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1949-11-21 第6回国会 衆議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十一日(月曜日)     午後三時二十一分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 北澤 直吉君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 長規君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 林  百郎君  理事 早稻田柳右エ門君       岡野 清豪君    田中 啓一君       塚田十一郎君    苫米地英俊君       西村 直己君    三宅 則義君       山口六郎次君    中崎  敏君       松尾トシ子君    宮腰 喜助君       河田 賢治君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         国税庁長官   高橋  衞君  委員外出席者         大蔵事務官   原  純夫君         大蔵事務官   忠  佐市君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 十一月十九日  浴そうに対する物品税撤廃請願島村一郎君  紹介)(第九一八号)  同(今村忠助紹介)(第一一七二号)  乾のりに対する物品税撤廃請願三宅則義君  紹介)(第九二三号)  同(千賀康治君外一名紹介)(第一一七四号)  メリヤス物品税の戻税に関する請願尾崎末吉  君紹介)(第九三四号)  たばこ民営反対に関する請願原田雪松君外二  名紹介)(第九六〇号)  同(福田一紹介)(第九六一号)  同(米原昶紹介)(第九六二号)  同(寺本齋君外二名紹介)(第一一二一号)  同(志田義信紹介)(第一一二二号)  きせるに対する物品税免除請願塚田十一郎  君紹介)(第九六六号)  電気アイロンに対する物品税軽減請願(天野  公義君紹介)(第九六九号)  医師、齒科医師登録税免除に関する請願(丸  山直友君紹介)(第九八六号)  取引高税撤廃請願細田榮藏紹介)(第一  〇〇四号)  毛織物差益金税免除に関する請願細田榮藏  君紹介)(第一〇〇五号)  紙に対する物品税撤廃請願島村一郎君紹  介)(第一〇四九号)  同(塚田十一郎紹介)(第一〇五〇号)  同(稻田直道紹介)(第一〇八五号)  同(床次徳二紹介)(第一二〇三号)  自動車関係諸税撤廃請願(田中織之進君外  一名紹介)(第一〇五三号)  同(今野武雄君外一名紹介)(第一〇七六号)  同(三宅則義紹介)(第一二二〇号)  衞生陶器の物品税改正に関する請願早稻田柳  右エ門紹介)(第一〇六四号)  公務員厚生福利施設拡充に関する請願(江崎  一治君外三名紹介)(第一〇九二号)  国家公務員共済組合法の一部改正に関する請願  (小川平二紹介)(第一一二六号)  同(三宅正一君外一名紹介)(第一一二七号)  徴税における目標割当制廃止請願(風早八十  二君紹介)(第一一三八号)  映写機類に対する物品税軽減請願坂田道太  郎君紹介)(第一一四〇号)  北海道における清酒生産増石請願佐々木秀  世君紹介)(第一一四七号)  共済組合長期給付に関する請願中原健次君  外二名紹介)(第一一六八号)  ぼうしに対する物品税軽減請願坂田道太君  紹介)(第一一七三号)  美術品に対する物品税撤廃請願佐藤重遠君  紹介)(第一一七五号)  国分町に刻たばこ製造工場設置請願床次徳  二君紹介)(第一一八五号)  織物消費税引下げによる交付金算定方法に関す  る請願早稻田柳右エ門紹介)(第一一九二  号)  ラジオ受信機類に対する物品税軽減請願外一  件(前尾繁三郎紹介)(第一二一五号) の審査を本委員会に付託された。 同日  所得税所得標準率決定に関する陳情書  (第二五六号)  食肉加工品に対する物品税撤廃陳情書  (第二六七号)  貿易品製造業者に対する融資順位引上等陳情  書(第二  七四号)  鉱工業用揮発油課税対象より除外の陳情書  (第二七七号)  繊維製品に対する消費税等撤廃陳情書  (第二七八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  所得税法臨時特例等に関する法律案内閣提  出第三三号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三四号)  織物消費税法等廃止する法律案内閣提出第  三五号)  所得税法の一部を改正する法律案提出に関する  件     ―――――――――――――
  2. 川野芳滿

    川野委員長 開会いたします。塚田十一郎君。
  3. 塚田十一郎

    塚田委員 この機会所得税法の一部を改正する法律案提案をいたしたいと考えるものであります。  先般来、例の湯川博士ノーベル賞金個人所得税がかかるかどうかというような問題が非常に議論になり、世上をにぎわしたのでありますが、国会各党はみな、ああいう種類のものには税をかけるべきではないということで、湯川博士の問題は必ずしも課税すべきだという結論に来ているわけではないのでありますが、今後そういう問題が起きた場合には、疑義が生じないように、そういう種類のものに対しては今後個人所得税がかからないように、法の上に明定した方がよいということで、先般来各党と打合せをしておりましたところが、各党とも意見が一致いたしましたので、この機会に当委員会提案いたしまして、これを大蔵委員会提案として御採択を願いたいのであります。  さらにその内容及び簡単な提案理由を申し上げたいと思います。それは「所得税法の一部を次のように改正する。第六條第二項第一号中「贈與(個人以外のものからの贈與を除く。)」を贈與(個人からの贈與及び個人以外のものからの贈與のうち、学術技芸慈善その他文化的又は社会的貢献を表彰するものとして交付するほう賞金品で命令で定めるものに限る。)」に改める。」さらに附則として「1、この法律は、公布の日から施行する。2、この法律による所得税法改正規定は、昭和二十四年分の所得税から適用する。」以上が改正案内容であります。  これを提案いたします理由は、ここで特にあらためて申し上げぬでも十分各委員において御存じだと思いますが、要するに学術技芸慈善、文化的または社会的貢献を表彰するものとして交付される褒賞金品については、これは文化の発達、社会的貢献の奨励をはかるというような意味から、所得税課税しないことにする必要があるであろう。これが本法案提出理由であります。  以上各委員にお諮りになつて委員会の意向をおとりまとめ願いたいと思います。
  4. 川野芳滿

    川野委員長 ただいま塚田委員から所得税法の一部を改正する法律案を、当委員会より提出いたしたいという動議が提出されたのでありますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 川野芳滿

    川野委員長 御異議ないようですから、本案を当大蔵委員会提出法案として、議長のもとに提出いたしたいと存じます。  なおこの際内容等につきまして、提案者に対して御質問があれば御質問願いたいと思います。
  6. 林百郎

    ○林(百)委員 ちよつと提案者に聞きたいのですが、昭和二十四年度分の所得税から適用すると言うが、すでに所得税をかけたものはどうするのか。二十四年度の所得に対しては、二十五年度の所得税廃止するというのですか。その辺をお聞きしたい。
  7. 塚田十一郎

    塚田委員 お答え申し上げます。これは二十五年度からという意味でなく、二十四年度中にすでにそういう所得税を納めている者があれば、この法律解釈の上からは当然免除にならなければならない性質のものであると思うのでありますが、ただ実際問題として、おそらくこういう性質のものが所得税をかけられている実例はないのじやないかと考えているわけであります。
  8. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、「慈善その他文化的又は社会的貢献を表彰するものとして交付するほう賞金品」ということですが、この慈善というようなものの解釈はどういうふうになつておりますか。はつきりどこかで審査してきまつているのでございましようか。そうでないと、これで税金を免れるような、脱法行為に使われる危険がある。非常に抽象的な言葉が使われておりますから、一応質疑応答でもして、その定義がはつきりしておればよいのでありますが、このままだと少し抽象的で、将来問題が起きるような場合がありはしないかと思うのでありますが、その辺の考慮はどういうふうになつておりますか。
  9. 塚田十一郎

    塚田委員 そういう脱法的なおそれが生じそうな部分は、このあとに全部参考として掲げてあります政令案の要綱をごらんいただくとわかるのでありますが、そこにそういう脱法行為のできないように、どういう人からもらつたものというようなことをはつきりと実は書いているわけですから、おそらく御心配のような問題は起つて来ないのじやないかと思うのであります。われわれもいろいろ考えてみたのですが、たとえば慈善というようなものは、慈善行為で非常に功績のあつたという人に対して、このうしろに掲げてあるような団体が、何か賞金を出すという場合に、その人の所得税免除するという考え方でありますから、たいてい御心配のような問題は起らないのではないかと思うのであります。
  10. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑もないようですから、提案者に対する質疑はこれで終了することにいたします。実はこの法案に対しましては、関係方面の御了解を得ておりませんので、御了解を得た上で議長の手元に提案するということにいたしたいと存じます。その点御了承願つておきたいと存じます。     —————————————
  11. 川野芳滿

    川野委員長 それでは税関係法案に対する質疑を続行いたします。
  12. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は過日大蔵当局から物品税に対する見込書資料をいただいておるのでありまするが、私の構想からいたしますると、これは集計でありまして、なるべくならば物品税施行細則関係あるものの資料を承りたいのです。たとえて申しますと、身辺細貨類でありますとか、文房具でありますとか、あるいは紅茶ならびに碾茶というものであるとか、あるいは家具、こういうようなものにつきましても、細目の方には十も二十も書いてあるのでありますが、文房具の中におきましてもなお落していいものもあるし、あるいは身辺細貨類等についても落していいものがあるのではないかと思います。たとえて申しますと、きわめて税收の少いものであつて、あまり影響のないようなものは、なるべく徴税から落してやるという線を私は持つているのであります。この前の御調査はけつこうではありまするが、もう少し細部にわたるものがありまするならば、この点はとつてやろうとか、この点はまだとれる見込みがあるということがわかりますから、この際失礼でありますが、私の要望したのはその一つの例であります。何とぞ官僚各位を督励せられまして、議員の要求いたします資料はなるべくすみやかに提出せられますならば、私どもは国政審議上まことにけつこうであると思います。  以上簡単でありますが、いわゆる施行細則に載りますところの物品税の明細をいただきたい、かように要求いたします。
  13. 原純夫

    原説明員 できるだけ出したいと思います。
  14. 三宅則義

    三宅(則)委員 過日来主税局長の御説明によりますと、文房具中これとこれとは残す、これとこれとは税金をとる、そういう御説明であつたのですが、そういうことの資料が必ずあるからこそ、そうしたお言葉を承つたと私は思います。ただ漠然とこれとこれ落す、これとこれは税金をとるのだという意味でしようか。その辺おそらく資料があるのじやありませんか。
  15. 原純夫

    原説明員 物品税課税標準統計は、例の九十二あります品目別にはとつておりますが、その中の御指摘のありました再分類の一々まではとつておりません。従いましてただいま御要求の資料は原則としてできかねます。ただ御指摘のありましたように、一つ品目の中にいろいろな再分類で直そうという場合に、何らか資料が必要であるというので、これは間接に当該物品生産統計その他から推定して、見積りを立てるやり方をいたしております。そういう方法でできる限りのものはお目にかけるようにいたしたいと思つております。
  16. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまの原政府委員の御説明によりますと、それではきわめてわれわれに密接な関係があります身辺用細貨並びに文房具、今申しました碾茶とか紅茶、もう一つ家具、こういうものにつきましてもし調べられましたら、最近のお調べを願つて、本委員会に提出されんことを希望いたします。
  17. 松尾トシ子

    松尾委員 私は税の問題で一点お伺いしたいのであります。特に自然増收中の法人税に対しまして、少し詳しくお伺いしたいのでここに立つた次第であります。今度の補正予算歳出歳入を総括して検討を加えてみますと、まず歳出の面におきまして相当増額が行われているようであります。従いまして、本予算つじつまを合せるために歳入の増加、たとえば源泉の百四十九億あるいは法人税の二百二十七億余、酒税の百二億、こういつたものを加えて、政府におきましては歳出歳入バランスを合せるために、こうした苦慮をなかなかなされた跡が見受けられますが、歳入の面におきまして二つのむりがあるように、私には思われるのであります。なぜならば、その一つは、歳出増額を加えておりながら、減税を行おうとすることであります。第二の点は、歳入増を見込むための自然増收の面であります。特に最初に申し上げましたように、法人税の二百二十七億を確保するために、中小商工業者に対する税の面が一番心配になるのであります。私が考えますのに、一応政府減税に対する公約履行面子もあつて、これが実現に苦心を重ねていることは認められますが、減税ということは、現在の国民生活の面から見て、絶対に要求されているところでありまして、單なる政党の面子によつてかような問題を進めてはならないと思うのであります。国民所得と税のバランス、ないしは税比率の数字を政府が明らかにして、自然増收内容を明らかにしなければならぬと思うのであります。ただ税を漫然と下げることが、民自党公約だからということできめられてはならないし、担税力最低線を破らないようにしてこれを行うことが、一番中小企業にとつては必要なことだと思うのです。私はこういうふうに個々の面において表面上は税率を下げても、結局言いにくいことですが、この税に対する決定率を高めるようなことはないかどうかということを、お伺いしたいのであります。なぜならば、大きな歳出の面で増額をはかつておりながら、これに近い自然増收を行うということが、国民の一人として不安に思われるからであります。私が今決定率と申したのは、これはおわかりにくいのかもしれませんが、たとえば中小企業の場合に、わかりやすく百万にいたしましよう。百万に対する課税を、決定率を四十万にして税金をとつておつたものが、決定率を六十万ぐらいに高めてこれを徴收した場合には、減税すなわち税率を下げても、徴收の場合にはよけいにとれるという結果を来しはしないかというので、この一点をお伺いしたいと思うのであります。
  18. 水田三喜男

    水田政府委員 お答えいたします。この問題はしばしば御説明申し上げました通り自然増收というのは増税ではありませんので、今までの実績から見てこれだけ現行税法のもとにおいてとれるという見込み自然増收でありまして、それだけつじつまを合せるために、特に多くとるのではないということは、しばしば御説明した通りであります。もし減税をむりにやりたいために、それだけ増税するのだというやり方でしたら、たとえば申告納税分を二百億減ると立てなくても、それだけでも減税がやれるということになるのですが、そういうやりくりでやつているのではありませんで、実際の実績に基いて、現行税法でもとれるという自然増に立つて、二百億というものがはつきり文字通り減税になるのでありまして、それを見込んで今度の補正予算をつくつた。こういう事情にありますので、何かやりくりして特にそうしたということは、完全に間違いでありますから、あらためて御説明いたします。
  19. 松尾トシ子

    松尾委員 御説明によりますと、いとも明確のようですけれども、実際に税をとり立てられるときになりますと、なかなかそういうわけには行かないのであります。今日のように資金難でありますと、中小企業が今にも息を引きとるほどに困つているとき、たとい説明は明らかなようであつても、現実にはあまり明らかでない方法によつてとられがちでありますので、私はこの点を非常に危惧しておるのであります。中小企業方々陳情に多々参つたその内容を聞いてみますと、政府の定めました決定率によつてとられておらずに、はるかに高率で結果的にはとられるのが現実であるのです。今までがそうでありますけれども、今度の補正予算に対する自然増收に至りましては、民自党の構成しております内閣におきましては、絶対にそういうことをしないということを、明確にここにお約束できるでございましようか。
  20. 水田三喜男

    水田政府委員 はつきりとお約束できます。
  21. 宮腰喜助

    宮腰委員 今の問題に関連して、ごく最近個人金業は税が重いというので、法人に切りかえておる事業がたくさんあります。たとえば資本金が五万円とか十万円とかいうものは、税の重さに耐えかねて法人に切りかえたのがたくさんあります。実際の徴税の問題になりまして決算を出しますと、決算をそのまま認めてくれないで、いいかげんに工員の稼働率などを見まして、山勘でこの事業は赤字であるが、実際はこれだけかせいでいるだろうということで、認定をして来る税が非常に多いと聞いております。こういう問題について政府はどう考えておるかお伺いしたいと思います。
  22. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 中小法人と申しますか、資本金の少額な、最近個人から法人に編成がえをいたしました法人等におきましては、その帳簿がきわめて不完全なのが多いのです。従つてその帳簿のみによつてその所得を真に把握することが困難であるということから、いろいろ間接的な資料から所得を推定することがあることは、やむを得ざる処置であると御了承をいただきたいのであります。しかしながらそのために苛酷にわたるということは絶対に避けておりますから、その点御了解を願いたいと思います。
  23. 宮腰喜助

    宮腰委員 しかし実際に帳簿が整備しておつても、そういうことをやつている例をたくさん経験しておりますが、そういう場合はどういうことになるでしようか。
  24. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 正確な帳簿があり、正確に証明できる場合においては、どんどんその部分は訂正いたします。またもしそういう扱いを頻繁にやつているとすれば、その取扱いははなはだ遺憾であると申し上げざるを得ないのであります。そういう点はどんどん是正をして行きたいと考えております。
  25. 林百郎

    ○林(百)委員 実は非常に熱心な陳情が参つておりますので、政府の御意見を伺つておきたいことがあります。実はこれは物品税の中の家具でありますが、家具というようなものは戰災などにあいまして、ほとんどわれわれの日常生活必需品になつておりまして、これは課税対象にすべきものではないと思います。この家具が今度の税制改革によりましても、依然として三〇%の課税になつているのであります。この点について家具のような生活必需品になぜ課税をなさつたか。これについて何ら特別の考慮はしなかつたかということについてお聞きしたい。
  26. 原純夫

    原説明員 御指摘通りの、生活必需品には課税をしないという気持は十分持つております。ただ遺憾ながら戰争以来そういう色彩が、かなり濃厚に入つて参つております。従つて今回相当軽減ないし廃止を御提案申し上げてはおりますが、なおおつしやるような点が残ります面はいろいろあろうかと思います。具体的に御指摘家具につきましては、いろいろと今免税点制度によりまして、生活必需品的な家具につきましては、税をかけないという配慮を今までも拂つているわけでありますが、今回もそうした方法を講じて免税点課税最低限というものを若干引上げまして、必需品的なものはかけないという線をはつきり出して参りたい。例をあげて申しますれば、たんすでありましたならば総ぎりたんすはかけてもしかたがなかろう。場合によつては三方ぎりの上等のものはかかる。こういう程度のものは今の国民生活のあり方から言つて、やむを得ないのではなかろうかという気持でやつております。具体的な例はいろいろありますが、たとえばそういう気持でやつておるということを申し上げます。
  27. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、われわれとしては課税自体廃止すべきであると思いますが、これについて修正なり何なりは別として、かりに三〇%課税としても、行政的な措置で政令とか何かで免税点引上げるということを、具体的に考えられているかどうか。また具体的に考えられているとすれば、現行免税点引上げるなら引上げる。この点について具体的にどう考えられているか。これは非常に熱心な陳情もありますし、またわれわれの責任もありますから、一応ここで明らかにし得る範囲のことを明らかにしてもらいたい。
  28. 原純夫

    原説明員 家具免税点引上げたいと考えております。ただいまこれを正式にここまでやるということを申し上げるだけ、関係方面との折衝も済んでおりませんが、引上げて、たとえばただいま申し上げたような総ぎりたんす、ないしは三方きりでも非常に上等なものはかかる。あとのものは落す。その他整理たんす、あるいは机、いす等につきましても、それに準じた感覚をもつて必需品的なものとして行く。大体において現在の免税点が、まず感じで申して一割五分から二割くらい上るというような見当のところに、持つて参りたいという考えでおります。
  29. 林百郎

    ○林(百)委員 それは一割五分から二割ですか。一・五倍から二倍ですか。
  30. 原純夫

    原政府委員 一割五分から二割程度免税点が上るということでございます。
  31. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると具体的に言いますと、二千四百円の免税点なら二千六百円くらいにするということですか。
  32. 原純夫

    原政府委員 ただいま家具免税点で、大きなたんすにつきましては三千五百円、それから机、たな類、規格の小さいたんすにつきましては千八百円、それから、いす、腰かけ、火鉢、帽子かけというようなものにつきましては千五百円、その他なお三百五十円、二百五十円というようなものもございます。物によつては一割五分から三割ぐらいまで上げようかというような考えをいたしておるものもありますが、大体一割五分から二割前後のところまで上げて参りたいという考えでございます。
  33. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、その免税金額を一割五分から三割上げるということですが、業者の方では大体三千円くらいのものは六千円くらいまで上げてもらいたい。大体十割くらい上げてもらいたいという希望があるのですが、これはどうですか。ことにぜいたくなものは別として、われわれの生活に必要なものですから……。
  34. 原純夫

    原説明員 そういう御意見もいろいろ承つておりますが、われわれといたしましても結論において妥当性を得ますように、それぞれの品物につきまして、市場の価格製造者販売価格というものをできるだけ巨細に調べまして、ただいま申し上げたように——それにしても今総ぎりたんすまで税がかからないということまではちよつと行くまい。それから机類にいたしましても、両そでのついたりつぱな高机になれば、これは課税されてもしかたがなかろうということを考えまして、いろいろな規格の机なり、いすなりの製造販売価格考えて、それによつてただいま考えておるわけでございます。今お話のありました二倍ということにいたしますれば、おそらくどんなりつぱなと言えば言い過ぎかもしれませんが、総ぎりたんすでも、でんとした高机でも、ほとんど全部非課税になつてしまうということになりますので、その辺は御陳情方々の立場と税法との権衡というようなところで、お考えをいただかなければならないのではないかというふうに思います。
  35. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方もその点についてはなおもう少し具体的な資料業者からもらつて、さらにお聞きいたしたいと思います。ただ例がいつも総ぎりだんすばかり出て来るので、大分総ぎりだんすの方があなたの方の防禦の武器になつておりますが、家具というと総ぎりだんすばかりではなく、非常に種類が多くて、ことに各家庭とも困つておる問題でありますから、業者の方からも熱心な陳情があると思います。なお私の方も具体的な資料業者からもらうことにいたします。  それからもう一つは楽器でありますが、楽器についてもやはり非常に熱心な免税の運動があるのであります。これは一つは外国へ輸出しようと思つたのが、輸出が杜絶しまして、国内の消費に向けなければならない、ストツクがどんどんふえて来るという関係もあると思いますが、この楽器についてはどういうような考え方でありますか。この点もひとつ聞かしていただきたいと思います。
  36. 原純夫

    原説明員 楽器につきましては、ただいま八割の税率を適用されておるものと、五割の税率を適用されておるものと二種類ございますが、今回御提案申し上げておりますのは、全部を一本にして五割でとるという考え方であります。楽器につきましては免税点はございません。今回も免税点は置かないでやつて参りたいという考え方でおります。
  37. 林百郎

    ○林(百)委員 この点につきましても、もちろん上等なピアノなどは別としまして、たとえばハーモニカや子供用のヴアイオンだとか、あるいはオルガンというようなものは、ことに最近の小学校ではほとんどこれが管楽の時間の必要な授業品目の中に入つておるわけですが、こういうことを考慮しますと、将来はやはりこういう小学校の学童用の楽器くらいは、せめて免税の方向へ持つて行くべきではないかというようにわれわれは考えますが、この点について再考慮する考えがあるかどうか。
  38. 原純夫

    原説明員 学校用のものにつきましては、つまり学校で買いますものは、ただいま免税の制度がございます。それで大体まかないがつくのではないか。それから家庭で使いますもののうち、非常に程度の低いもので、これは玩具だというようなものは、玩具の扱いとして、とりやすい方でとる。免税点もございますから、その方でやつて参るというやり方をしております。
  39. 林百郎

    ○林(百)委員 その点も私の方はもう少し具体的な資料をもつて、次の機会にお尋ねしたいと思います。  その次に先ほど松尾さんからも質問がありましたが、法人税の二百二十七億の増收でありますが、これを資本別に言つてどのくらいの程度の資本の会社から、どのくらいの法人税がとれておるかという説明をしていただきたいと思います。もしそれが、たとえば百万円、二百万円というようなものがないならば、せめて五百万円前後のどこかで区切りをつけて、それから以下の会社からどのくらい、それから以上の会社からどのくらいというようなものがあつたら、とりあえず説明をしていただきたい。なお将来その資料をもらいたいと思いますが、一応説明してもらいたいと思います。
  40. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 法人税資本金別の統計は、今年度の分は速報としてもとつておりませんのでよくわかりませんが、二十三年度分は大体まとまりかけておりますので、そのうち資料として差上げたいと思います。
  41. 林百郎

    ○林(百)委員 実は私の方の税制三法案の討論にどうしても必要ですから、こまかい資料を早急にもらうこととしても、大体の趨勢は、一体どの辺以下くらいの会社からの法人税が、法人税の主流をなすかということをお伺いしたい。
  42. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 追つて具体的な資料について御説明申し上げることにいたしたいと思います。大体の見当も、資料なしにはちよつとつきかねますので……。
  43. 林百郎

    ○林(百)委員 それではこういうようにお尋ねします。この法人税が大体最初の見込みよりも倍額とれたのですが、この倍額とれた原因はどう考えておりますか。
  44. 忠佐市

    ○忠説明員 補正予算の計算の方法について申し上げたいと思いますが、昭和二十四年の四月から十月までの法人税が、実際入りました金額といたしましては二百五十五億余円ございます。
  45. 林百郎

    ○林(百)委員 いつからいつまでですか。
  46. 忠佐市

    ○忠説明員 本年の四月から十月までの收入の実績でございます。それで法人税は御承知のように申告納税になつて参りまして、決算時期が済みますと自動的に税が入つて参る、かような建前になつておりますので、この收入実績のうち六月から十月分を基礎といたしまして、その月割平均で本年の十一月以降の法人税税收が入つて参る、かように推定いたしますと、その合計といたしましては二百四十五億円余ということに相なりまして、合計して五百億という数字が出て参る次第でございます。従いまして、これは現在まですでに現われました実績を基礎といたしまして、これを将来に引延ばす。しかも法人数等が相当増加しておる状況でございますが、それをかたく見積つて五百億入つて参る、かような実績の基礎に立つて見積つた数字でございます。
  47. 林百郎

    ○林(百)委員 実は個人が、個人営業ですと非常に税金がたくさんかかるということで、法人に組織がえしておるところがたくさんあります。それで法人数がふえて法人税がふえたということになりますと、これは中小の法人にかかる税負担が非常に重く、しかも中小の法人からの法人税が、法人税の主流をなすのではないかというようにわれわれは考えられるのであります。この点についてはどうですか。最近法人数がふえたかどうか。しかもそのふえた法人数というものは、資本別に言つて大体どういう法人がふえておるか。この点がわかつたら御答弁願いたい。
  48. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 これは二十三年度の数字でありますが、二十三年度におきましては、法人の利益金額の総額が四百九十四億円になつております。そのうち最も多い階級が百万円以上五百万円未滿の階級でありまして、これが九十七億円を占めております。その他の階層におきましては、大体二百万円ないし七百万円の間を上下しておるのでありまして、上の階級におきましても、下の階級におきましても、それほどの差はありません。  なおただいまの御質問の個人から法人なつたものが相当多いが、その中小法人について非常に重課されておることはないかという御質問でありますが、お説の通り最近個人から法人に編成がえになるものが相当多数ございます。しかしながら御承知の通り個人におきましては、予算課税でありまして、その年の所得に対してその年に課税になるのでありますが、法人につきましては、実は事業年度終了後二箇月以内に申告をし、同時に納税をするという建前になつておりますので、時期的なずれがちよつとあります。それといま一つは、そういうふうな階層について非常に大きな課税がされておるということは、私どもには感じられませんので、お説のような点はないと思います。
  49. 林百郎

    ○林(百)委員 中小法人に対する課税がそんなに過酷でないように思われるというのでありまして、政府委員説明によりますと、決算によつて利益が出て来るのだから、それにかけて別にむりはしていないのだと言いますが、法人税に対してもやはり更正決定や見込み決定が来るのです。しかも中小法人に対して非常に重い負担が来て、最近の中小企業が倒産する大きな要素の一つには、実はこの法人税が重くて税金を納めることができなくて、手を上げて行く法人がたくさんあるのです。こういう点で政府説明と実際とではよほど違つておるわけであります。  それから先ほどのあなたの数字から見ましても、昭和二十三年度において、大体百万から二百万あたりのところが法人税の主流をなすということになれば、やはり少くとも二百万円あるいは三百万円以下ぐらいの法人が数も多いし、法人税の担税の額から言つても多いと私は解釈するが、この点はどうですか。
  50. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 先ほど二十三年度の実績について申しましたのは、百万円以上五百万円未満の数字でございます。なおもう少し詳しく申し上げますと、その次に相当多いのが一千万円以上五千万円未満が六十五億円であります。それからなお最近の傾向といたしまして、法人税の收入が非常によくなりました原因の一つは、一度決算の報告を調べて後に、その決算の報告について修正申告をされておるものが非常に多いのであります。これらの修正申告はむしろ大法人がほとんど大部分でありまして、中小法人からはそのような修正申告はあまり出ていません。なおお説の通り中小法人につきましては、特に帳簿の正確でない方が非常に多いのであります。従いまして先ほども御答弁申し上げました通り、いろいろな間接資料による推定によつて所得を計算せざるを得ないという法人相当数ございます。しかしながら、それがために所得の見方が過酷になるというようなことは、絶対に避けておる方針であります。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、中小法人で納税が不可能なために倒産して行く、あるいは法人税が納められないために差押えなんかされますが、その差押えの件数、その対象の会社なども、やはり中小法人以下に非常に多いと思うが、この点の数字がわかつておりますか。
  52. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 資本金別の差押え件数の報告は実はとつておりませんので、御答弁申し上げかねます。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 私は長野県でありますが、実際長野県の企業が倒産して行く大きな要素の中には、税金が納められないということで倒れて行くものが非常に多いのです。従つてこの法人税というものも中小の法人には相当過酷になるのではないか。銀行、大企業にはまだまだ余裕がある。しかも脱税の方法その他が非常に巧妙で、かりに脱税が摘発されても、巧妙な政治運動によつて、いつの間にか初めは脱兎のごとく、終りは処女のごとくに終つてしまつて、うやむやになるという例も非常に多いわけであります。それで資料のないことにはどうにもしようがないから、今申しました法人税の資本別の納税額と、法人税に対する差押え対象となつておる法人の資本別のもの、こういうような資料を至急提出してもらいたいと思います。  それから実は申告納税分でありますが、先ほど松尾委員からお話がありましたが、今年度のこの税制法案、すなわち吉田内閣による減税の根拠となつている大きな要素には、源泉徴收分の増徴、法人税の増徴に加えて、申告納税を今後十月までの実績の四倍から四倍半とるという條件がある。ところがこの申告納税というのは、これは申告でありますから、税務署の方が承知しなければ、更正決定がどんどんかかつて来るということになつて来るわけであります。この問題で、実は業者の方からいろいろな問題をわれわれは聞いておるのでありますが、たとえば税務署の課税方法で、大体二十四年度は二十三年度の六割増、いわゆる一六〇%の期待倍率をもつてかけろという方針が、国税庁から各財務局、各税務署へ通達されているということを業者からも聞き、またわれわれいろいろな資料を持つているのであるが、申告が中心ではなくて、上からの期待倍率による水増し課税方法、これがなされているかどうか。その点についての良心的なかつ責任ある答弁を聞きたい。
  54. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 前段の御質問の、課税によつて法人が多数倒産しているという面については、実は詳細な報告を承知しておりませんが、御承知の通り法人税はどこまでもその法人所得に対してかけるのであります。従いまして脱税等になつておりましたり、または非常に悪質であるということのために、追徴税をとられたり、罰金をとられたりすることがない限りにおきましては、所得を上まわるということはないのであります。従つてそれによつて破産を生ずるというようなことはあり得ないと、私どもは考えておるのであります。  なお大法人は政治的な方法によつてうまくやれるというようなお話がありましたが、税におきましては、絶対にそういうようなことを避けることを方針としておりまするし、もしもかような事実があるといたしますれば、はなはだけしからんことでありますので、具体的なお示しをお願いいたしたいと思うのであります。  なお申告所得税につきまして、期待倍率によつて水増し課税するということを、国税庁から指示しているのではないかという御質問でありますが、二十三年度におきましては、御承知の通り歳入確保のために各署に対して努力目標というものを決定いたしました。これはもちろんそういう目標をもつて努力をするというだけでありまして、その目標自体について責任を感ぜしめるということは考えなかつたのでありますが、今年度におきましては、そういうふうな目標自体も絶対に排除しております。従いまして、さような水増しをしなければならぬという必要は、各署において絶対に起らないのであります。期待倍率という面につきましては、年度当初の申告の指導につきまして、本年度大体各業者においてどの程度所得があるだろうかという予想をする一つ資料といたしまして、基本的な標準となる納税者について、調査をした結果を集計した標準的なものをお示しして、大体本年度はこの程度所得があるのではないかと思われるという面をお示しして、御申告を願うような方途をとつた次第であります。もちろんこれは実績に従いまして、実際に得た所得によつて申告していただくということが当然でありますから、この期待倍率というようなものにつきましても、各局各署それぞれ差があるのでありまして、一律に前年に対して六割というようなことは絶対にあり得ないのであります。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、各財務局、各税務署あての見込額ですか、それをひとつ資料として出してもらいたい。あなたの言われるのはそれは一つの目途であつて、昨年のように目標額を大体きめて、それを税務署に責任を負わせるようなことはしておらないと、国税庁の長官の立場ではそうおつしやるかもしれませんが、一線の各税務官吏のところへ行きますと、少くとも財務局なり税務署あたりに行きますと、あなたの言う大体の目途が、これはもうわくとなつて業者に押しつけられているわけです。たとえば一六〇%——ことしは昨年の六割増しという期待税率がかけられた。ところが大阪ではどうも六割がむりだということで、これは五割に減ぜられた。あるいは業者によつて、また非常に業者の反撃の強いところでは、税務署の方もそれを引つ込めている。ところが魚屋とか、やお屋、くだもの屋、あるいは家具屋さんもそうですが、家具屋さんも昨年の大体倍の期待倍率——家具、建具およそ一七九%ですから、七九%増しの見込みが大体一律にずつと来ているのです。私の方では数字までみなあります。たとえば家具、建具商は大体昨年の一七九%。青物、くだもの屋さんのごときは三二六%というように、一律に来ている。こう一律に来るのは、実際申告税だから申告によつて実情に応じてやるのであつて、決して上からわくをはめないというのだが、税務行政の現実の面からいえば、あなたの方から出した見込み一つのわくとなつて、下の方にむり押しにされているということが実情です。ことに先ほどのあなたの説明の中で、法人税もそうだ。決算でちやんとバランス・シートに出るのだから、これで倒産するはずはないというけれども、これもまた税務署の見込みと違う場合がある。あなたも先ほど言われたように、特に中小の会社で帳簿やいろいろなものを整備していないという場合には、大体税務署の見込みが来る。その見込みがいかにむりだと言おうと何と言おうと、税務署がなかなか聞き入れないというところに大きな摩擦がある。そのために倒産して行く業者がたくさんあると思います。そういう意味であなたの方で出された各財務局、各税務署への見込額をひとつ資料に出してもらいたい。と同時に、現実徴税技術の面で言えば、その見込みがわくとなつて業者に押しつけられているという事実をあなたは認められるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  56. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 先ほど私が御説明申し上げましたのは、昨年度においては努力目標というようなものが存在したことを申し上げたのでありまして、しかも昨年度における努力目標自体も、その数に対しては責任を負う必要がないということは、はつきりしておつたということを申し上げたのであります。今年度におきましては、そういうふうな目標は全然設定しておりません。見込みもとつておりません。従いましてそういうふうな差上ぐべき資料もでき得ないのであります。また期待倍数等につきまして、これは報告をとつておりますが、各局各署それぞれ違つておるのは当然であります。結果として現われた数字が、各業体により、また各地域により異なるのは当然だと考えます。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 その点がどうも現実徴税官吏の徴税技術の面と、あなたの言われるのとは違うのです。あなたの方は、本年度は全然努力目標はないのだ、業者の実情をそのまま反映して、納得の上で徴税していると言いますが、実際現実の面からいえば、税務署の方からわくをはめて来られてしまつて、有無を言わさず、それを納めない場合は差押えだ、競売だということが出て来るわけです。もしあなたの方が、本年度は特に昨年度と違つて見込額をわくとして押しつけるのではないのだ、業者の実情を反映した形で徴税しろということを注意で出したというのなら、その注意をぜひ一つ出してもらいたい。どちらでもいい。見込額を出しているなら出している、出してないなら出してないと、ちやんとしたものをわれわれに示してもらいたい。なぜわれわれがこういうことを言うかというと、地方へ行くと、こういうことは国会できまつているのだ、皆さんの選出した代議士がきめたので、文句があつたら国会へ言つてくれといわれる。そういう場合われわれの責任を明らかにする必要のためにも、あなたの方が見込額を出しているなら出している、そういう通牒を出しているなら出している、出してなくて、業者の実情をそのまま反映して徴税するという方針ならば、その方針を確立したことを立証するような何か資料を出してもらいたい。いずれでもけつこうだから、出してもらいたい。
  58. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 目標額と申しますか、見込額と申しますか、そういうものを設定する必要がある場合におきましては、そういうような通知を出しますから、それはございますが、そういうものは本年は全然設定しておりませんから、従つてそういうような通牒も出しておりません。
  59. 水田三喜男

    水田政府委員 ちよつと今の林さんの質問にお答えしますが、これは大蔵省の方針として、しばしば国税局長会議を開いた席上でも、大臣からはつきりその点を指示しまして、従つて末端で政府から、この税務署はこれだけ税金をとれと押しつけられているから、とらなければならぬというようなことを言つた税務署があつたならば、大臣は自分が処罰する、そういう指示まで出して、今年はそういう押しつけをやらないということで、今国税庁長官から御答弁のあつた通りの趣旨は、しばしば国税局長会議でわれわれの方から言つておりまして、この点はもうはつきりしておりますから、この点つけ加えておきます。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう指示を財務局長会議で大臣がされているというなら、その指示を出してもらいたいというのです。昨年度目標額は出したけれども、今年はそういう方法でないといわれるなら、そういう方法でないということをはつきり納得させるものを出してもらいたい。水田次官の言うように、今年は目標額というものは全然きめてない、業者の実情に応じた徴税方法をするからということを指示し、あるいは何かの通牒を出しているなら、その通知を出してもらいたい。決してむりを言つているのでなく、あなたの言うものを出してくれと言つているわけです。
  61. 水田三喜男

    水田政府委員 これは会議のたびごとに国税局長に、国税局長はまた税務署長にということで、常に口頭指示で出しておりまして、われわれは立ち会つてつておりますから、この点間違いございません。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 その会議のたびなら、たびごとの指示をぜひ知らしてもらいたい。それからそれは口頭といいますが、こんな重要なことを口頭で言うはずはないですよ。何かその指示があるはずです。それが出せないというなら、あなたの言うことはうそだということにわれわれは認定せざるを得ない。だからそれをはつきり出してもらいたい。ことに午前のあなた方の陳述では、もし下の方からの申告が、税務署が納得しない場合は訂正させる、修正させるといつておるのだから、そうすればそこに何らかの目標があることは明らかなんです。しかもその目標が実際の予算の面からいつて予算以上の水増しをしてぶつかけて来て、しかもこの国会できめた税法にあるからといつて、われわれに責任を転嫁されて来るのだから、その点をぜひはつきりさせる意味で、水田次官から、各会議の指示なら指示でけつこうだから、各会議ごとの指示をひとつ出してもらいたい。
  63. 水田三喜男

    水田政府委員 今まで指示した事項を、どういうことを指示しておるかということを書いて出せということなら、これは出せます。
  64. 河田賢治

    ○河田委員 ただいまの問題に関連して、本日朝全国財務労働組合の役員の方から供述を受けたのであります。その際にも明らかに示されましたように、なるほど昨年の努力目標というものは本年はやつていない。けれども本年は大体においてどこの財務局でも期待倍数をもつておる。しかしこの期待倍数について、各税務署長がこの訂正を申し込んでも、すなわちいくら努力しても今日の情勢では、これだけの期待倍数をかけることは困難であるということを、税務署が申し込んで来ても、上の財務局の方からこれを訂正して直しておる。すなわち強制目標を適用しているのだということが発表されたのです。これは税務の実際に携わつている人々の言葉です。こういう事実があります。また昨年私たちは大阪の財務局の行政上の問題について向うに行きましたが、ちようど行つた翌日に大阪の財務局でも期待倍数を新聞に発表しました。たとえば平均一・五倍、料理飲食店、喫茶店、これらは一・八倍とか、農民に対しては一・五倍、こういうように各財務局でも出しているのではないかと思います。こういう資料も各財務局にはあるはずだと思いますから、そういうものをひとつ出してもらいたい。今日どこの税務署においても、先ほど林委員の申しましたように、去年の期待倍数を出さなければ、申告も受けつけないということも事実あつたわけであります。私たちはこういう点から見ても、この税務行政をもつと徹底的に考える必要があると思う。もし現在そういうお出しになつたものがありましたら、全部各財務局から取集めて資料として御提出願いたい。
  65. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 御承知の通り期待倍数は、今年の六月の予定申告に際して、まだ期間がわずかしかたつておりませんので、本年の予算を立てるのにお困りだろうという趣旨をもつて、大体本年の経済趨勢等を考え、また各客体ごとにそれぞれ少数のものを調べた結果、こういうものが出たから、こんなもので御申告なさつたらよいのではないかという意味の数字でありまして、それでなければ絶対にいかぬというような強制的な意味も、また法律的な効果を持つものでも全然ないのでございます。その点御了承願います。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほど大口脱税については、いろいろのもみ消し運動が盛んに行われているということを言いましたら、そういうことは絶対にない。もし具体的な例があつたら示してくれというお話でした。そこで私はとりあえず昨日の読売新聞に出ておりました記事について申し上げますが、観音教財閥の大脱税もみ消し料に四百五十万円出している。これは三上という弁護士が長谷川という税務署に出入りする人を紹介し、これが熱海の大野屋旅館で大蔵省の役人数名と一緒にとまり込んでマージヤンで夜明しした。その遊興宿泊料はすべて教団側で支拂つている。この脱税のもみ消し料四百五十万円のわけ前についてけんかが起きて、今訴訟にまでなつております。少くともこういう大口脱税については常に多額の金員が投ぜられて、もみ消し運動が行われている。しかもその背後に大蔵役人の腐敗と堕落が云々せられているのであります。読売新聞というのは日ごろ政府に非常な好意を持つている新聞です。その新聞ですらこういうことを書くのだから、これはよほどのことに違いない。そこでこのことについて水田次官でもいいし、国税庁官でもけつこうですから、どういう考えを持つているか、承りたい。これは徹底的に調査して報告してもらいたい。
  67. 水田三喜男

    水田政府委員 このもみ消し運動を大蔵省の役人がしたということはまだ聞いておりませんが、事実だとすれば、そういうことをした官吏は十分処分いたします。これは内輪な話ですが、そういうものはできるだけ摘発していいということで、むしろこういう問題はこちらの方から火をつけているような事柄でありまして、われわれ部内からもみ消しをやつているということは、今のところ考えられないのですが、事実でしたら処分いたします。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 私の言つているのは、外部からもみ消し運動をして、そのもみ消しに大蔵省の役人が乘つかつて、熱海の大野屋旅館にとまつて、飲んで食べてマージヤンをして夜を明して、その費用を教団側に拂わしている記事が出ているということを言つているのです。これをあなたは摘発してくれということですので、ちようどいい材料がありますから、これについて徹底的な調査をし、われわれ大蔵委員会に責任をもつて報告してもらいたいと思います。これはやはりゆゆしい問題だと思いますから、十分調査をして、明日でもよいから調査した結果をひとつ報告してもらいたい。これで私の今日の質問を終ります。
  69. 川島金次

    ○川島委員 長官がおりますからちよつとお尋ねいたします。今林君及びその他から問題になつておりまする割当の問題ですが、実はこの問題につきましては午前中の公聽会で、全財の労組代表の方にお尋ねをいたしたところ、その答えといたしまして、昨年度まではあつたが、本年度は形式的にはない。ただしかし実質的にはこういうことになつている。各税務署の慣例として、予算年度の初めにおいて、全国の各税務署長から、その税務署管内のおおよその徴收目標額を国税局に提出している。その国税局に提出した目標額というものが、たまたま国税局長の考えておつた数字に近ければ別であるが、そうでない場合はそれが訂正される。しかもその訂正をされる場合に、局長の方から、何らか合理的な基礎算的な根拠のあるものが示されるのかというお尋ねをいたしましたところ、大部分はそのような根拠が示されない。大体勘どころでそういう訂正が行われて来ているという事実を、公述人はわれわれの前で証言をいたしているわけでありますが、一体そういう事実があるのかないのか。もし国税局の当局の訂正された数字に対して、税務署長が強硬にそれを拒否し、あるいは承服しないような場合には非常な不安が生ずることになり、従つて今の立場から税務署長には力がない、あるいは勇気がないという形で、たまたまそういう一方的な訂正に応じなければならぬようなことになるのが実情である。従つて総体的にいえば割当制をとつていないが、それは形式であつて、実質的には割当と同じようなことが今日でも行われておる。こういうことをわれわれは聞いたのでありますが、その点について、実際の真相はどうであるか。この機会に関連してお伺いしておきたい。
  70. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 国税庁といたしましては、年間の收入が、実際に予算に計上せられた通りに收入できるかどうかということを、絶えず見込みをつけて行くということは絶対必要なことであります。従いまして、各国税局から時々收入見込額というものはとつております。その局として、実質的に、公平に、いろいろな資料から、またその他の現在に至るところの調査の結果から、どの程度の收入が年度内に見込まれるかという数字は時々とつております。しかしながらそれはどこまでも收入の見込みでありまして、それに対して責任を持つという数字とは全然異つているのであります。またその数字が違つておりはしないかということを言うことはございます。と申しますのは、御承知の通り国税庁ができます以前においても、そういうことはいたしたのでありますが、本年度からは特に各地方、各地域ごとの負担の均衡ということを非常に考えまして、全国の主要な都市につきまして、個々の納税者について共同調査をやつておるのでありますが、その調査の結果が、その税務署なり、またはその国税局において調査した結果と、相当差がある場合におきましては、その調査のやり方が徹底欠くというふうな意味の批判をすることは相当あります。さようなケースがたくさん起つた場合におきましては、その署におきましては、さらに努力を要するということの注意を喚起することは、監督上当然のことであると考えます。
  71. 西村直己

    ○西村(直)委員 時間も追つておりますから要点だけ質問いたしますが、問題は物品税でございます。物品税のうちで大部分はいろいろ手をお入れいただきまして、御当局の御努力に対しては御同慶を申し上げるわけでありますが、ただ物品税そのものの課税の趣旨というものを考えますと、昭和十二年の軍需政策の時代に、抑制という点が出て来たという関係から来ておると思うのであります。これが大きな租税財源としての観点から漸次拡がりまして、しかもなお今日まで続いておる。今回のシヤウプ勧告案をもちましてある程度減税をなさいましたが、しかしながらなお実用品に対しまして相当全般的にかかつておるように思います。従いましてひとつお伺いをいたしたいのは、将来あるいは近き将来において、これを改廃なさる御意思があるかどうかということが第一点、かつ今回の物品税改正につきましては、来年の四月から実施をされるというような一応のシヤウプの勧告案を特に取上げられまして、こまで持つて参られた御努力はありがたいわけでありますが、一面におきまして早急の間におやりになりました結果として、この物品税の改廃案を見ますと、配列等におきまして、やや必ずしも国民の期待に沿わない点があるのではないかと思います。繰返して申し上げますと、近き将来においてもなお欠点等があつた場合においては、改廃をなさるお考えがございますか。政務次官にお伺いいたしたいと思います。
  72. 水田三喜男

    水田政府委員 御指摘のように物品税に関しましては、非常にむずかしい問題でして、見方によつては実用的と思われるものがたくさんあつて、これを免税したものと、それから引下げたものの中の相互の権衡から見まして、まだまだ相当これは考えていいというものがたくさんあろうと思います。今回は予算関係いろいろなことから、そこらで一応適当ではないかというふうにきめて提案いたしたものでございますが、今後実情によつてこれをできるだけいいものにして行くという意味において、必要においてかえるという意思は持つております。
  73. 西村直己

    ○西村(直)委員 次に全体を見ますと高率課税のものにつきましては、シヤウプ勧告に基きまして、百のものが七十に下る。たとえば金属等においても七十、これはシヤウプ勧告なんかについても意味はわかるのでありますが、しかしながら一面におきまして政府御当局の御努力によりまして、食料品を中心に必需品について全廃なさつたのであります。これは関係業界も非常に喜んでおります。また国民生活にも傳益するところが大であると思うのであります。最も残念なことは、二割、三割の課税の面におきまして、現状すえ置きのままでしわがよつて来ておるものがございます。昨今やかましい陳情を受けております帽子であるとか、家具とか、たまたま小さな零細業者であつて声も立たないような陶磁器、ガラス製品なんかにつきましては、現状のままですえ置いてそこへしわをかけて来ておるという感が、なきにしもあらざるわけであります。特にいま一つ私どもこれに対して非常な関心を持つておつた人間といたしましては、零細企業に対しては非常に物品税が税務をとりにくく、脱税もどうしてもせざるを得ない、そういうような結果から零細業者におきましては、非常に不満の声が大きいということを私はかねがね聞いておるのであります。これを小売課税にしたらどうかというような事柄もよく論ぜられておるのでありまして、裏長屋におきまして小さな生活必需品的な家具をつくつてつて、それがただちにその日のかてになつて行くような場合、さつき共産党の林君からも同じような話があつたのでありますが、こういうような零細企業につきましては、なるほど家具というようなもの、あるいはその他のものにつきまして非常に高級品もありますが、下級品でしかも零細的に小さな資本でやつておる、資本もなしにやつておるようなもの、しかもある程度の価格を持つておるというようなものにつきましては、私は今後格別の御配慮を願わなければならぬ点が、残されておるのではないかと思うのであります。この小売課税の問題につきましては、どういうようなお考えを持つておりますか。なるほどこれは單に一つの二割、三割のもののみならず、全般に通じた問題であるから、やはり徴税困難であると思うのでありますが、脱税をむしろ防ぐというような意味におきましての御意見を、聞かしていただきたいと思うのでございます。
  74. 原純夫

    原説明員 三点ばかり御質問がございました。第一の三割、二割の分類の物品について、引下げがあまりにも一般的に行つておらぬという御指摘がございました。これは先日主税局長からお答え申し上げましたように、物品税の改廃につきまして生活必需品的な色彩の強いものをはずして参る。事務用品、食料品というようなものを極力はずして参る。それらの程度の若干軽いと思われるものにつきましては、税率を調整して参るという全般的な方針にのつとりまして、各品目間の課税の権衡を考えたわけであります。  第二に零細企業を生産する物品について、特殊な考え方をとつたらどうかというお話でございますが、物品税はその品物を買つて消費いたします人に転嫁されて、そこに税負担をおちつけるというつもりのものでありまして、生産者が零細であるか、大企業であるか、つまり生産者に最終的な負担を負わせるものではないのであります。従いまして課税の実際面において、零細な企業からの徴税がなかなかむずかしいという点は同感でありますが、その上に税をはずすないし軽減するということは、よほど考えなければならないと私たちは考えております。なお零細企業のものが下級品の生産が多いといたしますれば、先ほど来話の出ております下級品であつて、この程度のものは生活上どうしても必要だというものは、免税点の制度によつてできるだけはずすという配慮をいたしておることは、先ほど申し上げた通りであります。  最後に小売課税の問題でございます。御存じの通り従前は物品税は小売課税の建前をとつておりました。それがただいまのように製造課税になつておるのでありまして、これは理論的にも実際的にも小売課税をとるべきか、とらざるべきかということは十分検討に値する問題だと思って、われわれも常日ごろ研究はいたしておりますが、ただいまこれをにわかにかえて参るという気持を、固めてはおりませんということを申し上げておきます。
  75. 西村直己

    ○西村(直)委員 なお今の御意見に対しまして、物品税は消費者に対する間接税という御意見でありますが、実際の業界の状態の動きをとらえてみていただきたいのであります。ことに金詰まりの今日におきまして、どうしてもそれが金詰まりの影響から金融的に押されて来る。しかも需要の方は有効需要ないし一般需要が減つて来るという場合に、そこに金繰りの関係から押されて来るという点は、單に理論的には間接消費税でありながら、実際は製造関係方面によつて来る。しかもそれが零細企業である場合には、せつかく政府中小企業を育てようとなさりながら、おのずからつぶして来るという点があるのであります。  それから次にいま一つ、これは御意見の相違になるかもしれませんが、零細企業のもの、あるいは比較的大衆が使うような二割、三割の物品の消費にしわが寄つているという意味を私さらに述べますと、大蔵当局の一部の方からも漏れ承つたような気がするのでありますが、大体この税はとりにくい税だから、ある程度高率にしておけ、三割なら三割。そうすれば実際入つて来るのは半分入つてもいいのだ、そういうようなお考えがありはせぬかと私は思うのであります。この点は一つ十分にお考えになつていただかないと、現実に税を受ける人間というものは、何と申しましても深刻でございます。私も一人の国会議員といたしまして、こういう業界の陳情を代弁したくはない。はつきり申しますれば、まるで業界からひもがついているようでありますが、そうではないのであります。たとえば私が現在おりまするところの県を見ますれば、何万の人が裏長屋でもつてこの仕事をやつておる場合に、そこに集団的に徴税攻勢をかけて来るならば、ある党派のごときは生活擁護同盟とか何とかいうような名前でもつて、ただ大衆的にわいわい行かれる。はたしてこれで治安が守れるかどうか。私はこれは非常におかしな現象だと思う。そういうようなことは余談といたしまして、その点は十分にお考えを願いたい。従つて私は免税点におきまして、業界そのものがつぶれぬように、ひとつ十分にお考えを願いたいと思います。  それから次に、少し別の問題になりますが、これは税一般の問題になるかもしれませんが、昔は税をたくさん納めますと、いわゆる貴族院議員になれた。今日は税をややもして逃げますと、もちろん追徴は大きい。それによつてさつきお話のように事業がつぶれるか、いま一つはただちに刑務所の口が待つている。いま一つ残念なことには、さらにそれに追つかけまして、経済違反、特に物品税、取引高税の場合には、経済違反で追つかけられる。私の知つております実例は、まじめな人で、しかも金融の上からたまたま多少は横流しもしなければならぬ。その結果物品税、取引高税、法人税、こういうものがかかつて来て、しかも刑務所に入れられる。そのためにさらに経済調査庁が行つてひつくり返せば、経済違反としての事実がある。首をつつて足をひつぱるという形で、一家親族が集まつて、自殺をしようかしまいかという相談をしたのを耳にして、私は飛んで行つたことがあるのであります。そういうような場合におきましては、なるほど悪いことは悪い。税金を脱税した以上は追徴金は納めなければなりませんが、私は経済調査庁あるいは警察とも、その場合におきましてはお役所が違いますけれども、税務署方面も積極的にお考えになつて、たとえば脱税である程度資金的にどうしてもとらなければならぬものはおとりになつて、しかしさらに人を刑務所に入れて、しかも経済違反まで引きずり込んで行くということにつきましては、大蔵御当局の方とされましても、御所轄は違うが、やはり人の子でありますから、首をつつて足をひつぱるというようなことにつきましては、税の問題から派生して来るのでありますから、機会がありましたら、ぜひそういうような点については十分に御注意を願いたい。現実にあつた例でございます。しかも相当大きな額であつたのであります。しかもたまたま虚偽の申告をし、さらに投書があつたところに、査察庁が行かれる。そうするとほんとうに脱税で刑務所に行き、しかも経済違反でもつて重ねて足をひつぱつたりして、あれは運の悪い人間だ、こういうことになります。そこで何とかりこうに立ちまわろうというような形になりやすいので、これは税制一般の問題で、意見に流れるか存じませんが、私もこれに関連して申し上げたのであります。     〔「答弁々々」と呼ぶ者あり〕
  76. 川野芳滿

    川野委員長 西村君、答弁を求められますか。
  77. 西村直己

    ○西村(直)委員 いりません。
  78. 川野芳滿

    川野委員長 それでは本日はこの程度にして散会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がなければ、本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十三分散会