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1949-11-16 第6回国会 衆議院 水産委員会公聴会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十六日(水曜日)     午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 平井 義一君    理事 松田 鐵藏君 理事 佐竹 新市君    理事 林  好次君 理事 砂間 一良君    理事 小松 勇次君 理事 早川  崇君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       田渕 光一君    玉置 信一君       冨永格五郎君    永山  節君       二階堂 進君    長谷川四郎君       中西伊之助君    奧村又十郎君  出席公述人         高知漁業協同         組合連合会長  堀部 虎猪君         岩手県漁業協同         組合連合会長  伊藤佐十郎君         湘海漁業経営者         組合員     石黒 平三君         三重漁業協同         組合連合会專務         理事      里中 政吉君         栃木県内水面団         体連合会長   石田 耕作君  委員外出席者         專  門  員 齋藤 一郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁業法案及び漁業法施行法案について     —————————————
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  この際御報告申し上げます委員黒田寿男君が本日辞任されまして、その補欠として中原健次君が選任されました。  これより水産委員会公聽会を開きます。  この際公述人各位に対し一言ごあいさつを申し上げます。本委員会漁業法案及び漁業法施行法案審査にあたりまして、特に公聽会を開いて、両法案について利害関係者及び学識経験者、その他一般の方々より広く意見を開くことにいたしましたのは、本法律案わが国産業構造の基板をなすところの、漁業生産に関する基本的制度、すなわち明治三十四年に初めて法制化され、同四十三年の全面的漁業法改正によつて確立せられましたところの現行漁業制度に対しまして、根本的改革を断行せんとするものでありまして、さきの農地法にまさるとも劣らない重大な法案でありまして、国民一般的関心及び目的を有し、かつ深い利害関係を持つていると認められるのであります。すでに御承知のごとく、本法案は前第五国会に内閣より提出され、水産委員会において審査を行い、第五国会閉会中も、特に院議をもつて委員会において継続審査を行い、今回本国会にあらためて本委員会に付託され、目下愼重審議をいたしておるのでありまして、本委員会といたしましては特に本案專門の小委員会を設置し、同小委員会におきましては鋭意検討の結果、本案に対する修正案について一応の成果を得ておるのであります。かかる機会に際しまして、本案審査に広く国民の輿論を反映せしめるとともに、多年の御経験と御研鑚に基くところの各位の御意見を拜聽することによつて本案調査に万全を期したいと存ずるのであります公述人諸君におかれましては、本案についてあらゆる角度から忌憚なき御意見を御発表くださるようお願いする次第であります。しかし万一にも利己的な意見公述されて、そのために真相をつかむことができなかつたならば、そのために得るところの、わが国水産業に影響するところは甚大なるものがあると思うのでありまして、あくまで公明正大なる堂々たる御意見の御発表を切に希望する次第であります。  次に議事の進め方について念のために申し上げておきます公述人諸君発言はその都度委員長よりの指名によること、一人当りの発言時間はおおむね十五分以内とすること、御発言発言台お願いすること、御発言の際には必ず御職業とお名前をお述べいただくこと。なお委員諸君公述に対する質疑は、公述後ただちに十分ずつの程度に行うこと。以上あらかじめお含みを願つておきます。  それではまず堀部虎猪公述人より御発言お願いいたします
  3. 堀部虎猪

    堀部公述人 私は高知漁業協同組合連合会長高知漁業組合漁業信用組合連合会長という肩書におきまして公述いたしたいと思います。  ただいま委員長さんより申されましたように、十五分というきわめて短い時間でありまするので、私は單に定置漁業に関する事項のみを取上げまして、簡單に申し述べたいと思うのであります。  定置漁業につきまして、この法案漁民主体とする漁業調整機構運営によつて漁業生産力を発展させ、漁業民主化をはかるという改正漁業制度根本目的は、今後漁業あり方を明確に指向するものでありまして、この立案の趣旨に対しまして、私は全面的に賛成をするものであります。しかるに法案の全條項が、はたしてその目的すなわち漁業生産力の発展と漁業民主化の逹成に設けられておるという大きな期待を持つて検討をいたして参つたのでありまするが、定置漁業免許優先順位を見まするに、その目的とは多少相いれざる感を深くするのであります。すなわち定置漁業免許優先順位をあまりにも最終の階段的に決定づけておりますることは、定置漁業免許という最も重要な漁業権の帰趨に関し、民主的であるべき漁業調整機構をして、何らその運用力を十分に発揮せしめる余地がないと思うのであります漁業調整委員会は、構成員の七割が選出せられた漁民委員であつて、きわめて民主的な委員会であるにかかわらず、その運用は著しく局限をして、委員会活動根源を縮小しておるように感ぜられるのであります漁業協同組合やこれに準ずる漁民団体定置漁業免許優先に与えるということは、漁業経営民主化から見てまことに当然であると思うのであります。さようにあるべきと考えまして、この点賛意を表するものでありまするが、しかしその場合におきましてお考えを願わなければならぬことは、賃貸ということを忘れてはならないのであります定置漁業のように規模の大きな漁業であつて、その経営特殊性から見て、これを賃貸せしめるということを私は強く主張しておきたいと思つておるのであります。  今さら私が申すまでもなく、定置漁業ほど高度の技術と、経営上の経験と、多額資本と、はたまた多年のしんぼう強さを必要とする漁業は、他にその例を見ないのであります。しかるにその反面には局地的の不漁や、しけ、あるいは急潮等災害をこうむりやすいのでありまして、定置漁業零細漁民を裕福になし得るごとき、損失知らずのもうかる漁業でない、安定性を欠いておる漁業であることは、全国定置漁業権の七割以上を持つておる漁業組合がみずからその経営をせずに、大部分を他に賃貸しておることによつて示すものであります。また定置漁業は、幸いに豊漁に惠まれた場合には、多くの漁利を得ることもできる漁業でありますが、その反面に、不漁が続き、また災害に見舞われた場合には、その投下資本はまつたく回収できず、再超不能の痛手をこうむることもしばしばあるというようなぐあいに、すこぶる漁業安定性を欠いておるものであります。しかも地区的不漁は周期的に起り、また不時の災害は低気圧の襲来等に伴いまして、毎年のようにこうむりがちであるのであります。一定の水面に長時日網を敷設し、魚群沿岸に来遊するを待つて漁獲をする定置漁業にありましては、その漁の豊凶性と罹災の率の高いことは、避けがたい事実でありまして、ここに定置漁業の危險性を持つておるのであります。もしこの賃貸を認めずに、自営を強いるときには、不幸にいたしまして、数千万円の損失をこうむることがある、こういう場合がありとせば、その損失漁民損失であり、組合員損失であつて、ただちに協同組合経営はもちろん、ひいて漁村経営に及ぼす影響いかんは、実に甚大なものがあると思うのであります。これらの点から見まして、定置漁業権の大部分貸借関係にあることは、この間の事情をよく物語つておるものであると思うのであります定置漁業経営には、要するに十分な資力、経験、労力及び地元漁民実情等が渾然一体になつて、そこに始めて総合的の力が結集せられて、定置漁業本来の真価が発揮せられ、生産の増強と真の民主化が得られるのでありまして、要はその運営の問題である。漁業民主化漁業経営合理化であり、労資の協調が最も大切であると思うのであります。これには協同組合自営を理想といたしまするが、それらの困難性考慮いたしまするなれば、協同組合表裏一体をなすところの部落経営たると、あるいは資本家経営たると、個人経営たるとを問わずに、これらを多く問題にする必要はないと思うのであります定置漁業経営と、地区漁村とは切つてもきれぬ深い関係にありまするので、この経営が順調に運ぶ限り、必ず地元漁民の協力を得ますなれば、その利潤もまたおのずから均霑せられなければならぬと思うのであります。要は経営の適宜がただちに漁村を繁栄せしめ、漁民生活を向上せしめ得るものでありまするから、経営者の選定は漁業調整委員会にまかせることが最も妥当であり、最も民主的であると信じておるのであります。  以上の見地から見まして、定置漁業免許優先順位を、あまりに明確に規定することなく、その地方実情を参酌し、それに適するように調整委員会の権限にまかすことが、適当であると考えておるのであります。  次に定置漁業権存続期間の問題でありますが、定置漁業豊凶は五年を一山といたしまして、波状的に廻遊して来るものであります定置漁業経営するには、漁場海況を精密に調査をいたし、研究をいたしまして、漁具構造に改良を加え、すなわち適地適策の主義が必要でありますので、存続期間十年が最も妥当でないかと考えるものであります。次に漁業調整委員会につきましては運用性をもつと強く、広く、ことに定置漁業免許内容等事前決定をなす場合及び許可申請のあつた場合等には、定置漁業專門委員会意見を重視するように、特に要望いたしたいのであります。  最後に免許料及び許可料の問題でありますが、漁業権免許にあたり、多少の免許料をとるということはやむを得ないと思うのでありますが、これによつて補償金及び委員会等の処理を全額まかなうことになつているということは、この措置国家の施策という見地から、常識的に多少私は疑問を持たざるを得ないのであります。かつ相当に多額に上るそれらの費用を、漁業者に全部負担せしめるということは、さなきだに漁業の資金と諸税の重圧にあえぐ漁業者に、一層の苦痛を与え、ひいては漁業生産に大きな支障を来たす原因となるということが考えられるのであります。よつて以上の費用国家負担お願いをいたしたい。これと関連をもちまして、この法律によつて二年間に権利を消滅さすという点は、この経済の点から見合せまして、いま少しく何らかの方法はないものであろうかということもあわせて考えられるのであります。  終りに常任委員の皆さんにお願いをいたしたいことは、目下漁業権等措置法によりまして、漁業権更新異動を差止められおりますことは、漁民にひとかたならぬ不便不利を与えていることでありますので、漁民は一日もすみやかに新らしい改正漁業法の制定せられんことを望んでいるのでありますから、一層御努力をお願いいたしたいと思いまして、ごあいさつを申し上げるものであります。  以上をもちまして私の所見といたします
  4. 石原圓吉

    石原委員長 これに対して御質疑はありませんか。
  5. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 堀部さんのただいまの御説のありました面につき、二、三御質問をいたしたいと思います堀部公述人は、定置漁業権賃貸の道を開けという御趣旨の御意見があつたのでありますが、これは全面的に定置漁業権賃貸させる方がいいという御意見であるのか、また原則として定置漁業権はみずから行使するもの、自営するものに免許を与うべきであつて、但し漁業協同組合のような漁民の構成する団体の保有にかかる定置漁業権、あるいは特定の場合に限り、具体的に申しますと、漁民協同申請によつて共有権として得たところの定置漁業権を、その共有者の一部の者がこれを行使する場合等に限つて、限定をして賃貸の道を開いた方が、実際の定置漁業運営上からいつて妥当ではないかという、制限つき賃貸の道を開けという御趣旨であるか、この点をまず第一点にお尋ねいたしたいと存じます
  6. 堀部虎猪

    堀部公述人 私の公述に多少足らざるきらいがあつたと思うのであります賃貸の道を開けということは要するに漁業協同組合自営優先第一位になつておる。その優先第一位をしいるために、弱体な漁業協同組合がきわめて不安定な漁業経営した場合を考慮いたしますと、要するにこれらのものは、部落表裏一体組合のようなものをつくつてやる場合、あるいは共同経営でやる場合等を考慮いたしまして、それらのものに限つて賃貸を認めろという趣旨であります
  7. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 次に定置漁業権免許に際しての優先順位に関しまして、政府提出法案では、優先順位が固定的である。そのために調整委員の活溌な自主的な実情に適する運用を阻害するものではないかという御意見の開陳があつたのでありますが、この優先順位については、各調整委員会が、免許にあたつて知事または主務大臣から意見を開かれる場合に、政府が掲げておりますような優先順位は、調整委員会意見具中の勘案事項としてこれを採用せよという御意見であるのかどうか。もし法律規定しておりますような條項勘案事項として取上げるとすれば、それはやはり法律勘案事項として明記して、固定的、画一的な優先順位とはしないで、勘案事項としてこれを法律に記載する方法を具体的にお考えになつての御発言であるかどうか、この点をお伺いしたいのであります
  8. 冨永格五郎

    冨永委員 今鈴木委員からお尋ねがありましたので、ほとんど重複しておりますが、私は簡單に、率直に申し上げます公述人のお述べになりました優先順位の点は、最終段階までいろいろ決定しておるから賛成できない、こういう御意見でしたが、それは今鈴木委員が述べられた通り、優先順位内容をもつと大まかにすれば、優先順位はあつた方がよいのか、あるいは優先順位は全然なくて、調整委員会にのみまかせる方がいいというお考えであるのか、今の鈴木委員質問に関連しておりますから、お尋ねいたします
  9. 堀部虎猪

    堀部公述人 大体お尋ねと同感でありまするが、あまりに区切りに切つたところのこの案が、すでに地方発表になつて、この案をめぐつてはや漁村にもいろいろ紛議が起つておる。これは私ども当初から研究したことでありますが、こういうことは、法律でぴしやつと、ますで水をはかつたようにせずに、勘案事項の中に入れたらどうかということを考えておる。それは私ども定置の立場で調べてみますと、北海道における定置漁業権行使状態経営状態裏日本における経営状態太平洋岸における経営状態太平洋岸においても千葉、神奈川の経営状態三重経営状態とは違う。三重高知、福井、こういうふうなところは同じである。九州に行けばまた違うというふうに、全国一律一体に法律でぴしやつと定めるところに困難があり、そこにいろいろな問題が起つて来て、漁村民主化どころでないというところに行くという点を、考慮に入れておるのであります
  10. 玉置信一

    玉置(信)委員 私は公述の進行を促進するために、委員側質問はあまり長きにわたらないで、ごく簡潔にやつていただくようにおとりはからい願いたいと思います
  11. 石原圓吉

    石原委員長 ただいまの玉置君の御発言ごもつともでありますから、委員諸君はその趣旨で御質問を願います
  12. 川村善八郎

    川村委員 堀部君の御意見は、定置漁業優先順位というものは、協同組合が第一位になつておるから、定置漁業賃貸を認めろ、こういうふうなことについていろいろお述べになつておりますが、もし賃貸を認めないということになりますれば、協同組合優先権を与えることはいかぬというのですか、どういうふうにお考えになつておりますか。
  13. 堀部虎猪

    堀部公述人 それは与えても自営するところは自営する。自営さしても危險なところがある。私の県では、定置漁業経営漁業組合自営をせよ、こう言つたときに、今日五十三の漁場——私は漁業組合生活を二十年余りやつておりますが、自営でその漁村経営を安定ならしめる漁場は七つしかない。あとは非常に盛んなときもあるが、非常に不漁があつて、常に漁村経営は波のように上下しておる。こういうところを考慮に入れて、すでに私の方では、県並びに定置漁業指導方針として、なるべく漁業組合表裏一体村張り経営、こういうような経営状態に持つてつております
  14. 川村善八郎

    川村委員 そうしますと、こういう解釈でいいのですね。定置漁業権は、協同組合自営するところは自営させろ、それから自営し得ないところは賃貸を認めろ、こういうふうに解釈していいのですね。
  15. 堀部虎猪

    堀部公述人 そうですね。
  16. 砂間一良

    砂間委員 先ほど委員長は開会のごあいさつで、漁業権委員会において一応の修正案を得ておるというふうにごあいさつになつておりますが、小委員会としては必ずしも全員一致でまとまつてはいないのであります。このことを簡單に申し添えておきまして堀部さんに質問いたしますが、漁業権賃貸を認め、優先順位法律で明定することなくして、調整委員会自由裁量にまかせると申しますか、そういうふうにして、さらに二年間に権利を一律に消滅させるというふうなことについて、考慮してもらいたいというお話がありましたが、そうしますと、大体現在自営している人たちに、漁業権をそのまま認めて行くというふうな結果になりまして、制度改革眼目とするところの、根本的な漁業権制度改革という点が失われてしまいまして、ほとんど現行漁業法をそのまま存続させて行くというふうな結果になると思うのでありますが、制度の根本的な改革について御賛成になつておられないのか。その辺についてのお考えをお聞きいたしたいと思います
  17. 石原圓吉

    石原委員長 ちよつと砂間君に申しますが、御意見が多分でありまして、質疑でないように心得るのであります。それで時間の関係から言つても趣意にも反すると思います
  18. 堀部虎猪

    堀部公述人 私はこの改正法に対しては、前段申し上げたように全面的に賛成である。そして二年間の整理の問題につきましては、この整理をするということが漁民の金で整理をするということになるから、経済の上で何か考えられないか、こういうのであります政府の金で政府みずからの負担でこの漁業権を買収し、経費を全部まかなつてくれるなれば、われわれはそこまで考える必要はない。
  19. 石原圓吉

  20. 伊藤佐十郎

    伊藤公述人 この漁業法案の根本的な問題の二、三につきましてまず申し上げたいと思います。  私はこの法律漁業調整法と呼ぶべきであると考えます。もう少しわが国漁業の基本的な諸要素について、体系的に大網をあますところなく規定する法律であれば、漁業法と称するに値し、りつぱに名は体を現わすと考えます法案内容検討いたしまして、これは徹頭徹尾広い意味における漁業調整をねらつておるものであつて従つて内容と一致せしめるためには、漁業調整法と名づけることがより妥当であると考えるのであります。第一章の総則のうち、第一條の法律目的の中に水産資源保護ということを明記していただきたいと思います。申し上げるまでもなくこれからのわが国漁業あり方というものは、資源の維持、培養と、とつたものの完全なる活用という二つの命題を、制度の上においても、われわれの行動の上においてもはつきりつかんで行くものでなければならない、こう考えております。その意味において、決してこの法律精神資源保護ということを考えていないとは申し上げませんけれども、少くとも今後前のような行き方を反省しまして、国際的にも信用の置けるような平和的近代産業として、漁業を盛り立てるということであれば、第一に法律眼目として、この水産資源保護ということを明記していただきたいと思うのであります。この精神を貫くところに新しい日本漁業あり方はつきり現われて来ると思うからであります。  第二章の漁業権及び入漁権のところに参りまして、漁業権の第六條三項の一、二の規定、つまり定置漁業に対する水深限度及び北海道における二、三の例外の規定があるのでありますが、この二つ規定は削除した方がよろしいと私は考えるのであります。その理由は、およそ漁場価値は、常識から一歩も踏み出ていないところのいわゆる最大公約数的な十五メートルなどという数字をもつて規定することは、不適当であるということであります。それからもう一つの、さけを入れるとかますを入れるとかいうようなことは、特定の地域の二、三の例を救済するには足りますけれども日本の全沿岸における定置漁業特殊事情検討いたしますに、あまりにもこれは視野が狭過ぎる。もう少しこれは幅を持たしておいて、民主的な漁業調節審議機関をりつぱに動員した上で、具体的に個々の漁場について指定し得るような道を開くべきであるというのが私の主張であります。  次に協同漁業権につきまして、この漁業権の名称は、旧法の専用漁業権の場合と比較いたしまして、内容的にも相当かわつておりますので、相当御苦心の上で命名されたものと思います。端的に漁業権利用形式を表示するものとして、共同漁業権と称する方が適当であるかのようにも考えますけれども、もう一つ私は利用形式の問題でなしに、漁業権共有及び管理形式、それを表示するものとして、共同漁業権という命名をなさつておられるとすれば、それでもけつこうであり、いずれにしてもこの名前賛成であります。私は本来ならば、沿岸における漁業権というものは、すべて今私の解釈するような意味における共同漁業権でありたいという希望を持つていうのであります。  この規定のうち第五項の一の定義のうちに、定着性の三字があります。私はこの定着性の三字は削除していただきたいと思いますいかんとなればこの定着性解釈は、技術的に考えてみまして疑議がございます。たとえば東北地方における季節的漁業として、従来専用漁業権の中に重要な地位を占めておりますたこがあります。これは文字通り定着性のものではございませんけれども、従来の專用漁業権の中においては、非常に重要なるウエートを持つているものでありまして、もしこれが定着性解釈によつて除外せられるとすれば、重大なる問題であります。おそらく三陸におけるたこだけでなく、各地方を見れば、同様にこれを規定されるために不便を感じ、不利益をこうむる場合がしばしばありやしないかということを考えるからであります。  次に第一種並びに第五種を通じて、漁法を固定しておきめになるような考えのようでありますけれども、これはもう少し融通性のあるようにしなければ、既存の漁具漁法だけを考えているという考え方は、少くとも進歩的であるとは認められないと思います。但し私は、この第一種ないし第五種を通じての漁具漁法の指定の問題につきましては、もう一つ新しい考え方を採用していただけるならば、取消してよろしい。それは何であるかと申し上げれば、ちようど地下資源における試堀権のごときもの、いまだ漁場価値はつきりきまつてはいないけれども、その漁場を新しく開発する時期において、これを鉱山におけるように、短期の試掘的な試験免許、ないし許可を与えるということになれば、前の意見は取消してもよろしいと思います。  第十條中に、主務官庁として都道府県の知事だけを規定しておりまするが、これはいかがなるものか。場合によつて農林大臣——主務大臣が直接免許するものもあり得るのではないかということをちよつと気づきました。  次に第十四條は漁業権主体となるべき適格性規定であります。これにつきましては、いろいろの方面から御意見が出ていると思いますが、公共の用に供する水面を、他人を排斥して漁業を営む権利、それが漁業権であるとするならば、こういう権利はなるたけ特定個人に独占せしめるような形態を避けるのが、より社会的であり、そういう方法考えるべきではないか。その意味においても、先刻私はすべての漁業権が、理想としては共同漁業権でありたいということを申し上げたのであります。少くともこれが土地制度をまねて考える点があつたかもしれませんけれども、土地制度漁業権制度というものは、根本的に、本質が違うのであつて、何もそれを不用意にまねる必要はないという立場をとつております。資材の保護とかこの法律目的でうたつております総合的な生産の発展というようなこと、ないしは漁業権の管理というようなものを通じて、漁業なり漁村民主化をはかろうとする場合においては、できるだけこれは漁民組織をもつてまず漁業権共有主体となるべき適格性が第一要件と考えていただきたいと思うのであります。  次に二十一條の漁業権存続期間であります。これは先刻ちよつと触れましたように、原案の五年ないし十年というものは、考えようによつては少し最高限度としては短か過ぎるような感じを持つておりまして、何がゆえにこういうふうに短かくしなければならないかということについては、徹底的な理由を私は見出しかねます。もし先刻のような新規漁場等における試験時代の短期漁業の試験許可の道を開くとするならば、この免許は五年、十年というものを延ばして行つてしかるべきものだというふうに考えております地方漁業取締り規則なんかにも、従来特別採捕という用語がありまして、普通の免許許可によらずして、臨時的に水産動植物を採捕する場合に、特別な許可條例がございます。あるいはそういう方式をもつて、旧法における特別漁業権とは内容的には違いますが、そういうものも考える余地はありはしないかということを、感じておるわけであります。  次に第二十三條、漁業権の性質、これは物権とみなして土地に関する規定を準用する以上、先刻も発言もあられたようでございますが、賃貸借を認めるということは当然ではないかというふうに考えられます。但しすべての漁業権賃貸借を認めるということは、弊害を伴います。従つて私の場合におきましては、協同組合の持つている漁業権で、会員が共同で利用する以外の漁業権である場合においては、賃貸借を認めてよろしい。こういう立場をとりたいと思います。  第二十七條は区画漁業権以外の移転を禁止しているようであります。しかしこれは当然に予想さるべき、実質的に現存する権利の移転ということをこの規定は見のがしております。ここで申し上げることは適当かどうかわかりませんが、私は岩手県のようなところでは、旧漁業権制度の全面的否定ということは、さほど必要を感じておりません。しかし全国的な規模においてこれをながめた場合においては、いろいろ根本的に改正すべき点があるでありましようから、この案には反対はいたしませんけれども、旧漁業法なり漁業権制度の中におきまして、多年にわたるこの漁民運動の成果というものは、準次個人漁業権漁民組織の方に接取いたしまして——岩手県のごときは個人に属する漁業権というものはほとんど寥々たるものであります。これは決して漁業法施行当初からそうであつたのではなくして、いわゆる協同組合意識の自覚が盛り上るに従つて個人漁業権者の方もその立場を理解し、大同につき、漁業権は期せずして協同組合に集まつて来たのであります。そういう歴史的努力の後において、相当の成果が上つておる漁業権の分布状態におきましては、あながち全面的にこれを改廃する必要はありません。極度に集中され、あるいは封建的な残滓が残つておるものについて、これを判定し、是正するならば、それでよろしいかと思います。  大分意見は残つておりますけれども、時間の制限がございますので、もう一つだけ申し上げて終りたいと思います。それは指定遠洋漁業規定をかえていただきたい。これは遠洋漁業に限らないで、沿岸漁業の部門も入れていただきたい。私の感じますところでは、むしろ漁業調整の重大な問題は、遠洋よりは沿岸に多くあると思つております。最近における動力巻網か、おそらく近い将来に万能時代を現出しはしないか。電気集魚燈における沿岸漁業の混乱の状態をごらんなさい。すべてそういつたものから見ても、あるいは従来から海のギヤングと称せられる底びきの問題にいたしましても、この問題を通して日本漁業調整を論ずるということは、半ば意識を失すると思うのであります。その意味において、指定遠洋漁業というものの中に、範囲を広めて沿岸漁業部分を大きく取入れていただきたいということを協調いたします
  21. 石原圓吉

    石原委員長 質疑を願います
  22. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいま伊藤公述人から申された中に、北海道における特例を廃した方がよいというお話は、第六條第三項の二の北海道におけるにしん、いわし、さけ、ますを主たる漁獲物と指定したることが特例と解しての御指摘でありましたかどうか、その点お答え願いたいと思います
  23. 伊藤佐十郎

    伊藤公述人 お答えいたします。私の解釈では、北海道事情についてはよく御理解を願つておるものと思う。しかし北海道以外にも同様のものがあり得るはずであるから、これは規定としては削除して、もう少しよその方も、親切に同様に扱うように規定していただきたいという趣旨を申し上げましたので、その内容を否定するものではございません。
  24. 川村善八郎

    川村委員 伊藤さんの最後の結論に、指定遠洋漁業のみでなく、沿岸の主要な漁業、その例をとつてこれも織込め、こう言つております点が、つまり重要な漁業はほとんどこの法律に織り込むべきであるという前提のもとに、お話しておられるのかどうかというのが一点、それから現在の改正法案と言いましようか、これに対しては、全面的に否定をするものではないけれども、あまりに行き過ぎがあるから、旧法の悪い点だけを直したらいいのではないかとうことを言われておるようですが、この点について伺いたいと思います
  25. 伊藤佐十郎

    伊藤公述人 第一点は誤解を生じているかもしれませんが、私の趣旨は、非常に機動力を持つております沿岸漁業は、漁業調整機関の管轄区域外に、数区にまたがりましてしばしば行われるわけであります。おそらく地方漁業調整機関をもつてしては、十分にその目的を逹することのできないほど、活動範囲の広い漁業でございます。そういうようなものにつきましては、中央において整理せられるのが妥当であり、その意味において申し上げたのであります。  それから第二点の、漁業法改正すべきであるか。新漁業法にすべきかというお尋ねのようでございます漁業法は先刻も申し上げましたように新漁業法でやつていただきたいと思いますけれども、その中に盛りますところの内容につきましては、何もかも頭から全面的に否定する必要はない、すべてが封建的であり、反民主的であるとは私は思つていない。少くともわれわれは、その方向に向けるために多年にわたつて努力し、若干の成果を得ている。その歴史的蓄積までも否定されることは、私は反対する。しかも経費の点からいつても非常に問題がらうと思う。
  26. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 伊藤公述人のただいまの御説明のうちに、いわゆる管理権ということは、組合についての管理権と考えてよいでしようか。そういたしますと、これは程度の問題でありますけれども、強度の管理権を組合に与えるとういふうに解釈ができるかどうか、漁業調整委員会との間の関連性はどうか、これをどの程度にお考えになつてますか。
  27. 伊藤佐十郎

    伊藤公述人 管理権という問題を法律的に申し上げるのではございませんが、たとえば中央においても、中央の漁業調整審議会ですか、その議を経て執行部で執行するようになつております協同組合がもし全面的に管理をまかせられました場合におきましても、その管理の責任者は組合でありますけれども、管理方法等につきましては、もちろん漁業調整審議機関の議を経てやるのでありますから、その点は一切を漁業協同組合にまかせるというのではなしに、法的な秩序に従つて漁業協同組合がこれを管理するという方式をとりたいと思つております
  28. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 伊藤さんの御発言の中に、共同漁業権内容を、定着性水産動植物だけに限定することはいけないという御趣旨発言があつたのでありますが、これは海区の地方の実態に即して、定着性以外のものも調整委員会が必要と認めたときには、共同漁業権内容に入れるべきであるという御趣旨かどうかをお伺いしたいのであります。  それから第二点は、許可漁業の調整の問題でありますが、政府原案の、調整委員会の議を経て主務大臣かあるいは地方長官が指定することによつて、指定遠洋漁業に限定せずに、広く沿岸許可漁業も調整するというぐあいに御主張なさつているものかどうか。この点を確認したいと思います
  29. 伊藤佐十郎

    伊藤公述人 第一のお尋ね定着性の問題につきましては、御意見の通りであります。もしあつた場合には、それも地方実情に即して入れていただきたいということであります。  それから第二点のお尋ねの問題ですが、これは沿岸の、広い意味における漁業調整をあそこで規定しろということでは、根本的に違うと思うのであります。そうではなしに、ちようどただいまの定着性があつた場合に救済し得ると同じように、沿岸に現われております指定遠洋漁業以外においても、中央において措置することが妥当なものかどうか、ただいまそれを具体的に規定しておくか、ないしは扱い得るような明文を定めておいていただきたいというわけであります
  30. 石原圓吉

    石原委員長 時間がきましたから、次に移ります。石黒平三君。
  31. 石黒平三

    ○石黒公述人 神奈川県小田原市幸町、湘南漁業経営組合石黒平三。私は法律のことはよくわからないのですが、今までに従業して来ました体験上発言さしていただきます。  漁業権は順位から行きまして、協同組合にということになつているらしいですが、私の意見といたしましては、それはいろいろの関係上、協同組合漁業権がおりた場合には、自営でできる協同組合もありましよう。しかしわれわれ神奈川県の協同組合といたしましては、零細漁民でありまして、せつかく漁業権をいただきましても、ただわれわれ漁業組合員だけでは、とても経営することは不可能ではないかと考えるのであります。それにつきまして、今までのように、堅実なる資本家、それに伴う従業員一体が一体となりまして、円滿に経営がして行けるような漁業権を、経営者に交付した方がいいのではないかと思うのであります。それでこの協同組合でありますが、協同組合になぜ行けないかというのは、零細農民ばかりでなく、われわれ神奈川県には、この賃貸問題についていろいろの紛争があつたのであります。今度のこの協同組合は、本案によれば、漁業の問題がりますが、われわれ專業者としますと、九十日以上でもまだ物足らない感があるのであります。われわれの附近の漁業協同組合は、三十日以上で大体組合を創立したのであります。それはなぜかというと、私から言わせますと、漁業の方面には無関心な農業者、いわゆる柑橘業者が大体でありまして、その柑橘で生活を営んでおる者が協同組合を設置しておるのであります。それで協同組合漁業権優先的に与えるということになりますと、とんでもない弊害がそこに生ずるのではないかと私は思うのであります。それゆえに、われわれ專業の漁業者といたしましては、確実な経営者と、それに従事する従業員、これに重点を置いていただきたいのであります。  先ほどもおつしやられましたように、これの存在期間は、五年間ではあまりに短期間ではないかという考えを、私もやはり持つております。少くとも十年間の存在期間がほしいのであります。神奈川県にぶり網が敷説されましてから、約四十年ほどの日子が経つておるのでありますが、その間に構造の変更が五たびあつたわけでございます。それはやはり経営者がいろいろの面から研究するたびごとにかわつたのでありまして、神奈川県で第一回に敷説されましたのは落し網で、その次が大謀網、その次が上野式、その次が大謀門取網、今日はぶり落し網という順位になつておりますが、またここに大謀外登網というように改良が加えられておるのであります。そういう順序に参つておるのでありますから、存続期間はぜひとも十年間としていただきたいと思うのであります。  いま一言つけ加えておきたいと思うのは、堅実な資金家をと私が先ほどから叫んでおりますのは、皆様も御承知の通り、八月三十一日のキテイ台風で、神奈川県の定置漁業はほとんど全滅したわけであります。しかるに堅実なる資本家のために、最もひどい所でも二週間を出ずして張建ができたのであります。そういう次第で、われわれ零細漁民が今ここで漁業権をいただきましても困る。政府でその資金を貸していただけますれば、これはまた別問題であります——もつともそういう資金を政府で貸してくだされても、やはり損失という場合がありますので、完全なる経営は困難ではないかと思うのであります。以上。
  32. 石原圓吉

    石原委員長 質疑を願います
  33. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 ただいまのお説の中に、組合経営は不可能である、資本家にやらした方がよい、こういうような御意見がありました。前お二人の公述人からも、これは程度の問題ですが、結局賃借貸というような方法も認めてもらいたいといような御意見があつたのであります。これは組合が事業するのがいやなのか、一体金がないのか。もし金があつたならば事業もさしつかえないのであるか。最後の御発言は、金を政府で貸しても事業自体危險であるからいやだというような意味にも聞えたので、もしそうであれば、全然もう漁業経営する意思がないというような意味にも解されるのですが、この意味はどの程度ですか。
  34. 石黒平三

    ○石黒公述人 金、つまり資金がないから、漁業権を交付になりましても、完全な経営ができないというのが一つであります政府で貸してくだされば経営をするが、あながち利益のあるものですかないものですか——要するに非常に危險の多い仕事でありまして、台風や潮流のために、構造をこわされたとか流されたという場合には、非常に困難を伴うのであります。全然経営に無関心とは言えないのでありますが、ただ危險性が多いがゆえに、確実な資本家にやらしたらいいのではないか、こう思うのであります
  35. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 漁業は危險であるから優秀な資本家にまかした方がよいという結論のように承りましたが、これは議会の方でも取上げまして、追つて危險のために生ずる災害を補償すべき災害保險というようなことも研究してみたいと考えておりますが、根本の考え方は、危險があるがよい場合もあるのだ、ただどうも危險があるようだから、漁業者としてこういう事業はやりたくないのだというようなお考えであれば、これは根本の考え方が違つてますので、これは議会としても大きな問題ですから、金融面ということは、別に今後これを検討することとして、今の危險な漁業に対して結びつけて考えられては困ると思いますけれども資本家にまかせるお考えだということをおつしやつたのですが、やはりその通りでございますか。
  36. 石黒平三

    ○石黒公述人 さようでございます
  37. 砂間一良

    砂間委員 ただいまの石黒さんの御意見のうちに、神奈川県方面では、漁業協同組合が柑橘業者の組合になつておる。だから協同組合漁業権をやることは、漁業を專業としておる漁民の手に入つて来ないからというような御意見がありましたが、漁業協同組合がそういうような状態になつておるということは、漁村民主化が徹底していないから、そういうおかしなことになつておると思うのであります。将来漁業協同組合が非常に民主的に行つた場合においても、やはり協同組合漁業権を渡すことには御反対でありますか。その点をお伺いいたします
  38. 石黒平三

    ○石黒公述人 事業漁業者につきましては、反対はありません。
  39. 砂間一良

    砂間委員 協同組合漁業権が行くということに全面的に反対があつて、あくまで資本家と言いますか、資力がある個人にやれというのではなくて、協同組合にも民主化された場合にはやつてもいいけれども、現状のもとにおいては資本家にやらせた方がいいという御意見ですか。
  40. 石黒平三

    ○石黒公述人 ただいま砂間さんのおつしやつた通りです。
  41. 川村善八郎

    川村委員 石黒さんの御意見は、夏堀さんも聞かれたようでありますけれども、あなたの申される資本家というのは、必ずも大会社とか、大資本家というのではなくて、労資協調のできる、いわゆる資本も適当に持つている、漁具、漁船その他技術も相当に持つている経営者を指して資本家と言つているのですか。それともただ金だけを持つておる資本家という意味ですか。この解釈お願いいたします
  42. 石黒平三

    ○石黒公述人 川村さんのおつしやつた、金だけを持つている資本家ではいけないのであります。やはり経験もあり、また労資協調のできる資本家でなければいけないと思います
  43. 石原圓吉

    石原委員長 時間が経過しましたから、次に移ります。里中政吉君。
  44. 里中政吉

    ○里中公述人 私は漁業権は全部漁業協同組合に与えてもらいたいと要望するものであります。この前提のもとに、いささか申し述べさせていただきます。  今回の漁業法改正せんとするところのものは、農地改革とともに、日本民主化漁業生産力の増強が目的であると思います。しかしてこの法案目的として、第一條には、はつきりそのことが示されてあるのでありましてまことに当然のことと思うのであります。そこでこの法案がこの目的を十分逹成でき得る仕組になつておるかどうか、各條項をしさいに検討して見まするに、遺憾ながら私ども考え方からいたしまするならば、目的達成はおろか、むしろ障害ともなるべき規定が多少含まれておると思うのであります。  この法案の根本的なものは、漁業権の再分配をいかにするかという点でありまして、漁業免許する相手方を定めることが、最も重大な点であると思います。従いまして、私が卑見を申し述べますには短い時間でありますからこの根本的な重大と思う問題について、特に公述をいたしたいと思います。  私は漁業民主化といい、水面の総合利用による生産力の増強といい、この目的逹成のためには、漁業権の全部、沿岸水面の利用及び管理は、すべてその最寄りの漁村漁民全部を対象として、公平にこれに与えられなければばならないと考えるのでありまして、ここに多くの理由を申し述べる必要はないと思うのであります。その意味から、漁村において漁業者のずべてを網羅して組織されておる民主的な漁業協同組合権利共有せしめること、これまた当然であると思います。  この法案には漁業権を三種の名称に分類して、おのおのその適格性並びに優先順位規定してありますが、そのうち真珠養殖業を内容とする区画漁業権免許優先順位が、他の区画漁業権と分離して、第十九條の二項において、第一優先順位を、真珠養殖業を内容とする区画漁業経験あるものとして規定せられてあります。これは前に申しました第一條の目的から協同組合権利を与えるべきだ。これが民主的だという主張と相反した特定個人、独占、漁業権の独裁化を意味するものであり、実績優先主義という非民主的なものであり、目的とは著しく逆行した方向を示すものであると思うのであります。およそ漁業権を、漁村に住む大多数の漁民から取上げられるということは、民主化の線に沿わない点からばかりでなく、漁村漁業者生活安定を根底からくつがえし、漁民の生命を奪う重大な社会問題であります漁村に住む漁民は、その漁村を取巻く水面を農村の田畑と同様、それを生活の根拠として、先祖代々から漁業を営んでおるのでありまして、これを多数の漁民から特定個人に取上げられることは、農村に住む農民多数から、田畑を特定個人に取上げるのと同様であり、農地改革の方針と反対方向に進んでおり、まことにみじめなものであることは、ここに多くを申し上げるまでもないことと思うのであります。この法の十九條の二項の「真珠養殖業を内容とする区画漁業経験がある者」とあります。その経験者は、現在私の三重県では百名余りありますが、これは三重県の真珠養殖に適した水面を持つ、漁村二十箇村余りの漁民の数一万五千名に対する百五十分の一に該当するのであります。すなわち百五十人を排除して一人を選ぶことであり、極論すれば、一人を生かして百五十人を殺することを意味するものであります。なおまた百名あまりの経験者の中には、その内容の大小がありまして、大は水面数十万坪を利用するものから、小は数百坪、数十坪を利用する程度にわかれておるのであります。しこうして数十万坪を利用する大経営者は十数人にすぎないのでありまして、しかもその大経営者は県外の者、県内でも漁村に住まない者が多いのであります免許が実績を要素とする以上、現在水面利用の程度に応じて、その者に免許されると思わねばなりません。さらに五箇年の期間中、なお拡張を見込む分もそれに相当して与えなければならないことと思います。はたしてしかりとすれば、漁村水面漁村に住まない人にほとんど独占所有せられ、働く多くの漁民権利を与えるということとは反対の結果を生むことになるのであります。真珠養殖の漁業は、水面に固定の工作物を設置して漁業を営む関係上、その水面はその期間中、他の漁業はできなくなります共同漁業権を得た多くの漁民は、真珠の漁業からしめ出されるばかりでなく、自分の共同漁業権の行使をも奪われるかつこつになるのであります水面を利用する範囲から真珠を生産する生産高と、その同じ水面を利用して生産する真珠以外の水産漁類のその生産高は、相匹敵するという実績を持つておるのであります。すなわちこれが漁民の手からさらに犠牲に供されるわけであります。真珠養殖業の権利漁業組合に与えた場合、日本の外貨獲得の重要物資の生産ができなくなると心配する意見を、水産庁のこの法案作成に重要な地位をしめる人から聞いたのですが、明治四十三年以来今日まで、継続して漁民の組織に与えておいて今日のごとき真珠生産の進歩を見ておる事実は、いまさら協同組合権利を与えて生産ができないと心配するのは、まことに不可解な次第と思うのであります。  なおこのほかたくさん理由がありますが、時間の関係上これだけにとどめますから、賢明な議員先生方のお判断をいただきたいと思うのであります。何とぞこの第十九條は修正して、協同組合を第一優先順位に置いていただくか、十九條を削除して第十八條のひび建、かき養殖と同様に、この十八條に協同組合優先として規定していただくように希望いたします。  さらに私は特殊性漁業権には、高知堀部さんと同様、賃貸権を認めてもらいたいと思います賃貸権はこの法案には地主的存在として締め出してありますが、私は地主的存在として見ることは、誤りがあるのではないかと思います。これについての卑見は、時間の都合上省略いたしますが、御質問がありますれば私の考えを申し述べたいと思います。  なほこのほかこの法律の欠陥は、あまりにも表現の仕方が複雑で難解である点であります。およそ民主主義国の法律というものは、一般国民が容易にその法律の何を示しておるかを理解できるものでなければなりません。寄らしむべし、知らしむべからずということでありません。知らしめて、しかる後に寄らすべきであります。従いまして、いま少しく、簡單にして明瞭なる表現の仕方にすべきであると思います。私の考えるところ、政府の役人は私どもより文章のつづり方が数等まさつておる方ばかりであると思いますのに、かような複雑な、難解なつづり方をするについては、当然の行き方は漁業協同組合一本に免許すべきだと知りながら特に特定個人に独占さすことをもくろんで、ことさらに表現を複雑にして、多数働く漁民権利を与えるごとく見せかけて、その実、ある特定個人権利を独占さすことを意識してやつたとも想像すればできないことはないと思います。私はかくのごとき矛盾のある條項を含む法案には賛成することができませんから、少くともこの條項を私どもの希望する通りに修正して、真珠養殖業を内容とする区画漁業権も、共同漁業と同様漁業協同組合免許するようにしていただくことを、強く三重漁民の九十九パーセントの名において要望いたします。もしこの法案が私の希望を入れてくださる何らの処置のないときは、この法案は絶対議会を通過させないようにお願いいたします。この私どもの希望を入れて通過させていただくように、議員先生方にお願いをいたします。私の公述を終ります
  45. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 田中さんの御意見の根本は、一切の漁業権協同組合に与えろという御意見でありますが、その御意見定置漁業権に触れていなかつたのであります定置漁業権の場合に、政府原案によりまするところの自営する場合に限り第一優先、この方法によつて協同組合定置漁業権を確保できるであろうかどうかという点を御質問いたします
  46. 里中政吉

    ○里中公述人 お答えいたします定置漁業権もやはり協同組合に与えてもらいたいという主張であります。それがために賃貸権の一部を認めようということを私は申し上げたのでありますが、この定置漁業権もやはり共同漁業権水面の区域にも一定の移動せない工作物を設置してやる以上、單に定置漁業権は、そのものが独立で経営できるとは考えられません。あらゆる共同漁業その他の漁業に、相当の犠牲をしいて初めて成立つものと思いますから、單に定置漁業権個人に与えたからというので定置漁業権権利だけが行くのでなしに、著しく共同漁業権権利を侵害することになります。こういう弊害を伴いますから、これもやはり協同組合に渡して、協同組合が自主的に漁業者の総意に基いて、適当に自営できない場合には賃貸なり、危險の伴う場合においてはそういう方法をとつて、でき得れば自営をする。また組合内の特定の人に漁業権を行使さすというようにして行けばいいので、協同組合に与えてもらいたいということを私は要望するものであります
  47. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまの鈴木委員の御質問に対するお答えについて、少し食い違いがあるのじやないか。鈴木委員の御質問は、政府提出の原案の、定置漁業に対する優先順位として、漁業協同組合自営を第一優先順位に置いてあるから、これで協同組合自営で、協同組合漁業権がどのくらい与えられるかということをお尋ねしたものと思うのであります。私もその点をお尋ねしたい。この政府提出の案によつて協同組合自営を第一優先順位に置いて、はたして協同組合自営がどれだけ望めるか。公述人の方は三重県の連合会長をしておられる。三重県において九鬼その他漁業協同組合自営を実現しておられるところが相当多い。そういう三重県において、この政府提出の法律案でもつて、はたして協同組合自営が今後どこまで進むか。協同組合にそれだけの資金、その他の力があるかどうかということを、実際において県内の事情に照してお尋ねしてみたいと思うのであります
  48. 里中政吉

    ○里中公述人 私の県では大体現在張つております統数の九〇%は協同組合自営でやつております
  49. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そういたしますと、少くとも三重県においては、政府の原案における定置の優先順位でもつて、大体満足できるはずと考えられますが、それをあなたのおつしやるのには、協同組合権利を与えよというのは、協同組合が持つて、それの賃貸借する権利を与えよ、こういうお言葉でありますが、その点少し食い違いがあるのじやないか。定置が自営しておるならば、賃貸借を与えなくともこの政府の原案でもつて、すでに協同組合自営であるから権利を持つておるはずだ、その点いかがですか。
  50. 里中政吉

    ○里中公述人 さいぜん申し上げましたように、九〇%はやつておりますが、あとの一〇%、さらに今後新規に適当な漁場があるとしてやる場合に、やはりそういうものも対象に考えなければならぬと思うのでありまして、これらもやはり協同組合権利をもらつておくことが、共同漁業権の行使との関係において、そこに非常に円滑に漁業ができると思うのであります。ことにこの民主化の線から行きましても、原則としてはすべて協同組合免許を与えることが、私は正しいと考えておりますので、そう要望いたしておるのであります。しかしなお自営の能力のないものに与えられた場合に問題になるのでありますが、その際には賃貸権を認めて、適当な者にこれをやらしめる、こういう考えであります
  51. 川村善八郎

    川村委員 先ほどあなたの奥村君の回答において、九〇%を経営しておると言われたが、そういたしますと大体において定置漁業に関する限り原案に賛成でありますか。
  52. 里中政吉

    ○里中公述人 原案に賛成ではありません。
  53. 川村善八郎

    川村委員 そうしますと、原案にも賛成でない、原案を賃貸を認めるようにもしろ、つまり自営する者にも与えるし、権利を貸すのにも認める。協同組合に与えるようにしろ、こういうふうに私には開けますが、そうであるか。あるいは原案に不賛成であるというのならば、これは自営にしなくても、そういうことを何も條件に入れずに、協同組合に全部権利を与えろ、こういうのか、その点をお伺いしたい。
  54. 里中政吉

    ○里中公述人 川村先生のおつしやる通りでございます自営せない者にも与えてもらつて、その者には賃貸権を認める。現在この法案においては、優先順位自営するところが与えられることになつておりますので、自営しなくても全部与えてもらいたい。そして自営能力のないものには賃貸権を認めてもらいたい、こういうことであります
  55. 川村善八郎

    川村委員 それではあなたのおつしやられることは、賃貸料をとるということは、今日あらゆる方面で非常な非難の的になつておりますが、そのような賃貸する場合に、協同組合賃貸料をとる御意志かどうか、この点をお伺いします
  56. 里中政吉

    ○里中公述人 その賃貸料と申しますのは、賃貸料という言葉の表現はどうかと思いますので、漁業権を行使さすとういことに私ども考えておりますが、その漁業権を営むについての料金をもらうのでなしに、それをやるために共同漁業権を著しく脅かされる、共同漁業権から生ずる漁獲物を著しく犠牲に供さなければならぬ者に対しての、多少の補償をするという意味賃貸料はもらはなければならぬと思います
  57. 冨永格五郎

    冨永委員 この真珠の養殖の問題は、本委員会も非常に重視しておるのでありまして、公述人からも非常に強い意見の開陳があつたのですが、われわれも委員会として、現地でも意見を聽取しましたし、またこれからも真珠漁業者意見も徴されると思うのですが、この場合に私は一言お尋ねしておきたいと思います。この十九條の優先順位による免許の場合に持つてつて協同組合を主張せられておりましたが、現在の協同組合員中には真珠漁業者は入つていないのか、おるのか。それからもう一点は、協同組合員が優先順位に第一位になつて真珠養殖業をするようになつた場合に、種貝から真珠養殖に至るまでの全部をやり得るのか、また現在やつておられる通り、種貝は組合員がやるが、養殖は真珠業者に売渡すという方法に行くという結果になるのか、その点を伺つておきたい。
  58. 里中政吉

    ○里中公述人 さいぜん申しました百名あまりの真珠業者の中には、組合員も多数含んでおります。それぞれの漁村組合員が多数やつております。それから協同組合権利をもらつて、海底に発生するところの貝を採集するだけのことか、養殖も含めてのことかとお尋ねのように思いますが、これは貝を採集する権利も養殖の権利も、ひつくるめて組合員にいただきたい、かように思います
  59. 石原圓吉

    石原委員長 質疑はありませんか——質疑がないようでありますから次に移ります。この際ちよつと申し上げておきます。里中君の御発言のうち、最後に水産庁の人々に対する御意見の中に多少穏当を欠くような点があつたかのように思うのでありますが、これは速記を調べた上で委員長において適当に処理したいと思いますから、御了承をお願いいたします。石田耕作君。
  60. 石田耕作

    ○石田公述人 栃木県水産団体連合会長石田耕作であります。ただいままで公述されましたことは海に関したことでありまするが、私は海なし県でありますので、おおむね内水面のことについて申し述べたいと存じます。  政府提案の漁業法案に対し、内水面漁民の根本的な意見を申上げます法案に対し総合的立場から見た漁業権制度の問題でありますが、この法案は第五国会を通過した漁業協同組合に即したるところの法律をつくらんとするところのものであつて、従来の封建的観念から漁民を解放し、漁業民主化を促進するとともに、水面の高度利用によつてわが国経済再建をはからんとするものであるから、法の運営は別として、この法案趣旨には全面的に賛成すべきであると思います。しかるにこの法案中において、内水面関係條項はわずかに数條にすぎないのであります。すなわち内水面特殊性を生かしていないと思います全国の河川湖沼地における養殖等による魚族の繁殖は、戦後異常の発逹を示し、海なし地方における蛋白質の給源として社会の需要に応ずるの態勢を整え、政治、経済を通じて政府と直結せんとしておるにもかかわらず、この法案はあまりにもこれを等閉視しておると思います現行漁業法及び改正せんとする漁業法案においても、海水面と同一に規制されており、内水面特殊性考慮されていないため、多くの矛盾を生じていると思うのであります。内水面特殊性については、河川、湖沼等一定の水面において漁獲をなすのであつて漁法、規模において、海のそれとは全然異なつており、従つて漁撈者の密度が非常に大であり、魚族の棲息するところ漁撈者のいないところはないのでありまして、だれにも簡單に漁獲ができ得るのであります。ゆえに中間における搾取機関はないのであります。繁殖保險が主であり、採捕が従でなければ、内水面漁業は成立せず、ゆえに繁殖保護の施設をしなかつたならば、一年を出ずして魚族は絶滅することは明らかであります。また漁業者を分類するならば、栃木県における現在の組合員の構成から申せば、年間副業二〇%、季節副業は三五%、遊漁者四〇%という相当大幅の役割をなしており、專業者はわずかに五%という数字を示しているのであります。従つて漁業取締りの面がすこぶる困難であります。山間僻地にあつては、ことに監視の目を盗んでは違反漁業、密漁、溢獲が行われておる現状であります。ゆえに海水面と異なる内水面漁業法は、海水面と切離し、内水面單行漁業法をあらためて制定すべきであると信ずるものであります。  それでこの内水面漁業法を制定するにあたつては、漁民代表者を法案起草に参画せしめられたいと思います。そのためには改正漁業法案の中より内水面関係法は削除すべきであり、漁業権制度根本的改革等に関する問題としては、海面においては共同漁業権を認めておきながら、内水面に対してはなにゆえに漁業権免許しないかということは不可解にたえないのでありまして、漁民の民主的自主性を抑圧し、民権を尊重せざる法案なりと言わざるを得ないのでありまして、権利の伴わざる漁業協同組合は、現実の問題として成立しないのでありまして、現在この漁業権の成否のいかんを見送つて協同組合の設立は進渉していない、この事実を見ても証明できるわけであります。内水面において漁業協同組合法を生かさんとするならば、第一に共同漁業権免許するの漁業法たらしむるべきだと思うのであります。  漁業法案改革については、かねて提出いたしてあります陳情書に添付してある漁業法案改革趣意書を参照せられたいのであります。この趣意書について申し上げたいと思いますが、時間が長くなりますのでこれは省略いたします。これの結論としては、かくのごとく漁業権を中心とした法案があらためて制定せらるることによつて、内水面関係政府提案の根本趣旨に即する法令となるのであろうと思うのであります。現在審議中の改正漁業法案に修正を加え、そうして現実に解決せんとするならば、内水面單行漁業法を立法化するその間これを一応認めることとして、あえて修正を加えるならばそれはきわめて簡單であると思うのであります改正漁業法案の修正については、漁業制度改革に関する件のうちの中央漁業調整審議会のうち、別項に内水面を入れること、その構成は漁民委員を七、学識経験者を三の割合で、漁業団体の推薦により主務大臣がこれを任命するということに願いたい。  内水面漁業第一項を削除する。二を一に改めて「内水面においては、共同漁業権及び区画漁業権漁業協同組合免許することができる」と訂正すること。漁業監督公務員は内水面には適用したくないと思うのでありますが、それは経費の過重が免かれないと思うからであります。「但し内水面においては、漁業団体申請または漁場管理委員会が必要と認めたときは、この規定を他用することができる」とすればよいと思います。内水面における漁場管理委員会は、その機構、構成、権限等もまずやむを得ないと思いますが、その施行にあたつては、繁殖、保護に障害を及ぼすがごとき経費を伴う漁場管理委員会には反対せざるを得ないのであります。よつてこれは発然国費をもつて負担すべきであると思うのであります免許料許可料に関しましては、内水面の場合は補償金は返上したい。但し個人の場合は考慮せなければならぬと思うのであります。これは漁民に対しこれ以上の負担をかけたくないのでありまして、そして各都道府県が徴集しておる本年度の專用漁業権料、許可料の範囲を越えないことを條件としてもらいたいと思うのであります。  以上申述べましたことは、私個人意見ばかりではなく、全国における内水面漁民の総意でありまして、全国水面漁業団体中央創立総会においての決議によるものであることを申し添えておきます
  61. 石原圓吉

    石原委員長 質疑を願います
  62. 冨永格五郎

    冨永委員 ただいま公述人の石田さんの御意見を伺いましたが、まず最初に、内水面に関して漁業法案は非常に無関心であつて遺憾である。従つてこの漁業法から除くべきだという御意見でしたが、結局この漁業法で内水面、海水面という区別をせずに海水面と一緒に同等の待遇をもつて処置してもらいたい、こういう御意見なのか、あるいは一応除いておいて、同時に内水面漁業法というようなものを、この漁業法と一緒に別の單行法で出してくれというのか、また別に出すことにしておいて、あとでもいいというような御意見なのか、以上の点について伺いたい。
  63. 石田耕作

    ○石田公述人 ただいまも申し上げましたように、海水面と内水面は別箇な問題でありまして、全然趣きを異にしておるのであります。それで内水面は別途に考慮を願いたい、かように考えております
  64. 冨永格五郎

    冨永委員 一緒に立法しろというのですか。
  65. 石田耕作

    ○石田公述人 つまり、内水面は海水面と切り離して別途に法律をもつていただきたい、こういうことです。
  66. 石原圓吉

    石原委員長 他に御質疑はございませんか——ないようでありますから、本日の公聽会はこれで終了いたしました。  午後は委員会を開いて、委員会において参考人の公述を求めることにいたします。これをもつて公聽会は散会します。     午後零時四十七分散会