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1949-12-01 第6回国会 衆議院 人事委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月一日(木曜日)     午前十一時四十九分開議  出席委員    委員長 星島 二郎君    理事 小平 久雄君 理事 玉置  實君    理事 藤枝 泉介君 理事 吉武 惠市君    理事 赤松  勇君 理事 加藤  充君    理事 逢澤  寛君 理事 木村 俊夫君       池田正之輔君    高橋 權六君       松澤 兼人君  出席国務大臣         内閣官房長官  増田甲子七君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         (法人局長)         人事院事務官  岡部 史郎君         (給與局長)         人事院事務官  瀧本 忠男君  委員外出席者         議     員 岡田 春夫君         專  門  員 安倍 三郎君         專  門  員 中御門経民君     ————————————— 本日の会議に付した事件  給與ベース改訂に関する決議案野坂參三君外  八十八名提出決議第五号)  人事院給與ース改訂勧告に関する決議案(  黒田寿男君外五名提出決議第一〇号)     —————————————
  2. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 これより人事委員会を開会いたします。  本日は委員長におさつかえがございますので、しばらく私が委員長職務を行います。この際赤松委員より発言を求められておりますから、これを許します。赤松勇君。
  3. 赤松勇

    赤松委員 人事院総裁ちよつとお伺いいたしますが、衆議院におきまして、私どもしばしばベース改訂内容及び勧告の時期等につきまして、これを明確にしていただきたいということを申し上げて来たのでございますが、総裁は、一体衆議院で何回、委員会もしくは本会議を通じまして要求があつたか御記憶でございましたならば、ひとつお答えを願いたいと思うのであります。
  4. 淺井清

    淺井政委員 まことに赤松さんの御質疑に対しては恐縮いたす次第でございますが、本日も、ただいま参議院人事委員会において、同様のお尋ねがございましたので、この給與ベース改訂は数日中に勧告をいたす用意がある、かように申し上げましたので、時期につきましては、それと同じことを申し上げるほかないと思つております。
  5. 赤松勇

    赤松委員 私の聞いておりますのは、そうじやございません。衆議院において、あなたに対して議員が一体何回その問題について明確なるお答えを願いたいということを要求したか、御記憶でございましよう。
  6. 淺井清

    淺井政委員 私は給與ベース勧告内容につきましては、国会提出をいたしまする前に、どこにも申し上げたことはないと思つております。
  7. 赤松勇

    赤松委員 私がなぜそういうことをお聞きするかといえば、われわれは少くとも人事院のべースに対する勧告内容をまだ知りませんが、第二十八條に基いて、すみやかに勧告してもらいたい。また勧告する義務がある。勧告それ自体に対しましては、終始きわめて好意的に人事院支持して来たことは御承知のことと思います。しかもわれわれは本国会におきましては、政府はしばしば減税その他によつて実質賃金は減らないということを言つておるがこれに対しましては大いに議論がございまして、しかも計算の時期等につきましても、人事院見解支持して来た。従つて勧告がなされた後におきまして、池田大蔵大臣増田官房長官考えておられまする実質賃金の問題につきましては、十分に論議をしたい。今は何よりも、第一にベース改訂勧告をしていただいて、その勧告案が出た後におきまして、それに基くところの論議を繰り返したい、かように思つて誠心誠意つて来たことは、人事院総裁承知通りでございます。しかるに本日の毎日新聞を見ますると、上野人事官大阪において、このような談話発表しておる。給與ベース改訂勧告準備はできており、三日までに出す、七千八百八十円程度と見て、まず間違いはないだろう、こういうことを言つておる。私は——何を笑つておる。そういうふまじめな態度はいけません。笑つていけない厳粛な問題ですよ。国会に対しては全然何らの意思表示をしないで、人事官出先において、こういうことを発表するとは何事でありますか。国会に対する侮辱であります。きよう社会党国会対策委員会におきましても、その問題が出た。われわれは人事院総裁に対しましても、また上野人事官に対しましても、先般来ベース内容勧告の時期について御発表願いたいということを言うて来た。これに対して、今その時期でないから、しばらく待つて来れと言つており、相当その時期はずれておる。このことに対しては、人事院総裁人事官は、おそらく良心的に苦しんでおられると考えておる。これは新聞の誤報だ、あるいは新聞発表されたことは責任を持たない、こうおつしやるかもしれませんけれども、少くとも日にちというものがはつきり出ておる。それからベース内容というものが、ここにはつきり出ておる。これはきようの国会対策委員会において問題になつた。一体人事院は何をやつておるのか、今まで誠意をもつて人事院勧告を早くしてもらいたいということで協力して来たにもかかわらず、国会に対しては何らの意思表示をしない。そうして出先において新聞記者団に対してこれを発表する。発表することに対して、私は反対するのではございませんが、なぜ、国会においてこれを明確にする前に、出先においでかような重大な談話発表したか、これについて人事院総裁の御見解をお聞きしたい。
  8. 淺井清

    淺井政委員 まことにこれは恐縮いたしました。赤松さん初め、非常にこのべース勧告については御盡力をくださいましたのにかかわらず、従つてまたその内容に重大な関心を持たれまして、このベース内容について御質疑もございました。それに対しまして、私どもお答えが明確にできなかつたことは、事情は御了承通りでございます。そこで、私がきよう申し上げましたことは、この時期については数日中に勧告をいたす用意があるということを、国会の両人事委員会で申した次第であります。ところが、私はただいまお示し上野人事官大阪における談話を見まして、まことに驚いた次第でございます。そうしてお示し通り国会にまず申し上ぐべき前に、このようなことを外部に申しましたことにつきましては、私は陳謝いたしますよりほかはないと思つております。但しここにありまする数字その他については、いずれ勧告が出ましたときに、御了解を願えると思つておりまするが国会の、少くとも人事委員会等において申し上げる前に、外部にこのようなことを申しましたことがありといたしますれば、私は陳謝いたします。
  9. 松澤兼人

    松澤委員 これは総裁はよく御存じなのです。総裁はとにかく国会権威というものについては十分尊重していると思う。その国会が、あるいは党派代表として質問した場合に、そのときでも時期は言わないし金額はもちろん言つていない。あなたが平素国会を尊重するということを言つておりながら、私今朝新聞を見て、はたしてあなたの腹が国会尊重であるのかどうかということについて、非常に憤慨した。何とも言えないくらいぼくは憤慨した。これほどまでにわれわれが一生懸命になつて、しかもむしろわれわれは人事院の立場を尊重して、どこまでも二十八條によつて勧告を一日も早くなすべきだというので、われわれはどれだけ苦労しているかわからない。しかも出先において政党の首領がやるならともかくも、人事院人事官がこういうことを発表するというようなことは、これは大間違いである。こんなことを得々として出先行つて言つているならば、人事行政に対する始末も何にもつかないです。どういう考えでこういうことを言つておるのか、陳謝するだけではわれわれは承知できないのです。これほどの問題を上野人事官がどうゆう経過でやつて来たかは、帰つていらつしやつてから、われわれはもう一度この問題をむし返しいたします。少くとも今まで聞いている範囲内においては、関係方面との関係においても、一人事官がこういう、まだ公に発表しないことを出先で言うというようなことは、関係方面に対してもその責任はきわめて重大だと思うのです。関係方面との関係は、発表するような段階になつているのかどうか。そうしてこれまで人事院総裁国会尊重ということを言つておられるが、それがはたして真実であるのかどうか。あるいは上野人事官が帰つて来られてから——私はこういう重大な問題があつたら、ほかの仕事は放擲して、あなたが直接上野人事官に帰つて来いというふうに言つて、帰つてもらつて、この事情を取調べる必要がある。それをおやりになるかどうか。この三つの点について御質問申し上げたい。
  10. 淺井清

    淺井政委員 最前赤松さんにお答えいたしました通り、私は国会権威を何よりも重んじてこれまでやつて参つた。各政党代表の御質疑に対しても、あまり詳しく申しませんでした事情は、よく御了解くださると思つております。そこで上野人事官出先におきまして申しましことにつきましては、私はただいま赤松さんに申し上げましたように陳謝いたします。明日帰つて参ると思いますから、さつそく取調べまして、また御返事いたしたいと思います。
  11. 松澤兼人

    松澤委員 関係方面はどの程度まで発表してもいいということになつているのですか。速記をとめてやる必要があるなら、とめてやつてください。
  12. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 ちよつと速記をとめて     〔速記中止
  13. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 速記を始めて。
  14. 赤松勇

    赤松委員 先ほど参議院人事委員会におきまして、淺井総裁上野人事官発表いたしました七千八百八十円という勧告案は、大体こういうものだというような御発言があつたと聞いておりますが、いかがでありましようか。
  15. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 速記をとめて。   (速記中止
  16. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 速記を始めて。
  17. 赤松勇

    赤松委員 その点につきましては、すぐ参議院速記録を調べまして、後日人事院総裁に対して御質問してみたいと思うのであります。  なお一点お聞きしておきたいことは、参議院人事委員会におきまして、数日中に勧告案を出すと言われたが、上野人事官は三日までに出すと言つておられます。はたして三日までにお出しになる御意思があるかどうか。
  18. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止
  19. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 速記を始めて。
  20. 赤松勇

    赤松委員 一体なぜこのように勧告の時期が遅れるのでございましようか。おさしつかえなければ、ひとつお聞きしたいと思います。
  21. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止
  22. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 速記を始めて。
  23. 赤松勇

    赤松委員 さらに重ねてお尋ねいたしますが、ただいま参議院のやはり人事委員会におきまして、勧告予算化のために努力するという御答弁があつたわけでございますが、これはきわめて当然だと思うのでありまして、ただ問題は、しからばどのような形で、これが実現のために努力をされるか。そういう努力の仕方について、ひとつこの際お承りいたしたいと思います。
  24. 淺井清

    淺井政委員 私が木下さんに参議院お答え申し上げましたのは、そのような具体的なことではなしに、ただこの勧告をいたしました以上、人事院といたしましても、この勧告実現努力いたすべきは当然の職務でありますのみならず、この勧告は申せば人事院が百万人の公務員にかわりまして、その生活苦しみ国会と国民に訴えたものでありまして、それに対しまして輿論支持を得、また国会支持を得まして、この実現を期したい。かように思つておる次第を申し述べた。ただ問題はしからばどのような具体的なことをやるかという点でございまするが、この点はちよつとここで申し上げかねると思いますから、どうぞあしからず御了承願いたいと思います。
  25. 赤松勇

    赤松委員 人事官としては、どのような方法で実現する道があるのでございましようか。法律的に申しまして、あるいは実際的に申しまして、どのような道を選ぶか。そういう道はあるのでありましようか。
  26. 淺井清

    淺井政委員 もちろん法律的に申しますれば、人事院は何が適正であるかということを勧告するにとどまるのであつて、その最終の決定権国会にあることは法律上問題はないと思います。私といたましては、この勧告というものが決して暗やみの中で行われるのではなくて、輿論の前において全勤労者支持を得るであろうということが、私は何よりも大きな力になると思つております。それからまた国会におきましても、百万人の人間の生活苦しみを訴えました勧告書に対して、最大の御努力を得て全面的な御賛意を得るものと、私は期待しておるのでございまして、私はむしろ一番国会の御同情と御賛意を期待しておるものでございます。
  27. 赤松勇

    赤松委員 その程度ならば当然のことでございます。問題は期待するということと、実現努力するということとは違う。実現努力するということは、非常に政治的な意味をもつております。たとえば輿論支持を得るとかなんとかおつしやいましたが、どのような形で輿論支持を得るのでございましようか。
  28. 淺井清

    淺井政委員 つまりこれはひそかに勧告をいたすのではなくて、ことに国会に対して勧告をするものでございますから、勧告と同時に勧告文内容発表されるものでございます。それが私は輿論支持を得ることだ、そういうふうに思つております。
  29. 赤松勇

    赤松委員 もう一点、これは私の党へ報告しなければならぬのでお聞きしておきますが、上野人事官が帰つて参りまして、この発表真実であると判明した場合に、人事院総裁としてどのような処置をおとりになりますか。
  30. 淺井清

    淺井政委員 私は仮定のもとにここでお答え申し上げることはできませんが、それは人事官が帰つて参りましてから、ひとつ考えたいと思つております。
  31. 松澤兼人

    松澤委員 関連しておりますが、総裁人事官を罷免することはできないことはよくわかつております。そこでお伺いいたしたいことは、人事官の罷免の問題でありますが、この中で職務上の義務に違反した場合のことがありますが、今のような人事院総裁国会において発表できない事実を、もし上野人事官出先において新聞社発表したとすれば、これは職務上の義務に違反しておると私は考えますが、この点の御見解いかん
  32. 淺井清

    淺井政委員 まず私はよく事実を調べましてお答えをいたしたいと思いますが、これは非常に重大な点でございまして、ここで軽々しくお答え申し上げかねると存じますから、御了承願いたいと思います。
  33. 松澤兼人

    松澤委員 それでは逆に人事官職務上の義務というものはどういう点でありますか。
  34. 淺井清

    淺井政委員 それは国家公務員法における服務の規定が適用されておりまするから、大体御了承通りかと思つております。
  35. 松澤兼人

    松澤委員 この問題は仮定に立脚して答弁することができないということはよくわかる。しかし私の見解から申し上げれば、人事院総裁国会において発表できないことを発表することは、明らかに職務上の義務に違反しておる。その点はいかがですか。
  36. 淺井清

    淺井政委員 私はまずよく事実を調べてから申し上げたい。私がそれに対してここでお答えをいたしますることは、重大なる結果を招きますから、どうぞその点は御勘弁を願いたいと思います。
  37. 松澤兼人

    松澤委員 私は上野人事官の問題を離れてお聞きしたい。人事院総裁国会において発表できないことを、他の人事官が公表するということは義務に違反しておる、こう思うのですが、いかがですか。
  38. 淺井清

    淺井政委員 法律上の義務違反云々考えませんでも、これは決していいことだとは思つておりません。
  39. 松澤兼人

    松澤委員 もう一お伺いいたします。人事官人事院総裁関係ですが、人事官というものは一人々々が独立して、人事官としての職責を盡すのであるか、あるいは総裁の決裁において、人事官職務の執行が行われるのか、その点であります。
  40. 淺井清

    淺井政委員 ちよつとお答えがはずれるかもしれませんが、人事院国家公務員法にございますのは、三人の人事官、そのうち一人が総裁でございまするが、それの合議制をもつておるものであつて、会計検査院と同じようなものだと思つております。従いまして重要なことにつきましては、三人ともよく話合つてやる、こういうことになつております。
  41. 松澤兼人

    松澤委員 そうしますと、大体において淺井総裁国会においてお答えになることは、他の人事官も、——一々御相談ということはありますまいけれども、他の人事官も共同してその責任を持つ、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  42. 淺井清

    淺井政委員 大体御説の通りでございまするが、委員会等言葉やりとりというものは、そのときどきによつて非常に変化をいたしまするから、あるいは一々相談しないこともあるのだ、かように思つております。
  43. 松澤兼人

    松澤委員 それでは新聞の問題は仮定でありますけれども勧告に関するその時日、それから勧告案ベース金額というようなことを発表する段階になつているということを、人事官との間において御決定なつた事実は、いままでの話ではないと考えられますが、発表してもいい段階に今来ているというようなことを、三人の人事官の中においてお話合いなつたことはなかろうと思うのでありますが、この点はいかがですか。
  44. 淺井清

    淺井政委員 私の申しまするのは、国会及び内閣以外に対する発表の時期であります。これは国会及び内閣提出しました直後だ、こういうふうに了解しておるのであります。
  45. 松澤兼人

    松澤委員 それでは同じことをもう一度確かめるのでありますが、勧告案国会及び内閣提出する時期及び勧告案内容を、今あるいはきのう発表してもいい時期になつているということを、三人の人事官の中においてお話合いなつたことはないと思いますが、その通りでございますか。
  46. 淺井清

    淺井政委員 その通りでございます。ただ私は従来きわめて近き将来とかいうような言葉をもつてつて参りました。それから本日初めて数日中ということを申しましたが、これはよろしいと思うのであります。
  47. 赤松勇

    赤松委員 作業は完了しているのでございましようか。
  48. 淺井清

    淺井政委員 完了いたしております。
  49. 赤松勇

    赤松委員 上野人事官の問題に関連いたしまして、人事院総裁及び人事官責任をただしたいでございますが、淺井人事院総裁陳謝をされましたか、残念ながらわが党は淺井人事院総裁陳謝だけでは、この問題を了解するわけには参りません。そこで明日上野人事官がお帰りになるそうでございますが、人事院総裁は、上野人事官に十分その真意をただしていただきまして、人事院総裁態度いかんによつて、われわれの方もその態度をきめたいと思います。私の質問はこれで終ります。
  50. 加藤充

    加藤(充)委員 きのうからお尋ねしていますが、地域給の問題なんかについても、勧告等内容に加えられるか、あるいはまた地域給について、かねがね約束の人事院の方のお考えがまとまつてるかどうかを、お尋ねしたいと思います。
  51. 淺井清

    淺井政委員 この勧告案の中に地域給が含まれるかどうかということは、すなわち勧告案内容になるわけでございます。それと離れましてお答えを申し上げますが、地域給に関しましては、すでに考えがまとまつております。
  52. 加藤充

    加藤(充)委員 この前の話では、国会に対する人事院勧告が、なぜ遅れているのか、また勧告をすべき時期は、いかなる点で條件が熟していないかというような問題をお尋ねしましたときに、これは速記にも載つておりますが、大体ベースの問題についての勧告準備はできている。ただ地域給というような問題について、基本ベースとの関連から、それだけの点で遅れているかのような御答弁があつたのでありますが、もしこのたびの勧告案の中に、あるいは勧告案の中に織り込まれなくても、それと前後して人事院が、かねがね九月という時期まで明言されておりました地域給の問題は、一緒に手を打たれなければ、人事院国会を侮辱したものであるというこになりまするし、同時に地域給準備ができておつて、なおそれが発表にならないということになれば、これはどうもいろいろな理由を構えて、人事院責任をとらないということに相なると思うのであります。それでこれは一々答弁をいただいてもしかたがありませんが、今赤松君と松澤君の発言に関連して、私は次のようなことを言つておく必要があるし、また淺井さんの御答弁を明確に伺いたいと思う。  最近いわゆる最高裁判所の誤審問題というものが問題になりまして、その責任とり方というような事柄についても問題が出ました。しかしながらそれは松澤君の発言の中にもありましたが、人事院というものが、三人の人事官一体責任制の上に立つているという問題とやや異なつて最高裁判所判事の誤審問題は、誤審に関係した、その部を構成した判事だけの問題だと思うのでありますが、この際の人事官責任とり方は、上野人事官單独一人のものだ、その人のミステークであるとか何とか言い、淺井さんは恐縮だと言つて、その上野さんだけを処置するというだけでは、この責任はとり切れないものだと私は確信いたします。そのことについて、まずまつ先上野さんが出先言つたという事柄は、人事院としての重大な責任であるということは、明らかだと私どもは思う。そして淺井さんは総裁として恐縮であります。陳謝いたしますというような事柄では、これは済まされないと思うのであります。赤松君がわが党ということで、社会党のこの問題に対する態度を今明らかにされましたが、私ども党派態度を明らかにする上から申し上げても、恐縮、陳謝ということだけでは足りない。従つてこの際、今まで人事院は出過ぎたことをやつていても恐縮に思う。出足らないことをやつていても恐縮だと言つて来た。それは一々人事院規則の出し方、内容の問題、あるいはまたそれが白紙委任状で、広汎な権限が付與されているといつただけでは済まされない問題が、昨今では試験問題に現われて参つております。またいろいろなことで、次々に公務員生活利益を保護する機関であるにもかかわりませず、人事院規則で、また人事院のやる事柄におきましては、何ら保護を受けておらず、利益すら侵害され、既得権すら奪われて行つたという問題が多々あるのでありまして、そういうことからいえば、足りない点もあり、勧告の時期の問題なんかについては確かに出足りなかつたのでありますが、出過ぎても陳謝、出足りなくても陳謝すると、言葉だけの陳謝であるならば、今赤松君に、にこにこ笑つてしかられたようですが、ちよつと顔の表情をかえてまことに恐縮であります、御説はごもつともでありますが云々ということで済まされますけれども、この問題は済まされないと思う。この際あらためて総裁としての、あるいは人事院責任者としてのあなたの責任とり方というようなものについて、確かめておきたいと思うのです。
  53. 淺井清

    淺井政委員 地域給のことは一番暇のかかつたものであつたということを申し上げたのでありまして、これはすでに済んでおります。御承知でもありましようが、この地域給の問題が解決しませんと、ベースというものは算出できないのでございますから、さよう御了承願いたいと思います。なおさいぜん以来の御質問に関しましては、私はたびたび申し上げましたように、よく事実を調べまして申し上げたいと思つております。
  54. 高橋權六

    高橋(權)委員 今まで赤松委員加藤委員から、るる質問されておりますように、そういう問題を漏らしたということについては、人事院としてはあまり不謹慎であつたとは思います。しかしながらその発言したときの動機や、その記事のことはよく考慮すべきだと思います。特に新聞関係は特種を非常にほしがるのが新聞社の常であります。その際にどういう動機でそういうことが話に出たのであるか、座談的に、これは漏らしてくれるなと言つておいたものが、酒の上でそういうふうになつたのか。私はそれだから議院内において酒を飲むことを禁止しております。私は飲んでいないのです。その動機がウイスキーでも飲んでおつたが、日本酒を飲んでおつたかビーヤを飲んでおつたかということは知らないが、酔つぱらつた勢いでしやべつたものであるか、前後不覚になつてしやべつたのか。ちようど泉山三六さんのような問題がなきにしもあらず、そういう点から、今人事院総裁が言われるように、その結果を確めた上でなければいけない。それから今加藤委員の言われるように、必ずしも個人の失敗を上官が受持たなければならないという規則は、全部にあるものではないのであります。その点については今後この委員会においても、出席の際は絶対アルコールを体内に入れないようにして、まじめに審議することが必要だと思う。そしてここで話合つたことを漏らさないように、お互いにそういうことは考えていただきたい。(発言する者あり)まだ質問中だ。私は人事院総裁を擁護するわけじやない。われわれ委員として熱心に研究する以上は、まじめであつてほしいのでありますから、そのためにはよく愼重審議して行かなければならぬ。ですから、人事院総裁の今申される通り、帰つて来てから——そのときの特種にするためのペテンにひつかかつたのか、あるいはいらないことを自分からしやべつたものであるか、そういうことをも取調べていただきたいと思います。今後委員委員室に入る以上、院内においては酒を飲まないようにお願いしたいと思います。
  55. 加藤充

    加藤(充)委員 取調べてから責任とり方についてその処置を具体的にするとおつしやつたのでありますから、これ以上問題を突き詰めたところでしかたがないという御答弁があると思うのです。調べてから処置をするというのですが、仮定論の上に立つた議論などというのは、吉田さん以来まさか人事院にも影響したわけではないと思うのですが、淺井さんはそういうようなことで、御答弁にならないかもしれないけれども、そういうことじやなしに、処置するということの内容が、もしああいうような新聞記事と、ほぼ同様な問題が出ていたということになれば、まさか新聞記者諸君が事実でないものを、ああいうふうな端数までつけた発表をすることはないと思う。また女をたぶらかすわけじやありませんから、酒を飲まして、どじようやうなぎを殺すように、新聞記者が籠絡した上で、発言を求めて特種をとつたというようなことはないと思うのです。お互い新聞記者が書かれた事実は、大体において了承されると思うのであります。これは常識であります。従いまして、仮定論ではありますけれども、大体そういうような社会的常識の上に立つて、あれが事実とすれば、——事実と思つていいと思うのですが、そういうことについて淺井さんが処置するという責任内容淺井さんはどうするのか、その点をはつきりしていただきたいと思います。
  56. 淺井清

    淺井政委員 これ以上私はここで申し上げることはできないと思います。
  57. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 速記を止めてください。     〔速記中止
  58. 赤松勇

    赤松委員 一点だけ淺井人事院総裁にお尋ねしたいのでございますが、私は上野さんの問題とは切り離して伺いますが、七千八百八十円のベースがもし出た場合に、これは一体政府職員に対してはどれぐらいの金額になるのか。それから地方公務員に対しましてはどれくらいな予算が必要であるか。それからこれは十一月から実施されるのと、十二月から実施されるのとでは、その予算の内容が違つて来るのでありますが、一体いつからこれを実施されるのでありましようか。その三点につきましてお尋ねいたします。
  59. 淺井清

    淺井政委員 ちよつと私から申し上げかねますが、給與局長から申し上げられるかもしれません。
  60. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今の赤松委員の御質問でございますが、私がここで申し上げますことは、かりに七千八百八十円といたしますれば、従来の六・三べースとの差額に公務員の数、これは約九十万ありますが、それを乗じましたものが、一月分の費用、こういうことになります。
  61. 赤松勇

    赤松委員 これはあとでいろいろ決議案が出ますから、その際参考にします。さらにまたあとの質問に関連しますので、一応はつきりしておきたいのであります。給與局長の今おつしやられる程度のことは、政府職員の数が九十万で、六・三ベースをそれから引いて、それに九十万をかければわかる。そういことを私は言つているのではないのであつて、地方公務員に対しては一体どれぐらい心配されるのか。政府職員のそれと、さらに実施時期、これは非常に重大な問題になつて来る。たとえば今の数字で行けば一箇月間たしか十三億五千六百万円であると思う。それで十一月から実施されるのか、十二月から実施されるのか。会計年度は三月でございますから、その実施の時期と、さらにそれに要する予算の内容等をちよつと御答弁願いたい、こう思つて質問しているのです。
  62. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 実施の時期は国会がおきめになるのでありますから、その点につきまして、われわれの方から御答弁申し上げかねます。
  63. 赤松勇

    赤松委員 私はこう考えるのです。大体人事院はふまじめだ。第一勧告するについて、これが実現のために努力するということは、さつき淺井さん言われたじやないか。——淺井さん、官房長官なんかに相手になつている必要はない。委員質問に対してお答えなさい。さつきは人事院総裁が現に、そのベース予算化については努力する。その方法としては、たとえば輿論を喚起するとか、あるいは国会に御了解を求めてやるとかいう方法を講ずると、あなたは一言つたではないか。私質問に対して人事院が答えられないのか。一体どれくらいの予算が必要で、地方公務員に対してはどれくらいか。あるいは実施の時期は国会できめてくれるのでこう言うのか。これが勧告される場合には、当然法案が必要なのだ、六・三ベースも、法律案をかえる手続が必要だ。こういうことも十分考慮して、そうして勧告が行われなければならない。一体予算も考えないで勧告を行うというばかなことがありますか。そうでしよう。委員質問に対して、予算の内容がわからないというような、だらしのないことでどうしますか。こういうことで人事官としての職責が全うできると考えておりますか。今のふまじめな御答弁は何だ。
  64. 淺井清

    淺井政委員 ただいまの答弁は決してふまじめな答弁とは私は考えておりません。それは国家公務員法第二十八條をごらんくだすつてもよくわかりますように、人事院は予算について何も権限はないのであります。でありますから、地方公務員についてどれだけの予算がいり、何がどれだけの予算がいるということは、これはむしろ国会及び内閣でお考えになるべき立場にあるのでありますから、人事院がこれをここで言明できませんでも、決してふまじめなものではないと私は信じております。
  65. 赤松勇

    赤松委員 それは違う。この間淺井総裁はこの委員会において何と答弁したか。その際に淺井人事院総裁は予算と関連して考えなければならぬということを、松澤委員質問に対して答えたではないか。うそだと思つた速記録を調べてみなさい。予算と関連してこの問題も考えなければならない。従つて勧告の時期等についても慎重に考えなければならぬということをあなたは言つたじやないか。予算編成権は政府にあるということくらいわかつている。それは憲法がちやんと規定しておる。国家公務員法の二十八條つて、経済諸條件の変化に応じということは言つてある。そうして勧告する場合には、予算がどれくらい必要で、今の客観的情勢のもとにおいては実現できるかできないかということも、また考慮の要素の一つにならなければならぬのだ。そういうことを全然度外視して、OPS等を基礎にして、ただ形式的な勧告を行うということならば、人事官の職責を全うすることはできない。もつとまじめにやつてもらいたい。政府職員が九十万いるということくらいわかつておる。そんなことを聞いているのじやない。実施の時期だつてそうじやないか。勧告しつぱなしで、それが法律化されなければだめである。そうでしよう。
  66. 淺井清

    淺井政委員 赤松さんの御質疑中、私が予算の関連において考えなければならないと申しましたのは、人事院が何も予算の内容に詳しく立ち入つて考えるというわけではありません。ただそれは一般論として申したにすぎないのであります。ただいま勧告の時期についての答弁が非常にふまじめだというようにお考えでございますが、これは少しく私どもとして考えるところがありましたので、さような抽象的なお答えなつたと思います。私どもといたしましては、この実施の時期がなるべく早からんことを希望して努力中であるからであります。
  67. 赤松勇

    赤松委員 主観的にはわかつているのです。主観的には、なるべく早く実施したいということはわかつているのです。しかし客観的には遅れているじやないか。先ほどあなたは、それに対して重大な責任を感じているということを言つているじやないか。そうだとすれば、こういうわけでおそくなりました。まことにこの勧告の時期が遅れて申訳ない、ついては今度勧告した場合に、どのような数字になるかわからないが、かりに今委員側の質問に対して、そういうベースなつた場合には、大体これくらいな予算が必要であると思うというくらいな答弁は、あなた、できませんか。そういうことをわれわれは要求する。人事院はそれを知つているのか、知らないのですか。予算がどれくらい伴うかくらいのことは知つておりますか、給與局長はどうですか。
  68. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それはわれわれの方といたしましても、いろいろ仮定いたしまして、予算の数字を出しております。しかしながらただいまの御質問の問題は、勧告内容にも触れて参る問題でありますので、発言を留保させていただきます。
  69. 赤松勇

    赤松委員 勧告内容には触れないのですよ。今私が出した数字、この七千八百七十七円というベースにした場合に、一体三月までにはどれくらいの予算が必要なんだ。政府職員が九十万、地方公務員は何名と見積つておるか、百五十万と言われておる。一体どのくらいなんだ。私の聞こうとすることは、政府の方は行政整理によつて七十億円の財源がたまつているはずだ。来年は二百億円浮くはずなんです。そういう問題と関連して、人事院見解を聞いておるのです。
  70. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまこの席上に計算してあるものを持つておりませんから、あとから御報告申し上げます。
  71. 赤松勇

    赤松委員 実際だらしのないことだと思う。今の私の初めの質問に対して、政府職員は九十万、そうして七千いくらにベースを出した。だから六三を引いてそれに九十万かければよい。そんなことはわかつておるはずだ。何だ不謹慎な。それでなくても委員会でどんな質問があるかわからない。ことにベース勧告は非常に重要なんです。その答弁資料ぐらいは持つて来るのが当然じやないですか。笑いごとじやない。最初私がこの人事官の問題を出したときに、佐藤君以下どんな態度をとつたか。くすくす笑つていたじやないか。国会を尊重すると言いながら国会を侮辱しておるじやないか。そういう態度、そういう心構えがあるから、人事院は新しい官僚的な集と言われる。われわれは人事院をきわめて積極的に、好意的に支持しようとしておる、その気持に対して、いつも人事院の方では裏切つているじやないか。  そこで私は今度増田官房長官にお尋ねいたしますが、あなたはわからぬですか、これはさつきの資料がないとわかりませんね。十一月一日からベースを実施すればこれだけいる。十二月一日から実施すればこれだけいる。いつから実施するということを聞いておるのではない。十一月一日からやればこれだけ、十二月一日からやればこれだけ、こういう概算を発表してもらえればいいのです。その程度のことはできるでしよう。
  72. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 すぐ計算はできます。
  73. 赤松勇

    赤松委員 人事院は地方公務員はどれだけ、政府職員はどれだけという公式な見解発表していないじやないか、去年の十二月に明確に出した案は、今度は出しておらぬ。君たちが考えなくちやならぬことは、いきなり勧告されたつて国会の方ではその勧告予算化するのにどうするかという十分な準備を整えておかなければならぬのだ。淺井総裁は今言つたじやないか、国会の協力を得なければならぬ。国会の協力を得なければならぬとすれば、当然予算等の問題について国会準備しなくちやならぬ。それについて政府職員の数が何人あるかわからない。地方公務員の数が何名あるかわからない、あるいは十一月一日から、十二月一日から実施した場合には、これだけの予算がいるだろう、そういうことが全然わからないで、ぽかんと勧告を出して来て、予算を出せと言われても、われわれの方はすぐ予算化するということは非常に困難だ。だからこそ人事院のそういう数字についての、公式の見解をわれわれはただしている。     〔藤枝委員長代理退席、委員長着席〕  このことはベース勧告後の予算化の問題に重要な関係がある。だから聞いておるのだ。こしらえなさいよ。そんなことは何も関係しやしないじやないですか。
  74. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま赤松委員の言われたように、本日詳しい数字を持つておりません。
  75. 赤松勇

    赤松委員 地方公務員は……。
  76. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今お話ございましたように、約百五十万ぐらいだと思います。
  77. 赤松勇

    赤松委員 政府職員は……。
  78. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 九十万と申しましたが、それよりいくらか少いところをふんでおります。
  79. 赤松勇

    赤松委員 実に驚いたことだ、話にならぬ。これから資料を整えて、ちやんと人事院総裁が困らないよ方に、翼賛の任務を果しなさいよ。     —————————————
  80. 星島二郎

    ○星島委員長 ただいまより給與ベース改訂に関する決議案、及び人事院給與ベース改訂勧告に関する決議案の二件を議題として審議に入ります。まず発議者より趣旨の説明を聽取いたしたいと思います。赤松君。
  81. 赤松勇

    赤松委員 ただいまより給與ベース改訂に関する決議案の趣旨弁明をいたします。その前に先般本委員会に付託になりまして、本委員会に配付されました決議案内容について御訂正をお願いしなければならぬ点がございまするからちよつと申し上げます。それは昭和二十四年十一月二十五日の公報におきまして告示されておるのでございますが、この公報の中に訂正が行われております。すなわち「一七九頁本欄四行、二二五頁同欄下段二行及び二七七頁同欄下段一四行「野坂參三君外三十五名」は「野坂參三君外八十八名」に訂正する。」かような訂正文が出ておるのでございます。これが正しいのでございますから、「野坂參三君外八十八名提出」というふうに改めていただきたいのでございます。その理由は日本社会党、日本共産党、労働者農民党三党共同提案にかかるものでございまして、議院運営委員会におきましては委員会の審査を省略して、ただちに本会議に上程していただきたいというわれわれの要求に対しましては、ひとまず人事委員会に付託するということになりまして、本委員会に付託された次第でございます。まず主文を朗読いたします。    給與ベース改訂に関する決議案政府は、国家公務員に対し、公共奉仕者たるの故をもつて、不当なる抑圧を行い、民間給與平均の七六%という低賃金と、労働強化を強い、しかも起過勤務手当の如きは実働時間の三〇%平均しか支拂つていない。また法律によつて定められた寒冷地給及び石炭手当の支給は、すでに白雪をみる今日に至つても未だ完全な措置が講ぜられていない。   この結果、国家公務員生活は極度に圧迫され、劣惡なる條件の下に病患は増大し、事務能率は低下しつつある。このままに放置するならば、国家行政は重大なる危機にひんするであろう。   政府は、国家公務員法及び政府職員の新給與実施に関する法律のすべての條項を遵守するとともに、速やかに今国会会期中に国家公務員給與ース改訂する措置を講ずべきである。   右決議する  以上が主文でございます。そこで簡單に趣旨弁明をいたします。  まず第一に本決議案の中に「公共の奉仕者たるの故をもつて、不当なる抑圧を行い」という文句がございますが、これは先般来本会議におきましても、あるいは本委員会におきましても、しばしば問題になつておりまする、いわゆる政府職員に対する政治活動制限の問題でございます。この点につきましては、後ほど共同提案をなしました各委員から、いろいろ議論もあろうかと存じまするが、まずこの点を明白にしておきます。  なお「民間給與平均の七六%という低賃金と、労働強化を強い、しかも超過勤務手当の如きは実働時間の三〇%平均しか支拂つていない。」というこの事実、これは先般私が本人事委員会におきまして、増田官房長官に対しまして御質問をいたしました。その際実質賃金充実の一方法として、いわゆる超過勤務手当を百パーセント支拂いたい。速記録によれば、現に政府は起過勤務手当を十時間分のうち三時間程度より拂つてないということを、官房長官みずからこれを確認されまして、その際にこういう表現を用いられておる。政府は借金を踏み倒しておる。だから、この借金をすみやかに支拂いたい、かようにおつしやられ、さらにその後人事委員会におきまして、私に対して会計年度内にこれを支拂うということをおつしやられた。さらには後に至りまして本年度中に超過勤務手当全額を支給するという、きわめて誠意ある態度をとられておるのでございます。これは本委員会におきまして、私は官房長官に対して、かつ給與実施本部長官としての増田氏に対してお願いを申し上げました点をば、率直にお聞き入れくださいまして、本年中に全額超過勤務手当を支拂うというような御発言があつたことは、まことにありがたいと考えておるのでございます。  さて、その次に「寒冷地給及び石炭手当の支給」の問題でございますが、この点についてまず問題のありますことは、補正予算中に組まれておるその寒冷地給の金額と、人事院勧告したその勧告案との間にギヤツプがあることは事実でございます。なお石炭手当の支給等については、完全な措置が講ぜられていないという点につきましても、同僚委員からこの点について御発言があろうかと存じまするから、私はこの内容については触れることを省きます。  「この結果、国家公務員生活は極度に圧迫され、劣惡なる條件の下に病患は増大し、事務能率は低下しつつある。」これは最近における政府職員、また政府職員ではございませんが、公共企業体における病患の続出及び負傷者の続出というような事実を考えてもこのことは言える。ことにこの際見落してならないことは、政府は非常にむりな行政整理をやりました結果、各省において人員が不足しておる。本日の新聞にもありますように、郵政省においても非常な人員不足を来しておる。あるいは食糧庁においても非常な人員不足を来しております。これは政府の各諸官庁だけではございません。たとえば專売等においても、ある專売工場などは七千人から臨時雇を使用しておるという事実がある。これは政府の各省において、臨時雇の雇用量というものがどんどんふえつつある。しかもこの臨時雇に対するところの給與を、どこから出しておるかと申しますならば、あるいは超過勤務手当をごまかして、この中から拂う。あるいは国会において決定した政府予算そのものを、一方的な操作によつて、このような不合理なものを穴埋めをしつつある現状であります。私たちは通常国会に対しましては、各省別の定員修正に関する法律案をば出したいというように考えて、ただいま準備中でございますが、いずれにいたしましても、かようなむりな行政整理の結果が、今日のように、いわゆる労働基準法をも蹂躙するような、そうして労働者に対する当然の保護規定を無視するような、臨時雇という面が増大しつつある。この事実に対しては政府職員を保護する立場に立つておられる淺井人事院総裁は、決して無関心でおられないと思うのでございますが、こういう点についても、政府並びに人事院は十分な関心を拂つて、これが適正化のために努力をしていただきたいと思うのでございます。  なお最後に、「国家公務員法及び政府職員の新給與実施に関する法律のすべての條項を遵守するともに、速やかに今国会会期中に国家公務員給與ベース改訂する措置を講ずべきである。」ということは、先般来本会議においても、あるいは本委員会においても申しましたが、国家公務員法第二十八條に基き、ベース改訂に関する勧告案を早く出してもらいたい。政府はまたこの勧告に基いて、すみやかにこの勧告案予算化するように努力してもらいたいというのが、本決議案の主要なるわれわれの要求であるのでございます。  以上きわめて簡單でございますが、決議案内容を御説明申し上げたのでございます。  この間私は宮城前に開かれました労働者大会に出まして、その際に六十に近い一労働者でございますが、古ぼけた菜つ葉服を一枚着て、大会に参加しておりましたが、宇都宮の鉄道職員だそうでございます。その人が私の手を握つて赤松さん、私は正月を目の前にいたしまして、まつた生活に窮しておる。もう着ておる物はこの菜つ葉服一枚である。しかし私は菜つ葉服一枚で正月を越してもいいが、せめて子供にげたの一足でも、またもちの一切れでも食わしたいと言つて、私に泣いてせがむのであります。政府は賞與とか、手当を出すとか、いろいろなことを言つております。しかしながらそういう政府の意図というものは、片つぱしからけられて来ているではないか。私は政府職員だけが労働者ではないということはよく知つております。また国鉄だけが労働者ではありません。それも十分知つておる。しかも国家財政が苦しいということは十分知つておる。知つておりますが、一方ではむりな行政整理をやつて首を切つているではないか。マツカーサー元帥の書簡によれば、国家公務員法はこれを厳粛に実行せよ。また一方において労働者に対しましては、十分なる保護を行えということをマッカーサーみずから言つているではないか。さらに経済九原則が実施された場合におきましても、マツカーサーはこの犠牲をひとり労働者だけに転嫁させてはいけない。国民が平等にこの犠牲を背負つて、国の再建のために努力をしなければならぬということを、アメリカ人のマッカーサーが言つておる。日本人であるところの政府及び人事院は、アメリカ人に教えられるまでもなく、自主的にこういう問題について活動してもらいたい。政治活動を制限し、行政整理をやつて予算がないから、どうにもできないというようなことは、われわれ納得できない。二十五年度においては二百億円の金が行政整理によつて浮かぶ、二十四年度においては七十億は浮かぶ、また二十五年度予算の中には五百億の公債償還金が見込まれようとしている。いろいろな議論がありましようが、予算がないということは、われわれは言わせない。いろいろ困難な問題がございましよう。しかしこの際正月を目の前にいたしまして、民間給與よりもはるかに下まわつておる、その七六%の給與しか受けていない、政府職員に対しまして——また国鉄従業員に対しましては、近く仲裁案が出ると思うのでございます。どうぞ政府も、人事院総裁も十分そういう点を考えられまして、当面する政府職員及び国鉄の労働者の給與の問題を、真劍に考えていただきたいということをお願い申し上げまして、私の趣旨弁明を終ります。
  82. 星島二郎

    ○星島委員長 岡田春夫君。
  83. 岡田春夫

    ○岡田春夫君 ただいまの赤松君の決議文と大体同様の趣旨の決議文が、黒田寿男君外五名から提案をされておりますので、これの簡單な提案趣旨の弁明をいたしたいと思います。黒田寿男君外五名は、大体おわかりの通り、労農党全員をもつて実は提出いたしたのであります。まず第一に提案の趣旨を申し上げます前に文案を朗読いたします。    人事院給與ベース改訂勧告に関する決議   国家公務員法第二十八條によれば、人事院は、給與決定する諸候件の変化により、俸給表に定める給與を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。   しかるに政府職員の賃金六、三〇〇円ベース決定以来の物価の変動は、政府資料によつてもすでに百分の五を超えている。   よつて人事院は、速やかに政府に対し給與ベース改訂勧告をなすべきである。  右決議する。  ごく簡單に趣旨を弁明いたしておきますが、ただいま赤松君からお話もありました通りに、大体同様な趣旨であります。特にこの決議案の中で、御説明申し上げておいた方がよろしいという点でありますけれども、まず第一に勧告の時期の問題についてであります。公務員法の二十八條によりましても、あらためて申し上げるまでもなく、人事院は毎年少くとも一回、国会並びに政府に対して給與ベースについて勧告をしなければならないことになつております。ところが国家公務員法は、淺井人事院総裁が十分御承知通りに、昨年の十二月三日においてこれが通過になつております。そうなつて参りますと、本年の十二月二日までに少くとも一回、政府並びに国会に対して勧告をなさらなければならない義務があるはずなのであります。これにつきまして、仄聞するところによりますと、人事院の解釈によると、国家公務員法の通過は十二月三日であつても、この二十八條の條文の実施は一月の八日であるからして、一月八日までが満一年であるというような、きわめて解釈上便宜的な措置をおとりになるというような説も風聞において聞いておるのであります。かようなことをもしお考えになるとすれば、再三淺井人事院総裁がお話の通りに、公務員の立場を擁護するための人事院義務というものが、——先ほど赤松君の言いましたように、新しい官僚が新しい解釈をして、いろいろな形で給與ベースに対する勧告義務を怠つておる。実際には政府職員を擁護するのではなくして、擁護するという看板を掲げて、事実においては職務を怠つておる。事実においては窮乏いたして参ります政府職員の生活の状態を見捨てて、おつぽらかして行くというような結果を招くことは、あらためて申し上げるまでもなく、淺井人事院総裁はよくおわかりであろうと思うのであります。従いましてわれわれとしては当然公務員法が公布になりました昨年の十二月三日から計算をいたしまして、本年の十二月二日までに勧告をなさるのが、公務員法の精神からいつて、忠実であり、人事院義務としても、これは当然行わなければならない問題であると、かように考えまして、この決議案提出いたしたわけであります。  第二の問題といたしましては、先ほども赤松君からお話がありましたように、政府並びに国会に対して勧告をしなければならないということに明確に規定をしておる。そこで先ほど問題になりました上野人事官大阪における発言を、われわれは新聞紙上で仄聞いたしまして、これを通じて人事院自体の考え方を考えてみました場合において、三十日はいまだ国会は会期中で延長になつておりません。この新聞発表されました時期については、三十日の午後相当遅くに国会の延長が行われているわけですから、それ以前にこの新聞の記事が発表されたと私は考える。そうなつて参りますと、人事院は、第六国会が閉会いたしましたあとにおいて、しかも第七国会の始まる以前において、ちようど国会のない間において、人事院勧告発表されようとしたようでございます。上野人事官発表内容は、これがはたして真実であるかどうかということはともかくといたしまして、あの発表の点をそのまま人事院考え方といたしまするならば、国会が休みの間に政府並びに国会に対して報告をするという二十八條義務を実行されようといたしておるのであります。こういう点から参りますと、政府に対する勧告はいたしましても、国会の休みの間に行われるという意味において、これは明らかに公務員法二十八條政府並びに国会に対して報告をしなければならないという、その国会に対しては、休みの間に行うという形で、でき得る限り国会内における論議を回避して、そういう形で人事院がサボタージユをやろうという危險性が、はつきりわかるのであります。こういう点からいいましても、私は少くともこの国会の会期中において——幸いに三十日に会期が三日まで延長になりましたから、今度はいかに国会の会期のないときに勧告をされようとしても不可能なのである。こういう点におきましてもすみやかに勧告をされなければならない。この点を特に提案趣旨の弁明に関連をいたしまして、申し上げておきたいと思います。  最後に人事院内閣関係については、事あらためて申し上げるまでもなく、あくまでも淺井総裁がいつも言われているように、政府職員の生活を擁護するために人事院はあるのであるという立場を、明確にあらためて考え直されまして、内閣に牽制されて右顧左眄することなく、はつきりと人事院の本来の使命を痛感されまして、ここで勇断をもつて勧告されんことを特にこの機会にお願いいたしまして弁明の趣旨にかえる次第であります。
  84. 星島二郎

    ○星島委員長 この決議案の取扱いにつきまして、参考のために一応この際に政府側の意見を聽取いたしたいと思います。
  85. 淺井清

    淺井政委員 ただいま決議案の趣旨弁明を承つたのでございまするが、もうすでにここに繰返して申し上げまするまでもなく、人事院といたしましては一月も早く勧告をいたす次第でございます。これだけつけ加えて申し上げたいと思います。
  86. 加藤充

    加藤(充)委員 この際増田さんが来ておられるのでお伺いしたいのであります。それは公共企業体労働関係法の十六條の一項の問題と、同法三十五條の但書の規定の問題なのであります。その関連については一応問題になつたのでありまするけれども、ここに勧告その他の問題が出ましたので、思い出したから明確に増田さんの御見解、あわせて淺井さんの明確な御答弁をお願いしたいと思います。それは「公共企業体の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする」云々という協定の問題ですが、ここに「予算上又は資金上、不可能な」ということは、どういう意味合いのものなのか御返事をお願いしたいと思います。それは三十五條の但書に、除外規定のようなものがありますのでお尋ねをいたしたいと思います。
  87. 星島二郎

    ○星島委員長 その前に、ただいま申したようにこの勧告決議案に対して政府側の御意見を承わりたいと思います。
  88. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ただいま赤松君の御説明にかかる決議案内容は、政府においてはよくわかりました。ただしかしながら総理が施政方針演説の際に明確に皆様に申し上げております通り政府といたしましては経済、財政、予算等の関係上、ただいまのところ賃金べースそのものを変更する意思はないのでございます。ただしかしながら、昭和五ないし九年に比べまして、実質賃金がいかにも少い。公務員諸君もさぞ種々の苦難をなめていらつしやるであろうという点につきましては、政府は心からこれを理解し、同情申し上げておる次第でございまして、あらゆる処置を講じまして何とか実質賃金の確保あるいは向上に努めたい、こう思つております。賃金ベースそのものの変更はいたしがたいということは、たびたび明確に申し上げておりまするが、その他の点につきましては、予算上あるいは会計経理上できる措置はすべてこれを講じまして、年末等におきましてもあるいはわずかかもしれませんが、なるべくあたたかいふところで年を越していただきたい、こういうふうに考えております。     〔「ない袖は振れぬ」と呼ぶ者あり〕
  89. 加藤充

    加藤(充)委員 そのことに関連して、今私が聞いたところを明確にしてほしいと思うのですが、そうなると予算上または資金上不可能ということになつておるが、今そこらで出たように、ない袖は振れぬということになると、また不可能になると思いますが、六千何百億円も組んでいて、ない袖は振れぬということはないと思う。
  90. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 十六條と三十五條との関係においての御質問でございまするが、十六條のいわゆる予算上不可能なというのは、現在の予算措置がとつてないという関係、いわゆる会計法規違反になるという関係のみならず、現在財政……。
  91. 加藤充

    加藤(充)委員 いやそうじやない。予算上または資金上ということです。
  92. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 財政経済上、つまり予算というのは財政という見地まで、私どもは見ております。そういう見地からいたしまして、不可能な場合には、すなわち政府としては今九原則の具体的な解釈であるところの、総合均衡予算を実施し、励行する必要がある。これが政府に課せられたる至上命令である。つまり日本復興の前提として安定が必要であり、安定を基盤として復興をはかる。こういう見地から、やはり予算上不可能なという、そういう範囲に解釈いたしておるということです。
  93. 加藤充

    加藤(充)委員 不可能だということになれば、予算上または資金上不可能なという解釈はわかりましたが、それでは今度の正月にせめてあたたかいふところというのは、どういう形で不可能ではないのか。予算上または資金上の運営その他を明確に御返事願いたいと思います。
  94. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 加藤さんにお答え申します。予算の範囲内において、経理が会計法規上合理的にできることがございます。それはたとえば事務費を儉約いたしまして、超過勤務手当をもし正確に拂つていないところがあるとすればそれを拂う。先ほど赤松君が御指摘の通り合法的な処置、妥当な処置をとりたい。つまり予算上可能な処置をとりたい。こう政府考えておるわけであります。
  95. 加藤充

    加藤(充)委員 もう一点、そうするといわゆる予算または資金の運営で、出す気になれば出せるのを今まで出さたかつた。三十%しか拂つていなかつたということになれば、新給與実施法の三十一條の義務の履行関係で、責任を果したかどうか、責任上違反していないかどうかということについて、簡單に御答弁を願いたいと思う。
  96. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 この間赤松君の御質問に対して、お答え申し上げたときに、私は各官庁によつて、あるいは実際上勤務しても拂つていないものもあるという例証を申し上げたわけでありまして、政府は一般にすべて七〇%の借金をふみ倒しておるというわけではないのです。
  97. 加藤充

    加藤(充)委員 借金じやない、給與……。
  98. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 どうか私が答えてからにしてください。——要するに債務という意味なんです。つまり超過勤務手当を拂うという債務、これは通俗な言葉では、借金という言葉で表現しておりますが、そういう事例もなきにしもあらずというわけであります。但し法規の関係はなかなか慎重に考えておりまして、それぞれ予算が配当された官庁においては、その配当された予算の範囲内において超過勤務を出して、それ以上超過勤務をしてもらわないという仕掛けにいたしております。それからやはり事実に合致した奉仕的な超過勤務でも、拂つてもらう必要がある。こういうふうに考えて、実際超過勤務した者には、すべて合法なると非合法なるとを問わず、適切妥当にして、しかも合法的な支拂いをいたしたい。債務を支拂わないというようなことはよろしくない。こういう立場をとつておるのでございます。
  99. 藤枝泉介

    藤枝委員 給與ベースに関する決議案の取扱いをさらに考究することといたしまして、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  100. 星島二郎

    ○星島委員長 ちよつとお待ちください。今の給與ベースの問題は、各派の意見をまとめたりするために御研究願いたいと思います。  きようは質疑の保留がございますから、午後試験の問題とか、あるいは職階法の根本について、きようは速記がありますから継続したいと思いますが、どうでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 星島二郎

    ○星島委員長 それでは本会議は簡單に済むそうでありますから、本会議の終了そうそう、もう一回ここで会議を続行いたすことにいたします。  暫時休憩いたします。     午後一時十七分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた