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1949-11-29 第6回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十九日(火曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 中山 マサ君    理事 青柳 一郎君 理事 玉置 信一君    理事 冨永格五郎君 理事 岡  良一君    理事 坂口 主税君 理事 砂間 一良君    理事 天野  久君 理事 山手 滿男君       池見 茂隆君    小西 英雄君       受田 新吉君    堤 ツルヨ君       並木 芳雄洲    山本 利壽君       松谷天光光君  出席政府委員         外務事務官   倭島 英二君         引揚援護庁次長 宮崎 太一君  委員外出席者         厚生事務官   太宰 博邦君     ————————————— 十一月二十六日  引揚促進並びに日本政府責任ある未引揚者数  発表を促すの決議案砂間一良君外三十五名提  出、決議第一二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  引揚促進並びに日本政府責任ある未引揚者数  発表を促すの決議案砂間一良君外三十五名提  出、決議第一二号)  在外胞引揚促進に関する決議案起草に関する  件  引揚者援護に関する件     —————————————
  2. 中山マサ

    中山委員長 これより会議を開きます。  砂間一良君外三十五名提案決議案が本委員会に付託されておりますが、海外在留者引揚者数並びに在否の確実なる把握につきましては、全国民ひとしく待ちわびておるところでございまして、本委員会として全員の名をもつて各派共同提案として決議文を本会議上程いたしたいと思います。今委員長のもとに草案がありますので、これを読み上げますので、各委員の御賛意を得たいと思います。    在外胞引揚促進に関する決議   既往四箇年にわたつて在外同胞引揚実施につき、連合国好意を衷心より感謝する。   ポツダム宣言受諾以来、われわれが誠実にその実行に努めたことは、本年五月二日連合軍最高司令官マツカーサー元帥声明によつて明らかなところである。   しかるにポツダム宣言第九條に宣明された捕虜並びに一般抑留同胞本国送還の一部が未完了であり、抑留中における死亡者氏名並びに戰犯関係抑留者氏名のうちに、未発表部分があることは、誠に遺憾にたえない。このため、その家族はもとより、全国民の焦慮は今や絶頂に達している。われわれは、ここに四度あらためて連合国にこれら未完了部分の速かなる発表と、生存者本国送還懇請するとともに、国内における可能且つ最大限調査及び遺族留守家族に対する援護を徹底させることを期する。   政府は、これがため愼重且つ果断なる措置をとることをちゆうちよしてはならない。   右決議する。  これにつきまして各派からの御意見を承りたいと存じます。     〔「その前に議事進行について」と呼ぶ者あり〕
  3. 冨永格五郎

    冨永委員 ただいまの在外胞引揚促進に関する決議案審議につきましては、私どもは満腔の賛意を表するものであります。と申しますゆえんのものは、この問題は海外同胞引揚に関する特別委員会設置以来、数次にわたりまして論議を重ねた問題でありまして、未帰還者の問題につきましては、すでに帰還された方々も、まだ帰還されない人々の家族はもとより、私ども国民一同、これに重大な関心を拂つている問題なのであります。本委員会におきましても、この内容につきましては、しばしば論議されておりまするので、ぜひこの決議案はすみやかに決議を求められて、上程せられんことを希望いたします。
  4. 砂間一良

    砂間委員 ただいま委員長提案の御趣旨には、私賛成でありますが、実はそれに関連いたしまして、私は本月二十六日一つ決議案を提出しておるのであります。これはお手元にも配付になつておると思うのでありますが、その案文は    引揚促進並びに日本政府責任ある未引揚者数発表を促すの決議案   海外帰還同胞の速やかなる帰還国民の等しく待望するところである。   今春ソヴエート社会主義共和国同盟よりは未帰還者全部、九万五千名(一部戰犯をのぞく。)本年度送還発表された。しかるに本年度四月現在でソ連地区よりの未帰還者の数は四十万八千七百二十九名とされており、その差三十余万名の所在については国民は重大なる関心をよせている。   しかるに政府はいまだ未帰還者の数に関し、責任ある数字発表していないが、これは国民心痛をかえりみない態度である。政府は、その責任において速やかに未帰還者及びその家族の数の正確なる発表を行い、その生死所在を明らかにし、帰還促進のための具体的方策を樹立すべきである。   右決議する。  こういう決議案を提出しておるのでありまして、これは衆議院公報にも載つておりますように、今月の二十六日に本委員会に付託されているのであります。委員長は先に提案されておるところのこの決議案をこの会議上程することなくして、そうしてあとから案文をつくつたところの別の決議案を先にやるということにつきましては、私はがてんが参りません。もしこれを今日の委員会で討議するならば、先に提案されているところの決議案につきまして討議をやつていただきたい。そうしてこれがもし賛成されて委員会で承認されるならばけつこうでありますが、もしこれがいけないということであるならば、これを否決した上で、あらためてやつていただきたい。これが議事順序だと思う、それをこつちを先にやるということにつきましては、私は異議があります。
  5. 松谷天光光

    松谷委員 ただいよ砂間委員から御意見が出ておりますが、参考までに委員長に伺いたいのであります。先ほど委員長が、委員長のお手元にあるところの決議案文をお読みくださいましたが、それをお読みくださる前に、砂間委員発議によつて各党派がこれに賛同をしたというふうに伺つてつたのでありますが、今伺つて砂間委員がこういう決議案を出されたのは、二十六日ということが了承できましたが、その間にこういう決議委員会でしたいという意見だけを出されて、あとから二十六日に案文を出されたのか、あるいはそういう発議が前になくて、二十六日にこの案文砂間委員が出されておるのか、その点了承しかねますので、伺いたいと思います。
  6. 中山マサ

    中山委員長 これは二十六日に出ております。
  7. 松谷天光光

    松谷委員 今の委員長がお読みになつておられるのは、本日突然お出しになつたわけでございますか。
  8. 中山マサ

    中山委員長 本日突然お出しになつたわけではありませんが——。ちよつと速記をとめて。     〔速記中止
  9. 中山マサ

    中山委員長 それでは速記を始めてください。
  10. 坂口主税

    坂口委員 私は、今年の引揚げも、大体の見通しとしましては、もう最後に近づいておると思います。今までにたしか四度こういう同じような決議案出しております。参衆両院同じような意思において、あるいは同じような形式において、力強く決議をしようということで従来は進んでおる。私どもは、今回もやはり同じような意味において、互いに話合つてそうして同じようなものを出すということが、最も力強い国会意思を表明するゆえんであるが、そういう前例は必ずしもよる必要はありません。本院は本院として独自の力も考えもございますけれども、しかしこういうものは、やはり前例従つても決して悪いことでなく、またかえつて力強い表現ができるというふうに考えます。そういう意味からしまして、さきに出ております決議案というものも、同じ趣旨でございますので、留保しまして、これをやりました上で、あらためて考える、そういうような方法をおとりになつたらどうかと思います。
  11. 砂間一良

    砂間委員 ただいま坂口委員の御発言もありました。しかし今二つ決議案が出ておるのでありますが、その考え方と言いますか、その内容がいささか違つておるように思います。私どもは、引揚げの問題につきましては、やはり当面の最大の責任者は、日本政府であるというように考えております。何となれば、ある侵略的な帝国主義戰争を始めましたのは日本政府でありまして、そうしてまた赤紙を配つて国民を動員し、その兵士や一般人たち海外に送りましたのは、日本政府であります。従つて終戰当時海外に何名残つてつたか、そのうちどこで何名戰死したとか、あるいはどこでどれだけ捕虜になつたとかいうようなことは、当然日本政府にわかつておるはずであります。その数の問題にいたしましても、あるいはまだ残つておる海外同胞が、一日も早く引揚げられるよう努力するということの一番大きな責任は、やはり日本政府にあるというふうに考えまして、私は先ほど読み上げましたような決議案出したわけであります。ところがただいま委員長が御提案になりました決議案によりますと、何か引揚げ問題の責任が、主として連合国にあるように受取られるのであります。もちろん連合国ばかりとは言つておりませんので、未完了部分のすみやかなる発表と、生存者本国送還連合国懇請するというように、懇請という言葉で申しております。また国内における可能かつ最大限調査及び遺族留守家族に対する援護ということになつておりますが、外地に今日残つている同胞の数とか、あるいはその生死状態ということにつきましては、もつぱら連合国懇請するという形で、連合国責任を転嫁しているように受取られやすいような表現内容を持つておるのであります。そういうわけでございまして、いささか決議案内容が異なるように考える次第であります。  もちろん私は先例に従いまして、でき得べくんば参議院と同調いたしまして、衆参両院とも同じような決議案を通過させるという御趣旨には、賛成でありますけれども、しかし私の提案しております決議案は、先ほど申し上げたような趣旨でありますから、まず提案順序に従いまして、私の提出し決議案について御審議を願いまして、その賛否の御意見を承つて、もし案文の中に不十分な点があるならば、不十分な点を御指摘願いまして、そうしてそれに従つて、もしそれがよいということになりますれば、私の提案しました決議案を、共同提案という形で本会議で採択していただきたいと希望するわけであります。その次に委員長提案決議案が、もし私の趣旨と同一であるならば、もう再びやる必要はないわけでありますが、違つた内容がありますれば、また違つた形でもう一つ別決議されてもいいのではないかと考えるわけであります。従つて私といたしましては、提案順序に従いまして、まず私の提案しました決議案について、本委員会において先に御審議あらんことをお願いする次第であります。
  12. 中山マサ

    中山委員長 これを二つ並べて審議したらいかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 中山マサ

    中山委員長 それではそういうように皆さんに御審議をお願い申し上げます。  今仰せになりましたように、砂間委員の御提出になりましたのは、日本政府に全部の責任がかかつておるという御意見でございます。こちらの方は、考えてみますと、日本政府よりもむしろ連合軍の管轄のもとにあるのであるから、連合軍懇請する。——むろん政府を鞭撻はしておりますけれども、それが流れのように受取られますので、これを二つ並べて御審議くださいましたならば、時間を省く点でもよかろうと思いますので、それであとで採決しかたらいかがでございましようか。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  14. 池見茂隆

    池見委員 それでは私は、ここに両案とも提案されましたから、申し上げますが、第一に結論から申し上げまして、私は在外胞引揚促進に関する決議、こういつた決議で十分なりと考えます。砂間委員提案されておりますところのこの決議案は、これは今までの委員会において幾たびとなく話されたことでありまして、しかも委員会の常に重点となるところは、この未帰還者のいわゆる数の把握ということが重点になつておるのであります。その他の救援問題だとかいろいろな問題については、あまりに話がなくて、いつも数の問題である。しかもその数の問題に至つては、政府に向つてあらゆる角度からあらゆる意見を申し述べておりますけれども、現在のこの日本の状況としては、かかる程度の発表より以上にはでき得ない。少くとも、占領軍懇請をし、場合によつては今まで行われたように、ソ連大使館に向つて直接交渉する。その結果においては御承知通り、かかる状態でありますがゆえに、ここに「日本政府責任ある」ということは、言葉は、これは私ども日本人として今日このいわゆる責任ある数字発表できるのであつたならば、もちろんこの決議案をつきつけなくても、自然に私は発表せられるものであるということは、これは信頼し得る政府であるということを私は確信をしておる。それであるがゆえに、私はかかる「日本政府責任ある」というがごとき決議案出して、日本政府責任あるところの数字発表ができないという場合には、むしろ私は国民に対しまして相済まないところの問題を惹起するものであるということを考えまするがゆえに、この問題につきましては、従来この促進委員会でなし来りましたるところの運動をして、もつて今日より強力に、より度数を多くして、もつて私は国民の要望するところに訴えることが、私どもの責務であるということを考えますがゆえに、最初委員長より読み上げられましたるところの決議案を、私は採択していただきたいということを申し上げておきます。
  15. 小西英雄

    小西委員 ここに二つ提案された決議文が出ておりますが、私は砂間委員外三十五名の提出文書文面において「ソヴェート社会主義共和国同盟」ということは、われわれ国際的に認めてないところの文書であり、また「未帰還者全部」とありますが、これはソビエトタス通信が一応新聞紙上発表した数字でありまして、その文書から見ますと、ソビエト地区からは九万五千引揚げれば、戰犯者を除く全部が済んだような文面になつておるので、こういう面から見まして、また池見委員が言われましたことく、未帰還者の数に関しての責任が、日本国政府にあるかのごときこの文面から推しましても、今、日本の国で、御承知のごとく調査不可能な国の状態から見ましても、こういうふうな決議案上程はわれわれ絶対反対するものでありまして、委員長の読まれましたこの案に、賛成の意を表するのであります。
  16. 岡良一

    ○岡(良)委員 砂間委員にお尋ねをいたしたいのでありますが、砂間さん外三十五名御提出にかかる決議案の中で、「今春ソヴェート社会主義共和国同盟よりは」云々という言葉がありま  それからただいま砂間委員が御発言になつて、あながち固執いたさない、委員長の申された決議案に同調するという、非常に協調的な御意見がありまして、私は非常にこの点は好意を持つてこの御意見を今拝聽しておつたわけでありますが、ただ、つけ加えて申された砂間委員の御意見の中に、この決議案が本会議上程された場合に、つけ加えて別の角度から意見を述べたいという申出がありました。しかしこの決議案は、今伺いますと、各党共同提案ということになりますれば、これに関連しての御意見発表されるということはどうかと思うのであります。
  17. 中山マサ

    中山委員長 賛成演説ということです。
  18. 玉置信一

    玉置(信)委員 賛成意見を述べられるにいたしましても、別の角度からつけ加えられるということになりますと、私はその趣旨の点に、さらに派生的ないろいろな意見が出はしないかという心配もあるのでありますから、もしそういうことがなければいいのですが、ある場合を予想いたしまして、私はこの場合あつさりと砂間委員に、そうした御意見があるならば、別に緊急質問なり、その他の発言機会をとらえて、意見をお述べ願つた方がいいと思うわけであります。どうかそういう方法でおはからい願いたいと思います。
  19. 坂口主税

    坂口委員 私の結論を言いますと、われわれの共同の方を採択していただきたいと思うのであります。この中には、もちろん非常に大事な部分をついている。これは両方同じでありますが——今まで四回くらい決議いたしました中で、やはり帰還ということについて強く要請しているけれども、また同時に、留守家族遺族援護、これを私どもは絶えず考えている。決議としましては、この方がやはり体をなしているし、よろしかろうと思います。そういうわけでございますので、この内容から言いましても、こちらの方がいいと思います。ただしかしこれも遺族留守家族援護が徹底しておるというのであれば必要はない、しかし私の考えではまだ非常に不徹底である、不十分である、かように思つております。幸い政府委員も見えておりますから、実は遺族援護につきましては、前国会において衆参両院同じように、非常に強い具体的な條件を示して決議をしております。これが一体どういうふうに実現されたかということと、なお留守家族についての援護、この方の政府でやつておられることについて、ご、く大綱だけ参考にお示し願いたいと思います。そういうことを付しまして、私は賛成いたします。
  20. 玉置信一

    玉置(信)委員 さつき申し上げたことが落ちておりましたから、さきの末尾につけ加えて意見を申し上げたいのでありますが、それは砂間委員が、日本政府自主性を持たない、自主性を持つてその責任を明らかにしていないというような意味のことを申されたのでありますが、私から申し上げるまでもなく、今政府自主性を持つて独自の行動のできないことは、これは世界公知の事実であります。敗戰国日本としては、やむを得ない立場であるということを、砂間委員も御承知のはずです。また私どももこの引揚げ促進の問題について過去四箇年にわたつて運動を続け、かつてソ連大使館に向つて陳情をいたした際にも、ソ連大使館では、日本政府をわれわれは相手としない、国民の声として陳情に来るならば聞こう、こういうことを明らかにされておりまして、従つて日本政府独自の立場で交渉するなどということは、とうていできないことでありますので、私は派生的な問題がそこに胚胎してはいけないので、砂間委員に、單なる本趣旨賛成意見であればいいのですが、そうした日本政府責任云々から、いろいろな意見を申し上げることは穏当でないから、別個に意見を申された方がいいということを申し上げたわけであります。
  21. 松谷天光光

    松谷委員 私もまた先ほど岡委員あるいは山本委員の御意見に、まつたく同意見のものでございます。また砂間委員先ほどからの御発言伺つておりすると、私は砂間委員考えておられるお気持も、やはりまた岡委員なり、あるいは山本委員のお考えと、私はそう違うものではないというふうに実は今承りました。やはり砂間委員も、この引揚げの問題につきましては、その対象連合国であるということを、十分お認めになつておられるというふうに、その御発言から私も解釈ができるのでございますか、そうしますと、この砂間委員のお出しになりました決議案文を見ておりますと、どうも何か対象が狭く、誤解される向きがあるのではないかという点を危惧されるのでございます。ただ砂間委員の出された中の数字の問題、とにかく私どもはできる限り確実な数字を受取りたい、これは全国民の最も要望するところだと考えますので、この点はやはり先ほど委員長読み上げられた案文の中にも、この数の発表のことにつきましては、十分私は取上げられていると考えるのでございます。その数の発表について、日本政府責任云々の点は、これは各委員から出ておりましたので、私は敷衍することを避けますが、少くとも数の発表の問題が、砂間委員決議案中心のように考えられますが、私どもはただ單には発表を伺うというだけにとどまらずして、要は山本委員の言われたように、一刻も早く全員を帰していただきたいというのが、私どもの最も大きな中心目標でなければならないと思いますので、ただ発表をしてもらつただけでは、私どもは納得できません。発表の上に、今委員長読み上げられた決議案にあるような、その促進の面を具体的に進めていただきたいということの方に、やはり重点を置いて参りたいと考えております。ただこの決議案上程になりました際に、いずれ説明なさる方が出られると思いますので、その際は、ひとつ数の発表という点にも重点を置かれまして、御説明していただけばよろしいのではないかと考えます。砂間委員もまた非常に大きな御態度で、各党提案委員長のお読みになつた案文に同調してももいいというような雅量を示してくださいましたので、私はむしろ一人の委員として、砂間委員にお願いをして、ここはひとつ、より広い範囲を持つておりますところの委員長案文に、私ども全会一致でこれを押した方が、結果から見ましても、やはり妥当ではないかと考える次第でございます。
  22. 冨永格五郎

    冨永委員 ただいま松永委員から御意見が述べられましたが、私どもつたくその御意見賛成のものでございます。まだ御意見を述べられない方もございますので、結論的なことを申し上げることは、あるいは非礼かも存じませんが、そういう意味ではなく、考え方を申し上げたいと思います。結局砂間委員提案されたものは、委員会へ付託になつておりますだけに、これを、あるいは否決するとか、あるいは審議未了にするというようなことに相なりましては、砂間委員考え方に、たいへん何かご迷惑をかけるようなことは、私ども砂間委員考えがわかつているだけに、そういうはからいはいたしたくないと考えているのであります。またこの委員長から提案されました決議案は、先ほど委員方々も、砂間委員に同調していただくことを懇請しているのでございますが、幸いにそれがその通りお願いできれば、各党提案委員会決議でできて行くのでございますけれども、御承知通り、不幸にして砂間さんの御賛成が得られないということになりますと、今度この決議文賛成の議員の署名を持つて行かなければならぬ、それでは非常に範囲が狭くなり、また弱くなるというようなことも考えられますので、この場合松谷委員から述べられたような取扱いのもとに、砂間委員考えておられる趣旨を十分尊重することにして、一応この在外胞引揚げ促進に関する決議ということで、砂間委員にぜひひとつ御賛成を、問題が問題でありますだけに、特にお願いいたしたいと思うのでございます。  それから、先ほど坂口さんから述べられた御意見の中で、今まで努力して来た点をここに織り込んだらどうかという御意見もあつたのでありますけれすが、私ども承知しているところでは、ソビエト社会主義共和国同盟政府の公式なる声明ではなく、タス通信の記者の情報として伝えられたというふうに聞いておるのでございますが、もし私の記憶が誤りであればと思いますが、ちよつとこの点御質問いたしたいと思います。
  23. 砂間一良

    砂間委員 まことに文章が非常に表現がまずいのでありまして、そういう点非常に誤解を招く節があるのでありますが、この「ソヴェート社会主義共和国同盟より」というのは「発表された。」に続くのではないのであります。ソビエト社会主義共和国同盟より帰つて来る未帰還者というのにつくのでありまして、その点が表現が非常にまずいのでありますが、数字発表はただいま申された通りに、タス通信発表でありまして、ソビエト社会主義共和国同盟発表数字ではないのであります。
  24. 岡良一

    ○岡(良)委員 どうでしようか、読むと、だれしも通念としまして、ソビエト社会主義共和国同盟政府より発表されたというふうに受取られる点がある。われわれが事実国会決議する場合に、そうした解釈を伴うような表現は、相当愼重に考えなければならないかと思う。それからもう一つは、実はここに最後のところでありますが、先ほど来の御発言をも総合いたしまして、この「未帰還者の数に関し、責任ある数字発表していないが、これは国民心痛をかえりみない態度である。」というふうに、政府に批判を加えておられます。私ども一、二きわめて同感する点があるのでありまするが、先ほど発言の中で、日本政府責任だとおつしやいましたが、ポツダム宣言の第九條では「日本国軍隊ハ完全ニ武装解除セラレタル後各自ノ家庭ニ復帰シ平和的且生産的ノ生活ヲ営ムノ機会ヲ得シメラルベシ」と書いてあるのであります。これは得しめるものは——現在ポツダム宣言を無條件に受諾しまして、なおかつ占領下にあるわれわれといたしましては、連合軍がこれを得しめるものであううと私ども解釈をいたしているのであります。そういたしますると、その際こうして政府に対してきわめて強い国会意思を表明することは、これは当然のことではありまするけれども、何かこれに対してまつこうから攻撃をするというような態度で、これは問題にもなつたのでありまするけれども、この帰還促進の問題については、こういう態度じやなく、でき得べくんば、もしかような方が相当におられるというならば、やはり今日のさし迫つた段階になれば、全世界の人道を守ろうとする良心に訴える、あるいは人権を守らんとする人類道義に訴えるというような高い角度から、政府国会も一体となつて広く人類の道義に訴えて行くというような心構えで、この問題が取上げられることが当然じやないか。そういうふうな角度からも考えまして、私は砂間さんの決議案については、いささか躊躇するものであります。
  25. 山本利壽

    山本(利)委員 ただいま提出された二つ決議案を並べてみまして、私が考えるところは、こういう決議案が出ることは、とにかく早く帰してもらいたいということが、どちらも根本の目的であります。さらにそのためには、今不明になつております数字も、はつきりしたものを出してもらいたいということも、どちらもが希望しているところであります。その根本目的がどちらの決議案も私は一緒であると、かように考える。そこでこの決議案を有効ならしめるためには、一つの党派から出すよりも、私は共同提案として出す方が力強い、かように考えます。感情から申しますならば、砂間委員から前もつてこういう決議案が出されたのでありますから、その方を先に扱つて、しかも名党派がこういう目的でありますから、協調してこの案が通ることに努力することが、同僚として私はけつこうなことだと思うのでありますけれども先ほど来各委員からのお話を聞いておりましたが、案文としては、先ほど委員長読み上げられた方に賛成をしたいように思うのであります。ことに砂間委員にしましても、自分の出し案文については、不完全なところがあるということを、お認めになつておるようであります。この際は、特に政府責任を強く追究することが目的ではなくて、帰してもらうということが目的でありますから、この二つ案文を公平に審査しましたときには先ほど委員長共同提案として出したらどうかとおつしやつた方が、穏当ではないかと思います。この方を採択されんことを希望いたします。
  26. 砂間一良

    砂間委員 先ほど岡委員の方から、私の決議案の終りの方の点につきまして、御意見があつたのでありますが、もちろん私といたしましても、今日海外に残つている同胞引揚げにつきまして、これをただ日本政府責任として、政府だけを追究して行つて連合国のいろいろな援助や好意は顧みないという態度ではないのであります。ポツダム宣言のことも引用されたのでありますが、それは武装を解除して、平和的生活を営み得るように得せしめる云々というようなことがポツダム宣言にあります。あれは連合国同士で、ああいうふうにおきめになつたことだと思うのであります。もちろん、それを受諾いたしました日本としましては、その連合国相互の間の話合いを信じておるわけでありますから、その宣言に基いて、さらに連合国好意と援助を懇請いたしまして、いろいろと引揚げに協力していただくということは、もとよりのことだと思うのであります。しかし当面いろいろ問題になつております数の点につきましては、やはり国民は非常に焦慮、不安にかられておる。これについて、先般来委員会でも政府に質問をしておつたのでありますが、一向要領を得ないのであります。私はこの点が日本政府としてまことに遺憾にたえないというので、少し政府に対して強く当るような字句が用いてあるわけであります。この点につきましては、私はやはり一応政府を鞭撻すると申しますか、政府にもつと骨を折つていただきたい、これは当然そうあるべきだと思う。政府数字や何かにつきまして調査したり、あるいは数を発表する場合に、日本政府だけでは、これは今日、もちろんできないでしよう。ですから、その場合にはいろいろ連合国に援助を懇請する。その場合、国会もまた大いに協力するということはいいと思うのですが、何か日本政府責任をないがしろにして、素通りいたしまして、そうして連合国にだけすがるということでは、どうも自主性がないように考えてこの決議案を起草した次第でありますから、字句の点につきまして、いろいろ不備な点がありますならば、修正するにやぶさかでないということは、初めから申しておるのであります。しかし皆さんが、委員長のご提案になりました決議案の方がよろしいということであるならば、私はあくまで反対するわけではございません。その場合におきましては、本会議におきまして、賛成討論の形でもよろしいですから、いささか見るところが違うかと思いますので、ぜひこの提案趣旨に基きまして発言する機会を與えていただきたいと思うのです。在外同胞引揚げ促進ということと、それからこの数の問題は、非常に重要な問題でありまして、国民ひとしく重大な関心を持つている問題でありますから、本会議において発言機会がありますならば、私は委員長のご提案でもけつこうだと思います。
  27. 玉置信一

    玉置(信)委員 私は今ほかの委員会に顔を出しておりまして、前段に述べられた各委員の御意見を承つておりませんが、私が着席いたしましてお伺いいたしました岡委員ポツダム宣言を引用されて申されたことは、まことに適切な御意見でありまして、この点、私は謝意を表するとともに、さらに山本委員から申されたことは、実際に家族の気持をくんでこの引揚げ促進するという、われわれの熱望しております中心に触れられて、まことに適切な御意見でありますので、私はこのお二人の御意見に心から賛意を表し、委員長読み上げられたこの引揚げ促進に関する決議を採択されるよう、まず第一に希望を申し上げる次第であります。ども、まことにごもつともだと思いますが、これもやはり衆参両院の歩調を一にするということで行きたいというように私は考えるのでございまして、そういう点も、やはり松谷委員によつて述べられた通りのお取扱いをしていただけば、そういう面も強調できることになるのではないか、この考えるのであります。特に共産党を代表せられる砂間委員にお願いして、この在外胞引揚げ促進に関する決議案を、満場一致の御賛成をもつて共同提案せられるようおとりはからいを願いたいと存じます。
  28. 砂間一良

    砂間委員 私が数の点を特に強調いたしましたのは、やはり何人残つているか、三十万とか四十万とかいうことが言われておりますが、この点が国民関心一つの大きな的になつている。で、もし一人も海外におらないならば、引揚げ促進ということが意味がなくなる。もちろん、おるでありましよう。おるではありましようが、その数をを発表するということを強調した余り、引揚げ促進という方には、いささか軽く見られたような形になつておると思うのでありますが、この引揚げ促進や、あるいは遺族あるいは留守家族援護という点につきましては、私もまつたく皆さんと同じような考えを持つておるのであります。ただこの決議案案文につきましては、先ほど来いろいろ皆さんの御意見もありましたように、参議院と歩調を合せるとかあるいは問題が問題だけに、全会一致でいたしたいというふうな、これまでの慣例や皆さんのお気持もありますので、私はこの委員長提案在外胞引揚促進に関する決議案賛成いたします。  ただその場合やはり先ほど第一に申し上げましたが、私もせつかくこういう決議案提案しました者の一人といたしまして、ぜひ賛成討論の機会を與えていただきたいと思うわけであります。これは先ほど玉置委員発言なさいましたように、何か別の角度から違つた問題を持ち込んで、しいてけちをつけるとか、あるいは問題をこんぐらかせるというような意思は全然ありません。この引揚げ促進、それから正確な数を把握したいという点につきましては、全委員の皆さんとまつたく同じであります。そういうようなわけでありますから、決して玉置委員の御心配になるようなことはいたしません。そういう点を、條件というと少し言葉が強くなると思いますが、希望として申し上げておく次第であります。これにいろいろ運営委員会におけるあれもありましようから、委員長もぜひご努力を願いたい。
  29. 中山マサ

    中山委員長 それでは全会一致で御賛成願えましようか。
  30. 岡良一

    ○岡(良)委員 実は先ほど砂間さんの出された決議案案文について二、三お尋ねしたのですが、この在外胞引揚促進に関する決議について、委員長の朗読された文でありますが、ぼくは正直のところ非常に不満足なんです。どういう点が不満足かというと、これはどうもお役所の文章で、私どもの気持とすれば出て行つて七年、年八、もう一人前に近く読み書きができる子供たちが待つておるのです。そういう子供たちがわかるような文章でなければ——こういうお役所でやるような文章では私はまつたく形式的な気持がいたしますので、ほんとうに心をこめて賛成することはできない気持であることを、この際申し上げます。そういうような希望を申し添えまして、この決議案賛成をいたします。
  31. 中山マサ

    中山委員長 それでは皆さんが全員一致で御賛成いただきましたので、私委員長としてまことにありがたく感謝を申し上げます。共産党の砂間先生も襟度を広くしてこうして御賛意を表してくださいましたことは、返すがえすも私としてお礼を申し上げる次第であります。また運営委員会にも諮りまして、そういう機会が與えられますならば、先生のご希望もあるいはいれられると思いますので、一応向うと連絡をとつてみます。
  32. 岡良一

    ○岡(良)委員 関連して、実はこういうように国会のたびごとに引揚促進の決議ばかりやつて政府を鞭撻しておりますが、しかしどうも目下のところは、われわれの決議にこたえるところがきわめて薄いと思うのであります。実は来るべき通常国会にでも、できるだけ早い機会にわれわれのこの心持を国民を代表して、全世界の人道を愛し、あるいは人権を守るところの道義に訴えるという意味で、国際連合にひとつ陳情するというようなことができないものかどうかという点を、委員長のお手元で十分研究されたいと思うのです。
  33. 宮崎太一

    ○宮崎政府委員 先ほどのお尋ねでございますが、遺族について非常にご熱心な御決議があつたが、その後どうなつたか、それから留守家族についてどういうふうになつておるか、二点の御質問であつたと存じておりますが、遺族につきましては、御承知のように、戰争による遺族の問題を取上げて措置を講ずることは、いろいろな問題になかなかさしさわりがございますので、厚生省におきまして、遺族に対する対策をその後ずつと熱心に検討を続けておるのでございますが、今日のところ、取上げて申し上げるほどに至つていないことを申し上げておきます。  それから留守家族のことにつきましては、御承知のように未復員者の給與法、あるいは特別未帰還者給與法によりまして、留守家族の扶養手当を出しておるわけでございますが、それの増額につきまして、目下努力をいたしておりますし、また国会の側におきまして、この方面の改善についてご計画なさつておることを、私ども喜んでおる次第でございます。本年から留守家族が、自分の夫なり、兄なり、あるいは親なりの帰つて来ることを待ちわびておられる点を、私ども深く考えまして、舞鶴の援護局等におきまして、留守家族に通知をいたしましたり、あるいは留守家族がおいでになる際におきまして、御便宜を提供したりするようなことをいたしておるのであります。物質的な問題といたしましては法律に基く扶養手当を出しておるということであります。
  34. 坂口主税

    坂口委員 ただいま御答弁の遺族に関する分でありますが、私は初めはそういうふうに考えておりましたけれども、もうだんだん関係方面でもずつと認識を深められて来た。この前決議いたしました内容くらいのものは、十分やろうとすればできるというふうに私どもは確信を持つて決議をしたわけです。非常に抽象的で、三年前も四年前も同じようなお答えでございます。あるいはお答えにくいことも想像いたしますけれども、しかしもう少しご努力を願つて、この問題は十分に後継続を願いたい、これを希望しておきます。そういう意味でございますので、留守家族につきましても、この前少しずつやつていただきましたけれども、まだ不十分で不徹底であるということで、先ほどのこの決議文内容は、やはり意味があると私は考えます。
  35. 砂間一良

    砂間委員 留守家族調査のことについてでありますが、最近聞くところによりますと、当局が留守家族調査をいろいろやつておられることは、まことにけつこうなことでありますが、そのやり方が何か私ども少々がてんのいかない点があるのであります。巷間うわさするところによりますと、やはり引揚げの数の問題に関連してくるのでありますが、三十万からの開きがあるというので、その数に合せるために、当局が留守家族調査にかこつけて、海外に残つておると一方から発表されております三十数万を各地方に割り当てまして、たとえば、東京都は三千人まで未帰還者がいることにして、そういうような数字をつくるために、盛んに何か天くだり的な調査をやつておるというふうなことを聞くのであります。もしそういうふうなむりなちようど、税金や供出の割当と同じようなやり方をされて、海外にこれだけ残つておるではないか、これは国内留守家族調査によつても判明しておるというふうな、こじつけの天くだりの数字をつくつたところで、それでは何にもならない。そういうふうなでたらめなつつた数字は、私どもは信用できないのであります。その留守家族調査及び在外に残つておる未引揚者調査方法等について、当局はどういうふうなやり方をやつておられるか。そういうふうに、町でうわさされておるような問題につきまして、誤解を與えないように調査のやり方を、この機会にはつきり御説明願いたいと思います。
  36. 宮崎太一

    ○宮崎政府委員 ただいま砂間委員から仰せになりました留守宅の調査というものは、いたしておりませんで、未帰還者調査はいたしておつたのであります。また、現にまだ続けておるのでございます。私の方でいたしておりますのは、旧軍人関係の調査をいたしております。それから一般邦人については、外務省でいたしておるわけでありますから、私の方でも今砂間さんの仰せになりましたような、割当をして、どうこうということはいたしたことはございません。
  37. 倭島英二

    ○倭島政府委員 外務省の関係も、割当をこしらえて県の方でそういうつじつまを合せるということは毛頭いたしておりません。
  38. 小西英雄

    小西(英)委員 いつもこの委員会が、数字の問題で長時間をとつておる。絶えずいろいろな委員より話が出るのでありますが、最も不明な点が多いところは、ソビエト地区と中共地区の未帰還者でありまして、まず第一番に、ソビエトから日本捕虜、あるいは残留同胞を、終戰直後においてどれだけの人がこちらにおるという、はつきりした数字連合国を通じて、日本政府に報告があつたのか、なかつたのかということをお尋ねしたいのと、もう一点は、先ほども今年九万五千の未帰還者を帰すならば、あと大体一万少し足らずの戰犯関係者が残されておるということは、これはソ連政府連合国を通じて正式に発表されたものであるかどうかという点と、今なお抑留中に死亡者が何人あつたかということも、一回もわれわれ承つたことはないので、そういう点について、どういうふうになつておるかということをちよつとお尋ねしたいと思います。
  39. 倭島英二

    ○倭島政府委員 お答え申し上げます。終戰直後からソ連の方へ連れて行かれた同胞の数につきましては、もう何回となく司令部を通じて、ソ連の方へその正確なる数字、あるいはその情報をもらうように、要求しておるのでありますが、一回もまだ返事がありません。従つてそれについては、何ら正式の報道がございません。  なお、今年の春、新聞通信等で伝えられた、いわゆる九万五千の数字の問題がございますが、新聞報道があつた直後、政府といたしましてはソ連から正式な報道をとつてもらうように司令部に要求したのでありますが、それについては、一回も正式な報告はございません。  それから第三の、同胞のうち、なくなられた方の数字、その他最近の健康状況、そういうような問題につきましても、かねて数回政府は司令部に頼んでおり、司令部からソ連の代表へ要求いたしましたが、それについても、何らまだ回答がございません。そういう状況でございます。
  40. 小西英雄

    小西(英)委員 今の政府委員の説明で了といたします。私たちこの引揚委員会は、かように連合国の一員であるところのソビエト、また現在の中共からの情報が、向うの国を通じて正式に回答がない以上、日本の現状といたしまして、数字の追究をこの委員会で何度やつても、これは結論がでないと思う。われわれが先ほど来各委員の言われます通りに、早く同胞を、幾万おるか知らないが、好意ある連合各国より早く帰らせていただきたいということをお願いするほかに、いたし方ない状況から推しまして、今後委員会に、いろいろわれわれとしてやり、残つておる仕事がたくさんあるので、こういう点でお互いに時間を費すことは無意味であると思うので、今後この点につきましては、各委員よりこういう数字の点は、日本政府としても、また連合国にいろいろ懇請して、数字を明らかにしてもらうという努力は、あくまで続けねばなりませんが、ここでそういう討議は私たち時間の都合上、非常におもしろくないと思うということを、一言委員として申し上げます。
  41. 中山マサ

    中山委員長 それでは先日の委員会におきまして、理事会に諮ることになつておりました砂間委員提出の動議の取扱いにつきまして、政府側から答弁できる旨の通知がありましたので、答弁を求めます。
  42. 松谷天光光

    松谷委員 その前にただいまの数の問題を結論づけたいと思います。  先ほど援護庁の方から、留守家族調査は完全にやつていないのだという御意見がございましたが、私は砂間委員と逆に、それははなはだ遺憾だと思います。むしろ留守家族調査は徹底的にやつていただきたい。これは一人の日本人がどこへ行つたかということも、私たちとしてただ看過することはできないと思うのであります。そうしてこちらで留守家族の数をはつきり把握いたした上において、先ほど当局からお話のあつたように、いまだかつて一度もソ連からの正式なる死亡者数の発表もなければ、抑留しておる人数の発表もない。これは先ほど岡委員より御発言になつておるように、国際的な、人道的な問題だと考えます。こういう点についてはソ連をして一日も早く、その道義的発表をなさしめるように、私たちは対日理事会に、むしろ委員会として要求いたしたいと思います。来る本会議に、先ほど可決になりました決議案上程されますと同時に、私どもはこの委員会の名をもちまして、委員長初め各委員が、対日理事会に対しまして、ソ連の発表促進方を依頼に参りたいと考えておりますが、委員長から各委員にお諮り願いたいと思います。
  43. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいまの松谷委員の後発言に、私は非常に賛成するものであります。関連して意見なり質問なりをいたしたいと思いますが、留守家族の数を徹底的に把握するということが必要で、そのことはすでに着々なされつつあると私ども考えておつたのであります。それをすれば、現在その方面からする大体の数がわかると思います。どのくらい帰つておらないか——返事しない相手に向つて、ただ頼む頼むと言うよりも、むしろわれわれの方で調べた数はこれくらいだけれども、向うではどうかというふうに、これは一つの材料になり得るかと思うであります。留守家族から言つて、まだどのくらい帰るべきか。さらにもう一つは帰つて来た人について、向うでこういう人は死んだ、こういう人間は生きておるということは、帰るごとに私は調査してあると思うのであります。その点について、この際ちよつと御答弁を願いたい。そういうことを全然なされていないのか、なされておれば、中間報告でもよろしいから、ときどきこれを発表して——現に帰つた者の言葉によれば、まだ何名おる、何名が死んだということを、刻々に発表するということが、私は国民の心を安心させる方法だと思います。
  44. 中山マサ

    中山委員長 私ちよつとこちらで発言させていただきますが、松谷委員のご出席のない時分であつたと思います。当局よりいたしまして、それは調べてみるけれども、しかし戰災のために焼け死んでしまつた家族がある、いわゆる無縁故者というものが向うにおる。だからこちらで調べた数を、これだけだと発言すれば、まだ向うにおるかもしれない人もそれから除外されるおそれがある、だからそれをもつて全体の数であると言つたら、かえつておかしいものができ上るということを、当局は再三再四御説明になつたことでございます。それは松谷委員はあまり御出席がなかつたので、お聞きがなかつたのであろうとは存じますけれども、私からも政府の方にできるだけの御努カはしていただくけれども、無縁故者のあることは御了承でございましようね。お帰りになつた方でも、無縁故寮に御定着になつておる方があることは、私も舞鶴で見て参りましたし、家族のない人もある。そうすると、まことにおかしいものができ上つてしまうということも、まことに本意ないものであろうと思います。  対日理事会にということでございましたが、御存じの通り、私たちは再三再四、対日理字事会に、ソ連大使館にも参り、もう来てくれるなと断られるくらいまで参つているということは、御了承願いたいと思います。どうせこの決議案成立後には、もう一度委員会打そろつてお願いに出るということは、国民に対する私どもの当然とるべき責務であると痛感いたしますので、御提出になりました決議は、必ず実現させていただきたいと思います。
  45. 砂間一良

    砂間委員 今の問題に関連いたしまして、先ほど小西委員松谷委員の方から取上げられました問題は、もつぱらソ同盟に対する数字の問題だとか、あるいは死亡者の数の問題でありますが、私はソ同盟に対してばかりでなく、中国だとかフィリピンだとか、仏印だとか、広く南方方面のその他の諸国に対しても、やはりやつていただきたいと思います。何となれば、一応南方諸国の方からの数字発表はあつたかもしれませんけれども、その数が何か私どもには信用をしがたいところもあるのであります。それは、これまでもたびたび申し上げて来ましたように、零のところから多数の人が帰つて来ていたり、それからまた死亡通知が来て、お葬式をやつている当日に、生きている人が南方から帰つて来た、そういうことがたくさんあるわけでありまして、南方の数字そのものが、必ずしも絶対に正確であるということは言えないわけであります。そういうわけでありますから、何もソ同盟だけを一つ対象としないで、やはり連合国全般に対しまして、少くとも日本人が戰時中行つてつたところに対しましては、そういう調査や、数字発表その他消息について、一日も早く正確なところをお知らせくださるように、当局が骨を折つていただきたいということを希望するわけであります。
  46. 中山マサ

    中山委員長 私どもは、かつては青年会及び赤十字にも参りまして、全般的の数字が早くわかるようにという御援助を願つて参りましたから、また折返し、あなたの御意思を体しまして、できるだけその関係にもお願いすることにいたします。
  47. 倭島英二

    ○倭島政府委員 先ほど御説明申し上げましたのが、少し言葉が足りませんので、誤解されたかと思いますが、留守家族調査をしておらぬと申し上げましたのは、つまり留守宅を対象として、留守宅がどういうふうにお暮しになつておるか、留守をどういうふうにお守りになつておるか、どういう生活状況かという問題も、これまで問題になつてつたことがありまして、留守宅調査と言われましたので、そつちの方面かと思つたのでありますが、未帰還者調査する方法として、留守宅から届出を出していただいている調査、これはいたしております。  先ほど委員長から御説明がございましたけれども、念のためにもう一回ごく簡單に今の調査内容を申し上げますと、主として二種類国内調査をいたしております。これはソ連の方へ幾ら頼んでも、何ら返事がありませんので、それで国内といたしましては、帰つて来られる方から、いろいろ未帰還の方の情報を聞くというのが一つと、それから留守宅の方から届を出していただきまして、うちの者がだれが帰つて来ないという届を出していただきまして、それを集計しておるという二つ方法をとつております。しかしその二つ方法は、いずれにいたしましても、先ほど委員長からお話がありましたように、はなはだ落ちがありまして、かえつて最近の例を申しましても、中共地区から高砂丸で帰つて来られた方の届が出ておつたのと、パーセンテージをとつてみますと、帰つて来られたのに届出のあつたのは二一%で、つまり二割ちよつとしか届が出ておらぬ。届出のない方が帰つて来られるという状況であります。それはいろいろな原因があると思います。たとえば直接の御家族がない場合、あるいはどつかにあられても——いろいろなことをわれわれも聞くのでありますが、いろいろな届をしても、帰つて来られてもうるさいという話もあるらしいし、いろいろな状況で、つまり家の者、直接の卸家族という場合に、届出の落ちておる場合は、何かの関係かと思いますが、ほとんどの御家族の、たとえば自分の子供が帰らぬ、あるいは兄弟が帰らぬと言うときのき届出は、まず大体落ちていない。ところが、それでも届の中には、御主人の名前だけが書いてある場合が多数ありますので、そのうちに子供さんができておつたとか、そのような諸般の関係もございまして、帰つて来られた、つまり残留しておつた数字というものは、留守宅の家族の届出からは、必ずしもつかめない、むしろ二、三割程度しかつかめないという状況にあります。  それからもう一つ、帰つて来られた方から、未帰還の方の情報を得るということにつきましても、たとえば最近大連方面から帰られた方の情報によりますれば、これは比較的、現地でこういうことになつておる、こういう人にあつたということで、進んでわれわれに情報を提供していただく場合が多うございますが、ことに最近ソ連の方から帰つて来られる方については、その情報の提供を拒まれる方、あるいはある程度これについて積極的な協力がない場合がございまして、政府としては、いろいろその事情を説明して、お願いしておるのでありますが、必ずし帰つて来られた方から集めました情報が完全だと思えない節がたくさんあります。しかしながら政府といたしましては、今留守宅の届出に基いた調査、これは誠心誠意進めております。それから帰還者からいただく情報についての調査も進めております。そういう状況であります。
  48. 山本利壽

    山本(利)委員 大体数の問題については、今日のところ了承いたしましたが、まだ次々あると思います。ことに配布願いましたプリントには、未復員者給與法の一部を改正する法律案、それから特別未帰還者給與法の一部を改正する案といつたようなものを配布していただいております。こういうものを、議題にありますならば早くしていただいて、議事進行を願いたいと思います。
  49. 中山マサ

    中山委員長 速記をとめて。     〔速記中止
  50. 中山マサ

    中山委員長 速記を始めてください。
  51. 池見茂隆

    池見委員 私は今朝の新聞を見たのでありますが「舞鶴引揚援護局平收容寮に入つている高砂、山澄両船の引揚者たちは、今年の引揚者のうちでは最も強く組織を守つており、行動はすべて引揚団本部の許可制となつている。二十八日この引揚団本部では援護局に対して、一、帰郷費として一人一万五千円、越冬資金二万円を支給せよ、一、越冬衣類を支給せよ、一、遊休住宅を開放して、引揚者の住宅保障をはかれなど五項目を要求、各引揚者もそれぞれ援護局内の旅費支拂い並びに物資交付所の受付で同様の要求をしていやがらせ戰術に出ている。」こういつた記事を私は見たのであります。このいわゆる引揚団本部というものがどういつた性格を持つておるか。今まで引揚げました引揚者、そういつた人に対して、過去においてかかる処置をとつたことがあるかどうか。もし過去においてそういうことができなくて、新たに行おうとすれば、相当の予算措置を伴うことである。さらにこれは引揚げに対するところの一定の基準を破るものである。少くとも現在の段階においては、穏当な要求であるとは考えられない。しからば、こういつた要求がされて、しかもこの二十八日の記事から見まして、行動は一切引揚団本部の命令でなければ動けないという一つの拘束的なことまでも書いてある以上、これらの要求について、内容がいかなることにおいて行われ、いかなる人々がこれらの指導をし、またこれに対して、一般引揚者はどう行動しておるかという——今日の新聞発表でありますがゆえに、政府においてここに相当の詳細なる資料はないかと私は存じますけれども、この問題について、現在判明しておるだけのことについての御発表を願いたい。
  52. 宮崎太一

    ○宮崎政府委員 ただいまの問題でございますが、私も今朝朝日新聞を見たのでございます。まだそれについての情報は入つておりません。舞鶴においては大体そういうときに必ず情報が参りますから、近く参ると存じますが、情報によりましてまたお答え申し上げたいと思います。従来引揚団本部というものがございますが、引揚者が梯団組織を持つておりまして、大体船の中でそういう組織によつてつたのであります。今申されたような要求は、かつてしばしば出された問題と関連しておるのでございますが、ポツダム政令が出まして以後、そういう問題につきましては、あまり聞かなかつたのであります。本日の新聞記事を見ますと、大分強いようでありますので、情報が参りましてから、いろいろまた申し上げたいと思います。
  53. 池見茂隆

    池見委員 ただいまの答弁で了承いたしたのでありますが、かかる問題につきましては、私ども国民といたしましても、これらの問題については最も愼重に考えなければならない問題と思いますから、でき得る限り詳細にお調べ願つて、この次にでも適当の機会発表していただきたい。
  54. 砂間一良

    砂間委員 私は実は今朝の朝日新聞を見ておりませんので、ただいまの問題は新聞では見なかつたのでありますが、しかし引揚げて来る人たちが大体同じような境遇に置かれており、そしてあそこへ上つた瞬間に、家へ帰る旅費なり、あるいは今日の物価高において、帰つて当分の生活なりいろいろなことを考えますと、大体同じような境遇に置かれている人たちが、期せずしてそういうふうな一致した要求を持つようになるということは、当然のことだと思う。その場合、二千人もの人が一人一人てんでにわいわい言つたのでは秩序もつかぬし、また話もまとまらぬというので、だれか代表者を選んで、一同にかわつて当局にお願いするとか、懇請するというふうなことは、これはほむべきことであつて、決して非難がましいような処置ではないと考えております。  なお帰郷旅費一万五千円とか、あるいは越冬資金とか、住宅等の問題についてでありますが、これらの点については、これまで政府のとつて来た措置は、はなはだ不十分であつた。いろいろ未復員者給與法であるとか、あるいはまた引揚げ旅費の引上げだととかいろいろ御心配されている向きはあると思いますが、しかしその努力はある程認めましても、はなはだ少い。少くとも今日は、私どもはこれくらいの額は引揚げて来る人が別に要求しないでも、もし国民愛の運動で、ほんとうにあたたかい心で政府国民も迎える気があるならば、たとい財政がどんかに困難であろうとも予算的措置を講じて引揚げて来る人がそういうことを言い出す前に、ちやんとこつちが用意しておくべき問題だ。それができてないということは、政府当局が、口にいかに引揚げ問題をやかましく言うておつても、それは口先ばかりであつて、ほんとうは冷淡な証拠だ。この点につきましては、私は政府当局にもつと努力していただきたいということを、強く要望するものであります。
  55. 岡良一

    ○岡(良)委員 この機会にお願いをいたしておきたいのでございますが、この未復者給與法とか特別未帰還者給與法とかは、かつて委員長も本委員会の席上で、今後は定着援護の問題についても十二分に力を注いで行きたいと言われた。そういう関係から、あの法案の改正等についても、われわれとしてもやはり十二分に意を盡したいと思つておるのでございます。その点参議院の委員会では非常に熱心にやつておられますが、私どもの方では、この問題はむしろ大蔵委員会の方で主としてやつているというような点に、この委員会としても、いささかその責を果さざるうらみがありますので、今後この問題につきましては、連合審査をやるなり、いろいろな形で緊密に提携をして、この委員会の意図をも改正に、十分盛り込むようにひとつ委員長にお骨折り願いたいと思います。  それからなお、この機会に宮崎次長にお尋ねいたしたいのでありますが、未復員者給與法関係では、大体百円が三百円に上り、また六・四・四が六・六・四になつたのでありますね。それから遺骨の引取料と葬祭料ですが、これはわずか二百円上つて、引取りの経費が一千七百円ということで、まことにお気の毒な話だと、ぼくは思うのでございますが、何とかこれはもう少し引上げられないものでしようか。その間の経緯を承りたいのと、いま一つは、聞くところによりますと、復員者に対しては失業保險を準用するというようなことについても、関係方面がある程度の了解を與えておるというようなことを聞いております。もしそうだといたしますと、現行の失業保險法で月に三百円の六〇%といたしましても、百八十円という、きわめて零細な金になつて参りますので、未復員者給與法における月手当は、もう少し上昇させなければ、せつかく失業保險の準用を受けるとしても、これはほとんど二階の目薬のようなかつこうになると思うのでありまして、その点、いろいろお骨折りをいただいたと思うのですが、が、どういうような点で私の希望する方向に行かなかつたのかということを、お漏らし願えればけつこうと思います。
  56. 宮崎太一

    ○宮崎政府委員 今、岡委員からのお話でありますが、未復員者給與法及び特別未帰還者給與法の両法につきましては、政府の方におきましても、今回の補正予算あるいは明年度の予算等につきまして、いろいろ関係方面とも折衝をいたしておつたのでありますが、国会側におきましても、この点非常にご検討になられまして、いずれあとで出る問題と思いますが、今、岡委員の仰せになりましたような改正案が熟しつつありますことは、私ども非常に喜んでおるところでございます。ただその金額が非常に少いのではないかというようなお話でございますが、今日の状態におきましては、それ以上にはどうにもならなかつたということを申し上げるよりほかにないと思うのでございます。  それから失業保險の問題でありますが、これは労働省の所管でありまして、労働省の方でもずいぶん研究し、かつまた大蔵省の方でもいろいろ研究をされまして、あるいは給與の一形体として行くのか、あるいは失業保險で行くのかというように、いろいろな御検討をされておるのでございまして、この点につきましては、いまだ解決しておらない問題でございます。参議院の特別委員会等におきましても、ずいぶんこの点の御検討がございますけれども、この点につきましては、まだ未解決であることをお答え申し上げます。
  57. 池見茂隆

    池見委員 先ほど私は、政府にお願いをして終りましたけれども、私の発言に対して砂間委員は、引揚者に対するいわゆる人間的気持からこういつたことをすることは当然である、またこれを批判的なる見解のもとに云々することに、あまりおもしろくないといつたような意味あいの言葉があつたたように聞いたのであります。これは私どもとして、引揚者に対してそれだけの人間的な気持があり、また国民道義の上から考えますがゆえに、国会内におきましても、かかる引揚促進委員会があり、一刻も早く故国に引揚げさせなければならない、またその留守家族の人、あるいは遺族に対してはかくかくの救援をしなければならないという、国の持つ力においての最高度のものを発揮しせむるために、われわれは努力しておる。私は気持においては、砂間委員引揚者に対する、遺族に対する、留守家族に対する気持と何らかわつたところはないのでありますけれども、かかる問題が新聞記事として現われ、そういうふうなことが実際に強力に行われておることは、私は今申し上げた点から、決して排撃する問題ではありませんけれども、こういつた一つの団体的動き、こういつた一つの団体交渉的な現象が、まことに遺憾ではありますけれども、ややもすれば国内のあらゆる問題について起りつつあることは、国家再建の非常な妨害になつておるということを考えますがゆえに、この事実をよくよく調査していただいたる上において、私の持つ意見を述べたいのであるがゆえに、政府に要望したのである。どうかその意味において、委員長もお考え願いたい。
  58. 砂間一良

    砂間委員 引揚げのことに、皆さん御熱心であられるようでありまして、私もまことに同感でありますが、引揚げの問題は、單に引揚げ促進ばかりでなく、やはり帰つて来た人たちの定着援護の問題が非常に大事だと思います。ところが、この引揚げの方では、いろいろ国民運動も起つておりまして、熱心でありますが、この帰つて来た人の生活の問題、たとえば就職の問題だとか、住宅の問題だとか、あるいは今言つた失業保險適用の問題だとか、あるいは留守家族援護の問題だとかいう点につきましては、国がやつていることも、また一般社会が迎えていることも、はたはだ手薄のように私どもは感じておるのであります。たとえば就職の問題にいたしましても、出征して外地に行く前には、会社工場に勤めておつた人たちは、最近までやはりその会社なり官庁なりに席があつたのでありますが、最近、特に今年になりまして六月ごろ引揚げが始まるころになつて以来、三菱重工であるとか、あるいは三井関係の工場なんかにおきましては、どうも今年帰つて来る人たちの思想傾向がおもしろくないというふうな点で、どんどん首にしておるのであります。こういうふうな点につきましても、政府として相当警告する必要があるのではないかということを考えます。あるいは新たに就職する場合におきましても、各方面で就職が非常に拒まれておりまして、困難であります。こういうふうな点、それから留守家族援護の問題等につきまして、もつと手厚い態度を望むものであります。  なおそういう予算関係の問題に関連いたしまして、ちよつと私はお尋ねしたいのでありますが、せんだつていただきました昭和二十五年度予算大蔵省内示額、引揚援護庁というのによりますと、この第十二項目のところに、援護思想高揚費といたしまして、百五十四万円計上しておりますが、この援護思想高揚費というのは、どういう費用で、どういう団体に支出されておるのか、その内訳を詳細に御説明願いたい。  それからもう一つは、復員官署に要する経費の中の第四項に、交際費というのが三十七万八千円計上してありますが、この交際費というのは、復員官署のお役人がどういう方面にお使いになるのか、ただ飲んだり、食つたりされるのであるか。何の必要があつて、どういう方面にお使いになるか、その内訳を御説明願いたい。
  59. 太宰博邦

    ○太宰説明員 最初、来年度予算として内示のものを差上げましたものの中で、援護思想高揚費というのは何かという御質問でございましたが、これは御承知引揚げ援護あるいは愛の運動日に対しまする国としての援助でございます。御承知通り、この運動は民間運動としてできたのでありますが、今日の時勢におきましては、そのままにしておきますれば、この有意義な運動も盛り上らないおそれがあると存じまして、政府の方におきまして相談いたしました結果、ごく若干でありますが、この運動の有効な成果をあげますために、その一部の費用を負担する、こういう趣旨でございます。  それから復員官署に要する経費の中に交際費がある、これはどういうところにお使いになるかということでございますが、交際費に関しますことは、政府の予算の各般に載つておりまして、同じような方法で法規に認められた範囲内において使つておることになつております。
  60. 玉置信一

    玉置(信)委員 私は本日の在外資産の処理の問題と、さらに政府在外資産として認めて支拂いの停止をいたしております樺太の預金拂出し停止の問題について、大蔵当局に質問をいたすべく、前回の委員会において大蔵当局の、少くとも事務次官なり、主計局長の臨席を希望しておいたのでありますが、本日はどういうものかお見えになつておりません。しかし時間も相当過ぎておりますので、本日の質問は私はこれをとりやめますが、国会中にもう一度最後委員会を開いていただきまして、その席に、ぜひ事務次官、少くとも主計局長の御臨席を願うよう委員長からとりはからいを願いたいと思うのであります。  本日はこの程度で散会されんことを望みます。
  61. 中山マサ

    中山委員長 玉置委員の御発議がございますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 中山マサ

    中山委員長 それではこの程度において委員会を散会いたします。     午後三時三十五分散会