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1949-11-22 第6回国会 衆議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十二日(火曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上 司君  理事 北澤 直吉君    理事 小峯 柳多君 理事 小山 長規君    理事 前尾繁三郎君 理事 川島 金次君    理事 荒木萬壽夫君 理事 林  百郎君  理事 早稻田柳右エ門君       江田斗米吉君    岡野 清豪君       佐久間 徹君    高間 松吉君       苫米地英俊君    西村 直己君       三宅 則義君    宮幡  靖君       山口六郎次君    中崎  敏君       松尾トシ子君    宮腰 喜助君       河田 賢治君    中村 寅太君       中野 四郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         (主税局長)         大蔵事務官   平田敬一郎君         (主税局調査課         長)         大蔵事務官   忠  佐市君         国税庁長官   高橋  衞君  委員外出席者         厚生事務官   岡林 諄吉君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 十一月二十一日  未復員者給與法の一部を改正する法律案内閣  提出第五号)(参議院送付) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  所得税法臨時特例等に関する法律案内閣提  出第三三号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三四号)  織物消費税法等を廃止する法律案内閣提出第  三五号)  未復員者給與法の一部を改正する法律案内閣  提出第五号)(参議院送付)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  所得税法臨時特例等に関する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び織物消費税法等を廃止する法律案一括議題として質疑を続行いたします。三宅則義君。
  3. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はこの際政府並びに議院に対しまして、認識を改めてもらいたい点があるのであります。私の質問いたします点は、所得税並びに物品税でありますが、特に本日は物品税について申し上げたいと思います。  この物品税法丁類の第三十九にあります点でありますが、「紅茶、烏龍茶、包種茶、コーヒー、ココア及其代用物並碾茶」とありますが、この碾茶というものは、元来は緑茶でありまして、緑茶は御承知通り、この大蔵委員並びに政府の御了解によりましで、今回物品税中からはずすことに内定いたされたのでありますが、同じ原料から精製します碾茶のみは残ることに相なつたのであります。初めは碾茶緑茶の中に入つてつたのでありますが、六、七年前緑茶から分離いたしまして、紅茶の方へ持つて行つてつけたのであります。これははなはだ不見識きわまるものでありますから、戰争の済みました今日、戰時中に切りかえられたようなものはなるべく元に復するのが原則であると考えている。さらに、今まで農産物原始産業でありますから物品税はかけぬという考えであつたので、この機会に、碾茶緑茶と同様に取扱つて物品税をとりはずしてもらいたいと思いますが、これに対する政府の御答弁を承りたいと思います。
  4. 平田敬一郎

    平田政府委員 碾茶に対する物品税課税についての御意見でございますが、これは結局国民消費実情と申しますか、国民一般消費の実際がどういうところにあるかということによつて判断がわかれて来るのではないかと考えます。確かに三宅委員お話通り、一部の地方におきましては、碾茶緑茶と肩を並べまして、同じような状況消費されている地域があるように私どもも聞いております。ただ現在のところ、全国的に見ますと、碾茶消費実情緑茶消費実情とは、若干の隔たりがあるのではないかと考えられるわけでありまして、将来もしもお話通り碾茶消費実情が、愛知県等におけるがごとく全国的になるということでありますれば、これは確かに一つりつぱな意見だと思うのでありますが、現在の段階におきましては、やはり若干の差がつくことになりましてもそうむりではなかろう、かように考えております。しかし物品税全体を将来さらに縮減しますような場合におきましては、確かにお話のような点もございますので、よく研究をいたしてみたいと思いまするが、現在のところといたしましては、あつてもいいじやないか、かように考えております。
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま平田政府委員の御答弁があつたのでありますが、元来認識を誤つておられる。関東地方においては碾茶は普及しておりませんが、関西地方、ことに私の選挙区の愛知県あたりは、どこへ行つても最初に出すのが碾茶であります。緑茶は出しません。特に碾茶は、効能をここで申し上げては何ですが、しんまで飲んで、しまい栄養価百パーセントである。しかもその効果たるやきわめて大であります。こういうような原始産業を沒却して、緑茶のみを免税するということははなはだもつて遺憾であると考えますから、近き将来において免税することに邁進せられんことを、政府並びに議員に要望申し上げたいと思います。  次に申し上げたいと思いますのは、これはごく簡單なことでありますが、文房具も今度皆様の御了解並びに政府の御努力によりまして、事務用品として免税なつた。人名簿は確かに必要なものとして免税になつたのでありますが、これに類するようなアルバム——一部高級品もありますが、大部分は中学校、小学校で卒業記念アルバムにいたしましたり、あるいは学習用アルバムといたしまして使つておる。ところが人名簿と同様に免税になるべきものが免税にならぬというのは、はなはだ不見識きわまるものと思います。これの九〇%以上は学習関係使つておるのでありますから、この際ぜひとも人名簿と同様にアルバム免税すべきが当然であると思いますが、政府のお考えはいかがでありますか、お伺いいたします。
  6. 平田敬一郎

    平田政府委員 お話通り文房具のうちで、相当日用品的なものは極力課税から除外するということで、今具体案を考究しているわけであります。人名簿といつたものは非常に実用性が強いのでこれは除外いたし、これに反し、芳名録といつたものは課税を存置して置こうというこまかい考えをいたしておるのであります。しかし大きなものは、やはり日用品とは言えない部分相当多いのではないかと考えられます。まあこの辺は異論のあるところ、であろうと思うけれども、今回の改正においては延期するということにしたらばどうであろうか、この次物品税課税範囲をさらに縮小するといつたときに入つて来る種類のものではなかろうか、かように現在のところでは考えております。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまは第二次的に考えられているのでありますが、私は現段階におきまして三〇%というのは多過ぎるので、一〇%くらいに下げるのが穏当ではないかと思いますが、お考えはいかがでありましようか、お伺いいたしたいと思います。
  8. 平田敬一郎

    平田政府委員 今文房具は三〇%の税率になつておりますが、この中で万年筆等相当日用性が強いので一割に下げたのであります。その他のものにつきましては、大体今の税率をすえ置いたらどうか。小売価格にいたしますと、三〇%の税率でも大体二割弱、一割八分くらいの負担になりますが、その程度でありますればそう過重な負担ではなかろう、かように考えております。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の政府委員の御答弁でありまするが、私は文房具でありますとか日用品につきましては、ぜひ全面的に廃止することに邁進願いたいと思います。  次に、これは身辺細貨具のことではなはだ恐縮でありますが、安全かみそりは一〇%に下つておる。ところが安全かみそりをささえておるさやは三〇%、またケースにも三〇%かけておる。こういうふうに、部分によつては安くなり部分によつては高くなるというようなことは、あまりおもしろくないと思いますから、安全かみそりと同様に、日本かみそり、西洋かみそり身辺細貨具として必要でありますから、これもまた一〇%くらいに下げたらどうかと思いますが、どんなものでしようか。
  10. 平田敬一郎

    平田政府委員 かみそりは確かに一つの問題であろうと思いますが、安全かみそりの方は、消耗率という点も考慮いたしまして低くしている。その他のものにつきまして課税するとすれば、三〇%くらいでしんぼういたしてもらつてもさほどむりではなかろう、かように考えまして三〇%にいたしたわけであります。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員 今私はこういうふうに修正したならば穏当であろうと考えておる。それは、安全かみそり、同部分品及びケースと一括しなすつたならば都合がよいと思いますが、どんなものでしようか。
  12. 平田敬一郎

    平田政府委員 今申したように、かみそりの刀はしよつちゆうとりかえるものでございます。消耗性が強いから少し優遇したらどうだろうかという考えでございます。その他のものにつきましては改正するかしないか議論もあろうかと思いますけれども、現在のところは三〇%くらい課税いたしますが、これもこの次に拡張する場合においては、確かに限界線に入つて来る種目一つではなかろうか。かように考えるわけであります。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員 私一人で長い時間を費すことも恐縮と存じますから、最後に結論的なことを申し上げます。私のただいま第一番に申しました碾茶、これはぜひとも近い将来に免税すべきものである。いわゆる農産物であり、原始産業であるということによつてぜひとも免除されたい。それから今申し上げました文房具事務用品、これまた近き将来に免税されなければならぬものである。また身辺細貨類というものは零細企業であります。零細企業家物品税もそうたくさん納まつておりません。こういうものはなるべくはずして、大量生産をしたり、また高度の需要のありますものにつきましては、相当課税もけつこうでありますが、原則といたしましては、わが党は物品税の全廃という線を叫びたい、かように今日思つておりますが、政務次官水田さんのお考えはどんなお考えであるか、お伺いいたしたい。
  14. 水田三喜男

    水田政府委員 きのうもお答えいたしました通り物品税にはまだ相当検討する面も残つておると思いますので、財政状況に即応して徐々に整理して行きたい、そういう考えを持つております。
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は大蔵常任委員といたしまして、つぶさに感じます事柄は、現段階におきまして税務官吏の方々が民衆に接する態度が不遜である。われわれは税金の高いことにつきましては承知しておるのでありますが、公平を欠いておるという点があるのであります。この公平を欠くということが一番いけないことでありますから、穏健妥当に税行政をいたしますについては、税務官吏優秀性ということに向つて、ぜひとも今後は二十五歳以上三十歳ないしは三十歳以上くらいの、有能なる練達した税務官吏を採用したいと思いますが、政府当局のお考えはいかがでしよう。
  16. 平田敬一郎

    平田政府委員 国税庁から来ておりませんから、私から申し上げますが、大体お話通り税務行政適正円滑化をはかりますためには、国民によく税の内容をわかつてもらいますことと、お話通り税務官吏は熟練した、しかも人格能力ともりつぱなものが備わらなければならぬということは、まつたく私ども同感でございまして、今後におきましては、極力そういう方向で努力してみたいと考えております。さしあたり最近若干の欠員の補充のための募集をやつておりますが、これにつきましては、お話通り大体大学專門学校程度以上の学歴を有する、あるいは実力を有する者の中から、相当選考等も嚴重に行いまして採用いたしまして、新たに採用しました職員もさらによく訓練いたしまして、りつぱな税務官吏に育て上げたい。かようなことで目下具体的に進んでおる事項もございますことを、御参考までに申し上げておきたいと思います。
  17. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は今の政府委員のお答えに対して一つの希望を申し上げておく。私ども納税に対します認識というものは、かなり誠実に発表いたしましたにかかわらず、一部の人々がお前は名前が有名だから、古くからやつておるから相当つておるだろう、相当もうけておるだろう、こういうふうに誤つた感じをされる者が多い。こういう事柄はもちろん訓練せられてない税務官吏の汚点と言えば言えますが、これを指導いたしますものは、いわゆる大蔵省であり、主税局であり、国税庁であり、国税局であると考えておる。これに対しまして、下の方に予定目標と申しますか、その内容等をお示しになつておられるかどうか。かつてつたと思いますが、こういう点は全廃されたとも聞いておりますが、その内容等について政府の御見解を承りたい。
  18. 平田敬一郎

    平田政府委員 今日は、先ほど高橋国税庁庁官お話になりましたように、目標制度は全廃いたすことにしてとつておりません。ただ将来におきましては、前に申し上げておりますように、まつた帳簿を元にして納税者申告してもらいますし、税務官吏も帳面を最も大きなたよりにして所得を算定して行くべきだと考えておりますが、本年度といたしましては、そういう理想的なことに行きませんので、やはり相当多くの納税者につきまして一種の比較権衡等によりまして調査をやつております。こういう場合におきましては、ある程度の税務署間のバランスと申しますか、そういうことにつきましては、国税庁が監督上の見地からいろいろ注文もし、指示もするということはあり得ると考えておりますが、一般的に徴税目標といつたものを策定いたしまして、それで成績のよしあしを見るといつたような行き方は、今後は採用しないことにしております。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま私の構想といたしましては、やはり公平を期するためには、善良なる官吏と善良なる納税者との相一致でなければならぬと思います。そういうわけでシヤウプさんの方はまだそういう線には行つていらつしやいませんが、私は模範業者工場なら模範工場商店なら模範商店農業者なら模範農業者、これを大、中、小三つくらいに模範店模範工場模範農業者を指定いたしまして、これらに対します精細なる帳簿をつけさせ、あるいは税務官吏も立会いまして、公平に一年の所得計算し、これから生れるところのものがほんとうの基準である。かように考えておりますが、それに対します御構想は今日おありでしたら承りたい。
  20. 平田敬一郎

    平田政府委員 税務行政の実際の問題といたしまして、税法従つて正しく納税した人に対しまして一定の表彰をするといつたようなことは、昔から考えられないわけでもないのでございますが、ただそのことだけでありますれば、どつちかと申しますと、税法従つてきめられたところによるということで、当然なことでもございますし、なかなか実行案となりますと困難かと思います。よく御意見を承りまして研究してみたいと思います。
  21. 三宅則義

    三宅(則)委員 それではもう一点だけ伺つて質疑を打切ります。私の考え方は、各業者をまわつてみましたり、また陳情を受けたり、あるいは内容を視察いたしまして承知したところでありますが、物品税等におきましてはことに重税であり惡税である。戰争以来この数年間というものは、私の口から申してはなはだ恐縮でありますが、完納されておりません。私の見解からいたしますと、製造業者営業者等においては、半分もしくは半分以下の納税で済んでおつた考えます。そのあとは結局横に流しまして、その流した金額によつて生計を立てておる、こういうのが現状であると存じております。はなはだ行き過ぎた言でありますが、かようなことは結局におきまして重税に苦しむからである。この税法というのは、御承知通り戰時立法が今日まで現存しておるのであります。今度シヤウプ勧告文によつて幸い税法改正がなされることになつたのでありますが、私は一言いたしたい。今まで税法はあまりにむつかし過ぎた。納税者もよく理解しない。税務官吏もよく了解しない。こういうような点が往々あるのでありますから、これを何とかわかりやすく書きかえるというようなことが必要でないかと思いますが、この税法改正について臨時国会でいけなければ、通常国会を通じましても所得税物品税その他の税に至りますまで、何とかわかりやすく了解するような税法に書きかえたらどうかと思います。そういうことはめんどうかもしれませんが、この御構想があるかないか、それを大蔵大臣にかわりまして水田政務次官に承りたいと思います。
  22. 水田三喜男

    水田政府委員 ちよつと失礼ですが、聞いておりませんでしたので……。
  23. 平田敬一郎

    平田政府委員 税法につきましてわかりやすいようにもつと簡易化をはか、つたらどうかというお尋ねだと思いますが、先般もちよつと申し上げましたように、その御趣旨はまつたく賛成でございます。ただ一面においては先般申し上げましたように、税の公平化ということをはかりますと、それだけ複雑になつて来る。所得税法等はむしろ相当私は複雑になるのではないかと憂うるものであります。しかし税法としましては、あくまで公平にしておきませんと、実際に執行する際にまた適当にやらざるを得ないということになつたのでは、これはおもしろくございませんので、やはり少しむずかしくても、これはお互いに勉強して了解して、正しく実行するということに、特に今後におきましては行かざるを得ないのではないか。あまり簡易にばかり考えて行きますと、公平化が期し得ない、しかし必要以上にむずかしくいたしまして、わからないようにするということは、全然これは必要ありません。あるいは避くべきだと考えておりますから、極力簡易化をはかることと、公平化をはかるという両方をよく考えまして、適当な方向に向うようにいたしたいと考えております。
  24. 大上司

    大上委員 今次提案にかかりました三法案について簡單に御質問申し上げます。  まず第一に、よく国民生活面からあるいは担税力という言葉が使われ、あるいは国民所得面から何パーセントの所得税ということが論議されております。今次の臨時特例につきましてももちろんそうでありますが、大蔵省といいますか、政府当局では、国民担税力から割出されたものか、あるいは財政的な要求に基いてこの法案に進んで来られたのか、そのいずれであるか、お考えお尋ねします。  なお今次のシヤウプ勧告案の当時と、この法律が施行せられる折と、経済の動きと申しますか、動態経済的にこれを見ますと、相当国民所得も変動するのではないかと思われます。その際において、これの施行期におきまして、どういう影響があるか、同時に、将来のあらためての通常国会における税制考えに対する心構え、並びに国民所得計算は、当然せなければならないが、これは大蔵省においてどういう資料をもつて計算なされるのか、あるいはこれは安本計画によるものか、これをお尋ねしたいと思います。  次に、われわれはこの法案を前国会から引続いて立法して行くのでありますが、世の中によく脱税という言葉が使われ、事実これの裏づけといたしまして、第三者通報制度というものもできております。まことに遺憾な点でありますが、これはわれわれ立法上の誤りか、さもなくば政府当局行政上の誤りか、この点をはつきり知らせていただかないと、いたずらにわれわれがガラス張りの中で、あるいは公聽会を開いて法律をきめてみたところで、これが行政上の誤りから生れたものであるならば、さらにわれわれが次の国会において、あるいは今次の法案について、研究せなければならぬ点が多々あると思いますので、この両面を伺います。  次に今度勧告案と申しますか、税制改正に関する法律要項というものが出ておりますが、この第二項に帳簿の整理の点で、きのうも公聽会いろいろ話が出ておりましたが、青色申告制度というのがあります。これはごらんの通り、後段の方に記載事項を定めるとしておりますけれども会計学上からきめられた損益の立て方が行くのか。あるいは大蔵省特有なるところの経理面と申しますか、勘定科目を設けてやるのか。もしも別の勘定科目を設けた場合に、会計学上法と齟齬する場合は、どういう点でこれを調整して行くか。こういう関係から見ますと、さらにこの青色申告から見ると、もはや第三者通報制度というものは必要でないように考えますが、なおこの制度を持続なさる考えか、考えでないか。  その次が、最終の物品税納期を一箇月延長するということになつておりますが、既往においてこれは非常に大きな問題であり、また延納をしなければならぬということがある。たとえばラジオなんかに仮定いたしますと、製造業者が庫出しする場合に物品税をかけなければいけない。ところが卸売や小売ということになると、資金回転率に非常に困つている。こういう面から見て、この一箇月納期を延長するということは、大きな種目から見て運転資金回転率を年に何回転と見られて、政府はこの一箇月とお出しになつたか、これを簡單に御説明願えば幸いだと思います。
  25. 平田敬一郎

    平田政府委員 担税力から見て、今度の税制をどう考えてやつたのかという一つお尋ねであろうと思いますが、これは抽象的な大きな問題で、なかなか簡單にはお答えしにくいと思いますが、私ども現在の税の負担はいつも申しますように、相当高い負担であるという認識の上に立つております。日本の税の負担においても、過去から比較すると確かに相当高い。従つて今後においては極力財政を身軽にして、税金負担を極力減らすという方向に行くのが、わが国のほんとう経済の再建をはかり、あるいは国民生活ほんとうの向上を期するゆえんじやないか、こういう考え方に立つているわけでございます。そういう見地からいたしまして、極力歳出を減らしまして、それに伴つて税を減らす。ただインフレになつたのではこれはおもしろくございませんので、やはり歳出を縮減して、その範囲内で税金を減らすという考え方に立ちまして、極力税の負担を軽減するという方向に行きたい。今度の補正予算に関連した分もございますが、来年度においてもさような計画で参りたいと考えております。  それから国民所得計算方法に関してお尋ねがあつたのでありますが、これはなかなかむずかしい問題で、いろいろな方法がございます。御承知通り生産の面から見る方法とか、分配の面から見る方法、いろいろございまして、日本においても各種の方法を試算的にやつております。今安本でやつております方法両方つておりますが、最近公表いたしております分は、分配国民所得と申しますか、各所得が受取る人々分配されるその態様のもとにおいて、国民所得計算して出した方法であります。これを安本を中心にして、私ども共同して、でき得る限り正確なものを出したいということでやつております。ただしかしこれはむずかしいことでありまして、シヤウプさんも言つておられるように、なかなかよくやつているが、データのとり方が非常に不十分なようだから、日本国民所得計算については、正確性はどうも必ずしも期しがたいというような見方をしているようでございますが、私もさような点が相当多いのじやないかと思います。しかし一応出して来たものはいろいろな意味において判断材料にはなる。ただこれに非常に重きを置き過ぎると、判断の間違いを来すというふうに考えております。しかしこれは重要なものさしでございますので、いろいろな方面から材料使つて、正確な国民所得が出るように共同してやる考えでございます。おそらくこの次の通常国会までには、さらに最近の仕事に基いて国民所得計算ができるのじやないかと思いますが、なかなかむずかしいことであります。  その次は、第三者通報制度に関するお尋ねでありますが、これはお話通り帳簿制度が非常に普及徹底いたしまして、納税者がそれに基きまして非常に確実な申告をするというような事態になりますれば、こういう制度の意義は非常に少くなつて来るのではないかと考えますが、しかしこれはやつぱり制度としては当分存置した方がいいのじやないか。やはり中には非常に好ましくない方法によりまして、脱税をはかる人がいるということは、相当将来といえども避けがたいことと考えますので、こういうものに対しまする一つの間接的な資料收集の方法といたしまして、やはりかような制度は残した方がいいのじやないかと考えております。  それから帳面の記載事項につきまして、会計学上の原則税法上の原則とどちらによるかというお話でございますが、なるべく私どもはその両者を調節しまして、両面から考えて妥当な記載が行われるようなことにしたいと考えておりまするが、課税につきましては税法上の必要性ということが非常に重要でございますから、税法上の見地からも必要な事項は記載させるということで参りたいと考えております。  それから物品税納期につきましては、一月延長しておりますが、これは御承知通り今までは大体庫出し後、三十日ないし六十日になつてつたわけでございます。つまりある月分の庫出し価格は、まとめて翌月までに出しますから、月の初めまでに庫出ししたものが六十日、月の終りに蔵出ししましたものは三十日という税金の支拂い期限になるわけでございますが、最近の手形決済の状況等からいたしますと、もう一月くらい延ばさなければ、やはりなかなか回收がむずかしくうまく行かぬじやないかということを考えまして、一月延ばしたわけであります。一月延ばしますと、最短六十日、最長九十日になりますので、もつと延ばしてくれという要求もございますけれども、この程度延ばしますれば相当納税者としても、納税しやすくなるのではないかというふうに考えております。これでもなお納税困難な方々は、担保を提供いたしますと、さらにもう一月延びるということができるようなことになつております。そういう点から申しまして、一月延長くらいのところが一番妥当じやないか。またあまり延ばしますと、かえつてその間納税が円滑に行かない点も逆に出て来るのではないか。納税資金が入つて来たものをほかに転用いたしまして、納入の時期になりまして、うまく納まらぬというような場合が出て来ますから、この程度が妥当ではないかと考えております。
  26. 大上司

    大上委員 いま一つお願いしておきました、いわゆるわれわれが立法する場合に、立法の審議の間違いか、あるいは行政上の間違いで脱税というものが起るのか。税務署と納税者が正直なことを言わないということをよく聞くのでありますが、これの扱い方といいまするか、第三者通報制というものができたゆえんは、いわゆる脱税があるからでありますが、これは立法上の間違いか、行政上の間違いか、この一番大事な点が落ちておりましたから、あらためて御答弁をお願いいたします。
  27. 平田敬一郎

    平田政府委員 今の所得税法人税は御承知通り申告制になつております。昔の税法でございますと、税金というものは役所が調べまして、納税告知書が出てから税金を拂えばいい。それまではどつちかと申しますとまあ默つておりましても、あまりむずかしく云々しなかつたわけです。ところでこの二、三年前からの改正によりまして、税金というものは税法で自分で計算して納めるというのが本筋になつております。従いまして、もしもそういうことによりまして税金が拔かつていた場合におきまして、役所があとで調べて拔けておりまする場合においては、それによりまして当然脱税になるというわけでありまして、最近の申告税制のもとにおける脱税の観念と、昔の税法のもとにおきまする脱税の観念とは、実質的に相当つて来ておるということをひとつ御了解願いたいと思います。従いまして、どちらの手落ちかということは、これはあまりはつきりしたことは申し上げにくいと思いますが、しかし建前はさようになつておりますので、まずやはり第一は納税者の責任である。それを税務署が調べまして、正しい更正決定をして行く。その際に非常に惡質な脱税がありました場合におきましては、脱税犯として適当な告発なり起訴等をして行くということによつて納税秩序を保つて行くということに相なると考えるわけでございます。
  28. 北澤直吉

    ○北澤委員 今回の税制改正案に関連しまして御質問したいのですが、今回の税制改正案は、政府の説明によりますと、これは一応の改正案であつて、明年度においてシヤウプ博士の勧告の線に沿つて、本格的の税制改正をやる、こういうことであります。それによりますと、明年度の予算におきましては、予算全体の関係もありまして、税收入は四千四百四十六億円に押えたわけでありますが、こういうふうな明年度の予算の大綱、税收の見込みなどを見まする場合におきまして、その根本になりまするところのアメリカの日本に対する経済上の援助、日本経済をささえておりますところの米国の対日経済援助ということにつきまして、一体政府はどういうふうな見通しを持つておられるか。アメリカの予算によりますと、明年六月までの対日援助費というものはきまつておりますが、七月以降の援助費はまだきまつておらない。特に最近日本に対しまする講和條約の機運がだんだんと具体化しておりまして、われわれの考えによりますと、明年半ば以後にはあるいは日本に対しまする講和條約もできるのじやないか。そういうことになりますると、現在アメリカの陸軍省の予算の中から、いわゆる占領地救済資金あるいは復興資金、いわゆるガリオア、イロアの両資金日本は援助を受けておるわけでありますが、もし講和條約によつて日本に対する軍事占領がなくなると、このアメリカの軍事費からの援助がなくなる。そうしますと、一体それ以後の日本に対しまする米国の経済援助というものはどういうことになるのか。政府としては一応の見通しをもつて、明年度予算及び予算に基く税收というものをお考えであると思うのでありますが、それにつきましての政府の見通しをひとつお伺いしたい。
  29. 水田三喜男

    水田政府委員 御質問の通り明年、五十年から五十一年度の米国の予算において、対日援助費を幾ら計上するかということは、現在まだきまつておりませんが、早晩講和会議を中心としまして、対日援助費が打切られるということは考ておりますので、これにかわる方法としては、これをクレジットに切りかえて行くという一つ方法をもつて事前の折衝をしておりますが、しかし見通しとしましては、来年すぐには打切られない。少くとも三億ドル以下、二億五千万ドルぐらいの援助費は計上されるのではないか、こういう見通しを今のところ立てております。従いましてもしそれくらいの援助費が見込まれるとしますと、今まで確定しておつた九億二千四百万ドルのうち、この二十四年度の日本に入つて来る額は、大体邦貨にして千七百八十億円という見通しであります。これが貿易特別会計から対日見返資金勘定へ繰入れられる額は、いろいろな時期を考慮しまして、大体千四百九十四億円、それと利子を合せて千五百八億円というのが、今度われわれが提出した対日見返資金補正予算の総額でありますが、このうちどうしても今年度消化しない額が、二百億円くらいは少くとも来年度へ残りはしないか。そうしますと、かりに来年度の対日援助費が二億五千万ドル前後としますと、やはり貿易会計から繰入れられて来る額は少くとも千三百億円ぐらいありますし、運用利子とかあるいは来年度へ残る繰越しの額と合せて千六百億くらいの勘定になつて、これを日本の産業復興の経費に使えるのじやないか。大体そういう考えをもつて、来年度はまだそう特別大きい変化がなくて日本経済はやつて行かれるのではないか。再来年くらいから政府としては本腰で、これにかわる対策を考えなければならない。かような考えを持つております。
  30. 北澤直吉

    ○北澤委員 もちろんアメリカとしましても、講和條約締結後におきまして、日本に対しまする援助を打切ることはないと思います。これはアメリカの世界政策の見地から考えまして、日本経済復興を促進するという大きな政策から見まして、講和條約ができてからも日本に対する経済援助はあると思います。しかしアメリカの国内の経済状況を見ておりますると、ことしの七月から来年の六月までのアメリカの予算を見ましても、大分アメリカの景気が惡くなつたために、アメリカ政府の歳入の不足が非常に大きくなつておる。ことしの一月の見積りによると、大体歳入の不足九億ドル見当でありましたが、十一月の見積りによりますと、これが非常にふえまして、五十五億ドルという赤字を出して来ております。そういうわけでアメリカ政府もこの赤字をどうして処理するかということを考えておるのであります。しかしながらこれはどうしても経費をそう削減するわけに行きませんので、しからば税金を上げて赤字を補おうというふうな意見もあるようでありますけれども、ちようど明年はアメリカでは選挙がありまして、下院全部、上院の三分の一の改選がありますので、どうも税金を上げますと、国民政府に対する人気が惡くなるので税金も上げられない。結局どうしても歳出の削減が必要になつて来る。そうしますと外国に対する援助ということも、アメリカ自体の財政上の状況から相当程度つて来るのじやないかと、われわれは考えるわけであります。先ほど次官の説明によりますると、来年度は三億ドル見当の援助があるだろうということでございますが、アメリカの財政状況から見ましても、大体その程度の対日援助はできるものだ、こういうふうにお考えになりますね。  そこで講和條約締結後の問題でありますが、最近の新聞によりますと、あるいは日本に対して長期のクレジットを與えるとか、あるいは国際復興開発銀行から日本に借款をやらせるとか、いろいろそういうニュースが出ておるわけでありますが、この国際復興開発銀行から日本に借款をやらせるという場合に、どうしても日本がこれに参加する必要がある。もちろんこの問題は講和條約締結以前でも参加できるわけでありますが、例の国際通貨基金とか、国際復興開発銀行とかいうようなものにも参加できるわけであります。そういうものになるべく早く参加いたしまして、向うから借款を受けるということが、日本にとつても必要だと思いますが、これに対する加入問題に対して政府はどういう交渉をしておられますか。もし伺えますれば伺いたいと思います。
  31. 水田三喜男

    水田政府委員 その点に関しましては、こういうところまで行つておるとか、こういうふうになりそうだということを御報告する段階までまだ行つておりません。
  32. 北澤直吉

    ○北澤委員 それでは次の問題に移ります。日本に対する米国の援助資金はいわゆるガリオア、イロアでありますが、そのほかに一昨年できました輸出入回転基金六千万ドル、その後できました占領地に対する原料買付のための、一億五千万ドルの占領地回転資金というものがありますが、一体これはどういうふうに運用されておりますか。新聞によりますと一億五千万ドルのうち、一億二千万ドルは使わずにおいてあるというふうなことも出ておるのでありますが、もしこの事情がわかりましたならば御説明願いたいと思います。
  33. 水田三喜男

    水田政府委員 お尋ねの問題ですが、ドル資金内容等に関しましては、現在はつきりわからないところが多うございますが、来月の十二月末になりますと、一切日本政府の手にそういうものがもどつて来ますので、そのときにはつきりいたします。それ以前にもしどうしても今の点が御必要でありましたならば、後ほど調べて御返事いたします。
  34. 川野芳滿

    川野委員長 それでは午前はこの程度にいたしまして、午後二時から再開いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後二時三十分開議
  35. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  所得税法臨時特例等に関する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び織物消費税法等を廃止する法律案を、一括議題として質疑を継続いたします。前尾繁三郎君。
  36. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 すでに同僚諸君からこの三法案につきまして詳細にいろいろ御質問がありましたので、私の質問する点はほとんど残つていないのでありますが、二、三お伺いしておきたいと思う次第であります。  まず第一に勤労所得税の問題であります。勤労所得税については、御承知のようにシヤウプ勧告案には四つにわけられておりますが、骨子としては三つであり、一つは勤労所得の性質によつて担税力がないという理由、一つは勤労所得に必要経費を認めていないという理由、一つは勤労所得には脱税が非常に少いというこの三つの理由の中で、ただ一つ必要経費が認められていないという技術的の理由のみが取上げられて、一割に圧縮されておるわけであります。この法律案も一応シヤウプ勧告案従つて、勤労控除を一割に圧縮するという考え方のようであると考えるのであります。しかし勤労所得が実に性質上、将来の消耗の点等を考えますと、担税力が非常に薄弱であるということについては疑いのない理由であり、また一面シヤウプ勧告案の一貫した考え方といたしましては、脱税をそのままにしないという理想的な形態において論ぜられておるわけであります。しかし現実において、ただちにそれが理想的な税務行政が行われるということは、これは期待しがたい点であります。それらを勘案して考えまするときには、おそらく政府といたしましても一割で満足されておると考えるわけではないのであります。しかしいずれにいたしましても、それらの理由につきまして政府としていかにお考えになつておりますか。その点をまず明確にしていただきたい、かように考える次第であります。
  37. 平田敬一郎

    平田政府委員 勤労所得の控除につきましては、今前尾委員お話になりましたように、シヤウプ博士の勧告によりますと来年度から一割に圧縮したらどうか、こういう意見であります。その理由も今お述べになつ通りでございますが、またもう一つの点は、少額事業所得との負担のバランスと申しますか、そういう点も考慮を加えた上ではなかろうかと考えております。と申しますのは、やはり雇用労働の対価から生れますところの給與所得、こういう所得に対して相当控除するとするならば、少額事業所得、たとえば農民の所得とかあるいは中小特に小商工業者所得の中には、やはり同様の分子があるのではないか。従いまして勤労所得について相当な控除を加えるならば、そういう少額事業所得についても、控除を加える必要があるのではないかということを言つておるようでございます。しかし今日では大多数、所得税納税者は勤労所得者か、しからずんば事業所得者でありまして、資産所得は見るべきものがないというところを考えまして、結局事業所得について勤労所得の控除を設けることはいたずらに税制を複雑ならしめるから、むしろ純粹の給與所得と少額事業所得との間において付すべき差だけを税制の上に残しまして、あとはむしろ全体の税率なり基礎控除等で適正な負担をするように、税制を仕組んだらどうかというのが、一つの有力な考え方のようでございます。私どもも確かに現在の実際の中小の事業所得の中には、相当勤労所得的要素が深いということは、委員会でも指摘されておる通りでありまして、この点は率直に言いまして、今の二割五分の控除がないというのは、少し開きが大き過ぎるのではないかというふうに考えます。それともう一つは、インフレの上昇期におきましては、何と申しましても源泉で勤労所得をすぐ納めてもらう。それから所得の把握等も、勤労所得ほどほかの所得はなかなか的確に行かない。あるいは所得自体が事業所得は非常にインフレの上昇に応じまして彈力性があり、勤労所得はややもすると遅れるきらいがあつたというような点からかんがみまして、相当開きがあつた方が合理的ではなかつたかと思いますが、最近の事態になりますとやはりある程度この中は縮小するということが、理論的に冷靜に考えまして正しいのではないかというふうに考えております。ただしかし一挙に今まで二割五分の開きがありましたのを、この際一割にまで縮めてしまうのがいいかどうかということになりますと、そこにはおのずからいろいろ見解の差が出て来るのではなかろうか。率直に申し上げまして、私ども将来は一割の中が理論通りあるいは正しいのでは加かろうかと思いますが、さしあたりといたしましては歳出の事情その他許しますれば、あるいはもう少し巾の圧縮の仕方を経過的に緩和したらどうか、かような考え方を持つておるわけでございます。ただこの点は来年度の所得税の全体の税收をどの程度期待するかというようなことにも関連して来ますので、先般も申し上げましたように、具体的な作成にあたりましてよく検討いたしてみたいと考えておりますことを、つけ加えて申し上げたいと存ずる次第であります。
  38. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 大体私とそう見解は違つていない。かように考える次第であります。ぜひ来る税制改正の際には十分御努力願いたい。かように考える次第であります。  次に青色の申告書の問題でありますが、これもしばしばこの委員会におきましても話が出ておつた問題であります。二面におきまして十分帳簿をつけさせるというので、よほど普及をはかることに努力をしていただくとともに、記載事項についてはできるだけ大勢の人がつけられるようにというような観点で、お考えを願いたいのであります。しかしそれにいたしましても国民の大部分はおそらくそういう記帳能力を持つていない。政府でお考えになつておるような記載事項を全部必要とするということになりますと、非常に記帳者が少くなるというおそれがあるわけであります。その際にこの法律案ではその罰と申しますか、言葉は惡いのでありますが、その結果どういう効果が発せられるかということは隱されておるわけであります。シヤウプ勧告案によれば、減価償却を認めないというようなことに相なるのではないかと考える次第であります。そういうことに記帳能力のないために思わぬ効果を受けるということになりますと、非常に苛酷になる場合があると思うのであります。なおまたこういう記帳のできないような人に対しては、やはりいろいろな標準率をおきめになるというようなことで、更生決定をしなくてはならぬ問題が起るのではないかと思うのでありますが、その際に全然減価消却を認めない標準率をおつくりになるというようなお考えでありますか。それらについて一応御意見を伺いたいと思います。
  39. 平田敬一郎

    平田政府委員 今度の法案は、さしあたり準備的措置といたしまして、記帳の記載事項を政令で規定することができるようにいたしておるわけでございますが、この次の本格的改正によりまして、その帳面に対しましてどういう法的効力を持たせるかはつきりさせる考えでございます。シヤウプ勧告にありますように、そういう帳面をつけるということを届出まして、一定の方式に従い記帳しております場合におきましては、少くともその帳面を税務官庁が調べた上でないと更正決定をしないというような規定は、一番重要な点でありますので設けたいと思つております。そのほかに今お話通り、減価消却を全然認めないようにしたらどうか、あるいは繰越し欠損自体も全然認めなくてもよいだろうというような、いろいろな勧告があるようでありますが、その辺につきましては、最初からあまりにも理想に走りますと、結局記帳の普及ができなくなるという面もございます。あるいはあまりに嚴重にいたしますと、かえつて課税の適正を欠くという場合も出て参りますので、よほど巾のある考え方をとりまして、ある程度実情に即するように研究してみて、この次の国会までには結論を得まして具体案提出いたしたいと考えております。なお記帳の様式等につきましても、記載事項は政令で一定する見込みでございますが、様式等につきましては、最初のうちはやはり相当巾のある考え方をとりまして、民間でできるだけよい形式をつくつてもらいまして、それを公認と申しますか、確認と申しますか、推薦と申しますか、できるだけそういう方法で行きまして、最初から政府で一定の様式を画一的につくりまして、むりに各納税者に押し、つけるといつたようなことは、むしろ実際に即して避けた方がよいのではないかというふうに考えております。もちろんこれは重大な関係がございますので、様式等につきましては、政府においてもあわせ研究いたしまして、納税者の便宜をはかるようにいたしたいと、目下国税庁を中心にいたしまして研究いたしておるところであります。
  40. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ただいま申し上げたような心配がある反面に、非常に多くの記帳者ができる。またそれが目的でありますから、できるだけ普及しなくちやならぬ。ところがその帳簿を一々調査しなければ更正決定ができないということになりますと、税務署の手間は非常にふえることになるわけであります。従つてその帳簿をどの程度調査するのかという問題が起る。また現在の税務署員の手で、それが十分やり得るかどうかという心配があるわけであります。それについてどういうようなお見通しをもつておやりになるのでありますか。御意見をお伺いいたしたいと思います。
  41. 平田敬一郎

    平田政府委員 具体的な行政の運用の問題につきましては、あるいは国税庁長官からお話していただいた方がよいかと思いますが、御指摘の通り、これはあまりに簡易になり過ぎまして、とにかくたれでも帳面をつくりさえすれば、それを見た上でないと更正決定しないということになりましても、必ずしも目的を達成し得ないのではないか。従いまして、あまりにも安易に走つてはいかぬと考えておりますし、また納税者が記帳できないといつたような、あまりにもレベルの高いものであつても、これまた目的を達成しがたいので、その辺のころ合いをどうするかということは、なかなかむずかしい問題のようでございます。この点につきましては、目下税務審議会といつたようなものをつくりまして、そこで民間のいろいろな帳面等に対する実際の指導に当つておられる方々等の意見も聞きまして、極力最近の事態に即応しまして妥当なる結論を得るように、努力いたしたいと考えているわけでございます。将来は、やはりある程度税務官庁も帳面勉強をしませんと仕事が勤まらぬ、こういうふうになりますのがよいので、いやがおうでも税務官吏も、とにかく帳面ととつ組んで、勉強せざるを得ない破目に追い込まれるのはよいことではないか。あまりはげしくてとても消化できぬといつたような程度に至つては行き過ぎだと思いますが、傾向としてはある程度そういう方向に行きますことは、かえつていいことではないかと考えている次第でございます。でございますが、この問題は実際の運用に関する重大な問題でございますので、私ども意見、御趣旨等に従いまして、極力有効適切を期すべく努めたいと考える次第であります。
  42. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 なお所得税法臨時特例等に関する法律案の第二條の第二項の「命令で定めるところにより」というのは、所轄税務署を指定するつもりですか。それ以外にどういうようなお考えがありますか。
  43. 平田敬一郎

    平田政府委員 第二條第二項の命令だろうと思いますが、これはお話通り、所轄税務署をきめるとか、あるいは所得の種類できめるとか、ごく手続的な規定をここに設けたのであります。
  44. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 いずれにいたしましても、青色申告書の問題は、将来の税務行政をいかにするかということの決定的な要素をなすものであります。先ほど申し上げましたように、両面の非常に困難な点がありますので、その点は十分御検討になつて、最も適切な案をお出し願いたいと思います。そういうようなことがわからずにこの法案を云々するのは、われわれも実際困るのでありますが、現在の政府の仕事の進行状況から見てやむを得ないと思います。その点十分検討し努力していただきたい、かように希望する次第であります。  次に物品税の問題でありますが、個々の問題につきましては、大体各委員から御質問があつて盡きておるようであります。ただ一つ大きな問題として、先般新聞に、自動車の十割を三割に引下げるということが出ていて、大きな話題を投げかけておるのであります。しかも多少嘲笑的な意味をもつて書かれておるのであります。いろいろ内情があることと思いますが、しかしそれを見のがしておくわけに参らないので、世間の人にはつきりした理由をお示しになる必要があると思うのであります。その点明確な御回答を願いたいと希望する次第であります。
  45. 平田敬一郎

    平田政府委員 乗用自動車の税率、これはもちろん大型の乗用自動車ですが、この税率を十割から三割に引下げましたことは、今御指摘の通りであります。この点につきましては、いろいろ御意見があろうと思います。実際上現在課税になりますのは輸入自動車であります。輸入自動車につきましては、実は七割の関税があり、それを加えましたものに対しまして物品税が十割かかるので、えらく高い課税につきます。そういつた点もあつて、事実上課税ができていないという現状であります。しかし事実上課税しないというのはいかにも適当でございませんので、来年の新税法実施後におきましては、輸入物品に対しましても全部課税することにしたい、そういうことに考えたわけでございます。それにいたしましても、なるほどやむを得ないというような税率にしませんと、なかなか円滑に行きがたい点もありますので、関税もあわせまして七割を、三割から四割程度に引下げることにいたす見込みでありますが、それと並行して物品税についても三割程度課税ということになりますれば、輸入の大型自動車に対してもおおむね適正な課税になりまして、確実な課税を期することができるのではなかろうかと考えておるわけであります。そういう点がございますので、むしろこの際自動車の課税をかような改正をいたしまして、確実に課税するという方向に行つた方がより合理的だと考えまして、税率を引下げて提案をいたしたような次第であります。
  46. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 次に物品税納期を一箇月延長せられましたことは、適切な改正と思つて喜んでおる次第でありますが、担保を提供しました場合に、さらに一箇月延長するということが従来からある規定でありますが、現在それほどの程度に運用されておりますか。なおまた今後相当活用して行くべき事態に最近なつて来ておる。私はかように考えるのであります。そういうような意味から十分この規定を活用して行く必要があろうと思うのでありますが、それに対する政府の御見解をお聞きいたしたいのであります。
  47. 平田敬一郎

    平田政府委員 物品税納期の延長の理由につきましては、先ほど三宅委員お尋ねに対してお答えした通りでありますが、さらに担保を提供いたしますと、一月以内物品税の徴収を猶予することができる規定が十條の二項にございます。これは現在のところ担保の物件として国債とか金銭を供託した場合におきましては、延納ができるわけでございますが、金銭の場合ですとあまり延納する効果がない。そこで実際は国債、証券等を銀行から借りまして、それを担保に提供して延納しておる例もたまにはあるようでございます。ただ相当納税に困難を感じつつも、物品税におきましてはその例は比較的少いようでございまして、これは方針といたしましては、十條の規定に従いまして、国債、証券を提供してもらいますと徴收猶予ができるわけでございますから、この規定を活用されましで、納税者が二箇月ないし三箇月の納期に、なお納税が確実を欠く場合におきましては、徴收猶予の特典を受けるように努められますことは、これは私ども一向さしつかえないことだと考えておるわけであります。特別に制限するつもりはございません。
  48. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 しかしそれについてはもう少し担保の範囲を広げなければ、ただいまお話の国債と金銭に限るというようなことではとうてい活用できないと思う。従つて工場なりその他の適当な担保であれば十分認めて行くというように、担保の範囲を拡張する方法をお考え願いたいと思うのでありますが、それに対する政府の御見解を承りたいと思います。
  49. 平田敬一郎

    平田政府委員 不動産を担保の種類に入れるか入れないか、これは確かに一つの研究事項であろうと思います。ただ不動産等を入れますと、いろいろ手続も煩瑣でありますし、これを入れることにしましても利用者も少いのが実際のようでございます。それで私どもは、できますならばまだ銀行には相当国債等がありますので、国債を借り受けまして、それを担保に提供して納期を延ばすというような方法がお互いに簡便じやないか。今お話のようにそういう便宜を受けることができない納税者の場合におきましては、もう少し担保を拡張するかしないか。これは確かに問題があろうと思いますので、よく検討してみたいと思います。
  50. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 次に物品税の罰則の問題でありますが、罰則の問題はどうも法律案審議のときには見のがされておるのであります。ところがあとで罰金がかかつて来ますと大騒ぎになるというのが、いつもの例であります。今度の十八條の改正を見ますと相当罰則が強化されておる。一つは五十万円というところに線が引かれ、それから一つの線は、従来五倍でありましたものを、十倍というような線が引かれておるのであります。それらに対してどういうような運用をして行く御方針でありますか、それについてお伺いをいたしたい。
  51. 平田敬一郎

    平田政府委員 間接国税につきましては、従来はむしろ逋脱しまたは逋脱せんとした税金の大体五倍の罰金に処すというふうに、非常に形式的な罰金のかけ方の規定になつております。従来は告発といつたようなことはほとんどなくて、実際は間接国税犯則者処分法に基きまして、一種の行政的な手続きによりまして、罰金に相当する額を賦課しまして税の目的を達成しておりましたときには、この規定の方がむしろいいのではないかというので、かような規定になつてつたと思います。ただ従来も情状が特に惡質な場合におきましては、五倍を越え十倍以下に相当する罰金、または五年以下の懲役に処することができるという規定になつていたわけでございますが、最近では若干処罰の考え方が以前と大分考え方が以前と大分考え方を異にしておりまして、相当惡質な者につきましては、むしろ正式に告発いたしまして、刑事処分として片づけるというようなことが、むしろ税法原則としてしかるべきじやないかという点が、申告所得税、法人税等を初めとして考えられるわけでありまして、そういう点から行きまして、間接税についてもむしろそういう罰則のきめ方の方が適当じやないかということで、原則は五年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処するという、普通の刑事罰にありますような規定にかえることに、前回の間接税の改正のときから方針を改めておるのでございます。ただやはり脱税犯は單純に罰金刑として五十万円以下ということだけでは不十分でございますので、やはり今の五十万円以下の金額よりも、逋脱税額の、十倍に相当する金額の方が多いときには、情状によりまして五十万円を越える罰金額も賦課することができることにいたしまして、それによりまして処罰の適正化をはかりたいと考えておるわけでございます。ただ間接国税犯則者処分法を適用いたします場合には、処罰の範囲におきまして情状によつて極力適切を期すべく、努めたいと考えておるわけであります。従来のようにただちよつとした反則さえあれば、常に五倍の罰金に処するということでなく、ある程度の基準を定めて、その基準によつて情状によりまして若干段階的な処分ができるようになりました。そうなりますと従来のような非常に形式に走つておりました点が、運用上よほどうまく行き得るのではないかと考えております。
  52. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 この五十万円の罰金は必ずしも従来よしきつくやるという御意思でもないようであります。いずれにいたしましても、従来われわれもその責任があるわけでありますが、罰則については最近までほとんど通用しなかつたような関係上、いろいろな問題が未解決で、たとえば追徴税なり加算税なり、それと罰金の問題、いろいろな問題があるように考えるのであります。従いまして今後税法改正の場合においては、十分罰則について御検討願いたいと考える次第であります。  なおまたその一面におきまして、最近しばしば同僚の委員諸君からも言われておりますように、非常に調査ががさつにわたつてつて、非常に威嚇的なやり方であるというような非難がごうごうといたしておるのであります。私から繰返して申し上げるまでもないのでありますが、その点については十分御留意を願いたいと思います。  最後に織物消費税の問題でありますが、十二月におきます織物消費税の減をどの程度にお考えになつておりますか。またその根拠についてお伺いしたいと思います。
  53. 平田敬一郎

    平田政府委員 織物消費税を十二月一日から百分の十に引下げることにいたしますと、大体三億円台の減收を来すようでございますが、今ちよつとその資料を持ち合せておりませんので、後ほど取寄せて正確な数字を申し上げたいと思います。
  54. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 そこで私非常に疑問に思うわけでありますが、確かに一月まで廃止を延ばせば多少なりとも收入はあるでありましよう。しかし一月になれば当然全廃で四割も違うわけでありますから、いきおい取引が行われない。従つてその間にはほとんど收入がない。こういう見方をするのが妥当ではないかと思うのです。それに対して相当お見込みになつているということになりますと、これは少し机上の考え方で、現実の問題としてはほとんど收入がない。従つて十二月に一割に下げた方がよけいそれだけ税金がとれるという結果に、実際問題としてはなるのではないかと考える次第でありますが、これに対してどういうお考えをお持ちになつておりますか、御意見をお伺いしたい。
  55. 平田敬一郎

    平田政府委員 織物消費税を一月から廃止することの影響と、その廃止を一箇月繰上げてやるという場合に、收入はどうなるかということですが、いろいろ考えますと、これはお話通りになかなかむずかしい問題であろうと思います。ただ最近においては、織物消費税の廃止の声は、実は大分前から出ておりますし、いろいろ小売業者等の実情を調べますと、最小限度に仕入れをとめて、やはり売れる限度において仕入れているというのが実情でありまして、かりに一月から廃止することになりましても相当減ると思いますが、しかし売れる限りにおいては仕入れるということになるのが、やはり最近の傾向ではないかと思うのです。あるデパートのごときは、たしか十日分くらいの手持にするような計画で、最近までずつと仕入れをして来ております。そういうところでありますと、やはり消費者も、ある程度買い控えをしますがある程度買う。買う限りにおいてはやはり出て来ます。十二月一日から一割に下げますと一月から廃止する場合に比べまして、これは相当の減收になるのではないかと思います。ただその数字が、はたしてどのくらいが妥当かということになりますと、これはもちろん見方によつていろいろ意見の差があろうかと思いますが、私どもは大体最近の状況に基いて、一応今まで予算に見ておりますものを十二月に繰上げて、一割に引下げることによる減收の数字を算出したのが、さつき申し上げたように大体三億円ではなかろうかと思います。正確な数字は後ほど資料をもつて申し上げたいと思います。
  56. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 取引は全然皆無にはならないのでありますが、しかし今まで相当澁滯しておつたのが、十二月に一割ということになれば相当はけるのではないかと思います。従つてそれが一月に延ばされて、一月に廃止になつたという場合よりも、むしろ十二月に一割になつた方が、税收として多くとれるのではないかという予想の方が、私はより実際的だと考える次第であります。それは見解の相違になりますので、後ほど資料を拜見して善処したいと考える次第であります。私の質問はこれで打切ります。     —————————————
  57. 川野芳滿

    川野委員長 税法に関する質疑はまだ相当あるようでございますので、これをあとまわしにいたしまして、ちよつとお諮りいたしたいと存じます。  ただいままで予備審査中でありました未復員者給與法の一部を改正する法律案は、昨二十一日本委員会付託になりましたので、これよりその審査に入りたいと存じます。すでに政府側より提案理由の説明を聽取いたしておりますので、これを省略して質疑に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますのでさよう決定いたしまして、質疑に入ることにいたします。
  59. 河田賢治

    ○河田委員 まず第一に、この法律によつて適用される人数は大体どのくらいでございますか。
  60. 岡林諄吉

    ○岡林説明員 ただいまの御質問の適用される人員、すなわち言いかえますれば未復員者数ということになりますが、この点につきましては、実は私自身直接の当事者でもありませんので、ちよつと今お答え申し上げかねるのであります。御了承願いたいと思います。
  61. 川島金次

    ○川島委員 ちよつと議事進行について……。この法案の審議にあたつて、ただいま河田委員からきわめて簡單質疑があつたのでありますが、この簡單質疑に対してでも即答ができないようなことでは、この審議は、委員長の目途とするような早急な終了ができないと思いますから、だれかもつと具体的に、詳細にわかるような資料を持つた方に出席していただくことの方が、審議をするのに便宜ではないかと思うのであります。
  62. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと速記をとめて、くだざい。     〔速記中止〕
  63. 川野芳滿

    川野委員長 速記を始めてください。
  64. 河田賢治

    ○河田委員 実はこの問題につきまして、この春予算の説明のときにも、また末復員者給與法改正のときにも、御承知のごとく、連合国総司令部の発表に基いて外務省の方から資料が出たわけです。これに基いて予算も組まれたのであり、そうして今度の国会においても、引揚げの人員の訂正によつてこの予算額は非常に補正されております。こういう問題について、政府自体がこの同胞の引揚げに対する数字に対しましても、明確な責任を私は負うべきだと思います。私たちが地方に参りましても、特に共産党は何かソ連と関係があるというようなことから、常に引揚げの要請をされるわけでありますが、こういう数字の食い違いから、共産党としましても、直接何かわれわれが引揚げに対する決定権でも持つておるように国民は誤解しておるわけです。こういう点でも政府は一日も早くみずからの責任において、どれだけ引揚げどれだけ残つておるかという概数をお調べになつて発表されるのが、当然の責任であると思います。のみならず今度の審議に際しましても、家族、十八歳未満の者一人について二百円の増加をする。そうするとこの法律に基いて執行する場合、どれだけの費用がかかるというようなことは、当然国会において政府当局から言明があるべきが至当であると思います。こういう点について、政府は一体どう考えておるか、その根本的な腹を伺いたいと思います。
  65. 岡林諄吉

    ○岡林説明員 ただいま政府に対して御指摘の点は、おそらく近いうちにはつきりさせられることと私は考えております。
  66. 中崎敏

    ○中崎委員 ちよつと速記をとめていただきます。
  67. 川野芳滿

    川野委員長 速記をやめて……。     〔速記中止〕
  68. 川野芳滿

    川野委員長 速記を始めて……。
  69. 中野四郎

    ○中野(四)委員 今の中崎君からの質疑に私はまつたく同感ですが、それではこのように伺つたらどうでしようか。未復員者の数ですが、司令部発表あるいは日本政府の発表の数字の根拠はどこにあるか、どういう根拠に基いて現在新聞等に発表をしている数字を出しているか。
  70. 岡林諄吉

    ○岡林説明員 この点も私から責任のある御答弁はできません。
  71. 中野四郎

    ○中野(四)委員 一体未復員者の数字等の根拠が言われないで、家族の給與に対するところの一部改正法律の審議ができるかどうか。むしろこの点については、政府が現在の段階において明確にすることができぬというならば、大体のアウトラインだけでも祕密会あるいは懇談会等において明確にするのが、私は政府の責任であると思う。このことなしにこの議案を審議することは私は不当であると思う。だからこれは中崎君提案の通り祕密会あるいは懇談会等において、その数字の根拠あるいはその数のあり方等を明確にしていただきたいと思う。
  72. 川野芳滿

    川野委員長 それでは御意見もあるようでございますので、本案に対する質疑はあとまわしにいたします。
  73. 川野芳滿

    川野委員長 では先ほど来質疑継続中の税法に関する質疑を続行いたします。川島金次君。
  74. 川島金次

    ○川島委員 私はもう数点にわたつて政府に質問をいたしておるのですが、さらに補足的にこの際善後のわれわれの考え方をまとめたいと思いますので、二、三の質問をいたします。  まず第一に、先般大蔵大臣は来るべき税制の全面的改正についてはいまだ確定をいたしておらぬ、こういうお話であつたのでありますが、そういう言明をされておる中で、一つの例外が私への答弁であつたのです。それは税率改正の問題について、三十万円を限度とする五五%の打切りは、これは必ずしも妥当であるとは思つておらない。従つて自分は百万円超七五%くらいにまで引上げることを必要と見ておる、こういう意味で、しかもその全面改正の場合には七五%の実現も可能あるかのごとき具体的な説明があつたのであります。そういう一つ事柄をとらえて参りますと、その他の事柄につきましても、政府ではおよその具体的な見通しを持つているのではないかと、私は推察をいたすのであります。そこで最後的にお伺いいたしたいのでありますが、シヤウプ勧告によりますと所得税の合算課税、あるいは不具者に対するもの、あるいは医療費に関するもの、あるいは災害損失等に関する特別控除を勧告されております。こういつた具体的な事柄について、今度の全面的な改正の場合、このシヤウプ勧告の通りに実現をする方向になつているのかどうか、またその可能性が具体的にあるのかどうかということを、まず第一にお伺いしたい。
  75. 平田敬一郎

    平田政府委員 今の所得税の最高税率の問題につきましては、私はそばで聞いておつたのですが、地方税等も含めてというふうに承つておりますことをつけ加えておきます。なお富裕税等のことも引用しておられたように記憶いたしておりますが、その問題は大臣からのお話でございますから、さらに確認ということになりますと、大臣からお答え願うよりほかないかと思いますので、御了承願いたいと思いますが、実は相当弾力性を持つた言い方ではないかと了解いたしております。今お話の合算課税の問題、医療費とか災害への控除、こういうことについては、私ども所得税を合理化する上において相当有効な処置と考えておりますので、大体におきまして実現を期すべく努力したい。実現はさほど困難ではなかろうと考えます。
  76. 川島金次

    ○川島委員 申し遅れましたが、扶養家族の拡張といいますか、満十八歳以下、六十歳以上に限らず、たとえば世帶主が七〇%以上の扶養の責任を持つているものに対しては拡張する、扶養家族と認めたいという勧告がありましたが、その問題についてはどうですか。
  77. 平田敬一郎

    平田政府委員 これも大体親族である限りにおきましては、大体におきましてそのラインで行くことにしたいと考えております。
  78. 川島金次

    ○川島委員 次にここに資料が出て来たのでお伺いしたいのですが、源泉徴收の点につきましては本年度も十月末累計で六一・八%という好成績を示している。しかるに申告納税の方は今もつて二一%というきわめて不成績であります。これは納税地の関係その他の関係でもありましようが、今度の補正予算の中でも、申告納税につきましては相当の減収を見ることになつて来ることが、明らかになつているのであります。そこでお伺いしたいのですが、源泉徴收分の当初予算当時に推定いたしました納税人員及びその平均所得額が、当初政府が予定いたしました点とどの程度に違いがあつたか。同じく申告納税分につきましてもその人員と平均所得について、当初政府が想定いたしました人員あるいは平均所得との関係において、違いが相当に出て来たんではないかと思うのですが、その点をひとつ数字的に明らかにしておいてもらいたい。
  79. 平田敬一郎

    平田政府委員 大体当初予算は昨年の十一月ごろの状況に基きまして、計算いたしたわけでございますが、その後課税の実績は、源泉課税は毎月相当見込みよりも増加いたしておりまして、御指摘の通り最近までの收入の状況も非常に良好でございます。源泉所得税については何しろ年度の途中でございますので、私ども一応最近の收入実績をもとにいたしまして、それを年間に引伸ばした場合においてどういう収入になるであろうか、こういうふうな計算のもとに今度の補正予算の数字を算出いたしております。これが最近の中間におきまして予算の補正を行います場合の計算方法としては、歳入見積りの最も的確を期し得るゆえんではないかと考えまして、さような算定方法にいたしております。納税人員とか課税所得につきましては、必ずしもこまかく正確な計算は持合せておりませんけれども、大体見込みにいたしましてはいわゆる課税人員、課税所得ともにある程度増加していると見ております。それから申告所得税につきましては、最近の実際上出て来た国税庁の税務署の調査の進行状況とにらみ合せまして、算出いたしたわけであります。それは人員等は一応計算は出しておきましたが、大体二十三年度分の課税額をもとにいたしまして、それに対して最近の所得調査の結果等に現われました増加率、それをもとにして算定いたしたのであります。そうして農業所得は二四%、営業所得は三五%の増加を見込みまして、それに対してそれぞれ課税見込額と年度内の実牧見込額を算定いたしたのであります。農業所得税は大体四百二十億円、それから営業所得が九百七十九億円、その他の事業所得税が百六億円、事業所得以外の所得税が四十六億円、合せまして千五百五十一億になるのでありまして、それに対しまして本年度の災害によりまして、これは主として農業所得ですが、四十四億円程度の減を見ますと、本年度分が千五百七億円ということになります。これと前年度から繰越しましたところの税額のうち、ことしで收入する見込みの数字、すなわち百九十五億円を加えまして、それで出ました税額が千七百三億円で、最初の予算に対しまして百九十六億円の減ということに相なるのでございます。
  80. 川島金次

    ○川島委員 そこで私は非常にふしぎに思うのですが、申告納税額で約二百億円の減が見越されている。しかるに実際の額一全国の本年度の徴税、査定等を見て参りますと、政府では今お話しのごとくにそれぞれ二四%、三五%というような所得の上の増加まで見込まれているようでありますが、実際の査定を見ておりますと、ことに都市における営業者の査定額というものは、どんなに少くても昨年度の七〇%増であります。そうして百ないし一五〇%という増加率、査定上においての増加が軒並に行われている。しかもこの査定見込みの大巾な増率というものは、そのまま本年度の最後の徴税となつて実施されるという傾向がきわめて強いのであります。その査定額についていろいろ納税義務者から税務署係官などと折衝はいたしておる、あるいは組合等がそれに関連をして折衝なども行われておりますが、なかなかその査定を低めてもらうということは、今日のところ困難な実情にある。そうすると、今政府では申告所得税については、二百億円減收の見込みであるというにかかわらず、一方納税者側の実態から見れば、昨年度の七〇%以上の査定を受けているんですから、それだけ納税義務者の方では実質的には増徴をされて来ている。それにもかかわらず、繰返して申し上げますが、政府の当初の増加率というものは三五%、しかも納税義務者の徴收を受けるところの査定額というものは昨年度の七〇%増ということになりますと、きわめてそこにわれわれとしても納得のできない矛盾したものが、実際に行われているわけです。その点は一体どういう形で政府はこういう二百億という收入見込みを、申告納税において立てたのであるか。むしろ私は今の実態から見れば、申告納税においても相当増徴されて、納税の実績においても予定通り行くのではないか。あるいは予定を上まわるようになるのではないか。いい惡いは別として、そういう形になるのではないかとわれわれとしては想像いたしますが、その点はどういう実情になつているか。
  81. 平田敬一郎

    平田政府委員 先ほど三五%の増と申し上げましたが、これはもちろん昨年度の当初決定額、これは統計の上で比較的完備いたしておりますので、当初の決定額をもとにして、大体の増加額を見たものでございます。その後いろいろ審査請求等によりまして、若干最終確定額は減少しているようでございます。大体七、八パーセントくらい減少しているのではなかろうかと見ております。七%ぐらい減少しておるということになりますと、四五%ぐらいの増になるようでございます。従いましてその辺のところは、今の御判断材料にしていただきたいということが一つ。  それから今七割とかいう数字をお話でございましたが、あるいは地方によりましては大体その辺まで行つておるところもございましようし、あるいはそうでないところもございましよう。また人によりましてはおそらくそういう見込みになるのではなかろうかと考えておる次第であります。  それともう一つは今の当初の決定に対しまして、三五%と決定しました税額の総合計が実は二千八十四億円ぐらいの数字になる。これがもしも年度内に納まりますと、従つて予算は減らさなくてもいいということになるのでありますが、今までの例年の実際から申しまして、昨年の実績は七〇%ぐらいになつております。本年の当初予算では七六%程度と見ていたのでありますが、最近の実際の納税状況から見まして七六%と見るのは、どうも見過ぎであろうというので、先ほど申し上げました数字は平均しまして七四・五%ぐらいに本年度の收入を落しております。従つて来年にもある程度繰越されるということを前提にして、今まで計算しておる次第でありますが、それにしましても最初見積りましたものに対しまして、課税額自体がある程度低くなつておるということはお話通りでありまして、ただ増加の場合の実際の状況等につきましては、あるいは国税庁長官の方からさらに御説明があるかもしれませんが、大体そういうものをもとにして御判断願いたいと思います。
  82. 川島金次

    ○川島委員 どうも私どもは納得が行かないのです。これは政府の来年度予算編成の場合の、一つの伏線ではないかとさえ私は実は疑つておる。たとえば本年度の法人税のごときは最初から相当の増徴が見られるということを見通しておりながら、当初予算においてはきわめて少い額を計上して、今度補正予算を必要とすると、突如として百億近くの増額が見込まれるのだという数字が現われておる。そういうことを考えてみますと、この二十四年度申告所得においては、政府は予算の上においてはそういう減を見込んでおりながら、実際に納税義務者に対しては私の知る範囲では少くとも七〇%である。多きは百あるいは百五十、中には二百などという例も少くはないのでありますが、一律的に少くとも七〇%という増徴が実際において今行われておるそうである。そういうことを勘案してみますと、相当むりな査定でむりな徴收が現実には行われて来るのである。であるにもかかわらず、予算の上では総体においては二百億のものが減るのだ、こういう矛盾が要するに明年度の予算編成の場合に、政府はありていにいえば大巾の減税を各所に行わなければならぬ。そのときの財源として伏線にこれはしまつておくのだ、そういう形においてしかも現実においては農民といえどもあるいは営業者といえども、きわめて苛酷な税金を今や徴收されようとしておることだけは言えるのであります。そこの点についてどうも今の局長の説明については、われわれが十分納得の行きかねる点がある。もう少しつつ込んでざつくばらんなわれわれの納得できるように、計数についても明らかにしてもらいたいと思う。
  83. 平田敬一郎

    平田政府委員 その点はむしろ高橋国税庁長官からお話になるかもわかりませんが、国税庁の最近の仕事の進捗状況からいたしまして、やはり補正予算で出しましたこの数字といえども国税庁はよほど努力を要する。努力をすればできないこともないし、また努力をしてやりたい。こういう大体の見解のようでございまして、私ども決して今御指摘の通りこの辺で少し余裕をとつておいて、この次適当にやろうという考え方ではございません。今申し上げました七四%の徴收率も、昨年の実績を若干上まわつておるのでありまして、これはやはり国税庁としましては、よほど勉強をしていただきませんと、なかなか千七百億の申告所得税の徴收ということの確保も簡單ではないのじやないか。しかし現在の税法がある限りにおきましては、最近の状況を見通しまして、この程度のものは何とかして確保したい、また努力次第ではできる、かような数字としまして補正予算を出したわけでございます。決してお話通りこの辺で適当に隠して行こうというような気持は、なかんずく申告所得税に関する限りは、少くとも毛頭ないということを重ねて申し上げておきたいと思うのであります。
  84. 川島金次

    ○川島委員 そういうことはないのだというお話でございますけれども、現実に法人税等において明らかに数字が出て来るのである。しかも繰返して申し上げるわけではありませんが、実際の全国の各税務署の目下更正をやつております実態を見れば、きわめて大きな増徴になつておるのであります。従つてそういうことの矛盾から来た私の繰返しての質問になつたわけでありますが、この点は将来のことにも属する問題になるので、これ以上水かけ論をやろうとは思わないのでありますが、ぜひとも減税を見込むのであればその減税の見込みを基準として、ひとつ更正決定の上においても相当なる配慮をすべきだと私は思うのであります。ところが実際は違うのであります。この問題はこれ以上深く問答することをやめておきまして、最後に政府と長官の両方お尋ねして御意見を承つておきたいのであります。  私が最近いろいろと承知した範囲のことでありますが、これも現実にあつたことでありますから、具体的にひとつ考え方を述べていただきたいと思います。たとえばこういうことです。昭和二十四年度の第一期分といいますか、税を納めた、あるいは二十三年度の税を確定されたものが納まつた。その納まつたいわゆる完納の納税義務者に対して、税務署は突如として税務署に出頭を命じた。そうして何かと思つてあわてて行くと、お前のところは税金がまだ納まつておらぬということで、そのことが一日で片づくならよろしいが、出頭の通知をもらつてあわてて農家の人や、遠い所からわざわざ電車、汽車あるいは自転車で遠くは二時間も三時間もかかつて税務署に行く。そうするとその通知書を出した係官がおらないというようなことで、せつかく農家の仕事を捨て、あるいは営業者なら店舗の仕事を捨てて税務署に行つて、そうして一日空費する。またこの次に行つてみるといない。多きは三回も四回も税務署へ通つて、そのあげくの果てにお前のところは実は納まつたのだ、それならよろしい、こういうことになつて結局納税義務者は帰つて来る。こういうことであつてはたして道義国家と言えますか。民主国家と言えますか。そういう国家を目標とする日本の徴税行政の上において、さようなことがあつていいのか惡いのかという問題を私は申し上げて、御意見を承りたいのですが、せつかくその善意善良なる納税者が、納税の義務を完遂しておるにもかかわらず、税務署の間違いか手落ちかでもつて、その貴重なる時間を空費させられておる。しかもそれが判明した場合にはああそれでよかつたのだ、別に言うことはない、こういうことで国民を押し帰してしまう。そうして少くとも政府は、しかも完納した国民に対してそういう貴重なる時間を空費させておいて、何らの責任をもとらない。こういうやり方は少くとも私は政治ではないと思う。少くとも政府の責任においてしかも善良なる国民、完納したその国民が、政府の間違いでもつて一日、二日という貴重な時間を空費させたときには、これに対して国家はある程度補償をするということによつて、初めて私は正しいしかも善良なる納税義務者に対するところの所遇でなければならない、それがまた政府の責任でなければならないと思う。そういうことについて一体政府及び長官はどのような考え方を持つておられるか。またそういうことについて将来早急に、何らか政府がそれに対する代償を国民に支拂う、こういうような考え方はないものかどうか、それについてまずお伺いしたいのであります。
  85. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 先ほど来今年度の申告の指導等につきまして、必ず昨年の七割以上のことをお願いしておるというお話でありましたが、私どものところに集まつた大体の数字はそんなに行つておりません。平均いたしまして昨年の実績に対して、大体五割以下の数字にしかなつておりません。従つてある業態、ある個人につきましては一割、二割または昨年よりも少くなつておる分もございます。またお話通り昨年の比較におきましては、倍以上になつておるという分もあるのであります。これはもつぱら今年度におきまし七は、昨年度に比較しまして相当調査が徹底して参りましたので、実際に帳簿につきまして、またはその他の資料につきまして調査いたしました結果が、そういうような数字となつてつたのであります。税法の命ずるところに従つて、正確に調査をしたと申し上げるよりほかないかと思うのであります。  なおただいま御指摘の、すでに納税済みのものに対して呼び出しをかけましたり、あるいはまたはなはだしきに至つては差押えをするというような事例が、最近まで間々ありましたことにつきましては、それは率直にその事実を認めざるを得ないと思うのであります。私どもとしてまことに遺憾にたえないと考えておるところであります。御承知通り終戰後特に現在の申告納税制度になりましてから、納税義務者の数が画期的に増加いたしました。それにつきまして税務官吏の数もある程度増員をいたしましたが、しかしながらその増員をされたところの新しい税務官吏は、事務にはなはだふなれであります。しかも採用にあたりまして非常に急ぎました結果といたしまして、必ずしも素質の優秀な者を入れることができなかつたのであります。そういうような関係からいたしまして、内部の事務の整理が非常に不整頓でありました。そのようないろいろな事情が相競合いたしまして、そういうような非常に遺憾な事態を招来いたしましたので、こういうような事態を一日も早く絶滅を期したいと考えまして、今日まで非常な努力を続けておるのであります。たとえば仕事のやり方につきましても、今年度の春から大部分の税務署につきましては、内部事務と外部事務とを区分をいたしまして、内部事務につきましてはできるだけ流れ作業式な記帳の方法をとるというようなことによりまして、その整理の不整頓をなくするという努力をいたしました。また一つの原因は従来銀行とか郵便局に納められる際の納付書の紙質が、非常に惡かつたというようなために、納付済み通知書が税務署に参りました際に、その半分が切れておりましたりしたために、またこれも非常にやむを得ない点でありますが、納税義務者の名前とか住所とか、所轄の税務署が非常に不明瞭であつたりしますために、整理のしようがないというものがある程度つたのでありますが、こういう点も本年度は紙質も改善いたしますし、また納税義務者の方におかれましても、漸次すみとかインクとかで正確に書いていただけるようになつて参りましたので、そういうような数も激減して参りました。従つて今後はそういうようなケースはどんどんなくなつて行くとは思うのでありますが、しかしながらいずれにいたしましてもこういうような事態がなお存在するということは、きわめて遺憾とするところであります。私どもといたしまして実はそういうような扱いをするところの税務官吏は、はなはだおもしろくないと考えまして、先般本庁に苦情相談所を設けまして、税務官吏自体の親切でない者、または納税者に対して適当でない応待をした者等につきましては、直接本庁の方にお話を願いまして、はなはだしい者はどんどん処分をして行くという考え方をしておるのであります。どうぞそういうような面におきましても国民各位の御協力を得まして、今後税務行政納税者に迷惑をかけることがないように持つて行きたいと考えます。
  86. 川島金次

    ○川島委員 今後迷惑をかけることのないようにと言つても、なかなか実際は跡を断たないと思う。それがために善良なる国民が非常な迷惑をこうむるわけであります。これは政治的な問題でありますから、次官なり局長から承りたいのでありますが、そういう場合は国家の補償は断じて必要だと思うのであります。わずかな納税額に対してわずかな期間遅れれば、やれ追徴だ、加算だ、日歩だと仮借なき態度で国民に臨んでおる。その一方において国家の手落ちによつて迷惑を受けた。それに対しては何ら国家は責任を負わない。そういう形であることは少くとも道義国家、民主国家の目標を持つ国としては非常に障害になる問題だと思う。そういう事柄について政府は何らかの責任をとるということを、来るべき全面的税制改正の場合には織り込んで行くことが必要であると私は確信しておるのですが、その点について政府筋はどういうふうに考えられますか。
  87. 水田三喜男

    水田政府委員 その点は同感でありまして、今度の税制改革のときに、こういう問題のないように、税務署の決定した額に対して意義の申立てをすれば、それを審査する機関をつくる。その機関の裁定でも不満だといえば、税務裁判所に提訴できるというような形で、不当な課税とか、これに伴ういろいろな今のような問題を解消する方法はぜひ講じたいと思つております。  それからもう一つの問題は税率はかわらないで元と同じだといつても、国家予算がどんどんふえて来た関係で、どうしても一線の税務署としては国家予算に縛られて、これだけは税金をとらなければいかぬという目標があつたために、非常にむりがあつたことは事実だろうと思います。ところがこの状態が何年も続きまして、今年は去年の三倍、来年は今年の二倍半というふうに、毎年々々税率が同じでありながら税額が多くなつたということで問題を起しておりますので、来年度の予算におきましては、はつきりと予算の総額が下つて、税額が下るという事態が参りますので、そうなれば今までと事態が一変して来まして、末端の税務官吏がむりをして、どうしてもこれだけはとらなければならぬという態度は、来年からは急になくなつてしまうのじやないか、こういう意味で私たちは来年の予算を思い切つて減らすし、従つて税額も今年よりははるかに少くて済む、こういう事態に一ぺん持つて来れば、そういう点も解決して行くんじやないか。そういうことをあわせ考えまして、できるだけその点では徴税方法の改善に努力したいと思います。
  88. 川島金次

    ○川島委員 今のお答えは参考までに聞くのですが、それを言つておるんじやないのです。要するに善良な国民がすでに税金を完納しておるにかかわらず、税務署の手落ち、あるいは錯誤等からその完納者を呼び出す。そうしてそれが一日か二日で片づくならいいけれども、はなはだしいのになると三回も四回も税務署に通つて、しかも完納しておることが最後になつて明瞭になつた。そういうように無責任な、しかもそれによつて国民に対して迷惑をかけた場合に、政府はその善良なる国民に対して何らかの責任をとるという態度が必要ではないか。そうなつてこそ初めて善良なる納税者が納得ができる形になるんだと思う。そういう意味でのお尋ねなのでありまして、今の次官のお答えはほかの事柄に関連して私の質問の中心ではない。その言葉も今参考に聞きましたが、問題はそこなんです。それをどうするか、そういうことに対して政府はどういう考え方を持つておられるか。政府が間違つたときには、政府の方には責任がないのだ。国民が間違つたときには、お前のところは追徴金もとる、差押えもする、そういう形ではたしてよろしいかという問題です。
  89. 水田三喜男

    水田政府委員 今川島さんのおつしやられたような例は、私どもが関知した限りでも相当ございまして、その都度ぼくが出た場合もありますし、大臣が直接出た場合もあつて、こういう問題があるが、一体そんな粗漏な調査をだれがやつたのか。たとえば一ぺん呼ばれて、もう納めたということで、それはどうも申訳ないと言つておきながら、また間を置くとまだ納めてないと言つて来る。また説明する。そういうことが三度あつて、四度目になると急に差押えが来た、そういう例がきわめてたくさんあつて、その都度国税長官の方へ話をしまして、とことんまで調べて、そういうものは減給するかやめさせるか、何回調べに行つてもそう行くというのは、どこかにお互い同士の内部の連絡が惡いのだということで、そういう事例が出て来ましたたびごとに調べて、ある場合は始末書をとつたり訓戒したり、いろいろ努力しておりますが、要するにこういう問題は行政の問題であつて、できるだけこれはやかましく言つて改善するよりほかにはしようがない、今そういう状況になつております。
  90. 川島金次

    ○川島委員 そういう間違いを起した担当官を懲戒処分にしたり、減給したりするだけでは国民は少しも償いがとれない。善良な国民は今の次官のお話のように、そういう思わざる痛手を受けておる。その痛手に対して政府は責任ある態度をもつて国民に臨む必要があると私は思う。そういう事柄について、今度の全面的な税制改正の場合に、一本の法律を打込んで、そういう責任を持つた態度をもつで国民に臨むという考え方を持つべきであろうというのが私の意見なのです。同時に質問なのです。それに対する政府考え方を私は聞いておるのであります。
  91. 水田三喜男

    水田政府委員 できるだけそういう趣旨に沿いたいとは思うのですが、これはひとり税法だけの問題でありませんで、国家のそういう行政の手落ちによつて損をこうむつたというのは、国家賠償の問題等もありましようし、そういうことを特に税制についてきめるということは、非常にむずかしいと思いますので、われわれとしては来年からそういう事態の起らぬように、今言いました徴税方法の別個の嚴密な審査の機関をつくつて、そういう問題の起らぬようにする一方、国税庁としては先ほど、いろいろ言われましたようなまだ事務上の欠陥はあるでしようから、これをなくするということによつて、できるだけそういうことは実際問題としてないようにしたいと思います。
  92. 川島金次

    ○川島委員 その程度ではわれわれ国民は納得しませんよ。一体政府がいろいろの機関において国民に実際の損失を與えた場合においては、いろいろの面において補償する制度があるのです。税金関係だけは、泣く子と地頭には勝てないとか、長いものには巻かれろという封建的な、はなはだしい非民主的な態度で税を国民に押しつけて来るということは、きわめて私ども国民は納得できないことだと思う。そこでどうしても来るべき税制改正の機会に、それに対する国家の補償といいますか賠償といいますか、そういうことによつてのみ初めて私は税務行政の責任が確立されると思う。どうも国民の間では今の税務官というものはまるで徳川時代の侍と同じだ、あるいは軍閥はなやかなりしころの警察官みたいな態度だという非難がごうごうとしておる。そういうことを少くとも食いとめて行くためには、今のような場合に政府は補償をしなければならぬ、責任を持たなければならぬということになれば、いかに若い税務官でもそういうことについては周到な注意をして行くに違いない。そういうことによつて税務行政国民に納得できるような態勢が確立して行くのではないか。そういうことがひいては国民納税義務というものに対する一層の啓発を受け、また一層の責任を感ずるということになる一つのもとであると私は考える。これはぜひやつてもらいたい。またやるべきだと思う。やらずして国民政府の手落ちで非常な損失をこうむつても、それはお前たちの損失で、政府の知つたことじやないということであつては断じてならぬと思う。その他いろいろこの問題について言いたいこともありますが、大分私も質問しましたからこの程度に打切つておきますが、ぜひそれを実現すべしということを意見として強く主張して、この際私の質問を打切つておきたいと思う。
  93. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 大蔵当局に数点質問したいと思うのでありますが、同僚諸君の御質疑に重ならないように、農業方面に重点を置いて質問してみたいと思います。今度の所得税改正にあたつては、農業所得に対して何ら考慮が拂われておらないと考えられる。この点はどういうところに税務当局の考えがあるのか。シヤウプ勧告案によつても、農業所得の中に以後源泉所得の場合のように、基礎控除を認めるような勧告もあるのであります。しかしこういうものも全然考慮されておらないようでありますが、どういう根拠によつて考慮がなされておらないのであるか。
  94. 平田敬一郎

    平田政府委員 先般内藤委員からお尋ねのあつた問題と同じような問題ではないかと思います。シヤウプ勧告によりますと、本年度分につきまして十月から一五%の控除を認めたらどうか、つまり三・七五%の所得控除を認めたらどうかという勧告になつております。これをいろいろな事情で結局とりやめることに相なつたわけでございますが、これは先般大臣からもお話がありましたように、今回の税制改正は大体一切をあげまして来年の一月一日以後の課税の分から実施する、運賃の値上げなり米価の引上げ等もその際に一緒にやる、間接税の改正も一月一日から効力を有せしめるし、所得税につきましても一月一日以後の分からシヤウプ・ラインに基く大体の軽減をはかつてつたらどうかということに相なりまして、申告所得につきましてさかのぼつて二十四年度分の軽減をやるということは、とりやめることに相なつたのでございます。所得税の理論から申しますと、実は先般大臣が話されましたように、勤労所得者のバランスを考えるとその方が公平であるということで、所得税は一月から十二月までの所得をもとにして課税するわけで、勤労所得者でありますと、支拂いの都度課税しますから、一月からすぐ二十五年度分の課税をして行くということになるわけであります。申告所得税につきまして、もしも本年の十二月から認めるということになりますと、それだけ勤労所得者よりも優先して先から減税するということになりまして、所得税の單純な公平論から申しますと、むしろ今度の方がいいのではないか。こういう有力な考え方もあるわけでございまして、そういう点もあわせ考えまして、かようなことに相なつたと私ども考えておる次第であります。来年度におきましては一期が大体六月一日という見込みでございますが、そのときの課税から少くとも今度の勤労所得の減税案を出しておりますが、これより以下になることなく、むしろ少し上まわりたいと思つておりますが、これはまだ確定していない。これかあるいはこれ以上の減税措置をやるわけでございますが、それは最初の一期から適用するということで参りたい。そうしますと大体所得税としましてはむしろその方がバランスがとれるのではないか、こういうことで、かようなことに結局においてきまつた次第でありますことを申し上げておきたいと思います。
  95. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 農業所得の算定の場合に、われわれは家族労働をやはり労賃として見積つて、必要経費の中から引かなければならないと考えておるのでありますが、当局においてはどういう考えでありますか。
  96. 平田敬一郎

    平田政府委員 家族の従業者につきましては、大体扶養親族としての控除を少くとも認めるようにして参りたい。シヤウプ勧告におきましても、そのラインを認めておるようでございます。
  97. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 それからここに最近の農村の事情から所得の算定の場合に考慮せなければならない点であると思いますのは、最近農家の方面では供出小麦の保有量を割つて供出しておる面が多分にあるのであります。そこで後半の年度におきましては、農家の保有量を割つた人たちに対しては、還元米の措置として農業米というものが返されておるのでありますが、その農業米として返す場合の価格と、それから農家が手持する場合の価格の面には、石当り二千二百円ぐらいの差が生じておるのであります。福岡県の例だけで申しましても、今年の鶴岡県の農業米が十万石でありますが、その十万石には二億二千万円という不必要な経費を農家は出しておるという現実の姿であります。この費用というものは当然必要経費の中に含まれて控除せらるべきが至当だと思うのでありますが、この点に関する当局の御意向を承りたい。
  98. 平田敬一郎

    平田政府委員 農業所得計算に際しましては、農家の自家用米でも、それから販売したものでも、すべて一様に生産者の価格をもとにいたしまして、收入金を見ることにいたしております。従いましてお話通り、還元配給を受けました場合におきましては、むしろその配給価格がはたして消費者価格でいいのか、あるいはむしろ生産者価格にすべきか、そういうところに問題はあろうかと思いますが、所得税課税におきましては、とにかく自家消費分も売つた分もひとしく生産者価格をもとにして見ておりますので、さらに還元配給をした分をよけいに費用がかかつたとして見るということは、少しいかがであろうかと思つておりますが、なおしかしこの問題は若干の解釈問題にもわかれますので、一応研究してみたいと考えております。
  99. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 その点はいろいろ考え方もあろうと思いますけれども、実際に農家の面としては支出せずにいいものを、国の食糧事情のために支出いたしておるのでありますから、これは必要経費として見るとか見ないとかいうりくつはいろいろあろうと思いますけれども、実際問題として農家が出しておるという点を考えて、これは当然引くようにひとつ考慮を願いたいと思うのであります。考えてみるということでございますから、なるべくそれを控除する方向に持つて行くように、ひとつ考えてもらいたいという希望を申し上げておきたいと思います。  それから農家の所得の算定の場合に、たとえて申しますと家族の中に俸給をとつておる人がある。これは一括して所得として課税計算した場合と、それからその俸給をとつて来る者を全戸の世帯としまして勤労所得をそれから引くという形をとりました場合には、税金の額に差異を生じておるのであります。この点を考えると、私は現在の課税基準の上に一つの不合理があると考えるのでありますが、この点についてどういう御意向を持つておられますか。
  100. 平田敬一郎

    平田政府委員 この次の改正の際に提案いたしたいと思つておりまするが、今後におきましては勤労所得、事業所得等は同居しております家族の分でありましても、分離して課税して行くような方向に行きたい、かように考えております。
  101. 川野芳滿

    川野委員長 中村君、終りましたか。——小山長規君。
  102. 小山長規

    ○小山委員 二、三点お伺いいたします。農業所得の問題でありますが、まず第一にお伺いしてみたいのは、きのうでありましたか当局の説明に、農業所得の今度の予算の増加は二四%増と見たというのでありますが、米の買上げ価格は三千六百円から四千二百五十円でありますから二七%しかふえていない。この矛盾はどういうふうにして説明されますか。その点をまず第一にお伺いしておきたい。
  103. 平田敬一郎

    平田政府委員 農業所得は大体二割四分と見ておりますが、これは各税務署におきまして、最近の状況に基きまして一応の農業所得の見きわめを立てております。そういうものをもとにいたして、大体この程度の増加を見込むのが妥当ではないかというので見込んでおりますが、一方におきましては生産の増加がございます。それから昨年度の超過供出の奨励金が、実は本年度として課税される分が大分ございます。それから麦作等の値段が昨年の上期のパリテイで去年はやつてつたと思いますが、今年から比較いたしますと、やはり相当つておるのでありますが、総合して考えますとこの辺のところで妥当ではないかと思つております。なお詳細な計数につきましては、いろいろ必要に応じましてお答え申し上げてもいいかと思いますが、大体二四%程度見込みましたのは妥当ではないかと思つております。
  104. 小山長規

    ○小山委員 ただいま生産の増加という問題がありましたが、生産は去年と今年とではそんなにふえておらない。それであなたの方には的確な資料があつてそうおつしやるのでありましようから、その点はそれではいずれ資料を見せていただく、こういうことにいたしまして、これはあとまわしにいたします。この場合に生産の増加というときにお伺いしておきたいことは、今度の補正予算で減收見込みを四十四億、こういうふうに見られたということでありますが、これは私ちよつと聞き漏らしましたのですが、税收が四十四億減るというのでありますか、農業所得が四十四億減るというのでありますか、その辺をひとつ伺いたい。
  105. 平田敬一郎

    平田政府委員 四十四億と申しましたのは、本年度の災害によります減收見込額であります。
  106. 小山長規

    ○小山委員 それは税金の減收見込額ですか。
  107. 平田敬一郎

    平田政府委員 税金の減收見込額です。これは大部分が農業所得税ではないかと思います。
  108. 小山長規

    ○小山委員 四十四億というと、農業所得に換算してどのくらいですか。
  109. 平田敬一郎

    平田政府委員 平均税率を幾らに押えますか、かりに三割と仮定しますと百五十億くらいであります。二割と仮定いたしますると二百二十億くらいの損害ということになります。
  110. 小山長規

    ○小山委員 三割と仮定し二割と仮定すれば、そういうふうな数字になるのは私も暗算でできます。ただ問題は、この減收が農林省における今度の補正の問題とからんで、農民の側が主張するところの減收と政府が見るところの減收は非常に違う。あなた方の減收見込みの税金が四十四億というふうに計算せられたその根拠は、農林省あたりの報告でおやりになつておるのか、あるいは税務署は税務署としてお考えになつておるのか、それをお聞きしたかつたわけであります。
  111. 平田敬一郎

    平田政府委員 大体最近の税務署の調査をもとにして計算したのであります。
  112. 小山長規

    ○小山委員 そういたしますと、農民が今災害による減收というようなことを騒いでおりますが、あれとは全然関係がない、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  113. 平田敬一郎

    平田政府委員 こちらといたしましては、大体現場で税務署がよく調べまして、その上で見込みを立てております。もちろん減税措置につきましては適切を期するつもりであります。そういうことを前提にいたしまして見積つた数字でございます。
  114. 小山長規

    ○小山委員 この減收の見積りということは、現在作報においても非常に問題になつておりますように、まだ稲が立つておる間の收穫の見積りと、それから稻が熟したときに坪刈りをしたやつと、さらにまたそれを拂い落してやつたやつと非常に違うのであつて、これは政府でも御承知であろうと思いますが、それを税務署が算定したとおつしやるとすると、これはまだ稻の青いうちに減收見積りを立てられたに違いない。そういたしますと、実際問題としては四十四億の税收の減程度では済まないのではないかと思うのですが、その辺の予算の見積りに狂いはないか、あるいはこれでよろしいのか、もう一ぺんお伺いいたします。
  115. 平田敬一郎

    平田政府委員 災害はことしも相当広汎な地域にわたつておりますので、中央としまして一々こまかく当つて査定するというところまでは、なかなか手が延びない状況でありますが、大体現場の税務署の報告に基きまして、国税局がそれに適切な推定を加え、さらにそれを報告しまして本庁でとりまとめたものでございますから、私ども現在としましては、加え得るベストの方法じやないかと思つておるわけでございます。もちろん災害の減免の措置は、法律に基きまして適切に、この見積りにかかわらずやるようにしておりますから、その両者は関係がございますが、それぞれ別々に適切を期したいと考えております。
  116. 小山長規

    ○小山委員 災害の減免の問題は、法律に定めてある通りの條件がかなつて初めてできるのでありまして、これは  一般の農民には及ばないのであります。ただ私が非常におそれるのは、この予算で四十四億の減收を見積つた、ところが実際には農業所得は、今度の補正の問題で農民が騒いでおりますように、これは当局の見方と実際の問題とは非常に食い違いがある。そこへ今度はさらに税務署が介入して行きまして、そして作報あたりでは、この程度の減收見積りなんだから、それを基準にしていろいろ農村に対する見込み課税、これをやられてはたいへんだということなのでありますが、その辺は実際坪刈りをしたことによつて、農林省に対する報告が、かりにそれとの間に非常に食い違いがあつても、税務署の方ではそこまで追求されることはないであろうと思いますけれども、実際の收入によつてやるということのお話が、先ほど来高橋長官からありましたから、その点はそう心配はないのであろうと思いますが、高橋長官の言明をあらためて求めておきたいと思いまする
  117. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 四十四億円の減收見込みは、先ほど平田主税局長から答弁申し上げた通り、各現地の実際の調査をとりまとめたものでありますが、しかしながら私どもといたしましては、これに拘泥されるつもりはございません。どこまでも結果についての実際を具体的に調査いたしまして、それに基いて適切を期したいと思つております。なお事前割当、補正割当または実收高の調査等によつて、それぞれ調査段階に応じて修正さるべきことは、これまた当然であります。確定申告の際におきましては、おそらく実收高が大体おわかりになるだろうと思いますから、実收高に基いて正確な申告をしていただくようにお願いしたいと考えております。
  118. 小山長規

    ○小山委員 農民は見込み課税ということを非常におそれておりますので、特に申し上げておるわけでありますから、この予算の減收見込みに拘泥されることなく、ほんとうの意味において徴税されんことを望みます。  次に織物消費税の関係水田次官にお伺いしますが、先般も同僚諸君から質問があつたように、一月に四割一気に落して無税にすることは徴税上むずかしかろう。それで十二月一日から段階的にまず一割落して、そして織物の売れ行きも増加させて、従つて税收もふえるであろうということで、十二月一日からの織物消費税一割実施を希望しておりますが、これに対して政府はあまり御希望じやないようである。その場合に政府は、この織物業者の立場から申しますれば、正月用につくつた品物は十二月に売らなければ一年持ち越さなければならぬということを考えますと、そこにどうしても金融措置というものを考えてやらなければならぬ。この金融措置について政府としてどういうふうにお考えになつておるのか、これをちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  119. 水田三喜男

    水田政府委員 特にこのための金融措置というものを今取上げてはおりませんが、一般的の金融措置としまして、年末から年始にかけて相当の金詰まりというものが現存予想されておりますので、それをどう緩和するかという問題につきましては、過日大蔵大臣から御説明がありました通り、個々の問題じやなくて全般的に、一般金融対策、特殊金融対策、両方あわせて全般的に考えて、この金詰まりをなくしたいという方策を現在とつております。特に織物のごときは事情がはつきりわかつておりますので、これはその信用に応じまして、商業ベースに立つた金融というものも、ある程度はできるという見込みは持つております。
  120. 小山長規

    ○小山委員 その点は十分にひとつ御配慮願いたいと思います。  それから最後に物品税の問題でありますが、物品税については、すでに同僚諸君が何度も申されたことでありますので、私は重複を避ける意味で、個々の問題について申し上げませんが、ただ同僚諸君が申しますように、今度の物品税改正は、非常に政府としても早急の間にいたされたという関係上、十分な検討が加えられておらないということは、政府もお認めの通りであります。特に丁種あるいは戊の種類、この辺に非常にしわが寄り過ぎておるということは、同僚の諸君が指摘した通りでありまして、それにつきまて政府はこれは近い将来において、また改正の気持があるのであるということを言われておるのでありますが、その近い将来ということは、この次の通常国会、つまり全面的に所得税その他の法律改正案が提出される、この次の通常国会を含めてのお話であるかどうか、その辺を聞き漏らしましたので、お伺いいたして、おきたいと思います。
  121. 平田敬一郎

    平田政府委員 物品税につきましては、先般も申し上げましたように、当初の計画では実は通常国会に提案して四月からという計画を持つていたのでございますが、何しろ運賃の改正、米価の引上げといつたようなものと関連して、間接税はむしろ先にやつた方がいいのではないかということになりまして、今回提案いたしたような次第でございます。しかし私どもといたしましては、短期間でありますが、極力公平を期したつもりでございまして、若干見解の違うところがおありになりますことは、事柄の性質上いたし方ないと考えておりますが、将来におきましては、財政事情の許す限り、さらに一層必需品的なものは軽くするとか、あるいは徐々に税率を下げて行くといつたような方向に参るのが、筋ではないかと考えます。ただこの次の国会に、それではそれが出るかという点になりますと、実はこの次にやるべきものを繰上げてやつたようなわけでございますから、若干の補正をやるかやらないか、それはよく検討してみたいと思います。しかしあまり大きな期待を持つていただきますと、かえつて誤算になりはしないかというふうに考えます。その点つけ加えておきたいと考える次第であります。
  122. 小山長規

    ○小山委員 それに関連してでありますが、そういたしますと、物品税に関する税收予算というものは、今度の予算においてすでに確定しておる。こういうふうな観念に立つように受取れるのであります。そうでなくて、この間大蔵大臣が言われたように、来年の税收については大わくは考えておる。しかし各税種目間の出入りというものについては、まだ政府としてきめておるわけではない、こういうお話であるとすると、今のお考えと矛盾しておるのであります。やはり物品税についても、そういう大わくの中において若干動く余地があるものならば、不合理なものは直す、こういう立場にお立ち願いたいと思うのでありますけれども物品税については、税收は今度見つもつた通りだというふうにお考えになつておるのでありますか。最後にこれだけをお伺いいたしておきたいと思います。
  123. 平田敬一郎

    平田政府委員 大体今回の物品税は来年度の見込みを百七十億程度、それに清涼飲料を組みかえましたから、その分を加えた程度の案として実は考えたわけでございます。従いまして来年度大きく動かすということは、今のところまだそこまで申し上げることは少し時期が早いように思います。来年度の全体につきましては、なお所得税をどうするか、酒税をどうするか、あるいは残るものは物品税くらいで、いずれも関連がございますので、もちろん検討の余地はあろうかと思いますけれども、しかし物品税は先走りをして相当のことをやつておるということを、一応御了解置き願いたいと思います。
  124. 小山長規

    ○小山委員 その点は面目にこだわらずに、まだ税收の間に相当のゆとりがあるのならば、あまり不合理だと思われるようなものについては、この次の国会にも考える余地を残しておいていただきたい、これが私の希望であります。
  125. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 伝えられるところによりますと、今度の改正案で事業所得の方に考慮が拂われなかつたというのは、十月末までの事業所得申告納税の成績が二割二分で非常に惡かつた。そこで懲罰的な意味が加えられておるというようなことを聞くのでありますが、はたしてそういうことがあるのでありますか。
  126. 平田敬一郎

    平田政府委員 政府といたしましては、先ほど大臣からもお話がありましたし、私が申し上げた通りのことでございます。それ以上のことはございません。
  127. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 シヤウプ勧告案の中にも、農業所得、一般の事業所得の不合理がはつきり認められておるにもかかわらず、今度の改正の上に考慮されなかつたということは、そこに農村の場合を考えてみると、先般主税局長の言われた農家の收入は二割四分増になる見通しだというようなことが、根拠になつているのじやないかと考えられますが、その点はいかがですか。
  128. 平田敬一郎

    平田政府委員 農家の收入が二割四分ふえておることとは、そのことは関係がないことだと考えます。先ほども申し上げましたように、すべて今度の税制改正は、来年の一月以後の分からやろう。もしも申告だけについてさかのぼりますと、やはりまた勤労所得者との間のバランスの議論が出て来まして、税法上やや形式に流れる点もございますが、税の公平論から申しますと、むしろ両方ともそろえて来年の一月分からやることにしたらどうだろうか。本国会に提案いたしますれば、まさに申告所得税につきましては第一期から減税ができますから、そのことは一月から減税するということになるわけでございまして、法案提出の時期は遅れますが、それによつて歩調はそろう、こういう考え方からとりやめになつたということを申し上げたいと存じております。
  129. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 そうすると、十月から十二月の間は不合理な重い税を拂うことになると思いますが、その点はどうですか。
  130. 平田敬一郎

    平田政府委員 その点は程度の問題でありまして、とにかく今年は勤労所得者といえども、減税前の高い税率でとにかく課税して納税するということでございますから、申告所得税納税者の場合におきましても、一年限り待つていただきましても、何とかごしんぼう願えるのではないかと思います。
  131. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 最後に主税局長の二割四分の農家の收入増になるという見通しについて、私は申し上げたいのでありますが、われわれが考えるところによると、二十五年度の農業所得というものは、二割四分の増になるとは考えられない。たとえばかんしよの例を考えてみますと、かんしよの收入というものは收穫量においては相当の收穫量があつたと思いますが、価格の面において等級を四等まで定めて、品種によつて沖縄などはほとんど四等でとるということになつております。農家のかんしよから得る收入というものは、量はふえてもかえつて非常に減つておるということが考えられる。さらに米の面で見ましても收穫量が相当ふえておるという面を、政府では見ておるのじやないかと思いますが、当初の見通しは今日取入れてみたところ、全国的に二割くらいの減收になつておるというのが事実であるようであります。そういう面をいろいろ考えますと、二割四分の増になるということはとうてい考えられないのであります。そこでわれわれはこの次根本的に改正案を練るときには、農家の二割四分收入増になるという点を詳細に再検討していただいて、農家の過軍負担にならないように特別の考慮をしていただくように希望を申し上げて、私の質問を終りたいと思います。
  132. 林百郎

    ○林(百)委員 議事進行ですが、どうしても今日やるのですか。会期も延長になりましたし、今日はこんなにおそくなりましたから、今日はこのくらいにして明日やつたらどうですか。
  133. 川野芳滿

    川野委員長 まだ質疑の通告がございますし、明日は休みですから、今日もう少しやりたいと思います。あなたのは動議ですか。
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 私は質問する前に委員長に伺いたいのですが、会期が延長されたのですから、何も今日八時、九時までやつて質問を打切る理由がないと思いますが、どうですか。
  135. 川野芳滿

    川野委員長 委員長としては本月質問を打切るということは決定しておりません。あなたが質問していただいて、その結果多数の人が本日打切るということになればそうなるかもしれませんが、委員長としては質問の結果によつて決定したいと考えております。
  136. 林百郎

    ○林(百)委員 税金の問題は大蔵委員会の中心問題ですから、今日打切つて次には税金の問題について質問させないということでは困る。やはり税制の問題について適宜質問を許されるかどうか。今後の運営についてお尋ねしたい。
  137. 川野芳滿

    川野委員長 議事にさしつかえない範囲におきまして、できるだけ許すことにいたします。
  138. 林百郎

    ○林(百)委員 それじや今後もできるわけですね。昨日実は御質問したのですが、物品税の問題で、その後私がもう少し詳細な資料を業者から受取つた後に質疑をするということで残しておいた問題がある。実は家具に対する課税の問題でありますが、業者の陳情の方々の正確な、また詳細な資料を受取つた結果、業者の方の意見では、今日本で家具に従事している従業員が十二万五千、家具の製造代が大体三百億、これについて課税の対象になるのが大体百八十億、この百八十億に大体三割課税されて、四十六億家具に対する税金としてとりたいというのが大蔵省の方の考えらしいのです。ところが実際にはこの四十六億の目標が四億四千万円しかとれない実情である。そこでなぜこれほど家具に対する税金がとれないかといいますと、いろいろの理由があるらしいのですが、第一には非常に零細な手工業約な要素があるために税金がとれないということ、第二としてはあまりに税金が高くて、これは見つかつたらたいへんだ、今までにもいろいろしているし、見つかつたらたいへんだからといつて必死になつて脱税の方法を講じている。今日の東京新聞にも、一度やつてみたいことということの「トンチ教室」の中に、「税金のかからない商売」というのが選に入つているというほど、税金が商売人にとつては大きな問題らしい。そこで税金を一度でも脱税したら、どうしてもそれを見つからないように必死になつて防いで行く。第三としては免税点まで下げて売つてしまう。こういう方法で、結局あなた方のように税率を高くかけても、税收の方は見込みよりずつと減つてしまうという現象があるのではないかと思う。業者の方では家具のごときは全廃すべきものであるけれども、今は三〇%ですが、これを二%ぐらいに下げてしまつた方が、かえつて明朗な形で、しかも税務署の考えているくらいの税金を納めることができるじやないかという意見があつて、これは非常に切実な意見だと思います。そこで物品税、ことに家具だとかわれわれの生活に必要なものについては、将来は全然免税してしまうか、あるいはもつと徹底的に税率を下げて明朗な形で税金をとるというような技術的な方法を、国税庁では考えておられるかどうか。
  139. 平田敬一郎

    平田政府委員 今お話なつた数字はどういう数字だかよく存じませんが、先般お配りしました資料によりますと、本年度四億四千万円程度の收入を見込んでいたわけでありまして、今のお話免税点も上げろ、それから税率も二%ぐらいにしろというお話でございますが、さようなことにいたしますと、よほどこれは減つて来るのではないか。私ども考え方は、将来事情の許す限りにおきまして税率を下げたいと思つておりますが、今回といたしましては極力免税点の方で調節いたしまして、税率といたしましては三割課税する。そうしますと、小売価格としますと二割くらいですから、今度の物品税の価格といたしましては、免税点の調節をいたせばこの辺が妥当ではないかと考えております。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、平田氏としては家具業者の業態をどういう数字でつかんでいるのですか。大体どれくらい製造して、課税対象額が幾らで、どれくらいとるという数字を持つておりますか。
  141. 平田敬一郎

    平田政府委員 今申しましたように課税価額が十四億七千三百万円、それに対しまして四億四千万円程度の見込みを今年は立てております。これに対しまして相当免税点を引上げまして、ある程度の減收を見込んでおりまして、今度の減收見込み額は、ほかの品目と加えまして予算に出ている通りでございます。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 平田氏は私の言うことを誤解していると思うのですが、家具のごときものは原則として全然税金をかけるべきものでない。こういう見解なんです。昨日の私の質問に対してきりのたんすとか何とか出て来たのですが、きりのたんすといいましても、日本人にとつては普通の生活必需品であつて、何もきりのたんすだから特別上等だということにはならない。むしろきりのたんすぐらい生活必需品として買うぐらいな気持で、そのくらいの生活のゆたかさを持つて行かなければならぬ。ところがきりのたんすもあるのだから、家具には税金をかけるのだと目の色をかえて追つて来るのですが、きりのたんすぐらいで目の玉が飛び出さなければならぬほどの情けない生活では考えものだと思う。そこで業者の方の意見としても、少くとも家具に対しては全部税金をはずせ、かけるとしても、今言つたように思い切つて二%か三%に下げてしまえば、今まで税金を免れていたものも明朗な気持で税金を納める。そうすれば平田さんの言うように、そんなけちな考えを持たなくても、主税局長考えよりももつとたくさん納まる。そういう技術を考えたらどうかということです。もう少し具体的に申しますと、将来家具というようなわれわれの生活必需品に対しては、税金の対象からはずす意思があるかどうか。はずさないとしたならば、かりに臨時措置として免税点をもう少し上げて、たんすなら少くとも六千円くらいまでは免税点を上げる。あるいは一般の家具でしたら、三千五百円くらい。政府考えによりますと物価が戰前の三百四十倍に上つておるというのですが、一六千円と言つても昔のわずか二十円かそこらです。三千五百円を免税点にしたのですから、それ以上のものはぜいたくだというのはあまりに情ない、日本人を見くびつた考えだと思うわけです。そういう意味で家具のようなものは将来税金を廃止する。あるいは免税点をもつと上げる。そうでないならば課税の率をずつと下げて、明るい気持で、必死になつて脱税を考えるとか、必死になつて免税点までごまかして売らなければならないというような、暗い取引をさせないような気持を持つておるかどうか。そういう計画を持つておるかどうかということをお聞きしたい。
  143. 平田敬一郎

    平田政府委員 共産党の林さんから、総ぎりたんすは国民全部に持たせたいということを聞きまして、私は頼もしく思いました。御意見のほどは十分参考にいたしたいと思います。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 これは業者として非常に真劍な問題だと思いますから、将来具体的にもう少し真劍に考えてもらいたいと思います。このたびの物品税を見ましても、たとえば自家用の自動車なんというものは、今のところぜいたくなものである。これを七割も下げておる。一〇〇%のものを三〇%にしておるでしよう。しかもこれは外国のものだけだというのでしよう。それならきりのたんすなんか、顔の色をかえて出して来る必要はないと思う。そういうものに対しては税金の対象からはずすか、ずつと税率を下げるか、あるいは免税点を上げてやるということについて、もう少し具体的に真剣に考えておらないかということを質問しておるわけです。同じ物品税の中でもまだいろいろ項目がありますが、やはり生活に必要なもので当然廃止すべきもので、税金のかかつておるものがたくさんあります。マツチだとか、あめだとか、サツカリン、紙、食品加工品、こういつたようなものはわれわれの生活に非常に必要なものですが、たとえば食品加工品のごときは税率がかわつておらない。それから女子の使うクリームだとか頭髪用のもの、こういうものも税率がかわつておらない。自動車はずつと下つておる。ゴルフの道具は一〇〇%から七〇%に下つておる。ところが家具のごときはわれわれの生活に最も必要だ。ゴルフ道具や外国製自家用自動車より、ずつと必要なものの税率が全然かわつておらないということは、われわれはどうしても納得できない。もう少し合理的に改正すべきだと思いますが、この点についてお伺いいたしたい。
  145. 平田敬一郎

    平田政府委員 自動車につきましては、先ほど前尾委員にお答えしたのでありますが、これは別に関税がかかる見込みでございます。現在の関税率でありますと七〇%になります。これではあまりにも高いから、大体三割なり四割にしたい。かりに四割の関税を加えますと百四十になるわけであります。それの三割かかるわけであります。結果は大体関税を含めますと、七割から八割くらいの課税になりますので、実際外国から輸入される自動車に対しまして、その程度課税するならばこれは相当じやなかろうか、かように考えております。  それから甲類の物品税を引下げましたことにつきまして、いろいろ御質問がありまして、これはあまりに高率で税がとれないのじやないかというお話でありましたが、いかにも高い税率につきましては痛切に感ぜられますので、この方もやはりあまりに禁止的な高い税率はどうかというので、若干引下げたわけでありまして、引下げましても税收としては極力減らないように運用して参りたいと思います。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 ちようど自転車の例が出たのですが、前尾委員からも質問があつたのでありますが、平田局長は、外国自動車には関税がかかる。だから税率を低くして外国の自動車を入れると言いますが、一体それほどまでにして外国自動車を入れなければないほど、日本には自動車がないかという問題が第一。これは朝日新聞の神奈川版でありますが、差押えたけれど買手なく嘆きの税務署、一千台雨ざらし、売れぬ日産自動車、約四割の解雇通知を契機にもんでいる日産自動車会社は二十一日朝ももみ抜いたが、同社の広場三箇所にはこの夏以来とんと売れない約7千台の自動車がたなざらしとなつて、いたずらに寒風に吹きさらされている。同社の話によると、この六月にやつと資材難もなくなり、月産六百台もどうやら売りさばき、一息つけるところへ来たが、七月ころから金詰まりでぱつたりと客足はとだえた。毎月二百余台が売れ残り、この資金難どきにとうとう約五億円を雨ざらしのまま寝かせているわけだ。海外への出荷は、この夏朝鮮とインドへ数十台売れたきりで、戰前いつも大口注文を受けた中国との取引もまつたくない。こういうことになると、むしろ外国自動車のごときはたくさんな税金をかけて、入つて来ても実際買うことは不可能にしておいてこの雨ざらしになつておる一千台の自動車、われわれの兄弟のつくつた五億円にも上る自動車、われわれはこの方を買うことがほんとうに国の独立を思い、国を思う税務官吏のやることだと思う。その点平田局長のお話を聞くと、日本を植民地的にする買弁的な官吏答弁のように聞える。これは実は今言つた日産自動車は、税務所からも滞納の差押えを食つておるわけです。いすず自動車だとか、日産自動車を差押えたけれど買手なく嘆きの税務署、税務署も嘆いておるわけです。税務署まで嘆かして外国の自動車の関税をなぜそんなに下げるか。日本のには物品税をそんなに高くかけるか。この点について平田局長は考えがどうも日本人的でないように思われます。この点もう一度御答弁願います。
  147. 平田敬一郎

    平田政府委員 外国の高級な自動車を日本人が買えるという時代は、まだなかなかその時期ではないと思います。これは主として日本に来ている外国人が使う分でありまして、その方に対しましては相当な実効を来すのではないか。そういうものに対する税率としましては、先ほど申しましたようにこの程度で妥当ではないか、そういう考えであります。
  148. 林百郎

    ○林(百)委員 今の話を聞きますと、外国人の使う自動車なら、外国人は今戰争に勝つて非常に経済がゆたかですから、そういう人から納めてもらうのはなおけつこうじやないかと思うわけです。そういう点も物品税について将来もつと根本的に考え直す必要があると思うのであります。具体的な問題ですが、先ほどの家具なんかは熱心な陳情もありますし、もう一度聞きたいのですが、将来考え直す意思があるかどうか。六千円ぐらいに免税点を引上げることは当然だと思う。貨幣価値が三百四十倍になつておるの荘から、今の免税点を倍くらいにしても何らむりではないし、業者の要求をいれてやつたらどうかと思うのであります。これは最近家具商の人たちがどんどんつぶれて行つてしまつておる。ところが日本の国で材料があつて商売のできるのは、家具だとか木工でありますが、この日本の国でできるわずかの事業をつぶしてしまうということは、ゆゆしい問題だと思う。こういう意味でこの家具の問題についてもう一度お尋ねしたい。  それからもう一つは、家具ばかりではない。これは一例として家具の例をとつてつておるのでありますが、これらの生活必需品については、税金を廃止すべきであるというように考えるのであります。この家具に対する問題と、生活必需品についての物品税に対する考慮、こういう点をもう一度お聞きしたいと思います。
  149. 平田敬一郎

    平田政府委員 たびたび申し上げた通りでありまして、生活必需品に対する課税はできる限り課税から除外して行きたい。従いまして家具につきましても、広く大衆の消費するようなものは免税点からはずしたい、こう考えます。
  150. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでもう一つこれも非常に重要な問題でありますが、これから年末にかけて金詰まりで事業がどんどんつぶれて行つてしまうと思うのです。これは神奈川県の一例でありますが、川崎の税務署は五十万円以上の大口税金滞納が八十件あつて、総額二億円のうち差押えをしたけれども、買手がつかないでどうにも始末のつかないものが四十九件、一億五千万円の処理を二十一日遂に東京国税庁の手にまかせることになつた。東京時計の千百万円を筆頭に、池貝鉄工、いすず自動車各九百万円、三菱重工八百万円、池貝自動車六百万円、三菱化工機四百万円がおもなものだが、このかたに差押えたデイーゼル・エンジン、自動車シャシー、電気爐等は幾度公売にかけてもさつぱり売れず、遂に投げ出されたらしいという記事もありますが、こうなりますと本年度の二百億のここに出ております報告によると、減税というのは、これは少くとも申告税の千七百億の税金の増收と、法人税の二百二十七億の増收と、それから勤労所得の百四十九億の増收、これを三つの柱として初めて二百億の減税ができるのでありますが、これから年末にかけて金詰まり状態の苦境、これに対する差押え、差押えはしたけれども公売ができないという形になりますと、この三つの柱が維持できるかどうかということは非常に疑問であります。そうすると二百億の減税も絵に描いたもちになる危険が非常にあると思うのでありますが、一つの例として今言いました川崎税務署がその処置に困つて東京国税庁の手にまかせることになつた。これについてはどうなつておりますか。
  151. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 川崎税務署の滞納の税額なり、滞納の最近の状況は、私も直接報告を受けておりませんので、ただいまお答えいたしかねるのでありますが、必要がありますれば別途報告をとりましてお答えいたします。
  152. 林百郎

    ○林(百)委員 政府委員は大事なところへ行くと逃げてしまう。これも新聞にはつきり東京国税庁の手にまかせることになつたといつておるのに、まだ何らの通知もないということは信ぜられない。しかも谷法人別の課税、これも資料が全然出ていない。こうしてわれわれの要求する回答について大事なところになると逃げられてしまう。これで税制に対する質疑を打切れと言つたとて委員長ちよつとむりじやないですか。そういう意味でわれわれはこの税金の問題について重大な関心を持つておるんだから、もし質疑を打切るならもう少し責任のある回答を政府にしていただきたいと思う。しかもきようの十一月二十二日の朝日新聞の神奈川版にはちやんと出ておる。一億五千万円の処理ができないということで、昨日すなわち二十一日東京国税庁に正式に処理をまかせることになつたと出ておる。それを長官が知らないということはどうもおかしい。
  153. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 私その新聞を拜見しておりませんので実相はよくわかりませんが、おそらく東京国税局に移したということじやないかと思います。従つて東京国税局でいかに処理するかということは、必要がありますれば東京国税局から報告を徴しまして、お答えをすることにいたしたいと思います。
  154. 林百郎

    ○林(百)委員 川崎税務署で遂に処置ができなくなつたために国税局にまかざれたということは、もう地方の税務署では何としても滞納の処理ができなくなつておる。経済界の行き詰まりによつて税務署の見込み通りの税の徴收が不可能になつておる。各税務署の手には負えないということで、東京国税局の方へ来て、おるというふうに解釈しますが、税務署から東京国税局にまかせるということはどういうことを意味するのですか、それを説明願いたい。
  155. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 各税務署におきましてそれぞれ滞納の整理に当つているのでありますが、大口の滞納またはその業態によりまして、差押えた物件の処分が非常に困難なもの等につきましては、それぞれ各地にありまする国税局に引継がせまして、国税局においてまとめて処分するという建前をとつております。これは御承知通り各税務署におきましては、その方面について十分全面的な分化された職員もおりませんし、大口なもの、特殊なものにつきましては、国税局に持つて参りまして、そこでは税務署よりはもつと経験もあり、各方面に経験を持つておる人間が置いてありますので、そこにおいて処理することが迅速に事を運ぶゆえんであるという建前から、国税局に引継がせる次第であります。
  156. 林百郎

    ○林(百)委員 水田次官にお尋ねしたいと思いますが、今税法についての政府との質疑によりますと、源泉徴收の自然増、法人税の自然増、申告納税の本年度下今期の徴税成績も、非常に楽観的な見込みが報告されておるのでありますが、各新聞紙並びに業界の実情からいえば、ますます金詰まりが来、輸出不可能なために事業は非常に苦境に陥つておる。こういう際に、これは一例でありますが、今言つた差押え物件の公売換価もほとんど不可能だという状態になつておるのでありますが、大蔵次官として本年度分の申告納税の残余の徴收、源泉徴收分の自然増、法人税の自然増については、十分自信と確信を持つておるかどうか、最近の滞納処理状況はどうなつておるか、こういう点についてあなたの見解をお聞きしたいと思う。
  157. 水田三喜男

    水田政府委員 しばしば御説明いたしました通り、この見込みは今までの実績を基礎として推定してありますもので、ドツジ・ラインからいろいろ経済界に若干の変化がありまして、滞貨がふえるとか、金融が諮まつて来るとか、こういう事情を織り込んでのもとにおいては、なおかつ示された実績を基礎にしているということになつておりますので、今のところでは法人税の自然増、源泉徴收分の所得税は何とか順調に全部徴收できるのじやないか。この点は楽観しておりますが、問題は申告所得税でして、この点は相当現在申告されておる実績から見ましても、今後二百億程度の減税を見込んだ線あたりまでとることは、かなり困難がありはせぬか。そういう点ではそう楽観しておりませんが、大体において予定した税額は本年度とれるんじやないかと考えております。
  158. 林百郎

    ○林(百)委員 もう少し具体的な話を聞きたいと思いますが、主税局長の方にこういう説明の材料があるかどうか。これは私の方で資料を要求しておるが、まだ出て来ないが、終戰以後から本年度までの例年別でいいのです。税金の滞納の処理状況、ことに各種税別の滞納件数、その金額、それからこれに対する差押え物件とその売拂い件数、その売抑つた代金と最初の見込み額の比率、こういうものの説明があつたらしてもらいたい。
  159. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 ただいま林委員御要求の資料は、物品税、織物消費税及び清涼飲料税の四半期別收入済額表を出しておりまするし、昭和二十三年度以降源泉徴收所得税の四半期別收入済額表、申告期待倍率及び更正決定実施予定倍率について、それから昭和二十三年度以降延滞金四中期別收入済額表をそれぞれ提出しております。あとはただいま調整中でありますから、お許しを願います。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 終戰以来各種税別の滞納件数と金額と、税金滞納に対する差押え物件の件数、売拂い件数、売拂つた金額、これと当初の見込みとの比率が来ておりますか。
  161. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 御要求の資料は本日つくつてつたのでありますが、まだこちらに届いていないようでありますから、できるだけ早く提出するようにいたします。
  162. 大上司

    大上委員 ただいま議題となつております所得税法臨時特例等に関する法律案物品税法の一部を改正する法律案織物消費税法等を廃止する法律案、この三案につきましては、質疑を打切りまして、討論採決は次回にされんことを望みます。
  163. 林百郎

    ○林(百)委員 委員長質疑を八時までやらせると言つているからやつているのじやないか。それはあらかじめ理事の打合せできまつている。これから理事の申合せに従わないというなら別だが、理事の打合せで本日の進行を打合せているじやないですか。
  164. 川野芳滿

    川野委員長 しかし動議ですから、動議は委員長において採決しなければならぬことになつております。実は林君に申し上げますと、議事進行のため各党の持ち時間というものをあらかじめ相談いたしまして、共産党の持ち時間は二時間でありましたが、すでに三無間以上の発言を許しているということになつております。
  165. 林百郎

    ○林(百)委員 それなら社会党はどうですか。しかも二十三日に討論して採決する。会期は延長しないと言われていた。それが新しく今本会議で一週間会期が延長になつたのです。
  166. 川野芳滿

    川野委員長 それでは動議を採決いたします。ただいまの大上君の動議、すなわち三法案に対する質問打切りの動議でございますが、大上君の動議に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  167. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。それでは所得税法臨時特例等に関する法律案物品税法の一部を改正する法律案、及び織物消費税法等を廃止する法律案の三法案は、質問打切りと相なりました。  討論は次会にまわしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後五時六分散会