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1949-11-26 第6回国会 衆議院 経済安定委員会大蔵委員会通商産業委員会連合審査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十六日(土曜日)     午前十一時四分開議  出席委員  経済安定委員会    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 森   曉君    理事 成田 知巳君 理事 笹田茂太郎君    理事 米原  昶君       篠田 弘作君    福井  勇君       細田 榮藏君    勝間田清一君       田中不破三君    羽田野次郎君       岡田 春夫君    浦口 鉄夫君  大蔵委員会    理事 北澤 直吉君 理事 島村 一郎君    理事 川島 金次君 理事 内藤 友明君       岡野 清豪君    田中 啓一君       塚田十一郎君    西村 直己君       田中織之進君    宮腰 喜助君       河田 賢治君    中村 寅太君  通商産業委員会    理事 有田 二郎君 理事 神田  博君    理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君    理事 今澄  勇君 理事 有田 喜一君    理事 川上 貫一君 理事 永井 要造君       阿左美廣治君    今村長太郎君       門脇勝太郎君    首藤 新八君       高木吉之助君    中村 幸八君       福田  一君    前田 正男君       加藤 鐐造君    坂本 泰良君       高橋清治郎君    圖司 安正君  出席国務大臣         国 務 大 臣 青木 孝義君  出席政府委員         外国為替管理委         員会委員    奥村竹之助君         参  考  人         (東京銀行株式         会社取締役外国         部長)     小野 英輔君         参  考  人         (富士電機株式         会社社長)   和田 恒輔君  委員外出席者         外国為替管理委         員会委員   大久保太三郎君         大蔵事務官   伊藤 八郎君         大蔵事務官   竹腰 洋一君         通商産業事務官 竹内 龍次君         通商産業事務官 前島 敏夫君         経済安定委員会         專門員     圓地與四松君         経済安定委員会         專門員     管田清治郎君         通商産業委員会         專門員     谷崎  明君         通商産業委員会         專門員     大石 主計君         通商産業委員会         專門員     越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  外国為替及び外国貿易管理案内閣提出第四三  号)  外国為替管理委員会開設設置法案内閣提出第  四四号)  参考人意見聴取     —————————————
  2. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 これより経済安定委員会大蔵委員会通商産業委員会連合審査会を開会いたします。  それではただいまより外国為替及び外国貿易管理法案外国為替管理委員会設置法案の両案について、参考人東京銀行取締役小野英輔氏より参考意見を聴取いたすことといたします。参考人小野英輔君、お願いいたします。
  3. 小野英輔

    小野参考人 委員長の御指名によりまして、外国為替及び国貿易管理法案について、外国為替銀行としての意見を申し上げます。  現在日本再建の問題で、輸出の増強ということが最も必要。あるということは、私がここに申すまでもないことでありますが、この輸出について見ますと、先日通産省から発表になりました貿易経済白書によつて見ましても、戦前、すなわち昭和五年から九年の平均に対して、昨年の輸出は一六%強というような数字になつております。これをヨーロツパにおける諸国、イギリス、フランス、さらにわれわれと同じ敗戦団であるドイツと比較して見ましても、格段の相違があるのであります。この輸出を阻害している原因は多多ありますが、その最も重要と思われますのは、第一に国内における手数が非常に複雑であるということ、それから海外業者が派遣が遅々としてほとんど行われていないというようなこと、たとえば手続的な複雑なことについて申しますれば、輸出は一昨年の八月十五日までは全然輸入同じく、政府貿易が行われておつたのでありますが、一昨年の八月十五以後、制限付民間貿易という形式で、民間がそこに参與する余地が與えられ、さらに昨年の八月十五日以降は、いわゆるBS災約に基く方式というものが許されまして、大体民間輸出業者が、直接海外輸入業者と契約を結んで、輸出ができることになつておるのでありますが、しかしその手続は依然として輸出許可につきましても、日本側通産省並びにスキヤツプの許可をとる必要があり、またその為替取扱い日本銀行を通して、さらに内地にある海外銀行を通して行われる。すべて二重の取扱いになつておりまして、非常に手続が複雑になり、そのため輸出が非常に阻害されているということができるのであります。それから海外業者が遺憾されていない。いわゆるめくら貿易といわれているのでありますが、これも本年の六月に至りまして、やつと優先外貨使用制度というものができまして、輸出業者に対してあるパーセンテージの外貨使用を許すという制度制定されたのでありますが、それに要する海外業者の遺憾ということが非常に混々として、行われておりません。こういう問題はやはり貿易外送金というよう制度を早く確立して、輸出業者のみならず、輸出業者海外にどんどん出て、めくら貿易打開ということを早くしなければならないのでありますが、現在に至るまでそういう送金制度というようなものをきめる為替管理法というものがなかつた。さらに輸出がすべてFOB制度で行われている。つまり日本輸出業者は、外貨でもつて保險もあるいは通貨も支拂われないというために、すべてFOBで行われているために、ことに西南アジア諸国で、輸出業者でみずから外貨保險を取次ぐことが非常に不便であるというよう土地が非常に多いのでありますが、そういう土地でもつてFOB価格で商売するということは、ほとんど不可能である。そういうために輸出が非常に阻害されているということがあります。これもやはり先ほど申し上げましたように、いわゆる為替制度を包活的に規定する為替管理法を早くきめて、その中に貿易外送金とか、あるいは貿易支拂いというようなものの規則を規定することによつて、初めて解決せらるる問題でありまして、こういう点から見ましても、為替管理法制定の一日も早いことをわれわれは望んでいたわけであります。さらに輸入について申しますれば、これは終戰後現在に至るまで、全面的に政府輸入でありまして、民間でもつてごく小額バーター取引というようなことをやろうとしても、非常に手続きが複雑で、なかなか手間がかかる。従つて政府貿易で主として行われておつたのでありますが、これがために非常に不経済な輸入が行われ、その結果輸出のコストを高くしたということもいなめない事実だと思います。  これらは貿易に関することでございまするが、さらに日本再建において非常に必要だと思いますのは、外資導入の問題であります。われわれはガリオアあるいはイロアで、重要物資輸入しておりますけども、しかし日本再建をはかるためには、やはり技術、機械、あるいは外資、そういう形でもつて民間外国投資を受けなければ、とうていすみやかな復興はできないと思いますが、この外資導入基本的原則については、本年二月に発表になつておりますけれども、実際の為替間における制度がまだ確立しておらない。すなわち外国から投資しても、その元本に対する償還の割合とか、あるいは利益送金とか、そういうことについての規定がまだ全然きまつておりません。そのために声を大にして民間投資導入の必要を言つているわけでありますけれども、なかなか実際の外資導入というものは行われておりません。これらを早く日本外為面、つまりこれらの利益送金とか、元本に対する送金というものについての、一般的の原則を立てる規定をする為替管理法というものを制定しなければ、外資導入というものに期待できない。これにつきましても、われわれとしては早く為替管理法というものの制定を期待しておつた次第でございます。  さらに今後議会に出されました為替管理法を見ますと、これは将来国際通貨基金等に加入する條件を織り込んであるように見られる。この外為管理法制定によつて、先ほど申し上げましたよう輸出入の手続の簡案化、あるいはめくら貿易打開、あるいはCIF制度の確立、そのほか外資導入の問題ということを解決するばかりでなく、一面本邦外貨資金一元的統制の基礎をつくり、さらに対日外為相場の設定、あるいは本邦銀行為替業務取扱いというようなものが、これによつて規定されまして、そうして日本国際金融機関に復帰する自主的態勢を確立するということになるだろうと思います。これは将来講和会議に臨むにつきましても、非常に重要な條件であると考えますので、また最近のような非常な複雑な国際情勢で、今後の各国の貿易の競争というものは、ますます激甚になると考えられますので、一日も早くこういう根本法制定していただきたいとわれわれは希望しております。但しこの案を拝見して見ますと、大体今申し上げました貿易手続簡素化、あるいは統制の明確、簡易化ということの原則は載せておりますけれども、この運用の細則は、大体政令に委任されておるように聞いております。従つて今後われわれとしては、この政令が早く制定されないと、実際の効果が現れれない。また政令制定にあたりまして、やはり法律の精神でありますところの手続簡素化並びに統制の明確、簡易化というようなことでもつて政令制定していただかないと、この法令の目的は達せられないのだと思います。そこにこの政令制定する官庁がいろいろあるようでありますが、その間の連絡を円滑にしていただいて、その結果、細則たるべき政令が早く、そうしてその間に複雑ないろいろな関係が起らぬようにしていただきたいということを、われわれは希望するのでございます。  また先ほどこの法律は、外資導入に対して非常に意識があると申し上げましたが、それにつきましては、やはり外資導入に関する利益送金をどのくらい認めるとか、元本償還について為替管理上どういう規定を設けるということは、早くその方針をつくつていただきまして、そうして内外に声明する。現在米国情勢を見ましても、いわゆるトルーマン大統領の未開発国に対する投資ということは、非常に米国の方でも考えておるように見受けられますので、こういう情勢にあたつて、早く態度をはつきりして内外に知らすということは、一番大切じやないかと考えるのであります。要するにわれわれとしては貿易の発展、外資導入の促進、あるいは将来の国際市場への復帰の條件を確立するために、為替管理法は一日も早く成立することを希望いたします。
  4. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいまの小野英輔氏の発言に対し、御質疑があればこれを許します。
  5. 志田義信

    志田委員 先ほども私的に話をお伺いしたのでありますが、この中に担保の問題がございます。五〇%担保を設定しなければ、業者輸入業務を行うことができない。また輸出の場合もあり、両方ともできないという状況があるのでありまするが、これに対して銀行側がこれを保証するという場合には、銀行が何を目当にして保証でき得るかということを承りたい。
  6. 小野英輔

    小野参考人 輸入関係規定につきましては、実はこれは来年の一月一日から実施されると承つておりまして、まだどういうふうに政令がきまるか、私も知らないのであります。輸入業者輸入申請をするときに、証拠金を五〇%積むということは、新聞紙上でいわゆるローガン方式ということで聞いております。この為替管理法の中には、五〇%というのはないと思います。これはドイツで、輸入に非常に自由にしたけれども、しかしあまりだれでも早手まわしに独占的に輸入をしてやることを防ぐために、一応五〇%の証拠金を積むというよう制度を、ドイツではつくつたローガンはさように言つております。これが非常にきついので、ドイツでもあまり評判がよくないというようなことを聞きましたが、それで五〇%あるかどうか、その点にはつきりしませんが、要するに何パーセントかの保証金か要求する場合に、銀行業者に対して、その業者信用に応じて、あるいは証券をとるなり、国債をとるなり、いろいろな保証形式があると思う。これは銀行の方にまかせていただくのが一番よいのじやないかと思います。
  7. 志田義信

    志田委員 ただいまのお話で、そういう條文がないようお話でありますが、第五十五節に担保提供というようなことで「貨物を輸入ようとする者は、政令で定めるところにより、当該輸入の実行を保証するために、保証金証券その他の担保提供する義務を課せられることがある。」こうなつておりますので、昨日の政府委員説明でも、実は担保提供させる金を積ませる、これをやらなければ外国為替の割当できない。こういうことを言つておるのでありまして、その点、今日のわが国の業界状態から行きまして、五〇%の輸入担保提供しなければ、業務を行うことができないということは、私に非常に危惧を感ずるのであります。それで銀行におまかせ願いたいというお話でありましたが、銀行がその業者との間に、平常の取引において五〇%の担保保証するに足るという見通しをつけられる場合におきましては、日本輸入ないし輸出業者というものは、銀行の今日の状態より見て、どの程度のものが銀行としては保証でき得る状態にあるか、ちよつとお伺いしたい。
  8. 小野英輔

    小野参考人 大体日本輸入という問題につきましては、おそらく重要物資がおもなものになると思います。その量も相当多額になるものが多いのじやないか。そうなると小さな業者というものは、一応そういう大きな輸入はできない。大きな業者ならば、われわれとの取引は必ずしも一々の取引についての担保というようなものは問題にならぬ。従つてこの保証金というものは、事などは法律できめていただいてよいのですが、この担保形式銀行の方へまかしていただいたら、一番円滑に行くのじやないかと思います。
  9. 志田義信

    志田委員 形式をおまかせすることはちつとも異存はないのでありますけれども、一体銀行は、日本再建が黒字の貿易にあるという前提としての、国家再建に国民を向けしめて行くという必要から、そういう担保はでき得ないけれども、将来その輸入によつてその業者相当利益を受けて、その金を銀行に負担させないで、これを償却することができるという目途のつくもののみ、保証するという態度をとるのが、輸入に関する限りは、相当危險があつても、銀行としてはその危險を冒してもその保証をするお考えがあるのかということをちよつとお伺い申し上げたい。
  10. 小野英輔

    小野参考人 銀行といたしましては、危險のあるようものは絶対にやりません。
  11. 志田義信

    志田委員 危險のあるものは絶対に保証できないということになると、形式はおまかせするといたしましても、結局担保物件に対する実力を持つた業者でなければ、輸入ができないという結論になるのであります。そこでそういう状態の場合におきましては、現在の業界状態を見まして、私にほとんど大部分ができない状態にありはしないかと憂慮するのであります。そういう場合に、銀行といたしましては政府に対して再保証を要求するお考えがありますかどうか、お漏らし願いたい。
  12. 小野英輔

    小野参考人 それは信用のない業者に、ぜひとも輸入をさせなければならぬということになれば、業者に対して政府保証するという問題は起ると思います。それは銀行が要求するのではなく、業者が要求することです。その危險のあるものについては、今の制度では銀行としては取扱いできない。
  13. 志田義信

    志田委員 そういたしますと銀行といたしましては、政府は、信用しなけれども、業者信用するという形をとつてどこまでもやつて行きたい、こういうわけですね。
  14. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 ただいまの御質問を拜聽しておりますと、大体五〇%の保証金を必ず積ませるという前提保証金を必ず積ませるという前提のもとに、御質問になつておるように思いますが、実はその点につきましては、ただいまつくつております政令案におきましても、そういうことは考えていない。これはドイツの場合は五〇%が標準になつておるようでありますが、日本でただいまその通り実行いたしますと、御質問通り経済界事情にそぐわない場合もありますので、従つて現金担保を必ずしも要求しない。その他の損保でもけつこうである。あるいは銀行保証でもけつこうである。その種類とか、それから金額にいたしましても、ある場合には一〇%のこともあれば二〇%、三〇%のこともある。最高五〇%と考えておりますが、そういつた問題は実際経済界事情に合うように、一々その場合及び商品につきまして、今後できます閣僚審議会のさしずによりまして、通産大臣決定することになつております。
  15. 田中不破三

    田中(不)委員 ただいまの担保提供でございますが、その額、その他パーセント、そういうものを決定しますのは、どこでやられることになりましようか。それからそれはどこに今度は担保提供することになるのでありましようか、これをちよつと伺いたい。
  16. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 その決定をいたしますのは、ただいま起案しております政令では、通産大臣ということになつております。そうして通産大臣閣僚審議会のさしずによつて決定する。ですから、実際決定権を持つているのは閣僚審議会になると思います。それで一応その担保銀行へ出していただく。その後に信用状を開設いたしますときに、いずれにいたしましても銀行信用状担保を要求することになると思います。国家のために一応提供した担保は、そのときは銀行信用状担保使つてもいい。両方はダブつて担保を出す必要はないというふうにいたしております。
  17. 田中不破三

    田中(不)委員 そういたしますと先ほどちよつと小野参考人からお話がありましたのですが、大体銀行にまかしていただきたいというような御意向があつたのでありますが、ただいまの決定箇所の問題と、少し食い違いがあるようですが、その点ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  18. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 その点につきましては、まだ政令の内容を御存じありませんから、そういう銀行の御意見が出たものと思つております。
  19. 成田知巳

    成田委員 ただいまの政府委員にお聞きしますが、担保期日の問題でありますが、政令期日を定めるのではないわけですね。政令通産大臣閣僚審議会承認を得て定めるということをきめるわけですね。
  20. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 その通りでございます。
  21. 成田知巳

    成田委員 そういたしますと最高五〇%場合によつては五〇%、一〇%という場合もあるというお話でしたが、それは品物別によるのでありますか。その都度申請者によつて五%、十%となるのですか。
  22. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 その点につきましては、もちろん申請した人によつて差別をつけるわけではございません。そのときり状態品物についてつけるのであります。たとえばこれは実際の経験を少し積めば見当がつくのでありますが、非常に輸入申請申込みが殺到する。そういうものは比較的担保を高くする。ことに思感をやるようなおそれのある場合は、担保を高くしてそれをチエツクする。それから輸入品物につきまして、あるいはそのときの需給状況によりまして、非常に申請のたくさん殺到しないもの、しかも思惑があまり行われていないと認められる場合は、担保を低くするといつたような大体の方針が採用されております。
  23. 米原昶

    米原委員 参考人の方にちよつとお尋ねしたい。先ほどの話で重要商品国際商品など、小さい業者まで利しないということまでおつしやつたのですが、その場合外国の商社が相当進出して来ると思います。むしろそういう需要商品になると、日本の現在の業者ではあまり扱える人がなくなるのではないかと考えます。そういう見通しはというものでございますか。
  24. 小野英輔

    小野参考人 現在でも相当外商輸入をやつておる事実はあるのです。しかし日本メーカー貿易業者というものの連繋は、相当古い連繋がありまして、ことに重要商品については密接な関係がついておる。従つてその点で新しく来た外商メーカー連繋することは、なかなかむずかしいのじやないか。單にわずかな採算とかいう問題で、なかなか外商につかないということが考えられる。しかしそれにしても今後のローガン・システムでやりますと、安くて早く商品をした者がよくなるので、そのためにはやはりめくら貿易といいますか、海外に全然代表者のない日本の商人は不利益になる。だからなるべく早くめくら貿易打開して、輸出業者ばかりでなく、輸入業者代表者海外に出すというようにしないといかぬと思います。
  25. 川上貫一

    川上委員 政府の方と参考人両方にお聞きしたい。今の担保の問題ですが、きようお話を聞くと、損保はその時分で審議会承認を得て、通産大臣がきめるというような御答弁らしい。たくさん入つて来るようなつたら担保を高くとり、少く入つたならば担保は低くするということになると、これはどうなるのですか。たとえばたくさん入つて来るよう品物といつても、それは一定の期間でありまして、担保を何ぼ納めるかということを、期間を短く切つて、そのたびごとに出すということは、非常に煩雑な手心の加わつた奇妙なことになつてしまうと思うのです。そこは一体どうなるのですか。一年とありましても、そういう状態があるのですか。その見通しをつけてやるのですか。実際の状況に応じて終始担保をかえて行くのですか。その点をまずお聞きしたい。  第二の問題は、参考人の方にお聞きしたい。今の外商の問題は、輸出の方もそうでありましようが、ことに輸入の問題では、これはどうしても先物買いの問題があります。そしてこれは資金情報網がなければなかなかうまく行かない。そういうところには金利の関係も重大に影響しますから、銀行融資関係で、外商が非常に有利な地位に立つ。今の日本実情から考えて、こういうことをわれわれは考えるのですが、あなたの方の見方でこの点はどうですか。ことに輸入についてことごとくと言えば、言い過ぎますけれども、ほとんどがことに担保の問題がここに加わつて来まして、利子関係資金関係情報網などでとれてもけんかにならぬと考えるが、これらの考えちよつとお聞きしたい。
  26. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 ただいまの御質問に対しまして、まことに御質問通りこれは非常に煩雑なものになると思います。それで昨日外貨予算の点について多少の説明がございましたが、外貨予算は大体向う三箇月余りぐらいずつ常に発表して行く。そのときにどういう商品幾らまで買つてよろしいということを、その都度発表するのでありますが、これは四半期ごとに一ぺんずつ、つまり一年に四回発表すればいいというようなものでなくて、必要に応じてにその間、さらにそれを修正して発表するとも必要であろうと思います。それで担保の額におきましても予算発表するごとに、この商品については担保幾らということを、決定しなくてはならないだろうと考えております。その担保目的は、一つはただ輸入為替権利だけとつておいて、思惑をして、その後の市況の上下によつて、悪くなれば権利を放棄するというよう思惑を防ぐことが第一の目的で、もう一つはそういう思惑を許しますと、実情以上にいわゆる仮需要為替申請が殺到する、これを防ぐ。この二つの目的がありますので、それは先ほど申しましたように、そのときの需給状態によつてかわつて参ります。そこで今の予算発表するごとに担保の額、種類等を検討することが必要だろうと考えます。
  27. 小野英輔

    小野参考人 先ほどの外商の問題に対することでございますが、輸入につきましては、先ほど御質問がありましたように、外商が有利であるということは否定できないと思います。向うに本店がありますし、資金も持つておる。また先ほど仰せの通り情報網も向うの方は十分に持つておるわけであります。従つてその点か商売がしやすいということは確かに言えると思います。  それから金利の点でございすが、これも今後制定される制度によつて大分違うわけですが、やはり外国銀行海外の安い金利が使えるということに確かにあります。従つてその外国銀行使つて輸入する場合に、外商の方が有利ではないかということも一応は考えられます。しかしこれがために、われわれとしては早くめくら貿易打開して、海外の情報も向こうに負けないようにどんどん手に入れる。それから商売も向うに商社ができ、代表者を派遣して、それを通じてどんどん契約ができるというようにしなければならぬと考えておるわけです。さらにまた金利の問題等につきまして、今後日本側為替銀行並びに外国銀行、この間の採算というものについては、大体同じにできる制度をつくつていただきたいと考えております。こういう制度をつくれば、それによつて金利の点において外商が有利であるという点もなくなります。こういうこまかい点については、今後の細則によつてとつ十分考慮していただきたいと思います。
  28. 川上貫一

    川上委員 それについても一つ聞きたいのですが、今のめくら貿易であれば非常に不利だ。外国の商社の方が非常に有利だということはよくわかりますが、めくら貿易打開という問題は、そう簡單にできる問題ではないと思う。今後の政府考えでは、通商管を派遣するということになつておりますが、日本の商社の代理店もないのに通商管を派遣しましても、わずかに情報をとるというくらいしかできない。この程度のことではめくら貿易がなかなか解決できない状態になつておる。こういう場合にはどうなりますか。めくら貿易が解決すればいいという前提に立つておるが、これがなかなか解決できないとしたらどうなるかということが、第一点であります。  第二点は、外国の金利と日本の金利は、莫大な開きがある。少しの操作くらいで寄せられる金利でない。金利織込みの操作をいたしましても、この開きは相当大きいのですが、銀行関係の方からお考えになつて、一体金利織込みの操作でこの大きな開きをないようにすることができる可能性があるとお思いになりますか。この二点を伺いたい。
  29. 小野英輔

    小野参考人 めくら貿易打開ができないおつしやいますが、これはぜひともできるだけやつていただきたい。つまり海外政府貿易あつせん所のような機関、あるいは領事館のような機関を早くつくつておく。それから各界の貿易人の代表というようなものを向こうに派遣する。現にそういう機運に動いておるように見受けられますが、大体日本貿易というのに、非常にエキスパートが多いので、またそれは雑多な種類にわたつておりまして、かりにめくら貿易であつても、なかなか向うの商売人に負けないくらいの力があるのじやないか。もちろんこれが戰前のようにどこの国にも自由に行けるし、またその貿易條件も、戦前のように非常に楽な貿易條件でできるということになれば、なおそれに越したことはないと想います。その点はわれわれとしても、さらにどんどん業者が行けるようになることは希望しております。ある程度の制限があることは、戰後はやむを得ない。ある国では日本業者を入れないという国も、まだ相当あります。またそれに使う外貨資金も限度があるので、そう昔ほど自由にどんどん行けないことは確かであります。しかしおつしやるように、これのために貿易が非常に不利になつても、海外業者に負けてしまうというようにはならぬと思います。また日本に来ている外商というものは、まだそう有力なものがたくさん来ておりません。また日本に来て貿易ようというものは、そうたくさんあるとは考えられない。やはり大部分は日本の商人の手で今でも扱つている状態なので、今後今までよりもめくら貿易がある程度打開されれば、今後外商に全部独占されるというよう危險はないと思います。  それから金利の点でございますけれども、非常に莫大な差があるとかおつしやいましたが、われわれ今後金利の問題で特に問題になるのは、輸入の点ですが、結局輸入はわれわれの持つている外資の限度においてするということになれば、その外資政府が持つている外資なんですが、この外資をわれわれに安く貸してもらうというよう制度ができれば、これも外国銀行あるいは業者と十分対抗して行けると思う。従つてその点も幾分かの不利な條件が当分の間残るかもしれませんが、制度のいかんによつてはそう大した差がなくてやつて行けるのじやないかと思います。
  30. 志田義信

    志田委員 ちよつと小野参考人にお尋ねいたしますが、先ほど参考人からお話がありました国際通貨基金の制度に参加するように、C・I・Pの制度の確立、めくら貿易の解消、單一為替の相場の設定というようなことが、本法業務の施行の結果、非常によくなるというお話がありましたが、今の国際通貨基金の問題はブレトン・ウツズ協定の問題と思いますから、少し詳しく説明を願いたいと思います。
  31. 小野英輔

    小野参考人 CIFの問題とか、めくら貿易打開というような問題につきまして、別にブレトン・ウツズと特に関係があるとい意味ではないのであります。この為替管理法が設定されることによつて、CIFの制度というようなものが策にできるようになりますし、めくら貿易打開も可能になる。さらにこの為替管理制度なるものか、将来国際通貨基金等に加入する資格のある情勢をつくるということが根本であるという意味で、私は申し上げたのでありまして、ブレトン・ウツズの国際通貨基金の規定の中で、為替管理について特にはつきりした規定はないのであります。いわゆる正常の取引については、これは制限してはいけない。その他のことについては、各国の状況に応じてある程度の為替管理をすることは認めております。しかし国際通貨基金に加入する以上、單一相場とか、あるいはその相場に基く為替の調整というものが、一律的にできて行くという態勢は必要なのであります。その意味でこの為替管理法を早く設定する。そして将来国際市場に復帰する資格をつくるという意味で、必要だということを申し上げた次第であります。
  32. 志田義信

    志田委員 今單一為替レートの問題が出ておつたようでありますが、單一為替レートの設定が日本の産業に一大変革をもたらしたことに、われわれも同感なのでありまして、すなわち封鎖経済を自立復興の経済にして行くための日本経済の構造を、国際経済との関連性において考えて行くということは、私も了承できるのでありますけれども、この為替管理法が施行されるあかつきにおきましては、もし日本業者外貨使用して、これを十分に運営し、あるいはこれを取得して蓄積し得るという状態に置いてこそ、初めて国際通貨基金、ブレトン・ウツズの協定に参加できる建前になると思うのであります。しかし今のような、先ほど来の私及びほかの委員からもるるお話を承つておるよう担保の問題に至りますと、相当大きな障害になるのではないかということが私は考えられるのでありまして、この管理法が施行せられます場合におきまして、ただちに国際通貨基金の協定に参加できるというような甘い考え考えられないのではないかと私は思うのであります。その担保の割当の問題につきましても、先ほど政府説明員からのお話もあつたようでありますけれども、まだどうもその程度のことをどういうふうにするのかということが、よくわからないのであります。たとえば輸入の限度の問題がここにあるのでありまして——これは説明員にお尋ね申し上げるのでありますが、一品の荷物について一人の者が一定の期間内に輸入できるという限度を言つておりますが、これはどういう限度を言うのでありますか、ひとつお示しを願いたいと思います。
  33. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 ただいまの質問でございますが、それは独占を禁止するためにつくつた規定でございまして、たとえば第四・四半期にある商品を百万ドル輸入してもよろしいということをきめましたときに、一、二社で百万ドルを全部独占してしまうということになりますと、内地の市場をつり上げるとかいつたような不都合なことが起りますので、一商社の申請し得る額を、全体の何割にとどめるという規定をつくりたいと思つております。それでドイツの例は二割ということになつております。二割だと、つまり五社で最悪の場合、全部とれるわけであります。はたしてそれがいいかどうか。これを承認するやいなやは、そのときの状態によつて異なると思います。日本の場合はさらにその限度を小さくするということも必要だと思われます。それはやはりその都度決定するという方針でおります。
  34. 志田義信

    志田委員 それはやはり重要品目というように限定いたすのでございますか。
  35. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 すべての許される商品について、限度をつくるわけでございます。
  36. 志田義信

    志田委員 それから同時に担保に関連するのでありますが、法例で定められた地域ということが法例にございますが、この地域というのは、どういう地政をお考えになつておられますか。
  37. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 その地域と申しますのは、御承知のよう外貨がたくさんな種類にわかれております。ドルの場合には世界どこから買つてもよろしいのでありますが、ポンドの場合は、ポンド地域以外からは買えない。それからその他のオープン・アカウントの国々になりますと、これはその相手国以外から買えないのでございまして、たとえばタイ国に対するわが国のクレジツトで、ビルマから物を買うことはできない。それでその外貨種類によりまして、相手国の地域も限定しなければならないという場合を想像してつくつたのであります。
  38. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 志田君にちよつと申し上げますが、参考人の方は非常にお忙しい中をおいでくださつているものですから、なるべく参考人に対する質疑を先にしていただきたいと思います。あとさらに安定委員会といたしましても、政府当局に対する質疑はこれを続けて参りたいと思いますから、そのつもりで願いたいと思います。
  39. 志田義信

    志田委員 では政府説明員の方にはあとでまたゆつくりお尋ねすることとして、一応打切ります。  説明員の方にさつき私お尋ねしたのでありますけれども、担保をやる場合におきまして、居住者と非居住者という問題が第五條にありますけれども、非入居者、つまり外国人だと思いますが、非住居者の期間ということにつきまして、相当検討なさる必要が出て来やしないかと思うのでありますが、参考人の方でそういう場合に、非住居者に対してはどの程度の期間をもつて非居住者と見るというようなお考えがありますか。
  40. 小野英輔

    小野参考人 非住居者の期間といいますのは、外国人で日本に来まして——旅行である場合、少し滞在が長くなつて、これは住居者と見なければならぬかという、その期間の問題だと思いますが、これはやはり必要に応じて、おそらく大蔵大臣が認定するようなことになると思います。この法令では、日本に居住する者に、外国人でも何でもこの法令の対象になるということになつております。なるべく早く非居住者を居住者とみなしてやらないと、そこにいろいろな問題が起ると思います。しかしその判定に大体その取引の内容に応じて、大蔵大臣がきめるということに了解しております。
  41. 篠田弘作

    ○篠田委員 貿易のところで、特に輸出の問題でお伺いしたいのでありますが、輸出の問題では通産大臣の認可を得なければならないということになつておりますが、これが次に「前項の政令による制度は、国際収支の均衡の維持並びに外国貿易及び、国民経済の健全な発表に必要な範囲をこえてはならない。」という問題があるのであります。これは結局は外国から注文があり、こちらもその需要に応ずるものを持つているという場合には、ただ通産大臣許可を受ければいいのであつて、それに対して何らかの立場からそれを制限するというようなことが、この一項であり得るように聞えるのですが、それにどういう意味ですか。
  42. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 四十八條でそういう場合を規定しておりますのは、昨日通産局長からも御説明したと思いますが、第一に、わが国の稀少物資、たとえば輸入したものの再輸出ようなもの、主食とかそういつたものを制限する。第二は、その他原料の関係とか、いろいろな理由で輸出を制限しなければならぬものがたくさんありますので、これを最小限において許可制にするといつた趣旨であります。
  43. 篠田弘作

    ○篠田委員 大体において特殊の物品以外は、自由に輸出ができるというふうに解釈してさしつかえないですか。
  44. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 さようでございます。
  45. 篠田弘作

    ○篠田委員 次に代金の問題でありますが、結局輸出に対する代金は為替銀行を通して受取ることになるのかどうか。代金の受取りは政府統制のもとに置かれるかどうかということを伺いたい。
  46. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 今の御質問は円貨の受取りかと存じますが……
  47. 篠田弘作

    ○篠田委員 そうです。
  48. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 それは全部外国為替銀行を通して輸出したものは受取れるのであります。
  49. 篠田弘作

    ○篠田委員 受取る場合は銀行を通ずるわけですね。
  50. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 つまり船積み一切を銀行の窓口に出せば、そこで銀行がその手形を買いとつて、ただちに円貨を拂う。銀行がとつた円貨は外国為替特別会計に拂い込む。そうして銀行輸出業者に金を拂いますから、その拂つた金は外国為替特別会計から銀行に拂いもとして来る。そうして外国から取入れた外貨政府がそれを持つ。こういうことになります。
  51. 篠田弘作

    ○篠田委員 そうしますと結局輸出の代金というものは、一般市中銀行でその証明があれば取扱うということになつて、あとの決済は銀行為替銀行との関係になるのか。あるいはまた為替銀行を最初に通貨して、その証明がなければ一般市中銀行で扱わないのか。もし後者であるとすれば、代金を受取るまでに非常な日数を要する場合があると考えられるのでありますが、それに対する金融とか、そういう方面の処置はどうなるのか、ひとつ説明をしてもらいたいと思います。
  52. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 一般市中銀行取扱います場合は、外国為替銀行の委任を受けてその事務を取扱うということになります。
  53. 篠田弘作

    ○篠田委員 その間のずれはどうですか。
  54. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 ずれはほとんど時間的にはないと思います。
  55. 篠田弘作

    ○篠田委員 時間的にずれがないとしてそれに対する、たとえば一箇月なり半月なりの金融の補償というものは全然考えておりませんか。
  56. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 一箇月も半月その間にずれはないと思います。
  57. 篠田弘作

    ○篠田委員 それは思つておるだろうけれども、実際においてたくさんの輸出代金を受取るということになれば、為替銀行というものは一つなんだから、結局その間に事務の煩雑だとかいろいろの関係上、そこに相当のずれが実際上できるのではないかというふうに考えられるけれども、その解釈はどうですか。
  58. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 これは輸出いたします信用状條件によつて異なりますが、現在やつておりますのは大体東京ですぐドル貨がとれますので、実際輸出した方が銀行に書類を提出してから、銀行が迅速に事を運べば、数日の間にわれわれの方にもドルが入りますので、その間のずれは非常に短いものと存じます。
  59. 福田一

    ○福田委員 わかりました。
  60. 北澤直吉

    ○北澤委員 せつかく当局の方からおいでになつておりますから、お聞きしたいと思います。今度の為替貿易法実施について最も大事なことは、外国銀行がいかにこれに協力するかという問題であると思うのですが、そういう点につきまして、今日本におきまする外国銀行の活動の状況の大体について、御説明いたいと思います。
  61. 小野英輔

    小野参考人 ただいま日本外国銀行は十行ございます。アメリカ系が三行、イギリス系が三行、オランダ系が二行、フランス系が一行、中国一行、全体で十行ございまして、しかもいわゆる外設のバンクとして、スキヤツプのライセンスによつて営業しておるわけであります。現在扱つておる業務為替業務、それから貯金等は日本人の直接の取引は全然許されておりません。全部ここにある外国銀行その取引に限られておる。また特殊の銀行は、進駐軍の軍関係業務をやつております。しかしながらその為替業務は、日本銀行はまだ全然できないことになつております。ただ日本銀行が許されておる点は輸出の面で、業者からドキユメントの提出があつた場合に、その輸出の書類と信用状條件をチエツクしまして、それを外国銀行に持つて行く。外国銀行はそれを買い取りまして、この外貨でもつてここにある外銀のいわゆるスキヤツプ・コマーシヤル・アカウントに入れる。そういうことをやつております。輸入につきましては、輸入は全部制限貿易である関系上、司令部の依頼で輸入信用状外国に出しておる。そして手形が来ますと、このスキヤツプ・コマーシヤル・アカウントから落とすという仕組みで輸入業務をやつております。この日本にある外国銀行が、日本人と直接の取引をやるということが問題でありますが、われわれの考えでは現在為替外国関係が全部独占しておる。従つてわれわれも同じ立場で為替が許されるときまでは、直接日本人の商売取引は許されないのが当然ではないかと考えておるのでありますが、しかし直接われわれが為替業務を取扱うことができるようになれば、外銀と日本人との取引を許しましても、それによつてわれわれ日本銀行の立場が非常に弱くなるというようなことは、まずないであろうと思います。外銀がここにあるということは、結局世界有数の大きな銀行の、またアメリカなりイギリスなりの実業の代表が、ここにおるというふうにも考えられますので、結局今後の外資導入とか、その他の海外関係におきまして、この銀行案の意見というものは、本国の実業家に影響するところ非常に大きなのがある。従つてわれわれとしてはむしろ外銀がことにあるということは、歓迎すべきである。これに対して差別待遇するとか、あるいは排斥するよう態度を示すことはいけない。また実際の業務間におきましても、外国銀行とわれわれの銀行とは、国内においては非常な相違いありますし、その他語学の関係とか、外国銀行の事務の取扱いが非常に違うというようなことからして、そう大きな競争になるとは考えません。むしろわれわれとしては協調して、将来の日本外国為替取引を発展させることができるのじやないかと考ております。但しわれわれとしては、外国為替銀行として日本銀行が将発展するためには、ある程度ここに外国銀行と同じ程度の採算とか、その他の点においてやつて行けるようにしていだきたいということを考えております。これは結局今後の輸入の問題につきまして、金利をどうするとか、あるいは国内の金融におきまして、外銀に円資を供給する場合の金利をどうするかという場合において、われわれと同じ採算で仕事ができるようにしていただきたい。そうすれば外国銀行日本銀行とは協調してやつて行けるのじやないかと考えます。
  62. 北澤直吉

    ○北澤委員 現在日本にいる外銀が、円資金を獲得する場合において、どういう状況になつておりますか。やはり特別な扱いを受けておりますねか。
  63. 小野英輔

    小野参考人 事情はよくわかりませんけれども、先ほど申しましたように、外国銀行日本人からの預金まだ受取れない。かりに預金があつたとしても、外国商社の日本におるもの、そうするとその額におのずから制限がありまして、そう大きな預金があるとは考えられません。但し外国商社のうちにも映画会社とか、出版会社というものは、相当内地でもつて資金を持つておりますから、それらのごく数社の円預金が主だと思います。
  64. 志田義信

    志田委員 先ほど同僚の篠田委員からお尋ねしたことに対して、政府の答弁があつたのでありますが、信用状をもつて決済資金とするというが、その決済方法にイレヴオカブル信用状でやることについて、銀行側としてはいかがでしようか。今まで通り当分の間は輸出前の送金決済、レター・オブオーソリテイーというのでやつた方がいいというお考えはありませんか。
  65. 小野英輔

    小野参考人 現在の輸出は、全部標準決済方法で、外国銀行のイレヴオカブル・コンフアームドの信用状というふうにきまつております。これは戦争後の各国の状況で、向うの輸入業者信用状もはつきりいたしませんし、また内地の業者信用も戦前とは違つております。そういう場合に、つまり銀行信用状の商売であるということは、最も適当なものであります。もしこれでやらなかつたならば、輸出をしてもそれに対して代金が回収されないとか、あるいは信用のない商社に行つたために、いろんなペテンにかかるということがしばしばあつたと思います。また内地におきましても、輸出業者信用状態が戰前ほど確立しておりませんので、そういう商社に対して金融をするという場合にも、非常な不便があつたのだと思いますが、全部これが外国銀行の一流銀行信用ベースで行われたために、比較的円滑に行われた。但し戰前のことを考えますと、一流銀行信用状ベースでやるという商売は、実は日本輸出はパーセンテージが少い。日本商品はやはりある場合には委託販売のよう形式にしなければならぬし、あるいは向こうの輸入業者日本商品を取扱つておるもの比較的小さな業者相当つた。そういうものはなかなか一流銀行信用状発行するということが、困難だというものが非常に多かつた従つて今後外国貿易がますます各国の競争が激しくなるという場合に、日本輸出だけが常に一流銀行信用状を要求するということになると、その点ではある程度不利じやないかと考えられますが、しかしこれを信用状にかわるレター・オブ・オーソリテイーとか、あるいは輸出先のDPとがDAとかいうものを條件にするためには、どうしても業者海外に出まして、向うの業者に直接取引しまして、業者との接触を保つようなことができるようにならなければならぬし、またさらに日本銀行も向うに支店を設け、向うで向うの業者信用を與えるとか、そういうことができるようにならないと、なかなかむずかしい。従つて現在の日本状況では、当分の間は信用状提出、信用状ベースということが続くのではないか。但しある特殊な品物について、委託販売というよう形式も、あるいは並行して行われる必要がだんだんに起つて来るのじやないかと思います。
  66. 志田義信

    志田委員 さつき本法が施行されれば、外資の導出についても非常によくなるというので、期待しておるというお話がありましたが、同時に本法四十九條に明記されておるところによると、資本逃避の防止ということが考えられておるのじやないかと思うのでありますが、本法において資本逃避を防止することが可能であると、銀行側は見られるかどうか。参考人の御意見を伺いたい。
  67. 小野英輔

    小野参考人 資本逃避は、いたずらに厳重な規定を設けても、外国のバイヤーと日本のセーラーとの間で通じ合つてやれば、ある程度できるものと考えなければならぬと思いますが、しかしこれは税関の檢査、それから銀行の方で確かに代金を受取つたという確認でもつて、一応防げるじやないか。しかし商品を安く売つて、向うで代金の一部を積立てるというようなことは考えられないことはないけれども、それは税関で檢査して、不当な安い価格で出すということは防げるというよう考えております。
  68. 川上貫一

    川上委員 これは政府委員の方にちよつとお聞きしたいのですが、保証金の問題です。たくさん入つて来るものは、いろいろな思惑その他の危險があるから、保証金を高くする。少いものは安くするということをおつしやつた。ところが少ないものは、これはどつちかといえば危險なんだ。たくさん入つて来るようなものはどんどん売れるものであつて、必ずもうかる方の、心配のない方のものは高くとる。そうでないものは保証金を安くしておく。これは裏を返して言いますと、うんともうかりそうな、都合のよいものだからたくさんとるのですから、そのものは高くなりますと、大業者でなければこの保証金は納められない。そうすると、うんともうかるものは大業者にやらせる。あまりたくさん来ぬようなもので、危險ようなものでも、まあやろうというようなものに、これは保証金は少くて済むということは、実際問題としてさかしまだと思う。これにどうお考えになりますか。
  69. 奥村竹之助

    奥村(竹)政府委員 ただいまの御質問で、ちよつと私の前に申し上げましたことに誤解の点があるかと思いますが、私が申しましたのは、たくさん入つて来るものに保証金を高くする。少なく入つて来るものに少くすると申し上げたのではございません。輸入為替申請が殺到するようなものに、これをチエツクする意味で、一定の金額の対して、たとえば百万ドルの商品のものに対して申請が百万ドルという場合は、殺到していないのでありまして、五万ドルの予算のものに対して、五十万ドルの申請が来るという場合が、申請の殺到する場合であります。そういつた場合をチエツクするという意味で申し上げたのでございます。
  70. 川上貫一

    川上委員 それは持つてようとする人が多い場合でしよう。——あとでまとめて質問します。
  71. 小野瀬忠兵衞

    小野委員 東京銀行小野英輔君に対する質問大体終了したようでございますから、これで打切りまして、引続き参考人富士電機株式会社和田恒輔君より、参考意見を聴取いたします。参考人和田恒輔君
  72. 和田恒輔

    ○和田参考人 和田でございます。実は突然でございまして、私まだよく研究はしておりませんが、先ほど小野さんからもお話がございましたように、今度の法案が成立しますことは、われわれ実際仕事をやつております者からも非常に望ましいことでございまして、ただ現在御承知のよう手続が非常にめんどうになつておりますから、これはなるべく簡単にして、やりいいようにやつていただきたい。非常に抽象的になりますが、そういうふうに考えておりますので、そういう趣旨に沿つてこの法案の各條項が成立しますように、お願いしたいと思うのであります。現在のところ私が関係しております電機界の例について考えますと、非常に手続がめんとうでございまして、見積りをいたしましてから、実際に契約をし、品物を出までの手続がたいへんなものです。これを一日は早く簡單にしてやつていただくことができれば、もつともつと仕事がはかどつて貿易も進歩して行くのじやないか。幸いに今度日英交渉できたようでありまして、インド方面なんかからインクワイアリーがたくさん来ております。現に私の会社も、最近インドに人をやることにつきまして許可をいただきましたので、最近やる予定になつておるのですが、ことに技術の方はやはり現地に人が行つていろいろ説明をし、また向うの質問に答えるということにならなければ、ほんとうのものにならないのですが、今度ようやくその運びになつておしますので、一方この為替管理法案が成立しまして、内地の手続が簡單になるということ、今言うように在外の駐在員を置けるというようになれば、再々相対してわが国の貿易の進歩に非常に寄與することでたいかと思いますが、その意味でひとつ御審査を願いたいと思います。
  73. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは和田参考人に対し御質疑があれば、これを許します。
  74. 志田義信

    志田委員 先ほどの参考人に引続いて、たいへん御多忙のところを恐れ入りますが、しばらくお尋ね申し上げたいと思います。  民間輸入はいよいよこれで一つのルールに乗つて、ある種の制限はありますけれども、自由に行われるようになるのでありますが、輸入の金融の問題につきまして、政府はスタンプ手形制を考えておるようでありますけれども、これに対して業界の方としてはいかがお考えになつておりますか。
  75. 和田恒輔

    ○和田参考人 今お話ように、金融の問題は業者としては非常に大きな問題でございますが、私の仕事について申しますと、実際に注文を受けて品物を出すまでに、相当長い期間かかるのであります。その間の金融をまず考えていただかなければならぬと思うのであります。向うからの信用状が来るのにも、相当に時間がかかりますが、注文書が来ましたならば、その注文書を紙つきにして、市中銀行から一応金融していただく。あるいは向うに前金の交渉はむろんいたしますが、全部が全部前金というわけにも行かない場合がありますので、その材料仕入れその他の必要な資金を紙つきで、注文書を担保といいますか、一つの証拠資材として金融していただく。そういう措置をとつていただかないと、ほんとうの仕事ができて行かないのじやないか。むろんそれはいよいよ信用状が来ましてから、それをもつてお返しするということになるのでありますが、業種によつて非常に迷いますが、私どもで申しますと、その間少くとも半年、長ければ十箇月あるいは一年とい日置数はかかると思います。そういう点をひとつ考えおきを願いたいと思います。
  76. 志田義信

    志田委員 今貿易決済の期間の問題が出ておりますが、これに関連して政府委員にお答え願いたいのでありますが、このスタンプ手形を出す場合におきましては、このスタンプ手形の性格は、どういう性格のものを出されるお考えでありますか。貿易手形と同様のものと了承してよいかどうか、ちよつとお尋ねしておきます。
  77. 竹内龍次

    ○竹内説明員 金融関係銀行局長がやつておりまして、私あまりよく存じませんが、大体今おつしやつたふうに考えておるものと私考えております。
  78. 志田義信

    志田委員 それは関係が違うのでだめかもしれませんけれども、その点は午後にいたします。  それからちよつと参考人の方にお伺い申し上げますが、さつきの担保の問題でございます。一〇%、二〇%、五〇%という輸入についての担保が問題になつておりますけれども、業者としてはどうお考えになつておりますか。
  79. 和田恒輔

    ○和田参考人 これは先ほどからお話がございましたように、コントロールすることの意味において、担保はある程度やむを得ぬと思うのでありますることは、非常に困難なことであります。なるべくそのパーセンテージを低くしていただくということと、それから地方によりましては、実際に業者は現物の担保提供しないでも、銀行保証していただいて、それをもつて担保をかえるということに、ぜひともとりはからつていただきたいと思つております。五〇%ということになりますと、非常な金額でありますから、特殊なものなればあるいはやむを得ぬかもしれませんけれども、一般的にはそういうような高率の担保でなしにやつていただきたいということを要望いたします。
  80. 志田義信

    志田委員 担保銀行によつて行われるという場合に、業者に対しては、銀行は従来の信用状をしんしやくして、担保を強要することになるということは、先ほど説明員からの御説明があつたのでありまするけれども、現在の業界状態におきまして、皆さんが業者を開始する場合に、銀行の取捨選択によつて貿易ができるできないということが決定されるということになりますれば、信用状況が非常に問題だと思うのであります。しかも日本貿易は、御承知の通り中小企業を基盤としておる貿易が非常に多いのでありまして、日本の中小企業は、信用状態において非常に欠けるところがあるのではないかと私は思うのでありますが、そういう銀行からの信用を受けられ得るとお考えになつておりますかどうですか。その点をお伺い申し上げます。
  81. 和田恒輔

    ○和田参考人 それはお説の通りだろうと思うのでありますが、そこでやはり高率の保証金をとるということになると、小さいものはやれぬということとなりますから、保証金はコントロールする意味において必要かと思いますが、なるべく低率にしてやつていただくということにお願いしたいと思います。
  82. 志田義信

    志田委員 業界の方々としては、政府に対して保証の再保証をお考え願うよう考え方はございませんでしようか。お尋ね申し上げます。
  83. 和田恒輔

    ○和田参考人 金額によりましては、自分で保証金を積むことができないかもしれませんが、それが日本にとつてどうしても輸入しなければならぬものだというような場合には、業者としては政府に再保証を要求するという場合に起り得ると思います。
  84. 志田義信

    志田委員 貿易に関しまして何らかの状態の変化があつて、その取消しをしたような場合に対しましては、業者はどういうふうなお考えでこれの補正要求するお考えでございますか。
  85. 和田恒輔

    ○和田参考人 ちよつと今の御質問の要旨がはつきりいたしませんが……
  86. 志田義信

    志田委員 業者の方にお尋ね申し上げたいのは、輸出ないしは輸入にあたりまして、皆さんが争つてというか、急いで輸出のわくをとるという場合に、それだけの輸出あるいは輸入が、必ずしも見通しがあつて、ないしは見通しがなくても、将来それだけのわくのものはとつておかなければならぬという場合に、むりをして信用をつくつて、そうしてそういうわくをとる状態が出て来るのではないかと思う。そういう場合、その輸出入ともそれが何らかの事情でできなかつたというような場合に、取消される状態になるのではないかと私は思う。そういう場合に対しては、どういうふうにお考えになりますか。
  87. 和田恒輔

    ○和田参考人 それ結局、業者としては非常に自粛をしなければならぬことだと思うのでありますが、ほんとうにそれを繰返してやりますと、結局その人信用関係することになるのであります。のみならず自分の保証金あるいは没収され、なくすということになりましようし、銀行保証を頼んで、銀行保証をされた場合、銀行に迷惑をかけたことになりますから、保証金を積むということは非常に業者を自制さすということになると思うのであります。ですから、それはあまり高率では困りますか、ある程度今の状況下においては、やむを得ぬのではないかと思います。
  88. 志田義信

    志田委員 輸出入とも不当な競争をつまり競合状態を排除する独古禁止的な考えもあるということが、先ほど政府説明員からもお話があつたのでありますけれども、民間貿易におきまして、競合しないでやり得るということができるものであるかどうか、ちよつとお尋ねしたい。
  89. 和田恒輔

    ○和田参考人 ものによつて非常に違うと思うのでありますが、大体において競合する場合が大多数だろうと思うのであります。それをやはりチエツクする意味において、今の保証ということが必要になつて来るのではないかと思うのであります。
  90. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ほかに御質疑はございませんか。参考人に対する質疑があれば、この際お許しいたします。  別に御質疑もないようでございますから、この際お諮りいたします。本連合審査会も会を重ねること三回に及び、本日は各位のご要望によりまして、参考人を招致いたしましてその意見を聴取いたし、委員各位の質疑も大体において終了いたしておるよう考えられますので、大蔵委員、通産委員各位のうち、さらに質疑を継続される御希望のある方は、経済安定委員会において、委員外発言としてこれをお許しいたすことといたしますから、本連合審査会はこの程度をもちまし一応打切ることにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは本連合審査会はこれをもつて打切ることといたします。なお経済安定委員会は、午後一時半から本委員室において再開いたします。     午後零時三十七分散会