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1949-11-24 第6回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十四日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 小山 長規君 理事 島村 一郎君    理事 前尾繁三郎君 理事 川島 金次君    理事 荒木萬壽夫君 理事 林  百郎君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 内藤 友明君       江田斗米吉君    岡野 清豪君       佐久間 徹君    高間 松吉君       塚田十一郎君    苫米地英俊君       中野 武雄君    西村 直己君       三宅 則義君    中崎  敏君       宮腰 喜助君    河田 賢治君       深澤 義守君    中村 寅太君       中野 四郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小澤佐重喜君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         林野庁長官   三浦 辰雄君         (経理局長)         郵政事務官   中村 俊一君  委員外出席者         農林事務官   濱田  正君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 十一月二十三日  郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳  入不足補てんのための一般会計からする繰入金  に関する法律案内閣提出第四八号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四九号) 同月二十四日  国の所有に属する物品の売拂代金の納付に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第二  八号)(参議院送付)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第五〇号)  復興金融金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第五一号)  復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)  大蔵省預金部特別会計外特別会計昭和二十  四年度における歳入不足補てんのための一般会  計からする繰入金に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第五三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第三一号)  郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳  入不足補てんのための一般会計からする繰入金  に関する法律案内閣提出第四八号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四九号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 ただいまより開会いたします。  去る十五日提案理由説明を聽取いたしました薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題として、質疑に入ります。質疑通告順にこれを許します。小山長規君。
  3. 小山長規

    小山委員 質疑に入ります前にお伺いしたいことがあるのです。特別会計赤字内容についてという資料をいただきましたのですが、この資料はまことにどうも困つた資料でありまして、第一表題から、特別会計赤字についてと書いてあるけれども、何の特別会計だかわからない。そこへ持つて来てこの表の、いろいろありますが單位と、それから何日現在かということがわからないのであります。それで私の質問も、その点であるいは的がはずれて来るかもわかりませんが、まずその單位を示していただきたいのは、まん中ごろに二十三年度より現在に至るまでの政府手持薪炭状況というのがありますが、これは一体單位は円なのか俵なのか。
  4. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この木炭におきまする数量の表はトンでありまして、四月では二十五万トンであります。それからまきにつきましては層積石——これはたな積みあるいは結束いたしまする関係があつて層積という字を用いますが、要するに十立方尺の容積に当るものを單位といたしまして層積石と申します。それからガスまきはやはりトンでこれを表わしております。單位をつけないで恐縮であります。
  5. 小山長規

    小山委員 その次に、三枚飛びまして「現品不足別調書」というのがありますが、これは何日現在であつて單位はどうなつておりますか。
  6. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この單位は、木炭は俵でございます。まきは束であります。ガスまきは俵であります。この木炭の俵は十五キロ、いわゆる四貫俵換算でございます。ガスまきの方は、俵と申しましてもその当時やつておりました三十キロ俵でございます。時期は二十三年度末、つまり二十四年の三月三十一日現在であります。
  7. 小山長規

    小山委員 わかりました。その数字につきましてはあとでまた補足いたしますが、その前にまずお伺いいたしたいのは、提案理由書によりますと、二十三年度末の赤字損失累計三十四億、こう書いてあるのでありますが、資料によりますと二十三億八千万円、この食い違いはどういうことでありますか。
  8. 三浦辰雄

    三浦政府委員 二十三億は明らかに欠損と考えられる数字でございます。それと三十四億との食い違いの十億余りは、先ほど御質問がございました二十三年度末で現物不足しておりまするものに対する金額、これを一応欠損という中に入れてある関係から三十四億になつております。
  9. 小山長規

    小山委員 二十三年度末における現物不足額の正確な数字幾らでございましよう。
  10. 三浦辰雄

    三浦政府委員 木炭まきガスまき、それの現物不足の総物件に対しまする合計金額は十億五千三百五十八万四千百二十八円であります。
  11. 小山長規

    小山委員 提案理由の次に書いてありますところの残務の整理によつて生ずることが予定される現物不足、この金額はどのくらいお見込みになつておるか。それから手持薪炭値引き減耗損、これを幾らにお見込みになつているか。それもあわせて御説明願いたいと思います。
  12. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この特別会計の二十四年度におきます欠損見込みと申しますか、欠損と考えられておりまする現在の数字を一応申し上げますと、手持薪炭値引き減耗損が十一億五千百六十九万九千二十二円、これが大体今年度末から来年度へ越しました数量、それからこの七月末買い入れました薪炭数量、これに対しまして値引きをしなければならない、減耗を見なければならぬ数量のこれに対する金額が、さような数字に予定されておるわけであります。それからなおこの特別会計の閉鎖に関連いたしまして、また時期が春先であり、その処分が遅れる関係からいたしまして、保管備蓄というような経費がかかつておる。これが二億一千二十三万七千六百円、また卸売業者に対する余分持ち量という問題がございます。これは昨年の十一月、当時三千八百円ベースから出ておつた卸売マージンが、十一月ごろではすでにそういうことでは人を雇えない。そこで一方政府といたしましては、消費地に入荷させたものをすみやかに販売をいたしまして、その金を産地の方にまわしてやらないと、産地の方に対する支拂いが遅れる。こういうような事情からいたしまして、結局そこで木炭につきまして一俵三円、まきについて一俵一円というものを特に増した。その関係をことしの四月の二十二日まで続けて参りました。それでその事情によるものは四千百八十二万四千二百五十四円。それからその当時また産地の方におきまして、従来の一本の指定集荷機関複数制になりました結果、従来のマージンでは取扱いが多岐にわたり、数量も低くなり、少くなるという関係で、これまたある程度増さざるを得ない。木炭につきまして一俵四円、まきで一束八十銭、これを増さざるを得なかつたのを、同じく四月二十二日まで続けましたので、その間におきます本年度分として九千一万四千七百大十二円というものが、そこに想定されるわけでございます。その他薪炭証券を五十四億七千万円発行をいたしました結果、予定以上にその利息を増加しなければならぬ勘定からいたしまして、これが一億三千九百九十二万五千七百円、その他……。
  13. 小山長規

    小山委員 今の私の申し上げたことについていろいろ御説明になつておりますが、はなはだ恐れ入りますが、重ねて初めから薪炭特別会計が二十三年度末までになぜこれだけの損失を生じたかということ、それからこの損失内容、こういうものをほかの委員会ではたびたびやつていらつしやいましようが、大蔵委員会では初めてでございますから、これをかいつまんで系統立つてお話を願つて、そうして質問に移りたいと思いますので、途中でございますが、どうぞそういうふうにお願いいたしたいと思います。
  14. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この特別会計昭和十五年度から始まつたのであります。そこでその昭和十五年の大体の模様を申し上げますと、その当時は県外に出す炭だけをこの会計として扱つてつたわけでございます。そこで生産県といたしましては、木炭需給もまことにきゆうくつ関係からいたしまして、なかなか県外の方には出したがらない。こういうような状況でありましたので、九月から消費地の方に出す分につきましては、特に政府が買う場合は一俵について十銭を加算していいということにして、産地のもより駅貨車載せ価格マル公価格に十銭を加えて買入れを断行いたしました。そのマル公との差益に対する十銭分だけは明らかに損失であつたわけであります。また産地から消費地に参ります運賃は、予算で計上しておりました額よりも実際の單位当り経費が多くなつたということでありまして、マル公によりまする俵当りの銘柄によつて違いますが、八銭ないし十銭の運賃経費が、実績によりますると俵当り十五銭ないし十八銭になつている。このことからいたしまして百九十五万二千二百五十六円というものが、この原因からよけいにかかつたものと考えられます。また先ほど申し上げました一俵についての十銭の特別加算経費は四百六万三千五百九十余円、また集荷を委託するために支出増加した経費八十三万四千九百五十六円、その他の経費の増といたしまして百九十四万余円を加えて、最初の出発であつた十五年におきましては、八百七十九万七千六百八十一円が実質上損をしているように考えられる金額でございます。  それから次の昭和十六年に参りますると、この年の八月には薪炭価格改訂せられたのでありますが、それまでの間は十五年で損をした理由つまり買入れと売渡しとの差額より、実際上要した金額の方が多かつたという理由は当然あるわけでございます。そういつたことと、なお経費の必要からいたしまして増嵩したもので、十六年度におきましては百七十万三千五百八十九円が損失したように相なります。  また翌年の昭和十七年になりますると、いよいよ戰争も大きくなりまして、石炭、コークス、石油、ガス、電気といういろいろな燃料事情が非常にきゆうくつになりました。そこでそれらの品は全部薪炭関係に参りました。そこでこの年はすでに当時の総理大臣農林大臣等が陣頭に立つて中央地方関係官庁、あるいは団体を動員して薪炭の、ことに木炭増産推進方策を確立したのでありますが、その際またも中央への集荷が非常に少い、消費地への集荷が少いということから、供出促進のためにマル公を八月に改訂したのであるけれども、さらにその秋には一俵十銭の加算をまたやる。また二十キロ俵以上のものにつきましては十五銭をやる。こういうような特別加算をただちにまた繰返すような状況でございました。これらが百七十七万六午三百二十一円の赤をつくつているようでございます。  それから越えて十八年に至りますると、この年はいわゆる価格調整資金制度ができまして、政府としてはなるべく低物価で押えなければならぬ。ことに生活必需品においては低物価で押えたいということで、この木炭価格調整対象と相なつたわけでございます。こういうことをやつたのでありまするが、それらの一般会計からの価格調整としてもらつた額が、この年に五百九十七万一千円という当時としては大きな額を、この特別会計に繰入れとしてもらつたのでありますが、なおかつ二十六万六千三百三十八円が、この集荷促進等関係から赤になつているのであります。なおこの十八年に至りまして七月にまき買上げ対象としなければならないような状況になりました。なおかつこの十八年の秋九月には、木炭につきましては従来の駅で買つてつたのを、それでは供出関係ぐあいが惡い、需給関係ぐあいが惡いというので、いわゆる政府指定場所というトラツク、馬車着のところを政府買上げ場所として、そのままの価格買上げを続行した。まきについても越えて十九年二月には、同じく政府指定場所が奧に入つたのもこの年でございます。  それから昭和十九年度になりますと、さらに需給は一層困難になりまして、生産量も十七年度を最高にいたしまして逐次下つて参りました。すなわち便利なところの立木資材というものが不足になつて来た、従つて生産量も落ちた、あるいは人力も少くなつて来たという関係から、需給は一層困難になりました結果、十月からは木炭については、もうかまをついてあればそのかまのところで買う。まきについては山とこでよろしい。つくつてまきのかつこうになつ場所でそのまま買う。こういうように非常に奧の奧の一番奧まで買い上げる場所を持つて行つたのでございます。そういつたほかにさらに需給関係からいたしまして、この十九年の十一月から翌一月まで三月の間はさらに困難であることから、木炭において一俵五十銭、まきについては一束平均九銭の季節的価格加算をやつた。また二十年三月——十九年度の最後の三月でありますが、さらに輸送を強化しなければならぬという関係から、木炭について十五キロ俵、つまり四貫俵については二十銭、まきについては一束当り五銭の加算をして、その供出を促進させた。こういうようなことから輸送費は非常に増嵩をいたしました。つまり従来の駅いわゆる政府指定場所買つてつたのを、さらに最も深いかまの前でできたらすぐ買う、まきについてもまきのかつこうになつたその場所で、いきなり山とこで買うというような買上げの形に変更いたしました結果は、輸送費の非常な増嵩を来しまして、この年一般会計から六千七百五十五万六千四円の繰入れがあつたにもかかわらず、さらに本会計といたしまして六千二百二十五万三千八百五十三円という、かなりの金額が赤になつているように考えられるのであります。それから翌年の昭和二十年度になりまして、この年は八月突如としたあの終戰の結果、製炭労務者の中には下山、休業する、あるいは一般にも放心状態といつたような関係で、非常に薪炭生産状況が低下した。従いましてこの県外移出生産供出状況も非常に変調を来しまして、この特別会計もまた大困難をこうむつたのでございます。そしてこの年は県外移出木炭に対する加算をいたしました。それは四貫、十五キロ俵で二円、まきにつきましては一束三十銭というものを特別に加算したのであります。また東京都だとか大阪だとか、こういう大消費府県内の生産というものは、もう産地の方から送つて来ることも運搬上非常に困難である、なお大消費地としては極力自分の方の県に割当てられた数字くらい出すのは、当然だという声も一般としてありました結果、そこで大消費府県における生産地薪炭に対する加算をいたしました。木炭について一俵四円、まきについて一束一円三十五銭という特別の加算をして、産地から来る輸送の困難による集荷の不十分をある程度カバーする、こういう方策をとつたのであります。また一面供出関係を確保したいために、予約製炭という制度をこの年とりました。それは一定のある大きさ——一箇年何千俵以上燒くもので、その燒いたものは政府の方へ供出するというふうに初めから予約したものに対しては、一俵三十銭を特別に応援して負担してやる、こういうような制度もこの二十年にとつたのでございます。また西日本の方面におきまする水害、すなわち広島外七県の水害による被害が非常に大きかつたために、緊急対策として木炭について一俵一円、まきについて一束四十五銭の割合でこれに特別支出をした。こういうようなものが合さりまして計一億二千七百五十九万三千四百七十三円というものが、二十年度において赤になつておるような状況でございます。  それから二十一年度に相なりますると、インフレと申しますか物価の異常な高騰にかかわらず、いわゆるマル公の訂正がなかなかそれに伴つておりません。もとより政府としてはそのマル公を上げないためであつたのでありましようが、要するになかなか買付が思わしく行かぬ。そこで一方薪炭といたしましては増産増送ということをせなければなりません関係からして、十一月のマル公改訂まで待てずに、特別な支出を運用上約束いたしましてその増産増送をはかつた。この年は県内輸送代行費を多くした。あるいは船運賃についてある程度増加運賃を出した。出荷奨励に対して出した。こういうようなことで四億二千七百万円、それから引取運賃を増したことが三千三百万円、それら等で三十一年度におきましては、五億七千九百万円というような赤を出しておるように考えられるのであります。また翌二十二年におきましても依然として需給は逼迫しております。増産、増送運動というものは年度がかわつた四月から、ただちに開始をしなければならない。こういうような状況でありまして、あるいは早くかまをついたものについて八月、九月十月までにできたものについては一俵四円特別加算をする。十一月、十二月の年内に出たものは、二円の特別加算をしてあげるということにし、あるいは運賃年度の初めに契約した運賃ではなかなか出て来ない。どう調べてみてもその当初の契約のむりであつたというものにつきましては、特別小出し賃と申しまして、その運賃実質的改訂をした。こういうようなことが主たる原因になりまして、二十三年度におきましては合計して六億八千二百四十九万五千余円というようなものを、赤字数字として考えなければならぬような状況になつております。二十三年度におきましては十月までは実はかなり早期つきがまであるとか、増産増送の結果順調でありましたが、アイオン台風がありまして、東京を中心とする東北地方は非常な打撃をこうむりましたために、たとえば岩手の供出不能となるべく予想される百万俵を他の府県に割当てまして、それについて一俵について特に七円というような特別な奨励費を出した。ところが十二月末と申しますか、越えて二十四年の一月ごろになりまして、各種燃料の比較的予想以上の好転、また天候自身の温暖、産地等におきまするところの生産関係人力増加ないしは経済上の多少の変化、こういうような事情からいたしまして、生産思つたより以上にでき、また雪等が少い結果予想以上に出る。しかるに消費地におきましては各種燃料好転と温暖、そうして入つて来たというひとつ安心感からいたしまして、消費者経済事情と相まつてそこに消費が比較的に細くなつた。あるいは選択買いをするというような状況変化からいたしまして、政府といたしましては、非常な数量備蓄しなければならない。こういうような結果、予想以上にいわゆる備蓄費保管費減耗というものをそこに出現いたしまして、九億五千万円程度の欠損という数字を見ざるを得なかつた。かような状況が今までの大体の状況でございます。
  15. 小山長規

    小山委員 ただいまの御説明でおおよそ御説明終つたと思うのでありますが、そこにちよつと不審に考えられますのは、ただいまの説明予算外支出説明であろうと思います。ところでそういたしますと、この間に特に昭和十五年から二十年の終戰の当時あたりまでは、マル公改訂というものはやらなかつたのでありますか。
  16. 三浦辰雄

    三浦政府委員 マル公改訂はその間にしばしばやつております。やつておりまするけれども、一方におきまして諸経費増嵩も非常にございました結果、お手元まで差上げました資料にあります通り、売上げの金額と買入れの金額とのいわゆる益金に比べて、経費の方がそれよりも多くかかつた。その結果が結局その年度におきますいわゆる実質上の赤字ということに解されるわけであります。
  17. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと小山さんに御相談申し上げますが、三浦政府委員予算委員会ちよつと呼ばれたのですが、薪炭課長濱田さんがお見えですから、濱田さんでいかがですか。
  18. 小山長規

    小山委員 それでは数字のわからないところとかそういうことだけを質問しておいて、あと三浦さんにお伺いすることは残しておきます。
  19. 西村直己

    西村(直)委員 三浦長官になお聞きたいことがありますが……。
  20. 川野芳滿

    川野委員長 午後お見えになります。
  21. 西村直己

    西村(直)委員 よろしゆうございます。
  22. 小山長規

    小山委員 それでは薪炭課長にもう一つお願いがありますが、これはもう継続審議農林委員会でもさんざんもみ拔いたものであろうと思います。そこでかいつまんでどういう点が一番問題になつておるかということを御説明願うと同時に、ただいまの三浦長官説明でどうもふに落ちないのは、マル公改訂がしばしばあつて、しかも予算以上にこれだけの支出があつたということはお伺いしたのです。ところがこの説明で、年度末に木炭価格改訂をやつておるということから言いますと、特別会計としては二十三億という赤字がこの説明だけでは出て来ないはずです。これは実質上の損害であつて手持木炭の評価がえをすればそれだけの利益が出て来る、こういう特別会計の仕組みである以上は、こういう赤字が出て来るのはどうもわれわれふに落ちないのです。その問題をあわせて御説明願うと同時に、今まで農林委員会で問題になつた点、その他ほかの委員会で問題になつた点を、簡單かつ明確に問題の焦点を示してもらつて、なおわれわれとしては大蔵委員会の立場から、いろいろお聞きしたいことがたくさんありますから、そこに焦点を持つて行くというふうに、あなたの方で積極的にこの委員会質問時間が割合に集約されるように、仕向けていただきたいと思うのであります。
  23. 濱田正

    濱田説明員 まず農林委員会で今まで問題になつた点をかいつまんで申し上げます。農林委員会で一番大きな問題になりましたのは、特別会計が八月一日をもつてとまつたときに、生産者に対してなかなか拂わぬじやないか。だからその金をすぐさま拂うようにせよ。そうせぬと貧窮せる生産者が非常に困る。同時に今までの政府の未拂分を拂つてもらわないと、新しい生産にまたこたえて来るので、これを早急に拂え。こういう点がまず第一番の大きな問題であります。次の点は、二十三年度末に三十数億の赤字が出ておる。その内容について見れば大きなものとして現物不足、それから昨年度備蓄、こういうものが非常に大きな点になつておる。その他輸送需給上やむを得ず出した横持ち料とか手数料というものが大きな金になつておる。その内容を明らかにしなくちやならぬ。ただ一般会計から金を入れるとか入れないとか、赤字を補填するとかしないとかいうような漠然としたことでは困る。この点を明確にしなければならぬ。それに関連してこの現物不足の中には、いろいろの原因もあろうし、また不正事実もあるかもしれない。だからこの点も政府としては責任をもつて、徹底的に追究するというやり方で行かなくちやならぬのじやないかという点。次は生産者に拂わなければならない金をうんと持つてつて、他方において卸から政府のもらわなくちやならぬ金をまたたくさん持つておるということは一体何だ。卸から金をとる方法についていかようなる手を打つておるか。政府は卸から金を急速にとつて生産者に拂わなくちやならぬじやないか。こういう点。それからあとは大きな点だけを申し上げますが、将来の問題として特別会計がとまると——特別会計一つ金融的の操作で非常な有力なバツクをなしておつたが、それがとまると同時に金融が非常に困難になる。そうすれば生産者集荷資金なりあるいは原木資金なりに非常に困窮して来る。困窮して来れば自然需給関係が惡くなつて来る。そういう点があるだろうから金融措置について政府はしつかりやつて需給調整について遺憾のないようにしなくてはならぬじやないか。こういう点が農林委員会で今まで審議された重要な点であり、それを中心にしていろいろの資料を差上げておるわけであります。それからマル公改訂があつたにもかかわらず、経費が盛んに出過ぎておるではないか、こういう御質問つたと考えますが、これにどういうふうに申したらいいか。特別会計をやつて行くに従つて非常に苦しい点が出て来まして、採算を見て行くとどうしてもマージンをある程度上げてもらわぬとどうにもならぬ、そういう意味合いから逆にマル公改訂のときに政府マージンを見てもらつた。しかし見てもらつたが運用して行くに従つてどうしてもまたその通り行かぬ。こういう関係になつております。それから第三点の質問ちよつと了解しにくいのですが……。
  24. 小山長規

    小山委員 先ほど三浦長官の御説明なつたところは予算以上に——つまりあなたの説明とあわせて言いますと、マル公改訂し、そのマル公改訂の基礎に立つてつてみたが、予算以上にいろんな費用がかかつたということであります。ところが片方においてこの特別会計の規定によると、年末にある手持薪炭の評価がえをやるということになつておりますから、損失はあつても、この第一表にありますように損失が出て来ない年があるわけです。それを総計したのがほんとうの薪炭会計赤字であつて実質上の損害というのが赤字になる。つまりそれだけが政府債務の増大になるという説明がどうも受取りにくいのです。その間の説明をしていただきたいと思います。
  25. 濱田正

    濱田説明員 市価によつて改訂するということによりましてマル公が上つておりますから、年度末において手持量を評価すると、その評価が上つて来るわけです。そうするとその年度としては実現はまだしていない。言いかえれば名目上の利益を、その年度としては次の年度の分を先取りしておるわけでありますから、当年度とすれば損失が出ておつてもカバーされて来ておる。それをはずして考えてみますと、その年度としての実質的の損というものが明らかになつて来る、こういう説明をしたと思いますが……。
  26. 小山長規

    小山委員 その説明は伺つておるのですが、この年度末に評価がえしたのであります。従いまして、四月一日にはその評価がえした金額でさらに売つて行くわけでしようから、そこでさらに損失が出て来るという会計上の関係では、ここへ出て来ますのは、政府が現実に日銀その他に薪炭証券その他の形で責務を背負つているというのでありますが、この問題をわれわれは究明しようというわけであります。従つてその場合に評価がえしておつて、その評価がえしたものでその翌年には売るのですから、もう損失は出て来ないはずだと思うのですが、なぜ損失がそこに出るのか。
  27. 濱田正

    濱田説明員 評価がえしたから損失が出て来たのでなくて、評価がえをしたから損失をカバーして見えないようになつている、こういうことです。
  28. 小山長規

    小山委員 それはわかります。だが評価がえした結果は、第一表、第二表とつき合せて行くと、これだけの二十三億という損失にならないにもかかわらず、ここに提案の説明書によると、二十三億の損失プラス先ほど三浦長官からお話のあつた手持木炭の負担による損害というものを合せて、三十四億の損害が二十三年度末までにあつたという説明なんですから、第一表、第二表つき合せて評価がえをプラス・マイナスしてみると、二十三億八千万円の損失にはならないのです。にもかかわらずあなたの方では非常に損失の方だけとらえて二十三億の損失が二十三年度までにあつた、それでこういう政府の負債ができたのだというだけの説明であるから、それで少しおかしいと言うのです。
  29. 濱田正

    濱田説明員 それは従来の決算の年度末の損失と出ているものに対して、足すあるいは引くということで相殺すると、二十三億というのが出て来るわけです。
  30. 小山長規

    小山委員 いまの点は納得できませんが、ここで押問答していると長くなりますから、私の方で計数整理をしまして、あとでもう一ぺん質問し直します。  それではさらに次に移ります。今度の提案の趣旨は、五十四億の金を一般会計から繰入れて、これを生産者その他に拂つてやろうというのが焦点でありますから、そこに質問を集中して行きますけれども、政府が現在生産者その他に対して債務だと考えているものは、この表に載つておりますように、十月十七日現在においては日本通運に対して五億七千九百万円、海運関係に対して九億三千二百万円、集荷業者に対して十億一千四百万円、卸売業者に対して十億九千八百万円、営林署に対して二億一千七百万円、それから何だかわかりませんが、中日銀に三億四百万円、薪炭証券の二十五億九千万円、これだけなんでありますか。それをひとつお伺いしたい。
  31. 濱田正

    濱田説明員 この十月十七日調べの債務のうち、きわめてはつきりしておりますのは、日銀から借り入れた五十四億七千万円の金と、それは別にしまして、その他の債務として十月十七日としてこれに載せてあるわけです。これはさらに現在木炭事務所で、事務所側の帳簿と請求して来る側の請求と合せながら、確かにその通りだということになつたのが本省に請求してあがつて来るわけです。従いまして、十月十七日までにはこれだけのものが確かに間違いのないところとしてあがつて来たわけです。これからも清算の進行に伴いまして、両者の帳面をつき合せながら間違いないという分が逐次出て来るだろう、かように考えております。それから現在も清算進行中でありますから、その進行に伴う経費もかかつて来るわけで、これが債務としてさらにあがつて来るということが考えられますから、これだけがこれでぽつきりだということはまだ言い切れないわけであります。
  32. 小山長規

    小山委員 この中日銀というのは何ですか。
  33. 濱田正

    濱田説明員 薪炭の買入れ方法としてはこういうやり方をやつてつたのです。山元で政府が買う。その買うときには検收員が検査をしております。その検收員が検査をしたときには、支拂い証票というものを出す。その支拂い証票を企業製炭系統ならば市中銀行に行く。農業協同組合系統なら農林中金へ行く。そうすると市中銀行なりあるいは農林中金から政府にかわつて立てかえ拂いをやる。つまり迅速に金を拂う。一々書類を整えて本省まで来て、本省からまた前渡金を送つてやるというのでは生産者もとてもたまらぬだろうから、立てかえ拂いをやるというので、立てかえ拂いをやつて政府としてまだ拂い切つていない金、こういう意味です。
  34. 小山長規

    小山委員 そういたしますと、私が先ほど申し上げました政府債務のほかに、若干追加さるべきものがあるというお話でありますが、この表に載つております数字の合計は約四十九億円、それから提案理由による政府債務は五十四億七千万円、この差額の五億七千万円というものは今後出て来るであろう数字と、政府は考えていらつしやいますか。
  35. 濱田正

    濱田説明員 薪炭証券二十五億五千万円というのは三月三十一日現在の話でありまして、その後二十八億八千万円を買つておりますから、薪炭証券は五十四億七千万円ということになつておるわけです。
  36. 小山長規

    小山委員 それはおかしい。あなたの方の表によりますと、十月十七日現在で日通五億一千万円、海運九億三千万円、その他薪炭証券二十五億九千万円となつております。
  37. 濱田正

    濱田説明員 この中日銀と書いてあるのは薪炭証券ではないわけです。この表は薪炭証券五十四億七千万円を別にしての表になつておりまして、その他の薪炭証券でない日通とか海運業者とか卸売業者とか、あるいは営林署とかいうものに対する債務だけの表になつているわけです。
  38. 小山長規

    小山委員 そういたしますと、日銀に対する薪炭証初の数字は、十月十七日現在において五十四億七千万円、そうしてそのほかの債務が十月十七日現在で、二十三億千八百万円あるという話です。それはわかりましたが、さらにお伺いしたいのは、買入れ停止中に——これは提案理由には七月三十一日に買入れを停止したと書いてありますけれども、実際問題としては二月に買入れを停止している。そうしてその間に生産業者が組合員であるところの農業協同組合——これは将来政府が買い入れてくれるであろうということを一応頭に置いて、生産者の窮状を見るに忍びずというところで、生産者に対して立てかえ拂いを相当やつているはずであります。その立てかえ拂いの数字は先ほど言われました中日銀三億四千万円という数字でありますか、いかがですか。
  39. 濱田正

    濱田説明員 ちよつと前にさかのぼつて申しますが、二月から買入れを停止したということでありますが、これは二月ごろに資金操作に非常に困りまして、買入れのわくを非常に少くしたのでありまして、実質上の買入れ停止であります。ところがこれでは生産者が非常に困るだろうということになりますので、四月ごろになつて、新しい年度になつて資金が出て来るから、出て来るときに政府が買うことにする。それまでは生産者は待つておれぬはずだから、ここのところはしばらく中金に肩がわつてくれないかと十三億のわくをこしらえまして、十三億分だけは政府のものになつたという証明書を出すから、中金はこれに肩がわつてつてくれ。あとから四月になつて金ができたときに政府が買う。買つてそれを生産者に渡せば、生産者は中金に返すから、結局経済的には買つたということになるのではないかというやり方をやつたのが、二月からの買入れ停止ということになるのでありまして、実際上はそういう操作によつて買入れ停止をやつたわけではございません。ただそれにしても資金操りが非常に困難でありますから、従来二十三年度の十二月ごろまではできたものは持つて来る。持つて来さえすればいくらでも買つてつたというほどのことではなくて、資金を見ながら、わくをこしらえながら買つていたということはその通りであります。  それから次に中日銀の立てかえ拂いといいますものは、これは政府が確かに検收し支拂おうという証明書を出した。それから中日銀が政府にかわつてつてつたので、中日銀に対してわれわれは債務を持つているという関係になるのであります。  それからただいま御質問の点はこういうことではないかと思います。それ以外に政府買つていないもの、つまりまだ集荷業者の手にあるもの、政府買つてないものの金利云々、債務云々はこれには全然載つておりません。
  40. 小山長規

    小山委員 そういたしますと、買入れ停止中の間には、おそらく農協と政府との間に争いが相当あるはずであります。農協その他が立てかえたものと、現実に立てかえしている金額、及びその農協等がその間に他の金融機関から借りて来た資金の利息というようなものは、今度の政府債務の中には入つていないとおつしやるわけですね。
  41. 濱田正

    濱田説明員 そうでございます。
  42. 小山長規

    小山委員 そういたしますと実際問題としては、農業協同組合などは政府が買い上げてくれるであろうということで、その間に生産者の窮状を見るに忍びずということで実際買い上げている。いずれ政府が肩がわりしてくれるであろうということで、肩がわつて生産者に金を出している。そのために農協などは相当な負債を生じている。これは今度の政府債務の中に入つていないということであるならば、いつ解決するのでありますか。おそらく今度の特別会計の五十四億七千万円ということに触れられるそのことが、相当な政治問題であるところへもつて来て、まだ未解決の農協の債務は、今度の五十四億七千万円の政府支拂い債務の中に入つていないということであるならば、これはいつ解決するのであるか。それについては農林委員会その他でも相当もんだ問題であろうと思うのでありますが、その辺のところも政府は一体どう考えているのか。ひとつ教えていただきたいと思います。
  43. 濱田正

    濱田説明員 農林委員会で議論になつた点をまず申し上げておきたいと思います。農林委員会で議論になりました点に、ただいま御質問のように、八月一日をもつて特別会計が買入れ機能を停止したが、集荷業者としてはまだ特別会計が続いておるものとして、まだ着々と集荷をやつてつて、やむを得ず立てかえ拂いをしたものもある。それを八月一日をもつて停止したのだから、七月三十一日までに生産したものは全部買えと、こういう問題は農林委員会で非常にはげしく言われまして、それに対しましてその回答としましては、まず第一点は、六月一日以後を駅頭で買上げしておつたのであるから、いくら生産されたといえども、駅頭まで持つて来てない。まだ山の中にあるものまで買い上げるというようなことは不可能である。しかし生産者から見れば、特別会計がやつておる間は、相当価格にてこ入れをやつておるような状況でありましたが、特別会計が買入れ機能をとめますと、ある場所、ある地区、ある品物の銘柄によつては値段が下るということがあることは当然想定される。都市に近いところはむしろ上るかもしれないが、遠いところは全国をプールしている関係上下るところがあるかもしれぬ。これは生産者の受ける打撃から見れば、何とかして救済すべきものと考えるのであるが、特別会計自体も相当大きな損害を出しているわけであります。全量を買い上げ、買い上げて賣るときその値段ではなかなか賣れないのだ。そうすると損失がさらに追加され大きくなるという関係であるので、そうにわかに買い上げるわけには参りかねる、こういう行き方の実は回答をしておるわけであります。
  44. 小山長規

    小山委員 山元にあるやつまで買い上げるとかいうような問題、あるいはさや寄せになつておるから、駅頭まで持つて来なければならないという問題はありましよう。しかし集荷業者である農業協同組合あたりが現実に自分たちの組合に金を出してやつておる。そうすると現実苦境にあるのは農業協同組合です。農業協同組合は政府からも金がもらえない。生産者には金を渡してしまつた。この問題をどう解決するかということが、五十四億七千万円の政府債務を打切るかどうかという問題にからんで来てたいへんだと思う。この問題はいずれほかの委員からお話もありましようし、私も質問を打切つたわけでございませんが、ただ私としてはあなたの御説明を伺つたということにしておきまして、質問あとに留保いたします。  その次に今度のこの委員会で特に問題になるだろうと思うのは、債務支拂いの順序をどうするかという問題であります。つまり今度のこの政府債務といたしましては、日本銀行に対する薪炭証券というものがあり、片一方に集荷業者あるいは日本通運等の通運業者に対する債務がある。この表に載つておる。それで一体今度の一般会計からの繰入金は、薪炭証券は出さなければならない。あるいは生産者支拂いを先にやるのか。これが非常な問題だろうと思うのですが、それは今のところどういうことになつておりますか。
  45. 濱田正

    濱田説明員 生産者に対する全部の債務は二十三億現在のところはあるわけです。それでその中で最優先的に考えますのは、生産者方面に対する債務を最優先的に考える。それから薪炭証券の返還を考える。その薪炭証券の返還を全部やるわけではありません。五十四億七千万円としてはさように考えております。それで日通だとかあるいは海運業者とかありますが、これについては現物不足のところですでに説明があつたと思いますが、相当これらの追求によつて、弁償金として政府の債権として出て来るものがあるはずだ。これをとことんまで追求して行けば出て来るはずだ。そうすればそれを逐次何といいますか、政府の拂うものと、弁償金によつてもらうものと相殺して処理して行く。今ただちにその方へ拂つて行くというのでなくて、これは相殺して逐次処理して行くという考え方でおります。
  46. 小山長規

    小山委員 非常にわれわれもそういうふうに希望しているわけであります。それでその点はわかりましたが、さらに最後にただいまお話がありましたように、政府は、表によりますと、卸売業者、指定業者、輸送業者その他に対して二十二億五千九百万円の債権を持つておる。この債権の取立てがまた政治的には相当重大な問題だろうと思いますが、この債権の取立てに対して政府が現在までとつて来た処置、それからたとえばまだ未取立てのものに対しては担保権の設定をしておるか。あるいは今後どのような方法で債権の取立てをやろうとするか。その辺の御説明を伺いたいと思います。
  47. 濱田正

    濱田説明員 確かに政府の持つておる債権を、政府に回收して来る状況は非常に惡くなつております。われわれといたしましては、これをどういうふうにしてとつて行くかということは非常に重大な問題でありまして、今まで処置して来ました点は、ただ納めてくれと言うだけでは何のことはないのでありますので、何としても向うがなぜ納めぬかという根拠をつかんでとつて行かなくちやならぬ、こういう点がありますので、一方において各傘下の木炭事務所に対して收入計画を割当て、この通りやれというやり方をやると同時に、またわれわれ自身も卸売業者の帳簿の方を見て行きまして、どこに小売からの回收をやつたか。そいつを政府に納めないでよそへまわしているということがあるかどうかということ、あるいは卸が預金あるいは現金として持つているものが幾らあるか、こういうものをつかみながら、まず第一に預金、現金として持つておるものは、帳簿検査をしてただちに納めてもらう。それからよそへまわしているものは、これもすぐとつて納めてもらう、こういうやり方、そして同時にこれだけの政府に対する債務を持つておりますので、これをいつまでに支拂いますという支拂い計画を立てさせて、これを拂うについてはわれわれは重役個人の連帶保証で、その通りやりますという一札をとる、こういうやり方で実は押えております。それでわれわれの目標といたしましては、とにかくこの十二月から一月にかけてが山で、十二月に必ず入れるという納入計画を立てさせて、遅くとも一月まで、そしてそれで納められない場合は政府としてはどういうふうな手をやるかという——これは法律上の問題としてやつて行かなくちやならないかと考えております。ただ一点むやみやたらに、短兵急に気短かくやつてしまいまして、ただ押えるばかりが能ではありません。抑えてしまつて——一例を申せばわずか五百万円の資本金の会社に、政府が三千万円持つているとします。うんと押えると五百万円しかとれないので、会社によつては細く長く生かしながらとつて行かないと、あまり短兵急にやるとかえつて元も子もなくなるという点もあります。だからその会社を生きさせながらとつて行くのもありますから、十二月、一月までに全部納め切るといつても、どの会社もみな納めてもらうというところまで断言するのは少し困難かもわかりません。しかしやり方としては、会社によつては殺さぬようにしてとつて行くというやり方もとつておるわけであります。
  48. 小山長規

    小山委員 この債権の取立てということが、今後の政治問題としてもまた実際問題としても、私は最も重大な点であろうと思う。現に卸売業者の中には、われわれからいえば政府の金を使つていて相当はでに仕事をやつておる。この連中の債権を取立てないでおいて、先ほど申し上げたような生産者の、あるいは集荷業者の損害はそのままにしておく、こういうようなことではわれわれ与党といえども捨ておくわけにいかぬ、こういうふうに考えておるわけでありますが、これ以上のことについてまた三浦長官、あるいは農林大臣に質問することにいたしまして、私の質問はこれで一応やめておきます。     —————————————
  49. 川野芳滿

    川野委員長 それではこの際お諮りいたしますが、去る二十二日経済安定委員会に付託になりました外国為替及び外国貿易管理法案、及び外国為替管理委員会設置法案の両法案は、本委員会の所管事項にも関連がありますので、右両法案に関して本委員会より経済安定委員会に対し、連合審査会を申し入れるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますので、それではさよう決定いたします。なお開会日時等につきましては委員会長に御一任を願いたいと存じます。  それでは午前はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時五十三分開議
  51. 川野芳滿

    川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  去る二十三日本委員会に付託されました郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案、及び食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を一括議題として、まず政府説明を求めます。水田政務次官。
  52. 水田三喜男

    ○水田政府委員 郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案提出理由を御説明申し上げます。  今回この法律を制定しようといたしますのは、郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足を補填するため、一般会計から同会計繰入金をなし、もつて会計の運営を円滑にいたそうとするものであります。  郵政事業特別会計の本年度郵政事業收入におきましては、本年五月に行われました郵便料金の値上げに伴う利用減による收入が、当初の見積りよりも相当多額となりまして、さきに本国会に提出いたし可決になりました「お年玉附の年賀郵便葉書等の発売に関する法律」に基く、年賀郵便はがきの発売等による收入増並びに過失の実績に基く年度問の收入上昇率等を見込みましても、なお四億一千二百七十一万七千円の收入不足はどうしても避け得ない状況でありますが、郵政事業の円滑な運営をはかる必要上、この收入不足額は何等かの手段をもつて補填する必要があるのであります。そこで本会計が独立採算の建前であります上から、この金額は借入金によつてまかなうことも考えられますが、総合均衡予算の建前からいたしまして、この不足額は一般会計からの繰入金をもつて補填することにいたしたいと存ずるのであります。  なお繰入金につきましてはその性質にかんがみまして、後日郵政事業特別会計の財政状況が健全な状態となりましたあかつきには、その繰入金に相当する金額は、予算の定めるところによりまして、一般会計へ繰りもどすことといたしたいのであります。  以上の理由によりまして、この法律案提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  次に食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案提出理由を御説明申し上げます。  今回の改正の第一点は、食糧証券及び借入金等の限度額千五百億円を、千七百億円に引き上げようとすることであります。すなわち第三回国会の議決を経て改訂されました千五百億円の最高限度額は、昭和二十三年産米の生産者価格を四千百九円と見込んで計算されたものでありましたが、今般昭和二十四年産米の政府買入れ価格を四千四百円程度と見込み、また輸入食糧の増加等の理由もあつて、食糧証券の発行高は一時的に増大することが予想され、その結果昭和二十五年一月末においては約千六百七十億円に達するものと見込まれるのであります。従いましてこの会計の運営を円滑にするため、食糧証券及び借入金等の法定限度額千五百億円を、千七百億円まで引き上げようとするものであります。  第二点は、この会計の歳入不足を補填するため、昭和二十四年度において一般会計から百七十億九千三百万円を限り、この会計繰入金をすることができることとするための改正であります。すなわち食糧の輸入は順調に進捗し、年度当初の予想より相当量の増加が予定されるばかりでなく、さらに食糧価格改訂等も影響して、明年度に持越される手持食糧の価額は、二十三年度末に比し相当の増額が予想されるのであります。しかるに食糧証券の増加を防止し、この面からの通貨の発行増加を押えるため、その年度末残高を前年度末と同額の千百八十億円にすえ置くことといたしたいのであります。その他従来主食の生産者価格の引上げは、消費者価格の引上げと同時に行つて参りましたが、今回は家計費への影響、特に年末を控えての時期的面に対して考慮を拂うとともに、補正予算の眼目である減税措置とあわせ実施することを適当と認め、消費者価格は、今年十二月末まで現行価格にすえ置くことといたす予定でありますため、その期間に生ずべき損失等についても考慮しなければならないので、この会計の歳入不足一般会計から繰入金をもつて補填する必要があると存ずる次第であります。  以上の理由によりまして、この法律案提出した次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。
  53. 川野芳滿

    川野委員長 それでは薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題として、質疑を続行いたします。中崎敏君。
  54. 中崎敏

    ○中崎委員 あるいは重複しておるうらみがあるかもしれませんが、今年の六月末に林野局長官から各事務所長にあてまして、帳簿上現品は不足があるが、それは政治上の不法行為に基くもの、あるいは刑法上、文書偽、詐欺、横領というようなものに該当するものが多いように思われる、というふうな意味の通牒が出されておるということでありますが、その点についての真否をお伺いいたします。
  55. 三浦辰雄

    三浦政府委員 政府手持薪炭不足に対する措置につきましては、お尋ねのごとく六月の十六日に、事故の原因十七のそれぞれの項目につきまして処理の方法を書いて、それを各木炭事務所長の方に送つて、これですみやかにその不足薪炭に対する解明をして行つて、国損のような結果を来さぬようにしなければならない、こういうふうに通知をしておることは事実でございます。
  56. 中崎敏

    ○中崎委員 その通知が出されまして以来、約半年近くの日時が経過しておるわけでありますが、この間においていかにそれらの問題が取扱われておるかということについてお尋ねいたします。
  57. 三浦辰雄

    三浦政府委員 これらのうち、ものによつては刑事上の問題にしろという指示も事項によつてはございますが、まだこちらからそういうふうな刑事上の問題に持つてつたようなものはありません。この不足木炭の中にあるいは支拂い証票の二重発行のものとか、あるいはそこにあるということで支拂票を切つたのに、事実はそこになかつたための現物不足につきましては、弁償金をとるという方法をとつておりますが、本年度になりまして弁償の関係で調定いたしましたものは、十月二十五日現在ではございますが八百三十八件になつております。かようにしてやや解明のつきやすいものからは逐次やつておるのであります。また中央として今協議しておりますものは、卸商としてその政府の債権を支拂うものの、はなはだひどいものに対しては、最近二、三のものについてひとつ断固たる措置に出ようと、ただいま打合せ中でございます。
  58. 中崎敏

    ○中崎委員 弁償金をとる措置を講ずるようになつたものが、十月二十五日現在で八百三十八件ということでありますが、その金額はどういうふうになつておりますか。
  59. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この金額は九千六百万五千四百余円でございます。
  60. 中崎敏

    ○中崎委員 薪炭赤字によるもの、さらに不正等に基くそうしたものはまだ明細にせられておりませんが、相当大きな金額になるわけであります。しかもそれが多く不正に原因しておるということは、本年度二つの林野局長宮の通達によつても明らかなわけでありますが、これはこの間においてたつたこれだけの程度の処置をとられようとしておることしか、まだ明かにされていないということについては、きわめて複雑な事情がそこに介在しておることも考えられ、一面においては当局の怠慢だということも考えられるわけでありますが、その後においてこれがいかに進展するものであるか。さらに具体的にもう少し数字等をあげて、今後の見通しとあわせて伺いたい。     〔委員長退席、北津委員長代理着席〕
  61. 三浦辰雄

    三浦政府委員 いわゆる現物不足薪炭は、その原価で大よそ十億五千三百万余円になつております。そこでかなり多く占めておりますものは、県内県外輸送したもので、いわゆる明らかになつていないものが非常に多くありまして、木炭の全不足量のうち六割を占めておるような状況でございます。これにつきましては、産地からの発送報告というものがございますので、これの行先を探求して集荷業者あるいは販売業者または輸送業者に対して、それぞれの契約に基いた措置をしなければならないのであります。また現品が保管中または貨車乗せまでに、輸送中の消耗あるいは盗難、火災、水害等で消失したと相手方が釈明をしておるものが、木炭では全不足量の一三%を占め、まきにおいては一四%を占めておるのでありますけれども、これにつきましては保管者の責任を追究いたしまして、不可抗力によつてどうにもそれは国損としなければならないものであることが判明いたしますれば、その点について考える必要もあろうと存じますが、さようでない場合においては当然これは保管者において、保管契約に従つて弁償を求めなければならない性質のものでございます。これらのものにつきましては、それぞれ個々にわたつてその糾明をしなければなりませんので、現在といたしましては一応各木炭事務所間におきます発送報告、あるいは消費地におきますところの日通の受取り等々をつなぎ合わせて、その糾明をやつておるのでおりますが、現在持つております薪炭の売拂い処分等も急がなければなりません関係で、必ずしも思うようには進んでおりませんが、そういうことでぜひこれは糾明をしなければならない。また糾明しつつあるような状況でございまして、この一口に言う現物不足の中にはどうも事由不明であつて、その事由自身の原因の調査中であるものが木炭で一万四千五百トン、これは不足木炭の一九%を占めております分であります。またまきにおきましては百三十六万層積石、これは不足まきの七〇%という大きな部分を占めておるものでございます。またガスまきにおきまして二千九百六十トン、これは不足ガスまきの三六%を占めておるものでございますが、それらについては今原因木炭事務所への過程中において糾明しつつあるわけでございます。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 三浦長官の、今責任を追究しておるものの中で、刑事問題にまで発展するものがあるという説明がありましたが、その事故のうち刑事問題にまで発展するというのはどういうものか。それからそれに対する金額がわかつていたら説明してもらいたい。
  63. 三浦辰雄

    三浦政府委員 たとえば現品が未清算であるのに支拂い証書を発行したという一つ原因、その原因に属すると考えられるものは金額で、木炭まきガスまきを合計いたしまして二千四百六十九万三千七百五十二円でございますが、その個々を追究して参りまして、そのうちたとえば検收を受ける際に、だれ某さんの分はその検收を受ける日までにそこへ出すことになつていたから、その数字で一応検收を受けたわけだが、なるほどあのときにはだれ某の家に不幸ができてかま上げができなかつた、そこまで持つて行くことができなかつたのだというようなことを明らかにして、それは自分たちの方の責任でありますから、現品またはその金については相殺を当然願うことでありますというようなものであるならば、それは私の方といたしましては、あえてそういうふうな事情によつて申出がはつきりし、その授受された金額についての処置がつきますれば、これはあえて刑事上の問題にするつもりもございません。そういうような関係がありまして、たとえばこれを、いやそうでないというようなことで、はたからいろいろと調査した結果、まさにたとえば詐欺に該当するというようなことでありますならば、当然それは刑事上の問題として告発を要するやいなやということになりますので、ただいま刑事上の方法として処理するものは幾らあるか、こういうことには直接答えにはなり得ない、こういう事情を御了承いただきたいと存じます。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 それだけですか。現品が未清算であるのに支拂い証書を発行したというだけですか。刑事上の問題になる可能性のあるものだけでいいです。もちろん何が幾らということはわからぬでしようが……。
  65. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この項目についての金額の分ははつきりいたしませんが、項目といたしましては、たとえば指定業者が正式の手続を経ないで、売却したらしいものがあるということでありますれば、それは当然糾明して代金の回收なり、あるいは現場の補填なりをしなければならぬのでありまして、そのことが明らかであるのにそういうことに応じないという場合は、当然刑事上の問題として考えなければならないことであります。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 金額は大体どのくらいですか。
  67. 三浦辰雄

    三浦政府委員 今金額は事由別に出してありませんが、事由別数量のうち木炭についてはおよそトンで七千円ちよつとが買入れ原価になつておるはずです。それからまきにつきましては、所によつて違いますが大体二百二、三十円が買入れ原価になつておるわけです。それからガスまきにつきましては、トン当り三千円程度が買入れコストになつております。従いまして事由別にそれぞれの数量をかけますれば大体の金額が出るわけでございますが、今計算したものがございませんので、いりますれば後ほど計算したものでさしあげてもようございます。
  68. 中崎敏

    ○中崎委員 昭和二十三年度までの損失が二十三億八千万円となつておるようでありますが、これは現在のようなだらしのない計算のやり方から見ますと、あるいはこのときにおいてもすでに二十三億八千万円以上のものが、なお赤字として出て来るはずのものがあつたのではないか。すなわち、たとえば現物がないのに帳簿面においては現物があるがごとき計算がされる場合においては、当然そういう結果になるのでありますが、二十三億八千万は狂いのない数字であるかどうかということ、現在を基準として考えてみたときにどうなるかということを、御説明願いたいと思います。
  69. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この二十三億八千万円はいわゆる帳簿上のあり高に基きまして、従来この特別会計の政令できめてありまする決算報告様式によつてできている。その決算報告は毎年しておりまするが、そのときに資料になつているいわゆる手持の材料、いわゆる帳簿上の品物がそのままあるという前提で、ただこれを企業経理的な角度で各年度の決算を検討してみますると、二十三億八千万というようなものが二十三年度末にはあるということが言えるのでありまして、このほかに問題の、先ほども出ました買入れ価格にいたしまして、約十億五千万円の不足の物資があるという意味でございます。
  70. 中崎敏

    ○中崎委員 それから二十四年度の現在までにおける帳簿上の価格、並びにこうした現物価格をお示し願いたい。
  71. 三浦辰雄

    三浦政府委員 二十四年の二月来、実はこの薪炭特別会計の検討に入りまして、ようやくこの十億五千万円に該当するものが帳簿上の現物との開きである、こういうふうに会計検査院の方もお認めになつてきまつた数字で、爾来はこの数字を一応落しまして、従いましてそれに基いて従来の帳簿づらの末の数量にとらわれないで、一応そこに締め括りをつけまして、あとはいわゆる現物につきましてその処分を急いでいる、こういう状況でございます。この数量につきましては逐次売拂いを急がしておりますので、現在は薪炭ガスまきともに、少くともいろいろのクレームの問題、あるいは値引率の問題等もあるし、保管費もかかるし、品物も惡くなるから、もとより国の損はなるべく少くしなければならぬけれども、三割以内程度でやれるものなら売れ、それ以上いろいろな意味でもつて問題になるものは、こつちへ相談して来いと言つてつておりますので、しかも十二月一ぱいにやらなければ遅くならぬかということでやつているのでありまして、現在は九月の末以来さらに急がして、この間も公売等の手段に訴えてやつておりますので、どのくらい持つているか、現在のところどうかということは、ちよつとここで数字は申し上げかねますが、いずれ……。
  72. 中崎敏

    ○中崎委員 その資料はまたいずれ審議の過程において必要でありますので、お渡し願いたいと思います。  それで十億の現物不足が二十三年度末においてあつたということは、明らかにされているのでありますが、この十億をその後において、かりにそれだけのものは足りないのだという前提の上に、処置をされているというのでありますが、この十億は帳簿上いかに処理されているかということを、お示しを願いたいと思います。
  73. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この十億の帳簿上の処理の問題でありますけれども、この十億は先ほどからも話が出ましたように、これは一応本年度予算といたしましては、その原因を糾明して行かなければ政府の收入にならない。中には先ほど申し上げましたように、なかなか困難なものもあるかもしれないが、私ども特別会計をあずかつているものといたしましては、これをどこまでも追究して、いわゆる国損のないような形に持つて行かなければならぬ。もしどうしても国損になるということならば、その事由ははつきりしたものでなければならない。さような意味で私の方では別途にこれを書き置いてありまして、この追究、この回收ということについては当然努めるつもりでありますので、別途に扱つているというだけであります。
  74. 中崎敏

    ○中崎委員 二十四年度におきまして、依然として不正が行われており、なおかつ自然の不足といいますか。不正に基かないでも不足が起きているということも想像されるのでありますが、二十四年度内における今日までのそれらの数字がわかつたら、お示し願いたいと思います。
  75. 三浦辰雄

    三浦政府委員 今のお尋ねでありますが、二十四年度から——ちよつと恐れ入りますが……。
  76. 中崎敏

    ○中崎委員 先ほどの御説明昭和二十三年度末において、現物と帳簿上との開きが約十億あるということが明らかになりました。それで二十四年度になつてもやはり現物もあり買入れもしているのでありますから、その過程において新しく不正が行われたと見込まれるもの、あるいはその他の原因によつて不足を来したものがあるとすれば、その数字数量をお示し願いたい。
  77. 三浦辰雄

    三浦政府委員 二十四年度になつての損害の見込み幾らか、つまり会計欠損内容はどうかというお尋ねと存じます。そこでその内容は従来から持つております品物の、いわゆる品質低下によるものと、この四月来つゆを越し、夏を越したもののさらに減税の加わる分であります。この内訳を今探したのですが、ちよつと目につきませんけれども、一応この問題は年間を通じて十一億五千百六十九万円というふうに、今のところ推定をしておるわけであります。それから備蓄保管を現にやつておりますので、それらによるものが二億一千九百万円、それからこれは四月の二十二日にやめたのでありますが、本年度に入りました二十二日間における問題といたしまして、昨年の十一月から始めた消費地におきます。卸業者のいわゆるマージンの非常に薄いこと、すなわち三千八百円ベースであるときに、マル公がきまつたそのマージンでは、複数制なつた今日としてとうていやつて行けない。こういうことから都市におきまして、炭について一俵三円、まきについて一束一円を出したその額が四千百万円、それから指定業者におきましても、十二月からやはり複数制なつたために、その賃金ベースの差、個々の取扱い料の減少等によりまして、同様な便法を講じました分、これは四月二十二日以後はやめましたが、二十二日までに九千万円、それから薪炭証券の分も当初の計画でありますれば五十四億七千万円、ほとんど法律で許されている満度に近いものを、必ずしも発行しなくてもいいはずだつたのが、ほとんど満度の発行をしておることによる利息の増加が一億四千万円、一億三千九百九十何ぼであります。それから農林中金に対する政府の資金回收が遅れたために、農林中央金庫で立てかえてもらつている分が多く、かつ長くなりました関係の利息の増、これが三千五百万円、この二月、三月ごろ買入額が非常に少くなりました結果、受入れ調書という——旧来であれば支拂い証書と言つたのでありますけれども私ども、私どもの解釈といたしまして、これは政府としては金の関係上買えないけれども、生産者からいえば、これを買つてもらいたい。こういうものに対して、買う約束という意味で金融の便にした受入れ調書というものがございますが、その関係で利子が多少加わりまして、手数料の増加が五千二百万円ございます。それからまた退職金の増加、またさらに五月に特に手持薪炭の実際の数字を明らかにするという一つの便法から、またもう一つ政府の持つておる薪炭を早く金にかえたいという必要から、一十万トン輸送——いろいろの事情でふだんの十万トン輸送に対して、倍以上の輸送をいたしました。これに基きまして海上輸送をふやした関係から、これには非常にいつております。一億八千五百万円というものが、普通の輸送計画で行く場合に比べてかなり増しをしておる。これらと合せまして現在本年度に入りまして、本会計としては二十一億というような赤字予想せざるを得ないというのが、その大体でございます。     〔北津委員長代理退席、委員長着席〕
  78. 中崎敏

    ○中崎委員 ただいまの数字の中で不正と思われるようなものの数字がわかつたら伺いたい。
  79. 三浦辰雄

    三浦政府委員 私どもこの処理につきまして、不正というものを少くとも最近においでは考えて、またそういうことが行えるような余地を與えるようなことで、処理はしておりません関係からいたしまして、この中に不正と考えられるような処置項目というものはないつもりでございます。
  80. 中崎敏

    ○中崎委員 今年の六月末の林野庁長官の各事務所長にあてた通牒によつても明らかなごとく、項目をあげて多く不正に帰するものだということが示されておるのであつて、これは事実初めからそういうつもりではないにしても、現実にはそういうことが積み重なつて、それだけの不始末ができたのだということが、この文書によつても明らかになつておるわけでありまして、本年度においてもそうしたことがあるということは、明らかなことであります。それについての推定された数字でもいいのでありますが、言いかえればやむを得ざる事情に基いてできた損失と、不正等による損失とがあるわけでありまして、その不正に基くものの推定数量金額等をお尋ねいたします。
  81. 三浦辰雄

    三浦政府委員 通牒のことを引倒されましたが、過去の原価十億余円に当るものについての個々の原因別の処理といたしまして、場合によつては刑事問題とすべきである。こういうことははつきり指示をいたしておりますけれども、こういうような状況下に進めております今日の木炭事務所といたしましては、その間不正という問題を考えてはおりませんし、また不正の入る余地というものは全然ないことと存じております。
  82. 中崎敏

    ○中崎委員 最近の事情は、国会においてもまた国民的な大きな関心の問題として取上げられておるのでありますから、その間において不正をやるということはよくよくでありますが、こうした問題が大きくなつたのはここ二、三箇月間のことであります。それまでの間というものは相当の不正があつた。引続いてやつてつた。従前の惰性が行われておつたということが、容易に想像がつくわけでありまして、こうした面を、およそどんな程度のものかということを、推定的にでもひとつお示しを願いたいと思います。
  83. 三浦辰雄

    三浦政府委員 その不正というような問題は、これは本年度の清算処理に入りましてからのことについてはない。私どもは先ほどの通牒等の引例の問題につきましては、さような個々についての指示はいたしておりますけれども、二十四年度に入りこの清算事務に入りましてからのことについては、そういう問題は全然入る余地はないし、また入らせない。かように信じております。
  84. 中崎敏

    ○中崎委員 二十三年度までの現物不足十億余円の中で、民間の業者等がやつた不正のほかに、官憲と結託してやつた場合、あるいは官憲が独自にやつたような場合があり得ると考えるわけでありますが、そういうふうなものについての輪郭をお示し願いたい。
  85. 三浦辰雄

    三浦政府委員 その問題につきましては、私どもここにお答えを申し上げるような資料を持つておりません。午前中の予算委員会の席に国警長官がお見えになつてその問題についての質問に対してお答えがありましたが、その答えをもつてこの際御了承いただきたいと思います。それは今までのところ特にそういう関係における報告は聞いてない。しかし世上薪炭特別会計をめぐつていろいろのうわさをされておるから、国警としてはできるだけそういう方面についても、不正等があればどしどし摘発をし、調べなければならぬと考える。こういうことでありまして、現在までのところは、そういうことを今報告するものはない。私どもとしてはそういうように現在思つております。
  86. 中崎敏

    ○中崎委員 薪炭特別会計の不始末の問題が、こうして多くなつて来たのでありますが、一体これはいつごろまでにすべての結末をつけて、この特別会計の計数的な数字をはつきりされることになるのか。その見通しをお尋ねいたします。
  87. 三浦辰雄

    三浦政府委員 現在の売拂い方面に対する資金の回收というものは、現在十二月末を目標としてそれぞれ債務者との間には、卸売関係の業者等には個々に当つて月別の返還計画といいますか、納入計画を立てさせ、また会社であれば重役の個人保証等もやつておりますが、遺憾ながらこれは多少延びるものも出て来そうでありますが、少くとも本年度内にはこの債権の方の回收は是が非でも実施したい。またできる見込みで現在やつております。それから問題であります十億余円のそれぞれの金融にあたりましては、目下発送関係の方の事務所、生産地の事務所と消費地の方の事務所等が、それをつなぎます日通の受入れ受領証等をも含めて、その後追究をやつておりますけれども、この問題は、一応来年の四月までにどのくらい、六月末までにどのくらいと三箇月ごとに一応人員の最少の計画をして、それに合うだけの数字を考えておりますが、これが片づくのは十一月末までと、かようなことで研究を進めております。
  88. 川島金次

    ○川島委員 関連して……。今の説明によりますと、ほとんど不正の事実がない、あるいはまつたくないというようなお話でありますが、林野庁が会計検査院の方や報告した書類の中で、集荷業者が不正処分や無断で他へ貸與したもの、木炭二万六千六百十八俵、まきが九万七千七百十八把、これは明らかに林野庁が不正と認めたものが、わずかであつてもここに出ておるということと、もう一つは新聞紙上で言われておる空気木炭まき、これは現品がないのに木炭事務所から支拂い証書や受入れ調書が発行されたものが、木炭が十万二千二百十八、まきが六十六万二千八百二十把、ガスまきが二万四千三百九十把、こういうものが出ておる。それから第三点にいろいろ調べて今なお事由が不明なもの、これが木炭は驚くなかれ九十六万六千七百八十七俵、まきが千七百一万一千二百八十一把、ガスまきが十二万一千二百五十八把、こういうものが出ておる。これは林野庁がすでに会計検査院に報告した薪炭白書にも明瞭に書かれておる。かりに事由不明のものとか、現品がないのに木炭事務所から支拂い証書や受入れ調書を出した。こういうものは不正でないと言つても、冒頭に私が申し上げたように、集荷業者が不正処分を無断でやつたのは、すでにわずかであつても明瞭に数字に出されておる。この報告書が事実だとすれば、不正がなかつたとは言えないわけだと私は思いますが、この関係はどうなつておりますか。
  89. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この問題については昨年の十一月までは木炭まきガスまき、この品物によつて府県とも一つの団体が、知事の推薦によつてこの特別会計の代行者をやつてつたことは御承知の通りでありますが、そこで一方統制は嚴格に行われておるのでありまして、その際にそこの配給機関としても一つでありまして、その配給機関の指図が行き届かなかつたために、現物の方は先へ動いていずれチケツトは出る。こういうことになつておるのにそのことが伴わない結果、指定業者としては他へ出したというような形のものもあるのであります。私どもはそういうことで必ずしも善意にのみ解釈しようとは思つておりませんけれども、事実ああいつた機構のもとでそういうことがあつたということも、またある程度うなずける点でありまして、私どもたとえば御指摘のように、指定業者が成規の手続きをしなくてなくなつてつたという問題について、それがほんとうのいわゆる過失においてそういうふうになつていたのか。そうでなくてやつているのか。おのずからこれは調査をして糾明しなければなりませんけれども、その項目自体を全部がいわゆる世間で言う不正だ、こういうふうにも必ずしも今のところ思つておらない。これについては個々にこれを糾明して、要するに国としての不足木炭に対する損失のないようにやつて行く、こういう態度でおります。
  90. 中崎敏

    ○中崎委員 代金の回收問題でありますが、卸売業者に対する代金の未回收は、約二十億円程度あるということに聞いております。薪炭需給調整規則によりますと、売渡しをしてから二週間以内において代金の回收をするということになつているはずなのでありますが、それがいまだ回收されていないという理由はどこにあるのかということをお尋ねします。
  91. 三浦辰雄

    三浦政府委員 確かに政府といたしましては、売り渡したものに対する代金の回收はすみやかでなければならない。この特別会計自身は、買つてから売り渡して一まわりするのに、四十五日しか時間を見ていない式の内容になつております。ところがこういうふうにいわゆる卸売商の方に対して回收が行かなかつたということの原因は、いろいろございますが、主たるものは昨年の八月、新しいいわゆる民主化されたと言われる需給調整規則でありますが、従来の県知事が推薦をして、そうしてこの特別会計が認めたいわゆる政府代行機関という独占的な機関を廃して、そうして集荷についても配給につきましても、複数制度ということになりました。ただいま御質問の配給の面で言いますれば、おのおの家庭の消費者が仮登録をなさる。東京を例に言うと、五百世帶の登録を受けたものはいわゆる小売店になれる。その小売店が今度は仮登録をいたしまして卸を選ぶわけでありますが、卸商を選んだ場合、その東京に入つて来る見込み数量の一割以上を占めたものについては、それは卸商になれる。もし九割九分まで占めたものについては、それは独占になるから、上から三人までは選んで少くとも卸にしなければいかぬ、こういう趣旨の規則が八月に行われました。その際に私どもといたしましては、その小売なり卸に対して、設備であるとかあるいは信用であるとか経験であるとか、そういう政府のやる配給で、しかもそれが国民生活上だれでもがほしい。各家庭でほしい品物を扱わせるに対して、條件がなければ円滑な運用が行かないのではないか。ぜひこれは何らかの形において、特別会計として困らぬようないわゆる相手方の條件がほしい。その中から選ばれたならば、それが一種の民主化ではないかというような議論をずいぶんしたのでありますけれども、とうとうそれは公平に機会均等を與えるゆえんではない。そんなことは消費者自身が知つていることだ。従つてその消費者はそういう誤つた者を選ばない。従つて小売店になれないというものはある。また小売店もそういうことをしておるのだから、当然小売店の選ぶ卸商というものは、そういうような條件におのずから合致すべきものである。従つてそういう條件を規則自身につけたり、あるいは政府が何らかの方法をもつても指図することはいかぬ。こういうことに結局なりました結果は、非常に資本金の少いものでも、いわゆるその関係の世帶が多ければそこに品物を流さなければならない。そういうような制度上の欠陷が一つ、それからまた昨年の二月ごろに始まりました消費者の選択購入、それに関しまして産地における買上げ要求ということとがマツチしません結果は、大消費地に心ならずも多くの滯貨を見た。しかもそれは政府で持つてつても保管料をとられるものでありますから、一定期間だけはいわゆるノー・クーポンというようなことで、そのさばきを急いだ。あの間に卸の方に相当流さざるを得なかつた。こういうようなことが主たる原因になつて、実にいまだに回收ができかねておるというような状況でございます。
  92. 中崎敏

    ○中崎委員 制度上の欠陷もありましようし、今のような理由もあるでありましようが、いずれにいたしましても、卸売業者がこれだけの大きな金額をまだ政府支拂いをしていないということは、きわめて重大な問題でありまして、これについて政府においても回收の計画を立てて、すでに具体的な個別折衝をやつておるということでありますが、その際におきまして、それが支拂われなかつた場合は民事訴訟によつて、訴訟の結果強制処分等をやるよりほか方法はないのでありますか。あるいは租税の滯納のごとく、特別な優先的な措置を講じてこれをとるというような方法でやることはできないか。もし法規上その点が不備であるとするならば、さらに新しく法規をつくつてでも租税と同一立場に置いて、またこれに準じた取扱いをするような法案を出される意思はないかということをお尋ねします。
  93. 三浦辰雄

    三浦政府委員 そういうふうに国税の徴收の例にならうことも考えたのでありますが、現在のところ、特別に法律を設けてこの回收を優先する、国税と同様の立場にするという意図を含む特別な法律提出については考えておりません。ただ民事におきまして、先ほど申し上げたようなものを至急今法務府の方と相談をしておる、こういう状況であります。
  94. 中崎敏

    ○中崎委員 政府の方から生産者に対する未拂い代金が約二十億、それから輸送業者等に対する未拂い金十二億、計約三十二億があると言われておりますが、これはこれらの人々の立場からいえば、相当大きな金額政府の責任において相当長期間支拂いをされていないというので、非常に困つておるのでありますが、これについてはいかなる措置をいかなる時期において講ぜられようとしておるのか。その点をお尋ねしたいと思います。
  95. 三浦辰雄

    三浦政府委員 生産者方面に対しましては、現在一部不足薪炭十億余円との関連におきましてとるべきものもあります。そこで政府といたしましてはその個々の団体につきまして、団体に支拂うべき確定の額からもらうべき額があるとすればそれを差引いて、その分はまさに政府が支拂わなければならない金であるということを、その管轄の木炭事務所において確認いたしまして、その確認の額について、団体であれば農業関係等の団体でありますので中金系統、それからまた企業者でありますれば、同じような方法による政府の証明によりまして、取引の銀行から出してもらう。そうして九月の十七日あたりからそのことがやつとまとまりまして、現在その方法でやつております。金利につきましては、その確認をした日からということで、一応私の方の態度といたしましてはなつておるのでありますが、それらはいずれも姑息の方法でございます。そこで政府といたしましては、ここに赤字の問題あるいは不足薪炭問題の糾明の問題はあるけれども、ともかく実際今日の段階としてこの特別会計支拂い不能である。早く支拂わなければならぬ。御指摘のような方面がたくさんあるにかかわらず、支拂い不能の形になつているから、それらの不足薪炭なり赤字の糾明なりは当然すべきである。支拂わなければならぬものに対して、支拂われないというものの財源として今日この法案を御審議いただいて、私どもといたしましてはこの五十四億七千万円というものを御協賛をいただいて、この会計に入りましたからには、特に生産者方面に対する支拂いはすみやかにいたしまして、そうして一部は常にせき立てられておる薪炭証券の一部に支拂いたい。かような方法が私どもの考え方でございます。
  96. 中崎敏

    ○中崎委員 ただいまの問題に関連して金利の問題でありますが、卸売業者に対する代金未回收の分の支拂い期日を経過したものに対する金利、並びに生産業者等に対して支拂うべき期間を経過したものに対する金利を考えでおられるかどうか。
  97. 三浦辰雄

    三浦政府委員 卸売業者等に対して政府のいわゆる納入書を発行しまして、そうして滯納になつておりまするものに対しては一日について五銭、つまり日歩五銭でございます。それから生産者方面に対しましては、政府の当然拂わなければならない金利の問題でございまするが、これにつきましては一般政府支拂い滯り金と性質が違いまして、この特別会計は要するに買つて売るというだけの行為でありまするから、その金利に当る分を一日二銭五厘に考えて、先ほど申し上げました差引これだけは政府がまさに借りているという金額が確定の以降においては、それを見なければならない。かように考えております。
  98. 中崎敏

    ○中崎委員 先ほどこれらの未拂金等に充てるためにこの法案を用意したのだということでありましたが、すでに五十数億は薪炭債券として発行されておるものの支拂いに、引当てられるものではないかということをお尋ねします。
  99. 水田三喜男

    ○水田政府委員 それは全部薪炭証券の償還に充てるという意味ではございませんで、繰入れの目途を一応薪炭証券の残額分ということで立てただけでございまして、とりあえずこのうちから十四億七千万円くらいは今の未拂いの方に充てて、薪炭証券の償還を四十億円くらいやりたい。そうしてあと薪炭証券の残りは、さらに回收金でやるというようなことを考えております。
  100. 中崎敏

    ○中崎委員 この五十四億の中で約四十億円は債券もしくは証券の償還、あるいは借入れ金等の償還に引当てられるものと想像しますが、むしろ卸売業者等から回收したものをもつて、それに第二次的に引当てるとして、第一次的には未拂い代金の三十二億円に引当てるというふうな考えはないかどうか。
  101. 水田三喜男

    ○水田政府委員 今のは私の答弁間違いまして、当初われわれの相談したときはそういう予定でございましたが、今中崎さんのお説の通り、やはり未拂いに先に充てることが望ましいということで、大体二十億前後それに充てるということになつておりますので、先ほどの数字を訂正いたします。
  102. 中崎敏

    ○中崎委員 二十億程度引当てられても、なおかつ現在十二億程度の不足があるのでありますが、もう一歩張り込んで三十億程度に未拂いの方へ引当てるというお考えはないかどうか。
  103. 水田三喜男

    ○水田政府委員 あとに残ります分は大体輸送費の問題でございますが、輸送に関しましては、業者からこちらへとる分ももらう分も相当あるということで、その清算の問題がありますので、それらの方は少し遅れて解決するという考えでおります。
  104. 中崎敏

    ○中崎委員 政府の代金の回收計画あるいはこの始末を一応整理するふうなことの見通しは、少くとも本年度末ということになりますので、相当期間かかるわけであります。その間において多少ずつ入つて来ると思いますが、これをもつてこれだけの輸送代金等の支拂いには、とうてい引当らないのにかかわらず、やはり来年の四月ごろまで、これらの輸送業者が代金を政府から拂われるのを待つておるというわけには、実際の状況から見て行かぬだろう。そういう意味においてまず政府のとるべきものはとり、それから輸送費の中において相殺すべき性質のものは相殺してから、残額については全部この際支拂いをするというふうな考えになれないものかどうか。
  105. 三浦辰雄

    三浦政府委員 十億のいわゆる不足薪炭に関する責任の中には、輸送中に輸送者の責任ではないかと考えられる部分も相当量ございます。その関係もございますので、現在考えておりますのは、五十四億七千万円という今発行している額をいただけますれば、生産者関係の方にはこれを速急にそういつた方法で拂う。そういつた面から金融にも詰まつておりますから拂う。一方卸売商に対する回收は一応十二月を原則として、月別の收入を立てておるのでありまして、もとよりそういうふうにせき立てておりまするけれども、これは先ほど申し上げたように、多少狂つて来るような最近の情勢もありますが、いくら何ぼ遅くても二月、三月、年度末にはしたい。そういうような関係から輸送中の事故に対する究明を、それぞれの契約によつて解決いたしますので、その解決と相まつてこれは金融の全体計画に非常に関連を持つております。日銀発行の薪炭証券自身の問題も全体の金融から言うと、そこに相当大きい問題もあるのであります。さような考え方でやつております。
  106. 中崎敏

    ○中崎委員 この薪炭特別会計に関しましては、国民に対するきわめて大きな負担の問題でもあり、それはやむを得ないにしても、一面においては怠慢であり、一面においてはまた不正からその原因が発しておるというふうな事実を、われわれは黙視できないわけでありまして、これをいつまで追究してもしようのないことではありますが、一日もすみやかにこれらの問題の善後措置を講ぜられて、そうして国民の疑惑を一掃するというふうに努力せられることを要望して、一応私の質問を打切ります。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 この薪炭特別会計赤字が十五年から十六年、十七年、十八年、十九年、二十年と毎年ずつとあつたのでありますが、これが本年度に至つて、こういつた予算的の措置をせざるを得なくなつ理由はどういうわけですか。
  108. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この特別会計はその定める政令に従いまして、その政令十七号には、本特別会計年度末に保有する薪炭については、三月三十一日の市価をもつて評価しなければならないという條項がございまして、十五年の発足以来、政府が翌年度に繰越します手持薪炭につきましては、その條項に従いまして市価で価格を評価してバランス・シートをつくつておるわけであります。そこでその方式をずつとやつて参りました結果は、昭和二十二年度の末におきまして、累計一億四千一百万円という額が欠損である、こういうふうになつておるのでございます。ところで二十三年度薪炭特別会計を運用しておりました途中、この生産好転輸送好転という生産方面の條件の好転に相対しまして、消費地におきましては他の燃料の好転あるいは天候の温暖、消費者経済上からいたしましてそこに選択買いが起きた。すなわち四十五日で買いまして、買いましてから四十五日で一回転すべき仕組みになつておるこの特別会計といたしましては、そこに非常な膠着状態ができまして、生産好転からもつとどしどしこの特別会計は買えという要望を受け、一方消費地においては消費者選択買いをする。こういうような際には思うようにはけません。だから卸商にそういうふうにどしどし押しつけられても、わしらの方はもう受けられぬ、こういうような状況が出ました。そこで一体この資金繰り——二十五億九千万円の薪炭証券と、その当時金融からの貸越しというようなものを合せまして、約七十億前後のものが金として動いていたはずであるのに、手持のものと繰合せて、どうもこれだけの不円滑さというものは何だかおかしいということを、二月の初めに感づかざるを得なかつた。そこでこの究明を一面始めた結果、帳簿づらと現物との差がどうもあるということに相なり、あるいは会計検査院の方には関係方面からのサゼスチョンもありまして、お調べになるサンプル調査に長野県下にいらつしやる、こういうような姿が逐次反映したのでありまして、その結果は、赤字原因についてという参考資料で申し上げてありますように、この会計としてはなるほど評価益を見ること自体は当然許さるべきであつて、いい。また事実毎年のようにマル公価格改訂で上つて来ておる。だからそのこと自体は当然なことではあるけれども、その評価益を見ることによつて、その年度のバランス・シートが雲におおわれておつた。すなわち売上げの総益と買入れの額との差、いわゆる益金よりもその益金を生むに要した諸経費というものの方が多かつた。そのように考えられたので、そういう角度から今まで出しておりました決算報告書のその数字を検討してみると、さように二十三億八千万円というのが二十三年度末の累積であるという数字が、そこに出たという状況でございます。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 この提出された資料によりますと、市価と評価益を補正しまして毎年計上する純損失高でありますが、昭和二十年にすでに一億二千万、二十一年には五億七千万、二十二年には六億八千万、こういうような厖大な赤字が出て来ていたのにもかかわらず、林野庁としては何ら適宜の処置をせずして、しかも国会への報告もなく、うやむやにして本年度に至つて俄然あなたの方の出した資料だけでも、二十三億という損失の累計を出して来たということに対する責任は、一体どこにおるわけでありますか。今あなたのお話を聞くと、どうもおかしくなつたから、計算してみたら二十三億だというのだが、おかしくなつて来たのに気がついて、しかも関係筋のサゼスチヨンまで受けて調べ出したということに対する責任は、どこにあるわけでありますか。
  110. 三浦辰雄

    三浦政府委員 このような結果を招来したということは、この会計支出官あるいは歳入徴收官である山林局長、林野庁長官といつたような者にあると言わなければならぬと存じます。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 はつきりお認めになつたのですが、とにかくあなたの方の項を見ましても、現品が未成品であるのに支拂い証票を出すとか、支拂い証票を二重に発行するとか、現品が未成品であるのに受入れ調書を発行するとか、受入れ調書を二重に発行するとか、こういうことはおよそわれわれ常識では考えられないのですが、こういうことをのめのめ今ごろになつて国会へ報告して、これで五十三億赤字がありました。こういうことを出す前に、まず林野庁長官は当然責任を負うべきではないでしようか。これは各新聞紙でもすでに明らかになつておるように、薪炭赤字の責任は徹底的に追究してもらいたい。税金を納める国民の立場に立つて、この問題を究明しろということが国会にも要請されておるのでありますが、一方責任者としての政府が、こういう不正問題について、もう少し愼重に検査すれば明らかにわかることを、現品が未成品であるのに支拂い証票を出すとか、あるいはからす炭だとか空気炭だとか、こういうものに対して支拂いを無責任にしておるということに対する責任があなたにあると言うならば、その責任はどうしてこれを明らかにされるのですか。責任をどうして国民の前に明らかにされるか。
  112. 三浦辰雄

    三浦政府委員 でかした以上はせめてその責任を明らかにする唯一の方法は、どうしてこういうふうになつて来たか。またどういうふうにしてこの事態を納得の行ける線で処理するか。この二点であり、その二点を明らかにしなければ、いわゆる責任はのがれられないと存じております。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 われわれが、この赤字の根本的な原因を究明して行きますと、集荷業者と木炭事務所——集荷業者の生産薪炭木炭事務所へ移管されるとき、この間に非常な不正があると思う。これは明らかに集荷業者の責任、先ほどあなたは集荷業者に対する刑事的な責任は発生するけれどもと言いましたが、集荷業者の責任ばかりでなく、ここに政府の農林省木炭事務所が明らかに業者となれ合いの上で、不正な支拂いをしているというように考えられる点があるのでありますが、この点についてはどう考えられるか。
  114. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この薪炭特別会計昭和十五年に始まりましたが、毎年その需給が逼迫の度を加えました結果、お手元に差上げてあります本会計の概略史にありますように、当初は駅で木炭県外へ行く分を買つておりましたが、翌年になりますと、やがてそれは駅ではいかぬというので、いわゆる政府指定場所というか、トラツクあるいは馬車が着けば、そこで買うというふうに持つて参りました。その後さらにそれではまだ需給の逼迫から、生産方面の意欲を起すに足らずとなして、遂にかま前で、燒けばすぐ政府がそこで買う。同様にまきにつきましても初めは駅でございましたが、後にはいわゆる政府指定場所となり、さらに山とこつまりまきの形に切つてそこでまるめるところで買う、というところまで発展をいたしましたが、この間特別会計をあずかつてつた者といたしましては、今日の定員法の中に入る種類の人間といたしましては、昭和十五年は全体で百五十七人、十六年で三百四十四人、十七年三百三十七人、十八年三百七人、十九年——これはかま前に入つたときでありますが、七百三人、二十年七百十三人、二十年七百二十五人、二十二年でいわゆる集荷配給を複数制にしなければならぬということが、この関係法律の改正に伴つて附帶決議でありましたので、その準備をするときにふやしてもらつて千七百四十五人になりました。二十三年度はさらにその実現ができたので、二千八百三十五人というものを中央と四十七の事務所に置いてやつてつた。なおこれを分解して繰返して申しますと、昨年の改正までは集荷配給ともに、いわゆる政府の指定する代行機関によつて実際は動かされていた面が多い。昨年複数制になりまして、そこで定員法の中に入らないないような人を、六千数百名臨時に職員の一部としてその検收という先端の仕事に携わらしたのでありますが、それはおおむねその地元の住民の方であり、あるいは団体の方であり、あるいは日通関係の人たちであつたというような状況でありましたので、木炭事務所としてはいわゆるからすまきだとか空気木炭だとか、こんなものがあろうとはもとより考えておつたのではないのでありますけれども、そういう先端の手不足というような事情からして、そういう結果が出たことを、今さらその点を遺憾に思うのでございます。
  115. 川野芳滿

    川野委員長 林君、実は郵政大臣が見えましたので……。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは今の点を結論をつけます。私の方はまだいろいろの資料がありますが、林野庁長官は一応この善後措置として、責任は自分にあるということを感じられておる。さてこの善後措置として責任を明らかにするということは、具体的にはどういう意味ですか。この厖大な赤字が、しかも明らかに木炭事務所と業者とのなれ合いであり、かつ木炭事務所が十分注意すれば避け得べきものであつた。たとえば現品がまだ未成品であるのに受入れ調書を出したり、あるいは保管中盗難にかかつたとか、あるいはからすまきだとか空気木炭支拂いをしておるということは、これは当然三浦林野庁長官並びに政府全体の責任であると思いますが、これの責任を感じられて、この善後措置をされた後に、あなたとしては具体的に自分の職を賭しても責任を明らかにする考えがあるかどうか。この点を明らかにお聞きしたい。
  117. 三浦辰雄

    三浦政府委員 職を賭しても責任を明らかにするかという御質問でありますが、もとより責任というものはこれを明らかに究明をして、国民の方々に了解の行くようにするということにあると存じます。そうしてただいま林委員の御質問の中の説明の言葉に、木炭事務所の職員が、なれ合いでこういうようないわゆる不足木炭のうちの一部については、原因をつくつておるんだというようなお話でございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、現在のところそういうふうには存じません。もしそういうようなものがあればこれは私というよりもむしろ検察当局の方のお調べによつて、その点については処置さるべきであろうと存じます。
  118. 林百郎

    ○林(百)委員 たとえば現品が未生産であるのに受入れの調書を発行しておるとか、あるいは私の方の調査によりますと、札幌の木炭事務所では所長の独断で一俵当り十五円十七銭の割合をもつて、十九万二千三百六十三俵に対して特別の小出し賃という名目で金を出しておるとか、あるいは三重の問題あるいは秋田の九百万円の問題等がありますが、三浦長官は一応なぜこういう赤字が出たかということの事態を国民にはつきりさして、善後措置を講ずるということを言つておりますが、その赤字の出た原因を考えてみれば、政府の行政的な責任が薄く監督が不十分である。かつなれ合いをしたということを言われても、何としてもやむを得ないような事態がたくさんある。たとえばこれは普通の新聞ですら、不正の焦点として次の三つの点が上げられておる。これは参考までに申し上げますと、卸売業者産地から送られた現物が一等品の場合でも、格下げの三等品の価格で小売店に売り渡して、その場合政府はその差額の損失を負担しておる。  二としては販売業者が倉庫の不備につけ込んで、実際には倉庫に入れないで、そのまま小売業者に直送した場合でも、保管料を政府に請求して政府はこれを拂つておる。  三は、たとえば産地からの積荷が百俵の場合でも、二十俵は紛失または損耗として農林省に報告した。このような数量のごまかしがたくさんあつて、実際は手がつけられない状態である。しかもこれは後ほど私の方のなお正確な資料で申し上げますが、五十四億のこのたびの臨時的な措置だけでは不十分である。どうしてもこれ以上のものを、さらに第二次的あるいは第三次的に補充しなければならぬという事態が、十分想像されるわけなんです。こういう事態にもかかわらず、政府としては刑事事件が起るまでは、責任を負わないということをおつしやるのですか。だれが考えてみても政府に責任があることは明らかである。先ほどあなた自身も責任を認められておるわけだ。その責任に対しては、事由を表明して、この事由に対する善後措置をとるというだけでは足りないと思う。少くとも五十四億もの赤字で、しかもその赤字原因が全然われわれを納得せしめない。政府が十分に愼重な処置をしたならば防ぐことのできた赤字に対する責任を、政府の当局者はおわかりになつてない。この点をあなたの良心に訴えてどういう進退をとられるがお聞きしたい。
  119. 三浦辰雄

    三浦政府委員 私の進退の問題については私自身が現在いる立場からして、申し上げる筋の問題でもなかろうと存じます。ただこの問題に対する責任はどういうふうに考えるかという問題については、結局二つの問題じやないかと思います。一つは要するに今いろいろ例をお述べになられましたような刑事上の問題がもしあるとすれば、刑事問題を起した当人はもちろん司直の手によつて適切な裁きを受けることであろうが、そういうようなことを起させるような状況に置いた監督者としての立場、それからもう一つ薪炭行政の運営上、その措置が適切でなかつたということによる何と言いますか、責任と言いますか、そういうことだろうと思う。いずれにいたしましても私先ほど来申したような気持でおりますから、御承知を願いたいと存じます。
  120. 林百郎

    ○林(百)委員 三浦長官に対して責任をどうこうということはお気の毒だと思うが、もつと大きくいえば、五十四億の赤字政府並びに行政官庁の監督の責任にあるものの不始末によつて生じたことに対しては、当然政府が責任を負うべきだと思うのであります。そこでちようど小澤国務大臣が見えておりますから、国務大臣の立場においてこの新規の赤字五十四億の責任を、政府はどうお感じになつておるかを伺いたい。ほかに食糧管理特別会計の方にも赤字が百億出ておる。これも補填しなければならぬような問題がありますが、これはこれで別個にこの理由と責任を追究するつもりでありますが、この特別会計中の赤字、しかも原因を探究してみると、時の政府当路者が細心の注意をすれば防ぐごとのできた事由によつてこういう赤字が出た。それを国民の血をささげるような税金でもつて、まかなわなければならないという問題が起きておるのでありますが、これに対して国務大臣の立場で小澤大臣に聞いてみたい。
  121. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 国務大臣の立場でお答えしますが、この問題は今日初めて起つた問題ではなくして、その原因は相当古いので、現内閣としてこの事実を発見したのは今年の四月ごろ閣議でこういう報告があつて、これはたいへんだ、とにかく責任の問題がどうとかいうことより、これ以上に損失をかけないようにやるのが適当だというので、さしあたり従来の政府が買い上げた措置をとめておつたのであります。従つてもしその責任が現内閣にあれば潔く負いますが、この責任は現内閣よりもずつと前の方にあるんじやないかと思います。いずれにいたしましても責任の所在がはつきりいたしました場合においては、適当な責任を負います。     —————————————
  122. 川野芳滿

    川野委員長 薪炭関係法律案に対する質疑あとまわしにいたしまして、小澤郵政大臣がお見えになつておりますので、郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題として質疑に入ります。川島金次君。
  123. 川島金次

    ○川島委員 本案に関係のある点について二、三お尋ねをしてみたいと思います。  まず第一にお伺いしたいのは、本年の五月に郵便料金の大巾な値上げをいたしましたときに、われわれは、この郵便料金の値上げが、当然国民経済の実態に照応して、政府の予定するような收入増をはかることは不可能であろうということを、きわめて強く進言をいたしまして、その値上率に対して強硬な警告を発し、これに反対をして来たのであります。しかるに政府はこれを押し切つて実施をいたしました結果、今や予定に対する非常な狂いが生じて、ここに一般会計からの繰入れをしなければならぬという事態に陥り、しかも今後政府の目途としておるように、郵政業において相当の増收がはかれますれば別でありますが、われわれは今の国民経済の実態から見ますると、そのことはなかなか困難ではないかという見通しを持つておるのであります。従つてそういう事柄に達しますると、今問題となつております薪炭特別会計ももちろんでありますが、これもまた一般会計から繰入れるとすれば、たいへん国民租税の負担において、これが穴埋めをされるというおそれが十分にあると、私どもは心配をいたしておるのであります。そこで私ども予算上の計数を忘れましたから、ここにあらためて審議の都合上特に大臣にお伺いをしておきたいのですが、五月郵便料金の値上げを実施いたしました後における年度内の増收額はどのくらいであつたか。そして今日まで政府が持つております資料によつて、どのくらいの実績を示して来て、どのくらいの利用減になつてしまつたか。その内容ちよつとお示し置きを願いたい。これがまず第一点であります。
  124. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 お話のように郵政特別会計は前年度、前々年度におきましても、一般会計からの七十億ないし百億の繰入金を得てまかなつてつたのであります。しかし御承知のように経済九原則並びにドツジ・ラインという超均衡予算の編成にあたりまして、独立採算制を維持するために、ただいま川島君指摘の郵便料金の若干の値上げをいたしました。これは大体四十九億の補填を目標にして郵便料金の値上げをいたしたものでありまして、その後いわゆる値上げによる利用減等もある程度見ておりましたが、いかんせん何とか金額を少く値上げをしようという見地から、ごく一ぱい一ぱいまでの予算を計上いたしております。従いまして予算に対しては、毎月大体一億ないし一億五千万円の減收をいたしております。しかしこれはほんとうの意味の赤字ではなくして、歳入は予定よりただいまも申した通りの減收をいたしておりますから、歳出において極力この線を越えないように、すなわち実際上の赤字を出さぬように心がけて節約して、今経費を使用しておるような現状であります。しかしながらそれだけでは参りませんので、いわゆる増收対策というものをあらゆる観点から行つて、たとえば先だつて御審議を願つたお年玉つき郵便はがきというようなものも、その線に沿つた一環でございまして、着々増收対策が功を奏すると思いますので、年度内にはそう大きな赤字はないのではないか、こう見ております。しかしいくら見積つても十億程度の赤字があるいは出るのではないか。しかし赤字が出ましても、一方歳出面において極力切り詰めまして、予算面から見れば赤字でございますが、現実の歳入歳出の面におきましては補給を受けないでやつて行ける措置を講じたいと、極力奔走努力中でございます。
  125. 川島金次

    ○川島委員 大臣は今ドツジ・ラインの線でやむなくという、責任をドツジ・ラインに転嫁したようなお言葉で、まことにわれわれの納得できない点であります。政府はいやしくもその責任において予算を立て、そうして收入増が確実なりという科学的な合理的な基礎に立つて、初めて予算というものを計上したものであるとわれわれは理解をして来た。それに対して今謬見というか、最初から予定しておつたものが、どうも一箇月一億なり一億五千万円の予定外の減收になつて来たということだけでは、われわれは納得できません。そこでお伺いするのですが、この減收の事情というものは、私は郵便を利用する国民の経済の側にあると思う。そこでその国民経済は本年から来年にかけても、相当困難な事情をたどつて行かなければならぬという見通しをされておるのであります。ことにドツジ・ラインまたはシヤウプ勧告等によりましても、あるいはまた総理大臣がみずから言う言葉においても、なおさらに一層国民に耐乏をしてもらわなければならぬと言つておる。この建前からいいましても、現内閣の続く限りにおきましては、今年や明年はまだまだ国民経済というものは、非常な窮乏の状態を続けて行かなければならぬということになりますれば、政府が五月に定めました郵便料金の値上げというものは、国民経済の実態に照して非常にむりがあつたということだけは言えるのではないか。そこでこの国民経済にむりのある料金をひとつ考え直して、今からでも遅くはありませんから、郵便料金をもう少し値下げをするというような方向によつて、郵便を大いに利用することを普及せしめる。そしてその面からかえつて利用減を減少せしめて、増收をはかるという方法もないではないと思うのですが、そういうことは政府は考えておらないかどうか、これが第二点。
  126. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 およそわれわれ郵政省を担当する者にあずけられた大きな責任は、まず最低の料金で敏速に正確に安全に、しかも独立採算制を維持しながら郵政事業をやつて行くのが最終の目的であります。従つて川島君の言われるように、郵便料金の値下げということは抽象的に大賛成であります。私はいつの日にか必ず達成したいと思つております。しかしながら今川島君の言うように、郵便料金の値上げがただちに收入減とは考えられないのでありまして、しかして今ただちに郵便料金を下げることは考えませんけれども、逐次他の方面において増收をはかる一方、歳出の嚴重な節減をはかりまして、郵便料金を下げながら、しかも国民に対するサービスを落さないようにやつて行きたいと考えております。  なお先ほど私が申し上げたことを川島君は誤解しておるようであります。私はドツジ・ラインによつてしかたなくやつたと申したのではなく、ドツジ・ラインの要請において、日本政府の責任においてやつたのだということをはつきり申し上げておるのであります。決して人にその責任を負わすようなことはいたしません。  なおよけいなことかもしれませんが、この内閣が続く限り不景気が続くだろうというお話でありますが、これはこの内閣だからこの程度で済んでおるので、もしこれが社会党内閣や芦田内閣であつたならば、もつともつと不景気だろうと思います。
  127. 川島金次

    ○川島委員 そういう政治論を始めるということになれば、これは一晩中かかつても盡きないことになるから、そういう無用のことはあとまわしにします。今大臣は郵便料金を値上げしたから、この利用減が多くなつたとばかりは言えないだろう、こういう意味のことを言つておりますが、私から言わせれば郵便料金の過当な値上げ、これが大きな原因です。これは大臣といえども率直に認めた方がよいと思う。ですからこそ大臣のいつの日にか——十年先だか二十年先だかわかりませんが、いつの日にか値下げをしたい。これは大臣も率直に認めておる。認めておるということは、郵便料金が過当な値上げであつたということの証拠であると私は思う。そこでそういうことを私はお伺いいたしたのである。  そこでさらにお伺いいたしたいのは、そういう急速な値上げができないということになりますと、今後大臣が名案を出されて特別増収をはかるかわかりませんが、なかなか容易でないと思う。その容易でないことの一面においては、できるだけ歳出の節減をはかると言われるが、その歳出の節減も、これは逓信従業員の賃金のくぎづけだとかあるいは人員の減少だとか、こういうことが多くおおいかぶさつて来るということだけはこれまた見通しできる。人件費以外にそうなかなか節約の余地のない郵政省に、いかに小澤君が名大臣であつても、郵政省の全体の予算の中で、人件費を除いて郵便料金の不足を補うほど厖大な、月に二億円も二億数千万円もの節減の余地はないと思う。あるならもつと早くやつてもらいたいと思う。ところが、ないから今もつてやらない。そうであれば今年も赤字だ、来年も赤字だというおそれが十分にある。ことにこの間お年玉つき郵便はがきを出している。もうすでに市中には売り出されている。しかも私が驚いたのは、国会できまつた翌日ですよ。しかも衆議院であのお年玉法案が可決されました翌日、私のところへ郵便局から来て、もうお年玉郵便の予約をとりに来ている。しかも現物がある。これはどう考えても国民には納得ができない。まだ両院が通過しておらないその法律のもとにおいて、しかも翌日はもうはがきを売りに来ている。こういうことまでやつて、あわてふためいて郵政省が赤字を補填しようとして努力している苦心はわかりますが、そのような臨時的な増收政策だけでは、郵政省の赤字というものはなかなか埋まつて行かないと思う。また来年も一般会計からこのような繰入れをしなければならないようになる。もしそういうことをしないようにするためには、郵政省の従業員の首切りもふやす、あるいは賃金もなかなか上げない、あるいは夜勤手当もなかなか出せないし、勤務外の手当もなかなか出せないようになつて、郵政省のいわゆる働く労働大衆というものが、犠牲になるというおそれが十分にあると思うので、ぜひとも郵便料金の過度の値上げであつたということを政府は率直に認めて、郵便料金を一日も早く下げることが、むしろこの利用減の防止——若干でも防止できることになるのではないかと思うので、そういうことを私は強く聞いているわけであります。それもいつの日にか、大臣は値下げを実現してみたいというだけであるのだが、それはとうてい見込みがない。見込みがないということは、結局はまた赤字が来年も続くであろうということを、私は想像をしているわけであります。そこで今お話が出ましたが、一体法律ができ上らぬ前にもう現物ができていて、それを政府が国民に売りつけて歩いている。これは私は違法だと思う。それを大臣はどういうふうに考えてああいう命令を出して、国民に予約をとらせ、現物をまわしているのかということを承つておきたいと思う。
  128. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 法律公布前にそういう販売の行為をしたかどうかは、今初めて伺うのですから、調査した上で適当にしますけれども、ただ事情を申し上げたいことは、年賀郵便というものは来年になつてはだめなんで、今年の暮れのうちに売らなければ年賀郵便にはならない。そこで私の方では、実はこのお年玉つき年賀郵便は、最初法制局と相談したときには、これは法律はいらないのだ。たとえば大蔵省でタバコのあれをやつたような場合、法律なしでやつております。ところが、その後になつて解釈を変更して来た。私の方は法律は出さないでやるつもりで、印刷することに決定して、一応三百万出すというので、十月の末からとりかかつていたのであります。十二月に間に合せるためにそうしておつたところが、急に法律がいるという法制局の見解だつたものですから、いるというならば、これはやむを得ぬ。できるだけ合法的にやりたいというので、急いであの法律案を出した関係上、販売することは私は認めておりませんけれども、印刷することは、あの法律案の前から準備をしております。またそうでなかつたならば、少くとも今年の間には合わなかつたのであります。つまり今川島委員の言う通り、法案が出たらすぐやるというふうにしなければ、なかなか増收はできない。法案が出て、それから準備をして印刷をしておつたら、今年のお年玉に間に合わないのであります。そういうふうな事情で、早手まわしにやつていたのですから、むしろ川島君の方からほめてもらいたいくらいです。しかし君の言われることは、法律でかけておきながら、その法律がまだ公布されないのに売ることはけしからぬじやないかという、この点については私は命令を出しておらないので、事実の有無を取調べて、適当な時期にお答えします。
  129. 川島金次

    ○川島委員 手まわしよくやるということはよくわかります。野党であつてもその点くらいは了承したい。その苦労もわかります。しかしながら法律施行前に、現物を国民の前に出すということは完全に違法だと思う。これはいかなる政府といえども、法律が出る前に、その法律に基いたものを売るということは断じて許されない。マル公改訂のときに、まだマル公改訂法律、條例が出ないうちに、国民が物の値上げでもして売つてごらんなさい。これはただちに監獄ものです。そういうことを国民には押しつけておきながら、遵法精神とか何とか運動をやつておきながら、政府はそういうことをやつているということであつては、国民全体の遵法精神も何もあつたものじやない。そういうことは大臣は急速に調査して、事実があつたら、調査してその責任を明らかにしてもらうことは必要だろうと思う。  それから電報、郵便等の遅達がまだあとを断たない。はなはだしいのは、東京から三日も四日もたつて埼玉県へ来る。埼玉県から出しても、四日も五日もたたなければ東京へ着かない。こういうことは今でもその跡を断たない状態です。これはどういう根拠であるか。私が思うのに、郵政省がむりな行政整理をやつて、むりな人員の配置の仕方をしたということも大きな理由じやないか。そういう点大臣はどういうふうに考えておりますか。
  130. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 いわゆるこの郵便サービスの点ですが、戰前に比較しまして郵政省のサービスは確かに落ちております。ことに内容を開封する制度などが、関係方面から指示されましたので、従来三日くらいで来たものが、四日も五日もかかつているのですが、最近私どもの懇請をいれまして、この内容検査という制度もだんだん廃止するような情勢になつておりますから、従つて従来よりは幾分なりともその遅達、あるいは非常に遅れるというようなことは、だんだんなくなつて来ております。もちろん戰前のサービスに比較して全般的には落ちておりますが、行政整理をしたために落ちたとは政府は考えておりません。ただこういうことがあることだけは御了承願いたいと思います。御承知の通り、あの定員法は、あれからはみ出たものを郵政省一本で合計して整理しております。ところが、郵政省全部の一本建でありましても、これは東北仙台郵政局へ何人、名古屋へ何人というように、またさらにこれをわけまして、また仙台郵政局では青森のどこの局へ何人というようにこまかく定員を配置しておるのであります。いわゆる新定員法で行きますと、たまたま甲の郵便局では人員過剰になつている場合があり、乙の郵便局では定員以下になつてつているところもある。しかし総合計では定員法と同じ、そういうふうな配置転換によつて順次定員を合理化しようという考えからやつたことで、これは行政整理の対象となるものを、一人でも少くしたいという趣旨であります。よけいな局をみなどんどん切つてしまうなら簡單です。しかしながら一人でも少くすることは、政府としての重大な責任であると考えましたから、将来の配置転換ということを予想して、全国の総合計の定員で整理しております。しかしまだ配置転換が全部完全になつたとは言えないのであります。従つてごく少数の局では定員以下で、しかも一人、二人の定員不足じやなく、五人も十人もの定員不足のところもあります。これに対しては、いわゆる賃上げというような方法で、臨時雇いを雇いまして使つているところもありますが、それでもなお足らぬところも多少あります。そういうような状態で、少くとも十月に入りましてからだんだん直つてはおりますが、あの当時においては確かに川島君御指摘のような箇所もあつたのであります。しかしその後職員諸君の了解を得まして、配置転換が漸次行われております。すなわち新定員法に基く人員の配置が整備されつつあります。そういうような状態で、おそらくこのサービスも、少くとも行政整理前以上にぼくは上つているつもりであります。従つて行政整理をやり過ぎたためにサービスが惡くなるというような事実は認めませんが、過渡的、経過的に今申し上げた点のあることだけは私も率直に認めます。
  131. 川島金次

    ○川島委員 この四億何がしの不足の中に、定員法を実施したために、今言う通り各所に相当の不足を生じて、臨時雇いを雇つているところが今でも方々にある。そういう人件費が相当にかかつたために、この不足を生じたという点もあるのじやないかと思うが、その点はどうなんですか。
  132. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 この四億四千四百万ですか、この金額は元来第五国会において、寒冷地手当あるいは石炭手当という法律によつて決定されたものであります。従つて予算編成当時には原則としてこれを組んでいなかつたのであります。これは私の省ばかりでなく、一般的にこれを組んでいなかつた。ところが第五国会において法律をもつてこういうことが制定されましたから、政府は当然これに対して責任を感じて、新たな予算をつくつて配付しなければならぬ責任を生じたわけであります。ところが最初から予算を組んでおりませんから、今年度だけはやむを得ないから一般会計から借りまして、来年あるいは再来年において、この金額一般会計にもどそうというのが、今御審議願つておる法案であります。
  133. 川島金次

    ○川島委員 私の聞いておるのは、郵政省の財政上のこういうやり繰りなんかが生じたその一つの中には、定員法の実施のために、全国各所に臨時雇いを雇わざるを得ないところができて、今日でもなおやつておる。そういつたことに伴ういわゆる臨時人件費の増、そういつた事柄やいろいろの要素がからまつて来て、こういう結果になつて来ておるのではないかと私は思う。そこでそういう実態はどうなつておるかということを尋ねておるのです。
  134. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 行政整理によつて予算上非常にふくれたかというような意味のことですが、これはふくれません。むしろ非常に余つております。なぜ余つておるかというと、御承知のようにあの定員法は、今年の三月一日の予算定員現在に対して、四万八千人の整理ということになつております。この四万八千人の整理であつたけれども、私は逓信大臣就任の当初から、すでにあのことあるを予期いたしまして、できるだけ本人の意思に反する整理対象者は出したくないという考えから、いわゆる欠員があつた場合には新規採用は絶対まかりならぬ。もし新規採用する場合には、本省の許可を得ろという指令を出して、いわゆる欠員不補充の原則を二月初めからとつてつたのであります。従つて三月初めには三千五百人の自然整理ができ、四月には、五、六千人の自然整理ができまして、両者合せて四万八千人の整理が、わずか一万一千五百人の整理で済んだということは、その前から自然整理をしておつたからであります。一方予算はどうなつておるかというと、予算は九月末まで四万八千人全部おるものとしてとつておりました。また退職手当も四万八千人が全部いるものとしてとつておりました。従つて三月によした人には、退職手当も特別の手当もやらなければ四月からの俸給もやつておりませんから、非常に余つております。賃金の面の問題でありますが、賃金の計算も現在においては予定以外の金を出していないで、予算面の範囲内で賃金をまかなつております。従つて寒冷地手当の四億四千四百万というものは、どこまでも新しい国会の意思によつて、国会の希望に沿うべき新しい金額でありますから、さしあたり郵便料金値上げということにも参りませんし、それほどの金額でもないから、一般会計から一時借り入れて、今後の努力によつて返そうという意味でやつております。
  135. 川島金次

    ○川島委員 大臣の答弁は先まわりしているのですが、私の聞きたいのは、定員法実施後、各省におけるいろいろの手不足から臨時雇いというものを相当に雇つており、今もつてそれがあるのです。一体そういう人数はどのくらいになつているか、そしてそのために要した費用はどのくらいになつているかということです。
  136. 中村俊一

    中村(俊)政府委員 お答えいたします。定員法実施後における定員不足のために、特に臨時雇いの数を増加したということはございません。ただ御承知のように特定局における電信電話の業務は、電気通信省から委託を受けて経営をいたしておりますが、この特定局の電信電話の業務が、実は取扱い数の非常に少い局、一箇月大体百五十通以下くらいの取扱い数しかないところは、一人の人を毎日雇うということは不経済でもございますので、こういう面は臨時雇いでやつております。これは五、六千人ございますが、こういつたようなことは定員法がしかれたためにやつたということよりは、むしろ合理化をやつたということでございまして、今お尋ねのような定員不足に対する臨時雇いというものは、定員法実施後特にふえたということはございません。
  137. 川島金次

    ○川島委員 定員法実施によつて特にふえないということは、こういう一つのカバーする面があつてふえなかつた。しかし現に臨時雇いがたくさんいるということは事実ですね。その臨時雇いの人数はどのくらいですか。
  138. 中村俊一

    中村(俊)政府委員 いまの五千人余りのものと、そのほか御承知のようにほんとうに定員が少いということでなくて、本年度限りで終るような仕事で、たとえば貯金原簿の整理とかいうことに使つているのがございますが、これとても今数ははつきりいたしませんが、何万という人間はございません。
  139. 川島金次

    ○川島委員 今別な措置を講じて、なおかつ臨時雇いは五千人いるということなんですね。
  140. 中村俊一

    中村(俊)政府委員 これはただいま申し上げた電報配達通数のごく少い局の配達事務を合理化するという面からのものでありまして、これが約千人程度ございます。
  141. 川島金次

    ○川島委員 そうすると先ほどあなたがおつしやつた特別な合理的な措置をかりに講じなかつたとすると、この五千人をさらに倍くらいにして、一万人くらいの臨時雇いがいるという計算になりますか。
  142. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 こんがらかすとあれなんですが、たとえば特定局で一箇月に百五十通、すなわち一日に五本しか電報が来ないところでは、従来は電報配達を一人雇つてつたのです。そうすると五通くらいの電報では、公務員法に基く一人の定員を置くというようなことはどうしても不経済だ。これは平均五通ですから、一通くらいしか来ないときもあり、一日一通来て近所へ配れば済むものを、完全に一日雇つておくということは、まことに企業の合理化上よくないというので、請負制にして、二千円くらいの基本給をやつて、電報の来ないときには百姓でも何でもやつていて、電報が来るとその人が出て来て配達するという請負制度に改めた。これは定員法には関係なく、請負制度によつてやることがかえつて能率的で、本人も拘束されないで自由でいいという趣旨から改めた。これが元は公務員法の定員に基くものであつたけれども、その制度を改廃したので、五千人ほどは臨時で雇つているという趣旨であります。そのほかの数は中村君から今御答弁申し上げました。
  143. 川島金次

    ○川島委員 次にちよつとお伺いしておきたいのですが、これは私が間違つているのなら取消しますが、東京中央局を中心として、郵政省ではどういうような行政区画にしているのかわかりませんが、近県の郵便物を——たとえば埼玉の大宮なら大宮という局に郵便物を投函すると、その投函された郵便物が一旦中央局にさしもどしというのですか、転送されてそれが中央局からさらにまた埼玉県の他の郵便局にさしもどされて初めて配達される、こういうことが最近まで行われておつたという話ですが、それはほんとうですか。
  144. 川野芳滿

    川野委員長 速記をやめて……。     〔速記中止〕
  145. 川野芳滿

    川野委員長 速記を始めて……。
  146. 川島金次

    ○川島委員 最後にもう一つお伺いしておきたいのですが、大いに増收をはかるという見込みで、四億一千万円に食いとめておるらしいのですが、われわれはお年玉の法案は関係なかつたものですから、ついでにお尋ねしておきたいのですが、お年玉郵便はがきによつてどのくらいの増收を見積られておりましたか。
  147. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 大体予定数は一億八千万枚でありますから、これを二円ですから三億六千万円、全部の收入です。
  148. 川島金次

    ○川島委員 三円ですよ。
  149. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 三円だけれども、一円は共同募金であつて、郵政省の收入には何もならない。共同募金で慈善事業としてやつて、困つたところを切り拔けようという郵政省の考えで、実收は二円で、あれは二口、つまり共同募金に入るのがいやな人は本来の郵便物の二円のものもあります。篤志家があつて、共同募金をこの際してやりたいという気持でいる者は三円、そういう余裕のない者は二円を買つてもらう。従つて全部におきましては、一億八千万枚の二円の割合でこちらに入つて来ます。その経費を引いた残りが増收ということになりますが、経費政府委員の方から……。
  150. 中村俊一

    中村(俊)政府委員 経費は大体そのうち全部入れまて、懸賞のお年玉の費用、それから取扱いに要する従業員のいろいろな超過勤務とかそんなものを差引いて、七千万円程度という見込でございます。
  151. 川島金次

    ○川島委員 それで先ほど申し上げまとたように、政府法律を侵してまでも超特急的に売り出しをやられ、もうすでに十日くらいたつ。相当売上げがあつたと思う。その売上げも十日くらいの実績を見れば、今後の見通しも大体わかると思いますが、その実績と見通しはどうなつておりますか。
  152. 中村俊一

    中村(俊)政府委員 実は現在やつておりますのはまつたくまだ予約でありまして、発売はしてないわけでありますが、法律が通りまして本格的な活動を開始しておりませんので、実際どのくらいの予約があつたかという確たる資料は持ち合せておりません。しかしいろいろ私どもも今回のお年玉つきのうちで、特に共同募金の一円プラスしておるものの関係につきましては、共同募金委員会の方で非常に力を入れていただいておりますので、それらの方々から各地の状況を聞いておりますと、たいへん売れ行きがよさそうだというので、できればもうしばらくたちますとその状況がわかると思いますので、それによつてはあるいはさらに増刷をしよう。こういう準備もいたしておるような次第であります。
  153. 川島金次

    ○川島委員 何か政府側では予約をとつておるのだと言うけれども、実際はそうじやないのです。現金で拂つているのです。政府の考えていることと実際の面とは大分食い違いがあるのですが、もう銭をとつております。私らのところにも届けて、もう私も三円のやつをずいぶん買わされた。だから相当に実績が上つているのじやないですか。予約募集中なんですか。それとも現金はとらぬという方針で進んでいるのですか。実際は現金をとつております。
  154. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 とにかく本省で地方局に指令したのは十二月一日から発売するという指令を出した。しかしながら地方ではそういうことになりますと、成績を上げるという意味で、今川島君御指摘のように、期限前でも何も惡いことをするという意味でないからといつて、やつておるかもしりませんけれども、本省の方針は十二月一日から発売するということになつておりますから、私どもの方としては一応発売がないものと考えております。しかし現実の問題をつかまえて金まで拂つたというなら事実でしようから疑いませんが、やはり従業員諸君が郵政省の窮情というものを察知せられて、熱心に少しでも利益を上げようという努力の結果ではないかと考えております。しかしいいことであつて法律を侵すということはいけませんから、この問題については適当に調べますが、従つて本省の方へは十二月一日からやれというのに、十二月二日以前に幾ら売れたという報告は来つこない。従つて中村君の言うような答弁になると思います。おそらく各省を通じてそうでしようが、郵便局から郵政局へ行き、郵政局である程度まとめて本省に報告するのですから、現実のものがこつちにわかるまでには相当の期間を要するのであります。今川島君の質問のように現在売れた範囲で、その月のパーセンテージがわかるじやないかというのですが、現実はなかなかそう行かない。いずれ適当な時期にそうした報告がありましたならば、この経過を御報告申し上げる機会もあり得ると考えております。
  155. 川島金次

    ○川島委員 十二月一日から売り出すという中央の命令があるにもかかわらず、実際は十日も前から売つておる。おそらく法律施行と同時に売り出せということで、しかも法律施行前からすでに現物が届いておれば、地方の郵便局の人逹は一生懸命売りたいと思うから、十二月一日まで待つておりませんよ。十五日も前に現物が届いておるのですから、一日から売つたのでは思うような收入も上らないと思う。年賀郵便は年賀に出すのですから、正月に出したのでは年賀郵便にならぬ。政府事業ではどうも政府が考えておる方針と実態とが喰違つて来る。そういうことはどういうところから起るのですか。
  156. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 年賀郵便は印刷ができ次第速急に手配して送つております。というのは、口では一億八千万枚などと言いますけれども、これを各小さい全国の郵便局に送るという手数は容易なものではない。従つてできたものから予定の数をどんどん送らしておるらしい。それでなければ事務的に実際に間に合わない。だから東京は近いから早く着いたという意味になりましようか。そういう意味でやつたのだと思いますが、これは先ほども言う通り北海道から九州の果まで、しかも山間僻地のどんな村までもはがきを届けるのですから、それが十二月一日前に最終的に届くようにしておくには、早いところは一箇月も前くらいからやつておかないとうまく行かない。こういう点の準備の都合でやつたことが、たまたま熱心の余り法律を犯したということになつたろうと思いますから、どうぞお許しを願つて、たくさんお買い求めを願いたいと思います。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 最初にこの四億の一般会計からの繰入れですが、これは内容を見ますと、石炭手当とか寒冷地手当になつておりますが、これは当初予算では掲げられていなかつたのかどうか。その点をひとつ伺います。
  158. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 これは今川島さんにもお答えした通り当初の場合は、一応公務員の給與法の規定によつて、給與以外のものは出してはいかぬという建前になつておりましたから、当初予算には計上されていません。第五国会における法律ができましたので、その法律に従つて政府は新たに計上したのであります。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでこの郵便事業特別会計ですが、非常に彈力性のない特別会計になつておるのでありますが、何とかしてここで幾らかでも利益をあげるということを考えるのが、所管大臣のお考えだと思います。そこで一つの方法として、先ほど川島君の意見もありました通りに、思い切つて郵便料を四割五分平均上げてみたのでありますが、これがかえつて国民の負担にかかつて来て、郵便の利用率が低下してしまつた。国鉄のごときも、最初運賃の値上げによつて相当收入があると思つていたのが、かえつて收入が減じたという例もあるわけです。そこで、郵政大臣としては郵便料金をもう一度合理的に検討してみて、たとえばはがきであるとか封書のごとき、非常に大衆的な利用度のあるものは、むしろこの際少し料金を下げるという方がかえつて收入をはかる道になるのじやないかと思うが、将来郵便料金について再考慮するお考えがあるかどうか。
  160. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 御承知の通り本年の郵便料金の値上げは、はがきはすえ置いております。はがきと封書とは非常に隔たつております。従つて私は独立採算制の線で、財政さえ許せば、むしろこの前に値上げした分の郵便封筒くらいは少くとも値下げして、五円か六円くらいまでこぎつけたいと考えております。それから減收という問題ですが、これは昨年の芦田内閣のときも、一昨年の片山内閣のときも値上げいたしましたけれども、この経過から見ますと、六箇月くらいはいつも非常に減收になつておるのです。ところが利用減というものは六箇月ぐらい過ぎますと元へもどりまして、ちようど時期は私どもが上げた時期と、片山内閣、芦田内閣が上げた時期は大体同じでありますけれども、この暮れあたりからはずつと前に近くなつて来るのであつて、時期的の問題もありまするが、私どもは今までの減收がただちにその率で減收になつて行くとは考えません。しかしながら林君の言われる郵便料金の再検討という点については常に考慮しておりますが、その再検討の場合に、はがきを三円に上げろという問題よりは、むしろ今上げた封書を元へ引下げたいというような考えで行きたいと思うのであります。そうするのには、今までは広告收入というようなものはほとんど見ていなかつたのでありますが、皆さんの御審議を願つた今度の郵政省設置法では、ポストとかあるいは電信柱とかいうようなものに広告することも可能になりましたので、今急いで広告收入を増加すべく計画しております。先ほど申し上げた十億の收入というものは、約三億五千万円くらいの広告收入を見ておるのですが、これがわずか五、六千万円しか現在入つておらぬのです。これは新しい事業でありまして、六月から施行されましたけれども、方法等を吟味しておつたり、あるいは省令等の吟味が手間取りまして、ようやく少しずつ今やり始めたから收入減になつておりますけれども、これが平年度に行きますれば、やはり予想通りの三億五千万円くらいの收入があるんじやないか、こういうものを考え、またさらに今の増收対策等を考えて行きますれば、必ずしも郵便事業が今現実に味わつているような姿に行くのではなくて、むしろやりようによつては、今申し上げた程度のわずかくらいの値下げをしても、独立採算制の堅持ができるのではないかというふうに考えております。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 郵政大臣は私の言つたことを少し誤解しているかと思うのです。私はむしろ封書やはがき、こういう大衆的な利用度の高いものは少し料金を下げて、むしろ利用度を高めた方が増收の道になるのではないかということを言つたので、はがきを上げろということは決して言つた覚えはない。そこでよく独立会計をしている事業は、料金を上げることによつてその赤字を埋めようとするのでありますが、それが上げ過ぎると、かえつて予定だけの收入はとれない場合がある。そこで郵政勘定の方でも、切手とか郵便の收入が当初の予定の通り一体とれる見込みがあるかどうか。たとえば切手收入は百三十一億、郵便收入は三十六億という予算を当初予算で立てていますが、これは一体とれる見込みがあるかどうか。現在までの成績は大体どのくらいのところが、お聞きしておきたい。むしろ少し料金を下げて利用度を高めて、独立会計を健全な方向に持つて行く方が賢明でないかというふうに思つておるから、お尋ねするのです。
  162. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 それは大体結論においては林君と考え方を一つにしておるのですが、はがきはすえ置いて、封書の方を値上げいたしましたから、封書の利用がだんだん少くなりました。それがはがきに移行されておる。たとえば一枚のはがきに書き終えないものは、はがき二枚続けて書いておるものもあるようです。従つてはがきの方は予定より少しふえております。ただ封書の方が減つておるのですが、この値上げによる利用減というものは、鉄道でも何でもそうでありますけれども、それは六箇月ぐらいが壽命であつて、大体六箇月を経過するとまた元へ復帰するというのが傾向であります。しかしながら程度問題であつて、これを無制限に上げた場合でもそういうことがあるとは考えられません。また林君の言う通りに、料金の調和線というようなものがあるのでありますから、その調和線をどこに求めるかというと、やはり封書は五円か六円、はがきが二円ぐらいが適当だというふうに私は考えておるのですから、他の増收対策をやつて、その他の経費を節約して、何とかして理想としては、今年値上げしたものを引きもどしたいというような気持でいるということを申し上げたのであります。従つてまた林君の言うように、値段を下げればうんと利用度があるか。これも考えもので、おのずから程度問題だと思う。今はがきを一円にしたからといつて三倍になるとは考えられませんで、そうむだな手紙を出す人もない。ですから、上げるにしても限度がありますし、下げるにしても限度があります。その限度は大体はがきの現状に比較した郵便料金の基準というものが、よろしいじやないかというふうに考えております。
  163. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つ、切手收入と郵便收入は、やはり予定額に達していないのですか。
  164. 中村俊一

    中村(俊)政府委員 お話の点でございますが、私どもが予定をしておるものには遺憾ながら達しておりません。これは御承知のことと思いますが、郵便の利用度につきましては、各月ごとに季節的な変動がございまして、大体そのグラフというものは一定いたしております。従つて私どもの收入の予定も、その山に合わせて予定を立てておりますが、郵便料金を値上げいたしました五月は、予定收入に対して約二億程度の赤であつたのであります。ところが最近のそれ以後の各月は、多少の高低はありますけれども、だんだんと收入が増加して参つておりまして、特に八月ごろまでは十一億台であつたのでありますが、九月には十二億、十月には十三億というふうに、だんだんと回復いたしておるのであります。ただいま大臣からお話もありましたように、これまでの数度の値上げの結果を検討してみますと、六箇月ないし七箇月ぐらいのところまではその山に従いつつも減少いたしますが、六箇月ぐらいたちますと予定いたしました線に帰つてつております。それがちようど今年の十二月ごろに当るのでありまして、十二月という月は、平年におきましても非常にその山の高い月でありまして、私どもはそこに目標の楽しみを持つているわけでありましで、予定に対しましてはお話のように減收であります。しかしながら実際の收入と実際の支出の差は、十月までで約二億数千万円の実際の赤を出しておるにすぎませんので、その点は大臣からもお話がありましたように、歳入の面をにらみながら四半期ごとの大蔵省に出す支出負担行為計画、こういうもので押えられもいたしますし、支出面で節約をしておる、こういうことであろうかと思います。
  165. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでこの切手收入と郵便收入がだんだん改善の方向に行くというのですが、もし当初の予定の通り入つて来ないということになり、しかも一般会計からの繰入れが困難ということになりますと、今度は再び従業員の首を切るとか、賃金を下げるというような問題が起つて来るのでありますが、そういうことによる経費の節減ということを考えているかどうか。これを聞きたい。
  166. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 今回の行政整理四万八千人は、もうこれ以上現在のサービスを落すことなく——サービスを落せば別である。郵便を一日おきに配達するとか、あるいは日曜、土曜を休むというなら別でありますけれども、現在のサービスを続けて行くのには、現在の定員が適当だと考えておりますから、これ以上定員法を改正して整理するという意思はありません。従つてもし節約をする面がありますれば他の面で、また増收する場合においても先ほど申し上げました広告料收入というものに目をつけて、どこまでも現在の定員、現在のサービス、現在の料金で独立採算制を維持して行きたいと考えております。
  167. 林百郎

    ○林(百)委員 この郵政勘定の一つの財源として、郵便保險年金の積立金を郵政省で運用するということは、かねてからの当局の郵政関係——前の逓信省関係の要望であつて、大体閣議では決定したということになつておるのです。これはたしか国会の決議がいると思うのですが、その点は閣議で正式にそういう決定を経たかどうか。またそれはその後どういう手続を経て実現する見込みがあるかどうか。これを適当に運用することによつては、郵政勘定の一つの財源にもなることと思います。その点はその後どういう経過を経ているか、説明願います。
  168. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 この郵便年金並びに郵便簡易保險積立金の運用については、第五国会におきまして衆参両院とも、しかも共産党の林君の方でも賛成して、決議案が通過しましたので、私どもは国会の全面的な希望でありましたから、さつそく政府部内において閣議を開きまして、この決議通りに実行するように方針をきめたのであります。ところがこれは一九四六年だと思つておりますが、連合軍からの覚書によつて、従前逓信省がやつてつた積立金の運用が、大蔵省に資金の統一という名前で行つてつたのであります。従つてこの十月二十六日の覚書が取消されない限り、実施できないのであります。別に法律的措置はいりませんけれども、行政の運用のスキヤツプ・インでありますから、これを取消してもらいたい、元にもどしてもらいたいという要請を出すよりほかはないのでありまして、政府は私と大蔵大臣の名前でこういう国会の決議もあり、また政府部内でもこういう希望があるから、スキヤツプ・インを取消して、そうして元のように積立金の運用を還元してもらいたいという点の要請を出したところが、先方では最初のうちはあまり問題にしないで、非常に悲観的であつたのであります。これはいかぬというので、内閣全般の強い意思だということを、さらに総理大臣から書簡をもつて要請しました結果、今審議をいたしておりますが、資金の一元化すなわち資金の統制の一元化ということに対しまして、相当根強く考えておられるようでありまして、われわれとしましてはでき得るだけの努力を重ねましたが、この問題が今どうこうなるというようなことは、はつきり申されません。
  169. 林百郎

    ○林(百)委員 この郵政勘定の財源をゆたかにするということは、お互いに考慮しなければならないのですが、この大事な一つの要素は、やはりサービスをよくするということだと思います。たとえば郵便の到着時間は、先ほどの川島君の話もあつたように、たいへん遅れてあてにならない。たとえば私の党の谷口君の月給を京都へ十月に送つたら、それがまだ届いておらないというような問題が起きておるのです。こうなつてはがきや郵便というものはあてにならぬということになると、結局少しは料金が高くても電報を打つとか、電話をかけるということになつて、ますます郵政事業というものの会計が苦しくなる。どうしてもサービスを改善するということが第一だ。それにはやはり従業員をもう少し補充し、一つは待遇を改善するということがどうしても考えるべきことだと思う。この点、私は郵便事業の発展については、小澤郵政大臣とまつたく見解は同じであるが、従業員の首切り、ことに共産党員を首切りしたという点については、小澤郵政大臣とはまつたく立場を相異にし、恨み骨髄に徹しておるわけです。そこでこの従業員をまず補充してサービスをよくして、はがきだとか封書だとかいうものが国民の信頼をかち得るようにしないと——これは川島君の意見もあり、私の方の谷口君にもそういう例がある。国会議員ですらはがきや郵便に近ごろあてにならぬということになると、ゆゆしい問題だと思うのですが、それを改善する一つの方法として、やはり従業員をまず補充し、ことに待遇を改善するということが不可欠だと思う。そういう積極的な方法をとつた方が、むしろ郵政勘定をゆたかにするように私は考えるのですが、この点まず第一に、今後適当に従業員の非常なむりのあるところは補充するというような考えがあるかどうか。ことに中央郵便局だとか、東京都内の郵便局のごときは、非常に取扱い数が多くて人が少い。逓信事業の従業員というのは、昔から各官庁に比べて待遇が惡い。しかも社会的にその地位が尊重されない点では、天下に公知たる事実である。待遇は惡い、世間的には郵便配達夫などまるで飛脚か何かのように考えられるということになると、どうしても能率が上らなく、サービスが惡くなるという問題が起きるのですが、まず第一に、適当にやはり仕事の上でむりのあるところは人員を補充して、サービスを改善するという点を郵政大臣は考えておるか。その点をお聞きしたい。
  170. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 従来郵便サービスが非常に低下したため、ことに戰後はなはだしく施設あるいは機械設備等も低下をいたしました関係上、戰前に比して郵政サービスの落ちておることは事実であります。郵政サービスが落ちたから郵便の信頼というものが国民から失われまして、ただいま林君御指摘のように、郵便はあてにならぬという思想が、相当郵便料金の收入に影響している点ははつきり認めます。そこでサービスの改善ということになるのでありますが、先ほども申し上げました通り、過剩労働や郵便そのものではなくて、別な目的のために、従来二日かかつたものが四日も五日もかかるというようなことがありましたので、よけいに国民から郵政省のサービスの信頼度が失わたて参つたのであります。ところがその方面においても、先ほど川島君に御答弁申し上げた通り、廃止される状態になつて来たことが、非常に郵便のサービスの改善に対する国民諸君の信頼を増して来ると思うのであります。それがまた増收対策の一環にも同時になると思うのでありまして、このサービスの向上ということは絶対に必要な問題であります。たとえば鉄道は汽車と機関車、いわゆる機械、設備というものが相当働くのでありますが、郵政省関係はほとんど人間の労働そのものが、即サービスということになつてしまうわけでありまして、非常な従業員諸君のサービス面における行動が、大衆に直接影響する点は最も機敏なのであります。従つて従業員諸君が進んで郵便事務の本来を理解して、正確に敏速にやるべきものである。また自分もやるだけの自信を持ち、またやれるだけの経済的な余裕を持つということが先決問題であります。従つて定数定員の問題もある程度現実のサービスをしながら、これ以上人員を整理するということがあつたならば、サービスが低下いたします。しかしながらこれ以上ふやしたからといつて、ただちにサービスがよくなるとは私どもは考えませんので、現在の職員諸君に熱心にまた誠実に働いてもらうことによつて、これ以上のサービスを向上することが可能だと考えております。従つて今過渡期でありますから、配置転換の未処理等によつて、多少局部的には不円滑な点もあります。その他大きな人事の異動等もありましたから、従つてふなれな点もあるいはサービスに影響して参りますけれども、漸次定員も公平に配置せられ、また職員諸君も安んじて業務に盡すということになりますれば、その面から勢いサービスになつて現われて来るものと考えられますので、全般的に林君の趣旨は私は同感でありますけれども、その方法としてただちに定員をふやすということは今考えておりません。しかし職員諸君に対する生活の給與等を考慮して、あらゆる見地から職員諸君の生活問題に対する助成の方法を、間接、直接に考慮しなければならぬことは、十分私責任を痛感しておりますので、できるだけの努力をもつて、そうした面に協力したいと考えております。
  171. 林百郎

    ○林(百)委員 行政整理の問題ですが、私たち現地で実際に当つてみますと、小澤郵政大臣のようなもののわかつた人が大臣をしておる官庁にもかかわらず、とにかく首を切られた連中は、みんな労働組合の指導的な立場に立つた諸君、特に共産党員が被害甚大なるものがあるのであります。定員法には、別に共産党員を首切れ、あるいは労働組合の幹部を首切れということはたしかないはずです。それをそういうものを首切るということは、これはポツダム宣言に違反し、憲法に違反するゆゆしい問題だと思うわけです。ことに現場をよく見ればわかると思いますが、従業員のうちで前の逓信従業員の職場ほど暗い卑屈な職場はない。上の人におもねり、できるだけサボつたりいろいろする。これは社会的に地位が認められないことと、給料が安いために、職場が暗く卑屈になるので、そういう卑屈な職場を明るくし、従業員に明るい希望を與えたのが、実は労働組合運動だつた。この労働組合の指導者諸君、共産党の諸君を首切るということになれば、また職場の空気が沈滯し、従業員の向上心がなくなり、ますますサービスが低下するという状態になると思う。この共産党員や労働組合の指導者の首を切つた責任を、一体小澤郵政大臣としてはどう考えられるか。ことにこのサービスの低下の点でありますが、先ほどの大臣の話だと、今まで部処を調べたりいろいろしたような、これは何としても——ちよつと速記をとめてもらいたい。
  172. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  173. 川野芳滿

    川野委員長 速記を始めて……。小澤郵政大臣。
  174. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 この問題はあなたの方の土橋君からも、その他二、三の委員から毎日のように責められておりまするが、およそ私ども行政整理に際しましては、特定の政党に所属する人を整理するというようなことは少しも考えません。公務員法で政党に所属することは認められておるのでありまするから、そういうある政党に所属しておつたからこれは整理するというようなことは、毛頭考えたこともありませんし、実行したこともないのであります。一定の整理基準というものは立てましたが、何を基準にしたかというその整理の基準は、発表しない方が適当であるというので発表しませんから、ここに申し上げられませんけれども、要するに惡い方面いわゆる非協力者という基準も一つありました。そういう基準に当てはまりますれば、林君の方の共産党に属していようと、わが党の民自党に属していようと、職員としてあるまじき者はどんどんやります。なお執行委員であるから切るなどというそういうやぼなことは、法律で認めておる執行委員であるから切るということは毛頭ございません。執行委員であつてもまじめな人もあり、ふまじめな人もあります。ところが今林君がたまたま共産党に属しておる者をたくさん切つたとか、執行委員が多くあつたというお話でありますが、私の方では共産党に入つた場合に少しも私の方に届がないのであります。また民自党に入つたからといつて届もなければ、また届ける義務もない。履歴書にも書いておりません。でありますから共産党だか、社会党だか、民自党だか少しもわかりません。たまたま林君の言う通り共産党員が多いということであれば、その共産党員の人にいわゆる職場非協力者が多かつたという結論になると思うのであります。私はそう言うほかないのでありまして、だれが共産党か少しも知りません。従つて基準というものも、共産党だから切れという指令は全然出しておりませんから、その点は私を信頼していただきたい。
  175. 林百郎

    ○林(百)委員 小澤郵政大臣は元議院運営委員をやつてつたから、なかなかごまかすようなことがうまい。私は前から知つておるのです。しかし現実に首を切られる連中は共産党員であり、組合の幹部であつたということはみなわかつてつたのです。しかも大臣まで報告が行つておるかどうか知りませんが、現場の調査ができておる。たれが共産党員で組合の幹部かということは全部調査ができておつて、それが上の方に行つて非協力者ということで首を切られておる。現実に首を切られた者を政党別にひとつ調べてもらいたい。それから組合の幹部であつたかどうかということを統計をとつていただきたい。おそらくそのうちの八割から九割までは組合の幹部であり、共産党員であつた者が非協力者という名前で首切られておる。このことはなぜ私がこういうことを言うかというと、こういう組合の幹部や共産党の諸君のような少し元気のいいのがいないと、郵政の従業員というのは昔から卑屈でまつたく職場が暗い。郵便従業員は昔から飛脚か何かの成上り者みたいにしか世間も見ないし、自分自身もそういう卑屈な気持になつておる。そういうところにむしろ元気のいいのが行つて職場を明るくしてやるのが、かえつて郵政事業を健全に発展させる道であると思う。私は別に共産党員が首を切られ、組合の幹部が首を切られたことを遺恨に思つて言うのではなくて、郵政事業全体のあの暗い卑屈な職場を明るくしてやろう。郵政事業に自分の一生を打ち込むことが、自分も生きがいがあり、自分の子孫からも尊敬されるというような生きがいのある職場にしてやるために、こういうことが必要だと思つておるからあなたに言うわけです。あなたの答弁をお聞きしますと、まつたく公平無私、職場をサボつておるというような者を首切つたと言うが、現実は共産党員並びに労働組合の幹部を首切つておる。ぜひひとつ調査してその結果を私の方に報告してもらいたいと思います。そしてたとえば共産党員であつたかどうか、組合の役員をしていたかどうかということも調査して、それらの被整理者の中で何パーセントを占めておるかという数字を出してもらいたい。もしそれが出ないなら今あなたの言う首切りの基準をぜひ示してもらいたい。どういう者を首切つておるか、またなぜ首切つたかということを聞きに行きますと、現場の責任者は、一体たれが責任があつて首切つておるか全然わからない。みな大臣の言うようなことを言つておる。ところがこれは私が首切るということを言つたのじやなくてもつと上の人だ。上の人に聞けば、いや私じやなくてほかの人だ。結局だんだん行くと実際は小澤郵政大臣のところに行つてしまう。そうすると現実に共産党員や組合幹部を首切つておるということは、あなたの非常な巧妙な言いまわしいかんにかかわらず、やはりもとは小澤郵政大臣からその方針は出ておる。民自党の方針から出て、共産党首切れというので今度の行政整理は出ておると言わざるを得ない。この点どうお考えになりますか。
  176. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 先ほども言う通り、党に所属しておるというような問題は、これは私役所内では少しも調べていない。ですからもしそういう調べがあるならば、君の方の党員名簿を出してもらえば一番いい。また私の方は民自党の党員名簿を出すし、川島君には社会党の党員名簿を出してもらつたらいい。なぜそういうことを言うかというと、今私が党籍を調べるというようなことを言つたら、また党籍を調べて彈圧するつもりだと君はきつと言うんだ。だからもしわかつているものだつたならば、お互いの政党でそれを持ち寄ればみなすぐわかることなんだから、あなたの方の党員名簿を出せば、ぼくの方の党員も、あれば出しましよう。また川島君にも出してもらつたらいいが、しかしあまり党籍を調べるということは、かえつて役所の中に党派的な感じを與える。知らない人にはそういう感じを與えると思うのであります。ですからそういう調べはむしろしない方がいい。なお共産党員にはむりなことをするというお考えだつたら、今後林君とは懇意だから十分あなたの顔を立ててやろうと思つておりますから、今君の方の残つておる党員があつたらその名簿をよこしてください。今後の人事は直接やりますから……。
  177. 林百郎

    ○林(百)委員 もし共産党員なら首切らぬということなら、名簿はいくらでも出しますが、あなたの方はその名簿を利用しで、これはいい資料が来た、あれを首切れということに使つてしまうおそれがあるから、これは出せぬ。あなたは非常に巧妙な言いまわしをしておられるが、現実はそういうことになつておるのです。なお私は郵政事業を愛するという点ではあなたにひけはとらぬが、こういうポツダム宣言あるいは憲法に違反して郵政従業員を彈圧するということは、これは私は小澤郵政大臣とどうしても意見を異にしておる。これはやむを得ない。徹底的に鬪わざるを得ないのであります。  そこでもう一つ、従業員の待遇の問題でありますが、ことに郵政事業を愛し、郵政のサービスを改善するという者の第一の根本的な対策としては、従業員の給與を適当にして、それから少くともまじめに働いておるならば、生活の点で自分並びに自分の一家に暗い影を與えることのないようにしてやつていただきたい。これが一番大事なことです。ところが今の給與のままで行きますと、大体今の月給をもらいまして、十日か十五日ぐらいたつともうその月の月給がなくなつて、次の月給日が待ち遠しくてしかたがない。職場では月給をもらうとすぐそろばんをはじいて、借金やなんか返してしまうと残りは三分の一か、せいぜい三分の二ぐらいしか残らないということで、生活の不安が従業員の問に非常にあるわけであります。これはどうしても改善してやらなくてはならぬ。売り食いあるいは借金、あるいはからだをこわす。こうして待遇が惡いから社会の逓信従業員に対する評価も非常に薄い。高級の局長、課長級ですら、大体昔ですと大蔵省、内務省あるいはよその省に行つて、どこの省にも就職できぬ者がやむを得ぬから郵政省、逓信省に行こうということになる。ここに局長がおられるが、昔はそうだつた。それほど郵政省というものは軽く見られておる。これはやはり社会の郵政従業員に対する評価が低い。それはなぜかというと待遇が非常に惡いということです。社会的な待遇が非常に惡い。これはどうしても郵政大臣としては真劍に考えてもらわなければならぬ。たまたま今従業員の間から給與ベースの改訂の問題も出ております。これに対して年末にもなりますし、従業員としては非常に生活に窮迫しておると思うのでありますが、この給與ベースの問題について郵政大臣としてはどうお考えになりますか。
  178. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 先ほども申し上げました通り、職員諸君のこの事業に対する協力がひいてはサービスに影響し、また国民大衆の信頼を得る、得ないという分岐点になることはよく承知しております。いわんや林君に言われるまでもなく、朝な夕なに毎日会つて、そうしてまじめに仕事をしておる従業員諸君が苦しんでいるのを見てもほんとうに涙が出ます。でありますから私は現在の法制の許す範囲、われわれの実行できる範囲においては、何とかしてこの苦しい職員諸君のたとい幾分なりとも生活の安定をはかるように、常に私は閣議でもどこでも、あるいはその他の席においても熱心にやつているつもりでおります。また賃金ベースの問題でありまするが、これはせんだつて組合の方からも要求がございました。この要求も国鉄が八千何百円に対して、従業員諸君は七千幾らというようなごく遠慮した、いわゆる日本の財政をある程度理解したかに見えるような、遠慮した額で要求している点を見ますと、よけいに私どもは何とかしてやりたいという感じを持つのであります。しかしながら政府といたしましては、すでに総理大臣の施政演説にもある通り、とにかく名目賃金すなわち賃金のべースは改訂しないという方針を決定いたしております。そうして現在職員諸君が非常に苦しんでおるという点は、政府全部が認めておりますので、これをどう裏づけるかという問題は、要するに実質賃金の向上をはかつて行きたい。この方針で今進んでおりまするから、ただちに賃金べースをどうこうというようなことは申されません。むしろ賃金べースは改訂しないということをここではつきり申し上げておきます。以上のような次第でありまするが、ただ年末には何とか賞與とかあるいは年末調整金というようなものを考慮することが、適当ではないかという御意見に対しましては、私はもつともだと考えておりまするが、また政府といたしましては法律の制限もありまするし、予算の制約も受けておりまするから、今どうなるかということははつきり申し上げませんが、私個人といたしましてはできるだけの努力をして、たとい燒け石に水かもしれませんが、幾分なりとも公務員諸君の生活のために盡力したいと考えております。
  179. 林百郎

    ○林(百)委員 小澤郵政大臣は吉田内閣の中でも非常に有力な閣僚である。あなたの方針と意見は内閣に相当甚大なる影響を及ぼすと思うのであります。とにかく官庁労働者、ことに郵政、電気、通信従業員の生活は非常に苦しくなつておるのでありますから、この給與ベースをかえなくてはもう責任は負えないんだということを、あなたが腹をすえて閣議で発言すれば相当内閣も考えると思う。また国会に法案を出せば即時にわれわれは協力いたします。また財源も方々にありますから、心配しなくていい。たとえば薪炭赤字のようかものはこれはどうでもいい。これを逓信従業員の給與の方にまわせばいいのであります。国会も協力しますから、大臣も腹をすえて逓信従業員の給與を名目的にも上げる方向へ努力していただきたい。それから実質的にも上げるということを考えておるようでありますが、その実質的に上げるということはどういうことを考えているのか。またせめて年末には親心で何とかしたいというようなことも答えられているようでありますが、その点を具体的にどのように考えておられるか。しつかりした答弁を最後にお聞きしたいと思います。もしこれが実現されないようであれば、これは吉田内閣の命とりになるかもしれない。私は好意をもつてあなたに勧告しているわけでありますので、ひとつあなたの責任ある答弁を最後にお聞きしたいと思います。
  180. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 せつかく林君におだてられたから、その通りにやりますと言いたいのですが、なかなかそうも許しません。要するに実質賃金の向上ということは、言うまでもなく減税ということが第一であります。減税のうちにも勤労所得税の減税、それから織物消費税、あるいは通行税というようないろいろなものがございますが、それをやると同時に、一方配給品については、従来のいも含みの主食配給であつたものを米麦だけで配給して、しかも何と言いますかつきぐあい——今までのように玄米同様のものを配給せずに、精米されたものを配給するというように漸次実質賃金の向上をはかつて行きます。それから年末賞與の問題は先ほど申し上げた通り、われわれの気持といたしましては、法制的に経済的に許すものならば何とかしたいという気持は、私ばかりでなく総理大臣初め全部の閣僚が持つておりますが、今ただちに年末にどうするとかしないとか、あるいはどれだけの額ということを申し上げる自由を有しておらぬことを、御了承いただきたいと思います。
  181. 林百郎

    ○林(百)委員 どうも小澤郵政大臣の言うことはわからないのであります。ただ私が一つ警告を発しておきたいことは、官庁労働者の生活状態は、大臣諸公の考えているよりも言語に絶して窮迫している。このことを真剣に考えないならば、おそらくこれが吉田内閣の大きな命とりにもなるだろうという最後の警告を発して、これ以上いくらあなたに質問しておつてもしようがないから、一応今日はこれで打切りたいと思います。
  182. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案につきましては、すでに質問も十分されたようでありますので、これをもつて質疑を打切りたいと考えるのでありますが、お諮り願います。
  183. 川野芳滿

    川野委員長 前尾君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでありますので、郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案質疑終了といたします。討論は後日に譲ります。     —————————————
  185. 川野芳滿

    川野委員長 次に薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題として質疑を続行いたします。深澤義守君。
  186. 深澤義守

    ○深澤委員 薪炭問題につきまして、先ほど小澤国務大臣は、この赤字原因は歴代内閣の責任であつて、これは吉田内閣の責任ではない、もしも吉田内閣が責任を負うべき義務があるならば、負うというような御答弁があつたのでありますが、薪炭特別会計赤字五十四億七千万円のうち、十四億の現物不足はなるほどこれは歴代内閣の責任かもしれない。しかしながらそれ以外の予定外の経費支出によるところの損害十五億三千五百万円、その後の処理に関する二十億に及ぶ赤字は、まさにこれ吉田内閣の時代における赤字でございます。予定外経費支出によるところの十五億三千五百万円は、昨二十三年度の暖冬異変による処置の問題でございます。第一の備蓄及び一時保管の経費増加でありますが、これはすでに御承知のように、木炭につきましては一俵百円程度の中間マージンがあるのであります。この中間マージンがあるにもかかわらず、それ以上のものをここに支出いたしまして、そうして保管に関しましては、大都市消費地の保管に対する保管料を拂つておるのでありますが、これはまつた会計検査院の説明にも明らかでありますように、野天に積んであるものに対してすら保管料を拂つておるというような、非常に妥当の支出ではないのであります。さらに卸売業者に対する横持ち料というようなものを、二億一千六百万円も支出せられておるのでありますが、これもすでに小売業者に渡してしまつておるというものに対しても、横持ち料支出が行われているということも明らかになつておるのであります。さらに指定集荷業者に対する手数料の増額も、すでに中間マージンとして與えられているにかかわらず、また余分の支出をしている。また早期つきがま費及び特別小出し料も三億八千万円もあるのでありますが、これも何ら会計的に基礎のない、財源のないものを支出しているのであります。この四つのものに対しては、会計検査院自体も、これは適当の支出でないということを言明しておるのであります。それにもかかわらずこれを支出しているというのが現状であります。さらに卸売業者に対する延滯金の回收につきましても、政府当局はまつたく怠慢をしておるのであります。先ほども他の委員からも指摘されておりますように、薪炭特別会計の中止というような問題をめぐりまして、卸売業者政府に対する支拂いが意識的に遅延されて、その金をもつて産地の手持に苦んでいる生産者から、たたき買いをしているというような事実があるのであります。これらの点はまさに吉田内閣の重大なる責任であると、われわれは考えるのであります。こういう点から申しまして、この薪炭特別会計の十四億の現物不足を除く以外の赤字は、まさに吉田内閣の責任である。これに対していかなる責任を小澤国務大臣はとられるか。今後の処置に関しまして責任ある御答弁を願いたいと思います。
  187. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 私が責任を負うと言わなくとも、行政全般に関しては、憲法によつて国会を通じ国民に責任を負うことになつておるのでありまして、何も私が責任を負うと言うから初めて負うのではないのであつて、当然日本の三権分立の結果であります。従つてそうした責任を負う場合にはいろいろな場合が生じます。たとえば閣僚に対する訓戒だけで責任を負つたと思われる場合もあるし、大きくは内閣が総辞職をしなければならぬ場合もあります。いろいろな場合がありまするが、要するにそういう問題は実際を調査して、これはどの程度の責任を負うべきかという一つの確定した事実のもとに立つて、そういうことが論議されるものであつて、今調査中である具体問題を、深澤君の言う通りの断定を基礎にして、どういう責任を負うかということに対しては、もちろん答えることはできませんし、不正義でも何でもなく実際上できないのでありまして、事実調査の上に、今申し上げた通り、政府が責任を負わなければならぬ場合には、その責任の程度においてしかるべく責任を負うと思うのであります。従つて責任を負うという程度は、私が辞職するとか、内閣が辞職するとかいう意味でないことを御了承願いたいと思います。
  188. 深澤義守

    ○深澤委員 この薪炭特別会計赤字問題は、單に大蔵委員会ばかりでなしに、すでに農林委員会でも大問題になつております。あるいは考査委員会においても取扱われるというような段階になつておるのであります。従つて国民自体もこれに対しては重大なる関心を持つていると同時に、この赤字補填の問題については、直接国民の税負担に関係して参るのであります。そういうような意見から、小澤国務大臣はまだ管轄違いでございますから十分の御承知はないかもしれませんが、これは内閣の重大なる政治的責任に発展する可能性があると思うのであります。従つて有力なる閣僚である小澤大臣は、この問題に対して軽々しく、この補正予算において国民の納得の行かない状態において、これを国民から支出させるというようなことのないように、ひとつ十分なる御注意をされるよう警告するわけであります。
  189. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 深澤君のお話はよくわかつておりますが、要は、過去の五十四億の赤字がどういう事実において、どういう責任においてやられたかということは、今後調査すればわかることであります。しかしながら現実に木炭をとつてつて、あるいは借金をしておいて、それを拂わずに置けば、責任がなお重なるという意味で、今後の責任だけでもまずきれいにしておくことがわれわれのとるべき態度であるというので、一応この五十四億を埋めて、この五十四億が不足であるためにこうむる国民諸君の損害を少くしたいということで提案したのであります。この前政府は、行政官庁でこの内容を調査にかかつたのであります。ところがとてもとても十何年間の後始末で、何もかも帳簿がないのでわからぬから、その責任問題をあとにして、まず応急措置を講じておくのが政府の責任であるという意味で、この案を出したのでありますから、この案を出したからただちにわれわれの責任であるか、あるいは芦田内閣の責任であるか、片山内閣の責任であるかはわかりませんけれども、そうしたことをもみ消そうというのではありませんから、この案はこれ以上の損害を国民に與えないという趣旨において、どうぞよろしく御判断の上御審議を願いたいと思います。
  190. 深澤義守

    ○深澤委員 小澤国務大臣の言う理由は、この問題については直接生産者に拂わなければならぬからというのであります。そして跡の始末はまああとで十分やつたらよかろうという御意見であります。もちろん言葉としては一応ごもつともでありますが、すでにこの件は今年の春以来問題になつておるのであります。そして本年の六月十六日には林野局長官の名前において、現物不足の十七項目に対して、いずれもこれは最後的には刑事事件にまで発生する可能性のある内容を含んでおるから、嚴重に処理すべしという指示が行われておるのであります。しかるに今日まで日本全国のほとんど至るところで、一つとしてこれに対する誠意ある解決が行われていないということ、政府当局がこの問題に対してまことに不熱心であり、国民に対してこの赤字を埋める責任を十分負担していないということは、この事実によつて明らかになつておるのであります。さらに本日予算委員会の小委員会におきましても、この問題について国警長官を呼んだのでありますが、国警長官におきましても、この問題を全国的に調査しているということを申しております。さらにこの問題について重大なる関心を持つておることを明確にしております。われわれは国民に対して、この赤字原因がどこにあつたかということを、早急に明らかにすべき責任があると考えるのであります。しかるに六月十六日に指示しておるにかかわらず、この処理の事実が少しもあがつていない。そしてその当時予定されておりました赤字が、少しも減つていないというこの事実によりまして、われわれはこの処理はあとでもよいではないかという、その言葉に対して信頼することはできない。こういう建前から、われわれはまずこの赤字原因を究明し、その責任ある者はこれをどしどし処置いたしまして、しかる後に国民の負担を軽くすべきではないかというぐあいに考えるのであります。まあ管轄が違いますから十分御承知でないと思いますが、この処置は遅々として少しも進んでいないということを御承知願いたいと思います。
  191. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 お話のように、割合迅速には進んでおらないかもしれませんが、何しろ古い問題で、しかも全国的な広範な問題でありますから、なかなか深澤さんの考えているようなぐあいには行かないかもしれませんが、政府としては決とてこれの手を緩めているわけではございません。政府においても深澤さんと同じように、一日も早く黒白がはつきりすることを念願しているのでありますから、御趣旨の線に沿うてすみやかにこれがはつきりするような措置を講じたいと考えております。
  192. 深澤義守

    ○深澤委員 この五十四億七千万円の赤字である現物不足の問題について明らかにいたしたいことがありますので、その点をお伺いします。現物不足の中に十七項目の不足原因があげられておるのであります。これはしばしば議論になつた点でございますが、そのすべてを徹底的に追求するならば、刑事事件が発生する内容を含んでおるのであります。六月十六日に三浦長官は各木炭事務所に対しましてこの問題を徹底的に追究せよ。そうして末端において処理できないものはこれを本省にまわして、本省においで関係方面と連絡の上措置するからという趣旨に基きまして、通牒を発しておるのであります。これを全国の木炭事務所はいかに処理したか。そうしてその実情についての報告がどの程度あつたか。末端において刑法上の問題として処置したものはどのくらいあつたか。さらに末端において解決できずして本省において関係方面と連絡の上処置したものはどれくらいあつたか。その点について明確にお答えを願いたいと思います。
  193. 三浦辰雄

    三浦政府委員 この通牒に基いてそれぞれ自分で解決つかない場合には、いわゆる刑事事件として告発してでもこの事件の解決に当らなければならないということは、この通牒ではつきりいたしておるのであります。その後の進捗状況でありますけれども、この大部分である輸送中の問題というのは、日本通運の荷渡しとの関連をつけ、その先どこへ渡したかということで、卸の方にそれを探つて行くということになつておるのでありまして、それが同じ事務所の管下ではなく、あちらの方は産地木炭関係の事務所であり、こちらは主として消費地木炭関係の事務所になつておりまして、その間互いに連絡をとつておりますけれども、まだここに報告としてまとまつておるものがないのです。たとえばこの現物不足等の問題については、昭和二十四年度になりまして現在八百三十八件、金額にいたしまして九千六百万円、こういうものは解決の一つの現われとして弁償金としてそれをとつておる。こういう報告はあるのであります。  それからまた中央でやろうとしておりますのは、なんぼいろいろな方法を講じても、納めろという約束に荷受け機関で応ぜぬ。また応じても実現に対してはまことに困難な環境にあるものについて、今月中には実現いたしませんが、ただいま法務府の方と民事上の形でどういう段取りでやるかということを、せつかく打合せ中のものはございます。数字の報告はできませんが、ただ六月の通牒に基いてそれぞれ木炭事務所としては整理の段階にあるのでありますから、自分の手持の薪炭を売り拂うことと同時に、これこれの原因のものは追究中であるということは明らかに申し上げることができます。
  194. 深澤義守

    ○深澤委員 私の尋ねに対して少しも明確ではないのであります。ただ九千六百万円かの処置ができるということであつて、その他は六月の状態と何ら今日まで発展いたしておりません。その当時におきましても現物不足木炭は十四億円を予定しておつたのであります。今日においてもそれだけの御努力をされておるにもかかわらず、依然として現物不足の問題は十四億を計上してあるわけでありまして、何らそこに努力の現われがないのであります。もつと具体的に申し上げますれば、現品が生産されなくて支拂い証明を出したということは、最初から明らかに不正の意図があつて行われたのであります。さらに支拂い証明を二重に発行した、これもはつきりしておるのであります。これは不正であります。こういうものを列挙いたしますれば、明らかに最初からそういう意図があつて行われたものも相当あるのじやないかと思います。長官が刑法上の問題にまでして追究せよという指示を出したにもかかわらず、そこまで熱意をもつてつていないというところに、この赤字がいささかも減つていない結果となつて、ここにわれわれがまことに不可解の念を抱かざるを得ない事件が生じたのである。政府は税金といえば差押えしても何でもとるけれども、こういう当然政府が整理すべきものに対しては何ら積極的な手を打たない。こういうことはすべての問題に通じておるのであります。特に最後の不足木炭五百十五万九千俵という厖大なるこの数字の中の最も大きな数である県外輸送であつて、受領証未着のもの二百八十六万一千俵、これは現地の木炭事務所から消費地木炭事務所に送つたものであります。そして消費地木炭事務所から受領証が行つていないということによつてこれは不足であるというふうに計上されておるのであるが、現物は向うから積み出したものであり、従つて途中でなくなつたものか、あるいは消費地へ到着しでなくなつたものか、ともかくも消費地へは出ておるのであります。従つて日通を調べるか、あるいは消費地の卸業者等を調べれば、この問題の所在は明らかになるのであります。それにもかかわらずこれが現物不足であるといつて、これを赤字として処理するということは、いかにもわれわれは無責任きわまることであると考える。一体この県外輸送であつて、受領証未着のものという二百八十六万一千俵に対してどういう調査をされたか。どういう状態になつておるかということについてひとつ明確に御答弁願いたい。
  195. 濱田正

    濱田説明員 現物不足の問題の状況について御説明いたします。ただいま深澤委員の特に御指摘になりました、一番大きな数を構成しております県外輸送であつて、受領証未着分は、これが総現物不足の五百万俵のうちの二百八十万約三百万俵で、大部分を占めております。これにつきましては、処理の状況ですが、この分がどのくらいになつたということは、当然われわれとしては報告しなければならぬ義務があるわけでありますが、この処理につきましては、A木炭事務所、B木炭事務所C木炭事務所というふうに、木炭事務所の関係が相当複雑になつておりまして、発送報告書を一々調べ上げて、発送報告書を証拠として、だれがそれを輸送したかということを次に調べて、それが着地なら着地の木炭事務所へ行つてだれに渡したかということを調べる。こういうやり方で調べて、確かにこれだけの証拠があるという証拠をこちらがつかんだ上で調停しないと、ただ漠然とやつてしまつたのでは相手方も応じる根拠がなくなりますから、そういうやり方でこちらで証拠をつかんだ上でやるということでやつておりますから、この状況の進行が、その事務上の複雑さのために思うほど進行していないということは、まことに残念な点でありますが、但しこれだけははつきり申し上げ得ると考えます。この県外輸送で受領証未着のもの、これは深澤委員の今お話になりましたように、日通なりあるいはおそらく大部分は卸の手にすでに入つているものに違いないのであります。これはわれわれの調べ方といたしましても、表から発送報告で押して行くという調べと、裏から卸業者の帳面を調べて行く調べ方と両方合せて、合つたところで証拠をつかんでやるというやり方をやつております。そこでその裏の方を申し上げますと、われわれが出かけて卸の帳面を調べますと、確かに着地の木炭事務所が渡したという数量と、それから卸の方がもらつたという数量とを見ますと、そこに食い違つている。言いかえれば卸がもらつた数量の方が多いというのがわかります。従つてこれを今度はそういう証拠をつかんでおいて、表の方から発送報告書をたぐつて行けば必ずこれは出て来るものであります。従いまして二百八十万、約三百万俵のうちどのくらい出るかわかりませんが、われわれの調べた限りでは大体例外なくと言えば言い過ぎるかもしれませんが、その点は確かに証拠がありますから、事務の進行に従つてこれをつかんで行けるということだけは申し上げることができる、かように考えておるのであります。従いましてこれはまるまる損となるものではなくて、相当の部分が調停をやつて債権を確定してとり得るものだ、かように考えております。特に県外輸送については証拠として出て来ておりますから、それはとり得るものだと考えておるわけであります。
  196. 深澤義守

    ○深澤委員 今濱田課長から説明があつたことによつて、この現物不足としての一番数量の多い約二百九十万俵に達するものが、大体卸の手にあるということが明らかになつて来たようであります。そこで私は先ほどからも他の委員から指摘されておりますように、卸売業者はこの統制撤廃をねらつて政府に対する支拂いを意識的に遅延するという計画があるということが巷間伝えられておりますが、現在東北方面また私の出身地である山梨におきましては、実にこの貯炭が売れなくて配給の金さえないという、山間農村におきましても、どうしてもその貯炭を解決しなければならないという実情になつたのであります。そこでもつてたたき売りをしたという事実がある。彼らはこの厖大なる木炭を不当に占有しておりまして、そのうち売り拂つておる分も相当あると思う。そうして政府には金を支拂わずに、かえつてその資金を融通して多大の利得を得ておるというような実情であります。こういう事実を見ながらなぜ政府はもつとこの処理を積極的にやらないか。これを現物不足として、損害として、赤字として、国民の税金によつて負担させようとする。この行為をはたして国民は納得できるかという点であります。従つてこういう意味においてこの二百九十万俵という厖大なものは、まつたくわれわれは黙視するに忍びない問題であると考えるのであります。さらにここに事由不明の不足木炭が九十六万六千俵あるわけであります。この木炭現物不足の県別表がございます。たとえば盛岡のごときは九十六万三千九百二十三俵の現物不足となつているのでありますが、そのうち八十五万九千俵というものが全然事由不明によつて現物不足になつております。この盛岡に対してどういう御調査をなさつておるか。政府は事由不明で八十五万九千俵という木炭がなくなつてしまつたから、やむを得ないということでただ放置してあるのかどうか。この点をお伺いしたい。
  197. 濱田正

    濱田説明員 ただいま深澤委員のおつしやいました八十五万九千俵というのは事由不明ではなくして、この表にありますように県外輸送であつて、受領証未着のものであります。従つてこれは盛岡から出て来る、あるいは埼玉なりあるいは東京なりへ来る票を調べ上げて、埼玉あるいは東京、盛岡の三角関係、あるいは東京と盛岡、東京と埼玉、それだけの関係を追究して行けば必ず出て来るものであります。
  198. 深澤義守

    ○深澤委員 和歌山の欄でありますが、和歌山の三十三万七千俵はほかに何らの現物不足理由がなくて、事由不明によつて三十三万七千俵の不足が計上されておるのであります。和歌山に対してはどういうことになつておりますか。それを御説明願います。
  199. 濱田正

    濱田説明員 和歌山について事由不明と申し上げますのは、実は和歌山の木炭事務所を調べてみますと、たしか戰災か何かで逃げ出すときに大きな原簿といいますか、でき上つた帳面だけは持つて逃げたのですけれども、一つ一つの帳面のもとになる伝票といいますか、こまかいものがないものですから、帳面そのものには数量が載つておりますが、その帳面に載つておるそのもと——たれが取扱つたかというもとがありませんから、従つてこの原因別の数字が出て来ないというので、全然事由不明ということになつております。従つてこれはできるだけの証拠を集めさせておりますから、集めた限度においてこれはそれぞれの原因にわかれて来るのじやないかと思います。しかしどうわかれて来るかということは断言するほどの自信がありません。そういうわけではないかと思います。
  200. 深澤義守

    ○深澤委員 この現物不足の基礎的な調査は一体帳簿によつてやられておるのか。それともただ向うの報告をそのままうのみにしておられるのか。あるいは單なる伝票等によつて処理されておるのか。今の言葉によつて、その調査の根拠が非常に薄弱なように考えられるのであります。これは帳簿によつて調査されておるのかどうか。この点ひとつお伺いいたします。
  201. 三浦辰雄

    三浦政府委員 現物不足の問題ですが、これはいわゆる政府指定場所買上げ地点なり、あるいは政府の集積場所なりへことごとく実査に行つたということは申し上げかねるわけであります。指定場所は七万箇所と称せられるところでありまして、一つの事務所においても数千箇所になるところがあるので、そこには行かぬのでありますが、ただこれは会計検査院との連絡でできた数字であります。私どもは私どもの方で調べましたが、会計検査院としてもこの点を調べて、いつ行つてみても間違いのない数字をここで調べる。従来の帳簿あるいは行きがかり等にとらわれずに、いつ拔打ち的に行つてみてもちやんとある。こういう数字で調べなければならぬということで調べたのでありまして、調べる方法は、木炭事務所によつていろいろと違つておる場合もありましようけれども、そのつかんだ数字については、でき得る限り、もうこれで絶対間違いなしということで現物を調べると同時に、帳簿と関係の方面についていろいろと帳面を当つて、この事由別につくつたのであります。
  202. 深澤義守

    ○深澤委員 この中に、官行製炭による現物不足はどのくらい見積つておるのか、その点を承りたい。
  203. 三浦辰雄

    三浦政府委員 官行製炭は全体の供出量の六%にしかなつておらない関係もあつて、それを別にしたこの種の調べは今手元にありません。全体の六%でありますから、これは別途に扱わなかつたということであります。
  204. 深澤義守

    ○深澤委員 官行製炭においても、相当の現物不足があるやに私は聞いておるのであります。特に高知県あたりはそういうことも相当あるような話を聞いておるのでありますが、この官行製炭にも相当の現物不足があるのかどうか。特に高知県あたりにおいては、どうであつたかということを伺いたい。
  205. 三浦辰雄

    三浦政府委員 高知の方は官行製炭地がかなり奥の方にありますので、そういつた不足の問題がありまして、現在官行製炭と、今の売拂いというか、特別会計への供出した数量との開きについて調査をさしておつて、今のところはわかりません。この席では御返事できません。
  206. 深澤義守

    ○深澤委員 なぜ高知県の問題を問題にしたかと申しますれば、現物不足の各県別の数量の中で、高知県は百七十四万三千俵という厖大な数字を出しているわけであります。特にそうした奥地官行製炭等の現物不足の問題が、この百七十四万三千俵という非常に大きな数字なつ原因ではないかということすら言われておるのでありますが、その点大体でいいのでありますが、どうなつておりますか。
  207. 三浦辰雄

    三浦政府委員 先ほど申し上げましたように、高知の官炭についてはただいま現地の方で営林署を通じ、木炭事務所等で調べさせておりますが、高知は特有な事情といたしまして、ほとんど当時といたしましてはあそこの宇高線がなかなかうまく行きませんでした。ほとんど多くのものは機帆船によつて阪神方面へ出したのが習わしでございました。それでいわゆる不明の事故の大部分というものが県外輸送のものでありまして、私どもは高知の特殊な輸送事情と、しかも出しますところの港が高知県下におきましては、良港とてはあまりないのであります。あるいは久礼の港にいたしましても、ほとんど波の穏やかなときを見はからつて行くというような場所でございまして、須崎等がわずかに岸壁に着くという程度で、いろいろと輸送上の都合から海上輸送のところに非常な問題を起しているのであります。この点につきましては先ほども申し上げましたように、海上輸送担当者との間に、その責任を明らかにしなければならぬという問題に集中されると思います。
  208. 深澤義守

    ○深澤委員 官行製炭につきましては、できるならば資料をいただきたいと思います。  さらにその次の赤字の大きな要素である第二の点でありますが、それは予定外経費支出による問題であります。これは会計検査院の御意見によりましても、この支出がどうも適当でないという御意見をきようも言つておられます。決定的には国会に対する検査報告をつくるための審査会を開かなければ、これに対する決定的な意見は申し上げられないけれども、予定外経費支出の四項目、これは適当でないという意見を発表されておりますが、総括的にこれに対して林野庁当局はどういうぐあいにお考えになつておるか。この点を明らかにしていただきたい。
  209. 三浦辰雄

    三浦政府委員 会計検査院から指摘されました四つの項目、一つ備蓄保管の経費がかかり増しをし過ぎておるという問題でありますが、それにつきましては昨年の事情からいたしまして、どうしてもこういう結果を見ざるを得なかつたことでありまして、会計検査院といたしましても、これをなぜもう少し要領よく調整ができなかつたか、産地消費地との関係をもう少し調整してやれなかつたかという点を申されております。私どもといたしましては、この点は調整に努めたつもりではありましたけれども、輸送の二月ごろからの非常な増強等が根本の原因でどしどし送られて来る。何としても各駅に対してこちらの職員を十分に配置できない事情でありますのに、各駅からはどしどし送られたということでありますから、まことにやむを得ぬことだと存じます。  それから卸売に対する横持ち料、それから指定業者に対する同様いわゆる経費増嵩でありますが、これはその当時のマル公として三千八百円べースでできておる。そこへ持つて来て、価格の改定は六月かにあつたけれども、その中間マージンというものはふやせないということから全然動かない。ところが一般の給與水準は幾らなつたかというと六千三百円になつた。しかも集荷業者の間においても、また配給業者の間においても、八月の需給調整規則の変更によつて、十一月から新しく複数制になつて出発した。そこで少くとも一つについて三という複数制になりました結果は、取扱い量というものが非常に少くなつた。そこの関係からいたしまして、ろくな人間も雇うわけに行かないようないわゆるマージンの値段である。消費地へ到着する品物をどしどしはいてくれと言うたところで、あんな標準ではろくな人も雇えないということからいたしまして、それはあまりひどいというので、やむを得ずこの点を出したのでございまして、会計検査院から、いわゆる会計支出の面から見ると、その出し方は、ことに今になつて見まする場合、この会計がよく考えてみればそのときもうすでに赤なんだ。赤であるのにそういうよけいな支出をすることは、妥当でないと言われることは当然だとは存じますが、私どもの方の実行面の事情から行けばそういう事情であつたのですから、そういう弁解を申し上げて、そういつた状況を御理解願うよりほかしかたがないと存じております。  それから最後に特別小出し賃の問題でございますが、これにつきましては、二十三年度冬期における家庭燃料の緊急対策というものが、昨年の八月二十三日の次官会議においてはそういう措置がまだ真劍に論ぜられて、そうしてこの冬をどうしても薪炭の供給増によつて切り拔けなければならない、こういう状況に関連しての特別小出しの事情でありまして、予算面としては特別運搬費という中にも含んでおりますことなので、私どもとしてはそういうような説明を申し上げるつもりでおるわけであります。
  210. 深澤義守

    ○深澤委員 約束の時間が来ましたから、これ以上継続いたしませんが、これは法案に関係する問題でありまして、われわれに承認できるかできないかという大きな根拠になりますから、もつと事務的にも聞きたいと思います。なお明日は農林大臣にも御出席を願いまして、質問いたしたいと思いますから、その点を保留しておきます。
  211. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は質問がたいへんあるのですが、ごく簡單にいたします。私の感じますことは、こういうことなのであります。薪炭特別会計は、昭和十五年以来約十箇年間にわたつてつて来たのでありますが、私どもの想像するところによりますと、今度の問題は統制経済の欠陷なのであります。もう一つは、これに対しまする監査の実があがつていなかつた。こういう二つの原因にあるべきものと思つております。これは水田大蔵次官にも伺いたいと思つてつたところでありますが、お帰りになりましたから具体的のことは申しませんが、私の今まで聞くところによりますと、官庁の会計は單式簿記である。物品会計とか企業会計というものを含んだものではない。でありますから、一方では伝票を切りまするが、一方では現実に現物を調べているということがない。こういう点が非常に惡いのでありますから、これは薪炭会計のみではなく、一般に官庁会計をぜひ直してもらいたい、こういう希望があるのでありまして、これに対しましては、事務当局の三浦長官に伺つてはなはだ恐縮ではありまするが、もし御感想がありましたならば簡單にお答え願いたい。
  212. 三浦辰雄

    三浦政府委員 三宅委員の御指摘になりましたように、今からこれを見ました場合に、確かに單式簿記で物と金とを始終合せた形をしていないということは、非常に大きな欠陷をなしていたように存じます。この点につきましてはまことに官庁の会計として十分注意をしなければならぬ点であります。その後できました会計で、林野庁関係で申しますると、国有林野特別会計につきましてはこの点を改めまして、現物とその金位というものが常に見合う、こういう帳簿に改めております。
  213. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今三浦長官のお話によりますと、たいへんにうまくできるようなお話でありまして、まことにけつこうと存じます。本国会におきましても、專売公社の会計等につきましては貸借対照表、損益計算書並びに利益金の処分というような問題も、はつきりこの條文にうたうことに相なつたのであります。私は全特別会計がこの企業会計と同様の組織に改められるであろうことを、期待いたすのであります。  次に申し上げたいことは、ごく簡單なことでありますから、長官から伺いたい。戰時中もしくは戰後、帳簿は燒いてしまえということが往々ありましたために十分な資料もないと思いますが、いろいろなやみ行為がありましたり脱落等があつて、正確を期しがたい点もあつたのであります。終戰直後から今日に至りましては、だんだんわかつて来たであろうと思うのでありますが、指定業者がある程度まで戰後の紊乱期に便乘いたしまして、この重大なる薪炭会計を往々やみ行為と同様な方向にまで、発展させたということを想像するのでありまするが、御当局はこれに対しまして、いかなる御判定を持つていらつしやいますか。  もう一つ最後にお聞きいたしたい事柄は、債権を早く確定いたしまして、団民の損失幾らかでも少くせしめるということが最も肝要であると思います。部下官僚諸君を動員せられまして今日推進せられておるとは存じまするが、その辺の状況一つ承りたい。  第三には、今まで木炭事務所において相当熱心に親切に従事しておつた人もあります。私の想像するところによりますと、生産地における業者はすこぶる親切、また同情があり熱心にやつておりましたが、消費地における業者におきましては、場合によつてはこれと反対の行動に出る者もあつたかと考えております。これらに対しまする適切なる御施設とともに、債権を確定されまして国民の負担、損耗が割合に少くなるようにしてもらうということが、今日長官といたしましての任務であろうと思つております。責任は農林大臣にありましようが、事務当局の三浦政府委員の方にも伺いまして、その善処を促したいと思います。
  214. 三浦辰雄

    三浦政府委員 戰時中あるいは戰後の関係、ことに終戰時において書類を積極的に燒いたというふうな問題は、事の性質上あまりないのであります。そこでただ十九年は、現在のNHKの裏にある競馬会の建物を増築した木造家屋が燒けまして、そのために十九年の書類はない、こういう状況でありまして、紊乱期にあたつて書類を燒却あるいは破棄したというようなことはないのでありますし、また聞いてもおりません。  それから第二の回收を急げということですが、これはもちろん私どもといたしましては、一応本年の補正予算において、あるいは二十三年度の決算において、不足薪炭原価約十億のものを一応別に扱つており、それを欠損の方に一応入れてはおりまするけれども、先般来申し上げておりますように、これは個々の問題で非常に困難ではございますが、ぜひこれを追究して行かなければ、われわれとしてはその職務上申訳ないことであると存じ、しかもこれは急いでやらなければならぬと存じております。  それからもう一つの卸関係業者は、生産地もしくは消費生産とがとんとんのようなところと違つて、大消費地においてはずいぶんひどい。政府への債務も拂わない。そうして、その金をもつてことに盆を中心といたしまして、産地の方をたたいた傾向すらあるじやないかということにつきましては、私どもといたしましても一部そういうものが出たように聞きまして、まことに残念でございます。ただこの債権の回收でありまするが、先ほども申し上げましたように、とにかく信用の程度において薪炭を売り渡すという制度でなくて、この男が何らかの事由において登録家庭を多く持つておる。小売店をたくさん集めた登録者は、その男が必ずしも信用がなくても、そのものは生活必需品だから渡さなければならぬ、こういうことからいたしまして、資本も比較的小さいのにかかわらず、資本の五倍、十倍というようなものを買つておる。私どもといたしましては、その者に直接非常に荒つぽい行動で立ち向うということも、一つの方法と考えられますが、終局においてこの欠損というものを少くしなければいけないのだ、こういう実際問題も考えなければなりません関係からいたしまして、私どもといたしましてはそれをなるべく早く回收しなければならぬと心はあせりながらも、その点だけは一応考慮しながら進んでいるというような実情でございます。
  215. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 この薪炭会計につきましては、民主自由党は同僚の小山君が長時間にわたつて質問いたしまして、私どももまたお伺いしておりますが、今日は時間が参りましたからこの程度にいたしまして、ただ三浦長官に御希望いたしたい事柄は、今日まで国民の信用は、官吏というものは絶対に間違いない、こういうことを確信しておつたにかかわりませず、戰後往々にいたしまして、民間にやみが横行いたしましたと同様に、官吏の中におきましても、いかがわしき者がたまにあるということを聞いておりますが、どうか部下を督励せられまして、国民の信頼を回復し、ますます国家の損失を少くいたしまして、わが薪炭会計がこの程度で済んだということを中外に宣明するように、御努力せられんことを期待いたしまして、私はこの程度で終ります。
  216. 川野芳滿

    川野委員長 本日はこの程度にいたしまして散会いたします。     午後六時五分散会