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1949-11-01 第6回国会 衆議院 水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月一日(火曜日)     午後二時十一分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 平井 義一君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君    理事 砂間 一良君 理事 小松 勇次君       小高 熹郎君    田口長治郎君       冨永格五郎君    中西伊之助君       奧村又十郎君    黒田 寿男君  出席政府委員         農林政務次官  坂本  實君         中央経済調査庁         次長      奥村 重正君  委員外出席者         農林事務官   奥田  孝君         経済安定技官  北原 恒造君         專  門  員 小安 正三君         專  門  員 齋藤 一郎君     ————————————— 本日の会議に付した件  公聽会開会に関する件  小委員追加選任に関する件  水産物集荷配給に関する件     —————————————
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ちましてちよつとお知らせ申し上げます。本日委員園田直君が辞任せられまして新たに千葉三郎君が委員となられました。  次に本委員会目下審査中の漁業法案及び漁業法施行法案審査のための公聽会に関する件につきまして、お諮りいたします。去る二十九日委員長より提出いたしました公聽会開会承認要求書に対しまして、昨三十一日議長より承認をいただきました。つきましてはこのたびは正式に公聽会を開くことを決議する順序と相なつておりますが、これにつきましては、公聽会開会時日決定いたさねばなりません。この時日決定に対しましては、公聽会に対する申出公述人選定公述人への通知及び公述人出頭等の時間的余裕を考慮いたしまするとともに、本案審査状況ともにらみ合せて決定することが妥当でありまして、委員長考えといたしましては、以上の諸点を十分考慮いたしまして、来る十六日、十七日、十八日及び十九日の四日間、おのおの午前十時よりといたすのが適当であろうと考えるのでありますが、この日時に漁業法案及び漁業法施行法案について公聽会を開会することと決定するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なしと認めます。そのよう決定いたします。  なお重ねてお諮りいたします。衆議院規則第七十九條による公聽会開会報告書及び公聽会開会の公示、その他諸般手続等につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと思いますが、この取扱いに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なしと認めさようにとりはからいをいたします。  なお公述人選定は、来る十四日正式に委員会において御決定を願いたいと考えております。この際公述人の数及び選定方法につきまして御了承を願つておきたいと思いまするが、これは議院運営委員会の意向及び諸般事情考慮いたしまして、公述人の数は二十五名以内とし、そのうち四名は一般よりの応募者とし、二十一名は委員会にて依頼することとし、なおそのほかに二十四名以内の参考人より意見を聞くことといたしたいと思います。
  5. 石原圓吉

    石原委員長 次に水産物集荷配給に関する件を議題とし、その調査を進めます。質疑を許します。なお中央経済調査庁次長奥村重正君、経済調査官國宗正義君、査察部食糧課長関口八太郎君が出席されております。一応委員長より中央経済調査庁お尋ねいたします。  だんだん年末が切迫いたしまして、漁村の金詰まり、同時に資材等の拂底による漁業経営の困難と、本年の年末、年始に対する六大都市への生鮮魚がどれだけ集まるかということについては、非常に心細く感じておるのでありす。こういう場合において、中央経済調査庁国警並びに水産庁等が連名をもつて取締り嚴重なることの予告をしたということを聞くのでありまするが、それが事実であるとすれば、ことさら困難を来している資材の上にも、金融の上にも、仕込み資金の上にも、また魚の価格の点からも、漁村としては非常な苦心をしている時期でありまして、それでなくても、漁業をやめて他へ転向しようというような傾向があるときに、いたずらに取締り嚴重なることを予告するというようなことがあつたならば、それは漁民を恐慌に陥れるおそれが十分にあるのでありまして、その結果は生産の大減退を来し、また年末、年始生鮮魚の六大都市への集荷も困難を来すと思うのであります。そういうよう状態でありまするから、少くも取締り方面方々においては、愼重愼重を重ねていただかなければならぬ時期であると思うのであります。それに対してどういう御方針を持つておられますか、また三者から取締り嚴重にするというよう通達をしたことは事実であるかどうか、そういうような点について承りたいのであります。
  6. 奥村重正

    奥村政府委員 ただいま委員長から資金の面、資材の面、その他漁業方面方々がいろいろ後苦心の際に、特別な取締り予告することはいかがなものであるか、またそういう取締り予告をしたことは、事実であるかどうかというお尋ねがございました。嚴重なる取締りと申しますると、少し私ども考えていまするところとぴつたりいたさないのでありますが、ともかくこの九月の末に水産庁国警経済調査庁者協同で、魚類の統制励行に関する通達をいたしましたことは事実でございます。この目的といたしまするところは、警察水産庁調査庁におきましてそれぞれ若干角度を異にいたしておるかと存じまするが、私自分の所管いたしておりまする経済調査庁の側に立ちまして、御説明をさせていただきたいと思うのであります。今回の取締りと申しまするか、過般の通達は、九月の末に御承知統制水産物に対しまする規則改正がございましたが、魚種の非常に大幅の制限が解けましたほか、統制の方式につきましても非常に簡素化されたわけでございます。これらの今回の改正の趣旨を、関係方面に漏れなく徹底させるということが、今回私ども通達をいたしましたまず第一の目的でございます。それから同時にそれと並行いたしまして、いわゆる行政官庁主務官庁におきまする統制励行の実状、あるいはリンク物資の流れ方、そういうものを取調べまして、この際改むべきものがございますれば、これを改める方向に推進をして行く。あるいはまた法令等に今後さらに考慮を要するというふうな点がございましたならば、それらの点につきましても検討を加えまして、それぞれの方面意見を聽取するというふうなことを主たる目的にいたしております。しかしながら昨年暮から春にかけまして、やはり水産物統制励行につきまして、いわゆる取締りを実施いたしたのであります。その経験にかんがみまして、継続してあやまちを犯しまするいわゆる悪質な関係業者というふうなものも、いまだ跡を断たないのであります。その後その行状がいかがに相なつておりまするかというふうなこともあわせて取調べました。依然として同じよう行状にあるといたしますれば、ひとつよく懇談をいたしまして今後正しい取引に協力をしていただくというふうなこともいたしたい、かように存じております。  なお正月を控えまして、魚種集荷につきましてわれわれも非常に心配をいたしておるのであります。昨年の経験に徴しますると、全国一斉にある程度のいわゆる取締りをいたしましても、ことに今年はいわゆる割当配給の対象になつておりまする魚種が非常に少うございます。正月のごちそうをにぎわすよう魚種は、大体今回統制をはずされておりますので、その辺のことも大体支障なく参ろうかような見当をつけておる次第でございます。なおただいまお話ように、いろいろ漁業関係者方面におかれましても問題の多い際でありますし、ことにいろいろ申し上げましても、ともかく正月を控えましての仕事でございます。また魚の統制が非常に大幅に外されました直後でございます。われわれこの仕事運営につきましては十分に気をつけましてその間間違いのないように、御期待に反することのないように気をつけて参りたい、かよう考えております。
  7. 田口長治郎

    田口委員 この魚の統制につきましては、いろいろな技術的な矛盾がありまして、早急に撤廃すべきものと考えておるのでございますが、いろいろな事情から、ごくわずかの種類だけ残して、大部分撤廃された、こういうよう事情になつております。その第一は、時々刻々品質が異なる。生きた魚と、腐る前の魚というものは全然価値が違う。そういうようなものを一つ価格でくくつておく、こういうような点に非常なむりがありますし、また貯蔵がきかないという点からいいまして、ただちに処置をしなければならぬ、そういうようないろいろな関係から、この魚の統制というものが技術的にむりな点があるのでございまして、これはいずれはこの統制撤廃する階段になつており、そして現在それを実行しつつある。言いかえますと、あとつておる魚もやがて統制撤廃さるべきものである、こういうふうに考えるのでございますが、この統制中の魚につきまして、われわれが考えておることは、少くとも取締りを励行するということにつきましては、このマル公との関係をよく考えなければならない、こういうことを私固く信じております。もしここに現在のマル公で、現在の一箇年間の漁獲数量でどうしても漁業経営が成り立たないという問題がありとすれば、すみやかにマル公を訂正し、少くとも漁業経営が継続できる—別に利潤の必要も何もございません。漁業経営が引続いてできる、こういうことが国民食糧の問題から申しましても、また業者の事業の安定という点から申しましても、どうしてもそこに考慮をしなければならないと考えるのであります。そういう点から私は考えまして現在いわゆる最も大衆的な魚と考えられて、引続き統制されることになつておりますところのあじ、さは漁業一つ考えてみましても、おそらく今日のさば漁業というものは、きんちやく網でやります場合は、一箇年間に二千五百万円程度の経費がなければ経営ができない、こういうよう事情にあると思います。しかるにこの一年間の收入はどうかということを、いろいろ研究してみますと、せいぜい多く見ましても、大体一千五百万円程度でないか、一箇年間の平均漁獲が十万貫にはなかなか達しないのでございますけれども、かりに十万貫と考えましても、千五百万円程度である。もし現在のマル公で全部のものを処置しなければならぬということになりますれば、結局日本さばきんちやく網というものは滅亡してしまう、この漁業が滅亡したら、どういう結果を来すかということを考えますと、日本あじさばというものは、日本いわしと同じように、大衆の食糧魚といたしましては絶対に必要なものであります。これは関東におきましてもさようでございますけれども、関西におきましも同様でございましてこの魚がないということになりますと、数量的にも品質的にも、非常な食糧的欠陥が生ずる、こういうよう事情にあります。しからば何ゆえにあじさばマル公がそういうことになつておるかということを、いろいろ研究してみますと、結局最初に魚のマル公をきめました際におきまして、御承知の通り六大都市昭和九年から十一年の平均価格をとつたのでございますが、その際に日本さばは、むしろ大部分のものが朝鮮から輸入されておつた。あの最も軽便に生産されるところの朝鮮さばが、日本にどんどん入つて来ておつた。これをもとにして六大都市さば価格ができておつた。その価格もとにして今日のマル公ができた。こういうような点から申しまして、マル公の初めの創設がノルマルの状態でなかつた最初にきめられたものが非常に低かつた。その後あじさば価格につきましては、大衆魚なるがゆえに常にマル公上り方が、ほかの種類と比べて非常に遅かつたということで、それが積り積つて結局今日のびつこのマル公になつたのじやないか、またあじさばの場合におきましては、年間生産が十万貫ということを考えて、そうしてマル公が幾らであるから一箇年間の收入はこれだけになる、こういうよう計算方法を講じますけれども、実際に漁獲状態考えてみますと、非常にたくさんのもの、少くとも六十パーセントあるいは七十パーセントというものは、ごく短時日にとれてしまう、そして長いあとの期間はごく少量ずつ魚がとれる、こういうよう漁獲状況であります。かくのごとき漁獲状況を示しまして、魚価にどう響くかといいますと、結局一時にたくさんとれるということになりますとマル公を割り、非常に値が下る、また品質もともに悪くなる、そういうような点からいいまして、一箇年間の生産は十万貫でありましても、実際に価格という点になりますと、大部分のものを安く売り、あと残つた、平均してわずかずつとれるものが普通の価格で売られるというよう実情でありまして、マル公自体の設定が非常に不合理であるばかりでなしに、漁獲実態マル公を維持するという点におきまして、非常に困難なる状況でございます。こういう点から考えまして、私らはこの取締りマル公とは密接なる関連性があり、取締ること自体において、漁業経営がどうしても成り立たないというようなものは、すみやかにマル公を上げて、マル公で販売しても漁業経営最小限度において成り立つという状態において、初めて取締りができる、こういうことを考える次第でございますが、水産庁といたしましては、このマル公を上げるということについて、いかなるお考えを持つておられますか。また経済調査庁に対しましては、いかにしても引合わないようマル公状態におきまして、はたして取締らるべきものであるかどうか、こういう点について、まず第一にお伺いいたしたいと思います。
  8. 奥田孝

    奥田説明員 ただいまの田口委員の御質問に対しまして、水産庁としてお答え申し上げます。あじさば価格が不当であるという御意見でありますが、あじさば価格の問題につきましては、水産庁といたしましても、関係業者方々からそのことについて報告を受けておりまして、まことにこれはもつともな陳情であると考えている次第であります。ただ価格の問題につきましては、物価庁所管でございまして、水産庁といたしましては、業界からの陳情物価庁に伝え、相談いたしまして、物価庁の善処を求めるということでただいまいろいろ折衝を続けている状態でございます。しかし魚価全体の水準というような問題、その他いろいろ物価庁としての立場もあるようでありまして、その点については、物価庁としても非常に苦心をしておられるのであります。物価庁立場は、のちほど物価庁の方からお答えがあると思いますが、水産庁といたしましては、このあじさば価格の問題につきましては、何とか生産者方々の言い分を通したいと思いまして、せつかく努力をしている次第でございす。
  9. 奥村重正

    奥村政府委員 調査庁に関しましてのお尋ねお答えをいたしたいと存じます。私の方といたしましても、調査を進めて参るに従いまして、現行のマル公では少し安過ぎるのではないかと感じたことが、過去においてもございますし、現在もあります。先般のマル公の引上げにつきましては、私どもの方も意見を申し上げたこともございます。また、ただいまお話がございました青物の一部につきましても、調査庁といたしましてはもう少し上げてもいいのではなかろうかという見解を持ちまして所管官庁意見を申し入れているというのが実情でございます。  それからなお、このマル公がそれでは適当でないと調査庁考えた場合、取締りはどうするかというお尋ねでございますが、私どもの方といたしましては、定められました法規その他の準則に従いまして、いわゆる査察を進めて参るわけでございます。それ以上に逸脱するわけには参りませんが、実際問題といたしまして、当該マル公が、生産費その他に比較いたしまして非情に低過ぎるというふうな実情を把握いたしました場合には、それらは十分情状として考慮すべきものであると考えております。
  10. 砂間一良

    砂間委員 経済調査庁の方に御質問いたします経済調査庁が現在の魚価漁業が十分に成立つて行き得るかとか、あるいは現在の統制機構が十分であるかというふうな、全体の経済調整の上に立つて、どこに欠陥があるかというふうなことを査察なさるのだつたらいいと思うのですが、今の経済調査庁のやつていることは、法規の端くれをつつつきまわして、そうしていたずらに罪人をつくり上げるというふうなことばかりやつているように、私どもには見受けられるのです。現在の魚価漁師経営がはたして成り立つて行くかどうか。常識で考えつてわかると思う。あんな安いマル公で、しかも漁業用資材やなんかの配給が非常に不十分である。油でも網でも米でも相当いる。そうした場合、とつて来たもの全部をルートに乗せておつたら、漁業は成り立つて行かない。その上に税金はごつそりかかつて来る。こういうふうな現在の税制機構欠陥とか、あるいは公定価格の不合理だとか、その他いろいろな欠陥が今たくさんあるわけですが、そういう点を十分御査察なさいまして、その改善の方向に向つて努力して行くことこそ、経済調査庁の本来の任務じやないかと思うのです。ところがあべこべのことをやつておる。先だつて銚子へ参りましたときも、いわしの問題なんかにつきまして、経済調査庁中央から直接出かけて行きまして、そうして何億円かの不当取引があるというので、罰金をかけるとか何とかいつているけれども、あそこでは漁師が網元から乗り子まで全部ふるえ上つておる。あるいは先だつて靜岡焼津におきましては、かつおの生節のことにつきまして業者があげられておりまして、ほとんど取引も加工もやんでおりますが、あの状態では漁業町焼津も、まつたくつぶれてしまうというようなことを言つて、みんな非常な恐怖のどん底に陥つております。これは現在の統制機構マル公資材配給なんかがまつたく不合理であつて、その結果なんですが、もうある程度やみをやらなければ生活のできないよう状態になつておる。そういう機構の間違つておるという点は、そのままにしておいて、そうして公定価格違反であるとか、あるいは何だかんだといつて、いたずらにただ法規をたてにとつてちようど検事か何かが罪人をつつつき出すようなことばかりやつておるように、私どもに見受けられるのは、はなはだ遺憾に思つておる次第であります。先ほどの委員も、いろいろマル公の問題その他について御質問がありましたけれども経済調査庁といたしましては、そういう方面に今の統制機雄欠陥を改めて行くというふうに御盡力くださいまして、いたずらにささいなことでの統制違反罪人をつくるということの方は、もつと十分考えていただきたいと思うわけであります。少し希望意見になりますけれども申し上げます。
  11. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま砂間委員からお話ように、経済調査庁政治実態をどのよう考えているかということに対して、私は非常に行き過ぎがあるのじやないかということを、常に考えているのであります。このたび閉会になつてから、この第六国会が開かれるまでの間、選挙区に帰りましたところが、一つの小さな例といたしまして、私の町に各方両からの宿屋の者を招集して、経済調査庁役人が参りまして、君らは宿泊している人々に対して、どのよう食糧供給しているか、米を持つて来ているのかと聞いた。ところが宿屋の主人、組合の者らが、実は米は各自が持つて来て、私どもの方でたいてあげているという話をしたところが、族行者外食券を持つて来る以外に、米を持つて来てたいているなどということは、法規に対する違反である。かようなことをしてはいけないのであるということを、北海道の経済調査庁役人言つているのであります。今までは税務署役人が一番恐しいものである、警察より税務署役人が恐しいというように、税金旋風によつてふるえ上つてつたものが、最近では、経済調査庁統制わく相当にはずされていることによつて仕事がなくなつたがために、かような小さいところまで食い入つてほんとうに国の政治というものを没却しているよう状態がたくさんあるのであります。さよう考え方からいつて私は砂間委員のただいまのお話に対しても、うなずかれる点がたくさんあるのじやなかろうかと考えるのであります。こういう点も十分御考慮くださつて、善処されんことを要望しておきたいと思います。  また私はこの前の委員会の当時、安本長官に対して、鮮魚統制は即時撤廃すべしという議論を申し上げたのであります。しかるにその後において現在の統制鮮魚わく相当にはずされたのであります。私はその当時、鮮魚統制撤廃になつたならば、必ず鮮魚は安くなるということを申し上げておいたのでありますが、今日は魚の価格相当高くなつているのが認められます。だがあの統制嚴重にされておつた当時と、統制のはずされた今日と、その品物鮮度の点において格段の差が見受けられるのであります。今までは統制品であるすべての鮮魚が、一貫目の魚に対しても、そのほんとう食糧となるところは五百匁しかなくて、あと配給されるものは、肥料にするとか捨ててしまうとかいうことだつたのが、今日統制撤廃されたために、鮮度が非常によくなつているということから、七百匁なり八百匁なりというものが食糧供給されるという実態になつているということを、物価庁においても調査庁においても、よく御認識あらんことを望むものであります。まだ現在十八品目というものが統制されているが、この鮮度がよくなり、実質的に価格が安くなつたという理論が成り立つことによつて当局においても、必ずや鮮魚に対する統制撤廃は、近い将来にあることと私は信じているのであります。だが、ここに私どもが最も考えなければならぬ問題は、今までの日本水産物に対する完全なる統計がなかつたということであります。この点に対する外国からの、つまり連合国からの調査、そうしたものに対して、当局はどのようにこれを説明されておるかということでありまして、この統制撤廃をされた後において、どのよう実態が起るかということであります。私どもは、日本の限られておる資材で、外国から漁業資材供給を受けなければならぬときにおいて、この水産物統計というものを完全につくり上げて行かなかつたならば、将来の供給というものに対しても、でたらめな数字になるのじやなかろうかと考えておるものであります。ゆえに業者が單なるそのときばかりの利益本位によつてどこででも取引するなどということがあつたならば、将来においてまた経済の変動において、どのよう生産者が苦しむ時代が来ないとも限らないのでありまして、現在の統制機構、つまり荷受機関に対して、相当考え方を持つて行かなければならないのでなかろうか。この点に対して水産庁及び当局においては、どのよう考えておるか。また荷受機関を尊重して、この機関を育成して行かなかつたならば—たとえば仲買制度が復活しておつても、常に仲買い各自々々によつて品物を引くときに、どのような結果を生むかということを考えるときに、市場を嚴重に守り、荷受機関の育成を考えて行かなかつたならば、将来調整が非常に紊乱する時代が来るのでなかろうかと私は考えておるものでありまして、この点に対して当局はどのよう見解を持つておられるか。つまりかつて次第にどこからでも荷受けをして、自由品であるがゆえにどこへでも売り飛ばしてもさしつかえないということを是とするのか、ないしは荷受機関を通ずることによつて仲買制度を確立し、自由競争をさしていい鮮度のものを広く消費者に対して供給する制度に持つて行くのか。この点に対して当局の御意見を承りたいと思うのであります。  また統制撤廃になつたときにおいては、現在の登録制度の弊害については、当局もよく御存じのことと思いますが、この制度撤廃する用意があるかないか、この点を承りたいと思うものであります。
  12. 奥田孝

    奥田説明員 ただいま水産関係統計がはなはだ不備であるという御意見を拜聽いたしましたが、現段階におきましてはまことにその通りでありましても、もちろん水産関係統計を整備するということは、水産庁に課せられた今後の大きな課題てあるとわれわれは考えております。そうして今後この方向に力を注いで行かなければならぬというぐあいに考えておる次第でございます。特に統制がかりに撤廃になりましたあとの流通関係の資料というものは、これまた非常に必要なわけでありまして、統制が続いておる間は、そういう流通関係の数字的な資料はある程度まとまつたものがあるのでありますが、統制撤廃になりまして、そういう資料が全然失われることになれば、今後の食糧政策上、はなはだ困つた事態になるということは、われわれも十分承知いたしておる次第であります。それで今後統制がだんだんなくなつて行きますれば、官庁の事務のウエートは、こういう調査方面にだんだんに移つて行かなければならぬというふうに私ども考えておるわけでございます。でありますから、かりに統制撤廃になりましたような場合におきましては、その水産物の出荷なり、入荷あるいは価格の動き、あるいは水産物がどういう用途に向けられておるかというような、そういう消費状況、そういうものに関する資料は、これはどうしても確実なものを常に整備しておくようにするべくわれわれは考えておる次第でございます。  それから荷受機関の育成をはかる必要があるという御質問でありますが、御質問の趣旨がちよつと理解できなかつたのでございますれば、全然統制撤廃された後の話でございまれば、この場合はこれは物の流れは自由になるのでありまして、その際にはもう官庁の方で出荷の調整をするというようなことはもちろん考えておらないのであります。—その点ちよつと御質問の趣旨がわかりませんので、もう一回御質問を承りたいと思います。
  13. 松田鐵藏

    松田委員 つまり鮮魚統制がなくなつた場合においてどのよう機関をもつて統計を維持することができるか、こういうことと、生産者経済を守つて行くために、ややもすればインチキな者らが出て来るよう状態にならないとも限らないのであります。現在荷受機関というものがあつて—つまり荷受機関であろうが、市場であろうが、また問屋であろうが、こういう制度に移りかわつてつても、それが許可制度になることはもちろんのことと思いますが、その市場なら市場、東京市場なら東京市場というものの荷受機関、問屋—名前はどのようにかわつて行くかもわかりませんが、これに対する保護を政府は與えるか、つまり仲買制度ができても仲買いは直接荷物を受入れる体制をとらず、荷受機関ないしは問屋が荷物を受入れる、体制をとつて行かなかつたならば、統計の資料というものもなくなるだろうし、—われわれは生産者でありますが、生産者はこれに対して将来の経済の行き方から行つて非常な複雑な問題になるのじやなかろうか。つまり荷受機関を育成して行くことによつて荷受機関は問屋であろうが、何であろうが、名はかわつても、それ一本、つまり荷受機関に荷物を、鮮魚の流れ方を、将来ともに任せて行くかということであります。この点であります。
  14. 奥田孝

    奥田説明員 ただいまのお話は結局統制撤廃後における中央卸売市場法のあり方についての御意見と思いますが、その中央卸売市場法を現在のままで行きますか、あるいはこれに改正を加えますかということは、ただいま青果の方と、魚の方の担当部局におきまして研究いたしておるものでございます。その際におきましては、ただいま御発言がございましたように、生産者立場消費者立場が、—卸売市場におきまして両方の利害が完全に調整されるような、そういう合理的な市場組織にしようということで、ただいまわれわれの方でいろいろ研究をいたしておる次第でございます。結局生産者立場を代表いたしますものは市場における荷受け機関—これは現在におきましては卸売人というようなことになつておりますが、それが生産者の利害を代表する。それから消費者側の利害の代表者といたしましては、仲買入なり小売人がおるわけでありまして、この卸売人と仲買人、小売人との間の取引が公正に行われるというところに、水産物の消費都市における需給の調整が完全に行われる、そういうことが達せられるわけでございますので、そういうようにするには卸売人がいかなる者であるべきか、また仲買人はいかなる者であるべきかというようなことも考え合せまして、ただいまいろいろ研究いたしておる次第であります。
  15. 松田鐵藏

    松田委員 わかりました。けつこうです。
  16. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 各委員からの質問に対して政府の答弁がまことにだらしがない。どこをつかむかさつぱりわけがわからぬ。私は今こういうことを伺いたいのであります。過般本委員会において漁業資材の補給金打切りの問題で私は大蔵大臣に質問したことがあります。そのとき大蔵大臣は、締給金打切りはどうしてもやらなければならぬ。だが魚類の統制撤廃とにらみ合して、業者の営業の立ち行くようにしたいという答弁がありました。統制撤廃ということはもう絶対的な問題であると思います。この時期は大体いつごろをねらつておるのか、それをまずひとつお伺いしたい。それからこの問題に関連して、物価庁から各地方に、この補給金の打切りの際に、漁業経営はどういう状態になるか、今まではどういうよう状態であつたのか、これを調査に行つておるはずであります。その結果はどういうよう調査が求められたか、これをまずお伺いしたい。それからもう一つ統制の一部撤廃になつたこと、まあこれは緩和とでも申しましようか、その理由と根拠をお伺いしたい。それで結果においてどうなつておるか、それをお伺いしたい。統制の残されたものは強化するということであれば、それは産地も消費地も同一な扱いにしなければならぬと思います。それで今の取締りという方法については、産地に重点を置いておるか、消費地に重点を置いておるか、これをお伺いしたい。
  17. 坂本實

    ○坂本政府委員 鮮魚介の統制撤廃の時期についてのお尋ねであつたかと思うのでありますが、われわれの考え方といたしましても、鮮魚介の統制につきましては、従来いろいろと苦心をいたしまして、手段、方法にもいろいろの改正を加えて参つたのでありまするが、なかなかその実効をあげることは困難なのでありまして、今日といえどもいろいろ不十分な点もあろうかと思います。過般実はこの統制の要綱につきまして一部を改正いたしたのでありまするが、これも今申しまするように、極力ひとつ今までの不備欠陥を補いまして、完全なものにしたい、かように実は考え、同時にまたその品種におきましても制限をいたしまして、整備を加えたような次第であります。今回の昭和二十四年の補正予算、あるいはまた明年度の本予算の編成にあたりまして、補給金の問題が大きく取上げられましたことは、皆様御承知の通りであります。ことに漁業資材につきましては、農林省といたしましても、極力ひとつこれを存続するという方向で、実は考えて参つたのでありますが、遺憾ながら十二月をもつて打切られるということに相なつたのであります。かように補給金が打切られるということになりますれば、自然漁業者の経営という面につきましても大きな痛手が来るのでありまして、経営につきましても、いろいろ御苦心もあろうかと思うのであります。そのために統制撤廃いたしますことが、必ずしも補給金を削減いたしましたことと見合うとは考えませんが、しかしながらそれも漁業家の経営を安定させまする一つの方法であろう、こう実は考えまして、一応統制撤廃の目標で今研究をいたしているのであります。いろいろ統制撤廃いたします時期でありますとか、方法とかにつきましては、なるべく業界に無用の混乱が来ないよう考えて行かなければならないと思うのであります。実は水産庁におきましてもいろいろ研究をいたし、また関係方面の意向も打診をいたしているのでありまして、できるだけ早い機会にとは思いますが、いろいろな諸般事情もありまして、ただいまいつ何時統制撤廃するということを、ここに明らかに申し上げかねるのでありますが、われわれの考え方といたしましては、今申します通り、なるべく早い機会にという心組で、実は用意もいたしているのであります。時期につきましては明確にただいま申し上げる段階ではないかと思いますので、御了承願います。
  18. 北原恒造

    ○北原説明員 物価庁におきまして、九月に十日間ばかり各地をまわりまして調査をいたしたのでありますが、漁業というものは各種各様の、多種類漁業がありまして、全般について調査ということは非常に困難であります。特に以西の底びき、以東の底びき、いわしあぐりといつたようなものを選びまして調査したのでありますが、それにつきましても全体を見るわけに行かないので、特定の業者を選ぶ、そういつたような方法で調査いたしたのであります。これによつても全体を律することはできないのでありますが、それによつて見ましても、ある漁業の特定の業者は非常に有利な状態であるということ、またいわしあぐりにしましても、長崎のいわしあぐりと、関東方面いわしあぐりが非常に違うというようなことがはつきりわかつたのであります。そこにおきましても、マル公というものの不合理ということも十分にわかつたのでありまして、その点一つの線によつて画されたマル公というものが、各地におきまして、また時期におきまして、いろいろな矛盾をはらんでいるわけであります。それから補給金が撤廃されたらどうなるかというようなことにつきまして、特に調べたのでありますが、これもその漁業経営者、また漁業種類によりまして非常な差異があり、特に有利に経営している業者につきましては、資材のストックもできるし、多角経営とかいろんな方法によりまして、資材を有無相通じまして、たちまち困るようなことがないといつたよう状態にあるのでありますが、不利な業者におきましては、補給金の問題にかかわらず、現在におきましてもマル公による資材の入手が非常に困難であるといつたよう状態にありまして、これは單にマル公を値上げするだけによつては解決できないといつたような点が考えられた次第であります。また各地の魚価についても調査したのでありますが、これもその土地土地におきまして非常な差異があり、また同じ魚におきましても、その魚が常にマル公を割つておるといつたよう状態でなく、ある時期にはマル公以上の価値がある、ある時期ある場所においてはマル公を割つておるというよう状態でありまして、全体的にどうだと言つたような線は出ていないのであります。またその調査は、今回統制の品目が廃止されまして十八品目になつたのでありますが、その将来の動きいかんということが非常に大きな問題でありまして、今回調査しましたのは、統制品目が一部廃止の前の調査でありますので、今後におきまして、その統制品目の残つたものの動き、また廃止された品目の動きといつたもののいかんによりまして、統制の存続の可否またはその撤廃の時期といつたものを見通さなければならぬと思いまして、なお今後もそういつた魚価の動きといつたものにつきましては調査すべく、各地方機関ないしわれわれも調査に当つている次第であります。
  19. 奥村重正

    奥村政府委員 それでは夏堀さんの最後に御質問のあつた点についてお答え申し上げます。統制一部撤廃の理由、その結果についてお尋ねがございましたが、これは大体昨年の夏ごろと思いますが、その時分から大消費都市への水産物の出まわりが非常に好転して参りました。そのほか一般の購買力が低下するというような事態に相なりまして、消費都市におきましては、小売商のいわゆる拒否の問題が相当大きく現われて参つたわけであります。これは何を示すかと申しますと、結局相当水産物の出まわりがよくなりましたために、従来戰時中から続けておりました数量本位の統制が、もはや限界に来たことを示すものであつて、この際数量本位の統制から、もつと魚の商品価値を取入れました統制に転換する必要があるということを示したものだと、われわれは考えた次第であります。そこで従来からやつておりました統制方式について、改正を加える必要を痛感した次第でございます。しかしながら一挙に統制撤廃するということも、この席上で安本、またわれわれの方からたびたび御説明申し上げましたように、現段階におきましては、一挙に全部の魚の統制撤廃する段階ではないという認識のもとに、この際とにかく統制の必要のなくなつたものから統制をはずしまして、できるだけ統制を簡素にいたしまして、しかも残つた魚につきましては、従来の統制方式にあります不合理の点を改正いたしまして、できるだけ合理的な統制方法をとつてつて行こう、こういうようなことから今度の統制改善、すなわち統制の一部撤廃を行つた次第であります。  それではどういうものを統制撤廃の対象にしたかというこの選定の基準でございますが、これは需給関係が安定しておるものとか、あるいは家庭配給として適当でないものとか、あるいは嗜好品的色彩の強いもの、こういうものを選びまして撤廃をいたし、本当に大衆が喜んで消費する大衆魚だけを選びまして、統制を存続した次第でございます。そうしてはずす一つの目度といたしましては、大体従来大消費都市に入荷しておりました統制水産物の、大体五十パーセントというところで線を引きまして、統制存続の魚種を選んだわけであります。もつともそういう大体の方針で選んだわけでございますが、皆さんすでに御承知と思いますが、中にはややおかしなものも残つておるのは事実でございます。われわれといたしましては、大体今申し上げましたような線で、魚の種類を選んだわけでございます。  それから一部撤廃いたしましたその結果でありますが、これは統制撤廃いたしましてまだ半月でございますので、私どもの方へ明確な資料は集まつておりませんが、ただいろいろ断片的に入つた情報によりますと、ただいまのある委員から御指摘がありましたように、非常に鮮度がよくなつておるというような点、それからこれは統制撤廃した御趣旨に沿うようなものかもしれませんが、ある魚種については、とたんに従来の価格の二倍、三倍に値のはね上つたものもございます。しかしそういうものも二、三日後にはだんだん価格がおちついているというようなことも、われわれの方で承知いたしておるわけであります。  それで統制撤廃いたしました魚の鮮度のぐあい、あるいは入荷のぐあい、あるいは価格の動き、特に価格の動き等につきましては、今後この水産物統制を次の段階に進めます際の、非常に有力な参考資料となるものとわれわれは考えますので、非常な関心を持つてこれらの点をただいま見守つておる次第でございますので、そういう点についてここで御報告申し上げるだけの資料を持ち合わせませんが、これはただいまいろいろ調査いたしておりますので、まとまり次第また御報告申し上げたいと思います。
  20. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 ただいまの答弁に対しては不満足であります。まず統制撤廃の時期と資材とのにらみ合せの関係、これは物価庁方々がただ抽象的に申されておりますが、各産地を調査して、あぐりあるいは底びき、これがたとえば二倍に資材が上つた際に経営ができるかできないか、経費がどのくらいに膨脹するかどうか、それを聞こうとするのであります。九月の調査と言われたのは、十月の誤りです。十月にちようど私がここで大蔵大臣に質問して、その直後行つておるので、これに関連性があるのではないかと考えて注目しておつたのですが、まだそれだけの資料が整つておらぬようでありますから、資料が整つてから明確に御答弁願いたいと思います。
  21. 石原圓吉

    石原委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  22. 石原圓吉

    石原委員長 それでは速記を始めます。  鈴木君にお諮りいたします。あとに小委員会もありますし、多数の諸君も陳情に来ているので、あなたの質問あとに願います。
  23. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 承知しました。
  24. 石原圓吉

    石原委員長 ではお諮りいたします。日本旋網漁業協会長春日信市君ほか六名より、旋網漁業許可方針の確立に関する件、漁業用資材価格差補給金に関する件、漁業に対する課税の改善に関する件、漁業金融に関する件、漁船法並びに漁船船員の船員法の制定に関する件、魚族資源の維持培養に関する件、水産省設置に関する件、以上の請願が出ております。これに対して多数の漁業関係者方々がお見えになつておりますから、委員会散会後その陳情の要旨を承りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 石原圓吉

    石原委員長 ではさようとりはからいます。  それでは委員会はこれで散会したいと思いますが、そこで一つお諮りします。奧村又十郎君を漁業法案、同施行法案の小委員に加えることに対して御同意を得たいのでありますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 石原圓吉

    石原委員長 さよう決定します。これにて委員会は散会いたします。     午後三時三十二分散会