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1949-11-19 第6回国会 衆議院 人事委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十九日(土曜日)     午前十一時三十四分開議  出席委員    委員長 星島 二郎君    理事 小平 久雄君 理事 玉置  實君    理事 藤枝 泉介君 理事 吉武 惠市君    理事 赤松  勇君 理事 加藤  充君    理事 逢澤  寛君 理事 木村 俊夫君       池田正之輔君    岡西 明貞君       高橋 權六君    橋本 龍伍君       柳澤 義男君    松澤 兼人君       土橋 一吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小澤佐重喜君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (法制局長)  岡部 史郎君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         人事院事務官         (給与局次長) 慶徳 庄意君         法制意見長官  佐藤 達夫君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君         専  門  員 中御門經民君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  政府職員の新給与実施に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一号)  国家公務員職階制に関する法律案内閣提出  第二九号)  特別職職員給与に関する法律案内閣提出  第一八号)(予)     ―――――――――――――
  2. 星島二郎

    ○星島委員長 これより人事委員会を開会いたします。  前会に引続き、政府職員の新給与実施に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律案、及び国家公務員職階制に関する法律案の三件を一括議題として、質疑を継続いたします。加藤充君。
  3. 加藤充

    加藤(充)委員 私は主として公務員法の二十八條と百二條について質問したいと思うのですが、まず二十八條について、二十八條給与改訂に関する規定精神スライド制をそのまま持ち込んだことではないけれども、いささかそれに類似した精神を盛り込んだものだということは、今まで人事院なんかの説明の中に見えていることなのであつて、それで問題になるように、スライドをそのままやれば頻々として勧告をやらなければならぬことに相なつてしまうということを総裁がおつしやつております。それまでする必要がないことも條文では了解できるのですが、少くとも年に一回ということと、頻々ということのけじめがどうもぼけて来ております。それで第三回国会参議院人事委員会説明――多分岡部君がやつたと思つておりますが、ノーマルな状態でないときには、年に一回でその二十八條勧告精神の責めを果すわけには参らない。裏から言えば、ノーマルな状態でないときには、年に一回以上やらなければならないということを、説明の中では言われておるわけなんですが、そういう点につきまして、まづ淺井総裁の御意見を問いたいと思います。
  4. 淺井清

    淺井政委員 加藤さんにお答え申し上げます。  勧告頻々とやる必要はない、あるいは何回でも頻々とやれというような点について、御疑念があるようでございますけれども人事院といたしましては、必ずしも年に一回やればそれでよろしいものだとは決して思つておりません。必要があれば一回以上にわたることもございましよう。しかしながら、およそ百万人分人間給与の問題を勧告するので、勧告する場合におきましては、よほど慎重に考えなければならぬ。その慎重に考えるというのは、決して予算のことを考えたり、物価に及ぼす影響を考えたりすることではございません。その上げることが適正であるかどうかについて、慎重に考えなければなりません。毎月出ます物価指数等によつて、ある期間内にわたりまして生活費の上で、上つて行く傾向を十分見定めませんければ勧告ができないということは、御承知通りと思います。なお、たとえば今年の四月に物が上つておると申しましても、その正確な統計を得るのは、およそ二箇月あとでございますから、ただいままで勧告をいたさないことにつきまして、人事院の怠慢などという御批判は、私は当つておらぬかと存じます。
  5. 加藤充

    加藤(充)委員 これは見解が違うと言われればそれでおしまいなんですが、昨年の勧告は昨年の十一月九日にあつて、その勧告に基いて結局昨年の十二月一日からいわゆる六千三百円ベースが、具体的に実現したことに相なるので、そうすればその基準点をいかなる時期に設けるかということについては、いろいろりくつにつきましようが、二十八條の少くとも年に一回という精神を、ひんぴんとやることと、少くとも年に一回やるということの中をとつてみましても、私すでに今年の十一月九日以前に、少くとも年に一回の勧告にあつてしかるべきだ、もちろん慎重であることを要することはわかりますが、しかし慎重を要するという理由の中に、二十八條の年に少くとも一回はやらなければならないという規定精神が殺されてしまつたのでは、これはとんだことになると思うのです。その点について総裁見解を承りたい。
  6. 淺井清

    淺井政委員 二十八條における一箇年のことにつきましては、前回に申し上げた通りでございます。加藤さんは十一月の九日を基準として一箇年、かように御主張になつておるようでございますが、その十一月の九日にはまだこの二十八條の、ここの点は改正されておらないのでございます。従つて十二月の一日から実施されるということでございまするならば、今年の十二月一日をもつて一周年とごらんになれるのでございますが、私どもはこの二十八條が公布施行されたときからとも考えられまするし、前回正確な勧告を出しましたりは、十一月に十日のことでありますから、それなら今年の十一月十日と相なりまするし、暦年をもつて論じますれば、本年の十一月三十日ともなる。また人事院規則によつてこれが公布されましたのは、今年の一月八日なので、そうごらんになれば来年の一月八日ともなりますから、これは議論の立てようによるものと思います。
  7. 加藤充

    加藤(充)委員 法学博士淺井総裁の非常に精密なる見解の一部を発表いただきまして、光栄に存ずるのでありますが、ただここで問題になるのは、二十八條の一項の勧告と同條二項の勧告であるが、二つの意味合いが違うと思うのです。この点について人事院見解並びに一項についての勧告責任、あるいは二項についての勧告責任について、おとりなつたことの報告を願いたいと思います。
  8. 淺井清

    淺井政委員 二十八條の一項と二項、何かそこに違うように仰せられましたが、これは一貫した思想でございまして、二十八條第一項はその原則について、第二項は具体的な方法について定めたものと了解いたしております。
  9. 加藤充

    加藤(充)委員 三百的りくつ法学博士とやつても、けじめがつきませんから、次の質何に移りたいと思います。今の箇所に関連しますが、年に少くとも一回という規定があり、勧告を要するということがあるのですが、年に少くとも一回が、ただの一回でもいい、あるいは一回もやられてないというような、私ども見解が一方に立つのに、人事院はこれでも少くとも一回はやり得るんだといつたような見解のもとに、おやりになつておるようですが、そういうような場合に、そういう勧告の時期、勧告回数というようなものは、これは人事院がかつてにおやりになつて、どこに対して責任を持たれたらいい筋合いのものかどうか。
  10. 淺井清

    淺井政委員 二十八條二項にありますが、「俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるとき」に勧告をなすことになつておる。ただ認めるとは何人が認めるかと申しますと、これはどうも人事院認めるということに相なるほか、この條文解釈のいたしようがないと私は存じております。
  11. 加藤充

    加藤(充)委員 そういうことについて、その責任のとり方を、私ども政府並びに国会、主として国会立場からお尋ねをしなければならぬと思うのですが、そういうふうにお認めなつたことが妥当であるかどうか、適切であるかどうか、二十八條規定された、人事院職責を果したものであるかどうかということについての、国会の判定というものについて、人事院責任をとらなければならない立場にあると思うのですが、その点についてはいかがですか。
  12. 淺井清

    淺井政委員 ただいまただ二十八條條文解釈についてのお尋ねと思いまして、そう答えましたが、人事院は、この百分の五以上増減する必要が生じたと認めることを躊躇いたしておるわけではございません。本会議における水谷さんの御質問に対しても答えましたように、これは認めておるのでございます。その意味において、近き将来において勧告をする用意があるということに、すでに御承知通りだろうと思います。
  13. 加藤充

    加藤(充)委員 こういうような客観的な條件や数字の中に、まさかこれを全然認めておらないほどばかな者が、人事院総裁職責を汚しておるのだと思うほど、私どもはぼけてはおりません。ただしかし、そういうような認め方が、それで十分だとお思いになつておることについて、だれが批判を加え、あるいは人事院はだれに対して責任を持たなければならぬかということを、二十八條はうたつておると思うのですが、そのことについての総裁見解を聞きたい。
  14. 淺井清

    淺井政委員 勧告案国会内閣に対して出されますが、その勧告を最終的に決定するものは、これは国権最高機関たる国会であられるのでございますから、加藤さんのお尋ねはかえつて不審に思います。われわれは国会に対しまして、十分その点を自覚にしておるのでございます。
  15. 加藤充

    加藤(充)委員 内容についてではなく、私は一回以上なすべきであつたと思うのに、一回しかやらなかつたということの責任は、だれがどこに対しておとりになるのか。
  16. 淺井清

    淺井政委員 加藤さんの御質問は、一回以上なすべかりしということが前提になつておると思いますが、私はただいま近くやろうとする勧告をもつて足れりといたしておる次第でございまして、これは見解の相違だろうと存じます。
  17. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは回数瀕度については、もう水掛論はやりませんが、どうも答弁が不十分でずるいと思います。  そこで内容についてお聞きしますが、人事院が適当であるとお認めになつて、その額が非常に高過ぎる、あるいは安過ぎるというような認定人事院がおやりになつた場合、その認定内容が適当であるか、不適当であるかということについての責任に、人事院としてどこにおとりになればいいと思つておりますか。
  18. 淺井清

    淺井政委員 ちよつと御質疑の趣旨がよくわかりかねるのでありますが、内閣におきまして、人事院勧告一般経済問題、政治問題として考えまして、予算を編成することは、これは十分御了解の行くところだろうと存じます。さてこの予算は、国会が最終的に御決定になることは言うまでもないところでございます。また人事院は、国会及び内閣へ同時に勧告をいたすのでございますから、この勧告が妥当であるかどうかということを、国会が御決定になるべき筋であることは当然のことでありまして、私にそのような御質疑をこの席上でいただこうとは存じていなかつたのでございます。
  19. 加藤充

    加藤(充)委員 私は予算でそれが実現するかどうかということについて、人事院見解を聞いたり、権限を聞いたりする気持は全然ないのです。ただかりに言えば、一万円が相当だというようなことを国会認める。しかし予算操作面でそれが実現できないという場合があり得る。そういうときに、人事院が一万五千円の内容勧告が相当であるとお認めなつたり、あるいは、はなはだしきに至つては五千円で妥当だというような、その認定内容について、私はその内容が、二十八條人事院職責を全うしたものとして不適当である、著しく不適当であるというようなことについての責任の問い方、あるいは人事院としての責任の持ち方というものがなければならないと思うのです。そうしなければ、まつたく人事院というものは、どこに対しても責任を持たない、かつてに自分が認定し、確定する権限をまかせられた以上は、どんなことをやつてもいいということに相なつてしまうと思うのであります。従いまして、認定内容について、妥当でない著しく不適当な認定を、人事院がそれでいいと思つておやりになつたときに、私はやつぱり国会人事院の二十八條職責自体を、問題にする権限を持つものであることを信ずるのですが、その点についての総裁見解を明らかにしていただきたい。
  20. 淺井清

    淺井政委員 最終の御決定国会にあることは、申し述べた通りでありまして、その点は加藤さんもよくおわかりでございましよう。ただいま加藤さんは、国会議員といたされまして、国会権威を宣言されたものでありますから、私はそれを拜聽するにとどめるほかはないと思います。
  21. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは、大分勧告の時期並びに内容について、とやかくの問題が世上にやかましくなつておるようですが、今のお言葉従つて、勇気を持つて、同時に当然責任を持つて第二十八條勧告の職務を人事院は果していただきたいことを私はここに申し上げて、今の質問を終ります。  次に、給与改訂の問題については、あまりよくは知りませんけれども各国ともいろいろ苦労しておるようですが、結局これについては、アメリカあたりの制度についても、いろいろ苦労のあとが見られますし、また英国あたりの例をちよつとわたり歩いてみましても、たいへん苦労しておると思うのですが、結局人事院が、今の問答の中に現われたように、何かわからぬような権限を持つてうろうろしておられる間に、公務員給与の面で非常な不都合と犠牲を負わされて来ると思う。こういう問題については、それが言葉から言えば、スライド制を入れたものである。あるいはスライド制ではないけれども、いささかそれと異なつ精神が二十八條に生かされておるというような言葉で表現されておると思うのです。結局はこういうふうなノルマルを欠いておる、アブノルマルな、経済事情の変動の激しい昨今の日本状態において、私は二十八條というものに対して、人事院総裁も、もし公務員保護者として、最高の地位としての名誉と責任を感ずるならば、やつぱりぎこちないものを正直なところ感じておられると思うのでありますが、こういう欠陥に、結局職員組合労働組合としての本質を抹殺し、団体協約あるいは団体交渉というようなものをなくしてしまつたところに、二十八條との関連から、ますます低給与ベースに呻吟しなければならない一つの大きな原因があると私は思うのでありますが、この点について、人事院総裁見解をお聞きしたいと思います。
  22. 淺井清

    淺井政委員 ベース勧告について、加藤さんから御激励を賜わつたことに、私は非常に感謝する次第でありまして、大いにそれに報いたいと存じております。  次に、世界各国において給与についていろいろ苦労しておるという仰せは、まことにお情ないお言葉でありまして、給与について人事院ぐらいただいま苦労しておるところは、世界においてもまれであろうと存じております。政治活動を禁止しますれば、ただちに加藤さんの陣営からは、反動内閣の手先だと攻撃されておりますし、給与ベースを上げようといたしますれば、あるいは閣内野党なりとの非難を浴びております。まことにわれわれぐらい苦労しておる者はないと思つておるのでございますが、ただ御指摘の、組合活動を制限をいたしたから、かような状態に相なつたということは、いかがでございましようか。従来終戰後官庁民主化ということが叫ばれておりまして、官庁内部において特定政党活動が自由でございましたり、官庁職員特定内閣打倒を叫ぶことが自由であり、官庁内部に入りますれば、至るところに内閣打倒のビラが張りまわされておるというような状態であつて、そうして組合活動というものがきわめて自由であり、この組合団結権をもつて官庁民主化する、すなわち官庁内部におきましては、哀れなる公務員諸君は憎むべき特権階級と、階級闘争するような状態に置かれておる、この階級闘争を進めて行くことが、日本民主化の一番いい方法であるというようなことは、私はそうは考えません。この国家公務員の利益を保護しますのに、この組合活動だけで推し進めて行くということも、確かに一つの考え方ではございましようけれども人事院というような中正公正な機関によつて行くということも、私は民主化方法であろうと思うのであります。この点は、加藤さんと何日かかつて論議をいたしましても、盡きないことと思いますので、この程度にとどめておくわけでございますが、人事院公務員保護をおろそかにしておるというような御非難は、私は当たらぬように存じております。
  23. 加藤充

    加藤(充)委員 腹のふくれない、むしろ腹の減る議論の応酬はこれでやめますが、勧告が出された場合に、応ずべき義務は政府にはないと思うのですが、政府に十分にそれを尊重されて、そうして人事院の機能というものを生かして行くことがなければ、勧告は、それは百万遍繰返しても盡きることのない、淺井総裁のお言葉通り、これは無にひとしいものになると思う。そういう点で、これは殖田国務大臣か何かが、やはり国会で発言されておると思うのですが、そういうふうな、人事院の韓国に応じない政府というものは、りつぱな政府とは言えないというようなことが言われていたと思うのですが、その点について、人事院見解を聞いてみたいと思うのであります。
  24. 淺井清

    淺井政委員 ちよつと、まず法理論をやらなければならぬのですが、人事院勧告を取上げますと取上げませんとは、これは国会及び内閣の御自由だろうと私は思つております。それでこそ国務大臣国会に対して責任も負えますし、国会国権最高機関だと思うのでございます。もし人事院が強大なる独立性を押し通しまして、それで何でも通つてしまうというならば、この独立性は有害だろうと思つております。人事院には人事院権限の限界というものがございますので、人事院ただ誠実に勧告をいたす、これをお取上げになるとならぬとは、国会及び内閣の御自由である。なぜならば、人事院は何が適性なる給与であるかということをきめるのでございまして、国会及び内閣におかれましては、第一には予算の問題、第二には一般経済の問題、あるいは政治問題として、より高いより広い立場からお考えになるのでありますから、それで私はよろしいと思つております。しかしながらその人事院勧告をお取上げになるにしましても、ならないにしても、輿論の前でこれがなされるということが、私は人事院勧告の一番の権威のあるところであろうと思つております。お取上げになるにしても、ならないにしても、ガラス張り中でこの問題が、討議されるということがこの勧告を価値づけるゆえんであろう、かように考えている次第であります。
  25. 加藤充

    加藤(充)委員 さすれば、勧告がなければならない時期が予想されており、勧告があるというようなことが巷間で、はつきりしておりますような場合に、一概に、勧告があろうがなかろうが、そんなことは知つたことじやないというような政府態度は、これは人事院として法律解釈、並びに法律解釈から来る見解でけつこうですが、そういう政府態度について人事院はどう考えるか、これは先ほど申し上げましたように、殖田国務大臣が、りつぱな政府であるならば、人事院独立の行動に対して、十分の敬意を拂つて行くものでなけれなならないということを、政府として発言をしているのを、国会議事録の中に私は拝見するのです。ですからどうも先ほど申し上げたように、勧告があつてもなくてもやつてのける。そういうことを無視してやるというふうに解される態度を表明する。これは仮定論になつて恐縮ですが、そういう政府は、殖田国務大臣言つているように、りつぱな政府といえるものかどうか、それさえも自由に御判断になつていたし方ないのであるという見解を、淺井総裁はおとりになるかどうか。
  26. 淺井清

    淺井政委員 政府というのは、要するに内閣という意味に拜聽いたしておるのでございますが、この内閣がいいとか悪いとかいわれるのは、私は衆議院だけであろうと、憲法上存じております。われわれのごとき立場にある者が、ある内閣がいいとか悪いとかいうことを、ここで発言できないということは、よく御了承くださるだろうと思つております。また人事院勧告をいたしますことに対しまして、何か内閣の方から反対が出ておるとかいうようなお疑いでございましたならば、そのようなことは一切ございません。私はいまだかつてこの勧告をするなとか何とかいうことを、内閣の方から言われたことはありません。ただ吉田総理大臣施政方針の演説におきまして、ベースは上げないと仰せられましたことは拜聽いたしました。しかしこれは総理大臣の御権限でなされたことでございまして、私はこれに対して批判する言葉を発することはできません。
  27. 加藤充

    加藤(充)委員 わかつたような、わからぬようなことなんですが、それでは私は今までの答弁の中からは残念ながら人事院職責が全うされているということを確認することはできないし、そういうふうなひようたんなますの人事院のやり方に対して、あなたが言われるように、全国の数百万の全官公の諸君なり政府職員の方々が、今の答弁を聞いて、人事院はたいへん頼みになるものだ、二十八條でわれわれは救われるという見解を強めたかどうかは、皆さんの判断にまかせます。それで私は百二條の問題に移り簡單に質疑を続けたいと思うのですが、百二條には、これは言葉の使い方から見て、政党党員になるということは禁止していないと思うのですが、それはいかがですか。
  28. 淺井清

    淺井政委員 まつたくお示しの通りでございます。
  29. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると、政党党員になるということになりますと、憲法規定されております政治活動に関する基本的な人権の建前から、ただ党員になるということでなくして、当然党員政治活動というものが、その裏づけとなつて二條によつては肯定されているものと私は解釈いたしますが、その点はいかがですか。
  30. 淺井清

    淺井政委員 党員としての活動を百二條は禁止しているのではありません。ただ二條第三項におきまして、「職員は、政党その他の政治的団体役員政治的顧問、その他これらと何様な役割をもつ構成員となることができない。」この範囲だけで禁止しておるのでございますが、これは国会で御制定になつ法律の明文でございますから、その辺はどうぞ御理解を願いたいと思います。
  31. 加藤充

    加藤(充)委員 私も淺井総裁とその点までの解釈なり見解はまつたく同じなんです。それというのも「政治的団体役員政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。」というのは、その反面は、通常一般党員、そうしてまた党員政治活動通常一般活動は、これは百二條から禁止されてはおらないと思うのです。そういう点で私はこの解釈の問題につきましては、多分岡部君だと思うのですが、参議院か何かでやはり同じようなことを言つて政党その他の政治的団体党員になることは当然であるということを言つております。またその当時の殖田さんも、絶対に政治活動を禁止することはおもしろくないと言つておられる。この殖田さんがおもしろくないと言つたことについては、今の淺井さんの見解と多少違つて、それこそおもしろくないにおいを私はこの殖田さんの言葉の中には感ずるのでありますが、当然私は普通の政党員としての政治活動は百二條によつて禁止されていないと了解しておるのです。従いまして、今度出て参りましたところの政治的活動に関する禁止の人事院規則というものが、私は今の点から見て非常に問題が多いのではないか、こう思うのですが、その点について淺井総裁見解を聞きたいと思います。
  32. 淺井清

    淺井政委員 ただいままでのお言葉では、まだ私は見解を表明する段階に達し得ないのでございますが、このたび出ました規則の一四―七、すなわち政治活動を禁止し、または制限しました規定は、百二條第一項によるすなわち「人事院規則で定める政治行為をしてはならない」。こういう国会の御決定に基いて、人事院が制定したものでございますから、もう少し具体的にお話を承りまして申し述べたいと思います。
  33. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると、ただいまの問題を進めましよう。普通の党員といたしましての政治活動は、選挙権の行使というよりは、わくの広いものである一選挙権の行使以外に政治活動にないものだということは、言われないと思うのであります。それで淺井総裁に、百二條の第一項が国会でおきめになつたということを言われておりまして、このたびの人事院規則は第一項に基くものであるという御答弁であつたのでありますけれども、そうすれば憲法規定された政治活動の自由に関する基本的人権並びに国家公務員法百二條のこれは三項になりますか職員は、政党云々の問題の裏づけとして一般の党活動党員としての活動は何ら禁止するものじやない。百二條に抵触するものでないということはうなずける。従いまして、憲法規定並びに国家公務員法百二條の第三項の規定から来るならば、よしんばこのたびの人事院規則が百二條の第一項に基いたものであるとしても、それはそれ自体政治的活動の自由についての基本的人権に違背し、まさしく百二條第三項に規定する国家公務員法の、それを容認しておるところの普通の党員としての政治活動の自由というものについて非常に抵触する。こういう点から見れば、百二條の一項に基いたものであることも、もちろん憲法違反に相なるものであると私は確信いたしますが、その点についての総裁見解をお聞きしたい。
  34. 淺井清

    淺井政委員 はなはだ言葉じりをつかまえるようで恐縮でございますけれども日本憲法政治活動の自由という基本権を規定しておらないと存じております。憲法できめております政治活動は、あるいは表現の自由であるとか、参政権であるとか、いろいろな面にわたつておりますので、政治活動の自由という條文はないように私は了解をいたしておるのでございますが、これは言葉の問題でありますから、おそらくそれらのおのおのの基本的人権に関係する問題だ、こういうふうに御了解で御質疑だと思つております。そこで百二條の第三項によりまして、役員その他一切のものになれないということは、ただ職員に関してこういうものになれないということをきめただけでございまして、されば、それ以外の政治活動は一切やれるのだというような基礎での御論はいかがかと思つております。それ以外におきましても、公務員の中正なる立場を維持するがためにこうむるべき拘束は、ほかにもあるように存じております。
  35. 加藤充

    加藤(充)委員 それでは私は問題があるからやめますが、これは人事院の今までの、少くとも昭和二十三年十月当時の見解と非常に違いはせぬかと思う。それは政党その他の政治的団体党員になることは当然であつて、この党員としての最低限度の、あるいは党員としての当然の活動以上の役割を持つということはいけない。またそういう仕事をすることはいけないということの意味だというふうに人事院見解があつたと私どもは思う。こういう点をひとつ明確にしていただかたげれば、私に今の淺井さんのお言葉はどうもおかしいのじやないかと思います。
  36. 淺井清

    淺井政委員 前にどのような見解を表明したか存じませんが、人事院といたしましては、終始見解は異なつておらぬと思います。一般職に属します職員の公正なる地位を保持いたしますために、拘束を受けなければならぬという――これはくどくどここで申し上げないのでございますが、その立場から、どうしてもそこに一つ政治活動には限界があろう、このように考える見解は初めから違つておらないつもりであります。
  37. 加藤充

    加藤(充)委員 そうすると、第一項の規定から言うと、選挙権の行使を除くほかは、人事院規則で定められた範囲しかできない、こういうふうな意味にもとれるのですが、どうもこれにあの当時の問答をラフに読みますと、極端な場合は、選挙権の行使だけしか国家公務員にはないのだという見解が強かつたのではないか。それでまたそういうような一項の解釈から来て、今言つたようなこのたびの人事院規則ができたのではないかと私は思うのですが、選挙権の行使だけが、職員党員としての許された自由であるというようなことを言えば、これは非常に行き過ぎになるのではないかと私は思うのです。
  38. 淺井清

    淺井政委員 それは御見解と事実とはまつたく異なつているのでございます。この條文の百二條一項を率直にお読みくだされば、はつきりするのでありますが、選挙権の行使というものは絶対に制限をされないものだ、これが一つであります。そのあと人事院規則で定めたものだけが制限されるのであつて、それ以外の政治活動は自由だ、このプリンシプルに国会の御決定なつたものだと思いますから、決して加藤さんのお述べになりましたような見解からは出ているものではないと確信しております。
  39. 加藤充

    加藤(充)委員 その点は重大な問題で、人事院の関係から言うと、選挙権の行使だけは制限ができない。しかしそれ以上の活動人事院規則のきめた範囲で許すことができるのだというような人事院見解を中心にして、いわゆる政治活動の範囲をきめてかかるというようなことが、今までの具体的なやり方じやなかつたか。またそのやり方の中にひそめられた根本的の方針でなかつたか、こういうような疑いを強く持つのでありますが、その点について人事院総裁見解を聞きたい。
  40. 淺井清

    淺井政委員 それはまつたく違うのでございまして、もしこの百二條一項が、人事院規則で定めたもの以外の政治活動をしてはならないということになつておりますれば、なるほどおつしやる通りであります。しかし百二條一項は、率直にお読みくださればわかりますように、人事院規則で定めた政治活動だけができないのであつて、それ以外のものにまつたく自由だというのが、当時の国会でおきめになりました御意思でございます。すなわち原則と例外とのけじめがここではつきりしておりますから、決して御懸念のようなことはないと存じます。
  41. 星島二郎

    ○星島委員長 加藤君、よろしゆうございますか。
  42. 土橋一吉

    ○土橋委員 関連して……
  43. 星島二郎

    ○星島委員長 関連してなら、簡單に願います。
  44. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいま淺井総裁がいろいろお仰せになつておりますが、この政治活動の禁止という問題は、少くとも民主主義社会における基本的な権利であることは、先ほどのお話によつても私は了解するのであります。ところが、公務員に関する問題は、憲法七十三條第四項に基いて官吏の事務を掌理するために国家公務員法を制定しているのであります。従つて国家公務員法は憲法七十三條第四項の官吏の事務を掌理するというような、官吏が公務執行の場合における具体的な区処を行うための内容規定するのが、国家公務員法の立場であります。ところが、国家公務員法は百二條において規定があるのでありますが、この規定は明らかに基本的な権利を制限する場合には、民主主義国家においてはきわめて縮小する。そしてあらゆる自由の権利を享受さすというのが、この百二條の建前であろうと思うのであります。従つて二條規定以上に人事院人事院規をもつて政治活動を禁止するようなことは憲法違反である。これは明らかに時の政府の方針に従つて人事院がことさらにそういうような政治活動の目的、政治活動の行為というようなものを書きまして――特に政治活動の行為については一項から十七項までにわたるあらゆる制限を書いているが、総裁ただいまの御発言を聞くと、人事院規則できめた活動以外はどういう活動でもできる、こういうことをただいま御説明になつておられますが、それではどういう活動ができるか、この規定の十七項目にわたるところの制限ということによつて公務員諸君はほとんど政治活動ができぬ、この点をまず第一点として承りたい。  第二点は、労働階級なり農民階級の強い組織、強い団体交渉権、そういうようなものも、国家公務員であるというような美名のもとに、勤労官吏諸君にあつては迫害を受けておる。あらゆる方法において公務員の名前によつて、公務の奉仕者という名前によつて、今日非常に公務員の権利を制限しておる。その一環として百二條規定がさらに人事院規則によつて敷衍をされて、ほとんど活動の余地のないような状態にまで追い込んでおる。人事院総裁のこの十四―七という規則は勤労階級の権利を制限し、正当な要求すら出せない団体交渉もさせないというような不都合な規定である。同時に政治活動もできない、こういう点は、明らかに私は政府の意図に従つて人事院というものが、公務員の美名のもとに政治活動の自由を制限しておる、まことに非立憲的な法律だ、非憲法的な規則である。こう私は考えるのでありますが、それについて簡單に御答弁願いたい。
  45. 淺井清

    淺井政委員 公務員の美名と仰せられましたけれども、土橋君が民主主義、社会の美名のもとに公務員の忠誠なる態度を曲げられることは、私は御同意できないのであります。また人事院は越権行為なりと仰せられましたけれども、百二條の一項に何と書いてございますか。国会の御意思によつて人事院に信託された義務でございます。もし人事院がこの人事院規則をつくりませんときは、国会の御意思にそむくことになるのではございませんか。またさらに十何箇條に基き微に入り細をうがつたところの規定をこしらえて、公務員を縛つたとの仰せは、はなはだ残念に思うのでございます。土橋さんは御承知でもございましようが、裁判所法的五十二條によりますれば、裁判官は積極的に政治活動をしてはならない。ただ一言で裁判官を縛つておるではございませんか。この積極的という言葉解釈がどうなりますか、政治運動という解釈がどうなりますか、私は一般の行政官吏をそのような簡單な美名で縛るのはいやでございます。たとい微に入り細をうがちましても、禁止されるものをはつきりと書くことが、これは国家公務員保護するゆえんだと存ずるのでございます。あの国家公務員政治活動を禁止しました中に、デモンストレーションに参加することを、禁止している規定がどこにございましようか。大学教授が正当な立場において論文を発表することを禁止する規定がどこにございましようか。党員として正常的なる党務に参加いたしますことを禁止している規定がどこにございましようか。これを土橋さんもお考えくださるように願いたいと思います。
  46. 土橋一吉

    ○土橋委員 それならば私はそういう公務員諸君の、特に高級官僚諸君政治活動についてはとやかく言わない。これはむしろあなたの方の主張によつてやるべきである。しかし勤労官吏というものが、自分の待遇をよくするために、労働条件をよくするために、賃金問題を解決するために、組織をもつて闘うということは、これは今日共産党が公党として認められ、社会党が公党として認められ、そうしてその主張を国会においてわれわれが主張する、こういう立場は公認されておる。従つて勤労官吏が団結を強化し、団体交渉で賃金の問題や労働条件の問題を当然主張し得ることは基本的な権利であります。従つてそういう政党と相関連してまたいろいろな要求を出すことも至当でありますので、そういう点にわたつて今の御説明では遺憾ながら了解できない。  第二番目といたしましては、もしあなたがそのようなことを仰せになりますならば、人事院は、国家公務員法第三條第三項を見ていただきたい。第三項においては、あらゆる公務員諸君の利益を保護するための規定が設けられておるのであります。たとえば休暇、休職あるいは保健に関する問題、安全、元気回復、教育訓練あるいは厚生、こういうような重大な施策は昨年の七月二十二日のマ元帥の書簡によつても明瞭であります。そうしてこれに基いて公務員諸君がポ政令第二百一号によつて非常な制限を受けておる。この場合にも当然人事院においてはそういう内容を御承知でありますから、こういう内容についていかに今日まで計画を立て、実行を政府勧告したか。人事院政府に対して実質貸金の低下しておるただいまの状態において、特に元気回復、あるいは厚生あるいはその他の社会設備等、そういうものについてどういうものを勧告しておやりになつたか、ちよつと承りたい。それをやらないでおいて、政治活動の制限やあるいはあらゆる登録等の場合において、公務員諸君の正常な活動を抑える方面だけあなたの方でおやりになつておる。これについてどういうような勧告をしたか、これを一つ聞きたい。
  47. 淺井清

    淺井政委員 土橋さんの根本的な御見解について申し上げたいのでございますが、今あなたは特権官僚は押えてもよろしい。下級の勤労職員保護しなければならぬと仰せられましたけれども国家公務員法では、官庁の中にそのような階級的対立があるということは考えておりません。(「ある」と呼ぶ者あり)あると仰せられても、国家公務員法の中にキャリア・システムと申しますか、そのようなあわれむべき公務員と憎むべき特権官僚とを官庁内部に、官庁民主化の美名のもとにこれまでやつて来られたのは、一体だれでありますか。そのような態度でございますから、このような規則が出ることが必要になつて参つたのだと存じておるのでございます。また人事院に押えることばかり考えて、なぜ保護することをしないかと仰せられましたけれども、六千三百円ベースはだれがやつたものでございまするか。内閣の反対を受け、共産党も反対せられたと思うのでございますけれども、その強い反対の中で六千三百円ベースを通したのは、一体人事院以外の何ものであつたか、御了承願いたいと思います。
  48. 土橋一吉

    ○土橋委員 六千三百円ベースを通したのは人事院だというような、そのように聞えるあなたの御発言は、まことに遺憾であつて、これは国会が確認をして決定したのである。それを今になつて人事院が押し通したというようなことは、いかにあなたが本末顛倒しておるか、速記録が明瞭に示しておる。そういうような言いがかりを仰せになつて、この委員会をだまそうとおやりになつても、それはだめである。これははつきりと国会権威においてわれわれが決定しておるのである。あなたが勧告したものが通るか通らないかは、内閣国会決定するのであつて、そのような失礼な言葉は取消していただきたい。
  49. 加藤充

    加藤(充)委員 途中ですけれども、議事進行について。ちよつと議院運営委員会の方に出て来いと言われておりますので、まだ質問したいのですけれども……
  50. 星島二郎

    ○星島委員長 土橋君に譲られたのだから、御自由に行かれてさしつかえない。
  51. 土橋一吉

    ○土橋委員 それではさらに私は淺井総裁が再度毎度にわたりきわめてたくみな、しかも広汎な知識をお持ちになつておりますので、縦横無盡に委員諸君質問に対して答えられますが、私の見るところではまことに遺憾でありますが、詭弁であります。たとえば先ほど二十八條給与の問題につきましても、私たち常識上考えまして、臨時国会が召集せられたことはあなたも御承知と思うのであります。そうするならば、臨時国会が補正予算を編成するであろう、あるいは来るべき通常国会においても、また予算が計上せられるというふうになりますならば、もしあなたが公務員諸君給与を、今あなたが仰せになつたように、おれはどこまでも推進してやる。そういうお考えであるならば、この予算編成はドツジ公使がお見えになりまして、いろいろな御勧告がありましたが、その前に先だつて、あなたが二十八條規定に基いて当然これをおやりになるのが、あなたがほんとうに公務員諸君の利益を守ろうというならば、これは常識上考えられることである。それを今日に至つてなおおやりにならないということは、あなたはほんとうに公務員諸君の利益を考えていらつしやらない。考えていらつしやるならば、常識的に考えまして、予算編成の前に、まず勧告をいたして内閣がどうするか、それについてはあなたも勧告したことについて、取上げられようが、取上げられまいが自由であるということでなしに、権威をもつて勧告したものならば、ぜひとも取上げていただくように、予算編成の中に繰り込んでもらうようにするというのが、あなたの立場であろうと思う。それを今日に至つて予算委員会において予算をやつてつても、まだ勧告を出さない。しかも今度の予算に御承知のように十五箇月というものを中心としておる。そういうものについてもまだ何とも言わない。今日のようなあんな詭弁を弄せられておるが、これはあなたの良心に訴えまして、これはぜひ給与を上げてやるというならば、内閣予算の編成をする前に勧告をして、十分にあなたの御意思を発表なさるべきだと思いますがどうですか。
  52. 淺井清

    淺井政委員 そのように、土橋さんが国会権威があると仰せられますならば、いまさら人事院に向つて勧告勧告と仰せられることもおかしいじやありませんか。私のさいぜんの言葉が失言とあらば、決して取消すにやぶさかであるものではありませんが、私はただその事実を申したに過ぎません。私が一日も早く勧告したいと思つております努力は、十分お認めくださるだろうと思います。
  53. 土橋一吉

    ○土橋委員 それは認めますが、あなたのお言葉が最初のお言葉のように真劍にお考えくださるならば、常識的に考えても、当然予算編成の前にやるべきであろうと考えておる。従つていろいろあなたの仰せになつておられる言葉は、そういう意味がしんにこもつておりません。きようの発言を聞けば、加藤君も言われたように。百万に余る国家公務員諸君は、おそらくあなたの意中を察せざるを得ないだろうと思います。  そこで関連質問をやめまして、引続いて私のほんとうの質問をこれからやりたいと思います。一体あなたの方は第二十八條規定の「少なくとも一回」ということにつきましては、あなたの方でいろいろ仰せになつておりますが、将来物価の変動が今日のように激しい場合は、一回ぽつきりでなしに、やはり情勢に応じて――これは「官職の基準」に書いてある條文であります。御承知のように二十八條は二十七條と並行いたしまして、少くとも公務員諸君の平等の原則に従つて、当然給与の問題を解決してやる、かように書いてありますので、あなたは一回しかやらぬというのか。それとも情勢に応じてはどんどん勧告してやるというのか、その点をはつきりしていただきたい。
  54. 淺井清

    淺井政委員 予算々々と仰せられますと、予算国会でおきめになるものでありますから、かえつて国会の御権威にかかわる。なるほど補正予算に間に合いませんでしたことは、残念しごくでございますが、私の方といたしましては、一日も早く勧告をするという気持は、少しもかわりはないのでございます。
  55. 土橋一吉

    ○土橋委員 私先ほど御答弁が漏れておつたと思いますが、先ほど申し上げたようなリクリエーシヨンとか厚生とか、あるいは元気回復とか、こういうようなことについては、どういう御計画でただいまどういうふうに政府に報告をし、あるいは御勧告になる予定であるか、あるいは今日どういうように進まれておるか、その点をお開きしたい。
  56. 淺井清

    淺井政委員 これはなるほど土橋さんの仰せられるように、遅延しておる点については十分認めます。しかしながらこれはまず国家公務員の災害補償法から手をつけることになつておりまして、これは次の国会に出ることに相なつております。これは総理大臣のお答弁にもある通り、実質賃金を向上するというのならば、この厚生方面も十分やつておかなければならぬ。これは人事院勧告などいたさずとも。総理大臣においても十分お考えであるから、あのような御答弁もあつたわけであります。
  57. 土橋一吉

    ○土橋委員 私はあなたの方で真に厚生、福利なり、元気回復なり、住宅なり、あるいはその他の一般の処置を十分講ぜられて、そのような勧告なり、計画なり、人事院の考えておられるものを十分政府におやりになり、なおかつ政治活動の禁止とか、あるいはそういうような條項についても、あなたの方で並行しておやりになるならば、意味がよくわかるのでありますが、一方の団体交渉権、登録の問題、そういう点につきましてはどこまでも公務員諸君の基本的な権利を押える方向に出て、政治的に登録等の問題を取上げておいて、そうして厚生、福利とか、実質賃金の上昇については、何もおやりになつておらぬという点が第一不満でございます。この点は明確に申し上げます。従つて私は人事院権威のためにも、ぜひともこれを拡充して、将来必ず政府に両々相まつて進言をするという態度をあなたの方でおとりにならなければ、いよいよ人事院権威は失墜するという御勧告を申し上げておきます。  次はこのたびの行政整理の問題でありますが、人事院では六月三日の日に、人事院規則の一四―三というものをおつくりになりまして、登録に関しては規則ができておるのであります。ところが九月十七日になりまして一四―三の第三項を急遽おかえになつた。これはどういう理由でおかえになつたか、この規則を変更した理由をお示し願いたいと思うのであります。
  58. 淺井清

    淺井政委員 ただいま御指摘の点は、組合役員政府職員でなければならぬと、こう改定したことにあるだろうと思つております。これはずつと前からやつて参りました組合の中には、たまたま組合政府職員でない者も組合員として含み得る、こういうものがあることに御承知通りであります。その場合に主たる役員構成員の中から出なければならないという考え方から、これをこしらえたわけでございます。
  59. 土橋一吉

    ○土橋委員 主たる役員組合員でなければならぬというただいまのあなたの仰せによるならば、これは国家公務員法附則の第四條の規定が明記しておりますように、あなたも今はつきりと御承認になつておる。主たる役員はどこまでも職員でなければならない。これは今あなたが仰せになつたばかりであります。従いまして国家公務員法附則第四條をここにお示し申し上げたい。それによりますとこのように書いてあるのであります。「職員を主たる構成員とする労働組合又は団体で、国家公務員法附則第十六條の規定が適用される日において、現に存するものに、引き続き存続することができる。これらの団体は、すベて役員の選挙及び業務執行について民主的手続を定め、その他その組織、目的及び手続において、この法律規定に従わなければならない。これらの団体は、人事院の定める手続により、人事院に登録しなければならない。」今あなたは、主たる団体構成は職員である。従いまして職員でない者の構成しておる労働組合があるということをお認めになつております。あなたの御著書にも明確に労働組合の構成は、必ずしも従業員、職員のみをもつて構成するものでないということを、あなたの御著書の百六十八ページでありますか、計画に書いてあるのであります。それをあなたは学者としての良心に従つて明確にお書きになつておる。そうして行政整理を小澤大臣が八月十二日からやつたのであります。そうすると急遽豹変をして、この登録の規定の第三項をおかえになつております。これは官房長官なり、あるいは吉田政府と通謀せられて、私は八月十五日の日にあなたにお会いしたときにも申し上げたのでありますが、官房長官はこういうことを言われておるが、あなたの御見解はどうですかと言うと、その点については、土橋さん、非常にむずかしい問題だということをあなたも言われた。そうして九月十七日になると、急遽この規則を増田長官と小澤大臣と同じような解釈にかえたのでありますが、どういう経過でこの規定をかえたか、お聞きしたい。
  60. 淺井清

    淺井政委員 これはひとつ原則論から行かなければなりません。そもそも国家公務員法九十八條によりますれば、政府職員組合を組織することになつております。ゆえに政府職員以外のものを組合員に入れることはおかしい。それは国家公務員法の本来の建前でございます。しかしその当時ありました組合の中には、たまたま政府職員でないものを含んでおつたということは、土橋さんもよく御存じの通りであります。もし九十八條を無制限に適用いたしますれば、これらの組合は存続を失うのであります。でありますからこれらの組合を受入れるために附則の規定があるわけでございますから、この附則の規定は一時的で消滅する。本来の姿は九十八條で行くということなのであります。これはなるほど当時むずかしい問題でありましたけれども、何も私が内閣から強要されてかようにかえたものではない。しかもそこにあります人事院規則の改正というのは、役員政府職員から選べということが基本になつておるのであります。
  61. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたは、ただいま九十八條解釈では、どこまでも職員組合職員をもつて構成するということを断言せられましたが、規定をよくごらんください。そのようなことはどこにも書いてない。書いてある條項を私読み上げまするならば、「職員は、これらの組織を通じて、代表者を自ら選んでこれを指名し、勤労條件に関し、及びその他社交的、厚生的活動を含む適法な目的のため、人事院の定める手続に従い、当局と交渉することができる。」となつておるのであります。あなたが仰せになつておるように、九十八條の原則は、どこまでも職員をもつて構成する、それ以外の者は含まないとは書いてない。その意味におきまして、あなたのお話は了解できぬのであります。
  62. 淺井清

    淺井政委員 九十八條の中の第二項に「職員は、組合その他の団体を結成し」と書いてございまするから、職員が結成するのでございます。職員以外の者を結成分子の中に入れていいという規定はどこにございますか。
  63. 土橋一吉

    ○土橋委員 そういうことを言われまするならば、規則の十四の二をごらんただけばわかりますように、これは登録に関しまして、役員の構成を規定しておるのであります。この規定によりますると、「理事、付表者その他の役員の氏名及び住所並びに国家公務員である者については、その官職」と書いてございます。こういうことを書いておりまする以上は、あなたの方のただいま仰せになつたようなことは、九十八條をあなたはそう解釈していないで、当然職員でない者をも含んでおるということを御承知の上で、この規則をおつくりになつたのでありましよう。そうでなければ意味が通らないのであります。あなたがこういうことを仰せになつて、この委員会において、少くともそれだけの自信を持たれるならば、あなたの著書の百六十三ページを公に抹消して、自分の学説は間違つておつたということを、はつきり天下に公示しなければなりません。またそのようなお気持であるならば、なぜこのような規則をおつくりになつたか、この規則の一四の二をおつくりになつたときには、あなたも目を通されて、この趣旨は了解の上でつくられたと思う。この規定を見ると、国家公務員である場合はその官職、そうでない者は書かなくてもよろしいということになつております。従いまして、あなたが今仰せになつておる点は、明らかに詭弁であると私は信じております。御答弁願いたい。
  64. 淺井清

    淺井政委員 土橋さんの御質疑は実に不思議に思うのでありまするけれども、その規定あとで改正されておりまするし、その規定はつまり経過的の期間に対する経過規定でございまするから、何の不思議がございますか。何の不思議もないと思います。
  65. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたがそういうことを仰せになるならば、これは速記にもとどめまするが、あなたはとにもかくにも九十八條の本項の規定をとらまえまして、職員でなければ組合員でないということは、あなたは初めから仰せにはなつていないのであります。われわれはよくこれを承知しております。あなたと交渉した全通の委員長、副委員長諸君の話を聞きましても、あなた自身が病気と称されまして休まれて、そうして政府見解人事院案とは違う、政府は首を切つた者は組合員でないと考えておつても、私どもはそういうふうに考えておらぬということを、あなたは明確に労働組合の幹部に仰せになつた。しかも六月三日の規則が非常に不都合だという結果に相なつたので、急遽あなたの方でおかえに相なつたのであります。従いまして、私どもはこの事実をあとから見ましても、当然この規定が改正された理由が、もしあなたがそういうお考えを持つとすれば、なぜこういう規則をおつくりになつたのか、もしあなたがそういうお考えを持つて改正したということであれば、政府のあらゆる圧力が加わつて、あなた自身の存立、人事院権威に関する問題までも、あなた自身が自分で放棄せられまして、そうしてこの規則を九月の十七日の日に急遽かえられておると、私は断じて疑わないのであります。そうしてこの規定がどういう過程を経てえられるに至つたか。もう一ぺん明確に伺いたいのであります。
  66. 淺井清

    淺井政委員 それは前に申しましたように、この規則は経過期間に対する規則でございまするから、何も九十八條の原則と矛盾しているわけではございません。
  67. 土橋一吉

    ○土橋委員 私はただいま淺井総裁が非常な豊富な知識を持つておられるにかかわらず、この人事院規則の十四の二について明確な説明をしておらない。ただ十四の二は経過規定である。あるいは附則十四條も経過規定である。あるいはこの規定の改正に至つたいきさつも明確に示さないということは、明らかに人事院規則を通じて情勢の変化に応じて、しかもそれを妥当なものに変更したならば了解できるけれども政府がどこまでも職員の首を切られた者は組合員でないという見解を、強く主張したことによつて、あなたの方が一歩も二歩も引いて、政府見解に迎合したということは、まぎれもない事実でありますから、私は人事院の将来の権威のために、まことに遺憾に思うものであります。もしあなたがそういうお考えであるとするならば、将来規則に対しても公務員諸君は真に信用できない。いつ自分の権利が守られるか、どういうふうになるかということについても、きわめて不安であるということを、私はつけ加えておきたいと思いのであります。  さらに最近逓信省で行政整理をやつた問題について、どういう基準をあなたの方ではお示しになつたか。たしか六月一日であると私は記憶しておりまするが、人事院からこのたびの行政整理に関する基準をお示しになつたのであります。私はその基準を新聞で見ましたので、明確に存じませんが、どういう内容をあなたは政府にお示しになつたか、この点をお聞かせ願いたい。
  68. 淺井清

    淺井政委員 人事院はこのたびの行政整理に対して基準を示したことは何らございません。ただ人事主任官会議におきまして、整理から除かるべきものとして、消極的に若干の、基準と言えば基準でございますが、それを申したにすぎません。ただいまちよつと手元に持つておりませんが、新聞でこれが発表されておりますから、おそらく土橋さんの御了解になつているところは間違いないと思います。
  69. 土橋一吉

    ○土橋委員 了解できない。ただいま総裁は土橋が了解しているだらうと言われる。少くとも整理基準に関しましては、国家公務員法にも規定が明記してあるのであります。そのほかにあなたの方であのような消極的な意味合いにおいて基準を示していることについては、私は非常に異論があるのでありますが、もつとあなたの方で定員法の規定に即応するような内容を持たれるならば、消極的にでなく積極的なものを、むしろあなたの方でお示しになる必要があるのではなかろうかと私は思うのであります。  次に私は小澤郵政大臣にお尋ねしたいのでありますが、郵政大臣はこのたびの定員法の規定に基いて、どういう整理基準をもつて整理をおやりになつたか、概要御説明願いたいと思うのであります。
  70. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 今回の行政整理に対しては基準をつくりましたけれども、これは発表しないことになつております。ただ一言に言えば、要するに公務員としてふさわしい人間はできるだけ残つてもらうという考えを持つております。
  71. 土橋一吉

    ○土橋委員 この人事委員会において私は小澤大臣にお尋ねしたいのでありまするが、発表できないというのにどういう理由か、しかも国会においてすら発表できないような行政整理の基準で、あなたの方ではおやりになつたのでありまするか。この点を私は重ねてお尋ねしたい。
  72. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 行政整理の基準を発表すべしとか、あるいはそういう基準をつくれということは、あなた方のつくつ法律は命じておりません。従つて私の方でどういう基準をつくろうと、あるいは発表しようとしまいと、行政機関に一任されていることでありますから、その線に沿うてやつたのであります。
  73. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、政府の方では、少くとも行政整理を行う場合には、これにきわめて公平妥当に、しかも万人にひとしく整理の内容が妥当性を持つていると了解せられるもので、あなたの方でおやりになつたと私は確信するのであります。そうすれば、この国会においてどういう基準で整理をしたかということを御発表になつても、何らさしつかえないと思いまするが、大臣いかがでありますか。
  74. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 ちよつと発表できません。
  75. 土橋一吉

    ○土橋委員 発表できないような方法で、あなたの方で行政整理をするということは、まさに政府の独裁であり、しかも整理の基準内容すら発表できないということは、まことにわれわれには了解できないのであります。少くとも整理せられる人々にとりましては、事重大であります。自分がどういう手落ち、どういう落度があつて首を切られたかということすら、政府が発表しないというのは、民主主義国家の、しかも名前の示す民主自由党政府においては、はなはだ私は遺憾千万であると思うのであります。少くとも政府が万人ひとしく了解できるような基準を示して、これなら私はやむを得ない、こういう手落があつたならばやむを得ないというようなことが、十分了解せられるようにして、行政整理をするのが正当であろうと私は考えるが、大臣の御見解いかん。
  76. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 土橋君も私も大体同じことを考えておるのです。いやしくも行政整理にあう人が、この整理基準で、こういう悪い人、あるいは協力をしない人とかいうようなことを発表しますというと、整理の対象になつた人に、全部悪い人という札つきになつてしまう。その整理者の中には、若干悪い人もありまするが、大部分というものは、まじめな公務員であります。そういう誤解をされるおそれがありますから、従つて、そういう整理基準を発表しないということは、整理の対象になつた人の将来を思えばこそ、黙つておるのだということを御了解を願いたいと思います。
  77. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいま奇怪千万な、整理者本人の名誉のために基準内容を発表できない、こういうような詭弁をあなたは仰せになりまするが、今日行政整理をするのには、少くとも明確な基準を示して、それに該当した者は当然だれでも首切つてしかるべきものであつて、あなたが整理基準を示さないで、しかもそれが言えないというようなことは、明らかにこれは政府の一方的な見解をもつて首を切つておるということを、私は断ぜざるを得ないのであります。その証拠はこのたびの行政整理は、まず労働組合運動について、政府見解に反対を表明し、あるいは労働組合を真に守るために闘つた者、あるいは特に一般世間で言われております急進的な分子と言われる者、自分の身体、精神を費して組合のために精進した者、こういうような諸君が全国的にこのたびの整理ではやられておるのであります。これらの諸君は、労働運動なり、国家公務員の福利を促進する重要な基盤であつたのであります。そういう諸君を全部首を切りまして、そうして中には非常に気の毒な方もある。要するに、そういう先頭に立つて闘うておる諸君を首切るというような態度は、私には了解できないのでありまするが、この点について大臣の御答弁を願いたいと思うのであります。
  78. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 われわれといたしましては、決して組合のいわゆる執行委員をしておつたから、行政整理の対象とするということは、毛頭考えておりません。しかしながら、公務員には公務員としての、おのずから進むべき道があります。いやしくもこれに反した者は、執行委員であろうとなかろうと、あるいは共産党員であろうと民自党であろうと、一切の者を切つたのであります。
  79. 土橋一吉

    ○土橋委員 奇怪千万なるお話、民自党でも切つたと言われるが、私たちが承知しておる範囲では、民自党員組合員は一人もいないのであります。従つて切られておる者に、共産党の諸君、あるいは社会党に所属をする者、あるいは労働組合のために精進をした者であつて、特に民同と言われる諸君に、われわれも労働組合運動を同じくやつておりまするが、首を切られていないのであります。従いまして、政府は明らかに民同を育成している。かように私は考えておるのであるまするが、とにもかくにも今度の整理は政治的な目的を持つて特定日本共産党に所属する者をほとんど首を切つておる。また党に所属しない人でも急進的な諸君は、すべて首を切つておる。こういう結果の事実が現われておるのであります。これに対して小澤大臣は、これが官庁の職務執行について、協力しない者であるということを断言するかどうか、この点を明確にしていただきたい。
  80. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 整理基準の一部を申し上げますれば、何政党に属しておつたから首を切るとか、あるいは何政党に属してなかつたから切らないという基準は、私どものつくつた制度の中には絶対にない。またさらに私どもといたしましては、ある職員が共産党に属しておるとか、ある職員が民自党だというようなことは、ほとんど届出も何もありませんから、わからぬ。だから、共産党員が多いということは、共産党員公務員としてふさわしからざる者が非常に多かつたということになるのであります。(拍手)
  81. 土橋一吉

    ○土橋委員 今こちらの方で拍手をしておりまするが、私は高橋君にも柳澤君にも言いたいのでありまするが、一体小澤大臣の首を切られた理由というものは、要するに政府に協力しなかつた、業務の上において協力しなかつたというような結論に持つて行こうとして、このような答弁をしておるのであります。私はまことに遺憾である。もしあなたに誠心誠意があるならば、そのような答弁ができるものではないのであります。特に私は事実を指摘したいと思いますが、私の手に入つております情報によりますと、東京中央電話局におきましては、松澤あや子君、乾たま子君、こういう諸君は、発令に際し、一人々々を所長室に呼び込んで、そうして内側からかぎをおろして監禁状態のうちに部課長が、特に主事が、両方より捺印をさした、こういう事実が明確にあるのであります。また一つの例を申し上げるならば、千葉電気通信工事局におきましては、錢谷トミ子さんという方は、これは発令に際し、通信部長、管理所長ほか四名の課長、私服警官二名で、錢谷君を一時間にわたる監禁状態の上辞職を強要したのであります。なおいろいろ例もありまするが、時間がありませんので、多くは申し上げませんが、もつと適切な例を申し上げるならば、山形の電報局におきましては、これは東北地方の試験におきまして、唯一のオペレーターであつた佐藤善男君であります。この人が、ただ日本共産党員であるという理由で、これが首を切られておるのであります。御本人の成績その他の状況を聞きますると、組合はもちろん、官側におかれても、これは優秀な者であるということを、認定しておるような人を首を切つておるのであります。たとえば、こちらの方の局においてもたくさんそういう事例を持つておるのでありますが、こういうことに対して逓信大臣は一体どういう考えを持つておられるか、御答弁を願いたい。
  82. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 千葉と中央電話局の方は、どういう意味質問だかわかりままんが、幸いに一時間も辞職勧告をせぬでも、辞令を渡せば済むのでありますから、そういう事態が生ずることは想像できませんが、しかし具体的な事実でありますから、調査して、適当なときに報告しましよう。山形県の例ですけれども、これはかりに技術そのものが一番であつても、いわゆる公務員としてふさわしくなければ、どんどんやります。
  83. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは組合側も官側も、まことにりつぱな人であるということを認めておるのであります。そういう、現場の職場においてはぜひなければならない優秀な技術者であり、しかもそれが、共産党に所属しておるだけであつて組合活動も何もしておらない。まことに紳士でもり、むしろ共産党としては眠つておる党員である。こういうふうに考える人ですら、どういう理由で首を切つておるのか、この点を聞きしておる。また監禁した問題につきましても、辞職を強要するということをあなたの方で指令しておるかどうか。少くとも公務員が、かぎをおろして、軟禁状態において判こを押さすというような、こういう所長や何かに対して、逓信大臣はどういう行政処置をしようとしておるのか、これをお聞きしておるのであつて、あなたは、そこまで言わなくとも、法律家であるし、わかつておると私は思います。そういう者に対してはどういう行政処置をあなたの方で行うのであるか。あるいはこういう優秀な、たとえば笠原君のような、たしか落合長崎だつたと思うのでありますが、優秀な人であります。保險の募集では東京地方でも第一位であります。こういう人がどんどん首になつておるのであります。そういう、逓信業務そのものの促進についても、いなければ障害になる者を首を切り、今局では惜しまれているというようなことがある。これをもつても、共産党員は首を切るという結論になるのでありますが、あなたには共産党員だからといつて切らないと言うのでありますか、明確に御答弁を願いたいのであります。
  84. 小澤佐重喜

    ○小澤国務大臣 これはたびたび申し上げます通り、共産党だから政府が対象にしたとか、あるいは民自党だからしないとかいうことは毛頭ありません。従つて、そういう基準はつくつていないのですから、(土橋委員「結果が」と呼ぶ)結果が悪ければ、それは別な意味で、共産党員に非協力者が多かつたのではないかということをさつきから言つておる。
  85. 吉武恵市

    ○吉武委員 関連して……
  86. 土橋一吉

    ○土橋委員 今発言中です。     〔発言する者多し〕
  87. 星島二郎

    ○星島委員 さきほども関連して加藤君に許したから、簡單なことなら――吉武君
  88. 吉武恵市

    ○吉武委員 私はただいまの土橋君の言を聞いていますと、まつたく過去の事実を忘れて言つておるように思う。第一に、先ほどから言われた政治活動の制限でありますが、またその次の、労働組合運動に対する制限でありますが、これらは過去における事実にはつきり見てからでなければ言えないことであると思うのです。われわれわが党内閣の第一次内閣のときに、すでに労働組合法をつくつて、そうして政府職員にも組合活動の自由を許しておる。ところがその後の組合活動の状況を見ると、まつたく組合運動の趣旨に反した行動をとつている者がその一部にある。私は全部とは言いません。日本にはまじめな労働組合運動の指導者もずいぶんたくさんおられる。けれども一部の者は、労働組合運動に名をかつて、その一部の政治活動の目的のためにこれを利用しそうとして、常に撹乱をやつて来た。これは天下周知の事実である。第一先般行われたところの二・一ゼネストのときにも――二・一ゼネストは待遇改善に名をかりてそうしてあれだけ大規模の争議に押し込もうとしてやつて来て、土橋君なんかはその唯一の指導者であつたことは、御本人も御承知である。もしほんとうに給与の改善だけであるならば、かくのごとき無謀なる計画というものが行われるはずはない。これは一部の者だけが、おのれの政治目的達成のために、あれだけのむちやをやつた。これは遂に前の日に関係方面からの掲示によつて、中止になつたから事なきを得たのでございまして、もしこれを実際に行つたとしたらどうです。日本全国の鉄道が全部とまつてしまう、あるいは電信通信機関が全部とまつてしまう。マッカーサー元帥の言葉をかりてみても、日本の敗戰の今日のこの状況に、かくのごときむちやなことをやつて、そうして国民の再起ができるかと言つておる。そういうことをやつたがために、昨年の七月二十二月にああした司令部からの、労働組合活動に対する政府職員についての制限が出たわけであります。それを知らずして、そうして一方的なことを言われていることは、はなはだ私は遺憾に思つている。  それからまたもう一つ先ほど土橋君が言つておつた九月に規制をかえて、組合から職員以外のものを入れないようにという規則に対する反対があつたようでありますが、そこで職員組合の中に入つてはいかぬという規則を出されたのに、先ほど言われた九十八條にはつきりと書いてある。それを知らないで言つているところに私は……(発言する者多く聽取不能)附則の第四條を指摘しておつたけれども、附則の第四條は、従来の組合が主たる構成員職員であるものは、そのまま存続させるという組合自体の存続を言つているのであつて、その組合職員でない者を入れてよいということは、何もうたつてないのであると私は思うのでありますが、人事院の方はどうお考えになるか、私は人事院の方にもう一度その点をお伺いいたします。
  89. 星島二郎

    ○星島委員長 おはかりいたしますが、本日はこの程度にとどめまして、次会は明後二十一日午後一時質疑を継続いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議なしと認めます。よつて次会は明後二十一日午後一時開会することにいたします。もし本会議がありました際には、理事諸君と相談して善処することを御了承願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時五分散会