○
玉置(信)
委員 私は民主自由党を
代表いたしまして、本案に
賛成の
意見を申し述べたいと思います。
この
漁業法及び
施行法案は、かの農地
制度改革とともに、日本の
民主化をはかる上のキー・ポイントとなるべき実に重大な制度を確立するものでありまして、それだけに私どもといたしましては、第五
国会に
政府原案が
提出されて以来、先ほど林、奥村両
委員からも申し述べられましたように、いかにすれば真にわが国の
漁業生産力を増強し、
漁村の
民主化をはかることができるかという面に対しまして、最善を盡すべく、
国会開会中は
委員会においてそれぞれ検討を加え、さらに六月に入りましては、
継続審議のもとに
北海道、日本海、太平洋、瀬戸内海、四国、九州と、日本を四区にわかちまして、津々浦々に、
漁民に直接しまして、非公式の
公聽会を開いて、真に
漁民の声を取入れまして、この
法案の
審議に鋭意努力を盡して来たことは御承知の通りであります。また先ほど奥村氏からお話がありましたごとく、
国会は公認会を開きまして、
漁民あるいは
学識経験者等の
意見を聞きまして、この
法案の完璧を期すべく努力を盡したことも、御承知の通りであります。しかも小
委員会におきましては、
鈴木委員長が知能をしぼりまして、
鈴木試案なるものを提示されまして、これに基いて
委員会はあらゆる角度からこれまた検討を加えたのでございます。先ほど共産党の砂間君は、ことごとくこの試案なるものは非民主的の方向に向いておつた、かようなことを申されておりますが、これは見解の相違でありまして、実際に日本の
漁業の状況を知る者でありますならば、
全国的にこれを非民主的な方向に向けるなどということは言えないはずだ。おそらく砂間君に、最近は
漁業の実態にだんだんとなれて参
つて、常識を備えて来られたのでありますが、実際に
漁業の
あり方というものを、はなはだ失礼でありますが、砂間君はまだ知悉してないと思うのであります。私ども
委員において、いかにすれば
法案を真に生産増減し得られる方向に、さらに真にこの
漁業権並びに
漁村をして
民主化せしむるには、どうすればよいかということについて案を練
つたのが、あの小
委員会の案でございます。私どもは敗戦後の日本におきまして、この
民主化をするということの一番の重大な使命は、過去における封建制度を打破いたしまして、軍閥的な右翼思想を排撃して、真に文化
国家として立ち、世界の各国に対等の地位に、経済的に、文化的に肩を並べて行こうとするためには、連合国からこの
民主化という
一つの指針を與えられたと言
つても私は決して過言でないと思うのであります。そのためには、現在の日本は占領下でありまして、占領家の占領政策に沿うところの政治を行わなければならぬということを、私どもは常に頭に置いてかか
つておるのであります。
従つてこの日本の水産というものは、われわれ
漁民と一体とな
つて、そうしてこの
民主化の線に沿うて
漁業生産を高め、あるいは科学的に漁の改善をはかり、あるいは生産の面に科学技術を取入れまして、かのノルウエーのごとく水産業の上においてはデンマークのように、工業の面におきましてはスイスのように、
かくしてわが日本は真に経済的に、文化的に、ほんとに世界の対象の地位までレベルを高めて行ける。またそうあるべきだという観点から、この
漁業法案の
審議にあた
つても、私心を去
つて、真に日本の
漁業の
あり方を
漁民とともに研究をいたして、今日に至
つておるわけであります。
従つてこの
民主化の
あり方はいろいろあります。右から行く線も、左から行く線もありましよう。ただ砂間君の言うのは、この
法案を見て、
法案の技術のみを頭に入れまして、
漁村の実態に触れないところの公式論を持
つておられると言う以外にはないのであります。私ども
漁民と常に語り合い、研究いたしたことは、資源の保護の問題であります。さきに政府当局におかれましては、
資源枯渇防止法案なるものを出すということを聞いておりましたので、まことに適切であると私ども考えておりましたが、いまだ具体化されておらないことには、はなはだ遺憾に存じておりますが、日本のこの限られた漁場におきまして、多くの
漁民が真に生産の増強をはかろうとするのには、どうしても漁場も狹い。私どもは国際信義を守り、国際法規を遵法いたして、真に国際的な信用を博して、そうして連合当局よりさらに漁区の拡張を願いまして、そうして生産の増強をはかることが、最もわが国経済再建の基盤をなすものであると考えまして、
政府原案に対しましても、こうし見地から実はその
修正に臨んで来たわけであります。従いまして、砂間君の視点からすれば非
民主化的だと言われるかもしれないが、私どもあくまでも真にこれを日本の
漁村の実態からして、
かくあるべきがほんとうに
民主化され、しかも
漁業の生産を増強するものであるという線に持つ行
つたのであります。おそらくこの
修正案なるものが天下に発表されるならば、なるほどと言
つて何人といえども質問の意を表するであろうという、確信を持
つているのでありますが、いかんせん今日は時間的におきまして、この
修正案を
関係筋に持
つて行
つて、そうして
関係筋と御了解を得て、
関係筋のご批判を願う時間がないわけであります。従いましてこの間に処していろんなデマが飛ばされまして、あるいは砂間君の論法をも
つてしますならば
資本家によ
つてあやつられているとか、あるいはこの
修正案なるものが多分に
ボスであるとか、あるいは
資本家にあやつられているがごとき口吻を漏らしておりますが、さようなことは絶対にありません。私どもは実際に
個人を投げう
つて、二月以来、盛夏の候汗を流して不眠不休、本案を検討いたして参つた次第であります。もしこの
修正案が幸いに時間的に間に合いまして、
関係筋にご了解を得る
機会があつたならば、この
法案こそは大
資本的な
漁業制度に一大制約を加えまして、
零細漁民の立ち行く制度を立てるこができたであろうということを、私は今日なお信じているわけであります。従いましてこの働く
漁民のためにということを、先ほど奥村氏も言われましたが、私もまつたく御同感でありまして、もう少しの実情にた
つて実は
意見を申し述べるはずでありましたが、奥村氏あるいは林氏から、私の言わんとする点を相当つつ込んで申されておりますので、私は秩序立
つて本案を逐條的に分析して説明することを避けますが、要するに
政府原案よりこの
修正案の方が、少しく私ども希望するところの
漁業制度の改革、あるい
民主化の線に沿いつつあるということを私は信ずるものであります。すなわち
優先順位点から行きまして、
漁業組合に対しての
漁業権再分配をされる場合につきましても、これは真に
民主化されるものであると私は考えております。ただ
北海道の除外例がこれから一応取除かれておりまするが、この点は先ほど奥村
委員から詳しく申されましたので、重複いたしますからこれを避けまするが、
北海道の実情はこれまた奥村
委員の申されたごとく、内地とは相当趣を異にしております。すなわち内地は徳川時代の村張りの自然的制度から今日に至り、すなわち明治四十三年に
漁業法が制定されて以来、引続き今日に至
つております
漁業の
あり方に対して、
北海道は開拓の初年におきまして、かの地に渡つた漁師の方々がみずからの手でいばらの道を開いて今日に至
つているという実情であります。こうしたことを考えますと、
全国的に一律にこの
法案で律するという面においては、相当むりの生じている点も多々あることを認めるのでございますが、これまた時間的において、詳細にこの案を
修正する余裕もございません。しかし先ほど申しましたように、
政府原案よりもこの
修正案の方がさらに
民主化の線に沿うことを私は信じているので、あります。
最後に申し上げたいことは、この
漁業協同組合に
漁業権を與えるということは、もとより
賛成ではございまするが、奥村
委員も申されましたようにこのままの
あり方で持
つて行くということは、あたかも私どものような貧乏人が、都会において大邸宅をもら
つて、そしてそこに住めと言われるのと同じでありまして、まことにりつぱな邸宅をもら
つて外見はすこぶるよろしいが、しからばこの大邸宅において
生活する上に、邸宅を維持するだけの
資金にさえ困るということになるのであしまして、
零細漁民が
漁業権をもら
つて実際に自営しようということにつきましては、やはりそこには
資金、
資材の裏付けなくてはならぬのであります。幸いに先般政府当局におきましては、こうした
漁業協同組合の将来に対して、
資金、
資材の面に対しては考慮するという言明があ
つたのであります。将来政府当局の考え方をさらに具体化されまして、真に
零細漁民が立
つて行くという方向に、一段の努力を拂
つていただきたいと思うのであります。私にまだいろいろ申し上げたいことがありまするが、以上大体申し上げたことにおいて
原案に
反対し、
修正案に
賛成の意を表する次第であります。