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1949-11-18 第6回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十八日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 前尾 繁三郎君    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 小山 長規君 理事 島村 一郎君    理事 川島 金次君 理事 荒木萬壽夫君  理事 早稻田柳石エ門君 理事 内藤 友明君       江田斗米吉君    岡野 清豪君       塚田十一郎君    苫米地英俊君       中野 武雄君    西村 直己君       三宅 則義君    宮幡  靖君       田中織之進君    松尾トシ子君       橋本 金一君    宮腰 喜助君       河田 賢治君    中村 寅太君       中野 四郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         (主計局法規課         長)         大蔵事務官   佐藤 一郎君         (主計局長)         大蔵事務官   平田敬一郎君  委員外出席者         大蔵事務官   原  純夫君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 十一月十八日  外国為替特別会計法案内閣提出第三九号) 同月十七日  茶に対する物品税撤廃請願中村又一君紹  介)(第四三一号)  農機具に対する取引高税免除請願岡村利右  衞門紹介)(第四四一号)  漆器に対する物品税改正請願佐藤榮作君外  一名・紹介)(第四五五号)  政府支拂促進に関する請願丸山直友君外二名  紹介)(第四五八号)  陶磁器に対する物品税改正並びに取引高税額撤  廃の請願中村又一紹介)(第四六八号)  文房具及び紙製品に対する物品税撤廃請願(  早稻田柳石エ門紹介)(第四六九号)  乾のりに対する物品税撤廃請願早稻田柳右  エ門紹介)(第四七〇号)  同(河野金昇紹介)(第五三一号)  木製家具類に対する物品税撤廃請願大澤嘉  平治君外一名紹介)(第四七六号)  木製家具類に対する物品税改正請願神田博  君紹介)(第四七七号)  同(西村直己紹介)(第六五〇号)  節句飾物類物品税改正に関する請願神田博  君紹介)(第四七八号)  同(西村直己紹介)(第六五二号)  戰災都市の火災保険料率改訂に関する請願(江  崎真澄紹介)(第四九六号)  揮発油税法の一部改正に関する請願江崎真澄  君紹介)(第五〇七号)  旧日本貯蓄銀行の第二封鎖預金に関する請願(  菊池義郎紹介)(第五二四号)  ねん(撚)糸業者に対する課税方法改善請願  (河野金昇紹介)(第五三〇号)  手すき紙に対する物品税撤廃請願阿左美廣  治君紹介)(第五三五号)  同(坪川信三紹介)(第七一九号)  同(塚田十一郎紹介)(第七二八号)  ミシンに対する物品税免除請願前田郁君紹  介)(第五四九号)  陶磁器に対する物品税撤廃請願高木吉之助  君紹介)(第五九七号)  同(早稻田柳石エ門紹介)(第五九八号)  養蚕業者に対する二重課税廃止請願武藤嘉  一君紹介)(第六〇六号)  めがねのわくに対する物品税免除請願坪川  信三紹介)(第六二三号)  所得税の賦課に関する請願岩川輿助紹介)  (第六三二号)  戰災未亡人に対する課税軽減請願(林百郎君  外一名紹介)(第六四二号)  たばこ民営反対に関する請願川野芳滿君外一  名紹介)(第六七三号)  同(小山長規君外一名紹介)(第六七四号)  同(坪川信三君外一名紹介)(第七一八号)  同(渕通義君外一名紹介)(第八〇五号)  同(今井耕紹介)(第八〇六号)  運動用品に対する物品税撤廃請願川野芳滿  君紹介)(第六八二号)  同(宮幡靖紹介)(第八一三号)  所得標準率決定請願川野芳滿君外一名紹介  )(第六八三号)  織物消費税並びにメリヤス物品税引下げに関  する請願川野芳滿君外二名紹介)(第六八四  号)  国家公務員共済組合法の一部改正に関する請願  (河田賢治君外二名紹介)(第七〇九号)  同(中原健次紹介)(第七二〇号)  国分町に刻たばこ製造工場設置請願中馬辰  猪君紹介)(第七一二号)  美術品に対する物品税撤廃請願江田斗米吉  君外一名紹介)(第七四七号)  同(平井義一紹介)(第八八二号)  漁業に対する課税改善請願小高熹郎君紹介  )(第七七八号)  工業專用ミシン及び、ミシン針に対する物品税  免除請願早稻田柳右エ門紹介)(第八二  四号)  化粧品に対する物品税減免等に関する請願(木  村公平君外一名紹介)(第八四三号)  密造酒防止対策に関する請願菅家喜六紹介  )(第八四六号)  マッチに対する物品税撤廃請願首藤新八君  紹介)(第八四八号)  所得税同居家族合算申告制廃止に関する請願  (山口シヅエ紹介)(第八五三号)  税務機構拡充強化に関する請願坂本泰良君  紹介)(第八五四号)  土地台帳法の一部改正に関する請願八百板正  君紹介)(第八五五号)  日本專売公社法の一部改正に関する請願(松澤  兼人君外五名紹介)(第八九二号)  東北地方の減税に関する請願圖司安正君紹  介)(第九一五号) の審査を本委員会に付託された。 同日  紙に対する物品税撤廃陳情書外二件  (第一七六号)  ミシン類に対する物品税撤廃陳情書  (第一九六号)  超過供出所得課税対象より除外の陳情書  (第二一二号)  織物消費税並びにメリヤス物品税引下等陳情  書  (第二一五号)  旧軍用建物等自治体警察に無償拂下の陳情書  (第二二五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  所得税法臨時特例等に関する法律案内閣提出第三三号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第三四号)  織物消費税法等を廃止する法律案内閣提出第三五号)     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 これより会議を開きます。  議案の審査に入ります前に、ちよつと御報告いたしたいことがあります。それは公聽会公述人選定の件でありますが、昨日の理事会におきまして、商大教授の都留重人君、労働調査協議会研究員永野順造君、日本絹絹織物商協会專務理事沼田義雄君、農業復興会議総務理事保田豊君、それに全財、商工会議所より一名ずつ推薦していただくこととし、都合六名を公述人として内定いたしました。以上簡單に御報告申し上げます。     —————————————
  3. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 次に本日の日程に上げました所得税法臨時特例等に関する法律案物品税・法の一部を改正する法律案織物消費税法等を廃止する法律案の三案を一括して議題として質疑に入ります。
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は本日この三法案について質疑をいたしたいと思うのでります。いろいろ案がありまするが、一番問題になるものは物品税法の一部を改正する法律案であると思つております。あとに織物消費税に関しまする問題、さらに清涼飲料税並びに取引高税を廃止する問題等につきまして、質疑があるのでありまするが、わずかに三十分でありますから、要約いたして質問いたします。後日大蔵大臣がおいでになつたときには、大蔵大臣に対しまする質問をいたしますが、今日は主として政務次官並びに事務当局の方の御答弁を得たいと思うのでありまするその根本趣旨最初に申し上げます。  所得税法臨時特例等に関する法律案につきましては、大体了承いたしておりまするただ私の一番心配いたしておりまするのは、現今の社会情勢といたしまして、税務官吏がまだ民主的になつていないという点であります。前期国会におきまして私は平田主税局長にお尋ねいたしたわけでありますが、その後名品府県をまわつてみますと、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、岐阜県等等をまわりまして、大分よくなつておりますが、なおまだ民主的になつておらぬ点が相当あります。今後更正決定というものをやられるのでありますが、これに対しまして、早く直してやる機関は備わつておると思いまするが、今のところはそういう方法がありません。これを打開いたしまするには、私のかねてからの構想では、第三者を入れた公選せられたる所得税調査員に類似のものを置けというような試案を持つてつた。ところがシヤウプ勧告によつて、それはどうかというふうに御答弁がありましようが、私は真実を把握して申し上げます。地方をまわつてみますと、まだシヤウプの方が日本人構想をよく見ていらつしやつて、実際はそこまで行つていない、かように考えておりますが、これに対しまして、政府当局はいかなる御感想を持つておるか承りたいと思うのであります。
  5. 平田敬一郎

    平田政府委員 税務行政あり方についての御意見でございますが、まことに終戦いろいろな悪條件その他たたりまして、行政の円滑を欠いておりますことは、御指摘シヤウプ勧告にも指摘されている通りであります。私ども極力今後におきまして、改善をはかる必要は大いに認めておるわけでございまするその一つ方法として、今お話のように審査請求処理機関として、民間委員を加えました特別の機関を設けたらどうかということは、各方面から非常に要望もございますし、私どもも率直に申し上げまして、最近の状況からしますと、そういう方法一つ方法であろうかということで、いろいろ研究を進めて参つたのでございますが、この点に関しましてはシヤウプ使節団も、お話通り相当実は立入つて研究をされました結果、これも御承知通り、ただ民間委員会式のものは少しどうであろうかというふうで、責任のある政府の特別の菅吏を、その方面の仕事だけにやらせるというような組織を考えたらどうかというので、例の協議団制度を勧告されておるわけでございます。審査請求につきましては、一応やはり最初決定をした官吏が調べる。そうしましてその官吏との間に話がつかない場合におきましては、さきの審査だけ処理する協議団調査をする。それに基きましてそれぞれ決定をやりまして、その決定になお不服がある場合には正規の裁判所にまわして、そこで堂々と勝敗をつける。そういう方法が今後におけるそういう問題のあり方として、勧告されておるわけでございます。課税の基本につきましては、御承知通りあくまでも納税者所得の事実につきまして、帳簿を記載しておきまして、それによりまして税務官庁と堂々と対抗したらどうか。そういたしまして税務官庁も、そういう帳面をつけております者に対しましては、その帳面をよく調べた上でないと更正決定をしない、こういう方向に将来は行くように勧告されております。私どももこの制度につきましては、来るべき国会所得税法その他の改正案と関連して提案をはかりまして、課税適正化を実施する考えであります。その準備的措置といたしまして、来る一月一日からその帳簿を記帳せしめる必要がございますので、今回の所得税臨時特例に関する法律案にもその根拠規定を設けまして、そういう適を開こうといたしておるのでございます。そういうようなことにいたしまして、課税というものを常識でさばくとか、あるいはよろしく妥協、話合いできめるというような方向は、将来の方向としては妥当でない。むしろさつき申しましたように、事実に基きましてあくまでも両方が真剣に率直に正しい解決を見出す、そういう方向に行くべきものである。これは基本的にはまさにその通りだと考えます。私どももそういうラインに従いまして、今後税務及び実際の行政改善をはかつて参りたい、かように考えております。
  6. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまの平田主税局長の御答弁によりまして、理想といたしましてはまことに民主的な納税を認める、こういうのでありまするが、私の構想といたしましては、過去の日本人のことを責めまして非常に恐縮でありますが、あまりに税金が高かつたために、ほんとうのことを出しますと税金で苦しめられる。はなはだしきに至りましては、もうけた以上にまで税金を拂わなければならぬというような不確実なる事実があるために、善良になろうといたしましても、往々にして横流しをするようなことがなければやつて行けなかつたというのが、事実であろう思うのであります。ところで私はこういう構想をしつつあるのでありますが、ひとつ政府にお考えを願いたい。納税者の方で間違つた場合、たとえて言うと帳面つけ方違つてつたとか、あるいは物品税が忘れて落ちておつたとかいうような場合には、五倍ないし十倍というような苛酷な罰金がかかつて来る。また法人個人等におきましても—ことに法人が多いのでありますが、二十一年もしくは二十二年度を、今更正決定をいたしておりまして、それに対しまして二箇年分の追徴がかかりておりますが、もちろんその当時納税者が厳格に計算をいたして出さなかつたというせいもありましようが、あまり酷じやないかと私は思つておる。また一方から考えてみますと、税務官吏の方が高く決定した場合において、たれが責任を負うか。この点の責任をたれも負う者はない。納税者の方はかりに高くきめられた場合においても、一応納めなければならないのです。私はこういうものに対しましては、ここに川島委員もおられるようでありますが、適当なる機関を設けて、税務署自身もよく情実を調べなければならぬと思います。たとえて申しますと、百万円のものを百五十万円と決定したような場合、逆に百万円のものを五十万円と安く決定したような場合、こういう場合においては税務官吏相当責任を負う。こういう制度を設けたならば、税務官吏の方もしつかりとした人物が出て来はしないか、かように思います。また善良なる官吏であり、また有能なる税務官吏につきましては、私は表彰の道を講じてやりたい。真実を出したにもかかわらず、苛酷に二倍、三倍と決定するような税務官吏は、立ちどころに免職してもらいたいと思いますが、こういう考えはいかように思つておられるかお伺いいたしたい。
  7. 平田敬一郎

    平田政府委員 将来の方向といたしましては、先ほども申し上げましたように、事実に基きまして正しく記帳する納税者につきましては、必ず税務官吏はその帳面がどうして正しくないかということをよく調べた上でありませんと、更正決定ができないということになりますので、将来はそういうことについてよほど改善し得るのではないかと見ております。税務官吏の方もいいかげんな認定で課税するわけには参らなくなり、おのずから真剣になるといいます。そうなりますと勢い勉強すりことになりまして、調査不十分で決定するというようなことはなくなる。こういう意味におきまして、よほど改善されるものと考えております。出た将来はそういう方向にぜひ行くべきものじやないかと思つております。ただ今までの分につきましては、残念ながらいろいろ経済の混乱その他がごいまするし、なかなか的確な調査が十分できていなかつたということは御指摘通りでございまして、そういうものにつきましても最近なお調べておりまするが、これはやはり前の申告と比べまして相当差がある、こういう場合におきましては、やはり正しく調べて決定いたしませんと、すでに正しく納税しておられる納税者の間に負担のバランスを失しまするし、勤労所得税も源泉で、いやおうなく天引きして納めてしまつておる。こういうものとの均衡もございますので、これはあくまでも丁寧に正しく調べましても、不足あつたら徴収するということもいたし方なかろう。かように思つておるわであります。
  8. 三宅則義

    三宅(則)委員 最後の点御答弁がなかつたわけでありますが、私の構想では、あやまつて税務官吏が高くきめたような場合、もしくはあやまつて安くきめたような場合は、相当政府責任を持つ必要があるのではないか。ただ民間人のみが五倍十倍という莫大な税金に対する罰金を常に負うという場合がある。納税者は厳重にやられるが、きめる方にはさつぱり制裁を加える機関がない。税務官吏はやはり人間でありますから、間違つた点もありますから公平に判断を下して、一面から考えまするならば、納税者の異議のあつた場合には裁判所の方に参りましようが、税務官吏の方はある程度懲戒処分とか訓戒を與えるというような構想で、案を練つたら、どうかと思いますが、政府はいかがお考えでありましようか。
  9. 平田敬一郎

    平田政府委員 御指摘の重大な過失があるとか、あるいは故意におもしろくない意図のもとにそういうことをやつておる場合、こういう場合におきましては、当然私は責任をとるべきものと考えます。若干そういう例もないではございません。ただ何しろ数多くのケースを多数受持つてつておりますので、善意の誤謬というものがある程度ありますことは、どうも最近までの情勢といたしまして、いたし方ない次第でございまして、もしも過敏になつております場合は、現在の加算税反対に日歩十銭で還付金を返す際に利子をつけておりますが、そういうものをあわせ考えておりますような事情も御推察願いまして、実際の状況と兼ね合せまして、適切なる処置をするようにいたしたい。かように考えております。
  10. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま主税局長大分熱心なような御答弁でありましたが、事実を考えてみますと、私の選挙区の一部分でありますが、愛知県に大浜税務署というのがあります。その大浜税務署に対しまして本年四月ころ還付請求したにかかわらず、それが三箇月、四箇月になつても返つて来ないという報告を受けた。とるときには罰金の二十銭をとつて、返すときには半分の十銭を返すがごときははなはだ民主的でない。かように思いますが、そういう点は今度の臨時国会には間に合いませんが、通常国会改正してもらいたい。とるときに二十銭とつたならば返すときにも二十銭返すということが民主的じやないかと思いますが、政府のお考えはいかがですか。
  11. 平田敬一郎

    平田政府委員 今返すときは十銭と言われましたが、單純な延納と申しますか、納税が遅れております際の加算税はやはり十銭でございます。たださらに何べんも督促いたしましても納めない場合に、滞納処分という手続に移るわけでございますが、そうなりますと、さらに一層政府に手数をかけるということになりますので、その際は二十銭にいたしておる。返す場合におきましては前段の加算税と同額を返すということにいたしておるわけでございまして、若干御意見があろうかと思いますが、現在の制度はさようになつております。
  12. 三宅則義

    三宅(則)委員 次に物品税のことでありますが、この点については御承知通り、私の考えが前国会ではたいへん間違つてつた。私の構想におきましては、物品税というものは大体において六割ないし七割納め得られるものであるという前提のもとに—ここに速記録にも載つておりますが、質問をいたしたところがよく調べでみますと、ここで言つては言い過ぎになるかもしれませんが、それ以下で実際は納めておる。しかし税務当局といたしましてはどのくらいとり得るとお考えでありましようか。本日かあるいは明日は物品税に対しまして過去取上げられましたところの実績を、御指摘くださることでございますから、これを見ればよくわかるでありましようが、大体の構想ではどのくらいおとりになつておるか承りたい。
  13. 平田敬一郎

    平田政府委員 物品税税率ば現在一割から十割までございます。いわゆる何人が考えてもぜいたく品考えられるようなものは、大体十割になつておりますが、この課税税率が非常に高くて、なかなか実際上十分徹底を欠いておるというようなことは、御指摘通り確かにそういう点がございますので、今回の改正といたしましては、実は百分の百の税率は百分の七十に引下げております。それから百分の八十の税率は百分の六十に引下げております。これは一面から申しますと、こういう税率引下げるのはおかしいじやないかという議論もあるようでございますから、御指摘のような点も考えまして、極力課税適正化をはかるためには、この程度税率が妥当じやないかという意味から、税率引下げを提案いたしておるような次第でございます。政府といたしましては、現在のところ手不足その他ございまして、なかなか徹底を欠いておる向きもございますが、改正後におきましてはできる限り税法通り実施されまして、まじめな業者と脱税をはかる業者とにアメ・バランスがないように努力いたしたい。かよう考えております。
  14. 三宅則義

    三宅(則)委員 政府当局の御答弁によりますと、物品税を今回の改正によりまして下げた。この構想はまことにけつこうである。私も賛成です。たとえて申しますと食料品であるとか、あるいは身辺の装具品でございますとか、あるいは事務用品というようなものについては大分つて来ております。こういう案についてはまことにけつこうだ思いますが、なおいろいろの順番とか、あるいは零細企業等に対しまする税率等に対しては、多少修正する意見があろうかと思つております。ここに私の試案でありますが、今回の物品税改正によりまして、緑茶免税になつておる。ところが同じ緑茶をひいたもの、これは碾茶という名前がついておりますが、これは引かぬ。これはちよつとおかしいのでありまして、私の構想では同じ材料でもんだ方は免税、ひいた方は課税する。これはひとつ直してもらいたいと思いますが、どうでしようか。
  15. 平田敬一郎

    平田政府委員 緑茶の方は国民の一般がほとんど全部消費しておる品物でございます。物品税につきましては、国民生活に非常に関係の深い大衆品は、できるだけはずすという考え方からいたしまして、緑茶非課税にいたしております。その半面濃茶、紅茶の類、は課税しております。ただこれの税率は従来五割でありましたのを、三割に下げておるわけでありますが、まだ今の状況から申しますると、三割くらいはいいのじやなかろうか。緑茶と濃茶との間における実際の消費の実情からしまして、この程度の差があつてもいたし方ないのじやないか。かような考え方ができておるわけでございます。
  16. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は今主税局長の御構想を承つたわけでありますが、私の選挙区でございます愛知県のごときは、碾茶ばかりつくつておる。これが静岡県の緑茶と同様に見られないということは、まことに遺憾だと思いますから、次の国会にはぜひ構想を練り直して、国民大衆の要望するところに沿うようにしていただきたいと思います。  次に一つ参考に申し上げたいのでありますが、ここにかみそりの刃と安全かみそりとあるのでありまして、かみそりの方は三〇%かかつてつて、かみそりの刃の方は二〇%になつておる。こういうふうになつておるようでありますが、刃とかみそりとの間はどんなふうに違うのでありますか。政府はどんなふうに思つておられるのか、伺いたい。これは一つの例でありますが、この点を詳細に調べて、実際に即するようにやつてもらいたいと思いますが、いかがでしよう。
  17. 平田敬一郎

    平田政府委員 かみそりの御質問でございまして、なかなかむずかしい問題だと思いますが、ただ、今日安全かみそりは非常に普及いたしておりまして、大衆必要品大分近くなつておる。実は課税からはすずかいなかというような点を、むしろ考えるべきじやないかと思うのでありますが、従来から相当課税をいたしておりますし、一割くらいの課税はこの際としていたし方なかろう。その他のものにつきましても事情が許しますれば、あるいは同様な考え方をとりますのも一つ方法かと思いますが、実際の状況からいたしまして、若干の差があつてもいいのじやないか、かように考えております。今後さらに物品税改正する際におきましては、こういうかみそり課税というような問題は、確かに一つの重要な改正項目ではないか。かように考えております。
  18. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の主税局長のお尋ねでありますが、私どもは安全かみそりの刃とか、かみそりは毎日使うものであつてほんとうを言うと、非課税にしたいという案があるのです。しかし国家の財政上からいたしまして、今回できないというのならば、来国会等におきまして、十分に期間を與えまして、研究せられたいと思います。とりあめえずあしたあたりまでに、ぜひ明細なる各物品税に対しまする表を見せていただきますと、どれをとつていいかということがわかりますから、はなはだ恐れ入りますが、もしわかりましたならば、同一部類でもその中に種類がたくさんありますので、その種類別に知らせていただきたい。こうすることがわれわれがほんとうに検討するのための大きな資料になると思つております。どうかそういうような親切な能度をもつて、議員に接せられんことを望む次第であります。私は物品税のことについては、後日に譲ります。  次に織物消費税でありますが、これはシヤウプ勧告によりまして、来年の一月1日からはずせ、こういう勧告案でありますが、事実を考えてみますと、織物の取引業者はそのために非常に迷惑しておる。ここで申してどうかと、思いますが、税抜きの取引をしなければならぬという段階に至つておるのであります。たとえて申しますと、品物は敗引いたしたにかかわらず、その手形は来年の一月一日以降になつて決済するというようなことを聞いておるのであります。これが事実であるといたしますならば、むしろ私は一箇月間早めて、十二月一日からこれを改正せられたらどうかと思うのでありますが、こういう構想に対しまして税収入等とも関係あると思いますから、どのくらい毎月入るべきものであろうか、その点について伺いたい。
  19. 平田敬一郎

    平田政府委員 織物消費税の問題につきましては、実は当初の計画ではなるべく早目に一割にいたしまして、全廃は来年度からというのが私ども一つの案であつたのでございます。臨時国会になるべく早く一割にする案を出して、来年度から全廃しようかというのも一つの有力な案であつたのでありますが、今回運賃とか米価の関係と間接税の関係を、非常に緊密に考えることに考え方が相なりました。従つて運賃なり米価改訂も一月からする。その半面間接税につきましても、来年度になつてできるものも、できる限り本年度の一月からやつておくというような考え方になりまして、提案いたしましたように取引高税も一月から廃止するし、織物消費税も二段階にしませんで一ぺんに一月から廃止する。物品税も来年度から総改正やるつもりでありましたのを、一月から相当改正をやる。こういうぐあいに全体の間接税の改正の方針が相なりましたのでむしろ一月から全廃してしまつたらどうかということに相なつたわけでございます。織物消費税につきましても、そういう全体の一つ構想のもとに、一月から全廃するということに相なりましたことを、申し上げておきたいと思います。なおこれを十二月にさかのぼつて廃止するとなりますと、相当な収入減になるかと思います。当初の考えといたしましては、さしあたり一割に改正するということでございますれば、正確な計算はあとで資料として、提出してもけつこうでありますが、大体四億円前後ではなかろうかということに考えております。
  20. 三宅則義

    三宅(則)委員 あと五分で終りますから、どうぞそのつもりで御答弁をお願いしたい。私は織物消費税を初めといたしまして、その他の消費税等についてのかけ方のことでありますが、たとえて申しますと、先ほどの話にもどるかもしれませんが、物品税は源泉課税といいますか、生産者価格でかける場合と消費者価格でかける面があると思つております。私の考えではもちろん生産者の方でかけるのが一番手取り早い、かように思いますが、零細な企業になりますと、物品税を納めるのを忘れて遂に脱税税になてしまう。これを監督し、また査察するにはなかなか困難と思いますが、これに対して政府の方といたしましては源泉課税でとるか、卸でとるか、もしくは消費者でとるか、この問題の御構想に承りたいと思います。
  21. 平田敬一郎

    平田政府委員 物品税につきましては、御承知通り現在の甲類等の、たとえば貴金属製品とかべつこう製品とか、こういうものは以前は小売課税としてかかつてつたのであります。税金の理想から申しますと、むしろ小売課税の方が直接消費者の購買力に比例して来ますので、いいのではないかという考え方も成り立つわけでありますが、ただ他方納税者の実際の数あるいは徴税の確実というような点から考えますと、大体におきまして生産者において課税する方が、より確実であるというのが大部分のようでございます。もちろん中には若干生産者の方が非常に小さい規模で生産しておりまして、それを大きな店舗で小売されるという場合もたまにはあるかと思いますが、大体におきまして、生産者の数が小売業者の数に比べますと、相当少いのが一般の通例のようでございます。従いまして最近におきましてはそういう徴税上の見地を相当重視いたしまして、むしろ物品税は原則として生産者に課税するのが、実際の経験等からいたしましていいのじやないか。現在はことごとく生産者課税になつておるわけでございます。ただこの中にはこまかく申すと、あるいは小売の段階で課税した方が、より確実な場合があろうかと思います。そういう点も平素から研究いたしておりまするが、まだなかなか利害得失がございまして、いい結論を得ておりません。大体におきましては、やはり生産者において課税する方が、より確実を期し得るのじやないかと考えております。
  22. 三宅則義

    三宅(則)委員 この一つ質問で終わります。今平田主税局長から明細なる御答弁があつたのでありますが、私は全体からいたしましてまだ大蔵大臣質問いたしたい点がありますが、きようはやめたいと思います。ただその一つといたしまして、かねて税法を見ておるわけでございまするが、これは御承知通りなかなか明細に書いてあるのです。詳しく書いてありまして、どちらかと申しますと、詳し過ぎるのです。頭がよ過ぎるのです。公平を期するためには最もけつこうでありまするが、あまりに公平を期するに失しまして、條文が多過ぎて迷惑を感ずるというように考えておりまするが、これをもう少しく来国会等におきまして簡素化して、だれでもわかるように、また了解し得るように、所得税法あるいはその他の税法を改正してもらいたいという私案がありますが、今日事務当局はこのまま押し通そうというお考えでいらつしやいますか、どうですか。その点を承つて、これからの民衆を指導し、国民の言い分を代表せしめるについて、ぜひとも了解し得る、納得し得る納税、こういう線に持つて行きたいと思いますが、これに対しまする明快な御答弁を承りまして、質問を打切りたいと思います。
  23. 平田敬一郎

    平田政府委員 できる限りこの税法なり税制の簡易化と申しますか、簡單化をはかるという考えにはまつたく賛成でございます。ただ一方におきまして、やはり負担の公平という見地を常に考えて行かなければならない。税法をあまりに簡單にしまして不公平にいたして行きますと、つい運用で適当にやるということにならざるを得ぬ場合が出て来るのであります。しかしそういうことはもちろんシヤウプ勧告でも指摘しておりますように最大の欠陥でありまして、実は今後の方向としては簡單化をはかりたいのですが、ますます複雑にならざるを得ぬのじやないか。そうなりまして、法律等もなるべく詳細に規定しておきまして、法律は見れば、よく勉強してさえもらえればわかる。そうしてその法律通り税金納税者に納めてもららし、税務署も法律に照して事実を調べさえすれば、びたつと結論が出て来る。そういう方向に持つて行きますのが、むしろ今後のあり方ではないか、かように考えております。所得税法等につきましては、実は今度はむしろ今までと比べまして、相当むずかしい規定が入つて参るわけでございまして、なかなか一部の規定につきましては、おそらく専門家でないとわからないような規定が入つて来るかと思います。ただ一般の普通の納税者に関係のある事項につきましては、なるべく簡單化をはかりまして、たとえば申告書の様式等も極力簡便化をはかりたい。それと同時に税につきましてはあくまでも公平化をはかりまして、いやしくも税法にあてはめて納税してもらう場合におきまして、行き過ぎがあるとか、どうもむりだとかいうことがなくて、合理的に説明のできるような税法にいたしまして、税法通り祝金を納めてもらう。こういう方向に将来としては行くべきものではないかと考えておることをつけ加えておきます。ただ簡單化を極力はかる必要があるという御趣旨はまつたく同感でございますが、結果におきましては、そういうこともあわせて考えていただきますことを、お願いしておきたいと思います。
  24. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一言だけお伺いします。ただいまの主税局長の非常に熱心な態度を見まして、納税者が予定申告とか更正決定、それに対する異議申請もしくは確定申告、こういう書類を書きますについて非常に混同しておりますから、この書き方はよく普及されまして、安心してだれでも納められるように簡素化することが一大急務であると同時に、今度シヤウプ勧告によりまして、たとえて申しますと所得の五五%以上はとらないということになりますならば、これは安心して物品税はもちろん納めますし、また所得税も完全に納税し得ると思います。この際われわれは政府と協力いたしまして、この簡素化とともに納税徹底を期しまして、われわれが安心して業界に奮闘し、日本再建に努力することができますようにいたしたいと思いますから、どらかそのつもりで政府もかかつていただきたいことを要望いたしまして打切ります。     —————————————
  25. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 ちよつとお諮りいたします。ただいま観光事業振興方策樹立特別委員会におきまして立案いたしております国際観光ホテル整備法につきましては、本委員会の所管事項にも関係があると思われますので、観光事業特別委員会に連合審査会の申入れをいたしたいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 御異議はないようでありますからさよう決定いたします。なお連合審査会開会の日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
  27. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 それでは質疑を続けます。
  28. 川島金次

    川島委員 二、三質問を申し上げたい、前に政務次官にお伺いしたいのですが、きのう大蔵大臣が来られて、重要な所得税法改正案について提案の説明があつたのです。しかも本日からその審議に入るというきわめて重要なときに、大蔵大臣がこの席に見えておらない。まことに無責任なことでははないかと思うのでありますが、どういう事情大蔵大臣がこの席に見えないか。今後この大蔵委員会で重要な議案を審議するにあたつて大蔵大臣が必ず出席するという約束ができるかどうか。それをまずお伺いしてから質問に入りたいと思います。
  29. 水田三喜男

    ○水田政府委員 大蔵大臣は本日十時から参議院の本会議に出ておられまして、また病気であつたため参議院にはまだ一度も出ておりませんでしたために、質問に対する答弁が全部留保になつておること、それから今日は特別に財政演読に対する質問がありますので、その方に出られることになつていまして、時間が重なつてこの委員会に出て来れないという事情になつております。また同じ時間に予算委員会が始まつておりまして、ここでも大臣に対する各党の質問があつて、大臣が出るまでは質問ができないというような事情で、今まで延びて始まつたというような事情で、できるだけ重要法案が出ておる際でありますから、どの委員会にも一応大臣に出席してもらう、こういう方針で今後はなるだけ大臣に出てもらうつもりでおりますが、時間が重なつて委員会が一度に四つも五つも開かれておるという状態で、やりくりのつかぬ場合には、この点ひとつ御了承願いたいと存じます。
  30. 川島金次

    川島委員 その事柄について、これは委員長にお尋ねをしたい。予算と税法の改正案がほとんど並行的に出ておる。予算委員会がきのうから開始されておる。予算委員会は今日の午後か明日に本格的な審議に入るのではないか。そうするとその方面にも大蔵大臣に出ろという要求も出るであろうし、またそれらと並行して審議なる所得税その他の重要な法案についても、大蔵大臣に対する質疑が各党各派から相当あると私は思つております。そういう事情の中に立つて委員長は、大蔵大臣にこの大蔵委員会に出席を要求して、必ず大蔵大臣に対する質疑ができるような調節ができる見込みがあるか、どういう考え方で今後の委員会を運営して行くかということについて、所見を承つておきたいと思います。
  31. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 できるだけ出てもらいまして、そのかわりよほどとりまとめて要領よく質問していただくということなら、十分できると思います。
  32. 川島金次

    川島委員 委員長は簡單に考えておるようでありますが、重ねて僕は次官にお尋ねいたしたい。それはこの重要な問題に対して與党と委員長との間では、ことに野党側の質問その地につきまして、時間がないからと称してある程度の制約をして来ようとしている。しかもこういう問題について、この際重要な責任のある大蔵大臣が本委員に出ることが少い。こういうことになれば勢いこの法律の審議が延びるということは、当然予想されることだと思います。そういつた事柄に対して一体政務次官はどのように考えられるか。もし大蔵大臣の出席が下足であるということによつて審議が延びるようなことがあれば、それはあげて政府責任であると考えるのであります。そういう見通しについて、非常に重要な法案であるだけに、私は強くそういうことを考えてこの法案の審議を進めたいと思うのでありますが、その点政務次官はどのように考えておられますか。
  33. 水田三喜男

    ○水田政府委員 その点ごもつともでありまして、なるたけ大臣が出て責任をもつて答弁ができますように、時間の調節をしたいと考えておりまして、先ほど予算総会で御相談しましたが、場合によつては予算総会のごときは夜やつてもらえないか。そうすればみつちり審議ができますので、ああいう予算総会のごときひとり大蔵大臣だけでなく、各大臣にみな出てもらわないと支障のあるような委員会は、時間をずらせてやつた方がよくはないかというような相談を現在持ちかけておりますが、そういうふうになるたけ関係大臣が出席できるように、時間のぐあいをうまく調節してやつて行きたいと考えております。
  34. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 こちらもできるだけ時間を調節して、予算委員会の方と打合せまして、まあ支障のないようにやりますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  35. 川島金次

    川島委員 それでは質問に入ります。まずこれは政務次官にお伺いいたしたいのでありますが、今度の所得税法臨時特例等に関する法律案を出して来た根本的な考え方を承りたい。いずれ大蔵大臣がこの席に見えましたときに、もう一度質問を申し上げたいと思いますが、一応次官にもお伺いしておきたい。この臨時特例はもつぱら給與所得に対する税及び税率、それから取引高税ということが中心になつている。今の国民経済の実況から見ますれば、もちろん勤労大衆の税負担が物価、生計費の実体からいつて、きわめて圧迫を感じているということはもとより言うまでもない。あわせて今日の国民経済の実況から見れば、零細な耕作農民及び中小企業以下のこれらの業者の受ける税の負担がきわめて過当である。その事柄が今日の国民経済の大きな焦点的な問題になつておるという現実を眼前に見ながら、單に給與所得税すなわち源泉徴収についてのみ、シヤウプ勧告の原則を尊重してここに急遽提案された。しかも給與所得者同様困難な窮乏的な生活に追い込まれつつある中小企業、あるいは零細な農民各位に対するところの基本的な問題をここに出しておらない。そういう事柄は一体どういう考え方であつたかということを、まず前提にお伺いしておきたい。
  36. 水田三喜男

    ○水田政府委員 事業所得につきましては申告が来年の六月からになりますので、この来年度の改正で行えば、ちようど一月から三月までに行く勤労所得の源泉課税の方だけやつて行けば、一応両方の均衡がとれる。こういうことが勤労所得の源泉の方だけを、今度の改正案で取り上げたというわけであります。
  37. 川島金次

    川島委員 そこにわれわれの考え方と少々違うところがあるのです。今申しましたように源泉徴収を受ける絵與所得者の生活を中心とした税の過当なる負担、これはもう差迫つた重要な問題であることは言うまでもない。しかし繰返して言いまするが、中小企業者ことに零細な農民たちは今仮更正などを受けて、しかも昨年の少くとも二倍、多くは三倍にも達しようとする更正決定通知を今受けて、中小企業界及び農村方面に深刻なる脅威を與えているという事実、こういう事柄から申しましても、なるほど絵與所得者にのみ火急の問題であるからこの法案を出したと言われますが、それと同様な意味において、中小企業あるいは農民に対する減税政策も、同様に火急に必要な事柄であると私は確信している。ここで給與所得の源泉徴税に対してだけ調整すれば、来年度の中小企業あるいは農民の税に均衡がとれるという考え方にはどうしても了解ができない。しかも御承知でありましようが、全国至るところ例外なしに昨年度の二倍ないし三倍—裏長屋のあめ菓子を売つている者すら二倍、三倍の仮更正決定通知を受けておる。そして今や税務署の玄関には早朝から長蛇の列をつくつて税務署との折衝にあがいておる。こういう現実が全国の都市の税務署に例外なく行われておる。そういう窮迫した現実、しかもその仮更正決定が妥当公正ならばいざしらず、きわめてわれわれの見聞するところによれば一方的で、天くだり的で、非常に過当なるところの仮更正通知を出しておるという事実がおびただしいのであります。そういうことをほうつておいて、総別所得だけを軽減すればよいのだという税制政策の根本的な考え方というものは、私は必ずしも納得ができない。今の次官の答弁だけでは了解がつかないのであります。そこでさらにお伺いいたすのでありますが、次官の属する民自党では、シヤウプ勧告案の公表される前後において、所得税の基礎控除は今の国民経済の実態に徴して、少くとも二万七千円でなければならない。こういうことを天下に公表して来たのであります。ところがこの法案を見ますと、基礎控除はシヤウプ勧告に公表されたそのままで、二万四千円である。なおさらに扶養家族の控除額についても、シヤウプ勧告の一万二千円そのままでありますが、民自党がこれ以上の控除額を設定したということは、私が言うまでもない事納であります。こういう違いができたことに対して、一体次官はこれがはたして妥当なものであると考えておるのか。そして民自党がさきに天下に公表された基礎控除二万七千円が、妥当でなかつた考えられて来たのか。それをお伺いしたい。
  38. 水田三喜男

    ○水田政府委員 お尋ねの基礎控除の二万七千円、少くともそのくらいの基礎控除はするのが妥当であるということで、これは党も大蔵省もほとんど意見が同じで、極力これを実現しようということで現在骨折つておるところでございまして、来年度の税制改革については、ぜひそれを実現したいと目下努力中でありますが、本年度の臨時的な措置におきましては、今御審議を願つております予算の全体に縛られまして、一応減税財源というものが限定されておりますので、その範囲内において臨時の措置をとる。こういう必要からさしあたりシヤウプ勧告案の線に沿つた改正案を出しておる。こういうことで、将来さきに私たちが発表いたしました案の通り、実現したいと努力しておる次第であります。
  39. 川島金次

    川島委員 次官は今来たるべき税制全面の改正の際に、天下に公表した民自党独自の所得税改正法案中、基礎控除のごときは天下に公表した通り二万七千円の方向に努力しておる。しかもその二万七千円が今の言葉の端々を想像すると、実現可能であるかのように理解されたのですが、その見通しと確信があるのですか、ないのですか。それもひとつあわせてお伺いしておきたい。
  40. 水田三喜男

    ○水田政府委員 御答弁する前にちよつとおことわりしておきますが、公表公表と言われましたけれども、まだ税制について民自党も政府も一ぺんも公表した事実はございません。いろいろ漏れておるところを御承知になつての御質問と思いますが、公表はしてございません。その点御承知願います。今話しましたように基礎控除の二万七千円程度は、どうしても実現したいという考えで努力はしておりますが、これについては必ずこれを実現するという、はつきりした言葉を申し上げることのできない段階にあることを御承知願います。
  41. 川島金次

    川島委員 今次官は公表したのではないと言われますが、あなたの党の政務調査会で佐藤君の起案したものか何か知りませんが、先々月の終りころに全国の新聞に報道されておるので、私は公表されたものと理解しておるのですが、それはそれでよろしい。  次にこれは主税局長にお伺いしたいのですが、所得税の基礎控除というものは一体どういう根拠で設けることが妥当であると考えられるか。まず基礎控除というものの根本的意義を專門家である局長からお尋ねしておきたい。
  42. 平田敬一郎

    平田政府委員 所得税の基礎控除をいかにするかという問題については、いろいろの量から要する問題であろうと考えておりまして、学説もいろいろある考えでございますが、大体私ども多年の経験によりまして判断しておるところによりますと、やはり国民生活費の状況がどういうふうになつておるかということが、一つの理由じやなかろうかと思います。それともう一つは財政の需要いかんということがこれまた他の大きなあれでございまして、さような点から考えまして結局総体として所得税の収入が、どの程度の補填をするかといつたようなことからいたしましても、基礎控除をどの辺にすることができるかということがきまるわけでございまして、一概に一定の方式によりまして基礎控除が理論的に出て来るという性質のものではなかろうかと考えております。できる限り所得税におきましても、下層の所得者の課税免除しあるいは軽減するということが正しい考え方のようでございますので、そういう点をあわせ考えまして、所得税に対する財政の需要と関連して、総合的に決定さるべきものじやないか。かように考えております。
  43. 川島金次

    川島委員 私ども考えております基礎控除というものは、少くとも最低の生計費、その生計費には税を食い込ましてはならない。なるほど国家財政の需要ということも、もちろんきわめて需要であることは理解しておるものでありますけれども、少くとも基礎控除というものは、最低生活を保障するという観点に立つて行くことがきわめて妥当であり、それが必要であると私ども考えておる。そこで先般の国会の終了直後でしたか、池田大蔵大臣は旅行中の車中談で、基礎控除は少くとも現在の国民生活の実態から行けば、年額一人当り十二万円を妥当とすると新聞記者団に発表しておる。私どもの計算から行けば十二万円の年額の基礎控除ですらも、大衆の最低生活は今日の物価事情、今日の生計実態に即しては不足であります。しかし大蔵大臣はつい先だつて、そういう一つ考え方を記者団に発表して来た。そういう考え方を持つている大蔵大臣のもとにおける主税局長であるあなたは、この特例によりますれば、基礎控除が年額一人二万四千円、現行法から見れば若干の軽減にはなるのでありまするが、この程度では一般の、ことに大衆の最低生活というものは保障されるどころか、かえつてその勤労所得の中に、言いかえれば生計費の中になお依然として税が食い込んで来ると私は考えるのでありますが、主税局長はその関係をどのように考えられておりますか。それをお伺いしておきたい。
  44. 平田敬一郎

    平田政府委員 基礎控除は二万四千円ということになつておりまするが、家族がありますと、家族に対しましてそれぞれ一万二千円ずつの控除をなすわけでございます。おそらく今御引用になりました大臣の車中談は、たとえば四、五人の世帯の場合を言つておられたのじやないかと思います。一人十万円という数字は、いかなる点から行きましても見当がつかないのでございますが、家族が四、五人でありますると、今度の改正案によりましても決して二万四千円ではございませんので、正確な計算は後ほど申し上げてもよろしゆうございますが、七、八万円くらいまで免税になる人がたくさんございます。勤労所得でございますれば勤労控除もございまするし、勤労控除した残りからさらに二万四千円を引き一万二千円を引くわけでございますから、家族の多い普通の世帯の場合は、もちろん二万四千円の控除にあらずして相当多くなるということを、御判断願いたいと思う次第であります。  それから基礎控除の問題につきまして、考えなければならない問題といたしましてはいろいろございまるが、一つは間接税がいいか、所得税がいいかという問題にも関連して来ると思います。間接税でありますと、たとえば綿織物にもかけるという現在の状況でありますと、どうしてもやはり織物であればいかなる人の生活費にもかかつて来る。取引高税も主食ははずしておりますが、その他のものはかかつておりまして、これはやはり織物ほどではないとシヤウプ博士は言つておられますが、しかし相当大衆課税で、結局間接に生活費に食い込んで来るということに相なつておりまして、そういう種類のものは物品税といえども、できる限り今回の改正案でははずす。これは非常に税制の理想を盛つたものでございまして、まさに御意見のような点を相当考え改正案だと考えております。單にとりやすいという税法でありますと、場合によりましたら、あるいは間接税を相当重視して行くという考え方も成り立つのでございますが、今度のシヤウプ博士の勧告案は相当理想主義を盛つておりまして、やはりそういう課税は極力少くして行く。むしろ所得税をできるだけ合理化して、それでまかなうという方針のようでございます。その所得税におきましても、御指摘通りできる限り基礎控除なり免税点も妥当な、できる限り低額所得者は除外する方がいいということは、何人といえども認めるところであろうと思いまするが、しかしそれは單にそういう見地からだけでなくして、やはり一方におきましては、財政上の需要ということもあわせ考えまして、そのきとして許す限りの妥当な基礎控除なり、免税点を設けるという方向へ行きますのが、一番いい解決策じやなかろうかと私ども考えております。今度の改正案によりますと、扶養親族が四人でございますと、勤労所得の場合は八万円ばかり免税になります。なおこれをもう少し上げた方がいいのじやないかという御意見は、まことにごもつともなところもあると思いますが、その辺は現在との開き並びに今後の財政の需要とにらみ合せまして、私どもといたしましてもできる限り正しい所得税の成果をあげますように努めてみたい、かように考えております。
  45. 川島金次

    川島委員 この点非常に重要なことと思うのでもう一ぺんお尋ねしておきたいのですが、たとえば局長も御存じの通り戦前昭和十五年でしたか、十五年までは月収百円、年千二百円、これを最低生活としてその当時の物価事情からにらみ合せて一種の免税点にしておつた。その後インフレーシヨンまた戰後における混乱した経済事情、さらに最近におけるやや安定の兆を見せておるかのごとき印象がありまする今日におきまして、昭和十五年の年額千二百円という免税点と、今日の物価事情とを比較いたしてみますと、ことに先般定められました三百六十円の為替レート、これを基準として計算をいたしてみますると、当時の百円、一千二百円は二十一万六千円、こういうことになるように私は計算してみたのであります。二十一万六千円と昭和十五年当時の免税点である千二百円と同一の形になつている。こういうことを勘案してみますると、この二万四千円の基礎控除が今局長の説明によれば、扶養家族五人おれば大体七、八万円の者は所得税から除かれることになるから、よろしいじやないかという説明でありまするが、この基礎控除の二万四千円で、はたしてわれわれ言う大衆の生活というものが保障されて行くかどうか。一面には昨日水谷氏からも演説がありましたように、ことに昨年の公定物価の改訂、その後におけるマル公の上昇、さらにまた米価の改訂、運賃の引上げ、ことに最近における独占企業に属する重要物資の上昇、こういうことを考えてみますると、一方における所得階級の賃金というものは、おおむねくぎづけの状態になつている。そういう事柄をにらみ合せて考えてみますると、この基礎控除の二万四千円というものが、はたして大衆の生活を確保せしめるゆえんのものであるかどうかということは、きわめて私は疑問に考えられるのであります。そこでこれはとりあえず暫定の措置だという法律でありますが、そこでお伺いするのでありますが、とりあえず暫定の措置であるとすれば、次の税制の全面的改正を行う場合には、この基礎控除、扶養家族の控除額、こういつた問題につきましても、この原案は大いに変更するという方針であるのかどうか、あるいはまたこのままで来るべき税制全般の改正につきましても、所得税法一つの重要なポイントである基礎控除額、扶養家族の控除額がこのままで進んでしまうのであるかどうか。それをひとつお聞かせ願いたいと思う。
  46. 平田敬一郎

    平田政府委員 先ほども申し上げました基礎控除の関係、免税点との関係でございますが、詳しく数字を申し上げますと、勤労所得の場合は扶養親族が四人でございますと、現在は六万三千七百三十四円まではかかつておりません。それが今度の改正によりますと八万円まで非課税であるということに相なります。それから農家の場合等の事業所得につきまして、今回提案しておりまする同じようなことを来年度やるというふうに仮定して計算いたしてみますと、現在は四万七千八百円まで非課税です。それが改正によりますと七万二千円まで非課税になるわけでございます。勤労所得の方は御承知通り今までの二割五分の控除を一応一割にいたしておりまするので、比較的に上り方が少い。これに反しまして事業所得の方はそういう計算上の圧縮がございませんので、勤労家族控除は基礎控除の引上げによりまして、今申し上げましたように相当の大幅の増加になりました。従いましてこの案を来年度実施するといたしますれば、たとえば少額所得者の多い農業所得には相当の減税になります。大体農業所得は十万円以下と見ておりますが、十万円の場合で所得税を計算してみますと、大体三分の一ぐらいの負担になる計算となるようでございます。そういう点を御参考までに申し上げておくのでございます。今後来年度の本式の改正案についてどうするかということは、先ほど政務次官お話になりましたように、目下各般の見地から検討中でございまして、まだ私どもといたしましては、確たることを申し上げる段階に参つておりませんことを、申し上げておきたいと思います。
  47. 川島金次

    川島委員 そうするとこの暫定措置と基礎控除の二万四千円、扶養控除の一万二千円、勤労控除が百分の二十五であつたものが百分の十というように引下げられた。なお税率は五万円以下は百分の二十、それから三十万円は百分の二十五でとめるということが、基本的な暫定の措置であるが、この基本的な措置というもので、来るべき税制の全面的な改正の場合にも貫くであろうというふうに、われわれは了解して行つてよろしいかどうか。それをひとつくどいようですが、もう一ぺん聞かせていただきたい。
  48. 平田敬一郎

    平田政府委員 目下検討中でございまして、さように申し上げることもむずかしかろうと思います。反対に必ず修正できるということを申し上げることも、むずかしかろうと考えておりまする
  49. 川島金次

    川島委員 そうすると事務当局としては、この今の暫定措置が必ずしも妥当でないという考え方のもとに立つておられるかどうか。これをひとつお伺いしたい。
  50. 平田敬一郎

    平田政府委員 現在の税法に比べますと、よほどの改善じやないかと思いまする
  51. 川島金次

    川島委員 今のお話では、来るべき税制の全面的な改正の場合に、このままで進むのかあるいは改善になるかもしれぬという口吻もある。そうすると改変ということは、この暫定の措置よりも少くならないことを前提としての話だと私は思う。従つて来るべき全面的な改正のときには、これを直そうと考えている方向であるように私どもは伺つておるのでありまするから、そのときはそういうことにしたいという考えでいるということは、今では御定措置であるが、この暫定措置は必ずしも国民経済の実態に即した妥当なものでないという考えがあればこそ、来るべき全面的な改正のときに、何らか考慮したいという意味を盛られておると思うので、それで私はその事柄をくどいようでありますが、お伺いしておるわけであります。
  52. 平田敬一郎

    平田政府委員 少しきゆうくつに考えておられるようでありますが、私どもはさしあたり現行税法につきましても、暫定的にもある程度改正をいたすことは、これは相当改善じやなかろうかと思います。ことに一方におきまして織物消費税の廃止、取引高税の廃止、こういう従来から相当歳入の必要上とつております税金を廃止し得るということになりましたことは、よほどの改善じやないかと私ども考えております。また所得税につきましての基礎控除、家族控除の税率につきましても、とにかくこの段階までの実行を具体的にできるということに相なりましたことは、従来に比較しますとよほど事情改善されて来ておる。かように考えております。いろいろ考えますと、いろいろまた問題はあるわけでございまして、そういう点につきましては、さらに一段と検討を遂げる必要は、われわれは認めておることを言つておきます。
  53. 川島金次

    川島委員 どうも話が横道に逃げているような気がしまして—ここに検討しようということは、この基本的な暫定措置については満足でないからこそ検討しようというのでしよう。その前提に立てば来るべき全面的な改正をする場合、これが変更の方向の努力しているのか。この基本的な暫定措置でもはや満足されて動かしがたいものになつておるのか。その点をざつくばらんにお伺いしたい。  あわせてお伺いしますが、なるほど現行税制よりは税の表面的な法律の形においては、大衆の負担の軽減にはなりますけれども、来るべき全面的な改正が出て来なければわかりませんが、少くともシヤウプ勧告を中心にして税の改正が行われるとすれば、地方税等の関係あるいは物価等の関係等を考慮すると、必ずしも税法から見ただけの勤労者にとつての大減税というわけにはなりかねる面が多々あるのであります。しかしその全面的な改正が出ておらぬから、それには触れておらぬのでありますが、どうも今の局長の言葉ですと、これだけで行くのか、これが変更されるのか、さつぱり見当のつかない答弁である。もう少し率直にこのままで貫いて行きそうだとか、あるいはまた多少でもこれ以上に改正される余地もあるとか、何か具体的に説明があつてほしいと私は思うのですが、その点はいかがですか。
  54. 平田敬一郎

    平田政府委員 来年度の本格改正につきましては、まだはつきりきまつていないわけでございますから、余地がないわけじやあしません。これは余地があると思いますが、具体的にどういうことになるかということになりますと、私まだ今日の段階では申し上げかねるということを申し上げているわけであります。すにでこれで来年度にやるということに方針が決定しておりますれば、もう何ら申し上げる余地はないわけでありますけれども、そういう意味でないという意味におきまして、大いに私ども考える余地があるということを申し上げておきます。
  55. 川島金次

    川島委員 そうすると、この暫定措置の以下になるような心配は今のところない。但しこれより以上に改正されることは、きわめて困難だというふうに理解してよろしいですか。
  56. 平田敬一郎

    平田政府委員 これよりも以下になることはなかろうということはそれでいいと思いますが、以上になることは困難だと断定されるのはまだ早い。検討しておじますということを重ねて申し上げておきたいと思います。
  57. 川島金次

    川島委員 うなぎ問答ですからやめておきましよう。そこで第二にお伺いしたいのですが、勤労控除は現行法によれば百分の二十五、ところが百分の十という大きな引下げを食つたことになる。この点はきわめて重要な事柄だと思う。なるほどシヤウプ勧告では勤労控除は百分の二十五を十として、その差引の一五%分は他の勤労者の税の負担の軽減に充てるように吸収させたらよろしい、こういうふうに言われておつたと記憶しておるのでありますが、この勤労者の生活の実態から見て、なるほど基礎控除一万五千円から二万四千円という、差引九千円だけ免税される形になる。しかし一方において勤労控除は百分の二十五から十に引落されたということは、少くとも私は合理的なことではない。ことに勤労者の生活の実態から見て妥当でない。こう私どもは見ているのでありますが、局長はこの点について相当な折衝をされたと思うのでありますが、勤労控除を百分の十とされたことについてはたして局長は満足を感じているか。満足を感じていないとすれば、これは現行通りにすえ置く方が最も好ましいものであると私どもは思いますが、その点について局長の所見だけを伺つておきたいと思う。
  58. 平田敬一郎

    平田政府委員 勤労控除が一〇%になりました理由は、実は少額事業所得と勤労所得との負担の権衡論から来ているのでございます。農民なりあるいは中小の商工業者の立場から考えますと、零細な事業者であるという意味におきましては、その所得相当勤労的分子が多いということは、本委員会におましてもたびたび議論になりました通りでありまして、シヤウプ博士はそういう点をまじめに取入れられまして、ほんとうバランスのとれた税制ということを考えますならば、やはり勤労所得にもしも二割五分の控除を認めるならば、少額事業所得につきましても一割五分ぐらいの控除を認めた方がいいのではなかろうか、こういう考え方のようであります。但しそうなりますと、ほとんど少額所得者につきまして大部分の人について二割五分、一割五分の控除を認めるのであるから、それは手数の簡素化その他の見地からやめることにいたしまして、その差だけの一割を勤労所得に残しまして、あとは税率とかあるいは基礎控除、家族控除だけで全体の負担の適正をはかりたい、こういう考え方のようであります。その点から行きますと、これは確かに一つの有力な考え方でありまして、ことに一方におきましては事業所得の捕捉と申しますか調査と申しますか、それがなかなか不完備な点が多いのでございます。こういう面につきましては今回の税制の合理化と合せまして、必ず今後は税法通り納税ができるようにしようという考え方に立つておりますので、そういう点をあわせ考えまして、理論的には一〇%控除ということは一つの有力な見方ではなかろうかと考えております。ただ経過的に考えますと、とにかく現在二割五分の控除を見たわけでありますが、この際一挙に全部理論通りにして、一割にしてしまうかどうかということにつきましては、若干異見がありますことは私どもよく承知しておるところでございまして、その辺の問題は来年度の本格改正の際の問題といたしまして、さらによく研究してみたいと考えております。
  59. 川島金次

    川島委員 私は大蔵大臣の出席を求めて、いろいろ重要なことについ意見もあり、ただしたいことがあるのであります。ところが二、三日前に私が要求いたしました資料がまだできておりません。従つて数字的に根拠のある資料が私の手元にありませんので、その資料の提出を待つて、さらに大蔵大臣その他関係の方に、とくと御質問を申し上げたいと思いますので、一応私の質問はこれで打切つて、後にあらためてお伺いすることにいたしますから、委員長はそのようにおとりはからいを願います。
  60. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 それではここで休憩いたしまして、午後一時半より再開いたします。     午後零時十三分休憩L     午後二時開議
  61. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 それでは午前中に引続きまして質疑を続行いたします。内藤友明君。
  62. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 政府委員の方に一、二お尋ねいたしたいと思います。いずれいろいろこまかしいことはお尋ねする時間を残しておきまして、また聞きたいのでありますが、さしあたり研究を要することを一、二お尋ねしたいのであります。  その一つ所得税の問題でありますが、これは私はおとどしから大蔵省の皆さんにお願いしておるのでありまする農家の所得計算の場合におきまして、自家消費の農産物の価格の計算方法であります。これは私ども消費時の価格、販売時の価格を採用してもらいたいということをおとどしから申し上げておるのであります。しかしいまなお大蔵省では収穫時の生産者価格をもつて、これを計算されておられるのであります。昨年は米の価格は三等の裸にいたしまして三千六百四十六円、ことしは四千二百五十円となりまして、その差が六百四円となるのであります。従いましてことしの所得計算をいたしますときに、農家の消費いたします一月から十一月までの米の値段の計算というものは、六百四円の、所得にあらざる計算上の所得としていたされることになるのでありまして、これが農家といたしまして耐えられないことであるのであります。こういうことはこの税制改正に関する法律案要綱の第二に帳簿の整備というのがありまして、農家に簿記をこれから奨励なさる御方針を立てておられるのでありますが、農家の簿記の原則にも、こういうやり方は反しておると私は思うのであります。簿記を非常に重要視して、これが農家の所得の計算の基礎に考えておられる大蔵省が、ことしの所得計算におきまして、従前のような方針をなおかつとられるのであるか。これをまずお尋ねいたしたいと思います。
  63. 原純夫

    ○原説明員 農業所得を収穫時の所得とするか、あるいは自家消費のものについては消費時の生産者価格をもつて所得を算定するかという点でございますが、内藤委員の言われました消費時の時価をもつて所得を算定するという説も、有力な一つの説であると思います。しかしながらわれわれといたしましては、ただいまの所得税法の趣旨等から考えまして、これは収穫時の生産者価格をもつて計算する方が、妥当であるという考えで参つております。これは本年の農業所得を計算いたす場合にも、そのやり方で参りたいというふうに思つております。なお実際問題といたしましては、御存じのインフレーシヨンの昂進がゆるやかになるというときにおきましては、本問題は可なり重要性を減ずるのではないかということも、あわせて考えていただきたいと考えるのであります。
  64. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 私はインフレーシヨンとか、デフレーシヨンとかいうことを言うのではありませんので、農家経済を基礎つくつておるその簿記観念が正しい、正しくないということから申し上げておるのでありまして、私は負けてくれというふうなことから言つておるのではないのであります。こういうりくつに合わぬことをなさつておることがいかぬのじやないか。そういうことは法律上早くやめられるべきではないか。ことに今度は勤労所得者の税金を負けられるということがあるのでありますが、私どもは負けてくれというのではないのであります。ただこういう原理原則に反しておるようなことを、あえてやられるところがどうもふに落ちぬ、こう申すのでありまして、私どもの気持をよくひとつ御理解いただきたいと思うのであります。これはいずれ所得全般につきましても、法律の改正があると思いますから、そのときには、インフレーシヨンのときにおいてどう、デフレーシヨンのときにおいてどうということでなしに、ほんとうに筋の通つたようにしていただきたいということを、重ねてお願い申し上げておきます。  第二にはこの税制改正に関する法律案要綱の第二に、帳簿の整備というのがありまして、来年一月三十一日までに帳簿を備えつけるものは、政府に届出しなければならないということなのであります。これは農業所得税の源泉徴収という問題と非常にからんでおりますので、いずれこれはこれに関する法律案が出て参ると思うのでありますが、しかし今は時期として準備しなければならぬのでありまする源泉徴收につきましては一部には農村としましては賛成者もあり、反対者もあります。しかしこれはこれから啓蒙運動をやつてほんとうに農家に正しい観念を植えつけさせなければならぬと思うのであります。ことに私どもは青色申告農家は天くだり更正決定を行わないというようなことから、これが非常によい案だと実は思つておるのでありまして、そこで地方の農業協同組合ではその地の国税庁あたりと連絡をとりまして、積極的に実は指導をいたしております。ことに北陸三県の農業指導協同組合連合会あたりで、農家の簿記をつくりまして、大量の部数を用意いたしまして、農家にこの年暮れまでに配付しようといたしておるのでありますが、そこでそういうような今やつておりまする仕事を大蔵省が—これは非常に急なことでありますが、それはわれわれの方の規格に合つておらない、だからそういうものはだめだ、こうおつしやると、協力いたしておりまする指導連あたりが非常に失望するのみならず、何十万と印刷しましたものがだめになるわけであります。そういうことにつきまして大蔵省はどういうお考えをお持ちなのでありましようか。こういうことはなるべく早目に積極的に、大体の方針がきまると同時に御指導なさることが必要なのでありますが、そういうことに非常に事が欠けておるような気がしてならぬのであります。これは一月三十一日までに届出なければならぬのでありますが、もしこの際それが遅れますと、一年間遅れるということになるのでありまして、せつかくシヤウプ勧告によりまして農家の記帳を奨励なさつてもできないことになるのであります。しかも指導連あたりでやつておりますそういう帳簿のことについては、どういうお考えをお持ちになつておるのでありますか。それをお伺いいたしたいのであります。
  65. 原純夫

    ○原説明員 早くどういう帳簿をつけるかということを国民に知らして、そういう方向に持つて参るようにというお話で、ただいまおせき立てがございました。われわれの仕事がいろいろと量が多いために、そういう点が進んでおりませんことをおわび申し上げます。鋭意研究いたしております。もう大体案もまとまりかかつておるところでありますが、来年の一月から始まります。新しい帳簿制度というものに間に合いますように、これを早く世間に御承知いただいて、やつていただくようなことにいたして参りたいと思つております。その場合にお話のありました農業団体、あるいはその他の団体で、いろいろ従来もこういう帳簿つくつたらどうだというようなことで、指導しておる向きもあります。こういう帳簿を使つて参るという着意、これにつきましては十分その着意をもつてつて参りたいというふうに考えております。大体において帳簿というものは正確につけるということが大事であつて、各種のそういう団体で御指導になつております帳簿の形式というようなものは、税の上で非常に困るというような点は、少かろうと考えております。大体そういう帳簿をお使い願つてつて、あるいは場合によつてはこういう欄を一つ加えてくださいというようなことを、お願いすることがあるかもしれませんが、そういう既存の帳簿、特に最近帳簿を奨励されるという向きが多うございますので、そういうものには乗つてつて参りたいという着意をもつて仕事を進めております。
  66. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 これは具体的な問題でありますが、北陸三県の指導連が寄りまして、金沢の国税局と打合せまして、国税局認定の帳簿をそれぞれの県の指導連が発行しておりますが、これはおそらく三十四、五万ほど刷つて、富山、石川、福井の各農家に配布しておると思うのでございますが、これはお認めいただけますか。これはだめになるとたいへんなことになるのでありますが、金沢とよく連絡をとりまして、その方面の関係の者が集まつてつくつたのでありますが、それをひとつ伺つておきたい。
  67. 原純夫

    ○原説明員 拝見いたしませんと必ず認めるというところまでここで申し上げかねます。けれども、まず国税局が見ておりますれば、われわれの希望にはおそらく合うのではなかろうかというふうに思います。
  68. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それからもう一つ源泉徴収機関は、農業協同組合になさるのでありますか。
  69. 原純夫

    ○原説明員 大体農業協同組合でやつて参りたいというふうに思つております。ただ御存じのタバコの関係は従来別な系統でやつております。これもおそらく切りかえが可能であろうというふうに考えておりますが、まだ確定はいたしておりません。
  70. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 その源泉徴收機関でありますものに対しまして、源泉徴収税並びに納税件数などを勘案いたしました手数料と申しますか、人件費、事務費、そういうものはお出しなさるのでありますか。それをひとつ伺いたい。
  71. 原純夫

    ○原説明員 ただいまのところそれはまだ予算にも要求しておりませんし、具体的にそこまで考えておりませんが、いろいろ農業関係の協同組合等で御希望がありますことは存じております。
  72. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それはそれだけにいたしておきまして、もう一つお尋ねしたいのは取引高税の問題でありまして、これは来年の一月二日からなくなるので、まことにけつこうなことなのでありますが、これにつきまして、今までの分についてやはり支拂わなければならぬのでありますが、この前にこの法律が出ましたときにも私は御質問申し上げて、その返事は平田さんの方からいただかずに、非公式にいろいろ御相談し合つたのでございますけれども、農業協同組合におきましてその販売、あつせん事業というものをやつております。これは農家が買いますものをまとめてせわをするという意味の仕事であります。従つてそのせわ料という手数料を、販売あつせん規則によりましてとつておるというのであります。ところがその販売あつせんなるものが、ある税務署によりましてはそれは取引だと見るところもあり、これは具体的な実例を申し上げていいのでありますが、私の富山県におきましては、ある税務署はその手数料が取引高税の対象になり、手数料について百分の一を納めろと言つております。その隣の税務署におきましては、いやそうじやない。それは牛なら牛五十頭買つて来たもの全部が取引だから、それに対して取引高税を納めろ、こういうことで問題が今なお解決いたしておらぬのでありまして、これは来年の一月一日以後は問題はございませんけれども、今までの分についてはあるのであります。こういうふうな紙一重の解釈でどうにもなるというのは、まことに困るのでありまして、ことにはなはだしいのは、村の協同組合が「家の光」という雑誌をせわして、農家に読ましておるのでありますが、これはまつたく「家の光」を発行しておるところから取次をいたしておるのでありまして、何も農業協同組合の店舗で売つておるのでも何でもございません。ただ購読者の購読しやすいように、取次しておるだけでありますが、それが一つの取引だというので、取引高税を納めろという税務署が富山県にあるのであります。こういうことでまことに困つておるのであります。そこでその販売あつせんというのが取引であるかどうかという根本の問題、この前半田さんに伺つたときには非公式でありまして、委員会速記録にも出ておりませんけれども、そういうせわをするということは、取引ではないというふうなお答えを得ておりましたので、組合関係者には、それは取引高税の対象にならぬぞと言つてつたのでありますが、その後各税務署に割当てられた取引高税が納まらぬと見えまして、そういうところまでいろいろおつかけられておるのでありますが、こういうことにつきまして、ほんとうにこの問題に取組んでおられます原さんの御意見を承りたいと思うのであります。
  73. 原純夫

    ○原説明員 協同組合を適します取引についての取引高税課税は、いろいろむずかしい問題がございまして、取引高税立法の当時から大分論議されました。現在では七條の第十四号というのに、物調法に基きます販売購買、物調法関係の取引というものははずすということを、はつきりいたしておるわけでありますが、それ以外の取引につきましては、ただいまあつせんという言葉でお話が出ましたが、組合が組合員の代理として販売すること、そのために組合員から組合員に品物が渡るというような場合におきまして、取引は一回である。つまり組合員から組合への販売はないのだという考え方でいたしておるはずでございます。ただそれが組合員の名において販売されるかどうかというあたりのチェックが、実際問題として相当むずかしかろう、その事実の認定において、あるいは末端において必ずしも統一のとれないような事態があるのではないかということが、懸念されるのであります。ただいま御指摘のありましたケースは取調べまして、また後刻内藤さんにお答え申し上げたいと思つておりますが、方向はそういう方向で参つておるはずであります。
  74. 塚田十一郎

    ○塚田委員 物品税の問題について少しばかりお尋ねをいたしたいと思うのであります。今度の物品税改正政府から御提案になつていただいて、結論から申し上げるならば、非常に政府の努力を多といたしておる次第でありまする御承知のように、物品税については使節団の勧告も、われわれから見ますと、非常に酷である。従つて勧告の物品税に関する面は、これは率直に言えばふできだと思つてつたのでありますが、それをよく今日の日本の実情に合うように大幅にお考えをいただいたということには、非常に敬服かつ感謝をいたしておるのであります。(「やおちようをやるな」と呼ぶ者あり)ただいま内藤委員からやおちようをやつているというような御批判がありましたが、決してやおちようをやつておらぬのでありまして、率直な感じはまさにその通りなのであります。ただ、そうは申し上げましても、やはり内容をよく吟味してみますと、少しお考え違いの点があるのではないかというように考えられますので、最初物品税をお直しになる場合の基本的な考え方は、どういう考え方をしておられたかどうか。どういう考え方に基いて物品の免税あるいは軽減という吟味をされたのか。その基本的な考え方最初に伺いたいと思います。
  75. 平田敬一郎

    平田政府委員 物品税につきましては、御指摘通りの勧告によりますと、ほんとうの必需品みたいな物を除外するのはいいだろうけれども、大体におきましては、歳入額といたしましても、本年度の二百七十億程度を確保するような改正案が妥当じやないか。あまり税率等につきまして全面的引下げを行つたが、あるいは課税範囲をあまりにも拡張するのは、なお検討を要するといつたような勧告案になつておるわけでございますが、私どもしさいに検討いたしました結果、一方におきましては、織物消費税等の廃止等を行いまするし、そういうものとの比較権衝からいたしまして、間接税のシステムとしてできる限り公平なものにしたい、こういうような考え方で、この案を作成したわけでございます。考え方の基本といたしましては、まず第一にはシヤウプ勧告案も言つておりますように、ほんとう国民生活に最も関係の深い必需品的性質の濃厚な物、物品税もたとえば米とか、そういうほんとうの最低限度の必需品には、今までも課税してなかつたのでございます。しかし相当必需品らしいものに課税して来ているわけでございまして、そういうものはこの際できる限り課税から除外する。これを一番の重要な項目にいたしております。それから單に個人の実生活に使うにあらずして、大体は事務用にだけしか使わないような物につきましては、むしろ間接税は課税する十分な理由がないわけでございますから、そういうものにつきましてはその次に課税から排除する。この点はシヤウプ勧告案にもうたつてありまするが、たとえば各種の計算機とか、あるいはそろばんの類とか、その他主として純粋に事務用に使われる物、これは課税から排除せられる。それからその次にほんとうの必需品とまで言えないかもしれませんが、やや大衆消費しまして、必需的性質が若干あるといつたようなものにつきましては、税率を若干低減するということが一つと、いま一つは、これは政令事項になりまするが、免税点等によりましても、極力そういうような措置を考えて行つたらどうであろうか、かように考えております。  それから甲類乙類の物品等あまりにも高率でありまして、課税の実情がそれに伴わないというものにつきましては、シャウプ勧告の根本精神は、いわゆる税法通り実施するということを非常に重要な項目にいたしておりますから、この際はむしろそういう観点と歩調をそろえまして、課税の実際とかみ合せまして、ある程度実行可能な税率引下げる、かような考え方をしております。しかし何と申しましても物品税相当な歳入でございますので、この際としましては、若干は妥協的な考え方に立つておるものも中にはないではありません。收入額等をもあわせて考えまして、今の段階におきましては、まず妥当かと思われるような改正案を作成して、御提案いたしたような次第でございます。大体そういう基本的な考え方からいたしまして立案しておりますことを、最初に申し上げておきたいと思います。
  76. 塚田十一郎

    ○塚田委員 私はその若干妥協された点があるのじやないかということを実はお尋ねしたかつた。勧告にも御指摘のように書いてあるのですが、予算を二百七十億確保しろということが、物品税に対する勧告の考え方の基本の線になつているようにも思われるのでありまして、政府がもしそういう考え方をしておられたのだとすると、勧告が物品税についてはそういう考え方をしておるから、これが勧告の最もふできな点だと思つておる。そのふできな点を政府も一緒になつて同じふできを重ねておられるじやないかと、私ども実は案じておつたが、若干の品目についてそういう考え方をしたというお話であります。その若干の品目が実は非常に迷惑をしておるのであります。そこで私率直に申し上げたいのでありますが、今度の物品税改正におきましては、予算というものをそんなに頭に強く置くことはおそらく適当じやないじやないか。それは一つは経済的な理由からも来るのでありまして、予算をお組みになりましても、予算というものは、物品税に関しては多分に税率と関係して出て来るものでありまして、この税ならばこれくらいの売上げがある、またつかめる。従つて税はこれだけとれるということが出て来ますが、税率を下げるとまた捕捉がよくなつたり売上げがよくなつたりしまして、下げてかえつて税収がふえる面もあるわけなのです。  もう一つ今日の物品税改正で、一番根本的に考えていただかなければならぬのは、この率で税をとつて、それだけのものが今日の有効需要とにらみ合せて、購買力があつて売れて行くかどうかという点を、むしろ非常に重要に考えていただかなければならないと思います。勧告の考え方はおそらくそういう点については、それはそれだけ高くして、売れなければ、生産が減つて、需要と供給の関係でつり合うところできまるだろうから、いいじやないかという考えだろうと思うのでありますが、この考え方は、実は日本の今日の経済の実情をよく見ていただけなかつたために、出て来た考え方だと思うのであります。今日そういう場合に非常に困つておりますのは、むしろ中小あるいは零細な業者でありまして、そういう人たちに、売れないから商売をやめろということは、実は言えない今日の日本の状態になつておるのであります。それよりもむしろ税収にさえ響かぬならば、そういうものは免税あるいは軽減をして行つて、そういう人たちの事業が成り立つて行くように、そうしてまた国の予算にも穴があかないようにというのが、私は今日の日本の産業、生産の上から、一番考えて行かなければならぬ点ではないかと思うのであります。そういうようないろいろな観点からいたしまして、あまり予算にとらわれて、物品税の当然下げるべきものを下げないでおくという考え方は、適当でないじやないかと考えておるわけであります。そういう考え方からいたしますと、私が一番問題になると思いますのは紙であります。これは非常に予算が多額であるために、本来ならばこういうものは品物の性質からして、当然免税になつてしかるべきものであると思うものを、一割にとどめてある。これは他の免税になつたいろいろの種類の物との権衡から考えましても、紙そのものの用途などから考えましても、これは当然免税に持つてつてしかるべきであるという理論には、おそらく御反対はなかろうと思います。ところがそういう予算面からの関係で、これも残つてしまう。そうして紙が残りましたために、非常に困難をしておりますのは、いわゆる家内工業とも言えるような形で仕事をしております手すきの和紙をつくつておる和紙製造業者でありまして、その巻添えを食つて、依然として免税に行かなかつたという結果になつておる。こういう例は私は適当ではないと思うのでありまして、むしろ減収があるならば、それを他の面でカバーするにしても、こういうものは免税に持つてつてしまうというほど、徹底してお考えを願うことができないものか。この点をひとつお伺いしたい。
  77. 平田敬一郎

    平田政府委員 御指摘の紙の場合は、確かに議論がある点ではないかと私どもも思つております。ただ厳密に申し上げますと、やはり紙の中にもこまかく言うと課税して当然しかるべきものだと思うものもございましよう。それからまた非課税にするのが当然だというのもございましようし、あるいはどちらかと言いますと、今御指摘のように、紙につきましては非課税にしていいものが多いのじやないかという御意見も、確かに一つの有力な御意見だと思いますが、先ほどもちよつと触れ、また塚田さんも御承知のように、物品税の歳入のうち現在紙だけで一割、三十億近くの收入になるわけでありまして、これを一挙にはずしてしまうかどうか、確かに問題だとは思いますが、しかし一面におきましては、先ほど議論が出ました所得税の基礎控除等も、やはりまだ相当の議論がありまして、どれもこれもすべて満足なる解決ができるような段階に行きますれば、これはすつぱり理想的なラインをもつてつて行くというのが、一つの有力な行き方だと思います。しかし今度の補正予算及び来年度の大体の見通しの段階においては、まず二割の税率が一割に、半分になるのでございますから、その程度でしんぼうしていただくのも一つの解決の方策ではなかろうか。いろいろ諸般の事情考えまして、物品税についてはできるだけ合理化をはかりたいと思つているわけでございますが、さしあたりの処置といたしましては、一割ぐらいの課税をいたしたら、どうだろうかと考えております。さらに御指摘のように、紙の中にも和紙と洋紙といろいろ問題がございますし、それから企業形態によつて考えたらどうかという御意見もございました。この点若干参考になるということは一つの見方だと思いますが、物品税はあくまでも消費税として、消費者に転嫁される影響を考えるわけでありまして、従つて企業形態のいかんということよりも、消費の性質いかんということを本位に考えざるを得ない。そういうことになりますと、この洋紙と和紙との限界いかんといつた問題がありまして、なおよく検討を必要とするのではないかと考えております。しかし今回の物品税におきまして、紙の課税は確かに歳入額とにらみ合せて、この際税率引下げで何とかしんぼうしてもらうという種類の一つであることを、つけ加えておきたいと思います。
  78. 塚田十一郎

    ○塚田委員 次にまつたく逆な意味において、少しも納得の行かないものが人工甘味料であります。人工甘味料は現行六千円のものを三千円にお下げになつた。これは前国会でありましたか、前々国会でありましたか、その時分においては、私どもも三千円あるいは場合によつては二千円ぐらいが、適当じやないかというように考えておつた時期もあるのでありますが、その時分は私どもは、経済界の実情が、ああいうものが当時七千円か八千円ぐらいの値段で売られている、こういうように了解をして、そういう議論をしておつたわけであります。その後本年度の夏の間における実績を見ておりますと、これは相当もつと高い値段で売れている。これは政府においても十分御承知だと思いますが、一万二千円ぐらいの値段で売れておつたようであります。しかもそういうことは、今年非常にアイスキャンデーなどが、いなかにまで行きわたつたという事情があつたためだろうと思うのであります。もしそういう事情であるとすれば、これは常識によつて今後も相当の値段でなお売れる見通しがあるのじやないか。そういうときにこの六千円を一気に三千円まで下げて来るという考え方は、はたしてこれに関する限りは適当であるかどうか。その辺をむしろ私どもは疑問に思うのでありまして、もし減収をカバーしなければならぬ必要があるならば、そういう面で若干カバーできる面もある。従つて上げるものは上げ、下げるものは下げるということで、もし予算とのにらみ合せが必要であるならば、再考慮を願つたらどうかと考えるのであります。人工甘味料についてあれをお出しになつた考え方をお伺いしたいと思います。
  79. 平田敬一郎

    平田政府委員 人工甘味料につきましては、御指摘のように現在の税率が非常に高いという議論がありまして、私ども当時いたしましてもいろいろな調査をいたしたのでございます。大体調査したところによりますと、確かに高い面もある。しかし何とかやつて行けるのじやなかろうかという考え方からいたしまして、当時としてはすえ置いたわけでございます。現実の問題といたしましては、砂糖の輸入が比較的減りまして、それから甘味剤に対する夏期の需要が相当ありましたために、何とか今の税率で、今年はしのげて来たというのが、現在の実情ではなかつたかと思います。ところでよく考えてみますと、今後におきましては、砂糖についてもシヤウプ博士は廃止したらどうかという意見を出しております。が、その他サッカリンのみならならず、飴、蜂蜜等についてもやはり若干の軽減をはかるのが、方向としては妥当でないかということを考えまして、そういう見地から、サツカリン、蜂蜜、飴等については相当程度税率引下げを行うことにいたしたのでございます。この税率ではたしてまつたく市場の需給状況に合したものになるかどうかということになると、いろいろ議論もあるかと思いますが、この辺までいたしておきますと、大体今後においても問題なくサツカリンがさばけるだろうということを考えまして、かような税率を作成して、提案いたしたような次第でございます。なお議論としましては、砂糖を非課税にするならば、サツカリン等にも課税しなくてもいいじやないかという議論がございますが、これは少し行き過ぎで、砂糖は配給になつておりますが、こういう品物は配給になつておりませんから、やはりこの際としてはこの程度減税をして課税することはいたし方なかろう、かように考えている次第でございます。
  80. 塚田十一郎

    ○塚田委員 主税局長答弁は、私はむしろ下げ過ぎたというお尋ねをしたのに、下げ足らぬという質問をしたような御答弁になつたのですが、私はサツカリンとか水飴とか蜂蜜とか、もし收入が必要であるならば、そういうものでお上げになつて、紙なんかは廃止にしたらどうか、こういう考えを持つております。  そこで各品目については各委員それぞれの御意見があると思いますが、私ずつと品目を拝見して、非常に不合理に感ぜられるのは、冷蔵器が五割のところにすえ置いてあるという点であります。これはどういうお考えであつたか存じませんが、私ども常識的に考えますと、家庭用の冷蔵器、これは家具の一種だし、家具という名前にすれば当然三割引かれる。それでああいうものは高くて使えないから、普通の家庭では使いませんが、ああいうものがあるならば、食物の衛生の上からも、また経済的に物を使う意味からも非常にいいものだから、ああいうものを五割もおとりにならなければならぬという理由はないのじやないか。こう考えるのですが、ああいうものがどうして五割のところにすえ置きになつているかという点を、一つ伺いたいと思います。
  81. 平田敬一郎

    平田政府委員 家具と冷蔵器の税率は、実は、ずつと前から違つて来ているわけでございまして、これは家具ならば大体どこの家庭でも必要とするが、冷蔵器を備えつける家庭はどつちかと申しますと、比較的少いというところから来ているのではないかと考えます。ことに電気冷蔵器のごときに至りましては、これはやはり今の段階では相当ぜいたく品と称すべきものでございまして、これはある程度高い課税をするのが当然だと考えております。これはだんだん氷の需給もよくなりまして、冷蔵器は衛生的な見地からも少し奨励をはかつたらどうかという情勢に、だんだん近づきつつあるようでございますので、今後においてはやはり御意見通り相当反省を加える必要があるのじやないか。その方法一つとしては、あるいは氷の冷蔵器の一定規格以上の大衆型と申しますか、そういうものについては免税をするかどうか、よく今後の問題として研究してみたい、かように考えております。
  82. 塚田十一郎

    ○塚田委員 次に楽器間の権衡の関係から若干不合理だと思われますのは、楽器が全部五割でまとまつていて、蓄音器が六割にすえ置かれて、ラジオが三割から二割に下つている点は、どうも変じやないか。ことに楽器は今までは二つに分けて、高いものと低いものがあつたのを、今度は一本にしてみなお下げになつたことはけつこうであるが、蓄音器だけ置いて行かれたのでは、蓄音器のいい音が出ないのじやないかと考えるのですが、この点はどうですか。
  83. 平田敬一郎

    平田政府委員 蓄音器等の楽器についての御意見ですが、楽器の中にもいろいろありまして、二つにわけて課税しておるわけです。たとえばピアノ等の楽器はそれだけに値段も非常に張りまして、高率課税ですといかにも値段が高くなるという点もございますので、この際としましてはむしろ税率を一本にして、課税した方がいいのじやないかという考え方で、昔にかえりまして一本にいたしたのであります。その結果楽器の中にいろいろございますものですから、勢い蓄音器等より一〇%だけ軽くなつておりますが、これは全体を考えますと、この辺でいたし方なかろう。将来さらに非常にこまかく考えます場合におきましては、確かに一つ研究材料ではあろうと考えますが、この際としましては、この程度でいいのではないか、かように考えております。
  84. 塚田十一郎

    ○塚田委員 局長は都合のいいときはぜいたく品とおつしやるが、今のようなものこそこれは冷蔵庫なんかと違つて、われわれから見れば手も及ばぬような富豪がお使いになるもので、これこそ庶民大衆には縁の遠いものである。これはいくら税がかかつて値が高くなつても一向さしつかえない。これは六割にしてさしつかえないという意味ではなくて—音楽器というものは五割あるいは三割にお下げになるのもいいのでありますが、これが蓄音器を六割に置かなければならないという理由にはならないと私は思うのであります。ことに蓄音器でも電気蓄音器というのは、ラジオと同じ性質を兼ねておるものでありますから、ラジオが二割になつてしまつたのに電蓄が六割ということはあまりにも不合理、不公平だ。そういう考え方から、これは将来はもつと蓄音器さらに楽器も合せて三割ないし二割に下げるべきでしようが、当面の措置として少くとも五割くらいまで下げておく必要がある。こういうふうに私は考えております。
  85. 平田敬一郎

    平田政府委員 今の蓄音器も決して税率が下らないわけではございませんで、今の八割が六割になるのであります。二割の税率引下げになるわけであります。ラジオは三割が二割に下りますので一割下る。価格から申しますと、むしろ蓄音器の方が下つておりますが、その辺は考え方によりましては、先ほど申し上げましたように、あまり下げる必要はないという議論もあるかもしれませんが、一面徴税上の問題その他を考えまして、今回といたしましては、この程度でひとつ御審議を煩わしたいと考えておる次第でございます。
  86. 塚田十一郎

    ○塚田委員 次にお尋ねしたいのは清涼飲料税でありますが、これはできることならば税金をとらない方がいいのだろうと思うのであります。またほかの国ではこういうものには税金をとつていないところもあるようであります。收入の関係があつて全廃というわけには行かないだろうと思いますが、ただ非常に困りますのは、清涼飲料は他にこれと競合するものがたくさんあるのであつて、たとえば同じく税をかけられておりますけれども、嗜好飲料、それから税のかかつておらぬものでありますと、アイス・キャンデーというようなものと需要が競合するのであります。これだけが不当に高い率で置かれることは、そういう意味においてやはり適当でないのじやないか。かように考えるのであります。それで嗜好飲料と清涼飲料との振合いをとつてみますと、政府はどういうように御計算になつたか知りませんが、私が手元に集めた資料では均衡がとれておらないように思う。こまかい数字は申しませんけれども、いろいろ業者の意向などを聞きまして結論として出しましたところでは、おそらく今度の改正案の半分あところに持つて来ていただくと、嗜好飲料の三割のところで実質的に同じ均衡のとれた税率というものが出て来るのである。こういうように考えられる。そこでそれじや減收するということでありますが、これは戰前のこういうものに対する需要面から見ましても、これが安くなれば相当販路が大きく出て来るというような関係で、おそらく減収はしないだろうという見通しが立つ、その点また業者もそれに同意見のようでありますので、この点は收入面に対する顧慮はそういうない。こういうように考えられるのですが、この点についてはいかがですか。
  87. 平田敬一郎

    平田政府委員 清涼飲料税につきましては、御指摘通りどもも主として嗜好飲料等とのバランスと申しますか、そういうものをもとにしまして税率を定めたのでございます。問題はたしかびんをどう見るかによつて、若干見解の差が出て来るかと思いますが、私どもの計算によりますと、大体これで権衡がとれるのじやないかというふうに考えておるのであります。その詳細につきましては、あるいは後ほど資料をもつて御説明申し上げてもよいと思う次第であります。
  88. 前尾繁三郎

    前尾委員長代理 本日はこれにて、散会いたします。     午後二時四十七分散会