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1949-10-29 第6回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    委員昭和二十四年十月二十六日(水曜日)議 長の指名で次の通り選任された。       岡崎 勝男君    菊池 義郎君       栗山長次郎君    近藤 鶴代君       坂田 英一君    佐々木盛雄君       塩田賀四郎君    竹尾  弌君       仲内 憲治君    中山 マサ君       益谷 秀次君    増田甲子七君       鈴木茂三郎君    戸叶 里子君       並木 芳雄君    野坂 參三君       犬養  健君    松本 瀧藏君       玉井 祐吉君    北  二郎君 同日  岡崎勝男君が議長指名委員長に選任された。     ————————————— 昭和二十四年十月二十九月(土曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 岡崎 勝男君       菊池 義郎君    栗山長次郎君       坂田 英一君    佐々木盛雄君       中山 マサ君    戸叶 里子君       並木 芳雄君    野坂 參三君       玉井 祐吉君  出席政府委員         外務政務次官         (政務局長)  川村 松助君         外務事務官         (政務局長)  大野 勝巳君         外務事務官   西村 熊雄君  委員外出席者         專  門  員 佐藤 敏人君         專  門  員 村瀬 忠夫君 本日の会議に付した事件  理事互選  国政調査承認要求に関する件     —————————————
  2. 岡崎勝男

    岡崎委員長 これより外務委員会を開会いたします。  前の国会に引続きまして委員会を開くのでありますが、今回は多少委員の顔触れも違つたようでありますので、新しい方にもよろしく御協力を願いたいと思います。  本日はこれより理事互選を行います。
  3. 菊池義郎

    菊池委員 理事互選は、その数を十名といたしまして、委員長において指名せられんことを望みます。
  4. 岡崎勝男

    岡崎委員長 菊池君の御意見に御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡崎勝男

    岡崎委員長 御異議なしと認めましで、私から理事指名をいたします。    菊池 義郎君 近藤 鶴代君    佐々木盛雄君 竹尾  弌君    仲内 憲治君 戸叶 里子君    並木 芳雄君 野坂 參三君    犬養  健君 松本 瀧藏君以上十名を理事指名いたします。     —————————————
  6. 岡崎勝男

    岡崎委員長 なおお諮りいたしますが、本委員会は第一回の国会以来この前の第五国会まで、また第五国会の閉会中にも引続き国際経済に関する総合調査並びに講和会議関連する諸問題について、国政調査承認を得て、いろいろの角度から本問題研究して来たのであります。しかしながらこの問題国策樹立という点から見まして、また講和会議準備という点から見ましても、なお深く調査研究を進める必要があると存ずるのであります。それで今国会におきましても末問題に対する調査研究をなすため、衆議院規則第九十四條によりまして国政調査承認要求書議長に提出いたしたいと存じます。ここに調査承認要求書を朗読いたします。    国政調査承認要求書  一 調査する事項   1 国際経済に関する総合的調査   2 講和会議関連する諸問題  二 調査目的   1 国際経済の現状及び動向を調    査し、国民外交並びに国策の樹    立に資す。   2 講和條約に関する準備研究  三 調査方法   官民各方面より意見聽取及び資   料の要求。  四 調査の期間   本会期中右によつて国政に関する   調査をいたしたいから衆議院規則   第九十四條により承認を求める   昭和二十四年十月二十九日      外務委員長 岡崎 勝男  衆議院議長   幣原喜重郎殿  ただいま朗読いたしました国勢調査承認要求書議長に提出いたしたいと思うのでありますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岡崎勝男

    岡崎委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいいたします。     —————————————
  8. 岡崎勝男

    岡崎委員長 なお緊急質問要求がありますので、これを許します。佐々木盛雄君。
  9. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 本日は外務大臣の御出席要求しておいたのでありますけれども、不幸にして出席を得なかつたことをきわめて遺憾に思います。この機会委員長に特に注意を喚起しておきたいのでありますが、過ぐる第五国会におきましても外務大臣が本委員会出席されたことは、わずかに一回あるいは二回であつたことを記憶しております。どうも新国会法というのは常任委員会中心の行き方が正しい行き方であるにもかかわらず、ややともすると委員会というものが非常に軽視される傾向にあることをわれわれは非常に遺憾と思います。従いまして、委員長におかれましては今後委員会要求を尊重されて、当該大臣が可能なる限り必ず出席するようにおとりはからいを願いたいのであります。大臣がおられませんので、従いまして少しく質問要旨もあまり大きな政策問題にわたらない点につきまして、法理論上の解釈問題や、あるいは外交上の事務手続問題等についてお聞きしたいと思います。  まず第一は、憲法第九條の戰争放棄問題でありますが、第二章第九條によりますと、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戰争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」いう戰争放棄規定があるわけであります。これは後ほど私が質問を申し上げようと思うことと重大な関連がありますのでお聞きしておくわけでありますが、この戰争放棄規定というものは、日本の攻撃的な戰争権利を放棄したものとのみ解釈をするのか、あるいはさらに万一日本侵略国によつて侵略を受けた場合における防禦的な戦争の権利をも放棄するのかという点につきまして、これは今後の日本外政上の一番大きなキイ・ポイントであると考えますので、この点につきまして外務当局の所信を明らかにしていただきたいと思います。
  10. 川村松助

    川村政府委員 お答えいたします。これは攻撃的戰闘準備も自衞的戰争準備も放棄しておるものと解釈して、おります。
  11. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 それでは次に、国際連合参加する條件といたしまして、軍備というものは必要でないであろうと私たちは考えます。たとえばアイスランドの例などを見ましても、そのようなことが考えられるわけでありますけれども、これに対しまして外務当局の御見解をお伺いいたします。
  12. 川村松助

    川村政府委員 国際連合加盟する決意はまだしておりませんので、それに対する考え方は正式にはきまつておりません。
  13. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 今の御答弁に対する私の再質問ちよつと保留しまして、後ほど質問いたします。  それでは国際連合中立国参加が可能なりやいなや、これに対するお答えを願います。
  14. 川村松助

    川村政府委員 お答えいたします。国際連合加盟しても日本中立が許されるかどうかというお尋ねでありますが、国際連合加盟するかしないかがまだ正式にはきまつておりませんので、その点に対しましてはただいま御答弁を差控えたいと思つております。
  15. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 私の質問要旨答弁が大分違つておるようでありますが、私は原則的に申して、中立国国際連合への加入は可能なりやいなやという質問をしたのであります。
  16. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 日本についてはまだ平和條約も成立しておりません。日本国際連合加盟という問題は、平和條約の後に起る問題であります。従つて現実とはきわめて縁の遠い問題であります。今ここに現実とは全然離れまして、佐々木君の御質問に対しまして、国際連合加盟国となるということと中立ということについて、どういうふうに考えればいいかということをただ理論的に考えまして、一応の見解を申し述べたいと思います。  国際連合加盟国となるにつきましては、第一に平和愛好国であり、第二に憲章による義務を受諾し、かつ国際連合によりこの義務を履行する意思と能力があるということを認定されることが必要であります。  国際連合におきましては、国家間の紛争は直接交渉とか調査とか、仲介とか、裁判とかいうような、世にいう平和的手続によつて解決しなければならないということになつております。それが本則であります。  国際連合では、戰争を認めないのであります。紛争解決方法として、平和的方法によつてどうしても解決がつかないで、平和が破れるか、また平和が破れるおそれがある場合には、安全保障理事会が取上げて解決措置決定するということになつております。その解決措置に対しましては、すべての加盟国はこれを遵守する。これによつて拘束されるという建前になつております。これが国際連合仕組みの荒筋であります。言いかえれば、国際連合では、国家間の紛争解決方法としては、戰争というものを認めない。国際紛争から戰争となり、または戰争危險が発生した場合には、安全保障理事会が取上げて解決措置決定する。この決定には、すべての加盟国が従わなければならない。この際いわゆる従来の戰時国際法言つております戰争における中立国としての立場をとるということは、国連加盟国に関する限り考え得ないわけであります。  かような国際連合中立ということの関係はどうでありましようか。この点につきましては、二つの場合を区別して考える必要があると思います。世の中ではずいぶん中立国際連合という関係について意見が、交換されておりますが、その場合二つの区別を明確にしないために、議論に紛糾を来しているように私は見ております。  第一の場合は永世中立国の場合であります。永世中立国と申しますのは、国際法上の制度でありまして、国家の特殊の一つの性格づけであります。言いかえれば永世中立国と申せば、近接諸国との條約によりまして、永久にいかなる戰争に際しましても、中立を守るということを約束し、その代償としてその中立地位近接諸国が尊重して侵さないということを約束しておるのであります。永世中立国は常に中立地位を守り、他国間の戰争に巻き込まれるような條約関係に入らないという義務を負い、保障国の方におきましては、中立を尊重する義務があり、また中立を担保する義務を負うわけであります。かような関係は今スイス一国があるだけであります。スイス国一国について現存いたしております。この永世中立国という地位は、今申し上げました国際連合国際紛争解決仕組みとは、両立し得ないと考えます。何となれば国連加盟国は、安全保障理事会紛争解決のため一国に対しまして、軍事措置決定するときには、これに参加する義務憲章明文において負つているからであります。事実国際連合憲章を作成いたしましたサンフランシスコ会議におきまして、フランス代表加盟国地位永世中立と両立しないという明文憲章の中に入れることを提案いたしたのであります。ところが会議におきましては、憲章の第二條の第五項の規定—この第二條第五項の規定は、加盟国連合がその憲章従つてとる行動について、連合に対してあらゆる援助を與えなければならない。また連合防止行動または強制行動をとつている国に対して、援助を與えることを愼まなければならないという、国際連合加盟国のいわゆる行動の原則を示している一つ條項であります。それと第四條第一項、冒頭に申し上げました加盟国のいわゆる條件であります。この規定解釈上当然そうなるということに会議として一致いたしまして、フランス代表がその提案を撤回いたした経緯がございます。なおスイスは四六年の三月でありますが、議会におきまして、永世中立地位と両立しないということを理由にいたしまして、国際連合加盟する意思がないということを公表いたしております。そうして今日なお国際連合の外にあるということは皆さん御承知通りであります。  次に中立という場合の第二の場合であります。それは外交政策としての中立であります。これは一国がその国策といたしまして他国間の紛争局外地位に立つ。いわゆる戰争となる危險のある紛争について、その局外に立つという立場をとる一つ政策であります。これは直接その国家法的性格を性格づけるものではありません。従つて政策上の問題であります。これは直接国際連合加盟地位矛盾するものではないと考えます。事実今年の春きめた大西洋條約に参加せる北欧三月—スウェーデン、ノールウェー、デンマークが国際連合のわく内においていわゆる中立政策—中立グループというような政策をとつて来ておつた事実は、われわれよく知つているところであります。また現在インドネール首相は、インドは東西の両陣営のいずれにも加担しないで中立立場をとる。そうして両陣営の融和を促進する方向に動きたいというようなことを声明しておりまして、世にインド中立または第三グループ政策、こういうふうな言葉で表現されていることは皆様御承知通りであります。こういうふうな意味での中立はもちろん国際憲章明文にも矛盾しませんし、加盟国地位とも直接法律的に、理論的に矛盾するというものではないと思います。かりにこういう政策をとる数箇国の間におきまして、そういう外交政策をとるという趣旨の條約関係に入りましたといたしましても、国それ自身の法的性格を性格づけるものではありませんから、ただちに憲章との矛盾という問題は起りません。しかし物事を突き詰めて考えますれば、結局ある紛争があつて、その紛争の結果平和が破れ、または平和が破れる危險な事態に至つて安全保障理事会から、憲章明文通り、そのある国に対して強制措置をとるという措置に出る場合には、かりにそういう中立的な政策をとりましても、国際連合加盟国である限りは、国際連合加盟国としての義務が優先いたしますことは、憲章の百三條に明文がありますから、やはり政策としての中立というものにも、国際連合加盟国に関する限りは限度があるということは、理論上結論せざるを得ないと思います。以上ほんとうの理論的の研究として結論を申し上げたのであります。
  17. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 先ほど政務次官並びに條約局長お話によりますと、日本国際連合に対する態度は未決定であるというようなことをおつしやつておりますけれども、今月の二十四日の国際連合創立四周年記念記念行事が、東京の読売ホールで行われたときには、わざわざ吉田首相がこれに対してメッセージを贈られて、そのメッセージの中で、日本国際社会の一員として国際連合加入し、ともに世界平和維持の責任を分担する機会が到来することを信ずるとおつしやつております。明らかに国際連合参加意思表示はここにされておると考えますが、これに対する御見解を承りたいと思います。
  18. 川村松助

    川村政府委員 先ほど私がお答えいたしましたのは、現在国際連合に入ることに正式にはきまつておらないからと申し上げたのであります。将来のことにつきましてはまだ正式にはきまつておらないからと申し上げたのであります。総理はそういう希望を持つておるかもしれませんけれども、日本としては現在まだ正式にはきまつておりません。」
  19. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 私は、今の内閣の首班であります吉田首相の公のメッセージにおいてこのことが明らかにされておる限り、日本政府国際連合に将来参加したいという意思のあることは明らかであろうと考えます。そこでしからばかりに国際連合参加いたしましたときに、先ほどの條約局長の説明によつても明らかなように、加盟各国というものは、安全保障理事会決定に従わなければならないわけでありますから、そのときに、戰争防止、それから侵略国に対する制裁というものが決定された場合においては、加盟国は当然それに加わらなければならない義務がある。しかりとするならば、もしかりに日本国際連合参加いたしました場合には、先ほど政務次官のおつしやつたごとく、この憲法第九條の戰争放棄規定は、攻撃的な戰争はもとよりのこと、防禦的な戰争権利をも放棄するものであるということを明らかにおつしやつておりますが、そうすると、国際連合安全保障理事会の命ずるところによつて、自然に日本戰争の中に参加することになりはせぬかと考えます。もとより軍備がない、また経済力も貧弱である。けれどもたとえば基地供與であるとかあるいは便宜の供與等のことにおきまして、結局戰争参加せざるを得ないというようなはめになりはせぬかと考える。そういたしますと、この憲法戰争放棄についての政府当局解釈との間に、大きな矛盾が生じて来はせぬかと私は考えますが、これに対する御見解を承りたいと思います。
  20. 川村松助

    川村政府委員 佐々木委員の御見解はそうかもしれませんが、現在のところにおきましては、あくまでも攻防の戰争参加しない、同時に国際連合に対する経済的あるいは基地ということに対しましても、現在のところ考える必要はないと考えております。
  21. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 政務次官は多分に外政的な見地からのお話でありますが、條約局長から法理上どういうものになるか御説明願いたい。
  22. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 それはこうなるのではございますまいか。そういう場合には、結局国際連合安全保障理事会としては、加盟国に対して一様な措置をとることを決定するのではなくて、国によつてその態様が違うと思うのです。従つて違いが出て来るわけで、軍備を全然放棄し交戰権を放棄しているような国に対しましては、直接交戰国としての措置要求するような決定をなさないで、経済的な援助または軍隊の通過を認めるとか、そういつた立場とは両立する範囲内においての措置をとるように決定するに違いないと思います。このことは、アイスランドのように、先刻佐々木委員が指摘されましたが、建国以来陸軍、空軍、海軍の一兵も持つていない国が加盟いたしておりますその事実からしてみても、そう結論せざるを得ないと考えます。
  23. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 この点に関しましては、いずれ大臣がお見えになりました際に、もう少しつつ込んでお聞きいたしたいと考えますが、最後にもう一つお聞きしておきます。これは先ほどの條約局長お話にもありましたように、国際連合参加するということになりますと、結局実際の問題として中立ないし永世中立というようなことによつて国家安全保障を求めるのではなくして、国際連合という集団保障によつて国家安全保障を求めようということになると考えます。従いまして、今日一般に行われております中立論ないし永世中立論と、外政を担当されております政府当局の考えとの間には、相当な開きがあるようにわれわれは考えるのであります。そこでこういう問題につきましては、とかく国民も無関心でありますし、かつまた政府当局においても、昔ながらの知らしむべからずというような考え方が依然として根強くあるのではないかと私は考えます。しかしながら、今度の無謀な第二次大戰にずるずる日本が引きずり込まれて行つたというのも、要するに、政府国民に対する外交認識ということの啓蒙を怠つたこともあるし、国民もまたこれをしいて知ろうとしなかつた点にありはせぬかと私は考えます。従いまして、こういう中立問題、ことに国際連合参加するということについては、政府は何も考えていないというお話でありますが、政府が考えていなくても、国民はもう火のつくような切実な問題として考えております。戰争の脅威というものも、どのように否定をいたしましても、世界のあらゆるところにこれが火の手はあがつているわけでありまして、特に新憲法によつて身に寸鉄を帶びなくなつた日本のわれわれといたしましては、この問題に対して無関心であれと言われてもあり得ようはずがないのであります。これほど重大な問題を除いて他に外交関係はないと私は考えます。従つてこういう点につきましてはどうかあまり秘密的な、官僚的なやり方をするのではなくして、むしろ広く国民の輿論を聞き、また政府当局の考えておることは、われわれはかようなことを考えておるのだということを明らかにされることが非常に望ましいと私は考えます。そこでいずれ大臣がお見えになりました節に、またゆつくり承ることにいたしまして今後のこういう機会におきましても、できるだけその場のがれの言いのがれ式な答弁に終らないで、これは切実な国民の声でありますから、この国民の声に対して親切に答え、また大いに勉強していただきまして、われわれの満足するような答弁をしていただくように、紙の先にちよこちよこと書いてちよこちよこ言つてその場をのがれるというようなことでは、どうもわれわれとしまして問題があまりに重大な問題でありまして、国民の生命、財産を預かるわれわれとしましては、まことに遺憾に思います。従いましてこれからはどうかこういう問題につきましては懇切丁寧に、そして隠すことなく正直に意見を述べていただきたいと存じます。本日は他にいろいろ聞きたいことがありますけれども、どうものれんに腕押しのようになつてもしかたありませんので、いすれ大臣のお見えになりましたときに質問をすることにして打切ります。
  24. 並木芳雄

    並木委員 ただいまの佐々木委員質問関連して、どうしてもお聞きしたいことがありますので、お許しを願います。佐々木委員の今の質問はこれはまことに重大な質問でありまして、実は私この点につきましてやはり外務大臣その他に対して質問を通告しておるのであります。ところで外務大臣に対する質問はあらためていろいろ聞きますけれども、今承ておりますと、私たちとしては聞きのがせない次官答弁があつたのです。それはわが国はまだ国連加盟決意をしておらないから、こういうお言葉でありました。これは私たちは今非常に意外に思つたので、途中でも手をあげて関連質問を許してもらおうと思つたのですが、九月二日でしたか、ラジオの放送で吉田総理大臣外務大臣は、全国に一日も早く国連加入の日が来ることを希望するというふうに呼びかけておつたと思います。まだ先ほど佐々木委員から紹介がありました通り、この間の国連デーのときのメッセージにもそれに触れておつた。そうするとこれを聞いた国民は、とにかく吉田総理としては国連加入するということを非常に熱望されておるということの印象を受けるのです。そうすると次官答弁決意をしていないとおつしやいましたが、次官は非常に希望される、布望はしておるけれどもまだ決意をしておらないのだ、そういう意味なのか、吉田総理の言うところの希望もしていないのか、そこのところをはつきりしていただかないと、これは非常な食い違いになると思います。もし希望しておるけれども決意はしておらぬのだと言われるならば、その決意をする時機はどういう場合にあるのか。條約局長からもちよつとその点について触れたようでありますが、どういう場合になつたらどういう方法でこの決意を表明するのであるか。されをはつきり御回答をお願いいたします。
  25. 川村松助

    川村政府委員 御意見もつともに思います。私が佐々木さんにもその前に申し上げたいと思つておりましたが、正式にはきまつていないと申し上げたので、考えていないとは申し上げないと思つております。あとで速記録を見まして確めたいと思います。それからただいまの御質問に対しましては、実はまだ平和條約が締結されてからでなければ論議する何ものもないと思いますので、まだ正式には決定していない、こう申し上げたのであります。要するに日本が将来永久戰争を抛業しまして、平和国民として世界の文化に貢献し得るような立場になるためには、必要なあらゆる施策はしなくてはならぬと考えております。同時に国際連合加入することそれ自体がその目的に沿うならば、躊躇するところなく参加すべきだと考えております。現在の段階におきましてはまたそういうことは正式には考慮されておりません。そういう意味で申し上げたのであります。
  26. 並木芳雄

    並木委員 ちよつと次官答弁には私が頭が悪いせいかどうかよく了解しにくい点もあるのですが、そうすると首相希望するということとまつたく同じなのですか。その点をお伺いいたします。
  27. 川村松助

    川村政府委員 先ほど申し上げましたように、首相としてはそういう希望を持つておられるのでしよう。けれども政府としましてはそういうことを正式には具体的に取上げていない、こういう意味を申し上げております。
  28. 並木芳雄

    並木委員 首相政府と切離してしまいましたのは、はなはだ困るのです。いやしくも責任ある首相がああいう発言をされておることを、具体的なことは取上げていないというように逃げておりますけれども、あの発言から具体的のことが出て来るわけなのです。それに対してもし首相のもとにおけるその他の政府機関というものが、手をこまねいて見ておるとするならば、これは非常に怠慢になるわけなのです。一体次官首相のそういう希望の発露があつたことに対して、どういうふうに重点を置いておるのか、全然これを無視しておるのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  29. 川村松助

    川村政府委員 首相の声明に対しましては私も見ておりまして、首相はそういう構想を持つておられるということは想像いたしております。けれども正式にこの問題を取上げて研究されたことは私は聞いておりません。
  30. 並木芳雄

    並木委員 そうするとさきの次官の言われた決意ということは、どういう場合にいかなる方法決意が表明されるものであるか、それをお尋ねします。
  31. 川村松助

    川村政府委員 要するに講和條約が締結されまして、そうしたことについての協商が進め得るという立場になるまでは、でき得ないのではないかと考えております。
  32. 並木芳雄

    並木委員 その方法です。どういう方法によつてその決意が表明されるのか。決意というものが表明されなければならないものであるならば、決意がどういうような方法によつて表明されるのであるか。
  33. 川村松助

    川村政府委員 総理としましては正式にそうしたことを閣議にかけまして、そして協議の上で初めて政府としての正式の決意になると考えております。
  34. 並木芳雄

    並木委員 それに関連して先ほど佐々木委員からいろいろ質問が出た点がありますが、政府側においても十分準備をしておいていただきたいと思います。  それから私委員長にお願いがありますが、資料を政府の方へお願いしたいのがあるのです。それはこの前の国会が終つ後に、外務省の官吏が各地へ出張して講演をされた。私も秋田県へ行つたときに、向うの新聞の広告に出ておるのをはつきり拝見しました。これはどういう目的でどういう所へだれが行つてどういう題目のもとに講演したかということの資料を、この次に御提出を願うようにお願いいたします。  それからもう一つお願いしたいのですが、日本始まつて以来でありましよう、婦人の外交官の養成をしておる外務省の研修所でございますか、これは前から私たち一度ぜひ見学をしておきたいと思つておりましたので、早急にかつ適当の機会外務委員会として正式に見学ができるようにおとりはからいをお願いいたします。
  35. 岡崎勝男

    岡崎委員長 ただいまの並木君の御請求に対しましては、外務省に第一の点をお伝えしておきます。  第二の点はいずれも理事会わ開きまして各委員の御賛同があればいつでも研修所の見学と申しますか、参観は可能であります。いつでもおいでになれるだろうと思います。さつそくとりはからいます。
  36. 野坂參三

    野坂委員 遅刻したために、川村政府次官お話を伺うことができないで、非常に残念でした。先ほどからのお話で伺いますと、ぜひ一、二はつきりしておきたい点がありますので、あとで準備をして、その次にもう少し具体的に御質問したいと思いますが、それの一つ準備としまして、政務次官の方では、憲法第九條の戰争放棄、この場合に攻撃的なことはもちろん、防衞的な戰争も放棄する、こういうふうに言われたと私は聞きました。この場合に防衞権、これも放棄するという意味なのか、それとも今、日本は武器が一つもない、従つて攻撃もできなければ、防衞も一切できない、こういう常識的な意味であるか、この点お伺いしたいと思います。
  37. 川村松助

    川村政府委員 防禦する権利を放棄するということは、進んで発表する必要はないと思います。いわゆる戰争準備を放棄するというのでありますので、その防禦権までも放棄するということはあり得ないと思います。
  38. 野坂參三

    野坂委員 そうしますと、あの憲法第九條の解釈となると思うのです。この場合に今政務次官お話では、防衞権は日本は持つておるというふうに理解していいものか、もしそうなつた場合においては、今鉄砲はありませんが、竹やりでもよろしいが、あれでも防衞することが一体できるのかどうか。
  39. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 野坂委員の御質問に対して一言お断りしておきたいと思いますが、憲法第九條の解釈につきましては、憲法制定議会におきまして、最も深刻な質疑応答が行われております。私どもはその議事録について絶えず見ておるわけでありますが、その質疑応答の際におきまして、御質問の点につきましては、吉田首相、金森国務大臣から明確な答弁が與えられております。その後これが日本政府の公式の第九條に関する解釈として、私たちは遵奉しておるということを申し上げておきます。それはむろん日本戰争のみならず、自衞の戰争をも包含しておるという御答弁であります。
  40. 野坂參三

    野坂委員 私も実はそれは存じておりますけれども、たとえばあの憲法制定特別委員会委員長であつた芦田さん、その後総理大臣、また彼が憲法普及会ですか、あの会長でしたね、そして各地で講演会なんかされております。それがパンフレットにもなつております。その中には、明らかに防衞権は持つているのだということを発言している記録があります。これは今ここに持つておりません。記憶ですが、あとでもう一度調べてみたいと思います。  それから先ほど條約局長の方で、あの憲法制定委員会の中でも、吉田総理がああいうふうに御発言になつたと言いましたけれども、この発言の中では相当明確でない点があつたと思います。だから私はこの際もう少し政府の方で研究されまして、講和の問題も目の前に迫つておりますから、この点を私はつきりしていただきたいと思います。明らかにあの当時の憲法委員会委員長言葉、それから今政府次官のお答えがあつた言葉、それは相当食い違いがあると思いますので、この点はつきりとお聞きしておきたいと思います。
  41. 岡崎勝男

    岡崎委員長 いかがでしようか、これは問題が非常に重要でありますし、実は並木委員野坂委員関連質問は、政府側でも初めは予期していなかつた問題ですから、とつさの間に言葉の間違いがあつてもいかぬと思いますので、この次の委員会までにちやんとした準備をして、その上で回答された方がいいのではないかと思います。
  42. 西村熊雄

    西村(熊)政府委員 今私の説明の中に防衞という字を使つたかどうか、私は自衞戰争という字を使いたかつたのですが、もし防衞という字を使つておりましたならば、速記録を自衞戰争、自衞のための戰いというふうに訂正していただきたいと思います。
  43. 野坂參三

    野坂委員 そうしますと、今の委員長の言われるように、政府の方でも十分研究していただいて、できればこの次にでも私どもも質問したいと思います。  それから第二にお願いしたいことは、並木委員の先ほどのお話のように、外務省の主催で各地に国際事情普及宣伝ですか、こういうふうな講演会を全国にわたつて八月から九月にかけて計画されて、実際実行されて、外務省の官吏が方々で演説されました。その内容について私はいろいろ用いておりますが、この問題は非常に重大な問題で、單に一つの外務省だけの問題ではなくて、国際的に重大な問題が含まれていると思います。これには私の方も実は質問書の形で資料を政府から提出してもらうように手続をとつたはずです。多分行つていると思いますが……
  44. 岡崎勝男

    岡崎委員長 まだ来ていないそうです。
  45. 野坂參三

    野坂委員 出したはずですけれども、そうすると手続はどちらでもよろしいが、それに対する答えとして、完全なる資料を私たちに提供していただきたい。ここでもよろしい。あるいは書面でもよろしいが、できれば……
  46. 並木芳雄

    並木委員 私も質問書を出したところ、質問書で資料提供を要求されると、政府がてんてこ舞いしてしまうというようなことで、質問書の形では資料はお出ししないというふうになつたのだそうです。厖大な資料を次々に要求されると困るから、委員会から特に必要と認めていただいて、ここへ出してもらいたい、こういうふうに手続上なつているそうです。
  47. 野坂參三

    野坂委員 私の方は資料でもつとはつきりしたい。あとで言つたとか言わないとかいうことになるとめんどうですから、私はできるだけ資料にしていただきたいと思います。そのときに私の方のお願いしたいのは、一つ並木委員の言われたことと同じです。だれがこういう計画をやつたかというその責任者、それからどこで、いつだれがどういう内容を言つたか、この内容を私は非常に知りたいと思います。それからこの予算はどこから出たのか、財源はどうであるか、どういう反響があつたか、こういう点についてぜひ政府の方で調査して出していただきたい。  もう一つ、これはその次の機会でもよろしいと思いますが、外務省における従業員、あるいは官吏と言つてもよろしい、この人たちが、たとえば人事院規則できめられている、政治活動をしてはいかぬという規則がありますが、明らかにこういう規定に違反した行動がたくさんあるようです。私らも多少これは間違つた情報かもしれませんが、外務省の中に、相当この委員会においても責任を持つて、あるメスを入れる必要がないかという印象を受けております。ある人たちは伏魔殿とも言つている。こういう内容についても、私たちはこの委員会で相当つつ込んで研究調査してみる必要はないかと思います。これだけ私は申しておきたいと思います。
  48. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 委員長の発言の通り、先ほどの私の質問関連する問題、まことに重大な問題であると考えます。従つて愼重を期する意味におきましても、次会に譲られることには同意をいたします。しかしながらかんじんの点になりますと、今のような政務次官あるいはその他の局長の方々では、巧みにこれに対して答弁を回避されるというようなこともありますので、ぜひとも所管大臣の御出席を求めたい。もし出席がないなれば、少しくらいな日は大臣出席できる日まで延ばしてもけつこうだと思います。單に大臣をいじめるとかいうのではなくして、国民が最も重大な関心を持つておることでありますので、私は特に委員長においてそのようなとりはからいをされることを重ねてお願いいたします。
  49. 戸叶里子

    戸叶委員 私もお願いしようと思つておりましたことは佐々木君がすでにおつしやいましたが、総理大臣は大体外務委員会というものに対して、今日本外交はないからというので軽視される意向がおありになるのではないかと思います。しかし国際情勢の動きはどんどんかわつて来ておりますし、昔の宮廷外交官的感覚わもつて日本外交を扱われると、結局迷惑をこうむるものは国民だと思います。そういう意味におきまして本会議こそ永世中立問題や、あるいは集団保障問題、特に講和会議問題につきまして、ぜひ首相見解あるいはその他のことについてこの委員会お話くださらんことを私も初にお願い、希望するのでございますから、委員長からも嚴重にそれをお申し込みくださることをお願いいたします。
  50. 岡崎勝男

    岡崎委員長 それでは質問も終つたようでありますから、本日はこれで閉会いたします。     午前十一時三十二分散会