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1949-11-21 第6回国会 衆議院 人事委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十一日(月曜日)     午後一時五十分開議  出席委員    委員長代理 理事 藤枝 泉介君    理事 小平 久雄君 理事 玉置  實君    理事 吉武 惠市君 理事 赤松  勇君    理事 加藤  充君 理事 逢澤  寛君    理事 木村 俊夫君       岡西 明貞君    高橋 權六君       橋本 龍伍君    柳澤 義男君       土橋 一吉君  出席国務大臣         法 務 総 裁 殖田 俊吉君         労 働 大 臣 鈴木 正文君  出席政府委員         人事院事務官         (法制局長)  岡部 史郎君         法制意見長官  佐藤 達夫君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君         専  門  員 中御門經民君     ————————————— 十一月十九日  伊豆七島の勤務地手当地域給特地域に引上げ  請願菊池義郎紹介)(第九二一号)  人事院に訴願中のかく首者生活保障に関する  請願加藤充紹介)(第一〇一九号)  公務員給与に関する請願加藤充紹介)(一  〇二三号)  人事院規則の一部改正に関する請願江崎一治  君外五名紹介)(第一〇九四号)年末補給金支  給に関する請願江崎一治君外三名紹介)(第  一〇九五号)  公務員給与改訂に関する請願江崎一治君外  三名紹介)(第一〇九六号)  寒冷地積雪地給及び石炭手当支給促進に関す  る請願江崎一治君外三名紹介)(第一〇九七  号)  公務員給与改定に関する請願加藤充君紹  介)(第一〇九九号)  同(伊藤憲一君外二名紹介)(第一一八九号)  寒冷地手当支給促進に関する請願松澤兼人君  外五名紹介)(第一一〇〇号)  政令第二百六十四号の一部改正に関する請願(  小川平二紹介)(第一一二三号)  同(井出一太郎紹介)(第一一二四号)  同(田万廣文君外一名紹介)(第一一二五号)  超過勤務手当完全支給に関する請願伊藤憲一  君外一名紹介)(第一一六五号)  国家公務員交通費支給請願伊藤憲一君外  二名紹介)(第一一六六号)  職員団体の取扱に対する人事院処置に関する  請願外二件(加藤充君外四名紹介)(第一一八  六号)  公務員組合組合員資格に関する請願外二件(  江崎一治君外二名紹介)(第一一八七号)  寒冷地給石炭手当支給に関する請願岡田春  夫君外二名紹介)(第一一九〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  政府職員の新給与実施に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一号)  国家公務員職階制に関する法律案内閣提出  第二九号)  特別職職員給与に関する法律案内閣提出  第一八号)(予)     —————————————
  2. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 これより人事委員会を開会いたします。  ただいま委員長がちよつとおさしつかえがありますので、私が委員長の職務を行いたいと思います。  前会に引続きまして、政府職員の新給与実施に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律案及び国家公務員職階制に関する法律案の三件を一括議題といたしまして、質疑を継続いたします。土橋委員
  3. 土橋一吉

    土橋委員 ただいま指名をいただきまして、昨日に引続いて御質問を申し上げようと思いまするが、人事院総裁がお見えでありませんので、岡部法制局長責任を持つてお答えをくださるならば、御質問をいたしたいと思いますが、いかがでありましようか。
  4. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 土橋委員お尋ねに対しまして、お答えすることに御異議ございません。
  5. 土橋一吉

    土橋委員 それでは御質問をいたしますが、六千三百七円ベース支給について、特にことしの一月の下旬、二月の上旬等においては全官公労の各組合において、賃金支拂いに関して年末調整金等の差引がありましたために、非常に給与が悪いという事実が起つたのであります。ここで人事院にもすでに苦情処理なり、あるいはその他のあらゆる方法でたくさんの書類が参つたことは、御承知置きの通りだと思います。これに対して人事院総裁はたしか三月の上旬、三日からであつたと記憶いたしておりますが、数日間にわたりまして、当時の給与実施本部次長の今井氏あるいは他の諸君といろいろな御審議が展開せられまして、そうしてその審議の結果については、人事院はたしか十二條の第十五号だつたと思いまするが、その規定から当然九十二條によつていかなる処置をするかを定め、政府あるいはその他の筋に対して勧告なり、報告なり、意見を開陳するようになつておりますが、この結果は今日においても国会にも報告がないのであります。こういう点についてどういう経過になつているか。これが第一点。  第二点はどういうような決意を持つて、六千三百七円ベースが完全に支給されないという状態を解決する考えを持つているか。こういう点について人事院見解を承りたい。
  6. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 その点に対しましては、審議の結果の結論も出ているわけでありまするが、現在手もとにございませんので、後ほどお答えいたすことにいたします。
  7. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますと、ただいま手もとにありませんならば、将来資料を取寄せて、人事院がどういうように内閣に対してその状況について勧告をしたかいうことを、明確にされたいと思います。  第二番目の点は、人事院は当時の給与実施本部長に対して、あるいは各省給与係の不当な、六千三百七円ベースに至らないような給与支給について、ただいまどういう考えでおられるか、この内容をひとつお話を願いたいと思います。
  8. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 お尋ねの点につきましては、公開審議結論を申し上げるときに、あわせて申し上げたいと思います。
  9. 土橋一吉

    土橋委員 それではこの質問総裁がお見えになつて、さらに資料が届くまで保留をさしていただきます。  第二番目の質問でありますが、第十二條の前段の一項の規定を見ますると、人事官会議議事はすべて議事録に記録しなければならないという規定がありますが、少くとも給与ベース改訂、あるいは審議の結果等については、人事院では会議途上において相当な議論があつたことと思いますので、そういうものは国会提出をしていただいて、そうしてわれわれも人事院のあり方、人事院がいかに重要な議案について会議を進められているのかという点を見たいと思います。あなたの方では少くとも毎週一回開くこの会議を、議事録にとどめておると思いますが、これは国会提出できるものでありますか、この点を伺いたいと思います。
  10. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 人事院会議議事録は公開することになつておりますから、その内容につきましてこれをごらんになりたい方は、人事院においでくださるならばお目にかけることになつております。もちろん国会からその人事院会議議事録の全部につきましての御要求はあるまいと思いますが、特定の事柄に関しての特定の日時、特定会議についての御要求でございますならば、これを提出いたすようにとりはからいたいと思います。さよう御了承願います。
  11. 土橋一吉

    土橋議員 それはまことにありがたい仕合せであります。最近新聞が報道しておりますように、国鉄の諸君が九千七百円を要求せられまして、これが公共企業体労働関係調停委員会におきまして八千五十八円という案が出たのでありますが、これを国有鉄道公社では認めなかつたのであります。当時の状況から考えますと、人事院は少くとも七千八百八円程度給与ベース改訂勧告するであろうということが、新聞によつて報道せられていたのでありますが、そういう経過について詳しく人事官会議では御討論なすつたと思いますので、ただちに私はその部分に関して委員会へ、あるいはわれわれ議員の方へ、御報告を願いたいと思うのであります。  次の点でありますが、この国家公務員法を見ますと、たとえば二十四條に書いてありますように、「人事院は、毎年、国会及び内閣に対し、業務状況報告しなければならない。内閣は前項の報告を公表しなければならない。」こういうことに相なつておりますが、人事院がすでに臨時人事委員会から発足せられまして、相当歳月の経てをりますので、特に今年における業務状況等について御報告願いたいと思いますが、これはでき得るでありましようか。この点をお伺いいたします。
  12. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 業務状況に関しまして、毎年一回国会及び内閣に対しまして御報告申し上げることは、これは人事院に課せられた義務でございますから、これを遂行するように、ただいま準備中でございます。当然御希望に沿い得ることと存じております。
  13. 土橋一吉

    土橋委員 きのうの浅井総裁の御発言で聞き取れなかつた点もありますので、あなたも御答弁をお聞きであつたと思いますから、重ねてお聞きしたいと思いますのは、厚生福利あるいは実質的に賃金を十分補い得るような措置を、人事院計画をし、これを各官庁にも推進せしめるということが、当然勧告内容として、あるいは業務一般報告の中にも考えられるものでありますが、今までそういう点について人事院では、どういう計画をせられまして、どういうような御抱負と経綸をもつて公務員諸君実質給与向上元気回復、その他についておやりになつたか、きのうは聞きとれなかつたので、人事院でおやりになつ範囲を詳しくお聞かせ願いたいと思います。
  14. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 一昨日浅井総裁から申し上げましたのは、議員福利厚生に関しまする施設は、人事院及び各省の長がおのおの力を合せまして、これが増進に勤めることが、国家公務員法要求している建前であつてひとり人事院のみならず、内閣総理大臣を始めとして各省各庁が、これに努力している。そのことが実質賃金充実その他の施設として、内閣がこれを実現しようとしているのだということを申し上げたはずであります。各省でどういうことをやる。人事院がどういう計画を立てているかというような詳細なることにつきましては、ただいま手もとに持合せもございませんから、後で資料として提出いたしたいと存じます。
  15. 土橋一吉

    土橋委員 これは本委員会においても問題になるように、公務員諸君登録に関する問題、あるいは宣誓に関する問題、さらに政治活動禁止に関する人事院規則の十四の七というような規則が出ておるにかかわらず、そういうような方面については、ほとんど一回もわれわれは御報告を聞いたこともなければ、たとえば政府職員共済組合に関する規定等についての、これは早急にしなければならぬのであります。現在の給与のきわめて困難な中から、七%も共済組合はこれをとつておるのであります。特に共済組合の金が、たとえば寒冷地地域におきましては、それがさらに流用せられておるというような結果を見ますると、それでは他の厚生関係、あるいは病気、そういうようなものにつきまして、あるいは金詰まり等について、共済組合が活動し得る余地が、きわめて少くなつたのであります。そういう点について特に配慮しなければならない問題があるにかかわらず、いまだに政府共済組合を統合した計画の樹立をされてないというようなことを見ますると、明らかに人事院は、最近の傾向といたしましては、そういう方面は努めて消極的であつて、そして公務員諸君労働條件改善、あるいは賃金ベース改訂、あるいは政治活動制限等に対する問題については、勇猛果敢規則をつくつてつておる、こういう点を私はこの前の委員会においても、総裁にお聞きしたのでありまするが、人事院がそういう方針で一貫をしてやるものであるならば、人事院公務員諸君権利利益と、いわゆる公務員諸君のほんとうの能率向上というような方面に動かなくて、公務員諸君権利生活を破壊し、脅かすところのひとつの機関になり下つてしまつておる。かようにわれわれは考えざるを得ないのであります。そういう点について、もう一回あなたの方の法的措置から見て、たとえばどういうものがなされたか、こういう点を明確にお願いたしたいと思います。  第二点は、なるほどこれは民事等の方々もあまり賛成はされておりませんが、たとえば課長以上のいわゆる上級職については、一斉に来るべき一月十五日から試験を開始するというようなことを掲げまして、吉田総理大臣新聞の報道によりますると、これは人事院の越権ではなかろうか、少し行き過ぎではなかろうかというような意見が、新聞で報道されておりまするが、そういうようなことは、私はまことに遺憾千万でありまして、一方においてはそういうふうにきつく政治活動なり、あるいはまた労働運動なり現実の要求を押える。片方には何もしないでおく。ただ何か知らぬが、中間的に高級官吏諸君と言いましようか、そういう方に試験を課するというようなことで、注意を転換するような、この人事院の行き方については、非常に私は疑いをもつておるのでありますが、こういうものについて、法的措置の立場から、特にあなたが専門でありまするので、御意見なり、あなたの方のお考えを示していただきたい。
  16. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 福利厚生関係法的措置のことにつきましては、過日も浅井総裁から一言触れた問題でありまするが、第一には現在の国家公務員共済組合法基ずく共済組合制度の確充、あるいは充実という問題がございます。これにつきましては、これを根本的に立て直すために、目下共済組合の方の根本的な改正を立案中でございます。これは事恩給法にも関係して参ります。従いまして、恩給制度改正にも触れなければならぬ問題が出て来ようかと思つております。また職員全般の身分にも関係して参りまするので、実は今期国会に御審議をいただいておりまする職階法が、その基礎にもなろうかと思いますので、実は職階法の御審議も取急ぎお願いしておるわけでありますが、いずれにいたしましても、私ども予定といたしましては、この第六国会に引続きまする通常国会におきまして御審議いただく予定で、目下成案を得るのに急いでおる状況でございます。  それから次には国家公務員災害保障法案のことでございますが、これも公務傷病に会いました国家公務員を保護する意味におきまして、一日も早くこれを整備しなければならぬ問題でありまするが、この法案におきましても、ほとんど成案を得ておりまするので、私どもの念願といたしましては、臨時国会にぜひ提出いたしまして、御審議を仰ぎたかつたのでありまするが、現在までのところ、その準備もちよつと完成いたしませんので、これも必ず通常国会において御審議いただく予定でございます。これらにつきまして、かなりな程度にまでそういう方面法的措置が整つて参ることと存じております。また職員の休暇であるとか、その他の勤務條件に関しまする事項につきましては、できるだけ人事院規則をもちまして、これを定めて行く所存でございます。  なおこのたびの試験につきまして、そちらに注意をそらすのは、人事院のやり方はけしからぬやり方ではないかという仰せがあるのでありまするが、これは土橋さんもよくご承知国家公務員法附則九條に基づきまして、人事院に課せられました当然の義務を遂行するだけのことでございまして、注意をそらすとか何かという意図は毫もありませんので、御承知いただきたいと思います。
  17. 土橋一吉

    土橋委員 もしあなたの方で、今の私の質問にそういう御答弁をくださるならば、国家公務員法附則第四條においては、明らかに主たる構成は必ずしも職員でなくてよろしいという問題があつたのであります。ところが第九條においては、この問題をあとに取上げられて、その問題とは別の意味のような御回答をただいまいただいておりまするが、それならば人事院規則のあの登録に関する十四の二に置いて、急遽六月三日にはりつぱな規則の案をおつくりになつたのでありますから、それをなぜ九月十七日に急に改訂をして、被整理者職員ではないというような変更規定を設けられるのか、私は非常に奇怪に考えるのであります。当然それならば国家一般の高級と申しましようか、上級職官吏に対する試験も、あの当時同じように、六月三日にその御意見を発表になつて規則をおつくりになればよろしいのであつて、一方のものは九月の上旬には一種の便法でかえてしまう。その問題が少し横這いの状態になれば、今度は試験という問題ではつたりをかけて来るような態度、私は人事院がある種の政治的な意味合いをもつてつているということがきわめて明白に考えられるのであります。でありますから、この点についてひとつ明確なる御答弁を願いたいと思うのであります。
  18. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 附則九條の試験登録に関する人事院規則とは全然関係がないのでございます。試験につきましては、ただいま申し上げました通り。それから登録の問題の改正のいきさつにつきましては、一昨日総裁からはつきり御説明申し上げた通りでありますから、これ以上申し上げることはございません。
  19. 土橋一吉

    土橋委員 これはあなたも答弁を聞かれたと思いますし、浅井人事院総裁の著書にも百六十七ページかに明瞭に書いてあるのであります。そうして最初の登録規定にも、職員が主たる場合にはその官職、氏名、住所と書いてあるのであります。従つて当時の考えは、必ずしも職員でなくとも、いわゆる国家公務員法にいう、登録を許す職員団体なり労働組合というものは、そのような非職員が入つているということを明確にさせておるのであります。ところが八月十二日から電気通信省、あるいは郵政省その他の官庁において首切りを発表した。そうしてその首を切られた諸君が、組合代表して団体交渉なり、あるいは苦情なり、そのようなことを申し立てると、この政府はきわめて反動的な政府でありますので、お前らは首を切られた者であるからもう非組合員である。非組合員であるから、当然お前らは選任されておつても役員なり代表とは認められないということを言つて、そうして政府はあらゆる交渉に応じなかつたのであります。そうすると人事院の方におかれては、七月の上旬においては浅井総裁もそうだ、諸君の言われるように首を切られてもこれは組合員だ。そういう点について人事院確固不抜な信念を持つておるので、大いにおやりなさいというような態度を、明確に示したのであります。ところが八月十五日になりますと、政府の方から官房長官が数回人事院を訪れられ、そして官房長官はまた内閣に呼ばれまして、いろいろ話が進んだ結果、政府と同じように、首を切られた者は組合員ではない。従つてその者が組合代表とはなり得ないというような、いわゆる密約と申しましようか、そういう政治的な線が確立せられまして、この規定改正されたのであります。人事院は当初考えておつたような精神をなぜ押し通さないか。私はここに人事院が、政府出先機関のような役目を、自分自身が買い取つてつておるという結果を見るのであります。人事院は少くとも行政組織法上からは除外されている。なるほど所管内閣所管に属しておりますが、ときの政治がどうあろうとも、いかなる政党が労働行政なり、公務員に対していかなる政策を持つておろうとも、人事院給与労働條件に関しては、この国家公務員法規定従つて公務員利益生活を保証するというのが、人事院建前であつたのであります。これはもうアメリカにおける制度の由来を見ましても明瞭なことであります。そういう場合にこそ初めて人事院が、ときの政府がそのような無暴な見解を持つておるとしても、やはり職員組合団結の力、労働條件維持改善について、全努力を傾注すべきであつた。にもかかわらずこのような規則改正は、単に登録の問題のみならず、非常な問題であります。それはあなたも法理的に十分わかつていると思います。  第二点の問題は、人事院がもしこのような人事院規則によつて、その職員団体の基礎的な団体交渉権、あるいは団結権の存立というものを、一片の手続規定でありまする登録規制によつて、阻害するような態度に出ておることは、まことに遺憾でありますが、あなたの方はこういう規則によつて、これは国家公務員法という法律によつて立法委任をうけておるものであるというような、オールマイテイのような考えをもつておるが、少くともこの規則というものは、登録に関する問題について認可制許可制をいみしておるものではない。しかるにかかわらず人事院登録をした者でなければならない。登録した者で、しかも人事院許可を与えて認証したものでなければ、団体交渉ができない。もちろん職員組合としても認めないというような、まことに越権的な憲法違反規則を出しておるのであります。これは政治活動制限に関する規定と同じように、明らかに人事院が与えられた委任立法範囲を逸脱した自分考えておる線で、その線もどき政府労働階級を圧迫する線に阿訳迎合した線で、この規則をつくつて、基本的な人権を侵害し、団結権なり団体交渉権を阻害しておることは、きわめて明白であります。この点についてあなたはどういう所見を持つておるか、明確にお聞きしたいと思う。あなたはそういうような基本的な人権に関する制度をも、規則で出し得るというようなオールマイテイ法律解釈を持つておるかどうか、この点が第一点、もしそうでないとするならば、このような規則は全部憲法違反規則である。従つてわれわれはどこまでも認可制ということは、この登録規定にはとるべきではない。どこまでもこれは届出主義届出だけすれば、人事院はその労働組合が所定の要件をそなえておれば、これを職員団体として当然認知し、その権利を擁護し、団結権を保障し、団体交渉権あるいは苦情の処理等を十分取上げて審議し、またその内容については関係政府機関に対して十分連絡をとるということは、人事院規則で明記しております。なぜそういう処遇をとらないかということについて、明確な答弁を願いたいと思うのであります。
  20. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 登録規則変更につきましては、一昨日すでに浅井総裁から明確にお答え申し上げておりますので、私の方といたしましてはそれにつけ加えて申し上げることはないわけであります。なお登録に関します規則についても、私ども決して人事院規則オールマイテイであるというような大それたことは毛頭考えておりません。ただ国家公務員法委任に基いて国家公務員法を執行するに必要な最小限度規則を設けておるつもりであります。さよう御承知を願いたいと思います。
  21. 土橋一吉

    土橋委員 あなたが御答弁をなさるならば物笑いであります。速記がおそらく残つておると思いますが、少くとも人事院一般法律通念においては許されないような越権的な、しかも憲法ポツダム宣言が明記しておるような基本的な労働組合としての、職員団体としての団結権団体交渉権をも、法律委任をしておるから人事院規則制限できるというような大それた考え方を持つてつて自分が現にこれを執行し、敢行していく。この反動的な吉田政府と同じような政策を、人事院規則においても具現しておいて、私ども質問をするならば、それは国会でおきめになつ国家公務員法に基いてやつておりますと言うて、責任国会に転嫁するようなお考え方は、これはまさにあなたの法律理論というものは国会を侮辱するものであります。国会は決してそういう意味でこの国家公務員法をつくつた際にはあなた方へ何でもおやりなさい。そのかわりもし行き過ぎがあつて憲法違反法律違反をやつたときには、国会がこういう規定委任したのだからやむを得ないというような解釈を持つてつておるのではないのであります。規則というものは、あるいは指令というものは、少くともあなたの方が普通の法律観念に基いて、基本的な法律が認めておる範囲で、そういうことをやるべきだということを、われわれは了解しておるのであります。従つてあなたの方で憲法違反や、法律違反的な基本的な人権を侵しておる場合には、これはあなたの方の見込み違いであると同時に、あなたはそういう法律規則指令をおつくりになつても、それは憲法違反であるということを、われわれは指摘しておるのであります。従つてもしあなたの方で国会でおきめくださつた法律範囲でやつておりますというような逃げ口上で逃げるならば、人事院はますますぬえ的存在であります。それこそ許しがたい存在であります。国会がある法律を制定してある事項を委任すれば、もう精一ぱいに職員団体なり公務員諸君生活を擁護しないという立場を堅持しておるという現状であります。この点を私はあなたにお聞きしておるのでありまして、これはもう法律の普通常識だろうと思います。あなたの方の考え方は、普通の考え方を持つてするならば、大それた考え方である。これは登録に関する問題だけを見ても、私は明確に言えると思うのであります。いわんや今度の試験問題にいたしましても、あなた方がもし試験をやるというならば、当然内閣諸君と十分御相談なさつて了解ができ、かつ公聴会等を開いて、はたして課長以上の試験をするのが妥当であるかどうか。特に事務次官にもする。国務大臣を補佐にするような政治的に大きな地位を占めておりますそういう諸君にも、試験を断行するということは、これは開戦以来の事柄である。従つてこれについては朝野の諸君が関心を持つておるのでありまして、それを一片の人事院指令か申合せか何かしれませんが、これを発表してはばからないというような態度、この点については私は政府諸君の言われる点も、一応もつともと思うのでありまして、そういう行き過ぎをされる場合に、常に自分の方は法律委任をされておるというふうに逃げてくるとすれば、人事院は意識的に非常な罪を国会に持つて行こうとする悪い点があるのであります。この点を私は指摘したわけでありまして、これは、民主自由党の皆さん方も御了承できる問題だろうと思う。これが立場をかえて勤労公務員諸君に来ておるのでありますから、人事院の基本的な態度がいかに越権的であるか、いかに国家の勤労公務員諸君利益考えないかということを表明して余りがある。こういう事実に対してあなたの方はどういう見解を持つておるか、もつと端的に説明してください。
  22. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 だんだんと詳細なる御意見を承つたわけでありますが、決して私ども大それたことを考えておるわけではないのでありまして、この法律を適性に執行することが、人事院にゆだねられた権限でありまして、人事院といたしましては、この法律を公平に適性に執行するために、必要な人事院規則を制定しておるのだということを申し上げたわけであります。また附則九條の試験につきまして、これを関係方面にみな相談したらいいじやないかという仰せでありますが、試験というような事柄の性質上、これを受ける者との間に、十分な打合せが比較的困難だということも御了承頂いただきたいと思います。
  23. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 土橋君、ちよつと申し上げますが、今殖田法務総裁が出席されまして、他の委員会も持つておられるので、もしよかつたら法務総裁に対する御質問を先にしていただきたい。
  24. 土橋一吉

    土橋委員 よろしゆうございます。
  25. 加藤充

    加藤(充)委員 殖田さんが来ておりますから、この機会にぜひお聞きしたいと思います。実は百二條の問題ですが、私は第一項について昨日来浅井総裁は、これは別に選挙権の行使を除くほか、新しい政治的活動の権利あるいは範囲というものを、人事院規則で定めるものではないのであつて、ただ包括的な活動の範囲制限だけするのが、人事院規則であると、まことに文字通りの表面からの御意見を承つたのですが、その点について殖田さんの御意見を聞きたいと思います。
  26. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 浅井総裁のお答えした通りであろうと思います。
  27. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると「選挙権の行使を除く外、」というような問題については、選挙権の行使だけはやつてはならない、あとは全部人事院規則制限ができるという局限まで、百二條の一項は規定しておるものでしようか。
  28. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 選挙権の行使をまず第一に別に除外して、そのほかの政治活動についてもできるわけであります。ただ制限した方がいい制限を必要とするものだけを列挙して、制限をしておるのであります。それ以外には政治活動も出来るわけであります。
  29. 加藤充

    加藤(充)委員 ここで選挙権の行使というものは、いわゆる今の御答弁にありましたように、政治的活動の一部分であり、一つの問題であるかもしりませんけれども政治的活動という範囲は、選挙権の行使よりはるかに広いものだと考えておりますが、この点も今の殖田さんの答弁ではつきりしたのです。そうすると百二條の三項の「職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることが出来ない。」ということとの関係ですが、もう一つ先に進みますると、広い政治的活動の範囲は百二條で許されておる。しかしそれは場合によつて人事院規則制限することもできる。しかしながらその第三項のその制限範囲というものは、国家公務員法にはつきりと規定されておりまするその限界、すなわち「職業は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員」これは決してそういうポジションにつくわけには行かないという形式的なものではなく、第一項との関連上、それと同じような高い広い質の強い政治活動はいけない。そういうものとのにらみ合せによつて人事院規則制限の限度というものがきまり、制限をなし得る人事院の権限並びに裏からいうと、職責というものは私は決定づけられて来るのではないかと思うのですが、この点について殖田総裁の御見解を聞きたいと思います。
  30. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 選挙権は政治活動の一部ではありましようが、一部の中で最も基本的な重大なものであります。でありますから、選挙権を認めるということは、政治活動の非常な大きな幅を認めておることだと思います。  それから制限はお話のごとく第三項の規定程度によつて制限すべきであつて、それ以上進んだ制限は不都合じやないかというお話でありますが、私はそうも考えません。一番大きな制限はあの三項で定めてありますけれども、そのほかのマイナーの問題についても制限すべきものが多々あるだろう。しかしながらそれは法律で定めることは困難である。困難であるよりも、かえつて抽象的になつて具体性を欠くために、政治活動を不当に制限することになる。それよりも規則において具体的に詳細に定めた方がいいという趣旨でできておるのであります。しかしながら今の加藤さんのお尋ねのような点になりますと、必ずやそこに意見の相違が生ずるということは、これはやむを得ないことであります。
  31. 加藤充

    加藤(充)委員 そうするとまた元へもどるようで恐縮ですが、結局これは制限ができるということと、明文上制限範囲というものの限度を一応きめたものである。その限度をどこに置くべきかということについては、今言われたように見解の相違があるかもしれませんが、そういう規定であると百二條解釈しておりまするし、今の総裁の御答弁も大体そういうことだと了解いたしますが、そうすると結局のところ、あなたが第三国会の参議院の人事委員会か何かの御発言の中に、絶対に政治活動を禁止することはおもしろくない。単に選挙権の行使のみではあまりに狭過ぎる。こういうことをいわれておるのですが、やはり今御答弁なつた言葉の中には、選挙権の行使というものが比重の重い、しかも地的に範囲の広いものである。政治的活動の中で、そういう意味合いを持つものだというような御答弁と、大分言葉が食言して参るがごとき感をうけるのです。選挙権の行使だけではどうも狭過ぎる、おもしろくないということを言つておられるのですが、この点についてはいかがですか。
  32. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 さようであります。選挙権行使だけを認めて、他の政治活動を認めないのは不都合でありますから、それは認めるのであります。ただお話のごとく、人事院規則でかなり詳細に定めましたために、あたかも政治活動範囲が非常に狭くなつたようにお考えだと思いますが、必ずしもそうではないと思います。しかしながらこれは国家公務員というものの性格上、どうしても政治活動は大いに制限をされるのであります。     〔「大いにですか。」と呼ぶ者あり〕それは一般人民よりは、はるかに制限されます。それはやむを得ません。それは公務員の性格から来るのであつて、やむを得ないのであります。現に裁判所法などにも、裁判官は積極的に政治運動をしてならないとまで書いてあるのであります。
  33. 加藤充

    加藤(充)委員 それでそのあとへ続くのですが、いわゆる百二條権利範囲を創設するものではないということを言われておるのですが、これも殖田さんの発言の中に、人事院規則で一定の政治活動を認めることにするのだという御意見があつたのであります。そうすると、制限範囲制限ができるということを規定したのではなくて、逆に人事院規則でいわゆる政治活動範囲政治的行為が幾はくできるかということをきめてかかるのだ。きめられるのだ。そうして初めて人事院規則によつて活動の自由というものが出て来るのだというふうに、殖田さんは御説明に相なつておりますが……
  34. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 そんなことはないはずであります。
  35. 加藤充

    加藤(充)委員 それは速記録にちやんと残つている。
  36. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 それは何かの読み違いで、私はそういうことを申しておりません。積極的に政治活動ができないものを定めて、それ以外はできるのであります。ただ加藤さんのお考えでは、それ以外に何かできるものがあるが、みんなできないようにしたのではないかということですが、私はそうは考えておりません。
  37. 加藤充

    加藤(充)委員 これは読み違えたのかもしれませんが、二十三年の十一月二十四日の参議院の、第三回人事委員会議事録で私は見たのです。しかし私は読み違いにいたしましても、故意に読み違えたものではないと思うのでありますが、非常にデリケートな発言をされておつたということについては間違いない。そのここと関聯して制限をするという規則でありますけれども、しかしそれは制限という面から見ればわかりますが、それ以外のことはできるんだぞということを制限という形で表現することもできるのであります。従いましてこういうことは、どうも人事院が思い上り、人事院規則で何でもできるのだ。人事院規則が認めないものは何もできない。今までできて来たものでも人事院規則が出たらできなくなつてしまう。今も同僚の土橋君から言われたようでありますが、これは簡単にいえば、最近高級官吏の一部について試験制を実施するという問題であります。法律できめたのだから、それを実行するだけの話である。人事院は広汎な委任権限を受けておる。白紙委任状をもらつておるとは言いませんけれども、広汎な委任権限を法律で与えられておる。それによつてやるのだ。いつでもそういうところへ持つて参りますが、思い上つて憲法の保障する基本人権制限し、あるいは勝手にその範囲をきめてかかるというような、まつたく油断のならない、無視することのできないやり方をやつて来ておる。しかもさつき申しましたように、人事院規則政治活動を、投票だけではおもしろくない、狭過ぎるので認めることにするんだという殖田さんのその御見解がやはり一体となつて人事院規則の中にも現われており、それがさつきから言われておるような問題に、最近端的に現われて来ておるのだ。こう思うのでおります。私の読み違いを指摘されましたが、これははつきりとさつきも申し上げましたように、殖田総裁がそういうような見解を頭の中にお持ちにまつていて、たまたまそういう表現が出て来たんでと、私に解釈される節々も、決して理由のないことではないと思いますので、この点について、きようはひとつ見解をお聞きしまして、私どもはつきりしたのですけれども、どうもどの程度までも制限をしてかまわない。こういうような御見解がなおうしろに残つておるようなものであります。それはたとえば今言われたように、大いに制限する必要があるのだというようなことなのであります。私はここで問題は、前の委員会あたりでも問題になつておりますから避けますけれども、いつでも公共の福祉安寧というようなことのために、いわゆる人事院規則あるいは制限が、かつてに臼の頭のように広げられて来て、頭でつかちになつて、そうして憲法の保障する基本的人権、民主的な自由と平和の生活というものが、個人の家庭のすみずみにまで影響されて来る非常に真剣な問題だと思うのであります。殖田さんも二十三年の十一月二十四日の参議院の人事委員会における発言を、もう一回見直して、私が読み違いであるということであるならば、もう少し権威を持つてどこどこが読み違いであつたということを、御指摘願いたいとおもいます。  もう一つ殖田さんにお聞きしたいのは、組合登録の問題であります。人事院規則に、この点についてもたいへん厳重なことが規定されてあるようでありますが、たとえばかりに組合登録許可について、組合員が平等に参加する機会を与えられた直接秘審の投票による多数決制——代議員規定についても、全組合員の直接平等無記名投票による選挙によらなければならない。大会の議決規定及び選挙規定変更等もまたそういうふうになつておるのですが、こういうような要件は組合登録について質的に重要な問題であつて、単に手続的な規定の問題でなしに、たいへん重要な質を持つたものであり、意味合いを持つたものであるから、登録について人事院はそのことを人事院規則で強調されたと思うのです。殖田さんはこの点での御同感だと思いますが、いかがですか。
  38. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 登録の問題は、加藤さんの御意見通りと思います。  それからもう一つ申し上げておきますが、先ほどのその人事院規則の問題であります。私の申し上げておりますのは、これは国家公務員法人事院規則に御委任になつておるからということの前提で、申し上げておるのでありまして、むしろそれが人事院規則というものは行き過ぎである、あれは規則にまかせては何をするかわからぬということになれば、法律でおきめになつて一向さしつかえないのであります。
  39. 加藤充

    加藤(充)委員 その点で、また蛇足になりますが、私は委任をされておつても、それは全面的な白紙委任ではなくして、やはり百六條かにもありますように、人事院規則はこの法律規定の趣旨に沿うものでなければならない。量的にも質的にもやはり準拠すべきものであるのでありまして、それは基本的には憲法の諸條規、あるいは占領下の今日ではポツダム宣言の一線にまで遡及し確保するものだと私は思います。そういう意味合いで、私は委任されたという形式的なもので、野放図にやられたのでは困る。単に今度の試験制度の問題で、民自党の政府あたりは規則できめていいということを言つておるけれども、あれではどうも行き過ぎだ。あんなどうもつまらないことをまさか法律に基いて人事院がかつてになるものだとは、予期していなかつたということが、結局あの試験問題が訪問でやかましく問題になつて政府が取上げている問題の根本の理由だと思うのですが、その点はいかがですか。
  40. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 それは法の運用につきまして意見の相違はあると思いますが、ただいまのところ人事院がその責任者でありまして、人事院が適当と認める運用にまつほかないと思うのであります。
  41. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは続けますが、この十一月十二日土曜日のでき事なんですが、全逓の再同派といわれておる人たちの登録許可人事院が与えられたのであります。しかもそのことにつきまして私どもは十四日の朝人事院総裁のところにお会いに行つてみて判明したのですが、詳しいいきさつや人事院総裁のそのときの言動の中に現われた不見識なことについてはここでは触れませんが、とことんまで調査し、話をつき詰めますると、あれは條件つきに許可しているというのです。それというのは今重大な要件となつている——人事院もそういう意味人事院規則をこしらえられたのでありましようし、殖田さんもその点はまつたく同感であると言われた点なんですが、この最も質的に重大な直接秘密の投票による多数決、あるいは代議員の選出方法、それから大会の議決がどういうふうなことでやられたかというような問題について、決定的なところについて量的にも質的にも許可條件を具備しておらない。ですからそういうふうな條件を追つて完備するということで許可をいたした。従つてその追完を命ぜられている條項が追完されなければ、その一応許可した登録許可は取消さなければならないということを浅井さんがおつしやいました。こういうような重大な問題について、しかも御承知のように全逓の労働組合におきましては、たいへんな問題になつているということは、皆さんが御承知通りでありまするが、そういう問題について一方にはその手続規定規則通り実行しろということを強行し、——強行するのも質的に重点だというのであれば、私は強要したということをあながち非難するつもりはありませんが、そういう質的な重点について完備されていないものを、一方の部分連中がやつて来ましたときには、それを條件つきで許可する、しかもそれの條件は追完の時期はいつかなどということも明示されていない。こういうようなばかげたことをおやりになつておる。ばかげたということは私の見解ですが、殖田さんはその点今のような條件が具備されていないのに、條件つきに登録許可するというようなことについて、ひとつ御見解を承りたいと思います。
  42. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 公務員法、従つて人事院規則の運用につきましては、人事院総裁がいわば絶対的の権限を持つておるのでありまして、人事院がその解釈に従い、そうしてその適当と認める運用をいたしておると思います。私がかれこれ差出る何ものもないのであります。
  43. 加藤充

    加藤(充)委員 そうするとおもしろいのですが、試験の問題になりますと、こいつはけしからぬということで、わいわい政府が騒いでおる。政府といつて内閣でしようが、騒いでおるということがいわれておるのですが、絶対に人事院にまかしておるという今の御答弁であれば、しかもこの見解についてはこれは重大な條件を規定しているものだと思う。これは重大なものだと言われておりながら、その運用については、それは人事院でやつておるのだから人事院の権限だというのだつたならば、試験の問題については人事院でおやりになるのだから、何も内閣の諸公がわいわい騒いで、人事院もいつの間にか——これはあとで聞こうと思うのですが、その運営について穏和の態度をとるかもしれないということを、新聞は報ずるに至つておる。お互いに牽制しあつておる。こういうことと今の答弁と私は矛盾しておると思うのですが、私は人事院がオールマイティであるということについては、これは問題が多いと思う。オールマイティであつてはならないのに、オールマイテイのようなことをおやりになつておる。その点について殖田さんは、いま少し事なかれ主義でなくして、政府としての見解をはつきりされる必要があると思う。内閣の権威のために、一応人事院と対立しておる関係にある国会と、それから内閣人事院の三つの立場から見て、私は答弁があまりに安易にすぎると思うのですが、いかがですか。
  44. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 つまり人事院の権限と私の権限との重複でありまして、私が人事院に差出る権限は実はないのであります。しかしながら国会人事院に対して十分に質問のされ、またこれを監督される地位にあられるのでありますから、国会はどんどん人事院に対して十分に質問をされ、またこれを指導されてしかるべきことと思います。また職員組合は直接の関係者でありますから、職員組合の御意見がありますれば、どんどん人事院にお申出になつてよかろうと思います。今の試験の問題は、これは政府自体が非常に関係を持つておるものでありますから、政府意見を述べておるだけでありまして、人事院の行政を左右する意思は毛頭ございません。
  45. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは全逓のいわゆる再同派の登録許可について、今言つたように條件付で許可しておるということは、はつきりしておるのでありますが、左右するとかなんとかいうことでなくてけつこうです。また私は殖田さんの発言が左右するものであるとは、制度上、機構上考えておりませんが、殖田さんの御意見だけ——ただ言い流しの御意見だけでけつこうですが、御意見を承りたいと思います。
  46. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 私実はその事実につきましては、今加藤さんから初めて伺いましたので、事実をよく存じません。それで意見を述べるにつきましては事実をよく知らなければなりませんし、また人事院人事院規則あるいは公務員法の解釈については、法務総裁の容嘴を許さぬという態度をはつきりとつておるのでありますから、結局におきまして、私が意見を述べましたところで人事院意見には負けるのでありますから、さよう御承知願います。
  47. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは殖田さんに伺いますが、首切りの問題が百二條と関連として方々にあるのはさしつかえないというようなことで、しかも選挙権の行使以外に相当広範囲な——と言うと言葉が過ぎるかもしれませんが、相当な政治行動の範囲が百二條にうたわれておる。こういうのでありますのに、共産党員だという事柄だけで首を切つておる。それ以外の説明なしに首を切つておる。それで定員法に基いたものやら、あるいはその他の国家公務員に関する諸法規によつてつたものやら、それもあいまいにされて、ズタズタ首を切られておる幾多の実例を、私はここに山ほど持つて来ておるのですが、今の全逓再同派の許可の問題と同じように重要な問題で、この十一月十二日にやられた事柄について今でのお知りにならないという殖田総裁——知らなくてもしようがないと思いますけれども、そういうことはあまりに感心したやり方ではないと思いますが、首切りの問題についてお聞きしたいことは山ほど持つていますが、問題が具体的になればなるほど、それはまだ聞き知りおらぬというようなことで、いかがすみを吐いたように——いかがすみを吐くか吐かぬかは学界の問題になつておるようでありますが、いかがすみを吐いたようなことで逃げてしまう。——というと語弊がありますが、ぼかされてしまいますので、私はこれ以上殖田さんに対する質問は無用だと思います。  それからこれはどうせ職階制の問題について、いずれ問題になると思うのですが、たまたま御出席になつてお忙しゆうございましようから、この際に聞いておきたいと思います。それは公務員法の二十九條の問題ですが、この四項に、前三項に関する計画は、国会提出して、その承認を得なければならない、というふうに書いてあるのですが、こうなつてみますと、職階制法律で定めるというような一連の規定と、大分問題がすれて参るのでありまして、そうなると何か職階制法律で定めるといいながら、人事院がただこうやつておいて、あとで承認を得ればいいのだというふうにも抜けられます。こういう点を一つ殖田さんにお聞きしておきたいと思うのですが、これはどうなのですか。
  48. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 なるほど初めに法律で定めると書いてあり、あとに計画の承認を得る、ちよつとあとの方の規定が弱いように見えるのでありますが、これは法律はぜひ出さなければなりません。もし法律計画と別にいたしますならば、また計画の承認を求めなければなりませんが、今度出ておりまする職階制につきましては、人事院総裁の説明によりますと、これは法律であると同時に、計画をも含めておるものである。でありますから法律はむろん出しておる。計画で逃げておるわけではありません。法律を御審議のときに計画をも御承認願う、こういう建前であるそうであります。私はそれをそういうふうに承知いたしまして、提案に賛成いたしました。
  49. 加藤充

    加藤(充)委員 それではそれに関連しますが、あれはごらんいなつたでしようね。
  50. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 見ました。それは閣議を経まして提出いたしました。
  51. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると、あの内容でどうですか。その立法事項の範囲と、それから単に機械的な、形式的な計画との両方を盛り込んであるというのは、浅井さんが言われたことはわかりますが、政府としてはあの程度で、立法事項もそれから形式的ないわゆるわくの方までも、両方を内容にしておるという御解釈なり、御見解なりをおとりになつておるわけですか。
  52. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 その通りでございます。
  53. 土橋一吉

    土橋委員 私は言葉のあげ足を拾うわけではありませんが、加藤君の政治活動禁止並びに制限の問題で質疑応答中に、公務員は多いに政治活動制限をしなければならぬという、あなたの御発言があつたのでありますが、どういうような点からそのような御説明なり、御回答があつたものかその信念、どういうような点からこの御発言をなさつたか、この点をちよつとお聞きしたいと思うのであります。
  54. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 それは私がたびたび申し上げておるのでありますが、憲法第十五條によりまして、公務員は全体の奉仕者であるという建前から当然出てくることと思います。公務員が最もその中立性をたつとぶということのために出てくることでございます。またそれは憲法二條の公共の福祉ということから、公務員に対してさような要請が生じてくるものと考えております。
  55. 土橋一吉

    土橋委員 ただいまあなたが大いに制限しなければならぬというのは、憲法規定の十五條でありますか、あるいはその他の條項によつて出て来るのか。あなたはこういう法的な解釈をされたのでありますが、私はそのような法的な解釈とは別個に、あなたの心のうちには、少なくとも公務員政治的に制限をしなければならぬという、一つの感情を持つておれれると思うのであります。あの答弁の際には、今お話になつたような理論的なものからの答弁ではなかつたのであります。従つて私は殖田法務総裁は、公務員諸君については大いに政治活動の禁止及び制限をするという信念を披瀝し、あとで私がその当時の心境を承つたら、憲法規定をもつて説明した。こういうことは私は確信したいと思うのでありますが、私はあなたの御説明は非常に遺憾であると思うのであります。公務員諸君は、公務執行について常に中立性の立場において、公務を執行しなければならぬということがうたわれておるのであります。従つてこれが政治活動制限と即関係のあるような答弁をせらるるところに、あなた自身のものの考え方が、法律理論の展開において飛躍をしておるのであります。少くともわれわれの解釈しておる点においては、公務員が全体の奉仕者であつて、きわめてサービスをよくして、謙虚な気持で、そういういろいろな煩わしいことはつとめて避けて、専心能率を上げ、そうして国民の公僕としてやらなければならぬ。こういうような全体の奉仕者の意味であるにかかわらず、それが政治活動制限に即関係があるというような説明をすることは、私は法務総裁法律を知らざるも、はなはだしいと思うのであります。あなたがそういう法律的な理論をそこまで飛躍して考えるところに、私は吉田政府というものはあなたのような考え方をもつておるから、常に法律制限政治活動の禁止を行うのであつて、全体の奉仕者ということは、全体のためにサービスをする、能率を上げる。皆様の気持を十分体して、公務を執行するということが、全体の奉仕者であつて政治的活動を制限することによつて、それができるという、ただいまのような説明をすることは、私は法律をよく知つておる法務総裁ともあろうものの言葉ではないと思うのであります。これについてどうでありますか。そこまであなたが飛躍をして、政治活動制限をすることによつて、奉仕するというような結論を出すとするならば、私はゆゆしき問題であると思います。憲法規定に書いておるところの全体の奉仕者は、その点に重点があるのであります。そこまであなたが飛躍をして、今の政治活動制限に対して、それをそこに持つてくるというところに、私は吉田政府の、法務総裁の反動性と、そうして勤労階級の権利をあくまで押さえるという基本的なものが現われている。かように考えるのでありますが、その点の明確なる御答弁を願います。
  56. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 私は公務員政治活動を大いに禁止したいと申したのではないのですが、大いに禁止されると思います。何ゆえかといえば、公務員の性格からさような結果になるというのでありまして、私は国家公務員法でも、あるいはまたこれによつて委任されたる人事院規則でも、やはり憲法の十五條等の規定に基いて、さような結果になるのであります。つまりあなたの言われる社会の公共の奉仕者として十分にその目的を達成せしめんがためには、政治活動制限されるほか道がないと思うのであります。
  57. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 議事の進行について……山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をというように、御勉強を願つて質問はありましようが、でき得る限り、後の世の笑いぐさにならぬように、同じことをあまり繰返さないようにして、進行さしていただきたいのであります。
  58. 加藤充

    加藤(充)委員 やはりそういう点で、もう一回確かめておきたいのですが、それは別の方から見た二十八條の問題です。これは第一項の勧告と第二項の勧告とは同じものであるかどうか。総裁見解をお聞きしたいと思います。
  59. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 その第一項の勧告は全般的の勧告でありまして、その次の勧告は具体的な勧告考えております。同じものを具体化したものであると考えております。
  60. 加藤充

    加藤(充)委員 そうなると、私の方の解釈を申し上げますと、一項の方は大分広い「給与、勤務時間その他勤務條件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを」云々とかいてあつて、それらの問題については「勧告することを怠つてはならない。」それから第二項の方の勧告については「毎年、少なくとも一回、」と書いてあつて、随時ということは言われていない。それから「俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。給与を決定する諸條件の変化により、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。」こういう事柄があつて、これは同じ勧告を具体的に書いたのじやなくて、第二項の勧告は、俸給表についてのことであつて、それは随時じやなくて、少なくとも毎年一回勧告をしなければならないという規定になつて現れておるのであります。逆に申し上げますると、随時いろいろな問題について勧告することを怠つてはならない人事院職員というものは、第一項にうたわれておるので、第二項だけのものをやるというやり方はいろいろ問題があります。やりさえすれば第一項の勧告義務をあるいは職責を完全に果したものであるということには、相ならないという解釈なんでありますが、その点はいかがですか。
  61. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 私は二項が具体的の勧告でありまして、これを果たして参れば、自然第一項の勧告も果たされたものと考えております。第一項の方の勧告はごく抽象的の勧告でありますから、第二項の勧告がなければほんとうには働いて参らないと考えております。
  62. 加藤充

    加藤(充)委員 必要が生じたと認めるか、あるいは認めないかというような権限も、さつきの殖田さんからの話のように、まつたく自由認定で人事院がおやりになつて、その認定の内容、あるいはそれを選ぶべき時期、回数なるものが適当であつたかなかつたかというような問題について、もしそのやり方が妥当を欠ならば、人事院は彈劾その他の手続においてはつきりと責任国会にとらるべきであつて、認定権限があるから一回やればよいと思つて一回やつたのだ、それが形式的に年一回やられておるのだということでは、その責任は果せないと私は思います。
  63. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 その点その通りでありますから、国会において御判断になりまして、弾劾されるならされてよかろうと思います。
  64. 土橋一吉

    土橋委員 私は監獄に勤務する看守諸君、あるいは裁判所に勤務する書記の諸君、雑務を行う者、あるいは事務官諸君の問題について、法務総裁はその超過勤務をどういうふうに考えておられるか、これに対し超過勤務手当ての予算を現在はどの程度つて、これをどういうように支給されておるか、御説明願いたいと思います。
  65. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 監獄に勤務します者と、警察官とには特別な俸給を支給しております。裁判所や検察庁の事務官は特別な俸給ではありません。しかしながらこれらにつきましても、特別な俸給を支給した方が適当であろうと思いまして、鋭意努力はいたしておりますが、なかなか予算の都合で、われわれの目的が達せられておりません。それから超過勤務のことでございますが、私今ここではつきり数字を申し上げられませんが、なるほど超過勤務手当は不十分であります。
  66. 土橋一吉

    土橋委員 俸給のことは知つておる。私の聞いておるのは超過勤務手当をどの程度予算にとつて、どういうふうに支給しようとしておるかということです。
  67. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 詳しいことはいずれまた予算を調べまして申し上げます。超過勤務手当はできるだけ完全に支給したいと思つておるのでありますが、予算の都合で超過勤務手当が十分に計上されておらぬのであります。従つてはなはだ不完全な超過勤務手当を出しておることは事実であります。
  68. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 質問者に申し上げますけれど、できるだけ質問を簡潔にお願いいたします。
  69. 土橋一吉

    土橋委員 私は簡單に聞いております。それではあなたの方で資料がわからぬとするならば、たとえば監獄に勤務する者は、あなたの所管に関するものと思うのでありますが、現在日勤状態は朝八時半から、たしか六時ごろまで勤務しておるはずで、夜勤の諸君は一日交代で、二十四時間勤務でありますが、なお超過勤務を強要されておる。これは裁判所の日勤の諸君も同様であろうと思いますが、当然超過勤務があることを御承知になりながら、しかもそういう雑用の諸君の定員がきわめて不足しておるのでありまするが、こういう点について私はこういう例を見ておるのであります。たとえば府中の刑務所の鈴木所長に対しまして、高橋君、川井君の両名が非常に苦しいので、超過勤務手当を支給していただきたいということを要請したところが、君はまだ超過勤務手当なんか出やしない。そんなことを要求するなら、君やめたまえといつて、遂にこれは辞職させられたのであります。そうすると一体こういうことは、——おそらく全国の警官あるいは監獄、裁判所において勤務する者に対して、現実に過酷な超過労働を強要しておいて、しかも超過勤務手当を支給しないというような態度があるならば、私はこれらの公務員諸君のためにも非常に遺憾でありますので、こういう点について鈴木所長の処置、あるいは将来超過勤務手当についてはどういうような配慮をし、予算を十分に認められて、超過勤務に応ずる態勢をとられるかということについて、御質問したいのであります。
  70. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 今私の申上げた言葉が足りませんで遺憾でありましたが、さように超過勤務手当の予算が非常に乏しいのであります。従つて役所といたしましては超過勤をさせたくも超過勤務がさせられないというような状態にもあるのでありまして、従つて超過勤務を強制的にして、全然手当を出しておらぬというようなことはないはずであります。それからただいま府中の刑務所のお話がありましたが、私は超過勤務をやつて、その手当の要求をして、そのために首を切るということはあり得ないと考えます。
  71. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると予算がないのに超勤を命じたりする場合は、そういうことは直接書いてありませんけれども、新給与法実施に関する法律の第三十一條違反に相なると解釈してさしつかえございませんか。
  72. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 予算がありませんから、従つて超過勤務はなるべくしないようにいたしております。強制などはせぬはずであります。
  73. 加藤充

    加藤(充)委員 せぬはずとかなんとかいうのではなくて、そういうものがあつたら、三十一條違反に相なるかというのであります。これはならなければ問題だし、なればまた大いに問題があるのですが……
  74. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 それはその法律に違反すれば、むろん違反となるわけであります。
  75. 加藤充

    加藤(充)委員 違反すればでなくて、違反しますかというのです。今の條件だつたら……
  76. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 それはもし超過勤務をいたしましても、いわゆる超過勤務でなしに任意に働いてくれる、そういうような場合を超過勤務とおつしやるのではないかと思います。
  77. 加藤充

    加藤(充)委員 そうじやない。予算がないのに超勤を強要した場合は、三十一條に該当するかと言うのです。
  78. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 それはもしお話のごとくであれば、そうなりましようけれども、私は実際の具体的な問題は存じませんから、一向具体的にお答えができません。
  79. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると石炭手当などについても、予算がないためにこれが支払えない。しかし寒いところで働かなければならないということになると、三十一條にいろいろ問題が関連しますが、この点はどうお考えですか。
  80. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 それは私石炭手当は、あまり実はよく存じてませんが、予算の範囲内において支給することになつておるとおもいます。
  81. 土橋一吉

    土橋委員 今あなたのお話を承つておりますと、予算はきわめて少い。従つて超過勤務を強要することはないであろうという御答弁であつたのでありますが、実際問題として加藤君も申しておりますように、職制を通じ、あるいは事件の内容等に応じてはこれは何としても超過勤務をせざるを得ない状況に、これらの職員が置かれるのであります。その場合に超過勤務手当を支給しないでおいて、そのような突発的な事件なり、継続的な事件をどうしても処理しなければならないという事態が来たときは、法務総裁としてはどういう考えで、どういう方針でその業務を遂行するために、超過勤務の予算をおとりになるか、その考え方を私は聞きたい。  第二点は現にそういうように高橋君なり、あるいや川井君が首を切られるという事実がありますので、この点を調査して委員会に御報告を願いたい。私どものちやんとした資料によると、鈴木君が、それを申しただけで首を切つておる事実がありますので、これはどういう経過によつて首を切られたか。もし正しい要求をして、しかも首を切られたというならば、切つておる諸君は新給与実施に関する法律の第三十一條によつて、処罰をせらるべきものであります。従つて当然あなたの方の立場から超過勤務手当支給に関しては、誠意をもつてやるか、もしできないときには超過勤務をやらせない。どういう事件があつてもやらせないというような明確な御回答を願わないと、この問題が解決しないのであります。従つて事件についてやむを得ず超過勤務をいたという場合には、あらゆる方法で費用を捻出して、必ず超過勤務手当を支給するという態度を、あなたはおとりになるかどうかという点を、私はお聞きしたいのであります。
  82. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 私はただいまの具体的な話は存じませんから、具体的の問題に対するお答えとしては申し上げかねますけれども、府中の問題は特に調べまして、後ほどまたお答え申し上げます。超過勤務手当の予算が少ないので、その予算を逸脱するような超過勤務はさせない、こういう方針はむろんとつております。しかしながら、ある場合には非常に突発事件等がありまして、そのときには超過勤務手当のことなど言つておれませんから、それはおそらくその官庁職員としては、勤務手当をくれようがくれまいが、みな自発的に率先してその仕事に協力しておることと思います。
  83. 土橋一吉

    土橋委員 私はそういうような公務員諸君に対して、忠実無定量の勤務を強要するような、法務総裁の発言は遺憾であります。少なくとも俸給表が今のところは新給与実施に関する法律によつて、勤務時間と給与とバランスをとりまして決定しておる限りにおいては、あなたのような忠実無定量の勤務を強要するようなことを、奨励するような発言はまことに遺憾であります。これは新給与実施に関する精神をあなた自身が躊躇しておるのであります。でありますからどこまでも超過勤務については、あくまで超過勤務手当を支給するという態度を明確にしていただきたい。そうでなければ超過勤務を拒絶することは当然でなかろうかと思うのであります。但し突発的な事件については、互いに業務の間もありますので、やつた場合には必ず超過勤務手当を支給するという態度をとるべきであつて、忠実無定量の勤務を強要することは、私はまことに遺憾であります。もしあなたがそういう考えを持つて裁判所の職員なり、監獄において勤務する者を教育をし、そういう方向に持つて行かれるならば、非常に遺憾だと思うのであります。この点について最後に答弁願いたい。
  84. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 その点は私ども官庁のみではありません。政府全般にさような問題があるのでありまして、これは貧乏な日本の今日といたしましては、多少そこにさような問題を生ずるのはやむを得ないのであります。そこでわれわれはできるだけその給与の精神に沿いますように、また超過勤務を楽にできますように、大蔵大臣に要請をいたしまして、予算の増額をしきりに要求いたしておるのであります。
  85. 加藤充

    加藤(充)委員 その問題で一つ総裁に希望しておくのですが、予算がないから超勤もできないし、やつても出せないというのですが、そういうふうなことであたたかい御配慮を願つておるということなのですが、それだつたら、これはあなたの管轄に関連するとも思うのですが、赤旗を立てたり、あるいは白旗を立てたりする予算食いのいわゆる大演習というようなものを福岡でやり、長野でやり、大阪でやり、あるいは方々でやつておることが新聞に載せられていますが、ああいうような予算食いの措置を超勤手当も出ないようなときにおやりになつて、口先ばかり予算をふやしてから超勤手当を出すようにすると言うことは、一ぺんの禪問答に終つてしまうと思うのであります。そういうことまで責任をとるということを明らかにしていただけなければ、安心ができないと思います。
  86. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 失礼ですが質問の要旨がよくわからなかつたのですが、どういうことですかもう一度……
  87. 加藤充

    加藤(充)委員 予算がないから超勤をやつても超勤手当は出ない。そういうときに、何の必要があるかわからない、必要があるならばおつしやていただけば納得しますが、赤旗を立てたり——質問によつてはつきりしたのですが、あれは赤旗を立てたのではなく、あのときは白旗をたてたとおつしやつておるようですが、数千名の警官を動員して、超過勤務手当の予算をますます食い込むような措置をおやりになつておりながら、予算の増額を一方に要求し、予算が出て来ないから超勤手当が出せないんだという親心は、どこかに偽りがあると思う。そういう点も浪費はせぬようにするということについて、明確な責任のあるお言葉を聞きたい。そうしなければさつきの話はうそだ。
  88. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 警察のお話のようでありますが、私は警察のことは不案内でありまして……
  89. 加藤充

    加藤(充)委員 あなたは自分の所轄だけじやなしに、よその仕事でもたくさんそういうことがあるんだということであつたから、私は関連的に発言したのです。
  90. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 よく判りましたので注意いたします。
  91. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止]
  92. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 それでは人事院から職階制に関する法律の説明を聞くことにいたします。
  93. 岡部史郎

    岡部政府委員 これから職階法内容につきまして、できるだけ詳しく申し上げたいと存ずるのでありますが、法案につきまして直接御説明申し上げます前に一言職階制がどういうふうにしてでき上るかということについて申し上げておいた方がよろしいかと存じますので、お手元に差上げてございますパンフレットの八ページをお開きいただきたいと思うのでございます。八ページには職階制施行前、すなわち現在の官職の状況を図にしたものがございます。すなわち無数の官職が紛然雑然とある状態でございます。この官職が現在どれくらいあるかと申しますと官職を規定しております国家行政組織法及びそれに基く定員法によりますと、一般職に属する官職は八十七万余でございますから、そのほかの法律に基く官職を合せますと、約九十万の一般職に属する官職がある。それがこのように紛然雑然とした形になつているということを、ひとつ御了承いただきたいと思うのであります。  次にはその官職につきまして、これもお手元に差上げてありますような式の職務記述書、あなたの職務内容はどういうものですかということを、詳しくフオルムの形にしてある職務記述書、これを各職員に配付いたしまして、それを集集め、そうしてその職務内容につきまして分析し検討して、そうしてこれらの多くの官職を大体同じような種類のものにわけ、それから同じような種類のものを今度は程度によつてわける、こういうことになるのでありますが、次に九ページをごらんいただきますと、この雑然たる官職を今申し上げました手続によりまして、同じような種類のものにわけるわけであります。大体職群というようなものにわけてみますと、現在のところは八十七万、約九十万の官職を三十一の職群に現在わけてみております。これはもちろんかりのものでありますが、大体三十一の職群にわける。それはこの職群の例でおわかりの通り、工学職群、理学職群、医学職群、技工職群、労務職群というように、非常に大きな分類でございます。これだけではあまりまだ大きすぎますから、さらにこの職群の中を、職務の類似性によつて幾つかにわけるわけであります。ここの例で申しますと、工学職群を電気工学、土木工学の二つにわけておりますが、これは必ずしも二つではないのであります。さらに幾つかの職種にわける。現在のところはこの職種を約五百の職種にわけているわけであります。すなわちこうなりますと、九十万の官職が職務の種類によりまして、約五百の縦のわくの中に入つて参ります。  その次に今度は同じ職種、すなわち土木工学なら土木工学の職種に入つております官職を、今度はその職務の内容の複雑さとか、その内容によりまして、大小に並べるわけであります。それが十ページの例であります。十ページの例では、単に点線で並べてありますが、これは職務の複雑さとか責任程度とかで、序列的にこう並べてみるわけであります。  次に十二ページになりまして、並べられたものを今度は職務と責任程度によりまして区わけするわけであります。この区わけの一つのますが職級となるわけであります。でありますから、お手元のパンフレットの中で、左の欄に「官職」とありまするが、これは間違いでありまして、「職級」の方が正しいのであります。このますが職級であります。でありますから、このますの職級の中には、同じような責任程度の官職がたくさん入つているのがある。あるいはきわめて少ないのもある。こういうような状態でありまして、結局職級制というものは、このますをつくることによつてでき上る。これに今度はいろいろな個々の官職を当てはめて行く。そうしてこの職級を土台としてすべての人事行政をやつて行く。すなわち給与でも、任用でも、試験でも、すべてこの職級を単位としてやつて行くというのが、職階制のねらいでございます。  大体ごく簡單に申し上げますと、職階制というものはそのようなものであるのでありまして、この職階制国家公務員法に基く人事行政の根本的な基準となつているわけでありまして、その根本的な基準の性質につきましては、すでに国家公務員法の二十九條から三十二條までに規定せられているわけであります。その二十九條の第一項に「職階制は、法律でこれを定める。」ということになつておりますから、その職階制法律で定めようとするのが、この国家公務員職階制に関する法律案でございます。以下この法律案内容につきまして御説明申し上げたいと存じます。  この法律案は四章十五條附則四項からなつているわけであります。第一章は総則でございまして、この法律の目的に職階制の意義及び人事院の権限について規定してございます。第二章は職階制の根本原則を規定しておるものでございまして、職種及び職級の決定、職級明細書の作成及び使用、官職の格付、その他職階制の実施についての原則を規定しておるわけでございます。次に第三章は職階制の実施に関するものでありまして、いかにして職階制を実施し、官職を格付し、または職種、職級をいかに改正するかということについての規定を設けてございます。第四章は罰則を規定しております。さらに附則におきましては、この法律の施行に関し、必要な事項を定めておるわけでございます。  次に第一章から順を追いまして、御説明申し上げたいと存ずるのであります。  第一條は、この法律の目的及び効力をうたつておりまするが、特に申し上げるまでもなく、この法律の目的は、公務の民主的かつ能率的な運営を促進するため、一般職に属する官職につきまして、職階制を確立し、官職の分類の原則及び職階制の実施について定めることにあるわけでございます。なお第二項は、この法律国家公務員法を母法とするものである、国家公務員法に基く法律であるということを規定すると同時に、またこの職階制に関する法律は、官職あるいは職員の分類に関する基礎法でございまして、職階制に基く分類に矛盾するような従前の官職——何といいますか、官職の分類に関するような法律が、この職階法によつて優先される。すなわち抵触する範囲においては、その効力がないということを規定しておるわけでございます。それからまた第一條の第三項は、職階制の本質に基く規定でございまするが、職階制というものはあるいは職階法というものは、決して官職を新設したりあるいは変更したりまたは廃止したりする権限を職階制の実施機関に与えるものではない。すなわち職階というものは官職をあるがままに分類するものでありまして、ある官職がこれは無用であるから廃止すべきである、有用であるから設置すべきであるというような権限を実施機関に与えるものではなく、そういうものを定めるべきものではないということを規定しておるのでございます。  次に第二條は、この法律で言う職階制の意義を特に定めておるものでございまして、その第一項におきまして、「職階制は、官職を、職務の種類及び複雑と責任の度に応じ、この法律に定める原則及び方法に従つて分類整理する計画である。」こういうことを申しておるのであります。その内容は一番最初に申し上げた通りでありまするが、この意味におきまして職階制というのは、これは制度というよりは、官職を分類整理する計画というように御了承いただきたいと思うのであります。なおその第二項におきまして、職階制の効用をうたつておるのでありますが、職階制と申しますものは、結局純粋に技術的な人事管理の面における道具または手段でございまして、いかようにも使用することができる。それ自身は純粋に無色な技術でありまして、この技術を利用して合理的な給与制度を定め、合理的な任用、昇進方法をつくる。こういうことをうたつておるわけであります。なおまた職階制に関しましてはいろいろの効用が考えられるのでございます。あるいは行政機構の改善にも介することがございましよう。あるいは現在の国家公務員法がねらつておりますところの国家公務員制度の実現に、寄与することにもなろうかと存ずるのであります。  次に第三條は用語の定義、この法律においてしばしば現われて参りますところの用語の定義を定めておるものでございます。  次に第四條は人事院の権限を規定したものでございまして、人事院がこの職階制を実施する中心機関である、実施する中央機関であるということを規定したものでございます。これは国家公務員法に指針を受けておる規定でございます。以上は総則でございます。  次に第二節におきましては、職階制の根本原則を規定しておりまするが、職階制の根本原則と申しますのは、すでに国家公務員法にも現われておるのでありますが、要するに職員ではなしに、官職を分類する制度であるということ、それから官職を分類するにあたりましては、これを職務の種類によつてまず縦にわける。それから職務の複雑さと、責任程度によつてこれを横にわける。そうしてこの縦と横との交鎖点によつて生じたますの中に、それぞれの官職を当てはめて、そうしてこのますを単位といたしまして、すべての職員試験給与、任用を定めて行く。一言で申しますればこういう原則をうたつておるものでございます。でありまするから、第六條は官職の分類の基礎を申しております。すなわち官職の分類の基礎は、その官職を遂行すべき職務と責任であつて、その官職を現に占めている職員が、現在どんな資格を持つておる者であるか、あるいはどういう成績をあげている者であるか、あるいはどういう能力を有する者であるかということを基礎としてはならないということを定めておるのでございます。次の第七條は、職級の決定、第八條は官職の格付、第九條は職級明細書、第十條は職級の名称、第十一條は職種とはどういうものかということを定めておるのでありまするが、結局これを逆に申し上げますると、雑然たる官職を、その職務の種類の類似性によつて、先ほど申し上げました通り、職種を縦にわけるというのが第十一條の趣旨でございます。縦にわけた職種をさらにその職務の複雑さと責任の度が類似している程度によつて、これを横にわけて行く。そして縦と横にわけたますが職級である。職級というのは職階制においては官職を分類する最小の単位である。こういうのが第七條の趣旨でございます。次にはこの隅々の官職を職級にあてはめることを官職の格付と申しておりまするが、第八條は官職の格付を規定しております。官職を職級に格づけるにあたつてはどうするかというと、ここに書いてありまするところの職務の種類及び複雑さと責任の度を表す要素を基準として、職級に格付をしなければならない。しからばどういうものが要素かということにつきましては、また後に詳しく申し上げますし、お手元の資料にもあるわけでありますが、それには官職の職務と責任関係のない要素を考慮してはならない。現在その職員がどれだけの月給をもらつておるから、これを何級にいれるというのではなしに、現に担任しておる職務の内容によつて内容を要素として格付する、こういうのが格付の原則でございます。  次にこの格付するにあたりましては、個々の職級につきまして明確なる書面をつくつておかなければならない。それが職級明細書であります。その職級明細書というものは、各職級ごとに作成されるわけであります。そうしてその職級明細書に記載されております各職級の種類と、職務内容を一方に考え、それから個々の官職の職務の種類とその複雑さ、あるいは責任程度を、その職員につきましてとりました職務記述書の内容、この両者を比較、検討、評価して当てはめて行くわけであります。そういう書類が職級明細書でありますから、この職級明細書をつくるということが、職階制におきましては実に重要な点となるわけであります。  それから特に申し上げなければならないのは、職級の名称でありまして、職級にはそれに属する官職の性質を明確に現わすような名称がつけられるわけであります。その名称は、たとえば、まだ確定したものではございませんが、それぞれ従来の事務官、次官、長官というような漠然とした職務内容を現わすものではなしに、約千八百、二千にもなるわけでありますから、きわめてはつきりした職務内容を現わします。單に、事務官と言つていたのを、あるいは財政職、会計職、人事職あるいは翻訳員、郵便書記というように具体的に現わして行くことになると思いますが、それらのそういう名称が職級につけられるわけであります。その職級の名称は、同時にその職級に属するすべての官職の公式の名称となるわけであります。すなわち二級郵便書記という職級ができますと、その職級に属するすべての官職はやはり二級郵便書記となるわけであります。そうしてまたその二級郵便書記という官職を担任しておる職員も、その二級郵便書記という名称をもらうわけであります。あるいは二級郵便書記と申しますと、郵政省に専属いたしますが、人事職、二級人事書記という名称がありますと、どの省に勤務しておりましようとも、これはすべて二級人事書記ということになるわけでありまして、これがその職員の公の名称になるのであります。今後その職員に任用される場合においては、二級人事書記に任用される。あるいはそれが欠員になりますと、二級人事書記について試験が行われ、あるいは二級人事書記の給与は幾らだ、それから二級人事書記の職務内容はどうか、あるいは二級人事書記が今後は一級人事書記になり、それが上にどう行くかということも、はつきり職級明細書によつてはつきり現われて来る、こういう趣旨になるわけであります。これらの二級人事書記というような職級の名称は、今後予算給与簿、人事記録、その他官職に関する公式の記録及び報告に、すべて用いられなければならないわけであります。もちろん今申し上げました通り試験であるとか、その他にも用いられるわけであります。但しこの二級人事書記であるとか、あるいはもつとむずかしい名前がつくことがあるのでありますが、そういうのに対しまして、実はこれはアメリカの例でありますが、アメリカの職階制においては、御承知通りこれを呼ぶのに畧して呼んでおります。専門科学職、補助専門科学職、あるいは書記、会計、財政職というような分類がございますが、PSPあるいはCAF、それの何級と言つておりますが、わが国におきましても、適当な畧称または記号を用い得るならば、これを用いてもいいのじやないかという趣旨から、その畧称を用いることができることになつております。  しかしながら次に特に申し上げておかなければならないことは、局長、課長あるいは長官、次官というような行政組織上の名称もあるわけであります。これは行政組織上の要請から来る名称でありますから、職階制の方から来る職級の名称と併用してさしつかえないわけであります。局長、課長、係長、班長というような名称を用いることは妨げないわけであります。たとえば大蔵省の主賓局長の職は、これを分析した結果、一級財政職に各付されることになるだろうと思いますが、一級財政職の何の何がしが、今度は大蔵省主賓局長に任ぜられるということになつて参ろうかと思うのであります。  以上がごく簡單に申し上げました職階制の原則であります。結局このようにして出来ました職級明細書に基きまして、個々の官職を格付して行くのが、とりもなおさず職階制の実施であります。今回この法律案の御審議をいただきまして、御議決をいただきますならば、私ども予定といたしましては、ただちに格付の作業に移つて参りまして、本年度において約三分の一、来年度一ぱいにおいて残りの三分の二の格付をし終る予定でおるわけでございます。  もちろんこの官職と申しますものは、国家行政組織法あるいは定員法その他の改正によりまして、絶えず変動するわけであります。新設もされ、廃止もされ、あるいは合併もされるということが多いのでありますから、職階制というものは、絶えずそれに合せて行く手続がなければならないわけであります。すなわち改正の手続、あるいはまた不当に格付された場合におきまして、これを格付し直す再審査、改訂の手続もなければならぬのであります。そういうことにつきましては、十三條に規定しております。なおこれは人事行政のすべての基礎になる文書でございますから、これを今後の国家公務員志望者、あるいはこういう職員がほしいという人たちのために、文書にしてこれを公示しておくことが必要でありますから、その文書を公示し、これを閲覧に共する手続を第十四條に規定しておるわけであります。それからこの規則の違反に対しましては、十五條に罰則の規定がございます。  なおこの法律は、公布と同時に施行してさしつかえないわけでありますが、ただ先ほど申し上げました通り、この職級の名前をただちに予算あるいは人事記録に使うことは、予算編成その他の関係がありまして、ただちにはできないと思いますから、これは人事院規則で定める日から施行することにいたしまして、その他の規定は、公布の日から施行していいと考えております。ただ約百万に上る官職を実際に格付することは、一朝一夕にできることではないのでありまして、早くとも明年度一ぱいかかる予定でございますから、逐次その格付は実施してよろしいのだということになるわけであります。しからば逐次実施して行く場合において、どういうことになるかと申しますと、ことに問題になりますのは、給与の点であります。すなわちたとえば現在某省の事務官が一定の、二級郵便書記なら二級郵便書記に格付されるということになりますと、今度はすべて人事記録は二級郵便書記という資格で行われて行くことになるのであります。給与の点はどうであるか。これは御承知通り国家公務員法六十三條に基いて、新しく給与準則ができることになつておりますので、この給与準則は職階制に適合したものでなければならないのでありますから、職階制ができましてからほんとうの給与法ができ上る。それができ上りますまでは、給与に関する限りは今の新給与実施法の級を本人が持つているわけであります。たとえば大蔵省の事務官の現在十級に格付されている職員が二級郵便書記になりましても、それは依然として新給与実施法の十級の何号という給与をもらつております。それが今度はいよいよ給与準則ができ上りますと、給与準則によりまして、今度の八級あるいは九級というのに格付されるかもしれません。その場合におきましては、新しい給与準則の九級、八級と、従来の給与法の十級とは必ずしも給与が同じでありません。上つた場合にはあげますが、下つた場合には本人の意思によらないで下げられるわけであります。それではかわいそうだから、新しい給与準則に従つて格付が行われることによつて給与が減るというような場合においては、現在持つている給与は新しい格付によつては減らないんだということを規定しているのが、附則の第四項であります。それによりまして経過的にはさしあたり新しい給与準則ができ上るまでは、現在の新給与実施法の給与でやつて行く。そうして一応職階制ができてから、今度はその職階制に適合した国家公務員法に基く給与準則ができ上る。また私どもこの法律を急いでおります一つの理由を、さらにつけ加えて申し上げたいと存ずるのでありますが、国家公務員法は御承知通り国家公務員というものを規定しておるわけであります。この国家公務員というものは、官吏、雇員、用人の区別を撤廃するものであります。官吏、雇員、用人の区別は、何によつて現在あるかと申しますと、結局官吏任用叙級令が官をわかつて一級二級、三級とする。それに基いてあるわけであります。それから種類におきましては、現在の職務内容を適当に表現しておらないところの、事務官、技官、教官というものに三大別されておりますが、この事務官、抜官、教官をわけているのは、各省職員通則によつて行われているわけであります。この一級、二級、三級をわけておりますところの官吏任用叙級令、それから事務官、技官、教官をわけておりますところの各省職員通則、これはいずれも現在廃止されておるわけでありますが、しかし職階制ができ上るまでは廃止したのでは支障が生ずるというので、職階制が実施されるまでなお従前の例によるということになつております。従いまして一日も早くこの職階制ができ上りまして、すべての官職が格付上それぞれの新しい職級に格付されることになりますと、ここで初めて官吏、雇員、用人というような区別、事務官、技官というような区別が廃止されて、すべて国家公務員法のもとにおけるそれぞれの国家公務員ということになるわけであります。そういう意味におきまして、国家公務員法内容を実施するためにも、この法律の制定が急がれているわけであります。国家公務員法はまたその他試験任用につきましても、いろいろな制度を定めているのでありますが、すべて職階制を基礎にしてやることになつております。そういう意味におきまして、国家公務員法が定める基礎的な制度としまして、この職階制の樹立ということがきわめて緊急なものとなつております。  以上非常に取急いで申し上げましたが、これをもつて御説明を終ります。
  94. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 それでは国家公務員職階制に関する法律案の説明は、以上で終つたようでありますが、これに関する質問は他日にまわしまして、先ほどの質疑の続行をいたしたいと思います。土橋君。
  95. 土橋一吉

    土橋委員 お待ちしておりました労働大臣が見えましたので、ちよつとお聞きしたいと思います。最近の消費者価格指数等を見ましても、あるいは公定価格のやみでも上昇しておる率は、すでに大臣は御承知と思うのであります。最近全国の労働者諸君給与に関するいろいろな問題が出ておることも、十分御承知と思うのであります。そういたしますと最近本会議においても人事院総裁が来るべきときには必ず給与ベース改訂について勧告をする考えを持つておる。こういうことを表明されておりますが、政府も方では官公吏諸君の新給与改訂について勧告があるならば、どういう用意を持つて給与実施に関してお考えになつておるか、この点を第一にお聞きしたいのであります。  第二点は、賃金の引上げという問題は、とくに民間の企業にも通じまして、きわめて大切な問題でありますが、そういうような公務員諸君給与改訂について、どういう考え方を持つておられるか。端的に申し上げると、官庁職員給与は、実際に物価の状態から見て低いと思いますが、これについてあなたはどういう見解を持つておられるのか、お聞きしたいと思います。
  96. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 お答えいたします。人事院から公務員給与に関する勧告があつた場合に、政府はどうするかという御質問に対しましては、これは過日も総理から参議院の本会議等でお答えしたように思います。つまりそれはこれから出て来てから十分見て、その内容によつていろいろの考慮があるわけであつて、またこんなものが出るであろうという仮定のもとに、事前に回答すべき階段ではないというようなお答えがあつたように記憶しております。私自身も現段階においては同じ考えであります。  それから給与の問題でございますが、結局実質賃金の問題が中心になつて参りますが、実質賃金は二十三年の初めごろから季節的変動等いろいろな変動はありますけれども、またそのとり方によつていろいろな変化もありますけれども、これが上昇の過程をとつておるということは大体事実でございます。しかし戦前に比べればなお相当低いということも事実であり、労働生産性の向上という点から行きますと、実質賃金を消極的に言うならば、今後も上昇せしめるということは必要であると思つております。これはあえて公務員の問題についてどうこうというのではなくして、全体の賃金の傾向について申し上げるのであります。しかしながらその引上げの方法論としては賃金三原則もあり、現在の日本の経済界の実情においては、これらの線とにらみ合せて、この春以来政府がとつて来たところの安定政策の軌道の上において、実質賃金をでき得る限り充実させるという政策をとるべきであり、その政策は——この政策一つとればただちに実質賃金の問題が解決するというふうな政策はなかなかないでありましようが、幾つかの政策を総合的に実施して行く。たとえばこれは一、三月にわたりまして、一応の勤務所得税の引下げという手段も盛られておりますけれども、大蔵大臣がこれは一、三月の方法であつて、四月以後においてはさらに引下げ方法を講じたいと言つておる通りであります。また大衆課税的な、消費税的な幾つかの税について軽減もしくは撤廃ということについて、今後も行つて行くという方法もむろん考えております。それから主食を充実させるということも考えておる。同時にただいま土橋議員から御指摘のありましたやみ物価の点でありますけれども、上つたものもあり下つたものもあり、たくさんの物価の中には、いろいろな変化はありまるけれども、大体において私どもは今後やみ価格というよりは、マル公プラスやみ価格、それに対して私どものとなえるところの自由価格に移つて行くという過程において、消費物価のある程度の値下りということは、全体の政策さえしつかり推薦されれば期待し得るようにも考えております。そういつたケースを幾つか組合せて総合的な政策を進めることによりまして、さき申しましたような安定政策の軌道の上における実質賃金充実ということは、今後もなお強力に考えなければならない、こういうふうに考えております。
  97. 土橋一吉

    土橋委員 ただいま私がお尋ねしたことは、実質賃金向上に関して将来希望する政府政策について、お尋ねしたのではないのであります。それはすでに大蔵大臣も総理大臣も、本会議において、説明をしておりますので、そういうことをあなたに尋ねしてはいないのであります。そういう希望的な、期待的なものについては、私はお尋ねしてないのであります。官公職員の六千三百七円ペースというものが、現在公定価格の主食、あるいは副食物、あるいはみそ、しよう油というようなものの値段が現実に上つておるので、きわめて低いものであるということは、人事院総裁が過日の本委員会において、明確に示されておるのであります。これは速記もありますので、あなたもこの速記は読んでいただきたいと思います。  さて労働行政の全般的なものを見られておるあなたとしては、六千三百七円ペースはきわめて低いという人事院総裁見解と同じように、これを低いと認めるかどうか、この点を私はお尋ねしておるのであります。従つてあなた方として明確に現在の六千三百七円ベースは低いものであるということを、認定されるかどうかということを、お聞きすればよろしいのであります。
  98. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 公務員諸君の特殊な立場その他から考えますときに、私はあえて公務員だけでなく、さきも申しましたように全体の賃金ペースは、さらに今後も充実する必要があるということを申し上げたのであります。現在どうであるかという問題に対しましては、予算との関係、その他幾多の施策との結びつきにおいて、考えなければならないのでありまして、実質賃金充実する努力は拂うべきであり、極力その方面政府は努力して、実質質金の維持向上をはからなければならないということを、お答えするわけであります。
  99. 土橋一吉

    土橋委員 今のお答えは、政府はかようにやりたい、そういうように政策を進めたいという御意見であつて、私は現実の昭和二十四年のこの十一月の二十一日において、六千三百七円ベースというものは、人事院総裁もきわめて安いものであるという表明をされておるし、一般の全国の労働者諸君の各業種別的な賃金の形態を見ても、きわめて低いものであると思うが、労働大臣はどういうように考えておるか、この点をお聞きしておるので、民主自由党、吉田内閣実質賃金引上げの政策を私は聞いておるのではない。今日ただいまにおいて六千三百七円ベースというものが、まことに食つて行けない賃金であるということを、労働大臣は認定しておるかどうかという点を聞いておるのであるから、その点を明確に答えていただきたい。
  100. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 実質賃金も、極力今からでも早く充実する方策をとる必要があるということを、申し上げておることによつてお答えができておると思います。
  101. 土橋一吉

    土橋委員 奇怪千万な御答弁でありまして、六千三百七円ベースというものは、きわめて低いということを権威ある人事院総裁が申しておるのであります。しからば労働行政全般の賃金の問題、その他労働行政に関する責任を持つておる労働大臣が、今日ただいまの時期において、官公吏諸君の六千三百七円ベースという給与は、低きに失するものであるという認定をするかどうかということを聞いておる。将来減税の点においても、おそらくそれはこの法律あるいは予算が通過しなければならぬ問題であつて、当面ただいま低いかどうかということを、私は聞いておるのであります。あなたとして、もしそのようなことがわからなければ、わかる委員を呼んで御説明願いたい。どうしてもそういう説明はわからないというならば、私はまず労働大臣としての資格は、きわめて不十分なものであると思いますが、これは私の認定でありますから、とやかくあなたに強要する考えはないが、わかるような人を呼んで責任を果していただきたいと思うのであります。
  102. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 賃金の問題は、あくまでも実質賃金の問題であり、物価の面等にも関連のある問題でありまして、この点につきまして実質賃金は先ほどからも申しますように、あえて公務員諸君のみでなく、一般の賃金もあわせて今後も上昇充実せしめる必要があるということを、繰返し繰返し申し上げておるので、土橋さんの御指摘の点に対する一応のお答えになつておると思います。
  103. 土橋一吉

    土橋委員 どうしてもあなたが答えられないということならば、しいて私は聞きたくはないのでありますが、少くとも現在の実質賃金向上しようという、そういうあなたの期待的な、あなたの政策面からな、六千三百七円ベース公務員賃金は、食つていけないのであります。そういうことをわれわれは聞いておるのじやないのであります。現在の公定価格を昨年の七月当初から今年の七月当初に比べても一七七で、およそ七割七部程度つておるのであります。安定本部の調査によりましても、たしか三十六%上昇しておる。きわめて謙虚な数字、きわめて少く見積つておると思われる安本の数字ですら、三割六分であります。そこでわれわれは二十八條の規定従つて、当然情勢適応の原則上、人事院総裁国会及び内閣賃金ベース引上げに関する勧告をしなければならぬということを、主張しておるのであります。そういう際にあなたの所見をきいておるのでありますが、もしあなたがどうしても答えられないというならば、無能の労働大臣である、かように私は確信しなければならぬと思います。  さてこの問題は一応それで終りまして、次に最近新聞が報道するところによりますと、最低賃金委員会というものを、労働基準法においてあなた方は考えておられるということが報道されておりますが、どういう内容で、またどういう方法で最低賃金委員会をつくられるか、簡単に御説明願いたい。
  104. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 御承知のように労働基準法に、最低賃金に関する審議会というようなものを必要とする段階に達したと、労働大臣が見たときに、それを実行することができるというふうな規定になつておるのでありまして、労働大臣といたしましては、最近の情勢その他から、今やこの問題を取上げて真剣に検討すべき段階に達したと見ましたからして、その方向において動きだそう、それから所定の委員会を組織することにいたそう、それがためには経費も必要である、その経費は二十五年度の予算の中に、一応盛り込んであるわけであります。土橋委員の御質問になりました、いつどういう方法でという問題になりますと、大体私の考えておるところでは、今のところでは二十五年度予算が成立したのちにおいてというふうに、時期的には考えておりますし、それからその組織の方法等につきましては、率直のところまだ決定しておりません。労働省の中でも案を考えておるというのが事実でございます。
  105. 土橋一吉

    土橋委員 最初のあなたの御答弁を承りますと、労働大臣の認定によつて、労働基準法に規定しておる中央、地方における最低賃金委員会を設定し得るような御説明でありましたが、私はあの規定には労働大臣の認定によつて、最低賃金委員会をつくれるというふうに書いてあるとは、解釈しておりません。労働基準法を制定され、労働省がこれを実施する際には当然これを行わねばならぬということは、あなたよりも何代も前の、たしか米窪労働大臣のときであつたと思いますが、すでにこの問題は起つておるのであります。当時業種別平均賃金策定に関する問題が、急遽持ち上りまして、この中央賃金委員会は一時停止の状態にあつたのであります。従いまして初めの御答弁は、何か記憶違いか思い違いでないかと思います。  そこで問題の中心点は、最低賃金委員会をつくられようとするならば、すべからく労働者諸君、特に民間における各種の労働組合の幹部諸君を十分に入れられまして、そういう意見を十分聞かれるようにして、最低賃金委員会というものを、中央、地方を通じておつくりになることを、切に私は要望しまするが、これについて大臣はどういう御所見を持つておるか、お聞きしたいのであります。
  106. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 前の方の、労働大臣の認定において云々という言葉は、あるいは御指摘のように、私の考え違いかもしれません。しかしそれは、言つたところの意味は、過去の経緯はどうあろうと、今はそれに手をつける段階だという見解自分は今おりますから、という意味つたのであります。  それから、その方式等について、各方面の意向を十分取入れて出発せよという御意見であります。どれどれの方面にどういう形でということまでは、今申しましたように、目下案を固めつつある段階でありますから、申し上げられませんけれども、でき得る限り広い方面の意向を聞いて、この問題を進めて行きたいというふうに、根本的な態度としては考えております。
  107. 土橋一吉

    土橋委員 私のお尋ねしたのは、各方面はもちろんでありますが、労働者の代表を十分入れて、あなたの方では中央、地方を通ずる最低賃金委員会をつくるようにしていただいたらどうかということでありますので、このことだけ、労働者の代表を入れるなら入れる、その意見を参酌するならするという点を、聞かしていただけば、けつこうであります。
  108. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 労働者の代表を入れないというような結論が出て来るわけはありませんけれども、まだその組織が決定しておらないのでありますから、どういう形でもつていれるかというふうなことを申し上げる段階ではないのであります。ただ、今繰返して申し上げまするように、もちろん一つの重要な面である労働者側の意向も加わり得るような方式でもつて考えて行きたいということを考えております。現段階におきましては、そうお答えし得る程度でございます。どういう形をもつて、どういうところにどう、というところまでには、まだ案自体、委員会の組織自体が決定しておりませんから、お答えし得る段階に達しておりません。
  109. 土橋一吉

    土橋委員 なおこの問題については、次の機会等に保留して、十分研究して、あなたの方へもお尋ねしたいのでありますが、当面こういう問題をぜひお聞きしたい。昨年の七月二十二日マ元帥から書簡が出まして、そうして七月の三十一日の日にポ政令二〇一号というものを制定したのであります。そういたしますと、当時臨時人事委員会というものがありまして、国家公務員全般及び地方公務員、並びに教職員に関する問題は、臨時人事委員会が諸般の事項を担当しておつたのであります。ところが御承知のように、国家公務員法改正が昨年の暮に制定せられましてから、地方公務員と教職員に関する問題については、これはどこで苦情の処理をするか、事件の起つた場合にどういう処理をするかということにつきましては、現在労働委員会においてもこの問題を取上げない。人事院でもこの問題を取上げない。同時に地方労働委員会等においても、これは国家公務員に準ずるものであるからというような見地で、ほとんどその苦情や、あるいはいろいろな異議の申立て、そういうものについては処理をしていないのであります。そうすると、地方公務員諸君と、それから教職員諸君については、明確に保護せられるところの立法がないのであります。ところが、鉄道関係は公共企業体労働関係法規によつて律せられ、一般の国家公務員は、これは国家公務員法で、人事院が統裁をする。民間人は労働組合法によつて、労働委員会なり、地方労働委員会でやる、こういうふうになつて、明確に数十万——大よそ百二十万くらいになつておると思いますが、地方公務員、教職員は何ら保護されていないという立法上の重大な手落ちがありますが、これは第二次の吉田内閣と、第三次の吉田内閣とによつて、こういうことをやつておるのであります。これに対して労働大臣はどういうような責任を感じ、どういうような方法で今日まで、これらの職員諸君要求すべき、あらゆる苦情なりについて処置を講じておつたか、あるいは立法措置としてはどういうような救済処置考えておつたか、この点を明確にしていただきたいと思うのであります。
  110. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 それらの問題につきましては、専門的な、立法的な技術問題も加わつて参りますので、責任ある答弁といたしましては、私の方のそういつた方面の当局の過去における考え方措置等も照し合せまして、別の機会に正確にお答え申し上げたいと思います。
  111. 土橋一吉

    土橋委員 私は、そういう簡単な答弁ではならぬと思うのであります。あなた方が内閣を構成しておつたときのことで、こういうことをしつていながら、何らの立法も措置もしないで、今日ただいまになつて、何だか技術的なものだからという説明をしようということは、あなた方の政府では、地方公務員諸君と、教職員諸君については、何ら保護的措置を講じていないということが明瞭でありまするが、この責任をあなたはどういうような内容で、この委員会に御報告になり、明確にその責任をとるかという点を私はお聞きしたいのであります。ただ立法措置がこのようになつておるからということだけでは、済まされないのであります。百二十万にも余る地方公務員、教職員の真剣なる要求なり、苦情の処理なり、そういうものについて、何らあなたの法で手を施さないで、ただ公務員に準ずるというような、まことにあいまいな態度で今日まで過ごしておる。この責任を吉田内閣はどうするかという問題でありますので、明確にその点をお答え願いたい。
  112. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 それらの点につきまして、立法的、事務的な、ただいま申し上げました点を調査いたしまして、明確にお答えいたすことにいたします。
  113. 土橋一吉

    土橋委員 あなたの責任はどう考えていらつしやるのですか。それはいかなる政府といえども、立法の落度もありましよう、手落ちもありましようが、そういう重大な手落ちをしておる吉田政府としては、どういう責任を感じておるか。将来どういうような方針で——今まで得べかりしこの利益、当然要求すべき団体交渉上の権利、あるいは政治活動制限等、あらゆる首切りの問題、特に首切りに至りましては、これらの諸君は非常に気の毒な状態にあります。定員法という法律によつて、ただもう苦情処理を申し込む場所もないというような状況であります。こういう点について、あなたの責任を私は明確にしていただきたいと思いますが、立法上の手続とか、不備とかいう点は、これはわかり切つておる問題であります。労働大臣としてどういう責任を負うか、吉田内閣としてはどういう立場において、この責任を明らかにするかという点をお聞きしたいのであります。
  114. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 今申しましたような諸点が明らかにならなければならないのでありまして、それらの点を十分取調べまして、明らかにしてからお答えいたします。
  115. 土橋一吉

    土橋委員 手続上の不備ということはきわめて明白でありますので、それをお調べになるというて、何をお調べになるのでありましようか。当然そのような不備があつたということは、あなた自身も御認定になつておるようであります。そうすれば、それに対する政治的な責任はどうするかという問題であります。手続上の不備は、單に公務員諸君の手落ちの問題ではなくして、やはり私は、そういうことはあなたも十分御承知の上で、労働大臣に就任されたのでありますから、全般的な労働行政の立場において、これら教職員、地方公務員の救済に関しては、まことに遺憾であつた。すみやかに手続をしたいということを、あなたがこの委員会においても、明確に言うべきではないか。ただその調査した結果、明確にならなければ言えぬということではなくして、手落ちがあることも、不十分だつたことも、むしろ私は、吉田内閣が意識的にそういうことをやつてつた、こういう点を私は指摘したいのであります。従つてあなたの方の明確なる政治責任を、はつきりさせてもらいたいと思うのであります。
  116. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 定員法その他の関係につきましては、すでに定員法の御審議を願つたときに、当該の大臣その他から、十分その現段階における必要性、それから人事院との関係、いろいろなものをあげて、国会の御了解を願つたはずであります。それから、将来にわたつての問題は、ただいま進行中の地方公務員法等の出現によりまして、将来にわたつてのこの問題の扱い方というものは決定して行くと存じます。その中間における法的の扱いはどうであつたかという問題につきましては、さつきから申しますように、そういう方面に当つていた政府当局の意向をもただしてみて、どういうふうな措置が行われていたかという法的な問題につきましては、あらためてお答えいたします。こう申し上げておるわけであります。
  117. 土橋一吉

    土橋委員 私は速記にも明確に残つておりまするように、労働大臣の答弁が何かあいまい模糊たるものでありまするので、この質問は次の機会に保留しまして、さらにこの次私は一般民間における労働條件給与に関する問題と、それから特に人事院が今日に至つて政府勧告しない点についての質問を保留して、私の質問を終りたいと思います。従つて労働大臣も次回の委員会にはぜひ御出席願つて、この点について御説明願いたいと思うのであります。
  118. 加藤充

    加藤(充)委員 繰返すようですが重ねてお伺いしたいと思います。先ほどから実質賃金をあらゆる方途をもつて上昇させるように、努力しているというお話であります。それはけつこうな話でありますけれども、現在おやりになつている施策で、はたして実質賃金向上できるかどうかという問題について、御意見を質す前に、現在の賃金なり給与というようなもので、大体人間らしい生活ができるかどうかということよりももつと下まわつて、ただ食つて行ける、生きて行けるだけの量質を持つておるかどうか、こういうことをまずお尋ねしたいと思います。そういう問題がきまらないと、いたずらに実質賃金向上するとか、しないとかいうことを言つても、問題が上すべりすると考える。その点労働大臣の御意見をお聞きしたい。
  119. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 御質問の趣旨が全然のみ込めないというわけではありませんが、ややはつきりしないような点があります。生きて行けるかどうかという点について、もう少し具体的に……
  120. 加藤充

    加藤(充)委員 いろいろとお調べになつているから言わなくてもよいと思うのでありますが、たとえば主食を増配して実質賃金向上をはかるという御意見があつたのでありますが、現在の給料では食糧をふやしてもらつても、消費者の価格が一割二分も上つてしまつて、食糧の増配はけつこうですが、それすら買えないというのが、いろいろな俸給生活者あるいは勤労者一般の給与の実態であると私は考えるのです。そういう事例は、労働大臣の方にもいろいろ調査の結果現われていると思う。先般議員のところに配付になりました異論調査のことなどについて、どのようにして食糧状態を調べておるか。食糧の問題は勤労者にとつては、根本的に重大な問題なのであります。労働者の労力の再生産の問題でありまするが、そういう問題が輿論調査でどういうように出ておるかと言えば、米を雑穀ととりかえる。これはいい方です。しまいには結局欠食十日から二十日間くらい足りないというようなことです。これは配給がふえれば何とかなりましようが、結局金がないために欠食しておる。やみ買いすることもできないというような状態です。それは結局給料が足らないからです。一応三食食えるような状態になつて、欠食などしなくても済むようになつて初めて、実質賃金向上の問題が、私は問題になるのだと思います。そういう意味で食えない賃金を問題にして、実質賃金向上だとか何とかいうのは、実は人をばかにしている問題だと思うのです。食える賃金かどうかということを、労働大臣にお聞きしたいとおもいます。
  121. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 部分的に申しまして、いろいろな生活上の現象はあると思いますが、現在の日本の賃金労働者にしろ、あるいは経営者にしろ、一般国民諸君にしろ、この戦後の諸條件の悪い中において、完全な状態にあるという府はなかなかあり得ない。そこを目標としてお互いに努力しているわけでありますが、これで完全無欠だという状態にある府は、この敗戦直後の日本の国民にはないと思います。しかしこれで十分食えるというよりは、何と申しますか戦後の一番最悪のときからくらべると、一歩々々実質賃金生活もとにかく向上して来たという、最後的の結論においては間違えておらぬと思います。そして実質賃金はなお今後も充実しなければならないということも問題でありますし、それを単なる名目賃金の引上げとか、そういつた方式のみでもつて繰返して行くやり方は、結局真の実質賃金の引上げにならない。安定の軌道に乗つた実質賃金の引上げでなければだめだということは、私に限らず現内閣全体の結論なのでありまして、そういう考えの上に立つて実質賃金の引上げは今後むろん行うべきである。しかしまた御質問のように全部が食える賃金——食える賃金、食えない賃金という問題は、きわめて教会の不分明な問題でありますけれども、特殊な部分的な面を除いて全体的な問題としましては、実質賃金及び生活程度というものは、確かにある程度ずつ戦後向上して来ておることは事実なのでありまして、私どもはこの線に沿つて実質賃金を引上げて行くということによつて、国民の一般の生活は解決し得る方向に行くものと考えております。
  122. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 前質問者と重複しないように願います。
  123. 加藤充

    加藤(充)委員 私、違わないつもりでいるのですが、結局今言つたように完全に食えるという事柄自体は、想定がおかしいのですが、大体の量的な判断なり、普通の立場に立つて実質賃金向上はけつこうな話だけれども、労働力の再生産の面からいつて、非常に欠陥が多い生活をしておる人たちが量的にたくさんあるということをお認めにならないのですか。量的に完全なものが少数あるかもしれぬ。また完全なものは一人もおらぬかもしれぬ。そういう量的な面から大臣はどうお考えになつておりますか。
  124. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 先ほど土橋委員にもお答えしたと同じであると思います。実質賃金を上げなければいけない。努力を拂うべきであるということを、はつきり申し上げておりますことによつて結論はでておると思います。
  125. 加藤充

    加藤(充)委員 大臣は私のお尋ねしたことに対して確答を避けられて、実質賃金向上を期しておるということで、了解せよとか、していただきたいとか、その中に答弁は含まれておるとかいうことならば、私が今質問したようなことと、同じ認識をもたれておるということに了解してさしつかえありませんか。
  126. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 私自身の考え方は、先ほどから繰返しておる通りであります。
  127. 加藤充

    加藤(充)委員 続けますが、実質賃金向上という努力はけつこうですが、現在の産業合理化の方針が、技術や施設、その他能率、制度、機構や系統的な改善を通じての合理化でなくして、ラジカルに端的に労働者の労銀の方に向けられて、支拂いを少くして行くということによつて、いわゆる資本の蓄積をやつているという根本の方針をとられていると思います。これは見解の相違ではなくて事実そうだと思う。そういうことは賃金ベースの据置きの方針にも現われておりますし、同時にまた最近激増してまいりました職場におけるいろいろの傷害事件の増加ということにも、端的に現われていると思うのですが、そういうやり方をやつていて、実質賃金向上したり改善されたりする余地は、全然理論的にも技術的にも出て来ないと思うが、その点はどうですか。なお主食だ税金だというのは、それに附随した問題で、そのことも広汎な條件の中に盛り込まれて行くのは、当然だと思うのですが、その根本の問題について、大臣にひとつ御意見を聞きたいと思う。
  128. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 産業の合理化は結局私ども考え方では、インフレを收束して、合理的な軌道の上に立つたところの産業の再建が行われるのでなければ、労資双方ともにその收入も立場も充実して来ない。そういう意味においてやつている産業の合理化でありまして、私どもは——これは私よりはむしろ通産大臣なり、あるいはその他の直接その衝に当つている人たちに聞いていただきたいのでありますけれども、決して労働者諸君のみ、産業の合理化を急いでいるというふうには、考えておらないのであります。ただ傾向といたしまして、そういうことが出て来ることに対しましては、嚴に注意を拂つて妥当なる線において産業合理化を進めなければならないという考え方も、もちろんでありまするが、根本的に今おつしやいましたような意味において、産業合理化を急いでおるというような考え方は、政府としてとつておりません。
  129. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 加藤君、本委員会に上程されておりまする議案に関連して御質問を簡單に願います。
  130. 加藤充

    加藤(充)委員 これはもちろん関連いたしますが、水谷さんあたりが問題にしたことで、大蔵大臣が答弁したのですが、それをまとめて言うと、私はこういうふうに理解したのです。水谷君が社会保障の裏づけがないやり方で、そういうものでしばつてつて、そうして安定したというけれども、これは巨大資本や巨大産業のための安定ではないかというようなことを言つたことについて、大蔵大臣は、社会保障が裏づけになつていて、それで資本主義社会が安定したというのだつたら、イギリスの例を見てみろというようなことで、お茶をにごされたのでありますが、そういう点から見て、賃金の問題で実質賃金向上させるとか何とか言つているが、食えない賃金ベースなり、低賃金の方針をとつておいて、社会保障の点についても予算とにらみ合わせでしようが、予算の全面から見て社会保障の点についての政府の施策が、絶えず親切さをなくしておいてやつて行くやり方、これが日本の産業の再建であり、産業合理化の基本方針だと言われております。それは労資協調ということではなしに、労資一体となつたということを大臣は言われておるが、一方下の方はふんどしも取上げられちやつて、からからになつて、しはすの風に吹きさらされている。他方には頭の上に帽子をかむり、毛のえり巻をし、オーバーも着るというようなやり方であつて、労資ともどもの産業再建ではなくて、やはり日本の産業合理化というものは、あなたがどんなに口で言おうとしても、低賃金の問題に端的に現われ、社会保障の裏づけの点に現われているように、下の方の犠牲で上のものがやつて行くという産業の合理化だと思うのですが、そういう点はいくら議論しても始まりませんが、そういう点で食つて行けると思うのですか。あるいは八千五百八十円で食つて行けると思うか、労働力の再生産ができると思うか、ここをひとつ考えていただきたい。それで食つていけないと思うことがあるならば、社会保障のどういう点に裏づけがあればやつて行けると思うか。そこまで納得がいく説明がなければ、社会保障がつぶれているのは、イギリスじやないかというようなことでは引下れないと思うのですが、その点をいま少し、一般的でなくて具体的でいいと思う。米の増配で裏づけると言われたが、米の裏づけでは一割二分も値上げせられて、金がないところに、配給がよけいになつても金がないから買えない。これでは実質賃金向上の施策にはならない。こういうことを私は考える。この点で私の意見が間違つておるならば、たとえば米の増配の問題もこうなるじやないか。あるいは失業保險あいはその他の社会保障でもこうなるじやないか、健康保險でこうなつているじやないかということを言つていただきたい。あるいはこれは職場の問題ですが、下級官吏共済組合の掛金が俸給の七%になつてしまつておる。これがたいへん重大な負担になつて、安い俸給体系の中では破滅的な意味合いを持つていうというのが、私どものところに集まつて来ておる不平なり、苦情なり、陳情の要点であります。そういう一例をとつて、この点ではこうして実質賃金向上をはかるのだ。税金はこうなつておるではないが。家計にそれがどう響くかというところまで、一例でけつこうです。全般の施策はあなたにお聞きしてもわからないと思うが、あなたが責任をもつて言える、あなたが御專門に研究されておる一例で説明をしていただきたい。そうしなければ、一般的に考えておるとか何とか言つたつて、それは絵に描いたもちを見たほうが、なお私どもの目を楽しませることができる。労働大臣のそういう絵にも描けないような話だけでは、何の楽しみにもならぬし、安心にもならぬと思う。この点を親切にやつてください。
  131. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 大蔵大臣の言われた言葉に対する解釈は、どうぞまた別の機会に大蔵大臣に聞いていただきたいと思います。  それから社会保障の問題でありますが、率直に申し上げますが、現在日本の国力、それからこの戰争の後の諸條件のもとにおいて、完璧な社会保障に急速に移つて行くということは、なかなか困難ではないかと思います。しかしながら社会保障全体の問題につきましては、社会保障審議会もあり、案を練つておるのでありまして、適当な案があつた場合には、われわれはそれに一歩前進して行くという考え方において、決して反対でないどころではない、適当な案の出てくることを待つておるわけであります。  それから実質賃金をどうするかという方式につきましては、これは私どもは自由経済の上に立つたところの日本経済の点検を考えておることは言うまでもないのでありまして、従つてそれらの方式は、その上にそれが一挙にでき上るわけのものでもないでありましようけれども、しかしこの春以来幾多の政策の上に、また補正予算なり、来年度予算なりに現われておるような、その方向に相当強力に進もうとするところの政策というものは、十分現われて来ておると思うのであります。そういう考え方から行きますと、繰返すようでありますけれども、これ一つとれば、ただちに実質賃金の問題が解決できるというような、そんな奇想天外なものはないのでありますけれども、自由経済の軌道の上において、こういうふうにやつて行けば、実質賃金の問題は総合的に解決できるという考え方はあるわけでありまして、それはおそらく大蔵大臣もその一部分を財政の面に関する限りは、数字をあげて説明されたろうと思いますし、あるいは将来するだろうと思いますけれども、税を下げて行く、消費税的なものを引下げて行く、勤労所得税も引下げて行く、御承知のように大蔵大臣も、あれは一—三月の税の軽減であつて、少くとも来年度以降は、それよりも一層引下げるという前提のもとに立てられた暫定の減税案であるというような説明をしておるわけであります。相当引下げられるだろうと思います。しかし将来のことでありますから、まだ未決定でありますけれども、勤労所得者に対しては特殊の考慮と拂うということも言つております。どこにどう拂うかということは、大蔵大臣が今後決定し、検討する問題でありますから、ここでもつて追究されて数字をあげて、こうしますということを言い得る段階にもちろん至つておりません。けれども一つの方法論として、そういつた考え方を強力に推進するということを大蔵大臣も言つておりますし、われわれも要望しております。  それから主食の配給の充実、これもまだ供出の問題その他数量の問題も全部決定しておるわけではありませんから、明確な数字をあげて云々というとはできませんけれども、方向として今年の米のできぐあい、その他供出のやりぐあいというような点からかんがえまして、相当の期待が持ち得るものと、労働大臣としては切に望んであるわけでありまして、ここに数字はあげられませんけれども、相当の希望は持てると思います。  それから自由物価の下落という問題、これも十分の期待が持てると思う。そういつたものを総合したところの方法によつて、われわれはわれわれの立てようとする自由経済の国家再建と方式の中に、実質賃金向上という問題を実現して参るということを、御説明申し上げておるわけであります。
  132. 加藤充

    加藤(充)委員 詳しい話をるるお聞きしたいのですが、それは省略して、次の機会に譲りたいと思うのですが、それでは、現在の税制改革で、大体平均のところでけつこうですが、勤労者の家計に対して何パーセントくらいの生活費の軽減になつているかということ、並びにその計算を労働大臣としてはお持ちですか。これはすでに税制改革の方針が出ていますし、大衆課税、消費税等の一部の減免もあるようでありまするし、そういう点だけひとつお聞かせ願いたいと思います。
  133. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 その点に関しましては、労働者でも一応与えられた、将来をもひつくるめた仮定的な條件のもとにおける計算はやつたはずでありますけれども、今私はここに持つておりません。しかしその点につきましては、おそらく大蔵大臣からも税に関する限りの勤労所得税等との関係は計算しておるから、近く発表の運びになると思います。労働省といたしましては、もちろん税自体の計算は、労働省にはできないのでありまするから、それを基礎としたところの労働省の見解というものは、あらためて聞いていただくことにいたします。今はここに明確な数字は持つておりませんが、大藏大臣はつくつておるはずであります。実質賃金向上ということを熱望され、努力されておりながら、そのことについてまだ当つておられないのですか。
  134. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 その問題は労働省の事務当局としては随時検討しております。ただ私がここに明確にお伝えする数字は、ただいまもつておりませんから、愼重を期してまたの機会に……
  135. 加藤充

    加藤(充)委員 持つていないのかというのです。それだけの資料なり、結論が……
  136. 鈴木正文

    ○鈴木国務大臣 今日までに発表され、こういうふうになるだろうというあらゆるケースの場合に当てはめたところの計算は、もちろん労働省としては時々やつております。そういうものはその都度々々できております。こういうことを申上げております。
  137. 加藤充

    加藤(充)委員 今聞いたのは税金の問題です。結局実施賃金向上のために、どうも言葉だけでは受取れないので、しつかりやつていただきたいと言わざるを得ない。
  138. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 本日はこの程度にとどめまして次会は明二十二日午後一時より開会することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十五分散会