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三浦法制局参事 次は百九十四であります。
選挙運動に関する支出金額の制限のところでありまするが、百九十四の第一項におきまして、
公職の
候補者一人について、左の各号の区分による数を命令で定める金額に乘じて得た金額が
選挙運動に関する支出金額、こういうことにな
つておりまして、従来命令をもちまして、その單位の金額をきめておるわけであります。この前の
衆議院議員の総
選挙におきましては、一人單位金額が一円ということで、そして衆議院の
選挙につきましては
選挙区内の
議員定数で有権者の総数、いわゆる
選挙人名簿に登録されている総数を割りまして、それに一円をかけたものが
選挙運動の支出金額、公定
費用、こういうことにな
つておるのであります。ところがこれにつきまして、命令をも
つて委任いたしますると、実際問題としまして、その金額の
決定が
選挙管理
委員会においてきめられる場合に、いろいろな事情で、なかなか困難な点もあるかとも考えられますし、なおその点は別問題といたしましても、
法律である程度の限度をきめておいて、その範囲内で命令できめるということになりますれば、おおよその
費用というものが大体
法律で予定し得るというような便利もあるかと考えられますので、ここに多少そういう
意味で
補つてはどうかと考えておるわけであります。その案を申し上げますると、「左の各号の区分による数を」の下に、「五円を超えない範囲内で」ということをつけ加えまして、「命令で定める」のところの「で」を削りまして、「をも
つて」と入れていただきます。それを続けて読みますと、「左の各号の区分による数を五円を超えない範囲内で命令をも
つて定める金額に乘じて得た額を、超えることができない。」かようになるわけであります。
具体的な例を申し上げますると、
衆議院議員の
選挙について例を申し上げますれば、東京都の第一区が有権者が約四十七万くらいあるわけであります。そうして東京都の第一区が定員五人でおりますと、五で四十七万を割りますと、約九万くらいになるわけであります。そうしますと、その九万に五円をかけますから、四十五万円、こういうものが東京都の第一区の
選挙費用になります。これをまた別の一県一区の
選挙区等にと
つてみましても、大体衆議院の
選挙につきましては、有権者の数によ
つても多少違いますが、おおよそそういうところが、五円ということにきめますれば、最高の限度になります。その範囲内で適当に額をきめる、こういうことにしてはどうかというわけであります。
ただこの場合におきまして、全国選出の
参議院議員につきましては、その点が非常にかわ
つて参りまして、これを
参議院の例にと
つて申し上げますれば、
参議院の
選挙の場合は、全国区でありますと、全国の有権者約四千万といたしまして、全国選出
議員は百人の定数ですが、
通常選挙におきましては半数の五十人になりますから、五十人で四千万を割りますと、八十万になるわけです。八十万に五円をかけますと四百万円ということになります。これは非常に莫大な金になるわけでありますが、それはその範囲内できめるということにしたならばどうかと思います。これを各
選挙ごとにきめますると、なかなか
法律に書きまするのが困難でありまするので、おおよその見当をそういうことにしたらどうかと思います。
なお
地方公共団体等の場合におきまして、町村の例等にとりますると、大体最高の五円で割り出しました場合におきましては、有権者が人口約三千五、六百のところで、一人当り千八百人くらいの見当になるわけであります。大体よかろうかとも考えるわけでありますが、なお御
意見によりまして、いかようにもいたしたいと思います。