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1949-11-28 第6回国会 衆議院 水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十八日(月曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 平井 義一君    理事 松田 鐵藏君 理事 佐竹 新市君    理事 林  好次君 理事 砂間 一良君    理事 小松 勇次君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       田口長治郎君    玉置 信一君       冨永格五郎君    福田 篤泰君       藤井 平治君    奧村又十郎君       岡田 勢一君  出席政府委員         水産庁長官   飯山 太平君  委員外出席者         農 林 技 官 林  眞治君         專  門  員 小安 正三君         專  門  員 齋藤 一郎君 十一月二十八日  委員五島秀次君及び坂本實君につき、その補欠  として福田篤泰君及び藤井平治君が議長の指名  で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  漁業法案内閣提出、第五回国会法第一八六  号)  漁業法施行法案内閣提出、第五回国会法第一  八七号)  沿岸漁業保護育成に関する決議案砂間一良君  外三十六名提出決議第一三号)   請願  一 柳井漁港施設拡充請願佐藤榮作君三名    紹介)(第三二号)  二 尾札部村川汲に船入ま築設の請願川村善    八郎外二名紹介)(第三七号)  三 萩漁港修築請願吉武惠市君紹介)(    第四九号)  四 瀬戸内海東部漁業境界線に関する請願(    原健三郎紹介)(第六三号)  五 網地浜に防波提築設の請願庄司一郎紹    介)(第一五四号)  六 江ノ島漁区漁業権に関する請願(砂間一    良君紹介)(第一五五号)  七 南串山村字京泊に船だまり築設の請願(坪    内八郎紹介)(第一八三号)  八 師崎漁港改修請願久野忠治紹介)(    第一八五号)  九 廣島市に瀬戸内海漁業調整事務局及び国立    水産試験場設置請願平川篤雄紹介)    (第二五一号) 一〇 紀伊水道瀬戸内海地区から除外の請願(    田渕光一紹介)(第二五二号) 一一 羽幌漁港修築促進請願玉置信一君外一    名紹介)(第二六四号) 一二 沖の島漁港設費国庫補助請願平井義    一君紹介)(第三六〇号) 一三 漁業法案修正に関する請願鈴木善幸君    紹介)(第三六六号) 一四 漁業制度改革に関する請願石原圓吉君紹    介)(第三七八号) 一五 漁業法の一部改正に関する請願八木一郎    君紹介)(第三七九号) 一六 有明海区に漁業調整事務局設置請願(平    井義一紹介)(第三九二号) 一七 水産業協同組合法並びに漁業法案改正に関    する請願鈴木善幸紹介)(第三九三    号) 一八 水産金庫設置に関する請願鈴木善幸君紹    介)(第三九四号) 一九 漁業災害補償制度設定に関する請願鈴木    善幸紹介)(第三九五号) 二〇 漁業法制定に関する請願小高熹郎君紹    介)(第三九六号) 二一 漁業法案の一部改正に関する請願石原圓    吉君紹介)(第四一〇号) 二二 漁業法案の一部修正に関する請願外一件(    鈴木善幸紹介)(第五四七号) 二三 同(大森玉木紹介)(第六〇四号) 二四 同(鈴木善幸紹介)(第六四六号) 二五 同(鈴木善幸紹介)(第六七九号) 二六 漁業法制定に関する請願鈴木善幸君紹    介)(第七六三号) 二七 漁船法並びに漁船員法制定に関する請願(    小高熹郎君紹介)(第七八〇号) 二八 徳島県下漁港修築国庫補助請願岡田    勢一君外四名紹介)(第五二六号) 二九 萩漁港修築請願佐藤榮作君外五名紹    介)(第五五四号) 三〇 長洲漁港修築請願永田節紹介)(第    六二四号) 三一 漁港施策に関する請願鈴木善幸紹介)    (第五四八号) 三二 三厩村漁港拡張工事促進請願山崎岩男    君紹介)(第四七一号) 三三 増毛漁港拡張工事施行請願佐々木秀世    君外一名紹介)(第八一五号) 三四 様似漁港等設費全額国庫負担請願(篠    田弘作紹介)(第九〇八号) 三五 木直船入ま築設の請願田中元紹介)(    第五四〇号) 三六 久遠船入拡張工事施行請願富永格五郎    君紹介)(第六七七号) 三七 漁業権に関する請願佐竹新市紹介)(    第六四七号) 三八 追直浜に船入ま築設の請願篠田弘作君紹    介)(第九〇九号) 三九 久慈港に船だまり築設の請願鈴木善幸君    紹介)(第五四二号) 四〇 大浜湾に船だまり築設促進の請願内海安    吉君紹介)(第六三九号) 四一 志和岐浦に船だまり築設の請願岡田勢一    君外四名紹介)(第七二五号) 四二 室蘭市に北海道水産試験場支場設置請願    (篠田弘作紹介)(第九〇七号) 四三 香川県観光水族館建設国庫補助請願(田    万廣文紹介)(第八五一号) 四四 旋網漁業許可方針確立に関する請願小高    熹郎君紹介)(第七七六号) 四五 漁族資源維持培養に関する請願小高熹    郎君紹介)(第七七七号) 四六 漁業金融に関する請願小高熹郎君紹介)    (第七七九号) 四七 内水面漁業に関する請願松本一郎君紹    介)(第八一六号) 四八 内水面漁業に関する請願細田榮藏君紹    介)(第九六七号) 四九 漁業法案に関する請願田渕光一君外一名    紹介)(第九七一号) 五〇 茂生港船入修築請願苫米地英俊君紹    介)(第九八八号) 五一 汐吹船入ま築設工事促進請願富永格五    郎君紹介)(第一〇〇三号) 五二 十和田湖養漁場漁業権に関する請願(小    松勇次紹介)(第一〇一四号) 五三 さんま漁解禁日改正に関する請願(砂間    一良紹介)(第一〇四四号) 五四 青谷港防波提築設に関する請願稻田直道    君紹介)(第一〇八四号) 五五 河川漁業に対する共同漁業権設定請願(    佐竹新市紹介)(第一〇九〇号) 五六 瀬崎漁港施設災害復旧請願大石ヨシエ    君紹介)(第一一二八号) 五七 豊岬漁港築設の請願玉置信一紹介)(    第一一五〇号) 五八 太田名部港船だまり工事継続請願鈴木    善幸紹介)(第一一五一号) 五九 吉里吉里港修築工事継続請願鈴木善幸    君紹介)(第一一五二号) 六〇 喜来村崎濱防波提並びに物揚場築設の請    願(鈴木善幸紹介)(第一一五三号) 六一 根白漁港修築促進請願鈴木善幸紹介)    (第一一五九号) 六二 小濱港船揚場施設工事促進請願鈴木    善幸紹介)(第一一五八号) 六三 磯鷄漁業修築請願鈴木善幸紹介)(    第一一五九号) 六四 野田港に漁港並びに避難港の施設実施の請    願(鈴木善幸紹介)(第一一六〇号) 六五 田老漁港修築請願鈴木善幸紹介)(    第一一六一号) 六六 大槌漁港修築継続請願鈴木善幸君紹    介)(第一一六二号) 六七 赤岡町に漁港築設の請願長野長廣君紹    介)(第一二〇二号)   陳情書  一 北洋漁場開放に関する陳情書    (第六九号)  二 漁業法改正に伴う真珠養殖業区画漁業免    許に関する陳情書    (第一二二号)  三 水産協同組合法の一部改正に関する陳情書    (第一五九号)  四 戰災漁場の復興に関する陳情書    (第一六二号)  五 漁業権証券の担保に上る融資の陳情書    (第一七〇号)  六 漁業法の一部改正に関する陳情書    (第一七二号)  七 国立水産研究所南九州設置陳情書    (第二二二号)  八 漁業法案修正陳情書    (    第二四一号)     ―――――――――――――
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これにより水産委員会を開会いたします。  漁業法案及び漁業法施行法並びに委員提出修正一括議題として審査を進めます。
  3. 川村善八郎

    川村委員 動議提出いたします。この際質疑は打切り、討論に付されんことを望みます。御賛成願います。
  4. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま川村君より質疑打切り動議提出されました。川村君の動議に御賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  5. 石原圓吉

    石原委員長 起立総員。よつて川村君の動議のごとく決します。  それではこれより討論に入ります。
  6. 松田鐵藏

    松田委員 大体今までの質疑において、もはや情勢は認識されておるのでありまするから、各自の討論を五分以内と定めんことを望みます。
  7. 砂間一良

    砂間委員 ただいまの動議反対であります。これは非常に重要な法案でありまして、これまで質疑もやつて参りましたけれでも、まとまつた意見を述べる機会はこれまではなかつたのであります。この最後の重要な機会でありますから、討論の時間は十分に與えられんことを希望します。
  8. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま砂間君より時間の制限なくやりたいという要望があります。松田君の五分以内の動議には賛成があります。五分以内に定めることにご異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 石原圓吉

    石原委員長 ご異議なしと認めます。討論の通告があります。これを許します。砂間一良君。
  10. 砂間一良

    砂間委員 私は修正案を含めた漁業法及び同施行法案に対しまして反対であります。もちろん私どもといたしましては、漁村の遅れた封建的関係を一掃して、真に民主化された漁業秩序の上に水面総合的利用をはかり、漁業生産力一大発展をはかるという漁業権制度根本的革命には、全面的に賛成であります。しかしながら修正案を含めた政府原案におきましては、口に漁業民主化漁業生産力発展をうたいながら、その内容におきましては、何らその目的を実現するようなことにはなつておらないのであります。今回の漁業権改革は、一口にしてこれを許せば、漁村の封建的諸関係はそのままに温存して、零細漁民から一切の漁業権を取上げて、これを少数の大資本漁業独占させようというのがそのねらいになつております。まず第一に、本法案は、その第一條漁業民主化漁業生産力発展をうたいながら、労働保護規定が何もありません。勤労漁民の団結の組織をはかり、労働條件の急速な收善をはかることなしには、漁業民主化も、漁業生産力発展も期し得られないのであります。漁村ほど封建的残存の強いところはありません。歩合資金やしろわけ制度、封建的な主従関係がそのまま残されております。労同組合はつくつても、多くの場合認められておりません。労働組合組織しただけで解雇する網元や船主があります。団体交渉は事実上認められていない。解雇予告手当も支拂われておりません。労務組合に加入した者は漁業協同組合に加入を阻まれているのが現状であります。漁船が難破しても、船員の家族の生活補償費はありません。労務加配物資船主、親方に横領され、税金反対労働者に転嫁される。労働基地法はあつて漁業労働者には適用されておりません。勤労漁民漁村の下じきであり、漁村ボスの思うままの搾取の対象となつております。この労働條件の改善をはかることなくして、漁村封建性の一掃も、民主的協同組合組織も断じて望まれないのであります。今日組織されつつある漁業協同組合の看板の塗りかえに終わつておるのであります。  次に本法案は従来の漁場関係を一切御破算にして、二箇年以内に新たに免許によつて漁業権を設定し、漁業調整機構の運用によつてこれを再配分して行こうというのであるが、この際御破算になるのは、零細漁民権だけで、大型捕鯨業以西トロール漁業以西機船底びき網漁業造船かつをまぐろ漁業など、すでになわ張りができている巨大資本のものに対しては、ほとんど手を触れないばかりか、その継続許可を認めておるのでございます。以西底びきなど三割四分減船問題さえ起つている現在、新規企業が手を出す余地はまつたくなく、これまでの業者の特権的地位を安定化させ、さらに大資本への独占集中を進めようとしているのであります。ことに大型捕鯨業のごときは、その独占的特権がそのままに保護されております。その反対に、漁業民主化沿岸漁民保護のため最も必要とされる許可制漁業制限、取締り、漁区制限などには、まつたく手をつけていない。この許可漁業について、何らの規定が設けられていないということは、本法案一大欠陷であります。何となれば、今日海のギャングと呼ばれている機船底びき、トロール等が、官廳と結託していかに横暴に、漁業取締規則を無視し、沿岸漁業を荒しまわつているかは、天下周知の事実であります。近年打続く沿岸漁業の不漁は明らかにこの許可制漁業の濫獲の結果であります。ここでもまた零細漁民は大漁業に圧迫され、その犠牲に供されているのであります。しかも本法案は、漁業生産に対する基本制度を定めると称しながら、沖合漁業沿岸漁業との間におけるこの深刻な相剋摩擦について、何らの調整もしていないのであります。  また本法案は、一応漁業権が第一順位として漁業協同組合に優先的に渡されるよう規定しております。これは一見進歩的に見えますけれども、それはあくまで見せかけごまかしであつて協同組合が自営できない場合には、資力ある個人に渡されることになるのであります。定置一統新しく張るにも数十万円の費用を要するとき、資金資材国家的裏づけなしに自営できる協同組合は、事実上きわめて少いのであります。また協同組合に他の者が半額以上の出費を認めることによつて協同組合を支配し、事実上その漁業権を経営できるようになつております。でありますかから形の上では協同組合が第一優先順位になつていても、これに対する資材資金国家的保障が何らなされていなしいために、事実においては、漁業権は大部分努力ある個人独占されてしまうことになるのであります。漁業協同組合に確保されている漁業権は、わずかに今度新しく規定された共両漁業権ではありますが、しかもこの協同漁業権は、従来の地先專用漁業権から浮体をはずされたために、ほとんどその内容は貧弱なものになつてしまつております。沿岸漁民專用漁業権として守られていた浮魚は、今後自由漁業として開放されたために、資本漁業と競争する力のない零細漁民は、まつたくその生活の資を奪われることになるのであります。また区画漁業権の中でも、特に重要な真珠養殖業のごときは、わざわざ特例まで設けて個人にこれを與えることとし、資本漁業独占を保護し、協同組合がやることができないようにしております。かように、本法案見せかけの民主的裝ひにもかかわらず、重要な漁業権は全部零細漁民から取上げ、資本漁業の発達とその独占を強化するように仕組まれておるのであります。  この漁業権制度改革の事業を、実際に推し進めて行く推進機関であるところの漁業調整委員会は海区に設けられ、一般選挙によるもの七名、知事任命によるもの三名で構成されております。漁民代表選挙については何ら階級別規定がありません。広い海区から一般選挙で出せば、その上つてくる委員は必ずその地方の有力者、顔のきいたボスで占められることは推定にかたくありません。また知事任命学識経験者公益代表も、資本家に有利な人が選ばれるであろうことは、これまでの経験が示しております。中央漁業調整審議会の会長、は主務大臣であり、その委員総理大臣任命することになる。かくて旧漁業権の消滅、新漁業権免許、これが再配分等制度改革の実務を担当する漁築調整機関は、上から下まで資本漁業代表官僚とで占められ、零細漁民犠牲にして、大資本のふところを肥やすような機構に仕組まれております。  さらに、免許料許可料補償との関係について言えば、新たに漁業権を得た者は、毎年水揚高の平均三、七%に当る免許料許可料を納めなければなりません。これは非常に重い税金外税金であります。この免許料許可料をもつて漁業権補償に充てることになつております。旧漁業権補償府県知事が天くだり的に任命する漁業権補償委員会が立案し、三十年以内に償還する漁業権証券で交付されることになつておりますが、その総額は元本だけでも一六〇億に達するのであります。証券は移転、質入れなどを禁じられているため、資金資材の融通には何ら役に立ちません。つまり零細漁民はこのから手形にひとしい紙きれ一枚で大切な漁業権を奪われ、ボスは素手でもうける結果になるのであります。すでに北海道では七千の定置漁業権のうち、休業中の約四千は二年後の補償金目当ボスが暗躍しております。また今後資源枯渇防止立場から取消される漁業権に対しても、補償することになつており、漁業資本家を保護してるのであります。これがこの漁業法案のからくりであります。この法案は徹頭徹尾ごまかしであり、羊頭を掲げて狗肉を売るものであります。もしこの法案が、その第一條に揚げている目的従つて、ただちに漁業民主化漁業生産力発展を期そうとするものであるならば、本法案は少くとも次の諸規定を入れなければなりません。  一、労働に関する法令の規定をもつと具体的に挿入いたしまして、漁業労組合漁民組合国家による強化育成をはかり、これによつて漁村民主化漁業協同組合民主化を急速に達成しなければなりません。二、一切の漁業権を無償で国家に收容し、これを漁民民主的管理に移すため、すべての漁業権協同組合に與えること、許可料免許料はとらないこと。三、漁業協同組合に対する国家的資金資材保障。四、指定遠洋漁業独占排他的な特権の排除、大規模漁業国営人民管理。五、許可制漁業に対する制限規定。六、漁業調整委員会中央漁業審議漁民民主的選挙とし、これに決定権を與えること。七、漁業に対する一切の官僚支配の廃止。  これら諸規定の入らない漁業法案はあくまでごまかしであり、制度革命になりません。われわれはかくのごときごまかしの、零細漁民犠牲にして資本漁業を擁護する漁業法案、同施行法案に断固反対であります。
  11. 川村善八郎

    川村委員 ただいま砂間委員討論の中に、北海道漁業権が七千のうち四千が休業しているいう発言があつたのでありますが、これは事実と相違しているからお取消しを願いたいのであります。  それからもう一つは、北海道休業漁業権に対してボスが動いて、そして買集めをしているということも事実でありません。この二点だけお取消しを願います。
  12. 石原圓吉

    石原委員長 砂間君、お取消しになりますか。
  13. 砂間一良

    砂間委員 四千というところは訂正してもいいです。  あとボスが暗躍しているというところは、それは見解の相違でありますから、あとの点は取消しません。
  14. 石原圓吉

    石原委員長 次に佐竹新市君。
  15. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 本修正案並び施行案に対しまして、遺憾ながら反対の意を表するものであります。  私は大体委員会におきまして、五月からずつとこの同両法案審議に当りまして、元来産業に関係のないものでありますから、しろうとであります。しかしながらいずれの法案審議し、これを決定いたしまするにつきましても、法案の最初にうたつてある目的というものと、その法案内容とが合致していなければならないものだと思うのであります。しろうとであるだけに、この法案審議いたします私は、あるときには漁民の人に当つてみて、いろいろ水産業界の今日のあり方を質問し、また研究もいたしました。あるときには、今まで比較的漁村において相当な資本を持たれる人にも聞いてみたのでありますが、大別しますならば、本法案が基本的に漁民民主化の線を行くものでないということは、主として漁業組合の中の漁民組合零細漁民からの声であります。また衆議院におきますところの修正案を、大体あの線で行つてもらいたいというのは、俗に言う漁業資本家の人々であつたのであります。私はその見地に立ちまして、終始一貫沈黙を守つて法案に対する勉強をさしていただいたのであります、ところが私が遺憾といたします点は、この法案内容に、一番海で魚をとる、前線に働く漁民の利益というものが盛り込まれていないという点が第一点であります。大体働く漁民が魚をとるのでありまして、資本がとるのではない、従つて法内容も、一貫してそうした零細漁民立場というものを保護することが、漁業協同組合におきましても、あるいはこの漁業法案におきましても、法の骨子でなければならないと思うのであります。しかるに五月以来今日まで、衆議院修正されました点を見まするなれば、そういう根本的な問題に触れずして、単に一つの従来のあり方漁業者立場を擁護するかのごとき修正が多分になされていたことを遺憾とするのであります。こういう点から、さつきも砂間君が申されましたように、働く漁民立場に対するところの根本的な問題を、この法案の中に入れてないということといま一つは、沿岸漁民が一番その生活の糧としておりまするところの浮魚を、この法案から離したという点、それから漁業権貸付禁止規定漁業協同組合及び同連合会に適用しない、こういう点は、何といたしましても、この漁業協同組合漁業法案の法の裏づけというが、資産金資材が與えられなければ、いくらこの法律をつくつても、実質においては空文にすぎない観があるのであります。そういう観点に立ちまして考えまするときに、今日までのこの法の審議の過程にあたりまして、そういう点が十分に盛りこまれていなかつたという点に対して、私はいささかもの足りない感じがするのであります。しかしながら昨日委員長修正案が出されまして、これは小委員会におきまする修正案よりも多少進歩になつて来ておりまして、その点については、わが日本社会党としては非常に賛意を表するものでありまするが、法の根本であるところの働く漁民立場というものが、法的にいま少し厳重に規定されていないという点に対して、遺憾ながら反対の意を表せざるを得ないのであります。
  16. 石原圓吉

    石原委員長 次に林好次君。
  17. 林好次

    ○林(好)委員 私はただいま提案になつております本漁業法案並びに同施行法案に対しまして、希望條件を付しまして賛成の意を表するものであります。  思うに本法案全国会に提出されてから、その事柄の重要性と会期の関係にかんがみまして、継続審議を前提といたしまして今日に至るまで愼重審議をいたして参つたのでありす。このことはいかに本法が重要なる窓審議を包藏しているかということを如実に物語つているのでありまして、われわれは国会閉会中におきましても国政調査をいたし、あるいは全国を四班に分けまして懇談会を開き、全国漁民諸君の本法案に対する忌憚ない意見を聽取いたしたのであります。  さらにまた去る十六日から十九日に至るまで、四日間にわたりまして公聽会を開き、全国多数の漁民諸君代表者並びに学識経験公述人としてあるいはまた参考人としての、本法案に対する公正なる意見をも拜聽し、かつまた今国会開会中におきましても、国政調査をいたしましたことは皆様すでに御承知の通りであります。このことはいかにわれわれが、本法案をしてわが国水産業発展のために貢献せしめるかという具体的なる努力の表れであろうと信ずるのであります。しかしてこれら各機会における漁民諸君のあるいは学識経験者のそれぞれの意見総合判断をいたして見まするに、そのいづれにおきましても、政府提出原案に対しましてな大部分反対意見を開陳にいたし、大幅なる修正意見を具申いたしておるのでありまして、その詳細なることは懇談会の貸料あるいは速記録等によりまして明きらかなことであります。従いまして私といたしましては、いかにしても本法案を真に全国漁民諸君に納得の行く法律にいたしたいと念願いたしまして、今日に至るまで專心努力いたして参つたのであります。このことにつきましては独り私のみならず、先輩同僚水産常任委員におかれましても同僚でございまして、その御苦心お骨折りのほどが伺われるのでございます。この努力の結晶が政府原案に対する修正案意見として現われ、度重なる水産常任委員会あるいは同小委員会における審査の結果、一応の成案が得られたのでありますが、終局的段階に至りました今日、なお十二分にわれわれ水産常任委員会の長期にわたる誠実なる努力と、全国多数の漁民諸君の心からなる希望意見、ことに北海道の特殊事項を織り込むことのできなかつたことを衷心から遺憾に思うのであります。しかしながら別段階におきましては、こと急を要する問題でありまして、その重要性と時間的制約の関係上、不本意なから私はやむ得ず一応の賛成の意を表するものでありますが、政府におきましては、きわめて近い将来において、すみやかに適当なる機会をつかみ、本法案総則第一の目的であります漁業生産力発展と、漁業民主化目的に真に合致するよう、さらに改正方に最善の努力することを強く要望いたしまして、本案に賛成するものであります。
  18. 石原圓吉

  19. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は、民主党を代表いたしまして、ただいま提案の各法案に対しまして、條件を付して賛成の意を表するものであります。この法案はわれわれは漁業憲法と呼んでおります。われわれ水産常任委員は、水産日本百年のわれ大計を立てる覚悟をもちまして、第五国会以来あらゆる力を拂つて審議を盡し、今日に至つたのであります。ところが日本の沿岸漁業が漁種漁法から経営形態に至りますまで、地方により、時期により多種多様、複雑多岐なること、まことに世界にその例をみないのであります。その経営形態におきましても、一本づりの零細漁民あり、また漁民団体である大敷組合漁業生産組合があり、また太洋漁業のごとき大資本経営もあり、こういう事情からいたしまして、従来の漁業権あり方も、また自然発生的に種々様々の形体を持つておるのであります。この従来の漁業権を一掃いたしまして、ここに新憲法に原した新しい漁業制度を打立てようとするのであります。すなわち第一にありますように、漁業の生産力を発展させ、あわせて漁業民主化をはかろうとしておるのであります。漁業にかかわりませず、生産の向上と民主化の徹底という二つの目的が、同時に満されるということははなはだ困難であります。いわんやただいま申し上げましたこの複雑な漁業の実体において、この二つの目的を同時に満たすということは、はなはだ困難であります。階級的な利害は別としても、地方によつてはなはだ実体に沿わざる規定もできるのは、やむを得ない次第であります。この意味において、われわれは政府提出法律に対し、若干の修正を加えまして、ここに賛成をいたしたいと考えるのであります。全般にわたつての論議は差控えまして、重大な問題を申上げてみたいと思うのであります。  この法案の表す新しい漁業制限を検討いたしますと、漁業を営む権利、すなわち漁業権漁民の総有である、漁民全体のものである。この観念から出発しておると考えるのであります。農地改革においては、土地は耕作する者に與えられた。同様に漁業権は働く漁民に與えらるべきものであります。これは当然であると思うのであります。しかし漁業権は土地のように一反、二反と分割するわけに行かぬ。そこでいかにしてこの総有の観念を法律規定することができるかというのが問題であろうと思うのであります。本案の規定によりますと、まず沿岸漁民の中からお互いに選んだ代表者漁業調整委員会をつくつて、水間の高度利用をはかる合理的な漁場計画を立てる。その計画のもとに設定される漁業権免許、許可をなすことに対して、いろいろな相談を受けること、またその他漁業制限、取締りをすることに対して相談を受けること、この漁業調整委員会意見を、これらに十分取入れるということに規定しておるのであります。  第二番目に、共同漁業権区画漁業権については、地元の団体である漁業協同組合のみに免許すると相なつております。しかしてこれは組合員の自主的管理にまかして、有効なる使用をさせることになつておるのであります。ただ定置漁業権については、村張り組合漁業協同組合、次に漁業生産組合の順に優先順位を設けまして、零細漁民の協同経営を優先といたしまして、もしその経営が行われない場合にのみ初めて個人の自営を認めるという規定をおいておるのであります。この規定を見ますならば、ただいま共産党の砂間君、あるいは社会党の佐竹君が言われましたように、この法案零細漁民立場を踏みにじるものでもるという攻撃は何ら当らないのであります。どこをもつてさようなことを言われるか、私は理解に苦しむのであります。  かような基本的な考え方といたしまして、この法案民主化と生産の向上の二大目的は一応達しておると考えるのでありまして、私は賛成するものであります。しかし現実の問題としては、沿岸の漁業の実体に合わしてみますと、この規定ははなはだ飛躍し過ぎておるところが多いのであります。その重大なところを一点申し上げると、定置漁業権であります。申すまでもなく、一網八百万円から三千万円以上もかかるというような、大資本の、しかも危險な定置漁業を、零細な漁民の協団体、漁業協同組合に経営させることは、はたしてよいことであるか、どうか、また可能であるかどうかということを、十分考えるべきであると思うのであります。現行法によつて見ますれば、内地の沿岸定置漁業権の七割は漁業会が所有しておるのであります。しかしその大部分は漁業会がみずから経営せずして、他に賃貸しておるのであります。すなわち漁業会の自営は農林大臣の許可を必要とするのでありまして、むしろ漁業の自営は旧来の法においては、政府は勤めていなかつたのであります。そうして組合の本来の目的である流通過程の協同を進めるべく指導をして参つたのであります。ここにこの法案によつて一挙に協同組合に対して自営を進めるということは、はたしてこれはいかがなものであるか。もし不漁が起り、あるいは大しけで網がとられ、一挙にして大欠損を起こした場合、この漁業協同組合の主たる目的である、漁村の中核体となつて漁村発展の使命を果す漁業協同組合が、ただ従たる目的漁業自営のために、組合そのものも破壊することを案するのであります。そのような観点からして、私にこの法案の書き方に対しては不満がある。漁業協同組合が自営をしなければ漁業権を與えない。自営をしなければ漁業協同組合は従来の漁業権を取上げて個人に貸し與える。むりに自営を勧める行き方に対しては賛成できない。従つて結論としましては、われわれはどうしても漁業権漁業協同組合に持たし、自営ができなければ暫定的貸付を認める、この制度以外にないと考える。これは共産党の砂間君も賛成しておられる。また全国沿岸の漁民大多数、学識経験者の大多数がこれに賛成をしておられる。しかし残念ながらこれに対しましては、いわゆる水産業団体の加入脱退の自由の大原則、また貸付禁止の大原則、これを阻むことになりますので、いけないという有力な反対意見が出ておりますので、われわれはやむなくここに修正案提出いたしまして、組合個人との共同経営の道を開きまして、ここにこの法案賛成するという運びに至つたのであります。零細漁民漁業の生産に直接経営にまで携わつて行きまする上において、この法案規定してある以上のことが一体どこにあるか。共産党、社会党のこれに反対せられる方が考えた、よりよき方法があるならば、ここにお示しを願いたいと思うのであります。しかしこれについては、この零細漁民の団体である漁業組合漁業権を優先的に與えるということであるならば、これの目的を真に達成するがために、私は條件といたしまして、漁業共済金制度の法的完備、手形制度の完全実施、この二つを早急に実施せられたいと要望するのであります。  なお一言申し上げることがあります。それは漁業生産組合であります。漁業生産には直接出漁する漁民が労力と資金とを、ともに平等に出し合うて死なばもろともの漁業にともに働きて、利益はともに受取るという形式でありまして、これには搾取はないのであります。この漁業生産組合に第二の優先順位を與えておるのであります。これはすでに福井県、あるいは長崎県等に発展して来ておるのでありまして、これを法人化してここに規定したということは、私は大賛成であります。かかるりつぱな理想的な経営形態に対して、共産党が御賛成にならないということは、私は理解に苦しむのであります。四割以上を占める北海道の事情は、内地とは相当かわつております。個人の自営が七割を占めておるのであります。この個人の自営なるものは、主として明治以後最近までみずから開拓して得た漁業権が多いのでありまして、また北海道漁業労務の六割までは、春夏の間だけの出かせぎ漁民であります。またさけ、ます等の漁場は、漁獲ばかりでなく、一方化放流の事情を伴つておるのであります。このように内地とは全然趣きが違うのでありますから、この点について、北海道の実態に即すべくわれわれ規定をつくるため、はなはだ努力をしたのであります。ところが遺憾ながら修正前の政府案には、漁業生産組合優先順位について北海道の特別を規定してあつたのにかかわりませず、修正案においてこれを削除したということは、はなはだ残念でありまして、將来の考究にまたねばならぬと思うのであります。また許可漁業については、もちろんこれは今後沿岸漁業から発展して行く性質のものでありまして、これ規定を十分盛り込むべきは当然であります。政府の方に調査準備の伴わなかつたことは残念でありまして、一刻も早くこの規定をつくることを要望しておく次第であります。  われわれはこの討論を終えるに際しまして、かかる複雑な事情のもとに、今夏北海道の網走から鹿兒島の果てに至るまでかけ歩き、夜を徹して激論を闘わし、あるいは知能をしぼり拔いて、紆余曲折、この修正案を練りに練つたお互い議員諸君の心中をお察し申し上げますると、まことに感慨無量なるものがあります。しかしここまで練りに練つた案を審議いたすについては、全国漁民諸君もおそらくわれわれの心中は了解してくれるものと察するのであります。  以上をもちまして私の賛成論議を終ります。
  20. 石原圓吉

    石原委員長 次に玉置信一君。
  21. 玉置信一

    玉置(信)委員 私は民主自由党を代表いたしまして、本案に賛成意見を申し述べたいと思います。  この漁業法及び施行法案は、かの農地制度改革とともに、日本の民主化をはかる上のキー・ポイントとなるべき実に重大な制度を確立するものでありまして、それだけに私どもといたしましては、第五国会政府原案提出されて以来、先ほど林、奥村両委員からも申し述べられましたように、いかにすれば真にわが国の漁業生産力を増強し、漁村民主化をはかることができるかという面に対しまして、最善を盡すべく、国会開会中は委員会においてそれぞれ検討を加え、さらに六月に入りましては、継続審議のもとに北海道、日本海、太平洋、瀬戸内海、四国、九州と、日本を四区にわかちまして、津々浦々に、漁民に直接しまして、非公式の公聽会を開いて、真に漁民の声を取入れまして、この法案審議に鋭意努力を盡して来たことは御承知の通りであります。また先ほど奥村氏からお話がありましたごとく、国会は公認会を開きまして、漁民あるいは学識経験者等の意見を聞きまして、この法案の完璧を期すべく努力を盡したことも、御承知の通りであります。しかも小委員会におきましては、鈴木委員長が知能をしぼりまして、鈴木試案なるものを提示されまして、これに基いて委員会はあらゆる角度からこれまた検討を加えたのでございます。先ほど共産党の砂間君は、ことごとくこの試案なるものは非民主的の方向に向いておつた、かようなことを申されておりますが、これは見解の相違でありまして、実際に日本の漁業の状況を知る者でありますならば、全国的にこれを非民主的な方向に向けるなどということは言えないはずだ。おそらく砂間君に、最近は漁業の実態にだんだんとなれて参つて、常識を備えて来られたのでありますが、実際に漁業あり方というものを、はなはだ失礼でありますが、砂間君はまだ知悉してないと思うのであります。私ども委員において、いかにすれば法案を真に生産増減し得られる方向に、さらに真にこの漁業権並びに漁村をして民主化せしむるには、どうすればよいかということについて案を練つたのが、あの小委員会の案でございます。私どもは敗戦後の日本におきまして、この民主化をするということの一番の重大な使命は、過去における封建制度を打破いたしまして、軍閥的な右翼思想を排撃して、真に文化国家として立ち、世界の各国に対等の地位に、経済的に、文化的に肩を並べて行こうとするためには、連合国からこの民主化という一つの指針を與えられたと言つても私は決して過言でないと思うのであります。そのためには、現在の日本は占領下でありまして、占領家の占領政策に沿うところの政治を行わなければならぬということを、私どもは常に頭に置いてかかつておるのであります。従つてこの日本の水産というものは、われわれ漁民と一体となつて、そうしてこの民主化の線に沿うて漁業生産を高め、あるいは科学的に漁の改善をはかり、あるいは生産の面に科学技術を取入れまして、かのノルウエーのごとく水産業の上においてはデンマークのように、工業の面におきましてはスイスのように、かくしてわが日本は真に経済的に、文化的に、ほんとに世界の対象の地位までレベルを高めて行ける。またそうあるべきだという観点から、この漁業法案審議にあたつても、私心を去つて、真に日本の漁業あり方漁民とともに研究をいたして、今日に至つておるわけであります。従つてこの民主化あり方はいろいろあります。右から行く線も、左から行く線もありましよう。ただ砂間君の言うのは、この法案を見て、法案の技術のみを頭に入れまして、漁村の実態に触れないところの公式論を持つておられると言う以外にはないのであります。私ども漁民と常に語り合い、研究いたしたことは、資源の保護の問題であります。さきに政府当局におかれましては、資源枯渇防止法案なるものを出すということを聞いておりましたので、まことに適切であると私ども考えておりましたが、いまだ具体化されておらないことには、はなはだ遺憾に存じておりますが、日本のこの限られた漁場におきまして、多くの漁民が真に生産の増強をはかろうとするのには、どうしても漁場も狹い。私どもは国際信義を守り、国際法規を遵法いたして、真に国際的な信用を博して、そうして連合当局よりさらに漁区の拡張を願いまして、そうして生産の増強をはかることが、最もわが国経済再建の基盤をなすものであると考えまして、政府原案に対しましても、こうし見地から実はその修正に臨んで来たわけであります。従いまして、砂間君の視点からすれば非民主化的だと言われるかもしれないが、私どもあくまでも真にこれを日本の漁村の実態からして、かくあるべきがほんとうに民主化され、しかも漁業の生産を増強するものであるという線に持つ行つたのであります。おそらくこの修正案なるものが天下に発表されるならば、なるほどと言つて何人といえども質問の意を表するであろうという、確信を持つているのでありますが、いかんせん今日は時間的におきまして、この修正案関係筋に持つてつて、そうして関係筋と御了解を得て、関係筋のご批判を願う時間がないわけであります。従いましてこの間に処していろんなデマが飛ばされまして、あるいは砂間君の論法をもつてしますならば資本家によつてあやつられているとか、あるいはこの修正案なるものが多分にボスであるとか、あるいは資本家にあやつられているがごとき口吻を漏らしておりますが、さようなことは絶対にありません。私どもは実際に個人を投げうつて、二月以来、盛夏の候汗を流して不眠不休、本案を検討いたして参つた次第であります。もしこの修正案が幸いに時間的に間に合いまして、関係筋にご了解を得る機会があつたならば、この法案こそは大資本的な漁業制度に一大制約を加えまして、零細漁民の立ち行く制度を立てるこができたであろうということを、私は今日なお信じているわけであります。従いましてこの働く漁民のためにということを、先ほど奥村氏も言われましたが、私もまつたく御同感でありまして、もう少しの実情にたつて実は意見を申し述べるはずでありましたが、奥村氏あるいは林氏から、私の言わんとする点を相当つつ込んで申されておりますので、私は秩序立つて本案を逐條的に分析して説明することを避けますが、要するに政府原案よりこの修正案の方が、少しく私ども希望するところの漁業制度の改革、あるい民主化の線に沿いつつあるということを私は信ずるものであります。すなわち優先順位点から行きまして、漁業組合に対しての漁業権再分配をされる場合につきましても、これは真に民主化されるものであると私は考えております。ただ北海道の除外例がこれから一応取除かれておりまするが、この点は先ほど奥村委員から詳しく申されましたので、重複いたしますからこれを避けまするが、北海道の実情はこれまた奥村委員の申されたごとく、内地とは相当趣を異にしております。すなわち内地は徳川時代の村張りの自然的制度から今日に至り、すなわち明治四十三年に漁業法が制定されて以来、引続き今日に至つております漁業あり方に対して、北海道は開拓の初年におきまして、かの地に渡つた漁師の方々がみずからの手でいばらの道を開いて今日に至つているという実情であります。こうしたことを考えますと、全国的に一律にこの法案で律するという面においては、相当むりの生じている点も多々あることを認めるのでございますが、これまた時間的において、詳細にこの案を修正する余裕もございません。しかし先ほど申しましたように、政府原案よりもこの修正案の方がさらに民主化の線に沿うことを私は信じているので、あります。  最後に申し上げたいことは、この漁業協同組合漁業権を與えるということは、もとより賛成ではございまするが、奥村委員も申されましたようにこのままのあり方で持つて行くということは、あたかも私どものような貧乏人が、都会において大邸宅をもらつて、そしてそこに住めと言われるのと同じでありまして、まことにりつぱな邸宅をもらつて外見はすこぶるよろしいが、しからばこの大邸宅において生活する上に、邸宅を維持するだけの資金にさえ困るということになるのであしまして、零細漁民漁業権をもらつて実際に自営しようということにつきましては、やはりそこには資金資材の裏付けなくてはならぬのであります。幸いに先般政府当局におきましては、こうした漁業協同組合の将来に対して、資金資材の面に対しては考慮するという言明があつたのであります。将来政府当局の考え方をさらに具体化されまして、真に零細漁民が立つて行くという方向に、一段の努力を拂つていただきたいと思うのであります。私にまだいろいろ申し上げたいことがありまするが、以上大体申し上げたことにおいて原案反対し、修正案賛成の意を表する次第であります。
  22. 石原圓吉

    石原委員長 これをもつて討論は終結いたしました。よつて漁業法案及び漁業法施行並びに委員長提出修正案について採決に入ります。  まず本修正案賛成の方のご起立を願います。     〔賛成起立
  23. 石原圓吉

    石原委員長 起立大多数。よつて委員長提案のごとく修正することに決心しました。  次に本修正案部分を除いた両原案に対して賛成の方の御起立を願います。     〔賛成起立
  24. 石原圓吉

    石原委員長 起立多数。よつて本両法案は本修正案通り修正議決されました。  なお両案に対する衆議院規則第八十六條による報告書作成につきましては、委員長に一任が願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 石原圓吉

    石原委員長 ご異議なしと認めます。よつてさよう決定いたします。(拍手)     —————————————
  26. 石原圓吉

    石原委員長 次に去る二十六日本委員会に付託になりました沿岸漁業保護育成に関する決議案、砂間君外三十六名提出決議第一三号を議題に付します。まず本議案の提案理由の説明を求めます。砂間一良君。
  27. 砂間一良

    砂間委員 沿岸漁業保護育成に関する決議案の提案を説明いたします。その前にまず決議案文を朗読いたします。    沿岸漁業保護育成に関する決議案   無許可又は禁漁区違反のトロール・機船底曳のちようりようは、最近目にあまるものがあり、ために沿岸漁場は荒廃し、漁場争い各所になえまなく、打ち続く不漁のため沿岸漁民生活は疲弊の極に達してる。   政府は、沿岸漁民生活をまもるために、かかる違反漁業の徹底的取締対策を講ずるとともに、着業資金のあつ旋、燃油、資材の優先基本配給、漁業用労加配米の定量加配制、漁業労働者に対する第二種事業税の撤廃、生産者魚価の保障等の施策により、沿岸三百漁民生活の安定向上をはかるべきである。   右決議する。   以上が決議案の案文であります。   この提案理由につきましては、いまさらくどくどしく説明する必要もないと思うのでありますが、海のギヤングと称せられている底びきやトロールの連中は、漁業取締規則を破りまして、そして沿岸の禁漁区域内などに入りまして荒しまわつて、そのために沿岸漁場がまつたく荒廃いたしまして、最近におきましては非常に漁獲も少なくなつて来ておる。沿岸の不漁の原因は、單に潮流異変ということばかりではないのでありまして、この社会的原因が一つの重大な原因になつていると思うのであります。一例をあげますならば、瀬戸内海の淡路島由良などにおきましては、十八箇統三十六隻の違反のトロールが、公然と紀伊水道の禁漁区域を荒しまわつておりまして、たいなどにしましても、こんな小いのまであの地方では戰車マンガか飛行機マンガとか言つておりますが、そういう底びきによつてごつそりとつてしまつて、内海の魚族はまつたく枯渇するような危険にひんしておるのであります。そのためにあの沿岸漁民というものが、まつたく不漁で上つたりのような状態になつております。これは單に淡路島に附近だけではないのでありまして、全国至るところの沿岸にこういう事項が見られるのであります。しかもこの取締りにつきましては、法規があるにもかかわらず、当局は何ら取締りをやつておらないのであます。私どもがたびたび監督官庁へ出かけて行きまして、なんで取締らないかと文句を言いますと、そのときばかりは申訳的に一ぺん二へん海上保安庁の監視など出しましてやりますけれども、あとはほつたらかして知らぬ顔をしているというのが実情であります。かような事態におきましては、いくらりつぱな法律をつくりまして、その法律が実行されていない。これでは何もならない。まず第一に違反漁業、もぐりの漁業の違反を徹底的に取締るということをやつていただきたいと思います。そのほか金融の面におきましても、大きいところはともかくといたしまして、沿岸の小さい漁民はまつたく金づまりでどうにもこうにもならない。また燃油や資材、加配米等にしましても、これは大型漁業と沿岸の小さい漁民の場合には非常に差別待遇がありまして、大きい漁業に対しましては定量配給でどんどんやつておりますけれども、沿岸の漁民の場合には提出した魚の量にリンクするというような、非常に差別的な悪い條件になつておるのであります。また税金の問題にしましても、漁業労働者に第二種事業税をかけるようなこういうべらぼうなことをやつております。魚価も非常に低い。従いましてこの決断案にありますように、ぜひ沿岸三百万漁民生活安定向上をはかるために、以上申し上げましたような点につき、政府にしかるべき施策を急速に実施するよう要望したいと思うのであります。  以上が決議案提出の趣旨であります。ぜひこの概会に満場一致御賛成あらんことをお願いいたします。
  28. 川村善八郎

    川村委員 本決議案沿岸漁業保護育成に関する件でありますから、この趣旨はよくわかりますが、内容には取締法の整備もありますので、なお愼重を要するものがあると認められますので、その審査は各委員において研究を揚げ、その結論を得るまでしばらく延期されんことを望みます。
  29. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 本案は先般の運営委員会で、各派協同提案にして出すことになつたということが、われわれの党では報告されております。ところがきよう砂間君の決議案としてこの委員会に上程されたのでありますが、私は各派協同提案でこれを出されるならば、この案に対しては異議はありません。根本的には私の考え方は、本委員会において砂間君が申されたけれども、この漁業法案の中においても、漁業権の無償国家没收という一つの線は、われわれとして遺憾ながら反対をせざるを得ない線であります。そういう建前におきまして単に砂間君ほか共産党の諸君の提案でなくて、各漁共同提案にするか、さもなくばこの委員会においてこの案を撤回していただいて、こうして沿岸漁業の保護育成に関する件を委員会で政府当局に勧告するということになさるなれば賛成しますが、それでなければ各派共同案にしていただきたいと思います。
  30. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいま佐竹委員らの有力な御意見もありますし、なお先ほど川村委員から、予算その他取締法規等の整備等をやるためには、前提條件として愼重に対策を練る必要がある、よつてこの審査はしばらく延期されるようにという動議があつたのですが、その動議を採決されんことを望みます。
  31. 石原圓吉

    石原委員長 ただいまの佐竹君の御意見もしごくごもつともの点があります。さきの川村君の延長するという動議に御賛成の方の御起立を願います。     〔賛成起立
  32. 石原圓吉

    石原委員長 起立多数、よつて本案は動議のごとく延期長することに決しました。     —————————————
  33. 石原圓吉

    石原委員長 この際お諮りいたします。請願日程第一より第六七の各請願は、請願説明者が出席をしておりませんから、その説明を省略して、文書によつて審査いたしたいと思いますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 石原圓吉

    石原委員長 ご異議ないようでありますからさようとりはからいます。  右請願を一括して議題とし、政府の所見をただします。
  35. 林眞治

    ○林説明員 請願につきましては文書をもちまして回答を提出したいと思います。
  36. 石原圓吉

    石原委員長 次に陳情書を日程第一より第八までを一括議題をいたしますが、これも請願同様文書表をもつて審議いたします。右各陳情書について政府の所見をただします。
  37. 石原圓吉

    石原委員長 なお各請願及び陳情書についての採決は、ただいま説明員の発言がありましたから、次会に讓ります。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時四分散会