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1949-11-22 第6回国会 衆議院 経済安定委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十二日(火曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 成田 知巳君    理事 笹山茂太郎君 理事 米原  昶君       周東 英雄君    南  好雄君       勝間田清一君    羽田野次郎君       岡田 春夫君    浦口 鉄男君  出席政府委員         経済安定本部副         長官      山本 米治君         物価政務次官  坂田 英一君         (物価庁第一部         長)         経済安定事務官 渡邊喜久造君  委員外出席者         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 十一月十七日  警備消化用揮発油増配請願江崎真澄君紹  介)  (第五二〇号)  副食券の廃止に関する請願島村一郎紹介)  (第八八五号)  価格調整公団職員に対する不当解雇取消に関す  る請願土橋一吉紹介)(第八九三号) 同月十九日  飲食営業臨時規整法の一部改正に関する請願(  山本猛夫紹介)(第九七九号)  小売業者登録料交付手数料免除に関する請願  (坪内八郎紹介)(第九八九号)  非現業官庁現業職員労務者用物資制当に関  する請願伊藤憲一君外一名紹介)(第一一一  八号)  用紙の統制撤廃に関する請願江崎一治君外三  名紹介)(第一一七〇号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 同月十九日  薪炭の統制撤廃に関する陳情書  (第二七五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  価格調整公団法の一部を改正する決律案内閣  提出第一九号)  連合審査開会に関する件     ―――――――――――――
  2. 志田義信

    志田委員長代理 ただいまより会議を開きます。  これより内閣提出第十九号、価格調整公団法の一部を改正する法律案質疑に入りたいと思います。質疑通告順にこれを許します。成田
  3. 成田知巳

    成田委員 価格調整公団法の一部を改正する法律案について二、三御質問いたします。政府提案理由によりますと、復金が貸出しをしない現状において、復金一本で資金をまかなうことは困難であるから、新たに資金をまかなう道を開くということになつておりまして、必要があるときは「国の機関又はこれに準ずるものからの借入金によることかできる。」となつておりますが、この「国の機関又はこれに準ずるもの」というのは具体的には何をさしておるか、お聞きしたい。
  4. 坂田英一

    坂田政府委員 預金部を予定しております。
  5. 成田知巳

    成田委員 預金部だけでございますか。
  6. 坂田英一

    坂田政府委員 今のところ預金部だけでありまして、裏から申しますと、市中銀行からは融資しないという裏書のためにこういうふうになつております。
  7. 成田知巳

    成田委員 今まで公団復金からの借入金で、運転資金をまかなつておられたのでありますが、この復金からの借入資金役割というのは、本来的なプール赤字資金であつたと思うのであります。ところがこの本来の性質業者からの買取り代金、それから運賃実費をすべて公団が前拂いをして来ておる。前拂いをした金を売りもどし代金回收をもつて決済しているというような実情にあるために、本来プール赤字資金であつたものが、全面買取り売りもどし制の金融的な性格を帶びて来ているのではないかと考えるのでありますが、実情はどういうものでありますか。
  8. 坂田英一

    坂田政府委員 御説の通りでありまして、現に現状といたしましては差金決済方面に移行しておるのであります。ただその移行をいたしまする際におきましても、非常に金請りの実情にありますこと、それからまた品物にいたしましても、売切れ等の傾向が最近相当弱つておるような物資もあります関係から、その方面に移行することが相当困難な実情にはありますが、極力そういう方法をとつて進んでおります。
  9. 成田知巳

    成田委員 そういたしますと、買取りをしまして、売れ行きが相当困難だということになりますと、資金として焦げついておるものが相当でているのではないかと思いますが、それについては……
  10. 坂田英一

    坂田政府委員 差金としては現在復金の約二十八億というものが動かぬ伏態に相なつております。ただ現在統制を漸次はずして参りまする関係から、統制いたしておりまするときには循環いたすのでありますが、統制撤廃のために取扱いをやめた物資につきましては、若干困難な事情にあります。極力それを整理しつつありますけれども、そういう事情にあります。
  11. 成田知巳

    成田委員 それから復金融資以外に、復金融資のわくが少いものですから、認証手形制度をおとりになつている。この認証手形制度をとるとともに、この認証手形で落ちないものが相当あるように聞いているのでありますが、その点についてはどうなつておりましようか。
  12. 坂田英一

    坂田政府委員 認証手形によりますものにつきましては、先ほどお答い申しました通り統制を撤廃したものにつきまして、循環が惡いという関係上、若干のものについてその整理に努力しなければならぬ実情であります。
  13. 成田知巳

    成田委員 そういたしますと、現在の復金融資並びに認証手形による運転資金というものは、第一に差額決済資金として運用されている。第二に運賃の立てかえ金として運用されておる、第3に買取り代金、第四に認証手形満期期日が来ましてもまだ落ちない。この落ちない分の肩がわり代金として作用しておる。こういうように感ぜられるのでありますが、今度大蔵省預金部からこの金を借入れることになりますと、復金ももちろんそうでありますが、この運用資金の移管というものは、直接国民大衆に非常に重大な影響を持つて来る、こう私たち考えるのであります。ここで特に私の御質問申し上げたいのは、最近油糧公団その他の公団不正事件が発生しておりますが、この機会運転資金をめぐつて不正事件の発生のないように、また過去にそういうような事実があつたとすれば、これに対する当局の確固たる御方針を承りたい。こう思つて質問申し上げているのであります。  そこで第一の差額決済資金プール赤字の問題でありますが、これは政府当局も御承知だと思いますが、仙台石砂支部石材価格プール赤字の問題に関連いたしまして、不当融資があつたように私たち聞いております。この具体的な実例は仙台石砂支部で、昭和二十四年の四月から七月分の買取り分につきまして、公団物価庁C価格——これは物三、九百七十八号昭和二十二年七月十八日付の通知だと聞いておりますが、この物価庁通知価格できめられた個別価格で買取らなければならないところを、価格プール赤字を出す高い価格で買つた。そのうち特にこのC価格に当てはまつていないものが、百八十万円もあつたということを聞いているのでありますが、その事実はどうでありますか。
  14. 坂田英一

    坂田政府委員 その事実は私はまだ聞いておりませんが、なおよく調査してみます。
  15. 成田知巳

    成田委員 その事実をまだ政府の方でお聞きになつていないとおつしやいますが、私たちの方の調査で、そういう事実があつたことを一応御参考までに申し上げて、注意を喚起したいと思います。これはただいま申し上げました物三、九百七十八号、昭和二十二年七月十八日の指示価格なんでございますが、それに対しまして仙台石材業者のうちに松川政雄なる人がいるそうであります。これは菅原組と言われておりますが、これらの人々が中心になりまして、石材を納入したところが、松川政雄はただいま申しました物三、九百七十八号で碎石一号——四号についてのみ指示価格を受けておつたのでありますが、間知石土場渡しで渡すことになつていたものを、発駅渡し渡して、四万個を公団に買取らせました。その間約八十万円の利ざやをかせいでおるという事実があつたわけであります。この点について政府十分調査をお願いいたしますが、具体的に申しましても、わかりませんか。
  16. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 今お話になりました具体的な事実につきましては、私どもまだ聞いておりませんので、至急調べまして御返事したいと思います。
  17. 成田知巳

    成田委員 次に同じような問題でありますが、これも同じく仙台で起きた事件らしいのであります。百万円の横事件仙台で起きておるらしいのであります。もともと公団から零細業者へ買取り代金として放出された復金資金が、仙台坂田工業会社社長某氏のポケツトに百万円入つておる。買取り代金が、結局零細業者の犠牲のもとに土建ボスの手に渡つてしまつておるというような事実も聞いておるのであります。これが聞くところによりますと、検察当局でも問題になつたということを聞いておるのでありますが、それについて政府はどうお考えですか。
  18. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 非常に恐縮でございますが、まだこの問題をよく聞いておりませんので、これも調べまして御返事申し上げることにしたいと思います。
  19. 成田知巳

    成田委員 どうも私たちが新聞その他で見たり聞いたりしたことも、政府はまだ御承知ないらしいのであります。  次に認証手形の問題についても同じ人間によりまして問題が発生して、これも仙台地検で問題になつたように私たち聞いているのであります。それは八十万円の不当融資にからむ事件といたしまして、公団支部坂田工榮会社仙台市役所、この三者が問題になりました。ただいま申しました坂田工榮会社社長某氏が、わずか三十万円の石材を百十万円で公団に買取らしている。振出手形によつて認証さしておる。スタンプを押して渡した話を聞いおるのでありますが、これについて事実御存じないでしようか。
  20. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 その件につきましては、私たちまだ報告を受けておりませんのです。非常に恐縮でありますが、これはやはり調べさしていただきたいと思います。
  21. 成田知巳

    成田委員 私一々申し上げたのは、先ほど申し上げましたように、最近油糧公団その他の公団で相当不正事件が発生いたしておりますので、大蔵省預金部から運転資金を借入れるということになりましたら、国民の利害に直接関係するものでありますから、特に御質問を申し上げたわけであります。さらにこれは最近のことでありますから、御記憶があるだろうと思いますが、大坂浅野組が碎石千八百立米のものを納入しておる。ところが一万幾ら納入したというようなことにいたしまして、大阪府の土木部に納入したことにいたしまして公団に買取らした。そうして約百十万円の水増しの手形を認証させておるという事実が発生いたしまして、大阪地検で手入れがあつたはずでありますが、これについて事実を御承知でありますか。
  22. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 石砂のそういういろいろの御指摘事件につきましては、私ども報告を受けておりませんので、恐縮なのでありますが、ただいろいろ石砂プールの問題につきましては、今お話になりましたような弊害もあることをわれわれ認めまして、同時にこの石砂プ—ルの必要を当時感じておりましたような事情が、現在におきましては全部解消いたしたと私は認めますので、石砂につきましては本年の八月をもちまして全部これを閉鎖いたしまして、現在その精算の過程に入つておるわけでありまして、御指摘のようないろいろの事件がありましたことは、われわれ非常に遺憾に考えております。一応こうした石砂の問題につきましては、現在といたしましては跡始末だけが残つておる。今後の問題については、石砂は一応全部新しい仕事をしないことになつております。その点だけは一応御了承を願います。ただ公団のいろいろの仕事につきまして、御指摘のような意味におきまして、いろいろ弊害のあることはわれわれも認めておりますので、今後そうしたことのないようにせつかくいろいろの意味において、監督の手を延ばしたいと思つております。
  23. 成田知巳

    成田委員 石砂の問題については、本年八月でこの取扱いを廃止したから過去の問題だ、こう言われておるのです。しかし今年八月に廃止するということを見込みまして、この石砂赤字プールを相当多額に見込んだ融資が行われておるようにも私たち聞いておるのですが、その点についてにどうお考えですか。
  24. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 石砂を廃止するについては、いろいろ業者の方をいたしまして、今、にわかに廃止されては仕事が非常に困るから、何とか延ばしてくれとかいうようないろいろな意味陳情がありましたことは聞いておりますが、またその間業者の諸君にもいろいろ苦しい事情もあるであろうかとも考えられます。しかしもうすでにその必要がなくなりました場合におきまして、ただいたずらに業者のためにだけそれが廷長されるということもおもしろくないと思いまして、本年の八月をもちまして、一応全部その取扱いを停止することにいたしたわけであります。その間今お話のような事情があつたかもしれませんが、われわれとしましては、極力そういう事情のないような手は打つてつたのであります。あるいは御指摘のような点があつたかとも思いますが、その点は至急調べまして御返事いたしたいと思います。
  25. 成田知巳

    成田委員 最後に一つお尋ねいたしておきたいと思います。先ほど私から申し上げました二、三の仙台支所におるところの不正事件でございますが、この事件責任者であります支所長は、政府の方ではそういう事実があつたの御存じないからそのまま放任されておつたのでありますが、もしそういう事実があつたとしますれば、支所長に対して何かの行政処分をおとりになる覚悟でいらつしやいますか。
  26. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 事実を調べまして、その責任の点は追究したいと思つております。
  27. 志田義信

    志田委員長代理 米原君の発言を許します。
  28. 米原昶

    米原委員 ただいま成田君の質問で、大体運転資金がどういうふうに扱われているかということはわかつたのですが、大体からいうとこの価格調整の業務で赤字が出るということが、根本的に言えば少し変な話ではないかと考えるのであります。たとえば第一のメーカーとの差額決定が行われて、次に赤字メーカーとの差額決済が行われるということになれば、全然資金がいらないわけです。それから同時にこれが行われた場合もいらないのでありますが、これが逆の場合が多いわけでしようが、結局全面買取り売りもどし制を廃止して差金決済なつたとしても、実際問題としては、結局赤字メーカーの方が公団とどつちかというと取引しがちになつて来る。黒字メーカーの方にとかく公団との取引を避けて、結局やみで売り飛ばすというような傾向が起つて来て、この差金決済制にしても、かえつてむしろその資金雪だるま式に増大して行くということが言えるのじやないかと思いますが、その点をひとつ説明していただきたいと思います。
  29. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 差金決済の方になりますと、お話のようにとかく赤字の方の連中だけが顔を出しまして、黒字の方の連中にそれからはずれて行くというような傾向の出がちなことは、お話通りだと思います。従来はそういう点もありますので、全面的な買取り売りもどりというふうなことをし、同時にあるいは認証手形とか、あるいは復金の金や融通してやるといつたような意味におきまして、金融である程度援助してやるということで、運賃プールなどの場合に、黒字になる連中公団の方へ一応品物を持つて行くというふうな、どちらかといえば金融でつつていたといつたふうな傾向があつたのじやないかと思います。しかしまた他面価格調整公団が、本来の価値プールあるいは運賃プールといつたような機能を広げまして、金融機関的な役割なつていたといつたような意味から、いろいろ今御指摘にあずかりましたような弊害も生じて来る。そういう事情考えまして、最近におきまして、その必要性の漸次薄くなつたものから、まず第一段といたしましては価格調整公団取扱いもだんだんはずして行こうじやないか、それから残りますものについても、差金決済的な方向に移動して行こうじやないかということで、全体を進めておりますが、結局最後差金決済に移りますと、今申し上げたような赤字黒字の問題で新しい困難にぶつかるわけでありますが、その点におきましては現在赤字の方の分につきましては、たとえばセメントの方で申しますと、運賃の非常に多くかかつたものにつきましても、一応の内金の限度を置きまして、これ以上は補償しないというふうな操作もしまして、妙な赤字が累積しないような措置をとつております。まあ何とかそう変な状態にならずにやつて行けるのじやないかと思つております。
  30. 米原昶

    米原委員 結局この資金は相当大きなものになつて行くのではないかという心配が依然としてあるのですが、一体どういうふうな方式が一番いいと考えられますか。
  31. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 全体としましては、できるだけこういうような資金は縮めて行きたいという方向考えております。従いまして現在借りております復金の金につきましても、できるだけこれは縮めて行く。それから認証手形にしましても、従来の全面的な買取り売りもどし制度をやめまして、できるだけ差金決済に移行することによつて、この資金は縮めて行きたいというふうに思つております。ただ最近におきまして認証手形制度が残りますのに、結局価格調整公団だけになりまして、あと今まで同類でありました配炭公団はなくなりましたし、農林関係の四公団預金部の方に全面的にかわつてしまいましたものですから、認証手形を現在出しておりますのは価格調整公団だけになりました。従いましてこの認証手形につきましては、場合によりますと相当融通がきかなくなつて来るのじやないかという場合も考えられますので、一時にこれがきかなくなつてしまう場合におきまして、復金の方にはちよつと行きかねるというような関係もありますので、場合によつて預金から金を少しつぎ込む必要があるのじやないかという意味におきまして、今度の法律改正をお願いしておるわけなのであります。ただ認証手形プラス現在の復金借入金という現在使つておる額からしますと、今後におきましてはこの金額はできるだけ小さくしたい。その点は取扱い品目を整備しますとか、どうしても残さなければならぬ品物につきましても、できるだけ差金決済のようなかつこうで、扱う金を小さくして行くということでやり得ると思いますが、ただ最近のような金融情勢でありますと、そういう方向に進むとしましても、そう一度に金額を急にかえるわけに行かない。あまりそれを強引にやりますと、企業の方が非常に音をあげるというようなことがありますので、ある程度段階を迫つて行かなければならぬという意味におきまして、一応預金部からの借入金の道も開いておく必要があるのじやなかろうか。かような考えておる次第であります。
  32. 米原昶

    米原委員 次に先ほど成田君からも指摘されましたが、仙台石砂部における不正事件であります。私の方の調べた数字によると、わずかに四人の業者だけで価桁プール赤字を、去年の十一月から今年の三月までの間に百六万円ほど出しております。その後の四月以降今年の七月までにも、百六十五万円出しておるという数字がわかつておりますが、その他の業者にも若干あります。しかしこの四人だけでほとんどその損失の八割を占めておる。ところが今年の第五国会で通過しました予算の中に、復興公団価格調整勘定不足額補償に充つるものとして、八億七千八百十六万四千円というものが計上されております。たとえばこの不正事件だと言われている仙台の四人で百六万円出しているもの、こういうようなものを補償金として扱われるのですか。そうだとしますと、これは單に仙台だけのものでなく、昨年度末までで八億七千八百十六万四千円というものを、国民の税金で穴埋めしたことになるのだけれども、そういう点どういう性質のものか説明していただきたいと思います。
  33. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 お話のように八億数千万円の赤字を、一般会計から価格調整公団が埋めてもらつたということは事実であります。ただこの関係は、たとえば価格プールでございますと、一応この場合におきましては、御承知のように予定的なものをもちまして、そうして安い運賃のかかるものと高い運賃のかかるもの、あるいは陸運と海運の割合とか、その一応の割合を想定しまして価格をきめて行く。     〔志田委員長代理退席委員長着席〕  ところが実際かかるものが割合に高いものの数量が多く、安いものの数量が少かつたというような場合におきまして、予定されたものと大分決算的に狂つて来るわけでありますが、その場合に割合に早くそこの予定された單価を引上げるとか、何とかいう措置を講じますとまだいいのでありますが、それがいろいろ価格全体に及ぼす影響考えまして、改訂の時期がやはり一応延びるといつたような関係からしまして、今言つたような数字になるわけでございます。それで今御指摘になりましたような不正的なものがどれくらいあつたか、われわれはそういうものの全然ないことを希望し、また考えていたのでありますが、現実に幾つかの問題が出て参りますと、その中の一部がそういうふうになつていたということに言わざるを得ないと思います。この分につきましてはしかるべき措置を講ぜられまして、正さるべきものと思つております。ただ全体の姿としましては、価格プールにしましても運賃プールにしましても、一応予定と実績の食い違いというところから出て来ているわけだと思います。
  34. 米原昶

    米原委員 そこで問題が起るわけなんです。もちろんそういうはつきりと不正事件として摘発されたものはそんなに現在のところないでしようが、標準価格のそういうところに不当なきめ方があつたのじやないか、実はここの讀賣新聞の十月二十日の公団の内幕という中には、価格調整公団のいろいろなからくりというものが暴露されておるわけです。石材赤字を見ましても、価格プール赤字よりも、運賃赤字の方が大きいようなんで、ことに大きな問題があると思います。そういうプール運賃のきめ方、これがはたして正しくやられているかどうかということなんです。この讀賣の記事を見ますと、運賃プールについても問題はある。鉄鋼、石砂などの運賃価格に占める比重は非常に大きい。この意味輸送は経済的、合理的に行われねばならないが、石砂に例をとると平均輸送距離としてきめらえているのは陸上平均百四十キロで、これを海上輸送運賃と勘考してプール運賃を算出、価格に織り込まれており、公団がこれより短い輸送を取扱うように考慮すれば、実際運賃プール運賃を下まわり、公団もうけになるはずだ。私は当然もうけになるはずだと思うが、それが実際は逆で、八億近い赤字が出ておるということに非常に疑念を持つのです。ここに不正とは言えなくても非常に不当な扱い方があつたのじやないか、こう考えるのです。続いてこういうことも書いております。公団がたとい黒字を出しても、国庫にこれを当然納付するのだからという考え方から、そういう点をあまり真剣にやつていないのではないかということを讀売は指摘しておる。ことに石砂関係業者はほとんど運輸業を兼業しておる。そこで運賃領收書の作成にあたつてキロ数のごまかしは容易なので、実際以上の運賃公団が支拂つておる面があるのではないか、こういうことを指摘しておるのでありますが、そういうことは実際に言えるかどうか、説明願いたいと思います。
  35. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 一応石砂なら石砂の例をとりますと、運賃プールの場合に基準になる金額をきめるわけであります。従いましてその場合には平均した輸送距離というものを想定するわけですが、それがある意味において、運賃プールの持つ一つの欠点とたるのですが、結局送る場合に距離を予想いたしましても、プールでもつて受持たれるということにつきましては、多少私は終戰処理費関係などでもつて、相当遠距離のところから石砂をわざわざ取寄せたというような話も聞いております。しかしそれは公団の方で、それでは遠いから困るということも言い得る一応の限度があるのですが、決算的に見ますと、一応そうしたような赤字なつております。ただ八億何千万円の赤字はこれも一応御参考に申し上げますが、国の方で確かに補償してもらいましたが、ちようどあの機会公団の方に別の関係からして六億数千万円の誤字が出まして、この方は相殺することはしませんで、片方を補償してもらうかわりに、片方を国の方へ納付したというようなことがありまして、この六億数千万円の予定されたものよりも、どちらかというと黒字が出たという関係で、今正確な数字を持合せておりませんが、八億数千万円よりははるかに少い数字で済んだということは申し上げられると思います。
  36. 米原昶

    米原委員 先ほど大体統制をはずして行くということをおつしやいましたが、統制をはずすにあたつて最後の売込みをやるという傾向が起つて来るだろうと思う。この石材の場合をとつてみても、一昨年の六月から昨年末までの赤字は三億七千万円であつた。ところがこの四月から七月末までは一億九千万円の赤字が出た。ところがさらに八月十五日に統制を撤廃することになると、八月になつてから一億円の赤字がさらに出たということを聞いておるのでありますが、これは石材関係ばかりではなしに、三月十五日のあの染料などの撤廃の場合にも、同じような結果が認証手形などについて見られるのではないかと思います。そういう危檢が今後起つて来るのではないかと思いますが、そういうものを穴埋めにこういう運転資金をつぎ込んで行くのかどうか、その点をお聞きしたい。
  37. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 石砂のように運賃が非常に大きな部分を占めているものにつきましては、運賃プールを利用しまして、いろいろそうした操作をする余地があり得るわけでありましで、はずすまぎわになりまして多少石砂赤字が出たという話は私聞いておりますが、これはよく調べた上で処置したいと思つております。染料のようにどちらかと言いますと、価格に比べて運賃割合が非常に少いものは、赤黒の問題よりもむしろ今まで染料が価格調整公団を利用しまして金融を受けたのが、価格調整公団をはずれると金融が受けられなくなつた。この操作でもつてむしろ問題があるのではないか。いろいろそういうような意味におきまして、価格調整公団はその機能をぜひ果すことが必要であり、同時にまた果して来たと思いますが、ただそれに伴いましていろいろな弊害もあつたということを、われわれ率直に認めざるを得ないわけでありまして、この意味からしても、またいろいろな価格の調整もかわつて参りましたので、できるだけはずして行く。あるいは品目を整理して行く。同時に従来の買取り売りもどし等もやめて行く。この方向に全部整理するつもりでおりますけれども、ただ先ほど申し上げたようなわけで、認証手形が先々相当割引の自由がきかなくなるかもしれない。そういうふうにしますと現在必要最小限度として残つております価格調整公団の機能も、あるいは今の復金の金だけでは動ききらないかもしれない。そういう場合を実は予期しまして、一応預金部への道を開いておいていただきたい。但し今後の利用につきましては、従来の例にかんがみましてそういう弊害のないように嚴重に処置して行きたい。また過去のそういう問題につきましては、できるだけこれを急速に片づけて行きたいと考えております。
  38. 米原昶

    米原委員 差金決済資金の点はその程度にしまして、買取り売りもどしの場合の買取り代金について聞きたいのですが、この買取り代金はだんだん認証手形にかわつて来たわけでしようが、現在でも買取り代金は残つておるわけですか。
  39. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 買取り売りもどしをやつて参るにつきましては、できるだけ認証手形方向に持つて行くというのが、認証手形制度ができましてからの指導方針でございます。ただそれ以前にずつと復金借入金でもつて措置して参つた分がありますし、同時にその中には必ずしも手形決済になれていないといいますか、割合小さいメーカーも相当ございますので、こういう主として中小メーカーにおける金の受渡しにつきまして、認証手形によらずして今まで借りておりました復金の借入れ残高の限度におきまして動かして行く、こういう事実はございます。
  40. 米原昶

    米原委員 その場合買取りから売りもどしの期間にどのくらいになつていたでしようか。結局はこの金は復金から出ていたわけでしようが、形式的にはそういうことになつておるけれども、事実は復金から無利子で借りていたということになるわけですね。同時に公団に買い取つてもらつて、しばらくたつてから需要者か販売代金が上つて来ると、それを売りもどすまでの間に期間があるが、その点でも二重の金融が行われていたことになるのではないかと思いますが、そういう点はどうですか。
  41. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 買取り売りもどしの場合におきましては、買取り売りもどしは同時に行います。ただその場合におきまして買取り代金は一応すぐ拂つてやる。その代金は売りもどした品物業者が売りまして、売つた先から金が入つて来る。一応品物によつて違いますが、四十日とか五十日とか期間がありますが、その間一応売りもどしの方の代金が入つて来ることが遅れる。その間に認証手形なりあるいは復金の金でもつて業者として金融を受ける、こういうようなからくりになるわけでございます。
  42. 米原昶

    米原委員 この買取り代金回收の状況についてですが、いただいたこの報告書を見ましても、回收業者に対する売りもどし代金回收が順調に行われれば問題はないが、現下の一般の金詰り等のため、回收はとかく不円滑を免れないということを言つておられるわけです。ことしの春の化粧品の取扱い廃止の際に相当混乱が起つたが、今後再びそういうことが発成するおそれがあるということを指摘されてるわけです。先ほど事業資金調達一覧表について御説がありましたが、復金資金が大体二十八億円がずつとかわらないで、最近まで続いておるような状態だと思うのです。これを見るとだんだん回転時が低下して来ている。最初にこの表の二十二年六月から二十三年三月までの十箇月間の回転率を見ると、五というような回転率になると思うのでありますが、最近のでは回転率は二くらいになつておる。これはこの資金が焦げついておるということの証拠だと思いますが、この焦げつきの回收見込みがあるかどうか。この二十八億というものは一体どういうふうになるかという点を説明願いたい。
  43. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 結局化粧品の場合は、私もほかの役所に対しましてこの問題を扱いましたので割合によく存じておりますが、化粧品の例をとうて言いますと、今申し上げましたように一応価格調整公団が買取金を渡す。売りもどしの方の代金は、問屋の方へ化粧品会社が売りまして、問屋から金を受取つて公団に返す、こういう仕組みになつておるのを、問屋の方から金が入つて来た場合に、たとえば四十五日の期限があつて四十日で入つて来たというとき、すぐに価格調整公団の方に返さないでその金を使つてしまつた。その返済資金は新しく売つた金、同時にそれはすぐ公団からもらう金、それで拂つて行くというふうなかつこうに、幾つかの会社でやつてしまつたものですから、そこで新しい品物を売つた金があとからあとから入つて来れば古い品物代金が落せる。しかしそれがとまつてしますと、とたんに古い品物代金が落せないというようなことで、当時におきましては相当の混乱があつた。これはかなりの部分は一応片づきましたが、しかしまだ片づかないものがある。復金の方の金について申しますと、現在お手元に差上げましたように約二十八億の金か残つておりますが、一番大きいのは石砂の金であります。これも買取売りもどしをやつておつたものですから、売りもどした金は——これは府県などに売つたのが多いようでございます。ところが地方団体の最近の財政の状況が御承知のようなわけなものですから、特に災害関係などにつきまして、公共事業費の関係などで予算のつき方がいろいろ予定より遅れたといつたような関係で支拂い惡い、こういつたところでもつて石砂の方の金の現在たまつておりますのは、主としてはそこに理由があると思いますが、この辺は今明年における地方財政の肩の情勢がかわつて参りますれば、かなり片づき得るのではないかと考えております。他の問題につきましても現在の情勢の関係からしまして、そう早急に整理できかねるのもありますが、ほかの方の特別会計や公団のような不始末にならないように、努力したいと思つております。焦げついているものに明年の三月を期して、これを片づけて行くような一つの整理計画を、会社から出させるというような措置をとつて、これを片づけて行くように今努力しております。
  44. 米原昶

    米原委員 その次に認証手形の問題を開いて終りにします。大体価格調整ということがこの公団の目的であるのですが、それが実際には金融的な機能をむしろ大きく果しておるように思うのですが、実際一日に平均何億円という金が動いているわけですから、この公団を通じて銀行の役割を示しているのだと思うのです。そういう価格調査という本来の目的からはずれて、金融をやるということでなくて、そういう金融は特別にやる方が正しいのじやないか。これは変な話じやないかと思いますが、この点についての見解を伺いたいと思います。
  45. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 おつしやるように、価格調整公団がある意味において金融期間的な役割をし過ぎているということは、あるいはそういう御批判もあり得ると思います。結局価格調整公団が何でこういう役割をしなければならなかつたかということいついては、一応の理由はあると思いますが、しかし価格調整公団としてこういうふうなところまで行くのは、行き過ぎじゃなかろうかという点は、われわれも実は同じように考えております。従いまして最近におきましては、できるだけ漸次縮めて行く方向に全体を持つてつているわけでありますが、ただ一応こういうふうな大きな金を動かす役割をしてしまいますと、おもしろくないからこれをやめようということになりましても、一月、二月でもつて急にこれをやめるということは、関係の企業をとたんにほうり出すようなことになります。方針としましてはこういう役割は漸次これを整理して行く方向に持つてつておるわけでございますが、そう急に片づかない面もあるわけでございます。実は本年の六月ごろからの方針を立てまして、明年の三月くらいまでにそうした役割は中金債に持つて行くことによつて、できるだけ整理して行くという方向で、順次価格調整公団本来の機能を重点化するような方向に持つて行くように、せつかく努力しておるのでございますが、現在その過程にありますので、まだ相当従来の形が残つているというのが現在の事情であろうと思います。
  46. 米原昶

    米原委員 認証手形が決済不能になつたときに、公団が肩がわりして決済したという金額は、たしかこの前三億円とおつしやつたようですが、総計どのくらい肩がわり決済をしておりますか。
  47. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 染料の統制がはずれました機会におきまして、当時染料の分は全部認証手形でやつていたのですが、本来ならば初めに売りました染料の代金が問屋から入つて来た、その代金でもつて落すべき承認手形を、企業によりましては別に使つてしまいまして、新しい染料の代金で順繰りに落して行こう、それが新しい染料の売込みが続いておる間によかつたのですが、公団が扱わなくなつたとたんに認証手形が落し切れなくなつたという関係で、一応三億円ほど公団の方の復金借入れ代金でもつて認証手形を落して、結局認証手形に関する限りにおきましては、公団は法律的には御承知のように手形上の債務者でも何でもありませんから、道義上公団が実質的に一種の保証をしたと同じような役割をしている。これをほうつて行きますと、認証手方全体の信用にもかかわつて来ますから、やむを得ず一応肩がわりをしておきまして、それは公団責任を持つて解消する、こういう手段を講じたことがございます。
  48. 米原昶

    米原委員 道義的な意味の保証だとおつしやいますけれども、やはり肩がわりすることがそういう信用の物的な基礎の役割をしているのじやないですか。実際はそれがないとそういう信用は得られないわけじやないですか。
  49. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 さようでございます。従いまして認証手形というもので一応資金を動かして行くことを、将来も続けて行こうといたしますと、やはり公団といたしまして認証手形が落ちなかつた場合に、ある程度の措置を講じてやらなければならぬ、こういう立場に立つのですけれども、今申しましたように落ちなかつた手形につきまして公団が一種の肩がわりをした、こういう事実があるわけでございます。
  50. 米原昶

    米原委員 大体認証手形を出すところのそういう物資代金は、どのくらいで回転しているでしようか。日銀の調査によると、平均二十日ぐらいであるというようなことも聞いておりますが、そうだとすれば手形の期限が六十日でしよう。四十日間が二重金融になるのではないかという問題があるわけです。
  51. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 二十日といいますのは少し短か過ぎはしないかと思つております。大体認証手形の期限の日数をきめるにつきましては、当時の情勢によりましていろいろ品物により、たとえば銑鉄につきましては五十日とか、鋼材につきては五十日、現在は扱つておりませんが、銅については三十日とか、それぞれ品物性質によりましてきめていたわけであります。その後一時どうもこの期日は長過ぎはしないかという批判も出まして、できるだけ実態に合うように短くして行くようなことも検討してみたのですが、その議論が出だす時分におきますと相当金詰まりになりまして、かえつてその期日ではちよつと落ちきれないというような話が出て参りまして、現在におきましては一時お話のように、当初きめました期日が長過ぎるという批判の声もありましたが、その後の情勢はこれはむしろ短か過ぎるというような情勢にかわりましたので、初めきめましたこの期日で現在まで続けているわけであります。
  52. 米原昶

    米原委員 先ほども説明がありましたが、前の認証手形の決済を次の認証手形で割引するということが実際に行われて、一種のマラソン金融ということになるのではないですか。
  53. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 おつしやる通り、そういうようなことをすることは、認証手形本来の趣旨ではないと思つております。従いましてそういうことのないような指導をして参つたわけでありますが、会社によりましておつしやるようなマラソン金融なつている分もありまして、たとえばふだんの状懸でありますと、それが現われないでおしまいになつているのですが、染料のように打切りをする場合におきましては、それが出て来る。従いまして今後におきましてそういう弊害のないように、爾後の措置につきましては相当の注意をしている次第であります。
  54. 米原昶

    米原委員 手形の期限は品種別によつてきまつているわけですか。
  55. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 手形の機嫌は品種別に、大体の通常の條件を考えまして、一応標準的なものとしてきめております。
  56. 米原昶

    米原委員 標準がきまつていても相当自由裁量が公団の幹部の手心でできるのではないですか。そういうことからできるだけ期間が長ければ長いほど業者が有利なわけです。ですから相当不正な事件が起る可能性があると思いますが、こういうのを監督されるのはどこなのですか。
  57. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 基準はきめておりまして、大体これは銀行の方にも一応この話が行つておりますので、あまりに長くなることは、銀行自身もその割引を拒否するようなことになりますので、その間にそう大きな裁量があるとは——われわれは裁量は全然ないとは思つておりますが、あるいは事実問題としてお話のようなものが一、二あるのかもしれませんが、われわれの方としてはそう公団の中でかつてな裁量をしているとは思つておらないです。それからなお公団も一種の政府機関でありまして、それ自体として一応の責任を持つているわけでありますが、同時に物価庁としまして公団の監督をしておりますので、第一次的な監督の役所としては、物価庁責任を持つておると申していいのであります。
  58. 米原昶

    米原委員 今までの物価庁の監督では、そういうような問題が全然発見されていないということなんでありますか、一体どういうような監督をやつておられるかということを聞きたい。
  59. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 今までのところではわれわれの方ではそういう事実を知つておりません。
  60. 米原昶

    米原委員 相当そこに期限の問題ばかりでなく、認証手形によつていろいろな問題が起る可能性があると思うのです。ことに最近非常に不況になつて来て、輸出が非常に不振状態になつて滞貨が増大しておる。国内事情も行詰まつておるというところから、手持の滞貨を売つたように装つて公団に買い取らす手が起つて来るのじやないかと思う。たとえば滞貨を販売したことくに装つて、切つた出荷伝票に基いて公団に引取書を発行してもらう。そうして銀行に取り込んで融資承諾書を手に入れる。そうして引取書と融資承諾書を添えて、公団に六十日期限の輸出手形を出す。公団にそういう取引の事実を認証した上でなければ、約束手形に認証できないのが当然だと思いますが、業者もしくは業者と銀行の取込みて引取の事実もない手形に認証す。そうしてこの認証済みの手形を先の銀行で割引してもらう。こういうようなことが起り得る可能性が実に多いと思う。これは先ほども話がありましたが、染料の統制が撤廃されました三月十五日前後の事情について、この融資手形の残高の決済の状態をずつと調べてみても、相当そういう動きがあつたように数字の上から想像できるわけであります。こういう点はどう思われますか。
  61. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 今のお話のような措置をとりまして、その場合に公団の者があるいは知つてか知らずか、事実売つてないものを売つたものとして認証をする。そうすればお話のように滞貨のままで金融を受け得る可能性はあると思うのです。問題としましては、この場合公団がどこまで事実を嚴重に突き詰め得るかというところにあるわけでありまして、われわれとしましてはそういう不正的な動き、あるいは不注意な過失の伴うような動きは公団はすべきでない。また事実していないと思つておりますが、非常に数ある中でございまして、あるいはそこにある程度のものはあつたかもしれませんが、この点については嚴重にやかましくわれわれは言つておりますので、また公団がそういう懸念がありますときにつきましては、臨検検査権なども與えてあるのでありまして、会社についてそういう事実の有無というものをはつきり確かめ得るだけの権限を、実は與えてあるわけでございます。それがうまく利用されていることをわれわれ期待しておるのですが、あるいはその中に多少問題があるのかとも思います。しかしわれわれとしましては、そこにそういう大きな弊害があるというとは聞いておりませんですが……
  62. 米原昶

    米原委員 私はそういう事実があつたと断定するわけではないのですけれども、ただ染料の認証手形融資の残高の状態をずつと見ると、この中に実に奇怪な数字が出て来るわけなのです。この染料関係の二十二社、そのうちのたとえば三井化学、日新化学、この二つの大メーカーの場合は、三月の十五日にいよいよこれが撤廃になるというところに向つて、非常に融資残高がふえている。たとえば去年の十月三井化学の融資残高は千九百万円、ところが今年三月になると大体それが七倍くらいになつて、一億三千万円ほどの残高になつている。日新化学の場合は去年十月が七千九百万円、これがやはり三倍近くになつて一億八千五百万円の融資残高、その他の中小メーカーの場合は大体同じなんです。中小メーカー二十社を総計して去年十月の融資残高は二億四千万円、今年の三月になりまして二億七千万円、大分ふえております。大体そういう傾向なつている。その後の三月以後、三月十五日で打切つたわけですから普通からいえば五月十五日で決済が済むのが当然のはずです。そうは行かないでしようが、そのあとの動きを見るとむしろ中小メーカーはどんどん決済が済んで行つておる。ところが三井化学と日新化学は八月末の状態を見ますと、まだ相当のものが融資残高として残つておるわけであります。後に日新化学の方はこれが決済されたということも聞きましたが、こういう点に相当問題があるのじやないかと思う。そういう大きなメーカーが銀行と結んで、自分の滞貨を実際上は金にかえたということが言えるのじやないかということです、こに相当大きな問題があると思う。こういう筋道ですが、この点についてどう思われますか。
  63. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 今お示しの数字だけでありますと、まあおつしやるように滞貨を売るようなかつこうをとつた場合も、御説のような数字になります。また現実に売つた場合においても、御説のような数字にかるわけであります。現実に売つた場合も今の数字になる。ただその数字だけでもつて、そこにおつしやつたような事実があつたということを断定することは、ちよつと早かろうと思いますし、われわれの方としましては、別に特にそういうことがあつたとは考えておりません。それからその決済につきましては、三井とか日新につきましては金融機関が相当に肩を入れまして、認証手形につきましては片づけていたという報告は受けております。
  64. 米原昶

    米原委員 それでちよつとお聞きしたいのは、これはやはり読売に公団の内幕が暴露されておりますが、大阪において十月六日「公団有機化学部長金子守也氏、同カーバイド課長森正之助氏が突如大阪地検の手で逮捕されたが、これは金子部長は日新化学から公への返戻金四百三十六万余円を、森氏は三井鉱山の分百五十万円をいずれも横領した疑いであるが、」そのほかずつと書いてありまして、この金子部長は日新化学と関係深い大阪銀行検査役を勤めていたということなどから、單なる横領ではなく不正融資にからむ贈收賄があつたのではないかと言われており、これを取調べ中とありますが、これは非常に大きな事件であります。この事件の経過はどうなつているか聞きたい。
  65. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 その問題は私も報告を受けております。一応詳しいことは今ここでちよつと申し上げる準備をしておりませんですが、もどし金を受けた金が公団の方の個人、課長の名前の預金なつている。本人としてはそれをそういう私的に使うつもりはなかつたということを言つておりますが、これに対して相当の嫌疑がかかることもあり得るわけであります。また同じような点で部長の方にもやはり問題があつたと思います。従つてこれが刑事事件としまして一応取上げられたという報告は受けておりますが、その後検察庁としましてこの事件をどういうふうに処理したかということにつきましては、詳しい内容はまだ聞いておりません。
  66. 米原昶

    米原委員 この事件と関連して、実は公団の従業員組合で出しておる闘爭ニュースというものの中に、大阪事件に伴う金子理事に対する弁護資金として、八十万円ばかり公団の中から金を出しておるということが書いてあるのです。これは事実かどうか知らないのでありますが、そういうことをやつておるのかどうか。公団の金をそういうところに使うのかどうか。
  67. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 公団の金をそういう個人の弁護のために使うことは、使い得ないものと思います。同時にそういう事実があるということは私は知りません。
  68. 米原昶

    米原委員 借入金の問題は、個々の点はわかりましたが、全体として今後公団をどういうふうにやつて行かれるつもりをあるかということです。先ほどもちよつと説明がありましたが、差金決済制に切りかえて行くということによつて、またローガン構造ということも出ておりますし、そういう形で価格体系というものも相当かわつて来るのじやないか。その場合に日本の物価体系に及ぼす影響、その結果公団が将来どういうものになつて行くか、それを見る場合に、日米の価格体系の相違も非常に大きなものになると思いますが、大体どういう見通しを待つておられるか聞きたいと思います。
  69. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 価格調整公団は過去におきまして功罪いろいろあろうと思つておりますが、とにかく価格調整の上におきまして、相当の役割はして来たと思つております。しかしその後ドツジ・ラインによる予算施行により、価格調整公団のやるべき役割もかなり変化してきておることはわれわれも考えております。従いまして明年度以降にぜひ残らなければならないと思われる役割は、まだ銑鉄、鋼材について価格調整補助金を必要とするのじやないかということをわれわれは考えておるし、また予算にも一応要求してありますが、この線はまだ当分残らなければならないであろうと考えます。あるいは石油の運賃プールの問題、これはいろいろな要請がありますので、これも残らなければならぬであろうといつたように、幾つかの問題は残りますが、できるだけはずして行く方向に進んで行きたい。たとえばセメントのような問題にしましても、まだ多少新しい事実でちよつとどうかと思われるような点もありますが、原則としてはセメントなんかもはずしてしまつてよいのじやないか、時期としましては明年三月ごろまでを期しておりますが、そういうふうにいたしましてできるだけはずして、数量を整理して行くことを第一段に考えております。  それから第一段としましては、残ります品物につきましても、従来のような買取り売りもどしの制度はできるだけやめまして、差金決済によつてこれを処理して行く。従いまして今まで御批判を受けました価格調整公団金融的な役割は、できるだけ整備過程に織り込んで行くということを考えております。なお価格統制全体について考えて参りますと、御承知のようにローガン構造の話もでておりますし、現在としましては受給関係が一応均衡化しまして、統制価格制度をはずしましても、そうむちやな値上りをする心配のないものにつきましては、これを順次はずして行く方向考えておりますが、ロ—ガン構造が実現して参りますと、現在でこそまだ非常に供給が少い、輸入が少い、そのためにやみ価が相当高いといわれておりますが、たとえばゴムのようなものにいたしましても、明年以降になりますと相当多量の輸入が期待できる。そうなれば、現在まだやみ価がかなり高いゴムたびのようなものにしても、統制をはずしてもさして弊害はないのではないか、こういうようなことも考えられます。ローガン構造は従来考えておりました統制廃止の方向に、さらに一段の拍車がかけられるものと思つております。ただその場合におきましても、これは物価庁でやる必要があるかどうか。これは別の問題にしても、たとえば鉄道運賃の問題、電力料金の問題といつたいわゆる独占価格的なものは政府の認証が必要であろう。これはいいとして、あとどの程度のものが価格統制の対象として残つて来るか、われわれとしては不必要なものは順次これをはずして行く。そうしますと国際価格とのさや寄せの問題も、そこに需給関係からしましておのずから出て来るのではないか。過程的はにまだ内需価格と国際価格プールするような問題も多少残つておりますが、いずれかにさや寄せして行く問題も起きて来ようと思つております。
  70. 米原昶

    米原委員 私が聞きたいのは、大体そういうふうに統制を撤廃されて行くという見通しなんでしようけれども、その前に価格調整公団は今までそういう企業救済的な、金融機関的な役割を相当果して来ておるわけです。そこに私が尋ねましたようないろんな不正の事件、不当な取扱いもあつたように見受けるのですけれども、しかし一方ではやはり企業救済的な役割を相当大きく持つておる。そのことからこれが撤廃されるときには、いつでも業者の間に大きな問題になつておるわけです。それが大体国際価格にさや寄せというような政策に移つて行く場合に、日本の民族産業にどういうような影響を與えるかという点が一番聞きたいのです。そういう点はどういうふうに考えられますか。
  71. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 価格調整公団が、おつしやるようにその派生的な役割として金融的な役割をして来た。これが悪いからといつてすぐに今日からでもやめてしまうわけには行かない。従つて順次これを本来の金融に乘せて行こう、そういうことを考えまして、この価格調整公団が一応その仕事を切り離して行くことによつて、企業のこうむる影響は最小限度にとどめよう、こういうことを考えておりますために、整理についても多少はがゆいような感じがあるのかもしれませんが、われわれとしましては企業に対する影響考えますと同時に、価格調整公団役割というものも十分の限度を置きまして、できるだけここに不始末にならぬような措置を講じて行きたいと考えております。
  72. 米原昶

    米原委員 私が聞きたいのは、要するに向うの方の価格体系と日本の価格体系とのまとまつた資料がないわけです。大体どんなふうになるかということが、個々の部門についてはいろいろ聞いておりますけれども、非常に不安な点も多いと思います。そういう点について、一体どういう影響を日本の物価体系は受けておるが、日本の産業がどうなるかということが一番問題だと思います。
  73. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 これはなかなかむずかしい問題だと思つております。われわれも国際価格にさや寄せするということも一面考えておりますが、おのずから国際価格にさや寄せと言いましても、一応品物によつて相当の違いが出て来るのであります。たとえば国内における需要が、大部分輸入品でもつて満されるような品物になりますと、輸入価格というものが強くCIF・ジヤパンにさや寄せするようになり、あるいは東亜市場でもつて国際的な競争をしなければならぬというものになりますと、おのずから国際価格のさや寄せの姿もまだかわつて来る。それからアメリカへ輸出することが至難な品物になりますれば、向うへ着いて向うの品物と競争しなければならぬということになるわけでありまして、そういつたような全体の関係からして、物によつては国際的にみて非常に高過ぎるものもあり、あるいは安過ぎるものもある。こういうものが一応どういうふうに正常な姿に動いて行くだろうか。鉄の例一つを見ましても、一体鉄の補給金はどういうふうに処置して行くか。その場合に鉄の価格はいかにあるべきか、あるいはそれと結びついて、現在の石炭の価格はあれで正常なものと考えていいだろうかというふうに、いろいろな問題があるわけであります。今ここでその先々の姿はどうなるだろうと言われましても、そう簡單にお答えできかねると思います。
  74. 米原昶

    米原委員 結論的にお尋ねしますが、今後相当民族産業が圧迫され、破壊されて行く可能性が十分あると思います。今までの価格調整公団の行き方について、大独占資本を援護したり、また先ほど仙台の問題が出ましたが、地方のボス的な業者を助けるという不当な点が若干あつたのでありますが、そういう意味ではなく、今後そういう状態になつた場合に、民族産業を保護するために、別の形の企業救済的な価格調整をやる必要があるのではないか。大企業の場合はこういうものがなくても、ほかの方から融資を受けられるのですし、そういうものはさしつかえないと思いますが、中小企業が実際ばたばたつぶれて行く状態が起つて来るのであります。それに対して、やはりこういう機能を果たせるようなものをつうつて行く必要があるのではないか。そういう点についての意見を聞きたい。
  75. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 御説のような点につきましては、確かに金融の面とかいろいろな面で、必要な点は多々あろうと思つております。ただしかし価格調整あるいは価格調整公団というものをそれに使うことは、あまりいいことにはならぬのではないだろうか。従つてたとえば商工中金を使うとか、あるいはおのずからほかに道を求むべきである。価格調整公団については、できるだけその必要最小限度の機構に、やはり整理して行くべきではないだろうかというように考えております。
  76. 米原昶

    米原委員 私の質問はこれで打切ります。     —————————————
  77. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬委員長 まだほかに質疑の通告がありますが、この際お諮りいたします。  内閣から提出を予定されております外国為替及び外国貿易管理方案は、本日の運営委員会におきまして通産委員会に付託されるとのことでありますが、当委員会において異議がなければ、そのまま通産委員会に付託されることになります。もし本委員会として異存があれば今一応その旨運営委員会に申入れを行えば、何らかの措置が請ぜられると思うのでありますが、この点に御異議ございませんか。
  78. 浦口鉄男

    ○浦口委員 今運営委員会できまりましたことは、大体貿易に重点が置かれるというわけで、通産委員会にかけられることになつたのでありますが、元来済安定本部で立案したものでありますので、場合によつては連合審査会を開くことが出きるという含みできまつたと思いますので、皆さんの御意見があれば、連合審査会をやることはいいのではないかと考えます。
  79. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬委員長 ただいま浦口委員から運営委員会の経過について御報告がありましたが、連合審査を請求しておきましようか。
  80. 志田義信

    志田委員 連合審査をやるというふうにしたらどうですか。
  81. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬委員長 それでは連合審査を通商産業委員会に申入れすることにいたします。御異議ありませぬか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬委員長 それではさようとりはからいます。  なおお諮りいたします。まだ永井委員、笹山委員、岡田委員から質疑の通告がございますが、時間もたいけん経過しておりますので、本日はこの程度で打切りたいと思います。なお次回の委員会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十八分散会