは大体これだけで限定されるのか。それからこれ以外の国の銀行も入り得るのか。その辺の見通しはどうですか。
  93. 伊原隆

    ○伊原政府委員 ただいまは、先ほど申し上げましたように連合国司令部の仕事をしておりまして、司令部の方でライセンスを出しております。私ども現在の状況におきまして、それがふえるか、ふえないかということは、ちよつとわからないわけであります。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするともちろん、たとえばドル、ポンド以外の国、あるいは同じドル、ポンド圏内の銀行でも、どういう銀行が来るかということは、今の段階ではスキャップがライセンスを出しておるから、日本政府としては何とも言えないというわけですね。将来日本政府外国為替管理委員会の管理に移るということになれば、また別な場合が生じて来るか、その点をお聞きしたい。
  95. 伊原隆

    ○伊原政府委員 お尋ねの通りでございます。
  96. 田中織之進

    田中(織)委員 伊原君が見えておりますので、ちよつと伺つておきたいのですが、この特別会計は、これは内閣総理大臣の管轄のもとに外国為替管理委員会が扱うことになつておるのであります。外国為替管理法その他委員会に関する法案関係から申しますと、外国為替管理委員会で行いますことにつきましては、大蔵大臣の承認を要する部分が出て参つておるのであります。この特別会計に対する大蔵大臣関係、たとえば予算、決算等に対する報告を大蔵大臣に出さなければならぬという関係から申しまして、内閣総理大臣はこれに関する限りにおきましては、平たい言葉で言えば大蔵大臣の下にあるような関係にもとれる部分が出て参つておるのでありますが、この点に関する内閣総理大臣と大蔵大臣との関係、並びにこの特別会計大蔵大臣との関係というようなことについて御説明願いたい。
  97. 伊原隆

    ○伊原政府委員 私からお答えするのに適当な部分だけ申し上げますが、ただいまの外国為替特別会計は、この條文の第二條によりまして、外国為替管理委員会にこの会計の運用を行わせることになつております。そして外国為替管理委員会は別途御審議を願つております外国為替管理委員会の設置法に基きまして、内閣総理大臣の所轄に属しておる一種の独立的の機関でございます。この外国為替管理委員会がどこの所管に属するかということにつきましても、いろいろお考えがあるのでありますけれども、できるだけ各省から独立したもの、インディペンデンスが望ましいという趣旨から、この外国為替管理委員会というものは、内閣総理大臣の所轄に属した委員会ということになつておるわけであります。もちろん外国為替管理政策一般は大蔵大臣の責任下にありますが、外国為替管理委員会とは密接な連絡をとりまして、遺憾のないようにいたして行きたいと考えております。
  98. 田中織之進

    田中(織)委員 そうしますと外国為替管理委員会は設置法の関係で、内閣総理大臣の管轄のもとに特別会計の運営に当るということが規定せられておるのでありまして、従つて外国為替管理委員会というのは、嚴密な意味における行政官庁ではありませんけれども特別会計に関する直接の仕事をやるのは外国為替管理委員会で、従来のような形において大蔵省はこの外国為替特別会計には、大蔵大臣は直接関連を持たない。こういうように理解していいわけですか。
  99. 伊原隆

    ○伊原政府委員 この特別会計と大蔵省との関係でございますが、これは他にも他省所管の特別会計、たとえば食糧管理特別会計などにございますように、大蔵省プロパーとしましては、内閣所管の外国為替管理委員会が運営に当つておる特別会計従つて大蔵省とこの特別会計関係は、他の省の所管の特別会計と形は同じであると思います。但し外国為替管理の政策というものは、大蔵大臣の責任にございますし、この委員会外貨資金の移動、それからまた外国為替の管理の手続につきまして、責任を持つておる委員会でございますので、大蔵省の外国為替管理政策との関係におきましては、非常に密接な関係がございます。
  100. 田中織之進

    田中(織)委員 私どもどうもその点が理解できないのであります。なるほど為替政策その他に関するものは大蔵省設置法の関係から申しましても、大蔵大臣の所管事項になるものです。ところがその外国為替に関する重要なる事項は、内閣総理大臣にいわば直属するところの外国為替管理委員会がやるというかつこうになるのでありまして、その意味から申しますと外国為替為替政策に関する部分と、それから為替に関する実務というようなふうに、観念的にはわけられないことはないと思いますけれども、きわめて関連したものが片一方は内閣総理大臣の管轄に属する外国為替管理委員会に属し、また片一方では大蔵省設置法の関係において、大蔵大臣の所管に属しておるというようなことで、ちよつとその点はあいまいな形になつておると思いますが、実際の運営上そういう点はいかがですか。
  101. 伊原隆

    ○伊原政府委員 大蔵省と外国為替管理委員会、それから日本銀行、要するに外国為替の統制に関しましていろいろな機関がございますことは、御存じの通りでございます。お尋ねの大蔵省と外国為替管理委員会の関係というものは、非常に密接なのでございますが、今般外国為替及び外国貿易管理法案、並びに外国為替管理委員会設置法案というようなものが、別途御審議されておりますように、相当はつきりしました限界を画しております。一言に申し上げますと、大蔵省は外国為替管理の——通産省もございますが、大蔵省の部分において外国為替管理の政策並びに行政の責任者であり、為替管理委員会の方は外国為替特別会計の運営、つまり外貨資金を管理しそれを運営する責任を持つておるということでございまして、政策、行政は大蔵省、それから外貨資金の運営、オペレーションとかいうような点は外国為替管理委員会にというように、きわめてはつきり限界を画してございます。もちろん仕事の上できわめて密接な連絡をとらなければならないことは当然でございます。たとえば為替の売買、相場の決定というふうなことはどうするかというような問題もあるのでありますが、これらは法律ではつきりと、為替管理委員会大蔵大臣の承認を得てきめるというふうなことにもなつておりまして、今回の法律によつて為替管理委員会と大蔵省の権限の混淆というようなことはなくなつたものと、私どもは了解をいたしております。ただ運営におきまして十分連絡を密接にして行かなければならぬということは、仰せの通りでございます。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵次官にお聞きしたいのですが、外国為替特別会計を国家的な管理のもとに設けた理由、こういう将来赤字になるか黒字になるかわからないようなもの、しかも将来日本の管理が解かれた場合には、投機的な要素も含んで来ると思うのでありますが、こういうのを国家の一つ特別会計として設けた理由、戰争前は民間銀行がそれぞれやつた。危險負担も民間銀行において、あるいは民間の資本家において負つていたものを、特に戰争中こういう形をとつて来たのですが、その後こういう形をとるということは、どうも民自党のいわゆる自由政策と大いに反して、非常に国家的な強固な統制のもとにこういう危險負担をする特別会計を設けられるということは、ちよつとわれわれとしては解しかねるのですが、どういう理由でこういうものができたのか。これは民自党の政策の担当者としての水田さんにまずお伺いしたい。
  103. 伊原隆

    ○伊原政府委員 私は政治的なことはわかりませんから、技術的なことだけをお答えいたします。先ほど申し上げましたように外貨資金の管理をやりますのに、たとえば戰前の正金銀行のような特別の機関を設けることも一つ考えられます。もう一つ日本銀行、どこでも中央銀行一つ勘定としてやつておる国も相当ありますので、中央銀行一つ勘定としてやつて、そうして政府との間に為替の損益の補償契約益があつたらとるという契約を結ぶ方法もございます。もう一つは国の資金としてやつて行く今のこのやり方、三種類ございまして、利害得失いろいろあるのでありますが、私は外国の例をはつきり知りませんけれども外国でも国の資金になつているところが相当多いようでございます。国の資金とすることの方が、他の銀行とか他の特別の機関の資金にしまして、その間に損失補償契約を結ぶということよりは、現在の段階では適当である、こういうことで技術的な意味で特別会計をつくつたというふうに了承いたしております。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 政治的な意味をひとつ水田さん……
  105. 水田三喜男

    ○水田政府委員 管理貿易日本の現在の段階では大体こういう方式が適当だろう、こういうことで……
  106. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 外国為替特別会計法につきましては、基本法がすでに経済安定委員会に、しかもこの大蔵委員会との合同審査のもとに行われたわけであります。また本日は非常に有意義な質問が多数に出ておりますので、大体質疑はこれで打切りまして、ただちに討論採決に入られんことを望む次第であります。
  107. 川野芳滿

    川野委員長 前尾君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 川野芳滿

    川野委員長 御異議ないようでございますので質問を終了し、これより討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。北澤直吉君。
  109. 北澤直吉

    北澤委員 民主自由党を代表しまして外国為替特別会計法案につきまして賛成の意を表します。  別途この国会に対しまして外国為替及び外国貿易管理法案提出されておりまして、もしこの外国為替及び外国貿易管理法案が本国会を通過しますれば、この十二月一日から輸出貿易というものが原則として自由になる。それから明年一月一日からは輸入貿易民間貿易に切りかえになるというわけでありまして、日本貿易伸張には非常に貢献するのでありますが、これに伴いまして為替につきましても、国際慣行に合致した為替管理制度というものが確立されるわけであります。これに伴いまして日本政府の行います外国為替外国通貨等の売買、及びこれに伴う取引に関します経理を明確にするという趣旨で、この外国為替特別会計法案が提案になつておるわけであります。従いましてわれわれはこの法案が適当であると考えまして、これに賛成の意を表するものであります。
  110. 川野芳滿

    川野委員長 田中織之進君。
  111. 田中織之進

    田中(織)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本案に反対の意見を述べるのであります。  この特別会計の基本法とも言うべき外国為替並びに貿易管理法案並びに外国為替管理委員会設置法案に対しましては、われわれは一応輸入貿易民間への切りかえというようなことが言われておりますけれども、実際におきましては、この過程におきまして現在のように日本全体といたしまして、外貨資金がきわめて少い段階のもとにおきましては、たとえこれを民間貿易に切りかえたといたしても、当然外国商社あるいは当然為替管理法関係におきましても、外国銀行等の進出の前には、とうてい日本商社並びに日本側為替銀行等が、太刀打ちできる筋合いのものではないのでありまして、そういう点から申しまして、われわれはこれに反対をいたしております建前から、この基本法の上に立つ特別会計法案に対しても反対をするものであります。さらにこの特別会計法案自体につきましては、もちろん現在の外国為替資金が、本法実施と同時にこの特別会計に切りかえられるのでありますが、その残がわずかに二十四億円、さらに補正予算において予定されておりまする五十億がこの会計に繰入れられたといたしましても、きわめてこの会計の今後の運営につきましてはわれわれは不安と疑問を持つのであります。さらに最も重要なことは、現在最高司令部外国為替に関する勘定をこの会計に移すという方針が定められておることは、政府説明によつて了承をいたしましたけれども、その時期等についてもいまだ確たる見通しを持つておらない。はたしてどの程度のものがこれに移されるかということにつきましては、きわめて不確定であるということが言えると思うのであります。また根本的にはこの日本の行政機構のうちにおきまして、大蔵省というものが外国のあるいは財政のセクション、あるいは金融のセクション、国庫の財政收入支出を扱うセクションといたしましても、非常に複雑な形をとつておるのでありまして、そういう点から見ましても外国為替に関する部分につきましても、現在複雑なる仕事を担当いたしておりまする大蔵大臣が、これにタッチをするというような形において、十分外国為替行政の運営という点につきましても責任が果されない、そういうようなことが懸念せられるのでありまして、以上のような理由で遺憾ながらわれわれは、本法案に反対せざるを得ないことを申し述べる次第であります。
  112. 川野芳滿

    川野委員長 河田賢治君。
  113. 河田賢治

    ○河田委員 私は日本共産党を代表して本案に反対の意を表明するものであります。  第一には特別会計法外国為替貿易の問題の実体を裏づける会計法律にすぎないのでありますが、第一こういう問題が先ほども委員から述べましたように、国家が直接に負担することはきわめて危險である。これを企業的にやらねばならぬ。これが反対の第一の理由であります。  特に第二には今日の日本の状況としましては、外銀に対するコントロールはきわめて困難な状態であります。従つてこういう大きな資本を持ち、あるいは能力を持つ外銀に対して、日本銀行としましてもとうてい太刀打ちができない。なおかつ現在日本産業状態あるいは資本の状態からしましても、実際にこの貿易の問題は、今後外銀が大きな力を持つて参りまして、従つてますますこれらに集中されることはこれは明らかな点なんであります。従つて私たちはこの外銀の力をますます培養して行くような実体になるので、これが本法律案に反対する理由の第二点であります。  第三には、先ほども申し述べましたように、この法案の中には政令で定めることがたくさんあります。こういう委任立法の手続をとる法案である。それから現在この法案によりまして、いわゆる外国為替の管理貿易をやるということは、結局日本の今日の実情からすれば、いわゆる單独講和への布告の第一歩をこれによつてつて行く。なるほど民間貿易とかあるいは自由取引とかいうことが言われますけれども、これは一つの幻想にすぎないのであつて、実体においては今日のこうした外銀の大きな力に服せざるを得ない。現に各輸出業者、銀行におきましても、為替管理に対する非常に反対の意見が表明せられておるのであります。従つて私たちは為替管理に対する会計を規定するこの特別会計法案に対して、反対をここに表明するものであります。
  114. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  115. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書その他の件につきましては、委員長に御一任を願います。     —————————————
  116. 川野芳滿

    川野委員長 次は昨二十六日に本委員会に付託されました輸出信用保險特別会計法案を議題として、まず政府の提案理由の説明を聽取いたします。水田政務次官。
  117. 水田三喜男

    ○水田政府委員 輸出信用保險特別会計法案提出の理由を御説明申し上げます。  政府におきましては輸出信用保險制度を設け、輸出資金の円滑な供給をはかる目的をもちまして、輸出信用保險法案をこの国会に別途提出いたしまして、御審議を願つておるのでありますが、輸出信用保險制度を実施いたすこととなりました場合に、その経理の状態を明確にいたしますために一般会計と区分し、輸出信用保險特別会計を設けまして、これを経理するのが適当と存ぜられますので、この法律案提出した次第であります。  次にその内容の概略を御説明申し上げますと、この会計におきましてはその資本に充てるために一般会計から繰入れる繰入金、被保險者が国庫に納入する保險料及び付属雑収入をもつてその歳入とし、保険金、事務取扱費その他の諸費をもつてその歳出といたしまして、政府の行う輸出信用保險に関する経理の全体を明らかにし、またこの会計の運営上その損益計算の結果生ずる利益または損失は、翌年度に繰越して整理することといたしますのが適当と存ぜられますので、これに関する規定を設けますとともに、この会計予算及び決算の作成及び提出に関する手続規定等、特別会計に必要な措置を規定いたそうとするものであります。  何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  118. 川野芳滿

    川野委員長 午前はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時四十六分開議
  119. 川野芳滿

    川野委員長 午前に引続き会議を開きます。  復興金融金庫法の一部を改正する法律案及び復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案を、一括議題として質疑に入ります。三宅則義君。
  120. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私はこの際両法案に対して政府当局に質疑をいたしたいと思います。  第一の問題は、復金は今後縮小する段階にあると考えておりますので、資本におきましても千二百億円に縮小いたしたい、こういう希望であると思つておりますが、さらに今日の金詰まり問題につきまして、大蔵当局はどういうふうにして打開する御構想であるか。銀行局長の御答弁を承りたいと思います。
  121. 愛知揆一

    愛知政府委員 金詰まりの問題に対しましては、いろいろ解釈が考えられると思うのでありますけれども、これを概括的に申し上げますならば、金詰まりと一口に言われておりますけれども、その中には金融で解決し得るものと、しからざる諸般の経済現象に基く問題と二つあると思うのであります。その金融政策をもつて解決し得る問題に対しましては、まずもつて金融機構を現在の状況に応じて改正すべきものは改正し、確立すべきものは確立しなければならないと思います。ことに昨年度を見ますれば、復興金融金庫で設備資金が約六百八十億出ておるのであります。昨年度中の設備資金の総額は約千一百億程度と思われるのであります。そのうちのほとんど大半は復興金融金庫から出ておつた。今日の金詰まりの最も重点と思われますものは、一つは設備資金が足りないということであると思います。その設備資金の不足を補いまするためには、社債増資というような自己資本の拡充ということに第一に用いるべきでありますが、金融機構といたしましては、現在の制度では日本興業銀行をどうしてもりつぱなものに、もう少し拡充しなければならないと思います。この興業銀行は現在十億の資本で二十倍の債券の発行ができるわけでありますが、大体今日の予想では来年の三月ごろには、その限度一ぱいの債券の発行が終ることになります。最近毎月の実情から申しましても、大体十七、八億ないし二十億は毎月債券が発行されております。そういう状況で参りますれば、来年の三月までには限度一ぱいになる。そこで通常国会においては興銀の資本の増加と、それからでき得るならば債券の発行限度を、資本金に対して三十倍にするというようなことをまず第一に考えます。  それから同じく設備資金でございますが、本国会でも毎々お話が出ておりますように、農林中金、商工中金というような特殊の機関につきまして、同様やはり増資と債券の発行を考えておるわけでありまして、農林中央金庫につきましては現在の資本金が四億円でありますが、これを八億に増加する。そうしてその二十倍の債券の発行を計画するということを考えております。それから商工中金につきましては、現在一億五千万円の資本金でありますが、これを少くとも三億円に増資をして、やはり二十倍の債券の発行を計画する。まず現在の組織でもつて活用し得るものとしては、以上申しましたようなものが設備資金の補給ということになつております。さらにそのほかに日本の経済の現状から申しますと、担保物件としては不動産の占める地位が非常に大きいのでありますが、これを担保にする金融が行われておりません。これを一般市中銀行に期待することは、市中銀行の資金の構成が預金外からできておるということと、また預金の大半は短期の預金でありますために、この不動産担保の金融を大きく市中銀行に期待することはできないというようなことで、不動産担保銀行とでもいうべき構想を、できればこれも一般の基準法としてぜひ立案をいたしまして、来国会応は御審議をいただきたいと考えておる次第であります。ただ、これは長期の債券を発行する不動産銀行であるということと、それから貸付が相当長期にわたるということで、従来の考え方ならば、何らかの形で財政的な庇護をいたさなければ発達しなかつた経緯もございますので、かりに不動産銀行法というようなものができましても、その法律に基いてはたしてそういう形態が成り立つかどうかということは、まだ研究を積まなければならぬと思うのでございます。そういうような関係からまだその案は十分には具体化しておりません。以上申しましたのは大体復金廃止に伴う現状においての金詰まりの中の、最も問題になります長期の設備資金のことを申し上げたわけでございます。そのほか短期の運転資金等についても、午前のこの委員会でも問題になりましたように、今後の輸出入に伴つて相当多量の運転資金も必要になつて参ると思いまするが、それらの問題はしばらくおくといたしましても、この年末等にさしかかりまして、できるだけ日本銀行のマーケット・オペレーシヨンを活用しなければならぬと思つております。ところが、今後の問題として債務償還が相当多額に行われる、国債をどんどん買い上げるということになりますと、それにかわる資金でもつてどういうふうに円滑に必要な資金を流すかということが問題になりますと同時に、日本銀行等につきましては発行の保証というような問題も考えなければならないので、やはり株式、社債等の有価証券と金融との結びつきということを、非常に重視して参らなければならぬと思つておるわけであります。なおまた当然のことでございますが、見返り資金の活用については現在の状況にも応じまして、十分関係方面の協力を頼まなければならぬと思つております。  ただ最後に一つつけ加えて申し上げたいと思いますることは、金融というものがいわゆるドツジ方策で考えられ、進められておりまするが、その線に沿うて考えますならば、いわゆる健全金融という線が非常にはつきりと出て来べきものだと思うのでありまして、金詰まりという言葉にもいろいろの意味があると思うのでありますが、必ずしも世俗一般に言われておりますような、金詰まりの全部が解決できるような金融政策というものは、ほとんどないのではなかろうかと考えております。
  122. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ただいま愛知銀行局長から精細なる御答弁がありました。私はこの金融に関しまして二つの構想があると思う。まず大企業に関しまする金融と、もう一つは中小商工業金融の二つがあると思つておりまするが、その一つの例を申し上げます。たとえて申しますと日本におきましては企業もいろいろありましようが、私の選挙区に関係の深いのは自動車の製造、トラック——日本の三大自動車というものは、トヨタ自動車と日産、いすず、こう考えておりますが、その中の半分は私の選挙区の豊田というところでやつておる。ここで言うと失礼でありますが、自動車はトラックが中心でありまして、この製造原価は一台約五十万、一月に三百台といたしますと、約一億五千万円くらいは要するわけでありますが、この金詰まりによりまして、職員を約一万人擁しております豊田工場等におきましては、非常に困つておるわけであります。こういうものについて、大企業といたしましては全般的の問題でありまするが、労働者を保護し、また日本の生産の重点である自動車工業につきましても、今後政府はめんどうを見るつもりがありましようか。それとも自分でやらなければならぬか。こういうことをお聞きしたい。  もう一つ、アメリカ等におきましては、自動車については月賦販売、たとえば半年あるいは一年、はなはだしきに至つては二十四箇月かけて完済する。自動車はあたかも日本の自転車のごとくに発達しておるということを聞いておるのであります。日本現状といたしましては、アメリカのごとくには行かぬでありましようが、これに近いような、たとえて申しますとトラックのごときも、あるいは半年ないし一箇年くらいの長期の月賦販売等によつてこれが購入できて、陸運なりあるいは交遊機関なりの便利に資したいと考えますが、そういうことの御構想をひとつ承りたい。  第二番目には、中小金融でありますが、これは御説の通り興業銀行中心、もしくは勧業銀行等もあろうかと考えておりますが、とにかくその資金を融通する点につきまして、従来の経験からいたしますると、出しましてもあるいは帳簿が不完全であるとか、調査が不備であるということで、半年くらいかかつてもなおかつ目的を達しない。それも三百万円以内の金であるにもかかわりませず、かような長期にわたつて調査の結果、結局貸してくれない、こういうような場合がありまして、中小金融というものが非常に困つておるのでありまするが、これらに対してもう少し簡便な方法で、たとえて申すと一箇月くらいに調査を完了して貸し出す方法ができるものであるか、できないものであるか。この二つの点を承りたいと思います。  三番目には、市中で出そうで出ないのは見返り資金であるということが言われております。政府といたしましては、見返り資金等について、地方にもまた中央にも、産業面につきまして相当お出しになる予定でございましようかどうか。この三点について、なるべく親切な御答弁を賜わりたいと思います。
  123. 愛知揆一

    愛知政府委員 第一の、月賦販売と金融の問題でございますが、私どもといたしましても、経済状態がやや安定して参りますと、必ず月賦販売というような組織が大いに活用されることになると思つております。またそれに対する期待も大きくなつて来ると思うのであります。現に最近は、たとえばミシンのようなものにつきまして、そういう計画が具体的に進んでおるように思います。その際、その製造業者に対する金融の問題でございますが、私は月賦販売の方の計画が具体的に進む限りにおきましては、さしたる困難なく回收もできることでありますから、金融の道ということも相当に考えられるのではなかろうかと思つております。ただいまお話の、具体的な問題についてどういう措置をとるかということにつきましては、現在十分にお答えできないのは遺憾でございますけれども、この種の問題につきましては、現在日本銀行の融資斡旋部が、当面するあらゆる種類の問題を取上げまして、いろいろと融資のあつせんに骨を折つておるような状況でありますから、私どももすでにこの問題を取上げておりますけれども、今後さらに一層これを推進することにいたしたいと思つております。  それから第二の中小金融一般の問題でございますが、これはただいま御指摘の通りでございまして、従来銀行その他に対しまして取引関係等がなかつた方々に、金融のせわを親切にやるということが欠けておつたことは認めざるを得ないと思います。ただ先ほどもちよつと申しましたように、財政と金融の分離というような考え方からいたしますと、本来ならば、中小金融というようなものは非常に金額は少いが件数が多い。従つて金融機関の立場としては、それに対する調査その他に相当のコストがかかるわけでございまして、プライベートの企業としての金融機関として、これを十分親切におせわするということは、なかなかむずかしいものであるということを痛感せざるを得ないわけであります。それで、きわめて零細なものにつきましては、御承知のように、国民金融公庫という一つ政府機関が最近できまして、細々ではありますが、増資も御承認を得たようなわけで、きわめて零細なものについては、ほんの一部ではございますが、そういう道が若干開けて参つたのであります。あとは先ほど申しましたように、商工中金というようなところを利用することと、それから現にやつておるのでありますけれども、いわゆる別わく融資として、日本銀行から興銀、勧銀、商工中金というような、従来比較的中小事業について関心を持ち、経験を持つておりましたところに資金を供給いたしまして、それをできるだけ地方的にも分散して貸すような努力をしております。最近数箇月の間に二十二、三億はその別わくの融資が活用されたように記憶いたしております。これとてもやはりその経理機関が勧銀、興銀というような大きな構えのところであつたり、あるいは商工中金が従来関係を持つていなかつたというような面には十分に利用もされておらず、また近ずくことすらなかなか困難だというような欠点もございますので、これらの点については、一般の金融機関にもなお一層そういうような制度を、できれば広げて参りたいというふうに考えております。ただしかしながら、一般の金融機関に広げる場合には、やはり先ほども申しましたように、預金者の保護ということと、あわせて経営の健全性ということを、金融機関としては考えなければなりませんので、その辺のところでどうもなかなか思うように手が届かないような状況であります。  それから第三の見返り資金の問題でございますが、今年度すなわち来年の三月までに、直接投融資が二百億ないし三百億は期待できるのではなかろうかと考えております。何分にもこれは日本政府側だけできめきれない問題でございますので、二百億ないし三百億ということも私どもの期待でございますから、はたして来年三月までに実積としてそれだけが供給できるかどうかということを、はつきりとは申し上げかねるわけでございますが、資金の計画、資金の收支の状況その他から申しまして、いわゆるデイス・インフレーションの線を維持して参りますためには、どうしてもこの程度のものは出してもらはなければならぬ、こういうように考えておるわけであります。  なお見返り資金は、御承知のごとく債務償還に充てられるものもあると思うのでありまして、これと一般会計からの債務償還をあわせまして、その償還されたかわり金を運用いたします場合にいろいろとくふうをいたしまして、できるだけそういう金が中小企業の方にまわるようにということについては、研究を続けて参りたいと考えておるわけであります。
  124. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は、たとえば自動車のごときは耐久年数が三年も四年もあるので、月賦販売にいたしましても、一年なら一年の償還ということにいたしますならば、必ずしも危險な投資ではないと考えます。ことに戰後の日本産業といたしましては重要な産業一つでありますから、こういう面の融資のあつせんについても努力を傾倒されたいと思います。  次に不動産金融についてですが、今日市中銀行は流動資産に重きを置いてて、不動産には重きを置いていないようでありますから、これを何とかしなければ金詰まり打開はまことに困難と思います。先ほど局長も仰せになりましたが、もう少し簡略に不動産に対しましても融資するように、たとえて申しますと、もとの日本勧業銀行がやつたように、二年なら二年というような融資ができれば、庶民階級はたいへん楽になると思います。  次に、二万、三万というようなきわめて零細な金融でありますが、今日の貨幣価値から申しますと、二方、三万は一箇月の俸給程度でありますから、この範囲を広げて、たとえば十万以上とか三十万以上に上げる意思があるかないか。それから三百万円内外の中金融ももつと円滑にするよう御盡力を願いたい。  復興金融金庫はだんだん縮小されて行くのでどうも焦げつきになりはしないかと考えるので、この辺の見通しもお伺いいたしたいと思います。
  125. 愛知揆一

    愛知政府委員 第一の融資あつせんの問題でございますが、最近融資あつせんが軌道に乘つて参りまして、たとえば今年の四月から九月までで申しますならば、日銀の融資あつせんの実績は六百七億千三百万円というふうになつておるわけでございます。それから今年の四月から九月までの日銀の融資あつせんの総計は九百四十億二千百万円になつております。そのうち設備資金と目せられますのは百九億四千七百万円、運転資金と思われますものは八百三十億七千四百万円、こういうような数字でございまして、しかも大体八月までは累月相当の増加を示しております。九月にちよつと下りましたが、十月にはまた相当の実積をあげておるような見込みでございまして、これら全体の銀行の融資総額に対する比率というものは、現在では相当大きくなつておるわけでございます。従いまして先ほどもお話がございましたように、日本産業上どうしても維持をしたいもので、しかも将来の回收ということの危險性が比較的少いようなものにつきましては、日銀の融資あつせんというものについての相当の期待を今後もかけて参りたいと思つております。  それから不動産金融の問題は勧業銀行、北海道拓殖銀行というものが昨年の再建整備のときに預金銀行になるか、債券発行銀行になるかという二途のうち一つを選ばざるを得なくなり、興銀は預金を原則的に禁止され、債券の発行をすることになつた。その反面に勧銀と北海道拓殖銀行は債券の発行をやめて預金銀行なつたわけであります。そういう関係もございまするし、またこういうふうに経済の実態がかわつて参りますと、ひとり勧銀とか北拓のみならず、場合によれば地方の農工銀行といつたようなものが、やはり考え直されていいのではなかろうか。御承知のように農工銀行は数年にわたりまして勧銀に合併されたのでありまして、しかもその合併といたしました勧銀が預金銀行になつてしまつたので、この点は非常に今後に問題を残しておる点でおります。従いまして先ほど申しましたように、不動産担保銀行とでも申しましようか、そういうものはぜひともこの際法律を制定していただきまして、それに基いて單数でなく、できれば複数の不動産銀行というようなものができることが、私は望ましいと考えておるのであります。ここで具体的な障害はそういう不動産銀行が預金をとらず、また財政その他の方策による政府の特殊の庇護なしに、最初のすべり出しができるかどうかということが現在の問題でございまして、これを打開するためにいろいろと知慧をしぼつておるわけでございます。  それから三百万円内外程度の金融の問題でございますが、ごく最近の調べはないのでありますけれども、大体私どもも一件と申しましても関連のある一つの事業として、三百万円ぐらいまでのところをいわば中小金融と言つておるのでございます。無盡会社、信用組合等の融資の実情を言いますれば、実は相当の部分、おそらく半分ぐらいそのカテゴリーに属する融資なのでございます。従つてもし三百万円前後ということを、中小金融ということの一つのわくとして考えますならば、決して中小金融はできていないということは言えないわけであります。現在最も問題にされております中小金融というものは、もつとその範囲の外にあるものだと私ども考えます。それらに対する措置といたしまして、先ほど申しましたようないろいろの方法を考え、また他面協同組合、信用組合、それから無盡会社というような特殊の庶民金融機関の動員ということを考え、御承知のように従来は日銀と直接関係のなかつた無盡会社から、国債のオペレーションをやつて国債を買い上げるということも、最近ようやく軌道に乗つたわけでございます。  それから最後の復金の貸倒れの問題でございますが、これは実は今日のところ私どもとしては、全部回收をすべきである。またしなければいけないという建前によつて計画をいたしております。中には設備資金の性質上十年あるいは十五年の期限をもつてしなければ、とことんまで行つても回收のできないものも予想されるわけでございますが、これは年度ごとに予想を立て、その予想の相当の限度まで歳入に繰入れることに、今回の改正法律案によつて考えておるわけでございますが、非常な努力をもつて同收を促進して参るということと、別途政府側としても御承知のように監査をできるだけ励行いたしておるわけでございますので、今のところはできる限り全額の回收ということで、ここ数年の間は努力を続けなければならぬと思うのであります。従つて現在とことんまで行つても、貸倒れになるものが幾ばくかあるということになりますと、これは私どものみならずちよつと予想として数字を申し上げることが困難でもあり、また不適当な問題でもあると考えます。
  126. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 それではあまり長くなりますからこれだけでやめますが、今愛知局長が大分じゆんじゆんとお説きになつたのであります。私の考慮いたしますことは、復金の問題はこれは政治問題も重なりまして、片山あるいは芦田内閣を通じまして相当放慢なる貸付があつたことは、御承知の通りであると思う。それでこれを片づけることにつきましては、債務者の方ではあるいはこれはもらつたものであるというように誤認をいたしまして、あるいは濫費したり、あるいは政治的にはずれるような方面にまで発展して費消された点があろうかと考えております。これを監査しますには私が言つてははなはだ失礼でありますが、たとえば会計士であるとか計理士を使つて監査せしめ、また政府と協力せしめて、この回收方法なりあるいは現状の打開なりに貢献されたならばよろしいかと思いますが、その構想があるかどうかということと、最後に今日復金に対しましては世間の疑惑を持つておられることも御承知の点でありますから、これを一層明確ならしめるために、各産業団体あるいはその他の業界等に対しましてもよく公表して、これらの人々から早く回收せしめるよう仕向けることも、一つの方法であるかとも思いますが、御構想の二、三点を伺つて質問を打切りたいと思います。どうぞ御親切なる御答弁を承りたいと思います。
  127. 愛知揆一

    愛知政府委員 監査の問題につきましては予算関係その他もございますので、全力をあげて與えられた人間を活用することにいたしております。現在のところ公認会計士にお願いをするということまでは実は考えておりませんでしたが、なお大事な問題でございますから十分研究いたしたいと思います。  それから第二の世間の疑惑の問題につきましては、これはもう数年にわたりまして、世間公知の非常に大きな問題になつておりましたところでありますから、政府側といたしましても、新規融資は停止されましたけれども、回収ということについて今後徹底的に嚴正な態度で処理して参りたいと思つております。従つてたとえば回收の状況などはできるだけ世間に公表するように、従来もいたしておつたつもりでおりますが、なお御意見によりまして適時詳細に公表することにいたしたいと思つております。
  128. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 二、三お尋ねしたいと思います。この改正案の一つの事項は、十月七日の復金の審議会の決議によりまして、復金の審議業務は一切停止したということになつておるのでありますが、これは法律が通つてから停止なさるのでありますか。あるいはもう停止しておるのでありますか。
  129. 愛知揆一

    愛知政府委員 復興金融金庫は設立のときから三年間経過いたしました場合において、さらにその後において新規の融資を継続するかどうかということは、復興金融審議会の議を経てこれを決定するということに、現行の復興金融金庫法の第十七條に規定されておるわけであります。同時にその十七條によりまして、それ以前においても必要ありと認めるときには、新規事業を停止することを、復興金融審議会が議決をもつてきめ得るということになつておりますから、今申しました時期以前に新規の融資を停止しようということを、去る十月六日の復興金融審議会で決定したのであります。従いまして復興金融審議会で十月六日に新規融資を停止したことは、この改正の法律とは関係なしに現行法によつてつたのであります。
  130. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 そうすると現実に今停止しておるのですね。
  131. 愛知揆一

    愛知政府委員 現実に新規の事業は停止したわけであります。
  132. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それでは停止いたしました最後の総貸付というものはおわかりになりますか。
  133. 愛知揆一

    愛知政府委員 十月七日の残がございませんが、九月三十日月末の残高は、設備資金で件数が七千四百九十二件、金額にいたしまして、九百二十六億四千四百五十八万四千円、運転資金の件数九百七十七件、金額にして百七十四億一千八百二十万八千円、合計件数八千四百六十九件、金額一千百億六千二百七十九万二千円、これが九月三十日現在の融資残高でありますが、十月六日においてもこの数字は動いておらぬはずであります。
  134. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 そういたしますと業務停止の最後の残は千百億円あるようでありますが、そこで回收になりましたものは、このうち幾らあるのでありますか。いただきました回收額調べというのに第一・四半期、第二・四半期、それから十月の回收額、こういうものが出ておりますが、これ以前にも回收されたものがあると思うのです。これはもちろん引いた残高と思うのでありますが、この中から十月中の回收額を引いたものが今日の残になるのですか。
  135. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまのお尋ねの点は便宜上こういうふうにお答えいたしたいと思うのであります。二十四年度におきまする元本の回收が七十五億円の予定であつたわけでありますが、さらにそのほかに五十億の回收の増加がございますから、大体百二十五億が二十四年度中に回收した額、これが大体現在までの回收の総額というふうにごらん願えるかと思います。
  136. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 先ほど三宅さんの方からのお尋ねで、この千百億あるものを全部回收するつもりであり、また回收される見込みだというお話でありましたが、これはどうでありましようか。現実に愛知さんいろいろお聞きになりまして、ほんとうにそうなるでしようか。私どもが聞いておるのによりますると、相当部分回收不能になるものがあると思うのですが、これは当初から私どもは一番心配いたしておりましたので、それはどういうことですか。見通しがつかないと申されますればこれはしかたがないことでありますけれども、しかし今日この貸付を受けて事業をやつておる者の状態を見ますと、かなり借りたときと変化があります。これは件数が非常にたくさんに上つておりますので、一々お調べになつておられないかと思うのですが、その見込みをひとつ聞かせていただきたい。もう一つ、もしそういうような回收不能のものがあるということがはつきりしますると、どこの方へそのしりが向くのでありますか伺いたい。
  137. 愛知揆一

    愛知政府委員 この点につきまして今私の考えておることを申し上げますならば、十月初めに、先ほど申しましたように新規融資を停止いたしますると同時に、あらためて復金当局に、貸付の現在高を全部四分類することを要請いたしたわけであります。その四つの分数は、たとえば期限通り楽々返るもの、第二分類は期限を多少緩和されれば大した心配なくすぐ返るもの、第三分数としては相当回收に困難なもの、第四分数は、現在の復金の当事者として見て回收がほとんど困難なもの、そういうような四つの分類に仕訳をいたしまして、ただいまの九千件に余るものを全部あらためて分類をやり直すことを要請いたしまして、その結果がまだ全部の分類ができておりません。そこで私どもとしては、その第四分類に属するものについてどうやつてこれを回收するか。また必ずしも現金の回收でなくても、国民の迷惑にならぬような方法も講じ得るかと思います。現在のところはそういうことで調査を進行いたしておるような次第であります。  なお御参考に申し上げます。前回の国会と記憶いたしまするが、いわゆる赤字融資を石炭その他について復金が出しまして、その当寺われわれ事務当局で赤字融資と見ましたものが、約百九十八億だつたと記憶いたしておりますが、そのうち百四十一億は赤字融資ということの御承認を得て交付公債を交付いたしまして、それで一応決済が全部きれいになつたわけになつております。でありまするかしいて申しまするならば、その当時の差額五十億余りが今後残つた問題だと思います。そのほかにいくらか事務的に見て一応回收困難と見られるかという数字をこれから出すわけでありますが、今まだ数字を申し上げるまでに至つておりません。
  138. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 最後に穴が出ましたら、また交付公債のような法律をお出しになるのですか。
  139. 愛知揆一

    愛知政府委員 その点は現在のところは数字も何も——先ほど申しましたように、これは何とかして回收したいということでやつておりますので、にわかにお答えしにくいのでありますが、どうしても出る場合におきましては、やはり前々回お願いいたしましたような交付公債によつて解決するよりほか、最終的に結末をつけることはできにくいというふうに考えております。
  140. 河田賢治

    ○河田委員 復興金融金庫の回收あるいはその他については、今日の日本産業状態からも非常に重要な問題でございますが、特にこの運営におきまして銀行局の方では、復金の貸出先の使途について、たとえば会計検査院等で警告をされておるようなものについては、どのような御処置をなされておるか。具体的に二、三の会社の例をもつて説明していただきたいと思います。
  141. 愛知揆一

    愛知政府委員 会計検査院から指摘を受けております中の一、二の例を申し上げますると、一つは昭和電工の関係であります。それから一つは秋田木材の関係一つは名古屋地方の亜炭の融資について一件ございます。一、二の例を申し上げますと、こういうものであります。その指摘を受けました事項につきましては、その当時扱つております関係の者の、その当時における見解を聽取いたしまして、復興金融審議会でも一応それらの事情を調べまして、詳細な弁明書を会計検査院に提出いたしております。なお指摘のあります数件につきましては、それぞれ当時構成されておりました委員会あるいは地方の融資懇談会というような——これはいつもお話いたしますので御承知と思いますが、復興金融金庫というものの組織が普通の法人体でございませんので、監督機関としては復興金融審議会が法律で定められております。その決定した規則に基きまして金額に一定の制限を置き、あるいは地方融資懇談会の議決事項なり、あるいは大きなものは復興金融審議会の議決事項になつておりますので、その当時のそれらの議決機関を構成しておるところに対しまして、大蔵省としてもそれぞれ警告を発しておるような措置をとつておるわけでございます。それから経済的の措置といたしましては、昭和電工を初め、これは先ほど来申しておりますような、回收を徹底的にやらなければならぬという大方針に基きまして、復金の融資をいかにして返済せしむべきかということを、それぞれ復金及び会社側に対しまして随時督促をし計画を立てて、何とかしてこういう特に指摘されたような事項につきましては、少くとも経済的に徹底的な回收を断行して行きたい、こういうように考えております。     〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
  142. 河田賢治

    ○河田委員 ここですぐこまかい個々の会社について御答弁を願えませんか。やはり会計検査院の報告は出ているのですがね。たとえば足立産業株式会社及び大和貿易株式融資、これらについて措置を得なかつたものとして掲げられておるのですが、これらの措置についてはどうなつておりますか。
  143. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまおあげになりました二つの問題は、私はまだ承知しておらないのであります。取調べてお答えいたします。
  144. 河田賢治

    ○河田委員 ここに来てわからないと話にならぬですが、それではもう一つ、これは民自党の方で気の毒なのですが、小淵光平という群馬県吾妻郡の方なんですが、やはり復金から三千万円か何ぼか借りておるという話があるらしく、これは地元民の間でも選挙資金に使われておるとかいううわさがある。この光山電気株式会社の社長、この方に対する融資の状況、その取立ての状況について資料の提出を願いたいと思います。
  145. 川島金次

    ○川島委員 この法案に直接関係はないのですが、幸いに局長が見えておりますので、一般的な問題について二、三参考のためにお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。  まず第一には、政府は財政演説の中でも、経済安定復興を目指して、できるだけの低物価政策を実施して行くという方針を明らかにしておるのであります。低物価政策を一貫的に実施するためには、諸般の施策はもとより必要でございますが、ことに低物価政策は、低金利政策でもなければならないと私ども考えておるのであります。そこで政府は、この金利政策について、どのような具体的な方針を今後とられて行こうとするか。その点についてまず第一にお伺いしておきたい。
  146. 愛知揆一

    愛知政府委員 金利につきましては、財政演説にもございまするように、私どもといたしましては一日もすみやかなる機会に、一厘でも多く引下げることをもつて本旨と考えておりますわけで、そういう方針に基いて、今後着々手を打つて参りたいと考えております。
  147. 川島金次

    ○川島委員 そういう漠然たる話でなしに、政府がすでにこの補正予算及び来るべき二十五年度の新予算提案を前にしてそれに即応する日本経済全般をにらんだ金利政策というものに対する研究があつて、しかるべきだと私は思うのです。従つてその研究中に属する金利政策の具体的な方向があれば、この際示してもらいたい。
  148. 愛知揆一

    愛知政府委員 これはちよつと抽象的になるのでありますが、金利につきましては各種金利の相互間のバランスを見て、金利を一体どこにきめるべきであるかということから、基本的に考えなければならない問題だと思います。従つて現在われわれの考えておりますのは、一方においていかにあるべきかという基準を創定すると同時に、現実の金利を、先ほども申しましたように二厘ずつでも下げて行きたいということを考えておるわけであります。具体的な問題に入りますが、まず今一番問題になつておりますのは、銀行の貸出しの金利であると思うのであります。ところが銀行の貸出し金利につきましては、実際問題として銀行の收支ということからのみ、従来取上げられておつたきらいがありますし、また現実にある程度銀行の收支というものから、これを割出さざるを得なかつたような事情もございます。現実の問題としては、銀行の收支状況は最近の決算期を見ましても非常にいい見込みでございます。従つて私といたしましては、年内というわけには参らぬと思いますけれども、少くとも今年度中には、一厘ないし二厘の貸出金利の引下げを、具体的に提案いたしたいと思つております。ただ金利の決定は御承知のように臨時金利調整法によりまして、金利調整審議会の審議を経なければなりませんし、日本銀行政策委員会が決定をする権限を委譲されておるわけでございますから、私どもとしてさような提案をいたしたいと考えておるということだけ申し上げておきます。
  149. 川島金次

    ○川島委員 今局長からも率直に申された通り、今日の銀行貸出し金利は、一般の経済事情に照し合せまして非常に高いと私ども考えておる。しかも今日の、ことに市中銀行におきましては、一般産業賃金水準から見ましても、銀行に属する職員の賃金が、産業賃金の最上位にあるような状態である。しかもそういうような高賃金を拂つておる銀行自体が、昨今は非常に收支の状況が好転しておるということは、とりもなおさず一般の債務者の犠牲において、銀行のみが非常にゆたかな立場をとつておるということで、日本経済の全体から見ましてことに均衡を得ない形であり、それは一日も早く是正すべきではないかと考えておる。今局長お話によれば、大体明年から一、二厘程度引下げてはどうかという方針があるやに聞いたのでございますが、一、二厘程度ではまだ全体的のバランスからいつて、低金利の方向へ持つて行く力としては弱いのではないかと思う。政府がせつかく低物価政策をとり、しかも政府に一般的な金融操作の上において、活発な積極的な力を押し出して行こうという考え方があるとすれば、もつと勇断的な低金利政策というものを実施して行かなければならぬと思う。明年度の全体の予算がきまれば、同時に日本の財政経済全般の車のめぐり方の方向がきまつて行くのであります。そのめぐり方の方向に沿つた金利政策というものを実施いたさなければ、諸産業の復興ということもなかなか容易でないと私は考えておりますので、局長はその点についてよろしく今後努力してほしいと希望しておく次第であります。  それからついでにお伺いいたすのでありますが、最近貯蓄成績などが大分好調を示しておるという話を開いておるのでありますが、その貯蓄について、たとえば工業、農業、漁業、そういつた方面の各別の貯蓄成績に関する状況というものを、お手元に資料がありましたならばこの際示しておいていただきたいと思います。
  150. 愛知揆一

    愛知政府委員 先ほどの金利の問題につきましては私もまつたく同様に思いますので、なお今後も研究いたしたいと思います。  それから貯蓄の分布状況については資料を探したのですが、あいにく手元に持つておりません。概略申し上げますれば、一時のように農村に資金がだぶついておるというような現象はなくなつて来ておるように思います。やはり都市周辺等における貯蓄の増加が顯著のようでございますが、ただ一つ、これは地域的な分布ではございませんが、最近非常に顯著であると思われますのは、小口の大衆性の預貯金が一般的に増加して参つておることであります。これは一つにはいわゆる通貨不安というようなものが、だんだんに解消した結果ではなかろうかというように考えております。
  151. 川島金次

    ○川島委員 今のお話によりますと、インフレの收束に従つて最近では農村における貯蓄実績が激落をして来ているということであります。そこで農村金融に対する問題につきましては、政府は今後どのような具体的な施策をもつて、この逼迫した農村の金融難の打開に当ろうとしておるか、伺つておきたいと思います。
  152. 愛知揆一

    愛知政府委員 農村の金融対策につきましては、私どもの一枚看板でありますが、農林中金を中心にする行き方と、できるだけすみやかに預金部資金を使わしてもらう行き方、この二つに盡きると私は考えます。なおそのほかに見返り資金の活用ということが考え得られるなら、望外の仕合せであると考えております。
  153. 川島金次

    ○川島委員 見返り資金の活用について、その方面に何らか積極的な施策が実施ざれる見通しになつているかどうか。所見を伺つておきたいと思います。
  154. 愛知揆一

    愛知政府委員 見返り資金の関係ははつきりと私も承知しておらないのでありますが、できればやはり農中を経由機関といたしまして、せめて二十億あるいは二十五億程度は、年間に放出することが期待されているように承知いたしております。
  155. 川島金次

    ○川島委員 今預金部資金のお話も出ましたからついでにお伺いするのですが、われわれは預金部資金の運用をもう少し機動的な、積極的なものにしてやつたらどうかと考えているわけです。それでさしあたつての私ども考えといたしましては、その預金部資金の二百億くらいを商工中金、農林中金、国民金融公庫というような中小企業の金融機関を通して、預金部資金を積極的に活発にしかも機動的に運用して行つて、この農林あるいは商工あるいは一般庶民の金融の上に、大きな力を加えて行つてはどうかというような考え方を持つているわけでありますが、銀行局長はそれについてどのような考え方を持つておりますか。
  156. 愛知揆一

    愛知政府委員 預金部の問題でございますが、具体的に二十四年度分について私見を申し上げたいと思います。二十四年度におきましては御承知のようにすでに決定しておりまする地方債二百三十三億は、もう確定的にほとんど引受済みと申してもよろしいと思います。それから公団関係の融資が約二百八億円ほどできる見込みでありまして、その他に特殊なものが十二億ほどございますが、現在きまつておりますものの総額は約四百五十三億であります。それに対して二十四年度のうちに運用可能の資金の総計は、七百二十五億円程度かと推定されるわけでありますから、七百二十五億円から四百五十三億円を引いた残りが運用未確定のものであります。今回の補正予算に伴いまして地方債のわくは幸いに八十億程度広げられますから、地方債は三百十三億程度になります。しかしなおかつ私の推計で申しましても、百九十二億は余るわけでございますから、これをただいまお話のような方法で活用することが、私はほんとうのデイス・インフレの線に乗るものでもあり、また預金部特別会計の独立採算制を維持するゆえんでもある。それからまたそうすることによつて地方債の金利その他を大幅に下げることも可能である。どこから見てもこれはまつたくいい考え方だというふうに、私は思つておる次第でございます。  なおつけ加えて申しますが、ただその場合におきましても預金部がいわゆる官僚の手だけで、直接に業界を相手に融資をするということは絶対に避けるべきであつて、実際におきましては、農林中金債券とか商工中金債券とかを通して、運用されることが望ましいことと考えております。
  157. 川島金次

    ○川島委員 次にお尋ねしておきますが、先般池田大蔵大臣の演説の中にあつたと記憶しておりますが、全国各府県の一県一行主義を改めて、一県二行以上の方向に持つて行きたい、こういうようなことを言われたように私は記憶いたしておるのでありますが、この一県一店の存続によつていろいろの弊害があることは私も承知しておるのであります。そこで大蔵大臣の言われておりまする一府県一店の方針を一擲して、二行以上を許すという方向に持つて行こうとする具体的な基本的な方針、あるいは目途というものはどこにあるのか。それからあわせて聞きますが、今日すでにそれら府県の中において現在ありまする一県一店のほかに、さらに新たなる銀行の設立の許可を要求しておる府県などが現実にあるかどうか。それもあわせてお尋ねしておきたいと思います。
  158. 愛知揆一

    愛知政府委員 一県一行主義の看板をなぜはずしたかということについての理由といいますか、気持を申し上げたいと思うのであります。これは一つには先ほどもお話がございましたように、地方で地方銀行が必ずしも十分に民衆の金融需要を満し得ないというようなところから、たとえば大銀行が地方的に進出を希望されておるというような、非常に見方によつては妙な現象すら起つておるわけであります。ところが私どもから見ますると、地方に大銀行の支店を設置するというようなことになりますると、地方の資金がかえつて逆に吸収されて、地方の金融需要をまかなうことについては逆の方向になることもある。また一面、既存の銀行については、店舗はもう十分であるというほどの数に達しておるのであります。いろいろの点から見まして、もし地方的に適正な規模の銀行をつくりたいという希望があつて、それが育成されるならば、大蔵省側としてもむしろ積極的にこれを受け入れるべきではなかろうか。従来は昭和二、三年以来の大蔵省の伝統的な方針として、銀行は合併々々で来ておりまして、ようやく一県一行に現在なりかかつたところなのでありますが、そういうような既定の方針をこの際黙視いたしませんで、今申しましたような態度でこの問題を扱つて行きたいと思つておるわけであります。ところがしからば具体的にどことどこに計画があるかというお話でございますが、実は先般の方針を発表いたしますまでは、大蔵省に持つてつても問題にしないだろうというようなことで、全然そういう話が出ておらなかつたわけでありますが、今後出て来る道が開けたというような状況でございます。中に一、二、たとえば東京郊外と申しますか、三多摩地方でありますとか、あるいは大阪市の周辺の都市でありますとかいうようなところには、それならやろうという機運が出て来ておるようでございますが、具体的にどのくらいの規模で、どういうことをやろうかということは、私どもの手元にはまだ御相談を受けておりません。
  159. 小山長規

    ○小山委員 関連して銀行局長にお尋ねしますが、ただいまの地方銀行が地方の金融需要を十分に満たして、いないということに関連してであります。元来中小企業の金融ということが言われておりますことの裏をひつくり返して申しますと、地方産業に対する金融ができないということにあろうかと思うのであります。ということは地方銀行で集めた金が、とかく都会の方に集まりがちである。そのために勢い地方で集まつた金が地方産業に融資されない。これをほかの言葉で言いますと、地方産業の育成ができない。従つて地方に特に多い中小企業が育成されない。つずめて申せばこういうことが言えるかと思うのでありますが、その場合に地方で集めました地方銀行の金は、なぜ都会に集中しがちであるかと申しますと、地方銀行は都会に持つて来た方が非常に利益なのであります。つまり都会に持つて来ますと、まず第一に短期に融資できるという利益が一つと、それからこれは少し世俗な話になりますが、地方では大産業がないので、銀行の経営者にしてみれば、あまりうまいことがない。大都会に持つて来ますと、たとえば増資のプレミアム付の株式の割当があるというようなことで、うまい面もあるというので、地方の金が都会に集中しておるというのが実情であります。  そこで銀行局長にお伺いしたいのは、このような流れを一つの政策でもつてとめる考えはないか。ということは私の試見によりますれば、昔のように甲乙に金利を区別しまして、地方の金利をかりに都会の金利よりも一厘ないし二厘高目に置くということであれば、地方の銀行としましては経費の関係上、原価の関係上、都会に持つて来ようにも持つて来られない。従つて地方で集めた金は地方に置くよりしかたがないので、地方の目ぼしい産業に金を向けて行くことになりますから、戰争以前にありましたような制度、つまり金利に甲乙をつけるようなことを、地方産業の育成または中小企業の育成の一つの手段としてお考えにならないか。これを一つお伺いしてみたい。
  160. 愛知揆一

    愛知政府委員 金利の点は私も結論として同感でございます。これは臨時金利調整法の原案を政府がつくりました場合にも、その法文においても地方的の差異のあることを予想したような法文をつくつております。地方的に甲種銀行、乙種銀行という旧来の制度にかえることは、私も個人としては非常に賛成でございます。ただ何分にも先ほど申しましたように、今もう少し一般的に貸出しの金利を下げたい。そうしてある程度まで行きますれば、ほんとうに科学的に銀行の收支を地域的に見て、限界測定をしなければならないことになつて、初めて差をつける段階が出て来るのではなかろうか、こういうふうに思いますので、私個人の意見でございますが、今のところは、まずできれば全体の金利をうんとここで切下げて、ぎりぎりのところへ行つて甲種、乙種という段階に持つて行きたい。しかしその段階と申しましても、一年先、二年先ということではなくて、できるだけ早いときにおいて、ここ半年ぐらいのうちにそういう態勢ができることが望ましいというふうに考えております。
  161. 小山長規

    ○小山委員 その中小企業に関連してでありますが、もう一つこれは銀行局長の御意見として伺つておきたいのは、地方産業の育成——私はあえて中小企業の育成とは申しませんが、私は中小企業ということは日本の実情に即すれば大体地方産業というように、一概に言つてもいいのじやないかと思います。こういう場合に無盡会社が預金業務を今日取扱つてつて、そのために無盡は相当短期間の間に発展を遂げ得たと思いますが、この預金業務をやめさせようという気配があるやに伺つております。これを廃しましたら無盡会社としましてはたいへんなことでありますし、同時にまたこれを利用する側からいつて、無盡会社が弱体化する、あるいは破産に瀕するということは、これを利用しておる中小特に小企業者の場合には非常な迷惑を受けるということで、預金の取扱いをやめさせるということは、無盡会社そのものに対する打撃でなくて、むしろこれを利用する側の小企業者に対する非常な打撃じやないか、こういうふうに考えておりますが、これをやめさせるといううわさは事実でありますか、あるいは全然これを否定されますか、お伺いしたいと思います。
  162. 愛知揆一

    愛知政府委員 無盡会社に一般の預金を受入れさせない方がよかろうという、一部に有力な意見が出ておりますことは事実でございます。しかし今の御説の通りで、私も無盡会社の現在の庶民金融界における地位は、非常に高く評価しなければならないと思いますから、にわかにさようなことを結論づけることは同意をいたしかねるというふうに考えております。ただ建前の問題としては、無盡は無盡契約を中心にするものであり、銀行は預金を吸収するものであるという建前は、区別して考えなければならないと思いますけれども、無盡契約の加入者から預金をとるということは、否定して考えるべきではなかろうと考えております。
  163. 川島金次

    ○川島委員 私が開きたいことを小山君に言われたところですが、そのほかについでにお伺いしたいのです。先ほど局長の言われました一県一行主義を放擲する方向に入つて来たのでありますが、そのことについて私は今の小山君からもお話のあつた、地方産業への投資ということが非常にきゆうくつな状態であつて、ややもすれば地方銀行の預金が、大都会の方の大企業の方へ流れるという事実が多くあるわけであります。そこで政府は今回の一県一行主義を放擲することを機会として、新たにできまする銀行に対しましては、従来の府県の銀行が手を出さない方面、いわゆる地元の小産業方面へ積極的、機動的な金融操作のできるような性格を持たして行くことも、きわめて必要ではないかと思うのです。そこで府県の市街地信用組合といつたものもありますが、あれはどうも実際の産業方面への融資にはなつておらない。あるいは国民金融金庫などもできますが、これもきわめて資力に乏しいし、国民が思うような融資を受けるわけには行かない。そこで地方における育成すべき価値のある小産業等に対して、重点的に融資のできる性格を持たした新しい銀行、それに対する新しい何らかの政府としての法制を整えて、これに対する助成をするという形をもつて裏打ちをして行くような銀行の性格にして行く必要があるのではないか、こういうふうに私は考えておるわけであります。そういうことについて何か局長考えたことがあるかどうか。それを一つ伺いたい。
  164. 愛知揆一

    愛知政府委員 実際はスモール・ローン、バンクというものが考えられれば、私は一番理想的だと思うのでありますが、今日の一県一行主義撤廃ということまではまだ行き切つておりません。やはり現在の銀行法あるいはこれに所要の手直しを加える。銀行法に基いて設立され、また銀行として規律を受ける。ただ先ほどお話がございましたように、金利その他の点について、地方銀行全般として考え直して行こう。その程度にしかまだ実は踏み切つておらないわけであります。
  165. 川島金次

    ○川島委員 なおそういう事柄について、政府は一段と研究かつ努力をお願いしたいと思うのであります。  さらにお伺いいたしますが、先ほど内藤氏だつたか三宅氏だつたか、不動産金融の事柄についての質問があつたようであります。そこであわせてお尋ねしておきたいのですが、日本の経済の民主化に即応しての証券の民主化というものが、経済の民主化の基本として、活発に目下全国的に運動が展開されておるのであります。そうしてできるだけ証券を大衆の手に持たして、大衆の力で日本産業を復興させるという一つの運動というものの方向に対しては、私どもも双手をあげて賛成しておるのであります。その証券民主化とあわせて証券金融というものは、これまたきわめて重要な面になつて来るのではないかと思う。いかに証券が民主化されましても、またその証券に対する裏ずけともなるべき金融というものが相伴わなければ、なかなか証券の民主化運動も努力がなくては容易に実現ができない、かように思うのでありまして、その証券民主化運動に即応する一つの施策としての証券金融政策、こういつたものがやはりなくてはならない、かように考えておるのであります。その証券金融に対しては、どのような考え方を政府は持つて今後進めて行くのであるか。具体的な方法がありましたならば、この機会に示しておいていただきたい。
  166. 愛知揆一

    愛知政府委員 証券金融につきましては、御承知のように本年八月までに融資準則上も非常な制限がございまして、場合によりましては丙種以下の扱いになつておりました。これにはいろいろのいきさつもあつたわけでございますが、去る八月の融資準則の改正以来、そういうような消極的な制限はほとんど全部撤廃されたのであります。  今後の問題でございますが、証券金融というよりも、もつと私は大きな問題があるかと思うのでありますが、今後金融機関の手持の国債というものは、相当多額にかつ急速に償還されるということとも関連いたしまして、社債とか株式とかいうものの金融上の占める地位というものは非常に大きくなり、またそれを伸ばして行かなければならぬのじやないかと思います。それとも関連いたしまして、すでに一部実行に移つておりますように、一面においてはたとえば年末に際しまして、増資の計画その他が非常に殺到しておりまして、これを時期的に調整することも必要でございますが、真に必要な増資新株の消化のための引受資金でありますとか、あるいは証劵調整協議会の放出株の消化資金でありますとか、こういうものについては相当積極的に見て行かなければならぬと考えております。それからまた現在では公募なりあるいは放出株の売れ残りが漸次増加するような傾向にあるのでありまして、それらの点につきましても、一部は証劵業者に対する直接の金融ということもぜひ考えなければならぬ。これらについては具体的に国債のオペレーションと関連いたしまして、すでに相当資金も出もいたしましたし、またある程度今後は円滑にして行きたいと考えております。
  167. 川島金次

    ○川島委員 最後にちよつとお伺いしておきたいのですが、この資料を見ますと復金の中小の代理貸しはわずかに十二億、農林中金の方は大体二十億、合せて三十億、復金の融資の全額から見ればまことに曉天の星のような感じで家々たるものでありまして、復金が中小企業方面あるいは農漁村方面に対してきわめて消極的であり、ほとんど無関心であつたという感じを私は受けるのであります。そこで局長に率直にお伺いいたしたいのでありますが、復金債の償却は六百二十五億だと私は記憶しておりますが、この復金債の償却分は、政府の予定しておりまする償却は本年度分だけで打ちとめて、その残余分はできるだけ今後は中小企業及び農漁村を含めました方面への活用を、積極的にはかるということも必要ではないかと思うのです。     〔島村委員長代理退席、委員長着席〕  たとえばここの表で見ますと、公団への貸し残高というものが大分ありますが、公団への貸金の回收とか、あるいは復金手持の優良債券、あるいは復金の利息收入、こういつたものをかき集めたものを資本に充てて、これを復金が信用保証で市中銀行指定融資をさせる。こういつた事柄もわれわれは考えているのです。そういうことによつて要するに日本の中小企業の復興、農村の安定といつた方向に積極的に押し出して行くことが必要ではないか、かようにも考えておるのでありますが、局長はそれに対して何かお考えをしたことがあるかどうか。これをお尋ねしておきたいと思う。
  168. 愛知揆一

    愛知政府委員 実は復金の今後の業務につきましては、前国会のときに御承認を得ました本予算、それからそれに伴いまする諸般の設備におきまして、たとえば年度中には十億は新規融資ができる。それから一定額以上の回收や利息收入があつたときには、いわゆる彈力條項が適用されるということになつてつたのであります。従つてその後公団関係の融資を預金部が実際上肩がわりをしたというようなことで、四十億余りの思わざる回收があつたわけでございます。これを元にして中小金融及び農林金融の保証の財源に充当しようということは、実は大蔵事務当局の熱願したところでありますが、その回收されましたものはあげて補正予算の財源に繰入れざるを得なかつた。また新規融資、新規保証の実行がさしとめられたというところは、ひとつ事情を御了察願いたいと思います。それから先ほどおあげになりました数字は、後刻別の計表をお配りいたしたいと思いますが、農林関係と代理貸しの金額は非常に少いのであります。これは特定のものとしては農林中金債券を引受けた分であるとか、あるいは代理貸しを認めただけの数字でありまして、別に農林関係、中小企業関係と分類すればその数字はずつと大きくなります。
  169. 川島金次

    ○川島委員 もう一つ——これはこの前に特に質問しようと思つておりましたが、私が欠席してお尋ねしなかつたので、この際お尋ねしておきたいと思います。国民金融公庫十五億、そのうち十億は一般金融ということになるようですが、そのことに関連してお尋ねしたいと思います。全国に公営質庫といいますか、公立質庫が大分あるのであります。しかし私が見聞をいたしましたところによりますと、地方財政の困難なる影響を受けまして、今日この公益質庫はほとんど開店休業の状態にあるのであります。この公益質庫の利用者は、私の調べた範囲内の話でありますが、その八十四、五パーセントというものは、俸給生活者が利用しているというのが実際の形であります。しかるにかかわらず地方における財政の余裕がないために、せつかく設置されておりまする俸給生活者の唯一の金融機関であるところの公益質庫は、開店休業の状態でありまして、これら勤労大衆の生活上の困難あるいはその他のことについての打開が、ますます困難になつて来ておるのであります。そこで国民金融公庫のあの資金がいろいろ使われることになるのですが、これをそれら地方における公益質庫の方へもまわして、何とか現在の公益質庫の窮状を積極的に打開してみようというような方法はないものかどうか。またそういうことをする方針はないかどうか。それをひとつお尋ねしておきたいと思う。
  170. 愛知揆一

    愛知政府委員 国民金融公庫と公益質庫との関係は、実は率直に申しますと全然考えてないわけでございます。しかし貸す余裕があれば貸して悪いことはないのですが、何分にも公庫の方の資本金が御承知の通り少額でありますので、今にわかにここに関係をつけますところまでは行けないと思います。私見としてはむしろ無盡会社の大きなところの資金を、公益質屋の方へ利用させるということの方が、より直接的に実効がありはしないかと考ております。
  171. 深澤義守

    ○深澤委員 現在復金の貸出金は四千九十億になつておりますが、これの回收の計画は立てられておるのですか。いつまでにこれが回収されるのか。その御計画がございましたならば、明確にお知らせ願いたいと思います。
  172. 愛知揆一

    愛知政府委員 先ほども申しましたように、この問題につきましては従来から非常に頭を悩ましておるのであります。十月の六日に新規融資の停止を決定いたしますときに、九千三百数件の金貸出しにつきまして四つの分類をつくりまして、その四つの分類に基いて現在一次的に復興金融金庫の当局に、どれだけの期間のうちにどれだけのものがとり得るか。万一の場合にどれだけのものが焦げつきになる見込みであるか。こういうことについてあらためて精細に検討を要請したわけでございます。その後まだ一月余りでございますから、大きなもの等につきましては随時私どもも相談いたし、あるいは中間的に報告を受けておりますが、まだその全貌をお示しいたしますのには、相当の月日がかかるであろうと思います。
  173. 深澤義守

    ○深澤委員 いうまでもなく復金の果した役割というものは、戰後のインフレを助長した以外に何ものもない。しかも巷間復金に対する認識というものは、復金の金はもう返さなくてもよろしいという考えすら、一般に広がつておるというのが現状でございまして、従つてこの復金の回收ははなはだ困難であると考えます。特に設備資金と運転資金と二つにわかれているのでありますが、見通しといたしましてはこの設備資金、運輸資金の回收の問題について、われわれの考方からいたしますと、設備資金の回收というものははなはだ困難である。最近における産業の不振、企業整備等の状態からいつて、非常に困難であるということが見通されるのでありますが、この設備資金へ運転資金の回收の見込みについての御意見がございましたらお伺いしたいと思います。
  174. 愛知揆一

    愛知政府委員 設備資金と運転資金とにわけての回收の見込みでございますが、設備資金につきましては、先ほどもお断りいたしましたように、何会社について何年何月に幾ら回收できるかということまで、ここに申し上げるまでには私ども研究を積んでおりませんから、抽象的に申さざるを得ないのでございますが、設備資金につきましては、たとえば炭鉱について申しますれば、いわゆる炭住建設資金——炭鉱労務者住宅の建設資金というものが、石炭関係の融資の中では相当の部分を占めております。これはその住宅は間違いなく建つているわけでございまして、しかしながら一方で先ほどから御議論のございますように、今何が金融として最も必要かといわれているものは、長期の設備資金でございます。一方におきまして五年、十年あるいは十五年の設備資金が要請されているくらいでありますから、復金で出しました設備資金なるものは、本来設備資金として出すとしても、十年、十五年の期限でなければ回收できない。しかし現実に出したものは今申しました炭住のようなものでありまして、建設はできているというようなものが、設備資金については大部分でございますから、今ただちにここ一年なり二年なりの中で、この大部分のものが回收できるということは絶対にありませんが、同時にしばらくの時間をかけていただきまして、そうして借りた方の良識とこれから回收に当ります者の努力とによりましでは、私は理想としては金額回收を期待しているわけでございます。万一金として必ずしも回收できませんでも、そのほかに権利を保全する道も、最悪の場合にはいろいろと考え得るであろうと存じます。それから運転資金につきましては、この中には公団の運転資金等も相当部分ございますから、これらは設備資金に比べれば回收はきわめて容易であろうと考えております。
  175. 深澤義守

    ○深澤委員 先ほど河田君からも質問がございましたように、会計検査院の二十二年度における決算報告を見ましても、復金の貸出しの中に相当の不正と腐敗があるというぐあいに、はつきり出ておるのであります。こうした明らかな貸付の不正事実というようなものに対しましては、大蔵当局としてはどういうぐあいにこれを処分されるお考えを持つているのか。その点をひとつお伺いしておきたいと思います。
  176. 愛知揆一

    愛知政府委員 これは先ほどもお答えいたしました通り、大蔵省としてなすべき処置につきましては、すでに処置をいたしたものもあり、また今後しなければならぬものについては、十分嚴正に処置することと考えます。
  177. 深澤義守

    ○深澤委員 二十二年度の決算報告が出されてからもう相当の期間がたつているのであります。従つてこうした明らかな事実があるのに対しまして、監督官庁としては嚴重なる処置をするのが当然の責任であるというぐあいに、われわれは考えるのでありますが、あの検査報告に載つている幾多の復金貸出しの、会計検査院によつて批難されているものに対して、どういうぐあいに処置されたかということについて、われわれは知りたいのであります。それがもしおわかりになつておりましたらお伺いしたいと思います。
  178. 愛知揆一

    愛知政府委員 これは今ここに全文を持つておりませんのと、それから私からはちよつとお答えいたしかねる問題もあろうと思いますので、御了承願いたいと思います。
  179. 深澤義守

    ○深澤委員 それではわれわれはなお会計検査院のおいでを願つて、こういう点について明確にしたいという希望を持つているのでありますが、これは委員長においてひとつおとりはからい願いたいと思います。それからもう一つお伺いしたいことは、ただいまの九十億に対する貸付金の利子は順調に入つているかどうか、その点をひとつお伺いしたい。
  180. 愛知揆一

    愛知政府委員 貸付金の利子は順調に入つております。御参考までに申し上げますが、昭和二十四年度におきまずる利息收入は九十五億円でございます。その中から復興金融金庫の回收事務その他に要しまする経費を差引きまして、八十五億九千万円を剩余金として二十四年度の歳入に計上しております。二十五年度について申しますれば、利息收入は八十三億七千三十二万六千円、それらから経費その他手数料等を控除いたしまして、剩余金七十六億円が二十五年度の歳入予算に計上される見込みでございます。
  181. 深澤義守

    ○深澤委員 政府は二十四年度において復金債を全部償還するという計画を立てておられるそうでありますが、復金債の分布の状況は一体どういう状態になつておりますか。その点ひとつお伺いしたい。
  182. 愛知揆一

    愛知政府委員 本年三月末、すなわち本年度初めにおきまする所有の内訳でございますが、その当時においては日本銀行が七百三億円、預金部が九十三億円、それ以外は全部市中銀行でございます。合計千百億——端数はちよつとございますが、概算で申し上げますれば千百億、そうしてこれはその途中の推移によりましてオペレーションをやりますから、この内容の内訳は随時変更されるわけでございます。しかし明年三月すなわち本年度末においては、この全額が償還されてゼロになつてしまうわけでございます。
  183. 川野芳滿

    川野委員長 内藤友明君。
  184. 内藤友明

    ○内藤委員 ただいまいろいろお尋ねしまして、復金の償還のことが明らかになつたのであります。一千百億の業務停止当時における残、この回收が四つに分類して、楽々返してもらえるもの、期間を延長すれば何とか返してもらえるもの、相当困難なもの、どうしても返してもらえないものということで今調べておられるわけでありますが、そこで実はお尋ねいたしたいのは、楽々返つて来るものと、それに今お話のありました利息でありますが、今年は八十五億、来年は九十億も利息が入つて来るのでありますが、そうなると実は私ども慾が出るのであります。というのは御承知の通り、先ほども川島さんのお尋ねに愛知さんからお答えがありましたように、農村の金詰まりは極度に達しております。今お手元に資料がないそうでありまして、明確な数字をお伺いすることはできませんでしたが、とにかく概念といたしまして農村には金がないということは、はつきりわかるというお話であつたのであります。今日は政府助成金がほとんどなくなつております。預金部資金の産業投資も閉鎖されております。対日援助資金の農林漁業方面への貸出しも見込み薄になつておるのであります。私は二十四年度におきまして農林、水産関係企業の設備資金だけでも九十五、六億いると押えておるのでありますが、この九十五、六億、約百億足らずの資金がほとんど資金源としてまつたくその道が絶たれておるのであります。そこで市中銀行に多少期待が持てるのでありますが、しかし今日の市中銀行というものは何と申しましても自主性が非常に強くなつて来まして、こういうところへはどうも流れて来ないのであります。そこで先ほどの一千百億円のうちでの楽々と返つて来るものと、それから八十五億の利息、こういうものは、こういうところへおまわしなすつてしかるべきではないかと思うのでありますが、そういうことに対して何か今まで御研究なすつたか。またこれから何とかそういうことをやつてみようかというようなお心持があるかどうか。それをお尋ねいたしたいと思うのであります。
  185. 愛知揆一

    愛知政府委員 これは先ほども申しましたように、二十四年度の本予算が編成されました当時には、実はそういうものの少くとも一部はさらに新規の融資にまわし、あるいは保証の財源に使いたいと思つておりましたのであります。その後思わざる回收、利息收入もあつたわけでございますが、それは全部補正予算の財源に繰入れられてしまつたのであります。その間の事情は御了察願いたいと思います。
  186. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それではその裏向けの事実かとお尋ねしたいと思うのでありますが、今日農山漁村の金は、貯金がいろいろ行先が複雑になつて来まして、もちろんこの調査はなかなかできないのであります。私どもは米代金だけでも約一千六百億ほどあると見ておるのでありますが、この代金の行方をおよそ見当をつけてみますると、約九百億が村に残つております。三百億が郵便局へ行くようであります。残りの三百億ほどが大体銀行へ行くのじやないかと思うのであります。この郵便局へ行きました三百億、銀行へ行きました三百億、合計六百億というものが農村へ返つて来ないということになつておりますが、こういうふうなことをながめてみましても、政府一つの施策といたしまして、何とかこの方面に考える必要があるのではないかと思うのでありますが、愛知さんの御意見をお伺いしたいと思うのであります。
  187. 愛知揆一

    愛知政府委員 まことにごもつともでございまして、何とかそういう実情に即してその金を還元いたしたいと考えております。そのためにはやはり農林中金を中心とする系統機関で活発に吸い上げ、また活発に還元ができるように、それから郵便局から入りました金は預金部を通して、農業改良その他の長期の、しかも一般の金融機関で借りられない金として、それがやはり預金部から農林中金を通して出るようにいたしたいものであると考えておる次第でございます。
  188. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それでは具体的なことをあげましてひとつお尋ねしたいと思うのでありますが、政府がこれは八月の下旬に決定せられたのではないかと思うのでありますが、農業協同組合関係の持つております国債の買上げ約四十億——單協が十億、信連が十四億、中金が十六億、合計四十億であります。中金の分だけは九月初めにお買上げになつたようであります。その他の單協もしくは信連の分はいつころ、どういう方法でお買上げなさるのか、これをお伺いいたしたい。
  189. 愛知揆一

    愛知政府委員 これは八月当時に今決定というふうにお話でございましたが、これは実は内輪を申しますと、国債のオペレーションは御承知のように日銀を中心にいたしております。その一つ一つに対して大蔵省としてはさしずをいたしておりませんので、ちよつと明確に覚えておりませんが、農中の分は確かに実行されました。それから日本銀行の政策委員会でも信連その他の分も買い上げる。——先ほど申しました無盡会社等を相手にすると同じような意味で、従来直接関係のなかつたところから国債の買上げを考えようということになつておつたことは承知いたしております。いつどうやつて買い上げるというところまでは、ちよつと詳細に現在お答えいたしかねます。
  190. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それでは具体的のことの第二といたしまして、短期の資金であります。これは農業手形というもので調達いたしておるのであります。昨年は始められました早々でありましたので、時期が実は遅かつたのであります。いろいろ考えられておりましたけれども、実際は二十四億しか参りませんでした。今年はもちろん適用範囲を拡張せられたり、多少手続が昨年のようなむずかしいことでなくなりました関係でもありますが、とにかく今年は最後は百四十九億まで行つたのであります。私の富山県のごときは九億近くの農業手形を借りたのでありますが、この九億は今度全部返済いたしました。そこでお尋ねいたしたいのは、来年もこの農業手形制度はもちろんおやり願わなければならぬのでありますが、もしこれをやられないということになると、一年間の生産資金というものはゼロになりますので、来年の農業生産は非常は痛手になるのであります。従つて大蔵省はこれを中止なさるということは考えられないのでありますが、そこで私お尋ねいたしたいのは、農業手形の適用範囲をもう少し御拡張なさる意思はないか。すなわち石炭であるとかあるいは報奨物資の資金であるとか、そういうところまで拡張なさる御意思があるかどうかということと、もう一つ金利の問題でありますが、なるほどこの金利は現在は二銭四厘で、こういう安い金利はどこを探してもないと思うのであります。しかしながら農業手形というのは国に納める米代金で差引かれます。もし不作でありますれば、農業災害保險で差引かれるものでありますので、これほど安全なものはないわけであります。富山県は今年は非常な不作で農家が困つたのでありますけれども、これは一文の滯りもなく返済したような始末であります。こういうふうな金利でありますから、私は二銭四厘では少し高いのじやなかろうか。もう少し安くしてしかるべきじやないかと思うのであります。すなわち適用範囲をもう少し拡張なさるごと、金利を下げられることについての銀行局長のお心得を伺いたいのであります。
  191. 愛知揆一

    愛知政府委員 農業手形の対象の拡張の問題でございますが、これは結局日銀の担保になるかどうかということとの関連におきまして技術的に確保し得る限りにおいては、私は拡張してもさしつかえないと思います。ただしかしこれは私の試見でございますが、農業手形というものがあまりに広範囲に行われるということになりますと、かえつて農村のためにどうかと思う点もないではないような感じも同時にいたすのでございます。  それから金利の問題は、先ほど来申し上げておりますように、金利全般をできるだけ引下げたいということを考えておりますので、それと現在の農業手形に與えられております一つの特権と申しますか、それは大体他との相互のバランスを維持しまして、金利が下ります場合には、そのバランスを維持して下げるように考えたいものと思つております。
  192. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 もう一つ具体的な事柄でありますが、結論から申しますと現在の農林中央金庫に対して、債務保証制度というものをお認めなさる意思がおるかどうかということであります。と申しますのは、この農林金融というのは非常に特殊な金融でありまして、すなわち季節的なのであります。毎年四月、六月にもなりますと預金は急に減ります。従つて中金は直属団体の資金需要にも応じかねるという場合があるのであります。そういうときに中金の保証制度というもので、直属団体に他の金融機関から資金をまわして来るということも、一つの手だろうと思うのでありますが、しかしこういうことではたして他から思うような資金がまわるかどうかわかりません。けれども私の考えるところによりますと、三十億や四十億の金はこの制度そのものによつて、他の金融機関から農村へ来るのではないかと思うのでありますが、こういうふうな妙味のある制度を現在の中金にお認め願えるかどうか、こういうことを伺いたいのであります。
  193. 愛知揆一

    愛知政府委員 この問題は実は現在研究中でございまして、まだ農林省とも十分に打合せができておりません。追つて研究することにいたしたいと思います。
  194. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 先ほど各委員から質問されたのでありますが、地方金融が大分逼迫しておるようでありまして、ことにこれは秋田県の例ですが、秋田銀行あたりが能代の災害のために相当金を出したために、木材業者に資金の融通がまわらないということで大分困つておるようです。それに関しまして、大蔵省あたりでそういう金融のあつせんを日銀にしていただくかどうかということと、農村、漁村の金融問題についておもに対象が農村協同組合だと、あるいは林産組合というような單位のみに金を貸しているようですが、これを個人に直接金を貸すようにならないかという問題と、それから勧業銀行でもう少し活発なる復活ができないかという問題、それから復金庫のあとの事業がだめになるので、興銀に対して預金部の預金をひもつきでまわすことができないかというのであります。それから市中銀行の公債の償却の状態はどうであるか。それからまた復金債の返還状態、こういうような関係についてもう一度お伺いしたいと思います。
  195. 愛知揆一

    愛知政府委員 第一の能代の災害の関係でございますが、これはただいまお話のように秋田銀行が非常に努力いたしまして、相当その方は順調に進みましたが、そのために地方金融の方で資金が逼迫したというお話でございます。これはごもつともで、その事実は私ども認めているわけでございます。それで一面に興業銀行等に災害復旧の方の関係を持つてもらいまして、秋田銀行の荷を軽くするというような方法を現在考えております。  さらにまた秋田に信用保証協会の設立の問題でございますが、これにつきましては県当局のさらに積極的な努力を求めたいと考えております。  それから農林中央金庫と個人の関係でございますが、これは御承知のように農林中央金庫というものは、いわゆる農業協同組合の系統機関でございますので、個人にその取引の対象を拡張するということは、この本来の性格から申しましてちよつと問題ではなかろうかと思うのであります。商工組合中央金庫につきましてもやはり同様の問題がございまして、個人に対して直接の貸付をし、あるいは個人から預金をとらしてほしいという一部希望もあるのでございますが、いわゆるコーポレイティーヴな中央機関という性格の方が、より大事ではなかろうかという点から考えますと、ちよつとこの問題はむずかしいのではなかろうかと思います。  それから勧業銀行の問題でございますが、これは先ほども申しましたように、昨年の八月に再建整備をいたしましたときに、実は有力筋から、預金銀行として再建をするのならば債劵の発行をやめなければ、預金者の保護に徹し得ないということで、その二途のうち一つを選べということで、勧銀としては預金銀行たる道を選ばざるを得なかつた。そごに今日の不動産金融の困難性をますます強くいたしたわけでございます。これにつきましては私どもといたしましては、昔の農工銀行とは多少違うかもしれませんが、先ほど申しましたような不動産担保銀行というような、いわゆる不動産金融機関の設立を促進して参りたいと思つております。  それから預金部と興業銀行との問題でございますが、預金部資金を何とかして活用させてほしいということと、それらを活用いたします場合も直接の投融資ではなく、金融筋を通したいという考え方をとりたい。これも先ほど申しました通りでございますから、もし興業銀行の債券を預金部が引受けるという道、あるいは預金部が長期に興業銀行に融資する道を、もし関係方面で認めてくれますならば、私どもとしても非常に効果が上ることと考えておるわけであります。
  196. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 市中銀行の手持公債の償却状態は……
  197. 愛知揆一

    愛知政府委員 市中銀行の現在の手持公債は大体八百億余りでございます。それで十一、二月中にさらにそのうち四十五億ないし五十億は日銀で買い上げる計画になつております。それから来年の一月、三月の間におきまして、政府の收支関係が引上げ超過になつて通貨の収縮が非常に起るだろうと思いますので、それをディス・インフレーションの線に引きもどす一つの方法として、一月、三月の間に大体二百億くらいの公債の買いオペレーションをやらなければならぬと考えておりますから、現在の八百億のうちから二百五十億ぐらいは公債が減少いたします。それで来年度に入るわけでございます。こういうことになるかと考えております。  それから復金債の方は現在の市中手持のものは、おそくも来年三月までに全部償還されるわけでございます。
  198. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私の質問はこれで終ります。
  199. 林百郎

    ○林(百)委員 復金審議会の構成をちよつと説明していただきたいと思います。
  200. 愛知揆一

    愛知政府委員 復興金融審議会は、復興金融金庫法に基きまして、復興金融委員会官制というのが当時できております。その会長は大蔵大臣をもつてこれに充てる。副会長は経済安定本部総務長官たる国務大臣をもつてこれに充てる。委員は左に揚げる者をもつてこれに充てる。関係各大臣二人、これが当時で申しますれば農林、商工両大臣であります。それから日本銀行総裁、そのほかに学識経験のある者七人以内、こういうことになつております。
  201. 林百郎

    ○林(百)委員 法制でその機能の果す内容はどういうのですか。
  202. 愛知揆一

    愛知政府委員 その権限は、復興金融金庫法の中の随所にございますが、まず第二條には、主たる事務所及び必要の地に従たる事務所を設置する場合、あるいは銀行その他のものに業務の一部を取扱わせる場合には、復興金融委員会の承認を受けなければならないということがございます。それから第四條には、「政府は、千四百五十億円を復興金融金庫に出資しなければならない。」とございます。その次の項に「政府は、その出資額に対して、設立の当初において四十億円を拂ひ込み、その残余は、復興金融委員会の定めるところにより、これを拂い込むものとする。」かようなわけでございまして、随所に復興金融委員会の承認を必要とする、あるいは復興金融委員会の決定を経なければならないということがございまして、これを要するに、業務のほとんど全部が復興金融委員会の決議をもつて運営されることになつております点に、従来のいろいろの他の機構と違う特色があるわけでございます。
  203. 川野芳滿

    川野委員長 林君に御相談申し上げますが、これは明日ではどうですか。
  204. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは注文だけ出しておきます。麻生工業に対する融資は現在どのくらいあるのですか。それからその回收状況について伺いたいのです。
  205. 愛知揆一

    愛知政府委員 今日ここに資料を持つておりませんので……
  206. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは明日午前中に資料を持つて来てください。
  207. 川野芳滿

    川野委員長 それでは復興金融金庫法の一部を改正する法律案復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案の両案に対しての質疑は明日に譲りまして、次は食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります、内藤友明君。
  208. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 いろいろお尋ねしたいことがあるのでありますが、輸入食糧につきましては実は問題がデリケートでありますので、これはいずれかの機会に譲りたいと思います。内地の買い上げられる食糧につきまして、きわめて簡單なことでありますが、承知いたしたいと思いますのでお尋ねいたします。その一つは、消費者が公団から食糧の配給を受けまして代金を支拂いますが、その支拂いました代金が政府に納まるまでの期間、どういうふうな状態になつているか。たとえて申しますと、町の配給所が幾日間でそれを県の公団に納め、その県の公団は中央の食糧公団へ幾日までに持つて来るか。それが食糧管理局でどういうふうになるかというようなこと、これはいろいろと違いがありましようけれども、大よそ早く納まるものと、なかなか納まらないものとの平均したところでいいと思うのでありますが、それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  209. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御質問でございますが、私ども特別会計といたしましては、一般の消費者に配給いたします主要食糧を公団に売却をいたしまして、公団よりその代金を受領いたしております。公団は御承知の通り資金の統制によりまして、非常に不自由でございますので、私どもが公団に対して売却いたします場合においては、それぞれ当該地域の距離その他の事情にかんがみまして、十四日、二十日、三十日の三通りの猶予期間をもちまして、代金の納入をさせているのであります。公団といたしましてはそれぞれの支所、配給所を通じまして消費者より代金を徴收いたしております。こういう関係になつておりますので、私どもの代金の関係は直接公団を相手といたしておりまして、消費者の代金の関係は公団と消費者との関係になつておりますので、その間一応筋が切れている、こういう関係になつているのであります。さよう御承知願います。
  210. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それではお伺いいたしたいのは、政府が公団に売られる。公団から代金をとられる。なるほどそういうことになつていると思うのでありますが、それで十四日、二十日、三十日という猶予期間を認めておられるのであります。これは全国の公団からしますと相当莫大な金に上ると思うのでありまして、その莫大な金を公団が抱いていることになるのでありますが、その間の金利というものはどういうことになつておりますか。それをお聞かせいただきたいと思います。
  211. 清井正

    ○清井説明員 ただいま御質問の点でございますが、金利は日歩二銭五厘を徴收いたしております。
  212. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それではもう一つお伺いしたいのでありますが、政府は公団に米を売られるのでありますが、その米の消費者価格の中に、食糧公団の経費といたしまして一石三百九十四円二十銭支拂われているのであります。この三百九十四円二十銭の中には、公団がそれぞれの支所、出張所あるいは県の公団、中央の公団で抱いております間の利息というものが、含まれているのでありますか。それともそれは別なのでありますか。それをお聞かせいただきたいと思います。
  213. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの点は、その中に包含されているのであります。
  214. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それから輸入食糧についてでございますが、いただきました資料の中に買入れ価格の変遷表というのがございます。ここで米について見ますと、二十四年四月一日におきまして百キロが二千七百二十五円という数字が出ておりますが、これはどういうふうなことで二千七百二十五円という数字が出て来るのでありますか。これは内地食糧関係でこの数字が出るのでありますか。それとも関係筋の方から、今度の米は百キロ二千七百二十五円だぞとおつしやるのでありますか。それをお聞かせいただきたいのであります。  それからもう一つは、これはどこの値段でありますか。消費者が買う値段でありますか。それとも政府食糧公団に渡されるときの値段であるか。それとも日本の巷に着いたときの値段であるか。どの値段でございますか。お聞かせいただきたいと思います。
  215. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御質問の点でありますが、この値段は内地において政府食糧貿易公団から買い入れる値段でございます。この値段は内地におきまする普通の食糧の価格を基準として、きめている次第であります。
  216. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 そうしますとこれは消費者が買うときの値段でありますか。
  217. 清井正

    ○清井説明員 趣旨といたしましてはさようでございます。その標準として決定いたしております。
  218. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 公団が政府へ売られるのはこの内輪の金だろうと思うのでありますが、このほかにいろいろ運賃、諸掛りが入つていると思いますが、それはどういうことになつておりますか。
  219. 清井正

    ○清井説明員 ちよつと失礼いたしました。ただいま申し上げました二千七百二十五円という価格は食糧庁の価格でございますから、消費者の価格とは違つております。
  220. 深澤義守

    ○深澤委員 まずお伺いいたしますが、特別会計の繰入れの理由といたしまして、輸入食糧に対する支拂いの問題があるのでありますが、この輸入食糧は幾ら入るのでありますか。
  221. 清井正

    ○清井説明員 二百九十万五千トン入るという計画で予算を計上しております。
  222. 深澤義守

    ○深澤委員 これは全部援助資金で入るのでありますか。それとも商業勘定で入るのも全部含まれておりますか。
  223. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御質問でありますが、両方入つておりまして、援助資金で入る分とそれから普通の商業資金で入る分と、両方含まつての合計の数字であります。
  224. 深澤義守

    ○深澤委員 その内訳はおわかりになりませんか。
  225. 清井正

    ○清井説明員 ただいまのところちよつとその内訳は判明いたしません。
  226. 深澤義守

    ○深澤委員 この内訳をひとつお調べになつて、あしたでもお聞かせ願いたいと思います。  それからこの食糧管理特別会計の赤字の問題がしばしば問題になつておりますが、人によつて非常に違うのでありますが、一体現在の赤字の状態はどういう状態になつておりますか。それをお伺いしたい。
  227. 清井正

    ○清井説明員 ただいま判明いたしておりますのは、二十三年度末におきまする決算の数字でございますが、二十三年度におきまする決算の損失は百二十四億八千八百万円になつております。この内訳といたしましては大体四つにわかれるのでございますが、その第一は公団の納付金の未納分が六十二億二千五百万円ございます。それから去年の早場米の奨励金でございますが、当初に価格に織り込みました数字よりも、実際支出いたしました奨励金が多うございましたために損失を生じております。それが二十一億三千五百万円になつております。それからいもが非常に超過供出が多うございまして、当初価格に織り込みましたところの数字よりオーバーいたしましたために起りました損失が、三十五億三千二百万円になつております。それから農業保險の特別会計食糧管理特別会計から繰入れをいたすことになつておるのであります。それを先年度繰入れましたが、その分を一般会計から受入れをいたしませんでしたために損失を起しましたものが五億六千五百万円ございます。ただいま申し上げました公団納付金の未納の分と、早場米の奨励金の超過分と、いもの超過供出の分と、農業保險の分、これを合計いたしましたものが百二十四億八千八百万円、こういう内訳に相なつております。
  228. 深澤義守

    ○深澤委員 第一の公団納付金の六十何億かの問題でありますが、二十三年度の決算のときにおきまして、公団は政府に対する支拂いを怠つている反面、約五十四億の預貯金を持つているのでありますが、どうして政府は公団自体にこれだけの預金を持たしておきながら、政府に対する支拂いを怠つていることに対しては全然処置されないのか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  229. 清井正

    ○清井説明員 ただいま御質問の公団納付金未納の問題でございますが、これは御承知の通り昨年度公団は前期と後期とわけて、二度に政府に納付金を出すことになつております。前期の分はすでに納付が済んでおりまして後期の分が六十二億円になつておるのであります。それで後期の分は三月三十一日現在において、これを納めることになつておるのでございますけれども、三月三十一日同日付の決算がすぐにその日に政府に納めることは事実上できないために、その分が当年度に持越しと相なつたわけでございます。しかし御承知の通りこの分に相当する金額は、補正予算におきまして特別会計の收入となつて計上いたしておるわけでございますから、さよう御承知を願います。
  230. 深澤義守

    ○深澤委員 公団がこうした預貯金を持つてつて政府に対する支拂いを怠つてつて、そうしてこれを浮き貸し流用と申しますか、そういう方面にまわしておるということが、新聞紙等によつても伝えられておるのでありますが、そういう事実があるかどうか。この点調べたことがあるかどうか。お答え願いたいと思います。
  231. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御質問の預、貯金の分でございますが、ちよつと金額は私もただいま判明しておりませんけれども、相当程度の預貯金は運営上当然持つべきものではないかというふうに考える次第でございます。なお一部浮き貸し等の問題につきましても、新聞紙上で拝見いたしたことがございますが、その後詳細なことは存じておらない次第でございます。
  232. 深澤義守

    ○深澤委員 食糧公団を中心として全国的にいわゆる第二会社的なものがありまして、そこに相当国民の納得し得ざる問題があるやにわれわれは承つておるのであります。そういう点について農林当局としてはお調べになつたことがあるかどうか。去る閣議におきましても公団の調査をやるというようなことも決定されて、新聞紙上で聞いたのでありますが、そういうものについての結果はまだわかつていないのでありましようか。その点をお聞きいたします。
  233. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御質問でございますが、第二会社的なものにつきましても、私も詳細を存じておらない次第でございます。
  234. 深澤義守

    ○深澤委員 どうも答弁不満足でありますが、なお公団の運営の問題について詳しい質問をしたいのでありますが、この点はちよつと留保しておきます。  政府の手持の中にかんしよの切りぼしが相当あるそうであります。これは地方の農業会等においても相当保有されております。しかもそれが食用にたえないような状態になつておるものが相当あるそうであります。その点と、それからいも粉等がまだ相当政府の手持になつておるようでありますが、これが相当の赤字の原因になるのではないかという予想がされておるのであります。その点については農林当局はどういうぐあいに処置されておりますか。
  235. 清井正

    ○清井説明員 御承知の通りいも粉その他につきまして、ある程度の手持があることは事実でございますが、食用にたえるものにつきましては、極力それを食用にまわすようにいたしておりまして、食用にたえざる不良のものにつきましては、食用以外の工業用その他にまわすべく、目下しきりに配給を急いでおる。こういうような状況でございます。
  236. 深澤義守

    ○深澤委員 その結果として赤字の出るという見通しを持つておられるのか。あるいは赤字が出ないという見通しを持つておられるのか。その点をお聞きしたい。
  237. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの点につきまして、実は赤字が出ないものというふうにただいま考えておる次第であります。
  238. 深澤義守

    ○深澤委員 その次は生産者価格と消費者価格の中間経費の問題でありますが、新米価によつて計算いたしまして、その中間経費はどういうぐあいになつておりますか。その具体的な御説明を願いたい。
  239. 清井正

    ○清井説明員 新米価は先ほどきまつたのでございますが、まだ消費者価格について決定をいたしておりませんので、詳細な数字の計算はただいまいたしかねるような状況でございます。
  240. 深澤義守

    ○深澤委員 では新米価でなくて、二十三年度の米価において説明願いたいと思います。
  241. 清井正

    ○清井説明員 それでは従前の米価につきましての数字を申し上げますが、基本価格を一応三千八百九十円といたしまして、中間経費の総額が千七百五十円三十九銭と相なつております。なお中間経費の中には、純粋の中間経費と、それから農村の方へ返つて参ります早期供出とか超過供出のバツク・ペイ、いろいろございますので、そういつたものをわけて考えますと、この中間経費の千七百五十円のうち純粋の中間経費と見込まれるものは八百九十七円、こういうふうに計算をされておる次第でございます。
  242. 深澤義守

    ○深澤委員 中間経費の問題でありますが、政府の経費とそれから食糧公団の経費の内訳についてちよつと承りたい。
  243. 清井正

    ○清井説明員 ただいま申し上げました経費中、食糧公団の経費として計上されておりますものは三百九十四円二十銭、こういうふうになつております。
  244. 深澤義守

    ○深澤委員 なおこの資料の詳細については、今他の委員からも御意見がありましたように、ひとつ資料をお願いしたいと思います。その中でちよつと伺つておきたいことは、米、麦、かんしよ、ばれいしよ等についての政府が認めている減耗量と申しますか、その減耗量の率をお開きしたいのであります。
  245. 清井正

    ○清井説明員 ちよつと正確な数字を記憶いたしておりませんのですが、たしかいも類につきましては五%か七%の近所ではないかと思います。穀物につきましては三%程度かと思つておりますが、詳細な数字は追つて調査いたしたいと思います。
  246. 深澤義守

    ○深澤委員 政府は今度つき制度について改正を加えられたようでありますが、米と麦とについてのつき制度の従前と今度の改正とはどうなるのか、その点をひとつ伺いたい。
  247. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御質問の加工歩どまりの問題でございますが、米につきましては、従前九五%の歩どまりでありましたものを、今回一%引下げまして九四%といたしたのであります。小麦粉については、輸入小麦粉は八八%であつたものを八五%に引下げまして、内地産の小麦粉は八八%を八〇%に引下げたのであります。大麦につきましては七七%を七四%に、裸麦につきましては九〇%を八七%というふうに引下げた次第でございます。
  248. 深澤義守

    ○深澤委員 この加工歩どまりの改正によつて、当然食糧が多く費される結果になると思うのでありますが、その総量は大体どのくらいになりますか。おわかりになりましたらお聞きしたい。
  249. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの計算ではつき減りによりますところの需要増は、来年の六月までの分は約十万トン、来年の六月より再来年の七月までは、約二十一万トンの数字に相なるものと考えております。
  250. 深澤義守

    ○深澤委員 昨年いまの配給辞退という問題、腐敗の問題が相当あつたということでありますが、この処置はどういうぐあいにされましたか。そしてそれによつて生じた赤字を、消費者負担にしたというようなことを開いているのでありますが、その点をお聞きいたします。
  251. 清井正

    ○清井説明員 昨年のいもの滯貨によります措置といたしましては、一部を食糧以外の原料用にまわす。特に悪いものは飼料等にまわしております。価格の算定上、一定限度の歩どまりを見ている関係上、いもの滯貨処理に基く損失というものはない形になつております。
  252. 深澤義守

    ○深澤委員 それでお伺いいたしたいことは、大体この三十四年度の需給計画でありますが、この需給計画の結論として、必要やむを得ず輸入する食糧はどういう程度になつておりますか。
  253. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの数字は今きわめて困難な問題でございまして、前提條件等の確定がないとはつきりしたことは申し上げられないのでありますが、当初需給推算を樹立いたしましたときには、二百二十九万トンという数字を計上いたした次第であります。
  254. 深澤義守

    ○深澤委員 そういたしますと、先ほどお答えになりましたのは、今度輸入食糧が二百九十万五千トンということになりますが、その開きは最初予定したものより多く入つて来るという結論になりますか。
  255. 清井正

    ○清井説明員 数字上から申しますと、当初の計画よりもそれだけ多く入ることになりますけれども、ただいま申し上げました二百二十九万トンという不足の計算の前提となります普通の国内食糧生産状況等が、その後の実積と非常に異なつて参りました場合には、その数字に多少異動があり得るように考えられる次第であります。
  256. 深澤義守

    ○深澤委員 この二百九十万五千トンというのは、先日協定が成立いたしました日英協定によつてつて来る、三十万トンの食糧を含んでいるのか含んでいないのか。その点を伺います。
  257. 清井正

    ○清井説明員 その数字はこの中に含まれているというふうに考えております。
  258. 深澤義守

    ○深澤委員 今年の超過供出は政府はどのくらい期待されているのか。その点をお伺いいたします。
  259. 清井正

    ○清井説明員 予算上計上いたしましたのは、雑穀を含めまして、二百四十五万石の超過供出があるものという一応の数字の計算をいたしております。
  260. 深澤義守

    ○深澤委員 そういたしますと、ちようどこれがこのたびの供出に対する補正の額に相当するわけでありますが、この補正の額とこの超過供出の額とは何か関連性を持つと考えられておるのか。その点をひとつお伺いしたい。
  261. 清井正

    ○清井説明員 予算の数字と今回の補正の数字とは、全然関係はないことになつております。
  262. 深澤義守

    ○深澤委員 本年の政府の買上げ予定数量と申しますか、それはどのくらいに見積られておりますか。
  263. 清井正

    ○清井説明員 米、雑穀合せまして三千七十八万石の買上げ予定ということに計算してございます。
  264. 深澤義守

    ○深澤委員 それは超過供出も含めているわけですか。
  265. 清井正

    ○清井説明員 これは超過供出のほかでございます。それに超過供出をプラスいたすわけでございます。
  266. 深澤義守

    ○深澤委員 今年の一般の消費者に対する配給計画でありますが、大体米麦を中心とするということを政府は公約されておるようであります。しかし輸入食糧を見ますると、米麦以外に相当のものが入つて来るようでありますが、その輸入食糧をやはり今年もなおかつ消費者に配給するという計画を持つておられるのかどうか。その点をひとつお伺いしたい。
  267. 清井正

    ○清井説明員 今年の主要食糧の配給につきましては、一月以降についても一部はいも類をも配給いたしたいというふうに考えておるのでございますが、その点まだはつきりいたしていないような状況でございます。なお輸入食糧につきましても、主要食糧に適するものについては、主要食糧として配給するようにしたいと思つております。
  268. 深澤義守

    ○深澤委員 二十四年度の消費者に対する米の配給率というものは、月別にどのくらいに計画されておりますか。その点をひとつお伺いしたい。
  269. 清井正

    ○清井説明員 大体平均月五八%を米で消費するという計画で、配給計画を立てておる次第であります。
  270. 深澤義守

    ○深澤委員 輸入食糧と放出食糧関係でありますが、輸入されました食糧が毎月それだけ全部放出されていないようにわれわれは聞えておるのでありますが、二十四米穀年度において輸入されたものが月々どういう状況になつておるか。放出されたものが月々どういう状況になつておるか。それがおわかりならちつとお伺いいたしたい。
  271. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御質問でありますが、輸入された数量につきまして、月別の数字はちよつと記憶いたしておりません。本年の四月から九月までに入りました総数量は、先ほど資料としても差上げてございますが、百五十二万八千トン入つておるのでございます。但しこれは輸入数量でありまして、主要食糧の配給の方はそれぞれ関係方面と打合せの結果配給いたしておりますが、その数字はちよつとただいま記憶いたしておりません。
  272. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと皆さんに御相談申し上げますが、実は食糧の問題等につきましては、農林委員会におきましても相当に検討されつつある問題であります。なお予算委員会におきましても相当論議になつたようであります。それらの点を考慮に入れられて御質問を願いたいと存じます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  273. 深澤義守

    ○深澤委員 今申し上げました輸入食糧と放出との間に相当開きがありまして、相当のランニング・ストックがあるというように考えられるのであります。それ自体が食管の会計に影響を持つわけであります。そういう意味においてこの輸入食糧に関するランニング・ストックがどの程度ありますか。その点を伺いたい。
  274. 清井正

    ○清井説明員 お答えいたしますが、月々のランニングにつきましてはただいま判明いたしておりませんが、本会計年度の当初におきまする持越高が、内地食糧が二百七十六万六千トン、外国食糧が二十八万一千トンございまして、三百四万七千トンが前年度より持ち越した勘定であります。その後買入れ、配給等をいたしまして、結局今年度の終りにおいて翌年度に持ち越す数量が、内地食糧におきましては二百七十六万六千トンで、前年度よりの持越高と同じ数字になつておりますが、輸入食糧の方は百五万三千トンということでございまして、前年度の持越し二十八万一千トンに比して七十七万二千トンというものが増加して来年度に持ち越す。こういうことになつております。
  275. 深澤義守

    ○深澤委員 今いろいろの御意見があるようでありまするが、私はこの特別会計の運営上、また提出理由を見ましてもそうした理由があるのであります。従つてその理由をわれわれは一応究明しなければ、この特別会計の繰入が妥当であるかどうかということは明確にならないと思うのであります。従つてこれは十分に究明することをわれわれは考えているわけであります。しかし異常の諸君も相当質問がおありになるようでありますから、一応私は一、二点やりまして留保いたしておきます。  今年度の農家の配給用の食糧でありますが、これはどの程度見積られておりますか。ちよつとお伺いいたしたい。
  276. 清井正

    ○清井説明員 ちよつとただいま数字をはつきり記憶いたしておりません。
  277. 深澤義守

    ○深澤委員 それでは明日十分お伺いすることにいたしますから、與党の諸君から十分違慮なく御質問を願いたい。
  278. 川島金次

    ○川島委員 ちつとお伺いをします。先ほど食管の赤字百二十四億余の中で、公団の未納金が六十二億五千万余円あるということです。この未納金の内容というものはどういう事情になつておるのですか。公団設立以来の未納金が累積されての額か、それとも最近の未納金であるのか、いずれにいたしましてもその内容がどういう事情でこういう未納金になつておるかということについて、詳しくひとつ説明してもらいたいと思います。
  279. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御質問でございますが、御承知の通り公団に対しましては、法律をもつて公団の運営に要する人件費、事務費は政府よりこれをあらかじめ交付することになつております。交付された金額をもつて人件費、事務費を運営いたしまして、年度決算をいたしまして、その剩余金をもつてこれを返済するというふうに、法律上規定いたされておるわけでございます。その法律に基きまして、食糧配給公団に対しまして交付いたしました金額が、百二億一千三百万円あつたのでございます。それに対して公団前期の決算分といたしまして、三十九億八千七百万円すでに納まつておるのでございまして、その差引の六十二億が本年度に持越しをした、こういう計算になつております。
  280. 川野芳滿

    川野委員長 中村寅太君。
  281. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 公団の配給所に、雑穀のようなものでその配給所が受持つておる管内に配給する量だけなくて、部分的に配給するわけにも行かず、公団の配給所にずつと手持になつておるような数量が相当あると考えられるのでありますが、そういうものの調査がありますかどうか、伺いたいと思います。
  282. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御質問の点につきましては、はつきりした資料をただいま持ち合せておりません。
  283. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 政府から公団に渡したものが公団から配給する過程において、全体に行き渡るだけないために、部分的に特殊のものにやるわけに行かないというような形で寝ておるものがある。それが小さい県で一万石くらいある。これは経済調査庁の者が正式に行つて調べて来た数字ですから間違いないと思いますが、福岡県のような大県になると、二万石もその上もあるでしようということを言つてつたのであります。わからなければあとで調べていただいてけつこうですが、ついでですから申し上げておきます。そういうものは全体に配給できない姿のままで経ておるのでありますから、市町村あたりの証明か何かで、貧しい人に特殊の配給をするような手を考えてもらいたいと、調査庁の者も言つてつたのでありますが、ひとつ考えていただきたいということを申し添えておきます。
  284. 川野芳滿

    川野委員長 ほかにありませんか。——それでは本日はこの程度にいたしまして、明日午前十時に開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十五分散会