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1949-11-15 第6回国会 衆議院 考査特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十五日(火曜日)     午後二時二十八分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 大橋 武夫君 理事 小玉 治行君    理事 高木 松吉君 理事 内藤  隆君    理事 吉武 惠市君 理事 猪俣 浩三君    理事 大森 玉木君 理事 木村  榮君    理事 小松 勇次君 理事 石田 一松君       安部 俊吾君    井手 光治君       岡延右エ門君    佐々木秀世君       塚原 俊郎君    西村 直己君       福田  一君    赤松  勇君       加藤 鐐造君    横田甚太郎君       小林  進君  委員外出席者         証     人         (元油糧配給公         団総裁)    松田丑之助君         証     人         (元農林省食品         局長)     三堀 參郎君         証     人         (食糧庁食品部         油脂課長)   中原  雄君     ————————————— 本日の会議に付した事件  公団をめぐる不正事件油糧配給公団関係)  証人出頭要求に関する件     —————————————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。本日は大蔵大臣財政演説関係もあり、多少開会が遅れておりますので、予定通り四人の証人尋問を行うことは多少むりがあると思いますから、和田博雄君については後日証言を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう決しました。  これより公団をめぐる不正事件について調査を進めます。ただいまお見えになつておる証人の方々は、三堀參郎さん、松田丑之助さん、中原雄さんですね。  ただいまから油糧公団をめぐる不正事件につきまして、証言を求めることにいたします。  証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓又は証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  それでは三堀さん、代表して宣誓書を読んでください。     〔証人堀參郎君証人を代表して宣誓
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 署名捺印を願います。     〔各証人宣誓書署名捺印
  5. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今日は本会の関係上、開会が遅くなりましたので、皆さん全部終るかどうかわかりませんが、松田さんはほんとうあとなんですけれども、遠くからおいでなつておるそうですから、もし遅れたらなんですから、まず松田さんから承ることにいたしましよう。その次は三堀さん、それから時間があれば中原さんにお順いいたします。松田さん以外の方はもう一度控室でお待ちを願います。  松田丑之助さんですな。——こちらから聞いておるときはおすわりになつておつてよろしいですが、お答えになるときは、発言を求めて立つてつていただきます。  あなたは油糧配給公団総裁をやつておいでになつたようですが、いつからいつまでおやりになつていました。
  6. 松田丑之助

    松田証人 昭和二十三年二月二十一日から昭和二十四年九月九日まででございます。
  7. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在は何をおやりです。
  8. 松田丑之助

    松田証人 現在は職を持つておりません。
  9. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 おやめになつたのは、何かやめなければならぬ理由があつて、おやめになつたのですか。
  10. 松田丑之助

    松田証人 御承知通り今度公団で問題が起りましたので、問題が起りました当初から、私は道義的な責任と監督上の責任を痛感いたしておつたわけでありますが、公団業務を一日も停止するわけには参りませんので、いろいろ苦慮いたしておつたわけでございます。ちようど木村経理部長が起訴されました翌日、役員ともいろいろ相談いたしまして、事件発生以来感じておりました徳義的な責任を、どうとるべきかといろいろ相談をいたしたのであります。公団業務を停止いたさないために、私どもの希望そのほかは別といたしまして、きわめて穏便なやり方で職をしりぞく意思表示をすることが一番穏当だろうということで、農林省に対しまして私どもの進退伺いを出したわけでありますが、私といたしましては責任を痛感いたしまして、実はその当時から職を辞したいというつもりでおつたのであります。農林省当局からはその後私どもに、とにかく当局後任総裁そのほか目先の問題が相当片づくまで、今まで通りぜひ仕事をやれという指示がありましたので、その指示を守ることが油糧配給事務を停滯ささないことであると考えまして、爾来問題が起りましてから約三月くらいでありましたが、役所のおさしずに従いまして職場を守りまして、その後当局でもいろいろ後任総裁そのほかでお考えになりまして、九月の九日に事件が起りましてからの私の願いをかなえていただいた、そういう事情でございます。
  11. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 油糧配給公団仕事については、あなたは総裁だから責任上はすべての業務責任者になつておいででしようが、実際において運営の衝に当つているのはあなたですか、それともたれかほかの者ですか。
  12. 松田丑之助

    松田証人 公団法あるいは公団定款によりまして、公団総裁業務を総理するということになつております。それから副総裁は、定款によりますと、総裁を助けて、総裁の定めるところに従いまして業務を掌理するということになつております。実は私は副総裁西川さんとは十年以来の知己でありまして、あの人の仕事の上における力量をよく知つておりますし、その上にあの人に私心がないということがよくわかつておりましたので、私は万事西川氏に一任いたしまして、主として公団業務運営西川氏に御一任しておつたのであります。
  13. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかし毎日出てはおいでになりましたか、それともそれほどおいでになりませんでしたか。
  14. 松田丑之助

    松田証人 私は出勤簿には判を押しておりませんが、西川総裁と違いまして、各支部職員配給業務によく精進いたしますように、各地をかなりまわりましたので、公団が始まつてから、欠かさずに出勤していたということは申されないかもしれません。それ以外のときは大体出勤をしておりました。
  15. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団仕事の下請をやるような形で、油糧産業株式会社というものがあつたようですが、その油糧産業がどうしてできたものであるか、御承知でしようか。
  16. 松田丑之助

    松田証人 たしか公団の発足いたします約数箇月前のことだと記憶いたしております。ちようど公団法等が審議されておりますときに、当時の帝国油糧職員で、在郷軍人そのほかの仕事をやつておりました人の中で、公団職員にはなりにくいという人がおりましたのと、それから役人にはどうも自分の性質が合わないので、やめたいという人が大分出て参りまして、それらの人が会社をつくつたわけでありますが、その会社油糧産業になつたわけであります。そういうことで油糧産業が成立つたということは知つております。
  17. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いかなる事業をやるという目的でしたか。
  18. 松田丑之助

    松田証人 事業といたしましては、商品の売買やら、あるいはドラム修繕やら、そういう仕事をやつて行くのだというふうに聞いておりました。
  19. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その商品並びにドラムなどというのは、油糧配給公団に関するものだつたのでしようか。
  20. 松田丑之助

    松田証人 私は油糧産業のことは完全に知りませんので、あるいはお答えに不完全なところがあるかもしれませんが、公団のものばかりでなくて、やはりドラム修繕全般つた考えております。
  21. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがこの油糧産業の株は、あなたの方の公団役員並びに職員が、主としてではなく、ほとんど大部分つてつたそうですが、そこで公団法の建前上おもしろくないというので、株は実際に持つておるが、役職員妻子名義にしておつたということですが、これは御承知ですか。
  22. 松田丑之助

    松田証人 それは存じております。私はこういうふうにその間の事情を教えられております。それは油糧産業の株を持ち出したのは、帝国油糧時代でありまして、まだ公団職員以前のときであつたようでありますが、その後公団の公務員になりましたときに、ほんとうを言えば、その株を手離すか、あるいは他人にやつてしまうか、どつちかにしなければいけないという話が、当時あつたことも聞いておるのであります。ところが油糧産業というような株は、普通の株のように外部へ売れなかつたので、やむを得ず妻子等名義にかえたというふうなことを聞いております。
  23. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが先ほどあなたのおつしやつたように、公団へ入れない人、それから公吏になることをきらう人が、こしらえたというなら、そういう人はみな公団へ入らぬ人で、それがつくるのですから、そういうことはないはずだが……。
  24. 松田丑之助

    松田証人 それらの人で資金が集まらないので、当時の帝糧職員の人も……。
  25. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうもそうは受け取れないのですがね。大部分公団の人が株を持つているのですから……。大部分のものを公団関係のない者が持つておるというのならばいいが……。
  26. 松田丑之助

    松田証人 私の答えが下手でおわかりにくいかもしれませんが、公団に入れない人がそういう会社をつくつて、その人もその株をもちろん持ちましたし、当時は公団じやなくて、帝国油糧人々ですが、そういう人々も、その会社に投資するために株を持つた、こう申し上げたのです。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だから入らぬ人が会社をつくつたというのならば、株は入らぬ人が持つているはずです。ところが現在見ると、ほとんど公団にいる人々妻子名義なつているじやありませんか。
  28. 松田丑之助

    松田証人 だから帝国油糧の当時の人で、公団に行かない人と、行つた人が、同時にその会社資金を出したわけであります。
  29. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで行かぬ人が主になつたというのならば、公団関係のない人が株主主要部分でなければならぬはずである、あなたの証言通りだとすれば……。
  30. 松田丑之助

    松田証人 どういうふうに御説明申し上げていいかわかりませんが、一般会社をつくりますときに、その発起人そのほか少数の創設者以外にも、出資者である株主というものがあるわけでありますから、それと同じようなことだろうと私は考えます。
  31. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それならばいいけれども、しかし大部分のものは、公団に現在いる者の妻子の分になつているのじやないか。
  32. 松田丑之助

    松田証人 今帝国油糧から引続いて公団にいる人は、妻子名義で持つているだろうと思います。
  33. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団にいる人が八割以上だそうですね。どうもあなたの説明ではその点が納得できないのですが……。  そのほかに、しばしばあなたの方の公団油糧産業とで、人事交流が行われたようでありますが、その点はいかがですか。
  34. 松田丑之助

    松田証人 人事交流ということは、公団から向うへ行くと同時に、向うから公団へ来るということだと思いますが、そういう例は私の記憶にはございません。公団やめて、油糧産業行つた人はございますが……。
  35. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは相当ありますか。
  36. 松田丑之助

    松田証人 はあ。
  37. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは油糧産業首脳部へつかれたのでしようね。
  38. 松田丑之助

    松田証人 大体主脳部は先ほど申し上げたように、公団なつて、公団へ行くことがいやな人、行けない人がまず首脳部になつたのです。あとから油糧産業行つた人も大分おります。
  39. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから仕事の内容ですが、その後仕事にかかつたところでは、油糧産業仕事のまず全部と言つていいでしよう、公団関係の上ある仕事を引受けておつたようですね。
  40. 松田丑之助

    松田証人 油糧産業仕事の分量の内訳は、私はよく存じませんけれども公団関係一般事業者と同じ競争の中に立つて公団仕事をやつたのと同様に、ほかの公団以外の関係仕事も、やつているように考えております。
  41. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どんなことをやつておりましたか。
  42. 松田丑之助

    松田証人 私はよく記憶いたしませんが、何かずつと以前に、司令部関係から公団へ照会がございまして、油糧産業がやつている事業のパーセンテージを示せというふうな連絡がありましたときに、出した書類をちらつと見ましたが、百パーセント公団仕事でなかつたよう記憶いたしております。
  43. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではどれくらいでしたか。
  44. 松田丑之助

    松田証人 その記憶はここでちよつと呼び起しにくいのですが……。
  45. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから油糧産業保險代理業をやりましたね。
  46. 松田丑之助

    松田証人 公団のつけております保險会社世話役幹事役であります安田火災代理店をやつておりました。
  47. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その保險は、あなたの方の公団品物に対する火災保險目的つたのでしよう。
  48. 松田丑之助

    松田証人 火災を海上でございます。
  49. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはほとんどほかの保險はやつていなかつたでしような。
  50. 松田丑之助

    松田証人 それについては、少しの額の公団以外の保險も同様にやつていたと思います。しかしそれはわずかだと思います。
  51. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうものをやるということになると、要するにあなたの方の責任者油糧産業責任者との間に、取引が行われるわけなんですか。
  52. 松田丑之助

    松田証人 まあ取引と言いますか、そういう公団関係保險会社幹事役である安田代理店をやるということについて、あるいは公団の了承を得ただろうと思います。
  53. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことでなく、保險をつけるときには公団保險をつけるのですから、公団のものをつけさせましようということは、あなたの公団首脳部人たちと、油糧産業の者とで契約しなければならぬことになりますね。そうでなかつた保險がつきませんから……。
  54. 松田丑之助

    松田証人 その点は、油糧産業契約会社安田という保險会社との間には、確かに代理店契約が取結ばれていると思いますけれども公団油糧産業との間に保險関係契約というものがとりかわされているかどうか、ちよつと……。
  55. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 保險保險会社がつけますよ。代理業としてやるのは、油糧産業代理店として油糧公団と話をするのでしよう。
  56. 松田丑之助

    松田証人 代理店というのは安田火災代理店でございます。
  57. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もちろんそうですけれども代理店である油糧産業が、油糧公団品物保險をつけるのですから、その相手方になつていろいろ折衝するものは、油糧産業油糧公団でしよう。
  58. 松田丑之助

    松田証人 公団は、油糧産業という保險会社代理店を通じて、保險を申し込まれるわけであります。
  59. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ですから油糧公団に直接当るのは代理店なんでしよう。だから油糧産業油糧公団との間で取引が行われるでしよう。契約保險会社がつけますよ。
  60. 松田丑之助

    松田証人 そうでございます。
  61. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何によらず、すべてそういう仕事をするときには——要するに公団役職員株主であるその会社公団契約するということは、公団法に違反しておるとはあなた方はお考えにならなかつたのですか。
  62. 松田丑之助

    松田証人 それは先ほど申し上げましたように、この株を人に讓り渡すか、売らなければいかぬのじやないかということが……。
  63. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことは違法とは思わなかつたかということなんです。あなた方が初めから、油糧産業公団取引しなくちやならぬと思つているのが間違いなんだ。別にあなたをとつちめるつもりはないのですよ。そういうことをお考えにならなかつたかということなんです。
  64. 松田丑之助

    松田証人 それでやむを得ず名義を変更したのでありますけれども……。
  65. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 名義を変更したといつて実質上持つているのですからね。実質上持つていていいものなら、だれでもやりますよ。あなた方がそういうことを考えられなかつたというのは、まことに情ない。そのほか報奬用物資では、せつけんも全国一手に油糧産業に取扱わせたということですが、これはどうですか。
  66. 松田丑之助

    松田証人 私はその点よく存じませんけれども、取扱わせたというよりも、もしあれば、保管とか輸送をほかに委託したという意味だろうと思います。
  67. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今申し上げるようなことが、これはあやまちの起つた根本だと思います。先ほどあなたがおつしやつた問題が起こつたというのは、検察庁で起訴されたことだろうと思いますが……。
  68. 松田丑之助

    松田証人 さようであります。
  69. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今私の言つたことがもとで起こつたのではなかつたのですか。どんな事件で……。
  70. 松田丑之助

    松田証人 いや、そうではありませんので、今度の公団自体の問題ですから……。
  71. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは保險関係のことは……。
  72. 松田丑之助

    松田証人 その中に保險関係のことが一部ございます。
  73. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どんなことでしたか。
  74. 松田丑之助

    松田証人 何か未経過保險料関係らしいのです。
  75. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 保険を二重につけて、そして片方を取消して、その取消した金をとりもどして、別勘定にしておつた事件がありましたね。
  76. 松田丑之助

    松田証人 はい。
  77. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは今言うようなことであれば、当然できなければならぬ仕組みなつているから、それで起つたのではありませんか。それで初めからそういうことは悪いとは思わなかつたかと聞くのです。
  78. 松田丑之助

    松田証人 私の考え方では、そういうことがあとで発生したかもしれませんが、最初から、そういうつもりでやつているのではなかつたろうと思います。
  79. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはそうだろうけれども、そういうことが起り得る仕組みなつておつたから起つたのです。このようなことでいろいろ問題が起つてできたのですが、そういういわゆる不正な金を、俗に言う裏勘定として留保しておつた金の額は畿らであつたか、あなたは御存じありませんか。
  80. 松田丑之助

    松田証人 事件が起りましてから、検察庁調べそのほかいろいろなことを総合いたしまして、私の現在承知いたしておりますのは、積み立てたのが二千八百万円ございました。それから使つたのは大体二千二、三百万円程度、残が五百二十万円程度なつているように説明を受けております。
  81. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうわけで、このような裏勘定にしてやらなければならなかつたのですか。
  82. 松田丑之助

    松田証人 これは言い訳になりますけれども、私はこう考えているのであります。事のよしあしは別といたしまして、ちようど帝国油糧から公団に移りますときに、終戰後たしか昭和二十一年度は、かりに油で言いますと、二万七千トン程度需給関係を持つのでありますが、それが昭和二十二年には三万七千トンぐらいになつております。ちようど帝国油糧が廃止されて公団が設立されたときの国家計画が、経済復興五箇年計画準備年間に当つておりまして、大体国の計画として八万トンくらいを勘定に入れまして、ちようど帝国油糧のやつておりましたことが実質的にはそのまま公団に移されて、しかもそういう著しい油の確保、増量がそのときの至上命令というふうなことになつておりましたので、帝国油糧仕事よりもさらに煩雑になつて参りましたし、私的独占関係からいいまして、いろいろ今までの——たとえば油の販売先でも、一府県に一つの組合を相手にすればよかつた帝国油糧時代と違いまして、全国で收買販売合せて三千以上の相手先ができまして、いろいろな事務が輻湊いたして参りました。しかもそのときの給與というものが、帝国油糧から公団になりましたときに、約四割くらいの減少を来しました。それは設立委員会のときに——私は当事委員でなかつたのでありますが、その件について、いろいろ委員の方から発言があつたようであります。出席された当時の笹山次官さんが、あとで善処しようということになつておりましたが、その後善処がなかなかむずかしくてできませんで、そのうちにやはりどんどん仕事が進んで行くということで、適用された予算制度というものから、かなりいろいろの点に事業を遂行するのにむりが出て来て、やむを得ず、そういうはなはだ困つたことになつたというふうに聞いております。
  83. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この金は人件費だけではないようですな。
  84. 松田丑之助

    松田証人 私の聞いておるところでは人件費、それから会議費旅費備品費内訳はよく記憶しておりませんが、そういうふうにわかれておつたようであります。
  85. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いわゆる会議費であるとか、旅費であるとかいうようなものは、通常機密費というようにいわれるのですが、そういうものじやありませんか。
  86. 松田丑之助

    松田証人 そういうものでなくて——事情説明いたしますと、実はこういうことを具体的に聞かされてあれしたのです。たとえば大阪支部あたりの、九十人ばかりおります支部の一箇月の旅費が大体三万円。それで菜種の増産、そのほかいろいろ出張して事務を処理するのにはとても足りない。そういうところに補われたように聞いております。
  87. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今あなたのおつしやつた二千八百何十万ですが、これはどういうところからそういう数字が出て来たのですか。
  88. 松田丑之助

    松田証人 それの收入源でございますか。
  89. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや、これだけの裏勘定があつたという基礎が何かありますか。
  90. 松田丑之助

    松田証人 それはそういう勘定をつくつた財源等を合せますと、そういう数字になるように聞いております。
  91. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 財源言つたつて、それがあなたの方のいわゆる裏勘定なつておつたのですからね。別途留保金なつておつたのでしよう。
  92. 松田丑之助

    松田証人 はい。
  93. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かそういうものを合計でもしたのですか。
  94. 松田丑之助

    松田証人 それは検察庁起訴状の中に計上されている数字だそうであります。
  95. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 検察庁ではそうだが、あなたの方でもあつたのは確かにこれだけという何か確証でもありますか。
  96. 松田丑之助

    松田証人 それは経理の方で計算しますと、大体それに合うようであります。
  97. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何によつてどういう計算をしましたか。
  98. 松田丑之助

    松田証人 それは丹念に検察庁調べで、こういうところから、こういう金を入れたというふうな計算をしたようであります。
  99. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かこれに関する証拠書類はみな焼いたそうですね。
  100. 松田丑之助

    松田証人 焼いたということを私はよく存じておりませんけれども……。
  101. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 知らないですか。
  102. 松田丑之助

    松田証人 はい。
  103. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さようなことを今まで聞いたことはありませんか。
  104. 松田丑之助

    松田証人 何かこの間新聞で、焼いたということを言つたというふうに聞きましたですが、だれがどうしたということは、私存じておりません。
  105. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは御承知なかつたのですか。木村経理部長西川総裁の命によつて焼いたと言つているのですが……。そこで私が聞かんとするのは、検察庁で丹念にそろばんしてみたら、二千八百万円だと言われるのですが、それは基礎のない数字ですから、もつと言うてみれば、二千八百万円というのは、検察庁で現われたものが二千八百万円なんだが、はたしてどれだけであつたかという基礎があるか。それをあなたに聞いてみたいから言うのです。検察庁で現われたものが二千八百万円であつた。けれども証拠書類がないのですから、ただ現われたものだけが二千八百万円で、ほんとうのものがどうであつたか、われわれにはわからないのです。それで責任者であるあなたに対して、ほんとうのものはこれだけであるという、何か答えができるかどうかを伺いたい。
  106. 松田丑之助

    松田証人 それは私にもちよつとわからないのであります。私はその検察庁調べ数字を、正しい数字だというふうに解釈いたしております。
  107. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは検察庁に現われたものはそれだけでしよう。それは間違いないでしよう。けれども元がなくなつておるのだから、はたしてあるいはみなであるのか、その一部であるのかわからないのだ。それをあなたとして何か説明ができるかどうか。
  108. 松田丑之助

    松田証人 それは説明いたしがたいのであります。
  109. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 元帝国油糧に安部義香という方がおりましたね。
  110. 松田丑之助

    松田証人 はい。
  111. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この方は帝国油糧が閉鎖になると同時に、閉鎖機関においでになつたそうですが、その安部さんとあなたの公団との間にも問題があつて、それで事件になつたようですな。
  112. 松田丑之助

    松田証人 はあ。そういう事件が今度の起訴の中に一つ含まれておるようであります。
  113. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがこの安部さんは、油糧産業の顧問という名前で、月三万円ずつか手当をもらつておられたようですな。
  114. 松田丑之助

    松田証人 そのことにつきまして、安部さんが油糧産業の顧問と申しますか、相談役と申しますか、そういうことをしておられたということは知つておりましたが、給與そのほかについては、私はよくわかりません。
  115. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうして安部さんは油糧産業の顧問になられたのですか。
  116. 松田丑之助

    松田証人 それは私の考え方では、帝国油糧から閉鎖機関の仕事を当時委任されてやつてつた。そして一緒にずつとやつて来た人だから、油糧産業の相談役にしたのじやないかというふうに考えております。その点は私どもがどうこう言うあれはなかろうかと思います。
  117. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 われわれが見ますと、率直に言いますと、公団と安部さんの間にそういうおかしなことをやつてつた。その埋め合せに、油糧産業から優遇方法として、そういうようにやつたものと見るよりほかはないのですが、そうではないのですか。
  118. 松田丑之助

    松田証人 それは見方はいろいろございましようけれども……。
  119. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 われわれはそう見るが、あなたはそうでにたいと言うなら、その理由を承りたいと思う。実際においては油糧産業は何もやつていやしないのですから……。
  120. 松田丑之助

    松田証人 私はやはりその見方は、これはいろいろ主観ですから、何とも申し上げにくいと思いますが……。
  121. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではどういうわけで、閉鎖機関におる人を顧問にしなければならぬ特別の理由があつたのですか。
  122. 松田丑之助

    松田証人 それはやはり帝国油糧時代に一緒になつていたからという動機じやないかと思いますが……。
  123. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それ以上言つたつてしようがない——あなたの方でお扱いになつた大豆について、大豆の販売価格のうちに、大豆増産奨励費というものを含んで大豆の価格をきめてあつたというのですが、それは間違いありませんか。
  124. 松田丑之助

    松田証人 それは承知いたしております。
  125. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうわけできめておられましたか。
  126. 松田丑之助

    松田証人 たしかあれは昭和二十一年から、そういうふうなものが実施されたように覚えております。それで額はそのときで多少ずつ違うようでありますが、最近は二円であり、その前はたしか六円です。その前は四円五銭程度のことがあつたように覚えております。
  127. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六円十五銭ですか。
  128. 松田丑之助

    松田証人 六円くらいが最高でありまして、最低はたしか二円のように考えております。
  129. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう関係でそういうことになつたのですか。
  130. 松田丑之助

    松田証人 それは実は昭和二十一年から、そういうふうなものが実施されましたについて、多少事情を申し上げなければいけないと思いますが、御承知通り昭和二十年までは滿州から約九十七万トン程度の豆が入りまして、日本の蛋白なり、油脂の資源に充当いたしておつたわけであります。ちようど終戰から全然そういう輸入が杜絶いたしました。そこで内地の大豆を増産しなければいけない。そうして以前輸入されたもののカバーをやらなければいけないという、国産油脂の増産の機運が非常に高まつて参りましたのと、事実国民の栄養を補充して行くのに、そういう必要が出て参つたわけであります。そういうことで、昭和二十一年からその公定価格の中に、大豆の増産の費用を見込んで行く、こういう制度が始まつた記憶しております。
  131. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうしてあなたの方へ代金が入りますと、それをどうするのですか。
  132. 松田丑之助

    松田証人 入りますと、私の記憶では、初めはその入りましたうちから、当時の帝国油糧が集荷しておりました、あるいはみずから増産をしておりました増産の費用に一部を使い、それから大豆協会というものが、そういう要請に従つて、たしか二十一年の三月ごろに発足したと思いますが、それの行う大豆の増産の事業に、それの一部を出しておつたよう考えております。最近では公定価格の構成の中に、大豆増産奨励金という項目でではなくて、大豆協会の事業費用だというふうな名目までついて、これが大豆協会の方へ支出されておつたよう記憶いたしております。
  133. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、あなたの方でこれを受取られると、これはあなたの方の收入なんですか。それとも大豆協会のものを預かつておるのですか。それはどつちですか。
  134. 松田丑之助

    松田証人 最近のものにつきましては、私どもは物価の立て方の中に、そういう国のいろいろ予算の都合で、あるいは予算化ができないという場合に、やはり大豆は増産しなければいけないのだということから、これはむしろ役所の問題かもしれないのですが、役所でそういうふうにせられたものについて、公団といたしましては販売の都度、物価の構成のうちのものでありますから、一般公団の收入とは、おのずから別だという処理をいたしておるわけであります。
  135. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 別というのはどういうことなんです。
  136. 松田丑之助

    松田証人 将来大豆協会へ拂うべき性質の金、いわば預かり金と言いますか、そういう性質の金だというふうに私は考えております。
  137. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そう初めから考えておつたのですね。
  138. 松田丑之助

    松田証人 そうでございます。
  139. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすれば、入つて来たらすぐ渡さなければならぬのですね。
  140. 松田丑之助

    松田証人 私も事務的なことはよく存じませんが、何か大豆協会からは事業計画が出まして、公団がその事業計画に従つて金を拂いますときには、一応役所の許可を得まして拂うのだそうであります。だから許可を得て拂いますまでの間は、一般收入とは別に、将来拂うべき金として整理をしておりました。
  141. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 価格を定めるときには、そういうふうになつておるから別ですが、しかし代金としてとつておることだけは間違いありませんね。
  142. 松田丑之助

    松田証人 価格構成上そうなつておりますから、公団が大豆を販売をする都度、公団にそれが入金することは確かであります。
  143. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 たとえば米の値段にしても、生産費が畿ら、肥料代が畿ら、たわら代が幾ら、こう言いましても、たわら代は別にしてありません、入つて来るのは米代金として入つて来るのでありますから……。
  144. 松田丑之助

    松田証人 そうであります。公団が豆を販売いたしましたときに、販売代金の中に、そういうものがその都度入つておるわけです。
  145. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 売買代金であることは間違いありませんね。
  146. 松田丑之助

    松田証人 代金の中にそういうものが入つておるわけであります。
  147. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 代金をきめる小わけとして、そういうものがあるのでしよう。
  148. 松田丑之助

    松田証人 そうでございます。
  149. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 合計して豆代金でしよう。
  150. 松田丑之助

    松田証人 そうです。
  151. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこが、あなた方がはつきりしておらないと困るのです。
  152. 松田丑之助

    松田証人 その点ははつきりしております。
  153. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 はつきりしておれば、公団法第十九條によりまして、これはすべて国庫に入つて行かなければならぬ売上代金であります。この政令の第一番に売上收入、手数料、利子收入と書いてありますから、売上收入として、まず国庫へ持つて行かなければならぬ。豆増産のために大豆協会にやるのだというので、さらに国庫からもらつて来るならよろしいのだが、それをあなたの方で、そうだといつて別途に持つておることがはなはだ不可解千万である。その点はどう思つておりますか。
  154. 松田丑之助

    松田証人 その点は先ほど申しましたように、物価をつくる際に、特にそういう名目を付してまで、計上された大豆の増産費でありますので、これは公団が、そこに書いてありますような一般の売上代金と支拂いと相殺して、国庫へ納めるべき余剰金として処理すべきものではない、というような考え方でおつたのであります。
  155. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それが売上代金であることは間違いがないのですから、国庫へ納めて、そのかわり大豆協会に出すべき金が入つて来るのですから、そう言つてもらつて来る……。
  156. 松田丑之助

    松田証人 国の予算化の問題が円滑に進めば、そういうことになるかもしれませんが、少くとも物価庁から、これは大豆増産費だということで組まれておるわけでありますから、公団としては、一般売上代金の中に入つておるからということで、これは売上代金なのですといつて、片一方へ支拂わないというわけに行かないのではないかと思います。
  157. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうあなたはおつしやるが、現に会計検査院でその点を突かれておるのじやありませんか。
  158. 松田丑之助

    松田証人 そこの点を会計検査院であれがありまして、役所といろいろ御連絡があつたようであります。
  159. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうでしよう。これは法律上当然なわけです。
  160. 松田丑之助

    松田証人 役所の方の御説明としては、予算化がなかなかむずかしい。大豆増産の予算は引続いて出して、国会で相談されておるが、なかなかむずかしい、何か便法としてこういうことをやつておるのだという御説明が検査院の方へありまして、検査院としても、そういうことでお済ましになつたということを聞いております。
  161. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、今あなたは預かつておるのだと言われたが、預かつておるものなら、大豆協会なら大豆協会に、すぐ渡さなければなりませんね。
  162. 松田丑之助

    松田証人 それは大豆協会の事業計画に従つて、役所の許可を得て、大豆協会に拂うという順序になつております。
  163. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは預かつた金なら、向うへもどすのがあたりまえだ。どうしてその預かつたものでまかなえるのですか。預かりものなら、返さなければおかしいでしよう。
  164. 松田丑之助

    松田証人 預かつたものをお支拂いするときには、役所の許可を得てやつております。
  165. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大豆協会そのものが、役所の許可を得て、予算を組んで出したのなら何だけれども、預かつておる人間が何も役所の許可を得て……。
  166. 松田丑之助

    松田証人 それは公定価格の中には、大豆協会の増産費用として入つておるようでありますけれども公団が支出するときには、やはり役所に申請をして、許可を得て大豆協会へ拂つている。
  167. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうとすれば、預かつた金じやない。
  168. 松田丑之助

    松田証人 しかしそれは、いわば條件づきでお預かりしたということであります。
  169. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんな説明できますか。大豆協会の金を預かつたのなら、預け人に渡さなければならない。預け人から役所へ、このように使いますという許可を受けるならいいが、それをあなたの方で預かつていてやるというのは……。それをしかもあなたのいわゆる預かり金とかでなく、得意先前受金という勘定で、あなたの会計に留保しておられる。それはどういうわけなのだ。ますますどうも不可解だ。
  170. 松田丑之助

    松田証人 勘定科目につきましては——勘定科目というものは、極端に言いますと便宜的な科目だと思うのであります。しかしものの考え方として、初めからそういう性格で預かつておる金だという感じで、みな取扱つてつたのであります。
  171. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 得意先前受金などというものがあるべきはずはない。
  172. 松田丑之助

    松田証人 だから、便宜そういう勘定科目を使つたのじやないかと思つております。これはいわば勘定科目の保留金だというふうに考えております。
  173. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いわゆる裏勘定なつておるのでしよう。
  174. 松田丑之助

    松田証人 その点は、私はどこまでもそうでないと思います。
  175. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで今あなたが大豆協会の金を預かつたとおつしやる、その大豆協会というものはどういうものですか。どういう人がどうしてこしらえたのですか。
  176. 松田丑之助

    松田証人 大豆協会に先ほど申し上げましたような必要、要請によつてでき上つたものでありますが、私の記憶しております会長は、たしか今で三代だと思います。初代は杉山さんであり、二代目は正田さん、三代目が和田さん、それで国産大豆の増産の事業をやるのが、協会の目的のように承知いたしております。
  177. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 会長は和田氏、それはわかりますが、実際の仕事をやつてつたのはだれでした。
  178. 松田丑之助

    松田証人 公団西川英三氏、それから野村君が実際の仕事をやつておりました。
  179. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 野村というのはあなたの公団の大豆部長ですね。
  180. 松田丑之助

    松田証人 そうです。
  181. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからさらにその下で門田というのは。
  182. 松田丑之助

    松田証人 それはたしか大豆部次長だと思います。
  183. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その人が事務局長という名前でやつてつたそうですね。
  184. 松田丑之助

    松田証人 はい。
  185. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのほかに仕事をしておつた者はだれもおらぬそうですね。
  186. 松田丑之助

    松田証人 大体最近の大豆協会というのは——昭和二十二年ごろの一番大豆を増産しなければいけない時期に、たとえば油かすとか、みそとかの統制機関が閉鎖機関になりまして、一時財政的にそういうものを維持して行くのがむずかしいような時代があつたものですから、そういうときに私は、当時公団が労力を提供して行つて、財政的な困難の時代だけを救うからという話は聞いたことがあります。
  187. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 理由はどうあろうと、とにかく公団の首脳者が大豆協会の首脳者であることだけは間違いありませんな。会長だけは別でしようが。
  188. 松田丑之助

    松田証人 はい。
  189. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 西川、野村、門田というのはみな公団の現職の首脳部でしよう。
  190. 松田丑之助

    松田証人 はい。
  191. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その人が大豆協会の首脳部ですね。そして事務員は一人だけおるという話だが……。それであなたの方で、得意先前受勘定として留保しておられるとすれば、それはやはり大豆協会と会計は別になつておると説明できますか。
  192. 松田丑之助

    松田証人 それは私はできると確信いたしております。ただ今お話のありますように、大豆協会の首脳部公団首脳部と一緒じやないかという感じを與えて、そこで何かあるように思われるという形は、いろいろ事情があつてつたことでありまして、形はそういうふうな疑いを受けるような形かもしれませんけれども実質はきれいにやつておるように聞いております。私は大豆協会というものについて、よくに存じませんけれども、まあはしはしを聞いて見ましても、たとえば公団から出ておる役員は、何か去年の暮れの多少出したものについても、そういうものにはあずからなかつたということまで、きれいにやつておるように思います。
  193. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことより、今言う別人格であるならば、預かり金だから、きちつと向うへやつて向うで解決させているのならばいい。首脳部が同じ人間が預かつて、会計で持つているといつても、あなたの方で得意先前受金として留保するといえば、きれいにやつておるかしらぬが、世間で見れば、やろうと思えば、どういうこともできる仕組みなつている。
  194. 松田丑之助

    松田証人 そういう多少疑いを受けるかつこうにできているということは、私は遺憾に感じますけれども、私の知つている範囲では、きれいにやつているものだというふうに確信しております。
  195. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あと大豆協会の会計のことや、こまかいことは、お話を聞けばわかりましようが、あなたはそこまでおわかりでないでしようから……。会計はあなたの言われるように、きれいなものになつておりません。通常会費として集まつたものは帳簿があるが、ほかの特別のものは帳簿も何もない。そうして大金が横にまわつている。いろいろな方面にまわつている。しかし私の言うことに、もしそういう事実はないとおつしやるならば、あなたから理由をお聞きしたい。そういう事実がここに現われておるが、そういうこまかいことに御承知ないですか。
  196. 松田丑之助

    松田証人 承知いたしておりません。
  197. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その次に分解硬化用油脂価格差金というものがあつたですね。これはどういう性質のものですか。
  198. 松田丑之助

    松田証人 私の知つております範囲では、分解硬化油、石けん硬油、これは統制の始まる以前においては、メーカーから直接買つていたのが習慣なのでございます。統制が始まりましてから、そういう習慣で、引続いて統制機関から直接売つてつたわけなのです。ところが昭和二十三年になりまして、石けんの製造業者に、企業許可の撤廃の関係ですか、小さい方がたくさん出て参りまして、そこで大きい人と小さい人とを、どうするかという問題になつて来たわけであります。たしか三十トン以上の人は直接買つて、三十トン以下の人は配給業者を通じて買うということになつておつたのですが、それでは石けんなり、食用硬化油の原価に、大きい人が得をして、不公平だというようなことになりましたので、まあ製造業者の原価をそろえるという意味で、公団から直接売る話が持ち上つた。これに対して大きな石けん業者の方々から、いろいろ反対があつたわけであります。たしかそれは公団がきめるべき問題じやなくて、当局がやはりきめるべき問題だということで、当局ヘそういう相談をいたしたのであります。これはやはり原価をそろえるために、そうすればいいだろうという当局の話もありましたが、製造業者の方から言えば、それは自分らが本年は安い物をもらはずなのだが、原価をそろえるという意味で、そうするならやむを得ぬけれども、本来から言えば、自分らが取得すべきマージン、値段なのだから、それは油脂産業の興隆、いわば内地大豆の増産そのほかに使つてくれという希望がるるありまして、大きなメーカーから言えば、公団が直売する場合は、これはわしらが寄付したものだという感じを持つてつたわけです。役所にもその旨をよく話しまして、そういうものを積み立てたようであります。
  199. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 畿らこれはやりましたか。
  200. 松田丑之助

    松田証人 私の聞かされている範囲では、昭和二十三年に、向うから言いますと寄付だというふうに言われる額が、たしか四千八、九百万円あつたのではないかと思います。
  201. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二十三年度においてですね。
  202. 松田丑之助

    松田証人 二十三年度のたしか第一・四半期の、工業用か何かの食用油等から出て来るものであります。
  203. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二十四年度になつてからは……。
  204. 松田丑之助

    松田証人 二十三年度にはそういうものと、それからそれとは性格が違いまして、物価庁が指示するようで積み立てておけというものの二つにわかれているようであります。だから性格が全然別でありまして、いわば大口消費者から寄付されて、それが増産等に使われるものと、寄付じやなくて、物価庁の命令で将来何かに使うために積み立てるということになつているのと、性格としては二つありまして、この二つを混同してはいけないのではないかと考えます。
  205. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 両方合せて四千九百万円ですか。
  206. 松田丑之助

    松田証人 それは最初の寄付の性格になるのが四千九百万円で、片一方は二千万円か二千四、五百万円だつたろうと思います。
  207. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 とにかく二十三年度中に入つたのは、六千九百万円ほどでしよう。
  208. 松田丑之助

    松田証人 大体そうでございます。
  209. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのうち二千万円というのはどういうのですか。
  210. 松田丑之助

    松田証人 これは私の説明がまずいかもしれませんが、最初の四千九百万円は、いわば大きなところから言えば寄付的なものでありますね。それが一応あつたわけです。その後大きな分解業者から、あれはああいうふうにして、いわば寄付のような感じで、公団の直売価格でそれだけ高く買つたが、しかし最近の金融事情から行きますと、やはり問屋を使うことの方が便利だという申出があつたわけです。役所とも何か打合せをしたようでありますが、それはやはり問屋を通じないということは言えないだろうから、問屋を通じて売るよりしかたがないだろう、しかし問屋というか、販売業者というものは、やはり全部の仕事にタツチしないわけですから、その若干の手数料を加えて、高く売つたらいいだろうということになりまして、物価庁がたしか例外許可をしまして、そのかわり公団でそれを積み立てろという命令のついたやつが別にあるわけであります。それがたしか二千二百万円あるはずであります。
  211. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんなことを物価庁に行つて、よく許してくれたものですな。はなはだふしぎなことだ。そういう特別のものがあつたのだね。そこでこれは先ほど大豆の奨励費のところで聞いたと同じことですが、あなた方はほんとうに寄付してもらつたものと思つておりましたか。
  212. 松田丑之助

    松田証人 それは性格は大口消費者から言えば寄付したつもりでいるでしようが、公団といたしましては、そういう大口消費者の意思を尊重いたしまして、使い方については油脂の増産なりそういうことに使うべきだ。しかし公団といたしましては油脂の増産に使うといたしましても、代業務としてそれをやつていいかどうかの問題もありますので……。
  213. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それに拂つた者から言うと、何も公団はそんな金をもうけぬでもいいじやないかと思うかもしれないが、あなた方が受取つたのは代金として受取つたのでしよう。
  214. 松田丑之助

    松田証人 そうです。
  215. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それをあなたは、向うが寄付したつもりだと言うが、あなたは寄付をもらつたつもりで受取つておりましたか。代金としてですか。
  216. 松田丑之助

    松田証人 もちろん代金です。しかし性格は、きわめて卑近に言えば、そういう性格のものであつたわけであります。
  217. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 代金であることには間違いないのだろう。
  218. 松田丑之助

    松田証人 そうでございます。
  219. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすれば、先ほど大豆のときに言つたと同じように、代金であれば、公団法に基いて当然国庫に入れなければならぬ。
  220. 松田丑之助

    松田証人 大豆と同じような問題がやはり生ずるだろうと思います。
  221. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが、これもまた得意先前受金として別勘定に保有しておりましたね。
  222. 松田丑之助

    松田証人 それは大豆のときにも申し上げましたように、一般の收入とはおのずから別で、公団の收入と一緒にすべきものではないというふうに考えておつたのだろうと思います。
  223. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大豆のときには、大豆協会の預かり金だというあなたの説明があつたが、だれの預かり金ですか。
  224. 松田丑之助

    松田証人 これは油脂の増強に使うべき金として預かつておりました。
  225. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれから預かつていたのですか。国家からですか、だれからですか。
  226. 松田丑之助

    松田証人 それは事柄の経過なり趣旨から言えば、大口消費者から預かつていると言えると思います。
  227. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたはほんとうにそう思つておりますか。
  228. 松田丑之助

    松田証人 形にそうだろうと思います。
  229. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたほんとうにそう思つているのですか。だから寄付金だなんて言うが、そういう観念がありますが、油の代金としてとつているのじやありませんか。
  230. 松田丑之助

    松田証人 それはそうなんです。
  231. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その代金の一部はだれに預からせたのですか。預かつたと言うからには、預け主があるでしよう。     〔「委員長そう興奮するな」と呼び、その他発言する者多し〕
  232. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは何もわからぬ人が言うのなら別ですが、あなたともあろう人がそんなことを言つても、世間が許しませんよ。(「お説教はよせ、事実だけを調べればいい」と呼ぶ者あり)しかもそれを得意先前受金として留保したのはどういうわけですか。
  233. 松田丑之助

    松田証人 経理のことについては私は詳しくわかりません。     〔発言する者多し〕
  234. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 静かに願います。——ところがそういうふうに留保しておいて、その後これを油脂資源出荷奨励費として使うことになつたそうですね。
  235. 松田丑之助

    松田証人 その点は公団がこれを使うことについて、やはり役所の方の了承もいりますので、いろいろ使う計画を立てまして、役所の方の御了解を得たのでございます。
  236. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれにそういうことを相談しましたか。
  237. 松田丑之助

    松田証人 その衝に当りましたのは、たしか当時の北山総裁室長だと思います。これはたしか油脂課長、その他の関係先へ交渉したと思いますが……。
  238. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こういう公団の売掛代金であることが明白なものを、そうやすやすとわれわれはあなたの方でかつてに使うことを許せるわけのものではないと思うが、これは普通たんたんとして許されたものですか。
  239. 松田丑之助

    松田証人 役所がそれを許すのに、どういう解釈をしたかという問題は残るだろうと思いますけれども公団といたしましては、役所の態度ということじやなくて、やはり役所の許可を得て使えば、それで一応公団としてはいいじやないかというふうに考えておつたのであります。
  240. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か先ほどの何と同じことで、会計検査院からやつぱり問題が起きておるようですね。
  241. 松田丑之助

    松田証人 私は会計検査院の問題は、大豆の奨励金については聞いておりますけれども、その問題について検査院で問題になつたということは、ちよつと聞き漏らしております。
  242. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはなんですか、農林省だけの許可を得られたのですか、経済安定本部の許可は得られましたか。
  243. 松田丑之助

    松田証人 その点は私が交渉したのでありませんで、北山総裁室長が交渉しましたので、その交渉の範囲はよく私存じておりませんけれども、大体必要な範囲において交渉はしたものだと思つております。
  244. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 安本の許可を得たかどうか知りませんね。
  245. 松田丑之助

    松田証人 今のところちよつとはつきり申し上げられません。
  246. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがきのう北山さんが出ましてね。これは北山でなければ、ほかにそういうことがわかる人はないというので、きのう出てもらつたところが、どうも私は初めの間やりましたが、あとは私かわりまして、やりませんと言うのですよ。
  247. 松田丑之助

    松田証人 だれにかわつたのですか。
  248. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 みんなそう言うのだ、おれじやない、おれじやないと言うのですが、北山でしよう。これをやつたのは……。
  249. 松田丑之助

    松田証人 大体北山氏におやり願つたように思つております。
  250. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで先ほどから私にいろいろ困るような点を申したのですが、今日あなたとしては、そういうことは別にさしつかえないことだと今でも思つておいでですか。それともこれにやり方がまずかつたと思われる点がありますか。
  251. 松田丑之助

    松田証人 今までのお尋ねの件につきまして、この大口分解用のものと、大豆増産奨励金の二件、これは予算化のできなかつたために、何かこういう便法をやつたことについて、いろいろ問題はあるかもしれませんけれども公団としてはこうするよりいたし方なかつたというふうに考えております。それから公団——先ほどもちよつとお触れになりました起訴されております問題につきましては、これは理由のいかんを問いませず、いろいろ各方面に御迷惑をかけ、はなはだ申訳ない、遺憾だと考えております。
  252. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それよりわれわれ知りたいのは、ほんとうにそうやつて裏勘定にして留保しておられた金が、はたしてこれだけであるということの確証を得たいのだ。これについてはどうですか。あなたとして……。
  253. 松田丑之助

    松田証人 私は検察庁以上のものがあるような気がいたしておらぬのですが……。
  254. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ないと確証できますか、それでは。
  255. 松田丑之助

    松田証人 ないと確信しております。
  256. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 確信はそうだろうか知らぬが、われわれにこの通りだからないと言えますか、第一に問題は帳簿を焼いたこと、これはどうです。あなたが知らぬと言われればどうか知らぬが、副総裁の命令によつて経理部長が焼いたのですよ。まことにどうもゆゆしい問題だと私は思うのですが、あなたは総裁としてどうお考えになるか、別にお考えありませんか。
  257. 松田丑之助

    松田証人 私は今申し上げましたように、今度の刑事事件になつた問題につきましては、責任者として、はなはだ申訳ないと思つておりますし、あとの問題につきましては、これは予算化の問題と関連のある問題でありますから、今までの問題はかなり不充分なところがありますが、将来必要なものについては、いい方向に、ひとつ何と言いますか、切りかえできるようになれば、仕合せだと思つております。
  258. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その帳簿を焼いたことについては……。
  259. 松田丑之助

    松田証人 そのことについては私はよく聞いておりませんが……。
  260. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 お答えなければやむを得ないでしよう。  それでは高木君。
  261. 高木松吉

    ○高木(松)委員 私どもは検事局でないから、犯罪が成立するとか、しないとかいうことを聞くのじやありませんから、そのつもりでお答え願いたい。一体あなたは公団役職員として、だれに対して自分の責任を負うものであるとお考えですか。そしてだれの利益のために働くべきものであるというお考えですか。
  262. 松田丑之助

    松田証人 失礼でございますが、最初の御質問は責任はだれかとおつしやいますか。
  263. 高木松吉

    ○高木(松)委員 だれに対して責任を負い、だれの利益のために働くべきものだということを考えておられるかということです。
  264. 松田丑之助

    松田証人 私はやはり公務員として、国民に対して奉仕すべきだ、こういうふうに考えております。
  265. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういう考えで、ただいままで申し述べた事実を行つて来たのですか。
  266. 松田丑之助

    松田証人 私はそのつもりでおります。
  267. 高木松吉

    ○高木(松)委員 私どもはあなたから聞くと、その考えとは別で、あなたの持つておる徒党のために利益をはかろうとして、強弁せられておるように私に聞えるのだが、あなたはそういう気持でお話になつておるのじやありませんか。
  268. 松田丑之助

    松田証人 私の話がまずいために、そういう感じをお持ち願うのははなはだ残念でありますが、私はそういう気持は毛頭ございません。
  269. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それじや先ほど委員長に、あなたは責任を感じてやめたということを言われたが、いかなる責任を感じてやめられたか、その感じた内容をはつきり言つてください。
  270. 松田丑之助

    松田証人 今度公団に起りました刑事事件の当初から、私はやはり徳義的な責任と、監督上の責任を痛感いたしまして、そうしてやめたいということをあらかじめ申し上げておつたのでありますが、しかし突然やめましても、公団業務は一日もゆるがせにするわけにも参りませんし、あるいはまた役所が後任の適任者をお選びになるにも、それ相当時日がかかるのがわかつておりますので、それまで現職にとどまつてやれという指示に従いまして、九月九日までやつておりました。
  271. 高木松吉

    ○高木(松)委員 わかりました。そこでその責任の内容についてはつきりさせておきたいのだが、今あなたがお話したことは、私にははつきりわからない。この公団運営を国民の利益の上に立つてやらなかつたということが、徳義上の責任なつておるのですか。
  272. 松田丑之助

    松田証人 私はまあ言えば、はなはだ弁明がましいことを申し上げますが、公団運営は、大体御箇年計画の前年度の八万トンという数字を完遂できたということで、大体公団としての業務上の責任は一応果たしたのではないかというふうに考えておりますが、しかしその果すのについて、刑事問題を起したということについて、道義的な強い責任を感じておつたのであります。
  273. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたの責任の前提となる今の五箇年計画は、それを限度としてやればいいので、それ以上やることはないというような考えですか。
  274. 松田丑之助

    松田証人 そうじやないと思うのです。多々ますます弁ずでありますが、最小限度の国家計画を果し得たということで、一応の責任らしい責任は、多少でも果し得たのではないかというふうに考えております。
  275. 高木松吉

    ○高木(松)委員 私はあなたの責任感によつては、詳細のことを聞かずに引下ろうと思つたのだが、そういう責任感であるならば、内容に移つてあなたの責任のあるところをはつきりさせたいと思うので、これからこまかく聞きます。油糧産業株式会社、この問題をひとつ取上げるが、この油糧産業株式会社というものは、公団のできる数箇月前に、将来公団ができるであろうという予定のもとにつくられたことは、あなた御承知ですか。
  276. 松田丑之助

    松田証人 それは先ほど申し上げましたように、在郷軍人関係そのほかで、公団へ行けない人、あるいは役人になるのをいやがる人で、初めつくられたわけでありますから、そういうふうな考え方が入つているということはわかつております。
  277. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それから、この会社の株は、先ほどもお話になつたように、公団人たちが持つておられますが、二、三の人がここで証言するところによると、株金を支拂わずに頂戴したと言つているが、その内容はあなた御承知でありますか。
  278. 松田丑之助

    松田証人 それは私公団におりますので、そういう内容は存知ませんが、初めは出資したということを存じております。
  279. 高木松吉

    ○高木(松)委員 初めはというのは、どういう過程において、初めはという言葉をお使いになるのです。
  280. 松田丑之助

    松田証人 創立のとき、会社のできたときという意味であります。
  281. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、増資の株はただでもらつたという関係になりますか。
  282. 松田丑之助

    松田証人 その辺の関係は、私よく存じません。
  283. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それでは、初めだけてなく、あとのこともわからないですね。
  284. 松田丑之助

    松田証人 まあそういうことかもしれません。
  285. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこで国民が一番疑惑を持つて見るのは、公団法にもありますし、あとでできた公務員法にもありますが、先ほど委員長からずいぶんあなたにお尋ねになつたが、こういう会社取引をしておれば——取引は利害相対立するものです。一方給付を與えれば、一方代価を與えるという利害相反するもので、対立しておる。もし公団の利益をはかろうとすれば、油糧産業の不利益をはからなければならぬ。油糧産業の利益をはかろうとすれば、公団の不利益をはからなければならぬという結果になりますね。商取引の上から……。こういうことをあなたが総裁としてやらして、とめもしなければ、注意もしないでおいたということについての、あなたの考え方は那辺にあつたのです。
  286. 松田丑之助

    松田証人 その辺私はこの公団をやり、統制機関をやる以前には、実は実業の面におつたわけでありますから、私のそういうおい立ちから来る感じで申しますと、両方の取引が、少くとも片一方が利益であれば、片一方は必ず損だというふうには考えておらなかつたわけです。たとえば輸送にしましても、油糧産業もあり、またほかの会社もあつて、そのうちで安いところにやらせれば、公団は利益になる。その安いところが油糧産業でなければ、油糧産業はやつてないだろう、その安いところが……。
  287. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういうものの説明を聞こうとするものではない。要するに表面に現われた形式上の問題は、一方は公団であり、一方は油糧産業であるという表面形式上の形を整えて、利害関係がうしろでつながつている人たち取引させるということが、国民として納得できますか。それができないために、公務員法もできれば、公団法にも特別な規定があるのに、総裁としてこの点に対する考え方は、どういう考え方をお持ちになつておつたか、それを聞きたい。
  288. 松田丑之助

    松田証人 だから先ほどお話になりました損得の話はいけないかもしれませんが……。
  289. 高木松吉

    ○高木(松)委員 いや損得よりかも、国民が受ける考え方です。国民がどう受けるか。そういうことをやつてつて不明朗の状態において、公団運営をすることがあなたとしてどういう考え方であるるのか、その考え方の内容を聞きたい。
  290. 松田丑之助

    松田証人 むずかしい御質問ですが……。     〔「うまく答えようとするからむずかしいのだ」と呼ぶ者あり〕
  291. 高木松吉

    ○高木(松)委員 むずかしくないのです、あなたは総裁ですから、まじめに答えてください。
  292. 松田丑之助

    松田証人 私は率直にお答えいたしますが、公団油糧産業を使う上について、公団を犠牲にしなければ、油糧産業を使つて別に矛盾はないというふうな考え方でおつたわけです。あるいはその考え方についていろいろ批判があるかもしれませんが、私は正直にさように考えております。
  293. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その当時はですね。しかし今はどうですか。こういう問題になつて、国民から疑惑の目をもつて見られるそういう状態になつておることに対して、不正があるのじやなかろうかと思われるような仕組みのことを、あなたがそのまま是認して今日まで来たことに対する、あなたの考え方に今日どうですか。
  294. 松田丑之助

    松田証人 私はそういう考え方でおりましたが、最近のいろいろな事情を思い合せてみて、必ずしも私の考えたようには行かなかつたのじやないかというふうには考えております。
  295. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それではいま一つつつ込んでお尋ねいたしますが、公団法には、公団役職員公団取引する会社と利害関係を結んではいかぬという何條かの規定がありますね。あなたはあの精神をどう御解釈になつておるのですか。
  296. 松田丑之助

    松田証人 あれはその條文の通り解釈いたしております。
  297. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その條文通りに解釈したら、あなたが今お話になるような結論は出て来ませんね。
  298. 松田丑之助

    松田証人 ただ株を持つということにつきましては、先ほど委員長にも申し上げたような事情で、ほかへ讓り渡しその他ができなかつたものであるというふうに考えております。
  299. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたの答えようとするところは、私の聞こうとするところではないのです。何ぼあなたと押し問答して、あなたからそれをしぼつてみたところで、出ないとすればしかたがない。それから本村君が裏口勘定公団の金をごまかして二千二百八十万円か積んでおきましたね。この金を役職員に分配し、宴会費に使い、旅費に使う、その事実は御承知ですか。
  300. 松田丑之助

    松田証人 事件が始まりまして逐次承知いたしました。
  301. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこであなた自身はその金から分配を受けておりませんか。
  302. 松田丑之助

    松田証人 このことははつきり申し上げますが、一銭たりとも私は受けておりません。
  303. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それはあたりまえのことですからはつきりするでしよう。宴会費の方はどうです。
  304. 松田丑之助

    松田証人 私は実はあまり宴会に出ておりませんけれども、宴会費は会議に伴う弁当程度のものであろうというふうに……。
  305. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういう程度のものは使つておりますね。あなたが入つて使つておりますね。
  306. 松田丑之助

    松田証人 そういう会議には私もときどき出たことがあります。
  307. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それは使つておるということになりますな。
  308. 松田丑之助

    松田証人 まあそういうことになります。
  309. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それからあなたは、先ほどからまつたく堂々たる論陣を張つてどもを納得させようとする。豆の増産、なるほど御議論ごもつともで感心しましたが、一体それほど重大な仕事であるとするならば、事務員一人で、あと公団人たちが二枚鑑札で、そういう重大な仕事ができるという確信のもとに、そういう運営をされたのですか。
  310. 松田丑之助

    松田証人 私が大豆協会固有の運営をやつたわけでありませんので……。私は大豆協会の財政的にむずかしいときには、公団職員をお手伝いに差上げれば大体できるのじやないか、但しそれは財政的な立上りとともに、おのずから別の事務局ができ上るものだというように考えておりました。
  311. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたの下僚の西川君や本村君その他の人たちが嘱託名義で行つておりますね。そうするとあなた自身は、先ほど言うような重大使命を持つてこれをやろうとしたのだから、その人たちから詳細の報告を受けているはずですね。その報告に基いてどういう考えをお持ちになつたかということなのです。
  312. 松田丑之助

    松田証人 詳細の報告というほどのものは受けておらないわけですが、それは先ほども申し上げましたように、西川総裁という人の力に信頼をして、そういう公団関係のこともすべておまかせしてあるわけですから……。
  313. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこで総裁として、公団本部、支部といいますか、これらが組織的に大豆協会のの仕事をやつておられるようですが、それを全部やらせることをあなたは承認いたしましたか。
  314. 松田丑之助

    松田証人 特別にむずかしい承認をとりに来たような記憶はございませんけれども……。
  315. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたがもしわかつていなければ教えてあげますが、それはあの三人が嘱託であつて、あなたの方の職員でないものは女の給仕一人なのです。そうしてあとは全部東京も地方も、いわゆる本部、支部の流れをそのまま使つております。そういう事実をあなたはお知りになりませんか。私の方で調べたところでは、そういうふうになつているのです。そこで少くとも総裁である以上は、その事実は百も承知であろうと思う。それに対するあなたの当時の考え方を述べてもらいたい。
  316. 松田丑之助

    松田証人 うかつでありますが、今お教え願つたそういうことは、よく知らなかつたわけであります。ただ先ほども申し上げましたように、大豆の増産の必要な時期に、ちようど大豆協会の会員の人々が、閉鎖機関になつたりして金を出すことが困難になつたようなことでありますので、大豆協会の事務局は、当分やむを得ぬから公団が引受けるというようなことはありました。
  317. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そういう話は、私どもすでに調べていてわかるのです。完全に独立した機構を運営し得るだけの金が出ていることは……。それならばあなたに聞きますが、一体公団から大豆協会に、あらゆる計画のもとに畿らの金が、いつからいつまでの間出ていますか。その金によつて、大豆協会がたつた一人の給仕しか使えない経済状態にあつたかということを判断してください。
  318. 松田丑之助

    松田証人 積立ての中から、大豆協会に出た金の額というものは、私ちよつと記憶しません。
  319. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それならば、あなたは人をお使いになつているが、たつた一人の女事務員は一年に畿らかかりますか。
  320. 松田丑之助

    松田証人 それは大したことないだろうと思います。
  321. 高木松吉

    ○高木(松)委員 しかるにあなたの手元から出て行つた金に畿らになつていますか。少くとも大豆協会が独立して、專心に、まじめにその金の値打以上の行動のとれるような方向に持つて行くべきにかかわらず、たつた一人の人間のほかは、全部片手間でやつている。片手間でやつていることは、とりも直さず公団仕事をじやましていることになるのです。公団からいうと、公団仕事をやるべきであるにもかかわらず、やらずに、その方の時間と労力をさいて、協会の仕事をしているから、公団はより以上の効果をあげ得べきにかかわらず、あげられぬというような結果になる。そこで私どもがあなたに伺いたいことは、国家の機構はどこまでも、まじめに規則通りにやつて行くべき性質のものであり、規則の精神通りにやつて行くべきであるにもかかわらず、あなたはそれをおやりになつていなかつたが、その当時のあなたの心構えと考え方を明らかにしていただきたいと思う。
  322. 松田丑之助

    松田証人 率直に申し上げますが、私は先ほどからも申し上げるように、大豆協会の事務局を公団で引き受けなければならぬような状況だというふうに当時解しておりましたし、今お話のように、公団仕事のじやまになるというようなことは考えなかつたものですから、それでよいというふうに考えておつたわけであります。
  323. 高木松吉

    ○高木(松)委員 私疑いが深まつて来たから、はつきりと聞きます。失礼だが、あなたに総裁だが、西川君や本村君に使われておつたロボツトで、盲判を押していて、何もさせられずにぽかんとすわつていた人ではないのですか。それなら私はあえて責任を追求しようとは思いませんが、先ほど申したように私は刑事責任を問うているのではないから、そういう事情があつたならば、その間の事情を国民の前にはつきりと明確にお述べになつていただきたいと思います。
  324. 松田丑之助

    松田証人 それはあなたの見方でしよう。それは皆さんに、よつていろいろ見方がありましようから……。
  325. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこがいかぬのです。さいぜんからあなたは見方々々と言つている。われわれがまじめに問うことを、見方がありましようからとばかり言つているが、人間というものは客観的に一定の標準の見方があるはずだ。見方があるからといつて、極端のものをわれわれは見方なりとして発表することはできない。そこで客観的に物事を見て、何人が見てもその通りだということがわれわれの見方なのであつて、見方があるからといつても、上下十里も二十里も離れるような見方はないのですから、そういう意味において率直なお答えを願つて、国民の疑惑を解いていただきたいと思います。
  326. 松田丑之助

    松田証人 だが私は私なりに、できぬならできぬなりに、それをやつて来たつもりでおります。
  327. 高木松吉

    ○高木(松)委員 これ以上聞いてもしようがありません。そういうふまじめな回答では私は満足いたしません。
  328. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 さいぜんから高木委員あるいは委員長尋問を通じてあなたに対する私の感じは、慨嘆にたえないものがあるのであります。しかしこれは私の主観論になりますから、多くこの問題には触れません。高木委員のお尋ねになりました点は、私の触れんとした点でありますので、重複を避けまして、ただ一点だけお伺いいたします。あなたのさいぜんの証言の中に、まことしやかに大豆の増産の重要性を説かれた。あなた自身がその精神でおられたかどうか、はなはだ疑つておりますが、私たちは大豆の増産ということは、非常に重大な問題であると考えている。なおその証言の中に、至上命令云々という話がありました。おそらく至上命令は個々の公団に来るものではないと思いますが、何か至上命令があなたの公団に参りましたか。この事実をお述べ願いたい。
  329. 松田丑之助

    松田証人 実はそれは、こういうことからそのような言葉が出たのであります。御承知通り日本の油脂の需給関係は、八割から八割五分まで外国に依存しておるのでありますが、外国の依存度を少なくするためには、やはりどうしても内地において増産いたしまして、その上に輸入をしなければいけないというふうに感じておりましたし、事実いろいろな会合等に出てみましても、そういう話がありましたので、そこでそういう表現を使いました。たとえば特別にメモランダムというようなものが、御説のように直接参るわけもありませんが、あるいは役所へは、大豆は最低幾ら確保せよということは、口頭で参つてつたかもしれません。
  330. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それはそうかもしれない。しかしあなたの公団至上命令が来たというのじやないですね。
  331. 松田丑之助

    松田証人 それはそういう意味ではありません。
  332. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 わかりました。それからもう一つは、大豆の販売価格のうちに、大豆増産奨励金あるいは集荷督励費というものを加えておるところに、私たちは非常に大きな問題が含まれておると思うのです。しかしこれをあなたに言わせると、それは元来が農林省ですべきことなんだ、それを予算化して行かないから、遺憾ながらここで大豆協会というものができてやつておる。かような証言であつた
  333. 松田丑之助

    松田証人 お答え申し上げます。私の話し方があるいは少し下手だつたかもしれませんが、そういう意味ではございませんので、これは慣行的に昭和二十一年からやつておりました問題でありまして、このやり方については、いろいろ議論の余地が残つておるのでにないかということは感じております。ただこれは去年も役所としては省議にまでかかりまして、農林省としては省議で決定をして、予算の請求にまで行つたように聞いております。いろいろ予算化をはかる努力をしておられたようでありますけれども、まだそこまで行かぬので、残念ながらこういう便法でこれをやつたのであります。もしこれが皆さんの御努力で、いずれ予算化されまして予算に計上されましたら、その予算から大豆協会が直接受取るべきものだろうと思つております。
  334. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 予算化しないところに、私どもは問題があると思う。大豆協会ができた当時の目的はそうであるが、しかしその後あなた方が総裁となられてからの旧大豆協会並びにこの油糧産業との関係に大きな疑惑を持つて、国民を代表してお尋ねしておるのです。私たちはかような意味において、こういう疑惑を持たれる金を、しかも裏勘定において持つておられたというところに、あなたに率直に悪かつたということの一つの観念があつてもいいのではないか。それをなお強弁されて、それで十分であつたというような気持でありますと、われわれはさらにまた別の観念から論陣を張らなければならぬと思うのですが……。
  335. 松田丑之助

    松田証人 私は決して今の御説のような考え方をしておるのではありません。今度公団で刑事問題になりました点については、まつたく遺憾のきわみだと考えております。しかし大豆あるいは大口分解用のものにつきましての方法については、いろいろ議論の余地はございますけれども、これは裏勘定に使つたわけでもありませんし、帳面を見ていただければ、はつきりすると私は考えております。
  336. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そこで私たちは、この前の証人の本村経理部長ですかから、西川総裁の命によつて重要書類を焼いたという重要な証言を得た。焼いてしまうということは何を意味しているか。そこに恐るべき何物かがあるということを、われわれは考えざるを得ない。それを総裁であるあなたが御存じない。新聞で知つたとおつしやる。そうすると、やはり高木委員じやないが、あなたはロボツトであつたということを十分に自覚される必要があると思う。
  337. 大橋武夫

    ○大橋委員 油糧産業のことを少しお聞きしたいのです。公団ができてからは油糧産業が引受けるようになつたのでありますが、公団のできます前の帝国油糧でやつておりました当時には、その業務はどういう機関がやうつておりましたか。帝国油糧自身でやつておりましたか。
  338. 松田丑之助

    松田証人 それは他にそういう業者があつたようでございます。府県の代理店だけを除きまして、ほかのドラム修繕とかいうようなことについては、私の記憶もはつきりしませんが、私の知つている限りでは、たとえば横浜に東武容器というドラム修繕屋がありまして、これがやつていたようであります。
  339. 大橋武夫

    ○大橋委員 輸送などは……。
  340. 松田丑之助

    松田証人 輸送は私はよくわかりませんが、東正海送とか何とかいう運送屋さんがやつていたようであります。
  341. 大橋武夫

    ○大橋委員 それらの会社が大分もうけておつたようですが、帝国油糧との取引において。
  342. 松田丑之助

    松田証人 それはどうかわかりません。
  343. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、そういうことに関係仕事をやつてつたお方が、この油糧産業をつくつたわけですか。
  344. 松田丑之助

    松田証人 そうじやないと思います。
  345. 大橋武夫

    ○大橋委員 どういうお方がおもにこの方に入りましたか。帝国油糧時代にどういう部門を担当していた人たちが、主としてこの会社役員になりましたか。
  346. 松田丑之助

    松田証人 それは小林、樋口君というふうな人であります。
  347. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういう人は帝国油糧時代何をやつておりましたか。
  348. 松田丑之助

    松田証人 小林君は一度関東支部長をやつたことがあるように記憶します。樋口君は何か大豆の関係をやつてつたよう記憶しております。
  349. 大橋武夫

    ○大橋委員 いずれにせよ、油糧産業会社というものは、公団との取引をおもな目的として設立された会社であることは間違いないですね。
  350. 松田丑之助

    松田証人 皆さんからごらんになると、私の言い方は、むりにそういう言い方をするのじやないかというおしかりがまたあるかもしれませんが、一応商事会社として発足して、そのうちで公団仕事を、ほかの会社と競争してできる仕事だけは、するというのが建前じやないかと思います。
  351. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、油糧産業は本来商事会社としてできておつたのが、たまたま公団取引するようになつた、こういうように解釈したいというのですね。
  352. 松田丑之助

    松田証人 これはたまたまということじやないと思いますが……。
  353. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、先ほど来、なぜこういう主要な役員株主なつているところの会社取引をしたかという、委員長の御質問に対するあなたの答えは、この株を処分することが困難であるから、それでしかたがないので取引をしてしまつた、こういうことを言つておられるが、しかし公団法の精神というものは、いやしくも公団の主要役員株主である会社とは、公団取引をしてはいけないのだ、こういう意味をも含んだ規定であるというふうに、あなたは御了解になつておられませんか。公団役職員が、取引ある会社の株を持つてはいけないという規定は、その裏の意味は、ただちにそういう会社に対しては公団取引をすべきではない、公団をそうい会社取引させることは避けるべきであるという意味だということは当然でございましよう。これはおわかりでしよう。現在わからないとは言えないでしよう。私からそれだけの説明を聞けば……。
  354. 松田丑之助

    松田証人 ……。
  355. 大橋武夫

    ○大橋委員 そういうことをあなた方は知つているからこそ、妻子名義に書きかえているのでしよう。つまり妻子名義に書きかえたということは、一応形式的にはそういうことにしておいて、実質は自分たち仲間の会社である油糧産業と引続き取引きをさせて、十分これにもうけさせて、その結果その油が自分のふところにもまわつて来るようになる。こういうことを初めから予定されて、こういうことをやられたのではないですか。何かそれに反対される根拠があつたお答え願います。賛成でしたらお答えはいりません。
  356. 松田丑之助

    松田証人 私個人はそういう考えでなかつたわけなんです。
  357. 大橋武夫

    ○大橋委員 次は油糧産業対するあなたの総裁中の取引高は大体どのくらいに上りますか。
  358. 松田丑之助

    松田証人 各支部がおもにやつてつたものですから、私はそういうものをうかつな話ですが、計算してまとめたことがありません。
  359. 大橋武夫

    ○大橋委員 たとえばドラムカンならドラムカンのうちで、公団外に発注したドラムカンの何パーセントぐらいを油糧産業にさしておりますか。
  360. 松田丑之助

    松田証人 私は数字は持つておりませんけれども油糧産業ドラムの修理というものは、たしか東京に一工場あつただけのように記憶しておりますから、公団の全回転ドラムからいつたら、きわめて割合の少いものじやないかというふうに思います。
  361. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、東京のものは大部分そこにやらしておつたわけですか。
  362. 松田丑之助

    松田証人 これは東武容器で能力が足りないから、そこでやるように聞いておりました。
  363. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、東武容器の方が多いのですか。
  364. 松田丑之助

    松田証人 そのはずであります。
  365. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから輸送関係はどうですか。
  366. 松田丑之助

    松田証人 そうこまかいことになりますと……。
  367. 大橋武夫

    ○大橋委員 こまかいと言うが、輸送代行ということは、公団としての非常に大きなポストを占めることです。これがあなた方の一番大事なのになるところなんだから、それのうちのどの程度を、一体油糧産業にさしておられましたか。
  368. 松田丑之助

    松田証人 申訳ございませんが、公団でやります輸送のうちで、油糧産業が占めた部分がどれだけかという御質問に対しては、私はよくわかりません。
  369. 大橋武夫

    ○大橋委員 どなたにお聞きすればわかりますか。
  370. 松田丑之助

    松田証人 これは本来から言いますと、やはり東京支部の人にでもお聞き願うのが、いいのじやないかと思います。
  371. 大橋武夫

    ○大橋委員 東京支部のどなたがいいですか。
  372. 松田丑之助

    松田証人 何でしたら、私の方で内部でだれがわかるかよく調べまして……。
  373. 大橋武夫

    ○大橋委員 あるいは書類でお出し願いましてもけつこうです。
  374. 松田丑之助

    松田証人 そういうことをお知らせ申し上げるようにいたしましよう。
  375. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから次にお伺いしたいのは、油糧産業とか大豆協会とか、そういつたような、いわばこれはあなたの方のトンネル会社、トンネル機関というようなものですが、こういうものがこのほかに幾つありましたか。
  376. 松田丑之助

    松田証人 大豆協会を私の方のそういう……。
  377. 大橋武夫

    ○大橋委員 つまりあなたの方のまるがかえの団体、そういうのが幾つありましたか。
  378. 松田丑之助

    松田証人 私はそういう失礼なことは考えておらぬのです。
  379. 大橋武夫

    ○大橋委員 いや、失礼じやないのですよ。その通りなんだから。しかしその種の誤解を生じやすい団体、協会、会社、こういうものはどのくらいあなたにお心当りがありますか。たとえば油糧運送株式会社というのはそうですか。
  380. 松田丑之助

    松田証人 それは何か油糧産業関係会社のように聞いております。
  381. 大橋武夫

    ○大橋委員 油糧産業のまた下請ですか。
  382. 松田丑之助

    松田証人 何かそういう関係じやございませんでしようか。私はよく存じません。
  383. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから油脂協議会とか、そういうような名前でございませんか。水産協議会というのはどうですか。
  384. 松田丑之助

    松田証人 水産協議会というのは、この九月でございましたか、十月でございましたか結成されたように、退職後聞いております。
  385. 大橋武夫

    ○大橋委員 菜種協議会はどうですか。
  386. 松田丑之助

    松田証人 それは菜種の生産を増強する機関として、この夏ごろからあつたように思います。
  387. 大橋武夫

    ○大橋委員 これはやはりあなたの方からおもに資金を出してやつている協議会ですか。
  388. 松田丑之助

    松田証人 生産者の方からも出ておるんじやないでしようか。
  389. 大橋武夫

    ○大橋委員 多少は出ておるでしようが、大部分事業費は、大豆協会の事業費と同様に、公団から出ておるのですね。
  390. 松田丑之助

    松田証人 その辺はよく私にはわかりません。
  391. 大橋武夫

    ○大橋委員 油脂資源全国協議会はどうですか。
  392. 松田丑之助

    松田証人 これはたしか去年の三月ごろでございましたか、やはり内地の油脂の増産が必要だということででき上つたのです。
  393. 大橋武夫

    ○大橋委員 大豆協会と同じような性質のものですか。
  394. 松田丑之助

    松田証人 相前後してでき上つたよう考えます。
  395. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから会社油糧産業と同じような性質の会社はほかにはございませんか。公団に対して同じような関係会社は……。
  396. 松田丑之助

    松田証人 今度は油糧産業が解体して、多少いろいろな会社にわかれたように聞いております。
  397. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたの総裁時代には、油糧産業だけに独占させていたわけですね。
  398. 松田丑之助

    松田証人 保險なんかは油糧産業がやつてつたわけです。
  399. 大橋武夫

    ○大橋委員 ほかにそういうようなものはありませんでしたか。
  400. 松田丑之助

    松田証人 運送なんかは、油糧産業と競争的にやつてつたほかの会社があつたよう記憶しております。
  401. 大橋武夫

    ○大橋委員 それはやはりあなた方が株を持つておりますか。
  402. 松田丑之助

    松田証人 私は油糧産業の株も持つておりませんし、もちろんそういうふうな会社の株も持つておりません。
  403. 大橋武夫

    ○大橋委員 やはり公団のお方と特殊関係のある会社ですか。
  404. 松田丑之助

    松田証人 そうじやなく、公団仕事を頼む一般会社です。
  405. 大橋武夫

    ○大橋委員 先ほどあなたは、油糧産業を利用したからといつて、特別に油糧産業に利益を與えたということはないんだ、従つて公団は損をしていない、こういうことをおつしやつたのですが、そうしますと、油糧産業とほかの会社とは同列に、あなた方の方の指名入札か何かして、競争させた上で取引を決定していたのですか。
  406. 松田丑之助

    松田証人 私はそういうことはわかりませんが、多分支部でそういう一つの仕事をやるのに、いろいろな人に競争させて——どういう方法をとつておるかよく存じませんが、要するにいい意味の競争裡において利用しておる。
  407. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたははつきりそういうことの断言がおできになりますか。いかなる場合においても、常に公団油糧産業に対して特殊の利益を與える意思はなかつた。必ず公正なる立場において、他の業者と競争させて入札させておつた。いかなる場合においてもそうであつたということをはつきり言い切れますか。
  408. 松田丑之助

    松田証人 ある支部においては、そういうことをやつていたところがあるということは言えると思います。
  409. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、特殊の例外的な支部ではそういう公正な取扱いをしておつたが、大部分支部においては、特に油糧産業に対して利益あるはからいをしておつた。こうお考えになるのですか。
  410. 松田丑之助

    松田証人 私はそうは考えておりません。
  411. 大橋武夫

    ○大橋委員 利益あるはからいをしないものが、あなたの方に裏勘定で献納したりするはずがないじやないですか。これすなわち油糧産業に対して平生特殊なる利益を與えておつたからこそ、油糧産業公団に対して各種の機密的な金を裏勘定として献納しておる。それが今度の刑事事件なつておる。これらは明らかに不当なる利益であつて、これだけの利益を裏勘定として公団へ納めておるけれども、これは平生これ以上の莫大なる利益を與えてあればこそ、その日ごろの恩顧に感じて、油糧産業が懲役覚悟でこれだけのことをやつておるんじやないですか。それがその背後に、油糧産業に対して公団が非常に莫大な利益を特させておつたということを推測するに十分な証拠だと私は思うが、その点はどうお考えですか。
  412. 松田丑之助

    松田証人 油糧産業がそういうものを寄付したかどうかの問題でございますが、これについては今度の刑事問題と関連もありますのでここで申し上げにくいのでありますが、最近いろいろなものを総合して私の知つています範囲におきましては、油糧産業から寄付を受けた事実はないというふうに私は教えられておるのであります。
  413. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、この起訴状に上つておる各種の寄付は、公団は全然受けていないのですか。
  414. 松田丑之助

    松田証人 これは今度の問題と関連がありますので、この上お答えしにくいのですが……(「あなたは刑事被告人じやないじやないですか」と呼ぶ者あり)私はそうじやございませんけれども、いろいろな関係がありますので、そういうふうに私は聞いておるのでございますが、いずれ公判とともに、問題がはつきりするのじやないかと思います。
  415. 大橋武夫

    ○大橋委員 あなたは全然知らないのですか。初めからこの裏勘定のことは……。
  416. 松田丑之助

    松田証人 初めからは知りません。
  417. 大橋武夫

    ○大橋委員 この油糧産業から寄付金的なものを回収しておるという事実は全然知らなかつたのですか。
  418. 松田丑之助

    松田証人 事件が起つてからいろいろ知つておる範囲がございますけれども……。
  419. 大橋武夫

    ○大橋委員 しかしこういう金を確かにとつておるということは、前の証人はみな認めておられますよ。それであなたは月給を拂つたのじやないのですか。拂う方は認めておきながら、とつた方は知らないというのは、おかしいじやないですか。
  420. 松田丑之助

    松田証人 たしか公団油糧産業を通じて、保險料を操作したというふうには聞いておりましたけれども、それは油糧産業の寄付行為じやないように聞いておりました。あるいは私の記憶が間違いがあるのかもしれませんけれども
  421. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、それは油糧産業を通じて自分の金を操作した……。
  422. 松田丑之助

    松田証人 そういうふうに承知しております。
  423. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、その金を操作するについては、やはり油糧産業としては、いわばあなたの方の文書偽造、公金費消、そういう刑法犯に該当するような犯罪行為のお手伝いをする形になつておる。当然そうでしよう。そのことは、やるときからわかつている。これは確かに共同正犯として、それに対してはあなたは責任を負わなければならぬ。油糧産業の重役なり、その内情を知つておる人たちは、つまりこれは懲役覚悟でなければ、油糧産業人たちといえども、できない仕事です。そういう仕事公団から仰せつかつて、唯々諾々とそれを引受けるというところには、何かそれに相当するような、あるいはそれ以上の莫大なる利益が公団によつて與えられておるということを前提にしなければ、理解できないと思う。その点はどうですか。平生もうけさせてあるから、そういうむりなことを向うが聞いてやつてくれるのじやないのですか。あなたは実業家で長らく実業界におられたならば、そのくらいな、実業界の常識ぐらいはわからないはずはないじやないですか。利益がないのに何で喜んでそういう危險な仕事を引受けますか。     〔「默つてつてはだめだ」と呼び、その他発言する者あり〕
  424. 松田丑之助

    松田証人 そういうふうにおつしやられますと、どうもむずかしいのですが……。
  425. 大橋武夫

    ○大橋委員 何もむずかしくはないじやないですか。——お答えありませんか。
  426. 松田丑之助

    松田証人 公団が平生利益を與えているから、協力したのじやないかというふうに言われますと、なかなかお答えがむずかしい……。
  427. 大橋武夫

    ○大橋委員 だからそういう事実はないのですか、あるのですか。
  428. 松田丑之助

    松田証人 それは私はよくわかりません。
  429. 大橋武夫

    ○大橋委員 では、あなたが総裁として一体知つていることは何なんですか。
  430. 松田丑之助

    松田証人 油糧産業の利益が幾らあつて公団が幾ら利益を與えたから、油糧産業がこうだというふうなことまで、私はちよつとわからないのですけれども……。
  431. 大橋武夫

    ○大橋委員 わからないはずはない。あなたも実業家として何年もやつておられながら、そういう実業家としてのセンスからいつても、こんなことは自然にわかることじやないですか。はつきりお答えになつたらどうですか。
  432. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 当然のことだろう。
  433. 大橋武夫

    ○大橋委員 お答えがなければ、ほかのことをお聞きしましよう。  そうすると、今の寄付金的な預かり金といいますか、そういうものは、先ほど委員長の聞かれただけが、公団のそういつた種類の金の全部ですか。金額の問題は、あなたさつきわからないと言われましたが……。
  434. 松田丑之助

    松田証人 預かり金的なものからいつて、大豆の増産奨励金と、それからその大口分解用のものだけかというのですか。
  435. 大橋武夫

    ○大橋委員 それともう一つありますね。今の油糧産業やら、保險やら、それ以外には絶対にありませんか。
  436. 松田丑之助

    松田証人 性格が多少違うと思うのです。
  437. 大橋武夫

    ○大橋委員 性格の問題じやない。あるか、ないか。——そういつた種類のものがありませんか。たとえばほんとうの得意先からの借受金とか、そういう——あなた方は帳簿上全部借受金にしておられるけれども、しかしほんとうに借受金の性格を持つておるもの以外に、かりに帳簿技術で借受金として処理されたものですね。それは今言いました俗に言う裏勘定というものと、それから大豆増産奨励金、硬化用油脂関係とか、その三つの種類以外にはありませんか。
  438. 松田丑之助

    松田証人 ないと確信いたします。
  439. 大橋武夫

    ○大橋委員 これは確かにありませんね。  それからもう一つ最後に確めておきたいのは、硬化用油脂関係の価格差益金の一部を、さつき大口業者からの特別の寄付金と言つて説明されましたね。
  440. 松田丑之助

    松田証人 普通に言う嚴密な意味の寄付金でなくして、出した人は寄付金というふうに考えておるということを申し上げたわけです。
  441. 大橋武夫

    ○大橋委員 それは価格は公定価格でもつてお渡しになつておるのですか。
  442. 松田丑之助

    松田証人 お説の通り、公定価格のたしか付記事項なんでございます。
  443. 大橋武夫

    ○大橋委員 付記事項にどういうふうに書いてあるのですか。
  444. 松田丑之助

    松田証人 要するに、大体公団は販売業者価格で売れないわけですが、公団が売つても、販売業者価格で売れるような付記事項を書いておつたようであります。
  445. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、その付記事項によつて当然公定価格になつておるわけですね。大口業者に対する特別な……。
  446. 松田丑之助

    松田証人 そうです。
  447. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、それはやはり売上金であつて、別にこれを寄付金と言うべきものじやない。
  448. 松田丑之助

    松田証人 むずかしく言えば、確かにそうだと思います。
  449. 大橋武夫

    ○大橋委員 その間の経理については、確かに間違いであつたということは、今自覚しておられる……。
  450. 松田丑之助

    松田証人 それは間違いと言うよりも、一応それは別にしておいて、それを役所の方に了解を得て使うことにするということが——これはむずかしく言うと、あるいはいろいろ間違いとかいう問題が起るかもしれませんが、公団としてはそういうふうにしたわけであります。
  451. 大橋武夫

    ○大橋委員 それは公団法にいわゆる正式の收入には入れなかつたのですね。
  452. 松田丑之助

    松田証人 公団法の会計で言います收入と支出の差引の余剰金という……。
  453. 大橋武夫

    ○大橋委員 余剰金というよりも、その收入の中に入れてなかつた
  454. 松田丑之助

    松田証人 その余剰金と收入とは別に処理しておるわけです。
  455. 大橋武夫

    ○大橋委員 收入にも入れなければ、その受拂いに対して支出にも入れなかつた
  456. 松田丑之助

    松田証人 そういう收入の勘定の中に入れなかつたというわけでしようね。
  457. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、仮勘定として処理してしまつた
  458. 松田丑之助

    松田証人 その意味であります。さつき委員長から、言われた得意先何とか……。
  459. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 前受金。
  460. 大橋武夫

    ○大橋委員 予算化できない費用を、そういつた形式で処理されたものには、公団としてはどういうふうな事業の費用がありますか。大豆増産のための大豆協会に対する支拂い……。
  461. 松田丑之助

    松田証人 その大豆の増産奨励金の関係でございますか。
  462. 大橋武夫

    ○大橋委員 それはそれですね。そのほかにどういうものがありますか。予算化できなかつたものは……。
  463. 松田丑之助

    松田証人 大口分解用の用途でございますね。これはたしか大豆と……。
  464. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのほかに予算化できなかつたものがありますか。
  465. 松田丑之助

    松田証人 そのほかにはないように……。
  466. 大橋武夫

    ○大橋委員 人件費があるでしよう。
  467. 松田丑之助

    松田証人 それは今度の——今お説の裏勘定ということですね。
  468. 大橋武夫

    ○大橋委員 裏勘定……。それは予算化できなかつたでしようね。
  469. 松田丑之助

    松田証人 それは大豆並びに大口の方から一切流用していないわけです。
  470. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうですね。裏勘定によつて人件費を拂つたときはあなた御存じですか。拂つたということを……。
  471. 松田丑之助

    松田証人 去年公団が始まつたときから、何か三回ばかり給與がかわつたようであります。
  472. 大橋武夫

    ○大橋委員 かわつております。
  473. 松田丑之助

    松田証人 それで何か職階制で、八月にきまつたとか、いろいろ今度の事件が起りましてから説明資料として出て来るもので、順次承知をいたしたわけであります。
  474. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、あなたが総裁に就任されたときに、自分の公団について、一体定員は何名で、実際人は幾人いるということは、全然御存じなかつたのですか。
  475. 松田丑之助

    松田証人 それは知つておりました。
  476. 大橋武夫

    ○大橋委員 知つてつて職員に対する予算が幾らかということは知つておらないのですか。
  477. 松田丑之助

    松田証人 それは大体知つております。
  478. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、その差額は一体どこから出ると思つておりましたか。
  479. 松田丑之助

    松田証人 ただ予算通りの收支は常にまわりますが、そういう裏勘定の方の経理というものは、その都度まわらないですから、長らくそれが私としてはわからなかつた
  480. 大橋武夫

    ○大橋委員 しかしあなたは、あなたから見れば、月給をもらわないで働いてくれる人が二百名近く公団にはおるということを、承知しておられたわけですね。
  481. 松田丑之助

    松田証人 いやいや、月給をもらわないというわけではなかつたのです。
  482. 大橋武夫

    ○大橋委員 それでは月給は、どこから出たと思つてつたのですか。
  483. 松田丑之助

    松田証人 それは公団運営上やむを得む場合には、何かやりくりはしているように考えておつたのです。
  484. 大橋武夫

    ○大橋委員 そのやりくりの内容を、あなたは全然御承知ない。千何百万円というやりくりの内容を……。しかも使つている人たちの大事な生活費になるべき人件費の中のやりくりについて、どういうやりくりでこの金が出たかということを、総裁としてちつとも知らずに、のんべんだらりとただやつてつた……。
  485. 松田丑之助

    松田証人 それは先ほど申し上げたように西川氏に万事まかせておりましたし、私は原則的には——たとえば旅費そのほか給與が四割程度急に下つたわけでありますから、そのときには、たいていのものは、しかるべく何とかせなければ、しかたがないだろうというふうな、原則的な承認はしておつたわけであります。
  486. 大橋武夫

    ○大橋委員 原則的な承認の内容はどういうことですか。裏勘定も含めて原則的な……。
  487. 松田丑之助

    松田証人 具体的な方法は——私はちつとも承認も何にもわからないわけですが、ただ統制機関になつてから、公団についての給與が四割あるいは五割減る。あるいは予算の不足に対して、多少旅費そのほかがいるという場合に、しかるべく何とか事業をやつて行くのに最低必要なものは、西川君に適当にやつてもらうように原則的に了解しておつた
  488. 大橋武夫

    ○大橋委員 だがその適当というのは、一体どういうふうにすれば適当だかということを、あなたは全然考えてみようともされなかつたのですね。西川さんにさえ頼んでおけば、必ずうまく合法的に行くものだ、こう思つておられて……。
  489. 松田丑之助

    松田証人 この点はやはり私は今度の事件関係するまで——この点になりますと、いろいろ問題もありますので、この辺でひとつ御了解を得たいと思います。
  490. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、あなたはこれ以上追究されると、刑事事件にひつかかるかもしれないから、これ以上は答えられぬ……。けつこうでございます。
  491. 松田丑之助

    松田証人 そういうことでもありませんけれども……。
  492. 大橋武夫

    ○大橋委員 それから最後に、あなたは総裁をおやめになりましたときに、九月の五日公団会議室に関係官庁の係官、業界人の代表者、業界記者団を招いて、その中でわかれのごあいさつを述べられましたね。
  493. 松田丑之助

    松田証人 そうですか。
  494. 大橋武夫

    ○大橋委員 その最後のときに、辞職後郷里に帰り、西川、本村両氏援助対策委員会の仕事を手伝う、こういうことを述べられておりますが、これはどうですか。
  495. 松田丑之助

    松田証人 それは私が職につくまでちようどいなかにおりましたので……。また私が公団におりますときから、公団職員西川、本村両君の援助対策委員会ができ上つてつたわけです。それはやはり引続いてあるのですが、そういうお手伝いをいたしますということです。
  496. 大橋武夫

    ○大橋委員 そうすると、あなたは公団を食いものにして起訴されたところの、西川、本村両君の援助について手伝おうという気持を、大いに持つておられるわけですね。
  497. 松田丑之助

    松田証人 私の心持を申しますと、御両君とも、まあとつた方法はいろいろ悪かつたかもしれませんけれども、私事はないというふうに私自身確信しておりますし、それのことについていろいろ心配するのは、私のいわば友情だろうと思う。御両君に対する友情でないかということを感じておりますから……。
  498. 大橋武夫

    ○大橋委員 一体公団総裁をなすつておられまして、事件発生以来、自分の道義的な責任を感じて早く辞職したい、こう言つておられた方が、念がかなつて辞職されるときに——むろん個個の人に対して、個人的立場でそういうことを言われるのは、これは友情の発露と言えるかもしれませんが、公団総裁を辞任したるその正式のあいさつにおいて、公団に迷惑をかけ、国民の財産を不当に使つて、それがために司直のさばきを受けなければならぬ、そういう重大なる嫌疑のある方に対して、こういう公式な席で、しかもその関係者のたくさんおられる所で、この両君の援助対策に自分は一生懸命働こうというようなことを言われるということは、これは私はどういうものだろうか、はたしてそれであなたは、ほんとうにこの事件についての道義的責任を、正しい意味において感じておられるやらどうやら疑問に思うから、実はお伺いしたわけなんです。——いつから対策委員会はできておりますか。
  499. 松田丑之助

    松田証人 七月ごろだつたと思います。六月か……。
  500. 大橋武夫

    ○大橋委員 これに対しては、油糧産業その他の関係会社からも、この委員会に費用を出しておるでしよう。
  501. 松田丑之助

    松田証人 関係団体から物心両面の援助を得ております。
  502. 大橋武夫

    ○大橋委員 援助を得ておる。——これは両君の在職中の御愛顧に対して、感謝の意味でみんな出しておるわけですか。
  503. 松田丑之助

    松田証人 それは両君が油糧関係で、いろいろ努力をしてくれたということだろうと思います。
  504. 大橋武夫

    ○大橋委員 国民の犠牲においてね。(笑声)わかりました。
  505. 木村榮

    木村(榮)委員 証人総裁をやつていらつしやる間に、日本水産油脂協会というのがあつたのですか。
  506. 松田丑之助

    松田証人 ございます。
  507. 木村榮

    木村(榮)委員 ございますね。その総裁をやつていらつしやる間に、水産油脂協会の会長になられた遠藤三郎さんという方は御存じですか。
  508. 松田丑之助

    松田証人 私は遠藤さんとは一度前に農林省に参りました。最近公団法の改正等の問題で、公団対策委員会というのがありまして、そのときにお目にかかつたのが最近でありますけれども、その水産協議会が最近改組されまして、そうして遠藤さんが前に水産関係のことをおやりになつていたということで、会長をお願いしたように聞いております。私が公団を辞職したあとのことでございます。
  509. 木村榮

    木村(榮)委員 だから、遠藤さんが協会長になられた事情については、あまりよく御存じないと思いますが、その前に遠藤さんとは御面識があつたわけですね。
  510. 松田丑之助

    松田証人 遠藤さんとはあまりじつこんな間柄ではありません。
  511. 木村榮

    木村(榮)委員 しかし顔見知り程度のことはあつたんですね。
  512. 松田丑之助

    松田証人 顔見知り程度です。
  513. 木村榮

    木村(榮)委員 それは遠藤さんが畜産局長をやつていた時代より後のことですか。
  514. 松田丑之助

    松田証人 私は遠藤さんが農林省にいらつしやつた間はあまり知りませんでしたが、公団委員会のときにお目にかかつたのがまず最初だと言つてもさしつかえなかろうと思います。
  515. 木村榮

    木村(榮)委員 公団委員会のときと言うといつごろですか。
  516. 松田丑之助

    松田証人 配給公団審議委員会か何かできまして……。
  517. 木村榮

    木村(榮)委員 それはいつごろですか。
  518. 松田丑之助

    松田証人 この五、六月ごろだつたように思います。
  519. 木村榮

    木村(榮)委員 そうすると、当時遠藤さんは衆議院議員だつたわけですね。
  520. 松田丑之助

    松田証人 はい。
  521. 木村榮

    木村(榮)委員 公団のその委員になられた以後二、三回くらいお目にかかられたのですね。
  522. 松田丑之助

    松田証人 私は実は一回もお目にかかつていないのです。
  523. 木村榮

    木村(榮)委員 その後協会の会長に最近なられたわけですね。
  524. 松田丑之助

    松田証人 そういうふうに聞いております。
  525. 小林進

    ○小林(進)委員 先ほどのお言葉の中に、大豆の増産奨励金だけは予算化ができなかつたから、この方の別途会計は余儀ないものであると思う、こういう御答弁でございましたが、このお考えは間違いございませんか。
  526. 松田丑之助

    松田証人 昭和二十一年から今まで、そういう慣行でやつて来たわけでございます。それで現在までその慣行が引続いておりますのは、予算化の点についていろいろ官庁としては努力しておられるようですけれども、これがむずかしいので、そういう慣行に引続きなつているのじやございませんでしようか、というふうに申し上げたわけでございます。
  527. 小林進

    ○小林(進)委員 すべて官庁や公団その他の内部において、いろいろ計画があつたりしておりますが、その機関の内部における計画が予算化の面において阻止された場合に、その計画を推進するために、他の官庁や他の公団においても、このように別途会計をもつて、あくまでも内部の自分たちの計画を推し進めて行くということは、やはり一般的に見て正しいとお思いになりますか。
  528. 松田丑之助

    松田証人 私は正しいとは考えられぬのじやないかと思います。
  529. 小林進

    ○小林(進)委員 しからば、もしこういうふうな風潮が、ほかの公団や、ほかの官庁に行われる場合は、やはり正しいことではないが、余儀ないことであるとお考えになりますか。
  530. 松田丑之助

    松田証人 御質問に少しはずれるかもしれませんけれども、そういう必要ある場合には、やはり国の予算に計上してもらえることが、一番けつこうだと思います。
  531. 小林進

    ○小林(進)委員 それは当然です。あなたは実に御答弁がうまいのですが、国の予算に計上されない場合に、あなたの公団がおやりになつたように、どうもこの計画は予算に計上されないから、余儀なく別途会計をもつてやる。一年に一億二、三千万円の金をこういうふうにやられることを、はたして余儀ないものであるとお考えになるかどうか。総裁としてのお考えをお聞かせ願いたい。
  532. 松田丑之助

    松田証人 大豆の奨励金なり、大口の分解用の油のもの、あれは全然別のものだということでございます。そしてさつきからお話の裏勘定とは、全然別のものだというふうにお考え願いたい。
  533. 小林進

    ○小林(進)委員 そうすると、大豆の増産に関する限り、こういう別途会計をつくることはさしつかえない、しかし他の公団や官庁でやることはよくないということですか。
  534. 松田丑之助

    松田証人 私はさしつかえないとは申し上げにくいのです。
  535. 小林進

    ○小林(進)委員 余儀ないとおつしやるわけですね。
  536. 松田丑之助

    松田証人 今までの慣行上、そうしておりましたというふうに申し上げているわけです。
  537. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうもあなたの言うことを聞いていると、西川や本村を援助することが、悪いことではないと言つておられるようだが、他の公団でもこういうことをやつておるわけですか。
  538. 松田丑之助

    松田証人 それは私はわかりません。
  539. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こつちから調べに行くと、どこの公団でもやつておるのに、なぜおれのところだけ調べるのかと言うそうだが……。
  540. 松田丑之助

    松田証人 どこの公団でそういうことを言つておりますか。
  541. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこでも公団はみなそういうことを言つている。金が足らぬから裏勘定でやつておりますと言うが、そういうことをお聞きですか。
  542. 松田丑之助

    松田証人 よそのことは私にはよくわかりません。
  543. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今まであなたの言われることを聞いていると、どうも悪いことをしておるのではないように言つておられるので、驚いたのだが、これは重大なことです。本年の六月二十何日かに、西川、本村、同家族援助金として十万円大豆協会から出ておりますが、これはどういう意味ですか。あなたの言われるところから見ると、こういうことをやるのはあたりまえだと思つておられるようだが、これはいかがですか。御存じないですか。
  544. 松田丑之助

    松田証人 それは承知しております。当時あの事件が起りましたときに、関係の十三団体から、いろいろ上申書をお出しくださつたり、あるいは差入れだとか、そういう物心両面の援助の申出があつたわけであります。どうせ公団としては金がないだろうし、平素いろいろ油糧関係のことに苦心しておつてくれるからということで、援助の申出があつたわけであります。
  545. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大豆協会は……。
  546. 松田丑之助

    松田証人 大豆協会だけでなく、たとえば製造業界からも……。
  547. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうところから出ることはいいが、大豆協会がかような金を十万円も出すということはどうもふしぎだ。大豆協会というところはどういうことをする協会ですか。  それではもう一つ聞きますが、日本容器というのができ、大豆協会の実際の責任者である野村千秋氏が社長になつたが、これはどういう仕事をするのですか。
  548. 松田丑之助

    松田証人 それは麻袋とか、かますの回收の事務公団にあつたわけでありますが、最近は公団仕事を少なくして、だんだん予算に合せて行かなければいけませんし、できれば人員も縮小して行こうという方針から、そういう仕事を外に引受けてもらつたわけでございます。そのために大豆部の方で役所の了解を得て、公団の代行をやる会社をつくらしてもらつた、こういうことです。
  549. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはそれで間違いありますまいが、公団の大豆部長であり、また大豆協会の常務理事である野村君が社長になつたのはどういうわけですか。公団としてかようなことはさしつかえないと思いますか。役所で許可を得たからいいと思うのですか。
  550. 松田丑之助

    松田証人 野村君が社長になつたのは、たしか私がやめてからあとだと思います。たしか公団やめて、そちらへ就職されたのだと思います。
  551. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 やめたのか。
  552. 松田丑之助

    松田証人 もちろんやめております。
  553. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 役所でそういう許可をすることがおかしいと思う。もつとも役所は何でも許可しておるからしかたがない……。  ところがさらに驚くべきことは、この日本容器株式会社へ大豆協会が二十四万五千円出資しております。これはどういう目的で大豆協会は出資しておりますか。
  554. 松田丑之助

    松田証人 それはちよつと私わかりませんですが……。
  555. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは五月ですよ。大豆協会の事業目的と、この日本容器とはどういう関係なのですか。
  556. 松田丑之助

    松田証人 私もよくわかりませんが、あるいは大豆の包装容器を扱うものとして日本容器というものを見ておるのかもしれませんが、私その話は初耳でよくわしからないのであります。
  557. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうも大豆増産のためにできた協会が、株を二十四万円持つとは驚いたものだな。あなた御承知ないのですか。
  558. 松田丑之助

    松田証人 それは承知しておりません。
  559. 小林進

    ○小林(進)委員 これは大橋君が聞いた問題なのですが、分解硬化用の油脂の格差金なんですが、この指定業者に十六・五キロについて七十八円のマージンを支拂うということは、公団の年度の最初の予算にもう計上せられていた金ではないかと思うのですが、いかがですか。いわゆる七十八円支拂うというのは、国家の予算書に現われた数字ではないかと思いますが……。
  560. 松田丑之助

    松田証人 御承知通り昭和二十四年度からは、人件費、物件費は国庫交付金という制度をやめまして、一般経費も事業経費全体が、予算制度になつたわけでありますが、その中で、特にどの油について、どの油についてという計上はなかろうと思います。だから特定のものについて計算されておるかどうかということは、ちよつとわからないのでございます。
  561. 小林進

    ○小林(進)委員 とにかく独立採算制であることにわかりますが、一応はこの支出というものは、公に提出した予算書に載つておらなければならないと思う。この予算を、状況の変化に応じて、それが四十八円ないし四十二円節約できた。拂わなかつたということは、それだけ国家の予算が節約せられたことになる。節減されたことになる。私はそういう性質の金ではないかと思う。それを聞いているのに、それをどうしてもおつしやらない。業者の寄付金であるとか、大口業者の寄付金であるとかいうようなお言葉なんですが、この性質をもう少しいわゆる公団総裁という立場から、真劍に考えてもらわないといかんと思う。私はそのように解釈するのですが、いかがですか。
  562. 松田丑之助

    松田証人 その点は情勢の変化は確かにあつたろうと思うのです。というのは、御承知のようにあるいはそれが予算の書類上は、お説のような計算をせずに、むしろ七十八円安く売るという価格ですね。統制機関の販売価格ですね。販売業者の価格から七十八円引いたものが計上されておつたか、あるいは七十八円を計算されておつたかがわかれ目だと思うのですが、ただ先ほどから御説明申し上げましたように、たとえば統制機関の販売価格で売るべきものを、七十八円だけ販売業者の価格で高く売るということにきまつたわけなんですが、そのきまり方と、予算を申請したときとの期間の関係が、どうであつたかということを調べると、今の御質問のことがよくわかるのではないかと思うのです。
  563. 小林進

    ○小林(進)委員 先ほどからの御答弁によれば、ともかく中間業者に七十八円支拂う予定で予算を組んだのだが、実際の面では中間業者を排除して、大口業者に直接公団からやつた、だからその金は必要でなかつた、こういう説明なんですが、これはまさに国家の費用の節約であるというように思うのであります。
  564. 横田甚太郎

    ○横田委員 出て来られる証人を見ておりますと、実にあきれ果てた人ばかりである。大体日本のやみ経済の有力者ばかりが集まつている。だからこちらの尋ねるところの立場と、答えられる立場とが全然違うのです。だから横着しごくである。たとえばこういうことが言われるのです。こんなことはどこり公団でもやつているところの不正であつて、やることが何が悪いのか、上つたおれたちが馬鹿なんだ、とやかく言うやつが馬鹿なんだ、こういうような考え方が見えているから、何べんついても答えやしない。そこで私はあなたに対してはつきりと最後に聞くのですが、その前に二つほど聞きたい。なぜかと申しますと、あなたが今とやかく言われているのと同じような金が、今日まで流れているから、協会のやり方、あるいは公団のやり方は依然としてかわつておらない。そうなつて来ると、これは過去の問題ではない、今日の問題なんだ。その観点から聞くのです。そこでひとつ聞きたいことは、あんたが使つて、あるいははつきりしない金だと言つて責任を追究されているのと同じような金が——たとえば大豆の増産積立金ですね。いわゆる大口分解油用の積立金が支出されているのは、單に協会だけではない、ほかにも出ている、日本水産油脂協会にも支出されている。その金が五百四十万円、このことは間違いないですか。
  565. 松田丑之助

    松田証人 それは実は私の退職後、水産油脂協会ができまして、総会に諮つた、そういうことを多少聞いているだけで、私は公団の内部人として、それを確めたわけでも何でもないのでございます。だからその点はよくお確め願いたいと思います。
  566. 横田甚太郎

    ○横田委員 この金と今あなたがとやかく言われている金とは、どう性質が違うのですか。
  567. 松田丑之助

    松田証人 それはかりにそういうものが大口分解油用の四千九百万円の中から出たといたしましたならば、大豆協会に出たり、あるいは国内産の油脂資源の協会に出たりしたものは、やはり性質は同じであるわけです。魚油の増産に使うために出されたのではないかと思うのです。
  568. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうすると、同じようなこういう金が出ているにかかわらず、この金が問題になつておらない、おれの方が問題になつている。だから聞いても答えるものか。そんなお考えがあるのですか。
  569. 松田丑之助

    松田証人 いやいや、そんなことはありません。
  570. 横田甚太郎

    ○横田委員 その次に輸入促進のために羽根沢ガーデンで会合をやられたことがありますね。
  571. 松田丑之助

    松田証人 それはこの会合でありましようか。
  572. 横田甚太郎

    ○横田委員 それを言わんで聞きたいのです。確かにこの会合はやられたはずでありまして、名前は……。
  573. 松田丑之助

    松田証人 いつごろですか。
  574. 横田甚太郎

    ○横田委員 そのことはあなた御存じないのですか。
  575. 松田丑之助

    松田証人 私は羽根沢ガーデンとおつしやいますと、一度だけ記憶があるのです。それは多分去年のことだつた記憶いたしております。
  576. 横田甚太郎

    ○横田委員 どんな人がお集まりになりましたか。
  577. 松田丑之助

    松田証人 それはたしか農政研究会の方々に、油の需給関係を御説明したり、それについて内地の増産についての考え方だとか、そういうことについてお教え願つたよう記憶いたしております。
  578. 横田甚太郎

    ○横田委員 それではこの会合に森農相が出られたり、衆議院の岩本副議長が出られたり、あるいはちよつと記憶の間違いがあるかもしれないが、衆参議院の議長が出られたというような会合ではなかつたですか。
  579. 松田丑之助

    松田証人 今お話の森さんとか、あるいは岩本さんとかいう名前が出ましたので、私は実はその会議には出席しておりませんけれども、私の記憶では、大豆協会主催の何かの会合じやなかつたかと記憶いたします。
  580. 横田甚太郎

    ○横田委員 どうもありがとうございました。
  581. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 この油糧公団をめぐる不正事件に非常に重大な関係を持つて来るのでございますが、あなたは退職後、西川、本村の何か後援会みたいなものに非常に御盡力になつた。ことに油糧関係人々が、われわれの目から見ると、この二人は日本の油脂界を握つておるボスであると言つているようなことを聞いておりますが、この人を守るために、救済するために、物心両面から多大な御同情が沸いておると聞いております。まことに申しかねますが、その物心両面から多大な同情をした人々——救いたいとおつしやつておる方々のお名前を、あなたの知られる範囲内において、十分にここに述べてもらいたいと思います。これはすこぶる重大な関係を持つておりますから、もし答弁ができないならば、できないということを、ひとりはつきりしておくように。もしあれでしたら、知られる範囲でもよろしゆうございます。あるいは、そういう会合があるのですから、その会のことは、一生懸命にやつておる関係上、帳簿でもあるでしよう。
  582. 松田丑之助

    松田証人 あるはずだと思います。
  583. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そういうものを御提出願うことも必要かと思います。
  584. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かありますか。あるならば出してもらいます。
  585. 松田丑之助

    松田証人 大体物心の、心の方は、十三団体でございまして、私は全部名前は忘れましたが、要するに関係協会ほとんどでございますが、それが、いわば御両君の人格証明と言いますか、そういうものを連合軍に対する上申書として書かれたものがありますので、それを見るとわかるだろうと思います。それが十三団体の方々、そのほかに個人的な人で、今度のことについて援助をしてやろうと言われる方があるようであります。
  586. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 その物の方ですか。
  587. 松田丑之助

    松田証人 ええ。
  588. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 物の方で何か寄付金でもあれば、その寄付金を明瞭に……。
  589. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは出していただけますね。できるだけ早く……。
  590. 松田丑之助

    松田証人 はい。
  591. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから先ほど大豆協界の西川、本村の援助金が十万円と言われましたが、これは二口ですね。同じ月のうちで、六月二十三日と二十七日と、両方になつておりますが、これはどういうわけで二口でやられたのですか。
  592. 松田丑之助

    松田証人 私は大豆協会の立場にありませんので、そこまでは存じておらぬわけです。
  593. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大豆協会から出たことは御承知なのでしよう。
  594. 松田丑之助

    松田証人 二回出ましたかどうかは、ちよつとわかりません。
  595. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからもう一つ、さつき日本容器と言われましたが、野村さんがやつたのは、関西にも同じものができましたのですか。関西日本容器というものができましたね。
  596. 松田丑之助

    松田証人 それは東京だけでは不便だからというので、関西にもできたように聞いております。
  597. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それじや二つできたのですね。これへも大豆協会が二十四万円出資していますね。
  598. 松田丑之助

    松田証人 そういうことは初耳であります。もつとも私は大豆協会の人間じやありませんから、知らない方がほんとうかもしれませんけれども……。
  599. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ぼくらはそうは思わないのです。大豆協会といつても、あなたのところと一心同体だから、あなたは御承知ないことはないと思つて、聞いておるのです。とにかく日本容器に四十八万五千円出ています。これは大豆協会の目的事業と何か関連があるのですかね。
  600. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 ただいまの私の質問、これは相当私は関心を持つておるので、どうです、ここであなたが御記憶のある人物を述べてもらえないですか。
  601. 松田丑之助

    松田証人 それはけつこうでございます。業界としましては、製造業会ですね。製造業会の会長は中井榮三郎さんですね。それから日本油脂協会、これが杉山金太郎さんですね。それから人造バター工業会、この会長は星野正夫さんですね。シヤボンは——油脂工業協会ですね。これは黒部さんです。名前は忘れました。魚油は、魚油の集荷協議会ですか。大豆協会は入つております。今申し上げたのは皆会長を申し上げておるわけですが、和田博雄さんです。あとは、ぬか関係、糠油工業会ですか。中小工業連盟。あとは、ひとつ持つて参りましよう。
  602. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 なるべくあなたの方の寄付金額なり何なり、わかりましたらぜひひとつ……。
  603. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 一点だけですが、大豆協会の会長に和田博雄氏が二十三年の六月ですかに就任せられた。その当時の事情ですね。あなたは御存じですか。何かいろいろの人が介在しまして……。
  604. 松田丑之助

    松田証人 私が知つている範囲のことを申し上げますが、たしかその前の会長は正田さんでありまして、ちようど正田さんが、御都合でおやめになりたいということでもありましたし、大豆の増産は多少上向き歩調になつて来ましたが、これからいよいよ増産をやらなければいけないという時期にちようど当つてつたわけですが、業界の方々でいろいろ相談されまして、そうしてこの際、農林大臣もやつておられたし、安本長官もやつておられて、食糧政策そのほか農業政策等にいろいろ知識のある和田さんに、ひとつお願いしたらどうかというふうな話が持ち上つて、協会の方々がわざわざお頼みに出かけられて、和田さんとしては、何か国民食糧の関係のためなら、いろいろこういうことはやらぬのだけれども、それでは引受けようかといういきさつで、お引受け願つたように私は聞いております。
  605. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 今業界の人が寄つて相談したというお話でしたが、和田さんの就任せられるについては、その他にあつせんした人がおるというお話でしたが、そういうことについてはお聞きになりませんか。たとえばその当時の食料品配給公団総裁でしたか、坂田英一氏らがやはりあつせん役になつて、和田さんの会長を実現した、こういうふうなことも聞いておりますが……。
  606. 松田丑之助

    松田証人 私の知つている範囲では、そういう話が主として大豆協会で持ち上りまして、そういう方々が直接行つてお頼みになつた記憶しております。
  607. 高木松吉

    ○高木(松)委員 重大な問題を忘れておつた。大豆協会の活動を見ていると、いわゆる大豆の増産というものは、大豆協会をもつてして増産したのではなくして、まじめな農民が、真に今日のの日本のあり方を自覚して増産したと思うのだが、あなた方の口からは、常に大豆協会の活動によつて増産したと言つて、このまじめな農民諸君を侮辱するような言辞があるが、この点に対するあなた方の考え方はどうですか。ここまで調べてみれば、たつた一人の大豆協会の事務員のやつた仕事によつて、大豆の増産ができたなどとは、だれが考えても考えられないのにかかわらず、あなた方口を開けば、常に大豆協会が原因をなして増産の結果を生んだと言つて、まじめな農民の努力を無視するような言辞は、私ども国民代表として聞き捨てならぬから、その点に対する確固たるお答えを願いたい。
  608. 松田丑之助

    松田証人 これは私がちようど証人に出ておりますので、質問にお答え申し上げましたが、これはむしろあるいは大豆協会の関係の方々からお答えするのが適当な問題かもしれません。私が考えますのに、今お説の通り、増産の基本というものは、どうしても農民各位だと思います。それははつきりそうだと思います。大豆を收買いたします統制実施機関の公団としては、農民各位に対してまことに感謝にたえぬと思います。ただ農民各位の熱意を具体的に進めるために、たとえば優良品種の品評会だとか、優良種子の育成だとか、あるいは根瘤菌の配布だとか、その熱心につくつてくださることに対する協力機関としては、やはり実が上つているのではないかというふうに考えております。
  609. 高木松吉

    ○高木(松)委員 だから私の聞かんとするのは、一部分のわずかの原因になつたことによつて、その結果が全部われわれのものであるというような結論をつけられることは、まじめな農民諸君に対し、まことに申訳ないのだ。この点だけは、あなたも良心的によくものを考え——先ほども加藤委員の言うところによると、大豆協会が増産に対して全面的の結果を生ましたような口吻があつたので、はつきりしておかないと、われわれは国民代表として相済まぬから、その点をはつきりとしていただきたいと思います。
  610. 松田丑之助

    松田証人 私は今御答弁申し上げましたように、やはり大豆をつくるということは、農民各位の御努力であつて、この二、三年間にずつとふえているということについては、われわれは感謝にたえません。ただし大豆協会が、これに関連した仕事をいろいろせわしているということについて、大豆協会についても私はありがたく考えております。
  611. 高木松吉

    ○高木(松)委員 念を押します。私は大豆協会の活動をはつきり見まして、決して大豆協会が主たる原因で増産されているとは思わない。いくらかはかすつたくらいの程度でこれは原因になるかもしれないが、最大の原因は、農民の自覚による、いわゆる民族愛に基いて、こういう結果が生れたと思うのだが、その点に対して私の言うことを肯定しますか。
  612. 松田丑之助

    松田証人 お説の通りであります。
  613. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 では済みました。御苦労さまでした。
  614. 大橋武夫

    ○大橋委員 ちよつと議事進行について申し上げます。本日は大分時刻も遷延いたしましたので、かねての理事会の申合せによりまして、本日はこの程度証人に対する質問を打切りまして、証人にまた時期をあらためて御喚問願うようにお願いしたいと思います。なお証人喚問の日時については、委員長に御一任いたしたいと思います。
  615. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大橋君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  616. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではさようにいたします。追つて日時は委員長において指定いたします。  本日はこれで散会いたします。     午後五時二十九分散会