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山口国務大臣 ただいまの御
質疑は、
特別調達庁に関する
解除物件の
処理ということだろうと思うのですが、ま
つたくこれはお説の
通りでありまして、総額七十三億に上
つておるのであります。
倉庫料のごときも、今年の四月から八月までで約二億六千万円拂
つております。また現在多少
減つたと申しておりますが、月に六千万円の
倉庫料を拂
つておる
ような、率直に申し上げて非常に不経済なことをしておる
ような次第なのであります。私、
特別調達庁の
所管大臣を命ぜられてから、
鏡意この
方面に手をつけておる
ような次第でありまして、
国家財政がきわめてきゆうくつな際、六・三
予算とか、
災害復旧とかいう
ようなことが非常に叫ばれている際に、片一方には七十三億という
ような、売
つてもさしつかえないものが、しかも一箇月に六千万円以上の
倉庫料を
支拂いつつ滞貨されている、こういう点に非常に私も注目いたしておる
ような次第であります。この問題に関しては、どうかこの
委員会等におかれましても
現地を一応御視察くださいまして、
政府を督励していただくことができますならば、非常に幸いだと思
つておる
ような次第であります。
並木委員の申されたその問題は、詳しく申し上げれば——
せつかくこれはいい
機会でありますから申し上げますが、
特別調達庁が
連合軍の
設営用として軍の
指令で購入し、保管しておるところの
在庫品のうち、軍の
計画変更等によ
つて解除をされたもの、また
特別調達庁が購入しで、軍へ一応納入した
品物で、それが返還されたもの、またその返還されたものを
特別調達庁が
引取つて、これを
処分してさしつかえないという
許しを得たもの、こういうものでありまして、
従つてそのうちには
建築材料あるいは
電気、給水、暖房、その他家具、じゆうたん、ふとん、
台所用品、ほとんどありとあらゆるものがあるのであります。私も五、六回各
倉庫をつぶさに視察いたしまして、私自身がびつくりしておる
ような次第であります。現存のところでは
トン数にしまして約五十五万五千トンでありまして、先ほど申し上げました
通り、
倉庫へ寄託しておるところの
金額が七十三億円に上
つております。
東京の
本庁を初め、札幌、仙台、横浜、名古屋、京都、大阪、呉、福岡の各
特別調達局の所管しておるところの
全国各地の
倉庫に保管しておるのであります。右の
解除物件を本年八月から
特別調達庁本庁及び八
地方調達局で、
売却を始めた次第でありますが、十月三十一日までの
全国におけるところの
売却の
合計実績は、
トン数にして約九万二千トン、
金額において二億四千九百万円でありまして、
売れ行きが非常にはかばかしくないのであります。この
売れ行きのはかばかしくない
原因といたしましては、
一般経済界が
金詰まりで非常に
デフレ傾向を持
つておる。金より物の
時代から、物より金の
時代へ移行しておるという世相が、一面反映もしております。また一方におきましては、私は
大蔵大臣とも相談して、一応
会計法規を変更してでも、これを売りさばくことが適当ではないかと主張しておる
ような次第でありまして、たとえば
政府が購入するものは、三箇月でも五箇月でも
代金の
支拂いを放任しておく。今度は
政府の
売拂い財産等に関しましては、先に
保証金をと
つて、
入札が済んだらただちに即金で何千万円拂え、拂わなければ
品物を渡さない、こういう制度にな
つておるのでありますが、
政府の
財政を援助して行こうと思えば、なるたけ高く、そうして量的にも早くこれを売りさばくことが、
倉庫料も助かる
ような次第であります。でありますが、そういう多額の金を即座に出すということは、
金詰まりの現状においては非常に困難であります。それで私どもといたしましては、
政府の信頼する銀行、
金融機関のギヤランティがあるならば、安排い
保証の
手形等があるならば、三箇月とか六箇月
支拂いを猶予してやる、こういうことにすればコストも高く、また
売れ行きも非常にいいであろうというという
ようなことを
考えておる
ような次第であります。また中にはかなきんとか、いろいろの
纖維製品もたくさんあります。その
纖維製品の中には、例のクーポンを持
つて行かなければならぬ。
経済安定本部に一応リストを提出いたしまして、その
割当に基いて
割当切符引きかえでなければ、売ることもできないという
ような
品物もあるのでありまするまたある部分には、
処分についてさらに軍の
指令を仰がなければならぬ。こういうことが
一つの
隘路にもな
つておるのであります。いま
一つには、私がこういう
機会がけつこうだと言うことは、広く世間がこのことを周知していない。おそらく七十三億円という
ようなものが、
倉庫の中で眠
つておるということを知
つている人も少いであろう。
特別調達庁にはこれを周知せしめるところの
経費がないわけです。ですから
今期補正予算の中にも、この物品の
売拂いに対する
広告費を
相当見込んでいる
ようなわけであります。この
売れ行き不振の
状況を
ちよつと数学的に申し上げれば、
東京の
本庁では今までに千九百八十七件の
入札を
行つたのに対しまして、
入札のあ
つたのは約三分の一弱であり、六百二十三件にな
つております。
うち予定価格以上の札が入
つて落札したものはわずかに三十四件であ
つて、一・七%にすぎないのであります。また
随意契約で百十七件の
契約が成立しておる、こういう
状況であります。
解除物件の
予算でありますが、この
解除物件に対する
予算としては、現に歳入三十一億七千八百万円、歳出一億九千八百六十万円の
予算を見込まれておるのでありますが、当初この
予算案を作成したときには、総
司令部方面の
意向を参照いたしまして、
解除物件の量を予想して算定したのでございますが、実際においてはその予想以上に多く
あとより
解除されて参りまして、初めからの
解除予定であ
つた解除物件の
売却が、軍との
関係で八月初めまで延びたところに、前に述べた
ような不振の
状況を招来したのであります。これに対して
大蔵省から二億五千三百万円の
補正予算を本
国会に提出して、御
審議を願
つておる次第でありまして、先ほど申し上げました
通り、
保險料は八月の末までで約二億五千六百万円を費しております。また最近は一箇月に約六千万円以上を
倉庫料として
支拂いつつある
ようなわけであります。今後の
売却見込みといたしましては、
海上物権が何さま
連合軍の軍用として軍の要求によ
つて調達したものでありまして、中には
電気の
料理器とかあるいはガスの湯沸しであるとか風呂おけ、
朝鮮向けでございまし
ようが、ガソリンでたく湯わかしという
ような国内の需要に非常に遠い
ような
品物も
相当ございます。しかしこれも
価格を少し引下けて売る。ネジを
一つひね
つたら
風呂場にも
台所にも至るところに熱湯が出て参るという
ような、非常に便利な
品物もたくさんあるのでありまして、私がおそらくずつと調査いたしましたところからすれば、ほとんど世の中にあるものはあらゆるものがある
ような気持がいたすのであります。(笑声)そういう次第でありまして、何とかして本年度内に全部の四分の三くらいは
売却してしまいたい、こういう
考えをしておるのであります。その
考えのもとにおいて一応
今期国会にも
大蔵省から
代金の延納を認める。また
随意契約のできる範囲を拡大する。それから
統制品の
割当手続を簡素化する。こういうことを提起しておる
ような次第であります。またあるいは
現品を展示いたしまして正札によ
つてこれを販売する。たとえば三越とか白木屋という
ようなところに一応
現品を展覧しまして、そこにおいて正札または
せり売りをして
売却をする。
官庁式ではなくして、こういう少し砕けた
方法を用いることが妥当ではないかと
考えておる
ような次第であります。こういう次第でありまして、私も現場をつぶさに視察しまして、
並木委員の御
質疑に対してきわめて同感の意を表するにやぶさかでない次第であります。どうか
大蔵委員会とか
外務委員会、この
関係委員会等において一応
現地を御視察くださ
つて、よりよき
方法を
皆さん方から御教示を賜わるならばこれに越した幸いはない、か
ように
考えておる
ような次第であります。