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1949-11-09 第6回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月九日(水曜日)     午後一時十九分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 小峯 柳多君 理事 小山 長規君    理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 林  百郎君    理事 内藤 友明君       岡野 清豪君    佐久間 徹君       高間 松吉君    苫米地英俊君       西村 直己君    三宅 則義君       中崎  敏君    橋本 金一君       宮腰 喜助君    河田 賢治君       深澤 義守君    中野 四郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         (日本專売公社         監理官)         大蔵事務官   冠木 四郎君  委員外出席者         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本專売公社法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一六号)     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長代理 ただいまより開会いたします。  日本專売公社法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を継続いたします。川島金次君。
  3. 川島金次

    川島委員 私はこの法案に直接関係はないのでありますが、この機会政府側意見をただしておきたいと思うのであります。前回に欠席しましたので、あるいは前質問者と重複するのではないかと思いますが、それは御容赦願いたいと思います。  最近政府の方ではタバコ專売を一挙民営に移すという計画があるやに伝えられております。この專売民営移行案について現在政府はどういう考え方で進んでおるか。また專売民営との利害等についても、いろいろ研究をされて来たのであろうと想像するのでありますが、それに対する利害得失についての研究された意見があればこの際聞かしてほしい。まずこれをお尋ね申し上げます。
  4. 水田三喜男

    水田政府委員 お答えいたします。政府タバコ民営にするつもりがあるかどうかという問題でございますが、タバコ事業民営にしたらどうかという問題は一応民自党政策の中にもありますし、政府としてもここでこういうものを検討する時期であろうという考えから、本年の八月一日に臨時專売制度協議会というものを一応設けまして、ここでこういう問題を全般的に研究するということにいたしましたが、この協議会を設けるときには別に民営にするという意図を持つて設けたのではありませんで、こういう問題を検討してもらつて、そうして政府意見を出してもらうという、白紙の状態でこの協議会をつくりました。御質問がございましたので協議会の今日までの経過だけ、一応御報告したいと思います。     〔前尾委員長代理退席委員長着席〕  この協議会は八月一日に第一回の会合を開きましてから、八月二十八日まで五回にわたりまして、タバコ事業に関する詳細な基礎的の調査をいたしました。たとえばタバコ專売制度の沿革とか、外国タバコ專売制度研究とか、あるいはタバコ專売益金財政上の地位とか、タバコ品質、コスト、能率タバコ耕作農家経済関係とかいうようなものの調査をまず五回にわたつて行いました。その次に民営の可否の問題に移りましたが、抽象的な論議をしておつてもなかなかまとまらぬということを考えまして、もし民営にするというようなことにしたら、どういう形で民営にしたらよかろうかというような民営の形態について、一応具体案をつくつてみて、それをもとにして民営がいいか惡いかということを討議した方が、具体的になつていいという考えで、一応の案をつくるために小委員会というものを設けました。従つてこの小委員会は九月五日から九月二十六日まで五回にわたつて審議を重ねて、一つ成案を得ました。その成案もとにいたしまして、十月十日から十月三十一日まで四回にわたつて会議を開きまして、この審議は今まだ続行中であります。従つて結論は出ておりませんが、審議の状況を申しますと、民営とした場合に財政收入が確保されるかどうか、農家経済に対して惡い影響がないかどうか、タバコ品質はよくなるかどうか、事業能率向上するかどうか、資金の調達はできるかどうかというような点から、協議会は非常に活発に論議しております。この協議会構成員意見は大体におきまして、完全民営に至る段階措置として、小委員会できめたような民営案を実施すべきであるという者と、現在の財政経済状態から見て、ただちに民営を実施することは適当でないというような意見が二派ございまして、結論としましては、両方意見をそのまま政府答申して来るというようなことになるのじやないかと、現在予想されております。その民営案の小委員会できめた案というものは、大体民営の範囲を、葉タバコ收納については従来通り專売を維持することにして、製造販売民営としたらどうか、これを中心とした案を検討しているわけでありますが、現在まだ結論は出ておりませんので、従つて政府はこれを民営にするとかあるいは現在のままで置くという意見は、別に現存はきめておりません。以上だけ御報告いたします。
  5. 川島金次

    川島委員 この問題は前国会の終了直後に政府最高責任者である吉田首相が、車中談その他できわめて明確な方向を示唆して来ておる。ことに與党である民自党諸君におかれましては、すでに政策として民営案を打立てることを確認しておられるようであります。そこで続いてお伺いしたいのは、ただいまの協議会答申がまだ確定しておらないから、従つて政府方向も確定しておらないというお話でありまするが、しからば万一協議会民営は不可なりとの結論を出せば、今日の現状のままで專売を続行するつもりなのか。また協議会政府に対する答申において、民営に移すことを適当であるという結論に達した答申を受けた場合には、政府はこれを採択して実行に移すという考えであるか。この二つの事柄について重ねてお尋ねしておきたいと思います。
  6. 水田三喜男

    水田政府委員 この協議会は別に行政機関としての審議会というようなものではございませんので、この結論には別に政府は拘束されません。従つてここから反対答申があつても、政府はこの方がいいという考えがあつたら将来やるかもしれませんし、ここで民営を可とするという結論が出ても、いろんな現在の環境が熟していないという場合には、一応可とする方向政府考えておつても、これを同年かかつていつ実施するかというようなことは全然わかりませんので、この結論に縛られてただちに民営にするとか、しないとかいうことを現在考えておりません。
  7. 川島金次

    川島委員 そうすると重ねて一応承つておきますが、政府もまたその與党である民自党の党の政策といたしましても、いずれにしても、ただ党としては政策を掲げてはあるけれども、事実上は協議会答申いかんにかかわらず、目下の段階では專売を続けて行く方がいいという方向にあるのかどうか。あるいはまた逆にその協議会答申いかんにかかわらず、民営に移す方向を目ざしていろいろ考えられておるのかどうか。それをもう一ぺんひとつ明確にできましたらお答えを願いたい。
  8. 水田三喜男

    水田政府委員 この問題はひとりタバコ事業だけでなくて、電話とかそのほか鉄道とかいろいろな問題について、党としては将来民営という方向考えたいというので、研究の一歩をまずタバコ部門から踏み出したということでありまして、方向としてはそういう方向に行きたいというので研究をやつてはおりますが、そういう政策方向をいつ実現するかというようなことは、まだそのための検討でありまして、現在きまつておりません。
  9. 川島金次

    川島委員 まことにしつこいですが、もう一つ。そうすると、こういうふうに理解してよろしいですか。政府もまたその與党民自党も、ことに今問題になつておりまするタバコ專売民営に移すという一つ目標は持つておるが、今の段階では時期尚早であるがために、客観的な條件も熟しておらぬ等の考慮から、当分この問題には触れないという考え方態度で進むということに、理解をしてよろしいかどうか。
  10. 水田三喜男

    水田政府委員 まだ時期が熟していないとかどうとかいう問題も、私たちとしては愼重をきわめて、協議会研究してもらつて、その答申を待つておるということでして、まだ時期尚早だからやらぬということをきめたわけではありませんが、大体協議会協議のぐあいを見ましても、すぐにこれが実施できるような方向へは行かぬではないか。そう考えております。
  11. 川島金次

    川島委員 これはいずれ機会があるときにお尋ねをしたいと思います。  続いて最近新聞紙上で私は見たと記憶しておるのですが、タバコ製造の量を増大して、一方において売れ行きの不振をきわめておるピース値下げ、あわせてこれと同時に光の値下げをも、今度の臨時国会もしくは来るべき通常国会予算において実施したい、こういうような意向があるように新聞紙上に伝えられたと、私は記憶しておるのでありますが、その点について目下政府はどういうふうに考えられておりますか。ついでに尋ねておきたい。
  12. 水田三喜男

    水田政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、できればそうしたいという方針で、現在来年度の予算の問題に関して研究中でございます。
  13. 川島金次

    川島委員 その値下げをしたいという考え方はわかりましたが、その値下げの率はどの程度にするという方向で進んでおるか。発表ができるならば、この機会に伺つておきたい。
  14. 水田三喜男

    水田政府委員 今私たち考えております方向は、ゴールデン・バツトは大体今の程度にしておきまして、あとは少くとも十円ぐらいずつ値引きしたい、このように考えております。
  15. 川島金次

    川島委員 さらに、ついでですからお伺いしておきたいのですが、最近各全国の都市において生活協同組合活動が、一般市民生活安定向上に寄與する目標で、きわめて活発に展開されていることは政府もすでに御存じのことと思います。なおまた農村においては農業協同組合が、これまた農家生活生産向上目標としてそれぞれ、例外はありますが、具体的に積極的な活動が行われている実情であります。そこで政府考え方を私は承つておきたいのでありますが、この生活協同組合または農業協同組合に、タバコの小売りをできるだけ許可をするという方向に持つて行くことも必要ではないかと、私どもは最近深く感じているのでありますが、そういう考え方政府にあるかどうか。またそういうことについて何か考えたことがあるかどうか。それをこの機会に伺つておきたい。
  16. 水田三喜男

    水田政府委員 その問題は十分研究したいと思います。
  17. 川島金次

    川島委員 そうすると政府にも公社の方にも、またこの問題についての研究がされておらなかつたと理解してよろしいですか。
  18. 水田三喜男

    水田政府委員 よろしゆうございます。
  19. 河田賢治

    河田委員 先ほど政務次官からタバコ民営問題についてお話がありましたが、大体民自党政府でありますが、民自党としては電話鉄道等を将来民営に移して行くその第一歩として、タバコ民営を今研究中であるというお話であります。しかし、この民営に移すという理由といたしまして、なぜタバコ事業だけを民営に移さなければならぬか。つまり今日の経営では経営能率が惡い、あるいはタバコの味が惡いとか、あるいは経理が非常に困難であるとか、こういつたような具体的な問題があると思うのでありますが、そういう根拠についてもう少し具体的にお伺いしたいと思います。万一それをやらなければならぬかもしれぬという気持を今持つておられることに対して、その根拠を伺いたいのです。
  20. 水田三喜男

    水田政府委員 それは別に特別の根拠があつてというわけではございませんで、大体こういうタバコ製造事業とかあるいは交通事業電話事業その他にいたしましても、外国のいろいろな例を見ましても民営でりつぱにやつて行ける、こういう経済行為をできるだけ国家がやらないで、民営に移すというような方向は好ましい方向じやないか、こういう諸外国実情から出発して、日本現状でもそろそろこういう問題を考えようというだけでありまして、特に、これだからこれたけはしなければならぬという特別の理由があつて取上げたわけではありません。
  21. 河田賢治

    河田委員 目下この問題については協議会並びに政府においても未確定でありますが、これは大体通常国会においてはこの問題が決定されるお考えであるかどうか。この点をもう一度はつきりお伺いしておきたい。
  22. 水田三喜男

    水田政府委員 私の見込みでは決定されないと思います。
  23. 河田賢治

    河田委員 それから、ちよつと問題がこまかい点になりまするが、今度の改正法律案の第四十三條の二十一であります。つまり給與準則というところであります。現在專売局では定員法関係から、非常に人の削減をやつておるということを聞いておるのであります。しかしその反面におきましてたしか四千人でありまするか、ちよつと数ははつきりわかりませんが、臨時工なんかも現在雇つておられるということを聞いておるのであります。この点についてはいかがでございますか。
  24. 冠木四郎

    冠木政府委員 專売公社定員につきましても、定員法の拘束を受けまして三万八千百十四人ということにきめられまして、予算上は昭和二十四年度の当初の予算と比較いたしまして三千幾らですか、大体四千人近い数が減つておるかと思います。しかし実際行政整理といたしまして整理いたしましたのは、大体七百人ほどと記憶しております。なおお話がありましたように、臨時工員というものも予算上認められておりまして、相当その数がおります。
  25. 河田賢治

    河田委員 臨時工については私もよく実情をまた聞いておりませんが、労働基準法などにしましても、労働組合が当時者と契約しました場合に四分の三を本工員が持つておるときに、他の四分の一がよしんば契約に入つておらなくとも、同等の待遇を與えるということが、労働基準法の明示するところであります。かくして労働者生活を擁護するのであります。ところが聞くところによりますと、この臨時工にはやはり給與上の非常な差別が、配給物資あるいはまた賃金などにおきましてもある。こういう点はいかがになつておりますか。この点をひとつ御説明願いたいと思います。
  26. 冠木四郎

    冠木政府委員 專売公社といたしましても、臨時工員というようなものはなるべくなくしまして、ほんとうの社員というふうにしたいという考えは持つておるのでありますが、定員法で縛られまして、どうしてもやむを得ず臨時工という形になつております。その待遇につきましても、確かにお話のございましたように、社員と同じようには行かない点がございます。しかしできるだけ社員と同じような待遇をしたいということで努力はいたしております。
  27. 河田賢治

    河田委員 現存專売公社従業員諸君待遇の要求をされておると思いますが、現在の公社の方としましても、明二十五年度においてたしか四千五百円でありますか、こういう給與水準予算を組んでおるということを聞いておるのであります。政府は今日のこの労働者生活の非常な困難な條件もとにおいて、生産能率を上げるに十分な給與をしておるとお考えであるかどうか。その点をはつきりと御説明願いたいと思います。
  28. 冠木四郎

    冠木政府委員 專売公社といたしましては、專売局から今度公社というふうに形がかわりまして、その職員官庁職員でなくなりましたので、公社経営者といたしましては、なるべく待遇をよくいたしたいというような希望は持つておるようでありますが、公務員ではなくなつたと申しましても、同じく従来官庁職員として参つたものでありますし、その全額政府出資の国の機関に近いものであるというような関係から、この際すぐに公務員とそうかけ離れた給與にするということも、諸般の情勢上困難でありまして、やむを得ずそのような低い單価になつておるわけであります。
  29. 河田賢治

    河田委員 最後に第四十三條の二十一は、給與準則を定めなければならないということがここに書いてあるのですが、專売公社法の第二十一條にもはつきりと「公社職員給與は、その職務と責任に応、するものでなければならない。」第二項に「公社職員給與は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の從業者の給與その他の事情を考慮して定めなければならない。」こういうように書いてあるのでありまして、特に給與準則を今度改正になります会計法の中に入れるということは、技術上何だか妙なものになる、こういうように考えるのであります。特に二十一條にははつきり給與準則基準として、給與生計費国家公務員並びに民間事業従業者給與、これを考慮してきめるということにあるのでありますが、こちらの方にはそういうことがほとんどない。單に抽象的にうたつておるにすぎない。ただ問題になるのは予算で、給與の額が予算以上に上つてはならぬということは、これはきわめて明白にここには書かれてあるのでありますが、何だかこれでは予算だけで縛つておくというふうになります。結局労働者の最近のタバコ生産でも、相当能率が工場を調べてみると上つておりますが、こういう場合にも十分営利的な事業を加味する公社であればあるほど、やはり労働者生産能率に対しては、それだけの奨励的な意味から、給與をどんどん増してやるということにすべきだと思います。ところがこういうふうに特に予算の問題を出してわくを縛るという点と、それから技術上こういう給與規定というようなものが、会計法規の中に入つて来るというような点について、御答弁を願いたいと思います。
  30. 冠木四郎

    冠木政府委員 この法律の形でございますが、これは会計法というのではございませんで、同ずく公社法の中の一部をなすものでございますので、この中へ入りましても、形といたしまして別に不自然なこともないかと思います。ただこういうような規定によつて予算で縛られてしまうということになりますのが、非常にきゆうくつだという点につきましては、そういう見方も確かにできると思いますが、公社の性質から申し上げまして、ある程度はやはりこういうような制限は必要ではないかと思つております。
  31. 川野芳滿

  32. 深澤義守

    深澤委員 このタバコに関する問題について、第四国会においては專売局專売公社となり、さらに木臨時国会においてはまた專売公社法の一部が改正される。さらに来るべき通常国会においては民営論が問題になる。まことにねこの目がかわるごとくにかわつて来つつあるわけであります。この問題については、われわれ專売公社というものの本質はつきりしなければならぬというぐあいに考えるのであります。日本タバコ專売という問題は、大体徴税目的としたところから起つているようにわれわれは思うのであります。つまり国家材政の一役を買つてつておるという意味において、この專売というものか生れたというぐあいに考えるのでありますが、新憲法下において、政府機関の一切は国民に奉仕する一つ機関である、ということになつて来るわけであります。従つてタバコ製造いたしますところの專売公社というものは、国民に最も奉仕する。最もうまいタバコを安く供給する任務を、明確にしなければならないとわれわれは思つております。ところが現在の状態におきましては、おそらく世界で一番まずいタバコを、一番高い値段で売りつけておるというのが、今日の專売公社の性格であるというぐあいにわれわれは考える。従つて政府は一体この專売会社の今後の運営を、徴税目的とする組織として運営されて行くのか。それとも国民に対して最も安いタバコを、最も品質のいいものを供給するという目的で行くのか。どちらに本質的な目的を置いて專売公社運営をされて行くのか。この点についで私はお伺いしたいと思います。
  33. 冠木四郎

    冠木政府委員 ただいまのお話の二点は、公社本質といたしましては両方目的であるかと思います。今までは財政收入という点が強かつたのでありますが、財政収入の点はことしも千二百億であり、来年度もまた千二百億ということになりまして、製造数量が相当増加いたしますために、先ほど政務次官から話がありましたように、値下げもある程度可能であるというふうになつてつております。品質の点につきましても、今までは主として財政收入目的といたしまして、品質という点はちよつとおろそかになつてつたような感じがございますが、今後は品質の点につきましても相当努力して参りたいと思つております。
  34. 深澤義守

    深澤委員 今の御答弁でありますが、どうもわれわれにはそういうぐあいに受取れない。何となれば先ほども政務次官が御答弁になりましたように、バツト値段はそのまますえ置くが、ほかの高額のものは十円ずつぐらい引こうというお話でありますが、ここにやはり問題がある。バツトの方は一個にいたしましても十円くらいの利益金しかないのであります。ところがピース等におきましては、五十円余の利益收入がある。しかもこのピース世界的水準を行く品物であるというぐあいに宣伝されておりますが、具体的にわれわれが使用いたしますと、とてもそれは世界的水準どころではない。問題にならないほどのまずいタバコが、高く売りつけられておるというのが今日の現状であります。真に国民利益に奉仕するところの專売公社であるならば、バツトという価格の低いものを多量に生産いたしまして、しかもこれを品質をよくして供給するということでなければならないのにかかわらず、依然としてピースとかあるいは光という方面に重点が置かれている。それは結局国家収入を多くいたしまして、つまり專売益金を確保しなければならぬというところに重点があるということが、われわれに想像がつくのであります。そういう意味において、今の御答弁ではわれわれはまことに不満でありますが、さらにもう一つお伺いしたいことは、政務次官タバコ民営問題についてはまだはつきりきまつていないということを言われておる。しかし協議会をつくられたこと自体に、もう民営へ持つて行く意図が現われておる。さらに政府責任者である吉田総理は、はつきりとそれを言明されておる。しかもなおわれわれが見のがすことのできない事実は、このタバコ民営によつて外資を導入するということをはつきり言われておる、日英タバコ・トラストの外資が入つて来るということを計画されておる。こういうことをわれわれは新聞等において見ているのであります。従つてタバコ民営に持つて行き、外資を導入するというこの意図はもうはつきり現われておる。そのために全国五十万の耕作農民からは、非常にこの民営問題について反対意見が出ておる。あるいは專売公社従業員諸君も、街頭に出て反対の宣伝をいたしております。さらに全国販売業者といたしましても、その地位の不安のために非常な大きな動きがあると思うのであります。政府はこの民営にするというところの方針をまたはつきりしないとか、そういう意味において隠蔽されているが、事実としてはそういうことが現われて来ておる。この点についてもう一ぺん政府の御意見を承りたいと同時に、この民営に関しまして外資を導入するという吉田総理のあの声明を、政府はどの程度考えておられるのか。その点をもう一ぺんお伺いしたいと思います。
  35. 水田三喜男

    水田政府委員 先ほど御説明しましたように、この点については協議会研究してもらつておるという程度を一歩も出ておりませんので、外資の導入をどうするとか、必ず民営にするというようなことは全然まだきまつておる問題でございませんので、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  36. 深澤義守

    深澤委員 すでに日本專売新聞という新聞におきましては、タバコ民営賛成反対の議論が、相当要職にある人たちが参加いたしまして議論されているのであります。従つてもうこういう問題を具体的に事実として発展しているということは、われわれの見のがすことのできない問題であります。政府はそういう事実をまだ決定しないとかいうことによつて隠蔽されていることは、まことにわれわれは不満である。なぜかなればこの民営かあるいは現状を維持するかという問題は、全国五十万の耕作農民に対して非常な影響を持つのであります。そういう意味において、われわれは一日も早く態度を明確にさるべきことを要求するわけです。  もう一つお伺いいたしたいことは、このたびの專売公社の一部改正案は、合理的、能率的な会計制度に改めるというところに主眼かございまして、專売公社の会計の独立性というものに、非常に重点が置かれているようであります。これがタバコ民営論の第一歩ではないか、その前提としてこういうものを今考えられているのではないかというぐあいに、われわれは想像できるのでありますが、その点についてひとつ政府の御意見を拜聽したいと思います。
  37. 水田三喜男

    水田政府委員 これは全然民営論を前提として、こういうふうな会計規定を置こうというのではございませんで、今までは政府機関でありましたので、これが公社というものになつたときに、同時にこの会計の規定はかえるべきであつたのでありますが、同時に間に合わなかつたために切り離して、今公社なつ現状に即応した弾力性のある会計規定をつくろうというので、改正案を出したわけでございまして、民営案を前提とした改正では全然ございません。
  38. 深澤義守

    深澤委員 お伺いいたしますが、今問題になつておりますのは、民営論根拠といたしまして、今までまずい高いタバコ国民に供給したが、民営にすればうまい安いタバコが供給できるのだというような意見が相当あるようであります。政府としては現状專売公社の形において、うまくしてしかも安いタバコを供給し得る確信がおありになるかどうか。その点をひとつお伺いいたします。
  39. 冠木四郎

    冠木政府委員 安いという点でございますが、現在のタバコの原価を見ますと、六十円で売つておりますピースが五円五十銭くらいのものでございます。これを能率を上げて安くするといたしましても、ごくわずかな金額になると思います。従いまして安いという点につきましては、民営でも官営でもそうかわりはないというように考えられます。次に味の点でございますが、この点につきましては、外国の葉でも入つて来ない限りは、民営になりましても現在の公社の形でも、そうかわりはないかと思います。
  40. 深澤義守

    深澤委員 もう一点先ほど河田委員質問いたしました中で明確にならない点がございますので、お聞きいたしたいのでありますが、この專売公社の従業員の給與は、二十五年度の予算では四千五百円を基準として組まれているそうであります。先ほどの政府委員の御答弁によりましても、大体それが確認されているようでありますが、これは非常な低賃金でありまして、タバコ値下げするというそのこと自体が、結局この労働者の低賃金の犠牲において、これが行われるというふうに計画されておるのですが、この点について伺います。
  41. 冠木四郎

    冠木政府委員 現在は專売公社職員給與につきましては、従来の公務員の六千三百円べースでやつております、これが二十五年度の予算では四千円ほどの本俸になつておりますが、これが非常に低いのは、專売公社職員の構成が女子の独身の者が多い、年齢の少い者が多いというような関係で、一般の官庁職員の平均よりも低くなつております。来年度の予算の金額はまだ確定いたしませんが、大体お話のあつたような程度になるかと思います。その金額で行きますと、今年度の予算高よりは低くなります。なお十分ではありませんが、この点につきましては公務員との権衡もございまして、早急に專売公社職員だけ上げるということも困難な情勢にあるわけでございます。
  42. 深澤義守

    深澤委員 今の予算の問題につきましてもう一点お伺いしたいことは、この專売公社の従業員に対しまして、なお員を減少するがごとき計画があるやに承つておるのであります。しかし現在以上に人員が減らされることは、專売公社事業関係に対しまして、非常な影響があるということをわれわれは聞いておるのでありますが、当局としてはなお專売公社の人員の整理をやられる計画があられるのかどうか。その点ひとつお伺いいたしたいと思います。
  43. 冠木四郎

    冠木政府委員 これ以上減らす計画は全然ございません。
  44. 川野芳滿

    川野委員長 林百郎君。
  45. 林百郎

    ○林(百)委員 タバコその他の專売公社ができたときは、この事業に独立性を與えるという目的から專売公社なつたと思います。これは水田次官にお尋ねしたいのですが、この改正案を見ますと、ある一面においては会計の点である程度の融通性を與える点も見られますが、非常な細目の点まで大蔵大臣の承認を得ることになつておるのであります。たとえば三十四條の一項の第二号あるいは四十三條の五の二号、三号、こういうような点で大蔵大臣がすべて資金計画の実施限度をきめるとか、あるいは予算の提出を受けたときには必要な調整を行なうとか、いろいろな点で大蔵大臣の承認を得るということが、各條文にうたわれておるのであります。これはせつかく日本專売公社をつくつて企業の自主性と独立性を與えたのと、逆行するような感があるのでありますが、この点はどう考えられますか。
  46. 水田三喜男

    水田政府委員 これは別に逆行いたしませんで、これが公社たるゆえんであつて、純然たる民間会社ではございませんので、国家がこれに関する特別会計をもつて監督する義務がある以上、大蔵大臣の必要な範囲の権限は当然公社につきまとうというだけでありまして、別に逆行しているというふうには考えておりません。
  47. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると現在の監督の範囲よりもなお本改正法のごとき、いろいろの細部の点にわたるまで、大蔵大臣の指示、承認、決裁を経なければならないというような條文を加えた理由はどこにありますか。
  48. 水田三喜男

    水田政府委員 現在よりは、はるかに大蔵大臣の監督の範囲は狭くなつております。
  49. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると具体的にそれを示して見てください。われわれの方では具体的な條文を見ると、むしろ従来よりも大蔵大臣の承認決裁事項が多くなつておると解釈しております。
  50. 冠木四郎

    冠木政府委員 現在は公社の会計につきまして財政法、会計法予算決算及び会計令というような国の会計法規が、そのまま大体において適用になつております。今度そういう点が相当広く簡單になるのでございまして、そのうちのおもなものを申し上げますと、たとえば予算の流用につきましても、現在であれば原則として予算の流用は、大蔵大臣の承認を要するというようなことになつておりますが、今度の改正におきましては、原則としては流用は自由である。ただ特定の経費についてだけ、大蔵大臣の承認を要するというようなことになります。さらに予備費の使用、それから予算の繰越しというような点につきましても、大蔵大臣の承認なしに自由にできるということになります。さらに現在でありますと、たとえば支出負担行為の軽減、それから支拂い計画、こういうようなものにつきまして大蔵大臣の承認ということになつておりますが、こういう点もはずれることになります。さらに前金拂い、概算拂い等につきましても制限がなくなる。それから契約等につきましても公社が自由にできるようになるというような点で、相当国の監督というものが現在よりは少くなるということになります。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと私の方であげますこの例ですが、たとえば四十三條の五、大蔵大臣は資金計画が国の資金の状況により実施することができないと認めるときは、その実施することのできる限度を公社に通知する。公社は前項の通知を受けたときはその通知に基いて資金計画を変更する。四十三條の二、公社予算で指定する経費の金額については、大蔵大臣の承認を受けなければ流用することができない。公社は予備費を使用する場合には、大蔵大臣に通知しなければならない。それから第三十九條に、公社は、予算の作成後に生じた避けることのできない事由により、必要がある場合は追加予算を作成し、これを全部大蔵大臣に提出する。そのほかの項目があるのでありますが、これは新しく設けたのか。従来やつていたことを法制化したのか。その点をお聞きしたい。
  52. 冠木四郎

    冠木政府委員 以上の点につきましては、いずれも現在の制度におきましては、やはり大蔵大臣の承認、むしろ先ほど申し上げましたように予算の流用、それから予算の繰越しというような点につきましては、現在よりはずつと楽になるということになります。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 その点は見解の相違としてこれ以上私はつつ込みません。そうすると四十三條の四は予備費を使用する場合は通知だけでよいのか。何ら大蔵大臣の意思表示を必要としないか。この点をひとつお伺いいたします。
  54. 冠木四郎

    冠木政府委員 予備費の使用につきましては、通知だけでよいわけであります。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 次に四十三條の二の流用の点ですが、予算で指定する経費の金額は、大蔵大臣の承認を経なければ流用できないというこの目、節、これは国会の承認を必要とするかどうか。
  56. 冠木四郎

    冠木政府委員 予算の流用につきましては現在では目、それから大蔵大臣の指定する節の経費については大蔵大臣の承認ということになつておりますが、今度の改正法におきましては原則としては自由である。ただ特に予算で定められた経費についてだけ、大蔵大臣の承認を要するということになります。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 次に三十九條ですが、「公社は、予算作成後に生じた避けることのできない事由により必要がある場合に限り、」云々、これはたとえば公共企業体労働関係法等によつて、団体交渉の結果賃金べースが上るというような場合も、この項目によつて追加予算を作成して大蔵大臣に提出するかどうか。
  58. 冠木四郎

    冠木政府委員 団体交渉によりまして給與水準が上るという場合におきましては、政府はそれに拘束されまして、国会予算を提出する義務があるということになります。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると団体交渉等によつて公社が賃金ベースを上げることを承認した場合も、その中に含まれますかどうか。
  60. 冠木四郎

    冠木政府委員 ただいまお話の点は、公共企業体労働関係法の第十六條によりまして、「公共企業体の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。又国会によつて所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。」とございまして、第二項に「前項の協定をしたときは、政府は、その締結後十日以内に、これを国会に付議して、その承認を求めなければならない。」とございますから、この規定によりまして、政府はその協定による給與水準につきましてこれを国会に付議するということになるわけです。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると一応四十三條の二十一があるのであるが、今言つたような団体交渉の結果、賃金ベースが上つたりいろいろする場合は、ただいまの三十九條によつて四十三條の二十一の場合の例外というか、救助方法が講ぜられるものかどうか。
  62. 冠木四郎

    冠木政府委員 給與水準を上げます場合には、今度の四十三條の二十一によりまして、公社としては予算に縛られまして、予算以上の給與準則は定めることができないということになります。それで予算以上の給與準則を定める場合におきましては、まず予算をとりまして、それに基いて給與準則を定めることになるわけでございます。
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 ですから予算の先に給與準則をきめてしまうと、もし団体交渉等によつて賃金べースが上る場合は、その救済方法を講じておかないと、結局一定のわくの中で賃金ベースが上るから、首を切るとかなんとかいう方法が出て来ると思う。だからそれは三十九條によつて救済し得るかどうか。また予算作成後の避け得ざる事由という中にそういうものが入るかどうかお伺いしたい。
  64. 冠木四郎

    冠木政府委員 給與水準を引上げる必要がございます場合には、三十九條によつて追加予算をとればできるわけでございます。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 そこは大事なところなんで、とればやるんだけれども、とるような手段を講ずるのかどうか。だから四十三條の二十一の職員給與の問題は、やはり三十九條の中の予算作成後に生じた避け得ざる事由によつてなし得るかどうか。また公社としては必ずするかどうかということなのです。だから四十三條の二十一というものは彈力性があつて、三十九條によつて救済することになるのかどうか。
  66. 冠木四郎

    冠木政府委員 先ほども申し上げましたように、それは追加予算を提出し得るわけであります。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 四十二條の二十一の給與準則というものは現在大体できているかどうか。できているなら資料として提出してもらいたい。
  68. 冠木四郎

    冠木政府委員 まだ給與準則は定まつておりません。近く定める段階に至るかと思います。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 この点は実はこの公社法の一部改正について、労働者側にとつて一番関心の深い條文だと思うのです。少くともこの法文で給與準則をきめるという以上は、何らの腹案なくしてこんな言葉が出て来るはずもない。だから今できている法案を作成する当時の案でいいから、資料としてぜひ提出してもらいたいと思います。全然なくて條文にこんな言葉が出て来るはずはないと思います。
  70. 冠木四郎

    冠木政府委員 現存專売局時代の給與規定そのままで行つておりまして、たしか現在新しい給與準則につきまして団体交渉をしているかと思います。現在のところは專売局時代の給與規定そのままでやつております。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとこの法案が通つて給與準則をきめる場合には、もし今の団体交渉が妥結すればそれによるし、そうでない場合には、現存公社給與規則か何かに従つてつくらるべきものかどうか。その点をお伺いいたします。
  72. 冠木四郎

    冠木政府委員 お話の通りになさるかと思います。
  73. 林百郎

    ○林(百)委員 水田次官にお聞きしたいのですが、四十三條の十二の価格差補給金の点ですが、吉田内閣の政策としては補給金の削減ということを盛んに言つておる。具体的に言えば補正予算の点、あるいは来年度予算の中で従来の補給金をほとんど削除しておる。鉄道、通信事業についても独立換算制という意味で、一般会計からの補給を杜絶する。そのためにこそ行政整理をしておるわけですが、タバコ事業についての価格差補給金というこの補給金と、他の民間の補給金あるいは鉄道、通信事業への一般会計からの補給金というか、一般会計よりの補助金、こういうものと何か性格的に違う意味があるのかどうか。
  74. 水田三喜男

    水田政府委員 タバコについては現在補給金はございませんし、また将来も考えられないと思います。ただ專売事業については塩がありますが、塩の補給金ということになりますと、一般の補給金と同様の性質のものと思つております。
  75. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、一般のものに対する補給金はなるべく削減するという方針と、この補給金を認めるということをわざわざ條文に入れた点、これはどうなるのですか。
  76. 水田三喜男

    水田政府委員 一般のものも削減するという方針はとつてつても、現に補給金は出しておりますし、專売局の塩についても、補給金をだんだんに切つて行こうという方針は同様ですが、現在やはりありますし、将来も若干残るということが予想されれば、ここにこういう條文を入れておいてもさしつかえないと思います。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると專売事業について、もしそういうものを認めるならば、鉄道とか通信、こういうものも、何も独立採算制ということを強調して、運賃を上げるとかあるいは郵便料金を上げるとか、行政整理をするということではなく、やはりそういう公的な、われわれの生活に重要な面であつて、その価格を上げることが、一般の国民生活影響することがはなはだしいという意味で認めておると私は思う。そうするとこの塩とかしようのう、こういうものの補給金を認めるものならば、他の事業にも認めるべきである。この点特に專売事業だけに、條文をもつて価格差補給金を認めた理由はどうなのですか。
  78. 水田三喜男

    水田政府委員 他の会計には現在補給金ということを認めていませんから條文がないだけでありまして、現在專売事業にははつきりと価格差補給金を出しておる塩というようなものを持つておりますから、特に書いただけで、将来補給金がなくなつてしまえば、この條文はいらないということになります。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 それがはつきりしないのですが、たとえば鉄道や郵便事業などに一般会計から補助金を出しておると思うのです。これは何も條文でうたわないでもみな出しておる。ところが政府はこれをだんだん削減しようとしておるわけです。もしそういう一般会計からの補助金があるから條文でうたうというなら、鉄道あるいは郵便の法規の中にもこれをうたうべきであるし、一般会計から補助するということをうたうべきであつて、われわれは常にそれを主張しておるわけです。ところが吉田内閣は独立採算だ、独立採算だといつてみなそれを削つてしまう。たまたまこの專売公社法を見ると、わざわざ補給金を出すということを條文でうたつてある。こういうことを專売事業だけに特に認めたのはどういうわけか。もし專売事業国民生活に非常に重要だという意味で認めるならば、他の政府事業としてもわれわれの生活に重要な意味で、やはりこういうことをうたうべきが当然だと思うのですが、その点の矛盾がわれわれにはわからない。
  80. 水田三喜男

    水田政府委員 他の会計に対しましては補給金がなくて、「一般会計から交付金を交付する」ということで、交付金を交付する規定を設けてありますので、その点は別に矛盾しないと思います。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、一般の、たとえば鉄、非鉄金属、肥料、そういうような事業の補給金はどういうことになりますか。それは補給金という名前で会計にも計上し、予算の項目の中にもうたつてあるわけですね。
  82. 水田三喜男

    水田政府委員 国有鉄道法の四十三條に「政府は、日本国有鉄道に損失を生じた場合において特別の必要があると認めるときは、その損失の額を限度として交付金を交付することができる。」こういう規定がありまして、鉄道会計に損失が出た場合には、それを一般会計から補填するという規定を置いておりますので、こういう会計に対しては交付金でやるし、それから專売会計については補給金を出すということに、別に問題はなかろうかと思います。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 それではその点はそれで了解しました。  その次に四十三條の十三ですか、公社は、毎事業年度の決算上の総收益から総損失を控除した金額から左の各号に掲げる金額を控除して得た金額を国庫に納付しなければならないという、この條文の趣旨ですが、この條文はなぜ設けられたかということをお聞きしたい。
  84. 冠木四郎

    冠木政府委員 四十三條の十三の趣旨は、專売公社事業益金を全部国に納付するということになりますと、この一号に書いてありますような固定資産、無形資産及びたなおろし資産の額が、前年度末よりも増加いたしました額につきまして、それだけ現金がないということになりまして、公社の資金繰りに困るという趣旨で、資産の増加した額だけは控除して国に納付させるという趣旨でございます。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 これはあらかじめ政府の方は專売納付金として示すのかどうか。そのときの決算によつてこの額は違つて来るのかどうか。
  86. 冠木四郎

    冠木政府委員 決算によつてやります。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 この固定資産の償却費を除いたものを全部国庫に納付するのでありますか、そうすると特別な能率が上り、非常に成績が上つたというような場合に、この利益職員給與だとかあるいは厚生施設の方へまわす、いわゆる職員の労苦に報いるという方面は全然考えられないで、この償却費を除いたものを全部国庫へ納付するということになりますか。
  88. 冠木四郎

    冠木政府委員 決算上利益がよけいに出たからといつて、それを賞與のような形式で職員にまわすということは、今度の法律の上からはできないことになつております。能率が上つたためにそれに報ゆる報奨といたしましては、予算上の措置といたしまして、タバコ事業につきましては増産報奨金というのがございまして、工場職員に出すことになつております。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、今言つたのは厚生の施設だとか、あるいは職員給與の増額という方面へは、利益が上つた場合には特に考慮するということは考えていないわけですか。
  90. 冠木四郎

    冠木政府委員 そういうような考慮もこの法律を立案いたします際に考えたこともございますが、諸般の情勢上益金は全部国庫へ納付することになりました。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 その諸般の情勢がどういう情勢だつたかということをお聞きしたい。これが純粋の政府事業でなくして、やはり公社という形になつていますから、そういう点はやはり職員が苦労したり能率が上つたときには、することを得ぐらいのことは一言ぐらい書いておいてもいい。諸般の事情で書けなかつたというその諸般の事情はどういう意味か。
  92. 冠木四郎

    冠木政府委員 專売事業と申しますものが、結局国の財政收入のためにあり、また公社政府の全額出資のものであるというような性質から、利益が出た場合に会社のような賞與を出すということが、結局認められなかつたわけでございます。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると利益がたくさん上れば上るほど、国庫への納付が大きくなるということになるので、従業員の側にとつては何らの恩沢もないというように解釈されますが、それでいいのですか。
  94. 冠木四郎

    冠木政府委員 予定以上の利益が生じました場合にも、現在の法規の上では何らの恩典がないということになります。ただ今後の運用といたしまして、そういう場合にはなるべく予算上の措置を講ずるように努力いたしたいと思います。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 その点ですが、たとえば具体的に言いまして、先ほどの四十三條の二十一の給與準則にまた帰るのでありますが、大体この四十三條の二十一によりますと、一定の給與予算をきめて定員数でかけて、大体その一年のわくがきめられてしまうということになると思います。そこで今、団体交渉中ではありますけれども、この法案が通つた際には、給與準則の来年度のベースは四千五百円、こういうベースを給與準則として組まれるのかどうか。
  96. 冠木四郎

    冠木政府委員 大体そういうことになると思います。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、われわれが考えますと、定員だとかあるいは給與というようなものは団体交渉によつて決定されるので、あらかじめ法律によつてこうわくをきめられてしまうと、一定のわくの範囲の操作になるからどうしても労働者の犠牲が出て来る。だから公共企業労働法の八條による団体交渉の結果にまつというようなことを、この法案の立法の際に考慮されたかどうか。どうしてこの給與準則のこの規定が出て来たかということをお聞きしたい。
  98. 冠木四郎

    冠木政府委員 この規定日本国有鉄道法の今度提出いたしております改正法案にも、同じような規定がございまして、結局公社というものの性質の見解いかんになるかと思いますが、こういう規定が設けられましたのは、公社と申しますものの公務員ではなくとも、やはりその性質から言つて相当の制限が必要だというような見方から、こういうことになつたわけであります。
  99. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 水田さんにお尋ねしたいと思います。タバコの耕作のことでありますが、耕作面積をふやしてくれという農業者からの強い要望が実はあるのであります。ところがタバコ耕作面積をふやすということは、一方において食糧生産の耕作面積が減るということなのでありまして、タバコによるものはそれによつて得られるか存じませんが、そのかわり食糧が不足いたしましてよけい輸入しなければならぬので、その方の損失もまたあるのであります。従つてどの程度食糧耕作面積とタバコ耕作面積とを振りわけるかということは、簡單な問題では実はないと思うのであります。そこで今度も何がしかふやされたようでありますが、そのふやされますときに、食糧行政をあずかつておる農林省と、何らかそういうお打合せをなされたかどうか。またなさるべきものでないとお考えになつておるのかどうか。その点をまずお伺いいたしたいのであります。
  100. 冠木四郎

    冠木政府委員 タバコの耕作面積は、本年度は五万町歩でありますが、来年度はそれを五万二千町歩にするということになつております。その面積をきめるにつきましては、農林省と打合せをいたしております。
  101. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 来年度は二千町歩をおふやしなさるというただいまのお話でありますがその二千町歩はどういう基準で各県に割当てられるのか。実は聞くところによりますと、非常に猛烈に運動するところへのみ、よけいに持つて行かれることがあるようなことを農民は言うのであります。これはその基準が何かあるのですか。もしありましたらひとつお聞かせ願いたい。
  102. 冠木四郎

    冠木政府委員 葉タバコ生産につきましても、今後できるだけ品質本位で行きたいということで考えまして、種類から申しますと、できるだけ黄色種の品質を多くしてバレー種はできるだけ減らし、在来種も在来種のうちで品質の悪いものはなるべく減らすというふうに考えております。
  103. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 バレー種とか松川種ということはわかるのでありますが、実はずつと見ておりますと、適地適作主義でないような気がするのであります。猛烈に運動するものが、顔役が專売局へ行つて頼むと、そこにどつさりやるというふうな傾向があるのであります。お話のように黄色種をつくる。それからバレー種をだんだん松川種にいたして行くということは、よくわかるのでありますけれども、現実はそうでない。運動するところばかりに行くという傾向があるのでありますが、何かあなたの方で地方の專売局に、こういう標準でやれ、あるいは適地適作主義で考えてやれというふうなことをなさるのか、なさらぬのかということを、はつきりお聞かせ願いたいと思います。
  104. 冠木四郎

    冠木政府委員 公社といたしましても適地適作主義で参つております。もし一部の運動する者の方によけいに行くというようなことがありとすれば、それは非常に遺憾な点でございますから今後注意したいと思います。
  105. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑ございませんか。前尾繁三郎君。
  106. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 私は法文の問題についてお尋ねいたしたいと思うのです。まず第一は資本金と積立金の関係ですが、資本金と積立金はこういうような官庁会計でありますから、民間の会計とは非常に違うと思います。従つて積立金がどういう基準で積み立てられるかということは非常に問題だと思います。その点についてまず第一にお伺いいたしたいと思います。
  107. 冠木四郎

    冠木政府委員 積立金の規定は第四十三條の十三にございまして、事業益金の中からまず国庫へ納付するものを差引きまして、その残りを積立金とすることになります。それで結局固定資産、無形資産、たなおろし資産の合計額が、前年度末に比較いたしまして増加しましたものが、積立金として行くことになるわけであります。
  108. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 そうすると、その年によつて非常に基準が違う。たなおろし資産が非常に減つた場合は減らすというような問題になると思うが、そういう点はどうなりますか。
  109. 冠木四郎

    冠木政府委員 ただいまお話のたなおろし資産がある年によつて非常に減つたというような場合には、積立金を減少するということになります。
  110. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 第二点として資本金と長期借入金の関係です。長期借入金をどういうような條件の場合に長期借入金で行くか、あるいは資本金で行くかというような基準について一応お伺いいたします。
  111. 冠木四郎

    冠木政府委員 タバコ專売事業の性質といたしまして、長期借入金にたよるということはあまりないかと思います。しかし一応規定は入つておりますが、実際に借入れするということはこれまでもございませんし、今後もあまりないかと思います。
  112. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 そうなると、あまり御都合主義でどうにでもなるようなお話ですが、何らかそこにはつきりした基準を置いておかぬと、そのときの都合によつてどうにでもなるというおそれがあると思うのですが、その点はつきりお答え願いたい。
  113. 冠木四郎

    冠木政府委員 今度の改正法では、益金の納付につきまして概算納付という制度もございますが、概算納付の額が相当多く概算納付しなければならぬということになりますと、資金的に見まして相当の長期の借入金ができるようになつて来るかと思います。そういうような場合には固定資産の増加額等につきまして、長期借入金にたよつて行くということになつて来るかと思います。
  114. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 次に政府の短期借入金と国庫余裕金の一時使用と、こう二つ併置されておりますが、これもやはりどつちでも御都合のいい方でというのもあれだと思いますが、それに関する何らかの基準があればお伺いしたいと思います。
  115. 冠木四郎

    冠木政府委員 ただいまの点は国庫余裕金がございます限りは国庫余裕金で行きまして、国庫余裕金がない場合に貸付金で行くということになります。
  116. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 その場合利子はどういうことになりますか。
  117. 冠木四郎

    冠木政府委員 利子は両方ともつかないことになつております。
  118. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 最後に一点だけ、四十三條の十八に「政令の定める範囲内において、郵便局又は市中銀行に預け入れることができる。」となつておりますが、原則としてはおそらく市中銀行に預け入れられることはないと思いますので、この政令で定める條件その他について一応お聞きしたい。
  119. 冠木四郎

    冠木政府委員 政令で定めますのは預金の金額の限度、または預金しております期間等について、たとえば期間等につきましては一週間以内というようなことが定まるかと思います。
  120. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 どういう場合に市中銀行を使いますか。
  121. 冠木四郎

    冠木政府委員 この四十三條の十八の但書で「但し、現金を安全に取り扱うため、日本銀行の支店又は代理店を簡便に利用できないときは、政令の定める範囲内において、郵便局又は市中銀行に預け入れることができる。」ということになつておりまして、現在市中銀の利用ができないので不便のございますのは、ただいまタバコ販売所からタバコ小売店に売ります場合に、相当大きな金額を取扱いますが、それを集めるについて、またそれを一時市中銀行にすぐ預入できない。日本銀行の支店、代理店に持つて行くといいましても、それが相当不便だというような場合に、その金を公社販売所の職員が扱つておりますが、そういうような点に相当不便がございますので、そういうような際に市中銀行の者に出張してもらつて、やつてもらうというようなことになりますと、非常に便利になると思います。
  122. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 そういうことになると、今おつしやるような場合には、六大都市なんかではたいがい日本銀行の代理店があると思います。ただ多少不便だということになれば、大都市で日本銀行の支店まで行くことが非常に困るというような場合だと思います。そういうことになりますと、市中銀行がこれをせひ指定してもらいたいというようなことになりはしないかと思います。そういうような点についての何らかの基準はつきりさしていただきたいと思います。
  123. 冠木四郎

    冠木政府委員 ただいまのところ、またその基準についてはつきりしたことを考えておりません。
  124. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私はこの法案についてはきわめて重大でありますから、タバコに対しましては、その製造地でありますとか、あるいは耕作反別または公社におきましての製造能力及び種類、こういうものについての資料を昨日要求しておきました。これはしようのうについても、また塩についても同様であります。これを一日にしてつくることは困難かもしれませんが、大蔵省には相当の役人がおりますから、明日あたりにはこれをガリ版に刷つて全大蔵委員に配付されるよう、委員長を通じて政府の方に嚴達されんことを特に要望しておきます。
  125. 川野芳滿

    川野委員長 委員長からも政府当局に特に御要望申し上げますが、委員から要望の資料は至急提出を願いたいと思います。
  126. 水田三喜男

    水田政府委員 承知いたしました。
  127. 河田賢治

    河田委員 現在までのタバコ生産並びに販売された数量に関する資料と、それから先ほど三宅委員からも出されましたか、明年度のタバコの大体の耕作面積についてのできる限り詳しい資料を、各府県別にお願いしたいと思います。それから現在のこの法案の中の給與規定に関する資料もお願いします。
  128. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑はございませんか。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 これは非常に重要な法案でありますので、提出された資料に基いて質疑をいたしたいと思います。実はただいまも專売公社の従業員から、給與規程に関する請願が手元に配付されておりますから、質疑を続行することにして、きようはこの程度にて散会していただきたいと思います。
  130. 川野芳滿

    川野委員長 それではこの程度にて散会いたします。     午後二時五十三分散会