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1949-11-18 第6回国会 衆議院 人事委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十八日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 星島 二郎君    理事 池見 茂隆君 理事 小平 久雄君    理事 玉置  實君 理事 藤枝 泉介君    理事 吉武 惠市君 理事 赤松  勇君    理事 加藤  充君 理事 逢澤  寛君    理事 木村 俊夫君       池田正之輔君    岡西 明貞君       高橋 權六君    松澤 兼人君       土橋 一吉君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         (法制局長)         人事院事務官  岡部 史郎君         (給與局長)         人事院事務官  瀧本 忠男君  委員外出席者         專  門  員 安倍 三郎君         專  門  員 中御門經民君     ————————————— 十一月十七日  生郷村の勤務地手当地域給乙地域に引上げの  請願佐々木盛雄紹介)(第六七五号)  政令第二百六十四号の一部改正に関する請願(  河田賢治君外二名紹介)(第七一〇号)  同(中原健次紹介)(第七二一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一号)  国家公務員職階制に関する法律案内閣提出  第二九号)  特別職職員給與に関する法律案内閣提出  第一八号)(予)     —————————————
  2. 星島二郎

    ○星島委員長 これより人事委員会を開会いたします。  本日は政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給與に関する法律案国家公務員職階制に関する法律案の三件を一括議題とし質疑に入ります。質疑は慣例により通告順によつてこれを許します。赤松勇君。
  3. 赤松勇

    赤松委員 本日は私が要求しておきました政府側の御出席がございません。本日参議院におきまして本会議が開かれておりますし、また閣議もただいま行われておるということでございますので、はなはだ遺憾でございまするが、政府に対する質問は追つて関係大臣が御出席された後において、質問をするといたしまして、まず人事院総裁に対しまして御質問したいと思うのであります。国家公務員法第二十八條によれば、「この法律に基いて定められる給與勤務時間その他勤務條件に関する基礎事項は、国会により社会一般情勢に適応するように、随時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠つてはならない。  人事院は、毎年、少くとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。給與を決定する諸條件変化により、俸給表に定める給與を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。」かように法律の上では規定されておるのでございます。そこで人事院総裁お尋ねしたいことは、給與を決定する諸條件変化により、百分の五以上増減する必要が生じたと認められる昭和二十四年度の時期は、一体いつごろであつたかということについて、お尋ねしてみたいと思うのでございます。
  4. 淺井清

    淺井政委員 昨日本会議で永谷さんの御質問に対してお答え申しました通り人事院はこの二十八條を誠実に履行いたしますために、常に調査を続けて参つたのでございますが、最近の諸物価の示しますところの数字によりまして、この二十八條にきめましたところの諸條件変化別あつたもの、このように考えております。
  5. 赤松勇

    赤松委員 私のお尋ねしておりますのは、その変化の時期というもの、たとえば物価指数等に現われまする変化の時期というものが、昭和二十四年度におきましては、一体いつごろであつたのであるかということをお尋ねしておるのでございます。
  6. 淺井清

    淺井政委員 それは最近の数字がいつのものを利用し得るか、こういうことになるのでありますが、この前の勧告は昨年七月の数字によつておるのでありまするが、今年はやはり七月を基準としておる。かように考えております。
  7. 赤松勇

    赤松委員 七月を基準として勧告の必要があるという時期であるという御答弁でございましたが、しからばここに法律規定されます政府職員生計費が百分の五以上に七月に上つたのである。こういうふうにお考えになるのでございましようか。
  8. 淺井清

    淺井政委員 その通りでございます。
  9. 赤松勇

    赤松委員 しからばこの法律にも、「その変更に関しては、人事院はこれを勧告することを怠つてはならない。」かように規定されておるのでございます。現にただいまは十一月でございまして、しかも二十四年度補正予算はすでに国会に提出されておるのでございます。人事院はなぜこの補正予算に織り込むことを考え勧告しなかつたのであるか。これは明らかに人事院がその義務を怠つたものであると言わざるを得ないのでございます。この点につきまして人事院総裁の御見解をただしてみたいと思います。
  10. 淺井清

    淺井政委員 ちよつとそこで七月という数字がいつ発表されるかということについて、御了解を願いたいと思います。なるほど七月におきまして、ここにきめました條件のように物価は上つておると思いますけれども、七月の数字は七月に出るものではないということは、統計を御承知でございましようから、よくおわかりかと思います。おそらく私は九月末もしくは十月の初めになりませんと、七月の数字は集計され発表されないのでございますから、七月に上つたからその瞬間に、すぐ勧告の職務が生じたとお認めになりますのは、私は少しく酷だと思つております。人事院はこの七月の数字を利用し得るようになりまして以来、鋭意それに基いて調査を始め、結論を急いだのでございますから、その間どうしても時間的のずれが出ることは、これは統計を用います関係上やむを得ないと御承知を願います。  それから補正予算との関係云々お尋ねになりましたけれども、これは人事院建前といたしまして、予算に対して口出しをすることはできないことになつておるということは、御承知のはずでございます。人事院といたしましては一体どの程度が適正な給與であるということを勧告いたしますので、予算編成権内閣にございますし、その決定権国会にあるということは、これはもう憲法の條章に照らしても明らかなことでございます。また一方から見ましても、その補正予算とか予算関係なくして勧告をしてもよろしいということにも、反対の方から見れば言えますので、人事院といたしましては、この予算ということに決して関係しませんで、勧告すべきものは勧告いたす。このような態度をとつておる。予算に関しましては一に国会及び内閣におまかせしておる。こういう形でございます。
  11. 赤松勇

    赤松委員 予算編成権政府にあることは、もともと承知しておるのでございます。昨年の十二月の給與ベース改訂の際におきましても、人事院勧告のしつぱなしであつた。しかも国会には予算編成権はございません。われわれ地弾貝立法の任が與えられておるのでございまして、予算上の責任はないのでございます。しかしながら現在の人事院政府との関係が、きわめて不合理な関係にあるのでございまして、従つて議員政府を、あるいはまた議員人事院を、その権限以上に補佐しなければならぬような事態が、昨年の暮生れたことは、淺井人事院総裁承知通りでございます。たとえて申しますならば、二百六十億の予算をわれわれ自身がこれを探して、その予算をもつて六三ベース法律案をば、国会で通過させたことは、総裁承知通りでございます。従いまして、本来の抽象的な議論から申しますならば、人事院勧告することだけでその義務が果されておる。議員はまた立法の任がございますので、ただ立法さえすればいいということが、通常の建前でございますが、現在の情勢はそういうわけには参りません。少くとも人事院勧告する以上は、その勧告が諸般の情勢に照応して実現し得るような、きわめて深い考慮の上になされなければならぬのでございます。この点は淺井人事院総裁は、單に抽象的なそういう議論で、こういう重大な政治的な意味を含む問題を簡單に実施されるということははなはだわれわれの了解に苦しむところでございます。  そこで重ねてお尋ねしたいことは、一体人事院はいつごろこの勧告案を出すのであるか、私ども補正予算前に勧告案が出されて、その人事院勧告案内容を見まして、私どもが支持すべき内容のものでありますならば、これを大いに支持いたしまして、補正予算の中に織り込んで行きたい、かように考えておつたのでございますが、補正予算提出はすでに行われまして間に合わない。これから勧告をされます場合には、新たに追加予算の中でそれを見て行くか、あるいは二十五年度予算でそれを見て行くかということになるのでございます。二十五年度予算でそれを見るということになりますならば、少くとも来年三月までは現在の政府職員賃金ベースは、くぎづけになつてしまうのでございまして、政府職員に対する人事院のそういう義務が、正しく果されるということをわれわれは期待できない。どうしても私どもといたしましては、この際一日も早く人事院が、その課せられておるところの義務を果すために、明確に勧告案の提案の時期を明示していただく。これは單にわれわれの要求ではございません。当然人事院総裁人事官としてこれをやらなければならぬところの義務があると思うのでございます。その勧告の時期ははたしていつごろになるかということを、明確にお答え願いたいと思うのでございます。
  12. 淺井清

    淺井政委員 赤松さんにお言葉を返して、はなはだ失礼なんでございますけれども、われわれ議員立法だけだと仰せられましたが、予算に関する議員各位の持つておられます権限は、まことに大きなものだと存じておりますので、人事院勧告をいたしました際には、ぜひ予算の点についても昨年御盡力をくださいましたように、衆議院の議員各位が御協力くださらんことをまずお願いする次第でございます。  それから一体いつ勧告するのだ、予算との関係があるのだという仰せでございますが、ここでちよつと御説明を申し上げておきたいことがございます。それは勧告報告と、こう二つ二十八條に書いてあるのでございますが、給與が適正であるかどうかという報告を、一年以内にしなければならないということが書いてございます。そうしてその際に勧告すべきものと認めました際にはあわせて勧告をする。勧告報告と二つ書いてあることは御承知通りでございます。そこで問題は一年ということをどこからどこまで、はかつてやるかという問題でございます。結局いつまでに報告をするかということは、一年の終りをどこで切るかということで、しりが抑えられて来ることになるわけであります。そこで一年と申しますにはいろいろ議論の立て方もございましようが、この二十八條がいつ施行されたかという点を基準といたしますと、昨年の十二月三日でありますから、本年の十二月三日までには報告をしなければならないということに相なります。次にこの前に国会勧告をいたしましたのは、二度にわたつておりますが、法律案をつけて正式に勧告をいたしましたのは、十二月の十日と承知をいたしております。これを基準といたしますと本年の十二月十日までに報告しなければならないということに相なります。それからまた暦年をもつて論じますれば、本年の十二月三十一日ということになりますし、また人事院規則によりまして、この二十八條が施行せられたのはいつかと申しますれば、本年の一月八日でございますからして、来年の一月八日ということに、なります。この報告は結局結論といたしましては、今の給與は高くもない、低くもないという報告に相なりますが、今の給與は高過ぎるという報告になりますか、今の給與は低く過ぎるという報告になるかと思うのでありますが、私どものただいままでの調査では、今の給與は低く過ぎるという結論しか出ないだろうと思います。そういたしますと、この報告を出しぱなしにしておきますと、給與が低く過ぎるということを認めながら、なぜ勧告しないのかということに相なりますからして、もしも低過ぎるということに相なりますれば、同時に勧告する義務が生ずることは申すまでもございません。そこでいつまでに勧告するかというしりを押えますれば、ただいま申しましたようなところに相なる。かように御了承願いたいと思います。
  13. 赤松勇

    赤松委員 いつも誠意のある浅井さんに似合わぬ、何かへんなこじつけのような答弁でありますが、先般来あなたはしばしば本会議で、勧告をいたしますということを明確におつしやつているのである。従つてその日にちの、たとえば今あなたのおつしやつた人事院規則や、あるいは法律施行期日や、そういうことを私はお聞きしているのではございません。われわれといたしましては、また一般勤労者といたしましては、勧告される時期はいつになるかということを非常に期待もし、かつ望んでいるわけであります。そういう意味であなたに御質問しておるのでございまして、はなはだどうもただいまの御答弁誠意を欠いておると、私かように思うのであります。重ねてもう一度あなたからそういう枝葉末節にとらわれることなく、大体いつごろに勧告案を出すということを、この際あらためて明確にお答え願いたいと思います。
  14. 淺井清

    淺井政委員 私が年月日を並べましたのは、最も誠意を持つて申し上げたつもりでありまして、決して不誠意意味ではございません。しかし、私どもといたしましては、一日も早くこの勧告をしたいという気持は、ただいま申し上げましたこの年月日にかかわらず、十分持つておるということは、私が昨日本会議におきまして、はつきり勧告をいたすということを申し上げたことによつて御了承願いたいと思うのであります。ただ今日ただいままで勧告いたしておりませんのは、なお解決すべき少しの問題が残されておりまして、これが解決をいたしますれば、ただちに勧告をいたしたい。かように存じておるのでありまして、それを何月何日にいたしますのかというお尋ねは、少しごむりのように存じております。
  15. 赤松勇

    赤松委員 先般増田官房長官生計費の問題につきまして、いわゆる十二月に六・三べース法律案が出た。しかしこれは厳密に言えば、やはり六・三ベース法律案ではなく、いわゆる五千三百円を基準にしたもである。こういうことを言つておられまして、大体四月から六三ベースは実施されたものであるということを、ある方面で言われているということを、われわれは聞いておるのであります。そこで人事院総裁お尋ねしたいのは、昨年の七月の物価指数を大体基礎に、六三べース勧告案が生まれたのではないか。こう了解しているのでございますが、これは後に政府側質問するために人事院総裁に一応お尋ねしておきたいと思うのでございます。この点はいかがでございましようか。
  16. 淺井清

    淺井政委員 お示しの通りであります。そこで申し上げたいのでございますが、私は官房長官から、ことしの四月に初めて六三ベースなつたというようなお話は、いまだかつて承つたたことはございません。しかしながら官房長官の申されましたことと離れまして、いつ六三ベースになつていたかということについて申し上げたいと思うのでございますが、御承知のようにただいまの六三ベースは、例の給與法第一條に基いてなつておるのでございます。この給與法昭和二十四年一月一日から施行するということになつております。この法律に定める俸給扶養手当勤務地手当及び特殊勤務手当支給に関します規定は、職員に利益を與えますために、昭和二十三年十二月一日からこれを施行する。つまり本年一月一日におきましてこの六三ベースというものがなければならぬ。このようなことに相なるのでございます。そこで人事院といたしましては、これに関心を持ちまして、今年の三月に公開調査をいたしておるのでございます。このときに出席せられました大蔵省の今井給與局長が、これについて宣誓をして証言をせられておるのでございます。これを速記録について申しますと、私は今井氏に対しまして、「この法律における月額六千三百七円とするというのは、いつ現在において六千三百七円とすることに、給與本部は御了解になつておるのか、この点についてお伺いしたい。」かように申したのでございます。そういたしますと今井証人は、「いつ現在という意味ではなくして、不断に六千三百七円という基準を維持して行くもの、さように了解しておる。」という答弁がありました。ついで、「しからば昭和二十三年十一月一日現在において、六千三百七円べースを確立しておるものと御了解になるか。」とお尋ね申し上げたところ、「さつき申し上げた通り、不断という意味でございますから、特定の日にちを選びました場合においても、さように解釈するものと考えます。」このような御答弁があつたのでございます。そこで重ねて、「しからば昭和二十三年十二月一日現在において、六千三百七円べースになつておるということは、御承認になりますか。」と申しますと、今井給與局長は、「承認いたします。」このような御答弁があつたのでございます。そこで官房長官は、今年四月に初めて六三ベースなつたというふうなことを言われたと伝えられておりますが、この公開審理において宣誓された証言によりますと、さようにはなつておりません。昨年の十二月一日において法律規定いたしました通り、六千三百七円べースになつておるものと了解いたしております。またこの公開審理におきまして、運輸省方面、つまりただいまの国鉄をも含みまする運輸省小林氏、すなわち鉄道総局職員局次長小林氏が、やはり宣誓をして証言をせられたのでございます。これによりますと、俸給については一般給別表によりますと、現業全員を平均して四千八百六十九円、それから扶養手当つきましては、全部平均して月八百四十九円、それから勤務地手当七百八十九円、特殊勤務手当については、これは実態の調査がしてないそうでございまして、推定の数字で四十三円八十七銭、それらを合計いたしまして六千五百五十一円五十三銭、すなわち六三ベースより若干上まわつた数字になつておるものという証言がございました。赤松さんの何かの御参考になると思います。
  17. 赤松勇

    赤松委員 先般吉田総理は、政府職員に対しましてベース改訂を行わないで、それにかわる年末賞與を出すというようなことを言われておるのでございます。これはわが党の松沢委員が本会議におきまして党を代表いたしまして質問をいたしました際に浅井人事院総裁に御答弁をお願いしたのでございますが、その際それが十分総裁の耳に入らなかつたのか、御答弁をいただくことができませんでした。吉田総理が年末賞與を出すということを言つておるといたしますならば、一体どういう手続において、またどういう形においてそれが可能であるか、人事院総裁といたしましてどうお考えになつておるか、御見解をただしたいと思います。
  18. 淺井清

    淺井政委員 私並びに人事院といたしましては、総理大臣または内閣から年末賞與を出すというようなお話を承つたことは全然ないのでございます。そこでそのような仮定を基礎としてお話を申し上げるわけに行かぬのでございますが、結局それを離れまして申し上げたいと思います。つまり給與と申しますものは、法律に基かずしてはこれを出すことはできないことになつておるのでありまして、もしこれを出しました場合には、給與法による罰則の適用を受けることに相なります。そこでただいま申しました年末賞與というようなものを出そうといたしまするならば、これは法律改正を必要とするんじやないか。かように考えております。
  19. 赤松勇

    赤松委員 そこで明白になりましたことは、年末賞與を出す法的根拠はないということでございます。  それからもう一つは伝えられるところによれば、年末賞與を出すという問題は、ある方面によつて不可能になつたということを、私聞き及んでおるのでございますが、それにかわる方法といたしまして、たとえば交通手当とか、超過勤務手当だとかいうような形で出すという話も聞いておるのでございますが、そういうことは可能でございましようか、いかがでございましよう。
  20. 淺井清

    淺井政委員 ある方面というのはどういうことでございますか、了解いたしかねますが、一体日本給與制度というものを、終戰後多くの人々が多くの努力を費して、漸次科学化して参つたのでございます。そういたしまして、その一番の目的といたしますところは、年末賞與でございますとか、俸給の繰上げ支給でありますとかいうような、偶然的な給與及びその支給方法というものを改めるということが、その努力一つであつたと考えております。その意味におきまして正しい給與体系から申しますれば、このような一時的なものを出すということは、どうも賛成いたしかねます。私は公務員諸君がよき待遇を受けるということは、もとより賛成でございますけれども、それはあくまでも給與の本筋で行くべきだと思つております。ことにベースを上げないから年末賞與を出そうということは、どうもつり合いがとれないように考えておる次第でございます。  それからまた交通手当というようなことを仰せられましたが、私これも法律改正を要するのじやないかと思いますが、なお研究してお答えをいたします。
  21. 赤松勇

    赤松委員 きようは人事院総裁が盡からのつぴきならない用事があるそうでございまして、私またあらためまして、さらに詳細な点につきましてお尋ねしたいと思うのでございます。  なお第三国会におきまして、私はこういう質問をしておいたのでございます。「第七十八條中、勤務実績がよくない場合には、七十二條の矯正方法によつてこれをきめるという御説明があつたのでございますが、第三号の「その他その官職に必要な適格性を欠く場合」、こういうような抽象的ないろいろな規定で、勝手にどんどん免職されるということは、非常に政府職員が不安を感ずると思う。一体「その官職に必要な適格性を欠く」というのは、具体的にはどういう場合を指しているのか、明らかにしていただきたい。」これに対しまして、岡部政府委員は、「実はこれにつきまして詳しく申し上げたわけでございまして、こういう條項が主観的な上司の意向によつて濫用されないようにというのが、私どもの念願でございまして、今後の公務員制度を貫く原則でなければならぬわけであります。さてその評定制度を厳格に実行いたしまして、その評定制度に現われて初めて適格性を欠くか欠かないかということを判定し得るようにしたいと思うのであります。どういうのが適格性を欠くかということについては、それぞれの職種に応じなければならぬわけであります。その職種の種類によりまして、いろいろ違つて来ると思つております。」その際重ねて私は、「たとえば昨日配付になつ政治行為に関する人事院規則の私案の中でも、政党その他の政治的団体の運営に影響を及ぼすような役割をなすこと、というような抽象的な規定がある。こういうこともいわゆる評定法の中の最も重要な要素の一つになるのであつて従つてこういうきめ方で評定をされるということにはどうもわれわれ賛成しがたいのでございます。」こういう質問をいたしまして、最後に岡部政府委員は、「その意に反して職員が不利益な処分を受けたという場合におきましては、これが救済をはかるわけであります。この制度をうまく動かすために、人事院というものには、ほかの官庁に見られない特別な組織を設けよう、これによつていわば一種の公平な立場において、裁判的な機能も行わせよう、こういう機能があるから、人事院が準司法的機関と言われるわけであります。この制度を活用することによりまして、公務員の不当なる馘首、意に反する処分に対する擁護をいたしたいというのが、この趣旨でございます。」こういう答弁をいただいておるのでございます。ところが法律が実施されまして以来、全国的に現われておりまするいろいろな現象を見ますると、実は岡部政府委員のきわめて善良な主観的な意図にもかかわらず、客観的には非常に不当な首切りが行われておる。たとえば行政整理にこれを悪用いたしまして、そうして国家公務員法規定する不適格者だということで、現に全国医療労働組合におきましても、あるいはその他の組合におきましても、非常に不当な解雇が行われておる。これに対して人事院としては一体どう考えるか。もう一つは、この公務員を保護するために、いわゆる公平委員会というようなものを設けて、これを準司法的機関として活用するということを言つておられるのでございますが、一体今まで公平委員会に訴願して参りました訴願の数、さらにその訴願に基いて、公平委員会で取扱つた数、その結果、そういう点につきまして概略でけつこうでございますから、承りたい。このことが人事院がいかに合理的にかつ科学的に、政府職員を保護しておるかということの一つの立証にもなるのでございまして、ぜひ御答弁を得たいと思うのでございます。
  22. 淺井清

    淺井政委員 ただいまの問題でございますが、岡部政府委員から当時答えましたところは、公務員法に書いてございます勤務成績評定制度が確立されたときのことを申したものと思うのでありますが、この勤務成績評定制度をつくりますのには、相当の時間を要するわけでありまするから、それまでに至りまする経過的な期間におきましては、あるいは御不満の点があろうかと思つております。しかしながらこの適格性を欠くというのは、ある政党のために働いたというようなことは、この勤務成績評定表には現われて来ないと思うのでありますが、いかがでございましようか。具体的事実の問題になつて来るものと思つております。  それから行政整理に関して、国家公務員法を悪用しておるというお尋ねでございますが、この定員法におきましては、人事院に対する訴願—救済手段というものを排除いたしておるのでございまして、人事院といたしましては、これを取扱うことはその方面からはできないのであります。しかしながら国家公務員法規定によりまして、そのような不当な処分を受けました者は、現に人事院にも訴願をして参つておりまするし、これを人事院としては誠意を持つて取扱つております。その数字について仰せがありましたが、ただいまここに関係者が来ておりませんので、本日中に数字を明確にいたしまして、お手元に差出そうと考えております。
  23. 赤松勇

    赤松委員 誠意を持つてつていただくことはたいへんけつこうでございますが、現状から見まして、決して誠意あるやり方をしておらないように考えますので、ぜひひとつ公平委員会におきまして取扱われました、また訴願して参りました状況につきまして、詳しく御報告をお願いしたいと思うのであります。  なおもう一点お尋ねしたいと思うことは、やはり第五国会におきまして、松沢委員が、選挙権行使以外の政治活動ができないということを人事院規則で定めることは、人事院規則というものが法律的には、場合によつては憲法をしのぐ非常に大きな権限を待つ、こういうことはあらかじめ百二條なら百二條の中において、どういう政治的な活動をしてはならないかということを例挙するなり、法律の形でやらなければならないのではないかという御質問をしておるのでございます。それに対しまして、淺井人事院総裁は、「人間の参政権に関する重大規定であることは、しごく同感でございます。そこで当方といたしましては、すみやかに人事院規則内容をこの委員会に提出してごらんを願いたいと思つている次第でございます。」こういう御答弁をいただいておるのでございますが、不幸にいたしまして、国家公務員法百二條に規定いたしまする、いわゆる人事院規則政府職員の政治活動制限に関するそれでありますが、昨年の暮、第四国会の終わりに、ここに私持つておりますが、きわめて抽象的な一枚のプリントしかも試案というものが配付されただけでございます。しかるに国会休会中に突如として、—われわれは憲法違反と考えておるのでございますが、こういう重大な人事院規則をば出されたということは、第四国会における淺井人事院総裁の御答弁とははなはだしく違つたものでございまして、われわれ非常に遺憾に考えておるのでございます。一体人事院総裁はこれに対してどうお考えでございましようか。
  24. 淺井清

    淺井政委員 ちよつとその点は私が申しましたのと、御了解とが違つておるようでございます。すなわちあの国会におきまして、百二條第二項の改正が行われましたときに、選挙権を除くほか人事院規則で定める政治行為をしてはならない。このように改正なつたわけでございますが、その節委員各位から、人事院規則で定めるということは、一体どのような定めをするのであるか、それがわからぬではこの改正は審議することはできないというお話があつたことは、お示しの通りでございます。そこで人事院といたしましては、当時未熟ではございましたが、試案を審議の御参考に差出したはずでございます。それがその試案でございますが、この試案はお示しのように非常に抽象的なものでございました。その後これをもつと具体的なものに改めたのでございまして、私といたしましては、それでお約束を果したように考えておつたのでございますが、この点はちよつと御了解と違つていると思つております。そこで後で出したものが非常に詳しくて困るという仰せでございまするならば、ちよつと私としても言申し上げておかなければならぬと思います。御承知のように、裁判官法五十二條におきましては、裁判官は積極的に政治活動をしてはならないと書いてございます。このような抽象的な規定を、もつて一般行政官吏に臨みますならば、積極的とはどういうことであるか、政治運動とはどういうことであるかということが、運用の上においてどうでも手心が加え得るということにしりますから、その詳しくなつたと申すことは、決してそれは拡張したものではないのでございますから、どうかそう御了承願います。
  25. 赤松勇

    赤松委員 そんなことは私は言つておりません。委員会に出すと言つて出さなかつたということを聞いているのです。
  26. 淺井清

    淺井政委員 委員会へ出すと申しましたのは、最初の試案で私はお約束を果したように思つております。これは政治活動の規則をあらかじ委員会に出して、御審議を願うという意味ではなくて、この改正のための審議の御参考のときに、その当時持つていたところの腹案を示せ、かように了解をしているつもりでございます。本会議における私の答弁も、さような意味でいたしたように記憶いたしております。
  27. 赤松勇

    赤松委員 私は速記録を見ながら言つておるのでございまして、何も解釈の相違ではないと思います。あなたはちやんと速記録に「人間の参政権に関する重大規定であることはしごく同感でございます。そこで当方といたしましては、すみやかにこの人事院規則内容をこの委員会に提出してごらんを願いたいと思つている次第でございます。」こうあなたはおつしやつた。そこでさつきあなたは出したのだ、それがすなわち試案だ。こうおつしやいますが、あの試案なるもので、委員会にごらんを願つたというふうに、あなたが御解釈されるといたしまするならば、これは国会軽視もはなはだしいと思う。しかも後に出された政治活動制限に関する人事院規則というものは、その試案とははなはだしく相違するものです。従つてあなたが委員会に出されたその試案というものは、あくまでも試案であつたので、それでもつてわれわれの了解を十分願えたのだと言われるならば、浅井さんに似合わぬ詭弁ではないかと考えるのでありますが、重ねてひとつ……。
  28. 淺井清

    淺井政委員 それはちよつと根本論から申し上げなければいかぬと思いますが、御承知のように、人事院規則国会に付議いたしますることは、これは建前としてはないはずでございますが、それは御了解願えると思います。そこで、私が委員会へ草案をお見せすると申しましたのは、あの改正のときの御審議の御便宜他のために、その当時持つておりましたところの草案を出す意味でございまして、あの規則それ自体を制定いたしまする場合は、いつでも委員会に付議するというお約束をしたようには私は了解していなかつたのでございますが、赤松さんは速記録をさように御了解になつていることと思つております。ただしもしあのとき委員会の附帶決議等におきまして、ある人事院規則をあらかじめ出せというような御決議でもございますれば、これはまた別問題であろうかと思つております。
  29. 赤松勇

    赤松委員 これは根本問題で、さつき土橋君も申しましたように、基本的な人権のことが問題でございまして、このことはさらにもつと討議しなければならぬのでございますが、ただ私は総裁がこれは人事院規則でもつて十分できるのだ。しかもあの昨年の暮に改正した国家公務員法の百二條によつて、十分できるのだということを本会議でおつしやつて、—まあその通りでございます。法律建前はそうでございましようが、その当時の委員会のあなたへの希望といたしましては、一応重大なものであるから、ぜひ委員会の方へそれを示して十分の了解を得てやつてもらいたいというような希望があつたのでございます。その希望をあなたは全然無視されて、勝手にお出しになつた。そうして本会議においては、これは人事院人事院規則に基いて勝手にやれる。国家公務員法規定してあるじやないかと、こうおきめつけになりますから、われわれとしても黙つておれないのでありまして、あの際にもしあなたに一片の誠意があれば、私は法律建前かどうあろうとも、前の委員会においては、こういう御答弁をいただいているのでございますから、少くとも星島委員長人事委員会の招集を要求されて、その人事委員会人事院規則の原案をお示しくださいまして、一応了解を得るようにされることが、私は当然のやり方ではないか、かように考えるのでございます。  なお松沢氏の質問もございましようし、もつと詳細にいろいろな点でお尋ねしたいと思いまするが、私一人あまり時間をとりますのは恐縮でございますから、私の質問はこれで終ります。  なお質問を留保しておきますから、そのつもりで……。
  30. 星島二郎

    ○星島委員長 松沢君。
  31. 松澤兼人

    ○松澤委員 大体赤松君の質問で盡きているかと思うのでありますが、また別の観点からお伺いしたいこともあります。  第一に給與改訂の問題であります。大体その時期は赤松君との質問応答によつてやや明確になりました。しかしこの二十八條の解釈でありますが、一年一回すれば義務が果せる、こういうふうにおつしやつていらつしやいますが、なるほど報告はそうでありましよう。しかし給與が百分の五以上増減した場合には、当然勧告しなければならない。しかも給與が百分の五以上増減した時期というのは、大体本年の七月においてそうなつている、こういうふうに総裁はお答えになつているのであります。そうしますと今日まで非常に長い期間かかつておるのでありまして、たとい七月の資料が八月に利用されない、あるいは九月に利用されないといたしましても、人事院政府職員給與物価関係して、どういうふうに影響されているかということを、絶えず気をつけておられなければならないわけであります。従つてどもは七月以前において、すでに百分の五以上の増減があつたものと考えているのでありますが、七月にならなければその増減はなかつたものと、人事院はお考えになつて、七月の資料によつて七月後の勧告の用意をしているとおつしやつているのであります。しかし私どもはそれ以前にすでに百分の五以上の増減があつた。そうすればたとい一年経たなくても、当然勧告される義務は、そこに生じて来るというのでありまして、この場合におきましては、むしろ報告に添えて勧告を出すということではなくて、勧告する義務が生じて来たので、それにあわせて勧告を一年に一回以上出さなければならない義務が当然に生じて来る。これをやらないことは人事院の怠慢である。こういうふうに私は考えているのでありますが、はたして給與を百分の五増減する必要が生じたのが七月であるか、七月以前であるかということについて、御説明を願いたいのであります。
  32. 淺井清

    淺井政委員 人事院といたしましては、常にこの給與調査をいたしておることは当然のことでございます。七月ということを申し上げましたが、この七月の数字が利用せられるのは九月の終りころであろうと思いまするから、どういたしましてもこの二箇月のずれということは、どこをとつてもしかたがないことと思つております。それからまたもし御質問の御論旨を推し進めますれば、ひんぴんとして勧告をいたさなければならないことになります。それは公務員を保護する立場から見れば、もつともなことでございまするけれども、同時にこの勧告はただちに予算上の措置、また立法上の措置を要することでございますから、さようにひんぴんとして勧告をいたすということは、かりに人事院がその点に関係がないといたしましても、それは実際においては不可能なことに相なるのでございまして、そのように勧告案をたびたびいたすということは、いたしかねるのでございます。
  33. 松澤兼人

    ○松澤委員 大体この二十八條規定は、これはスライド制度だと思うのであります。自然に民間側の給與、あるいはまた物価等の変動にスライドするという趣旨によつてこの規定ができた。それでありますから絶えず物価との関連において給與が安いか高いかということを決定し、かつまた勧告することは人事院の職務である。こう考えているのであります。さらに合理的あるいは科学的にこの両者の関係が計算されるならば、別にむずかしい勧告等の方法をとらなくとも、当然できるような手続が将来はできると思うのであります。しかし現在のところはそういう科学的な根拠はないから、かりに人事院とい科学的あるいは合理的な人事管理をやつておる機関が、勧告をするということになつておるのでありますから、ただいまもし物価との関連において絶えず注意をして、政府勧告をするということになれば、一年に何回でもしなければならない。こういうふうに言われる。それは当然でありまして、何回でもしなければならぬわけであります。そういう意味でなければ二十八條情勢適応の原則というものは、何の意味もないのであります。しかも淺井総裁は、先ほどは予算関係はない。こういつておられるのでありますから、予算上の考慮をされない立場にある人事院としましては、当然物価が上昇し、百分の五以上給與を増減しなければならなくなつたその時期においては、勧告をされればいいわけです。ですからただいま申されましたことが、もし人事院の方針であるといたしますならば、物価が上昇して来れば、一年に何回も勧告しなければならない。そういうものでないとお考えになつていらつしやることが、人事院のお考えであるとするならば、私は承服しかねるのであります。その点を明らかにしてこれはスライド制をとつているのである。絶えず民間及び物価関係を考慮して、百分の五以上給與が増減するような立場になつたら、これは勧告しなければならないということをはつきりとしていただかなければならないのであります。
  34. 淺井清

    淺井政委員 スライド制ということを仰せられましたが、これはいわゆるスライド制ではないと私ども考えております。この国家公務員給與に関しまして、いわゆるスライド制をとるということは憲法に違反する。つまり国会予算帯議権に違反するものと思いますから、民間会社でやつておりまするようなスライド制ではないと思つております。ただしそのスライド制という意味が、物価の変動に応じて、給與を調整して行くという方針を立てたものという意味ならば、それでもけつこうでございます。しかしながら民間のスライド制のように、自動的に給與が上がつて行くということは法律予算とによつて縛られておりまするところの、国家公務員給與についてはできないことでございます。人事院は一年に何回でも勧告せよという仰せでございますが、ただいま私が予算について申しましたのは、決して人事院予算に対して関係を持つて勧告を躊躇しておるとい意味ではございません。ただその結果について申し上げただけにすぎないのでございますから、その点御疑念のないように願いたいと存じます。
  35. 松澤兼人

    ○松澤委員 ただいま二十八條はスライド制ではないというお話でありました。これがスライド制であれば憲法違反であるというその根拠は、どういうところから来るのでございましようか。
  36. 淺井清

    淺井政委員 民間のスライド制は、ただちに自動的に動いて行くように存じております。ところがこれがスライド制であるといたしますれば、国会予算審議権というものと離れて、自動的に賃金が上つて行く、このように相なりますれば、それは憲法の條章に違反いたします。人事院勧告をいたしましても、内閣において予算を編成せず、国会がこれを御否認になりますれば、これは実現しないということになつておりますので、民間のスライド制はいささか違つておる。精神は同じでございましようけれども、いわゆるスライド制ではないということは、この意味で申し上げたつもりでございます。
  37. 松澤兼人

    ○松澤委員 その点であれば別に憲法違反とか何とかという問題は生じない。ですから私はあなたに予算を編成してやれということを言つておるのじやないのであります。どこまでもこれは勧告でありまして、人事院予算を編成すれば、あるいは憲法違反になるかもしれない。そういうことを言つておるのではなくて、百分の五以上増減があつたぞというだけのことを、勧告すればいいのであります。勧告して、それが実現されなければなんにもならないというお話は、これまでもそうです。昨年の十二月でも、結局予算上の措置をしたのは、われわれが一生懸命考えてやつたことであり、政府は五千三百円というベースを出しておる。従つて政府が五千三百円を出し、人事院勧告によつて六千三百七円ベースなつた。これは人事院としては、少しも予算上の措置も何にもしておらない。でありますから、予算上の措置を私はあなたに要望しているのでも何でもないのであります。でありますから、私は年に二回、三回、あるいは四回勧告されても、これは決して憲法違反ではないと思いますが、いかがでございますか。
  38. 淺井清

    淺井政委員 私は、これが民間のスライド制という意味ならば、憲法に違反すると申したので、人事院が何回でも勧告することが憲法違反だとは申した覚えはございません。ただ要するに非常に大きな、人間の給與に関する問題でございまするから、事実上調査にも非常な時間をとりますので、そのようにひんぴんとして勧告ができるものとは思つておりません。但し松澤さんの御質疑の中に、人事院がこの義務を怠つておるかのごとき印象を受けるのは、はなはだ私は遺憾でありまして、この点は、人事院として、誠意をもつて勧告するという態度には少しも相違はありません。
  39. 松澤兼人

    ○松澤委員 人事院は少しも怠慢でないとおつしやるのでありますが、われわれから見れば、当然これは怠慢だと思うのであります。なぜかと言えば、百分の五以上給與を増減しなければならないという時期がすでに来ている。その時期がいつであるかということを、私尋ねしておつたのでありますが、七月なら七月でよろしい。七月から今日まで勧告を怠つているということは怠慢であると思う。われわれから言えば、すでに私は今年の三月ごろに百分の五以上、あるいは四月に百分の五以上、給與を増減する時期が到達していたと思うのでありますが、百分の五以上その増減をしなければならない時期が、いつであつたかということをもう一応お尋ねいたします。
  40. 淺井清

    淺井政委員 いつ上つたかというお尋ねでございますけれども、われわれといたしましては、七月のデーターをとることが一番結果においていいものと考えた次第でございます。そこで、さいぜんからも、しばしば七月にさように上つておるのに、なぜ今まで延ばしておるかと言われるのでありますけれども、七月のデーターは九月の終りでなければわからないことでありまして、その点については御了承を願えると思つております。
  41. 松澤兼人

    ○松澤委員 重ねてお伺いしますが、人事院は絶えず給與が適正であるかどうかということは調査している。研究しているとおつしやるのですから、四月なら四月にどれだけ給與物価との関係、もしくは民間絵與と政府職員給與との関係がずれて来ているかということは、三月ではどうだ、四月ではうだということが、はつきりわかつておるはずであります。人事院が六千三百円のべースをとつた基準が、昨年の七月であるから、今年の七月をとつた、こういうふうにお考えになつている。これも一つ考え方かもしれませんが、この二十八條規定によりますと、百分の五以上増減があつたときということになつておるのでありますから、一月ではどうだ、二月ではどうだ、三月ではどうだということを、きちつと計算して行つて、そうして百分の五以上増減があつた場合には勧告しなければならない。こういうことになると私は了解する。あなたが昨年の七月が基準だつたから、今年の七月の数字をとるのだとおつしやることは、私は受取りかねるのであります。
  42. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院といたしましては、絶えず研究はいたしております。しかし国家公務員法の第二十八條によりましても、百分の五以上増減する必要が認められるときは、ということになつておりまして、CPSあるいはCPI、あるいは毎月勤労統計の上昇が、かりにCPS等が一〇%あるいは二〇%になりましても、それでただちに勧告の必要があるというふうに認めるかどうかということは、これは、人事院の判断にあるのであります。
  43. 松澤兼人

    ○松澤委員 それはよくわかるのですが、私は物価上つたからといつて上げろということを言つたのではない。それでは重ねてお伺いしますけれども、本年の三月はどうであつたか、変更する必要がないかどうか、あるいは本年の四月になつては、まだ百分の五以上増減する必要がなかつたかどうか。そういう点を数字によつて詳しく説明していただけば 人事院が怠慢であつたかどうかということが、すぐ判断できるのであります。  もう一つの問題は、民間給與との問題であります。これは明らかに私は、今年の七月においては二千円の開きがあると思つておる。物価の点はそれでよろしい。たとい物価が上つても、CPSか上つても、給與を百分の五以上変更する必要がない。こういうことなら、それでよろしい。しかし民間給與との関係において、高からず、安からずという、そういう原則が確立されているとするならば、その関係において、民間給與とは三月においてはどれだけの開きができた。五月にはどれだけの開きができたということを考えて行かなければならない。この点はどうですか。
  44. 淺井清

    淺井政委員 その問題でございますが、今日ここにその数字がございません。そこで、これは実は勧告が出ましたときに、付属の資料の中には精密なものがあるわけでありますが、そのときまでお待ちを願えれば、はつきりわかると思います。その点は、今でなく、後刻でもひとつお答え申し上げたいと思います。
  45. 松澤兼人

    ○松澤委員 そういう資料を持つていらつしやらなければ、議論にならない。一月にはどうであるか、あるいは三月にはどうであるかということを、瀧本給與局長が読んでくだされば、われわれは納得するのです。それがなくて、主観的に、上つていないとか、あるいは百分の五以上増減する必要がないと思うということを言われるだけでは、われわれは信用できない。だから給與局長が資料を持つて来て、一月はこうでありますから、あるいは三月はこうでありますからということを言つていただければ、われわれは納得するのです。
  46. 淺井清

    淺井政委員 持つていないというのは、ないという意味ではございません。今この席上にはありませんから、後刻ひとつ……。
  47. 赤松勇

    赤松委員 私どもは、今ないものをすぐにデ—ターを出せとは言いませんけれども……。
  48. 星島二郎

    ○星島委員長 赤松君まだ発声を許しておりません。松澤君よろしいですか。—それでは赤松君。
  49. 赤松勇

    赤松委員 松澤君のさつき数字は、後刻ひとつちやんと出していただきたい。  私は大屋運輸大臣にお尋ねいたしますが、近々国鉄の運賃の問題に関しまして、仲裁委員会から裁定業が出て来ると伺つておりますが、政府といたしまして公式に御答弁をお願いしたいことは、その仲裁案が出た場合に、政府として、運輸大臣として、どのような態度をおとりになるかということをひとつお答え願いたい。
  50. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 ただいま赤松君の御質問ですが、仲裁委員会から出ましたときに、予算的措置を伴うような仲裁案であるか、あるいはそれを必要としないかによつて政府見解が違うわけです。これはもちろんですが、そこで予算的の措置を伴うような仲裁案が出たとしました場合には、はたして政府としましてどういう態度をとるかということは、その金額、内容というような点が出てみませんとわかりませんが、基本的の観念としましては、法文の十六條に書いてありますから、あの趣旨に従つて政府はやる。これは自明の理であります。内容次第で、出て見た上でないと具体的にどういう措置をとるか、あの法文の精神通りに実行することはこれは間違いないというように考えております。
  51. 赤松勇

    赤松委員 きわめて名答弁をいただきまして、ありがとうございました。私のお尋ねしておるのは、もとより公企法に規定されておりまするが、それは十分承知しております。しかしこれは予算的措置が伴うことはきまつておる問題なんですが、ただ問題はその公企法に規定するところの仲裁委員会の裁定案が出た場合に、それを十分尊重して、そうしてその裁定案に沿うような心構えを持つて予算的措置を講ずる考えがあるかどうか。こういうことなんです。
  52. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 赤松君、そこが非常にむずかしいところでして、簡單に言うとそうなるのです。これ以上いかに何でも今ちよつと申し上げられぬのです。つまり早い話が、公共企業体の職員公務員ではないのですが、やはりただいま委員会で問題になつておる勧告するか、しないかという公務員の方との関連も考えねばなりませんし、それからまた国鉄がトップを切つて仲裁案が出て、忙しく措置をいたしますことは、民間の方との関係もありますので、出た内容を見ませんと、やはりさつきと同じように具体的にどういう措置を、私が講ずるかということはよくわからぬと思うのです。
  53. 赤松勇

    赤松委員 いや、事態が大体明瞭になつて来ました。そうするとこういうふうに理解しておいてよろしゆうございましようか。出て参りましたその裁定案を十分見て、政府考えるつもりである。必ずしもそれを頭から、予算的措置を伴うものであつても、拒否する考えはない。これは近く人事院勧告するであろうところの、賃金ベース等の問題との関連をも十分考えて、そうして政府としてはその裁定案に対処したい。こういう運輸大臣のお考えであるというふうに、理解しておいてよろしゆうございましようか。
  54. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 だんだん狭心にお迫りのようですが、抽象論としましては、私は頭からはねる意思はありません。むろん敬意を表して、出たものを見まして、予算的な措置を伴うものでも、あるいは場合によりましたならば、こういう予算的措置の伴うものは、とうてい政府として、国鉄にこれを引上げさせるわけにいかぬというようないわくをつけて、これを十六條の規定従つて議会に出すかどうか、どうも出たものを見ませんと、はつきり申し上げられません。
  55. 逢澤寛

    ○逢澤委員 せつかくの機会でありますから、ちよつと運輸大臣にお伺いしたいのですが、最近鉄道局の問題がだんだんに出ておるのでありますが、岡山県に鉄道局を設置するということについての何かお考え方が今ありますか。そこまでは行つておりませんか。わかりましたらひとつお伺いしたい。
  56. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 お答えいたします。これはいろいろ各地で皆様が御心配になつて、問題を起しておりますが、現在のところ北海道で、実は今まで札幌に監理局が一つしかなかつたので、三つにふやして、そうして試験の結果を本年一ぱい見るということになつております。というのは、その精神はどこにあるかと申しますと、在来鉄道局と管理部と現場という三段階になつておりますのを、管理部というものをオミツトして、局と現場とを直結した方が能率が上るのではないか、特に独立採算制になりました結果、そういう組織の方がよいのではないかという意見がありまして、とりあえずそのテスト・ケース、サンプルを北海道でやりまして、もしよかつたならば、今は九つくらいしかないのですが、三十箇所くらい局をつくるということにしたらどうかという考えがその筋にはあるのであります。そうすると在来あつた某地の管理部というもの別なくなつてしまうところと、また某地にあつた管理部が逆に局というものに昇格するところと、二つあるのであります。全国三十もつくるという考えにはわれわれとしては同意していないので、そんなには必要はないであろう。しかし北海道の結果がよければ、その考え方が内地に及ぼされる。従つて岡山がどうとか、広島がどうであるとかいう具体的問題は、まだほとんど考えていないと申し上げてもよい状態でありますから、さように御承知を願いたいと思います。
  57. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 厚生特別会計の関係から、俸給関係することでありますが、これは運輸委員会でも話があるかもしれませんが、特に運賃を上げることについては、東京附近のものと北海道、あるいは九州方面のものとは、相当考慮していただきたいと思つております。俸給の方に影響のない方法で私お願いしたいのは、北海道とか九州方面の距離の遠いところの運賃を安くしてもらいませんと、陳情その他こちらに参るのに非常に不便を感ずるのであります。近い方は運賃がかからないで毎日陳情に来られるが、遠いところは非常に困難を感ずる。それで俸給の方に影響しない方法でどうか五段か六段くらいに運賃を分けて、そうして九州、北海道方面を安くするようなことにしていただきたい。この点についてついでにお伺いしたい。
  58. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 今の御質問はその趣旨は私どもも御同感でありまして、今来年四月一日から高橋君の御趣旨のようなことをやろうと考えております。さよう御了承願います。
  59. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 百二條の問題をおいおいと御質問申し上げたいと思いますが、さしあたつて大学教授の問題をお伺いしたいと思います。  最近大学の中におけるいわゆる進歩的教授を追放するということがあるのであります。これは本会議でいろいろ質問してみたのですが、その法的根拠がどうも私にははつきりわからない。しかも勧告を受けていながら、勧告に従わないで、やはり現職にとどまつているというようなことは、大学教授の勧告拒否の問題に関連して任命権者としての政府及び人事行政を取扱つている人事院としての立場が、非常にお困りになるじやないか。いらない勧告をして、しかもそれが実行されないということであれば、これは将来人事運営に対して非常に大きな暗影を投げかけるのじやないか、こういうふうに考えるのですが、大学教授の追放がどういう法的な根拠で行われているのか。あるいはまたこれが人事院としてお考えなつた場合に、適当な処置であるかどうか。あるいは救済の方法はどういうふうになつておるのか。この点についてお伺いしたい。
  60. 淺井清

    淺井政委員 大学教授の問題でございますけれども、これは国家公務員法附則第十三條の特例といたしまして、教育公務員特例法というものができておりますために、一応人事院の管轄から離れておるような形になつておるのでございます。直接これは人事院としてやつておりません。これは教育委員会でございまするとか、あるいは大学それ自体でございまするとか、いろいろその行政方面が違つておるのでございます。ただ国家公務員という身分を持つておることはお示しの通りでございまするからあの百二條による政治活動の規則が、国家公務員たる大学教授等にも適用されるということは間違いございません。そこで人事院といたしましては、この規則が大学教授の方へ濫用せられるようなことがあるということは、非常に心配をいたしております。もちろん大学教授だけに濫用を心配しておるのではなくて、全部でございますけれども、新憲法にきめました学問の自由というようなことが、こういう規則によつて侵されることのないように、十分注意をいたしております。そこであの規則の中でも、違反事項については、人事院として報告義務を任命権者に課しております。これにつきまして一、二の事件についてすでに報告を受けたものがございます。もしこの点をお尋ねでありますれば、後刻またお答えしてもよろしうございますけれども、ただいままでのところ、あの人事院規則によりまして辞職せしめられた者はないように思つております。これはおそらく違つた事由によるものだろうと思つております。
  61. 松澤兼人

    ○松澤委員 百二條によつてやられていない。そうすると、その他の法律によつてやられているということでありますが、報告のあつたケースについて、どういう法律的な根拠によつて行われたかということをお示し願いたい。
  62. 淺井清

    淺井政委員 ただいま手もとに持つておりませんから、後刻それを御報告申し上げたいと思いますが、報告の参りましたのもごくわずかであろうと思つております。あれはどういう理由でもつて辞職を勧告いたしておりますか、少くとも人事院規則ではないと思つております。
  63. 松澤兼人

    ○松澤委員 では重ねてお伺いします。そういたしますと、不利益な取扱いを受けた救済という点では、明確に国家公務員法の救済規定が適用される。こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  64. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 お説の通りでございます。
  65. 松澤兼人

    ○松澤委員 それについてその不利益処分を受けたその救済を要求したという事例はございませんか。
  66. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 後に詳しく調べて御報告申し上げますが、私の知つている限りでは、今のところないと思つております。
  67. 松澤兼人

    ○松澤委員 そこで教育公務員特例法に基いて、処分されているだろうというお話でありますが、人事院総裁としましては、こういつた方法で一部の教授が辞職を勧告をされる。あるいは勧告をされて辞職をした、及びそれを拒否したということのために、いわゆる人事運営の系統がはなはだしく乱されているということを、お考えになつていらつしやるかどうか。
  68. 淺井清

    淺井政委員 大学教授の一部に対しまして、人事院規則が濫用せられるというようなことについては、人事院としては重大な関心を持つておりまして、人事院といたしまして国家公務員を保護するという立場から、この問題についても決して忘れるものではないと確信をいたしております。
  69. 星島二郎

    ○星島委員長 それではお諮りいたしますが、本日は本会議がありますから、この程度でとどめまして、次会は明十九日午前十時より質疑を続行いたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
  70. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議なしと認めます。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十八分散会