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赤松委員 ただいまより
給與ベース改訂に関する
決議案の趣旨弁明をいたします。その前に先般本
委員会に付託になりまして、本
委員会に配付されました
決議案の
内容について御訂正をお願いしなければならぬ点がございまするから
ちよつと申し上げます。それは昭和二十四年十一月二十五日の公報におきまして告示されておるのでございますが、この公報の中に訂正が行われております。すなわち「一七九頁本欄四行、二二五頁同欄下段二行及び二七七頁同欄下段一四行「
野坂參三君外三十五名」は「
野坂參三君外八十八名」に訂正する。」かような訂正文が出ておるのでございます。これが正しいのでございますから、「
野坂參三君外八十八名
提出」というふうに改めていただきたいのでございます。その理由は日本
社会党、日本共産党、労働者農民党三党共同提案にかかるものでございまして、議院運営
委員会におきましては
委員会の審査を省略して、ただちに本
会議に上程していただきたいというわれわれの要求に対しましては、ひとまず
人事委員会に付託するということになりまして、本
委員会に付託された次第でございます。まず主文を朗読いたします。
給與ベース改訂に関する
決議案政府は、国家
公務員に対し、公共奉仕者たるの故をも
つて、不当なる抑圧を行い、民間
給與平均の七六%という低賃金と、労働強化を強い、しかも起過勤務手当の如きは実働時間の三〇%平均しか支拂
つていない。また
法律によ
つて定められた寒冷地給及び石炭手当の支給は、すでに白雪をみる今日に至
つても未だ完全な措置が講ぜられていない。
この結果、国家
公務員の
生活は極度に圧迫され、劣惡なる
條件の下に病患は増大し、事務能率は低下しつつある。このままに放置するならば、国家行政は重大なる危機にひんするであろう。
政府は、
国家公務員法及び
政府職員の新
給與実施に関する
法律のすべての條項を遵守するとともに、速やかに今
国会会期中に国家
公務員の
給與べ
ースを
改訂する措置を講ずべきである。
右
決議する
以上が主文でございます。そこで簡單に趣旨弁明をいたします。
まず第一に本
決議案の中に「公共の奉仕者たるの故をも
つて、不当なる抑圧を行い」という文句がございますが、これは先般来本
会議におきましても、あるいは本
委員会におきましても、しばしば問題にな
つておりまする、いわゆる
政府職員に対する政治活動制限の問題でございます。この点につきましては、後ほど共同提案をなしました各
委員から、いろいろ議論もあろうかと存じまするが、まずこの点を明白にしておきます。
なお「民間
給與平均の七六%という低賃金と、労働強化を強い、しかも超過勤務手当の如きは実働時間の三〇%平均しか支拂
つていない。」というこの事実、これは先般私が本
人事委員会におきまして、
増田官房長官に対しまして御
質問をいたしました。その際
実質賃金充実の一方法として、いわゆる超過勤務手当を百パーセント支拂いたい。
速記録によれば、現に
政府は起過勤務手当を十時間分のうち三時間
程度より拂
つてないということを、官房長官みずからこれを確認されまして、その際にこういう表現を用いられておる。
政府は借金を踏み倒しておる。だから、この借金をすみやかに支拂いたい、かようにおつしやられ、さらにその後
人事委員会におきまして、私に対して会計年度内にこれを支拂うということをおつしやられた。さらには後に至りまして本年度中に超過勤務手当全額を支給するという、きわめて
誠意ある
態度をとられておるのでございます。これは本
委員会におきまして、私は官房長官に対して、かつ
給與実施本部長官としての増田氏に対してお願いを申し上げました点をば、率直にお聞き入れくださいまして、本年中に全額超過勤務手当を支拂うというような御
発言があ
つたことは、まことにありがたいと
考えておるのでございます。
さて、その次に「寒冷地給及び石炭手当の支給」の問題でございますが、この点についてまず問題のありますことは、補正予算中に組まれておるその寒冷地給の
金額と、
人事院が
勧告したその
勧告案との間にギヤツプがあることは事実でございます。なお石炭手当の支給等については、完全な措置が講ぜられていないという点につきましても、同僚
委員からこの点について御
発言があろうかと存じまするから、私はこの
内容については触れることを省きます。
「この結果、国家
公務員の
生活は極度に圧迫され、劣惡なる
條件の下に病患は増大し、事務能率は低下しつつある。」これは最近における
政府職員、また
政府職員ではございませんが、公共企業体における病患の続出及び負傷者の続出というような事実を
考えてもこのことは言える。ことにこの際見落してならないことは、
政府は非常にむりな行政整理をやりました結果、各省において人員が不足しておる。本日の
新聞にもありますように、郵政省においても非常な人員不足を来しておる。あるいは食糧庁においても非常な人員不足を来しております。これは
政府の各諸官庁だけではございません。たとえば專売等においても、ある專売工場などは七千人から臨時雇を使用しておるという事実がある。これは
政府の各省において、臨時雇の雇用量というものがどんどんふえつつある。しかもこの臨時雇に対するところの
給與を、どこから出しておるかと申しますならば、あるいは超過勤務手当をごまかして、この中から拂う。あるいは
国会において
決定した
政府予算そのものを、一方的な操作によ
つて、このような不合理なものを穴埋めをしつつある現状であります。私たちは通常
国会に対しましては、各省別の定員修正に関する
法律案をば出したいというように
考えて、ただいま
準備中でございますが、いずれにいたしましても、かようなむりな行政整理の結果が、今日のように、いわゆる労働基準法をも蹂躙するような、そうして労働者に対する当然の保護規定を無視するような、臨時雇という面が増大しつつある。この事実に対しては
政府職員を保護する立場に立
つておられる
淺井人事院総裁は、決して無関心でおられないと思うのでございますが、こういう点についても、
政府並びに
人事院は十分な関心を拂
つて、これが適正化のために
努力をしていただきたいと思うのでございます。
なお最後に、「
国家公務員法及び
政府職員の新
給與実施に関する
法律のすべての條項を遵守するともに、速やかに今
国会会期中に国家
公務員の
給與ベースを
改訂する措置を講ずべきである。」ということは、先般来本
会議においても、あるいは本
委員会においても申しましたが、
国家公務員法第二十
八條に基き、
ベース改訂に関する
勧告案を早く出してもらいたい。
政府はまたこの
勧告に基いて、すみやかにこの
勧告案を
予算化するように
努力してもらいたいというのが、本
決議案の主要なるわれわれの要求であるのでございます。
以上きわめて簡單でございますが、
決議案の
内容を御説明申し上げたのでございます。
この間私は宮城前に開かれました労働者大会に出まして、その際に六十に近い一労働者でございますが、古ぼけた菜つ葉服を一枚着て、大会に参加しておりましたが、宇都宮の鉄道職員だそうでございます。その人が私の手を握
つて、
赤松さん、私は正月を目の前にいたしまして、ま
つたく
生活に窮しておる。もう着ておる物はこの菜つ葉服一枚である。しかし私は菜つ葉服一枚で正月を越してもいいが、せめて子供にげたの一足でも、またもちの一切れでも食わしたいと
言つて、私に泣いてせがむのであります。
政府は賞與とか、手当を出すとか、いろいろなことを
言つております。しかしながらそういう
政府の意図というものは、片つぱしからけられて来ているではないか。私は
政府職員だけが労働者ではないということはよく知
つております。また国鉄だけが労働者ではありません。それも十分知
つておる。しかも国家財政が苦しいということは十分知
つておる。知
つておりますが、一方ではむりな行政整理をや
つて首を切
つているではないか。マツカーサー元帥の書簡によれば、
国家公務員法はこれを厳粛に実行せよ。また一方において労働者に対しましては、十分なる保護を行えということをマッカーサーみずから
言つているではないか。さらに経済九原則が実施された場合におきましても、マツカーサーはこの犠牲をひとり労働者だけに転嫁させてはいけない。国民が平等にこの犠牲を背負
つて、国の再建のために
努力をしなければならぬということを、アメリカ人のマッカーサーが
言つておる。日本人であるところの
政府及び
人事院は、アメリカ人に教えられるまでもなく、自主的にこういう問題について活動してもらいたい。政治活動を制限し、行政整理をや
つて予算がないから、どうにもできないというようなことは、われわれ納得できない。二十五年度においては二百億円の金が行政整理によ
つて浮かぶ、二十四年度においては七十億は浮かぶ、また二十五年度予算の中には五百億の公債償還金が見込まれようとしている。いろいろな議論がありましようが、予算がないということは、われわれは言わせない。いろいろ困難な問題がございましよう。しかしこの際正月を目の前にいたしまして、民間
給與よりもはるかに下まわ
つておる、その七六%の
給與しか受けていない、
政府職員に対しまして
——また国鉄従業員に対しましては、近く仲裁案が出ると思うのでございます。どうぞ
政府も、
人事院総裁も十分そういう点を
考えられまして、当面する
政府職員及び国鉄の労働者の
給與の問題を、真劍に
考えていただきたいということをお願い申し上げまして、私の趣旨弁明を終ります。