運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-11-19 第6回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十九日(土曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 淺利 三朗君    理事 内海 安吉君 理事 田中 角榮君    理事 上林與市郎君 理事 村瀬 宣親君    理事 池田 峯雄君 理事 天野  久君    理事 笹森 順造君       大西  弘君    押谷 富三君       瀬戸山三男君    西村 英一君       宮原幸三郎君    前田榮之助君       畠山 重勇君    増田 連也君       高田 富之君    寺崎  覺君       松谷天光光君  出席国務大臣         建 設 大 臣 益谷 秀次君  出席政府委員         建設政務次官         (住宅局長)  鈴木 仙八君         建設事務官   伊東 五郎君  委員外出席者         大蔵事務官   神代 護忠君         閉鎖機関整理委         員会委員長   小林正一郎君         閉鎖機関整理委         員会常務委員  溝口 敏磨君         閉鎖機関整理委         員会住宅営団清         算担当者    俵 惠一郎君         専  門  員 西畑 正倫君 十一月十八日  委員坂本實君辞任につき、その補欠として押谷  富三君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月十七日  災害復旧費増額請願吉川久衛紹介)(第  四二八号)  同(井出一太郎紹介)(第八三四号)  接収土地家屋の借上料増額関する請願(守島伍  郎君外一名紹介)(第四三四号)  万波貯水池築設の請願岡村利右衞門紹介)  (第四三五号)  岐阜、富岡間の県道国道編入請願岡村  利右衞門紹介)(第四四二号)  豊橋、富岡間の県道国道編入請願岡村  利右衛門君紹介)(第四四五号)  吉井川下流改修工事促進請願若林義孝君外  七名紹介)(第四四七号)  淀川改修工事促進請願井上良二君外二名紹  介)(第四四九号)  最上川碁点橋下流川幅拡張並びに築堤工事施  行の請願上林輿市郎紹介)(第四五〇号)  蕨山トンネル開設請願村上勇紹介)(第  四五七号)  内川準用河川編入請願石田博英君紹  介)(第四五九号)  山内川砂防工事並びに米代川護岸工事促進の請  願(石田博英紹介)(第四六〇号)  千代田村地内の米川及び林野に砂防工事施行の  請願今村忠助紹介)(第四六二号)  安倍川堤防増築請願神田博紹介)(第四  八一号)  松本、高山間道路国道編入請願江崎真  澄君紹介)(第四九八号)  上水道整理事業に対する補助増額請願江崎  真澄紹介)(第五〇八号)  庶民住宅建設関する請願江崎真澄紹介)(  第五〇九号)  賃貸庶民住宅処分関する請願江崎真澄君紹  介)(第五一〇号)  愛知県の震災復旧関する請願江崎真澄君紹  介)(第五一四号)  同(砂間一良紹介)(第六八一号)  災害復旧対策に関する請願江崎真澄紹介)  (第五一五号)  災害復旧事業に対する国庫補助増額請願(江  崎真澄紹介)(第五一六号)  芦屋から六甲山を経て有馬に至る県道拡張の請  願他二件(原健三郎紹介)(第五二五号)  木屋川利水事業促進請願佐藤榮作君外五名  紹介)(第五三三号)  裾花川治水工事施行請願外五件(田中重彌君  紹介)(第五三八号)  北上川上流調整池築設の請願鈴木善幸君紹  介)(第五四三号)  阿武郡地内の県道改修関する請願佐藤榮作君  外五名紹介)(第五五〇号)  府県道田万崎、萩線の一部改修関する請願(佐  藤榮作君外五名紹介)(第五五一号)  徳山市道西浦線改修請願佐藤榮作君外五名  紹介)(第五五二号)  山口県の災害復旧費関する請願佐藤榮作君外  五名紹介)(第五五三号)  日野川にえん堤築設の請願足鹿覺紹介)(  第五五五号)  内川改修費国庫補助請願庄司一郎紹介)  (第五七九号)  東北地方の中部特定地域総合開発関する請願(  庄司一郎君外六名紹介)(第五八〇号)  吉井川下流改修工事促進請願苅田アサノ君  外一名紹介)(第五九一号)  東三河地方砂防工事施行請願江崎真澄君  紹介)(第五九九号)  市之瀬川砂防工事施行請願江崎真澄君紹  介)(第六〇〇号)  奈根川上流砂防工事施行請願江崎真澄君  紹介)(第六〇五号)  知多半島の観光道路及び産業道路改修促進の請  願(早稻田柳右エ門紹介)(第六二〇号)  庄内川改修工事施行請願早稻田柳右エ門君  紹介)(第六二一号)  庄内川水系河川砂防工事施行請願江崎  真澄紹介)(第六二二号)  常呂川治水工事施行等請願松田鐵藏君紹  介)(第六二七号)  北上川改修工事施行請願内海安吉紹介)  (第六三四号)  浅水村地内の北上川右岸に新水路開設請願(  内海安吉紹介)(第六三五号)  福島県下の災害復旧並びに治山治水事業施行の  請願外八件(池田峯雄君外一名紹介)(第六四  一号)  建設業法の一部改正関する請願井之口政雄君  外二名紹介)(第六四三号)  尾花澤富澤間県道改修請願志田義信君紹  介)(第六五三号)  渥美郡下の各河川砂防工事施行請願江崎  真澄紹介)(第六五五号)  東山澤砂防工事施行請願西村直己君紹  介)(第六五六号)  三河平野内各河川砂防工事施工請願江崎  真澄紹介)(第六五七号)  女鳥羽川改修促進請願降旗徳弥君外三名紹  介)(第六七二号)  利根川上流堤防修築並びに護岸工事施行の請  願(鈴木明良紹介)(第七〇二号)  浜田、廣島間県道国道編入請願木村榮  君外一名紹介)(第七〇八号)  松代、枯木平間道改修請願笹森順造君紹  介)(第七二六号)  三峯川治水工事施行請願(林百郎君紹介)(  第七六六号)  吉井川上流改修工事施行請願苅田アサノ君  紹介)(第七六九号)  北見市、若佐村間に道路開設請願松田鐵藏  君紹介)(第八一一号)  愛知県下各河川砂防工事施行請願田島び  で君紹介)(第八一七号)  最上地域総合開発事業促進請願圖司安正君  紹介)(第八一八号)  猿羽根峠にトンネル開設請願圖司安正君紹  介)(第八二一号)  旭川改修工事及び旭川合同用水工事  促進請願星島二郎君外六名紹介)(第八二  六号)  牧田川ダム築節の請願大野伴睦紹介)(第  八二七号)  潤川治水事業促進請願宮幡靖君外一名紹  介)(第八三二号)  東京西部地区河川改修請願花村四郎君  外一名紹介)(第八三三号)  和歌山県下災害復旧事業助成請願今村長太  郎君外五名紹介)(第八三五号)  里浦大手海岸護岸工事施行請願生田和平  君紹介)(第八三六号)  智頭川砂防工事施行請願稻田直道紹介)  (第八三七号)  釜石峠トンネル開設促進請願内海安吉君  紹介)(第八三八号)  国道二十三号線一部改修請願藥師神岩太郎  君紹介)(第八四〇号)  大淀川上流改修請願瀬戸山三男君外四名紹  介)(第八四五号)  阿武下流改修工事施行請願庄司一郎君外  二名紹介)(第八四九号)  瀬戸、千種間県道改修請願川本末治君紹  介)(第八五〇号)  岡山、鳥取両県間間道国道編入に関する請願  (早稻田直道紹介)(第八八四号)  湧別川に橋りよう築設の請願林好次紹介)  (第八八八号)  鶴岡、白岩間道路改修請願池田正之輔君紹  介)(第八九六号)  丹生川上流にため池築設の請願圖司安正君紹  介)(第八九九号)  渡良瀬川改修促進請願森下孝君外一名紹  介)(第九〇〇号)  千田村地内の信濃川に護岸工事施行請願(田  中角榮紹介)(第九〇二号)  砂川、新十津川間の石狩川に架橋の請願(篠田  弘作紹介)(第九〇五号) の審査を本委員会に付託された。 同日  大淀川上流改修促進関する陳情書  (第一七三号)  住宅金融公社法案制定陳情書  (第一七五号)  国道十六号線改修陳情書  (第一八〇号)  松江市の災害復旧援助関する陳情書  (第一八五号)  国道一号線改修陳情書  (六二〇四号)  北上川支川改修工事促進陳情書  (第二〇七号)  阿武隈川改修工事施行陳情書  (第二二四号)  災害復旧費に対し全額国庫負担陳情書  (第二二七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  住宅営団法廃止する等の法律案内閣提出第  四号)     ―――――――――――――
  2. 淺利三朗

    ○淺利委員長 これより会議を開きます。  住宅営団法廃止する等の法律案内閣提出第四号を議題といたします。前会に引続き質疑を継続いたします。田中角榮君。
  3. 田中角榮

    田中(角)委員 関係の方々に四、五点御質問を申し上げたいと思います。住宅営団閉鎖機関に指定されました今日、営団法廃止は当然であると思うのでありまして、この廃止法案に対しましては異論のないところでありまするが、昭和十六年から閉鎖日まで長い間、日本の住宅政策面に非常に大きな位置を占めておつた住宅営団の功罪というものを、われわれがこの際十分きわめておきまして、近くつくられる運びになつておりますところの住宅公社法の審議に対しても、十分の資料にいたしたい、かように考えておるのであります。その意味におきまして現在整理の過程におきましては、政府出資金の一億円並びに社債等は、ほとんど返還できないというような状態になつております。なお二十六年三月、すなわち二十五年度一ぱいに清算を完了するためには、合計三億五千数百万円の赤字になります。政府出資金並びに社債はほとんど償還できない状態になる、こういう御説明でございますが、こういう機関ができましたのは、もちろん公共的性格を持つためにできたのでありまして、さらにこの赤字というものに対して云々申すのではありませんが、従来の半官半民、いわゆる公共性社会性を持つたものは常にマイナスであるというふうに考えがちなのでありまして、これからもこういう社会性を帯びた施設がどんどんできるのでありますが、原則として政府出資金その他はほとんど償還しなくてもいいのだという感覚の上に立つて運営されては、はなはだ遺憾である、こういうふうに思うのであります。その意味におきまして、現在までの赤字がどうしてできたのかということは、将来また御説明を願うことにしまして、まず第一番目には、現在でさえも赤字があつて政府出資金その他が償還できないというのに、なおかつ、これから一年間に一億七千数百万円の事務費を要する、こういうものでありますが、これは赤字の上塗りということになるのでありまして、わが党といたしましても、減税その他に対して全力をあげておる現在、かかるマイナス的数字はできるだけ圧縮しなければならない、こういうふうに考えておるのであります。五千名の人たちが現在三百四十二名になり、二十五年度には、たしか四百万円プラス二千六百万円の事務費の要求もお出しになるというような御事情であるようでありますが、以後一箇年にわたる要整理資金はどの程度まで圧縮できるか。圧縮するためには、数の問題と日子の短縮ということがあるのでありますが、これはできるだけ早く、より少数の人たちによつてなされなければならないという観点に立ちまして、二十六年の三月を、二十五年度第二四半期程度までに繰上げて行うことができないかどうかという問題が一つ。なお、毎月々々整理人員削減状態であるということは、非常にいい状況であると思いますが、削減ということになりますと、能力ある人がだんだん先に出て行つてしまつて、失礼な言い分かもわかりませんが、最後には能率の悪い人が残つて来る、こういうふうに考えられるのでありますが、この整理人員に対しても、量よりも質という面からの短縮をお考えになり、かつ効率的な運営をはかるためには、いかがなる見解をお持ちになつておるかということを御質問申し上げたいと思います。
  4. 神代護忠

    神代説明員 ただいまの御質問、趣旨その他非常に私たちも同感をいたしておるところでございまして、特に生産費削減につきましては、かねがね委員会とも協力してやつて参つたのでございますが、先ほどもお話がございましたように、委員会清算自体が非常に複雑でございまして、たとえば住宅営団が存命中にいろいろ手続をふまなければならなかつた登記の問題とか、あるいは土地の測定の問題とか、こういつたものが、寿歌買う営団閉鎖機関なつたときにまだそのままになつてつて委員会が引継がなければならぬというような事情にありまして、これはある意味では、委員会自体清算仕事というよりも、委員会に引継ぐ前の住宅営団のときに、すでにやつておらなければならなかつた仕事でございました。さらに住宅処分というものは非常にむずかしくて、御承知のように、これは居住者ということも考えなければなりませんので、一般の競売でどしどし売ることもできません。所有者の側になつてみれば、買わなくても入つておればそれでよいが、清算者立場から見れば、どうしても処分をしなくちやならぬ、ここに住宅処分の一番大きな問題があります。従つてまず居住者に優先的に拂下げ、さらにこれは公共施設にできるだけ持つて行きたい。ところが個人の財源は必ずしもよくないし、公共団体といえども財政は決して楽でない。従つてこれらの処分がまた非常にむずかしい。そうなつてくると、処分のできな間はどうしても管理、維持ということを委員会としてやらざるを得ない。しかもこれは全国に広がつており、同時にまた、家賃の取立もしなくちやならぬというようなことで、非常に多くの人間を抱えておつたわけでございます。御説のように、もしそういう方針で進んだ場合に、優秀な人がどんどんやめて行つて、あとには非常に非能率な人が残るのではないか、この点も私たちは非常に心配いたしまして、現在でもなるべくそういうことのないように——しかしこれに対しては、一方そういう優秀な人を、将来なくなつて行くであろう閉鎖機関の職務に従事させるということも、また非常にむずかしいのでありまして、今後のことも同時に考えなければ——ただ優秀な人を残れと言つて、むりに残すわけにも参りませんので、ここらにも非常にむずかしい点があるわけであります。そこで今後の方針といたしましては、どうしても住宅を早く処分しなくちやいかぬ。早く処分すればそれだけ経費削減できうるというのが、われわれの案でございます。今度東京都に譲ることがうまく成功いたしますれば、次々と同様な方針でやつて行きまして、早く処分をし経費削減する。従つて一応の目安をこの法律に立ててございますが、われわれの希望としては、それよりももつと早く結了したいと考えているわけでございます。従つてただいまの御意見に対しては、私たちも全然異論がないところでございまして、むしろ今後ともその辺は積極的に努力をいたしまして、御期待に沿いたいと思つているわけであります。
  5. 田中角榮

    田中(角)委員 お説明は十分納得するのでありますが、昭和二十六年三月三十一日を清算結了の日と予定すると、大体今までの通例によりまして、三月三十一日までかかるのが常道であります。その意味において、二十五年第二四半期、六月三十日ぐらいまでにこれを圧縮できるかできないかという見通しをひとつ伺いたいと思います。
  6. 神代護忠

    神代説明員 これは先ほどちよつと申し上げましたように、一応の見通しで、大体見通しをつけておるとそれまでかかるのが常道だ、なるほどそうであつた場合が今まで多いのでありますけれども、私どもとしては、全然そういうことは考えておりませんので、もつとこれよりも早くしたい。従つて法文にも、その前に結了すればやるというぐあいに書いてあります。
  7. 田中角榮

    田中(角)委員 閉鎖から現在までの賃借対照表、その他昭和十六年度からの損益計算書等提出されておりまするが、先ほど個人的にちよつと伺いましたときには、もちろん閉鎖機関に指定された当時、政府出資金も返還できる、社債も全部返還できる、こういう見通しのもとにやつたであるが、時間的に非常にずれがあつたというような結果と、もう一つ賃金、給与その他の変動において、このようなマイナスができたというのでありますが、現在において、二十六年三月三十一日清算を結了するという考えのもとに、現在お出しになつておる償還不納額が、すなわち赤字よりもうより時間的にできなくなるとか、いろいろな条件のもとに、この数字が現在御提示のもとに、この数字が現在御提示のものよりも少なくなければならないとは思つておりますが、多くなるということがあるかないかという問題に対して御答弁を願います。
  8. 神代護忠

    神代説明員 これは一応産学三十一日までかかるという見通しで、それから一応の経費削減ということも考え出してありますので、さらにこれを、もし早く清算がうまく行きまして、その前に結了し得る、あるいは経費支出というものももつと節約をして行くことができれば、またそうやりたいと思つておりますが、まずまずこの程度以上の損失が出るとは予想いたしておりません。
  9. 田中角榮

    田中(角)委員 予想はいいのですが、出さないという御自信があるかないか、御言明ができるかできないか。
  10. 神代護忠

    神代説明員 これは社債の補償が二億三千幾らで、これ以上に出るということはございません。これ以上に出るということはございません。それからもしどうしてもそれ以上に損失が出るといつても、別にこれを法的に補償するかとかいうようなことは毛頭考えておりません。ただこれ以上に損失が出るというような場合には、一般債務弁済支出に響いて参りますので、一般債務弁済率が悪くなつて参る、従つてそういうことがあつては非常に困りますので、どうしてもこれはこの程度に食い止めるほか手はないのじやないか。一応債権整理法というものが今の形でスタートしておりますから、できるだけその債権整理法に食い入らないようにするという努力は、今後も十分やるつもりであります。
  11. 田中角榮

    田中(角)委員 私の質問がむりだとは思つておらないのですが、清算当時赤字は出さない方針でもつて突入した。そして時間的ずれにおいてむを得ず現在の赤字なつた。しかも現在廃止法案を御提出になつて、これからなお一年数箇月の時日要して、清算を結了する見込みである、しかもその清算結了見込み時期にたいていは、これを短縮するべく大いに努力をする、こういうのでありますが、現在国家財政田井場から見ますと、少なくともこういう赤字というものは、でき得るならば全然出したくない、のみならず、こういう政府出資金をもつてつたものであつても、清算結了の場合、多少でも黒字が出たという場合であるならば、こういう事業に対する一般の投資も、また政府としての立場も、将来非常に明るくなると、こういうふうに考えておりました。これは重要なポイントであり、現在私たちがこういうことを言うのは、根本的には、少なくとも閉鎖機関に指定された当時、赤字は絶対に出さないような方針のもとに万全の方策が講じられたかいなかということを、まず究明しなければならないのであります。しかし現在に至つてそういうことを言うことも、はなはだむずかしいものであるというので、しからば現在においてもうすでに九〇%以上も清算が終つたところの、現在出される数字というものは、動くというよりも、もつとこの程度まで減縮、圧縮される見込みであるというくらな言明がお聞きしたいのです。そうじやないと、努力はいたします、そういう見込みでありますというのが、すでに三億数千万円の赤字出しておるということの、動かすことのできない事実が生じておる。少なくも、もうすでに大半の業務を終つておる現在、どのくらい短縮し、どのくらいの予算の圧縮ができるか。それが予想数字であるので御言明ができないというならば、現在提示した赤字よりも以外に絶対に出しませんというくらいの御責任を持つていただきたい。こういう考え一つあるわけであります。
  12. 神代護忠

    神代説明員 今の御質問でございますが、実際私たちも何とかして、これはこの程度に、現在出ておる赤字よりももつと赤字が出ないように努力したい。それでその数字をお示しいたしたいのでございますけれども、実際の問題として、これよりも高くはならない、多くならないということは、まずまずお約束でくきると思うのでありますが、どの程度に下げるかということは、今後の清算状況、早く処分されるかされないかということに非常にかかつておるのでございますから、その点においてできるだけの努力をいたしまして、これ以上損失を出さないようにする。これは私ども並びに閉鎖機関整理委員会を、ある意味では信用していただきたいと思うのでございます。
  13. 田中角榮

    田中(角)委員 住宅営団閉鎖機関に指定されてから現在までは、ほとんど閉鎖整理委員会並び大蔵省が、所管官庁としてやつておられるようでもありますが、これはもちろん大きな住宅政策の一環としてなされた建設行政でありまして、この閉鎖機関指定当時の清算業務方針その他に対しては相当見込み違いがあつたと思うのでありますが、この閉鎖機関指定当時の整理方針の樹立その他に対して、建設行政主管大臣である建設大臣に、何らかの御相談があつたかなかつたかということをお聞きしたいと思います。
  14. 益谷秀次

    益谷国務大臣 閉鎖機関指定清算当時の建設省に対する整理方針について相談があつたかなかつたかどういうことでありますが、私よく承知したしておりません。昨年就任の際、住宅営団のことについてはむろん引継も受けておりますが、清算方法についてはよく存じておりませんから、局長から答弁いたさせます。
  15. 伊東五郎

    伊東政府委員 御指摘のように、この閉鎖機関整理の問題につきましては、單なる清算ということだけでなく、これは国の方針に基づいて住宅政策のために設置した機関でありますから、その清算につきましても、建設省としましても重大なる関心を持つておるわけであります。むろんこの清算については、大蔵省から建設省へ御相談があつたわけでございます。できれば建設省としては住宅政策という面を強調いたしまして、国が一括してこれを、買い取つて、適当な方法処分したいという希望を持つであつたのでありますが、いろいろ折衝いたしました結果、どうしても国としてはこれだけの財政負担ができないということになつて、次善の策として今回のような処分方法をとることになつたわけであります。ただその具体的な処分方法については、清算の面からなるべく安い価格で、しかも現在居住している人に優先的に拂い下げたい。また安い価格でありましても、一ぺんにこれを拂いさげるということはなかなか困難な場合もありますから、できるだけ長期の融通もはかりたいという方針処分を実施して参つております。将来ともこの方針は堅持して、住宅政策立場から、この清算事務については建設省から強力に発言して行きたいというふうに考えております。
  16. 田中角榮

    田中(角)委員 その点の将来のことに対して、建設大臣意見を徴したいのでありますが、この清算が頭から失敗するということを申し上げるのではありませんが、少なくともなるべくツーペトにしたいということを、われわれは考えているのであります。こういう大きな実績を持ち、また大きな使命を持ち、しかも大きな負債を持つものが閉鎖機関として指定されたときに、この清算に関する法律さえ出しておけば、かかるマイナスというものはなかつたのじやないかと私は思うのであります。この問題に対しては、一住宅営団法廃止のみではなく、将来もこのようなものがたくさん出ると思うのでありますが、このような場合、法律的処置を講ずる意思がないかどうかということに対する大臣のお考えを承りたいと思います。
  17. 益谷秀次

    益谷国務大臣 閉鎖機関につきましては、建設省としては、御承知の通り住宅政策の面から強力に発言をいたしております。また今後も、そのような発言をいたしたいという考えでございます。ただ相当欠損があるわけでありますが、この点は閉鎖機関の方であやつておられるので、私の方でどうするという権限はございません、繰返して申し上げますれば、住宅政策の面から強力に発言を続けて参りたいと思つております。なお閉鎖機関というよなものについて、何か立法的な措置を講じていないかどうかということでありますが、今は私はそういうことは考えておりません。なお今後この種のものが起こつあ場合にはどうするかということでありますが、これは十分に検討したいと存じております。
  18. 田中角榮

    田中(角)委員 これに関連して、おなじような住宅金融公社法なるものが、近く本議会に提案されようとしておりますが、私が申し上げるまでもなく、これは住宅政策の一環として立てられるものであります。これは建設省相談もあつたが、住宅局長の言われるのには、その内容その他にあまりタッチしておらないために、この赤字に対してはあまり責任はないのだというようなお話でありましたが、住宅政策を強力に行う上においても、これと同じ方針と使命を持つて生まれるところの住宅公社設立の問題に対しても、この閉鎖機関に指定せられた住宅営団法の例にかんがみて、少なくとも建設大臣がこれを所管して、こういうマイナスを再び繰返さないようにしなければならぬ。もしマイナスができた場合は、数字的なマイナスにしろ、あらゆる面に対するマイナスに対しては、建設大臣が責任を負うところまで行かなければならぬと思うのでありますが、これに対する御意見を伺いたいと思います。
  19. 益谷秀次

    益谷国務大臣 近く通常議会において御審議を願うことになると思うのでありますが、いわゆる住宅金融公社法ですか、これは政府の出資による住宅に対する融資でありまして、大体五十億円が決定いたしております。しかしてこれは、かりに住宅金融公社と称しておるのでありますが、むろん立法の処置を講じなければなりません。従つてこれに間する法律の御審議を通常議会において願わなければならぬことに相なると存じておりますが、これは住宅難を緩和する、政府の重大なる社会政策的な立法であります。しかして公社法案と申しまするものは、建設大臣と大蔵大臣との共管になるかとも思いますが、中心は建設大臣がこれに当たるものと存じております。従つてこれに対する責任は、建設大臣たる私が負わなければならぬと思います。ただいいま御審議を願つております営団廃止法は、閉鎖機関でありますから、これは大蔵大臣の所管であります。従つて先ほど申しました通り、住宅政策の面からは強く発言をいたしますが、解除その他のことについては、私は容喚することはできないのであります。
  20. 田中角榮

    田中(角)委員 普通の企業体であつたならば、かかる赤字が算出されたことに対しては、非常に大きな問題ではありまするが、本来この住宅営団法は、申すまでもなく住宅政策としての公共性と、非常に高度の社会性を帯びた法律でありましたので、その結果閉鎖機関に指定され、現在のようにマイナスが出た場合、非常に逼迫せる国庫財政であつても、このしりぬぐいをしなければならぬということもまたがえんじられるのでありますが、そういう立法の精神並びに目的から見まして、赤字出してまで行うところの整理は、少なくともこの立法の精神に逆行するような処置をとられることで、これは絶対にしてはならないことであります。その意味において、立法の精神であるところの、いわゆる安く庶民に拂い下げるという目的に反して、すなわち営利的団体に拂い下げたりしたような事実が過去においてあるかないかということを、将来のために伺つておきたいと思います。と同時に、一年数箇月を要する整理期間において、現在の未整理物件に対しても、時間的に、技術的に間に合わないからというがごときゆえをもつて、この住宅営団法の精神に逆行するような処置を絶対にとつてはならないと思うのであるますが、その面に対する強い意思表示をひとつお願いしたいと思います。
  21. 神代護忠

    神代説明員 ただいまの御意見はわれわれと同じ御意見でございまして、住宅営団法が公布されたということ自体が、非常な社会性を持つておりますので、これが閉鎖機関なつた結果、住宅営団法の精神が全うされなくなることは非常に困るということは、初めから非常にわれわれが関心を持つたところでございます。それでこれを一般閉鎖機関整理と、住宅営団清算とを比較して御説明申し上げれば、いかに住宅営団清算にその法的な精神を含めてやつたかということがおわかりになると思いますので、御説明申し上げますが、一般閉鎖機関である場合には、これは御承知のように閉鎖機関というものが、連合国の命令によりまして、一定の非常に強硬なわくの中で清算事務をやらなくではならない。それで資産の処分等につきましては、これは競売ということが原則になつております。そこで住宅営団の建物を競売にしたらどういうことになるということは、火を見るより明らかなので、たちまちの間に大きな社会問題を起す。それではこれを何とか一方では処分をしなければならぬ、しかし一方社会問題を起こすことはどうしも避けなくてはならぬというところで考えたのは、先ほど申し上げましたまず居住者にはかる。しかし居住者にはかつても、先ほどお話申し上げましたように、何も居住者が余裕がある階級ではない。そうすればこれは居住者の身になつて考えれば、これはおられればいいので、家賃を拂つてすんでさえいられれば、何も自分のものにする必要はない。これをどうしても買つてもらうということになると、どうしても財政的な金融的な援助を與えなければならぬ。そこでわたしどもといたしましては、債権者である銀行その他とも非常に密接なる連絡をとりまして、債権者の側から言てても、これは処分をして早く債権を回収することが必要ではないか、しかしそれがためには債権者も、やはりわれわれと同じ考えで協力してもらわなけれなならぬというので、金融機関を通じまして、この個人の買う場合の金融をやつたわけでございます。しかもこの金融は年賦償還でなつておりますので、その居住者に買わせるという方針を具体的に実行する場合にも、かなりいろいろな技術を講じなければならなかつたというのが実情であります。     〔委員長退席、内海委員長代理着席〕  それでかなり多くのものが居住者の手に入ることになりました。それからさらに残つたものについて、どうするかという問題が、その次の起つた問題でございますが、これも競売でやれという要望がかなり強くあるわけでございます。これとてもどうしても日本の実情から言つて、そういうことはできない。これを法的にやかましく申しますと、いろいろな問題があるわけでございますが、とうていこの法律でけではこれは行くものではない。しかしやはり清算費用もかかるし、何とか早く閉鎖機関からはずしたいという考えで、公共団体ともずいぶん長い間折衝したわけでございます。しかし公共団体としても、もともと相当これは経費倒れのするものでありますので、なかなか喜んで引受けるというような公共団体はほとんどないというのが実情でございます。そこでずいぶん長い交渉を続けた結果、やや曙光が見えたのは、もし公共団体に対する財政援助をやつてもらえるならば、あるいは公共団体が、やはりこれも社会政策的な見地から引受けるのもやむを得ないだろうというようなことで、一応東京都をまず最初の交渉の相手といたしまして、交渉が始まつた結果、今のところ、東京都もとうろいうところまで行つております。まだ正式にこれが調印までは至つておりませんが、しかしもし公共団体がこれを引受けてくれた場合には、閉鎖機関といたしましても、その後の経営あるいは処分ということについては、当然非常な関心を持つておりますし、さらにまたこれは住宅政策の見地から言つて建設省としても非常な関心を持つておられることと思いますので、その点については公共団体と十分密接な連絡ととつて、せつかく今まで非常なむりをして清算というものをやつて来ましたその最後の段階において、混乱が起こらないようにしたいという決心は持つております。
  22. 田中角榮

    田中(角)委員 御提出になつて資料の中で、閉鎖日から指定業務解除日、すなわち二十四年八月二十五日までの比較貸借対照表が出ております。その中で仮拂金、未収入金、在庫資材の処分という三項目について質ジョンしたいと思うのでありますが、仮拂金、未収入金の内訳は言われますか。これはあなた方のなにをほじくり出してどうしようというのではありません。これからつくるところの金融公社その他の重大なポイントであるので、その資料にしたい、こういうふうに考えておるのでありまして、これは将来の住宅政策に対して非常に大きなデーターを提出するという意味でありますから、でき得るならばこの二項、すなわち仮拂金、未収入金の二項に対しては、閉鎖機関に指定された日から現在までにおけるところの、いわゆる月別の収支表の内訳でも出していただければけつこうだと思います。だから本日はあえてこの内訳の御意見を求めません。しかしそれよりも四、五項目下の在庫資材の表でありますが、これに対しては数字的な御説明を求めるというよりも、結果論において赤字が出た、三億五千数百万円の赤字が出たとういう問題に対して、こういう赤字閉鎖機関に指定せられた当時、整理の目標をこういう科目においた場合、非常にこの赤字というものが減つたのではないかという立場においてお聞きするのですが、二億六千数十万円の在庫資材の拂下げ譲渡に対して、これは当然自然腐朽その他の減歩率があるのでありますが、その自然腐朽いわゆる破棄をしなければならぬ帳簿価格からこれを除外しなければならなかつたようなものが、二億一千数百万円の金額に対してどのくらいのパーセンテージをもつてせられたかという問題が一問、第二問は二億一千二百万円の当時の在庫資材の換算方法いかんにおいては、これが四億円、間違つても三億円には当然マル公の改訂その他でなつておるわけでございますが、回収その他の数字においては、ほとんど当時のマル公価格、すなわち帳簿価格で拂い下げたのではないか。しかもこの帳簿価格で拂い下げたということが、対象が官庁であり、すなわち営団閉鎖機関には指定されたけれども、営団の持つところの使命を譲渡したという結果、こういうふうになつ事情は認めるのでありますが、この数字に対してどういうふうなお見込みを立てたのか、その基準だけを伺いたいと思います。
  23. 溝口敏磨

    ○溝口説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。在庫資材につきましての御質問でございますが、昭和二一年十二月二十三日の閉鎖日と、それから指定業務解除日の四月一日の間に、千八百万円減つております。これは損でございます。資材の処分によります減少でございます。それから次に五番目の欄に(B)(C)となつておりますが、これも同様処分の減少でございます。それから別表でごらんになりますればおわかりだと思いますが、資材につきましては閉鎖処分しまして六千百万円の利益を出しております。これはすべて公定のございますのは公定でやつております。公定のございませんものは時価を標準にして処分いたしております。帳簿価格処分しておるものはほとんどございません。
  24. 田中角榮

    田中(角)委員 私の質問数字を云々するのではなく、もつと具体的に言うと、政治的な答弁をほしかつたのです。それは三億数千万円が赤字になつて来たのであつて、当然中で閉鎖機関に指定された当時、これは普通企業団体でも同じことですが、赤字を出さない。すなわち余裕を持つて赤字をほとんどださないという見通しをつけるには、大体どういう科目でもつて目標をつけなければならぬかということは、私の申し上げるまでもないことであります。そういうことによると、私が先ほど申し上げましたように仮拂金、未収金の内訳を聞いて、その当時未収金の中で集金可能な額は、その内訳を見れば当然わかる話であります。だからその予想収入金と、仮拂金の中で回収不可能なものも出て来るし、当然支拂いに充てなければならぬものも出て来るわけですから、それを相殺してみると、大体赤字はどのくらい出て来る。あと予想できない事務費はどのくらいかかるかということが、その科目だけでわかつて来るわけでありまして、その場合は資産の処分の中でもつて、いわゆる値を上げられるものでそのマイナスはカバーしなければいかぬということになると、在庫資材と営業用不動産の二科目しかないわけであります。営業用不動産はもちろん住宅政策並びに営団法の目的に反するような売買をすることはできない。すなわち競売を行うことができなかつたという意味において、いわゆる営業用不動産からその収益を見込むじちができなかつたということになると、住宅営団昭和十六年ごろから買いつけておつたのでありまして、その後の在庫資材状況を見るときには、二億一千数百万円を約倍額の四億円ぐらいに評価することはむずかしいことでなかつたのであります。だから閉鎖機関に指定せられた当時、赤字を出さないためにとられた整理方針の中に、最も大きくクローズ・アップされなければならないものが在庫資材の評価であり、すなわち整理方針であるということになるのであります。その意味において在庫資材の評価並びに譲渡売却に対して、どういうふうなお考えを持つておられたかということです。それは当時のいわゆるマル公だけでもつて建設省にやるとか、公共団体にやるかとかいうものであるから、マル公のまますなわち簿外財産は帳簿価格のままでやられたというのであるか。もう一つは、これがいわゆる結論的に倍に評価しておつたけれども、実際は五、六千万円しかプラスにならなかつたということになると、その差はどこから出て来るかというと、いわゆる整理によるところの自然廃棄というものでもつて出て来なければならないわけです。これは木材の百万石に対して一割ないし一割五分の減歩率が出て来るということも当然あり得ると思うのですが、住宅営団の非常に大きな資産であり、特に営団としてはたくさんの資材を安いマル公で当時お買い集めになつてつたのでありますが、このようなものはどうであるか。しかもこの仮拂金に関連をいたしまして、当時山元で買いつけておつたものもあるようでありますが、そういうものが回収できなかつたという面から出て来る数字は、これはパーセンテージからいえば問題にならないのでありますが、その過程において、普通は木材において自然腐朽が一割以上あるものが、住宅営団に二割ないし三割あつたかないかという問題をお聞きしたのでありますから、そういう意味でひとつ根本的な御意見を伺いたいのです。
  25. 俵惠一郎

    ○俵説明員 お答えになるかどうかわかりませんが、大体の資料を持つておりますので、記憶をたどつて申し上げたいと思います。閉鎖時、ただいまお話のございました在庫資材は一部使いまして、完全閉鎖のときには一億九千四百万円ございましたが、このうちで大体その後の補助住宅等に利用できます現場、山元の木材とか、あるいは一般資材等は、これは一括して建設省でお引取り願つております。そのかわりに政府方針といたしましては、やはり先ほど来申し上げましたように、その処分のときのマル公を標準に建設省の方も話をいたし、あとにつきましてもマル公を標準にして、あるいは地方公共団体等に出しております。それ以外は競売をいたしたのでございますが、ただこの中で一番大きな問題は木材であります。これは住宅営団が終戦直後に簡易住宅三十万戸を建てますために、日本木材との間におきまして、動員木材の使用するものを受けたのでございますが、この動員木材が実は山の工場より奧にございまして、ほとんど戦時中に伐倒はしてございますけれども、山の谷からそれを引出すためには道もつけなければならない。輸送も別の手段を講じなければできないというようなものを、実は帳簿で頂戴いたしたものが非常にたくさんございまして、この山の工場より奧にあります動員木材の処分が非常に困難でございまして、これを処分いたしまして使いますには費用をかけなくてはできません。処分が困難なところへ持つて参りまして、その後和歌山県、東北方面における水害が影響いたしまして、この山工場にあります木材が非常に流出してなくなつたのであります。従いまして、今御指摘になりました公定価格が上がつておるにかかわらず、在庫資材に対してわずかに六千万円しか工事ができておらないという結果が出ておりまして、この損失は木材に関するものが非常に多いと思います。
  26. 田中角榮

    田中(角)委員 もう一問で私は質問を終わります。これは住宅営団の功罪ということになるのでありまして、住宅営団赤字は出ましたけれども、戦前戦後にわたつて、日本の住宅行政に貢献をなしたということは、まず認めます。同時に罪の意味において私たちに取上げられることは、悲しいかな、三億五千六百万円の赤字出して、窮乏せる国庫財政からまたこれをもらわなければならぬということが罪の一つでありますが、それよりももつと大きな意味から見ますと住宅営団が設立せられた当時、国庫支出金も非常に少なかつたということにも基因するのでありますが、住宅営団に対して、世人がきわめて端的に表明するところは、いわゆる日本の建築行政に対して非常に大きな功績があつたということは、大衆はあまり知らないで、大衆が言うのは、安かろう悪かろうという言葉であつたのであります。これは住宅営団に対して私が申すのではない。大衆がそう言つております。確かに安かろう悪かろうというような結果があつたと思いますが、これはただに住宅営団の運営そのものが悪かつたのではなく、公共性が非常に強く限られたもので、短時日に大衆に多くこれを與えようというためには、もちろんそういうことも考えられるのでありますが、これは一つの過去の実績であつて、これからの住宅政策に対しては、この功罪というものは非常に大きなデータとして尊重せられなければならぬ意味において、今も建設省においては、年々庶民住宅を建てておられるのでありますが、その国庫庶民住宅も、初めは安かろう悪かろうといつた世評があつたのであります。このごろは物価の安定その他によつて、大体安かろうよかろうではなくて、高かろうよかろうぐらいにだんだんなつて来ておりますが、これからは安かろうよかろうというふうにならなければならないと思います。しかしその意味において、建設省で今乏しい住宅資金の中から、いわゆる質的にいいものをつくろう。不燃建築だけはどうしても落としたくないと言つておられますが、私はこういう住宅行政は非常にいいと思つております。その意味において住宅営団の過去の実績に徹して、建設大臣は将来の住宅行政に対して、いわゆる不燃建築というものに大きく転換されて行くお気持ちがあるかどうかということを承つて質問を終わります。
  27. 益谷秀次

    益谷国務大臣 御承知の通り、最近資材もよほど緩和せられて参りましたので、お説のように堅牢な不燃住宅の面に力を注ぎたいと考えております。
  28. 淺利三朗

    ○淺利委員長 ほかに御質問はありませんか。
  29. 池田峯雄

    池田(峯)委員 簡単に質問したいのであります。一つ東京都が住宅営団住宅を引受けて、その都の代行機関として復興建設株式会社というものにこれをやらせるという問題。これは吉田内閣総理大臣の筆法をもつてすれば、仮設の問題に答えられないということになるかもしれませんが、しかしすでに大蔵省の預金全部資金課長高橋俊英氏は復興建設にやらせることになつておると言明しておるそうでありますが、こらは私はちやんと証人を出すことができる。でありますからそういうふうに、もうすでに具体的に問題になつている復興建設会社というものについて、大蔵省並びに建設省としては、いかなる見解を持つておるかということをお伺いしたいのであります。この都度に拂い下げる住宅は鉄筋アパートが二千四百五十八戸、敷地が住宅営団所有地として二万三千二百七十五坪、木造住宅が三千九百八十五戸、敷地が七万八千二百五十坪、共同住宅が一千二百六十二戸、敷地が八千四百十坪、こういうものでありまして、この拂下げ価格が一億円というのでありますけれども、こういう敷地だけをもつてしても十万坪になるのでありまして、一坪一千円とすれば敷地だけについてすでに一億円の値打ちがあるものなのであります。こういうものを営利会社である復興建設会社に拂い下げまして、その結果どういうことになるかということは、もう言わなくてもわかると思うのであります。現在東京都の建設局で、収賄関係で今収容されておるということが新聞に出ておりましたが、この資材課長の吉野という人は、すでに復興建設に行くように内定になつてつたということも聞いておるのであります。さらにまた、この復興建設株式会社の相談役である。山下太郎さんという人、これは住宅営団が二十一年から二十二年の間、土地住宅や資材権利譲渡について活躍した、こういう関係を持つておる人なのでありまして、こういつたはなはだ明朗を欠く復興建設株式会社に、都が代行してやらせるということになれば、結局ここには、土地住宅に対する莫大な利権をめぐつていろいろ暗い面が出て来る。そうして結局その犠牲はだれに転嫁されるかというと、現在入つておる住居者に転嫁されて来ることになるのであります。従いましてまず住宅営団の方は山下太郎さんとの関係、大蔵省の方は復興建設にやらせることになつたと資金課長が言明しておられるのでありますが、その関係、こういうものを詳しく御説明願いたいと思うのであります。  さらにもう一つ、面倒ですから一緒に質問事項を全部いつてしまいます。建設省の方では、これはたびたび住宅局長住宅政策にのつとつて今後十分に監督して行くという言明がありましたから、念を押すようなものですが、第一に売却処分をする場合、買えない人に対してどういうことになるか。たとえばむりに買わせようとしたり、あるいは強制立ちのきをやらせたり、そういうことを絶対にさせないという決意をお持ちであるかどうか。さらに営団の方で修理をしないので、借家人の方が自費で修理をしたものが相当あるようでありますが、その修繕代というものは、当然家主たるものが負担するのが義務でありますから、家賃またはその家を買取つた場合は、買取り価格等からその修繕代を差引くことが当然であると思いますが、これに対しましてお考えを承りたい。さらにまた家屋の売却代金というものは、当然その家によつて全部違うのでありまして、借家人と家主との相談ずくできめるのが当然であります。一方的に値段をきめてこれで買取れというようなことは、これははなはだけしからぬことでありますから、この点どういうふうにするか。今までの借家人の権利を擁護して、政府がたびたび言明しておられる住宅政策というものを遂行して行く意味において、こういつた問題をいかに処理するか。こういう点について建設省の方から、十分現在の住宅に住んでいる人たちが納得できるような御見解を表明願いたいと思うのであります。
  30. 神代護忠

    神代説明員 御質問の第一点の、大蔵省資金課長が山下というものに渡しておると言明しておられるということでありましたが、この点は私閉鎖機関課長といたしまして、そういう話が大分前に起こつてつたということは聞いておるのであります。それで閉鎖機関住宅営団処分ということについては、先ほどから御説明もありましたように、何とかして公共団体に譲りたいということを考えて、当局と交渉しておりました。その途中において東京都が、さらにどこかに売つて処分するというような経緯になつてつたということは聞きましたので、当初から今お話の復興建設会社でございますか、そちらに売ることになつてつたのでは毛頭ないのであります。山下と東京都の間にどういう契約を結ぶのか、実際に山下の方が買いたくて東京都へ持ちかけたのかどうか。少なくとも私どもの方の方針から申しまして、また実際の交渉から行きまして、東京都は初めから買いたくないのだということをしきりに言つてつたのでございます。これは各公共団体全部そうでございまして、周囲でどうしても処分ができない。これを一般の競売にするということは非常に不適当でありますので、何とか東京都その他の公共団体と話をしたいということで進めて来ておりましたので、これが今お話のように、復興建設工業にさらに東京都から譲り渡すというようなことになりますれば、当然私どもといたしましても、東京都と復興建設との間にどういつたような契約で、どういつたように引継いで行くかということを、よく十分に見て行かなくてはいけないことだと思います。それで現在の段階におきましては、東京都と閉鎖機関整理委員会との間で、今契約の内容について検討いたしております。これについても、まだ私の方へはどういう契約で行くかということについて、何ら報告を受けておりませんので、さらにその辺の事情につきましては、閉鎖機関整理委員会の方で、あるいは具体的な内容がわかるのじやないかとも思います。一応私の方が知つておる範囲、並びに今後どういうようにしたいかということについて、御説明申し上げます。
  31. 池田峯雄

    池田(峯)委員 ただいま知らないという御答弁でありますけれども、すでに昭和二十四年の七月に当国会に提出されました住宅営団処分住宅を買受けるというこの議案の中に、都は一応これを買取りの上、そのまま大蔵省建設省並びに共同融資団の推薦する引受団体に一括譲渡するものとすると、ちやんとうたわれておると思う。これをあなた方知らないということは、実に怠慢もはなはだしいと思う。一体しからば大蔵省並びに建設省は、いかなる団体を推薦するおつもりなのか、これをお聞きしたい。
  32. 神代護忠

    神代説明員 ただいまの御説明で、あるいは私の方から申し上げたことが不充分であつたかとも思いますが、今都議会でそういう問題が起こつたということは、もちろん私承知しております。それで私どもの立場といたしましては、東京都がさらにどうするというようなことになりますと、これはどうしても住宅政策の見地から考えざるを得ません。どこに売るか、東京都がさらにこれをどうするかということについては、これはどうしても将来の住宅政策という見地から、かつてにやられては困る。そこでそれについては、建設行政立場からといつたようなことをどうしても考慮に入れなければならないので、一応それはむしろこちらから、かつてにやられては困る。将来チェックしようというつもりでおりますので、従つてあるいは都議会でそういうぐあいに入れたのではないかと思います。それで都に売つてしまつたならば、それでこちらは知らぬというような考えは毛頭いたしておりません。住宅営団清算の続きとして、何とかこれがうまく行くようにということは十分希望もし、将来も見て行こうというつもりはいたしております。
  33. 池田峯雄

    池田(峯)委員 建設省に先ほど私が質問いたしましたが、どうしても貧乏で買えない者は、買わなくてもその家に住んでいられるように、その権利を擁護する決意が政府にあるかどうか。強制立ちのきをさせられたり、あるいは競売をさせられたりするという立場の人々をどうして保護するか、そういうことをさせるかさせないか、これをひとつ明言していただきたい。  それから借家人が修理した場合、その修理代というものは家主が負担するのが当然であるから、買つた場合には、代金から差引いたり、あるいは家賃から差引いたりすることが当然だと思うのですが、その点はどうか。それから売却代金というものは一方的にきめるのではなくて、やはり双方納得づくでこれをきめてほしい。こういう点について政府住宅政策という立場から、この機会にひとつはつきりと言明していただきたいと思うのであります。これは建設大臣に対しての質問であります。  それから営団の方には、山下太郎という人が今問題になつておるが、その山下という人と住宅営団というものとの関係は、昔も相当関係があつた。あつたから出て来る。出て来たから私どもが疑惑を持つのでありまして、昔から一体どういう関係があつたのか。巷間うわさされるような関係があるのか、そうじやないのか。この点はつきり明言していただきたいと思うのであります。
  34. 伊東五郎

    伊東政府委員 強制立ちのきというような結果にならないようにする考えがあるかということでありますが、これはむろん借家法によつて居住権を保護されているわけでありますが、やはり一般の居住権の保護ということと同様に、居住者の保護は十分考えて参りたいと思つております。強制立ちのきなどという事態には絶対にしないようにいたしたいと思つております。  それから売却の場合に修繕費をどういうようにするか、それから売却代金をどういうようにしてきめるのか、こういうお話でありますが、この売却代金につきましては、従来経営住宅居住者にだんだん売拂つております。この場合に清算居住者負担ということを見合つて、大体できるだけ安い価格できめて現にやつておりますから、将来も大体それを基準にしてやつて行きたいと思つております。修繕費をそれに含めるとか含めぬというような点につきましては、これはこまかい点になりますし、具体的な問題の場合について、なるべく無理が行かぬように、監督して行きたいと思つております。
  35. 池田峯雄

    池田(峯)委員 それをもう少しはつきりしておかないと…。たとえば何月何日まで整理事務を完了するというのでしよう。だからそういう問題をはつきりしておかないと、まだまだこの法律通り閉鎖事務を完了することはむずかしいと思う。でありますから、そういう問題をぜひひとつはつきりしていただきたい。とにかく住居人の権利を擁護する立場建設省が立つて行くのか行かないのかという点が、私の質問の眼目なんです。この点はつきり住宅局長が約束してくだされば、私らがこれ以上言う必要はない。それから営団の人がどうしても山師後の関係を言わないのですが、それをひとつ…。
  36. 小林正一郎

    ○小林説明員 山下との関係という御質問がありましたが、これは閉鎖の当時、つまり保管委員会——整理委員会になりましたのが二十二年の五月ですか、その以前に住宅営団は保管委員会時代において閉鎖になつております。神代課長から当時の整理方針等について、詳しく時期的区分をして御説明を願つたのですけれども、そのいわば第一期という時代でありまして、結局このとき住宅営団は二千六百余戸の仕掛住宅といつてまだでき上がらない住宅を持つていた。それで第一期におきましては、住宅処分するのに、でき上がらないものを売ることはできない。そこでこれを完成することが住宅営団としては第一の仕事であつたわけです。そこで閉鎖すれば仕事はやらないというのが、大体清算の原則になつておるのでございますが、やらざるを得ない指定業務というものがあるので、必要な限度においてのみ仕事をするという部類に入つて、これを一方において仕上げるということに第一期にはなつたのであります。しかしそれもできることなら自分でやらない方がいいのでして、地方公共団体が未完成住宅を引受けて、営団の残余資材を譲渡されて、それでもつてつて行けば、これが一番いいのだというので、地方公共団体に向かつてまず働きかけたのであります。ところが地方公共団体の中で、あるものは引受けると明言するものがあり、あるものは困るというものがあり、結局多少そこに残りが出て来るのです。それをこの山下という人のやつている会社が引受けて、これを完成させて、売れないものはそうしようという申出をしたことがあるように聞いております。当時保管人委員会時代のことであつて、私は整理委員会になつてから委員長になりましたので、私はどういう経過か、そこのところはよく存じませんが、山下氏が申込みをして来て、それはある方式でいろいろ協議があつたわけでありますが、結局山下の資金ができないということで、この関係は終わつたということになつております。ですから資材も住宅も何も払下げずに終わつた。それから今回の今の処分東京都の問題につきましては、われわれは東京都へ売るということのみを目標として立案しておりますので、それについては私どもは存じません。
  37. 益谷秀次

    益谷国務大臣 居住者の正当の権利を擁護することは申すまでもないことであります。
  38. 淺利三朗

    ○淺利委員長 お諮りいたします。これにて質疑を終了いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  39. 淺利三朗

    ○淺利委員長 御異議なしと認めます。それではこれにて質疑を終了いたします。
  40. 田中角榮

    田中(角)委員 最後に結論といたしまして、清算当局並びに建設省に対して意見を付したいと思います。   清算当局に対しては、  一、赤字を極度に圧縮すること。  二、清算期日をできるだけ短縮し、少なくとも二十六年四月以降にわたらざること。  三、未整理物件中、なかんずく営業用不動産の譲渡については十分考慮の上、営団設置法の趣旨に反せず、公共性並びに高度の社会性を保持すること。   建設省当局に対しては、  一、営団の実績結果に徴して、将来の住宅政策に完璧を期せられたいこと。  二、現居住者の既得居住権の保護徹底を期せられること。  なお委員長に対して、住宅営団はすでに閉鎖機関と指定せられ、清算業務に入り、以後一箇所にして清算完了の見込みつきたる現在、営団法廃止については論のないことであります。しかし住宅営団は過去日本におけるこの種企業体の先駆でありまして、その住宅行政上に残した功罪は、これを十分調査をいたし、将来の住宅政策の尊い資料としなければならないと思うのであります。その意味で同営団清算その他の状況については、本委員会において追つて審議することに願いたいと思います。
  41. 内海安吉

    内海委員 この際本案に関する討論を省略いたしまして、ただちに採決せられんことを望みます。
  42. 淺利三朗

    ○淺利委員長 ただいまの内海君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  43. 淺利三朗

    ○淺利委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。  これより本案について採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  44. 淺利三朗

    ○淺利委員長 起立総員、よつて本案は全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。  なおお諮りいたします。本案に関する報告書の作成につきましては、ただいま田中委員より要望ありました点も考慮いたしまして、委員長において報告書を作成することに御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  45. 淺利三朗

    ○淺利委員長 御異議なければさよう決します。  それではこれにて散会いたします。     午後零時七分散会