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1949-11-25 第6回国会 衆議院 選挙法改正に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十五日(金曜日)     午後二時三十四分開議  出席委員    委員長 生田 和平君    理事 栗山長次郎君 理事 小玉 治行君    理事 野村專太郎君 理事 前田 種男君    理事 並木 芳雄君 理事 谷口善太郎君    理事 逢澤  寛君       田中 重彌君    中川 俊思君       藤枝 泉介君    淺沼稻次郎君       鈴木 義男君    鈴木 幹雄君       中原 健次君    佐竹 晴記君  出席政府委員         全国選挙管理委         員会事務局長  吉岡 惠一君  委員外出席者         法制局参事   三浦 義男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  公職選挙法案起草に関する件     —————————————
  2. 生田和平

    生田委員長 これより選挙法に関する特別委員会会議を開きます。  さきに公報をもつて御通知いたしましたのは、公職選挙法案起草の件を議題とすると書いてありますが、その他にも御協議すべき事項が残つておりますから、並行いたしまして御審議を願うことにいたします。  お手元に差上げてありまする「公職選挙法案要綱審議事項」をごらんいただきたいのであります。法制局から御説明申し上げます。
  3. 三浦義男

    三浦法制局参事 ただいまお手元に配付してございます「公職選挙法案要綱審議事項」の順序に従いまして御説明を申し上げます。  第一は要綱全体の法文化につき審議すべき点でありますが、まず第一に法案目次決定であります。これはお手元に「公職選挙法案目次」というのをタイプにしたのを差上げてあると思いますが、大体この前の要綱できまつております事項見出し等を含めまして、各章各條ごと目次をつけることにいたしまして、この選挙法内容目次によつてわかりやすくしたい、こういうつもりで、こういう案を採用したならばどうかと考えている次第であります。まだ従来の法案の形式におきましては、各章の目次までを法案目次にいたしましたのは前例がございませんが、この選挙法は、地方選挙等を含めまして、非常に広汎にわたつておりますし、内容が複雑でありますので、その点を国民一般にわかりやすくする、いわゆる国民選挙法たらしめるという意味をも兼ねまして、かようにいたしましたならばどうかと思つております。
  4. 生田和平

    生田委員長 ただいま三浦部長より御説明申し上げました法案目次決定であります。原案の通りで御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 生田和平

    生田委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  第二について御説明お願いします。
  6. 三浦義男

    三浦法制局参事 第二は要綱案内容について、さらに検討を要すべき点につき、御審議を願いたいと思つております。法案要綱内容につきましては、すでにたびたびの委員会において御意見等もありまして、印刷いたしましたものができ上りましたわけでありまするが、こまかい字句等の修正につきましては、かねがね委員長におまかせになつておりますので、それらの点には触れませんで、なお多少問題としてこの際御審議を願いまして御決定を願つたらばと思います事柄につきまして、要領を御説明いたしたいと思つております。  まず第一に、法案にいたします場合におきましては、この要綱におきましては「第」」とか「第七」とかにしてございますが、これをすべて「條」にいたしますれば、そのままで法案になるのであります。だだ内容におきまして、各條等におきましていろいろ準用規定がありましたり、この選挙法案要綱の中で他の規定等を引いている部分がございますが、これらを読みやすくいたしますためには、その準用條文が何であるかを括弧書きで、見出しをそこにつけ加えるというような方法をとりますれば、非常に見やすくなろうかと思つているのでありまして、でき得るだけ法案にいたします場合におきましては、さようにいたしたいと考えているのであります。これは先ほどの目次のときに説明申し上げましたと同様の趣旨でございますので、さように御了承を願いたいと思つております。  次にこの要綱内容につきまして、おもなる事柄を順を追いまして御説明申し上げます。  まず第一には、第六の点でございます。第六は「選挙事項周知及び棄権防止」の問題でございます。これは先ごろ内閣の選挙制度調査会におかれましても、いろいろこの点について意見がございまして、この第六は、選挙事項周知啓蒙宣伝とか、棄権防止等を兼ねている総則的な事項でありまするが、なお常日ごろから、選挙に関しまして、選挙人に対する啓蒙宣伝をするような意味を表わしてもらいたい、こういうような意見等も出ておりますので、第六において、その意味が出ておるとは存じまするが、その点を少し敷衍いたします意味におきまして第六の第一項の中で「選挙に関し特に必要と認める事項を」の下に常に選挙人周知せしめるとともに」というように「常」」という言葉を補いまして、平素から周知方法を講ずる、こういうことにしてその趣旨を生かしたいと思つております。  次は第十一におきまして第一項の第三号であります。第三号は括弧書きの中で、刑の執行猶予中の者につきまして、特別に選挙権、被選挙を與えることにいたしましたわけでありますが、この規定の「選挙犯罪」という意味が、この法案によりまするところの選挙犯罪のみに限られるのか、あるいは他の選挙等選挙犯罪も含まれるのかという点に、多少の疑義がありますし、なおまた地方公共団体等リコール等における投票の場合に選挙規定を準用いたしておりますが、そういう場合の投票違反とかいうものによつて罪に問われる場合、それから御承知の最高裁判所の裁判官の国民審査の場合におきましてこれの違反によりまして罪に問われました場合等におきまして、やはり刑の執行猶予という問題が起るわけでありまするが、そういうものにつきましては刑の執行猶予中の者でありましても、これに選挙権、被選挙権を與えることはどうかと考えられますので、選挙犯罪という意味をそういう意味においてさらに明瞭にいたしまする意味合いにおきまして、括弧書きのところに最初にこういう文句を挿入したいと考えております。「法律の定めるところにより行われる選挙投票及び国民審査に関する」という字句を入れまして、「犯罪以外の犯罪に因る刑の執行猶予中の者を除く。」かようなことにいたしたらばどうかと思つております。  もう一度読み上げますると、第一項第三号の括弧書きの中をかように改めたいと思つております。「法律の定めるところにより行われる選挙投票及び国民審査に関する犯罪以外の犯罪に因る刑の執行猶予中の者を除く。」かようにいたしたいと考えております。  それから次に、同十一の第二項におきまして「選挙犯罪に因り」とありまするところを、「この法律の定める選挙に関する犯罪に因り」かようにいたしたいと思います。
  7. 生田和平

    生田委員長 今三浦部長から御説明ございました第六第一項の二行目の「特に必要と認める事項を」の次に「常に」を挿入することと、第十一の第一項の第三号「法律の定めるところにより行われる選挙投票及び国民審査に関する犯罪以外の犯罪に因る刑の執行猶予中の者を除く。」ということに改めますことと、第二項を「この法律の定める選挙に関する犯罪に因り」ということに改めることに御異議ありませんでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 これは第三号におきまして「法律の定めるところにより」二項では「この法律の定める選挙に」というように書きわけられたのは、何か意味があるのでありますか。
  9. 三浦義男

    三浦法制局参事 三号におきましては「法律の定める」ですから、この公職選挙法のみに限りませんで、一般法律の定めるところにより行われる選挙投票及び国民審査ということで広くなりますし、第二項におきましては、ただ「第二百五十二の定めるところによる」とあります点を、特に第十一において明瞭にする意味におきまして第二項が設けられたのでありますので、第二項においては、「この法律の定める選挙に関する犯罪」かようなことにいたしまして、彼此相まちまして、その関係を明らかにしたわけであります。
  10. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 わかりました。
  11. 生田和平

    生田委員長 御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 生田和平

    生田委員長 御異議なしと認めます。
  13. 三浦義男

    三浦法制局参事 次は第二十一でありまするが、第二十一は船員基本選挙人名簿登録特例規定であります。この船員名簿につきましては、基本選挙人名簿をつくることになつておりますが、この基本選挙人名簿は、二十一の第五項において書いてありますように衆議院議員及び参議院議員選挙に限り、その効力を有するものであります。ところが一般基本選挙人名簿は、地方選挙の場合にも適用できますので、取扱上一つのものにいたしておきますることは、実際の事務取扱いにおきまして不便な点がありますから、船員基本選挙人名簿につきましては、別の取扱いをいたす方が実際的と考えますので、二十一の第一項におきまして、最後のところに「所在地市町村において、その基本選挙人名簿に登録することができる。」とありますのを「別に基本選挙人名簿を調製して、これに登録することができる。」かような意味規定を置きたいと考えております。
  14. 生田和平

    生田委員長 ただいま三浦法制部長より御説明しました通り、第二十一第一項の末尾に「所在地市町村において、別に基本選挙人名簿を調製して、これに登録することができる。」と改めたいというのでありますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 生田和平

    生田委員長 御異議なければさよう決定いたします。
  16. 三浦義男

    三浦法制局参事 次は第八十九でございます。これはいろいろ御議論のありました点でございまして、公務員立候補制限に関する規定であります。八十九の第三項におきまして「地方公共団体議会議員は、第一項本文の規定にかかわらず、在職中、他の地方公共団体議会議員候補者となることができる」という規定が置いてあるのであります。公務員は、原則として立候補ができない、しかしながら地方公共団体議会議員は、他の地方公共団体議会議員立候補することができる。こういうようなことになつているわけであります。これは現在地方自治法におきまして、こういうように認められておりますので、この規定を置いてあるわけでありますが、この点に関しまして、ある委員の方からこの第三項を削除してもらいたいというような御意見もあるようでありますが、この点は相当重要な影響を持つ点でありますので、私といたしましては皆様の御審議によりまして、御決定従つていかようにも訂正いたすようにいたしたいと考えております。なおつけ加えておきますが、これは現在地方自治法で認められていることが、三項を削除いたすことになりますれば、それは認められないことになるのでありまして、地方自治法規定を改めませんと、その点とこれと矛盾をする、こういうことになるわけであります。これは社会党の方から御意見が出ているようでありますが、つけ加えて申し上げます。     〔「これは地方行政委員会意見を徴して来られたのですか。」と呼ぶ者あり〕
  17. 三浦義男

    三浦法制局参事 聞いておりません。
  18. 並木芳雄

    並木委員 ただいまの御意見社会党の党として出されたのでしようか、それとも個人委員からそういう御意見が出たのでしようか。
  19. 生田和平

    生田委員長 もちろん個人委員意見です。
  20. 並木芳雄

    並木委員 民主党の方としても、今日のところ、ちよつと一存では返事しかねると思います。そういう新しい提案が出されますと、一応協議して、やはり党としてきめたいと思います。
  21. 生田和平

    生田委員長 この問題はさき委員会では一応決定しているのです。ただ社会党のあるお方から非公式に、自分はこういうふうな考えを持つている、こうしてもらいたいという御意見があつたので、一応ここに提案したのです。でありますから、別に反対の御意見が成立せねば、従来決定いたしているのを用いるほかはない、こういうふうに考えております。
  22. 三浦義男

    三浦法制局参事 次は九十三であります。九十三は供託物没牧規定でありますが、その第一項第三号で、参議院地方選出議員選挙に関しまして、下欄の方に但書があるわけであります。その但書の中で「但し、補欠選挙については、その選挙すべき議員の数が」云々とありますが、その中で」補欠選挙については」までを削ることにいたしたいと思います。その理由は、参議院地方拠出議員につきましても、合併選挙等がありまして、ほかの選挙とあわせて一つ選挙として選挙を行われる、こういうことがあるのでありまして、その場合におきましては、やはりその立候補をいたしまする選挙すべき議員の数は、通常選挙における当該選挙区内議員の定数を越える場合でありますので、その但書規定を生かした方がいいと考えまして、補欠選挙だけの場合に限らない方がよかろうと考えますので、その意味におきまして「補欠選挙については」までを削つたならばいかがかと考えております。
  23. 生田和平

    生田委員長 御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 生田和平

    生田委員長 御異議なければさよう決定いたします。
  25. 三浦義男

    三浦法制局参事 次は九十四の公営に要する経費の分担の問題であります。この第二項におきまして、分担金はいかなる場合におきましても、これを返還しないことになつているわけでありますが、実際の実例選挙管理委員会等から聞きますと、公営分担金は納めたが、いろいろの事情によりまして立候補の届出をしなかつたというような実例等もあるようでありまして、そういう場合におきましては、その公営分担金を返還することを認めてもよくはないかと考えられますので、九十四の第二項に但書を加えまして、「但し、公職候補者とならなかつた場合に限り、返還するものとする。」     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 生田和平

    生田委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
  27. 三浦義男

    三浦法制局参事 次は第九十五でありますが、九十五は当選人の得票数等に関する規定であります。この九十五の第一項第三号におきまして、「参議院地方選出議員」という項がございますが、その下欄の但書のところにあります「補欠選挙については、その」というのを先ほども申し上げましたと同じような理由において削りたいと考えております。
  28. 生田和平

    生田委員長 御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 生田和平

    生田委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
  30. 三浦義男

    三浦法制局参事 次は第百三でありますが、第百三は、兼職禁止の職を辞さない場合の当選人の失格の規定であります。この規定の中で「当該選挙にかかる議員長又委員と兼ねることができない国又ば地方公共団体公務員の職に在る者は」という規定がございますが、この中で「国又は地方公共団体公務員の」というところまでを削りたいと考えております。これを削りますとこういうことにかわるわけであります。「当該選挙にかかる議員長又委員と兼ねることができない職に在る者は」云々ということになるわけであります。その理由は、たとえば公共企業体役員日本專売公社日本国有鉄道等役員は、国会議員とか地方公共団体議員と兼ねることができないということがありまして、また弁護士等も報酬をもらつて公務員等の職につくことができないということがありますので、そういう場合等をもひつくるめます方が、この規定趣旨に合うと考えておりますので、「国又は地方公共団体公務員の」までを削りまして、それらの者もこれに含ませる、かようなことにいたした方がどうかと考えております。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 生田和平

    生田委員長 御異議なければさよう決定いたします。
  32. 三浦義男

    三浦法制局参事 次は第百三十八でありますが、これは委員会において最も問題の多かつた戸別訪問規定であります。この百三十八の戸別訪問につきまして、第二項の「前項規定は、公職候補者当該選挙に関し自ら挨拶行為をすることを妨げるものではない。」というような規定が、いろいろな意味合いにおきまして置かれたのでございますが、これは取締りの点その他の点等を考えますときに、多少問題があるように考えられますので、ある民主党委員の方から、これを「公職候補者知人訪問する」というように改めてもらえないかというような御意見が出ておつたわけであります。参議院の方におきましては、公職候補者知人訪問することはかまわないというような、一応の案があるようでございますが、知人と申しますると、どの範囲が知人であるか明瞭でありませんし、ある候補者投票をいたしました有権者は、すべて知人と言えば知人になりますので、すべての人を訪問することもできるということになります。また知人という意味がはつきりいたしませんので、自分知つてつたが相手は知らないとか、いろいろめんどうな問題が、かりに訴訟等になりました場合に起るおそれがありますので、そういう意味を含めまして、さらにそれらの不明瞭な点を避けるため、新しい規定として百三十八條の第一項に但書を置きたいと考えております。その案を申し上げますと、第一項但書を次のように置きたいと思つております。「但し、公職候補者親族及び平素親交間柄にある知己訪問することは、この限りでない。」かような但書を挿入して第二項を削除いたしまして、第三項を第二項といたします。また第三項の終りに「第一項に規定する禁止行為に」とありますのは、「第一項」を「前項」と改めることにいたしたいと考えておりますが、この点はで、よろしく御審議を願いたいと思います。
  33. 並木芳雄

    並木委員 その民主党議員というのは、だれですか。
  34. 三浦義男

    三浦法制局参事 民主党ではなく民自党です。民自党栗山さんから、党の意見が大体そういうことだということを言つて来られました。民自党の幹部の意見が大体こういうふうになつたからということでした。
  35. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 今の御提案に対しては、むしろ改悪であつて反対であります。実際に候補者訪問するとか、敬意を表するとか、あいさつの必要があるというのは、われわれの方の場合でありますると、組織の長というようなもので、その地区の組織を預かつておる人のところの前を通つてあいさつをしないわけに行かない。しかし親戚でもないし、親交もない、初めて会うような人があるのであります。組織を持つておる政党としては、そういうことはぜひやらなければならない。それができないならば、何もこの例外規定を設ける必要はないので、親戚だとか知人だとかいうことは、法律規定しなくても、当然訪問してさしつかえないと思います。そういうことは改悪だと思いますので、反対であります。
  36. 中川俊思

    中川(俊)委員 このくらいのことは、みんなやつているのだからいいと思いますが、私はたびたび言つているように、検察当局の意向を一ぺん聽取してみたらどうでしようか。
  37. 生田和平

    生田委員長 これに対しては検察当局意見は聞いていないのですが、あいさつ行為のときは聞いております。ただあいさつ行為のときは検察当局としては不明瞭だというのであります。
  38. 逢澤寛

    逢澤委員 この問題は選挙委員会の当初から懸案になつておる問題です。今某議員からお話になつていたようなことにも一応の考え方はつくと思います。けれども、検察当局から言うとそう出て来ない。実際問題として、選挙は理論ではない、人間人間の接触である。その折に地方行つて知らぬ顔をするということはできない。この間の検察当局意見では、それは許していないとはつきり言つている。そうした場合に、それに対抗してわれわれが選挙法をこしらえるときに、その実情を知つてつて、さらにそれでもということは言えない。従つてこれは立案というより、われわれを助成してくださつておる当局としても、非常に頭を脳めてここまで来ているのですから、法律家から見ればいろいろな意見はあると思うが、これはこれくらいに御承認を願いたい。選挙は実際問題だ、法律関係でやるのじやない。法律関係でやるなら、それはできると思うが、しろうとしろうとが接触する場合がある。それを知人顔先行つてあいさつすることもできぬということは、この間の検察当局の話では、それが連続になつてはいけないということを言つている。それを耳にしているわれわれとしては、何らかの対策を考えなければならぬと思う。これは法律家から見れば幾多の疑義があるかもしれぬ。しかしそういうことを聞き盡した結果がここに来ているのだから、私は賛成いたします。皆さんの御了解を得たい。
  39. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それは議論はし盡されているのですから、法律的にどう表現するかということが残つている問題だと思う。ですから、御趣旨はよくわかるのです、私どもも同じ意見なんですが、検察当局がこの前来ての話では、個別訪問もいけない、だから候補者がやつて、たとえ訪問あいさつをやつてもいけない。検察当局はやはり投票を得る目的でたずねたものと見る。これくらい明瞭なことはない。またそう見られてもしかたがない。むしろそういう趣旨訪問すると見た方が正しいと思う。それだから、候補者限つて例外とするというなら法律的に正しいと、検察当局言つてつた。法のきめ方の技術が間違つているということを言うたにすぎない。それならば候補者限つて訪問を許すというように規定すべきだというのが、あのときの御議論趣旨つた
  40. 逢澤寛

    逢澤委員 ただいまのは若干違うと思う。候補者でも、これにしばしばかかるとすればいけない。そこにこういう文句の必要が出て来た。候補者がいいのだつたら、何も必要はない。これは候補者でもいけないというのです。
  41. 三浦義男

    三浦法制局参事 私からなお補つて説明申し上げますが、先ほど申しましたように但書を置きますと、公職候補者投票を得る目的をもつて親族とか平素親交間柄にある知己訪問することはいいということになるのであります。従来のあいさつ行為の鳩合におきましては、投票行為を得る目的をもつて行くことはいけないのでありまして、單なるあいさつ行為ということになつてつたわけであります。これを公職候補者戸別訪問をすることはこの限りでないと広くいたしますと、公職候補者をあまり縛り過ぎて、どこにも行けぬことになつて、ある人は行き、ある人は行かないということになつても困るし、またあまりに縛り過ぎるという御意見がありましたので、その点をも勘案いたしましたし、なおかつここに第二項の挨拶行為を置きました趣旨も、先ほど逢澤委員からお話のありましたような趣旨で置かれたのでありますから、その点いろいろの点を勘案いたしまして、それを法文の上に表わしますれば、先ほど申しましたように、親族及び平素親交間柄にある知己訪問することはこの限りでないというようなことになるのではないか、かように考えておるわけであります。
  42. 生田和平

    生田委員長 どうも御賛成がないようでありますから、この問題はあとまわしにしていただきます。
  43. 三浦義男

    三浦法制局参事 次は百六十八であります。百六十八は掲載文の申請の規定でありますが、その第二項におきまして、「前項掲載文は、字数三百を超えることができない。」ということで、二項におきまして国会議員及び地方教育委員会委員等につきましては二百となつておりましたのを、今度三百ということにいたしたのであります。ただ特例といたしましては、都道府県知事等につきましては、地方自治法施行令で三千字というようなことに読みかえたりする規定を置いておるのでありますが、いろいろの費用点等も考えられまして、三百ということにしたのであります。これをもう少しふやしたならばどうかというような御意見もあるようでありますが、この点も選挙公営費用に関連するものでありまして、どの程度がよいかということは、法律的にきめ得る問題でなくて、いろいろの点を勘案してきめられる問題だと思つております。それをどういうふうにいたしますか、三百のままでよいか、あるいは字数五百を越えることはできないといつて五百くらいにふやしますかどうか。この点は従来は経歴公報といたしておりましたのを、今度は選挙公報といたしまして、政見の掲載ができるということにいたしました。そういたしますれば多少費用はかかつて字数をふやすことがその趣旨には合うことかとも思つております。二百字と言いますと、原稿用紙一枚ということで、三百では一枚半、五百字になりますれば二枚半というところが、大体の見当だと思つております。どういたしますか、御検討を願いたいと思います。
  44. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 その点で選挙管理委員会の方の御意見はいかがですか。
  45. 吉岡惠一

    ○吉岡政府委員 今のお話は、費用の点と資材の点と両方あるのです。最初は相当ふえるだろうという見込みで通産省と交渉しておつたんですが、その後そうふえもしないだろうということで、また多少縮めたようなかつこうになつております。従つて三百字を何百字にしてどうという確たる御返事はできませんけれども、もう一度話してみないと数を申し上げられないのではないか。来年の参議院議員選挙にたちまち用意しなければなりませんから、時期の関係なんかで、どうも四月、五月のころは教科書とぶつかつて、相当用意してかからなければいかぬですから、費用の点では、やはりなるべく少い方がよいので、ただいまのところではあまり公営のために費用が増加すると、事実上、予算がほとんどふえないようなかつこうになるのではないかと考えておりますが、なるべくならば少い方がよい。
  46. 中川俊思

    中川委員 これは大体政見なんかも入るのですが、私前には二百で政見を入れておるのですが、三百でよいのではないかと思います。あまりたくさんがやがや書いてみたところで、実際読むわけではなし、二百でも詰めて書こうと思えば政見も書けるのですから、百ふやせばいいじやないですか。
  47. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 私どもの方では、字数が三百くらいでは何にも書けぬ。言論と文章だけで選挙を争うことが理想であるから、それをひとつぜひ最大限度ふやしてほしい。写真も入れたり、いろいろな言いたいことを言う、そうして都合によつて選挙公報とおもなる場所における演説ということだけで、選挙を争えるようにしたい、こういう強い要求を持つております。ですから、多少費用がかかつても、できるだけ候補者の言いたいことを言わせるような方法に御研究を願いたい。
  48. 生田和平

    生田委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  49. 生田和平

    生田委員長 速記を始めてください。——それでは大体五百ぐらいに御決定なつたらどうですか。
  50. 中川俊思

    中川委員 それを写真を入れて三百くらいにするか……。
  51. 三浦義男

    三浦法制局参事 これは皆さんの写真を集めて、それをまた印刷しなければならないでしよう。それでは、全国選出の参議院議員でありますと全国にまくのですから、たいへんですよ。
  52. 生田和平

    生田委員長 大体これを五百とすることに御承知を願います。
  53. 三浦義男

    三浦法制局参事 次に百七十六の交通機関の利用の問題であります。これは特に参議院の全国選出議員について問題があるわけでありまして、一応この案では第一項におきまして、参議院議員の全国選出の選挙においては二十枚の無料パスを出す、しかもこれは関係区域内で交通機関を利用するためでありますので、日本全国二十枚のパスということになりますと、これはえらい費用になるわけであります。先ほど運輸省の方と打合せてみたら、国鉄だけのパスで、全国通用を、かりに二十枚ではなくて、十五枚といたしましても三十三万円になる。これに乗合いその他を入れますと、たいへんな金高になります。立候補者参議院議員の全国選出が来年半数五十人の選挙があるわけでありますが、これの費用を見込みますと、何千万円ということになるのでありまして、従いましてこの点はなお検討を要すると考えておるわけであります。従いまして、ここに一案を考えておるわけであります。それは内閣に置かれました選挙制度調査会におかれましても、そういう御意見が決議案として出ておりますが、要するに参議院の全国選出議員につきましては、全国通用のパスということではなくて、その人が希望する都道府県のパスを十五枚出す。それからなお全国通用の回数券を十五枚出しまして、各都道府県との連絡については回数券によるということにしたらという意見があるようであります。この意見はなるほどごもつともだと考えますので、そういう趣旨に沿いまして、これを改めてみたならばどうかと考えるわけであります。その具体案を申し上げますと、第一項の二行目の初めに「選挙運動の期間中関係区域内」とありますが、「関係区域内」の下に括弧書きをいたしまして、「参議院全国選出議員選挙においてはその候補者の希望する都道府県の区域内」といたします。それからもう一つは「通じて十五枚」とあります下の括弧書きの中に少し補いたいと思うのであります。「十五枚」の下の括弧書きに「参議院全国選出議員選挙においては」とあります次に、こういうように加えていただきたいと思つております。「都道府県を單位として通用するもの十五枚」ということにいたします。そうしてさらに第一項後段として「特殊乘車券の交付を受けることができる。」の下に「なお、参議院全国選出議員選挙においては、無料で全国通用の国有鉄道の回数劵十五枚の交付を受けることができる。」このように加えたいと思います。  さらにつけ加えて費用の点を概算申し上げますと、今のようなことにいたしますと、回数劵が国有鉄道だけで三万円ぐらい、都道府県單位の通用パス十五枚分で、国鉄だけで大体一万八千円、このほか乘合自動車その他が入りますと、さらに費用がかさみますが、これは県によつてつているのと入つていないのとありますので、合計して、三万円と一万八千円で四万八千円になるわけであります。
  54. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 この希望する都道府県というのは、幾らでもいいのですか。
  55. 三浦義男

    三浦法制局参事 これは全体が十五枚でございますから、五県を希望すれば一県平均三均ずつということで、ある都道府県だけに重点を置こうと思えばそれだけよけいもらえるわけです。
  56. 並木芳雄

    並木委員 これは私一存では行きませんので、留保させていただきます。そこでこの括弧の中ですが、都道府県を一單位として通用するもの十五枚というのは、十五枚が重なりますが、この書き方はどうですか。
  57. 三浦義男

    三浦法制局参事 ごもつともでございます。括弧の外に「限り」がありますが、括弧の中ですからかまわないと思いま歩ので、都道府県を單位として通用するものに限りということでいいと思います。
  58. 並木芳雄

    並木委員 参議院の方は賛成なのですか。
  59. 三浦義男

    三浦法制局参事 これは実は参議院委員長といろいろ打合せた際、私から向うの委員長に申し上げたのでありますが、もつともだという御意見で、実はこれは濫用されるおそれがあるのでありまして、候補者だけでなく、その選挙運動の従事員もこれを利用できますので、参議院の全国選出に一応立候補しておいて、当選を目当にしないで——そういう人があるかどうか存じませんが、かりにそういうことになりますと、この全国二十枚の通用パスをもちまして、これを濫用するということもまた考えられるのです。また実際に参議院の全国選出議員の方が、期間が三十日でありますから、三十日の選挙運動の期間中に全国の都道府県をまわれませんし、まず一日平均一県といたしましても三十県で、それもなかなか容易じやないから、大体ここらのところがいろいろな点を考えて適当であろう、しかもそれを連絡する回数劵をそこに加えますれば、その人の重点が東京から北海道とあるいは九州ということでありますと、その土地を連絡いたしますのは回数劵の十五枚とし、しかも回数劵は途中下車はできませんから、一回使えばそのまま渡す、こういうことで、非常に実際的ではなかろうか、かように考えております。
  60. 並木芳雄

    並木委員 そういうことでありますれば、私はこれは党に相談しなくてもよいと思います。
  61. 生田和平

    生田委員長 ただいまの参議院のパスの訂正は御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 生田和平

    生田委員長 御異議がないものと決定いたします。
  63. 三浦義男

    三浦法制局参事 次は百九十四であります。選挙運動に関する支出金額の制限のところでありまするが、百九十四の第一項におきまして、公職候補者一人について、左の各号の区分による数を命令で定める金額に乘じて得た金額が選挙運動に関する支出金額、こういうことになつておりまして、従来命令をもちまして、その單位の金額をきめておるわけであります。この前の衆議院議員の総選挙におきましては、一人單位金額が一円ということで、そして衆議院の選挙につきましては選挙区内の議員定数で有権者の総数、いわゆる選挙人名簿に登録されている総数を割りまして、それに一円をかけたものが選挙運動の支出金額、公定費用、こういうことになつておるのであります。ところがこれにつきまして、命令をもつて委任いたしますると、実際問題としまして、その金額の決定選挙管理委員会においてきめられる場合に、いろいろな事情で、なかなか困難な点もあるかとも考えられますし、なおその点は別問題といたしましても、法律である程度の限度をきめておいて、その範囲内で命令できめるということになりますれば、おおよその費用というものが大体法律で予定し得るというような便利もあるかと考えられますので、ここに多少そういう意味補つてはどうかと考えておるわけであります。その案を申し上げますると、「左の各号の区分による数を」の下に、「五円を超えない範囲内で」ということをつけ加えまして、「命令で定める」のところの「で」を削りまして、「をもつて」と入れていただきます。それを続けて読みますと、「左の各号の区分による数を五円を超えない範囲内で命令をもつて定める金額に乘じて得た額を、超えることができない。」かようになるわけであります。  具体的な例を申し上げますると、衆議院議員選挙について例を申し上げますれば、東京都の第一区が有権者が約四十七万くらいあるわけであります。そうして東京都の第一区が定員五人でおりますと、五で四十七万を割りますと、約九万くらいになるわけであります。そうしますと、その九万に五円をかけますから、四十五万円、こういうものが東京都の第一区の選挙費用になります。これをまた別の一県一区の選挙区等にとつてみましても、大体衆議院の選挙につきましては、有権者の数によつても多少違いますが、おおよそそういうところが、五円ということにきめますれば、最高の限度になります。その範囲内で適当に額をきめる、こういうことにしてはどうかというわけであります。  ただこの場合におきまして、全国選出の参議院議員につきましては、その点が非常にかわつて参りまして、これを参議院の例にとつて申し上げますれば、参議院選挙の場合は、全国区でありますと、全国の有権者約四千万といたしまして、全国選出議員は百人の定数ですが、通常選挙におきましては半数の五十人になりますから、五十人で四千万を割りますと、八十万になるわけです。八十万に五円をかけますと四百万円ということになります。これは非常に莫大な金になるわけでありますが、それはその範囲内できめるということにしたならばどうかと思います。これを各選挙ごとにきめますると、なかなか法律に書きまするのが困難でありまするので、おおよその見当をそういうことにしたらどうかと思います。  なお地方公共団体等の場合におきまして、町村の例等にとりますると、大体最高の五円で割り出しました場合におきましては、有権者が人口約三千五、六百のところで、一人当り千八百人くらいの見当になるわけであります。大体よかろうかとも考えるわけでありますが、なお御意見によりまして、いかようにもいたしたいと思います。
  64. 並木芳雄

    並木委員 この費用の点については、小委員会で、大体八十万円か百万円くらいという意見が出ましたね。それとの関連はどうですか。
  65. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点につきましては、いろいろの御意見として、最低四十万、多くて八十万、その見当あたりで適当なところになりはしないかというような管理委員会の御意見があつたわけでありますが、これは委員会といたしまして、どの程度にするという額の決定は別になかつたわけでありまして、ことにこういうふうに命令できめますと、なおその点はどうでもきめ得ることになるのでありまするから、委員会といたしましてのおおよその額の押えどころが、もしありといたしますれば、この際にそういう点を多少法文の上にうたつておくことの方が、その意思が通じてよいのじやないか、かように考えております。
  66. 逢澤寛

    逢澤委員 今のお考えは自動車を除くということにお考えですか、どうですか。七、八十万円というと、あるいは自動車が二、三十万かかるということで……。
  67. 三浦義男

    三浦法制局参事 自動車の費用は除かれます。これは公定纈の中に入りませんから、それはまた別になります。そうすると、おおよそ大体さつき並木さんのおつしやつたようなことになるかもしれませんが……。
  68. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 この点は私どもの方で非常に議論の存するところであります。第一に、命令で自由になるような形にきめておいてもらつては困るということが一つと、それから法律できめるといたしましても、どうもただいまの御提案は多過ぎる、できるだけ公営で徹底させてやろうというのがわれわれの考え方であります。候補者自身が出す金というのは、最大限度少いことを必要とする。それであまりゆとりを持つたきめ方はよろしくない。具体的にそれじや何円にするかということは、ちよつと今党に帰つて相談をしないと申し上げかねますけれども、大き過ぎると考えます。ことに参議院議員の方は全国区の場合でも三十万円でとめるようにしてほしいという制限つきで選挙をやつてもらいたいということまで、私どもの方の委員は要求しておるのです。
  69. 中原健次

    ○中原委員 選挙費用の点は、選挙を清く正しく行おうという考えからしましても、実情から申しますと、今きめられたような費用にしましても、ほとんど問題にならないという実情であります。従いまして、私は選挙費用はなるべく私的には使わない。従つて公営選挙を徹底させるという点に重点を置いて御考慮を煩したいのでありまして、この点ではこの費用をもう少し引下げるように明確にすることと、それからいわゆる選挙費用の範囲を明確にしたいということ、この二点が大切だと思います。実情を見ますとまつた選挙費用は法を無視して使うというような傾向が強いのであります。最近数次行われました補欠選挙を見ましても、まつたく驚くべき費用がばらまかれておるという実情にあるのであります。おそらく現在のような状態で選挙が行われて参りますと、選挙を通して政治はますます腐敗して行くだろうということが、一般的に杞憂されておるところであります。従いまして、そういう点を御考慮いただきまして、公営を徹底せしめる、そういう意味でこの費用はうんと低いところへ押しやり、同時に費用の超過に対するきつい制裁が必要じやないか。これは特別に関係はありませんようですが、一応そのこともあわせて考慮すべき事柄ではあるまいか、かように思います。
  70. 三浦義男

    三浦法制局参事 これはなお費用の問題に関連いたしまして、御参考までに申し上げたいと思つております。昭和二十二年の衆議院の総選挙の場合におきましての、いわゆる選挙公営の管理費用で、国庫負担の費用でありますが、これが六千五百万円、ところがこれが昭和二十四年の一月に行われました総選挙になると、全体で六億円、こういうことになつております。それから参議院議員の兵庫県で昭和二十四年の六月三日に行われた選挙でありますが、これは補欠選挙だけで一千四百万円、こういうような多額になつておるわけであります。従いまして公営の限度を多く広げて参りますと、国庫負担の限度はますます広がつて参ることになるし、また同時に、ただいまの御意見ですと個人費用が多くなるということになると、特別の人だけが選挙に当選する、ということでもないかもしれませんが、そういうような弊害も起るということもありますので、そこらをあわせ考えまして、どういう限度にきめるのがいいかという問題であろうかと考えております。
  71. 中原健次

    ○中原委員 ただいまの点ですが、国庫の負担する額が非常に大きくなるということは、はなはだ心配な点であります。従つて候補者の負担する納付金というようなものは、私は少々大きくなつてもさしつかえないと思う。つまりその負担する金額がいわば選挙費用である、こういう考え方に置きかえられれば、非常に都合がいいと思う。もちろん全面的にそういうことはできないと思いますけれども、まず選挙費用のおもなものは、各候補者の負担するものを合せたものが選挙費用である、こういう考え方が実現されるようにとりはからう方がいいのではないかと考えます。
  72. 生田和平

    生田委員長 この問題の決定はちよつとあとへまわしたいと思います。
  73. 三浦義男

    三浦法制局参事 次は百九十五であります。百九十五もやはり同様の問題でありまして、これは選挙の一部無効の問題でありますが、百九十四と同じような意味においての字句を入れるかどうかという問題であります。百九十四と関連いたしておるわけであります。  次は第十七章補足の二百五十六であります。この三百五十六の規定衆議院議員の任期の起算の問題でありますが、但書字句を少し明瞭にいたしました方がこの趣旨がよくわかると思いますので、「但し、」の下に「任期満了に因る」という字を入れていただきたいと思います。  それから二百五十八の一項でありますが、これもやはり同様の意味におきまして、「但し、」の下に「任期満了に因る」という字句を入れていただきたいと思います。「一般選挙が」の下にあります「地方公共団体議会議員の任期満了の日前に」までの字句は削つていただきます。  同じく関連いたしておりますのであわせて申し上げますと、二百五十九の但書でありますが、「但し、その」の「その」を削りまして、「その」のかわりに「任期満了に因る」という字句を入れていただきます。これはそういう意味であるのでありますが、なお補つておきました方がはつきりいたしますので、こういうふうにいたしたいと思います。
  74. 生田和平

    生田委員長 この三項目について「任期満了に因る」という点は御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 生田和平

    生田委員長 それでは栗山君から発言を求められておりますので、これを許します。
  76. 栗山長次郎

    栗山委員 要綱第百三十八でありますが、その但書を次のようにかえますことについて意見を述べさせていただきます。すなわち第二項は削りまして「但し、公職候補者親族及び平素親交間柄にある知己訪問することは、この限りでない。」かように改めることがよろしいと考えるのでありますが、その理由といたしますところは、同項の第一項により、戸別訪問を原則的に禁止することについては、その趣旨また條文ともけつこうに存じますけれども、それの一点張りでありますと、選挙運動のだれしも経験した実際にかんがみまして、訪問ということは一切できない。そうかといつてここに掲げてあるような挨拶行為をすることを妨げないというのであれば、事実上候補者戸別訪問が展開されることになる。候補者戸別訪問の展開は、弊害多くして利するところは少いし、候補者をして体力競争をなさしむることは本法の趣旨ではない、頭脳の能力競争こそ、その実体であると考えるところから、この中間をとると申すか、現在のだれしもがやつておるであろうと想像できる実体をとらえますがために、先ほど読み上げました條文化に賛成しで、今意見を述べつつあるのであります。「親族」を入れなくても、ただ「平素親交間柄にある知己」ということでもわかるように存じますが、明示の意味で「親族」ということを入れることもいいと考えます。かようにいたしておきませんと、戸別訪問が絶対に禁止されておる場合に、判例等により、前回もしくは前々回に絶えず問題になつ戸別訪問違反判例に徴しますと、今日ある村の一軒を訪問し、明日他の村の一軒を訪問しても、これは判例上戸別訪問ということになつております。絶対に訪問ができないということでありますが、絶対に訪問せずして済むかと言いますと、済まないのが実情でありますから、かように「知己」という一つのわくを定めて、その限界内の訪問——「挨拶行為」では、漠然といたし過ぎておりますから、さらにそれをしぼつて訪問」といたしますことにより、選挙の公正を害せずして、しかも実情に適する選挙運動の遂行を期することができると考えますがために、二項を削り、一項の次に但書を付して、今読み上げましたふうにこの要綱を修正いたしますことに、委員会の御賛成を願いたく、発言をいたした次第であります。
  77. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 先ほど私は今の御意見に対して意見を述べましたから、記録に残つておると思いますので重ねては申し上げませんが、範囲が非常に限定されてよろしいようなものであるが、われわれから言うと、かえつて改悪である。それでむしろ例外として候補者には戸別訪問を許す、それが法理的に正しい態度である。実際上体力競走というけれども、できないことはやれないのであります。ただ一番市町村議員選挙に非常な弊害を生じようと私ども考えますから、戸別訪問反対なんでありますけれども、やむを得なければそういう規定にするほかはない。しかしどうしても多数の諸君が、ただいま栗山君の御提案に賛成されるということであるならば、われわれの立場からは、平素親交間柄になくとも、政党的な意味においての組織の上における役員というような者は訪問ができるようにしておいていただかなければ困るのであります。われわれが選挙運動の際に、その村なり町を通つて立ち寄るのは、すべてそういう人であります。そうしてそれは親交のある人とは言いかねる、初めて会う人もある。われわれが知らないうちに組織をつくつて、その組織役員になつておる人、そういう人には立ち寄らざるを得ない。そういう意味において、この條文には若干のまだ修正を加えていただかなければ、どうしても賛成することはできません。さように申しておきます。
  78. 栗山長次郎

    栗山委員 ただいま鈴木委員からの御発言でありますが、お述べになりましたような事情に合うように勘案いたすことは、私どものこれを提案いたしました趣旨と背馳するものではないと考えまするが、今お述べになりましたような場合の限界につき、一応もう少し検討する必要がありますので、提案をし、理由を述べて主張はいたしましたが、さらにその成文化については、練る時間を與えてもらうことがよかろうと考えます。
  79. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 どうかそうお願いいたします。
  80. 生田和平

    生田委員長 この問題と、選挙費用の問題は、なるべく近い日において御決定を願いたいと思いますので、この二つだけは次の委員会まで保留しますから、御研究を願いたいと思います。
  81. 中原健次

    ○中原委員 ちよつとお尋ねしたいことがあるのですが、二百七十の海外引揚者及び入院加療中の者等の住所要件去々ということです。これにつきまして、入院加療中の者という件でございますが、これは相当長期の入院者がある場合があります。たとえば結核の入院患者等になりますると、数年という長きにわたる入院加療中の者が現存するわけであります。その人はその居村へ帰つて、居村において選挙権を行使することが不可能な状態に置かれておるわけです。従いまして、そういう人たちのために、いま少し何か考慮がいるのではないか。いわば長期にわたる入院患者に関する場合は、その入院加療中の場所において選挙権を行使し得るというような扱い方に配虚すべきではないかと思いますが、この点について法制局あたりでどういうふうな御解釈でありますか。この要綱によりますと、入院加療中の者の住所要件に関し特例を設けることを得ということを書いてありますが、その特例というのが、そういうことを含んで設けられることになるのでありますれば、これはもちろんそれでけつこうだと思いますが、その点の関連について法制局の御意見をあわせて伺いたい。
  82. 三浦義男

    三浦法制局参事 二百七十の問題かと思つておりますが、その点につきましては、前の委員会におきましても、やはりそういうふうな御意見があつたのでありまして、この二百七十の第二項におきまして、入院患者につきましては「その入院加療中の場所にその住所があるものと排定してはならない」ということに、一応いたしてあるわけであります。その意味は、推定してはならないということでありまして、全然そこに住所がないというような強い意味を持つておるわけでもないのであります。大体病院に入つておりますのは、そこに住所があるというには、理論的にはおかしいと考えられるのであります。と申しますのは、療養施設でありますから、そこの事務員とか、あるいはそこに職を持つている人は、そこに住所があるということはあり得るかと思いますが、病気で入つておるというその療養の性質上、そこに住所があるということは、原期的にはどうかと考えられますので、その人たちの住所がそこにあるものと推定してはならないと一応第二項においていたしまして、第三項の「前項規定は、入院加療中の者の選挙権の行使を妨げる意味を有するものと解釈してはならない。」という意味は、かりに長期療養でそこに住所があるというような事態に、いろいろな事情から実際になつておる人があるといたしますれば、その人のその住所における選挙権の行使を妨げるような意味を第二項の規定は持つているものではないということによりまして、ただいまのような御趣旨に沿うておるかと考えているわけであります。
  83. 中原健次

    ○中原委員 それでは重ねて御解釈を伺つてみたいと思いますが、長期療養者であつて従つてその場所でいろいろな配給を受けているという場合に、その人のこの選挙法にいわゆる住所の扱い方としては、その病院そのものを住所として取扱つて行くという意味に、はつきり解釈してよろしいのでありますか。
  84. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点につきましては、ただいまのお説の通りにすぐなるとは、考えていないのであります。と申しまするのは、住所が主たる要件でありまして、住所があるかないかということは、決定的な條件であります。その住所をきめる場合に配給というようなことが、その一考慮にはなるかと考えますけれども、住所と配給という問題は、法律的に言えば全然別個の問題でありまして、住所をきめる場合の参考資料にはなるだろうと思います。従いまして病院で配給を受けておりましても、ほんとうの住所がほかのところにあれば、やはりそれは病院ではなくて、本来の生活の本拠ということが住所になりまして、そこで選挙権を行使する、こういうことになるわけであります。従いまして、お説の点は、そういうことは参考の資料にはなり得ると思いますが、住所の決定的な要件ではないと考えます。
  85. 中原健次

    ○中原委員 住所の決定的要件にはならない、しかし選挙権を行使する場所としてのとりはからいは、このようにしてなし得るという解釈でありましようか。
  86. 三浦義男

    三浦法制局参事 それは病院の中が、いわゆる社会通念上生活の本拠であるというようなことが、いろいろの事情から推定されますれば、それは病院が住所になる、かようなことになるだろうと思います。従いまして、その人がどこにも家がなくて、そうしてもう病院に何十年か入つておる、そこで自分の生活のかてをかせいでおる、そして配給も受けておるというようなことでありますれば、そこが生活の本拠とみなされ得る場合があると存じております。
  87. 中原健次

    ○中原委員 生活の本拠ということは、なかなかむずかしいと思うのです。病院を生活の本拠として認定するという、そういう状況にある入院者というのは少いと思います。たとえば一年なら一年、二年、三年というような長期の療養者が、生活の本拠という見地から言えばそこが別の住所だ言えると思います。けれども選挙権を行使する場合のいろいろな條件から考えますと、病院の所在地、もしくは病院の中で投票させるということは、その人の選挙権行使を容易ならしめる方法だと思います。従つてそれがなし得るような措置が別に講ぜられて参りますれば、住所の解釈論はどつちでもかまいませんのです。その点についての何かいい御考慮はないでしようか。
  88. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点につきましては、この委員会におきましていろいろ御意見がありまして、むしろ二百七十にこの規定を挿入しました趣旨は、逆の意味が実はあつたのであります。そういうところで配給を受けたりしておつて、そこで選挙権を実際問題として行使しておる。ところがそれは本来の趣旨に反するのではないか、従つてやはりそこには住所がないのだから、その人の本来の病院以外のところに住所があつて、そこで選挙権を行使し得るようにしなければならないのではないかということになりまして、この規定を置かれたのであります。趣旨といたしましては二百七十の規定は、今のお説とは逆の意味の原則に立ちまして、規定が置かれまして、しかしそれではあまりに実際問題として酷な場合も起り得ますので、従いまして、そこに病院にほんとうに生活の本拠を置いておるというようなことが認められますれば、その人はそこで選挙権を與える、こういうことに、この規定趣旨はなつておるわけであります。大体この選挙法選挙権の住所要件は、長い間の慣例によりまして、住居というのは生活の本拠ということにずつと来ておりますので、やはりその原則の上に立ちまして、その人の選挙権の行使の場所をどこにやるかという一般原則からきめて行くより、しかたがないかと考えておるのであります。ただ立法論といたしましては、そういうこととは別に、特に入院加療中のものにつきましては、病院に住所があるものときめて、そこで選挙権を行使させたらよいのではないかというようなことは、一応立法論としてはごもつともな御意見だと思いますが、委員会におきましては、むしろ逆の原則に立つて、ただいま私が申し述べましたような趣旨でこの規定が置かれたわけであります。
  89. 中原健次

    ○中原委員 そうなりますと、実情から言えば、選挙権は行使できないということになると思います。住所によつて選挙権を行使することの不可能なる状態に陥つている人たちでありますから、従つてそういう場合に、ただいまの御解釈に基きますと、それを考慮に入れてあると最初御指摘になられたようなその考慮は、実は逆の考慮であつたということになるわけでありまして、この点が私ははなはだ遺憾に思うのであります。特に病弱者が二年、三年一つの病院に入院しておりますと、せめても自分国民としての権利を行使したい、こういう考え方は非常に熾烈なものがあるわけでありますから、それを何か特例を設けて、あまりその地歩を脅かすとか何とかいうようないろいろな議論も出たのでありますが、そういうような結果に陥ることなくして、しかもそういう人たちを認める方法もあるのではないか。たとえばそういう長期の入院者はそうたくさんはないわけでありまして、きわめて少数であります。そういう人々のために願わくば特例を設けて、せつかく與えられました国民の権利を行使させたいというふうに考えます。このことを特につけ加えておきまして、一応私はこの点に対しましては賛否を留保さしていただくつもりでおります。
  90. 生田和平

    生田委員長 先刻来三浦部長より二百五十六、二百五十八、二百五十九に対して、字句の修正並びに加除がありました。この点についてお諮りいたしたいと思います。御異議ありませんか。
  91. 並木芳雄

    並木委員 今の中原さんの御発言で、私は確めておきたいのは、今の話ですと、結局病院に入つておる病人は、棄権をしなければならないという事態ができるかもしれないということを、中原委員は御心配になつている。この前それはどこかのところで、何らかの便法で棄権しなくても済むという妥結点があつたと私は了解しているのですが、その点を確めておきたい。そうでないと、今の中原さんの御質疑は当然だと思う。
  92. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点は、選挙権が行使できないというふうに考えていないのでありまして、要するに、その人が入院しております場所で、選挙権の行使は原則としては認めないということでありまして、ほかのその人の住所要件を備えている住所地において、選挙権を行使することを、これではちつとも抑制はいたしていないわけであります。つまりそれをさらにかいつまんで申し上げますれば、病院に入つている人は、原則として病院では選挙権を行使はできないが、その人の本来の生活の本拠である住所のところで選挙権を行使したらよかろう、こういうことになるわけであります。
  93. 野村專太郎

    ○野村委員 この八十九條の公務員立候補制限に関するうちの、地方公共団体議会議員が、他の公職にも立候補できる、この問題もひとつ御研究を願いたいと思います。
  94. 生田和平

    生田委員長 二百五十六と二百五十八、二百五十九、この三つをおきめ願いたいと思うのです。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 生田和平

    生田委員長 御異議がなければさよう決します。
  96. 三浦義男

    三浦法制局参事 次は二百七十三でありますが、二百七十三のところに「選挙に関する政令は、全国選挙管理委員会の立案するところにより定むべきものとする。」という規定がございますが、ここに次のような意味の第二項を挿入いたしたらばどうかと考えております。都道府県または市町村選挙管理委員会は都道府県知事または市町村長の承認を得て当該都道府県または市町村の補助機関たる職員に対して選挙に関する事務を委嘱したときは、これらの職員は忠実にその事務を執行しなければならない、というような趣旨規定であります。これは政府の選挙制度調査会におきまして、こういうような御意見が出て、何とか法案ができる場合には、それを盛り込んでもらいたいというような御意見があつたようでありまして、その趣旨をここに入れたいと思つておるわけであります。その意味を要約いたしますれば、選挙管理委員会はいろいろ選挙に関する事務をやりまするが、実際問題といたしまして、手が足りなかつたり、またいろいろな都合がありまして、いわゆる県の職員とかあるいは市町村の本来の職員を使つて、その人たちに選挙事務を頼むということが、実際問題として起るのであります。そういうようなことを長の承認を得て委嘱をいたしました場合には、その人たちは選挙に関する事務を忠実に執行するようにしなければならない、こういう規定でありまして、選挙管理委員会事務執行をさらに円滑にする意味におきまして、公共団体の他の職員の協力を求めるようにする、こういう趣旨規定でございます。これをどういたしますか。     〔「異事議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 生田和平

    生田委員長 御異議がなければさよう決定いたします。
  98. 三浦義男

    三浦法制局参事 それからもう一つは別表の問題になりますが、別表は、第一として衆議院の選挙区の別表を挿入することになります。それから別表第二といたしまして、参議院地方選出選挙区の別表を入れるということになりますが、その別表の第一につきまして、こういう字句を入れたらどうかという御意見も出ておりますので、この最後に、本表はこの法律施行の後初めて行われる国勢調査の日から、五年ごとに行われる国勢調査の結果によつて更正するのを例とする、こういう意味を入れたらどうか。これは将来国勢調査が行われまして、いろいろ人口異動等がありました場合、その結果によつて、必要があればそれを改めることもあろうし、また改めないこともあるであろう。やはり国勢調査の結果によつて、必要があれば更生することもやり得るのだ、こういう規定を別表の中に置こうという趣旨だと考えられるのであります。
  99. 生田和平

    生田委員長 速記をやめて。     〔速記中止〕
  100. 生田和平

    生田委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十二分散会