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1949-11-28 第6回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十八日(月曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長代理 理事 川端 佳夫君    理事 藤枝 泉介君 理事 松田 鐵藏君    理事 井之口政雄君 理事 金子與重郎君       柏原 義則君    中川 俊思君       二階堂 進君    福田 喜東君       前田榮之助君  委員外出席者         最高裁判所事務         総長      本間 喜一君         会計検査院事務         官       綿貫 謹一君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十二年度特別会計歳入歳出決算     —————————————
  2. 川端佳夫

    川端委員長代理 これより会議を開きます。  本日審議予定としては裁判所法務庁、並びに内閣所管のうち物価庁総理庁経済安定本部商工局、元内務省及び建設院について逐次説明を聽取するつもりでありまして、それぞれ関係当局出席を求めております。  目下お見えになつている政府側の方は、最高裁判所本間事務総長並びに沖倉監査課長物価庁から千葉説明員法務経理部長の岡原さん、総理府齋藤会計課長でございます。会計検査院からは綿貫第三局長鈴木司法検査課長でございます。  まず裁判所所管決算全般説明及び批難事項につきごく概略を説明願いたいと思います。本間事務総長
  3. 本間喜一

    本間説明員 昭和二十二年度裁判所所管経費決算の大要を御説明申し上げます。昭和二十二年度裁判所所管歳出経費予算額は、裁判所費の部において五億三千三百万七千円、公共事業費の部において五千百二十一万二千六百二十一円、合計五億八千四百二十一万九千六百二十一円でございます。しかして右のほかに歳出予算決定増加額として、裁判所費の部においてさらに六千二百七十六万三千円が認められ、合計六億四千六百九十八万二千六百二十一円でありまして、これが昭和二十二年度歳出経費予算現額でございます。  右の予算決定増加を生じましたのは予備費使用額として裁判所費の部において六千二百七十六万三千円があつたためでありまして、そのおもな経費について申し上げますと、家事審判法施行に伴い家事審判所委員会の設置、その他同法に基く事件処理のため経費の必要がありましたのと、最高裁判所長官及び裁判官の官舎を買収する必要がありました等のためでございます。  昭和二十二年度裁判所所管経費支出歳出額裁判所費の部において五億三千四百二十九万六百六円七十六銭、公共事業費の部において四千七百三十六万七千二百二十四円八十三銭、合せて五億八千百六十五万七千八百三十一円五十九銭でありまして、これを右の歳出予算現額に比べますと、裁判所費の部において六千百四十七万九千三百九十三円二十四銭、公共事業費の部において三百八十四万五千三百九十六円十七銭、合せて六千五百三十二万四千七百八十九円四十一銭を減少いたしております。  この減少額のうち翌年度に繰越しいたしました金額は、裁判所費の部において千九百九十一万五千七百五十一円、公共事業費の部において五十三万二千七百九十七円、計二千四十四万八千五百四十八円でありまして、全く不用となつ金額裁判所費の部において四千百五十六万三千六百四十二円二十四銭、公共事業費の部において三百三十一万二千五百九十九円十七銭、計四千四百八十七万六千二百四十一円四十一銭でございます。  次に今まで申し上げました決算に関し、会計検査報告にあげられた違法と認められた事項について申し上げます。  昭和二十二年度決算に対する会計検査院が違法と認めた事項は、経費年度区分を乱したもの、第三部裁判所費、第一款裁判所、第四項簡易裁判所にて一件、第三部裁判所費、第二歓裁判所共通費、第一項営繕費にて一件、第三部裁判所費、第一款裁判所、第三項地方裁判所、第四項簡易裁判所、第二款裁判所共通費、第一項営繕費、及び第十一部公共事業費、第一款公共事業費、第一項公共事業費にて一件、寄付により庁舎を整備し予算の制を乱したもの一件、合計四件であります。  まず経費年度区分を乱したため違法と認められたものについて申し上げます。  その第一は、最高裁判所物品購入に関するものであります。会計検査院が違法と認めた要旨は、六法全書を購入するにあたり、当該年度内完納できなかつたにかかわらず、完納したものとして代金支出したというのであります。本件は、昭和二十三年三月十六日契約いたしたのでありますが、年度末までには完納する見込みが十分にありましたし、また六法全書裁判所としては、必要欠くことのできないものでありますから、所要の部数は必ず入手しなければ裁判にも支障を来すおそれがあり、また該六法全書発行部数も少い関係上、発行の際はただちに代金支拂わなければ入手の機会を失うおそれが多分にあつたので、一方経費繰越しの手続を考えながらもその時間的余裕がなく、やむを得ずかような措置とつた次第であります。  第二は、福島地方裁判所工事に関するものであります。会計検査院が違法と認めた要旨は、福島地方裁判所昭和二十三年一月から三月までの間に、中川某外五名に請負わせた福島地方裁判所屋根修繕工事外三十二工事代金として、四月百十二万二千四百七十円を支出しているが、右は三月から五月までの間に起工し、六月中に全部完成したのに、年度内完成したものとして二十二年度予算から支出したというのであります。  本件福島地方裁判所寒冷積雪地特殊事情関係上、二月一ぱいは屋根雪があり、大工関係の内部の仕事は別として、瓦葺、壁、漆喰、雨樋等の外部の工事は三月に入らなければ着手できない実情でありましたが、請負人からは責任をもつて竣工すると申出がありましたので、経費支出手続を済ませた上、工事の竣工を急がせたのでありますが、予定通り進行せず遺憾な結果となつた次第であります。本件工事はその後請負人を督励し、昭和二十三年六月初旬全部完成しております。  第三は、熊本地方裁判所物品購入及び工事に関するものであります。会計検査院が違法と認めた要旨は、熊本地方裁判所昭和二十三年一月から六月までの間に、西村某外二名と購入契約をした廻転椅子六十五脚外二十四品目、大野某外一名に請負わせた同庁本館天井並びに蛇腹工事外二十工事代金として九十五万六千七百三円を支出しているが、右は年度内物品の納入または工事着手の事実がないのに、年度内完納または完成したものとして二十二年度予算から代金支出したというのであります。  まず西村某外二名に請負わせた廻転椅子等は、熊本地方裁判所管内地方裁判所支部及び簡易裁判所調度品として必要に迫られ、昭和二十三年一月及び二月中に契約をいたし、年度末までに完納することとなつていたのでありましたが、業者へ配給されたこれ等の資材が、いずれも生材のため乾燥するに月時を要したため、結局期日に間に合わなかつたのでありますが、近く完納見込みがありましたので、年度経理関係支出手続とつた次第であります。なお本件物品昭和二十三年五月中に全部完納して居ります。  次に大野某外一名に請負わせた同庁軒天井並びに蛇腹工事外二十工事は、当時の困難なる経済事情のため資材が円滑にまわらず、また労務者が思うように働かず、これまた期日に間に合わなかつたのでありますが、近く完成見込みが立つたのと、一方繰越しの手続をするのに時間的余裕がなかつたため、やむを得ず工事完成前に支拂い手続とつた次第であります。その後業者を督励した結果、昭和二十三年六月中に全部の工事完成しております。  次に寄付により庁舎を整備し予算の制をみだしたという点であります。会計検査院が違法と認めた要旨は、昭和中川、津島、橋本、湯浅、川本、島根大田及び三重の各簡易裁判所並びに大分地方裁判所庁舎を整備するにあたつて予算外にまたは予算を超えて計画し、予算不足分寄付によつて補つているというのであります。本件庁舎寄付によつて整備したことは、会計検査院検査報告通りでありますが、この問題に触れる前に、まず簡易裁判所の設営に関する一般的の問題について申し上げます。  昭和二十二年五月三日裁判所法施行伴つて、従来の区裁判所を廃止し、全国に五百五十九箇所の簡易裁判所が設置され、うち二百二十八箇所の簡易裁判所は、従来の区裁判所の所在地に設置された関係上、区裁判所庁舎が使用できたのでありますが、その余の三百三十一箇所は新たに庁舎を新設しなければならないこととなり、これに関しては、当初相当額予算が計上される予定であつたところ、国家財政が極度に逼迫している折柄予算は全国的に削減されたのであります。しかしながら、簡易裁判所は早急に事務を開始しなければならないので、既存建物を借り入れてとりあえず事務を開始したような次第であります。本件簡易裁判所については、ただいま申し上げました通り、当時の予算において新営することはとうてい不可能でありましたので、関係地元市町村長に対し既存建物借入れあつせんについて協力を依頼いたしましたところ、関係地元市町村はこれを承諾したことはもちろん、さらに進んで万一既存建物借入れができないときには、庁舎を新築または既存建物を買収してこれを国家寄付する等、積極的に協力の申出があつたのであります。元来寄付については財政法にこれを禁止する旨の規定がないのみならず、国有財産法第二條によれば、寄付による国有財産を取得することができる趣旨もうかがわれますので、最高裁判所としては従来から裁判所用敷地または建物寄付は原則としてこれを拒否しておりましたが、地元民多数の熱心な意見により、市町村等公共団体またはこれに準ずる団体等からの寄付の申出は、諸般の事情を調査し、裁判の公正に疑惑を生ぜしめるような結果を来すおそれがないものと認めた場合に限つてこれを受納する方針でありました。それで本件寄付もこの方針従つて地元民の積極的の熱意にこたえ、これを受納することとした次第であります。また大分地方裁判所庁舎の一部も、地元民の積極的の熱意にこたえ、これを受納した次第であります。  以上御説明申し上げました諸件のうち、会計年度区分をみだしたという点につきましては、万やむを得ずとつた措置とは申しながら、最高裁判所といたしましても、真に遺憾にたえないところであります。当時の責任者に対しては、最高裁判所長官から、再びかかる失態を繰返すことのないよう巌重なる注意が発せられるとともに、部下職員に対しても、それぞれ注意を與えるよう通達が発せられた次第であります。将来もかような点につきましては十分注意いたしたいと思つておる次第でございます。  これをもつて昭和二十二年度決算に関する会計検査院が違法と認めた事項についての説明を終ることといたします。
  4. 川端佳夫

    川端委員長代理 ただいまの裁判所関係の御説明の分について質疑はございませんか。
  5. 井之口政雄

    井之口委員 会計検査院からの批難事項大分あがつておりますが、裁判所ともあろうものが、どうも法律を犯してこういうことをやるというのは、実にわれわれは解しかねるのであります。なお今の報告をお聞きしますと、四千万円からの繰越しをやつているのに、こうした三百箇所からのいろいろな寄付金による庁舎の設立がされております。どういうところでこれが起つているかと申しますと、旭川、名古屋、津、和歌山、松江、大分熊本等がこういう寄付金によつて庁舎を建設しているようであります。そのほかのところは当然法律従つて庁舎を建設しているのに、こういう比較的民主主義の遅れていると思われるような地方が、みなこうした寄付金によつて庁舎を建設しております。裁判所関係庁舎が、こうした寄付金によるということは、法の厳正なる適用ということを非常に阻害する結果に立ち至る。ここにおいて会計検査院も指摘しておりまする通り、たといその地元民の自主的な意思によるという、形式上は地元民の自発による形をとつておりましても、これは実質的には、この地元民にやはりある程度の強制となり、またそうした結果、その金で庁舎がこしらえられれば、従つて判決する場合でも、えこひいきが起つて来る。そういう寄付した人たちによつて左右されるということが起りがちなものであります。裁判所関係がこうしたことをやるというのは、実に心外の至りだと思う次第でありますが、こうしたことは前の年にもあつたようでありますし、裁判所の方において、将来においてこうしたことのないように何か適法なる計画を持つておいでになりますか、どうですか。
  6. 本間喜一

    本間説明員 年度区分をみだして支拂いをしたという点については、まことに申訳ないとおわびをするほかないと思います。昭和二十二年度は、裁判所がこういう仕事を引受けて、司法行政事務をやるようになつて、でき上つた早々の役所であつたものですから、事務になれない結果、こんなことになつたと思いますが、その後は十分に警戒しているような次第であります。これは昭和二十二年五月三日、新しい裁判所で新しく司法行政事務をやり始めて、はなはだ手落ちであつて、まことに申訳ない、これは事情御了承くださるようにお願いしたいと思います。  寄付の方はお説の通りで、裁判所としては、いやしくも裁判の公正を疑われるような寄付は、注意して寄付を受けない。この点は一々最高裁判所に伺いを立てさせ、その事情を審査して、そのおそれがないという場合に限つて受けておるような次第であります。裁判所の公正を疑われるようなことになるというような点について御質問のあつたのは、まことに同感でありまして、私どもはその点の懸念のないことを極力調査してやつている次第であります。従つておもなものは個人寄付は受けておりません。市町村とか、それからこれに準ずるような公共性を持つたもの、そういう疑いのないということを確めてからやつているような次第でありまして、御質問の点については今後とも十分注意いたします。
  7. 井之口政雄

    井之口委員 ここに指摘されているところよりほかのところは、こうした寄付金によらず庁舎ができたのでございますか。ちよつと会計検査院にお聞きいたしますが、他の点の調査は十分に行き届いておつたのでございますか。あつちがよかろう、こつちがよかろうというので、盲目的に取出して調査したものでございますか。片つぱしから全部調査なさいましたか。
  8. 綿貫謹一

    綿貫説明員 お答えいたします。ただいまの点でありますが、寄付を受けた庁舎書類の上ではわかりません。書類には出て参りませんので、どこから寄付を受けたかということはわかりませんが、実地検査にまわりましたところで判明いたしたものがあります。なおできるだけそういう方面は包括して調べたのでありますが、二十二年度としては大体この程度であります。しかし二十三年も引続いてこういう事案がありますので、目下その点は審議をいたしております。
  9. 金子與重郎

    金子委員 今の寄付行為の問題でありますが、これはほかの省にもこの問題がたくさん出て参つております。国の公共施設をやるのにあたつて寄付金でやることは、さいぜん井之口委員からのお話のような観点から申しましても、国の行政の不公平というふうな面もありまするが、もう一つは、今後起るべき問題といたしまして、国家が租税を少くしたといつて、表面の予算は少くなつていながら、国民実質負担——予算を少くするからして、従つて国家事業をやろうとするときに、建物を建てるとかいろいろの施設をやるのにあたつて、その足りない分を寄付の形において国民にまた負担させるということは、従来でも起りつつあることだし、今後予算を緊縮して行けば、よけいそういう問題が多く出て来ると考えなければならない問題なんです。そこでこの前会計検査院の方にお願いしてあつたはずですが、不幸にして私どもも、この寄付行為というものがどういうふうな法文によつてしていけないのか、あるいはどういうふうな通牒によつてこういうことを禁じておるのか、その根拠がはなはだ不見識の話ですがはつきりしておらない。だからその根拠を調べて私どもに教えてもらいたい。こういうような寄付が行われるということは、寄付に応ずる人たちの不認識からも来ておるわけです。その点についてこの前の決算委員会でお願いしてあるはずですが、その点はどうなつておりますか、会計検査院の方から御報告願いたいと思います。
  10. 綿貫謹一

    綿貫説明員 ただいまの点でありますが、実はそれは私——といつては語弊があるかもしれませんが、他の関係局長お話があつたことと思います。寄付と申しましても、私どもの考えておりますところでは、先ほど当局からも御説明がありましたように、財政法に積極的な規定はございません。しかしながら財政法になりまする前に、たしかこれに準ずるような寄付を受けてはいけないという規定があつたのであります。それが廃止になりましたが、私どもの考えておりますところでは、国の事務なり、国の庁舎を設営いたしまするのは国の活動であります。従いましてそれの経費は当然予算によるべきものである。つまり予算に計上のないものを特別の資金をもつてこれに充てるということは、これは予算の上において、つまり会計法規一般通念として、これは当然禁ぜらるべきものであります。従いまして寄付を受けることは禁じてないのだから、受けてもその意味においてはよろしいのであります。しかしながら寄付を受けるならば、これは国の歳入でありまするから、国の歳入予算見積つて、そうしてそれを使う予算歳出予算に計上して、経理を明朗化しなければいかぬのであります。これは会計法を通した精神であります。すなわち法の趣旨であります。従つてもしも寄付を受ける必要があるならば、寄付を受けるという歳入予算を認めていただいて、それによつて物をつくり、家をつくり、あるいは物を買うというふうにはつきりした歳出予算を認めていただいて、その範囲において経理すべきものであります。かりに職務執行疑惑を受けるおそれがない寄付でありましても、当然にそれは予算を通して経理すべきものであります。従つてその面からいつて、ただちに寄付をもつて国の庁舎を新設し、あるいは物を買うことは会計経理上おもしろくないのであります。それが私は根本の趣旨だと思います。それから政府においてもこの前も御披露があつたと思いますが、閣議においてはちやんと抑制するように通牒をして、閣議決定があるのみならず、政府の「昭和二十二年度歳入歳出決算検査報告に関し国会に対する説明書」の十ページをごらんいただくとわかりますが、「第十二寄付による庁舎の整備、裁判所法務庁及び労働省において予算を超えて寄付により庁舎を整備したことは妥当でないとの指摘については検査報告のとおりであつて予算制度の上から遺憾である。」こういうふうに政府当局も認めておるわけであります。さような次第でありますので御了承願いたいと思います。
  11. 金子與重郎

    金子委員 ただいまのお話を聞きまして、寄付行為により国家施設をすることは会計法会計通念としてまつたく妥当でない、もし収入と見るならば、一応それは国家收入として改めて予算として支出すべきだ、この点はまつたく私も同感でありますし、ただいまの説明通り私考えておりますが、ただこの間の労働省の問題にしても、この問題にしても、これはほんの一部の問題だと私は思つておるのです。地方における実例を見ましても、まだたくさんあると思います。これは国にとつても遺憾なことだと言うが、われわれ国民として常識的に考えても遺憾なことだと思います。それが次から次えと出て来て、そうしてただ決算委員会へ出て来てまことに遺憾でございました、注意を與えました、こういうことを何年繰返したらこの遺憾なことが絶えるか、これに対して疑問があるのですが、こういうことはもつと法律に入れるとか、これを断ち得るような方法はどうしたらとれるか、会計検査院のお考えを伺いたい。
  12. 綿貫謹一

    綿貫説明員 まことにごもつともな御質問と存じます。こういうことをやるにはどうしたらよろしいか、これは結局先ほど当局からも説明がありましたように、つまり法律裁判所をつくらなければならぬというのに予算がない、ここが一番問題だろうと思います。でありますから、でき得れば寄付なら寄付を受けることを、先ほど申しましたように、予算で認めていただく、これよりほかないじやないかと思うのであります。つくらねばならぬという事情はわかるのであります。しかしながら、予算がないためにやむを得ず当局としてもおやりになつておるのだろうと思いますが、われわれとしては、たとい事情はやむを得なくとも、法律上認められぬことをおやりになることはいかぬ、こう言うよりほかないのでありまして、まことに素つけない話でありますが、そういう次第であります。この寄付を防止するためにはどうしたらよろしいかという御質問でありますれば、これは予算を認めていただくよりほか方法がないじやないかと思います。説明なつたかどうかわかりませんが……。
  13. 川端佳夫

    川端委員長代理 速記があまり長く使えませんので、そのつもりで御質疑を願いたいと思います。
  14. 金子與重郎

    金子委員 それでは時間がありませんから、この問題はこれだけでやめておきまして、あとの研究にまつことにいたしますが、ただいまの会計検査院からの御説明には異論があります。国家がこれだけ広範囲方面において予算を使うのに、各省部門予算要求額を通してやれば問題がないのはあたりまえの話で、そんなことはいつの世の中でもできぬことはきまつておる。予算なんて使いようです。予算は、各省部門が要求しただけとれないということを前提にしておかなければなりません。でありますから、結局寄付行為が今後多くなるということが憂慮されるわけであります。それに対してもつとはつきりした方法を立てなければならないのではないか、これだけなんです。
  15. 綿貫謹一

    綿貫説明員 私の言葉が足らなかつたのかもしれません。私の申しますのは、法律上当然設置しなければならぬ施設ならば、それが前提でございます。そういうものについては、予算を認めていただかなければ防止できないのであります。法律でもつてここへ必ずこういうものをつくれという規定があります以上、つくらざるを得ないのであります。そういう場合に、それに伴う予算がなければ、これはどこかから金を捻出するよりほかない、こういうことになりますので、少し説明惡いかもしれませんが、そういう法律上当然やらなければならぬような施設に対しては、予算をお認め願うよりほかしかたがないのではないか、さもなければ法律でもつてそういうことを押えていただくかしなければ効果がない、こういう気持でございまして、つまり予算さえあれば、どんなものをやつてもいいというつもりで御説明したのではありませんので、その点御了承願いたいと思います。
  16. 前田榮之助

    前田(榮)委員 これは法務当局にお尋ねするわけですが、この寄付の問題は、予算が足りなくてやむを得ずやつたという、その理由実情はわれわれにもわかるわけなんですけれども、それならなぜ予算というものを国が立てておるか。そうして予算は、立法機関であるところの国会が何のために議決したか。予算範囲内でそれだけの仕事ができるという前提のもとにきめられておるものを、予算が足りないからということは理由にならぬ。たとえば法務庁で取扱われるいろいろな犯罪等においても、法律ではそういうようにきめてあるけれども事情やむを得なかつたからやつたのだという理由が通るか、通るわけはないのであります。法を取扱うところの法務庁が、寄付をとつてはいけないという規定がないからやつた、こんなばかなことはないのであつて、やはり国会立法機関として、これこれの予算範囲内でこれこれのことをやるべしということを命じたのと同じことである。それを足らないから寄付でやつたということは、寄付をとつて惡いということがないからいいということにはならぬわけである。そういうことはどこに根拠を置いてやつたか。そういうことであるなら、今金子委員やほかの委員からもお話のあつた通りに、この問題はいつまでたつても解決がつきはせぬ。これが適法とは言いませんが、適当なる処置だというお考えは根本から間違つておる。それから地元民の個人から寄付を受けたことはないとおつしやいますが、ここに掲げてある旭川の地元民、これの名簿でもおありになりますならば、はつきりとお示しを願いたいと思います。それからその他建設委員会等の協力会、これの構成分子はどういうものであつたか、これも明確にお示しを願いたいと思う。そのほか大体において市町村から寄付を仰いだと思いますが、これらについてさえ厳密に申し上げますと、たとえば町村長が非常に骨を折つたということになりますと、地方裁判所等においては、町村長個人のいろいろな問題が起つた場合、多少遠慮するのが人情である。これはただ單に裁判所ばかりではありません。警察庁舎にいたしましても、その他先般問題になりました職業安定所の問題にいたしましても、すべてがこういう関係になつておるわけであります。ことに法をつかさどる裁判所は、こういう事例が幾らもあるのでありまして、われわれの郷里等におきましても、過去において市町村長が非常にあつせんしてやつた場合におきましては、その市町村長に対するあまり強い法の適用は遠慮せねばならぬ実情にあるのであります。言い訳は何とでも立ちますが、根本においては、予算に盛られた範囲内という前提をもつて仕事をすべきであるのを、あなた方の頭の置きどころは、ただ表面上法文に触れさえせねば何とかそこで片がつくのだというお考えが、非常に間違つているのじやないかと思う。これに対してはつきりした御答弁を願いたいのと、今申し上げましたこの寄付者の中の建設委員会あるいは協力会等の構成分子、それから旭川検察庁の地元民の人名簿、こういうものをひとつ御提示を願いたいと思います。
  17. 本間喜一

    本間説明員 寄付者の団体またはその名簿、そういうものは裁判所にありますから、今ここに名簿を持つて来ておりませんから、後刻調べて提出いたします。  それから裁判所は決して寄付を頼んでいるわけではない。たとえば東京の中野の簡易裁判所のごときは、カーフエみたいなごく粗末な店と並んだ非常に狹隘なところを借りてやつているような次第で予算に載つている範囲内で非常な不便なところで執務をしているような状態、本年度になりまして予算がとれましたので、新しく国の費用で新築しております。大体の方針は今のように寄付を頼むようなことは決していたしませんで、不便なところを忍び、あるいは王子のごときは工場の二階、そういうところでやつておるのが実情であります。二、三こういうところの人たちは、非常にそれを気の毒がつて盡力してくださつた、こういうような形であります。決して予算で足りなかつたところを寄付によつて補おうというような、大それた意図を持つてやつたわけではありません。二、三の場合は、その地方の非常な御熱心なる御援助、こういうことになつております。一般的には寄付をやつているわけでは決してありませんから、御了承願いたいと思います。
  18. 川端佳夫

    川端委員長代理 この際ちよつと速記についてお諮りいたします。他の委員会で討論採決等がございまして、この上速記を使つて行くことができませんので、ただいまから要領筆記で審議を進めて行きたいと思います。御了承願います。     〔以下筆記〕
  19. 川端佳夫

    川端委員長代理 ちよつと筆記を止めて下さい。懇談いたします。     〔筆記中止〕
  20. 川端佳夫

    川端委員長代理 せつかく政府当局の方々の御出席をいただいたのですが、速記の都合で本日はこの程度にいたします。  次回は一応本日の続きを議題といたし審議をいたす予定で、日時は公報をもつてお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午前十一時三十三分散会