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1949-11-28 第6回国会 衆議院 選挙法改正に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十八日(月曜日)     午後三時五十五分開議  出席委員    委員長 生田 和平君    理事 加藤隆太郎君 理事 栗山長次郎君    理事 野村專太郎君 理事 前田 種男君    理事 並木 芳雄君 理事 逢澤  寛君       川西  清君    佐瀬 昌三君       千賀 康治君    田中 重彌君       山村新治郎君    淺沼稻次郎君       鈴木 義男君    高田 富之君       鈴木 幹雄君    中原 健次君       佐竹 晴記君  委員外出席者         法制局参事   三浦 義男君     ————————————— 十一月二十八日  委員立花敏男君辞任につき、その補欠として高  田富之君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した件  公職選挙法案起草に関する件     —————————————
  2. 生田和平

    生田委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法案起草に関する件を議題といたします。まず参議院特別委員会よりの申出事項については、開会前に御協議いたして決定しておりますが、念のためいま一度申し述べたいと思います。  本日午前十時三十分、参議院特別委員会小川委員長並び小出委員が来訪せられまして、本院の法制部長の部屋で合つたのでございます。なお法制局寺光部長並びに菊井課長外三氏の方が同行いたしておりました。かねてから問題になつてまります衆議院参議院との相違点について御協議申し上げたわけでございます。  御承知のように当初参議院からお申出の際には、三十四点の食い違いがあつたのでございますが、第二回目の会見においてこれを十二点に圧縮して参つたのでございます。この十二点については一昨日本委員会にご相談をいたして、大体皆さんの御意見を承つておるのでございます。よつて委員長皆さんの御意見を参酌いたしまして、一応交渉の任に当つたのでございます。その経過を申し上げます。  第一章総則の第七、選挙取締公正確保の問題でございますが、これに参議院よりは、時勢に逆行した取締りでないかという御意見がありました。衆議院といたしましては、本年一月の公営選挙にあたりまして、相当苦い経験を持つておるという実例お話しまして、反省を求めたのでありますが、当方の主張を入れられまして、衆議院原案通りお認めになつたのでございます。なおこれは百五十九の立会演説会場秩序保持についての問題と関連いたしております。この二件は参別院の譲歩になつたわけでございます。  次には第五章、第三十二の、参議院緊急集会の場所を別項に規定して、関係を明らかにしたいという申出に対しましては、衆議院側規定がむしろ当然であるという主張法制局から述べられまして、参議院はこれに同意せられたのでございます。  次に第七章第六十七の、オーストラリア連邦選挙法第百三十三節第二条と同趣旨規定を加え、投票者意思が明白である限り、その意思に効力を持たすべきであるという参議院主張は、衆議院といたしましては、これに同意を表しました。  次は第八章、選挙会及び選挙分会規定であります。これはいろいろ議論もありましたが、従来選挙管理委員会におきましても、衆議院案を支持いたしている旨を述べましたところ、参議院はこれを了として、衆議院の案に同意をいたしました。  次に第九章、公職候補者立候補の問題でありまするが、参議院におきましては、都道府県知事及び市長は、自発的に離職したときは、その離職後六ヶ月間は、国会議員選挙候補者になることができないという規定を設けたのでありまするが、衆議院側といたしましては、かりに小選知事あるいは市民でありましても、衆議院議員並びに参議院議員立候補する場合は、その職を辞して後、初めて立候補すべきものであるという主張を述べましたところ、参議院も遂にこれに同意をいたしましたのでございます。ただ参議院側といたしましては、本問題は委員会において強き要望がありますので、なるべく衆議院の御意思に沿うよう努力するという条件がついております。  次には第九十二、供託金の金額についての規定を、衆議院議員参議院議員及び知事は三万円を五万円に改めて、第百八の公営費分担制度を廃止したいという御意見でありましたけれども委員長といたしましては、従来公営費用国庫負担は、非常に過重でありますし、また立候補者選挙費用を減ずることが非常に多いのでありますから、二万円くらいの分担金を負担することは当然であるという主張をいたしまして、これまた参議院の入れるところとなりました。  次は第十三章、選挙運動の第百三十一第二項に但書を加え、一都道府県の設置し得る限度規定した事務所の問題でございますが、これは参議院は五箇所までを地方区に置くことができるという提案を認めたのでございます。  次は第百三十七の「教育者」と限定いたしましたことについて、参議院現行法のごとく規定したいという希望でありましたが、現行法規定は、御承知のように範囲が明確を欠いておりますので、むしろ衆議院側規定がはつきりしているということを申し上げましたところ、これまた了解せられたのでございます。  第十七章、第二百六十三及び第二百六十四の規定でありますが、これにポスター用紙候補者に交付することになつております。衆議院側はこれを有料でありますが、参議院側はこれを無料にしてもらいたいというのであります。なおその前書に、衆議院議員参議院議員についてに国、都道府県知事については、当該都道府県に区分して負担させる規定に改める、ということが書いてあるのであります。このことにつきましては、堀り下げて意見の交換はなかつたのでありまするけれども、先刻協議会におきましては、委員長より、大体国の公営費国会議員あるいは地方議員を通じて、国費ですべきものであるという考えを持つているということを申し上げておきましたけれども、これは地方費までを国がことごとく負担するということは、あるいはむずかしいのでないかと考えるのでございます。この点に対しては、多少の質問は存しますけれども府県知事及び教育委員会府県費用より、市町村及び地方公共団体議会議員並びに長の選挙は、用紙をあつせんする程度でよいではないかと先刻来考えているのでございます。多少ここに疑問がありまするけれども委員長意見を御報告いたしておきます。  最後に参議院地方選出議員補欠選挙を行う場合に、参議院の案では、同一選挙区において通じて二人以上に達したときに初めて補欠選挙を行うことに規定してあります。これは御承知通りなるべく補欠選挙費用を減ずる目的で書いたのでありまするが、参議院側におきましては、参議院には一県二人区が多いのである。そのうち一人欠けても重大であるが、しかも二人欠ければ選挙が行われぬということになりますと、名府県にわたつて一人ずつの欠員ができた場合には、参議院の構成にも影響するおそれがある。こういう主張でありましたので、皆さんの御同意を得て御意見のようにせいぜい強力するということを申し上げて別れたのでありますが、午前中の協議会におきましては、この点はやはり参議院希望を入れるのがよかろうということに御決定になつたのであります。それからポスター無料配付のことにつきましても、できるだけ御意見に沿うよう委員会にお取次をするということを申し上げましたが、いずれも委員長が御報告申し上げました通りに御決定になつたのでございます。ここに重ねて申し上げておきます
  3. 山村新治郎

    山村委員長 衆議院案の第八十九条、それがたまたま参議院案の第百五条になつておりますが、参議院申出の「都道府県知事及び市長は、自発的に離職したときは」云々の箇条であります。この点は、あるいは市長さんまでこれに入れることは、いささか気の毒な気がしますが、これを許していると、都政府県知事衆議院参議院に出ようという意図のもとに、都道府県費用を使つていろいろな名目をつくつて選挙運動をする傾向が非常に多くなるのではないかと思うのであります。その意味から言つても、特にその知事が県政に專念するという精神から云いましても、この点に一応考慮してやつてもよろしいのじやないかと思うのでありますが、この間のいきさつはどういうようなことになつておるのでありましようか、一応御説明願いたいと思います。
  4. 生田和平

    生田委員長 これは先ほど申し上げました通り、実はあまり掘り下げた応答がなかつたのでございます。というのは、用紙無料配付ということが、中心問題になつておりましたので、一方負担金の問題とからみ合つているというわけではありませんが、一方は衆議院原案通りにするから、こちらの方は参議院考え方も入れてもらつていいじやないか、こういうような話がありまして、せいぜい御意見に沿うように努力いたしましようとお答えしたのでございまして、市長についてまで、実は話はできていかつたので、これは委員長の手落ちになつているわけでございます。
  5. 山村新治郎

    山村委員 私が今申し上げましたのは、そうではないのでありまして、要するにただいまの条項の第八十九条、参議院の案の第百五条、ただいま御配付になりました参議院選挙法特別委員会からの申出事項の五に該当するものでございます。すなわち都道府県知事及び市長は、離職後六箇月間は選挙に出られないという規定であるのでありますが、この点はちよつと考えるといささか気の毒な気もいたします。市長の場合においては、その必要もないかもしれませんし、いいかもしれませんが、都道府県知事は辞職をしながら、まぎわになつて選挙に出られるということになりますと、確かに県の費用を使い、県の自動車を使つて選挙運動をする傾きが非常に多いと思うのでありまして、そしれを防ぐ意味から言つても、この条項をこしられることにさしつかえないと思うのでございますが、これに対する御意見はいかがでございましようか。
  6. 生田和平

    生田委員長 この問題は、初めからいろいろな御意見も承り、衆議院としては議論をしておるのでございまして、現職立候補を認めていいじやないかという社会党の強い御主張もあつたのでございますが、衆議院側としては、立候補する以上はまずやめて出直して来い、こういうような意見にまとまつておるのであります。
  7. 山村新治郎

    山村委員 社会党からそういう御意見が出たというので、私にいささかとまどいするのですが、特に官尊民卑の思想から抜け切らない日本の民衆の場合におきまして、知事の肩書を利用したり……
  8. 生田和平

    生田委員長 社会党の御意見府県会議員立候補についてですね。従つて知事現職立候補も影響するのでございますね。
  9. 山村新治郎

    山村委員 知事の場合と府県会議員の場合とはえらく違うのです。府県会議員は、県の費用をかつてに使うわけには行きませんが、知事の場合におきましては、それが可能な立場にありますから、その弊害考えてもいいと思います。その点についてもう一ぺん御考慮していただいてもいいと思うのでありますが、なお事務当局から、その点につきまして何か御見解がございましたら、御説明願いたいと思います。
  10. 前田種男

    前田(種)委員 社会党の方の現職の場合は、地方議会議員現職のままで立候補をするのであつて知事市長を許すというのではないのです。地方議会議員現職立候補を許す、当選のあかつきにやめるをいうだけです。知事市長というものは特殊な地位でありますから、これを府県会議員市町村会議員と別個に扱うべきだという考えです。
  11. 川西清

    川西委員 途中から飛び込んで来て前の事情を知りませんので、錯乱するようなことになるかもわかりませんけれども、ただいま山村君がおつしやつた意見と同意見でありまして、私といたしますれば、この都道府県知事のほかに、副知事ぐらいをもう一つ加えておいた方がいいのではないかと思うのであります。市長は、ともかく公選されて出て来たものでありますが、副知事のごときものは、単なる官僚であるにもかかわらず、しきりに県費を使つて選挙運動をやつて、非常に弊害が多いと存ずるのでありまして、この点、もう一回お考えになる余地はありませんでしようか。
  12. 生田和平

    生田委員長 私はどうにでも考えますが、これは練りに練つて多数で御決定になつておりますので、いまさら——変更なさつてもかまいませんけれども、私はどうかと思うのです。
  13. 並木芳雄

    並木委員 今の御意見ですが、それはまだもちろん決定したわけではありませんけれども、何と言いますか、ゴルフで言いますと寄せに来ているのです。この意見はここに来ても、委員の方の御発言はその背後の党を代表して、いつまで経つてもぶり返すおそれがありますので、この間からそういうふうにしておいたのであります。一昨日の会議でも、この点はやはり議題になつたのですが、そのときは野村さんとどなたでしたか民主自由党から出ておりまして、この参議院の案を受入れることを考慮したのですが、やはり基本的人権というような点でもつて衆議院の方の原案を押してもらおう、こういうふうに一応は申し合せたのであります。現職だけを六箇月——つまり辞職すればいいじやないか、辞職すればいいのだから、その期間を置かないでも、——別途に辞職しなければならないのだから……
  14. 高田富之

    高田(富)委員 これは重要な問題ですからひとつ慎重に各党研究される必要がある。わが党としては六箇月はいかぬ、一年くらいはどうしても禁止しなければならない。そういう実例がたくさんあります、どうしてもそうしなければ公正な選挙はできませんから、これは簡単にきめないでいただきたい。
  15. 生田和平

    生田委員長 共産党のお考えは承つておきますが、この問題のために決定を延期するということは、事実上困難だと思います。なおこの問題は、先刻協議会でもうすでにおきまりになつて、ただおきまりなつたことを私は念のために重ねて御報告をしたにすぎないので、さよう御承知を願います。  次は戸別訪問の問題ですが、これはどうしてもおきめ願わなければならない問題になつたのですが、第百三十八条第二項の「挨拶行為」の問題であります。この「挨拶行為」が法律上不明確であるという議論が当時からあつたのでありますが、さらに最近社会党の御両君からお申込みがありまして、もう一度討議をしようじやないかということになつているのであります。つきましては、四、五日前の委員会におきまして法制局の案を一応申し上げておいたのでありますが、その際は決定に至らずして保留せられているのであります。
  16. 三浦義男

    三浦法制局参事 ただいま問題となつておりますのは、百三十八条の「戸別訪問」の問題でありますが、これはこの委員会が小委員会を置かれました初めからの問題でございまして、いろいろな意見が闘わされました結果、戸別訪問を禁止する案と、ある程度認めようという案が考えられまして、その折裏案みたいなものが百三十八条の第二項に、戸別訪問規定は「公職候補者当該選挙に関し自ら挨拶行為をすることを妨げるものではない。」ということに一応まとめまして、戸別訪問はできないが、挨拶行為は妨げない。そこで挨拶行為戸別訪問限界はどこにあるかという問題になるのでありますが、戸別訪問投票を得る目的をもつてやる場合であり、挨拶行為投票を得る目的でなくて、單にあいさつする行為——あいさつする行為とはどういうことであるかと申しますれば、よろしく頼むという限界においての挨拶行為、こういうことになるわけであります。従いまして挨拶行為の中には、投票を得る目的をもつてする面接ということは、入らないという一応の解釈をもちまして、百三十八条の第二項が置かれたのであります。しかしながら、いろいろこの点につきましては、検察当時等の意見を聞きましても、これではどうも取締りの上において、あるいは解釈上の面におきましても、あいまいな点が多いというような意見等もありまして、またある委員からの御意見等もありまして、ただいま委員長から申されましたように、百三十八条の一項〇但書といたしまして「但し、公職候補者親族及び平素親交間柄にある知己を訪問することは、この限りでない。」こういうことにいたしまして等二項を削除する案を、一応この前の委員会において御提出になり、御説明申し上げたわけでございます。公職候補者の訪問します親族というのは、民法上はつきりしております。「平素親交間柄にある知己」ということで、相当日ごろから友情がかわされ、親交間柄にある人たちを訪問することはいいということにいたしますれば、大体この前からいろいろこの委員会において御論議になつておりました点は、ある程度これで包括されるのではないか。かように考えておるわけでございます。なお社会党鈴木委員からこの点につきましては御意見があつたのでありまして、それらの点を加味いたしました案をいろいろ考えてみましたが、実際の法律上の文句といたしますと、なかなかむずかしい点もありますので、一応ただいまのところかように考えております。
  17. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 私の考えておりましたことが、なかなかむずかしいことは、確かに三浦部長の言われる通りであります。しかしどうも選挙のときに非常に嚴格な文字解釈が行われまして、しばしば私どもは苦い経験をなめているのであります。私はちよつと道路のわきの学校の庭で演説したところが、街路でやつたのではないというので告発されるようなことがありました。そういうふうに少しでも、ちよつと一間かニ間道路から入ると、もう街路にあらずというような議論をもつて一応告発する。幸い取上げなかつたのでありますけれども、そういう流儀から行けば「平素親交間柄にある」ということでは、私どもの党の組織支部長——どもがるす中に支部ができている、私ども選挙区は小さいところを三つ合せたくらいありますから、そのときにはとうていまわり切れぬので、たまたま選挙に行つたときに、新しくできた支部支部長、あるいは農民組合組合長に敬意を表するあいさつをするのであります。それは非常に大事なことで、またそのほかのときに、わざわざ行つてやるということはとてもできない。せめて通つたときに寄りたい。ところかそれは平素親交間柄にあるのではないではないか、実際初めてお目にかかるような人もあるのでありますが、そういうことはひとつ解釈疑義の起らないようにしておきたい。それはごもつともだという皆さんの御意見もあつた。ただ条文にどう表わすかということがけが問題でありまして、私考えましたところは「平素親交間柄にある知己並びに双治上密接な関係にある者を訪問することは、この限りでない」としてはどうか。むろんこれにもいろいろ質疑が起りましようけれども、大体速記録に、この趣旨はこういうことだということをとどめて、そうして法律技術的にはまずい規定でありますが、入れておけば、ただいま申すような場合に訴えられるというようなおそれがなくなるじやないか、こういうように考えます。
  18. 逢澤寛

    逢澤委員 ただいよの鈴木さんのお話、ごもつとものようなところもあるのでありますが、選挙にあたつては、これは申すまでもなく最も嚴正公平に、かりに戸別訪問するとしても、ある政党は数十簡所に行ける、ある政党は数箇所しか行けないというような、こういうような差がつくようではいかぬ。具体的に言うと、組織を持つているところと組織を持たないところでは、そういう点が出て来る。そこでこれはなかなか、大体根本が少し無理なのでありますから、適切な言葉は発見しにくいと思うのでありますが、私はどの政党もできれば同じ数で行けるような方法でやりたい。もつともこういうようなことを考え出した根本の原因は、その地方行つて、たまたま親族があり、知己があるのに、その門先まで行つて、そこを訪問せぬということは、われわれがこしらえた法律として、人間味を無視したことをやるのは忍びないというようなところから出て来ておるわけであります。この目的を達成するのには、そう広い範囲でやるというようなことはむろんない。そこで先ほど来お話がありましたように、どこの政党も同じ数で行けるということは非常にむずかしいわけでありますので、できれば、たとえば一日に五人とか十人とかぐらいは訪問してもいいというようなことにさらにお考えを願いたい、これを皆さんにお諮り願いたいと思います。
  19. 生田和平

    生田委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  20. 生田和平

    生田委員長 速記を始めてください。
  21. 並木芳雄

    並木委員 この前の委員会栗山委員から説明があつて、それに対して鈴木委員からご希望があつたときに、鈴木さんの御意見もつともであるから、字句の点についてはなお練つて、その趣旨でやろうということに、大体委員会意見が一致しておつたように私了解いたします。本日鈴木委員から御発議がありまして、この前の「但し、公職候補者親族及び平素親交間柄にある知巳を訪問することは、この限りでない。」というその間へ「知己政治上密接な関係にある者」と入れたことは、私は一つ進歩であろうと思います。ですから、私に鈴木さんの御意見に賛成なのでありますが、ただ逢澤さんから、これがあまり極度に走ると弊害をもたらすから、できれば数において制限するようなことが望ましい、こういう御発言があつたのです。ただどういう方法にして数を制限するかということが、技術上の問題として残ると思います。とにかく一つ進歩をしたのですから、委員会としては鈴木さんの御発言のあつた案文を一応の成文としておいて、さらに今後逢澤さんの意見を加味することができるようないい条文が出た場合には、これを訂正してもいいと思いますから、そういう意味で一応これを原案として、委員会として賛成したらいかがでしようか、提案いたします。
  22. 生田和平

    生田委員長 大分範囲が広くなるのですね。もう少し制限する何かいい言葉がないものですか。
  23. 逢澤寛

    逢澤委員 今のお話折裏案でいいと思うのですが、しかしながら、戸別訪問を禁止するという大原則は、はつきりしておかなければならぬ。今までの字句なら、やや通ると思うのですが、そこへ漠然とした新たなものが加わるということは、原則を侵害するおそれがあると思う。そこでどうも意見が対立するのでありますが、どうしてもこの文句はこれでいいと思う。字句を入れるとなれば、そこに数というもので限定を置かぬと、戸別訪問は禁止するという大原則を侵害するおそれがある。何とかそこに大原則を侵さないようなことを考えていただきたいと思います。
  24. 並木芳雄

    並木委員 部長ちよつとお伺いしますが、先ほど鈴木さんは、必ずしもこれに政治上密接な関係にある者ということを条文に載せなくても、「親交間柄にある知己」、この解釈の中に含まれればいいんだというふうにも受取れたのですが、知己の中に政治上非常に密接な関係のある者が含まれるのか、その点お伺いいたします。
  25. 三浦義男

    三浦法制局参事 政治上密接な関係にある者の、この密接な限度が、どの程度考えられるかということが、検討を要します一つの問題でありますことと、それから政治上という意味がどういう意味を持つておるかということが、もう一つ検討を要する問題であろうと思つております。「政治上密接な関係にある者」という政治上の関係というのが、たとえば選挙の際におきましては、有権者と候補者の間はすべて政治上の関係にあるものと社会観念上見られるといたしますと、そういううちで密接な関係をどの範囲で限定するかという実際問題が起つて来るだろうと思います。もう一つは先ほど申しましたように、密接な限度範囲をどの程度考えるかという点に、字句上多少問題がありはしないかという点を、私懸念いたすのであります。「平素親交間柄にある知己」といいますと、相当範囲が限定されておりますので、政治上密接な関係にある者は、大部分平素親交間柄にある中に入り得るものと思つております。これは委員会でおきめになることでありますが、政治上密接な関係にある者という表現では、多少あとに解釈上の疑義が残りはしなかということを懸念いたします。
  26. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 並木委員質問は、平素親交間柄にある知己とだけ規定しておいて、私の提案するようなことが解釈として出て来ないかという御質問です。
  27. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点私両方の関連で申し上げたのでありまして、大部分は「平素親交間柄にある知己」ということに入り得とは思つておりますが、「政治上密接な関係にある者」という範囲は、もつと広い意味を持つておると考えますので、必ずしも一致はしないと思つております。しかしながら「平素親交間柄にある知己」というものは、政治上密接な関係にある者も含むのだということを速記録の上にお残しになりまして、委員会の意向を表明せられることは、けつこうなことだろうと思つておりますが、ただこれは裁判所の判決を拘束するものとは言い得ませんので、ただ立案の過程における意見、こういうことに実際問題としてなろうかと思います。
  28. 並木芳雄

    並木委員 それで提案者の鈴木さんにお尋ねしたいのですが、「政治上密接なる関係」を、もう少し具体化して、たとえば政党支部の役員とか何とかいうことをお考えの上ではありませんか
  29. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それは考えてみたのですが、そうすると役職員とか、農民組合とか、青年団とか、婦人会とかいうようないろいろなものを残さなければならぬので、あまりうるさい条文になつてしまう。だから常識から見て政治上密接なる関係があるということは、政党支部とか、あるいはそれと友誼関係にある組合の幹部を意味するということが、解釈上当然だと思います。そういうふうに解釈していただけると思つて、まずい表現であることは自分みずから認めますけれども、あまりこまかく団体の名などをあげて、その役職員とか幹部とかいうと、非常にうるさい条文になるので、その点をかげんしてこういうふうに書いたのであります。先ほどの三浦部長の御提案も、一つの提案で、私もそれに賛成して「平素親交間柄にある知己」とは、この委員会ではそういうものを皆含んでおるものと解釈した。それをここで速記に残しておいて、妥協しようかと思つたのですけれども、それはわれわれはわかつておるけれども、摘発をする人はこの条文だけを見てやるのです。それで平素親交などはない、あの村へ初めて来たのだ。私どもの行かない村は、まだたくさんあるのです。そういう所へ組織ができると、行つてあいさつするわけです。そうするとだれから見ても、あれは初めてこの村へ来て、あいさつするからには、平素政治上の親交があるものと見ていいだろうとか、この三百的に言うのは明らかだ。そういうことは好ましくない、そういうものを言わせないように条文の上に表明しておきたい、そういう趣旨なのです。これはただに私たちだけではない、だんだん成長して行く政党の人は、多くそういう経験を持つておる。
  30. 生田和平

    生田委員長 速記をとめて……     〔速記中止
  31. 生田和平

    生田委員長 速記を始めてください。
  32. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 そこでやはり委員会では、こういう了解のもとに、この規定をしたということを、速記にとどめておきまして、この次の選挙から——私は必ずやられることと覚悟しておりますが、これでそのとき法廷まで行くことは困るのですけれども、法廷に行つて委員会ではこういう了解のもとに賛成をしたということを、速記録を示して、弁護の資料にするだけのことをして、この条文に賛成しようかと、実は最後の妥協点を持つておるわけです。
  33. 生田和平

    生田委員長 「平素親交の事柄にある」ということは、初めてお目にかかつても、思想上連絡もあるし、また支部長とか、そういうものがこの中に入るのだから、そういう人を訪問することは違法でないのだというふうに、委員会が了解して、この条文をきめたというふうに、速記の上にとどめておくということで——私もこれはまずい表現だと思いますから、決していいと思つて提案するわけではないのですが、そこでどうでしよう
  34. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 「平素親交の事柄にある知己」という定義の中に、政治上に密接なる関係のある者を含めるという御趣旨なのですか。
  35. 並木芳雄

    並木委員 私はただいまの鈴木さんの最後の妥協案に賛成いたします。法文のことですが、部長にお伺いいたします。今のように含みを待たせるために、「事柄にある知己」という次に「など」というのを入れた方がいいように思われますが、どうでしよう、御意見を伺います。
  36. 三浦義男

    三浦法制局参事 法律上の嚴格な意味から申しますれば、「など」「その他」とか申しますると、非常にあいまいな意味が出て参ります。委員会の御意見で多少の含みを持たせまして、そういう意味言葉を入れたいということでございますれば、これはけつこうなことだろうと思つております。ただ法律解釈の問題といたしまして、「など」のようなものが入ることになりますと、たいがい「など」「その他」と申しますものは、これに類するものということになるでしようから、その意味において「政治上密接な関係にある者」というのも、ある程度その含みにおいて考えられる、こういうことは言い得るかと思いますから、それでけつこうであろうと思つております。
  37. 逢澤寛

    逢澤委員 今の鈴木さんの折哀案に賛成するものであります。それは郡に行つて、郡の連絡の会長とか、あるいは村の会長などというものは、むろん親族知己というのに入るものだと思います。従つてその数は、大体において五人とか十人とかいうような範囲で行くのですから、戸別訪問をするという大原則は割らない。そこでそういうような連中の所に行つてあいさつをすることは、むろん私どもやらなければならぬと思います。その意味において私は賛成であります。
  38. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 立法の精神は、私ども了解できるのでありますが、問題はかかつてその法文化にあると思うのです。今言われたように、もし大原則を維持しつつ、候補者本人のある程度戸別訪問を是認しようとするものであるならば、やはりそれは嚴格に限定する必要があるのであつて、その限定の仕方として、今述べられたような「親族及び平素親交間柄にある知己」というものの線を拡げることは、非常に危険であつて、それを調節するためには、やはりここでその範囲を遠ざからないような言葉をつけ加える。「等」あるいは「その他」というようなことになると、これはかなり拡張解釈される危険性がありますから、私はその点はもう少し、たとえば「これに準ずる者」とかいうような意味を、言葉の上においても明確にいたして、あとは良識ある運営にまかせるというようにせざるを得ないじやないかと思うのであります。その点はもう少し研究する余裕を実はお願いしたいのであつて、ここですぐ決定することは困難じやないかと思うのです。  なお続けて申しあげたいことは、これは検察当局あるいは警察当局が、これを捜査の面に濫用する懸念が、かなり多分にあるために、いろいろ議論が出ております。これは委員会のそういつたよう解釈を、捜査当局に明確にしておけばいいのであつて、そのためにこの前——私は出ませんでしたけれども、警察当局を呼んでそういう解釈の運用について意見をただしたというのでありますが、こういつたような問題を一括して——これから他にまだ問題があるかもしれませんけれども、最後の打合せと申しましようか、いわゆる啓蒙し合うような機会をこれと併行してつくつて、そうして将来の運用に誤りのないように、この委員会が中心になつて処置を講じて行くということも必要じやないかと思うのです。選挙管理委員会というようなものがありますけれども、あれはそういう面では、あまり用をなさないのでありますから、この立法府の委員会において、そういう機会をつくつて行くということを、ここで私はお願いしておきたいと思います。
  39. 三浦義男

    三浦法制局参事 先ほど来戸別訪問の問題につきまして、委員会におきましていろいろの御意見が出たわけであります。鈴木委員から「政治上密接な間柄にある者」というのを「親族平素親交間柄にある知己」のほかに加えたらばどうかという御意見でありましたが、いろいろこの委員会の御意見等をさんしやくいたしまして、一応法律上の見地から適当ではなかろうかと思われます案を考えましたので、皆様方にお諮りいたしまして、これでよろしかつたならば御決定を願いたいと思つております。読み上げますと  「但し公職候補者親族平素親交間柄にある知己その他密接な間柄にある者を訪問することは、この限りでない。かようなことになりますが、大体「その他密接な間柄」ということですから、親族平素親交間柄にある知己等に準ずるような密接なる間柄にある者というようなことになります。「その他密接な間柄にある者」という字句については、先ほど来委員会において御発言のありましたような趣旨も含めた意味におきまして、限定してこういうような字句にするということではいかがかと考える次第であります。
  40. 生田和平

    生田委員長 ただいま三浦部長より御説明申し上げました点につきまして、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 生田和平

    生田委員長 御異議なければさよう決定いたします。  次に国勢調査の関係であります。いわる区制をきめる問題です。
  42. 三浦義男

    三浦法制局参事 衆議院の別表の問題と国勢調査による人口異動との関係をどう取扱うかという問題でありますが、この前ある委員の方々から、衆議院の別表を国勢調査の結果によつて、ある期間がたつたらかえるような規定を置いたらどうかというような御意見がございましたので、それによりましてこの前の委員会において一応の案を申し上げたわけでございます。その案は新しい公職選挙法においては別表第一ということになりまするが、その別表の終りに次のようた文句を加えたらどうかと申し上げたわけであります。   本表は、この法律施行の後初めて行われる国 勢調査の日から五年ごとに行われる国勢調査の 結果によつて、更正するのを例とする。こういうのですが、その意味は、来年十月一日現在をもちまして、国勢調査が行われるという政令が出ましたので、それによつて近く国勢調査が行われることになりますが、その国勢調査の時でなくして、その次に行われる国勢調査の結果によつて五年目に更正するというような意味であります。多少字句が適当でない点もありますので、その趣旨を含めましてさらに別案を考えましたので、皆様方にお諮り申し上げたいと思つております。   本表は、この法律施行の日から五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によつて、更正するのを例とする。こういうことになりまして、この法律施行の予定は、昭和二十五年四月一日から施行されますので、この施行の日から、五年ごとに別表を更正することにいたしますが、その更正する際には、更正の際直近に行われた国勢調査の結果によつてこれを行う、こういうふうな意味にいたしましたならばどうかと思うわけであります。ただこの点は国勢調査が来年に行われるならば、その時に変更したらよいではないか、あるいはこういうように限定しないでむしろ書かない方がよいのではないかというような御意見等もあると思いますが、一応委員からの御依頼がありましたので、その点を申し上げておきます。
  43. 川西清

    川西委員 市域拡張などによつて、市の人口がふえて、その隣の選挙区の郡部の人口が非常に減つて人口に異動を来した場合、名前においてはこの別表にかわりにないのでありますけれども、人口数において急激に異動を生じた場合には、どういうふうになりますか。たとえば、神戸市が武庫郡から東部の五箇町村を近いうちに合併いたしますれば、兵庫県第一区と第二区の間に有権者数の相違を生ずる可能性があるのでありますけれども、こういう場合は、どういうふうに取扱われることになりますか。
  44. 三浦義男

    三浦法制局参事 ただいまの別表改正の問題は、衆議院議員の総数を四百六十六人と仮定いたしまして、その範囲内におきまして、各県における選挙区の人口移動によつて選挙区ごとの議員定数を変更する、かような意味でございます。従いまして、たとえば兵庫県は第一区として神戸市となつておりますので、第一区と第二区の間に人口の相違がはなはだしく生じたなら、その間一人当りの人口割合というものを全国的に見て、その基準できめることになるたろうと思いますが、そういう人口の異動が非常にはなはだしい場合においては、一区とニ区の間に定数の変更が起る、こういう意味になります。
  45. 川西清

    川西委員 疎開した者が帰つて来るとか、町が繁昌して、人口がふえるという場合ではなくて、地域的変更に伴つて人口が変動する場合も、五年間をほうつておくということは、ちよつと不合理のような気がするのであります。ただ人口がふえるだけではなしに、神戸市と称する地域が拡大するがために、それに伴つて有権者がかわつて来る場合には、今予想せられておつしやいましたその町が繁昌して人口がふえる場合と、同一に取扱われるのでありましようか。
  46. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点は同一に取扱われることになると考えております。と申しますのは、具体的に申し上げますれば、神戸市の人口が近隣の町村を合併いたしまして自然にふえた場合におきましても、なおまたいろいろな関係から神戸市に人口が移動いたしまして、それによつてふえました場合におきましても、国勢調査の結果によりますれば、神戸市の人口は結果においてふえるということになりますので、その原因のいかんを問わず、国勢調査の結果によつて、ある選挙区の人口がふえれば、それに伴つて定数をかえる、こういうような趣旨なのであります。
  47. 川西清

    川西委員 その地域が拡張すれば、自然それに伴つて選挙区がかわつて来るわけなんですね。
  48. 三浦義男

    三浦法制局参事 五年ごとにかえるのです。
  49. 川西清

    川西委員 そうするとそれまでは市内に編入されても郡部にくつつくのですか。
  50. 三浦義男

    三浦法制局参事 そいうことはありません。
  51. 川西清

    川西委員 市域が拡張すれば、新市域は市内の選挙区になるのですね。そういう場合に、神戸市が拡張すれば、神戸市の新市域は、当然神戸市であります第一区の選挙区中に入つて来ることになるいう御答弁でありましたが、それと比較いたしまして、京都市においては右京区と伏見区だけ第二区に入つて一つの市が選挙区においてちよん切つてあるようになつておりまして、均衡上はなはだふしぎなような感じがいたしますが……
  52. 三浦義男

    三浦法制局参事 現在の選挙法の規定におきましては、神戸市が近隣の区村を合併して、自然にふえるというようなことがあつた場合におきましては、神戸市自体が自然に広がつたということになりまして、第一区神戸市三人という定員は、人口が自然にふえましても、そのまま取扱われるわけでありまして、選挙区が自然に広がつたということだけであります。ただいま申し上げましたのは、そういうように広がつた場合におきましては、それをすぐかえるというのではなくして、五年ごとに全体の人口の異動をあんばいいたしまして、各選挙区ごとの議員定数の按分をする。これも五年ごとにやる、こういうような趣旨でございます。
  53. 川西清

    川西委員 そういことでありますれば、「五年ごと」というふうに明文でしるしてしまわないで、多少そこに弾力性を持たせた書き方にしておいた方が、融通がつくのではないか。「五年ごと」とはつきり書いてしまうと、それに縛られてしまいまして、非常に有権者があるにかかわらず、五年間はどうすることもできないというような、非常に自繩自縛の立場に陥ることにもなるので、この点あまりはつきり書いてしまわない方が、適当ではないかと考えます。
  54. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点は確かに御意見だと思つておりますので、従いまして、さような御趣旨であれば、そういう規定を置かない方がいいということになるだろうと思いますが、また逆に選挙区の人口異動による議員定数の変更ということは、政治問題といたしましても、あるいは実際問題といたしましても、なかなかむずかしい問題でありまして、現在相当人口の平均がとれていない場合におきましても、なおかつ選挙区の定数を動かすことは容易でないように承つておりますので、そういう意味から、逆に五年ごとには、これは一応国勢調査の結果によつて更正することがあるのだということを、むしろ積極的に表明する意味も「五年ごと」ということにはあるのであります。逆に五年間は変更しないという意味も出て参りますが、ただいま私が申しましたように、いろいろな事情から変更ということは容易でない関係からなかなか行われませんので、五年ごとには行うのだ、常に将来五年ごとには更正して行くのだということを、法の上において確立するということも、一つ方法でもあろうかと思つております。しかしながら、この点につきましては、いろいろの御意見のあるところだろうと思いますので、それは委員会においておきめになつてしかるべきだと思います。
  55. 生田和平

    生田委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  56. 生田和平

    生田委員長 速記を始めてください。
  57. 田中重彌

    ○田中(重)委員 先日、三浦部長の話で訂正をされまして、一人につき五円を超えない範囲内、かようにつけ加えたわけでございまするが、この解釈は必ず五円と解釈してよろしいのですか。それとも、どこかでこれを調節して、三円とか二円とかというふうに御決定になるのですか。
  58. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点は、「五円を超えない範囲内で命令をもつて定める金額」ということにいたしてありますので、五円を最高限度といたしまして、それを超えない範囲内で命令で三円なり四円なり、五円なり、そのときの経済情勢や種々の状況を考慮してきめる、こういうことに一応法文はなつております。
  59. 田中重彌

    ○田中(重)委員 非常に融通通性があるわけですね。
  60. 三浦義男

    三浦法制局参事 そうです。
  61. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 これは党に帰りまして実は相談いたしたのであります。私の方では非常に公営を拡大して、あらゆる方向に公営の制度を利用できるようにしてあるのであますが、嚴正に候補者の使う金を考えてみると、ポスター代、それを張らせる、それから拡声機を使うというようなことで、自動車賃は別ということになれば、そう金を使うはずがない。使うということになれば、結局従来の弊害のある方面に使うことになるから、できるだけ選挙費は少いことを希望する。また少く規定しておくことが選挙運動を粛正するゆえんでもある。こういうことになりまして、どうも東京第一区で四十七万の人口で四十五万円というのは、自動車賃を抜いて多過ぎる。それでわれわれは二十万くらいで上げたい、こういうので一円にしたいのですが、一円は少し少いかもしれませんから二円までがまんしよう、こういうことになつた。つまり東京第一区で言えば二十万円、私の選挙区は五人でございますので、少し大きく二十二、三万円ということで上げたいと思うわけでありますので、ぜひその辺にまけていただきたい。
  62. 中原健次

    ○中原委員 選挙費のことは、この前にちよつと御質問したかと思いますが、私もまた選挙費用はなるべく少い方がよろしい、こういう見解に立つわけです。ことにただいま御指摘されましたが、自動車賃は含まずということになつておる、このことがすでにもう私どもから考えると、間違いがあるように思うのです。自動車賃というものは、ほんとうは選挙目的のために費消するものでありますから、当然これも選挙費の中に加算される性質のものである、こういう解釈を持つておるわけであります。従いまして、自動車賃を含まぬ選挙費ということになれば、もうほとんど公営の事情から考えますると、少の額で足りるというような結論が出ると思います。かような意味から、社会党の方が今御意見を述べられましたように、やはり一応二円くらいにしたいという意見を持つております。
  63. 逢澤寛

    逢澤委員 選挙費用の点は、前委員の方からお話のように、なるべく少くするということは、私ども同感であります。しかしながら現下の物価事情を考えて、現実とあまりかけ離れないということを私は考える。現実とかけ離れていると、やることなすことが、そこに空虚のものができる。だから、現実とあまり離れないものを出さなければいかぬ。こういう点から考えまして、先ほど来解説になりましたような五円以内ということで、あとのことは、かりに東京の場合はどれだけかかる、宮城県の場合はどれだけかかる、地区の広狭あるいは人口の密疎によつてもそれぞれ違うのであります。そこでその範囲内できめるということに、前数十回にわたつてつておるのでありますから——もつとかかる所はどこか、ちよつと記憶いたしませんが、そんな所もあるのでありますから、二円必ずしも安いと私は思いません。二円でできる所もあるけれども、それではできないという所もある。特に今御指摘になりますように、自動車賃を含めての二円ということでは、自動車の費用などは相当かかるものであります。どうしても燃料などの時価は、そのときどきで非常に高低がつくものでありますから、これは含めないということが私は適当だと思う。そのほかの費用につきましては、できるだけ低いのがいいということは、先ほど述べた通りでありまするけれども、その所々の事情によつても違いまするから、五円以内ということにきめておきまして——五円が高いということも承知します、しますけれども、そのあとのことは、その所所で実情に即したものを命令で定めるということになつておりますから、命令で定める折に適当なことをやるのがいいのではないか。この意味において、前回来およそ話合いができておるところで御決定を願いたいと思います。
  64. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 三浦部長にお伺いしたいのですが、これは今までも差別的に金をかけて、ある県に五十銭、ある県は三十銭というようにしておりましたか、そうではないのですか。
  65. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点は、額は画一的でありまして、この前の選挙は一円ということになつておりました。従いまして、地域によつて額をかえるということはやつておりません、ただ問題は、その選挙区における選挙人名簿に登録されておる人を議員定数で割りまして、それに單価をかけますので、従つて府県において人口の多少によつてそれぞれ選挙費用の異動がある、こういうことになつております。
  66. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 いま一つ社会党主張を申し上げておきますが、参議院議員の全国選挙につきまして、これも費用をできるだけ節約することを希望する。私どもはお互いに貯金して、全国区の参議院議員選挙費を捻出して、できるなら五十万円で二十人くらい当選させたい、こういう考えを持つております。無料郵便、無料施設、そういうものを利用すればポスター代だけでやれるであろう。ですから、この方はかりに二円と妥協しましても、全国区については一円としても八十万円ですから、それくらいにして行かぬと困る。こういう考え方でありまして、立法の上で一円としたり二円としたりすることはお困りかもしれませんが、規定してできないことはないと思いますから、参議院の全国区についてはさらにその半額くらいに、かける基本を減らしていただきたい、こういう考えを申し上げます。
  67. 生田和平

    生田委員長 ちよつと今の鈴木さんの御意見にお答えしますが、実は本日参議院と交渉してみたのですが、参議院でも、これは非常にむずかしくて、ちよつと二日や三日ではきまらぬというような意向です。  それからあと、ちよつとこの機会に申し上げたいことは、この議案は臨時国会に提出したいというのが、実はわが党の意思なんです。ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  68. 生田和平

    生田委員長 速記を始めてください。  それでは前にもどりまして、三浦部長ちよつと申し上げたいことがあるそうですから、発言を許します。
  69. 三浦義男

    三浦法制局参事 この前の委員会において御説明申し上げたのでありますが、この選挙法案を、できるだけ国民の選挙法案として、よりよくわかりやすくいたしますために、目次を、章別でなくして、各条ごとにあげる、二百七十三条にわたりまして目次を全部あげるということにいたしたのでありますが、そのほかになお各条の中におきまして、他の引用条文がたくさんあるわけであります。今度はいろいろの選挙がこの公職選挙法案の中に含まれておりますので、きわめて複雑になつておりますが、そういう点を考えまして、各条の中で引出しておりまするそれぞれの条文に、括弧書きでその条文意味をすべて表わす、かようなことにいたしまして、できるだけわかりやすいようにいたしたいと考えておるわけでございます。意味を要約いたしまして括弧だけつけますことにいたしますと、これは法律の内容になりまして、それ自体の意味がこの法律規定の拘束力を持つことになつてはまた強過ぎますので、そういう意味合いにおきまして二百七十二条に新しく第二項を置きまして、大体こういうようなことを御了解を得てつけ加えたいと思つております。   この法律中「章」、「条」及び項の下に付し たかつこ「《》」書は、各条項を引用する場合 の便宜をはかるための見出しであつて、各規定 の内容を限定する意味を有するものと解釈され てはならない。こういうことにいたしまして、その点を補いたいと考えておるわけでございます。  それからなお二、三おもな点を、管理委員会等からの意見がございましたので、御了解を得ておきたいと思つておりまするが、十三条の二項に——衆議院議員選挙区の問題に関係いたしておりまするが——「別表第一に掲げる郡の区域又は支庁の所管区域に変更があつても、選挙区は、なお従前の区域による。」こういうことになつておるのでありますが、これに但書をつけておるのでありまして、しかし両方の選挙区がまたがりまして、市町村の境界変更があつたり、町村が市となりましたり、いろいろいたしました場合におきましては、従前の区域によらないで、新しくでき上つた区域によるということになつておるわけであります。この場合におきまして、新たに二つの選挙区にまたがつて、町村が合併いたしまして、昇格して市となつたというような場合の選挙区の所属につきまして、いろいろの疑義があるそうでございますので、この点を明白にいたす意味におきまして、第十三条第二項の但書の最初に「二以上の選挙区にわたつて」という字句を加えますことと、その但書の後段に、「この場合において、あらたに市となつたものの選挙区の所属については政令で定める」ということにいたしまして、新しく両選挙区にまたがつて市となつた場合のその所属を、政令で定めることにゆだねたいと思うわけでございます。市は、衆議院選挙区におきましては、一つ選挙区の中の独立した單位となつておりますから、さような問題が間々起り得るようでありますので、さように御了承を願いたいと思つております。  それから次は百十六条の但書でございますが、百十六条は、地方公共団体議会議員またはその選挙における当選人につきまして、再選挙とか補欠選挙をやる事由が生じました場合におきまして、さらにそれ以外の議院または当選人がすべてなくなつた場合に一般選挙を行う。こういうことになつておるわけでございます。ところが但書におきまして、補欠選挙の告示あるいは再選挙の告示をした場合においては、一般選挙は行わないというような規定が現在の自治法にもあるわけでございまして、それと同様の規定を百十六条の但書に置いてあつたわけでありますが、管理委員会等の意見によりますると、再選挙または補欠選挙の事由が生じまして、だれかが欠けたというような場合、さらにあとの全部の議員がなくなつたという場合におきましては、その一般選挙とあわせてやはりその選挙をやるということが、いろいろの点から都合がいいし、また、その方が適当であろうというような意見もありましたし。いろいろ考えてみますと、それも確かに一案であろうかと考えますので、百十六条の但書にあります事項を削除することにいたしたいと思つております。  最後の点は、先ほど申し上げました二百七十二条の二項につけ加えます点でございます。それから別表の附則の点につきましては、先ほど申し上げましたようなことで御了承を得ますれば、そういうことに取扱いたいと思つております。国勢調査の関係によつて選挙区を変更する、こういう意味規定を置きたいと思つております。  それからもう一つ申し忘れましたが、この公職選挙法の附則案といたしまして、この前お渡しいたしまして、一応御審議を経、御決定を願つたのでありまするが、なお公職選挙法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案がいろいろございますので、これらと附則との関係をかみ合せまして、法律上処理することの方が、適当であるように考えますので、公職選挙法の附則は「この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。」こういうことだけにいたしまして、これに公職選挙法の制定に伴いまする経過規定は、公職選挙法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法立案の附則といたしまして処理いたしたいと考えておりますので、その点をご了承願つておきます。
  70. 生田和平

    生田委員長 今三浦君から御説明申し上げました点は、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕