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1949-12-03 第6回国会 衆議院 厚生委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月三日(土曜日)     午後二時十三分開議  出席委員    委員長 堀川恭平君    理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君    理事 松永 佛骨君 理事 苅田アサノ君    理事 橘  直治君       幡谷仙次郎君    丸山 直友君       亘  四郎君    堤 ツルヨ君       伊藤 憲一君  出席政府委員         (援護局長)          厚生事務官  田邊 繁雄君  委員外出席者         大蔵事務官   泉 美之松君         文部事務官   荻野  勉君         文部事務官   友田 文平君         厚生事務官   久下 勝次君         厚生事務官   小島 徳雄君         專  門  員 川井 章知君     ————————————— 本日の会議に付した事件  結核対策に関する決議案志賀義雄君外三十五  名提出、決議第七号)  遺族援護に関する決議に対する報告書に関する  件  厚生行政に関する件     —————————————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  まず結核対策に関する決議案を議題といたします。本案に関しましては、先般来各方面から検討して参つたのでありますが、この問題はまことに重要でありますので、なお今後の課題といたしまして、あらゆる観点より十分研究して参つたらどうかと存じまするが、何か御発言はございませんか。
  3. 丸山直友

    丸山委員 前回の委員会でもちよつと申し上げましたように、これは非常に重要な案件であります。従つてこの決議案不発彈に終らせたくないと考えますので、十分な検討と、強力なる推進を必要と考えますから、なお引続き小委員会のようなものを設けまして、この問題を検討し、強く要望する態勢を整えたいと考えます。そういうふうにおとりはからい願いたいと存じます。
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 今丸山委員の御発言のように、この問題は相当重要な問題であるので、次の通常国会で小委員でも設けて、十分検討したらどうか、こういう御発言でありますが、御異議ありませんか。
  5. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 非常に重要な問題でありますが、きよう、あすにきめなければならないということもないのです。そうかと言つて、いつまででものんべんだらりと延ばされたのでは困ると思いますので、来議会においてただちに結核対策小委員会を持つて、この問題を審議して、十分予算的措置等をも考慮して、実行に移し得るように方策を講せられますならば、私どもとしても異議ありません。
  6. 堀川恭平

    堀川委員長 ただいまの伊藤委員の御発言に対して御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 堀川恭平

    堀川委員長 それではそのように了承いたしました。     —————————————
  8. 堀川恭平

    堀川委員長 次に遺族援護に関する決議に対する報告書に関して青柳委員より発言を求められておりますので、これを許すことにいたします。青柳一郎君。
  9. 青柳一郎

    青柳委員 去る第五国会におきましてわれわれの手でもつてつくり、全会一致をもつて衆議院を通過いたしました遺族援護に関する決議につきまして、政府は次の国会において報告すべしという約束に沿いまして、今回われわれの手元にその報告書参つたのであります。これに関連しまして、ここに御出席政府委員方々に順次御質問なり将来の希望なりいたそうと存じております。  まず第一に、引揚援護庁当局お尋ねいたしたいと思うのでありますが、この報告書の中に、更生資金貸付並びに生業資金小口貸付につきまして書いてあるのであります。更生資金については昭和二十四年度補正予算において二億円の増額をはかつた。生業資金についても二十四年度並びに二十五年度において、国民金融公庫相当額貸付資金の増加がなされる見込みである。こうあるのでありまして、これら二つの資金につきまして、現状の大略並びに将来の御意図を承りたいのであります。  なおあわせて先般この委員会におきまして、機会をとらえまして私からも申し上げたのでありますが、御当局がこの資金につきまして、大蔵当局と折衝きれた経緯なども承知いたしたのでありまして、その点は了承するのでありますが、なおこれらの資金遺族に対する貸付は、ひとり遺族に限らず未亡人世帯の困つておられる方々に対しましても、貸付することができるというふうな通牒なりを下部の組織にお出しになることによつて従前これらの恩典に浴しておらなかつた方々に対しても、この恩典に浴さしたいのでありまして、この点につきましても御意向を承らしていただきたいと存じます。
  10. 田邊繁雄

    田邊政府委員 御質問更生資金の問題についてお答えいたしたいと思います。  まず第一に更生資金運営現状について概要をお話申し上げます。更生資金昭和二十一年度から実施されたのでございますが、現在までに支出いたしました金額は、昭和二十一年度において十億、二十二年度におきましては二回にわかれておりまして、一回目は六億六千六百六十六万七千円、第二回目が一億五千万円、計八億一千六百六十六万七千円でございます。二十三年度におきましては五億円、二十四年度におきましては、当初財政支出三億、今度の追加予算で一億、それから既往の貸付金償還金をさらに回転して貸付ける金額が大よそ二億円、合計七億となつております。これを総計いたしますと、本年度末までに貸付けまする金額は三十億千六百六十六万七千円と相なるわけであります。なお当初の年度におきまする十億の中には、政府が国庫で負担して出した金と、国民金融公庫——当時の庶民金庫が調達した金と両方含まれております。  次にこの資金貸付状況でございますが、対象別に申し上げますると、引揚者が八五%その他のものが一五%と相なつております。これは本年の七月三十一日までの調査でございます。それから業種別に申しますると、商業が三〇%、工業が四四%、農業が九%、水産業が五%、それから林産業が三%、運輸、運送業が二%、その他が七%と相なつております。これは金額によつて計算したものでありまして、同じく七月三十一日現在でございます。それから償還状況は、同じく七月三十一日現在で、償還期限到来額に対しまして、実際に回收いたした金額の割合は約五〇%弱でございます。  第二に貸付方針でございまするが、これは当初より引揚者その他生活困窮者に対しまして小口生業資金貸付けまして、その自力更生を援助するという目的でございます。ただこの事業は法律に基かず、予算的な措置として実施いたしております。その実施のいたし方といたしましては、政府予算に計上いたしましたものを全額県に流しまして、県がそれを国民金融公庫に委託するという形式によつて実施いたしております。その点につきましては、今度の追加予算からその方針を改めまして、国から直接国民金融公庫に委託して実施するというふうにかわります。しかしてこの予算性格といたしましては、当初引揚者特殊性から考えまして、引揚者自力更生を援助するということがこの予算主眼点に相なつております。その結果が先ほど申し上げました貸付対象者別に現われて来たわけでありますが、この点につきましては、本年度追加予算、また明年度追加予算におきましても、その性格においては大した変更はないと思うのであります。しかしながらこの事業は單に引揚者だけに限定する筋合いのものではございませんので、その他引揚者と同様の実情にあります者にも貸付けまして、その自力更生を援助するということは、この事業対象にもちろん含まれておるわけであります。未亡人等十分の力を持ちながら、資金がないために生業を開始できないというような者に対しまして、この資金を融通いたしまして、その自力更生を援助するということは、この事業の当然予期いたしておるところであります。従来もこの点につきましてはそういう建前になつておりますし、現にそういう貸付をやつておるところもあるのであります。ただお話の通り、この点が十分末端にまで徹底していないという点につきましては、今後さらにその点を明確にいたしまして、できるだけ御要望に沿うようにいたしたいと思つておるのでありますが、ただ金額総額並びに重点引揚者ということになつております関係上、全面的に未亡人その他の遺族方々にこれを重点的に貸付けるということは、あるいは困難かと思いまするが、将来の問題として十分考えたいと思つております。とりあえずの問題といたしましては、未亡人その他も十分この恩典ができるだけ受けられるように、末端にまで徹底するように措置いたしたい、かように考えております。
  11. 青柳一郎

    青柳委員 あまり詳しく聞くのはまたの機会もありましようから略しますが、二、三点ごく簡單に伺います。この資金貸付につきまして、引揚者にはどのくらい、他の人にはどのくらいというわくをつくつていただきたくないが、わくをつくつておられるのか。そういうわくはないのかというような点についてもう一点承りたい。それから末端まで徹底させまして行うというお話でありまして、これは安心いたしたのでありますが、来年度計画についてまだお話を承りませんので、その点をお願いいたしたいと思います。
  12. 田邊繁雄

    田邊政府委員 お答えいたします。これにはわくはついておりません。先ほど申しました率も結果においてこういう数字が出ておるというのにすぎないのであります。来年度の五億円につきましては、その点についてわくをつくらないという方針にはかわりはないのであります。
  13. 青柳一郎

    青柳委員 来年度の五億円の償還についてはどうですか。
  14. 田邊繁雄

    田邊政府委員 償還はまだ決定しておりません。
  15. 伊藤憲一

    伊藤(憲)委員 補正予算引揚援護費——私資料を持つておりませんから詳しいことはわかりませんが、とにかく十億を越えて削減されていると思います。そうしておいて更正資金は二億円しか計上されておらないのです。もちろん引揚者がどんどん帰つて来ましたから、引揚げに要する費用は少くなつて行くので、これが削減されることもあり得ることでありますけれども、今度は帰つて来た人の定着援護ということが主要な目的になつて来る。援護費が十億減つて更生資金の方に二億円しか計上されていないといういきさつについてお伺いしたい。
  16. 田邊繁雄

    田邊政府委員 実は引揚者定着援護という問題は、従来から重要性を叫ばれ、また各方面からその必要性を痛感されながら、国の財政面からの制約によつて十分徹底しないうらみがあつたのであります。ことに更生資金の面につきましては、続々新しい引揚者が帰つて来る。従来の引揚者も十分この恩典に浴しないという状況でありまして、申込人が殺到しており、また貸金の債務もたまつております。この点につきましては順次その貸付対象を査定いたしまして、適切な計画をもつて貸付をやつておりますが、それでもなおかつ金額は足らなかつたのであります。今年は昨年と同様に、大体財政支出金三億と新規償還金を二億とみて合計五億、従つて年度と同様の計画で出発しております。しかるに今年は引揚げの人数は、昨年よりはむしろ少いくらいでございます。年度途中において追加予算などで出すかということは、相当問題であるわけであります。しかしこれに対しては、私どもは現在の失業状況ということを考えた場合に、昨年度引揚者はどうにかどこかに入つて生業を得られた。しかし今年度においては非常に就職の状況が停頓している。これは事実現われております。これに対してとういうやり方で援護するかということで、国会において制定された引揚同胞対策審議会でございますが、ここで各方面の方にお集り願つて、いろいろ審議した結果、失業対策としては一般の失業対策を強化する。あるいは職業安定所の機能を各方面にわたつて強化するという、いろいろのことを決議されたのでありますが、しかしどうしても最後は政府予算を増額することによつて就業を促進するという対策を講ずる必要がある。ついては生産資金ということについても相当希望があると思うので、そういつた方々にいわば引揚者失業対策の一環として、現在の情勢のままで生業資金を増加する必要があるのではないかということで、ここに計上してあるわけであります。従いまして本年度追加予算の約二億というものについては、そういう点を考えながら貸付実施をも考えて行きたいと考えているわけであります。  なお定着援護の問題につきましては、資金問題のほかに住宅問題がございます。これも今年は当初四億五千万円程度を計上しておつたのでございますが、これだけではとうしても足りないということで、なお四億二千万円計上いたしまして、新設、既設住宅補修その他にこれを充てることにいたしたわけであります。従いまして定着援護の面においては、総額六億以上の計額になつているわけでございます。もちろんこれでも決して十分とは申されませんが、全般の状況からようやくここまでこぎつけたわけでございます。  なお引揚援護庁経費が、総体において十億に減額せられたのは、政府の現在の財政状況から考えて、財政当局において各方面需要を眺め、引揚援護庁需要費というものを検討した結果、こういうことになつたと私どもは推察しております。
  17. 青柳一郎

    青柳委員 それでは引揚援護庁に対する質問はこれで終りますが、遺族未亡人に対してもこの金が貸付できるという点についての末端までの滲透方について十分な御努力を願います。  次に母子福祉施設について伺いたいのであります。昭和二十四年度母子福祉施設、すなわち母子寮並びに保育所に要する経費は、公共事業費においてたしか六千万円であつたと聞いております。政府並びにわれわれも、これについては非常に努力をしてうれしかつたのでありますが、一躍四倍以上の、たしかここには三億円と書いてございますが、二億五千万円という経費が計上せられるようになつていると思つているのであります。まことにありがたい、うれしいことと存じておりますが、これら本年度よりも四倍も増設できます母子寮並びに保育所建設指導についての御当局の御意見を承らせていただきたいと思います。
  18. 小島徳雄

    小島説明員 去る第五国会におきまして、遺族に対する御決議の中で、母子施設の拡充という問題が相当強く要望されたのであります。政府といたしましても、この国会趣旨を尊重いたしまして、来年の予算におきましてできる限りその趣旨に沿うべく努力いたします。ただいま青柳委員がおつしやいましたように、本年度に比較いたしますれば、来年度においては相当の予算が計上される見込みでございます。約三億円と書いてありますのは、公共事業費におきまして二億五千万円でございます。なお大蔵省予算としまして、補修費というものがございますから、それを合せまして約三億円ということになつているのであります。従いましてそれは増設補修ということに相なつているのであります。本年度におきましても、先ほど青柳委員がおつしやいましたように、わずかの予算でありますが、母子寮二十七箇所、保育所百二箇所の増設ができたのであります。これは実際問題といたしまして、政府の一切の補助が二分の一以下で、三分の一を地元において負担する状態であつたが、政府補助がなくても地元においてやれるという熱意が、各町村において非常に強かつた関係上、本年度においては予算が少かつたにもかかわらず、御努力願つたということに相なつておるのであります。来年度政府の考え方といたしまして、公共事業費で二億五千万円、その他補修費として約五千万円というものを考えておるのでありますが、増設計画につきましては、各府県、各都市実情に即しまして、予算の実際の配付を考えたいと思うわけであります。これはむろん来年度予算でございますし、来年の予算国会の方にも提出されておらないわけでありますから、この問題につきましては、各府県実情を十分にしんしやくいたしまして、各府県都市実情に即するように予算を考えて参りたいと思つております。
  19. 青柳一郎

    青柳委員 私の個人的な意見を申し上げるのもどうかと思うような節もあるのでありますが、私の感じといたしましては、これほど多額な予算がとれました際に、保育所も重要ではございまするが、でき得べくんば母子寮の方に力を入れていただきたかつたとという気持を持つております。その母子寮には、保育所並びに軽微な授産所をつけるという総合的な計画をなさいますことを、私といたしましては勧奬いたしたいと思うのでございまして、その点につきまして当局の御意見を承りたいと思います。
  20. 小島徳雄

    小島説明員 ただいまの御意見は、われわれといたしましても大体において御同感でございます。来年度において増設されるという予定の予算総額につきましても、大体今のように特に母子施設というものの重要性が強調されたのは、母子寮というものが相当重きをなしているということもわれわれ十分了承しているのであります。従いまして一応予算といたしまして、来年度におきましては母子寮相当重点を置きまして、その重点に基きまして各府県実情に即するよう考えたいと思つております。ただ予算建前といたしまして、母子寮保育所公共事業費の内訳におきましては、半分づつということに一応の計画はなつておりまするが、これは将来の府県実情に即するように、できるだけ努力いたしたいと考えておるのであります。
  21. 青柳一郎

    青柳委員 児童局に対する御質問なり、希望なりはそれで済ませます。  次に先ほどから大蔵省の方がお見えになつているそうでありますから、大蔵省の方にいろいろ承りたいのであります。われわれ遺族なり、未亡人の生活困難をしておる方々お話を承りますと、もつともだと思われる点がたくさんあるのであります。その中の一つは、これは例をあげて申し上げた方がわかりやすいと思うのでそういたしますが、たとえば現在外地主人がおつて、まだその主人引揚げておらないという状態において、所得税につきまして申告をする場合には、内地におるその家族申告をいたします。その際には内地におる妻は扶養控除を受けるのであります。外地主人が生きておる間は、内地にある妻は扶養控除を受けるのであります。しかるに外地におる主人が死んだ場合に、そのとたんに内地における家族構成は同じであるのに、その妻は扶養控除を受けることができなくなる。これはりくつから考えると当然のようでありますが、主人が生きておるときに扶養控除を受けておるのに、主人が死んでしまうと妻君が扶養控除を受けられない。しかも内地における家族構成は同じであるというような点が、非常に不合理のように思うでありますが、その点につきましての御意見をまず承らせていただきたいと存じます。
  22. 泉美之松

    泉説明員 お尋ねの点につきましては、所得税改正案をいろいろ審議する際に考慮いたしておる問題でございまして、現在の段階におきましては、まだ確定的に申し上げるまでに至らないのでございますけれども所得税建前といたしましては、所得があるものにつきましては基礎控除、それから扶養親属のあります場合におきましては、扶養控除というものを認めまして、さらに身体障害者であります場合におきましては、身体障害者としての控除を認めるという建前をとつて参つておりますので、同じような常識から考えますと、ややおかしいというような向きがあろうと思うのでありますけれども、現在におきましては基礎控除と、扶養控除と、身体障害者控除以外に、さらに控除をふやすことは、現在の所得税建前からいたしますと、はなはだ困難であろうと思つております。しかしながら所得税改正におきましては、これらの点をもにらみ合せて、税收その他とも見合いつつ検討をいたしておるわけでございます。
  23. 青柳一郎

    青柳委員 所得税改正に関連してこの問題も考えるというふうにお答えになりましたので、一応その点で了承いたします。  次にこの回答案にはその点に触れて一応の解決をしてあるのではございますが、遺族というと老人婦女子を中心とする家庭が多いのであります。そういう家庭におきましては、現実の状態といたしましては、それほど所得がないのに、他の壯年家族と同じような所得があるものとして所得税を徴收される傾向がございます。またいろいろ営業いたすにしましても、老人婦女子家庭は、必要経費がよけいかかるという場合があるのでありまして、必要経費を引いていただくという点におきましては、あまり実情に即さないで、他の壯年男子の持つておるところと同じように見られるという傾向があるのが実情でございます。この報告書によりますと、実情に即する適正な課税をなすと書いてありますので、その点は答えられてはおるのでございますが、老人婦女子家庭につきましては、特に税務署もあたたかい気持を持たれまして、言葉だけでなく、ほんとうに実情に即しての御調査を願いたいというのが、私どもの念願であるのであります。その点につきまして従前からもいろいろ手を盡しておられるとは存じますが、なお今後も十分そういう方面に御熱意ある御措置を願いたいと思います。新たにどういう方法が講ぜられるかというようなことにつきまして、すぐ考えられるのは、これは通牒でも出していただくことになろうと思いますが、何らかある措置を講じていただきたい。それにつきましてどういう措置を講じたいと思うか、それについてはかように考えておるというお答えが得られれば仕合せでございます。また税務署の方からは実情に即しての課税をやつておられると思われましても、受ける方ではなかなかそうでないという場合があります。そういう際にそれを正してもらうということをお願いに行く場合に、やはり老人婦女子家庭は弱いのであります。至つて遠慮がちであります。そういう際に矯正手段として、新しいシヤウプ勧告によつて何か考えられておるとは思いますが、そういう際にも老人婦女子家庭の問題につきましては、前の場合と同じように、あたたかい温情ある御措置をお願いいたしたいと思うのであります。そういう点につきましてお考えがあれば承らせていただきたいと存じます。
  24. 泉美之松

    泉説明員 お尋ねの点につきましては、老人婦女子がおりますれば経費がたくさんかかるということでございますが、現在の所得税制建前といたしましては、生活費がたくさんかかるからといつて控除することができないのでございまして、老人婦女子がたとえば事業を営んでおる際におきましては、何しろ老人婦女子でございますから、壯年男子と違いまして、就業時間とか、あるいはその他の経営万般にわたりまして、十分競争ができない。従いまして收益状況が悪いというようなことは考えられるわけでありまして、その場合におきましては税制建前からいたしましても、実際の所得率が他の壯年男子の営業いたしております場合に比べまして少いという状況を見きわめまして、課税いたすべきが当然なのでございます。ただ現在までの段階におきましては、所得税課税にあたりまして、所得標準率というようなものを使つて参りましたために、それがある程度一律に取扱われるということになりまして、老人婦女子が経営いたしております場合に、非常にお気の毒なような課税があつたことは事実であろうと思います。この点につきましては、御承知のように今度シヤウプ勧告によりまして標準率を使わないで、できるだけ正確な各人の所得を把握して課税して行くというように、税務行政改善をいたすことになりました。もちろんそのような改正が一朝一夕にただちにでき上ることは、容易ならぬことと思いますけれども、しかしそのような線に沿いまして、税務行政改善をはかつて参りますのでそういうふうにいたしますれば、従来のような弊害は制約することができると思います。これらの点につきましては、すでに国税庁長官の名前をもちまして通牒が出ております。老人婦女子の場合だけを特に規定した通牒ではないのでありますけれども、現在の課税がその実情に沿わないという弊害を矯正いたしますために、いろいろの措置をとることになつております。その中に当然含まれておると考えておるわけでありますが、御質問のような点につきましては、今後とも税務署その他の方面に周知徹底をはかるようにいたしたいと存じます。
  25. 青柳一郎

    青柳委員 所得標準率で一律に取扱わずして行くというような御措置を願えることは、非常にけつこうであります。この御措置によりまして、今までよりは実情に即しての課税ができるものと私どもも信じております、この上は、それを老人婦女子のような弱い家庭につきましても十分生かされまして、本当に実情に即した適正な課税が行われるように、切にお願いいたします。これをもつて大蔵省に対する御質問を終ります。
  26. 堤ツルヨ

    ○堤委員 今のことに関連して、ちよつと伺いますが、ただいまの御答弁を承つておりまして、青柳委員は大体けつこうだとおつしやつておりましたが、私横から聞いておりまして、非常に心もとないと思つておるのでございます。いつになつたら、ほんとうに声なき声が聞いてもらえるかと、非常に残念な思いをいたしております。市町村におきましても、また都道府県におきましても、すでに御存じだろうと思うのでございますけれども、たとえば地方で、都民税、県民税、また市町村民税というような課税に対しましても、至るところに遺家族の声がほうはいとしてわき起つて未亡人会などの結束があちらこちらにできまして、單に一人々々が泣きついて行くのでなしに、未亡人会の声として市町村会に持ちかけ、市町村長に持ちかけ、また都道府県の知事に迫り、県会に迫り、いろいろとこのごろは運動が行われておりまして、その結果都民税、県民税、さらに市町村民税というものについては、その実情に即した実際の課税ぶりをいたしておるのであります。地方においてすでにそうした手を打つておるのに、最も早く手を打たなければならないところの所得税において、まだそのような返事をしておられるということは、実に私は先ほどから義憤禁じがたいものがあるのであります。非常に苛酷な言葉かと思うのでありますが、私は今ここで、もつとはつきりと通牒を出して、そして実情に即した老人家庭、母子家庭への税の軽減ということを、実際に今やるという答弁がないのが非常に不満でございます。いつも政府の御答弁というのは、つかみどころのないような答弁でございまして、私は不服でございます。青柳委員は納得なさつたようでございますけれども、いつの日になつたら、そういう手が打つていただけるだろうと、実は心もとなく思つておるのであります。こうした言葉を使うのは、はなはだ失礼かもしれませんが、どうか都道府県、市町村をよくごらんになつて、声なき声を聞いて、手を打つていただきたいということを、特につけ加えておきます。
  27. 青柳一郎

    青柳委員 それでは、次に文部省の方に承ります。公葬についてであります。先般行われました第五国会におきまして、衆議院で全会一致遺族援護決議案がきまつたのであります。その際われわれの遺族援護の中心目標といたしまして、戰争においてなくなつた人は、公のためになくなつた人であるということを、政府は再確認していただきたいと申し上げました。それに対して、政府当局——副総理は、いかにも公務による死亡者であるということをはつきりとお答えつたのであります。これは今までの政府の御答弁にはなかつた点であります。今までの政府におきましては、公務による死亡者であるということを確認した以上、それに対して処遇を行わなければならない。しかもその処遇たるや関係方面との連絡などが非常にむずかしいので、なかなかはつきりしたお答えがなかつたのでありますが、第五国会におきましては、明らかに公務による死亡者であるというお答えを得たのであります。しかして、文部省並びにその当時の内務省両次官の二十一年の十一月の通牒をわれわれは持つておるのでありますが、これは公葬についてという通牒であります。これによりますと地方公共団体は、公葬その他の宗教的儀式、行事は行つてはならぬという原則がありまして、ただ行い得るものとしては、文民としての殉職者に対しては、宗教的儀式を伴わない慰霊祭を行うのは市町村がやつてもいい。また文民としての殉職者に対して哀悼の意を表するために、休業であるとか、弔旗の掲揚はいい。また文民としての殉職者に対しまして、弔慰金、花輪を公共団体が贈り、並びに官公吏が公の資格で列席し弔詞を読むことはいい。例外としてその三つの場合をうたつておるのであります。しかもなお文民としての殉職者に対しては、他に適当の施設がない場合には、例外として、一般に貸す場合と同様の條件で、学校、公会堂等を葬儀その他宗教的儀式に使つてもさしつかえない。こうあるのであります。文民としての殉職者に対しては、そういう処置がとられております。しかるに第三項におきまして、戰歿者に対する葬儀その他の儀式及び行事をやる場合には、この前に申し上げましたようなことをやつてはならない、こう明確にあるのでありまして、これは文部当局の御存じのことだと思うのでございます。遺族の声といたしましては、肉親の葬儀を、この文民同様にいたしたい、すなわち公共団体で慰霊祭を行つてもらいたい、また葬儀、慰霊祭、追悼会等に弔慰金、花輪を贈つてもらいたい、また村長さんは村長さんの資格でもつて列席して弔詞を読んでもらいたい、こういうのが遺族の熱願であるのであります。しかるにこの通牒におきまして、戰歿者に対してのみそういうことが禁止せられておるのであります。この根拠はどこであるかと聞きますと、一九四五年十二月のいわゆる神道指令に基くものであろうと承知しておるのであります。ところが神道指令を見ましてもそういうことはちつとも書いてない。戰歿者に対しては 一般文民の殉職者と同じような措置をしてはならないということは、特別にどこにもないのであります。ここに軍国主義並びに超国家主義的観念の宣伝、弘布を禁止するという文句はあるのでありますが、国家の公務のためになくなつた人のお葬式をやるのに、決してそれが軍国主義並びに超国家主義的観念の宣伝、弘布とは相ならぬと思うのであります。そういう意味におきまして、私はこういう通牒が出たということに疑念を持つのであります。ことにこの通牒の方には、こうあるのであります。「戰歿者にはこれを適用しない。」とあつて、別に、「軍国主義者または極端な国家主義者に対する場合も同様である。」明らかにこの通牒は、戰歿者と軍国主義者または極端な国家主義者とをわけて考えておるのであります。指令の方には、あとの軍国主義者または極端な国家主義者についてはいけないという解釈ができるとしても、戰歿者に対してはそういうことを指令から解釈することは、私はできないと思うのであります。これにつきまして、まず文部当局の御意見を承らしていただこうと存じます。
  28. 荻野勉

    ○荻野説明員 ただいまの御質問に対しましてお答えいたしたいと思うのでございますが、前の国会遺族援護に関する決議がございました。この決議趣旨とただいまの御質問とは同じ心持に出たものであろうと思われるのでございますが、文民に対すると同じような扱いが戰歿者の場合はなされていない。それが公葬等の通牒において出ておる。それに対してはなはだ疑問であるというふうなお話なのでございますが、この点につきましては、文民等の場合と戰歿者の場合とそこに多少の差異があるということにつきましては、今日もやはり同様でございまして、この点に関する取扱いの基本的な変更はないのでございます。しかしながらこの公葬等の通牒の解釈適用におきまして、あまりに行き過ぎたような面があるということを聞き及びまして、そのような解釈上の行き過ぎにつきまして一応注意を喚起する意味で、今年の六月六日に引揚援護庁復員局長並びに宗務課長の連名で、「戰歿者の葬儀等について」という通達を発しておるのでございます。この解釈適用上の行き過ぎのないようになお私どもといたしましては、十分今後も配慮いたしたいと思つております。また先の決議趣旨につきましても、関係方面にその真意のあるところを私どもはお伝えをいたしまして、そうしてほんとうに遺族たちの心持が尊重されるように努力いたしておるのでございまして、この点につきましては、十分御了解いただきたいと思つておるものでございます。なお今後具体的な事例につきまして、いろいろ解釈上疑問とされるようなことが起りました場合には、その都度私どもは前の決議の趣意並びにただいまの御質問の趣意に沿うて、この心持がわれわれの心持として尊重されて行くように努力いたしたいと思つております。
  29. 青柳一郎

    青柳委員 六月六日の通牒によりまして、公務員は私の資格では儀式に参列し、弔詞を読むようなことができると相なつたのは、まことに政府当局努力のいたすところであつて、うれしいことだと思うのでありますが、私の申し上げましたのは、ただいま御理解を願いましたように、戰歿者の葬儀を一般文民と同様の取扱いにいたしたいという趣旨から出ておるのでありまして、その根拠とするところは、まず第一に二十一年十一月の内務、文部両次官の公葬についてという通牒であり、そのもとをなすものは、この神道指令であるというふうに理解するのであります。従いまして神道指令とこの通牒との関連性、この神道指令によつてこの通牒は出ておるのだと思うのであります。私の解釈によりますと、どうもこの神道指令だけでは、この通牒の根拠にならないと思うのであります。この一点をお尋ねしたい。この通牒はこの神道指令から出ておるものと解釈しておられるかどうか。その点を承りたいと思います。
  30. 荻野勉

    ○荻野説明員 お答え申し上げます。公葬等についての通牒は神道指令の精神に基いて出ておるのでございます。
  31. 青柳一郎

    青柳委員 その点明確になりました。通牒そのものでない精神によつて、というお話でありました。そこが非常にまた解釈の余地のあるということも、なお残るというふうにわれわれとしても解釈できるのでございまして、先ほど御当局は、われわれの考えとをおつしやいましたその努力を期待いたしまして、私は文部当局にこの点につきましては、なお掘り下げるということをいたしません。いろいろな御事情もございましよう。文部当局の御努力を期待するとともに、われわれまた御一緒になつて努力をする機会を持ちたいと存じております。
  32. 堤ツルヨ

    ○堤委員 今の問題でございますが、中央からお出しになつた指令で、各都道府県によつて色合いがつくということを御認識願いたいと思うのであります。今までは各県に軍政部というものがございましたから、関係筋の軍政部の出先にでも色合いがつく。それによつて県庁の色合いがきまる。隣の県ではこうだけれども、もう一つの県を越えればこうだというふうに、いろいろ紫に赤に黄に黒にというふうに色がついているのであります。これを中央で御認識願つて、今後の指令に注意をしていただきたい。これは各府県をまわりまして、遺族会に接触し、府県庁の役人に接触し、未亡人の声を聞いたときにつくづく思わされたことであります。ただ簡單にお出しになる指令が、各府県によつて色合いが違つたものになる。必ずしも中央のお気持が各都道府県にそのまま生きていないということを十分御認識願いたい。私の申し上げたいのはこれだけでございます。どうも横合いから失礼しました。
  33. 青柳一郎

    青柳委員 なお私お聞きいたしたいのは、正確には知らぬのでございますが、靖国神社並びに護国神社に対する学徒の参拜につきまして、制限的なる通牒が出たというふうに聞くのでありまするが、その通牒の内容なり、理由なり、経緯なりをお知らせ願いたいと思います。
  34. 荻野勉

    ○荻野説明員 最近、それもごく最近十月の二十五日付でございますが、社会科その他初等及び中等教育における宗教の取扱いについて、という通達が次官名によりまして、教育委員会、知事その他学校長にあてて発せられたのでございます。これはこの中で先ほどお尋ねの生徒児童が靖国神社、護国神社に類する施設に参拜してはいけない、訪問してはいけないという趣旨があるというお話でございますが、この点は特に御了解いただきたいと思いますのは、ここでこの通達におきまして、端国神社、護国神社等を一般の神社と特別な扱いをしたように見受けられますが、これはここでの問題は、学校が主催して、そういう施設を訪問する場合でありまして、学生、生徒、兒童でありましても、それが個人として訪問するのには、ちつとも支障はないのでありまして、学校が主催して訪問する場合を制限いたしておるのでございます。  それからこの通達の全体の趣旨は、従前から社会科の指導要領につきまして、昨年通達が出まして、学生、生徒は神社のみならず、寺院であろうが、教会であろうが、そのような宗教施設は訪問してはならないといつたふうな内容の通達がありまして、これにつきましては輿論的に非常に物議をかもしたのでありまして、そうした輿論を受けまして、私ども、また関係方面におきましても、これが合理的な打開の方途を爾来熱心に講じ、このたびの通達となりまして、一般的にはそれが研究の目的であるとか、あるいは文化上の目的をもつて訪問する場合には支障はないのだ、こういうふうに、いわば緩和の通達を出したのであります。ただ先ほど申しまますように、靖国神社、護国神社につきましては、その神社に対する取扱いの愼重さのゆえに除外例となつているのでございます。繰返して申し上げますが、個人で自発的に靖国神社へお参りするということは、ちつともさしつかえないのでございます。学校が主催して先生が生徒を引率して行くというふうなことは、これはこの通達におきましてなお許されないというふうなことが明らかにされておるのでございます。
  35. 青柳一郎

    青柳委員 ただいまのお話によりますと、学校主催で神社を訪問する、その訪問が研究的な目的を持ち、また文化的の目的を持つている場合には、どの宗教施設を訪問してもよろしいが、靖国神社及び護国神社だけはいけない。こういう御趣旨でありますか。
  36. 荻野勉

    ○荻野説明員 お話の通りでございます。
  37. 青柳一郎

    青柳委員 それはどういう理由でありましようか。
  38. 荻野勉

    ○荻野説明員 この理由につきましては、特にこうだと申し上げることは、そのこと自体がわれわれの推定になるおそれがございますので、そうようにお答えすることができないことが残念に思いますが、ただ護国神社等におきましては、生徒、兒童の訪問という問題だけでなくして、一般的に取扱い方がいまだ十分にはつきりいたしておらない事情があるのでございます。
  39. 堀川恭平

    堀川委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  40. 堀川恭平

    堀川委員長 速記を始めてください。
  41. 亘四郎

    ○亘委員 私はごく簡單なお尋ねをいたしますが、先ほど文部当局の御説明でちよつとふに落ちなかつたのでお聞きしたいのですが、私の町には仏教会というのがあるのでございます。そうして年々この仏教会が主催になりまして、戰歿者慰霊祭というものを非常に盛大に毎年やつている。むろん町長も町長の名をもつてこれに弔詞を呈しているのです。町の僧侶の方が数箇日、その日の前から町を托鉢して歩きまして、そうしてお米を一つかみずつ全部の町内からもらいまして、そうしてそれを遺族の方に一飯差上げるというような非常に美しいことをやつているのです。それは今の通達に違反した形という解釈になりましようか。はつきりひとつお聞かせ願いたいと思います。
  42. 荻野勉

    ○荻野説明員 ちよつとお尋ねいたしますけれども、公職者が援助しているわけでありますか。そうではなくて、ただ單に仏教会で盛大にそういつた戰歿者の慰霊祭をやつておるというだけですか。
  43. 亘四郎

    ○亘委員 そうです。それには弔詞その他のものを——町長何々という名前をもつて弔詞は読みます。
  44. 荻野勉

    ○荻野説明員 仏教会は民間団体でございますから、民間団体によつて行われる慰霊祭はさしつかえないのでございますが、その場合に公共団体の役職員が、公の資格において弔詞を読むということは、現在では許されておらないのでございまして、個人の資格で弔詞を読む場合はさしつかえないのでありますが、かりにそれが公の資格であるということであれば、これは戰歿者の葬儀等についての通牒に違反しておると思います。
  45. 青柳一郎

    青柳委員 宗務局関係質問はそれで済ませまして、またできるだけ早い機会に御質問をしたいと存じております。  次に、私は育英の問題につきまして文部当局お尋ねしたいのであります。遺族の願いというのは、仕事を身につけることと同時に、子供を育てる、子供を養育する、いい人にするというのがほんとうの念願なのでありまして、この点につきまして文部御当局の大日本育英会についての御方針を承りたいと存ずるのであります。この報告によりますると、従前は大日本育英会の学費の貸與は秀才教育を主としていたけれども、その後かわつて来て、生活困窮者についても相当あたたかい御処置をやつておられるというふうなことが書いてありまして、なお本決議趣旨についても特別の考慮を拂つておる、こうあるのであります。いかなる特別の考慮を拂つておられるか、その点につきまして承りたいと存じます。
  46. 友田文平

    ○友田説明員 育英会は、規定の第一條にございますように、どこまでも育英という建前上、従来英才教育それ一方でやつて来た傾向がありましたが、終戰後こういうような経済状況から非常に学生が困るというので、この点を相当考慮いたしまして、單に学問だけでなしに、少しは成績が悪くても、これは将来伸び得る、そして将来国家の有用な人物になる素質があるというような点も相当重く見る傾向に現在向いつつございます。二十三年度で申し上げますと、この前お話がありましたような、父親のないものを、大体採用者の率から見て行きますと、二六%とつております。こまかに申しますと、大学の方では二四%、それから大学予科と高等学校でございますが、これは二三%、專門学校は二八%、教育養成諸学校では二二%、新制高等学校二八%、平均いたしまして二六%というパーセンテージが出ておるのであります。そしてこの点につきましては現在のところ、この前の御決議のように、優先的にあるいは全面的にやるということは、予算関係上、今ただちに実施することは非常に困難でございますが、できるだけ今後御趣旨に沿うようにして行きたい。そういうふうに文部省は考えておるのであります。
  47. 青柳一郎

    青柳委員 非常にけつこうな御措置でありまして、私非常にうれしいのであります。ことに遺族家庭というものは暗いのが多い。しかも生活に困つておる人が多い。勉強すればよくなるということがはつきりわかつておるのに、そういう條件があるために、いわゆる秀才になり得ないというのが多いのでありまして、そういう点をよく見ていただくということは非常にありがたいことであります。要するに実質的な面——形式的な面だけでなく、実質的な英才を育つて行くという方面にお使いいただくことが非常にけつこうであります。ことに聞くところによりますると、本年の予算は九億円であつものが、来年は十五億にふえるということを聞いております。こういう際に現在やつておられます御措置をなお拡大強化していただきたいと私は存じます。なお来年度予算増に伴いまして、そのほかに新しいお考えがおありになりましたならば、承りたいと存じます。
  48. 友田文平

    ○友田説明員 その御趣旨はどういう何でございましようか。
  49. 青柳一郎

    青柳委員 たとえば單価を上げるとか何とか、いろいろ新しいことを考えておられたら……。ただ人をふやすだけですか。
  50. 友田文平

    ○友田説明員 来年度は、皆様御存じかと思いますが、教職員養成学校の給費が全面的になくなりますので、優秀な教員をつくるためにはどうしても育英資金を與えなければならぬということで、教員養成諸学校の生徒大体一万五千名を奬学資金でまかなつて行きたい。そして新規採用といたしましては、来年度は十五億を要求しておりますので、新制高等学校もふえますが、これで大体四万二千名くらいの採用ができるのじやないかと考えております。
  51. 青柳一郎

    青柳委員 そういたしますと、増加される約六億円のうちには一万五千人の教員養成のほかに、どの程度の増加と見られるか。お知らせ願いたいと思います。
  52. 友田文平

    ○友田説明員 大体二万七、八千名になると思います。
  53. 青柳一郎

    青柳委員 ありがとうございました。それでは私は育英方面に関する問題は、ただいまお話がありましたように、少しく成績が惡くとも将来伸び得る者、優秀な能力を持つている者について範囲を広めつつある、その傾向を助成して行くようなお気持があることがはつきりいたしましたので、これで私は育英方面に関する質問を終ります。     —————————————
  54. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは次に厚生行政に関して苅田委員より御発言を求めておられますから、それを許すことにいたします。苅田委員
  55. 苅田アサノ

    ○苅田委員 これは遺族に限らず、一般未亡人の問題でございますけれども、兒童局長にお尋ねしたいと思います。ただいまの東京都内の各職業安定所に、大体毎日千人を越す、おそらく二、三千人の婦人の日雇い労務者が押しかけて参つておる実情が報告されておるのです。そしてそのうちの大多数は子供を連れた未亡人が多いわけなのです。こういう人たちが失業救済事業としての日雇い労務を受けるわけなのですけれども、この場合男子の労働者と同様な待遇でもつて働く関係上、どうしても子供を持つておる婦人労働者というものは、働くのが非常に困難でありますし、またその点でいろいろ男子労働者側の苦情も出るわけなのです。こういう人たちが安定所の仕事を受けようと思いますと、どうしても朝早く起きて家内の仕事をして、六時ごろには子供を連れて安定所に出かけて行くので、そういう人たちの要望といたしまして、ぜひ職業安定所ごとに託兒所を設けてもらいたい。こういう声が非常に強いわけなのです。現在亀戸の職業安定所では、一時的なテントだけですけれども託兒所があるわけなので、そういう処置について兒童局長として適当な御処置を考えられたいと思うのですけれども、それについての御答弁を承たいりと思います。
  56. 小島徳雄

    小島説明員 今の問題でございますが、今般母子の問題、遺族の問題が去る国会で御決議になつたのでありますが、この国会に対しまして政府といたしまして正式に回答書を出したほかに、政府といたしましては母子援護対策要綱というものをつくりまして、今のような御趣旨のものを含め、さらにその他の問題につきましても加えましたものを、この前各省の次官会議で決定し、閣議の了解を得まして、各府県通牒いたしておるのであります。それは母子福祉対策要綱というもので、各府県通牒を出したのであります。そのうちに今のような問題があるわけですが、これは労働省の関係に少しなるのですけれども、公共職業安定所に、特に母子の生活環境を考慮し、求職希望者に適当するような職業のあつせんに努めるとともに、積極的に婦人の就職を促進するための職業補導所を新設または拡充ずる。内職を希望する者のために家庭内職指定所を増加するとともに、授産種目の選定、授産種目の獲得、技術の指導、賃金低下の防止等に特に官民の懇切な協力を求めるというようなことで、今回の母子対策要綱の一部を各府県通牒いたしたのでありまして、労働省といたされましても、今のような婦人の職業につきましては、本年度においても特に婦人の扱うような職業あつせん所につきまして、予算面で考慮されているように拜承いたしておるのであります。  なお今の御質問のうちには、その際に託兒所を職業安定所に置くというような問題がございますが、これは今のように職業あつせん所に併置するということは、そういう方法を講ずるがいいか、あるいはまた全般的にもつといろいろの見地から保育所というものを設置すべきかという問題につきましては、相当愼重に考えなければならぬというように考えるのでありますが、われわれといたしましてもそういうような婦人の職業をあつせんする場合におきまして、その子供の問題につきましても、できる限りうまく行くような方法をにらみ合せて考慮いたしたいと考えているわけであります。
  57. 苅田アサノ

    ○苅田委員 公共的な女子職業の補導、あるいは授産等の関連につきましては、もちろんそういうふうな施設などと申しても、私が申し上げますのは、現に毎日東京都内の各職業安定所に何千人という婦人の労働者が参つておりまして、そのうちの大多数が子供さんを連れている。これを何とかすぐ処置していただきたい。そのために亀戸の職業安定所では、安定所のそばにテントがけでもつて臨時の託兒所をつくつております。そのために婦人労働者が便利をしているということがあるわけなので、少くともそれだけの処置でもけつこうですから、各職業安定にやつていただきたい。それでないとこういう人たちが、あるときまらないその日の就職に出かけて行くのには、子供を一定の施設に預けるためにお金も拂つて出かけなければならない。経済的に申しましても、労力の点から申しましても負担になりますので、職業安定所に付属したそういう一時的なものでけつこうです。とりあえずはけつこうですから、そういう子供を預かる設備をつくつていただきたい、こういうお願いのわけです。
  58. 小島徳雄

    小島説明員 そういう問題につきましては、実情はわれわれといたしましても十分拜承いたしているわけですが、今のようなたとえば工場に働く婦人が多いからその工場に、あるいは職業補導所にたくさんの母子の方が就職を求めておいでになるから、その職業補導所に設けたらいいかという考え方があります。ほんとうならば家庭の近くに保育所がありますれば、補導所の近くに連れて来なくてもいいという場合もございまするし、いろいろの点が考えられるのであります。補導所の近くに設けた方がいい場合もありましようし、あるいはそうでない場合もありましようし、その点は今日予算もある程度限定されている実情もありまして、どちらを優先的にやるかということにつきましては、今日の実情に即応いたしまして研究いたしたいと私どもは考えております。
  59. 苅田アサノ

    ○苅田委員 そのことにつきましてはこれ以上は申し上げませんが、ただそういうふうに婦人の日雇い労務者が殺到しているということが恒久的な状態ではなくて、夏からの非常にたくさん出た失業者の応急対策としてそういう状態が出ているから、今問題になつていると思うので、それは近くに便利な託兒所があればこれに越したことはないが、そうでないから問題になつているのですから、一ぺん実情をお調べになつていただきたい。それによつて適当な措置をとつていただきたいということをお願いしておきます。  それからもう一つはそういう人たちは近くに託兒所があつたといたしましても、なかなか子供を預つてもらえない事情があるということを言つているわけです。と申しますのは、そういう人たちはどうしても出かけますのに六時とか七時というような早い時刻に子供を預けて出かけなければならないのですけれども、大体託兒所は現在は人員等の関係から、早期から子供を預かつてくれる仕事をやつていないわけなのです。そこであわせてお願いいたしたいことは、そうした近ごろの実際の状態をお考えになつて、そうした一般の託兒所でも、たとえば保姆さんを二交代にするとか何とかいたしまして、早朝からでも子供さんを預かつていただけるような方法をとつていただきたい。これはいかがでございましよう。
  60. 小島徳雄

    小島説明員 保育所につきましては、最低基準にも原則として八時間以上勤めなければならないというように書いてありまして、なるべく勤労婦人の家庭が、子供を安んじて預け得るようにいろいろ保育所の経営方針、運営方針についてもそういうふうに指導しておるわけであります。今のように非常に朝早いというような場合につきましては、現在の保育所でもあるいは実情に沿つていないかと思いますが、そういう特別措置につきましては、今後研究いたしたいと存じております。
  61. 苅田アサノ

    ○苅田委員 こういうことは最近おそらく非常に多く起つて来た事情だと思います。ひとつその辺は実際について御調査の上、そういう人たちの負担を軽くしていただけるようにぜひ御処置をお願いいたします。  それからもう一つ、同様の問題ですが、一般の私立でない、あるいは都営とか、あるいはそういつた厚生省の直接の監督しておいでになります託兒所なんかの大体の傾向といたしまして、そういつた貧困家庭の子供さんを預かるというのを回避する傾向があるということを訴えておるわけなのです。つまりこの託兒所は別に救済事業ではないのだから、あなた方のお子供さんだから特別に預かるわけには行かない、今定員だから預かることができないということで断られるというような訴えがあるわけです。それは一応託兒所等にも定員もございましようが、やはり現在の母子福祉法が設定されておる精神からいえば、そういつた子供さんをうちで十分遊ばせることができないような貧困家庭には、やはり優先的に子供さんを預かつていただけるというのが、その精神じやないかと思うのですけれども、その辺のところはいかがでしようか。
  62. 小島徳雄

    小島説明員 この点はまつたくわれわれとしても同感でございます。保育所というものは保育條件の欠けた——保育條件の欠けておるというのは両親が働きに行つておるとか、あるいは両親が病気であるとか、家庭によつて子供のめんどうを見られないというのが、保育條件に欠けておるのでありますが、そういう條件に欠けておるのは貧困家庭に多いというようにわれわれとしては考えて、指導いたしております。なお不十分な点につきましては是正するように努めたいと思つております。
  63. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいまの苅田委員質問に関連いたしまして、小島兒童局長にお伺いしたいと思います。私ども全国の保育所母子寮授産所などを見て参つておりますと、遊んでいるお寺だとか神社などの——もちろん神道指令の関係で非常にむずかしいだろうと思うのでありますが、これらの保育所母子寮授産所の、厚生省が今非常に悩んでおる問題をある程度解決してくれないものだろうかと私はいつも考えるのでございますが、この点も兒童局長として新たな角度からメスを入れてもらつてもいいころではないかと思いますが、その辺もひとつお考え願いたいということを切にお願いいたします。  それから、先ほど一つ言い落しましたが、現在行われておりますところの指令による市町村長の気持というものをどういうふうにおくみとりでございましようか。現在たとえば公職の肩書をもつて葬式に参列できない市町村長の立場というものをどういうように御解釈になつていらつしやるかということについて、あなたの御見解を承りたいと思います。
  64. 荻野勉

    ○荻野説明員 これは私どもにとりまして非常な難問でございまして、お尋ねのような見解を申し述べることができませんことを非常に残念に思います。市町村長が公職者である、それが公職の資格において行動する場合に、神道指令その他におきまして、その資格のために制約を受けるということはやむを得ないと思いますが、一方市町村長が個人の資格で行動する領域ももちろんあるのでございまして、そこに、あるいは場合によりましては、市町村長におきまして非常にみずからきびし過ぎるような見解をとつて行動せられている場合があるかもしれませんが、そこはわれわれは市町村長の良識と良心とを信頼したい。こう思つているのでございます。
  65. 堤ツルヨ

    ○堤委員 少し私の思つていることとピントが違うようでございますが、市町村長自体これは非常に困つている問題で、はれものにさわるようにしている。遺族としては、これは非常に不平等な取扱いを受けているわけで、遺族自体も公職の肩書をもつて参つてほしい。それからわれわれ一般の遺族でない中間的な存在から見れば、当然市町村長の肩書をもつて参つてつてほしい、こういう気持です。また市町村長の立場からいえば、肩書をもつて参りたいという気持です。そうすると、すべての輿論が、これに公然と参らしても何でもないじやないか、また当然参るべきじやないか、どの立場の人においてもこういう気持を持つているということをあなた方に御認識願つて、今後の関係筋との交渉をなさる参考資料にしていただきたいと思つて申し上げたのであります。私が静岡県の方の遺族会に参りましたときも、市町村長も困つているのだから、市町村長の立場を陳情に上ろうということで、静岡県では決議をして来ているはずであります。この委員会にも来ております。このように全国的に市町村長の立場から運動が始められるならば、われわれの輿論と市町村長の声と相まつて関係筋にも了解される問題であろうと思いますので、この点よろしくお願いいたします。  それから医務局次長にお尋ねいたしますが、療養所の問題で、国立の結核療養所または結核の病棟などを私たちがつぶさに拜見いたしまして、非常に病床が足りない、これは常に予算の問題を中心にして委員会でもいろいろ言われておりますが、この不満足な形において予後の養生をしなければならない患者の中に、全国的なアフター・ケヤー・コロニーの問題が起りつつある。このアフター・ケヤー・コロニーの問題がやがて寄附を願い、有力なメンバーを集めて、民間運動となつて起ると思う。また起りつつあります。今社会保障制度の審議の段階がその緒についておりまして、この社会保障制度が確立されましたならば問題ではないのでございますけれども、それまでの暫定的なアフター・ケヤー・コロニーの問題につきまして、医務局の方ではどういう考えをお持ちになつているか。お伺いしておきたいと思います。
  66. 久下勝次

    ○久下説明員 結核患者のアフター・ケヤーにつきましては、完全に社会に復帰できますまでの間の措置として、私どもぜひ必要なこととは考えております。ただ、ただいままでのところ、私どもつております予算上の措置といたしましては、大々的に医務局の責任においてやるというところまで認識をされておらぬのです。しかしながら私どもとしてはその必要を痛感いたしまして、実は本数箇所の施設におきまして、細々ではございますが、アフター・ケヤーのことを実際やつておるのでございます。ただこれは患者の病室だけあればいいということに参りませんので、若干医師とか看護婦とかの手は省きますけれども、そのかわり作業所とかいうことで相当場所をとります。大体正式にやりますと、ただ寢ておつて手術をする程度の患者を收容しておりますよりも、場所として倍ぐらいのものを要するのであります。結核療養所がベットが不足だという一面の建前からも、現在の療養所をつぶしてそこまでやるのはいかがであろうかということまで考えてごく細々とやつております。しかしながら政府としては、声を大にして今のお話の通りに、ぜひ何とかして実現いたしたいものと考えておる次第でございます。
  67. 堀川恭平

    堀川委員長 ちよつと申し上げますが、この問題は堤さんも御承知だろうと思いますが、丸山委員からきよう御発議がありまして、この問題は相当重要な問題だから、第七国会において、小委員会をつくつてつてもらいたいということでありますので、今のあなたの問題に対しては、この程度で御了承願いたいと思います。次の国会で十分御審議願つたらどうかと思います。  では本日は第六国会の終りの日でありますので、皆様方に第五国会以上に本国会委員長の私に対して、御援助や御指導くださいまして、大過なく終ることのできましたことを皆さんにお礼申し上げるとともに、今国会におきましては、あの身体障害者福祉法案が、衆議院においては、皆さんの御協力によつて満場一致通過され、本日参議院でも通過するのではないかと考えておりますが、いろいろの問題に対して、今国会におきまして、非常に御熱心な御審議と御努力くださいましたことを厚くお礼を申し上げます。  本日はこの程度で散会いたします。     午後三時五十三分散会