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1949-11-11 第6回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十七日  中山マサ君が委員長に、安部俊吾君、小西英雄  君、佐々木盛雄君、玉置信一君、冨永格五郎君、  岡良一君、坂口主税君、横田甚太郎君、天野久  君及び山手滿男君が理事に当選した。     ————————————— 昭和二十四年十一月十一日(金曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 中山 マサ君    理事 安部  吾君 理事 小西 英雄君    理事 玉置 信一君 理事 冨永格五郎君    理事 横田甚太郎君 理事 天野  久君    理事 山手 滿男君       足立 篤郎君    池見 茂隆君       田口長治郎君    受田 新吉君       堤 ツルヨ君    並木 芳雄君       砂間 一良君    山本 利壽君  出席政府委員         外務事務官         (管理局長)  倭島 英二君         厚生政務次官  矢野 酉雄君  委員外出席者         引揚援護庁次長 宮崎 太一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  引揚者援護に関する件  海外同胞引揚問題に関する件     —————————————
  2. 中山マサ

    中山委員長 これより会議を開きます。  本日は、引揚援護問題を中心議事を進めて行き、あわせて今後の本委員会の運営上の参考意見を承りたいと存じております。これを最初取上ぐべきでございますけれども、本日は非常に速記が不足をいたしておりまして、やつと手に入れましたような次第で、御意見あとまわしにさしていただきますので、どうぞその間にお考えおきを願いたいと思います。  まず引揚状況説明を聴取いたします。宮崎説明員
  3. 宮崎太一

    宮崎説明員 私の手元にあります資料に基きまして、十月十日までの引揚げ状況を、引揚げ地区別ごとに申し上げますると、シベリヤ地区からは、三十一隻がナホトカから舞鶴に入港しております。総引揚げ人員は六万千四百二名でございます。その内訳は、旧陸海軍軍人及び軍属が六万八百六名、一般邦人が五百九十六名となつております。次に千島樺太地区からの引揚げは、三隻が真岡から函館に入港しておりまして、総計四千七百九名が引揚げておるのでございます。その内訳は旧陸海軍軍人軍属が百四名、一般邦人が四千六百五名であります。なおこのほかに、九月の下旬から十月の上旬にかけまして、中共地区からの引揚げが行われておりまして、大連から舞鶴に二隻が入港しておりまして、二千八百六十一名が引揚げておるのであります。この内訳は、陸海軍の旧軍人軍属が三百四十六名、一般邦人が二千五百十五名でございます。  以上を総括して申し上げますると、引揚げ再開から十月十日までの旧陸海軍軍人軍属が六万一千二百五十六名、一般邦人が七千七百十六名、合計六万八千九百七十二名が引揚げたことになるのであります。先般総理大臣施政方針の演説で、引揚げが八万五千と言われましたが、それは最近の数字でございまして、最近におきましての計算によりますると、ナホトカから参りましたのが七万七千四百二十二名でございます。それから樺太千島あるいは大連等を合せまして、八万四千九百七十二名、約八万五千の引揚げが行われておるわけでございます。
  4. 堤ツルヨ

    堤委員 ただいまの宮崎次長の御報告の数は、当然私はこの委員会プリントにして出していただかなければならないと思います。ひとつプリントにしていただきたいと思います。
  5. 宮崎太一

    宮崎説明員 承知いたしました。
  6. 横田甚太郎

    横田委員 私たちは、大体引揚委員会数学教室のようにしたくはないのです。しかし引揚げ問題は非常に数にからんでいるのであります。そこでまず第一に数の論争も必要ですけれども、その前に、この引揚委員会で、今度一体どういうふうな問題を取上げるかということを、全部の先生に聞いていただいて、少くともこの引揚委員会を、今までよりわくを広げたところの委員会にしていただきたい。たとえて申しますと、定着援護まで広げてもらいたい。
  7. 中山マサ

    中山委員長 それは恐れ入りますけれども、あとでしていただかないと、さつき申し上げたと思いますが、速記関係がありますから、あとの問題にしていただきたい。
  8. 横田甚太郎

    横田委員 そういたしますと、私たちが第一資料としてお願いいたしましたのは、この前政府発表なさいました、ここにございます引揚げ数字でございますね。一九四九年三月、この時の数字基準にいたしまして、もう一段つけてもらうのです。もう一段つけてもらつて、それから後に帰つた人を別に書いていただきたいのです。それを、私たちが見たならば、いかさま見にくいような、こんな別な形において出されたという意図が、すでに私たちに気に入らねのです。なぜかと申しますと、政府がこういうふうに、これだけ帰つたのですと、今報告なさいましたけれども、新大阪新聞なんかの伝えるところによりますと、こういうことが出ているのです。これはマヌスから日本兵が帰つて来ているのです。命の綱は野豚八十頭、これを食つておりましたから生きておりましたという。ゼロのところから、八十頭の野豚を食つていることによりまして、日本皆さんに再びお目にかかれました。これは一例なんでありまして、一つではないのであります。それ以外にもたくさんこんなことがあるのであります。でありますから、私たちはこれを要約いたしまして、この資料に対しまして、政府がどうして、ゼロのところから帰つたということをはつきり言えない、書けない。だからこれを書く意思があるのか、それを一番初めに聞きたいのです。
  9. 倭島英二

    ○倭島政府委員 今御質問の中に三月の政府発表というのがありますが、どういうのをお持ちか、ちよつとわからないのですが、その点これまで私の承知しておるところでは、政府発表というものは、数字に関する限り、しておりませんので、大体総司令部発表を、英語のところを日本語に直した、われわれの便宜のために、あるいは皆様の便宜のために刷つておるものはありますが、今質問の中に言われた政府発表というのは、どれですか。
  10. 横田甚太郎

    横田委員 とぼけるのもいいかげんにやめていただきたい。われわれは今までの委員会において、何を基準にして論議したか、簡單に申しますならば、日本政府が動員いたしたのでありまして、アメリカ人日本人を一人も動員したことはないのであります。これをはつきりしてもらわなければならないのです。にもかかわらず、アメリカ人が、日本人外国に行つているのをこれだけ知つておりますといつて、それを英語で書かれたものでございまして、その書いたものを翻訳しておりますというような、つらあつかましいことが言えるかというのです。これが国民の憎悪なんです。さればこそ、昨日の新聞でも、参議院のれつきとした議員記章を持つておられる人までが、ソビニト大使館にねばり込んでおられる。もしソビエト大使館が、ソビエト治下に、政府のこの数字によつて——政府数字言つていけないのだつたら、連合軍司令部外国人の調べによつて示された人間がおつて、それが帰されないのであるならば、国際信義を守つておらない点において非難さるべきである。これを糾彈する点において、共産党は決してやぶさかではありません。しかし、おるかおらないかという点になつて来ますと、もしこの数字基準でないのであるなれば、何を基準にして、ソビエトにはこれだけの人間がおるのだということを言つて、あんな運動をしているのかということを承りたいのです。そういうような問題に対しましては、少くとも政府中心になつて引揚げの問題をその一本にまとめて行こう、そして少くとも日本人の問題である限り、財産であろうと、数であろうと、あらゆる問題の交渉は、日本政府中心になつて、しかも外交部面を担当しておられるところの人たちがやられるのがあたりまえだ。演説する気持はないのでありますから、これ以上強く申しませんが、簡單に申しますと、これを提出いたしましよう。これは委員会に提出されたものであります。委員会に出ておられるお方が持つておられ、委員長もこれは承認しておられる。しかもこの点について、あなたと論争したのです。参議院においても論争されたのです。だから問題の要点は、連合軍司令部発表となつてつて、しかも一九四九年三月、外務省管理局引揚援護課発表いたしましたところの、日本文に直しました数字なんです。私たちは倭島さんというような人たちを一々追究する意思はないのです。あなたが役不足だから追究しないのではないのです。要は、日本人戰争によつて外国にやられて、帰つて来ない、この一人の命を争う、これをいかにわれわれは迎えるか、もし死んだのであるなれば、この人たちの冥福を祈ろうじやないか、そういう気持でやるのでありますから、もう少し事を自然の立場からやつていただきたい。もしこの出しました数字がいけないのならば、そこに持つて行きます。これを見ていただいて、これをあなたたちが、アメリカのものを翻訳されてお出しになつたのか、出されないのか、それが一つ。それから新大阪新聞が出しておりますところの——これは一つじやないのです。御希望ならいくらでもありますが、二十四年の十一月の六日、新大阪新聞が出しておる「命の綱は野豚八十頭」という、これでマヌス島の密林から日本兵が帰つて来たのでありまして、この人たちの言うところによりますと、「十九年二月ごろマヌス島に米軍が上陸して来た時、二十四名のものと密林の中へ逃げ込んだが、十月ごろにはそのうち病気で倒れたりしてばらばらになり、二人きりになつた。二人は海岸まで二里位奥に入つた川辺ヤシの木で小屋を建て最初はヘビ、トカゲ、ヤシの実などを食べていたが、そのうち野ブタを捕えることを覚えて六十貫位のやつを二年間に約八十頭食べた。マラリヤにもかかつたが、野ブタを食べるようになつてからは、熱が出なくなつたのは不思議であつた。またこわれたピストルのラ線で針を、木の繊維で糸をつくつて魚をつるため足にくくりつけて寝たが、よく大きなやつがつれた。これらを焼いて食べるうち、わずかなマッチがなくなつてからは、手製の木筒に炭粉を入れて上から望遠鏡のレンズで太陽熱を吸收させて火種をつくつた。衣服は最初のうちは戰死者のものをはずして着ていたが、これらも駄目になつて、しまいには野豚の及をはいでこれを着ていたので、本年三月原住民に捕えられた時には、彼らも異様な身なりに驚いていた。  またマヌス島の戰犯收容所で刑を終えた鈴木傳四郎氏(東京都)はつぎのように語つた。  われわれは本年三月ラバウルからマヌス島へ移され、ここで軍関係の清掃をやつていたが、現在はここには元第二十六野戰貨物隊長廣田少将(山口県)ら二百二十五名が入つている。刑了者は今年はこれが最後で、つぎは来年一、二月ごろになる。受刑者が一番希望しているものは、收容所内地に移してもらうことと講和の早期締結であるが、これは減刑の恩典に浴したいからで、給養もよく皆元気でやつている」こう書いてある。この書かれた人が帰つて来たのであるか、来ないのであるか、帰つて来たのであれば、マヌス島という島は地球の上にあるのかないのか。もしあるとすれば政府の分類されております一から八の地区のどこに該当するのか、このことが一つです。これは小さいことですが、これからやつてください。
  11. 矢野酉雄

    矢野政府委員 政務次官がお答えいたします。あなた様の御質問に対して、事務官の方でよく御質問の内容がわからなかつたので、再び御質問の本質がどこにあるかをお尋ね申し上げたのでありまして、あなたの御意見に対して、決して対立的な意見を申し上げたのでも何でもございません。ただ御承知のごとく、日本はまだ国際公法上の独立国でございませんので、中国に対しても、アメリカに対しても、ソ連に対しても、その他各国に対して対等な地位のもとに一切の調査等のことも、また外交的な交渉もできませんので、現在のわが厚生省発表しておりますものは、全部占領下における、その管理下の範囲内において連合軍発表いたしましたその数を唯一の正式な数として実は厚生省の方におきましても、この委員会参議院委員会等発表しておる次第でありますから、御趣旨の筋がわかりましたならば、お答えのできるだけはお答えさせますので、どうぞ何らかこちらの申しました言葉が足らないために、ごきげんにさわつたような向きに受取れましたから、この点を御了承願いたいと思います。
  12. 横田甚太郎

    横田委員 非常に成長なさつている政治家的な考慮のもとになされた答弁として承つておきましよう。しかしこれに対しまして、私たち一つも満足しておらないのです。なぜかと申しますと、占拠下においてその数字が出されているのであれば、この数字の目的を疑いたくなるんです。いかに占領している国がアメリカであつても、ソビエトであつても、真実を曲げた数字を基礎にした数字なんか、だれも信用しません。このことが一つです。だから私はあくまでも最初意見に返りまして、このゼロのところから帰つた人を書いて、それから発表していただきたい。これをもしやつてはいけないというのであれば、やつてはいけないということは、日本人が言うのか、外国人が言うのか。それでも私は滿足しないから、しないことに対して徹底的に追究して行つたならば、一体どうなるか、そのことを承りたい。
  13. 倭島英二

    ○倭島政府委員 今矢野政務次官から御説明がございましたが、外務省管理局引揚渡航課が複製をしております数字が、現在政府が承知しておる唯一の正式な数字であります。この数字先ほどから申し上げました通り、それからお手元にある表の中にも書いてあると思いますが「連合軍司令部発表」ということが、どこかにはつきり明記してあるはずでありますが、そういう数字であります。先ほど矢野政務次官からお話がございましたように、われわれ日本政府の者としましては、現在の状況としてこの数字が一番信頼し得る数字であると思つておりますし、またこの数字に、基いて執務しておるわけであります。
  14. 横田甚太郎

    横田委員 これを信用なさつておるのであつたなら、しろうとの私までが満足しないのです。なぜかと申しますと、先ほどその方が発表なさいましたこの数字の中に、野豚八十頭はどこに入れるのですか。こんなものはあるのですか、ないのですか。その前におきまして、また南洋から帰つておりますところの六人がございました。なぜこういうことを追究するかと申しますと、たとえば中共地区引概げソビエト地区引揚げ、もし人間がおるならばそこから早く帰つてもらわなければならぬ。管理下に置かれでおると言われるならば、われわれは戰争に勝つた戰勝国の管理下にあるのであります。その中にはソビエトも含まれておるが、要はわれわれ日本人といたしましては、そこにおる日本人を帰してもらいたい。そうすればソ連に対する反ソ的なことをやらなくてもいいのであります。ところが日本は先日の新聞の伝えるところによりますと、何か飛行機兵隊をこしらえた。その航空機のもとに戦争するところの兵隊の中に、日本飛行機が飛ばされなくなつて失業しておるところの飛行士、しかもそのうちの古手の中将とか、大将とかいうような将官連中中国の土地に爆彈を運んで行くようなお手伝いをしておられる。こういうようなことに対して政府はどんな態度をとつておられるのか、この点をはつきりしない限りにおきましても——戰争が済んだから中共は帰すのです。戰争が済んだからソ連は帰すのです。現に中国共産党にけんかをふつかけておつた向うにおる人間を、帰すというようなことは、人間であるならばつら当てがましく言えはしない。だから私は初めの問題に返りまして、この野豚八十頭はどこに入れたものでございましようか、消したものでございましようか、これをはつきりしていただきたい。
  15. 倭島英二

    ○倭島政府委員 今新聞を引出せられてのお話でありますが、それが日本に帰つて来られた人の報道であり、その帰つて来られた方がこの表の中のどこに入つておるかということは、この表には詳しく出ておりませんし、私もそれはどこの区わけに入つておるか現在つまびらかに承知しておりません。しかし帰つて来られたならば引揚者累計表のうちの一人に入つておるはずであります。
  16. 横田甚太郎

    横田委員 そうすると一ぺん地図を持つて来ていただきたいのですが……
  17. 矢野酉雄

    矢野政府委員 新聞紙中心に御質問でありますが、不幸にして政府はまだその新聞を実は調査しておりませんので、御所見といたしましてありがたく頂戴して、その新聞紙をさらに公式に調査いたしました上で何分の御返答をいたすことにいたします。
  18. 横田甚太郎

    横田委員 もう一つちよつとくぎをさしておきますが、あとにたくさんの委員会があるから、あまりしつこく言わないつもりですが、やがてこの委員会はつきりしてもらえると思うのです。ところが新聞に出ているから言つたというような考え方ではないのです。現に帰つて来たときには、これを受取つておられるのです。受取つておられないのであつたならば、海上保安庁なんかは一体何をやつておられるのですか、やはり外国におる人が日本に帰つて来る。ソビエトから帰つて来た人が注射を拒んだ席上へ、虫のついたパンを持つて来たので、これに抗議をしたら言い訳をした。一体この人たちを受取る人がないのか。日本の警察から人を出すのにも、身柄引受人がある。内地に帰される場合に、内地において引受人があるのに、日本にたくさんの役人がいながら、いかに定員法で首を切られたか知らないが、まだ手不足である。引受人があるのに帰つて来た人を受取つておらない。新聞社だけが受取つておるのならりば、新聞社政府と交代しなさい。新聞社で一切の事務をやつてもらつてもいい。だからこの点については、あとで明らかにしていただきたい。これは單にそれだけではない。ここに出ておりますように、それが発展すると引揚げを待つておる人たちは、朝鮮には人がおらぬ、人がおらぬと言つておりますが、私の夫がおるのでしよう、なぜここにゼロと書いておるのでしようというふうなことも出て来る。だから数の問題については、あなた方の方でもともととお考えになるのだつたら、そのゆとりを持つていただきましよう。私たちはその前にまず引揚者の大多数がソ連におると思つておられるか、中共におると思つておられるか、それを承りたい。
  19. 倭島英二

    ○倭島政府委員 司令部発表数字が、先ほどから申し上げておりますように最も信頼し得る数字とわれわれは思つておりますので、この数字人たちで表わされておる人数は、未帰還の人であると考えております。
  20. 横田甚太郎

    横田委員 これを信頼しておられるというのであれば、それはまた初めの問題になる。どうして信頼できるか。私は信頼しない。信頼しないから質問する。もしこれを解決つけてもらわなかつたならば、ほかの先生はどう言われるか知らぬが、おそらく人命を尊重せられる点においては、共産党であろうと民自党であろうと社会党であろうと同じことだと思う。電車がひとりで走つて人が死んだというので大問題になるところの議会なんだ。日本内地日本人が死んだら問題になるが、外国で死んだらかまわぬと言われる。だから私はその点において、総司令部のこの数字が正しいと思つておるならば、そのあなた方の頭にある報道はどこから出たのか。これはわれわれは信じない。日本人の命を尊重するためにわれわれは論議しておる。何が悪いか。マツカーサーは言つておる。日本の国にはポツダム宣言に保障されたところの自由がある。それがないように見える。言わなくてもいい、そこでまた言おう。だからその点における政治的の考慮は、政府自身がやられればいいのであつて……
  21. 中山マサ

    中山委員長 恐れ入りますけれども横田委員、時間の制限がありますから、簡單に願います。
  22. 横田甚太郎

    横田委員 簡單にしますけれども、簡單にしたら人は帰つて来ますか。
  23. 中山マサ

    中山委員長 私はそれは申しませんけれども、ただ皆さん、まだほかにたくさん御質疑をお持ちの方がおありになるので、独占していただくのはいかがかと思うのです。
  24. 横田甚太郎

    横田委員 いや独占はしません。ではこの問題は、次の機会なら次の機会に徹底的にこれを糾明されるかされないか。
  25. 中山マサ

    中山委員長 私がここでこういうことを申し上げてもどうかと存じますがしかしその新聞に出ました人が、必ずしも政府報告がしてないという証拠をお持ちの上でおつしやつていてくださいますのでしようか。
  26. 横田甚太郎

    横田委員 言うておりましよう。もし報告をしておるのだつたら、帰還者、これはここへ帰つて来る兵隊ですから、兵隊ならばこそ全部持つておるのです。
  27. 菊池義郎

    菊池委員 議事進行について——横田君は大分峻烈なお話があるようですが、私はさつきから政府委員お話のように、これは司令部発表であつて日本政府はいかんともしがたい、こういつたお話のように聞きますが、私もこの抑留者の地域を問わず、確実なる数を把握するということは同感であります。それがいわゆる留守家族ないしは国民に与えるところの安心感であるということは、これは委員諸君御同一だと思います。しかしその根本原則が、日本政府のいかんともしがたい数字である。しかも今一例をあげられましたが、朝鮮はゼロになつておる。この朝鮮に現在なお幾人かの人が残留しておられるという事実は、私も過日の促進大会で承り、また朝鮮から引揚げられた御婦人主人が、北鮮に在留しておられるということを聞いたのであります。これは疑いもなく、その婦人主人帰還を待ちわびておられるという心情からして、事実であるということは私は確認します。しかし結論におきまして、そういつた事実がここに現われて来たならば、そのゼロの数字といえども日本政府は改めて、その要請するところに向つて引揚げ促進をやるべきがほんとうではないかと私は考える。この意味合いからしまして、今の数の確実なる把握ということにつきましては、横田君の意見同感でありますがゆえに、政府におかれましても、さらにそういつた点に十分留意されて、この点は一時保留していただき、他の問題に進行していただきたいと思います。
  28. 横田甚太郎

    横田委員 あまりしつこく申しますと、また逃げられますから、それにはお懲りにならないで、今日は希望的な質問にまとめておきます。  第一私が不滿を持ちますのは、天声人語に出ておつた——共産党のアカハタじやないのです、天声人語に出ておつたのですが、吉田首相は、ソ連中共に未帰還者がたくさんいると本会議でも言つた嚴寒に向わんとしておるのにと言うているけれども、じようだんじやない。ナホトカでは雪が降つてまつ白けになつている、零下何十度になつている、こういうような皮肉なことを言つておるのです。だから吉田首相嚴寒に向わんとしている、それがナホトカではまつ白になつているんだから、これほど向うの地の事情にうといような結果になつてはならない。だから引揚げ問題は、もつと実際にそうした人たちを帰してもらわなければならぬ。そういう人たちを実際に帰してもらうのには、さつきの約束に従いまして四つのことをお願いしておきたい。  一番初めは、反ソ反共をやつてつて、はたして正確な人員が把握できるかできないか。簡單にいえば、少くともソビエトなり中共なりが、日本に正常なる形において引揚者を早く帰さなければならぬというように、向うに非があろうとも日本政府としては言うのがあたりまえです。日本政府アメリカに対してだつたらやつているじやないか。ソビエトに対してそれをやらないのはどういうわけか。  次には、日本で何人引揚げをやつておられる人たちがあるのか。いわゆる未復員者、またそれに該当しないで待つておられる人たち、また当てにしないで待つておられる人たちも合算いたしまして、その人たちの数を知らしていただきたい。それからその人たちに対してどういうふうな給与をしておられるかということを知らしていただきたい。  また引揚者のその後の就職率及び就職されたところの職種を知らしていただきたい。それからできますれば、就職しておられる方々が持つておられる感想も聞かしていただきたい。  それから一番最後の結びといたしまして、引揚げ援護に当られる方が、少くとも齋藤援護庁長官のおつしやいましたようなことをおつしやらないようにしていただきたい。それについてこういうことを言つておられる。「信洋丸、明優丸事件について、高砂丸問題もあるのでその後の引揚げ実情観察の目的で来た。今回のような問題の起つたことはまつたく申訳ない、ほんの一部に虫つきがあつたことが、今回のトラブルの発端となつたことは不幸である。引揚者には、正しく早く民主日本の現状を教えてあげ、一日も早く帰郷されることにしたい。最も心配するのは就職のことだ。一般工場や会社で、今後就職がむずかしくなつたり、拒否されると困るので、この点もよく理解とあたたかい方法で努力したい。一般国民については、むしろ引揚げ促進運動より、同情がなくなるようになるのを恐れている。」こう言つておられる。これは新聞紙上の言であつて、京都新聞に出た問題である、同時に朝日、毎日にも出た。この中に盛られておるのは、引揚者として帰つて来られる人が、いつまでも資本家というものがあつて、資本家に搾取されなければならない。お前は日本で資本家があてがうところの賃金ベースで働け、吉田首相がきめるであろうところの、給料を上げても上げなくてもかまわない、お前は奴隷なんだ。奴隷として帰つて来る人間が、自由人として振舞うたならば、就職口がないぞという見解から、活発に帰つて来られるところの自由人、引揚者に対するところの態度を見られないようにしてもらいたい。そういうような観点から先ほどの調査項目を知らせていただきたい。これを希望しておきます。
  29. 砂間一良

    ○砂間委員 私今度初めて引揚げの方の委員になつたのですが、最初にお伺いしておきたいことは、政府当局の方が、どつかから材料、数字の基礎を持つて来られるのは、自由でありますけれども、委員会へ提出される資料につきましては、一応政府が責任を持つて提出しておるわけですね。その点をまず最初にお尋ねしたいと思います。
  30. 矢野酉雄

    矢野政府委員 責任をもつて提出しております。
  31. 砂間一良

    ○砂間委員 そうすると、この発表されたところの数字につきましては、十分お答えができるわけですね。
  32. 矢野酉雄

    矢野政府委員 できる範囲においては、秘密を守るべき命令がない限りは、全部申し上げます。ただ御承知のごとく政府数字を公表いたしております以外に、事実において一切の調査権がございませんので、たとえば、満州において與安嶺の中に、もう日本人はおらぬであろうというふうな、数字としては現われておつても、そこに現地において政府みずから直接調査し得ませんので、現実においては、あるいは密航船等に乘つて引揚げて来るようなことは、現実においてあります。樺太からも、その他北鮮、南鮮からも、密航船に乘つて引揚げた方が終戦後相当ありまするので、それらの数と公表の数が、完全に数学的に一致しないということも、それはあります。しかしながら公表申し上げておることについては、政府は責任を持つて公表しておる次第であります。  それからさいぜんの御質問の中に、ちよつと秘密会議でありませんので、公表せられた場合、もしも政府の責任になるやに誤解を招くおそれなくもない御質問がありましたので、お答えしておきます。ソ連の大使館に対していろいろな方々が過般お出ましになつたときに、議員の記章をつけた人がおいでになつて、何かそれが厚生省ないしは援護庁等においてこれと連絡をとつてソ連大使館に陳情をしに行つたかのように、もしもお考えであるならば、これは断じて関係がございません。対日理事会、総司令部等を経ずして、政府が直接の外交交渉をする何らの権限がございませんので、この点は明らかにしておく次第でございます。  それからもう一つソ連当局に対して、連合国を通し、しばしば死亡人員等の御発表を願いますが、一回も総司令部から、その回答を得たことがありませんので、ソ連で何万人死んでおられるか、現に矢野の次男も終戦翌年の二月十五日にワシコフの病院で死んでおりますが、今もつてソ連当局からは、連合国を通して死んだ旨の公表がなく、ただ国内的に事務的の処理としては承つておりまするけれども、そういう現実も私の身近にありますので、数字等の問題は、当然公表せられたるもので、お帰りになつた方を差引いた残りは、今なお生存していらつしやるであろうということは、日本政府は固く信じておりまするから、その方々がお帰りになるように、万全の処置をとつておる次第でございます。
  33. 砂間一良

    ○砂間委員 先ほど倭島局長の方から、中共地区から二千八百六十一名、今年帰られたというふうに街報告になりましたが、この中共地区というのは、この引揚げの表で見ますと、どこに当るでしようか。中国に当るのでしようか、滿州に当るのでしようか、それともどこに当るのでしようか。
  34. 宮崎太一

    宮崎説明員 私が先ほど中共地区と言いましたのは、はなはだ明瞭でございません。大連から参りました帰還者の数でございましたので、東北地区だけが主でございます。それから大連からもございます。
  35. 砂間一良

    ○砂間委員 大連地区引揚げにつきましては、今日渡された資料によりますと、もう子定数はゼロということになつておりますが、ゼロのところから、どうして二千八百人も帰つで来たのでしようか。
  36. 倭島英二

    ○倭島政府委員 この表について私の承知しているところを申し上げます。従来も本委員会で、私の承知しているところを御説明した次第でありまして、今日も大体同じような説明になりますが、この表の中のゼロと書いてあるのは、私の承知しております限りでは、引揚げ対象基本数から引揚げて来られた方を引いて行つて、そこにゼロとなつているわけでありまして、しかもこの引揚げて来られた方々は、一人二人と数えた数字で、現実に帰つて来られた人の数字であります。それから引揚げ対象基本数と、そこへ括弧して推定数となつているはずですが、これは現在の状況引揚げの対象になる数字という見積りであります。従つて戰犯の関係だとかその他の関係で、まだ外国へ残つておられる同胞があることは、われわれも承知しており、その数をできるだけはつきりつかみたいと思つて、いろいろ努力をしているわけでありますが、その戰犯の関係だとかその他の事情で、現在引揚げの直接対象になることが考えられない際には、この推定数の中に入つていないと思います。大連地方におきましても、引揚げの対象にすぐなり得るということになれば、最後引揚げ予定数のところは、ゼロとなつておりますけれども、引揚げ対象数がそれだけふえるわけであります。従つてこの表はどこまでも引揚げ関係だけを見た表であると承知しております。
  37. 砂間一良

    ○砂間委員 そうすると、この引揚げの基本数というものは、一つの推定でありまして、信用の置けないものですか。
  38. 倭島英二

    ○倭島政府委員 この点も、先ほどから繰返して申し上げておりますが、日本政府といたしましては、最も信用し得る、またしている数字であります。しかし、それはそこにも書いてあります通りに、推定数であります。
  39. 砂間一良

    ○砂間委員 その基本数がぐらぐらとかわつたのでは、少しも信用が置けないと思います。たとえばソ連地区に三十万いるとか、二十万いるとか言つたといたしましても、それは一応この基本数から割出して言つていることだと思うのですが、その基本数がふえたり減つたりして行つては、三十万と言つても、その数も私どもは何ら根拠がない、信用が置けないということになるわけでありますが、その点はどうですか。
  40. 倭島英二

    ○倭島政府委員 先ほど説明申し上げましたような事情で、ふえることはわかりますが、減つてはおりません。それからこの数字を御信用になつて問題いないと思います。その推定数という意味において、ほかにこの数字以上に、さらに信用すべきだという数字をわれわれ承知しておりません。その範囲において、推定数として御信用になつてさしつかえないと思います。
  41. 砂間一良

    ○砂間委員 数字のことをややつこしく言うのは、あまり本意ではないけれども、とにかく今数字の問題が、特にソ連地区引揚げに関連して問題になつておりますので、なおもう少し御説明願いたいと思うのであります。そうすると、中共地区から帰つて来た二千八百六十一名というのは、これは滿州地区の方の引揚げに関するわけですか、大連の方に関連するわけですか、どつちの基本数に関連するわけですか。
  42. 倭島英二

    ○倭島政府委員 この表では、大連から帰つて来られたので、大連数字の中へ入つておると承知しております。
  43. 砂間一良

    ○砂間委員 大連の基本数を見ると、四月は二十二万三千九十三名、十月の基本数は二十二万五千九百五十四名で、つまり千七百三十四名しか違つておりません。そうするとあと残りの千百二十七名は、一体どういうことになるのですか。
  44. 倭島英二

    ○倭島政府委員 四月の発表数字は、今私手元に持つておりませんので、どういう数字になつておりますか、あとで調査してお答えいたします。
  45. 砂間一良

    ○砂間委員 もし大連を経由して滿州地区から帰つて来たのであるなりば、滿州地区の基本数なり、あるいは残留者数なりは、かわつておらなければならないはずだと思う。ところが滿州地区の基本数は、四月も十月もかわりはありません。大連地区の方は、基本数の方をいじくつて、かつてに変動してあるのでありますが、しかしその数は、先ほど中共地区から帰つて来たという二千八百六十一名という数とは合いません。ここに私どもの合点が行かないでたらめがあります。なお申し上げますならば、中国地区の基本数は、四月は百五十万千百十四名であり、十月は百五十万千二百三十七名になつておりますが、この百二十三名の増加の理由をはつきり承りたいと思います。
  46. 倭島英二

    ○倭島政府委員 今申し上げましたように、手元に四月のを持つておりませんし、その事情も、調査してからお答え申し上げたいと思います。
  47. 砂間一良

    ○砂間委員 委員会政府資料として発表した数字について、説明ができないという、そんな無責任なことがあるか。もし四月の資料がないならば、貸してやる。はきり説明しなさい。あくまで説明を要します。
  48. 玉置信一

    玉置委員 私が先ほどから横田、砂間両委員の御質疑をいろいろ承つておりまして感じたことは、先ほど矢野政務次官の御答弁にありました、連合国側からのソ連地区の死亡数について何らの回答に接していないということであります。この数字についての問題を的確に把握するということは、ソ連が連動国を通じて日本政府に知らせてくれるということ以外に、的確な数字を把握することはできないのではないか、かように私は思うのであります。そこで、横田委員は退席されましたが、横田委員に、私から希望申し上げたいと思つてつたのですが、反ソ反共の運動をしておつて帰せと言つても、それはむりではないか、その実があがらないではないかという御説がありましたが、私はこれは少しく間違つた意見ではないかと思うわけです。すなわち、私は寡聞にして未だ聞いておりませんが、政府自身が反共反ソの運動をしておるということを、かつて聞いたこともございません。かりにまた民間の一部にそうい者があつたといたしましても、ポツダム宣言によりまして、終戰後在外同胞はすみやかに日本に帰して、平和産業に服さしめるという原則をうたつてあるわけです。従いましてこの宣言はそうしたイデオロギーとか、あるいはイズムの問題にとらわれて、送還するしないというような制約を加えることのできないものであろうと思うのであります。従つて、もし横田委員の言われるようなことが、かりにあるとするならば、私はこの場合、共産党がそのイデオロギーの点におきましても、ソ連にきわめて通じるものがありますので、共産党の方々も、やはり政党政派を超越して、わが同胞のために最善の手を打つて、この促進をはかるとともに、ソ連からの数字を、連合国を通じて日本政府の要望しておる通に答えていただくように努力していただきたい、かように希望するのであります。
  49. 砂間一良

    ○砂間委員 いろいろ玉置君の意見や、先ほど政務次官お話もありますけれども、先ほどに引続きまして、もう少し質問したいことがあります。とにかく中国の基本数もそうでありますが、そのほかにも同様の問題がたくさんあります。たとえば台湾地区の四月の基本数と十月の基本数を見ましても、二百五十名も増加しております。それからハワイを見ましても、八十名も基本数が違つております。香港を見ましても五名、南鮮に五百五名、蘭領東インドにおいても二十七名、北部仏印においても四十五名、フィリピンにおいても十三名、琉球においても二百四十四名、東南アジアにおいて二十八名というふうに、基本数が月々の発表によつてみな違つておる。こういうでたらめな基本数を基準にして、残留者の数を推定することはできないと思うのです。ソ連地区の基本数にしましても満州なり、そのほかを経由して帰つて来た人を、みな基本数をふやして、残留者の数は依然としてたくさん残つているような計算になつでおる。それでは、いくら帰つて来たといつても、いつまでたつても二十万、三十万の残留者が残ることはあたりまえだ。帰つて来た人数を、月々基本数をふやして行つて、残留者の数が依然として残るような、そういうトリツクというか、そういう計算方法では、二十万、三十万と言つても、その根拠を私どもは疑わざるを得ない。たとえばこの一九四九年十月一日現在のソ連地区の基本数は、百二十七万七千八百九十九名となつております。米ソ協定以後の引揚者の数は九十八万三千九百三十一名であります。従つてその差の二十九万三千九百六十八名というものは、協定前にソ連地区から引揚げて来たという数字になる。ソ連地区からの引揚者の総数から、米ソ協定以後引揚げて来た人の数との差、二十九万三千九百六十八名は、とにかく帰つて来ているのであるから、米ソ協定以前にこれだけの人が帰つて来たということにはつきりなるわけであります。ところがこの数字を一体どこに入れてあるのかお伺いしたい。
  50. 倭島英二

    ○倭島政府委員 先ほど基本数の少し動いたものについて御指摘ありましたが、それはその後の調査なり、連絡なりが確実になつて参るに従つて、またなおその調査の関係引揚げ状態が飛んで来たために、基本数のところへ加わつてつているわけであります。それから第二点の二十九万三千九百六十八名という数字は、この表では北鮮の中へ入つております。
  51. 砂間一良

    ○砂間委員 北鮮数字は四月の発表を見ましても、あるいは十月の発表を見ましても、南鮮経由ですでに帰つて来てしまつてゼロということになつておるわけです。そうするとソ連地区から帰つて来た人の二十九万三千九百六十八人というものは、北鮮から南鮮経由で帰つて来たということで、北鮮引揚者の数に加えてあつて、現実にソ連から帰つて来たのであるけれどもそれを北鮮引揚げないしは南鮮経由の引揚げということにして、それで実際にはソ連から帰つて来た人を北鮮の数の中にぶち込んで、その人たちは現にソ連に残つているという架空の数字をつくつたのでありますか。
  52. 倭島英二

    ○倭島政府委員 架空の数字ではありません。
  53. 堤ツルヨ

    堤委員 砂間委員にちよつと私——たち引揚げの特別委員として一番責任のありますことは、今御追究になつておる残留しておるところの邦人の数の問題であります。それは政党、政派のいかんを問わず、決定的に国民の前に責任を明らかにしなければならぬ問題であるにもかかわらず、ただいま玉置委員もおつしやいました通り、はなはだ残念ながら真相の発表がないがゆえに、今日いろいろといたしておるのであります。今共産党の方々を御指摘するのは、妥当を欠いておるのかもしれませんけれども、これは政府委員共産党員だけの海外同胞引揚委員会ではありません。あくまでも公正な立場から、私たちは真相を把握するべく、この委員会を進めて行かなければならない。その意味において、政府委員にも私は責任があると思います。その数に違いがあるということは、まことに国民に対して申訳がないところでございまして、今後一層真相に向つての御勉強を願つて、確実な発表を願うものでございます。共産党の委員も、共産党的な立場から数に対する立場を追究しようとなされるにおいてすることは、はなはだ遺憾であります。これは同席しておられる委員も、全部お感じになることであろうと私は思うのであります。超党派的な立場から、私は政府は、現在自分の家族で帰つて来ない、つまり留守家族が全国に幾らあるかという正しい統計をとり、そうして人道的な立場からソ連政府が正しい——たとえば留用しておる者、病人である者、死んだ者、今日帰りたくて困つておる者の数の真相を発表されて、それと照し合せて、国民は初めてはつきりいたすのでございす。この二つの方法をいかに促進して行くかという以外にございません。その立場におきまして、私は閉会中もずいぶんと研究いたしましたけれども、私たちが超党派的に、どうすれば中共地区交渉して行くか、うまくこれをこちらへ帰すことができるかというような方法について、お役に立つところの政党があるならば、その政党に私たち国民の代表として手を合せて弄んでも、やつてもらわなければならないというような意味で、私はあらためてこのことを、友党であるところの日本共産党に、社会党の立場からということでなしに、国民の立場からお願い申し上げたいという気持を持つて出ておつたのでありますが、あまり政党色をはつきり出しまして、政府委員の誤りを共産党的な立場から御追究になつて、貴重なる時間を二時間もお費しになるのは、非常に残念でございます。委員長もその辺の采配をもう少しあざやかにしていただきたいということを、社会党の委員の一人ということでなしに、委員の一人として申し上げます。
  54. 池見茂隆

    ○池見委員 堤委員お話は、私も同感であります。いたずらに共産党をかれこれ申すわけではないのでありまして、超党派的の問題であるということは、私は前から申し上げておる。その意味において私が今日伺いたいことは、ここに書いてございますが、北朝鮮抑留者がまだ残存しておるという事実を承つたのでありますが、この点について政府はこれをよく研究していただいて、もしそれが事実とするならば、私はこれは一刻も早く引揚げ促進の方法をとつていただきたいということを考える。  第二番目には、これは去る五月に発表されたあの九万五千の数であります。しかし当時われわれ全国民は、まだ四十数万の抑留者があると聞いておつたのでありまして、これに対する相違がいかに大きかつたかということについての、国民の驚きというものは、実に大なるものがあつたのであります。その後参議院委員会、あるいは衆議院の委員会または合同委員会で、ソ連政府にその確実なる数の発表を嘆願しておるのでありますけれども、今日に至るまで、当時発表した数を信じ得ないことはまことに遺憾であるという一言でもつて、今日なおはねつけられておる状態は、少くとも国際信義、人道上から言つても、まことに遺憾に感じておる次第でございます。これを向うの話によつてそういうふうにされることは、はなはだ残念でありますがゆえに、あの発表のありました後における委員会において、さつき堤委員からお話がありましたように、それでは国内的にいまだ帰還せざるところの家族に対して、支町村の役所、役場を通じて、これが申告を促進する必要があるということも、この委員会お話が出たのであります。その申告の手続き、その調査表の日本におけるところの動向がどうなつておるか、今日その数時をひとつ説明していただきたいということが一つ。  それから中共地区におきましては、現在四万五、六千程度の抑留者があるということを聞きますけれども、これも先日の促進大会におきまして、まだ六万程度のものがあるという、今度大連地区より引揚げられた人の話であります。その真偽のほどははつきりしませんけれども、実際において、かの地から引揚げられた人のお話としたならば、一応私どもは肯定のできるものではないかと考えられる。この点において、中共地区における抑留者については、さつきからの説明を聞きますと、ソ連以上に数字を明らかにすることは困難だというお話でありますけれども、これに対しましても、政府はさらに慎重にこの数字の把握について、引揚者その他に対して、私はぜひ直接会うなり、あるいは政府並びにその関係方面に折衝をして、いずれにしましても、私は数が根本的な問題となるために、これを発表することが、一大安心感を与えるものであるということを考えます。  最後に私どもといたしましても、今の数の点より、政府においても、いま少しこの発表数字に対しましては、そのときどきにおいて、この数の相違あるいは増減等のことにつきまして、十分御研究の上、委員会においてなるべくその場においての説明をしていただくように要望しておきます。
  55. 堤ツルヨ

    堤委員 今、委員から御発言がございましたように、留守家族の実態調査につきましては、第五国会のこの特別委員会においても、ずいぶんわが党からは受田理事長を通してすでに発言をいたしました。この委員会におきまして、留守家族が幾らあるかという政府が御研究になつた確たる数が、発表できないということは、ないと思います。また必ずしてもらわなければならないと思いますので、即刻お調べになつた数を御発表になつていただきたいと思います。
  56. 倭島英二

    ○倭島政府委員 この数の問題につきましては、皆様御存じの通りだと思いますが、現在の政府の承知しておる関係その他について、御説明をいたしまして御了解をお願いしたいと思います。  先ほどから問題になつておりますこの司令部発表の表について、政府がそれを日本式に訳して皆様のところへ差上げたわけでありますが、現在といたしましては、この表が最も信頼し得る表だということを申し上げておるだけでございまして、そのほか、この数字の究明につきましては、政府はあらゆる努力をいたしております。その一つといたしましては、終戰後から司令部を通じまして、関係政府——ソ連のみならず、外地にわが同胞なり、軍隊が出ておりました関係政府に連絡をしてもらいまして、われわれの同胞の外地におられるあらゆる関係を明らかにしたいと思つて、努力して来たわけであります。大体ソ連以外の地域におきましては、現在戰犯関係も、その容疑者関係も、大体数字はつきりして参つております。軍関係においては、あるいはいろいろな軍の戰闘状況その他で、どの程度までおわかりになつているか、まだ多少現在も検討中のところがあると思いますが、大体ソ連以外の地域の数字は、政府は相当確実と申しますか、真相に近いところまで来ておると思いますが、この数字発表については、また適当な時に行われるのではないかと思います。ただソ連関係におきましては、従来司令部を通じて何回お願いをしても、一回も公式の返事がありません。従つてこれについては、今年におきましても、その全体のいろいろな数字のみならず、死亡者だとか、健康状態だとかということについても、司令部を通じてお願いしておるのでございますし、この前のいわゆる新聞発表の九万五千なにがしと伝えられたあとにおいても、政府はさらに文書をもつて、あるいは口頭ではしよつちゆう頼んでおるのでありますが、何らソ連からは来ておらないということで、ソ連関係については、はなはだこの数字の検討について困難がある。  それから先ほどから御指摘があつたように、それではソ連関係がないならば、国内の関係はどうかと言いますと、国内の関係ではこれもあらゆる手を盡しております。軍人関係の方も一般邦人関係の方も、大ざつばに申しますと、一つ引揚げて来られた方から、現地に残つておられる方——どういう人はまだどういう状況で残つておられるかという情報を、いろいろ集めております。それが一つと、それから留守宅でお待ちになつている関係がありますので、留守宅の関係から、またどういうふうになつておるかということを調べております。但しこの留守宅の方の関係は、御承知の通り留守宅のないものが大分あります。ことに樺太からの方だとかの関係では、全然留守宅の方を通じて情報を得ることのできない場合が、約八割くらいある。これまで樺太の方からの関係では、八割から九割近くまでは留守宅がございません。あるいは親戚がないということで、留守宅届だけで、それではどれぐらい向うに残留しておられるかということを確定するところには、なかなか困難がございます。従つて政府といたしましては従来も留守宅の関係引揚げて来られる人から聞く関係、その二つをいろいろと努力をして調査しておりますが、遺憾ながら現在これがそういう関係から出て来た現地の未引揚げの数でありますということを、報告する段階にまだ至つておりません。しかしながらこれほ適当の時期に発表せられることになるだろうと思います。
  57. 堤ツルヨ

    堤委員 倭島政府委員は、私の質問をわざとポイントをばずしていらつしやるように私は解釈いたします。もし誤解であつたならば、お許し願いたいのでありますが、私の勘では、ポイントをはずされておるように思うのであります。とにもかくにも市町村単位というものが、末端へ行けばあるのであります。特に戰災でむちやくちやになつた青森の町であるとか、また東京のまん中であるとかいうようなところは、今おつしやいました留守家族があてにならないということの御答弁は、出ると思うのでありますが、全国的な市町村の組織を通じて、あなたの御命令によつてすでにデータというものは、はつきりと未復員留守家族というものの数はでき上つて、すでに報告済みのはずでなければならない時期になつておるのであります。倭島局長はそれを、とにもかくにも何月に調べ上げたところによればこれだけの数であると言われるが、少くともこれだけの未復員者留守家族が泣き、むすこを待つておる家庭があります。今日政府の要人、あなた方がこの月々の統計をおとりになつておらないということは、国民に対しても言えないはずであります。でございますから、少くとも第五国会で問題になつたならば、六、七、八、九、十の毎月のデータぐらいはおありになつて、未復員者という届けのとれている数はこれだけあるということを、ここで今お示しにならなくては、うそだと私は思うのであります。もしおできにならないならば、これはまつたく言葉通り政府の怠慢であります。私は国民にかわつてあなたを難詰いたします。その点、今ぼやかさないで、もう少しポイントを向けて御返答を願います。
  58. 倭島英二

    ○倭島政府委員 別に言葉をぼやかしたつもりではございません、一般の御説明を申し上げたわけであります。それでもう一つつけ加えますが、さきの例は、柳太の例を申し上げたわけでありますが、もう一つ例を申し上げますと、最近大連から帰りました山澄、高砂二つの船によりましても、帰つて来た人たちと、それから留守宅家族で、帰つて来ないという関係を、家族の方からお届けになつた方と比べて見ますと従来政府でお願いして、留任宅家族から、うちの者が帰つて来ておらぬという届けのあつたものは、帰つて来られたものの約三割ぐらいで、あとの七割は留守宅家族から届けがなかつた状況であります。従つて私が申し上げましたのは、もちろん政府は、従来の軍関係も、一般邦人関係も、あらゆる努力を盡して留守宅家族の方からの情報を集めて、その関係でどれくらいまだ未帰還の人があるということについては、努力をして集めておりますが、その集計は今御説明申し上げましたように、大連からの関係でも三割足らずしか届出が出ておらない。その届出を基礎にいたしまして、未引揚げ人たちがこれだけであるということを発表するとはなはだ内輪と申しますか、誤解を招く数字になると思うわけであります。従つて、この点は御了解いただきたいと思います。いずれ適当な調査が進みました機会には、発表せられることだと思いますが、現在の政府の握つております数字といたしましては、まだこれを発表する時期でないと私は思つて——特に私の今申し上げておりますのは、外務省としては一般邦人関係でありますが、そういうような事情でありますので、御了解いただきたいと思います。
  59. 矢野酉雄

    矢野政府委員 さいぜんの堤委員の御質問並びに御意見に対しては、政府としては、まつたく同感でありまして、むしろその積極的な、また妥当な御態度に対しては、敬意と感謝を心から表しております。もちろん御説のごとく未復員者給与法を適用せられておる者の数も明確であります。さらに特別未帰還者の数も明確であります。皆様の御審議によつて予算をちようだいし、その予算に基いてやつておりますので、その二つの点は明確にわかつております。しかしただいま政府事務官の答弁は、今の御質問の急所よりも、もつと範囲を広めて、未復員者が幾らであり、未帰還者が幾らであるという正確なる数を、どうして実は調査し、計算してお答えするかということについての、その過程の苦衷を述べておるのでありまして、もし許されるならば、現在わかつておりまする数だけでも、実はここで私発表させたいと思つておるような次第でございまするが、大体今月の二十日までのうちには、あらゆる調査が——再調査も今命じておりますので、てきるだろうと思います。そうして、しかもその調査が公表することを許される限りにおいては、この委員会はつきりと公表を申し上げます。とともに、もしも秘密会においてならばという條件附きであるならば、その方法もとつて御意に沿いたいと思つております。ただ数字の正確なるものを発表するためには、実は八月十五日の終戰戦後の十八日まで、実は滿州においては動員するというようなふうで、それらの実際の数を公の帳簿として持つてつたのを、全部焼却してしまつておるような実情で、正確なる残存日本人の数並びに死亡者の数、あるいは抑留者の数というものを算定することは、非常に難中の難事でありますので、さいぜんから政府が今頼つておるものは、総司令部発表の数によつておる次第でありますが、国内的に処理せらるべき問題は、実はお帰りになつたかつて軍人軍属の諸君、一般邦人の諸君並びにまだ帰らざる未復員者、未帰還者の家族についても、今十分の調査を再度やらせておるような次第でありますから、しばらくの間、その実数を発表する自由が許されるまでお許しを願いたい。もし行政官庁等の今までの陋習として、いたずらに、官吏諸君が秘密のみを守ろうとするところがあるとするならば、これら厚生省内の空気は一掃して、それらの陋習を改めたいと考えておる次第でありますから、しばらくの御猶予を願います。
  60. 堤ツルヨ

    堤委員 矢野政務次官の今おつしやつた一言々々は私は了承いたします。しかし実際にこの引揚げ援護に関する事務を具体的におやりになるのは、政務次官ではございません。ここにお見えになつているところの倭島局長には、全責任があるはずでございます。私はあなた方の親心はよくわかります。しかし少くとも国民の前に、これだけやかましい未復員者の問題に対して、政府は手の届かないところはいざ知らず、われわれの誠実と御奉公によつて調べ上げたものはかくかくのものであるということは、何も秘密にする必要はないのであります。しかも私が今御答弁を要求申し上げておりますところの問題は、司令部に頼らなくとも、またソ連政府の誠意ある回答を待たなくても、国民の前に明らかにできる問題でありまして、当然目下進行中というような御答弁は、いかに矢野政務次官が私に屈服せよとおつしやつても、屈服できないものがありますので、私は重ねてこの点申し上げておきます。少くとも第五国会から今日までの間に、一回もそうした報告がなされないということは、私は国民に対して誠意を欠いておると思います。何ら資料を、いまだ確かなデータをお持ちになつておらないと解釈をいたして、よろしゆうございますか。私は留守家族にそういう態度で当りますが、政府当局の弁明を伺いたいと思います。
  61. 倭島英二

    ○倭島政府委員 先ほどからの私の御説明申し上げたのが、あるいは言葉不足であつたので、御了解いただけないと思うのでありますが、政府といたしましては、あらゆる努力をいたしまして、その調査を進めております。ことに私の外務省の方で責任をとつておるのは、一般邦人関係でります。軍関係の方は、援護庁の方で御調査になつておられます。私の責任をとつております一般邦人関係につきましては、これは現在ある程度のところまでは調査が進んでおります。それはある程度の確実なものもわかつておりますが、これにはほかの関連する事柄もございますので、先ほど矢野政務次官から一言お話がございましたが、軍関係の問題、それから一般邦人関係の問題、そういうものと、また他の関連事項ともにらみ合せまして、政府が間もなくこういう状況でありますということを発表する時期になるかと存じます。この委員会で現在までの結果を発表することができませんのは、はなはだ遺憾でありますけれども、その点御了承を願いたいと思います。
  62. 池見茂隆

    ○池見委員 ただいま局長の説明も聞きましたし、堤委員の要望されたことは、私も同様に要望したことであつて、これは政府として今証明になつたことにおいて、まだ今日までその実態をここに発表する時期ではない。それは決して秘密とかいろんなことのためにあらずして、とにかく発表することによつて最も国民が安心し、最もその数を確実にわれわれが把握することにおいて、一つの技術があるものだという政府の意向は、よく私は推察できるのであります。それであるがために、私は、また本委員会としても要望したいのでありますが、でき得る限りすみやかにその数を発表していただいて、そうして抑留者の数なり、未帰還者の数なりが、委員会においてうなずける日の早からんことを要望するのであります。この意味合いからいたしまして、今日はまだあとに、この委員会の運営等についての話もありますけれども、少くとも今日は二時間半を過ぎたような状態になりましたから、一応これで散会していただきたいということを要望いたします。
  63. 天野久

    天野(久)委員 話がかわりますが、未復員者給予法の改正が出ております。清鉄もしくは華北交通等において、ロシヤ語あるいは中国語が上手のために、現地で軍に雇い上げられたというか、頼まれて軍に従事して、そのまま帰還しない者がある。これに対して、現在の法では給与を与えられないことになつておりますが、これはやはり軍属同様に与えられることが当然ではないかと考えます。政府の御意見を承りたいと思います。
  64. 矢野酉雄

    矢野政府委員 まつたくごもつともな御意見でありますから、御意に沿うように改正すべく、政府関係当局と折衝いたしまして、相当明るい見通しをもつておりますので、近々本院に対して御協賛を願うよう提出したいと思います。
  65. 中山マサ

    中山委員長 それでは本日はこれで散会いたします。     午後零時二十三分散会