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1949-11-24 第6回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十四日(木曜日)     午後一時四十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 松田 鐵藏君    理事 川端 佳夫君 理事 田中 角榮君    理事 永田  節君 理事 八百板 正君    理事 中島 茂喜君 理事 井之口政雄君    理事 金子與重郎君       中馬 辰猪君    二階堂 進君       福田 喜東君    前田榮之助君  出席政府委員         (官房長)         運輸事務次官  荒木茂久二君         (官房会計課         長)         運輸事務次官  粟澤 一男君         (国有鉄道部         長)         運輸事務次官  石井 昭正君         (官房会計課         長)         労働事務次官  三川 克巳君  委員外出席者         会計検査院事務         官       小林 義男君         会計検査院事務         官       綿貫 謹一君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十二年度特別会計歳入歳出決算     —————————————
  2. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これから会議を開きます。  昨日とつぜん本間委員長が急病になられたので、私が委員長代理を勤めさしていただきますから御了承願います。  前会御了承を得ました通り、本日は昭和二十二年度決算中、労働省、運輸省両省所管ついて審議いたす予定でありますが、まず労働省関係決算につき労働当局から御説明願います。
  3. 三川克巳

    三川政府委員 昭和二十二年度労働省所管経費決算の大要を御説明申し上げます。昭和二十二年度労働省所管一般会計部款項目別経費予算額行政部費におきまして四千四百八十四万三千円、社会及び労働施設費におきまして七億九千四百七十六万九千円、行政共通費におきまして三億七千二百八十一万一千円、公共事業費におきまして二億七千八百五十九万五千余円、物資及び物価調整事務取扱費におきまして五百七十六万二千円、計十四億九千六百七十八万余円であります。そしてこれが予算現額は行政部費におきまして四千四百八十四万三千円、社会及び労働施設費におきまして七億九千六百五十八万四千円、行政共通費におきまして三億七千三百八十一万一千円、公共事業費におきまして二億七千八百五十九万五千余円、物資及び物価調整事務取扱費におきまして五百七十六万二千円、計十四億九千九百五十九万五千余円であります。そこでこの予算現額を予算額に比較いたしますと社会及び労働施設費におきまして百八十一万五千円、行政共通におきまして百万円計二百八十一万五千円増加いたしております。この増加額は、石炭労働委員会設置に必要な経費事務費補足に必要な経費労働者家計調査実施に必要な経費労働省庁舎の整備に必要な経費といたしまして予備費を使用したものであります。  次に本年度支出済歳出額行政部費におきまして四千三百六十九万九千余円、社会及び労働施設費におきまして五億八千九十三万七千余円、行政共通費におきまして三億三千四百四十三万五千余円、公共事業費におきまして二億七千八百四十一万九千余円、物資及び物価調整事務取扱費におきまして三百三万六千余円、計十二億四千五十二万九千余円でありまして、これを予算現額に比較いたしますと行政部費におきまして、百十四万三千余円、社会及び労働施設費におきまして二億千五百六十四万六千余円、行政共通費におきまして三千九百三十七万五千余円、公共事業費におきまして十七万六千余円、物資及び物価調整事務取扱費におきまして二百七十二万五千余円、計二億五千九百六万六千余円の減少なつております。この減少額のうち財政法第四十二條但書前段規定により翌年度に繰越しました金額は、行政共通費におきまして三千六十七万三千円でありまして、全く不用となりました金額行政部費におきまして百十四万三千余円、社会及び労働施設費におきまして二億一千五百六十四万六千余円、行政共通費におきまして八百七十万二千余円、公共事業費におきまして十七万六千余円、物資及び物価調整事務費におきまして二百七十二万五千余円、計二億二千八百三十九万三千余円であります。  次に労働者災害補償保險特別会計について御説明申し上げます。労働者災害補償保險特別会計歳入歳出決定計算書に掲出した收納済み歳入額は四億七千二百六十一万二千余円でありまして、これをその予算額五億六千九百二十九万円に比較いたしますと、九千六百六十七万七千余円の減少なつております。また支出済み歳出額は三億一千五百五十一万五千余円でありまして、これをその予算現額五億六千九百二十九万円に比較いたしますと、二億五千三百七十七万四千余円の減少なつております。この減少額のうち財政法第四十二條但書前段規定により翌年度に繰越した金額は、百二十八万九千余円でありまして、その他の金額二億五千二百四十八万五千余円はまつたく不用となつ金額であります。しかして右の歳入を比較いたしますと、一億五千七百九万七千余円の收入超過となります。右のうち翌年度への繰越額といたしまして、百二十八万九千余円、未経過保險料に相当する金額といたしまして五百十五万一千余円、支拂い備金に相当する金額といたしまして一億二千七百三十八万四千余円、計一億三千三百八十二万六千余円を控除いたしますと二千三百二十七万一千余円の剩余金を生じますが、この金額労働者災害補償保險特別会計法第十三條第一項によつて積立金に組み入れて、この年度決算を結了いたした次第であります。  次に失業保險特別会計について御説明申し上げます。失業保險特別会計歳入歳出決定計算書に掲出した收納済み歳入額は八億五千九十七万四千余円でありまして、これをその予算現額十二億三千四十五万九千円に比較いたしますと、三億七千九百四十八万四千余円の減少なつております。また支出済み歳出額は八千百八十万二千余円でありまして、これをその予算額四億九千二百六十一万一千円に比較いたしますと、四億一千八十万八千余円の減少なつております。この減少額のうち、財政法第四十二條但書前段規定により、翌年度に繰越した金額は三百一万余円でありまして、その他の金額四億七百七十九万七千余円はまつたく不用となつ金額であります。しかして右の歳入歳出を比較いたしますと七億六千九百十七万一千余円の收入超過となります。右のうち翌年度への繰越額三百一万余円を控除いたしますと、七億六千大百十六万一千余円の剩余金を生じますが、この金額失業保險特別会計法第十三條第一項によつて積立金に組み入れ、この年度決算を結了いたした次第であります。  何とぞ御審議の上御承認をお願いいたします。  なお労働省関係検査報告にあげられました批難事項につきまして御説明申し上げます。  昭和二十二年度中、公共職業安定所及び公共労働安定所庁舎を新築するにあたり、予算不足寄付により補つたものを予算の制を乱つたものとしと批難されたのでございますが、当時の状況を申し上げますと、終戰後公共職業安定所及び公共労働安定所は、いずれも外地よりの引揚者、復員軍人及び戰災等による失業者職業あつせん、ことに進駐軍より要求せられます労務の充足、失業保險給付事務、その他労働ボス排除等の重要なる業務が輻輳いたしまして、事務量も増大して参つたのでありますが、その事務所はいづれも戰災によりほとんどすべてが燒失いたしまして、民間の建物の一部を間借りいたします等、いろいろな不利不便をしのぎながらも運営に努めて来たのであります。ことに公共職業安定所は他の官衙と違い、一般民衆が多数集合するホールを必要といたしまするので、建物の狭隘、施設の不備は、求人求職者等安定所を利用いたします人々に非常な不便をかけ、また職員の業務能率をも著しく阻害し、その十分な機能の発揮が困難となつて参つたのであります。しかもこれに加えて借り上げ事務所の立ちのきを強要され、事務所の確保すら困難な実情に立ち至りましたことは、今後ますますく深刻化を予想されます職業安定、雇用問題の解決に重大な支障を来すおそれのあることが認められましたので、庁舍新築の計画を立てたのであります。しかし当時の国家財政の見地よりいたしまして、庁舍整備に要する経費少額にとどめざるを得なかつたのであります。このような少額配賦予算だけでは前に申し上げました実情を緩和するだけの庁舍の新営整備はとうてい困難なことと存じておつたのでありますが、たまたま地元民の自発的な協力の申し出もありましたので、これを受け入れ、庁舍整備にあたつたのであります。  以上申し上げましたごとき次第でありまして、御指摘のようなことが生じましたことはまことに遺憾に存じている次第でございます。当局といたしましては今後監督を一段と嚴にし、このようなことがないように期している次第でございます。
  4. 松田鐵藏

    松田委員長代理 労働省説明を聞かれたのでありまするがこれに対する質疑を許します。
  5. 前田榮之助

    前田(榮)委員 この案件は会計検査院から批難事項としてあげられておる中で、寄付が問題になつておるようでありますが、労働省関係公共職業安定所等寄付性質が問題になつておるかどうか。同じ国の中でも学校等寄付はすべて認められておる。先般のシヤウプ勧告案の中でも、寄付というものが国の歳入の中の一部として、法規は別として認定されておるわけであります。しかるにこの寄付そのもの予算性を乱つておるということであるが、これは公共職業安定所等労働省関係寄付内容の質が問題になつておるのか。あるいはこの寄付国立大学その他の方の、やはり国の他の部面におけるところの寄付と、予算性においてどういう違いがあつて問題になつておるのか。この点をまず第一にお尋ねいたします。
  6. 三川克巳

    三川政府委員 公共職業安定所職業安定法によりまして公共に奉仕する機関でございます。他の税務署とかいうような官庁と違いまして、監督したり指揮したり、あるいは一般民衆に対しまして制限したりすることは全然ないのでございます。     〔松田委員長代理退席川端委員長代理着席〕 これは公共に奉仕する機関でございまして、この寄付性質が問題になつているのではなくて、予算超過して寄付とつたということが批難されているのだ、かように了解しておるのでございます。
  7. 前田榮之助

    前田(榮)委員 会計検査院の方はおられますか。——今労働省の方から、この寄付公共職業安定所公共性を持つておるという観点から、寄付を受けることがいけないということでありますが、これはものの見方であつて、実際にこういうものが寄付を受けることはその性質上おもしろくない、こういう点になりますと私も同感なのでありますが、現在の国の財政の上から、こうした行政庁が必要だと思うものを、支出が困難な状態にあるために、ややともすればこういう傾向が出るわけですが、公共性を持つておる関係につきましては、他の事業にもあるのであつて法規の上から会計検査院が御批難なされておる点は、学校等寄付とどういう違いで、それは会計法その他の法規上のどの点に抵触しておるかという点を、まず明確に御説明願いたいと思います。
  8. 小林義男

    小林説明員 ただいまの寄付の点でございますが、国が国の施設をつくりますのには、予算によりまして契約なり、直営なりで工事を施行しなければならぬのであります。一般的にそういう寄付を受けて正当の手続を経ていたしますのは、一向さしつかえないわけでありまして、国有財産法等でも、建物寄付を受ける場合は、そういう場合も予想してそういう規定もあるのでありますから、その点はさしつかえないわけです。ただ本件のように、予算措置を講じないで寄付を受けて、工事を完成するのはおもしろくないという趣旨でございます。  第二点といたしまして、学校などの場合どうかということですが、実は学校の分も会計検査院としては、わかつておるものももちろんあるのでありますがそこの点を特に指摘いたしませんでしたのは、学校というのは従来から多少寄付ということも多いし、ほかの検察庁であるとか、ここにあります公共職業安定所とかいうものと、少し性質が違うのではないかというような考えもありまして、かたがた学校の方は二十二年度におきましては、まだそうたくさんも現われておりませんで、学校の方は検査報告としては掲載しなかつた、これだけの事情にあるわけでありまして、元来から申しますならば、予算的措置を講じないで寄付で新設するというのはよろしくないという趣旨であります。
  9. 前田榮之助

    前田(榮)委員 予算的措置を行わずして建築物その他の工事を行うことはいかぬということは、この部面だけを見ますとごもつともな話ですが、たとえば警察裁判所など、治安その他の関係公共性を持ち、一面また非常な国民に対する監督権といいますか、指導権というようなものまで影響のあるものに対しての寄付は、この公共職業安定所等よりも惡い方面に運用される弊害は、もつとひどいものがあるわけです。問題は予算的措置をしないで建てるということになりますと、たとえば敷地等建築をやつて現物寄付という形がとられる場合もあると思うわけであります。それから学校等においては、たとえば三分の二建築して三分の一残つたというような場合には、よく今の予算的措置、あるいはその違法等が明確になるわけでございますが、建築物の一部の改正、たとえば机あるいは窓ガラス、こういうやはり建築の中に入るものでも、個々の物件についてこれが寄付を行うとか、現物寄付を行うとかいうような点は、明確に区別することの困難な場合がある。そういうときに、これが一律に公平な批難事項として取扱う場合においては、それが複雑なために取扱いに非常な甲乙が出て来るおそれがあるわけですが、これについて会計検査院はどういう区分を行い、これを明確にするか、この点御意見をお伺いしたいと思います。
  10. 小林義男

    小林説明員 今の寄付の点でありますが、お話のうちにも出ました検察庁裁判所等といつた分は、私の所管ではありませんが、この検査報告にも出ております三十一ページのところでございますが、こういうようなものは、検査報告として批難をいたしておるわけであります。そこでたとえば税務署であるとか警察であるとかの関係でございますが、これは二十二年度中にはそういう案がそこまでまとまりませんでしたので、整理いたしておりませんが、目下審議中の二十三年度決算におきましては、そういうものもとりまとめておるわけでありまして、やはりこういうようなかつこうで不足分寄付によつて整備するといつたようなことは、予算の整理を乱るということで批難する検査院方針は一貫しておるわけであります。ただ物品などではまたちよつと考え方も違うのでありますが、とにかく正当な手続を受けないで寄付を受けたものはいかぬという趣旨は一貫しておるつもりでございます。この点御了承願いたいと思います。
  11. 前田榮之助

    前田(榮)委員 それでは労働省の方にお尋ねいたしますが、本件の問題になつておるおもな点ですが、寄付者がどういう性質のものであるかということが、法規の違反その他の関係は別といたしまして、実質的な問題といたしましては、非常に弊害の上に影響のある問題です。たとえば警察署あたりは、料理屋連中だとか、あるいは土建だとか、取締りを受ける連中寄付して、自分取締りを緩和せしめようという考えから、ずいぶん寄付行為をやつて、それがために地方のこうした警察行政に非常な弊害をかもしておるわけです。公共安定所等も、従来の事業家、あるいはまた周旋業、こういうようなものとの関連において、自分の利己的な考えから寄付をする場合もあつて地方民を虐待しておるというような場合がままあるわけなのですが、この寄付者は実際に自発的にやれるような性質のものの寄付であるか、あるいはその寄付者はだれであるか、それが協賛会とか後援会とかいうような明朗性を持つたものであるかどうか、この点をひとつお尋ねしたい。
  12. 三川克巳

    三川説明員 公共職業安定所は、終戰後におきましては、前に申し上げました通りまつた公共サービスをしますところのサービス機関でございまして、権力行為を何ら行使しないものでございますので、職業安定所特定利益を受けることは、ほとんど考えられないのでございます。警察署とか検察庁と違いまして、求職者等サービスをします機関でございますので、特定の人が利益を受けるということは、ほとんど考えられないのでございます。この寄付者は、大体市長あるいは知事等が周旋いたしまして、一般の方から募りましたものでございます。寄付者公共職業安定所建設協賛会とか、建設促進委員会というような一般の方々でございまして、寄付によつて特別な行政上の取扱いをするということは、職業安定所性質考えられないような次第でございます。
  13. 井之口政雄

    井之口委員 今後の寄付の問題でありますが、これは会計検査院のこの指摘はもつともだと思うのであります。当然これでなければならぬと思います。しかるに将来労働省において、こうした問題を寄付金によつてまかなうような方針をとるかどうか。これに対してはどういう処置をとつてこの会計検査院指摘にこたえようとなさつておるのか、お伺いします。
  14. 三川克巳

    三川説明員 会計検査院指摘に対応いたしまして、昭和二十三年の初頭に嚴重通牒を各都道府県に対して発しております。その通牒趣旨を簡單に申し上げますと、職業安定行政機関行政事務はもちろん、この種の営繕及び設備等に対するすべての寄付金募集については、官庁自身による場合はもとより、後援団体自身の場合も嚴重に禁止すること、また自発的にする場合であつても、これをすることは禁止するというような嚴重通牒を発しまして、自今十分監督を嚴にいたしまして、かようなことのないように注意しておる次第であります。
  15. 井之口政雄

    井之口委員 二十一年度の場合にもこういう事件があつたのであります。これは会計検査院から指摘されておりましたが、多分あれは警察署寄付によつて設立したというふうなことだつたと思うのでありますが、労働省だけでなくして、他の官庁においても寄付金によらずしてこういうことを、官庁寄付金によつて建てないというような方針を採用されて、指令なんか出されるというように、会計検査院の方では監督しておられますか、どうでしようか。
  16. 小林義男

    小林説明員 会計検査院といたしましては、こういう検査報告批難をしておりまするばかりでなく、その都度政府に対しまして、正規の手続によらないで、寄付金によつて施設をすることはおもしろくないということを申しているわけでありますが、政府におかれましても、もちろんさように考えておられまして、二十三年一月三十日の閣議決定で、官公庁に対する寄付金等の抑制についてということで、事項をあげまして、一番といたしまして、諸経費予算をもつてまかない、寄付金等の形式によつて他に転嫁することは極力これを愼むこと、それから二番といたしまして、官庁自身による場合はもとより、後援団体を通じてなす場合でも、寄付金募集は嚴にこれを禁止する、三番といたしまして、自発的行為による寄付金の場合においても、割当の方法によるものでなく、かつ主務大臣弊害の生ずるおそれがないと認めたもののほか、その受納はこれを禁止すること。なお四番といたしまして、寄付の採納を認めた場合には、これをまた二つにわけまして、イとして醵金にあたつては、これを歳入に組み入れ、醵金趣旨を考慮に入れ、予算的措置を講ずること。ロといたしまして、公共施設寄付にあたつては、所定の手続をなして、かつこれを公表するものとすることというふうに寄付金取扱いまでも詳細に指示されておるわけでありまして、その前後を通じて会計検査院といたしましても、寄付の問題は検査の重点の事項として網羅的に調査いたしておるわけでございます。
  17. 井之口政雄

    井之口委員 地方自治団体に対してはどうでございましようか。県並びに市町村の方で、やはりこうした寄付金によつていろいろな施設を建てるというふうなことはまま見受けておるのですが、それに対して会計検査院監督は十分に行つておるかどうか。
  18. 小林義男

    小林説明員 申し落しまして恐縮でございましたが、閣議においては、地方公共団体に対しましては、当然前各号に準ずるようその自粛を求めるということを閣議で決定されておいでになります。会計検査院といたしましては、自治団体市町村まででありますが、府県の方は会計検査院検査の指定を受けておる団体ということで検査いたしておりますので、たまたま寄付の問題なども調査しておりますし、市町村になると、これは全国でなかなか府県も多いことでありますし、会計検査院といたしましては、そこまで手の届かない問題もあり、また権限の問題もありまして、さように徹底はいたしておりませんが、政府の方では地方自治団体も国と同じように自粛しろ、こういう通牒を発しておられるような次第でございます。
  19. 井之口政雄

    井之口委員 地方団体監督をすることも、そう大して人員もかからないし、手数もかからないと思います。いろいろな調書をとつて、実際やつているかどうかということを取調べればすぐわかることでありまして、その程度の監督でさえもやろうと思えばやれないことはない。会計検査院においてはそうした方面も将来これをやるつもでありますか、どうですか。
  20. 小林義男

    小林説明員 ただいま地方自治団体に対しての会計検査院監督の問題でございますが、市町村に対しましては、検査を施行する権限の問題がございいまして、これはなお十分に研究いたさないと御回答できない点もありますが、現在私考えておるところでは、どうも市町村に対しては、ちよつとそういう検査をすることがむりのように存じておりますので、そこの点御了承願いたいと存じます。
  21. 井之口政雄

    井之口委員 たとえば三百十二の兵庫県の西宮公共職業安定所庁舍新築の場合に、国費支出額が五十万円、寄付受入れ額が百十一万円になつております。合せて百六十万円そこそこでありますが、私はあの所を知つておりますが、百六十万円ぐらいではなかなかああいうりつぱな建物は建たないと思う。こうした内容もここに現われて来る。表面的な価格と実際やられたものとの間には、かなりの差違があるのではなかろうか。またそういう寄付金の使途の内容の公正さが保たれておるかどうか。これは当然会計検査院の立ち入ることのできる問題だと思うのですが、たとえば一例を申し上げても、その内容の点はいかがでございましようか。
  22. 小林義男

    小林説明員 今の兵庫県の西宮の御指摘の点は、まことにごもつともかと存じます。それは実は公共職業安定所とあすこはなつておりますが、あの中にたしか西宮兵庫県の労政事務所というのが一緒に入つておるはずでございまして、この分が県費で四十万円出ております。つまり外観から見ますと、五十万円と百十一万のほかに四十万円が加わつておるのでありまして、それは県費でありますので、四十万円の県費は、これは県のものをあそこへ建てております関係上、それはこの表面には現われておりません。そういたしまして、県費で出し、そうして県の労政事務所を建てるということはさしつかえない、かように考えておる次第であります。
  23. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、これは両方の相世帶でありますが、この所有権はどつちの方のものになるか。この建物の管理というふうなものはどういうふうに行われるのですか。
  24. 小林義男

    小林説明員 県費で支弁いたした分は、これは国有財産になりませんので、今書類を持つておりませんから、正確にはお答えいたしかねますが、建前といたしましては、どこからどこまでが国の分であるという一つの建物の中へ区分をつけまして、国有財産には国費支弁に相当した部分だけを登載する、かような建前なつていると思います。
  25. 井之口政雄

    井之口委員 この職業安定所のほかに、西宮方面では学校を建てるのに寄付金募集が今年でもやつて来ておる。人民はそのために非常に悩んでいるのであります。もし大金持の方が寄付金を出してそういうことをやるとすれば、またその人たちの権力がこうした公共団体に大きく反映して来る。さればというて、貧しい人たちから強制寄付を取立てるということになれば、負担が非常に重くなる。今度の新しい税法によつても、地方寄付金が廃止になつて、みな租税でとるようになつておりますからして、この点は嚴重会計検査院の方においても検査してもらいたいものだと思うのです。ついでに例の赤い羽の問題ですが、あれはどんなふうになつておりますか。あれも一面から見ますると、もちろんこういう性質を持つておるのでありますが、会計検査院においてもこういう点はひとつ大いに指摘して、国費をもつて当然厚生施設等はみんなやつて行かなければならぬもので、それをやらないで赤い羽の運動なんかをして、その会計なんかもどんなふうに使われているか、その内容についても十分なる監督が行き届いておるかどうか、この点についても伺つておきたいと思います。
  26. 小林義男

    小林説明員 赤い羽の方の問題につきましては、あるいは私の了解しているところが違う点があるかと存じますが、大体においてあれは純然たる民間の問題でありまして、しかも最近におきましては、あれの配分などについては、官吏は直接関與しちやいかぬというようなことも聞いておりまするし、これを受けますものも純然たる民間の団体でありまするし、ただいまのところ会計検査院といたしましては、ああいう問題を研究する権限もないように考えておりまするので、その点は御指摘でもありますから、なお研究してみたいと存じまするが、そんなことになつております。
  27. 井之口政雄

    井之口委員 ひとつその点も十分研究してみてください。今聞きますところによりますと、非常な人件費や交通費によつて多額の金が費消されて、そして実際の救済にはあまりならぬというふうなことも聞いておるような状態であります。もし会計検査院において嚴正公平なる監督ができるといたしますならば、そうしたこともけつこうだろうと思つております。この問題はこれくらいにしておきます。
  28. 金子與重郎

    ○金子委員 寄付行為のことでひとつお願いがあるのですが、ただいま問題になつておりますような事例は、たまたま今幾つかが出ておる程度でありますが、先ほどほかの委員からも申し上げたように、学校の建設あるいは検察庁の各地方への新設というふうな問題で、実際にはこれが通常であるかのように寄付行為というものが行われておるのであります。これはひとり会計検査院の立場からこれを批難事項として出すというような問題だけでなく、こういうことが行われておるということは、国民がこういうことを知らないということなんです。だから官庁を建てるときに寄付をするのはあたりまえだ、あるいは今度おれの村にこういう役所ができるのだから寄付するというのは常識の範囲になつておる。これがこういうことになる一番の原因だと私は思いますから、この際私どもも不幸にしてはつきりした資料を持つておりませんから、この寄付行為に対して今日までとつて参りました公共施設というものを寄付行為によつてまかなうべきでないという法律的な問題と、それに対する通牒、その他今まで指示をどういうふうにしておるかというふうなことを一応まとめて、この次の委員会までに書類で、政府はどの程度までこの手を打つたか、それはどういう法律的根拠によつてつたかということを印刷で私どもに配付していただきたいと思います。そしてこの法律の趣旨政府方針を国民に徹底させるということが、これを防ぐ一番大きな問題である。問題は寄付する人がないならばこういう問題は起らないのですから、その点会計検査院にお願いいたします。
  29. 小林義男

    小林説明員 寄付の問題は御説のように、非常に会計検査院としても研究はいたしておりますのですが、なお研究の不十分の点もあると存じます。そこで今のお説の点はまことにごもつともと思うのでありますが、多分に政府の責任の範囲内でいろいろやらればならない問題もあると存じまするので、これは政府のどこが取扱つておるか今詳しく承知いたしておりませんが、政府の方にも連絡しまして、できるならば政府の責任者の方からこまかい点の説明をお願いした方がいいのじやないか、こんなふうにも考えております。そういう実情でありますので、私の方も研究いたしましていずれ御回答申し上げます。
  30. 金子與重郎

    ○金子委員 政府の方から説明なり印刷として、はつきりさせていただくということは、一応話が受取れますが、会計検査院批難事項として出している以上は、政府の意図によつて批難事項として出しているのですから、あなたの方でこういう理由によつて政府のこういう法律なり通牒によつて、これに違反するからこうするのだということを、はつきりあなたの立場からできないことはないと思います。その範囲でよろしいですから、この次の委員会までに出してもらいたいと思います。
  31. 小林義男

    小林説明員 できるだけの研究をいたしまして、御希望に沿うようにいたしたいと思います。
  32. 井之口政雄

    井之口委員 国有鉄道の問題について、いろいろ広くつつ込んだ点を聞いてみたいと思うのですが、運輸大臣の御出席は願えないものでございましようか。
  33. 川端佳夫

    川端委員長代理 井之口さんに申し上げますが、運輸大臣の出席を要求して連絡済みでございますが、今運輸委員会で提案理由等の説明をやつているそうであります。そのあと参議院の予算委員会に出る予定であるが、その前にできるだけ都合して来るということでありますので、御了承願います。
  34. 井之口政雄

    井之口委員 前の第五国会のときに、ここに出ております農林省関係のもので非常にふに落ちない点があつたのであります。そのうちの一つは開拓事業の問題でありますが、北海道における開拓事業が実にでたらめになつている、ああいう計画をだれが一体立てたものか、その計画者にその計画の内容について説明を願うことになつておつたのであります。ひとつこれからそういう方面も出ていただくように手配をお願いいたしたいと思います。
  35. 川端佳夫

    川端委員長代理 承知いたしました。
  36. 井之口政雄

    井之口委員 なおいろいろな問題は、小さな枝葉に入りましてやるよりは、大きな問題でわれわれは時間をたつぷりとつてつてつたならば、この決算委員会が非常に権威のあるものになるだろうと思います。今度の二十二年度はゆつくりとひとつ中味深くやろうというのが、きようお休みになつている委員長の御趣旨なのでありますから、今度は二十一年度のようにそうかけ足で進まないで、内容に深く立ち入つて十分の検討をいたしたいと思います。
  37. 川端佳夫

    川端委員長代理 この程度で労働省関係の質疑を打切つて先に移りたいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 川端佳夫

    川端委員長代理 では引続いて運輸省所管説明を伺います。  今日は運輸省から会計課長粟澤氏、それから官房長の荒木君が見えておられます。そして検査院の方からは関係検査第三局長綿貫謹一君、運輸検査課長田中良男君、鉄道検査第一課長宇澤智雄君、鉄道検査第二課長小澤定司君が見えております。
  39. 粟澤一男

    粟澤政府委員 それではただいまから運輸省所管各会計の昭和二十二年度における決算の概要につきまして御説明申し上げたいと存じます。まず一般会計より順次申し上げます。  昭和二十二年度運輸省所管一般会計歳出予算額は、百五十四億四千五十二万余円でありますが、これに前年度からの予算繰越額と、予備費使用額を加えました予算額は、百五十八億六千九百二万余円となるのであります。これに対しまして支出済額は、百五十七億七百九十三万余円でありまして、これを予算現額に比較いたしますと、一億六千一百九万余円の減少なつております。このうち五千五百五十八万余円は、財政法第四十二條によつて、翌年度に繰越したものでありまして、残余の一億五百五十万余円が不用となつ金額であります。これは主として実行上予定の費額までを要しなかつたためであります。  次に国有鉄道事業特別会計の昭和二十二年度決算について御説明申し上げます。昭和二十二年度国有鉄道事業特別会計の歳入予算額は、六百七億四千七百七十三万余円でありまして、これに対しまして收入済額は、五百四十億六百二十二万余円でありますから、差引六十七億四千一百五十一万余円が減收となつております。これは主として事業收入の減收と、予備收入及び運転資金戻入の皆無と、地方鉄道及び軌道会社よりの納付金が予定よりも少なかつたのによるのであります。また歳出予算額は、六百七億四千七百七十三万余円でありまして、前年度から繰り越した金額九億四千三百三十五万余円を加えまして、予算総額は六百十六億九千一百九万余円となるのであります。これに対しまして、支出済額は五百三十六億九千六百六十三万余円でありますから、差引七十九億九千四百四十五万余円の減額となつております。このうち国有鉄道事業特別会計法第二十一條の規定によつて二十六億八百三十万余円、財政法第四十二條但書前段規定によつて八億八千二百十八万余円が翌年度に繰り越されますので、残余の四十五億三百九十六万余円が不用となつ金額であります。これは主として実行上予定の費額までを要しなかつたのによるのであります。  なお歳入の各項目について、その收入済額が予算額に比べて増減を生じた事由を申上げます。事業收入の收入済額は、二百五十一億九千二十七万余円でありまして、これを予算額二百六十七億二千五百十二万余円に比べて、差引十五億三千四百八十五万金円を減收しましたのは、事業收入のうち、病院收入は多かつたが、鉄道收入、自動車收入及び船舶收入が少なかつたためによる減收額十億三百八十二万余円、予備收入が皆無だつたためによる減收額六億円、雑收入で雑入が多かつたためによる増收額六千八百九十七万余円を差引きした減收額であります。運転資金戻入れの收入済額は皆無でありまして、予算額五十二億円に対しまして全額の減收であります。諸收入の收入済額は二百八十八億一千五百九十五万余円でありまして、これを予算額二百八十八億二千二百六十一万余円に比べて、差引六百六十五万余円を減收しましたのは、公債金受入れで公債金が少なかつたためによる減收額四十五億一千六百万余円、借入金受入れで、借入金の收入が多かつたためによる増收額四十五億一千六百万余円、地方鉄道及び軌道会社特別資金收入で、地方鉄道及び軌道会社よりの納付金等が少なかつたためによる減收額六百六十五万余円を差引きした減收額であります。以上の減收額の合計六十七億四千一百五十一万余円となるのであります。  なおまた歳出の各項目について申し上げます。総係費については、支出済額が五十六億八千八百四万余円でありまして、これを予算額六十四億七千七十八万余円、前年度繰越額五千一百九十八万余円、予備費使用額二億一千七百十二万余円、合計六十七億三千九百八十九万余円に比べて、差引十億五千一百八十四万余円が予算残額となりますが、このうち翌年度繰越額が四億五千二百二十一万余円ありまして、残余五億九千九百六十二万余円が不用となつたのであります。これは総係費、監督費及び執業費が実行上予定の費額までを要しなかつたのと、公債発行及び借入金の時期が遅れたため、利子及び債務取扱諸費が減額したのによるのであります。  なお予備費は、道路運送法制定に伴い、道路運送委員会の設立及び給與改善等に必要な経費を国有鉄道事業特別会計法第十二條第二項の規定により支出しました。業務費については、支出済額が三百四十二億七千四百十七万余円でありまして、これを予算額三百六十七億五千二百三十七万余円、前年度繰越額三億一千五百七十一万余円、予備費使用額五億六千一百七十六万余円、合計三百七十六億二千九百八十五万余円に比べて、差引三十三億五千五百六十七万余円が予算残額となりますが、このうち翌年度繰越額が二十三億八千八百八十五万余円ありましで、残余九億六千六百八十二万余円が不用となつたのであります。これは自動車費で輸入自動車の運営が遅れたのと、船舶費で新造船の就航が遅れたのによるのであります。なお予備費はキヤスリーン台風の災害復旧と、給與改善等に必要な経費を国有鉄道事業特別会計法弟十二條第二項の規定により支出しました。建設改良費については、支拂済額が七十四億四千十六万余円でありまして、これを予算額五十五億六千二百四十九万余円、前年度繰越額五億七千五百六十五万余円、予備費使用額十九億五千百四十三万余円、合計八十億八千九百五十七万余円に比べて、差引六億四千九百四十一万余円が予算残額となりますが、これは全額翌年度に繰り越されるのであります。なお予備費は鉄道諸施設費の戰災復旧及びその他緊急施設の必要があつたので、閣議の決定を経て支出しました。運転資金補足については、支出済額が五十二億六千九百五十六万余円でありまして、これを予算額八十二億円に比べますと、差引二十九億三千四十三万余円が予算残額となりますが、これは実行上予定の費額までを要しなかつたのによるのであります。次に諸支出費については、支出済額が十億二千四百六十八万余円でありまして、これを予算額十億三千一百七十六万余円に比べて、差引七百八万余円が予算残額となりますが、これは地方鉄及び軌道会社の納付金が減收したため、同費特別資金支出願が減額したのによるのであります。  予備費について申し上げます。予備費予算額は二十七億三千三十二万余円でありまして、これは前に申し上げました各項目で全額を支出したのであります。  以上は、運輸省所管昭和二十二年度一般会計及び国有鉄道事業特別会計歳入歳出決算の概要でありますが、その詳細につきましては、御手元に差上げてあります書類によりまして御了承を願いたいと存じます。
  40. 川端佳夫

    川端委員長代理 引続いて批難事項説明を伺いたいと思いますが、今までの御説明の分についての御質疑はございませんか。——それでは引続いて避難事項説明を願います。
  41. 粟澤一男

    粟澤政府委員 検査報告書五十六ページから運輸省の分が出てございますが、御説明を、一般会計の分と鉄道会計の分にわけてさせていただきたいと存じます。鉄道会計の分はあとにいたしまして、一般会計でございますが、歳入関係は、同様に鉄道の関係で取扱つておりますので、所管の方から御説明を願うことといたしまして、三百四十二の一般会計歳出の分を私から説明させていただきます。  第一の予備費支出当を得ないもの。これは運輸省水路部で、昭和二十二年の十一月に第二復員局が廃止されたに伴いまして、同復員局の保管しておりました水路図誌百四十八万枚を回收整備するために予備費を要求いたしまして、その運搬経費として百三十三万円ばかりの予備費使用を認められたのに対しまして、その一部分を使用しただけで、大部分の残額を他に流用したという御批難を受けたものでございます。この水路図誌につきましては、当初から、これを回收して、それを整備するという経費も見込んで、予算技術としてはややまずいのでありますが、要するに役務費、運搬費として要求したのでありましたが、当時水路部が戰後回復いたしまして、水路図誌を、盛んに発行しておつたのでありますが、一般の海上輸送につきましては、御承知のように水路図というものは絶対に不可欠のものであり、水路部の刊行いたしますもので、なかなか間に合いませんので、たまたま終戰当時復員局で保管しておりましたものが非常にたくさんございまして、ある程度これを修正すれば使えるということでありましたので、これに目をつけて、始めた仕事でございます。予備費の使用決定も大分承認が遅れました上に、その当時の水路部といたしましては、図誌の格納庫が非常に不備でございまして、持つて来たものを、とりあえず高島屋の部屋を借りまして、そこへ一応保管しておくというような時間的なずれもございまして、二十二年度中に回收したのは二十三万枚あまりで、なお整備いたしましたのが三万枚ということでございまして、大部分の整備は翌二十三年度に残すことに相なつたのであります。そのための経費といたしましては、二十二年度ある程度残額を生じ、残つたものは二十三年度の既定経費をもつてこれを整備するということになつたわけでございます。その二十二年度予算が相当きゆうくつでございまして、当時実行上各費目に不足を生じておりましたので、この予備費の余つておりましたのを、他の図誌の製造関係その他に流用いたしてしまつたわけであります。この点につきましては、検査院指摘の通り、まことに遺憾に存ずるものでありまして、当時の責任者に対しましては、それぞれ訓告の処分に付しまして、今後はかかる事態のないように、十分注意いたしたいと思います。  次に三百四十三の、予算の使用当を得ないもの。これは運輸省の第二港湾建設部で倉庫の建設工事工事費の一部をもちまして、職員の宿舍、官舍等約十七棟でございますが、これを新築したということでございます。事情はいろいろございまして、たとえば港湾工事といつたようなものは、重点的に必要な港へ職員をある程度常駐さしておりまして、そこの工事をやつて行かなければならぬ。一般の役所と違いまして、長いこと同じところに宿舍を持つて定住しておるということでございませんので、工事のある港へある程度の職員が集中する、また工事上の要員も相当程度集中して、そこで工事をしなければならぬといつたようなこともございまして、御承知のように当時の住宅事情では、実際上まことに困窮したために、やむを得ずやつたことでございますが、会計法上から見ますと、まことに遺憾なことでございます。これも当時の責任者に対しましては、それぞれ訓告処分に付しまして、今後かかる事態の起らないように努力いたしておる次第でございます。  次に三百四十四の、借入金をもつて工事を施行したもの。これは運輸省の第二港湾建設部で、小名浜港の沈船防波堤工事の施行にあたりまして、そのための一部施工費を、金額は二百三十万円でございますが、福島県から借入れをいたしまして、その施工をいたしたものであります。これは、国の経費予算によらなければならないものであるのに、県から借入れをして工事費をまかなつたというようなことはおもしろくないということで、御指摘を受けたものでございます。この点につきましては、当時物価改訂がございまして、小名浜港の工事費につきましても、既定予算について不足を生じまして、物価改訂のために追加予算を要求して、それは承認に相なつたのでございます。その追加予算が承認されました直後に、旧軍艦、これは駆逐艦でございますが、旧軍艦をそこへ持つて行きまして、それを沈めて防波堤にするという工事内容の追加がございました。それを緊急にやらなければならぬという事態に立至りました。予算の要求もいたしたのでございますが、それを昭和二十二年度中、すなわち昭和二十三年の四月末日までにどうしてもやつてしまわなければならぬという時日上の制限もございました。そのために予算の承認を受けるひまもなく、ほかの差繰りをするひまもありませんで、やむを得ず一時的に借入金をして工事を進捗せしめたということでありまして、会計法上はまことに遺憾なものでございます。こういう事態はたびたびあるものではないと存じまするけれども、なお将来とも十分に注意いたしたいと思うのであります。なお右借入金につきましては、昭和二十三年度予算で全部返済いたしてございます。責任者に対しましてそれぞれ処分をいたしてございます。  次に三百四十五の受託工事費の取扱いにあたり措置当を得ないものであります。これは第二港湾建設部で、東京鉄道局及び青森県ほか三公共団体から依託を受けまして港湾工事を施行しておるが、この工事費の予納金を委託者から納付させまして、これを歳入歳出外現金の扱いにしておく、あるいはまた建設部長の名義で銀行に預金しておるという点がおもしろくないということで御指摘を受けたものであります。またこの工事を委託するについても法的な根拠がないという点を御指摘なつたわけであります。本件につきましては、最後の法的根拠の措置につきましては、昭和二十四年五月三十一日の運輸省設置法におきまして一応の根拠を得たわけであります。なお右取扱いが適当でないという点につきましては御指摘の通りでございまして、今後は原則として委託工事は受けない。特にやむを得ないものと申しますか、港湾工事というふうなものは、相当特殊な工事でございまして、どこの県でもする能力持つて十分に思うような工事をし得るというものでございませんので、どうしても運輸省の建設力をある程度使わなければならないものが皆無とは申せません。大部分とは申しませんが、そういうやむを得ないものにつきましては、正当に予算措置を講じて出して行くという方針にいたしまして、今後はなるベく委託工事を行わないというふうに注意いたしております。なお予納金につきましても、これは委託者から直接債権者に支拂わせるようにしてあります。なお右責任者につきましては、それぞれ処分いたしてございます。  以上一般会計関係につきまして御説明を終ります。鉄道の関係につきましては、鉄道の関係員から御説明いたしたいと思います。
  42. 石井昭正

    ○石井政府委員 まず一般会計から申し上げます。運輸省において取扱いました一般会計歳入に関しまして、検査報告書の百五十六ページにあります二百四十一の特殊物件の処分に関しまして措置当を得ないもの、というのでありますが、これにつきましては説明書にも述べてありますが、特殊物件売拂代金の未納額中、徴收決定に至りません部分は、日本鉄道車両工業協会その他に拂い下げた分でありますが、これに対しましては二十二年十月大阪地方検察庁から契約締結の一時中止の申入れがありました。その後二十三年十二月同庁から事務進行の通知を受けましたので、二十四年四月中に契約を完結いたしまして目下これが代金の收納に努力しております。なお二十三年度へ繰越しました調定済收納未済額及び二十三年度の新規調定済額の二十三年十二月末現在における收納済額及び收納未済額につきましては、説明書百六ページから百七べージに記載してございまするが、その後の概況を二十三年度分の方から申し上げますると、特殊物件の売拂代金の二十三年度、二十四年三月末におきますところの調定済額でございまするが、これは二億八千八百五十万六千余円に、なお同年三月におきますところの追加調定額一億三千五百七十五万八千余円と、二十四年の四月に調定をいたしました二十三年度分の百二十八万七千円を加えますると、二十三年度の調定済の総額は四億二千五百五十五万一千円となるのでございます。これに対しまして同年度中に收入済みいたしました額は四億一千九百二十一万余円でございまして、調定済收納の額で收入未済額は六百三十四万一千円余と相なるのでございます。二十四年度の分につきまして申し上げますると、二十三年度から繰越しの調定済の收入の未済額がこれがただいまの六百三十四万一千円余でございますが、二十四年度の四月には調定額がございませんで、五月分の調定額は五千四百四十七万四千円余でございまするが、これを加えますると調定済額は六千八十一万六千円余となるのでございます。これに対しまして五月分の收入済額は一千五百五十九万三千円余でございます。従いまして未済額は四千五百二十二万三千円余となるのでございます。右のほか二十四年五月末現在でまだ調定ができておりませんものが約一億二千六百八十二万九千円ほどあると見込まれておるのでございます。  以上を取まとめて申し上げますると、結局特殊物件の收入として国鉄から運輸省一般会計への納入見込額は二十四年五月末現在で收入済額が五億四百四十三万一千余円、調定済の收入の未済額といたしましては四千五百二十二万三千円、また調定が済んでいない未收入額といたしまして一億二千六百八十二万九千円ございます。従つてこれらを全部総計いたしました総收入見込額は六億七千六百四十八万四千余円となる次第でございます。次になおこの件の責任者に対しましてはそれぞれ嚴重に注意を與えました。  次は検査報告書百五十九頁にあります三百四十六の国有物件中の特殊物件の処分に関し措置当を得ないものというのであります。その要旨は、大阪鉄道局高砂工機部で、旧軍から引取つた廃油を正規の受入れ手続をしないで、同部の事業用品と交換し、あるいは一労働組合資金に供するため、組合に無償で讓渡し、または職員に物資を配給するため売却したものがあるというのでありますが、これにつきましては、検査報告の通りで、まことに遺憾でありまして将来この種事故の根絶に一層努力いたします。当時の関係者のうち、山本某ほか二名に対しましては、昭和二十三年二月及び三月にそれぞれ休職を命じました。これらの者に対しましては、二十三年四月十六日神戸地方裁判所姫路支部で背任及び收賄により各々判決があり、現在控訴中でありますが、今回の行政整理で全部退職いたしました。なお当時の工機部長に対しましては減給処分に付しました。  次に国有鉄道事業特別会計の歳入について申し上げます。検査報告の百六十頁にあります三百四十七の診療料金の低廉に失したものというのであります。これにつきましては検査報告の通り二十三年九月以降、特殊薬を除いて十五倍程度の値下げを実施いたしましたが、二十四年六月十日以降さらに四倍程度の値上げをいたしました。なお将来も情勢の変化に伴つて料金の改訂につきまして留意いたします。  次は同じく検査報告の百六十頁にあります三百四十八の立木の伐採にあたり過拂いをなし、その返納に至らないもの、というのでありますが、これにつきましては検査報告の通りで、まことに遺憾でありまして、将来このような事故の根絶に一層努力いたします。立木の不足につきましては、石坂某の分三千四百五十石に対する代価十八万六千余円のうち、十万円は二十三年三月三十日までに、八万六千円は二十四年四月七日返還済みであります。竹内某の分、四千五百石に対する代価三十二万五千円につきましても、すみやかに返還するよう再三督促いたしましたが、これに応じないため訴訟手続をとつたのでありましたが、その後竹内某の資産状態をを調査しましたところ、これというべき不動産もないので、一万円程度ずつ分納させることにいたしました。また、中野林業に対し過拂いとなりました二十九万一千余円は二十四年三月十六日に返納させました。なお責任者に対しましては、それぞれ処分を行いました。  次に歳出について申し上げます。検査報告の百六十一頁にあります。三百四十九の会計経理がはなはだしく不良なものというのであります。その要旨は東京鉄道局電気部川崎派出所で発電設備復旧工事材料の構内運搬費として、昭和二十二年四月から二十三年八月までの間に三百六十万四千余円を支拂つたものがあるが、二十二年度分については、その運搬した事実を確認する資料がなく、また二十三年度分の四月から八月までの運搬費は実トン数よりも過大の支拂いをしている。なお同派出所で前金拂いをした工事に対し、二十三年三月末にこれを打切るにあたつて、実際の出来高によらず、前拂金相当額が完成したものとして、精算したものがあるというのでありますが、これにつきましては、運搬料金の算定にあたりましては、運搬数量を基礎としなければなりませんでしたが、運搬する人夫に重点を置きまして、人夫の出面数を基礎としたのであります。また、二十三年四月から八月までの着荷トン数に前年度の在庫高を加算した実トン数より運搬トン数が過大となりましたのは、本工事が急施を要したことと、倉庫施設の狭隘等のために、同一物品を数回移動させなければならなかつたためであります。なお、この実情は二十二年度においては同様でありましたが、これを立証する書類が不備であつにことは遺憾でありまして、将来十分注意いたします。  なお、二十三年三月に工事の打切りの際、前金拂いの残額を精算しなかつたことは、まことに遺憾でありますが、残高に対する分は六月末までに完成いたしました。なお、責任者に対しましては、それぞれ相当処分を行いました。  次は検査報告書の百六十三頁にあります三百五十の亡失した官金を臨時出札手当で補填したもの、というのであります。これにつきましては、本取扱いは戰時中の臨時措置終戰後実情に沿わないので、改正について大蔵省と協議中のところ、二十三年十月政令第三二三号政府職員の特殊勤務手当に関する政令によりまして、出札勤務手当を取扱收入額の万分の七に増額されましたので、本件の取扱は二十三年十二月限り廃止されました。  次に同じく報告書百十三頁の三百五十一の予算の使用当を得ないものについて申し上げます。これは検査報告の通りであります。これは戰災のため東京鉄道局管内の職員集会所が七箇所も燒失しましたので、これが緊急設置の要がありましたが、二十二年度には、このような施設を買收する予算がありませんでしたので、やむを得ず乙号宿所として建設改良費で支弁したのであります。今後かようなことのないよう責任者に対しましては、それぞれ注意を與えました。  次は検査報告の百六十四ページにあります三百五十二の不用の物品を多量に購入したものというのでありまして、これは二件あります。第一のものの要旨は、大阪鉄道局で自動車修繕用部分品約六百七十品目を代価八百六十三万余円をもつて二百数十口に分割して即金拂いで一括購入したが、そのほとんど全部を長期にわたつて退蔵した上、半ば以上を不用品に組みかえ、他に売却している実情に照らして、一括購入したこと及びその後の措置が当を得ないというのであります。御承知のような当時の事情で、物品獲得に焦躁のあまり、一括購入したのでありますが、その見込みが違いかような結果になつたのは、まことに遺憾であります。今後はこのようなことがないよう十分注意いたしますとともに、責任者に対しましては、それぞれ処分を行いました。  次に第二のものにつきましても検査報告の通りで、電気用の物品を数十口に分割購入して、しかもあまり使つてないということでございますが、このように物品の購入が妥当でなかつたために、国有鉄道事業特別会計で二十二年度末に約九億三千八百万円の使用不適格品と跛行貯蔵品とを保有するに至つているというのでありますが、物品の入手難というような事情から、不適当な処置をいたしましたことは申訳なく存じます。今後はこのようなことのないよう努力いたします。この九億三千八百万円の中には、一部特殊物件と特殊資材も含まれておりますが、これらについては、国鉄内に中央資材整理審議会を設けまして、徹底的に整理をはかるとともに、逐次競争に附して売却しつつありますが、すでに七億九千万円は整理済みであり、残余の分も二十四年度中には整理し得る見込みであります。  次に国有物件について申し上げます。検査報告百六十五頁にあります三百五十三の物品の処分にあたり措置当を得ないもの、というのでありまして、その要旨は、運輸省における死退蔵品を鉄道弘済会に一括売却しているが、売却にあたり相当高率の割引をしているが、このような必要はなかつたものと認められる。また同会に対し、鉄道高架下の未使用地全部を貸しつけているが、同会はそのほとんど大部分をそのまま転貸している。また同会は二十二年度中に約一億円に上る利益をあげているのであるが、国はこれに対し助成金を百五十万円交付している状況であるというのであります。これにつきましては、当時本件物品を鉄道弘済会に特命拂下げをいたしましたのは、その物件の対象が相当厖大な数量で、しかも多種多様にわたる死退蔵品であり、従つてこれを短期間に整理いたしますためには、これを取まとめて一つの單位でもつて売却しなければならないというようなことでございまして、もしこの整理その他によつて利益を得たときは、運輸省と協議の上、弘済会の性質上、その利益は国鉄に関連する公益的な使途に充当するという意味で弘済会に特命拂下げをしたわけであります。また値引率につきましては、前年度の実績に鑑みまして、全部新品価格の五分引といたしました。しかしながその後売却の方法を変更しまして、競争に付し、値引をしないことといたしました。また同会に対する鉄道高架下の一括使用承認につきましては、御指摘がございましたので、その後方針を改め、省が直接使用承認を與えることにいたしました。なお、今後このようなことのないよう関係者に対しまして、それぞれ、注意を與えました。  次に検査報告の百六十六頁にあります三百五十四、貯蔵品の整理当を得ないもの、について申し上げます。これは検査報告の通りでありまして、本件の不符合のおもなる原因は、二十二年度から新会計制度による事務手続上の不なれの点及び貯蔵品の保管転換による未着、誤着等によるものであります。二十三度末におきましては、物品出納簿の金額を基準としまして、元帳貯蔵品金額と照合し、これによつて生ずる不符合を未整理項目として処理することといたしました。なお今後このようなことのないように関係者に対しまして十分注意を與えた次第であります。  次に資金について申し上げます。検査報告の百六十七ページにあります三百五十五、三百五十六の、貯蔵品購入の資金当を得ないもの、というのであります。その要旨は、運輸省で昭和二十二年度中に労務加配米の代金として一億八千七百九十四万五千余円を支拂つている。このうち一億一千五百七十万一千余円は二十三年六月末においても、なお回收未済であつて、そのため著しく貯蔵品購入資金を固定させているというのであります。本件は共済組合物資部が配給機関と給食施設と両方持つておりますので、同部にその取扱いをさせていたのでありますが、終戰後共済組合の資金が枯渇し、まつたく運営ができなくなつたのであります。従つて本特別会計事業の運営を円滑に遂行するためこれを貯蔵品扱いとしたのであります。二十二年度末の未回收額は二十三年七月までに回收済みでありまして、また二十三年度末の未回收額は二十四年六月までに全部回收いたしました。労務加配米の拂下げ代金の回收につきましては、十分注意し、未回收額を最小限度にとどめるように努力いたさせるつもりでございます。関係者につきましてもそれぞれ十分注意を與えた次第でございます。  次に三百五十六にございますように運輸省で昭和二十一年度から二十三年度までの間に、鉄道事業に直接必要のない物品を貯蔵品購入資金によつて調達したものがあるというのでありますが、これは三件あります。三件とも検査報告の通りでありますが、これにつきましては説明書百十九ページにあります通り、鉄道の経営に直接使用する物資と必要度において大差ないものと認め、やむを得ず貯蔵品購入の資金の運用によつたものであります。なお、責任者に対しましては嚴重に注意を與えました。  次に検査報告の百六十八ページにあります三百五十七の受託調弁に関し措置当を得ないものについてでありますが、本件検査報告の通りであります。これにつきましては説明書百二十ページ、省は、二十二年五月三十日までに、本契約代金の全額につきまして徴收手続を完了しましたが、日本鉄道会は資金事情のため容易に省へ納付いたしませんので、やむを得ず鉄道会の保有する債権の信託的讓渡を受けまして、その取立金を省の債権に充当しようとしましたが、間もなく同会が閉鎖機関となつたのであります。二十三年度に入りましてから、一千三百四十四万五千余円が未納のまま閉鎖機関に属するものとなつたのでありまして、省は、鉄道会の保有する債権を担保付債権として優先弁済の申立をしておりますが、この清算事務は未だ完了するに至つておりません。なお、責任者に対しましては、それぞれ嚴重に注意を與えました。  次に検査報告の百六十九ページにあります三百五十八の不当に買却差損を計上したものについて申上げます。説明書百二十一ページ、本件検査報告の通りでありまして、二十一年九月の内定單価で各人から徴收しておりましたが、その後本件物資の価格が高騰し、二十二年四月いよいよ單価が確定したときには、相当の開差がありましたので、各人からのその差額を徴收すべきでありましたが、種々の事情でやむを得ず省外売却差損として処理いたしました。  次に検査報告百六十九ページにあります三百五十九の年度末保有金が符合しないものについて申し上げます。本件検査報告の通りでありまして、説明書百二十二ページ、昭和二十二年四月から実施の発生主義に基く新会計制度に移る際に、新旧制度の相異による收支の区分につきまして、通牒を発して決算整理に努めたのでありますが、新制度の主義原則適用方、会計関係法規の改廃及び実施等のため、事務上にも手違いを生じまして、旧年度に属する調定のものを、新年度において正規の調定を経ないで未收金として処理したため、旧制度下の未調定の分が、新年度発生の未收金と混つて收納されたため、歳入歳出計算書上の保有金と貸借対照表上の保有金の不符合となつたのであります。本保有金の未調定の分に対しましては、二十三年度に調定いたしました。なお、関係者に対しましては、将来このようなことのないよう注意を與えました。  以上をもちまして二十二年度決算概要の説明を終りたいと思います。何とぞよろしく御審議のほど御願い申し上げます。
  43. 川端佳夫

    川端委員長代理 今ここで一件、二十一年度検査報告の中に盛り込んでありました二十二年度分の説明を求めます。
  44. 石井昭正

    ○石井政府委員 昭和二十一年度検査報告の百四十一ページの、昭和二十二年度の是正させた事項の、「通行税の納付を遅延したもの」でございますが、これは、「運輸省において、昭和二十二年四月から九月までの間に、国有鉄道の乘客から徴收した通行税一五七、四九三、八一二円を一般会計の歳入に納付していなかつたので、同年十月会計実地検査の際速やかに納付するよう注意したところ、十月及び十一月全額を納付した。」「右の外、同省においては二十一年三月から二十二年三月までに徴收した通行税についても、その納付は左表のように遅延している状況である。」という御批難なのでございますが、これは御承知のように終戰後におきまして、旅客運賃の改正が数次行われておりまして、ちようどこの期間にも二回ばかり運賃の改正が行われたわけでございます。通行税は一応五%ということになつておりまするが、旅客から徴收いたします具体的な額は、ラウンド・ナンバーの切上げ切捨てをやつております関係上、結局そのお客さんから徴收した額の五%ということでなくして、全体を通じまして総計いたしました金額に対しまして、一定の割合をもつて納付するように大蔵省と協議してあるわけでございます。その運賃の收入の基礎がかわりましたために、大蔵省との協議に手間どつておりまして、両方とも事務上十分なる連絡がとれなかつたために納付方が遅れたわけでございます。そのような事情でございましたので、そういうことが決定いたしまして、すみやかに納付するということにいたしたのでございます。何とぞ御了承願いたいと思います。
  45. 井之口政雄

    井之口委員 運輸省関係決算について、全般的な点をひとつ御質問いたしたいと思つております。  運輸省の方は今度会計も六月一日からいよいよ新しくなるようになつたので、従来の決算もきちんとしておらなければならいのだろうと思うのでありますが、こうしていろいろ会計検査院からの指摘事項を見てみますと、運輸省関係方面財政が非常に乱雑になつておることを感ずるのであります。第一いろいろの特殊物件並びに放出物件等に対しても、徴收未納のものがいまだにあるというふうなことがあります。それからなお厖大な不用品の買込みがあつて、それが退死蔵されておるというふうなこともこれによつて指摘されております。同時にそれらのものがまた不当な価格でもつて拂い下げられて、弘済会等によつてブローカー的に取扱われておるというふうな事実もある。さらに国鉄で使つておりますところの石炭、この石炭の問題などもどうなつて来るか。従来においてさえすでに惡質炭を買うて、そうして惡質炭によつて多額の出費がかかつておるというふうなことを見るのであります。こういう方面に対しまして、当局が最近定員法によつて首切りもし、独立採算制の建前からどうしてもそれだけの人員を減らさなければならぬというふうなことで、大きな整理もやつておるのでありますが、こうした方面の乱雑なる経理状態を見てみますと、これをわれわれがここに指摘されている事項だけを概算してみましても、二、三十億の金がむだに使われておることがすぐわかるのであります。この点につきまして、将来特殊物件やあるいは石炭の使い方や、それからいろいろな退蔵品の始末等々について、どういうふうな根本的な方針をとつて、この経理をやり直して行こうとお考えなんでしようか。その大体の点について聞いてみたいと思つております。
  46. 石井昭正

    ○石井政府委員 ただいまお話のございました特殊物件の代金につきましては、先ほど説明の際にも申し上げた通り、二十三年度の調定済み総額四億二千五百万円のうちすでに四億一千九百万円ほどは收入済みでございます。残る年度を越しました分はわずかに六百三十余万円でございまして、特殊物件の拂下げをいたしました当時の経済事情からかんがみまして、必ずしも收入状態が惡いというほどではないと思つておるのでございます。なおこの問題は、今後には起り得ない問題ではないかと存じます。  不用品の拂下げでございますが、戰争中及び終戰直後におきます物資の購入難の事情は皆様も十分御承知でございまして、この間にありまして、何とかして鉄道の運営を維持して行くために、やや焦燥にかられまして、多少不用品を買い込んだということもございますし、また必要な物品の購入にあたりましては、当時の経済事情におきまして、ある程度あまり有効でない物品も同時に購入いたしませんと、必要な物品の入手を得られなかつたというような事情も、私生活、公生活を問わず御了解願える点もあるのではないかと思うのであります。この売却につきましては、今日では全部公開入札の制度をとつておりまして、いろいろ御疑問を持たれるようなことは、今後は絶対にないと思うのであります。  石炭につきましては、これはことさらに惡質炭を買つたわけではございませんので、惡質炭は国鉄といたしましても非常に迷惑をいたしておりまして、消費量が多くなり、しかも單価がかさみ経営費は増すのであります。何とかして良質炭を得たいということに苦慮しておつたのでございますが、何分質より量というような増炭計画でございましたので、なかなか思うように参りませんでしたが、本年度になりまして、御承知の通り石炭の需給関係も緩和して参りましたために、石炭の品質の向上も著しく、そのために消費量も相当減じております。それと一般の消費節約と合せて、本年度においても当初の見込みより、約四十億程度の石炭の節約ができる見込みでございます。この條件は来年度予算にもそのまま見込んで考えている次第でございます。石炭の節約には十分努力いたしているつもりでございます。
  47. 井之口政雄

    井之口委員 欠損が五月三十一日で約九十億くらいになるのじやありませんか。そういう欠損の始末等々について、これは新しい会計に移るについての国鉄の会計経理面はどうなつておりますか。
  48. 石井昭正

    ○石井政府委員 五月三十一日に国有鉄道というコーポレーシヨンに引継ぎましたときの損失金は四百二十六億八千二百万円でございます。このうち四百三億が繰越損失金になつております。これは御承知の通り終戰後におきまして鉄道の運賃が押えられまして、一方インフレーシヨンのために物件費は高騰いたしますし、また給與の改善等によりまして人件費も高騰したのでありますが、それに対応すべき收入面の改善が、物価政策その他の点で押えられましたために、累計いたしまして四百三億の欠損を生じたのであります。これが二十三年度末までの欠損の累計でございます。そのほかに昭和二十四年の四月、五月分の損失金といたしまして二十三億七千六百万円ございます。これは御承知の通り本年度予算を年間通じての均衡を得るがごとくとつてあるのでありまして、四月におきましてはいまだ旅客運賃の引上げ等も行われません関係上、均衡を失した形のままになつているものでありまして、これが一応そのまま当期損失金として引継いだのであります。これは六月以降の收支によつて消し得ることになつているわけであります。
  49. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、四百二十六億のこの損失金はどういう形で将来に残つて行きますか。それに対する善後策というようなものの持合せはありませんか。
  50. 石井昭正

    ○石井政府委員 これは負債として一般会計からの受入れ三百九十九億六千九百万円ということで処理しております。その差額が約二十七億ございます。
  51. 井之口政雄

    井之口委員 こうした大きな損失を招くについても、もつと従来から経営を引締めてかかつて行かなければならなかつたのに、鉄道弘済会その他の間にとりかわされているような事実を見ますと、どうもその間に政府当局と他の府県との間に、なれ合いで国家の財産というものを非常におろそかに取扱つたというようなことがうかがわれるのであります。第一弘済会というものについてのことは、今日でも考査委員会で問題になつているはずでありますが、これについてここで会計検査院指摘なつている点は、拂下げ物資について、ブローカー的なやり方をしたというようなことになつております。かつこの弘済会というものは、この資金をいろいろな事業に投資もしているのでありますが、これについて政府当局の方においては、将来どんなふうに取扱つて行きたいとお考えでございますか。
  52. 石井昭正

    ○石井政府委員 ブローカー的というお話につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、当時の事情といたしまして、一括して拂下げいたしませんと、非常に莫大な多様の品目の整理がつきかねたので、やむを得ずやつた次第でございます。今後こういうことはいたさないように、全部公開並びに直接の入札をするというやり方に改めたいということも、御説明申し上げたつもりでございます。
  53. 井之口政雄

    井之口委員 それでは荒木さんの方にちよつとお伺いしますが、この弘済会の問題につきまして、今ほどいろいろな説明を聞いたのでありますが、当時の事情がやむを得なかつたというようなだけの御答弁のようであります。しかし少くともこれを根本的に改組するか何かしなければ、こうした事情は将来とてもなかなか起つて来るのじやなかろうかと思うのでありますが、その点どうでございましよう。
  54. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 弘済会を根本的に改組するということでございますが、弘済会は御承知のように、国有鉄道とは別個の存在でございまして、民法上の公益法人でございますために、官の力によつて、強制力を用いてこれを改組するというわけには参らないわけでございます。従つてその点は、政府として直接法的措置をもつて強制するということはできません。しかしながら弘済会がいろいろやつておりますことは、社会事業団体としてやつておりますものでございまして、それが社会事業団体としての正当な範囲を逸脱しているというようなことがなされます場合においては、運輸大臣は、監督官庁としてその矯正をはかるというよりほかはなかろうと思うのであります。
  55. 井之口政雄

    井之口委員 それに対して全般的な、将来にこうしたことが起らぬような何か方針というものは、お持ちではございませんでしようか。
  56. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 それは全般的に運輸省が、運輸大臣の監督下にあります公益法人として、その各法人が法人の目的に記載してあります事項に対して効果をあげるように、その目的の範囲を逸脱しないようにするということに関しましては、常時監督をするつもりでございます。
  57. 井之口政雄

    井之口委員 今までの状態で、何か刑法上の問題は起つていませんか。
  58. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 刑法上の問題に関しましては、われわれ行政部内で、とやかく申すべき問題ではございません。司法部内の問題だと思いますが、私の存じている限りにおきましては、運輸省と弘済会との関係において、刑法上の問題が起つたということは聞いておりません。
  59. 井之口政雄

    井之口委員 将来運輸省の関係が、経営面において人員の増加とか、あるいは給與の面においてもつと給與を引上げるというふうなことが可能でありましようか。経営の方から、その点はどう見通しをつけておいでになりますか。
  60. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 経営の面に関しましては、本年度の補正予算がすでに本国会に提出に相なつております。来年度の二十五年度一般予算が、目下編成の途中にあつて、近く決定するわけでございますが、補正予算におきましては、給與を改正するという予算は計上してございません。二十五年度予算につきましても、給與べースの改定に関する予算は、目下のところ計上されておりません。その業績があがつた場合に、給與の改善に向けるかどうかという問題でございますが、二十五年度予算に関しては、いまだその見通しはついておりません。
  61. 井之口政雄

    井之口委員 貨物運賃の値上げ等は、すでにもくろまれておるようでありますが、そういうもくろみをもつてしても、なお見通しはつかないのでございましようか。
  62. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 その通りでございます。
  63. 金子與重郎

    ○金子委員 批難事項にあります三百五十五ですね。従業員に対する加配米の代金を、貯蔵品として代金の代拂いをしているということでありますが、これは配給が終らないためにそうしたのか、配給しておつてまだ金が組合員からとれなかつたのか、その点がよくわからないのでありますが、一体鉄道に入つている人ならば、当然これはどの国民でも、みな食糧をもらうときには、現金で拂つているはずなんでありますが、こういう仕事に携わつている人たちだけが、掛買いでこの時代に食糧が入るということであると、そこに非常に問題があると思うのでありますが、その点はどういうふうになつていますか。
  64. 石井昭正

    ○石井政府委員 これは最初は、共済組合の物資部において労務加配米を買いまして、それを従事員に渡している。従事員が共済組合に支拂うということでございましたが、その間にどうしても買つてから代金が入りますまでに、約二、三箇月を要しますので、共済組合の資金が枯渇いたしましたので、一旦鉄道特別会計の貯蔵品として購入いたしまして、その上で共済組合の物資部に売り渡すことにしたのであります。その資金が寢ている間だけ特別会計で肩がわりをした、こういう関係でございます。
  65. 金子與重郎

    ○金子委員 私の質問申し上げたのはそうでなくして、この共済組合の組合員というものは、加配米をもらうのに、掛売りでもらえるような形になつているかどうかと言うのです。要するに、現金でもらえれば、金がこういうふうに掛売りになつて、なお回收ができぬということはないはずなんですけれども、相当こういう期間があるということは、現物をだれか持つてつて、そのために拂えないのか。あるいは現在の国民全般が、食糧の配給はみな現金で受けているのに、鉄道に従事している人たちだけが、掛売りで配給を受けているのかどうか。
  66. 石井昭正

    ○石井政府委員 食糧事務所に対しましては、現金で買わなければならない。特例を認められておるわけではございません。ただその間御承知のように、鉄道従業員の生計は非常に窮迫しておりまして、この労務加配米を直接現金で買うということも、はなはだ困難な事情にありましたために、一応物資部においてその分を立てかえて、その後に各個人から徴收するという形をとつたわけでございます。
  67. 金子與重郎

    ○金子委員 そうすると今私のお聞きするところによると、掛売りということになるのですね。
  68. 石井昭正

    ○石井政府委員 買う方の個人から見ますと、掛売りということになると思いますが、食糧事務所の方に対しましては、現金で納めておるのであります。
  69. 金子與重郎

    ○金子委員 そういたしますと、先にど申し上げたように、今度は米代も上つて来る。先ほど井之口委員からの質問にありましたように、給料は上つて来ないということになりますと、生計の困難ということは当然出て来るわけでありますが、そうした場合、あなたの御主張によりますと、組合員はやはり加配米を買うぜにがない。ほかの組合の人たちも貧乏しておる人はたくさんありますが、とにかく鉄道に従業しておるがゆえに、金がないときには加配米は掛売りしてもらえるのだ、その掛売りする機関である共済会にぜにがないときには、一体どういうふうに処理するかというと、こういうようなことを繰返す危険性が多分にあると思います。それはどういうふうに今後処置されますか。
  70. 石井昭正

    ○石井政府委員 これは掛売りでと申しましても、結局代金は当人が支拂つておるわけでございまして、要するに給料が出るまで徴收は見合わすという結果になることと思うのであります。これを政府が負担するというような筋合いではないので、ただいまの御質問に対しましては、別段私どもといたしまして、かような毎月々々給料が出るときに徴收して行く間の操作としては、必ずしも不当ではないのじやないかと考えております。
  71. 金子與重郎

    ○金子委員 共済会がこれをやることは不当でないということはわかるのですよ。だけれどもここにあつた事件は、共済会が立てかえ拂いをする。給料を拂うまでの間立てかえ拂いをするということ自体はよろしいのですが、共済会に金がないから出したという事件なんです。共済会に金がなかつたときはまたこういうことが起るんじやないか、こういうことなんであります。そういう場合にどういうふうにして今後なくせるか。一体この問題は、ほかのサラリーマンであつても、配給を受けるとき必ず金があるとは限らない。こういうようなことによつて今後加配米の配給をするという方針が立たなければ、再び同じようなことを繰返す危險があるのじやないか、こういうことを申し上げておるのです。
  72. 石井昭正

    ○石井政府委員 労務加配米につきましては、事業主が現品を調達する義務があるやに聞いておるのでございます。そういう観点から、もちろんお話のあつたように資金ができますれば、物資部においてやる方が妥当かと思います。ただいま申し上げたような意味におきまして、今なおこの立てかえはやつておるわけでございます。しかしお話のようにできるだけ物資部の資金を充実させまして、共済組合の資金においてこれを行うことが一番適当であると考える次第であります。
  73. 金子與重郎

    ○金子委員 はなはだ不満であります。ただいまの答弁ではまことに不明瞭なんで、要領を得ておりません。私は一切納得しませんが、こんな同じ問答みたいなことを繰返しても何にもなりませんから、この問題はこれでやめておきます。
  74. 井之口政雄

    井之口委員 個々の問題について二、三お聞きします。この三百五十二の不用の物品を多量に購入したものですが、これは会計検査院指摘するところによりますと、国有鉄道事業特別会計においては、二十二年度末現在、約九億三千八百万円の使用不適格品、または跛行貯蔵品を保有するということになつておりますが、これは事実でございますか。
  75. 石井昭正

    ○石井政府委員 この検査院の報告書の九億三千八百万円は事実でございます。但しこのうちには先ほど申し上げましたように、ある程度の特殊物件も入つておるのでございます。
  76. 井之口政雄

    井之口委員 この中に、終戰後民間から買い上げたものが幾らくらい入つておりますか。
  77. 石井昭正

    ○石井政府委員 はなはだ申訳ございませんが、終戰後ということになりますと、ただいま調べを持つておりません。
  78. 井之口政雄

    井之口委員 放出物資や特殊物件も入つていると言われますと、シヤツだとか、先に出ておりました真綿のチヨツキ、石けんというものも入つておると思うのですが、そういうものでなくして、大阪鉄道局で入江某から購入した自動車修繕用部分品だとか、昭和電極工業株式会社から買入れた電気用熔接棒だとかいうものが、何割くらいになるかということを聞いております。
  79. 石井昭正

    ○石井政府委員 せつかくの御質問でございますが、貯蔵品は戰争中からのが相当累積されておるのでございまして、ただいまの御質問に御満足していただけるような調査資料は相当手数を要するかと思います。また要しましても、資料の滅失等でわかりかねるかとも思います。ただ特殊物件は、大体約二割程度はあるとお考えなつてけつこうかと思います。
  80. 井之口政雄

    井之口委員 特殊物件は処分して放出したのじやないでしようか。これはその後買い込んだものじやないでしようか。
  81. 石井昭正

    ○石井政府委員 二十二年度末の九億三千八百万円の使用不適格品、または跛行貯蔵品のうちには、ただいま申し上げましたように約二割程度の特殊物件が入つておるようでございます。
  82. 井之口政雄

    井之口委員 会計検査院で、これに対して、この問題について何か御調査になつていらつしやいませんでしようか。
  83. 綿貫謹一

    ○綿貫説明員 ただいまの死退蔵品の問題でありますが、死退蔵品の中に民間から買い上げたもの、あるいは終戰後買い上たものがどのくらいあるかという点については、そこまで当局でもお調べがないくらいでありますので、われわれの方としてもそこまで調べてございません。ただ種類はどういうものかというくらいは調べてございます。
  84. 井之口政雄

    井之口委員 種類の点でも、大体のところをちよつと知らしてもらいたい。
  85. 綿貫謹一

    ○綿貫説明員 大体金額的に申し上げまして、一番大きなものはやはり銅材、電線あるいは枕木というようなものでございます。
  86. 井之口政雄

    井之口委員 そういたしますと、枕木のようなものはいいものならば使えるのだろうから、不良品を買い込んだというわけですか。使つて惡くなつたものであるなら、使用不適格品や跛行貯蔵品ではないだろうと思うのですけれども……。それから鋼材とかあるいは電線のようなものも、まさか鉄塊の形であるものじやなかろうし、やはり何か機械類やいろいろなものの形で存在しなければならないのだろうと思いますが、今のお話でありますと、何だか使用した後の廃品のように受取れるような気がするのでありますが、これはおそらく不適格品でありますからして、結局使えないようなものを買入れたというふうに理解されますが、どうでしようか。
  87. 綿貫謹一

    ○綿貫説明員 ただいまの点でありますが、私の言葉が足らなかつたために御了解願えなかつた点もあるかと思います。これは私への質問ではないようでありますが、この死退蔵品あるいは不適格品、そのほかに跛行貯蔵品というようなものが入つております。たとえばそのものは不適格ではないが、それに付属する品物がないとか、あるいはちようどそれに合うような品物がない。つまり両方相まつて一つのものになる場合に、片方が多過ぎて片方が少な過ぎるために、跛行的に貯蔵される品物がありますので、惡いものを買つたというようなことも多少あると思いますが、それが全部でないというふうに御了解願いたいと思います。
  88. 井之口政雄

    井之口委員 それにしても跛行貯蔵品は、不用なものを買い込んだというふうに理解されると思いますが、これをもし廃品のようなものと理解するならば、大して驚くことはないが、新品としてかかるものを買い込まれ、使用することもできなくて、大阪鉄道局において指摘されているような例があるといたしますと、非常にこれは大きな問題だと思う。今ここに指摘されておるのは約八百六十万円で、そのうち、四百六十七万円が不正になつている。そういたしますとあと何億という品物ですから、何億という品物の不正が起つて来ると、それに関連して各所の鉄道局にこうした事件が起つていなければならないと推論されますが、とうでしようか。会計検査院検査内容について伺います。
  89. 綿貫謹一

    ○綿貫説明員 ただいまの御質問でありますが、これは先ほど当局からも御説明のありましたように、いつ、どこから買つたものであるかということが、相当年月がたつておりますのではつきりいたしません。つまり検査いたしております際に、こういうことまで調べるのでありますが、調べきれない部分が多々あるのであります。従いましてこういう九億何ぼというものがある以上は、その九億何ぼについて全部洗えばよいのでありますが、洗いきれない部分があるのであります。そのためにはつきりいたしました部分だけを検査報告してあるのであります。従いまして私どもは九億何千万円というものが適当というふうには見ておらないわけでありますが、その原因が具体的にこれはいつどこでどういう品物を、どういう状態のもとにおいて買つたかということまでつかみませんと、皆さんはよく検査報告の問題を批難だとおつしやいますが、相手方を批難いたすその批難という意味におとり願うといたしますと、そういう抽象的なものを申し上げてかえつて事実を誤つてはいかぬというので、検査報告には特にはつきりした部分だけを摘出いたしました。それでこの九億なんぼが、多少そういうものもあるであろうという具体的な証拠はつかまえておりませんが、結果的にみまして、これだけの跛行なり、不適格の品物があるという事実まではわかりましたから、念のためにここに九億何千万円のこういうものがあるという程度にとどめたわけありまして、お説まことにごもつともでありますが、御承知のようにああいう厖大な、百億あるいは八十億に達する貯蔵品につきまして、一々その適格性の検査を時々いたすことは困難でありますので、ただいま申し上げた程度の具体的事実しかつかまえ得られなかつたということに相なる次第でございます。
  90. 井之口政雄

    井之口委員 私たちは会計検査院検査を非常に信頼しておるのであります。三百五十二の指摘は不用の物品を多量に購入したものとして指摘され、そして例として一と二をあげられまして、総括的にこういう品物が九億からあるといわれておる。だからこれの内容を発表しようと思えば、発表するだけの確実は証拠書類は、会計検査院にはあるものとわれわれは推定するのであります。そうでなかつたら、こういう結論は出て来ない。そういたしますと、普通の一般資材の保有物であるならばいざ知らず、ここに使用不適格品、または不用貯蔵品という銘を打つて、しかも不用の物品を多量に購入したというところに入つておるのでありますから、この短い二行の文章の裏づけになつておるところの事実は、必ずあると思うのですが、われわれはその事実を知りたいのです。その事実を知ることによつて、国の財政がどういうように正しく使われておるか。またはそのうちに不正がどのくらい奧底まで入つておるかいうことを、われわれは判断し得るのですが、この点は会計検査院の御説明では、ただ形容的に言われておるにとどまりまして、はなはだ満足しかねるのでございますが、この点どうですか。
  91. 綿貫謹一

    ○綿貫説明員 ただいまの点でありますが、結局同じことを繰返すようになつて恐縮でありますが、つまりこれは貯蔵品として当時持つておりました九億何ぼが、現実に使えないという事実は間違いない。ですからそういう使えないものが九億何ぼかある。これはさらにここにあげてあります二つの例以外にまだあるのだが、お前の方でそれをしまつておるのではないかというような意味にとれましたが、決して隠してあるわけでも何でもありません。正直にあげまして九億何ぼという、かような現在使えない品物を、当局は急いで処分しておるものがあるわけでございます。この使えないものが九億にも達しておる。それは戰時中からずつと累積されたものでありまして、そういうものがあるという事実だけは間違いないのでありまして、そういうものがあるということを御報告申し上げておる次第でございます。
  92. 井之口政雄

    井之口委員 どこまで行つても同じですが、ここにおいてわれわれが理解する点は、これは單なる廃品、單なる使用不可能なるもの、不適当なるものというのではなくして、これは不用の物品を多量に購入したものの中で、まだ使用もしないうちからすでに使用の役に立つていないものだというふうに理解するのが最も正しいと思うのでありますが、もしそれが会計検査院の方でお出しにならなければしかたがありません。  次にお聞きいたしますが、先ほどの石炭の問題です。配炭公団から二十二年度に受けておる石炭で、非常に惡質炭が多かつたということを聞いておるのでございますが、どのくらいの惡質炭があつて、そのために国鉄は一年の間にどのくらいの損害を受けておるか。会計検査院においておおよその見当がつくだろうと思うのでありますが、どうですか。
  93. 綿貫謹一

    ○綿貫説明員 お話の点でありますが、ただいまそういう関係の資料を手元に持つておりません。これは私が間違つておるかしれませんが、私の了解いたしておりますところでは、惡質炭と申しますよりも、むしろ級の低い炭と申しますか、五千カロリーなら五千カロリーとして売り渡されたもののうち、一部五千カロリーに達せぬ四千カロリーとか、あるいは四千五百カロリーという程度の炭が、鉄道に二十二年度中に入つてつたということは、自分も承知いたしております。これについては私の方から質問書も出しておつたのでありますけれども、当時の取引の実情から申しまして、配炭公団においては値引はせぬということで、鉄道でもやむをえずその代価を拂つておられたという事実は、私も承知をいたしております。しかしこれは検査報告として掲ぐべき事項でないということで、検査報告には掲げてございません。
  94. 井之口政雄

    井之口委員 こういうことはやはり検査報告の中に明瞭に書いて、国民に知らしていただいた方がいいと思います。国鉄がああした状態で、いろいろな社会問題になつておる今日でございますからして、その経理面が明瞭にわかつて来ることによつて、国民は安心もするし、政府の立場も了解することができると思うのです。もし何か調査でもございましたら、その調査でもこの委員会に出していただきたいと思いますが、それはできますでしようか。
  95. 綿貫謹一

    ○綿貫説明員 ただいまの点でありますが、これは検査院としてそういうものは検査報告に掲ぐべき事項ではない。一応やむを得ないものである。つまり不当ではないと決定されたものでありまして、検査報告に掲げてあります事項については、調べがついておりますれば、資料もある程度御説明いたしたいと思うのでございますが、検査報告に掲げてない事項については、ちよつと自分だけでははからいかねるのでございます。
  96. 井之口政雄

    井之口委員 それではこの次に機会を見て質問することにいたします。鉄道弘済会の鉄道高架下の使用というものは、先ほどの政府委員の方からのお話では、とりやめたということになつておりますが、日本全国において今どういう契約になつておりますか。
  97. 石井昭正

    ○石井政府委員 弘済会に一括貸與いたしまして、弘済会が、実際の使用者に貸すということはやめにいたしております。しかし既契約のものについては、それを改めるというのではなく、昭和二十四年四月六日以後新規のものにつきましては、これは全部国有鉄道と使用者との直接使用契約になるわけでございます。ただこれは鉄道局長に権限を委任しておるとたしか思つておりますから本庁ではございませんので、各鉄道局でやることと思つております。それからなお鉄道弘済会に使用を承認いたしましたものでも、第三者に転貸ができておらない。つまりまだ使つておらないものは返還させております。それから鉄道弘済会が現に第三者に賃貸しておりますものは、契約の更改期等に全部国鉄が直接使用を承認するように移行させるつもりでおるのでございます。もちろん鉄道弘済会自身が使つておりますものは別であります。第三者に使用させておりますのは移行させるつもりでおります。この更改したものは御承知のように東京都内並びに大阪市内が主でありまして、ほかにはほとんどございません。
  98. 井之口政雄

    井之口委員 今日住宅並びに倉庫の非常に少い場合においては、得てしてこういうところに不正がからみ、收賄事件等が起るものでありますが、鉄道弘済会に貸しつけて鉄道弘済会は自分では何ら手を加えないで、設備も何もしないで、他のものに又貸しをしておるような状態、これは一括鉄道弘済会に貸し付けるについても、契約上ひとつの違法じやないでしようか、どうでしようか。
  99. 石井昭正

    ○石井政府委員 違法とおつしやる意味がはつきりいたしませんが、契約上は一向さしつかえないと思います。ただその契約が法律上成立しない契約であるとは考えておりません。その契約のやり方が国家の財産を使用させるについて適当であるかどうかという点は、検査院の御判断だと思うのです。また私どもといたしましても、そういう点につきましてとかくのことが行われますことは思わしくないと思いましたので、本年から方針を改めたことは、御説明申し上げました通りでございます。
  100. 井之口政雄

    井之口委員 なおそのときに、借主からみな保証金をとつているはずでありますが、そういうふうなものはどうなさいました。それから期限なしで又借りをしているような人たちには、将来どういう取扱いをなさいますか。
  101. 石井昭正

    ○石井政府委員 転貸の際に保証金をとつておるということは、これは国鉄に対しましては弘済会が借りておるので、使用料は弘済会が拂うのでございまするから、従つて多少信用等に十分でない者に対しましては、弘済会において保証金をとるということはあり得ることではないかと思います。
  102. 井之口政雄

    井之口委員 それを将来についてもやはり許しておくのでございますか。
  103. 石井昭正

    ○石井政府委員 国鉄が直接に使用を承認する場合におきましては、資力、信用を十分に調査してやるので、おそらく保証金はとらない方式でやるだろうと存じております。
  104. 井之口政雄

    井之口委員 会計検査院指摘によりますると、二十二年度中においても約一億円に上る利益をあげている。こういうものに助成金百五十万円を交付するということは、これは思わしくないということが指摘されております。これは現在どうなつておりますか。二十三年度二十四年度等におきましても、やはりこうした関係があるのでございますか、どうでしようか。
  105. 石井昭正

    ○石井政府委員 二十四年度におきましては、助成金は支出いたしておりません。
  106. 井之口政雄

    井之口委員 二十三年度は……。
  107. 石井昭正

    ○石井政府委員 二十三年度ははつきり記憶いたしておりませんが、たしか三百万円程度交付いたしたろうと思います。
  108. 井之口政雄

    井之口委員 これは会計検査院指摘してもなお二十三年度においては、政府は改めなかつたのでございましようか。
  109. 石井昭正

    ○石井政府委員 会計検査院の御指摘を受けましたのは、二十三年度に入つてから受けたのでございまして、二十三年度予算には助成金を計上いたしておるわけでございます。ただしかしながら会計検査院の御指摘があつたから助成金の交付をやめたのではございませんで、運輸省といたしましては、国鉄の二十四年度財政の收支が、收入に比較いたしまして、支出経費を格段に落さなければならないという情勢にかんがみまして、助成等の費用までは手がまわらぬということで、廃止いたした次第でございます。
  110. 井之口政雄

    井之口委員 もう一つ最後にお聞きいたしますが、二十二年度のころは、非常にものが欠乏していた時代であります。鉄道で必要とするところのセメントだとか、その他のものの購入に対して、ずいぶん困難したろうと思うのですが、そういうふうな場合に、たいがいいろいろなところで行われておるように、物々交換をやつて、こちらの有するいろいろな財産を向うに與え、そうして向うから納付させるというようなことを、いろいろな官庁においてやつてつたものがあります。二十一年度なんかでも指摘なつて、おる部分もあるのでありますが、鉄道においては、そういうことはなかつたのでございましようか、どうでしようか。
  111. 石井昭正

    ○石井政府委員 御質問の要旨がよくわかりませんのでございまするが、物々交換というようなことによつて物資の購入をいたしておつたことはないと思うのでございますが、もう少し詳しく御指摘になれば、御説明申し上げることも可能かと思います。
  112. 井之口政雄

    井之口委員 セメントの購入について、セメント会社とある契約を結んだということがあつたのじやないのでしようか。
  113. 石井昭正

    ○石井政府委員 支給材料と申しまして、石炭を支給してセメントを購入さしたということはあるいはあるかと思います。しかしこれはもちろん価格の算定にあたりましては、支給材料をさつぴいておることは申すまでもないことでございます。
  114. 井之口政雄

    井之口委員 その御記憶になつていらしやるセメントの購入について、そうした手段をとつたころ、浅野セメント辺と当然そういうことがあつたのじやなかつたでしようか、どうでしようか。
  115. 石井昭正

    ○石井政府委員 おそらくそれは各セメント会社と契約したことと思いまするので、あるいは浅野セメントとも契約したことがあるかとも思いまするが、これは担当部局について調査いたさない限り、ちよつとここでは御返答いたしかねると思います。
  116. 井之口政雄

    井之口委員 大事な国家の財産でございますから、十分そういう点も調査していただいて、そういうものが完全に納入になつておるか、納入になつていないかもきちんとして経理していただきたいと思つております。大体個々の問題についてはそれくらいにして、特殊物件につきまして、片づけた物品、あるいはその單価等についての資料を出していただきたいものだと思つております。先ほどのお話では、ほぼ回收もついたとのことでありまするから、そういうあとをきちんとしてみたいと思つておりますから、その提出ができまするか、どうでしようか。
  117. 石井昭正

    ○石井政府委員 ただいまの資料提出の御要求は、徴收済みの金額の細目を出せ、こういうことでございますか。
  118. 井之口政雄

    井之口委員 未收の分、徴收の分、品目、單価等を……。
  119. 石井昭正

    ○石井政府委員 それは事務的に可能な限り御要望に沿うように調べてみることにいたします。
  120. 井之口政雄

    井之口委員 この特殊物件もたいがい清算をしなければならない時期に到達しておりまするから、これを機会に鉄道の方においてもいたしていただいたならば、国民のいろいろな疑惑も解かれると思います。
  121. 川端佳夫

    川端委員長代理 他に御質疑はございませんか。——それでは本日はこの程度にとどめまして、次会は二十六日午前十時から逓信省所管について審査をいたすことといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十二分散会