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1949-11-15 第6回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十五日(火曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 淺利 三朗君    理事 松井 豊吉君 理事 上林與市郎君    理事 村瀬 宣親君 理事 笹森 順造君       大西  弘君    瀬戸山三男君       西村 英一君    三池  信君       宮原幸三郎君    前田榮之助君       畠山 重勇君    増田 連也君       高田 富之君    寺崎  覺君       松谷天光光君  出席政府委員         (住宅局長)         建設事務官   伊東 五郎君  委員外出席者         大蔵事務官   神代 護忠君         大蔵事務官   掘込 聰夫君         大蔵事務官   堀川 正彦君         建設事務官   美馬 郁夫君         閉鎖機関整理委         員会委員長   小林正一郎君         閉鎖機関整理委         員会常務委員  溝口 敏麿君         閉鎖機関整理委         員会住宅営団清         算担当者    俵 惠一郎君         專  門  員 西畑 正倫君     ――――――――――――― 十一月十二日  天塩川河口改修工事施行請願玉置信一君紹  介)(第一四二号)  起、竹ケ鼻間の木曽川に架橋請願大野伴睦  君紹介)(第一四三号)  大川橋架替に関する請願大石ヨシエ紹介)  (第一四五号)  天塩町の道路改修に関する請願玉置信一君紹  介)(第一四六号)  天塩、幌延間の天塩川架橋請願玉置信一  君紹介)(第一四七号)  土木事業振興に関する請願星島二郎君外一名  紹介)(第一四九号)  札幌市の市街地復興に関する請願小川原政信  君紹介)(第一五三号)  三国街道改修促進請願亘四郎紹介)(第  一八二号)  神之川の災害復旧並びに開発事業促進に関する  請願上林山榮吉君紹介)(第二二八号)  住宅組合法の一部改正に関する請願石原圓吉  君紹介)(第二三九号)  村道曽木大保下線改修請願佐藤重遠紹介)  (第二六七号)  治山治水事業促進に関する請願大橋武夫君紹  介)(第二六九号) の審査を本委員会に付託された。 同日  道路整備費に関する陳情書  (第五号)  建築物許可権限地方委讓等に関する陳情書  (第二四号)  県国道の補強に関する陳情書  (第三四号)  庶民住宅建設促進に関する陳情書  (第四五号)  都市計画事業に対する国庫補助増額陳情書  (第四八号)  野尻川復旧工事陳情書  (第五九号)  災害復旧土木事業国庫補助増額等に関する陳  情書(第六  七号)  宮崎県の風水害対策に関する陳情書  (第七二号)  淀川堤防補修工事促進陳情書  (第七六号)  逆川復旧工事施行陳情書  (第八七号)  藤川村の河川改修に関する陳情書  (第  八九号)  災害旧費全額国庫負担陳情書  (第九三号)  県道富山、岐阜間を国道編入陳情書  (第一〇〇  号) 十一月十四日  北上川治水対策に関する陳情書  (第一〇八号)  戰災都市の耐火建築促進陳情書  (第一二〇  号)  県道浜田加計線国道編入陳情書  (第一三三号)  建築士法制定に関する陳情書  (第一三五号)  京都府における災害復旧促進陳情書  (第一四六号)  砂防事業費国庫補助増額陳情書  (第一五五号)  旭川ダム建設に関する陳情書  (第一七一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  住宅営団法を廃止する等の法律案内閣提出第  四号)     ―――――――――――――
  2. 淺利三朗

    淺利委員長 これより会議を開きます。  住宅営団法を廃止する等の法律案内閣提出第四号)を議題といたします。ただいま配付になりました資料について当局より説明を聽取した上、質疑を継続いたしたいと存じます。
  3. 美馬郁夫

    美馬説明員 それではお手元に配りました住宅営団年度別建設戸数調という資料がございますから、それに従つて説明いたします。今度の法律案参考資料の方に、いろいろ住宅の現在幾ら残つているとか、どういうふうになつているとかいうような数字がございますが、その数字関連いたしておりますから、そういう意味で便宜上、営団が幾ら建てて畿ら残つておるかというようなことをこの資料で御説明いたします。  一番初めの住宅営団年度別建設戸数調という表によりますと、一番左側の建設年度別を見ますと昭和十六年度から初まつて十七、十八、十九、二十、二十一年度という年度の間になつておりますが、このうちで次の区分の「新築工事を施行したもの」というのがございます。これが各年度別にいたしまして合計十六万五千八十七戸を営団新築工事として建てたものでございます。その次の項目に参りますと「移築並補修工事を施行したもの」という欄がございますが、その合計が一万五千八百五十九戸、その次に「部材を加工して〃セツト〃として供給したもの」という欄がございます。これが三万九千六百六十三戸、営団昭和十六年から閉鎖の二十一年までに新築したもの、あるいは修理したもの、その他委託に応じてつくつたもの等を合計いたしますと、一番右の欄の二十二万六百九戸ということになるのであります。  これだけやりましたが、そのほかに——二十二万六百九戸の下の欄をごらんなつていただきたいと思いますが、御承知のように江戸川アパートのように同潤会から承継したものがありますから、それをプラスいたしますとと、結局営団関係したものが二十二万五千五百五戸ということになるわけでございます。  それから次に閉鎖の方に入りまして、閉鎖時までに営団経営を離れたものが十三万一千四十七戸ございます。その内訳は詳しく一から六まで書いてありますが、これは閉鎖になるまでにいろいろの理由で営団経営を離れたものでございます。それが十三万一千四十七戸ということになりまして、それを引いて結局営団閉鎖なつた当時には六万三千六百二十七戸の住宅残つているわけであります。この六万三千六百二十七戸というのはいろいろ資料に出ております基礎になつているわけであります。  その次は、これはあるいは大蔵省の方から御説明した方がよいのかと思いますが、便宜上私どもの方で御説明申し上げます。これはただいま申した六万三千六百二十七戸という閉鎖当時に残つてつた住宅をどういうふうに処分したかということを、各府県別にいろいろつくつてみた表でございます。これは御説明の要もないと思いますが、処分開始前の総戸数が六万三千六百二十七戸ありまして、その次の備考欄に「処分済戸数」というところがあります。その内訳といたしまして相手が個人であつたり、公共団体であつたり、居住者団体であつたりいろいろありますが、そういう内訳によつてつくつたわけであります。結局処分済戸数合計が四万五千九十九戸となつておりまして、六万三千六百二十七戸のうちで四万五千九十九戸はすでに処分してしまつているわけでございます。そうして一番右の欄に「未処分戸数」として一万八千百四十五戸という数字残つているわけであります。  それから次に「住宅営団事業年度別貸借対照表並損益計算書」というのが、この前の御注文によりまして、昭和十六年五月一日から昭和二十一年三月三十一日まで、住宅営団が存続しておつた間の貸借対照表損益計算書参考に添付いたしたわけでございます。以上でございます。
  4. 淺利三朗

    淺利委員長 今の計算閉鎖時までに営団の手を離れたものという十三万戸、この処分はどうしたのですか。
  5. 美馬郁夫

    美馬説明員 この内訳でありますが、建設を委託されてつくつた分とかいうのは、閉鎖にならぬでも、その年度年度すでに工事が終つたら離して行くわけです。それからたとえば借上住宅なんかは、期限が来ましたときは貸主の方に返す、そういうわけであります。
  6. 淺利三朗

    淺利委員長 御質問はありませんか。——閉鎖機関の方で何か御説明ありましたら……。
  7. 神代護忠

    神代説明員 大蔵省閉鎖機関課長でございます。先だつての当委員会出席ができませんで、ちようど他委員会がございましたので、そちらの方にも出なくちやなりませんので、はなはだ失礼いたしました。この前の委員会のときに大体の御説明を申し上げたのでございますが、もう一応皆様方閉鎖後一体どういうぐあいな経過をたどつて住宅営団清算が進んでおつたかというアウト・ラインを御説明申し上げまして、細部のことに入る前に一応の概念をつかんでいただいた方が便宜ではないかと思いますので、一応の御説明を申し上げます。  ただいま建設省の方から御説明もございまして、一部重複するところもございますが、概括的に申し上げますと、御承知のように住宅営団昭和二十一年の十二月二十三日に閉鎖をされまして、その当時先ほどちよつと御説明がありました仕掛住宅というものがありまして、この仕掛住宅完成というものを一応指定業務ということにいたしまして進んだわけでございます。それでこの完成を待つて昭和二十二年の三月三十一日に完全閉鎖ということになつたわけでございます。それで昭和二十一年の十二月二十三日の閉鎖日におきましては、経営住宅が先ほどの表にもございますように六万三千六百二十七戸と、そのほかに分讓住宅が三万八百三十一戸あつたわけでございます。それで完全閉鎖になりましてから、指定業務期間中においては、この仕掛住宅を一刻も早く完成をしませんと、どうしても実際の清算段階に入つて行くわけに行きませんので、まずこの完成を急いだわけでございます。しかしこれが資材その他の関係で、なかなか完成まで行かないというので、二十二年の三月三十一日に一応打切つたわけでございます。これが大体閉鎖なつた直後の状況でございますが、その後二十二年四月一日から七月三十日までの期間を第二期とでも申しますれば、このやや完成に近かかつた完成住宅の残部の処分と、それから経営住宅処分ということが問題になつたわけでございます。それでこの未完成住宅処分についてはどういうぐあいにしたかと申しますと、これは一応二千六百七十八戸のうち、官庁に対しまして百九十八戸、地方公共団体に二千三百一戸、公益団体に六十五戸、残りの百十四戸というものを一般競売にいたしまして、処分したのでございます。その後昭和二十二年の七月以降になりましてこの経営住宅をどうしようか、どういうぐあいに処分した方が一番いいかということが問題になりまして、日本の当時の住宅政策といつたようなこととも非常に関連が深くなりますので、建設省その他とも協議をいたしました結果、これをあるいは政府で買上げてやつたらどうだといつたようなこともあつたのでございますが、当時の国家の財政がとうていこれを許さないような状況にありましたので、この点はついに実現できなかつたわけであります。それではさらにこれを地方公共団体に讓つたらどうだという案も出まして、鋭意各地方公共団体交渉をいたしましたが、これもその当時としては成功いたしませんでした。それでついにこれを閉鎖機関整理委員会において、自分の手で整理をするよりほかに道がないということになりまして、いよいよ委員会において整理を始める。それで閉鎖機関整理委員会がこの処分をするにあたりまして、どういう方針で進むべきだろうか、この場合に最もわれわれが考慮しなければならないことは、その当時入つてつた居住者を無視して住宅売却するということは、非常に大きな社会問題を惹起いたしますことでもありますし、またこの資産の評価という問題にも、非常に大きな影響がございますし、ひいては住宅営団全部の債権債務支拂い、さらには政府の補償といつたような問題にも関連しますので、十分各方面からの検討が必要であるということで、住宅清算に関する促進委員会というものを一応つくりまして、ここの協議にかけたわけでございます。その結果はまず第一に、当時各住宅に入つておる者にどうしても第一番に優先的に機会を與えなくてはいけないだろうということで、まず第一に居住者に対する売却ということを始めたわけでございます。これについてはいろいろ資金関係とか、あるいは何も自分たちは買わなくてもいいのだ、入つてさえおればいいのだといつた問題もありまして、居住者必ずしも自分の入つている建物を買いたいという人ばかりではないので、そこにまた一方いろいろな社会問題とも関連いたしまして、居住者に対する住宅売却ということ自身が、非常に困難であつたわけであります。しかし一方これを解決しない限り、他の者への売却ということはさらにむずかしいので、債権者である金融機関等においても、非常にこの問題を心配いたしまして、居住者に対する融資ということすら考えまして、居住者にまず優先的に渡そう。で相当な年月を要しましたが、ただいままでに大体契約が成立つておるのは六万三千六百二十七戸ございます。そのうち四万五千九十九戸というものは売却済みなつております。もちろんこれは個人的にこの売却額を一時に現金拂いをしろといつても、必ずしも可能でない場合がありますので、分割拂いということを認めております。それでただいま残つております問題は、この最後残りました一万八千余戸をどういうぐあいに処分をするかという問題でございます。それでこれらの住宅は、必ずしもいつでも入つておる人が買いたいとか、他の人が買いたいといつたような状況にあるものばかりではないので、どうしても日本全体の住宅問題と関連さして処分をしなければ、妥当なる処分は予期せられませんので、一方においては早く競売にしてしまつたらどうだ、処分清算を早く結了するためには、値段は無関係競売をしてしまつたらどうかという議論も多分にあるわけでございますが、自分たちが入つておる家を競売にされたということ自体が非常に大きな社会問題を起しますので、この点はそういう意見もかなり強いのでございますが、極力なるべく社会的な動揺を来さないようにしたいという方針で進んでおりますので、できればこれを地方公共団体讓つて地方公共団体のおのおのの公共施設としてこれを管理なり処分なりする方が、まず次善の策ではなかろうかということで、地方公共団体交渉をさらに進めたわけでございます。しかし御承知のように、地方財政というものが非常にむずかしいものでございますから、地方公共団体も必ずしもこれを喜んで引受けない。むしろ非常にこれを重荷に感じておるような状況で、もし財政的な援助と申しますか、財政的な余裕があればそれはやつてもいいが、そうでない以上はこれは非常に経費がかかるものでございます。單に買つただけということでいいのではなくて、さらにそれを維持するというのに相当な経費がかかる。そこでその点も一応考慮に入れてもらえるならばという希望も大分ございまして、最近におきましては、これはまず一番大きなところである東京都から始めたわけでございます。それで東京都と長い間の交渉の結果、一応東京都の財政にそう大きな影響を與えないで済むような各般の措置を講じてもらえるということを條件として、やつとその交渉が妥結いたしまして、近々にそのうちの東京都にございます住宅は、ほとんど全部東京都に委讓することができる段階に至つたわけでございます。それで今後の処置といたしましては、やはり同様な考え方で、できればこれは居住者にさらに買つてもらおう、しかしそうでない場合は、競売などということは極力これを避けて、公共団体にもう一ぺん交渉を始めようという状態でございます。  それでこれが大体閉鎖機関になりましてから、住宅営団処分について、どういう考え方をして、どういう段階を経て今日に至つたかという概略でございますが、さらにこれを数字的に御説明申し上げた方がよくはないかとも存じますので、その点につきましては先だつて委員会においても御要求がございましたので、至急実際の清算事務をお願いいたしております閉鎖機関整理委員会というところで、非常な努力をしてもらいまして、資料ができ上りましたので、これを皆様方の方にお配りいたします。さらにそれにつきましては、担当閉鎖機関整理委員会委員長小林さんもお見えになつておりますし、常任委員溝口さんもおいでになりますし、なお住宅営団清算事務を現実に担当しておられる方も来ておりますので、さらにその数字につきましては、こまかく御説明を申し上げたいと思います。なおその後で御質問がございますればできるだけの御説明はいたしたいと思います。
  8. 小林正一郎

    小林説明員 私は閉鎖機関整理委員会小林でございます。ただいま神代閉鎖機関課長の申されましたこまかい数字につきまして、皆さまのお手元に差上げてあります閉鎖日指定業務解除日における比較貸借対照表と、比較損益計算書について御説明を申し上げます。これは実際事務担当しております職員から御説明をいたすことにいたします。
  9. 溝口敏麿

    溝口説明員 私は閉鎖機関整理委員会常任委員溝口でございます。お手許に差上げました閉鎖日指定業務解除日二十四年八月二十五日比較貸借対照表というものがございます。これは閉鎖日以後今年の八月二十五日までの負債状況一覧表にいたしたのでございます。  まず左の方の資産の部におきまして、勘定科目昭和二十一年十二月二十三日、これは閉鎖日でございます。二十二年四月一日、指定業務解除の日、ここで完全閉鎖なつたわけでございます。  その次の欄は閉鎖の日と指定業務解除の日の増減を示しているのでございます。なお申し落しましたが、貸借対照欄三角しるしがつけてございますのは、不良資産でございまして、結局回收のできない、あるいは処分のできないものが入つているわけでございます。(A)(B)増減の欄におきます三角は減少を示しております。その次に参りまして、二十四年八月二十五日現在の数字がありまして、それから完全閉鎖の日と現在までの増減を示してございます。その次にございますのが資産処分回收率でございまして、これが閉鎖日今日までの資産処分状態の百分比を示しているわけでございます。その次に換価額、これは二十四年の八月二十五日以後清算結了に至りますまでの資産処分ないしは回收見込額でございます。次に負債の部に参りまして、これも欄の構成は同様になつております。それから負債の部におきまして、最後の方の積立金以下の項目三角しるしがつけてございますが、これは出資者勘定に関しますもので、一応清算を結了いたしまして、最後出資者に配当があるかないかというときに初めて関係して来る項目でございます。  これでごらんになります通り、大体資産におきましては相当の進捗を見せております。貸付金におきましてはすでに九七%の回収率を示しております。それから仮拂金、米收入金につきましては半額以上の回收をしております。それから在庫資材につきましても、約八割九分の処理を済ませております。国債株式、これは五十一万四千円ございますが、すでに五十万は処分済みでございます。残つておりますのは一万四千円であります。営業用不動産、これはただいま説明のございました経営住宅土地建物処理でございまして、八一%処分済みでございます。業務用不動産、これは事務用その他業務関係します土地建物で、これも四七%の回收率を示しております。分讓住宅、これは最初は分讓住宅という項目によつて整理されましたが、その後委員会内の整理方式がかわりまして、分讓住宅勘定資産の部、六番目の項目にございます閉鎖後未收入金、この勘定に振りかわりましたために、ここでは残がなくなつております。これは分讓住宅を建てますとすぐにそれを年賦でもつて讓渡するということになつておりますので、建物を建てますとすぐに向うの勘定になります。こちらとしては債権が残る、こういう観念から整理の方法をかえたわけでございます。  以上ごらん通り大体整理は進捗しておりまして、ただいま残つておりますおもな問題は、経営住宅残りの一万八千戸のうち約七千三百戸は東京都に行きまして、残り一万一千戸ぐらいのものが、これからの処分の対象になる、これがおもなものであります。あとその清算が進捗いたしますれば、従つて事務所等の不要になりますものは、どんどん処分して行きたいと思つております。資産の部におきましては閉鎖機関債務弁済の順に従いまして、順次整理されて参りました。ただいまでは一般債権弁済段階に入つておりまして、すでにこの表でごらんになりますれば四〇%ぐらいとなつておりますが、五五%まで支拂い済みでございます。  次に比較損益計算書でございます。このうちちよつとお断り申しますのは、利益の部でもつて昭和二十四年八月二十五日の欄に不動産損益としまし六千六百万円、これに三角がついておりますが、これは間違いでございます。その下の処分住宅損益勘定一千九百六十九万一千四百四円四十三銭、これが三角をつけるべきもので、これは印刷の誤りでございます。この表でごらんになります通り、本年八月二十五日現在では資産処分につきましては、下の方にございます資材損益勘定以下、経営住宅処分以外はすべて相当の利益を上げております。  はなはだ簡單でございますが、貸借対照表損益計算書につきまして一言御説明申し上げました。
  10. 淺利三朗

    淺利委員長 比較損益計算書の下から三番目に、損失の部の剰余金というのがあります。それから利益の部には損失金としてあがつておりますが、これはどういうことですか。
  11. 溝口敏麿

    溝口説明員 これは表の作成の関係で、損失の部、利益の部、合計において合せます関係上、こういう形式になりますが、二十二年四月一日の欄におきましては、利益合計が二億三千二百九十六万一千円余でございます。損失の方は二億九百五十四万九百九十一円余りでございまして、結局二千三百万円の剰余金がありますので、損失金剰余金を足しまして、合計ちようど利益金額に該当する、こういう書き方でございます。それから二十四年八月二十五日の欄におきましては、ちようど反対の結果になりまして、損失金合計が四億六千四百余万円でございまして、利益合計が二億三千六百五十方余円で、差引損失が二億二千七百六十一万円余ということになりまして、合計が双方とも四億六千四百十一万六千三百九十一円八十八銭ということになつているのでございます。
  12. 淺利三朗

    淺利委員長 そうすると結論は、二億二千七百万、これが現在損失金なつているわけですか。
  13. 溝口敏麿

    溝口説明員 さようでございます。
  14. 淺利三朗

    淺利委員長 それから、これは清算が終了するまでに損失見込みはないのですか。どういうことになりますか。これから損失がふえるかどうか。
  15. 堀川正彦

    堀川説明員 ただいまの委員長の御質問にお答えいたします。まず最初比較貸借対照表ごらん願いたいと思います。これの資産の部を見ますと、資産の部の一番右端の欄に三角形がございますが、これは先ほど御説明がありましたように、八月二十五日、現在、これが最終段階に至るまでの資産処分された回收状況についての見込み額を立てたものでありまして、これが大体七億七千百八十一万三千円という額になつております。従いまして清算結了までには大体これだけの金額が入つて来ることになる勘定なつております。それから負債の方では、要支拂額、これによりますと、今後清算結了までに支拂いを要する額というのは六億二千万円計上されておりますが、これ資本金並びに社債というものが零として計算されておりまして、資本金社債支拂わなければならないとなれば、これをプラスした九億五千五百万円の要支拂いということになるわけであります。従つて資産の方では七億七千八十一万三千円しか資金ができませんのに、支拂い額の方では九億五千五百万円支拂いを要するわけで、結局差引一億八千万円の赤になるわけでございます。さらに今後の清算結了するまでの段階清算費用を大体において、一億七千五百万円と踏みますと、差引三億五千万円の赤になつて来るわけであります。
  16. 淺利三朗

    淺利委員長 そうすると最後整理するのに、大蔵当局では、この補填は一般会計から繰り入れて補填するわけになりますか。
  17. 堀川正彦

    堀川説明員 資本金は御存じの通り全額政府出資になつておりまして、これはもし住宅営団清算上来年度予算が出なくなりましたならば、分配金がないわけでございますから、政府としては資本金が入つて来ない勘定になります。社債につきましては、政府住宅営団社債の発行の際に元利を補償する契約を結んでおりますので、この社債住宅営団支拂わないとなれば、政府は当然これを補償する義務があるわけでございますので、清算結了までに社債の償還ができない場合には、政府としてはこれを補償するように、現在予算に計上するような段階なつております。
  18. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 最近公団の廃止に伴いまして、現に油糧公団等は考査特別委員会で、ここ数日来真劍な調査が進められておることは御承知通りであります。この営団の方に対しましては、ここに詳細な貸借対照表が出て参つておるのでありまするが、今の説明ではまだはつきりいたしませんので、もう一度お尋ねいたしておきます。この小さい方の紙に出ました損失金二億二千七百六十一万六千三百三十一円八銭と、今御説明になりました三億五千三百万円とはどういう関係になりますか。また現在が約一億八千万円の赤字であつて、これからの予想が一億七千五百万円というお話でありましたが、この一億七千五百万円というものはどういう計算のもとにお立てになつたのでありますか、もう少し詳細に御説明願いたいと思います。
  19. 掘込聰夫

    ○堀込説明員 ただいまの御質問にお答えいたしますが、比較損益計算書の二十二年四月一日現在における損益計算書剰余金二千三百四十二万円は、大きい方の表の二十二年四月一日現在のバランス・シートの負債面の一番最後に当期利益金の三角じるしにしてあります二千三百四十二万円となつてバランスが合うわけであります。それから二十四年八月二十五日現在における当期損失金二億二千七百六十一万円は、大きい方の表の二十四年八月二十五日現在の資産の欄の最後の欄にあります当期損失金二億二千七百六十一万円と応合するわけであります。
  20. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 どこにありますか。
  21. 掘込聰夫

    ○堀込説明員 今の大きい表であります。左の方から欄がありまして八月二十五日(C)とありますが、このトータルの前に当期損失金というのがあります。これが二億二千七百万円と一致するわけであります。
  22. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 同じく金頭は合つておりますか。
  23. 掘込聰夫

    ○堀込説明員 合つております。そうして今の堀川事務官の説明は八月二十五日現在のバランスシートから実際の換価はどういうことになりますか、今の次の欄の換価額という欄にあります。要するにバランスシートの面においては八月二十五日のC欄のバランスであるけれども、実際の正味資産として計算をすると、換価額の欄にありますが、そこにおいては一億八千万円の赤字になります。それに今後の清算費を加えて最終的に三億五千万円の赤字になるという見込みであります。
  24. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 一億七千五百万円の見込みを……。
  25. 掘込聰夫

    ○堀込説明員 これは将来の住宅処分が早くできればその見込みが大分かわつて来るわけでありますが、現在のところ住宅営団清算事務所の経費が月一千万円かかつております。そのほか閉鎖機関整理委員会のOILOと申しております本部におきまして、住宅営団の統轄事務その他をやつておりますので、こちらの経費が二百万円、これを元にしまして大体二十四年度中はその程度の経費を一応見込みまして、来年度経営住宅その他の処分ができれば、人員の整理その他も相当進むものと見込まれますので、それによりまして二十五年度中に六千四百万円の予算をただいま主計局に閉鎖機関整理委員会から出して折衝しておりますが、大体一応予算面では六千四百万円の清算事務に要する経費、そのほか先ほど申しましたOILO本部の二千四百万円、二十四年度のものを合せまして一億七千五百万円であります。この数字は予想でありますので、資産処分状況その他によつて非常に違つて来ますし、私どもとしましてできるだけ早く資産整理しまして人員の整理事務所の廃止を進めて行きますと、この費用はその人員に要する人件費その他が節約されますので、それを促進したいと考えておりますが、予算の面では一応こういうふうな数字を現在当局に出しております。
  26. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 そういたしまするとこの三億五千五百万円前後の金というものは、財政的処置によつて当然国家の負担に帰するという前提のもとに進められておるのであるかどうかお伺いしておきます。それからもう一つこの営団に対しまして、これは他の公団とは性質は違いまするけれども、第二会社的なものが、これに付随して設けられた例は全国にないかどうかという点をお伺いします。
  27. 掘込聰夫

    ○堀込説明員 お答えします。最後の三億五千万円の穴はどうなるかという御質問でありますが、これは先ほど堀川事務官官も御説明しましたが、結局住宅営団法によりまして、政府社債の元利補償をやつておる関係上、しかもこの営団社債に対する元利補償は戰時補償特別税の実施の場合に補償打切りの対象外になつたものでありますから、現在そのまま補償の義務があるわけであります。そうしてこれらの債権者は金融機関再建整備法あるいは企業再建整備法の実施されました当時は、それぞれ補償のあるものとしまして、一〇〇%の評価により再建整備をやつております。従いまして法的にも政府は義務がありますし、また実質諭的に申し上げましても、こういつたような再建整備の関係上、この補償をやらなければ相当めんどうな問題が起ると考えます。従いまして大蔵省閉鎖機関課としましては、来年度の予算なりあるいはその他の形におきまして、この補償をやらなければならないのではないかという考えであります。そうしてその折衝は今後やる考えであります。  それから第二会社の問題でありますが、現在のところ住宅営団につきましては第二会社は全然ありません。
  28. 淺利三朗

    淺利委員長 今の資本金社債とどういう割合になつておりますか。
  29. 掘込聰夫

    ○堀込説明員 資本金は一億円でございます。社債は二億三千五百三十四万四千二百円であります。従つて政府として補償が必要になつて来るのは社債の方だけでございます。資本金の方は出資が返つて来ないということになるわけであります。
  30. 淺利三朗

    淺利委員長 そうすればここの三億五千万円のほかに、今後の経費と来年度さらに要求する経費合計しますと、結局どれくらいの総赤字になるのですか。
  31. 掘込聰夫

    ○堀込説明員 今の三億五千万円というのは、将来の清算費用を入れた数字でございます。
  32. 淺利三朗

    淺利委員長 全部ですか。
  33. 掘込聰夫

    ○堀込説明員 そうです。現在におきましては一億八千万円——現在といいますか、現在の資産を将来換価した場合にどの程度に換価し得るかという見込みでありまして、バランスを実際に即してつくり直した場合、その場合は現在では一億八千万円の赤字、こういう計算でありまして、それに今後の清算の費用を入れまして三億五千万円程度になるのじやないかと思います。
  34. 淺利三朗

    淺利委員長 それから毎月の経費が一千万円かかるというのですが、これはおもに人件費ですか、事務費を含んでおりますか。
  35. 溝口敏麿

    溝口説明員 大部分は人件費でございます。
  36. 淺利三朗

    淺利委員長 今何人おるのですか。
  37. 溝口敏麿

    溝口説明員 ただいま三百六十二名でございます。それで毎月あるパーセンテージで減らしております。
  38. 淺利三朗

    淺利委員長 閉鎖当時は何人ですか。
  39. 溝口敏麿

    溝口説明員 閉鎖当時は五千名でございます。
  40. 淺利三朗

    淺利委員長 ほかに御質問はありませんか。
  41. 上林與市郎

    上林委員 住宅営団法を廃止する等の法律案関連いたしまして、次の二つの点について所見をただしておきたいと思います。第一の点は住宅営団法を廃止した後の住宅政策について、具体策があるならば、大綱でよろしいからこの際伺つておきたいと思います。第二点は、ただいま閉鎖関係についての御報告の中に、多少私の質問しようとする点について触れた点がありましたが、はつきり既得権の保護とでも申しましようか、こういう観点からどういう具体案を持つているか。この二点についてお伺いいたしておきたいと思います。
  42. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 お答えいたします。第一点の住宅営団法廃止後の政府住宅対策についてというお話でございますが、住宅営団昭和十六年にできまして、特に戰時中非常な住宅困難の際に相当な役割を果したわけでございます。ただ一面現在の状態から考えまして、さらに住宅営団というものに相当する国の特別の機関による建設団体をつくる方が適当であるかどうか。こういう点につきましてはいろいろ検討してみたわけでございますが、結局結論を申し上げますと、一般庶民勤労階級に対する住宅対策としましては、地方公共団体、都道府県、市町村というものによりまするところの比較的安い家賃の貸家を建設せしめる。これに対しては国が相当の補助金を出すということが一つでございます。もう一つは若干の建築資金を用意することはできるが、大部分の金は自分では調達できないという階層の方もたくさんおるわけでございますので、これに対しましては主として資金面に問題がありますために、この資金の供給につきましていろいろと研究しておるわけであります。昭和二十四年度もこの住宅資金の供給につきまして、政府資金その他を放出することについて、いろいろと具体的な計画を進めてみたわけでございますが、この実現を見ませんでしたので、来年度の予算にはぜひとも住宅資金供給につきまして、財政資金を支出することを実現いたしたいと考えておる次第でございます。大体この二つの方策によりまして、さしあたりの庶民勤労階層の住宅対策は何とかやつて行げるのではないか。従つて国の特別の住宅建設の機関を設ける必要はさしあたつてはないのじやないかと考えておる次第でございます。  第二点の既得権の保護についてはどう考えておるかというお話でございますが、住宅営団閉鎖機関に指定されておりますので、われわれ住宅政策担当しておる者としましては、その閉鎖機関の性格の範囲内においてしか考えられないわけでございますが、先ほども大蔵省から御説明がありました通り、ただいま住宅営団経営住宅に入つております居住者というものの居住権は、できるだけ保護して行きたいというふうに考えまして、これを公売に付すというようなことは、極力避けて今まで参つたわけでございます。しかもそうして入つている人を第一の順位にいたしまして、なるべくその人たちに支拂い得る程度の月賦をもつて販売するという方針をとつて参りました。将来も住宅政策の面からは、その方針を堅持して行きたいというふうに考えておる次第でございます。
  43. 上林與市郎

    上林委員 第一点はよく了解いたしました。ただ第二の既得権の保護という言葉が妥当かどうかちよつとわかりませんが、居住者にとりましては、これは非常に重大な問題だろうと思うのであります。それでもし閉鎖機関の方、あるいは大蔵省の方に何か案がございましたならば、この際伺つておきたいと思います。
  44. 神代護忠

    神代説明員 先ほどから処分にあたる方針というところで御説明申し上げ、今局長からも御説明がありましたように、單純に閉鎖機関自体の清算という面から見れば、これを早く高く売つて、それで債権者並びに出資者の保護という、そういう方策をとるのが当然なのでございます。しかしこの住宅営団のように、そうでなくても非常に住宅の確保ということがむずかしいし、住宅に対する不安定というものが非常にある現在のような社会情勢において、庶民階級あるいは引揚者、戰災者といつた人を目当としてつくられた住宅に入つておる人を追い出すような方針をとつたとするならば、おのずから大きな社会問題を起すということは予想せられる。従つて現在入つておる人をどうしても優先的に取扱わなければならぬ。また一方売る値段にいたしましても、かりに競売にしたという場合に、第三者に、人が入つている家がはたして高く売れるか、その金の面から考えましても、一応現在入つている人に優先的に処分をするという方が、住宅政策の見地からも、また値段の方からもかえつてよくはないかということで、現在までの方針をそういうようにとつて来ましてやつたわけでございます。従つてもし今後経営住宅で余るというような場合には、これは当然同一方針をとつて行きたいと考えております。
  45. 上林與市郎

    上林委員 今の答弁の問題は私の質問したい問題の焦点ですが、一般の庶民階級にとりましては、早く高くという方針は非常に痛いと思う。これを調整しなければならぬと思いますが、そういう点についての腹案が建設省にあつたならば、具体的にお伺いしておきたいと思います。
  46. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 この処分一般的な方針といたしましては、できるだけ債権者なり、国の負担を軽くするという面が一つと、これと相反するのでありますが、居住者の負担をなるべく軽くするという一面がございますが、大体の方針といたしましては、できることならばこれをなるべく公共団体に一応買つてもらうということで行きたいと思います。そうしてこの経営を続けてもらうということが望ましいのでありますが、公共団体財政関係もありますので、やはり結局は居住者になるべく安い価格で処分していただくということにならざるを得ないと思いますが、具体的の数字につきましては、ただいま申し上げる段階なつておりませんので、その方針で将来も進めて参りたいと思つております。
  47. 淺利三朗

    淺利委員長 委員長から確かめておきたいのですが、この住宅営団はもちろん戰時中のよくない点もありますけれども、公共福祉事業として住宅政策には非常に貢献したものと思います。これが戰後においても日本住宅政策から見れば、必ずしも不当なものではない。もし悪い点があれば、これを改組してやるということも考えられますが、そういことについて他の閉鎖機関は最近いろいろ解除されたものがありますが、政府当局としては住宅営団を特に解除の対象とするというようなことについて何らかの措置をとつたか、またそれが何ゆえ至難であつたか。その点についてはつきり説明していただきたい。
  48. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 ごもつともなお尋ねでありますが、閉鎖されたことはわれわれといたしましてはいかんともすることができないわけであります。これを解除の申請をするなり何なりの努力をしたのかどうかというような点でございますが、先ほども申し上げましたように、われわれとしては戰時中としてはああいう方法も適当だと思いますが、ただいまの状態から考えますと、むしろ建設は民間の団体なり、公共団体なりにやつてもらうのが適当である。資金の供給についても、むしろ特別の政府機関をつくるという方向に進んだ方がよいのではないかという結論から、あえて営団の復活をはからなかつたわけであります。
  49. 淺利三朗

    淺利委員長 そうすれば、これは公共団体経営に移すことも考えられるのですが、先刻閉鎖機関の方の御説明によると、公共団体においては引受けるものがないということでありました。これに営団としては経営が成立つておるが、公共団体としては経営が成立たぬということになるのであるか。公団の経営中は採算がとれておつたかどうか。この点をひとつ御説明願いたい。
  50. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 これは現に住宅営団経営しております売れ残り住宅の問題と、新規に庶民住宅建設して行くという二つの問題があると思います。住宅営団がやつておりました業務は、貸家の経営もやつておりましたし、また分讓ということもやつてつたわけであります。この貸家の経営については公共団体をしてやらしめ、分讓の点については資金を供給して行くというふうに考えておるわけであります。それから住宅営団経営しておりました売れ残り住宅については、住宅営団がやつておれば採算がとれておつたかというと、とれていないのであります。家賃がストップ家賃で非常に低くしてあります。そして経費の方はどんどん上つておりますので、住宅営団が現に経営しておりましても採算がとれておりません。従つてこれは地方公共団体に引受けていただくことは望ましいのでありますが、公共団体財政から考えますと、そう簡單には引受けられぬということになるわけであります。従つて住宅営団として処分をしなければならぬわけでありますが、できるだけ地方公共団体にお引受け願い、できない分については居住者処分してもらうということにならざるを得ないと考えております。
  51. 淺利三朗

    淺利委員長 結論的ではありましようが、この閉鎖整理の結果、三億五千万円以上も赤字が出るというのなら、むしろ公共団体に無償でこれを讓渡して経営させるという道がなかつたのか、その方が採算的にかえつてよかつたのではないか。また住んでいる者から見れば、今までに低い家賃で住んでおつた者が、急にこれを借金して買わなければならぬという窮境に陥るのですから、そういう方法について何か考究されたことがないのかどうか。その点をひとつ御説明願いたい。
  52. 神代護忠

    神代説明員 ただいまの委員長の御質問は、地方公共団体に無償でやつたらどうか、その方が地方公共団体としても経営が楽ではなかろうかという御質問のように承知いたしますが、住宅営団清算をやります場合に、われわれがもう一つ考えなくてはならないのは、住宅営団に対する債権者というものも考えなければならないのであります。日本の金融経済並びに一般経済の再建ための金融機関再建整備法、あるいは企業再建整備法の基準をなしておりました暫定評価をいたします場合に、住宅営団清算の見通しというものを一応立てているわけであります。その場合に、住宅営団に対する債権者債権は、企業再建整備後においても、一応百パーセント返るということを基礎にしてスタートしているわけでございますので、もしこれを無償で地方公共団体にに渡した場合に、はたして企業再建整備の基礎が堅持できるかと申しますと、これはできないのでございます。そこでぎりぎりのところまで計算いたしますと、これは地方公共団体に讓らざるを得ないのでありますが、何も地方公共団体に、より高く売るということだけが方針ではないのでございまして、一方においては企業再建整備その他の新しい経済の基礎を確保し、同時に公共団体財政というものも考えなければならないし、なおかつ住宅を持つているということに対する経費がどれだけかかるかということも考慮に入れなくてはならない。こういうような各種のフアクターを考えて行かなければ、無償でやるという結論にはとうてい達し得ないと思うのであります。従つて、かつてそういうことの研究をいたしましたが、その結果、いろいろの情勢からして、無償ではとうていできないということで、従来公共団体との折衝においても、無償ということは一応考慮には入つたが、実際にはそれが取上げられなかつたというような実情でございます。
  53. 淺利三朗

    淺利委員長 私のお尋ねしたのは、結論において三億五千万円も政府が欠損をするのならば、むしろ無償でやつた方がよかつたのじやないかという点なんです。それから年賦売却によつてまだ回收がつかぬのがあるように承つたのですが、それはその回收を終つてから清算が終了をするのでありますか。あるいはその前に清算が終れば、その年賦売却のまだ年限の来ないものの取立ては、どこがそのあとを引継いでやるのか。その点をひとつ御説明願います。
  54. 神代護忠

    神代説明員 三億五千万円の損失が出るのならば、無償で渡してしまえば、あとは政府には損失がかからないかという点を研究してみますと、無償でやつて損失が出るわけでございます。先ほど申し上げましたように、無償でやれば資本金は全部飛び、社債二億三千何百万円というものが全部飛ぶわけでございます。さらに法律的な問題といたしましては、債権者の承諾が必要ではないかと考えられます。それで数字的に計算いたしまして、無償でやつた場合と、ある値で売つて回收できる債権回收して行つた場合と、いずれが得かということも一応計算をいたしまして、それで無償でやるよりも一応の値段で売つた方が、債権回收もでき、債務の弁済もできる。従つて政府のこうむる損失も少いというような見通しを、一応立てておるわけでございます。  さらに第二の御質問清算の結了の時期でございますが、これは本来から申し上げますと、すベての債権を取立て、資産処理し、債務の弁済を完了したときに、初めて清算は結了いたすわけでございます。ところが住宅営団の場合は、債務者の経済状態も非常によくないので、あるいは年賦弁済を認めておるとか、さらに資産処分をいくらこちらがしたいと思つても、競売なんかに出しても処分できないという資産もあるわけでございます。そうすればいたずらにそういうものを待つて、一方相当な清算費用をかけて行つて、ただずるずるとやつて行くのがよいのかどうかということも考慮しなければならない。そこで実際の取扱いといたしましては、どうしても債権回收ができないという場合には、ある一定の法的な措置を講ずる場合もあるし、ある場合にはやむを得ず打切りをしなければならぬという場合もあるわけでございます。しかしできるだけこれらのものをきれいにして、それで早く清算を結了したいと考えております。また債務の弁済にあたりましても、住宅営団の方としては債務を早く弁済したい。ところがそれが非常に小額の債務である、従つてとりにも来ないというような件数も非常に多いわけでございます。こういうものにつきましては、いつまでも待つておるわけに行かない。そこで従来の供託法に幾分の修正を加えまして、こういつた場合には供託をしてしまい、早くその債務を打切り、営団から離してしまうというような方法を講じておるわけでございます。従つて最後まで住宅営団閉鎖機関処理委員会のすベての取立てをやり、債務を弁済しなければ清算が結了しないかどうか。原則的に申しますれば当然そういうわけでございますが、しかしその過程においていろいろな方法を講じまして、早く返済並びに資産処分を完了するという方針でおります。しかし法的に申し上げますれば、すベての債権債務処理済み資産処分が済まなければ特殊清算は完了しないというわけでございます。
  55. 淺利三朗

    淺利委員長 年賦売却は何年ぐらいになつておりますか。
  56. 俵惠一郎

    ○俵説明員 十九年年賦というのがございますが、それが個人対象のが非常に多うございますが、閉鎖後それを繰上げ償還を極力勧奬いたしまして、個人対象の分につきましては、ほとんど現在繰上げ償還が大体終つておりまして、今問題になつておりますものは、特経会社の一括分讓が多いのでございまして、これは相手方の関係がございましてなかなかできないのでございますが、二十六年三月末までに分讓住宅全体が完結して、登記までできるかということには多少の疑問がありますが、この廃止法がきまりますと、個人の分讓と所有権とがあとで問題が起りますので、これを機会にさらに個人の分讓につきましては繰上げ償還を極力勧奬いたしまして、従来の価格そのままでこれを回收いたしまして、同時に所有権を移して行くという考えでおります。
  57. 淺利三朗

    淺利委員長 他に御質問ありませんか。——本日は資料ちようだいしたばかりで、十分に検討の余地もなかつたと思いますし、かつまたお見えになつておらぬ方もたくさんありますので、この清算に関する質問は以上これで打切りまして、明後日さらに御質問があればそれを続行し、そうして法案の最後の結論にまで進みたいと思いますから、いずれ理事会に諮つてこの進行の運営方法を御相談いたしますけれども、ほかに御質問なければこれで打切りたいと思います。  それでは住宅問題に関して御質問があればこの際質問していただくことにいたします。
  58. 松谷天光光

    ○松谷委員 前委員会にもしも御質問が出ておりましたら取消していただきたいと思いますが、当局が目下言われております住宅三箇年計画、これにつきましての詳細な数字などが今わかりましたら承りたいと思います。今資料をお持ちでなければ、次の委員会まで資料をそろえていただきたいと思います。
  59. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 住宅供給の三箇年計画というものがあるようにお話でございますが、実は私ども毎年度その都度予算を要求しまして実行いたしておるわけでございまして、まだ何年計画というものは持つておりません。これはある程度の長期計画を立てまして、それを毎年度実行して行くということが望ましいのでございまして、そういう方向に進めて行きたいと思つていろいろ研究しておりますが、ただいまのところまだ三年計画とか五年計画というものは、公式なものは持つておりません。ただ事務的には五年間にこのくらい供給する必要があるのじやないかという一応の数字を持つておりまして、それに基いて毎年度予算の要求はしておりますが、そういう長期計画はただいまのところございません。
  60. 松谷天光光

    ○松谷委員 先ごろ建設大臣が三箇年計画の数字を発表されたということを実は伺つたのでございますが、そういたしますと、建設大臣の発表された具体的数字というものは、まだ住宅局の方への連絡の上にでき上つた数字ではないと考えてよろしいのですか。
  61. 伊東五郎

    ○伊東政府委員 大臣がどういうような御説明をなさつたか、まだ伺つておりませんけれども、おそらく来年度われわれども大体七万戸程度、庶民住宅なり資金供給によつて政府資金建設をしたいという考えを持つております。それの根拠としまして、大体現在非常に極端な住宅困窮者、しかもその資金の供給なりあるいは家屋の供給なりをしなければならぬという対象になるものが、大体八十万世帶くらいあるように考えられるのであります。しかもその中で政府資金によつてやるものが六十万戸程度、あとの二十万戸は一般の民間の会社などで供給できるのではないかというので、結局六十万戸ほどは早急に何とかしなければならぬという一応の数字を打つておるのでございます。それをわれわれ事務当局としましては、五箇年間にやることが必要ではないかというふうに考えております。一応事務的に考えております五箇年の計画六十万戸というものの第一年度として、来年度はこういうように考えておる、こういうお話があつたのではないかと思うのでございますが、長期計画のほんとうの公式のものを決定するということはなかなか困難でございます。数字そのものも非常に困難でございますし、また財政的な裏づけのないものを決定いたしましても、そう大した意味もないわけでございますので、その程度の長期計画というふうに御承知つておいたらいいのではないかと思います。
  62. 高田富之

    ○高田(富)委員 ちよつと営団にも関係があると思いますが、東京都へ拂い下げて、東京都の復興建設会社というような民間会社にさらに転売されるということを聞いておりますが、それは事実ですか。
  63. 堀川正彦

    堀川説明員 東京都が一億円で讓渡を受けまして、それをある会社に讓渡するということは大体こちらでも聞いてはおりますけれども、現実にその会社が東京都から引受けて経営を管理して行くかどうかということについては、まだ具体的に契約はでき上つていないから、はつきりしたことは申し上げられないと思います。
  64. 高田富之

    ○高田(富)委員 しかしそれは出版物にもすでに出ておるのです。都がそれを受けましても、それをまたもうけて拂い下げるかどうかしりませんが、拂い下げて、民間の会社ですから営利的に運営するということをはつきり声明しておる。営利的にやるということになりますと、相当無理な讓渡をしたり、立ちのきをやつたりする危險性もありますので、すでに住宅に住んでおる人々が動揺しておる。だからこれを整理をするにつきましては、住宅政策全般の見地から、官庁として都の方に嚴重に今後の方針を指示しまして、そういうような不安がないように至急御措置願わないとたいへんな混乱になると思うのですが、まだその程度しかおわかりになつていないのですか。
  65. 堀川正彦

    堀川説明員 その程度しかわかつておりません。
  66. 高田富之

    ○高田(富)委員 それではその資料としてこの次の機会までに、詳細に契約の内容なり、新しく引受けようとしておる会社の実情と、それからそれに対してどういう措置をとろうとしておるかを御報告願いたいと思うのです。
  67. 淺利三朗

    淺利委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十一分散会