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1949-11-12 第6回国会 衆議院 水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十二日(土曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 事理 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 佐竹 新市君    理事 林  好次君 理事 小松 勇次君       押谷 富三君    小高 熹郎君       川端 佳夫君    玉置 信一君       冨永格五郎君    永田  節君       二階堂 進君    長谷川四郎君       奧村又十郎君    岡田 勢一君  出席政府委員         (銀行局長)         大蔵事務官   愛知 揆一君         水産庁長官   飯山 太平君  委員外出席者         経済安定本部部         員       田中 卓也君         專  門  員 齋藤 一郎君     ――――――――――――― 十一月十日  柳井漁港施設拡充請願佐藤榮作君外三名紹  介)(第三二号)  尾札部村川汲に船入ま築設の請願川村善八郎  君外二名紹介)(第三七号)  萩漁港修築請願吉武惠市君紹介)(第四九  号)  瀬戸内海東部漁業境界線に関する請願原健  三郎君紹介)(第六三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  水産金融に関する件     ―――――――――――――
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  水産金融に関する件を議題といたします。御質疑を願います。夏堀君。
  3. 夏堀源三郎

    夏堀委員 水産金融の面については、第五国会で本委員会においてこの問題を取上げて、私小委員長として案を作成し、まず第一に見返り資金及び預金部資金による、いわゆる政府援助資金によつて長期資金というような面、それから基金見返り資金から二十億円くらい何とかならぬかというような案を立てました。一方漁業手形によつて、第二案として運転資金を求めようという方法で、本委員会において決議し、そうして政府にこれを要求し、水産庁においてこれを取上げまして、各方面といろいろ折衝をして、漁業手形制度としてこれを実施することになつたのであります。漁業手形については、一応実施したということではありますけれども、まだ軌道に乗つておりません。これはあとで質問することにいたしますが、きようはお忙しいところ銀行局長がお見えになつておりますので、先に銀行局長に対しての質問をしたいと思います。  それは長期資金ということ、いわゆる設備資金でありますが、その後長期資金に対して、政府がどのようなお考えをもつて関係方面とも何か御折衝になつて、それに対する結果が得られてあるかどうかということ、私の仄聞するところによりますとこういうことを聞いております。見返り資金間接金融と申しましようか、いわゆる国債買上げによつて、その資金によつてまかなう。これは前の国会で、銀行局長もお見えなつたと思いますが、国債償還はドツジ・ラインにおいての大きな重要な政策として、これを実施せよということであるが、この国債償還問題について、地方銀行の保有している国債を買い上げて、地方銀行資金を潤沢にして、この金融面を円滑にすることはどうか、こういう質問を申し上げたことがあつたと記憶しております。中小企業はこの面をとらえて、見返り資金のいわゆる間接融資と申しましようか、一応二十億くらいの融資をその面からまかなうということを交渉したとか、それが成功したとかということを聞いているのでありますが、これはこうした金融逼迫の場合、当然とらなければならぬ施策であると信じております。もしそれが事実であつたとすれば、漁業関係においても同様にそれは言えることではなかろうか、そうしたことを考えて、この点、前の国会において私は質問したのでありますから、これがどういういきさつになつておりますか、一応この点についての御答弁を願いたいと存じます。
  4. 愛知揆一

    愛知政府委員 漁業関係長期資金につきまして、前国会後に関係方面等との折衝をいたしました経過を、最初に御説明いたしたいと思います。  まず私どもといたしまして最も力を入れて折衝に努めておりますのは、預金部資金の問題でございまして、きわめて最近の状況を申し上げますと、現在預金部資金運用先が決定しておりませんものが約二百五十億ございます。これは御承知通り、前々から国債及び地方債にその融資を限定されておりまする結果、こういう状態になつておりますので、私どもとしては、預金部資金性格から申しまして、どうしてもこういうような資金地方に還元して、特に中小金融農林金融水産金融というような、特殊な面にこれを充当すべきものであるということを確信しておるわけでございまして、これは申すまでもなく、インフレになるわけでもございませんし、また預金部独立採算制ということから言つても、当然考えなければならぬことでありまするので、実は二十四年度の補正予算及び二十五年度の本予算につきまして、大蔵大臣ドツジ公使との折衝が終了次第、ぜひこの問題をあらためてドツジ公使にも提案することにいたしておるわけでございます。不幸にして、いまだこの問題については関係筋の了解を得るに至つておらないのでありますけれども、別にこの臨時国会中に、少くとも農林中央金庫の増資と、金庫債発行限度拡充は、ぜひとも法律案として提案いたしたいと思つておるわけでありまして、その方は大体順調に進んでおりまするので、不日提案できることになるだろうと思います。それと合せましてその発行限度が拡張されることになりますれば、その相当部分をこの預金部余裕金で引受けることにいたしたいということを、まず第一の念願にいたしまして、これは過去一年間にわたつて関係筋折衝を続けておる問題でございますが、この際何とかしてその成果をあげたいと思つておるわけであります。  それから見返り資金の点につきましては、ただいま御指摘の通り国債復金債等償還を優先させるのか、あるいは直接の増融資を相当見てもらえるのかということにつきまして、私どもも非常な問題にしておるわけでございます。この点も予算折衝が済み次第、でき得れば相当額を直接増融資をしてもらいたいというふうに考えておるのでありますけれども、ただ水産関係につきましては、何ぶん企業体が小規模のものが多いために、一方商工関係のごとく、大きな企業体十分関係方面をも納得させるような計画もくろみ等がつくれるかどうかということにも、手続上その他にも非常に問題があると思いますので、これらの点については、むしろ間接増融資ということにいたしまして、たとえば農林中金その他の地方銀行等を通じまして、その資金余裕をつくつて、そういう金融機関が自主的な運営をして、御協力申し上げるようにすることが、より適切ではなかろうかと考えておるわけでありますが、これらの点につきましては、やはりドツジ公使の来朝の第二の目的は、見返り資金を今後どういうふうに使わせてやるかということにあるようでございますので、いまだ本格的な折衝は始められておらないわけでございます。  それから現に国債償還等につきまして、進行中の話がございます。それは現在は主として復金債の問題で具体化しておるのでありますが、最近関係筋等が言われて来ておりますことは、復金債期限前に償還してやろう、そういう話が具体化しております。その額なり、あるいはどこの金融機関の手持ちの復金債を、期限前に償還するかということについては、その細目は数日中にきまることになるだろうと思うのであります。その使途についてどういうふうにこれから指導して参るかということが、一つの問題になつておるわけでございまして、この点につきましては、償還が現実に行われるかどうかということとにらみ合せまして、水産庁の方の御意見によりまして、具体的な計画をつくつて参りたいというふうに考えておるわけであります。  ただここで駄足でありますが、私どもの非常に困つておりますことを率直に申し上げたいと思うのであります。それは一旦金融機関の手に入りますと、御承知のように、九原則以来の考え方は、金融機関自主性ということを非常に高度に尊重された考え方でありますので、融資準則は御承知のように、ほとんど撤廃されたと同様のかつこうになつております。今後もこれだけの国債償還してやるから、どこの企業体にこれだけの金をいつまでに貸してやれというような、ひもつき融資について、ある程度以上具体的に政府側から、あるいは日本銀行からさしずをすることは、金融機関自主性を阻害するおそれがあるというような考え方がある点でございます。従つてこういう点については、政府側も懇請、援助、あつせん等に努めることはもちろんでございますが、要は金融機関が国家的な使命に十分応ずるような態勢へ、気持を切りかえてもらわなければならぬというところに、一つの大きな実行上の問題があるわけであります。先ほどお話がございましたが、実は中小企業一般について、二十億程度の金をぜひ出したい、しかもその資金の源泉は、主として国債買上げというようなことで調達したいということで、そういう話をきめたことは事実でございます。従つて大蔵省といたしましても、そういう金額が、金融機関の手を通つて、できるだけ政府期待するような中小金融方面に向うことを、非常に期待しておるわけであります。これは事実上勧奬するにとどまりまして、法制的あるいは行政的にこうしろということには行ききらぬようなことになつております。この二十億の問題は、実は主として中小金融と申しましても、どちらかと言えば商工関係関係重点をおいて考えられたものでありまして、これも率直に申しますれば、その二十億の中には、必ずしも御期待のような水産関係考えられておるわけではございません。しかしながら今後引続きまして、先ほど申しましたように、あるいは復金債期限償還であるとか、あるいは見返り資金の直接の国債買上げ償還ということがすぐに始まる態勢にございますから、その際におきまして、追つかけ水産金融方面に金が向うようにするということにつきましては、できるだけ努力を続けて参りたいと存じておる次第でございます。
  5. 夏堀源三郎

    夏堀委員 長期資金のことでございますが、復金にかわるべき長期資金取扱い金融機関がどうしてもなければならぬと思いますが、興業銀行の今後のそうした面の取扱い方法というものは、どういうような方向に向つて行きましようか。また何か興業銀行増資関係とからんで、いろいろの含みもあるように聞いておりますが、この点も局長にお伺いしたいと思います。
  6. 愛知揆一

    愛知政府委員 興業銀行につきましては、御承知のように現在資金が十億で、興業債券発行限度がその二十倍ということに、法律で第五国会で御制定願つたのであります。ところが復金廃止と申しますか、復金の事実上の機能停止に伴いまして、長期資金は実は興業銀行以外には、一部農林中金、その他にお願いする以外には、ほかに担当するところがないわけでございまして、われわれの計算によりますと、大体来年の二月には、興業銀行資金が枯渇いたします、と申しますのは、十億の二十倍ということに限定されておりますから、二百億の限度しかないわけでございます。それ以外は、興業銀行債券発行銀行なつたということで、預金の受入れを原則的に禁止されているわけでございます。そういうわけでございますから、興業銀行に対しましては増資をするか、金融債発行限度拡充するか、そのいずれかしか方法がないわけでございます。そこで私どもといたしましては、興業債券発行倍率の二十倍というのを、できれば三十倍程度に、さしあたり拡張したいと思うのでありまするが、この比率については、実は非常にやかましい有力意見がありまして、拡張するとしてもせいぜい二十五倍程度にならざるを得ないのではないか。実はこれもはなはだ申訳のないことでありますが、少くとも二十五倍にでも、この臨時国会中にこの限度を拡張していただきたいという気持を、われわれは非常に強く持つておりますが、なかなか折衝に手間取つているようなわけであります。  なお御参考まででございますが、たとえば水産金融に限らず、設備資金というようなことになりますると、実は昨年度よりも今年度は、総額においてむしろ少くなつているのであります。これは復金停止というような大きな事実があつたことに原因することはもちろんであり、かつやむを得ないことであると思いますが、事実相当額昨年よりも減つているというようなことは、見ようによつては非常にゆゆしき問題ではなかろうかと思つているわけであります。今申しましたような興業銀行の現状にもからみまして、でき得るならば、興業銀行というようなものをもう一つか二つくらいはつくりたい。それからそのほかに不動産金融会社というようなものをつくりたいという構想を持ちまして、これらの点につきましては、次の通常国会に間に合いまするように現在用意を進めているような次第であります。
  7. 夏堀源三郎

    夏堀委員 長期資金につきましては、ただいま銀行局長よりの御説明で大体わかりましたけれども、今ただちにこれをどうしようという段階にはまだ至つておらぬ。しかしこれはどちらにも、金詰りの時代でありますから、同じ言い方があるでありましようが、特に水産金融の面について、たとえば漁船の大修理というような場合、ほとんど建造費の七〇%くらいを要する場合もあります。またその他いろいろ人命に関係するものですから、いいかげんなことはできないのであります。これを等閑にするということになりますと、たいへんな問題でありまして、適当な時期まで待つというわけには行かぬのであります。しからばどうするかということになるのでありますが、今のところでは、先ほど申し上げたように、大体長期資金とは何年くらいのことを申すのか、私どもにははつきりわかりませんけれども、大体二年、三年くらいのことを称して長期資金言つているのではないか。相当な船の大修繕、あるいは建造の場合には、少くとも私どもこれまでの経験からいつて、五箇年くらいの償却期間がなければ、なかなか容易でないのであります。そうしたことから考えて、一応金融ということが、運転資金長期資金との二分した考え方に持つて行つて、これはいわゆる長期資金であるのだというようなことの含みでやつてもらわぬと、金融機関に何か説明しても、結局偽つたことになりまして、これが信用関係を生じて来ますので、これを最初からはつきりしておく必要があると思います。今お伺いしたいことは、長期資金としての貸出しの方法を明確にしてもらいたいということを言つているわけであります。しかしただいまの説明によつて、ただちにこれが実施し得る段階に立ち至つておらぬようであります。先ほど私が申し上げました、中小企業に対する二十億ということでありますが、これは短期運転資金を意味するものでありますか。また長期資金とは行かなくても、半ば長期的なことを意味するものでありますか。また漁業関係については、ただちにこれを実施し得るという段階に至らぬ場合、その二十億から若干金融方面にも融資し得る方法考えられることであるかどうか。これは中小企業には間違いないのでありますから、これはあちらでよろしいと言つたら、やはりそうしたようなことも含まれてさしつかえないかと思うのであります。  もう一つ水産長官にお伺いしたいと思います。漁業手形は一応制度として発足したような形になつておりますが、各府県によつて、よくやつているところもありますけれども、全然問題になつておらぬ。委員会さえもまだつくつておらぬところもあるじやないかということも聞いております。この点に対して、その後どういう経過になつておりますか、お伺いしたい。
  8. 愛知揆一

    愛知政府委員 先ほどの二十億の問題は、これは実は短期運転資金というふうに考えておつたわけでありますが、しかしこれは何も水産金融を排除するという考え方ではございません。  それから短期長期との問題でございますが、私どもが普通に短期言つておりますのは、大体において期限一年以内に回收ができるものを言つておりますので、その場合最長一年というふうにお考えを願いたいと思います。それから長期というのはそれ以上になるわけでございまして、設備資金回收資金か、補修資金かというような性質上の区別もございますが、大体金融的に見ますれば、その実体よりも回收期限がどうなるかということで、主たる区別をいたしているようなわけでありまして、現在の地方銀行等については、商業銀行預金銀行という性格から申しましても、最長一年以内に回收するものを要求いたしているようなことであります。そこで長期をどうするかということになるのでありますが、商業銀行の場合におきましては、大体現在預金の構成が二割程度までは、ようやく安定して参りましたので長期性預金になつております。これが今後二年、三年という長期性預金になりますれば、それに対応して、商業銀行融資し得る期限もそれだけ延長されてもいいかと思うのであります。ところが遺憾ながら、現在長期性預金言つておりますものはやはり一年以内でありまして、六箇月ないし一年の定期預金がその中の大部分になつておりますので、その期限を越えて融資をさせるということが、非常に困難であるという実情でございます。  それから先ほど二十億の点で申したのでありますが、私どもとしては、この一両日中にも、国債償還復金債償還の話がまとまると思いますので、そのときにできる限り水産関係の方にもお役立ちできるように、ぜひこれを計画に組み入れたいと思つております。  それからなお、これもくどいようでありますが、今申しました短期長期ということは、あくまでも定義でございますので、たとえば途中で、表面はそういうことになつておりますけれども、切りかえその他は運用上の問題でございますので、その辺に運用上の妙味を発揮することは、十分考えられることだと思います。主としてこれは金融機関それ自体の、当事者の判断にかかる問題になりますことは、先ほど申し上げましたような状況から来ていることでございます。
  9. 飯山太平

    飯山政府委員 ただいま夏堀委員から、漁業手形制度実施後における経過いかんというお尋ねがございましたので、十一月十日現在の状況を御報告申したいと思います。  今お話がありましたように、この委員会設立がどうなつておるかということを先に申し上げたいと思います。すでに設立ができましたのは二十九都道府県になつております。それから未設立の方が十幾つということになつております。しかしその未設立のうちにも、大体十一月の中旬、十五日ごろまでと思いますが、十五日に発足のできますのが三県ばかり入つておりますから、大体今月中には三十二、三府県設立が終了されるというように考えております。それからすでに運営実施するに至りました府県は十四府県になつております。それでその基金目標額は、大体五億三千余万円になつております。そして運営委員会ですでに融資の決定をいたした額が八億六千万円、それでは実際に融資された金額いかんということになりますが、これが総額で三億一千四百七十二万一千円ということになつておりますが、この府県を申し上げますと、青森県が五千三百五十七万五千円、それから福島県が三千三百八十一万円、それから千葉県が一億一千二百四万円、神奈川県が二千五百六十七万六千円、靜岡県が二百二十万円、鳥取県が三千七百四十二万円、長崎県が五千万円、かような数字になつておるのでありますが、この表はいずれ印刷に付しまして、本日間に合いませんでしたが、お渡しいたしたいと考えております。大体以上のようでございます。私どもとしましては、かように実際に行われておるところが非常に少いのであります。それで実は役所の係の者を地方に出しまして、すでに千葉県のごときは、一億以上の融資実施されている、こういう面もありますので、実は千葉の事情を詳細に調査いたしまして、その内容をいまだ実施されてない府県に知らせまして、できるだけ早く実施に運ぶように進めておるようなわけであります。
  10. 石原圓吉

    石原委員長 なお安本の財政金融局田中部員見えておりますから……。
  11. 夏堀源三郎

    夏堀委員 漁業手形は、最も生産に関係の深い北海道の方に私は非常な期待を持つてつたのでありますが、まだ北海道の分が今の表には載つておらない、これは非常に遺憾に思います。これはまだ委員会に申し上げておるかどうか、東京都の委員会に申し上げておるかどうか、とにかく私の所は委員会設立せぬというようなことも聞いておりますので、この点は府県知事水産庁との間に、連絡の不便な所は非常にその緊密を欠いておる、こういうことではないだろうかと存じます。なお各銀行旧債を今度の漁業手形の分から回收したいという空気も濃厚であり、また銀行以外の債権者も、この機会にひとつその金を取立ててやろうというようなことで、あらかじめ領収証を添えて、その計画書に載せてあるということを聞いております。旧債返済方法にはいろいろありますけれども考え方は、現在因つておる所、資材の購入費もなくて困つておるという所から発足したことであつて、これを旧債に繰入れることになりますと、やはり依然として現在の困つておる休業状態を打開することはできないのではないか、こう考えることも当然のことであると思います。こうした面を調整するために、水産庁は現存のこの機構の中から各府県に、府県でこうせよ、ああせよということは、なかなか容易じやないと思います。できないことはやはりできないので、せつかく制度として発足したのですから、一つの組織によつて、これを活発に運営せしめるように、銀行方面あるいは業者関係、両方に呼びかけるという方法をお考えになつていいだろうと存じますが、現在のままでは銀行わくがないと称しているところもあるようであります。わくとは何ぞや、日本銀行行つてわくとはどういうことかと聞けば、われわれは地方銀行に対して、わくによつてこれを拘束することはないと言つております。ところが、地方銀行わくで押えているから困る、そしてわくがないために日銀との割引が容易じやない、こういうことも言つておりますので、この点も十分に御調査になつて―この前にもちよつと新聞にも見えておりましたが、各業種別に対するわくとか、あるいはこれは地方銀行日銀に対する信用上から来ることですから、わくということが当らなければ、それはお前の方は信用がないから貸せないのだということを言われれば、それきりでありますが、この点もあまりきゆうくつでなく、せつかく制度として発足したのですから、もつと円滑にこの運営をはかるように、御研究を願いたいと思つております。私今申し上げたような、水産庁だけでこれをやれるかどうか、もしそれが容易でなかつたならば、軌道に乗せるために、大きく言えば、何か一つ機関と申しましようか、それによつて組織的に行動することはどうか、これもあわせてお伺いいたします。
  12. 飯山太平

    飯山政府委員 最初北海道でありますが、これは九月三十日に委員会だけは設立されているようであります。北海道につきましては、夏堀委員と私どももまつたく同感でありまして、むしろこの制度の一番実施される可能性の多い所は北海道であると考えておりましたし、また農林中金方面におきましても、協同組合関係北海道が一番早く多数できておりますので、その点に重点を置いて行こうというふうに承知しておつたのでありますが、その後私どもも参りました節には、銀行方面首脳者及び北海道庁の水南部の者にも、この促進方について実はお願い申し上げ、御相談もしたわけであります。しかし今お話のように、水産庁だけのわずかの係員で、これを十分に促進できるものかどうかということについては、これは非常に不安がありますので、ただいまのような、ここに何か促進する機関と申しますか、機構を、銀行方面連絡をとつていただいてやるということは、しごく機宜の処置であろうと私は考えるのであります。この運用機関ができますならば―これは私法規的根拠をまだよく承知しませんが、できるならば、あるいは運営委員会の全国の連合会、あるいは協議会というようなものをつくりまして、その協議会が連絡をとつて行くというようなことがもし可能でありますならば、これはできるだけ早く運びたいと思います。  それから旧債に充てられる、せつかく設けられた漁業手形制度が、ただ旧債の返還手段に利用される、この点につきましては、われわれもまつたく遺憾なことは同感であります。従つてわれわれとしましては、この運営委員会に対して、つまり旧債の返還のためにかりに融通されるとしても、その後一応旧債を返済された場合には、その際にさらに新たなる貸付けを出すというような條件をつけて漁業者にやりたい、こういうことを地方にも申しておりますし、私どももまたそういうふうに指導して行きたいと考えております。しかしいずれにしましても、有力な機関がここに設けられることは、非常に必要なことだと考えております。
  13. 夏堀源三郎

    夏堀委員 今の促進方法に対する機関、これは水産庁意見が一致したのであります。できるだけ早くということをお願いします。  なお銀行局長にもう一ぺん伺つておきたいと思います。中小企業に対して二十億円の見返り資金の関接の融通方策は、日銀の政策委員会もすでに承認になつておるということを聞いております。そうであれば、私は先ほどから申し上げたような理由によつて、漁業の面に対しても、この見返り資金の関接金融ということを強く主張をして、最も手取り早く発動することは、やつぱりこれ以外にはないと私は考えております。興業銀行の今後の投資資金のあり方及び中金の運営方法によつて、いろいろこれから適当の機関を置いて発動するでありましようけれども、これもそう簡單には行かないのではないか。もうすでに中小企業庁においてこれが認められてある以上は、結局漁業関係においても認められるということは当然であるのであつて、そうして国債償還ということが、この見返り資金取扱いの第一順位であるとすれば、それもその関係筋との関連において可能であろう、こう考えます。ただ私心配であるのは、この金融関係ということは、地方銀行としても三分五厘程度国債などを持つておるようでございますが、その償還によつて一割以上の金利をとるのであるから、非常に喜んでこれを迎えるであろうということは、はつきりしております。けれどもこれに対する取扱いは、結局独善的なあり方によつてせつかくこの問題を取扱つても、銀行自体が、ただ金利及びその安全性、これは金融ですから信用のないところに貸すわけに行かないが、少くとも国家が政策として発動した以上は、それだけの金利をとつているのだから、ある程度はそこに金融機関の協力が必要ではないか、こう考えられます。最近金融資本の横暴ということは、よく聞く言葉でありますが、この点に対しても、もしこの方法が実現する場合、十分にこの点を御留意になつて、その金融機関に対するあり方を明確にして、たとえば水産金融に対しては、地方のこういう生産計画に対して何億円、何十億円の金融にこれを充当すべきである。よつてこの計画によつて融資すべきであるという程度のことは、必要であると思いますので、この機会に銀行局長に私の考えを申し上げ、善処あらんことを希望いたしておきます。これで私の質問を打切ります。
  14. 川村善八郎

    ○川村委員 日本の水産業は、日本の産業金融に最も重要なことは申すまでもありません。しかるに日本の水産に対するすべての政策が軽視されておることは、まことに遺憾と存じるのであります。ことに水産金融につきましては軽視されておりまして、先ほど銀行局長の御説明の中にも、中小商工業には大体二十億の金融をつけるということに、話し合つて決定したのは事実である。しかしそのうち漁業に幾ら流してやるかということはきまつておらない。その理由として、中小工業は規模も大きいし、非常にすべてのことが明らかになつておるが、水産業については、どうもそういうことがつかめないような状態である、といつたような御説明があつたのでありますけれども、私の考えますに、中小商工業というものは、どうしてもそれに携わつておる人達は、漁業者より頭が少し進んでおるのではなかろうか、かように考える点があるのであります。なぜとなれば、この中小工業の資金の中にも、いろいろ物にかわつて水産業に流れておるという事実もあるのであります。すなわち水産業者に資金を流していただければ、中小商工業の資金は不足でもいいのだ。こういうことを私は考えておるのであります。     〔石原委員長退席、夏堀委員長代理着席〕 それに対しては、局長さんはいろいろ御心配なさつて、何とか水産業に対しても、金融のできるような措置を講ずることを、御熱心に研究されていることについては、感謝するものでありますけれども、私はこの際、もちろん二十億の範囲の中から幾分の水産資金は流れることとは思いますけれども、ただその大まかな中からのわずかの資金を流されたのでは、とうてい水産金融の解決はつきません。従つてこの場合もう一渉進んで、局長さんが先ほど興業銀行に代るものや、あるいは中金にかわるべきようなものももう少しふやしたい、こういう希望を持つて今研究している、そして今度の通常国会に何かそれを講じたい、といつたような意味のことを申されておりますから、この際水産に対する金融機関として、別に設置を御研究をなされているかどうか、またそういう御意思があるかどうかということを、まずもつて一点お伺いしたいのであります。私に言わしめるならば、私は日本の水産の重要性から、水産に関するのみの水産金融機関を設置していただきたいと念願しているのでありますが、この点についての御意見を伺いたいのであります。
  15. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまお話の点は、私もまつたく御同感に思います。長期金融機関について考えておりますことは、先ほど申しましたようなことでありまして、ひとつ債券発行によつて資金を調達するところの長期あるいは中期の金融機関がぜひ必要であるということ、それから水産金融のみについて、そういう構想が考えられないかということでございますが、まずその点についてお答えをいたします前に申し上げておきたいと思いますことは、最近の関係筋との接触によりまして、つくづく痛感いたすことが一つあるのであります。それは従来私ども考えやすかつた点は、特別の金融機関をつくる場合に、たとえば政府の出資を求める、あるいは融資に対して政府が補償をする、あるいはまた融資の決定について政府が介入するという点が、どうしてもいわゆる九原則、さらに進んで大きく申しますならば、国際的の感覚にどうも合わない。これが従来いろいろな案をつくりましたときに、常に関係筋の指摘を受けて、否定せられておつた点であるということを、最近になつてもつくづく考えざるを得ないわけであります。従つてもし財政との関係なしに、水産金融のためにまずもつて何億円かの金融会社ができる、ほんとうに自主的、民主的な力によつてこれが設立される、かつその発行する債券が市中に消化をする―その債券について、でき得るならば私は預金部資金を活用したいと思うのでありますが、それはむしろ第二義的なものと考えて、市中の銀行なり、あるいは直接水産業を営んでおられる方が、その債券応募することができるというようなことで、構想ができますならば、おそらく関係方面においても何らの異存がないのみならず、政府におきましても、そういうような企画、もくろみ等について、全面的に御援助ができると考えております。従つて私は、水産金融だけのための特別の機関をつくるということが、もし財政との関係がないという前提さえとり得るならば、全面的に賛成をいたしたいと思うのであります。ただ私もよりよりそういつたような計算を自分でやつてみるのでございますが、どうしても最初の一、二年は、そういう金融会社がつくれたとしても採算がとれません。三年目、四年目からは、経営よろしきを得れば相当の收益があがると思います。そういうもくろみを一般の国民に示しました場合に、その資本を持つてくれる人たちがどれだけあろうか。またさらにそういう会社ができました場合に、そこで発行いたしまする債券が、どの程度国民的な支援を受けるであろうかというところに、一つの大きな難点があるのではなかろうか、少くとも初年度なり、二年度なりの間に、何らかの意味において財政的な庇護が加えられますならば、その案は非常によく成り立つであろうと思うのでありますが、先ほど来るる申しましたように、いわゆる九原則、ドツジ・ラインという考えからいたしますと、そういう機関はあくまでも自主的なものでなければならない。もし政府の事業として考えられるならば、それは財政と金融との混淆である。従つてむしろ政府の国営でどうしても必要ならばやるべきではなかろうかという意見が出て来ると思うのであります。たとえばわき道に入りますが、国民金融公庫というものが現在設立されております。これなどは逆に財政資金融資するのであります。その際に民間からの援助を求めて、国民金融公庫がたとえば債券を発行する。それが応募できる限りにおいてはやつてもいいじやなかろうかというので、私ども考えなんでありますが、これは逆に財政上の措置に対して金融的な色彩が入つて来ることに、やはり財政と金融との混淆があるというので、そういう方法が認められないわけであります。国民金融公庫に関する限りは、貸す金はすべて財政の支出として行い、それからまた回收されて一定の收益があがり、あるいは回收金があがつた場合には、これを歳入にするのだという純然たる国営の金融機関であるわけであります。言い過ぎかもしれませんが、その考え方がはたしていいか悪いかということに、一つの理論的な問題があると思います。少くとも現在の九原則下においては、そういう方向が示されておりますので、この点だけが問題であつて、それ以外の点はただいまお示しのような案に対しましては、私どもも全面的に同意いたします。
  16. 川村善八郎

    ○川村委員 銀行局長さんからまことに好意のある御意見を頂戴してありがたく感謝するものであります。われわれの熱意の足らなかつた点や、あるいは政府並びに関係方面の御認識のなかつた点については、今後われわれも十分努力して、認識を新たにいたしたい。また熱意も高揚したいと考えておるのであります。そこで、私はただいま局長さんの言われました考えと同一な考えであります。もちろん国家の財政が許さなければ、この水産金融機関設立することは容易でないということも承知しております。そこで御承知通り、今取上げておる問題は、漁民の生産計画による積立てを基礎として、二倍から四倍というように金融をする制度になつております。こういうような制度を準用して、少くも漁業を経営する以上は資金がなければできないということを、漁民がよく認識しましたならば、自己資金というものを、まず持つて、そうした金融機関をつくるためには、たとえて言うならば、私もその一株を買つて、そうした資金を漁民全体の力で五億なり、十億なりつくつて、その何十倍もある興業銀行のいわゆる公債制度のようにして金融機関をつくるならば、決して私は至難なこともない。要は水産業の重要性ということを認識することによつて政府も取上げ、あるいは関係方面でもそれを支持し、漁民も熱意を持たれると思うのでございますから、その点にどうか今後局長さんも御留意くださいまして、われわれも十分研究しますが、あなたの方でも御研究されるようにお願いする次第であります。  それから凶漁対策、並びに災害対策について安本の田中さんにお伺いします。過去の凶漁とかあるいは災害等につきましては、政府援助があつたのであります。私はその実例をあげますと、昭和十七年に、北海道のいわし凶漁対策として二百五十万五千円を政府から救済を受けたことがあるのであります。しかし今日では国家の財政から見まして、これは容易でないことも、われわれはよく承知しております、しかしこれを放置しておきますと漁業が成り立たない地方が出ます。たとえば北海道のにしんの凶漁地帶、それから今日凶漁で困つている北海道道南のいわしの凶漁地帶等が、今まことに困つておるのであります。それからなおもう一つは、日本全国に及ぶことでありますけれども、キティ台風その他による災害もありまして、資材を相当に流失いたしまして復活ができないような状態になつておるのでありますけれども、これに対して何ら政府は手を打つておりません。われわれは数回凶漁の問題、災害の問題を取上げて政府に陳情に陳情を重ねましたけれども、何か考慮するというようなことだけで、その対策は一つもわれわれに見受けられるものがないのであります。聞くところによりますと、水産庁からキティ台風その他の台風によるところの資材に対して、何とか手を打て、言いかえるならば第三・四半期はすでに資材は割当をしたのであるけれども、第二・四半期以前からの台風の損害であるから、第三・四半期同様に取扱うべく、補給金なり救済基金なりを出して、そしてこの際漁民を救つてやらなければならぬということを、非常に強調いたしまして、それらの方針を安本に出しておるということを聞いておりますが、これに対して一体どういうことを今お考えになつておりますか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  17. 田中卓也

    田中説明員 ただいまの御質問は資材の問題でございまして、私、財政金融の方をやつておりまして存じませんものですから、あとで調べまして、委員長の方に差上げたいと思います。
  18. 川村善八郎

    ○川村委員 係が違いますれば一応やむを得ないと思いますが、いずれにいたしましても、これは救済に求めるということができないとするならば、金融に求めなければならないと思うのであります。そして金融措置として、いわゆる凶漁並びに災害に対する金融措置は、しからば一体どうお考えになつておるか。今後どういう方法をとつて、これを救済して事業を継続をさせ、食糧の増産をさせるかということについての、御意見をお伺いしたいと思います。
  19. 田中卓也

    田中説明員 災害、凶漁等に対する金融問題については、先ほど銀行局長の方からお話がありましたが、やはり設備資金長期資金という面で、金融機関に対する負担が非常に大きくなつて参ります。農林中金あたりにもいろいろ話しておるのでありますけれども、非常に公共事業的な性格を持つておりまして、金融として考える際に非常にむずかしいのでございます。農業係関の耕地の復旧のように、あるいは災害地の復旧のように、国家の公共事業として取上げなければ、金融としてやりましても、非常に長期にわたり、しかも地元の負担が多くなるという面がございまして、先ほど来からの漁船の大修理、あるいは代船建造というような、資金以上に金融面では非常に難点がおるわけでございます。現在のところ、これに対する考え方としては、やはり長期金融機関設立、もしくは農林中金並びに興業銀行の機能の拡充、これ以外にはないと存じております。でき得れば、来年度あたり農林債券の発行等も研究して、これが長期の安定資金として、水産業の方に借入れられればというように考えております。
  20. 川村善八郎

    ○川村委員 ただいまの御説明で、ほとんど策が施してないということに解釈するのでありますが、まことに遺憾と存ずるのであります。     〔夏堀委員長代理退席、委員長着席〕 私は農業のように、すべて法律をもつて定める救済ができるようにならなければ、理想的の漁業ができないということはよく考えております。従つてわれわれとしては、その方面に進むべく、今後委員会として取上げるというお話合いにはなつておりますけれども、ます今横たわつておるこの問題の解決をつけなければ、漁民の多数が非常に困る。いわゆる倒産をする人がたくさんあるのであります。そればかりでなく、刻下の食糧問題に大きな暗影を来すと思いますので、この場合、でき得れば一日も早く、救済ができないとするならば、金融措置をつけてやらなければならないと思います。どうか水産庁と安本とよく御相談をして、この対策を立てられんことを希望する次第であります。そこで私は北海道の出身として、このことを北海道庁に強く主張いたしましたところが、今日の新聞に、一千四百万円の凶漁対策費を今度の十六日の道会に提出する、それがもう完全にきまつたということに新聞が出ておりまして、まことに北海道としてはその意を盡したと考えておりますので、水産庁といたしましても、これらの凶漁並びに災害の対策として、何らか方途がなければならないし、われわれも十分策を立てて、安本並びに水産庁折衝の上で、さらに銀行借入れ等の金融を結んで救済してやりたいと思いますから、この点に今後御協力あらんことを切望して私の質問を終ります。
  21. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私は金融問題につきましては、まつたく知識が乏しいので、従つて申し上げることがポイントをはずれるかもしれませんが、以下簡單にお伺いしてみたいと思うのであります。  先ほど銀行局長よりの御答弁によつて、今後の水産金融施策とも言うべき、非常に光明をもたらすようないろいろお話を承つたのでありますが、その中で、水産に対する独立した金融機関の設置につきましては、経済九原則のもとにおいてはいろいろ困難な点もあつたと申されまして、ごもつともと了承しておるわけであります。しかし最近私聞くところによりますと、あぐり綱の漁業に対して、五億円ばかりの金を特別融資をもつて金融の措置を講ずることになつたと聞いておりますが、その金融措置なるものがどういう形態のもとに行われるものであろうか。またその五億円という特別融資を閣議に持出されておるということでありますが、今後どの方面からそれを持ち出すのであるかという点を、まずお伺いいたしたいのであります。  それから第二点は、もしそういう措置ができるとするならば、一つの便法でありましようが、どこか独立した金融機関が、そうした特別措置によつて頭を出すということになればその額がさしあたり少くても、将来独立した機関をつくり上げて行くのがいいではないかというような考えを持つのです。これは私のしろうとの考え方でありますが、常識的に考えて、そういうことも考えられるのでありますが、これに対する銀行局長並びに水産庁長官、あるいは安本関係でありますれば、その方からも一応お伺いいたしたいと思います。
  22. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまのあぐり網の五億円というお話は、実は私承知いたしておりませんので、今長官にも伺つたのでありますが、水産庁の方でも、どういうお話でありますか、ちよつとおわかりにならないようでございますので、この点はさつそく調べまして―もしそういうことが進んでおれば非常にけつこうなことだと思うのでありますが、調べましてお答えいたすことにいたしたいと思います。  それから独立金融機関の点につきましては、先ほど申しましたような考えを持つてつたわけでございますが、先ほどちよつと申し遅れましたが、この金融機関をつくりまする場合に、あるいはその運営上かえつて水産金融だけに融資を限定したり、あるいは出資を求めたりすることは、かえつて十分の効果をあげ得ない点もあろうかと思いますので、主として水産を中心にするというようなことを考えて参りました方が、運営もあるいはうまく行くのではなかろうかという点を申し落しましたので、補足いたしておきたいと思います。いずれにいたしましても、九原則の考え方を尊重しつつ、日本の実情に即して、こういう問題について何とかひとつやつてみたいということは、まつたく私も御同感でございますし、また顧みてみれば、九原則の考え方がなかなか納得しにくい点も、私どもにも実はあつたのでありますが、最近に至りまして、なるほどこういうことかという点が、大分おそまきながらわかつても参りまして、関係筋考え方もだんだんとはつきりいたしました。その線によりまして、あらためて計画を進めて行きたいと考えておるわけでございます。
  23. 飯山太平

    飯山政府委員 先ほど玉置委員から、あぐり網に対する五億円融資の件が閣議に出たというお話でありましたが、ただいま愛知局長からの御回答のように、私も承知しておりません。しかしこういうこともあるいは後になつて出たのじやないかという節がありますので、ひとつこのことを御参考に申し上げたい。御承知のように、二十四年度の設備資金の問題として、私ども預金部あるいは産業資金の二つにねらいをつけて、相当長い間もんだのでありますが、結局これが問題にならなかつた。ただ援助資金の中から魚田開発の一億という問題がその際取上げられたわけであります。それからその反面に、あるいはこの方のことでないかと思うのですが、アメリカ式きんちやく網に二億の融資をするという案があつたのでありますが、これが結局閣議において、魚田開発にのみ出すということになつたのであります。そうしてその二億のうち、一億を魚田開発とし、一億をアメリカ式きんちやく網の融資にあてるということで、話は最後にきまつたのでありますが、関係方面、特に水産部においては、アメリカ式きんちやく網に対する融資はおもしろくないということで、結局これはこの資金から除かれるようなことになりまして、魚田開発の一億だけが援助資金から出る、こういうことになつたいきさつがあるのでありますが、アメリカ式きんちやく網とあぐり網は、大体業種から言えば似たものでありますから、その件でないかと考えます。
  24. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 今のあぐり網の問題に関連して、長官にお伺いいたしたいのですが、私の知り得ている範囲におきましては、あぐり網の研究と言いますか、試験と言いますか、その方面に対して、東京都あるいは神戸、九州方面の業者十六隻に対して、装置試験に対する特別の融資をするということになつて、さしあたり六隻がきまつておる、こういうことを承つておるのでありますが、この点が事実であるかどうかということが第一点であります。  第二には、その十六隻に対しては、はたして一億円だけの融資でとどまるものであるかどうか。私の聞いているようになれば、相当の資金が必要でないかと思うのでございますが、その一億円で打切つて、あとはそのまま自然の成行きにまかせる御方針であるかどうか。  第三点は、北海道におきましても、最近あぐり網に対しては相当認識をしまして、業者の間には、相当熱意を持つて操業の計画をし、希望を持つている向きがあるのですが、この方面に対しても、同様融資をしてやるべきじやないかと考えておるわけであります。あるいは現在融資をしようとしておるもの、あるいはしておるものは、相当力のあるものであるから、力のあるものでなくては融資ができないという観点から融資をするのだというような理論も、あるいは一応成立つかもしれませんが、しかし力のある者であれば、融資の必要なく、試験的にやれるのではないかと考えるわけであります。魚田の開発という点から申しまして、北海道のごとき未開の魚田におきましては、こうした漁業はむしろ進んで奬励すべきでないか、漁業振興上相当効果をもたらすものであるという点から見まして、私は今申したようなことを、水産庁としても積極的に乗出してやつてしかるべきではないかと考えるのでありますが、この三点についてお伺いいたします。
  25. 飯山太平

    飯山政府委員 関西方面にかけての十六隻のきんちやく網ということが第一点でございますが、これはむしろ関東以北に主たる漁場を持つているのであります。むしろ東京が中心のようになつておりますが、十六隻ということはちよつと私ども承知しておりません。十一隻の計画水産庁に出されたのでありますが、これ御承知のように、許可漁業でも何でもないのでありまして、よるところはないのであります。しかしアメリカ式の新しいものを資金関係から農林省に出願するというかつこうに今なつておると思うのでありますが、その十一隻の計画が確かに出ましたけれども、そのうち自己資金、あるいは技術、あるいは造船の計画、代船の提供、こういういろいろな諸條件を具備したものが六隻あるわけであります。それについて、安本に向つてどもとしては援助資金からということを出したのでありますけれども先ほど申し上げましたように、一億はその方に充てるようになりましたが、これは関係方面のそういう意思によつて、おそらくその一億も実現されないのではないかと思つております。  それからなおこの六隻だけにとどめるかどうかというのが第二点でありますが、これは、今申しましたような事情で、一億が出るか出ないかも、今日ではおそらく見通しがつきません。あるいは困難でないかという方がむしろ見通しかもしれない。そういう事情でありまするので、このきんちやく網の一億の融資ということは、年度内にできるかどうか、はなはだ不定だと思つております。  それから第三の北海道に関するお話でありますが、これは本年度におきましても、さばの非常な豊漁で、これが巻網によつて非常な漁獲をあげたということは事実なのであります。今後北海道における巻網漁業につきましては、重大な関心を持つべきであるということは、私どもも同様に考えておるのであります。ただ新たにここにあぐり網を建造するということはどうか。それは御承知のように各県の許可になつておりますので、はつきりした数字は手元にありませんが、私どもの想像するところでは、今内地には、大体千五、六百隻の巻網があるのではないかと考えております。これは一部長崎方面は幸いに惠まれておりまするけれども、その他の地方はこれがほとんど不漁で弱つております。従つて、これらの内地にむしろ過剰と思われるようなあぐり網を、何らかの関連において北海道にまわして、北海道の漁獲をあげて、その経営その地組織については、当事者間で北海道の業者も立ち得るような案を立てて、そうして船は内地のものを活用する、こういう行き方がよろしいのではないか。ここで新たに建造するということになりますと、相当の資金がいる。しかしこれは御承知のように、資材関係その他から、司令部の方で造船の許可は非常に嚴重になつておりまして、代船以外には許さない、こういう方針をとつておるのであります。これもまた日本の金融事情から申しましてもやむを得ないのであります。私どもとしましては、北海道のあぐり網については、将来非常に重要な漁業であるという考え方は、これはお説の通りでありますので、これが開発につきましては、ただいま申し上げたような、つまり内地の余剰とは申されないかもしれませんが、内地で非常に困つておるというような業者と提携して、そうして開発をいたしたい、かように考えております。
  26. 冨永格五郎

    ○冨永委員 この場合北海道における金融の実情について、銀行局長にお伺いいたしたいと思います。先ほど夏堀委員、川村委員の御質問に対していろいろお答えになつておりました中に、短期長期に対する定義に関するお話もあつたのでありますが、今日の北海道における金融の実情は、私の知つておる範囲内では、ほとんど全部と申してもよいのですが、銀行局長の言われたいわゆる短期一箇年に相なつておるのであります。しかも興業銀行のごときは、銀行公債が一箇年償還になつているのだから、これより延ばすことはできないというふうに説明されております。またこの貸付の際にあたりましても、設備資金である限りにおいては、やはり自己資金と貸された金とをもつて設備するのでありますが、現在の実情におきましては、貸付するに十分価値あるものが、現在すでに設備されておらないというのが現実の実情になつておるわけであります。農林中金は、相当組合関係を主体として、ずいぶん北海道に対しても積極的な金融をしてくれたのですけれども、ここ一、二年の状況はまつたく後退しているし、興業銀行は個人並びに法人を対象とはいたしておりますものの、今申し上げましたような実情にあるわけです。従つて公債発行権を持つている銀行であるだけに、普通銀行であれば大蔵省銀行局長考え方必ずしも及ぶとは思いませんけれども、やはりこうした特殊銀行である限りにおいては、国の考え方政府考え方というものを相当織込んだ意味における指導といいますか、何らかの話合いができるものでないかとわれわれは考えますが、一体銀行局長としてそういうことができないのか、また銀行局長の職権の上においてできないものとすれば、個人的に話合いをすることによつて現在の実情を緩和するような、たとえば銀行公債の償還期限の一年を二年にする。これに法律関係しますから、銀行局長單独には行かぬと思いますけれども先ほどお話なつ運用の妙味で、一年を切りかえて二年にすることもあり得るというような点で、何らかそういうようなふうに指導していただけないのかどうか。それから現在の実情は、札幌に一箇所、中金も興銀も支店があつて、その他函館、小樽、釧路、ああいつたところに駐在所があるが、職員が一人に女の子が一人という程度で、ほんの書類を受付けるだけの人がいるという実情であります。従つてこうした設備資金の恩典に浴する機会、金融金額等がきわめて微々たるものなのであります。申すまでもなく、各委員の諸君からもしばしば繰返して申されました通り、日本における水産業の実情から見まして、北海道はその漁獲高においても三分の一を占めるというような地位を占めておるにかかわらず、こうした金融その他の面においての惠まれる機会を得ることが非常に少い、こういう実情にあるのでありまして、これは業者の努力が足らない一面もあるでありましようし、仕事の内容自体が、金融の対象になるには危險視される観点からもあるでありましようが、しかしながら、この全国的な水産業の発展から考えました場合には、やはり水産庁、安本方面からも関心をいただいて、金融の円滑なる流れ方を考えてもらえるというようなことが、あり得るようにわれわれは考えるのですけれども、大蔵省としては、そういう点にまで一体お考えになつて、統計的な数字をおとりになつてみたことがあるかどうか。もしあるとすれば、そうした結果における数字を、できればお伺いしたいと思うのであります。  今お尋ねいたした要点を繰返して申し上げれば、一年の短期になつている実情をせめて二、三年に切りかえて行けるというようなことができるのかどうか。職権の上において、あるいは個人的な立場からやつてもらうような余地はないか。それから中金、興業銀行のもちろん收支のふところ勘定によつてでありましようから、大蔵省でそうした決定的なさしずはできないでありましようけれども、少くとも北海道において、札幌以外の都市に一、二箇所ぐらいは相当程度の、支店でなくとも、もう少し何とか話合いができるような設備の出張所のようなものを、設けさせるような指導ができないのかどうか。それから三点は、全国的な水産業からながめて、北海道に対してその金融の割合がどういう程度使われているかということを、お調べになつたことがありますか。またあるとすればその数字を伺いたい、以上三点であります。  なおちよつと関連してお伺いいたしますが、先ほど漁業手形に関する夏堀委員の御質問にお答えのありました中に、北海道の数字が欠けておりましたが、これは一体どういう事情に基くのでありましようか。水産庁としては、北海道に対する何らの指導をしていないからでありますか。また道庁自身がそうした点に対する熱心が欠けて、現在の結果になつているのか。私どもは道南におりますが、私どもの不熱心も大いに反省する余地のあることは認めますが、現在そうした委員会並びに運用による恩惠を受けておらない実情にあるわけでありまして、この点に関して、水産庁の実情に関する所見をお伺いしたいと思います。
  27. 愛知揆一

    愛知政府委員 第一の問題でありますが、やはり商業銀行でございますれば、一年以上にいたしますことは、非常にむずかしい問題だと思います。そこで二、三年ということになりますれば、現在の組織のもとにおいては、やはり興銀と農中等に頼らざるを得ないわけでございます。この点は、これもざつくばらんに申し上げるのでありますが、実は北海道につきましては、北海道拓殖銀行が、昨年の再建整備のときに商業銀行になりかわつたわけでございます。これはその当時の実情をお話いたしますと、関係方面の意向がございまして、金融債券を発行する銀行になるか、あるいは商業銀行になるか、いずれか片一方の道を選べということで、銀行側にその選択権が與えられたわけであります。ところが北海道拓殖銀行としては、将来のいろいろの経営の見込み等からいつて、両方できることが望ましいのはもちろんでありますが、それを否定されるならば、商業銀行になるよりほかにはないということで、北海道拓殖銀行性格がまつたくかわつたわけでございます。これは私見でございますが、ただいまのところ先ほど申しました日本興業銀行のようなものが、いま一、二箇所はどうしても必要だと申しましたのは、その一つ北海道に実は北海興業銀行といつたようなものが、私の気持としてはぜひでかしたいと実は考えておるわけでございます。そうでなければ、北海道というような土地柄では、とうてい今の北海道拓殖銀行だけでは十分な金融ができない、こう断定していいような状況にあると思うのであります。  第二は、札幌以外に支社を二、三箇所ということでございますが、この点は当路の方々と御相談いたしまして、支社といわぬまでも、相当権限を持つた人が駐在できるようにでも、さしあたりくふうするように相談いたしてみたいと思います。  第三点の水産金融上の占める北海道の地位を数字的にというお話でございます。これはあるのでありますが、ただいまここに持つて来ておりませんので、追つて計表をつくつてごらんに入れることにいたしたいと思います。
  28. 飯山太平

    飯山政府委員 先ほど冨永委員から、北海道漁業手形の数字の報告がなかつたがどういう事情か、こういうお尋ねでありますが、この漁業手形制度は、御承知のように地方庁において大体知事が委員長になりまして、運営委員会において査定をして地元の銀行折衝する、こういうことになつております。九月三十日に委員会の設置があつたのでありますが、早いところはすでに八月中に設置されております。青森のごときは八月にできております。実は八月の半ばに私が参りまして、長官及び拓銀の副頭取、日本銀行の支店長、こういう方々をたずねまして北海道が一番重要地方なのであるから、早く設立してほしい、こういうことを私はお願いにまわつたような事情なのであります。水産庁といたしましては、決して北海道に施策をしないというようなことはなく、むしろこちらからお願いして、早くつくつてほしい、農林中金でも北海道は非常に重要地方であるから、あすこに主力をそそごうという本店の意思でもございますので、中金の支店長にもお会いして、その意思を伝えたのであります。それから後にようやく委員会ができた、こういうことでありますので、今後といえども、私どもとしては協力いたしまして、北海道に一日も早く漁業手形制度の運転がされるように努力いたしたい。事情はさようでございます。
  29. 冨永格五郎

    ○冨永委員 先ほど銀行局長からの御答弁で大体了承いたしましたが、第一問の北海道にも北海道興業銀行のようなものをひとつつくりたい、こういう御説でございましたが、ぜひそういう局長のお考えが実現することの、一日も早からんことをお願いする次第でございます。この場合ちよつと関連してお伺いいたしますが、拓殖銀行の意思によつて、拓殖銀行商業銀行に切りかえになつたのだということでございましたが、これは銀行の都合ですから、われわれからとやかく言う筋合ではございませんが、銀行考え方によつて公債発行権を持つように、普通銀行が中の組織を若干かえることによつて、並行することの方法ができぬものかどうか、これを一応関連してお伺いいたしたいと思います。  次は現在北海道北海道総合開発審議会がありまして、審議会も、やはり北海道拓殖銀行に公債発行権を持たせるような法律案を出したいというような考え方をもつて、今案を進めていますので、この場合銀行局長法律上の所見をお伺いしておきたいと思います。もしこれが実現いたしますれば、北海道興業銀行のようなものができてくれれば一番いいのですけれども、若干時間のずれがあるようであれば、拓殖銀行がこれをやつてくれれば、拓殖銀行は全道各地至るところに支店銀行を持つておりますから、すぐ活用ができて、非常に便利が得られるというように考えられますので、一応所見を承つておきたいと思います。
  30. 愛知揆一

    愛知政府委員 この問題は、私も実は北海道拓殖銀行が再び金融債券の発行権を持ち得るようになれば、最も実際的であると考えております。ただこれは私といたしましても非常に残念に思うのでありますけれども、本日も最初のうちに御答弁いたしましたように、金融機関というものを、非常に明確に二つにわけまして、片方の預金を吸收する銀行は、商業資金を供給すればよろしいのでありまして、それ以上に出てはならない。また設備資金を供給する金融機関は、債券発行をやる以上は預金をとつてはいけない。この線が実は非常に抜くべからざる強い方針として與えられておりまするので、その制約のもとにおいて考えますと、北海道拓殖銀行も、その当時においてはそういう選択をとらざるを得なかつた。この事情はむりからぬところがあるわけでございます。今日の状態においてしからばどうかと申しますと、やはりその考え方は、九原則なりドツジ・ラインによつてますます強くなつておりますので、かりに北拓が債券発行を再び認められるということになりますと、今度は逆に預金吸收が押えられる。のみならず現在持つております百億以上の預金を整理しなければならぬということになりますので、その際には、今度は逆に別個に商業銀行をつくらなければならぬことになつて参るのであります。私はそれでもけつこうだと思うのでありますが、何分昨年の十月に北拓としては商業銀行になるということを決定して、関係方面の正式の承認を得て、その方向へ現在銀行もあげて努力しておられるのでありますから、今日の状況におきましては、実際上北拓の現在持つております地盤、人的機構その他を利用いたしまして、別個に北海道興業銀行というようなものに行つた方が実際上はいいのではないか。事実上の援助、支援等を北拓から受けることは一向さしつかえないことでないかと考えております。実は日本全体の問題とすれば、勧業銀行がそれと同じ地位に現在あるわけでありまして、私どもとしては、勧業銀行にぜひ債券の発行権を認めてほしいということで、ずいぶん折衝に努めたのでありますが、やはり預金銀行にならざるを得なかつた。そこで不動産銀行というようなものを、勧銀の実際上の地盤を利用いたしまして、別個に法人格としてつくることが、相当具体的に進捗しておるようなわけであります。その例にならいまして、北海道において、ぜひそういうふうな方向に問題を発展するように希望いたしております。
  31. 二階堂進

    ○二階堂委員 金融問題に関連いたしまして二、三の点につき長官並びに政府委員の方に御質問いたしたいのであります。  重複する点もありますのでごく簡單にお尋ねいたしたいと思いますが、水産金融の問題は、業者にとりましては非常に大きな問題であります。にもかかわらずこの水産金融につきましては、特に大蔵省におかれましても、私どもはきわめて不熱心であるというような印象を強くいたしておるのであります。中小工業に対する二十億の融資決定につきましても、水産方面に対する金融がきわめて度外視されておる。私どもは水産業の重大性にかんがみまして、先ほど来るる各委員の方から述べられた通り、もつと積極的に水産金融の問題につきまして御検討を願つて融資方法を研究していただきたい。特にまた地方金融機関におきましても、水産金融の点になりますと、てんで相手にしないといつたような傾向が非常に強いのは、まことに遺憾に考えておるのであります。いろいろな情勢の変化等によりまして、やむを得ない点も多々あるかと思いますけれども、最近金融機関は何と言いますか、非常に権力者的な地位をますます強く持つて来るような傾向がうかがわれるのであります。こういうような傾向にある金融機関のあり方につきまして、銀行局長といたされましては、一体どういうようなお考えを持つておられるのであるか、あるいはまた政府とされまして、どういうような対策をお持ちであるのか、こういうことを一点お尋ねいたしたいと思うのであります。  なおまた、この水産振興並びに水産貿易の振興は、わが国にとりましてはきわめて重大な問題であると考えております。水産加工品の貿易等につきましても、私どもは非常な関心を持つておるのでありますが、何といたしましても水産加工の輸出振興につきましては、いろいろなかんずめ工場であるとか、あるいはその他の水産加工に対する工場の拡充、あるいはそれらに必要な施設、設備等に要するところの資金であります。こういうような資金等に対する融資の面、あるいは貿易振興に対するいろいろな方策につきまして、どういうようなお考えをお持ちであるか、この点につきましてお尋ねいたしたいのであります。
  32. 愛知揆一

    愛知政府委員 最初の、金融機関というもののあり方につきましては、私はただいまの御意見にごもつともだと思う点が多々ございます。これは結局するところ、アメリカ的な考え方と、それから日本の現実の実情との間に、相当の開きがあるというところに帰着するものだと、私は常々考えておるのであります。と申しますのは、九原則以来特にこの傾向が顕著でございますが、アメリカの対日経済指導の一つの根幹は、金融機関を中心にして考えられると思います。従つて金融機関につきましては、一方においてたとえば融資規制というようなことが非常に緩和されておつて政府金融機関融資に対する直接的な統制というようなことは、現在ではほとんど私は無力になつておると言わざるを得ない現況にあります。それから積極的な面におきましては、たとえば見返り資金の使い方にいたしましても、間接な投融資ということが相当な比重を占めておりますから、自然金融機関の立場は楽になる傾向にあります。しかしながら同時に、シヤウプ勧告の中でも明瞭でございますが、金融機関の経営等につきましては、たとえば貸付金の利子が非常に高くて、預金の利子が比較的安い。その間相当の開きがあるということが指摘されておるのでございますが、そういう点については、アメリカの考え方も、金融機関に対して相当批判的であり、指導的であるわけでございますが、大局的から申しますならば、たとえば今度のローガン構想にいたしましても、銀行というものに対して、一種後見的な役割を持たしておられた。そして同時に、その経営は自主的でなければならないということが非常に強く示されておるわけであります。そして同時に、それに対する政府と申しますか、行政権の関與は、ほとんど徹底的に後退しなければいけないという線が強く出ておるわけであります。ところが、私はその考え方はけつこうだと思うのでありますが、日本の現在の実情から見て、それだけの大きな公共的な責任使命をになうに足りるような現状であるかどうかというところに、問題があるのだと思うのでありまして、これを抽象的に申しますならば、いわゆる銀行の公共的使命の自覚ということになるのであろうと思いますが、遺憾ながらわれわれの期待するような状況になつておらないということが、一般的な金詰りということに関連する、場合によれば感情的な国民の問題とも結びつきまして、現在の銀行のあり方ということは、非常に批判されなければならない立場にあると思うのであります。これに対しまして、私どもの今後の態度といたしましては、たとえば銀行の検査、監督の励行というようなことに重点をおかざるを得ないと思つておりますので、すでに八月の十三日と記憶いたしておりますが、大蔵省としても非常な覚悟でもつて銀行の経営上につきまして、相当程度の行政権を発動し、場合によれば警察権とも十分な連繋をとりまして、銀行のあり方が、全体の政策において負荷されているだけの公共性が発揮できるようなふうに持つて行きたいものと考えまして、その第一歩として、八月からそういうふうな態度を表明し、また実現に移しているようなわけであります。ただしかしながら、それは公共機関たる金融機関のあり方ということについて、十分それだけでは効果をあげることはいまだできないと思うのでありますが、なおこの点については、いろいろと対策を考究いたしております。ただしかしながら、問題は融資の問題でございますが、やはり個々の融資につきまして、政府側が関與するということだけは、どうしても客観的にも、あるいは現在の財政経済政策の根本的な問題から申しましても、そこにはどうしても行き切らないわけでありまして、と申しますのは、政府がこれに対してある程度命令融資をするというようなことになれば、必ずその裏に補償ということを考えなければ、預金者の保護ができないということになります。この点もございますので、個々の融資については、現在の経済機構の中における金融機関に対しましては、どうしても政府としては、十分に行き切らない点があるのはやむを得ないと思うのであります。しかしその間隙を埋めまするために、先ほどお話が出たのでありますが、現在やつております方法は、まずもつて安定本部を中心にいたしまする全体の産業計画、これに照応いたします資金計画というものを、大ざつぱではありまするが、できるだけ組み立てまして、これを日本銀行の政策委員会に示す、日本銀行の政策委員会は、それを一方に持つておりまして、たとえば日本銀行融資あつせんでありまするとか、あるいは見返り資金による国債償還でありまするとか、そういう具体的な問題が起りますたびに、政府の産業及びそれに伴う資金計画が、できるだけ大局的に充足できるようにということで、アメリカ流に申しますならば、リコメンデーシヨンあるいはネゴシエーシヨンまでできるようにやつておるというような現状でございます。この点はたまたま私ども銀行行政の当局におります者としては、ごもつともな御意見を伺いまして、大いに私どもも勇気づけられるわけでございますが、同時に私といたしましても、この点を現在最大の問題に考えているようなわけであります。  それから水産貿易に関連いたしまする問題は、長官からお答えがあると思うのでありますが、貿易金融ということになりますると、ローガン構想等から起つて参りまする金融問題というものも、非常にその比重が重くなつて参るのでありますが、何と申しましても、全体としてのドツジさんの考え方というものは、相当程度やはり貿易ということに基礎を置いておられるようにも思いますし、また日本の現在及び将来生きる道は、そこに活路を発見するよりほかにないと思いますので、貿易金融の問題につきましては、全体的にできるだけの重点を置くつもりであります。たとえば貿易手形の問題、その他の問題につきましても、具体的に貿易金融が円滑に参りますように、いろいろとくふうをこらしておるような状態であります。
  33. 飯山太平

    飯山政府委員 水産貿易についてのお尋ねでありますが、御承知のように、水産貿易が今後の貿易の上に占める使命と申しますか、重要性については、申し上げるまでもないことと存ずるのであります。実は本年の水産貿易の計画としましては、約六十億予定したのでありますが、そのうち九月までの実際の輸出額は二十七億になつておるのであります。年度末までに六十億に達するかどうかは、今のところはつきり申し上げられませんが、少くとも来年度は、さらに相当巨額なものに予定されることになると思うのであります。従つてこれが資金については、私どももいろいろお願いしておりまするけれども中小企業庁の方にも、実は輸出かんてんについては、二十四年度の中から一千万円のかんてん工場に対する融資を、実は企業庁から仰いだようなわけです。中小企業に属する加工の関係のものは、これは私長官にもお会いしまして、水産中小工業という意味において、ひとつできるだけ融資してほしいというようなことで、これもある程度の了解は持つておられる。しかし何といたしましても、われわれとしましては、水産に関する貿易を増進する上において、資金計画が伴わなければならぬのでありますので、貿易資金となりますと、通産省の関係になりますが、その方の振興局とも連絡をとつて、特に最近かんてんの方についてはいろいろ問題がありますが、これらの貿易は、まず手持ちで困つておるというようなことでありますので、これが資金についても折衝を続けておるような状態であります。
  34. 二階堂進

    ○二階堂委員 愛知銀行局長からいろいろ御説明を承りまして、まことに同感であります。繰返してお尋ねいたしますことはありませんが、水産業の金融問題はきわめて逼迫しておりますので、この点金融問題につきましては、当局の非常な決意をもつての処置を重ねてお願いいたしておきたいのであります。  話は別になりますが、私けさ水産新聞を見ますると、農林中央金庫の支庫と申しますか、近く閉鎖されるような記事を見たのでありますが、こういうようなことになりますと、これは單に水産金融のみならず、一般産業に対するところの金融梗塞というものが、ますます強化される危險を抱くのでありますが、このことにつきまして、長官はどういうふうなお考えでおられるか承りたいと思います。
  35. 飯山太平

    飯山政府委員 私の承知しておりますのは、千葉外一県―今失念しておりますが、二県において農林中央金庫の出張所を閉鎖するということの問題なのであります。もちろん水産庁としましては、特に漁村は僻陬にありますので、信用事業を営む場合に、銀行関係あるいは中金関係の出張所なり、あるいは駐在と申しますか、そういう数をなるべく多くしてもらわなければ、水産の金融というものは支障を来すのであります。従つてわれわれといたしましては、これが閉鎖については相当注意をいたしたのでありますが、中金の内部事情から、実は農業関係方面からその出張所をなるべく減らして、そして経費の節約をはかれ、こういう農業方面の要望によつて、結局そういうことになつた、こういう事情なのであります。従つて現在の中金におきましては、水産資金関係というものは、資本におきましても、三億のうちわずかに三千万円が水産から出ておる。二億五千万円は農業から出ておる。あとの二千万円は山林、こういうことになつているのであります。積立預金は、水産に関しましては二億円、こういうことで、現在のような実情では、なかなか中金の機構までも水産に適切なようにしていただくことは、非常に困難なことであると思います。今後協同組合の信用事業をできるだけ中金に集中的にしてやる、そして水産信用事業の振興に役立つように、支店なり出張所なり、あるいは駐在所をふやしてもらおう。現状においてはそれが非常に困難な状態にある、こういうわけなのであります。
  36. 小高熹郎

    ○小高委員 時間もないようでありますから、きわめて簡單に御質問申し上げます。水産金融が極度に惠まれない地位に置かれるということは、すでに相当の議論があつたと了承しているのでありますが、私はそれを計数的に一つの基礎を握りたい、かように考えまして、全国の水産業者及び漁民が負担しているところの税金は、一体昨年度においてどのくらいであつたのだ、一昨年度はいかような数字であつたかということを、この数箇月間調査しているのでありますが、なかなかその調査がまだ手元にまとまりません。農業の面において畜産もあり林業もあり、あるいは生糸等の産業もあり、いろいろございますように、商業あるいは工業、これらの業種別的に見たるところの税金の額、全国の業種別に見たるところの納税額というものを、私ども調査において、いまだまとめきれませんので、政府において、この大づかみのところの数字の、業種別的なお持合せがあるかどうか、もしあるとしたならば、そのウエートの問題、重みがどういうような順位に相成つているかということを、お尋ねいたしたい。  さらにつけ加えてお尋ねいたしたいのは、その順位がたとい第一位でなくとも、わが国が経済再建、国家再建をせんとする場合に、海をもつて立たなければいかぬ。水産立国ということは今や農業と相まつて動かし得ないところの大なる事実でございます。政府においても、この点大いに強調してくれているのでありますが、遺憾ながら金融面のみにおいても不満だらけで、問題にならぬ。ここにおいて税務署が税金をとる場合に、期待倍数という言葉を先年来使つております。昨年より本年はこのくらいとり得るであろう、期待できるだろうといつて、倍おつかぶせるとか、三倍おつかぶせるということをやつているのでありますが、国家の政治施策において、水産をもつて祖国日本の再建をしなければならぬという政治目的がある以上、これに対する期待倍数的な期待をかけたるところの金融というものが、当然行われてよいと思うのであります。さような意味において、とりあえず業種別に比較いたしますところの数字のお持合せがあるかどうかを、最初にお尋ねいたしたいのであります。
  37. 愛知揆一

    愛知政府委員 税金の問題につきましては、私所管が違いますので、ここでお答えできないのは非常に残念でございますが、ただいまお話業種別の納税額の調査等は、大蔵省におきましても用意は当然あるはずでございますから、早速その方の係に申しましてお配りいたすことにいたしたいと思います。
  38. 小高熹郎

    ○小高委員 これは唐突にお尋ねいたしても用意がないのは当然かと思うのでありまするが、私どもがさような観点から、一つの計数を基調とした主張を強くいたさなければならないという考え方一つと、もう一つ、海をもつて国を建設せんとして行くならば、これに対するところの大なる期待がかけられてよろしいのであるという、ここが言いたいところでございますので、この次の機会において、一応参考にただいま局長からのお話の資料を提出していただきたいということを、重ねて要求いたしまして質問を打切ります。
  39. 飯山太平

    飯山政府委員 ちよつと参考になるかと思いますので、小高委員にお答え申し上げておきたいと思います。  実はこの課税の問題は、われわれから申しますれば、予算獲得の上にも重大な関係を持つておる、かような見解を持つておるのであります。従つて水産庁としても、現在漁民がどれだけの負担をしておるかということは、当然調べなければならぬのであります。爾来私どもとしましてもこれが調べに当つておりますが、業種別というような詳細を知るためには、地方のこまかい税務署々々々をたどらねばならぬというような事態で、大蔵省にある資料によりましては大体しかわからないのでありますが、二十二年度の所得税だけが大体私どもの手にわかつております。この所得税額が二十三億、かように記憶いたしております。しかしこの数字が正確であるかどうかということはちよつと申し上げかねますが、御参考にその程度のものが手元にありますから、ちよつと申し上げます。
  40. 石原圓吉

    石原委員長 この場合、委員長より当局へお尋ねをしておきたいことがあります。それはこの水産金融について、大蔵省は次の通常国会に何らか具体化しようという誠意があるものでありますか。またその段階に進むべく御準備があるのですか、その点を伺つておきたいのであります。  それから漁業手形の問題であります。これが各都道府県においては、不徹底のために円滑に融資ができないという声は、私どもへも数県より申出があるのであります。せつかく制度ができても、それが不徹底なために、漁村の金融がうまく行かないという支障が現実にありますが、この金融に対する制度として、一つ漁業手形法案というものができた、それを普及徹底せしめるのには、官庁としてはどこが所管であるか、大蔵省がすべきものであるか、水産庁がすべきものであるか、その見解はどうか。  それからもう一つは、米式きんちやく綱のために一億円の融資の問題が閣議に上つた。それは不成立に終つた。しかしその一億円を閣議に上すまでに行つたのは、当業者の要求によるものであるか、あるいは水産庁が奬励上必要なりとして、融資すべき点を閣議に持ち出したのか。それはどつちであるか、この三つの点を承つておきたいのであります。
  41. 愛知揆一

    愛知政府委員 大蔵省に関する点についてお答えをいたします。  第一点につきましては、十分誠意をもちまして、何とかして通常国会に、金融機構上の問題につきましては、成案を提出したいということで、鋭意準備中でございます。その内容につきましては、私どもとしてはすでに一案を持つておるわけでございますが、関係方面との話合い等の関係がございますので、今日のところまだその全貌をお話し申し上げるのには、時期が早いかと考えております。  第二点の漁業手形の問題でございますが、これは手形の制度等をどうつくるかということにつきましては、主管は水産庁にお願いすべきことであると私は考えますが、もちろんそれが金融上の軌道にどういうふうに乗るかというような点については、大蔵省側としても十二分の御協力をいたしたいと考えております。以上大蔵省側としての御答弁を申し上げます。
  42. 飯山太平

    飯山政府委員 第二点であつた漁業手形の普及徹底は所管はどこか、こういうお尋ねは、ただいま銀行局長からの御回答の通り、これは当然水産庁の主管すべきものであると、かような見解を持つております。  第二の米式きんちやく網の一億の融資が閣議に上つたのは、水産庁の奬励の意思か、あるいは当業者の要望によるのか、こういうお尋ねでありますが、これはもちろん当初の起りは、当業者からこのきんちやく網というものが将来有望であろうということで、企画をされて、水産庁の方に申し出られておるのであります。しかしこの試験をする―将来の奬励いかんという問題でなくして、日本の漁場にこのきんちやく式が能率的で、かつ経済的であろうというようなことでありますならば、これは日本の今のあぐり漁業の一面の改良というようなことにもなるだろう、こういうふうに考えております。従つて当業者の要望もありましたので、試験という意味で、水産庁としても一面安本に対して要望した、かような経過であります。
  43. 石原圓吉

    石原委員長 第一問に対する愛知銀行局長の御答弁に対しましては、なお次の機会に意見を述べたいと思います。漁業手形を普及徹底せしめるのは、長官の言われるように水産庁の所管であるということであれば、水産庁は急速にこれを徹底せしめる必要があると思うのであります。われわれは水産庁には水産金融課なるものを独立せしめて、この方面から水産金融に関する順序ある具体的な案を立てることも必要であり、またできた制度が急速に実行される問題も徹底的にやらなければいかぬのであつて、この点を強く要望いたしておきます。  なお一億円の米式きんちやく網の融資の問題は、これに付随関連して多数の意見を持つものでありますが、これは次の機会に譲りたいと思います。
  44. 夏堀源三郎

    夏堀委員 水産金融の小委員会を最も近いうちに開きたいと思います。参考人として銀行側その他から何名かの出席を求めたいと存じます。その人名は委員長及び小委員長と相談をして決定いたしたいと思います。以上委員会にお諮り願いたいと思います。
  45. 石原圓吉

    石原委員長 ただいまの夏堀君の御意見に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なしと認めまして、以上のように決定いたします。  他に御質問はありませんか―御質問もないようでありますから、本日はこの程度にとどめたいと思います。  いよいよこの法案の問題も切迫をいたして参りまして、来る十四日には委員会をさらに開いて、それぞれ御協議をいたしたいと思います。  なお本日の午後に御出席を願つて、瀬戸内海の内湾の方面を御調査願うことになつております。それは公報に載つております。なお希望として、定員のほかに共産党の砂間委員が参加されて、ただいまのところ七名の方が御苦労くださることになつております。さよう御承知を願います。  発言がなければこれで本日は散会いたします。     午後零時三十二分散会