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1949-10-27 第6回国会 衆議院 考査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十六日  鍛冶良作君が委員長に、大橋武夫君、小玉治行  君、高木松吉君、内藤隆君、吉武惠市君、猪俣  浩三君、大森玉木君、神山茂夫君、小松勇次君  及び石田一松君が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十四年十月二十七日(木曜日)     午前十一時二十二分事開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 大橋 武夫君 理事 小玉 治行君    理事 高木 松吉君 理事 内藤  隆君    理事 吉武 惠市君 理事 猪俣 浩三君    理事 神山 茂夫君 理事 小松 勇次君       安部 俊吾君    井手 光治君       岡延右エ門君    菅家 喜六君       篠田 弘作君    塚原 俊郎君       西村 直己君    福井  勇君       赤松  勇君    加藤 鐐造君       橋本 金一君    村瀬 宣親君       聽濤 克巳君    浦口 鉄男君  委員外出席者         考査特別委員会         顧問      明禮輝三郎君     ————————————— 十月二十七日  委員橋本登美三郎君辞任につき、その補欠とし  て篠田弘作君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国鉄スト等騒よう事件に関する委員会報告書  に関する件     —————————————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 会議を開きます。  まずお諮りいたしたいのは、前会期における調査未了の案件でありますが、これは引続き調査を継続して行うことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう決定いたします。     —————————————
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に国鉄労組熱海中央委員会実力行使決議事件国電スト事件、平市をめぐる騒擾事件日鋼広島製作所事件につきまして、閉会中における審査の結果を事務局においてとりまとめ、お手元に差上げてある国電スト等騒擾事件報告書原案を作成したのでありますが、本報告書案議題といたします。  まずお手元に差上げてから事務当局において訂正した箇所があるそうでありますから、その点をいま一度申し上げて、案を確定いたしておきたいと思います。
  5. 明禮輝三郎

    明禮事務局長 国電スト等騒擾事件報告書、この厚い方でありますが、おもなるところを訂正してあるのが、まことに恐縮でありますが、落ちているところがあつてはと思いますから、ちよつと申し上げます。  初めから三枚目の証人尋問というところのちよつと前に、たいへんややこしくなつておりますが、ここに「よつて七月四日の委員会に附議し、調査要求者小川委員」というのが、「小玉委員より要求理由説明があり、」ここでその後がこういうように訂正されております。「討論採決の結果、本委員会において調査することに決定した。(考査特別委員会議録第十六号)」そこまでであります。
  6. 神山茂夫

    神山委員 どういうわけで直したのか。
  7. 明禮輝三郎

    明禮事務局長 それは小玉委員に直したのは、人が違つてつたからであります。その後を直した理由は、賛成者がだれだれで、反対者がだれだれと書いてあつたのでありますが、そういうよう賛成者ということが、実は議事録で私の方で調べたものによると、十分にはつきりしないものがありますので、ここで明らかにだれが賛成、だれが反対と書くことは御異論があつてはというので、「討論採決の結果、本委員会において調査することに決定した。」と直したのであります。
  8. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 なるべく名前を出さぬ方がよかろうという委員部の方からも意見があつて、そういうことにしたのです。
  9. 神山茂夫

    神山委員 天下のために出した方がいい。
  10. 明禮輝三郎

    明禮事務局長 それから十一枚目の第二国電スト事件と誰円いてある前のページうしろから四行日の(前掲一七頁)の下に(註)として「(然し乍ら三鷹の無人電車事件や福島県下松川の転覆事件実力行使である以上これと関連なきやの題題が存在する)」と入れたのであります。
  11. 神山茂夫

    神山委員 これは、いかなる理由によつて、だれが提案したのですか。
  12. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはあとで議論することにしましよう
  13. 明禮輝三郎

    明禮事務局長 それからその第二国電スト事件と書いてある次のページの二行目の「提案者小川委員より提案理由説明あり」の次に「猪俣神山云々と書いてあるところをずつと消して、これも反対者とかいうのを書いておつたのがおもしろくないので「討論採決の結果本委員会に於て調査することに決定した。」と直しました。  それから一、千葉事件のところの初めの行の「(一)争議発生前の状況」となつておるのを「(一)事件発生前の状況」と直しました。  それからずつと繰つていただきまして「(二)争議発生後の状況」というのもやはり「事件発生後の状況」と直しました。  それから第三、平市をめぐる騒擾事件と書いてあるページの一番終りの「よつて七月二十一日」の次の「の議題」以下を「委員会に於て提案者内藤委員より提案理由説明あり討論採決の結果本委員会に於て調査することに決定した。」と直しました。  それからずつと行きまして第四になるのですが、「第四、広島日鋼争議事件調査要求書」と書いてありますが、三行行きまして「よつて委員会では七月四日」となつておるのを「本委員会」を削つて「よつて七月四日」それから今申し上げるように訂正するのであります。「委員会に於て」の次の「前記」というところから、ずつと削りまして、その次に「内藤委員より要求理由説明があり」あと討論採決の結果本委員会に於て調査することに決定した。」こう直すのであります。削つてたいてい直してあるつもりでありますが、もし直してないのがありましたら、直してください—今のところよろしゆうございますか。  その次委員長が本会議において報告すべき「国電スト等騒擾事件報告」を訂正すべきところを申し上げます。たいてい直してあるつもりですが、一ページ終りから四行目の「調査の結果は別にその詳細を書類によつて」と書いてあるのを「別冊報告書によつて」と直すということです。  それから六枚目の裏の中央に「副委員長の鈴木市藏君は第十七條は憲法云々と書いてあるところ「憲法違反の法律である。」というところから、ずつと「結局十七條は」というところまで消すのであります。  それから今のページのその次のページ終りの方に、ちよつと直して紙で張つてあると思いますが、一々七十冊も書き直すことは容易でありませんので、印刷して紙で張つて直してあるのでありますが、これはいいと思います。  それから十一枚目の裏のページに「一体平市署を襲つた者の中には」というのがありますが、この「一体平市署を襲つた者の中には」というところから、次のページにわたつて郡山警察では、」と中央に起してあるところまで削つた方がよかろうというので、削つたわけであります。そうして「郡山警察では、」の頭へ「次に」と入れたのであります。  それから十五枚目の裏に「第四は広島日鋼争議事件であります。」というところを訂正してありますが、三行削つて「この会社は約二千人の従業員を擁し」とこう直す。  十八枚目の裏に「人民裁判的糺問を行い警察局長をなぐつております。」これは少し足りないというところから「警察局長をなぐつております、」というところまでつけ加えたのです。  それからその次の次のページをお繰り願つて、も、う一つ先へ行きまして五というところに「この争議には金金属系の団体が多数応援し、朝連も参加し更に自由法曹団が加わり、共産党県支部が最大の応援をして居ります。共産党本部から田中加藤代議士」とあるのを「田中加藤、米原三代議士も活躍されていて」と入れて……(「春日はどうした」と呼ぶ者あり)春日さんはほかのところに入つております。  それからそのページの一番終りに「前述の指針書そのままであります。」と書いたあとで「従つて」これから書き加えた。「従つて日本共産党本部もこの四つ事件に対しその責任あるものと考えます。」こう加えてあります。  それからその次のページであります。その次のページをずつと行きまして「地方の権力を弱体化し得れば」という行がありますが「中央権力も弱体化し得るという考えでありまして、平の人民警察もここから出ているものと思います」とこう直した。  それからこれが二項でありますが、三の、紙が張つて直してありますが、これの紙が張つてないのがありましたら紙を差上げます。三というのは、これは訂正したところを読んでみます。その三はこういうように直した。「この闘争中には幾多の暴力行為残虐行為が行はれていますが、これは血気にはやる青年を利用して権力に向つて行くという一種の英雄観に支配せられるものであり広島日鋼その他で行はれた人民裁判がそれであります。是らの行為一般国民に対して恐怖の観念を與えて、国属の正しい声を抑圧せんとする共産党諸君常套手段でありまして、それ自身暴力にして排斥せられるべきものであるばかりでなく、その根底には暴力革命の思想を認めない訳には参らないのであります。」  それから裏の一番終りページに「ともあれこの四つ事件は」というところを「暴力革命への準備行為でありましたが、全国への波及」と、こういうふうに直した。それだけであります。
  14. 鍛冶良作

  15. 赤松勇

    赤松委員 委員長にお尋ねします。昨日の考査委員会設置に関しまして、本会議におきましても各派の討論が行われたのでございまするが、その際にも、従来の考査委員会の運営につきましては、強く本会議において社会党、共産党からいろいろな要求も要望もなされたのでございます。特にこの委員会が一方的に運営されておるというような事実も指摘されまして、この点がかなり問題になつておると思うのでございます。  昨日本会議が終了いたしまして委員会が招集されまして、理事の選任が行われたのでございますが、その際帰りがけに委員長から、ただいまのこの報告書が渡された。そこで私委員長に対しまして、これは新聞記者の手には渡つていないのであろうということを念を押したのでございます。そういたしますと委員長は、いや新聞記者には渡した。こういうことをばおつしやつたのでございます。これは事務当局責任ではなく、明らかに委員長責任において、この報告書がいまだ理事会—きのうの約束では、本日の理事会及び委員会におきまして、全体の意見を総合してこの報告書をばつくる。かように相なつてつたのでございますが、その委員会決定を待たずして、この報告書新聞記者に渡され、しかもけさの新聞を見ますと、ごらんように毎日新聞におきましても、実に五段抜きでこういう報道が行われておるのであります。「共産党本部にも責任考査委国電スト等に結論」そうしてここでは、審議の結果このよう決定したということが報道されております。ひとり毎日だけでなく、朝日におきましてもやはりこのよう報道が行われているのであります。従来理事会申合せ等も、厳重にこれを発表したいというよう慣例にもなつております。いわんや本報告書のごとき重大なものを、いまだ委員会決定を見ない間にこれを新聞記者に渡して、しかも本日の新聞にこのよう報道がなされるというようなことは、はなはだ遺憾に存ずるのであります。この際、委員長はどういう考えでこのよう手続をとつたのであるか、委員長所信をお伺いしたいのであります。
  16. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 お答えいたします。前から理事会にかけて本委員会でこれを決定するということがきまりますれば、これは公表せられたことになつておりますから、本委員会にかけるということの決定せられたるときに、新聞記者諸君にその案を公表するということになつております。それゆえに、理事会でこの案をお渡ししたときには、渡してよろしいと私は言つておきました。それで渡したものと思います。それからこれは案であるということは、十分新聞記者諸君も御承知の上で持つてつておちれるはずであると思います。それを審議の結果やつたとか何とか、それは新聞社で、書かれたことで、私のあずかり知るところではありません。
  17. 赤松勇

    赤松委員 明らかに詭弁でございまして、案であることは事実でございますが、少くともこれは社会的に相当重要な影響を與える報告書でございます。しかも、この報告書がこのような形で新聞に載るであろうということは、大体委員長といえども予測しておつたところなので、従つて委員長としてはきわめて軽率な行動であると言わざるを得ない。従来の慣例と申しますが、昨日の理事会にはこれはかかつていない。明日この理事会及び委員会において審議する、こういうことになつている。理事会申合せをも待たないでかつてにこれを発表するということは、委員長越権行為である。再度委員長所信を明らかにしてもらいたい。
  18. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 理事会で、明日委員会においてこれを審議しますと決定いたしました。審議すると決定すれば、公表したことでありますから、その点はいつもやつていることであります。それから新聞でどのようなことを書こうと、予想したなどということを言われてははなはだ迷惑で、さようなことは予想しておりません。
  19. 赤松勇

    赤松委員 それを予想しないとすれば、これはよほどぼんくらな委員長です。非常識です。おそらく報告書原案といえども、出されれば翌日の新聞に載るくらいはだれでもわかる。委員長が本日の委員会をきわめて円満に運営しようとするならば、昨日報告書を出すということでなく、今日一応理事会を開いて、理事会で検討して、さらに委員会においてこの報告書ができたときに、初めて委員長はその委員会の了解を得てこれを発表すればよい。昨日は理事会でこれは何ら諮られていない。昨日満場一致で推薦の形をとつて委員長を出している。その委員長が、すぐそのあとでこのような、いたずらに他派を刺激するような、そういうやり方に対しましては私は遺憾に思う。はたしてこれが委員長として適当な行為であるかどうか。委員長委員長らしく、もつと超党派的な立場に立つて、そうして全体を刺激しないように、きわめて公平に審議してもらいたいと思います。
  20. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはまことに驚いた。赤松自身理事会にかわつて出ておられて、それを持つて行かれたはずであります。そのときみんな理事会で渡したのですから、あなたお持ちになつたはずです。
  21. 神山茂夫

    神山委員 今赤松君が出された問題は非常に重要でありまして委員長はこれを詭弁でのがれようとしている。今まで委員会における報告書を論議する前には、他の委員諸君、ことにそこにおられる小玉委員にしても高木委員にしても大橋委員にしても吉武委員にしても、よく知つているわけでありますが、たとえば中野及び浦和税務署事件のことにしましても、あの報告理事会十分練つた上で一応発表している。この内容そのものについての意見の違いもあり、本委員会でも論議されましたけれども、一応理事会にはかつているじやないか。それがあたりまえだ。今までの前例でそうなつている。しかも今度の場合には、今赤松君が言つたように、帰りぎわに渡しただけじやないか。現に委員である加藤君は今受取つている状態だ。今明禮事務局長が、まことに珍妙きわまる訂正をしなければならないようなものを含むところの非常に重大な報告をされたが、ゆうべ出して、すぐ発表するとは何事だ。それは明らかに君たち越権行為だ。従来の申合せをまつたく君たち自分で打破つている。もしこういうことをあなた方がやるのであるならば、今まで理事会で問題を公表すまいとか、あるいは調査中にしておきましようとかいうふうな申合せをしているが、これを一番守つて来たのはだれだ、共産党じやないか。一々例を出してやろうか。たとえば大森内藤の二君が出した石川県の二つの事件にしても、新聞の方が先に出しているじやないか。永井隆の表彰の問題にしてしかりだ。国電ストの問題にしてしかりだ。今まで扱つた事件ことごとく新聞の種にしたのはだれだ。この問題について常に紳士協約守つて理事会決定を一番遵奉して来たのは共産党だ。こういう事実があるときに、こういう重大問題についてゆうべ理事会に一体何をかけたのだ。理事会の帰りにこれをおれたちによこしただけじやないか。こういうものを先に発表して、君たちが今までの理事会申合せ自分で蹂躙している。今までの慣例自分で破棄して行くのなら、おれたちにも考えがある。従つて当然赤松君が言つているように、この問題について委員長はぬけぬけと、昨日手続を経ているなどと言つて逃げないで、こういう重大な問題を早まつて出したことはまことに申訳ありませんと陳謝してからこの論議に入るべきだ、その点を論議しないでやるのはあまりにもずうずうしいではないか。われわれとしては、君たち自身理事会での申合せ事項自分で蹂躙していると解釈せざるを得ない。この点について委員長の御意見を伺いたい。
  22. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 お答えします。さようなことはありません。
  23. 神山茂夫

    神山委員 あるじやないか。
  24. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さよう申合せなどはしておりません。
  25. 神山茂夫

    神山委員 あるじやないか。
  26. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 人の発言中じやましてはいけないよ。何を言つておるのだ。
  27. 神山茂夫

    神山委員 自分のかつてばかり言つておるじやないか。
  28. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 人の言うことを終りまでよく聞きたまえ。さよう申合せはいたしておりません。理事会において委員会にかけるということがきまつた以上は公表したのでありますから、いつも記者諸君に発表いたしております。間違いありません。
  29. 神山茂夫

    神山委員 もしもあなたがそう言うなら、衣料公団事件内容を発表したか。あるいは薪炭特別会計の問題について内容を発表したか。君たちが持つているものを発表したか、ようしないじやないか。
  30. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 委会会にかけることを発表した。
  31. 神山茂夫

    神山委員 こういう問題は、その内容について理事会において打合せをするのはあたりまえじやないか。そういうことを全然やらないで一方的なことをなぜやる、これが問題だ。申合せをしたじやないか。
  32. 聽濤克巳

    聽濤委員 申合せをしておりませんとかなんとかいうことを言つておりますが、これは明らかに申合せは厳重にしてあります。この考査委員会において扱うところのものは、委員会にかけて審議か何かしていない限りは、絶対に取上げる問題になつたものですらも、どういう問題を取上げるかさえも、世間に発表しないというかたい約束あるじやないか。そういう事実があるにかかわらず、こういう申合せがないということはまつたく逃口上だ。一体考査委員会責任者である委員長が、こういうものをわれわれに相談なしに、審議もしないでこの内容世間に発表するのは、委員長、いかなる資格においてやつたのか、民自党委員代表としてやつているのか。これをはつきりしてもらいたい。もう一ぺん聞くが、考査委員会委員長として発表するならば、われわれ全員の審議を経て、その同意の上に発表すべきものである。しかしそれをやらずして発表したのは、民自党代表として発表したのか。
  33. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 赤松君、神山君に答えた通りであります。
  34. 聽濤克巳

    聽濤委員 何が答えた通りだ、問題が違うじやないか。     〔議場騒然
  35. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 静粛に願います。加藤君から発言の通告があります。静粛に、静粛に—加藤君に許しました。
  36. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 委員長に対して質問がある。私は本委員会には初めて出席いたしまして、従来の慣例等は一切わかりませんが、ただいまの委員長態度を見ておりますと、大体委員質問に対して委員長がはなはだ不遜な態度で、答弁についても誠意を欠かれる点が非常に多い。そのためにいたずらに議場が混乱しておるように私は思う。私は本委員会の性質から考えても、いわゆる超党派的に本委員会を運営して行くという建前から、委員長が一党一派に偏しない態度でもつて、最も公平に、委員質問に対しては懇切丁寧にやるべきものであると思うわけであります。その点委員長の今後の態度について、私は明確にお伺いしたい。いかなる態度をもつて委員長は臨まれるか。それから私は今この調査報告案文新聞に記事となつたものを見まして、赤松君の質問に対しまして、委員長のお答えが非常にあいまいでありました。従来の慣例は、理事会にかけて委員会審議にかけるということが決定すれば、外部に発表してもいいという慣例であつた。こういう委員長のお話でありますが、私はそういう慣例が従来あつたとすれば、もつてのほかだと思う。私は大体考査委員会の性格から考えまして、その調査事項につきましては、いろいろ個人の問題にもわたつておると思う。事の善悪、理非につきましては別問題といたしまして、そうした個人に関するいろいろな調査事項を、一部の人が調べて来たその案文を、十分本委員会調査しないうちに外部に発表しているということ……。(「一部の人とは何だ」)委員長注意してください。考査委員会というものは、今聞いてみますると、ある問題については、本委員会審議をまたないで発表しており、ある問題については発表しておらないという事実を指摘されておる。これが事実といたしますならば、私は委員長ははなはだ公平を欠いておると思う。私はそういう事実を今初めて聞くのであるからして、委員長から明確な御答弁を願いたい。そうして従来そういう慣例がありとすれば、この慣例を改めて、何人の問題であろうと、いかなる問題であろうと、全委員の承認を得て、そこで決定したものを発表する、こういう慣例にすべきであると私は思う。委員会態度がいわゆる超党派的に、公平にやつて行こうとするならば、今後そういう態度でもつて進むべきではないかと思う。その点について委員長の御答弁をお願いいたしたい。
  37. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 加藤君は前からのことを御承知でないから、そういう質問が出るのであります。前からの方はおわかりだと思いますが、加藤さんは初めてですから、私から答えます。  この委員会に新しい問題が出ましたときには、まず理事会にかけて、これを審議するかいなやをきめます。きめまして調査部調査させます。そして調査部調査中はこれを発表せないということになつております。調査部調査が一応終つて、そして本委員会にかけるということがきまれば、これを公表してもよろしい、かようになつております。この問題は十分調査部調事査の結果、ここに原案ができまして、昨日理事会を開いて、きようの午前十時からこの委員会を開き、これをかける。こういうことがきまつたから、こういうものをかけるということを発表したのです。その点十分御了承願いたい。
  38. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 そのほかの質問に対して答えてください。
  39. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 委員長能度は、あなたの言われる通りつている。
  40. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 もう一つ、ある事件は発表して、ある事件は発表しないということは、どうですか。
  41. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことはありません。発表しない段階においては発表しない、発表する段階においては発表している。それよりほかない。
  42. 赤松勇

    赤松委員 よくわかりました。そこで重ねてお尋ねしたいのは、調査部調査したその報告書調査部でまとめて、現に今事務局長から修正が出ている。そうするときのう新聞に発表されたものを、これは片言隻句—共産党の人はそうでないと言われるかもしれませんが、かりに片言隻句だとしても、とにかくきよう委員会で一応修正してもらいたいという意見が出ている。そうするときのうの新聞発表ときよう修正意見と著しい違いがあつた場合にはどうしますか。私はこれを言いたい。私は民自党人たちに申し上げたいのだが、党の立場をかえて、たとえば共産党が多数になつて民自党が少数になるといつた場合に、もしこういうことをやられたらあなた方はどうするか。現にこれが修正されいままに発表されている。この点について委員長に重ねて質問します。
  43. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 発表したものを私は一一見ておりませんが、修正したものを出しているつもりでおります。
  44. 赤松勇

    赤松委員 委員長、この報告書ごらんになつていないのですか。
  45. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 直したものを出しておるはずです。
  46. 赤松勇

    赤松委員 それなら委員会の運営をうまくするために、きのうあわてて出さずに、きよう委員会で一応修正を皆にしてもらつて、きよう発表しても決しておそくはないと思う。その点を私は言つている。今後委員長はこういうようなやり方をひとつ改めてもらつて、きのうは非常に軽率だつた、だからあらためてこれから協力してもらいたいと、あなたから一言言つてもらえば済む。委員長その意思はありませんか。
  47. 浦口鉄男

    ○浦口委員 最後に一つ希望を申し上げます。公表するについては、理事会申合せは実は了承しておりますが、おのずから二つの場合があると思います。ある事件を取上げることを理事会決定いたしまして、それを調査部調査の結果、いよいよ取上げることが理事会決定するまでは公表しない。こういうことになつておりまして、新しい事件を取上げる場合の公表と、それからそれを審議しまして結論を公表する場合と二つの場合があると思います。新しい事件を取上げることが決定した場合の公表は、先ほど委員長がお話になつよう申合せを実行して、それでさしつかえがないと思いますが、先ほど来各委員からお話もありますよう委員会審議しました結果結論が出るのでありまして、きのうわれわれがいただいたものは、書類の上では報告となつておりますが、実は内容は案であります。その案を発表するについては、やはり一応理事会決定して、最後の修正がなされたものによつて発表されるということが適当である、こう思います。そこで新しい事件を取上げるについての発表と、審議終つて最後の結論を発表する場合と、おのずから二つの場合があると思いますので、このたびの国電ストなど騒擾事件報告についての発表については、たいへん遺憾であつたと私は考えますので、今後この点については委員長の賢明なる御判断によつて発表願いたい、こういうふうに考えます。
  48. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御意見として承つておきます。
  49. 神山茂夫

    神山委員 発表の問題ですが、これは今まで発表した例があるというふうなことが加藤君に答えられておりますけれども、これはたとえば納税関係の官吏汚職事件の場合におきましても、時間は短いにせよ、一応理事会で問題にして、その上でわれわれの間で、これを委員会に本式にかけて意見を闘かわせよう、こういうふうになつている。前の報告書も大体そうだと思う。今度の場合のことなんかは、明らかに納税の場合なんかよりは一層重大な問題でありますので、当然これは私たちにすれば、十分練り合うよう委員長に数回にわたつて申入れしでいるのではないか。お互いにけんかばかりが能ではない。たとえばこの間の常盤地方の平事件を中心に、福島に調査に行つた高木松吉君の小委員会委員長報告なのですが、名報告なのだ。その内容共産党にとつて不利であろうとなかろうと、そこで述べられた事実の報告そのものを私たちが聞く場合には、高木君の言われる通りであるから、われわれは聽濤君も含めてその報告は承認している。これに比べると、内藤委員報告のごときは、まつたく主観的な一方的なものであつて、これに対してはわれわれは発言を留保している。委員長代表して行つた広島の現地調査報告についても、言うべきことはたくさんあるけれども、一応これは発言を留保したまま今日まで来ているというように、私どもとしては何も事を荒立てるばかりが能ではない。証人が報告された事実をありのままに発表された場合には、共産党といえどもこれは挙手して賛成するにやぶさかではないという事実がここにある。今度の場合にしても、私たちは十分に納得して事件を円満に解決したいと思うので、委員長のところに再三足を運んで、事件の促進方を一番まじめにやつたのもぼくであろうし、あるいは円満に解決するためにお互いに話し合おうじやないかということで足を運ぶのもぼくだと思う。これは委員長もよく知つているだろう。その他に自党の諸君が委員長のところに行つて、盛んに策を練つたことは別個の問題である。ぼくたちとしては、共産党の少数意見も含めた発表をされたり、あるいはこういうところでわあわあ言つて精力を浪費して、傍聽者諸君、国民の前に恥をさらすのはお互いのためによくない。そういうことで私は何度も足を運び、委員長、あるいは事務局長、あるいは委員部にも相談した。今度の場合もあくまでお互いに話し合おうということで事を進めている。従つてようの場合、これをいきなり満天下の新聞に発表されるような手段をとられている。しかもいきなり委員会に出して意見を闘わせようという仕組みになつているとしか考えられない。なぜならば今までの慣例からいつても、納税の場合にしても、非常に私は不満だつたけれども、そのときにおいてさえ一応論議してしかも委員会においてみずから修正するような点があつたよう報告であるけれども、この報告を一応われわれとしては、少数意見を留保しながら、見送つているという事実もあるわけだ。従つてようの場合も、何も事を荒立てるという気持で言つているのではないが、あくまでも話をまとめて、しかも委員長報告なり、あるいはこの報告なりに少数の意見が出れば、それで十分われわれは了解するということを誠心誠意言つているではないか。それなのに、昨日の本会議でも共産党がこれに対してとやかく言つただけではない。社会党にしても、ことに石田君のごときは、われわれの結論と反対であつたけれども、議院運営委員会の運営が一方的であつたということを、一番痛烈に批判したと思う。また猪俣君も言つている。これはこの委員会が秘密的な性格になつていることがよくないのだけれども、きよう加藤君が初めて見えたことにしても、この委員会の空気がおもしろくないということを言つている。われわれも何もわあわあ言うだけが能ではない。しかもこんなところにまで追い込んでしまうのも、民自党の多数の諸君と、委員長態度—現にきよう大橋君が話を円満に進めるということで、ぼくの方もできるだけ肯定をして、事件の全体の促進方を円満にやろうと言つているではないか。ところがここに来て委員長や菅家委員の言論を聞いていると、われわれは超党派的の委員会でなくて、昨日の本会議において指摘された一方的な態度がますます強化されている。そうして委員長そのものがその先頭に立つていると言わざるを得ない。従つてたちとしては、この問題については委員長がもう一ぺん熟考して、ぼくの先から言つているように、率直に遺憾の意を表して、その上で審議に移るなら移るよりほかにしかたがないと思う。こんなところでわあわあ何を言つてようがない。
  50. 吉武恵市

    吉武委員 今赤松君や、神山君の御議論を聞いていますと、理事会にかけないで、突如として委員会にかけたことに不服があるようでありますが、実は昨日の理事会で、われわれは相当夜おそくまで審議されることを予想しておつたのであります。ところが理事会にかかつて委員長がこれを明日の委員会にかけるがいいかということに対して、みんな同意をされた。そうして神山君も同意して帰つておるのである。それをきようになつて新聞にあれが出たからと言つて理事会にかけぬからけしからぬという御議論は、私はいささかよくないと思います。それで理事会にかけて、そうして後に案を発表しておつたのは、委員長が言われた通り—発表したことがあり、ないことがあるというのは、先ほど委員長からも説明がありまして、委員会に新しく出られた方は御存じないかもしれませんが、新しい事件を取上げるときには、その調査が済むまでは極秘にしようということになつてつておる。それで調査が済んで結論を出すときは、理事会にかけたら、これを案として一応新聞記者に渡しておる。これが慣例である。ですから、手続としては私は例に間違つてはいないと思います。しかしこれは相当重要な事件でありますから、愼重に審議したいという気持は私どもも異論はございません。ただ昨日は、従つて理事会で相当論議されるものと思つたが、簡單に済んできよう委員会にかかつたわけでありますから、理事会といつても、どうせわれわれ同士の理事会でありますので、その委員会がもう開かれております以上、この委員会でこの内容について御意見があるならば、堂々と闘わされるべきであろうと思います。どうか委員長も時間がございませんので、この内容についての質疑なり、あるいは論議に移りたいと思います。
  51. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 承知いたしました。まず本報告書案について何か御質疑がありますれば、この際お伺いいたしたいと思います。
  52. 神山茂夫

    神山委員 ただいまの私の委員長に対する一応の釈明なり、あるいは意思表示を求めたのに対して何ら委員長の意思表示がない。しかもこれにかわるよう吉武委員発言がありましたが、吉武委員発言も、例によつて詭弁だと思います。私たちはこの点について、問題を練る余地があると思つて発言を求めたのに対して委員長はその次の問題に入つて議案そのものの審議に入ろうとした。そういう委員長態度を私たちは不満に思うので、緊急動議を提出いたします。鍛冶委員長に対して、われわれは信任することはできない。提案の理由説明いたします。  昨日の本会議で今までの委員会の運営が相当批判されておる。大民自党ともなれば、この点を十分尊重して運営されることと思つて、昨日の委員会においては、鍛冶委員長に対して心からなる賛成を表したのであります。ところが本日ここに現われた鍛冶委員長を見ておりますと、あの夏中この四つ事件を取扱うときにあたつて、非常に一方的な行為をした鍛冶委員長が、一層猛烈な姿でここに現われておる。これを超党派的な委員会委員長として認めることはできない。従つて委員長に対する不信任の動議を提出いたします。
  53. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ちよつと私一言弁明いたします。私はあまりここで議論したくないから言わぬのでありますが、実は本日神山委員からこういう議論が出ることを、ふしぎ千万と心得ております。昨日理事会が済んで、これをかけるといつて、みんなに話したとき、あすは午前十時から開いて、午前中質問をやつて、そして午後になつたら修正意見を出してもらつて、これを討議して、さらに討論を加えてやろうと思つたところ、まことにけつこうだと言つてお帰りになつた。しかるにけさになつて神山君のこの言葉は、実にふかしぎ千万だと思います。私は言いたくないが、これだけは言つておきます。それでも相かわらず不信任案を出しますか。
  54. 神山茂夫

    神山委員 やります。     〔「今の発言を取消せ」と呼ぶ者あり〕
  55. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや一応釈明する。
  56. 神山茂夫

    神山委員 それに対して反駁する。
  57. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは高木君とかわろう。     〔委員長退席、高木(松)、委員長代理   著席〕
  58. 高木松吉

    高木(松)委員長代理 それでは始めます。  ただいま神山君より委員長不信任案の動議を提出されましたので、理事の諸君の御協議によつて、私が委員長として不信任案の動議について議事を進めることにいたします。  神山君の委員長不信任案の動議に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  59. 高木松吉

    高木(松)委員長代理 起立少数。よつて神山君の不信任動議は否決せられました。(拍手)     〔高木(松)委員長代理退席、委員   長著席〕
  60. 赤松勇

    赤松委員 本報告書を読みまして、私第一に考えられましたことは、本報告書はきわめて一方的にこれがつくられておるということ。すなわちたとえば国電ストの問題。あるいは国鉄労組の熱海中央委員会における決議等の問題につきまして、私が証人として申請をいたしました菊川孝夫、澤田廣、星加要、これらの証人の証書につきまして、当時委員会の多数は、この証言の中に多数の事実を認めながらも、本報告書の上には何らそれが反映していない。一体これはどういうことであるか。私当時の菊川、澤田君たちの証言の内容を、この議事録からいろいろ取上げて見まして、第一に当時諸君たちはこういう国電ストや、あるいは熱海における中央委員会の決議等の生れまする根本的な原因は、吉田内閣の失政にある。すなわち社会不安のその根本的な原因は吉田内閣の失政にあるというような点を指摘しておるのでございまするが、こういう事件の根底をなす問題を、ほとんどこれを抹殺しておいて、そうして生れました個々の派生的な現象をつかまえて、一方的にこれを結論に持つて行こうとする意図がきわめて顕著なのでございます。一体こういう点について当時の証人の証言を十分に取入れておるかどうかという点について質問をしてみたいと思うのでございます。
  61. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 赤松君の今の質問に対して私から答えますが、調査部においては、すべての証言を吟味の結果、これをつくつたもので、決して一つの証言を見のがしたり、故意に除いたりしておらぬはずと思います。ただ具体的にこれが入つておるか、これはこうだというふうに言われれば、事務当局の方でまた答えますが、私としてはそれだけしかお答えできません。
  62. 赤松勇

    赤松委員 たとえば第六ページの四項目の「吉田内閣打倒という考えが組合員の間に広く行われている結果でもあるが、」というのがございますが、「これは結果ではあるが」ということで、下に(星加証言、第十八号二三頁)こういうふうに打切られておる。その言葉はさらに続いておるのであります。こういう点きわめて証言の内容が不明瞭になつておる。たとえば「吉田内閣打倒という考えが組合員の間に広く行われている」というその内容がここではぼかされて、その結果として生れて参りました「最悪の場合はストをも含む実力行使云々という闘争の具体的方法、こういつたものについてずつと以下証言が大きく取上げられておる。これは明らかに一方的であると思うのでありますが、その点についての御答弁をお伺いしたいと思います。
  63. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一方的であるということに対しては、ちよつと答えようがありませんが、これに対してあなたの方で修正でも出してもらうという以外にないでしよう。ほかにありませんか。
  64. 神山茂夫

    神山委員 ここで委員長に一応話しておきたいのですが、昨日私があなたたちと折合つて行こうと言つた精神は今もかわりがない。ここで一応伺つておきたい点は、私たちはこの報告全体を見ますと、今赤松君が言われた以上に、一方的だということを痛感しているわけです。従つて個々の字句の修正で済むものか、それともその形式はあとで論ずるとしまして、少数派意見という形で—これは委員長との間には個人的に大いに話合つて委員長もこの点了解されているのでありますが、少数派意見という形でわれわれの見解を入れてもらうことができるのかどうか。これをまず委員長に聞いておきたいのであります。それはわれわれが少数派報告を本会議でするかどうかという問題とは別個に、少数意見をあなたは十分尊重する気持があるのかどうかということについて聞えておきたい。それによつてたちは、個々の字句や事件の取扱いが一方的だという点についての質問もありますので、あなたが今私の言つたわれわれの意見を十分取入れる用意があるか。またそれにはどういうふうな方法をあなたは考えておられるか。この点をお聞きしておきたい。
  65. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 私個人としては、もちろんあらゆる意見を取入れて報告したいと考えておりますが、しかし報告しますのは、委員会において決定せられたものを私は報告するのですから、私個人考えだけではいかぬと思いますが、私はなるべく少数意見を尊重して、できるだけのことをしたいと考えております。あと委員会決定してもらう。
  66. 赤松勇

    赤松委員 これは議事運営の上にきわめて重要な問題ですが、通常国政調査に関する報告等がありました際に、ことに今度のように政治的にきわて重要な意義を持つております本件の報告に関しましては、その與える社会的影響もきわめて大きいのでございまして、当然その報告の中には少数派の発言というものが、委員長報告の中に織込まれて報告されるのが至当である。あえて委員会に諮るまでもなく、このことは国会運営上常識だと思うのでございますが、重ねて委員長の御答弁をお願いしたいと思います。
  67. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはほかの委員会違つて、こういうものを報告するということをこの委員会できめて、きまつたものを報告するのですから、各委員もそのつもりでここで決定していただけるものと考えます。私個人つてにやるわけにはいかぬと思います。
  68. 赤松勇

    赤松委員 ただ運営の常識といたしまして、当然それは織込まれるべきである。但し委員長がおつしやるように、これは国政調査に関する報告でありますから、この委員長報告に対して賛否を問うた際の討論、あるいはこれを採決することなんかは、本会議では行う必要はないと思いますが、少くともこの委員会の総合的な意見を本会議において報告される場合には、これこれのこういう意見があつたということが当然附加されるべきものである。国会運営上これは当然の常識である。かように思いますので、あらためて確認を求めておるわけではございませんが、その点を十分に考えておいていただきたい、かように思います。
  69. 神山茂夫

    神山委員 赤松君が意見を出されたので、かえつて問題が大事になつて来たのでありますが、赤松君が今言われましたように、これは国政調査に関して委員会報告するのであるから、反対討論、あるいは少数派報告というようなものはいらないという意見赤松君は前提にしておられますが、この点については赤松君の言われたような見解もありますが、一方においてはそれに反する見解及び事実もあるわけです。現に参議院における吉村隊事件に関しては、参議院においては委員長報告と、少数派報告が行われている。また当院におきましても、法務委員会における平事件の取扱いについては、少数派報告が出される可能性があることが伝えられたというような事実があるわけであります。従つてやかましく言いますと、どういう形で少数派意見を出させるかということについてもつと討論してみる必要があるのではないか。すなわち参議院における実例などを見れば、国会法五十四條及び衆議院規則百十五條の解釈、それから考査特別委員会の決議事項の第五でありますが、委員長のよく御承知ように「本委員会は、随時衆議院に対し少くとも月一回その意見を附して調査報告書を提出しなければならない。」こういうふうになつておるわけでありますが、その意見を附すというのを広汎に解釈すれば、少数派の意見もつけ加えるということも解釈できるのではないか。こういうふうないろいろ論議があるわけです。従つて赤松君が言われたように、少数派の意見は本会議では出せないのだ、こういう点については十分考慮して、どういう形であなた方としてはこれを処理しようと思われるのか、この点をお聞きすれば、私たちとしても意見の違いが非常にはつきりしておれば、初めから少数報告委員会の多数派の報告と二つ出せば、むしろことは簡單に済むと思う。少数派の意見委員長報告の中にあくまで織込んでもらえなければならぬということになれば、この厖大な報告の一字一句まで審議しておかなければならぬと思います。この場合委員長にお願いしておきたいことは、この前の税務官吏の汚職の場合に、時間を三十分というふうに限つてしまつてわれわれの発言は十五分か五分くらいに制限されたように思うのですが、そういうことのないように、十分に一字一句まで文章を練つた上で、大まかな意見の違いについて少数派の意見はこうであるというふうにされれば話は済むと思います。こういうことを考えるから、あなたと再々折衝した。あなたが少数派意見を尊重されるということに対して、それはまことにけつこうだと言つたわけでありますから、ここのところもあわせて十分に御考慮願いたい。  そこで議事の進行上私の提案でありますけれども、この点について委員長としても十分考えを練つていただきたい。また他の党派の諸君もこの点について十分考えを練つていただきたい。私たちとしても、これは党としても態度をきめなければなりませんし、さらにこれは委員長との話合いも必要であれば、あるいは理事会等によつてどういう方法でやるかという大まかなやり方をきめて、その上で内容に入つた方がかえつて早いのじやないかと考えますので、ここで一応休憩に入つて、そして休憩の問に十分にお互いの意思を疏通させて、その上でできるだけ議事を効果的に運営させるように提案したいと思います。
  70. 赤松勇

    赤松委員 ちよつと神山君の言葉の中に、誤解されるような点があつたので明らかにしておきたい。私の申し上げましたのは、少数派の意見を本会議に出すことが必要ないというのでなくて、少数派の意見は当然附加さるべきものである、但しその委員長報告の可否について、これを討論し、もしくは採決するようなことは、これは国会運営上常識として必要ないのじやないか、こう考えられるのでございまするが、これはあくまで常識でございまして、きわめて綿密な検討が必要だと思うのですが、少数派の意見を当然附加されなければならぬということは私の建前でございまするから、その点は誤解のないようにお願いいたします。
  71. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではしばらく休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後七時一分開議
  72. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  休憩中の御懇談によりまして国鉄労組中央委員会実力行使決議事件の第十丁目最後の方に、註として加えてある部分は削除したものと御了承願います。  国電スト等騒擾事件報告書原案に対し、質疑は大体終了いたしましたが、これに対し聽濤委員から修正の動議が提出されております。修正動議の内容原案中約七十箇所にわたり削除せんとするものでありますが、先刻の懇談会においてもすでに御承知でありますから、朗読は省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認めます。それでは聽濤委員説明を求めます。
  74. 聽濤克巳

    聽濤委員 すでに七十節所の修正意見を出してありますが、これについてどういう根拠からこれを出したか、その総括的な根拠を御説明申し上げます。   一、委員会報告のねらい  衆議院考査特別委員会国電スト、国鉄労組熱海決議、平事件広島日鋼争議の四事件につき「国電スト等騒擾事件報告書」なるものを発表し、これらの諸事件が「共産党等の唱える人民政府樹立に向つて進行しつつある暴力革命の前哨戰である」というさきの中間報告の結論を立証しようとして、大体つぎの諸点を強調している。  一、四事件とも時間的に、または闘争方式において相関連し、あるいは共通性をもつているが、それは共産党が革命の突破口として計画的に組織したものであることを物語つている。  二、そのために共産党は組織的に「八月革命説」を流布し、それによつて「無智な下部党員に自信を起させ、下部党員はまたこの盲信に基いて、同じく「無智な」大衆を煽動し、また行動にかりたてた。  三、その闘争方式がどこでも職場闘争から、産業防衛闘争から、地域人民闘争へということを目標とし、この方法によつて労働者の闘争に農民、市民を結合せしめ、かくしてこの闘争を地方権力の弱体化に向けさせたことは、地方動乱を起させて、これを中央に反映させ、民主人民政府樹立の革命的手段として利用せんとしたものである。  四、しかもこの四事件とも多数による威嚇、脅迫、暴行など、暴力性と残忍性が現われているのは、共産党暴力革命を目指していることの何よりの証拠である。しかし考査委員会はこのような結論をいかにして引き出したであろうか。   ここにこそ本当の問題があ。このことを明かにしないでは、考査委員会の結論を正しく評価することはできない。   二、考査委員会はどういう経緯で四事件を取上げたか。  そもそも考査委員会は不当財産取引調査特別委員会を改名、変質させたもので、すでにその時から民自党の反共的陰謀の意図は瀝然としていたが、それはしばらく論外とするも、考査委員会が四事件を取上げたのは、次のような経緯によるものであることは、何人も否定できない。  一、第五国会で定員法を多数の威力により強行通過させた民自党吉田内閣は、同法による大量首切りをまず国鉄に対して強行したことは事実の示すところである。だからまず国鉄においてこれに対する労働者の反対闘争が起つたのはむしろ当然であり、政府みずから予想したところである。しかし現実にこの闘争が国電ストとして起るや、政府は周章狼狽し、今後発生が予想される国鉄労働者の闘争を彈圧する口実と下地をつくるべく、着々準備を進めたことはこれまた事実の示すところである。  二、現に民自党廣川幹事長は、国電ストの発生を見るや、間髪を入れず共産党の「八月暴力革命説」を全国にばらまいた。「八月革命説」をばらまいたのは、決して共産党ではなく、民自党みずからであつたことは、本事件の真相を知るための重要なかぎの一つである。  三、さらに廣川幹事長は、当時すでに国会休会中で考査委員会も開かれていなかつた状態なので、委員会の意思などにかかわりなく、かつて国電スト問題は考査委員で審議させることを公表し、その後急遽同委員会が召集されたことは、考査委員会民自党の私物と化し、廣川氏の事実上の指図のもとに国電スト問題を取上げたことを物語つている。  四、国電スト問題を取上げたことは、その後の経過が示すように、單なるきつかけにすぎず、次々と他の事件を計画的に取上げたことを示している。現に考査委員会は、前の不当財委から引継いだ約十数件、及び六、七件に及ぶ新しい問題など、ぜひ審議すべき問題が山積していたにかかわらず、全部を、放棄してこの四件の審議に集中した事実は、このことを明瞭に物語つている。  五、これを要するに最初から反共的陰謀に基いてつくられた考査委員会は、ここに本性を暴露して「非日委員会」と化し、共産党の彈圧と破壊を目的として運用されるにいたつた。   三、考査委員会で四件はいかに審議されたか  こういう経緯をもつて四件を取上げた考査委員会の反共的意図は、その実際の審議の中でますます露骨に現れた。  一、四件ともその本質において労働争議であり、吉田内閣の首切り政策の犠牲になつた労働者が賃金の遅欠配、労働強化、首切りのため言語に絶する生活の苦痛をなめさせられ、そこから労働者の生活防衛の闘争が必然的に起つてきたことについては、一片の顧慮も與えなかつた。  二、またこれら労働争議の背後には、吉田内閣の産業破壊の政策の結果、国鉄の荒廃、民間産業の破滅が進行しつつある事実には完全に眼をおおい、証人のうちにこれらの問題を真劍に訴へんとするものがあるや、民自党委員はこれらの発言を威嚇的に抑圧した。  三、民自党委員は、証人のうち共産党員やまじめな労組員の発言には威嚇を加え、彼らの自由な発言を押えながら、一方では自党に都合のよいような、誘導尋問に終始した。すでに四人の労働者を偽証罪、あるいは証言拒否の罪名で告発しているのは、このことの何よりの証拠である。  四、しかも官側、会社側、あるいは第二組合員や民同の発言は自由にこれを許し、国鉄民同の発言には、民自党委員が拍手をもつて称讃した事実さえある。  五、さらに共産党委員発言は、しばしば低級なるやじと妨害に会い、委員長みずからその発言に干渉した事実も多々あるばかりでなく、委員会の運営は常に民自党委員の多数により一方的に行われ   た。  六、かくして四件とも検事的。特高的尋問に終始したことは、今回の考査委員会報告書内容がおのずからこれを立証しているが、とくにその内容が検察庁、警察の四件取扱いの態度と全く符合している事実は見逃し得ない。のみならず労組や共産党の組織的内容に立入つて執拗な尋問が行われたことは、特徴的であつた。  以上のような経緯と審議を経て作成された今回の国電スト等騒擾事件報告書が、共産党誹謗の結論を下しているのは、決して偶然ではなく、むしろ最初から共産党の彈圧と破壊を意識して作成されたものである。だがここで重要なことは、この共産党誹謗の陰で事実が完全にひん曲げられていることである。  一、国鉄労組熱海決議  考査委員会がこの問題を取上げた理由は、国鉄労組は公共企業労働関係法によりストが禁止されているから、実力行使決議は非合法だというにある。  そこで同決議が合法か非合法かが問題ならば、当然法務委員会審議すべきである。  しかるにわざわざ考査委員会で取上げたのは「非合法」という言葉の魔力を利用して、国鉄労組が犯罪的あるいは暴力的計画を行つているとの印象をばらまき、彈圧の口実をつくるためであつた。現に殖田法務総裁でさえも、公共労法十七條違反は單に違法であつて、犯罪ではないと証言し、問題にならないことを明らかにしている。  いずれにせよ憲法に違反した公共労法や定員法をつくつた民自党委員が、いかなる資格があつて非合法問題を審議したのであるか、究明しなければならない問題はここにこそある。  二、国電スト  国電ストの直接の原因は、新交番制の実施にあつたことは報告書も認めるところ。  しかし報告書は、新交番制の実施がはげしい労働強化をもたらし、たえ難い労働環境をつくることを訴え、また大量首切りの前触れであると訴える労働者の切実な主張を否定し、逆に労働者は事実を誇大に宣伝して闘争の口実にしたと強弁している。  これが民自党国電ストに対する恨本態度であり、これは労働争議に対する無智と弁解を現わしているのみならず、争議の本質を抹殺して派生的事件をとらえ、検事的態度で作為的に暴力的闘争の筋書をつくり上げようとしたことを端的に物語つている。  また、いわゆる人民電車事件を大犯罪かのように仰々しく取立てているが、一体だれに対して犯罪なのか。労働者をストに追込み、その上労働者がなお列車の正常な運転を申し出したのを拒否し、あまつさえ列車運行を業務命令で妨害したのはだれか。このことを明らかにしないでどうしてこの事件の正しい評価ができるであろうか。  三、平、福島、広島日鋼事件  これら事件報告書においてすべて騒擾事件として取扱われている。また労働者と警官隊との衝突があつたのも事実である。世界各国において、労働者の運動のあるところ、官憲の彈圧があることは歴史の示すところである。それは本質的に階級闘争であるからだ。それにもかかわらず、官憲との衝突があつたというだけでそれが騒擾事件だというならば、世界各国の労働運動は騒擾であり暴力的運動だということになり、これほど労働運動に対する無智と労働者に対する侮辱を表明するものはない。  だから何ゆえ労働者と官憲との衝突が起つたか、その原因と実際の衝突の状況とを見ずして騒擾と断定するのは、ただ労働運動に対する彈圧と官憲への協力を物語るにほかならない。  個々の場合においていろいろの問題があつたことは認められるが、これは官憲側の挑発によつてひき起されたものである。報告書のいわゆる騒擾事件とは、すべて官憲の挑発によつて起り、労働者がこれに対し防禦を行つたにすぎないのである。  たとえば平事件は、あの警察側のやぶから棒のような掲示板撤去要求がなかつたならば起らなかつただろうということは、民自党であろうと共産党であろうとだれが考えても目明のことである。  一体だれがこの撤去要求を出したのか。それは警察側である。しかも警察は、撤去要求について納得しうる理由さえ開陳できなかつたではないか。現に同じ掲示板は旧位置から半町も隔たないところにいまもつてちやんと立つている事実は、警察の撤去要求がいかに無根拠であつたかを証明するのみならず、むしろ問題の茶番化を示すものである。しかし、かかる無根拠な理由をもつてこの事件の糸口をつくつたことこそ、実はその後、平騒擾事件として百数十名に及ぶ労働者の大量検挙のきつかけをつくつたのであつて、本事件の真相はこの点を明確にすることなくしては絶対に解明し得ないのである。  広島日鋼事件においても、会社側が対抗手段として工場閉鎖の拳に出た後を受けて、広島県知事が現地軍政部の一般命令を伝達して、従業員の工場外退去を要求し、その時すでに二千名の武装警官が出動して、暴力的に追出しにかかつたことが衝突の原因であつたことは、何人が否定し得るだろう。  しかも衝突とはいえ、労働者側はスクラムを組んで対抗しただけで、官憲の一方的挑発と労働者の一方的防衛に終始したことはだれの眼にも明らかである。  さらに広島日鋼事件や若松の三菱広田工場事件は、会社側が大量首切りを決行するために、あらかじめ一方的に労働協約を破棄し、賃金の遅配を行い、その上で一方的な首切りを発表し、それについての団体交渉を拒否し、労働者を手も足も出ないような窮地に追込んだことからあの争議が起つたことは明白であるにかかわらず、労働者の計画的闘争だと誹謗している。  高萩炭鉱事件も大体同様の争議であり、平事件の背後にも矢郷炭鉱労働者及びその家族の悲惨な生活とその防衛闘争があつたことは、全然無視されている。  福島郡山事件における労働者の主食掛売要求や地方産業防衛の要求は、吉田内閲の破壊政策の結果、今全国各地で起つている大衆運動の一例にすぎない。  四、報告書はこれらの根本的諸点をあいまいにし、あるいは無視しているが、それは考査委員会に喚問した証人のうち特に官憲側、会社側、第二組合側、民同側の発言を基礎として作成したためであることは、報告書を一読すれば明らかである。  五、結論  以上のような経緯、審議報告書作成の経過を見ても明らかなように、吉田内閣と民自党、自己の政策の破綻をおおい隠すために、共産党の彈圧と破壊を意識的に計画し、考査特別委員会を利用して、この計画の一端を実現しようとしているのである。だが、われわれは彼らの無智と無謀を指摘して結論とする。  一、労働運動に対する無智  吉田内閣と民自党が労働運動をいささかでも理解しようと努力せず、ただ無謀にも彈圧さえやれば事足れりとしていることは、天下周知のことであり、その無知さはむしろ笑いものとさえなつている。  労働者大衆が生活の破綻の中で生死の苦しみをなめ、その中から必死の生活防衛の闘争を起している事実を見ることができず、これらの闘争に対して暴力主義だとの非難を浴びせているが、それは單に官憲や資本家側のつくりごとにすぎず、何ら真実を伝えるものではない。  時間的に諸種の事件が相関連しているというが、吉田内閣の産業破壊と首切り政策の土台の上に起つたこれらの事件が、時間的に相関連しているのは当然であり、今や全国各地の職場、工場、官庁に起つている無数の闘争は、この筆法で行けば全部相関連している。  若松、郡山、福島などの事件は、平事件をめぐつて計画されたものだとしているが、これは労働者が他の労働者に対する彈圧に奮起し、その防衛のために闘うのは全世界の労働運動の伝統であり、かかる労働者の連帶性は国際的規模にまたがつていることすら知らない者の言である。  職場闘争から産業防衛闘争、それから地域人民闘争という闘争方式を問題にし、あるいは革命を云々し、とりわけ暴力革命云々しているが、吉田内閣と民自党は、ただ言葉の上で理解するだけで、それらの内容についてはいささかも理解していない。  労働者を愚昧であり無知であると考えている。その証拠には、大衆の闘争をすべて共産党の笛に踊らされている、ものと考えるきわめて幼稚な思想がこれを表明している。これは労働運動における共産党の役割についての完全な無知ともなつて現われている。  二、革命の否定  吉田内閣と民自党共産党が革命を目ざし、また労働者をそのように指導していることを罪悪のよう考えている。しかし今日の日本において日本における民主主義の徹底、日本の民主化の徹底はとりもなおさず革命であり、革命的大事業である。今日の日本において革命を否定するものは、人民の政党としての任務を否定するものである。  労働者や共産党が吉田内閣の打倒を叫び、民主人民政府の樹立を要求するのは、なるほど革命的要求である。それはそうする以外に日本の民主化の徹底は実現し得ないからである。このために闘争することは労働者や共産党の光栄ある任務である。  革命といえば暴力革命だと思つているが、それは革命とは何か、暴力革命とは何かを知らない者の考えである。暴力革命とは特定の條件の中でのみ起り得る問題であつて、日本においてはすでに平和的諸條件の中で革命は進行しつつることを知らないのである。  三、秩序の紊乱と社会不安の原因  吉田内閣と民自党は、四事件が秩序の紊乱と社会不安を惹起していると主張しているが、産業が破壊され、本年に入つてからだけでも中小工場の倒潰するもの数千を数え、失業者の洪水が全国をおおい、重税に打ちひしがれる農民や中小商工業者の生活の破綻を考えるとき、これが現代日本の社会不安の最大の原因であることをたれが否定し得よう。しかもこの社会不安はたれが責任を持つべきか。とりも直さず吉田内閣と民自党の産業破壊と首切りと重税の政策こそ社会不安の根本原因ではないか。  四、吉田内閣と民自党の自己に対する不明  彼らは單に労働運動や共産党に対して無知であるばかりでなく、自己に対しても不明である。彼らが日本における極右反動であることは、すでに日本においても常識化されている。單に国内だけでなく、むしろ国際的にこれは定評となつている。ソ同盟や中華人民共和国やその他の民主主義諸国が、吉田内閣をフアシスト的政権と評しているばかりでなく、米英の輿論の中にも、極右の折紙をつけている事実は明かであるが、彼らはこの事実を知ろうとしない。しかしこの定評は彼らの現実のフアシスト的行動と完全に一致するものであり、それはまことにヒトラー的であり、ムソリーニ的であり、東條軍閥的である。彼らは露骨な反共政策を推進して来たが、もはやすでにその反共政策は行詰りに逢著していることは、今議会直前の吉田首相の告白によつても明かである。  五、報告書民自党的な結論にすぎぬ  かくして考査特別委員会報告書は反共的結論を下すことに成功したかに見えるが、それは要するに民自党的な結論にすぎず、しかもそれは民自党の労働運動と共産党に対する無知、革命の罪悪視、日本における極右反動政党としての民自党の根本的性格の所産である。それは決して日本国会の権威を高めるものでなく、逆に国内的にも、特に国際的に日本国会の権威を失墜させるものであることは論をまたない。それは決して国内外の批判に長く耐え得るものでないことを断言する。  以上であります。
  75. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは報告書原案及び修正意見を一括して討論に入ります。神山茂夫君。
  76. 神山茂夫

    神山委員 それでは共産党代表して委員長報告書原案及び聽濤委員修正意見、これを一括して討論いたします。  すでにこの委員長報告内容そのものに対する批判は個々の箇條ごとに七十箇所にわたつて聽濤委員及び私から提出したのでありますが、今聽濤委員が、なぜわれわれがこうい修正意見を出さざるを得ないかという根拠をすでに説明しましたので、私は総括的にこの報告の結論に該当する部分について反対討論をすることによつて、私の見解を明らかにしたいと思うのであります。  約百枚にわたるこの厖大な報告書は、その内容がすでに批判に耐えないものであるということ、従つてたち修正意見の必要があつたのでありますが、特にその最後の革命への対策というような箇所に至りますと、すでにわれわれが指摘しているような革命そのものに対する無知と無理解、さらに共産党の性格に対する無知と無理解、もつとさかのぼつて言えば、共産主義そのものに対する無知と無理解をはつきりと示しておるのであります。その点を明らかにしますために、報告書の最後の七項のうちの一といわれている点をまず批判したいのでありますが、ここには将来日本において共産党が天下をとるというふうなことを予想し得るという場合を想定して、その第一の可能性があるものとして以下のように書いてある。隣に絶大な共産主義国家が控えていて、その主義の浸透にじやまの入り得ない組織的、秘密的、教育的の状態がつくり上げられること、すなわちこういうような條件があれば、日本の国内にも革命ができるというのであります、もしも共産主義理論のごく常識でも知つている人がおつて、こういうものを読んだならば、文字通り抱腹絶倒するでありましよう。革命は天から降るものでもなく、地からわくものでもない。いわんやまた外国から輸出されるものでもないのであります。たとえばソビエト同盟において三十三年以前に労働者が権力をとつた。また中国において現在労働者階級の指導のもとに人民が権力をとつているということが、直接日本に輸出されるものではないのであります。これらのことは世界情勢に大きな影響を與えてはおりますが、このことと日本国内において革命の條件があるかどうかということとは、関連はありますが別個の問題なのであります。ことに今から約三十年前、世界の情勢が変化して、一国において革命が可能であるということは、ソビエト同盟やその他の国々の革命の事実によつて立証されていることでありまして、もし日本に革命が起るとすれば、それは外国から贈られるものではなくて、日本の国内にあるのであります。どこにあるのか。すなわち労働者階級を初め、勤労大衆の生活が困苦窮乏のどん底にあるということ、また広範な人民大衆、さらには産業資本家までが自分の生産を防衛せざるを得ないということ、こういう国内的な條件があるからこそ、その上に立ち、これを搾取し、自分の私利私慾のためにのみはかつている一部の独占資本家に対する下からの闘争、文字通り盛り上る闘争が起る條件と可能性があるわけでありまして、世界の共産主義者は、自分の一国内における勝利のために闘つているのであつて、断じて外国からの革命の輸入のために努力しているのではないということは明かな事実であります。  時間の関係上私は論点を省略しますが、こういう事実を知らないために、共産党への対策の第一に、あたかも革命が外国から輸出され、秘密に教育的に、まるで小さなカン詰のようにでもなつて輸出品となつてつて来るというふうた見解を持つているところに、民自党とはあえて言いませんが、いかにこの報告の起草者の知惠が少いかということがはつきり出ているのであります。  第二に、これはもう再々問題になつているのでありますが、暴力革命の問題であります。この点は本委員会審議に当つても、私が一度ならずして指摘しているので、今日は要点だけを申し上げますけれども、われわれ共産主義者は、自分の主観的希望によつて革命を製造しようとするものではない。今も述べましたように、国内にそういう條件があつてこそ、一つの客観的な必然的な歴史の法則の上に立つてこそ行われるものであつて、一階級や一政党が、自分の頭によつて革命をつくり出すものでは断じてないのであります。ことに今問題になつております暴力革命云々と言われているもの—この暴力革命云々という表現が問題でありますけれども、かつてソビエト同盟において革命が暴力的に行われるような場合に、その條件となつたものも、従つて個々の党や個々の階級の意図ではなくして、第一に、全国民大衆の生活が危険に陥つて彼らがどうしても暮せなくなつたという事実。第二には、支配階級そのものが自分の政治的破綻、経済的な破綻のために統治する能力を失つた場合。第三には、この支配階級の欠陥をついて、下から盛り上る全人民大衆の立上りがあり、彼らが死をも恐れざる決意をもつて党争に立ち上る、こういうふうな條件があるということ。従つて一方の極端では、非常に強い分子ができると同時に、一方には弱いものができて、敵も味方も大きく動揺しておる。こういう條件があるときを、われわれは客観的革命的情勢と言つている。なぜ客観的情勢かというと、階級や党の希望や意思にかかわらず、これが客観的に起つて来るということ、これをわれわれは全国民的危機と言うのであります。こういう危機がかりにあつたならば、そのときにほんとうの革命の問題になる。日本に今こういう條件があるかないか。わが共産党は、こういう條件が成熟しつつあるというふうには考えているけれども、しかしこうい條件が今日ただいまああとは、かつてつたこともないし、考えたこともない。従つて共産主義者、ことに日本共産党員は、現在の情勢下において、直接革命を目ざして党いとれというようなことを言つたこともないし、こういうことを言う者があれば、これは間違いないのであります。いわんや日本においては、すでに聽濤委員修正意見の中でも言いましたように、革命の平和的発展の可能性があるということは、わが党が一九四六年二月の第五回党大会で、天下に向つて公言して以来、この方向に向つて努力している事実なのであります。最近のいわゆる暴力革命と言われるものは、当考査委員会が調べて明らかであるように、むしろ民自党の政策の破綻の結果、その失政の結果、その悪政の結果、国民的な危機にみずから追いやつているということの結果として、自然発生的に起つておる。これが第一に大きな問題であります。この條件をとらえて暴力革命が起るかのような宣伝を始めたのは、民自党の廣川弘禪君であり、さらにその上に立つている吉田首相であることは、これはまた諸君が十分御存じのところであります。従つてわが党は革命の客観的な可能性が今あるとは見ておらない。第二に革命というものは簡單にわれわれが頭だけでやれるものではない。第三項の中に革命を起すためにはということでこう書いてある、「主要基幹産業、鉄道、通信等の機構内に該政党の根強い細胞を作り上げて何時でも革命に沿う初り替えの出来る様になつていること。」こういうことを言つておりますが、私が今述べたことでも明らかなように、決してこんな基幹産業の労働者階級の中に細胞ができただけで、革命が起るものではない。そうではなくて、この国の重要産業はもとより、全労働者階級の中の圧倒的な多数が、わが共産党を支持したときに第一の條件ができるのであります。主体的條件の一つができる。同時にこの点では、委員長がこういうよう報告書の中に書いてある。第五項「共産党が大衆(学者、中小企業家、官公吏等いわゆる指導階級を含めて)を同伴者、同情者として又は投票人として引具し得る体制をつくり上げること。」これは表現が非常に間違つておりますし、こつけいなことを言つておりますが、私が今述べたこの労働者の中に共産党が多数を握るだけではなく、他の広汎な階級や層の中でその指導権を打立てたそのときにこそ、真に私が先ほど述べた客観的革命條件があれば、これが革命に転化し得るし、革命の主体的條件が備わるということをよく知らないために、こういうこつけいな表現をしておるのであります。私たちとしては、真に大衆の獲得のためには、常に労働者階級の現実の要求を、人民大衆の現実の要求を中心にして、この現実の政治的経験によつて党の正しさを知らせることによつてこそ、大衆を獲得しようとするのであつて、この報告書終りに言つておるような、われわれが暴虐、残虐、あるいはおどかし、これらの方法によつて大衆の獲得をしようと思つておるかのごとき考え方は、まつたくその無知蒙昧を表わすものであります。  さらにここでもう一つはつきりしておきたい点は、この報告の中には、至るところに吉田内閣の打倒、それから人民政府の樹立ということが言われております。もちろん私たちは、この暴虐なる吉田内閣は打倒しなければならないと思つている。しかしこの吉田内閣を打倒するということが、ただちに人民政府ができることだというふうに考えておる者がありとすれば、これもまた短見であります。われわれは現在日本が連合軍の管理下にある、この事事を明確に知つておる。吉田内閣が倒れるということがただちに人民政権に移ることではなくて、その間に種々の政権があり得るということも明らかなんであります。従つて吉田内閣は倒さなけれならないし。しかし人民政府をすぐ今日ただいまつくるということではない。これは民自党委員諸君が知らないのは当然でありますが、われわれは人民政府の樹立ということを言う。この方向に進まなければ日本人民の幸福はあり得ないということを主張する日本人に自由も平和も独立もあり得ないということを主張する。しかしそのことは、人民政府を樹立しなければならないということを宣伝し啓蒙する意味で、われわれの言葉でいえば、宣伝のスローガンとして言つておるのであつて、今日ただちに人民政府ができるという意味で、すなわち行動のスローガンとして言つておるのでは断じてない。ところがこの点をまつたく奇怪にもごちやまぜにしたり、あるいはすりかえたり、あるいは意識的に結びつけて宣伝しておるのが、現在の政府と民自党を中心とする反共連盟の諸君なのであります。従つて内容そのものについては私は繰返すことをしませんが、こういうふうな考え方こそ、革命への対策ではなくて、まさに人民大衆れ彈圧への対策である。諸君がここで言つているところの対策は、人民自身自分の生活防衛のために立ち上るということ、現に奪われつつある自由を守るということ。これを何とかして、押えつけようとするところの対策であるということは明らかなんであります。このことを先に私たちはこういうふうに言つた。すなわちこういう政策を行うのは極端右翼だ、極右だと言つた。この極右の中にはいろんなものが含まれておる。右は日本の古い軍国主義者から、左は最新の買弁化したフアシストも含まれておる。この全体が含まれて国の全体的反動化に現在狂奔しておるのであります。この事実こそ日本を外国の奴隷状態に導き、さらに日本を戰争のとびらにすることになるのであつて、われわれが全党をあげて断じて反対せざるを得ないところであります。  総括的な結論を述べたいのでありますが、一言だけ申し上げますと、本報告の全体が内容がなつていない。修正要求をしても修正されない。この委員会報告を昨晩われわれに與えて、今日ただいまこれを決定ようというような—な行為をしておる。そのことの中にも、いかに一方的に強行的な方法によつてすべてを解決しようとしておるかということがはつきりしておる。そうしてこれが考査委員会であるならば、考査委員会は日本の民主化の武器となるのではなくて日本の反動化、日本のフアッシヨ化、日本の封建化ほんとうの武器になる。従つてわれわれとしては本考査委員会がこういう報告を出されることは、考査委員会の不名誉であるばかりでなく、日本の国会の恥であり、さらには日本人の恥であるということを強調したいのであります。
  77. 高木松吉

    高木(松)委員 今神山君の発言の中に、われわれの行動が—であるということを表現をされたが、取消しあらんことを願います。
  78. 神山茂夫

    神山委員 もしも高木委員の言われるように、私の発言高木委員を含めて—であるという印象を與える点がありましたら、その点は委員長において適当にお取消しを願います。
  79. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 —という言葉はありました。それは取消すことにいたします。  次に吉武惠市君。
  80. 吉武恵市

    吉武委員 私は民主党を代表いたしまして、ただいま聽濤委員から提出されました修正案に反対し、委員会に提出されました報告書賛成をするものであります。今回取上げられました熱海の違法決議、あるいはまた国市スト、平における駿擾事件広島県の日鋼事件等はいずれもかつてなき不法暴力の行為でございまして、私どもは断じてこういうことを許すことができないのであります。われわれ委員会は七月一日から約四箇月にわたつて、それこそ真劍にこれを取調べました。ただいま共産党委員からは、これは曲げられた報告書と言つておるけれども、われわれはこの報告書を見まして、実に公正妥当なる報告書と信ずるものであります。共産党の言われました委員なり、あるいはまた共産党から証人として呼び出しました人々の証言を聞いて見ますと、いずれも虚偽と、そうしてこれをごまかそうとする言葉に過ぎません。われれれは熱心に八十数名にわたるところの証人を呼んで、また実地にも打つて調べたところであります。これは本報告書につぶさに示されておりますから、私どもは今ここでこれを繰返すことをいたしません。また一般国民もすでにこの六月に行われましたこれらの幾多の事件に対しましては、すでに世論としてこれを認めておる。これらの事件に出て来ます人々は、いずれも共産党員である。あるいはまた共産党に同調する人々ばかりである。今聽濤委員は、わが党あるいは吉田内閣に対して、労働運動に対する無理解であるということを言つておるけれども、この終戰後四年の間における共産党の指導いたしておりますところの労働運動は何である、これはまつたく労働運動に名をかつて、そうして常に彼らの唱えておるところのいわゆる民主人民政権の樹立のための道具に使つておるにすぎない。かつて二・一ゼネスト、これは事前に中止されたからよかつたのでありますけれども、あの厖大なるところの、無謀なるところの計画も、実に労働運動に名をかつて、そうして日本における革命の達成を企図したものにほかならなかつたのである。それがために、かのマッカーサー元帥が日本に来て一番最初に言つたのは何か。それは日本の労働者に自由を與え、そうして労働者の基本的人権を尊重しようということで、われわれの内閣はまず第一に労働組合法をつくつて、そうして労働者の基本的人権を認めたのである。それがその後共産党の指導によつて、これを正しい労働運動に導かずして、革命の道具に使つたから、遂に昨年の七月二十四日に至つてマッカーサー元帥の指令により、公務員に対してやむを得ず制限を加えなければならなくなつたのである。ことしもまた六月の初めごろから、あるいは国電ストといい、あるいは広島日鋼事件といい、また平の騒擾事件といい、それにも懲りずして、また再びこの民主人民政権確立べの道具としてこれをやろうしておるのであります。私どもは今聽濤委員や、神山委員からいろいろな弁解の言葉を聞きましたけれども、今回の事件を通じて共産党はいかなる手段によつていかなることを企図しておつたかということを十分知ることができる。私はこの報告書によつて国民八千万がこれを知つて、国民の一大結束によつてかくのごとき無謀なる、不法な事る行為を徹底的に排撃しなければならないと思うのであります。私は本報告書がきわめて公正妥当であるものと信じ、これに賛成を表するものであります。(拍手)
  81. 鍛冶良作

  82. 猪俣浩三

    猪俣委員 私は委員長提出の報告書に大体において賛成をいたす者でありますが、一言さしていただきたいと思う。かかる暴力行動が全国にあつて、そうしてその直接の原因が共産党系の労働組合によつて指導せられ、拡大せられたという事実の報告に対しましては、これを認めざるを得ない。ただ私は国電スト騒擾事件考査委員会には提案せられましたときに、一、二注文を申し上げておつたのでありますが、それがあまり実行せられなかつた。たとえばこの国電ストの原因をなしましたところの新交番制の制定というようなことに対しましては、当局にはなはだ不手ぎわがある。たとえば公共企業体労働関係法なるものをつくつておりながら、この法律に示されておりますところの苦情処理共同調整会議、あるいは調停委員会、あるいは仲裁委員会というようなものをちつともつくつておらぬ。ほつたらかしのままである。これをほつたらかしておいて、そうして新交番制なんというものをつくり出す。これは経営に関することであるから、一切苦情を言つてはならぬというようなことで圧迫的に出てきた。こういう態度がかかる不祥事を起します一つの大きな原因になつたのであるから、当局及び政府のやり方に対しましても、全体的見地からその失政はどこまでもこれを糾明しなければならない。労働組合たけをまず被告扱いにして、これをたたいて行くということにあらずして、その原因を糾明する。何が彼女をそうさせたかという、この原因をひとつ糾明するようにということを一言したいのであります。共産党系の取調べに対しては、実に皆さんは熱心におやりになつたけれども、政府並びに国鉄当局の態度に対し、やり方に対する失政に対しましては、はなはだ皆さんの態度は緩慢である。調査が一方的になつてしまつた。たとえば大きな問題といたしましても失業対策を十分完備せずして、ただちに行政整理と言つて何十万の人間の首を切るというよう態度に対しましても、大きな見地からやはりこの騒擾事件の大きな原因の一つとして、考査委員会は公平に検討を加うべきであつたのではないかと思うのであります。かように取調べが一方的であつた。われわれから言うならば、直接の原因はわかつたが、さような暴動事件を起すようなつたそのまた奥の原因というものが明らかにされておらない。ここで取調べないから報告書には明らかになつておらぬ。これは片手落ちの点があろうと考えておるのであります。さような意味におきまして、この報告書の事実そのものはわれわれは反対はいたしませんけれども、どうもこの委員会の行動に対しまして、はなはだ遺憾な点があつた。もう少し調べてもらいたい側の方があつたと思うのであります。この委員会においては、さような方向にお働きにならなかつたということに対して遺憾の意を表します。これによりまして、私は條件付の賛成をいたします。
  83. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これにて討論はけ終局いたしました。これより採決いたします。  まず聽濤君提出の修正意見賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  84. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 起立少数。よつて修正意見は否決されました。  次に報告書原案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  85. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 起立多数。よつて原案のごとく決しました。  なおこの報告書に基きまして、先ほど御協議の通り、簡約なる報告を本会議においていたしたいと存じますが、御了承願います。また反対意見のある点につきましては、委員長において適当に報告をいたしますから、明日までに加えてもらいたいという意見を、委員長まで申し出せられんことを願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後七時四十一分散会