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1949-11-25 第6回国会 衆議院 経済安定委員会大蔵委員会通商産業委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十五日(金曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員  経済安定委員会    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 成田 知巳君    理事 笹山茂太郎君 理事 米原  昶君    理事 金光 義邦君 理事 高倉 定助君       福井  勇君    細田 榮藏君       田中不破三君    羽田野次郎君       岡田 春夫君    浦口 鉄男君  大蔵委員会    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 小山 長規君 理事 島村 一郎君    理事 荒木萬壽夫君 理事 林  百郎君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 内藤 友明君       岡野 清豪君    佐久間 徹君       塚田十一郎君    苫米地英俊君       中野 武雄君    西村 直己君       三宅 則義君    田中織之進君       松尾トシ子君    宮腰 喜助君       河田 賢治君    中村 寅太君  通商産業委員会    理事 有田 二郎君 理事 神田  博君    理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君    理事 今澄  勇君 理事 有田 喜一君    理事 川上 貫一君 理事 永井 要造君       阿左美廣治君    今村長太郎君       岩川 與助君    高木吉之助君       多武良哲三君    中村 幸八君       福田  一君    前田 正男君       加藤 鐐造君    坂本 泰良君       高橋清治郎君    圖司 安正君  出席国務大臣         国 務 大 臣 青木 孝義君  出席政府委員         (法制意見第二         局長)         法務府事務官  林  修三君         外国為替管理委         員会委員長   木内 信胤君         外国為替管理委         員       奥村竹之助君         (理財局長)         大蔵事務官   伊原  隆君         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         経済安定政務次         官       西村 久之君         経済安定本部副         長官      山本 米治君         (貿易局長)         経済安定事務官 谷林 正敏君         物価政務次官  坂田 英一君  委員外出席者         外国為替管理委         員      大久保太三郎君         通商産業事務官 武内 龍次君         経済安定委員会         專門員     圓地與四松君         経済安定委員会         專門員     菅田清治郎君         通商産業委員会         專門員     谷崎  明君         通商産業委員会         專門員     大石 主計君         通商産業委員会         專門員     越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  外国為替及び外国貿易管理法案内閣提出第四  三号)  外国為替管理委員会設置法案内閣提出題四四  号)     —————————————
  2. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 これより経済安定委員会大蔵委員会通商産業委員会連合審査会を開会いたします。  私が議案を付託された委員会委員長職務行つておりますから、水連合審査会委員長尺職務を行います。  昨日に引続き、外国為替及び外国貿易管理法案及び外国為替管理委員会設置法案を議題として、審議を続行いたします。これより質疑に入ります。北澤君。
  3. 北澤直吉

    北澤委員 いろいろお聞きしたいことがあるのでありますが、まず最初にお聞きしたいのは、昨日安本長官から御説明のありました外国為替及び外国貿易管理法案提案理由の中に、わが国の国際経済への参加態勢をすみやかに確立することが必要になつたというふうに書いてありまして、そのためにこういうふうな法案が出たのだというふうな御説明であつたのですが、日本国際経済への参加態勢といたしましては、対内的の態勢と対外的の態勢と二つあると思うのであります。対外的の準備態勢といたしましては、この法案のように外国為替及び外国貿易に関しまする態勢を整えると同時に、あるいは税関その他についても、現在の関税協定というもの、関税法というものを直す必要があると思いますが、日本国際経済参加するための国内準備態勢については、貿易為替の間におきましてはこの法律で十分だ、これによつて日本国際経済機構参加できる準備が一応これで整つたのだ、こういうふうな解釈でありますかどうか。御答弁願いたいと思います。
  4. 西村久之

    西村(久)政府委員 私より簡單に御答弁申しあげます。国内経済態勢貿易態勢が、この法律で確立したという意味ではないのであります。この法律趣旨にのつとりまして、今後国内態勢もこの法律趣旨に沿うように貿易改善をして行くという趣旨のもとに、この法律案を提出してあるわけでありますから、さよう御了承願います。
  5. 北澤直吉

    北澤委員 御承知のように日本経済を再建するためには、日本がなるべく早く国際経済社会に復帰しまして、国際経済の一環として日本経済の再建をはかるということが必要であります。その日本国際経済機構参加するためには、対外的にもいろいろな準備がいると思うのであります。最近では日本国際小麦協定参加するというわけで、現に日本代表者がロンドンの国際小麦協会理事会行つて、いろいろ話しているのでありますが、そのほかにも国際貿易機構、あるいは国際関税協定、あるいは国際通貨基金、あるいは国際開発復興銀行等、もろもろの国際的な経済機構がありますので、これに対しまして日本になるべく早く参加することが、日本経済の発展をはかるに必要と思うのでありますが、そういうものに対しまして、日本政府はそういう国際経済機構への参加について、どういうふうな準備あるいは方法をとつておりますか。その点をお伺いしたいと思います。
  6. 西村久之

    西村(久)政府委員 具体的な問題でないので、お答えにはなはだ困るのでありますが、今実例をあげられましたような貿易機構等関係につきましても、関係方面と折衝を重ねまして、なるだけ自由な取引をいたしますことについて、自由なる出入りのできるような港などについての改善方法も、政府として着々その対策を進めておるわけでございますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  7. 神田博

    神田委員 緊急質問をしたいと思います。これは非常にお急ぎになつておられ、また非常に重要な法案のように私は考えておるのですが、昨日来から連合審査会を開いておるのにに、主管大臣が一人もお見えになつておりません。これは要求なさつておられるのですか。どういうふうになつておるのか。とにかく三大臣をひとつ呼んでいただいて、早く質疑を修了させるような方法をとつていただく方が、本案を促進する上に非常に必要だと思います。ことに主管大臣が出ておられないことは、はなはだこの法案審議上遺憾だと思いまするし、大分声がありますので、その間の事情を御説明していただくと同時に、出席するように強く要望したいと思います。
  8. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいま委員部の方から、三大臣出席を求めておりますから、やがてお見えになることと思います。
  9. 北澤直吉

    北澤委員 それではただいまの問題は、大臣がおいでになりましてからさらに質問をいたすことにいたしまして、その次の質問に映ります。  この外国為替及び外国貿易管理法案を見ますと、これはほんとうの骨組みだけを書いておりまして、そのほかのことは政令もしくは命令の方に委任してあるのであります。すなわち委任立法範囲が非常に広くしてあるわけであります。これは国会立法権というものを大福に制限して、行政権範囲を非常に広くしたように思うのでありますが、もちろんこういう為替相場というようなものは、臨機応変の処置が必要なのでありまして、法律によつて詳しいことまできめて、弾力性を少くすることは、もちろんいけないのであります。どうもわれわれが見ますと、あまりに行政権範囲か広くなつて国会立法権というものが制限されておる。こういうふうに思うのでありますが、この点に関する政府の御意見を伺いたい。
  10. 西村久之

    西村(久)政府委員 お尋ねの点はごもつともな点があるのでありますが、今日の国際経済情勢の急変は御承知通りでありまして、変転きわまりないときに、立法処置のみに拘束せられるということは、好ましいことではないのであります。その間調整をはかつて経済の安定を期するという意味に基きまして、いろいろの政令をよけいこしらえてあるわけであります。その関係からいたしまして、本法にも再検討という他の法律にない條章を設けまして、皆様方の御協賛を得たいという趣旨を示しておるわけでありますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  11. 北澤直吉

    北澤委員 それに関連して申し上げたいのは、第六條の第一項に、「本邦」とは、本州、北海道、四国、九州及び命令で定めその附属の島をいう。」というわけでありますが、日本領土範囲命令できめるというようなことは、いかがなものであるか。これは当然講和条約その他できまるのでありまして、領土範囲というものを命令で決めるということについては、疑問を持つておるのであります。この点に関する御意見を伺いたい。
  12. 西村久之

    西村(久)政府委員 本法律案に関してある命令云々という関係は、ポツダム勅令の際の一例をあげますれば、対馬みたような島を、特に日本国というものに指定した。そういう島嶼を含むものであろうと私は信じておるわけであります。
  13. 北澤直吉

    北澤委員 それでは次の質問に移りますが、外国為替相場の問題であります。これによりますと基準外国為替相場というものと、裁定外国為替相場というものと、それから外国為替管理委員会外国為替売買する相場を定めるその相場、その次に外国為替管理委員会は、大蔵大臣承認を得て、正当な外国為替取引における外国為替売相場買相場を定める。こういうふうにいろいろ為替相場の種類があるのでありますが、これについて御説明を願いたいと思います。
  14. 西村久之

    西村(久)政府委員 本件に対する説明は、他の政府委員からいたさせます。
  15. 木内信胤

    木内政府委員 私から今の御質問についてお答え申しあげます。第一に基準相場と申しますのは、現在の一ドル三百六十円というのが、基準相場であります。第二の正しい裁定外国為替相場と申しますのは、一ドルは三百六十円ときまつておりますときに、一ポンドは円で幾らかを決める。それがそのときのドルに対するポンドの相場によつて、一ポンド何円であるかということをきめるのが裁定であります。それを裁定為替相場と呼んでおりますが、それに正しいと申しますのは、近ごろ国際関係で一つの熟語になつておるものでありますが、いわゆる国際通貨基金加盟国は、それぞれ登録しております。その登録相場をもとにして裁定するのであるという趣旨であります。  第三の外国為替管理委員会外国為替売買するときの相場と申しますのは、俗に集中と言つているのは、外貨資金政府の手に一応收めることでありますが、そのときには外国為替管理委員会がこれを買うことになる。それが買相場であります。使用を認めるときは、外国為替管理委員会が売るということになりますが、それが売相場ということになるのであります。その集中相場というべきものが、第三項にいう相場であります。次に第四は、一般の銀行が顧客に対して取引をするという場合の相場売買相場でありますが、それはこの法律で許されない取引をする場合の相場のことは、考えることはいりませんので、正当な外国為替取引という修飾をそれにつけまして、その意味を明らかにしておるのであります。さように御了承願います。
  16. 北澤直吉

    北澤委員 そうしますと、この外国為替管理委員会売買する相場と、それから外国為替銀行売買する相場と、二つあるわけでありますか。
  17. 木内信胤

    木内政府委員 さようでございます。
  18. 北澤直吉

    北澤委員 そうしますと、外国為替銀行売買する早稲相場につきましては、この基準相場もしくは裁定相場から百分の一、すなわち上下合わせて百分の二になるのですか。外国為替管理委員会売買する相場銀行売買する相場の開きはどのくらいになりますか。
  19. 木内信胤

    木内政府委員 外国為替銀行売買する方が、基準相場に近い相場であります。それよりも少し離れた相場銀行はお客と売買する。そのさや銀行利益、大体そういう関係になります。
  20. 北澤直吉

    北澤委員 そうしますと、外国為替管理委員会売買するのに、百分の一以内ということになりますか。
  21. 木内信胤

    木内政府委員 さようでございます。
  22. 北澤直吉

    北澤委員 それからこの外国為替管理委員会は、大蔵大臣承認を得て、取扱い手数料を定めることができる。こう書いてありますが、ただいまの御説明によりますと、外国為替銀行為替売買によつて、そのさやによつて利益を得るというわけでありますが、この取扱い手数料というものは、これはだれにやるのでありますか。
  23. 木内信胤

    木内政府委員 これは銀行が收得する手数料であります。
  24. 北澤直吉

    北澤委員 そうしますと、外国為替銀行というものは、この為替売買取扱い手数料の両方によつて收入をはかるというふうに了解してよろしいのですか。
  25. 木内信胤

    木内政府委員 さようでございます。
  26. 北澤直吉

    北澤委員 この基準外国為替相場というものは、内閣承認を得て大蔵大臣がきめるというふうになつておりますが、将来日本国際通貨基金参加するというふうなことになりますと、為替相場の決定とか、あるいは為替管理について、いろいろ條約上の制限を受けるわけでありますが、この法律はやはり国際通貨基金参加する場合には、直す必要があるのでありましよか。その点をお伺いします。
  27. 伊原隆

    伊原政府委員 この法律の立案にあたりましては、実は国際通貨基金使節団のムラデイック氏からも相当勧告を受けまして、制定いたした次第であります。たとえば、ただいまお尋ね外国為替の直物取引におけるところの相場は、百分の一以上開いてはならないというような点に、日本国際通貨基金には入つてはおりませんけれども、この規定は、たとえば国際通貨基金の第四條第三節によりまして、やはり百分の一以上開いてはいけないというふうな規定がございます。それを採用いたしておるのでございます。そのほか、たとえば第七條の第一項にございます基準外国為替相場は、すべて單一でなければならない。複数をとつてはならないということも、これは国際的の慣行でございます。それから、たとえば第二條で、為替管理というものは、国際経済が自由になるに従つてだんだんやめて行くということも、国際通貨基金法の第八條第二節に、ございまして、だんだんに外国為替話制限の除去をして行くのだ、但しその規定の第十四條第二節によりまして、当分の間国際通貨基金に入つております国でありますと、国際通貨基金承認を経れば、やむを得ない外国為替取引制限ということはやれるということで、この法律自体国際通貨基金成規に合致いたしておりますので、直す点はないのじやないかと思つております。
  28. 北澤直吉

    北澤委員 次に、外国為替売買する銀行でありますが、この為替銀行に対しましては、政府もしくは日本銀行あたりから、金融上のいろいろな便宜を與えないと、なかなか仕事ができないと思うのでありますが、為替銀行に対しまする低利資金の融通とか、あるいはそういう問題につきましては、どういうお考えですか。
  29. 山本米治

    山本政府委員 今後この外国為替及び外国貿易管理法の制定によりまして、日本対外貿易、その他取引関係が非常に太くなることも承知しておるのでありますが、これに従つて金融方面でも相当考えて行かなければならぬ部分が多いと思うのでありますが、輸出の面に関しましては、今まで御承知通り貿易手形という制限がありまして、これに対しては日本銀行は種々の優遇措置を講じております。今まで貿易金融というのは、実は名前に沿わず、実際は国内金融でありまして、輸出の前貸しでありますけれども、今後ほんとう意味貿易金融というものが起つて来るわけであります。たとえば輸入が一月一日から民間に委讓されることになるのでありますが、この輸入金融というのは、今まで実はなかつたのであります。従来政府一本やり輸入しておりましたので、貿易特別会計でありました。いわばこの貿易特別会計が、金融もやつてつたのでありますが、今後民間輸入になりますと、輸入業者銀行行つて輸入の申請をする。その場合に信用のない者がそういうことしないように、大体五〇%のマージンを積まされることになるのでありますが、こういう金融は新しい金融となりまして、業者に対してこういう輸入金融の半額をすぐに積むというような金融が、これから起つて来るのであります。さらに輸入品が到着しました場合に、いよいよ金額拂わなければならぬ。そういう場合の金融も、今後新たに起りつて来る問題でありますが、これにつきましても、輸出貿易手形に関すると同じような金融措置を今考えておる次第でありまして、やはり今までの買手のように、スタンプ手形制度でも行われるものと思いますが、これは来年一月一日から始まりますので、早急にこういう制度考えておる次第であります。
  30. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 委員各位にちよつと御報告申し上げます。先ほど御要求青木経長官池田大蔵大臣稻垣通商産業大臣は、ただいま閣議に出席中でありまして、そのために予算委員会もまだ開会できないというような状況でございますので、こちらからも出席要求いたしてはおりますが、以上の理由でありますからこの際御諒承をお願いいたします。
  31. 宮幡靖

    宮幡政府委員 速記を中止してください。
  32. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 速記をとめてください。     〔速記中止
  33. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは速記を始めてください。
  34. 北澤直吉

    北澤委員 次に第三章の外国為替予算の問題について伺いたいと思う。十六條”を見ますと、「外国為替予算は、外国為替使用可能量の慎重な予測に基いて、不足の発生に困り債務不履行又は予備費の望ましくない減少に陥ることのないように作成されなければならない。」というわけでありますが、この外国為替予算を作成するということは、最も重大な問題であると思うのであります。これのきめ方によりますと、貿易もしくは為替弾力性を持たせるという点で、非常に大きな関係があると思うのでありますが、十六條、十七條、十八條、十九條、二十條、こういう規定であれば、為替貿易につきまして十分の弾力性を持たせ得るのだ。こういうお考えでありますか。その点を承つておきたいと思います。
  35. 山本米治

    山本政府委員 御質問通りであります。
  36. 北澤直吉

    北澤委員 これに関連してお伺いしたいのですが、現在の日本国際收支状況援助物資は除きまして、それ以外の商業勘定と申すのですか、援助物資以外の日本の受取り勘定と支拂い勘定、これにつきまして御説明願いたいと思います。
  37. 谷林正敏

    谷林政府委員 ただいまの貿易関係以外の国際收支内容でございますが、これは今日まで司令部の方ですべての勘定を持つておりまして、内容数字等わかつておりません。ただ項目といたしまして私どもが考えておりますことは、たとえば海運関係、つまり用船料あるいは滞船料、それから港費保険会社への支拂い、あるいは本邦人の海外の消費、政府関係機関外国に行けばその費用、それから先ほどから言つております外貨保留制度によります外国への支出というようないろいろのアイテム、並びに御承知PX並びにOSSというようなものの外貨收入がありますが、その数字はまだ向うで持つておりまして、こちらの方でははつきりわかつておりません。
  38. 北澤直吉

    北澤委員 先日外国為替管理委員会設置法案提案理由説明の中に、「委員会は十一月一月より総司令部商業勘定記帳事務を開始いたしておりますが、将来商業勘定司司令部から移管される場合も予想されますので」云々と書いてあります。総司令部商業勘定受入れ記帳事務外国為替管理委員会でやつておるわけでありますが、これでもまだ総司令部商業勘定内容がわからぬ。こういうわけでありますか。
  39. 木内信胤

    木内政府委員 十一月一日から記帳事務を開始したのであります。その記帳事務はまだ一部でありまして、全面的の記帳事務になつておりません。やつておりますことは、日本国から見ての開花の得喪が、円の受け拂いと一体となるというものだけであります。御承知通り今までは外貨出入りと円の出入りとは、離れた別々もものとして取扱われておつた。それが一致したものについてだけ事業を開始いたしまして、その金額はわかつております。大体十九日までの数字でありますが、円にいたしまして約六十一億一千万円というものが拂出しになります。受取りの方が二十億一千万円ということになつております。全貌か判明いたしますのは、一月一日までにはそういう運ぴに至りたいと考えております。
  40. 北澤直吉

    北澤委員 そうしますと、商業勘定が総司令部から日本側に移管されるのは、一月一日までに実効される。こういうふうに了解してよろしいのですか。
  41. 木内信胤

    木内政府委員 御了解通りであります。
  42. 北澤直吉

    北澤委員 これに関連して伺いたいのですが、アメリカから日本に対しての経済援助、いわゆるガリオア、イロア資金のほかに、私の記憶では六千万ドルの綿花借款、それから一億五千万ドルの回転資金があつたわけですが、そういうものはやはりこの司令部商業勘定の中に入つておるわけでありますか。その点お伺いいたします。
  43. 山本米治

    山本政府委員 それは外であります。六千万ドルの綿花借款は、アメリカ銀行団から日本政府が受けたものでありまして、これは多分昨年の終りくらいまでにもう使い盡しまして、今はその製品によつて返済中であります。それから一億五千万ドルの米国政府予算による綿花羊毛等借款は、全部日本に対してではありません。そのうち日本が幾らかわかりませんが、これは徐々に使い出されておるように承知しております。
  44. 北澤直吉

    北澤委員 一億五千万ドルの回転資金は、もちろん日本ばかりでなく、占領地向け原料買付資金でありますが、あの中の大部分日本向けで使われておるのじやないかと思います。この間新聞を見ますと、一億五千万ドルの回転資金のうち、一億二千万ドルが使わずに残つておるということが書いてありますが、もしその辺の御事情がおわかりでしてらお答え願いたいと思います。
  45. 宮幡靖

    宮幡政府委員 北澤委員お尋ねの一億五千万ドルの回転資金のうち、本邦のために使用されたものが概算三千万ドルであります。その余は使用禁止のような状態になつております。大体棉花の買付等に充てられております。
  46. 北澤直吉

    北澤委員 大体その辺はわかつたのでありますが、この通産省からいただきました資料の中で、外国為替監理委員会規定で定める通常の為替決済方法によらないで、これを定めるということが書いてありますが、これは通産省許可を受けたのでありますか。これに無為替輸入というようなものを考えておるのでありますか。
  47. 宮幡靖

    宮幡政府委員 それはお手元に配付いたしてありまして、いずれ説明いたします要綱の中に概略示してあります。輸出の方についても同様のことが言えるのですが、これは管理令としての政令案をお配りしてありますその第一條の第三号でございますか、外国為替管理令以下標準決済法によらないで輸出しようとするものと列挙されておるのであります。北澤委員はすでに十分御了解行つておるところだと思います。
  48. 北澤直吉

    北澤委員 この無為替輸出は認められる、こう了解してよろしうございますか。
  49. 宮幡靖

    宮幡政府委員 お説の通りでありまして、その点については通商産業大臣許可をいたす。かような取扱いをいたすことになつております。
  50. 北澤直吉

    北澤委員 次に第五章の制限及び禁止規定ですが、為替の問題につきましていろいろの制限及び禁止規定しておられるわけであります。また最後に、この規定に違反した者に対する種種の罰則を規定しておるわけであります。現在日本におります連合国人というものに、いわゆる治外法権的な地位を持つておりまして、日本の裁判権は及ばぬわけでありますが、制限及び禁止もしくは罰則の規定を連合国人に適用しようとする場合、一体どういうふうな方法をとられるのでありますか。それを伺いたいのであります。
  51. 林修三

    ○林(修)政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。御承知通りにただいまのところでは、連合国人に対しまする刑罰法規と申しますか、公訴権は、連合国人の指令によりましてないことになつておりますので、これに関しては日本側といたしましては公訴権はございません。ただこの法律を今後適用して参ります上におきましては、もちろん連合国人と相当密接な関係のある問題でございますので、その点については今後の連合国側の措置いかんによつてきまることではないかと存じております。ただいまのところでは刑事裁判については、公訴権がないことになつております。
  52. 北澤直吉

    北澤委員 もちろん講和条約ができますれば、連合国人も日本において治外法権的な地位を持つということがなくなると思うのでありますが、日本講和条約が結ぶまでの間におきましては、日本の方には連合国人に対しましてそういう裁判権がないという御解釈だと思うのであります。そうしますと、もし連合国人が日本為替貿易に関する法律に違反した場合には、司令部の裁判所で裁判をするということになるわけでありますか。この点をお伺いいたします。
  53. 林修三

    ○林(修)政府委員 大体さようなことではないかと存じております。
  54. 北澤直吉

    北澤委員 そこで問題は、連合国人というのはわれわれわかるのですか、日本にたくさん台湾籍の中華民国人、それから朝鮮人がおるのでありますが、こういう台湾籍の中華民国人及び朝鮮人に対しまして、この法律をいかに執行するかという問題があると思うのであります。その点につきましてお伺いいたします。
  55. 林修三

    ○林(修)政府委員 これは御説の通りに、ただいまのととろ朝鮮人及び台湾国籍の中華民国人につきましては、日本側で裁判権を持つておるわけであります。それでやれると思います。
  56. 北澤直吉

    北澤委員 うわさによりますと、大分こういう人たちが今ドル買いをやつているというような話を聞くのでありますが、そういう法に違反してドル買いなどをやることを取締ることにつきまして、十分その目的を達しておるかどうか。その点も伺いたいと思います。
  57. 伊原隆

    伊原政府委員 お示しの通り、ただいまの外国為替管理法にも、そういうふうな行為をすることはできないことに相なつておりますが、実際におきましてどういうふうに相なつておりますか。その点についてはつきりした違反行為があつたという事実は私どもまだ聞いておりません。
  58. 北澤直吉

    北澤委員 それでは次の問題に移りたいと思うのでありますが、第五十條に、貨物を輸出する者は、当該貨物の最終仕向国における不公正な競争の禁止に関する法令を十分考慮しなければいかぬという、いわゆるダンピングなんかしてはいかぬという趣旨のことでありますが、実際問題としまして日本業者の立場を考えますと、金融の面において、あるいは船の面、あるいは保險の面、その他いろいろな面において、外国業者に比べて不利な立場にあることは、皆さん御承知通りでありますが、こういう日本業者外国人とフェアーな競争をするという建前から申しまして、日本輸出業者その他に対しまして、日本政府が、金融の問題、あるいは海上保險の問題、あるいは海運の問題につきまして、どういう程度の便宜を與えるのか。またどういう便宜を與えれば、それがアン・フェアーな競争になるのか。その点に関しまするお考えを伺いたいのであります。
  59. 宮幡靖

    宮幡政府委員 北沢委員の御質問の御趣旨はどういうことか、ちよつと解釈に苦しんでいるわけでありますが、この五十條に示します取扱いにつきましては、当初の概念としては、輸出業者がマル公のあるものは、マル公価格を割つていない。マル公価格のないものは、標準市場の取引価格より安くない。あるいは生産コストを比べて、清算コストを割つていない。かような宣誓をいたしまして、外国為替管理委員会承認を求めるというような構想でありましたが、その後変更がありまして、これでは悪条件下に置かれる日本輸出の振興を、相当程度阻害するわけであります。そこで生産コストを割つていないという問題等を考えますと、幸いにして実現いたしたフロアー・プライスの撤廃によりまして、日本の商品が国際価格に順次さやよせされて来るという段階におきまして、これをみだりに誤つたマル公や国内価格に抑えることは、非常に疑問な点がありましたので、さらに推進してこの條文にあるように、仕向国における不公正な競争を禁止する法令を十分考慮した上、それに触れないという確信のもとで輸出すればよいということになり、ただいまの條文となつたわけであります。しかしはたしてこれを実施するにはどうしたらよかろうかということにつきましては、北澤委員も御承知のように、アメリカにおいてダンピング税等をかけた実例があります。現在もあるいはかけているかもしれませんが、情報の詳しいことまでは知つておりませんので、その点にここで申し上げところまでに参つておりませんけれども、要するに相手の輸入地における業者が、その国の公正な競争を助長するために、不公正な競争の禁止に関する法令に触れておらない。日本から輸出するFOB価格は、その仕向地において不公正な競争の取締り法令に抵触しておらぬものだということの書面をいただいて、その書面を外国為替管理委員会なり、通商産業省なりに示していただく。この程度にしか第五十條の運用はただいまのところできないのであります。その他のことにつきましては、御質問趣旨について通産局長に心得がありましたから、ただいまお答えさせることにいたします。
  60. 武内龍次

    ○武内説明員 ただいまの御質問のあとの半分は、こういう不利な状況日本業者輸出をするためには、その條件をよくしなければ、どうしてもダンピングというようなことになるのではないか。それについてどういう手段を考えているかという御趣旨かと考えますが、通産省として貿易の振興について、ただいまの輸出業者の不利な條件を改善することについては、種々苦心をいたしまして、司令部側とも交渉して、その條件の改善をはかつているわけであります。やはり一番大きな悪條件と申しますのは、いわゆるめくら貿易ということがやはり一番大きなことではないか。何と申しましても外国状況、市場の状況、あるいは価格の状況その他を知らなければ、輸出の振興のありようがないというので、これにつきましてはわれわれが初め期待したほどよくは動いておりませんが、優先外貨制度による業者の渡航とか、あるいはどういう形式になるかわかりませんが、政府機関が外国へ出て行つて種々情報を集めることであるとか、あるいはクレームその他の交渉に当ることであるとか、そういうようなことをやつております。国内的にもあるいは金融の面、あるいはこの点は成功しておりませんが、輸出業者の組合的な活動を許すことであるとか、そういうようなことの推進を努めておる次第であります。そのほか御質問政府の措置というのは、輸出振興策ということになるわけでありますが、種々広汎になりますので、大体そういうようなことをいろいろ考えておるということだけをお答えいたします。
  61. 北澤直吉

    北澤委員 そうしますと、公正であるか不公正であるということは、外国側が認定するわけでありますか。
  62. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまのところでは、外国輸入業者が、その国の不正な競争を禁止いたします法令に、日本のFOB価格が抵触するものではないということの説明をした文書をもちまして、処理して参りたい。その他はただいまのようなめくら貿易が解消いたしまして、順次海外の法令その他等に精通いたすようになりまして、また国内的な措置を講じたいと思つておりますが、現段階においては残念ながらその程度より以上進む資料がないように考えております。
  63. 北澤直吉

    北澤委員 そうしますと、このFOB価格や何かについて、所定の規則を守ればいいというのでありまして、そのほかの部面にいて、政府があるいは保險なり金融なり、その他の面において、いろいろな補助を與えてもさしつかえないというようなお考えでありますか。
  64. 宮幡靖

    宮幡政府委員 補助を與えるという御趣旨がどこにあるか、ちよつと御明答できないのでありますが、輸出を振興させますことが、ダンピングに便乗するのだと解釈せられます諸般の補助なり助成なりというものは、一切いたさない方針でおります。
  65. 北澤直吉

    北澤委員 それではこの問題はその辺にいたしまして、この第七條に、「不服の申立及び訴訟」というのがあるのでありますが、この訴訟の場合には、裁判所は政府機関の決定を取消しもしくは変更することができる。こういうふうになつておりますが、こういう政府機関の決定の取消しもしくは変更によつて業者が損害を受けた場合には、一体政府はそれを補償するような考えを持つておるのでありますかどうか、その点を伺いたい。
  66. 宮幡靖

    宮幡政府委員 現行日本の法令に定めまする限界において処理して参りたい、かように考えております。
  67. 北澤直吉

    北澤委員 宮幡政務次官もおいでになりますので、ひとつ伺いたいのですが、先ほどもちよつと質問したのですが、結局日本貿易を進展するためには、日本がなるべく早く国際経済機構参加する必要がある。たとえば国際貿易機構とか、あるいは国際籍税協定とか、国際通貨基金協定とか、あるいは国際復興開発銀行とか、国際農繁食糧機構、それらに加入することがいいのでありまするが、この加入の問題は、イタリア、オーストリアの例をとつて見ましても、必ずしも講和條約を締結しなければ加入できないものではなくして、平和條約締結前にも加入し得る例があるのでありますが、一体日本政府はその加入についてどういうような申入れをしたのでありますか。その点もしご存じでしたら伺いたいと思います。
  68. 宮幡靖

    宮幡政府委員 もうこの点については、卓越した御見識と御経験を持たれた北沢委員には、十分おわかりと思いますが、御承知のよう日本貿易は、ただいま占領下における協定貿易の域を脱しておりません。従つて協定貿易の中におきますわが国の貿易の振興というものは、およそ限界がある。こいねがわくは、講和條約ができるのを待つてなすベき貿易上の手続きも、司令部了解のもとに順次進めたいという熱意を持つておることは、これは偽らざる事実であります。従いまして、それぞれの機会におきまして、まずもつて現在の貿易方式の改善等につきまして、切実に申出をいたしております。幸いにいたしまして、すでに発表されておりますように、小麦協定に参加ができるというようなことも伝わつておりますので、これはまだ決定したわけではございませんが、御質問のような問題が順次解決して参ります。しかも占領下において、講和條約の以前において解決して行く問題の一つであろうと考えます。これらにならいまして、お説のようなことを順次進めて参りたい。かように考えております。また何かお気づきの点がありましたら、御注意もいただきまして、その線について交渉を焼けて参りたい、かように考えおります。
  69. 北澤直吉

    北澤委員 今お話のように、終戦後今日まで日本貿易というものは、大体二国間の協定貿易、バーター貿易であつたのでありますが、最近通商産業大臣は折に触れて、日本に今後に多角貿易をしなければならぬ。これまでのような二箇国間の貿易でなくして、多角的な貿易をしなければならぬということをおつしやつているのでありますが、日本が多角的な貿易をするためには、これはどうしても今申しました国際関税協定に入つて、最惠国待遇を受けるということが、非常に必要であると思うのであります。聞きますと、外国側におきましても、日本国際関税協定に加入するというような問題につきましては、非常に好意を持つておりまして、あるいは明年の夏ごろにはそういうようなことが実現できるかもしれぬということを聞いておるのであります。もしそうできればけつこうだと思いますが、その点に対して、もし見通しがありましたら伺いたい。
  70. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまの立場におきましては、通商産業省といたしましても、北沢委員のお見通しの程度のものであることを、この席上では申し上げねばならぬと考えております、しかしながらさような段階が進んで参りますようには努力を惜しむものではなく、最近締結されました日独貿易協定におきましては、例のスウィング・アカウントというものがあります。これは敢然な国際收支の第三者を介する決済方法でございません。理論的に申しますと、これがかつての世界の為替管理というようなものの、一つの影を映したようなものに察せられているわけでありまして、日独の貿易の決済を他の勘定をもつて処理できるというようなところに、一脈の命脈があるのではなかろうか。従いまして北沢委員の御期待なさるような事態が明年来るか来ないかは、言明の限りではございませんが、さような処置ができない以上、貿易は振わぬのでありますから、貿易振興という立場からは、どうしてこの線を推し進めて行きたい、かように考えております。
  71. 北澤直吉

    北澤委員 それでは最後にもう一点お伺いしたいのでありますが、二、三日来の新聞を見ますと、あるいは日英通商協定の締結といい、あるいは日本の通商官を海外に派遣することが許可されるらしいということがありまして、これはわれわれから見まして非常な朗報と思うのでありますが、結局日本貿易の問題を考えますと、将来はやはり東南アジアとの貿易というものが、最も大きな役割をすると私は思うのであります。御承知のように中華民国との貿易というものが、中共政府関係でなかなかはかどらぬ。そうしますと結局日本は、日本のこれまでの歴史的な、あるいは地理的な條件から、東南アジアの貿易に重点を置かなければならぬわけでありますが、その意味で、今度の日英通商協定というものは、非常に重大な意義を持つているのでありまして、これまでアメリカを中心にしておつた日本貿易が、今度は東南アジアの方に切りかえるスタートができたというふうに私どもは考えているのであります。しかしながら何分にも東南アジアの現在の経済状況では、そう急に大きな期待は持てない。そこで問題は、アメリカ政府からこの東南アジアの経済開発についてなるべく大幅な経済援助を與えてもらうことが、日本の東南アジア貿易を進める上において非常にいいことだと思うのであります。今のアメリカのトルーマン大統領の大政策の一つとしておりますいわゆる後進国開発計画、来年の七月以降の予算におきましては、アメリカ政府においては大体十億ドルくらいの、後進国開発計画の予算を織り込むというような考えを持つているようでありますが、もしこういうふうにアメリカが後進国、特に東南アジアの国に対して援助を與えて、経済の開発に当るということになりますと、日本と東南アジアの貿易というものは、非常に大きな期待を持ち得ると思う。最近の新聞を見ますと、アメリカ経済協力局が、最近オランダとの協定によつてほとんど独立的な地位を與えられたインドネシア共和国に対しまして、千六百五十万ドルの資金を與えて、日本から繊維製品その他を買つてよろしいというようなことになつたようでありますが、こういう問題で、結局アメリカが東南アジアの国に対しまして、アメリカの世界的な政策から、今後いろいろ経済上の援助を與えるだろうというふうな考えを、われわれは持つのでありますが、これに対しましてもし政府におきまして、アメリカ側もしくは司令部側と接触の機会に、何かそういうふうなヒントでもありましたかどうか。もしありましたら、伺いたいと思います。
  72. 宮幡靖

    宮幡政府委員 いわゆる欧州のマーシヤル・プランにならいました東洋のマーシャル・プランというようなものが、実現することを期待しておりますことは御説の通りでありまして、御承知のように世界的なドル不足と申しましようか、ことに東南アジア地域におきまするドル不足が解決しない以上、貿易は正常の形に返つて来ないわけでありますが、お示しのように、北沢委員の意見の方が、むしろわれわれが入手していますものよりも有力な資料だと思うので、参考にさしていただきまして、さらにこの点について研究を進めたいと考えております。
  73. 北澤直吉

    北澤委員 以上をもつて私の質疑を一応打切ります。
  74. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは通産委員川上貫一君。
  75. 川上貫一

    ○川上委員 この法案は非常に重大な法案だと思うので、私はいろいろ聞きたいことがあるのでありますが、まず一つこの際お聞きいたします。今度のこの法案によりますと、金融問題というのはまことに重大ではないかと思う。統制貿易下では、外国からの信用状はこれは輸出許可承認がありましてから一定の期間内に開設することになつており、またある程度これは実行されたと思うのですが、それが民間貿易になり、今度のような法律で取扱うことになると、これは輸出の場合でありますが、おそらく売買契約の締結後早急には行われないで、船積み期間に間に合うくらいの程度にしか来ないと思いますが、この間の莫大な資金をどうして調達なさるつもりであるか、この点です。これは非常にたくさんな金がかかる。従来でも貿手の金融のような優先的な措置があつた時分でも、輸出業者貿易金融には非常に困難をしておつた。ところがこれがなくなつてしまつた。そして今度は莫大な輸出をやる。ことに日英通商協定で、あそこだけでも倍の計画を立てておられる。これは少い金じやない。これをどうして融資するか。この点をまずお聞きしたい。
  76. 宮幡靖

    宮幡政府委員 この問題につきましては、安本副長官からも先刻御答弁があつたそうでありますから、なお繰返してお答えを願うことにいたします。川本委員御指摘の点は実に重大であり、ごもつともであります。川上委員がことさら重大だとおつしやらなくても、重大だと考えているのであります。この問題につきましては、ただいま司令部と交渉中の法案が、川上委員のお考えになつていることを満足せしめるものであるがどうかは、しばらく別問題といたしまして、ただいま午前中かけまして、司令部と最後の交渉をいたしております法案が、これに該当するものであります。輸出金融の解決をいたさなければ、輸出振興ができないという御指摘、これはまつたく同感であります。しかしながら国家がこれを補償したり、あるいは国家がこれに援助を與えたりすることは、そこに限界がただいま與えられているわけで、結局は輸出業者の相互保險というようなことで、相互の信用に保險をつける。かような観念からいたしまして、仮称をいたしますならば、輸出信用保險制度というようなものをつくりまして、金融機関を介在いたしまして、それぞれの業者からは一定の保險料の御納付を願つて、特別会計の中にこれを繰入れまして、政府もまたこれに、予算にも出ておりますように、本年にしますと五億でありますが、五億の資金をつぎ込みまして、独立採算をもちまして、この信用保險を行つて参りたい。すなわちこれが輸出に対しまする早期の金融の道が達成せられるのではなかろうか、かような構想で進んでおります。これに通産委員会の方へ御審議を願うことになりますので、法案が出ましたならば、さらに川上委員から適切なる御質問をいただきまして、それぞれお答え申し上げたいと存じております。ただいまのところではそのようなことに安本の方からお答えを願うことにいたします。
  77. 川上貫一

    ○川上委員 それは先に安本から答弁があつたのですが、あれは答弁にならぬ。ちつともわからぬ。それでこの金は五億で、通産委員会へ新しい法案をかけると言われますが、一体そのくらいなことで解決すると思つておられるのでありますか。従来公団が取扱つておつたその金額よりも、よほど大きな金額がこれにはいるだろうと思う。ところが、これは国内銀行ではそんなに融通しないと思うが、この点を今の信用保險法案ですか、政府予算において五億くらいやつて、これだけで解決できると思われるかどうか、これが一つ、それから今いろいろ折衝しておるとおつしやいましたが、それは一体どういう形をやろうとしておられるのであるか、これが第二点、まだこれはよくきまつておらぬとおつしやいますならば、金融措置のきまりもせぬうちに、なぜこんなできもせぬような法案を先にお出しになるのか。この三点をお伺いしたい。これは非常に重大だと思いますから、少し親切にお答え願いたいと思います。
  78. 宮幡靖

    宮幡政府委員 いつも川上委員の御質問には、ことさら親切にお答えしておるはずであります。これに通商産業委員会速記録をごらん願えばわかることでありまして、決して不親切なお答えをいたそうとは思つておりません。お尋ねの点につきましては、名称はただいま仮称しております信用保險法でありますが、これはあくまでも輸出業者の相互保險というもので、万が一損失を生じましたような場合にのみ、五億の金を運用いたしましてこれを補填し、国家も、求償権を獲得いたしまして、その業者の将来にわたつてこれを回收するということであります。根本的にはこれが損失になるということに、ただいま予想しておりません。同時にこれで十分か、こういうお話につきましては、これは見方により御議論もありますが、私ども当局の者といたしまして、これで満足だとは決して考えておりません。将来にわたつてこれらの制度を拡充いたし、さらに公団の廃止等がもしあつたと仮定いたしますならば、あるいは業務が縮小されたと仮定いたしますならば、これに伴います増加運転資金というものに当然いるわけで、ただいま増加運転資金につきましてもいろいろ検討いたしております。現在の金融制度は、御承知のように民主化が一段階進んでおりますけれども、かつて大蔵省が金融の統制をしておりましたような場合とは、逆な結果が出ておる。すなわち金融の民主化への移りかわりに一つの間隙ができておりまして、具体的に申せば、もし犬が水を飲みたいという希望があつたら、犬を川べりまで連れて行くことはできますけれども、その水を飲むのは犬である。こういう金は必要な資金であり、こういう金は貸すべきであるという、あつせんや指導をいたすことはできますけれども、結局はその業者金融に対しまする受入れ態勢が整つていなければ、市中銀行の金は使えない、かような状況になつております。従いまして、おそらく大蔵大臣から説明があつたことと存じますが、現在の日銀に設けられました意思決定機関と執行機関、いわゆるポリシー・ボードだけでは、その金融は全般的に見てうまく参らぬ。このポリシー・ボードは、当意即妙と申しますか、早きを欲しまして、臨時に日本銀行法の一部を改正したものでございまして、通常国会に御審議を願う予定であると、大蔵省は確かに申しておつたはずであります。全面的な金融業、これに伴いましてただいまの融資準則を織り込みました信用統制法、並びに資金の効果的運用を期するために銀行の経理に対しまして——いろいろな御批判もありますので、これらを正しく規正して参ります金融機関経理法、これら一連の金融法規が成立いたしますと、容易に解決できると期待いたしております。しかしながら現段階の移りかわりの際におきましては、通商産業省といたしましてぜひとも何とかせねばならぬ。すなわち輸出振興に伴う増加運転資金、輸入振興に伴う増加運転資金、これらにつきましては、ただいま通商産業局を中心といたしまして、せつかく立案を進めております。さような状況でありますので、現段階においては、金融に対します全面的な法制がまだ完備しておりませんので、いかに努力いたしましても、御期待に沿うような結果を得られるかどうかは、ここで名言できないわけでありますけれども、せつかく振います輸出を、金融の面で拘束させないための努力は惜しまないつもりでございます。  第二番目は、金融措置もまだはつきりしておらないのに、なぜ先に法律案を出したか、こういうことであります。これは言い方、見方の違いもありましようけれども、御承知のローガン構想による自由を原則とする輸出貿易取扱い開始は十二月一日から、輸入については明年一月一月から実行するような、司令部からの覚書をいただいておるので、これをやらなければならぬ。かりに金融措置がつかなくて、輸出輸入もともに新しい方式によつて行えないというような最悪の事態を考えましても、この法律はまず施行しなければならないという状況になつておりますので、急ぎまして皆様の御審議に訴えたわけであります。そしてこの法律施行後に、輸出輸入金融措置その他を順次整備して参りたい。従いましてこの法律案内容をごらんになりましても、多くが政令等にゆだねられてありますのは、時々刻々移りかわります経済の変転とともに、また国際情勢の変転とともに、これに対応する措置を講じたいという趣旨からでありまして、通商産業省といたしましては、おおむね第六章、第七章がわれわれの方の所管でありますが、ただいまの状況では、かような内容を持つものであるというところで、皆さんの御審議に供しまして、あわせて御検討を願うような運びになつているのであります。この点に何とぞ御了承をいただきたいと思います。
  79. 川上貫一

    ○川上委員 金融については、重大だがあまり具体的には考えておらぬと言われるのでありますが、しかしこれは非常に大きな問題である。国内銀行には滞貨がたくさんあるけれども、簡單に貸しはしない。今の五億というのは損失補償の意味であるが、私の問うているのは莫大な生産並びに輸出に要する運転資金の問題であつて、損失補償の問題ではない。めくら貿易ではあるし、輸出は困難だし、銀行は貸さぬということになると、とても貿易ができないことはお認めになるだろうと思います。
  80. 宮幡靖

    宮幡政府委員 金融なんかどうでもよいというように、無関心でそれがやれると思うか、五億は損失補償の形だから、その程度のことではとてもだめだ、これは御説の通りであります。私どもは五億を損失補償に向けるというような意味で構想しているのではなく、あくまでも信用を保証する裏づけとしての特別会計の資金であると考えております。一般金融について通商産業省は何も考えておらないとおつしやいまするが、この点につきましては十分検討をしております。  輸出には——ただいまめくら貿易にも基因いたしますが、思惑生産というものがあります。思惑生産に対する運転資金の供給は保証できません。しかし思惑生産でない正常の形で生産されて行くものの運転資金は、通産省で算定いたしますものでは、若干の設備資金も含みまするが、本年度はおおむね千二百億程度いるものと予想いたしております。その構想によりまして、ただいませつかくやつております。成案を得ましたならば、通商産業委員会におきまして、別な会合を開いていただきまして、御検討を願う用意をしております。正常な生産やバーター制貿易の資金をさしつかえさせるような考えは、毛頭持つておりませんし、この程度の金融は——大蔵大臣が申すことでありますが、マーケット・オペレーションの強化、あるいはあらゆる金融制度改善等と相まちまして、順次解決して行くことを私どもは確信いたしておる次第であります。
  81. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 川上君にちよつと申し上げます。ただいま青木安本長官がお見えになりましたので、この際青木安本長官に対する御質疑を願います。
  82. 川上貫一

    ○川上委員 青木安本長官にお聞きしたいのは、これが日英通商協定とこの問題が裏表になつておると思うのです。その点をお聞きしたいのですが、少し時間が長くなります。午後にいたした方がよいと思うのですが、いかがですか。
  83. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 少しやつてください。
  84. 川上貫一

    ○川上委員 今の問題をもう一つだけ聞いて、それで片づけたい。今御説明がありましたが、政府のお考えでは、千数百億の金というものを運転資金にとつてしまいますと、日本の資金のうち、産業資金その他のものが非常に困難をするので、ここに問題がある。これと外国銀行の性質、この問題についてはもう少し詳しく聞きたいのですが、どう政府はお考えになつておるかという点だけ聞きまして、午前中の質問を一應終つておきたいと思います。
  85. 宮幡靖

    宮幡政府委員 先ほどの私の言葉が足りなかつたのですが、千二百億の中には若干の設備資金も含むと見ておりまして、これが全部運転資金だと申すわけでない。資金量の算定については、川上委員と見解を異にするかもしれませんが、資金量の問題は要するに回転の速度であります。千二百億の運転資金が年中いるものではなくして、それを限度といたしますところの回転率を乗じたものが、正常の資金になる。従つて固定しました千二百億円のうちには、設備資金あり、また金融機籍からの融資あり、一部分においては通産省考えております二百億のエイド、こんなものが出るかどうかわからぬという話もありますが、一応入つておる。自己貸金で調達されるものが七十億、あるいは増資等によりますところの自己資金調達方法によるというものが百十億、そういうものを臨時積算して来ての考えでありまして、従つて千二百億円とつてしまつたら、あと金がなくなつてしまうじやないか。こういう算術的な出発と結果で、私どもは資金の算定をいたしておらぬわけであります。この点ぜひ御了解をいただきたいと思う。  外国銀行との関係につきましては、これは当省が申し上げるべき範囲のものではないと思います。かりに申し上ぐべき範囲といたしましても、この席上では、その見解だけは毎々通商産業委員会において速記をとめて申し上げておるので、外商とか、外国銀行という問題については、速記に載せないような形をとつております。でき得べくんぱその点についての当省に対します質問は、何とぞお差控え願つたら仕合せと思つております。
  86. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 お諮りしますが、今澄勇君から十五分ばかりの質疑したいという申出がありますが、いかがですか。——それでは今澄
  87. 今澄勇

    今澄委員 きようは通産省関係以外の方がおられますので、二点だけ質問いたします。私は今の貿易公団の滞貨を引当てに、これを担保物件として銀行すら借入れを行つておる業者がたいへんあると聞いておるのでありますが、中には倉庫業者などで、人の商品を自分の商品のごとく装うて、金融機関あたりから金を借りておる者が非常にあるということも聞いております。もちろん厖大な品種、銘柄で、雑多なものが入つておるから、これが臨検はそう簡單に行かぬであろうと思いますけれども、従来のような統制会や業者の集合団体みたいな公団職員の検査だけで、これをほつておくというところに、そういうふうな問題が起るので、確実な通産省あたりの精鋭を出して、公団職員のエキスパートと一緒になつて、抜打ち検査をやつて、常時そういう不正が行われてないかどうかということを、検査する必要がないかと私思うのであります。よつて通産省局長、課長さんあたりも、そういうふうな観点から、今後厳重にそういうようなことをおやりになる必要はないかどうか。これは通産局長やその他関係の方がおられますから、お答えいただきたいと思う。
  88. 宮幡靖

    宮幡政府委員 今澄委員のお尋ねは、通商振興局長からお答えすべきことであります。あいにくただいま直接この問題に関連がないと思つて出席さしておりませんので、御無礼でありますが、御意見でもつともであります。御指摘のような事実があるということを、私は肯定するものでありませんが、さような御心配や御懸念があるといたしますならば、振興局を通じまして、公団に対して監視をさらに強化する。ただいまでも公団の動きにつきましては、いろいろな審査の一課、二課というものもございます。それぞれの機関において監視しておりますが、なかなか手がまわりませんで、御心配をかけるような問題もあろうかと心配いたしておるような状態であります。御意見通りに、ぜひこれを強化して参りたい。少くとも御指摘のあつたような裏街道の仕事というものを閉塞しまして、裏口のないようにいたしたい。かように考えております。なお午後には振興局長も来ると思いますので、この点について詳しいお尋ねがあるようでしたら、局長からお答えいたします。
  89. 今澄勇

    今澄委員 それでは午後にするとして、もう一つの問題は、これは通産委員会では先般聞いたのでありますが、安本長官の御意見を承りたい。それは輸入に関する抱合せでありますが、抱合せ輸入ということは、人が何と言おうとも、今の輸入状態を見ると顕著に現われておる。この不要不急の品を押しつけられたということ、これはこの前の通産委員会で政務次官その他からいろいろ答弁がありましたが、輸入超過の中には西独やイタリアあたりで蹴られて、東洋にまわされて来たというものが多少ある。たとえばとうもろこしの粉やマカロニの屑など、価格も最近は、運賃もかなりまじめに計算して来ておるので、以前のように目をむくようなべらぼうなことはないけれども、この一方的な指値で、当方としては何としても受取りがたいものは、これを拒否したいと私は思う。一方的な押しつけを言いなりほうだいでがまんするということであつはてならない。占領ということと商売ということとは、私どもは別個であると、考えたいのだが、安本長官の御意見を承りたい。
  90. 青木孝義

    青木国務大臣 まことにごもつともな御質問でございます。それは政府といたしましても、できるだけ食糧にならないようなもので、食糧の目途として来るようなもの、そういうものを排除したいということはまことに御同感でございまして、これまでもそういうことは関係筋へはしばしば率直に申し上げておる次第であります。
  91. 今澄勇

    今澄委員 今の大臣の御答弁でありましたが、時間がないので昼からに讓ろうと思いましたが、ついでにちよつとお聞きしておきたいと思います。食糧輸入の中で、今までいつたとうもろこしやマカロニその他のものを、どの程度今後抑制して、あるいはメリケン粉であるとか、そういうふうなものにこれを切りかえてやつて行くかというような計画について、安本の方で今具体的な方針、見通しがありましたならば、あわせて御答弁を願いたいと思います。
  92. 青木孝義

    青木国務大臣 ただいまの輸入関係は、ガリオア、イロア、そういうものを中心として食糧が輸入されておりますので、われわれの方としては先ほど申し上げたような意味のことは申しておりますが、まだこれはどれだけ、これにどれだけと、今おつしやつたような品目について、一々そういう計画を立てて先方へ持つて行つておるようなことはいたしておりません。
  93. 今澄勇

    今澄委員 先般の通産委員会における宮幡政務次官の答弁には、それらの問題について相当の見価しがあるが述べられておりましたが、安本の方ではそれでは全然そういうものについては御関係がない、こういう御答弁でしようか。
  94. 西村久之

    西村(久)政府委員 お答えいたします。予算書の内容の明細書をごらんになれば、はつきり事こまかくわかると思います。価格調整費の配分関係内容明細書にはつきりなつておりますから、御承知願いたいと思います。
  95. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは午前の質疑はこの程度にいたしまして、午後は一時半から第三委員室において連合審査会を続行いたします。  それまで休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後二時十九分開議
  96. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 午前中に引続き外国為替及び外国貿易管理法案外国為替管理委員会設置法案を議題として、質疑を続行いたします。川上貫一君。
  97. 川上貫一

    ○川上委員 午前中に引続いて質問いたしますが、第二点は輸入の場合の金融問題なのであります。たとえば、輸入が従来の形でなしに、民間輸入ということになりまして、この法案をそれに適用するということになりますと、輸入しようと思います場合には、これまた輸出とは違つて、もつとたくさんの資金がいるわけなのであります。たとえば小麦を一万トン輸入すると仮定いたしましても、おそらくこれだけで三十五億円ぐらいの金がいるだろう。羊毛を一万俵いれるとしますれば、これでも十四億ないし十五億の金いるだろうと思う。取引に一万トン以下ということはありませんから、これは非常に厖大な金でありますが、この金融措置をどうするのであるか。この点についてまずお聞きしたいのであります。
  98. 宮幡靖

    宮幡政府委員 川上委員のお尋ねでありますが、これにぴつたり当てはまる回答は、大蔵当局からなすベきであろうと考えます。あるいは安本の方で願うのがよいと思いますけれども、貿易というものに携わります開発省といたしまして、一応の考えを申し上げておきます。  ただいま御指摘の小麦とか羊毛、さような輸入資金がいることは、争いのない事実でありまして、大体想像されます輸入というものは、仕入地からの船積みがありまして送り出される。そうすると一件の書類はすべて、ただいまでいえばエア・メールでやつて参るだろうと思います。この場合にまだ船は到着いたさない。荷受けをしないというような場合に、そこにどうしても金融措置を要することになることは、常識的に考えてもわかります。この荷為替手形を簡單に割引を講ずることが、これはりくつを抜きにして一番よい措置であります。そういう意味から、ただいまではそれぞれ貿易量の増加いたしましたことを想定いたしまして、この輸入手形を処理いたしまする金融措置につきまして、せつかく大蔵当局を煩わしまして、それぞれの機関と折衝の段階にあります。ただいまどの程度のものを金融できるということを、通産省としては申し上げる段階に至つておりません。はなはだ答弁としては不満足でありますが、いずれ大蔵省の方からそのことについてお答えがあると思います。通産省としてはさような金融をとりたいというふうに考えております。
  99. 川上貫一

    ○川上委員 これは大蔵省と言つてお逃げになつたのですが、大蔵省もおられぬようですから、答弁が得られないのですが、そうすると通産省の方では、この莫大な輸入の資金というものを、今の金融事情で、国内で処理ができるとお思いになつておりますか。
  100. 宮幡靖

    宮幡政府委員 自己資金によるか、あるいは金融機関の調達に待つかはしばらく別といたしまして、もし金融ができなければ、輸入はできないという結論になります。できるように努力いたすために、ただいま研究を進めております。同時に現在の見通しといたしましては、各協定等の内容を織り込んで考えますと、大体におきまして、この金融の達成はできるではなかろうかという見通しを持つております。
  101. 川上貫一

    ○川上委員 これは実に大した心臓だと思うのです。こういうものを自己資金で弁済をけつこうやつて行く商人が日本におりますか。それから第二には、これはやる気であると言うが、一体これはどういうぐあいにしておやりになるのですか。簡單な金ではないのです。それにつけ加えてお聞きいたしますが、輸入をする時分に、五〇%の担保を入れるという先の御答弁であつたと思うのです。こんな五〇%の担保を入れることのできるような、そういう商売人が日本におりますか。この点をちよつとお聞きしたいのです。
  102. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは川上委員に私の方から申し上げますが、博学多才の川上委員にもお似合いにならぬ御質問だと思う。そういう輸入資金をどこに持つておるか、民間にできるかということは、これは実相を御存じないのであります。これは担保に入れるのは、公債を入れるのも一つの方法であります。公債を保有して、これを貸借いたしますことを商売にしておる人間も相当ございます。また公債を発行いたしておる量も、川上君御承知のはずでありまして、これの担保五〇%と言つても、これは極限でありまして、それ以外にも適当なものをとる。こういうもりの金融は、現在程度の貿易量におきまして、行き詰りになろうなどとは通商産業省は考えておりません。また自己資金で行くか、民間資金で行くか、それはもうただ考えておるだけだという御批判もありますけれども、業者にそんなに力があるか。いわゆる日本の商社というものの力を、もうゼロだと御勘定して踏んだ話でありまして、私どもはさように考えたくありません。少くとも日本の商社におきまして——速記になるべく書かぬようにしたい言葉でありますが、もし外国商社と日本商社の間に力の相違ができた場合を考えるときには、これに対する対応措置だといつても、決して無関心に放任してあるわけではないのであります。この点にどうぞすべてのことを御存じの川上委員から、ぜひそういうおしかりをいただかないように私はお願いするものであります。
  103. 川上貫一

    ○川上委員 通産省政務次官がそういう無責任なことを言われたら、業者から怒られますぜ。これは五〇%の担保というものと、この莫大な輸入資金というものとを、日本の商社がたくさん持つておるのだとか、こつちは考えておるのだというようなことでは、これは貿易にはなりませんぜ、これは見解の相違だと言われるに違いないのでありますが、私はそんな簡單なものではない。一大事件だと思う。業者に聞いてみればわかると思う。それで私はお聞きいたしますが、こういうことになりますと、この担保が積めるのはどうしても大貿易業者、大銀行で、小さいところはとてもこれはやれません。それといま一つは、外国の商社だと思うのです。非常に潤沢な資金を持つている外国の商社、これは何でもやれる。ところが日本の今の状態におきましては、そうでなくても非常に困難な状態に陥つている場合、これだけの資金をとても調達する力なんかは、何かりくつを言うても始まらぬと思う。ここで何かうまいことを言い抜けておるだけでは始まらぬと思う。これは国の一大事、日本貿易業者貿易に対する一大事だと思うが、通産省はこれを非常に軽く思うておられますか。これはかなりたいへんなことだと思うておられるのですか、これは何でもないことだと思うておられますか。この点をちよつとお聞きしたいのです。
  104. 宮幡靖

    宮幡政府委員 最後に御念押しのお言葉でありますが、これは用意ならざることに考えておることに間違いございません。これをたやすく行くのだ。そういうイージー・ゴーイングな考え方を持つておらないことは確かであります。しかし業者の声を聞けという川上委員のお話でありますが、通商局及び通商振興局という窓口を、貿易業務のために開いております。その窓口に来ますところの業者ほんとうの声というものを、一々詳しく割合によく知つているのは、私は通産省だと思う。川上委員は業者の声を聞いてみろとおつしやいますけれども、川上委員にいろいろな御意見を持つて来るのは、通産商の窓口ほど広汎でないと私は思う。従つて業者に対しまする判断というのは、はなはだ、手前みそ恐縮いたしますが、通産局の窓口の方がやや正確になつておるのではなかろうかと思うのであります。要は、御質問の要旨は、外国商社に邦人商社が圧倒されるではないか。あるいは大資本商社の育成に力を注いで、中小的な起業と申しますか、貿易業者、企業者というようなものに圧迫されて、壊滅して行くではないかというようなことをおつしやる前提のお言葉だと私は拝承しております。いやしくも貿易を振興しようという以上、金融に対します心構えは、なるとならないとにかかわらず、必ずなるという強い信念のもとにこれを推進するということが、ただいまの国情におきます日本貿易担当者としては、ぜひ持たなければならない覚悟だと、かように考えておる次第であります。
  105. 川上貫一

    ○川上委員 私は実際にこれは無責任な次第だと思うのです。いくら覚悟をお持ちになりましても……  それではちよつとお聞きしますが、今日本銀行利子と外国銀行利子はどのくらい違つておりますか。
  106. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これが今私の答弁が、あまりこまかく申し上げることを差控えたからでありまして、ただいま申されましたその前にお話のありました民間金融がうまく行くかというようなことについて、私の方から先んじて申し上げれば解決しておつた問題であります。この金融をつける上において一番問題になるのは、金融全額そのものでなくして、利率なのでありまして、この点は貿易金融についてはただいま国内は二銭六厘であります。外国事情につきましては私ども詳しく知つておりませんが、ほのかに伺うところによりますと、日本の日歩二銭六厘よりもはるかに安い。ここに法人商社と外国人商社との間に運庭のありますことは、率直に認めなければならないことだと考えております。
  107. 川上貫一

    ○川上委員 そういたしますと、日本には資金がない。それから自弁でもつて、自己資金でやるというようなところには実際至つておりません。そうでなくても、今の現状では貿易業者は資金に困つておるのであります。そうなりますと資金の豊富な、利子の安い外国銀行外国の商社というものが、金融業者として進出して来ることは明らかなのでありますが、これについてまず第一に国内銀行外国銀行と競争ができますか。第二にはこの法律国内輸出業者外国の商社と競争がきるとお思いになりますか。
  108. 宮幡靖

    宮幡政府委員 この法律によりまして、従来の管理貿易を一歩脱却いたしまして、やがて国際経済の中へ参加いたしまして、経済的にわれわれの国が再建できる一つの過程だと考えております。この法令が完全無欠に、ただちに一歳の子供が元なら徴兵検査と申しますか、満二十歳くらいに成長いたしまして、一人前に国際経済の中を闊歩できるとは考えておりません。しかしおのおの経済自立にも段階があります。時が必要であります。現段階としてはこの方法がまずもつてよろしいものだと、かように考えて提案しておるものでありまして、これが競争になるかならないかというようなことは、ただいま前提として競争にならないからやらない、かような意思は持つておりません。この範囲におきまして、ぜひとも国際協定貿易範囲内におきまして、国際貿易の中に優位な地位を占めるべく、重ねて努力をする以外にない、かように考えておる次第であります。
  109. 川上貫一

    ○川上委員 どうも通産政務次官の御答弁は、日本政府の答弁か何かわけがわからぬように思います。どの範囲でどうしてもできるように努力するのだと言われますけれども、できつこないのです。第一にそれなら外国銀行外国の商社が進出して来るのに対して、日本銀行日本貿易業者、生産者をどうして保護なさるのですか。何か具体的な案が通産省にはおありですか。
  110. 宮幡靖

    宮幡政府委員 この点は通産委員会のときからたびたび御質問でありまして、外国商社の進出や外国銀行の進入というようなことにつきまして、何か方策があるかというお尋ねは繰返されております。しかし残念ながら現在におきましては、たとい考えを持つていましても、ここで申し上げる自由を與えられておりません。これにはなはだ川上委員に対して申訳ないことではございますけれども、この点は全速記録をお繰返しくだすつてもわかるように、この席ではお答えをぜひ差控えさしていただきたいのでありまして、もしこれならだめだという御意見をお持ちになるならば、だめだというあなたの御意見を私は承つておいて、これ以上はこの点は申し上げられない次第であります。
  111. 川上貫一

    ○川上委員 私はだめだとかだめでないという結論を先に言おうとするのではありませんので、こういうことに必ずなりますが、通産省ではこれをどうお考えになつているかということを聞いているのです。そこで通産省の方では、今一向さしつかえない。これでどんどんやれるのだ、保護する必要はないとお思いになるのですか。あるいはこれではとてもやれない。競争にも勝負にもならぬとお思いになりますか。その点をお聞かせ願いたい。
  112. 宮幡靖

    宮幡政府委員 独立国家として自由貿易態勢が許されますものと比較いたしましたならば、これは決して万全のものでないことを十分承知いたしております。しかし現在の国情においてやむを得ないものであり、現在の事情のもとにおいては、一歩躍進したよい法律案だと存じております。
  113. 川上貫一

    ○川上委員 そうすれば通産省の方では、これはなかなか困難であるが、しかたがない、こういう御答弁が一つあつたと思います。しかしそういうけれども、今までのやり方よりか、これは一歩進歩している、こういう第二点だと思う。ところがどうもそれがはつきり私にはわかりませんので、一歩進歩しているかどうか知りませんが、これは日本貿易は、外国銀行並びに外国の商社に押えられてしまつて、ちよつとも進歩せぬとわれわれは思うのです。そこでどうしてもそうではない。外国商社、外国銀行に押えられないのだということをはつきり言つてもらいませんと、これは見解の相違とか何とかいうことになつてしまう。もしもこの答弁で——これは速記をしてくれなくてもよいとおつしやるなら、速記をとつてもけつこうです。しかしこれがわかりませんと、この法案そのものが一歩進歩したのか、有理なのか、はつきりわからない。
  114. 宮幡靖

    宮幡政府委員 政府貿易民間貿易に切りかえられたそのこと自体で、私は進歩していると申し上げても言い過ぎではなかろうと思つております。同時に重ねて申しますが、外国商社の問題、外国銀行の問題に関しますことは、この際差控えたいのでありますが、これではどうしてもならぬのだという結論を先に言うのではないという御意見でありますが、そういうふうに川上委員がお考えであれば、川上委員のお立場としての御意見でありますから、私の方はそれをすなおに承つておくにとどめたいと考えております。
  115. 川上貫一

    ○川上委員 これも奇妙な答弁になつてしまつてしかたがない。そうすればこういう点はどうですか。今度の貿易のやり方になりますと、早い者勝ちということになつているわけですが、大体これは先物取引をしなければならぬ。ことに食糧とかその他のものになりましたら、そういう取引になる。特に日本に必要なものは必ずそうなる。ところが現在では日本は在外支店を持つているわけではありませんし、船舶が日本には十分あるわけではありませんし、海外の事情に精通しているわけでもありません。先物取引には資金もいるのでありますが、これもないのであります。ですからこれは必ず外国の商社でなければできぬ仕事だと私は思います。そういたしますと、見解の相違とか何とかいうので片づけるのではなくて、海外における買付はことごとく外国書写がこれをやつてしまうという形にならざるを得ないと私は思うのですが、これは通産省ではどうお考えになりますか
  116. 宮幡靖

    宮幡政府委員 信用方式によりますと、早い者勝ちの制度の運用は、為替管理委員会でおやりくださることで、私の方で直接これを取扱うわけではありませんが、お説のような弊害があつてははなはだ残念だと思いますので、さようなふうにならないように、早い者勝ちの方法につきましても十分研究いたしたいと思います。たとえば早い者勝ちだからといつて、朝九時に来たからそれが早いのであつて、午後三時に来たからそれがおそいのであるというような程度のことはいたしたくない。少くとも同日に受付けたものは、同時においてこれを勘案することが、まずさしあたり考えられて来ることでありまして、これは為替管理委員会とも連絡をいたしまして、早い者勝ちに対しまする弊害が絶対に無いとは申し上げかねますが、きわめて縮小された範囲にとどまる。この方法にいたしたいことを念願いたしております。なおこの点については、管理委員会の方からもお答えをいただきたいと思つております。
  117. 武内龍次

    ○武内説明員 今の御質問、それから先ほどの御質問に、少し補足的に御説明をいたしたいと思います。担保を五〇%まで入れるということは、規定にはありますが、大体私どもの考えておりますのは、要項に書いてありますが、大体五%ないし、〇%くらいに実際はなるのではないか。要するにこの担保の制度趣旨は、無責任に、売る先のあてもないのに外貨の資金をとつて、そうして実際には輸入をしないで、あとでそれをほうり出すというようなことのないようにしたいという趣旨から出ておるのでありまして、また他方信用状のとりきめをします際には、ある程度のマージンと申しますか、私はその言葉をよく知りませんが、何かの担保がいるわけでありますから、それとも合わせて、それに使えるような点も考えておるわけであります。  それから外国商社が輸入を独占しはしないかというお話でありましたが、その早い者勝ちの制度と、今度の輸入方式にはそのほかに割当の制度というものを考えております。割当の制度と申しますのは、たとえば綿花などにしますならば紡績の会社、食糧にしますればおそらく食糧庁でありますか、そういうところに輸入外貨を割当てる。そういうところがしかるべき輸入商に委託する。あるいは自分で輸入するというようなことを考えておるわけであります。従いまして、そういうところとの連絡その他によりましては、必ずしも外商がこういうものを独占するということはないのではないか。また早い者勝ちの制度からいたしましても、これは各商社平等に早い者勝ちをやるわけでありまして、その間早い者勝ちが非常にたくさん出た場合に、どういう順序でその早い者をきめるかというような問題は、今政務次官の言われましたように、外国為替管理委員会の方できめることになつておりまするが、そういう制度のありますことは、他方においてやはり需要者と申しますか、消費者と申しますか、そういうところとの間の連絡と申しますか、そういうようなもののいい方が有利になるわけでありまして、そういう点は必ずしもこの制度によつて外国がどんどんとるというようなことにはならないのではないか。なお早い者勝ちの場合では、一つの商社がこの公示されました額の全部をとるというのではなくして、あるいは五分の一までを一つの商社がとる。そういうような組織になつておりますので、独占というようなことは避けられるのではないか。また先ほど申しました先物で、思惑と申しますか、それを悪用するというようなことのないように、やはり輸入業者なら輸入業者のストックが、不当にたまるというようなことのないようなことになる制度を、当然考えるつもりでおります。それだけ補足して御説明申し上げます。
  118. 川上貫一

    ○川上委員 今御説明がありましたが、やはり御説明を聞きましても、これは外国の商社並びに銀行が大進出をして来て、日本の商社は必ず圧倒されるということに対しては、そうはならぬということの御説明は当らぬと思います。これは非常に危険だということをはつきり考えながら、この法案審議する必要があると私は思います。それについてちよつとお聞きしたいのですが、五〇%の担保は五%か一〇%になるかもしれないということですが、これはあてにならぬと思うのであります。これをことごとく政令に讓つてしまつてあるのです。だから業者にしましても、われわれにしましても、それは何ぼとれるかわからぬ。西ドイツの例によりますと、五〇%の保証金を納入しろということになつておると思います。そうするとこれはそうなる場合がある。こういう重大なものをなぜあの政令にまわさなければならなかつたのか。世間ではこれは貿易に関する国家総動員法だ。こう言つておる人さえあるのですが、どうしてこういう重要な問題、業者の不安をかもす問題を政令でやるか。政令でやつたら何ぼでもかえられる。思うままにかつてにかえられてしまう。どうしてこういうことにするのか、われわれの考えでは必ず臨時立法でやらなければならぬと思う。この点についてひとつどういうわけかお聞かせを願いたい。
  119. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまの管理法案のうち、通商産業省に対しまする部分についてだけお答えいたします。それは大体第六省と第七省、罰則に共通でありますが、さような程度で申しますと、川上委員のお説は一応真理を持つておるものだと私は思います。しかしながら、午前の委員会においてもちよつと申しましたが、今の国際経済の動きというものは、なかなか目まぐるしいものがございまして、また日本の中の経済の変変遷というものも、いろいろ複雑な事情があります。そこでそのときどきのものを、きわめて迅速に処理できまするためには、ぜひとも政令処置を講ずるということが、これは現在の段階において必要なものであります。しかしながら御趣旨のような点にわれわれにも勘案できますので、通商産業省に属しますものは、政令案をお示しいたしまして、御検討を願つておるわけでありまして、もし委員会におきまして、この政令案に掲げてありますようなことを、本法に取入れることが妥当であるというような御意見があつたといたしまするならば、国の最高機関であります国会でありますので、どうぞ本案に対しまして、政令趣旨その他を盛り上げました方法をおとりになることも、決して通商産業省に属します範囲におきましては、異議がないのであります。それでありますから、他の政令とか命令とかいうことに対しましては、私はここで申しあげる立場ではありませんが、通商産業省に属しまする第六章、第七章につきましては政令案、少くとも政令の要項を示しまして、かようなものによつて審議つて、本法に取入れるのが妥当である。将来相当期間これを変更しなくてもいいのだというような信念のもとに、当委員会の御意見がまとまるならば、それに従うところの用意は当局として持つておるわけであります。
  120. 川上貫一

    ○川上委員 委員会において意見があれば、政令においてやろうとしておるものを本法に入れてもよいのである。こういう御答弁だと思うのです。その点は了承いたしました。これは通商産業省がそう言われるのだから、おそらくそのほかもそれでけつこうだということになるだろうと思います。通産省だけはそうであるが、ほかはそうではないということはあり得ないと思います。こう解釈してよろしゆうございますか。
  121. 西村久之

    西村(久)政府委員 政令をこしらえましたということについての政府意見は、午前の質問に対しまして、はつきり私の方からお答えしております。その通り御了承を願いたいと思います。簡單に申し上げれば、経済情勢の変化が非常に急激なる今日であるから、立法的措置をとるよりも、政令の措置をとつた方が、国家、国民の経済安定のために役立つという方針のもとに、政令をとることにしたいということをはつきり申し上げてあるのであります。
  122. 川上貫一

    ○川上委員 政令を直してもいいということに対する御答弁を願いたい。
  123. 西村久之

    西村(久)政府委員 直す直さないは国会の自由でありまして、政府考えておるわけではありません。
  124. 川上貫一

    ○川上委員 その点は了解しました。その次に品目別割当というのがあるのですが、この割当に品目別によつて割り当てるのですか。国別によつて割当てるのですか。その点はどうですか。
  125. 西村久之

    西村(久)政府委員 品目別によつて割り当てると御了承おきを願います。
  126. 川上貫一

    ○川上委員 そうすれば国別割当はないのだというふうに了承いたします。次にお聞きいたしたいことは、日本内における外国銀行の金利と円内における金利が非常に違つておりまして、これはこの法律を適用せられまして貿易が始まりますと、非常に重大問題なのでありまして、これは大蔵省でなければ言えぬという御答弁があるかもしれませんが、政府は近い将来に金利を引下げるということを新聞に書いておるのでありますが、この点についてどうお考えになつておるか、承つておきたいのであります。もし下げるとすればどのらい下げるつもりであるか。
  127. 西村久之

    西村(久)政府委員 金利を引下げることが必要であることは、政府も認めておるのであります。その線に沿うて努力いたすのでありますけれども、今明日中にどれだけ下るかということは、名言の時期でないのであります。
  128. 川上貫一

    ○川上委員 その次にお聞きしたいことは、関税の問題でありますが、関税については政府はどうお考えになつておるか。第二番目はアメリカにおける日本の関税はどうなつているかということ、アメリカにおける日本の関税はだんだん安くなつておるか、だんだん高くなつておるか、この点をお聞きしたい。
  129. 西村久之

    西村(久)政府委員 これは大蔵当局が参られますから、そのときに再質問していただきます。
  130. 川上貫一

    ○川上委員 それではそれはあとに残します。大分私が永井時間を頂戴したことになりまして、ほかの委員の方に恐縮でありますが、もう少しだけ質問させていただきたいと思います。この審議会は、予算を作成する責任を負う機関ということになつておりますが、この審議会が作成する責任というのは、その責任をどこに置くのであるか。第二には、この予算国会承認を経るのであるか。もし承認をせないとするならば、貿易計画というものと国の産業計画というものが切り離されるのであるが、これはどうなるのであるか。また国会に諮らぬとすれば、なぜ諮らないのであるか。国の死活にかかわるような貿易計画、この為替予算、これを諮らぬのであるかどうか。この点をお聞きしたい。     〔委員長退席、多田委員長代理着席〕
  131. 西村久之

    西村(久)政府委員 外国為替予算の編成は、原案は安定本部でこしらえます。予算の決定は為替関係の閣僚が審議会で決定するわけになります。これを国会にかけるか、かけないかというお尋ねでありますが、国会にかける性質のものでないのであります。憲法に定めてある予算とは趣を異にするのであります。その他の点ははつきりいたしませんが、重ねてお尋ねがあればお答え申し上げます。
  132. 川上貫一

    ○川上委員 国会承認を経ないとすると、貿易計画というものは、かつてに閣僚審議会かそこらでできてしまう。国の産業経済計画というものは、国会でやるのでありますから、これが国会承認を経ぬということになると、この両方が切り離される。この点についてお聞きしたい。
  133. 西村久之

    西村(久)政府委員 国会審議を要する予算でないということに、御承知おき願いたいのであります。
  134. 川上貫一

    ○川上委員 国会審議を要するものでないと御承知願いたいという御答弁でありますが、これは非常に不親切な御答弁だと思うのであります。しかしここで問題をごそごそしておつたところで始まりませんから、私はこれでこの点は質問いたしませんが、もう少し親切に答弁せられる方がいいと思うのであります。  次にお聞きしたいことは、この法律民間委讓、自由貿易というような状態のものに行われるのでありますが、この実際は為替操作によつて集中する制度だと思う。決してこれは自由に行くのじやなくて、しかもこの法律が今お聞きしますように、予算においても審議会できめてしまう。国会承認を経るような性質のものではない。それから多くのことは政令でどんどんやるのでありますから、これは一方的に政府でやつて行くことができる。そうしてこの予算を通じて割当を握つておるのでありますから、ここが一部の人の言うておる国家総動員法だという言葉が当るのじやないかと思うのですが、かようなやり方をやりますと、為替割当によつて、必ずこの仕事は大資本に集中するだろうと思う。これは必ず独占強化だと思うのですが、これはどうお考えになりますか。またこの形でやりましたら、中小企業はとうてい輸出することはできないと思う。大会社はやるでありましようが、中小のものはできない。これがまた連合いたしますと、そのこともなかなか許さぬという御方針のようでありますが、できないと思う。これはどうなりますか。輸出組合その他の保護、こういうことはなさらぬように聞いておるのでありますが、これがあるのかないのか。これがなくても中小企業の輸出ができるかできないか。また中小企業の資金面、こういう方面からできるかできないか。さらにその上に、この法によりますと早い者勝ちで、一人で二〇%まではできる。そうしますと、ある一定の時期に二〇%を押えましたら、ある時期においては貿易経済の実験を一人で握つてしまうことができます、これで貿易の全権を握ることができる。それを外国の商社がやるではないか。この点についてお考えをお聞きしたい。
  135. 宮幡靖

    宮幡政府委員 前段の独占資本の擁護になるであろうとことの企業の集中が行われるということは、これは川上委員からたびたび伺う御意見であります。そのまま承つておきます。それから輸出に対します何か業法というようなものを考えていないじやないかということでありますが、これはしばしば申し上げたように、ぜひとも輸出業者の小さいものまでも相当程度の力のものに仕上げる意味において、仮称輸出業法というものを志しておるのでありまして、ただいまこの点について交渉を進めておるわけであります。一時はほとんど見込みのない段階にまでなつたわけでありますが、ローガン構想が発表せられて以来、ある意味においてはこれが希望なきにあらずという状況になつております。これによつてせつかく中小企業等の輸出もでき、またこれに伴う生産も起つて参るという方に努力を傾けて参りまして、御心配のことのできないような事態にいたしたい、かように考えております。なお為替予算の二〇%を独占できるではないかという御意見、この点においてはもし二〇%が独占の弊をもたらすものであるというような現実が到来いたしましたならば、政府当局はこの程度を改めるに決してやぶさかでないことを申し上げておきます。
  136. 川上貫一

    ○川上委員 宮幡さんの答弁はいつもこういう答弁です。政府は二〇%と言いますが、二〇%がいけなければかえる。そんな無責任な話はない。今二〇%出してあるのです。これで独占になるのじやないかという話をしておるのであります。それでいけなければかえるというような自信のない、こういう答弁ばかり宮幡政務次官はいつもされる。そうではなくて、もう少し親切な答弁をしてもらいたい。この法案は政党政派の問題ではないと思う。私は何も野党だからこの問題をつつくんだという考えで言うているのではない。この法律は今後の日本貿易日本の産業にとつての死活の問題だと思うので、私は聞いているのです。ところが御答弁を聞いていると、どうもその場限りの、言い逃れさえすればよいという御峠弁のようにしか、われわれには受取れない。こういう国の死活に関する問題については、もう少し真劍に取扱うべきだと思います。おそらく政府当局においても、この法律を施行したならば、こういうことになるということくらいは、十分御存じだろうと思う。いろいろ事情はあるでしようけれども、しかしここは国会ですから、国会の方の意見、われわれの考え方というものを、いろいろな形において表示することもできれば、今のお話の通りに訂正することもできるわけです。こういう日本貿易に関する死活の問題に対して、手練手管でいい加減にしてしまうという無責任な政治は、政府としても考てておられぬだろうと思う。われわれも考えておらぬわけです。そうすると今の二〇%の問題にしても、中小企業は輸出できぬではないかという問題にしても、この答弁は実に無責任です。ほんとうに国の産業を思い、真に国の貿易を思い、日本の独立と反映を思うならば、私はかような答弁はできないはずと思う。もう少し親切な答弁をしていただきたい。
  137. 宮幡靖

    宮幡政府委員 川上委員から実に意外なお言葉を承るわけでありまして、現内閣の持つている政策というものは、川上委員の所属なすつている政党の御政策とは違つております。従いまして主義、主張のもとにおいて意見の相違いたしますことは、これは避けがたいことでありまして、御意見は御意見として承るように、前々委員会において申し上げております。今二〇%の問題を取上げて極論なすつておりますが、二〇%というのはドイツでやつた例でありまして、この法律にも政令にも二〇%というものはないのであります。かりに閣僚審議会で二〇%をきめたとしても、そういうことが起つたならば、これをもつと緩和するような方法をとるとか、あるいは先ほど言われた通り国会において気がついたならば、御意見等を認めたいというのであります。遺憾ながら川上さんの頭にはドイツの二〇%のことがこびりついていて、それをこの法案に移したような御意見だと思いますが、決してさようなわけではありません。ただいま二〇%ときめたわけではありません。もしそうきめたならば、独占になるのではないかという御意見ですから、その御意見はごもつともだと思いまして、もしさような弊に陥るならば、これを直して行く用意があるということを、きわめて親切丁寧に答弁をしているわけです。この答弁がもし不親切な答弁でしたら、私は申し上げようがなくなるので、お許しをいただきたいと思います。
  138. 川上貫一

    ○川上委員 それは三百代官の言うことです。二〇%ならばどうかと私は聞いているのです。  第二番目には、それでは中層企業は輸出できぬじやありませんかということを聞いている。それで中小企業の輸出に関する組合に対して、何か保護を通産省考えているかということを聞いているのです。  第三には、為替の割当が資本面、資材面において、必ず大資本に集中することになります。そうすると独占企業の強化になりませんか。これをどうお考えになるかということを聞いているんです。  第四番目には、今まで私の質問した全体を通じてみて、これでは貿易の全権が外国商社に握られてしまいはしませんかということを、私は質問しているのです。これに対して、いやそうはならぬのだ、あるいはそうなる危險があるのだということを答えてもらいたいのです。見解が違うとか、政党政派が違うということを持ち出されるのは、私は非常に迷惑です。
  139. 宮幡靖

    宮幡政府委員 今並べました一から四までのことは、すでにお答えしたことであります。特に外国商社に圧迫されて、日本の商社は成立たないじやないかというようなことについては、特に事務的に通産局長からも御説明さしております。つまり輸入の問題につきましては、国内の需給関係を最もよく知つている者が、輸入に対する一つの構想ができるのであつて、この国内事情をよく知る者は、かえつて外国の商社よりも日本商社の方が早いじやないかと、少くとも日本人的な意識から言つてもそう考えたいのであります。そういう意味におきまして、早い者勝ちの先着争いにおきましても、日本商社がそんなに遅れをとるものではありません。しかもそれを二〇%ときめたという発表は、あるいは為替管理委員会委員長説明したときに申し上げたのかもしれませんが、通産省としてはまだそういうものは仮定の事実であります。しかしながら二〇%ということが話題に上つたならば、独占にならないかといろ御意見でありますから、もしそれがなるとしたならば、考なければならぬということを申し上げたのであります。この点ぜひ御了承願いたいと思います。第一と第二はすでにお答え済みだと考えているということを申し上げておきます。
  140. 川上貫一

    ○川上委員 どうしてもいけない。通商政務次官亡はまじめではないと思う。日本の状態は日本の人が知つているからとか、そんなことは答弁にならない。そういうことを言つているのではない。金利の問題があり、情報網の問題があり、資金の問題があり、日本の商者に外商に比して持つておらぬのだ。先物買いもしなければならぬのだ。資金もないのだ。こういうような客観的な條件がある場合に、外商に掌握せられはしませんかということを、私は客観的に問うているのだが、これにお答えにならないで、日本の商社は日本の商人が知つているから、一向さしつかえないというような御答弁である。これでは答弁にならぬ。私の聞いているのはそうじやない。これはあなたがいなくてもいい。局長さんの方からでもけつこうですから、具体的に、私の言うていることが間違いならば間違いだとか、あるいはそういう心配はないのだということを聞かしてもらいたいのだ。どうも宮幡さんの御答弁は、八百長のような答弁でお話にならぬ。だから局長からひとつこの点をはつきりと聞かしてもらいたい。
  141. 武内龍次

    ○武内説明員 私としましては先ほど御説明を申し上げたつもりでありまして、一方においては割当制度で需要者に割当てる。これは食糧とか、綿花とか、あるいは塩であるとか、そういう相当大きなものは、おそらくすべて割当制度になると思います。そうしますれば、そういう需要者の中で、外商に頼む方が安いというようなことから、外商に頼む方が出て来るかもしれませんが、日本輸入業者も相当過去の経験もありますし、今度は輸入計画も発表されていることでありますから、ふだんから外国輸入先との連絡もついているわけでありまして、そうあながち恐れる必要はないのではないかと思います。  またこれは先ほど申しあげたことの繰返しになりますが、早い者勝ちの場合にいたしましても、私の説明が先ほど二〇%にきめたのだというように響いたとしますれば、訂正を申し上げなければならぬのでありますが、物資により、あるいは五%に切ることもあるかもしれません。あるいは二〇%に切るかもしれません。その場合に、早く今の申入れをする。そうして割当を行ける。この場合にはふだんからその物資の売行きと申しますか、輸入したあとの取引については、やはり日本の商社は、外国の商社よりも相当有利な点も多々あるわけであります。また早い者勝ちでありまするから、必ずしも外国の商社が先に登記するというわけではないのであります。自信があればどんどん申し入れれば、大体において先着順によつてつて行く。そういうことになるのでありますから、御指摘のような、外商はすべて独占的ではないかというような御心配はないのではないかと考えております。
  142. 川上貫一

    ○川上委員 この点を私は少ししつこいようですが、どうしても聞きたいのです。外国の商社が外国の金利で日本貿易をやるということになりますと、ニューヨーク、ロンドンの金利でやられるということになつても、日本は競争ができるとお思いになりますか。この点をお聞きしたい。
  143. 山本米治

    山本政府委員 外国銀行がこの貿易金融をやるという場合に、今日は御承知通りスキャップによつて許された業務だけをやつているのであります。まだ貿易業務をやつておりません。今後貿易業務を外国銀行がやる場合に、円をいかにして調達するかということが問題になるわけであります。外国銀行国内で預金を取扱う。日本側銀行と同じように預金を扱うということも、外国銀行が円を調達する一つの道であります。また日本銀行その他の金融機関から借り入れるということも、一つの道でありましようが、今大体考えられている方法は、外国銀行は預金をとるにいたしても、店舗をほとんど持たない。東京、大阪ぐらいに持つているくらいでありますから、預金は問題にならない。従つて外貨を持つて来て、これを元手に円を調達するいうことが普通であり、かつ現在そう考えられているのであります。その場合に外国銀行外貨を持つて来るとすると、その外貨に対する金利は、たとえばニューヨークなら一分半ぐらい、あるいはロンドンなら一%以下というような安い金であります。これを日本へ持つて来て、一ドル三百六十円でかえると、外国銀行は円ができるわけでありますが、これを三箇月後、あるいは二箇月後にドルを買いもどすという場合に、さきに外貨日本側へ売つた場合と同じレート、すなわち三百六十円でやる場合は、つまり外国銀行はニューヨークの金利を使い、ロンドンの金利を使う。つまり、ニューヨーク、ロンドン金利で日本の円が調達できるということになるわけでありますが、そうしますと、日本側銀行と対等にならない。日本側銀行が円をどうして調達するかといえば、申すまでもなく預金が第一でありますし、その他足りない場合は日本銀行から借り入れているわけであります。でありますから、外国銀行外貨を元手にして円を調達する場合に、いわゆるチェンジ・オーバー、直売り先買いという方法でやることが考えられるのでありますが、この直売り先買い、すなわち今たとえば一万ドル持つて来て、三百六十円で仕切れば、三百六十万円の資金かできます。これを三箇月後にまた外国銀行は買いもどすわけでありますが、そのときには三百六十万円の円を渡しても、前の一万ドルを返さないで、もつと高いレートで売りもどす。その中に金利を織り込むことになつているわけであります。すなわち外国銀行は、一ドルを單位として見ますと、今一ドル持つて来て三百六十円の金を得る。三箇月後にはたとえば三百六十三円、外国銀行日本側へ納めなければ、一ドルを取返せない。その中には金利というものを織り込むわけであります。そこで日本側の金利が何であるかということは、いろいろな金利がありまして、むずかしい問題であります。銀行の貸付金利もあれば、あるいは銀行が預金をとる金利もあります。また日本銀行から借り入れる場合もあります。いろいろな金利がありまして、日本側の金利の基準は一体何ぞやということが非常にむずかしい問題でありますが、今日内外の金利があまりにも開いておりますので、日本側の貸付金利、すなわち一割近いような金利をそこに盛り込むということは妥当ではない。かつまた日本が国際情勢に参加して行く上には、物価の点、あらゆる点で、なるべく国際的さや寄せしなくてはならぬということが問題になりますので、その場合にもなるべく低い金利ということを考え、そうしてひいては日本の金利一般をそういうふうに誘導して行くというようにしなくてはならぬと思うのであります。すなわちこれを簡單に要約しますと、外国銀行はニューヨーク、ロンドンの金利では仕事をしないのであります。先ほど申しました直売り先買いという操作の中に、日本側の金利か織り込まれるわけであります。日本側の金利と外国の金利との差額を、その直売りのときの相場と先買いのときの相場に織り込むことになりますから、外国銀行がニューヨークあるいはロンドンの金利で仕事をする。ないしは外商に対して日本銀行が貸す場合は、特別飛び離れた安い金利で貸すということはないようにして行く方針でありまして、これはもう当然であります。でありますから金利の問題につきましては、先ほどお尋ねのような外国銀行が、ロンドン、ニューヨークの金利で仕事をする。日本側銀行は全然これと競争できないというようなことはないものと考えております。
  144. 川上貫一

    ○川上委員 ただいまの御答弁は、実際答弁らしい答弁だと思う。こういう答弁をしてもらいたい。何もここははつたりを言うて済ますところではないと思う。ただいまの答弁は、答弁の限りにおいては非常に明快で、外銀が円資金を調達する場合には、日本の金利を織り込むから、それで外国日本との金利についてはさや寄せができるのだという御答弁、ごもつともです。おそらくこれは、さつきもありましたように預金の問題、日銀が貸す問題、為替買いもどしの問題があると思う。しかしながらこれを織り込みましても、日本銀行の最低割引歩合、これが一銭四厘川だと思うのでありますが、これは年五分になります。これ以下にすることは私はできぬだろうと思う。やはりこれは外国銀行日本銀行との開きというものを、完全にとめることはで心ない。それ以上の金利を織り込むことはできますが、これは不可能だ。必ずそうだ。最低割引歩合以下に下げることは、私はできぬと思う。やはり金利の差は残ると思うのでありますが、この点はいかがですか。
  145. 山本米治

    山本政府委員 ただいま申しました直売り先買いに、いかなる金利を日本のものとして織り込むかということに、まだ方針がきまつておりません。しかしかりにその場合に日本銀行の最低金利、すなわち一銭四厘の割引歩合を適用するとしますと、大体五分五厘になります。そうしてかりにニューヨークの金利が一分五厘といたしますと、その五分五厘と一分五厘とのさや、すなわち四分というものを先ほど申しました直売り先買いの中へ盛り込むことになる。それで日本側銀行は、それでは日銀の最低割引歩合に浴し得られるかという問題でありますが、日本側銀行貿易金融をする場合に、その資金のソースは、いうまでもなく預金が主でありましようが、またその足りないところは、日銀から借り入れるわけであります。その日銀から借り入れる場合に、輸出で申しますれば、外貨のLCの来ている、信用状の来ている手形につきましては、日本銀行は一銭四厘の最低割引歩合をもつて割引しているのであります。でありますから日本側銀行が、日銀の借入れ一銭四厘の再割で行く限り、外銀と同一フッティングになるわけであります。先ほど申しましたように、日銀の最低金利を基準として直売り先買いの金利に盛り込むかどうかということは、まだ決定しておりません。今後研究の上きめらるべき問題だと思います。
  146. 川上貫一

    ○川上委員 この点については非常に明決な御答弁がありましたから、私はこの点はもうこれで質問いたしませんが、この際私の言いたいことは、日本の金利と外国の金利と、ちつとも差のないようには、必ずできはしないからということだけ、私はここで言つておきたいと思う。こういう気は政府にはおありにならぬのだということを言つておきたい。これがどうなるかということは、歴史がおそらくきめてくれるだろうと思う。  最後にもう一つ聞いておきたいのでありますが、ダンピングの問題であります。先ほどの御答弁によると、外国外国商品の競争を妨害するような、それほどの値段であれば、これはダンピングだというように、この法案では取扱う、こういう御答弁であつた。ところが輸出品等の取締り法によりますと、そうなつておらない。日本国内の価格、こういうものより——あの時分の説明なり精神は、これより安い場合にはダンピングとしてやる。これはあたりまえだと思う。そうしませんと必ずソーシャル・タンピングになる。そこでお聞きいたしたいことは、先の御説明では、外国との競争で不当な競争がでキぬようなことが証明せられた場合には、これはダンピングとして取扱わぬということであつたのですが、これは先に申し上げた取締り法の精神と反することが一つ、いま一つは、さようなことをいたしましたならば、必ず外商にたたかれてしまう。現在の日本の状態では、ダンピングをしなければ輸出はできぬ状態になつておる。また事実ダンピングをやつておる。労働基準法は守られてはおりません。また非常な賃金遅欠配等があつて、ソーシャル・ダンピングの現実の状態が出ている。イギリスにいたしましても、今度の日英協定の場合でも、ダンピングについては非常に深い関心を持つておる。諸外国がこれを持つておるのです。これはフロア・プライスの改訂の時分にも、ダンピングという問題で諸外国が非常に関心を持つておつた。ところがこれは実際ダンピングができることになつてしまう。というのは、必ず外商にたたかれますから、そうすればダンピングをしなければ実際売れないし、商売もできない。またダンピングをしてもいいという規則になつているし、証明しさえすればいいのですから、これでいよいよダンピングになる。国際的の反撃を受けることは明らかでありますが、この点について通産省はどうお考えになつておりますか。これを最後にお聞きしたい。
  147. 宮幡靖

    宮幡政府委員 川上委員から御答弁を回避されたようでありますから、しばらく黙つておりましたが……
  148. 川上貫一

    ○川上委員 少しは言わなければさびしいのだ。
  149. 宮幡靖

    宮幡政府委員 そうかもしれません。おつしやることは通商産業委員会でやつて参りましたので、結論は大体こちらでわかつておるのです。従つて繰返して言うことは非常に煩瑣だと思いまして——しかし最後のお尋ねに対してお答えいたしておきます。一つの目安は、先ほど申し上げましたように外国の仕向地におきまするところの不正な競争を禁止する。その法令に抵触しないものであるということの証明によつて立証するのだ。それをもつて一応目安としておる。検査法の方におきましても、国内価格とかあるいは生産コストというものと見合つておる。そこに本法の中に制定されております通商産業大臣の戒告の規定があります。かりに証明が参りましても、これは国際的に波紋を起すような価格であり、状況であるといたしますならば、これに対して通商産業大臣は戒告を與えまして、なお戒告に服さなかつた場合におきましては、一定の機関、一年間を区切りましての間、その業者輸出をさしとめるというような手続もできておる。もちろん業者としましては、これに対して訴えもできる。かような形になつておりますから、運用の面におきまして御心配のような点はぜひ是正して参りたいことを申し上げておきます。
  150. 川上貫一

    ○川上委員 これで終ります。ダンピングについて、繊維その他の滞貨がたくさんありますが、この滞貨を過去六箇月間の同種類の商品の引合い値段の平均の二分の一で、外国へ出そうという考えがあるということをうわさに聞いておりますが、かようなことがあるのであるかないのであるか、これが一つ、いま一つは、この法の施行によりまして、従来の融資順位をおかえになる考えがありますかありませんか。この二点をお尋ねして私の質問を一応打切ります。
  151. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまのお尋ねでありますが、その二分の一に切下げて輸出する。さような措置をとつたこともなければ、現在そういうことは通産省としては知つておりませんでございます。どうぞ御了承を願います。
  152. 川上貫一

    ○川上委員 もう一つ融資順位の問題があります。
  153. 宮幡靖

    宮幡政府委員 あの貿易金融の融資順位ですか。その公団の滞貨に対する融資順位という意味ですか。
  154. 川上貫一

    ○川上委員 そうじやなくて、貿易中心になりますから、全体の融資順位をかえなければ、とても融資できはしないでしよう。
  155. 宮幡靖

    宮幡政府委員 それは先刻予算委員会において大蔵大臣から答弁してあります通り、大蔵省の担当でありますが、通産省としても融資順位を変更いたしまして、適切にやつてもらいたい。ことに第六国会に提案を予想されております綿業統制法においては、従来の融資順位を織り込んだものでありまして、これで一層はつきりした融資順位がきめられることと思つております。少くとも今まで輸出の面に携わつておりまして、丙であつたものを乙に上げる。こういう措置は適切に行わなければならぬと思いますが、この具体的な問題については、大蔵省からお聞き願つた方がよろしいのではないかと思います。
  156. 多田勇

    ○多田委員長代理 次は通産委員前田正男君。
  157. 前田正男

    ○前田(正)委員 この提案されました法案及びその他の参考資料につきまして、私自身はなはだ未熟のせいか、手続きその他取扱いがどうなつておるか、どうも不明瞭なところがたくさんありますので、私の意見を申し述べますよりか、どういうようにして取扱つて行くのかという御説明を、よくひとつお願いいたしたいと思います。  まず第一に、この外国為替予算を閣僚の審議会でおつくりになるようでありますが、これにさつそく十二月一日及び一月一日から、この法案通りましたならば適用されることになるのでありますが、本年度予算及び来年度予算等とにらみ合せまして、これは早急にできる可能性のあるものであるか。十二月一日あるいは一月一日実施の前、何箇月ほど前にこれは発表されて決定されるものであるかというようなことから、ひとつ説明を願いたいと思います。
  158. 谷林正敏

    谷林政府委員 お答えいたします。輸入の方はこの法案の御説明の中にも申し上げたように、一月一日から実行されることになるのでありますが、さつそくそのときから実行できるように四半期の計画を立て、外貨の割当もしなければなりません。この話が起りましてからすぐに——もちろんその前から絶えず輸入計画というようなものは、安定本部でやつております。この構想を取入れたものを、さつそく一箇月前ぐらいからとりかかりまして、そうして予定では十一月の終りごろまでにそれを完成いたしまして、もしもこの規定に入りまする閣僚審議会がすぐにできれば、でき次第すぐそこにかけまして、そうしてその準備を整えまして、来年の一月一日からに間に合せるようなつもりでおります。万一閣僚審議会の方の準備がやや遅れましたら、その間の準備といたしましては、スキャップの方とあらかじめ相談いたしまして、閣僚審議会でできましたものを、スキャップで見る順位をややかえまして、もう少し深人りした準備をいたしまして、それができ次第閣僚審議会を通し実効に移したい。つまり一月一日からのに間に合せたい、こう思つております。
  159. 前田正男

    ○前田(正)委員 今度の法案の過渡的なものにつきましては、今の御説明でわかりました。将来この法律は後にまた改訂するように相なつておりますけれども、しかしながらこれを原則といたしましては、大体この公表される時期というものは、もちろん内閣予算の編成の決定、あるいは国会において予算審議の終了後においてのことになるかどうかわかりませんが、その方の大体いつごろの基準において、あるいはまた予算審議の終了した、国会の意思を尊重した上で発表するものであるかどうか。そういう原則的な公表をする時期についてお考えになつておるかどうか。それをお聞かせ願いたいと思います。
  160. 谷林正敏

    谷林政府委員 これは実は絶えず輸入はかわつて来るものでありまして、その情勢を一番近くまで織り入れてかえて行きたい。こう思つておりますので、非常に前広にこれを発表するというようなことはむしろ避け、なるべく近い時期においてこれを発表した方がいいのじやないか。たとえば一月、三月はとりあえず一月前に発表する。それから四月からその次の三箇月というのは、もちろん準備に少しかかると思いますけれども、相当近くなつて発表されるのではないか、こう思つております。ただ発表のいろいろな操作によりまして、すぐ翌日とか、あるいは一週間あとにやらなければならないことを、あまりに間近にやるというようなことは考えものでありますので、その辺のところにいろいろ実情を織り込みましてやりますが、何箇月も前に発表するということは、むしろやらない方がいいのではないか。ただ時期その他は、閣僚審議会がこれを決定することになつております。私としてはそう考えております。
  161. 前田正男

    ○前田(正)委員 今のお話のように、近くに発表するということになりますと、特にそのうちの輸入につきまして、非常に問題があるのであります。買いました品物を国内の商社がさばくわけでありますが、それにはもちろん国内において、いろいろと輸入の品物を需要する時期がありますし、またこれを買い付けますにも、有利な値段で買い付けられるときに、これを入れなければならないということもありまして、大体貿易をおやりになつておるところは、少くとも半年あるいは一年前から、輸入される品物の買付の時期、あるいは場所等について、いろいろと研究をしなけれげならぬと私は思うのであります。従いまして事前にすぐ発表されたのでは、取引ができないのであります。あらかじめの豫想のもとに商売の照会とか、ただオッファをとりかわすということでありますれば、これは別でありますけれども、こういうふうなわくが公表されるということになりますと、どうしても事前に発表してもらわないと、輸入商社がこれをさばくのに困るのではないかと私は思うのであります。御承知のように輸入補給金その他いろいろ割当制のものが、予算の方に盛られておるわけでありますが、その他のものにつきましては、これは大体国家の物資需給調整年度計画というものを、毎年初めにお出しになると思うのでありますが、早く入れられるものにつきましては、年度計画でおやりになればいいし、割当制のものにつきましては、補給金その他、そういつたものの需給計画でおわかりになるわけでありますから、大体年度の予算国会で通過いたしました直後におきましては、一年分くらいの外国物の輸入の公表ができると私は存ずるのであります。またこれができないことには、実際輸入をする商社が買付に困ると思うのであります。これらにつきましてひとつ御見解を承りたいと思います。
  162. 谷林正敏

    谷林政府委員 ただいまある商品については相当前広にやる方が、実際売りさばく上にも必要であるし、業者もその必要を痛感するだろうという御説明がありましたが、これはごもつともでありまして、私先ほどあまり期間を置かないで発表した方がいいだろうと申し上げたのは、大体の品物について申し上げたのであつて、その中の個々の品物については、あるいはその時期、それから一時に買つた方がいいとか、あるいはわけて買つた方がいいとか、いろいろその商品によつて種類があるわけであります。そういうような性質のものにつきましては、もちろんお説のようにとりはからう方が至当であると思うのであります。  それから第二に、一年間のプログラムは大体わかるだろうから、これを発表したらどうかというような御意見がありましたが、これは現在輸入のいろいろな計画をしておる際におきまして、全部を日本勘定で入れるというわけには行きませんで、相当な部分アメリカの援助資金によつてまかなわれております関係上、一年間の輸入計画を全部発表するというようなことはできないのであります。それともう一つは、ただいまも申し上げましたように、外貨資金というものを自分の勘定、つまり日本勘定でまかなつて行く上におきましては、やはり輸出というものを絶えず見なければなりません。輸出を見て行く上におきまして、輸出が計画通り行かないというような場合に、そこにもしも資金の不足が起れば非常に困るので、そういうようなことを考える場合には、やはり四半期ぐらいに区切つて、実際の輸出入の外貨割当、外貨予算というものを考えて行くのが、今の状態においてやり得る一番いい方法ではないか。こう考えておりまして、やはり四半期別の計画を発表するというようは方法になることと思つております。
  163. 前田正男

    ○前田(正)委員 四半期別の発表でも多少先のことはわかるはずであります。御承知のことと思いますが、現在はめくら貿易でありまして、日本の商者は外国から通信その他の方法によつて、いろいろな情報を集めなければなりませんが、それを集めますのに相当時間がかかります。また船も、将来は日本の船を使えるかもしれませんが、今は私たちの希望通りに船腹が獲得できるわけではありませんから、相当の期間を要すると思いますので、三月ぐらい前の公表では、とても買付の手配ができないのではないかと考えるのです。これが間に合うかどうかということのお考えをお聞かせ願いたいと思います。  もう一つは、なるほどコンマーシャル・ファンド以外の援助物資も相当入つて参ります。しかし民間貿易というものは、輸入しましてから、損をしましても得をしましても、これに商社の責任でなければならないわけであります。従つて民間貿易で入りますものと、援助物資で入つて来ますものとの内容を、ある程度知らない場合には、たとえばこれは相当さばけるものと思つて、商社の責任において輸入した。ところが商社の知らないときにいろいろな品物がどつと入つて、二分の一にも三分の一にもなつて、附則の損害をこうむるということになると、商社自身が十分な活動ができないので、政府としてはどういうものを輸入するということを明示してやらなければ、買付ができないと存じますので、これに対する御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  164. 谷林正敏

    谷林政府委員 ただいま、三箇月ぐらいで商社として実際輸入をするのに十分かというお話がありましたが、特殊な品物を除きましては、それだけ前にアドバイスがあれば、取引をしても十分であると考えております。もちろん御承知と思いますが、実際商取引をやつております方では、大体その專門の仕事がありまして、国外においてもその專門の関係店があるわけであります。そこと常に通信を往復いたしまして、絶えずいろいろな物の値段、あるいは数量について関係をつけておるわけであります。それで、たとえば向うへ注文しても、制作によほど時間がかかるというようなもの、あるいはあるときに特別な事情が起つて、今注文しなければ向うになくなり、そのためにチャンスを失うもの、こういう特殊なものもときにはあるかと思いますが、大体において各貿易商社は、一週間後に注文を発しても商取引に入り得るような態勢になつていると思いますから、その点は一応さしつかえないと考えております。それから受ける方が自己の責任において輸入する以上は、横に政府勘定というか、今の援助資金で物が入つて来ると困るわけであります。その点、ほかにも同種の商品でそういうことがあるというようなことは、適当な方法業者にもわかるようにすることが至当だと考えております。
  165. 前田正男

    ○前田(正)委員 私の質問の第一の点に対しまして、三箇月で適当であるというような御意見でありますが、なるほど正常の商売のときは、新しく常に情報を得ておるからできますけれども、こういうように公表してやるということになると、そこに政府の意思が作用して来るのでありまして、正常の貿易を、ふんだんに集めておりました情報だけでは、十分にやりにくいと私は思います。しかし現在の日本に許されます民間貿易というものが、こういう範囲でやらなければならねということであれば、しかたがないのでありますが、この辺になるべくひとつ今後の折衝にご協力を願いたい。私どもの考えるところでは、三箇月ばかりでなくして、半年あるいは一年前から大体予算ができますから、予算のできました後におきましては、大体公表ができるようにご協力をお願いいたしたいと思います。  次に予算に伴いまして、いろいろと国内の物資の需給状態及び価格の点に、相当問題が起つて来ると思うのでありますが、もちろんまず第一の問題でありますところの、割当制でないものにつきましては、当然輸入されましたものの金額及び物資の統制というものが、撤廃されるものと期待しております。また現在撤廃されたもの、あるいは公定価格のないものに対して、こういうことがとられるのではないかと思うのでありますが、その点につきまして政府の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  166. 西村久之

    西村(久)政府委員 今の御質問の中で、国内の価格と不つり合いを来すとというような場合に、統制をはずして行くかどうかというお話でありまするが、統制をはずすことは私どもの大体の方針といたしておるところでありまして、それに関係せずどしどしはずして行くつもりであります。なおまた摩擦を生ずるような統制物資につきましては、個々の物資につきましては緩和いたしまして、御希望に沿うような方針をとりたいと考えております。
  167. 前田正男

    ○前田(正)委員 従つて、そのうちの需給が不均衡であるものは、割当制を定めるということが、この政令案の要綱の五に書いてあるわけでありますが、現在の需給が不均衡であつて政令案に基くというようなこの物資の内容につきまして、現在政府の側として考えておられるものがありましたら、ひとつ説明願いたいと思います。
  168. 武内龍次

    ○武内説明員 まだこの点に研究中でありまして、確定いたしておりませんが、大体を申しあげますると、米その他主食、油脂、石油関係、原綿、飼料、石炭、鉄鉱石、塩、まだ幾つかあると思いますが、大体こういうようなものが基本的な物資と考えております。
  169. 前田正男

    ○前田(正)委員 これは私も新聞で得た情報でありまして、正確な情報とは申し上げられませんが、ローガンの構想によりますと、この割当制に残ると思われるものは、ごく少数のものにしたいというようなことが、新聞に記載されておつたように思うのであります。ところがただいまの構想では、それか多いように思うのでありますが、これは極力縮めていただくようにしていただきたいと思います。この辺につきましてはいろいろと折衝の余地もあると思いますので、できるだけ割当制に残るものを少いようにしていただきたいということを切に覇希望いたします。  次に、為替の問題につきましてお尋ねいたしたいのでありますが、輸入為替銀行承認を受けるに必要な書類があるわけであると思うのでありますが、これには買いつけたという証明の書類でも何か貼附してやるのですか。ただ輸入を希望したいということでやるのですか。その辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  170. 武内龍次

    ○武内説明員 その点も研究いたしておるのでありますが、大体においてそういうファーム・オッファーと申しますか、契約と申しますか、そういうものをつけて、早い物勝ちに銀行に持つて行くということは、やらないということになるだろうと思います。つまり為替資金をとつてから契約を確定するということで、さしつかえないだろうと考えております。
  171. 前田正男

    ○前田(正)委員 為替承認を受けて、それから契約をして、外貨を獲得して、信用状を開くという順序になるのですか。買付をする順序をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  172. 武内龍次

    ○武内説明員 大体その通り考えております。
  173. 前田正男

    ○前田(正)委員 そうすると問題は、民間貿易になりまして、日本人側が外貨を硬得するということ、及び信用状を開くということに対しては、根本的な了解は得てあるわけでございますか。向うはBL引きかえに代金を落すと思いますが、信用を取得すること、外貨を獲得することは、根本的な了解がこの法案のどこかにあるのですか。その点お聞かせ願いたいと思います。
  174. 奥村竹之助

    ○奥村(竹)政府委員 その点につきましては、あらかじめの予算で発表した外貨につきましては、外国為替管理委員会の方でそれだけの外貨を持つているものを予算の総わくにしておりまして、その予算範囲内で輸入為替許可とつた者に対しては、外国為替管理委員会の方でそれだけの外貨を持つておりますから、その輸入為替許可に基いて銀行が発行した信用状につきましては、その信用状の條件通り先方の輸出業者が船積みをいたしました場合には、その信用状は、日本へ到着いたしましたときに必ず外貨で拂うという点については、十分了解を持つております。
  175. 前田正男

    ○前田(正)委員 それはこの法案のどこにうたつてあるのですか。明文がある、あるいはなくても、そういうことができるのか。それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  176. 奥村竹之助

    ○奥村(竹)政府委員 その点は法文にはうたつてございませんが、外貨予算が閣議審議会で決定いたす場合に十分検討いたしまして、それだけの外貨はわが方にあるということを十分確かめていたすわけでございまして、法文上には外貨予算というところに出ているわけであります。
  177. 前田正男

    ○前田(正)委員 そういたしますと、日本人が信用状を開くときにあたつては、外貨を取得したものとしていいわけですか。現在日本人の外貨の取得に、優先外貨以外にはできないということになつているようでありますが、一応信用状を開くときは、外貨を取得したということにしていいわけですか。その点は法律的には問題はないのかどうか。この点をお聞かせ願いたいと思います。
  178. 山本米治

    山本政府委員 それらのことは銀行のオペレーションに属することでありまして、法律の中にはうたつておりません。法律の中には、ただ外国為替予算というものがあるだけであります。その予算範囲内において先ほど申しましたように、あるものは公表し、その範囲内で早い者勝ちで銀行にアプライするということになります。銀行にやたらなもの、信用のないものがただ承認を得ておくためにやるということを防ぐためには、その輸入申請者はある程度の金を積む。これは大体五〇%以下と考えられておりますが、輸入金額の五割以内の範囲において金を積ませる。そしてやたらに信用のないもの、金のないものが輸入しようとすることを防止しようと考えているわけでありますが、その金を積みましたものは——むろん信用のある業者は、銀行がそういうものを要求しないかもしれません。そのものに対しては外国為替などが割当てられる。こういうことになるわけであります。
  179. 前田正男

    ○前田(正)委員 そこで委託加工とか、あるいは協定貿易というか、求償的な輸入をもとにして輸出するとか、いろいろな方法があると思うのであります。そういうことは為替はどこできめられるのか、品物別にきめられるのか、あるいは商社の申請ごとにきめるのか、あるいは全体としてバーター契約にするとか、あるいはこういうものは委託加工にするとか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  180. 武内龍次

    ○武内説明員 今のお尋ねのバーターであるとか、委託加工、こういうものはむしろ外国為替予算範囲外と考えた方がいいのじやないかというふうに考えるわけであります。そういうものにつきましては、通産大臣が個別的にその申請を審査しまして、適当と認めたときには許可をする。こういうことになつております。
  181. 前田正男

    ○前田(正)委員 そうすると、それは現在の外国為替予算とは別ということになりますと、全体の見込みの計画を通産大臣及び政府その他できめて、最初にこういうものは委託加工であるとか、あるいはこういう品物別にバーター契約にするというふうにするのですか。個々の取引ごとにこれを申請してやるのでありますか。それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  182. 武内龍次

    ○武内説明員 今のあとのお話の通りであります。
  183. 前田正男

    ○前田(正)委員 そうすると、そういうふうに個々の取引に基いて、バーター契約あるいは委託加工契約を認めて行こうという方針になりますと、実は先ほどの外国為替の場合でありますが、この場合においても、当然このコンマーシャル・ファンドを利用して入つたものについても、本来の商取引の習慣から行くと、輸出して獲得した外貨を、昔でいうとイヤ・マークですか、そういうものを利用して、優先的に輸入外貨をそこへまわしてやるというように、先着順というような考え方でやるべきでなくて、実績があるものによつて、この外国為替自身も優先的に利用されるというふうに持つて行くのが、ほんとう貿易の行き方でないかと私は思うのであります。そういうことに可能性があるのかどうか、伺いたいと思います。
  184. 武内龍次

    ○武内説明員 今のような、過去の実績によつて、割当制度以外の輸入について、為替をそういう意味で割当てて行こうということは、考えておりません。
  185. 前田正男

    ○前田(正)委員 為替管理が残りますから、こういうふうな外国為替銀行においての割当ということになりますが、しかしこれはやむを得ずの処置でありまして、本来ならば自由為替ということになりますと、自分が輸出したものは、自分の外貨として輸入するのが建前でありまして、それがほんとう貿易であると思います。この運用は現在のところ輸出した見返りに輸入をするというような、自分が獲得した外貨をもつて輸入するというようなことは全然関係なしに、輸入輸入で先着順でやるということになつておりますが、実はやはり貿易の習慣から見ましても、私は自分の輸出したものに対してのわくは、なるべく優先的に輸入をさしてやるというふうに、その為替自身にイヤ・マークでもできましたならば、そういうふうな処置でもとつて輸出入の貿易をお互いにやれるというふうにしてやつて、初めて貿易商社自身の仕事もできると思うのであります。自分が一生懸命になつて輸出して、コンマーシャル・ファンドとして獲得した外貨を、非常に要領よくうまくやつた人間が、輸入にどんどん使つてしまうということでは、本来の外貨獲得の精神とも反するようにわれわれは感ずるのであります。現在は自由為替の時代でありませんから、やむを得ませんが、しかしながら外国為替管理ということをやりましても、そういうイヤ・マークその他の特別の処置によつて、そういうふうな処置も講じられるのじやないかと思いますので、こういつた方面に対してもひとつ研究してみられたらどうか。全然そういうことは研究する見込みのないものであるか。こういうことについてお聞かせ願いたいと思います。
  186. 山本米治

    山本政府委員 そういう趣旨、すなわち輸出したものに優先的な権利を與え、そして輸出を奨励するという趣旨で、去る六月二十五日でしたか、優先外貨使用制度というものができました。御承知通り、商品によつて輸出代金の三%、一〇%というものを、その輸出業者使用し得るようになつているのでありますが、しかし輸出輸入とは必ずしも同一人がするわけではございません。ある人は輸出だけする、ある人は輸入だけするというふうになつております。そういう場合に、輸出したものがその外貨を自由に使えるということになりますと、自分で輸入しない場合には、これを他の輸入業者に売るということになります。そうするとそこにどうしても為替のやみ相場というものができます。この制度は、去る夏、めくら貿易を打開するために、その輸出優先外貨は、主として海外渡航、市場視察のために使う目的でできたのであります。これはドイツでもやつた制度でありまして、ドイツでは去る二月にそれをやめました。いろいろな理由がありましようが、やはり一つは為替のやみができたということによるものと思うのであります。将来為替が自由になりますれば、むろん輸出した人がその代金を自由に処分し得るわけでありますが、今日の場合は先ほど申しましたように、ごく小範囲、めくら貿易を打開するためにやられているのであります。その程度以上にはこの制度を拡大することは、かえつて弊害があるように思うのであります。
  187. 前田正男

    ○前田(正)委員 いろいろと事情があるようでありまして、為替管理をやる以上は、いろいろとやみ等が起るのはやむを得ないと思いますが、輸出入をするのが大体貿易商社の原則であると思いますので、優先外貨制度もあるそうでありますが、なるべくひとつその辺については運用においていろいろ考慮していただき、あるいは今後の折衝において、そういう道を開かれるようにしてやつていただきたいと思います。  次に、こういうふうに民間輸入を許されるようになりますと、現在のところは、向うの積出港渡しの値段とか、CIFとか、いろいろ建値があるようであります。それは輸出の場合においても、CIFとかFOBとかあると思いますが、こういうふうな民間貿易あるいは輸出貿易というものが、当然自由に許されることになると、建値につきましては現在の制限というものはなくなりまして、自分のすきなようにFOB、CIFが自由になるべきであろうと思いますが、そういうふうに政府は折衝中であるというふうに、過般通産委員会でもお話があつたように思いますが、今度の法案が十二月一日及び一月一日の施行と同時に、建値の自由ということは実現できるのか。これにつきましてひとつ御回答をお願いしたいと思います。
  188. 奥村竹之助

    ○奥村(竹)政府委員 ただいまのDIFの問題につきましては、去る五月からこれを実現したいと思いまして、いろいろ折衝しておるわけであります。その問題の中心に、要するに外貨建の船賃なり、保險料を、日本輸出業者が円で支拂い得るという点でありまして、円をドルなりポンドに交換するという点について、むずかしい問題があつたのでありますが、今御説のように十二月一日から輸出を原則として自由にするためには、どうしてもそれは実施しなければ、輸出が円滑に行かないのでありまして、先般来折衝いたした結果、ただいまのところでは十二月一日からCIFを大体央施し得る予定でおります。これは正しいオープン・アカウントの国々に対しては、運賃なり、保險料は、わが国の貿易輸入に相当するものになりまして、わが国の外貨の支出になるので、これは一般の輸入と一時に一月一日までに実施は困難かと考えております。
  189. 前田正男

    ○前田(正)委員 政府の非常に御盡力によりまして、かねて交渉中のものが実現する見込みが立つたことは、われわれ一般の民間の者といたしましては、非常に喜びとするところと思いますが、今のお話で輸出のCIFのお話でございますが、輸入につきましても自由になるか。FOB、CIFともに自由な建値ができるか。この点について承りたいと思います。
  190. 奥村竹之助

    ○奥村(竹)政府委員 ちよつと今の最後のところを聞き漏しましたが……
  191. 前田正男

    ○前田(正)委員 輸入につきましても、一月一日から、FOB、CIFですきな建値がとれるかということをお答え願いたい。
  192. 奥村竹之助

    ○奥村(竹)政府委員 大体そういうふうにできるように話を進める予定でおります。大体そういうふうになると予定しております。
  193. 前田正男

    ○前田(正)委員 ぜひこれは今回の法の精神から行きましても、輸出入ともに建値は自由になるということについて、さらに一段の御盡力を願いたいと思います。つきましては、それに伴いまして税関の問題が相当出て来ると思うのでありますが、今回のこの為替の問題に伴いまして、日本の税関につきましてのいろいろな税率その他につきまして、現在のところ検討されておられるかどうか。あるいはまた成案があるのかどうか。これにつきましての御説明をひとつ願いたいと思います。
  194. 伊原隆

    伊原政府委員 ただいまその方の説明員を呼んで参りますから、ちよつとその点御猶予願いたいと思います。
  195. 前田正男

    ○前田(正)委員 税関の問題は非常に重要でありますから、ひとつお知らせ願いたいと思います。  次にお聞かせ願いたいと思いますことは、これに伴いまして先ほど政務次官からもお話がありましたが、公団の整理、その他があるかもわからないということを言つておられたのでありますが、ああいうことをやるかやらぬかということについては、不明瞭な御答弁のように思つたのであります。当然輸出入の制度がこういうふうになりましたならば、公団の非常な整理がなされる。特別の援助物資以外には、当然整理されると思うのですが、これについての政府の整理の構想、方法等についての御意見があつたら、お聞かせ願いたいと思います。
  196. 西村久之

    西村(久)政府委員 前田君にお答え申し上げます。お説の通り自由な貿易に入るにあたりまして、不必要な公団はでき得る限りこれを廃止する方針でございます。ただ食糧などの輸入を懇請しております関係の公団は、暫時存置しておかなければならぬのじやないか、かように御了承置きを願います。
  197. 前田正男

    ○前田(正)委員 それでは税関のお話を政府委員が参りましてから、継続することにいたしまして、ここで一応私の質問を中止することにいたします。
  198. 多田勇

    ○多田委員長代理 次は通告によりまして通産委員の小金義照君。
  199. 小金義照

    ○小金委員 今議題になつております外国為替及び外国貿易管理法の問題について、昨日から審議があつたようでありまして、ただ残念ながら本日も予算委員会の方に出ておりまして、どういう質疑応答、研究がなされたか、私は不幸にして聞くことができませんでした。実はあとで関係速記録を読んで勉強いたしますが、この法案をわれわれが通商産業委員会において、公式あるいは非公式にいろいろ論議、研究いたしましたその結果、私は二、三ここで根本問題についてお尋ねをいたします。できればこれは法律の性質から申しまして、逐條審議して、手続の方法論といいますか、その方法を十分研究する必要がある。これはいろいろ憲法上の問題もありますが、日本輸出貿易を伸張しなければならないという立場から行きますと、どうしても手続が大事になる。そこで私がこれらお伺いすることは、すでに質疑応答があつたかもしれませんが、その際には政府委員の方で、それは答えてある、問題になつたということだけを答えていただけばけつこうであります。  まずこの法律は、一読いたしまして、非常にまだ生である。こなれていないというような感じがいたします。と同時に非常に大きな委任立法でありまして、おおむね政令または省令に讓つておる。そうするとその政令または省令の骨子をここでさらけ出していただかないと、この法律の検討はほとんどできない。しかしながら今申し上げましたように、この法律は相当まだ政府委員の方でもこなれていない。これから具体的に貿易伸張ということを本旨として考えて行かれる点が多々あるのじやないか。こういうふうに私は観察するのであります。まず本法は、全部の條項を施行するのはいつごろになる見込みでありますか、お尋ねいたします。
  200. 谷林正敏

    谷林政府委員 全部終了いたしますのは三月三十一日までと、この裏に書いてございますが、できるだけそれ以前に終るようにしたいと思います。ただ大部分のものは十二月一日並びに一月一日でほとんど施行になります。
  201. 小金義照

    ○小金委員 三月三十一日以降には延ばさないということですか。その点はつきりお願いいたします。
  202. 谷林正敏

    谷林政府委員 さようでございます。
  203. 小金義照

    ○小金委員 附則の第一項によると、「この法律の施行期日は、各規定につき政令で定める。」というふうになつていますが、この第九章まで七十三條の規定のうち、どれだけが十二月一日から施行され、また一月一日から施行されて、どれだけが残つて三月三十一日までに施行されるか。大体の目安がありましたならばお願いいたします。これらについて今冒頭に申し上げましたように、すでに質疑が終つておれば、それだけお答え願えれば速記録で勉強いたします。
  204. 奥村竹之助

    ○奥村(竹)政府委員 ただいまの御質問につきましては、第七條の三項以下でございますが、これはまだ対外的な折衝が少し残つておりますために、十二月一日に施行することは、あるいは困難かと思われますが、十二月一日以降遠からず実施する予定でございます。それから輸入に関しまする五十二條、五十五條の二條、この法律に関する輸入は昭和二十五年一月一日から実施する予定でありますので、それまでに実施する予定でございます。つまり十二月一月には、まだ政令、省令で定まらないところがございますので、一月一日に実施する。それから第四章並びに第五章の点につきましては、ただいまわが国が占領下にあるという特殊事情にありますために、ここにおりまする外国人の権利義務に対する影響が非常にありますので、この点まだ折衝を要する箇所がたくさんございますから、この両章の規定につきましては、十二月一日に実施する運びに至つておりませんが、これにわれわれといたしましては一日も早く、おそくとも来年の三月三十一日までに実施する予定でございます。その他の條項は全部十二月一日から実施したいと思つております。
  205. 小金義照

    ○小金委員 これは全般を見ましても、政令または省令に讓つているところがたくさんあります。特に第五章の「制限及び禁止」のごときは、これは何何してはならぬということで大きな網を張つて、一定の行為をさしとめるような規定になつております。従つてこの規定をすぐに実効されては困る場合がある。従つてある規定は効力を発生せしめないようにするとか、あるいは発生せしめてもすぐ制限ないしは禁止を解除しなければならぬというようなことになつて来ると私は考えますが、こういう日本の現状のような場合において、輸出入を伸張させるということには、並々ならぬ苦心があると思います。いずれにしても、これらの貿易伸張という見地から見ますと、手続き上の問題も非常に大事でありますが、わが国の国内の生産事業の振興を考えないと、これは絵に描いたもちになります。従つてこの法律を適用ないし運用する際には、国内産業の手当と申しますか、国内産業を振い起す振興策を一緒に考えて行かなければ、これは意味をなさない法律だと考えるのであります。従つていろいろな手続を、政令または省令にたくさんの事項を委任いたしております。そこで省令あるいは政令がたくさん出ることだと思いますが、今議会においてこの法律案審議する際に、もし政令または省金の要綱、またはその成案がありましたならば、私はここで質問の時間を儉約するために全部を省略いたしますから、文書なり書面で御配布を願いたい。この注文をいたしまして、時間の関係で私の質問を打切ります。
  206. 西村久之

    西村(久)政府委員 ただいま小金君より御要求政令要綱は、できたものよりすでに委員会にはお配りしてあるのであります。今後必要とする政令要綱は、急速に御希望に沿うようにおまわしすることにいたします。
  207. 小金義照

    ○小金委員 ただいま西村政務次官からお答えがありましたが、実は私どもは通商産業委員の方でありますので、経済安定委員の方へお配りになつても、通商産業委員の方へ来ない場合がありますから、これを特にこの席で私もお願いしておきます。
  208. 前田正男

    ○前田(正)委員 今の資料の点で、先ほどお願いしておいたのでありますが、この貿易管理法案の別表第一というのを至急配つていただきたいと思います。
  209. 武内龍次

    ○武内説明員 私はお配り申し上げたかと思つておりましたが、もしまだ届いておりませんでしたら、至急配布したいと思います。
  210. 多田勇

    ○多田委員長代理 それでは次に大蔵委員北澤直吉君。
  211. 北澤直吉

    北澤委員 私はきよう午前中、大分質問申し上げたのですが、さらに補足して、二、三点だけ伺いたい。外国為替相場の問題ですが、第七條の基準外国為替相場というのは、一ドる三百六十円ということでわかつておりますが、外国為替管理委員会売買する為替相場、これは外国為替管理委員会が定めなければならないということになつておりますが、何かこれにつきまして、相場について腹案がありますかどうか。お伺いしたい。
  212. 奥村竹之助

    ○奥村(竹)政府委員 ただいまの御質問は第七條第三項のことであると思いますが、これにつきましては、銀行が顧客と取引するときの相場と、委員会銀行から集中するときの相場とございますが、その両方につきまして、ただいまいろいろ研究中でございます。第五項に、直物相場については、最高百分の一以上の開きがあつてはならない。これは国際通貨基金規定に沿いましてつくつた條項でございまして、この範囲内において国際慣行並びに実際の、できるだけ自由な経済活動を活発ならしめるような範囲内で、委員会で定めたいと思つております。それが何円何十銭かということは、ただいま研究の最中でありますから、もう少し固よりましたら御返答申し上げます。
  213. 北澤直吉

    北澤委員 第七條第四項によりますと「外国為替管理委員会は、大蔵大臣承認を得て、正当な外国為替取引における外国為替売相場及び買相場並びに取扱手数料を定めることができる。」とあり、その前には、「外国為替管理委員会外国為替売買する相場を定めなければならない」とありますが、この外国為替銀行売買する相場については、定めることができるので、もしこれを定めない場合には、各為替銀行の間で競争が起ると思うのでありますが、これを政府としては定める方針でありますか。あるいは定めない方針ありますか。ただ「定めることができる。」と書いてありますが、その点伺いたい。
  214. 奥村竹之助

    ○奥村(竹)政府委員 お説の通りでございまして、ただいいまの経済状態におきましては、定めたいと思つております。そうしてその範囲は、たとえば直物電信売買だけにいたしますか。あるいは三十日、九十日というような期限付手形の相場にもいたしますか。その範囲は目下研究中であります。本来ならば自由競争にまかせるのが経済の常道とは存じておりますが、ただいまの国際関係並びに国内状態に照しまして、目下の状態では定めたいと思います。
  215. 北澤直吉

    北澤委員 もう一点お伺いします。  この外国為替銀行でありますが、これには外国銀行日本銀行と両方ございますが、外国の鎚行は資金その他の関係で、日本銀行に比しまして有利な立場にあるのでありますが、こういう場合に外国銀行日本銀行との間の競争が、フエアーに行われるような方法につきまして、何かお考えがありましたら伺いたい。
  216. 谷林正敏

    谷林政府委員 その点は先ほど御質問がありまして、お答えしたのであります。
  217. 北澤直吉

    北澤委員 わかりました。私に打切ります。
  218. 多田勇

    ○多田委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。
  219. 今澄勇

    今澄委員 関連した質問でありますが、今の配炭公団の手持ちが、政府の手持も合せて、大体二百七十億といわれております。それらの二百七十億の手持が、さつきの説明で案本次官が言われたように、食糧だけ残して、解散するというような事情のために、非常にダンピングのおそれがある。しかもそのダンピングは、伝え聞くところによれば、ESSの方から十一月三日の通商取引の値段の大体二文の一くらいでどうだというような話があつた。ところへさらにバイヤーから、それのまた二分の一くらいで買いたいというような申入れがあつたということでございますが、そういう出事実があつたかどうか。これでは取引というよりも飢饉輸出を飛び越えて、まるきり物を施すというような姿になつている。これではいくら通商をしても、日本の産業経済の上にはプラスはないと思うが、これらの問題についてもしおさしつかえがなければ、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  220. 武内龍次

    ○武内説明員 二分の一で、そのまた二分の一でやるというような話は、私聞き及んでおりません。
  221. 今澄勇

    今澄委員 そういう話は全然なかつたわけですか。この前この点を通産政務次官に聞いたところが、速記録にも残つておりますが、通産政務次官はこの問題について、そういうようなものもあつた。それでこういうふうな引合いもあつて、こういう状態であるけれども、その引合いがあつてからあと、貿易業者から、それならわれわれの方で引取るのであつたというような、詳細な答弁が出ているのに、政務次官がそれができるのに、当の局長はなぜそれらのことを知りませんか。
  222. 武内龍次

    ○武内説明員 私聞き及んでおりませんので、政務次官がそういう解説をされたことも承知しておりませんが、そういうことはないと思いますけれども、念のためにもう少し確かめまして、次の機会に御回答申し上げたいと思います。
  223. 今澄勇

    今澄委員 それではこの問題は事務担当の局長さんの責任ある答弁を伺いたい。政務次官の方がお間違いであるか、あなたの方があれであるか。ひとつ調査されて御答弁を願いたいと思います。  もう一つの点は、今いろいろ日本から海外へ行つておりますが、むろんこれが外貨を使う数量はわずかなものであろうと思いますけれども、この日本人の海外渡航に関しては、現在のところでは外貨を使う状態はどういうふうな手続になつておるか。これもひとつお伺いしたい。
  224. 山本米治

    山本政府委員 今日のところ、先ほどもちよつと申し上げましたが、七月の半ばに輸出外貨優先使用制度ができまして、六月二十五日の船積みにさかのぼつて発効になつたと思いますが、これによりまして輸出業者輸出代金のある部分、商品によりまして三%、六%、一〇%、これを使つて海外へ出かけることができるのであります。商業関係はそれが主てありまして、そのほかにはアメリカの援助資金の余裕というようなもので、たとえば官吏が向うへ参りましたり、議員が向うへ参りましたり、あるいは技術者、学者等が参る、そういう二口になつております。
  225. 今澄勇

    今澄委員 それで私は、貴重な外貨を使う場合において今政務次官、大臣はおられませんが、ぜひ聞いてみたいと思つたのだが、今の政府は一体日本経済の再建、あるいは日本の復興の上に、有意義にそれらの外貨を使つて、海外へ人を派遣しておるかどうかという点であります。なるほど映画女優の派遣も、あるいはこれも官吏とみなしておられるかもしれませんが、いろいろそれらのはでな派遣があるが、その反面に日本経済再建に重要な技術者の派遣であるとか、その他の問題については、何ら政府考えるところがない。私はそれらの点について、政務次官はおられぬだろうが、どういうふうにお考えになつておられるか。御答弁をお伺いしたいと思います。
  226. 武内龍次

    ○武内説明員 ただいま山本長官からお答えしましたのは、優先外貨制度による渡航の問題でありまして、これは輸出した業者が、その所得した外貨のうち、一部を使つて渡航する。これは主として輸出貿易の促進のために使うわけでありまして、これにそれ自体として非常に今の日本貿易の状態からいたしまして、意義のあることだと思います。そのほかに技術者の渡航か足りないというお話がありましたが、これも私ども御同感でありまして、今後そういうふうに輸出外貨優先使用制度で、技術者は行かれるわけでありますが、そのほかにもいろいろ外貨を使つて日本の産業のために一番有意義な人が出て行かなくちやならぬ。そういう点につきましては、コマーシャル・ファウンドの資金ではないが、今後とも官吏その他の技術者が外国へ出て行くというようなことはありますし、そのほか通商交渉その他の通商の見地からも、コマーシャル・ファウンドを使つて出て行く例が、このごろ相当増加しておる。今後ともそういう方向に努力して、日本の産業に貢献をするような方が、海外に行かれるようなふうにしたいと考えております。
  227. 奥村竹之助

    ○奥村(竹)政府委員 ただいまの御質問対して、追加御説明を申し上げます。今まで渡航に使われました外貨の中に、日本側の使いました外貨のほかに、外国から招聘を受けまして、全部費用を先方で持つて、渡航しておる者も少からずございます。先ほど御例示になりました映画女優とか何かの渡航は、向うから招待を受けた外貨行つておるのでありまして、わが国の外貨は一文も使つていないわけであります。それからただいままでは、実は外貨資金は全部司令部の方で保管いたしておりますので、その使途についてはわが方で不祥な点もあつたのでございます。去る十一月一日から商業勘定に関する限りは、その記録を外国為替管理委員会の方へ移されまして、われわれの方で記録をしておりますので、今後は日本商業勘定にあります外貨で、われわれの知らないものが使われるというようなことにないと思います。
  228. 今澄勇

    今澄委員 次官が大体ないようでありますから、これでやめますが、そういうふうなおつもりでひとつ十分やつていただきますように、私はこの際お願いを申し上げて、最後にもう一つ局長さんに、この前の通産省の政務次官室で、貿易公団その他の手持のストックの問題を議論して、いろいろの話が出たときに、あなたはその会合に出ておられましたかどうですか。ちよつと聞かせていただいて質問を打切りたいと思う。
  229. 武内龍次

    ○武内説明員 私は出ておりません。
  230. 今澄勇

    今澄委員 よろしゆうございます。
  231. 前田正男

    ○前田(正)委員 先ほどちよつと関連してお願いしたのですが、輸出の別表の第一は現在まだ配付できないような状況でありますが、印刷物がないならば、内容をひとつ、おもだつた品目だけでも説明していただきたいと思います。
  232. 武内龍次

    ○武内説明員 おもだつた品目を申し上げます。食糧管理法による主要食糧、石油、石炭、鉄鉱石、銑鉄、合金板、くず鉄その他の鋼製品、製鉄機械、鉱山機械、金属加工機械、鉄道車両、ディーゼル機関、鋼造船、放送設備、カーバイド、カーボンブラック、苛性ソーダ、セルロイド、塩素その他の化学品、ラジューム、油脂、肥料、その他大分たくさんあります。
  233. 前田正男

    ○前田(正)委員 できましたらあとでまたお配りいただくこととして、こういうものは一体品目の内容をどういうふうな相談でおきめになつておるか伺いたい。
  234. 武内龍次

    ○武内説明員 大体申し上げまして、大切な外貨を使つて輸入した輸入品あるいは主食、その他国内で非常に緊要な物資、そうほかいろいろな理由関係方面と折衝した結果入つておるさつき申し上げたようなものであります。
  235. 多田勇

    ○多田委員長代理 本日はこの程度で散会いたします。なお明日は午前十時より開会いたします。     午後四時三十三分散会