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1949-11-09 第6回国会 衆議院 図書館運営委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    委員昭和二十四年十月二十六日(水曜日)議 長の指名で次の通り選任された。       石田 博英君    尾関 義一君       木村 公平君    篠田 弘作君       橋本 龍伍君    水谷  昇君       森戸 辰男君    北村徳太郎君       伊藤 憲一君  早稻田柳右エ門君 同日  早稻田柳右エ門君が議長指名委員長に選任  された。     ――――――――――――― 会議 昭和二十四年十一月九日(水曜日)     午後一時三十六分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君       尾関 義一君    木村 公平君       千賀 康治君    多田  勇君       圓谷 光衞君    水谷  昇君       森戸 辰男君    伊藤 憲一君  委員外出席者         国立国会図書館         長       金森徳次郎君     ――――――――――――― 十一月八日  委員石田博英君及び篠田弘作辞任につき、そ  の補欠として多田勇君及び圓谷光衞君が議長の  指名委員に選任された。 同月九日  委員橋本龍伍辞任につき、その補欠として千  賀康治君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事互選  派遣委員調査報告に関する件  図書館運営に関する件     ―――――――――――――
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それではお待たせいたしました。これより図書館運営委員会を開会いたします。  一言あいさつを申し上げます。今般国会法の改正によりまして、各委員はすべて新しく選任されることになりましたが、不肖再び本委員会委員長に選任されました。御承知の通り不敏無力のものでございますが、幸いに皆さんの互助力を得まして、委員長としての責務を果たしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします
  3. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより理事互選を行いたいと存じます。その方法はいかがいたしましようか。
  4. 尾関義一

    尾関委員 理事はその数を一名とし、委員長においてご指示あらんことを望みます。この動議を提出します。
  5. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 尾関君の動議に御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長において水谷昇君を理事指名いたします。(拍子)     ―――――――――――――
  7. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 この際お諮りをいたします。先般第五国会閉会中、本委員会におきましては図書館運営に関する閉会中の案件に基いて国政調査をすることになりまして、東北北海道方面委員を派遣いたし、地方図書館運営状況及び機構の調査を実施したのであります。この際その調査の御報告をいたしたいと存じますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それでは成るべく簡單に申し上げます。派遣委員は、当時委員であつた山口好一君、中西伊之助君、それに私を加えました三名でありましたので、私より報告させていただきます。  私どもに七月二十日より三十日までの十日間、北海道東北方面のおもなる図書館を観察して参りました。  新憲法下国会は唯一の立法機関でありまして、この国権の最高権威と識見を保持するにふさおしい、真に充実した立法調査機関たる国立国会図書館を建設して参りますためには、まず国内のあらゆる図書館の実態を把握せねばならない。そしてまた国会図書館のサービスについて、これを広く地方に紹介し、あわせて各地よりの要望も聽取して、今後の図書館運営の資料にいたしたいという方針で視察を実施して参りました。初めに全般について説明し、次に各地図書館について、ごく簡單に申し上げます。  まず全般について、これは各地とも共通した現象でありますが、第一に、予算がたいへん乏しいことであります。図書館地方民の盛り上る知識欲にこたえ、また図書館自身がいかに優秀なる企画に基いて実行に移し、地方文化の啓発のために盡そうとしても、ない袖は振られません。各地とも予算不足頭痛鉢巻でありまして、その苦しい中からも、いかに創意工夫して図書館育成に資すべきか、たとえ一冊の書物といえども、きわめて愼重に選択している実状でありました。従来は、図書館行政といえば、恩惠的政策に堕し、ややもすれば独断に陥り、 溌溂性に欠けるところが多く、従つて形ばかりの文化施設として、その存在をなくさない程度予算桐成が盛られておつたように思われます。それが久しい間の戰争でさらに放置せられておつたのが、終戰後の澎湃たる文化熱みに振起されて、各図書館は、好むと好まざるにかかわらず、一齊に改善整備に着手しよとしても、さて先だつものは資金であります。各地図書館とも、こういつた資金の欠乏に悩んでいろ実情であります。  今までの恩惠的図書館行政を排除して、つまり図書館倉庫番とか、書籍骨董品扱いのような考え方を棄てて、積極的に地方文化向上に役立たせるという意欲が脈々と波打つてつて、乏しいながらも文化水準の引上げのために、図書館運営に当られる方方はもちろん、これを監督する各自治体担当者も、ともに前進の一路をたどつておられるのでありますが、従つて国庫補助については、今までのような建築費だけに限らず、さらに飛躍して、図書費人件費においても考えて欲しいというのが、名地の一致した意見でありまして、この要望が非常に強かうたのであります。建物については、旭川室蘭を除いた各地は、皆一応図書館としては格好のものでありましたが、いずれも倉庫がせまくても増築が許されないで、勢い書籍整理は出来ない所もあつたやうに思われます。建物で徳に印象深かつたの仙台宮城県立図書館であります。戰災で完全に灰燼に帰したのですが、伊達藩伝統教育都市仙台の熱誠によつて、現在由緒ある旧養賢堂跡木造二階建の立派なものが出来上つて、活発なる活動を続けておりましたのには深く感銘いたしました。さすがに戰前より全国有数一つに数えられておりましただけに、その面目躍如たるものがありました。  また予算不足によつて優秀なる図書館人をつかめないことも見逃すことが出来ません。一般に従来の図書館人事の域を脱し得ず、依然として沈帶していたように思われます。これは各自治体自身の責任でありませうが、潮の如き勢力で迫つて来る文化熱にもかかわらず、自治体の惰眠によつて旧態依然とした人事行政が行われている向きが否めません。私ども派遣委員の一致したところでは、県立図書館長の資格は県知事同格に、また市町村立図書館長は市町村長同格であつて、その俸給は申分ないところまでこれを引き上げ、従つてまたここに従事する司書以下の各事務員も、みずからが教養人として文化に理解ある人物であつて、この仕事に熱意をもつて当る気魄と企画性に富む適正者を迎え、これらの全図書館人がその地方のエキスパートとなつてリードするくらいの有力者も持つて来るべきであります。これがためには少しくらいの予算を惜しんで。大切なる社会文化向上、各人の教養にこと欠くようでは、本来を傾倒した措置であつて、今後はよろしくまず人を得ることに著目しなければなりません。  第二に国会図書館は、良書を推せんして地方図書館育成発達に留意して欲しいということであります。いかにりつはな建物があり、優秀なる人を配しても、図書館の生命は結局書物内容そのものできまります。もちろん各地ごとに、その民情風俗が異なるに従つて特徴というものがあります、しかしそれは一部分でありまして、他の大部分はみずから各々図書館において書物の選択を行わねばなりません、これにはどうしてもあらゆる書物をはかる尺度というものが必要で、このバロメーターによつて良い本を選択して、自分地方のために備えて図書館を充実させ、その振興をはかるのであります。こういう必要からわが国会図書館において良書を選択して、これを地方図書館に推せんしてくれればたいへん便宜であり、その発展上、きわめて有効適切であろうというのであります。そうなれば地方図書館自身をもつてこれを仕入れ、一般読者に推せんできると思われるというのであります。そしてかかる良書が、出版会社から優先的に各図書館に配給せられるような「納本制度」を確立することが期待されております。これについて盛岡では立法措置を講じて欲しいという要望がありました。  第三に、学校図書館が完備していないために、地方図書館利用者が非常に多いことであります。六・三制実施伴つて新制中学新制高校生徒諸君不足する教材、参考書等を求めて地方図書館に多数集まつて来るということでありまして、私どもも直接に大勢の生徒諸君図書館で勉強している有様を見て参りまして、つくづく考えさせられました。これらの春秋に富む青少年諸君の限りなき向学心を満足させてめげるには、何とといつて学校側だけでなく、図書館教育の一担当者として、よき補助機関として、ぜひ必要の最小限でも本を揃えておくべきであります。  第四に、図書館読書会の母体として重要な地位にあることであります。これはどこへ行つても見受けられたところでありますが、都市といわず、農村といわず、山漁村といわず、若い青年男女によつて組織されている読書会のないところがないようでした。これほど今日の北の青年達書物に対する情熱は、押えようとしても押えることのできない文化創造の力であります。  これはもちろん、経済力の乏しい今日、青年たちの窮余の一策ではありませうが、それだけに為政者は注目すべきところでありませう。これらの青年達の需要に満足を与え、指導育成を余儀なくされる今日の客観的情勢において、ひとり図書館が超然としているわけには行かず、当然の結果として巡回図書館制度の活路を切り開いて巡回文化施設にめぐまれない区域の人たちのために盡力すべきであります。  第五に各図書館相互に交流して図書貸出を行うことであります。  地方図書館各々特徴を生かして、その蔵書には著しい特殊性があります。また一方予算不足から、どこの図書館でも思う書物の半分も買えません。そこで各図書館総合目録を作成して、これをできる限り広い範囲に交流して、相互貸出を実施したらよいというのであります。こういう見地から国会図書館は、ぜひ最も早い時期に総合目録を発行して欲しいという要望が強かつたのであります。そうしてただいま述べましたような巡回文庫制度を自主的に確立して、今日の惡條件を克服してでも読書欲満足を与え、少しでも地方文化水準向上をはかりたいというのであります。  第六に、国会図書館と、地方図書館との関係であります。現在法的には何の関係もありませんが、そうかといつて実質的にはもちろん無関係というわけにも行きません。要望としてはまず経費の点であります。非常に経営難に直面している地方図書館実情として、財政上からも国会図書館の傘下におかれるということも考えられましよう。あるいはまた先ほど申しました良書の推薦、図書貸出というようなことをして、その育成発達にあたるということも考えられます。両者の関係についてどこでも聞かれまして、今日の図書館運営についてたいへん示唆に富んだ意見を承つて参りました。  第七に国会図書館実情並びに図書館法の解説であります。これは当然でありましよが、各地において求められまして極力詳しく申し上げておきました。こういう点でたいへんよかつたと思います。  最後に、さしあたつて特に要望されたことに、地方図書館地位立法的に裏つける「公共図書館法」の制定を急いでもらいたいということであります。これについては文部当局において目下立案中でありまして、今臨時国会にはその法律案が提出される予定でありまん。  以上は各地図書館経営者及び文化団体代表者その他の有志との懇談会において述べられました、各種要望や御意見を総合した、そのおもなるものでありました。  次に各地方図書館別に極く簡單に申し上げたいと思います。第一に仙台から申し上げます。ここでは宮城県立図書館東北大学附属図書館の二つの外、CIE図書館博物館を見ました。仙台教育都市であつて市民図書館に対する熱意も厚く、伊達藩伝統と相まつて全般的に図書館施設相当充実しておりました。全国的に見ても相当高い水準にあるものと思われます。宮城県立図書館は先にもちよつと申し上げました通り、戰災のために完全に灰燼に帰したのでありますが、現在に地の利を得た旧養賢堂跡に、木造二階の、かなり立派なものが建てられておりもちす。事務室閲覧室はすでに完成しておりますが、書庫予算不足のために、まだ出来上がつておりません。閲覧室三つに分れ專門学校学生成人用として一つ新制高校中学生徒用のが一つ、もう一つは兒童用に充てられ、その運営もきわめてうまく行つているように見受けられました。蔵書は着々整備復旧中で、青柳文庫等疎開先から無事帰つておりました。終戰後短時日の間にかくも充実したのは、一にかかつて館長菊池勝之助氏の熱意と人格の力とによるものと、潔く感銘いたしました。仙台一般市民図書館に対する関心もすこぶる大きいようであり、この図書館公共図館としてりつぱてあるばかりでなく地方中央図書館としても、きわめて大きい指導力も持つているように見受けました。特に各市町村図書館育成及び図書館相互貸出巡回文庫の活発な動き等は、注目すべきものがあつたと思います。  東北大学附属図書館については、蔵書の量、質とも全国大学図書館中においても有数のものの一つでありますが、視察の時期が丁度夏季休暇中で、利用状況の実際にふれることができなかつたので、残念でありました。図書館整理及び保管状況は、きわめて良好で教えられるがありました。  ここでは主として木村館長以下各幹部との懇談に主力を注がれましたが、国会図書館における図書国際交換について、国会図書館総合自作作製について、国会図書館納本制度について、それぞれ懇談いたしました。  ここのCIE図書館については、一般市民及び学生利用者が非常に多いのに驚きました。又新着洋雑誌貸出しを行つておりましたが、事故はまつたくないそうできめた時期までに全部きちんと返るそうであります。  次の博物館については、戰災をこうむつて荒廃の極に達していました。現在斎藤報恩会の基金の利子によつてわずかに経営を維持している状況で、同情に値するものがありました。戰前学者に対して研究費補助を行い、各種学術出版行つた面影は、現在はまつたく見られません。  次は盛岡であります。館長、副館長文化事業にたいへん理解のある教養人が当つておられまして、きわめて積極的にこの地方文化水準向上に鋭意努力中であつて、現に林間図書館を、秋には炭焼図書館を、そのほか理髪図書館考慮中等、多くの企画のもとに、従来の静的図書館より、動的図書館への発展に留意しておられました。  懇談の席上では(1)納木制度については、立法措置を講じてほしいこと、県内だけでもすみやかに確立しておきたいこと。(2)図書館出版協会との関係については、協会図書館を通じて出版すること。(3)国庫補助建築よりも人件費図書費にまで拡張してほしいこと。(4)理解ある寄贈(資金又は図書)を求めること。(5)動的図書館経営は優秀な人材を必要とすること。(6)公民館と図書館と併設しておく方がよい。(7)学校図書館は專属の職員を設けてほしいこと。  次は北海道に入りまして、まず札幌について申し上げます。ここは蔵書施設等の点については未だ今後の活躍に持つべきものが多いように見受けられましたが、非常に活発に動いておりました。北海道中央図書館としての貫禄を十分に示していると思います。しかし予算不足で困つているようであります。またここでは学校図書を補うために、県教育委員会との連繋のもとの準備中でありました。  次は小樽市立図書館であります。ここは進駐軍の協力を得て建物をすつかり改造、整備し、施設相当つておりました。また冊数は少ないのですが、よく整理されておつたようであります。しかしやはり予算不足で、図書の充実に悩んでおられたようであります。  次は旭川市立図書館であります。ここは民家を代用しており、その施設内容も貧弱でありまして、今後の活躍が待たれております。当日の有志との懇談の席上でも、たいへん活発なる建設的御意見も出ており、だんだん向上されることと思ひます。ここは予算不足閲覧料をとつている状況でありました。  次は函館であります。北海道における図書館としては随一であつて施設整理状況保管等はたいへん立派で学ぶべきものがありました。北海道の開拓に関する史料が充実しており、わが国としても貴重のものが多かつたと思います。ここでは予算的措置をするとともに、立法行政各行為によつて、もつと強力に援助してほしいという意見が、特に強く主張されました。この外に室蘭の方へ行きましたがここは單に懇談会だけで図書館は見て参りませんでした。戰災でやられまして、その復興もようやく緒についた状況でありました。  非常に簡單でありますが、以上で報告を終ります。     ━━━━━━━━━━━━━
  9. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 その次にお諮りをいたしたいと存じますことは、さきの委員会の折りにもご相談を願つたことがありますが、国立国会図書館拡張に関する要望の件であります。御承知のように図書館狹隘を感じておりまして、閲覧室その他の面で非常に支障があるわけでありますが、仄聞するところによりますと、最近赤坂離宮の西半分を使用している法務長が新築されまして、そちらへ移転される、かように承つております。そこで本委員会においては、移転せられたあとに図書館建物拡張して、法務庁が使つておられた方面まで使用し得るようにいたしたい、かように考えますので、皆様の御意見などを拝聽しまして議長要望書を出し、そして法務庁の方へ後交渉を願うようにいたしたいと考えますが、いかがでございましようか。
  10. 森戸辰男

    森戸委員 お話によりますと、国会図書館閲覧者その他で狭隘を感じておいでになるということでございます。これはもし法務庁その他の方であくことになりましたならば、ぜひとも拡張をするように議長お話願いたいと、私ども衷心から希望しております。なお向うができましたらあくことでありましようから、そういうようなふうにひとつ、督促といつては何ですけれども、そういうようなおとりはからいを願えれば、たいへんいいと思います。それから図書館自身が狭いという面もありまして、これは第一に充足されなければなりませんが、同時に国会の人々が、国際的、文化的な面でこれを使うようなことも、ひとつ考慮したらどうかと思つております。ことに、まだできませんけれどもユネスコ議員連盟というものが最近できるような段取りになりつつありますので、そういう場合には、国際的、文化的な、また日本憲法の精神にも沿うものでありますから、また国会図書館も、実はユネスコの面では非常に御協力を願つておるようなこともありますので、そういうようなものにも、それが利用できるようなふうにお話を進めていただくと、たいへん都合がいいと思うのであります。非常に賛成でございますので、ぜひともひとつ委員長その他関係方々と、また参議院の方の図書館運営委員会委員長並びに委員とも御連絡をおとりいただいて、共同でなされたらいいのではないか、これは私の希望でございます。
  11. 圓谷光衞

    圓谷委員 図書館狹隘を告げて、今度拡張さるるということについては、現在においては私に賛成いたしますが、これは図書館長の構想をお伺いいたしたいと思うのです。実は私はあそこは図書館として使つておくことはあまり適当でないと思つておるのであります。特にあの建築物に対しては、別な方面文化施設その他に使用する方がいいと常々考えておるものであります。当初図書館敷地を、参謀本部跡でありましたか適当にとりまして、そして相当経費をもつてこれを建築するということを最初決定したようにも思つておるのでありますが、その後の経過が一体どうなつているか、それからまたさらに、現在の赤坂離宮跡図書館でないところに、また適当な場所を見つけて、図書館というものを、もう少し大衆に便利を与えるような考え方をもつてやりたいと思うが、これはひとつ図書館長にお伺いしてみたいと思います。
  12. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 ただいまお尋ねのことは、私どももまつたくその方向に行かなければならぬと考えております。現在の考えといたしまして、いろいろな物的の設備を年頭に置いておりますが、大体の考え方三つばかりにわかれております。  一つは、将来本格的な国立国会図書館をつくるという点であります。これは現在の腹案では、図書館建築委員会の方の御審議を経、あちらこちらと交渉をしておるのでありまするが、大体国会のすぐ左側、つまり現在のドイツ大使館の跡を根拠にいたしまして、あのまわりに若干の官有地もございまするし、それに民有地を少しばかり補充いたしますると、大よそ二万坪の土地が得られまするので、そこにりつぱなほんとうの永久的な国会図書館をつくりましてそこには議員方々自分研究室としてお使いになるような部屋を、今のところ空想に近いものでありまするが、数におきまして千の研究室をこしらえて、議員の方に使つていただこう、こう考えております。それはクラブとか、宿舎とかいうものでは、ほんとうの貸料に基く研究はできません。やはり図書館を使つて研究していただかなければなりません。こんな方向において考えております。これにつきましては今のところは、敷地はやつといろいろな手順の後に、比較的円満にだんだん手に入れられそうな程度までしか行つておりません。と申しまするのは、外国の大使館跡でありますから、それをなだらかに日本所管にする、これは現在は大蔵省所管ということになつて、遠からず国会所管にしていただく、こういう考えでおります。そうしてその外民有地を買い入れませんければ、ほんとう計画はできません。大よそ六千坪の民有地をつけ加えませんと、まともなものはできません。そこに鉄筋コンクリートの民間の建物でもできますると、ほとんど計画の上に齟齬を来しまするので、何とかしてそれを手に入れたいをいうことで、予算の点におきまして大蔵省にお願いをしておりまするけれども、今日のところこれはまつたく見込みがございません。もし運営委員会でお力をお貸しくださいまするならば、私どもは非常に幸福であると考えております。  第二の考え方に、とても本格的のものはやりましても、十年先でなければ、うまく行つても完成はしないと思つておりますので、その国会のために便宜をはかるためには、どうしても今の所ではだめでございますから、国会に接近する所に、一つ図書館及び調査設備をしなければならぬという考えで、これは先ほどお話になりました参謀本部建物跡に、漸次仮建築物をつくりまして、今の赤煉瓦のいろいろな焼残りがございまするが、ああいうものに手を入れますると、不燃質書庫または倉庫になるものができますし、そのほかに木造家屋をつくりますれば、それが研究室であり、読書室であるというものができまして、ただいまのところでは、まだ二棟しかつくつておりませんけれども、遠からずまた一棟できまするし、非常に中間的のものではございまするけれども、やや完備したものが数年後にはでき上る、こう考えております。  第三の考え方に、現在私どももとより、まとまつた図書館をやつておりまするが、事実は一つにまとまつておりません。たとえば上野に一つある、静嘉堂文庫東洋文庫がございますが、この形がもう少し拡張せられて行くのではなかろうか、こういうことを考えております。それはさしあたりの問題といたしましては、労働科学研究所の持つておりました書物九万冊ばかり、まだ確定にしておりませんけれども、ほぼきまつたものとして、この図書館の手に移つて来ることになつております。これは特殊の財産でありまするので、図書館に移らないと競売に付せられるというような意味合いがございまして、移つて参りますと、九万冊の書物と申しますれば百坪以上の書庫がいります。急にそれをすることはできぬということで、結局現在その書物のある所は交通は幾らか遠くなりますが、やはりその場所に置いて使用するということになります。そうするとちようど飛火のような図書館ができることになりまして、なお構想が今日の複雑なる社会事情のために、まだ少しくらいできるのではないか、こんな腹案を持つておりまして、この三つ方面で漸次新しい所を考えて行きます。新しい本館ができますれば今の赤坂離宮跡はもとよりお返ししなければなりません。そうしなければ実際図書館として手も足も出ないようになつて行きますので、何とかして本式に乗り移りたい。そうして離宮の建物は、それにふさわしい本来の、何かよい用途に使われるようにして行きたいと思つておりす。しかし何分にもそれに対しましての予算と物資との関係がございまして、今のところ敷地も足りないという状況であります。お尋ねに便乗すると言うと悪うございますけれども、ひとつ御援助を願いたいと考えております。
  13. 圓谷光衞

    圓谷委員 予算のことが出ましたので関連してお伺いいたします。昨年度の予算については私ども概要を承知しておりますが、二十五年度予算については、私どもはさつぱりわかつておりません。運営委員会協力をお願いしたいというような今の館長お話もありましたが、まずもつて一番重要なのは予算の処置であると思うのです。二十五年度の予算が一体どういうコースをとつて、どういう構想で出ておるかということを私ども承知しておりません。委員長はもし御存じであつたならば、ここで、概要でようございますからお話し願いたい。
  14. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ただいまお尋ねの図書館の二十五年度予算でございますが、実はまだ委員長も承つておりません。この機会に、館長さん始め役員の方もいらつしやるようですから、そちらから承ることにいたしたらいかがでごさいましよう。
  15. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 お答えいたします。まだ予算は、実は私の方としてはいろいろな希望を出しておりまするけれども、それに対しましてはつきりした結論を示されておりません。大体いろいろな交渉の結果はわかつておりまするけれども、私どもの方の土地を買うとか、あるいは本建築に関します基礎的な準備をする経費というものは全部拒絶されまして、そういう経費は出ておりません。大体現状維持という形で行きまするのと、それから旧参楳本部のあとに新しき建物を修築したり、あるいはかりのものをこしらえるということに当りまするような経費が、五百万円新しく与えられるというような道行になつております。  それから私どもの方でたいてい大丈夫だろうと思つております一つ経費に、国会の方の御希望もございましたけれども日本の議会制度が発達して来ました歴史についての資料が漸次散逸して行く傾きがございまして、明治の始めから非常に貴重な資料が名家の手に残つておりましたのが、大きなところではある程度保存せられておりまするけれども、小さいところに散逸してしまう。大きなところにございまするものも、なかなかいつまで完全に保存されるかわかりません。そこで今度の予算はございませんけれども、いろいちな工夫をいたしまして、今のところそういう目録をつくつて、その散逸を防ぐという計画をしておりました。来年度の予算におきましては、ことによりますとそういう資料を集めまする経費が、はつきりしたことはわかりませんが、数百万円手に入るということになると存じます。そうすれば二度と再び世の中に出て来ない唯一の文献が多少収集できまして、今私どもの腹案では、議会の中の図書館一つをあけまして、そこにあちらこちらのものを、いわば保管するような形で持つて来まして、漸次これを集積し、また所有権を移そう、こういう計画予算関係で立てております。  それからもう一つ、新しい問題として、私どもの方の立場として、一番はずかしい思いをしておりますのは、今日国会立法の府であるということでありましても、それに対しまして一番必要な法律に関する図書は非常にわずかでございます。アリリカからはある分量、向うの政府刊行物として法典も参りますが、イギリスからにほとんど手に入つておりません。そのほかの国ももとより手に入つておりません。それから日本で出ておるものとても、どうも標準的なものは揃つておりません。そこでひとつ議会をねらいどころにいたしまして、議会の一番必要な法律の図書室としまするか、小さい図書館のようなものをこしらえようというひとつの計画を持つております。これに最高裁判所とか法務庁などにもかようなものがございますけれども、実際は流儀が違いまして、向こうでは裁判に必要なものをお集めになつている、私どもの方では立法に必要なものを集めなければなりません。しかし、よそでは政治とか行政とかいうことに関してのものはあまり持つておりません。どうしてもこしらえなければならぬ。いわば大きく言えば、法律図書館というものに基礎を固めて行こうというので、それに対しまして資料を買いまして、今のところ金額にいたしますと二百万円、人員五人ということでございますから、規模は小でございますけれども、これが漸次完成して行きますれば、今の国会に一番近い旧参謀本部の焼跡のところに漸次設備をして行く、こんなふうに考えております。要するに本格的なものはあまりございません。小さいものが集積せられています。なお、それにつけ加えましてもう一つ考えますのは、これはこの図書館ができるときからの運命的な任務でございましたけれども日本中の書物の目録を一つところに集めまして、私ども図書館に目録を見に来ますれば、自分の欲しい本は日本のどこにあるか、掌に指さすがごとくにわかるという、いわゆる総合カタログをつくらなければならぬということになつておりまして、これも非常な予算を要しますので、思うように参りません。大蔵省も十分の経費を出してくれませんが、いくらかずつその方面に手を入れることができようと思います。そうすれば、時間はかかるかもしれませんが、所定の目的に達しまして、これにまあ次の年度の相当大きな問題になります。  それからちよつと、これももとよりはつきり既定し得る時期まで来ておりませんが、日本の科学的論文でございます。学問上のといいますか、主として科学に関しまするものは、どこの国でも書物になつてから読むのでは二年も三年も遅れておりまして、非常に進歩の早い問題を扱いまのに、結局遅れてしまうわけです。そこで、どこの国でも、おたがいに人の研究を、中途半途であつてもこれをよく承知して利用して行く、これが科学発途の根本であるわけてす。外国にはそういう制度が発達しておりますが、日本には発達しておりません。簡單に言えば、研究論文をうまく整理をいたしまして、だれがどんな研究をしているかということを、同じようなことをやつている人が容易に理解し得るような設備をする。図書館の仕事に当てはめて申しますれば、いわゆる考査事務、デイフアレンス・サービス、そういうものをやる。これが日本ばかりではございませんで、やはりアメリカ等からもそういうお話がありまして、これも予算さえ得られるならば、来年から、今のところたくさんににございませんが、そういう科学的論文の要綱をつくつて、それを諸国の間に交換して、学問の発達に資そう、こういう方向になつております。  それからもう一つ、やはり初めから図書館に与えられました問題は、印刷カードということでございました。日本で発行されましたすべての書物につきまして、図書館らしくよく整つたところのカードを印刷にするということをいたしますると、日本全国の図書館でカードをつくらなくてよろしい。カードを整理する人間を全部省くことができます。そのために非常な利益が得られる。これに外国から非常に助言せられており現在やつておりますが、しかしそれも四百万円ほど予算がもらえますと相当大規模にやれる。そうして外国でも日本の印刷カードをほしがつております。これがよくできて来ますと、地方図書館は本屋から買う。カードはわれわれの方から買つて行くということになり、もうそれ以上何もなくてりつばな図書館経営できるわけでありまして、非常に有効なことだと思つております。そんなようなことをただいまのところでは考えておりますが、結局それらを総合いたしましても現在の予算にわずかかわる程度になりまして、私どもの方の腹勘定といたしましては、一億四千五十万円見計画のものになるのではなかろうか、こういう労え方をしておりますが、これでは正直なところを申しますと、分の働きにいささかつけ加えるというだけでありまして、考えております大きな図書館建築などということは、当分見送りをしなければならぬというふうに思つておりす。
  16. 圓谷光衞

    圓谷委員 館長のただいまの説明を承り、相当な構想のもとにお考えになつておることを承知いたしたのでありますが、図書館運営委員会のわれわれの任務は、いかにしたらばりつぱな図書館になり、これが国会のわれわれの役に立つかということにあると思うのです。すでに一億四千万程度のものができたということは私も承知しております。しかしその前に、私は文部委員もやつておりますが、文部委員の方では必死とたつてこの予算の獲得その他に奔走して参つたのであります。ただいますでに大蔵省予算の査定があり、一方ドツジ公使その他との交渉の段階に入りましてから、予算の面において本委員会協力を求めるというような先ほどの館長お話もありましたが、すでに遅いと思つております。でき得べくんばこの予算が決定する前において、かくかくの理想のもとにこういう予算を持つて行きたい。ついてはもつと重点的にどういうものをやつて行くというようなことを御相談あつてしかるべきと思うのです。前にはその御相談がありまして、私どもも多少意見を申し上げた覚えがある。今年度は独断的に図書館の方でおやりになつて、一億四千万円程度でまことに残念だというお話ですが、今あそこに議員会館ができたりです。議員会館をつくつてわれわれ非常に喜ばしいと思うかもしれませんが、私どもあんなものをつくるならば――あんなものと言つては少し極端な言と思いますが、利用価値がまことに少い。国家予算を使う場合において、ああいうものがわかつておつたならば、議会には近いし、あそこにわれわれの部屋があるならば、いくらかでも図書館の方にでも利用されるような構想にしたがつたという話をきようもして来たのです。それだから私はお伺いするのです。図書館の方でどういう理想でどういうふうによくして行くかということはわかりますが、予算については今はすでに責任がないような感じがいたすものですからお伺いした次第であります。
  17. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 まことに申訳ないことでありまして、あちらこちらもがきましたけれども、こんなことになつてしまつたわけです。少しやり方がまずかつたと思つております。
  18. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ちよつと速記を止めてください。     〔速記中止〕
  19. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 速記を始めて。  そうしますと、先ほどお諮りいたしました国立国会図書館拡張に関する要望でございますが、これは適当な文案を委員長において起草いたしまして、参議院の方とも連絡の上、衆議院議長、参議院議長並びに両院の運営委員会要望書を出したいと思いますが、さようはからいまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決定いたします。  伊藤さんから発言を求めておられますので、これを許します。伊藤君。
  21. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 簡單なことでございますが、館長に質問と希望を申し上げます。  一つは実際国会図書館がありましても、なかなか私ども議員が直接利用するというわけにはいかないわけです。さしあたつて必要なことは、図書館に各新聞のスクラツプをつくつておられるそうですが、その目録をつくつていただいて、一部でもけつこうですから、各党にまわしていただくことができないものかどうか。なるたけそれをやつてもらいたい。  もう一つは、簡單なことですからついでに申し上げます。納本月報を見ますと、外務省なんかで、たとえば共産党でも資料のないような、コミンフオルムに関する資料とか、ポーランドの労働党の書記長のゴムルカの罷免問題こういつた資料がたくさん出ておるのでございます。そのほか厚生省とか建設省いろいろのものが出ておりますが、こういうものを見て私どもが各省に要求すればいいんじやないかと思うのですが、こういうことを図書館でまとめておられますと、これも費用その他の関係で――全議員に渡してもこれは全部が見るということもないので、むしろ各党でいろいろ仕事を、やつて行く上に必要な程度に応じて、一部か二部図書館の方で各省からもらつて、これを各党にわけるようなことができないかどうかということをお伺いしたいと思います。
  22. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 第一の新聞のスクラツプをこしらえておりますのは、なかなか目録のうまくできない仕事でございまして、目録をつくつてこういうカードにこしらえまして、ずつと整理して、そこをごらんになれば役に立つようにしてございますけれども、毎日たくさんできまして、まだ今まで目録を刷るということに実は研究したことはございません。今お話がありましたから、そういううまい目録が簡單に刷つて御配布できるかどうか研究しまして、もしできるようであればいたします。雑誌の方は割合に楽なものですから、今までも雑誌は全部やつておりますけれども、新聞の方はちよつと編集の仕方が込み入つておりますから、私ちよつと技術的の知識がありませんから、ここですぐにお答えできません。  それから今の各官庁の出版物の方は、私の方は各官庁から法律上の規定に從つて何部出せというふうでございますから、ものによりまして、私どもの権能としてこれをとる道はございませんけれども、各省に余分がありますれば、各政党にお渡しするということがあるいはできるかもしれない。それは私ども地位ではちよつと行きませんから、私どもの方からひとつ各省の意向を聞いてみまして、何かもしできましたら御便宜をはかりたいと考えております。
  23. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ほかに御意見はございませんか。  それでは本日はこれで散会をいたします。     午後二時十五分散会