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1949-11-25 第6回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十五日(金曜日)     —————————————     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 小峯 柳多君 理事 小山 長規君    理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 林  百郎君    理事 内藤 友明君       江田斗米吉君    岡野 清豪君       佐久間 徹君    高間 松吉君       塚田十一郎君    苫米地英俊君       中野 武雄君    西村 直己君       三宅 則義君    田中織之進君       中崎  敏君    松尾トシ子君       橋本 金一君    宮腰 喜助君       河田 賢治君    深澤 義守君   出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君   出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         (主計局法規課         長)         大蔵事務官  佐藤 一郎君         (銀行局長)         大蔵事務官   愛知 揆一君         林野庁長官   三浦 辰雄君  委員外出席者         厚生事務官   岡崎  豊君         厚生事務官   大須賀貞機君         通商産業事務官 寺門  英君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した事件  旧軍関係債権処理に関する法律案内閣提出  第一七号)  薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第三一号)  郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳  入不足補てんのための一般会計からする繰入金  に関する法律案内閣提出第四八号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第五〇号)  復興金融金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第五一号)  復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)  大蔵省預金部特別会計外特別会計昭和二十  四年度における歳入不足補てんのための一般会  計からする繰入金に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第五三号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  昨二十四日本委員会に付託されました国民金融公庫法の一部を改正する法律案復興金融金庫法の一部を改正する法律案復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案、及び大蔵省預金部特別会計外特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案の四案を一括議題として、まず政府説明を求めます。水田政務次官
  3. 水田三喜男

    水田政府委員 国民金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  国民金融公庫は、一般金融機関から資金供給を受けることが困難な国民大衆に対して、その生活再建をはかるために必要な資金供給するため、本年六月発足いたした次第であります。現在までに生業資金三億五千万円、更生資金二億二千万円の貸付を行い、鋭意その目的の完遂に努力して来たのでありますが、何分にもその資金量が不十分でありますので、この種の資金需要に対して十分応じがたい事情にあつたのであります。従いまして今般国民金融公庫資金量を拡充し、国民大衆生活再建のための緊急な小口事業資金の円滑な供給をはかりたいと考えまして、昭和二十四年度補正予算におきましては、国民金融公庫出資金として五億円、更生資金貸付金として二億円を予定し、御審議を願うことになつたのでありますが、これに伴いまして国民金融公庫法の一部を改正し、国民金融公庫資本金を十八億円に増加し、かつ国民金融公庫は、政府から公庫予算に定められた金額借入金をできることにしたのであります。  なお右のほか公庫役職員は、現在一般職国家公務員でありますが、公庫事業の特殊な性質に顧みまして、公庫役職員に対しては、一般職国家公務員に対する給與のほか、その俸給総額の百万の十に相当する金額の範囲内において、特別手当を支給することができるようにいたしました。また公庫金融機関的な業務に顧み、公庫余裕金の運用といたしまして、銀行に対する預金及び郵便貯金の方法を認めることにしたのであります。  以上が国民金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容の大要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。  次に復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案提出理由を御説明申し上げます。復興金融金庫におきましては、復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律ニ條規定により、毎事業年度における剰余金はこれを国庫に納付することになつておりますが、今回復興金融金庫法第十七條第二項の規定に基く復興金融審議会の決議によつて、本年十月以降は新たに資金の融通、債務の引受けまたは保証を行わず、單に従前の保証債務履行及び債権保全にかかる振替貸付のみを行い得ることとなりました関係上、今後各事業年度において回収いたします元金は、当該年度における復興金融債券償還に要する経費、本金庫において従前引受けた保証債務履行に要する経費、及び本金庫にに属する債権保全に要する経費に充当し、その残余につきましてはこれを国庫に納付させるのを適当と認めまして、これを先に申し上げました剩余金国庫納付とは別に、国庫に納付させることを規定したのが、改正の第一点であります。  右の改正によりますと、昭和二十四年度における国庫納付額は五十億円の増加が予定されますので、別途御審議を願つております昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)及び昭和二十四年度政府関係機関予算補正(機第一号)において、これに関する措置を講じたのでありますが、国庫納付の額は決算の結果、右の五十億円を超過する可能性もありますので、その予算額を超過する額につきましては、翌二十五年度において納付し得るように規定いたしたのが、改正の第二点であります。  なおこの回収金国庫納付に関連いたしまして、本金庫資本を減資する必要がありますが、この点につきましては、復興金融金庫法改正を別途提出し、御審議を願う考えでございます。  以上の理由によりまして、この法律案提出いたした次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。  次に復興金融金庫法の一部を改正する法律案につき、提案理由説明いたします。  まず改正の第一は、復金審議会の十月七日の決定により、復金は爾後新規業務を一切停止することとなりました。これに伴つて不要となる未拂込資本金昭和二十五年三月末現在で、約二百五十億円に上る見込みでありますので、復金の現在の資本金一千四百五十億円から二百五十億円減資して、一千二百億円とすることにした次第であります。第二は、復金は本年度予算からその剩余金国庫に納付することにになつておりましたが、補正予算からは、融資の回収金国庫に納付しなければればならないことになりました。従つてこの回収金国庫納付した場合には、その相当額を減資する必要が生じた次第であります。この法律案は右の二点の改正を行わんとするものであります。  なおちなみに十月末現在の未拂込資本金は九百億円で、これに対して復金債発行残高が六百四十七億円、保証債務残高が四十四億四千八百万円で、未拂込資本金余裕は二百八億五千二百万円でありますが、その後復金債償還保証債務履行の進捗によつて明年三月末には未拂込資本金は二百七十五億三千三百万円で、これに対して復金債発行残高はゼロ、保証債務残高が二十一億九千万円となり、未拂込資本金余裕は二百五十三億四千三百万円となる見込みであります。また本年度補正予算においては、五十億円の回収金国庫納付が計上せられております。  以上復興金融金庫法の一部を改正する法律案につき、提案理由説明いたしましたが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成相なるようお願いいたします。  次に大蔵省預金部外特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案提出理由を御説明申し上げます。  農業共済保險特別会計農業勘定におきましては、異常災害発生により、昭和二十四年産麦の再保險金支拂いが増加し、これに対する支拂い財源が四億四千六十六万四千円不足するのでありますが、これを借入金をもつて補填することは、現下の財政方針より適当でないと認められますので、一般会計からする繰入金をもつて補填する必要があります。従いまして大蔵省預金部外特別会計昭和二十四年度における歳入不足補填のためのの一般会計からする繰入金に関する法律におきまして、農業共済保險特別会計農業勘定歳入不足を補填するため、昭和二十四年度において一般会計から繰入金をする限度額が、八億五千六十八万八千円と規定されてありますのを、四億四千六十六万四千円だけ引上げ、十二億九千百三十五万二千円とする必要があります。これがこの法律案提出する理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。
  4. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと速記をやめてください。    [速記中止
  5. 川野芳滿

    川野委員長 それでは旧軍関係債権処理に関する法律案議題として質疑を続行いたします。林百郎君。
  6. 林百郎

    ○林(百)委員 旧軍関係債権処理に関する具体的な事例ですが、中島飛行機昭和二十年の四月に第一軍需工場に指定され、八月敗戰と同時に工場が解散されたが、この五箇月間に同工廠が消費した経費がわかりますか。これが会計検査院報告には出ているのですが……。
  7. 寺門英

    寺門説明員 ただいま資料持合せがございませんので、後ほど調べてお答えいたします。
  8. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方はそういうふうに具体的な、たとえば会計検査院報告によりますと、中島飛行機昭和二十年度の臨時軍事費のうちから、四月第一軍需工場に指定され、八月解散するまでに二十九億幾ら経費を消費いたしておりますが、一体これはどう処理されておりますか。このうち、このたびの旧軍関係債権として幾らつておるか。そういう具体的なことについて聞きたいのです。全部やつていれば限りがないと思いますが、特に大きいから聞いているのです。こういう具体的な内容を聞きたいのですが、今手元にないですか。
  9. 寺門英

    寺門説明員 ございません。
  10. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、中島飛行機の旧軍関係債権処理に該当するものはどのくらいですか。
  11. 寺門英

    寺門説明員 現在債権として持つておりますものは、退職手当の四百六十余万円と、前拂金の千四百余万円、これだけが残つております。
  12. 林百郎

    ○林(百)委員 退職手当をどうしたのですか。
  13. 寺門英

    寺門説明員 退職手当支拂い過ぎたというわけで、会社負担をさせた分が四百六十余万円であります。
  14. 林百郎

    ○林(百)委員 その退職金拂い過ぎたというのは、具体的にどういうように拂い過ぎたのですか。
  15. 寺門英

    寺門説明員 高級職員に少し多く支拂い過ぎたということになります。
  16. 林百郎

    ○林(百)委員 それではちつとも答弁にならない。高級職員幾ら拂い過ぎたかということを聞いている。私の方の調査によりますと、勤続七、八年の者は、おおむね本俸の五十箇月以上の退職金をもらつておるというような会計検査院報告もあるのだが、一体あなたの方はどうなつておるか。これを聞いてみたい。さらにそのうち退職金として拂つたものが幾らで、そのうち幾ら債権として確定しようとしているか。これも聞きたい。
  17. 寺門英

    寺門説明員 支給総額三千五百九十八万五千八百四十二円でありまして、そのうち会社負担分は七百三十四万百四円であります。それで月俸の十五箇月としますと、二千四百二万五千三百十三円になります。差引いたしまして、ただいま返納手続をとつておりますのは、四百六十二万四百二十五円ということになつております。
  18. 林百郎

    ○林(百)委員 会計検査院報告によりますと、退職金として六千五百万円支給したと書いてありますので、大分あなたの方の報告と食い違いがあります。あなたの方の報告は半分です。
  19. 寺門英

    寺門説明員 これは高級職員に対する分になつております。
  20. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、高級職員以外の職員退職金については不正はないというのですか。
  21. 寺門英

    寺門説明員 このことにつきましては、大体高級職員以外については少い事からとる必要はないだろうということになつたのであります。
  22. 林百郎

    ○林(百)委員 終戰直後高級将校に対する支拂いが幾らであつて、そのうち不当に拂つたものが幾らで、それに対して軍債権として幾らを確定しているか。
  23. 寺門英

    寺門説明員 先ほど申し上げました数字がそうなつております。支給総額が三千五百九十八万五千八百四十二円であります。そのうちで会社負担されたものが七百三十四万百四円になります。それで月俸の十五個分として計算してみますと二千四百二万五千三百十三円になりますから、支給総額の三千五百九十八万余円から差し引きました四百六十二万四百二十五円というものを富士産業から返還させるということになつております。
  24. 林百郎

    ○林(百)委員 話が中島飛行機にもどつてしまつたわけだが……。そうすると十五箇月分はそうだが、実際高級職員に対しては何箇月分拂われたのですか。
  25. 寺門英

    寺門説明員 これは私どもただいま明細な数字持合せがございませんから、あと調べましてお答えいたします。
  26. 林百郎

    ○林(百)委員 中島飛行機というのは一番大きな軍債権を持つているところでしよう。その資料説明できなくてはどうにもしようがないじやないですか。中島飛行機はわずか五箇月の間に二十九億も使つているのですから、それを検討しなかつたら、軍権の確保なんかできはしない。では終戰直後事陸海軍の解散したとき軍人拂つた給料幾らですか。
  27. 岡崎豊

    岡崎説明員 終戰直後退職手当として支拂いましたのは本俸の十二箇月分であります。
  28. 林百郎

    ○林(百)委員 金額幾らですか。
  29. 岡崎豊

    岡崎説明員 全陸軍、全海軍を通じまして支給いたしました退職手当金額は、ここには持ち合せておりません。
  30. 林百郎

    ○林(百)委員 大体の額もわからないわけですか。そうすると、この前の政府委員説明は、軍関係支拂つた拂いその他の債権として確保するというのは、総額幾ら拂つて、そのうち不当なものが幾らであるという数字が出て来なければ、軍関係債権の確定ができないのではないですか。
  31. 岡崎豊

    岡崎説明員 この軍関係処理の未回収に関しましては、今おつしやいました旧職員一般に支給いたしました過誤拂いの件については関係ありません。
  32. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、この前の政府委員説明と違うのではないのですか。各軍人に対する給料の過拂いがつたとか、不正支拂いがつたという債権も事この中に入るでしよう。
  33. 岡崎豊

    岡崎説明員 この旧債権の中で説明申しました過誤拂いと申しますのは、戰時中留守宅送金留守宅渡しのごとき給與金におきまして、過拂いのありました分に対する未回収でありまして、ただいま御質問になりましたような退職手当に関しましては、過拂いは全然ございません。
  34. 林百郎

    ○林(百)委員 これは会計検査院報告にもあるのですが、政府軍直轄部隊では、解散手当のほかに三箇月以内の俸給給料を支給するように指示したけれども、政府軍直轄部隊はこの三箇月分以内を、さらに六箇月分も支給した。従つて八百七万円の過剰支拂いが生じている。その後隷下部隊回収を命じたが、回収し得たものはわずかに二百何万円かで、あと六百万円が政府軍直轄部隊だけでもまだ回収できないということが、会計検査院報告にあるのです。あなたの言うのと大分違うのですが、どうですか。
  35. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと林君に委員長から御相談申し上げますが、実は臨時軍事費特別会計に関しましては、すでに昭和二十一年の国会において決算済みになつておりますので、それらの点も御考慮の上に質問を願いたいと存じます。
  36. 林百郎

    ○林(百)委員 ですから決算でいいのですが、回収し得るものは回収しなければいけないのでしよう。このための軍債権の整理だと思います。
  37. 岡崎豊

    岡崎説明員 今仰せになりました過誤拂いの一部は、確かにこの未回収の中には含んでおりますが、その総額幾らになつているかということにつきましては、今のところその数字は十分申し上げることができません。
  38. 林百郎

    ○林(百)委員 しようがないから、こういう聞き方をしましようか。一体あなたの方の見込みで、この旧軍債権幾らと見ておりますか。この法案によつて処理されると考えている旧軍関係債権幾らで、その内訳はたとえばこういう軍人に対す過拂いが幾ら、各会社に対する物資支拂いについての債権幾ら、その内訳があつたらまずお聞きしましよう。
  39. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ただいまの内訳は、お手元に配つてあるかと思います。お手元債務者別債権者別という調べが行つているかと思います。そこにございますように、十六億円でございます。十六億円の内訳はお手元に配つてあるかと思います。
  40. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると大きく分けた、軍人高級将校、軍属のもの、軍需会社関係のもの、そのほかのものと分けて、大体この十六億が幾らになるか。それをひとつ説明してください。
  41. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 それは差上げた表に出ているはずでございます。旧軍関係債権回収額調べというものがございます。
  42. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとこの中で、高級将校軍人関係のものはどうなんですか。
  43. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 そこの上の欄にございますように、過誤拂いとなつております分がございまして、八千六百八十六万四千円というものが載つております。
  44. 林百郎

    ○林(百)委員 それから今言つたような会社関係職員などに過拂いしたもの、こういうものは特別経理会社あるいは清算会社、こういう項目の中にそれを全部含めているのですか。物資に関する債権のほかに職員の過拂いとか……。
  45. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 当然含まれております。
  46. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると会社関係で一番軍債権の多いのは具体的に言うとどこですか。
  47. 岡崎豊

    岡崎説明員 陸軍関係だけを私から申し上げます。現在未回収額になつております債務者で、一番大きいのが陸軍関係におきましては交易営団であります。その金額が約一千四百万円、その次に多いのが三菱重工業、九百三万円、それから日本製鉄、九百三十八万円、日本造船、九百十五万円、大建産業株式会社八百五十四万円、そのような点が五百万円以上の大口でございます。
  48. 林百郎

    ○林(百)委員 海軍は……。
  49. 大須賀貞機

    大須賀説明員 海軍を申し上げます。この調書の順に申し上げますと、日本無線、これが千九百万円です。それから日本糖業連合会が千七百万円、交易営団が三億一千八百万円、不二越鋼材が千六百万円、北辰電機、二千二百万円。東洋レーヨンが二千五百万円でございます。
  50. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、この中島飛行機は今言つた大きな項目の中に入らないのですか。
  51. 寺門英

    寺門説明員 旧軍需省関係を申し上げます。デイーゼル自動車工業株式会社が二千余万円、シユアリー産業が千二百余万円、京都機械が千余万円、関東電機工業株式会社が五百六十余万円、それから日東鉄工株式会社、これが五百余万円になります。
  52. 林百郎

    ○林(百)委員 大分私の方の資料と違うのですが、そうすると中島飛行機軍債権幾らですか。もう一度言つてみてください。
  53. 寺門英

    寺門説明員 富士産業株式会社に対しては四百六十二万四百二十五円でございます。
  54. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、会計検査院によりますと、中島飛行機だけで兵器費として二十三億円、施設費として五億余円が拂われているということが検査報告に出ておりますが、このうちで回収できるものは四百六十二万円しかないというように解釈していいのですか。
  55. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ただいま御説明申し上げている数字は、ごく最近の、本年七月現在のものでございます。お手元でごらんになつております会計検査院書類は、おそらく昭和二十一年に臨軍が終結になりましたときの数字だと思います。それでその間どれだけ入つたかということは、ただいま具体的な数字調べてみないとわかりません。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 二十九億と四百六十二万ではあまりに隔たりがある。二十九億全部が不当過拂い回収できるとは私は言わないにしても、あまり数が違い過ぎると思う。それで中島の例ですが、帳簿書類を紛失したために調査ができなかつたのか。帳簿書類はちやんと残つているのか。この点はどうですか。
  57. 寺門英

    寺門説明員 これについては私どもとしては全然承知しておりませんから、あとで取調べてお答えいたします。
  58. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、この中島関係のはどういう資料から出して来たのですか。
  59. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 だんだん話がこまかくなるのでありますが、実は当時の事情を知つております大部分の者がパージその他でおりませんので、現在ではその当時においてそれぞれの清算手続を経まして、会計検査院もある程度立会いの上でもつて一定金蘭の確定せられたものが相当ございまして、ただいまの問題はそのうちのものだそうでございます。それでただいま軍需省の方のこの回収を担当せられておる寺門さんの方でも、ちよつとこの場では御説明いたしかねるということであります。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると中島関係債権は、会計検査院立会いの上で調査したものであつて会計検査院もこれだけだという了承を得ておるのですか。
  61. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 大部分会社について、すべてそういう手続をとつおりますので、中島についてももちろん同様の手続がとられておるだろうという係官の話です。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとあなたの方の調査のときに立ち会つて、しかも了承したというのは会計検査院のだれですか。
  63. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ただいま会計検査院局長をしておられます小峯さんが、この点に関係せられておつたそうであります。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとその小峯という人を呼んで復員局の全部の調査、それから大体の償権の見込み会計検査院了承の上でなされておるということについて、真相を確かめたいと思いますから、会計検査院小峯局長を午後にでも呼んでいただくか、あるいはこの法案の上るまでにその人を呼んでいただいてもしつかり確かめたいと思います。
  65. 川野芳滿

    川野委員長 承知しました。     —————————————
  66. 川野芳滿

    川野委員長 それでは旧軍関係債権処理に関する法律案質問あとまわしにいたしまして、郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案議題といたします。本案に関しましてはすでに質疑を打切つておりますので、これより本案議題として討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。前尾繁三郎君。
  67. 前尾繁三郎

    前尾委員 ただいま議題となりました郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、私は民主自由党を代表いたしまして賛成の意を表するものでございます。  提案理由にも申されておりますように、この歳入不足郵便料金値上り等に伴います利用減によつてつておるのでありまして、その点については私も遺憾とは考えるのでありますが、すでにそれだけの歳入不足を生じておりますし、私は政府が後におきましてサービスの向上、能率の向上、あらゆる手を打つてできるけ独立採算の実を上げていただくということを希望いたしまして、やむを得ないものとしてこの法案に対して賛成の意を表するものでございます。
  68. 川野芳滿

    川野委員長 田中織之進君。
  69. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になつております郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案に対しまして、賛成の意を表するものであります。  この歳入不足の生じました原因につきましては、提案説明にもありましたように、郵政事業特別会計の運営の点におきまして、いささか欠ける点があることも一つでございますが、われわれとしてこれに賛成するにあたりましては、先般法律をもつて決定をされております本特別会計に従事いたします職員に対する寒冷地手当、あるいは石炭手当等の支給に関する財源の点が、特別会計から見出し得ないというような実情もあり、また一方法律でこれの支給が要請されておるという点から、どうしてもこの程度の赤字補填を一般会計からしなければならないという理由が認められるのであります。従来ともすればこうした赤字につきましては、独立採算制の建前から、安易な料金の値上げ等の方法による場合も多多あるのでありますが、現にこの赤字の出ました原因は、先般の郵便料金その他の値上げに伴います利用減ということに基因いたしておるという見地からも、最小限度やむを得ない処置であるという意味におきまして、本案賛成の意を表するものであります。
  70. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  71. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 民主党野党派を代表いたしまして、本案賛成するものであります。しかし政府は増収の意味で郵便料金の値上げをして来たのでありますが、実際上においては非常に利用度が少いという関係で減少を来したのではないか、こういう考えのもとに近い将来には料金の値下げを要望する次第であります。さらにまた今回の郵政大臣の説明によりますと、本来は赤字のためでなく増収対策としてやる、そうして将来これは一般会計に返すんだという意味合いのことを言つておるのでありますが、国民経済を十分御考慮の上なされることを強く要望いたしまして、本案賛成するものであります。
  72. 川野芳滿

    川野委員長 林百郎君。
  73. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方は本案賛成いたしますが、ただ次の希望條件をつけ加えたいと思うのであります。  一つは年末の寒冷地手当、それから越冬の手当を入れるための四億一千の赤字か出たということは、結局郵政事業特別会計に弾力性がないということだと思うのであります。従つて将来郵政事業特別会計に相当の弾力性を持たせ、健全な方向をたどらせるということが大事だろうと思います。その対策としてまず第一は、郵便料金を本年度の第五国会においては四割五分上げたのでありますが、これがかえつて窮迫した大衆の郵便の利用度を下げることになつてしまつて、予定の収入が上つておらないという現状であります。従つてわれわれはこの郵便料金を下げて、大衆の利用度を高めて収入をはかるということが第一だと思います。その次には戰前までは逓信省の運営にまかされておつた郵便年金並びに郵便保険の積立金を、大蔵省の一般会計の中へ入れなくて、これを郵政省と電気通信省の二省の運営にまかせまして、これを適当に運営することによつて再建の一助とするような方策を将来考えておる。これは閣議ではきまつたそうでありますが、これをさらに国会にかけて実現するということが第二の対策だと思うのであります。第三としては郵便関係のサービスを改善して、郵便事業に対する大衆の信頼を高めるということが、どうしても大事だと思うのであります。そのためにはこのたびの定員法による行政整理がかえつて労働を強化させ、郵便のサービスを低下させた大きな原因になつておると思うのであります。将来はこの人員の面を十分に補充いたしまして、サービスを改善し、大衆の郵便事業に対する信頼を高めるという積極的な方法によつて、むしろ財源をゆたかにするということが大事だと思うのであります。サービス改善の第二の方法としては、やはり従業員の生活を十分に保障してやるということです。生活の不安と生活の極度の窮迫のもとにおいては、十分良心的な仕事を従業員はすることができないと思うのであります。これはどうしても従業員の給與ベースを改訂して、生活を十分に保障してやつて、良心的な思う存分な働きを郵政事業にさせるような方法を考えてやることが、必要だと思うのであります。  私は以上申しました四つの條件、すなわち郵便料金をむしろ合理的に低下するということ、大衆の利用度を高めるということ、第二は郵便保險年金の積立金を郵政省において運用して、これを一つの財源にすること、第三としては人員を十分に補充してサービスの改善をはかること、さらに従業員の給與ベースを改訂して、生活を保障してやること、この四つの條件を将来必ず実現する、そうして郵政特別会計に弾力性を持たせる、健全性を持たせるということを條件にして、私はこの法案賛成したいと思うのであります。
  74. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。これより採決に入ります。本案賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  75. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本案は原案通り可決いたしました。  なお報告書の作成その他のことにつきましては、委員長に御一任を願います。     —————————————
  76. 川野芳滿

    川野委員長 次に午前中政府説明を聽取いたしました国民金融公庫法の一部を改正する法律案議題として質疑に入ります。田中織之進君。
  77. 田中織之進

    ○田中(織)委員 国民金融公庫法の一部改正法律案は前国会においてわれわれ審議に当りまして、とても十三億の資本金では、せつかく庶民金融機関として発足する公庫の使命を十分達成することにはならないので、その資本金の増額に対して非常に強い要望をいたしたのでありますが、当時の情勢から十三億程度のものはやむを得ない、こういうことで一応成立を見たものであります。今回われわれの前国会の本案審議にあたり要望いたしました一部分政府が体しまして、五億円の出資金の増額をいたそうとする本案に対しては、まことに時宜を得たものと考えるのであります。この機会に私は公庫の現在の貸付状況その他について二、三お伺いしておきたい。  前回公庫が発足するにあたりまして、資本金が十三億ということに相なつたのでありまするが、実際の更生資金関係は厚生省の特別の関係から出ておるもので、これも用途は限定しておつたのでありますが、一般生業資金貸付の幅が非常に少いことをわれわれ懸念しておつたのであります。先ほどの提案説明によると、現在まで生業資金貸付が三億五千万円ということになつておるようでありますが、これは今回の五億円の出資増によつて今後どの程度にふやされて行くものであるか。五億そのままが、生業資金貸付をふやすという形に現われて来るものかどうかということを、まず伺いたいのであります。さらにこの十三億のうちで大体八億程度のものは前の庶民金庫あるいは恩給金庫等の統合に伴う債務処理、そういうような面に使われて、実際に薪規の貸出しに使われる部分が非常に少ないことを、前回われわれは説明を承つてつたのでありますが、そういう処理関係、統合に伴う薪しい公庫として発足するにあたりまして、前の三機関の関係債務処理というものがどういうようになつておるか。この二点について伺います。
  78. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 国民金融公庫は本年の六月成立いたしまして、爾来業務を開始したわけでございますが、九月末までの業務の状況を概略申し上げますと、まず第一の生業資金でございますが、貸出しをいたしました件数は四千二百二十件、金額にいたしまして二億六百二十二万円、それから第二が更生資金でございますが、更生資金の貸出しの件数が九千三百六十件、金額にいたしまして一億七千十八万一千円、こういうふうな状況になつております。  それから設立以来の申込みの実績はそれをはるかに超過いたしておりまして、ただいま申しましたように生業資金の実際の貸出しの件数が四千二百二十件ございますが、申込みの件数はそれの約八倍に上つておるような状況であります。それから更生資金につきましても同様非常に希望が多いわけでございます。そうしてこれらの申込みの内容、それから公庫処理能力、過去四箇月余りの実績等を勘考いたしますると、大体月平均所要金額は三億三千万円程度が、現在の程度といたしましても必要な金額ではなかろうか、こういうふうに考えたわけでございます。それと引揚者に関する更生資金貸付の基金といたしまして、それ以外にもちろん考慮を要するわけでございますが、それらの実際の必要と認められまする額と、それから財政上の事情等を勘考いたしまして、二十四年度の補正予算では御承知のような案になり、それに基きまして改正法律案提出いたしたわけでございます。  それからその次に先ほどお尋ねのございました過去の債務の問題でございますが、これは庶民金庫を引継ぎましたので第二機関的な役割になつておりますために、当初の見込みとしては返済を要するものが十二億程度あつたわけでございますが、これは実際問題といたしましては、たとえば市街地信用組合の中央機関としての役割に基くもの等もございますので、その返済の時期、方法等については、実際貸出しの分をできるだけ多くしたいということで、いろいろと調整を加えておるような状況でございます。債務総額は十二億で、これは返済しなければならないことに1なつておるわけでございます。
  79. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私が先ほ事ど八億と申したのは私の記憶違いでありまして、十三億のうちの十二億で、実際は一億と回収して参りました大体七、八千万円のもので、実際の生業資金として貸し出し得る幅が非常に少いことを、われわれは前回のときに説明を伺つてつたのでありますが、先ほどの銀行局長説明によりまして、九月末までで二億六百二十二万円の貸出しをやつておるということで、非常にけつこうなことだと思うのでありますが、十二億の債務の返済部分は、そういたしますと全然今のところ手をつけていないというような関係になるのですか。
  80. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 それはそうではございませんで、借入金の返済をいたしたものが総額で十二億七千万ということになつております。これは先ほど申しましたように、庶民金庫が従来市街地信用組合の中央機関であるという関係から生じておつたものが、その大半でございますが、これはこれとして返済をもちろんしなければならないのであります。実際返済をいたしました総額が、たしか十二億七千万に達しておつたと思います。しかしただいま田中さんもおつしやいましたように、一方で回収金を見込むよりも以上に実績が上りました等の関係から、当初思いましたよりは多少六月から九月までの間は楽に融資ができたのでございます。実は率直に申しますと、八月、九月ごろに補正予算でどうしても増強するということを背水の陣として考えまして、そのために資金計画等も九月までに、あるいは十月までに繰上げて、融資能力の応ずる限りは貸付をやるということにいたしました。従つて前に提案いたしましたときにお話いたしました資金計画よりは、大分繰上げて融資計画をいたしましたので、予想よりも多少多く出たということもあります。
  81. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点は了解できましたが、そういたしますと今回の五億の出資金の増額によりまして、生業金の貸出しの総額は大体幾らになるお見込みでありますか。
  82. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 今年度は通計いたしますと大体十億になると考えております。普通の小口貸付の実績と、今後の大体の月別の計画を申し上げたいと思います。六月からの実績を申しますと、六月が千百万円から出発いたしまして、七月が四千五百万円、八月が六千百万円、九月が一億四百万円、十月が一億一千三百万円、この辺までが実績でありまして、十一月が一億一千万円、十二月が一億六千七百万円、明年の一月が一億七千万円、二月が一億四千二百万円、三月が一億二千九百万円、三月の末までに予備金的な余裕金として、これだけ実行いたしますと千七百万円余る。合計して従来の実績と今後の計画で大体十億になる、こういう計画になつております。
  83. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この点は補正予算に関する説明書の中の、五億一千万円ほど増加になるということと多少数字の食い違いがあるように見受けられますけれども、月別の実績と今後の貸出し予定とのもので十億になるという点は了承できます。  次に余裕金の運用に関する部分が今回の改正法律案にあるようであります。公庫余裕金の運用として、銀行に対する預金及び郵便貯金の方法を認めることにしたと提案理由説明の中にあるのですが、実際は貸付の要求に応じ切れないような状態で、公庫の方で余裕金が出るということはちよつと理解できないのですが、それはどういう意味なのでしようか。
  84. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 これは実は事務的な便宜上の問題でございまして、余裕金ができるからそれを運用するために郵便局や銀行等に預けるというのではなくて、公庫の現状から申しましても各地に店舗を持つておるわけでございませんし、郵便局や銀行にお願いをして一種の為替的に貸付をやるというようなときに、預金の形をとることが便宜である場合が多いのであります。そういう意味でやりましたので、実際は現状をもつてすれば、出資額は貸付に追われておるようなわけであります。余裕金預金するというようなことは本来の目的ではなく、便宜的な事務的なものであります。
  85. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点も理解が行きました。  次に今度の二十二條の二で借入金の方途を開いたことも、非常にけつこうなことだと思うのでありますが、公庫予算で定められた額の範囲内で借入金ができるということでありますけれども、さしあたり借入金予算額というものはどのくらいになるのでしようか。
  86. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 この点は、実は法律の上にこういうふうに書いてございまして、今後非常に発展的に考えられると思うのであります。現在のところは、まだ十分これを運用して借入れをどんどんやれるような予算には組まれておりません。現状のところでは更生資金関係で、二億円だけが予想されまして予算に計上してあります。これは実は率直に申しますと、借入金公庫にできるということを、今後むしろ発展的に認めたいということの考え方をここに出したわけでありまして、内容的にどこまでこれが使えるかということについては、実は関係筋とまだ話がまとまつておりません。
  87. 田中織之進

    ○田中(織)委員 こういう道を開いた以上、最近のデフレ状況のもとにおきまして、ことに一般の市中銀行その他の金融機関の利用できない庶民階級の金融に対する需要が、ますます旺盛化する状況にある。ことに一般の俸給生活者等につきましても、賃金ベースの改訂がまだ行れないような段階で、越年を大分心配している深刻な問題があるのでありますから、本法が成立いたしましてこういう、借入金の道が講ぜられましたならば、積極的にその借入金の方法によつて、貸出しをますます旺盛にしていただきたいと思うのであります。  なおこの機会に伺つておきたいのでありますが、従来市街地信用組合のいわゆる中央金庫的な役割を、庶民金庫が果して参りました。ところが現在におきまして、先般の協同組合による金融に関する法律関係から見まして、いわゆる金融協同組合として改組を進められておるわけでありますが、これも中央機関が明確でないように私考えるのであります。この点につきまして、大蔵当局として、現在やはり元の市街地信用組合というものが、庶民金融の上において占める役割は、むしろ最近ふえておるような傾向にあると思うのであります。これらの中央金庫的な役割を公庫が果すというわけにも参りますまいと思いますけれども、大蔵当局としてこの点どういうふうにお考えになりますか。
  88. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 今の問題は、実は相当長い間なかなか解決策がなかつた問題でございますが、最近に至りまして、全国を業務範囲とする全国の市街地信用組合の連合会——これは法律の源がかわりますれば、当然中小企業等協同組合法に基く信用組合になるわけでありますが、全国を対象として、そうして向うの言葉で言いますれば一種プエデレーシヨンと申しますか、そういう組織を最近つくることに大体きまつたわけであります。これはやはり法律的には特別法その他を用いませんで、一つの市街地信用組合あるいは信用協同組合として大きな組織のものをつくて、それに中央機関としての役割を果させる。性格としては市街地信用組合とまつたく同じものであります。ただ全体の総合的な信用機関ということにいたしたい。これは政府側とすれば、認可をすればそれで業務が開始できるわけであります。私どもとしては、きわめて最近の機会に認可を與えたいと考えております。
  89. 田中織之進

    ○田中(織)委員 全国区域の市街地信用組合の連合会のようなものができるわけでありますが、そうすると出資は全部単位の組合が行うということになつて従つて単位組合の基金はこの連合会が集中的に扱い得る、こういう建前になるのですか。
  90. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 大体お話の通りであります。
  91. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そのほかに公庫の代理業務等も、当然旧来の庶民金庫の代理業務関係から、市街地信用組合等で行うことにもなると思うのであります。これがすみやかにできまして市街地信用組合の中枢的な役割を果し得ることができることは、非常にけつこうなことだと思うのでありますが、あわせてこの問の本会議における財政演説に対する質問におきまして、金融政策の一環として従来の一県一行主義にとらわれないで、いわゆる庶民金庫的な性格を持つた金融機関の設立が行われるならば、従来の一県一行主義によつて従来のようには押えない方針であるという意味のきわめて注目すべき答弁を、大蔵大臣が行われたのでありますが、それは具体的にどの程度までその方針が進められる予定になつておりますか。もし銀行局長の方でお考えになつておれば、この際はつきりしていただきたいと思います。地方銀行等で、その県内だけでなく、支店等を他府県にどうしても持たなければならぬという場合におきましても、いろいろな関係から従来制約されておつたと思うのでありますが、その方針に従つて、近接の所に支店を持つというような形においても、一県一行主義にとらわれないという形になりますれば、薪設の可能性も出て来ると思います。
  92. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 一県一行主義の問題は、実は従来大蔵省のとつて来ました態度並びにその雰囲気の中におります者としては、非常な大決心、大転換をしたわけでございます。御承知のように、昭和の初め以来一県事一行主義ということを、主義として大蔵省がきめたわけではございませんが、事実やつて参りましたことは合併に次ぐ合併ということで、これは結局ある時期における金融機関の濫設に対して、金融機関の信用を確保いたしたいという念願でありました。その当時以来とつて参りましたやり方は、決して私どもは間違つていなかつたと思います。ただ現情におきましてはいろいろな見方がございますが、一つは私は既存の銀行というものは、あまりにもよく保護され過ぎているということが言えると思うのであります。現在のところ一県一行主義を廃止と申しますか、看板をおろして以来具体的な計画はまだ一つも私どもの手元に出ておりません。ただ従来におきましては銀行設立の希望があるのだが、これを盛り立てて行つても当局では審査してくれるかどうかという程度のお話の場合にも、全部そういうことは考えられないと言つてお断りをしておりましたので、今後ぼつぼつそういう計画が現われて来るだろうというふうに考えております。現実に幾つできるかということについては、私どもも期待をもつてながめておりますが、同時に半面においては銀行も設立しようと思えばできるのだという、この空気が金融界に與える一つの清涼剤になるだろうということも、実は私どもとして考えているわけであります。  いま一つつけ加えて申し上げておきたいことは、既存銀行の店舗との関連でございます。既存銀行の店舗の問題につきましては、総数をふやすということは全然考えておりませんので、認可する意図はございません。たとえばある銀行が現在百の支店を持つておりました場合には、薪設をどうしても認めなければならぬ理由があるとしても、その際はほかを合理化してもらう。要するに店舗の整理統合ということを主眼にして考えたいというふうに思つております。特に大銀行の地方支店進出は、これまた絶対に認めない。これはやはり大銀行が地方支店を出しますと、どうしても資金の運用が偏在するおそれがあります。また地方のその土地の経済の環境に応じた十分の働きをしてもらいますためには、むしろ地方銀行にやらした方がいい、こういう気持でいるわけであります。それとも相関連いたしまして、既存銀行の店舗を地方において考えるよりは、むしろその地方的な環境の中において、薪しい銀行を一つつくろうじやないかという機運があれば、これを盛り立てて行くべきであろう、こういうふうに考えております。
  93. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、大体既存の銀行の支店設置の総数は動かさないということになつて、むしろ新設しければならぬというような場合には、現在のものを合理化して、たとえば百なら百の中で薪しくつくるということになるならば、必ずしも認可にならないというわけではないように、理解していいわけだろうと思います。その場合に、たとえば和歌山の地元銀行が、資金の決済その他いろいろの関係から、大阪に支店を持ちたいというような場合に、和歌山の地元の銀行なら地元の銀行の支店の総数のわく内で、薪設するということになるわけでありますが、その場合に支店新設の予定地としての、たとえば大阪における地域的な、銀行の支店を含めた意味の銀行の数というか、この地域には何行、現在あるものはもちろんですけれども、その範囲を越えるものは認めないというようなことに相なるのかどうか。その点が一点。  それからこれは最初の公庫に関する問題にもどりますが、今回の補正予算で五億円の出資金の増額が認められたのであります。これは二十四年度中の計画というにも理解できるのでありますが、二十五年度においてはさらにこの公庫の活用というような点で、出資金の面において政府としてお考えになつておられるのかどうか。その点は今度のもので借入金の制度が設けられたので、それでやれるつもりであるか。または一応これをやつてみた上でなけば、新たなる出資の増額は考えられないということになるのか。銀行局長なり政務次官において、二十五年度の公庫の運用の基本的な方針としての、出資金の増額の問題については、何かお考えになつているか。この二点をお伺いいたします。
  94. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 今の和歌山の銀行の大阪に対する店舗新設の問題というのは、一つの仮定的な問題としてお答えしたいと思いますが、先ほど申し忘れましたけれども、一方地方銀行につきましても、東京とか大阪というようなところに店舗を新設することは、望ましくないというふうに実は考えております。  それから二十五年度の公庫の見通しは、増資をさらに十二億円、借入金を五億円というふうに考えております。その考え方は二十四年度と大体同じような気持で、運営して参りたいというふうに思つているわけであります。そしてその基礎になります貸出しの計画事は、普通が十八億、更生資金関係が十億、合計二十八億円の貸出しの方針であります。
  95. 川野芳滿

    川野委員長 午前はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開いたします。     午後零時四十六分休憩      ————◇—————     午後二時九分開議
  96. 川野芳滿

    川野委員長 午前に引続き会議を開きます。  薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案議題として、質疑を続行いたします。深澤委員
  97. 深澤義守

    ○深澤委員 ただいま議題となつております薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案はしばしば農林委員会等において論議検討されてはおりますが、こういう大きな国の財源が支出されるというこの法律を前提として、まだ十分検討が盛されていないのであります。従つてわれわれは国民の付託を受けてこの法案審議する上におきましては、農林大臣の責任ある御答弁を求めたいと思いまして、昨日から待つてつたのであります。特に野党大臣の不信任案を出すにあたりまして、これも大きな一つの根拠になつているようであります。従つて委員会といたしましても、これを愼重審議する必要を痛切に感ずるわけであります。  まず第一点といたしまして総括的に御質問申し上げます。本件は歴代内閣の責任であつて、歴代内閣の責任であつて、吉田内閣の責任でないということがしばしば言明されているのでありますが、この赤字の内容を検討いたしますると、昭和二十三年度以前における損失は、現物不足による赤字だけでありまして、それ以後に発生いたしました赤字の責任は、すべて吉田内閣の責任であるというぐあいに考えられるのでありますが、これを管轄しております森農林大臣はこの点に対していかなるお考えを持つておられるか、ひとつお伺いしたい。
  98. 森幸太郎

    ○森國務大臣 深澤委員にはかつて農林委員会でも一応申し上げたのでありますが、この特別会計ができまして内閣がたびたびかわつております。私は農林大臣を拝命いたしました当時、特別会計が非常な赤字になるということを聞きまして、これは捨てておけない問題である、一日も早くこれを整理しなければならないというので、事務当局にこの内容調査を進捗するように指令いたしまして、検討を加えて来たのであります。その検討の結果は、年年会計検査院においても検査が行われておるのでありますが、各累代の内閣処理いたしておりますやり方が、俗に言いますたなおろしというものを一回もやつておらないのであります。帳簿上の整理であり、しかもその年度末にある物品は、当時の時価に評価いたしまして計算に加えておくという、会計法としては異常なやり方の会計処理がしてあつたのであります。それでありますから会計検査院報告と、その後の調査いたしました報告と、年次別に赤字の数字幾らかかわつて参りますが、これが累積いたしまして二十三年度末に二十三億余万円の赤字になつておるのであります。今深澤委員は過去の内閣においてはそういう無責任なことはなかつた、吉田内閣になつてこういう赤字が出たのだと結論を下されますが、私から見ますると、吉田内閣が従来の内閣の赤字を今整理しておるのでありまして、決してこの内閣が赤字を出した責任を負うべきものではない。しかし今責任の所在を云々する場合でないのでありまして、一日も早くその正鵠をとらえまして、国民に申訳の立つような清算を早くやりたい、こういう気持でやつておるわけでありまして、現内閣がこの二十三億余万円の赤字を出したいということは、当らざることと考えておるわけであります。
  99. 深澤義守

    ○深澤委員 森農林大臣は、本件の赤字があることをいつお気づきになつたのでありますか。
  100. 森幸太郎

    ○森國務大臣 就任いたしましてから後、司令部の方から注意がありまして、薪炭特別会計が非常に赤字になつている。農林大臣としてはすみやかにこれを整理しなければならぬということを指示されたのでありまして、それは四月の末かと存じておりますが、司令部からそういう指示を受けて、清算を至急にやるべきであるということを事務当局に指示したようなわけであります。
  101. 深澤義守

    ○深澤委員 薪炭特別会計の買上げ停止になつたのは二月でございます。すでにその買上げ停止のときに赤字問題が問題になつてつたのであります。それをよもや農林大臣は御存じないということはないと思います。あの薪炭特別会計の買上げを中止せざるを得なかつたということは、しばしば林野庁長官も言明しているように、非常に資金繰りが困難になつたということから出発しておるのでありまして、そのときすでにこの赤字が存在しておつたことを知つておられたというぐあいに、われわれは解釈するのであります。従つてその点が非常に食い違うのですが、いかがですか。
  102. 森幸太郎

    ○森國務大臣 停止したのはその後でありまして、会計の経理の運用上質入れを細めたのは二月ごろと考えております。私の就任前だと思つておりますが、二月ごろに買入れを幾らか縮小しているという方針をとつたようであります。
  103. 河田賢治

    ○河田委員 関連してお尋ねいたします。ただいま森農林大臣は歴代内閣からずつと赤字が出ているということを申された。しかし赤字を知つたのは総司令部の指示があつてからだというのですが、農林大臣は大臣に就任されるときに、事務当局からそういう赤字が出ているという報告を受けられなかつたのか。この点を質問します。
  104. 森幸太郎

    ○森國務大臣 就任の当時事務引継ぎにつきましては、そういう報告は受けておらなかつたのであります。
  105. 河田賢治

    ○河田委員 林野庁長官にお尋ねしますが、そういう大きな問題は、大臣に対して報告する義務がないのでありますか。
  106. 三浦辰雄

    ○三浦政府委員 二月の初旬に薪炭の特別会計の運営が非常にきゆうくつになつたので、この特別会計についてはどういう原因で一体こういうふうにきゆうくつになつたかということで、この薪炭特別会計について内部的に検討を始めたのであります。そこで一番問題になりますのは、帳簿上にある数字とは別に、現物がどのくらいあるかということがきまりませんと、そのきゆうくつさというものは物で寝ているのであるか、赤字であるか、その辺がきめかねる。そこでそのときはほんとうの現物の調査にとりかかつたという段階であります。
  107. 深澤義守

    ○深澤委員 それでは具体的に申し上げますが、昭和二十三年度の暖冬異変によつて相当滞貨が出て参つたのでありますが、これに関連いたしまして、予定外の経費の支出を四項目にわたつてつている。この四項目の支出は吉田内閣当時支出されたものであるというぐあいに、時期的に言えるのでありますが、この点はいかがですか。
  108. 三浦辰雄

    ○三浦政府委員 私からお答えしますが、その会計検査院のことは別の委員会等においてもすでに御意見がありまして、備蓄保管の関係あるいは卸賣に対する横持ち、指定業者に対する横持ち、特別小出費、この四項目でございますが、このうち備蓄保管に関するもの及び特別小出費につきましては、すでに両三年以上も前からこれを支出しております。そうしてこの卸賣に対する横持ちの増につきましては、このときにベースの違いをいかんともすることができず、薪炭の至急賣却をはかるために設ける。こういつた昨年の特殊の事情からやつたのであります。先ほど申し上げました他の二つは、従前からこのやり方はとつておるような事情でございます。
  109. 深澤義守

    ○深澤委員 従前からやつてつたにいたしましても、吉田内閣が成立後において支出しておるということを申しているのでありますが、その点はいかがですか。
  110. 三浦辰雄

    ○三浦政府委員 この備蓄保管、特別小出しについては、吉田内閣の際に出しておるということははつきり申し上げられます。
  111. 川野芳滿

    川野委員長 深沢君に御相談申し上げますが、実は森農林大臣は予算委員会の開会中を二十分ということでこちらに参られたそうでございますので、森農林大臣に対する質疑をまつ先に願います。
  112. 深澤義守

    ○深澤委員 森農林大臣に対する問題を明らかにするために今聞いているのでありますが、今林野庁長官も申されましたように、予算経費の支出によるものの中に備蓄及び一時保管の経費、それから卸賣業者に対する横持ち料の支出、指定集荷業者に対する手数料の増額、倉庫備蓄用費及び特別小出費の支出、この四項目は——もちろんあとの二項については従前から支出しておつたものであるにしても、ともかくこの四項目の赤字の大部分は、吉田内閣当時支出されていることだけでも明らかになつた。従つてこの問題についてわれわれが農林委員会、あるいは予算委員会の小委員会におきましても追究いたしましたところ、会計検査院におきましても第一の備蓄及び一時保管の経費の増額の問題については、すでに生産者価格と消費者価格の間におけるマージンの中に、当然これは加算されていなければならない。なお卸賣業者に対する掛持ち料もそうなんです。そういう意味においてこの二つは支出することが適当でなかつたということが、会計検査院によつて言われているのであります。さらに指定業者、集荷業者に対する手数料の増額、あるいは倉庫備蓄用費及び特別小出賃は財源がないものを支出しておる。これは不当であるということを会計検査院は申しているのであります。もちろん結論的には会計検査院検査報告書にせるために、審議をやつて結論を得なければならないが、現状においてもこれは適当ではなかつたという答弁をいたしているのであります。従つてこの適当でない支出を吉田内閣当時にやつておることが、明らかになつているのであります。従つて先ほど森農林大臣が言われましたように、私の就任の当時には吉田内閣の責任においては、その赤字の責任は感じないということを言われたのでありますが、この予定外経費の支出に関する問題は、明らかに吉田内閣の責任であるというぐあいに考えられるわけであります。この点について森農林大臣はどういうぐあいにお考えになりますか。
  113. 森幸太郎

    ○森國務大臣 予算外と言われましたが、こういう事業に対しましては予定外に支出をしたのでありまして、これは決算のときに御審議を願いたいと思います。
  114. 深澤義守

    ○深澤委員 もちろんこれは決算のときにも審議の必要はございますが、こういう赤字を前提として、このたび一般会計から特別会計に、五十四億という厖大な国民の税金を負担させるのでありますから、われわれはこの法案を決定する以前に、この問題をあくまで究明しなければならないと思います。特にこの支出いたしました備蓄保管の問題にいたしましても、この備蓄保管は完全に保管されておるものに対しての保管料ではなかつた。道路に山積みにされまして盗難にあい、あるいはその他の減耗、あるいは雨にさらされて手直し、包装のとりかえ等もしなくちやならないというようなものに対してすら、保管料が拂われておる。あるいはすでに卸業者が保管せずして、小賣業者あるいは消費者に渡つてしまつたものにまで、保管料が出されておるという不当な事実があることも、会計検査院で言つておるのであります。ことに卸業者に対する横持ち料のごときは、まつたくわれわれが了解に苦しむ支出であります。これは明らかに吉田内閣の重大なる責任であるというぐあいにわれわれは考えますがゆえに、一般会計から特別会計へこういう不当支出をしたものに対しまして、国民の苦しい生活の中から納めました税金によつて負担をするということに対しましては、どうしても納得が行かない。森農林大臣は農民の代表として、農村出身者としてよく国民の気持はわかつており、これに対して国民は断じて承服することができないという気持はわかつておるはずである。それにもかかわらずこの法律を制定いたしまして、この特別会計一般会計から繰入れて、こうした不当な支出を全然不問に付するというような考えを持つておられるように、われわれは考えるのであります。その点はどういうように農林大臣としては考えられますか。
  115. 森幸太郎

    ○森國務大臣 赤字のできました原因については、あくまでも嚴重に究明すべきはもちろんでありますが、今お願いしております法案は、支拂いの財源に繰入れまして、一日も早く製炭者に対する国家の債務を辨償いたしたい。こういう気持でこの法案提案いたしておるわけであります。
  116. 深澤義守

    ○深澤委員 森農林大臣は、これは支拂いの財源に充てるために出すのだと言われるのでありますが、その支拂いの財源に充てるためになぜ出さなければならぬかという問題であります。薪炭特別会計の運営よろしきを得るならば、卸業者の政府支拂いをどんどん取上げ督促して、それを生産者方面に拂うことができたのであります。ところがこの卸業者に対する取立てというものは、まことに緩慢であります。すでに生産地から消費地に送られて参りまして、卸業者が自分の手に入れ、さらにそれを小賣業者に販賣しておるにもかかわらず、まだ政府はその債権の確定をせずに、未調定のままほつてあるというのが今日の現状であります。一般国民に対しましては、税金を取立てるべきものは差抑えまでやつてつておるような政府が、現物を卸業者に拂い下げておるにかかわらず、その代金がいまだに十分取られていない、怠つておるのであります。そうして一般生産者に対する支拂いができないからといつて一般会計から特別会計に財源を繰入れて処理しようとすることは、政府みずからの怠慢を国民の税金によつてカバーしようとする、こういう結論になると思うのでありますが、その点はいかがでありますか。
  117. 森幸太郎

    ○森國務大臣 運営がよろしきを得れば問題はないのであります。十年間たなおろしもせずして、だらしなく続けて来ました結果、運営がはなはだうまく行かない。その結論として債権があり債務があると存ずる事のであります。この債務も今お話のように迅速にこれを取上げられますならば、債務の方も従つて拂いが迅速に行くのでありますが、今日までこんがらかつたいろいろな事情のために、運営がよろしき事を得ておらなかつたという結果、一時的に一まずこの財源を求めまして、そして債務を辨償し、債権の取立てはさらに嚴重にやりまして、これをお返しするということにせざるを得ないような状況に立ち至つたのであります。
  118. 深澤義守

    ○深澤委員 大臣は、支拂いのためにこれはやむを得ないというところに重点を置かれているのでありますが、すでに本件は現物不足の問題にいたしましても、十七項目の現物不足の原因があげられておるのであります。このいずれもがもし嚴格に追究をいたしますならば、刑事上の犯罪まで構成するような不正が内在いたしておるわけであります。予算の小委員会におきましても、国警長官を呼びましてこの点を聞きましたところ、もちろん薪炭特別会計について犯罪として取扱つたものは現在ないけれども、昨年度におきましても一万三千円の木炭関係に対する経済事犯があつた。その中に薪炭特別会計に関するところの犯罪がどのくらいあるかということは、現在調査中である。なおこの薪炭特別会計の赤字の問題についても、国警当局といたしましても十分調査する方針になつているということを、われわれは聞いておるのであります。従つてこの問題は、刑事上の犯罪を構成するような不正が伏在しているということは明らかであります。それにもかかわらずこの不正を明らかにせずして、こういうことによつて問題を解決しようとすることは、あまりにも責任回避ではないかというぐあいに考えるのでありますが、この点はどういうぐあいに考えられますか。
  119. 森幸太郎

    ○森國務大臣 清算は清算であります。不正のあるようなことを発見したらこれはあくまでも追究いたしまして、嚴正な批判をしなければならぬと考えます。
  120. 深澤義守

    ○深澤委員 私は一つの事実をあげて森農林大臣にお伺いいたしたいと思いますが、政府は早期つきがま料あるいは特別小出賃という名において、各木炭事務所を通じて各県に支拂いをしているのでありますが、われわれの得た情報によりますると、盛岡の木炭事務所長が個人の名において、盛岡所在の富士銀行に預金をいたしまして、しかも五千万円以上の預金を動かしておるというような事実があります、こういう事実を通じましても、この早期つきかま費あるいは特別小出賃等の操作が、非常に不可解に行われているというような事実が末端にあるのでありますが、こういう点は森農林大臣は御存じないのですか。
  121. 森幸太郎

    ○森國務大臣 聞いておりません。もしそういうことがあつて、その金がはたしてこういう特別会計関係した金であるというようなことは、詳細取調べなければわかりませんが、そういう話は毛頭聞いておりません。
  122. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ちよつと関連して……。先ほどからの大臣の御答弁を伺つておりますと、この赤字の発生した原因について不正の事実があるという深澤委員質問に対して、そういうことは調べてみなければわからぬという御答弁であります。これは検察庁並びに国警本部も、すでにこの赤字の原因糾明のために動ぎ出していることは大臣も御承知の通りで、そういう問題を明確にした上で、はつきりと出ておる赤字はこれこれだ。従つてそれを一般会計から補填するのだ。こういう形において出さなければ、国民の血税の中から五十四億七千万円という巨額のものを補填するということは、政治の普通の観念から見ても、きわめて不確定なものに対して大きな負担を国民に負わせる結果になるからということで、われわれがこの問題の審議にあたりまして、あるいは基本的にはこうしたものを今出すべき時機ではないのじやないか、こういう建前でわれわれは質問をやつておるわけなのですが、大臣もいろいろこの赤字の原因について糾明しなければならぬ点が残されておることは、お認めになることだと思うのです。それでいてなおかつ、とにかくいかなる原因にしろ出て来た赤字だから、その赤字はこれで埋めるんだという既定方針を、あくまで持つて行かれるおつもりでありますかどうか。その点、これは根本的な問題でありますから、一つ大臣から御答弁を願いたいと思います。
  123. 森幸太郎

    ○森國務大臣 赤字補填という意味にもおとりになつておるようでありますが、そういう問題がありまして、それが解決しなければ、今未拂いになつている政府債務履行できないという行き詰まつた会計の状態になつておる場合において、そういうことをたださなければできないということになれば、まことに製炭者に対しても、いつ解決するかわからぬようなことになりますので、一時債務の完納のために資金一般会計から受入れまして、そうして一応債務だけを果すということにしなければならない。この特別会計を閉鎖しました以上は、清算事務の上において、まず第一に製炭者に対して早く支拂いをして、それから今のお話のような問題があつたといたしますならば、これは将来において糾明をし、整理をするということにして行かなければならぬ。かように考えてとりあえず資金の借入れをいたすようなことにいたしたわけであります。
  124. 深澤義守

    ○深澤委員 今の点でありますが、その原因がどういうことであつても、とにかく支拂いがあるから、一般会計から特別会計へ出さなくてはならぬという考え方が、われわれはどうしても納得ができない。もちろん政府の支拂うべき責任であるものは支拂うべきでありますが、それは融資なり何なりの方法でもつて解決をする。そうして当面はこの赤字の問題を国民に明らかにすることが、一番大事な問題ではないかと考えるのであります。刑事事件まで伏在しておりますところの原因によつてつたこの赤字を、そのままにして解決するということ自体の中に、われわれはどうしても納得ができないものがある。もちろん国民も納得できない問題があると思うわけです。従つてまたこの五十五億の赤字に対して、五十四億七千万円を支出してしまつて、一応それを片づけてしまいますれば、つまりそれによつて政府に当然支拂うべき責任がある卸賣業者の方面の債務というものは、おのずから取立ても緩慢になり、あるいは支拂う方においても非常にこの点責任の感じ方が少いと考えるのであります。そういうことによつてますます赤字を尨大にするという危險性が、多分にあるとわれわれは考える。そのあとの締めくくりについて、森農林大臣はどういう責任をもつてこれを遂行せられる御決意があるか。その点を一つお伺いしたいと思います。
  125. 森幸太郎

    ○森國務大臣 赤字補填と申しますと、債務者はもう赤字が済んだからいいという考え方が想像される。それを非常におそれておりますので、決して会計の赤字を補填するという意味でなしに、この会計を閉鎖しましたときに、まず何をおいても政府債務を早く完了しなければなりません。それに対しましては債権の取立て等がそう簡單に行きませんのと、いろいろ現物の整理等もひまどりますので、とりあえず一般会計から必要な金を繰入れまして、そして債務債務として果します。しかしこれはあくまでも繰入れたのでありますから、債権の取立てに対しましては、責任をもつて債権を取立てますということに一層の力を盡して行きたい、かように考えておりまして、決して赤字補填のために繰入れるという意味ではないのであります。その辺御了承を願います。
  126. 深澤義守

    ○深澤委員 今の責任をもつてあと整理をするということについて、われわれはどうしても信用ができないのであります。なぜかならば、農林委員会におきましてすでにこの問題が問題になりまして、その要求に基きまして、林野庁長官は本年の六月十六日に各末端の地方事務所に対して、最後的に刑事上の追究までして、この問題を解決するようにという指示をせられているのであります。ところが、その当時予定されました現物不足の十四億という赤字が、その後何ら縮小されていないのであります。そして末端におきまして刑事上の追究までいたしまして、解決したいという事例は一つもない。また大消費地における卸賣業者に対するところの処置に対してもまことに緩慢でありまして、一説によりますれば、あの特別会計の停止と同時に、卸賣業者の中心的な人々は政府に対する支拂いを一時差控えて、その金によつて特別会計の停止によつて生産地の非常に苦しんでおるところの生産者から木炭をたたき買いしておるという事実が全国至るところにあるのであります。こういう問題を政府自体は何ら処理せずに見のがしておるというのが、あの特別会計の停止以来あるいは買上げ中止以来の現状であります。そして最初から問題になりましたこの赤字が、半年以上たつても何ら縮小されていない。そしてこれが国民の負担という形式になりまして、このたびこの法案が出るようなことになつたのであります。この二月以来政府はこの問題の解決に何ら誠意をもつて努力していない、実績もあがつていないということが結論づけられるのであります。こういう意味において、われわれは政府が跡始末をしつかりやるというようなことを言つても、信用ができない。結局これによつて一応の解決ができ、やかましい生産業者からの支拂い請求がなくなりますならば、結局この問題をやみからやみに葬つてしまうという懸念をわれわれは起すのであります。その点についてどういう決意を持つておられるか。ひとつ明確な御答弁をお願いしたいと思います。
  127. 森幸太郎

    ○森國務大臣 今お話のように、ルートを乱すおそれがあるということも考えられましたので、会計閉鎖と同時に、この生産から配給のルートも撤廃しようかというようなことも一応考えさせられたのでありますが、そうしますと今お話のように金のある者が生産地へ行つて買い込む、いわゆるルートを乱すということがあることをおそれまして、いまだにそのままのルートに置くのであります。あの特別会計を閉鎖いたしました当時は、とりあえず現状を一日も早く把握する。何分全国にわたつて散らばつておる問題でありますから、この現状を一日も早く把握するということが、ます第一に考えなければならぬ仕事でありまして、現物の所在地また帳簿面と現物との比較ということに、專門的な立場の者も相当入れまして、一時のそのときの姿をつかむということに努力をいたしたような次第であります。その後の結果において赤字が相当整理されたものもあると承知しているのでありますが、何分そういうふうな処置に出られましたがために、お話のような赤字の整理が緩慢になつているかもしれません。政府といたしましては、そういう気持でこの会計閉鎖に臨んだわけであります。
  128. 深澤義守

    ○深澤委員 卸賣業者に対する処置は嚴重にこれを行うべきであると、われわれは政府に対して警告を発するのであります。近いところの例をとつてみますれば、東京の配給小賣店の七割を占める卸賣業者があるのであります。これは東京燃料林産株式会社というのがあります。この社長は民自党の参議院議員廣瀬興兵衞氏であります。この人が扱つております薪炭の事情につきましても、相当債権の未調定額等もあるようであります。さらに先ほど申しました現地のたたき買いも、この東京燃料林産というのが相当にやつている。あるいはその他に米田物産というのもあるということであります。これらも東北等におきましてたた買いを相当やつているという事実を、われわれは情報としてつかんでおります。こういう問題について政府は積極的に処理いたしまして、生産者に対する支拂い、あるいはこの赤字の縮小ということにつきまして、嚴重な措置を講ぜられたいことを、われわれは警告しなければならないのであります。われわれといたしましては、本件の原因が究明せられずにこうした法案が出ることに対しましては、まつた政府自体が国民に対する信頼にこたえる方法ではないというぐあいに考えまして、どうてもこれに対しては賛成することができない。政府自体も重大なる責任を感じて、処置をすべきであるということを警告して、一応私の質問を終ります。
  129. 田中織之進

    ○田中(織)委員 先ほど関連して御質問申し上げたのでありますが、農林大臣は今度の一般会計から薪炭特別会計に繰入れる五十四億七千万円は赤字補填ではない。政府の持つている債務償還をするための一般会計からの繰入れだ、借入れのような意味のものだというように御答弁になつているのでありますが、政府のこの提案説明にもありますように、二十三年度以前において生じた損失額、これは赤字で三十四億あります。その上にさらに残務整理によつて生ずることが予想せられるところの現物不足その他の目引き、減耗率というようなものを入れたものが、寄せ合せまして五十五億円になるというのでありまして、これらは明らかに赤字なのであります。従つてその赤字を補填することになる。これは農林大臣がいかに強弁されようとも、そういうことは小学校の生徒でもわかるようなはつきりしたものなのであります。従つて私はもつと具体的に数字をあげて大臣にお伺いいたしたいのでありますが、私らが先般の第五国会の閉会中の予算委員会におきまして、そこにおいでになる林野庁長官からもいろいろ伺つたのでありますが、その結果われわれが大づかみに理解できることは、七月三十日に特別会計の運用を停止するときには、すでにここにもありますように、約三十四億円の赤字が出ている。その上に薪炭の生産者に対する未拂金が十八億円、これに見合うものとしましては、卸賣業者に対する賣掛金か約二十億未回収の分がある。それから薪炭特別会計の手持ちの薪炭の償却の残つておる分が約二十億。こういうように申されておるのでありますが、この賣掛代金の二十億の未回収分の回収と、現在における薪炭特別会計の手持ちの薪炭を処分して入つたものだけが、政府として回収できるところのいわゆる債務に対する見返りの債権的な性質を持つたものであるというふうに、理解できるのであります。すでに二十三年度以前に発生しましたところの三十四億、嚴密にいえば薪炭の現物不足が十四億円、二十三年度の冬期大都市備蓄分の保管減耗手直し料が十億円、昨年十二月長尺薪の値下りによる損失が三億四千万円、増産輸送増強やむを得ず支出したところの経費五億五千万円で、三十三億五千万円というのが二十三年度以前に発生した赤字なんです。このほかにさらに、この打切り以後薪炭特別会計のために、月々少くとも一億五千万円がいるということをわれわれ聞いておる。従つてこれを清算するまでの間を十箇月といたしましても十五億の金がいる。さらに特別会計の打切りによる手持ち薪炭の値下り等により生ずる損失二十億を入れますと、この繰入れ額のほとんど全部が赤字の補填になるということは、この数字からも私は明らかだと思うのであります。回収できるところのものが卸賣業者に対して約二十億、これは帳簿価格では二十億くらいになるかもしれませんが、実際確実に換価し得るものは十億円だということは、先般の予算委員会で林野庁長官ははつきり答弁されておるはずです。そうすれば三十億しか見合うものがないところにもつてつて、五十四億七千万円という一般会計からの繰入れをやることになれば、かりにそうした三十億というものが完全に回収できるといたしましても、残りの二十四億七千万円というものは明らかに赤字補填じやないですか。従つてその赤字の原因を究明せずに、それを国民の血税の中から補填するという行き方に対して、私は責任ある政府の態度とは見受けられないのでありますが、大臣はその点についてどういう考えを持つておられるか。もう一度ここで伺いたいのであります。
  130. 森幸太郎

    ○森國務大臣 赤字補填ということを私は否定したわけではないのでありまして、赤字補填ということにしますと、補填されてしまつておるのだから、債権なんかどうでもよいというような気持ちを、債権を持つておりまする人に起させるわけだから——むろん今お話の二十三年度までの三十何億というものは赤字でありますが、その赤字の内容についてはあくまでも糾明しなければならないし、また政府としてその債務を一日も早くなさなければならない、こういうのですから、赤字補填をしてしまえばあと政府に拂わぬでもよいというような気持を持たしては、この債権整理に非常に困る。それだから単に赤字補填という意味でなしに、今運転が中止されておるのだから、一応特別会計に繰入れまして、そして債務債権をはつきりして、結論においてはその赤字というものを、その性質によつて政府が補填しなければならぬことになるでありましようが、現在といたしましては全部を赤字補填ということにしてしまいますと、債権の取立てなんか非常にやりにくくなる、こういう気持で、そういう赤字補填でのみ考えていただきたくないという気持で、私はお答えいたしたようなわけであります。
  131. 水田三喜男

    水田政府委員 今の田中さんの御質問ですが、これは森農林大臣のお答えがちよつと変だと思います。赤字補填だということを言い触らしたくないというような気持と、現実になぜ繰入れをするかという問題は別で、繰入れをするのははつきり赤字を補填するという意味で、われわれは繰入れをしようとしておるのでありまして、ただ赤字が幾らあるかというのは目下清算中で額は出ていない。従つて幾ら繰入れていいかという目途をただ薪炭証券の残額に置いたというだけで、はつきり繰入れは赤字の補填という意味でやつております。その点農林大臣の言葉がはつきりしなかつたと思いますので訂正いたします。
  132. 田中織之進

    ○田中(織)委員 今水田大蔵政務次官からお答えになつた通り、赤字補填ということになれば未回収債権回収が容易でないと思うから、赤字補填だということを頭から言いたくないというその気持はよくわかります。しかし現実において五十四億七千万円というものを一般会計から特別会計へ繰入れる以上、これは赤字の補填だということを言おうと言うまいと、どうせこれで一般の国民から穴埋めされるのだからということで、回収が遅れるから繰入れるというようなことは、もう少し清算事務が進展するまで控えるべきだということを、これが提案される以前からわれわれが政府に対してくどくど警告をいたしておることは、林野庁長官大蔵政務次官もよく御存じなんです。従つてほんとうに政府が、ことに生産者に対する未拂い債務を非常に気にしておるということであるならば、一番困つておる生産者に対する未拂い分の十八億円分を融資することにとどめて、それらの差追つたところの製炭業者——これは実に山元で泣いておる。これらの者に対する国の責任ある支拂いを促進することによつて、この特別会計への一般会計からの繰入れを、清算事務がもう少しはつきりするまで待つことができないはずはないと思うのです。そういう意味でこの法案をまず一応撤回して、そのようにはつきりとしてもらいたいと思うのですが、その点に対する大蔵政務次官の意見を伺いたいと思います。
  133. 水田三喜男

    水田政府委員 われわれの気持も同感でありまして、こういう赤字を出した乱脈な経理に対して非常にわれわれは腹を立てて、何とか早くこの問題を処理しなければいかぬ。究明すべきものがあつたら究明して、責任者を出すべきものがあつたらはつきり出さぬかというようなことで、むしろわれわれがこの清算については最も強硬な仲間であつたのです。これはどんどん究明してみたのですが、なかなかひまがかかつてすぐにはこの解決がつかない。しかも未拂金に困つておる人はたくさんあつて、これは国家が債務を持つておることでして、これを返さないわけに行かない。何とか早く解決したい。しかし解決するには、一応赤字がはつきり出て来たら、そのときは国会に御審議を願つて、これだけの赤字があつたのだから、もうこれだけ繰入れたら全部赤字は解消するとはつきりきまりをつけて、それまでに責任の問題もはつきりして国会に臨みたいという気持でありましたが、先ほどお話しましたように、清算の結果赤字が幾ら出るかわからない。当局の考えでは五十四億七千万円出ても、ほんとうに清算したらもう一、二億赤字が出るのじやないかと思いますので、とりあえず今度の措置をやつておけば、未拂いになつておる製炭者に対して拂うことができるのだ。そうしておいてあとでまた清算のときに繰入れることになりますか、繰入れるというより余つてまた一般会計へもどすことになりますか、ということについては、そのときまでには問題をはつきりして国会の御審議を願いたいという考えでおりますが、いずれにしても年内の現金収支のやりくりをつける必要がありますので、これは責任の問題とは別に赤字の一応の目途をつけて、それだけ一般会計からの繰入れをぜひ認めていただきたい、こういう実情に追られまして御審議を願つておるような次第であります。
  134. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大蔵政務次官説明せられる気持はよくわかる。しかしやはりこういう形で持ち出すということは、一般会計からの繰入れということは、特別会計一般会計から借入れるのとは性質が違う。このことは言うまでもないことなのですが、そういう意味から私もう少し具体的に伺います。一般会計からの今度の繰入額の五十四億七千万円というものが、ちようど今の薪炭債券の発行額と金額がまつたく同じなのです。そこで先般来問題になつてつたことは、製炭者の未拂いの十八億というようなものを至急に支拂うということではなくて、むしろこの五十四億七千万円の薪炭債権償還することのために、一般会計から繰入れるのだというようなことが、当時政府側から説明されて非常に問題になつた。ところがいよいよこの法案が出て来る過程におきまして、そういうことではないような形で、今年度においてその債務支拂い財源に充てるためという漠然たる表現で、この法案提出されて来たところに、当初の政府が考えておつたこととちよつとかわつたような傾向が現われて来ておるのであります。この二十三年度末までの三十三億五千万円というものは結局赤字として出ておる。債権者というのはおそらく薪炭債券で調達した資金で、回収できないものができておるということになると思うので、この三十三億五千万円に関する部分は、今度の一般会計からの繰入れができまするならば、そのものにだけ薪炭債券が落されるものだと思うのですが、そういうように理解していいのでしようか。
  135. 水田三喜男

    水田政府委員 その点は昨日もお答えいたしましたが、生産者関係債務約二十億円はその繰入金をもつてつて、そのあとを薪炭債券の償還に充てるという計画であります。
  136. 田中織之進

    ○田中(織)委員 さしあたり製炭者に対する未拂分の約二十億をこの繰入金で即刻支拂つて、残りの約三十何億は薪炭債券の償還に充てるということになれば、一応説明はつかぬことはないと思います。これは林野庁長官からお答えを願いたいと思いますが、問題になるのは、七月三十日末で特別会計の運用が中止されたのでありますが、清算事務その他の関係で、薪炭特別会計で一箇月で大体どのくらいの経費がお入用になるのか。それから清算が結了するまでの間、どの程度の支出を要するお見込みでありますか。
  137. 三浦辰雄

    ○三浦政府委員 特別会計を閉鎖して整理をして行く、それに対する人件事務費の関係でありますが、約一億程度であります。整理が済んだ木炭事務所については逐次閉鎖をして参りますが、その人員等も十二月末までには何人を減らす、次の三月までには何人を減らす、こういうように一定の計画をもつてやるのであります。そこで最も問題になるのは、金に見積つて原価十億円といわれる不足木炭帳簿面と現物との差であります。不足薪炭の糾明を一々その発送方法であるとか、日通の受取りであるとか、卸の方の帳面との突き合せというようなことで追究して行く必要がある関係から、その仕事の終りを一応来年の十二月末までとしたのであります。簡単なものは比較的簡単に早く終ると思いますが、そうでないものは相当長くかかります。そういうことで十二月末までとしたのであります。もとより二十五年になりましても一月一日の定員は幾ら、四月一日は幾ら、七月一日は幾ら、十月一日は幾らというようにして、十二月末をもつて八十名、現在おります千六百九十四名を八十名にして、その八十名の中から、今後の薪炭の行政のためにする人を一部置くという段取りに考えております。
  138. 田中織之進

    ○田中(織)委員 今林野庁長官のお答えになりました一億というのは一箇月ですか。
  139. 三浦辰雄

    ○三浦政府委員 ちよつとお待ちください。計算してみますから……。
  140. 深澤義守

    ○深澤委員 ちよつとこの間に水田政務次官にお伺いいたします。先ほど森農林大臣が赤字補填でないと言われたことを、赤字補填であるというぐあいに申されまして、はなはだ明確になつたのでありますが、なお一、二点お伺いしたいと思います。この法律案提出される場合におきまして、この薪炭特別会計の問題の中には、刑事上の犯罪まで起るような事件が伏在しているというのが一点、それからもう一つは会計検査院も言つておりますが、備蓄保管費、卸業者に対する横持ち料、指定業者に対する手数料、早期つきがま費及び特別庫出品等の支出は適当でないという意見を持つておるわけであります。こういう内容を持つた赤字でありまして、この赤字を補填する法律案を出すことは、大蔵省としては十分審議して、これを出すべきであるという結論に到達したのかどうか。あるいはその点が十分検討されずに、こうした法案が出ているのかどうか、この点を伺いたい。
  141. 水田三喜男

    水田政府委員 大蔵省としましては、これは先ほど話したような理由によつて、赤字の原因に刑事々件があるにしろ不正事件があるにしろ、結局は政府の責任において処理しなければいけないことでありますので、今回繰入れをするよりしかたがない、こういうことの結果提出したのであります。
  142. 深澤義守

    ○深澤委員 大蔵省の方針として、今後の運営上においてもはつきりしておかなければならない問題でありますが、われわれの見解からいたしますれば、赤字が出ました場合はその赤字の内容を検討し、その内容が国民に納得の行くような処理がされて、初めて予算的措置が講ぜらるべきであるということが、根本方針でなければならぬと考えるのであります。ところが今申さるることによりますと、その赤字の原因が刑事々件があろうといかなる不正が伏在しようとも、とにかく当面処理しなければならないから政府の責任でこれをやるのだ。そういうことになりますと、まことに大蔵省の予算運営に対して、国民は信頼できないのであります。そういう根本方針をすべて会計面において考えられておるのかどうか。この点をひとつ伺いたい。
  143. 水田三喜男

    水田政府委員 もう実は、この特別会計にはこりごりいたしましたので、他の特別会計にこういうことがあつてはいかぬということで、ことに世上いろいろ公団の運営についてもたくさん言われておることがありますので、この際こういうしつかりしない経営とか、経営内の不正ということを絶滅したいということで、公団全特別会計に対しまして、大蔵省はこのごろいろいろな関與をいたしまして、こういうことが再びないようにということには、相当万全の処置をとつておるつもりであります。
  144. 深澤義守

    ○深澤委員 今の言葉で一応了解するのでありますが、先ほどのように赤字を埋めるのに政府が責任をもつて汲々として、根本を忘れるということに対しましては、われわれは国民の代表として承知できないのであります。まず政府が責任を負うのは国民に対して負うのであつて、赤字に対して負うのではないとわれわれは考えます。従つてあくまで国民の利益を守り、国民の利益に奉仕するという立場において、今後その運営をやられたい。すなわちそういう観点から言いますならば、本特別会計の問題のごときは、まつたくこれを赤字補填として一般会計から繰入れることは、不適当であるというふうにわれわれは考えますので、この法案の取扱いに対しましては、大蔵省としてもこれは特別ということでありますからいいのでありますが、他の会計あるいは公団等の赤字に対して、ほかに公団関係の問題もあるのでありますが、ひとつ嚴重な調査と監査をやつてもらいたいとわれわれは考えるのであります。すべての公団がまつたく不正腐敗の巣になつておるということを、われわれはここに警告しなければならないのであります。
  145. 松尾トシ子

    ○松尾委員 私はこの問題についてはいろいろ政治的に論議があると思うのですけれども、立場をかえまして消費者の一人としてお尋ねしたいのです。婦人と薪炭といいますれば、非常に関係が深いのでありますけれども、この委員会に出て質問に対するお答えを聞いておりますと、どうも官僚統制の弊害が、こういうところに出ておるのではないかという感じを深めるのであります。私は率直に聞きたいのですけれども、こういう事件が起きたときに、行政担当事務当局には何ら責任はないのでしようか。こんな厖大な赤字が出ても、だれも責任者が出て来ないということでは、婦人の私どもには非常におかしく思える。少くとも女というものは、割合に経済に縁がないように思われておりますけれども、この面をお話したら非常に怒るのではないかと思う。なぜならば、血税によつてこれを埋めて行くのですから。ともかく水田政務次官のおつしやつたように、特別会計もほかにたくさんございますが、この薪炭特別会計の影響が、他の特別会計にいかように影響するかということを、お考えにならなければいけないと同時に、よく綱紀粛正ということをとなえられております。これが法律に触れたときだけは罰せられるけれども、実情は法律に触れる以上に、国民一般に苦しみやまた犠牲を拂わせておることがあるというときには、綱紀粛正なんというものがどこにあるかというふうに私たちには考えられるのです。ですから国民、特に薪炭に縁の深い台所をやつておる婦人層に納得の行くような、やさしくしかも筋を明らかにしたもので現政府説明をして、その上でこれを繰入れることがほんとうではないかと思うのです。政治的にも、また事務担当当局の面からも、政府の責任を明らかにすることが、私は第一に必要だと思うのですけれども、いかがですか。
  146. 水田三喜男

    水田政府委員 これは女のあなただけがおかしく感ずることではありませんで、こういう問題が起つて実際だれが責任をとるか、責任のとり手もないなどということは、実に国民に対して申訳ないことでございまして、われわれとしましては、ほんとうの責任というものはやはり国民に対してはつきりしたいと考えております。こういう問題の責任は終局においてだれが持つかと言いましたら、これはやはり政府が持つべきであつて、こういうだらしないことがたくさん各部門にも山のように出て来たといつたら、国民代表の国会が責任を問うて、その政府をやめさせればいいというような性質のものであります。大きい問題はそうなりましようとも、小さい問題であつても、結局責任というものはあります。これは将来ほんとうの清算を当然やる時期が来ますので、それまでには私たちもこれをはつきりして、国民に納得の行くような処置をとりたい、こう考えております。
  147. 松尾トシ子

    ○松尾委員 政府のどの部門が責任をとることになるのでしようか。私のお尋ねするのは、事務当局にも責任があるかないかということです。もう一つは、もしお答えができたらお答えをしていただきたいのですが、炭のように方々に運んで行つて割れたり、こわれてばらばらになつても、かき集めると大体元の量になるというようなものでさえも、こういう始末でございます。じやがいもだとか、さつまいものように腐るものでしたら、相当に赤字というものを考えさせられるので、政府はあわててこれに関連して、いもや何かのわくをとつたのではないでしようか。そうなつて来ると、主婦として今後のじやがいもや、さつまいもをはずして、それからの食糧事情などを私はお尋ねしたかつたので、ぜひこれは農林大臣からと思つたのですけれども、時間がなくて惜しく思つております。
  148. 水田三喜男

    水田政府委員 これは事務当局としましては、善良な管理者として管理する責任を怠つておれば、その部門の責任というものははつきりいたしますし、それをそうさせなかつた監督の責任というものはまたその上にあるということで、責任は非常にむずかしい問題ですが、必ずこれは皆さん納得の行くような責任をあとではつきりしたいと思います。
  149. 松尾トシ子

    ○松尾委員 ところでいろいろ聞いてみますと、赤字が出たからこの特別会計はやめたというふうに思われますけれども、将来はどういうふうになるのでしよう。結局この赤字を背負わされたあげくの果て、薪炭の配給のわくがはずされましたら、自由になつてもちつとも消費者の台所に炭は行かない。なぜならば電力も運賃もその他これに付随されて行く。将来において赤字を背負わされた上に炭も使えない、薪炭が自由にならないというふうに思われるのですが、この点の見通しはどうですか。
  150. 水田三喜男

    水田政府委員 これは最初から私たちが言つていましたように、こういう官僚統制方式というものは物資の姿をみんなくらませて、国民の欲するものを與えないという機構そのものの欠点が非常に多かつたので、こういう官僚統制方式はやめるべきだというのがわれわれの主張で、ようやくそういう時期に来ましたので、今度ははつきり事態が改善されて来ると思います。そういう点におきましては、むしろ今まで統制を最も強く主張した川島さんや田中さんなどの意見が、現実の政策に負けたということになると思うのですが、遺憾ながらそういう政策がこういう犯罪を内包させた大きい原因でありますので、これはぜひひとつ統制というものをできるだけはずして、この事態の改善に御協力願いたいと思うのであります。
  151. 松尾トシ子

    ○松尾委員 その点で政府はうまく行かないので統制をやり出した。そうして官僚統制を行つたからこういうふうになつたのであつて政府はこれをはずすからには、実際に世間に薪炭が円満に、しかもみんなにサービスをもつてやれるような見通しがなければ、ここでこのような政策をとるべきではないと私は思うのですけれども、その見通しを具体的に御説明をしていただきたいのです。
  152. 三浦辰雄

    ○三浦政府委員 松尾委員のお話ごもつともなのであります。この特別会計がこの二月、どうも妙なことがあるのじやなかろうかということを考え、爾来この解剖に努めまして、いわゆる帳簿面にはあるけれども実際はかなりの部分がない、こういうようなことの結果、勘定は足りておつても、実際はそれだけきゆうくつだということがわかりまして、これをどうするかということにいろいろ考えをめぐらしましたが、ことに二十三年度に入りましてからの生産の状況というものは、突然的なことでなく、二十一年は二十年より、二十二年はその前の年より、二十三年度はさらにというぐあいに、統計の数字から言つても生産が上つて参りました。またかまの数あるいはそれに従事する労務者の方々も、人口の増加とともに、あるいは世の中の落ちつきとともにふえまして、その生産高はいわゆる五十九年ベースの平均にまで達したのでございます。その結果そういう生産の回復を根拠といたしまして、そうしてこの統制方式を改変して、ここにいろいろ曲折は経ましたが、七月末をもつて特別会計の買入れというものは閉鎖した。そうしてその後の経過はどうであるかという問題でありますが、いわゆる戰時規格のようなぐあいにいたしまして、炭といえば黒炭、白炭——はなはだしいときはただ炭になりましたが、白炭、黒炭であることによつての差が大体価格の差でありましたけれども、その後使つて使いごたえのある炭にしなければいけませんので、今日原料である山の事情も御心配をいただいておりますように、治山治水で非常に問題である。しからば同じ材料を使つて、しかも使いごたえのある炭にしなければならないということからいたしまして、九月に規格を改正いたしまして、よいものはよいように、悪いものは悪いような値段に改めたことと相まちまして、生産者は非常に今日はよい炭をつくつて、元のややともすると炭という名ばかりという非難は最近は非常に消えまして、しかもその入荷の問題でございまするが、入荷もほぼ順調でございます。十一月は毎年の例によりましても入荷の少いときでございますが、私どもといたしましては、いわゆる四俵配給計画の実施というものはできる、かように考えております。
  153. 川野芳滿

    川野委員長 社会党の持ち時間が、かねて理事会で協定いたしましたものより相当超過しておりますので、簡単に願います。田中織之進君。
  154. 田中織之進

    ○田中(織)委員 先ほどの三浦さんのあれは月額一億だと思うのですが、いかがですか。
  155. 三浦辰雄

    ○三浦政府委員 一億と概算しましたのは、実は一方で組んでおります補正の方の関係で錯覚を起しました。今年度におきましては人件、事務費、旅費等だけであれば月三千万円でございます。
  156. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これにこまかい数字が出ておるのでありまして、そういう関係からもいわゆる事務、人件費ということになりますと、八月一日より十月三十一日まで七千九十一万円ということに資料にもなつておる点もあります。その他現に閉鎖いたしまして、今清算の過程にあるのでありますが、いろいろの手持商品の処分にあたつて保管料、運搬費、手数料、こういうものを入れますと、大体清算が完了するまで、一箇月平均いたしまして一億くらいかかる。今後十箇月、来年三月までで約十箇月になるわけですが、そういう関係からでもなお十億くらいの金がほぼ完了するまでの間にかかる。こういう見込みをわれわれは立てておるのでありまして、これは実際そういう形でも、かりに八月一日から十月末日までのいろいろのそういう経費を総計いたしましても、この数字はほぼそれにマッチして来るのであります。そこで現在の手持薪炭を結局処分するということになると、片一方では安くたたき買いをしようと、こういう動きも見られておりますが、その結果その方面から十億くらいの赤字が出るということは、先ほど三浦林野局長官も述べられた点でありますが、そうしますと、今度の五十四億七千万円の一般会計からの繰入れによりまして、かりに二十億の生産者に対する未拂金を拂つて、残りを薪炭証券の償却に充てるといたしましても、薪炭証券の未償却分は約二十億、それに今申します手持薪炭の値下りが十億、会計が結了するまでの経費十億、両方で二十億計四十億が残るわけです。それに対しまして手持の薪炭の償却換金によるところの収入が切りとれて十億、それからいわゆる卸賣業者に対する未回収代金の徴収、これが完全にできるといたしましても二十億。そうしますと、その関係から見ましてもさらに十億という赤字が出るわけなんですが、それは清算する過程において何十億という金が、かりに刑事上の責任が訴追されても、そういう金がもどつて来るということはおそらくあるまいと思う。そういうことになりますと、結局赤いベベを着るものは出るといたしましても、残る赤字は国民が背負わなければならぬということに相なるわけなんです。この点は林野庁長官大蔵政務次官からお答えを願いたいと思うのでありますが、ざつくばらんに申しまして、約十億というものを清算した上でさらに追加して、赤字補填をしなければならぬというような結果になると思います。その点は重ねてまた通常国会にでも赤字補填十億を出すお考えなのですか、どうですか。
  157. 三浦辰雄

    ○三浦政府委員 この五十四億七千万円がここに御協賛を経て出るということになりますれば、先ほど申し上げましたようなぐあいの支拂い方法をいたしまして、政府の卸賣商に対する債券を回収する一方、手持ちをなるべく損しないようにするということにいたしました結果は、大体五十五億四千万円程度がいわゆる今までの薪炭証券の残の部分等を含めて、一切合財がこの特別会計の一応清算が済んだ姿ではないか、かように推定しております。最も問題でありまする多年にわたりまする現物の不足分原価十億円に対しまする究明は、当然これを嚴密にいたしまするから、それからの成果が五十五億四千万円という見込みを、もつと私どもとしては減らしたい、かように存じますが、一応現在の私どもの想像といたしましては、五十五億四千万円、かように存じておるわけであります。
  158. 田中織之進

    ○田中(織)委員 かりに五十五億四千万円といたしますると、あと一億くらいの赤字が出て来ると思う。これも一般会計からしりぬぐいしなければならないということは、先ほど水田政務次官の言われたことで満足するのでありますが、どうもいろいろの資料を検討してみましても、この調子で参りまするならば、あと一億くらいのしりぬぐいで済みそうにもないという点を非常に心配しておる。現に薪炭会計が機能を停止いたしましてから以後の未拂金の回収状況も、どうも逐月とにかく減つて来ておる。このあなたの方から出された資料の中に、はつきり数字の上で現われて来ておる。政府がこれを一般会計から繰入れて補填するのだという方針が出ると、実にこれは敏感なもので数字の上にはつきり現われて来ておる。従つて林野庁長官はきわめて楽観的に、あと一億くらいで済むのじやないかというような見通しのようでありますが、これはわれわれが心配するように、またしりぬぐいをしてくれ、こういつて国会へ相談にならなければ、これはむしろけつこうだと私は思います。  そこで次にお伺いいたしたいのは、私はこれは資料として一ぺん要求しておつたのですが、出してくれた資料に出ていないのでこの際お伺いします。去年の二十三年度末における薪炭債券の発行額は幾らでございましよう。年度末の三月が幾らで、機能を停止したところの七月が幾らなつでおりますか。機能を停止してからあとで薪炭債券を発行したようなことになつておるかどうか。その点をひとつ御説明願いたいと思います。
  159. 三浦辰雄

    ○三浦政府委員 二十三年度末の薪炭証券の発行額は、二十五億九千万円でございました。それから政府のいわゆる支拂いが非常にきゆうくつになりました結果、五月の二十日の日にあとの残額二十八億八千万円の証券の発行をいたしました。そうしてその合計であります五十四億七千万円が、現在の総計でございます。
  160. 川野芳滿

    川野委員長 田中君、相当時間が超過いたしましたから簡單に願います。
  161. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これはきわめて本案に重要な問題でございますので、明らかにしておきたいと思うのでありますが、提案説明にも政府はことさらに二十三年以前の赤字が三十四億七千万円ある、こういうように断つて、われわれが従来から申しておりまするように、この会計がどうも第二次吉田内閣成立以後赤字が急激に増加しておるということに対して、早くも挑戰的なことを提案理由の中にまでことさらに入れて来ておるのであります。しかしただいま林野庁長官説明にもありましたように、二十三年度末すなわち本年の三月末で二十五億九千万円であつたものが、二十八億八千万円という残額を、一度に薪炭債券を発行しておるのであります。われわれの聞くところによりますと、政府はもちろん七月三十一日をもつて薪炭会計の運営を停止したいということになつておりますけれども、実際は四月一日以後は薪炭の買入れは行つていないように聞いておるのであります。従つてこの二十八億八千万円の薪炭債券の発行によりまして、政府が獲得いたしました資金は、大きな費目でどういう方面に出されておるかということを、この際御説明願いたいと思います。
  162. 三浦辰雄

    ○三浦政府委員 本年二月から買入れの数量をなるべく小さくしようとしたことは確かであります。しかしながらこの当時の薪炭需給規則という中には、政府に賣り渡さなければならぬということになつております関係からいたしまして、経理のわくの許す限りにおいてこれを買わなければならないので、そのような事情からいたしまして、三月はもちろん、四、五、六、七月末まではこれの購入を続けております。その合計は木炭で四月で二十五万トン、五月で十一万トン、六月が十七万トン、七月が十九万トン、こういうような買入れを事実としておつたわけであります。まきについては、特殊な事情以外のものは極力防ぎましたが、それでもなおかつ四月には百十万層積石、五月七十五万層積石、六月十一万五千、最後の七月には五十四万という大きな数字、これについてはずいぶん防ぎつつあつたのでありますが、当時都市においては逆にまきがないという事情からいたしまして、買わざるを得なかつたわけでありまして、本年度の商品費といたしましてすでに買つたものが五十五億九千万円ということになつております。
  163. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますると、五月の二十日に薪炭債券の残りの二十八億八千万円を発行いたしまして、国庫資金によりまして今御説明された四月以後買い上げました買上げ代金の支拂いに充てられたわけでございますか。そういたしますると、先ほども深澤委員から非常に追究した点でありますが、早期つきがま費とかあるいは特別小出料というようなきわめて問題になるような支出は、たとえば二十三年の一月以後あるいは二十四年度に入つてから、そういうものが今まで支出することになつていたという理由のもとに、現実に支出されたことはございませんか。
  164. 三浦辰雄

    ○三浦政府委員 二十四年度になつてからこの早期つきがま費、特別小出料というものはございません。ただ他の委員会で言つているように、四月二十二日間の賣りさばきを急ぎました結果、横持ち料というものを出しておるだけであります。
  165. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これはすぐには間に合わないだろうと思うのでありますが、本委員会に対しまして、本年の一月から以後の毎月の薪炭特別会計の支出の状況に関する月別のものを、ひとつ出していただきたいと思うのです。すぐには間に合わないだろうと思いますから、特別会計の帳簿から拾いましたものを、あとになつてもけつことですから、ひとつ委員会に資料として御提出を願いたい。なお大蔵政務次官なり三浦長官なりどちらからでもお答え願いたいのですが、薪炭債券の未発行額が三千万円ございますが、これは発行する御意思はないのですね。
  166. 水田三喜男

    水田政府委員 発行する意志はございません。
  167. 田中織之進

    ○田中(織)委員 以上伺いました点から総合いたしまして、今回の薪炭特別会計に対する一般会計からの繰入れは、われわれはきわめて明瞭を欠くものだと思うので、繰返すわけでありまするが、政府といたしましては本案を一応撤回いたしまして、生産者に対する未拂金の清算のために、最小限度必要な二十億程度を薪炭特別会計へ融資その他の方法によつてやる——薪炭債務は日銀が引受けておることだろうと思いますが、そういうものを国民の血税から償却するということに対しましてはわれわれは賛成できない。ことに先ほど同僚松尾委員質問に対しまして、水田政務次官から述べられましたように、こうした形において官僚統制が、国民に対して非常な負担をかけてここで結末をするのであります。すでに今年は比較的暖冬だということも言われておりまするけれども、こうした形において現在特別会計が事実上閉鎖されておる。従つて薪炭が統制をはずされているけれども、今年の冬いかにして寒さに耐えるかということについては、国民は必ずしも林野長官なり政府当局が放送するような楽観したことを考えておりません。従つて官僚統制を廃止するということは、われわれもこれは双手をあげて賛成している。われわれは戰争中のいわゆる軍人、官僚を中心としてこしらえて来たところの特別会計が、こういう結末になるだろうということはおよそわかる。しかしこの統制が廃止され、たとい一時的な混乱だとはいえ、今年の冬の薪炭の需給状況における混乱状態というものは、これは政府としても相当責任を持たなければならぬ問題だ。われわれは官僚統制を廃止することに対しては反対するものではないけれども、その廃止する過程において起る混乱に対して、政府は野放しで責任をとらないどころか、こうした五十億からの国民の血税で補填しなければならぬということについて——ことにこれはわれわれがどういうように検討いたしましても、昨年の末から本年の初冬の間にかけて、この赤字の問題が急激に増加しておつたということは、具体的な数字によつて明らかになつておる。そういう見地からこうした赤字の問題についての原因追究は、今後なお続けられなければならない性質の問題だと思いますから、さしあたり生産者に対する二十億の支拂いのための財源を確保するという措置にとどめまして、薪炭債券は薪炭債務としてそのまま清算が結了するまで延ばすという意味において本案を撤回する意思がないかどうか、お答えを願いたいと思います。
  168. 水田三喜男

    水田政府委員 先ほども申し上げましたように、これはどの機関がやつたにしても結局政府がやつたことであり、ほかの人がやつたのだから拂わないというわけには行きませんで、しよせんは自分がやつたことでありますから、その跡始末はどうしてもつけなければならぬ。国民に拂うべき金を拂わずにいるというわけには参りませんので、しよせん跡始末をしなければならぬとしたら、どうしても早いほどいいので、これは早急に切りをつけたい、こう思つておりますので、一部切り離して未拂金だけを処理するという考えはございません。また実際から申しまして、これは先ほどから責任問題が出ましたが、小澤国務大臣が言いましたように、この責任というのも非常にむずかしい問題でありまして、もつと早いときにだれかが気をつけて見つけて、これを押えてくれたらこんな問題にならなかつたかもしれませんが、歴代内閣がみんなやつていない。一ぺんもたなおろしもせずに今日まで来たのでありますが、これは私たちがむしろ悪い役を引受けてむろん現政府にも責任があるかもしれませんが、しりぬぐいをわれわれが買つて出たという結果になつておりますので、これはひつと共同の責任としまして、ここらで解決さしていただきたい。特にこれをお願いする次第でございます。
  169. 北澤直吉

    ○北澤委員 薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、農林委員会及び予算委員会におきましても十分に質疑が行われ、また当大蔵委員会におきましても委細を して質疑が行われておりますので、この法案に関しまする質疑はこれをもつて打切られんことを望みます。
  170. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止
  171. 川野芳滿

    川野委員長 速記を始めてください。  北澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」「反対」と呼ぶ者あり〕
  172. 川野芳滿

    川野委員長 それでは質疑打切りに対して、反対があるようでございますので、採決をいたします。  北澤君の動議に反対の諸君の起立を願います。     〔反対者起立〕
  173. 川野芳滿

    川野委員長 起立少数。よつて薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案については、質疑を終了とすることにいたします。     —————————————
  174. 川野芳滿

    川野委員長 次は国民金融公庫法の一部改正する法律案議題として質疑を続行いたします。
  175. 北澤直吉

    ○北澤委員 国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきましても質疑が十分行われたと思いますので、これをもつて質疑を打切られんことを望みます。
  176. 川野芳滿

    川野委員長 北澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」」と呼ぶ者あり〕
  177. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますので、国民金融公庫法の一部を改正する法律案質疑終了とし、なおこれより討論採決に入りたいと存じます。  討論は通告順によつてこれを許します。北澤直吉君。
  178. 北澤直吉

    ○北澤委員 国民金融公庫法の一部を改正する法律案の趣旨は、要しまするに出資額を増額するというのでありまして、これは一般庶民の金融に非常に貢献するところがあると思います。私は民主自由党といたしまして賛成の意を表します。
  179. 川野芳滿

    川野委員長 田中織之進君。
  180. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は社会党を代表いたしまして、本案賛成の意見を表明するものでございますが、それにつきましては最近における政府のデフレ政策のために、庶民階級の金融難がますます激化する一方であります。さらに年の暮れを迎えまして、そうした傾向がまさに助長されるような傾向にあるのは非常に遺憾でありまして、その金融梗塞状態に対しまして、きわめて少額ではありますけれども、政府国民金融公庫の出資額を増額いたしまして、そうした面の一部の需要に応じようとする趣旨にはわれわれは賛成するものであります。しかしわれわれの期待しておる金額にははるかに及ばないのでありまして、午前中の質疑におきまして明年度においては生業資金に十二億、更生資金に十億をさらに増額する計画を政府当局が持つておられるということを、政府側から承つたのであります。二十五年度において政府が現に計画しておりまするものを、さらに一段と増額いたしました形において、この金融公庫を通じて貸し出されるところの資金が充実されることを、必ず実行していただきたいということを強く希望條件として付しまして、本案賛成するものであります。
  181. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  182. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 民主野党派を代表いたしまして、本案賛成するものであります。しかしまだこの出資金の問題につきましては、いろいろわくがありまして、たとえば五万円の限界とか、あるいはまた貸付のいろいろの不公平の状態もあるようですが、当局におきましてもこの点を十分心せられまして、善処せられんことを希望いたしまして、本案賛成するものであります。
  183. 川野芳滿

    川野委員長 河田賢治君。
  184. 河田賢治

    ○河田委員 私は共産党を代表しまして、本案賛成の意を表明するものであります。  今度の政府出資金あるいは生産資金等の貸付が若干ふえたことは、これらの資金を非常に要望しておる人にとつては、それだけの効果があるわけでございますが、社会党の田中君も言いましたように、現在の情勢としてまだまだ各方面へ資金の需要に応ずるだけのものがこれに含まれていない。なお明年においても若干出るようでありますが、われわれは特に現在の日本の中小産業の状態から見て、相当多額の金額を要し、できる限り日本の中小産業特にまた日本の民族産業を守つて行く方向にやるべき責任があると思うのであります。この点についてわれわれは一応今度のものはきわめて少額ではありますが、不満足な額ではあるが、これに賛意を表すると同時に、従業員の給與につきましても今度一億の増額をする、こういう点はきわめて妥当な点だと思うのであります。もちろん他の銀行等から比べますれば、まだまだ金融金庫等の従業員の給與は低い。なおかつ増員される場合口には、本年の春首切られました者に、できる限り條件が合えばこれを優先的に採用するということを政府は特に考慮して、この法案の実施に当られることを特に希望として申し添える次第であります。
  185. 川野芳滿

    川野委員長 内藤友明君。
  186. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 私は新政治協議会を代表いたしまして、この案に賛成いたすのでありますが、実はこういう案をいつも私どもは議しながらも、常に不満にたえないのは、農村金融の問題であります。復興金融金庫の増資のたびごとに、私どもは強い要望をいたしておつたのでありますが、それが満たされません。今度また国民金融公庫資本の増加の問題が出て参つたのであります。もちろんこれは賛成でありますが、こういうことにつきましては、大蔵省は非常に勇敢に急いでおやりなさるのでありますが、農村漁村に対する金融のことは少しもお考えなさらない。少しも出て来ない。こういうことは私ども非常に不満であります。御承知の樋リ農村に対する行政費の支出は非常に減つております。また大蔵省の預金部の金はほとんど出ておりません。先般農林復興の資金といたしまして、四十億をお出しなさつたのでありますが、結局のところ二十億八千万円しかほんとうに出ておりません。こういうことでありまして、まことにどうも何と申しますか、日本全般の産業から見ますると片手落ちであります。こういうことになりますると、必然的に農村軽視のことが現われてくるのでありまして、こういうことが今日農林大臣不信任ということまで発展して来るのだろうと思うのであります。これは歴代の内閣もそうでありますが、特に今度の内閣は農村軽視の傾向まことに顕著なものがあると思います。そういう点をはなはだ遺憾に思いまして、本案賛成いたします。
  187. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。これより本案議題といたし採決に入ります。本案賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  188. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書その他の件については委員長に御一任を願います。     —————————————
  189. 川野芳滿

    川野委員長 次は旧軍関係債権処理に関する法律案議題として質疑を続行いたします。午前中御要求になりました会計検査院検査第四局長小峰保榮君も御出席になつております。
  190. 川島金次

    ○川島委員 議事進行について、委員長ちよつとお伺いいたしたい。本委員会の運営について委員長の所見をただしたいと思う。先ほど質疑の打切りの動議に対しまして、委員長はこれをただちに採択の諾否を委員会にはかられたようであります。元来委員会の運営というものは全員を代表した理事が選出されており、委員長を中心として各党各派の間において、できるだけ審議の円滑を期するということがきわめて重要な仕事とされて、理事会も何回か各案ごとに招集されて来ている。しかも先ほどの動議については、各党の理事は、野党質疑打切りの動議であります。私も微力ながら社会党の理事であります。與党の最も先輩であり、委員会の運営については多年の経験を持つておられます川野委員長、及び理事として多年の円満な経験を持つておられまする島村理事。これはどういう事情であるかわかりませんが、私と島村理事との間においては、そのようなことは今日は大体においてしないという打合せまでわざわざできておつたにもかかわらず、まだ質疑があるやにわれわれ感じている問題について、突如として、北澤君から動議が出され、そうして多数をもつてその動議を採択して打切りを決定したという、この委員会の運営の方法につきましては、われわれはきわめて不満であり、また委員長のその態度に対しましては、われわれはきわめて憤懣の意を表するものであります。今後委員長に事おかれましては、この委員会の円滑なる運営について、理事というものは必要がないものなのか。理事会を開かずして私的に話合いをして、全体の意向をくみとらずしてこの委員会を運営して行くつもりであるかどうか。この機会に、きわめて軍重要な法案がまだ山積しているときでありますので、特にこれを公開の席上でお伺いしておきたいと思う。
  191. 川野芳滿

    川野委員長 委員長といたしましても、常に理事の諸君と緊密な連絡をとつて委員会の運営をはかりたいという考えのもとに、実は理事の諾君にも御相談申し上げて運営をやつているような次第であります。本日も実は午後北澤理事、内藤理事、前尾理事、それから共産党の理事の林君が外出でございますので、実はここにお見えの河田委員も御列席願つて、いろいろ御協議をしたようなわけであります。その結果大体において森農林大臣の出席があるならば、この薪炭会計の質疑は打切つて討論は後日に延ばす、こういうような御了解が大体できたわけであります。その後川島委員もお見えになりましたので、委員長といたしまして、その旨を川島委員にも相談いたしたものと、実は了解いたしておつたような次第であります。島村委員はお見えになりませんでしたので、そういうようないきさつを御承知ないために、島村理事と川島理事との間に、そういうふうに話合いがあつたことになつたようでありますが、ただいま申しましたように、委員長としても川島委員にも理事会でまとまつたような意見を御伝言申し上げて、御協力を願つた委員長は存じております。しかし言葉が足らないために、川島理事に対して御了解が行かなかつたような点がございましたならば、幾重にも御了承願いたいと存じますが、理事の諸君にもはかつて円満な運行をたつていきたい、こういう理想のもとに御相談は申し上げたつもりであります。さよう御了承願いたいと思います。
  192. 川島金次

    ○川島委員 委員長は私にそういう旨の伝達があつて、私が了承したと記憶のようでありますが、そういうことはないのであります。今から約一時間前に、島村理事——しかも島村理事は與党でこの委員の中では最古参の理事さんだと私は考えている。その有力な理事さんからお話があつたのでありますので、それはさだめし委員長の意を含んでのお話であると私は理解しておつた従つてその理解のもとに島村理事と話合いをいたしたのであります。その話合いの結果は、ただいまの委員会の運営の仕方とはまつたく雲泥の違いのある、まるで野党のわれわれを何かぺてんにでもかけたような感じのするような委員会の運営の仕方である。そういうことであつては、せつかく終戰後の国会におきまして、大蔵委員会というものは、他の委員会に比較してきわめて円満に遂行されていることは、川野さんもよく御存じなんだ。その委員会においてこのようなことが今後も続くようでありますれば、われわれも考えを直さなければならぬと思う。そこで委員長にお伺いするのですが、島村理事から話合いがあり、私はそれに対していろいろの話を申し上げた。それでお互いに腹の中で、とにかくこの本日の問題については、あすにでも事情によつては延ばそうじやないかという話合いがまとまつた。これはさだめし委員長の意を受けてのことであろうと私は理解して、紳士的に話を申し上げ、紳士的にその事柄を信じて来たのであります。そういうことでなかつたとすれば、一体これからどういうことにして話合いを進めていいのか、わからなくなつて来る。そういうことについて、どういうお考えを特つているのですか。
  193. 川野芳滿

    川野委員長 お答え申し上げます。実は島村長老理事に信頼いたしまして議事運営の御援助を願つているわけですが、御承知のように島村理事は今予算委員をも兼ねておられまして、非常な多忙な身であられますので、実は本日は初めから御出席の北沢委員の御援助を願つて議事の運行をやつてつた、こういうことで委員長と北沢理事との問の話合いで、実はやつてつたわけでありますが、先ほど私から答えましたように、島村委員委員長の間の意思の疏通を欠いた紛来、社会党の皆様に御迷惑をかけた、こういうことに相なりまして、遺憾の点はあつたかと存じますが、ただいま申しましたような事情でございますので、御了承願いたいと存じます。——ちよつと速記をとめてください。     〔速諸中止〕
  194. 川野芳滿

    川野委員長 それでは旧軍関係債券の処理に関する法律案議題とし、質疑に入つたわけでありますが、御質問があればこの際お願いしたいと思います。
  195. 中崎敏

    ○中崎委員 議事進行に関して、。実は今のような問題もまだ一未解決ままになつておるわけであります。さらににまたあちらからもこちらからも、きようはこの程度にせいというような意見もありますので、一応休憩して理事会を開いた上でこれらの問題を協議した後において議事の進行をはかつていただきたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  196. 川野芳滿

    川野委員長 それでは暫時休憩いたします。     午後四時十二分休憩      ————◇—————     午後四時三十二分開議
  197. 川野芳滿

    川野委員長 再開いたします。島村一郎君。
  198. 島村一郎

    ○島村委員 ただいま川島委員から議事の運営につきまして、委員長におとがめがあつたようでありますが、実は私は例によつて自分で交渉係を勤めることが責務だと考えましたので、各党との御連絡を申し上げたのでありますが不幸にして予算委員と兼ぬておりますので、あつちに行つたり、こつちに行つたりしまして、その問北沢君が代行してくれたんだというようなことを知らなかつたので、こういうおしかりがあつただろうと思います。こういう点につきましては、私どももちろん反省の必要を認めますので、以後必ずおしかりのないように御連絡申し上げ、しかも委員長をとがめさせることのないように努力して参りたいと思いますから、どうぞこの点は各党において御了承を願いたいと思います。
  199. 川野芳滿

    川野委員長 なお委員長からもお願い申し上げますがただいま島村委員からも釈明がございましたが、実はまつたくの手違いでございますので、川島委員におかれましても、あしからず御了承くださるようにお願い申し上げます。なお今後とも委員長をお助けいただきまして、本委員会には第六国会におきまして、多数のまだ議案が残つておりますので、どうぞひとつ議事の進行をはかるように、御援助たまわらんこと事を切にお願い申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十四分散会