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1949-11-19 第6回国会 衆議院 図書館運営委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十九日(土曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 水谷  昇君       尾関 義一君    木村 公平君       千賀 康治君    多田  勇君       圓谷 光衞君    渡部 義通君  委員外出席者         国立国会図書館         長       金森徳次郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国立国会図書運営経過報告聽取  国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程  案に関する件  国立国会図書館法による出版物の納入に関する  規程に関する件     —————————————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより会議を開きます。  前回に引き続き、図書館側運営経過報告の質疑を続行いたします。多田勇君。
  3. 多田勇

    多田委員 一昨日の委員会における、館長さんからの御説明を総合いたしますと、ただいまいただきました中国大事月表出版については、その目的は過去五年ばかりの間に、中国に起つた事実の一覧表を持つていて、かつこれを今後の調査に活用するという点と、極秘扱いとしたことは、その内容が今日の国際情勢のもとにおいては、外部に出し得ないようなものが含まれておるということでありますが、そうしますと、この出版物は、再三館長が言われております通り、その盛られておる内容が事実であるという認定のもとに出版され、かつ国際情勢から外部に出すことは芳しくないということで、外部に出さなかつたということに、了承してよろしいかどうか。要するにその内容が事実であるという認定図書館側が下して、しこうしてその事実に基づいて、今後の調査資料に活用するという考え方で、この印刷物がつくられたものであるかどうかという点について、ご説明願いたいと思います。
  4. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 私の方がその年表を翻訳いたしましたのは、かようなことが外国新聞の中に載せられておるということを翻訳するのが目的でありまして、中身が真実であるということは必ずしも信じてはおりません。その趣旨は、この翻訳しましたものを刷りましたときり前文の中にも書いてありまして、これは特殊な見方からできておるものであるがゆえに、読む人に注意をしてもらいたいということを喚起しておいたわけであります。だから事実につきましての真否は、毫末も承認しておるわけではございません。後攻の事務的の検知からということは御説の通りであります。
  5. 多田勇

    多田委員 そういたしますと、この印刷物をつくられたということは、今後の調査資料にするということであつて、その事実であるかどうかということの認定については、責任を持ち得ないということであります。その盛られておる内容が、私まだ拝見しておりませんのでわかりませんが、一昨日の説明では、現在の国際情勢から外部にでることは芳しくないというようなご意見でございますが、どのような事実から、今日の国際情勢から外部に出ることが芳ばしくないという考え方が生れたか。その内容について具体的にご説明いただきたいと思います。
  6. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 大体これは年表を翻訳しただけでありまするから、全体から申しますれば、もののインデックス、新聞記事を利用いたしまする上の索引という意味を持つております。これに類似いたしまするものは、外務省でも年表のようなものが、別の見地からできておるものがありまするけどども、それと相対比いたしまして、必ずしもねらいどころは一致しておりません。そこでまあ特殊な資料を広く用いまするために翻訳したのでありまするが、何しろ広範に五年間にわたりまするものであつて一つ一つを非常に正確に検討することはできませんけれども、大体ここの中に注意を要する点が、五つくらいあるのではなかろうかと思つております。その五つと申しまするのは、そのうちの四つは、中国側から見て、米国の態度が資本主義的、帝国主義的である、こういう言葉を漏らしている点であります。この四つの点は現在は日本でも、中国の人がそういうことを言つたというような記事は、割合に広く印刷に載つておるものでありまして、これほ議論はあるかもしれませんが、格別世の中を刺激するものではないと、すべての人が慢性に耳にしておりまして、おのずから批判力を持つて折るから、それは正確に言つたときにどうなるかしりませんけれども、一応はそう大した影響を持つものではなかろうと私は考えております。これは外務省等出版物にも、たとえば毛沢東の書きました、かなりはげしい論文を盛り込んだものを、活版印刷に付しておりますところと対比いたしまして、さように考えております。ただ一つだけ一九四六年の十二月二十四日の記事といたしまして、三十八ページのまん中どころにあたるところであります。この中におきましては、事実の有無は全然私どもにはわかりませんけれども、幾分右と違いまして、ある行為があるところで行われたということにつきましての講義を主張しておる、こういう点がございまして、この点はこれが世の中に、ごく狭い館長調査範囲を出でて出ますることは、決して好ましい結果を持たないと思いまして、特にその点に着想いたしまして、これの外に出ることを私が抑制したわけであります。他の今先に申しました四つの点は、今の問題が解決いたしますと、四つの点は、はたしてそれが外に出すことの真否を決するものであるかどうかということまで、深く探求する必要を考えなかつたのであります。
  7. 多田勇

    多田委員 この出版物は、私どもの聞いておる範囲では、館長も加わつて出版するときに相談にあずかつたということでございますし、その内容についても、大体現在の国際情勢から、中国で発行されておる新聞が、どのような報道をするかということについては、館長も十分ご承知のことだと思うのであります。それを不用意にこういつた出版物をした。そしてその後内容を検討した結果、芳しくないということで、部外極秘扱いにしたというようなことでございますが、そういたしますと、ただいま言われました一点以外については、大体今日の言論界では、当然出版されてさしつかえないものであるというご見解のようであります。そこでそれほどの——單にこの一点だけを除けば、別に大した問題になる点はないというお話でございましたが、そうしますと、その点だけを除いて、当初の目的通り、この出版物を、今後の支那問題調査資料に活用するということで取扱つてもよかつたのではないか。この出版物全体についで、部外に持ち出せないような取扱いをするということは、幾分行き過ぎではなかつたかというようなことを感じられるのであります。しかしまだ私読んでおりませんが、大体この出版物を通じて、幾分アメリカに対する批判が載つておるということは隠せない事実だろうと思うのであります。そこでこの出版物全体を通じて、プレスコードに抵触しないかどうか、それに対する館長見解をお伺いいたしたいと思うのであります。
  8. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 これは当初から、出版物として発行するという意味、言いかえますと不定多数の人にこれを交付するという意思は毛頭持つておりませんでした。これはもとより私どもの職分を盡しまする上の内部と申しますか、ごく狭い範囲調査目的でありまするがゆえに、出版物にする意思はなかつたわけでありまして、プレス・ロードとの関係を生ずることは全然意図しておりませんでした。この点が何か私ども態度の中に、まだ説明の不十分なものが含まれておるように考えられますが、事実を客観描写いたしまするとき、私どもの方で始終外国新聞、雑誌を精密に研究いたしまして、できるだけとつさの場合の調査に応じなければならぬし、また恒久的な調査に応じなければならぬというわけで、関係しておる部局におきまして事務上必要なものを翻訳した。これが根本の建前でございます。でありますから、その部局でに、部局相当責任者たちが集まり、これを会議しておつたのであります。しかしながら私はそれにつきましては、最後の段階までは知りませんでした。これが一応謄写印刷されまして、しかる後にこれを通常方法で扱うべきものかどうかということにつきまして、私が意見を求められたわけであります。そこでこれを読んで見ますと、一昨日も申しましたが、研究者研究立場というものを考えて、これを作製いたしましたけれども、私の立場から見ますれば、これを流布するに近いような結果を生じますることはよくない。どこがよくないかと言うと、その主観点は今申しました点であります。従つて外には出さない。そのほかになお第一点だけであつて、そのほかには懸念すべき点がないかということになりますれば、これはよほど慎重の考究をしなければなりません。第一点においてこれを外に出す必要がないということから、他の四つの点につきましては、深く探求しなかつた。それでとどめたのであります。これがプレスコードに違反するかどうかということは、つまりプレスコード言葉が、なかなか内容が深く解釈の中も広いものでありまするから、今にわかにここでどうであるという判定はできません。私の方としてはむしろ注意をして、その範囲が、どんなことであつても起ることのないような用心をした。だからかかるか、かからぬかということは、今りところちよつと申し上げかねるわけであります。
  9. 多田勇

    多田委員 そうしますと、館長の必要なるご注意によつて、外に出さずに内部的なものとして取扱いをされた。たまたま外部に三部搬出されたために問題となつたというようなご説明でございますが、そのほかに外部取扱い注意のものを出したということは、これは内部的な問題であるますが、この出版について事務総長から直接の何かお話がなかつたかどうか。あるいはまた館長から委員長に対して、何かこの問題についてお話がなかつたかどうか。その点について館長並びに委員長からお答え願いたいと思います。
  10. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 その点は何かの話ということでありまするが、そういう種類の謄写版印刷ができておるということについて、意見を求められたことはあります。
  11. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 私からお答えいたします。私には休会明け当初に軽い座談の意味でこの話がございまして、ただいま館長からお話のあつたようないきさつの概要を聞いたことがあります。
  12. 多田勇

    多田委員 ただいま館長は、何かのついでに事務館長からその出版物の話が出て、説明を求められたというお話でありますが、私どもの聞いておる範囲では、この問題について、わざわざ事務総長から話があつたというように聞いております。そこで話のあつた点、あるいはその取扱いについてはこれは別に取上げて、これ以上追求する問題ではないのでありますが、何かのついでに話があつたというようなことになりますと、実は職員館長もご説明の中に、千賀委員質問に対して、二十四部だけこの出版物をつくつたという御説明がございましたので、あとで私が質問しましたら、それは二十四部つくつたのではない。二十四部配布したのである。百四十九部つくつたのでもあるというように話をごまかされておるのであります。これは私も千賀さんの質問のときに二十四部配布したか、あるいに二十四部つくつたか、その言葉はつきりつかんでおりませんでしたので、それ以上追求いたしませんでしたけれども速記にははつきり二十四部つくつたということが書かれているのであります。そこでなぜ最初から百四十九部つくつたならつくつたというように説明されないか。その腹の中にはある程度でできれば委員会委員を納得させるといいますか、話をつけるといいますか、そういつた意図が多分にあつたろうと私どもは考えたのであります。従来からの委員会館長答弁を聞きますと、何かわれわれが訓示を承つておるというような感じを非常に持つておりますし、かつまた答弁の話の持つて生き方につきましても、何かむりやりに納得しなければならないというような点があつたように感ずるのであります。昨日の委員会でも今申しましたように、部数の問題につきましても、そういう考え方があるし、そういつた言葉のあやがありましたし、今また事務総長との話の間に、そういう点の行き違いがあるように私どもは考えておりますので、こういうた図書館側委員会に対する考え方というものは、根本的に直していただいて、いま少し図書館運営委員会というもののあり方を、はつきり認識していただくと同時に、少くとも国権の最高期間である国会図書館運営委員会に対して、いま少しの誠意と熱意を持つていただくことを、私どもは要求いたしたいのであります。それに対しまして館長運営委員会に対する考え方を、はつきりとこの際承つておきたいと思うのであります。
  13. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 意外なことを伺いますが、私に一昨日二十四部印刷したということは、私の記憶が正しいならば、絶対にさようなことは申した覚えはございません。速記がいかになつておりますか知りませんが、前後の関係におきまして、私はそういうものの配布をさしとめて、二十四部だけが中の職員に入れている。こう申しましたが、私の言葉にそこに行き違いがあつたといたしましても、事実におきましては相当多数が印刷せられて、その中の二十四部だけが配付せられているという趣旨——言葉はいかようでありましたとしても、そういうふうの意味に理解できるのではなかろうかと私は考えます。実はここで申し上げるのは多少不適当ではありますが、私どもの方では種々なる関係から、この問題についての内容調査のようなことを求められておりまして、そういう場合にはつきり申し上げておりますので、ここで委員の方にうそをつくなどということは絶対に私としてはございません。そのほかのいろいろのご注意の点は、私どもみずから湛えておる。故意に何か御了解を売るようなあやしげな説明をしたとは思つておりません。御注意趣旨は十分拝承いたしまして、今までも委員会を尊重しておりまするが、なお尊重する方向には、やぶさかでないと考えております。
  14. 多田勇

    多田委員 館長から意外なことを聞くというお言葉でございましたが、むしろこちらからそういうお言葉館長に対して差上げたいと思うのであります。一昨日の委員会速記録には、はつきりと二十四部だけつくつてつたこれが事実の実態でございますということを、はつきりとのべておられるのであります。実際問題からしますと、大体了解願えるだろうというお言葉でございますが、われわれの聞いておる範囲では、三百つくつたということを聞いておりますが、かりに百四十九部つくつたにいたしましても、千賀委員最初質問のときに、なぜ百四十九部つくられて、そのうち二十四部だけ番号を明らかにして館員に配られたということを言われなかつたか。その言われなかつたということは、二十四部だけ印刷して、ほんとうの事務用につくつたりだというごまかしで委員会を通そうというような底意があつたと、われわれは認定せざるを得ないのであります。現に一昨日の委員会で、館長に配られた出版物が、一連番号で一番から二十四番まで配られたというように私は聞いておるのでありますが、私どもただいま配布していただきました出版物は、私のところに参つておるのが六番であります。そうしますと、館長言葉を一体どこまで信用していいのか、單にこれだけの問題なしに、今日までの図書館運営全般の問題について、われわれは再検討をしなければならないというふうに考えざるを得ないのでございます。  そこで委員長にお尋ねいたしたいのでありますが、図書館運営につきまして、図書館側から常時委員長連絡があつたかどうか、この点について委員長にお伺いいたしたいと思うのであります。たとえば予算をつくるにいたしましても、両院委員会において議長に勧告するという取扱いをいたしておるのでありまして、図書館予算をつくるとつきましては、図書館側がつくるというよりも、むしろ委員会が原案をつくつて議長に要求するというような行き方をとるべきだろうと考えておるのでありますが、今日まで当委員会に出されました予算内容を見ますと、図書館側がつくられて、その間委員長との間に、予算の立て方その他について十分連絡がついて、委員長委員会を代表して館長話合いを進めておつたのかどうかという点、あるいはまた前の東亜研究所政治経済研究所から、約七十万円の漢籍を、昨年の末に買われたそうであります。そのために今年の一月から三月までの間に、新着書を購入することが出来なかつたというような話を私どもは聞いておるのでありますが、この東亜研究所漢籍につきましては、衆議院委員会におきまして、これを購入するかどうかの問題を取上げて検討した際に、保留になつてつたのであります。従いまして、委員会で問題になつておらなかつた書簡であれば、私は申し上げませんけれども委員会で購入することを保留になつてつた書籍を購入されたということについて、委員長はそれに対して了承したのかどうかといつた点、あるいはまた本日の委員会にも規程が提案されておりますが、これらの規程はすべて委員会承認を必要とするのであります。ももろん事後承認でもよろしいのでありますが、委員会承認を必要とするということは、すなわち図書館のいろいろな規程をつくるについては、委員会に大きな責任を負わされているということになるのであります。従いまして、かりに法律的には事後承諾の形式をとることはさしつかえないのでありまするけれども事後承諾をとるにいたしましても、これらの諸規定をつくる際には、委員長連絡して、委員長との間の話合いの上で、これらの諸規程をつくつておられるかどうか、あるいはまた委員会に出してないいろいろな内規があるようでありますが、これらの内規についても、委員会に出すべき性質のものであるかどうか。その規程については委員長は相段にあずかつているかどうか。これらの点について委員長から御答弁願いたいと思います。
  15. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ただいまの多田さんの御質問に対してお答えをいたします。第一点の図書館から委員会並びに委員長連絡が常時あるかという問題でございますが、国会開会中は常に緊密な連絡がございまして、いろいろ承りもし、またこちらの希望などを申し上げてもおります。しかし休会中は、重要な問題もない関係と存じますが、ほとんどございません。それから第二点の予算の件でございますが、昨年度における予算に対してに、数字をあげての御説明あるいは御連絡もありましたが、この二十五年度予算に対しましては、何らの御相談連絡もありません。それから東亜研究所の問題につきましては、これは前にそういう漢籍を買うにあたつて相談があり、保留されておつたという御説もありましたが、私はまだそれを聞いておりません。従つて購入なさる場合も何らの相談を受けておりません。それから諸規定承認並びに内規に対する相談でありますが本委員会にかけられた諸規定は、いずれも承認を求められ、皆さんにお諮りしてご承認を願つているわけでございます。それから内規はどんな内規があるか存じませんが、委員会にかけられたもの以外は相談を受けておりません。以上お答えいたします。
  16. 多田勇

    多田委員 どうも図書館側委員会側との連絡が緊密に行つていない、あるいは一部の委員の間には、緊密に行つているものもあるかもしれませんけれども、総体的に見て委員長との間の連絡すら緊密に行つていないという点については、私どもとしては相当大きく問題を取上げなければならないと思うのであります。予算の問題にいたしましても、委員会相談を受け、委員会が積極的に働きかけることによつて、現在のような図書購入費がわずか一〇%前後というような、図書館運営が困難になるという予算のつくり方を、なお一層改めることができただろう、私どもはこう考えておるのであります。なおまた図書館建設につきまして、建設委員会をつくり、そうして建設委員会と別個に事務国を設けて図書館建設をするという問題につきましても、大蔵省から予算をもらえないということだけで、荏苒今日までも日を延ばしているような状態、これももつと積極的に活動すべきではなかつたかどうか、こういつた問題もあろうと思います。  次にこれ以上館長にお伺いしましても、館長の非常に明快な御答弁を聞くだけでむだであると思いますけれども、いま一点最後にお伺いいたしたい点は、上野図書館合併の問題ございまして、この合併後の取扱い方法を、どういうようにされておるかという点と、教職バージ人たち一般図書館職員になることはできないはずでありますけれども国立国会図書館限つて教職パージ人たち職員になることができるのか、これについてお伺いいたしたいと思います。
  17. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 いろいろ私の申し上げましたことについて、議論を生じましたことは恐縮いたしますが、先の二十四部云々ということは、実際言葉がどうでありましたか、しばらく別の問題といたしまして、前から委員の中野ある方には、その事情を——刷つて配布した数のことは申し上げておりますので、私がここで委員会に対して何か虚僞のことを言おうと思つた趣旨でないということだけは、ご了承願いたいと思います。  それから上野のことにつきましては、合併いたしましたのがことしの四月一日でありましたが、従来上野国立国会図書館とは、非常に流議が違つておりますし、中にあります書物や設備も非常に違つておりますので、何とかしてある程度まで一つの方針として持つて生きたいというふうに考えております。従つて種々努力はいたしておりますけれども予算問題等につきまして従来の形が決まつておりますために、大蔵省の十分の同意も得られませんので、今できるだけの努力をしておりまして、さしあたり向うにあります書物が多過ぎて十分活動ができぬために、書物相当分量をわきへ動かして、あすこがもつとなだらかな活動ができるようにするというふうに考えております。予算の点は従前のものよりも相当分量はふやしております。けれども理想的でないことはもとよりであります。  次にページの問題でありますが、これは当時文部省側相談をいたしまして、あの教職員バージ図書館長に大して当てはまるのは、限られたる図書館だけである。それは国立国会図書館にはあてはめる趣旨はない、こういう関係者意見を聞きましたが、出ておりまする法規にあてはめて見ればその通りであります。それから向うの側の了解と申しますか、その説明をも開きましてそれで大体よろしかろう。しかしそれは極力注意をしておりまして、新しくとるという方面におきましては、十分歩調をそろえるようにしております。ただ従来の継続しております関係からいろいろの事情がありまして、図書館職員は新しくとつたのではなくて、従来両院の方に出ておりますような関係、そのほか種々なる関係におきまして一、二人は残つており、また入つております。けれども法規には違反をいたしませんし、文部省側関係者とも了解をつけておりますし、また実際の運用におきまして、そういう人が通常図書館業務には携わらない、学問研究方向に関与する、こういうような形でやつておるわけであります。
  18. 多田勇

    多田委員 ただいまの答弁でお伺いしたいのですが、どうも一般図書館ではそういつた人を使用してはいかぬ、国立国会図書館にに限つてさしつかえないというあちら側のご意見だそうでございますが、これはいつごろあちら側に相談され、どういう人に相談されて、どういうご意見であつたか、はつきりお伺いしたいと思います。  先ほど委員長質問しました問題に関連して、館長からも政治経済研究所漢籍を購入した点、あるいは委員長との連絡の点について、まだ館長からはつきりしたお話をお伺いしておりませんので、委員会に対する館長の御信念についてお伺いいたしたい。それは先ほど委員長質問したときに申し上げました点だけではなしに、国立国会図書館が、創立以来図書館側委員会を無視して来た傾向が多分にあつた。たとえばある人事の問題にしましても、衆議院の本会議で、圓谷委員から当時の松岡議長にただされました点、あるいはそのころの衆議院委員会で、正式に委員会としての決議をいたしておるような点を蹂躙されたというような事実もあるのであります。そこで今後こういつた形で図書館委員会が存在することは、国立国会図書館の今後に、あらゆる面で非常に支障を生ずる危険性がありますので、そういつたことのないように、この際委員会図書館との関係委員会に対する館長態度、そういつたものをはつきり示していただきたい。そしてわれわれはそれに対してどういうような態度をとるかという点について、はつきりわれわれの態度をきめて行かなければならないと思うのであります。  それからもう一つ、ただいま配布になりました出版物は返してほしいという話でございましたが、図書館の館員には配布して委員会委員には配布できないというような意味にとれますと、どうもやはり委員会との関係も芳ぱしくなくなると思いますし、われわれも今後どういうような形に進展するかわかりませんけれども、これらの問題につきましても、なるべくわれわれの範囲内で私たちの態度をきめて行くためにも、ただいま配布になりました出版物を、われわれ委員に配布することを要求いたします。これで私の質問を終りますが、ただいまの質問に対する館長の御答弁をお願いいたします。
  19. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 第一に当館が漢籍を買うことについて、委員会において議論があつたということは、実は私了知しておりませんでした。あるいはあつたかもしれませんが、私ども関係するようになりましてからは、そういうことがございませんでした。そしてただ問題になつたと聞いておりますのは、あそこの持つておりましたイギリスの議会の記録、多分数百冊と思つておりましたが、それを買うことにつきましては議論がありまして、それは懸案になり、騒動問題を残しておつたということは聞いておりましたから、そのものにつきましては、全然手をつけたことはございません。ただ漢籍だけの範囲につきましては、あるいは問題が私の知らない範囲にあつたかもしれませんけれども、私どもいろいろ事務の過去の分担も聞いておりましたが、実はそれを聞いていなかつたわけであります。そしてそれが私の方の持つておりまする漢籍と合せますると、やや完備したものになるということのために買受けたわけであります。それ以外の他意はありません。  それからこまかい規程につきまして、一々委員会にご相談をするという問題はあまりやつておりません。しかしそのこまかい規程と申しまするのは、たとえば職員の勤務時間を、何時から何時にするというような問題が一つであります。これはもとより国会の方の人事上の監督を受けておりますので、両院議長承認を受けてやつております。それからまた、図書館の閲覧者にどういうような取扱いをするか、つまり閲覧内部の規程というようなことは、館長独自の範囲に属すると思つてつておりまして、まだ委員会に御相談をしておりません。そのほかの大きい問題、たとえばある種の、少い、目ぼしいかたまりの図書の管轄をするとかいうような問題につきましては、従来もおさしずを受けておりましたし、今後ももとよりおさしずを受け、御相談を申し上げて、そこに隔意のない手続をとるというように考えております。それから今の図書館の中に教職関係のパーヅの人を入れていいかどうかという問題につきましては、これはこの図書館ができまする当時、衆議院、参議院の大体これと同じような仕事をしておられました人をそのまま踏襲いたしましたので、その中に若干の人が加わつてつた。これは事実であります。しかしその当時は漫然と、私注意不十分であつたかもわかりませんが、国会図書館には、従来もパージの規程はあてはまつていなかつたから、それが新しく面目を改めても、あてはまらないだろうと思つておりました。そのうちにだんだんこまかく規程を見て行きますと、そこに問題があるので、文部省に問い合わせましたのが、今正確に時期を覚えておりませんけれども、昨年の六月ごろでありました。行つて向うのこまかい規程——それは閣令、省令のようなものでできておる規程でありまして、それにあてはみてさしつかえないということを理解いたしました。それからこれは私直接に文部省と交渉いたしませんでしたけれども、文部省の関係課に聞いてもらいましたら、その規程を拡張する考えは、現在のところ持つていないということでありましたがために、まず一応安心をして、ただそれからは用心として、普通の公共図書館に類似したような仕事をする部門には、その人を配置しないという方針をとつてつて来たわけであります。具体的にだれに交渉したかは、これは事実の相談でありまするから、向うのそのことを担任しておる人とは思つておりましたが、今私記憶しておりません。必要に応じましては調査をしてお答えをしたいと思います。  図書館図書館運営委員会との間に、非常に何か意思連絡が切れたということは、これはまことに恐縮であります。私はもはそういう考えは毛頭持つておりませんでしたけれども、急ぐ場合もあり、事の軽微な場合もあり、どの変までを御指示を受けるかということにつきましては、始終注意をしております。  予算につきましては、今年の予算は実は失敗であります。と申しまするのは突如として——私どもの方から考えますると、急に多くの予算資料及び計画を出せと言われましたので、どうも間に合いかねまして、実際のところは大蔵省等の関係もありまして、委員及び委員長の方に、大騒ぎして、そのときに援助を求めようと思つてやりかけたのでありますけれども、なかなか所在の遠隔等のために、その道に出ることができませんでした。これに私どもの手順のとり方が悪かつたとこういうふうに考えております。  それから最後図書館の人事につきまして、当初衆議院、参議院との間にいろいろの交渉があり、その依頼をいかにするかということにつきまして、私が今弁明をもとめられておるのでありますが、これは私といたしましては非常にやつかいな問題でありまして、ご承知のことでもございましようから詳しいことは申しませんけれども、当時私の立場から申しますと、内外の情勢と申しまするか、種々な、出来上つておりまする事実をもととして考えて行きますると、非常にはつきりした根拠がない限り、その出来上がつておる道に沿うよりほかに、全体から見て妥当な道はない——これは私の考えでありますが、その道に沿つて進行をしておりました。従つてその点につきまして両院議長の同意を得まするときにも、私がそれを適当と思うから、かような方針をとるということは申しておりません。公文書の中で、従来の経過に顧みてこういう道をとりたい、こういうふうなことを申しました。そうしてそれによつて承認を得ておるのであります。その他これは私としては、御非難は受けておりまするけれども、いろいろの角度から——そう不注意にやつたわけでもございませんから、これは以後もう少しゆつくり見ていただきたいと思つております。
  20. 多田勇

    多田委員 最後委員長にお願いしたいのでありますが、館長の御説明を聞いておりましても、私の質問したい点についてはつきりした、期待した御答弁を得られない。そこで図書館運営委員会で、いろいろ論議された点、あるいは決議された点等が、どのように図書館運営の面に反映しておるかという点を、はつきり確めておきたいと思います。そこで次の委員会には、事務総長とそれから前の議長である松岡駒吉氏の両人に出席していただきまして、当時の責任立場から、これらの問題について御答弁いただきたいと思いますので、この点委員長にお願いしておきます。
  21. 圓谷光衞

    圓谷委員 東亜経済文庫の問題につきましては、館長さんはおそらく御承知なかつたかと思います。しかし館長さんの下におるところの、これに関係せられておる事務の方はおわかりだと思つておりますが、東亜経済文庫についての書籍管理の点から、はたしてこれが国会図書館で買わなければならぬか、また漢籍の面においても、この書類は図書館に供える必要があるかないかということについて保留されたことなどであります。これは七十万円でお買いになつたのですか。
  22. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 七十万円で買いました。
  23. 圓谷光衞

    圓谷委員 その所有主、つまり買入れ先を御答弁願いたいと思います。もう一つは、先ほど館長から、今度の予算についてはまことに手落ちであつた、あまりに突然であつたので、これほどうも大失敗であるという御答弁があつたのですが、一体館長予算というものは突然に出るものと思つているのであるか。一年中、来年の予算をどういう構想のもとにやるということを、ふだんお考えになつていなかつたのかどうか。突然だからこれはどうもまことに失敗した。それで一体図書館長として図書館運営ができると思うかどうか。私ははなはだ不愉快である。突然であれば、来年もそういうことになるのですか、予算というものに、いずれ新聞その他においても、二十五年度予算と補正予算とが、大体両方一緒に出るということは御存じのはずなのです。この二点についてひとつ伺いたい。
  24. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 今の七十方円の書物を買いました相手はだれか、これは従前の東亜研究所という財団法人、名前は政治経済研究所のそのものから買いました。それはそういうふうになつております。  そしてそのときの評価は——私の方の、本をまとめて買いますときには、始終評価は別の方法でしております。別というか、専門家を使つて、専門家に相談をいたしまして、そして何でも七十万円に値切つた、半額で、ひどく値切つて、安かつたから買つた、こういうようなことになつております。  それから予算技術の関係、これはもとより知らないわけではございませんし、予算を求めまする技術としては、相当私の方も大蔵省に対するいろいろな折衝はしておりますけれども、結果がこうなつちやつたのですから、ひどく追求されますと、私素人で、困りますけれども、どうも今年はとつさの間に私どもの方に要求されまして、御相談に行くにしましても、電話をかけても容易に人が得られなかつたものですから、やむを得ぬから早く出そうということで書類を出したのです。
  25. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 千賀君にちよつと御相談いたしますが、渡部さんが早くから要求しておられますが、いかがですか——渡部さん
  26. 渡部義通

    ○渡部委員 前回の委員会で、館長及び千賀君たちから、国立国会図書館というものの性質、あるいは役割、特に調査立法考査局の役割について、いろいろお話がありました。国立図書館調査立法考査局は、委員会の専門委員会とは性質が違うのであつて、専門委員会の場合には、大体において議案の直接的な関連のある調査をしているわけですが、国立図書館の場合においては、さらに広汎な仕事があると思うのです。これはまず世界の政治、経済、社会の全般に関する問題、ことに日々起きているところのヴイヴイツドな、つまり生きた資料に基づいて、しかもその根本的な動向を把握するような仕事、それが非常に重要な役割だと思うのです。このことについては、もちろん議員自身が大いに勉強して、正確な知識と判断とを持たなくちやならぬわけですが、少くとも世界の、かつ国内のあらゆる政治的、社会的、経済的な問題を、日に発展していく実情を、基礎的な、根本的な点からわれわれがつかんで行くということなしには、発展して行く政治というものが行われない。つまり国会国会たる役割ができないと思います。そういう役割をわれわれがする場合に、われわれの知識や認識の基礎になるような材料を、できるだけ揃えてもらうというところに、調査立法考査局の使命、あるいは目的というものがなければならぬと思うのです。そうしますと、われわれとしてはいろいろの知識、いろいろの材料を持たなければならぬ。今度問題になりました中国大事月表というような事柄も、こういう見地から考えなければならぬと思うのです。われわれは共産主義の問題、また国内の共産主義のあらゆる正確な事情を知らなければならぬし、またその他英、米等の国内の行政や、事情や、そういうもののあらゆる動向を、はつきりつかまなければならぬ。これをつかむためには、われわれは生な材料を持たなければならぬ。こういうことが、われわれとして個人的には十分にできないのであつて、これを国会図書館の組織の力によつて与えてもらうというところに、議院活動における国会図書館の重大な一つの役割があるわけです。そこで、私たちはこういうものがつくられることに当然のことだと思う。もつともつとこういう事柄もつくつてもらわなければならぬし、また英米仏等における国内の事実、または動向というものについても、どんどん調べていただかなければならぬと思うのです。このことについては調査立法考査局の諸君に、大いに勉強してもらわなければなりませんし、また人員もむしろふやしてもらう必要があると思うのです。先日千賀君は、五十何人もあつて一日平均一つしかやつていないというようなことになるのじやないかというお話がありましたが、これは館長の明快な答弁によつてはつきりしたように——もはなはだしいものなのであつて調査研究というようなことは、十年かかつて一つ研究がなされなければならない。十年も二十年もかかかつて一つ研究がなされて、それが……(「——とはなんだ」と呼ぶ者あり)それはあとにしてください。
  27. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 渡部君注意します。
  28. 渡部義通

    ○渡部委員 十年も二十年もかかつて研究して、初めて一枚の問題になるかもしれない。一枚の資料となるかもしれない。だから、われわれ委員会としては、こういうような調査研究というものが、いかに重大であるかということを確認して、むしろ充実させて、われわれの国会活助に十分に役立つようにしていただく必要があると思うのです。それでわれわれとしては、こういうふうに情勢が非常に急速に進展して行き、また複雑な動向として動いているときに、調査立法考査局における人員を増員しても、十分に世界のあらゆる政治、経済、社会に関する重大な事柄について、始終このような報告書あるいは研究調査の結果を発表していただき、またわれわれの活動の十分に果されるような材料、またに基礎の作成に努力していただきたいと思うわけでありますが、この点について館長は、さらにこの部門を強化して、国会活動のために、図書館の十分な任務を果されようとする御意志があるかどうかをお伺いしたいと思います。  それから第二に中国大事月表でありますが、これを出されたことは、先ほど申した意味調査研究される方から買つても、またその調査研究の結果を受取るわれわれとしても、非常に重要なことでありますので、こういう事情は今後どんどんやつていただき、そうしてこれをまたわれわれに配布していただきたい。むしろこういうものは秘密にさるべき性質のものではないのであつて、同時にまたプレスコードの問題でもないと思うのです。プレスコードつて一定の新聞に出ておるもの、世界的なものに発表されておるものをそのまま載せるということは、プレスコード範囲外の属することだと思うのです。まずそういう意味で、多田君も要求されたように、これを委員会の全部に頒布していただきたい、このことを要求します。  それから千賀君に対して——と言つたのを、千賀君が憤慨されましたので、私はその言葉がいけないならば、これは取消します。りつぱに取消します。しかしながら調査研究の性質がどれほど困難なものであり、どれほど大きな力を注いで、たつた一ページの成果にしかならない場合があることは、われわれとして十分了解した上で、調査立法考査局の最善な確立を希望するものであります。
  29. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 お答えいたします。調査立法考査局は、完全なる働きをしたいということは、私どもの念願であるばかりでなく、この法律をおつくりになつた国会側からもかなり強く要請せられておりまして、当初の予算で百五十人の職員大蔵省側に希望いたしましたけれども、この思いかなわずして、現在やつと五十数名になつておるわけであります。着想は今のところ議会の委員会の数を念頭に置きまして、その一つ委員会に対して何人くらいという見当をつけておりますが、その見当のつけ方の大小によつて、百五十人ともなり、五十数人ともなります。今のところ非常に不完全なものでありますが、将来の考えといたしましては、非常に大きな百科辞典が、生きた人間で組み立てられておるという構想をいたしまして、いかなる部門のいかなる事柄も、御要求があれば、比較的短期間に相当調査報告ができるということを念願としております。従つてこれに職人かたぎではやれませんで、やはり工場組織と申しまするか、どうしてもある程度の人材と組織とをつくらなければならぬと思つております。今せつかく仰せになりましたけれども、今のところは微力で実は御趣旨に沿いかねておるわけであります。ただいろいろ努力をいたしまして、最近一年というわずかの間に、ここに持つて来ておりまするが、これだけの調査報告が主要なるものであります。こればかりではございません。ごく臨時の簡単なものは簡単な方法印刷しないで処置しておりますが、謄写版その他の印刷にいたしましたものの大部分が、ここにできておるのでありまして、なおこの方針を進めてやつて行きたいと考えておるのであります。  それからさきに中国大事月表のことにつきましていろいろな問題を起しましたが、これは私ども立場としては、現在の情勢、日本の置かれておる情勢からかんがえまして、いろいろ多角的に考えなければならぬ点がございますから、そこでこういうてんまつに至つたわけでございます。いろいろ御批判をくださいましたが、うそも騙しもございません。百四十九部だけ刷りましたが、私はこれを外に出すのはいやだ、こういう意見を述べました。そこで容易なことでは外には出さぬ。ほんとうに必要が起ればもより出すけれども、これを外に出すことは、自然それが一般に流布される危険がありまして、おもしろくないことになつて来る。こういうわけで、私みずからの意思でこれを抑制いたしました。そうして、ついでに答弁さしていただきますが、一昨日へんな番号のものが出ておるじやないか、こういうことでございましたが、これは私の力では大体この局に何部、この局には何部という見当をつけて——これもそういう見当を初めつけておつたわけでございますが、私がこれを配付しては困ると言いました。ある局ある局に配布せらるべき部分のものが、そのまま金庫の中に納まつてしまいまして、そして二十四部だけ外に出た。こういろてんまつで、そういうかつこうになつております。これを皆様方に正式に配布するということは、公の業務の関係でこれをご利用くださることは、私ども筋から言つて正しいことと思つておりますし、そういう方向をとりたいと思つてはおりますけれども、実はたまたま実情は今いろいろな問題を呼び起しておりまして、これはもう少し考えさしていただきたい。と申しますことは、このことを中心といたしまして、あちらこちらに問題が波瀾を呈しておりますから、事を荒立てますことは、まだ、勇気が出て参りません。もしこの中から私どもの懸念をいたしまする部分を取除きまして、その残りの部分を配布するということであれば、それはいいかとも思いますけれども、ちよつとまだ研究中であるわけであります。将来この線に沿いまして、なお今私どもの方で考えております中国の新しい憲法そのものの翻訳だとか、そういうものも考えておりますけれども、これには一本調子で私ども突進するというだけの考えを持つておりません。あちらこちらの御意見を聞いておりますと、何かそういうことの前途にも、よほど考慮をしなければならぬような面もありまして、や恐縮しておるような形になつております。
  30. 渡部義通

    ○渡部委員 調査立法考査局の活動に対しても、館長考え方についてわれわれとしてお聞きしなければならぬことがあると思うのです。それは館長がこういうものの委員会に対する自由な頒布、あるいは研究者に対する頒布ということに、非常に神経をとがらしておられるようですが、そういうふうなお考えから管理されておられるとすれば、調査立法考査局に働いておられる方々が、自由に重要な研究調査を進められる上にも、非常な無言の制約を受けるのではないかというふうに考えられるのです。われわれの考えから言えば、立法考査局に働いておられる方々は、やはりその専門とする事柄について、広く自由に調査研究を進められて、いつ何どきどういう調査を要求され、どういう資料を求められても、ただちにこたえ得るように材料を整えられる必要があると思いますし、同時にまたわれわれとしても、そういう材料を常に希望しておるわけでありますので、館長としては、そういうふうに神経をとがらせられないで、どのようなことであれ、立法考査局に働いておる人たちが、自由に調査研究をできるような雰囲気をつくつていただく必要があるのではないかというふうに考えるわけですが、その点はどうですか。
  31. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 通常意味において、学問の自由の範囲でやりますことは、私どもは個人の研究として、できるだけ奨励をし、またその方向に進むように考えております。しかしいろいろの角度も考えなければならないので、今のところ多少制限は、やはり念頭に置くよりしようのないような羽目になつております。その点をひとつ御了承願いたい。
  32. 渡部義通

    ○渡部委員 この中国大事月表委員会に対する頒布ということも、われわれとしてはこの内容にどういうことが書かれていようとも、また書いてあることが問題であろうとも、これを委員会に頒布していただくことが必要であるように考えられるわけです。もし懸念される問題の内容ついても考慮を拂われるとすれば、その点は委員会意思によつてどうともなるかもしれませんが、原則としては生の材料でなければ、委員会として調査研究資料を受けてもしようがないのであつて、われわれが調査研究を特に必要とするのは、生の材料を世界のあらゆる領域にわたり、あらゆる問題について出たいというわけですから、その点を考えられて、ぜひともこれは委員会に頒布されることを希望します。
  33. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ただいまの中国大事月表委員会に配布の件でございますが、多田さんからも御要求があり、今また渡部さんからも御要求がありましたが、これはいかがでしよう。館長さんの意の存するところをくみとつて、今回はご了承をいただき、おつてまた配布せられるにしても、一応お返しを願うということにいたしたいと存じますが、いかがでございましようか……ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  34. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それでは速記を始めてください。
  35. 千賀康治

    千賀委員 百四十部印刷物を刷つたということは、いつも百四十部お刷りになるのですか。われわれもときに、ああいう調査票をいただいておりますが、衆議院議員、参議院議員に全部配付するということになると、百四十部ではかなり数が足りませんが、百四十部にいかなる人に配付する予定で、そういう数が出て来たのか、これを伺いたいのであります。  いま一つ全日図という労働組合が、図書館の中にあるようでございますが、これは館員の全部が組合員であるのか、一部分が組合員であるのか、この機関紙の全日図の第二号ですか、ここに掲示されておるのは、東京都港区赤坂国立国会図書館内、全日図情報宣伝部、編輯責任者、濱野修三、こういうふうに書いてあります。電話番号も八二の六三六でありますからおそらく国立国会図書館の電話だろうと思います。この組合員の数が百四十部に相当するのかどうか。この点をお伺いしたいのであります。この全日図の組合というのは、相当に注目すべき運動をやつておりまして、非常に左翼的な存在であると思います。館長がこの人々の運動をお認めになつてるとすれば、これはゆゆしい問題であると思います。これは秘密でやられておられたのかどうか。その点もお伺いしたいのであります。この全日図の掲載するところを、ひとつご紹介しますと、「戦争が人類に何を与えたか。これは我々が骨身にこたえて体験した筈である。平和こそ人類に幸福をもたらす唯一の真理であることは現在の良識ある誰もが認めているのである。然るに現状はどうか。下山事件と云い、引揚者問題と云い、三鷹事件と云い、何か容易ならぬ潜勢力のうごめきを直感する。直言すれば暴力挑発者とも云える一群の動きが感ぜられる。  これこそ新たなプアシズムの温床でなくてなんであろう。全日図は進歩的な、民主的なあらゆる団体と協力して、かかる危険な温床を根絶することに組合のあらゆる総力を傾池するものであることを宣言する。」まことにこれを見るとわれわれが言いそうなことが書いてあるのですが、その次のところを見ますと、これは全部この表面的の言葉とは逆でありまして、下山事件、引揚者問題、三鷹事件等を通じて、ことごとくこれは政府の陰謀であつて、現在の政局を担当しておるものを攻撃する反面になつております。「指令第一号発せらる。全力を反動撲滅闘争へ」という赤い見出しの次に、全文は省略しますが「下山事件、三鷹電車事件等に於て当局の示した態度は如何なるものであつたか。意識的な事実の湾曲は、勢の赴く所、遂に犯人ねつ造の暴挙にすら至らんとしている。民族意識を捨て、働く者の犠牲に於て、国を売つまで権力に阿更せんとするかれらと、かれらに尾を振るプル新聞の論議は果たして何を物語るのか。社会不安を云々するプル新聞は、社会の公器たる自己の使命の妄想に思いを宿したことがあろだろうか。下山事件も、三鷹事件も事実そのもののもたらすべき社会不安とその事実を曲げた報道がもたらした社会不安とは果たしていづれが大なるものであつたか。」こんなことが次から次へと羅列されてあります大きな見出しの中に、「もはやジャーナリズムは「事実を伝える人民の公器」ではなくなつたのである」というような煽情的な文字をたくさん連ねて、これが館員たちに配布されつつあるのでありましよう。このような実際運動がどんどん図書館の中で行われておりながら、一方中国大事月表なるものが、百四十部も刷られておるというようなことは、偶然のできごとであつたとは、客観情勢を通じてなんとしてもわれわれ考えることはできません。当然わが国会図書館なるものは、いわゆる赤の温床と申しましようか、国際的に言えばソ連をできるだけ弁護し、賞揚し、アメリカを何となく無視してかかろう、これを傷つけてかかろう、こういう運動に加担する一部の人々と、気脈相通じて運動をやつておるというふうに思われるので、中国大事月報の問題なども、この運動の一員として企てられつつあるものであるというこの観念を持つわれわれが、一体間違つておるのか、持たざる人々がほんとうなのか、ここにわれわれにわからなくなつて来るが、結局はこうした運動をやる人が、図書館の中で位置を得、しかも勢力を得ておるということになると、これは社会通念上、利はどうも図書館側にないように考えられます。私はこうした運動が今日もなお続きつつあるのか、あるいはこうした尖端分子をすでに館長の断固たる処置によつて処分されてしまいつつあるのか、その点もはつきりいたしてはおりませんが、この際かような点も伺つておけば、将来いろいろの問題で、あなた方のためによき意味において協力する資料になるだろうと思います。あえてお伺いいたします。
  36. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 先ほどの百四十九部とかの謄写版を印刷いたしましたのは、これは経費の問題もありますので、そうたくさんの謄写版も刷れませんで、大体一つの謄写版で、はつきりしたものができる部数というものは限度がございます。そういうことを考え、そして通常書類を配つておる範囲をも念頭に入れるといたしますと、当初の計画は、私実は詳しいことは存じませんが、通常館内の係長のようなものに配布するという一定の数が必要になつて参ります。それから部外の、国会側の方々のある部分にまわすということを予想いたしますと、こういうものについては二百部相当が予想せられるわけであります、これもただそういう見地から、一応百五十部刷り上げたものが、百四十九部という結果になつたのでありまして、多少の出入りは別として、百五十部をねらいとして刷つたわけでありまして、これが特殊の人々の間に、特に考慮せられるという趣旨は毛頭含んではおりません。それにこれが宣伝文書のような感じを与えておりますが、中をお読みになるとわかりますように、これ自身が多少の色彩を帯びておりますけれども、何も思想を述べておるのではないのでありまして、ただ歴史的な変化を向うの人の見方で集めただけでありまして、宣伝価値としてはほとんどないものであります。もし宣伝しようと思えば、いろいろ理論的なものもありましようし、かつまた毛沢東の気勢張つた記録なども、もう少し自分の方でできる。ことにこれを選びました趣旨からしても、ごくじみちな——もう今となつては何だかかえつて妙な結果になりましたが、関係した人は、支那の学問の研究をしておる人であつて、これをごく冷静に活用しよう、世間で出ておりまするほかの材料とも合せ、外務省その他で出しておる材料とも合せて、冷静に活用しようというわけで、通常の配布をねらつて謄写印刷したわけであります。それを私が横から口を出して——意思は別問題でありますが、これを出してはいけない。二十四部と限定したものでありますが、出してはいけない。中において見る必要のある人がこれを保持すべきであるというので、こういうふうに限定した。これが実情でありまして、それには何らの記述的な説明を加えておりません。批評はこれをもとにして生れて来るものと存じております。それから先にお話になりました全日本図書館員組合と申しまするものは、全国の図書館員のつくつておるものでありまして、官立と限らず、公立もあり私立もあるのでありまして、大体の勢力は関西側の方でこれができておつたものであります。それが本年の六月十日に大阪府立図書館におきまして全国大会が開催されたものであります。それができ上ります道におきましては、本年の三月十二日に東京科学博物館において、CTR図書館主任のバーネット氏らも臨席のもとに、組合結成大会が開催されたということになつております。私の話の順序がちよつと混乱いたしましたが、事実は昭和二十三年ごろから関西方面に発達いたしまして、それが漸次完備いたし、遂に全国的なものが出来上がつた。これが全日図の性格であります。そして結成の趣旨等は、組合が宣言をし、綱領を示しておりますが、大体表囲的に申しますれば、普通のありふれた形のものであります。それからその法律上の性質は、一種の組合ではありまするが、国家公務員のみの組織する組合ではございませんから、人事宛に登録するというような性質を持つておるものではございません。労働組合法によるところの組合であつて、それに必要な届出をしておるということであります。組合員の数は、私どもこれを直接に、正確に探知する方法は持つておりませんけれども、一応探知いたしましたところば、昭和二十四年の十月に七百名の組合員を持つておる。それは全国のおもなる図書館職員で持つて出来ておるというふうになつております。  それから先に仰せになりました機関紙は、今のところ一千部配布しておるということでありまして、その配布先等は大体全国にいきわたつております。そのうち東京が二百五十部配布されておるというふうに調査の結果はなつております。組合の財政などは全然組合費でやつておりまして、外から支弁を受けていないというもので、こういうものに対しまして——今日は別でありまするが、これが働いておりました本年の七、八月ごろにおきましては、これは一種の労働組合でありまするために、これをどうするといつて、もし図書館に力をもつてこれを抑制するということになりますれば、そのやりようによりましては、むしろ抑制する方に責任が発生するということにもなろうと思つております。そこで私どもは、かような組合活動内容を知り得る直接の方法をもつておりません。ところが今お示しになりました新聞紙の第二号が出まして、私が偶然これを目に入れましたところ、赤い字で、一見いたしますればはげしい言葉が現われておる。なお見ますと、その事務所が国立国会図書館の中にある。こういうことになつておりましたから、私は中の人に調べさせまして、どうして国立国会図書館にこんな事務所があるのか、われわれはそういうもりを許容した覚えがひとつもないということを申して、調べてもらいましたら、たまたまこれの名義者になつております者がわれわれの図書館の敷地の中にありまする一種の寄宿舎といいますか、自費寮といつておりまするその宿舎に寝とまりをしている。そこでその自分のおりまするところを新聞事務所にしておる。その結果言葉に表わしますると、図書館の中にこの新聞の発行所があるというような形になつたわけであります。そこで私どもこれに気づきましたから、さつそくその不適当なるところを補正させることにいたしまして、第三号は別のところで発行するというふうにはつきり書き入れてあります。それから第四号は、もう出ないことになつたらしいのであります。そんなようなふうでありまして、この団体は直接には図書館関係はございません。ただ図書館職員が、この全日図の組合員であるということであります。それがいかなる性質をもつて活動をしておるかということは、私ども直接感知いたしませんが、実情はそのようなふうであります。でありますから、図書館としてこれに働きかけまする方面といたしましては、事務所を図書館にあるがごとき誤解を生ぜしめた、この点は補正せしめなければならぬというので、これは補正せしめました。なお中にある人に、この組合を脱退せよというさしずをいたしますことは、諸般の法規の制限のもとにおいてのみ話し得ることだろうと思つております。そのうちにこの人事院規則が出まして、この中にありまするある内閣を打倒せよというな言説をすることは、法律上の問題になつて来るわけでありますが、これはそれより以前に行われた問題であります。そこで今度これに関係をした人々で、図書館の議員であるような人々に対してどういう態度をとるべきか、こういうことになるわけであります。私ども個人としては、こういう記事を書くことにつきましては、非常に不愉快でよろしくないと思つておりますけれども、しかし各人の自由がありますので、これに対してわれわれがいかなる手段を持つかということは、一概に決定することができません。今日の公務員の規則が出ました後においては、これは十分その責任を問うことができますけれども、その前でありますから、法律的にはみだりにこれに手をつけることはできないものであろうと考えております。
  37. 千賀康治

    千賀委員 館長の御答弁で大分釈然としたところがございます。私は今の参考書は今日もなお引続いて発行されつつあるものであると考えておりましたから、公務員がこういう政治活動をする、それを館長は傍観しておられるのかと思つたから今の質問をいたしましたが、あれはすでに廃刊になり、過去のものである、国家公務員法の施行後においては、ああいう行為はないということでありますから、私はこのことに対しましては重ねて追求はいたしません。そこでこの中国大事月報の点でございますが、私はやはり委員がここで見たいというならば、これは委員にやつてしまわなくても、委員が保管をして、これを研究するということはさせられてもいいのじやないかと思います。しいてこれを拒まれましても、委員は職権で決議をして、それでは俺たちはこれを研究するのだということをとりきめられますれば、やはりこれは委員の手元に差出さざるを得ませんので、別段現在とつておられる情報は、あまり館長としては手落ちがないように考えますから、委員の大多数が、やはりこれは研究をしたいと言つておるようでございますので、委員の手元に置かれてはどうかと思います。私ども図書館の中で、あるいは中国事情のみならず、その他ソ連の国内事情につきましても、特定の人を選んで、その人に研究をしろということで研究をさせられるならば、どんなに研究をしようが、どんな翻訳をしようが、われわれは一切さようなことは関知するところではない。これは学者として、またそういう方面を担当しておるセクシヨンの責任としても、やられるのが当然だと思う。ただ先ほどの宣伝新聞、アカハタに類するああいうものが、図書館の労働組合の手で出されているかたわら、こういうものがあるということになると、どうしてもこれは客観情勢で、なんだかこれは実際運動の一種の行為として認められるというようなことで、われわれは非常に神経をいらだたせるわけであります。そこさえはつきりしておれば結局何でもない。そこでこれもこういう事業に堪能な職員があるから、それに始終その方向だけをやらしておるということならけつこうでありますが、これをやつた人が偶然に支那語ができるからやつてつた、黙つてつてやらしたならば、あれをどこに頒布するかわからぬからやめたのだということになると、これに少少われわれとして釈然とするわけに行きません。その点どうでしよう。館長があらかじめ命令をしてこれをやらしておつたならば、当然あなたの仕事の一部分としてやらされていいのです。もつとし烈なソ連の宣伝文ばかり翻訳させておつてもいい。しかし館長がかつてにやつているのだ、偶然にもこれを見つけたからやめさせたのだということでは、むろん館長として、まあそれで手落ちはないのでしようが、とにかくこれを全体として考える上にわれわれはまた批判をしなければなりません。現在これでも一冊つくるのに数十円かかるのだろうと思いますが、百四十部というと相当な金額にもなります。こういうようなものが図書館長の決議なしに、館員自身かつてにどんどん翻訳したいものはやれるのだということで、自分の売名のために、学問の名の陰に隠れて、自分の道楽じやないかもしれないか、自分の気持もよくなるし宣伝もできるというようなことで、てんでんばらばらなことを内緒でやつているとすると、ほかの方面だつて、ずいぶんわれわれが再検討しなければならないようなことがされているのじやないか、そんなことも考えてます。そうやつて考えてみますと、やはりこれは最初からあなたが百四十部は判を押して、つくつてもいいという命令が出ておつたのじやないか、そうなくちやならぬと思います。かつてにこれだけ百四十部つくつたとすれば、あらゆる個人が百四十部だ二百部だといつてこんなものをつくつてつたら、ここに驚くべき国家の費用の不始末な浪費があるという実証になる。この点、いかがですか。
  38. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 この場合は非常に特例でありまして、結果から申しますと、今のところせつかく刷つたものをそのまま収めておるという浪費類似の姿を呈しておりますが、実際はこういうふうになつております。私どもの方では、かようにたくさんの図書刷りを、立法考査局の一局でこしらえておりますけれども、それができますたびに、一々館長が全部原稿を読んでこれを決定するというような態度をとつておりません。一応でき上りますまでは、角部局の局長または部長が責任をとることになつております。そうしてその部でやるときに、ただいまの大事月報のごときは、一般考査局の中におきまして、おも立つた責任者が集まる会議がございまして、そこでこういうものを承認しようという議決をいたします。これに当りました者は中国のことを承知しております四人、これはほとんど幹部の全員でありますが、その全員が相談をいたしまして、力を合せてこれをつくつて、そうして刷つたという道順であります。ですから私個人といたしましては、これが刷られてでき上るまではまかせきりであつて、知らなかつたのであります。配布の段階に至りまして、私の意見を求められましたので、そこで私が外に出すことをとめたというわけで、結果といたしまして、今仰せになりますような、さしあたりはその部数が金庫の中に收まつておる、こういう結果を生じました。どうも館長の仕事の分配の関係からいたしまして、ある段階段階で、局部的な責任を負つてもらうほかに道はございません。外部に対する責任はもとより私が全部を負うわけでありますが、中の職責の分担は、どこでも、ある程度で解決するものと思つておるわけであります。従つてこれを総括して申しますると、決してだらしなくやつておるわけではない。責任の分担の区域がおおむねきまつておる、そのきまつておることを処理したというのであります。なおここれが浪費になつたという偶然の結果は起りましたけれども、しかしある方法によりましてこの資料が活用せられる道も考えられますので——もちろん悪いところは切つて捨てるという方法でありますが、そう濫費にはならないかと思つております。
  39. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それでは委員長の経過報告につきましては、一応この程度でとどめまして、日程の御審議を願いたいと存じます。     —————————————
  40. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程案を議題といたします。本規程について図書館長説明を求めます。
  41. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 この規程は形は長いものになつておりまするけれども、中身はごくわずかでありまして、学術会議が今現に持つておりまする図書室と申しますか、図書館とも申しますか、それを今度国立国会図書館の支部図書館にしたいというのであります。これは学術会員の方から特にご希望があつたのでありまして、正式に要求をされましたので、できるだけ早く国立国会図書館の支部にいたしたい、これがこの改正の唯一の趣旨であります。その他の点は、すでに本年の法律によりまして、図書館の名前が変更せられておりますのを、内部の規程の中にその通りの文字を移し変えて外観を装備する、それだけの趣旨でございます。御承認を得たいと思います。  なおその進行期日の点につきまして、月があつて日がございませんが、これは、衆議院関係もございまして、いつ公布できるかはつきりいたしませんので、日を抜いたままになつておりますが、あらかじめ御承認を得ておきまして、多分今月の二十五日あるいはその後の日になりますか、今月の下旬のある日になると思いますが、それを含めて御承認を得たいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  42. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それでは原案の通り承認を与えることに決します。
  43. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、国立国会図書館法による出版物の納入に関する規程を議題といたします。図書館長説明を求めます。
  44. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 第五国会におきまして、国立国会図書館法の一部を改正する法律が制定せられました。つまりその項目は、納本制度を完備するという趣旨でありました。そこで法律が改正せられますれば、納本の手続及び金額を賠償いたしまする手続をつくらなければならぬのであります。その当時、この法律が御決定になりますときに、具体的な計画は、国会両院におきまして、参考の文書を提出して具体的に御説明をしておいたのであります。そのうちに法律は制定せられ、ただちに施行の時期に入つてつたのであります。そのときに、今日差出しましたような規程をつくりまして、両院委員会に御承認を得るのが本旨でありましたが、中身は法律改正のときに申し上げた通りと寸分違つておりませんし、また国会も終わつてしまつたことでありまして、わざわざ特別な委員会をお開きいただくのも恐縮と存じましたので、御承認を得ることなくしてこの規程をつくつたわけであります。今回あらためてご承認を得たいということであります。中身におきましては、金を支払いまする場合、つまり納本されましたものにつきまして金額を使いまする場合におきまして、当時国会の御意見もあり、できるだけ民主的な方法でやるべしということでありましたために、出版業者の多数を集めて会合を開きまして、それらの人とも十分の連繋をとつて具体的な措置をいたしました。今日にいたりまする数箇月の経験に徹しまして、何らの不満の声をも聞いておりませんのでございます。遅ればせではございまするが、ご承認を願いたいと存じます
  45. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 本件はただいま図書館長よりの説明にありましたことく、事後承認でございますが、何か御質疑はございませんか。
  46. 千賀康治

    千賀委員 納本は大体数の多いものは三十部でいいというようなことのようであつて、目標は三十部におかれてある。しかし非常に部数の少いもので、たとえば五百部刷つてこの三十部に限度一ぱいであるというような数で、しかも発行者が貧困である、三十部の納本が非常に困難だというような実情を訴えて来れば——今まではそういうことが例が少かつたかもしれぬけれども、将来そういうことになれば代金を支払うということになつて行きますか。実際はどうですか。人がそうやつておるからあなたも納本してくれろといつて押しつけることになるのか。運用上の館長の方針はどんなふうでしようか。
  47. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 この納本の制度は、今日国が出版いたしまするもの、つまり各官庁等で出版いたしまするものは、五百部以上の出版物につきましては三十部ただ納付してもらいます。それからまたわずかの出版物につきましては、その一割を納付してもらいます。それも納付できぬという場合には、特別の取扱いをいたします。しかしこれに官庁の出版物でありまして、国民の発行するものに関係ございません。そこで一般国民の出版いたしまするものは、ただ一部だけ納本をしてもらいまして、それに対しまして、原則として六割は扱うとか、五割は扱うとか、四割は扱うとかいう見分けをいたしまして、出版費のかかつておるものは六割、まあ比較的多数に出るものは四割という金を扱うというのが、今回定めました方針の実行の基本になつております。ところが出版者側は、自分のところで出版したものを図書館に一部保存しておいて、しかも永久にそれが保存されるということについて非常に交換を持つておりまして、この制度ができましても金をくれという人はごくわずかでございました。今までわずかに一万五千円しか持つていないで、あとは皆ただで寄附してくれるというような状況になつております。
  48. 千賀康治

    千賀委員 東京、大阪、名古屋などの五大都市の場合に特例があつたようですが、あれもやはり官庁の分ですか。
  49. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 それは官庁ではなく府県という公共団体です。これもできるだけ少くして、大きいところは十部、小さい市町村に一部だけ、おもに公報その他印刷物をもらうわけです。
  50. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 では質疑もないようでございますので、本件に関する質疑を打切り、採決いたします。本件に事後承諾を与えることに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  51. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。それでは本件に対し事後承諾を与えることに決しました。     —————————————
  52. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次は拡張要望書の件でございます。前回の委員会におきまして図書館が狭隘を感じているので法務庁の新築に伴いまして、議長あてに図書館の庁舎拡充に関する説明書を出すことに決定し、その文案を委員長に一任されておりましたので、お手元にガリ版刷りにして配布しておきましたが、かような要望書を出すことにいたしたいと存じます。ご異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それではこれは朗読を省略いたしまして、速記にとどめておくことにいたしまして、ただちに要望書を提出することに決します。  次は先般の委員会でお諮りをいたしましたが、図書館法第十一條によりまして、両院への委員長報告の案文これは委員長におまかせを願いたいと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。それではおまかせをいただきまして、本日両院へ報告を行うことにいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十七分散会