○森國務
大臣 満足な
答弁ができないかもしれませんが、御質問につきまして一応お答えいたしたいと思います。
漁業法の
改正につきまして、いろいろ
委員会等にも御
意見がありました。また
業者諸君の御
意見も相当強きものがあつたように承
つておるのでありますが、一応この新段階の
漁業法を決定していただきまして、
政府は御
決議の趣旨に沿いまして法の執行の準備をし、遺憾なきを期したいと存じております。それにつきまして
資金の問題でありまするが、ひとり
水産業だけではありません。農業におきましても、林業におきましても、非常に
資金が枯渇をいたしておりまして、しかも従来
水産業に対する
資金は、他に比して一層きゆうくつな
状態であ
つたのであります。つきましては、農林省におきまして、中央農林金庫の設備内容を拡張いたしまして、現在はわずか四十億のわくでありますが、これを百六十億まで拡張いたしまして、農林水産の
資金の活用に資したいと今計画を進めておるわけであります。なお
水産業としましては、特に
漁業手形の方を試験的に利用いたしたのでありますが、この手形も今日までの
経過から見ますと、相当成績が上
つておると考えますので、この問題につきましても、将来大いに考慮を拂
つて行きたいと思うのであります。預金部
資金の利用が非常に局限されておりまして、これが不可能な
状態にあるのであります。しかし
見返り資金の利用が今回相当認められるような傾向に向いておりますので、農業におきましても五十億ばかりこれを利用するという計画を立てておるわけでありますが、水産
方面に対しましても、この面が将来利用し得られるの方途が講ぜられるのではないかと考えております。いずれにしましても、
資金は今日まで特に
水産業には信用程度が簿かつたと申しますか、きゆうくつにな
つておりますので、今後一層
資金の面に考慮を拂いたいと、かように考えております。
なお
漁業の
資源の枯渇の問題でありますが、今までは自由に相当広範囲に
漁業ができましたが、マツカーサー・ラインに制約せられまして、ほとんど行くべきときに行けないというようなきゆうくつな
状態であります。しかし今こういう敗戰国の占領されている
日本といたしましては、やむを得ないこととは存じますが、一日も早くこのラインの制限を許されたいということは、国民全部の念願でありまして、それに対しましては、
日本の
漁民が忠実にこのラインを守る、いわゆる国際條約に対してその與えられたる権限の中において、まじめに漁撈をするということが世界的に認められ、なるほど
日本の
漁民は乏しい漁区におりながら、よく約束を守
つて、まじめに働いているということが認められる場合においては、相当これは早い機会に拡張されるのではないかと思うのであります。現に先般東部においては拡張を受けましたが、ことに問題は
以西底びき並びに北海
方面であるのでありますが、
以西底びきに対しましては、従来このラインを越えたのか越えなか
つたのか、相当問題が起つたときに、判断をくだすことができなか
つたのであります。それで
政府におきましても、強き
措置を司令部に要求いたしまして、その取締りなりあるいは賠償等のことを考えさすだけの材料をこちらに持
つておらなか
つたのであります。そこでいつまでもかようなことをいたしてお
つてはいけないというので、御承知のような
処置をとりました。現在ではまじめに
以西底びきの活動する範囲、マツカーサー・ラインを嚴格に守
つてもら
つておるのであむます。司令部におきましても、その
状況はこのごろよく了解されたことと思
つておりますが、この
整理につきましては、
資源愛護の意味において相当
整理をいたしました。この
整理をいたしましたにつきましては、
委員会等の御要求を十分満足させることができ得ませんし、またこういうたとえば普通の工業が企業整備のために
整理した、そういう場合に
国家がこれを
補償するというようなことは考えられないという見地から、相当問題が起つたことも御承知と思いますが、御承知の便法によりまして、不十分ではありますが、一応
補償の道も立てたわけであります。今後においてもこれは法制化するか何らかの
方法によりまして、こういう問題が起つたときに
処置をいたしたい、かように考えているわけであります。
漁港の設備でありますが、
漁港の必要なことは申すまでもないのであります。
政府も相当
漁港の改築を完成し、また新しく
漁港の設備等もいたしたいという計画も持
つているのでありますが、昨年は御承知の通わ非常な風水害のために思わさる公共事業費を要しまして、今の
政府の
予算では一千億円昨年の倍額の公共事業費を予定いたしているのでありますが、ことに河川、道路等の復旧、土地の復旧等も相当の額に上
つておりますので、
漁港の復興あるいは新しく設ける
漁港等の経費を予定通り獲得することが、はなはだ困難な
事情にあるのであります。しかしながらできるだけ手をつけているものは早く完成し、また新しく要求されているものも全国に相当の数に上
つているのでありまするが、一日も早くこの
漁港の完成に努力いたしたいと、かように考えておるわけであります。なおいろいろの統制の問題でありますが、
水産物の統制も御承知の十八品種に今つぼめて参
つたのてありますが、これも近く——いつからということは申し上げられませんけれ
ども、一日も早く統制を撤廃いたしたい、かように努力を続けているわけであります。何分今日
水産物が重要な食糧の面にすわ
つておりまして、ただ米麦というだけでなしに、
水産物というものが主要食糧と同じ立場にあるために、
日本の食糧の量の不足している場合といたしましては、ある局部においては統制を継続せねばならぬ魚の種類もあろうと思うのでありますが、できるだけ統制の撤廃を急いでやりたいと考えております。なお行政機構の内部におきまして、通産省
関係、農林省
関係で、資材の面、あるいは漁船等の問題について、運輸省との
関係等が問題にされておりますが、これは
政府の責任によりまして、三つの省がやろうと、二つの省がやろうと、実際の
漁業者が迷惑をこうむらなければ、
政府の責任においてやるのでいいわけでありますが、もしこれが二つあるいは三つにわかれるために、
業者に非常な迷惑を来すということになれば、国民の迷惑を知りながら行政機構を改めないということであ
つては、民主主義政治ではないのでありますから、これはよく
関係省が協議いたしまして、
国会でも強き要望もあつたわけでありますから、すみやかに善処いたしまして、適当な
処置を
研究いたしたいと考えております。これは農機具の問題におきましても起
つておる問題でありますが、通産省が意地を張るわけでもなければ、農林省が意地を張るわけでもありません。要は農民
漁民の幸福で都合のよき政治をするということが政治の目的でありますから、皆さんのお話のような非常なる欠陷があるというこの事実にかんがみまして、できるだけ適当な
処置をすみやかにとりたいと考えております。
なお水産省独立というような問題は、か
つてから叫ばれておるのでありますが、今は行政機構を
整理しようという段階にな
つておるのであります。将来すべてのものを一つの産業省に攻めてしまつたらどうかというようなことも考えられておるのでありまして、今
水産庁を廃止して水産省に改めるという
構想は、
政府としては持
つておりませんが、同じ
水産庁ということでありましても、その内容の充実を考えまして、省に劣らない機構の整備をいたしたい。かように考えておるわけであります。