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1949-11-21 第6回国会 衆議院 観光事業振興方策樹立特別委員会地方行政委員会大蔵委員会厚生委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十一日(月曜日)     午後一時四十九分開議  出席委員  観光事業振興方策樹立特別委員会    委員長 栗山長次郎君   理事 今村 忠助君 理事 岡村利右衞門君    理事 河野 謙三君 理事 畠山 鶴吉君    理事 淵上房太郎君 理事 高橋清治郎君    理事 柄澤登志子君       越智  茂君    風間 啓吉君       神田  博君    高木吉之助君       松永 佛骨君    藤田 義光君       増田 連也君    永井 要造君       木下  榮君  地方行政委員会    委員長 中島 守利君    理事 川本 末治君 理事 菅家 喜六君    理事 野村專太郎君 理事 藤田 義光君    理事 立花 敏男君 理事 大石ヨシエ君       生田 和平君    河原伊三郎君       淵上房太郎君    吉田吉太郎君       門司  亮君    鈴木 幹雄君  大蔵委員会    理事 北澤 直吉君 理事 小山 長規君    理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君       佐久間 徹君    苫米地英俊君       西村 直己君    三宅 則義君       田中織之進君    中崎  敏君       松尾トシ子君    宮腰 喜助君       河田 賢治君    坪川 信三君       中村 寅太君  厚生委員会    理事 青柳 一郎君    大石 武一君    理事 松永 佛骨君    岡  良一君    理事 苅田アサノ君       高橋  等君    幡谷仙次郎君       丸山 直友君    亘  四郎君       堤 ツルヨ君  運輸委員会    委員長 稻田 直道君   理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 大西 禎夫君 理事 木下  榮君       尾崎 末吉君    尾関 義一君       高橋 定一君    坪内 八郎君       畠山 鶴吉君    滿尾 君亮君       柄澤登志子君    飯田 義茂君       石野 久男君  委員外出席者         法制局参事   鮫島 眞男君         地方行政委員会         專門員     長橋 茂男君         大蔵委員会專門         員       黒田 久太君         厚生委員会專門         員       川井 章知君         厚生委員会專門         員       引地亮太郎君         運輸委員会專門         員       岩村  勝君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国際観光ホテル整備法案起草に関する件     —————————————
  2. 栗山長次郎

    栗山委員長 ただいまから連合審会を開会いたします。  協議に基きまして、私が委員長の職務を行わせていただきますから、何とぞ御了承をお願いいたします。このたび観光事業振興方策樹立特別委員会におきまして、起草中の国際観光ホテル整備法案につきまして、地方行政大蔵厚生運輸の各委員会連合審査会を開くことといたしましたのは、法案の内容が各委員会とも関連がありますので、すでに先般来各委員会から、この法案に関する御意見を申入れいただいておつたのでありますが、今般各委員会と御協議の結果、法案起草の上に連合審査会を開いて検討願つた方がよかろうということで、本日この連合審査会を開く運びになつた次第であります。  それでは審査便宜上、まず起草中の国際観光ホテル整備法案趣旨につきまして、私から大略の御説明を申し上げ、なお法制的な点につきましては衆議院法制局から説明を申し上げまして、その上で各委員会委員の方々から、御意見を承ることといたします。  それではまず法案の概略について御説明をいたします。お手元に本法案がすでに送付済みと存じますが、その手続には違いありませんか。     〔「確かにちようだいしております」と呼ぶ者あり〕
  3. 栗山長次郎

    栗山委員長 それでは朗読を省略いたしまして、立案趣旨につき簡単に御説明させていただきます。  外貨の獲得、これが日本経済の要請の一つであることは衆知の事実でございますが、国際観光事業によつて外客日本に誘致いたしまして、その外客の落す金が、日本国際收支の均衡をはかる上に、有力なる一要素となる点にかんがみまして、衆議院によつて設けられました観光事業振興方策樹立特別委員会——そこで恐縮ですが、以後に観光特別委員会と略称させていただきます。観光特別委員会におきましては、まず国際観光事業をいかにして再発足せしむべきかという観点から、それに必要なる諸條件、諸要件を取入れて調査を進めたのでありますが、実地検討をいたしますと、外客を誘致いたします上に、一番隘路となつておりますものが宿泊施設であるという点が明らかになりましたので、まずこの点を取上げたのであります。そこで目下の現状といたしましては、自由に使えるホテルは十ぐらいでありまして、それに收容し得る人員も、六百内外でございますために、司令部と折衝いたしましても、現在制限されておる外客入国緩和することはできない。日本側において宿泊施設整備拡充するならば、それに並行して外客入国緩和して、さらに多数の外客が入るようになし得るというような話もあつたのでございまして、ますますもつてホテル整備拡充を痛感いたしまして、それではこの問題から着手をしようというので、法案の準備にかかつたわけでございます。ところが実際には、この国際観光客宿泊せしむるホテルの採算はなかなか困難でありまして、これをあるいは公共団体、もしくは私的企業によつて建てようという向きが、ほとんど見受けられない遺憾な状態にありますので、これはある程度までの助成をしなければなるまい、そこで助成を主としてこの法案とりまとめにかかつたのであります。一定の形式をふみ、順序を立てなければなりません関係上、外客宿泊させるホテル施設としての、所要の條件は何であるかということの検討をいたしました。それがお手元にございます別表第一に掲げてあります基準でございます。こういう基準に達するホテルは、外客を誘致して、外貨を獲得するのに望ましい国として要請せられるものである。それならば、この程度基準に達するものは登録をなすことができることにして、登緑をいたして、この程度基準によく合致しておるということがはつきりするならば、それを助成の基盤にいたそうではないか。しかしながら何をもつて助成するかということが、実質的な問題になるのでございまして、これは当該特別委員会におきましても、かなり愼重審議をいたしたところでございます。助成の一方途としては、国庫、国費をもつて補助をなす補助金制度一つ考えられます。他の一つは、目下実情からいたしますと、税金が高過ぎて、ホテル業を営もうとしても收支償わないというのが現場の声でありますので、それでは税金手かげんを加えたらどうか、補助金によるか、税金手かげんによるかという二つ補助的方法について、論議がかわされたわけでありますが、当該委員会といたしましては、補助金制度には種々の弊害がある、周知の通り弊害がある。しからば税金による助成はどうであろうか、税金による助成であれば、一旦これをお取上げになつておきめになりました以上、あとはまつたく事務的、機械的なものであつて、そこに情実が入らず、弊害がなく、しかも国民監視の間に行われるという観点から、税金緩和について、助成の方途を具体化するがよかろうということになりまして、この法案に盛つております助成方法は、税金緩和になつております。税金緩和中取上げましたものが、現行法による家屋税及びその附加税であります。いま一つ償却年限の短縮、耐用年数に関する点でございます。家屋税の方は御存じの通りこれは地方税になつており、耐用年数の改正に伴う税收入の増減については、国税に響くものでございますが、家屋税を取上げましたゆえんのものは、実情に徴しますと、地方地元によりましては、いろいろな便宜、利益を供與しても、外客を誘致するに足るホテルを自分の地元に招致して、そこへ建ててほしいという要望のあることが現実の問題であります。そこでこの基準に合致するがごときホテルが建てられまして、外客がその地に頻繁に出入りすることになりますならば、地元繁栄策になるということが第一でありますし、また家屋税をこれでは半減と立案いたしておりますが、家屋税を半減いたしましても、既存の家屋であつて、この登録対象にならないものには何ら関係がなく、わずかに今後建つ建物についてのことでありますから、家屋税收入に大きな変化はない。変化があるにいたしましても、新設のものから半分とれるのであるから、それがプラスになる。してみれば今後制定されようとしておる国がつかさどります平衡資金運営に対しても、町村に特にでこぼこができることにはならぬということも研究をいたしたわけでございまして、土地の繁栄になることであるから、地元税收入について若干のかげんをしても、地方として了承していただけるだろうということが考えられておるわけでございます。  耐用年数につきましては、お手元法案別表第二にございますが、一例を申し上げますと、鉄筋コンクリートづくり建物耐用年数を四十年と想定しております。現行法によりますと八十年になつておるのでありますが、アメリカあたりの例を見ますと、査定が三十年になつております。実地調査によりますと、とても八十年という長い年月、日本のごとく地震があり、天災地変のある所では持たないであろうという認識を持ち得るに至つたのであります。そこで建物そのものはかりに長く耐用できるといたしましても、その時代時代感覚に合わない、いわゆる陳腐化によりホテル目的に使用できないという点が、特にホテル建物においては取上げなければならぬ事項と考えましたがために、四十年と押えたのでございます。以下それぞれのものによつて外国実例等も参酌し、また内地における実情をも検討いたしまして、立案をいたしました次第でございます。  この二つ助成のほかに融資のあつせんということが法案に盛られてあります。この融資のあつせんで実体的に何を考えておるか、また何がなし得るかということについて一言申させていただきますならば、結局私ども当該委員会の意図いたしますところは、さしあたつて商業融資であります。それが引合わない仕事であつて、一般の銀行が融資対象となし得ないようなものであれば、おのずから遺憾ながらこれは対策にならぬでありましよう。国の金をつかみ出してこれを低利で提供するということは、今の段階においては日本経済が許しませんから考えておりません。将来もし、たとえば預金部資金等を動かしてというような場合には、また別個の格段の措置がいるものと考えております。現段階においては、検討の結果、それはほとんど不可能であるというので、主として商業融資が考えられております。これに対するあつせんでありますから、そのあつせんは微力といえば微力であろうかと存じます。  いま一つ附加させていただきたいと思いますことは、前にも申しました通り国際競争に勝ち得るような——勝つところまで行かなくても、たえ得るようなものにしてやるということはどうしても必要でありまして、それがために諸外国の状況について資料を集めているのでありますが、フランス、オーストリア、スイス、この辺が日本として参考になる国のように存じます。そういう国全部というわけではございませんが、その中で家屋税を三十年間、法制的にきめて全然とらない所があります。また耐用年数等については、ホテルの場合、先ほど申し上げましたようアメリカ査定が三十年であり、ヨーロツパ諸国においても、この査定年数が現在の日本ように八十年というがごときものは、一国もないのであります。競争相手国がかよう整備いたしますときに、わが国だけが、観光事業によつて外貨を獲得せんとする際、その発足にあたつてホテル整備を等閑に付しますならば、こつちの望むように、わが国外客を招致することができないということになる懸念がありますために、重点的にこの問題を取上げて、法案を一応とりまとめました次第でございまして、本日皆様方連合審査をしていただきますことは、とりまとめに当りました観光特別委員会といたしましては、まことに光栄と存ずるところでございます。  以上をもつて私からの御説明を終らせていただきまして、次に法務局の方から補足的な御説明を願いたいと存じます。鮫島衆議院法制局第三部長
  4. 鮫島眞男

    鮫島法制局第三部長 それでは私から国際観光ホテル整備法案につきまして、大体の御説明を申し上げます。  第一條はこの法律目的を揚げたものでございまして、この法律は、ホテルその他の外客宿泊施設整備を図り、外客接遇の充実に資することを目的とする。  第二條は、この法律で用いておりますところのホテル、あるいはホテル業というものの定義を揚げたのでございまして、この法律で「ホテル」とは、「外客宿泊に適するように、洋式の構造及び設備をもつて造られた施設をいう。」それから「この法律で「ホテル」業とは、ホテルにより人を宿泊及び飲食させる営業をいう。」  第三條は……。
  5. 河野謙三

    河野(謙)委員 逐條御説明をいただいておりまするけれども、時間の関係もありますし、各委員から質問の都度その條項について御説明をいただけばそれで足りるのではないか、そういうことでいかがでしようか。
  6. 栗山長次郎

    栗山委員長 運営についてお諮りをいたしますが、ただいまの御動議、私もそうではなかろうかと思うのでありますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 栗山長次郎

    栗山委員長 それではさように運ばしていただきます。それではどうぞ皆様からご発言を願います。
  8. 關谷勝利

    關谷委員 まずこの質疑に入ります先にお尋ねをいたしたいのでありまするが、この法案観光事業振興方策樹立特別委員会で審議するのが妥当であるかどうかを、まずお尋ねをいたしたいと思います。観光事業振興方策樹立特別委員会はその名の示しまするごとく、観光事業振興方策を樹立するのでありまして、観光事業振興せしめるために、かくのごときことをやれということを、箇条書というふうな程度に書き立てまして、そしてこれを実現せよと議会に答申すれば、私はその委員会の使命は足りるのではないか、このように考えるのであります。なおまたホテル整備法案等のごときものにおきましては、その観光事業振興方策の一部として行われまして、その所属はと申しまするならば、この法案にも示しておりまする通り、あらゆる部面におきまして運輸大臣ということが明記されておりまするので、運輸省関係であるということが明確に示されておると私は考えております。そういたしまする場合に、この法案の審議にあたりましては、その所属の明確でありまするものに対しましては、その所属常任委員会において行うべきが妥当であつて、この観光事業振興方策樹立特別委員会で審議すべきものにあらずと私は考えおるのでありますが、委員長の御見解はいかがでありましようか。
  9. 栗山長次郎

    栗山委員長 御質疑は第一段と第二段にわかれておるように拜聽いたしておりますが、第二段の点については、本委員会内にもまとまつた見解がありますので、これを読ませていただきます。ただいま御質疑のありましたこの観光事業振興方策樹立特別委員会と他の常任委員会所管との関係につきまして、一応所見を申し述べさせていただきます。なるほど運輸委員会運輸省の、厚生委員会厚生省のそれぞれ所管事項所管いたすことになつておりますので、それぞれの省設置法によりまして運輸関連する観光運輸省所管するものであり、また国民保健の面からされる観光事柄は、厚生省所管するものであり、その限りにおきましては、観光に関する事項運輸委員会なり厚生委員会なりの所管であると言われますのは一応ごもつともでございます。しかるに観光事業振興方策樹立特別委員会は、以上のごとく規則上一応の所管のことを承知の上で、本会議の決議をもつて設置せられ、そして観光事業振興方策樹立の件を付託せられたものでありまして、本委員会観光事業振興に関する方策を樹立するため各般の調査をなしますことは、この院議の負託にこたえるものでありまするし、また衆議院規則第四十二條によりまして、すべて委員会所管について法律案提出し得ることになつておりますので、本委員会付託された事件に関して調査の結果、観光事業振興方策樹立のために本案起草し、これを委員会から提出ようといたしますことは、本委員会としては当然の権限であると考えております。常任委員会所管院議によつてこれを変更できることになつておりますが、特に院議による変更はなされないでも、従来特別委員会設置されました場合に、それに関連した事項について、すベて付託なつ特別委員会に移つたものとして取扱つているのが、第一国会以来の先例となつているよう承知いたしております。たとえば選挙法に関することは地方行政委員会所管でありますが、選挙法特別委員会設置されましてから、この特別委員会がこれを取扱つて法案起草いたしておりますし、地方行政委員公国政調査も、選挙に関する事項だけは除外して議長が承認しておるのが実際の取扱いであります。この関係は、災害問題についての建設委員会災害地特別委員会海外在留同胞についての、外務委員会海外胞引揚特別委員会のそれぞれの間の関係においても、すべて同様であります。また政府支拂促進の問題も、本来は一応大蔵委員会所管であるのに、特別委員会設置され、この付託に基いて政府支拂促進の法案提出、先日本会議で可決されましたことは街承知通りであると思います。以上のごとく本委員会本案起草いたしますことは何らさしつかえないのみならず、院議によつて付託された当然の仕事であると考えるのでございます。以上私どもの研究しました上での所見を一応申し述べた次第であります。  なおこの点につきましては疑義が残るようでございますならば、事務総長法制局長の御意見をも承りまして、取扱いには遺憾なきを期しますことは、もちろんけつこうと考えておる次第でございます。
  10. 關谷勝利

    關谷委員 ただいまいろいろ御答弁がありましたが、これは国会法の第四十五條において「特別委員は、常任委員会所管に属しない特定の事件審査するため、議院において選任し、」こういうことになつておりまするので、観光事業というようなことにつきましては、運輸省におきましては運輸に関しまする観光厚生省におきましては旅館、興行場公衆浴場理容所等の多数集合する場所の衞生上の面、あるいは国立公園とか温泉というような面におきましては厚生省がやる。こういうことで、それぞれ各省にまたがつておりまするので、その全般的な方策を樹立いたしまするには、これの所管が明確でない。そのためにこの観光事業振興方策樹立特別委員会が設けられておるのでありまして、その樹立せられました個々の事柄に関しまするものに対しましては、これの所属が明確でありまするものは、その所属に従つて審議するのが妥当である。もしこれが所管を定めにくいものについては、議長院議に諮つてこれを決定する、こういうふうになつておりまするが、このように疑議があることに関しまして、委員長議長にその所属がどうであるかということをただしたことがあるかどうか、この点承りたいと思います。
  11. 栗山長次郎

    栗山委員長 お答えいたします。議長にお問いしたことはございませんが、慣例や、ただいまここで読み上げましたような振合いについては、十分に考慮をいたしました。ただいまの点につき疑義がまだ残るようでございましたら、事務総長なり法制局長なりに出席を求めて説明をしてもらいたいと思いますが……。
  12. 關谷勝利

    關谷委員 私ここに疑義ありと認めまして、法制局長出席を要求いたします。
  13. 栗山長次郎

    栗山委員長 事務総長はよろしゆうございますか。
  14. 關谷勝利

    關谷委員 これは議長議院に諮つて決定する。もつともそういうことを事務総長よく御承知であろうと存じますので、事務総長でけつこうです。
  15. 柄澤登志子

    柄澤委員 ただいま委員長からの御報告によりますと、この法案観光委員会提出ということでございますが、これは観光委員会におきましては反対がございまして、議員提出になるということであつたと思うのでございます。ですから今日の合同審査会におきましては、御提出になります委員から、当然御説明があつてしかるべきだと思いますのに、なぜ法制局の方から御説明があつたかというのでございます。  それからもう一つ、この特別委員会設置は、運営委員会でも相当論議されたと承つております。また、ただいま關谷委員よりお話のありましたように、各委員会関連を持つているこの事業につきまして、当委員会が調整するという立場から、この委員会が設けられたということも承つておりました。ですから、今日の合同審査会の議事は、そういう方向に向つてお進め願いたい、かように考える次第でございます。これにつきまして委員長の御見解を承りたいと思います。
  16. 栗山長次郎

    栗山委員長 お答えいたします。今日のは合同ではありません。これは用意されました国際観光ホテル整備法案についての連合協議会でございます。
  17. 門司亮

    門司委員 ただいま承つておりますと、いろいろ疑義があるようでございます。私今参りましたので、法案説明をどなたがなさつたか存じませんが、およそ法案を出されます場合、政府が出す場合は政府がこれを説明をし、議員提出の場合はその代表者から説明を受けませんと、私どもは審議するのに困るのであります。どこから、たれが出したかわからぬようなものを、連合会で審議するのはどうかと思います。その点提案者を明確にしていただきたいと思います。
  18. 栗山長次郎

    栗山委員長 委員長説明いたしました。
  19. 門司亮

    門司委員 そうすると、これは委員長提案と解釈してよろしゆうございますか。
  20. 栗山長次郎

    栗山委員長 それではもう少し掘り下げて申し上げます。当該特別委員会におきましては、採決に至つておりません。と申すのは、特別委員会採決をいたしますと、それが最終的なものになるおそれがあるのです。そこで皆さん大多数の御意向によつて、案をまとめるという方式をとつて参りました。これは速記録にも残つております。この法律案ができたらば、委員会としての提出にしよう、それを委員会提出とするか、せぬかの正式な決定は、最終的な採決の場合にきめようということで、委員長としては、当該特別委員会がこれを持ち出すという便法をとつてよろしいという、一応の御了承を多数の委員から得ております。採決ではございません。
  21. 門司亮

    門司委員 そうしますと、この法案は、提案者によるものでなく、発案という範囲のものと解釈してさしつかえありませんか。
  22. 栗山長次郎

    栗山委員長 その通りであろうと存じます。
  23. 坪内八郎

    坪内委員 ただいまこの法案所管はどこにあるかということが論議されておりまするが、私はそれとは別個に、簡単なことをちよつとお尋ねしたいと思います。この法案に基く業務基準は、別表の第一に東京都、京都大阪横浜、神戸及び名古屋という都市をあげられ、三十室以上で、かつ客室総数の二分の一以上という規定がありますが、私はこういうよう東京京都大阪横浜都市の名前をあげる必要はなく、一律に十五室以上で客室総数の三分の一以上というふうにきめた方がよいのではないかと思います。この点のいきさつを委員長にお伺いいたします。
  24. 栗山長次郎

    栗山委員長 お答えいたします。外客宿泊施設を全国的に考えます場合に、いわゆる基地ホテルと、それを培養する他の宿泊施設という構造が成立つのであります。そこで、外国の船の着くところであるとか、もしくは観光地帶としての中心的役割をなす個所のホテルは相当規模の大きなものであつて、そこへ外客が一応おちついて、計画を立てて他の地方に出て行く。ここから出て行くときには外客は各地に分散されますので、集中すると想定せられます所は、その規模を大きく考えた次第でございます。
  25. 坪内八郎

    坪内委員 委員長の今の御説明はどうも了解しがたいのであります。東京とか大阪ようなところは、客観的な情勢からこれを認めるにやぶさかでありませんが、ここにあげてある東京大阪等のみに、必ずしも外客誘致あるいは観光の諸條件が備わつておるとは断定できないと思うのであります。それでここにあげた東京京都大阪というような名前は抹殺して、全国一律に十五室以上なら十五室以上、あるいは客室総数三分の一以上というような規定を設けられるのが妥当であると思いますので、他の議員の御賛同を得るために、委員長からお諮りを願う動議を提出いたします。
  26. 栗山長次郎

    栗山委員長 御意見つておきまして、当該委員会にお諮りをいたします。
  27. 高橋等

    高橋(等)委員 ただいま關谷さんの御質問に対して、公衆衞生の見地について特に力を入れてお述べになつように聞きましたので、その点は一応御研究を願いたいと思います。  それから速記をとめていただきたいと思いますが……。
  28. 栗山長次郎

    栗山委員長 今日の連合審査会は速記をとめずにいたしたいと思います。
  29. 高橋等

    高橋(等)委員 それでは特に委員長にお伺いいたしたい。特別委員会運営につきまして、いずれ事務総長がおいでになればわかることと考えておりますが、先般観光特別委員会を傍聽させていただきましたときに、そのときの議題は、厚生委員会から特別委員会の方へ、ある申入れをいたしましたことを御相談願つておりました。そのときの委員長のお言葉の中に、これが回答を與えるが、結局特別委員会は、先ほど委員長の述べられたように、各委員会とは関係なしに、特別委員会でこの問題が決定し得るのだから、相談はするが、ともかくわれわれはこの筋で行くことを考えておるというような、御発言をなさつておりましたのを聞きまして、今せつかく連合審査会がこうやつて開催の運びになりましたけれども、やはり委員長の腹の中はその辺にあるかどうかを、お答えいただきたいと思うのであります。
  30. 栗山長次郎

    栗山委員長 お答え申します。先ほどの御質疑に対してお答えいたしましたよう趣旨のことを考えておりますので、本日の連合審査会では、質疑応答並びに御意見をよく承りまして、当該特別委員会においてその御意見に基き、いかようにいたしますかということを審議いたすつもりでございます。
  31. 關谷勝利

    關谷委員 これを観光特別委員会審査ができる、できぬということについては、やがて法制局長が出て来て説明するであろうと思いますが、この法案をよく読んでみておりますと、いずれの場合においても、運輸大臣ということがすべて明記をいたしてあるのであります。それで観光委員長は、この法案所属というか、このホテル所属というものが、運輸省所属であると考えておられると解してさしつかえないかどうか。この御意見を承りたいと思います。
  32. 藤田義光

    藤田委員 關谷委員の発言に関連して申し上げますが、先ほど来運輸委員会關谷委員からいろいろ御発言がございました。この際法制局長あるいは事務総長が見えます間に、厚生委員会の方の御意見を拜聽いたしたいと思います。關谷委員の御意見によりますと、大体においてこれに運輸委員会所管事項であるというふうな前提のもとに、論議を進められておるようでございますから、厚生委員会委員の方の御意見を事前にお聞きしておきたいと思います。
  33. 關谷勝利

    關谷委員 ただいまお話がありましたが、私はこれは運輸委員会所管であると前提して言うておるのではなくて、委員長がそのつもりでおられるのかどうか、委員長所見を承つておるのです。
  34. 藤田義光

    藤田委員 私としましては、委員長運輸委員会委員に対する御答弁の前に、一応この法案に関しまして、表現がまずいですが、対立的な立場にある厚生委員会の御意見を拜聽してみたいと思います。
  35. 栗山長次郎

    栗山委員長 藤田委員は、当該特別委員であられまして、私と同様にこの発案の責任者であります。その方からの御発言でありますから、厚生委員の方が、ひとつ藤田さんの御希望に沿つていただくことを望みます。
  36. 青柳一郎

    ○青柳委員 厚生委員会といたしまして、全部的にはつきりきまつたというわけではございませんが、厚生委員会の一般の空気を私からとりまとめて御報告をいたします。厚生委員会厚生行政の面ばかりではなく、この法案を全般的ににらみ合せましての結論も一応つけかけておりますので、はなはだ恐縮でございますが、その点にも触れたいと存じます。  まず第一に、本法案の骨子は、資金、資材のあつせんと税の減額との二つであると存ずるのであります。しかしてそのうちの資金、資材のあつせんは、事実上の行為として実施でき、また現にいたしておるのであります。別に立法を必要とするとは認められないのであります。税の減額につきましては家屋を新しくつくる、いわゆる登録ホテルは半分減ずるというように最終案には相なつておるように思います。また今委員長の御説明によりますと、この法案ができると、そういう登録ホテルができるのだから、半分の税金をとつてもプラスになるというようなお話を承つたのであります。しかるにこの資金、資材のあつせんをいたしますれば、りつぱにホテルが一応建つのでありまして、建ちますれば——現在町村は非常に財政に困つておるように思うのであります。ことにシヤウプ勧告によりますと、家屋税は今後三倍もとり得るので、町村の財力の大きい根源をなすものでありますから、これの二分の一を引くということは、将来の町村の財政に與える影響また大きいと存ずるのであります。  次に、厚生行政の面からの、われわれの委員会で考えました意見について御報告を申し上げます。従来旅館業に対する行政事務は、ホテルを含みまして、すべて旅館業法によつて許可を必要とするのであります。かつこの法律施行事務の円滑を期するために、全国に一千六百名の観光衞生観察員というものが置いてあるのであります。これらによりまして、本法案の第一條にございますような面につきまして、あらゆる施策を講じて、衞生行政の方面を担当しておるのでございまして、ここに提案されておりますよう法案の実施に際しましては、やはりかかる者の意見を徴せられるとともに、衞生面の施設基地につきましては、厚生行政部面の意見によるほかはないと存ぜられるのであります。またホテル審議会などにつきましても、この審議会の性格は、單に適正な運用をはかるための運輸大臣の諮問機関にすぎないのでありまして、行政簡素化が強く叫ばれて来ておる今日、ほんとうにやむを得ないもの以外は、かかる機関を設置せざることが必要であるというのが大多数の意見であります。さらに国立公園、温泉地内の旅館整備につきましては、国立公園計画に基く国立公園事業の一環として実施すべきものであつて、多元的になるようなことは、できるだけ廃せられるべきであると存ぜられるのであります。しかしながらただいま申し上げました点が、役所のなわ張り根性、なわ張り争いというようなことにとらわれましては、非常に心外であります。結局この法案によりまして、運輸大臣に国民の健全なる身体を保持すべき厚生行政面をやらせるということにつきまして、非常な危惧を持つておるという点を御報告いたしておきます。
  37. 栗山長次郎

    栗山委員長 藤田さん、ただいまの御回答で御満足でございますか。
  38. 藤田義光

    藤田委員 ただいま厚生委員会の青柳委員から、明快なる御答弁を拜聽いたしました。關谷委員の御発言といい、青柳委員の御発言といい、われわれにとりましては、一応もつともでございます。かかる両常任委員会意見なるがゆえに、特別委員会の必要がなおさら痛感されるのでありまして、この点につきましては、委員長とまつたく同意見でございますが、いずれ法制局長あるいは事務総長が見えると思いますので、その意見に従つて議事を進行させていただきたいと思います。
  39. 關谷勝利

    關谷委員 そのゆえに特別委員会が必要であるということになりますと、その場合は議長議院に諮つて、これを決定するというのでありまして、その手続が抜けているのではないかと私は考えるのであります。私は別にこれを運輸委員会で審議しなければならぬと固執するものではないのでありますが、しかし以前に通訳案内業法を運輸委員会で審議したことがあるのであります。そうすると案内する者は運輸省所属であるが、案内される者はよその所属であるという、まことにふつり合いなことに相なつて来るのであります。こういうふうなことから考えて参りますと、今国民の健康というようなお話がありましたが、これは国民の健康ではなしに、外客に対する待遇設備の改善ということでありますので、私は当然これは運輸大臣所管であるというふうに考えております。私は所管争いをし、あるいはこの審議を引延ばすという意味ではないのでありまして、一応これを議長に諮つて議長から院議に諮つて決定すべきが至当ではないかと考えておりますが、委員長所見を伺いたいと思います。
  40. 青柳一郎

    ○青柳委員 ただいまの關谷委員の発言でありますが、私もまたこの法案外客目的とするものであるということは知つております。しかしながら現在のホテルは、外客をとめるだけでは経済的に立ち行かない面がたくさんございまして、現にこの法案においても、相当数の日本人を收容するということになつていると思うのでありまして、そういう点を考えながら申し上げたのですから、その点御了承願いたいと思います。
  41. 門司亮

    門司委員 はなはだ恐縮でございますが、だんだん話を聞いておりますと、私非常に深い疑義が出て来るのであります。今日のように、はつきりした法案になつていないものについても連合の審査はできるとは思いますが、しかしまた提案者もきまつておりませんし、はつきりした法案になつておりませんので、この所管をどこにするかというところから、きめるべきだと思うのであります。本日のこの会議は発案者の発案による予備審査ような形で連合審査が行われているように解釈するのでありまして、いずれよく相談をして、法案なつたときに、その所管の問題について議論していただきたいと考えております。
  42. 滿尾君亮

    滿尾委員 内容に入る前に取扱い方についていろいろ議論が出ておりますが、国際観光というのが、わが国の国民経済上いかなる意味を持つかということをお互いによく考えまして、国策としてこれをどの程度に推進するかという腹のきめ方、腰の入れ方で私はきまるのじやないかと思う。従つて皆さんが、観光事業をどう考えるかという本質的な立場に立つて御判断いただけばよいのであつて、あまりつけたり的のことで時間を空費するのはどうかと思う。それで私の思いますのに、結局これは便宜の問題だと思う。どうすれば観光国策が最もわれわれのねらつているようなかつこうで遂行されるかについて、ほんとうに本質的な見地に立つて考えれば、現在の各省設置法にどう書いてあろうと、もしそれが都合が悪ければ直せばよい。観光国策が最も完全に遂行されるのにはどうすればよいかという見地に立つて、本質的に考えて現行法の悪いところを直せばよいと考えます。それで私は決して形式的な論議でなしに、本質論として申し上げるのでありますが、国際観光事業というものは、單なるこれは架空の概念ではない、現実に動いている事実でありますから、この事実に活を入れるためにはどうすればよいかということであります。これにつきましては、やはりスイスであるとか、イタリーであるとか、つまりツーリスト・インダストリーというものを相当国策として取上げておりますところの先進国——先進国と言つては語弊がありますが、これらのよその国を見て研究いたしまして、日本の特殊性をこれに勘案して、この事業の遂行を考えなければならないと思う。法律的な観念論のなわ張り争いなどはもつてのほかであつて、やはりこの事業の特質と過去の経験をよく考えて、実際にこれを動かしますところの推進力がどこにあるかということを、よくお考えにならなければならぬと思うのであります。もちろんホテル事業でありますから、不衞生なものを食わしたり、病人が出たりするようなことは言語道断だ。あたかもホテルにどろぼうが出れば警官が飛んで行くというように、保健衞生施設の取締りということは、すベての事業に対して、空気のごとく、水のごとき前提に立つているものである。これをとりたてて言うがごときに至つては、私はどうかと思うのであります。従つて国立公園の中にホテルが介在することが、国立公園目的に背馳するおそれが多分にあるものならば、国立公園地帶といたしまして、そのホテルの建設を許すか許さぬかについて、十分御審議にならなければならぬと思いますけれどもわが国が国策として観光事業を遂行するときに、いかなる国立公園地帶においても、国際観光ホテル設置することが、国立公園設置した目的に背馳するようなおそれは万々ないと思うのであります。かように申し上げて参りますと、具体的に結論を申し上げませんでも、わが国民経済の現状にかんがみて、この国際観光事業というものが、いかに圧倒的な重要性をわが国民経済に持つているかということがわかります。そこを考えていただいて、御相談を進めていただきたい。あまり末梢的な論議に集中することはつまらぬことであると思う。
  43. 藤田義光

    藤田委員 ただいまは運輸委員会滿尾委員から、きわめて該博なる観光に対する御指導を仰ぎまして、われわれ観光特別委員といたしまして、まことに汗顔の至りに存じておりまするが、この整備法案提案者、あるいは所管のいかんは第二にいたされまして、また議事を進捗させる意味におきまして、この法案が予備案か、あるいはほんとうの法案であるかいなかの本質論は一時保留願いまして、ただちにこの法案に対する四常任委員会意見を聞くというふうに、議事を進めていただきたいと思います。大分会期も迫つておりますし、今日の連合審査趣旨もその辺にあるかと想像いたしております。
  44. 關谷勝利

    關谷委員 私がいろいろ妙な発言をしたために、議事を引延ばしたようなことに相なりまして、まことに恐縮いたしております。提案者がだれかわからぬ、所属がどこかわからぬというようなことも、あとで明確にしていただくことにいたしまして、先ほど滿尾委員から発言のありました観光事業の重要性ということから考えまして、この整備法案の審議を進めていただきたいと思います。
  45. 栗山長次郎

    栗山委員長 ただいま御動議がございましたが、逐條的に御審議を願いましようか。それともお気づきの点についての御意見を御開陳していただきましようか、どちらにいたしましようか。
  46. 淵上房太郎

    ○淵上委員 先ほどから御提案がありましたように、各委員御列席でございまするが、地方行政委員会大蔵委員会の御意見はまだ出ておらぬようであります。それをお聞きになつて、しかる後に今ご提案整備法案の審議を進めていただきたいと思います。
  47. 栗山長次郎

    栗山委員長 ただいま藤田さんから御動議がありまして御諮りいたしておるのでありますが、御意見を拜聽するにいたしましても、各委員会に關係の深い点について拾つて意見を拜聽するか、それとも法案を一体的に見てやや逐條的に行きますか、この二つの方法があると思いますが、どちらにいたしましようか。
  48. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 ただいまの二、三のご意見、まことにけつこうだと思いますが、ただ私は先ほどから問題になつておりました根本的な問題でありますけれども、これを見ますと、国際観光ホテル整備法案(最終案)とありますから、この点予備案であるか、最終案であるか、そういうのをはつきりしてかかつて行かないと、いいかげんに逐條審議なり、その他の審議をやつてしまつておいて、そしてここにプリントしてありますように最終案だ、こういうように逸脱するおそれもありますので、今申しました点を簡明にはつきりしておいて、それからかかるべきだと思います。
  49. 栗山長次郎

    栗山委員長 わかりました。
  50. 藤田義光

    藤田委員 ただいま運輸委員から御発言がありましたが、この最終案という意味は最近案という意味であり、しかも連合審査にかける最終案、そういうふうに解釈いたしております。特別委員会では最終案と見ていないように了解しておりますが、委員長の御意見を……。
  51. 栗山長次郎

    栗山委員長 私から皆様疑義に対して、まことに手遅れでありますが、説明をさしていただきます。御案内の通り連合審査会では決議をすることはできないのであります。ここでは御意見を拜聽して、当該特別委員会においてその御意見に基き、よく練りました上に最終的決定をなすのでございます。特別委員会が最終的決定をなしますと、それは再び委員会にかからずして本会議に報告となり、それがただちに本会議でもつて認められて通過することになるのでございます。そこで私どもとしては、これは皆さんに御審議願う上に、担当の委員会の者としては、これが最終的なとりまとめである。ですから、ここに最終案としてあるのは、最終的なとりまとめというふうに御解釈していただけばよいかと思います。
  52. 青柳一郎

    ○青柳委員 ただいま委員長から言われました、ほかの委員会の御意見も聞けということに私は賛成です。厚生委員会意見を聞いて、ほかの委員会のを聞かないというのは不公平だ、観光事業の重要なことは、滿尾委員のおつしやつた通り認めておるのであります。そして私は結論的に申し上げます。ただ役所の事務的な争奪戦に終るのではいけない、もつと深く考えておるのだということを申し上げたのでありますから、どうぞほかの委員会の御意向も聞くようにお願いいたします。
  53. 滿尾君亮

    滿尾委員 ホテル案にいろいろ議論が出ておりますが、実は観光特別委員会の方々に申し上げます。この程度法律案をつくつて、一体わが国観光国策が遂行できるか、私はその観念を疑うのであります。なぜ観光法といつたような、もつと総合的な法立案を御立案にならぬか。これはその観光法の中の主要なる面には違いない、しかしながらお考えは單なるホテル整備法案、これでは私はまだまだ残念だと思う。従つてホテルという設備にあまりに跼蹐して、皆様が目をつけられるために、今のよう取扱い技術的な議論が非常に集中すると思うのでありまして、むしろもう一ぺん出直されたらどうか、もつとスケールを大きくして、本質的に観光法案をお出しになるお考えはないかどうか、委員長の御見解を伺いたいと思います。
  54. 栗山長次郎

    栗山委員長 御見解、私どもように考えておる次第でございます。しかし実際の段階になりますと、重要なる案件、條件、要素について逐次構想を練り、立案して固めて行くよりほかによい方法がないという結論に達しましたために、かような重点的な扱い方になつたわけでございますことを御了承願います。従つてあとからいろいろな方面につき、いろいろな要素につき、條件について、案がまとまりましたならば、また皆様の御審議を煩わしたく存じます。
  55. 滿尾君亮

    滿尾委員 それでは根本的なお考えはこの次にお考えいただくことで了解いたします。この法案取扱いでございますが、ただ最終案というようなことで非常にもんだんでありますけれども、これはやはり特別委員会の方で相当御相談ができました上で、各関係委員会から小委員でもお求めになつて、そこで第一番の連絡をせられる方がよかつたのじやないかと思います。本日のような形態でいきなり連合審査ということになりますと、これはなかなか收拾がつかない。私はもつと早く本質論に入りたいのでありますけれども、皆さんがなかなか堂々めぐりをせられて非常にむずかしいのであります。そういうことはいかがでございますか。
  56. 栗山長次郎

    栗山委員長 幸いにして本質論にお入りくださつておられますので、皆さんの御意見当該特別委員会としては非常に参考になることとして傾聽いたしておる次第でございますが、重ねてお諮りいたしますが、各関係委員会として全面的にやらなくとも、この点についてこの委員会はこう考えるのだというような御出案がございますれば、議事進行上たいへん好都合だと思います。
  57. 淵上房太郎

    ○淵上委員 私は地方行政委員会委員でございますが、先ほど青柳委員から御発言がありました市町村財政の問題、シヤウプ勧告によつて、来年度は家屋税が大体三倍程度になるだろうというようなことであります。このホテル整備法によつて、徴收し得べき家屋税が徴收できなくなつて、財政を圧迫するがごとき御意見があつたのであります。私はこの点に対しましては、まつたく反対の観察をいたしておるのであります。そこで償却年限の短縮、耐用年数の点、及び資金あつせんによりまして、ホテルの建築を容易ならしめるということによりまして、もしこういう修正方法がなかつたならば建たなかつたホテルが、各地に建つているということによつて地方財政は大体課税物件がふえて来る。こういう意味におきまして、地方財政の上からいつて非常にいい効果をもたらす、かように考えておるのであります。地方行政委員会としてはまだ研究はなつておらぬのでありますが、一委員としましてそういう見解を持つておるということをこの際申し添えておきたいと思います。
  58. 川本末治

    ○川本委員 先ほどから青柳委員からも、また今私どもの淵上委員からも御質問がありましたが、この第七條に家屋税を減額するということをお設けになつております。これはどういう理由か。私どもの現在の立場からいたしますと、すでに青柳氏や淵上氏が言われたがごとく、地方財源がこれ以上枯渇されてはまつたく困るというときにあたつて、さらにまたここに半減するような案が出て来たのでございますが、これはどういう理由でお設けになつたか、それを一応伺いたい。
  59. 栗山長次郎

    栗山委員長 お答えいたします。冒頭に申し上げましたように、修正をするといたしますれば、補助金を與えるか、比較的過重な税金に若干の手かげんを加えるかという二つを考えたのでありますが、この場合家屋税におちつきましたおもなる理由は、これによつて地方の財政を圧迫することはないという一応の目安がついたからであります。と申しますのは、この法の適用を受け得る——必ず受けるのではありません。受け得る対象として想像されます家屋税に関するホテルのみを見通しますと、その数は来年度においてまずせいぜい——これは想像でありますから、間違うことがあるかもしれませんが、五つぐらいであろう。それから最終的に考えましても、この別表基準を示しているようホテルは、そうたくさんはでき得ないのでございます。でありますから十内外、これも推定ですから間違う場合があるかもしれませんが、かように考えます理由の一つは、先ほども申しましたけれども基地ホテル的な役目をなすところでなければ、大きなホテルを建てましても、とうてい引合わないのであります。そういう点は業に当る者がきわめて敏感でありまして、全然損になる所には、よう企画をいたさぬという観点もありますし、現在として見通し得る諸材料を集めてみて、今のようなことが申し得るのでございます。しかも、それは新設でありますから、在来徴收しておつた家屋家屋税には何ら変化がございません。しかして新設されたものから、かりに半分とるにいたしましても、それだけ家屋税收入にプラスであることが、おわかりいただけると思います。同時に地方の財源として遊興飲食税がございますが、そこにホテルができれば、それだけ遊興飲食税を余分に徴收することができると思います。従つて、その地元の財政收入をこれによつて圧迫するということは考えにくいのであります。さらにそれと並んで考えたいことは、地方では有利な條件を提供しても、またある場合には寄付をしても、そこにホテル設備をしようという御意向のところが、私ども調べまして二、三承つております。それで地元繁栄をお考えになるからであると思いますが、地元繁栄地元に落ちる他の金とか收入とかいうものから考えますと、その地元としてはプラスになる面が多いように思います。それこれ勘案いたしますと、地方財政の圧迫でもなく、また地方繁栄に資することこそあれ、その地方の迷惑とは考えられないというふうに推論いたしたわけでございます。
  60. 川本末治

    ○川本委員 提案者の方面の御意見は大体わかりましたが、私ども委員会としては、早急にこれを御賛成申し上げるということは、ちよつと申し上げかねるような現状にありますので、一応賛否は保留さしていただきまして、委員会に諮つてまたどうなりますか。今のところ私どもはあまり賛成ができないということだけを申し上げます。
  61. 岡良一

    ○岡(良)委員 厚生委員の岡でございますが、ただいま委員長のお話で家屋税の半減は新しく新設されたものだけというお話でございましたが、第七條第三項によりますと、改築もしくは増築あるいは取得の土地というような項目がありますので、これは改築をいたしましたときにも、やはり家屋税は半減になるのでございましようね。
  62. 栗山長次郎

    栗山委員長 申し落しましたが、それもむろん入るのでありまして、今は原則的な説明をいたしますために、特にその部分だけを取上げたのでございます。準ずるものはございます。
  63. 岡良一

    ○岡(良)委員 その点に関しまして、今ほど地方行政委員の方から御意見がございましたが、たとえば実例を申し上げたいと思います。石川県におきましては山中、山代等現在八つの温泉がありますが、これらの町ないし村は、ほとんど温泉旅館よりの諸税收入によつて町村の財政をまかなつております。そこでオン・リミツトになつている旅館が十五軒あります。これは現在も外客宿泊に利用しているのでありますが、この十五軒のものに対して、現在シヤウプ・ミツシヨンの勧告によりまして、不動産税あるいは固定資産税なる名目のもとに、昭和二十五年度よりかかる固定資産税総額が、この八つの町におきまして約七百三万円であります。これが現在は旅館でありますが、すべてオン・リミツトとして外客の利用に供せられておりますので、私どももその現地を知つておりますが、おそらくこの法案によつてただちにホテル登録をすることは必至と考えております。その結果、家屋税が減ぜられます場合に、約二百十万円の收入減がこの町にあるのであります。なおかつこれがホテル登録をいたしますことをきつかけといたしまして、これは現在は主として個人の経営になつておりますが、法人化されるというようなことになりますと、また住民税において約二百六十六万円ばかりの税收入において減額が予定されているのであります。そうしますと、これらの町村財政におきまして、明年度後における約千二百万円の收入の中で、約四百万円がそういう姿において收入が期待できないという結果になるのでありまして、決して今委員長の申されたような、わずか十ぐらいが家屋税減免の対象になるというふうなことには考えられないのであります。こういうふうな事情をとくとお調べになつて、この法案を出されたものかどうか。国破れて山河ありと申しまするが、われわれは観光産業を大いに推進をして、外貨獲得に資するこのために、観光資源を活用し、ひいてはその弱体性をうたわれている宿泊施設の充実をはかるということについては、毛頭異議がございませんけれども、そういうような事態が町村に起りまして、町村財政においても、平衡交付金がはたして補いをつけてくれるものやらどうやら見込みもつかないうちに、こういうことができ、しかもわずか十五軒の旅館が大仕掛なホテルとなれば、あらゆる優先的な取扱いを受けながら、他の千有余の小さい、国民の療養のための旅館が差別待遇を受けるということから起ります、その地帶ないしはその府県の輿論の動向等を考えますときに、今しばらくそういう面においても、しさいな具体的な御検討を加える必要があるのではないかということを、この機会に申し上げておきたいと存じます。
  64. 栗山長次郎

    栗山委員長 御注意ありがとうございますが、今あげました地域の現に旅館業をやつております建物整備、これはここにあげております別表基準に適合するものという御前提でのお話のように思いますが、私どもが間接に資料を取寄せておりますところによると、この基準に合うものはその地域にはないのではないか、さよう了承いたしております。また今の御発言中にありました改装によつて受益者になるという場合でありますが、日本旅館の改装、そしてそれが外客宿泊施設に適合するようになりますためには、別表第三が用意してございます。こういうような改装もしくは増築をいたしました部分は、今まであるものにプラスとなるものでありまして、そのプラスとなるものについてだけ扱うのでありまして、それがために地方税收入を圧迫するというふうには考えておりませんが、なお、せつかくの御質疑でありますから、さよう実情調査はいたしたく存じます。
  65. 岡良一

    ○岡(良)委員 私が申し上げたのは千二百の旅館の中の、わずかに十五の大規模の旅館で、現在オン・リミツトになつている旅館を指摘しているのでありますが、これはそう大した手を入れなくても、一室ないし二室を添加すれば、ただちにこの登録に合うような旅館を申し上げているのであります。
  66. 川島金次

    ○川島委員 大蔵委員会の川島であります。この法案の中で、今問題になつております税関係について、大蔵委員の個人として——もとより委員会の意思ではありませんから、これを御了承つて私の意見を申し上げたい。一体、税というものは、いうまでもなく合理的な基礎に立つて、しかもその内容が公正であるべきはずである。従つてその所得の内容というものは多く区別すべき性質のものでないのが、税の建前である。この法案によりますと、従来ホテルを業とするものは除かれて、新たにホテル室として登録をされるホテルにのみ、家屋税及び附加税の減税をはかろうという考え方のようであります。なるほど外客誘致、観光事業振興は、日本経済全体の上から見て、原則的にはきわめて重要であるには違いないことでございますが、まず第一に、従来のホテル業には適用せずして、これから新たにホテル業を開始するものに対してこれを適用しようという、その精神においてきわめて疑問がわれわれには起るのであります。租税というものは公平であるべきであるにもかかわらず、従来の業者にはこれを適用しなくて、新しいものには適用する。そこには租税公平の原則に背馳することはなはだしいものがあるとわれわれは考える。  第二には、なるほど租税を減免することによつて、新しいホテル業者の登録がふえて来るであろうということは、一応うなずける事柄であります。一体外客の誘致によつて外貨を獲得するという目的のものであるから、租税の面において一応の便宜的な措置をとつてやるという考え方は、もとより悪いとは思いません。しかしながら租税というものの、しばしば繰返しますが、公正の原則から見れば、しからば輸出せんとする自転車、あるいはまたセルロイドのおもちや、こういつたものの業者で、建物等をこれから新たに設置するものに対しては、どうするのだという問題もあわせて起る問題になつて来る。そういう租税公正の原則に著しく背馳するがごとき法律をこの議会がつくるということは、国民の租税感に與える影響はきわめて甚大であると私は思う。そういう意味合いにおきまして、この第七條に揚げました減税の措置というものは、今の日本の租税の実況からいたしましても、きわめて妥当を欠いた措置ではないかと私は思うのであります。それからまたここに附加税などと書いてありまするが、明年度——まだ法案は出ておりませんが、家屋税は市町村の独立自主的の財源になる。附加税というものはおそらくなくなるでありましよう。そのなくなることが眼前にわかつてつて附加税ということをもここに加えてあることは、現行法がそうであるというので、書かれたのであろうと思いますが、地方における唯一の独立財源になる、しかも先ほどから各委員が申されたように、今後の市町村の税收の骨格をなすものが、この不動産の税金であります。これによつて今後の地方自治というものは、経済的にまかなわなければならないという一つの生命線である。この生命線の税に対して、これだけの意味で減税の措置をとるということも、これまたわれわれとしては納得できない点であります。  それからさらにまた問題として考える性質のものは、ご承知よう従来現行法では、不動産の取得税というものがある。もし附加税をここにうたうということならば、不動産の取得税というものはどういうことになるであろうか。もしこの精神が正しいという前提で言いますれば、不動産の取得税も考えなければならなかつたということになる。しかしながら不動産の取得税というものは、これまた明年の四月一日から廃止になるから、これに書いてないのだということに了解すれば、了解できないこともないわけでありますが、この七條の精神を貫くとすれば、不動産の取得税もここに書かなければならないと思う。もし書くとすれば、租税公正の原則から著しく背馳している法案であるということになるわけであります。  それから第四番目には、法人税の問題であります。法人の税金に対する耐用年限の短縮をいたしておるようであります。法人税にこれまた言うまでもなく、今度のシヤウプ勧告によりまして、著しく軽減されて来ることが事実となつて、間近かに実施されようとしておる。その法人税に対し、なおかつその上に、ホテル業であるからという單なる理由のもとにおいて、法人税の二重的な再軽減をはかるということは、これまた私は租税の公正な原則の見地からいたして、国民に與える影響もまたきわめて甚大であろうと推測いたします。そういう事柄について、委員長はどういうように考えられて、この第七條及び法人税の第八條に対する規定を設けたのか、その点を承つておきたいと思います。
  67. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいま川島委員からも、租税の面に対して詳細なるところの御意見があつたようですが、私はわが国の現状に対しては、このたびの国際観光ホテルは最も当を得たものであつて、しかも租税の減免をはかるというふうなことは、租税の根本理念から申しましても、当然のことであると考えるものであります。なぜならば、租税は産業の育成の最も大きなポイントであるという点から考えましても、わが国外貨獲得に最も必要なるところの手段方法として、すなわち国際観光ホテルをつくる、これを建設するがために、租税の減免を法的に論ずるということに、産業の育成の面からいたしましても当然のものであり、しかもそれでなければ、とうてい国家の産業の発展はなし得ないと考えます。かかる租税の減免の処置をとることは、租税の根本理念の上から申しましても、当然の処置である、かように私は考えるのであります。かような面からいたしまして、本案の国際観光ホテルに対しましては、わが国外貨獲得という面からして、産業の発展等からにらみ合わせまして、当然なすべき処置である。租税の面に対しても当然なすべき措置であるということを深く痛感いたしまして、この点を強く主張したいと思います。
  68. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 私は地方行政委員会の一員として、ひとつお聞きしたいことがございます。このホテル営業と警察方面とは、切つても切れぬ関係がございます。そこで外人をとめるのであるから、日本の警察とは全然関係がないということをおつしやるかもしれませんが、やはりこれには日本人もこの中に使用人としておるでしよう。またいろいろな問題で、警察とホテルとは密接な関係があると私は思う次第でございます。そこで地方におきましては、自治体警察になつております。ところがその自治体警察が目下赤字で非常に困つているような現状でございます。それでただいま川島委員のおつしやいました通り税金はすべて平等でございます。自治体が赤字で、この費用を捻出するために非常に困つているのに、ことに地方税を軽減されることは、われわれ地方行政委員の見地から考えますと、自治体警察を自治体が維持する意味におきましても、この警察とホテルとは密接な関係があるから、私たちは絶対に反対するものでありますが、あなたの御意見はいかがでありますか、お聞きしたいのでございます。
  69. 關谷勝利

    關谷委員 今税という面からお話がありましたが、大体税によつてまかなうということになりますと、先ほど委員長からお話がありましたように、補助政策をやらなければならない。全国でわずか十五箇所というようなことで、これをやるということになりますれば、自治体といたしましても、相当強力な自治体であろうと存じます。国民の税によつて得ました金を補助いたしますことは、国民全般が同じように公平に恩惠に浴する場合に、この補助政策が成立つのでありまして、もしこれがわずか十五箇所ということになりますと、恩惠を受くるところは非常に狭隘な区域に限られることになつて参りますので、その方面の地方税を減免してこれに充てる、地方にも負担せしめる、なおかつそれができたあかつきにおいては、それを補填し得るという意味から考えまして、私はこの原案が妥当であると考えております。
  70. 門司亮

    門司委員 いろいろ御意見が出ておりますが、川本君、大石さんのお話にありましたように、地方行政委員会といたしましては、税の問題についてはまだ研究の余地があると考えております。この機会に聞いておきたいことは、地方財政法の第二條の二項に「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」とある。この関係を一体どういうふうにお考えになつておるか。国がそういう施策を行つてはならない、少くとも地方財政の上に多少でも影響を及ぼすような施策を行つてはならないというふうに、はつきり書いてありますが、この点はどうお考えになりますか。
  71. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 どうも審議をやらない先に討論会みたいになつた観がありますが、ただ私が申し上げたいのは、こういうことではないでしようか。委員長が御説明なつたところによつて了承いたしますと、結局今まであつた建物については減税しない、新しくふえる部分に対してのみ減税するのだ。そこに多少の修正する点もありましようが、大体そういうことで、しかもそれが五箇年間という期限つきでありますから、五箇年の間にたくさん建築をさしておいて、五箇年後には、地方行政委員会の方で御心配のようにたくさん税金がとれるのだ、こういうことになつて来る。この二つのわけ方の点をよくお考えを願えれば、この討論は大体終るものではなかろうかと思うのです。
  72. 苅田アサノ

    ○苅田委員 先ほど厚生委員会としての概括的な御意見があつたのですが、私は厚生委員の一人としての自分の意見を申し述べたいと思います。しかしその前に、やはり大蔵委員の御質問になりました税の公正という点についての委員長説明を一応聞いておきたいと思いますので、その質問の返答が済みましたあとで、私は別個の点から質問をさしていただきたいと思います。
  73. 青柳一郎

    ○青柳委員 今の税金の問題ですが、これは家屋税の減税なんですか。家屋税は市町村税なんです。委員長の言われる遊興飲食税は府県税です。そうすると町村の負担において府県が得をすることになる。こちらの運輸委員のおつしやつたのは、租税全般に関する問題で、税金の観念について非常に問題がある。私が申し上げたのは、資材、資金を流せばホテルはできるのです。そのときに半分引かなくてもいい、市町村は困つている。そういうことを申し上げたい。
  74. 栗山長次郎

    栗山委員長 税金の点は、私はこの法案中の重点だと思つております。便宜的な入れ方をしたという御意見は、これは当然浴びせられるものと一応考えておりました。と申すのに、補助金によるか、税金かげんするかということの二つきりしかなかつたものですから、その二つ税金をとつた場合に、いかなる支障が起るかという実質的な面を主として考えたのであります。大石さんの御指摘になりましたように、また青柳さんのおつしやつたような、家屋税が名目がかわつて、市町村の財源になるということも、十分検討してかかつたのでありますが、現在市町村がこの方面からあげておる税收には狂いはない。そうして新築もしくは増築されたものであるから、それだけその町村にプラスになる、プラスになる面を助長するために、期限を限つて便宜的に半減してやり、その後は一ぱいにとるのでありますから、その町村の財政收入の面から考えますとプラスになりましても、マイナスにはならない、そういう実質論から考えたわけであります。そこでホテルができますことによつて、先ほど私が申しました、遊興飲食税は都道府県の收入であることもよく承知しておりますが、その地元としては、一面軽減する分があつても、多面増徴になる分がある、これは総体的な考え方でありますが、それ以外に考えますことは、地元繁栄してそこの雇用量も増しますし、またみやげ品等の販売もできるという観点で、通俗の言葉で言えば、地元を潤すことになる。それによつて損得差引いても、地元としてはプラスであろう、かよう観点を主として考えましたので、川島さんのおつしやいます税金の公正の原則というような点から申しますと、私ども自体にも、公正の原則に反しないと言い切るだけの自信はございませんございませんが、公共の福祉という大きな観点から言つて、一方に失われるところがありましても、他方に得るところがあれば、大局的見地から公正ということは考え得るのではないか、かように押えたわけでございます。
  75. 苅田アサノ

    ○苅田委員 ただいまの御答弁に対しましては、大蔵委員の方から重ねて御質問があるだろうと思いますから、私は別個の点から御質問申したいと思います。それは先ほどから問題になつておりますように、ごく十とか十五とかいうような、外客を誘致することができる特定な旅館だけがいろいろ恩惠をこうむる、各種の援助を受けるということになりますと、外客の誘致ができ得ざる旅館に対しましては、相当大きなものも含めまして、特に中小のたくさんの旅館というものは、現在でさえ一般の不景気のために非常な営業の成立つて行かない状態もあり、かつ警察等の監督なんかも非常にきびしかつたり、あるいは事業税が多かつたりするような点から、非常な不況に立ち至つておるのが、さらにこういう面からの影響は、一般の業者に対する圧迫として必ず残ると思うのです。そういう点につきまして、委員長のお考えをひとつ聞きたい。  それから次にお聞きしたいことは、国際観光ホテルというふうなものをつくるということが、外貨の獲得とか、あるいは外客の誘致の目的でされるということなんでありますけれども、現在日本には、そういつた観光局がなかつたり、それによつて外貨の獲得がないということは、決して家屋整備がないということだけじやないと思うのです。これは実際の例として、京都の洛陽ホテルなんかは、相当十分な設備を持つておりましても、現在数百万円とか数千万円とかの赤字で苦しんでおる、こういう状態です。ただ設備さえできれば、どんどん外国人が入つて来て、その方面から外貨日本に流れるというような簡單なものじやなくして、何もいまさら、戰火を受けた日本に好んで遊びに来る外国人もいまいと思います。その外国人の落す金を目当にしようとか、あるいはそのために日本国際收支をどういうふうにしようとかいうふうなことは、とうてい私は考えられないと思うのです。もしそれだけの保護がとられて、またそのために融資の点が考えられるならば、もつと根本的に日本国際收支を回復するための施設は、ほかにいくらでもする方法があると思うのです。そういう点から考えましても、この法案のそもそもできるということに対しても、非常にこれはつまらないことだというふうに考えます。こういう点、委員長の御意見を承りたいと思います。
  76. 栗山長次郎

    栗山委員長 お答えいたしましようか。     〔「答弁の必要なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 石野久男

    ○石野委員 質問が重複するようでございますが、先ほど川島さんからお尋ねになつておりましたような、租税の公平の原則というふうな点においての問題はしばらくおきましても、新しくできるホテル法案によりましても、来年度においては十か十五だということになるわけであります。この場合に、ただいま苅田さんから御質問のありました、従来のホテル営業者との関係性については、先ほど大分お笑いになつておる方もあつたように思いますけれども、しかしこの法案による保護を受けて、こうした新しい大きな設備ができることになりますと、当然その地区における従来の営業者というものには、相当大きな打撃があるものだというふうに思わざるを得ないのであります。この点について、委員長なり、あるいは観光特別委員会の方では、どのような御配慮をなさつておるかということについて、特にこの際鮮明な御説明を承つておきたいと思うのであります。この点は、ひとりホテル営業者だけじやございませんので、中小企業の諸君が、相当に大企業の圧迫を受けて倒れておるという事実をお互いが見ておるのでありますが、この法案ができたときにおける前の営業者の受ける打撃についての委員会の考え方がどうであるかこの点を承つておきたいと思います。
  78. 栗山長次郎

    栗山委員長 外客の入つて来る員数が新しく増すことを予想しておりますが、その根拠はどこにあるかと申しますと、今は外客入国に対して非常な制限、制約がございます。こちらの設備ができるに並行して、占領下におきましても、その員数は逐次増して行くということによつて、需要供給の関係が保たれるものと考えておりますが、先ほど、いま一つ出ました、大きなものに対する助成であつて、中小のものの圧迫になるという御観点でございますけれども、私どもは、これは船舶に関して類似的に考えた問題でございます。外海を航行して外貨の獲得に奇與し得るような船舶に対しては、私どもがその数字を拾つて、びつくりするほどの助成を国家がいたしております。陸上におけるホテルは、ちようど外海を航行する大船舶に匹敵するものだと、この場合考えたのであります。それに対して船舶同様の補助金を與えますことは、いろいろな弊害があることを認めまして、若干のむりはありますけれども国民監視のうちに置くこの家屋税によつたわけでございまして、大きなホテルで、外貨を獲得する目的に沿うものを助成いたします具体的な類似例としては、船舶が私どもは考えられると思つております。船舶にも、大きな船舶から、伝馬船に至るまであり、天馬船まで助成するかというと、これは国内消費の問題、需要の問題になる点もありまして、助成はいたされておりません。宿泊施設にも大きなものと小さなものとございます。しかし主として内地人が使うものに対して、特にこういう措置を国が講ずることは考え得ないのでありまして、外貨獲得の目的に沿うものという観点から、かような構想を立てたのでございます。
  79. 石野久男

    ○石野委員 この法案趣旨は、特に船舶に関しての政府補助が、外海を航行する船に対して相当の大きな補助を與えておる、だから観光に関することについても、大きなホテルについては、そういうような道をとつてしかるべきだというよう趣旨ようであります。私は、この際考えていただきたいことは、外海を航行する船舶と申しますものは、おのずからその顧客になる層があります。そしてまた小さな船舶は近海を航行し、それに対する物資の動き等もまたおのずから一定されておると私は思うのであります。ところがこのホテルを利用する諸君というのは、主として現在まで営業しておられる諸君が、ほとんどこれを自分たちの顧客として持つて来たものだと私は考えるのであります。新しい需要の面がふえる、いわゆる敗戰の占領下におきましても、外客がふえるだろうということは、一応私もうなずくのでありますけれども、しかしこの法案によつて、特に別表第三の構造によるところの旅館というものは、必ずしも外客を吸收するということになつていないと思うのであります。やはり国内の旅客も相当このホテルに吸收するのです。そうしてその吸收は、このように片寄つた援助を受けるということになりますれば、非常に経営は楽になつて参るのであります。従つて従来の営業者に対して與える打撃というものは、実に大きいものと私は考えるのでありまして、ただいま観光特別委員長として、また委員会としても考えられたというその考え方は、ちよつと便宜的な考え方であり、また我田引水的な考え方であろうと私は思います。決して中小のホテル営業者に対して打撃のないという立論にはならないだろうし、また大きな業者に対して補助を與えなければならないという立論にもならない、こういうふうに私は思いますので、この点はひとつお考え直しを願いたい。
  80. 栗山長次郎

    栗山委員長 よく勘案いたします。
  81. 畠山鶴吉

    畠山委員 私は観光特別委員といたしまして、ひそかに考えて、ここに一言申し上げたいと思うことは、今年の第五国会が始まつた当時、観光という言葉を言うと、至るところで、君、今観光どころじやない、きようのことができないのだから、そんなことどころじやないといつて、あざ笑いされましたが、ただいま各委員のお話を拜聽いたしまして、観光問題が重要であるということがここに裏づけられたことは、私心の中で、こんなに急に観光事業が発達したかということを、非常にうれしく考えるものであります。しかし重要であるということを唱えておるかたわらには、この外貨獲得をする場合に、その助成問題につきまして疑義があるようであります。しかし実際面に、立場によつてそういう疑義が起ることも当然と思いますが、これから新たにホテルをつくるという場合に、このくらいのことをしてやらなかつたら、とうていホテルはできないのであります。同時に在来の旅館業者に対しまして、待遇が悪いじやないかというお尋ねもあつたようでありますが、私は在来から旅館営業をしておるものであります。もちろんこれからできる業者に対して特点を與え、在来のものをかまわないじやないかという点に対しては同感でありますが、今の場合あらゆる観点から考えまして、とうていそれは不可能な問題であると考えるものであります。そういう点からいたしまして、皆様方がここまで御協力をされ、また重要であることをお考え願えるならば、ぜひこの際ある程度の訂正をしていただきましても、この目的を完成していただきたいことを、委員の一員といたしましてお願い申し上げる次第であります。
  82. 栗山長次郎

    栗山委員長 お諮りをいたしますが先ほど来、所管の問題についていろいろの御意見がありますけれども、法制上から調べてもらつた一つの根拠がございますので、法制局に御発言をお許し願いたいのですが、よろしゆうございますか。——それでは法制局から御説明願います。
  83. 鮫島眞男

    鮫島法制局第三部長 この国際観光ホテル整備法案につきましては、観光特別委員会の審議の結果に基きまして、法制局におきまして起案をいたしたのでございますが、その際にその所管をどこに持つて行くかという点は、法制局においても研究いたしたのでございます。この法律案は先ほど来お話ございましたように、観光事業に関するものと、観光行政に関する法律であるということは、第一條その他全般の條文から見まして、明らかであろうかと思つております。そこで各省の権限を規定いたしております設置法によりまして、この観光事業設置法でうたつておるのを見ますと、まず運輸省設置法、それから厚生省設置法の中にも、観光という言葉があるわけであります。ただ運輸省設置法厚生省設置法の両者を比較して参りますと、運輸省設置法におきましては、第三條に運輸省の任務という規定がございまして、ここに運輸省の任務は左に揚げる事項とするとございまして、事項が掲げてございます。その運輸省の任務というところに、運輸関連する観光というのが掲げてあります。それからそれを受けましてこの大臣官房、ことに観光部におきましてこれを所掌事務といたしまして、「運輸に関して、観光事業の発達、改善及び調整を図ること。」あるいは「運輸に関して観光地及び観光施設調査し、及び改善すること。」「観光宣伝に関すること。」こういうことが大臣官房、ことに大臣官房に置かれます観光部の所掌事務として規定してあるのでございます。また厚生省設置法を見ますと、大臣官房の所掌事務として第八條に「国立公園及び温泉に関する観光事業を指導育成し、これらに関する利用施設の設備改善を図ること」という規定があるのでございます。それから厚生省の任務の規定が第四條にあるのでございますが、ここには、そのどこにも観光という言葉は見えないのでございます。各省の設置法を見ますと、すべて最初に各省の任務というのが書いてあるのでございます。それからそれを受けまして、任務を達成するにつきまして各部局においてそれを所掌する、すなわち各部局の所掌事務というのが掲げてあるのでございます。そしてこの任務と申しまするのは、各省の設置目的とでも申してよいこと、すなわち各省がしなければならない仕事、あるいはなし得る仕事が、この各省の任務ということであるのでありまして、そこで運輸省の方は、先ほど申しましたように任務ということに観光が入つております。ところが厚生省の方には、その任務という中に書いてありませんで「国民の保健」というのが任務事項に書いてございますが、この国民の保健という任務を達成するために、大臣官房におきまして、先ほど申し上げました国立公園なり、あるいは温泉地における観光事業を指導育成するということになつておる、こういうふうに解したのでございます。この各省の任務といいますのは、先ほど申しましたように、各省の設備目的というようなことでございまして、これはたとえば法人でございますと、法人の目的というのと同じようなことであろうかと思います。従つて厚生省の方におきましては、国民の保健という任務を達成するため、すなわち国民保健の立場から国立公園なり、あるいは温泉関係観光事業をやる、そういうふうに解したのでございます。ところが今回のこの法律案におきましては、先ほどから話がございますように、これはもつぱら外貨獲得のために、外客を誘致するという観光事業そのものでございまして、従いまして国民保健の立場から見るというのとは見方が違う、そういうような考えでございまして、私どもでこれを起案いたしますにつきましても、運輸省設置法におきます運輸関連する観光、それから運輸大臣というのでよろしいのではないか、そういうような結論に達したのでございます。
  84. 大石武一

    大石(武)委員 ちよつと法制局の方にお尋ねいたしますが、観光事業というのは一体保健事業のことなんでございますか。
  85. 鮫島眞男

    鮫島法制局第三部長 厚生省設置法に、厚生省の大臣官房において、この「国立公園及び温泉に関する観光事業を指導育成し」という規定があるのでございます。これは厚生省の任務に揚げてある事項から出ていなければならないはずでございますので、この厚生省の任務のどれに該当するかということを考えますと、国民の保健という言葉以外に、そういう今の大臣官房でやつております所掌事務の出て来る根源がございませんので、これはこの国民の保健から出ていることだと逆に推測せざるを得ないという意味で申し上げたのでございます。
  86. 大石武一

    大石(武)委員 運輸省の方の仕事目的は、運輸に関しての観光事業でございましよう。そうするとお互いに任務があれば、国立公園観光事業というのは、結局厚生省にまかせなければならぬという結論に達しはしませんか。あなたの御解釈によれば……。
  87. 鮫島眞男

    鮫島法制局第三部長 国民保健の立場に立つた観光事業でございますと、これにただいま仰せの通り厚生省所管になろうかと思います。ところが今回の法案は、国民保健という立場からの法律ではございませんで、外客を誘致する、観光のために日本に参りました観光客を誘致するため、外客日本に参りまして宿泊する場合に、通俗的に申し上げますと、外客をコンフフタブルによるというような意味合いのもので、もつぱら観光事業という面から見ておりますので、この法律案に関しては、関係が直接はないのではないかというように考えたのでございます。
  88. 關谷勝利

    關谷委員 先ほど大石さんの方から、運輸に関する観光という言葉がありましたので、補足をしておきたいと思います。それは運輸省設置法の第三條の六でありますが、そのほかに大臣官房の所掌事務の第二十四というのに、観光宣伝に関することがありまして、これは運輸に関するだけではないのでありまして、全般の観光宣伝に関することも含まれておりますので、観光というものを運輸省において最も多く取上げておる。こういうふうに私は考えております。
  89. 滿尾君亮

    滿尾委員 所管の議論は大体盡きておると思いますから、私はやめます。ただこの法案につきまして、二、三の質問をしたい。大体これを見ますと、法律を制定して助成ようという、非常な意気込みでスタートするわけですが、国家として業者との関連というものは、第三條の登録によつて発足する。しかるにこの案の内容を見ますと、ある場合は大臣の認可がなければならない、ある場合には罰則がある、罰金を食つたり刑罰なんかがある。こう考えてみますと、大体発足の当初において法律行為と申しますか、官庁が登録といつたようなきわめて程度の低いもので発足しておつて、先の方へ行くと、認可がいり、罰則までついておる。ここに立法技術上のバランスという点から見て、すこぶるおかしいのではないかというような感じを私は持つておりますが、これはぜひ法制当局の御説明を煩わしたい。これは法律的な疑念でありますが、さらにこれを実体的に考えてみましたときに、この立案においてなぜホテル事業を免許制にしなかつたか。これを免許にいたしますと、今のようなアンバランスがなくなる。ただこの問題は、現にある少数のものを免許にするから、第四條第一項のいわゆる別表基準というものをどこに置くかということにかかつて来る。この基準のとり方につては、免許事業にすべきであつて、そして初めてバランスがとれる。ほかの委員の方からも御質問になつ税金のアンバランス等、いろいろな問題がありますが、要するに基準をよほど高くして——国家が特別の法律をつくつて助成するのでありますから、ぜひ免許の基準までこれを高めるべきではなかつたかという感じがします。これが二の質問であります。  その次にお伺いしたいのは、全体をこの草案で見まして、経済上のいろいろな改善の勧告をすることができるということが第十條に書いてありますが、会計監督の規定はほとんどないように思うのであります。これだけの監督をし、助成をするのであれば、すぐ反面において会計上の監督が必要ではないかと思うのであります。別に配当を制限しろとまでは申しませんけれども、少くとも会計報告を認可事項にするとかいうことが入つて来るべきではなかろうかと思います。それからさらに料金でありますが、第六條に料金を公示する義務を課してある。料金は一般公定価格の例にならうつもりであるか。私は特別のホテルの性格にかんがみて、特別料金の必要があると思う。従つてこういう角度から、外客用料金ということで、一般宿屋の公定価格から離れた別途の許可制をとる必要があると私は思うのであります。  さらに私一つ疑惑を持ちますことは、第十四條であります。十四條によりますと、たとえばこの指定登録を受けました業者が、黙つて合併してしまうか、あるいは売り飛ばしてしまうか、賃貸してしまうかしたときには、大臣は当然その登録を取消す。そうすると、過去の税金が追徴されるという條文になつている。これは正当な基準により、正当な方法によつて、正当に登緑を受けて、正当に税金を免除されておつた人が、何年かたつて、あるいは相当時間がたつた後に、たまたま最後に運輸大臣の許可を得ないでそういう行為をしてしまうと、過去にさかのぼつて税金をとられるのであるが、そういたしますと、最初に税金を免除されたときには、正当の法律状態において免除された、しかし最後の一つの行為によつて、過去におけるものまで遡及されることは、私の常識では、どうもこれは納得しないように思う。これは罰する必要があれば、罰の方法は別にあるじやないか。正当な状態において恩典に浴して経過しておつたものまでも、遡及して毎年税金を拂えという規定でありますか、その点を教えていただきたいと思う。
  90. 栗山長次郎

    栗山委員長 私からお答え申し上げて、法制局で補足さしていただきます。許可という事項が現われますのは十三條でありますが、この認可は、登録ホテルの経営主体がかわります場合に、その授受が完了いたしません期間、当事者の不安を除くために設けられた許可でありまして、拘束するという点よりも、むしろこれを円滑に運営するというための許可でございまして、普通のいわゆる許可のごとく、押しつけるきついものではなくて、むしろ助長面に現われる許可でございます。それから免許の点につきましては、現に厚生省がその任務権限におきまして、旅館営業をしてよろしいということ、これは厚生省のつかさどるところでありまして営業をしてよいか悪いかということには、この法律では触れておりません。これは厚生省のつかさどる一般的な事項でありますので、ここに特別法として取立てなかつたのであります。  それからまた会計の点でありますが、もし損失があれば、補助金をもつて補償をするという法の建前でありますれば、会計の検査もぜひしなくてはならぬと存じますけれども、経営困難で、收支の見込みが立たないというがために、それに対する若干の助成をしようというのが本旨でございまして、與える條件はきわめて特定的であります。その與える條件によつて、企業をなさんとするものが、よくそろばんをとつておやりになることでありまして、それ以上は損をされようが、得をされようが、この法律では関知しない建前をとつておりますために、会計規定は設けません。  料金の点につきましては、これが成立いたしますと、ホテル審議会が設けられるということになりますが、そういうところで、標準となるものの検討が当然行われることと予想いたしております。ただいまでは公定料金がありますけれども、これは逐次はずされるものと予想するのみならず、またそういう点において、自由裁量の余地が広がることを私どもは望んでおりますが、不当なことをいたしますと、国が不利益であります。次のお客が、ぼられると来ませんから。そこでそういうのを公示してもらうことによつて、そこにおのずから、管理の対象とするものが律せられるという点を見出し得るという、ゆとりを持つた考え方でございます。  第十四條につきましては、若干の特点を與えます以上、その特点を悪用する者のあることを防止せねばならぬと存じます。その悪用を防止するための規定であるわけでございます。
  91. 鮫島眞男

    鮫島法制局第三部長 大体ただいま委員長がお述べになつ通りでございますが、最後の税の追徴の点につきまして補足的に申し上げますと、これは要するに今おつしやいましたように、この法律の適用を受けまして、ただちにじやありませんが、一年か二年ぐらいですぐにこのホテル業をやめるというようなことがございますと、せつかく正しいホテル業者を助成ようとする本法の趣旨に合いませんので、その濫用を防止するために、この税の追徴の規定を置いたのでございます。そしてまたこの税の追徴の処分をするにつきましては、よく事情を勘案いたしまして、税の追徴をすべきかどうか——これは必ず税の追徴をするというのではございませんで、そういう処分をすることができるわけで、特に宥恕すべき事情があるときには、さしつかえないというふうになつております。またこの処分をするにつきましては、ホテル審議会にかけまして、ホテル審議会の意見を聞くということになつておりますので、正しい業者については決してむりな適用はせぬ、ただ悪用する者があることをおそれて、こういう規定を置いたのでございます。
  92. 滿尾君亮

    滿尾委員 今の法制局第三部長の御答弁は、私のお聞きしたい要点からはずれておるのです。私は十四條の規定そのものにちつとも不賛成じやない、けつこうだと思いますが、ただその過去の税金の追徴の仕方で、一体こういうことがあり得るだろうかということをお伺いしたのです。つまり、ホテルの届出をして正当に営業しておつて、その間当然恩典を享受しておつたが、二年か三年たつて運輸大臣の認可を得ないで無断でホテルを休んでしまうと、登録の取消しと見なされる。そうすると、過去にさかのぼつて税金をとられるのか。過去はちつともとがめられることはなく、当然恩典を受けたが、一番最後にただ一度だけ認可を得ないでかつてなことをしたからといつて、過去にさかのぼつてみな税金をとられるという罰の仕方があるかどうか、その罰の仕方について私は聞いておるのです。
  93. 鮫島眞男

    鮫島法制局第三部長 ただいま御質問のような場合には、運輸大臣としても、またホテル審議会としても、決してそういうような追徴処分はやらないだろうと思うのであります。ただ家屋税の減額あるいは耐用年数の短縮、こういうような恩典のあるのを奇貨として家を建てる——初めからまじめな意味でこのホテル業を開業するのではございませんで、悪意をもつてホテル業を開始しまして、一応その恩典を受けた上で、ただちにこのホテル業を休止するというようなことがあるのも予想されます。先ほどからお話がございますように、税の軽減というようなことはなかなか重大問題でございますので、やはりそういつた悪用を防止するという規定も置いておく必要があろうかと思いまして、置いたのであります。これがたびたび適用されるようなことはそう考えられないのでございますが、一応その防止規定として置いたのでございます。
  94. 滿尾君亮

    滿尾委員 どうもほかの委員の方に御迷惑でまことに申訳ないが、まだ私は納得できない。私はこういう罰をやることは毛頭異存がないが、こういう罰のやり方が可能であるかどうかということを伺つておるのであつて、十四條の精神はもう私は了としておるのです。ただ正当に二年なり三年なりたつたあとで、たまたま売り飛ばしたとか、あるいはたまたま休んだとかいうときに、過去にさかのぼつてそういう罰を科するという概念が法律的観念として適当であるかどうか。つまり政治上の運営としましては、当然常識的にはかられるものと思いますけれども法律上の字句がそういう解釈のできるような体裁のものではおかしいのじやないかと思うのです。この点を御説明願います。
  95. 鮫島眞男

    鮫島法制局第三部長 これは、あるいは通俗的な意味で罰とおつしやつたのかもしれませんが、いわゆる刑罰的な罰を加えるということは、これはよろしくないと思うのでございます。ここは一旦得た利益をはき出させるというだけの意味でございます。それから、たとえば関税法などを見ますと、ある特殊な用途の物品につきましては関税を免除いたしますが、それが最初の用途通りに使用されませんでした場合には、前に免除した関税を追徴するという規定もございますので、そういつたような立法制を参酌いたしまして、こういう規定を置いたのでございます。
  96. 岡良一

    ○岡(良)委員 ただいまの法制局第三部長の御説明関連して二、三点お尋ねしたいと思います。まず第一に、この法律に盛られている施設及び経営改善の勧告でありますが、この勧告の指令は、だれがどういう方法によつてやるとお考えでございましようか。
  97. 鮫島眞男

    鮫島法制局第三部長 この勧告は、一ぺん運輸大臣の方へ登録いたしましたものに対してやるのでありまして、運輸大臣登録ホテルのリストを持つておるわけでございます。それから第十九條に「運輸大臣は、登録ホテル業の用に供されている施設の状況に変更があつたとき、その他必要があると認めるときは、当該登録ホテル業を営む者その他の関係者から、報告を求めることができる。」という規定がございますので、その辺の運用から行きまして、お尋ねの点はまかなえるのではないかと思つております。
  98. 岡良一

    ○岡(良)委員 大体勧告の基準となるものは別表第一ないし第四に示されておるものだと承知しておるのでありますが、この基準を拜見いたしますと、主たるものは衞生的な設備と防火的な設備のようであります。その他の点についてに、呼鈴をすえつけるとか、あるいは卓上電話をすえつけるとか、その他便所の構造等で、これに外客を誘致する設備としては何人も常識で考えられることであります。特に防火と衞生面が強調されておりますが、その中でも防火の面は、一旦整備をいたしましたならば、相当期間これの修正ないし補修ということの必要はないと思います。ところが衞生面というものは、いわばきわめて動的な性質のものであります。先ほど法制局第三部長の方では、国民保健に関する観光というふうな表現を用いられておりましたが、特に外人客を誘致する場合には、衞生というものが最も重要なものだと思います。従いまして、国際観光ホテルの所在する地域あるいはその水源地帶、あるいはそこに食糧を運び込む近在の農村におきまして、伝染病が発生をするというようなことは、それこそその国際観光ホテルの経営に大きな影響を與えるものであります。そういうような事態に即応いたしまして、一体この法案、いろいろな施設の勧告あるいは登録の取消しその他のことが運輸大臣所管に属するということでは、国際観光ホテルとしての機能を営む上において、最も大切なる公衆衞生面についての指導監督について、きわめて遺憾な面が起りはしないかということを考えるのでありますが、そういう点についてのお考えを承つておきたいのであります。
  99. 鮫島眞男

    鮫島法制局第三部長 公衆衞生面は厚生省の方の所管でございまして、この法案で取上げておりますのは、むしろ物理的な施設という点を主として考えておるのでございます。
  100. 岡良一

    ○岡(良)委員 私がこういうふうに申しますのは、決して官庁のセクシヨナリズムから申すのではなく、むしろ民自党の唱えられる行政事務の簡素化、能率化という観点から申し上げるのであります。この衞生事務のことにつきましては、特にそれを中心といたしまして、昨年の旅館業法によりまして、環境監視員が国庫補助によつてすでに一千六百名全国に配置されております。なおそれに補助監視員を加えますならば、一万七千の者が配置されておるのであります。従いましてこうした施設の経営及び改善という実質的な面、特に公衆衞生は最も実質的なものであろうと思いますが、そういつたものは旅館業法を一部改正することによつてこの目的は十二分に達成できることだと、私どもはかように考えておるのであります。なおかつ旅館業法及びこのホテル法などの、そうしたダブル点は、いろいろ運輸大臣等に対しまして、われわれの申し入れを伝えて善処したいと考えておりますがこういうふうな法規が二つ対立して存在する。その間それぞれの所管の大臣その他の官庁において、申入れ等によつて何らか運営の便をはかろうというようなことに、これまでの行政実績から見ても、決してその運営が全からぬことは、われわれのすでに常識となつておるのであります。こういうような点を考えましても、私どもとしては、行政の能率化、統一化、特にまた観光ホテルとしての最も実質的に必要な公衆衞生面を、できるだけ力強く推進して行きたい。国際観光ホテルたるの名に応じないよう運営をするためには、旅館法の一部を改正し、あるいは現在の環境監視員を強化拡充することによつて十二分に目的が達せられると思うのでありますが、その点について委員長の御見解を承りたいと思います。
  101. 栗山長次郎

    栗山委員長 私へのお尋ねでありますからお答え申し上げますが、私どもの考えといたしましては、現在厚生省が今お述べになりましたよう観点に立つてつておられること、これはそのまま継続しておやりを願う建前でございまして、一般的な事柄以外に、ここに外客の誘致目的を達するがごときホテルを、この火急の場合奨励をしてどうして需要を満たす程度にまでするかという、助成面だけについて主として考えておりますので、厚生当局におかれて、今の公衆衞生的な観点に立つての御監督、御指導は十分にしていただくことを期待しつつ、立案をいたしておる次第でございます。
  102. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 近来の委員会としましては、まことに例のない潤達な御意見を伺つておるので、運輸委員の一人として非常に参考になりました。これらのことをひとつもとといたしまして、観光委員会の方でさらにひとつ積極的に案を練つていただく。こういうものが必要であるということにつきましては、さつき伺つた御意見の中で、お一人だけがどうか知らぬと思いますが、ほとんど大多数の方が御賛成のように考えるのであります。これらの事柄を取上げて、もう一ぺん観光委員会の方でよく取捨選択していただくようにして、本日は大体このくらいのところで散会をお願いしたいと思います。
  103. 立花敏男

    ○立花委員 最後に、地方行政委員会としては本質的な問題の御答弁がなくて残つておりますので、御答弁願いたいと思います。
  104. 栗山長次郎

    栗山委員長 今日は御意見を拜聽しまして、さらに当該特別委員会としてよく御意見を参酌しつつ練ることにいたしまして、御了承を願いとう存じます。
  105. 立花敏男

    ○立花委員 委員会として態度をきめます場合に、委員長の御見解を伺つておきませんと、ちよつと態度がきめにくいかと思います。行政委員会としては切実な問題でございまして、第七條の地方税の問題は、これは地方行政委員会としては地方自治権の侵害になるのではないかと考えております。シヤウプ勧告によりましては、地方自治を目途といたしまして、財政権、課税権あるいは行政権の自主的な確立が勧告されておるのですが、その際に、いたずらに国が地方に責任を転嫁するような施策を行うことは、実は地方自治への方向に対する根本的な問題ではないかと考えておりますので、そういう本質的な問題で、委員長の御意見を参考に承らしていただけば、地方行政委員会として態度をきめられると思います。
  106. 栗山長次郎

    栗山委員長 ただいまの御説でありますが、地方行政委員会委員長とお打合せ申しまして、もし必要があれば、観光委員会地方行政委員会との懇談なり、正式の協議会なりを聞くことがよかろうと存じます。従いましてその善後処置につきましては、地方行政委員長と打合せる余裕を一つお與えいただきたいと存じます。
  107. 柄澤登志子

    柄澤委員 この法案の中にございますホテル審議会の問題でございます。これは運輸省設置法案に関係を持つと考えられるのでありまして、これは予備案であり、決定的なものではもちろんないと私どもは確信を持つておるのでございますが、法制局第三部長としての御意見を伺いたいのでございます。最後の附則のところに、この法律は公布の日から施行するとして、運輸省設置法の一部を次のように改正するというような、その権限をこの法案が持つているように規定されております。これは特別法としてのお取扱いで、運輸省設置法にもまさるものというような御見解だと思いますが、法制局の第三部長はこれを特別法として見なさつたのでございますか。その点を伺つておきたいと思います。
  108. 鮫島眞男

    鮫島法制局第三部長 ただいま御説の通りこの法案の附則におきまして、運輸省設置法の改正規定が置いてあるのでございまして、これは法律案において審議会を設けたのに伴いまして、運輸省設置法を改正する必要が生じたために置かれた規定でございますが、こういう場合におきまして、運輸省設置法の改正を單独の法律として出すか、あるいはその関連法律の附則で出すかと言いますと、いずれでもよろしいのでございますけれども、こういう関連のある場合の改正は、その本来の法律案の附則で改正するのが普通でございますので、その普通のやり方に従つたまででございます。しかし実質は、運輸省設置法の改正の單独法案を出したのと同じでございますが、今申しましたように、ホテル法案関連しての改正でございますので、従来の例にならいまして、附則で規定した、ただそれだけの技術的な観点からでございます。
  109. 柄澤登志子

    柄澤委員 設置法はいろいろな問題をはらみましたあれだけ大きな法案でございまして、相当重視されたものだと思いますが、その一部を改正することの権限を持てる法案というのは、やはり特別法としてお取扱いになると思いますが、これは私ども見解から申しますと、つまりこういうことを言いたいわけでございます。観光委員会としてこの法案提案にならないとわれわれは考えておるわけであります。それは反対の議員がございますから。そういたしますと、委員会全体としてまとまつたものでなければ、特別法にならないと思うのでございますが、その辺の御見解はいかがでございましようか。つまり委員提出なつた場合に、特別法の権限をもつて前にきめた運輸省設置法までも改正する権限を持つておるかどうかということでございます。
  110. 鮫島眞男

    鮫島法制局第三部長 ただいま御質問の特別法ということの趣旨がよくわからないのでございますが……。
  111. 柄澤登志子

    柄澤委員 それは前の観光委員会におきまして私、委員長に御質問申し上げましたのでございます。それはこの法案の中に、運輸省の中にホテル審議会をつくるということがございまして、このことは各省設置法関係して来ると私ども考えましたので、そういう権限をこの法案は持ち得るのかどうか。あれほど行政機構の簡素化といつて、いろいろな点でやつておられました民主自由党の政策にも反するのじやないかと思う点で申し上げましたところが、これに特別法から、すべての法律にまさつているというような御意味であつたと思いますが、あなたはその御相談をお受けになつてこの法案をおつくりになつて、御答弁になつていらつしやると思うのでありますが、その観点がどこにあつたかということを承りたいのでございます。
  112. 鮫島眞男

    鮫島法制局第三部長 この法律は、先ほどから申しますように、運輸省設置法の第一條に基きます運輸関連する観光という任務規定から出た法案であるということから申しまして、別にこれは特別法というふうには解しておりません。それから運輸省設置法の改正でございますが、これは先ほど申しましたように、單独法で出すもよし、あるいはその元の法案といいますか、正常法案の中で運輸審議会を置くという、それに関連しての改正でございまして、付随的な改正でございますので、ただここで取扱つたというだけでございまして、その特別法とか何とかいう関係は何もないかと思うのでございます。
  113. 柄澤登志子

    柄澤委員 了承いたしました。
  114. 栗山長次郎

    栗山委員長 どうもありがとう存じました。それでは当該特別委員会におきまして、皆さんの御意向の存するところをくみましてよく練ります。  本日はこれで散会させていただきます。     午後四時二十四分散会