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1949-11-16 第6回国会 衆議院 水産委員会公聴会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十四年十一月十六日(水曜日) 午前十時二十一分
開議
出席委員
委員長
石原
圓吉
君
理事
川村善八郎
君
理事
鈴木
善幸君
理事
夏堀源三郎
君
理事
平井 義一君
理事
松田
鐵藏
君
理事
佐竹 新市君
理事
林 好次君
理事
砂間 一良君
理事
小松 勇次君
理事
早川 崇君 小高 熹郎君 川端 佳夫君 田渕 光一君
玉置
信一君
冨永格五郎
君 永山 節君 二階堂 進君
長谷川四郎
君
中西伊之助
君
奧村又十郎
君
出席公述人
高知
県
漁業協同
組合連合会長
堀部
虎猪
君 岩手県
漁業協同
組合連合会長
伊藤佐十郎
君
湘海漁業経営者
組合員
石黒 平三君
三重
県
漁業協同
組合連合会專務
理事
里中 政吉君
栃木県内水面団
体連合会長
石田 耕作君
委員外
の
出席者
專 門 員 齋藤 一郎君 —
——
——
——
——
——
——
本日の
会議
に付した事件
漁業法案
及び
漁業法施行法案
について —
——
——
——
——
——
——
石原圓吉
1
○
石原委員長
これより
会議
を開き
ます
。 この際御報告申し上げ
ます
。
委員黒田寿男
君が本日辞任されまして、その補欠として
中原健次
君が選任されました。 これより
水産委員会
の
公聽会
を開き
ます
。 この際
公述人各位
に対し一言ご
あいさつ
を申し上げ
ます
。本
委員会
が
漁業法案
及び
漁業法施行法案
の
審査
にあたりまして、特に
公聽会
を開いて、両
法案
について
利害関係者
及び
学識経験者
、その他
一般
の方々より広く
意見
を開くことにいたしましたのは、本
法律案
が
わが国産業構造
の基板をなすところの、
漁業生産
に関する
基本的制度
、すなわち明治三十四年に初めて法制化され、同四十三年の
全面的漁業法
の
改正
によ
つて
確立せられましたところの
現行漁業制度
に対しまして、
根本的改革
を断行せんとするものでありまして、さきの
農地法
にまさるとも劣らない重大な
法案
でありまして、
国民
の
一般的関心
及び
目的
を有し、かつ深い
利害関係
を持
つて
いると認められるのであり
ます
。すでに御承知のごとく、本
法案
は前第五
国会
に内閣より提出され、
水産委員会
において
審査
を行い、第五
国会閉会
中も、特に院議をも
つて
委員会
において
継続審査
を行い、今回
本国会
にあらためて本
委員会
に付託され、
目下愼重審議
をいたしておるのでありまして、本
委員会
といたしましては特に
本案專門
の小
委員会
を設置し、
同小委員会
におきましては鋭意
検討
の結果、
本案
に対する
修正案
について一応の成果を得ておるのであり
ます
。かかる機会に際しまして、
本案
の
審査
に広く
国民
の輿論を反映せしめるとともに、多年の御
経験
と御
研鑚
に基くところの
各位
の御
意見
を拜聽することによ
つて
、
本案
の
調査
に万全を期したいと存ずるのであり
ます
。
公述人諸君
におかれましては、
本案
についてあらゆる角度から忌憚なき御
意見
を御
発表
くださるよう
お願い
する次第であり
ます
。しかし万一にも利己的な
意見
が
公述
されて、そのために真相をつかむことができなかつたならば、そのために得るところの、
わが国
の
水産業
に影響するところは甚大なるものがあると思うのでありまして、あくまで公明正大なる堂々たる御
意見
の御
発表
を切に希望する次第であり
ます
。 次に議事の進め方について念のために申し上げておき
ます
。
公述人諸君
の
発言
はその都度
委員長
よりの指名によること、一人当りの
発言
時間はおおむね十五分以内とすること、御
発言
は
発言台
で
お願い
すること、御
発言
の際には必ず御職業とお
名前
をお述べいただくこと。なお
委員諸君
の
公述
に対する
質疑
は、
公述
後ただちに十分ずつの程度に行うこと。以上あらかじめお含みを願
つて
おき
ます
。 それではまず
堀部虎猪公述人
より御
発言
を
お願い
いたし
ます
。
堀部虎猪
2
○
堀部公述人
私は
高知
県
漁業協同組合連合会長
、
高知
県
漁業組合
、
漁業信用組合連合会長
という肩書におきまして
公述
いたしたいと思い
ます
。 ただいま
委員長
さんより申されましたように、十五分というきわめて短い時間であり
ます
るので、私は單に
定置漁業
に関する
事項
のみを取上げまして、
簡單
に申し述べたいと思うのであり
ます
。
定置漁業
につきまして、この
法案
が
漁民
を
主体
とする
漁業調整機構
の
運営
によ
つて漁業生産力
を発展させ、
漁業
の
民主化
をはかるという
改正漁業制度
の
根本目的
は、今後
漁業
の
あり方
を明確に指向するものでありまして、この立案の
趣旨
に対しまして、私は全面的に
賛成
をするものであり
ます
。しかるに
法案
の全
條項
が、はたしてその
目的
すなわち
漁業生産力
の発展と
漁業
の
民主化
の逹成に設けられておるという大きな期待を持
つて
検討
をいたして参つたのであり
ます
るが、
定置漁業
の
免許
の
優先順位
を見
ます
るに、その
目的
とは多少相いれざる感を深くするのであり
ます
。すなわち
定置漁業免許
の
優先順位
をあまりにも
最終
の階段的に決定づけており
ます
ることは、
定置漁業
の
免許
という最も重要な
漁業権
の帰趨に関し、民主的であるべき
漁業調整機構
をして、何らその
運用力
を十分に発揮せしめる余地がないと思うのであり
ます
。
漁業調整委員会
は、
構成員
の七割が選出せられた
漁民
の
委員
であ
つて
、きわめて民主的な
委員会
であるにかかわらず、その
運用
は著しく局限をして、
委員会
の
活動根源
を縮小しておるように感ぜられるのであり
ます
。
漁業協同組合
やこれに準ずる
漁民団体
に
定置漁業
の
免許
を
優先
に与えるということは、
漁業経営
の
民主化
から見てまことに当然であると思うのであり
ます
。さようにあるべきと
考え
まして、この点賛意を表するものであり
ます
るが、しかしその場合におきましてお
考え
を願わなければならぬことは、
賃貸
ということを忘れてはならないのであり
ます
。
定置漁業
のように規模の大きな
漁業
であ
つて
、その
経営
の
特殊性
から見て、これを
賃貸
せしめるということを私は強く主張しておきたいと思
つて
おるのであり
ます
。 今さら私が申すまでもなく、
定置漁業
ほど高度の技術と、
経営
上の
経験
と、
多額
の
資本
と、はたまた多年のしんぼう強さを必要とする
漁業
は、他にその例を見ないのであり
ます
。しかるにその反面には局地的の
不漁
や、しけ、あるいは急
潮等
の
災害
をこうむりやすいのでありまして、
定置漁業
が
零細漁民
を裕福になし得るごとき、
損失知らず
のもうかる
漁業
でない、
安定性
を欠いておる
漁業
であることは、
全国定置漁業権
の七割以上を持
つて
おる
漁業組合
がみずからその
経営
をせずに、大
部分
を他に
賃貸
しておることによ
つて
示すものであり
ます
。また
定置漁業
は、幸いに豊漁に惠まれた場合には、多くの
漁利
を得ることもできる
漁業
であり
ます
が、その反面に、
不漁
が続き、また
災害
に見舞われた場合には、その
投下資本
はまつたく回収できず、再超不能の痛手をこうむることもしばしばあるというようなぐあいに、すこぶる
漁業
の
安定性
を欠いておるものであり
ます
。しかも
地区的不漁
は周期的に起り、また不時の
災害
は低気圧の
襲来等
に伴いまして、毎年のようにこうむりがちであるのであり
ます
。一定の
水面
に長
時日網
を敷設し、
魚群
の
沿岸
に来遊するを待
つて
漁獲をする
定置漁業
にありましては、その漁の
豊凶性
と罹災の率の高いことは、避けがたい事実でありまして、ここに
定置漁業
の危險性を持
つて
おるのであり
ます
。もしこの
賃貸
を認めずに、
自営
を強いるときには、不幸にいたしまして、数千万円の
損失
をこうむることがある、こういう場合がありとせば、その
損失
は
漁民
の
損失
であり、
組合員
の
損失
であ
つて
、ただちに
協同組合
の
経営
はもちろん、ひいて
漁村経営
に及ぼす
影響いかん
は、実に甚大なものがあると思うのであり
ます
。これらの点から見まして、
定置漁業権
の大
部分
が
貸借関係
にあることは、この間の
事情
をよく物語
つて
おるものであると思うのであり
ます
。
定置漁業
の
経営
には、要するに十分な資力、
経験
、労力及び
地元漁民
の
実情等
が渾然一体にな
つて
、そこに始めて総合的の力が結集せられて、
定置漁業
本来の真価が発揮せられ、
生産
の増強と真の
民主化
が得られるのでありまして、要はその
運営
の問題である。
漁業
の
民主化
は
漁業経営
の
合理化
であり、労資の協調が最も大切であると思うのであり
ます
。これには
協同組合
の
自営
を理想といたし
ます
るが、それらの
困難性
を
考慮
いたし
ます
るなれば、
協同組合
と
表裏一体
をなすところの
部落経営
たると、あるいは
資本家経営
たると、
個人経営たる
とを問わずに、これらを多く問題にする必要はないと思うのであり
ます
。
定置漁業
の
経営
と、
地区漁村
とは
切つて
もきれぬ深い
関係
にあり
ます
るので、この
経営
が順調に運ぶ限り、必ず
地元漁民
の協力を得
ます
なれば、その利潤もまたおのずから均霑せられなければならぬと思うのであり
ます
。要は
経営
の適宜がただちに
漁村
を繁栄せしめ、
漁民
の
生活
を向上せしめ得るものであり
ます
るから、
経営者
の選定は
漁業調整委員会
にまかせることが最も妥当であり、最も民主的であると信じておるのであり
ます
。 以上の
見地
から見まして、
定置漁業
の
免許
の
優先順位
を、あまりに明確に
規定
することなく、その
地方
の
実情
を参酌し、それに適するように
調整委員会
の権限にまかすことが、適当であると
考え
ておるのであり
ます
。 次に
定置漁業権
の
存続期間
の問題であり
ます
が、
定置漁業
の
豊凶
は五年を一山といたしまして、波状的に廻遊して来るものであり
ます
。
定置漁業
を
経営
するには、
漁場
と
海況
を精密に
調査
をいたし、研究をいたしまして、
漁具構造
に改良を加え、すなわち
適地適策
の主義が必要であり
ます
ので、
存続期間
十年が最も妥当でないかと
考え
るものであり
ます
。次に
漁業調整委員会
につきましては
運用性
をもつと強く、広く、ことに
定置漁業
の
免許
の
内容等事前決定
をなす場合及び
許可
の
申請
のあつた場合等には、
定置漁業
の
專門委員会
の
意見
を重視するように、特に要望いたしたいのであり
ます
。 最後に
免許料
及び
許可料
の問題であり
ます
が、
漁業権
の
免許
にあたり、多少の
免許料
をとるということはやむを得ないと思うのであり
ます
が、これによ
つて補償金
及び
委員会等
の処理を全額まかなうことにな
つて
いるということは、この
措置
が
国家
の施策という
見地
から、常識的に多少私は疑問を持たざるを得ないのであり
ます
。かつ相当に
多額
に上るそれらの
費用
を、
漁業者
に全部
負担
せしめるということは、さなきだに
漁業
の資金と諸税の重圧にあえぐ
漁業者
に、一層の苦痛を与え、ひいては
漁業生産
に大きな支障を来たす原因となるということが
考え
られるのであり
ます
。よ
つて
以上の
費用
は
国家
の
負担
に
お願い
をいたしたい。これと関連をもちまして、この
法律
によ
つて
二年間に
権利
を消滅さすという点は、この
経済
の点から見合せまして、いま少しく何らかの
方法
はないものであろうかということもあわせて
考え
られるのであり
ます
。 終りに
常任委員
の皆さんに
お願い
をいたしたいことは、
目下漁業権等措置法
によりまして、
漁業権
の
更新異動
を差止められおり
ます
ことは、
漁民
にひとかたならぬ不便不利を与えていることであり
ます
ので、
漁民
は一日もすみやかに新らしい
改正漁業法
の制定せられんことを望んでいるのであり
ます
から、一層御努力を
お願い
いたしたいと思いまして、ご
あいさつ
を申し上げるものであり
ます
。 以上をもちまして私の所見といたし
ます
。
石原圓吉
3
○
石原委員長
これに対して御
質疑
はありませんか。
鈴木善幸
4
○
鈴木
(善)
委員
堀部
さんのただいまの御説のありました面につき、二、三御
質問
をいたしたいと思い
ます
。
堀部公述人
は、
定置漁業権
に
賃貸
の道を開けという御
趣旨
の御
意見
があつたのであり
ます
が、これは全面的に
定置漁業権
は
賃貸
させる方がいいという御
意見
であるのか、また原則として
定置漁業権
はみずから行使するもの、
自営
するものに
免許
を与うべきであ
つて
、但し
漁業協同組合
のような
漁民
の構成する
団体
の保有にかかる
定置漁業権
、あるいは
特定
の場合に限り、具体的に申し
ます
と、
漁民
が
協同申請
によ
つて共有権
として得たところの
定置漁業権
を、その
共有者
の一部の者がこれを行使する場合等に
限つて
、限定をして
賃貸
の道を開いた方が、実際の
定置漁業
の
運営
上からい
つて
妥当ではないかという、
制限つき
の
賃貸
の道を開けという御
趣旨
であるか、この点をまず第一点に
お尋ね
いたしたいと存じ
ます
。
堀部虎猪
5
○
堀部公述人
私の
公述
に多少足らざるきらいがあつたと思うのであり
ます
。
賃貸
の道を開けということは要するに
漁業協同組合
の
自営
が
優先
第一位にな
つて
おる。その
優先
第一位をしいるために、弱体な
漁業協同組合
がきわめて不安定な
漁業
を
経営
した場合を
考慮
いたし
ます
と、要するにこれらのものは、
部落表裏一体
の
組合
のようなものをつく
つて
やる場合、あるいは
共同経営
でやる場合等を
考慮
いたしまして、それらのものに
限つて賃貸
を認めろという
趣旨
であり
ます
。
鈴木善幸
6
○
鈴木
(善)
委員
次に
定置漁業権
の
免許
に際しての
優先順位
に関しまして、
政府提出法案
では、
優先順位
が固定的である。そのために
調整委員
の活溌な自主的な
実情
に適する
運用
を阻害するものではないかという御
意見
の開陳があつたのであり
ます
が、この
優先順位
については、各
調整委員会
が、
免許
にあた
つて
知事
または
主務大臣
から
意見
を開かれる場合に、
政府
が掲げており
ます
ような
優先順位
は、
調整委員会
の
意見具
中の
勘案事項
としてこれを採用せよという御
意見
であるのかどうか。もし
法律
に
規定
しており
ます
ような
條項
を
勘案事項
として取上げるとすれば、それはやはり
法律
に
勘案事項
として明記して、固定的、画一的な
優先順位
とはしないで、
勘案事項
としてこれを
法律
に記載する
方法
を具体的にお
考え
にな
つて
の御
発言
であるかどうか、この点をお伺いしたいのであり
ます
。
冨永格五郎
7
○
冨永委員
今
鈴木委員
から
お尋ね
がありましたので、ほとんど重複しており
ます
が、私は
簡單
に、率直に申し上げ
ます
。
公述人
のお述べになりました
優先順位
の点は、
最終段階
までいろいろ決定しておるから
賛成
できない、こういう御
意見
でしたが、それは今
鈴木委員
が述べられた通り、
優先順位
の
内容
をもつと大まかにすれば、
優先順位
はあつた方がよいのか、あるいは
優先順位
は全然なくて、
調整委員会
にのみまかせる方がいいというお
考え
であるのか、今の
鈴木委員
の
質問
に関連しており
ます
から、
お尋ね
いたし
ます
。
堀部虎猪
8
○
堀部公述人
大体
お尋ね
と同感であり
ます
るが、あまりに区切りに切つたところのこの案が、すでに
地方
に
発表
にな
つて
、この案を
めぐつてはや漁村
にもいろいろ紛議が起
つて
おる。これは私
ども
当初から研究し
たこ
とであり
ます
が、こういうことは、
法律
でぴしやつと、
ます
で水をはかつたようにせずに、
勘案事項
の中に入れたらどうかということを
考え
ておる。それは私
ども定置
の立場で調べてみ
ます
と、
北海道
における
定置漁業権
の
行使状態
、
経営状態
、
裏日本
における
経営状態
、
太平洋岸
における
経営状態
、
太平洋岸
においても千葉、神奈川の
経営状態
と
三重
の
経営状態
とは違う。
三重
、
高知
、福井、こういうふうなところは同じである。九州に行けばまた違うというふうに、
全国
一律一体に
法律
でぴしやつと定めるところに困難があり、そこにいろいろな問題が起
つて
来て、
漁村
の
民主化
どころでないというところに行くという点を、
考慮
に入れておるのであり
ます
。
玉置信一
9
○
玉置
(信)
委員
私は
公述
の進行を促進するために、
委員側
の
質問
はあまり長きにわたらないで、ごく簡潔にや
つて
いただくようにおとりはからい願いたいと思い
ます
。
石原圓吉
10
○
石原委員長
ただいまの
玉置
君の御
発言
ごもつともであり
ます
から、
委員諸君
はその
趣旨
で御
質問
を願い
ます
。
川村善八郎
11
○
川村委員
堀部
君の御
意見
は、
定置漁業
の
優先順位
というものは、
協同組合
が第一位にな
つて
おるから、
定置漁業
の
賃貸
を認めろ、こういうふうなことについていろいろお述べにな
つて
おり
ます
が、もし
賃貸
を認めないということになり
ます
れば、
協同組合
に
優先権
を与えることはいかぬというのですか、どういうふうにお
考え
にな
つて
おり
ます
か。
堀部虎猪
12
○
堀部公述人
それは与えても
自営
するところは
自営
する。
自営
さしても危險なところがある。私の県では、
定置漁業
の
経営
を
漁業組合
で
自営
をせよ、こう言つたときに、今日五十三の
漁場
で
——
私は
漁業組合
の
生活
を二十年余りや
つて
おり
ます
が、
自営
でその
漁村
の
経営
を安定ならしめる
漁場
は七つしかない。あとは非常に盛んなときもあるが、非常に
不漁
があ
つて
、常に
漁村
の
経営
は波のように上下しておる。こういうところを
考慮
に入れて、すでに私の方では、県並びに
定置漁業
の
指導方針
として、なるべく
漁業組合
と
表裏一体
の
村張り経営
、こういうような
経営状態
に持
つて
行
つて
おり
ます
。
川村善八郎
13
○
川村委員
そうし
ます
と、こういう
解釈
でいいのですね。
定置漁業権
は、
協同組合
が
自営
するところは
自営
させろ、それから
自営
し得ないところは
賃貸
を認めろ、こういうふうに
解釈
していいのですね。
堀部虎猪
14
○
堀部公述人
そうですね。
砂間一良
15
○
砂間委員
先ほど
委員長
は開会のご
あいさつ
で、
漁業権
小
委員会
において一応の
修正案
を得ておるというふうにご
あいさつ
にな
つて
おり
ます
が、小
委員会
としては必ずしも
全員一致
でまとま
つて
はいないのであり
ます
。このことを
簡單
に申し添えておきまして
堀部
さんに
質問
いたし
ます
が、
漁業権
の
賃貸
を認め、
優先順位
を
法律
で明定することなくして、
調整委員会
の
自由裁量
にまかせると申し
ます
か、そういうふうにして、さらに二年間に
権利
を一律に消滅させるというふうなことについて、
考慮
してもらいたいというお話がありましたが、そうし
ます
と、大体現在
自営
している
人たち
に、
漁業権
をそのまま認めて行くというふうな結果になりまして、
制度改革
の
眼目
とするところの、根本的な
漁業権制度
の
改革
という点が失われてしまいまして、ほとんど
現行
の
漁業法
をそのまま存続させて行くというふうな結果になると思うのであり
ます
が、
制度
の根本的な
改革
について御
賛成
にな
つて
おられないのか。その辺についてのお
考え
をお聞きいたしたいと思い
ます
。
石原圓吉
16
○
石原委員長
ちよ
つと砂間君に申し
ます
が、御
意見
が多分でありまして、
質疑
でないように心得るのであり
ます
。それで時間の
関係
から
言つて
も趣意にも反すると思い
ます
。
堀部虎猪
17
○
堀部公述人
私はこの
改正法
に対しては、前段申し上げたように全面的に
賛成
である。そして二年間の
整理
の問題につきましては、この
整理
をするということが
漁民
の金で
整理
をするということになるから、
経済
の上で何か
考え
られないか、こういうのであり
ます
。
政府
の金で
政府
みずからの
負担
でこの
漁業権
を買収し、経費を全部まかな
つて
くれるなれば、われわれはそこまで
考え
る必要はない。
石原圓吉
18
○
石原委員長
次に
伊藤佐十郎
君。
伊藤佐十郎
19
○
伊藤公述人
この
漁業法案
の根本的な問題の二、三につきましてまず申し上げたいと思い
ます
。 私はこの
法律
は
漁業調整法
と呼ぶべきであると
考え
ます
。もう少し
わが国
の
漁業
の基本的な諸要素について、体系的に大網をあ
ます
ところなく
規定
する
法律
であれば、
漁業法
と称するに値し、
りつぱに名
は体を現わすと
考え
ます
。
法案
の
内容
を
検討
いたしまして、これは徹頭徹尾広い
意味
における
漁業調整
をねら
つて
おるものであ
つて
、
従つて内容
と一致せしめるためには、
漁業調整法
と名づけることがより妥当であると
考え
るのであり
ます
。第一章の総則のうち、第一條の
法律
の
目的
の中に
水産資源
の
保護
ということを明記していただきたいと思い
ます
。申し上げるまでもなくこれからの
わが国
の
漁業
の
あり方
というものは、
資源
の維持、培養と、とつたものの完全なる活用という
二つ
の命題を、
制度
の上においても、われわれの行動の上においても
はつ
きりつかんで行くものでなければならない、こう
考え
ており
ます
。その
意味
において、決してこの
法律
の
精神
が
資源
の
保護
ということを
考え
ていないとは申し上げませんけれ
ども
、少くとも今後前のような行き方を反省しまして、国際的にも信用の置けるような
平和的近代産業
として、
漁業
を盛り立てるということであれば、第一に
法律
の
眼目
として、この
水産資源
の
保護
ということを明記していただきたいと思うのであり
ます
。この
精神
を貫くところに新しい
日本
の
漁業
の
あり方
が
はつ
きり現われて来ると思うからであり
ます
。 第二章の
漁業権
及び
入漁権
のところに参りまして、
漁業権
の第六條三項の一、二の
規定
、つまり
定置漁業
に対する
水深限度
及び
北海道
における二、三の例外の
規定
があるのであり
ます
が、この
二つ
の
規定
は削除した方がよろしいと私は
考え
るのであり
ます
。その理由は、およそ
漁場
の
価値
は、常識から一歩も踏み出ていないところのいわゆる最大公約数的な十五メートルなどという数字をも
つて
規定
することは、不適当であるということであり
ます
。それからもう
一つ
の、さけを入れるとか
ます
を入れるとかいうようなことは、
特定
の地域の二、三の例を救済するには足り
ます
けれ
ども
、
日本
の全
沿岸
における
定置漁業
の
特殊事情
を
検討
いたし
ます
に、あまりにもこれは視野が狭過ぎる。もう少しこれは幅を持たしておいて、民主的な
漁業調節審議機関
をりつぱに動員した上で、具体的に個々の
漁場
について指定し得るような道を開くべきであるというのが私の主張であり
ます
。 次に
協同漁業権
につきまして、この
漁業権
の名称は、旧法の
専用漁業権
の場合と比較いたしまして、
内容
的にも相当かわ
つて
おり
ます
ので、相当御苦心の上で命名されたものと思い
ます
。端的に
漁業権
の
利用形式
を表示するものとして、
共同漁業権
と称する方が適当であるかのようにも
考え
ます
けれ
ども
、もう
一つ
私は
利用形式
の問題でなしに、
漁業権
の
共有
及び
管理形式
、それを表示するものとして、
共同漁業権
という命名をなさ
つて
おられるとすれば、それでもけつこうであり、いずれにしてもこの
名前
は
賛成
であり
ます
。私は本来ならば、
沿岸
における
漁業権
というものは、すべて今私の
解釈
するような
意味
における
共同漁業権
でありたいという希望を持
つて
いうのであり
ます
。 この
規定
のうち第五項の一の定義のうちに、
定着性
の三字があり
ます
。私はこの
定着性
の三字は削除していただきたいと思い
ます
。
いかん
となればこの
定着性
の
解釈
は、技術的に
考え
てみまして疑議がござい
ます
。たとえば
東北地方
における
季節的漁業
として、従来
専用漁業権
の中に重要な地位を占めており
ます
たこ
があり
ます
。これは文字通り
定着性
のものではございませんけれ
ども
、従来の
專用漁業権
の中においては、非常に重要なるウエートを持
つて
いるものでありまして、もしこれが
定着性
の
解釈
によ
つて
除外せられるとすれば、重大なる問題であり
ます
。おそらく三陸における
たこ
だけでなく、各
地方
を見れば、同様にこれを
規定
されるために不便を感じ、不利益をこうむる場合がしばしばありやしないかということを
考え
るからであり
ます
。 次に第一種並びに第五種を通じて、
漁法
を固定しておきめになるような
考え
のようであり
ます
けれ
ども
、これはもう少し
融通性
のあるようにしなければ、既存の
漁具
、
漁法
だけを
考え
ているという
考え方
は、少くとも進歩的であるとは認められないと思い
ます
。但し私は、この第一種ないし第五種を通じての
漁具
、
漁法
の指定の問題につきましては、もう
一つ
新しい
考え方
を採用していただけるならば、取消してよろしい。それは何であるかと申し上げれば、
ちようど地下資源
における試堀権のごときもの、いまだ
漁場
の
価値
は
はつ
きりきま
つて
はいないけれ
ども
、その
漁場
を新しく開発する時期において、これを鉱山におけるように、短期の試掘的な
試験免許
、ないし
許可
を与えるということになれば、前の
意見
は取消してもよろしいと思い
ます
。 第十條中に、
主務官庁
として都道府県の
知事
だけを
規定
しており
ます
るが、これはいかがなるものか。場合によ
つて
は
農林大臣——主務大臣
が直接
免許
するものもあり得るのではないかということを
ちよ
つと気づきました。 次に第十四條は
漁業権
の
主体
となるべき
適格性
の
規定
であり
ます
。これにつきましては、いろいろの方面から御
意見
が出ていると思い
ます
が、公共の用に供する
水面
を、他人を排斥して
漁業
を営む
権利
、それが
漁業権
であるとするならば、こういう
権利
はなるたけ
特定
の
個人
に独占せしめるような形態を避けるのが、より社会的であり、そういう
方法
を
考え
るべきではないか。その
意味
においても、先刻私はすべての
漁業権
が、理想としては
共同漁業権
でありたいということを申し上げたのであり
ます
。少くともこれが土地
制度
をまねて
考え
る点があつたかもしれませんけれ
ども
、土地
制度
と
漁業権制度
というものは、根本的に、本質が違うのであ
つて
、何もそれを不用意にまねる必要はないという立場をと
つて
おり
ます
。資材の
保護
とかこの
法律
の
目的
でうた
つて
おり
ます
総合的な
生産
の発展というようなこと、ないしは
漁業権
の管理というようなものを通じて、
漁業
なり
漁村
の
民主化
をはかろうとする場合においては、できるだけこれは
漁民
組織をも
つて
まず
漁業権
の
共有
の
主体
となるべき
適格性
が第一要件と
考え
ていただきたいと思うのであり
ます
。 次に二十一條の
漁業権
の
存続期間
であり
ます
。これは先刻
ちよ
つと触れましたように、原案の五年ないし十年というものは、
考え
ようによ
つて
は少し最高限度としては短か過ぎるような感じを持
つて
おりまして、何がゆえにこういうふうに短かくしなければならないかということについては、徹底的な理由を私は見出しかね
ます
。もし先刻のような新規
漁場
等における試験時代の短期
漁業
の試験
許可
の道を開くとするならば、この
免許
は五年、十年というものを延ばして行
つて
しかるべきものだというふうに
考え
ており
ます
。
地方
の
漁業
取締り規則なんかにも、従来特別採捕という用語がありまして、普通の
免許
、
許可
によらずして、臨時的に水産動植物を採捕する場合に、特別な
許可
條例がござい
ます
。あるいはそういう方式をも
つて
、旧法における特別
漁業権
とは
内容
的には違い
ます
が、そういうものも
考え
る余地はありはしないかということを、感じておるわけであり
ます
。 次に第二十三條、
漁業権
の性質、これは物権とみなして土地に関する
規定
を準用する以上、先刻も
発言
もあられたようでござい
ます
が、
賃貸
借を認めるということは当然ではないかというふうに
考え
られ
ます
。但しすべての
漁業権
を
賃貸
借を認めるということは、弊害を伴い
ます
。従
つて
私の場合におきましては、
協同組合
の持
つて
いる
漁業権
で、会員が共同で利用する以外の
漁業権
である場合においては、
賃貸
借を認めてよろしい。こういう立場をとりたいと思い
ます
。 第二十七條は区画
漁業権
以外の移転を禁止しているようであり
ます
。しかしこれは当然に予想さるべき、実質的に現存する
権利
の移転ということをこの
規定
は見のがしており
ます
。ここで申し上げることは適当かどうかわかりませんが、私は岩手県のようなところでは、旧
漁業権制度
の全面的否定ということは、さほど必要を感じておりません。しかし
全国
的な規模においてこれをながめた場合においては、いろいろ根本的に
改正
すべき点があるでありましようから、この案には反対はいたしませんけれ
ども
、旧
漁業法
なり
漁業権制度
の中におきまして、多年にわたるこの
漁民
運動の成果というものは、準次
個人
の
漁業権
を
漁民
組織の方に接取いたしまして
——
岩手県のごときは
個人
に属する
漁業権
というものはほとんど寥々たるものであり
ます
。これは決して
漁業法
施行当初からそうであつたのではなくして、いわゆる
協同組合
意識の自覚が盛り上るに従
つて
、
個人
の
漁業権
者の方もその立場を理解し、大同につき、
漁業権
は期せずして
協同組合
に集ま
つて
来たのであり
ます
。そういう歴史的努力の後において、相当の成果が上
つて
おる
漁業権
の分布状態におきましては、あながち全面的にこれを改廃する必要はありません。極度に集中され、あるいは封建的な残滓が残
つて
おるものについて、これを判定し、是正するならば、それでよろしいかと思い
ます
。 大分
意見
は残
つて
おり
ます
けれ
ども
、時間の制限がござい
ます
ので、もう
一つ
だけ申し上げて終りたいと思い
ます
。それは指定遠洋
漁業
の
規定
をかえていただきたい。これは遠洋
漁業
に限らないで、
沿岸
漁業
の部門も入れていただきたい。私の感じ
ます
ところでは、むしろ
漁業調整
の重大な問題は、遠洋よりは
沿岸
に多くあると思
つて
おり
ます
。最近における動力巻網か、おそらく近い将来に万能時代を現出しはしないか。電気集魚燈における
沿岸
漁業
の混乱の状態をごらんなさい。すべてそういつたものから見ても、あるいは従来から海のギヤングと称せられる底びきの問題にいたしましても、この問題を通して
日本
の
漁業調整
を論ずるということは、半ば意識を失すると思うのであり
ます
。その
意味
において、指定遠洋
漁業
というものの中に、範囲を広めて
沿岸
漁業
の
部分
を大きく取入れていただきたいということを協調いたし
ます
。
石原圓吉
20
○
石原委員長
質疑
を願い
ます
。
玉置信一
21
○
玉置
(信)
委員
ただいま
伊藤公述人
から申された中に、
北海道
における特例を廃した方がよいというお話は、第六條第三項の二の
北海道
におけるにしん、いわし、さけ、
ます
を主たる漁獲物と指定したることが特例と解しての御指摘でありましたかどうか、その点お答え願いたいと思い
ます
。
伊藤佐十郎
22
○
伊藤公述人
お答えいたし
ます
。私の
解釈
では、
北海道
の
事情
についてはよく御理解を願
つて
おるものと思う。しかし
北海道
以外にも同様のものがあり得るはずであるから、これは
規定
としては削除して、もう少しよその方も、親切に同様に扱うように
規定
していただきたいという
趣旨
を申し上げましたので、その
内容
を否定するものではございません。
川村善八郎
23
○
川村委員
伊藤さんの最後の結論に、指定遠洋
漁業
のみでなく、
沿岸
の主要な
漁業
、その例をと
つて
これも織込め、こう
言つて
おり
ます
点が、つまり重要な
漁業
はほとんどこの
法律
に織り込むべきであるという前提のもとに、お話しておられるのかどうかというのが一点、それから現在の
改正法
案と言いましようか、これに対しては、全面的に否定をするものではないけれ
ども
、あまりに行き過ぎがあるから、旧法の悪い点だけを直したらいいのではないかとうことを言われておるようですが、この点について伺いたいと思い
ます
。
伊藤佐十郎
24
○
伊藤公述人
第一点は誤解を生じているかもしれませんが、私の
趣旨
は、非常に機動力を持
つて
おり
ます
沿岸
漁業
は、
漁業調整
機関の管轄区域外に、数区にまたがりましてしばしば行われるわけであり
ます
。おそらく
地方
の
漁業調整
機関をも
つて
しては、十分にその
目的
を逹することのできないほど、活動範囲の広い
漁業
でござい
ます
。そういうようなものにつきましては、中央において
整理
せられるのが妥当であり、その
意味
において申し上げたのであり
ます
。 それから第二点の、
漁業法
を
改正
すべきであるか。新
漁業法
にすべきかという
お尋ね
のようでござい
ます
。
漁業法
は先刻も申し上げましたように新
漁業法
でや
つて
いただきたいと思い
ます
けれ
ども
、その中に盛り
ます
ところの
内容
につきましては、何もかも頭から全面的に否定する必要はない、すべてが封建的であり、反民主的であるとは私は思
つて
いない。少くともわれわれは、その方向に向けるために多年にわた
つて
努力し、若干の成果を得ている。その歴史的蓄積までも否定されることは、私は反対する。しかも経費の点からい
つて
も非常に問題がらうと思う。
夏堀源三郎
25
○夏堀
委員
伊藤公述人
のただいまの御説明のうちに、いわゆる管理権ということは、
組合
についての管理権と
考え
てよいでしようか。そういたし
ます
と、これは程度の問題であり
ます
けれ
ども
、強度の管理権を
組合
に与えるとういふうに
解釈
ができるかどうか、
漁業調整委員会
との間の関連性はどうか、これをどの程度にお
考え
にな
つて
い
ます
か。
伊藤佐十郎
26
○
伊藤公述人
管理権という問題を
法律
的に申し上げるのではございませんが、たとえば中央においても、中央の
漁業調整
審議会ですか、その議を経て執行部で執行するようにな
つて
おり
ます
。
協同組合
がもし全面的に管理をまかせられました場合におきましても、その管理の責任者は
組合
であり
ます
けれ
ども
、管理
方法
等につきましては、もちろん
漁業調整
審議機関の議を経てやるのであり
ます
から、その点は一切を
漁業協同組合
にまかせるというのではなしに、法的な秩序に従
つて
、
漁業協同組合
がこれを管理するという方式をとりたいと思
つて
おり
ます
。
鈴木善幸
27
○
鈴木
(善)
委員
伊藤さんの御
発言
の中に、
共同漁業権
の
内容
を、
定着性
水産動植物だけに限定することはいけないという御
趣旨
の
発言
があつたのであり
ます
が、これは海区の
地方
の実態に即して、
定着性
以外のものも
調整委員会
が必要と認めたときには、
共同漁業権
の
内容
に入れるべきであるという御
趣旨
かどうかをお伺いしたいのであり
ます
。 それから第二点は、
許可
漁業
の調整の問題であり
ます
が、
政府
原案の、
調整委員会
の議を経て
主務大臣
かあるいは
地方
長官が指定することによ
つて
、指定遠洋
漁業
に限定せずに、広く
沿岸
の
許可
漁業
も調整するというぐあいに御主張なさ
つて
いるものかどうか。この点を確認したいと思い
ます
。
伊藤佐十郎
28
○
伊藤公述人
第一の
お尋ね
の
定着性
の問題につきましては、御
意見
の通りであり
ます
。もしあつた場合には、それも
地方
の
実情
に即して入れていただきたいということであり
ます
。 それから第二点の
お尋ね
の問題ですが、これは
沿岸
の、広い
意味
における
漁業調整
をあそこで
規定
しろということでは、根本的に違うと思うのであり
ます
。そうではなしに、
ちよ
うどただいまの
定着性
があつた場合に救済し得ると同じように、
沿岸
に現われており
ます
指定遠洋
漁業
以外においても、中央において
措置
することが妥当なものかどうか、ただいまそれを具体的に
規定
しておくか、ないしは扱い得るような明文を定めておいていただきたいというわけであり
ます
。
石原圓吉
29
○
石原委員長
時間がきましたから、次に移り
ます
。石黒平三君。
石黒平三
30
○石黒
公述人
神奈川県小田原市幸町、湘南
漁業経営
者
組合
石黒平三。私は
法律
のことはよくわからないのですが、今までに従業して来ました体験上
発言
さしていただき
ます
。
漁業権
は順位から行きまして、
協同組合
にということにな
つて
いるらしいですが、私の
意見
といたしましては、それはいろいろの
関係
上、
協同組合
に
漁業権
がおりた場合には、
自営
でできる
協同組合
もありましよう。しかしわれわれ神奈川県の
協同組合
といたしましては、
零細漁民
でありまして、せつかく
漁業権
をいただきましても、ただわれわれ
漁業組合
員だけでは、とても
経営
することは不可能ではないかと
考え
るのであり
ます
。それにつきまして、今までのように、堅実なる
資本
家、それに伴う従業員一体が一体となりまして、円滿に
経営
がして行けるような
漁業権
を、
経営者
に交付した方がいいのではないかと思うのであり
ます
。それでこの
協同組合
であり
ます
が、
協同組合
になぜ行けないかというのは、零細農民ばかりでなく、われわれ神奈川県には、この
賃貸
問題についていろいろの紛争があつたのであり
ます
。今度のこの
協同組合
は、
本案
によれば、
漁業
の問題がり
ます
が、われわれ專業者とし
ます
と、九十日以上でもまだ物足らない感があるのであり
ます
。われわれの附近の
漁業協同組合
は、三十日以上で大体
組合
を創立したのであり
ます
。それはなぜかというと、私から言わせ
ます
と、
漁業
の方面には無関心な農業者、いわゆる柑橘業者が大体でありまして、その柑橘で
生活
を営んでおる者が
協同組合
を設置しておるのであり
ます
。それで
協同組合
に
漁業権
を
優先
的に与えるということになり
ます
と、とんでもない弊害がそこに生ずるのではないかと私は思うのであり
ます
。それゆえに、われわれ專業の
漁業者
といたしましては、確実な
経営者
と、それに従事する従業員、これに重点を置いていただきたいのであり
ます
。 先ほ
ども
おつしやられましたように、これの存在期間は、五年間ではあまりに短期間ではないかという
考え
を、私もやはり持
つて
おり
ます
。少くとも十年間の存在期間がほしいのであり
ます
。神奈川県にぶり網が敷説されましてから、約四十年ほどの日子が経
つて
おるのであり
ます
が、その間に構造の変更が五たびあつたわけでござい
ます
。それはやはり
経営者
がいろいろの面から研究するたびごとにかわつたのでありまして、神奈川県で第一回に敷説されましたのは落し網で、その次が大謀網、その次が上野式、その次が大謀門取網、今日はぶり落し網という順位にな
つて
おり
ます
が、ま
たこ
こに大謀外登網というように改良が加えられておるのであり
ます
。そういう順序に参
つて
おるのであり
ます
から、
存続期間
はぜひとも十年間としていただきたいと思うのであり
ます
。 いま一言つけ加えておきたいと思うのは、堅実な資金家をと私が先ほどから叫んでおり
ます
のは、皆様も御承知の通り、八月三十一日のキテイ台風で、神奈川県の
定置漁業
はほとんど全滅したわけであり
ます
。しかるに堅実なる
資本
家のために、最もひどい所でも二週間を出ずして張建ができたのであり
ます
。そういう次第で、われわれ
零細漁民
が今ここで
漁業権
をいただきましても困る。
政府
でその資金を貸していただけ
ます
れば、これはまた別問題であり
ます
が
——
もつともそういう資金を
政府
で貸してくだされても、やはり
損失
という場合があり
ます
ので、完全なる
経営
は困難ではないかと思うのであり
ます
。以上。
石原圓吉
31
○
石原委員長
質疑
を願い
ます
。
夏堀源三郎
32
○夏堀
委員
ただいまのお説の中に、
組合
の
経営
は不可能である、
資本
家にやらした方がよい、こういうような御
意見
がありました。前お二人の
公述人
からも、これは程度の問題ですが、結局賃借貸というような
方法
も認めてもらいたいといような御
意見
があつたのであり
ます
。これは
組合
が事業するのがいやなのか、一体金がないのか。もし金があつたならば事業もさしつかえないのであるか。最後の御
発言
は、金を
政府
で貸しても事業自体危險であるからいやだというような
意味
にも聞えたので、もしそうであれば、全然もう
漁業
を
経営
する意思がないというような
意味
にも解されるのですが、この
意味
はどの程度ですか。
石黒平三
33
○石黒
公述人
金、つまり資金がないから、
漁業権
を交付になりましても、完全な
経営
ができないというのが
一つ
であり
ます
。
政府
で貸してくだされば
経営
をするが、あながち利益のあるものですかないものですか
——
要するに非常に危險の多い仕事でありまして、台風や潮流のために、構造をこわされたとか流されたという場合には、非常に困難を伴うのであり
ます
。全然
経営
に無関心とは言えないのであり
ます
が、ただ危險性が多いがゆえに、確実な
資本
家にやらしたらいいのではないか、こう思うのであり
ます
。
夏堀源三郎
34
○夏堀
委員
漁業
は危險であるから優秀な
資本
家にまかした方がよいという結論のように承りましたが、これは議会の方でも取上げまして、追
つて
危險のために生ずる
災害
を補償すべき
災害
保險というようなことも研究してみたいと
考え
ており
ます
が、根本の
考え方
は、危險があるがよい場合もあるのだ、ただどうも危險があるようだから、
漁業者
としてこういう事業はやりたくないのだというようなお
考え
であれば、これは根本の
考え方
が違
つて
来
ます
ので、これは議会としても大きな問題ですから、金融面ということは、別に今後これを
検討
することとして、今の危險な
漁業
に対して結びつけて
考え
られては困ると思い
ます
けれ
ども
、
資本
家にまかせるお
考え
だということをおつしやつたのですが、やはりその通りでござい
ます
か。
石黒平三
35
○石黒
公述人
さようでござい
ます
。
砂間一良
36
○
砂間委員
ただいまの石黒さんの御
意見
のうちに、神奈川県方面では、
漁業協同組合
が柑橘業者の
組合
にな
つて
おる。だから
協同組合
に
漁業権
をやることは、
漁業
を專業としておる
漁民
の手に入
つて
来ないからというような御
意見
がありましたが、
漁業協同組合
がそういうような状態にな
つて
おるということは、
漁村
の
民主化
が徹底していないから、そういうおかしなことにな
つて
おると思うのであり
ます
。将来
漁業協同組合
が非常に民主的に行つた場合においても、やはり
協同組合
に
漁業権
を渡すことには御反対であり
ます
か。その点をお伺いいたし
ます
。
石黒平三
37
○石黒
公述人
事業
漁業者
につきましては、反対はありません。
砂間一良
38
○
砂間委員
協同組合
に
漁業権
が行くということに全面的に反対があ
つて
、あくまで
資本
家と言い
ます
か、資力がある
個人
にやれというのではなくて、
協同組合
にも
民主化
された場合にはや
つて
もいいけれ
ども
、現状のもとにおいては
資本
家にやらせた方がいいという御
意見
ですか。
石黒平三
39
○石黒
公述人
ただいま砂間さんのおつしやつた通りです。
川村善八郎
40
○
川村委員
石黒さんの御
意見
は、夏堀さんも聞かれたようであり
ます
けれ
ども
、あなたの申される
資本
家というのは、必ずも大会社とか、大
資本
家というのではなくて、労資協調のできる、いわゆる
資本
も適当に持
つて
いる、
漁具
、漁船その他技術も相当に持
つて
いる
経営者
を指して
資本
家と
言つて
いるのですか。それともただ金だけを持
つて
おる
資本
家という
意味
ですか。この
解釈
を
お願い
いたし
ます
。
石黒平三
41
○石黒
公述人
川村さんのおつしやつた、金だけを持
つて
いる
資本
家ではいけないのであり
ます
。やはり
経験
もあり、また労資協調のできる
資本
家でなければいけないと思い
ます
。
石原圓吉
42
○
石原委員長
時間が経過しましたから、次に移り
ます
。里中政吉君。
里中政吉
43
○里中
公述人
私は
漁業権
は全部
漁業協同組合
に与えてもらいたいと要望するものであり
ます
。この前提のもとに、いささか申し述べさせていただき
ます
。 今回の
漁業法
を
改正
せんとするところのものは、農地
改革
とともに、
日本
の
民主化
と
漁業生産力
の増強が
目的
であると思い
ます
。しかしてこの
法案
の
目的
として、第一條には、
はつ
きりそのことが示されてあるのでありましてまことに当然のことと思うのであり
ます
。そこでこの
法案
がこの
目的
を十分逹成でき得る仕組にな
つて
おるかどうか、各
條項
をしさいに
検討
して見
ます
るに、遺憾ながら私
ども
の
考え方
からいたし
ます
るならば、
目的
達成はおろか、むしろ障害ともなるべき
規定
が多少含まれておると思うのであり
ます
。 この
法案
の根本的なものは、
漁業権
の再分配をいかにするかという点でありまして、
漁業
を
免許
する相手方を定めることが、最も重大な点であると思い
ます
。従いまして、私が卑見を申し述べ
ます
には短い時間であり
ます
からこの根本的な重大と思う問題について、特に
公述
をいたしたいと思い
ます
。 私は
漁業
の
民主化
といい、
水面
の総合利用による
生産
力の増強といい、この
目的
逹成のためには、
漁業権
の全部、
沿岸
の
水面
の利用及び管理は、すべてその最寄りの
漁村
の
漁民
全部を対象として、公平にこれに与えられなければばならないと
考え
るのでありまして、ここに多くの理由を申し述べる必要はないと思うのであり
ます
。その
意味
から、
漁村
において
漁業者
のずべてを網羅して組織されておる民主的な
漁業協同組合
に
権利
を
共有
せしめること、これまた当然であると思い
ます
。 この
法案
には
漁業権
を三種の名称に分類して、おのおのその
適格性
並びに
優先順位
を
規定
してあり
ます
が、そのうち真珠養殖業を
内容
とする区画
漁業権
の
免許
の
優先順位
が、他の区画
漁業権
と分離して、第十九條の二項において、第一
優先順位
を、真珠養殖業を
内容
とする区画
漁業
に
経験
あるものとして
規定
せられてあり
ます
。これは前に申しました第一條の
目的
から
協同組合
に
権利
を与えるべきだ。これが民主的だという主張と相反した
特定
の
個人
、独占、
漁業権
の独裁化を
意味
するものであり、実績
優先
主義という非民主的なものであり、
目的
とは著しく逆行した方向を示すものであると思うのであり
ます
。およそ
漁業権
を、
漁村
に住む大多数の
漁民
から取上げられるということは、
民主化
の線に沿わない点からばかりでなく、
漁村
の
漁業者
の
生活
安定を根底からくつがえし、
漁民
の生命を奪う重大な社会問題であり
ます
。
漁村
に住む
漁民
は、その
漁村
を取巻く
水面
を農村の田畑と同様、それを
生活
の根拠として、先祖代々から
漁業
を営んでおるのでありまして、これを多数の
漁民
から
特定
の
個人
に取上げられることは、農村に住む農民多数から、田畑を
特定
の
個人
に取上げるのと同様であり、農地
改革
の方針と反対方向に進んでおり、まことにみじめなものであることは、ここに多くを申し上げるまでもないことと思うのであり
ます
。この法の十九條の二項の「真珠養殖業を
内容
とする区画
漁業
に
経験
がある者」とあり
ます
。その
経験
者は、現在私の
三重
県では百名余りあり
ます
が、これは
三重
県の真珠養殖に適した
水面
を持つ、
漁村
二十箇村余りの
漁民
の数一万五千名に対する百五十分の一に該当するのであり
ます
。すなわち百五十人を排除して一人を選ぶことであり、極論すれば、一人を生かして百五十人を殺することを
意味
するものであり
ます
。なおまた百名あまりの
経験
者の中には、その
内容
の大小がありまして、大は
水面
数十万坪を利用するものから、小は数百坪、数十坪を利用する程度にわかれておるのであり
ます
。しこうして数十万坪を利用する大
経営者
は十数人にすぎないのでありまして、しかもその大
経営者
は県外の者、県内でも
漁村
に住まない者が多いのであり
ます
。
免許
が実績を要素とする以上、現在
水面
利用の程度に応じて、その者に
免許
されると思わねばなりません。さらに五箇年の期間中、なお拡張を見込む分もそれに相当して与えなければならないことと思い
ます
。はたしてしかりとすれば、
漁村
の
水面
は
漁村
に住まない人にほとんど独占所有せられ、働く多くの
漁民
に
権利
を与えるということとは反対の結果を生むことになるのであり
ます
。真珠養殖の
漁業
は、
水面
に固定の工作物を設置して
漁業
を営む
関係
上、その
水面
はその期間中、他の
漁業
はできなくなり
ます
。
共同漁業権
を得た多くの
漁民
は、真珠の
漁業
からしめ出されるばかりでなく、自分の
共同漁業権
の行使をも奪われるかつこつになるのであり
ます
。
水面
を利用する範囲から真珠を
生産
する
生産
高と、その同じ
水面
を利用して
生産
する真珠以外の水産漁類のその
生産
高は、相匹敵するという実績を持
つて
おるのであり
ます
。すなわちこれが
漁民
の手からさらに犠牲に供されるわけであり
ます
。真珠養殖業の
権利
を
漁業組合
に与えた場合、
日本
の外貨獲得の重要物資の
生産
ができなくなると心配する
意見
を、水産庁のこの
法案
作成に重要な地位をしめる人から聞いたのですが、明治四十三年以来今日まで、継続して
漁民
の組織に与えておいて今日のごとき真珠
生産
の進歩を見ておる事実は、いまさら
協同組合
に
権利
を与えて
生産
ができないと心配するのは、まことに不可解な次第と思うのであり
ます
。 なおこのほかたくさん理由があり
ます
が、時間の
関係
上これだけにとどめ
ます
から、賢明な議員先生方のお判断をいただきたいと思うのであり
ます
。何とぞこの第十九條は修正して、
協同組合
を第一
優先順位
に置いていただくか、十九條を削除して第十八條のひび建、かき養殖と同様に、この十八條に
協同組合
を
優先
として
規定
していただくように希望いたし
ます
。 さらに私は
特殊性
の
漁業権
には、
高知
の
堀部
さんと同様、
賃貸
権を認めてもらいたいと思い
ます
。
賃貸
権はこの
法案
には地主的存在として締め出してあり
ます
が、私は地主的存在として見ることは、誤りがあるのではないかと思い
ます
。これについての卑見は、時間の都合上省略いたし
ます
が、御
質問
があり
ます
れば私の
考え
を申し述べたいと思い
ます
。 なほこのほかこの
法律
の欠陥は、あまりにも表現の仕方が複雑で難解である点であり
ます
。およそ民主主義国の
法律
というものは、
一般
国民
が容易にその
法律
の何を示しておるかを理解できるものでなければなりません。寄らしむべし、知らしむべからずということでありません。知らしめて、しかる後に寄らすべきであり
ます
。従いまして、いま少しく、
簡單
にして明瞭なる表現の仕方にすべきであると思い
ます
。私の
考え
るところ、
政府
の役人は私
ども
より文章のつづり方が数等まさ
つて
おる方ばかりであると思い
ます
のに、かような複雑な、難解
なつ
づり方をするについては、当然の行き方は
漁業協同組合
一本に
免許
すべきだと知りながら特に
特定
の
個人
に独占さすことをもくろんで、ことさらに表現を複雑にして、多数働く
漁民
に
権利
を与えるごとく見せかけて、その実、ある
特定
の
個人
に
権利
を独占さすことを意識してやつたとも想像すればできないことはないと思い
ます
。私はかくのごとき矛盾のある
條項
を含む
法案
には
賛成
することができませんから、少くともこの
條項
を私
ども
の希望する通りに修正して、真珠養殖業を
内容
とする区画
漁業権
も、共同
漁業
と同様
漁業協同組合
に
免許
するようにしていただくことを、強く
三重
県
漁民
の九十九パーセントの名において要望いたし
ます
。もしこの
法案
が私の希望を入れてくださる何らの処置のないときは、この
法案
は絶対議会を通過させないように
お願い
いたし
ます
。この私
ども
の希望を入れて通過させていただくように、議員先生方に
お願い
をいたし
ます
。私の
公述
を終り
ます
。
鈴木善幸
44
○
鈴木
(善)
委員
田中さんの御
意見
の根本は、一切の
漁業権
を
協同組合
に与えろという御
意見
であり
ます
が、その御
意見
は
定置漁業権
に触れていなかつたのであり
ます
。
定置漁業権
の場合に、
政府
原案により
ます
るところの
自営
する場合に限り第一
優先
、この
方法
によ
つて
協同組合
に
定置漁業権
を確保できるであろうかどうかという点を御
質問
いたし
ます
。
里中政吉
45
○里中
公述人
お答えいたし
ます
。
定置漁業権
もやはり
協同組合
に与えてもらいたいという主張であり
ます
。それがために
賃貸
権の一部を認めようということを私は申し上げたのであり
ます
が、この
定置漁業権
もやはり
共同漁業権
の
水面
の区域にも一定の移動せない工作物を設置してやる以上、單に
定置漁業権
は、そのものが独立で
経営
できるとは
考え
られません。あらゆる共同
漁業
その他の
漁業
に、相当の犠牲をしいて初めて成立つものと思い
ます
から、單に
定置漁業権
を
個人
に与えたからというので
定置漁業権
の
権利
だけが行くのでなしに、著しく
共同漁業権
の
権利
を侵害することになり
ます
。こういう弊害を伴い
ます
から、これもやはり
協同組合
に渡して、
協同組合
が自主的に
漁業者
の総意に基いて、適当に
自営
できない場合には
賃貸
なり、危險の伴う場合においてはそういう
方法
をと
つて
、でき得れば
自営
をする。また
組合
内の
特定
の人に
漁業権
を行使さすというようにして行けばいいので、
協同組合
に与えてもらいたいということを私は要望するものであり
ます
。
奧村又十郎
46
○奧村
委員
ただいまの
鈴木委員
の御
質問
に対するお答えについて、少し食い違いがあるのじやないか。
鈴木委員
の御
質問
は、
政府
提出の原案の、
定置漁業
に対する
優先順位
として、
漁業協同組合
の
自営
を第一
優先順位
に置いてあるから、これで
協同組合
の
自営
で、
協同組合
に
漁業権
がどのくらい与えられるかということを
お尋ね
したものと思うのであり
ます
。私もその点を
お尋ね
したい。この
政府
提出の案によ
つて
、
協同組合
の
自営
を第一
優先順位
に置いて、はたして
協同組合
の
自営
がどれだけ望めるか。
公述人
の方は
三重
県の連合会長をしておられる。
三重
県において九鬼その他
漁業協同組合
の
自営
を実現しておられるところが相当多い。そういう
三重
県において、この
政府
提出の
法律案
でも
つて
、はたして
協同組合
の
自営
が今後どこまで進むか。
協同組合
にそれだけの資金、その他の力があるかどうかということを、実際において県内の
事情
に照して
お尋ね
してみたいと思うのであり
ます
。
里中政吉
47
○里中
公述人
私の県では大体現在張
つて
おり
ます
統数の九〇%は
協同組合
の
自営
でや
つて
おり
ます
。
奧村又十郎
48
○奧村
委員
そういたし
ます
と、少くとも
三重
県においては、
政府
の原案における定置の
優先順位
でも
つて
、大体満足できるはずと
考え
られ
ます
が、それをあなたのおつしやるのには、
協同組合
に
権利
を与えよというのは、
協同組合
が持
つて
、それの
賃貸
借する
権利
を与えよ、こういうお言葉であり
ます
が、その点少し食い違いがあるのじやないか。定置が
自営
しておるならば、
賃貸
借を与えなくともこの
政府
の原案でも
つて
、すでに
協同組合
の
自営
であるから
権利
を持
つて
おるはずだ、その点いかがですか。
里中政吉
49
○里中
公述人
さいぜん申し上げましたように、九〇%はや
つて
おり
ます
が、あとの一〇%、さらに今後新規に適当な
漁場
があるとしてやる場合に、やはりそういうものも対象に
考え
なければならぬと思うのでありまして、これらもやはり
協同組合
に
権利
をもら
つて
おくことが、
共同漁業権
の行使との
関係
において、そこに非常に円滑に
漁業
ができると思うのであり
ます
。ことにこの
民主化
の線から行きましても、原則としてはすべて
協同組合
に
免許
を与えることが、私は正しいと
考え
ており
ます
ので、そう要望いたしておるのであり
ます
。しかしなお
自営
の能力のないものに与えられた場合に問題になるのであり
ます
が、その際には
賃貸
権を認めて、適当な者にこれをやらしめる、こういう
考え
であり
ます
。
川村善八郎
50
○
川村委員
先ほどあなたの奥村君の回答において、九〇%を
経営
しておると言われたが、そういたし
ます
と大体において
定置漁業
に関する限り原案に
賛成
であり
ます
か。
里中政吉
51
○里中
公述人
原案に
賛成
ではありません。
川村善八郎
52
○
川村委員
そうし
ます
と、原案にも
賛成
でない、原案を
賃貸
を認めるようにもしろ、つまり
自営
する者にも与えるし、
権利
を貸すのにも認める。
協同組合
に与えるようにしろ、こういうふうに私には開け
ます
が、そうであるか。あるいは原案に不
賛成
であるというのならば、これは
自営
にしなくても、そういうことを何も條件に入れずに、
協同組合
に全部
権利
を与えろ、こういうのか、その点をお伺いしたい。
里中政吉
53
○里中
公述人
川村先生のおつしやる通りでござい
ます
。
自営
せない者にも与えてもら
つて
、その者には
賃貸
権を認める。現在この
法案
においては、
優先順位
で
自営
するところが与えられることにな
つて
おり
ます
ので、
自営
しなくても全部与えてもらいたい。そして
自営
能力のないものには
賃貸
権を認めてもらいたい、こういうことであり
ます
。
川村善八郎
54
○
川村委員
それではあなたのおつしやられることは、
賃貸
料をとるということは、今日あらゆる方面で非常な非難の的にな
つて
おり
ます
が、そのような
賃貸
する場合に、
協同組合
が
賃貸
料をとる御意志かどうか、この点をお伺いし
ます
。
里中政吉
55
○里中
公述人
その
賃貸
料と申し
ます
のは、
賃貸
料という言葉の表現はどうかと思い
ます
ので、
漁業権
を行使さすとういことに私
ども
は
考え
ており
ます
が、その
漁業権
を営むについての料金をもらうのでなしに、それをやるために
共同漁業権
を著しく脅かされる、
共同漁業権
から生ずる漁獲物を著しく犠牲に供さなければならぬ者に対しての、多少の補償をするという
意味
の
賃貸
料はもらはなければならぬと思い
ます
。
冨永格五郎
56
○
冨永委員
この真珠の養殖の問題は、本
委員会
も非常に重視しておるのでありまして、
公述人
からも非常に強い
意見
の開陳があつたのですが、われわれも
委員会
として、現地でも
意見
を聽取しましたし、ま
たこ
れからも真珠
漁業者
の
意見
も徴されると思うのですが、この場合に私は一言
お尋ね
しておきたいと思い
ます
。この十九條の
優先順位
による
免許
の場合に持
つて
行
つて
、
協同組合
を主張せられておりましたが、現在の
協同組合
員中には真珠
漁業者
は入
つて
いないのか、おるのか。それからもう一点は、
協同組合
員が
優先順位
に第一位にな
つて
真珠養殖業をするように
なつ
た場合に、種貝から真珠養殖に至るまでの全部をやり得るのか、また現在や
つて
おられる通り、種貝は
組合員
がやるが、養殖は真珠業者に売渡すという
方法
に行くという結果になるのか、その点を伺
つて
おきたい。
里中政吉
57
○里中
公述人
さいぜん申しました百名あまりの真珠業者の中には、
組合員
も多数含んでおり
ます
。それぞれの
漁村
の
組合員
が多数や
つて
おり
ます
。それから
協同組合
が
権利
をもら
つて
、海底に発生するところの貝を採集するだけのことか、養殖も含めてのことかと
お尋ね
のように思い
ます
が、これは貝を採集する
権利
も養殖の
権利
も、ひつくるめて
組合員
にいただきたい、かように思い
ます
。
石原圓吉
58
○
石原委員長
質疑
はありませんか
——
質疑
がないようであり
ます
から次に移り
ます
。この際
ちよ
つと申し上げておき
ます
。里中君の御
発言
のうち、最後に水産庁の人々に対する御
意見
の中に多少穏当を欠くような点があつたかのように思うのであり
ます
が、これは速記を調べた上で
委員長
において適当に処理したいと思い
ます
から、御了承を
お願い
いたし
ます
。石田耕作君。
石田耕作
59
○石田
公述人
栃木県水産団
体連合会長
石田耕作であり
ます
。ただいままで
公述
されまし
たこ
とは海に関し
たこ
とであり
ます
るが、私は海なし県であり
ます
ので、おおむね内
水面
のことについて申し述べたいと存じ
ます
。
政府
提案の
漁業法案
に対し、内
水面
漁民
の根本的な
意見
を申上げ
ます
。
法案
に対し総合的立場から見た
漁業権制度
の問題であり
ます
が、この
法案
は第五
国会
を通過した
漁業協同組合
に即したるところの
法律
をつくらんとするところのものであ
つて
、従来の封建的観念から
漁民
を解放し、
漁業
の
民主化
を促進するとともに、
水面
の高度利用によ
つて
わが国
の
経済
再建をはからんとするものであるから、法の
運営
は別として、この
法案
の
趣旨
には全面的に
賛成
すべきであると思い
ます
。しかるにこの
法案
中において、内
水面
関係
の
條項
はわずかに数條にすぎないのであり
ます
。すなわち内
水面
の
特殊性
を生かしていないと思い
ます
。
全国
の河川湖沼地における養殖等による魚族の繁殖は、戦後異常の発逹を示し、海なし
地方
における蛋白質の給源として社会の需要に応ずるの態勢を整え、政治、
経済
を通じて
政府
と直結せんとしておるにもかかわらず、この
法案
はあまりにもこれを等閉視しておると思い
ます
。
現行
漁業法
及び
改正
せんとする
漁業法案
においても、海
水面
と同一に規制されており、内
水面
の
特殊性
を
考慮
されていないため、多くの矛盾を生じていると思うのであり
ます
。内
水面
の
特殊性
については、河川、湖沼等一定の
水面
において漁獲をなすのであ
つて
、
漁法
、規模において、海のそれとは全然異な
つて
おり、従
つて
漁撈者の密度が非常に大であり、魚族の棲息するところ漁撈者のいないところはないのでありまして、だれにも
簡單
に漁獲ができ得るのであり
ます
。ゆえに中間における搾取機関はないのであり
ます
。繁殖保險が主であり、採捕が従でなければ、内
水面
漁業
は成立せず、ゆえに繁殖
保護
の施設をしなかつたならば、一年を出ずして魚族は絶滅することは明らかであり
ます
。また
漁業者
を分類するならば、栃木県における現在の
組合員
の構成から申せば、年間副業二〇%、季節副業は三五%、遊漁者四〇%という相当大幅の役割をなしており、專業者はわずかに五%という数字を示しているのであり
ます
。従
つて
漁業
取締りの面がすこぶる困難であり
ます
。山間僻地にあ
つて
は、ことに監視の目を盗んでは違反
漁業
、密漁、溢獲が行われておる現状であり
ます
。ゆえに海
水面
と異なる内
水面
漁業法
は、海
水面
と切離し、内
水面
單行
漁業法
をあらためて制定すべきであると信ずるものであり
ます
。 それでこの内
水面
漁業法
を制定するにあた
つて
は、
漁民
代表者を
法案
起草に参画せしめられたいと思い
ます
。そのためには
改正漁業法
案の中より内
水面
関係
法は削除すべきであり、
漁業権制度
の
根本的改革
等に関する問題としては、海面においては
共同漁業権
を認めておきながら、内
水面
に対してはなにゆえに
漁業権
免許
しないかということは不可解にたえないのでありまして、
漁民
の民主的自主性を抑圧し、民権を尊重せざる
法案
なりと言わざるを得ないのでありまして、
権利
の伴わざる
漁業協同組合
は、現実の問題として成立しないのでありまして、現在この
漁業権
の成否の
いかん
を見送
つて
、
協同組合
の設立は進渉していない、この事実を見ても証明できるわけであり
ます
。内
水面
において
漁業協同組合
法を生かさんとするならば、第一に
共同漁業権
を
免許
するの
漁業法
たらしむるべきだと思うのであり
ます
。
漁業法案
改革
については、かねて提出いたしてあり
ます
陳情書に添付してある
漁業法案
改革
趣意書を参照せられたいのであり
ます
。この趣意書について申し上げたいと思い
ます
が、時間が長くなり
ます
のでこれは省略いたし
ます
。これの結論としては、かくのごとく
漁業権
を中心とした
法案
があらためて制定せらるることによ
つて
、内
水面
関係
は
政府
提案の根本
趣旨
に即する法令となるのであろうと思うのであり
ます
。現在審議中の
改正漁業法
案に修正を加え、そうして現実に解決せんとするならば、内
水面
單行
漁業法
を立法化するその間これを一応認めることとして、あえて修正を加えるならばそれはきわめて
簡單
であると思うのであり
ます
。
改正漁業法
案の修正については、
漁業
制度改革
に関する件のうちの中央
漁業調整
審議会のうち、別項に内
水面
を入れること、その構成は
漁民
の
委員
を七、
学識経験者
を三の割合で、
漁業
団体
の推薦により
主務大臣
がこれを任命するということに願いたい。 内
水面
漁業
第一項を削除する。二を一に改めて「内
水面
においては、
共同漁業権
及び区画
漁業権
を
漁業協同組合
に
免許
することができる」と訂正すること。
漁業
監督公務員は内
水面
には適用したくないと思うのであり
ます
が、それは経費の過重が免かれないと思うからであり
ます
。「但し内
水面
においては、
漁業
団体
の
申請
または
漁場
管理
委員会
が必要と認めたときは、この
規定
を他用することができる」とすればよいと思い
ます
。内
水面
における
漁場
管理
委員会
は、その機構、構成、権限等もまずやむを得ないと思い
ます
が、その施行にあた
つて
は、繁殖、
保護
に障害を及ぼすがごとき経費を伴う
漁場
管理
委員会
には反対せざるを得ないのであり
ます
。よ
つて
これは発然国費をも
つて
負担
すべきであると思うのであり
ます
。
免許料
、
許可料
に関しましては、内
水面
の場合は補償金は返上したい。但し
個人
の場合は
考慮
せなければならぬと思うのであり
ます
。これは
漁民
に対しこれ以上の
負担
をかけたくないのでありまして、そして各都道府県が徴集しておる本年度の
專用漁業権
料、
許可料
の範囲を越えないことを條件としてもらいたいと思うのであり
ます
。 以上申述べまし
たこ
とは、私
個人
の
意見
ばかりではなく、
全国
における内
水面
漁民
の総意でありまして、
全国
内
水面
漁業
団体
中央創立総会においての決議によるものであることを申し添えておき
ます
。
石原圓吉
60
○
石原委員長
質疑
を願い
ます
。
冨永格五郎
61
○
冨永委員
ただいま
公述人
の石田さんの御
意見
を伺いましたが、まず最初に、内
水面
に関して
漁業法案
は非常に無関心であ
つて
遺憾である。従
つて
この
漁業法
から除くべきだという御
意見
でしたが、結局この
漁業法
で内
水面
、海
水面
という区別をせずに海
水面
と一緒に同等の待遇をも
つて
処置してもらいたい、こういう御
意見
なのか、あるいは一応除いておいて、同時に内
水面
漁業法
というようなものを、この
漁業法
と一緒に別の單行法で出してくれというのか、また別に出すことにしておいて、あとでもいいというような御
意見
なのか、以上の点について伺いたい。
石田耕作
62
○石田
公述人
ただいまも申し上げましたように、海
水面
と内
水面
は別箇な問題でありまして、全然趣きを異にしておるのであり
ます
。それで内
水面
は別途に
考慮
を願いたい、かように
考え
ており
ます
。
冨永格五郎
63
○
冨永委員
一緒に立法しろというのですか。
石田耕作
64
○石田
公述人
つまり、内
水面
は海
水面
と切り離して別途に
法律
をも
つて
いただきたい、こういうことです。
石原圓吉
65
○
石原委員長
他に御
質疑
はございませんか
——
ないようであり
ます
から、本日の
公聽会
はこれで終了いたしました。 午後は
委員会
を開いて、
委員会
において参考人の
公述
を求めることにいたし
ます
。これをも
つて
公聽会
は散会し
ます
。 午後零時四十七分散会