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1949-11-29 第6回国会 衆議院 選挙法改正に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十九日(火曜日)     午後三時五十分開議  出席委員    委員長 生田 和平君    理事 加藤隆太郎君 理事 栗山長次郎君    理事 小玉 治行君 理事 前田 種男君    理事 並木 芳雄君 理事 谷口善太郎君    理事 逢澤  寛君       川西  清君    北澤 直吉君       佐瀬 昌三君    千賀 康治君       田中 重彌君    中川 俊思君       藤枝 良介君    鈴木 義男君       鈴木 幹雄君  出席政府委員         全国選挙管理委         員会事務局長  吉岡 惠一君  委員外出席者         法制局参事   三浦 義男君     —————————————  本日の会議に付した事件   公職選挙法起草に関する件     —————————————
  2. 生田和平

    生田委員長 これより会議を開きます。  昨日来保留になつております国勢調査の結果により区制影響を及ぼすことがある点について、これは昨日三浦部長より一応案を朗読してありまするが、なおこの際部長より再度朗読いたさせます。これを議題に供します。
  3. 三浦義男

    三浦法制局参事 昨日の委員会におきまして、別表第一の最後に  本表はこの法律施行の日から五年ごとに、直接に行われた国勢調査の結果によつて、更正するのを例とする。 こういう案を一応出しまして、委員会においては一応こういうことでというようなことになつてつたわけでございますが、国勢調査と関連いたしまして、衆議院議員選挙法別表選挙区の議員の定数を改正する問題等、いろいろ影響も多いことでございますので、この委員会として、最後にどうするかという御決定を、お願いできればけつこうだと思います。
  4. 栗山長次郎

    栗山委員 ただいま朗読されました案文で、われわれの考えるところを、またわれわれが押えるところを十分に表わしておると思いますので、私は朗読文をもつて、この委員会がそこに付すべき制限事項となすことがよろしいと考えます。
  5. 生田和平

    生田委員長 別に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 生田和平

    生田委員長 御異議なければ、三浦部長より朗読した通り決定いたします。  次は選挙費用最高額決定する問題が保留になつております。これについて御意見を承りたいともいます。
  7. 前田種男

    前田(種)委員 私はやはり法律最高を押えることにいたしまして、現行法有権者一人当り一円というのを、最近の経済状態を勘案いたしまして最高二円、参議院全国区に限りそれの半額、一円ということに押える方が妥当かと思います。それは候補者自身の活動の中心になるところの自動車、あるいはその他特にまた昨日審議されましたポスターの紙の配給等も、できれば無料でというようなことになつて参りますと、あくまで公営を徹底いたしまして、選挙費用はできるだけ少額に押えるということにしていただきたいと思いますので、ぜひともこの法規の中に二円という最高を押える條項を記入していただきたいと考えます。
  8. 栗山長次郎

    栗山委員 ただいま前田委員から述べられました、選挙費用をなるべく低くするというその趣旨と、あげられました衆議院の場合は二円、参議院の場合は一円という内容については、同感であります。但し、その制定の方法につきましては、現行法通り、單価の決定政令に讓る。なぜさように主張するかと申しますと、経済状態の変転きわまりないときでもありますし、場合によつては平価の切下げ等もあるかもしれませんししますので、これは実質的な問題でありますから、そのときの経済情勢に応じて政令をもつて定めることの方がよりよいと考えます。同時に、またその定め方については、いろいろと懸念があるように忖度いたしますけれども選挙管理委員会は各党の代表をもつて構成されておる管理委員会であり、今の選挙費用のごときを決定する場合に、日本政府であるならば、どの党派が政権を持つても、時の権力者一、二によつて決せらるべき問題ではなく、そうなるとも想像できません。どちらにしても政党に相談をした上にきめることと考えられますので、私といたしましては、本法に二円、もしくは一円と制定せずして、その金額押え方につきましては、実質的に、おそらくすべての委員賛成せられるであろうと思いますので、政令に讓ることは讓るが、政令を定める場合には、衆議院においては二円、参議院においては一円となさしむるよう、この委員会において申合せをし、これを当局に伝達することがよろしいと考えます。
  9. 前田種男

    前田(種)委員 栗山委員の言われた中で、私の言つた参議院の場合は、地方選出参議院衆議院と同様二円の單位で行く。参議院全国区の場合に限つて半額という意味でありまして地方選出議員も半減にするというのではありませんから、その点は誤解のないようにお願いしたい。  それから特に法規できめたいという理由は、いろいろな情勢から推して、今日五円という問題が出て来ております。これが相当有力に出て来ておりますから、五円ということになると、相当多額に上りますし、これを政令に讓ることになりますと、ややもすると五円が実現するような危険性もあるわけです。そういう点を押える意味からいつても、選挙費用はなるべく少額にしたいという気持でございますので、私はぜひとも本法に入れてもらいたいと、再度私の意見を主張いたします。
  10. 千賀康治

    千賀委員 今両案が対立をしておりますけれども、私は同じく栗山説に同調をするものであります。その理由といたして、ただいま来年にかかつておる参議院選挙を考えますと、参議院地方区は單価二円を可とし、全国区は一円を可とするという情勢でありますけれども、この経済界は、現在は安定の域であり、やがてはおいおいと貨幣価値は高騰する傾向であると思います。最後にはいずれ国家民族が十分な用意ができて、世界の列強に伍するような場合がありますれば、再び金解禁となり、やがては金一匁が五円何がしという時代も来ると思います。そういうようなわれわれの理想としたしまする将来の経済界に到達するまでは、幾多の変遷があるのでありますけれども、この金額法律で定めるということになりますと、過去の法律で定めたものが、このインフレの今日になるまでに、非常に多大な迷惑が選挙人の間にあつたのであります。そのおよそ逆であろうと思いますけれども、この逆の現象に選挙人が苦しめられるということを考えますと、むろん私は政令を可とするのであります。主要な選挙に直面いたしまして政令できめるということになりますと、常にその時の貨幣交換価値とスライドして、公正な費用がきめられるという点で政令がいいと思います。同時に、来年に予想せられる選挙に際しましては、二円ないし一円の、附帯決議ではありますまいが、明確なそういう理想を持つておるという決議を付することも妥当なところであると思うのであります。  以上申し上げまして栗山説賛成理由をここに鮮明いたします。
  11. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 私は前田説賛成するものであります。この選挙法は、今までばらばらになつてつたものをまとめたものであり、幾多のよい改正を加えられたのでありますが、われわれが一番眼目とするところは、選挙費用を安くする。そうして公営の幅を広めて、どんな貧乏な者でも立候補できるようにするということが趣旨でありまして、それがもしこの選挙法で保障されないならば、仏つくつて魂入れずということになると思うのであります。ところが、原則として法律最高限をきめるということは当然のことであります。古い選挙法も、やはり法律できめてあつたと記憶いたします。その後貨幣価値があまりに変動するので、政令あるいは命令に讓る慣例ができたのでありまして、やはりわれわれ決して選挙管理委員会を信用しないわけではありません。法律でその最高限をきめておいて、その範囲選挙管理委員会がきめるというならば服従いたしますけれども、漫然何らの制限を與えないでおいて、選挙管理委員会にまかせるということは、選挙管理委員会が公正でありましても、私どもの見るところでは、選挙に対してはしろうとの方が大分入つておられ、みずから選挙を争つておるものでない。五十銭違つてもこれは大きな違いでありますが、そういう点について、やはり法律一定限界を設けておけば、その範囲でならば、かりにわれわれの思うような額をくれなくても、非常なあやまちはない。これで行けば、極端にいえば五円でも十円でも幾らでもいいことになります。それは良識は信じますけれども、やはり給與に関する法律でも、年年改正しておるのであります。貨幣価値変動伴つて法律を改正しなければならぬということは、凡百の法律みなしかりでありますから、私は決してその労をいとうべきでなく。もし千賀委員の言うような事態が起りましたならば、一箇條だけ明年また改正すればよろしい。やはりぜひ最高限法律によつて指定しておいていただきたい。こう主張するものであります。
  12. 逢澤寛

    逢澤委員 ただいま両論対立しておるのでありますが、しかし鈴木さんのお話も、結局は選挙費はなるたけ低いところできめたいというのであります。それからはつきりしておかなければ、あとに災いが残る、こういうところに意見対立があるのであります。そこで千賀委員お話のように、現下の事情は、それは毎年改正してもいいというようなこともありますが、しかしながら国会の都合などもありまして、そう簡單にも行かないと思います。経済界事情は、特に最近の情勢から見ると、刻々とかわつて来るようなときでもありますので——これが安定しているときには、むろん鈴木委員お話通りだと思いますけれども、こういう時代でありますから、暫定措置といたしまして、今千賀委員お話のように、また栗山委員の提案なさつたように、この委員会気持は、二円以内でやりたいということは、はつきりしていると思う。それで、これが変化があつた場合には、それに即応した、それ以内でやるのだというこの気持はつきり選挙委員の人々にも銘記してもらつて、そうしてこの両論を、今栗山委員の提案なさつたところで落ちつけたいと思います。私どもは、こういう議論を続けて行つたら、いくら議論をやつていても、対立していて、時間がたつだけだと思います。そこで結論としては栗山委員の提案なさつたように、大体二円以内できめる。それから参議院全国区の分は一円以内という腹でやるのだということをはつきりしておきまして、これは記録の中にも残しておいて、そういうことで決定したい。従つて結論から言えば、栗山委員の提案に賛成するものであります。
  13. 中川俊思

    中川委員 これはこうなさつたらいかがですか。前田委員並びに鈴木委員のおつしやることも、一応もつともだと思います。しかしながら、参議院の方の選挙は来年に迫つておりますが、衆議院選挙はいつあるか、まだわからない。現状で行くならば、あるいは任期一ぱい持つかもしれない。それはわかりませんが、そういうことも考えられる。そうしてみますと、三年も四年も先になるということですから、その場合、経済界情勢がどういうようにかわるかわからない。これは前田委員にいたしましても、鈴木委員にいたしましても、また私どもも同意見です。そこで、この選挙法を見て、五円とか書いてありましたが、実にこれは金のかかる選挙だということを、私は痛感しておつたのであります。それで、現状をもつてするならば、二円なり一円なりでけつこうだと思いますが、今申し上げましたような事情で、ほかに、選挙相当先に行われるということも予想した場合、はたして妥当であるかどうかということは、考えものだと思います。その場合にあたつて、御両者も、あれは二円にしておいたが、三円くらいにしておいてもよかつたなどいうようなことになるかもしれないですから、一応これは栗山委員の御発言通り政令できめるということにして、但し政令できめるにしても、いわゆる議会の意向を十分聽取してこれを参考にして、その参考意見に基いてきめさすという原則のもとに立つて選挙管理委員会がかつてにきめるというのでなく、これは先ほどもるる説明があつたようでありますから、一応この程度で落ちついて、全員一致でもつて政令できめるということにしておいたらどうでしよう。私はこのことを切望します。
  14. 谷口善太郎

    谷口委員 政令できめましてもいいと思いますが、やはり最高額法律に明らかにしておくことがいいと思うのであります。この一月の選挙のときは、たしか一円でなかつたかと思うのでありますが、それを二円といたしますと、倍になります。民自由党内閣は、経済が安定して、インフレがとまつたと盛んに言つておりますから、倍にすることはたいへんなことでありまして、最高額を二円にきめてそれ以内でやるということは、これは政令でやつても私はいいと考えます。しかし法律最高額をきめて、先ほど鈴木君のお話もありましたが、こういう個人の持つ費用は全然なくなつて、次第に公営に向けて行くのが私どもの方針であろう。そういう点で最高額法律で明確にきめておく。そうしてその範囲内のことは政令でやつてもいい。そういうことをやることは、私もかまわないと思いますから、最高額をきめるということは、ぜひ必要だと思うのであります。
  15. 中川俊思

    中川委員 最高額をきめておきますと、どうしても最高額までは使えるという観念をもたすわけです。選挙公営趣旨は、いまさら私が申し上げるまでもなく、金を使わないで自由闊達にやるというところに、公営の本旨があるのですから、ことに先ほど私が申し上げましたように、何年後に行われるかわからない選挙で、経済界実情もどういうふうにかわるかわからない。なるほど今おつしやるように、民主自由党内閣においては、経済界が安定したというのでなく、しつつある、一応見通しがついたというのであつて、今これでもつて経済界が安定したということは、これはいやしくも政治を論ずる者であつたならば、考えられないのはおわかりであると思う。そういうあげ足取りみたいなことは別として、とにかく一応その時勢に応じてきめられるような弾力性を持たせておいたらどうですか。私はこのことを主張いたします。
  16. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 多少誤解があるように思うのでありますが、立法の体裁から言つても、委任立法というものは、できるだけ避けたい。もし委任するとしても、何も基準を示して委任するならばいいですけれども、ただ委任してしまうことは、まことにおもしろくないので、そういう意味原則論を固執しておるわけです。その点もひとつ御考慮の中においていただきたい。基準を示して委任することはいいが、基準を示さずに委任するということは、立法原則にも反するじやないか、ことに国会最高立法機関である建前からもお考えを願いたい。
  17. 並木芳雄

    並木委員 私は鈴木さんの意見に初  めから賛成です。     〔「採決採決」と呼ぶ者あり〕
  18. 生田和平

    生田委員長 ただいま前田君より、選挙費用有権者一人当り二円ぐらいにしたらどうか、参議院全国区はこれを一円とするということを法制化するという御意見と、栗山委員より、大体金額においては前田君の意見と同様であるが、経済界変動等もありますから、これを政令に讓るという御意見であつたと思うのです。まず栗山君の御意見賛成諸君挙手を願います。     〔賛成者挙手
  19. 生田和平

    生田委員長 挙手多数であります。栗山君の御意見決定いたしました。
  20. 栗山長次郎

    栗山委員 参議院選挙を明春に控えておりますので、政府政令をもつてこれを公布いたします場合には、衆議院及び参議院地方選出議員法定費用は、有権者一人当り二円、参議院全国選出の場合においては有権者一人当り一円、この趣旨に沿うて政令を出すようにということを、この委員会申合せとして採択し、これを関係当局に通達するというのが、私のいわゆる附帯申合せであります。重ねて私の発言を補足いたしますが、有権者一人当りと申しましたのは、本法案に規定しておる算出方法によつてのことでありまして、それにおわかりのことと思いましたので、そこまで申しませんでした。
  21. 生田和平

    生田委員長 ただいま栗山委員より附帯申合せの案が出ております。採決いたします。賛成諸君挙手を願います。     〔賛成者挙手
  22. 生田和平

    生田委員長 多数であります。
  23. 谷口善太郎

    谷口委員 この選挙法審議が、おしまいに近づいておるのでありまして、すでに皆さん審議なさつたあとにかえることは、非常に申訳ないことでありますが、実は特別の事情があつて一、二点今まで御審議なつたところを、再審査していただきたい項目があるのであります。特別の事情と申しますのは、これは私どもの方で聞いておるのでありますが、参議院の方で全会一致きめて、そうして衆議院のこの委員会委員長に申入れられた項目のうち一、二点、それはもうきまつたことであるからというので、やむを得ず返した條項があるのであります。それを委員諸君に訴えて、もう一度御審議願えたらという申出が私の方に参つております。それを、申し上げたいと思います。
  24. 生田和平

    生田委員長 ちよつと谷口君、はなはだ失礼ですが、もう一つ重要な議題が残つておりますので、あなたの御意見はそのあとで……。
  25. 谷口善太郎

    谷口委員 けつこうです。
  26. 生田和平

    生田委員長 次には新聞報道の自由の問題であります。これは本委員会におきまして、すでに御決定になつておる事項であります。しかるに新聞編集委員会というのがありまして、本日不肖と法制局からと二人、なお参議院より小川委員長も列席せられたのでありますが、この條項について、もう一度検討し直してみてくれ、こういう申出があります。つきましては本要綱につきまして、もう一度審議をやり直すか、あるいはこれを修正するかということについて、一応皆さんの御意見を伺つて善処したいと思うのです。
  27. 栗山長次郎

  28. 生田和平

    生田委員長 朗読してください。
  29. 三浦義男

    三浦法制局参事 百四十八條新聞報道等の自由の問題と関連いたしまして、新聞関係編集方面人たちから、いろいろ意見が出されたのでございまして、その点は、この委員会におきましても、前にもいろいろ論議された事項ではございまするが、重ねてそういう意見がございましたので、申し上げることにいたします。  その点は、百四十八條におきましては、新聞におきまして、選挙に関する事項報道として掲載する自由を妨げるものではないというような規定を置きまして、選挙運動制限に関する規定は、そういう制限を付する意味でないということを百四十八條に置いたのでありますが、さらにそれに加えまして、評論の自由を認めてもらいたい、この前の選挙のときのいろいろな事情にかんがみまして、そういうのをぜひ挿入してもらいたい、こういうような意見が一応新聞関係の方から出ておるわけでございます。従いまして、その点をどういうふうに調整いたしますかが、百四十八條の問題で、今委員長から申された問題の要点であろうと思います。
  30. 前田種男

    前田(種)委員 この條項は、一月選挙実情にかんがみまして、本委員会から付託されました小委員会でも、相当議論があつて、各委員から論議を盡された結論が、今日の結論になつているわけです。しかもその結論の出て来ておりますこの原文を見ますと、報道の自由は確保されておると私は信じます。これ以上報道の自由を認めるということになりますと、いろいろな評論、あるいは一定候補者を積極的に援助したり、あるいは一定候補者を誹謗したり排撃したりするということになつて参りますから、そうしたことは天下の公器であるところの新聞としては、いわゆる選挙に関與するということにもなつて参りますので、私はこの選挙に関する事項報道として掲載する自由を妨げないというこの條項で、十分新聞の自由をうたつてあると信じます。もちろん、それぞれの政党に対して、新聞社がいろいろ誹謗する、あるいは援助する、いろいろ意見を出されるということは、当然でありますが、個々の候補者に対してまでも、いろいろなことをやられるということは、むしろ今日の日本現状から行くとふさわしくないのじやないかという心配を私はいたします。そういう点から、私はいろいろ審議結論がそこに参つているので、この結論でいいと思います。それと申しますのは、新聞といいましても、一流の新聞もありますし、また全国的に要ますと、選挙の前後、あるいは新聞としてふさわしくないような新聞もございます。せつかく文書図画制限を、選挙運動に相当盛り込まれておりながら、新聞という名前のもとにおいてそうした運動が認められるということは、公正な選挙をするゆえんではないと私は考えます。私は報道の自由の解釈内容を、相当新聞社関係方面において広汎に解釈をいたしますならば、その点の懸念はないと考えますので、いろいろな申出、御意見は等は、私もよく承知の上で、結論はやはりせつかくでき上つたこの程度でいいじやないかと考えます。
  31. 生田和平

    生田委員長 速記をとめてください。     〔速記中止
  32. 生田和平

    生田委員長 速記を始めて。
  33. 並木芳雄

    並木委員 今の評論の問題ですが、懇談中鈴木さんから、評論原則として自由に認められておるのだ、だからそういう御希望が出たについては、何か誤解があるだろうというふうな御発言がありました。先ほど評論報道の自由の限界について御質問があつたので、私ごもつともだと思うのです。この希望を受けられたときの評論意味ですね、定義——評論とは何ぞや、どういう意味でこれを受けられたか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  34. 三浦義男

    三浦法制局参事 ただいま問題になつております評論の問題は、先ほど鈴木委員からもお話がございました定義以上に、特定候補者、あるいは特定政党等を推薦、支持する、こういう場合も含む、こういうような意味において加えてもらいたい、こういうような意向でございます。
  35. 逢澤寛

    逢澤委員 この新聞報道の自由につきましては、先ほど前田委員からもお話のごとく、これはすでに詮議し盡していることである。それで、かつてインポデン少佐の話もありまして、そういうようなことも考えてこの案ができておるから、これ以上進むということになると、これは先ほども話がありましたように、根本をくつがえされてしまうということになると思う。先ほど委員長からも例をあげてお話がありましたように、日本現状はまだそこまで行つていない。新聞がいろいろの自由の評論をやりました場合に、先ほど来いろいろ例を示されたように、地方選挙を相手にするために発生するような新聞は、むろんのことでありますが、私ども考えますには、大新聞理路整然としたお話ができておつても、それを受ける方の有権者大衆から見ました場合に、評論した人の気持をそのままとつてくれない場合が多い。従つて候補者の立場になつて来ますと、非常に大きな影響を受ける。これはいい方に受けるきも、また悪い方に受けるときもあるのでありますが、今日の状況において、その評論の自由を全面的に許すことになつたら、この数箇月かかつてつた選挙法が、私はほとんど台なしになるおそれがあると思う。いろいろその方面の要望もあるということも考えられますが、現段階におきましては、この程度なら、鈴木委員からも例をあげてお話になりましたように、自由を侵していない、十分自由を與えてあるのでありますから、この程度私は適切なように思います。どうぞこの程度でおやりくださることをお願いいたします。  しかして今委員長の方ヘお申込みになつております出版界の方に対しては、この委員会の空気、そうしてかつて数箇月にわたつていろいろ練りに練つたこと、そうしてお申込みになつ事情もよく考えた結果、やはり現段階ではこのくらいでなければ公正な選挙はなし得ないことを、委員長の方から御了解を得るように、ひとつお話願いたいと思うのであります。
  36. 栗山長次郎

    栗山委員 委員長及び関係者が話をされるときに、いま一つ予備的な腹案を持つていたらどうかと思います。と申しますのは、先ほど申しました特定候補者を支援し、もしくは排撃しない評論、それならば三浦部長並木氏の質問に対して答えられましたように、政党に対する支持、批判、排撃、攻撃、これはまつたく自由の領域に入りますから、一つの折衷的な案であつて、しかもわれわれが練つて来たこの選挙法案の骨子をくつがえすものではないように考えます。そのくらいの御用意を持たれていなければ、あるいは話がなかなかむずかしくないかと想像いたしますので、念のためそれを申し添えるわけでございます。
  37. 生田和平

    生田委員長 ただいま栗山君から御注意がありましたが、委員長としましては、本日新聞関係者意見の交換をした模様では、このままでは承知ができないのではないかというような感を深くしておるのであります。これは国会の相当大きな問題になつて、あるいは国会の権威の問題にまで発展する性格を持つておるのではないかと考えまして、諸君の愼重なる御熟考を実はお願いしたいと思つておるのであります。しかし委員長としては、皆さんの御意見を取次ぐほかはないのでありますから、ただ私の気持だけを申し上げておきます。
  38. 千賀康治

    千賀委員 この委員会の空気は、もう委員長も十分御察知になつ通りで、これから先は、幾らやつてつても同じことだと思います。法制部長並びに委員長は、向うの方に折衝なさつてつて、もうこの上の説明のしようもないというような境地まで行つておるかもしれませんけれども、顔がかわれば、また話のつきようもあるかもわかりません。現在もそういう問題が、文部委員と建設委員の間で一つ問題になつておるようなことがありますが、理事の中で二、三人帯同して行つていただいて、あらためてこの話の最後的交渉をなさつてはいかがかと思いますので、御進言申し上げます。
  39. 生田和平

    生田委員長 そうしますと、委員長としてはこの要綱は本日をもつて決定を願いたいと思つておるのですが、仮決定を願うには、やはりこの問題を解決せねば、全部の仮決定とは参らぬのであります。但し、いろいろの事情もありますから、今千賀君の御意見もあり、かたがたもう一度先方と交渉をしてみようと考えます。それで委員のうち二、三の方と同行して、もう一度、交渉の任に当つてもよろしいと思いますが、そういたしますと、この仮決定が非常に延びることになりますから、話がまとまりますればこの百四十八を多少修正することがあるということで決定を。
  40. 千賀康治

    千賀委員 ただいまの委員長発言で、大体けつこうでありますが、多少の修正というものを、一番大きな幅、最大限度を、栗山委員先ほど発言以内でとどめるということでおまかせしたいと思います。
  41. 生田和平

    生田委員長 ただ念のために申し上げておきますが、この問題は、なかなか容易ならぬ問題と考えておるのです。もし不調の場合には、やはり原案にもどるよりしようがないように考えております。なるべくは調和をはかつて話をつけたいと思つておりますが、しかしこちらの意向が全然無視せられる場合には、やむを得ず原案にもどる、こういうことで一応御了解を願いたいと思います。いずれ明日でも二、三の方と御同行できる方があれば御一緒に参りたいと思います。
  42. 谷口善太郎

    谷口委員 第七の問題ですが「検察官、都道府県及び市町村の公安委員会委員並びに警察官及び警察吏官は、選挙の取締に関する規定を公正に執行しなければならない。」この点とそれから百五十九の立会演説の場合の規定でありますが、これの第二項に「前項の場合において必要があると認めるときは、市町村の選挙管理委員会委員及びその委員会の指定した者は、当該警察官又は警察吏員の処分を請求することができる。」むろんこれは当然なことであるが、しかしこれは非常に思わざる結果を生むおそれがある。というのは、警察吏員、警察官というものを、選挙の立会演説会において、喧騒に及んだりして演説会の治安が十分に保たれないという場合には、選挙管理委員会委員もしくはそれの指定する者が呼ぶことができるという規定が書いてありますが、こういうふうな規定を入れておきますと、警察官吏の選挙運動に対する干渉が、こういうところから旺盛になるだろう。従つてこれは入れなくてもわかり切つたことだから、これはとつてほしい。入れなくてもわかり切つたものを入れておく結果として、今申しましたように警察官の干渉がよりひどくなる、そういう道を準備することになる、こういう意見であります。  それから第百三十七でありますが、「教育者(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する学校の長及び教員をいう。)は、学校の兒童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることができない。」この点は、現行法では子供を選挙運動に使つてはいけないという趣旨で、生徒あるいは学生の問題が規定されておつたのであります。特に教育者の場合だけを抜き出して規定するということになると、これは現行法の子供、未成年者を選挙運動に利用してはいけないというその精神からはずれて来る。もしこういう意味で言うとすれば、会社の社長であつても、自分のところに使つている給仕その他も使うことができないという規定も当然入るわけでありまして、そういう意味で、これも一般的に未成年者というか、子供を選挙運動に使つてはいけないというふうに改正すべきである、こういう意見であります。これは先ほど参議院の方からと申しましたが、参議院の方にそういう話があつたのを、参議院の無所属の人を通じて私どもの方へ、この点を衆議院の方でもう一度審議していただきたい。先ほど申しました二つの点では、警察官の問題を除外してもらう、それから最後に申しました未成年者の問題は、これは教育者だけではなく、一般的に子供を選挙運動に使つてはいけないというふうに規定をかえていただきたいという申出があつたのであります。私どももこれには非常に賛成でありまして、もちろん警察官の場合で言いますと、何らか会場が喧騒に陷つて選挙演説の続行ができないという場合には、それの立ちのきを管理者が要求しても、なかなか出て行かない。よつぱらいか何か来てやりますが、なかなか出て行かない。そういう場合に非常に困る。警察官を呼ぶという面から言えば、妥当のようでありますが、しかし常にそういうことから、警察官吏が選挙運動、立合演説会などに出入りするということは悪い結果を生む。従つてまた選挙の公正な自由な運動が阻害されるおそれがある、そういう意味でこれはぜひとつてほしい。子供の問題は説明の要がないのでありまして、教師が自分の教えておる生徒夜学生を使つて選挙運動をやるということの間違いは当然であると同時に、もつと一般的に子供を選挙運動に利用するということはいけないのであつて、特に未成年者の選挙運動の利用ということは禁止すべきだと思いますので、これを一応御審議願いたいと思います。
  43. 栗山長次郎

    栗山委員 本委員会が一応まとめました要綱と、参議院側でまとめました要綱との間に、意見の一致を見ない点が十三項あつたはずでありますが、それについて委員長お話によれば、一致点を見出して解決したということでありますので、両者の意見の一致点を見出して解決したことであれば、個々の意見をここで取上げておるようなもとの状態に返すことは避けたいと存じます。話合いがついたならば、それによつて進まれることが、かような問題の審議の上に当然とられるべき方法であると思います。
  44. 生田和平

    生田委員長 ただいま谷口君の御質問になりました三点の問題は、いずれも参議院小川委員長並びに小串委員が、委員会を代表いたしまして、私と会見して、話し合いました中の條項であります。これは参議院側では、われわれの主張を全部了承して、参議院衆議院意見に同意を表するということでありました。すでに昨日その旨を御報告をして、本委員会の御承諾を得ます。ただいま栗山委員よりも、再議に付すべきものでないという御意見がありますが、委員長としても、さように考えておる次第でございます。皆さんが御異議がありませねば、栗山さんの御意見の方で行つていただきたいと思います。
  45. 谷口善太郎

    谷口委員 これは委員長の方で向う側と折衝されて、向う側は了解して帰つたというお話でありますが、私がここに申しましたのは、それを委員長と向う側の話合いだけにとどめないで、委員諸氏の意見を聞かしてもらい、そうして再考慮していただければけつこうだというので言つたのであります。この席で委員諸君が、それは必要でない、こう言われるならば、やむを得ないと思いますが、その点をひとつ……。
  46. 逢澤寛

    逢澤委員 この問題は、すでにもう数個月にわたつてつて決定しておることです。特に今の百五十九條とか、それから教育者の問題などについては、論議を盡し切つて、ここの結論に達しておることです。これは多数の條項の中でありますから、あるいは不備がないとは断言できないと思いますが、しかしながら今御心配になつたようなことは、すでに何十回と論議を盡しておることでありますから、これ以上これを変更することを考える余地はないと思いますので、さよう御了承を願いたいと思います。
  47. 並木芳雄

    並木委員 私もそれを申し上げようと思つたのですが、その中で一つ解釈の違いがある点だけは、この委員会のためにも申しておいた方がいいと思う。百三十七條の、教育上の地位を利用してというのは、私も初めはちようどあなたが今言われたように、子供を使うという疑問を持つたのですけどれも、これは実際に使うわけじやないですね。子供に対する自分の有する地位を利用して、選挙運動をしちやいかぬ、こういうことなんです。だから子供を教育することに対する地位の利用と、教育者として中立であり公正であるべき教育に携わる者が、生徒や兒童や学生に対して地位を利用する場合と、おのずからそこは違つて来るのであります。そういう意味です。ただいまのお話を聞いておると、何ですか学校の生徒や兒童、学生そのものを使つて選挙運動をするというように私聞いたのですが、その点は解釈の間違いじやないでしようか。
  48. 谷口善太郎

    谷口委員 子供を使つて選挙運動をする、あるいはその子供に対する支配と申しましようか、特殊な関係を利用して選挙運動をする、二つの場合があると思います。これは教育者だけじやないのでありまして、子供に対する特別な関係を持つておる者はその他にもあると考えるのでありますが、特に教育者をあげておる点が問題になつておるのであります。
  49. 生田和平

    生田委員長 大体この問題はすでに決定しておるのでありまして、本委員会が再び取上げてこれを論議しないという御意見が多いようでありますから悪しからず御了承願います。  この際委員長より皆様にお諮りいたしたいと思います。選挙法の改正に関しましては、本日まで愼重かつ熱心な審議が行われまして、その結果当委員会としては、一応の成案を得るに至つたのでありますが、大体において各條項についての御検討も終了したように思われますので、公職選挙法案起草につきまして、本委員会の成案を仮決定をいたしたいと思うのであります。但し新聞報道の自由に関する條項決定につきましては、一定のわく内において、他の委員とともに委員長の折衝に御一任願いましたので、この点につきましては、決定を見たときに、それによつて成案中に挿入いたしますそれぞれ所要の手続きを進めたいと思います。この点御了承をお願いいたしたいいと思います。その仮決定の採決に入る前に今日までの審議によつて得られました一応の成案についての、各派の賛否を承つておきたいと思うのでございます。  以上御意見がなければ、各派よりそれぞれ、大体についての各派を代表した御意見の御発表をお願いしたいと思います。
  50. 栗山長次郎

    栗山委員 ただいまの委員長の申されましたこと、異議はありません。各派の意見を述べよということでありますが、民主自由党といたしましては、今日一応の決定になりました公職選挙法案について、全面的に賛成し得るものであります。
  51. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 社会党といたしましても、大体大部分についてずつと賛成をして参つたこと、御承知の通りであります。ただ審議の過程において、それぞれ意見を申し述べました点については、十分に満足いたしかねる点もありますので、全面的に賛成であるということを申し上げるわけに行かないのを遺憾といたします。
  52. 並木芳雄

    並木委員 民主党野党派としても、賛成であります。煩瑣な選挙法を、まとめて一本にして、今後の取扱い上非常に容易にしたという点などは、その点としてあげることができると思います。また理想選挙を目標としながら、公正な選挙と金のかからない選挙公営に向つて、一歩々々徐々でありますけれども、歩を進めつつ、一方において政治啓蒙その他における障害が起らないように、選挙の上における自由をも保持しつつ、これだけの公職選挙法案というものをつくり上げたことに対しましては、その他小さい点におきましては、いろいろ不満の点はございますけれども、そういう不満を拂拭して私は賛成するにやぶさかでない、こう思つております。
  53. 逢澤寛

    逢澤委員 民主党も、その内容におきましては、若干の意見もあるのでありますけれども、大体におきまして、本案が公職選挙法の全体におきましてかくあるべきものということを信じております。この案には全面的に賛成いたします。
  54. 谷口善太郎

    谷口委員 共産党の意見は、いずれ本案が法律になりましたときに申し述べようと思いますが、共産党には選挙法に関する基本的な党の方針がございまして、そういう見地から、やはり本案全体に賛成しがたいのであります。ただ本案は現行選挙法よりは若干の進歩のあることは、私どもも認めます。ここでいろいろこまかいことを論じ出、しましたら、たいへんでありますから、大体以上申し述べまして、法律なつた場合論議したいと思つております。
  55. 生田和平

    生田委員長 それでは申し上げます。本案要綱全体について、共産党の保留の御意見を除き、かつ社会党の鈴木君より一部不満の意を表せられたるほかは、全項目について大体御異議がないように承るのであります。本案に対し各党を代表して賛成諸君挙手を願います。     〔賛成者挙手
  56. 生田和平

    生田委員長 挙手多数。よつて本案は委員会の成案として仮決定しました。
  57. 栗山長次郎

    栗山委員 これは党の正式な機関にはかなければ、正式な意思表示はここでもつてできないのでありますから、その点お含みくださるならば、この法案を本委員会委員会提出として出されることには賛成であります。
  58. 生田和平

    生田委員長 ただいま栗山君の御意見があつたように、関係方面の了解を得ましたら、本仮決定を最終決定とみなして、本成案を委員会提出の法律案として議院に提出する。こういうことにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 生田和平

    生田委員長 御異議なければさように決定いたします。  なおこの問題は、その結果を議長に報告しなければなりません。本成案の字句その他條文の整理及び議長に対する報告書の作成については委員長に御一任いただきたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 生田和平

    生田委員長 それではさよう決定いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時十六分散会