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1949-11-26 第6回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十六日(土曜日)     午後二時十一分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君   理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 松本 一郎君 理事 米窪 滿亮君    理事 田中 堯平君 理事 大西 禎夫君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       尾関 義一君    片岡伊三郎君       黒澤富次郎君    小西 寅松君       土倉 宗明君    坪内 八郎君       滿尾 君亮君    清藤 唯七君       柄澤登志子君    山崎 岩男君       飯田 義茂君    石野 久男君  出席政府委員         運輸政務次官  原 健三郎君         運輸事務官         (運輸大臣官房         長)      荒木茂久二君         運輸事務官         (大臣官房観光         部長)     間嶋大治郎君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君         運輸事務官         (自動車局長) 牛島 辰彌君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     中村  豐君  委員外出席者         議     員 小淵 光平君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君 十一月二十六日  委員小川原政信君、關内正一君、高木章君、及  び川端佳夫君辞任につき、その補欠として岡田  五郎君、尾崎末吉君、尾関義一君及び小西寅松  君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 十一月二十五日  国際観光事業助成に関する法律案内閣提出  第五六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人意見聽取に関する件  日本通運株式会社法を廃止する法律案内閣提  出第四五号)  通運事業法案内閣提出第四六号)  日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会  社の施設処理等に関する法律案内閣提出第  四七号)  国際観光事業助成に関する法律案内閣提出  第五六号)     —————————————
  2. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これより運輸委員会を開きます。  これより国際観光事業助成に関する法律案議題といたし、審議を進めます。まず政府より本案に対する趣旨説明を求めます。
  3. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 ただいまから国際観光事業助成に関する法律案提案理由について御説明申し上げます。  御承知のごとく、戰後におけるわが国経済的復興と、国際親善の増進をはかりますためには、国際観光事業振興にまつところきわめて大なるものがあるのでありまして、現に海外事例を見ましても、イギリスフランススイス、ベルギー、カナダ、メキシコ等、欧米の諸国はいずれも観光事業振興に大きな努力を拂つているのであります。たとえばイギリスにおきましては、戰後新設された公益的観光機関たる観光休暇局に対しまして、昭和二十三年度は四十二万五千ポンド、邦貨にいたしまして約七億六千万円の補助金交付し、またスイスにおきましても、同じく公益的観光機関である中央観光局に対しまして、年々二百五十万フランの定額補助金に加え、五十万フラン以内の臨時補助金、合せて邦貨約二億七千万円を交付し、観光宣伝積極的展開をはかりますとともに、観光施設整備促進外客接遇充実等に非常な努力を拂い、大なる成果を收めているのであります。  さてわが国におきましては、国際観光事業振興見地から、さきに内閣総理大臣諮問機関である観光事業審議会が設置され、また運輸省には大臣官房観光部が設けられておりまして、同部の指導監督のもとに財団法人日本交通公社が、主として対外宣伝実施及び外客のあつせんに当り、また社団法人全日本観光連盟観光観念普及観光関係従事員に対する指導育成観光地観光資源等開発保存ないし整備等、いわゆる外客受入れ態勢整備に大きな努力を拂つているのであります。  今試みに本年一月から九月までの観光統計を見ますると、入国外人数は約一万八百人、その推定消費額は五百六十万ドル、邦貨にして約二十億一千六百万円の多額に上つているのでありまして、しかも今後なお急激に増加する傾向にあるのであります。従いましてわが国における最も代表的なこれらの公益的観光実施機関活動は、これをいよいよ活発ならしめる必要が痛感されるのでありますが、その所要経費を民間の負担にのみ仰ぎますことは、現下の経済事情から見て不可能であるのみでなく、その事業活動の効果はわが国の全文化、経済ないし産業界にあまねく潤うものであり、従いましてその事業経費相当部分は、イギリススイスフランス等海外観光国事例に徴しまするも、当然国家において負担すべきものと思料するのであります。現に昭和二十三年度におきましては、日本交通公社に対しましては五百万円、全日本観光連盟に対しましては一千万円の補助金交付したのでありますが、本昭和二十四年度におきましては、均衡予算の影響を受けまして全額削除され、ために諸般の国際観光事業実施する上におきまして、致命的な制約を受けるに至つたのであります。四囲の情勢の好転と相まち、海外に対しまして積極的な外客誘致宣伝を展開いたしますとともに、内におきましてはこれに呼応し、外客受入れ態勢整備に邁進すべきときにあたりまして、この事実はわが国際観光事業界にとり、重大暗影を投ずるものと言わざるを得ないのであります。  その後種々折衝いたしました結果、幸いに本年度補正予算案中に若干の補助金を計上し得たのでありますが、補助金交付法律に基くべきであるという建前によりまして、お手元に配布してありますような法律案を作成し、本国会に上程することといたした次第であります。  次に、本法案内容について申し上げまするに、まず第一條において、国際観光事業振興いたしますため、対外観光宣伝を初め、観光地観光資源開発保存ないし整備観光観念普及観光関係従事員指導育成等外客誘致促進に資し得る各般の事業に携わつております非営利の観光機関に対しまして、その事業の遂行に必要な経費の一部を政府が補助し得る旨規定いたしておるのであります。  次に第五條において、この法律によつて交付される補助金は、国際観光事業振興に役立たない用途使用することを禁ずる旨規定し、また第四條において、もし当該観光機関が当初に申請した事業計画等変更しようとするときは、あらかじめ運輸大臣承認を受けなければならない旨定め、次いで第六條において、運輸大臣承認を経ずにその事業計画等変更し、または国際観光事業振興以外の用途補助金使用したような場合は、その補助金還付を命じ、万一ゆえなくその還付をせず、または補助金を他に流用した責任者がなおその職にとどまつているときは、爾後その観光機関に対し補助金交付しない旨の規定を設けているのであります。そのほか補助金交付申請手続監督上必要な各種の書類及び報告徴收、会計の処理等についてもそれぞれ規定を設け、補助金の有効適切な使用に遺憾なきを期しておる次第であります。  以上、本法案提案理由並びに法案内容につきまして御説明申し上げましたが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げます。
  4. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 本案に対する質疑はしばらくあとまわしといたします。     —————————————
  5. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これより日本通運株式会社法を廃止する法律案通運事業法案及び日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案の三案を一括議題として、審査を進めます。前会に引続き質疑を続行いたします。滿尾君亮君。
  6. 滿尾君亮

    滿尾委員 前会に引続いて、もう少し免許基準のことについてお伺いいたしたいのでありまするが、第六條の第一項でございます。前会は、この需要を測定せられるときに、きわめて目前の短期間をもつてしていただいては、それはあまりに近視眼過ぎる。この事業性格から、ちよつと需要がなくなつたからすぐやめるというものではないのだ。従つてこの需要の測定というものは、相当長期間の動きというものを考慮に入れて、お考えをいただかなければならぬという意見を申し上げ、そのことをお尋ねしたのでありますが、どうも大臣の御答弁にいたしましても、当局の御答弁にしましても、私ははつきりしないように思うのです。この点についてあらためて御答弁を得たいと思います。
  7. 中村豐

    中村(豐)政府委員 先般の御質問のときの大臣答弁にもありましたように、この字だけからはある程度長く見るか、ある短期間だけを見るかということは出ておりませんが、この基準運用して行くにあたりましては、そう目先だけを考えることはいけないだろうと思います。但し経済状態が非常に変動しておる現在でありますから、長期の見通しというものを、先日もお話のあるように達観をして見通せと言われましても、非常にむずかしい問題でありますので、できるだけ長い目で見るように、運用にあたつて努力いたしたいと思います。
  8. 滿尾君亮

    滿尾委員 もとより今お尋ねいたしましたところの要点は、字句に表われておらないのであります。この字句運用せられるときの、條理の解決の問題をお尋ねしておるのであります。ただいま非常に短期間ではないと仰せられましたが、私もまた非常に長期間のことを申し上げておるのではない。しかし一年足らずくらい、最近半年くらいの貨物自動車運輸量というようなことに即応されて、いろいろ論議せられるというような実情が、道路運送審議会等公聽会においてしばしば行われますので、もう少し長期間にわたつて大勢をごらんになるべきじやなかろうかと私は考えますので、とくとこの点念を押しておきたいのであります。もう一ぺん政府委員の御答弁を得たいと思います。
  9. 中村豐

    中村(豐)政府委員 道路運送審議会審議にあたりまして、さようなことがあつたかどうかは存じておりませんけれども、先般来経済界の不況によつて荷動きは非常に減つております。従つてトラツク輸送力が非常に余つていたというような特殊な事情があるために、その点が特別に考慮されたことがあつたのではないかというのが、御質問の根底になつておるようでございますけれども、幸にして九月末ごろからようやく荷動きも活発に拡張し出したというようにわれわれも見ておるのでありまして、ようやく経済界平常化状態にもどりつつあるという現在でありますから、今後はさようなことはないであろう。またなるべく長い目で見て行くように努力いたしたいと思います。
  10. 滿尾君亮

    滿尾委員 しからば期間の点はおきまして、次に一般需要適合の点についてさらにお尋ねいたしたいのでありまするが、陸運事業というものは、他の経済活動に対しましては、これは基礎的な経済活動である。従つてその角度からいえば、一種の基礎活動基礎産業だと思うのであります。従つてかような基礎産業におきましては、その産業能力というものがフルの状態にあるということは、国民経済の立場から見まして不適切であると考える。常にある程度の余力を存すべき形態にならなければならぬ。もしある瞬間におけるトラツク輸送力なり、あるいは通運事業輸送力というものが、ちようど需要に百と百とマツチしておるという状態がありとすれば、新しい産業活動というものは、ここに輸送力の不足によつて阻まれるという現象が起きて来る。従つて一般需要適合性というものを検討いたしますときに、この陸運特殊性にかんがみまして、少くとも常時ある程度の余剩力を存しておるのが、正しい見方の需要適合性だと考えるのであります。この点について政府当局意見をお伺いしたい。
  11. 中村豐

    中村(豐)政府委員 御説のように、輸送力というものはすべての経済活動の基盤になるべきものでございますから、ぎりぎり一ぱいの程度では、非常に不足するというような事態が起つた場合に対処できませんので、相当の余裕があることは最も望ましいことでございます。従つて一般需要と、ここにあります基準適合するにあたりまして、需要供給の判断をする場合にも、百という需要があつた場合に百だけの供給力があるのでは、十分ではなくて、ある程度百何十というふうに百を越した力があるべきである。そして百を越したその部分で、あるいは経済界の変動に対応するところの輸送力の波動を消化し、またその幅でもつてサービスを相競い合つて、いい供給をする。こういうことが必要であるかと思うのでありまして、決して百対百というふうなきゆうくつ考えは持つておりません。
  12. 滿尾君亮

    滿尾委員 陸運事業のベイシツクな性格にかんがみ、ある程度の彈力性を持つておることが常態であるという御答弁でありまして、この点につきましては私の非常に満足するところであります。これを要するに免許基準運用にあたりましては、すべからく條理に基いて公平な穏当な解釈をしていただきたい。私はこの字句に現われておりますることが、きわめて抽象的で簡單でありまして、実際の運用にあたりましてはなかなかこれがむずかしいと思う。このことをとくとお願いいたしまして、この点に関する質問を打切ります。  その次にお伺いしたいのは、十三條でございます。「通運事業のために自動車使用していない通運事業者が、通運事業のために新たに自動車使用しようとするときは、運輸大臣認可を受けなければならない。」こうあるのでありまするが、私はこの新しい自動車認可がどうして必要なのか。その点につきまして御説明をいただきたいと思うのであります。
  13. 中村豐

    中村(豐)政府委員 これは新しく取入れられました観念でありまして、しばしば提案理由説明などで申し上げましたように、今度の法律では通運事業法、従来でいえば小運送業法道路運送法という、両方法律を重複して適用するというふうなむだをできるだけ排除して、行政簡素化をはかりたい、こういう趣旨を取入れておるのでございます。つまりここで言つておりますような通運事業の中の集貨配達ということは、道路の上をトラツクで物を運搬する行為でございまして、これが小運送業法の目で見れば小運送であり、道路運送法の目で見れば自動車運送事業になるというので、両方免許を受けなければいけなかつたのでありますが、さようなことでは同じことを同じ主務大臣運輸大臣が、二重の手続をもつてやるということで、はなはだ国民に不便をかけております。またそういう二つ法律を適用するために、とかくその間に意見の食い違いや齟齬が起るようなおそれもありますので、これを一つにして、一本で行こうという趣旨でございます。従いまして通運事業のために今まで自動車使つていなかつたけれども、新しく使おうとすればトラツク免許がいるのを、もうこちらの通運の方の見地から、自動車を使うことがなるほど必要だということで、運輸大臣認可さえ受けられれば、トラツク免許はよろしゆうございますという趣旨が、この十三條及びこれを受けた附則の7、この條項でもつて道路運送法を改正しておる、その趣旨でございます。
  14. 滿尾君亮

    滿尾委員 通運事業を常む人が、自動車を使うか使わぬかということは、その業務目的を達成する一つ業務上の技術的な手段にすぎない。従つてこれに対して、自動車使用に対して認可する必要はない。どうして自動車を使うというような簡單な、商売上の一つのテクニツクにすぎないものが、こういう行政上の措置を必要とするのであるか。もしお話のごとくであるならば、初めから通運事業に関しては地場運送の権利を与えるということを書いておけばいい。ただその人が自動車を使わない。従つて地場運送行為は必要ないと考えて、自動車を使わないという事業者もあるかもしれない。それはそれでその通運事業者には、あとの十五條トラツク運送事業者のことが書いてありますが、これと同じように相互主義をとつて地場運送さしつかえないという條項を初めから書けばいいのであつて自動車使用に関して運輸大臣認可を必要とするということは、非常に誤解を生ずるおそれがある。またあまりに事々しく自動車使用ということを取上げると、ことに二号によりますと「自動車使用することが当該事業の能率的な運営を図るため必要であること。」こういうことはいらないことである。はたしてその事業経営のために自動車がいるかいらぬかということまで、一々お役人の手を煩わすような組織、それではあまりに役所が微細なことまで立ち入り過ぎるきらいがあると思う。今政府委員から御説明になりました趣旨について断然賛成しますが、もう一歩進んで、もう自動車使用の有無にかかわらず、必要のあるときには地場運送認可を与えると御規定にならないか。御意見を伺いたいと存じます。
  15. 中村豐

    中村(豐)政府委員 通運事業免許につきましては、事業の開始を非常に重く見ておるわけでございますが、その場合にどういう事業規模で、どれだけの能力を持つて、あるいはどういう資金計画でやるかというようなことは、その事業者がその事業を的確に運営し得るかどうかという資力信用見地から見まして、十分にこれは検討しなければいけないのでありまして、ただこの駅で非常に小運送力通運力がないから、ひとつ申請をするのだということでは困るのでございます。どれだけの貨物が動くから、それに対して現在の業者はこれだけの力しか持たない。だから新しくこれを認める必要があるのであるということを判断するにつきましては、どういう能力を持つているから願いをするのだということを、十分検討する必要があります。そういうことでこの運搬力というか、運搬具をどれだけ持つ計画であるか、事業計画として押えておくわけでありますが、そういうふうに押ええておきまして、最初のスタートではこの場合は小運搬具、つまり荷車、リヤカー荷牛馬車使つてつているということで免許を受けておりましたものが、新しくトラツクを使おう、こういうことを願い出るわけであります。そこに新しい運搬具変更がございますし、そういう場合にはこの基準の一、二号に照したようなことを見る必要があるので、これは運搬具を新しく変更し直すということももちろんでありますが、そのほかに現在のように自動車ガソリンタイヤーその他の資材の状況から考えますると、まだまだ非常にきゆうくつ状態にございますので、特に自動車についてはそういうことを審査する必要があるわけでございまして、まつたくの放任では困ると思うのであります。
  16. 滿尾君亮

    滿尾委員 それでは根本に返りまして、第十二條に触れて御質問を申し上げたい。つまり第十二條におきまして、事業計画変更というものは運輸大臣認可がいるということになる。私はこのことがすでにいらぬことと思う。日本陸運監督行政の基本に触れる問題でありまするが、役所はどうしてこういう事業計画の末に至るまで、その一つ一つ変更について役所が干渉し、監督することが必要なりと考えておられるのであるか。すでに一定の資力信用があつて、この仕事に適任であるといつてお認めになつたものを、その後の單なる事業上の計画変更に至るまで、役所はなぜ認可しなければならぬのであるか。従来こういうことをやつておりましたけれども、今日以後新らしい考えでもつと開放されたらどうか。今の自動車の問題もそうでありますが、自動車を使うか、リヤカーを使うか、荷馬車を使うかということは、運送行為を達成しますための一つ目的に対する手段でしかない。その手段一つ一つ変更に、監督官庁がどうして立ち入る必要がありとお考えになつているのであるか。第十二條事業計画変更そのものについても、すでに疑義を持つているのであります。
  17. 中村豐

    中村(豐)政府委員 先ほど申し上げましたように、事業を開始しようとする場合に免許という手続をしなければならぬ。免許するにあたりましては、はたしてどういう計画でやるのかということを、これは運輸大臣として十分知らなければ、審査ができません。従つてそういう事業計画を出して来ることが必要であるということは、十分お認め願えると思いますが、その場合にそれは一々変更するときに認可々々というようなやかましい手続をせずに、フリー・パス、あるいは届出でいいというようなことにしてはどうかという御趣旨と思います。御趣旨はまことにごもつともでございますが、自動車の問題につきましては、先ほど申上しげましたようなガソリンタイヤー事情、その他の資材事情もあり、その他事業規模根本にかかわるようなことをかつてにかえられては——最初たとえば十万トンの取扱いをいたしますということで、それだけの能力で出て来ましたものが、かつてにそれの半分の力しか出ないように計画をかえてしまつては、免許趣旨に反するものでございますから、事業計画の中でも重要な基本的なものだけは認可をして、その後の変更を絶えず注意して見て行かなければいけないと思います。しかしながらあらゆる事業計画を、すべて認可であるということに押えることは、これはただいまの御説のごとく煩にたえませんし、役人がそこまで立ち入ることは行き過ぎであろう。こういうことはよくわかりますので、この法律におきましても、軽微な事項届出でいいということを取入れておるのでございます。それで第十二條に「省令で定める場合は、この限りでない。」とありますのは、軽微の事項届出でよろしいという趣旨でございまして、従つてそういう軽微な事項届出で、御説のようにすべてを認可々々ということで押える意思は毛頭ございません。
  18. 滿尾君亮

    滿尾委員 私はまだ納得しないのであります。大体この事業計画認可ということは、すでに適格者なりと認めて事業をスタートさせた。その後の事業の発展の情勢は、お役所の方は別途の規定によりまして報告をとつておられる。その情勢変化は当然見ておられる。従つてこれに対して業務上の改善命令を出す権能を持つておられる。どういうわけで一々の事業計画変更する必要があるか。役所事業計画経済上のリスクに対して責任を持たれるつもりであるか。そのお考えはないのか。従つて事業計画というものはその経営者の、その人の全責任においてまかしていただきたい。しかし数量の変化能力変化というものは、報告事項によつてちやんと見ておられる。公益上必要があれば、改善命令をお出しになればいい。この具体的事業計画に一々認可という、一つ行政上の措置を必要とする理論上の根拠がない。單なるこれは従来の監督行政の惰性をもつて、こういうことをおきめになつているのではないか。私は拔本的にお考えになつて、十二條のごときはおやめになつた方がよろしくないかと存ずるのであります。また十三條の自動車の新車の使用至つては、これはまつたく政府委員のお考え違いじやないかと思われるのは、なるほど現今自動車資材関係で、自動車使用そのものが完全なる自由ではありません。しかしそれはここ一、二年の間の経過的の現象である。自動車ガソリン使用させるとか、あるいはタイヤーを配給するとかいう面からするところの統制をとられればいいのであつて事業法に新しい自動車認可をされる必要はない。その二つのことは自然と区別されて判断さるべきことであつて、それはまつたく政府委員のお考え違いではなかかと思いますが、いかがでございましようか。
  19. 中村豐

    中村(豐)政府委員 十二條の、事業計画変更を許可でする必要はないではないかという御質問でございますが、この点につきましては、たびたび申しましたように、これは非常に公共性の強い事業であり、それを利用する荷主、大衆を保護しなければいけないという見地から、主務大臣が認めておるのでありますから、こういう計画で、こういう規模でこの事業をやりたいからといつて免許をおとりになつたのにかかわらず、それをかつてに改めて、自分の会社の経営の都合上から、その能力をかつてに減してしまうということでは——去年十万トンなら十万トンの能力があるからよろしいということで、それによつて荷主が十分な利便を受けるであろうと予想して免許したにかかわらず、その期待された荷主のせつかくの利便が、何らかなえられないというようなことになりますので、免許事業である限りは、重要な事業計画変更認可にするのが、私は当然であろうと思うのであります。それでただいま、そういうような場合には、事業改善命令というようなことで、あとから直させればいいというようなお話もございました。確かにそういう道も開いてはございますが、これはあとの祭りで、まつたく事後の改善でございまして、そういうことになる前に先にやつて、荷主を保護することの方がより適当であろうと思います。第一、事業改善命令のごとき相当強権を用いるような措置は、なるべく避ける方がいい。そういう事態が起らないように、あらかじめ防止しておくことが必要であろうと思うので、事業計画の中の重要なことは、認可で行くことがいいであろうと思うわけでございます。  また十三條につきましては、これはほつておけばいい。タイヤー、燃料の問題は、現在の統制で行けばいいというお話でございますが、これを放任すれば、現在の法律上、道路運送法によつて、当然貨物自動車運送事業免許を受けなければいけない行為であるから、まつたく自由な行為ではなくして、トラツク免許を受けるべき事柄です。通運事業者が、自分の手段としてやるのだから、それではこちらで、より簡易な手続でその希望をかなえましようというふうに、むしろ事業者に対する便宜な措置とつたのでありまして、決してこれによつて特別むりな手続がいるのではない。ほつておけばトラツク免許申請といううるさい手続がいるのを、簡素化したわけでございますから、その辺をよく御了承願いたいと思います。
  20. 滿尾君亮

    滿尾委員 要するに、これはいくら議論をしても見解の相違らしいのであります。十二條といい、十三條といい、お役人が必要以上に親切で、住民の方はむしろありがた迷惑になるのではないかということを私は憂えるのであります。  今度は第三章の通運計算事業についてお伺いいたします。私はこの通運計算事業というものの公益性を、十分承知いたしておるつもりでございますが、第二十八條には、大臣認可を受けなければならないとある。そうして複数制で大体お考えになつており、認可さえ受ければ三つできようと十できようと、一向さしつかえないように見えるのでありますが、むしろ通運事業の本質から申せば、私は日本一つあつた方がいいと思う。しかもその経営は民間のものでなくて、役所の直営でやられたらどうか。役所が直営でできないならば、むしろ公益法人みたいなものを設置せられまして、そこで統一的、統括的におやりになることが、理想ではなかろうかと思うのであります。大臣認可によつて、幾つも並存するという状態は、かつての小運送の濫立時代の再来を招くおそれがある。従つてこれはむしろもつと強度に統制していただきたい。この二十八條の規定は、きわめて不徹底なお考えで立案になつたもので、通運計算事業公益性に対する官庁としての腰の入れ方は、非常に不徹底ではないかと考えられますので、御所見を伺いたい。     〔大澤委員長代理退席、委員長着席〕
  21. 中村豐

    中村(豐)政府委員 この問題につきましては、実はやり方をいろいろ考えたのでございます。ただいま滿尾委員が申されたように、国または公共団体のようなものの手で、中立的に一つだけつくるということも、なるほどよい考えではないかと考えてみたのでございますけれども、現在のような時代に、昔のような考え方で、官が通運事業者のためになるであろうと思つて、こちらから積極的な措置を講じて計算機関をつくるというようなことは、むしろ避けた方がいいのではないか。この事業はだれのためでもなく、通運事業者自体の計算なり取引の便宜のためのものでありますから、すべて事業者の自発的な創意におまかせして、事業者がこういつた法人をつくりたいと言つて来られれば、その基準なり必要性に当てはめて考えて行くというような受身の形でよいのではないか。通運事業者が、官でつくれとか、あるいはまつたく公益的な法人をつくるということを申し出て来られれば、それをお受けして、できるだけよい形を考えてみたい。すべて通運事業者の発意をお待ちすべきであるというのでありまして、こういう姿がよいとか、たつた一つあるいは二つの、限られた形態を考えておるわけではございません。
  22. 滿尾君亮

    滿尾委員 まあ立案の御精神はわかりました。私は見解を異にして、この面については国家がもつと強烈なる意思表示をすべきであつて、その方が立法の形として正しいものであると信じているのであります。なぜ二十八條は免許としないで認可とせられたのであるか、その事情をお伺いいたします。
  23. 中村豐

    中村(豐)政府委員 通運事業免許とせず認可としたのは、いかにも何か差別待遇をしたようでございますが、通運事業を利用する人は、不特定の多数の者でございます。従つて影響するところが非常に大きいものでございますから、たびたび通運事業公益性が非情に強いと申し上げているわけでございます。それに比べますと、この通運計算事業というのは、これを利用するものは通運業者でございます。従つて数に限りのあるものでございます。一部の者が利用するだけでございますので、それを免許というふうな大げさな手続なり、概念なりで規律するというのも、少し大がかりすぎるものでありますから、認可にする。許可と申しますのは、事業者がこういうものをつくつてつて来られれば、それに同意を与える——法律的には認可の意味はいろいろございますが、同意を与えるという意味で認可にしたのであつて、そう大して深い意味はございません。御了承を願います。
  24. 滿尾君亮

    滿尾委員 私はやはりこの通運事業の値打に対するつかみ方について、政府委員と見解を異にしているらしいのであります。かりにこの通運計算事業事業上の蹉跌を来たしたとしますと、そのときに迷惑するのは通運事業者であるが、通運事業者が迷惑するということはつまり一般国民が迷惑することでありますから、この通運計算事業の値打というものは、それぞれの構成メンバーであります通運事業と何らかわるところはない。その間に甲乙の差はない。むしろ私は程度が高いと言つてもいいと思う。多数の通運事業の死命を制する業務上の中核体に位置しているところの計算事業の方が、もつともつと公益性が高いように思う。従つてこの法律の第一條の事業の健全な発達という点から見まして、政府の今回のこの通運計算事業に関する立案はほんとうに事業の健全な発達を期する上において、少し手ぬるいのではないか。むしろかように考える次第であります。従つてこの通運計算事業の将来の運営につきましての御監督が、免許の場合と比べまして非常に微温的である。不幸にして役所と私と見解を異にして、幾つかの複数制の通運事業の計算事業ができて、その計算事業一つがもし崩壞するような、あるいは蹉跌を来すようなことがありますれば、多数の通運業者は、それこそ少くとも何百の通運業者が経済上の打撃を受け、いろいろな計算上の錯乱を来すわけです。従つてそれこそ何万、何十万の国民が、またひいて迷惑をする。それについて通運事業の計算事業のほんとうの基礎を固めるための役所監督というものが、はなはだ不十分でないかと思うのでありますが、当局の御見解を伺いたい。
  25. 中村豐

    中村(豐)政府委員 この通運計算事業がうまく行かなかつた場合には、それを利用する通運事業者が非常な損害を受ける。それがひいて通運事業を利用する一般荷主に不測の損害をかけるということは、御説の通りでございます。従いまして通運計算事業がうまく行かなければ、一般国民が非常な迷惑を受けるということも、御説の通りでございまするけれども、それは通運事業者がうまく行かなくて国民が迷惑を受けるのと比べると、間接的な問題になります。つまり通運計算事業がうまく行かなかつたために、通運事業者が非常な損害を受けるということだけで、食いとめられることもあり得るわけでございます。それよりももつとひどい損害の場合に、荷主に影響するということでございますから、影響が間接的であり、かつその間にバツフアーがある。こういうわけでございますので、通運事業ほど神経質に利用者のことを考える必要はない。しかしながら間接的といえども影響はあるから、そういう影響するところには非常な弊害を及ぼすというので、その中間的な気持をとりまして、一段緩和したような認可制度にしたのであります。どうしても免許制度にするということになると、言葉の与える感じが禁止的で、新しいものを認めまいというような感じを与えますから、そういう気持もできるだけ避けて行きたい。従いましてこの裏には、御見解とは相違するかもしれませんが、一本であるのが必ずしもいいとは思わず、それこそやはり規律した複数制であることこそ、望ましい状態であると考えておるわけであります。
  26. 滿尾君亮

    滿尾委員 これ以上は議論にわたりますからやめます。しかしながら結論といたしまして、当局のこの通運計算事業公益性に対する認識は、きわめて微温的で、微弱である。ことに第一條の精神をお忘れになつて答弁になつておるのではないかと、私は危惧の念を持つてつておる次第であります。  第三十三條についてお伺いいたしますが、「運輸大臣は、この法律規定に基き、免許、許可、認可その他の処分をしようとするときは、運輸審議会にはかり、」と書いてありますが、これはどういうわけで認可その他の処分に至るまで、ほとんど全部を運輸審議会におかけになつたのでありますか。行政上の能率という点から見ましても、まことに必要以上のことを運輸審議会に御相談になるように見えるが、適当なところで一線を画することはなぜできなかつたか、その点を伺いたい。
  27. 中村豐

    中村(豐)政府委員 「免許、許可、認可その他の処分」というのには、どういうものがあるかと申しますと、先ほどの事業改善命令とか、免許の取消し、または事業の停止というような処分をすることができるようになつております。そういうことが一番おもな例でありますが、そういうようなことは事業者に非常な衝撃を与え、その権利の得喪にかかわるようなことになりますので、十分に愼重な考慮を拂わなければいけない。こういうような趣旨から「その他の処分」まで入つておるわけでございます。そういうことをすべて審議会にかけることは、煩雑ではございますけれども、そこはもちろん審議会自身も、これを受ける場合に、非常に煩雑にたえないと言つて、おそらく相当のものを軽微な事項として、專決事項に讓つてくれるであろうと思うのでありまして、そういう場合を予想しまして、但書がついておるわけであります。これは審議会との話合いによつて、軽微な事項でなるべく扱つていただいて、事務の迅速化をはかりたいと思つております。
  28. 滿尾君亮

    滿尾委員 今の御答弁でありますが、事務能率の改善は大いにやつていただきたいと思います。審議会の諮問権につきましては、いろいろ議論があり、また実際の運用についてもいろいろ批判がありますので、これは他日の機会に本質的の御見解を伺うことにいたします。  もう一つ、三十四條に「條件を附し、及びこれを変更することができる。」と書いてあります。この條件を付するのはよろしいが、変更するというのは、すでに一旦免許し、許可し、認可したものに対して、あとから変更するという意味でありますか。どういうふうな変更であるか、お伺いしたい。
  29. 中村豐

    中村(豐)政府委員 変更するというのは、もちろんあとからでございます。
  30. 滿尾君亮

    滿尾委員 そうすると、その場合は三十三條の審議会にかかるのでございますか。かからぬのでありますか。
  31. 中村豐

    中村(豐)政府委員 三十三條のその他の処分を必要とするときは建前はすべてかかることになりますから、この変更の処分もかかることになります。     —————————————
  32. 稻田直道

    ○稻田委員長 質疑の途中でありますが、この機会にお諮りいたします。ただいま本委員会に付託になつております国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案は、昨日の運輸大臣提案理由説明の中にもありましたごとく、貨物運賃を八割値上げしようとするものでありまして、これによつて收支の均衡をはかり、国鉄の輸送力の増強をいたしますものでありまして、提案理由にはこの程度の値上げをもつてしても、現在の経済情勢下においては、消費者価格に対し影響するところは僅少であろうという見通しをしておるのでありまするが、反面現下の産業界における企業経営の立場から見ました場合に、どのような影響を及ぼすものであるかという点も、考慮を必要とするものではないかと思います。またこの鉄道貨物運賃の値上げと、海上運賃との関連も、重大な問題であります。その他万般にわたつて国民生活に影響するところが相当あろうと思うのであります。なおまた先般農林委員会からも、本件に関しまして委員長に対しまして、貨物運賃値上げに関する多少反対的な意見の要望がなされております。かような点から見ましても、本来ならば公聽会を開きまして、広く一般からの意見を聞きたいのでありまするが、本案の提出が諸般の事情から非常に遅れまして、昨日やつと本案審査に入つたような次第であり、また会期は余すところ四日しかありません。かかる状態では手続上とうてい公聽会を開会する運びとはならないものと考えれます。従いまして次善の策といたしまして、広く民間の各界より代表者を参考人として、本委員会に出席していただきまして、その意見を聽取いたし、本案審査の愼重を期したいと思うのであります。つきましてはこの件について、委員各位の御賛成を得たいのでありまするが、この参考人を呼ぶということに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 稻田直道

    ○稻田委員長 それではさようとりはからうころにいたします。なお参考人の人選、その意見を聞く日取り等の件は、委員長に御一任願いたい。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 稻田直道

    ○稻田委員長 御異議ないと認めます。よつてさようとりはからうことにいたします。     —————————————
  35. 稻田直道

    ○稻田委員長 次に、慣行特別委員会の方に現在かかつておりまする例のホテルの問題につきまして、先般合同審査をやつたのでありまするが、その後観光特別委員長より本委員長に対しまして、あの件の主管大臣をきめるのにまことに骨が折れる。観光特別委員会におきましては、その取扱いに非常に困つたような事態になつたから、主管大臣あるいは運輸大臣にするとか、あるいは厚生大臣にするとかという名前をきめずに、ただ主務大臣ということにきめさせてもらいたい。そうして主務大臣というものだれであるかということをきめることは、政府の今後一任するように運ばなければ、観光特別委員会は処置がつかぬということを申し込んで参りました。本委員長におきましては、委員会の各位の意見を聞きまして、いずれともまた御返事をいたしますと言うておきましたが、いかがとりはからつたものでありましよう。あげて観光委員会に一任をいたすようにいたしますか。あるいはこれに対しましてなんらかのこちらから意見の発表をいたしますか。いかがしたものでございましようか。
  36. 滿尾君亮

    滿尾委員 私はたまたま運輸委員会におりますというだけのことでなしに、過去における日本観光事業の実態にかんがみ、また近き将来のあるべき姿を考え、その実勢力にかんがみまして、運輸大臣主務大臣たるべきこことは実に明瞭なものだ。公平に考えて私はそう確信いたします。従つてこの線を一線下ることは、当運輸委員会として非常に公平でないと考えまするから、ぜひ私は主務大臣運輸大臣であるということを、強く主張いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  37. 關谷勝利

    ○關谷委員 あの観光ホテル整備法案の中に出ておりまする文句には、現在運輸大臣主務大臣であるということが明記いたしてあるのでありまして、これを主務大臣をとりかえますることは、運輸委員会が讓歩したということになりまして、厚生委員会が猛烈な運動をしておりますのを、助長するという意味合いになりますので、この点委員長において強硬に主張せられたいと希望いたします。
  38. 稻田直道

    ○稻田委員長 強硬に申し入れしましても、観光特別委員長はもうとるべき手段がないと言つております。運輸委員会の空気はこうだからと、その意見を申し上げましても、聞き置く程度ではないかと思いますが、事によりましては、何かこちらの意見をまとめて、向うに申し入れるというふうなことをしますか。ただ單に委員長が口頭でもつて、それだけのことを向うの委員長に申し入れますか。どういうふうな方法をとつた方がいいでございましようか。
  39. 關谷勝利

    ○關谷委員 この間私はあの観光委員会におつて話をしたのでありますが、あの際に、観光特別委員会でこれを審議する権限があるかないかというようなことにつきましても、一言触れておきましたし、なおまたこれは運輸委員会において当然審議すべきものであるということを、強く主張をいたしておつたのでありますが、その当時所轄が分明ならざるものにおいては、これは議長が議院にはかつてこれを決定する。こういうことになつておりますので、観光委員長から議長にはかつたことがあるかと申しましたところが、はかつたことはない。こういうことでありましたので、さつそく議長の意向を、議長が多忙で出られないということを予想して、事務総長の意見でも聞いてもらいたい。こういう話をしたので、事務総長のところに意見を聞きに行つたはずでありまして、おそらくその結論がでておるのではないかと思う。事務総長の意見がどのようであるかを、一応委員長においてこれを調査をした上で、観光委員会の方に御交渉を願いたいと思います。おそらく事務総長も、観光ホテル整備法案は運輸省所管であるということに判断を下すもので、この点事務総長を呼んで、よくその意見を聞いて折衝してもらいたい、このように考えます。
  40. 石野久男

    ○石野委員 私は観光ホテル法案の問題について、今主管大臣がどういうふうになるか。あるいはそれを主務大臣にするかという問題の討議をなさる前に、委員会としまして観光ホテル法案それ自体についての、まだいろいろ研究をしなければならない問題があるのではなかろうかと、私はかように思うのであります。法案の中にはいろいろと意見がありますし、またその法案が妥当なものであるかどうかということについても、意見もあるはずであります。そういうことの十分な審議が行われないで、主管大臣がどうだとか、主務大臣がどうだとかいうことは、ちよつと前提を早く、軽く置き過ぎているのではなかろうかと私は思いますので、そういう一応の機会を持ちまして、委員会としましてもその上でその主管大臣か、あるいは主務大臣かということの御討議をなさつた方が、順序ではなかろうか、かように思つております。
  41. 稻田直道

    ○稻田委員長 ほかに御意見はありませんか。
  42. 滿尾君亮

    滿尾委員 今御意見が出ましたけれども、私は法律内容は勉強もしましたし、また主管大臣をどうするかということが、政治情勢として観光委員会委員長が、主務大臣に逃げ込みたいという客観情勢にかんがみまして、当委員会の意思表示は簡單明瞭、適切で強力でなければならぬ。そんな論議をしておるひまはない。だから絶対に運輸省主管でなければ、将来の日本観光事業は伸びないということを、皆さんが確信を持つていただいて、それもお互いの分に応じて、目的達成のために努力したらいかがでありましようか。
  43. 稻田直道

    ○稻田委員長 いろいろ有益なるご意見も出ますので、この際ただちにこれを決定することはいかがかと思いますから、一応観光特別委員長に対して、一両日猶予するように申し入れまして、その間によく皆さんの御意見をまとめてもらいたいと思います。さようとりはかろうことにいたします。
  44. 稻田直道

    ○稻田委員長 次に、本日法務委員長より、以下申し上げるような申入れがありました。近時鉄道の列車の中に盗難事故が頻々として起ります。これを現在一般の警察官に取締りをまかせておりますけれども、まことにまわり遠いと申しますか、敏速に処置がつかない。これはどうしても專門的な鉄道警察官吏というがごときものを設けなければ、どうにもなるまいというような意向で、法務委員会の方では種々材料を集めまして、そういう案をつくろうと思つておるというのです。であるがもし運輸省の方で、そういうことを運輸省自体が発案をして、運輸委員会にかけてやりたいというならば、お手伝いをするから、そういうふうにやつて見ないかという申入れがありました。この件につきましても、私一存でもつてきめがたいから、本日運輸委員会に諮りまして、また何らかのお返事をすると言うて参りましたが、すなわち独特の鉄道取締りの警察官を置くということにつきまして、法務委員会でそういう法律案をつくるか。運輸委員会でもつてそういう法律案をつくるか。いずれにいたしましても、つくらねばならないことになつているということなのであります。いかがいたしたものでありましようか。
  45. 前田郁

    ○前田(郁)委員 私はこの問題に反対であります。ただいま汽車はもちろんのこと、電車その他も非常に混乱しているということは、戰後の一つのできごとでありまして、これはだんだんと緩和して行くものでございます。私どもは今日まで、日本の警察官があまりに出過ぎていたということのために、どのくらい国民が迷惑しているか。こういうことを考えるのでありまして、今日ようやく警察官がだんだん各方面に干渉して来ない。政治警察も行われないということで、非常に伸び伸びした気分ができているのであります。このときに鉄道警察を置くとか、あるいは交通警察を置くとかいうようなことは、私は絶対に反対であります。
  46. 滿尾君亮

    滿尾委員 私はこの案に賛成であります。りくつから申せば、警察が一手にやるべきことであつて、何も鉄道がプロパーの警察官を必要としない。またそういう事態が一刻も早く来るように希望しているのでありますけれども、現在の実情に即してものを考えますと、とにかく臨機の措置として、今法務委員会から御相談のあつたようなことが必要でないかと思われる。私は事柄として、現下の客観情勢にかんがみて、これはやつた方がよろしいという意見を持つております。ただこれをやりますると、一体パブリツク・コーポレーシヨンの直属の人間とするのであるか、運輸省の人間とするのであるか、そこらに多少の問題がある。実行上の便宜その他から考えますと、パブリツク・コーポレーシヨンの所属にして、コーポレーシヨンの人間でありましても、特別法をもちましてこれに警察権を付与する。ただ経済上の問題をコーポレーシヨンが負担するということは、非常に不都合があるので、その限度において国の会計がこれを援助する方法をとるのが、非常に望ましいのであります。それが第一案であります。しかしながらそれもいろいろな事情がございますし、長いことでもないし、しばらくの間のことでありますから、特に国家事務に属することであるけれども、コーポレーシヨンをしてこれを支弁せしめるというのも、一時の便法としては容認できることであるように考えるのであります。
  47. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 政府の方の意向を申し上げたいと思いますが、今法務委員会提案の、鉄道における特別の警察のごときものを設置されるような法律を、つくられてはどうかという御意見でありますが、政府といたしましては、今日御承知のように遺憾ながら鉄道の中におきまして盗難、そういうものがあることははなはだ申訳ない次第であります。これをなるべくなくしますことは、乘客に安心して旅行をしていただくことになりますので、そういう特別の警察のようなものをつくつていただくことは、まことにけつこうなことと思うのであります。その法律の提案につきましては、法務委員会なり運輸委員なり、どうぞ国会の方で議員提出にしていただければ、まことに幸いなことと存ずるのであります。
  48. 前田郁

    ○前田(郁)委員 ちよつと政府委員にお伺いいたしますが、今行政整理と断行して、定員法を改正するとか、いろいろな問題が起つているのであります。そのときにまた警察官をふやすということは、はたして私どもの立場からやるべきであるか。政府がそういう決意をされたのであるか。そういう点をはつきり御説明願いたいと思います。
  49. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 行政整理はわが党もこれを唱え、政府も賛成でありますが、その行政整理の趣旨に反しない程度で——汽車の中の窃盗や、物を盗まれたりするようなことを、簡單に除去することはなかなかむずかしい。鉄道駅員その他にいろいろ注意を与えておりますが、どうも思うような実績をあげませんので、この点をわれわれも非常に心配しておりますから、行政整理の趣旨に相反しない程度で、ごく少数の人で、しかも能率が非常に上つて、そういう鉄道の旅客の公安を維持できるように、その点はいろいろ勘案して行くような程度にしていただければ、非常に幸いだと思うのであります。
  50. 米窪滿亮

    米窪委員 はなはだうかつな質問をするかもしれませんが、最近まで汽車に警乘警官というものがあつたと記憶しますが、現在はそういうものがない。なぜなくなつたか。その理由をお尋ねいたします。
  51. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 警乘警官は現在乘つているわけでございます。今問題にされて、法務委員会の方から当委員会委員長にお申出になりましたのは、現に鉄道職員が司法警察官吏の任務を行うという地位を持つているわけでありまして、鉄道職員であると同時に、警察権を持つておる。こういうことに相なつておりますが、その制度を強化して行くという御趣旨ではないかと拜察するわけでございます。御承知のように新刑事訴訟法によりまして、司法警察官吏は検事の総括的指揮を受けることができないということになりましたので、国有鉄道の職員であつて司法警察官の任務を有する者は、運輸大臣がその指揮の総本山である。そういうかつこうになつているわけであります。その制度が暫定的な制度としてありますので、それを暫定的でなしに、一応はつきりした制度にすると同時に、その内容を充実する。こういう趣旨法律であろうと拜察するわけであります。
  52. 米窪滿亮

    米窪委員 そういう法制上の形式的なことは私よく知りませんが、現実の問題として、現行の警乘警官の程度では、列車内のそういう盗難は防げないと運輸当局はお認めになつて、しかる後に法務委員会なり、あるいは司法当局の方からの申出に賛意を表せられているかどうか。その点をお伺いいたします。
  53. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 現在におきまして断定的に、手数が足りないからと申し上げるのは行き過ぎかもしれませんが、実際は司法警察官の身分を持つております者を特に公安官と申しまして、公安官と警乘警官とが一致協力いたしまして、列車内の秩序を維持している実情でございます。
  54. 稻田直道

    ○稻田委員長 委員長がこの際補足しておきますが、花村法務委員長はこう言うておりました。どうも現在の警察官というものは、鉄道ということになかなか暗いし、またいろいろと国家警察とか地方警察とかいうものがありまして、犯罪の捜査とか取締りとかいうものに、一言にしていえば間に合わぬ。それで鉄道に多少通じた専門のものを設けなければだめらしい。こういうふうに言うておりました。
  55. 前田郁

    ○前田(郁)委員 交通機関における事故をば除くために、警官をふやすということになりますならば、先ほど政務次官が言われたような、軽微の数でやるということは断じてできない。相当の数を増加しなければ、できない問題じやないかと思います。これらに対して政府当局としては、十分の研究をされまして、大体どのくらいの程度にしたらというようなものがあるのですか。ただ漠然と、そういうものができればいいということで、賛意を表せられておるのであるか。その点を私はお聞きしたいと思います。
  56. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 そういつた法律は、大分前に研究いたしまして、ある程度の数も予定いたしておつたのでございますが、その後情勢がかわりましたので、現在の段階において、ちようど幾らの数字であるべきかという数字は、持ち合せておりまん。
  57. 石野久男

    ○石野委員 私は法務委員会からの申出に対しまして、現在警乘警官がありますのを、專門の警察官として配属させるというような形で拡充するという考え方には、実は反対です。というのは、車内におけるところの事故を、私も実は東海道線で二度までも見ておるのでありますけれども、これは現状から行きまして、警乘警察官をふやすことによつて解決するものじやなくして、むしろ車内の事故を線路の外で捕捉するということが、問題だろうと思うくらいでございます。事実上事故のありますのは、煩雑時に多いのでございますし、もしこれをほんとうに確実につかまえようとすれば、実に厖大な数を必要とするであろうと思われることは、ただいま民自党の方から言われた通りであります。それのみならず、警察力に関しまする占領政策の関係等も考えなければなりませんことと、いま一つは、こういう事故がなぜ起きておるかということの、基本的な関係に立ち返らなければいけないじやないかと思います。これは世相を反映するものでありますし、ことに犯罪が市街地におけるものが、ほとんど線路の上に乘つて来た。車の中へ全部集まつたというような形が、現在の実情だろうと思います。戰後からの車内のいろいろな事故を検討して参りまして、最近におきましては、車内の煩雑も相当緩和されて来ておる事情であります。このような事情は、戰後からずつと比較して見ますと、むしろ犯罪の起る機会というものは、もう車内の煩雑とか何とかいうようなことではなくて、国民生活の中から来ておるのだろう、こういうふうに思うのです。このことはやはり政治の問題でありますので、これは警察力の問題よりも他の問題、つまり政策の問題になつて来ると思うわけであります。それをただ警察力で押えようということは、かつての軍隊と警察で押えて参つた弊害を、今民主国家再建の途上において再現する結果になるのでありまして、私はそういう点から、この問題の考え方を基本的に、ひとつ国民生活の面、あるいは国民経済の面から考え直すように、委員会としても考えた方がよろしかろう、こういうふうに思つております。
  58. 坪内八郎

    ○坪内委員 ちよつと荒木政府委員にお尋ねしたいと思います。この警察官の増員ということについては、関係方面にもいろいろ問題があり、またいろいろなことを言うし、さらに日本の自治警察と国家警察との制度上の欠陷が、先ほど委員長からお話があつたように、犯罪捜査に大きな支障を来しておるというようなことが、いろいろ問題になつております。樋貝大臣もこのようなことについて言明されておりますが、そういう増員というようなことについて、数字の了解があつたのですか。
  59. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 私はその点は全然存じておりません。
  60. 稻田直道

    ○稻田委員長 お諮りをいたしますが、この問題は、出しましても通常国会だそうでありますから、時間のないのに、この問題で時間をとるのもどうかと思いますから、なおよく研究いたしまして、通常国会に備えましよう。法務委員長に対しましては、大体皆さんの御意見のあるところを申し上げておきます。法務委員長といたしましては、法務委員会で出そうと思つておる、こう言うのです。ですからこちらで意見がまとまりませんでほつて置くと、向うが出すかもしれません。あらかじめその点だけは、御承知願つておきたいと思います。向うの方では、運輸委員会で出したいというならばおまかせするが、運輸委員会で出さなければ、おれの方で出す。こういうのでありますから、どうも向うで出すというならしようがないのですが、出しても通常国会だそうでありますから、それまでにひとつ意見をまとめて、できれば向うに申出をするか。まとまらなかつたら、向うの意思にまかせるよりほかはないと思います。
  61. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 たいへんお急ぎのようでありますけれども、重要な問題だと思いますので、関連して発言させていただきたいと思います。せつかく法務委員会から委員長に申入れがありましたのに、こちらの委員会としての意思を発表いたしませんと、何も返答がなかつたからということで、警察官を置くという法務委員会の意思が、多分に実現されるおそれがあると思うのでございます。極東委員会や進駐軍関係の意思も、この警察官を増員するという事につきましては、いろいろ問題もございますし、講和会議を前にいたしまして、国民の生活の安定を拔きにした一方的な彈圧法針に対しまして、私どもとして絶対反対をするという建前を、ぜひこの委員会ではつきり、法務委員長の申入れに対しまして意思表示をして、向うへお伝えを願つておいた方が、むしろいいのではなかろうかと考慮されるのでございますが、そのことをぜひ皆様にお諮り願いたいと思います。     —————————————
  62. 稻田直道

    ○稻田委員長 引続いて質疑に入ります。石野君。
  63. 石野久男

    ○石野委員 私は今議題となつております通運事業その他の法案について、若干の質問政府にいたしたいと思います。大臣がおりませんので、次官から承りたいと思いますが、まず大きな問題で、この通運事業法案の提案にあたりまして、大臣趣旨弁明の中に、特に小運送業についての沿革を述べられたわけでありまして、その沿革の過程の中から、当時いろいろの濫立の状態が、小運送業法というものに統合されまして、日通という株式会社ができた。最近になつて経済的な諸事情から、それではいけないということで、今度こういう法案に改まるということになつた。こうお話なつたわけであります。そしてこの法案の第一條においては、通運に関する秩序の確立、通運事業における公正な競争の確保、こういうことを特にうたつておるのでございまするが、この法律案によりまして、公正な競争ができ得るのであるかどうかということについて、私はまず第一にお尋ねいたしたいと思います。その点については、たとえば第四條あるいは第六條等におきまして、大臣免許に対するいろいろなことが書かれておりますが、こういう免許規定がいろいろありましたときに、真の意味におけるところの、自由公正な競争を確保することができるのであるかどうかということについての、御所見を承りたいと思います。     〔委員長退席、大澤委員長代理着席〕
  64. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 そういう質問は、今までたびたびございまして、大臣その他からもお答えいたしておりますが、われわれの見解におきましては、大体これによつて今までの濫立その他を整備して、この法律ができた以後におきましては、公正に行くものと信じております。
  65. 石野久男

    ○石野委員 重複した質問は私は避けたいと思うのでございますけれども、納得行きませんので、重ねてお尋ねするのでございまするが、この法律はいわゆる日通の独占性を排除しようというのが趣旨だろうと思うのです。ところが先ほど滿尾委員からもお尋ねがありましたように、この通運計算制の問題は、全国的には一本になる方が、よりその相互計算の建前からいいのじやなかろうかという御意見もありました。そのように通運業務実施するにあたつて通運計算というようなものは、自由競争の確保という建前から行きましても、必然的に全国的にはたくさんのものにまたがる傾向を持つておるものだと私は思うのであります。こういうことは特に往年、日本における資本主義の発達の段階におきまして、初期の段階にはまだそこまで行つておりませんが、現在のように資本主義が独占形態まで入つて来ておる時代におきまして、かりにそういう公正なものをこういう法律によつて規定するといたしましても、やはり必然的に独占化の傾向が出て来るだろう。政府としてはここで独占を排除しながら、しかも自由競争における濫立をこの法律で排除しようという、二つをねらつているわけでありますが、ここに非常にあいまいな形が出ておる。こういうふうに思うのでありまして、その意味において公正な競争の確保ということは、自由主義における真の意味の公正な競争ができるのであるかどうか。この点についてはつきりした御見解を承りたいと思います。
  66. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 日本通運が非常に大きな小運送業務の網を持つておりまして、これに対しまして各地域に一つ以上の新しい免許業者が出て来る。そうしてそれに対しまして、それの中核体と申しますか、新しい通運計算業者というものによつて、これらのものが全国的にやはり綱を持つことになると思います。そういたしますと、通運計算事業はこれによりまして、各地における、地域を隔てた場所におけるすべての取引の中心になると思います。従いまして私どもとしては、昨日来申し上げておりまするように、でき得べくんば全国的な綱であることを希望いたしますが、あるいは特殊な経済地帶にもそういうものができるかもしれません。そういたしましてこれが二つなり三つなりの綱として、日本通運の綱と互いに競争をすることになりますれば、相当公正な競争態勢に入り得ると考えております。
  67. 石野久男

    ○石野委員 公正な競争ができるかどうかということについて、いま一つ承りたいことは、たとえば運賃料金の規定をしております二十條の規定でございますのが、各駅における複数制をとりましたときのこうした運賃規定が、大臣認可によつて行われるのでありまするけれども、はたしてそこでの公正な競争ができるのであるかどうか。これは私同じ問題に何べんも食い下るわけでございますけれども、とてもできないじやないかというように思われるのでございます。その点はどうでございましようか。
  68. 中村豐

    中村(豐)政府委員 ただいまの御質問趣旨がよくわからなかつたのでございますけれども、二十條のようなことで運賃料金が認可になつておるので、あまり有利な條件でやれないから、公正なことができないという御趣旨だと思います。この運賃料金をきめますには、ここにもありますように「適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。」というのがございます。ただそれが、どの事業者の原価も利潤も、どんな経営をしていても償うものであつては、これは荷主に対して高いものになつてはいけませんから、能率的な経営をやつてもらわなければ困りますので、そういう條件のもとにおいて、適正原価と適正利潤を含むものを運賃として認可するわけでございます。それならばこれは十分に公正なる競争に耐え得るものだと思つております。
  69. 石野久男

    ○石野委員 私はその説明では納得しないのでございまして、高いものだけについての場合をとりまするけれども、経営が非常に合理化されまして、より安くなるべきものでも、認可がありますると、その認可価でとどまる場合があるわけです。それは決して荷主の方に利益はないわけでございます。そういう場合も出て来ますが、それは決して国民のためにも、あるいは荷主のためにも有利でないだろう、こういうふうに思うのです。しかしこれは討論になつて来るだろうと思いますから、私はやめます。ただここでお尋ねいたしたいことは、こういうように片方では独占制を排除し、片方では自由競争に対する濫立を防ごうとするねらいを、この法案に盛ろうとした場合に、政府としてはこういう形態を複数制などということにしないで、なぜ共同経営のような形のもので考えなかつたか。この通運事業の共同経営体というようなことを考えなかつたかという事についてのお考えを承りたいと思います。
  70. 中村豐

    中村(豐)政府委員 この趣旨は、必ずしも單独の経営を言うのではございません。一つの会社の形で出て参りましても、今までの例を見ますと、たとえばトラツク業者の方、倉庫業者の方、港湾運送業者の方、あるいはその他のいろいろな方が入つて一つの会社をつくつて来るというようなものが、最近非常に多いのでありまして、共同経営の形というのが、各方面の專門の方を入れ、各方面の資本を糾合するという意味ならば、まさに最近の傾向はその通りでございます。ただもう一つ共同経営といわれるのには、通運そのものが共同経営でやる形はどうかというような御趣旨であろうと思いますけれども、そういう形態でありましても、これは一個の法人格としてまとまつておれば、さしつかえないわけでございます。またさらに中小企業等協団組合法の趣旨にありますような、企業協同組合の形で出て来ることも予想されるのでございまして、そういうものにつきましても、免許基準適合すればもちろん免許をいたすわけでございまして、共同経営ということについて拒否をしておるような気持はごうもございません。
  71. 石野久男

    ○石野委員 次に、この法律の改正される趣旨が、独占を排除する意味から出て来ているということに関連いたしまして、先ほどちよつと触れました通運計算事業が、今後当然独占的傾向を現わすであろうということを私は憂うるのでございます。またそれでなければ、いわゆる相互計算の趣旨がスムースに行かないだろうと思うのでございまして、この場合に私は、先ほど滿尾委員からのお話もありましたように、政府としましてはこの問題についての見通しを十分に持たれませんと、結局カルテル、トラストの形におけるこうした独占の弊害が出て来る。それはむしろ政府の強い——滿尾さんの言葉でいえば腰骨を入れたところの建前で、この問題を考えて行かなければならないのじやないかというように私は思うわけでございます。この通運計算事業の将来独占的な傾向へ移行する点についての見通しは、どういうふうにお考えになつておられるか、承りたい。
  72. 中村豐

    中村(豐)政府委員 たびたび申しまするように、通運事業の形は、全国的な網の形が一番理想的と思いますので、それが一つに限らず、二つ、三つあるいはそれ以上の複数になることを希望するのでございます。
  73. 石野久男

    ○石野委員 それ以上は、先ほどの滿尾さんの質問の中にもありましたし、議論になつて来るだろうと思いますので、次に特に大臣が言つておりますように、この法案によつて通運業者に対する取扱い等が、非常に民主的に行われておる。たとえば四條、六條、七條、十條、十二條、十三條、二十條、二十一條、こういうようなものはみなほとんど民主的に行われているのだということで、最後に第三十三條の運輸審議会に諮るということにしているわけであります。問題は運輸審議会でございますが、政府としては、たとえば今度の米価審議会の問題があります。米価審議会は米価を決定するにあたつて、民主的に決定するという建前によつて設けられたわけであります。ところが今回の米価審議会の意見というものは、政府においてはほとんど無視されているわけでございます。運輸大臣がこの運輸審議会に諮つて、その決定を尊重しなければならぬということになつておりますけれども、この意図が今度の米価審議会におけるがごとき状態になるということでは、何ら意味をなさないと思うのですが、その点に関しての政府の御所見を伺います。
  74. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 確かに各省にいろいろの審議会がございますが、運輸省における運輸審議会において現在行つております小運送業の新規免許についての、審議会の模様を見て参りますと、まことに民主的に運営をされて、ただいま御質問のような御心配はまずなかろうと思います。私どもとしては実際に運輸審議会において、ある東京なら東京の地域における申請者が多数ございますれば、それらの申請者の申請内容を全部作成して、審議会に提出いたします。審議会においては日を定めて、同時に各申請者にお集りを願つて、その前において各社の申請内容について、聽聞会を開いて、その申請内容の検討を行つております。またその各申請者の聽聞が一応全部終りますと、その聽聞についてのいろいろな反対なり、賛成なりの意見がございますれば、相互にまた意見の開陳を求めて、それによつて聽聞を終り、その結果審議会において実際に免許が適当であるとか、あるいはこれはその次に位するものであるというような意見を立てられておりまして、その立てられた意見運輸大臣は尊重して、実際に免許いたしている次第でございまして、審議会としては十分にその機能を発揮し、また公平に、民主的におやりになつていると思つている次第でございます。
  75. 石野久男

    ○石野委員 私のお尋ねしているのは、審議会が公平、民主的にやつているかどうかということではなくて、政府としては今度の米価審議会の答申案というものを、ほとんど無視しておつたというような点、かりに法律にこのような規定があつても、あのような例を、もしこの法律案で実際になされるようなことがあるならば、意味ないのじやないかということをお尋ねをしているのでありまして、それに対して政府としては、この審議会をどの程度に尊重する意図を持つておられるか。もしも政府の従来のような態度で、この審議会を設けるのならば、必ずそれを裏づけるようなものを、附則か何かに置かなければならぬのじやないかと思いますので、その点に対してのはつきりした腹を伺いたいと思います。
  76. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 今のお尋ねでございますが、米価審議会がああいう結果になつたことのいきさつのこまかいことは、私の答弁の限りではありませんが、運輸審議会に関する限り、運輸省としては運輸審議会の意見をことごとく尊重しておりまして、いまだかつて運輸審議会ができて以来、その意思に反して運輸大臣が特別なことをしたとかいうことは一回もございませんで、全部それを尊重しているし、またよく運輸審議会はその機能を十分民主的に発揮していると認めておりますので、その点御了承願つておきます。今後もまたそういうふうにする方針でございます。
  77. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ただいま運輸審議会が、たいへん民主的に公平に運営されているという御答弁でございました。昨日もそういうような御答弁があつたのでございますけれども、巷間、地方に複数制が実施されまして以来、免許制につきましていろいろな意見が、私どもには伝わつておるのでございます。昨日も質問申し上げましたところ、運輸審議会の審議の経過というようなものが、一切記録にとどまつていないので、詳しいことを申し上げることができないということでございましたが、この運輸審議会の内容が民主的で公平であるならば、なぜ公開なさることができないか。そういう御意思があるかないかということを承りたいのでございます。
  78. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 運輸審議会を公開でやつていないのはけしからんという御注意でございましたが、聽聞会のごときに至りましては、これは公開でやつております。
  79. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 九月九日の交通新聞には、この免許に関しまして、運輸審議会の審議の方法についての、いろいろな疑点がさしはさまれているのでございます。また十月八日の交通新聞にも、運輸審議会の審議状況が、一部外部からの圧力等によつて、澁滯を来している事実が伝えられ、ことに岡山地区、広島地区では、そのために発表が遅れているとまで言われていることは、看過できないのであります。九月九日の交通新聞の場合には、どういうことが指摘されているかと申しますと、新潟地区の場合に、一駅一店の主義ということがまつたくくずれておるわけです。また仙台地区では、日通が出資しておる仙台輸送倉庫が許可されておる。ともに申請の際には、日通持株を全部引取り、代表重役を拔くということをうたつておるにもかかわらず、全然異つた扱いを受けておるということが指摘されております。こういう点につきまして、はたして運輸審議会が公平で、妥当で、何ら政治的な圧力が加えられていないかどうか。この点を明かにしていただきたいと思うのであります。
  80. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 政府といたしましては、運輸審議会はきわめて公平に、かつ愼重にその審議を進め、その決定をいたしておると考えております。
  81. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 この事実をどうするかということであります。つまり一駅一店の主義がまつたくくずれているということについて、どういうふうにお考えになるかということであります。
  82. 中村豐

    中村(豐)政府委員 事案の問題を御説明すると長くなるのでございますけれども、ただ誤解をなさつておるようでございますから申し上げますが、新潟の問題は、なるほど形の上では二つ認められたようでございますが、一つの会社はすでに免許を持つておりまして、その下に取扱駅という駅を一つ追加したわけでございまして、そのほかの駅について新規の業者を認めたのでございまして、一つの業者しか認めないという方針はかわつておりません。ただ新潟のような海と陸との錯雑したところについて、そういう臨機の処置をとつただけでございます。それから日通の持株の問題も、こまかい話になりますけれども、日通も株を持つているが、それを処分するという契約ができておりますから、その点は問題にしておりません。ただほかの全体の内容から判断して、免許の可否をきめたわけであります。
  83. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それではこの点の御答弁がないと思うのでございますが、最近運輸審議会の審議状況が、一応外部からの圧力等によつて、澁滯を来している事実はないということでありますが、あるというふうに交通新聞は伝えております。
  84. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 交通新聞がどういうことを書いておるかは私は知りませんが、政府といたしましてはそういう事実は聞いたこともありませんし、またないことを確信しております。
  85. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 質問を打切ります。
  86. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は運輸審議会につきまして質問したかつたのでありまして、ただいまの質問に関連して御質問いたします。  私の心配しておりますることは、運輸審議会が非民主的であるかどうかという点ではなくて、こういうからくりになりましたために、主務大臣責任感を回避されるきらいがある。審議会の答申があつたのだから、ぼくは知らぬというようなおそれが、多分に見えるのであります。従つてこの制度の功罪というものは、むしろ罪惡の方が大きいのではないかと思います。運輸審議会の論議が適切であつたか不適切であつたかということについて、運輸大臣は責を負われるのであるか。その点を伺いたいと思う。運輸審議会が適法に成立して、適法に議論した。従つて適法である限りどういう勧告が来ようとも、その政治上の責任運輸大臣は負わないというお考えであるのかどうか。その点を伺いたいと思う。
  87. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 運輸審議会の決定に対しましては、運輸大臣はこれを尊重するわけでありますけれども、これは運輸大臣の下にあります内部機関でありますから、運輸大臣がその決定を尊重して行いました行政措置に対しましては、全面的に責任を負うわけでございます。
  88. 滿尾君亮

    滿尾委員 運輸大臣は運輸審議会の決定に従わねばならぬと法律に書いてあるのでありますから、その勧告に従つておるという限度におきましては、運輸大臣責任が解除されておるように見えるのでありまするが、包括的に運輸大臣は政治上の責任を負われると解してよろしゆうございますか。
  89. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 審議会の決定自体に対しましては、それがただちに何らの効果を発生するものでございませんで、決定自体に対して責任云々という問題は起らないと思います。運輸大臣審議会の決定を尊重して、行政措置をいたしました場合において、その行政措置に対しまして運輸大臣は全面的な政治的責任を負うものであります。
  90. 石野久男

    ○石野委員 第六條の免許基準規定でありますけれども、これは先ほど来何べんも各委員から、あまりに抽象的に過ぎるという話があつたわけでありまして、現在いろいろな各委員からの御意見がありましても、政府といたしましては、現在このままでなされた方がいいと思つておられるのですか。もう少し具体的な面で、そうこまかくなくてもよろしいのですが、具体的な点を取上げられなければならぬのじやないかということについての、政府の見解を伺いたいと思います。
  91. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 今のお説の点も、私どもは最初立案するときにいろいろ考えまして、練つたのでございますがこまかくすると非常にこまかくなつて来ますし、結局あれこれと考えた結果、こういうところが一番適当だというところに落ちついたわけでありまして、その点の事情もよく勘案した結果、ここに落ちついたものであるというふうにお答えしておきます。
  92. 石野久男

    ○石野委員 その点についてはいろいろ意見がありますが、それはあとにいたします。次に第十四條の規定と第二十六條の規定の間における問題でございますが、第十四條におきましては、「左の各号の一に該当するときは、期間を定めて事業の停止を命じ、又は免許を取り消すことができる。」となつております。第二十六條におきましては「運輸大臣は、通運事業者事業について公衆の利便を阻害している事実があると認めるときは、通運事業者に対し、左に掲げる事項を命ずることができる。」とあつて事業計画変更すること、また運賃、料金または通運約款を変更することができるようになつております。そこでお尋ねいたしたいことは、片方では事業の停止を命じ、あるいは免許を取消すということがはつきりうたわれておりまして、片方では事業計画変更することや、あるいは運賃、料金または通運約款の変更まで命ずることができるのでありますが、これは第十四條の規定の線ではつきり出ておるものを、またあらためてここで規定しておるような、重複性があるのではないかと考えるのでございますが、その点はいかがでございますか。
  93. 中村豐

    中村(豐)政府委員 これは條文としては十四條が先になり、二十六條があとになつておりますけれども、仕事のやり方としては、第二十六條にあるような、公衆の利便を阻害するような場合に、まず第二十六條で改善を命じて反省を促しまして、それで十分に改善の実が上ればけつこうで、それで終りでございます。ところが、それにもかかわらず改まらなかつたような場合に、最後的な手段として十四條が出て来るわけでございまして、條文はちようど前後しておるわけです。
  94. 石野久男

    ○石野委員 第二十六條の事業計画変更をすることにつきましては、先ほど滿尾委員からも御質問があつた点でございまするが、たとえば運賃、料金等を変更させるということにつきましても、いわゆる通運の全国的な規模というものとの関連性におきまして、各地域における運賃が、全国的な関連性との間における変更命令とか何とかいうものが、非常に煩瑣なものになるだろうと思います。こういう点について、地域ごとの変更をなされようということの意図なのか。この場合における運賃の変更は、全国的なものとの関連性において考えられるものであるのかどうかということをお伺いいたします。
  95. 中村豐

    中村(豐)政府委員 現在小運送業の運賃は、駅ごとにきめてあるわけでございまして大都市は甲、中都市は乙、以下丙丁というように、たしか三段階ないし五段階になつておるのでございます。そういうわけでありますから、変更させるにも、東京の運賃をかえさせる、鹿兒島の運賃をかえさせるというように、地域的にやることができるわけであります。
  96. 石野久男

    ○石野委員 通達事業法案につきましては、いろいろ質問点もありますが、重複する点が多いのでこれで打切ります。  次に日本通運株式会社法を廃止する法律案附則の第二項にうたつてあります点について、お尋ねいたしたいのであります。この規定によりますと「その時以後日本通運株式会社法及び経済関係罰則の整備に関する法律は適用されないものとする。」ということになつております。この場合、説明によりますと、法が実施されてから日本通運株式会社が解体されますが、実質的になくなるまでの間は、こういう取扱いをするということになつておりまして、その間の取扱いは、商法上のどういう取扱いを受けるのでありますか。まず伺います。
  97. 中村豐

    中村(豐)政府委員 日本通運会社を廃止するという趣旨は、国会で御通過を願えれば確定するわけでございます。ところが施行までにいろいろの手続でひまがかかる。その間に起る問題でありまして、国会として、国家の意思をはつきり特殊会社を廃止するのだということになるわけでございますから、できるだけその趣旨に合うように、早い機会に会社としては特別決議でもつて、通常の会社になるような定款変更その他をしてしまうかと思いますし、それに対しわれわれもすみやかに認可するつもりでございますから、そのようなギヤツプは起らないと思います。
  98. 石野久男

    ○石野委員 ギヤツプが起らなければ、事実上こういう問題はお伺いしないのでありますが、しかしここで規定されております経済的な関係に対しての問題の重点は、やはり当然いろいろな法的な罰則を受けるべき内容を持つものでありますので、その間空白ということはありませんでしようけれども、特に日本通運株式会社が、全国的な一つの独占的な形態として持たれておりました当時受けるべき罰則は、その間といえどもやはり受けなければならぬと私は思うのでございます。かりに一月なり二月なりしましても、事実上通運会社の事業がとまるわけじやないと私は思うのでございます。廃止されるまでそういうふうにして、その間にはやはり独占的な形態における経済的な利益を受けている事実があるにかかわらず、罰則の方においては、それを排除するというようなことがあつてはならないと思いますので、この点をひとつ御返答願いたい。  これで日本通運株式会社法を廃止する法律案に対する質疑を終りますが、次に日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案についてでございますが、第三條に規定されておりますものの中に「通運株式会社及びこれらの者が協議して定めた候補者のうちから運輸大臣が選定する第三者の協議によつて定める。」この第三者の選定でございますが、運輸大臣がこの第三者を選定するにあたりましては、さきに通運事業法案における運輸審議会の意見の尊重という項がありましたが、この場合においてもそれが適用されるのかどうかということを伺いたい。
  99. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 この場合には運輸審議会の関係はございません。
  100. 石野久男

    ○石野委員 そうしますとこれは運輸大臣が、いわゆる運輸大臣責任において幾多の候補者の中から決定するということになるわけでございますか。
  101. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 運輸大臣が国庫大臣である大蔵大臣と協議して選定いたします。
  102. 石野久男

    ○石野委員 意見は差控えますが、その次に、日通の株を国鉄が持つているものは、讓渡しなければならぬということになつております。これの処置は従来のままになるのでございますか。
  103. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 それは日通に対して集排の指令が出ます点と別途、政府に対しての別の指示が出るのじやないかと思つておりますが、この法律におきましては国鉄の所有のものだけに考えております。
  104. 石野久男

    ○石野委員 私の質問はこれで終ります。
  105. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次は坪内八郎君。
  106. 坪内八郎

    ○坪内委員 相当時間も経過いたしましたので、簡單にお尋ねいたします。私の質問は、日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案のことについてでありますが、国有鉄道が、日通の施設を処理するにあたりまして、その施設内容について私は大体了承いたしておりますが、おもなる施設は何であるか、それからそれを時価見積りをすると、どのくらいの価格になるかということが第一点。第二点は今石野君から質問がありましたが、この法律案の第三條にうたつてある内容についてでありますが、ただいま局長は、先日もそうでありましたが、大蔵大臣と協議してきめるということを話されております。大蔵大臣と協議するということは、国有財産の移動に関連して協議するのか。どういう意味の性質のものであるか。それからこういつた施設を讓渡したり、あるいは売り渡したりする場合に、当時の日通の施設の価格で行くのか。さらにまた今日の時価で行くのか。それからそれらの施設の価額が株式の価額より超過した場合に、その差額を拂うのだということになつておりますが、その差額はどのくらいに見積つておるのか。それに対する予算の措置はどうしているのか。最後に、こういつた施設通運事業者が利用したいといつた場合には、平等にこれを利用させるのかどうか。そういう点についてまず一応質問いたしまして、お答えによつて質問を続行いたしたいと思います。
  107. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 最初施設の問題でございますが、日本通運施設の範囲は、十二條に書きました範囲でございまして、これらのものが全国の各駅に分散してあります。現在国有鉄道並びに日本通運におきまして、これらについて調査中でありまして、実際に買い上げることになりますと第二條によつて、国有鉄道が実際運営上必要とするものに、ある程度限定されて参るわけでございます。現在買い上げる価格についてでございますが、これも正確なところは判明はいたしませんが、第二條に掲げてあるような施設でございまして、実際に買い上げる価格というものは、まだ判明いたしておりませんが、第二條に該当します施設を全部入れまして、シヤウプの勧告案によるところの時価評価いたしますと、おおむね三億一千八百万円ぐらいになるのではないかと思われます。しかしながら入換動力車であるとか、荷役機械であるとか、荷置場であるとか、一般通運事業者に開放して公平に、取扱わせるあるいは国有鉄道の運営上それが必要であるという限度になりますと、おおむね八千万円から一億円ぐらいの限度のものでないかと考えております。これも非常に大数観察でございますから、大体一億円内外ではないかと思われます。一方、株の評価でございますが、これも額面五十円拂込みのものでありますが、これを五十円にいたしましても約五千万円近いものであり、六十円に評価いたしましても六千万円ぐらいのものでございますので、その物件の価格と株の価格と比較いたしますれば、物件の価格の方が、高くなると思います。予算につきましては、二十五年度の国有鉄道の予算に計上いたします予定になつております。工事勘定予算にその費目を計上いたすことに話がついております。まだ額についてはきまつておりませんが、大体のところただいま申し上げた差額の程度でいいのじやないかと思いますが、これも実際に評価いたして見ませんとわかりません。  次に時価で評価するか、原価で評価するかということでございますが、これも第三條によりまして、国有鉄道と日本通運と選定された第三者とで相談をしてきめるということにだけなつておりまして、まかされているわけでございます。ただその場合に、その協議だけでただちに効果を発生いたしませんで、その価格の評価につきましては、運輸大臣承認を求めなければならない。その承認状を与える場合に、運輸大臣は大蔵大臣と協議してきめる、こういうことにいたしております。  それから大蔵大臣になぜ協議をするかということでございますが、これはやはり国庫大臣としての大蔵大臣に相談いたすのでございまして、現在の国有鉄道の予算の建前、その他財産の処分等にかんがみまして、大蔵大臣に協議いたすことにきめてあるわけでございます。それから何でしたか。
  108. 坪内八郎

    ○坪内委員 こういつた施設通運業者が将来利用したいといつた場合……
  109. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 わかりました。もちろん国有鉄道が讓り受けをいたします目的は、これらの施設をすべての通運事業者に公平平等に使わせる趣旨でございますから、その点は実際問題として平等に使わせ得るものと思つております。
  110. 坪内八郎

    ○坪内委員 この施設を平等に使わしていただくということにつきましては、われわれも非常に喜んでいる次第でありますが、実際問題としては、過去の日通の実績というか、過去の当局とのつながりといつた関係から、ほとんど優先的に日通がこの施設を使うというようなおそれはないかどうか。
  111. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 その点は国有鉄道の問題に関連しておりますので、私の方といたしましては、国有鉄道に対しましてはこの点嚴重に平等に使用させるように指導いたしたいと思います。
  112. 坪内八郎

    ○坪内委員 最後に、前にもどりますが、大蔵大臣と協議するということを第三條にうたわないで、ただ單にそういう申合せがあるのですか。
  113. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 第三條五項に「運輸大臣は、第二項前段の選定、同項後段の承認」というところに入れてございます。
  114. 坪内八郎

    ○坪内委員 わかりました。
  115. 大澤嘉平治

  116. 米窪滿亮

    米窪委員 この前の質問のときにもちよつと触れたのですが、今回日本通運株式会社法を廃して、通運事業法というものを新たに起すということは、結局は従来の日本通運の独占的な形態を、多少でも社会化の方へ向けようとする意思だと考えております。しかし同時にわれわれが知りたい点は、日本通運会社の細分化が、持株整理委員会において何ら具体的にわれわれがこれを知ることができないという点から考えて、こういつた公益的な通運事業の社会化という理想へ行く一つの段階にあるのですが、しかしそれがためには日本通運株式会社というものを、公団になさるお考えがおありになるかどうか。こういうことを伺います。
  117. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 目下のところ公団にする意向はございません。
  118. 米窪滿亮

    米窪委員 いずれ本日党議まて行かれるという見通しのもとに、それでは以下数点について当局のお考えを聞いて、党のこの問題に対する態度をはつきりしたいと思います。その理由は大体滿尾同僚委員がすでに先ほど申し上げた通りでありますから、反省します。  第六條は、免許申請者の審査をしてしかもその二項において、審査の結果、免許基準適合し、かつ一定の場合を除いて免許しなければならないことになつているが、第一項に規定している程度の規準では、濫立を防ぐことはできないと考えているのであります。そういうわけでありますから、こういうふうに修正されるお考えがおありになるかどうか。すなわち「運輸大臣通運事業免許に関し妥当な基準を定め、これを公示し、この基準適合する申請があつたときは、当該事業経費に因り公共の福祉に反する結果を生ずるような競争がひきおこされ、又は鉄道施設の効率的利用を妨げる虞のない場合においては事業免許をすることができる。」こういうふうにむしろ改めた方がよいかと思いますが、これについて御当局意見を伺います。
  119. 中村豐

    中村(豐)政府委員 大体妥当な基準を定めというような書き方では抽象的過ぎるから、ある程度はつきりと書け。詳しく書けば詳し過ぎるというような折衝がございまして、こういうようなところに落ちついたのでございまして、御趣旨の点はよくわかつておりますから、そういう趣旨運用するようなことにしていただいて、この原案が落ちついたところでございますが、たびたび趣旨を御説明したような精神をおくみとり願いまして……
  120. 米窪滿亮

    米窪委員 時間もないから、次に移ります。第十二條は、事業計画変更規定しているのですが、この項の基準は、鉄道の独善的になつている印象をわれわれは受ける。業者の不当支配的であるから、この項を「運輸大臣は前項の認可申請を受理した場合は、その計画が、当該関係者、利用者によつて賛成され、且つ、甚しく輸送秩序を阻害するものでない限りこれを認可しなければならない。」この通り彈力性を持たしたらどうかと考えますが、この点に対するお考えを願いたい。
  121. 中村豐

    中村(豐)政府委員 御趣旨はその通りでございますけれども、批評を申し上げては申訳ありませんが、少し抽象的過ぎるような気がいたしまして、一、二、三と具体的に書いたわけでございます。御了承願いたい。
  122. 米窪滿亮

    米窪委員 次は第十三條ですが、自動車の新規使用であるから、当然に前條の事業計画変更をなすものであるから、これはいらないじやないか。全文削除したらどうか。こういう意見であります。
  123. 中村豐

    中村(豐)政府委員 これは十二條の中に含まれる一つでございますけれども、この自動車の新規使用は、道路運送法によつてトラツク事業貨物運送事業免許を受けなければならぬ仕事になつておるのでございますから、そちらの方の手続を緩和してやるという意味で、ここにわざわざ書き拔いたわけでございますので、十二條に入れてしまうと、またぞろ今までのように道路運送法手続を残さなければならないことになりますから、これはぜひ置く必要があると思います。
  124. 米窪滿亮

    米窪委員 次は十五條ですが、道路運送法によつて貨物自動車事業免許を有する者を運輸大臣が取扱駅を指定した場合に、集貨配達通運事業免許を受けた者とみなすことを規定しているが、このような便法によるならば、当然に不当競争と輸送秩序の混乱が惹起されるから、正当な手続審査に基く免許でなければならないので、全文を削除すべきであると思うが、いかがですか。
  125. 中村豐

    中村(豐)政府委員 十五條は、先ほどの十三條とちようど裏の関係でございまして、トラツク免許を持つておれば、集貨配達に関しては、通運事業免許を受けなくても仕事ができるということでございますので、ただその場合トラツクは、現在の免許は東京都一円とか、大阪府一円とかいうように、県下どこへでも行かれるようになつております。そのままを認めますと、東京都内のどの駅にも出入りできることになりますが、その点はいろいろ事業者の状況を考えて整理をしなければいけませんので、取扱駅を指定するというわけで、この点はどうしても通運の秩序の点から必要であると思つております。
  126. 米窪滿亮

    米窪委員 次に第十六條は、免許の失効に関する規定ですが、第四條と第五條にうたつてある点において、免許規定されておつて、その範囲が限定されておるから、ここにあらためて規定する必要はないと思うが、当局の意向はどうですか。
  127. 中村豐

    中村(豐)政府委員 四條、六條は新しく事業を始めるときの免許のことでございまして、十六條は、十六條に該当するようなことが起つたときには、その免許をなくしてしまうということで、最後の結末でございますので、これはどうしても必要な條文と思つております。
  128. 米窪滿亮

    米窪委員 次に第二十六條ですが、その事業計画変更については、一方的に運輸大臣のみの命令は独善的に流れやすいから、広くこれの利用者及び関係者の意見を徴して、民主的に行うべきであると思うのですが、これは先ほどたびたび問題になつ審議会でやることになるのでありましようか。
  129. 中村豐

    中村(豐)政府委員 さようでございます。
  130. 米窪滿亮

    米窪委員 それから第二十八條の通運計算事業認可について、制限規定がございませんが、かかる規定では、先般運輸省が、何ら関係者の意見を徴することなく、一方的にその取扱駅を廃止したことによつて、その事業と利用者をはなはだしく困難と混乱に陷れた実例がある。計算事業者の濫立となり、勢い取引証の拡大による小運送業者の抱き込みとなり、業者はまた計算会社への加入によつて、取引先の獲得をはからねばならず、このため二重、三重の保証金の積立てによる減価償却が、荷主への運賃過重の結果となるので、「通運計算事業は全国的にわたるものでなければ経営することができない。」という点を挿入して、以下この精神で改正し、二項を三項に改めて、通運事業免許の改正と同制度ですべきであるという意見があるが、これに対するところの見解はどうですか。
  131. 中村豐

    中村(豐)政府委員 通運計算事業は、全国的な一本の網の方がいいので、地域的なものでは二つ、三つに入らなければいけないから、手数料が高くなるというようなお説と思いますが、確かにそういうことが考えられますので、基準を当てはめるについては、そういうものを考えたいと思います。ただ北海道とか九州というような、地域的な特殊事情のあるところでは、そこだけの計算事業も必要じやないかと思われるわけであります。
  132. 米窪滿亮

    米窪委員 第三十三條におきまして、免許、許可、認可その他の処分について、運輸審議会が軽微な事項と認めたものについては、運輸大臣が運輸審議会の決定を尊重しなくてもさしつかえないことにしているが、免許、許可、認可その他の処分に軽微な事項はあり得ないと思う。従つて但書をとつたらどうかと考えますが、当局のお考えはいかがですか。
  133. 中村豐

    中村(豐)政府委員 一例を申しますと、免許の中でも、たとえば限定免許といいまして、ある石炭商の方の石炭だけを取扱うという免許がある。これは石炭商一人だけの問題ですから、社会的な荷主関係の響きはそう大きくありませんから、そういうものは軽微でないかと思います。許可についても、そういう限定事業者相互間の條件確定というようなことは、軽微であろうと思いますし、認可についても、先ほどからたびたびありました事業計画変更認可のごときは、ここへかけなくても軽微であろうと思うわけです。例としてはいろいろございますが、そういうものについては審議会にかけなくてもよろしいと思います。
  134. 米窪滿亮

    米窪委員 三十七條の報告及び検査のうち、第二項以降の検査に関する規定は、昔の濫立時代に行われた業者の鉄道官吏に対する贈賄などを、再び発生せしむる結果になり、官僚支配がますます盛んになると思われるので、これを削除しなければならぬと思いますが、いかがですか。
  135. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 今のお説の点はいろいろ議論のありました点で、当局としましても十分の注意いたして、そういうことのないようにいたしたいと思つております。
  136. 米窪滿亮

    米窪委員 以上をもつて、私どもがこの法案に対する態度を決定する資料が得られたと思いますから、私の質問はこれで終わります。
  137. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 この法律目的の中に、通運に関する秩序の確立とか、通運事業の健全な発達というようなことがうわれておりますが、これは通運に関する労務者の状態を無視してはできないと思いますが、その点について政府ではどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。その趣旨はこういうことでございます。大正五年に請負制をやつておりましたときに、大体八千店くらいございましたものが、昭和十二年に日通になりましたから、従業員の條件が多少向上いたしまして、そうして固定給になつたことによりまして、いろいろな仕事の上の能率も上つたわけでございます。それが今また切りかえになる際に、半固定請負制度が出て参りまして、一般の生活の困窮に伴いまして、いろいろ問題のある点があると思うのでございますが、こういう点につきまして、この法案をおつくりになります場合に、どういう考慮をお拂いになつたかということでございます。
  138. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 この法律の立法にあたつては、不当競争を排除して、事業が健全に発達することにおいて、必然的に労働者の待遇もよくなるようにということを考慮いたしたことは、言うまでもないのであります。
  139. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 日通の独占を排除するという点が、この法律案の中心になろうと思うのでございますが、通運計算事業、つまり計算事業の点では、日通が依然としてこれを独占し、その他諸施設におきましても、日通が非常に優位にあるわけでございますが、ただ採算の合わない点を放棄してしまつて、その地域の荷主が、自由競争の名目のもとに、非常に不自由になるおそれがあると思います。つまり企業性を中心にしてやりますと、今全体に貨物が減つておりまして、独立採算制と立てております日通の建前から申しましても、各支店ごとに、また各駅ごとに区分いたしますと、採算のとれるところととれないところがございます。結局採算のとれないところに対しては、新しくその事業を引受けるというようなことは、これは不可能だと思うのでございます。日通が統一的な全国的な地歩を持つて、戰時中の軍事的な目的ではございましたが、日本全体の事業を握つておりましたからこそ、もうかるところともうからないところとありましても、この小運送事業というものが成立つていたと思うのでございます。企業性を中心にして、独立採算制を建前にして免許制度をやりますときに、もうからない、赤字になつておりますところの駅の荷物を、どういうふうにして吸收されて行くか。そういう点について、この法案においてどんな考慮が拂われておるかということでございます。
  140. 中村豐

    中村(豐)政府委員 第一の、日通が通運計算事業を独占して行くからいけないということは、それがいけませんから、通運計算事業認可制度で、新しくできるものを認めようということであります。第二の、日通が設備を独占しておるということがいけないから、その点について国鉄の中にある施設を国鉄に売つて、新しい通運業者にみな公平にお使い願うということで、この点も御趣旨に合うように法律案が出してあるわけであります。第三番目の、もうからない地域においては、やる者はないであろうという御心配はごもつともでございますが、それはその地区地区によつて事業を経営する形態が違うだろうと思います。たとえば山の方のところでは、八百屋さんや小間物屋さんが、兼業で店先でやるというようなことも、これまたその地区でならばそれでいいだろうと思います。日通の今のようなたくさんの人間を使つた経営でやるから、そういう問題が起るのでございます。そういう点は、経営の形態はうんと変化をもたしていいと思います。それで日通が現在やつております場合に、それをかつてにやめようと思いましても、荷主がお困りになりますから、十一條で、事業の休止、廃止をしようとするときには、公衆の利益が著しく阻害されるおそれがあるときはいけないと言つて、とめることができるわけでございます。
  141. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 採算がとれないからという理由で、日通がもうからない区域を今後荷受けをしないように切捨てて行くことは、この法案では十分阻止し、得るという御答弁でございますか。
  142. 中村豐

    中村(豐)政府委員 さようでございます。
  143. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 国有鉄道の株が九十九万株というふうに承つておりますが、これはどういうふうに処分なさるか。このくらいの金額で——つまり日通の今後の独占を排しまして、新しい経営の方向に行くというときに、この国有鉄道の持つております九十九万株、これは相当大きな問題であると思うのでございます。この行方によりまして、日通の会社の性格というものがかわつて行くと考えられます。この点につきましてどういうお見通しを持つておられるか。どういう計画がおありになりますか。
  144. 中村豐

    中村(豐)政府委員 九十九万株の行方は、確かに大きな問題でございます。その行方は、日通に売り渡して、日通は自己株式の取得でございますから、それは減資のかつこうで償却してしまうと思いますから、その行方はなくなつてしまうわけであります。
  145. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 どのくらいの価格でこれが……
  146. 中村豐

    中村(豐)政府委員 たびたび御説明申し上げましたが、法律の第三條にありますように、国鉄と日通と、もう一人は国鉄、日通から選んだ候補者の中から、運輸大臣が大蔵大臣と相談してきめる第三者、その三人できめるわけでございます。幾らくらいになるかは、十分時価その他の点を考慮してきめていただくことと思います。
  147. 坪内八郎

    ○坪内委員 さつき時間があつたら質問いたそうと思つておりましたが、時間がないので遠慮しておりまいたが、幸い関連しておりますので、ひとことお尋ねいたしておきたいのであります。日通の施設あるいは株について、原価で行くか、あるいは時価で行くかということは、非常に大きな問題で、将来もこういつた第三條に規定されてある協議の問題になると思いますが、会社としては、もちろん時価で行きたいというでしようし、いろいろ判定があろうと思うが、政府としてはこれを時価で考えておるか、あるいは原価で考えておるか。そういう点についてちよつとお尋ねしたい。
  148. 中村豐

    中村(豐)政府委員 これは先ほど申しました三人の方で相談してきめることでございますから、いかようになるかはわかりませんが、おそらく帳簿価格でやるというようなことは不可能でございますし、これまたなかなか話が折り合いにくいと思いますので、その辺のところでよく御相談がまとまることを望んでおるわけであります。これをむりにたたくということは、憲法で保障された財産権の侵害になるわけでございますから、そこは相当時価を考慮して見なければいけないことと存じます。
  149. 松本七郎

    ○松本委員 先ほど柄澤君の御質問に対する当局の御答弁でありますが、サービスの改善とか、効率輸送とかを考えて、今日の時代要求から複数制はこれは一応やむを得ないと思います。しかしながら日本通運が現在相当採算のとれるところは、複数制で小運送業者の設立をどしどし認め、採算のとれないところは、おそらく希望がないことは、これはよくわかつております。しかるに採算のとれないところは、日通としては勢い放置するよりしかたがない、こう思うのです。私企業であれば、これはやむを得ないと思う。それを先ほどの御答弁では、少しく私解釈しかねるのですが、どういうことでしようか。
  150. 中村豐

    中村(豐)政府委員 十一條は、公衆の利益が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除くほかは、事業の廃止、休止をやつてもよろしいが、そうでない場合には、お気の毒ながら事業を継続していただきたい。これが通運事業の公共事業たるゆえんであるという趣旨でございます。もとよりそこの地区において非常に赤字の出る場合には、赤字の出るのをむりにやれということは、これは非常にひどい話でございますので、さような場合には、原価計算その他によつて運賃というものを検討し直さなければならぬ、運賃を検討し直した上で、事業の継続をお願いするようになるのではなかろうかと考えております。
  151. 松本七郎

    ○松本委員 原価計算で運賃の計算をという御答弁ですが、これは運賃というよりも、むしろ扱い料とか、そういうことに考えておいてよろしいでしようか。何か国鉄としては日通に対して、そういう採算のとれないところは、特別の補助でも助成でもするということによつて貨物の輸送に不便を与えないというふうにせなければならないものと存じますが、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  152. 中村豐

    中村(豐)政府委員 運賃と申しましたのは、運賃及び料金その他を含めての話でございますし、それから会社の方にお願いすることは、十分経営の合理化をしていただき、現在よりはもつと簡素なかつこうで、あるいは事業管理の依託または受託という制度も設けてあるのでございますからいろいろな方法で対策を出し合つて、継続をはかるようにしてもらいたいと思います。
  153. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ただいまの事業簡素化や合理化という中には、国有鉄道がいたしましたように、従業員の首切り整理、あるいは労働強化というようなことが含まれるかどうかということを御質問いたします。
  154. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 経営の合理化と申しますれば、いろいろ方法がございますし、これは会社でお考えになることでございますが、全然ないということは断言できないと思います。しかし経営の合理化という面は、首切り整理だけではないということも申し上げておきます。
  155. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 合理化の場合にも、以前はその身分についてはいろいろな保障が、言葉の上だけでございましても、あつたと思います。戰争中軍事的な意味から統制されまして、この小運送を担当して参りました全国の労務者は、相当に貢献して来たものでございますが、その大変革に際しまして、何ら一言もこの法案に触れていないという点は、私ども非常に遺憾でございますが、その点はどういうふうに考慮しておいでになりますか。
  156. 中村豐

    中村(豐)政府委員 そういう問題は、どうも通運事業法で規律する範囲ではないように思うのでありまして、これは日通の独占形態を排して、公正自由な競争形態をつくろうというのでございます。
  157. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 わかりました。それから小運送業法から、この通運事業法が出ます間に、複数制ということが閣議の決定で行われまして、それが民主的な形を一応とつたような御答弁でございましたが、この点につきまして、いろいろそれに関連いたしまして、私きよう御質問申し上げました中にも、国会が法律を新しくきめない前に、閣議でもつて決定しました複数制にからみまして、いろいろ本法案に関連いたしますところの認可の問題やその他の問題で紛議が起きているように承つておりますが、この法案が出ることによりまして、そういう紛議が今後一切解消するかどうか。私どもとしては非常に不十分だと思うのでございますが、この運輸審議会の権限に対しまして、この法案の中にもつと民主的な運営のできますように、新しくお加えになる御意思がないかどうか。それから運輸審議会が聽問会を開いたと言つておられますが、聽問会を開く場合というものは非常に限られておりまして、聽問会を開かない場合にも相当重要な問題が討議されて、それが運輸大臣のいろいろな意見の中に反映されていると思うのでございます。ですからぜひ運輸審議会の審議というものが国会に反映しまして、国民に明らかになりますように、特に通運事業法というものは、いろいろな業者と地方のボスとが結託いたしまして、いろいろな問題が起きる傾向がございますので、この法案に特にそういうことをうたつていただきたいと思うのでございますが、そういう御意思はおありにならないか。お伺いいたします。
  158. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 政府が昨年十一月の閣議決定に基きまして、現在行つております複数制の問題は、現行の小運送業法に基いて行つているものでございまして、決して法律に違反したりしているものではございません。この点は念のために申し上げておきたいと思います。また現在の運輸審議会でいろいろとやつております点で、別段これといつてひどい紛議は生じておりませんし、今後において現在の閣議決定以上に——閣議決定におきましては、新たに免許いたすものを一駅ときめております。さらに一店と認めておりますが、一店以上認められるということになりますれば、もしも御心配になつているような紛議があるといたしましても、それは解消するものと考えております。
  159. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 御答弁、納得の行かない点がございますけれども、これで質問を打切りたいと思います。
  160. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 ただいま政府委員から、憲法の示す財産権云々というようなことがありましたが、この第二條の一、二、三、四の施設を国有鉄道が讓り受けるという場合、日本通運あるいはその他通運事業者が、それを売りもしないし、貸しもしないぞと拒否した場合の、政府の処置はどうなさいますか。お聞きします。
  161. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 これらの施設を、第二條におきましては、日本通運株式会社に対しましては、集中排除の指令をもつて、これに義務を課します。またそれを買う場合の規定が第二條であります。従いまして集中排除によつて日本通達に対しましては、これらの施設を売る義務が付されるわけであります。それから第五條におきまして、日本通運以外のものにつきましては第二項に、これらの物件を讓り渡しまたは賃貸ししなければならない義務を課しているわけでございます。
  162. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 それは憲法の財産権の侵害になりませんか。
  163. 中村豐

    中村(豐)政府委員 憲法というお話でございますが、公共の福祉のために財産権の処分について、これは法律をもつてしておりますから、さしつかえないと思います。
  164. 前田郁

    ○前田(郁)委員 時間が大分切迫いたしましたから、ごく簡單一つだけお尋ねいたします。この法案は自由競争制を確立して、公共の福祉を増進し、民主的の運営を期するということでございまして、その根本となる問題は、結局複数制の問題に相なつている。それでこの六條の規定が一番重大な問題になると思いますが、この六條で行きますると、許可という、その数は幾つにもできるわけでありまして、また相当大きな大都市と、小さいいなかの都市、あるいは町村というところは、もちろん違わなければならぬわけでありますが、これに対しましてたとえば六大都市というようなもの、その他六大都市より小さい都市というようなものに対しまして、政府の方におきましては一定の何か許可の基準ともいうものがあるのでございましようか。また今までの閣議で決定したように、新しいものは大都市でも一店しか許さぬのだ。そういう意味に解釈して行かれるのであるか。その点は、ただちに実行問題に移られるのでありますから、非常に重大な問題と考えますので、ちよつとお尋ねしたい。
  165. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 ただいまの御質問の御趣旨は、結局現在閣議決定によつてつております複数制の問題で、新たに免許するものと、さしあたり一駅に一店とするという点の御質問だと思いますが、この通運事業法が公布になりますれば、国会の意思によりましておきめになつた方針に従つて、ただいままで政府のとつて参りました方針は、変更されるものと考えております。ただそれでは全国的に一駅一店であるか、二店であるかということは、画一的に考えられない性質のものでございますので、個々の駅につきましてそれが一店以上になる。二店のところもあり、あるいは三店のところもある。こういうふうに私どもとしては考えております。
  166. 前田郁

    ○前田(郁)委員 今の御答弁でよくわかりましたが、次にそうしますと、閣議決定に基いて第一次、第二次とおやりになつたわけでありますが、今後も順次おやりになるのでありましようか。または一斎におやりになるのであります。その点をお伺いしたい。
  167. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 これは私ども事務をとつております者と運輸、審議会ともさらによく相談しなければならぬ問題であると思いますが、何分にも聽聞会を開き、あるいは手続の事務処理の上からいたしまして、一時に全部の駅に対しまして申請を受付けるということは、事務処理が澁滯するおそれもございます。従いまして順次申請を受付けまして、処理して行つた方がよいのではないかと私自身は思つております。ただこの点につきましては、申請を出されたものについては処理しなければなりませんが、何分にも多数のものが全国各地から出て参りますと、事務処理にかえつて困難を来しはしないかと心配しております。
  168. 前田郁

    ○前田(郁)委員 ただいますでに運輸審議会の方へまわつているのもあるのじやないかと思うのでございますが、そういうのはこの法案ができてからおとりはからいになりますか。またはこの法案がまだ施行されない前におやりになるのでありましようか。その点をお伺いしたい。
  169. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 この法案は来年の二月一日から施行ということにいたしております。従いまして現在免許申請を出し、また審査をなしておりますものは、旧法、現在の小運送業法でやつております。しかしながらこの法案が公布されますれば、この精神を十分にくんでやつて行くのがよいじやないかと考えております。
  170. 松本七郎

    ○松本委員 この複数制についての非常に重要な根本問題を、今前田君からお尋ねがありまして、局長からの御答弁ですが、事務上の都合によつて、一時にたくさん申請が出たときに、処理ができない。順次処理して、免許すべきものは免許するという。ただ事務上の、仕事の都合上の数の免許方針ということに、私は聞き及んだのであります。当局も輸送のことには御苦労された方ばかりであり、また委員各位も同様でありますが、私も大正時代、複数制当時、苦い経験をなめ、昭和の初めころに何人から勧められるともなく一駅一店主義、すなわち單数制をとつて来たものであります。それから考えて、ただ事務上の煩瑣いかんによつて、ぼつぼつと複数制を認めるというだけでなく、その駅の貨物積みおろし、輸送の実態をよく把握していただいて、はたしてここは一駅一店でしかるべきや、あるいは複数制をとつて二店にしてしかるべきなりや、あるいは三店がいいかということを御判断願つて申請の数いかんにかかわらず、その実情を、いわゆる輸送の上と荷主の利益を御勘案願つて、御決定願いませんことには、当然起きる問題は、たとえば置場、すなわち構内上屋の争奪、あるいは荷物紛失等の必ず摩擦が起きるのであります。前のように秩序が維持されておつた時代でもそうですが、ことに増して今日のごとき、まだ混乱の域を脱しておらぬときに、甲の業者と乙の業者と上屋の取合いを始め、ひいては労務員あたりも、自分の店の荷物でないから、少々こわれようが、雨にぬれようが、おかまいなしに——競争ということはよろしい。いわゆる自由競争が公正な、人の権利を尊重しつつ競争するならよろしいが、残念ながらわが日本人はまだそこまで発達しておりません。つい自分のためならば、人の店が倒れることをむしろ好むような形において、かえつてそこに大きな弊害が生じて来るということなど、わが国の実情において、私ども苦い経験をなめております。ことに労務員などとしますと、格別そういう弊害が多いのであります。でありますから、たとい複数制とはいいながら、その実情をよくお考えつて免許願わぬことには、必ず一、二年、三年たたぬうちに、また單数制という問題が起きて来るのじやないか。こう私は前途を心配いたしますが、ともかくもこれまでの独占の行き過ぎを、この際ある程度是正することはけつこうであります。しかしものにはまた片方、反動的な行き過ぎということが必ず起きると思う。この点御勘考願つて免許されたのだからということで、政府が認められたからというので、どしどしおやり願うと、かえつて荷主も迷惑、業界も混乱する。輸送の能率化でなく、むしろ輸送能率は低下してしまうということを心配いたしますので、この点についてのお考えを承つておきたいと思います。
  171. 牛島辰彌

    ○牛島政府委員 まことに実情に即した御意見、御質問を受けたのでございますが、私が先ほど申し上げましたのは、申請の受付をする場合に、どういうふうに受付して事務を処理して行くかということを申し上げたのであります。国民のどなたでも申請する権利を持つているわけですから、特定の地域について、特定の駅について、実際に聽聞会を開くというような場合に、漏れてしまつたというので、あとでまた同じ駅に一人出て来られるというようなことになりますと、非常に不便でございましようから、取扱い数量等によりまして、大体同じ程度の大きさ、能力の駅等を指定いたしまして、そういうものはある一定の期間を告示するなりいたしまして、希望の方に申請していただく。そうしてそれを処理して行く。そうして順次それを及ぼして行くという方法も考えられますし、また地域的に一定の期間を限つて申請を迅速に処理して行くという方法も考えられますけれども、とにかくこの法律が出たから全部申請する権利があるということで、大小とりまぜて北から南にわたる駅各所から出て参りますと、非常に受ける方におきましても事務が澁滯をして、かえつて遅れはしないかということを心配して、申し上げたわけでございます。この点御了解を得たいと思います。またただいまの御質問につきましては、私どもといたしましても、十分その点愼重に考慮いたしまして、運輸審議会とも諮つて仕事を進めたいと思います。
  172. 石野久男

    ○石野委員 今複数制の問題について御質問がありましたわけでございますが、私が先ほどの質問で運賃、料金の問題についてお尋ねいたしましたときに、全国的な構想でなくて、地域的にそれぞれ決定するのだというお話がありました。むしろ一駅ごとにそういうことが決定されるように承つたのであります。そういたしますと、運賃決定が各駅で相違しておるということは、非常に荷主の方に対しても不便を来すばかりでなく、荷主の方にそれだけ経済的な不均衡な状態が押しつけられるような形になると思うのでございます。私はこの点が将来全国的な統制を保つたものになりませんと、自由公正なる競争ということが一面で言われておるのに、他面に免許制があるということは、この自由競争が制約されておるわけでありますので、この運賃の決定ということについて、ことに免許制を持つておりまする場合に、すでに免許しましたものと、それから免許されないで、それ以下に運賃の操作ができるであろうというようなものがあり得るはずなのであります。そういう場合の考慮、いわゆる運賃変更の場合における当局の配慮のようなものについで、そういうときにどういう御態度をおとりになるかということをひとつ承りたいと思います。
  173. 中村豐

    中村(豐)政府委員 免許されないものは事業はできませんが、免許されておるものは十分に実情を考慮して運賃を考えて行きたいと思います。
  174. 石野久男

    ○石野委員 時間がおそいので、もう一点だけ伺います。一駅ごとに運賃が違うということが、私は荷主の方にとりまして非常に不便だと思うのでございます。この点はどうしてもやはり考えなくちやならぬ問題だろうと私は思うのでございまして、この点どうも納得しないのでございます。将来必ずやこの問題について問題が起きるのじやないかと思いますので、その点もう少し御説明願いたい。
  175. 中村豐

    中村(豐)政府委員 一駅ごとに運賃が違うというお話は、その通りでございますが、おのずから三段階ないし五段階のうちのどれかに入るわけでございまして、全国四千の差があるというわけではございません。五段階くらいのグループに入るわけでございます。
  176. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 この際お諮りいたします。委員外議員であります小淵光平君より発言を求められております。これを許しますに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 それでは小淵光平君。
  178. 小淵光平

    ○小淵光平君 一点だけお伺いしておきたいのですが、十五條の問題は米窪先生からお話がありましたが、この十五條に「運輸大臣が取扱駅を指定したときは、」ということがあるのですが、運輸大臣が、取扱駅を指定しないときは、鉄道によつて運送されるところの物品の集貨配給のために、運送を行うということはできないことになるのか。その点をお伺いしたいと思います。
  179. 中村豐

    中村(豐)政府委員 さようでございます。
  180. 小淵光平

    ○小淵光平君 そうしますと、現在の小運送業者が持つておる自動車と、一般貸切業者の持つておる自動車に何か相違があるのですか。その点を承りたいと思います。
  181. 中村豐

    中村(豐)政府委員 たいていの場合は相違がございまして、小運送業者が持つておる自動車は、小運送のためにするトラツク事業というふうに制限がついております。
  182. 小淵光平

    ○小淵光平君 この小運送一般貸切業者の問題は、従来からの慣例からいたしますると、小運送業者は駅の構内の集貨配達一般貸切業者は地場業者というふうにわかれておつたものが、新しい道路運送法によつて、両者平等の権利を与えるということで、一般貸切業者も小運送業者も同じ権利が与えられておるわけなのであります。その当時非常に問題になつたのが、一般貸切業者の領域に小運送業者が入るということが、問題になつたわけなんです。そういう点からいたしまして、新しい道路運送法によつて、法の裏づけがあるところの運送業者が、一方は小運送だけするんだということでとどまつておればいいが、とどまつていないときには、両方が地場業者を行えるということになつて来るので、平等の権利を与えられておるというように私は了解しておるのですが、この点を伺いたい。
  183. 中村豐

    中村(豐)政府委員 今申し上げましたように、小運送業者の自動車にはたいていの場合、小運送のためにする範囲に條件がついておりまするから、それ以上に出るのは特別の場合以外は違反になるわけであります。
  184. 小淵光平

    ○小淵光平君 ごく特別の場合にそういうことがあるかもしれませんが、多くの場合は、既得権者の地場貨物運送業者というものの既得権に対するところの一つの制限が、この十五條で加えられておるというふうに私は考えますが、この点に対するところの御見解をお伺いしたいと思うのです。
  185. 中村豐

    中村(豐)政府委員 これは制限的にも解されると思いますけれども、そういうものよりも、むしろこれは青森県一円というふうな免許を持つておられるのに、そのまま認めれば、青森県内のどの駅にも出られますが、それではあまりに放漫になりますから、青森県内の何駅ということを指定するという意味でございます。
  186. 小淵光平

    ○小淵光平君 そうしますと、一般貸切業者に対するところの制限が、この十五條で加えられたというふうに了解してよろしゆうございますか。
  187. 中村豐

    中村(豐)政府委員 制限というよりもむしろ督促という意味でございます。  それから先ほどの黒澤委員の御質問の憲法の問題でございますが、憲法はなかなかむずかしいのであります。憲法二十九條によつて過度の経済力集中排除法がきめられておると解しておりますが、この過度の経済力集中排除法によつて、日通に対して設備を国鉄に売れという指令が出るわけでございます。
  188. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 その他はどうなりますか。
  189. 中村豐

    中村(豐)政府委員 その他もこの條文で行くのだと思います。
  190. 前田郁

    ○前田(郁)委員 たいてい質疑も盡きましたようでございますので、これで質疑打切りの動議を提出いたします。
  191. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 前田君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 御異議ないものと認めて、通告者の質疑はこれで終ります。  これより三案を一括して討論に付します。討論の通告があります。これを許します。米窪滿亮君。
  193. 米窪滿亮

    米窪委員 三案について、私から政府当局に問いただした結果につきまして、特に通運事業法案については、われわれが念願しておつたところの公益事業の社会化という点が、少しも認められない。それから日通の独占が、この法案をもつてしても完全に拂拭ができない。さらに通運計算事業体の取扱いについても、はなはだ不満な点がある。こういう点をあわせて、わが日本社会党ははなはだ遺憾ながら、本法案に反対せざるを得ないのであります。
  194. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 關谷勝利君。
  195. 關谷勝利

    ○關谷委員 この法案は、日通の独占を排除することになつておりますし、サービスの低下を防ぐというような点、公正な競争ができるというような点につきまして、いまだ日通の独占を排除するということが十分でないにいたしましても、幾分前進したものであり、なおそれに伴うところの日通の廃止法であり、あるいは国鉄外機構の所有物件の処置等に対しても規定いたされておりますので、私はこれに賛成の意を表するものであります。
  196. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次は柄澤君。
  197. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 共産党といたしましては、日通の独占によるところの收奪に対しましては、反対して参つたのでございますが、本法案によりましては、決してその目的としておるところのものが、解決するとは考えられないのでございます。わが党といたしましては、運輸行政と関連いたしまして、通運事業のごとき公共性を持ちますものは、ぜひ全国的にこれを統一いたしまして、社会的な経営に移さなければならないという考えを持つております。ところがこの法案は、自由競争という名目のもとに、統一されておりました通運行政が、逆に非常な混乱に陷るおそれすらあるのでございます。のみならず、ただいまの経済恐慌のもとにおいては、国有鉄道が独立採算制ができませんと同様に、この通運事業も外資に頼らなければならないのではないかと考えられる向きが、十分に考慮されるのでございます。これは国民一般の利益にもならず、今急いで出されますことは、いたずらに通運行政の混乱と、またこれによる地方ボスの利権争いとか、いろいろなことで混乱を起すであろうということが考慮される次第でございまして、これには絶対に賛成することができないのでございます。  さらに、ただいま通運事業に従事しておりますところの多くの労働者諸君が、ほとんど何の保障もなしに、自由競争のもとにほうり出されますと、すでにその端緒を現わしております半固定給であるとか、首切りであるとか、あるいは労働強化というようなことから、一般の大衆にもその迷惑が及ぶおそれがあるというふうに考慮されます。そういう方面から言つても、この法案に賛成することができない次第でございます。
  198. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次は清藤唯七君。
  199. 清藤唯七

    ○清藤委員 私は民主野党を代表いたしまして、本案に賛成するものであります。長い間日通の独占によりまして、社会民衆のこうむつた影響は——今にしておそいのであります。一日も早くこれを打開して、社会的、民主的な経営をすることが、時局柄当然であります。私は本案に賛成するものであります。(拍手)
  200. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次は石野久男君。
  201. 石野久男

    ○石野委員 私は労働者農民党を代表いたしまして、遺憾ながら三案に反対の意見を述べたいと思います。  日通の独占化を排除するために提案されましたこの法案は、自由競争を目的として立案されていると言われるのでありますけれども、法の実体は、決して自由競争が確保されていないのみならず、このことによつてかえつて人民大衆は混乱するであろうということが予想されるのであります。なおまた單数制、複数制の問題について、やはり單数制が問題になるであろうということは、民主自由党の諸君の中にもその言がある通りであります。いずれにいたしましてもこの法案は、決して日通の独占を排除し切れるものでもありませんし、またそれによつて自由公正なる競争が人民の間に行われるということにもならないので、日通も人民大衆自体も、かえつて混乱するであろうということを心配して、この三案に対して反対するものであります。
  202. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  これより日本通運株式会社法を廃止する法律案通運事業法案及び日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案の三案を一括して採決いたします。以上三案を原案通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  203. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 起立多数。よつて以上三案は、原案の通り可決いたしました。  なおこの際お諮りいたします。衆議院規則第八十六條による以上三案に関する報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。  暫時休憩いたします。     午後五時十八分休憩      —————・—————     午後五時二十五分開議
  205. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 開会いたします。  次に国際観光事業助成に関する法律案議題といたし、審査を進めます。これより質疑に入ります。御質疑があれば発言を許します。
  206. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 予算を拜見いたしますと、日本国民病ともいうべき結核の助成金なんかは、一文も計上しておりません。外客を迎い入れますのに、花柳病であるとか結核のようなものがありますれば、外客を誘致する條件が備わつていないことになると存じます。一文も計上しておりませんのに、こういう観光ホテルに一千万円計上するという点につきまして、私ども納得行かないのでございます。現在花柳病や結核が非常にふえておる。しかるに政府としてこの対策が一つもない。衞生的な條件も備わらないのに、こういう面で外貨を獲得しようとすることは、私ども賛成いたしかねるのでございますが、この問題についてどういうふうにお考えになりますか。
  207. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 厚生省予算として幾ばくの予算が計上してあるか、今つまびらかにいたしませんが、御承知のようにわが国国民経済は、遺憾ながら貿易によつて維持せざるを得ない状態でございます。従いまして運輸省といたしましては、輸出貿易が現在のような状態でございますので、どうしても物の貿易以外の見えざる貿易を振興いたしたい。こういうことを熱望いたしておるわけでございます。従つて船舶をもつて外国から運賃をかせぎ、並びに観光收入をかせぐということに努力をいたしておるのであります。従いましてその趣意からいたしまして対外宣伝、外国に対しまして、日本のうるわしき風土、文化を宣伝する作業、並びに国内におきまする国土の美化、その他観光に適する環境をつくり出すことに対して、非常な関心と熱意とを有しておるわけでありまして、そういう仕事を民間の出資だけでやることが不可能な状況にあります。政務次官から提案理由説明のときに詳しく申し上げましたように、諸外国でもイギリスを初め、多額の国庫補助をいたしておるわけでありますが、わが国におきましてもこういう実例を勘案して、ここに補助金を出そう、こういう趣旨であります。
  208. 田中堯平

    ○田中(堯)委員 一千万円とはどうも至つて少額のように思うのですが、これはどういう方面に使われるのか、詳しい御説明を伺いたいと思います。ことに今度これを受ける観光事業は大体どのくらいの数であつて、どういう種類のものか。すでに提案趣旨説明のときに概畧説明があつたかもしれませんが、重ねて御説明願いたいと思います。
  209. 間嶋大治郎

    ○間嶋政府委員 今お尋ねの点につきましては、昨年度におきましては政府としては三つの機関に対して、補助金交付いたしました。その一は、まず財団法人日本交通公社に対しまして五百万円、鉄道特別会計から支出いたしました。第二には、社団法人全日本観光連盟に対して、昨二十三年度は一千万円支出いたしました。第三には、日本海上観光協会に対しまして昨二十三年度は七十五万円を、一般会計から支出いたしたのであります。ところが本年は、先ほど政務次官から提案理由説明お話がありました通り、均衡予算の建前で本予算には全額削除せられたのであります。幸い補正予算におきましては、全日本観光連盟に対しまして一千万円だけが認められ、計上されておるのであります。来年度におきましては、現在までのところでは全日本観光連盟に対して、今年の補正予算と同額の一千万円、それから日本交通公社に対しては、対外観光宣伝を積極的に実施いたしますために、二千万円程度の補助金を考慮いたして、本予算に計上御審議を願うつもりでおるのであります。この二つの団体に対しましては、これも提案理由説明されたのでありますが、全日本観光連盟の方は、全国ほとんどすべての観光機関をその傘下に持つておる総合団体でありまして、各府県にそれぞれ観光協会というものがございます。それらを全部包含し、さらにそれ以外のホテル、鉄道、汽船会社、文化団体など、観光事業関係のある多数の会員を包含しておりまする代表的な総合的な観光機関であります。全日本観光連盟でやりますおもな仕事は、まず観光事業の重要性ということを十分に国民に理解せしむるような観光観念普及、あるいはまた観光事業従事員の素質の向上、観光施設整備促進観光資源の調査及び保存ないしその利用、開発、その他観光事業振興のために幾多の仕事をやつておるのであります。また日本交通公社は財団組織でありますが、この日本交通公社の主たる仕事といたしましては、観光宣伝、内外旅客のあつせんという二つの大きなことを使命といたしておるのであります。この団体は御承知かと思いますが、戰争前におきましては観光宣伝をもつぱら担当いたしまする機関といたしましては国際観光協会というものがございましたが、昭和十八年の初めにこれが日本交通公社の方に合併されまして、それ以後はこの団体が今申しました対外観光宣伝、内外旅客のあつせん、この二つの仕事を主たる使命としておる団体でございます。たくさん観光関係の機関はございまするが、全国的、代表的な観光機関で、しかも過去において実績を持ち、またその組織、人的な配置、あるいは過去の経験、いろいろの点から考えましても、私どもといたしましてはこの二大観光機関が最も代表的なものと考えるのであります。先ほど提案理由でも説明がありました通り、現在の経済情勢におきましては、民間からの負担にのみたよることはとうていできませんし、また仕事の性質上からも、その利益は広く国民全般、また広くあらゆる経済産業部門にも及びまするので、国家が相当部分を負担することも理由のあることと考えておる次第でございます。
  210. 坪内八郎

    ○坪内委員 政務次官にちよつとお尋ねいたします。国際観光ホテル整備法の主管がどこにきまるやもわからないようなやさきに、こういつた予算面をわが運輸省で担当することになることは、国際観光ホテル整備法案が運輸省の主管になることを前提としてやつておるのかどうか。さらにまたもしもこれがまかり間違つて厚生省の主管になつたような場合に、こういう助成法律、予算その他の措置が、変なものになりはせぬかということをちよつとおかしく感じます。この点お伺いしたい。
  211. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 お尋ねごもつともでありまして、この国際観光事業助成に関する法律案というのは、閣議で決定いたしまして、運輸省で担当して、こういうふうに提出することになつた次第でございます。それで国際観光ホテル整備法案主務大臣が、他の大臣なつた場合においては、おかしな関係になるであろうという考えでありますが、お説ごもつともでありまして、われわれ運輸省当局といたしましては、国際観光一切に対する主務大臣は、ぜひ運輸省に決定されるように、国会の方において御決定になることを望む次第でございます。別に運輸委員会にもその点を切望する次第であります。
  212. 坪内八郎

    ○坪内委員 国際観光ホテル整備法案の主管が、いろいろな関係でもしもよその主管になつた場合の処置はどうなるか、もう一度伺いたいと思います。
  213. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 この問題は御承知のように厚生省との間におきまして、いろいろ議論があつたわけでございますが、政府部内におきましては厚生大臣も十分了承いたしまして、関係事務当局の間におきましても、この法律の主管大臣運輸大臣であることは、異議のないことに了解がついておるわけでございます。しかして国際観光ホテル整備法案主務大臣がいずれになるかということが、今問題になつておるようでありますが、先般の委員会の席上において、衆議院の法制局の意見として、現行の設置法から見まするならば、国際観光事業は運輸省の所管であるということをはつきりと申されておりましたが、われわれはさように考えておるわけでありまして、この所管の問題に関しては設置法を改正しない限りは、それが厚生省に行つてしまうということは、あり得ないと確信しておる次第であります。
  214. 滿尾君亮

    滿尾委員 この補助を受ける団体は過去において三社、今年は一社、来年は二社、大体その範囲の団体が補助金を受けるということは了解いたしておるのでありまするが、この補助金を出しました金のおもなる使途につきまして、どういうふうにお考えになつておりますか。同じ観光政算を立てますにつきましても、二つ三つの団体がダブつた活動をしては、金の使い道がもつたいないような気がしますし、また広く外国に観光的な呼びかけをいたしますにつきましても、私はその間におのずから緩急の度があると思う。世界中五十何国に向つて平面的な働きかけをしたのでは、意味をなさらないのであります。従つてまた国家の政策として現段階における観光政策といいますか、重点的な指導をしなければならぬ。従つてそれらの重点的な政策を一体だれがどこで立てるのか。その目的に合致するようにこれらの機関が協力するような態勢に、この補助金使つていただかなければならぬのでありますが、現在そういう点については、どういうふうにお考えになつておりますか、お伺いいたしたいと思います。
  215. 間嶋大治郎

    ○間嶋政府委員 観光事業の基本的な政策というふうなものを、どう立てるかというお話でございますが、これにつきましては今官房長からも申し上げました通り、主務大臣としてはもちろん運輸大臣責任を持つて行政の任に当らなければならないのでありますが、これまでの状況におきましては、観光事業の中で観光プロパーは、ほとんど運輸省がこれを所管しておると考えておりますが、しかしまたこれを広義に解釈いたしまして、観光関係行政というふうなことになりますと、非常に広くなります。国立公園の行政もございますし、また観光道路行政もありますし、また天然記念物の保存行政もありますので、そういう見地から昨年の夏に、内閣総理大臣のもとに観光事業審議会が置かれたのであります。この審議会はその任務といたしまして、観光事業の基本的な方針を調査審議すると同時に、関係各省の行政の総合調整をやるという、二つの大きな任務を持つておつたのであります。そして当時閣議決定におきまして、各省は観光事業関係のある重要事項計画するときには、この審議会にかけるということを閣議了解としてきめておつたのであります。内閣はかわりましたが、新しい設置法におきましても、観光事業審議会が置かれることになつておりますが、またそのときの各省の了解はそれぞれ、われわれとしてはまだ生きておるものとして、一応実行しておつたのであります。ところが実はまだ遺憾なことには、いろいろな事情委員の任命が遅れておりました。ところが今度審議会、委員会の整理統合という問題が起きまして、委員を任命してしまうとまたやりにくくなることがあるかと存じますが、しばらく委員の任命もまだ押えられておるような結果に相なつております。もしそれが法律にありました通りできまして、活動を開始しましたならば、この審議会を政府としては——もちろん性質は諮問機関でございますが、設置の趣旨から見ましても、重要事項はこれにかけて一応審議を仰いで、内閣はその結果を尊重して、各省がこれを実行するというふうに持つて行かなければならぬと考えております。  それから具体的な問題として、来年度の予算等について私どもがいろいろ査定等をいたしました。場合に考えましたのは、もちろん外に対しましてはもう講和條約も近いことでございますし、また日本人が外に出て活動することも逐次ある程度認められて来ておりますので、来年度以降においては間接的な宣伝だけでなしに、直接的な宣伝までやろうという考えでおります。交通公社の予算等においても、来年度対外宣伝及び外客誘致のために、海外出張をする程度の予算は一応計上されておるのであります。しかしもしわれわれが希望いたします通り、すでにドイツ等においてもニユーヨークに事務所を置くことが認められたのでありますが、もしそういうことが認められたならば、大蔵省との間には予備費等で支出するというような話合いも、一応いたしておるのであります。それから対内的に対しましては、一言にして申しますならば、受入れ態勢の整備ということに盡きるのでありますが、その重点は何と申しましてもまず宿泊施設、交通機関の整備、さらに全般的に観光観念普及という点に、大きな努力をしなければならないのじやないかと考えるのであります。そういつた仕事は民間団体としては全日本観光連盟に強力にこれを実施せしめるつもりであります。
  216. 田中堯平

    ○田中(堯)委員 今本会議が始まつたようでありまして、予算でありますし、定足数も少いしいたしますから……
  217. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 残余の質疑は次会にこれを続行することといたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時四十三分散会